○平岡
委員 今の
河野さんの御答弁だと、相当努力しているように
回答されているのでありますけれ
ども、
政府の三十年度投融資計画を見ますと、
農林漁業金融公庫、それから
国民金融公庫、中小企業
金融公庫、住宅
金融公庫に対する
一般会計からの
政府の
出資は、今申し上げました自民両党の修正によりまして百五十五億円を減額されております。これを
資金コストの高くつく
資金運用部
資金の
貸付に肩がわりされております。もつともこの
貸付額自身は、六十億円を増しまして二百十五億円となっておりますが、しかし今のような
出資自身が非常に減額されているということは事実でございます。しかもこのために、
金融債の百五十億円の
資金運用部
資金による引受けは、四月、五月引受け済み分の二十八億九千万円を除きましては零にしてしまったのですね。すなわち零
回答をあえてした。こういうありさまでありまして、まず預託方式がだめである。それから日銀の中小企業の別ワクの問題も進展しない。それから今の三十年度の中小企業
関係の
金融政策自身を見ましても、むしろそこにしわ寄せを食つて、縮小されているような格好になっております。要するに八方ふさがりの状況が見られるのでありまして、私は中小企業向けの
資金の枯渇は極点に達してしまったという結果が現われていると思うのです。
それで、これから本論になるのですけれ
ども、
資金運用部資金法の改正が行われるにつきまして、私はこの
資金運用部
資金の性格をもう一回ここで反省していただきたい、こういうふうに
考えます。
率直に焦点を二つの点に私はしぼります。それは、
資金運用部資金法の改正に際しまして、第一は
農林中金、商工
中金、相互銀行、信用金庫、それに労働金庫も加えまして、こういう庶民
金融機関に対しまして
資金運用部
資金を運用することができるように改めてもらいたい。第二に、具体的に提案されております
通り、
資金運用審議会の
委員のうち、学識経験者を二名ふやすそうですが、このうちに中小企業
関係者、あるいは勤労者の
関係者を加えていただきたいということを要望したいのです。私はこの必要を特に強調したいのは、今までの経緯を見ますと、中小企業に対する
金融政策というものは、きわめて浮動的な、その場限りの彌縫こそくな手段をもってのみ
考えられてきておりまして、日本の産業構造に大きなウエートを占めておる中小企業の危機を打開するためには、中小企業に対する恒久的な
金融対策の樹立が時期的にぎりぎりのところにきておると思うのです。こういうときに、ちょうど
資金運用部資金法の一部改正が行われますので、特に以上申し述べた二つの点を強調して御配慮いただきたいのでございます。それで
政府に対して示唆申し上げたい点は、
資金運用部
資金の原資の性格からいたしまして、どうしても当を得た方策がこの際確立されなければならぬということです。御
承知の
通り、
資金運用部
資金原資の
構成を見ますと、
昭和二十九年度末におきましては、郵便貯金
関係が四千五百十四億円、それから簡易保険と郵便年金預託金が千二百三十八億円、厚生年金保険預託金が千百六億円でございます。以上の合計が八千八百五十八億円でございまして、全
資金構成七千七百二十四億円のうち八八%に達しております。この運用部
資金は、長年にわたりまして蓄積されてきた勤労者の預託金の集積であります。それにもかかわらず、その運用の実情を見ますと、いかに国としての政策の必要からとはいいながら、勤労者への還元はほとんどされておらないのでございます。これは、国債、地方債の内容とか、いろいろなことをすっかり分析してみなければわかりませんけれ
ども、七千七百億円に上る総額のうち、今言うような勤労者とか中小企業者とかに環元されるとおぼしきものを拾いましても、おそらく直接的なものとしてはその還元率は五、六%にしかならないのであります。
以上私が指摘したように、
資金運用部
資金の原資の大部分が勤労大衆の預貯金の集積であるにもかかわりませず、その運用による勤労者や中小企業者への還元融資はほんとうに九牛の一毛にすぎないというこの事実は、やはりここで見直されなければならぬと思います。私はこの運用の現状が納得できません。しかしこれは、歴史的なつながりがあって、こうした歪曲された方向が強化されてきたと思うのだけれ
ども、まずこの問題につきまして、
昭和二十六年ドッジのアドヴィイスによる変革というような点にも問題があろうと思います。ですから
資金運用部
資金——元は預金部
資金でございますが、この変遷を一応阪田さんから
説明願って、問題の所在の究明の資にしたいと思いますが、どうぞ阪田さんから御
説明願います。