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1955-07-27 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 横路 節雄君 理事 春日 一幸君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       遠藤 三郎君    櫻内 義雄君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       福田 赳夫君    坊  秀男君       前田房之助君    山村治郎君       山本 勝市君    淺香 忠雄君       川野 芳滿君    黒金 泰美君       小山 長規君    古川 丈吉君       石村 英雄君    横山 利秋君       井上 良二君    川島 金次君       田万 廣文君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (理財局長心         得)      石野 信一君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局証券課         長)      小林 鎮夫君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 七月二十七日  委員小川豊明君辞任につき、その補欠として石  田宥全君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十六日  酒税率引下げに関する請願堀内一雄紹介)  (第四五七六号)  三級清酒設定反対に関する請願堀内一雄君紹  介)(第四六二〇号)  同外三件(二階堂進紹介)(第四六二一号)  同(二階堂進紹介)(第四六二二号)  同(二階堂進紹介)(第四六二三号)  同(二階堂進紹介)(第四六二四号) の審査を本委員会に付託された。 同 日  旧外貨債有効化に関する陳情書  (第四五一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号)(参議院送付)  (証券投資信託法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二〇号)(参議院送付)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。山村治郎君。
  3. 山村新治郎

    山村委員 与党の立場ですから、ごく穏やかに質問いたします。  最初にお尋ねいたしたい点は、この投資信託の問題につきまして世上いろいろと疑惑を生んでおる点は、おそらく大蔵当局といえども御存じだろうと思うのです。特にいわゆる四大証券並びに数社がこの投資信託を経営いたしておって、中小会社が全然これにタッチしておらないという点とも関連して、投資信託そのもの保全経済会の二の舞じゃないかというような議論のあることは、もう天下公知の事実でございまするが、この投資信託の現在の設定の分と欠損の総金額幾らくらいと大蔵当局は見ておられますか。
  4. 石野信一

    石野政府委員 まず最初に、投資信託が比較的大規模会社によって行われているという問題でございますが、これは法律上も資本金五千万円以上の会社に行わせる、なおいろいろ認可基準がございまするが、要するに資本金が五千万円以上でなければいけないということに相なっておりまして、これはある程度募集能力等の点で規模が大きくありませんと、何分にも設定額相当の単位になりませんと危険分散関係等からも成り立ちません。その点は、やはり投資信託が今度は投資者の側では、中小投資者がこれに応募するというような関係からも、ある程度取り扱う会社規模を限定する必要がある関係からでございます。  なお保全経済会と同じようなことじゃないかというような疑惑が生じておるやに聞いておりまするが、これは制度本質から申しまして非常な誤解でございます。この点は、はっきり申し上げておいた方がいいと思うのでございまするが、この投資信託におきましては、財産というものは、信託契約によって、信託財産として信託銀行名義人となって管理をいたしております。従いまして、保全経済会の場合のように、その会そのもの財産として勝手に処分をするというようなことはできないのでございまして、委託会社は、その信託会社に対してそれを売るとか買うとか指図だけを行うわけでありまして、その指図を行います場合に、売り値、買い値につきましては、取引所の認める価格によらなければならないことになっておりまして、決して保全経済会のように、勝手にその財産処分してしまうというようなことは起り得ないのでございまして、信託財産につきましては、信託銀行銀行検査においても十分に検査をいたしておるわけでございます。  それから現在の設定の分の損失の総額でありますが、これは平均をいたしまして八%程度というふうな数字になっております。
  5. 山村新治郎

    山村委員 時間がないのですから、質問の要点だけ答えてもらえばけっこうです。そこで今八%程度という非常に少額の発表があったのですが、たとえばここに東洋繊維という株が大暴落したのを御存じでしょう。この東洋繊維の株が四大証券投資信託設定になっておったということについて、どれくらいの損害をこうむっておるかということを調べておりますか。
  6. 石野信一

    石野政府委員 ただいまちょっと調べまして、お答えいたします。
  7. 山村新治郎

    山村委員 投資信託設定の場合において、果して投資者利益になるかどうかという点で私が一番疑念を持つ点は、かりに株式上り歩調であった場合において、ややもすれば設定の十日、あるいは一週間前から、すでに株屋さんが相当株式市場で株を買っておいて、そうして設定の日にある特定の市場でもってあおりをつけて、そのついた値段設定するという傾向があるかないか、この点についてお取り調べになったことがあるかないか、一つ答弁願います。
  8. 石野信一

    石野政府委員 特にそういう意味で、上り気味の場合にある程度ぼつぼつ買っている事実は確かにあると思うのでありますが、それがあおるような意味でやるかということにつきましては、そういうふうにやりますと、設定額が、非常に設定のときの価値が高くなりますから、投資信託としては逆に財産損失になるわけであります。従いまして、投資信託の方の成績がふるわなくなりますので、投資信託も数社競争関係がございまするから、投資信託関係から申しますると不利になりまするので、そういうことはないと考えております。なお最近株価の方も現状のような状態でございますので、大体払い込まれた金は、前のものの解除される分と振りかわるというような形になっていると考えております。
  9. 山村新治郎

    山村委員 この投資信託の支払いの延長を現在大蔵当局認可をして認めているわけですが、これを認めているということは、見方によっては、そのために非常に損害受益者に与えているという軽い見方もあるかもしれませんが、実際には、持っておる株の値段が、市場で売りさばくためにかえって相当暴落をして、一層の損害を招くということをおそれている点にあると思う。従って、このような延長に次ぐ延長をやって参るということは、ちょうどさっき保全経済会と決して同じではないというお答えがあったようでございますが、実際問題としては、一つユニット設定期日がきますると、その期日の前後にまた新しいものを設定して、もと設定の株を新しいユニットに乗りかえていくという傾向があると思いますが、このパーセンテージは、どのくらいのものを乗りかえておるかということを調べたことがございますか。
  10. 石野信一

    石野政府委員 償還期限が参りましたときにこれを延長いたしますのは、お話しのように、株価上り歩調の場合に急にこれを処分すると、値下りがあって、受益者損失になるというような関係もございまするが、もともと信託約款に二カ年を限って延長することができることになっております。受益者利益のためにはやれるということになっておりまして、これは大蔵大臣の承認が必要でございまするが、一カ年とにかくとりあえず延長いたしたわけでございます。これをずるずる永久に延長するということにはならないわけでございます。また一カ年延長しまして、あと一年ということになると、この十月ごろにまた期限が参りましたときにどういたしますか、これは結局経済界情勢株界情勢等諸般情勢考えまして、実情に即して処理をいたしたいと思います。全体といたしましては、最近はずっと設定額横ばいと申しますか、解約になる分と、償還も、結局受益者が希望した場合は一部は償還することになっておりますが、その分と新設定とで相殺し合って、大体横ばいを維持していくことができるのじゃないかと思います。
  11. 山村新治郎

    山村委員 問題は、その十月なら十月の期日が来たときに、再延長がきかなくなった場合にどうするかということなんです。その場合に、持っている株を全部市場へ売り出せば、市場株価暴落するにきまっているのです。その場合の対策は何か考えているかということを聞きたい。
  12. 石野信一

    石野政府委員 二年しか延長を認められないわけでございますから、やはりだんだんに株も処分をしていって、償還期限がきたときには、あまり一度に売り出さないように一応いたさざるを得ないと思います。
  13. 山村新治郎

    山村委員 償還期日がどうしても延長できない場合には、一度に処分せざるを得なくなるんですよ。その場合においては、持っている株式というものは市場にはんらんすることになる。その場合の暴落に対する対策を講じておられるかどうかということなんです。
  14. 石野信一

    石野政府委員 投資信託を扱っております会社といたしましても、そういうふうに暴落をいたしますと、全体の市場の問題のみならず、結局投資信託そのもの償還にも関係をいたします。従いまして、この規定では二年しか延長ができないわけでありますから、いよいよこれがあと一年だということになりますと、どうしてもだんだんにこれを処分するというふうなことで、一度に出さないように心がけると思うのでありますが、そういうふうに指導していく以外にはその点はやむを得ない、こういうふうに思います。
  15. 山村新治郎

    山村委員 参考に伺いますが、今投資信託でもって保有しております総株数金額幾らになりますか。
  16. 石野信一

    石野政府委員 金額で七百四十億円くらいでございます。上場株式総数に対しまして七%程度でございます。
  17. 山村新治郎

    山村委員 大体上場株数の七%の金額かもしれないのですが、一般浮動株の何%に当るか。いわゆる固定株でなくて、一般にあっちに行ったりこっちに行ったりして動いている株の何%に当ると大蔵当局考えておられるか。
  18. 石野信一

    石野政府委員 浮動株というのも、正確な判定はなかなかむずかしいのでございますけれども、大体そうなりますと倍くらい、割合からいたしますと一五%くらいになるんじゃないかと思います。
  19. 山村新治郎

    山村委員 私は、それは大きな間違いだと思うのです。実際はいわゆる浮動株の三〇%あるいは四〇%くらいの株を持っているのじゃないかと思う。そうすると、この投資信託で持っている株をどうするかということが、日本の株の値段を左右することになるのです。ところが一方において、政府が半分保証するような印象を与えて、投資信託を許している限りにおいて、大蔵当局においてはこれに対する根本的な対策を立てなければならぬと思うのです。この投資信託の持っている株をどういうふうにして一般受益者には損をかけないで、そうして株も暴落させないで処理するかということについて、何か研究したことはありませんか。
  20. 石野信一

    石野政府委員 確かにおっしゃるような問題は、重要な問題として研究を要することでございますが、しかしながら、この投資信託制度そのものが果しております役割も、これはまた十分に一つの意義を持っておるわけでございます。従いまして、この処置につきましては証券界の今後の情勢等をも考えてやっていかなければならないわけでございますが、特に損失を絶対に保証するというような建前のものでないことは、これは制度本質から申しても当然のことでございまして、あるいはそこで過大な広告をしたとか、そういうような問題もあるのかとは思いますけれども、今後は、そういう意味では、元本の保証されていないものであるということも、はっきり周知徹底をさせる、そういうふうな意味でも勧告を十分にいたしていかなければならない。ただ大体において、経済界が今よりどちらかというとよくなると申しますか、正常化して参りますと、だんだんと証券市場の方も改善されて参るかと思うのであります。従いまして、特に保証するとかなんとか、そういう意味対策というものは講じかねるし、また制度建前からも講ずべきでないと思います。
  21. 山村新治郎

    山村委員 時間がないから、答弁は簡単でけっこうだから要点だけ、わからないものはわからない、対策がないならないでけっこうだから、言ってもらいたい。  ところで投資信託法によると、投資信託設定すべき株については、無配の株はこれを入れてはならぬということがあると思うのですが、この点はどうですか。
  22. 小林鎮夫

    小林説明員 投資信託の株につきましては、無配のものは原則としてこれを入れてはならないと規定いたしております。ただ将来、次の期において復配見込みがあるものは、これは入れてもいいということになっております。
  23. 山村新治郎

    山村委員 新しく設定をする場合において、この次の機会に配当ができるようになるだろうというふうな問題についてはいいかもしれぬが、いつの間にか設定をして買っているうちに、それが無配になったものについて、大蔵当局一つも勧告しておらないように聞いておりますが、どうですか。
  24. 小林鎮夫

    小林説明員 一ぺん組み入れましたものが、最近のように企業成績が悪くなりまして無配に転落する、あるいは欠配になるようなものが出ておるわけでありますが、これは、大量に入っておりますものをその際に一ぺんに処分するわけにもいきませんものですから、直ちにこれを取り除くということにはいたしておらないのでございますけれども、その会社の将来の業績を見て、復配見込みのないものにつきまして、これを取りのけるようにやっております。
  25. 山村新治郎

    山村委員 そうすると、投資信託法の本来の精神の、無配のものを組み入れちゃならないというこの法律を犯しておることになりますか、そう解釈してよろしいですか。
  26. 小林鎮夫

    小林説明員 組み入れの際には、無配と初めからわかっておるものを組み入れるということは、これはいけないことでございますが、企業成績がその後において変りましたものを、直ちにこれを処分するということは、これはやはり無理な面が出て参りますので、その際につきましては、漸次これを処分するということにしておるわけでございます。
  27. 山村新治郎

    山村委員 将来よくなるかどうかということは、これはおそらく神様でもなかなかわからないのが株の相場の常なんです。それを、いつの間にか無配になってしまったからといって、これを売れば安くなるから売らないでいるということは、それだけ経済界の不安を先に延ばすだけになってしまう。この点について、今売れば株が暴落するだろうから売らないというようなことを、大蔵当局はこれから認める方針なんですか。
  28. 小林鎮夫

    小林説明員 株式組み入れ、その後の運用につきましては、役所立場といたしましては、元来そういう株式の将来の見通しとか、いつどういう銘柄を組み込むことがいいかということは、役所の判断すべき立場でございませんで、専門家として委託会社が、受益者との契約によって一任されておる、こういう制度のものでございますので、私どもの方でそれを一々どうする、あるいは認めるとか認めないとかいう権限はないわけでありまして、ただ原則だけを示しておるのであります。
  29. 山村新治郎

    山村委員 私は、その見解はえらい間違いだと思うのです。というのは、投資信託法には、はっきり受益者には損害をかけないように、そういう無配のような危ない株は入れるな、入っておった場合にはさっそくこれを売りさばくなり処分するなりして、受益者安心感を与えるようになっておる。そうするところに、やはり委託会社としての信用も回復すれば、信用も高くなるし、同時に初めて投資信託というものは活用されることになると思うのです。大蔵省としてはそれに対して、非常に不良な株を持っているかいないか、そういうようなことについての検討はされておらないのですか、検討される責任があると思いますがその点どうなんですか。
  30. 小林鎮夫

    小林説明員 投資信託約款におきましては、上場会社の株を組み入れるということになっておりますのですが、それを組み込む場合につきましての基準を私どもの方で示していまして、その基準に従って組み込んでおるかどうかということは審査いたしております。その後において無配になったものにつきましても、これを取りのける、あるいは一ぺんにいきません場合は漸次に処置するといったようなことはいたしております。組み入れの場合についても、一々審査をいたしまして、初めから組み入れ銘柄から削除させるということもいたしております。
  31. 山村新治郎

    山村委員 今までにそういう不良な株を削除しろとか、あるいはすでに組み入れたものが無配になった場合において、これを売りさばけというような指示をしたことがございますか。
  32. 小林鎮夫

    小林説明員 指示をしたことはあります。
  33. 山村新治郎

    山村委員 それならば、先ほど申し上げた東洋繊維暴落した株について、何か指示を与えたことがありますか。
  34. 小林鎮夫

    小林説明員 あの暴落につきまして、すべての組み入れ銘柄として入れることをやめさせております。
  35. 山村新治郎

    山村委員 投資信託は、全国各地で莫大な広告費をかけて、どうしてあんなにまで一生懸命に投資信託募集をしておるかと思うくらいに大がかりな宣伝をしておるのです。ところで、大蔵当局として調べたところによると、投資信託関係宣伝費というものは、一体何%くらいの費用を使っておるということをあなたは考えておられますか。
  36. 小林鎮夫

    小林説明員 ちょっとわかりません。
  37. 山村新治郎

    山村委員 わからないならわからないでよろしい。ところで、これだけの莫大な経費をかけて、しかも最初のうちは、あたかも五千円払い込んだ場合においては五千円以下には絶対にならないのだ、もうかる方はもうかるけれども、損をする方は損をしないのだという印象を与える、そういう勧誘ぶりをして、至るところで受益者勧誘したのは事実なんです。あるいはそれが外交員一つの外交的の言葉であったかもしれませんが、そういう勧誘もと投資者はこれに入っていると思うのです。特にこの広告の中に、非常に誇大的な広告がなされたということについて、大蔵当局は何か注意を発せられたことがありますか。
  38. 小林鎮夫

    小林説明員 広告宣伝につきましては、特にやかましく申しておりまして、投資信託本質を誤解させるような、たとえばこれは必ず元本が保証されるものである、あるいは非常に有利なものであって、何倍にもなるとか、こういつたような間違った観念を植え付けるようなことを一切してはならぬということを通達をしておりまして、そのつど使用いたしまする目論見書をこちらで調べておるわけでございます。たとえば、今までで見ますと、特に内容自身が誇大でありませんでも、元利一万円になって入ったという報告とあわせて、同じ紙面に次の回の募集広告が出ますと、いかにも次の回も一万円になるような印象を与えますので、そういうことはしてはいかぬということで、注意いたしております。
  39. 山村新治郎

    山村委員 特に私が問題となると思う点は、新聞広告雑誌広告の中に、大蔵省の保証するごとき、大蔵大臣認可、あるいは大蔵大臣の保証というような感じを読む者に与える広告がなされておる点です。この点について、大蔵当局は、けしからぬというようなことで処罰でもされた事例がありますか。
  40. 小林鎮夫

    小林説明員 当初に、投資信託大蔵省が監督しておるものでありますといった広告をした例がございますので、直ちに、さようなことをしてはいけない、証券投資信託法に基いておるということの表示はよろしいけれども大蔵省という言葉は使ってはいかぬということで、今使わせておりません。
  41. 山村新治郎

    山村委員 従って、最近においてそういうのがあったとしたら、厳重に処分するということでありますか。
  42. 小林鎮夫

    小林説明員 そうであります。
  43. 山村新治郎

    山村委員 参考に伺いますが、十分お調べになっておると思いますが、外国の例として、投資信託で成功した例と失敗した例と、アメリカイギリスでもけっこうです、どの程度の成功と失敗の比率が現われておるかということを、何か大蔵当局で調べたものがございますか。
  44. 小林鎮夫

    小林説明員 投資信託制度は、結局イギリスで発達して参りまして、アメリカに移りまして、両国において発達したと思います。いろいろ経済界の変動によりまして消長はあったわけでありますが、現在におきましては、イギリスアメリカともに健全な発達をしているわけでございます。ただ一九三三年のパニックの当時におきましては、非常に暴落をした例がございますが、その後におきましては、さようなことはないと思っております。
  45. 山村新治郎

    山村委員 勉強が足りないかもしれませんが、私の調べたところによりますと、外国の例は失敗の方が多いらしい。特にいくさに負けた日本としては、こういうような財政的に窮乏している日本で、果して投資信託が成功するかどうか、疑問を持たざるを得ない。要するに大蔵当局が非常に甘く、投資信託の結果がうまくいくだろうという見方をされていることは危険じゃないかと思う。特に投資信託の持っておりますこの莫大な株数をどう処分するかということも問題になってくるし、実際真剣に考えなくてはならない問題だと思う。むしろ今の株式市場の非常に振わない根本の原因は、投資信託が株を持っているからだという議論すらある。この点についてどういうように考えておりますか。
  46. 石野信一

    石野政府委員 この点につきましては、これからの日本経済がどういうように向いていくか、各企業内容がだんだんによくなり、経済全体が拡張していくというように考えれば、株全体というものもよくなって参るわけであります。確かに悪いときにはこれが非常に重荷になるが、よくなってくると、それを支える役割を果す、こういうふうに相なると思います。
  47. 山村新治郎

    山村委員 そういう議論はあんたから聞かされようとは思わぬ。これで株が高くなるということを保証されるならば、こんなやさしい銭もうけはない。そうなかなかいかないところに株式界のむずかしいところがある。たとい景気がよくなって好景気の時代が来たとしても、これだけ持っている株式が果してそうやすやす消化されるかどうかということになると、問題だと思う。その株が消化されて初めて……。それはそうでしょう。投資信託を委託されている各会社は、どうしても五千円以上の値段が来れば、責任解除というので売ろう売ろうと考えている。原価を幾らか上回るような値段が来れば、店の信用からいっても売ろうと心がけて、上へ行ったら売ろうというものが待っているのだから、下で買ってもおもしろみがあるわけがない。従ってなまやさしい考えを持ってこのままぐるぐる回しに投資信託を新しく設定し、あるいは延長に次ぐに延長で持っていったならば、この投資信託もとになって日本経済が破綻するかもしれぬ、一つのおそろしいことが起るかもしれない。この点は十分注意してもらいたい。特に、さっきの信託法によって無配の株を組み入れてはならないということになっているが、今ではいつの間にか無配になってしまっても仕方がないという意味答弁があったが、今後とも無配の株をこのまま放置していく考えですか、あるいはこれに対して何らか処置をとろうという考えですか。
  48. 石野信一

    石野政府委員 無配の株につきましては、これはやはり取りはずすべきでございます。そういう方針でありますが、ただ一ぺんにやるということは、これまた非常に急激な影響を与えますので、漸次やる。設定額の方につきましても、これはやはり市場とのつり合いの問題でございますから、できるだけつり合いを失しないように、設定額を多くしないように心がけて参りたいと思います。
  49. 山村新治郎

    山村委員 かりに大蔵当局の見解として、株の上り始めのときに投資信託に投資した投資者と、普通の株の方へじかに投資した投資者との間で、一体どっちが利益があるというふうに考えておりますか。投資信託の方が安全だと考えておりますか。
  50. 石野信一

    石野政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、買う株の問題もございますし、いろいろそのときの経済状態もありますが、安全という意味にもよりますけれども、危険が分散されるという意味では、やはり投資信託の方が安全だ、こういうふうな考え方を持っております。
  51. 山村新治郎

    山村委員 投資信託が五十なら五十の株を設定したときには、五十種類を投資者が買えば同じなんです。投資信託の手数料を取られないだけ得になる。投資信託のよけいな広告費とか、よけいな人件費を払わないだけ得になるのですが、そういうようなことは考えられませんか。
  52. 石野信一

    石野政府委員 その点は確かに仰せの通りです。手数料がそれだけ違うわけでございますけれども、しかしまた、それだけに投資信託という制度によるところの便宜があります。零細な金で買えるという点もありますし、運用等についてまかせ切りにできるという点もあるわけであります。
  53. 山村新治郎

    山村委員 運用の面においてまかせっ切りにできるということは、損害投資者が出すのですよ。もうけは株屋が勝手にもうけなさいという意味に実際これはほかならない。ところが実際に自分で株を買おうとして買った場合に、これは損することもあるのですが、もうかるときにはまるもうけになるというような、その点はプラス・マイナス・ゼロだ。ところが投資信託というややっこしいものを作ったために、かえってこれによってよけいな経費がかかり、よけいな手数料を取られる。はっきり言いますが、株屋さんは二重の手数料を取っておる。投資信託設定の手数の費用も取れば、そのたびごとにこの取引所の口銭も取っておる。特に設定の株の中の操作というものは、自由にこれは操作することができるはずになっておる。従ってこの株を売って、またこの株とかえようという場合においては、その株屋さんは、二度も三度も思う通りに口銭を取ることができるということにもなっておる。そういう点から考えると、表面は非常に親切なような格好に見えますけれども、実際には、投資者に与える利益というものは些少であって、むしろ危険を非常にたくさん与えるという私としては見解を持っておりますが、大蔵当局の見解は、今聞いても仕方がありませんか、問題は、そういうような無配の株をいまだに設定しておる点を、今の御答弁のような、だんだんに処分させようというような態度でおられるということは、この法律の精神、すなわち無配の株を設定してはならないという精神にもとるものと考えますが、そうは考えられませんか。
  54. 石野信一

    石野政府委員 お言葉でございますが、急に処分をいたしますと、やはり非常に値が下るという、やはり受益者に対する損害も大きくなるというような点もありますから、やはりできるだけ早く処分させる、こういうふうにすべきだと考えます。
  55. 山村新治郎

    山村委員 そういう見解を持っておるから間違っておる。株の相場というものは、急に早く売った方が得か、あるいはゆっくり売った方が得か、これを知っておるのは神様ばかりだ。それは結果論で判定するほかはないのです。従って無配のものに対しては、無配の株を持っておるところのユニットに対してはどういう方針で臨むかということは、根本的に検討してもらいたい。大蔵当局にその研究がないということは、私も与党として遺憾です。従って、その点はぜひ今後根本的に検討してもらうことを要望しておきます。  それから今の株式市場というものは非常にふるわない。ふるわない原因がどこにあるかといえば、投資信託だという議論もありますし、そのほかに不景気だという議論もあると思いますが、株式市場にどういうわけで清算取引を許さないのですか。清算取引を許すことによって、かえってこれは株の取引の範囲、ボリュームが大きくなって、そしてそれだけに株価というものもある程度上昇の傾向をたどると思うのです。これは上ることもあるでしょうし、下ることもあるでしょうが、それだけ取引が大きくなるということは、それだけ株に対する魅力が大きくなるということについて、この点、清算取引について大蔵当局は何か最近に考えておることがございましょうか。
  56. 石野信一

    石野政府委員 長期清算取引を認めよという要望が一部にもあることは承知しております。しかしながら、これはやはり国民経済の実情との関係を十分に考えませんと、たとえば経済道徳という言葉も適当であるかどうかわかりませんが、そういう意味で、たとえばこれは決して証券界だけの問題ではなく、一般的に申しまして、戦後必ずしもそういうものもまだ正常化しておらない、こういう状態において長期清算取引を認めますると、せっかく戦後一般の投資家が証券市場に親しみを持ち、近づいているというような状態が、逆にまた非常に影響を受けて、倒れるもの、あるいは投資家としてもつぶれるもの、そういう過当投機の現象に陥る危険もありますし、一般の投資家の証券市場への親しみ、あるいは投資市場への親しみというものをなくす、こういう危険もあります。従いまして、現在これを認める意思はありません。
  57. 山村新治郎

    山村委員 何もあなたから、そういうお坊さんから説教を聞くようなことを聞きたくない。問題は、どうすれば一般株式値段暴落させないで済むかということ、特にたくさんかかえておる投資信託の株を処分する方法としていろいろあると思うのです。政府がこれをたな上げしてくれることも一つの方法ですが、なかなかこれは財政資金の面からいって容易じゃないと思う。しかしその株を引き取るところのつなぎ場所というものを考えることも、やはり一つの方法だと思う。これは私真剣に考えておるのです。同時に、この投資信託をこのままぐるぐる回しにやって、期限が来たならば延長し、延長期限も来て、それ以上できなければ新しいユニット設定するというようなぐるぐる回しをやっていったならば、大蔵当局投資信託をやっておる会社は何と弁護するかしらぬが、りっぱに自転車操業なんです。すなわち新しいユニット、新しいユニットと入るたびにその手数料がかかって、それだけ受益者は損をしていく、そのぐるぐる回しをやっていけば、それがひいては日本経済の根本に非常な危険をもたらすおそれがあると私は思う。従って、これらを吸収する面といたしましても、何といっても株式取引所の取引のボリュームを大きくする必要があると思う。取引のボリュームを大きくするために、よって来たる弊害というものも多少あるかもしれない。しかし投資信託そのものにもよって来たる、その方法をくぐってのいろいろな弊害があることは明らかなんです。こういう点等からいって、その欠点についてはどうこれを補っていけばよいかということは別個に考えなければいけませんが、いやしくも保守党の政府として考えなくちゃならぬ点は、この点、一つ政務次官に簡単にお答え願いたいのですが、清算取引の問題について真剣に研究をする必要があると私は思うのです。この点についての意見をお聞かせ願いたい。
  58. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 証券市場を活発化するためのいろいろな手段が考えられなければならぬことは、お言葉の通りだと思います。長期清算取引を許すか許さぬかという、現在の見解につきましては、先ほど石野君からお答え申し上げたような見解を私どもは持っております。しかし証券市場全体として、どういうことをやることがこれの範囲を拡大して、しかもただいまお話しのような投資信託の問題その他の解決の一助ともなるかという点については、私どもも真剣にこれを研究しなければならないと存じておりまして、目下これの検討をいたしておる次第であります。
  59. 山村新治郎

    山村委員 どうかこの点は十分検討してもらいたいと思いまするが、特に証券取引法の一部を改正する法律案も出ておりますが、この証券取引界は、いわゆる四大証券というものと中小証券会社というものとの対立が、非常にはなはだしいものがある。ところが清算取引に対する要望は、中小のいわゆる四大証券以外の取引員というものは、全部この清算取引の再開を望んでおる。ところがこれに反して、その四大証券だけががんとして清算取引に反対をしておるという原因がどこにあるかということを、大蔵当局は何か研究されたことがございますか。
  60. 石野信一

    石野政府委員 特にどういう理由であるか、実は私どももはっきりはわからないのであります。
  61. 山村新治郎

    山村委員 そういう無責任答弁をされるからいけない。さっきも、全世界の投資信託の成功、不成功の率をどういうふうに考えておるかと聞けば、あたかも成功しておるような答弁をされておる。また同時に、国内の問題についても、清算取引を再開してくれというのは、中小株屋は全部望んでおる。四大証券がこれを拒んでおるということは、四大証券は今のままの取引の上にあぐらをかいて、うまい汁を吸っておるからこういうものに反対をしておるのだ。民主主義の世の中において、私は非常に民主主義の精神に逆行するものだと言わざるを得ない。そこで伺いたいのですが、私の知っている株屋さんも、地方の株屋が二、三軒お宅の理財局長さんにつぶされたのがあるのですが、一体株屋に対する監督というものはどの程度にやっておりますか。
  62. 小林鎮夫

    小林説明員 最初に御質問がございました、中小業者の関係は清算取引を要望しているということは、これは長期清算取引によりまして、売買高が多くなるという関係が、やはり営業面から来ました大きな理由だろうと思うわけでございます。  それから証券業者に対します監督につきましては、特に支払い能力、資産内容の面につきまして留意いたしておりまして、毎月報告書を取りまして検討いたしますほか、必要な場合におきまして検査もいたしておるわけでございまして、支払い能力、ほかに特に売買取引に関します法律、諸規定を守っておるかどうか、これらの点につきまして注意いたしておるわけでございます。そこでいわゆる資産内容が悪化いたしました業者につきましては、資産内容改善のための方策を立てるようにいたしておりまして、方策の立たない場合におきましては、営業を一時休止させるという措置をとっておるわけでございます。
  63. 山村新治郎

    山村委員 中小株屋さんに対しては、大蔵省の監督が非常に厳重だということを聞いておる。ところが中小株屋さんの言葉を聞きますと、大蔵当局は、どういうわけか、四大証券には今まで一ぺんも監査に行ったことはないということを聞いておるのですが、その通りですか。
  64. 小林鎮夫

    小林説明員 四大証券に対しましても検査をいたしておるわけでございますが、本支店を通じまして、全国相当規模の営業をしておりますから、全国本支店一斉にやります検査につきましては、これは間を置きますのでございますけれども、支店につきましては、それぞれその土地におきまして検査をいたしておるわけでございます。
  65. 山村新治郎

    山村委員 そんな検査をしたのでは何にもならない。かりに地方の支店を検査する場合には、本店から持っていって帳簿を合せればそれで済む。従って一つ会社検査する場合には、本支店全部を一斉にやらなければ何にもならない。ところがあなたの答弁によると、四大証券の方については、監査を一ぺんもやったことがないという全くびっくりした答弁を聞いたのですが、その通りなんですか。
  66. 小林鎮夫

    小林説明員 言葉が足りませんで、訂正いたします。四大証券会社に対しましても検査をやっております。全国本支店を通じます検査もやっておりまして、これは別に特に一般中小業者とは区別はいたしておりません。検査をやっております。
  67. 山村新治郎

    山村委員 それではあとでけっこうですから、いつ、幾日に一体一斉に検査をやったか知らせてもらいたい。私の聞いたところでは、大蔵省はどういう関係か知らぬが、四大証券に対しては絶対に手も触れることができないというようなことが一般中小株屋から言われている一つの不平なんです。特に最初のあなたの答弁の、全国一斉にはできないから、支店だけはやったことがありますということがどうやら本音のように聞えるのですけれども、その点を一つあとでけっこうですから知らせてもらいたい。  ところで、今特に兜町の株式界においては、四大証券相当あらゆる面において力を持っているというのが事実であります。特にまた中小株屋さんにしても、四大証券の息のかからない株屋さんというものはほとんどないという状況なんです。こういう状況ですから、四大証券があたかも何とか天皇という言葉もあるようですけれども、いつの間にか独裁者のようにあの証券界においてふるまっているようですが、あなたは今回のこの証券金融の問題について、金融会社を作った場合において、これが単に四大証券会社の利用にのみ使われて、一般中小株屋は何らこれの恩恵に浴さないという傾向がありはしないかと思いますが、この点は不安はありませんか。
  68. 石野信一

    石野政府委員 そういうことがないように、監督その他の点でも十分に心がけております。なお現在よりも監督が強くなるわけでございますから、そういう意味においては、今よりももっと監督しやすくなると思います。
  69. 山村新治郎

    山村委員 この点は、おそらく中小株屋さんの間に誤解があるのかもしれません。四大証券に対するねたみを持っているから、そういうことを言っているのかしれませんが、かりに作っても、四大証券にばかり利用されてしまうとか、あるいは今までにおいても、大蔵当局は四大証券の意のままになっているという非常な不満がある、こういうような誤解を持っている。この意味においても、さっき私が申し上げた、四大証券というものは、いつの幾日にちゃんと一斉に、こういうようにして検査したということをぜひ発表してもらいたい。  それから参考に伺いますが、四大証券が前期決算を発表した。その決算が、いずれも同じように三億五、六千万円の欠損が発表されているようですが、その点どうですか。
  70. 小林鎮夫

    小林説明員 決算につきましては、大体三億二千万円から三億五千万円、数字には違いはありますけれども、大体その程度の数字の欠損になっております。
  71. 山村新治郎

    山村委員 これも不可思議千万だと思う。四大証券はその取引内容は千差万別です。それぞれ違っている。ところがその四大証券が同じように相談をし合ったように三億二千万から三億五千万の赤字を出している。世上伝うるところによると、おそらく四大証券は、いずれも十億以上の欠損をしているという。これは一般の風評です。大蔵当局は、この三億二千万から三億五千万円程度の欠損は、この程度のものというように考えられているかどうか、それよりももっとよけいに欠損があるが、隠しているのだと考えられているか、この点はどうですか。
  72. 小林鎮夫

    小林説明員 四大証券会社の欠損は、結局はその持っております有価証券につきまして、評価の仕方の問題だと思うのでございます。評価によりまして、相当株価が下った時期でございますから、三億程度の赤字が出たというふうにも見ているわけでございますが、その数字は、私どもの方でこまかくなにいたしましても、そう特に大きな違いのある数字ということではないと思っております。
  73. 山村新治郎

    山村委員 これもまた大きな認識の誤まりじゃないかと思う。とにかくあれだけの大がかりな宣伝をし、あれだけの膨大な、物を作り出すのでない建物を、全国各都市の目抜きのところに作っている。その金は一体どこから出ているか。全く日興にしても山一にしても、ずいぶん大きなビルディングを作っている。ああいう金は一体どこから出ていると考えていますか。
  74. 小林鎮夫

    小林説明員 店舗の建築は、大体借入金に依存しているようでございます。
  75. 山村新治郎

    山村委員 参考に政務次官に伺いますが、一体ああいうような店舗、豪荘な不要不急の建物を作るのに、その借り入れをする資金のルートというものはあるのですか。
  76. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 証券会社の建物は、どういう形で資金が調達されているか、今証券課長から申し上げたように、借入金によってまかなっているというのでありますが、私も詳細のことは存じませんので、どういうルートになっておりますかわかりません。ただ銀行ですと、御承知のように店舗の設定についていろいろ制限をいたしております。証券会社はその点がありませんけれども、必ずしも好ましいことであるとは存じておりません。
  77. 山村新治郎

    山村委員 私は、今一般中小商工業者が金を銀行に借りに行った場合、あるいはワクがない、あるいは順位でないという理由のもとに断わられておるのが実情なんです。ところが株屋さんが、どういう関係でもって大蔵当局と縁がそこにあるか知らぬが、四大証券だけが豪壮な建築を至るところの土地に作っておることは、思想上においてもゆゆしい問題であるといわざるを得ない。従って、この点はこの次のときでけっこうですから、どこからどういう金が出ているか、そうしてりっぱな建物が建築されたかということは、一応各会社の経理内容を課長さんとしては検討する責任があるんですから、その意味からいっても一つ調べて示していただきたい。伝うるところによれば、これらの金が出まじきところから出ている。極端に言いますならば、農林中央金庫から出ていることも聞いている。株屋さんと農林中央金庫とどういうコネクションがあるんですか。
  78. 石野信一

    石野政府委員 お話しのようなことは私どもは全然存じませんし、ないと考えておりますが、なお銀行局の方でやっております問題でございますから、よく銀行局長の方とも相談いたしましてお答えいたします。
  79. 山村新治郎

    山村委員 一つ、この点は非常に重要な問題ですから、当委員会としては、まず特に四大証券のああいう豪壮な建物がどういう資金によって出されているかということを、大蔵当局に命じてその資料を出してもらいたいと思います。この点お願いいたします。  続いて伺いますが、この四大証券の横暴につきましていろいろなうわさが出ておりまするが、特に課長さんは、「政界ジープ」にかつて兜町の日興証券の問題、あるいは山一の問題等を取り上げて盛んに論じていたことを御存じですか。
  80. 小林鎮夫

    小林説明員 承知いたしております。
  81. 山村新治郎

    山村委員 この中にあるように、実際に日興証券、あるいは山一さん等が相当に専横な行為をしておるとあなたは考えられますか。
  82. 小林鎮夫

    小林説明員 そこに書いてありますような事実はないと思っております。
  83. 山村新治郎

    山村委員 ただ、この「政界ジープ」の連中がこの点について取引所に調査に行ったその前後に、たまたま当面の責任者であるところのあの取引所の会計課長かあるいは経理課長かよく知りませんが、そういうような重大なポストにある者が突然首切られたということを御存じですか。
  84. 小林鎮夫

    小林説明員 そういう事実を承知いたしておりません。
  85. 山村新治郎

    山村委員 この証券取引法の一部を改正する法律案、要するに証券金融会社の問題に関連して、そういうようないろいろな問題があって、もし四大証券だけがあの取引所において専横をきわめておるということになると、せっかく作った金融会社というものは四大証券のために作るような結果になってしまうと思うんです。そういう意味からいっても、その点は一つぜひ突きとめていきたいと思いまするが、果して今の取引所の中で、中小株屋で一体何%くらいが四大証券の息のかかった株屋であり、あるいは何%だけが孤立無援で、独力でもって戦っておるかということについて調べたことがございますか。
  86. 小林鎮夫

    小林説明員 私どもといたしましては、どの程度息がかかっておるかということについては、ちょっとはっきり申し上げる資料を持っておりませんが、世上いろいろ伝えられておるところについては、最近におきまして、取引その他の関係相当数の会社が四社との関係を結んでおるというふうには承知いたしておりますが、こまかいことは存じておりません。
  87. 山村新治郎

    山村委員 この四大証券の問題だけが兜町を牛耳って、自分の息のかかった連中を擬装と申しますか、一般の取引員にしてこれを牛耳っておるということは、見方によれば明らかに独禁法違反だと思うんですが、この点はどうですか。
  88. 小林鎮夫

    小林説明員 独禁法の関係の解釈につきましては、私ちょっと所管が違いますものですからお答えできないと思います。
  89. 山村新治郎

    山村委員 こっちは与党だから、穏やかにやっているんだけれども、もっと一つ真剣に調べてもらって——全くあの兜町というところは、見方によっては資本主義国の一つの心臓みたいなものでありますから、悪い点があればメスを入れて、投資家が安心して投資できるようにする責任があると思うんですが、その意味からいっても、一つ真剣にやってもらいたい。あの四大証券の息がかかっているのはどういう系列かということは、監督官庁としての大蔵当局が調べないということは無責任だと思う。その意味から、さっそく調査に取りかかってもらいたいことを私は進言する。  ところでさっきも出たのですが、四大証券の使っておりまする広告費宣伝費、これは一体年間にどれくらいのものを使っているかということを調査せられたことがございますか。
  90. 小林鎮夫

    小林説明員 ちょっと今すぐに御返事する材料を持っておりません。
  91. 山村新治郎

    山村委員 これも株屋さんを監督するのにずいぶん無責任な話だと思う。あれだけの莫大な宣伝費を使っておる。見方によれば、宣伝費というものは消えてしまう、その宣伝費をどれくらい使っておるか、それによって欠損が出た、いろいろの宣伝関係の費用を使っているために莫大な損が出ているということを見通すことが大蔵当局責任なんです。ところがそれについて、まだ何ら調査されておらないのですか。一つこの次の委員会でけっこうですから、どれくらいの費用を使っているかということを、はっきり御報告してもらいたい。これは相当の費用を使っているらしい。さっき話の中途にあったのですが、特に小林課長さんに伺いたいのですが、設定の場合において、なるほど設定は一定の期日を示して、その日に株を買うことになるのですが、その日に一ぺんに株を買おうとしても買えるものじゃない、買えばかえってあおって買われる傾向になるから、前から買う傾向になるのはやむを得ないかもしれませんが、そのために、たとえば会社としては買わないけれども、山一なら山一の重役の名前で買っておいて、設定の日までに十円なら十円の値上りがあれば、その十円の値上りで設定にはめてしまって、その十円の値上りの分が自分のぽっぽへ入ってしまう。山一という名をさしたのははなはだ失礼ですけれども一つの例として言ったのですが、あなたはそれを指摘されて、こういう不当のことがあったんじゃないかということをやられたことはございませんか。
  92. 小林鎮夫

    小林説明員 組み入れ株の手当については、調査いたしておりますが、会社の役員のものを入れたということはございません。ただ会社の買いましたものを入れていることはございます。ただこれは、お話のように一ぺんに手当をいたしますと、非常に株価が値上りして、かえって高くなって困るというようなことからきておるわけでございます。これは、取引所におきまして承認された値段組み入れているわけでございます。
  93. 山村新治郎

    山村委員 取引所において承認されている値段といいますが、これは取引所において売買してしまえば、その値段ができてしまう。売り人と買い人がぐるになってつければ、売買の値段がついてしまうのです。取引員が高台でこの値段だといって承認するのではない、売り屋と買い屋の納得ずくで、いいかげんな値段をつければそれになってしまうのです。そこに非常にわながあるのです。投資信託のわなはここなんですよ。一ぺんに買えないから徐々に買うのだという美名のもとに、前から買っておりますが、実際にあれを設定しようということは、前から重役の連中にはわかっておる、そうすると、何万株かは投資信託設定できるというはっきりした確信があれば、これはその前にそれよりも安い値段で買っておけば、設定の日になってぽこっと何万株かをはめれば、その値段でやすやすととれることはわかり切っておる、これはもちろん私はやっていると思う。どこのだれがやっているかということは証拠がつかめないけれども、これはそのくらいのことはやると思う。投資信託をやることによって、表面上株屋さんはどれだけの利益があることになっていますか。
  94. 小林鎮夫

    小林説明員 投資信託の信託報酬は、大体千分の十五でございますので、その千分の十五を取っております。手数料収入のうちに占めております割合は、大体一割五分程度でございます。
  95. 山村新治郎

    山村委員 時間が迫って参りましたので、非常に実は重大問題であり、まだゆっくり質問をしたいのですが、与党でありますから、あまり気ままなことを言っても仕方がありませんから、私は結論をつけますが、どうか一つ、さっきの大蔵当局に対する質問は相当重要な問題を含んでおりますから、この法案に関係なく、当委員会としては、これらの問題を厳重に調査するところの方針を立てていただきたいということを委員長に希望いたします。  そこでこの信託銀行株屋さんとの関係ですが、信託銀行は、一応株屋さんからいろいろな設定の金、あるいは株を預かっておるわけですが、その裏から回って、その株屋さんに特別の融資をしておるというようなことがございますか。
  96. 小林鎮夫

    小林説明員 特にそういう関係で、特別な融資をしておるということは聞いておりません。
  97. 山村新治郎

    山村委員 この点も、一つどれくらいのものが信託銀行から投資信託関係なく、ほかの名目のもとに特に四大証券に出ておるかということについて、あと一つ資料を要求したい。  さてそこで結論を結びますが、さっきも、清算取引の問題についても議論が展開されたのでございますが、私はこれだけの膨大な投資信託をかかえ、その株を処分する方法は、一つには政府が特殊会社を作って、これをたな上げするか、特に国家的な重要産業、たとえば石炭であるとか、石油、船株とかいうようなものをたな上げする方針をとるか、あるいは清算取引を再開して、その取引のボリュームを大きくして、それに自然吸収していく方式をとるか、この二つのうちのどれかを選ぶよりほかに方法がないと思います。どうか一つ政務次官におかれましては、だいぶ今までの質疑によりますと、まだ当局としても非常に研究の足りない点もありましょうから、いろいろな点からいって、どうしてもこの二つのうちのいずれを選ぶかという、その一つを選ばなければならないと思いますから、いずれの道を選ぶかということを研究してもらいたい、これが私の質問の要旨でございます。  それで結論でありますが、どうか一つ大蔵当局としては、それによって生ずる弊害もあるでしょう、また同時に、それによって生ずる利益もあるでしょうから、それらを十分検討されて、来たるべき近いうちの委員会において、たとえばこのたな上げ問題については、とうてい不可能であるというなら不可能である理由、並びに清算取引についてはいいと思うが、半面において弊害が生ずる、その弊害が生じた場合に、その弊害に対する方法はどのように講ずるかという問題を一つ委員会にはっきりしてもらいたいと思います。さもないと、この法案は、そのものは簡単な法案です。これは参議院もすでに通ったのですから、簡単な法案でございますが、そのままうやむやのうちに、これらの重要な法案がすらすら通るという癖を与えますと、そうでなくても四大証券が気ままをやっておるというときに、特に大蔵当局の汚名をそそぐ意味において——大蔵当局と四大証券のくされ縁があるというようなことは、これは一般の定評なんです。そういう汚名をそそぐためにも、ぜひ一つはっきりした線を打ち出されんことを私は要望いたします。  以上をもって私の質問を終ります。どうか一つ委員長におかれましても、さっきのような問題につきまして、この法案と関係なくてけっこうです、あるいはこの法案に関係を持ってもけっこうですから、善処せられんことを要望いたします。
  98. 松原喜之次

    ○松原委員長 承知いたしました。春日一幸君。
  99. 春日一幸

    ○春日委員 昨日に引き続いて質問を行いたいと思いますが、証券投資信託法の第二十条におきましては、今までは「証券投資信託受益者は、委託会社に対し、その営業時間内に、当該受益者に係る信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写を請求することができる。」こういう工合にありましたが、今回の修正によりまして「委託会社は、前項の請求があった場合においては、その請求をした者が自己の権利の確保若しくは行使に関する調査を目的としないで、又は委託会社の業務の運営若しくは受益者共同の利益を害することを目的としてその請求をしたと認められる相当の理由がある場合を除くほか、その請求を拒むことができない。」と改正されようとしておるわけであります。そこで昨日も質問をいたしました通り、すなわち相当の理由があると認めるのはこの委託会社であります。従ってこれは、請求者が自己の権利の確保もしくは行使をする、請求者がそういう目的で申し込んだ場合でも、委託者がそれを業務の運営もしくは受益者共同の利益を害することを目的として請求したと認めれば、受益者のその申し込みは拒否することができる、こういう形になることは明らかであるのであります。  そこで一体どちらの主張が正しいのであるかということは、昨日の御答弁によると、これは裁判所の判決の結果にまたなければならない、こういうことに相なるであろうと思うのであります。そこで、問題は、裁判所の判決がかりに請求した方、すなわち受益者の主張が正しいという判決があった場合、すなわちこれは不当に拒んだという判決があった場合、この法律では一体受益者利益はどの個所において守られるのでありますか、すなわち不当に拒否された場合における受益者利益がどこで救済されることになっておりますか、この点を伺いたいと思います。
  100. 小林鎮夫

    小林説明員 そういう受益者につきましては、この受益者の権利の侵害から基きまして損害が起っておりまして、民事上の損害賠償も起ると思いますし、もちろん委託会社に対しましては、罰則の問題も起ると思いますが、さような問題に至らない前に、当然役所の方といたしましても、さようなことのないように十分に監督しなければいけないというふうに考えます。
  101. 春日一幸

    ○春日委員 法律を作るのに、一方の権利が侵害をされて、その結果は裁判の判決にまたなければわからぬと昨日答弁をしておいて、本日の答弁によると、裁判所の判決とかなんとか、裁判ざたにならない前に行政指導でその問題の調整をはかる、こういうような答弁をされておるのだが、そんなばかげた答弁がありますか。少くとも法律によって一方の権利が不当に侵害された場合には、侵害された権利というものは正当に救済しなければならぬ。たとえば商法においては、私らが調査したところによると、こういうことが書いてある。商法の規定によると、第二百九十三条ノ六で、〔株主の帳簿閲覧権〕「株主ハ会計ノ帳簿及書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得」こういう規定である。そして二百九十三条ノ七に「前条ノ規定ニ依ル請求アリタルトキハ取締役ハ其ノ請求が左ニ掲グル事由ニ該当スルト認ムベキ相当ノ理由アル場合ヲ除クノ外之ヲ拒ムコトヲ得ズ」と本改正案と同様の規定がされておるが、これがいわゆる株主の閲覧権を不当に拒否された場合の救済規定もあわせて同時に行なっておる。それは四百九十八条に「発起人、会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、」は「左ノ場合ニ於テハ三十万円以下ノ過料ニ処ス」ということになっておる。そこの中の三号には「本編ノ規定ニ違反シ正当ノ事由ナクシテ書類ノ閲覧若ハ謄写又ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ拒ミタルトキ」こういう工合に、株主が正当なる権利を主張して不当に拒否された場合に、すでにその不当拒否行為に対する処罰規定がこの商法の中にあって、株主に対して確実な保障が行われおる。ところが今回の証券投資信託法の改正によっては、この会社の拒否権が、二百九十二条ノ七と同じようにここで設定されんとしておるのだが、ところがそれが不当なものであるかどうかということに対する解釈が、はなはだ不明確だ。不当に拒否をした場合における制裁規定というものは、何らここで規定していないではないか。私はこんなばかげた片手落ちの立法というものはあり得ないと思う。ただいま山村君からの質問の中に、はなはだ強く四大証券政府との結託の事柄が論難されておったけれども、まさにこの法律によってその真相がここに暴露されたということになるではないか。私は、少くとも受益者利益を最大限に確保することが、この証券投資信託法の冒頭から末尾まで随所にうたわれておりながら、実際の運営というものは、それとまるで逆の方向をたどっておると思う。この問題について、藤枝政務次官はどういうふうな見解を持っておられるか、こういうような状態でもっていかにして受益者利益というものが保護されておるのであるか、一つ答弁を願いたい。
  102. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 会社法と違いまして、帳簿の閲覧を拒否した場合の罰則の規定のないことは、御指摘の通りであります。この問題については、政府部内で意見の調整をいたしました際に、この程度のものについては、罰則の規定を設けるよりは、民事上の問題として取り扱うのが妥当ではないかという結論のもとに、この点については罰則規定を設けなかった次第でございます。先ほど小林課長からお答え申し上げた答弁と、昨日の答弁が食い違うではないかというお話しでございますが、先ほどの御質問が、この規定によって不当に拒否されたものが裁判上の問題となって、拒否したことが不当であるという裁判の結果はどうなるかというお話しでございますから、そういう裁判が確定した場合においては、そのために委託者が損害を受けた場合には、民事上の損害賠償の問題になるというお答えをしたのであります。しかしすでに会社法においてこういう規定がありまして、いろいろ判例等もございますし、そうした面を考慮いたして、拒むことのできない場合その他は行政指導で行いまして、なるべくそうした不当な拒否が行われないように指導していきたいということを申し上げた次第でございます。
  103. 春日一幸

    ○春日委員 法律は、行政指導とか、あるいは行政措置に待たなければ的確な処理ができないというような、そんな不明確なものであってはならぬと思う。私は、法律というものはあらゆる場合を想定して、この場合はこう、こういう場合はああと、はっきりとそのよるべき道というものが明確に示されるということが必要にして欠くべからざる事柄であると思う。この法律の手段は、損をしたか得をしたか、どちらが正しいとかどうとかいうことではなく、やはり受益者に対する帳簿の閲覧権があるというこの基本は崩されてはならぬと思う。ただ特定の例外、すなわちそれが会社ごろだとかなんとかいう者がやってきて、そしてここに書いてあるように、共同の利益を害するとか会社の業務を妨害するとか、こういうような特殊の場合以外は見せなければならぬのだ。ところがこの二十条によっては、それが要求した者と要求を受けた者との見解の相違によって非常にこれがあいまいなんだから、従ってこういうあいまいな条文のもとにおいて、故意にこれが会社の業務妨害になるから拒否したんだ、こういうようなことで、正当な受益者の主張が圧殺されてはならぬ。この事柄を、私は立法に当っては最も重視していただかなければならぬと思う。従いまして、株主といい受益者といい、帳簿を閲覧することによって当然自分の利益を守るということが、これは基本的に、大筋として認めてもらわなければならぬのだから、その正当なる権利を拒否した者に対する法の処罰というものは、これは商法において明確に規定している事柄がこの投資信託法において規定できないはずは断じてない。事柄は同じことなんですよ。すなわち株主とそれから受益者というものは、大体同じような立場にあるのだから、片方の者が自分の正当なる権利を行使しようとして、それを一方的に拒否された場合、むちゃくちゃなことで拒否した者に対して法律の制裁を加えるということは当然のことであって、損害を受けた場合に、民法上の裁判を起せばいいじゃないか、損害賠償を起せばいいじゃないか、そんなばかげた答弁というものはあるものじゃない。私はそういうような立法態度こそが、四大証券政府に対して会社の経理内容も怪しくなって、いろいろな連中から帳簿を見せてくれと言ってやってきて困るから、何か拒絶する口実を作ってくれというような暗躍が行われて、それならば、こんなあいまい文句で一つやってみようかというような、いわゆる巷間ではさまざま取りざたが行われている。どうかそういうような世間の疑惑を晴らすためにも、商法の規定の中にとっている態度がこの証券投資信託法において踏襲できないはずは断じてございません。私は、すべからくこの法律を商法の規定と同じような規定にして、一つ罰則を設けられたいことを強く望みますが、これはいずれ理事会等においてお諮りをいただくことになるでありましょう。  ただつけ加えて申し上げておきますが、この法律で罰則を設けられていない場合、これも調べてみましたが、罰則を設けられていない現行法のような状態の場合、すなわち受益者が帳簿の閲覧を請求することができるという工合に規定しっぱなしのとき、すなわち拒否権というものを全然法律の中に明記していない場合は罰則はない。ところがその拒否権を会社側に認めた場合には、その拒否権が正当なものであるかどうか、これは裁判所の判決によらなければならないが、裁判所がそれは不当なものと認めた場合においては、これは本人に対して三十万円以下の科料が及ぶ、こういう工合になっている。そういう工合で、いわゆる民法の精神、商法の精神では、やはり株主とか受益者の権利というものは最大限度に擁護している。ところが本証券投資信託法だけにおいて、その正当なる権利がここに大幅に圧殺されて、その圧殺された者に対する救済規定が何ら行われていない。民法上の損害賠償をやればいいじゃないかというような、そんな御答弁を藤枝さんのような人格者からなされるということは、私は全く意外に存ずる。どうかそういうような意味合いにおきまして、私はここで委員長に申し上げますが、政府においてこの公正なる処理をすることがいやならば、これは本委員会の権威において、委員会修正か何らかの形において、私は受益者の正当にしてかつ公正なる権利というものが擁護されなければならぬと思うので、国会修正ができるように、一つお取り計らい願いたいことを私は強く要望いたしておきますが、これに対して何か御答弁がありましたら加わりたい。
  104. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 春日さん十分御承知だと思いまして、言葉が足りなかったかと思いますが、御承知のように一般会社につきましては、いわゆる行政監督、従ってまた行政処分をするということはございません。従いまして、一方において不当な拒否をいたした場合に、それに罰則をつけております。しかしこの法律は特別法でございまして、しかも大蔵大臣の強い監督を持っております。従ってこの法律に違反したような場合には、行政処分ができることは御承知の通りであります。従いまして、この法律に違反した場合には行政処分ができるということがありますので、一般会社のように刑事罰で臨むということでなく、それにゆだねている、そこで均衡をとっているということでありまして、その点は十分御了承いただきたいと思う次第でございます。
  105. 春日一幸

    ○春日委員 またもやとほうもないことを申されるが、問題は、帳簿の閲覧を請求した者が自己の正当な権利の確保のための要求であっても、ところが会社の方では、これは会社の事業の妨害になる、あるいは共同の利益を阻害する、こういう解釈の上に立って拒否するのです。片一方はそういう大確信の上に立って閲覧を要求し、片一方は会社の事業の妨害になるのだという大確信の上に立って拒否しているのです。従って、お互いに譲らざる主張を一体行政指導でどういう工合に認定が下されるのですか。その二つの主張に対して一方が正しく一方が不正である、こういう判決は裁判によらなければきめられないではありませんか。そういうような問題は、行政指導とか、あるいは大蔵省の監理事項の中には含まれていない。はたまた大蔵省証券課においてそういうような判定能力というものがあり得るはずがない。これは裁判所においてお互いの主張を交えて、弁護士も中に加わって、あらゆる立場から論述し合って裁判が行われる、こういう形になるのであって、行政指導で一方的にこれはいかぬということを大蔵省だけできめる権限なんというものはあり得ないのです。またかりに一方的に大蔵省できめたとしても、閲覧を要求した受益者大蔵省の決定に対して不服であるという場合には、重ねて裁判を提起することだってできるわけだ。すなわち大蔵省の認定というものは最終的なものではない、最終的なものは裁判所の判決である、そういう意味から、一つ委員長は、この問題はお聞き願っている通り、商法の規定、あるいは信託法の規定その他ともいろいろ照し合せまして、明らかにこれは不当な改正を行わんとするものであって、今山村君が指摘されたように、さなきだに巷間いろいろな言葉が言われている、四大証券大蔵省とのいろいろなやみ結託、そんなことが言われているときに、何も四大証券の帳簿閲覧行為を故意に困難ならしめるような立法をこの際行う必要は断じてない。私は、問題を明確にするために受益者の方々が帳簿を見たいときには、疑惑のある場合にはいつでも十分にこれが見られるような、そういう法律上に体制を確保する必要があると思いますので、この問題についてはいずれ理事会において十分御論議いただくことをお願いいたしたいと思います。  次いでお伺いいたしたいのは、昨日もお伺いしておきましたが、まだ本日資料の御提示がないのですが、問題となっておりますのは、投資信託募集を開始されて設定されるまでの間に三十日ないし四十日の期間がありますね。そうすると、受益者契約者が契約して金を払い込んで、その払い込んだ金が設定される日までの間だれに使われているか、これが非常に問題になっているところであろうと思うわけであります。世評ではこういうことを言っているのです。すなわち毎日のごとく支店から契約してどんどん金が送られてくる、そして支店において、あるいは本店においてそのときの安い相場で買い付ける、だんだんに買いあさっていく、そして設定される前日にさらに一挙にどっと買う、そうすると翌日の取引所における相場は高くなる、高くあおり立てた単価でもって設定が行われるから、すなわち証券会社と信託投資を行う会社とが同一人格であるから、従って受益者から預かった金で証券会社が買いあさって、高い値段設定したその差額を証券会社が私する、このことははなはだけしからぬのみならず、これが証券会社の大きな利益の対象になっているのだ、こういうことが言われている。そこでそういうような質問をしたところが、小林さんの御答弁は、金はそういう工合に集まってはこない、それは約束したり、いろいろな申し込みを受け付けるけれども、金はおおむねそのときにもらうものであって、従って現金が証券会社の操作にゆだねられるというような場面はない、こういうことを言っておった。そこで私があなたの方に資料を要求したのは、今までずっと設定されて参ったところの投資信託が、各証券会社の帳簿を御調査なさって、一体受益者たちが募集開始後どんな期間に金を払い込んでいるか、払い込まれた金が一体どんな工合に運営されているか、これを調べてくれということを言ったのだが、それは本日まだ御調査になっておりませんか。調査になっておりましたら、この法律案を審議する上において、これは重要な資料になる問題だから御答弁を願いたい。
  106. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 最初に、春日さんに誤解があるといけませんので申し上げておきます。先ほど均衡をとっていると申し上げたのは、行政指導と申し上げたのではなく、二十三条によって、この法律に違反した場合には、大蔵大臣は行政処分ができる。従ってこの法律に反したことが裁判その他で明らかになった場合には、もちろんそのときの状況にはよるけれども、行政処分ができるから、行政処分のできない一般会社は罰則で均衡をとっているが、この法律においては行政処分ができるのだから、罰則を設ける必要はないのではないかということが結論でありますということを申し上げたのでありまして、その点は誤解があるといけませんから申し上げておきます。
  107. 春日一幸

    ○春日委員 その点についてだけ申し上げておきます。行政処分だけではいけないのです。行政処分会社に対しての処分なんだ。行政処分というのは、免許を取り消すとかなんとかいうことなんだが、そういう当然の出張を拒否したその個人に対して罰則が及ばなければ、受益者の権利というものは十分に保護されてはいないのです。それで問題になる。商法なんかでも、ちゃんとそういうような場合においては、発起人とか会社の業務を執行する社員とか、取締役とか、そういう個人を対象として、そのことを行なった者、そういう間違った判断を行なった執行者に対して処罰を行うことによって、初めて株主の利益は正当に擁護できる、こういう解釈をして、そういう規定が行われているのです。私は、その会社に対する処分がその社員にとって重大事であるか、あるいはそんなことはどうでもいいことかわからぬが、その会社が閲覧を申し込まれて、それを一方的な判断に基いて拒否したその個人に対して、法律に基いてなかなかそんなに簡単には拒否ができないもんだという法律上の理解を与えて、申し込まれた者が不当な解釈をすることのできないような法の体系というものを作り上げていかなければならぬ。あなたのおっしゃる会社の免許を取り消すとかどうこうするという行政処分だけでは、受益者利益が百パーセント保護されていると言うことはできない。会社の社員にとっては、会社がつぶれようが何しようがかまわぬかもしれない、あるいは個人的にこう思うからと、感情的にむちゃくちゃにやられるかもしれない。私は、受益者利益は最大限度守らなければならないと思うから、その場合においては、そのことに当る当事者に対して、すなわちその社員とか従業員とか、取締役とか、そういう者を商法が処罰の対象としているように、当然証券投資信託法においても、その当事者に誤りなき判断をせしめるような法律的な措置がなされる必要があろうと考える。従って、私の主張は、やはりこの拒否権を認めたら、その不当な拒否行為に対する罰則規定は当然付随せしめなければならぬ。これが私の主張の存するところであります。それからほかのことについて御答弁願います。
  108. 石野信一

    石野政府委員 御要求の資料につきましては、目下作成いたしておりますから、やがて提出いたします。
  109. 春日一幸

    ○春日委員 もう一つ伺っておきたいと思いますが、現在の信用取引仕法、これは委託者に対して大きな負担を与えておると思うのです。すなわちわが国ではその期限が一カ月でありますから、期限ごとに継続手数料を取る。そうしますと、その融資が長期にわたりました場合は、委託者の負担は莫大なものになります。その例を申しますと、たとえば今百円の株式信用取引で百株買った場合、これを九十日後に売却した場合は、現行仕法によりますと、最初の手数料が二百五十円、それから次の三十日目の継続手数料が二百五十円、次の三十日目の継続手数料が二百五十円、そうして次の売却の場合、これは半額といたしまして百二十五円、そうすると合計八百七十五円になります。さらにこれのほかに金利がつきますから、この間の日歩四銭で九十日といたしますと三百六十円、そうすると、三カ月後この信用取引を清算した場合における出費というものは、千二百三十五円という形になりまして、これを日歩に換算いたしますと十三銭七厘五毛ということになる。この手数料というものは、最初の手数料と売却した手数料とはやむを得ないものとしてこれを控除いたしましても、なおかつ九銭五厘という高い日歩についております。従いまして、株価が買い入れのとき百円であった場合、三カ月後に同一の百円で売った場合は、結局千二百三十五円の損害となってくる。従いまして、現在の信用取引仕法では、投資家に対してはなはだ負担を重くしておるので、従ってこの中間の継続手数料を取らない方法にこの信用取引仕法を改正して、もう少し負担がかからぬよう、すなわち経費がかからない形で投資家の参画を求めていくような、そういう法律の改正をしていく意思はないかどうか、その点を聞いておきたい。
  110. 小林鎮夫

    小林説明員 信用取引の手数料の問題、日歩の問題につきましては、法律の規定ではございませんで、取引所において定めました業務規程、それから証券金融会社の規程によりまして実施しておるわけでございます。もちろんそれにつきましては、取引所の業務規程は大蔵省認可事項でございます。証券金融会社につきましては、現在法律がございませんので、今度の国会の改正法によりますと免許になりまして、役所の方の認可を得るということになると思うのでございます。そこで、現在法律の規定はございませんのですけれども、各取引所の業務規程は認可をし、証券金融会社につきましては、事実上私どもの方で、連絡を受けて見ておるわけでございます。  そこでただいまの更新手数料でありますが、この更新手数料を取るか取らないかということの可否につきましては、いろいろ見方があるわけでございまして、これはなお研究の余地があるものとして考えておるわけでございます。
  111. 春日一幸

    ○春日委員 この投資信託をめぐりまして、山村君も指摘され、私も昨日質問をいたしましたように、この七百六十億の大衆の資本をめぐって、いろいろな問題が新しく惹起されております。これを期限内に返そうと思えば株の大暴落を来たすし、それかといって返さないわけにもいかないであろう。それは期限前の解約にも応ずるという形になっており、期限になれば必ず返さなければならないという関係もあるし、さらには証券会社投資信託をやっておる会社が同一人格であることによって、その募集開始からユニット設定までのいろいろな操作をめぐって、いろいろ疑惑が生じておる。従って今の投資信託の問題は、政府証券界も国会も、ほんとうに深くこれと取り組んで、問題の抜本塞源的な解決をはからなければならない段階に立ち至っておると思いますので、こいねがわくば当局におきまして、一つ十分問題の真相の把握を願って、わが国の証券界が恐慌とか全面的崩壊に立ち至るような心配のある事柄は、早期にこれを診断して、適切な対策を講ぜしめ、将来の証券界の発展とわが国の産業資金調達の道にあやまちなき対策を十分講ぜられることを強く要望しておきたい。特に長期清算取引等におきましては、いろいろな学者、経験者等も強い主張もし、深く検討もいたしておるようでありますから、もしそういうような方法によって、現在の証券界の沈滞からこれが繁栄の道が開かれるものならば、そういう問題も、どうか四大証券の一方的な反対運動に耳をかすことなく、よく証券界の意見を聴取されまして、適切な改正を施行されんことを強く要望し、なおこの閲覧の問題につきましては、理事会等において適切な御検討を願うことにいたしまして、私の質問を終ります。
  112. 松原喜之次

    ○松原委員長 この際暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————   (休憩後は開会に至らなかった)