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1955-06-11 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十一日(土曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 池田 清志君    理事 古井 喜實君 理事 前尾繁三郎君    理事 加賀田 進君 理事 門司  亮君       亀山 孝一君    唐澤 俊樹君       木崎 茂男君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       青木  正君    熊谷 憲一君       山崎  巖君    北山 愛郎君       坂本 泰良君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月十日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(加藤精三紹介)(第二〇七三号)  同(内田常雄紹介)(第二〇七四号)  同(佐竹新市紹介)(第二〇七五号)  同(木原津與志君紹介)(第二〇七六号)  同(大坪保雄君外一名紹介)(第二〇七七号)  同(山口シヅエ紹介)(第二一〇七号)  同(加藤清二紹介)(第二一〇八号)  同(熊谷憲一紹介)(第二一〇九号)  同(八木昇紹介)(第二一四六号)  同(松平忠久紹介)(第二一四七号)  狩猟者税法の一部改正に関する請願馬場元治  君紹介)(第二〇七八号)  同(山口喜久一郎紹介)(第二〇七九号)  同(江崎真澄紹介)(第二〇八〇号)  同(町田卯一紹介)(第二〇八一号)  同(黒金泰美紹介)(第二一〇六号)  同(横川重次紹介)(第二一四三号)  同(生田宏一紹介)(第二一四四号)  同(林讓治紹介)(第二一四五号)  地方議会制度の強化に関する請願中馬辰猪君  紹介)(第二〇八二号)  軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する  請願植原悦二郎紹介)(第二〇八三号)  同(徳安實藏紹介)(第二一一三号)  同(薄田美朝君紹介)(第二一一四号)  同(古井喜實紹介)(第二一一五号)  同(臼井莊一君紹介)(第二一一六号)  同(田中龍夫紹介)(第二一一七号)  同(小林郁紹介)(第二一四八号)  同(倉石忠雄紹介)(第二一四九号)  同(中垣國男紹介)(第二一五〇号)  同(穗積七郎紹介)(第二一五一号)  同(矢尻喜三郎紹介)(第二一五二号)  地方交付税わく増額に関する請願川野芳滿  君紹介)(第二一一〇号)  災害復旧事業の起債わく増額に関する請願(川  町芳滿紹介)(第二一一一号)  地方交付税法による基準財政収入額算定方法等  に関する請願川野芳滿紹介)(第二一一二  号)  東京都水道事業拡張工事起債増額等に関する  請願河野密紹介)(第二一四二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致の件  昭和三十年度地方財政計画に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度地方財政計画に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますので、これを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 前に引き続いて財政計画及び関連する問題について質問いたしますが、その前に委員長お願いをしておいた地方財政審議会代表者参考人として呼ぶ件につきましては、ぜひとも至急に委員会の方にお諮りを願いまして決定していただいて、来週早早その審議会委員参考人として意見を聴取したい、かように考えておりますので、一つ本日、委員会においてそのような決定をしていただきたいとお願いを申し上げるのでございます。その点について委員長、どうでございましょうか。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 ただいまの北山君からの希望は、向うの都合も聞いて、来週の早い機会に来ていただくことにします。特に荻田さんという御希望があるようですから、荻田さんに来ていただきます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 ただ参考人を呼ぶという問題は、委員会に正式にお諮りを願って、呼ぶということだけは決定をしていただきたい、あとの措置については委員長に一任する、こういうことになると思いますので、そのような措置をきょうの委員会でお取り計らいを願いたい、こういうことであります。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 それではお諮りします。ただいま北山君から御希望のありました、参考人として審議会の方々、特に荻田さんという指名があったのですが、できるだけ早い機会に来ていただくことは——手続は私の方でいたしますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大矢省三

    大矢委員長 それでは異議ないものとして、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 安藤覺

    安藤(覺)委員 この際、ただいまの動議に関連して質問並びに資料の要求をいたしておきたいと思うのでありますが、地方自治体におきまして、その自治体の遠い将来に対する財源を培養する意味において、あるいは直接的にはその方面の繁栄を呼ぶ意味において、大都市から多くの工場官衛会社等誘致運動が猛烈に行われているようであります。しかる場合において、これを誘致することに熱心なあまり、自治体が非常な大きな犠牲を払ってこれを誘致するという状況があるように思います。たとえば千葉市のごとき、川崎製鉄を千葉市に誘致するためにはあらゆる犠牲を惜しまず、固定資産税のごときも長年にわたってこれを徴収しないというような固い約束をして誘致する。百年の計といいますから、百年先を考えれば、けっこうな方法であるかもしれませんけれども、あしたぶっ倒れるかもしれない今日の地方財政状況においては、これにはかなり行き過ぎがあろうかと思います。こういう種類のものはまだ他の府県等にも相当あるのじゃないか、かようなふうにも考えられますが、この場合長官なり事務当局なりから、現状を自治庁において調査になっておって明瞭な分がありますならば、それをここでお答え願いたいし、また詳細なる調査がないならば、全国にわたってこうした実例がありますかどうか、これを一つ調査お願いして御提供願いたい、かように存じます。
  9. 奧野誠亮

    奧野政府委員 事務的に調査いたしたこともございますので、私からお答えいたします。二、三年前に今安藤さんがおっしゃいましたような、工場誘致に関連して税を減免している模様を調べたのでございます。そういたしますと、やはりすでに繁栄している地域におきましては、そういった措置はとっていないのでありますけれども、これから大いに工場地帯化したいというふうなところにおきましては、積極的にかなり思い切った税の減免措置をとっているようでございます。その結果は、いたずらに工場関係者に乗ぜられるというふうな姿になっている向きもございまして、こういう点につきまして地方団体に対しまして、相当慎重な態度が望ましい旨を通達もいたしてきているわけでありますけれども、何分いささか関係地方団体相互間の競争的な格好にまでなってしまった傾きがございます。今後こういう競争的な姿にまでなってしまったものを、どうやって是正することができるかということで、いろいろ苦心をいたしておるわけでございます。千葉市の場合におきましても、固定資産税を五年間にわたって課さないというふうな条例を作ってしまったのでございまして、その結果現に千葉市はかなり財政難に悩んでいるようでございます。同様な団体がほかにもあるわけでございますが、今後安藤さんの御心配になりましたようなことをどうやって防止するか、さらに一層研究いたして参りたいと思います。現在のところは、税の法規というふうなことでなしに、たとえば工場ができたから、そこに道路を整備するとか、あるいはまた衛生施設を設けるとか、そういうことはある意味においては望ましいことだけれども課税金を減免するというような姿は避けるべきだという指示をいたして参っているわけでございます。
  10. 北山愛郎

    北山委員 ただいま工場誘致に関連する地方税の問題が出ましたので、私からもお伺いしますが、この問題については、いつでありましたか、ちょうど後藤財政部長税務部長であった当時、それが一体地方税法違反しないかどうかをお伺いしたときに、それは地方税法第六条に違反する疑いがあるというような答弁があったわけであります。従って明らかに、というか、いわゆる公益等事業に関する非課税といいますか、課税免除あるいは不均一の課税という条項である地方税法の第六条違反じゃないか、いわゆる公益とは考えられないのではないか、こういうような点で自治庁としても、これは違法というような御見解をお持ちのようでございますが、奧野さんはどのようにお考えでございますか。
  11. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般的に、今北山さんが指摘されたような疑いが多分にあると思いまして、そういう意味で警告的な意味の文書を地方団体にも送っておるわけであります。そしてまたその地力の発展というような見地から工場誘致をする場合でありましても、むしろ課税金を放棄するという姿ではなしに、その地方団体歳出予算に費目を計上いたしまして、道路とか衛生施設とかいうふうな形において協力をした方が、物事の筋道も住民の批判を十分受けることができるようになるんじゃないか、またそういう意味においては公益上の必要もあるんじゃないか、こういう考え方をとっておるわけであります。
  12. 北山愛郎

    北山委員 しかし通常のほかの場合なんか考えましても、自治庁がそのような明らかな指導をしておるのに、地方団体がそれに従わないで工場誘致条例等を設ける、そしてその工場に対しては課税上の特別な免除をするというような措置をとるということは、ちょっと考えられないのですが、一体いつ自治庁はそのような通達地方団体に対してなしたのであるか。いつどういう通牒を出したかをお示しを願いたいのであります。
  13. 奧野誠亮

    奧野政府委員 たしか二、三年前に通達を出しております。その内容を正確に覚えていないのでありますけれども北山さんの御心配になっておるような点にも触れて書いておったと記憶しております。もう一度その通達内容を一読いたしましてから、はっきりした内容を申し上げたいと思います。
  14. 北山愛郎

    北山委員 この問題は実は私もどうかと思って考えておったわけであります。そういうふうな工場を誘致するということは、地方の振興上必要だということから、地方団体は熱心にやっておりますが、これを乱用してきますと、その地力特殊飲食店を繁栄させるために飲食店税金を安くするとか、あるいは大工さんの税金だけを安くするということを、勝手に公益という名目でできることになるわけであります。従って地方税法第六条の公益という意味は、やはり厳格に考えなければ乱用をされるおそれがあるので、しかも工場誘致についてもいささか乱用されている傾きがあるんじゃないか、そしてまた多くの場合は、とにかくそのようないろいろな便宜をはかって工場を誘致しても、結局所期の目的が達成されないで、いわば財政上の負担ばかりふえておるというような事例が多くあると考えておる。また競争が激しくなって、その面からの弊害も最近は出てきておる。数年前問題になった当時とはまた違った様相を呈してきているんじゃないか。従って一つ自治庁としては、そのような地力工場誘致についての税法上の特典を与えるような条例、こういうものを、調査課というものがあるのですから一つお調べになって、その資料を出していただくと同時に、すみやかにただいまお話しのような結論を出して、その結論をもって新しく地方団体指導していただかなければならぬと思うのです。それでないと、もしもそれ以外の利益関係者からして訴えが出る、大工場に対してこのような税法上の特典を与えておるということは、結局自分たちの不利になるのだ、これは地方税法第六条違反であるという訴えを提起されたときに、自治庁としてもたいへんお困りになるんじゃないかと思うのです。内容としては相当重要な問題でありますから、今までのように漫然と指導をやってきたということではなくて、もっと明確な指導をこの際せなければならぬと思いますので、一つ資料を整備されると同時に、その態度、方針を明らかにしていただくように要望いたします。  それから財政計画上の問題でありますが、雑収入の内訳です。雑収入は、昨年の一千七十何億でありますか、ことしも大体昨年と同様なものを見込んでおるわけでありますが、その中には、使用料手数料等もございますが、しかしその内容が、その雑収入の総額としては一千億でありますから、国の雑収入等と比較いたしましてどうしても見積りが過大ではないかというような考えがいたすのであります。従って、その雑収入算定基礎資料というような点について、財政部長から説明をしていただきたい。たとえば、昨年一度の繰越金、そういうものが幾らだとか、使用料手数料幾ら、その他雑入幾らというようなふうに、内容説明していただいて算定基礎を明らかにしていただきたい。
  15. 後藤博

    後藤政府委員 今手元に持っておりませんので、後ほど資料を作りまして差し上げたいと思います。
  16. 北山愛郎

    北山委員 この雑収入の中には、昨年度の繰越金ももちろん含んでおると思うのでありますが、その繰越金の見方については、昭和二十九年度の場合と、今年度の場合とはやはり相当違ってくると思うのですが、そういう点は考慮されてございますか。
  17. 後藤博

    後藤政府委員 繰越金とおっしゃいますのは、どういう意味でございましょうか。
  18. 北山愛郎

    北山委員 前年度の繰越金です。そういうものが、雑収入の中に見込んであるかないか。
  19. 後藤博

    後藤政府委員 雑収入の中にたしか入れてないんじゃないかと私は思っております。
  20. 北山愛郎

    北山委員 それから掛付金とか、そういうものも見込んでありますか。
  21. 後藤博

    後藤政府委員 雑収入は、二十八年度決算基礎にしておるわけでありますが、二十八年度決算雑収入の額は、もっと大きいのでありますけれども、そのうちから特定財源になっておるものは落しまして、そうでないものも入れておるのであります。ですから、寄付金の場合も、入っておるものと入っておらないものとあると思つております。
  22. 北山愛郎

    北山委員 地方財政割合弾力性のあるといいますか、固定しない財源としては、地方税雑収入しかないのです。税の方は、税法上大体きまってくるわけですが、雑収入の方は、どうも今まで算定基礎がたいへんあいまいなのです。昨年の見積りの場合にも、数年度の増加係数でかけて、そうして相当大幅に見積ったわけです。そういうふうな点から見ても、どうも雑収入算定内容が不明確である。従って、自治庁としては手元にある資料をできるだけ詳細にお出しになって説明をしていただきたいのです。  それからこれは財政部としておわかりになるかどうかわかりませんが、町村合併に伴って、地方市町村財産処分が非常に行われておるわけです。それからその財産処分をした金でもって、合併の際の必要な経費が使われております。これは相当な金額に上るんじゃないかと思うのですが、そういうものも自治庁としては御調査になっておりますか。
  23. 後藤博

    後藤政府委員 それだけ抜き出して調べたことはございません。昨二十九年度の決算で、ある程度の推定は市町村分でできるんじゃないかと思っておりますけれども、その決算のこまかいところがわかりますのは、どうしても秋ごろになるので、今のところ私どもどの程度それがあるのかというのはわかりかねる次第であります。
  24. 北山愛郎

    北山委員 調査をやるとすれば行政部の方でやるわけですか、財政部の方でおやりになるわけですか。
  25. 後藤博

    後藤政府委員 どちらでやってもいいかと思いますけれども行政部でやっても私どもがやりましても、正面から聞きますと、はっきりしたものは出てこないんじゃないかと思っております。従って前年度の決算と比較してある程度推定する以外には、ほんとうの数字は出てこないんじゃないか、照会をいたしましてもおそらくその回答は事実とだいぶ違ったものがくるんじゃないか、かように考えております。
  26. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、行政部長はお見えになっておりませんが、自治庁としては町村合併に伴う財産処分実態については、何も調査をなさっておらない、こういうことですか。
  27. 後藤博

    後藤政府委員 現在のところではさようでございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 これは町村合併の成果あるいは合併実態というものを見る上において、私は相当重要な問題だと思う。地方へ行きますとこれは問題になっています。非常に無理な財産処分をやる、大事な財産遠慮会釈もなくどんどん処分してしまって、そしてそれをむだに使っておる、こういうことが地方的には相当問題になり、またそれを指摘されて批判されておるわけです。ところがそういう相当重要な要素であるこの問題を、一向自治庁調査をしておらない。そして町村合併はやはりよろしいんだというような方向で指導をしておられる。せっかく調査課があって、そして地方財政赤字人件費のせいであるというようなことをよく発表なさっておるような工合なんですが、私どもとすればやはり町村合併を推進なさるということに伴って、このような問題を財政上の見地からしても、あるいは町村合併指導上の立場からしても十分に調査をすべきじゃないか。今までしたがったことは、これは自治庁のいわば怠慢ではないか、こうすら思うのですが、自治庁長官はどのようにお考えになり、今後どういうふうになさるおつもりでございますか。
  29. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山君のお話もっともでありまして、町村合併のどさくさまぎれにやたらに財産処分して、しかもその金が適正に使われないというようなことは、当然慎しむべきことでありまして、町村合併促進法にもそれを是正する規定があるそうであります。またかつて自治庁から合併町村に対しましてもその点に関しては、みだりに乱用しないようにという通牒を出した事例もあるのであります。お尋ねのことはごもっともでありまするからして、調査が可能ならば可能の程度において調査をいたしまして、今後の町村合併の際には間違いないようなやり方をやらすように処置をいたします。
  30. 北山愛郎

    北山委員 これは先ほども申し上げたように、地方からすれば非常に重要な問題であり、合併というものに対する地方住民の信頼といいますか、そういうようなことに非常に影響のある問題だと思うのです。地方へ行きますと、町村合併による山林等処分があまりあったために木材の値段が下ったのだ、こういうことすらいわれておるのです。それほど激しく行われておる。また木材業者に聞いてみても、割合まとまった材木として売りに出るのは、やはり町村合併とか、そういうものに伴ったものである、こういうことを言っておる。そういうことは決して正面ではちょっとなかなか捕捉し得ないかもしれませんが、やはり重要な問題だと思うのです。従ってこの点については、さらに法律上の措置もやりましたし、また自治庁としても一応文書的な行政指導をやっておるようでありますが、なお実態等を調べるということは必要じゃないか、こういうふうに考えておりますので、重ねてお願いをいたしておきます。  それから今年度の地方財政は非常に芳しいということで、全国知事会が立ち上って署名運動などをいたしております。交付税交付率については百分の三十という意見を出して、そうして国会議員等署名をもらって歩いておる。そうして新聞の発表によると、各党とも相当数署名がまとまったようでありますが、この事態に対して政府としてはどのように考えておるか、こういうふうに措置をしようと思っておるか。自治庁長官としては、このような知事会議運動に対して、どういう形でこたえようとしておるか。おそらく大多数の議員たち署名しておるというような状態であって、地方財政の苦しい状況を救おう、それにはどうしても交付税率というものは上げなくちゃならぬというような気持が、相当強くなってきておる情勢でございますから、政府としては何らかの手を打たなければならぬと思うのです。具体的にどういうふうな手を打っておられるか、長官にお伺いをしたいのであります。
  31. 川島正次郎

    川島国務大臣 政府考えといたしましては、前会にも申し上げました通り、ただいま御審議を願おうとしております再建促進法が成立いたしますれば、それによりまして赤字団体は長期にわたる財政計画を立ててもらいまして、一方目下政府によって調査しております給与実態調査も九月、十月のころにははっきりいたしますから、それらをいろいろにらみ合せて、今後地方財政赤字に対してどのくらいの補給をしたらいいかという数字をはっきりさせまして、次の機会におきまして交付税法の修正を行いたい、こう考えておるのでありまして、現在各府県知事のやっておる連動は、私どもはよく意味もわかるのでありますけれども、現在の国家財政の総体とのにらみ合せもありますし、また地方財政を、もう少し地方の自粛によって合理化してもらうこととも考え合せまして、次の予算編成期におきまして、これは当然解決しなければならぬ、こう考えておるわけであります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 大臣は、この委員会でございましたが、本年の財政計画によってやればことしも赤字は出るということをお認めになったようであります。それから交付税増額についても努力するということを言明せられておるわけであります。この委員会でたしかそうお話があったはずであります。従って知事会議のそのような運動に関連して、重ねてお伺いをするわけですが、単に給与実態調査の結果が出なければわからぬとか、そういうことなのか、あるいはどっちみち今年の財政は、財政計画との違いがひどいから、どうしてもこのままではいけぬ、どうしても交付税率を上げなければならぬ、あるいはその他の処置をとらなければならぬ、こういう気持努力をするのか。どうも前のお話と若干食い違いがあるようでありますから、重ねてお伺いするのですが、長官としては交付税率引き上げは、かりに知事会議の百分の三十でなくても、直ちに努力するかどうか、またどういうふうな各党との間の折衝などをやっておるかどうか、そういうふうな点をお伺いしたかったのであります。今のようなお答えであれば、これは振り出しに戻ったようなお話でありますから、もう少し突っ込んだ努力をなさっておるかどうかをお伺いしたかったのであります。
  33. 川島正次郎

    川島国務大臣 交付税率引き上げる場合に、パーセンテージを幾らにするかということの計算の基礎もまだはっきりつかめませんし、一方におきまして国家財政考えた場合に、現在は全く財源がないのでありますからして、新しい財源を生み出すことができれば、これは年度内においても処置できるかもしれませんけれども、今日の現況におきましては財源が全くないのでありますから、従いまして三十一年度からでなければ施行できないという結果になるのでありますが、自治庁といたしましては、地方の苦しい財政を救うために、できるだけ交付税率引き上げについては努力をいたすつもりではおります。ただ今申し上げるように、いろいろな状況が非常にこれを引き上げ得ないようなことになっておることだけは、御了解願いたいと思うのであります。
  34. 北山愛郎

    北山委員 もう一つ、これも地方財政関係しますが、たばこ消費税の率であります。これは今回の改正によって、若干改善はされておるわけであります。百出五分の十五を百分の十五にするという程度改善にはなっておる。しかし地方制度調査会は、百分の三十ということを答申案の中に出してあるわけであります。で、政府としては、この地方制度調査会答申に沿うて、いろいろな行財政改善をやってきたわけであります。今度の自治法改正とか、あるいはその他の税法改正等も、大体において地方制度調査会答申にのっとってやってきておられる。ところがこのたばこ消費税については、百分の三十にはさっぱりならないように思うのですが、これは将来やるつもりでありますか、この際伺っておきたいのであります。
  35. 川島正次郎

    川島国務大臣 たばこの税の問題は、予算編成の最後に三十億円だけを地方財政の方に持っていきまして、それだけの率の改正をしました。これは今年度限りでなしに、平年度もやるということにいたしたわけでありまして、地方制度調査会答申による百分の三十という数字は、大蔵省と予算を作る際にも折衝はいたしたのでありますが、私ども希望通りは実現いたしませんでしたけれども、漸次そういう方向に持っていきたいと考えております。
  36. 北山愛郎

    北山委員 今度政府は、地方自治法の一部改正を近いうちに提案すると言われておるんです。ところが提案をする前に、その発表された内容に対して、地方団体地方の議会方面からは猛烈な反対が出てきておる。その反対運動は今後もますます強くなるであろうと思われるのですが、政府としてはやはり既定方針通り、この発表された自治法改正案というものをお出しになるのであるか、それから時期的にははっきりいつお出しになるか、これを確かめておきたいのであります。
  37. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方自治法改正の理由は二つございまして、一つ財政方面からの関係であり、一つは事務的にいろいろ支障、不便がありますので、これを排除しようということであります。財政方面の点から申し上げますると、執行部、行政委員会、それから議会の各方面に若干の修正を加えまして、地方財政の圧縮をはかろうといたしておるのでありまして、現在の窮迫したる地方財政を立て直すのには、ある程度犠牲を各方面に払ってもらうことは、私は当然必要たという確信に立っております。今日の反対は主として議会方面でありますけれども、私ども考えていることは、今度の改正によって議員の権限を縮小するということは決してないのでありまして、地方議会は十分尊重しながら経費の節減をはかろうという趣意で、改正案を作っておるわけであります。改正案は大体用意ができておりまして、完成次第国会に提案したいと考えております。
  38. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、反対運動のいかんにかかわらず、大体発表された案でもってお出しになると了解してよろしゅうございますか。
  39. 川島正次郎

    川島国務大臣 私ども手元には反対の陳情もありますが、またこれをぜひ遂行しろという陳情もあるのでありまして、議会方面では議会に関する条項だけを反対してきておりまして、他の条文の修正には反対をいたしておらぬのであります。一方、知事会の決議ではありませんが、知事の相当多数の人人並びに全国市長会、町村会などはぜひこれは実行してもらいたいということを痛切に要求してきておるのであります。今は議会の方面が大写しに写っておりますけれども、実はこれを遂行したければ、とうてい地方財政は健全化しないという陳情も多数私は受けております。これらをいろいろ勘案いたしまして、適当な法文を作りまして、適当の時期に提案したいと考えておるのであります。
  40. 北山愛郎

    北山委員 これは自治法改正案が出るでございましょうから、あとでまたいろいろお伺いをしたいと思います。  それから先ほど来、地方財政赤字問題あるいは本年度の財政の運営等につきましてお伺いをしたのでありますが、政府が提案をしておる再建促進特別措置法案ないしはその他の措置が、かりに秋ころになって適正な何らかの手段かとられるとしましても、それまでには数カ月というか、しばらくの間があるわけであります。ところが地方財政の危機はもはや焦眉の急になっております。もうどん詰まりの最悪の事態にきておる、要するに金がなくて仕事もできないし、支払いもできないし、給与も払えないというような団体が続出してくる、こういう事態でございます。たとえば佐賀県のように、地方の金融機関から金は借りられない。これは地方の銀行は何も地方団体に貸す義務はないのでございますから、貸さたくともこれはしようがありません。ところが中央へ来て、知事が大蔵省へ行ったり、自治庁へ行ったりして頭を下げて回っておる。それでも貸してくれない。そうなると、支払いができない。そういう事態になったときに、地方団体はどうしたらいいのか、また政府としては、これはしようがない、支払いができない、事業もできない、ストップだ、これはその団体の責任であるからしようがないとして、見て見ぬふりをするのでございましょうか。この数カ月の門にはそういう団体が私はたくさん——もうすでに出ているし、今後ふえるだろうと思う。そういう際に政府はどういう処置をおとりになるか、これをお伺いしておきたい。
  41. 川島正次郎

    川島国務大臣 佐賀県の地方財政の窮迫は、昨年来の問題でありまして、昨年も給料の支払いその他に差しつかえを生じまして、自治庁においてあっせんして政府資金の借り入れをさしたのでありますが、その際自治庁は強く佐賀県の執行部に要求をいたしまして、機構の改革その他によって経費の節減をはかるように要望いたしたのでありますが、この要望は一向実現しないまま今日に至りまして、再び先月の給料支払いに困ったのでありますが、先月の給料支払いは私の方であっせんいたしまして、一応とにかく済ましましたけれども、こうした状態が続けば、結局佐賀県はいつまでたっても赤字に苦しむのであります。ああした深刻な赤字の県というものは、事業の方面あるいはまた事務の方面において根本的な改革を加えなければ、これはとうていいけないのであります。昨年来自治庁が勧告したにもかかわらず、何らその勧告を聞き入れないで、再び同じような事態に立ち至ったわけでありますから、こういう団体に対しましては、今度できますところの再建促進法を適用してもらいまして、長期にわたる計画を立ててもらって、ほんとうに根本的に財政の立て直しを期待しておるわけであります。それならば一体再建団体になるまでの間の期間はどうするのか、こういうお話でありますが、私どもといたしましては、再建促進法の適用を受けるまでもなく、そういう深刻な赤字団体は、一刻も早く機構の整備、事業の収縮をいたしまして、あしたからでも赤字のないようにしていただくことが念願でありまして、また地方の公共団体としてはそういう措置をとるのが当然だと私ども考えております。窮迫した団体につきましては、むろん資金の借り入れその他であっせん、援助をいたしますけれども、一方において地方自治団体の方も一層自粛していただきたいということを希望をいたしておるわけであります。
  42. 北山愛郎

    北山委員 希望はいいのでございます。再々大臣から希望はお伺いしているのですが、しかし国も地方公共団体も、この機構改革なりあるいは仕事を根本的に直していくということは非常にむずかしいわけです。いかにむずかしいかという二とは、鳩山内閣がせっかく補助金の整理ということを言っておいて、そして大蔵大臣の財政方針の中にもはっきりそれを公約しておいて、それが一つとして実行されない。逆に補助金がふえることになった。それ一つ考えましても、これは政府自体あるいは国の方としても、いかにこの仕事のやり方を変えていくことがむずかしいかということをみずから証明していると思います。国ですらなかなか容易にできもしない機構の改革なりそういう制度の改正改善というものを、地方団体に押しつけて金縛りにしておくということは、少し不公平であり、筋が通らないと思うのであります。しかも地方団体はその仕事の性質上、自主的に自分で勝手にきめ得る、あるいは自分で勝手に機構を作っておるわけじゃなくて、御承知のように七割、八割程度は国から法令できめられた仕事であるとか、あるいは補助金のひものついた仕事であるとか、そういうことをやっておる。自主性のない自治体でありますから、これに機構の改革なりそういう行政整理については、自主的にやれといってもそれは無理じゃないでしょうか。むしろそういうことがなし得るような、全般的な制度の改正なり、そういうものを国の方でまずやって、それからその線にできるだけ摩擦抵抗の少いようなやりやすい形に、地方団体を持っていくということが正しい行き方ではないかと思うのですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  43. 川島正次郎

    川島国務大臣 機構の改革は、御指摘の通り容易にできないのでありますが、それにつきましても、地方自治法改正を加えまして、地方公共団体において機構改革をやりやすいようにすることが、今回地方自治法改正案を提案する一つのねらいでありまして、各府県で部局を減らそうと思ってもなかなか部局の縮減ができない。そこで地方自治法の中にはっきりそういう規定を入れまして、部局を圧縮できるようにさせるし、各方面から機構改革ができやすいような地方自治法改正をしようと、今日計画をしておるわけであります。  一方国の補助金につきましても、従来補助市価などは非常に安く見積られて、地方負担が多くなりますので、これは主管各官庁相談しまして、補助金を地方に配付する場合には、相当補助単価を高く見積ってもらうという措置を講じまして、中央からの圧迫も少くして、地方財政をつくりたい、こう考えておるわけであります。北山さんの御心配はごもっともでありまして、なかなか容易でないことはわかるのですけれども、全部の地方団体でありませんが、特にはなはだしい赤字に苦しんでおる地方団体だけは、非常事態でありますから、すっかり考えを切りかえて、新しい構想のもとに立って、地方自治団体の運営をしてもらわなければ、とうてい赤字は克服できないのですから、それに政府が相当の援助を与えるという態度をとる必要があるのでありまして、ぜひこれはやってもらわなければ、いつまでたっても地方団体赤字解消はできない、私はこう考えておるわけであります。
  44. 北山愛郎

    北山委員 頭を切りかえるというのは、まずもって国の方が頭を切りかえなければならぬと思うのです。だから補助金などについても、それはいろいろな理由があるでございましょうが、少くとも補助金を合理化するということについて、私どもその趣旨は賛成でございますし、また補助金という問題を根本的に何とかしたければならぬと思っておる。また政府としてもそれをやろうとしたでありましょう。しかしなかなかできない。むしろ逆の結果になっておる。国ですらもそうなんです。だからまず国がそれをなし得るようなことにする。すなわち国の方で、政府のみならず、国会も責任がありますが、国の方でそういう頭の切りかえ、方針の切りかえをした上で、地方団体にこれを要望するということでなければ逆だということなんです。問題は地方自治法改正だけではないのです。地方自治法改正というものは、ただ部分的な形式的な一部の末梢的なところをいじっておるのだ、私どもはそう思っているのです。根本的なところには触れない。問題は地方自治法改正についても、あるいは再建整備にしても、ただいまの問題についても、そういうふうなものを根本的にやるのには、どっちみち時間がかかります。今すぐには間に合わない。しかし金の苦しいということは今、今の問題なんです。単に佐賀県だけの問題じゃない。たくさんの団体があっちこっちの銀行や信用組合や、そういうところから金を借りてやり繰りをしておる。これは今日の問題なんです。今日の問題をその根本的なむずかしい実施不可能なようなことを結びつけて、地方団体に要請するのは無理じゃないか。根本的な改正を必要とするということはよくわかる。わかるがそれには国がやろうとしても、地方団体がやろうとしても時間がかかる。従ってこれを今、今の金繰り等の窮迫と結びつけて、これを改革するというところに、私は政府の実行不可能を地方団体にしいる不合理さがあると思うのです。だからどうしても現在の窮迫の問題と、今後の根本的な改善ということは、一応処置としては切り離して行わなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、ただ地方に号令をかける、あるいは激励をするというだけではいけないのじゃないかと思うのですが、どうも大臣の考えは私は間違っておると思います。重ねてお伺いします。
  45. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建促進法が成立いたしますれば、とりあえず——赤字で苦しんで、ごく短期でそれを借りかえ借りかえして利払いや何かで苦しんでいる団体がありますが、この二百億円だけは長期にたな上げをしまして、それだけ地方というものは金を借りられる能力も出てくるわけでありますから、ぜひこれをやりたいというので再建促進法を出しておるわけであります。これが通りますと一応、特に赤字に苦しんでいるところが金融がつきやすいようになるだろうと思いますが、なお再建促進法が成立し、各公共団体がこれが適用されるまでの期間の苦しさをどうするかというお尋ねもありまするが、これに対しましては実情をよく見まして、金融のつかない府県に対しましては自治庁においてあっせんをいたしまして、政府資金その他を一時的にも貸すように従来もいたしておりまするし、今後もこの努力はいたすつもりであります。ただ北山さんのおっしゃる通りにこの非常に深刻な地方財政は一朝一夕には解決ができないのでありまして、従いまして先般来繰り返し申し上げた通り三十年度と三十一年度の両年度にまたがりまして、根本的な合理健全化をはかろうという考えでいろいろな施策をしておるわけであります。  それから補助金の問題でありまするけれども地方に補助金を押しつけて、それがために地方財政負担が多くなって苦しくなるという、この事実はあるかもしれません。しかし一方から考えますると、地方が仕事をとりたいために、補助金を無理にあせってきて中央官庁にせっついてもらっているところも事実あるのです。そのためにみずから赤字に苦しむこともあるのでありますから、地方の方でも自分の必要以上の補助金を中央官庁に要求してもらわないことが必要なんでありまして、これまでの現状では知事や市長が仕事をあせりまして、めちゃめちゃに中央官庁に補助金を申請しまして、その結果が赤字に苦しむところもありますからして、この際仕事の方は少し繰り延べしてもらって、むやみに補助金をもらうことを欲ばらないで、補助金というものはもっと重点的に使うようにいたしたい、こう私ども考えて、本年の補助金の配付につきましては、そうした考え方でやりたいと思っております。
  46. 門司亮

    ○門司委員 今のに関連してもちょっとお聞きしたいのですけれども北山さんからの御意見に対しまして、今の大臣の御意見ですと私はちょっとわからないのです。私がそういうことを言いますのは、地方の今日の仕事というものはほとんど七、八割程度というものは国がなきなければならないものだと私は考えている。もし大臣のようなお考えなら、国のやるべき仕事を地方に委譲して、そして現在補助金となっておるような額は、地方財政をふやしたらいいと思う。それなら何も好んで地方からもらいにくる必要はない。たとえば災害復旧の仕事あるいは学校の仕事等におきましても、これは一地方自治体の仕事でやれるものではありませんし、むろん国の仕事である。だからそういうものをやろうとすればどうしても補助金を申請する以外にないのである。もし大臣のようなお考えであるとするならば私はお聞きしておきたいと思いますが、国の持っておりまする仕事いわゆる権限を地方自治体にどのくらい委譲されるお考えがありますか。この委譲される分量がわかってくれば、おのずからそういう問題は解決する。地方はどうしてもやらなければならない仕事がたくさんある。そしてその仕事に補助金がくっついているのでありまして、この際ちょうどよい際でありますから、どの程度地方に仕事を委譲して、そしてどの程度に補助金を整理されるのか、その構想がありましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  47. 川島正次郎

    川島国務大臣 学校にしても教育にしても道路にしても、なるほど国がやるべき仕事でありますが、一面においては地方の利益になる点もありますので、今日の建前としては国と地方の両方の負担において、これを施行しておるのであります。そこで地方におきましては学校、道路、農業関係その他いろいろ補助金事業を中央官庁にせっついて、ぜひ自分のところへという運動が起ってくるのは事実でありまして、これを適当にあんばいして主管官庁がやっているのでありますが、赤字に非常に苦しんでおる県は、そういう時期は少し繰り延べても財政健全化の方に頭を切りかえることが必要じゃないかということを、先ほど申し上げたわけであります。一応財政が立ち直るまでは事業の方はある程度繰り延べをする必要があるのではないか、立ち直った場合において再び必要なる事業をやる、そうかといって全部の専業を減すわけではありませんけれども、できるものはこれを中止、繰り延べすることも必要じゃないかと考えておるわけであります。その意味におきまして今年度地方に出す補助金は重点的に、地方の負担が軽くなるように、言いかえれば単価の計算などにおいては、地方で過重にならぬようなやり方をやろう、こういうことを今考えているわけであります。
  48. 門司亮

    ○門司委員 私は、考えておいでになることはそれでいいと思いますけれども地方自治体というものは実際の仕事をしなければなりません。それから地方自治体というものは伸びております。こういうことを考えて参りますと、私が申し上げておりますのは、どれだけの仕事を地方に委譲するかということであります。仕事が委譲されない限りにおいては、私は必ず補助金を要求してくると思います。国と地方との事務の配分をどういうようにお考えになっておるかということが一つの大きな条件だと思う。今度自治法改正して部局を減らすといわれておりますが、今日まで地方自治体は部局を減らしたのがたくさんあります。たとえば鹿児島県にいたしましてもあるいは長野のごときは、知事がわざわざ中央に来て部局をできるだけ減らしたいと話している。ところが、お前の方で部局を減らすなら仕事が少くなるから、補助金をかげんしてもいいかと国の方はおどしているじゃないか、自主的に縮小しようとしてもなかなかできない。だから今度は国が法律で部局を押えていこうということは——国自体が権力によってあるいは法律でそうしなければならないという建前は、私はあまりいい建前じゃないと思う。必要に応じて部局というものはできるのであります、たくさんこしらえるのはよくないかもしれませんが、そういうことは今日の自治体などではみずから自制して、できるだけ赤字の少いように工夫しておる。それを今日まで妨げてきたのは中央官庁でありまして、もし中央官庁があっさりしておれば、今日ではかなりあっさり部局の縮小はできたと思う。こういうことを考えて参りますと、事務の再配分ということが先に考えられて、そして仕事をどれだけまでは地方にやらせる、そのかわりそれだけ地方の負担を少くしてやる、それを少くしてやらない限りにおいては、今日三百種といわれております補助金を一体どこに使うか。こういう補助金が国にありますか。あればどうしても地方は仕事がしたくなる、その仕事をするについては補助がいる、補助金で仕事をすれば赤字を出す、こういう悪循環になっている。この悪循環を断ち切ろうとするには、思い切って地方に仕事を委譲して、それに伴う財源を付与してやるということを行わない限りは、どんなに長官が重点的にと言われましても、重点的に数を少くすれば私はどうにもならぬものができると思う。これはより以上の競争が行われると思う。補助事業の数はあまり減ってりませんから、この点を私は大臣に聞いているのでありまして、どれだけの仕事を地方に譲ろうという、そういう構想が国にありますか。
  49. 川島正次郎

    川島国務大臣 今のことは根本問題でありまして、国の仕事と地方の仕事をどう再配分するかという御議論でありまして、これにつきましては地方制度調査会でもかねて研究をいたしているようでありまして、もっとさかのぼって根本問題を考えますと、現在の地方自治体というものは、市町村と府県の二重自治体になっておる点に欠陥があるのでありまして、町村合併が完成をいたしますれば、当然府県というものは合併するか道州制にするかということになるのであります。それと関連して今日国でやっている事務と地方事務とを再配分をする必要が起ってくるのだと思います。これについては根本的に研究をする必要がありまして、地方制度調査会でも、これは前から取り上げて研究をしているわけでありますが、まだ結論には達しておりません。それから地方公共団体の機構の縮小問題は、お話の通り中央官庁の干渉——というと言い過ぎるけれども意見などによって、圧縮できない点が確かにあります。これは地方によっては、農林部、林野部、農地部という農村系統の部局が三つも四つもある。これを圧縮しようとすると、農林省のいわゆる各部がそれぞれこれに圧力を加えて、廃してはいかぬというようなことがありまして、知事も困っているような実情を私は幾度も聞いておりますので、今度は自治法改正によりまして、部局というものを縮小し得るような規定にいたしたわけでありまして、従来も門司さん御指摘のような中央からの示唆なり圧迫なりによりまして、圧迫というと少し言い過ぎるかもしれませんが、そういうことによりまして地方機構の改革を阻止した点があることは、私は十分認めております。
  50. 北山愛郎

    北山委員 いろいろ地方財政赤字あるいは運営についての根本的な議論でありますが、いつまで議論してもきりがないようにも思います。しかしこの地方財政赤字なりあるいは困難さの原因というものを、あまり事務的にだけ考えるというと、われわれは間違うのではないかと思うのです。なぜ一体地方団体が仕事をやろうやろうとするか、少しこの際仕事を繰り延べて、そうして財政の健全をはかった方がいいんじゃないか、こういうのですが、やはり地方自治体の背後にある大きな力というものを考えなければならぬと思うのです。それは今地方団体が、教育にせよ道路にせよ、あるいは河川の改修にせよ、いろいろな問題を取り上げてやろうとしておるのは、私から言えば、日本のいろいろな公共的な施設、あるいは国民の福祉関係の施設というものは、どれ一つとしてろくにでき上ったものがないのです。道路についても、イギリスあたりであれば、主要な道路はほとんど舗装になっている、でき上っているのです。でき上っているからあとは補修くらいで済むのです。日本の道路は主要道路ですらも、ほとんど、五%くらいしか舗装されておらない。だから新しく道路を作るということと、それからそれを維持管理するということと、この両方のことをやっていかなければならぬのが今の地方団体の仕事である。学校についても、学校ができ上って、あとの教育上の管理の費用だけを持つならまだいいのです。ところがこの学校も、六三制もありますけれども、結局これを整備するためにいろいろ新しく建設をしたりしなければならぬ。こういう建設と維持管理と両方の仕事をあらゆる部面においてやっておる。そういうように、今までたまりたまった何百年来の仕事が堆積しておるのです。どこからも手を扱くところは一つもない。それをやらないでいいというのなら別ですが、明治以来の日本の政治がやはり軍国主義であって、国民の努力、国民の働きを軍備やあるいは戦争に消耗してしまったことは御承知の通りなんです。だから地方道路なりそういう公共施設が貧弱なんです。いわば地方から言うならば、一つ今度は、今までのマイナスの堆積というものをやってもらわなければならぬ、またやらなければならぬ事態になっておる。それだから仕事をするのでありまして、その地方の仕事の実態というものを、その根本の原因というものを国の方で十分に認識をしないならば、これは間違った結果になると思うのです。単なる機構の改革とかそんなことで解決されるべき問題じゃないのです。だからもしも日本が、イギリスならイギリスのように、道路も学校も、そういう施設が一応でき上っておるというならば、あるいは地方団体は住宅政策に重点を置いてやっていける余裕もあるでありましょうが、日本ではあらゆるものができ上っておらない。そこに根本の問題があるのでありまして、そういう点に十分な理解を持って、そうして制度の改革なり事務の配分なりを考えてもらわなければならぬ。ところが今政府がやろうとしておるのは、自治法改正によって議会の権限ばかり縮小しようとしてみたり、小手先のことなんです。それからもう一つは、ちょうど銀行が事業家に命ずると同じように、お前の方は人員整理をしなければ金を貸してやらないぞというような、銀行屋の考え方と同じような考え方をもって、地方団体に臨んでいる。そういう考え方は、私は根本的に間違っていると申し上げたいのです。だからこの際、何も地方には責任がないとは申さない。もちろん運営上の間違いもたくさんございますけれども、根本の今の地方自治体の仕事、地方財政の困難というものは、過去何百年かのところに根源があるのであって、この際政府の方でもこれを正しく見詰めてこれを解決しなければならぬ。それをただ地方団体に戦時体制でもって緊縮しろ、自粛しろというのでは、これは片手落ちであるばかりでなくして、そういうやり方は実行不可能である、私はこのような点について再々大臣に申し上げているわけです。ですから原因のいかんは別として、目前の地方財政の窮迫をどう処置するかという問題は、根本的な改革とは一応切り離して考えていただきたい。それをごっちゃにしてたとえば佐賀県の場合でも、金は貸すが根本的に整理をしろというようなことは、これは今申し上げたような金縛りにかけて、そうして不合理、実行不可能なことを一方的にしいるものである、こういわざるを得ないのでございますが、重ねて大臣からお考えを聞きたいのであります。
  51. 川島正次郎

    川島国務大臣 今議会に提案せられている各種の法案によって、地方財政なり地方行政が根本的に改善され健全化されるとは、決して考えてはいないのでありまして、とりあえず必要なものを出しておるのでありまして、根本的には、先ほどもちょっと触れましたけれども、府県制の問題、事務の再配分の問題、税制の問題、その他を解決しなければ、結局は地方問題というものは根本改革にはならないのであります。引き続いて、これは当然やるべきものだと考えております。今議会に出しましたのは、とりあえず目先必要なものを出したわけでありまして、それでこそ、地方財政というものは三十年度限りでもって、これを健全合理化することはできないのであって、三十一年度と両年度にまたがってやるという政府の方針だということを、しばしば申し上げておるわけでございまして、北山さんのお話の通り、当面の問題と根本的の改革とは、これは切り離して考えることは、もうお説の通りであります。私どもそういう方針で今日進んでいるわけでございます。
  52. 北山愛郎

    北山委員 時間もございませんから、切り上げますが、当面の問題にしろ、再建促進特別措置法によって何でもかでも一応解決がつくような話でございますが、それなどについても私どもは全く意見を異にするのであります。今度の再建促進特別措置法によっては、おそらく何も解決がつかないばかりでなくして、このような、今大臣のお話のような認識を持っておりながら、政府はこの地方財政の重大な再建整備について、一般会計から出しますのはたった七千五百万円、あと何も出しておりません。そんな程度のことで地方財政赤字の問題を、ただ当面の対策にしろやろうとすることは、私は責任をちっとも感じておらない、こういうことに不満であると同時に、このようなやり方ではおそらく失敗に終る、私はこのような考えを持っておりますが、この地方財政の問題については、さらに地財審議会委員等も参考人として呼んだ上で、なお大いに議論をしたいと思いますので、きょうはこの程度でやめておきます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 あとまだおやりになるのですか——おやりにならなければ、私資料だけ要求しておきたいと思います。資料を要求しますのは、ことしはどういうかげんか、ついてきておりませんが、地方税改正が少しあるようでございますから、一つ各税種目別の収入の基礎となるべき課税対象についての捕捉率を一応出してもらいたいと思います。そういたしませんと、税が的確であるかどうかということがわからぬのであります。だから税の的確性を見るために、ぜひ一つ課税対象に対する捕捉率を政府がどのくらいに見ておるのか、それを一つ明細に出してもらいたい。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 「地方税に関する参考計数資料その二」に網羅しておるつもりでございますが、もし何か特別な御意見がございましたら、その点につきましてさらに……。
  55. 門司亮

    ○門司委員 私網羅しておるのは一応見ておりますが、地方関係が変って参ります。いわゆる所得税なら所得税が変ってきておる。そうすると課税対象か減っております。数字も所得税が減っておるから、例の市町村民税というものが必ず減ってこなければならない。しかしこれは去年の所得税によっているから、実際減るのは来年度だからいいじゃないかというようなお考えがあるかもしれませんが、こう見ていくのは来年度からでいいという筋合いではないと思う。だからこういうものについて、どのくらい影響を持っているかということを見るために、もう少し明細にして出してもらいたい。  それからもう一つこの機会お願いをしておきたいと思いますことは、さっきから大臣のいろいろなお話の中にもうかがわれておりましたが、政府としての地方財政に対する一つ考え方の中に置かれております事業分量と、それから政府の出しておりまする補助金との関係であります。これを予算の面からでなくして、一つ自治庁のお考えで、いろいろ抽象的なことは言われておりますが、まだ私の要求した資料も出ておりませんので、大体地方の今の事業分量で、地方自治体に国が責任を持って補助すべき金額というものは、一体どのくらいが妥当であるかというようなことが、自治庁でおわかりになっているなら、一つこれを出してもらいたいと思う。そうしてこの数字は、この前の会議で要求をいたしました補助金が実情に沿うか沿わないかということの実質的な数字に当れば大体わかると思いますから、もし自治庁でそういうことがおわかりになっているなら、遠慮なく出してもらいたい。自治庁だけで考えているのは大蔵省との関係で工合が悪く、うっかり言えないということでは困ると思う。当然自治庁とすれば、これくらい補助金を出さなければこういう仕事ができないのだということは、私はわかっておるはずだと思う。それがわかっていなければ、おそらく当初の自治庁としての財政計画は立たぬはずだと私は思う。そうしてこれがだんだん圧縮されていくと思う。  それからもう一つこの機会事務当局でも大臣からでも——特に大臣の方がいいかと考えますが、従来の地方財政平衡交付金が新しい交付税にたって参りましたので、その配付の基準というものは当然変ってこなければならぬと思う。ところがこの法律には一つ矛盾が出ておると思う。今までの交付金の場合は積み上げ方式であったから、逆算するものであろうとなかろうと、一応の筋は通っておったのだが、今度は積み上げ方式がなくなって、国の持っておる一定割合を地方に出すということになりますと、まず額がきまってそれを地方に出そう、こういう形式が出てくる。そこでこの算定の基準となるべき数字がなかなかうまく出ないので、一応の目安だけはこのくらいのことでつけて、そうしてある金を比例かなんかで割って、これを地方に配分する以外に公正な配分はできないと思う。これは地方税法が変ると同時に当然政府が何らか考えなければならぬ措置だと思いますが、それについての何かお考えがございますか。
  56. 後藤博

    後藤政府委員 第一点の事業の分量の問題でありますが、これは私どもといたしましては、各省それぞれの年度計価というものが毎年実は変って参ります。たとえば本年五カ年計画というものを作りましても、来年はその一年分を必ずしもやるのではなくて毎年その数字を変えておりまして、実のところ私どもといたしましては、長期の事業分量というようなものの把握ができないのであります。従っておっしゃいますことは調べなければならぬと思いますけれども、われわれとしてはなかなかその補足ができないために、逆にまた補助金の量というのもわからなくなってくる、これが現在の実情ではないかと私は思っております。おっしゃいますことは毎回拝聴いたしておりますが、なかなかむずかしいので、何とか私どもつかみたいと努力しておりますけれども、それがなかなかできないという状態であります。  それから第二の問題は、交付金制度が交付税に変りましたから配付の方法を変える必要がありはしないか、これもごもっともの御意見だと思います。私どもといたしましては、今のところ交付金時代の配付の方式を踏襲いたしておりますが、これは財源の見通しに非常に各地方団体が変動を生ずるようなことがあれば、こういう赤字を非常に出しておる際でありますから、あまりに変動するようなことをいたしたくない、こういう気持から、しばらく交付金制度の配付方式でいくということに考えております。問題は財源の不足額とそれから交付税の額とが違った場合——ことしももちろん多少違うと思いますが、その違った場合にどうするかという問題でありまして、これを按分してやるかどうかという点でありますが、交付金の時代からすでに按分方式ではなくて、財政需要の方を圧縮していくという形にいたしております。従って交付額の多いところの団体に影響のないように——按分でやりますると交付税をたくさんもらいます団体がたくさん引かれます。逆に申しますと、富裕団体の方が交付税の按分にしますと得をします格好になりますので、そういうことにならないような方式といたしまして財政需要額を落して、財源不足額と交付税の額とを合せて、そうして配分をする、こういうことにいたして、それを調整率と言っておりますが、調整率の方式でもって現在やっておるわけでありまして、全体をながめまして、私ども交付税のたくさん参りまするような団体にはできるだけ迷惑をかけないように、財源の足りないところに迷惑をかけないような方式を現在とっておるつもりであります。なおいい方法があればさらにそれを考えていきたいと思っておりますが、先ほど申しましたようにあまりに激変を与えますことは、こういう時代には適当でないという考えから、一応従来の方式を踏襲しておる次第であります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 従来の方式と言いますけれども税法が変った以上は、従来の方式は理論上おかしいと私は思っております。だからこれは変えるべきだと考えております。ただこの配付税が今度の交付税関係というようなものに変ってきておりますのは、さっき申し上げましたように性格が全然変ってきた一つの制度になっておるのであります。地方財政平衡交付金の場合は、国が地力のアンバランスだけをこれで埋めるという一つの積み上げ方式であったから、一応よかったと私は思う。しかしこの方法をなぜこういうふうに変えたければならなかったかという一つの原因を、やはり自治庁考えてもらわなければならぬと思う。この原因は自治庁がすでに御承知のように、毎年国の財政の都合でつかみ分けのようなことで、ことしはこれだけ金があるからこれでまかなえということで、毎年々々逆算される基準額が変っていくという不見識なことであってはならない。同時にこういう方式は必ずしも実情に沿わない。従って国が責任を持って地方財政を涵養するために、どれだけかのものは必ず地方に配付するという基準を定めた方が国もやりいいであろうし、地方もそれがもらえるということが当初からはっきりして、当初予算その他を組む場合にも非常に都合がいいのではないかということが一応考えられる。従ってこういう経緯を持っておりますこの税金が実施されましたからには、少くともこの税金のできた経緯にかんがみて、やはり配分の方法をもう少し考慮する必要がある。同時にこういうことを考えて参りましたことは、従来政府考えておりますような——これは民主党の内閣が悪いというわけじゃありません。むろんドッジ・ラインからくる自由党の地方財政政策の大きな誤りだったと考えております。今までの平衡交付金のあり方でいけば、単に地方赤字団体を見ていこうという一つのものの考え方、それからくる一つの——理念的には私は少し反対するのでありますが、考え方の中に地方財政をできるだけ平均化していこうとする傾向が非常に強かったということであります。これが地方財政平衡交付金の趣旨の中に織り込まれている。地方財政を平均化していくということになりますと、どうしても富裕団体の分が赤字団体、貧弱団体の方に配分されるという形をとる。そのことの現われておりますのが入場譲与税で、これが国に取り上げられた。そして譲与税をたくさん集めるというか、納めた団体にはいかないで、ほかの団体に配分される形をとってくる。その次には料理飲食の税金もそういう形をとろうというようなことが政府でだんだん考えられてきておる。ところが地方自治体というものは事業内容がおのおの異なっておりまして、必ずしも平均化した地方の行財政では、日本の国はないということであります。先ほど北山君からもお話のありましたように、たくさん仕事を持っておる。そしてその仕事の種類が非常に違うのであります。単に表面だけの財政考えておったのでは大きな誤りができている。この結果の現われておりますのは、大臣も御承知のように、富裕団体と言われる団体で不正常教育が非常に多いのであります。今五学級以上の学級を持っているのは全部富裕団体です。財政が非常に困っているというところに行けば、大てい教育は正常教育が行われておる。こういうものがなぜできたか。これは地方団体がそういう仕事を持っておるのだが、その仕事の内容ということを考えないで、ただ仕事がどうだ、いや人口がどうだということを考えるだけで仕事をしているから、変な結果が出ておると私は思う。これを補おうとするには今度の平衡交付金の形が配付税になりました以上は、昔のような制度に戻して、そうしてできるだけ自主財源地方に与えるという地方財政能力に応じた配分の方法考えていく。これは全額とは申し上げませんが、そうして地方財政一つのあり方としての政府のものの考え方は、できるだけ地方に不交付団体を多くするということに方針を定めらるべきだと思う。そうして交付団体をできるだけ少くしていくということになって参りますと、地方自治体の発展もそこに見出されますし、政府の責任もだんだん軽くなってきて、こういう大きな問題は起さないようになると思う。政府の方針が、先ほど申しましたように、地方財政を今日まで平均化そうというような誤まったものの考え方でありましたので、ついに二十八年度までに三十九府県の赤字財政、二千に及ぶ市町村赤字団体をこしらえて、二十九年度の決算では二つか、二つぐらいしか黒字団体はないであろう。愛知県にいたしましてもごくわずかな数字が出ると言われておる。東京都もことしは一億か二億くらい赤字が出るかもしれないと言っているくらいで、三十年度の決算を見れば、日本全国はほとんど赤字になると思う。こういう実態政府はよくお考えになる必要がありはしないか。だからこのことを防止するためにはいろいろな問題がありましょうが、今日のこの配付税の性格を変えていただいて、昔ありましたような、たとえばその中の一定割合は地方の納税の額に応じて払い戻しをする。そうして自主財源をそこに与えていく。これによって政府がめんどう見なくても地方自治体がやっていける。そうしてなおかつやっていけない団体だけを見ていって、いわゆる赤字団体政府は少くするという方針をとられるべきである。今の政府の方針はまるっきり赤字団体をふやす方針である。ここに今日まで政府地方財政政策に対する大きな誤りがあったと思う。だからこういう問題について政府は、今からでもおそくはないと思いますが、再建促進法というようなものをお出しになるというようなことを聞きますが、赤字団体をふやすつもりか減らすつもりか、そういう基本の方針がきまらなければ、どんなにここでわれわれが議論いたしましても、赤字団体は今日の状態ではふえるだけであります。これについて何かお考えがございますれば、お聞かせを願いたいと思います。
  58. 川島正次郎

    川島国務大臣 門司さんのお話はまことに傾聴いたしたのでありまして、私が今後自治庁長官として仕事をする上に非常に参考になった次第で、御趣意をよく考えてみます。
  59. 門司亮

    ○門司委員 事務当局から、配分の方法考えておるかどうか……。
  60. 後藤博

    後藤政府委員 私今お話をお伺いしたのでありますが、調整財源でもってお話のようなことをするということはどうかという考え方をまだ持っておるのであります。お話の趣旨はわかったのですけれども、調整財源の配り方をもう少し変更していくということになりますと、かえって調整財源意味がなくなってくるのでありまして、おっしゃいますのはおそらく自主財源であるところの税をふやしていくという方向の方がよいのじゃないか、私は個人的にはそういうふうに考えておるのであります。調整財源である交付税を今のような方式でなく、つまり国全体から見てあるべき財政需要というものを考えて、それにふさわしい、それに不足するところの、自主財源との不足額を与えるという考え方は、やはり続けていくべきではないか。もしもおっしゃいますように、不交付団体を多くするという方式にいくのには、やはり自主財源である税財源をふやしていくのが自治体として望ましいことではないか、こういうふうに私自身は考えております。御趣旨はよくわかるのでありますけれども交付税の配分方法の現在のやり方はもちろん変えなければならぬ点はありますけれども、やはり考え方としては、交付税というものは調整財源でありますから、全国一律の仕事をやるという考え方のもとに、その財源を配分するという方式をとっていくべきではないか、こういうように考えておる次第であります。
  61. 門司亮

    ○門司委員 えらい考え違いだと思う。地方財政平衡交付金のときは、明らかに税の名前から、シャウプの考えた趣旨から、あの法律の全体を通じて財政調整命であることに間違いはありません。だからそれはその考え方でよかった。しかしこれを交付税に直したときは、その性格はおのずから変らなければならぬ。さっきから私が申し上げておりますように、今までの行き方では困る。だから一定割合を地方に出すということについては、そういうものが当然考えらるべきである。一定割合を出さなければならぬということは——地方自治体が実際方面からいって、赤字であろうと黒字であろうと、きまっただけは出さなければならないということは、これは地方の自主財源だと考うべきである。その中に調整財源が含まれておるということである。どっちにウエートを置くかということは技術的の問題であります。今私が聞いておるのはそれを聞いておるのであります。これは今税金をふやすべきだというが、税金はこれだけふえておる。所得税と法人税と酒税の一定割合を地方にやれということでありまして、これは国が取り上げて地方に持っていく税金であって、地方税金がそれだけふえておる。これを付加税にすればその通りになるのであります。地方税金はふえておるのであります。何もむずかしい話はない。しかしそういう普遍的な税金は、やはり付加税にするということになると、酒の税金などは一定割合をとるといたしましても、付加税にどうつけるかということに問題がある。従って今日の交付税の性格というものは平衡交付金とは全然違うのであります。この点を自治庁が気がついてないということになると、これは一つの問題だと思います。税の性格をなぜ変えたかということであります。今の後藤君の御答弁であるならば、いかにも地方財政平衡交付金でよかったのです。それは自主財源としての性格が薄い、ただ単にアンバランスだけを埋めていく方針をとっておるから、さっき申し上げましたようなものができ上って、富裕団体事業の面からいけば、必ずしも富裕団体でないというようなことができてくる。だからこれを交付税に直していきたいというのと、もう一つは逆算方針であって、いわゆる積み上げ方針であるから、法律の建前としては当然国がきめた一定率を地方に配分することになるのだけれども、実際の問題としては、その年度の政府財政関係で多くなったり少くなったりして、地方は非常に迷惑をしておる。これでは地方財政の確立にならぬではないか。こういうことから今日税金交付税として改められておりますから、税の性格は全然変っておる。これに気がつかないで、依然としてこれを単なる地方の調整財源だという考え方とすれば、大きな問題だと思う。もしそういうことになって参りますと、調整額が必要にならなくなってくる。あるいはもっとたくさん調整しなければならぬということになってくると、政府意見からいえば、今の二二%を三〇%に上げることが自治庁のとるべき手段だと思う。もう少し自治庁としては考えてもらいたいと思う。ここで税の本質論の議論をあまりすることはやめておきますけれども、これは一つ後藤君の方で考え直してもらわなければならない。もし今のような考え方で配分されるということになると、配分のしようがないと思うのです。今までは下から積み上げてくるという形だったから配分の方法考えられた。今度は上がきまって下の方にやるから全部逆算だ。逆算ということは算定基礎を持たぬということだ。これだけ金が要るからこれだけ金をくれというのではなくて、これだけ金があるからこれだけやるということになって、算定基礎を持たなくなってくる。そういう考え方でなくて、今日の交付税というものは二つの面がある。一面において自主財源をこれで見ていこうということ、一面においてはなおまた不足する分の調整財源にこれを使っていこうとする考え方のもとに、税金の名前が変ってくる。と同時に大きな性格の変化があったというふうに考えられるが、どうも性格の変化がないということは、これは意見にわたりますからこれ以上申し上げませんが、一つ自治庁はその辺を考えておいてもらいたいと思う。
  62. 大矢省三

    大矢委員長 この機会に私からちょっと伺います。北山さんに対する答弁の中に、町村合併が行われた後においては、都道府県のあり方が違ってくる、現在では、府県並びに市町村という二重の行政が行われているので、府県のあり方が変ってきて初めて事務配分の問題が変ってくるという意味の答弁がありました。それで今度出るであろうという自治法改正法案は、都道府県のあり方について調査会の答申があって、都道府県のあり方が明らかになってから出されるのですか。その点を一つ私からお聞きいたしたいと思います。
  63. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま政府で用意しておりまする自治法改正案では、府県の統合あるいは道州制という根本問題には触れておらぬのであります。地方財政を健全化するために必要な程度改正と、事務的にいろいろ不便、支障があるような点を改正するのでありまして、根本問題につきましては、ただいま地方制度調査会で研究をいたしておるのでありまして、その結論を待ちまして考究したいと考えております。
  64. 大矢省三

    大矢委員長 時間も相当経過しておりますから、本日はこの程度にして散会をいたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時四十四分散会