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1955-07-19 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 坊  秀男君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       中山 榮一君    前田房之助君       山本 勝市君    山本 猛夫君       淺香 忠雄君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       福井 順一君    古川 丈吉君       石村 英雄君    井上 良二君       川島 金次君    田万 廣文君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         日本開発銀行総         裁       小林  中君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 七月十五日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として伊  藤好道君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として木  原津與志君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員船田中君及び内藤友明辞任につき、その  補欠として田村元君及び山本猛夫君が議長の指  名で委員に選任された。 同月十九日  委員田村元辞任につき、その補欠として福井  順一君が議長指名委員に選任された。 同 日  理事内藤友明委員辞任につき、その補欠とし  て坊秀男君が理事に当選した。     ————————————— 七月十五日  補助金等に係る予算執行適正化に関する法  律案内閣提出第一四七号) 同 日  酒税律引下げに関する請願石山權作君紹介)  (第四一五二号)  同(八田貞義紹介)(第四一五三号)  同(坊秀男紹介)(第四一五四号)  同(早川崇紹介)(第四一五五号)  同(西村直己紹介)(第四一五六号)  同外一件(吉川久衛紹介)(第四二三五号)  同外二件(内藤友明紹介)(第四二三六号)  三級清酒設定反対に関する請願川村善八郎君  紹介)(第四一五七号)  同(山本粂吉紹介)(第四一五八号)  同(北澤直吉紹介)(第四一五九号)  同(塚原俊郎紹介)(第四一六〇号)  同(橋本登美三郎紹介)(第四一六一号)  同外四件(猪俣浩三紹介)(第四一六二号)  同外二件(稻村隆一君紹介)(第四一六三号)  同(風見章紹介)(第四一六四号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第四一六五号)  同外七件(櫻井奎夫君紹介)(第四一六六号)  同(伊東岩男紹介)(第四一六七号)  同(大高康紹介)(第四一六八号)  同(加藤高藏君紹介)(第四一六九号)  同(中山榮一紹介)(第四一七〇号)  同(赤城宗徳紹介)(第四一七一号)  同(小山長規紹介)(第四一七二号)  同(神田大作紹介)(第四一七三号)  同(片島港君紹介)(第四二三七号)  同外三件(池田清志紹介)(第四二三八号)  同(森山欽司紹介)(第四二三九号)  同外二件(吉川久衛紹介)(第四二四〇号)  揮発油税すえ置きに関する請願外四件(福田赳  夫君紹介)(第四二三四号)  クリーニング業における揮発油税撤廃等に関す  る請願杉浦武雄紹介)(第四二四一号)  大島農業協同組合連合会ガリオア債務償還に  関する請願伊東隆治紹介)(第四二三二  号)  大島食糧株式会社ガリオア債務償還に関する  請願伊東隆治紹介)(第四二三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二八号)  日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資  の処理に関する法律案内閣提出第五八号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号)(参議院送付)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)(参議院送付)  補助金等に係る予算執行適正化に関する法  律案内閣提出第一四七号)     —————————————
  2. 大平正芳

    大平委員長代理 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。理事でありました内藤友明君が昨十八日委員辞任いたしましたので、理事一名が欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは、先例によりまして選挙の手続を省略し、委員長より御指名いたすことに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大平正芳

    大平委員長代理 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、坊秀男君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 大平正芳

    大平委員長代理 次に、去る十五円当委員会審査を付託されました補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案議題といたしまして、政府側より提案理由説明を聴取いたします。藤枝政務次官。     —————————————
  5. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  国の歳出予算は、国民から徴収された税金その他貴重な財源でまかなわれており、厘毛たりといえども、これが不正、不当に支出されるがごときことは許されないのでありまして、政府におきましては、常にこれを公正かつ効率的に使用するように努めている次第であります。しかしながら昭和二十八年度決算検査報告によれば、不当事項として二千二百余件が指摘され、そのうち支出に関係するものが千四百余件であり、このうち約九割近くを占める千二百余件は補助金に関するものでありまして、累年その件数は増加の一途をたどってきた現状であります。その内容は、事業費について過大に積算したり、不実の積算をしたものや、設計通り工事を施行しなかったり、自己負担を免れたり、はなはだしいのは、架空の工事や二重の申請をして国鷹補助金等交付を受けたもの等があります。補助金等が国の歳出予算の約三割を占めている現在、これらの補助金等にかかる予算執行適正化をはかることは喫緊の要請であり、今回ここにこの法律案提案した次第であります。  この法律案は、補助金等交付申請決定その他補助金等にかかる予算執行に関する基本的事項規定することによりまして、補助金等交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用防止等をはかるとともに、他面補助金等交付を受ける者に対する不当な取扱いを防止する等の措置を講じ、もって、補助金等にかかる予算執行適正化をはかることを目的とするものであります。  以下この法律案の主たる内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律の適用を受ける補助金等とは、補助金負担金利子補給金及びその他国が相当の反対給付を受けないで交付する給付金であって、政令で定めるものとし、補助金等に関しまして他の法律またはこれに基く命令に特別の定めのない限り、この法律によることといたしているのであります。  第二に、補助金等交付申請及び決定につき、必要な手続を明確にいたしました。すなわち、補助金等交付申請及び決定手続規定するほか、決定に際し必要な条件を付することといたしますとともに、交付決定後に天災地変等、特別の事情により補助事業の全部または一部を継続する必要がなくなった場合等において、当該交付決定の全部もしくは一部の取り消し、または決定内容もしくはこれに付した条件の変更ができることとしております。  第三に、補助事業等または間接補助事業等の遂行に当っては、常に善良な管理者の注意をもって遂行すべき義務を課するとともに、補助事業者等提出する報告等により、必要がある場合には、当該補助事業等を適正に遂行すべきことを命じ、また必要に応じ一時停止を命じ得ることとし、さらに専業完了後は必ず実績報告を徴し、その審査及び必要に応じて行う現地調査等により、補助金等の額を確定することといたしているのであります。なお補助事業等により取得した財産等につきましては、補助金等交付目的に反する使用処分等を原則として禁止することといたしているのであります。  第四に、補助事業者等または間接補助事業者等補助事業等または間接補助事業等に関し、法令等に違反し、または補助金等もしくは間接補助金等の他の用途への使用をした場合には、補助金等交付決定の全部または一部の取り消しをすることができることとし、この取り消しがあった場合で、すでに補助金等交付されているときはその返還を命ずることとし、右の返還命令があったときば加算金納付させることとし、返還金納期日までに納付しないときはさらに延滞金納付させることとするとともに、これら返還金等納付がない場合には、他の補助金等交付を一時停止し、もしくは他の補助金等と未納付額とを相殺することができることとし、さらに、これら返還金等徴収に当っては国税徴収の例によることができることとしているのであります。  第五に、偽わりその他不正手段により補助金等交付を受けまたは間接補助金等交付もしくは融通を受けた者、あるいは補助金等もしくは間接補助金等の他の用途への使用をした者等に対し、所要の罰則規定を設けているのであります。なお地方公共団体に対しては、その団体性格上、団体自体には罰則を適用しないことといたしているのであります。  第六に、右のごとく補助事業者等に対し相当厳格な規律をもって臨むことといたしたのでありますが、他面補助金等交付する側においてもその取扱いをより適正にするため、補助金等に関する事務、その他補助金等にかかる予算執行に関する事務に従事する職員に対し、事務を不当に遅延させたり、または必要な限度を越えて補助業者等もしくは間接補助事業者等に対し干渉してはならない義務を課したほか、補助金等交付決定その他の処分不服のある地方公共団体に対しては、不服申し立ての道を開くことといたしているのであります。なお日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社に対しましても、この法律を準用することといたしているのであります。  以上、この法律案提案理由及びその概略を申し述べた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 大平正芳

    大平委員長代理 これにて提案理由説明を終りました。本法律案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  7. 大平正芳

    大平委員長代理 次に、資金運用部資金法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案の五法律案一括議題といたしまして、質疑を続行いたします。井上良二君。
  8. 井上良二

    井上委員 日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案、この法案に関連して、二、三質問をいたしたいと思います。開発銀行総裁が見えておりますから、開発銀行産業開発のために貸し付けておりますおもなる貸付産業、それからその貸付の大体の金額というものを、常識的でよろしいから、どういう産業にどのくらい貸しておるかということを御説明を願いたいと思います。
  9. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問でありますが、開発銀行は、御承知通り電力開発に重点を置いて参りまして、大体従来の資金の四割五分ないし五割程度電源開発資金として融資としておるのであります。その次が船舶の融資であります。その次が石炭鉄鋼あるいは化学繊維、肥料、機械工業等、その他になっております。金額の詳細につきましては、私ただいま記憶にありませんので、理事中村君から金紙を御説明申し上げたいと思います。
  10. 中村建城

    中村説明員 ただいま総裁の申し上げましたのを、多少数字にわたりまして補足いたします。ここにございますのがことしの五月末の現在額でございまして、総額におきまして三千六百二十五億貸しております。これを分けますと、開発銀行昭和二十六年の五月に開業いたしまして貸しました開発資金と、それから復興金融金庫が貸しまして開発銀行の受け継ぎましたものと、政府見返り資金で貸しまして、それが開発銀行に引き継がれたもの、この三種類を込めまして、総計が三千六百二十五億ということになっております。そのうちで、何と申しましても一番大きいのが電気、つまり九電力会社に対する電源開発資金でありますが、電気事業が一番多いのでありまして、これが一千七百十二億ございます。その次が外航船と申しておりますが、外国に参りまする貨物船、これを中心といたしまする運輸業と申しますのが第二でございまして、それが千百二十八億ございます。第三が石炭中心とします鉱業——マイニングでございますが、これがずっと下りまして三百八十三億、その次は鉄鋼業を主体としまする金属工業でありまして、これが百四十八億、次に化学工業の百八億、あとはずっと下りまして機械の三十一億、農林水産の三十二億、繊維工業——ファイバーでありますが、これが五十九億、雑多のものが二十億、合計いたしまして三千六百二十五億、かように相なっております。
  11. 井上良二

    井上委員 今度の法案によりますと、農林漁業公庫中小企業公庫に対して貸し付けておる貸付金産業投資に継承さす、こういうことでございますが、農林漁業公庫中小企業公庫へほどのくらい貸し付けておられましょうか。
  12. 小林中

    小林説明員 お答えいたします。農林が二十六億、中小が百十九億でございます。これは御承知と思いますが、政府金融機関の各領域をきめまして、従来農林が扱っておりましたものが重複して開発銀行に引き継いだものがありますので、それを農林に移し、また中小企業公庫が創立されましたので、従来開発銀行が扱っておりました中小向けと申しまするものを中小公庫に移した、こういう事情であります。   〔大卒委員長代理退席委員長済席
  13. 井上良二

    井上委員 政府委員がおらぬが、どうしたのですか。
  14. 松原喜之次

    松原委員長 すぐ参るように今連絡をとっております。
  15. 井上良二

    井上委員 それでは開発銀行総裁にさらに質問をいたします。日本開発銀行法の第一章第一条の目的に「日本開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び産業開発を促進するため、一般金融機関が行う金融補完し、又は奨励することを目的とする。」こういう規定がありますが、この目的に沿う運営が行われてきておりますか。
  16. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問でありますが、開発銀行創設以来、本条に沿いまして鋭意銀行運営をして参っておるのであります。御承知のように、開発銀行はその条文にもあります通り補完並びに奨励をその職務としておるので、補完と申し上げますと、対象業極があるいは市中銀行融資対象になりかねる場合に、それを補完する場合があります。また資金の面におきまして、市中銀行で全部をまかないかねる場合に、その不足分開発銀行融資をするというふうな立場をとっておるわけでありまして、対象とならないというのは、必ずしもその業極内容並びに返済能力がないのではありませんで、その業種自体性格によって非常に長期にわたる建設費というようなことになりますと、市中金融がこれを取り上げるわけには参りませんので、そういう場合には、開発銀行がいたしておるというふうな事情であります。
  17. 井上良二

    井上委員 さいぜん総裁及び理事説明によりましても、開銀貸付金というものが大企業、大産業合理化融資というのですか、開発融資にほとんど使われてきておる。これは開銀の当然の特色とも言えば特色でありましょうが、これともう一つ考なければなりませんのは、新興礎業です。大企業合理化資金を貸すことも非常に大事でありましょうが、新興帝業育成中心とした新して帝業構造に対して、少しも奨励的な資金的措置考えられてないということについて、どうお考えになりますか。
  18. 小林中

    小林説明員 開発銀行融資は、御承知と思いますが、その年度々々におきまして政府立てられますところの帝業基本計画に基きまして、それを対象として融資をいたすのでありまして、その基本計画に入った業種以外の業稀には、融資ができないことに相なっておるのであります。従いまして、お説はまことにごもっともなことだと思いますが、政府が、新産業基業業種としてその年度の中にできるだけ繰り入れていただくということが必要条件になるのではないかと思います。と同時に、従来におきましても、たとえば化学繊維業のごとき日本における新しい産業育成、その他まだ多々ございましょうと思いますが、開発銀行としては十分努力して参っておるつもりであります。さような事情を御了承お願いいたしたいと思います。
  19. 井上良二

    井上委員 そうすると、新興産業に対する奨励資金的にいたしますために、政府の方で資金計画立てるから、従って開発銀行としては、政府立て資金計画に基くものであって、開発銀行運営ではどうにもならぬ、こう解釈していいのですか。
  20. 小林中

    小林説明員 開発銀行といたしましては、ただいま申し上げましたように、その年度々々で政府が作ります基本計画のワク内にあります産業融資対象にいたしておるのでありまして、開発銀行が自主的に新しい産業を取り上げて、それを融資対象にいたすというわけには参らないのであります。しかしながら、従来政府におきましても、新鹿業育成ということには十分御努力がなされておりまして、ただいま申し上げました化繊、その他チタン工業とか、あるいはスタック関係の各産業等に対しましては、開発銀行政府の御趣旨を体しまして積極的に融資を行なって参っておるのであります。
  21. 井上良二

    井上委員 その新興廃業に新しく融資をいたしておりますおもなるものは何です。具体的に御説明願いたい。
  22. 小林中

    小林説明員 ただいま私全部を記憶しておりませんが、書類によりまして中村理事から御説明を申し上げたいと思いますが、しかし中村理事におきましても十分な用意はないと思いますので、大体ここで見つかる程度のものを拾い上げて御参考に申し上げたいと思います。
  23. 中村建城

    中村説明員 実は件数といたしましては、スタックと申しますのは御承知と思いますが、内閣にあります科学技術行政協議会、そこで新しい発明とか技術が果して工業化できるであろうかということを審査いたしまして、工業化できるというめどがつきました場合に開銀融資を推薦して参ります。これは毎年わずかずつではございますが、それを取り上げまして貸しております。これにつきましては非常に多岐にわたりまして、ここに全部申し上げることはできませんが、ハード・ボードとか、あるいは特殊の紡績機械とか、あるいは特殊の薬であるとか、たとえばガンの薬に貸したことがあります。あるいはビタミンの特別なもの、あるいは人口血漿、デキストリン、こういうものに相当貸しております。これらにつきましては、もし御必要ならば詳細資料をもって御説明申し上げたいと思います。なお大きなものでは、ただいま総裁の申し上げました金属チタンがございます。あるいは生糸の方における自動繰糸機、そういうものがございますし、さらにまだわかりませんが、通産省では今年石油化学等考えておるようでありますが、このような新興産業は絶えず政府でも研究され、研究が完成されると開発銀行の方で計画に入れまして、開発銀行審査いたしまして、それが金融のベースに乗るようならば十分にめんどうを見よう、かように考えておる次第であります。
  24. 井上良二

    井上委員 どうも金融補完の面だけをあなたの方は非常に重要視されて、新興産業に対する奨励的な面、この法案の第一条にうたってあります後段の「奨励することを目的とする。」その奨励目的が非常におろそかに扱われ、かつまた第二次的にこれが扱われておりはせぬか、そういうきらいがあるとお考えになりませんか。
  25. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問で、開発銀行の従来の融資の経過から見ますと、あるいはそういう御懸念もあるかに感じられるのでありますが、日本産業復興ということも非常な大きな主要目的でありますので、従来の虚業形態を合理化して、あるいは近代化していくということも相当強く考えていかなければならぬという線が出ておると思います。また資金の点におきましても、補完と申しましても、質的補完が相当軍ありますので、そういうものは一般市中ではとうてい融資困難の対象になっておりますものを開発銀行融資をする、これは見方によりますと、新産業とも害えるようなものが相当あるのであります。この点御了承を願いたいと思います。
  26. 井上良二

    井上委員 これは、とんだところに因縁をつけたような考え方で聞いてもらったら御迷惑でございまして、今庄での日本基礎産業は、それぞれ政府保護助長ということで大きくなってきまして、今日基礎産業的な面からさらに新しい新興産業への産業構造をどうするか。たとえば石炭にいたしましても、石炭をそのままで消化するということよりも、ガス化方向をとらなかったならば、石炭の実際の合理化目的を果すことができ得ない段階に来ております。あるいは石油産業もそういう状態が見えるのです。また繊維関係においても、綿紡から化繊産業へ非常な飛躍をいたしてきておる実情です。そういうわけで、今日わが国は新しい新興産業構造というものを考えなければならぬ。そうしなければ世界に対抗でき得ない産業的な実情になっておろうと思います。そういうものに対して積極的にあなたの方で資金計画をお立てになって、政府に対して実情はこういう実情だから、こういう資金計画を実際面を担当しておるものとしては強く要望するということが、当面のあなた方に課せられた任務じゃないかと考えられる。ただ政府資金計画立てて、それでその通りやっておれば、何らあやまちはないんだと一応考えられますが、しかし事実日本の大きな産業開発と振興を目的としておる開発銀行といたしましては、新しい産業構造というものを考えて、どうそれに資金を適正に回すかということが、今後資金計画立てる上に重要な要素とならなければならぬのじゃないかという考え方を私は持っておるのです。この考え方が誤まっておるのなら別でありますけれども、私は、少くともこれからの日本産業は、そういう方向に持っていくべきじゃないかという考え方を一応持っております。これに対して、一つ今後融資方針をお立てになります場合、政府に対して十分その点について御進言を願って、実際現場機関としてそういう方向へ今後資金が流れるような対策を考えてもらいたい、こういうことを私は要望しておきます。  次に伺いたいのは、ただいまの御説明によりますと、開発銀行貸付の四割というものが、電力開発にこれが使われておりますが、電力に貸し付けておる金利はどのくらいです。
  27. 小林中

    小林説明員 電力に貸し付けました金利は、開発銀行が創設されました当時におきましては、七分五厘を基準融資基準融資をしておりましたが、その後二十八年度におきまして六分五厘に引き下げまして、現在は六分五厘を利率として融資をしております。
  28. 井上良二

    井上委員 この電力開発に対して、民間の市中銀行の方からはどのくらい貸し付けられておる予想でございますか。そしてその金利はどのくらいになっておるようでございますか。
  29. 小林中

    小林説明員 金利は必ずしも一率一体になってないと思いますが、大体におきまして三銭程度、と申しますと、一割一分程度だと私どもは考えております。そしてその金額は、ここでただいま資料理事の手元にございますかどうですか知りませんが、ありましたら中村理事から数字の御説明を申し上げさせたいと思います。
  30. 中村建城

    中村説明員 今日詳細な資料をこちらに持って参っておりませんが、電力につきましても、大部分相当の割合は開発銀行より貸しますが、やはり増資もありますし、また社債も募集いたします。市中銀行からも、相当有力な産業でありますから、それぞれシンジケートを作りまして、相当多額に借り入れております。全体でうちの比率が、もちろん半分にはなりませんが、どのくらいになりますか、不正確なことを申し上げるよりも、御必要ならあとで調べて申し上げます。
  31. 井上良二

    井上委員 御存じの通り、わが国の基幹産業というよりも動力源といたしまして、電力開発日本産業の再建の中心課題になっており、国民あげてこの開発の一日も早からんことを切望しておる。ところがここ数年来、電源開発にはものすごい資金が投下され、そして年々開発が進んできておりますが、一向電力料金が下らない。それのおもなる原因は何かというと、開発資金に莫大に消化されておりますので、金利の負担がものすごくかかる、こういうことらしい。そこでどうでございますか、外国の電源開発に対する金利はどのくらいになっておるのでありますか、それを伺いたい。
  32. 小林中

    小林説明員 外国の金利に対しましては、ただいま確たる資料は持ち合せがありませんが、大体私企業が多いのでありまして、外国の市中金利基準として考えました場合には、あるいは三分五厘、四分くらいの程度のものではないかと考えております。ただし、御承知日本の三電力会社が、火力発電のために世界銀行から資金を借りましたが、その資金のコストは五分でありまして、大体他の国の一般基準から考えますと、五分を多少下回るぐらいのところが適当な金利考えてよろしいのではないかと考えております。
  33. 井上良二

    井上委員 この開発銀行金利は、石炭についても六分五厘に下げました。ところが基準金利というものは、大体一割が基準金利になっておりゃしないかと思います。政府機関といわれる開発銀行が一割の金利で貸すということが、今日産業開発や国民の生活を向上さす上で、妥当な金利とお考えになりますか。
  34. 小林中

    小林説明員 開発銀行法律によりまして、開発銀行金利は市中金利を勘案して定めるということになっておりまして、従いまして、私どもが銀行創設当時におきまして基準金利を一割と定めました理由は、その当時市中におきまするところの長期資金金利は、大体三銭二厘の前後の程度であったのでありまして、それから見ますと、ある程度の低目に決定をいたしたのであります。それから銀行創設以来今日四年に相なりまして、日本金融情勢もやや平常になって参りましたので、開発銀行といたしましても、将来当然産業金利の負担というものは軽減していかなければいけないというふうな考え方からいたしまして、八月一日をもちまして、基準金利を九分に引き下げたいとただいま考えておる次第であります。
  35. 井上良二

    井上委員 開発銀行運営の業務内容について、調べる時間がございませんでしたので、調べておりませんので、はなはだくだらぬことを質問するようでございますけれども、開発銀行の年間の収支はどうなっておりますか、損益勘定はどうなっておりますか。
  36. 小林中

    小林説明員 数字に関しますので、中村理事から詳細御報告申し上げます。
  37. 中村建城

    中村説明員 開発銀行は、収入のおもなるものは貸付金の利息でございます。それが昭和二十九年度、最近の年度におきましては二百二十億ございます。それから全部合せても二百二十五億の収入でございますから、ほとんど大部分が貸付利息でございまして、他は雑多なものがございます。それに対しまして、支出の方で一番大きいものは、借入金の利息でございます。借入金と申しますのは、実は開発銀行は、最近は資金運用部、あるいは帝業投資特別会計から出資を受けないで借り入れをしております。それに対して五分五厘ないし六分五厘の利子を払っております。それが五十六億八千万円、約五十七億、これが一番多い支出項目でございます。その次の支出項目としましては、開発銀行長期貸付でありますから、市中銀行と同じような貸し倒れに備えて貸し倒れ準備金を積んでおります。これは年度末貸出残高の一%を積んでおります。これが三十六億、この二つが一番大きい項目でありまして、その次はいわゆる事務費でございますが、これは五億九千万円、六億足らずであります。そのほかは雑多な項目で、全体がご旦一億、収入が二百二十五億、それに対して支出が百二億、差引百二十二億というものが純益金、いわゆる見かけの純益でございます。と申しますのは、この百二十二億のうち八割を政府納付いたし、あとの二割を積立金にいたしまして翌年度以降の財源にいたす、こういうふうな数字になっております。
  38. 井上良二

    井上委員 次に伺いますが、開発銀行は二十六年に創立せられたと記憶しておりますが、二十六年から今日まで、これは長期資金ですからまだ結論をつけるのは早いけれども、あなたの方では貸出残高の一%を貸し倒れ準備金に積まなければならぬほどたよりないものにお貸しになっておるのですか。そうして、それは大体積んでおかなければ危ないのですか。
  39. 中村建城

    中村説明員 これは、開発銀行は実は法人税がかかっておりません。しかしながら普通銀行は法人税がかかっておりまして、従って貸し倒れ準備金を積みましても、自分の利益で税金のかかったものから積むのは好まない。そこで税務当局と相談して、貸し倒れ準備金を損金に通用してくれ、その運用の範囲は、いろいろな標準がありますが、年度末貸出残の一%、それでわれわれはやっておる次第でございます。特にそれが高いか安いかという点になりますが、たまたま世の中で行われている率をとったわけであります。
  40. 井上良二

    井上委員 御存じの通り、今お話しを承わりますと、近く金利を一分下げるというお話しでございますが、これを一分下げた場合、帳じりはどういうことになりますか。
  41. 小林中

    小林説明員 かりに八月一日から基準金利を一分引き下げますと、三十年度の利息収入におきまして大体二億七千万くらいの収入減になります。これを平年時に換算をいたしますと五億九千万の収入減になるのであります。
  42. 井上良二

    井上委員 そうすると、もっと金利を下げる余地がありますね。そうお思いになりませんか。年間で一分金利を下げて五億九千万の収入減になる、こういうが、二十九年度末の黒字は百二十二億あるのです。そうすると、もっと下げても十分やっていけるということになりませんか。
  43. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問は、数字におきましては、下げる余地があるように出ておりますことは事実でありますが、御承知通り開発銀行金利は市中金利を勘案して定めるというふうになっておりまして、市中金利とあまりさやのないことをもって開発銀行金利基準とすべきだという法律考え方であります。特に開発銀行金利市中銀行とのさやが非常に生じますと、そこに開発銀行の使命でありません市中銀行開発銀行との融資の競合というふうなことが起りやすいのでありまして、この点は厳に私ども戒めなければならぬことだと思うのであります。さような観点からいたしまして、ただいま申し上げた程度が、現在の日本金利体系と申しますか、それから参りますと適当な程度ではないかとただいまは考えておる次第であります。
  44. 井上良二

    井上委員 そうすると、銀行局長に伺わなければならぬが、ただいま開発銀行の収支決算を伺いますと、石炭にいたしましても、あるいはその貸付の四割を占めております電力開発にいたしましても、六分五厘程度の安い金利で貸し付けておる。それでなおかつ百二十二億という黒字になっておる。金利は一分下げても、まだなおかつ百二十何億という黒字が出るわけです。このことから市中金利を推定すると、市中銀行がいかにもうけているかということがはっきりわかる。それを銀行当局は、何か市中金利は非常に引き合わないような根拠の上に立って、金利を引き下げろ、引き下げろとやかましく言うても、ほんのわずか一分くらい引き下げるか引き下げぬかで大騒ぎをやっておる。これは市中金利をもっと下げぬことには、こちらも下げようにも下げられぬということになる。これを、あなた銀行の親玉としてどうお思いになりますか。
  45. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 市中銀行金利は、下げるように従来からも努力しておりますし、今度も下げるようにいたして参りたいと思います。ただ今井上さんの御指摘の、開発銀行が利益を出しているじゃないかというお話しですが、この利益は、普通の民間の金融機関の利益とは全く性質を異にして、政府から出資の名において利息のつかない金が相当入っておる。これは、本来政府機関でなければ当然利息のついておる金のはずなんです。これを利息なしで開発銀行へ出しておる。しかも、それに対して政府は、そのかわりに納付金という形でこれを利益から納付せしめておる、こういう形になっておるわけであります。開発銀行のような純然たる政府資金資金の源にいたしているものについては、普通の民間の企業のような収支計算からくる損益というようなことは実は意味をなさない。早い話が、開発銀行に対して出資しておりますものを借入金に直してしまえば、そこに六分五厘の利息をとらなければならぬということになるわけでありまして、いわば政策的にこれはいかようにもこの利益は出てくるわけであります。この点、民間の金融機関とは根本的に性質を異にしているということは、井上さんよくおわかりになっておると思いますけれども、念のためにつけ加えておきます。
  46. 井上良二

    井上委員 開発銀行は、政府機関として日本産業開発をすみやかにはかるという大きな目的でこの機関ができてやっておるのであります。今あなたの説明を聞くと、その本来の目的と違うのです。あなたは、政府資金を出しているから黒字になっているのだ、黒字になった部分は政府の方へ吸い上げるから、結局開発銀行というものは安い金利では融資ができないのだ、こういう説明をしているわけです。われわれが開発銀行政府資金出資することを認めているのは、この銀行が貸します融資先がわが国の基幹産業であって、これらの産業がすみやかに国際水準に達して、国民経済全般がよくなっていくことを目的にしているのです。ところが、この銀行から貸す金利が高いために、電源開発は年々伸びているけれども、少しも電力料は下らない、下るどころじゃない、開発すればするほど電力料金ば高まっていく傾向にある、これをあなたはどうお考えになりますか。国民の意思と相反するじゃありませんか。すみやかに電気を安うしてもらおう、そのためには早く電源開発をしてもらう、こういうことでこっちは政府出資をやらしているのです。やらした結果は、下るどころか上る大勢にある。それではだいぶ目的が違う。これをあなたはどう答弁しますか。
  47. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 井上さん、誤解なさっておるとはもちろん思いませんが、もし誤解があってはいけませんから、念のために申し上げます。私は、開発銀行の利益があるけれども、それを政府納付しなければならぬから金利は下げられないと言ってない。金利を下げるか下げないかということは、別の観点からきまるべきだ。その別の観点というのは、先ほど小林総裁からもお話しのありましたようなことも、一つの観点だろうと思います。それらいろいろな点から考えて、金利はどこにあるべきかということをきめるべきだ。利益があるから、金利を下げるということは政府機関ではあり得ない、利益がなくても、下げなければならぬ金利は下げるのだ、こういうことでなければいかぬということを申し上げておる。これは井上さんよくおわかりになっておると思いますが、くどいようでありますが、念のために申し上げておきます。  それから電源開発のお話がありました。これはできるだけコストが安い電源開発をして、電力料を下げるように努力しなければならぬ。しかしよく御承知のように、開発銀行金利が今の六分五厘という点にあるから、コストが非常に下らないのだということでは毛頭ないのであります。これはよくお話しの通りいろいろな原因がありますが、開発銀行としては、開発銀行の使命から見て、政策的に出せる金利の最低限度を電力に対して出しておる。電力のコストを下げるためには、この金利をゼロにした方が一番いい、下ることは間違いないと思いますが、開発銀行としては、その使命から見て下げられる限度がある、その限度一ぱいまで電力というものの重要性にかんがみて下げておる、それが現在は六分五厘である、こういうことでありますので、その点も、誤解がもしありましたら解いていただきたいと思います。
  48. 井上良二

    井上委員 私は別に誤解をしておりません。今現実に小林総裁は、もっと下げる余地はないことはない、あるが、これを下げようとすれば、市中銀行と競合して困る、だから競合したくない、こういう理由です。そこで私どもとしましては、そういう理由のもとで下げぬというのはけしからぬじゃないかということを、実際いうならば言いたいのです。あなたが今説明されましたように、下げなければならぬ性質のものならば、黒字であろうが赤字であろうが、下げるというのがほんとうです。それならば、開発銀行の目標が基幹産業開発合理化を目的にしておりますから、少くともその面において、その資金を使ってこれだけ実際のコストは安くなったということを、われわれ国民としては期待するわけです。ところが、つぎ込めばつぎ込むほどコストが商うなっていくという現状をわれわれ聞いたときに、つぎ込む必要はないじゃないかという結論が実際いって別に出てくる。そうじゃなしに、つぎ込めばつぎ込むほど効果が上るようなつぎ込み方をしてもらいたい。その大きな原因は、金利が高いということにあるから、金利を下げたらどうかというわけです。現に先ほどもお話しがありましたが、外国の例を聞きましても、大体三分五厘くらいで貸しておる。しかし日本電源開発会社が借りたときは五分で借りておる、こういう話です。だから、五分で借りておるものなら、五分まで下げていいじゃないかという私の意見です。下げられない理由ばどこにあるか、政府機関ですから、これをできるだけ下げて、電源開発がこれだけ進み、電力料金が安くなるということが明らかにされるならば——これは肥料の場合も一緒です。やはり資金をつぎ込めばそれだけ増歴できるのですから、従って肥料もこれだけ安くする。電力もこれだけ安くするということにならなければならぬわけです。私はそれを聞いておる。下げられぬという根拠が、市中銀行と競合するからこの線で、とこういうから、それなら私ども納得できないのです。あなたが今説明されたように、政府機関として監督している以上は、当然あなたの方で、これは下げなければならぬという条件ができてくれば下げたらいい。それをわきの銀行に気がねして、まあ一分くらいのところでがまんしておこうかという、全くこれは、私に言わせれば市中銀行に気がねしての金利の引き下げ率ですよ。もっと下げられる余地がはっきりあるのに下げない、そこを私は聞いておるのだ。
  49. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、開発銀行法の第何条ですか、私、条文はちょっと忘れましたが、小林さんからもお話しがありましたように、開発鉄行というものは、市中金融補完をするということが使命なんです。その使命のよしあしはいろいろ御議論はありましょうが、現行の法律においては市中金融補完をする。それで、その市中銀行補完ということはいろいろありますが、金利についても、市中金利を十分勘案して、それとあまり開きのないところにきめるという規定法律の十何条かにはっきり載っておるわけです。従って、そのよしあしはいろいろ議論はありましょうが、現行の法律を忠実に守る以上は、市中金利とあまりかけ離れた金利というものは、いかに開発銀行が利益がありといえども出せない。しかし、これは要は程度問題になりますが、程度問題ですから、六分五厘がいいか、あるいは七分がいいかという議論はいろいろありましょうけれども、法律は、そういうことで政府機関たる開発銀行金利は定められなければならぬ、こういうことであります。
  50. 井上良二

    井上委員 市中銀行は大体一割見当で金融しておるようです。市中銀行が一割見当で金融しておるのに、開発銀行は六分五厘にしておる。これは非常な開きがある。それで別にあまり問題はないわけです。それをさらに今度また一分下げる。そうしたら五分五厘ということになりますか。これは基準金利であって、石炭電力はやはり六分五厘で置いておいて、これは一分下げるというのじゃないでしょう。ですから、私はどう考えてもその点がはなはだ矛盾の多い結論しか出てきませんので、あなたが力を入れて言うように、政府出資をしているので、その政府出資をしておる目的が果されてないということになると、われわれとしては黙っておれぬ。その果されない大きな原因は、金利が高いということがいわれておる。常に電力会社石炭会社がわれわれに白書として示すのは、外国は、こういうものに対する金利はこれだけしかとってない、日本はこんなに高いのだ、だから電力料金は下らぬ、石炭は下らぬという。だから、それは政府機関ですから、下げていいじゃないかというのです。下げてこれが赤字になって、また赤字を補てんしなければならぬ、予算措置を講じなければならぬというなら、これはまた国民も一応考えなければなりませんけれども、現に百二十億からの黒字が出ておるじゃないか、この分からいうならば、もう二、三分下げたって平気だ。下げたらいいじゃないか。
  51. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先ほどからお答え申し上げました通りに、私も考えておるのであります。日本金利が高過ぎるために、いろいろ国際競争上に非常な不利な状況にあるということは、私は電力に限らぬと思います。全体をできるだけ金利を下げるように努力をするということは、私は従来からも申し上げておる通り、非常に必要なことだと思って、今努力をいたしておるわけであります。しかしアメリカとかイギリスのような程度まで金利全体が下らないというのには、いろいろな理由があるわけです。その理由はいろいろありましょうけれども、できるだけ下げるように努力はいたしたいと思います。しかしその場合に、ただ電力だけを特に下げるということは、私はこれはまた別の問題として考えなければならぬと思うのであります。むしろ開発銀行金利体系からいえば、今井上さんが御指摘になったように、むしろ六分五厘の金利を出すことは少し低過ぎるのじゃないかという議論さえ出てくるはずなんです。しかし、それはやはり電力と船といったような特殊な必要性から見て、これを開発銀行法律の認められるぎりぎりの範囲まで引き下げていくということでありまして、ああいう安い金利を出すのは、開発銀行法律にむしろ反しているのじゃないかという議論さえ実はあるわけであります。そこを、そういう特殊性に基いてできるだけ下げているという点も、一つ御了承いただきたいと思うのであります。
  52. 井上良二

    井上委員 もう一点、次にこの石炭に対して三百八十三億ですかを融資しておりますが、これは縦坑開発資金ですか、何ですか。
  53. 小林中

    小林説明員 石炭に対する融資は、必ずしも全部が縦坑開発資金ではありませんので、その一部には当然縦坑の開発資金も含まれてありますが、あるいは新坑の開発もありますし、いろいろ石炭開発に対する資金と広くお考えを願いたいと思います。
  54. 井上良二

    井上委員 その石炭開発資金と常識的に考えるのは当りまえでして、今一番石炭産業で合理化を要望されておりますものは、縦坑に直すということが、何でも炭価を下げる大きな原因であるということは常識化されておるわけです。だから私は、これは主としてその方面に注ぎ込める金かどうかということを聞いておるわけです。そればかりじゃない、新坑開発もある、こう言うけれども、新坑開発はどこでするのですか。
  55. 小林中

    小林説明員 新坑開発と申しましても、かりに甲の炭鉱が坑道が非常に長くなって能率が非常に悪くなったというような場合に、新坑をあけまして石炭を掘っていくということが、今の新坑開発のおもなものだと思うのでありますが、しかしながら、仰せのごとく開発銀行石炭融資は、大体石炭のコスト引き下げに役立つ資金対象として融資をいたして参っておるのであります。従って、仰せのごとく縦坑開発というようなことが主体にはなっておるのでありますが、しかしながら全部が縦坑開発ではない、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  56. 井上良二

    井上委員 わかりました。
  57. 松原喜之次

    松原委員長 大平委員より関連質疑の要求がありますので、これを許します。大平正芳君。
  58. 大平正芳

    大平委員 今の井上さんの御質問に関連して、金利の問題ですが、昭和二十六年から電源関係等の金利を下げられた。それからこの八月一日から基準金利を九分程度に持っていきたいというのですが、これは今から新規の貸出金利を下げるというのですか。既往の旧債権に対する金利も一斉に下げようというのですか。先ほど伺っておりますと、今年は基準金利を九分程度に持っていくことによりまして、二億数千万円くらいの収入減になる程度だという話しでありますが、最近貸付残高は三千七百億もあるのですから、そうすると、これから新規の貸付に対する金利を下げようというのにとどめるわけでございますか、その点伺いたい。
  59. 小林中

    小林説明員 これはよく御承知だと思うのでありますが、基準金利対象にしております融資の額は、総体の額の三分の一以下くらいの額でありまして、八月一日から一分下げたいと考えておりますのは、八月一日以降に発生する旧来の債権の金利も九分に計算をいたしました数字が、本年度におきましては二億七千万ですか、ということに相なっております。
  60. 大平正芳

    大平委員 そうすると、電源開発等の大口融資の方も、昭和二十六年以前の分も一緒に六分五厘になっておるわけですか。
  61. 小林中

    小林説明員 さようであります。
  62. 大平正芳

    大平委員 では次に、先ほど中村理事から御説明がありましたが、中小企業関係農林漁業関係ですね。あれは肩がわりされて、開発銀行の帳づらからは全部消えてしまっておるのですか。政府から直接資金が融通されたという格好に整理がついておるのですか。
  63. 中村建城

    中村説明員 実は、これは三つに分れておりますが、昭和二十六年度以降引き継がれました債権そのものは全部向うにいってしまっております。そのうち一部は、うちの借入金を減らして、政府との関係で決済してしまいました。その多くの部分は、それができないものですから、これが消えたかわりに、中小公庫に対する貸付金、あるいは農林漁業公庫に対する貸付金がうちの勘定に残っておるわけであります。これが今度の法律で、十月一日で全部消えてしまう、整理してしまう、こういう法律案であります。現在でも中小公庫に対する貸付金、あるいは農林漁業公庫に対する貸付金は一部残っております。これは本年三月で九十億万千万というものが残っております。それが今度十月に消えてしまう、こういうことであります。同時に見返り資金の方を消す、こういうことになっております。
  64. 松原喜之次

    松原委員長 なお前田委員より関連質問の通告がありますので、これを許します。
  65. 前田房之助

    ○前田(房)委員 私は電力問題について、小林総裁にお伺いいたしたいと思います。  開発銀行が巨額の投資を冠力会社その他電源開発会社になさっておるのは、もとより豊富低廉なる電力を供給することが目的だと存じます。私のことを申し上げてはなはだ恐縮ですが、昭和十一年、私が逓信政務次官の当時、私どもは豊富低廉な電力を供給すべく、当時の民政党の政務調査会案を審議に付しまして、日本発送電株式会社というものができ上った。しかるに戦後独占資本の解体という意味もあったと思いますが、これが寸断されまして、現在の九つの電力会社になっておる。その上に電源開発会社ができる、こういうことになっておりますが、かくのごとく電力会社が寸断されたために、電源開発に相当の支障を来たしておる点がある。また水力の過不足の調整も十分やっておらない。また水力と火力の調整も十分できておらぬ、こういう点も多々あると思います。極端な例を申し上げると、四国の場合は水力が少し余っておる。中国は水力が足りない。この四国の水力を中国へ運ぶこともできない。これは一例にすぎませんが、いろいろのことがあって、豊富低廉なる電力に非常に支障を来たしておると思います。従って私は、この際にやはり電力会社を再々編成して、そうして今申し上げたようなガンを取り去って、豊富低廉なる電力を供給するということが、あなた方の出資目的にも沿うのではないか、かような考えを持っております。もとより電力の再々編成には幾多方法があると思います。一つの会社にするという案もありましょうし、またサイクルによって、五十サイクル、六十サイクルということによって二つの会社にするという案もあると思いますが、いずれにしても現在のような状態では、ほんとうに豊富低廉な電力の供給には相当支障を来たしておる。従ってどうしても、これは電力を安く豊富に供給せんがためにば、電力会社を再々編成する必要がある、かように考えてみるのでありますが、小林総裁は、もとより総裁として相当の考えはあろうと思いますが、この点についての御意見を伺っておきたいと思います。
  66. 小林中

    小林説明員 ただいまの御意見は、私ども電力融資を扱っておりまする立場から申しましても、非常に傾聴すべき御意見だと考えておるのであります。御承知の九電力に再編成をされた当時と現在の日本電力事情というものは、多少変化を来たしております。その後の各会社の運営等を見ましても、たとえば供給源を非常に持っている地域と、消費地を専門に持っている地域というものが別々の会社形態になっておるということは、電力の融通の上から見ましても遺憾の点が相当にあるのではないかという考え方をしているのであります。しかしながら電力会社の再編成というものは、お説の通りいろいろな考え方があるのでありまして、私といたしましても慎重に検討をして、必要であれば再々編成も辞せなくやるべきだとは考えておりますが、現在どういう姿が最も適当だということは、私といたしましては、この機会に発言することは差し控えたいと思うのであります。
  67. 前田房之助

    ○前田(房)委員 お説の通り、慎重に御研究を願いたいと思います。
  68. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十一日木曜日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一昨五十二分散会