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高橋参考人 今回
山形県
上山市に起りました
吏員整理の一端といたしまして、実数において二十三名でありますが、それを
退職させた。それが
地方公務員法の二十二条に準拠いたしたということは違法であると一部から抗議が出ております。これは
町村合併促進法の二十四条の
趣旨が、前の
地方公務員法の二十二条の
規定に優先すべきものなりといたされる論旨のごとく拝聴いたしております。しかしながらこれは私
どもの
解釈によりますと、そうではないのであります。この
促進法の二十四条という
規定は、ただ
訓示的規定であって、他の
基本的法律を上回る
優先的価値を持っておるというようなことでないと存じておりますので、二十二条の
法規に基いて
処置をいたしたのであります。
何がゆえにまず
吏員整理を半年のしまいにおいて、いたさなければならなくなったかということは、皆様も御
承知置きの
通り、
合併それ自身が
整理を要求しておるのだ。その
整理には量的な
整理も要求しておりましょう。また一面におきましては、
質的整理も大いに要求されておるのでございます。いわんや都市の形を小さいながらもなしておった
上山町は非常に長い、六百年の歴史を持っておりまする
温泉場であります。その
温泉場と
旧藩公の領地でありました五ヵ村を全部
合併をいたして、そして
合体併合をやったのが新
上山市でございます。従って今までたまっておりましたる
相当のマイナス、
赤字がここで一時にまとまって新
上山市の
財政にころがってきたということは免れないのであります。その以前にまた二面において
町村合併のために、
東北地方はどこも同じようでありますが、飲み食いに非常に金がかかっております。いろいろな視察をしなければならぬために旅費に非常な
経費を要しております。これらを合計いたしまして、
相当の数字に上るものが
赤字財政の一環として新
上山市に繰り越されております。また近ごろの法制の
改正等によりまして、どこの
土地にも小
学校、中
学校、
高等学校というようなふうに次々と
学校が建てられます。また火災のために復興しなければならぬというようなことで、だいぶ
財政が大きく膨張いたしたままで繰り越されておる。しかして一億五千万円何がしの小さな
財政の中にこういう
赤字が二千万円、またそのほかに借財として繰り込めないものは
ひもつき財政の仕方として、今までの未納になったままに、一部分放置されておった納税というものが二十四年度分から、この
収入の対象として繰り越されたのであります。こういう三千万円前後の
赤字を一億五千万円の
財政の中に持っておりまする新
上山市であります。
いなかのことでありまするから分野が非常に狭いのでありまして、これらの
財政状態はなかなかこの処理に苦しんでおります。それで形の上におきましても、実質の上におきましても、市は第一番に
財政を
整理をいたしておるのだ、なるべく
経費の節減をはかっておるのだということを示しもしなければならず、その
通り行わなければならぬ
事情にあったのであります。それで
合併の
趣旨にも含まれておると心得ております
冗員の
整理、質的、量的の両面にわたって十分やることが、新
市長に課されたる第一の義務なりとしてこれを取り上げたのでございます。しかして人事の問題でありますから慎重を期さなければならぬことはもちろんであります。市が始まって以来一ヵ月後に選挙が行われまして、私幸いにして新
市長に当選いたしました。それより日に日にこれらの問題について苦しんでおり、研究を重ねておったのであります。その間には県の御当局の御
意見も聞き、ことに
法律の
解釈が初めははっきりしなかったものでありますから、これについて、すなわち
地方公務員法の二十二条、
合併促進法の二十四条、あるいは
地方公務員法の二十八条というような
関係の
法規について繰り返し
質疑をして、またその間には県を通じ直接
自治庁の方にも御
意見を承わった。しこうしてこれよりほかに道がないというので、私
どもは二十三名の
人たちの
退職を求むるために
地方公務員法の二十二条を
採用いたしたのであります。しこうしてこれには半年の時日が限られておりますことは御
承知の
通りであります。それが三月三十一日で切れるのであります。不幸にしてこの月は私
どもはいろいろな大切な行事がございまして、なかなかゆっくりしたひまがなかったばかりでなく、町内に
混乱を起すというようなことは極力避けなければならない
事情にあったのであります。三月という月を申しますれば、ようやく
赤字財政を三十年度
予算編成まで持っていき、十二日から十日間にわたって
予算編成の
市会を開くことに相なりまして、その間に新
上山市は各村各町から集まりました旧
議員の任期を一ヵ年延長しておるのであります。四万に足らざる三万七千四百幾らという人口を持っておる
上山市が欠員二名を除いて百六名の
議員を擁しておるのであります。四月一日より最も手当の高かった
上山町にならって支給をするというようなことになっております場合に、それだけの数の
議員を持っていくことがとうていできにくいということは、当然考えられるのであります。いわんやその
場所も小さい。こういうようなことで、
議員の数を
法規通り三十名に減じなければならぬという世論が市の
内外ともに高まっておったのであります。これが高潮に達しておって、そうしてそれを何とかきめなければならぬ。これで
議員間に
混乱を起したりしないように、
混乱が起きたりすると、せっかくそれまで機運が高まったものが飛んでしまうという、危険がございました。一方において
予算の
編成でこの
予算を討議する
市会を開いておる。一方において
議員の年限を縮小する問題が迫っておる。これを
決定する時期に達しておるというような種々の問題が集まって参ったのが三月の終りであります。そこでこれをまた
地方公務員法の二十二条に準拠して処分をするということになれば、間髪を入れない早わざをやらなければならぬ。それでなくしても
上山はなかなかめんどうな、
いなかにしては珍しい政治的に
混乱するところでございます。この
土地には、本日も出ておられますが、共産党に籍を有せられる
議員も加わっておられます。そういうようなことから非常にめんどうなのであります。この間に立って完全を期するということになりますと、どうしても二十二条の方法をもちまして、二十八条のごとき手ぬるい取扱いをせぬでも無理をすればきめ得るのである、法的には何らさしつかえないのだというように感じまして、私
どもは二十二条によることといたしたのであります。しこうして一方にはどこにもございますが、ことにわが
上山市におきましては、その周辺の村々の経済上の
事情が非常に異なっておったのであります。二年間も昇給をストップしておったという村も一つございます。また比較的事業を多くやるとかその他の
関係から、一年間に六回も上ったというような村もございます。旧上ノ山町は
温泉場でもございますし、唯一の都会でもございますがために、資力も
相当今まであったと目されておったのであります。そういうところから、
俸給も
待遇もよかったように思われるのであります。そういうようなことから、一緒になってみると、非常な
でこぼこが目立つのであります。これがために、
公務員の勤労の成績がすこぶる上らない面も見出されるということが憂えられて参ったのであります。そこで一方で
財政上の
見地から、また
行政上の能率をあげる
見地から、
冗員の
淘汰等をやらなければならないと同時に、
職員間の
俸給、
待遇の
でこぼこを是正する必要が、急に迫って参っておったのであります。これも二十二条の条項に基いてやった方が早いだろうというので、これに基きましてこれをいたした。ただこれが急いでやったものでありますから、法の
解釈がいろいろまちまちでございました場合に、これを一ぺんにした方がよろしいというような
解釈をとって、そうして一度にしたのでありますけれ
ども、そうするとまた
新規任用の、つまり
条件つき採用というようなことは、さらに六ヵ月延びるような気もする。これはおもしろくないというようなことから、それもそうだというので、これはその実さえあがればよろしいのであるから、
冗員淘汰とは違うのであるから、これはそのままやめにしたというか、破壊というと語弊がありましょうが、これをふいにいたしまして、そして
辞令を撤回するというようなことにいたした方がよかろうということにきめまして、これを三月三十日に二つに分けまして――二十四名とときどき申しますのは二十三名の誤まりでございます。二十三名の
退職の
人たち、これを午前十時半か十一時ごろに
処置をいたしまして、そして午後から
場所をかえて大ぜいの人を集めて、その際に
辞令を渡すと同時にこの
意味をよく述べまして、そうして他意あってやったのではない、
でこぼこを直すことのみに重点を置いてやったのである。それであるから、疑いがあるというならば、その
辞令に書いてもよろしいし、
辞令を撤回してもよろしいのだ、
でこぼこを直す実さえあがればいいんだ。百数十名の
らち、わずか十名に足らざる人が降給されるのであるから、それはどうでもよろしいということにいたしておったのである。さらに私はその晩に会合がございまして上京いたしました。少し健康を痛めたりなんぞいたしまして五日の朝戻りましたために、五日の日にいろいろな
方々と会い、しこうしてまたその
公務員の御
連中の、登録はいたしておりませんが合がございますが、その
組合の幹部の
連中に会いまして、その
組合の
方々にいろいろ一時間ばかり
話し合いをしまして、その要求はいれられないが、ただしその
時分には二十四名と申しておりましたが、実際は二十三名、そのうちの一、二名の問題は何とかできるだろうが、そのほかはできない。それからその
でこぼこ是正の問題は、これは全部取り消す。それであるから、その
辞令は全部きょうはここに置いて、われわれの手元に戻してもらいたい。二十三名の
辞令と引き離してここに戻してもらいたいということをその
時分に話をいたしまして、そしてそれを数えて取り分けたのでありますが、
最後に至って代表の二名は、実はわれわれは総会を開いて、われわれはこれだけのことを申し入れをするというようなことで委託を受けておるのであるから、われわれ三名限りにおいて
市長の言われたことを承諾してここで
辞令を渡していったのでは済まないような気がする。それであるから、他の者と
話し合いをずるまで待ってもらいたいというようなことも申されました。そのほかにいろいろの
事項はむろんございますが、重要なる
事項はこれだけと思います。二十四名と文書にうたっております二十三名に
退職を求めました事件、それから九名ばかりを降給いたしまして、そうして六十何名を昇給いたしまして、
でこぼこをならしたといい事実があるのであります。その方の二十二条でやった
辞令は取り消したのである。そういうようなことがございますので、これは明らかにいたしておいた方がよかろうと思いまして、本日まず御報告を申し上げた次第であります。なお御
質疑によりましてお答えをいたすことにいたしたいと思います。