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1955-07-29 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十九日(金曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 奥村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       遠藤 三郎君    菅  太郎君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       福田 赳夫君    坊  秀男君       前田房之助君    山村新治郎君       山本 勝市君    淺香 忠雄君       川野 芳滿君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       古川 丈吉君    石田 宥全君       井手 以誠君    石村 英雄君       井上 良二君    川島 金次君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       石野 久男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         食糧庁長官   清井  正君  委員外出席者         法務省参事官  勝尾 鐐三君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 七月二十八日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として山  川豊明君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十九日  委員櫻内義雄君及び小川豊明君辞任につき、そ  の補欠として夏堀源三郎君及び石田宥全君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二八号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号)(参議院送付)  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法  律案(内閣提出第一四七号)  昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例  に関する法律案内閣提出第一四九号)  金融機関資金運用の調整のための臨時措置に  関する法律案内閣提出第一五〇号)  請願審査小委員長より報告聴取 請願  一 石油関税復活反対に関する請願(關谷勝    利君紹介)(第五四号)  二 同(長谷川四郎君紹介)(第六九号)  三 葉たばこ減収対策確立に関する請願(助    川良平君紹介)(第七七号)  四 同(鈴木善幸君紹介)(第一一二号)  五 旧軍港市における旧軍用財産の使用に関す    る請願(小泉純也君外四名紹介)(第九二    号)  六 石油関税復活反対に関する請願(徳安實    藏君紹介)(第二一七号)  七 第二種原動機付自転電算に対する物品税撤    廃に関する請願(首藤新八君紹介)(第二    二九号)  八 揮発油税すえ置きに関する請願(竹谷源太    郎君紹介)(第二五八号)  九 同(早稲田柳右工門君紹介)(第二五九    号) 一〇 同(神田博君紹介)(第二八五号) 一一 同(笹本一雄君紹介)(第二八六号) 一二 同(古井喜實君紹介)(第二八七号) 一三 同(河野密君紹介)(第二八八号) 一四 同(岸信介君紹介)(第三一四号) 一五 同外二件(纐纈彌三君紹介)(第三一五    号) 一六 酒税率引下げに関する請願(加藤高藏君紹    介)(第二六〇号) 一七 同(前尾繁三郎君紹介)(第二六一号) 一八 同外一件(島村一郎君紹介)(第二八九    号) 一九 同(川野芳滿君紹介)(第二九〇号) 二〇 ビール税率引下げに関する請願外一件(島    村一郎君紹介)(第二九一号) 二一 中小企業に対する減税措置に関する請願(    保科善四郎君紹介)(第二九二号) 二二 揮発油税すえ置きに関する請願外三件(福    井盛太君紹介)(第三二七号) 二三 同(荒舩清十郎君紹介)(第三二八号) 二四 同(植木庚子郎君紹介)(第三四七号) 二五 同外三件(楯兼次郎君紹介)(第三四八    号) 二六 同(南好雄君紹介)(第三七一号) 二七 同(中垣國男君紹介)(第三七二号) 二八 同(青木正君紹介)(第三七三号) 二九 同(福井順一君紹介)(第三七四号) 三〇 同(八木一郎君紹介)(第三七五号) 三一 同(西村直己君紹介)(第三七六号) 三二 同外二件(平野三郎君紹介)(第三七七    号) 三三 同(瀬戸山三男君紹介)(第三七八号) 三四 同(小笠原三九郎君紹介)(第三七九号) 三五 同(臼井莊一君紹介)(第四二〇号) 三六 同(鈴木周次郎君紹介)(第四二一号) 三七 同(山村新治郎君紹介)(第四二二号) 三八 同(森山欽司君紹介)(第四二三号) 三九 同(徳安實藏君紹介)(第四二四号) 四〇 同外一件(川野芳滿君紹介)(第四二五    号) 四一 同(茜ケ久保重光君紹介)(第四二六号) 四二 同(武藤運十郎君紹介)(第四二七号) 四三 同(長谷川保君紹介)(第四二八号) 四四 酒税率引下げに関する請願(川野芳滿君紹    介)(第三八〇号) 四五 旧外貨債有効化に関する請願(星島二郎    君外一名紹介)(第三八一号) 四六 税理士法の一部改正に関する請願(山村新    治郎君紹介)(第四六九号) 四七 揮発油税すえ置きに関する請願(平野三郎    君紹介)(第四九〇号) 四八 同(愛知揆一君紹介)(第四九一号) 四九 同(村上勇君紹介)(第四九二号) 五〇 同(八田貞義君紹介)(第五二七号) 五一 同(田万廣文君紹介)(第五二八号) 五二 同(小笠公韶君紹介)(第五四九号) 五三 ビール税率引下げに関する請願(横山利秋    君紹介)(第五五〇号) 五四 揮発油税すえ置きに関する請願(勝間田清    一君紹介)(第五七〇号) 五五 同(眞崎勝次君紹介)(第五七一号) 五六 同(保利茂君紹介)(第五九七号) 五七 同(山下榮二君紹介)(第五九八号) 五八 同(原健三郎君紹介)(第六三三号) 五九 同(畠山鶴吉君紹介)(第六三四号) 六〇 同(福田篤泰君紹介)(第六三五号) 六一 同(戸塚九一郎君紹介)(第六三六号) 六二 同(大野伴睦君紹介)(第六三七号) 六一 同(足立篤郎君紹介)(第六三八号) 六四 同(松岡松平君紹介)(第六三九号) 六五 同(高見三郎君紹介)(第六四〇号) 六六 同(林博君紹介)(第六四一号) 六七 同外一件(濱野清吾君紹介)(第六四二    号) 六八 同(菊池義郎君紹介)(第六四三号) 六九 同(纐纈彌三君紹介)(第六四四号) 七〇 同外九十五件(菅野和太郎君紹介)(第六    四五号) 七一 楽器に対する物品税品種別免税点設定に    関する請願(春日一幸君紹介)(第五九五    号) 七二 楽器に対する物品税免税範囲拡大に関す    る請願(春日一幸君紹介)(等五九六号) 七三 運動具に対する物品税撤廃に関する請願(    福田赳夫君紹介)(第六三〇号) 七四 葉たばこ賠償金引上げに関する請願(中    馬辰猪君外一名紹介)(第六五四号) 七五 建築用大理石及びテラゾー製品に対する物    品税撤廃に関する請願(内藤友明君紹介)    (第六八一号) 七六 昭和三十年度道路予算並びに地方道路税制    度に関する請願(仲川房次郎君紹介)(第    七二二号) 七七 揮発油税すえ置きに関する請願(須磨彌吉    郎君紹介)(第七二六号) 七八 同(橋本登美三郎君紹介)(第七五〇号) 七九 電気トースターに対する物品税撤廃に関す    る請願(宇都宮徳馬君紹介)(第七四八    号) 八〇 大型真空掃除機免税点引下げに関する請    願(宇都宮徳馬君紹介)(第七四九号) 八一 社会保険診療収入に対する所得税源泉徴    収税率改正に関する請願(中村英男君紹    介)(第七八九号) 八二 揮発油税すえ置きに関する請願(櫻内義雄    君紹介)(第七九一号) 八三 同(平川ヒデ君紹介)(第七九二号) 八四 同(門司亮君外一名紹介)(第八二九号) 八五 同(飛鳥田一雄君紹介)(第八三〇号) 八六 同(志村茂治君紹介)(第八三一号) 八七 同(山本正一君紹介)(第八七一号) 八八 同(米田吉盛君紹介)(第八七二号) 八九 同外三件(五十嵐吉藏君紹介)(第八七三    号) 九〇 同(江崎真澄君紹介)(第八七四号) 九一 同(川野芳滿君紹介)(第八七五号) 九二 生命保険控除額引上げ等に関する請願(    大野伴睦君紹介)(第八二七号) 九三 オール・ウエーブラジオ聴取機に対する物    品税軽減に関する請願(塚田十一郎君紹    介)(第九一九号) 九四 理容用タオル消毒器及び顔そり用湯沸し器    具に対する物品税撤廃に関する請願(石村    英雄君紹介)(第九五三号) 九五 揮発油税すえ置きに関する請願外二件(上    林山榮吉君紹介)(第九六五号) 九六 紙に対する物品税撤廃に関する請願(南條    徳男君紹介)(第九六六号) 九七 石油関税復活反対に関する請願(川野芳    滿君紹介)(第九六七号) 九八 揮発油税すえ置きに関する講請(菅太郎君    紹介)(第一〇三七号) 九九 同外一件(山口長治郎君紹介)(第一〇八    四号) 一〇〇 同(愛知揆一君紹介)(第一一二六号) 一〇一 葉たばこ減収対策確立に関する請願(    山下春江君紹介)(第一〇六一号) 一〇二 映画用天然色生フイルム免税措置に関    する請願(森山欽司君紹介)(第一〇七八    号) 一〇三 揮発油税すえ置きに関する請願)(横路    節雄君紹介)(第一一六六号) 一〇四 高知相互銀行日吉出張所開設の請願(井    谷正吉君外二名紹介)(第一一六七号) 一〇五 揮発油税すえ置きに関する請願(永山忠    則君紹介)(第一二六八号) 一〇六 同(佐々木更三君紹介)(第一三七二    号) 一〇七 国内産かんきつ原料果実水に対する物    品税撤廃に関する請願(菅太郎君紹介)(    第一三七三号) 一〇八 揮発油税すえ置きに関する請願(今村等    君紹介)(第一五〇四号) 一〇九 同(野田卯一君紹介)(第一六二八号) 一一〇 運動具に対する物品税撤廃に関する請願    (岡良一君紹介)(第一七二四号) 一一一 揮発油税すえ置きに関する請願(五島虎    雄君紹介)(第一七四二号) 一一二 同(愛知揆一君紹介)(第一七四三号) 一一三 同(正木清君紹介)(第一七四四号) 一一四 同外二件(薄山美朝君紹介)(第一八三    三号) 一一五 同(西村力弥君紹介)(第一八三四号) 一一六 株式配当金に対する課税軽減に関する請    願(長谷川四郎君紹介)(第一八三五号) 一一七 岩手県に国立たばこ試験場設置の請願(    鈴本善幸君紹介)(第一八五五号) 一一八 岩手県にたばこ乾燥工場設置の請願(    鈴木善幸君紹介)(第一八五六号) 一一九 写真機等に対する物品税軽減に関する請    願(横川重次君外一名紹介)(第一九六五    号) 一二〇 揮発油税すえ置きに関する請願(小泉純    也君紹介)(第一九六七号) 一二一 同(五島虎雄震紹介)(第一九六八号) 一二二 同(山口丈太郎君紹介)(第一九六九    号) 一二三 同(楯兼次郎君紹介)(第一九七〇号) 一二四 同(田中武夫君紹介)(第一九七一号) 一二五 同(田中武夫君紹介)(第二〇二〇号) 一二六 中小企業に対する課税軽減に関する請願    (川村継義君紹介)(第二〇二二号) 一二七 財団法人日本海員会館に元日本海運報国    団財団資産無償譲与に関する請願(松原    喜之次君紹介)(第二〇二一号) 一二八 大かん煉乳用砂糖に対する消費税免除に    関する請願(淺沼稻次郎君紹介)(第二〇    八四号) 一二九 海外引揚老齢民間人留置財産補償に関    する請願(宇都宮徳馬君外一名紹介)(第    二一一九号) 一三〇 村上堆朱に対する物品税減免に関する請    願(稻葉修君紹介)(第二一七〇号) 一三一 揮発油税すえ置きに関する請願(山下榮    二君紹介)(第二一七一号) 一三二 石油関税復活反対に関する請願(長谷    川四郎君紹介)(第二一七二号) 一三三 電蓄用キャビネット及びレコードプレヤ    ー箱に対する物品税軽減に関する請願(荒    舩清十郎君紹介)(第二二六八号) 一三四 在外財産補償暫定措置に関する請願(受    田新吉君紹介)(第二三一三号) 一三五 三級清酒設定反対に関する請願(井岡大    治君紹介)(第二四〇〇号) 一三六 同(平田ヒデ君紹介)(第二四三一号) 一三七 同(荒舩清十郎君紹介)(第二四六一    号) 一三八 同外一件(平岡忠次郎君紹介)(第二四    六二号) 一三九 同(杉村沖治郎君紹介)(第二四九六    号) 一四〇 揮発油税すえ置きに関する請願(門司亮    君紹介)(第二四二七号) 一四一 同外二件(江崎真澄君紹介)(第二四二    八号) 一四二 同(小金義照君紹介)(第二四二九号) 一四三 同(保科善四郎君紹介)(第二四三〇    号) 一四四 大かん煉乳用砂糖に対する消費税免除に    関する請願(穗積七郎君紹介)(第二四六    三号) 一四五 揮発油税等引上げ反対に関する請願(    横山利秋君紹介)(第二四六四号) 一四六 中小企業に対する減税実施に関する請願    (横山利秋君紹介)(第二四六五号) 一四七 三級清酒設定反対に関する請願(黒金泰    美君紹介)(第二五三〇号) 一四八 同(井堀繁雄君紹介)(第二六一二号) 一四九 果実エッセンスに対する物品税撤廃に関    する請願(上林與市郎君紹介)(第二五三    一号) 一五〇 揮発油税すえ置きに関する請願(井手以    誠君紹介)(第二五三二号) 一五一 クリーニング業における揮発油税撤廃等    に関する請願(石村英雄君紹介)(第二五    七一号) 一五二 同(横路節雄君紹介)(第二五七二号) 一五三 同(内藤友明君紹介)(第二五九一号) 一五四 同(黒金泰美君紹介)(第二五九二号) 一五五 生命保険控除額引上げ等に関する請願    (赤路友藏君外一名紹介)(第二六一〇    号) 一五六 同(床次徳二君紹介)(第二六八六号) 一五七 同(大野伴睦君紹介)(第二六八七号) 一五八 国内産砂糖消費税撤廃に関する請願(中    馬辰猪紹介)(第三六八八号) 一五九 スキー及び附属品に対する物品税撤廃に    関する請願外九件(岡良一君紹介)(第二    六八九号) 一六〇 三級清酒設定反対に関する請願(福井盛    太君紹介)(第二六九〇号) 一六一 同(中馬辰猪君紹介)(第二六九一号) 一六二 同(長谷川四郎君紹介)(第二六九二    号) 一六三 同(中曽根康弘君紹介)(第二六九三    号) 一六四 同(五十嵐吉藏君紹介)(第二六九四    号) 一六五 同(藤枝泉介君紹介)(第二六九五号) 一六六 同(濱野清五吾君紹介)(第二六九六    号) 一六七 同(福田赳夫君紹介)(第二六九七号) 一六八 同(阿左美廣治君紹介)(第二六九八    号) 一六九 クリーング業における揮発油税撤廃等に    関する請願外一件(有馬英治君紹介)(第    二六九九号) 一七〇 揮発油税すえ置きに関する請願(田中武    夫君紹介)(第二八四三号) 一七一 三級清酒設定反対に関する請願(栗原俊    夫君紹介)(第三八四四号) 一七二 同(武藤運十郎君紹介)(第二八四五    号) 一七三 同(鈴木直人君紹介)(第二九四七号) 一七四 同(山下春江君紹介)(第二九四八号) 一七五 同(助川良平君紹介)(第二九四九号) 一七六 同外二件(八田貞義君紹介(第二九五〇    号) 一七七 同(福永健司君紹介)(第二九五一号) 一七八 同(横川重次君紹介)(第二九五二号) 一七九 同(荒舩清十郎君紹介)(第二九五三    号) 一八〇 同外三件(重政誠之君紹介)(第三〇一    五号) 一八一 同(青木正君紹介)(第三〇一六号) 一八二 同(鈴木周次郎君紹介)(第三〇一七    号) 一八三 同粟山博君紹介(第三〇一八号) 一八四 同(高木松吉君紹介)(第三〇一九号) 一八五 同(阿左美廣治君紹介)(第三〇二〇    号) 一八六 同(八百板正君紹介)(第三〇二一号) 一八七 同(茜ケ久保重光君紹介)(第三〇二二    号) 一八八 同(田中利勝君紹介)(第三〇二三号) 一八九 同(松井政吉君紹介)(第三〇二四号) 一九〇 同(鈴木義男君紹介)(第三〇二五号) 一九一 同外一件(平田ヒデ君紹介)(第三〇二    六号) 一九二 同(川島金次君紹介)(第二〇二七号) 一九三 同外五件(高橋等君紹介)(第三〇二八    号) 一九四 クリーニング業における揮発油税撤廃等    に関する請願(菅太郎君紹介)(第二九五    四号) 一九五 同(内藤友明君紹介)(第二九五五号) 一九六 スキー及び附属品に対する物品税撤廃に    関する請願(岡良一君紹介)(第三二〇二    号) 一九七 三級清酒設定反対に関する請願(三鍋義    三君紹介)(第三一〇四号) 一九八 同外八件(佐々木更三君紹介)(第三一    〇五号) 一九九 同(阿部五郎君紹介)(第三一〇六号) 二〇〇 同(齋藤憲三君紹介)(第三一〇七号) 二〇一 同(松村謙三君紹介)(第一三一〇八    号) 二〇二 同外十二件(保科善四郎君紹介)(第一    二〇九号) 二〇三 同外四件(大石武一君紹介)(第三一一    〇号) 二〇四 同(河本敏夫君紹介)(第三一一一号) 二〇五 同(須磨彌吉郎君紹介)(第三一一二    号) 二〇六 同(石田博英君紹介)(第三一一三号) 二〇七 同(笹山茂太郎君紹介)(第三一一四    号) 二〇八 同(秋田大助君紹介)(第三一一五号) 二〇九 同(小笠公韶君紹介)(第三一一六号) 二一〇 同(松岡松平君紹介)(第二一一七号) 二一一 同(佐伯宗義君紹介)(第三一一八号) 二一二 同(内藤友明君紹介)(第三一一九号) 二一三 同外十件(内海安吉君紹介)(第三一六    五号) 二一四 同外八件(愛知揆一君紹介(第三一六六    号) 二一五 同(川野芳滿君紹介)(第一一六七号) 二一六 同(生田宏一君紹介)(第三一六八号) 二一七 同(松山義雄君紹介)(第三一六九号) 二一八 同(堀川恭平君紹介)(第三一七〇号) 二一九 同(坂本泰良君紹介)(第三一七一号) 二二〇 同外四件(柳田秀一君紹介)(第三一七    二号) 二二一 同(杉村沖治郎君紹介)(第三一七三    号) 二二二 同(大川正道世君紹介)(第三一七四    号) 二二三 同外九件(菊地養輔君紹介)(第三一    七五号) 二二四 クリーニング業における揮発油税撤廃等    に関する請願(坊秀君紹介)(第三一二〇    号) 二二五 福島県に国立たばこ試験場設置の請願(    粟山博君紹介)(第三一四一号) 二二六 三級清酒設定反対に関する請願(藤本捨    助君紹介)(第三二二三号) 二二七 同(菅太郎君紹介)(第三二二四号) 二二八 同(加藤常太郎君紹介)(第三二二五    号) 二二九 同(亀山孝一君紹介)(第三二二六号) 二三〇 同(大村清一君紹介)(第三二二七号) 二三一 同(小枝一雄君紹介)(第三二二八号) 二三二 同(星島二郎君紹介)(第三二二九号) 二三三 同外一件(植原悦二郎君紹介)(第三二    三〇号) 二三四 同(古島義英君紹介)(第三二三一号) 二三五 同(山本勝市君紹介)(第三二三二号) 二三六 同(園田直君紹介)(第三二三三号) 二三七 同(今松治郎君紹介)(第三二三四号) 二三八 同(有田喜一君紹介)(第三二三五号) 二三九 同(小島徹三君紹介)(第三二三六号) 二四〇 同(犬養健君紹介)(第三二三七号) 二四一 同(橋本龍伍君紹介)(第三二三八号) 二四二 同(植木庚子郎君紹介)(三二三九号) 二四三 同(大平正芳君紹介)(第三二四〇号) 二四四 同(越智茂君紹介)(第三二四一号) 二四五 同(關谷勝利君紹介)(第三二四二号) 二四六 同(山本友一君紹介)(第三二四三号) 二四七 同(吉田重延君紹介)(第三二四四号) 二四八 同(逢澤寛君紹介)(第三二四五号) 二四九 同外一件(森本靖君紹介)(第三二四六    号) 二五〇 同外二件(田中武夫君紹介)(第三二四    七号) 二五一 同外一件(吉田賢一君紹介)(第三二四    八号) 二五二 同(井岡大治君紹介)(第三二四九号) 二五三 同(辻原弘市君紹介)(第三二五〇号) 二五四 同(和田博雄君外一名紹介)(第三二五    一号) 二五五 同(井谷正吉君紹介)(第三二五二号) 二五六 同(安平鹿一君紹介)(第三二五三号) 二五七 同(堂森芳夫君紹介)(第三二五四号) 二五八 同(佐々木良作君紹介)(第三二五五    号) 二五九 同(正力松太郎君紹介)(第三二五六    号) 二六〇 同(田中織之進君紹介)(第三二五七    号) 二六一 同(林議治君紹介)(第三二五八号) 二六二 同(山口喜久一郎君紹介)(第三二五九    号) 二六三 同(早川崇君紹介)(第三三四九号) 二六四 同(木下哲君紹介)(第三三五〇号) 二六五 同(石坂繁君紹介)(第三三五一号) 二六六 同(野依秀市君紹介)(第三三五二号) 二六七 同(廣瀬正雄君紹介)(第三三五三号) 二六八 同(櫻内義雄君紹介)(第三三五四号) 二六九 同(小松幹君紹介)(第三三五五号) 二七〇 同外一件(坊秀男君紹介)(第三三五六    号) 二七一 同(薩摩雄次君紹介)(第三三五七号) 二七二 同外二件(渡海元三郎君紹介)(第三三    五八号) 二七三 同(宇田耕一君紹介)(第三三五九号) 二七四 同(川村継義君紹介)(第三三六〇号) 二七五 同外五件(吉川久衛君紹介)(第三三六    一号) 二七六 同(木崎茂男君紹介)(第三三六二号) 二七七 同外一件(山本利壽君紹介)(第三三六    三号) 二七八 同(小川半次君紹介)(第三三六四号) 二七九 同外一件(中村三之丞君紹介)(第三三    六五号) 二八〇 同外五件(川崎末五郎君紹介)(第三三    六六号) 二八一 同(世耕弘一君紹介)(第三三六七号) 二八二 同(楠美省吾君紹介)(第三三六八号) 二八三 漆器に対する物品税減免に関する請願(    植原悦二郎君紹介)(第三三六九号) 二八四 児童用乗物類に対する物品税撤廃に関す    る請願(稻葉修君紹介)(第三三七〇号) 二八五 法人税法の一部改正に関する請願(古島    義英君紹介)(第三三七一号) 二八六 三級清酒設定反対に関する請願(久保田    豊君紹介)(第三四九三号) 二八七 同(田口長治郎君紹介)(第三四九四    号) 二八八 同(河野正君紹介)(第三四九五号) 二八九 同(伊藤好道君紹介)(第三四九六号) 二九〇 同(加藤清二君紹介)(第三四九七号) 二九一 同(勝間田清一君紹介)(第三四九八    号) 二九二 同(穗積七郎君紹介)(第三四九九号) 二九三 同(青野武一君紹介)(第三五〇〇号) 二九四 同(滝井義高君紹介)(第三五〇一号) 二九五 同(多賀谷真稔君紹介)(第三五〇二    号) 二九六 同(石山權作君紹介)(第三五〇三号) 二九七 同(北山愛郎君紹介)(第三五〇四号) 二九八 同(山口丈太郎君紹介)(第三五〇五    号) 二九九 同(五島虎雄君紹介)(第三五〇六号) 三〇〇 同外一件(長谷川保君紹介)(第三五〇    七号) 三〇一 同(下川儀太郎君紹介)(第三五〇八    号) 三〇二 同外八件(唐澤俊樹君紹介)(第三五〇    九号) 三〇三 同(木崎茂男君紹介)(第三五一〇号) 三〇四 同(有馬英治君紹介)(第三五一一号) 三〇五 同(楢橋渡君紹介)(第三五一二号) 三〇六 同(中村寅太君紹介)(第三五一三号) 三〇七 同(淵上房太郎君紹介)(第三五一四    号) 三〇八 同(早稲田柳右工門君紹介)(第三五一    五号) 三〇九 同外一件(纐纈彌三君紹介)(第三五一    六号) 三一〇 同(三浦一雄君紹介)(第三五一七号) 三一一 同(夏堀源三郎君紹介)(第三五一八    号) 三一二 同(河野金昇君紹介)(第三五一七号) 三一三 同(丹羽兵助君紹介)(第三五二〇号) 三一四 同(横井太郎君紹介)(第三五二一号) 三一五 同(馬場元治君紹介)(第三五二二号) 三一六 同(野田卯一君紹介)(第三五二三号) 三一七 同(平野三郎君紹介)(第三五二四号) 三一八 同(戸塚九一郎君紹介)(第三五二五    号) 三一九 同外二件(足立篤郎君紹介)(第三五二    六号) 三二〇 同(西村直己君紹介)(第三五二七号) 三二一 同(福田博君紹介)(第三五二八号) 三二二 同(木村俊夫君紹介)(第三五二九号) 三二三 同(田村元君紹介)(第三五三〇号) 三二四 同外一件(南好雄君紹介)(第三五三一    号) 三二五 同外一件(椎名悦三郎君紹介)(第三五    三二号) 三二六 同外二件(志賀健次郎君紹介)(第三五    三三号) 三三七 同外五件(山本猛夫君紹介)(第三五三    四号) 三二八 同(三田村武夫君紹介)(第三五三五    号) 三二九 同(原健三郎君紹介)(第三五三六号) 三三〇 同(首藤新八君紹介)(第三五三七号) 三三一 同(徳田與吉郎君紹介)(第三五三八    号) 三三二 同(大野伴睦君紹介)(第三五三九号) 三三三 同(田中伊三次君紹介)(第三五四〇    号) 三三四 同(松野頼三君紹介)(第三五四一号) 三三五 同(坂田道太君紹介)(第三五四二号) 三三六 同(奧村又十郎君紹介)(第三五四三    号) 三三七 同(村上勇君紹介)(第三五四四号) 三三八 同外二十四件(前尾繁三郎君紹介)(第    三五四五号) 三三九 同(高見三郎君紹介)(第三五四六号) 三四〇 同(牧野良三君紹介)(第三五四七号) 三四一 同外十件(植原悦二郎君紹介)(第三五    四八号) 三四二 同外四件(田子一民君紹介)(第三五四    九号) 三四三 同外四件(鈴木善幸君紹介)(第三五五    〇号) 三四四 同外一件(平岡忠次郎君紹介)(第三五    五一号) 三四五 同外一件(山下榮二君紹介)(第三五五    二号) 三四六 同外一件(岡良一君紹介)(第三五五三    号) 三四七 同外四件(中居英太郎君紹介)(第三五    五四号) 三四八 同(松本七郎君紹介)(第三五五五号) 三四九 同外三件(小澤佐重喜君紹介)(第三五    五六号) 三五〇 同(中井徳次郎君紹介)(第三五五七    号) 三五一 同(田中幾三郎君紹介)(第三五五八    号) 三五二 同外一件(大森玉木君紹介)(第三五五    九号) 三五三 同(辻政信君紹介)(第三五六〇号) 三五四 同(白浜仁吉君紹介)(第三五六一号) 三五五 同(北村徳太郎君紹介)(第三五六二    号) 三五六 同(前田房之助君紹介)(第三五六三    号) 三五七 同(中嶋太郎君紹介)(第三五六四号) 三五八 同(山手滿男君紹介)(第三五六五号) 三五九 同(濱地文平君紹介)(第三五六六号) 三六〇 同(井出一太郎君紹介)(第三五六七    号) 三六一 同(長井源君紹介)(第三五六八号) 三六二 同(田中久雄君紹介)(第三五六九号) 三六三 同(小笠原八十美君紹介)(第三五七〇    号) 三六四 同(綱島正興君紹介)(第三五七一号) 三六五 同外七件(小西寅松君紹介)(第三五七    二号) 三六六 同(山崎巖君紹介)(第三五七三号) 三六七 同(熊谷憲一君紹介)(第三五七四号) 三六八 同(久野忠治君紹介)(第三五七五号) 三六九 同(江崎真澄君紹介)(第三五七六号) 三七〇 同(小林かなえ君紹介)(第三五七七    号) 三七一 同(中垣國男君紹介)(第三五七八号) 三七二 同(加藤鐐五郎君紹介)(第三五七九    号) 三七三 同(小笠原三九郎君紹介)(第三五八〇    号) 三七四 同(川野芳滿君紹介)(第三五八一号) 三七五 酒税率引下げに関する請願(奧村又十郎    君紹介)(第三五八二号) 三七六 三級清酒設定反対に関する請願(永田亮    一君紹介)(第三六一五号) 三七七 同(重政誠之君紹介)(第三六一六号) 三七八 同(眞崎勝次君紹介)(第三六一七号) 三七九 同外三件(芦田均君紹介)(第三六一八    号) 三八〇 同(中馬辰猪君紹介)(第三六一九号) 三八一 同(田村元君紹介)(第三六二〇号) 三八二 同(永山忠則君紹介)(第三六二一号) 三八三 同外十三件(淺香忠雄君紹介)(第三六    二二号) 三八四 同(大坪保雄君紹介)(第三六二三号) 三八五 同(高橋等君紹介)(第三六二四号) 三八六 同(保利茂君紹介)(第三六二五号) 三八七 同外十一件(井上良二君紹介)(第三六    二六号) 三八八 同(稲富稜人君紹介)(第三六二七号) 三八九 同(伊藤卯四郎君紹介)(第三六二八    号) 三九〇 同(池田禎治君紹介)(第三六二九号) 三九一 同(西村榮一君上紹介)(第三六三〇    号) 三九二 同(中村高一君紹介)(第三六三一号) 三九三 同(永山忠則君紹介)(第三六五一号) 三九四 クリーニング業における揮発油税撤廃等    に関する請願(横山利秋君紹介)(第三六    三二号) 三九五 三級清酒設定反対に関する請願(鹿野彦    吉君紹介)(第三七五三号) 三九六 同外六件(内田常雄君紹介)(第三七五    四号) 三九七 同外六件(大橋武夫君紹介)(第三七五    五号) 三九八 同(灘尾弘吉君紹介)(第三七五六号) 三九九 同(高橋等君紹介)(第三七五七号) 四〇〇 同外二件(倉石忠雄君紹介)(第三七五    八号) 四〇一 同(池田勇人君紹介)(第三七五九号) 四〇二 同外三件(町村金五君紹介)(第三七六    〇号) 四〇三 同(徳安實藏君紹介)(第三七六一号) 四〇四 同(前田正男君紹介)(第三七六二号) 四〇五 同(仲川房次郎君紹介)(第三七六三    号) 四〇六 同外一件(八田貞義君紹介)(第三七六    四号) 四〇七 同(山下春江君紹介)(第三七六五号) 四〇八 同外十九件(小坂善太郎君紹介)(第三    七六六号) 四〇九 同(黒金泰美君紹介)(第三七六七号) 四一〇 同(加藤精三君紹介)(第三七六八号) 四一一 同(小金義照君紹介)(第三七六九号) 四一二 同外五件(竹尾弌君紹介)(第三七七〇    号) 四一三 同(小林郁君紹介)(第三七七一号) 四一四 同(山口好一君紹介)(第三七七二号) 四一五 同(高瀬傳君紹介)(第三七七三号) 四一六 同外二件(原捨思君紹介)(第三七七四    号) 四一七 同外二十五件(塚田十一郎君紹介)(第    三七七五号) 四一八 同(島村一郎君紹介)(第三七七六号) 四一九 同(八木昇君紹介)(第三七七七号) 四二〇 同(森下國雄君紹介)(第三七七八号) 四二一 同(井手以誠君紹介)(第三七七九号) 四二二 同外十二件(矢尾喜三郎君紹介)(第三    七八〇号) 四二三 同(船田中君紹介)(第三七八一号) 四二四 同外五件(上林山榮吉君紹介)(第三七    八三号) 四二五 同(中川俊思君紹介)(第三七八三号) 四二六 同外二件(川野芳滿君紹介)(第三七八    四号) 四二七 同(古田賢一君紹介)(第三七八五号) 四二八 同外七件(中崎敏君紹介)(第三七八六    号) 四二九 同(田原春次君紹介)(第三七八七号) 四三〇 同(前田榮之助君紹介)(第三七八八    号) 四丘  同(佐竹新市君紹介)(第三七八九号) 四三二 酒税率引下げに関する請願(内藤友明君    紹介)(第三七九〇号) 四三三 同(小山長規君紹介)(第三七九一号) 四三四 同(山下春江君紹介)(第三七九二号) 四三五 同(山崎巖君紹介)(第三七九三号) 四三六 同(奧村又十郎君紹介)(第三七九四    号) 四三七 同(大平正芳君紹介)(第三七九五号) 四三八 生命保険控除額引上げ等に関する請願    (周東英雄君紹介)(第三七九六号) 四三九 同(北村徳太郎君紹介)(第三七九七    号) 四四〇 三級清酒設定反対に関する請願外一件(    佐々木秀世君紹介)(第四〇五七号) 四四一 同外九件(稻葉修君紹介)(第四〇五八    号) 四四二 同(川俣清音君紹介)(第四〇五九号) 四四三 同(南條徳男君紹介)(第四〇六〇号) 四四四 同(松浦周太郎君紹介)(第四〇六一    号) 四四五 同(植村武一君紹介)(第四〇六二号) 四四六 同(粟山博君紹介)(第四〇六三号) 四四七 同(山本正一君紹介)(第四〇六四号) 四四八 同(野田武夫君紹介)(第四〇六五号) 四四九 同(安藤覺君紹介)(第四〇六六号) 四五〇 同外一件(林唯義君紹介)(第四〇六七    号) 四五一 同外十六件(森清君紹介)(第四〇六八    号) 四五二 同外二十三件(山村新治郎君紹介)(第    四〇六九号) 四五三 同(臼井莊一君紹介)(第四〇七〇号) 四五四 同(松浦東介君紹介)(第四〇七一号) 四五五 同(松澤雄藏君紹介)(第四〇七二号) 四五六 同(池田正之君紹介)(第四〇七三号) 四五七 同外六件(中村庸一郎君紹介)(第四〇    七四号) 四五八 同外一件(本名武君紹介)(第四〇七五    号) 四五九 同(今井耕君紹介)(第四〇七六号) 四六〇 同(重政誠之君紹介)(第四〇七七号) 四六一 同(赤澤正道君紹介)(第四〇七八号) 四六二 同(古井喜實君紹介)(第四〇七九号) 四六三 同外三件(高岡大輔君紹介)(第四〇八    〇号) 四六四 同(伊東岩男君紹介)(第四〇八一号) 四六五 同(上林與市郎君紹介)(第四〇八二    号) 四六六 同(楯兼次郎君紹介)(第四〇八三号) 四六七 同外十一件(中村英男君紹介)(第四〇    八四号) 四六八 同(西村力弥君紹介)(第四〇八五号) 四六九 同(岡本隆一君紹介)(第四〇八六号) 四七〇 同外八件(大野市郎君紹介)(第四〇八    七号) 四七一 同(風見章君紹介)(第四〇八八号) 四七三 同(八木一男君紹介)(第四〇八九号) 四七三 同外一件(塚川十一郎君紹介)(第四〇    九〇号) 四七四 同外十二件(渡邊良夫君紹介)(第四〇    九一号) 四七五 同外十五件(大鳥秀一君紹介)(第四〇    九二号) 四七六 同外十四件(田中角榮君紹介)(第四〇    九三号) 四七七 同(篠田弘作君紹介)(第四〇九四号) 四七八 同外十一件(千葉三郎君紹介)(第四〇    九五号) 四七九 同外二十五件(田中彰治君紹介)(第四    〇九六号) 四八〇 同(亘四郎君紹介)(第四〇九七号) 四八一 同(松川鐵藏君紹介)(第四〇九八号) 四八二 同(草野一郎平君紹介)(第四〇九九    号) 四八三 同(川中龍夫君外一名紹介)(第四一〇    〇号) 四八四 同外三件(永山忠則君紹介)(第四一〇    一号) 四八五 酒税率引下げに関する請願(里金泰美君    紹介)(第四一〇二号) 四八六 同(松野頼三君紹介)(第四一〇三号) 四八七 同(町村金五君紹介)(第四一〇四号) 四八八 同(木原津與志君紹介)(第四一〇五    号) 四八九 同(赤澤正道君紹介)(第四一〇六号) 四九〇 同(石坂繁君紹介)(第四一〇七号) 四九一 同(鈴木周次郎君紹介)(第四一〇八    号) 四九二 同(大石武一君紹介)(第四一〇九号) 四九三 同(石山權作君紹介)(第四一五二号) 四九四 同(八田貞義君紹介)(第四一五三号) 四九五 同(坊秀男君紹介)(第四一五四号) 四九六 同(早川崇君紹介)(第四一五五号) 四九七 同(西村直己君紹介)(第四一五六号) 四九八 同外一件(吉川久衛君紹介)(第四二三    五号) 四九九 同外二件(内藤友明君紹介)(第四二三    六号) 五〇〇 三級清酒設定反対に関する請願(川村善  八郎君紹介)(第四一五七号) 五〇一 同(山本粂吉君紹介)(第四一五八号) 五〇二 同(北澤直吉君紹介)(第四一五九号) 五〇三 同(塚原俊郎君紹介)(第四一六〇号) 五〇四 同(橋本登美三郎君紹介)(第四一六一    号) 五〇五 同外四件(猪俣浩三君紹介)(第四一六    二号) 五〇六 同外二件(稻村隆一君紹介)(第四一六    三号) 五〇七 同(風見章君紹介)(第四一六四号) 五〇八 同外一件(石田宥全君紹介)(第四一六    五号) 五〇九 同外七件(櫻井奎夫君紹介)(第四一六    六号) 五一〇 同(伊東岩男君紹介)(第四一六七号) 五一一 同(大高康君紹介)(第四一六八号) 五一二 同(加藤高藏君紹介)(第四一六九号) 五一三 同(中山榮一君紹介)(第四一七〇号) 五一四 同(赤城宗徳和君紹介)(第四一七一    号) 五一五 同(小山長規君紹介)(第四一七二号) 五一六 同(福田大作君紹介)(第四一七三号) 五一七 同(片島港君紹介)(第四二三七号) 五一八 同外三件(池田清志君紹介)(第四二三    八号) 五一九 同(森山欽司君紹介)(第四二三九号) 五二〇 同外二件(吉川久衛君紹介)(第四二四    〇号) 五二一 揮発油税すえ置きに関する請願外四件(    福田赳夫君紹介)(第四二三四号) 五二二 クリーニング業における揮発油税撤廃等    に関する請願(杉浦武雄君紹介)(第四二    四一号) 五二三 大島農業協同組合連合会のガリオア債務    償還に関する請願(伊東隆治君紹介)(第    四二三二号) 五二四 大島食糧株式会社のガリオア債務償還に    関する請願(伊東隆治君紹介)(第四二三    三号) 五二五 酒税率引下げに関する請願(保利茂君紹    介)(第四二六九号) 五二六 同(菅太郎君紹介)(第四三一八号) 五二七 同(小金義照君紹介)(第四三一九号) 五二八 同(木崎茂男君紹介)(第四三二〇号) 五二九 同(福田篤泰君紹介)(第四三四七号) 五三〇 同(前田房之助君紹介)(第四三四八    号) 五三一 同(横山利秋君紹介)(第四三四九号) 五三二 同(春日一幸君紹介)(第四三五〇号) 五三三 同(川島金次君紹介)(第四三五一号) 五三四 三級清酒設定反対に関する請願(古川丈    吉君紹介)(第四二七〇号) 五三五 同外十九件(井出一太郎君紹介)(第四    二七一号) 五三六 同外五件(竹内俊吉君紹介)(第四二七    二号) 五三七 同外六件(三宅正一君紹介)(第四三〇    一号) 五三八 同外一件(萩野豊平君紹介)(第四三一    七号) 五三九 同(大倉三郎君紹介)(第四三五二号) 五四〇 揮発油税すえ置きに関する請願(高津正    道君紹介)(第四二七四号) 五四一 葉たばこ増産対策確立に関する請願(愛    知揆一君紹介)(第四二八八号) 五四二 ラムネに対する物品税撤廃に関する請願    (井手以誠君紹介)(第四三〇二号) 五四三 同(眞崎勝次君紹介)(第四三二一号) 五四四 労働金庫に対する資金運用部資金の長期    還元に関する請願(坂田道太君紹介)(第    四三二三号) 五四五 酒税率引下げに関する請願(川野芳滿君    紹介)(第四三六九号) 五四六 同(並木芳雄君紹介)(第四四〇〇号) 五四七 同(千葉三郎君紹介)(第四四〇一号) 五四八 同(福井順一君紹介)(第四四〇二号) 五四九 同(木下哲君紹介)(第四四〇三号) 五五〇 同(井上良二君紹介)(第四四〇四号) 五五一 同(平岡忠次郎君紹介)(第四四〇五    号) 五五二 同(山村新治郎君紹介)(第四四〇六    号) 五五三 同(中山榮一君紹介)(第四四〇七号) 五五四 同(濱野清音君紹介)(第四四〇八号) 五五五 同(淺香忠雄君紹介)(第四四〇九号) 五五六 同(小西寅松君紹介)(第四四一〇号) 五五七 同(田村元君紹介)(第四四一一号) 五五八 同(古川丈吉君紹介)(第四四一二号) 五五九 同(慶瀬正雄君紹介)(第四四四七号) 五六〇 三級清酒設定反対に関する請願(瀬戸山    正男君紹介)(第四三七六号) 五六一 同(並木芳雄君紹介)(第四四一三号) 五六二 同(唐澤俊樹君紹介)(第四四一四号) 五六三 同外十二件(有馬輝武君紹介)(第四四    一五号) 五六四 同外一件(野澤清人君紹介)(第四四六    号) 五六五 木材業に対する所得税免除に関する請願    (世耕弘一君紹介)(四三九四号) 五六六 大衆飲食店の酒類購入に関する請願(田    中武夫君紹介)(第四四一七号) 五六七 大島食糧株式会社の債務弁済方法に関す    る請願(伊東隆治君紹介)(第四四一八    号) 五六八 酒税率引下げ並びに三級清酒設定に関す    る請願(廣川弘禪君紹介)(第四四九二    号) 五六九 同(井手以誠君紹介)(第四五四二号) 五七〇 同(池田清志君紹介)(第四五六〇号) 五七一 酒税率引下げに関する請願(大平正芳君    紹介)(第四四九三号) 五七二 同(中垣國男君紹介)(第四四九四号) 五七三 同(山本勝市君紹介)(第四六一号) 五七四 三級清酒設定反対に関する請願外一件(    小林信一君紹介)(第四四九五号) 五七五 同(神近市子君紹介)(第四五四一号) 五七六 在外財産の補償暫定措置に関する請願(    鈴木周次郎君紹介)(第四五六四号) 五七七 旧外貨債有効化に関する請願(保科善    四郎君紹介)(第四五六五号) 五七八 錦海湾の塩田化促進に関する請願(和田    博雄君紹介)(第四五〇四号) 五七九 酒税率引下げに関する請願(堀内一雄君    紹介)(第四五七六号) 五八〇 三級清酒設定反対に関する請願(堀内一    雄君紹介)(第四六二〇号) 五八一 同外三件(二階堂進君紹介)(第四六二    一号) 五八二 同(二階堂進君紹介)(第四六二二号) 五八三 同(二階堂進君紹介)(第四六二三号) 五八四 同(二階堂進君紹介)(第四六二四号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  補助金等に係る予算の執行の適正化に関すを法律案昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案金融機関資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案の五法律索を一括議題として質疑を続行いたします。井上良二君。
  3. 井上良二

    ○井上委員 昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案に関連して質問をいたしたいのですが、政府は、本年従来やって参りました主要食糧の供出制度を改めまして、事前売り渡し申込制という予約制度なるものを採用いたしたのであります。その予約制度の採用に基いて新米価を決定せねばならぬことになりまして、先般三十年度産米に対する新米価が発表されております。一体この新米価は、食管法第三条の規定のどの部分を具体的に検討されまして御決定になりましたか、その点をまずお伺いをいたしたい。これは大蔵大臣と、農林大臣を呼んでおりますが、来ておりませんから、食管長官と、両政府当局からお答えを願いたい。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度の新米価は、食管法の全部に基いてきあたわけであります。
  5. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま大蔵大臣が御答弁明し上げました通りでありまして、今回とりました事前売り渡し制度は、現行食糧管理法を維持する建前のもとに新制度を実行いたしておるのでございます。申すまでもなく、現行の食管法に基きますと、米穀の価格は、食管法第三条に基いて決定をいたすことになっておりますので、今回の新米価も、食糧管理法第三条に基いて決定をいたしたような次第でございます。
  6. 井上良二

    ○井上委員 私の質問いたしておりますのは、食管法第三条の米価決定の規定のどの項目を参酌してきめたかということです。食管法第三条に、米価決定についての規定がございますが、この規定によると、生産費を基礎にして、新しい経済事情を参酌した上で、農業再生産を償う価格をきめる、こう書いてある。ところが御存じの通り、生産費は、米がとれてしまわないと、どのくらいかかったかわかりません。そろばんが出てこない。出来秋において、当時の経済事情はどういう事情にあるかということを考慮した上できめるべきなのです。生産費を土台にせずに、何を土台にして今度の新米価をはじいたのですか、そのことを聞いておるのです。
  7. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問の点でありますが、申すまでもなく生産費、物価、その他の経済事情を参酌してきめておりますことは、お話しの通りでございます。私どもといたしましても、昨年の米価審議会におきまして、生産費等を中心とする方式を十分検討するようにという決議がありまして、その後事務的に生産費の研究等につきましていろいろ御検討を願った経験もあるのでありますが、その後先般の米価審議会におきましても、米穀生産費に関します小委員会をお設けになりまして、小委員会におきまして、第一次の中間的な御報告があったような次第でございます。その場合におきましても、いろいろ御議論がありまして、一応バルク・ライン八割の生産費を補償するような米価の決定方式について検討するという趣旨の御決議があったのでございます。私どもといたしましては、生産費の問題については十分検討して参ったのでございますが、政府案といたしましては、生産費の案につきましてもまだいろいろ理論的には問題があるようでございます。米価審議会の御意見におきましても、やはり一定の金額には数百円の幅を持って考えなければならない、その程度の算定上の誤差をいろいろ考えなければならぬというような御決議もございまして、各委員もまたその点を御了承になっておるような関係もあるのでございます。そういうような関係もございまして、私どもといたしましては、最近の農家の手取りの平均米価を中心といたしまして、それをパリティで上昇率を見ましたものを一応基準といたしまして、一万百六十円の標準米価を決定いたしたような次第であります。基準といたしましては、従来二十五、六年なり、あるいは二十七年なり適当の年度を基準といたしまして、その後最近までの物価の事情なりその他農家の使う資材等の価格の値上り等も見てきめるのでございますが、ただいまも御指摘の通り、一年前の二十九年までのデータを基礎として米価をきめなければならないという点が、生産費につきまして問題があるのでございます。ともかく私どもといたしまして、今まで学者その他の御意見、あるいは米価審議会の専門員、あるいは本委員の方々の御意見等に従いまして、できるだけ最近の事情のデータをいろいろ取り入れながらも、基礎といたしましては、生産費に基く数字の算定を加味しながら、パリティ方式を基準といたしまして一万百六十円の米価を決定いたしたのであります。それがただいま御指摘のありました第三条の生産費及び物価その他の経済事情を参酌してきあるという法律の精神に相応するものというふうに考えて決定いたしたような次第でありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  8. 井上良二

    ○井上委員 大蔵大臣に伺いますが、物の値打をきめます場合、これが予約集荷をいたすので、その予約量を一定量集荷するために、およその価格をきめてもらわないと米の出しようがない、こういう形で米価がきめられておりますならば私は文句は言いません。つまり予約米価で、予約をするための予想米価であるというのならいいです。ところが、これが実際出来秋における米価ということになりますと、その米価をきめる土台というものがきわめて不確実な土台に立っておるのじゃないかということが言い得られると私は考えます。まだ米ができてないのです。収穫されて初めてどれだけの生産費がかかったか、また農家経済や農業生産を取り巻く経済情勢はどう変ったかということを土台にして、初めてそこに正確な米価が決定されるのじゃないかと思うのです。本年産米に対して投下しましたいろいろな資材や、労力あるいは税金や、そういうものがどうなっておるかまだわかりやしない。わからない先に確定米価をきめるということは、問題の本質をこんがらがすことになりませんか。そんなきめ方をしていいとお考えになっておるのですか。これは予算米価とは違うのです。確定米価です。そういうことがいいとお考えですか。これは大蔵大臣から伺いたい。
  9. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 仰せのような御意見はむろんあるのであります。従いまして、予約買付制度におきましても、たとえば予算米価を、産地に行ってよく出来秋を見て米価をきめたらいいじゃないかという御意見も、私はこれも筋の通った一つの考え方だと思います。従いまして、これに私はあえて反対したわけではないのですが、しかし予約買付制度というものが新しく設けられた以上は、どうしても集荷等の関係から、今申されたような点はあるかもしれぬが、ここでどうしても米価をきめなくてはならないというのが、米価審議会を初め多くの人の御意見で、そういう御意見に従ってやったのでありまして、御意見として十分私は拝聴に値すると考えております。
  10. 井上良二

    ○井上委員 次に伺いたいのは、政府は新米価決定に当りまして、米価審議会に諮問案を出さずに、米価審議会の答申を尊重する、こういうことを国会を通しても述べております。ところが実際は、米価審議会の答申と異なった新米価が決定されておる。これは一体どういうことでずか、それを伺いたい。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これも、米価審議会が開会して御審議を始める前に、政府の米価というものを出しまして、そうして御審議を願えばいいと私は思います。しかし今回は、予約買付制度等の問題もありまして、その運びに至らなかったのでありまして、米価審議会の審議に間に合わなかった。しかしながら、その後すみやかに政府案を出しまして、米価審議会の御審議を願ったわけでありますので、これは一つさよう御了承願いたいと思います。  なお米価審議会できまったその米価を、政府がそのまま採用しなくてはならぬということもないと思うのでありまして、これは米価を政府がきめる場合において最も有力な御意見、資料として尊重いたすべきはむろんでありまして、さような精神で米価をきめたわけであります。
  12. 井上良二

    ○井上委員 従来は、大体政府が、本年の産米価格はこの程度が妥当と思うが、米審の意見はどうかということで、その答申を持つというやり方が行われてきた。ところが今年は、政府は原案を出さなかった。そこで米審においても国会においても、それならば米価審議会の答申を尊重するか、決定を採択するかということで、相当鋭い追及があったことは事実であります。そして政府は、それを尊重するということを言明しておられる。そこで実際問題として、米審の決定と政府が発表した一万百六十円との間に開きができまして、この調整に非常に苦慮した結果、当然基本米価に入れるべきものを、百円方減税分においてそれを補う、さらに肥料価格の値下りその他を見込んで、農業生産費の引き上げを行うということで、基本米価のつじつまを合せていくという手をおとりになった。何で一体そんなこそくな手をとらなければならぬのか。百円分減税に回すならば、基本米価をそれだけ上げても一向さしつかえないはずだ。どういうわけでそういうことをやらなければならぬのか。あなたは、米審の答申は単なる参考だ、政府は政府独自の立場で米価をきめるのだと主張なさるが、それではその通りやるかというと、今申しますように、百円は減税において補う、あとは農業生産費を引き下げるような努力する、そうして何とか米審側の答申を尊重するような措置を講ずると言う。どういうわけで一体そういうことをやらなければならぬのか。一万百六十円案が正しければそれをやればいいのであって、それが正しくないから、減税措置とか生産費の引き下げとかいうことを持ってこなければならぬ。そういうことなら当然これを基本米価に繰り入れて、全供出農家三百万にこれを均等にやるべきであります。どういうわけで大蔵大臣はそういう措置を御承認になりましたか。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、今度の予約買付制度によります米穀の集荷を容易ならしめると申しますか、この奨励のための方法と考えておるのであります。従いまして、これは、私はやはりいろいろな方法があると思うが、最もよい方法といたしまして、約一石当り百円程度の減税になるような措置をとったわけであります。
  14. 井上良二

    ○井上委員 それならば、供米促進の必要上、供出量をできるだけ多くしてもらうためにかような減税措置を認めたのだということであるならば、なぜ米審で決定した案をやらなかったか。政府の原案でいくと、大体従来の既得権としてある分が免税されて、それに百円が新たに追加されることになると、平均石当り手取り千四百円の減税になる。それを、今度の米審の案をそのまま取り込んでやるならば、約三千円ぐらい減税ができることになる。何でそこまでやらなかったか。もうこれ以上は米を出さぬでもいいというのですか。
  15. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米審の意見を十分尊重して米価をきめたことは、先ほども申した通りでありますが、ただ米価審議会の御意見通りにはなっていないのですが、これは各種の事柄も政府としては考えなくてはなりませんし、またその後の情勢を見ても、集荷の状況も事実において非常にいいようだし、各地においてもその目標額を越えつつあるので、そう御心配にならないでもいいという確信を私は持っております。
  16. 井上良二

    ○井上委員 政府の予約買付による期待量は二千三百五十万石です。それで大都市のわれわれ消費者は、月たった八日分の内地米しか配給は受けられない。この現実をあなたはお考えになって、幸いことしのように非常な大豊作が伝えられるときに、もし減税処置によって供出が促進され得るということならば、さらにもう少し供出に対する必要な減税処置を講ずることが、国際収支の上から考えても、国内における食糧の自給を向上さす上からも、当然必要なこととお考えになりませんか。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは財政全体のことも考えなくてはならない。またひとり米だけではなく他の国民生活に関係するすべての事柄についてもやはり均衡を考えなくちゃならぬ。やはりものは、やればやるほどいいということもございましょうが、やはり程度というか、この社会ではバランスのとれた一番ほどよいところというのが、私は一番いいことだ、かように考えております。
  18. 井上良二

    ○井上委員 大蔵大臣は、二千三百五十万石がほどよい供米とお思いになっていますか。あなたは現に今この減税分でさえ、これだけ天候のよい関係で、非常な予約期待量を上廻る申し込みがある、こういう答弁をされている。従ってあなた自身米がどんどんよけいに集まることを期待されているに違いない。それならば、御承知の通り外国から一年間に百十万トンも輸入している現状において、これが大きな国際収支の重圧を加えておる現状において、少しでも外国食糧の輸入をとめる、そして国内からできるだけ多く増産をして供出を願うということを考えて、国はこの問題のために必要以上の手当を加えてきている。特にことしのように、異常の豊作が期待される今日においては、あらゆる手を講じて政府の手元に米を集めるということを考えるということが、国の財政の大もとである食糧政策から、当然大蔵当局としても考えなければならない。一体何ゆえに既得権だけを認めて、新しい減税分によって期待量をもっとふやすというこをお考えになりませんか。私は当然それは考えるべきであろうと思う。
  19. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の申し上げるのは、ああいう米の価格と奨励措置で十分米の集荷ができるということを申し上げたのでありまして、集荷する数量が二千三百万石が適当なりやいなや、ただ多ければ多いのもいいでしょう。これはむしろ食糧政策自体に関係することであるのでありまして、農林省の所管でありますから、どういう純度米をここで集めて、どういう程度配給するかという点につきましては、農林省から御説明願うことにいたします。
  20. 井上良二

    ○井上委員 問題は、私は大蔵大臣の考えを聞いております。これは、あなたが国の財政の大もとを占めておるのですから、あなたの考え方がはっきりしなければ、食糧政策の根本が確立できません。だから財政的見地からあなたの所見を聞いておる。そういう上で、私はさらにお伺いを続けるのですが、あなたは、ただいまおっしゃいましたところによると、予約集荷で相当の期待以上の米が集まる、こういう御答弁である。なるほど集まるかもわかりません。これは旧盆を控えました農家としては、手の出るように金がほしいですよ。その旧盆を目の前にして予約集荷を発表して、前渡金石当り二千円を渡すのですから、そうすると、農家はいわゆる端境経済の現状において、この二千円がどれだけ農家経済を潤すかわかりませんから、そこでできるかできぬかわからないけれども、とにかく予約しておけしかも予約の違約をした場合でも、ほとんど罰則的な規定はない。わいすか違約金をとるかとらぬかという問題はありますけれども、違約したからといって何ら罰則はありません。だから予約して申し込めば申し込むほど石当り二千円の金をくれるのですから、農家にとってこれほどありがたいことはありません。これは世話する農業団体も、また非常に世話のしがいがあるとして盛んに数字だけを集めておるのです。米が集まるのと違うのです。数字が集まっただけです。勘違いをしてはいけません。従って私の言うておりますのは、予約という問題にそんなにわれわれは期待できない。問題は出来秋にどうなるかということを考えなければならぬ。そこで、出来秋に実際米が予約よりよけいとれた場合でも、減税措置を講じていないじゃないか。どういうわけで減税措置を講じないのですか。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質問にお答えします。私は何も二千三百五十万で、いい—今度の価格でたくさん供出をして下さればそれに越したことはないと思います。政府としてはできるだけお出しを願って、そうして買い入れるべきだ、かように考えております。  なお大へんおしかりを受けたのでありますが、私は今の現状での予約買入れ状況を申し上げたので、私としては今後一そう皆様方の、特に集荷団体及び農家の方々の心からの御協力を得まして、そうしてこの状況をずっと秋まで推し進めていってもらいたい、かように考えております。規定の上では、米は政府に売らなくてはならぬようになっております。またその米は、自分たち同胞の日常の生命に関するものでありますから、農家の方々も、適当な値段でありさえすれば、必ず予約に応じて下さるということを私は互いに信じ合って確信をしておるからかように申し上げたわけであります。どうぞ井上さんも、できるだけのお力添えをお願い申し上げたいと思います。
  22. 井上良二

    ○井上委員 この際もう一応大蔵大臣に伺うのですが、鳩山内閣は、三十年度産米に対する予約集荷に非常な期待をかけておるようです。予約集荷などというものは、農民側にとりましては青田売りです。まだ米ができていない青田をそのまま売ることを約束するわけです。政府にとりましては、この数字を基礎にした予約集荷であって、全くから手による前渡金を渡すわけであります。一体石当り二千円渡して二千三百万石とすると、全体でもって四百六十億くらいの金になりはせぬかと思いますが、それだけ大きな金を、できるやらできぬやらわからぬような米に対して—できるときまっておりません。できるやらできぬやらわからぬような米に対して四百六十億も前渡金と称して政府で渡すのですが、一体それはどこにそういう法律があるのですか。一体会計法上のどの規定によってそれをやっておるのですか。これは重大な問題ですから明確にされたい。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、今回概算払いができますように政令を出しておるわけです。
  24. 井上良二

    ○井上委員 政令は法律じゃありませんよ。その法律の根拠を示して下さい。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは会計法に基いてやっております。
  26. 井上良二

    ○井上委員 会計法の第二十二条を調べてみますと「運賃、傭船料、旅費その他経費の性質上前金文は概算を以て支払をしなけばれば事務に支障を及ぼすような経費で政令で定めるものについては、前金払又は概算払をすることができる。」こういう規定になっております。一体事前割当でもって前渡金も渡す場合、こうしなければ食糧の集荷の事務上に非常な支障を来たすという根拠はどこにあるか。
  27. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 いささか事務的  にわたりますので、私から申し上げますが会計法の二十二条には、会計法の原則であるところの同時履行と申しまする、米が受け入れられましたときに払うという原則に対して、もし国の事務に支障があるならば前金払い概算払いもよろしいという規定がございます。米の集荷の上で、一体この予約制度をとらなければ食糧の管理が十分にできないかどうか、この点は食糧庁長官の方から専門的な御答弁があると思うのでありますが、私の方といたしましてば、集荷の関係で国の事務に支障があれば、それに御協力申し上げして、会計法二十二条に基くところの政令を制定いたしまして、概算払いの道が可能な方途を講じたわけでございます。
  28. 井上良二

    ○井上委員 前金払いをいたしましても、確実に成果が約束できるものならいいのです。たとえば官庁の下請のいろいろな工事がございますが、その工事をやりますためには、材料を買わなければならぬ、あるいは人も雇って賃金も払わなければならぬ、だから工事費の二割なら二割を前払いしてくれぬか、こういうことはあり得るのであります。あるいは旅費を前払いするとか、当然だれが考えても、常識的にちゃんと理屈のつくものに対しては前金払いをしても一向差しつかえありません。ところが農作物は、人間の労働力によって、人間の英知をもってはどうすることもでき得ない自然条件が加わりますから、できるとはだれもが確言はできません。できてみなければはっきりしないのです。しかも非常に不確実なものなんです。人聞のカでどうすることもできない、この自然条件に左右される農作物に対して会計法を適用することは、全く行き過ぎでありませんか。とれるとあなたは断言できますか。とれると断言できないものに対して、約五百億の金を法律も作らぬで出す、勝手にそんなことをされてはたまったものではない。これは一体どうですか。
  29. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 会計法の二十二条に規定がございまして、国の事務に支障があるかないかの判断の裁量権も国に与えられましたのは、法律によって与えられているわけでございますから、国会の御意思であると私は了解いいたしております。  それから約五百億の概算払いの金が、一体作柄を基礎とするところの農作物についてあまりにも無謀な特例ではないかというふうなお話しでございます。これは井上委員がおっしゃいます以上に、主計当局としては関心事でございまして、一体概算払いというものが米の予約集荷について非常に奨勧的な効果を持つものであるかどうかということの審議と同時に、そうした概算払いの確実性ということにつきましても、われわれは検討いたしたわけでございます。そこでいろいろの手段を講じております。たとえば概算払いとして出ましたものが農民側の手に渡りましたとぎに、一体どういうふうにむだなことに散逸しないような措置をとるべきか、あるいは出来秋になりましたときに米の代金を支払うわけでございますけれども、そのときにどういうふうに概算払いをいたしました金と差し引くかということについてもいろいろ考えまして、たとえば米の代金を支払いますときには、概算払いの金額が回収できますまでは、一石当り、あるいは一表当りの概算払い以外の八割の分の支払いをいたさないことにいたしておりますので、作柄は影響いたしますけれども、極端な場合、予約集荷の際に、農民の方々が予想しました収穫高の八割以上も災害を受けたというふうな非常な、ほとんど収穫皆無という場合を除いては、大体回収できるようなことになるのではないか、こう考えております。
  30. 井上良二

    ○井上委員 私の聞いておりますのは、農民に対して前渡金を石当り二千円渡すということは、国の金を使うのでありますから、そういう場合は政令でやるべきではなし。法律を作ってその責任性を明らかにすべきだ。そういり措置を講ぜずに、幾らでも解釈のしようのある会計法二十二条の規定を流用して、これに基いて政令を出すというがごときは、あまりにも行政措置としては行き過ぎのやり方じゃないかということを私は聞いているのです。  それともう一つは、今あなたから、もしこれが不作に終った場合の善後措置についていろいろお話しがございました。それは当然お考えになることでありましょう。しかし実際その場合、だれがこの五百億に近い金の責任者になるのですか。前渡金の責任者はだれですか、それを明確にしてもらいたい。
  31. 清井正

    ○清井政府委員 先ほど来概算払いのことについていろいろ御質問があったのでありますが、この問題につきましては、私ども食糧庁といたしまして、米の集荷を円滑にいたしたいという観点から、今回は事前申し込みということでございまして、作柄のわかる前に申し込みをいたします関係上、申し込みをいたしたものが必ず実行に現われる、米の現物が生産されましたときに、政府の手に契約したものが集まりますようにという、この制度の実施を円滑にする建前から、ぜひ契約したときに一部のものは概算払いをいたしたいということを、私どもの方から大蔵省にお願いをいたしまして、この制度が下き上っているわけであります。そこでいろいろ無理な点もありまして、いろいろただいま御質問があり、村上課長からも御返事があったのでありますが、結局これは二割でございますので、かりに減産のひどいところでありましても、二割の米はできないことはなかろうじゃないかということで、二割ということにいたした次第もあるのであります。  そこで最終の責任者はだれかということになりますが、これは一応全部指定集荷業者を通じて受け渡すことになっていることは御承知の通りであります。従いまして、もし二割も生産がなかった、十石のうち二石も出なかったということがありました場合は、その分については、まず最初は指定集荷業者が責任を負う形になっているのであります。指定集荷業者が代理をして政府に申し込むのでありますから、指定集荷業者が生産者にかわって政府に返す。しかし究極は生産者個人になるわけであります。そこで指定集荷業者といたしましては、あるいは連帯保証を考えたり、あるいはこれは非常に危ないというときには、法律の強制じゃありませんが、預金させるようなことをいたしましたりして、万が一そういうようなことがあった場合には、政府に返すことができなくなることのないようにというような措置を講じております。そのようなことでありまして、私どもといたしましては、二千円の概算払いをすることによって、実際ただいま井上委員の御心配になったように、ものが出るかどうか疑問じゃないかという心配は、実は私どもも持っているわけであります。そこで概算払い制度において生産者が申し込んだものに対して、なお出来秋に納まるようにするために、いろいろお願いしたのでありますので、その点御了承願いたいと思います。
  32. 井上良二

    ○井上委員 予約買付制度ななもの自身が、三十年度産米の集荷の大きな政策になって、これを中心に前渡金があり、これを中心に減税措置が講ぜられ、米価が決定せられている。さような予約買付制を新しく採用することになりますならば、当然食管法を改正すべきである。食管法は食管法でちゃんと持っておって、その上に、政令でかような大きな仕事をやるところに無理があるとお考えになりませんか。将来、予約買付制を施行していきますならば、食管法は当然改正、すべきであります。さきに申しますように、米価決定においても、食管法の規定と全く違うのです。食管法の規定は、明らかに生産費を土台にせよと書いている。だから、出来秋にならなければわからない。それを、事前に米価を決定するところに問題がある。さらに、予約買付にしても、あるいは減税措置にしても、つじつまが合わぬ。予約したものだけが減税措置を受けて、予約しないものは全然受けられないというばかなことはありません。そういう予約だけを非常に大きく取り上げている以上は、当然食管法を改正しなければならぬ。食管法を改正せずに持っておるということは、予約でもしいかなかった場合には、食管法を適用して米を供出さそう、この腹が一方にあるに違いないのである。だから、予約制度を絶対に信頼し、これをあくまで推進していくという一方の旗じるしを立てる。一方においては、それで不成功に終った場合には、食管法を適用する。この二頭立てで臨もうとしているのでしょう。
  33. 清井正

    ○清井政府委員 この事前売り渡しの制度については、これは申すまでもなく、当初米穀懇談会のようなものを作りまして、斯界の学識経験者の御意見を聞いて、新たに制度を樹立いたしたのでございますが、この点は、今までの供出割当が、政府が地方長官に割り当て、地方長官が市長村長に割り当て、市町村長が個人の農家に割り当てるという、上からの割当が非常にいかぬ。いろいろな関係で行き詰まっている。そこを何とかして直す方法はないか。しかし時間的にいって、供出制度そのものを動かすことは問題があってできぬ。そこで、この問題をどう解決するかということでいろいろ苦心して、結局、上から割り当てるということを直せばいいんだということで、今回自主的な売り渡しということにいたしたのであります。しかしこれは、もちろん食糧査管理法の現在の法律を適用するという建前のもとに直すということで出発いたしたのであります。従って、御批判の点は十分わかります。結局、本法律によってやります以上は、ただいま申し上げた通り、自主的にいたすというふうに政令を書きかえることによって、何ら法律をいじらずに、この制度は実行できるという見通しがつきましたので、いたした次第でございます。
  34. 井上良二

    ○井上委員 政府は、食管法は依然としていじらないでおいて、この大きな仕事を政令だけでやろうというつもりでおりますか。これをまずお伺いしたい。  それから、いま一つ、大蔵大臣に伺いますが、先般新米価を決定いたします際、財政的にこの米価を大蔵当局が検討いたしました結果において、このままでは大蔵大臣としては、財政的につじつまが合わぬことになる。すなわち消費米価を上げないで据え置く。物価の抑制、インフレの抑制という見地から消費者米価は上げない、こういうことを本年の財政の土台にされて、その見地をとられるためには、生産着米価を大幅に上げることはできない。しかし自民両党の妥協として、自民両党が提携され合同されるのならば、これもまたやむを得ないだろう、こういううまいことを言って、この新米価をあなたはおのみになったんだが、そのおのみになったときに、このままではとても財政的に持たぬから、このままでいくとするならば、明年度から米は統制を撤廃すべきであるということをあなたは発言されているそうですが、それは事実でありますか。もし事実とすれば、明年からは米は統制を撤廃する建前に立って来年度予算は編成されますか。もう来月からぼちぼち来年度予算の編成が始まりますから、この問題は重大でございますので、この際明確なる答弁を伺いたい。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回の米価を決定いたしました場合に、自民の合同を持ち出したことはありません。これは純経済的な見地から私は考慮を払ったのでありまして、私としては、いろいろと米価についての意見もあるのでありますが、しかし米価は、各方面の意見を聞いてきめなくてはならぬことでありますから、わが財政経済全体から見て、この米価ならというので私は承諾をしたわけであります。自民の合同をやれば何でものむ、そういう大ざつはなことは、大蔵大臣決して考えておりまん。  それからもう一つは、今後の米その他の食糧についての配給というか、供出制度をどうするか、この点については、政府も食管の制度に根本的に検討を加えることになっておるのでありまして、どういう方法で検討を加えるか、まだそこまで今のところきまっておりませんが、すみやかに政府として十分検討を加えなくちゃならぬ。その結果を待って私は考えたい。今私の個人的な考えを言う段階でもありません。私の個人的の見解を申し述べてもよいのですが、それはまたいろいろと準備も要ることでありますので、さよう御了承を願いたい。
  36. 井上良二

    ○井上委員 大蔵大蔵は、先般米価決定に対して、明年度からは米の統制を撤廃しなければいかぬということをはっきり言明されている。私が今聞いているのは、来年度予算編成の中心になるわけですから、大蔵大臣としては、現行の予約集荷によって米の統制を続けていったがいいと考えられるか、それとも年々こう生産費が上って国際価格が下ってくる現情においては、米の統制をはずした方がいいと考えておるか、これを私は財政的見地るら聞いている。しかも来年度予算はすでに編成される時期に入っている。その前提においてこの問題はきめなければならぬ。そうしたいいかげんな答弁でごまかされちゃたまったもんじゃありません。もう国会は会期が延長されぬ限り、あした一日で、また臨時国会でも開かなければ、あなたの意見を聞くわけにいかぬから、この際その点を明確にしていただきたい。  それからもう一つ伺いたいのですが、さぎにも触れておりましたように、政府は予約集荷の分だけを減税にする、予約以外のものは減税しない。そうしますと、予約した方が減税になりますから、必要以上の予約をするということになりはしないか、そういう危険が起ってきます。数字だけを集めてみましても実際何もなりません。ですから、農家としては、これだけは出せるという確実な予約をする家と、いや、この際どんどん予約しておけば、それだけ減税になるからやっておこうというので、いわゆる水増し予約するものなきにしもあらずということも考えられるのです。ですから、あくまでまじめな農村の現状から考えますならば、一定量予約したものに対しては減税するとともに、さらに増収になって、予約した以上に出そうというものについても減税を考えるべきである、こう考えますが、その二つについて大臣の御答弁をお願いいたします。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 率直に言えば、できれば統制は撤廃した方がいいという考えを私自身は持っております。ただ、できればという意味は、それにはやはりいろいろな条件が要る。その条件が果して整備されておるかどうかということを十分検討しなければならぬ。そこで、今は結論を出していない、なお検討中である、かように申し上げておるわけでございまして、さように御了承を得たいのであります。  それから、もう一つの税金の点ですが、これは、今回の予約買付制度を成功させるために、いわゆる奨励の意味でやっておるのであります。従いまして、予約をされる方にこれを適用いたすというのが当然でありましょうし、その結果、みんなが予約をしてくれて、どしどし米を出してくれれば、これまたけっこうである、かように私は考えておるわけであります。
  38. 井上良二

    ○井上委員 私は、そのあなたの考え方を否定しておりやせぬのです。しかし、さきにも申します通り、実際予約以上に米がとれまして、持っておったってしょうがないから政府に出そう、それで政府に供出するものに減税をしないということは片手落ちじゃないか。だから実際は、この分は食管法によって政府はやられるのですから、食管法によってやられる分については減税せずに、政令によってやられるものについてだけ減税するというのは、本末転倒しているじゃないか、僕らはそう思うのです。だからよけい出したものはいらぬという必要はないでしょう。農家がそういうまじめな基礎の上に立つた予約をして、その後、天候その他自然条件によって増収されたものを出そうというのについて、そいつはやらぬのやという、そんな無慈悲な話はありまへん。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、先ほどからたびたび申し上げましたように、予約して下さる方に、予約奨励の意味でやっておるのでありますから、予約に応じて米を出して下さる人に適用する、これは私、それ以外にお答えしようもないように思います。さように御了承を得たいと思います。
  40. 井上良二

    ○井上委員 もう一点で終ります。こまかいことですが、さきにちょっと伺いましたが、前渡金をもし返せない状態になりました場合、たとえば昨年大阪のある地域では、二十日も水没いたしまして、全部腐ってしまって収穫皆無であった。そういう地帯がやつぱりできておる。だから、そういう地帯が、これから台風期になってきますからなきにしもあらず。そういう場合に、前渡金をもらっておっても、返すのはいろいろな形で待ってくれることになりましょうが、一体金利は払わぬでよいのですか。取ろうというのですか。その点はどうなっているのですか。
  41. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまのは非常にまれな例ですが、絶対にないとも言えないのであります。本年は幸いにして作況が今のところ非常によいのでありますが、部分的にそういう状態があるかもしれません。そういう場合におきましては、ただいまお話しのありました通り、むろん概算金の部分についてだけは無理して金を差し上げてあるのでありますから、当然お返しを、願わなければならぬので、二銭五厘の利子をつけてお返し願うことにいたしているのであります。その場合におきましては、農業手形の普通の金利でいたしておりますか、日歩二銭五厘でお返しを願うことにいたしております。しかしその場合も、災害地の特殊な事情がありますれば、政府にお返し願うものにつきまして、別途措置を講じなければならぬ場合もあると思いますが、これはなお事務的に検討しなければならぬ問題と思っております。さらにまた、そういう災害地におきましては、農業保険等の問題も起り得るのでありまして、そういう場合に、保険金の支払いがあれば、それも考えに入れるということになろうと思います。いずれにいたしましても、これは先に支払いをいたしますので、利子は二銭五厘になっておりますが、いただく場合、農家については、その事態に従っていろいろ具体的措置を考えなければならぬと思っております。今私ども考えておりますのは、保険金の問題等とにらみ合せて考えているのであります。
  42. 井上良二

    ○井上委員 それは大へんなことです。あなたは実にけしからぬことを言う。法律によらずして、行政措置で、米の集荷の必要が生じて前渡金制度なるものをあなた方の都合で作っているが、農民は要求しておりはせぬ。政府の食糧政策の必要からそうことをやっているのではないですか。農民が一生懸命米を作っても、天候という不可抗力のために災害を受けた。そのために払えないことになってしまったのに、それから利子を取るとは何ということです。農民が怠けたり下手な品を作って売れぬようになったから金が払えぬということとは違うのです。天候という自然条件によってやられることは不可抗力のことではありませんか。あなた方は、国の政策上の必要から行政措置で都合のよいことをやっておいて、一方自然の悪条件によってそれが払えぬようになったら、けしからぬやつじゃ、利子を取るなんという、そんなむちゃな話があるか。この点は、そこに大蔵大臣がすわっとるよって、大蔵大臣と相談してみなさい。銀行の方をやっておったから利子を取ることは詳しやろうけれど、そうはいかへんぜ。れは人間のカではどうにもならぬ。自然条件の結果起る災害によって払えぬことになるのでありますから、その場合は、利子を免除してやるべきです。自然条件による減収、あるいは収穫皆無の責任を農民にだけ負わすなんというむちゃな話があるかね。その場合は利子を免除し、前渡金だけは都合のよいときに返してくれ、こうやらなければいかぬ。どうです、このくらいで、暑いから、考えるということの答弁をして下さい。(笑声)
  43. 清井正

    ○清井政府委員 大へんおしかりを受けましたが、お話しの御趣旨はわかりますけれども、これはやはり政府が前もって無理して金を出しております関係もありますし、一番低い利子でありますから、この一番低い利子程度のものはいただかなければならぬ、こういう考え方にいたしておるのであります。利子の問題はやむを得ませんが、その他の点につきましては、具体的に起りました事情によって措置いたしたいと考えております。
  44. 松原喜之次

  45. 石田宥全

    石田(宥)委員 大蔵大臣にお伺いいたします。大臣は、先ほど井上委員が指摘されたように、米価の最終決定の際に、閣議において、明年度からは統制を撤廃するという了解を得たということを発表しておられる。農林大臣はそういう了解を与えておらない、こう言っておるのですが、その真相を承わりたい。
  46. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話の、閣議で統制撤廃の了解を得ておるとかという私の言葉があったということですが、これは間違いです。閣議では、食管制度について根本的に検討を加える、こういうふうになっておるわけであります。ただ私の考え方については、先ほど申し述べた通りであります。
  47. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうしますと、大蔵大臣は、先ほど個人的な意見としては統制撤廃がよろしいと考えておるということでありますから、三十一度の予算の編成方針としては、米の統制撤廃をするという態度で予算編成方針を立てて、会議に臨まれるというふうに理解してよろしいのかどうですか。
  48. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは先ほど申しましたように、統制撤廃をやり得るいろいろな条件について検討を十分加えてみようということでありまして、明年度予算を編成するまでに、そういう点について結論を出さなくてはならぬととは、私もさように考えますが、今ここで私がすぐどうなっておるということは申しかねます。
  49. 石田宥全

    石田(宥)委員 予算の編成に当りまして、大蔵大臣の委員会の答弁並びに新聞記者に対する談話等を伺っておりますと、統制しているから財政負担が大きくなる、統制を撤廃すれば財政負担は必要がなくなるというふうに考えおられるようですが、これは私は大ざな間違いであろうと考えるのでありまして、統制を撤廃したといたしますならば、これは専門家の常識でありますが、少くとも一千万石程度の手持ちか政府にあって、そして適時適当な処理をするのでなかったならば、国民の食生活上に重大な混乱を起すであろうことは明瞭なんです。そういう場合に、一千万石という米を手持ちして、てれに対する金利、倉敷その他の諸経費について計算をされたことがありまりか。あったならば、一体どの程度の財政負担でそれが、可能であると考えておられますか。
  50. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの御意見のような点がありますから、私は十分いろいろと検討を加えて参りたい、かように申しております。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 しばしば統制撤廃論をやられるのですが、こういうふうな最も重要な点に検討を加えないで、ただいまの、個人としては統制を撤廃すべきであるとこう言うのですが、それは不見識もはなはだしい。米というものは、国民全体の食糧の重大な問題であって、国民の食生活に混乱を起すような事態になったら大へんなことです。それを一番そういう肝心なところを少しも検討を加えずして、かりに個人の意見であろうとも、大蔵大臣ともあろう者が、そういう意見を表明されることは、私ははなはだ軽率であると思うのですが、所見はどうです。
  52. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、軽率に今まで統制撤廃というような形で申したことはありません。ただ、今日この委員会において、個人の意見でもいいからということでありますから、それにはしかしいろいろ条件があるので、今すぐとか、来年度ということは必ずしも申すわけではないのでありまして、できればということを言っておるのです。できればという意味は、統制を撤廃する場合には、いろいろな状況が成熟しなければならぬから、果してそういうことが成熟しておるのかどうかということを十分検討した上で、かように申すのでありまして、私は軽々に統制撤廃を言うた覚えはありません。
  53. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは新聞の切り抜きなとで議論をいたしましても、結局水かけ論になりますからやめますが、統制撤廃ということは、これは撤廃の仕方もございましょうけれども、私どもは、専門家の立場から食糧庁の諸君が御承知だと思うのでありますが、統制を撤廃いたしますならば、今の農家経済のもとにおきましては、何といいましても、もうすでに青田売りをしなければならないような状況にありますから、出来秋にはどうしても買いたたかれることを防ぐわけには参りません、どんな保護政策があっても。同時にまた金利、倉敷その他の関係から、消費者価格の値上げもまた阻止するわけにいかぬのです。こういう関係からして、私は水かけ論はいたしませんが、今後統制の問題については、大蔵大臣はもっとやはり慎重な態度で取り扱っていただきたい。  次に、私は配給と集荷の問題について伺いたいのでありますが、大蔵大臣は、政府が二千三百五十万石の集荷目標で努力をされておるし、本年度はほぼそれに見合うだけの集荷が可能であろうと予想されておるわけでありますが、二千三百五十万石の集荷をもちましては、わずかに八日間の配給しかできないのでありますが、大蔵大臣としては、この八日間の配給で足りる、あとは麦やその他によって国民の食生活をまかなう。内地米は八日間で足りるものである、こういうふうな認識を持っておられるのであるか、この点はどうですか。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、国民の食生活について、国家としてどういう配給制度をとるかということに関連するのです。どうしてもこの配給制度をとって、国民に食を供給するという制度がよろしくて、これをやるべしだというならば、これは、私はなるべく日数を多くできるだけ配給する制度がいいと思います。そういうふうなやり方がいい。問題は、しかし従来の強制供出をもってしても、なかなか最近では米が集まらずに、結果として、そういうふうな日数が減ってきたと私は考えておるのでありますが、今回の二千三百五十万石につきましても、昨年度の実際の集荷がおそらく二千二百万石程度、強制の際にはそのくらいしかなかったというような、そういうことが実績として標準になってくるのだろうと思います。ここに食糧長官がおりますから、詳しいお話しがあると思いますが、こういうふうなことは、一がいに言えないことであろうと思います。理論的のことだけでもいけないので、実際どういうふうになるか、かような見地に立っておるのです。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも大蔵大臣の考え方が、国民の食生活というものに対してきわめて不親切な態度であると思うのであります。八日間の配給をもっとふやすことがよかろうということであるならば—速記録をよく見ないとわかりませんが、そういう言葉が使われておるのでありますが、端的にいって、八日間の配給を十日間にふやす、こういうことこそ、私は全国民の要望であろうと思うのでありますが、そういう点について、非常に端的にそれを要望するということでなしに、八日を十日にすることがよかろうということならば、それでよかろうというような態度というものは、私は国民の食生活に対する考え方がきわめて不親切なものであると考えるのであります。  そこで結局増配ということは、今申しましたように、大蔵大臣がどう考えておられようとも、全国民の要望なんです。そこでこの増配をするという考えに立つか、または食管特別会計の中において、外米、準内地米等の安い米が入ってくるならば、むしろいろいろな行政措置で、内地米の集荷が目標額よりもよけいになることは、食管特別会計の赤字を大きくするだけであるから、むしろ二千万石か二千百万石程度に減る方がよろしいというような考えかひそんでおるのではないかというここが、今の言葉の中で考えられるのですが、それはどうなんですか。
  56. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、私はそういう考えを持っておりませんが、食糧庁長官がおりまして、実際そちらで操作をやられるのですから、お聞きを願つた方がいいと思います。
  57. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、結局は増配をするかしないかということ、それから集荷の成績をよくするかしないかというところの焦点は私は今のやみ米というものを正式ルートに乗せるか乗せないかということが大きな問題であろりと思うのでありますが、大蔵大臣は、この一千万石にも及ぶであろうと推定されますところのやみ米というものに対して、どうお考えになっておられますか。
  58. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、正しく言えば、やみ米が流れていることであろうと思いますが、実際やみ米があるといえば、そういうやみ米というものがないように、私は制度の上においても、実際の上においてもできればしていきたい、かように考えております。
  59. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、やみ米は一千万石というような膨大な数が想定されるということは、一体どこに原因があるのか。こういうことについて、これは大蔵大臣ではあるいは御無理であるかもしれませんが、いろいろの事情もございましょうけれども、一体おもなる理由はどういうところにあると大臣は考えておりますか。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、結局統制ということがあれば——今までの統制の実例を見ても、ひとり米に限りませんが、統制ということがあれば、自然やみというものが従来起っておる。そういうところに基本的な原因があるのではないでしょうか。
  61. 石田宥全

    石田(宥)委員 一体やみ米といっても、これは公定価格よりも低いやみ米もあるし、高いやみ米もあるのです。私が大臣に伺いたいのは、公定相場よりもむしろ安いやみ米が生産地、特に東北地方などに多量に現われておるのでありますが、これは一体どうして生まれるとお考えですか。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、具体的にそのケースについて調べないと、一がいに何とも私は言いかねることじゃないと思うのであります。総じて統制を加えるという以上、需給関係が円滑でない、言いかえれば、需要が多くて供給が少いというような場合に統制が常に行われておるのが、私は原則だと思います。そういう原理からすれば、やみというものは公定価格より高いのだろう思います。それが普通じゃないかと思います。そうしてみると、今おっしゃるようにやみがかりに安いとなれば、これはやはり特殊なその人、あるいはその土地における特殊の事情から来ておるのだろう、かように考えております。
  63. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは大蔵大臣非常な認識不足です。まことにはなはだしい認識不足です。それは、もちろん地域的にも個人的にもありましょうけれども、公定価格よりも高いところのやみ米が生ずるのが普通の現象でしょう。安いやみ値が生ずるというようなことは、従来の観念からすれば、ちょっと変ったケースなんです。問題はその公定価格というものが適正であるかないかということが根本の問題です。適正な米価であるならば、これは何も危険を冒してやみ流しをするはずはないのです。政府できめた価格が適正妥当でないときに、高いやみ米というものが生じておる。それから公定価格よりも安いやみ米が出るということは、もちろん適正米価でないということもありまするけれども、従来ずっと行われて参りましたところの、米代金の中から若干部分税金を免除するということから起っておる。従って私は、やみ米というものを、高いにしろ安いにしろ、これを駆逐して正式ルートに乗せるということが、国民食生活にとって必要欠くべからざる政府の重大な政治責任であると思うのです。であるから、今日まで免税措置がとられ、あるいは奨励の措置がとられてきておる。にもかかわらず、正式に政府に売り渡しをすれば、全面的に課税の対象にされる。ところがやみからやみに流せば、税金の対象にならないのです。農家は、特に日本の農家は、今奴隷のような苦役をやっておる。そろばん勘定を知らない農家はないのです。だから、かりに政府の方へ売る米が高くても、高くなった部分が全部税金の対象になる。そしてその所得がまた住民税や国民健康保健税の標準にされるということでは、これは安心して売れるから一番いいのだけれども、それではそろばんが合わない。だから公定相場よりも安いというやみ値段が生じてくる。そういうふうな関係がありますので、長い間ずっと免税措置というものがとられて参ったのです。ことしは供出の制度がなく大って、事前売り渡し制度ということで呼ばれておるようでありますが、予約制度になった。そして米価がいつもならば九月の下旬に決定されるものが、六月時分に決定を見た。従って、この問題がさらに農民に重大な関心を持たれておるところなんです。時間の関係もありまして、端折って参りますが、いつもならば、その年の暮れになって免税の特例という法律が毎年毎年議員提出立法でできておった。ことしは、今ここで本委員会に提案された理由は一体どういうところにあるのですか。
  64. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 多少技術的の点もございますので、私からまずお答えしておきます。税金がかかるから、やみへ流れる。これは、われわれの方のやり方から考えてみますと、実は反当りの生産を中心にして課税しておりまして、それが供出されるされないということは、実は直接関係なしに課税はやられております。従いまして、供出量が多い少いということは、実は課税の場合に直接査定の中心にはなっておりませんで、何反歩作り、上田か下田かといったことが中心になって課税をされておりますが、農民の方は、あるいはその間の事情を十分御了承ないために、供出をたくさんしたら、税金が高くなりはせぬか、こういう気持が働きはせぬか、それは、私もある程度想像できますが、しかし実際の課税のやり方は、生産を中心としてその課税をしておりますから、供出の多い少いということで、直接にそこの課税の所得額の見積りが変るというような実情ではないことを御了承いただきたいと思います。それから従来は議員立法でもって一応超過供出米、早場供出米、そういうものの奨励金だけを免除する立法がなされまして、そうして国会を通過していたことはお話しの通りであります。今度は一応予約集荷という方式を取り入れることになりました。従いまして、この予約集荷をいかにしてうまく成功させていくかということについては、農林省当局としても非常に苦心されているところでありまして、われわれとしましても、できるだけこれに協力すべきである。そういう意味からいたしますと、今度の減税措置も、予約集荷ということを中心にしまして、それにうまく役立つ意味において減税措置を講じていきたい。そのためには、やはり今予約を募集する時期においてどういうふうな減税措置になるかということをはっきりさせることが一番いいんじゃないか、かように考えまして、税の本来の建前からいいますと、こういった関係で減税することがいいか悪いか、いろいろ議論のあるところでございますが、とにかくお話しのように、食糧の集荷ということは大きな問題でございますので、われわれもその意味において一応特殊な例を作るわけでございますが、予約集荷を促進するという目的からしますと、今やらなければ時機を失するというような事態もございまして、これが国会の会期によってはあるいはちょっとできかねるかもしれませんが、幸い国会開会の最中でございますの、で、この機会に御提案申し上げた次第でございます。
  65. 石田宥全

    石田(宥)委員 主税局長の話しの中で、税金の取り方について、反収または石当り所得という点でいくから供出とは関係ないというお話しでありました。これは後に少し突っ込んで御質問を申し上げますが、三十年度産米についての免税が総額石平均で一千四百円と決定された理由と、その内訳の計算の基礎を聞いておきたい。
  66. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 一応税の方からいいますと、この意味においての減税は、できるだけわれわれは効果を上げてほしいと思いますが、できるだけ少くて済めば少くて済むべきものだというふうに思うております。それで、一応どういう計算の上にこの数字が出てきたかという御質問でございますが、これは農林当局の方とわれわれの方で交渉して、一つの結論としては出たわけでありますが、しいて算出の机拠を申し上げますならば、一応早場米奨励金、それから超過供出奨励金、これを免除した議員立法が出ておりましたが、これによります一応の免税所得額を平均しますと、五百四十円、これは一応一部しか免除しておりません。これは今度奨励金の形をとりませんで、基本米価がそれだけ高くなるという形をとりますので、その点を加味しますと、それが約八百円くらいの数字になります。その八百円程度の奨励は従来やっていたところでありまして、これが一応基礎の数字になるわけでございますが、さらに今度予約買付の場合は、百円のプラス・アルフアをつけるといったこともございます。それから当初いろいろ議論されておりましたプラス・アルフアの二百円が百円に減ったという関係もございますので、それぞれ彼此勘案しまして出た数字が千四百円、こういう数字がございます。
  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 主税局長ともあろう者が、こんなあいまいずさんな計算の基礎はないじゃないですか。過去における奨励金の免税の額というものが、何年間の総平均が幾らであるとか、あるいはその予約奨励金としての百円を計算して五百円ないし五百四十円になっているとか、そういう基礎があったはずじゃないのですか。そんなあっちもこっちもにらみ合せて、手づかみで計算したという、そういう不見識なものじゃないでしょう。もう少しこれは具体的に数字を発表して下さい。
  68. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 これは、別にそういうふうに理論的にきちっと積み上げてきまったというふうにも私は思いません。どの程度の免除をしたら、一番最小の減収で同時に効果が上るか、その点をねらったわけであります。そうきまった場合におきます議論の基礎としては、先ほど申し上げたように、昨年における奨励金を免除していったやつを平均しますと、一石五百四十円という数字になる。で今度その奨励金の数字が基本米価に入りましたから、それを一応換算し直してみますと、その関係でもってその五百四十円に当るものが大体八百円の数字になる。それと先ほど言ったように百円の新しい奨励金がつく、予約格差二百円にしたらという議論が百円になった。従って百円分を税金の方に何とか考えてくれという問題が出まして、これは税金の方は、御承知のように供出農家の中できわめて少部分の人にしか関係ございません。三百万の供出農家で税金と直接、関係があるのはせいぜい八十万、減税後において課税になるのは六十万、こういうような調子でございますので、従って百円分がそのまま税金でカバーできるとは言いかねると思います。しかしそ、れを考慮しますと、課税農家においては、大体百円分が五百円くらいの所得を免除すればそれに当る、こういったような数字も出ますので、従って八百円、百円、五百円、こういったような数字が積み重なりまして、一応千四百円という数字が出たわけであります。
  69. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういうこまかな議論をしていると、ほかの委員に御迷惑だと思いますから、大臣に伺いますが、石当り千四百円の免税の措置をとるという趣旨ですね。今主税局長が言われるように、これは全供出農家に均霑するものでないのです。ほんの農村の中の一部分の人たちに恩恵を与えるものなのですが、どういうわけで千四百円を免税をするということを特に本年は政府提案でお出しになったのですか、お伺いします。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、基本的には、先ほども申しましたように、予約買付制度によって米の買い入れが順調にいくように、ただいまの話しで農家の数はなるほど少いのでありますが、しかし集荷される米の数量からいけば、おそらく七割くらいの数量には及ぶだろう、かように考えておるので、これが集荷する上において売り渡しによほど奨励になる、かように考えるのであります。
  71. 石田宥全

    石田(宥)委員 まだはなはだ不徹底であり、不明瞭でありますけれども、とにかく予約奨励の措置としてとられたということだけは明らかであります。そこで最後に、この点は集荷を円滑ならしめ、国民食生活の改善向上のために、内地米の配合日数をふやすという観点に立って、この免税の税額が全農家でなくて、一部富農層を均霑せしめるがごとき性質のものではあるけれども、今申しましたような大局的な見地から、本委員会においてもさらに討議が行われるであろうと思いますので、大臣も一応お考え願いたい。  時間の関係がありますから、主税局長に簡単に二、三点伺っておきたいのですが、先ほど供出の数量いかんにかかわらず、それは反当所得、または石当り所得というようなことで一つの標準が定まって、その標準に基いて課税をされることになるから、必ずしも供出の数量によるものではない。こういう答弁がありましたね。そこで、そういうことでありまするならば、私もけっこうだと思うのです。ところが実情を局長は御承知あるのかないのか、はなはだ疑わしいのでありますが、二十九年度農業所得税は、御承知の通り米作単作地帯においては四倍から五倍ぐらいにはね上ったのです。これが大問題になりまして、本会議でもあるいは予算委員会でも、農林水産委員会等においても、これは問題になったのです。問題は、反当所得または石当り所得というものの標準のきめ方なんです。国税庁長官は、この標準をきめるのには、税務署の署長と市町村長、または農業協同組合長と協議の上で標準をきめたのだ、こう言った。ところが私どもの知っておる限りにおいて、少くとも新潟県には一カ町村もそんな手続によってきめた所はないのです。ことごとく税務署が一方的に、天下り的にお示し数字で押しつけた。それがために紛争を生じまして、今なお二万二千戸に及ぶ二十九年度農業所得についての紛争が起っておるのですが、御承知ですか。
  72. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 その税務署の執行に当りましては、直接国税庁長官が責任者としてやっておりますので、私も新潟県にいろいろそういうような問題があったということは聞いておりますが、そうした個々の具体的なケースがどんなふうになっておるかということについては、国税庁の方からまだ報告を受けておりません。
  73. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点は、主税局長認識不足のようでありますから、私は今ここでこの問題を掘り下げようとは思いませんが、今のお考えのようなものではないということです。今申しましたように、国税庁長官は、町村長、それから協同組合長と税務署長との間で協議をして、反収とか石当りの所得という標準をきめる、こう言ったのだが、事実はそれはとらないということが一つ。それからその所得というものの算定の基礎を一体どこに置くか。農林統計を中心にしてやるのかというと、そうではないと言う。それじゃ農業パリティを中心に考えるのかというと、そうでもないと言う。それでは何できめるのかというと、税務署の実額調査だと言う。ところが実額調査というものになると、農家経済は局長御承知だと思いますが、これは階層別の調査というものは非常に重要なんです。一例を言うならば、この貧農層の小農経営をやっておる農家の石当りの生産費は、二万円ないしそれ以上の生産費がかかっておる。ところが理想的な大規模経営をやっておるところでは、七千円か八千円、で生産されておる。しかも七千円か八千円で生産された米が、今度はよほど是正されますけれども、今まででありますと高く売れるのです。そうして石当り二万円もの生産費のかかった米は、これを安く売らなければならないのです。従って、この階層別調査をやらないと農家経済の実態というものは把握しがたい。それを現在全国的にやっておる実情を見ると、実額調査というものは、きわめて富裕な、いわゆる標準農家といわれるような階層だけを調べて、そこから標準をはじき出して、それですべてに押しつけておる。だから天下り的な押しつけ的なものになって、そこに紛争の原因が生まれておるのですよ。だから、その場合に非常にむずかしい問題が起ったときに、供出をしておけば、その数量が正確に把握されるでしょう。ところがやみ流しをやっておれば、これは必ずしも税の対象にはならないという問題が起るじゃないですか。それはどうですか。
  74. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 今のこまかいやり方につきましては、私一応の資料は持っておりますが、しかし非常に具体的な問題でございますから、これはむしろ国税庁長官の方からお答え願った方がいいと思います。ただ私が申し上げられる限りにおきましても、所得の計算における必要経費というのは、御承知のように生産費というものとはだいぶ性格が違っております。たとえば同じ部落でありましても、人を雇って労賃を払えば必要経費に入りますが、御自分が働いて作る、これは、当然米の生産費計算の場合には、自家労力というものは生産費の中に入れられるべきでありますが、それはだいぶ違っておる。従って、そこに、生産費の違いというものと、それから必要経費の差異というものと、よた違った観点のものが出てくるのじゃないかと思っております。私の承知しておる限りにおきましては、今言いましたように、今のあなたのお話しの御議論は、一面においては必要経費の御議論。しかし、そのもとの収入というものとどう違うものか、これがまた一つあるわけでありまして、この収入につきましては、私の承知しておる限りでは、結局反当収量とか、そういうものをもとにしまして計算して参りますから、従って、それが自家用として消費されるとか、配給に向けられるとか、あるいはやみに流されるとかいうことは、これは直接の資料になっていないように私は承知しておるということを申し上げたわけであります。
  75. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいまの問題は、国税庁長官の担任の事務のようでありまするから、そちらへ譲りまして、この程度で、一つ時間の関係もありますので、やめておきます。
  76. 松原喜之次

    松原委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  77. 松原喜之次

    松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案金融機関の資金避用の調整のための臨時措置に関する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案の五法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。小山長規君。
  78. 小山長規

    ○小山(長)委員 金融機関資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案につきまして、大蔵大臣に最初にお伺いいたしたいことは、この法律案の提案に至りますまでの自由党と民主党との交渉については御承知のはずでありますが、どうしてこんなに提案がおくれたのでありますか。会期末になって、委員会は御承知のように非常に法律案が輻湊いたしております。非常に早くからかかっている法律案をやっと今審議しているような状況でありますので、会期末一週間やそこらでお出しになったのでは、とうてい審議は間に合わない、こういう状況であることは大蔵大臣たる者は御承知のはずであります。それが非常におそく提出されまして、その結果、法案の輻湊しておる大蔵委員会においては審議がおくれて、きょうやっと初めて質問しなければならぬ、こういう状況でありまして、今日この法律案が果してこの大蔵委員会を通るかどうかわかりませんが、かりに通ったといたしましても、参議院における審議の日にちが短かいということで、あるいはこの法律案が日の目を見ないことになるかもしれません。そういうことを予想しておられるはずでありますから、どうしてこれを早くお出しにならなかったか。この法律案がかりに期日の関係で参議院を通らぬということになれば、これは大いなる政府の責任であり、民主党の責任であると私は思っておるのであります。その点について、大蔵大臣の責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。
  79. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この臨時措置に関する法律案の提出がおくれたことにつきましては、私も遺憾に思いまするが、この法律案は、やはり相当画期的なものであるのであります。各方面においての意見も十分聴取する必要がありますし、またそれらの意見を聴取いたしまして、私はなるべく無理がないようにしていきたいという意味で、事務当局にいろいろと折衝はさせておったのでありますが、おくれて提出された次第であります。何にも他意のあるものではありません。あしからず御了承願います。
  80. 小山長規

    ○小山(長)委員 この法律案が衆議院を通過しましたあとにおいて、参議院における審議の時間がないというようなことで、法律としてこれか実行できないということになりますると、自由党、民主党という問題もありまするし、政府の責任という問題もあります。この点は大蔵大臣としてお考えになって、御善処あらんことを希望いたしておきます。  次に、法律案の内容に入る前に、この法律案をニカ年の時限立法にされたのはどういう趣旨でありましょうか、お尋ねいたしたいと思います。
  81. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは今私の考えでは、大体御承知のように、この法律の主要目的、金融機関の資金の運用を調整して緊要な長期産業資金の調達を円滑にする必要があるという趣旨から見まして、まずニカ年これを実行して、そうしてまたそのときの情勢をよく考えてみよう、こういう考え方であるのであります。
  82. 小山長規

    ○小山(長)委員 それではニカ年間一まずやっておいて、そうしてニカ年後の情勢によってまたさらにお考えになろう、こういう御趣旨であるということを確認してよろしゅうございますな。
  83. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体先ほど私が答弁した通りでありますが、いろいろとほかのこと、たとえば預貯金の増強について特別な措置をとっておる。銀行等の預貯金の利子に対して免税の措置をとる、これも一応二カ年、こういうことがありますので、またこの免税措置をはずしたときにおける金融界の情勢等いろいろございましょうが、一応この辺で検討を加えよう、こういう考えであります。
  84. 小山長規

    ○小山(長)委員 そういたしますと、この法律案の意図することの中に、金融機関に対する預貯金を免税したそれに対する一応対応の法律案であるという趣旨が入っておるということは、大臣お認めになるわけですね。
  85. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 預貯金の利息を免税にするから、当然こういうふうな措置をとるというのとは違いまして、この法案の趣旨は、もう少し根本的な点があると私は思いますが、関連はあると思います。
  86. 小山長規

    ○小山(長)委員 関連があれはけっこうであります。それで、その根本的な点があるとおっしゃるのは、どういう点ですか。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、終戦以来大体において任意的な貯蓄の増強が困難な情勢で、ずっと税金をとりまして、言いかえれば財政の投融資という形の産業資金が相当巨額に上っておりました。それが財政面からする産業投融資、特に一般会計からする投融資やめて、これを民間資金に切りかえよう、こういう基本線がある、そこを私は指しておるわけであります。
  88. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは、財界等においていろいろ批判がありますけれども、大蔵大臣は、産業資金等を政府の財政、いわゆる税金の形でまかなっていくことはもうその時期でない、従って民間の蓄積資金を利用すべき段階に来たんだという根本的理念のもとにおいてこれをお出しになったわけですね。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体そういうふうな私考えであります。
  90. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは二、三関連してお伺いいたしますが、新聞で見ますと、資金調整法案をお出しになるに当って、金融制度懇談会が開かれて、その席上においていろいろ非難があったようであります。私どもから考えると、実に当らない非難であると思うのでありますが、これについて、大蔵大臣の見解を一つ一つお伺いしておきたいのであります。  金融制度懇談会の席上における反対の第一は、この法律が施行されると、財政を放漫にする危険が濃い、この法案が提案されたいきさつを考えても、この法案で財政が放漫となり、安易な公債政策に流れる素地を作る危険性がある、これが第一の反対理由であると書いてあります。しかしながら、ここに提案されております法律案の企図するところの対象になるところの債券、特にここで財政が放漫になるといわれるものは公債であろうと思うのでありますが、この公債は、この法律において産業投資のための公債ということに限定されておる、従ってこのことから直ちに赤字公債の発行という論拠は出てこないはずであります。この金融制度懇談会の人たちは、こういうことを言っておるが、これに対する大臣の御所見を伺っておきたいのであります。
  91. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 財界の人がさようにいろいろ申しております。これは従来の経験からしまして、そういうふうな心配を持つ、これもなるべく健全な、インフレにならないようにと考えている気持はわかります。しかしながら、それでこれに反対するということは、今お話しのように、長期の産業資金を確保することを目的といたしておるのでありますから、私その考えは少し先走っておるような感じをいたしております。
  92. 小山長規

    ○小山(長)委員 この赤字公債を発行するかしないか、あるいはそのために従ってインフレになるかどうかということは、時の政府の財政方針によるものでありまして、時の政府がインフレの政策をとり、あるいは赤字公債を発行しようという方針をとりましたならば、この法律がなくてもできるのであります。またこの法律があるがゆえに、赤字公債を出さなければならぬという根拠は一つもないのでありまして、この点については、銀行局長あたりは、よほど金融界その他を御指導にならなければいかぬ。この法律が出たから赤字公債を発行される、あるいはインフレになるというようなことを盛んに金融界その他が言っておるにかかわらず、あなたの方は一つもそれに対する弁明なり、あるいは説明もされておらぬ。こういうことでは、せっかく国会が考えている法律の趣旨というものを明らかにすることはできないので、私はこの席をかりて、大臣の答弁を通じて、そのことを明らかにしようとしておるのでありますが、銀行局長は、その席において、こういうふうなでたらめな議論が出てくるならば、あらゆる機会をとらえて、そういうことはないということを説明されなければならぬ、かように思うのであります。御所見を承わります。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説のように、一つできるだけよく話をいたすことにいたします。
  94. 小山長規

    ○小山(長)委員 第二に、この金融制度懇談会の人たちは、こういうことを言っております。反対の理由は、この法律が出てくると産業資金を圧迫するそうであります。その産業資金を圧迫するということはどういうことかというと、この法案の目的として、緊要な産業資金の調達を円滑にすることを掲げているが、実際面では、産業資金を圧迫する結果となることが予想される、特に中小企業金融を圧迫する危険が多い、こう書いてあることも、またこの法律案に対するはなはだしい誤解であります。大体この法律を出そうという趣旨は、先ほど大蔵大臣も御答弁になりましたように、預貯金の利子の免税という処置をとった、その預貯金利子の免税ということは、今までは郵便貯金にもあったのであります。郵便貯金にはこれがあったが、一般の預貯金にはそれがなかった。そこでこの預貯金利子の免税の措置ができてきますと、郵便貯金に預けるよりも銀行預金に預ける方がいいという人が多くなる。現に郵便貯金は減っている。郵便貯金が減った結果は、大蔵省の資金運用部で運用されるところの資金が足りなくなって参ります。それが足りなくなってくれば、せっかく政府が財政投融資等によって一定の計画を立てて産業資金を供給しようとしても、それができない。資金源が減ってき、あるいは景気が鈍るためにそれができない。そこで、そういうものを民間資金において補うということが、この法律案の趣旨でなければならぬはずだと思うのであります。でありますから、産業資金を圧迫するどころか、むしろ産業資金を豊富ならしめ、また中小企業に対する資金のごときは、あるいはこの資金を動員することによりまして、政府はこれを中小企業金融公庫の資金に流すとか、あるいは国民金融公庫の資金に流すとか、農林漁業金融公庫の資金に流すとかいう方法がとり得るはずでありますので、この法律案において、産業資金があるいは枯渇し、あるいは産業資金が圧迫を受けるということは、はなはだしい誤解であると思うのでありますが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  95. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この法案ができて産業資金が圧迫されては、これはもうたまったものではないのであります。むしろここに書いてあるように、長期の産業資金を確保しよう。大体この資金は、すべての資金には及んでいない、長期の、しかも緊要な産業資金を確保しようということであるから、そういう点は別に一つも心配することはないと思います。
  96. 小山長規

    ○小山(長)委員 全部御賛成をいただいてどうも何ですが、もう一点、この法律案のねらいの中で一番重要だと思う点は、民間の今まで短期の資金として流通しておったところの貸金が長期化される、ここにあると私は思うのであります。つまり普通ならば社債という形で貸付をしないで、いわゆる短期の貸付の形をとろうとしておった民間資金が、この法律案によってあるいは社債化される、ここに資金の質的の変化が起ってくるという点で、この法律案は非常に重要な使命を持っておるものだと思うのであります。あらゆる産業界、あるいは金融界の人々は、口を開けば、われわれは緊要な産業に投資をしておる、何もこういう法律を必要としないと言われておりまするが、民間の今までの資金の大部分は、おそらく八割くらいまでは短期の貸付である。九十日あるいは六十日の手形で貸し付けるところの資金でありまして、その投資先は、確かに重要産業であるかもしれない、あるいは中小企業であるかもしれませんけれども、その貸付の期限は非常に短かいのであって、借りている側からいえば、非常に不安な金であります。ところがこの法律の施行によって、あるいは事業債を保有することを命じ、あるいは社債を保有することを命じ、あるいは金融債を保有することを命ずることができますならば、時の政府は、政治的にあるいは産業的に、自分たちが最も大事だと思う方面に、蓄積された民間資金を使用することができる。こういう面で、私は政府にしってもよろしいし、一般産業界においても非常に便利な法律だと思うのであります。この点についての大臣の御所見を伺っておきたい。
  97. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点についても私は異論がないので、同じ考えであります。ただ問題は、これはこの機会に明らかにしておきますが、そういうこの法案の内容については、いささかも私は異論がないと思う。これは正しい方向をとっている。ただ法律とか行政措置でやることについて、先生方というと悪いが、民間の人は、特に金融という性格からいたしまして、たとえば命令融資とか、いろいろな苦い経験を持っておりますものですから、私はそこの点にあるのだと思う。その点さえ十分考慮を加えてやれば、私は、この法案自体についての異論はそれほどないだろう、かように考えております。
  98. 小山長規

    ○小山委員 私もそれを申し上げたかったのであります。この法律案には、明らかにこのような命令、あるいは融資命令を出すか出さないかということは、時の大蔵大臣が審議会に諮問して決定する事項になっている。だから時の大蔵大臣が不信用であれば、確かに財界の言う通りになるに違いない。ところが令名高いこの一萬田大蔵大臣、あなたがおられるときに、産業界金融界がとやかく言うのは、私はおかしいと思う。こういういい法律なのでありますから、こういういいものをなぜ今までやらないか、ここが私は言いたかったのであります。従ってこれをすみやかに審議し、そうしてこれが早く通過をして、法律としてこれが施行されることをわれわれは裏心から願っておるわけなのであります。これをもちまして私の質問を終ります。
  99. 松原喜之次

    松原委員長 石野委員より関連質疑の要求がありますので、これを許します。石野久男君。
  100. 石野久男

    ○石野委員 関連して質問します。  今小山委員の質問に対して、蔵相から、すべてその通りその通りというお答えがありました。しかし実際は、民間でこの問題について論議が出ているようなことが、この法案ができたら必ず具体的な問題として、障害となって出てくるだろうと思う。そこで私は蔵相にお聞きしておきたいのですが、この法案ができたときに、この時限立法としての法律に基いて、長期の資金調達が大体どのくらいこの年度にできる見通しがあるかということが一応聞いておきたい。そしてまた、その資金は中小企業にどの程度に入り込むようになる見通しを持ってこの法案を出されているかということが第二点。それから第三番目には、答弁は幾らでもりっぱな答弁はできる。しかし具体的にこの法律ができたときに、一般に民間が、あるいはこれに反対するものが心配しているように、このために中小企業がどのくらい圧迫を受けるかということが問題になってくるわけであります。そこで私は、この十一条に規定されている審議会の構成が非常に大事になってくる。この十一条の審議会の委員は四つの何からできるのだが、それはほとんど大蔵大臣が内閣の承認を得てきめることになっている。そこで第一の日本銀行の総裁はきまっているから問題はない。次の金融に深い知識経験を持っている者、産業に深い知識経験を持っている者、おのおの三人、この三名について、まず金融関係ではどういうところからこの三名を選び出してこようとしているのか、また産業に関し深い知識と経験を有する者というのは、大体どういうものを予想に置いているのか。これは大蔵大臣が内閣の承認を得て任命するのだから、大蔵大臣としては大体の構想があろうと思うので、この点をはっきり聞かしてもらいたい。これに対する答弁によっては、私たちが心配していることが具体的に出てくると思うので、明確に一つ御答弁を願いたい。以上関連して質問いたします。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 どのくらいに長期資金がなるかということについては、数字的にわたりますので、銀行局長からあとで答弁いたします。  この審議会の委員の組織に関することですが、第二の金融に関し深い知識と経験を有する者三名、これは、大体従来の慣行にも基きまして、都市銀行、地方銀行、それから生命保険、こういうところを一応考えております。産業に関し深い知識と経験を有する者、これは一般産業について、どの産業ということはまだ考えておりませんが、なるべく産業全体に知識を持っている、こういうような方を選ぼうかと考えております。その他学識経験のある者、これは金融や産業に直接関係していないが、そういう面に深い学識経験を持っている者、こういうふうに者えております。今具体的にどういう人ということまではむろん考えているわけでありません。
  102. 河野通一

    河野(通)政府委員 お尋ねの数字の点を申し上げます。大体この法案の対象にいたしておりますものは、御案内のように有価証券の形をなすものであります。しかも株式等でなしに債券の形をなすものであります。それが本年度大体どの程度発行されるかということをまず申し上げますと、予定でありますからはっきりしたことは申し上げられませんが、まず公社債、国鉄及び電電の債券でありますが、これが市中によって消化されることを期存されておりますものが百九十四億であります。それから金融債、事業債、社債でこれが市中において消化されることを期待されておりますものが三百四十億程度であります。このうちには割引債を含んでおりません。利付の債券だけであります。それから事業債、社債でありますが、これが大体金融機関によって消化されることを期待されると思われるものは—社債のすべてが金融機関によって消化されておりませんので、大体昨年あたりの例から申しますと、六〇%から七〇%程度が金融機関によって消化されておりますが、この点を考慮いたしますと、大体百四十億から百五十億程度が、金融機関の消化に期待される事業債ではないかと思います。その次に地方債で、この対象になり得ると思われるものがございます。これをどの程度頭に置いて考えるかという点でありますが、公営企業の地方債で債券の形になりますものが、大体七十億から八十億程度でないかというふうに見込んでおります。大体それらのものを合計いたしましたものが、金融機関の消化に期待される、私どもの対象といたしておりますものの、本年度内の総額というふうにお聞き取りを願いたいと思うのであります。
  103. 石野久男

    ○石野委員 たいだま銀行局長からのお話しによると、大体その債券としてこれで消化されるであろうと思われるものが、約八百七十億から九百億になると思うのです。これだけのものが長期資金として、いろいろとこの法案によって処理されるということになりました場合に、今日の日本の国民経済の実情から中小企業に対する圧迫は来ないだろうかどうだろうか、これは非常に疑問に思うところでありますが、それに関しては、大蔵大臣はどういうように考えておられるか。これらの長期資金化された資金に見合う中小企業への方途というものを、どういうふうに持っていかれるかという点について、一応のお考えを示していただきたい。
  104. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは、この法律ができたら、特にこういうふうな緊要な産業の長期資金がふえていくというわけではないのでありまして、こういう資金を確保するのは、従来とてもこういう資金はだいぶ出ておりました。この法律ができたら、中小企業が特に圧迫を受けるという心配はないと思います。そして本年度の銀行等の預貯金の目標は、大体八千億になっておりますが、これは、あるいは今後の経済情勢の推移にも待たなくては、若干の増減があると思いますが、しかしそのうちの約一割に相当するというようなところであります。特にそれが中小企業を圧迫することはない。むしろ私は、資金というものは、それぞれ長期は長期、短期は短期というように流れを正しくすることによって、かえって中小企業等も金融の道ができる、こういうように考えておるわけでありまして、この法律によって中小企業の金融を阻害するようなことはいたさないつもりでおります。
  105. 石野久男

    ○石野委員 これは見解の相違だと思うけれども、今のような大蔵大臣の考え方は、私は承服できない。しかしこれは討論になりますから、一応別にしておきますが、とにかこれだけ大きな金が長期化されるものとして一応集められ、それが企業に分散する。しかもその企業は、おそらくここでいう長期資金ということになると、中小企業と分類されるものは一応対象外になるであろうと思う。従ってそれだけ圧迫されると思う。従って先ほど小山委員からの、これは巷間伝えられる反対意見だがということについての具体的な実際の心配がそこに出てくると思うのです。私はそういうような意味でも、もっと明確に、そうではないのだという、抽象論でない答弁がもらえないと、これは安心できないものだと思います。これは答弁してもらわなくてもどうでもいいんだけれども、とにかくそういうものが具体的に出てくるだろうということを申し上げておきます。
  106. 松原喜之次

  107. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、まずこうした重要な法律案が会期末に出されたということは、私はさっき小山さんがおっしゃたのと違った意味で、非常に遺憾に思うわけでございます。小山さんは、いかにももしこれが通らないと困るという趣旨で、おそく出たことがいかぬ、こういう御質問でございましたが、私はこういう重要な法律案——大蔵委員会の法律案としては、今回が最も重夢な法律案だと私は考えますが、それを審議をろくにしないで通過させなければならないような、そういうおそくお出しになったということを非常に遺憾に存じます。  ところでただいま小山さんの質問に対して、大蔵大臣は、各方面の意見を聞いたので、それに手間取った、こういうお話しでございますが、新聞に伝えられるところによりますと、各方面の意見はほとんど反対であります。これに賛成した論というものは、新聞にはほとんど出ておりません。大蔵大臣がお作りになっていらっしゃる金融制度懇談会も全員が反対しているのであります。また日本銀行総裁、あるいは全国の銀行協会の会長、あるいは経団連、あるいは経済同友会、こぞって反対しておる。各方面の意見を聞いてお作りになったというが、これらの有力な反対意見以上の賛成意見がどの方面から出されたか、それをまず明らかにしていただきたいのでございます。
  108. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御承知のように、この法案についてはいろいろと意見がありましたから、その意見の調整にひまをとって——みながすく賛成してくれるんだったら、早く実は出せたのでありますが、どちらかというと、日本の経済自体が一つの転機にある、こういうふうな事態に対応する法案であるもんですから、自然ものの見方によって見解の相違は私はあると思う。しかしこれをいろいろとやっている間に、私の考えでは、そうこの法案自体については反対しておるようではないようでございます。ただ行政措置、あるいは法律という形でやらなくとも、自分たちはやれるんだ、あるいはまたやっているんだ、こういう見解が強かった結果、そういうところで落ちついた。そこでよかろうというので、私は法案を提出いたしておるわけであります。
  109. 石村英雄

    石村委員 各方面の意見の調整をはかったということですが、金融制度懇談会は、新聞では、全員反対の具申をした、こういうことになっておる。それはあとで取り消しているんですか、あるいは大蔵大臣の説得を聞いて、なるほどこの法律案がいいというので納得したんでございますか。また経団連や何か、われわれの方とは日ごろ縁故のないところが、反対意見を御親切に送ってきていらっしゃるんですが、それらの中には、あれは取り下げたという文書は一通も来ていない。調整をはかられたということになると、これらは引っ込めた、こう考えなければならぬが、そういう調整が実際できたんですか。
  110. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう意味ではないのであります。これは見解の相違はあるが、大体ものを考える場合、どういうふうに客観的な情勢をとるかということは、こういうふうな法案を出すものが考えなければならぬと思う。むろん金融初度懇談会で、これは非公式でありまして、お集まり願った方々の御意見は一応聞いたわけですが、一番ポイントは、やはり行政措置と同じようなことを自分たち自身でやれるということは、みなそう言っている。これは新聞の記事をごらんになってもそういうふうになっておる。ただこれを法律でやる、行政措置でやる、そこのところは必ずしもそう強く考えなくとも、実際そういうふうに行われていくということならよろしい。またいつどうするかということは、この法律でも大蔵大臣の認定にまかしている、こういうふうになっておるわけです。
  111. 石村英雄

    石村委員 もちろんだれが反対しようと、政府としてこれはやるべきであるとお考えになれば、お出しになるだろうと思う。そんなことを私は聞いておるんではないんです。また今反対論は、自分たちが自主的にやるんだ、こう言っておるんですが、われわれのところに来ている文書は、決して単にそれのみではございません。これを今一一読み上げて、これはどうだなんということは申しませんが、どうも大蔵大臣は答弁をごまかしていらっしゃるとしか考えられませんが、何もごまかす必要はないのであります。はっきりと、自分としてこの法律は出す必要があるから出した、こう正面に御答弁になればいいと思う。  そこでこの法律案についてお尋ねいたしますが、予算の修正のとき、予算委員会で私が質問いたしましたときに、大蔵大臣は、財政の方は税金でやっていくんだ、従って財政からインフレが起るということはない、問題は金融のことだけ考えれば、それでいいんだ、こういう御答弁なんですが、この法律案に国債をお入れになったということは、財政は税金で全部やるということとどういう関係がありますか。やはりこれは、国債を入れることによって、財政面におけるインフレ要因が現われてくる、それをこの法律案は含んでおると言わざるを得ないのじゃないかと思います。当時の予算委員会での大蔵大臣の答弁から考えますと、この法律案に国債をお入れになったということは、合点がいかない。しかもこの委員会で、大蔵大臣ではございませんが、藤枝政務次官は、このように御答弁になっている。私がこの法律案の中に金融債を入れ、あるいは国鉄や電電公社なんかの公社債を入れる、そうして一般的な国債もお入れになるかどうか、こういう腹案をお尋ねいたしました。それに対して、国鉄や電電公社の公社債は入れる考えだが、これは自由党との関係があるから、相談してみなければわからない。公債については、今入れるということは考えていない、こういう御答弁だったのです。入れるということを考えていないというのは、公債は発行しないという意味で入れるということをお考えにならないのか、あるいは発行してもこの中には入れないというお考えであるのかどうかということを確かめたところが、藤枝さんは、ただいまのところ公債政策はとらないという方針を堅持しておる、しかしそれとともに、今度の資金委員会の経過は、御承知の通り金融機関に集まりました資金は、特に産業の開発に向けたいということが中心になっておりますので、そういう面からいたしまして、現在のところ公債発行についてまでこの、委員会で云々することは考えていない、こういう御答弁だったのです。これは腹案だったんだから、今は意見が変ったんだといえばそれまでだと思いますが、しかしこういう重大な変更が行われた理由、これははっきりお示し願いたいと思います。
  112. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 国債の点につきましては、率直に申しまして、最後まで検討を加えておったわけであります。従いまして、政務次官が今お読みになったような答弁をいたしたことも、私は当然であろうと思うのです。結局いよいよ法案を最後に決定いたします場合に、各方面の意見を調整いたしまして、これを挿入することにいたしたわけであります。  なおインフレの点について、金融面からのインフレというようなことはないという私の所信に対しまして、国債というものを入れることによって若干の疑いがあるかのような御意見も拝聴いたしたのでありますが、私は、少くともこの法案において、国債という字が入っておるからインフレになるというふうには考えておりません。これはあくまで長期の資金を、しかも緊要な産業に振り向ける範囲内における資金の調達方法において、いろいろな形が出てくるというふうに御理解を願いたいのでありまして、これは財政の赤字を補てんするという意味において公債を発行するのとは、全く意味が違うということだけは申し上げておきます。
  113. 石村英雄

    石村委員 赤字公債そのものは財政法で禁止されております。これを出されるとは私も考えておりません。財政法の改正案が出ない以上、直接はっきりした赤字公債をお出しになるなんというようなことは申し上げませんが、公債発行というところがインフレになる傾向をはらんでおるということは、大蔵大臣として過去の歴史から考えて御承知のことと思います。もちろん純然たる赤字公債と、そうした公債とは違うという、程度の相違ということはありましょう。だからこそ大蔵大臣は、財政は租税でやっていくんだ、だから財政面のインフレという問題はないんだ、こういう予算委員会での答弁ですが、もし今そういうことをおっしゃるならば、なぜ財政は租税と公債でやっていくんだ、それでもインフレは起らないとおっしゃらないか。財政は租税に限る、だからインフレは財政面においてはない、こう言われた。それが今度これを入れられたということは、公債政策ということを、程度の差はありましょうが、少くとも予想されているということは言わざるを得ないと思うのです。
  114. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 公債政策に対する所信は、私は若干今のお説とは違うのぐあります。要するに公債政策というものは、特に今日日本の税というものかどういうふうに国民に負担になっているかということをも勘案して考えていかなければならないのでありましこの公債がインフレ的要因をなす場合、もちろん資本の蓄積が乏しいにかかわらず、公債を出すとか、あるいは資本の蓄積の度合いを越えて公債をして、そうしてそれが中央銀行の通貨発行の原因を作っていくというような場合を私は配慮いたすのでありまし今回の場合は、資本の蓄積が先行して、その先行しておる預金に対してこれほどをそれぞれの有価証券に配分をするかという問題になるのでありまして、むろんそれだからといって、金融行政や金融政策が当を得ないむちゃなことをすれば、むちゃな結果か生じますが、いやしくも合理的な政策をとる限りにおいては、私は十分インフレなくして公債政策は成り立つと思う。ただ私が最近常に公債政策を憂慮するゆえんは、タイミングの点が強くあるのであります。この点で、早まってこれをやれば中央銀行に依存してしまう、こういうふうなことから私は反対の立場をとっておった次第であります。
  115. 石村英雄

    石村委員 合理的にやれば何も問題はない、もし問題があるようならば、それは合理的でないのですから、問題のないように合理的にやりさえすればいいのだというお説ですが、そういう答弁は、実際問題には当てはまらない御意見だと思います。合理的にやる気でも、経済の実態とマッチしないということも起り得るわけです。合理的だと思ったことが不合理だということもある。だから、どこもインフレをやろうと考えていないがインフレが起ってくる。現在日本は管理通貨制度である。管理通貨というものは、法文だけを読みますと、インフレにならないように合理的にすればできるはずなんだ。それが日本は、せんだってまでインフレになった。なぜそういうことになったか、結局合理的にやりさえすればいいということが、実際に不可能なことであるからそういうことになるわけであります。合理的にやりさえすればいいのだという答弁では、私は答弁にならないと思う。
  116. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、そういう抽象論をしておるわけではないのであります。ただ、合理的という言葉で申し上げれば、実際のことはおわかりくださるという意味において申し上げたのであります。御承知のように、従来におきましては、資本の蓄積というものが非常に乏しかった。ですから、いろいろなことをやればインフレになる要因がある。従って、できるだけ税金をとって、税金でまかなっていく、これが一番いいインフレ防止の方策であったと思う。しかしこういう状況は、経済の安定と同時に、経済の拡大をやる場合において、こういう税金一本式ということではなかなかいけるものではない。減税が一方で行われているのに、他面民間資本の蓄積というものが助長されていく。そうすると、税によって従来まかなったおった部分が、減税によって貯蓄になる、その貯蓄に依存していくということは、これは自然な推移です。むろんこれもある限界がありましょう。むちゃくちゃにやってもいかぬし、実際の実績を見つついくということです。私が合理的というのは、そういう意味において、日本銀行に対する金融界等の依存度もほとんど解消しつつある。一時非常にやかましかった点もほとんど解消したと言っていい程度にある。そして本年度は、さらに先ほど申したように、大体八千億程度の預貯金の増大を見込んでいる。一方今日の経済の状況から見て、資金需要は乏しいのであります。これはもう設備においては、むしろ今日過剰になっておる。従って多くの合理的な資金は要りますが、設備費を特に各方面に拡大するという状況では必ずしもないと思う。  これは二十九年度において、銀行だけをとっても、四千億の預金に対して、貸し出しは二千億台にしかなっていない。あと残りの二千億は日本銀行の返金にすべて向っている。こういうよう状況です。これが次第に三十年度には強く推進されていく。そうすると、民間にたまっている貯蓄の金の配分を、言いかえれば緊要度において日本産業の要請する方向に向けていく、これは私は望ましいことである。それがある意味において長期について、いろいろな形になってこの法案に現われている。しかし、必ずしもこの法案を用いなくても、民間が自主的にやればそれでも私はよろしいという案でありまして、従って、先ほど合理的と言いましたのは、そういう客観的な一つ一つの事態に当てはめて私は申しておるつもりであります。
  117. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣にお願いしておくことは、昭和十二年ですか、支那事変の始まるときに、公債発行ができるような資金調整とかなんとか、そんな法律を作って、これに似たようなことを始めたのですが、そのときも、ただいま大蔵大臣がおっしゃったような、公債を発行したってインフレにはならないんだというような議論が横行したわけです。その、歴史的事実を回顧してみていただきたい。その点はおきましても、問題は強制させるということにあると思うのです。自主的に消化するのならそれでいいんだ、こういうことですが、自主的に消化するというのは、その当時の経済状態に自然にマッチしておって初めて自主的に消化されるわけなんです。強制するというのは、その当時の経済状態に十分マッチしないからこそ強制という問題が起ってくるんだと私は思うのです。ところでこうした資金の統制というものは、経済全般を計画経済という形に押し込んでおる場合においては、こういう統制が行い得ると思うのです。ところが実際の一般経済そのものは、自由放任のやり方になっておって、そうしてこの資金だけをこうした規制をするということは、マッチするとおっしゃってもできない結果が起ってくるということが予想せられるわけでございますが、大蔵大臣は、経済一般は計経済という線に乗せなくても、資金だけ統制してりっぱにマッチし得ると考えていらっしゃいますか。
  118. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いかにもこれをやることによって、資金の全般的な統制をするかのようにお考えのようでありますが、そうじゃないのであります。先ほど申しましたように、大体これが対象になるような金は八百億とか九百億とかいっておりまして、一年のうちに集まる金のまず一割程度のものについて方向をきめよう、しかもそれは、何も法律で行政的に命令してやろうというわけじゃない。それがよければそれでよろしい、こういう程度のものなのであります。そして今日の経済の計画性といいますか、今後六カ年計画をやって、経済はある程度方向づけられていくし、日本の産業において何が重要であるとか、どういうふうな設備をなすべきかとか、こういうことも、計画経済でありませんが、相当な計画性を持っていく、こういうことを勘案した場合に、従来政府の一般会計から投融資しておったものをほかの形で確保する、一方減税はしておる。減税をすれば民間預貯金の増加にならなければならぬ。減税したから、一般会計の融資ができないのを預貯金で補っていく。こうすれば、そこに何らかの背景を持つということは、少くとも転換期のある一定の期間だけは必要であろう。しかしそれだからといって、統制をするというふうにすぐお考えにならなくてもよろしい、こういうふうに考えておるわけです。
  119. 石村英雄

    石村委員 自主的にやればそれでいいんだということです。もちろんそういうことをねらっていらっしゃると思いますが、しかし法律そのものは、自主的のことをねらっておるわけじゃない、強制をねらっておる。ただ、ま大蔵大臣は一割程度とおっしゃったのですか、この法律案そのものにいろいろな預金の種類もあるということで、あるいは一割になるかしれません、大蔵大臣のおっしゃった趣旨はどこにあるか存じませんが、この法律案を見ますと、百分の二十をこえてはならない、大蔵大臣が命令する範囲は、増加額の百分の二十をこえてはならない、こうあるわけですが、一割とおっしゃるのは、百分の二十をこえてはならない、百分の十くらいしかやらないんだという構想なんですか。
  120. 河野通一

    河野(通)政府委員 数字の問題でありますから、便宜私からお答えを申し上げたいと思います。今大蔵大臣から資金の大体の増加額が八千億ということを申し上げたのでありますが、これは全金融機関の資金の増加額を大体八千億程度に考えております。しかし私どもがこの法案において予定をいたしておりまする対象の金融機関は、今八千億と言われました全金融機関を対象としておりません。従って今予定いたしておりまする普通銀行と生命保険会社の資金、それと信託銀行の信託勘定の増加、これを合せますと、大体四千五百億、八千億のうちで四千五百億が大体この資金の対象になる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。大蔵大臣が申されたのは、全金融機関において集まる八千億のうちの八百億程度なら一割になる、こういうことを申し上げたのかと存じます。
  121. 石村英雄

    石村委員 そうすると、今数字の合うような御答弁だったわけだが、百分の二十をこえてはならないという規定ですが、大体百分の二十におやりになる御方針ですか、それとも各金融機関ごとに—これは法律の条文に関係する問題だと思うのですが、いろいろ区別して、百分の十もあれば百分の十五もあり、また百分の二十もある、こういうわけなんですか。
  122. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、あくまで緊要な長期産業資金の確保でありますから、そのときの情勢で違うと思います。百分の二十まではいくのです。その年々の状況において二十以下になることもある。さように御了承を願いたいと思います。
  123. 石村英雄

    石村委員 それでは、ついでに具体的な点をその問題に関してちょっとお尋ねしますが、金融機関の性質別に言って、この制限保有率をお変えになる御意思があるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  124. 河野通一

    河野(通)政府委員 かわってお答え申し上げますが、これは第四条第二項に、大蔵大臣が定めます割合は、金融機関の種類ごとにこれを定めることができるということになっておりまして、具体的にどの程度のものを命令として発動するか、また発動する場合にどういうふうにやっていくかということは、これから研究して参らなければならぬと思いますが、おおむね考えられます点は、生命保険会社の資金増加額に対して命令を出します割合と、普通銀行に対して出します場合とは、これは区別して差しつかえないのではないかと考えております。ただこの場合において、普通銀行の中において都市銀行と地方銀行というのは、ここで言っておりまする金融機関の種類が別ではない。根拠法規は同じ銀行法に基いておりますから、この法律に関する限りにおきましては、都市銀行と地方銀行との保有率を変えることはできない、また変えるつもりもないわけであります。問題は、信託勘定と生命保険会社の勘定と、それから普通銀行の勘定、この三つについてま率を変える必要があれば変えることができる、こういうことなのであるます。
  125. 石村英雄

    石村委員 都市銀行と地方銀行と区別することはできない、また変える意思はない、こういうことですが、さっきから問題になりました中小企業金融関係、これは、何と申しましても地方銀行は中小企業相手の銀行でございます。従ってこれが同じ保有率で強制されたというときに、地方銀行の中小企業に対する面では、少くとも減るということは理論的に判断せざるを得ないと思います。単なる抽象論で消化できるとかできぬとかいう問題ではなくて、もうはっきりそうなってくるのが当然のことだと思います。この点どういうわけで区別をなさらないのか。同じ銀行法でやられておるのだから、もし法規的に区別できないならば、なぜこの法律案にそこを区別できるような条文を挿入なさらなかったのか、その点をはっきりしていただきたい。
  126. 河野通一

    河野(通)政府委員 地方銀行と都市銀行との間におきまして、中小金融に対するウエートが違う点はお話しの通りだと思います。この点については、先ほども大蔵大臣からお答えがありましたように、この全体における資金量の中で、強制の対象になりますようなもののウエートは一番高くても二割、二割以内において必要に応じてこれを定めるということになりますが、全体の立場から見ますと、程度の差は若干ありますけれども、私は地方銀行に対してかりにこの程度の命令を出したといたしましても、そのために中小金融に対して非常に大きなマイナスと申しますか、逼迫が起るということは万ないというふうに考えております。これが実際問題として、その両者を区別する必要がないと考えました理由であります。なお法律案の中にいろいろ書けばどうでもできるというお話しでありますが、私は、やはり先ほど大蔵大臣から申されたように、この法律の運用は、銀行の個々の貸し出し等に対する融資命令的なものであってはいけないと考えております。従って、何々銀行に対してどういう命令を出すとか、個個の銀行ごとにその率とか割合とか対象を区別するということは適当でない、かように考えております。そうしますと、同じ地方銀行の中でも、これを分けていけば、また程度が非常に違うのであります。都市銀行の中でも、御承知のようにいろいろ違ったものがあります。これは、やはりそれをなべて、そう大きな圧迫なり不当な結果が生じないようなところで線を引くということはやむを得ないんじゃないか、かように考えて、これが実際の問題としても差しつかえないと思いますし、制度の上からしましても、これを区別するということはなかなか困難だという点で、今御説明申し上げましたようなことにいたしたのであります。
  127. 石村英雄

    石村委員 区別は困難だという御説明ですが、そういたしますと、この率をおきめになるときに、考え方として、地方銀行に対してその率を与えて、そうして地方の中小企業金融に圧迫がないという線をもとにして率をお考えになるのか、ただばく然と全国の銀行を全体としてお考えになるのか、その点をお示し願いたい。
  128. 河野通一

    河野(通)政府委員 この命令を発動される場合におきましては、当然地方銀行自体の中小金融その他に対する影響度というものは、当然頭に置いて率は考えらるべきであると思っております。
  129. 石村英雄

    石村委員 次にこの保有特定債券という名前で、長期信用銀行とか、農林中央金庫、あるいは鉄道債券、電電公社の債券というようにあげられておりますが、三号の「政令で定める事業を営む法人の発行する債券」というのは、いかなるものを含んでおるのか。また、たとえば日本興業銀行の債券なんかはどうか、あるいは開発銀行債券とか、輸出入銀行債券というようなものを考えていらっしゃるか。またさらに、これは法規的にできるかできないか知りませんが、中小企業金融公庫とか、国民金融公庫、あるいは農林漁業金融公庫、こういうものも債券を発行させ、そうしてそれをその中に入れるというお考えがあるのかないのか、その点をお示し願いたい。
  130. 河野通一

    河野(通)政府委員 この興業銀行の債券は一号に入っております。一号の長期信用銀行というのに興業銀行も入るわけでありますから、この三号には興業銀行は入っておりません。それから開発銀行、輸出入銀行の債券もこの三号には入りません。中小公庫、あるいは国民金融公庫の債券というものもこの中には入らないわけであります。ここで事業を営む法人と言っておりますのは、大体予定いたしておりますのは、事業会社、あるいは事業を営む会社でない法人、たとえていいますと、具体的に考えていると申すわけではありませんが、たとえば帝都高速度交通営団、そういったものは会社ではありませんが、交通事業を営んでおる、そういったものの発行する債券を考えております。具体的に申し上げますと、俗にいわれております事業債の中で、特にその緊要な基幹的な事業を営む会社の社債ということを予定いたしておるのでありますが、しからはいかなる範囲の事業を政令でもって定めるかにつきましては、まだはっきりしたもくろみを持っておりません。少くとも例をあげて申し上げますならば、電力会社の発行する電力債等は、当然第一にこの政令でもって指定さるべき性質のものじゃないかというふうに考えております。ただここで言っておりまする法人の発行する債券というその法人は、事業を政令によって指定いたしますのは、個々の企業体を指定するのではありませんで、業種を指定する、たとえば電力事業を営む会社といったような業種を指定するのでございまして、具体的にその電力会社の固有の名前を指定するということはいたさないつもりでおります。
  131. 石村英雄

    石村委員 次にお尋ねいたしますが、こうした特定債券、これを一応保有いたして、そうしてこれを日銭に持っていって金を借りるということは、この前銀行局長は、法律ではそんな制限はしないが、日本銀行がおそらくそんなことはしないだろうというような御答弁があったのですが、大蔵大臣はこの問題をどのようにお考えでございましょうか。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、この金融機関が保有した場合に、大体日本銀行に金融機関が金を借りに行く場合は、当然独自の借入金——もちろんこういうふうな制度が実行される場合の金融情勢というものは、そうあるべきはずなんですから、そういう場合に、日本銀行の担保に徴し得る担保でありますれば、これを入れて金を貸してもよろしい、私はかように考えております。
  133. 石村英雄

    石村委員 そうすると、特定債券でも担保に持って行けば日本銀行は貸すんだ、貸す貸さぬは具体的には日本銀行がきめることですが、貸すというような御答弁と解釈してよろしゅうございますか。
  134. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 よろしゅうございます。
  135. 石村英雄

    石村委員 そういたしますと、この面からせっかく市中銀行に集まった金で債券を保有させたということが、今度は日本銀行に肩がわりされて、日本銀行券の発行という形がその、面で起きてくる。市中銀行に預金が増加した、それを債券でくくったということは全く無意味になる、現実にはインフレが起るということは考えられるわけであります。国債なんかでは特にそういう現象が起るであろう、こう考えますが、財政法には、国債を日本銀行で引き受けて発行してはいかぬというような制限があるわけですが、そうしたことは全く空文になってしまう、財政法の抜け穴がでぎてくる、また一般的にもインフレが起るということになるのではないかと思います。
  136. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、私ここでまた金融論みたようなことをやるのははなはだ恐縮なんですが、すなおに私も答弁いたしまするが、そういう意味じゃありません。これは先ほどお答えいたしましたように、日本銀行に来るのはきわめて短期の資金が来るのでありまして、そういうようなものは、こういう法律がなくてもふだんからしょっちゅう日本銀行に一時の資金の借り入ればあるわけなんです。日本銀行の金融政策は、そういう個々のものに貸すとか貸さぬとかいうよりは、全体の市場に流通する資金量を調整して、そうして日本経済が実際にそのときに必要とする通貨量を発行しておるか、していないかというのが基本になるわけであります。従いまして、そういうことでない限りは、これは日本銀行が正規の担保としておるものを担保に持ってきて、しかも日本銀行の要請する短期の期間である、一時の資金流通量の調整である限りは、これは許さるべきことである。もしそれをも日本銀行が拒否するとすれば、日本銀行が中央銀行として通貨の調整をするという機能はなくなるわけであります。さように御承知を願いたいと思います。
  137. 石村英雄

    石村委員 銀行局長のお考えと少し違っておるようですが……。もちろん日本銀行はそうしたことを考慮してやります。しかし制度的には、そういうことは、これによって起り得るということが言い得るのではないか。絶対にそんなことは起らないという保証は何らないと思うのですが、いかがですか。
  138. 河野通一

    河野(通)政府委員 私がお答え申し上げましたのは、大蔵大臣の答えられたところと何ら違っておりません。日本銀行は、こういうことによって、強制されて持った有価証券であろうと、強制されないで持った有価証券であろうと金融政策の立場から全体としてそれを担保にとって金融するのがいいか悪いかを考えればいい。強制されたことによって持った有価証券に限って、これが資金化されたらインフレになるといったような問題ではない。これは日本銀行の最も重要な金融政策として考えなければならぬ問題だということを申し上げたのであります。大蔵大臣が先ほど答弁されたことと私が申し上げたことと変っておりません。
  139. 石村英雄

    石村委員 私が問題とするのは、日本銀行の金融政策がどうあるかという意味でないわけなのです。市中に貯蓄された資金を債券でやるのだからインフレにならない、これがインフレにならないという理由でございます。今までおっしゃった理由もそこにあると思うのです。ところがそれが制度として、担保として日本銀行が貸し得るという制度、それは、市中に集まった金をこの債券でやるからインフレにならないという理由をくずすことになるのではないか。制度としてくずすことになるのではないかということを聞くわけなのです。日本銀行がそのときの判断でやらぬという問題ではないわけなのです。
  140. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、日本銀行かそのときにこの証券を担保にとって貸す期間短期なりや長期なりやによるのでありまして、日本銀行は短期の金を貸すという制度でありますから、この制度によって今おっしゃるようなことは起らない。もしそういうことに、すれば、かりに市中が今こういうことをやらずに手形でもってどしどし産業に金を貸す、そうしてその手形をもって日本銀行に再割を願えば同じことになる。そうするとどうにもならなくなるのでありまして、この証券を持っていっても、日本銀行の制度としてそういうことが起らないようになっておる。こういうように御了承願っていいと思います。
  141. 石村英雄

    石村委員 問題は、この債券を法律で強制して保有させるということなのです。それがないのなら私は何もそんなことは申しません。法律で国債を発行して、自由党は公債政策を大いにやるのだ、公共事業なんかはどんどん国債でやるべきだという主張を持っていらっしゃる。(「持っていない」と呼ぶ者あり)水田さんが本会議でちゃんとそういう趣旨の質問をしておる。何なら本会議の会議録を持ってきて読み上げてもいい。そういう方針を持っていらっしゃる。だから、それを強制的に保有させるというところに問題がある、こう考える。大蔵大臣は問題をすりかえて答弁していらっしゃるように考えるのですが、いかがですか。
  142. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そうではないのでありまして、私は強制する必要もなにもないと思いますが、かりにどうしてもこの法律によって持っていただかなくてはならないという事態が起っても、その前に銀行には預貯金がふえておるということを御了承願いたい。預貯金がふえておるのが債券化されておる。それで一応この関係は切れるのです。そうして日本銀行に行くか行かぬかは、全体のそのときにおける、経済の情勢なり、その銀行の手元の資金のいかんによるのであって、預金の伸びるべきものが、そこで伸びなかったから、一時日本銀行にくる、月末には必ず資金ができるから返す。日本銀行がそれに応じた場合に、一体布中銀行の資金の過不足はどうなるか、それに応じてもあまり増加しない。言いかえれば物価に横ばいといいますか、騰貴はせずしてやっていける、こういうふうな見通しで日本銀行も考える、こういうことになるのでありますから、これはただ強制するかせぬかは、こういうことをやらせる場合にまずいかいいか、あるいは金融業者の心がまえがいいか悪いか、そういう問題に帰するのでありまして、日本銀行との関係は、インフレとの関係には関係ないと思います。
  143. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣の答弁では納得しかねるのでありまして、どうしてもこれはインフレになる。そういう抜け道をこれで作ったのだ、こういわざるを得ないと思います。日本銀行が短期だからどうだとか、また自主的にやればいいのだということですが、自主的にやるのなら、何もこんな法律は作らなくてもいいわけであります。どうも大蔵大臣は、正直にお考えを述べていらっしゃらない、こう考えざるを得ないのであります。ところで、強制保有させた債券が不安なものであって、もし途中で相手方の会社の経理状況でそういうことが起ったというときにどうなるのですか、強制保有させる以上、政府としてこれに対する保証責任が私はあるんじゃないかと思いますが、それはどうお考えですか。
  144. 河野通一

    河野(通)政府委員 法律の条文の問題でございますから、私からかわってお答え申し上げます。この七条の第一項の二号にこういう規定がございます。その指定された債券の「保有により損失を受けるおそれがある債券を新たに保有しなければならないこととなること。」つまりその場合においては、その保有の命令を緩和したり、あるいは免除することができるという規定になっておるわけであります。この意味は、今お尋ねのありましたように、その事業がはなはだ内容が悪い、しかもその発行している債券以外に強制された債券を持とうとしてもないといったようなことがかりにあるとする、そういうことはまず実際問題として考えられないのでありますが、観念上あり得たといたしますならば、その場合には、この規定を発動して、持たなくてもよろしいということにいたしたいというのであります。
  145. 石村英雄

    石村委員 この七条の一項の二号は、なかなかわかりにくく見にくく、あるいは私の誤解もあるかと思うのですが、今私の問題としておるのは、最初から、この債券が不安な債券だというのではござうません。保有しておったところが、その会社が悪くなった。早い話が東洋繊維のような問題、この間まではりっぱな日本銀行の適格担保で通用したものが、増資したあととたんにつぶれる、そんなことさえ起るわけなんです。繊維会社の債券なんか、保有債券になさらないかもしれませんが、そうしたことが起ったときにどうなさるのか。それを保有しろ、こう強制しておいて、それは、お前がそのとき勝手に命令だからといってそれを選んだのが間違いだからということで済むのですか、どうですか。
  146. 河野通一

    河野(通)政府委員 その場合には、実は二つ問題があると思います。それを具体的に、たとえば何々会社の社債をどうしても持たなければならぬような形、具体的にその社債、その金融債を必ず持たなければならぬという形において命令が出た場合の問題と、そうではない、選択の余地が与えられておってそのうちから選んで持ったという場合とは事情が違うと思います。前者の場合におきましては、非常にまれなケースだと思いますが、非常に内容が悪いものを持つよりほかに、指定された債券がないという場合におきましての問題ではないかと思います。その場合におきましては、この七条の第一項の第二号の適用がある、こういう意味であります。具体的にどういう場合が起るかと申しますと、主としてこの規定で予定をいたしておりますのは、第三条にいろいろ債券があがっておりますが、そのうちの第三号「政令で定める事業を営む法人の発行する債券」たとえば何々事業とこう指定いたしました場合に、その事業のうちで、会社の具体的な名前は指定いたしませんから、かりに何々事業を営む会社のうちには相当内容の悪いものもあり得る。そういった場合に、その債券しか残っていないという場合に問題がある。その場合においては、この七条の第一項の第二号によって救済したい、かように考えておる次第であります。
  147. 石村英雄

    石村委員 そのときの七条の一項の二号による救済というものは、保有を解除するということで、つまり持っているものを売るとかなんとかして処分してよろしいという意味ですか。また他に変った救済があるわけですか。
  148. 河野通一

    河野(通)政府委員 それは、持っているものを売ってよろしいというのではなくて、持たなくてよろしいということを言い得るようにしてあるわけであります。
  149. 石村英雄

    石村委員 私が聞いておるのは、最初持っておった、それが悪くなったときの処置はどうか、こう聞いておるのです。
  150. 河野通一

    河野(通)政府委員 従来この命令によって持っておったものが、後に悪くなったという場合におきましては、この債券につきましては、具体的にそれしか持てないというふうなことに形において命令するつもりはないということを、先ほどから申し上げておるわけであります。私どもは、必ずそこには選択の余地を置きたいと思っておりますから、将来かりに、ある会社の社債を悪くないと思って、強制によって持った。ところがその後その会社の内容が非常に悪くなったという場合においては、それと判断いたした場合においては、他の債券とそれを置きかえること等の道は十分認めて参りたい、かように考えておるのであります。従いまして、必ずその債券を最後まで持っていなければならぬというほど、具体的にひもをつけて強制するということはいたさない。選択を十分に与えて差しかえができる。総量として幾ら持っていなければならぬかということだけを私どもはここで命令いたしたいと考えておる次第であります。
  151. 石村英雄

    石村委員 差しかえればいいというお話しですが、そんなになったときに、そんな債券を買う者が日本のどこにおりますか。もう持っている者は、これが危ないといって売り放す債券を——株なら何も知らない連中が買うかもしれない。しかしこんなほとんど銀行が持たないようなものを、どこを探して買手を見つけることができるのですか。話としてはそれはできるが、差しかえればいいということは理屈は言い得るかと思いますが、実際問題として差しかえるということは不可能でないかと思いますが、いかがですか。
  152. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはこういうふうにお考え下さればよくわかると思います。何か持っていて、それをかぶせるのではなくて、初めから法律として持つ場合に、まず大きな業種、たとえば繊維とかあるいは電力とか、大きい重要産業の業種を書いて、そうしてそのうちでお持ちなさい、そして危なければお持ちなさるなということで、初めスタートをするのですから、今銀行が自主的に投資するのと、何ら変りはない。今銀行が投資するときも、緊要な産業を選んで、そしてどこの社債を持とうか、そうせざるを得ないのですから、それと少しも変らないと思います。こういうふうにお考え下さればよろしいのです。特に何か悪いものが出てきて、それを何か責任を考えなければならぬということは、これは少し保護に過ぎると思います。
  153. 石村英雄

    石村委員 僕がばかか、大蔵大臣がばかか、どっちがばかかということでありますが、(笑声)それは自主的に買うのなら、そういう大蔵大臣の説が当ると思うのです。買っても買わなくてもいいという状態におかれておるのなら、それはそういう大蔵大臣の御説通りでいいのですが、一定量だけはどうしても保有しなければならないところの強制力があるわけです。この強制さえなければ、これは問題ないのです。強制があるところに問題がある、こう考えるのです。いかがですか、強制があっても、そんなばかなことはしないともいったら、その強制はどうなろのですか。
  154. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は危険性のことを言っておるのでありまして、今の実際でも、そういう程度の危険性は常に持っていて、金融機関はやはり投資をしておるわけであります。ですから、特にこの法律によってその点までカバーしなくてもいいのではないか。同時にまた一つお考え願いたいのは、金融機関というものは、常に皆さんが主張されるのですが、やはり金融機関は自分自身の金でない、公共性のもので、国民からやはり信託資金を受けて——日本の産業のために最も有効適切に使うようにマネージしてくれという、やはり信託関係を受けて金融機関は金を持っておるのでありますから、持っておる金の二割程度をそういう緊要な日本経済に最も必要な産業の長期資金に向くようにしたからといって、これはそう非難さるべきではない。これは当然自主的に行わるべきだという前提に立つべきではないか、これがいかぬ場合にこういうことも考えております。こういうようにお考え下されば御了承が願えるの、ではないかと思います。
  155. 石村英雄

    石村委員 結局僕がばかということになりそうですが、いくら考えても、僕は強制ということを問題にしたい、強制がないなら大蔵大臣の御説に納得する。強制がある以上、僕の言うようなこともあり得る、こう考えざるを得ないのです。これはいくら言ったって、大蔵大臣がそんなことはないんだ、こうおっしゃるので、水かけ論になるのですが、水かけ論かどうかは第三者が判断するだろうと思います。  さらに私たちが問題にするのは、財政が放漫になるという問題ですが、赤字公債は出さない、こういうことになっておるわけです。それが公債政策をとるということになる、その公債政策が、これによって強行することが非常に容易になるという問題、そのことによって、たとえば軍事公債、名前は軍事公債と銘打たなくても、他に回る金を軍事費の方に回して、公共事業の金を公債でやるということは、ちょうど鳩山さんが、防衛分担金を削減して、最初住宅を作ると言っておったのが、それができなくなったじゃないか、こう追及すると、いや、それはほかの金が回っておるから同じことだ、こうおっしゃるのと同じ理由で、やはり軍事公債、赤字公債というような性質のものが行われてくる、こう考えるわけなんですが、いかがですか。
  156. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点は、財政の健全ということをやはり根本に考えなくてはならない。たとえば今御指摘の軍備というと悪いのですが、自衛力というものを増強するかしないかということは、これは私は別個な問題だと思っております。そういうふうに御了解を願えればよかろうと思います。
  157. 石村英雄

    石村委員 別個だとおっしゃるが、こういう道を開いておけば、それがやりいいということだけは私は考えられる。私はこれでやめますが、大蔵大臣は、かつて高橋是清氏が二・二六事件で暗殺されて、その九月に資金調整法を作って、公債政策はどんどんやって再軍備を進めていった、あの歴史をどうか忘れないで考えていただきたいのす。これで終ります。
  158. 松原喜之次

    松原委員長 田万委員より関連質問の要求がありますので、これを許します。田万廣文君。
  159. 田万廣文

    ○田万委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。第一条の条文を読みますと「日本経済の自立とその健全な発展に資するため、金融機関の資金の運用を調整して緊要な長期産業資金の調達を円滑にすることを目的とする。」要するに、緊要な長期産業資金の調達を円滑にする目的でこの法案が出ておると解されるのですが、この意味から言うと、裏から言えば、緊要なる長期産業の資金の調達ができれば、日本経済が自立し、その健全な発展が期せられるというふうに解釈できるのですか、その通りでけっこうですか。
  160. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、長期資金の調達の点にだけ申しておるのでありまして、単に長期資金の調達ができれば、日本経済はそれだけで大いによくなるとも限りませんが、まあしかし、よくなるためには長期資金の確保ということが一番大事だと思います。
  161. 田万廣文

    ○田万委員 大蔵大臣の想定される長期産業資金というものは、どういうものを意味しておるのですか。私どもの考えるところでは、大体小資本でなくて大資本、大事業、しかも継続的になされる事業というふうに通俗的に解釈するのですが、この点はどういうふうなお考えを持っておられるのですか。
  162. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 長期産業資金というのは、具体的には第三条の一、二、三、四に現われておるわけで、そういうふうに御了承願います。
  163. 田万廣文

    ○田万委員 われわれから見れば、相当大きい事業で、大資本を持っておる企業の発達のためには、長期にわたって資金が必要であるというふうな意味でありますが、私どもはこの大資本、大企業、しかも長期にわたるものを育成することだけができたならば、日本の経済の自立とその健全な発展ができるという大蔵大臣のものの考え方につきましては、大いに疑義があるのです。いわゆる中小企業産業の育成発展に対して、それが日本経済の自立とその健全性を意味するというふうに解する面があるのですが、私どもの見解と大蔵大臣の見解との間に相当大きな開きのあることを認めるのですが、どうでしょうか。中小企業の育成という点については、この法律はどれだけの効力を持っておるか。
  164. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この法案によりましても、たとえば長期信用銀行においても、そういう中小企業に対する部門がありましてやっておりますし、それから農林中央金庫でも、やはり中小企業の面も少くない。商工組合中央金庫においては特に専門としておる。こういうことで、決して中小企業の金融をおろそかにしているわけでありません。  それから中小企業というものをおろそかにしては日本経済の再建ができぬ。これはもう私も同じでありまして、できるだけ努力をしなければならぬ。総じてこの点は、従来財政の一般会計等から特に長期のいろいろ設備資金を出している、それを特に補てんする、確保しておこう、こういうところにやはり私は差し当っての焦点があるように考えておるのであります。それでこの中小企業については、たとえば中小企業金融公庫とか、あるいは農林漁業金融公庫とか、あるいは国民金融公庫とか、こういうものはなるべくその資金を豊富にして活動願いたい、かように考えております。
  165. 田万廣文

    ○田万委員 中小企業金融公庫、国民金融公庫、農林漁業金融公庫、そういうものが中小企業者に役立っておる制度であるということについては、われわれも否定するものではございませんけれども、それは、大蔵大臣がお考えになっておるような大きな効力を持っておる組織ではないのです。大資本家、大企業家がごっそり裏から相当な金を獲得して、中小企業者に流れる金というのはほとんど少い。こういう実態をわれわれは地方でいろいろと見聞しておるのでありますが、そういうような組織、中小企業に対する育成の機関としての公庫ですらも、なおかつ中小企業者に対しては愛情のない今日の実情なのでございます。それにもかかわらず、これに反して大企業家に対してはいろいろな方面から相当金が流れ込んでおる。その上に、なおこの法律を作って、緊要な長期産業資金の調達をはかってやる、それがすなわち日本経済の自立と健全な発展になるのだというこの大蔵大臣の考え方につきましては、私は大いに考えていただかなけれ、はならぬ点があると思う。その実情を大蔵大臣がもっと知っていただきたいと思うのですが、この第一条の条文そのものをうのみにして解釈していった場合、緊要な長期産業資金の調達さえできれば、日本経済の自立とその健全な発展ができるのだというふうにはっきりうたってある。しからば中小企業者に対して、これと同じような意味を持った、日本経済の自立とその健全な発展に資するために、緊要な中小企業者の資金の調達を円滑にはかるためというような法案をお考えになったことがございますか。また現在そういう考えを持っておられますか、これを、承わりたい。すでに大企業、大資本家に対しては相当な金がいろいろな面から出ておる。しかるにその上にこの法案を作って、その育成強化をはかろうというのでございますか、中小企業者に対しては、私が言うたような、これにかわるべき中小企業者育成——それが日本経済の自立と発展になるというさっきの大蔵大臣のお言葉でありましたが、そういうお考えを持っておられますか。そういう法案を考えられる余地はないか、これをお尋ねいたします。
  166. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業に対する金融は、決しておろそかにする考えは持っておりません。これは私も今後十分御意見も拝聴してやるつもりでしておりますが、ただ中小企業の場合においては、御承知のように非常に金融自体がむずかしい。これはもう非常にむずかしい。そしてまた中小企業というのを一体どういうふうにつかまえるかという点においても、ある面からいえば、今日地方銀行の融資がすべて中小企業とも向えるのです。たとえば資本金がどの程度とかいうようなことをいえば、ほとんど九割までは、地方銀行の貸し出しは、金額からいっても相手の会社の太さからいっても、中小企業に属するかもわからない。これが問題なのであります。しかしそれだからといって、決して金融をネグレクトするわけではなく、大いに今後も考えますが、同時に私は、中小企業自体のあり方に問題があると思う。かりに私が今まで金融に携わった経験からすれば、中小企業等において一番困るのは、たとえば工業的なものであると、大きな会社が品物の納入は受けるわ、代金は払ってやらぬわというようなことが、中小企業を逼迫させる一番大きなものだと思う。それで年末や盆に大企業に特別に金を出して、それを中小企業にひもつきで融資すると、中小企業がずっと助かっていく。こういうふうな事態を考えた場合には、私は大企業と中小企業のあり方、この系列化、組織化という点についてやはり進めていくべきじゃないか。同時に、中小企業にはどうもマーケットが乏しい。数は多いが、マーケットが乏しい。こういうようなことは、私はやはりマーケットを与えるというような形において中小企業問題を解決するのがいいじゃないか。それで、今回いろいろな形で住宅を作ることをやっておりますが、こういうような政府の力で住宅を作る場合に、その所要する資材は、私は中小企業から買い取ったがいいということを強く今言っております。あるいはまたお役所の納入品、こういうものを中小企業の製品をとる。こういうふうにして、中小企業に自分の作ったものが売れる先を与えてやるということ、それをどうも今まで皆さん考えずに、単に中小企業に金を出せ、金を出せという、これは中小企業を救うゆえんではありません。結局中小企業をますます悪くする道だと考える。それらを総合して、今後中小企業には格段の努力を払うつもりでおりますから、どうぞ御了承願います。
  167. 田万廣文

    ○田万委員 ただいま大蔵大臣のお話しによると、地方においては、大体九割までは中小企業者にいろいろな形で金が出ておるとおっしゃいましたけれども、われわれの調査したところでは、反対にほとんど少い。いわゆる大企業に対しては、二十九年度でございますが、数千億の金を二十八年度に比してふえて出しております。しかるに中小企業者に対しては、これに反比例してうんと減っておる。この事実があるのですが、銀行局長、この点についてはいかがですか。これはある程度数字に基いて御答弁を願ったら、はっきり出すると思う。
  168. 河野通一

    河野(通)政府委員 本日手元に、実は銀行の中小企業金融の数字を持っておりませんので、はなはだ申しわけありませんが、大体地方銀行における中小企業金融の割合は、金額でいたしますと、中小企業の範疇は、今大蔵大臣から申されたように非常にむずかしいのですけれども、一応機械的な基準でやりますと、六割程度が中小企業に回っておる、こういう数字になっております。それから最近における普通銀行——これは都市銀行も含めまして、普通銀行の中小企業に対する貸し出しの割合が、若干従来よりも比率が変ってきておる。絶対額は必ずしも落ちておりませんが、資金選の増加に応じて、割合が若干落ちてきておるということは事実でございます。これらの点については、普通銀行に対しても、中小企業金融に対しては十分力を尽すようにということで、かねがね行政上の指導をいたして参っておりますが、今後におきましても十分その点は考慮いたしたいと考えております。
  169. 田万廣文

    ○田万委員 関連質問であまり長くなっても恐縮ですから、これでとどめますが、私は、ただいま銀行局長なり大蔵大臣からお話しがあった点については、ある程度調査した資料を持っておりますので、これは次会にいろいろお尋ねしたいと思います。  なお一点お尋ねしたいのは、第二条に「勧告を行うことができる。」という明文があるわけですが、この勧告が無視せられたような場合においては、どういうような形態でこれに対する処置がとられるのか、無視せられても、そのままほったらかしにしておくのか。
  170. 河野通一

    河野(通)政府委員 この条文は、従来から行政指導としていろいろ資金運用について指導いたして参っております。これは法律上からいいますと、ここに書いてあり、ますことと同じ勧告になるわけであります。勧告と申しますのは、法律的な強制力を持たないものというふうに解釈をいたしております。従いまして、それに従わなかった場合においても法律違反とか命令違反ということは起らない。いわば道義的な責任の問題でありまして、法律的には命令違反という法律効果を持たない、そういうふうに御了解いただきたいのであります。
  171. 田万廣文

    ○田万委員 実質的には、この勧告を無視せられた場合には、日銀の貸し出し制限とか、いろいろそういう行政的な処置が講ぜられるということに相なるのでございますか。
  172. 河野通一

    河野(通)政府委員 私はやはりその場合々々によると思います。
  173. 田万廣文

    ○田万委員 どういうことがあるのですか。
  174. 河野通一

    河野(通)政府委員 それがはなはだしく不当な勧告違反と申しますか、勧告に従わないという場合におきましてどういう措置をとるかということは、銀行法その他についてもいろいろ規定がございますが、それらの規定に照して、そういう行政上の権限を発動するに値するかしないかということは、個個の場合について判断すべきだ。この勧告に従わなかったからというので、当然にこういうことをいたしますということは、この勧告自体には含んでいない、こう申し上げざるを得ないと思います。
  175. 田万廣文

    ○田万委員 最後に一点、先ほど同僚石野さんからお尋ねがあって、大蔵大臣から御答弁があったのだが、はっきりしなかった。それは十一条第一項第三号の「産業に関し深い知識と経験を有する者三人」この産業に関して深い知識と経験を有する者という御解釈が先ほどなされたのでございますけれども、はっきりわかりにくかった。そこでもう一度念のためにお尋ねいたしておきます。  それからもう一点あわせて御答弁願いたいのですが、それは附則の第二項に、この法律の公布の日から起算して二年を経過した日にはその効力を失う、いわゆる時限立法だと私は考えております。二年という期間はどこから割り出してきたものですか、これを最後にお尋ねいたしたい。
  176. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 十一条の審議会の構成委員外でありますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、金融機関については三人でありますが、中央銀行、都市銀行、地方銀行、生命保険、こういうところから適当の方に出ていただきたい、かように考えております。それから産業に関し、これは各産業、なお中小企業というような産業分野も含め、適当な人かを考えよう、かように考えております。学識経験者、これはこういう産業全体について特に練達の方二人を置く、かように考えております。それからニカ年の時限になっておりますのは、大体今日の状況でニカ年を経過して、もう一ぺん考えてみることが適当であろう。これは先ほども諸種の条件を申し上げましたが、いろいろな事情から二カ年やって考えてみよう、こうしたわけであります。
  177. 田万廣文

    ○田万委員 大体ニカ年を経過すればこの法律目的は達せられる。さらに二カ年をまた一年とかいうふうに延長することは、絶対にないということをここで保証できますか。
  178. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵大臣としましては、むろんそのときの情勢もありますが、経済が正常化していくという前提に立つ限りにおきましては、ニカ年後におきまして軌道ができて、何もこういう法律なくして、この法律の考えておることと同じことができることを希望して努力する考えであります。
  179. 春日一幸

    春日委員 ちょっと大臣に伺いますが、大臣は二、三日前の新聞発表で、こういう法律ができても、直ちに発動するような意思はない。こういうような新聞報道がなされておりました。それからこの法律の第三条によると、長期産業資金の調達を円滑にするため、大臣が必要かつ適切と思ったときにこういうことをやるということになっておる。そこでお伺いをいたしたいことは、この法律案のよって来たる来歴の通り、自民両党の予算修正に伴って、こういう法律を出すことが約諾事項になっておるので、いやいや出した気配がないではない。わけてもこの法律の、主文にも、必要かつ適切、であるというこのことは、大臣の認定のいかんによるという形になっておるのであります。そこで本年度において、大臣はこの法律を発動する必要性があると考えられておられるのかどうか。先ほどの新聞報道と関連いたしまして、この一点をお伺いいたします。
  180. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、本年度特に保有命令を出さないでやっていけるし、またそうあるべきことを私は希望いたしております。
  181. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、会期がまさに終ろうとして、ただいま同僚議員から笠間がありました通り、おそらくは革命的な金融立法といわれるこんな大きな法律が、この会期末に臨んで出されてきた、しかもその御答弁によると、本年度はおそらくこの法律というものは適用しなくてもいいだろう、おそらく銀行自体の自主的協力によってその目的は果し得る、こういう御答弁でありますが、そんな必要でもないような法律を、何のために会期末を特に選んでこんな倉皇の間に唐突に出してきたのであるか。私は、少くともこのような画期的な重要性を各所に含んでいるところの金融立法というものを、時間を争って論議しなければならないようなこんな機会を選んで出すべきではなくして、今答弁によると、本年度は必要でないといっておられる、金融機関の自主的協力によって、こんな法律はなくてもその目的は達し得ると言っているが、しかも一体会期末を選んでやっているが、本年は必要でないならば、この法律案はもっと慎重に審議してもいいのかどうか、この点をお答え願いたい。
  182. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、私もあまり熱意がなかったような御説もあったと思いますが、そういうことじゃない。先ほどから私が申し上げましたように、一方大体税をとって投融資をしようと思ったのを、減税をして、民間資本の蓄積に持っていくという転換かして、今度の予算で終らせたと申していいと思う。特に自民両党の修正の離合において、こういうことが強く出てきたと私は申していい。そうしてみると、そういう税金から財政投融資をした形を民間の蓄積の方に転換をしていくのですから、それで、こういうふうな立法を、今時期が早いかおそいか、そういうことが具体的に出ておったのですから、こういう立法を持つことはいい。しかしそれだからといって、すぐに保有命令まで出すか出さぬか。これは別個に考えなくちゃならぬ。そういうことをせずして、金融の性格として自主的にやっていくということはそれに越したことはない、こういう考え方である。むろん審議会など作っても、私はいいと思う。そういう準備はちゃんとして、そういうことが自主的に運べばそれに越したことはない、そう考えております。
  183. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、大臣の御答弁によると、この法律は、本年度の産業資金調達の方法としても財政資金調達の方法としても、これは全然必要ではない。すなわち法律の効果を阿ら期待をされてはいないわけである。だとすれば、これは来年度、来々年度以降においてそういう必要が生じてくるかもしれない。それは大臣が認定する事的に属するわけでありますが、少くとも大臣は、本年度においてはその必要はないと言っておられる。すなわち保有命令を発するの必要は現段階においてはないと言っておられる以上は、今申し上げるように、こんな重要な、画期的な、革命的立法ともいわれるこの金融立法を—もう二、三十時間しかないのですよ。かりに衆議院を通したところで、この国会の二院制の立場から考えて、これは十二分に参議院で審議する時間があるとお考えになりますか。かりに衆議院をきょう通したら、あした参議院は、どんな時刻に送られるか知らぬけれども、わずか二、三時間か数時間か、そんな時間で、こんな大きな立法が参議院の方で十分審議できる見通しは立ちません。そういうようなときにこんな立法を出さないで、これは一つ——公債政策、あるいは地方債等の関係を含めて、財政インフレになる心配があるのじゃないかというような批判もあり、あるいは地方銀行、地方金融機関の上積み預金が、これによっていろいろな制約を受けてくるので、中小企業金融に対して大きな影響を与えるのじゃないか、こういうような批判もある。従ってこういうような批判に対しては、あらゆる角度から深い検討を必要とするのは、衆議院も同様であり、参議院もまた同様であると思う。従って私は、ただいまの大臣の御答弁がその通りであるとするならば、本年度の産業資金においても財政資金においても、この法律は必要でない。ただ審議会を作ってちょっと研究してみるのだという程度のことならば、これは産業界から、金融界から、さらにその他から幾多の批判をこれに加えておる法律でありますから、政府はこの問題についてさらに慎重に審議するため、今回はこの法律案を撤回するか、あるいはさらに継続審議するか、何らかのそういう時宜に適した措置をする御意思はないかどうか、この点を一つお伺いをいたしたい。
  184. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 結論から申しますれば、この法律案を撤回する意思は持っておりません。  それから先ほどのお話でありますが、これは、私本年度はそういうふうな命令でもって保有をせぬでもいいだろう、またそのことを希望する、こういうふうな表現を先ほど用いたのでありまして、命令は全然しないとも——これは要するに伝家の宝刀とでも申しますか、法律ができたから必ずその法律を適用するということが、必ずしも私は法律の目的でない場合もあり得ると思うのであります。法律があるがゆえに、事柄が、法律を適用せぬでもそう所期の効果を発揮し得るというようなことが、経済的な法規には私は当然期待していいんじゃないかと思っている。そういう意味において先ほど申し上げたわけであります。
  185. 春日一幸

    春日委員 ただいま委員長から、時間が切迫しておりますから簡潔にしてくれという話があった。これは、もう私が今指摘した通りなんです。私がこの問題について質問するのは初めてなんです。起立するやいなや、もうすでに時間の制約を委員長から申しつけられなければならぬほど、慎重な審議ができない状況下においてこの法律案が出されてきた。このことは、よくあなたはお考え願わなければならぬですよ。今あなたは、要するに保有命令をしなけばならぬとは思っていないが、しなくてもいいことを期待しておる、こういう答弁をされておりますけれども、この法律の生命は、その保有命令にある。あとはその経過規定なんです。だから、その保有命令をする必要はないというような情勢下において、今質問をする時間もないような、そんなことで一体どうして完全な法律が、でき上るとあなたはお考えになりますか。  こういうふうな基本的な議論は別といたしまして、委員長の忠告がありますから、具体的な問題についてお伺いするが、第三条の「緊要な長期産業資金の調達」これは読んで字の通り、長期産業資金の調達です。長期産業資金の調達のためにこの法律ができようとしている。そうすると、国債または地方債、これは一体長期産業資金とどういう関係があるのでありますか。長期産業資金の調達のためにこういう保有命令をすることができるとするならば、この国債、あるいは地方債というものは産業資金ではない、これは財政資金だ。財政資金の調進のためにこの法律を作るならば、やはりここに長期産業資金もしくは財政資金、こういう工合に加えなければならぬ。ところが国債と産業資金という形を結びつけて考えるならば、私どもには思い当る節がないではない。先般通産大臣でありましたか、大蔵大臣でありましたか、軍需産業は今後国営に移した方がよいであろう、あるいは国富の軍需産業を興さなければならないであろう、こういうような国会における答弁が新聞に載っておりました。そうだとすると、この国債とかなんとかいうことは、この軍需産業の国家資金を調達するための、いわゆる財政資金であるかどうか、あるいは産業資金であるかどうか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。一般財政資金を調達するということは第四号でうたわれているが、こういう国債や地方債は、これは産業資金ではない。産業資金調達のためにというてうたっておいて、四号の中に国債をうたい込んでいるのは、大体軍需産業を国によって興す場合のことを想定してであるのかどうか、この点を一つ明確にされたい。
  186. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この国債の中に、防衛強化と関連して資金を調達する、そういうふうなことは考えておりません。今考えて考え得られることは、開発銀行の資金というようなものについて考えられぬことはなかろう、かように考えております。
  187. 春日一幸

    春日委員 ちょっと伺いますが、この国債とか地方債とかいうものは、一体長期産業資金とどういう関係があるのでありますか、この点われわれにわかるように御説明願いたい。
  188. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 国債については、今申しましたように、開発銀行が長期の産業資金を出す、その資金源というような場合に必要があれば考える。地方債におきましては、たとえば、地方において電気とか、その他いろいろな緊要産業が行われているという場合に地方債を起す、こういうようなことを考えております。
  189. 春日一幸

    春日委員 ちょっとわからないのですが、大分弁でなく、一つ東京弁でやってもらいたい。(笑声)長期産業資金調達のためにこの制度が生まれようとしている。ところが国債とか地方債かは、われわれが読んで字の通りに解釈すれば、財政資金、であると思う。かから、長期産業資金調達のために国債を買わせるとうたい出しているということは、筋が通らぬと思いますが、この点の理解はどういう工合にしたらいいか、もう一度承わりたい。
  190. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは先ほどから私しばしば御答弁申し上げたのですが、従来は税金をとって、その税金がいわゆる財政資金として長期の産業に投資されておった。ところが税金を減らすことは皆さん方の主張なんで、直接税等はずっと下っていく。そうしますと、その下った税金だけが、全部とは言いませんが、これが民間資金の蓄積に回らなくてはならない、また回るべきだ、こういう考え方であります。そうしてみると、この資金を政府にかわって使うということは、私は経済を動かしていく上で何ら妨げのあることじゃない。これが基本線とお考え願いたい。なにそんなことはよして、直接税でうんととれ、こう言うならまた話は別個になると私は思います。
  191. 春日一幸

    春日委員 私は、そういうターザンの逆襲のようなことを聞いているのじゃない。(笑声)そこで時間の関係がありますから問題を先に進めますが、あなたの方で、政令で定める金融機関の中には——地方銀行の問題は、今石村君に対する御答弁の中で、大体の見解が示されたと思いますが、相互銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、こういうようなものがあると思う。申し上げるまでもなく、この相互銀行や信用金庫や信用組合や労働金庫、こういうようなものの資金がいずれの方向に重点的に流されておるかということは、御承知の通りであろうと思う。特に資金のふえた分は需要もまたふえておるし、そうしてふえたパーセンテージというものは、その金融機関の上積み資金となっており、これが実際に操作される資金になっていると思う。そういうものを、この保有命令でいろいろこういう金融債や公社債の方に吸い上げられれば、これは申し上げるまでもなく、こういうような零細金融を行なっている中小企業金融機関が資金梗塞に陥ることは火を見るよりも明らかなんだ。私がこの機会に伺っておきたいのは、政令で定める金融機関の中に相互銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、こういうものを含めて政令で指定する意思があるのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  192. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話しのようなそういう金融機関は、この対象にいたさない考えでおります。
  193. 春日一幸

    春日委員 相互銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、こういうものは入れないということで了承いたしました。  それからもう一つお伺いいたしたいが、御承知のように、割引の方法により発行する割高、商工組合中央金庫の発行する債券の中で割商を除いておる。御承知の通り、この中小企業金融が今非常に金が困っておって、特にこの商工中金は、今度金融の債政府引き受けというものがなくなったことによって、資金調達が果してできるかどうかということで困っておる。と申し上げますのは、やはり商工中金は市中銀行と交差する面が非常に少い。従ってもしもできることならば、こういうような金融規制が行われる場合、こういうようないわゆる今まで困っておる面に対して、より厚く救済の及ぶような制度こそ望ましい。従って商工中金の発行する金融債の中で、割商をも含めて私は保有されるということであるならば、商工中金の当面しておる資金梗塞というものは、これによってあるいは幾らかでも緩和される面がなしとしないと期待される。しかしながらここにおいては、特にこの割高はこれを除外するということになっておる。結局これは大企業偏重であり、そういう偏向融資、集中融資というものは、これによっては何ら緩和される面がない。私は大臣にお伺いをしたいが、さらに希望を申し上げたいが、割商をも含めて、一つ中小企業金融がはなはだ困っておる現状にかんがみて、商工中金の資金源の確保のために、この割商をも含めて保有命令の対象とする、保有債券の対象としていく、そういう意思はないか。鬼の目にも涙ということがあるが、どうですか。
  194. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 商工組合中央金庫の割引債券、これは御承知のように短期であります。これは長期の資金であります。それと同時に、割引債券は、これは短期でいきますから消化がいいのであります。御心配なかろうと思います。
  195. 春日一幸

    春日委員 御心配なかろうとあなたは言っておられるけれども、いろいろな資料によると、今度の自民両党のあの修正によって、金融債の政府引き受け分がなくなったので資金調達に非常に困っておる。月々募集するところの二億内外のこの金融債では、消化できるかできぬか全然見通しは立たない。すなわち市中銀行と取引がないので、これは持ってもらうといってもなかなか交渉ができない。そういうような状況下において、こういう金融規制を行なった場合、保有命令とか、あるいは法律の精神に基いての影響力というものを考えた場合には、法律の中に割商が入っておった方が効果が大きい。あなたの方は、いろいろ大企業に対する金融についてはもう度を越えて熱心であるけれども、中小企業金融については何もやりはしない。こういうような場合、大企業に対して十のことをやるなら、せめて中小企業のために一つか二つぐらいの善政を施してみてはどうかと思う。ことに割商というものを除外されれば、私はこの商工中金の金融債のワクもまたぐっと減ってくると思う。今回政府の引き受けを減らされた面については、さらに困ってくると思うので、何とかしてこの際割商を加えて、そうして中小企業の金融難をこんな面からでも緩和するように努力されることについて、さらに検討をされることを強く要望するが、しかし法律が通ってしまうと困るので、これは一つ何とか御検討をされる意思はありませんか。これは一つ、言いっぱなしでなく、もう少し——いずれ休憩するのだから、休憩して法律が通る前の理事会で何とか話し合いを願わなければならぬと考えますが、大臣としても、商工中金の金融債は、今まで政府で引き受けておったものだから、何とかこの際同列の取扱いを受けられるように一つ御高配を願いたいと思うが、これに対して御意見はどうでありますか。
  196. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、長期資金の調達を骨子といたしております。もしもこの法律を実施した後におきまして、特に商工組会中央金庫の割引債券の消化に何らかの支障を及ぼすということがあれば、それは別個に私は善処いたしたいと考えておるわけであります。
  197. 春日一幸

    春日委員 大臣は、わが社会党両派の提出しておる銀行法中一部改正法律案、すなわち現在の金融情勢が大企業一辺倒である。すなわち金融の公共性というものは、現在の銀行制度の中においては何ら法律的規制が加えられていない。従って集中融資、偏向融資でめちゃめちゃだ。それでわが党は、これを、銀行は自己資本の一割をこえて同一企業体に集中融資をしてはならぬという法律改正を出しておる。このわが党の法律改正案を大蔵大臣として、また衆議院議員一萬田尚登君としてお読みになったことがあるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  198. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 よくお説を拝聴して十分勉強をいたしております。
  199. 春日一幸

    春日委員 そうすれば、私は最後に結んでおく。今までこの問題について、われわれは日本の銀行法を改正して金融の公共性をよく認めて、産業に奉仕するためにはいかにあるべきか、従って国家的規制を加えるべしという理論は、わが日本社会党が年来この委員会を通じて、また別の機会を通じて政府に対して要望してきました。ところが河野銀行局長の答弁は、いつも金融に対して国家規制を加えることは好ましくない、すなわち自主的な事柄によってよくその協力の実が上っており、法律によって、行政措置によってなすべきでないということをそのつどつど強弁しておられた。ところが今回金融規制の法律が出てきたことは、遂にわが日本社会党の軍門に下った、こういうことで、実に今までの方針、態度と全然変った態度がここに現われて参りました。この上は、金融を国家産業のためにほんとうに奉仕する当然の姿に戻す、こういうことのために、わが党の提出しておりまする銀行法中一部改正法律案もあわせて審議されて、同様に会期内に本委員会を通過せしめることに努力されるように強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  200. 松原喜之次

  201. 井手以誠

    井手委員 私は、大臣に補助金等法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。この法律案については、大臣がきわめて、熱心なようでございます。そこで大臣の信念をお伺いしたいのであります。補助金というものは、執行の問題よりも、むしろ制度に問題があると私は考えております。小さな補助金などを地方に交付する必要のないように、もっと地方に自主財源を与えることが私は根本だと思います。それをなさずして、地方から過大な申請がある、不正申告があるということでこれを取り締ろうとするこの大臣の態度に対して、私はいろいろ申し上げたいこともございますけれども、時間もありませんので簡単に申し上げておきますが、もっと地方に自主財源を与える努力をなぜなさらなかったのか、そして同時に、その法律案をお出しにならなかったのか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
  202. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 補助金の制度は、非常に長い歴史を持ち、しかも多種多様にわたっているのですが、この補助金の制度が全然悪いというわけでもないだろうと私は思っております。それが適切なものであり、これが適正に運用されれば私はいい点もあると思う。財源の点はこれとはまた別個に、要するに地方の財政、特に中央から与える財源については、地方のおやりになっていることがほんとうにそれでいいのか、そういうふうな全体の地方公共団体のあり方、あるいはまた財政規模等から考えて適当な財源を配付すべきである、そういう点については、特に今日地方財政が非常に困難に当面しておりますから、これらの原因を十分探究いたしまして、そして地方の財源をどうするかということを特に三十一年度の予算編成については考えてみたい、また考うべきであろうと今考えております。
  203. 井手以誠

    井手委員 この点については、さらにお聞きしたいのですが、時間がありませんから次に進みます。  この法律案が提出されるまでに閣議でも相当論議があったように承わっておるのであります。特に刑事罰を加えるか加えないか、とうとう粘り強い大蔵大臣が勝ちを占めて、五年以下の懲役を加えるこの法律案が出て参ったようであります。そこで大臣は、この法律によってどこを一番主眼としてねらっておられるのか、何によってこの効果をねらっておられるのか、ただ懲役というおどしによっての効果をねらおうとされているのか、ほかの各補助金に関するものについてはそれぞれ別個の法律があって、不正の申告、あるいは不正使用などについては返還命令その他の条文がちゃんとある。政府が出されている法律はいつも至れり尽せりのものでございます。そういうものがあるにもかかわらず、なおこういう条文をもって臨んでいる、どこにそのねらいがあるのか、懲役をもって臨むということで果して効果が上るのかどうか、この点についての大臣の所見を承わりたいのであります。
  204. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 最近の会計検査院の検査報告を見てみましても、補助金の使用が適正でない件数が非常に多いのであります。かっ金額も巨額なものに上っております。国民の税金がはなはだ不適当に使用されている、こういう事実が上っているわけであります。私のねらいは、この法律を作って何も新しく罪人を作るという意味では毛頭ありません。そういうふうな不適正に使われている補助金が適正に使用されることを目的にしているわけであります。同時にまた、単に補助金をもらう方の入の適正だけを要請することも行き過ぎかもしれません。ですから、こういう法律を作ることによって、さらに補助金を出す方が、たとえば無理な補助金をやる、そうしてまた受ける方に無理をさせるということもないように、双方十分協力して効果を上げたい、これが本法を出した私の目的であります。
  205. 井手以誠

    井手委員 適正に使うということは当然のことだと思います。各関係省や大蔵省が当然やらねばならない責任があると私は思います。補助金は、御存じのように国がしなくちゃならない仕事を地方と分担してやるのが主たるねらいでございます。当然行政措置によってやらねばならないことをやらずに、悪いことがあったからといって、悪いことをすれば懲役をもって、やるぞというような法律が果して必要であるかどうか、私は行政措置で各関係省が公正な査定をやり、厳格な監督をやっておりますならば、そういうことは起らないはずだと思う。それをやり得ない大臣なら、たくさんの役人がいるのだから、やめてもらっていいと思う。なぜ懲役をもって臨まなければならないのか、あなたは非常に刑事罰を熱心に主張されたようでございますが、何ゆえに刑事罰をもって臨まねば効果が上らないのか、その理由を承わりたいのであります。
  206. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 こまかい点はいろいろあると思いますが、従来の行政罰で効果を上げておらない事実に基いているわけであります。そういうものをせぬでもいいじゃないかといえばそれまでであります。従来それで効果を上げていない、そうして、それはまた無理なことをしているからといえばそれまでになりますが、しかし会計検査院の報告によりますると、ほんとうに目に余る使用があり、不適正であるということが事実会計検査院の報告にあがっております。そういうふうなことから、これは特に国の税金であります。これを不当に不正に使用するということは、特に重く考えなくちゃなるまい、こういう考え方。同時に、決して補助金を出す方はどんな出し方をしてもいいというのではありません。こういう法律を出す以上は、出す方においても同様に厳重な責任を考えなくちゃならぬということを申し添えておきます。
  207. 井手以誠

    井手委員 私がお尋ねしておりますのは、当然しなくちゃならない国の監督がおろそかであるために、そういう不正事件が起きている。これは行政監督の仕事でございますから、ほんとうに厳格にやればやれるはずであります。大蔵省なり、あるいは主管省である建設省、農林省、その他の各省が厳重に監督をして参りますならば、そういうことは起らないはずであります。それを大蔵大臣があえて刑事罰を主張された理由はどこにございますかということをお尋ねしているわけです。懲役五年に処すということがあれば、あなたは効果が上る、こういうお考えであるかどうか、どういう理由で上るのか。刑法もすでにあるのではございませんか。人を欺いて、騙取した場合には、十年以下の懲役に処するということが書いてある。これでは効果が上らないのか、何ゆえにこの刑事罰を設けられたのか、非常に閣議で主張された事情にございますので、私はあえてお尋ねいたしているのでございます。
  208. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 論議すればいろいろと意見の違いがあろうと思いますが、実際において、従来のままでは、何回も会計検査院の報告にもあるようにうまく行っていない。理屈はともかくといたしまして、実際にうまく行っていないということは、やはり社会の現われとしてこれは考えてみなくちゃならぬ、それに対応する策をとらなければならぬ、そういう情勢に基いて、行政監督を一そう厳にする意味からもこういう法律を必要とすると考えた次第であります。
  209. 井手以誠

    井手委員 それでは、行政監督を厳重にする条文がどこにございますか。これは補助金を受ける側ばかりの条文でございますよ。厳重に監督する条文はどこどこにございますか。
  210. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私から便宜お答えを申し上げます。御趣旨はいろいろございますが、まず補助金の申請、その他の手続につきまして、従来各省庁が大体内規的に定めておりましたものを立法のレベルに持ち上げまして、これを明確化いたしまして、それによりまして手続がはっきりいたしたのであります。そういう点が、やはり行政監督をいたす上におきまして必要な条件と心得ております。従来は、各省におきましてそれぞれの係官等が、いわばきわめてアービトラリにやっておりましたことを、はっきりと国会の立法のレベルの上において明確にしていただく、こういうことでございます。しかしながら、御趣旨は国家の監理の責任についてでございますが、この点は、すでにこれらの手続等によりましてやっていく場合、国家公務員の服務紀律その他に反するようなものにつきましては、それぞれ罰則の規定がございますから、それは新しく規定はいたしておりませんが、しかし今申し上げましたように、いろいろの手続その他を明確にいたすことによりまして監督の徹底を期する、かように考えておる次第でございます。
  211. 松原喜之次

    松原委員長 ちょっと井手君に申し上げますが、二十分に参議院の本会議が始まりますので、十分余り大臣は参議院の本会議に出て、すぐ帰ってこられるそうでありますから、御了承を願います。
  212. 井手以誠

    井手委員 了承いたしました。  それでは、大臣が退席になったので、事務的な点についてお尋ねいたしますが、よく補助金が三千億だといわれる、その内容を一々詳しくは問いませんが、大体大まかなところでけっこうですから、どういうものでございますか、お聞かせいただきたい。
  213. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。昭和三十年度は補助金、負担金、交付金、補給金、分担金、こういうふうに分かれておりますが、一応大きな範疇で申し上げますと、いわゆる補助金が二千八十二億六千九百九十九万三千円、負担金が七百九十七億一千二百六十四万円、交付金が七十六億九千七百四十万四千円、補給金が五十八億七千百十二万五千円、分担金が四億三千五百五十八万二千円、これによりまして、補助金、負担金、交付金、補給金、分担金の大体五つのカテゴリーに分れるわけでございますが、その総計が三千十九億八千六百七十四万四千円となっております。
  214. 井手以誠

    井手委員 その中に交付税が入っておりますか。
  215. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 交付税は入っておりません。
  216. 井手以誠

    井手委員 続いてお尋ねいたします。一番大事な刑事罰の点について、解釈を明確にしておきたいと存じます。第二十九条の「偽りその他不正な手段により」とございますが、私どもが一番おそれておりますのは、この拡大解釈でございます。犯意がなければ、事情を知らなかったならばいいということはございましょうけれども、しかし、お前は不正な手段をしたじゃないかというおどしには、いかなる場合にもこれはきくのでありますが、その他不正な手投とはいかなる場合をさすのか。おそらく立案者は、具体的にそれを予想して成文化しているのであろうと存じますので、その他不正な手段とはどういう場合をおっしゃるのか、私は、この点が一番この法律では重要な点だと考えますので、明確にお答えを願いたいと存じます。
  217. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 この偽わりその他不正な手段という表現がきわめてぼうばくとしておって、そのために非常に不安を与えるというお話しでございますが、われわれもこの条文を書きます際に、その点についても非常に思いをいたしたわけでございます。一体それではどう書いたらいいかということで、従来のいろいろな法文なども参照したのでございますが、結局この言葉は、税法にあります言葉をそのままとったのでございます。非常に単純なお答えを申しますれば、税法におけるこの言葉があまり不安を与えていないように思うので、この言葉も使って許さるべきではないかと思うのでございますが、要するに、単なる不正と申しますよりは、補助金の交付を招来しますような手段として正しくない、不正なる手段を用いたという意味でございまして、その手段が補助金を交付させるについて重要な致命的な原因となっておる、こういうふうに御解釈願えれば、不正な手段という概念の表現によって非常な不安を与えるものはないのじゃなかろうか、こう考えて、おります。
  218. 井手以誠

    井手委員 知事や市町村長が五年以下の懲役にひっかかるような条文について、その予想されることが明確でないとおっしゃることははなはだ不可解だと思う。不正な手段とはこういう場合をさすものであると一々列挙しないで、それを包括して、きわめて不正な手段というなら、私はそれで了解いたしますが、とにかく不正な手段という言葉は非常に困る。当局のおそらく心配なさっておるのは、また一部でこの点を強く主張しておられるのは、たとえばある会社で不正事件があっても、当局がその事情を知っておったから欺かれたということにはならない、そういうことで、当然懲役にひっかかるものが不起訴になったというのでは困る、従ってこの条文が必要だというふうに承わっておる。そうであれば、当局が事情を知ったときでも、偽わりの申告によってやった場合にはひっかかるという条文をこしらえることこそ必要であると考えます。私は、あえて刑事罰が絶対にいけないとは申しておりません。そういう不正に対してはどんどんやらなければならぬ。もし刑法の条文に不備があれば、特別立法もいいでありましょう。しかしその特別立法の場合において、大きく網を広げて、いかなる場合でもひっかかるような、おどしをかけるような、広範な、いかようにも拡大解釈されるような条文を設けておかれることは、立法上煩しまなければならぬことだと思います。この不正な手段ということが明確にならない限り、私はどうしても承認できません。大体どれとどれとを想定しておられますか。想定しておらなければそれでもけっこうでございます。
  219. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 私の御説明がいささか不十分であったかと思うのでございますが、私の申し上げましたのは、要するにその事業について、適切にして、かつ十分な金額の申請をするということをしないで、国民の税金によってまかなわれているところの公金を不当に付交を受けるということのために、従来いろいろな忌まわしい例が起っているわけでございます。その中で、昨日も法務当局から御説明がありましたように、従来の刑事法規によっては、たとえば詐欺罪というような場合には相手を欺罔するという条件が併要である、しかし実際に毎年会計検査院が摘発しますところの批難事項を目ても、果して交付する側を欺罔したかどうかということがはっきりしないということを申しております。たとえば関西で連絡船の補助金を申請した場合に、沈んだ別の船の写真を持っていって、それによって新しく補助金を受けたわけでございますが、現実にはその川船は沈んでおらなかったという場合に、その偽わりの写真というもので果して交付官庁側が全くだまされておったかどうか、事情は知っておったが、その船が相当古いから、従ってある程度更新を認めてもいいと思った、あるいは申請者側がそういういろいろな事情を話をして、相手を欺罔したわけではないけれども、とにかくいろいろな条件をいいまして、ついにその補助金を受けるに至つたか、いろいろな場合があろうかと思います。そういう場合に、刑法の、相手を欺罔するという条件がなくても、国の財政から見ますれば、そうした沈まない船に出された補助金というものは、国民の血税を非常に不当に使ったことになるわけでございまして、そういうふうな場合を救済せねばならぬということで、単に欺罔した場合のみならず、その他補助金の交付を受けるような、いろいろな考えられます不正な手段というものをすべて包括しますのに、どうも日本語でけほかに十分な適当な表現がないということで、不正な手段という言葉を使ったわけでございます。従ってこの不正な手段ということは、われわれが非常にばく然たる言葉によって大きく網を広げようというわけではなくて、わわわれが従来会計検査院の検査等によって考えられますいろいろな不当交付といいますか、不正交付というふうな事件をいろいろ検討してみまして、それらを包括する言葉に窮して、この不正な手段という言葉を使った、こういちふうに御了解を願いたいと思います。
  220. 井手以誠

    井手委員 今まであなたが例示なさった事柄は、私は偽わりの手段であると思う。一番肝心な盲点は、刑事局員も昨日御答弁がありましたように、査定官を欺罔したかどうか。片方が事情を知った場合には、どうしてもこれを罪になされない、そういう点を強くここで申されたのであります。従ってその点の盲点を押えればいいはずじゃないですか。私が聞こうとするのは、その他の不正手段というのはどんなものであるかということなんです。この各条文によりますれば、不当の補助金を受けた場合には、返還命令が出される。また加算金もっけられる。不当なものについては、それ相当の処置がとられている。その上になおかつ懲役五年以下の刑に処しようという場合には、よほどはっきりと詐欺行為その他がなくてはならぬのであります。申請したものは悪意でない場合でも、これは不正な手段じゃないか、あなたの方から言われた時分には、あるいは検察庁から言われた時分には、それは見解の相違になってくるでありましょう。本人はそうでないと主張いたしましても、これは本証な手段であった、これも不正な手段であると、どんどん検挙されても、この条文が公布された以上は、どうにもならないと私は心配している。従っていろいろな行政措置のほかにあえて刑事罰を加えようとする場合には、よほど慎重でなくてはならぬのであります。従ってこの不正な手段ということをはっきりしてもらいたい。こういう場合に非常に困る、偽わりだけでは取り締ることができないので、予想されるこの場合について、不正の手段として刑事罰にかけたいということでありますならば、私も了解いたします。そうでない限りは、どうしても私は承認できません。長く私は問答しようと思いませんが……。
  221. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 先ほどから私の表現が非常に下手なせいかもしれませんが、先ほど申し上げました例で、たとえば船の例でございますが、交付する側が、沈んでいるというふうにだまされれば、それは偽わりでございます。しかし先ほど申し上げましたように、その船は沈んでないということを知っているが、それに対して、これはいろいろな手段がございましょう、たとえば交付関係の職務をしております職員に、どういう利をもって誘引するか、あるいはどういう親戚筋を通ずるか、これは千差万別の種類がございましょうが、とにかく相手は知っておっても、沈んでない船について、補助金を下さいというふうな、正しくない手段を弄して補助金の交付を受けたとき、こういう意味でございますから、決して偽わりの例だけで私が申し上げた説明ではないのであります。その点相手が情を知っておりながら、しかも利によって誘引し、親戚の筋を通じて誘引し、いろいろ手段がございましょうけれども、その手段に関する豊富な引例ができないということで御理解がいただけないのではないだろうか、こう考えております。
  222. 井手以誠

    井手委員 今のは偽わりではございませんか。相手が知っておったからどうにもならなかったとおっしゃるならば、それを押える立法をしたらどうでございますか。私が尋ねている不正の手段というものと、あなたのお答えと違うんですよ。あなたのおっしゃる、船が沈んでいないものに補助金を取った、しかしその事情は査定官が知っておった、そしたら偽わりの行為じゃないですか。偽わりの手段である。そうであるならば、そういう場合には公務員も当然ひっかかるでございましょう。私どもは、公務員もひっかかるような規定を挿入したいとも考えております。しかしそれは、偽わりの手段により補助金の交付を受け、これでひっかかると思う。不正の手段と書いてあるから、相手が知っておればひっかからないという、それを抑えられるというわけのものではないでしょう。くどくなりますけれども、あなたるがおっしゃるるのは、船が沈んでもいないのに補助金の交付を受けた、それを相手が知っておったから刑罰にかからなかった。これを防ぐために必要だとおっしゃいますけれども、それは偽わりの段によって不当の補助金の交付を受けた。その場合に、相手が知っておったから刑罰にならなかったとおっしゃっている。それならば、偽わりの手段でいいじゃございませんか。不正の手段とはどういうものをさすかと私は申し上げているのである。不正な手段と出かねば、その船の場合は押さえられないという意味とは違うんですよ。
  223. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 何度も同じような御説明をするわけでございますが、船が沈んでないのに沈んでおるというふうな理由を言いまして、しかも交付する側がそれに欺罔されれば、偽わりの手段によって交付をされた。しかし私が申し上げるのは、交付する側と申請する側とがなれ合いで、だから交付する側も、決して船が沈んでないということは知っているわけです。従って法規上補助はできないということはわかっているわけである。しかし、それを強引にいろいろな手段によって補助金の申請をして、補助金の交付を受けるようなことに立ち至らしめるというのが、二十九条の意味であります。
  224. 井手以誠

    井手委員 法務省の説明員にお尋ねいたします。ただいまお聞きの通りでございますが、その他不正の手段と書いたことによって、相手を欺罔したことになるかならないか。その一点だけでよろしゅうございます。この条文が入れば、そういう場合を防ぐことができるのかどうか。今の法規課長のお話しでは、偽わりの手段でもこれで押えられると思う。ところが不正の手段という文字がなければ抑えられない、欺罔したことにはならないとおっしゃっている。その点の解釈を簡単に一つお願いいたします。
  225. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 私の方で不正な手段と申しますのは、一例を申し上げますれば、補助金の交付の申請をしたものが、交付をする相手の公務員なら公務員を料亭に引っぱって行って酒を飲ました。その酒を飲まされたのが原因になって、酒を飲まされたので補助金の交付をしようかという気になって補助金を交付したというような場合が、この不正な手段により交付をしたという例になるのではないかと思います。
  226. 井手以誠

    井手委員 どうも立案者のお考えは、違うように聞いたのであります。もし今の法務省のお答えのごとくでありますならば、これは別に項目を起してでも、はっきりその点を明示すべきだと思うのです。ぐるになってやった場合、いわゆる〇〇橋事件のごときものについては、これを押えなければならぬということでありますならば、明確な条文を書いて、人かおそれないように、不安のないように、またそういうことを起さないような条文を書くことが立案者としては親切な態度であると私は考えるのであります。私が一番心配しているのは、行政措置もできず、その上なおかつ五年以下の懲役を課そうとするならば、やはりひっかかるようなものの出る不正の手段というものを例示しなければならぬと思うのです。明らかにしておかなければ、これが拡大解釈されて非常に困るのであります。大臣がいらっしゃるときに申そうと思っておりましたが、この法律が出るために、地方では、どんな災害が起きても災害復旧の申請をしない、おそろしい目にあうより君子危うきに近寄らず、ほっておけという気持になっておると私は聞いております。また査定官においても、あまり縛ることになりますれば、これまた地方に出向いてまでも査定をしてくるなということになる。私はあくまでも不正の手段というものに明確な対象を置かなければならぬと主張するものであります。  そこで続いてお尋ねいたしますが、補助金の中で一番大きなウエートを占めておると思われる公共土木施設の問題ですが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によりますれば、「地方公共団体の提出する資料、」とございます。これによって国が復旧費を決定するということになっております。この補助金等の取締りに関する法律によれば、申請したものを決定するということになっておる。公共土木施設事業に  ついては、中央がその責任を持って、単に資料を地方から集めるということになっておる、そういう場合にはこの法律がかかるかかからないか。これは、おそらくこの法律では一番大きな点だろうと存じますので、特にお尋ねをいたします。
  227. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 公共土木施設の災害復旧につきましては、府県庁が出します書類に偽わりその他不正な記載がございまして、それによって補助金の交付を至らしめるような因果関係になりますれば、その場合そうした行為の結果を見通しまして、資料を提出しました都道府県の関係職員は、この二十九条の規定の適用を受けるだろう、こう存じます。
  228. 井手以誠

    井手委員 国庫負担法の第七条によりますと、地方公共団体の提出資料、実地調査の結果などを検討して主務大臣が決定するとなっております。これは主体は主務省でございます。資料であるとか、実地調査とかいろいろなものを総合して中央が決定する。従って資料が絶対的な基礎になるものではないのであります。そういたしますと、今度出されました法律案は、書類による正式の申請に対して査定し決定するその書類と、資料で出したものとどのくらい違うか。国庫負担法によれば責任は主務省にある。資料として出したものがひつかかるのかどうか。
  229. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 その資料がうその資料でありまして、しかもそのうその資料によって補助金を不当に交付させるということになり、かつその行為の結果を認識しておる者がそうした場合には、もちろん規定の適用はございます。
  230. 井手以誠

    井手委員 それは法制的にはどの条文で明確になりますか、この法律案によります第五条、第六条などを考えて参りますと、資料その他については書いてございません。補助金等の交付の申請、補助金等の交付の決定についてあなた方の考えられておるのは、地方から正式な交付の申請がくる、これに誤まりがあってはいかぬ、過当の申請があってはいけないので、こういう法律を出されておる。中央できめようというものに、地方から参考に出した資料が果してこれに該当するかどうか、該当するならばどの条文に該当するようになるのか、その点をお尋ねいたします。
  231. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 それは二十九条の条文から、いわば共犯関係において罰せられるものであるという刑事局の御見解でもござい失す。
  232. 井手以誠

    井手委員 法務省の見解はいかがでございますか。
  233. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 偽わりその他不正の手段により補助金の交付を受けたという行為に対して、加工をしたということで、共犯関係の理論によって、二十九条並びに刑法六十条が適用されることによって共犯として処罰されることになります。
  234. 井手以誠

    井手委員 罰則は交付したのだということのために適用するということでございましょうか。
  235. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 不正の手段により交付を受けたということであります。
  236. 井手以誠

    井手委員 そういたしますと、返還命令その他はどうなりましょうか。罰則は不正の手段その他によってひっかかって刑事罰が適用されるでございましょうけれども、返還その他の条文については、参考までに、提出した資料がひつかかるのかどうか。
  237. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 もしそれが不正なものでありますれば、十七条で決定を取り消しまして、その返還を命令することになります。その点は資料には関係ございませんけれども、その当該補助事業に関する補助金については、普通の不正な補助金の交付の場合と同じでございます。
  238. 井手以誠

    井手委員 どうもただいまの御答弁はのみ込めなかったのでございますが、資料として出したものと申請とどのくらい違うのか、それじゃ資料を出した者もやはり責任者になるわけでございますか。
  239. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 比較する例になるかどうかわかりませんが、たとえば殺人を犯そうとする者に対して、人殺しをするのだということを知りながら。ピストルを貸したり、あるいは日本刀を貸したりするといった場合に、この日本刀なりピストルを貸す者が、殺人行為の共犯として処罰されることがあるわけであります。補助金の交付を受けるに当って、不正の手段を講じて補助金の交付を受けるということを知っていながら、偽わりの資料を参考として出す、それが交付の申請の書類の中に利用されると知りながら参考資料を出せば、共犯罪によって処罰されるということになると思います。
  240. 横路節雄

    横路委員 第三十三条第二項ですが、「地方公共団体においては第二十九条から第三十一条までの違反行為があったときは、その行為をした当該地方公共団体の長その他の職員に対し、各本条の刑を科する。」こうなっていますが、この地方公共団体の長は必ずやられるのですか、ここの条文の解釈はどうなんですか。地方公共団体の長、その他の職員というと、おそらく担当するそれぞれの部長とか課長ですよ。それをやった場合には必ず地方公共団体の長もやられる、それから担当した課長なり部長なりの担当官がやられるというのか、その点の解釈はどうなんですか。
  241. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 それは二十九条、三十条、あるいは三十一条なりのそれぞれの刑事罰の規定において何々をした者、あるいは受けた者というその者である該当職員がかかるということになります。そのことは要するに行為者がかかることになりします。いつでも地方公共団体の長が罰せられるというわけではございません。
  242. 横路節雄

    横路委員 今のお話しからいくと、実際に行為をした者ということになると、その実際の担当の職にある者が罰せられるわけですね。そういうわけでしょう。たとえばある地方、自治体の市なら市の者が中央官庁と折衝していく、そうしていろいろ設計書を出して、金をもらっていく、そのときに不正だという、しとになれは、その者が処罰されるのであって、都道府県知事とか市町村長は、意思が通じてなければ処罰されない、そういうわけでしょうな、その点はっきりして下さい。
  243. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。先ほど法規課長がお答えを申した通りで、行為者というこになりますが、ただいま横路委員が御指摘になりましたように、長は必ずしもそういう行為をしないというふうなことではないのでありまして、現実におきましては、地方公共団体の長がみずからそういう行為を行うという事例がやはりあると私は考えております。
  244. 横路節雄

    横路委員 今のは非常におかしいですよ。そうすると、そういうことは、地方公共団体の長がみずから行うという意思があるのだからということになると、地方公共団体の長がみな罰せられて、なお担当の者が罰せられる。罰せられる場合には、必ず地方公共団体の長もやられ、それからその担当の者もやられる、こういう解釈ですか。
  245. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 もう一度はっきりいたしますが、必ずしも長がいつもやられるということはむろんございません。長みずから行為をした場合は罰せられるということです。(「交付は担当官は受けられない、長しか受けられない」と呼ぶ者あり)もう少し具体的に申し上げますと、先ほど刑事局からもお答えを申し上げましたように、不正の手段を行なって受けるというふうな場合に、地方公共団体の長自体がそういう行為をやることはあり得る、こういうことを申し上げておるわけであります。
  246. 横路節雄

    横路委員 今の第二十九条には「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、」とあるでしょう。そうすると、その補助金の交付を受けるのは、必ず地方公共団体の長が受けるわけです。そうしたら、その不正の行為は実際の部長なり課長なりが担当してやる、しかし交付を受ける者は地方公共団体の長が受ける。それで、処罰される者はこれはどうなるのですか、それをはっきりして下さい。
  247. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 われわれも刑法その他についてはしろうとでございますので、説明があまり上手でございませんで申しわけございませんが、交付を受けた者というのは、地方公共団体という法人が受けておるわけでございます。その場合内部の手続といたしましては、たとえば農林関係で、ありますれば農林部長が起案をして、そして知事の決裁を得て出すわけであります。その場合に、今知事というのは大体めくら判かもしれませんが、めくら判でなく、ほんとうに情を知って、自分がこの申請書を出すことによって不当な補助金の交付を受けるという行為に対する認識がございまして出している場合には、その法人が受けた不当な補助金については知事も責任を負います。ただ知事が全然知らないで、農林部長の申請書にめくら判を押しました場合には、農林部長が法人の受けた不当な補助金に対して責任を負う、こういうことになろうと考えます。
  248. 横路節雄

    横路委員 私の聞いているのは「地方公共団体の長その他の職員に対し、」こうなっている、そうすると、今の場合には意思を通じていれば知事と農林部長が両方とも罰せられる、あなたの解釈はこういうわけでしょう。
  249. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 横路委員からの御発言がありましたように、補助金の交付を受けるのは当該地方公共団体でございます。しかしながら実際の手続をとる場合には、知事の名前で申請れることになると思います。しかもその申請の具体的な書類を調整するというような仕事は、農林部長なり、あるいは課長のところで作られることになると思います。その書類が順次決裁を受け知事のところへまで上って、それから中央官庁にそれが届くわけであります。この際に知事が当該書類を見まして、これが不当の手段、によって補助金の交付の申請をしているということを知って判を押し、その交付を受けた場合には、その知事は当然処罰されます。さらにもしその場合に、農林部長なり農林課長も、これが不当な手段による補助金の交付申請である、そしてその結果補助金の交付を受けたといった場合には、その農林部長あるいは農林課長も同様に処罰されることになると思います。
  250. 横路節雄

    横路委員 あなたの今の説明からすると、知事並びに市町村長が処罰されるときは、必ず部課長、担当官も処罰される、こういうわけでしよう。なぜ私がそう聞くかというと、知事がこれは不正行為だとわかったということは、来た書類が不正であることを黙認して出したということなんです。その出した書類が不正なのですから、起案した者が本来でありますれば責任者である。だから知事が処罰されるときには、必ず担当官も一緒に処罰される、こういうわけですね。そういうことになりましょう。これに例外の場合があり得るでしょうかどうでしょうか。
  251. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 多くの場合は、農林部長なり農林課長も責任を問われることになると思いますが、必ずしも全部が全部、農林部長なりあるいは課長が処罰されるとは限らないのではないかと思います。
  252. 横路節雄

    横路委員 僕はあなたの説明はちょっとおかしいと思うのです。この偽わりその他不正の手段によって補助金の交付を受ける者が一番厳罰なのです。その偽わりの手段というものは、知事がみずからやるのではないです。あなたは行政官庁の機構を知っているように、必ず担当官がやり、部課長のところを通ってくるの、でれありますから、知事が全部自分で起案するということはないでしょう。読んで判を押すだけです。だから、そのとき知事が処罰されるということは、すでにその前に不正な行為をもって起案をし、持ってきた者、その者が当然処罰されるわけである。だから知事が処罰されるときに必ず処罰されるだろう、そういう場合に知事だけが処罰されてこちらの方がはずれるということがありますか、そういう偽わりその他不正の手段によって補助金の交付を受ける場合です。
  253. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 極端な例かもしれませんが、知事が農林部長なり農林課長に命じて、こういう書類を作れといって作らせる場合もあり得るかと思うのであります。そういう場合には、知事だけが不正な手段を講ずるものであるということの認識があって、農林部一長なりあるいは農林課長の方で、その点の認識が欠けておるという場合も想像されるのではないかと思います。
  254. 横路節雄

    横路委員 そうしますと、あなたの話では、知事が部長、課長を呼んで、こういう不正手段で金をもらうから申請魯を作れ、こういって作って、そうして決裁を通ってきた場合には知事だけが処罰されるのですか。あらかじめ不正であるということがわかって、補助金を受けるためのいろいろなそういう作業をやった担当官は処罰されないのですね、それはどうなんですか。
  255. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 知事が農林部長なり農林課長に指示をする際に、これは不当な手段によって補助金の交件の申請をするのだからやってくれということを明らかにして指示をする、これを承知の土で農林部長なり農林課長が作った、こういった場合は、これはまさ、しく知事と同時に農林部長、農林課長が処罰されることになると思いますが、この情をあかさないで、単にこういう書類を作ってこい、農林部長なり農林課長の方で、これが不正手段の素地になるのだということがわからないというような場合は、農林部長や農林課長の責任にはならないと思います。
  256. 横路節雄

    横路委員 私はそれはおかしいと思う。大体部長、課長が現場の第一線で行政をやっているのですよ。その者が設計書を作るときに、たとえば提防が決壊しておるときに、それが百メートル決壊しておるか、それとも五百メートル決壊しておるか、これは現場の長がわかっているでしょう。それをだめだ、五百メートル決壊にして補助金をもらうのだという場合に、これは不正な手段でもらうのだなということがわかるでしょう。その場合でもあなたは処罰されないというのですか。
  257. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 情を知っていたか知っていなかったかということは、証拠による事実認定の問題になると思いますので、今横路委員の言われたように、かりに農林部長なり農林課長なりが知らなかったと言っても、諸般の客観的な証拠によってそれが知っていたと認められることになれば、刑事責任を問う上においてはそういう弁解は立たないと思います。
  258. 横路節雄

    横路委員 主計局の次長にお尋ねします。第三十二条は「法人の代表君父は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。」となっている。ぼくはこれはおかしいと思う。なぜおかしいかというと、今私が言ったように、地方公共団体の場合は、まず前提としては大体においてそれぞれの担当者も罰せられるし、それぞれの都道府県知事並びに市町村長も罰せられる。その例が多い。ところがこの場合には、その行為者だけが罰せられるけれども、法人または人に対しては本条の罰金刑だけだというのです。これは地方公共団体にあまりにも重く、法人その他に対しては軽くということに失しませんか。主計局次長どうなんです。これはどうもおかしいと思う。
  259. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これは、法人におきましては技術的にそういう罰を課する道がないという意味におきまして言っているわけであります。  なお先ほど来の御質問についてでございますが、これは、横路委員は大体一般の通念からいいまして、多くの場合部課長というものは知っておるではないか、こういうことを前提においてお話ししていらっしゃることはわかるのであります。これに対しまして、法務省からのお答えは、理論的にこういう場合もあり得るということを申しておるわけであります。これは現に脱税につきまして、法人についてよく起る問題でございます。社長あるいは経理部長とどちらを重く見るかというふうな問題が起るのでありますが、大体同じようなことで、理論的には両方について起り得るという意味で規定をいたしたものである、かように考えておるのであります。
  260. 横路節雄

    横路委員 今の点はどうですか。あまり均衡がとれておらないじゃありませんか。
  261. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 これは法人、そういうものを刑務所に入れるという適当の方法が考えられないので、法人に対しては罰金刑を課するよりほかに方法がないというわけであります。
  262. 横路節雄

    横路委員 私の聞いておるのは、法人については罰金刑ということであるならば、地方公共団体においても、市町村並びに担当官が罰せられる場合こは、その主たることをやっておるのはこの担当者なんですから、担当者が刑罰の規定を受けて、その地方公共団体の長たる者は、今あなたの言う通り、その法人と同じような罰金刑でいってしかるべきだと私は思う。そうでなければおかしいじゃありませんか。
  263. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 私からお答え申し上げますが、法人の場合、たとえば会社の場合におきましては、社長が情を知ってこの行為をした、また社長に命ぜられて、社員がそれと通謀してこうした行為をした、そのときは、社長もその行為をした社員も罰せられるほかに、さらに法人が罰金を受けるのでございます。しかし地方公共団体においては、その地方公共団体を処罰するということは妥当でないと考えまして、地方公共団体については、むしろ処罰することをやめておるのが三十三条でございまして、地方公共団体に重くて、法人に軽いというのとは少し違うのではないかと考えるのでございます。
  264. 横路節雄

    横路委員 そうすると、やはり地方公共団体の場合と同じに、法人においても、その長たる者とそれからその担当者との間に意思が通じておれば、両方処罰するわけでありますか、それは間違いありませんね。
  265. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 間違いありません。
  266. 松原喜之次

    松原委員長 この際暫時休憩いたします。    午後六時七分休憩      ————◇—————     午後六時三十九分開議
  267. 松原喜之次

    松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案金融機関資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案の二法律案を一括して議題といたします。
  268. 内藤友明

    内藤委員 ただいま一括議題となりました両法案に対する質疑はこの程度で終了し、討論を省略し、直ちに採決せられんことを望みます。
  269. 松原喜之次

    松原委員長 内藤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。まず金融機関資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案を採決いたします。本法律案を可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  271. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。  次に、昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案を採決いたします。本法律案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  272. 松原喜之次

    松原委員長 起立総員。よって本法律案は、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  なお、昭和三十年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案に対する希望条項といたしまして、次のごときものを附することについてお諮りいたします。  昭和三十年度事前売渡制度実施に当り、集荷の状況にかんがみ、予約締切期日後の買入分に対しても、優遇措置を講ぜられたい。 以上であります。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 松原喜之次

    松原委員長 異議なしと認めます。よってさよう決しました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
  275. 松原喜之次

    松原委員長 次に、本日の請願日程にあります石油関税復活反対に関する請願外五百八十三件を一括して議題といたします。請願審査小委員長より小委員会における審査の経過並びに結果について御報告を聴取いたします。杉浦武雄君。
  276. 杉浦武雄

    ○杉浦委員 ただいま議題となりました請願日程につきまして、請願審査小委員会における審査の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。  今会期中本委員会に付託になりました請願は、総数五百八十四件でありまして、本小委員会は今二十九日その各請願につきまして、請願紹介議員より説明を聴取し、さらに各関係政府当局に質疑を行い、その全部につきまして審査を行なったのであります。  次に審査の結果について申し上げます。日程第五、第七、第一六ないし第二一、第四四、第四六、第五三、第七一ないし第七五、第七九、第八〇、第九三、第九四、第九六、第一〇二、第一 ○七、第一一〇、第一一七、第一一九、第一二六、第一二八、第一三〇、第一三三、第一三五ないし第一三九、第一四四、第一四六ないし第一四九、第一五九ないし第一六八、第一七一ないし第一九三、第一九六ないし第二二三、第二二五ないし第三九三、第三九五ないし第四三七、第四四〇ないし第五二〇、第五二五ないし第五三九、第五四一ないし第五六四、第五七一ないし第五七五及び第五七八ないし第五八四の各請願につきましては、その趣旨が妥当なるものと認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決し、なお日程第五六八ないし第五七〇の各請願につきましても、そのうち酒税率引き下げの項につきましては、同様に採択の上内閣に送付すべきものと決定いたしました。  また日程第一ないし第四、第六、第八ないし第一五、第二二ないし第四三、第四七ないし第五二、第五四ないし第七〇、第七七、第七八、第八一ないし第九二、第九五、第九七ないし第一〇一、第一〇三、第一〇五、第一 ○六、第一〇八、第一〇九、第一一一ないし第一一六、第一二〇ないし第一二五、第一二七、第一三一、第一三二、第一四〇ないし第一四三、第一四五、第一五〇、第一五五ないし一五七、第一七〇、第四三八、第四三九、第五二一及び第五四〇の各請願につきましては、おのおの立法措置及び行政措置によりましてその、趣旨がすでに達成せられておりますので、議決を要しないものと決し、なお残余の請願につきましては、その決定を延期いたしました。  以上請願審査小委員会における審査の経過並びに結果につきまして御報告を申し上げます。
  277. 松原喜之次

    松原委員長 お諮りいたします。各請願につきましては、ただいま請願審査小委員長の報告の通り決したいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成、提出手続等にうきましては委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なおこの際御報告申し上げますが、今会期中、当委員会に参考のため送付されました陳情書は、ただいま諸君のお手元にその件名を印刷して配付いたしました通り、全部で三十二件でありますので、御報告申し上げておきます。     —————————————
  280. 松原喜之次

    松原委員長 次に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。黒金君。
  281. 黒金泰美

    黒金委員 今の問題につきまして、最後に政府の御意向を一言承わっておきたいと思うのであります。  昨日来私も質問をいたしましたし、また同僚、先輩からもいろいろ御質問がありましたが、今度の法律につきましては、いろいろ難点も多いように思います。この弊害を根本的にため直すことの必要はもとより申すまでもございませんが、あまりに補助金を受ける側に酷でありまして、補助金を交付する側についても、それの査定の段階、あるいは交付の段階、あるいは監督の段階において、いろいろ手落ちの点も多々あるように思われるのであります。こういう点に対する制裁が非常に寛大である。また交付を受けます事業団体にしましても、現在財政が窮乏いたしておりますために、やむを得ず行なっておるような点もあると思います。こういうような点をかれこれ勘案してみますと、現在の法律にあります罰則規定があまりに酷ではないか。公共団体の理事者につきましても、あるいは行政的な制裁を加えまして、その地位から葬ることによってこの目的は達し得るのじゃないか、何も訴訟にまで持って参りまして刑罰を科することはない。ことに相当重い刑罰が科せられる、そういうような罰則を加えなくとも、この目的は達し得るのじゃないか、かような意見をわれわれはかなり持っております。ことにこの法律がかりに施行されまして、政争の激しい町村その他におきましては、いろろな密告等でこの体刑が濫用されるというようなことでもありましたならば、非常に困った結果になって、地方自治が混乱を来たすのじゃないか、このようにいろいろと懸念されるわけであります。そこで私どもとしては、最後に政府の所信を承わりたいことは、何もこのような体刑を加えなくとも所期の目的を達し得るのであって、これを行政的な制裁に切りかえてお考え直しになる御意思があるかどうかという点を、最後に承わりたいと思います。
  282. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 まず第一に、この法律を作りましたゆえんのものは、昨日来お答えを申し上げましたように、今まで何か村のため町のためというようなことで、補助金をよけいに取ること自体は許さるべき行為ではないかというような思想が非常に多かったのに対しまして、こうした補助金に対しましても、それが公けの資金を適正に使わなければならない、それを不適正、不適当に使われるということは、一つの社会的な悪いことであるということを規定しようといたしたのであります。その結果刑事罰がついておりますが、ただいま黒金委員御指摘の通りに、刑事罰が補助金の交付を受ける側にだけ非常に酷ではないかというような御意思の点は、わかるのでございます。従ってそれをあるいは行政罰に切りかえてはどうだろうか、そういうことを考えたことはないかということでございますが、この点、昨日も黒金委員の御質問にお答えしたのでありますが、地方の公共団体、あるいは補助金を受ける私企業、こうしたものに対しまして行政罰を加えるということは、現在の法規の建前からいたしてなかなかむずかしいのではないかということが一つでございます。また行政罰は、申すまでもなく行政の運用と申しますか、行政的な秩序を乱したものに対して加えるものでありますが、それに対しまして、先ほど申し上げましたように、今回の法律は、むしろ補助金というような公けの資金を不当に、あるいは不正に使用したということがつの社会悪であるというような意味に考えますと、行政罰という問題もなかなかむずかしいのではないかということは考えられるの一であります。ただ最後に申し上げたいのは、繰り返して申し上げましたように、この法律によって罪人を作ることが目的ではございません。どこまでも補助金か適正に使用されるということによって、公けの資金というものが公正な使用をされていくというこの秩序を保ちたいのであります。従いまして、不正な補助金の交付を受けるというような原因を国の側で作るようなことのないように、あるいは補助単価の引き上げでありますとか、補助の交付の時期の繰り上げでありますとか、あるいは査定の場合においても適正な査定をいたしますとか、あるいは工事の途中におきましての監査を十分にいたしまして、不当に使用されない前に事前の予防をするとか、こうしたあらゆる手段を使いますとともに、また交付する国の側の公務員につきましても、十分規律を厳正にいたしまして、そうして補助金が適正、に交付され、また適正に使用されるために、中央地方相待ちまして努力をいたし、この法律を作りました目的が罪人を作らずに達成できまするように、政府といたしましても最善の努力を尽して参りたいと考える次第でございます。
  283. 黒金泰美

    黒金委員 ただいまの御答弁によりますれば、この種の行為というものを、どうしても法律上の罪にしなければ目的を達しない、このようなお考えが非常に強いようであります。この点は見解の相違になりますから、あえて追及はいたしません。ただしかし、今政務次官の御答弁にもありましたように、この目的を達しますことは、ほんとうに刑罰を執行しまして罪人を作ることではないと思います。まず補助金全体につきまして、来年度の予算においてはもっとすっきりしたものにして、どうか補助金の根本において、このような弊害が起らないようにしていただきたい。また地方財政も非常に窮乏いたしておりますから、あるいは平衡交付金の改正をいたすなり、いろいろな点において、国と地方団体両方が立っていけるような体制に御改正を一つ真剣にお考え願いたい。またせっかく補助金をお出しになる以上は、中途半端なものでなく、今もお話しが出ましたように、予算の単価につきましても、あるいは規模につきましても、させたい仕事だけは完全に行えるように、こういう悪いことをしなくてもできるような心がまえをお願いしたいし、また何とか支給期日を早めまして、金繰りに困らないように、地方は非常に苦しいのでありますから、どうか一つ十分にお考え願いたい。またこの問題がこれほどに紛糾いたしますのは、過去において非常に多くの不正の事実がありまして、交付を受けました側において処罰をされた者も至って少いのでありますが、これを交付しました側におきましても、どうも責任を追及されておることが非常に少い、こういう点で片手落ちではないか、まずみずからを戒めた上で他を戒むべきではないかという考え方が非常に強いのであります。こういう点につきましては、昨日政務次官から政府を代表して、今後は必罰、責任の所在をはっきりさせて制裁をはっきりいたします、こういう御言明を得て、われわれは幾らか将来に希望をつないでおるわけでありますけれども、これだけの厳罰をもってお臨みになる以上は、今後官紀の刷新と申しますか、この上ともに十分にお気をつけになりまして、片手落ちのそしりを受けないようにやっていただきたい。同時にいろいろ中間の監査の方法がございましょうが、これにつきましても、十分に改善を加えまして、よろしく御指導を賜わり、一人として罪人を作らず済ましていただくように、この上とも御努力を願いたいと思うのであります。ことにきょうは法務省からもお見えになっておりますのでお願い申し上げますが、こういう法規を作ります当初は、一人の罪人も作るべきではないと言って法律をお通しになるのが常であります。ただ実際できてみますると、ともすれば乱用のきらいもなきにしもあらざる現状であります。ことに政争の激しい土地その他におきましては、この法律を乱用し、相手方の政敵を倒すということが起らないとは決して保証できないと思います。どうかこういう点につきましては、十分に慎重なお取り計らいを賜わりまして、先ほど政務次官のおっしゃいましたように、一人の罪人も作らずに目的を達しますように、切にお願い申し上げたいと思います。
  284. 小山長規

    ○小山(長)委員 一言政府当局にお伺いしておきたいと思いますが、この罰則については、刑事罰は非常に重いということは、ただいまるる黒金君が言われた通りであります。そこで刑事罰にかわるものとして考えられるものに一体何があるか、これにかわるべき行政罰はなぜできないのか、この一点だけをぜひ明確にしていただきたいのであります。
  285. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、昨日も黒金委員の御示唆があったのですが、こうした行為をした者をその地位にとどまらせない、あるいは公選の知事でありますならば、被選挙権等を奪うというようなことが一つ考えられると思います。しかしこの点は、直接公選とからんでおるものについて、その違反を犯した者を公民権停止をするということは妥当でありますが、補助金とからんで公民権を停止するというようなことは、相当無理があるという結論でございます。  もう一つは、いわゆる懲戒的な行為でございますが、これは御承知のように、地方の公務員に対して、あるいは公選の地位にあります者、さらにはこうした補助を受ける私企業をやっておる者に対して、政府が行政罰として免職あるいは減俸というような懲戒処分をいたしますることは、現行の法律の建前からして不可能ではないかというふうに考える次第でございます。
  286. 小山長規

    ○小山(長)委員 この法律によりまして裁判が行われ、犯罪はあるけれども、執行猶予に相なりました場合には、知事あるいは市町村長というものは、その職にとどまるのでありますか、去るのでありますか、その点を伺いたい。
  287. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 国家公務員にありましては、国家公務員法の七十九条という条文がございまして、職員が刑事事件に関して起訴された場合には、当然休職ということになります。さらにその事件が確定いたしますと、いわゆる有罪の判決が確定いたしますと、当然免職されることに相なります。同様の規定が地方公務員法に規定されておることになっております。公民権の問題でありますが、これは公職選挙法に、禁錮以上の形に処せられてその執行を終るまでのもの、さらに執行猶予に付せられた場合には、その執行を受けることがなくなるまでの間、すなわち執行猶予期間中は選挙権及び被選挙権を有しない、こういう規定がございます。(「公民権は停止されますか」と呼ぶ者あり)公民権は、禁錮以上の刑に処せられますと、停止されます。(「職務は」と呼ぶ者あり)職務が免ぜられるのは公務員法によってであります。
  288. 小山長規

    ○小山(長)委員 地方公共団体の長は公務員ではありません。特別職でありますが、この人たちは、ただいまの刑に処せられた場合には、選挙法の規定に入るわけですね。
  289. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 そういうことになります。
  290. 小山長規

    ○小山(長)委員 選挙法の規定によって禁錮以上の刑に—禁錮には刑に年限が入っておりませんか。
  291. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 入っておりません。
  292. 小山長規

    ○小山(長)委員 禁錮以上の刑に処せられた場合には、職務を停止せられるわけですね。
  293. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 判決が確定いたしました場合には、ただいまの御説の通りでございます。
  294. 松原喜之次

    松原委員長 本案に対しまして、各派共同提出にかかる修正案が提出されておりますので、印刷して諸君のお手元に配付しておきました。     —————————————    補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案に対する修正案補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案の一部を次のように修正する。   第一条中「予算の執行の適正化」を「予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化」に改める。   第六条に次の一項を加える。  3 前項の規定により補助金等の交付の申請に係る事項につき修正を加えてその交付の決定をするに当つては、その申請に係る当該補助事業等の遂行を不当に困難とさせないようにしなければならない。   第二十九条に次の一項を加える。  2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。   第三十一条中「六月以下の懲役又は」を削る。   第三十三条第一項中「地方公共団体」を「国又は地方公共団体」に、同条第二項中「地方公共団体において」を「国又は地方公共団体において」に、「当該地方公共団体」を「各省各庁の長その他の職員又は地方公共団体」に改める。     —————————————
  295. 松原喜之次

    松原委員長 本修正案についての趣旨の説明は省略し、本案に対する質疑はこれにて終了し、討論を省略して、直ちに採決いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  これより採決に入ります。初めに本法律案に対する各派共同提出の修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  297. 松原喜之次

    松原委員長 起立総員。よって本修正案は可決せられました。  次に、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。この部分に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  298. 松原喜之次

    松原委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明三十日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時三十五分散会