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1955-06-08 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月八日(水曜日)    午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 古井 喜實君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       亀山 孝一君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       丹羽 兵助君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    勝間田清一君       川村 継義君    北山 愛郎君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       杉山元治郎君    中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月六日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  水谷長三郎君が議長指名委員に選任され  た。 同月八日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  中井徳次郎君が議長指名委員に選任され  た。 六月六日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(岡良一紹介)(第一八二五号)  同(井堀繁雄紹介)(第一八二六号)  同(綱島正興紹介)(第一八二七号)  同(眞鍋儀十君紹介)(第一八二八号)  地方財政法の一部改正に関する請願中馬辰猪  君紹介)(第一八二九号)  地方議会制度強化等に関する請願池田清志  君紹介)(第一八三〇号)  建築板金業に対する事業税の撤廃に関する請願  (松岡駒吉紹介)(第一八三一号)  同(吉田賢一紹介)(第一八三二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方道路譲与税法案内閣提出第三二号)  入場譲与税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四〇号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第八〇号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八四号)  地方交付税法の一部を改正する法律案加賀田  進君外十名提出衆法第八号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  本日の議題地方道路譲与税法案入場譲与税法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律茶、以上五件を一括議題として質疑を行います。  なお政府側として川烏国務大臣永川政府委員奧野政府委員後藤政府委員。それから先ほど要求のありました松村調査課長、なお小林政府委員あとから出席するそうですから念のために申しておきます。  なおせんだって来要求のありました地方財政財政計画に対する変更のあった分、これはまだ十分材料が整っておらないそうでありますから、これができ次第配付することにいたします。予定は明日はできるそうでございますから、これまた報告申し上げておきます。  それでは通告順によって順次質疑をいたすことにいたします。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 ただいまこの前要求した資料をいただきましたが、まだ税務部長が見えておりませんから、このことについてはあとでお尋ねすることにいたします。  それから地方財政計画について自治庁長官に二、三お伺いしますが、この前予算委員会等でも川島大臣にお伺いしたのですが、本年度の地方財政計画、これの方の歳出面においては、自治庁内の地方財政審議会意見書によれば、大体昭和二十八年度の決算基礎にして推計をしますると、一兆四百一億、こういうふうな数字になっておるようであります。大体自治庁長官もそのようにお認めになっておると思うのですが、なおこの一兆四百億というような数字は、地方財政審議会意見書でございますが、やはりその作業は自治庁事務当局がお作りになった、かように思っておるのですが、地方財政審議会意見書の第二案に示されておる一兆四百三億という歳出規模、これは大体それだけのものが財政需要では必要である。昭和三十年度にはそれくらいは必要だ。そうしてまたこれが実態に近いものである。かように川島自治庁長官はお考えになっておるかどうか、重ねてお伺いをいたしておきます。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 必要であるかないかというお尋ねでありますが、仕事やり方によってこれがきまるのでおりまして、私どもといたしましては赤字に非常に苦しんでおる公共団体をいわば戦時体制に切りかえてもらって、もう極端に事務費、雑費、事業圧縮していただきたいということを熱心に希望もいたしますし、こういう点は地方長官などとも話し合っておるのでありまして、従って地方財政審議会のとった一兆四百億というのは、理想的には必要な数字かもしれませんけれども、こういうやり方をやっておるのじゃ、いつまでたっても地方財政健全化はできないのでありまして、これを圧縮してもらうことを私どもは希望いたしておるのであります。従いまして一兆四百億というお示し数字が必要かどうかということに対しては、それはいいとも悪いともはっきりとした御返事を、今申し上げられない段階になっておるわけでございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 しかしこれは非公式でございましょうが、ことしの四月の初めに自治庁の方から出された数字では、一兆八百億以上になっておるわけであります。従って地方財政審議会数字一兆四百億そのものが、相当控え目な数字ではないか。実態は、もしも長官お話の理想的な形ということになれば、一兆八百億要るんだというふうに考えられるので、むしろ一兆四百億という数字は相当控え目に計算された数字ではなかろうか、かように思うわけでありまして、その一兆四百億の控え目の数字からして、将来戦時体制の形でもって思い切って圧縮をするということは非常に無理ではないか。気持はわかるのでありますが、しかし無理ではないか、かように考えられるのですが、ことしの四月一日に非公式に出されました一兆八百十八億、こういうふうな数字の方が実態に近いのであって、一兆四百三億というのは、むしろ控え目な地方財政審議会数字ではないかと考えられるのですが、いかがでございましょう。
  6. 川島正次郎

    川島国務大臣 お話通り、もう無理なことはよくわかっております。全く無理なんです。無理でもそれをやり遂げなければ地方財政健全化しないのですから、一応その苦しい関を抜けて初めて合理化でき、地方財政というものは立ち直るのだろう、私どもこう考えまして、地方に向って、一つ無理ではありますけれども財政緊縮をお願いしておるわけでありまして、せんだってからたびたびお話し申し上げるのですが、今日国が出す金で十分だとは決して私ども考えておりません。地方交付税にしても二二%が決して適正なパーセンテージとは考えておらないのでありまして、現に昨年御審議の際にも、衆議院では二五%であったのを参議院で二二%に削られたといういきさつもあります。その他いろいろ考えまして、国としても今後地方財政健全化のために犠牲を払わなければならぬ点は多々あると思うのでありますが、それにしましても、何としても地方財政は、各公共団体ごとに状況が違いまして、赤字団体を見ても赤字原因がみな違うのでありますから、そこで御審議を願っております地方財政再建促進特別措置法案によりまして、これが成立いたしますれば、赤字の最も多い県はこの法律を適用して再建計画を立てさせる。また赤字がそれほどひどくない県でも自主的に再建計画を立てさせまして、各地方団体ごと赤字原因を探求いたしまして、それに対する措置をいたしたい。従いまして地方財政健全化は三十年度限りではできないのであるから、三十一年度、三十二年度、二カ年計画でやるんだ。これが本内閣方針であるということを御説明申し上げておるわけでございまして、全く今日の現況におきまして、これ以上地方財政圧縮することは無理とは思いますけれども、やはりそれだけやってもらわなければ、地方財政はいつまでたっても健全化しないのでありますから、これを私ども地方公共団体に今頼んでおるわけであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 自治庁長官は、地方財政合理化健全化する、そのためには無理なことがわかっているのだがやらせるのだとおっしゃるのですが、合理化考えるくらいならば無理とおわかりになっていることをどうしておやりになるか、少くとも圧縮については合理的にやらなければならないではないか、圧縮の方は無理とわかり切っていることを無理やりにやらしておいて、そして合理化をするなんということは、私は矛盾だと思う。しかもすでにおわかりの通り一兆四百億ということを基準にしてみても、六百四十億詰めなければ健全化にならない、大体そういうふうに思われる。これはほかの方の団体計算からしても、少くとも六百億というものを圧縮しなければ合理化なり健全化の線に到達しない。その六百億というものを、無理をわかっておってしゃにむにやるということは、まことにもって不合理なやり方ではないか。ただ号令でやるか、あるいは頼み込んでやるというのでは、これは戦争中のやり方と同じであって、少くとも自治庁の方でこの六百億を圧縮して合理化に持っていくというならば、一体どういう方法幾ら圧縮しどういう方法幾らやるというようなことの具体的な合理的な計画示しやり方を示さなければそれこそ無理そのものだ、実施不可能なことをしいるのだ。従ってその摩擦があらゆる面に現われるだけにすぎない。そしてその圧縮計画というものは、ただ号令だけで終ってしまって結局は不成功に終るのだ、こういうふうに思われるのです。少し無理と思われる圧縮計画自治了としてはもう少し具体的に、二カ年計画というふうなお話もありましたが、二カ年ならば本年度はどういうふうな計画であるか、来年度はどの点をやるかというようなことについて、もう少し計画的なものがなければ、地方団体を指導することにはならないと思うのですが、いかがでございましょう。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山さんのお話の六百億が適当な数字かどうかということは、これは計算の仕方でありまするからして、議論のあるところだと思うのでありますが、二十九年度通り事業をやっていけば、私ども計策しましても百四十億前後の赤字が出るということは、はっきり世間にも示しておるのであります。そこでこれを計画的にどうして消したらいいかという御意見の道りな意見がわきにもありまして、これをただ百四十億一本にして、自粛を地方に求めるのでなしに、合理化するために財政計画の中へそれぞれ盛り込みまして、単独事業において七十数億円削ってもらいたい、こういうことを希望しておるのでありまして ただ何としても六千五百もある自治体各種各様でありまして、どの自治体に向ってどれを削減しろということは覆い得ないのは、これは地方財政の本質であります。そこで赤字の県は再建計画を立てまして、財政の状態をはっきりしてもらう、それに対してできるならば政府が適当な措置をとりたい、三十一年度においては少くともそういう点に対しては政府として払うべき犠牲を払いたい、こういう考え方で進んでいるのが今日の現況であります。無理というのは、赤字の県におきましては、今までありました事業などに対しては相当圧縮してもらわなければならぬ、たとえば京都のごときもああいう観光都市でありますから、道路下水等はぜひ必要であるということであって、そういう点だけに、重点を置いて、あとのことは一切やらないんだということを市長も知事もきめているようでありますが、そういうことをやっていただくために私はぜひ無理をお願いしたいというのでありまして、あれもやる、これもやるというのではいつまでたっても赤字は消えないということなんでありますから、そこは一つどうか御了解願いたいと思うのであります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 どうも長官計数上の点で考え違いを——わかっておられるのだろうと思うのですが、二十九年度のままでいけば百四十億赤字が出るということを自治庁認めておる、こういうお話であった。ところが問題はそうではなくして、昨年通りならば自治庁財政計画既定財政規模の中でも、すでに百四十億以外の四百二十何億かの誤差があることをちゃんと自治庁認めておられる。だから私は六百億と言うのであります。問題は昨年通りならば百四十億足りないというのではなくて、昨年通りならば今お話の百四十億プラス既定財政規模の未調整というか差額四百何十億という、ちゃんと自治庁認めておる分を圧縮しなければならぬということになる。だからして私は六百億と申し上げるのであって、その六百億という数字は、単に私だけの主観ではなくして自治庁出局が大体お認めになっておる数字だと思う。だからして三十年度はさらに財政需要はふえます。御承知通りにたとえば起債の元金償還だけでも百十八億ふえるのです。あるいは警察費もふえる、人口もふえる、学校の先生も当然ふえる。そういうものを無視しておって約六百億の食い違いがあるということは、自治庁自身がお認めになっておるのではないか。その六百億を今年度一体どのようにして地方団体圧縮するかという具体的な方針をお示しにならないで、無理なことはわかっておるが頼む、頼むというだけではどうも不合理ではないか。やはり自治庁がそういう圧縮をさせようとする限りにおいては、合理的な基礎を示さなければならぬ。ただ再建整備でもって地方団体赤字をなくするような計画を出してこい、こう言うだけではまことに無責任ではないか、こういうふうに考えるわけなのでありまして、百四十億だけではなくて相当膨大な六百億近い、あるいは六百億以上のものがあるということは大臣もお認めになっておると思うのですが いかがでしょうか。
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 二十六年に財政計画を立てるときに、当時の内閣方針によりまして給与国家公務員並みベースにしました。それがために財政計画と実際の財政規模との食い違いができて、そのまま二十九年度の財政計画も作られたことは北山さん御承知通りであります。従いまして二十九年度の財政計画にも赤字要素が含まれておることは事実であります。そこでこれが幾らあるか、またどの団体幾らあるかということについては十分調査しなければならぬということで、前内閣時代考え公務員給与実態調査を始めました。これが近いうちに完成をいたしますから、その結果を見まして、公務員給与については適当に国で処置すべきものは処置する、また地方でもって処置してもらうものは処置してもらわなければならないのだ、こういうことを繰り返し申し上げておるわけでありまして、二十九年度の財政計画そのもの赤字要素が含まれておることは、これはもう事実であります。それは給与問題が主でありますから、給与実態調査ができた上において、次の機会に補正予算の場合か三十一年度予算編成の場合かにおいてそれは解決する。こういう方針政府としてははっきりきめておるんだということは前会にも申し上げた通りであります。北山さんの御心配の通り赤字要素は含んでおります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 赤字をお認めになるのですが、しかしその原因がただ給与のためにあるのだというようなお話は私は受け取りかねる。それは長官お話の中にも、果して地方公務員給与が高いか安いかということは、給与実態調査を待って明らかにされることである。だから高いか安いかということは一応常識論として今までは言われておりましたが、ほんとうに正しい結論というというのは、給与実態調査を待った上でなければ、果して地方公務員給与が高くて赤字が出ているのか、そういうことはわからないと思うのです。一がいにはこれは言えぬ。しかも一方から見れば、赤字原因となっておるのは単に給与だけではないということは、自治庁政府そのものがお認めになっておる。国が命じておるいわゆる補助関係事業というものは地方財政の中で五〇%ぐらいを占めておるわけです。地方財政の半分くらいを占めるようないわゆる補助事業にくっついた仕事、こういうものが国の方の補助率とかそういうものに実際に合わないために赤字原因になっておるということを自治庁はちゃんと認めておる。あるいは災害のために負担がふえたとか、あるいは国のいろいろな施設や機関に対して、義務外寄付金あるいは負担金を仰せつけておる。それも莫大なものであるということをお認めになっておる。それならば、そういうことをお認めになっておるのであるから、問題は給与だけではない。もしも御調査になるならば、給与のみならず今まで数年間国が補助事業をやったもの、たとえば中学校を建てる補助、それが実態に合わないために足りなかった地方財政負担、あるいは災害に対する財源措置が足りなかったために生じた赤字、こういうものをこの数年間にわたって全部調査をして出していただきたい。これは出すべきが断然だと思うのです。給与だけを積み上げて、そうしてそれを赤字のただ一つ原因のごとく言うことは正しくないと私は思う。自治庁政府認めておることには合致しておらないと思う。従ってもしもここで地方財政赤字というものを、ほんとうに根本的にしかも合理的に解決をするというのであるならば、政府がお認めになっておるいろいろな要素というものを数年間前にさかのぼって、政府財源措置が十分でなかったために生じた地方団体赤字というものも全部ずっと項目別調べて、そうしてそれをいかにすべきかということを国会が論議しなければならぬと私は思うのです。その点については長官はどのようにお考えでございますか。
  12. 川島正次郎

    川島国務大臣 従来補助事業などに対しまして政府補助率が低かった、また補助率通りやってもほかのいろいろな支障がありまして、地方負担になったことがあることは事実だと思います。過去のことを調べることはここで可能かどうか、すぐにわかりませんので御返答申し上げかねるのでありますが、少くとも、三十年度の予算の執行に当りましては地方負担にならぬように、これも繰り返し申し上げておるのですけれども、たとえば学校補助金にしても今まで単価を二万七千円と見ておった。ところが現実には二万七千円では学校建築はできないのでありまするからして、単価を上げまして半額負担で完全に学校のできるような補助をしようということを今考えておるのでありまして、これは農林省、建設省、文部省、厚生省その他の役所とそれぞれ折衝いたしまして、補助金を交付するがために地方財政が膨張にならないようにということをやっておるわけでありまして、三十年度におきましてはそういう面からも地方財政緊縮をはかろうと考えておるのであります。これまでたまった赤字ほんとう幾らあるのか、そうしてその原因がどこにあるのかということについては、ここで私ははっきり申し上げる数字を持っておりませんが、少くとも給与がそのおもなものであるということが言い得るということは、大体において地方財政給与が非常に大きな部面を占めておるのであります。しかもそれが国家公務員ベース地方公務員とは違うということも事実でありますからして、とにかく昨年、吉田内閣時代給与実態調査をしようということがきめられて、それが今進行中でありますから、その結果を見てこれを解決しよう、こう考えておるわけであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 それは給与の方をお調べになることはいいのですけれども、前提として、もう地方公務員の方が高いことは事実でございますということは言えないと思うのです。それは単に平均してみて、国家公務員幾ら地方公務員幾ら、個々の団体幾らだということではわからない。そのそれぞれの団体の職員の構成にも関係する、学歴にも関係する、古い人が多ければ、あるいは扶養家族が多い人が多ければそれは高いというような事情がありますから、一がいに総平均だけでは言えぬことは長官も御承知通りなんです。従ってこれはなぜ実態調査までするかということは、ただ一がいに出てきた平均数字だけではわからないから実態調査をなさっておるのであって、それをお調べになることはもちろんといいと思う。ただしかし私は、赤字原因として少くとも政府がそれ以外のいろいろな項目をお認めになっておる限りにおいては、ここで地方財政赤字解決しようという際においては、それ以外の項目についても当然その計数調べるべきではないか、今まで数字がなかったならば、その数字実態調査をして徹底的に調べる必要がある、私どもはそう考えざるを得ないのです。たとえば国のいろいろな、警察なりあるいは検察庁なり法務局なり、そういうものに地方団体がどのように寄付金を出しておったか、この集計を出さたければなりません。それから中学校建築について千二百億円の金が使われておるようでありますが、その中で政府補動金として出したものはわずかに三百億にも足らぬでありましょう。従ってこの六・三建築については、大部分を地方団体なりあるいは地方の住民が負担をしておるわけなんです。そういう負担をさせたという実態数字的に出していただきたい。これだけの財源措置を国がすべきものをしておらなかつた、その結果赤字が出ておる。災害についても同様であります。そういう数字一つ自治庁はお調べになっていただきたい。これを私は強く要求し、そうしてそれによって初めて地方財政赤字というものを、無理でなく、合理的に解決することができると私は考えるし、また地方行財政について責任を持っておる自流庁としては、これはその職責として当然やらなければならぬ。これは今までにもうやっておらなければならぬものだと思うのです。今までやっておらなかったことが間違いなんです。もちろんこれは鳩山内閣責任ではありません。鳩山内閣だけでなく、今までの累積したものでありますし、また政府だけの問題でもないでありましょう。しかし少くとも鳩山内閣が現在の政治を行なっておるという意味においては、やはり現在おやりになる責任者であるというふうに考えるのでありますから、一つそういうものも自治庁の方で調査をしていただきたい。そうして初めてこの赤字という問題の解決を見出すことができる、こういうふうに考えるのでありますが、一つそういう御調査をして下さるかどうか、長官からお伺いいたします。
  14. 川島正次郎

    川島国務大臣 二十八年度の決算時において四百六十二億の赤字があったことははっきりしておるのでありますから、これは今御審議を願っておる地方財政再建促進特別措置法によりまして、これを一応たな上げしよう、それで今後の赤字を出ないようにしよう、こういう構想でやっておるのでありまして、今北山さんのお話によると、従来も非常に大きな赤字が出ている、それをどうするのかというようなお話のように聞えるのですが、赤字は二十八年度の決算時で四百六十二億でありますから、その赤字原因給与だけであるか、あるいは給与以外の支障があるかということについてはできるだけ調査はいたします。ただ問題は、三十年度以降赤字の出ないような財政措置なり運営が必要だというお話でありましたが、これはごもっともでありまして、それについては、とりあえず三十年度においては地方においてできるだけ緊縮してもらい、また赤字の多い団体においては、地方財政再建促進特別措置法の規定によりまして財政計画を新たに立ててもらって、また赤字の少い県でこの促進法を適用しないところでも、やはり新らしい構想のもとに財政計画を立ててもらって、個々の公共団体ごとにこれを検討して、その集計を得て政府は適当の措置をしよう、こういう考えだということを申し上げておるわけであります。それ以外には今日としてはやり方はないんじゃないか、こう考えております。四百六十二億の赤字原因については、できるだけ調査をさせるようにいたします。
  15. 北山愛郎

    北山委員 これは赤字の問題と、それから今年度の財政計画なりあるいは今後の問題とは不可分の問題でありますから、それでお伺いしたのです。特に今後の、三十年度以降の問題について、圧縮をさせて、ということは、もっぱら地方団体責任おいてこれを解決しようとおっしゃるから、私はそう申し上げる。というのは、今までの赤字もそうだし、また今年度において生ずべき赤字についても、その食い違いについても、これは政府地方財政計画が悪いので、これが実態に合っていないような地方財政計画を基準にして、それを押しつけるからこそ、今までの赤字も出てきており、あるいはまた二十年度の赤字というか食い違いも出てくるわけなんです。問題は、今年度についても六百億の食い違いが出てきておる責任というものは、それを圧縮すべき、あるいは財源措置をすべき責任というものは、一体地方団体だけにあるのであるか、私どもはそう思わない。今までの赤字がそうであったがごとく、やはり国の方に大きな責任があると私ども考えるのでありまして、そういう意味で申し上げるのです。ですからことしの財政計画実態との食い違いというものが、今までのような実態に合わない財政計画をことしもやり、しかもことしの財政計画は御承知のように相当無理な、ごまかしたような財政計画であるから、なおさら赤字が出るような格好になると思うのです。それを、すべて無理がわかっておりながら地方圧縮、節約をさせて、何とかつじつまを合せよう、こういうところに私はどうしても納得のできないものがある。だからして六百億の赤字を解消させるというなら、一体いかなる可能な方法があるのか、そういうことを示さなければ、これは指導としては無理じゃないかと思うのです。この前ここで参考人に呼んだ地方団体の代表者は、ことしの政府地方財政計画のごときは机上のプランであって、絶対に実行不可能な案である、こう言っておるのです。だから、実行不可能だと言われておるのですから、こうすれば実行が可能だということを自治庁としては示すべきじゃないか、また二カ年というなら二カ年で、今までの赤字を解消する具体的な方策はいかんということを示すべきではないか、こう思うのですが、その点についての腹案があるでしょうか。またその赤字原因調査——これは赤字原因というものをちゃんと政府が報告書の中で出しておるのですからして、われわれとしては当然その実態を把握しなければならぬ。そうでないと結論は出てこないわけです。赤字責任はこれこれ、原因はここにあるんだといいながら、その数字がわかっておらぬようでは困るわけなんです。それをわれわれは知りたいのであって、国の政策として行なった六・三制の学校建築その他の結果として、一体地方団体がどのようなマイナスを生じたか、こういうことをわれわれは計数的に把握しなければならないと思う。だから決して無理な要求じゃないと思う。また政府として当然やるべきことである。そうでないと合理的な地方財政健全化というものは出てこない。だから私は決して無理なことを申し上げておるのではなくて、むしろ鳩山内閣がおとりになる地方財政健全化方法を合理的にするために申し上げておるのでありますから、その六百億なり何なりの食い違いを、無理やりにただ頼み込んで地方団体圧縮してもらう、戦時体制でやってもらうということではなくて、もっと合理的な方法がおありになりましたならば、それを示してもらいたい、こう申し上げたのです。
  16. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政が一本の経済で運営されるならば、ものは簡単なんですけれども、何としても六千五百の府県、市町村がありまして、それが別々な様相をし、また赤字原因も多種多様でありますればこそ、そこにむずかしさがあるのであります。今北山さんから、六百億の赤字が出る、こういうお話がありましたが、これは計算の仕方によってどうなりますか、これは別といたしましても、たとい赤字が出ても、どの公共団体がどういう原因でどれだけ赤字が出るということがはっきりしたければ、これを救済する方法はないのでありまして、それでこそ再建促進法を出して、地方団体でもってはっきりした財政計画を立ててもらおうという考えになっているわけであります。そういう数字がすっかり出れば、それに対して政府としてとるべき手段はとり、地方団体において自粛すべきものは自粛するというはっきりした線が出るのでありまして、各団体ごとにいろいろ状況が違うというところに、一括して議論のできない点があるのであります。この点は北山さんもよく御承知通りでありまして、私どもは、三十年度予算においては、できるだけ事業その他において地方で検約をしてもらう、りっぱな再建計画を立ててもらって、それに基いた政府としての処置をとろう、こういうふうにきめておるわけでありまして、ただ一がいに今後とも地方犠牲のみによって地方財政を再建しようとは考えておりません。
  17. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと議事進行で。大臣にお尋ねします。実は四、五日前の委員会でありましたか、予算の共同修正が出ました場合には、同じ日にぜひとも地方財政計画の修正をして、その上案を出していただきたいということを委員長を通じて申し入れをいたしておいたのであります。きょう私ども地方財政計画の修正案が出ておるものだと思いまして、こちらに出席いたしましたのですが、まだ出ておらぬようであります。これはどうなるのですか。
  18. 大矢省三

    大矢委員長 中井君に申し上げます。先ほど開会と同時に私から報告申し上げましたが、この計画書は明日出るそうであります。大綱だけはできているけれども、小さなところがまだ出てこないのでできない、こういうことです。
  19. 中井徳次郎

    ○中井委員 まだできないようでありますが、気になりまするのでお聞きしたのでありますけれども、二百十五億の修正を民自両党でされましたその内容を、きのう予算委員会、本会議で承わっておりますと、八十数億の減税をやるし、あるいはまた農業関係を中心といたしまして総花的に補助金、助成金等をふやす、国民のためになる修正であるという御説明でありました。私どもがおそれますのは、それによって地方財政負担が増加することであります。先ほどから議論がありますように、非常に赤字で困っておるところにさらにまた増加をする、そういうことがあってはなりませんから、あの修正案ができまする過程におきまして、これは大臣からもお答弁いただきましたように、地方財政には絶対影響させないようはっきりとすると言われておりましたから、その過程において、もう話がついておらねばならぬものであると考えるのであります。そういう面から言いますると、共同修正案が出される日には、もう地方財政の計価案が修正をされてでき上っておらねばあの修正案は出せないのじゃないか、私はこう思います。そういう意味からもう少し前から念を押しておきました。こまかいことと申されますけれども、非常に窮屈な地方財政においては、こまかい面で私どもは去年も一度体験がありますが、予算は修正されたが、それに対する地方財政負担については全く顧みられておらなかったということであります。それを特に念を押して私どもは申し上げたのでありますから、これはもう話し合いがついておるものと信じておりますが、そういうことでありまするから、何もそうむずかしいものではなかろうと、私ども実は考えておるのであります。大胆の御意見通りおやりになれば、もうきょうあたりでき上っておるように思いまするので、特にお尋ねしたわけであります。  それから川島さんにお尋ねするのはちょっと筋違いかもしれませんが、警察の問題につきまして、五大市の警察を当分の間そのまま残しておいてくれというような陳情を、われわれのところに非常に熱心に言うてこられます。つきまして、民主党あたりでもその点について何か慎重に御協議さなっていらっしゃるということを伺うのでありますが、政府といたしましては、この問題についてはああいう熱心な陳情があります。また内容においても、過去一年実施をいたしました結果において、置いておくことによって特に支障があったとは私ども考えられませんが、これをさらに延ばそうというふうな法案を政府の方からお出しになろうというお考えはないのでありまするか、ちょっとこの点伺っておきたいと思います。
  20. 川島正次郎

    川島国務大臣 自由党と民主党との共同修正による地方への影響でありまするが、これは当初百八億補助事業に向けるというのを、いろいろ相談した結果八十八億にして、二十億はこれを地方に回して起償によってこれをまかなう。ちょうど補助金とつり合うようにして、あの修正のために補助金の関係において地方財政に影響のないようになっております。一方減税の方でありますが、減税につきましては、それだけ交付税が減りまするけれども、交付税の性質上ここで交付税の割合を直すことは適当でないという考えで、たばこの益金のうちから十四億を交付税の中へ入れまして、これまた地方としては決して負担が重くならないようになっております。こういう点は両党の折衝委員で十分話し合ってできていることと、私どもは確認をいたしておるわけであります。  それから警察の問題でありまするが、これは当然七月一日から自警は廃止になって国警に移るのでありますが、これは昨年の議会において慎重に審議した結果こういう法律ができたのでありまして、政府といたしましては今日この法律を修正するという考えは全く持っておりません。
  21. 中井徳次郎

    ○中井委員 今のお話でわかりましたが、明日正式に書類が出ますから、それによってお尋ねすることにして、きょうはこれでやめますけれども、やはり地方村政にしわ寄せがかかってくる。一方では税金を減税しておきながら、起債を二十億認めた。起債などというものはやはり借金であります。利子もかかりますし、地方はまたそれだけ負掛がふえるのであります。しかしこれは明日でも伺うことにいたしておきます。  それから、議事進行でありますから、ちょっと伺っておきたいのですが、だいぶ法案も出て参りましたけれども、まだ地方自治法の一部を改正する法律案地方公務員法その他まだそろっておりません。私どもは、何も審議をだらだらとやるというふうなつもりで出ておるわけではないのでありますが、長官も御案内の通り地方財政は非常に困難の折柄でもありまするから、こういうものがやはり全部出そろって、その上に総合的な判断をしません限りは、私どもは正確な判断を下しにくいと考えております。従って、当委員会にはぜひとも早くまとめていただいて、私、どもも本格的に審議に入っていきたい、かように思うのであります。つきましては、あと法律中米などはいつごろ出ましょうか。特に地方債証券公庫法案などというものも書かれておりまするが、こういうことについて今の見通しを、ちょっとお聞かせいただきたい、かように思います。
  22. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方債証券公庫法案につきましては、先般もお尋ねがございまして、ちょうどそのとき御出席がなかったのじゃないかと思うのですが、よく御説明申し上げましたけれども、これは今考究中であります。それからその他の法案につきましては、お話しの通り非常におくれておりますから、なるべく早く提案しまして、御審議を願うようにいたします。
  23. 川村継義

    ○川村(継)委員 譲与進行。先ほど北山君から赤字問題の質疑がありましたが、それと関係するようですから、議題にお願いしておいた福岡県にありました問題について、ここでお取り上げいただきたいと思います。
  24. 大矢省三

    大矢委員長 それではそういうことにしますから、どうぞ。
  25. 門司亮

    ○門司委員 今福岡県の問題が出ましたが、その前にちょっと大臣に用意的のことを聞いておきたいと思うのです。福岡県の問題はすでに大臣は御承知だと思いますが、これは大臣の先ほどの言葉に非常に関連持っているのです。私はちょっと中座をしておりましたから、はっきりわかりませんが、私の聞いておる範囲では、地方赤字原因は、いかにも職員の給料が高いからだというようなことを大蔵省が盛んに言っておると、そういうことを自治庁が言うことは、私はおかしいと思う。大臣の言葉の中にしばしばそういうことがある。私は、この点はこの前の委員会でちょっと申し上げましたので、言いたくはないのですが、自治庁の方に誤りがあると思うのです。  それからもう一つ、この際大臣に聞いておきたいと思いますことは、大臣の今までの言葉を聞いておりますと、一方においては地方自治体財政というものは個々別々であって、なかなかむずかしいのだということ、私はその通りだと思います。事業内容は全部違うのであります。それを政府が画一的の行政と画一的の財政規模の上に置こうとするところに無理があると思う。これが今日の地方財政の窮乏の最大原因だと思う。大臣はよくそういうことを言われておる。みんなでこぼこがあるのだ、事業内容がみな違うのだ、それを財政計画の上では一律にしようというところに非常に大きな誤りがあると思う。財政計画の上で足りるとか足りないということではなくて、実際の問題として、地方に出る金は、国家財政から割り出してきた数字とは多少違うものが地方にはなければならない。それは自治庁が見てやらなければならぬ。一例をあげて言うならば、たとえば失業者の数が、中央できめられておるよりも地方ははるかに多いと思う。窓口に押しかけてこられて、これだけのものはどうしても失業者として登録してもらいたい、救済してもらいたいということを言うのに、国の財政がこれだけだからお前たちは知らぬというわけには、地方ではいかないのです。やはりそれには、あってもなくても地方財政としては何か出さなければならない。さらに、そういう連中というと悪うございますけれども、やはり期末手当を二日分にしろ、三日分にしろ——国の方の財政では見てやらないようになっているが、しかし地方で窓口に来られては、一日分でも半日分でもやらないというわけには参りません。自治体というものの性格が、現業庁でありサービス官庁であることを自治庁の諸君は知っておると思うけれども、これを知らないふりをして、大蔵省に追従してやろうとするところに無理があると思う。大臣はわかったようなわからないような答弁をされておるけれども、少しもそれのけじめがつかないのでありますが、地方財政考え方をもう少しはっきりしてもらいたい。この機会に私がはっきり聞いておきたいと思うことは、政府は、地方赤字の最大の原因が、公務員給与にあるというように今でも確信を持ってお考えになっているかどうかということです。
  26. 川島正次郎

    川島国務大臣 前段のお話しでありますが、地方財政計画というものが実際の地方財政規模と合わぬことは事実でありまして、三十年度の各地方予算書を集めて集計すれば、これに合っていないという現象は出るだろうと思います。ただ、交付金制度時代においてこういうものがなければ、交付金の算定ができませんから、地方財政計画というものを作りまして、交付金算定の基礎としてやってきたのでありまして、今日でも地方財政計画というものは私は必要だと思っております。必要だと思っておりますけれども、平衡交付金制度時代と交付税の交付金の時代とは、その必要性において多少違ってきておるのではないか。何としても地方財政のむずかしさは、各地方団体個個に違った原因があるからでありまして、今お話しの給与の問題についても、ある府県なり市町村なりの赤字原因給与にある場合もありましょうし、他の原因が主たる場合もあろうかと思います。これを一がいに全部過去の赤字給与だと言い切れないと思うのでありますけれども一つ二つの県なり市町村を抽出して考えれば、あるいはその県に限っては、その市町村に限っては、給与赤字の最大原因だというところもあろうかと思うのであります。そこで私どもは、今度の地方財政再建促進法によりまして、はっきりした財政計画を立ててもらいまして、ほんとう実態を把握したい、その上において政府としてとるべき処置はとりたい、こういう考えでやっておるということを申し上げておるわけでありまして、門司さんのお考え通り、今までの赤字が全部給与だとは考えておりません。ただ、給与というものが何としても地方財政の大きな部分を占めておりまするからして、やはり給与もその一つ原因だということは、総括的には申し上げられ得ることと考えております。
  27. 門司亮

    ○門司委員 私は給与の点でもう一つ聞いておきたいと思いますが、もし今の長官お話しのようなことであるとするなら、赤字実態が出てくる速度というものが、今日のように急カーブに出てこないと思います。それは、自治庁から出ておりまするところの、自治庁というよりも、内閣総理大臣名で出ており失する昨年度の報告書、さらに本年度の報告書、これをずっとつなぎ合せて検討いたして参りますると、やはり赤字の速度というものが非常に早く出てくる。もしこれが地方給与に関係した問題が多いとするなら、ああ急カーブには出てこないと思う。出てこないということが正しい。そんなにむやみやたらに給与が上っているわけじゃありません。おのずから昇給する額はきまっております。人間の雇い入れもおのずからきまっておりますし、ことに、日本の地方財政赤字というものは昭和二十五年からなんです。二十四年までは、ないわけではなかったと思いますけれども、あまりなかったと思います。これはやはり、政府地方自治体実態を把握してというお話でございますけれども実態を把握する前に、自治庁は、どうしてこういうものができたかということを、真剣にお考えになる必要があるのじゃないか。これは責任を持って政府考えるべきことだということが考えられるが、給与の問題にしてもそれならはっきり聞いておきたいと思いますが、一体自治庁給与がどういうカーブで上ってきたかという数字が示されますか。地方給与が高いのだ高いのだというけれども、もし高ければ二十二年、二十三年、二十四年にも赤字が出てこなければならぬ。しかしそのころにはなかった。二十五年から非常に強いカーブが出てきておる。そういたしますと、私は必ずしも給与だけではないと思う。同時に今の大臣の御答弁でありますたら、給与がどれだけ地方財政赤字になったかという具体的の数字を一応示しておいてもらいたい。その上で私は一つ一つ問題を片づけていきたい。その次にくるのは、あるいは政府から補助金その他でどれだけの迷惑を地方にかけたかという一つ一つの問題を片づけていかなければ、私はここで幾ら抽象論を唱えておってもどうにもならぬと思う。だからもし資料があるなら、各地方団体給与の上昇率というものが示されるなら示してもらいたい。われわれはいたずらに政府攻撃ばかりをやるつもりはありません。そういう原因一つ一つ探していくことが必要だと思います。
  28. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方赤字原因は、わかるだけ調査をいたしますが、しかし国から交付する交付金にしましても、入場税にしても、また地方のあげる税金にしても、これはひもつきが全然ないのでありまするから、ほんとうにどういう点でもって赤字になったかということは、判明しにくい点もあるのじゃないかと私は考えるのでありますけれども、なおよく事務当局とも検討をしまして、御希望に沿うような調査をできるだけやってみます。
  29. 門司亮

    ○門司委員 私は今大臣のあげ足をとるわけではないのですけれども、ひもつきでないからと言われますが、ひもつきであったら、どうにもなりません。ひもつきでないのが当りまえなんです。ひもつきでなくても、私はこの次の段階でさらに十分確かめたいと思っておりましたけれども地方財政に対する再建整備法が出ておりますので、これを完全に行うためには、そうした基礎資料がなければ、あの法案をわれわれ審議するわけに参りません。そういうことでぜひ調査をしたいと思っておったのでありますが、地方財政というもの自体が自治庁はやり過ぎたという。これは大蔵省も言っておるが、自治庁も言っておる。しかしひもつきでないから、どんな仕事をやったかわからぬとおっしゃいますけれども地方としては決して満足しておりません。やり過ぎたということは私はないと思う。財源が足りないからやれないのであって、やり過ぎたところは一つもないと思う。ことに一つ一つ財政調べてみるとおわかりになると思いますけれども、この間文部省でいただいたちょっと古い資料でありますが、昨年の五月三十一日の現在表を見てみますと、一体日本にどれだけの不正常教育があるかということになりますと、非常にたくさんの不正常教育を持っている。私の住んでいる神奈川県などは富裕県だと言われておりますけれども、不正常教育の数は実際において千八百幾つか持っております。これを正常教育に直そうとすると数億の金が必要になってくる。これを自治体としてはやらなければならぬ。これをやったからといって、決してやり過ぎたとは言えない。やれば非常に大きなお金が要る。かといって国はめんどうを見ない。起債を申請してもなかなか許可をしてくれないから、一挙に解決できない。これは単なる一つの例でありますけれども、決してこれは地方がやり過ぎているということは言えない。だからここでそれ以上議論はいたしませんけれども、ぜひ今私の申し上げましたようなことを考えて、そしてこの実際の姿が把握できるようにしてもらいたい。  もう一つこの機会に資料をお願いしておきますことは、今申し上げましたような関係がございますので、各地方自治体の、たとえば補助金実態の沿わざるアンバランスが一体どのくらいあるか、これはすぐわかります。たとえば国の補助単価がどれだけになっているということを一応調べればすぐわかるのでありまして、もしわかるなら国の補助単価だけでもよろしゅうございます。全部とは言いませんから、わかるだけ出していただきたいと思います。
  30. 大矢省三

    大矢委員長 それではその資料をできるだけ早く……。  次に川村君。
  31. 川村継義

    ○川村(継)委員 ただいま門司委員から赤字の問題についていろいろ話が出ておりましたし、北山さんからもいろいろ話があったのですが、それと関係する地方の行政問題あるいは財政問題を考える場合に、実に大きな問題だと思うわけなんですが、それは先ほどもちょっと申し上げましたように、調査課長が福岡に行かれて、福岡でいろいろ問題を発表しておられることについて、実は内容の問題はいろいろありますけれども自治庁調査課長として一つの大きな責任をとっていただかなければならぬ問題じゃないかというほど強く考える問題なんです。それらについて数点お尋ねしたいのですが、調査課長おられますか。
  32. 大矢省三

    大矢委員長 小林行政部長が来ておりますから……。
  33. 川村継義

    ○川村(継)委員 調査に行かれたのは、多分福岡県知事の要請か何かで行かれたと思うのですが、その行かれた日にち、あるいは長官が何か調査内容等を指示してやられたのか、あるいは知事の要請があったとしたならば、それは一体いつごろあったのか、まずその点をお聞きいたします。
  34. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私よりお答えいたします。調査は福岡の知事から要請がありまして、——これは御承知通り地方自治法にもその規定がありまして、地方公共団体の長から、団体の組織運営の合理化等に関して、必要な監査とその結果に基く技術的な所見、勧告を求めることができる、こういう規定がありまして、それに基いて正式の調査の申請があったのであります。ちょっと私正確に覚えておりませんが、先月の初めだったと思っております。日は追って調べた上御報告申し上げたいと思います。これに基きまして調査課長が出かけたのでありますが、調査項目その他について特に長官から御指示があったことはないと思っております。要求に基いて、要求の範囲内の調査をやるために出かけたのでございます。
  35. 川村継義

    ○川村(継)委員 福岡でなさった財政調査というような問題は、今日までどれくらいの団体に大体実施しておられるのですか。
  36. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 その具体的の数字は、ここに資料がございませんので、これも後刻調べて御報告いたしますが、県及び市について、県は大体十一県程度、市も十数市について行なっております。あらためてこれは正確な資料を差し上げたいと思います。
  37. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官がおられないようですから、とりあえず部長にお聞きしますが、こういうような調査をやられた場合に、福岡で発表されたような大々的な新聞発表、そういうようなものは一体許されるものかどうかという点であります。今日まで調査の結果をそのように出先で発表するというようなことをやっておられたのか、あるいはそういうことはやっていけないということになっておるのか、その辺の事情を詳しくお話し願いたい。
  38. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 調査には調査関係の者が参りますが、正式の勧告と申しますか、これは自治庁長官責任において、その内において行うべき問題でありまして、その勧告を行うに必要な現地における各般の資料を収集し、材料を集めていく段階でございまして、その間においては、自治庁としての見解はもちろん決定できるわけのものでもありませんので、そうした意味の中間の段階において、いろいろ誤解のあるような形において、いろいろな問題が現地で出るということは差し控えた方がよろしい、そうした問題につきましては現地では遠慮するように、こういう考え方で指導して参っておるのであります。それでありますから、役所としての見解を先ばしって言うようなことはないように、厳重に申しておるわけでございます。
  39. 川村継義

    ○川村(継)委員 課長自身がおられないと、課長のそのときの考え方が、はっきりつかめないのでありますが、今の問題について、福岡の出先で課長が調査内容を発表したというようなことについて、行政部長としてはどのようにお考えになっておられますか。
  40. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私もちょっと調査課長に、その間の事情を聞きましたが、自治庁から行きますと、これは正直に申しまして、各用地の新聞社の諸君たちは、いろいろな形で情報を集めに参るのでありまして、それにつきましては、先ほど申しましたようにいろいろ誤解があってもいかぬのでという考え方で、調査課長自身もきわめて慎重な扱いをとって、調査の結果についての具体的な細目的な発表は全部差し控えておったのであります。たまたまある新聞社から特別な要請があって、財政問題一般についていろいろ問題があるので、意見の表明を求められた際に、調査課長は課長という立場では困るが、個人的なほんとうに差しつかえのない範囲で言うという条件で、現地の総務部長との対談に応じたのは事実のようでございます。それで本人自身も、対談中の中につきましては、きわめて用心をしながら、特に具体的の調査内容にあまり触れないという建前で、一般的な公務員関係の自治庁から出しておった資料がありますが、そういうものを基礎にして、実は話をしたのだということを申しておりました。これはあまり具体的な問題につきましては、その記事がその通りであるかどうか、大体そのような趣旨のことを申したことは事実のようであります。しかし本人は従来のいろいろな問題があるので、役所としての終局的な見解ではないということをくれぐれも申して、個人的な一応の考え方を一般的な問題を中心にして述べた、こう言っておるのが真相のようであります。
  41. 川村継義

    ○川村(継)委員 どうもただいま行政部長は、課長をかばったような発言をなさっているのですが、新聞を見ると結果は全然逆じゃないかと思うのです。われわれといたしましても、さっき部長が言われたように、課長がそういう知事等の要請に基いて地方調査に行ったならば、調査項目長官に報告すべきである、長官の名前をもって相当の勧告なりあるいは適当の指示をするというような方法がある。ところが出先でいかに新聞社の要請があったといっても、総務部長と二人で自治庁のいろいろな資料に基いて、一般的なことを発表した、こう今言われるのですが、実際はそうではなくて、非常に独断的な見解を堂々と発表しておる。私はここに新聞を特っているのですが、こういう点につきましては、どうも軽卒のそしりをまぬがれない、こういう見解を持っているわけなんですが、これは長官に聞いた方がいいと思うのですが、部長としては課長のとりましたそういう態度、部長も新聞は見られたと思うのですが、ただあれだけで済まされる問題だとお考えになりますか。もうちょっとその辺をお伺いいたします。
  42. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私も新聞記事をちょっと拝見いたしましたが、言葉の表現その他につきましては、もう少し慎重を期してもらいたかった。正直申しまして、こういう点はないわけではないようでありまして、誤解を招くようなことは今後厳重につつしんでもらいたいということを、本人にも強く実は申しておいたのでございます。
  43. 川村継義

    ○川村(継)委員 これはどうも課長がおられませんので、ちょっと工合が悪いのですが、もうちょっとお聞きします。そういうように総務部長と一緒に新聞社の要請に応じて、しかも新聞内容に見られるような独断的な見解を堂堂と発表される。その影響がどういう波紋を起すかということは、おそらく調査課長たるものは一応考えておると思うのです。それはわかっておらねばならぬと思うのですが、そういうことを考えないでやったということについては、どうも重大なる関心を持たざるを得ない。こういう点は委員長から一つ課長を呼んでいただいて、もう一つその辺のところをお聞きしなければならないと思っております。  この新聞の結果が九州各県の地方版にばらまかれた、しかもこの内容はさっきからお話になっているように、あるいは質疑になっているように、人件費が高過ぎる、こういうような見解を下しているのですが、これは現在の地方財政の問題については大きな関心を持たざるを得ない。特に政府が今日地方財政再建促進法を出そうとしている、あるいは地方自治法の改正法を出そうとしているときに、選挙運動ではありませんが、そういう法案の通過を促進するために、わざわざ地方に行ってそういう材料をばらまいて世論を巻き起してくる、しかもそのやり方というものが一方的な、独断的に考えられておるやり方である、そういうような見解を下さざるを得ないようた結果になるのであります。こういう点につきまして長官のお考えをお聞かせ願いたい。
  44. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、私は実際をよく聞いておりませんので、従ってそれに対して私としての判断を申し上げることができないのでありますが、もしも課長のやったことが非常に不都合であるというのたらばまた考えますが、よく課長も呼びまして前後のいきさつを問いただしまして、適当に処理をいたします。
  45. 坂本泰良

    ○坂本委員 具体的問題の前に福岡の知事から調査請求のあったのは、自治法の二百四十五条の三による請求であるかどうか。その請求によって自治庁は松村課長をどういう任務で、どういう調査で派遣されたか。またそれはどういう性格のものであるか、まずこの点をお聞きしたい。
  46. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 福岡の知事からの請求は、今おあげになりました条文に基いてやったものと存じておりますが、知事だけでなしに市町村長でもしばしば呼んで、財政上の実況を自治庁に……。
  47. 坂本泰良

    ○坂本委員 福岡の問題ですよ。
  48. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 福岡の問題につきましても、知事といたしましては財政上の実況を自治庁長官に診断してもらう必要のために請求があって、その請求に基いて自治庁といたしましては、御承知通り一般的にも自治体財政の状況を審査する権能もございますし、また要求があれば要求に基いて自治庁としてそれだけの協力することばさしつかえないわけでございまして、そういう建前で自治庁調査課長が出かけたのでありますが、自治庁長官として特別にそれ以上にどういう調査をやれとか、とやかく言うような問題は、この際特別に命じておらぬのでございます。
  49. 坂本泰良

    ○坂本委員 特別に命じていないというんですが、国家公務員が出張する場合は、出張の許可申請をして、その目的をはっきりして、そうして出張命令によって出張するのだろうから、今御説明のように一般的に行ったなどというような実情じゃないと思います。
  50. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、知平の要求に基いて県の財政上の調査をするために出張を命ぜられたはずでございます。
  51. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、福岡県の財政上の実態調査するために出張した。そこで行政部長にお聞きしたいんですが、その調査事項について、調査先においてかようなことを課長が発表する権限があるかどうか。こういうような場合ば調査した事項をまず本庁に復命して、その後それを発表すべきものかどうか。その点を承わっておきたい。これはもうほかの一般論でなくて、この福岡の松村課長が出張したその範囲についてだけ言ってもらいたい。
  52. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 もちろん自治庁長官としての勧告という問題は、自治庁長官調査にやった者の意見を聞いて最終的になさるべき問題でありまして、そういうものについての自治庁長官の見解はもちろん発表のしようがございません。しかしながら事実上行った者がそれぞれ——これは控えた方がいいと思いますけれども、各般の問題について質問を受ければ、それにつきまして差しつかえのない限度において答えるということは、やむを得ない場合が多かろうと思うのでございます。長官の見解をかわって言うなどということは、これはもちろん許さるべき問題でないと思います。
  53. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでお聞きしたいんですが、その調査に行った席で、少くとも報道機関である新聞社の招聘に基いて対談に出席する。そういう権限があるかどうか。その点をお聞きしたい。
  54. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは調査課長だけでなくても、われわれ自身でも、役人一般的に申しまして、それぞれ報道機関の求めに応じて発言をするということもあれば、対談をするということもあり得るのでありまして、役人として特に禁止された問題を明らかにすれば、これはもちろんそれぞれ服務上の責任はあると思うのでございますが、全然対談の自由がないということはできないと私は考えるのであります。
  55. 坂本泰良

    ○坂本委員 もちろんその出席その他については自由であるとは申しましても、やはり国家公務員公務員としての服務規律があるわけです。そういうような場合に、ことに県財政がこういうような全国的の問題になっており、さらには地方財政再建促進特別措置法というのも出そう、こういうような段階において、一課長たる者が新聞社の対談に出席することは公務員法に反するか、反しないか。その点をお聞きしたい。
  56. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 新聞社の対談に出ることは、私はそれだけでは公務員法に反するということはできないと考えております。  それから今再建準備法その他の問題と何かからみ合せてというふうなお気持がございましたようですが、これはもう全然ないのであります。先ほど申しました通り、従来から県については十数県、市については、先ほどちょっと数字を違えましたが、数十市について調査を引き続き行なっておるのでございまして、特に福岡の場合は、本年度というよりもことしの初めごろからそういう問題がありまして、前知事の時代にもその話があったのであります。しかしながらちょうど選挙間近でもあるしというので、選挙前に行くことを差し控えまして、選挙後、新しい知事の請求に基いて行った方がよかろう、こういうので出たのが実情でございます。とやかくの考えは全然ないのでありまして、県の要求に基いて県の事情を見せていただく、これだけの気持で行ってみたのであります。
  57. 坂本泰良

    ○坂本委員 事情は了承いたします。その事情によると、県の実情を見せてもらうために行ったわけですね。これは善意に解すると、自治庁はやはり自治体のサービス機関ですから、そのサービス機関としての職務を発揮するために自治体調査に行った、こういうふうに考えるわけであります。そこで、その調査に行くだけの任務を持っている者が、その新聞社の対談会に出て、そうして調査の事実並びにそれに対して意見を加えて、そういうことを発表する権限があるかどうか、その点をお聞きしたい。
  58. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 調査に行った者が新聞社の対談に出て発表した問題でありますが、これは自治庁自身の公式な決定的な意見を申すことは許されるはずがないのでございまして、その意見はまだ決定になっておらぬわけであります。ただ調査課長が個人的な見解として、一般的な意見を表明することができないということまでは、私はできがたいじゃないかと思います。ただその発言が、調査の結果の最終的な結論を待たずにやるのは穏当かどうかという問題は、これは私は議論があると思うのでありますが、直ちにこれをもって発言することはあくまでできないと言うことはできないと思うのであります。
  59. 北山愛郎

    北山委員 とにかく問題は、先ほど行政部長がお話しになったように、松村調査課長が現地において対談をして、そういうような内応のことを言ったことは不穏当だということは部長がお認めになっておられる。そして出先ではそういう発表などは慎しむべきものであるというように指示しており、指導している、こういうふうにおっしゃっているのですが、そうなると部長は、少くともこの場合における調査課長の言動というものは不謹慎であるとお考えになっていると了解していいですか。
  60. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは調査課長にも私は聞いたのでありますが、それでいろいろ問題もありますので、一般の課員などには厳重に、新聞記者などに会ってはいかぬという建前で臨んでいるのであります。しかし課長ともなるといろいろひっぱり出されて、いろいろな問題で全般的な質問を受けることはやむを得ない実情でございます。それについて課長としては用心をしながら発言をするということがあり得るわけでありまして、今度の問題はまさしくそれに該当するのでありますが、多少内容が、現地の新聞記者との応接だったものだから、やや具体の問題に触れている節があることは事実のようであります。その点はやや適当でなかった、もう少し慎重を期していただきたかったということは、私も実は考えております。
  61. 北山愛郎

    北山委員 この対談の内容ですが、個人的な意見だと言うのですが、本人はいかに個人的であろうとも、これを客観的に見た場合は、やはり自治庁調査課長として、県の総務部長との対談ということで取り扱われている。だから主観的ということだけで判断することはできない。個人的な見解じゃない。調査に基いた調査課長としての見解を表明したとこれは考えざるを得ない。これは常識です。そうしてまたその内容を見ると、その判断を言っている。高いとか安いとか、そういうような調査の結果に基いた結論などを言っているのです。一般的なことを言っているのじゃなくて、福岡県の場合における結論を言っている。その結論を言うということは、自治庁長官として言うことを調査課長が言っている。だからこれは、やや不穏当だという程度じゃなくて、はなはだしく不穏当だと私ども考えざるを得ない。しかもかりに本人が、気持としてはちょっと油断をした程度くらいかもしれぬけれども、その結果としてはまことに大きな影響がある。そのことくらいを知らないで、調査課長というものは現地へ行って、そういうことをなしてはならないはずなんです。そういうことは予見し得ることなんです。だからはなはだしく不謹慎だ、私どもは少しく不穏当だというくらいではおさまらないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  62. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 この点でございますが、調査課長が勝手に積極的に勧告したり警告したりするということは、私はこれはもちろん許されないと思っておりますけれども、単に事実を述べたことだけなら、けしからぬということも言いにくいんじゃないか。その問題の言い方、表現その他というものは、私は用心した方がいいと思うのでありますが、調査課長の話によりますと、手にあった全国的な公務員月報を取り上げて、この月報によるとこうなっておるという趣旨のことを言った、これは事実でございます。その事実だけ述べるのまでけしからぬということは、私はやはり言いにくいんじゃないかと思うのでございます。
  63. 北山愛郎

    北山委員 しかしそれは事実を述べたから差しつかえないのではなくて、やはり自治庁なら自治庁の立場においてその事実を言うならば、それは一つ意見の表明になる。いろいろなデータを集めて、それを事実としても、発表するかしないか、これはやはり自治庁としての一つの見解になると思う。たとえばことしの三月に出した地方財政状況報告書というのは、これは事実を述べておるでしょう。けれどもその内容は、その事実を自治庁認めておるということを示しておる。それは同じことなんです。だから私どもは少くとも公務員というものは、やはり自分の職責の範囲内で、しかも慎重でなければならぬ、いわゆる口を軽くしてはならぬ、こういうふうに思っておる。その趣旨で、行政部長も先ほど来不穏当だとおっしゃっておる。またそういうことのないようにふだんから注意しておると言う。だからこれは、課長をそんなにかばうことはおかしいと思う。こういうふうに、いろいろな最終の診断から見て、多過ぎる人件費というふうな結論を世間には与えるのですから、それだけのことが予見できないような課長ではしようがないんじゃないか。従ってこういう問題について、私どもは少くともこればはなはだしく不穏当である、こういうふうに考えるのですが、ふだんの部長の指示、あるいはおそらく長官としてもそのような指導でもって、自治庁内の仕事を運営されておると思うのですが、この問題について一体長官としてもあるいは部長としても、どのように措置するのであるか。課長に聞いてみるというのだけれども、とにかく結果としてはこういうように出ておる。そして事実なることは、部長の先ほどのお話でもわかる。これに対してどういう措置をとるか。不穏当な結果こういうふうな影響が出ておる。だから一体自治庁としてはどういうふうな処置をとるか、これをお伺いしたい。
  64. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 事実の問題につきましては、われわれは、自治庁長官意見が決定的にならないのに、それをみだりにとやかく言うことは、全く行き過ぎだと思うのであります。これは事美をあげることが、その町と場合によって適当が不適当かという場合がありまして、誤解を招かないようにすることが、われわれの基本的な気持でございますが、しかしながら調査課長は、公務員月報というすでに公刊されている印刷物における数字をあげたということは、申しておりました。この程度のことは本人も申しておりますから事実でございますが、その程度のことを言ったからといって、そこのところだけつかまえてどうこうと言うわけにも参らぬと私は思います。しかしそれが一般的に時期、方法、場所等から考えて誤解を招いたということは、これはわれわれとしても遺憾でございまして、そういうことのないように巌重に戒めなければならぬというふうに考えておるのでございます。
  65. 川村継義

    ○川村(継)委員 北山君の御質問がまだありますが、ちょっと今のところをお聞きしたい。今行政部長は、事実を述べることは差しつかえないと言う。それはそれでいいのでしょうが、課長が事実を述べる云々の問題について、どういう見解を持っているかが問題なんです。たとえば福岡県で学校の例をとりますと、学校の生徒数がどれだけある、それに対して学校の職員数がどれだけあるということなら、私は、そのまま述べた、そういう見解をしてもいいのではないかと思う。ところが課長のやっているのは、そうではないでしょう。福岡県はこれだけの教員がいる、ところが愛知県ではこれだけ、だから福岡県はこれだけ多過ぎる、だから人件費が高いんだ、だからそれによって財政を圧迫しているんだ、こう言っている。これをただ単に事実を述べた、行政部長はこういう見解でありますか。
  66. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今、手元にあるものにつきましても、そこの言い方の適、不適の問題は確かにあると思うのでありますが、具体的に何ぼ高いということは差し控えたいが、いずれにしても国家公務員の基準に比べて、福岡県の先生は相当高くなっている事実が指摘できる。福岡県の先生は資格の高い人が相当占めていることは事実だが、給与の基準そのものも高いということが言える。福岡県の問題はそういった人件費にあるわけだ。川村先年のおっしゃいました福岡県と愛知県の比較の問題は、こういう表現で言っておるわけでありまして、本人も実は相当用心をして言ったつもりでありますが、そこのところがかりに誤解を招くというようなことであれば、これは適当でない、私はそういう趣旨を申しておるわけであります。
  67. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官にお問いしますが、自治庁と自治労組との間に、何かこの問題について協定が結ばれておるのを御存じですか。つまり今行政部長が事実々々と言ったんですが、事実であれば発表していいというようなことでなく、こういう調査問題については発表しないというような協定を、自治庁は結んでおられると思うのです。その内容はどんなものか、あるかないか、ちょっと長官にお聞きします。
  68. 川島正次郎

    川島国務大臣 その点については私は全然聞いておりません。なお政府委員からお答えします。
  69. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 川村先生のおっしゃった趣旨のものは、これは前に多少これに似たような問題がありまして、調査の結果を現地でみだりに、自治庁長官の最終的な意見がきまっておらぬのに、よけいなことを言ってはいかぬという趣旨のことは、今ちょっと文言のことは私は記憶しておりませんが、そういう趣旨のことは自治労側の諸君とも話をしたことはあります。
  70. 川村継義

    ○川村(継)委員 部長がさっき言っておられたような、そういう調査が事実であれば、どこでも発表していいというようなことにはおそらくなっていないんじゃないかと私は思うのです。あとで課長が来られましたら、部長が非常にうまい答弁であちらこちらに走りますから、一つ課長に内容についてももう少し聞きたいと思うのですが、この新聞を見て、自治庁としての助言とか勧告とか、そういうような線の行き過ぎがある、越えておるとはお思いになりませんか、長官いかがですか。
  71. 川島正次郎

    川島国務大臣 私はこれを瞥見しただけであって、よく読んでおりませんから、何とも意見は申し上げられないのですが、一体こういう意見を課長が調査の結果として発表していいかどうかということは、これは課長の良識にまつわけでありまして、法規的にいいとか悪いとかいうことは言えないと思いますが、いやしくも中央官庁の課長でありますから、自分の良識に従って行動をしてもらう。それが、行き過ぎであって非常に影響が多いということなら、これは適当に私の方でもって是正させる必要があります。一応私としては初めてここで聞いた問題でありますから、よく部長、課長その他から事情を聴取いたしまして判断をいたします。
  72. 門司亮

    ○門司委員 これは長官も聞いておいてもらいたいと思うのですが、いろいろ話はありますけれども、問題の焦点は、一体自治庁のこういう調査に関する基本的の方針はどうなんですか。こういうことが許されているのですか。これは私は何も基本がなければ勝手なこと言うにきまっていると思う。ただそれを良識に持つということだけでは問題の解決はつかぬと思う。だからこういうものに対する方針はあるのかどうかというのです。いかに有能な諸君といえども、府県財政を三日間で打診して結論を出せるということは、私はおそらくないと思うのです。ところが三日間調査してこういう結論を出して新聞に発表した、総合した結論を出して、これは首切り以外にないのだ、人件費が高過ぎるのだ、人件費さえ減らせば財源はあり余るほどあるのだということは、これは県民に影響を与えるようなことがあってはならないと思うのです。そのこと自体は別としても、自治庁としてのこういうものについての方針はどうなのですか。これはあなた方の方針の問題ですよ。これからどうするというのじゃなくて、今までどういう方針がとられていたか、将来はどういう方針をとられようとするのか。
  73. 川島正次郎

    川島国務大臣 ちょっと門司さんにお聞きするのですが、方針というのは調査についてですか、発表の方法についてですか。
  74. 門司亮

    ○門司委員 調査も発表もすべてです。
  75. 川島正次郎

    川島国務大臣 自治庁として地方の実情を調査することはこれは当然でありますし、またやらなければならぬと思うのですが、その結果を任意に発表するということについては、これはその影響力を考えなければならぬのでありまして、その点についてはやはり当該役人の良識に待つ、こういうことを私は答弁申し上げたのであって、良識のない役人なら、これは適当に処置しなければならない。良識の範囲を逸脱しているかいないかということが問題になるのでありまして、この点については私はまだ聞いておりませんから、よく調べまして適当に考える、こう先ほど申し上げたわけであります。
  76. 門司亮

    ○門司委員 大体公務員としての建前は、これはいずれの公務員でもそうですが、職務に関して他人の秘密を知り得た場合、それを公表してばならぬということは常識なんです。また法律にもそう若いてある。しかしこういう法律の規定を設けたということは、やはりそれが単に個人の名誉その他に影響を持つだけでなく、少くとも上級官庁と目される自治庁の発表は社会的、対外的に影響のあることは、わかりきったことです。そういうものについて、自治庁はこういう法律の建前の上から、何らか基調がなければならぬ。野放しにしておったところにあなた方の責任があると思うが、課長ばかりやかましく言ったって、何でもいいから調査してこい、その調査の資料を発表してもいい——その調査資料の発表なんというものは、一応まとまったものが発表されて、そしてそれは権威のあるものにしませんと、発表したのだがこれは間違っておって、個人の意見でございましたといったって、役所はなかなかそれでは通りませんよ。それで自治庁が通れば、役人はのんきで、言いたいことが言えるということになる。権力を持っているかわりに、やはりその権力の行使には十分慎しむという——制裁というと行き過ぎるかもしれませんが、忍ばそういう制度が必要だと思う。自治庁が今日まで何もしていなかったというなら、それは自治庁の落度だ、あなた方の落度だと思う。もとより課長の行き過ぎもありましょう。その点は今まで何もなかったのですか。
  77. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 その点は、先ほど申しました通り調査官は現地に行って技術的な資料々集め、データを収集してくるのが基本でありまして、自治庁としての最終的な意見は、そのデータに基いて総合的に自治庁長官の決裁を得て決定されるべきものでありまして、その決定を待つまでは自治庁としての最終的な結論が出ないわけであります。それについての誤解を招くようなことを現地で言うことは、これは私は慎しむべきことだと思うのでありまして、その点はそういう誤解を招くことのないように、くれぐれも注意させておるわけでございます。また今度の問題につきましても、本人もその点は十分考えたつもりでありますが、今問題になっているように、いろいろ現地において誤解を招いたような表現その他のことがあったとすれば、これは私はそういう誤解を招くことのないように十分に注意して参らなければならない、こういうふうに存ずるのでございます。
  78. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ突っ込んで聞いておきますが、今の部長の話だとすると、自治庁がまとまった意見を出すというのですが、福岡県のこの問題に対する自治庁のまとまった意見はいつごろ出ますか。
  79. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは収集してきた資料について、せっかくやっておるのでございまして、いつごろという日もまだきまっておりません。大体調査から帰ってから一カ月くらいの間に結論を出すようになっておるようでございます。
  80. 門司亮

    ○門司委員 その結論はまだわからぬというのはやむを得ませんが、もしその結論が現地で発表されたことと食い違いがある、これは食い違いがあっては課長がかわいそうだから、つじつまを合せておけというようなことになりかねない。なると困るのだが、そういうことになると調査実態というものは、自治庁調査自身も疑うということになるのですが、そういうものが必ずや出てくると思う。だから自治庁はこの問題については、やはり自治庁の見解をできるだけすみやかに発表して、事の誤解を解く必要があるのじゃないか、それに努力されるべきではないか。これは自治庁の肩を持って申し上げるわけではありませんが、こういう問題が起っております。同時に現地におけるこうした問題は、読んでみますと、非常にめちゃくちゃなのです。とにかく何でもかでも問題は給与なんだ、給与さえ安くすればいいんだ、人間さえ減らせばいいんだというようなことだけしか書いてない。どこを調査したんだかちっともわからない。私は必ずしも自治庁調査の仕方というものは、こういう片寄った地方自治体責任においてのみ、悪いところだけを調査するのが自治庁調査じゃないと思うのです。その府県の実態調査するというなら、国の施策の中にも誤まりがあれば、この県ではこういう国の施策の誤まりがあったから赤字が出たんだということの報告が必要だと思うのです。役人はどうも自分の都合のいいところだけを考え調査するからこういうことになる。  もう一つ、いや味でもありませんが申し上げておきたいと思いますことは、大蔵省あるいは自治庁のものの考え方が、地方自治体赤字はややもすれば人件費に原因しているがごときことが盛んに流布されておる。これは今年始まったことじゃない。従って調査に行く人の基礎観念としてこういうものがあるのじゃないかと思う。まず基礎観念として、行けば人件費を一応調べてみよう、これに赤字があるんじゃないかというようなことで、基礎観念がここにあるのじゃないかと思う。こういうことはやはり自治庁としては少し快しんで、そうしてほんとう実態を私は出してもらいたいと思う。福岡県の実態は必ずしも三日くらいでわかるものじゃないと思いますけれども、かりにわかるとしても給与だけが大きいわけじゃないと思う。給与だけ引き下げさえすれば、人間さえ少くすれば、昇給さえ停止すれば福岡県は黒字になるだろうというようなことを言うのは実際どうかしている。まるで首を切れと言わぬばかりである。県の実態なんというものは、中にも多少書かれておるようでありますが、周囲が工業地帯で給料が高いので、職員の給与もこれにならわせる必要があるのじゃないか、これは地方の実情です。だとすれば地方の実情というものは十分参酌すべきであって、他府県とこれを比較することは大きな誤まりだと思う。ところがこれは完全に一切がっさいが愛知県と比較してある。これは非常に土地の状況を考えない画一的の問題であって、実態には必ずしも沿ったものではない。こういうように考えますので、一つ自治庁の見解が出ていないとすればはっきりしてもらうということ。もう一つ自治庁がそういうものに対する基本的の何らの規制というか、そういうものを持たなかったという自治庁の軽率さというか、誤まりもこの際改めてもらいたい。
  81. 坂本泰良

    ○坂本委員 具体的問題は課長が来てから聞かなければわからぬのですが、一般的の問題として、先ほど長官は出先に行ったら、常識によって解決すべきものだ、調査をして発表するとかせぬとかは常識によってやるべきだ、ところがこの常識は国家公務員の地位にある者の常識あるいは普通人の常識、これは異なるのです。そこでお聞きしたいのは、国家公務員たる自治庁公務員がいかなる常識において、これをやることができるか。先ほど門司委員が聞かれたのもそこにあると思うのですが、その点について自治庁は、その常識の基準はどこによっておるか、その点についての御見解を承わりたい。
  82. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は良識と申し上げたのですが、常識でも同じです。いわゆる良識でありますから、一定のものさしはないわけですが、本庁の課長でありますから、昔ならば高等文官試験、現在なら人事院の六級試験をみんな通っておる人でありまして、公務員としても上層部に属する人でありますから、一応良識を持っているものとして、私どもは使っておるのであります。出先の行動まで私ども一々監視、監督することはできないのでありまして、結果がもし悪ければ、その結果に基いて処置をするという以外に監督の方法はないのであります。一体良識の基準がどこにあるかとお聞き願っても、これはちょっと答弁しにくいのですが、今の問題につきましては、とにかく私は初めて聞いたのでありますから、行政部長ともよく相談をしまして、真相を調査した結果、御報告を申し上げます。
  83. 坂本泰良

    ○坂本委員 公務員の地位については、課長なるものは、昔の行政科試験ですか、これに通るし、今なら六級の試験に通ったものである。そこでそれはその個人の常識の問題です。国家公務員たるものは——どこにあるか、私は教えてあげましょうか。九十九条と百条に、信用を失墜してはならない、秘密を漏洩してはならないという規定があるでしょう。これを基準にしてその良識をきめなければならぬと思う。従ってこういう自治庁のようなものが権限を持って調査に行く。その調査の発表をする場合においては、単なるその個人の良識でなくて、具体的な国家公務員として規定されておるそれに基く良識でなければならぬと思うのです。今、長官は別として、自治庁次長、行政部長なんかは、やはり公務員としての良識というのはどこにあるか。調査をする、その調査の発表については、どこに基準がなければならぬか、こういうことば私は自治庁内にあってしかるべきだと思う。そういうものがあったら一つ聞かしてもらいたいと思います。こういうことがたかったとしたら、まことに不謹慎なものだ、こう患う。
  84. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 先ほど門司委員からもいろいろお話がありましたが、われわれは、調査はやはり県の、限られた時間で、限られた資料でやるのでありますから、そこは百パーセント万全かどうかということにつきましては議論がありましょうが、要するに許された範囲内において総合的に考える。特に人件費とかその他だけを中心に考えるという考え方は、厳に取っておらぬのでありまして、あらゆる行政費全般を総合的に考えてその実態を明らかにする、こういう建前でものを考えておるのでございます。その後の、調査についてのいろいろな外部に対する発表の問題につきましては、先ほど申しました通り自治庁としての見解が最終的にきまらなければ、もちろん発表すべき筋合いのものではないのでございます。公務員としての服務の規定をおあげになって、秘密を漏洩しちゃいかぬということは、これは当然でございまして、官としての秘密を漏洩するようなことがあることは、服務紀律違反でありますから、問題ないことだと思うのであります。ただ今その具体的の問題が果してここにひっかかる秘密ということになるかどうかということになると、私は問題があると思うのでありまして、ただ役人といたしましては、世間でいろいろ誤解を受ける。今の信用失墜の問題はそういうことだろうと思うのでありますが、誤解を受けるということは、かりに法律にひっかからなくても、これは慎んだ方がよいのでありまして、先ほど長官が良識という言葉をお使いになったのもそういう趣旨でございまして、ともかくも役所の肩書をもって現地に行って発表するのは、もちろん個人的に発表の自由は持っていると思いますけれども、それでもろて世間から誤解を受けるということは、これはなるべく用心に用心を重ねるべき問題だと思うのでございます。そこで誤解を受けるか受けぬかというところが、正直申し上げまして私は一番勘どころの配慮点だと思うのでありまして、同じ事実を述べても、時と所によってはそれが誤解になって問題になるということになれば、それは慎しんだ方がよかろう、私はこういうふうに存じているのでございます。
  85. 坂本泰良

    ○坂本委員 この松村課長の問題が、長官のいわゆる良識に反するかどうかは、われわれはいろいろ具体的の事実を持っておりますから、これによって究明した上で、これが反するかどうかということがきまるわけです。本人がおられぬから、一般的に国家公務員としての問題を自治庁内部として重要な調査もやるというような職務があるわけでありますが、その職務について、九十九条ば信用を失墜してはいけないとか、百条の方は秘密を漏洩してはいけない、こういう国家公務員としての制約があるわけです。やはりこの基本の上に立ったものでなければならぬ。従ってこういう点についての事務の取扱いについて、自治庁としての内規か、あるいは訓示か、そういうものがあるかどうかということをお聞きした。見解は本人から聞きまして、そうして違反しておれば、長官が言われたように、やはり同じ方式で取り消してもらうとか、あるいはそれがさらに発展して公務員法違反になるというような問題にも展開せぬとも限らぬと思うわけです。ただ今はそういう内規とか訓示とか、そういうものがあるかどうかをお聞きしたわけですが、その点をもう一ぺん御答弁願います。
  86. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 訓示とか内規とかいう特に形のきまったものはありませんが、先ほど申しました通り調査の結果に基いて意見がましいことを、正式に意見がきまっておらぬものを現地で発表するというようなことはいけないということを、厳重に注意しているのであります。その点だけは事実でございます。誤解を招くようなことのないように注意をしろということは申しているわけでございます。
  87. 坂本泰良

    ○坂本委員 この課長は先ほど来出席を要請しておるが、今行方不明というのです。長官もさっき言われたように、課長ともなれば、昔は行政科試験にも合格したりっぱな人であるから、やはり非は非、是は是として堂々とここに出て来てもらいたい。それを行方不明なんというのはいかぬから、長官として探して四、五分のうちに一つ連れてきてもらいたいと思う。
  88. 大矢省三

    大矢委員長 どうですか、先ほど来お聞きのように、大臣がよく事情を調査して適当な処置をしてここに報告します、こう言っているのですから、これ以上……。
  89. 坂本泰良

    ○坂本委員 それはこれを見ればわかるかもしれぬが、この課長は、これによると、非常に調査に基く判断をしておる。それからいろいろな発表をしておられるが、その発表しておられる根拠はどこにあるか、そういうふうなことをはっきり聞きたい。そうでないと、りっぱな公務員が出張してこういうでたらめなことを言っている。これはうやむやでは済まされない。ことに今危機に瀕している地方自治の問題について、今後いろいろ調査も行われるだろうと思いますが、そういうような場合において、こういう不謹慎なことをやられたら、これは国家の大計を誤ることにもなると思う。ですから、これはすみやかに本人に出てもらって、あなたはこういうことを言われたかどうか、言われたならば、それはどういう根拠に従って言われたかということを、われわれはこの委員会において確かめたいと思う。ですから、そういう措置をはかってもらいたい。
  90. 門司亮

    ○門司委員 結論としては、適正であったかなかったかということを、私ども自治庁に処分を要求しているわけではございません。何も松村君の首を切れとかなんとかいうわけではございません。発表しておること自体、非常に軽率であって、福岡県の赤字のすべての原因ではなかったということにならなければならぬと思う。私は何もここで松村君の首を切るとか、これを追っかけ回す必要はないと思いますけれども、われわれの確かめたいのは、これは非常に軽率であった、従って福岡県に非常に大きな迷惑をかけておりますが、このこと自体が調査のすべてではなかったというような、誤りを誤りとして世間の疑惑を解くということが、私どもの聞いている本意なんです。だから一つそういうふうに解釈してもらえば、松村君を呼んで来てもらってわれわれはただすべきものをただして、非常に福岡県に迷惑をかけたが、これは福岡県の実態のすべてではなかったということが釈然とすれば問題じゃないのです。そういうふうにあなたの方でとっていただきたいと思います。
  91. 川島正次郎

    川島国務大臣 門司さんのお話よくわかりました。私はまだ直接本人にも会っておりませんし、部長からも詳細な報告を受けておりません。それを受けました上でここで御報告いたしますから、その上にしていただきたいと思います。
  92. 坂本泰良

    ○坂本委員 それで誤解のないようにしたいのですが、私は何も松村課長個人を追究するのではないのです。この発育によって福岡の県政において、ことに県の職員並びに教員の方々が非常な不安を持っている。しかもまた福岡県の今度の知事が、こういうようなことを基礎にしていろいろなことをやると、やはり上山市みたいに自治庁がこういったからこうやったというように、こういう基礎に基いていろいろなことが発生するのです。発生してからでは間に合わないから、この点を未然に防ぐためにやりたい。われわれはこの課長が違法行為で、国家公務員法違反までいくかもしれないけれども、そうなった場合に、われわれは個人に対する助命とか救済とかいう点に尽力することはやぶさかではない。事実を究明して福岡県の県政を間違った方向にいかないために私たちは努めたい。こういう考え方に立っておる。ぜひこれは協力してもらいたい。それでこれは地方財政の問題の今後の行き方について関係がありますから、やはり明日地方行財政調査の一環として、ぜひとも松村氏を呼んでもらいたいと思います。
  93. 川島正次郎

    川島国務大臣 今のお話によりますと、福岡県の赤字が人件費以外にどういう点があるかということをよく調べろ、こういうことでありますから、松村君以外も資料を集めまして詳細な御報告をいたしますから、少し日をかしていただけませんでしょうか。調査ができませんので、明日といわずちょっと時間をおかし願いたい。
  94. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止〕
  95. 大矢省三

    大矢委員長 速記を始めて。それでは明日できれば大臣から一応その結果を御報告願って、必要ならば午後にでも松村課長に来ていただくということにいたします。もうほかにございませんか。——それでは本日はこの程度といたしまして、明日の会議は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会