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1955-06-17 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十七日(金曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 前尾繁三郎君    理事 加賀田 進君 理事 門司  亮君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    勝間田清一君       北山 愛郎君    五島 虎雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 六月十七日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として松  永東君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員松永東辞任につき、その補欠として櫻内  義雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十六日  消防起債認可範囲拡大に関する陳情書  (第二二五号)  地方自治法の一部改正反対に関する陳情書外八  件(第二二六  号)  同外十件  (第二五〇号)  同外九件  (第二八二号)  地方議会制度強化等に関する陳情書  (第二二八号)  飛出しナイフ及びあいくちの所持禁止緩和に関  する陳情書(第二  二九号)  同(第二五五号)  地方議会制度強化に関する陳情書外四件  (  第二五一号)  同外一件  (第二八一号)  地方財政再建に関する陳情書  (第二五二号)  同外一件(第二  八七号)  旅館における宿泊、飲食に対する遊興飲食税軽  減に関する陳情書  (第  二五三号)  地方行政機構整備並びに人員整理に伴う経費  の助成等に関する陳情書  (第二七九号)  地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関  する陳情書(第二  八〇号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第二八三号)  合併町村育成強化に関する陳情書  (第二八四号)  各町村寄附金及び負担金等全廃措置に関す  る陳情書(第二  八五号)  遊興飲食税の撤廃に関する陳情書  (第二八八号)  軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する  陳情書  (第二  八九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)昭和三十年度地方財政計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  本日はまず地方財政再建促進特別措置法案議題として質疑を行います。質疑の通告がありますのでこれを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 再建促進特別措置法議題にするという点については若干異議があるのです。それは、やはり今後審議についての理事会なり何なりをしてその上できめていただきたいと思う。今までやってきておりましたのは、私としては、地方財政計画の問題、それから地方税法、こういうものを中心にしてやっておるのでございまして、再建促進特別措置法審議をどういうふうにやるかというようなことについては、やはりあらためて理事会を開いて打ち合わせた上で、議事の運営について取り計らっていただきたい、こういうふうに希望いたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 これはすでに政府説明もありまして、との再建促進特別措置法財政計画と並行してやる。なおこれの公聴会あるいは審議日程等はなお理事会に諮りまするが、とりあえず一応説明があったから、それに対して質疑を行うことにしましたので、関連してけっこうですからやっていただいたらいかがでしょうか。——今北山君からああいう御意見が出ておりまするが、これに対して何か……。
  5. 加賀田進

    加賀田委員 もちろん再建促進法案地方税法改正問題といろいろ関連があるのですけれども政府の提出いたしておりまする全般的な地方財政に対する態度関連して、この再建促進法案が出て参ったわけで、地方財政のいろいろな問題が税制改革と同時に審議され、それが原案通り決定するという状態であれば、もちろん再建促進法案に対して審議をしていかなければならないと思うのですが、政府の出しております地方税法改正については、いろいろの関連性において小委員会を通じて一部改正しようとする意図も私たちはあると思うのです。そうなって参りますと、再建促進法案もいろいろな形で、やはりそれと関連して改正しなくちゃならない問題が起ってくると思う。やはり小委員会税制改革に基く基本的な態度が決定された後に、この問題が審議されれば非常にいいんじゃないかと思います。  それからこの問題と関連がないのですが、期末手当の問題で、ちょっと長官に質問したいと思うのですがお許し願えますか。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 どうぞ。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 昨日〇・〇五のいわゆる超過勤務手当の繰り上げ支給等に基いて約十億ほどの財源措置考えているというお話でしたが、それだけではなくして、〇・七五の期末手当さえ支払うことのできない地方団体が相当出ているということを昨今聞いております。そこですでに六月の十五日に支給されなくもやならないのにもかかわらず、現在なお支給されないで組合と理事者側とがいろいろなトラブルを起しておると聞きますが、これは何とか短期融資等を通じて早急に〇・七五の期末手当支給できるように長官として計らっていただきたいと思いますが、それに対して長官としてはどうお考えか。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 各公共団体には条例等で〇・七五の期末手当を規定しているのでありますが、これは当然義務費でありまして、支給すべきものであります。ところが新聞等で見ますと、公共団体によっては資金繰りがつかないので、この支給がおくれているところがあるということも事実だと考えるのであります。六月分の資金手当は、先般の暫定予算のときに特に三百二十億交付税交付金を盛ってありますし、地方税が若干入る時期でもあるのでありまして、総体として給与費は遅配しなければならないという状態にはないのだと私は考えておるのでありますけれども、今までの支払い繰り延べその他の方へ充当するために、給与費の方に影響がある公共団体が個々に出てきたのではないかと思います。自治庁といたしましては、いずれにいたしましても給与費は優先的に払うべきものでありますから、給与費その他必要な経費を一括しまして資金あっせんをいたしております。赤字に悩む公共団体自治庁あっせんを頼んできておるところに対しましては、それぞれ手当をいたしまして、時期的には多少おくれましても、これは順調に進んでおります。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 長官の話では、相当努力して順調に進んでおるというお話ですが、われわれもそうあるべきだと思うのです。なお地方団体がそういう金繰りの点で、当面している期末手当支給できないというような状態で、短期融資等の要請があれば、できるだけそれにこたえるように一つ御努力願いたいと思うのですが、あらためて長官の決意をお伺いいたしたいと思います。
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 その点につきましては、大蔵大臣と先般も相談をいたしまして、話がととのっておりますから、そういうように取り計らいます。
  11. 大矢省三

    大矢委員長 委員各位にお諮りいたします。先ほど来北山君の御意見もございましたので、本日はこの議題のほかに、今までの地方財政計画に関する件の調査をあわせて進めることにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大矢省三

    大矢委員長 それでは異議ないものとして、さようにいたします。北山君。
  13. 北山愛郎

    北山委員 地方財政計画についてでございますが、だいぶ同じような問答を繰り返しておりまして、皆さんにあるいは御迷惑かもしれないけれども、私この委員会で数回申し上げておるのは、やはり本年度税法なりあるいは交付税の率なり、その他地方財政に対するわれわれの根本認識をきめる問題だと思うのです。ですから私は非常に大事である、こういう考え方から少ししつこくやっておるわけです。  大体前回までに私が申し上げたのは、これは意見ではございませんで、私の算術ですが、それが間違っておるかおらないか、間違っておるとすれば、どれが正しいのであるか、こういうことについて一つはっきりとけじめをつけていただきたいと思うのです。長官あるいは部長でもよろしゅございます。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。地方財政審議会の本年度給与の見足りない分を含めての財政計画から言いますと、おっしゃいますように一兆四百億になります。しかし一兆四百億を基礎にして、さらに百三十億の節約を立てて、一兆百六十億の財政規模、こういうことになっております。従ってその某礎になっておる一兆四百億という点については、私どもは、給与の見足りない分を含めますと、そういうことになると思っております。それに四百六十二億の赤字を加えての御意見でありますが、これはちょっと私どもは——加えてもいいのでありますけれども、この四百六十二億にさらに二十九年度赤字を加えますと、五百八十六億になりますが、これは七カ年間にその赤字を解消していくという計画になっておりますので、それをそのまま加えて節約要素に立てるということは、ちょっとおかしいのではないか。おっしゃいますように加えて差しつかえないのでありますが、加えて、それを基礎にして圧縮いたしますと、これは交付税の増額をしなくてもいいのじゃないか、こういうところまで議論がいくのじゃないか。そういう圧縮はもちろんできないと私ども考えておりますし、またそういろ計画にもなっていないのでありまして、そこのところはちょっと違うのでありますが、おっしゃいます数字は別に私ども間違っておる数字ではないと考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 私は今後何年間でどうするかとか、そういう問題とは切り離して、過去の実績、たとえば給与についても、それを支払うことがいいか悪いかは別として、とにかく現実に支払っているという需要額においてお話しておるわけです。何回も同じことを言っておるわけですが、そうすると一兆四百億というのは、とにかく昭和三十年度に従来の実績基礎にして見込まれる実質の所要額、そしてそれにさらに過去の債務が五百八十六億ある。今かりにこれを今年度内に処理しなければならぬとすれば、一兆九百八十六億円が要る見込みであるということをお認めになる、ころ考えてよろしゅうございますか。そうすると、同時に過去の赤字五百八十六億に対しては、政府は今度の地方財政再建促進法によつて二百億だけは手当をするのである、ですから残りの三百八十六億というものは何らか別個手当なり何ほり処置をしなければならない金額である、これもお認めがいただけると思うのです。それから同時に、政府の三十年度地方財政計画である九千八百二十九億ですか、それと現実に要るであろうという今の一兆四百億との差額約六百億、これが今年赤字を出さないとすれば何か財源措置かあるいは節約しなければならない金額であるということもお認めになると思うのですが、以上の点について重ねて御答弁いただきたい。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 最後のところだけちょっと私ども意見が違うのであります。最後のところは、九千八百二十九億と一兆四百億との差額お話でありますが、その一兆四百億じゃなくて、さらに九千八百二十九億の場合も節約を立てておるのでありますから、一兆四百億の場合にも節約を立てて、一兆百六十五億という数字と比較されるのがいいのじゃないか、この差額はやはり圧縮数字ではないか、こういうふうに私ども考えております。もしもそうでなく一兆四百億を基準にされるのであれば、やはり今年の財政計画節約以前の数字基礎にしてやるべきじゃないか。これは差額が非常に大きくなります。ですから節約を立てた数字と立てない数字とを比較されることがちょっと私どもはわかりかねる。この点だけが違っておりますが、あと数字的な問題はおっしゃる通りだと思っております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 それはしかし、ただいまお話があった地方財政審議会で一兆四百三億からさらに節約をして一兆百六十五億でしたか、そこまで節約をしたのです。これはやっぱり一つ節約です。そうしてまた政府の九千八百二十九億といろのは、またそれ以上に節約した数字なんです。ですから節約という意味においてはやはり同じだと思う。地財審議会の方は、その節約をある部分にとどめて、一兆百六十何億という数字が出ておるわけです。ところが政府の案はそれよりさらにどんどん切り詰めて、そうして九千八百二十九億という数字が出ておる。節約に対する程度考え方は違うけれども節約といろ点においては同じだ、こういうこと考えてよろしゅうございますか。同じことじゃないですか、ダブっておるわけじゃないでしょう。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 私ども考え方は、第一案と第二案と二つ地方財政審議会考え方がございます。どちらも一応の財政規模を想定しまして、それに両方節約をさして、そうして数字を出しておられます。従って、そのもとの一兆四百億の数字を言われるのでしたら、九千八百八十三億という数字と比較してお話しをされた方がいいのじゃないか、こういうことを申し上げておるのでありまして、両方節約を立てた場合の数字としては、財政審議会の案でありますと九千七百五十五億と一兆百六十四億、この比較はいいのであります。そのもとの数字の一兆四百億をとれば第一案の九千八百八十三億という数字がそれに相応する数字だ、こういうふうに私は考えておるということを申し上げたのであります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 大体話が歩み寄ってきたようですが、とにかく私の言いたいのは、と言うよりも認めていただきたいのは、赤字対策としては五百八十六億必要な額に対して、今年度政府対策として出しておるのは、二百億であるということ、あとの三百八十六億は何らかの措置をしなければならぬ金額である、それから同時に、今年の単年度において実際に必要な額、今までのやり方で行けば一兆四百億という金額が要るということも認められておる。そうすると、それ以内に、たとえば九千八百八十億でもいいし、あるいは九千八百二十九億でもいいのですが、とにかくそういう額にするとすれば、それだけについて節約なりあるいは財源措置をしなければ、赤字が今年分としてもそれだけふえる、大体そういうふうに見込まれる、これは考えられますね。たとえば六百億ないし五百億、それだけのものを節約があるいは財源措置をしなければ、三十年度だけでもそれだけ赤字がふえるのだ、これは認めなければならぬと思うのですが、どうですか。
  20. 後藤博

    後藤政府委員 私ども考え方は、その差額でなくて、財政計画で従来見足りなかった分、四百七十億くらいでありますが、これを交付団体分に直しますと三百数十億になると思いますので、その額を補てんしていただけば、財政計画上から申しまして大体赤字が出ないはずだということが言えるのであります。そういうふうに私どもは申し上げておるのでありまして、おっしゃいますような差額数字とは別個の観点で、従来財政計画上見足りなかった分を補てんしてもらいたい、その補てんする基礎は、給与費その他臨時事業積立分であるとか、恩給だとか、そういうはっきりしたものを出しまして、そうしてそれだけやってもらえば、地方財政の側の放漫な経理の場合もあるのでありますから、私どもは、それでもって地方財政規模圧縮し、財政運営合理化をはかっていけば、赤字は出ないということが地方団体に対して申し上げられる、こういうふうに考えて今まで交渉しておるのであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 おそらく自治庁考えは、従来の財政計画と従来の実態との食い違い、それだけを固定して考えているのじゃないかと思う。やはり毎年度流動しているのですから、私の言うような計算をしていく方が正しいのじゃないか、というのは、いい悪いは別として一兆四百億かかるのだから、そうするともしも今年度九千八百二十何億しか財源措置がないとすれば、あと差額になるじゃないですか。これは節約か何かしなければならぬ、これは当然だと思うのですが、その方が正しいじゃないかと思う。昨年度までの既定財政規模中の食い違いというものをいつまでも固定して、そしてそれだけを修正すれば何とかなるという考えに対しては、そこにまた事情が変ってきているじゃないか。むしろ今私の申した方が正しいじゃないかと思うのですが……。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 一兆四百億というのは二十八年の決算をもちまして、これは給与の非常に高いものも入っているわけであります。従って私ども財源措置が問題になってきますと、その一兆四百億はもちろん基礎にしなければなりませんけれども、その範囲内で幾らやるかという問題になってくるのでありまして、従ってそのおっしゃいますような差額よりも下った額を措置すべきもの、こういうふうに考えているのであります。
  23. 北山愛郎

    北山委員 幾ら措置するかしないかということは政府のお考えもあるわけです。政府としてはその程度で間に合うという考えだ、しかしとにかく差額が出た分は財源措置をしなければ、地方団体としては節約をしなければならぬ。たとえば給与を切り下げるとか、首を切るとか、事業をやめるとかしなければならぬ額だ。これだけは現実から持っていって認めて、そして一体どれだけ今年度において節約なり財源措置をしなければ、赤字がまたことしもふえるということを確かめたかったのです。なおこまかい数字上についてはあとでまたお聞きしたいと思うのですが、そういう金額政府のことしのこの財政計画というものとを比べてみるというと、非常に食い違いがひどいのじゃないか。かりに赤字分についてでも二百億、あと三百八十六億、倍額くらいに上るのですから、これを具体的にどうするのかということをきめなければならぬと思う。どういうふうにしていくか。それから今のことしの食い違いというものが相当あるのだから、これも具体的にはっきりしていかなければならぬ。そうでないというとわれわれはこの再建整備政府の提案した法律というものをのみ込むわけにいかない。そんな、今までの赤字解決であるといいながら、中途はんぱなものを審議するわけにもいかない。基礎になるものがまるで違っている。そういう考え方からして私は申し上げている。だから少くとも地方財政計画なりあるいは地方財政実態、こういうものから持っていった数字、その数字について、これはこうするのだ、あれはこうするのだというような、一つの具体的な方針政府は出すべきじゃないか。ただ二百億だけを措置して、あとはしかるべくやるというのでは、まことに無責任ではないか。こういう意味から私は申し上げているわけなんです。川島長官はただ地方に自粛を要求するとか、そういうことでなしに、この分は幾らこういう措置をする、それからこの分については大体このような措置をする気持であるというような、大体の方針くらいはここではっきりしていただかなければならぬじゃないか。きょうすぐ返事をしろというわけではございませんが、少くとも近いうちにはっきりした政府考え方を、相当具体的に出さないといけないと思うのです。かりに三百億くらい節約をするということになれば、これは相当な、十万以上の失業者が出るわけです。そうすると失業対策考えなければならぬ。いろいろそういう問題を非常に含んでいるわけでありますから、ただ地方再建計画を出さして、そこで地方財政健全化をするといっても、これは抽象的な議論であって、少くとも財政問題を論ずる以上は、もっと数字に根拠を置いた具体的な政策を出さなければ、鳩山内閣地方財政に対してまことに愛情と誠意を失っておる、こう言わざるを得ない。ですから一つ長官からこの際、きょう具体的な対策お話しを願いたいというわけではございませんが、この国会で近いうちにすみやかにこれは出してもらわなければ、われわれとしてはこの地方財政に関係する法案をまじめに審議するということができないと思う。どうぞ一つお願いをいたします。
  24. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまの御質問、二つにわけてお答えします。  すでに出ておる赤字、二十八年度決算で四百六十二億と、とりあえず集計した二十九年度の百二十億、合計五百八十億を、わずか二百億の整備再建債だけでもって処理するのは無理じゃないか、こういう御意見でありまして、二百億という計算をいたしましたのは、二十九年度決算が全くわからぬ時代に、とりあえず二十八年度決算じりの四百六十二億を基礎にして二百億という数字を出したのでありまして、昨日もお答え申し上げたんですが、二百億以外の二百六十二億のうち百億近い九十億というものは、直轄工事に対する公共団体分担金でありまして、この大部分赤字府県が今日背負っておるのでありますから、これはやはりたな上げする。あと残りの分はこれは主として市町村に散らばっておる零細な赤字でありますから、これは今後市町村財政運営の面でもって消してもらう。しからば二十九年度に出る百二十億をどうするかということにつきましては、これは当初から私ども考えておったのでありますが、これにつきましては幸いにこの法案が成立いたしまして施行して、各公共団体要求等を見て二百億でまだ足りない場合には、これに対しては地方財政を再建する建前からいきましても、当然適当な措置をしなければならぬのでありまして、これは別途に考えるんだ、こういうことをお答えを申し上げておるわけであります。  それから三十年度に出る赤字は一体どう処置するのかということでありますが、三十年度といたしましては、私どもといたしては赤字に苦しんでいる府県は、しばしば申し上げるのでありますが、非常事態なんでありますから、事業費事務費その他一切一つこれは圧縮をしてもらって、縮小してもらいまして、ほんとうに地方財政運営というものを頭を切りかえてやってもらいまして、赤字の出ないようにすることを希望いたしております。いたしておりますが、すでに二十九年度財政計画においても、またその前年の二十七年度、二十八年度財政計画においても、これは給与費の面において赤字を出す一つ要素を含んでおるのでありますから、三十年度決算において赤字が出ないとは決して申し上げておらぬのであります。これをどう始末するかということについては、昨年来政府でやっておりますところの国家公務員地方公務員に対する全般の給与実態調査を見て、同時に地方再建整備計画を立てて、新しい構想のもとに、新しい地方財政長期的運営計画を立てたその結果を見てこれを処置しよう。それゆえに私どもは長い間赤字に悩んでおる地方財政の立て直しはとうてい今年度限りではできないのであるからして、三十年度と三十一年度との両年度でやるんだということをはっきり申し上げておるわけであります。今後出る不足額に対しては一体どうするのか。交付税法を直して交付金を増すのか。それとも他の処置によるのかということについては、これは私だけでありません。関係閣僚とも相談をいたしておりまして、多少の試案はできております。おりますけれども、まだこらした正式の会議において御報告申し上げる段階には至っておりません。しかし三十年度以降においては赤字のないような財政措置をすることは必要だとも考えておりまするし、これに対しては適当な方途を講ずる考えで、いろいろ案を練っておる、こういうことははっきり申し上げられるのであります。
  25. 後藤博

    後藤政府委員 ただいま大臣からおっしゃいました二百億の基礎を、もう少し詳しく補足いたしておきます。  四百六十二億の赤字の中で、県、五大都市のうち三年以上再建にかかるもの、それから市町村は四年以上かかるものの赤字団体の額を総計いたしますと約三百億になります。このうち府県が百七十億くらい、それから市が大体百億、町村が二十五億、大まかな数字でありますが合わせて大体三百億くらいが要措置額というふうに考えております。その中でただいま長官が申されました直轄の分担金の、しかも再建を要する赤字団体の分を引きまして、それから事業繰り越しに充当された一般財源の分がありますので、そういう分、いわゆる措置を必要としない額がございますからそういうものを引きますと、約二百億になります。従って二百億を措置する、こういうふうに申し上げたわけであります。
  26. 北山愛郎

    北山委員 どうもすっきりいたしません。ただしかし先ほど来申し上げた数字を、かりに財政部長の数字でもって少し直してみたところで、私は六百億と申し上げましたが、今年度はやはり五百何千億か食い違いがあるのですね。それは何とかしなければならぬ額が本年度五百二十億ばかりです。そこでどうも長官お話しは少しあと先になっておるのではないかと思うのです。それは給与実態調査考えるというのですが、そうすると今まで出された地方財政計画なるものは、これは暫定的な計画であって、幾ら節約をさせるか、あるいは財源措置をするかということはわからない。暫定的な計画であって、給与実態調査なり何なりをした上で、あらためてまた財政計画を作り、財源措置をするとか、何とか考える。それまでの暫定的な計画というふうにしか聞えないのですが、どうでありますか。ただいまのお話しを聞けばそういうことになります。あらゆる要素を一応想定して、今の九千八百二十九億の計画を作ったのですから、これで今年はやろうという気持で計画をお出しになっておる。ところがまた調査の上で何か考えるというようなことでありますから、そういう調査の結果実態がわかってくるという話でありますから、その際はまた計画を作り直す、こういうふうに聞えるのですが、いかがでありますか。
  27. 川島正次郎

    川島国務大臣 二十六年度以降の財政計画が実際の財政規模と合わなくなった根本の理由は、二十六年度におきまして財政計画を作る際に、二十五年度までは地方給与そのままの財政計画を作っておったのですが、二十六年度におきまして国家公務員のベースに合わした財政計画を作ったがためにここに差ができまして、その後ベース・アップその他でこの差がさらに大きくなったのは事実であります。給与実態調査の結果、この財政計画に修正を加える必要があるという事実が出てきた。そういう意味から言えば今度の財政計画は、あるいは暫定的の財政計画かもしれませんけれども、これは事案がまだ明白になっていないのでありまして、現在の資料といたしましては二十九年度に策定した財政計画に対しまして、三十年度における需要額と減少額と収入とをいろいろ勘案しますと、今お示ししたような財政計画になるのだ、こういうことでありまして、現在の集まっておる資料の範囲内におきましては、お示しした財政計画が正しいものだと考えておるわけであります。
  28. 北山愛郎

    北山委員 三十年度において相当な差額が出る。その際に地方団体には、非常事態であるから一つ事業なりあるいは人件費なりを節約してもらう、こういう話であります。しかし地方財政というのは、御承知のように国の財政に伴って、補助金等に伴って地方負担が出てくるという部分もございます。従ってもしもそういうふうな政策であるならば、補助金とかそういうものを削減するようなことをなさるべきであったと思うのですが、なぜそういうことをなさらなかったわけですか。補助金に伴う地方負担というものはほとんど減っておらないのです。そうすると補助金の伴わない事業をぶった切らなければならぬ。単独事業を切る、あるいは給与費を切る、こういうことになるわけですが、こういうふうに考えていいわけ一ですか。
  29. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の事業地方の負担になっておることはお説の通りでありますが、今では補助金の計算の仕方が悪いのでありまして、単価の計算その他を修正しますれば地方に対する財政的の圧迫は相当軽減するのじゃないか、こう考えております。三十年度の予算に盛りました補助事業というものは、地方公共団体から見ましていずれも必要なもののみでありまてて、これは各地方においてもいずれも熱望しておる点でありまするが、しかし補助金をどう配付するかということになりますると、こうした事態に追い込まれておる地方財政でありまするからして、三十年度の補助金の配付の仕方は赤字の最も激しい府県よりも黒字の府県の方に重点を置く必要があるのじゃないか、こうした考えもありまして、補助金の配付の仕方については今後十分考究をいたしまして、地方財政が、これがために負担が重くならぬような措置をとりたいと考えております。同時に単独事業につきましては、これはどうしても赤字府県市町村においては従来とは考えを違えて圧縮をしてもらわなければいかぬのでありまして、これを私どもは切望しておるわけであります。
  30. 北山愛郎

    北山委員 補勘金の率、あるいは単価というものを合理化することによって地方負担を軽減する、こういうお話でございます。それが今度の補助金に関する法案であるとか、いろいろな財政措置の中で、どれがどういうふうに変ってきて、どういう影響を与え、どれだけ地方負担が軽減されたか、これを一つお聞かせ願いたいのです。ただ考え方でなくて、もはや政府は予算なり財政計画なりあるいは税法なり、そういうものをお出しになっておるのですから、この際ただこの考え方だけを話されても困るのです。そういう考え方によって今年の方針がきめられたとするならば、そういう施策によってどの程度地方負担が減ったか、これを一つ具体的にお示しを願わなければなりません。  それから次に、補助金の配付方法を変える、赤字のないような団体にやるということになると、ほとんど大部分府県赤字を持っておるのです。赤字のない府県というものは少ししかない。そうすると補助金をやるという団体はないのですが、それでよろしゅうございますか。
  31. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助率につきましては、法律の中に明記されますので、これは財政部長から御説明申し上げます。  それから単価の問題は、予算が通過後に農林省、建設省、文部省、厚生省等の関係各省と私ども相談をいたしまして、地方負担が過重にならぬような単価を組みたい、こう考えておりまして、この点はまだ決定をいたしておりません。  補助率はこちらで多少修正をいたします。その点は今御説明申し上げます。
  32. 後藤博

    後藤政府委員 赤字団体のうちで再建整備をやります団体につきましては、国の負担金等を伴う事業につきまして政令でもって特別な補助率をきめるという規定を再建整備の法律の中に入れております。これは再建整備が非常に長期にわたる、つまり赤字の非常に多い団体、それから地方債の現在高が非常に大きい団体、そういう団体につきまして、国の利害に関係のあります重要な仕事を施行しないわけには参りませんので、そういう国の重要な仕事につきましては補助率を引き上げてもらう。こういうふうな措置を講ずることにいたしておりまして、との旨の法律の規定を入れております。
  33. 北山愛郎

    北山委員 今の御答弁に補助金の配付についてのお答えがなかったわけです。  それからただいまの財政部長のお話でありますが、国の直轄事業等に対する負担金、補助率といいますか、国の政策による事業に伴う地方負担、こういう意味でございましょうが、しかしもしもそれが相当の金額に上るとするならば、当然地方財政計画上に乗っかっていなければならぬわけですが、それは乗っかっておるかどうか。もしも乗っかっていないとすれば、そんなものは実際上取るに足らぬような数字であるから乗っけないのだ、こういうふうにも見られるのです。  それからもう一つは、その補助金の配付について、赤字のひどい団体には補助金を配当しないということは、そういう団体には国の恩恵も行かないということなんですね。金持ちの団体には補助金をやって、そこではどんどん仕事ができる。しかし財政の貧弱な、赤字の団体はやはり補助金ももらえず仕事もできない。そういう結果になると思うのですが、それがいいか悪いか。むしろ私はこういうふうな経済情勢のもとでは、地方団体の側から見れば、赤字が出ておるというふうな地方はやはり経済情勢の悪い、貧弱な府県が多いわけですが、そういうところではむしろ事業の方はよけいやらなければならぬという実際の必要に迫られると思うのです。ところがそういう貧弱団体に対しては補助金も行かないし、従って公共事業であるとかその他の事業もできないということでは、これは金持ちの地方だけが得をし、貧弱な地方はますますそういう恩恵にもあずからぬということになると思うのですが、そういう方針で一体いいものですか。あるいは住民としてそういう赤字地方に住んでいるからといって、政府の施策なりあるいは地方団体のサービスの恩恵が低くなってもかまわないか。そういう方針は一体いいものですか、どうですか。
  34. 川島正次郎

    川島国務大臣 私が申し上げておることは、赤字団体には絶対に補助金をやらぬという極端な考えを申し上げておるのじゃないのでありまして、地方財政に大きな負担にならぬような補助金の配付の仕方をいたしたい、こういう意味のことを申し上げているわけであります。そういう意味から申し上げますれば、黒字の団体は補助金をやりましてもこれに対する地方の分拠金は楽に負担し得るのですから、そういう方へ相当程度よけい行くのだ、赤字府県でありましても絶対的に必要な仕事は当然やるのでありますけれども、そのウェートの置き方が違うのだといろ意味のことを申し上げておるわけであります。
  35. 北山愛郎

    北山委員 補助事業については承わりましたが、そうすると五百二十億かそこらの節約になる、その中で給与について幾ら節約するか、あるいは単独事業において幾ら節約するか、その内訳はございませんか。
  36. 川島正次郎

    川島国務大臣 財政計画を策定します際には給与費を幾ら節約するということは含んでおりません。単独事業のことははっきり明記してあります。給与費をどう節約するかということにつきましては、各公共団体特殊の事情がありまして、ここで一がいに給与費をどう圧縮するかということは、私どもとしては申し上げるわけにいかないのでありまして、各公共団体それぞれの立場において可能な程度においてやるのだろうと考えております。この財政計画を作ります際には、給与費において幾ら圧縮するということは考えておりません。のみならずごらん願えばわかるのでありますけれども、当然昇給に伴う給与費の増なども七十幾億か見ておるわけであります。
  37. 北山愛郎

    北山委員 地方財政計画の中に給与費というか、行政整理の分はあるのですよ。行政整理による減というのが八十億ばかりある。そして退職手当を二十何億だか出さなければならぬから、差し引き五十億ばかりプラスが出るのだといろ計画になっておるのですが、そうするとその程度に行政整理をお考えになっておるわけですか。それとも実際に所要から見れば、やはり二百億なり三百億なり給与の面で落さないと合わないようになるのですが、その点はどういうふうに考えておるのですか。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 財政計画上昨年から継続的に——昨年と本年とやりますところの国の行政整理に伴うものはもちろん昨年からの計画で入っております。一種の継続的なものとして入っております。それ以外の特別な給与の削減をしていないということを長官はおっしゃったわけであります。従って各地方団体ごとに給与費が多いか少いかという問題があるのでありますから、それぞれの地方団体においてきめるべき問題でありまして、財政計画上は組まなかったということを申し上げたわけでございます。
  39. 門司亮

    ○門司委員 私ちょっとこの機会に聞いておきたいのですが、財政計画事業計画の関係です。自治庁は一体どの程度事業計画を見ておりますか。たとえばまだ法案は出ておりませんが、今出ようとする文部省の案の中に不正常教育解消に関する特別措置法案というのがある。これが出て、もし文部省の案をかりにそのまま三カ年計画でやるということになると、三分の一の補助をするといっても、地方においてはこれはどえらい負担になると思う。約六千教室ぐらい、学校の数を二、三千建てなければ追っつかぬので、こういうことについて自治庁地方財政計画の中で何か考えておりますか。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 他の省のいろいろの事業計画の大きなものについてはもちろん相談を受けております。従ってそれに対して地方財政等の立場からやれるかやれぬかという意見は申し述べております。ただ当国会において提出されました議案については、私ども知らないうちにできてしまうものもございますが、政府が立案するものについてはある程度関与いたしまして、われわれは、これはやっていける、この程度ならば差しつかえない、この程度以上はいけないという意見を申し上げております。従ってその法案が通りました際にはそれに基いて財政計画の中に織り込んでおる次第であります。
  41. 門司亮

    ○門司委員 そういうことでは非常に大きな疑念があると思うのです。たとえば今申し上げました不正常教育解消特別措置法案なんという変な名前——変な名前というわけじゃありませんが、そういう法律案を出そうとしている、文部省が成案を得たという話を聞いておるのですが、こういうものが出てきますと、結局三分の一は国がめんどうを見るから、三分の二は地方が出せ、金がないから起債を出す、そうするとまた借金をする、その額が数百億に及ぶのかあるいは何だかわからぬです。私もまだこまい計算はしておりませんが、計算をすればすぐわかると思うのですけれども、そういう面をもう少し自治庁としては財政全般にわたってにらみ合せをしないと、ほかの法律ができたからほかの省はそれで仕事をしていく、それにくっついていって金が足りなければ借金政策でやるというような、今日の不安定な自主性のない地方財政計画が立てられておるところに、一つの無理があるのじゃないか。こういう面についても一体国が総合的に考えてやっておるかどうかというところに非常に大きな疑念があります。たとえば農林省なら農林省がいろいろな仕事をやっていく、必ず地方財政が負担をしなければならない。  もう一つ今度の国会で問題になると思いますのは、例の予約制度の問題であります。予約制度の問題の法律の内容を見てみますと、結局今まで地方の自治体が供出の主体をなしておる。従ってここに農林省からのあれらの事務に関する補助金が来ておる。ところが今度は予約制度になって、あれが一部の業者と農協に来るということになって、自治体を素通りするということになりますと、自治体はどうなるか、強権発動の権限は依然として残っておる、これを遂行するということになるならば、あれに自治体が絶対に干渉しないといろわけには参りません。同時に予約買付にしても地方公共団体市町村が何にも関係しないで、あれは農協がやって、おるのだ、業者がやっておるから知らないということで、ほうっておくわけにいかぬと思う。こういう面、表面上の制度は変っておるが、実質的にはほとんど変っておらない。この財政は地方公共団体に来ないというようなととが現実の姿で出ておるのです。これはいずれもう少し財政計画を聞くときに農林大臣に来てもらって聞こうと思う。そういう面も一体ほんとうに自治庁は話されておるかどうかということです。こういう面をすっかり抜かして、ほかの方はいいように法律をこしらえて、自治庁あとのしりぬぐいだけをさせておいて、赤字々々だと言っても始まらぬと思う。こういう面について自治庁は幾らか考えておりますか。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃいますようなことを私ども考えておりまして、その一つ一つの法律案のときに詳しく負担関係を聞きまして、そうして膨大なものはもちろんけ飛ばしておるのでありますが、そのために自治庁が各省から非常に恨まれておる現状であります。先ほど申されました不正常教育解消の法律なんか、法律そのものといたしましては私どもちょっと反対ができない法律なんであります。とにかくそれにどういう計画があって、どのくらいの国の補助金があって、それで地方負担がどのくらいあるかということは問題なんでありまして、これは一応当初の膨大な計画はあるにいたしましても、毎年度の予算できめるわけであります。従ってもちろんその計画通りにはきまっておりません。従って補助金に見合いますところの地方負担分については財政計画の中に入れておりますけれども、補助金としても大した額には今のところなっておりません。従ってあの程度のものであればこれは趣旨からいたしましてもやむを得ぬじゃないか、こういうふうに折れております。はっきりした額のきまらないもので、しかも将来非常に大きな負担を地方団体に負わせるような法律が方々から出て参っております。ところが法律の内容そのものにつきましてわれわれはかれこれ言う資格がないのでありまして、趣旨がよければ地方団体の立場からそれをのまざるを得ないしかしそれをのめば将来大きな負担が出てくる。その問題の解決はどうしたらいいかというのが、私どもの悩みなのであります。それを基礎にして長期計画を立てたらどうかという気持、これは門司さんの毎年言われることでありますが、私どもも立てたいのでありますけれども、毎年また年次計画が変ってくるのでありまして、立てようがないというのが実情でございます。
  43. 門司亮

    ○門司委員 私はこの問題について、これ以上自治庁を追及してもしようがないと思います。  それですぐとは申し上げませんが、いずれこの問題については、先ほどから申し上げましたように、農林大臣にも一応ここへ来てもらって、そういう関係をよく聞かなければならぬと思う。それから特に財政の主管大臣であります大蔵大臣にぜひここへ来てもらいまして、そうして国と地方とのそうした総合関係の財政調整をどこでどういうふうにやって、だれが責任を負うのかということを、はっきりと相談をする必要があると思います。しかし急ぐ必要もないと思いますので、せっかく来ても一時間や三十分で行ってしまうということではしようがありませんですから、時期を見まして、われわれの審議に納得のいくよう十分な時間をさいてもらうように、大蔵大臣に交渉していただいて、委員長に申し入れをしていただきますことを、委員長にお願いいたしたいと思います。
  44. 大矢省三

    大矢委員長 承知しました。
  45. 古井喜實

    ○古井委員 他の委員から御質問があったかと思いますが、大臣にお伺いするのですが、夏季手当の問題についてきょうの午前の閣議で、何か御決定でもありましたら、一つお聞かせいただきたいと思います。
  46. 川島正次郎

    川島国務大臣 夏季手当の増額の方針につきましては、先般御説明申し上げた通りでありまして、国家公務員政府機関職員につきましては、現在の予算の範囲内において、超過勤務手当を繰り上げ支給をする。それは額については各大臣、長に一切まかせる。大体基準は〇・〇五程度ということに、閣僚懇談会におきましてそういう申し合せができたのであります。地方公務員につきましては、昨年の例を見ましても、せっかくああいう方針であったけれども支給されているところとされないところがありましてまちまちであって、地方公務員全般から見て、非常に不公平な措署だということで、これはできるなら避けたいのでありますけれども、何といたしましても、今日の地方財政の現状、ことに公共団体のいかんによりまして、内容が全く違っておるのでありまして、私どもとしては、これを今日公共団体に指令を出しまして、強要するような立場には自治庁としてはないのでありまして、とりあえず資金繰りに困っておる公共団体については、資金のあっせんはするということだけを快走いたしたのであります。しかしこれではなお足りないのであって、財源措置をしろという強い希望も知事会その他からありますので、関係大臣である、大蔵大臣、文部大臣並びに警察担当の大臣相談いたしまして、まだ結論には達しておりません。きょう午後五時から閣僚懇談会をやります。夏季手当だけではなしに、全般の問題についてなのでありますが、その際にもさらに相談を進めたいと考えております。
  47. 古井喜實

    ○古井委員 大体の経過は承知いたしましたが、今自治庁でお考えになっております資金の手当をやろう、それについて資金額はどれくらいのものでございますか。それからその手当の方法などについて、わかっておりましたらお聞かせを願いたい。
  48. 川島正次郎

    川島国務大臣 大体〇・〇五だと十億程度の金が要るわけでありまして、必ずしもそれだけ資金手当をする必要はないのでありますが、六月分の資金手当といたしましては、先般暫定予算を出します際に、交付税法による交付金として三百二十億みております。それ以外に今月は若干税収入もあるのでありまして、給与面からいうと、決して資金手当としては不足ではないはずなのでありますけれども、今までの支払い繰り延べその他がありまして、そういう方に充当して、自然にそのしわ寄せが給与にきておる公共団体もあるように思っております。そういうものを一括して、地方の希望によっては資金手当をしよう、こう考えておるのでありまして、ただいまお話の〇・〇五もその一つの項目としてやるつもりであります。ただ〇・〇五だけやったのでは、やはり地方は困るのでありますから、全体として給与その他に資金に困っておるところは、これをあっせんしよう、こういう方針でやっております。また全体の資金手当といたしましては、赤字に苦しんでおる公共団体からいろいろ申し出がありまして、これが時期的には多少ずれておる点もありますけれども、順調にこれは手当をいたしておるわけであります。
  49. 古井喜實

    ○古井委員 そこで金額もわかりましたのですが、今もお話がありましたが、過去数年間、国家公務員地方公務員との間には、おおむね右へならえという形でもってそういうことが行われておる。昨年はおっしゃるように、その間に少しでこぼこがありました。しかしこれは日本全国からみますと、一割とか二割とかいう程度であったのではないかと思います。しかし今年の現状をわれわれ判断いたしますと、とてもそういうことではなさそうでございます。県だけで考えても、ほとんど三十数県はそういうことはできないというふうな形に追い込まれてきておるのではないかと思います。せっかく新しい憲法のもとで、国家公務員地方公務員との間に、そういうものについては差別を基本的にはおかないという考え方、この考え方が一応確立された今日でありますが、それを今年から破っていこうということになると、私は将来に対して非常に大きね問題が残ってくるのじゃないかと思いますので、この点については、この委員会におきましても、しばしば給与実態調査、その他の問題が論ぜられましたし、政府のこれに対する苦心も私はわからないわけではございませんが、その途中において、結論が出ない先から始めるというのは、何としても地方公務員にとりましても、ふに落ちないことになりはしないかと思います。かような実は心配をいたしておるのでございます。  そこで短期融資の問題でありますが、過去におきましても私は二、三そういうことがあったように記憶をいたしております。これは六月の場合、あるいは十二月の場合と二度に分れてあったように記憶をいたしております。そしてその場合にはおおむねこれまでの実績によりますと、短期融資はしておくが、二、三年たって、国の方で一つ持っていこう、帳消しであるという形で、行われたように私も記憶をいたしておるのでございます。そこで願えましたら、そういう形がわれわれとしては望ましい、かように思うのですが、過去の例などについて、一つ説明をいただきたいと思います。  なおちょっとつけ加えますが、それは単に夏季手当とかあるいは年末のものというのじゃなくて、たとえば政府が一斉に昇給をいたしました、そういうときに地方もこれに右へならえをしなくちゃならぬというふうな形で出されたこともあるように私は記憶いたしておるのであります。そういうこと全般について一つ説明願いたいと思います。
  50. 柴田護

    ○柴田説明員 今のお尋ねの点でございますが、昭和二十二年の暮れだったと思いますが、二・八カ月分の手当を出したことがあります。そのときに政府から貸付金を出して、そして三年間で返済するといろ条件だったと記憶いたしておりますが、国庫から貸し付けをいたしました。それを漸次返しておりましたが、昭和二十五、六年だったと思いますが、財政計画上の計算上、地方財源の弾力性を増すために、それを帳消しにするということをしたことがございます。それ以外に給与に関してそういう貸付金といったような形でやった例はございません。
  51. 大矢省三

    大矢委員長 他に御質疑がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思います。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十二分散会