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1955-07-14 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十四日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 森下 國雄君    理事 大平 正芳君 理事 奧村又十郎君    理事 横路 節雄君 理事 春日 一幸君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       菅  太郎君    坊  秀男君       前田房之助君    山村治郎君       山本 勝市君    淺香 忠雄君       黒金 泰美君    小山 長規君       薄田 美朝君    古川 丈吉君       石村 英雄君    木原津與志君       横山 利秋君    井上 良二君       川島 金次君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         国民金融公庫副         総裁      石渡忠四郎君         農林漁業金融公         庫理事     小山 正時君         参  考  人         (農林中央金庫         副理事長)   江澤 省三君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月十三日  委員山本勝市君及び河野密辞任につき、その  補欠として菊池義郎君及び岡良一君が議長の指  名で委員に選任された。 同 日  委員菊池義郎辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十三日  三級清酒設定反対に関する請願外一件(佐々木  秀世君紹介)(第四〇五七号)  同外九件(稲葉修紹介)(第四〇五八号)  同(川俣清音紹介)(第四〇五九号)  同(南條徳男紹介)(第四〇六〇号)  同(松浦周太郎紹介)(第四〇六一号)  同(植村武一紹介)(第四〇六二号)  同(粟山博紹介)(第四〇六三号)  同(山本正一紹介)(第四〇六四号)  同(野田武夫紹介)(第四〇六五号)  同(安藤覺紹介)(第四〇六六号)  同外一件(林唯義紹介)(第四〇六七号)  同外十六件(森清紹介)(第四〇六八号)  同外二十三件(山村治郎紹介)(第四〇六  九号)  同(臼井莊一君紹介)(第四〇七〇号)  同(松浦東介紹介)(第四〇七一号)  同(松澤雄藏紹介)(第四〇七二号)  同(池田正之輔君紹介)(第四〇七三号)  同外六件(中村庸一郎紹介)(第四〇七四  号)  同外一件(本名武紹介)(第四〇七五号)  同(今井耕紹介)(第四〇七六号)  同(重政誠之紹介)(第四〇七七号)  同(赤澤正道紹介)(第四〇七八号)  同(古井喜實紹介)(第四〇七九号)  同外三件(高岡大輔紹介)(第四〇八〇号)  同(伊東岩男紹介)(第四〇八一号)  同(上林與市郎紹介)(第四〇八二号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四〇八三号)  同外十一件(中村英男紹介)(第四〇八四  号)  同(西村力弥紹介)(第四〇八五号)  同(岡本隆一紹介)(第四〇八六号)  同外八件(大野市郎紹介)(第四〇八七号)  同(風見章紹介)(第四〇八八号)  同(八木一男紹介)(第四〇八九号)  同外一件(塚田十一郎紹介)(第四〇九〇  号)  同外十二件(渡邊良夫紹介)(第四〇九一  号)  同外十五件(大島秀一紹介)(第四〇九二  号)  同外十四件(田中角榮紹介)(第四〇九三  号)  同(篠田弘作紹介)(第四〇九四号)  同外十一件(千葉三郎紹介)(第四〇九五  号)  同外二十五件(田中彰治紹介)(第四〇九六  号)  同(亘四郎紹介)(第四〇九七号)  同(松田鐵藏紹介)(第四〇九八号)  同(草野一郎平紹介)(第四〇九九号)  同(田中龍夫君外一名紹介)(第四一〇〇号)  同外三件(永山忠則紹介)(第四一〇一号)  酒税率引下げに関する請願黒金泰美紹介)  (第四一〇二号)  同(松野頼三君紹介)(第四一〇三号)  同(町村金五君紹介)(第四一〇四号)  同(木原津與志君紹介)(第四一〇五号)  同(赤澤正道紹介)(第四一〇六号)  同(石坂繁紹介)(第四一〇七号)  同(鈴木周次郎紹介)(第四一〇八号)  同(大石武一紹介)(第四一〇九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭を求めるの件  参考人より意見聴取の件  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二八号)  日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資  の処理に関する法律案内閣提出第五八号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号)(参議院送付)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)(参議院送付)  金融に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  議事に入ります前に、春日君より発言を求めておられますので、これを許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 過ぐる委員会において、私の質問中、参議院より海員会館法提案説明並びに質疑が行われますので、参議院はこれを待機して待っておるから、すみやかに来いという連絡がありました。従いまして、答弁の完了を待たずして退席をいたしましたが、こういう状態でありましたので、よろしく御了承を願いたいと思います。
  4. 山本勝市

    山本(勝)委員 先般の委員会で、私が春日君に陳謝を要求する動議を出したのでありますが、これに対して委員長は、理事会であらためて相談された結果、春日君の言動には不穏当なところがあったと理事会は認めた、従って春日君から自発的に陳謝させるように、責任を持って処理するから、一応今日のところ動議を撤回してもらいたいということで、私は撤回したのであります。ただいまの春日君の話は、ただ事情を述べただけで、陳謝と私は認めがたいのであります。委員長はこれを陳謝と認めておるのですか。もし春日君が留守であったので、私の趣旨が徹底しないというのでしたら、私はもう一度動議を出したい。
  5. 松原喜之次

    松原委員長 速記をとめて。   〔速記中止
  6. 松原喜之次

    松原委員長 速記を始めて、ただいまの山本委員よりの御発言もありましたし、前回の委員会における春日君の行動につきましては、相当手落ちもあったと考えますので、今後さようなことの起らないように特に御注意を願うことといたしまして、御了承を願います。     —————————————
  7. 松原喜之次

    松原委員長 資金運用部資金法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案の六法律案並びに金融に関する件を一括して議題といたします。     —————————————
  8. 松原喜之次

    松原委員長 この際お諮りいたします。金融に関する件のうち、特に農林漁業金融に関しまして、横路委員から農林中央金庫の役員の出席の要求でありますが、これは政府機関でありませんので、従来から参考人資格出席していただいたのであります。従って、本日も農林中央金庫の副理事長江澤省三君を参考人として出頭を求め、その意見を聞くように取り計らいたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  10. 松原喜之次

    松原委員長 これより質疑を許します。横路節雄君。
  11. 横路節雄

    横路委員 最初農林漁業金融公庫理事の方にお尋ねいたしますが、この農林漁業金融公庫法の第十八条には、業務範囲について規定しておりますし、第三十六条においては、その十八条の規定する業務以外の業務を行なったときの罰則規定を定めてあるわけです。さらに農林漁業金融公庫業務方法書というのがございまして、その第二の貸付条件の中に、貸付金種類貸付対象事業貸付相手方、利率、償還期限及び据置期間等について明記されているのでありますが、この農林漁業金融公庫法並びに農林漁業金融公庫業務方法書等に基きまして、とりわけ第二の貸付条件の第八、農林漁業者共同利用施設の改良、造成、復旧または取得に必要な資金のうちの第四番目の畜産施設につきましては、農業協同組合並びに農業協同組合連合会に対して、一般の場合には七分五厘の二年据置の十五年以内、こうなっているわけです。なお備考の第(4)項のロにつきましては、今私が申し上げました八については、その貸付相手方の欄に掲げる協同組合またはその連合会が、その株式の九割以上を所有する会社であって、その貸付対象事業に掲げる事業を行うものについては、それぞれの事業について、その貸付相手方の欄に掲げるものとみなす、こういうようになっているわけです。  それで私があなたにお尋ねいたしたいと思いますことは、こういうように資料も出していただいておりますが、北海道バター株式会社に対しまして、今日まであなたの方では一億六千六百万円を貸付をしているわけです。私は北海道バター株式会社所有株について検討をいたしましたが、非常に疑義があるのです。果してこれがこの業務方法書によるところの備考の第(4)項のロの、九割以上の株を持っているかどうかは非常に疑義がございまして、その点、あなたの方ではどういうようなお考えからこれをいわゆる農業協会組合連合会とみなして、一億六千六百万円の貸付対象としたのか、その点についてまずお尋ねをいたします。
  12. 小山正時

    小山説明員 ただいま横路先生から御質問のありましたことにつきましてお答えを申し上げます。結論をまず申し上げますと、私の方といたしましては、業務方法書の第二項の貸付条件備考の(4)のロに適合するという認定のもとに貸し付けたのであります。その理由を申し上げますと、御承知のように、私の方は手足を持ちませんので、いわゆる受託金融機関窓口をやっておりますが、その受託金融機関審査の際に、関係知事意見書をつけていただくことになっております。しこうしてこの北海道バター融資申し込みのときは、九一%ということを書いた知事意見書をつけてきております。それによりまして第一回の貸付を、二十八年の十二月四日に八日付で三千八百万円の貸付をいたしております。自後数回にわたりまして貸付をいたしましたが、その後株式構成は、いわゆる農業関係所有株が漸次ふえておるような状況になっておるのであります。最近の株式構成は、農業関係は約九二%近いというふうになっております。  なおこの株式構成につきまして若干の疑義があるということを、その後に私ども——公式の話ではありませんが、伺いましたので、重ねて道庁の方に照会をいたしましたところ、本年の四月十二日付で向うから、その点についての疑義はないという回答をいただいておるのであります。  以上はなはだ簡単でありますが、お答え申し上げます。
  13. 横路節雄

    横路委員 あなたの方から出されました資料は、大体今あなたが答弁されたようにはなっておるわけです。そこで、私があなたにお尋ねをいたしたいのは、北海道信用組合連合会——これは御承知のように、農林中金窓口になっておるのですが、これが五十三万一千九百二十株持っており、二百四十万株の中の大きな割合を占めて、これを入れて九二・〇九%になっておるというのですが、この北信連は明らかに農林中金窓口です、金融機関です。これが果して、他の一般単位農業協同組合と同じ範疇に入れて、その持ち株をもって農業協同組合が所有しているものというように言えるかどうか。この点私は非常に疑義があると思うわけです。この点についてのあなたの見解をまずお尋ねしたいと思う。
  14. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げます。横路先生おっしゃいました疑義は、ある意味においてはごもっともだと思うのでありますが、私どもの方といたしましては、あの業務方法書解釈といたしまして、農業協同組合または農業協同組合連合会と書いてありまして、別に事業種類を書いてありませんので、当然あのいわゆる農業協同組合連合会の中に入るものと解釈をしておるのであります。それは解釈論になりますが、一方、いわばどういうふうに規定するかという立法論とでもいうか、意見の点になりますと、またいろいろの考え方があると存じますけれども、私ども解釈論としては、現在そのようにちょっとの疑いもなく解釈をしておるのであります。
  15. 横路節雄

    横路委員 今の問題については、非常に疑義があると思うのです。実際に北信連は、北海道における農村金融としては比較的独占的な金融機関です。末端の者がこの窓口を通して非常にいじめつけられている。一方においては恩恵があるかもしれませんが、これはあとでいろいろ指摘しますけれども、従って私は、この二百四十万株のうちの五十四万株ですから、それが非常な比重を占めておるにかかわらず、これを全部一般単位農業協同組合と同じ扱いをして、そうしてそれをひっくるめて、九二%になっているという点については、疑義がございますが、しかしこの点について、きょうはとりわけあなたと法律論争をやろうというのが私の目的ではないのであります。そこで今一応それを是認するとして、この北信連北海道バター所有株なんですが、これは北信連の本年度の総会における第七回の業務報告書によりますと、北信連が持っている北海道バター持ち株は三十二万七千六百株です。そこでそういうことを北信連はその総会で発表し、業務報告書を出しているわけです。それを計算してみると、これは八四%にしかならないわけです。そうするとあなたの方で、この貸付の第(4)項のロの規定に従って、これが九〇%だったという考えのもとに、二十八年から貸付をしていたことは、私は明らかに違法措置だと思う。これは一体どういうことになるのですか。
  16. 小山正時

    小山説明員 ただいまの横路先生お話し、実は私も、ごく最近になりましてそのことをある新聞によりまして拝見したのでありますが、私の方としましては、どうして北信連がそのような取り扱いをしたかということについての詳しい事情につきましては、調査をしておりませんので、どうしてそういうふうになったかということの詳しい事情については申し上げかねますが、とにかく先ほど申し上げましたように、知事意見書に、公式の文書として九一%、あるいはまた九〇%ということが最初に書いてきておる、それを受託金融機関が確認をいたしまして、私の方に取り次いでおるということと、それからさらに私の方としましては、公式の文書で照合をいたしましたものにつきまして——そのときは九二%と書いてあって、北信連所有株は、ここにあります通り五十三万云々ということを書いてきておるのでありますが、そのように、とにかく地方公共団体の長、あるいはその管轄下にあるところの公務員が公けの資格において報告するものであれば、私どもとしては、それを全面的にまず信用せざるを得ない。それに疑いを持つというよりなことは、普通の場合においては私ども考えられないのです。従いまして、その北信連持ち株の内容がどうあるかということについて、私詳しいことを存じませんから、ここでその点についての確定的なことは申し上げられませんけれども、私どもの取扱いといたしましては、過去においても、また現在においても、疑問を持っておらないのであります。ただできれば、その事情をこの際いずれの機会にか詳しくお伺いしてみたいと思っておるのであります。
  17. 横路節雄

    横路委員 今あなたの説明を聞いていると、農林中央金庫の方からも言ってきた、それから北海道庁の方からも言ってきた、だから別に不思議に思わないでやったので、あなたの方では別に責任のないような、どうも調べる法のないようなお話しですが、ここにあるのは、北信連の第七年度における昭和二十九年四月一日から三十年三月三十一日までの業務報告書のうちの第八項の外部出資のうちに、系統機関外出資金として北海道バター株式会社に三十二万七千六百株、こういう報告になっておる。ところがあなたの方で出したものによると、五十三万一千九百二十株で、その差は二十万四千百二十株。この二十万四千三百二十株をはずしてしまうと、あなたの方で九二%だと言っても、八四%にしかならない。八四%にしかならないものを、あなたの方では全然調べないで、なるほどそういえばそういうこともあったようだという程度で——これが農業協同組合であれば文句はないですよ。しかし少なくとも株式会社なんですから、そういう意味で私はこの点を指摘しておるのですが、これはどうなのですか。あなたは正式には、こういうものは見ていないのですか。それから今回北信連総会でそういうふうに発表になった事実は、聞いていないのですか、その点はどうですか。
  18. 小山正時

    小山説明員 正式には全然聞いておりません。私が伺いましたのは、御承知と思いますが、農業新聞という新聞がありまして、あれに今先生のおっしゃったと同じ数字がどうかわかりませんが、とにかく二十何万かの誤差があるということを書いてあるのを拝見いたしました。それもごく二、三日前のことでありまして、その後実は北信連なり北海道バターの人を呼ぶか、あるいは中金を通じてか調べなければいかぬと思いますが、まだ調べておりません。
  19. 横路節雄

    横路委員 先ほど一番最初申し上げましたように、第三十六条の第三号に、明らかに「第十八条に規定する業務以外の業務を行ったとき。」にはという罰則規定がある。少くともあなたの方は、政府関係機関です。だから、この点は疎漏じゃないかと思うのです。ただ農林中金の方から申請書があった、あるいは道庁の方でそれでいいと言うから金を貸したというのですが、金を貸す場合は、全部そういうことになっておるわけですか。
  20. 小山正時

    小山説明員 私の方の業務のやり方といたしまして、御承知のように手足がございませんので、受託金融機関を通じてやっておるわけであります。従いまして、事前調査をするということは、全然やらぬわけではありませんが、ほとんどやっておりません。全部受託金融機関なり県の方にお願いを申し上げまして、いろいろ疑問のある点は、県なり金融機関に正式なものは書面お尋ねをいたしまして、その回答によって処理するということをやっております。ただ貸し付けたあと監査というものにつきましては、私の方か直接の監査を、これは国会の御要請の何かによって設けたと思っておりますが、それによってやっております。しかし貸付以前のものは、今申し上げましたようなことで通常をやっておるわけであります。
  21. 横路節雄

    横路委員 今のお話し監査ですが、もちろん金を貸してしまったならば、あなたの方で監査をする、事前にはやらないが、金を貸したら監査をする。そうするとあなたの方では、もうすでに二十七年十月二十五日から貸付をしているのですから、何べん監査をおやりになったでしょう。その監査の中に、いわゆる北海道バター所有株は五十三万幾らだ、しかし実際には、あの北信連が持っておるものがあるために九二%になっておるのですが、そこであなたの方では、別にその点で、北信連の方はどうなっておるかということを調べてみなかったわけですか。
  22. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げます。今までのところ、その点につきましては、ほんとうを申し上げますと実は疑問を持っておらなかったものでありますから、全然調べておりません。最近になりまして、ちょっといろいろ耳にするので、やはり調べなければいかぬと私としては考えておる次第であります。
  23. 横路節雄

    横路委員 私は、今の点は遺憾にたえないと思うのです。この点は「協同組合又はその連合会がその株式の九割以上を所有する会社であって、その貸付対象事業に掲げる事業を行うもの」については特段にやる。従って、本来ならば農業協同組合及び連合会に貸し付けるものは特別な措置なんですから、その特別な措置について、あなたの方で全然お調べになっていないということは非常に遺憾だと思うのです。これは農林中金の方からあなたの方に、この長期資金貸付の場合には、何か申請書をつけてきましょうか、その点はどうなっておりますか。
  24. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げますが、借り入れ申込書及びその付属の書類に一定の形式がございます。それは借り入れ申込者委託金融機関農林中金の場合には農林中金支所に、実際の場合には、信連を経由して中金に出すと聞いておりますが、とにかく建前は農林中金支所に出しまして、そしてそこで今の申請書審査いたしまして、本所に送って、それから農林中金本所審査して、私の方に書面が回ってくるというようになっておるのであります。
  25. 横路節雄

    横路委員 それでは農林中金の方にお伺いいたしますが、今あなたもお聞きの通り北海道バター貸付について非常に疑義があるわけです。そこで、これは北海道バター株主一覧表によりましても、五十三万幾らになっておる。ところがことしの北信連総会では、明らかに三十二万幾らとなっておる。その差は、二十万開いておるわけです。この点について、あなたの方ではおそらく調査をなさって、そうして窓口ですからおやりになったと思うのですが、その点、あなたの方の扱いはどうなっておりますか。
  26. 江澤省三

    江澤参考人 今のお話しにつきまして、私どもの方も若干調査はいたしております。お話しによりますと、北海道バター株主名簿では、北信連所有珠は五十三万一千、それからこれに大して北信連のバランス・シートによりますところの持ち株は三十二万七千株、これは合わぬじゃないかというお話しかと思いますが、信用機関といたしましては、場合によりまして簿外資産を持つということもあり得るわけであります。そこでこの関係のものを打ちあけて申し上げますると、北海道バターの職員の持っておりました分を北信連で肩がわりしたというような関係があるわけであります。これは表に出ておりませんが、そういう関係で、これは三十一年までに決済するような約束になっておりますので、北信連といたしましては、おそらくその分については、まだ帳簿に上げない簿外資産として株を計上しておる、こういうことが不審に思われました原因であろう、こういうふうに存ずる次第であります。現実に五十三万一千株を北信連が持っているということは間違いのないことでありまして、これは先ほど小山理事からお話しがございましたように、北海道の主事が公式の文書をもって確かめ、また私どもの方も、北海道バター正式帳簿について確かめて確信を持っている次第であります。御了承願います。
  27. 横路節雄

    横路委員 委員長一つ大蔵省関係にも出てきてもらいたいと思うのです。  今のお話しは、北信連では三十二万幾らだけれども、実際には五十三万幾らを持っているということですが、持っているのであれば、なぜことしの報告書にそれをきちっと載せないのか。今度の総会におけるこの点については、北海道農民諸君も非常に疑義を持っている。なぜ疑義があるかというと、北海道バターの社長は、同時に北信連の副会長なんだ。だからそこにからくりがあるのではないかと思うのは当然なんです。同時に北信連の会長は、雪印乳業の重役です。これは、私はあとであなたの力から、今公取で問題になった点を聞きますが、こういうことは非常に疑義を招く原因だと思う。北海道バターの社長が北信連の副会長だ。そして北海道バターの方の株主名簿には五十三万とあげ、北信連の方は三十二万とあげている。しかもその北海道バターの社長がかわって北信連の副会長になっていって、今度はその点を追及されるや、北信連の副会長という立場で答弁をしている。こういうことは私は非常におかしいと思うのです。  そこで今あなたが言われている点は、その総会においては、こういうことを言っているわけです。北海道バターの株は、公社当時より協同組合の所有になるものと従業員のものとがあったが、従業員の所有の株については、逐次協同組合のものに切りかえつつあるが、その過程において、一時それを信連の名義にしているのだ、こういうのであります。しかし信連の名義なら、信連の名義になったものをなぜ一体信連の所有にしないのです。北海道バターから二十万株に対して配当が信連にありましょう。北海道バター株式五十三万株を持っておりますから、株主総会で配当金がきまれば、北信連に五十三万株に対して配当いたしましょう。そのときに北信連では、三十二万株しか載せていないとすれば、その差額の二十万の配当はどうするのか、その点はどうなるのですか。
  28. 江澤省三

    江澤参考人 お答え申し上げたいと思います。その点につきましては、なお私どもの方でもよく調査いたしまして、お答え申し上げたいと思います。北海道バターにつきましては、現在は無配でございます。
  29. 横路節雄

    横路委員 今、農林中金理事長から、御趣旨の点については検討してお答えしたいと言うのですから、きょうは他に重要法案もあるのですから、後日、一つしていただきたいと思います。  さらに私は、農林漁業金融公庫理事の方にお尋ねしますが、小山さん、私はこの貸付対象疑義があるのです。なぜならば、この単位農協が持っている株ということ自体が非常に疑義があります。これはあとであなたに資料としてお見せしてもいいのですが、単位農協が持っている北海道バターの株がこうなっております。それを読みますから、農林中金の方も聞いていてください、訓子府町の農業組合と、北海道バター株式会社と、それから訓子府酪農振興会の代表者の三者がこういう覚書を交換しておる。    覚 書  訓子府町農業協同組合(以下甲と云う)が訓子府酪農振興会代表株主富山明一(以下乙と云う)の所有する北海道バタ一株式会者株式名義人となることについて北海道バター株式会社(以下丙と云う)の株式構成整備上の理由に依るものにして各当事者は左記条項を確約し後日のため覚書となす こうなっているんですよ。いいですか。訓子府町の農業協同組合は株を持っていないのです。そうして訓子府酪農振興会の代表者である個人の富山明一というのが五万四百株を持っておる。それを一応形式的に訓子府農業協同組合の所有にしてやっている。その点が覚書でこうなっている。「乙は甲及び丙に対しその所有に係る北海道バター株式会社株式を名義のみ甲のものとすることを認める。その株式は五万四百株とする。」「甲は乙及び丙に対し前記株式につき甲の名義を使用することを認める。但しあらゆる負担並びに損害の責を負わない。」「乙は右株券を所持保有し前記株式に関する実質上の株主権者であってこれに関する一切の権利並びに義務を有する。」こういうことになっておる。これが北海道バターにおける訓子府農業協同組合——この覚書は五万四百株、これはいつであるかというと、昭和二十八年七月二十八日に取りかわしたものだ。これを単位農業協同組合の株であるとして、これを全部積み上げて九二%になったから、これで農林漁業金融公庫長期資金対象になるといって貸すというのは、一体どういう意味です。これは、あなたはそういうことを御存じだったのですか、公庫の方ではどうなんですか。
  30. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げます。私今のお話しも、その貸付当時は全然そういうことを存じておりませんでした。その後実は公取委員会で、いわゆる独占禁止法違反事件の問題になってから、そういうことがあるということをちょっと——これも公式な話ではありません。そういうことは次から次に伝わって私も聞いたことがあります。それから今の覚書という書いたものを何しましたのも、実はきょうが初めてでございまして、とにかく一番最初のときはそのことを存じておりませんでした。
  31. 横路節雄

    横路委員 農林中金の副理事長お尋ねしますが、この問題は、乳牛の導入資金にからんで、昨年の五月二十六日に参議院の農林委員会で問題になり、そこで農林省自体においても、公取自体においても、これを調査したわけです。この調査の過程において、この乳牛の導入資金とからんで、調査しているうちに、実は北海道バターの単位農協の株式というものははなはだおかしい、こういう覚書によってこれをやっているんだ、こういうことで、ほんとうにこの北海道バター株式会社は、あなたたちの言うように、一体農業協同組合連合会と同じ性格とみなしてやるわけにはいかないのではないかということが、現にこの訓子府町の農業協同組合の諸君から問題が出て、これが明らかになった。そこでわれわれは、訓子府町の農業協同組合ばかりかと思ってちょっと調べてみると、それぞれの単位農協の業務報告書に出ている株の数と、それから北海道バター株主の名簿一覧表に出している株数との間には、こういう内容であろうと思うけれども、非常に株の差がある。そこで農林中金のあなたの方としては、これは覚書の写しなんですが、こういうことをもって積んでも、九割以上になれば、それは第(4)項の(ロ)の規定を適用するとお考えになるのか、それともこういうことは全然知らなかったというのか、その点をお尋ねしたい。
  32. 江澤省三

    江澤参考人 今のお話しは、私も初めてここでお伺いしたことで、全然知りませんでした。しかしおよそ株式会社の株というものは、どの株式を例にとってごらんになってもわかると思いますが、最近は非常に証券会社の所有がふえております。これは投資信託に基いて、出資したのは個人々々でありますが、名義は証券会社の名義で入っておる、こういう関係のもあります。それから以前は重役の責任株というのがありまして、これまた株を持てないという事情の重役もございまして、これは株の名義を借りて入るというようなこともございました。株式の名義につきましては、種々雑多な関係がございまして、私どもとしても、なかなか一つ一つ調査することが困難な事情もございます。正式にはっきり、北海道バター株式会社株主はこういう構成である、なおそれについて県知事、あるいは道長官からはっきりした証明があるというような場合には、これによって仕事を処理するという以外には手がないのではないか、こんなふうに存じております。
  33. 横路節雄

    横路委員 あなたのお答えの中で、株式会社についてはそれでいいでしょう。しかし、これは名前は株式会社だけれども、実質的には農業協同組合連会合という性格をもって貸しているんですよ。それを一般株式会社と同じに、株の名義については、重役が持つ場合には困るから、それは他人の名義にした、そういうことがあるんだという考え方は、農林漁業金融公庫長期資金を貸す場合には、小山さん、どうなんです。これは、実質的には農業協同組合並びに農業協同組合連合会の性格でなければならないでしょう。ただ一般株式会社のように、名義だけ書きかえておけばいいんだということでこれは成り立つのですか。小山さん、その点はどうなんですか。
  34. 小山正時

    小山説明員 ただいまの御質問に直接答えることになるかどうかしりませんが、多少意見にわたって恐縮でありますけれども、実は今あなたがおっしゃいましたようなことも、私先ほど申し上げたように、ことしの何月かに初めて耳にしたときにいろいろ考えてみたのですが、根本は、そういうことがどうして起るかというのは、つまり全体と部分の関係から起ると思うのです。それは、一応単位農協は一町村一つでなければいかぬというような一方に方針があります。これも絶対のものではありませんけれども。従って、ある村の農協の中で酪農家の占める比重が非常に小さい場合には、酪農家としては、自分たちだけでいわば特殊農協を作りたいと思うわけです。ところがそれができないというような関係で、やむを得ず今のように、何というか、形は一応——ほんとうのことを言うと、酪農の特殊農協を作って、それの株主になりたいわけです。ところが一町村に二つも三つも農協を作るのはおもしろくないということで——今は簡単に認可されるようなことを聞いておりますが、そこで、いわばその全体の中に溶け込んでおるけれども、実質はやはり部分として生きていきたいという、全体と部分との間のかね合いの問題がそこに現われてくるのではないかと思います。従いまして、たとえば酪農農協のごとく、酪農家がほとんど——あすこは八割と聞いておりますが、八割ぐらいのものが酪農家であるという場合には、今のような問題は起らぬわけです。ところがごく少数のものが酪農家である場合には、今のような問題は——株を持つ持たぬは別として、その特殊農協と一般農協との調整をどうやるかという問題は、これはひとり北海道だけでなく、ほかの地方でも同じような問題が起っておるわけであります。私どもとしては、それはほんとうのことを申しますと、これは公庫のものを離れて、一つの悩みというか、要するに全体と部分とをどう調整していくかという問題について、はっきりしたものがなければ、なかなか解決はむずかしいのではないだろうかと思うのであります。従いまして、私どもとしては、一応とにかく公式のものが——内部関係はいろいろあるにいたしましても、表面的な公式のものが、農協が株主であるということにいたしますれば、そういう取扱いをして、できるだけ便宜をはかっていく方が農民のためになるんじゃないだろうかという気持でやっておるわけであります。
  35. 横路節雄

    横路委員 私は、今あなたの答弁を聞いて、これは非常に意外だと思います。意外だと思うのは、あなたはそうすると、農業協同組合に名義だけ肩がわりする、その覚書は、実質的には個人の所有なんですけれども、名義だけ農業協同組合に肩がわりして、一切の株主としての権利は個人が持っておるその覚書であります。従って農業協同組合は、自分の業務報告書その他には、その持株は載せていないわけです、自分のものでないから。しかし北海道バター株式会社だけは、表向きそうやって届けてある。そういうことを積み上げて九〇%以上あれば、あなたの方ではこの対象になるというふうにお考えになっているとしか私には思えない。そういうふうに解釈していいのですか。そうすると大問題ですけれども、どうなんです。
  36. 小山正時

    小山説明員 いやその点、私が申し上げたのは少し違うのでありまして、私実はよく見ておりませんから、何しませんが、私ども今まで聞いておるのでは、個人の名前になっておるかもしれませんが、たとえば一つの村に百人農民がおる、そのうち五人くらい酪農をやっておるとしますと、その五人で特殊農協を作りたいわけですが、作れないから、いわばひさしとしての町村農協を借りて、その名義にして、その五人の中のだれか特定の人を代表として、今あなたのおっしゃるような、その覚書の対象になっておる人、あなた先ほど富山某とかおっしゃいましたが、そういうふうにしておる。それは要するに個人でなくて、酪農家の申し合せ団体の代表者の資格を持っておる。それは実質において特殊農協的なものであるというように、私は今までよその地方でも、そういう問題に出っくわしたことがあると聞いておるわけであります。従って単なる個人でなくて、何人かの酪農家の申し合せ団体の代表者である個人というように私は理解しておるのであります。
  37. 横路節雄

    横路委員 いや、私はあなたに聞いておるのは、こういう事実があるが、事実なら、あなたの方の貸付対象になるのかならないのか聞いておる。こういうものを積み上げて九〇%以上になった場合でも、なおあなたの方は対象にするのか、これが事実であるか、そのことをあなたに聞いておるわけであります。
  38. 小山正時

    小山説明員 それは非常にむずかし問題ですが、私の方といたしましては、やはり事前にそういうことがはっきりしておれば、よく調査をいたしましてやらなければいかぬと思いますけれども、一応通常の業務処理といたしましては、やはり公式の文書回答とかいうものがありますれば、やはりそれを信用いたしまして、できるだけ農家の方に御便宜を与えたいと思っております。
  39. 横路節雄

    横路委員 私聞いておるのは、そのことを聞いておるのではない。これはあとであなた見ていただけばけっこうですが、あなた、こういうことがずっと他の単位農協でも積み上げられて、そして九〇%以上になったからといって、あなたの方の長期資金貸付対象になるのですか。それが事実であっても、あなたの方ではさらに今後ともするつもりですか、どうですかということを聞いておる。
  40. 小山正時

    小山説明員 ……。
  41. 横路節雄

    横路委員 わからなければこの次でもいいです。小山さん、何でしたらあなたの方でよく検討してもらって、次にお答えしていただいてもいいのです。  そこで、公取の委員長はどうなさいましたか。相当時間待っておるのですが……。
  42. 松原喜之次

    松原委員長 ただいま商工委員会に出ておるそうです。
  43. 横路節雄

    横路委員 実は委員長、次に乳牛の導入資金について、今公取で審判を開始しておる。これは農林中金との関係があるわけで、同じ今の二つの会社関係があるのですが、公取の委員長がおいでにならなければ、質問しても御答弁いただけませんので、間もなくおいでになるといいますから、その間私はちょっと質問を保留しておきます。
  44. 松原喜之次

    松原委員長 次に、井上良二君。国民金融公庫の副総裁が見えております。
  45. 井上良二

    ○井上委員 国民金融公庫の利率を下げるとかいうお話しですが、この年度間に、たとえば二十九年度に国民金融公庫の損益の結果はどうなっておりますか。政府にどのくらい納付金をすることになりますか。全然できませんか。二十九年度の損益勘定の結果を御説明いただきたい。
  46. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 二十九年度は、政府へ三億六千万円利益をお納めいたしました。  それから三十年度でございますが、八月一日から利息を下げますと、大体利息収入で五千万円くらい減る見当になります。それで三十年度の決算として、大体一億円政府へお納めする予定なのが五千万円くらいにそれはなるわけですが、多少従来低目に見ておりますので、大体一億円くらいいくかと思います。
  47. 井上良二

    ○井上委員 利率はどのくらい。
  48. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 利率は、従来普通資金は年九分九厘六毛が、今度九分六厘になりました。
  49. 井上良二

    ○井上委員 今度利率を約四厘方お下げになりましても、なおかつ年間に約一億円ほど国へ利益金を納付することができる、こういうお話しでございますが、この金庫は、別に利益をあげることを目的にして運営しておりません。しかも最近国民金融公庫を利用します人々が非常にふえた。これの調査等は非常におくれております。そしてまた現実に貸付も、申し込みの約三分の一くらいの比率になっていやしないかと思いますが、もう少し陣容を整備して、調査をもっと迅速に行う。貸せる、貸せないという返事を明確に行うようにするということが一番大事じゃないかと思うのですが、その点は一向改まっていないようですが、その点どうでございましょう。昨年も、この問題はこの委員会で総裁によく私から御注文を申し上げたのですが、つまりいたずらに人員をふやすということも、人件費その他非常にかさんで参りますので、もう少し事務能率を上げる方法を考えたらどうか。たとえば電車やバスに乗って調査に飛び歩くということをやめて、スクーターならスクーター、あるいは小型自動車なら小型自動車を買うというような、もう少し近代武器を利用して、もっと能率を上げるようにしたら、職員の過労も少くなりますし、それだけ能率も上る。それからあの帳簿整理、伝票整理を見てみましても、依然として昔の大幅帳的な積み上げ式のやり方しかやられていない。あれももっと改めたらどうですか。もっと少数の人間で能率の上る方法が最近盛んに改良されておりますので、新しいやり方にかえてみたらどうですか。
  50. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 初めに一億のお金を納めなければ、それだけ貸付資金の方に回るじゃないか、私どもその点については、全く少しでもよけいお金を回していただいて、お客様の方に調達できるよう、一文でも多い方がやりいいという気はいたしております。  それから事務能率が非常に悪いというお言葉、まことにおそれ入ります。十分研究いたしておりますが、なかなかうまい案が出ませんので、しかしお言葉の通り、これは今まで通りではいけませんので、努力いたします。
  51. 井上良二

    ○井上委員 去年私がこの委員会で、調査事務をもっと迅速にやるように申し込みまして、果して貸してもらえるか、もらえぬかということがはっきりいたしますまで、早いので三十日、おそいのになると四十五日から五十日もかかっているのです。そういうことでは、実際上さあといっても間に合わぬ。だから、借りたい人は、貸してもらえるかどうかということを早く知りたい。もの国民金融公庫で貸してもらえなければ、他の金融処置を講じなければなりませんが、その申し込みに応じてなかなか調査に来てもらえぬ、またその結果に手間取っているわけであります。調査能力をもう少し高める方法を何とか考えてもらったらどうかということを去年も申し上げたのですが、この一年間一体どれだけ調査能率が高まり、また実際上調査に要しました日数はどのくらい短縮されておりますか。依然として同じですか。それはどうですか。
  52. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 まことに申しわけございませんが、十分協力いたしておりますが、短縮できたのは大体五日くらいでございまして、申しわけございません。それで従来は、お金の手当ができるまで貸付をいたしませんでした。今度はお金がもう少し先になるかもしれないけれども、貸せるとか貸せないということは早く通知するようにいたしたいということを考えておりますけれども、まだ実は実現に至っておりません。申しわけございません。
  53. 井上良二

    ○井上委員 国民金融公庫が直接貸しをいたしておりまする部分と、委託貸しをやっている部分とがございますが、その委託貸しはどのくらいの金額に達していますか。
  54. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 今貸付金が全部で四百億ございまするが、大体委託貸しが三分の一でございます。貸付の口数は、金額ともに大体三分の一でございます。
  55. 井上良二

    ○井上委員 その三分の一の委託貸付の各委託代行店に対しまする手数料はどのくらいお払いになっているか。
  56. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 手数料は、貸付金の実収利息の半分ということになっております。従って九分九厘六毛で貸したものについてはその半分、そのほか厚生資金とか、六歩で貸しているのはその半分、それから普通貸付の九分九厘六毛のその半分の利息を手数料として払っております。
  57. 井上良二

    ○井上委員 農林金融公庫の資金を、中金に委託をして貸し付けておりますものの場合の手数料は、なんぼお出しになりますか。
  58. 小山正時

    小山説明員 金額によって、私の方は貸付残高の何%ということになっております。金額が大きくなるに従って率は下るようになっております。今一一覚えていませんが、平均いたしまして一分八厘くらいになっていると記憶しております。
  59. 井上良二

    ○井上委員 農林金融公庫から中金に代行をさせました手数料が一分九厘、ただいまの何はわかりませんが。
  60. 小山正時

    小山説明員 お答えいたします。平均して約一分八厘くらいになっております。ただし今申しましたように、実収利息のそれというのではなく、貸付の残高でありますから、そのように御了承願います。
  61. 井上良二

    ○井上委員 私は金融の専門家でありませんから、そういうことはよくわかりませんが、貸付の残高で実収の利息でない、これはどういうことですか。私はしろうとですからわかりません。
  62. 小山正時

    小山説明員 計算をちょっとしてみないと、比較はちょっとわかりませんが。
  63. 井上良二

    ○井上委員 実に驚き入った御答弁です。大体農林金融公庫から全部中金を通して委託貸しをやっているのです。その委託貸しの手数料をなんぼ出しているか、計算してみにゃわからぬということは、まことに驚き入ったことです。少くとも公庫のおえら方が、それでよく職がお勤まりになっていますな。それは専門家であるあなた方として、常識でおわかりになっておらなければならぬはずである。私は不確定の御答弁を基礎にすることは了解しかねます。ただいまのお話しを伺いますと、常識的には、委託手数料は平均的には一分八厘くらいだ、こういうお話しであります。そうすると、国民金融公庫の方は九分六厘かなんぼの利率のうちの約半分を委託手数料にお払いになっている。なんでそんな高率を払わなければならぬのですか、それを説明して下さい。
  64. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 今の国民金融公庫が代理所に払う手数料は、少し高過ぎるではないかという御質問でございますが、国民金融公庫貸付というものは、大体五万円、十万円、二十万円とかいって、全部お客さんが返してくれても、手間に追われてもうからない仕事であります。国民金融公庫は、存在すること自体もうからない仕事をやっているのでございますから、その仕事を代理所に頼むときには、手数料は心持よけいにしておかなければ、代理所の方で活動が非常にやりにくい。それで手数料は、非常に小口の貸付をする機関でございますから、ほか様よりもよけい払う、そういう建前にいたしております。
  65. 井上良二

    ○井上委員 そういうでたらめの答弁をしてはあかんよ。何でかというたら、直接貸しをやって、そしてまた委託貸しをやって、年間三億から五億の利益を上げてきたんです。もうかっているんですよ、損してはいない。採算の合わぬということは違う。だからそういう点から考えてみれば、もう少し委託手数料の利率を下げてもいいではないかという考え方も起ってくる。特に庶民大衆に対する機関ですから、その点はもう少し御検討願わなければならぬ。  それからいま一つここで問題が起ってくるのは、今あなたが説明されたように、約四厘方近く利率を下げる。そうなりますと、その下げた残りを半分に割るつもりですか、やはり今までの手数料は手数料として、公庫の方が金利を下げた分だけ損するという形になりますかどうですか。つまり今まで大体利率の半分を委託手数料として支払っていましたから、今度四厘下げたら、二厘方委託代理所の方でも損をする、手数料を負けてもらう、こういうことになりますか、それはどうなっているんですか。
  66. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 今の公庫がもうからないといっても、もうかっているじゃないかということで、まことにおそれ入りますが、実は大体二百億近い出資をいただいておいて、それで経営しておりますので、やっと利益が出る、こういうふうな計算になっております。その点をさっき申し上げませんものでしたから、ただ利益が出るということで、それは非常に間違っておりますので、訂正しておきます。  それから実は今のことですが、非常に困っております。今度貸付利息を下げる、九分九厘六毛から九分五厘六毛ということになりますと、どうしても代理店の手数料も下っていく、そうすると、今度は代理店に下げるということを言わなければならぬのですが、代理店もつらいだろうと思って、言いにくいので、今ちょっと様子を見ておるのですが、どうしてもお言葉通り下げなければならぬということになるかと思っております。
  67. 井上良二

    ○井上委員 国民金融公庫支所を各地方に増設する意思はありませんか、支所は増設せずに、委託でやった方がいいか、どっちが採算上いいのですか。
  68. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 支所はやはり少しずつふやしていった方がいいのじゃないかと考えております。お客さんの要望は、直接に借りたいという点が非常に強いものでございますから、急にたくさんふやすということはできませんが、ぼつぼつ必要なところへ置いていくということは望ましいと思っております。
  69. 井上良二

    ○井上委員 農林漁業金融公庫の方にちょっと伺いますが、農林中金に支払っております委託手数料の全額はどのくらいになっておりますか。
  70. 小山正時

    小山説明員 概算でありますが、私の方で年間全部で約十三億の委託手数料を払っております。そのうち約八割か農林中金の方に払っておるのでありますから、約十億であります。
  71. 井上良二

    ○井上委員 もし公庫が各都道府県に支所を置くとしたら、どのくらいの経費が要ると思いますか。
  72. 小山正時

    小山説明員 私の方は実はだるまさんでありまして、手足がないのであります。従いまして、支所は一カ所もないのであります。全部農林中金さんと県の信連さんと地方の普通の銀行さん、この三つの方々にお願いを申し上げております。
  73. 井上良二

    ○井上委員 私の聞いておりますのは、年間約十億の委託手数料を中金に払っている。この農林漁業金融公庫を私ども農林委員会で審議をいたしましたときに、直接貸しをやる場合に、どのくらいの人員と事務費が要るかということで、具体的に資料を農林当局から出させて検討したことがありました。それによりますと、全国都道府県に支所を一カ所ずつ持ちまして、そこで直接貸しをやることになりました場合は、大体七億余りで全部済む計算が出ている。ところが当時約九億ほどの委託手数料を中金に対して払う計算になっております。だから直接貸しを農林漁業金融公庫が何ゆえに考えないのか、そうしたらそれだけ委託手数料による経費が省けるじゃないか。省けるということは、それだけ借りる者に対する負担な軽くするということを意味します。だから、金利を下げることも君えられましょうし、いろいろ便宜を与える点も新しく考えられましょうから、何ゆえに各都道府県に支所を設けて直接貸しをお考えにならぬか、こういう質問をしておるわけであります。この必要はないかどうか。
  74. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げます。御承知のように、法律の上では、たしか主務大臣の認可を受ければ支所を設けることができるようになっておりますが、先ほど申し上げましたように、今は一つもない。今のところ、私どもの内部におきましては、支所を設けるというような考えは全然持っておりません。
  75. 井上良二

    ○井上委員 どういうわけで持っていないか。今私がお話しをした、支所を持って直接貸しをします場合は、非常に経費が高くつく、かえって利用者に重い負担をかけ、かつ不便を与える、それよりも中金にやらした方が、中金は系統機関としてありますから、その方が便利であるし、経費も安くつく、そういうことなら、私は中金を利用することに何ら反対をいたしません。ところが現実にわれわれの方で計算をいたしました基礎によりますと、年間に約三億から四億近くの手数料が省けることになるわけですね。そういうことをお考えにならずに、中金を通しておけばそれでよろしいというような気楽な、のんきな考え方を持っておられてはたまったものではない。そこであなたも御存じの通り貸付といいますか、金融を受ける側の手続は、大へんややこしい、ぎょうさんの書類を作って、それから中金さんの特別融資部の方の厳重な査定を受けて、それからまたあなたの方へその書類が回っていく、そのため非常に手間がかかる。ぐるぐる回っておるわけだ。だからそういう点で、あなたの方が面接貸しをやった方がもう少し手続も簡単にいくし、経費も少うて済んで、利用者には金利も安くいかないか。こういう親心で質問しておるわけです。そうすることが逆に高うつきますというんなら私も考えるけれど、私の調査では逆に安うつくがどうか、こういうことです。どうですか。
  76. 小山正時

    小山説明員 実は私先ほど申しましたように、私の方の委託は、中金さんばかりにやっておるわけではありませんで、二十九年も地方の県の信連にもやっておるわけであります。二十九年の例を申し上げますと、約四分の一くらいは信連扱いになっておりまして、中金が今のところ比較的パーセンテージが多いのは、二十八年まで中金オンリーにやったからそういうことになっておるわけです。今後は漸次県信連扱いが相対的にふえてくるということは、この二十九年の実績から見ても言い得るわけであります。  もう一つは、御承知と思いますけれども、先ほど平均一・八%の手数料を払っておると申しましたが、中身を分析しますと、純然たる手数料のほかに、一種の危険保険料も入っておるわけです。と申しますのは、二割の損失負担を受託金融機関がやることになっておりますことは御承知通りでありますが、そこでこの二割の損失負担の、いわば危険料も含んで一・八%になっておるということも御了承願いたいと思うのです。それから信連が漸次取扱いがふえるとかいうような点を考えて、かりに支所を設けるということになりますと、今の危険負担を直接私の方で全額負担しなければいかぬということと、それから信連なり中金さんにも相当影響を及ぼすことになると思うのであります。特に最近では、私どもの方に信連の方から、自分のところの扱いの間口をなるべく広げてくれという要望が非常に強い、そういう点をいろいろ考えますと、これはよく研究しなければいかぬのじゃないだろうかと思っております。
  77. 井上良二

    ○井上委員 あなたが農林金融公庫の責任者としてではなしに、中金のふところ工合を考えてやったり信連のふところ工合を考えてやって、両々相互いに助けていかねばならぬからと、こういうことをお考えの上の御答弁なら、私は何をか言わんやであります。あくまで利用者の利益を増えなければならぬので、中間的な経費はできるだけ少うするという建前を貫かなければならぬと思います。だから支所で直接貸しをやる方が経費が安うつきはせぬか。その方がかえって高うつくということなら、長い経験を持たれております中金さんや信連を利用することも当然だろうと思う。しかしもう公庫ができて数年にもなりますので、公庫にもりっぱな権威者がどんどん出てきておりますから、もう直接貸しをおやりになっても、そり不便を感じさせないのではないかと思って御質問しておるのであります。その点はもう一ぺん検討をお願いしたい。  いま一つ伺っておきたいのは、公庫の貸付の焦げつきはどういうことになっておりますか。ほとんど出ておりませんか。片一方を御信用なさって、中金さんや信連さんに委託貸付をやらしておりますから、おそらく取り立て不能という貸付はないであろうということを、今の御言葉から想像するんですが、焦げつきの方はどういう状態になっていますか。一つもありませんか。それを一つ御説明願いたい。
  78. 小山正時

    小山説明員 お答え申し上げます。焦げつきが全然ないということは申し上げかねますが、大体大蔵省なり農林省なりで、貸付残高の〇・七%くらいの焦げつきは認められておるわけであります。認められているというとおかしいですが、毎年決算のときに、そのぐらいはなにしておるわけです。現在のところは、ちょっと具体的数字は覚えませんけれども、認められておる範囲内であるというふうに御了承願いたいと思うのです。
  79. 井上良二

    ○井上委員 それ以上私も追及はいたしません。  国民金融公庫の方にもう一応お伺いいたしますが、さいぜん質問いたしました通り、非常に需要がふえておるのに、調査が一向進まないという弊害が残っておる。これは何とかもう少し調査をすみやかにやり得るような組織なり運営なりを御検討されて、利用者にそう不便をかけないようにすることについての確信がおありになりますか。  また銀行局長お見えでございますが、銀行局長も、その点に対しては注意を払っておるようでありますが、そういうことのための経費は相当認めてやる。積極的に人もふやし、あるいは機構も充実していくというように、もっとやれといったお考えですか、そうでもないのですか。そこを一つはっきりしておいて下さい。
  80. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 申し込んでからお客様に貸し出すまで長くかかるということは、まことに申しわけないと思っております。今のように、貸付の通知をあげるまでに三、四十日かかることはいかぬと思って、もう少し縮めるように努力いたしております。何とかして近い将来に、少しでも、できる範囲内において十日でも二十日でも縮めたいと思っております。  それから経費の点でございますが、それは十分いただければ大へん都合がいいのでございますが……。
  81. 河野通一

    河野(通)政府委員 国民金融公庫の経費につきましては、たびたび御要望をいただいておるのでありますが、私は、やはりこれは程度問題だろうと思うのであります。従いまして、どの程度がいいかということになりますれば、経費はできるだけ多い方が十分なことができるということになりますが、おのずから常識的な限度があると思う。その点から言いますと、必要な経費はもちろん惜しむべきではないと思いますが、まずはなはだしく経費が不足しておる、そのために事業が非常に阻害されておるというほどの不足ではないと私は思います。国民金融公庫の職員の方々には、非常にお忙しく働いていただいておりますことは私もよく承知しておりますが、できるだけ経費を切り詰めていただいて、その中で能率を上げていくということに努力をしてもらう、それでもなおかつ足りない。必要が十分満たされないということでありますれば、そのための経費を追加するということについては、私は惜しむべきではない、かように考えております。
  82. 井上良二

    ○井上委員 銀行局はちょっとおかしな答弁をしよるな。申し込んでから三十日も三十五日も借りられるか借りられぬかわからぬという状態は一番困ると思うのです。これは常識的なことじゃないです。こういうことをあなたは常識的だということで見のがすなら、こんな質問をする余地はない。そうでしょう。三十日、三十五日は当りまえだと思うのですか。特に国民金融公庫を利用する方々は、生活的にも非常に困った人が多いのです。だから、金が早く借りられるか借りられぬかということを非常に期待しておるわけです。その調査がおくれるために全く困るのです。だから、そこに経費的に、もう少し人員をふやすなり、あるいはその調査に必要ないろいろな機構を整えるなりしてやれば、もう少し短縮ができるということを、国民金融公庫の方からあなたの方に御相談があった場合、そこをあなたの方で、よしそのくらい短縮できるなら、大幅に認めてやろうということを言ってもらわんと、もう何ぼやったってあかんわ、あなたは、三十日や三十五日は常識的である、ほかの金融機関でもそれが当りまえであるというのなら、何をか言わんやであります。ところが民間の金融機関は、その日に貸すか貸さぬかをきめるのです。ほとんどが、大体において。(笑声)だから、あなたのようなのんきなことを言っておったら困ります。だから、そこをどうですか。もう少し具体的に国民金融公庫の方と御相談を願って、できるだけこの日時を短縮するように御協力を願いたい。
  83. 河野通一

    河野(通)政府委員 貸し出すまでに三十日あるいは一カ月もかかるということは、適当でないと思います。これはできるだけ御勉強願って、短縮するようにいたしたいと思います。人員その他の点につきましても、今年度から約百六、七十人の増員を考えております。これは予算上にちゃんと措置ができておりますが、この百六、七十人では少な過ぎるじゃないかという議論は、確かにあると思いますが、これはやはり程度問題と申しますか、私はびた一文経費をふやさないと言っているわけではないので、必要なものはふやす、決してその点は、ないがしろにしておるのではないということを申しておるのでありまして、今後といえどもこの点は十分考えて、必要な経費はむろん出します。
  84. 春日一幸

    春日委員 そこで石渡副総裁にお伺いをいたしたいと思うのであります。今回は、民自の予算修正によって政府出資二十億が予定されておったものが、十五億減ぜられて五億になった、この減少分は、別途資金運用部資金からの貸付によって、この資金源の操作が行われると伺っておるのでありますが、これによって来ますところのいろいろな影響について伺っておきたいと思うのであります。そこでお伺いいたしたいのは、今まで政府出資二十億でございますね。これに対して、公庫は配当を行なっておるのか行なっていないのか。それから、たとえば昭和二十九年度において、一体公庫は、金融業務を行うことによって利潤をどのくらい上げたか、この利潤の処分はどういう工合に行われておるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  85. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 二十九年度は百九十五億出しております。それで二十九年度で得た利益三億六千万円は、お納めいたしております。それから二十八年度は得た利益は四億六千万円お納めしておる。毎年利益金は、あげて政府へ納めるという建前になっております。出資した額について幾らということはございません。
  86. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、お伺いいたしたいことは、利益の配当を行わないが、利益金そのものは全部一般会計に回される、こういうことでございますが、この場合、資金運用部資金から借り入れる場合は六分五厘の利子を払わなければならぬ。この問題と関連をいたしまして、一体利子を払うものは払って、それから純益も納めて、それだけの経費を落すものは落していって、それでちっとも影響がない、こういうふうに考えていいのですか。   〔発言する者多し〕
  87. 松原喜之次

    松原委員長 お静かに願います。
  88. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 出資をしていただく場合は非常にやりいい。それから資金運用部から拝借する場合は非常にやりにくいということでございますということを申し上げたいと思すますが、二十九年度においては、元金として二十二億お返しいたしております。それから三十年度において、元金として三十九億お返ししなければならぬことになります。ですから、出資でいただく場合と資金運用部から拝借する場合とは、非常な違いになるわけです。私の力の立場といたしましては、事情の許す限り出資でいきたい、できるだけたくさんにいただきたい、これはどうしてもお願いいたしたいと思っておることなのであります。
  89. 春日一幸

    春日委員 結局一般会計からの出資であります場合は、これは公庫そのものの資金として長期にこれを活用することができるが、運用部からの借り入れによると、早晩これを償還していかなければならぬのであります。従って、そのつど資金計画を立てかえなければならぬ、ここに支障があるけれども、しかし経費、たとえば金利等の計算から参ります場合は、そういう金利を払ってコストが落されれば、残った分だけを国に納めればいいのだから、現状においては大して影響がないというふうに了解するわけでありますが、さてそこでお伺いをいたしたいのは、結局金融債の問題であります。先般河野銀行局長にちょっと伺ったことでありますが、新聞で、今度利子課税の免除等に伴いまして、一般市中銀行において相当預金が増加し、その資金が増加するであろう。しかし民間の金融機関の協力にも相当制約があるので、この際、別途資金委員会法等を設けられまして、そうして国民金融公庫資金源も、そういうような公庫自体が政府一般会計や資金運用部資金によらないで、いわゆる限定されたものを対象としないで、市中資金によってその資金源を確保して、そうして資金の需要を満たすような方向へ持っていってはどうかというような論議が大へん行われまして、世論もそういうような方向を非常に歓迎しておったと思うのでありますが、公庫自体において、こういう面について検討されたことがありましたかどうか、あったならば、公庫自体が検討されたところをこの際一つ御発表願いたいと思います。
  90. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 私どもの方は、別に検討したということはございませんが、普通銀行に金融債を引き受けてもらうとすれば、金利が相当高いものになる。普通銀行の預金の資金コストが七分三厘とすれば、金融債は相当高いものになる、それならば、資金運用部から、六分五厘で回していただく方がはるかにありがたい。それはただで、無利息の出資をしていただくことが望ましいが、それができなければ、せめて六分五厘の資金運用部の金を拝借したい、それができないと、非常に困ったことになると思っておるわけでございます。高い金融債を無理に出しても無理がございますし、高いものを出したのではお客様の方に出す金が高くなりますので、その点非常に困ると思います。
  91. 春日一幸

    春日委員 公庫の責任を負われる方々の努力の目標というものは、金利を安くしなければならぬということも、当然重要な問題でありますけれども資金需要をいかにして満たしていくかということも、私はより大きな目標でなければならぬと思うのであります。そこでお伺いををいたしたいことは、現在公庫が需要を満たしておりますところの融資額、申し込みに対する応諾のパーセンテージはどのくらいのものでありましょうか。これをちょっとお伺いいたしたい。  それからもう一つ、関連事項といたしまして、公庫の貸し倒れの問題について伺いたい。公庫は零細金融をいたしておりますので、担保を取っていないと思う。従って、こういうような庶民金融には貸し倒れが相当あるのではないかと思われますが、貸し倒れ、回収不能というものが総貸し出し金額の中に占めておりますパーセンテージ、この二つのパーセンテージについて御発表を願いたい。
  92. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 今の延滞の方を申し上げますが、三十億の更生資金は、御承知のような状態で貸し出しいたしたものでございますから、非常に成績が悪うございます。正確にどのくらい貸し倒れになるかという、ぎりぎり決着のところをまだ出してみませんが、かなりよろしくない。かといって、むやみに差し押え存するわけにいかず、困っております。それからそのほかの普通資金の方の貸し付けは、成績はまず良好の部でございまして、大体延滞が三%、最終期限経過後、あるいは最終期限を経過しないでも、中途期限から六カ月たっても払い込まれないという延滞が大体三%という程度でございます。その中で貸し倒れがどのくらいあるか、ほんとうに差し押えなければならないのはどのくらいだろうかというのは、ぎりぎりの線はまだ出してございません。差し押えもたまにはいたしますが、あまりぎりぎりの線は出しておりません。正確なことを申し上げられないで申しわけありません。  それから資金量をもっとふやすような方法を考えなければいけないのではないかということでございますが、まことに資金量が不足して非常に弱っております。現存借り入れ申し込みの中で貸せるものは、金額で三分の一、口数で半分であります。もっともっと資金がほしい、もっとふやさなければならぬということは考えておりますが、なかなか名案がございません。
  93. 春日一幸

    春日委員 ただいま伺いますと、更生資金は社会政策的に貸し出しておるものでありますし、しかも金額もきわめて零細なものでありまして、これは金融ベースというよりも、社会保障的救済金融というようなものでありますから、これは問題にはならないと思います。一般の中小企業庶民金融というものの率は、伺いますと、延滞のものを含めてトータルが三%ということでありまして、貸し倒れのものはおそらくこれをぐっと下回るのではないかと私は思います。一般商業金融の貸し倒れは今はどうなっておるか知りませんが、以前の状態は、二%前後だといわれておったと思うのであります。そうすれば、これはきわめて健全な償還率が示されておると思うのであります。すなわち、貸し倒れについての心配はほとんどないといってもよいくらいの率がここに示されている。これは、長年公庫の実績によるところの証明がこれであります。私は思いますのに、ただいまの御答弁によりますと、資金の応諾率というものは件数にして半分でしかない、金額にしてなおかつそれが三分の一でしかない。こういうことでありますれば、いよいよこの資金源をふやすことのための行財政のあらゆる努力を試みられなければならないという結論が、ここから自然的に出てくると思う。従いまして、本委員会においても、政府においても御考慮を願わなければならぬことは、貸し倒れはないのだ、そうして資金需要は大きいのだということであるが、一方政府一般会計あるいは資金運用部資金においで、資金の総ワクから国民金融公庫資金源を増大することが困難であるならば、方法は他に幾らでもあると私は思う。すなわち、今回の税制改革によって、預金利子の免税によって市中資金がふえてくるならば、金融債などを発行して、大体において必要な資金を最小限度に調達していくというような行政措置を講ずることは必要であり、しかもそのことから何らの弊害ももたらしてはこないのではないかと思うわけであります。そうすることによって資金コストが高くつくという説はありますけれども、しかしわずかに高くつくということだけが問題ではなくて、むしろほしい人、すなわち、市中の金融機関が相手にしないところの零細業者や庶民大衆、それに対して金をいかに供給するかということにより多くウエートを置いてこの問題を判断していかなければならぬと思う。いろいろ経理上コストが高くつくという問題はありますが、今伺いますれば、一年間に三億、五億というような利潤の納付が行われているようでありますが、国民金融公庫は、申すに及ばずこれは営利機関ではありません、営利事業ではありません。そういうような機関から三億、五億というような金を一般会計へ出さなければならないという理由は、ごうまつも発見し得ないのであります。従いまして、三億、五億の一般会計繰り入れをやめるという形になるならば、これによって、資金コストにおける行政的な操作というものは自在にできると思う。すなわち、一般納税者の負担においてどうこうするということではなく、公庫自体の営業を通じて、高い金利と安い金利との操作によって、なおかつ一定の安い金利水準によって、資金源をさらに多く確保する道がわいてくると私は思うのであります。  私のこの意見等につきましても、これはすでに新聞紙に報道されて、そういうような可能性についていろいろ論議されたものでありまするから、藤枝政務次官に申し上げておきますが、どうか、一つ大蔵省部内においてこの問題をさらに取り上げていただいて、現実に件数において半分しかない、金額において三分の一しかないと、こういうような段階において、もう少し努力を尽して、庶民大衆、零細業者の資金需要を満たすという方法を発見されることのために進んでいただきたい。また公庫自体も申すに及ばず、政府と協力して、適切な道を発見されんことを要望いたしまして私の質問を終ります。
  94. 松原喜之次

    松原委員長 関連質問の申し出があります。これを許します。石野久男君。
  95. 石野久男

    ○石野委員 副総裁にお尋ねしますが、ことしの資金の需要について、大体新規にどのくらいの資金があったらいいというふうにお考えになりますか。
  96. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 大体三十年度の借り入れ申し込みは、昨年度に比べまして二割くらいふえるであろう、大体千二百六十億申し込みがあるであろう、そうすると、こちらが貸せる金額は、普通資金が三百九十六億、そのほか入れて四百六十八億、大体三分の一しか貸せないというふうな見当でございます。
  97. 石野久男

    ○石野委員 三分の一くらいしか貸せないということになりますと、昨年度の貸付率は大体三六%くらいだという資料をわれわれは手にしているわけです。三分の一ということになりますと、昨年度よりももっと悪くなっていくのだが、それを、どういうふうにして需要にこたえていこうと考えておりますか。
  98. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 非常にこまかくいいますと、昨年度よりも悪くなるということはないと思います。大体昨年度くらい、そうしまして三分の一しか貸せない、これはだいぶ前からそうなんでございます。三分の一しか貸せないので非常に困っておるわけであります。
  99. 石野久男

    ○石野委員 そうすると、とにかく昨年度より貸付の率は下っていくということは、はっきりわかるわけなんで、そこで、これは当然資金がないということになるわけですね。
  100. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 そうです。
  101. 石野久男

    ○石野委員 それでは大蔵省の銀行局長に一つお尋ねしますが、こういう実情のもとで、今非常に需要が重なっている庶民金融というものに対して、どういうふうに対策を立てていくお考えでおりますか、伺いたいと思います。
  102. 河野通一

    河野(通)政府委員 私は国民金融公庫資金として現存予定されておりますもので、十分だとは実は考えておりませんので、財政資金の状況が許すならば、これをもう少し増額することが適当であろうとは考えておりますが、御承知のような財政の都合によりまして、この程度より資金の融通ができなかった、こういうことになっております。ただ今お話しの点の庶民金融と申しますか、あるいは中小企業金融と申しますか、そういった点につきましては、単に国民金融公庫だけでなしに、あらゆる種類の中小企業金融機関を動員して、それぞれの分野に従って全能力を上げていく。これは政府機関ももちろんでありますけれども、民間の金融機関も、それ相応の資金がふえていくのでありますから、その資金を十分に活用していく。これによって全体としての政府機関、民間機関を通じて、中小の金融のための資金量を充実する。こういう対策を今後考えていきたいと思っておるのでございます。しかし、それで十分であるということを私は申しておるのではございません。現在の状況では、この程度でやむを得ないのではないかというふうに考える次第であります。
  103. 石野久男

    ○石野委員 銀行局長大蔵政務次官お尋ねいたします。とにかく資金需要が非常に大きくなっていくことは、もう現実にお認めになっておる。ところが実際には資金面で足りないのだ。それを政府機関並びに民間機関を通じてそれにこたえるようにしたいという御答弁でした。民主党内閣のできる前の選挙では、中小企業に対する施策が非常に大きく打ち出されたが、そのことが実質的にはここに出ていないわけです。これは民間あるいは政府機関を通じて、特に零細金融に対してこたえる方法として、ただ抽象的にこたえるというのでは困るので、利子の問題をどうするか、あるいは貸付の内容について、いろいろ具体的な便宜をどういうふうにはかってやるかということについて、いま少し納得のいくような返事をしてもらいたい。これは特に大蔵次官にもお願いしたい。
  104. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 ただいま銀行局長からお答え申し上げましたような次第でございまして、私どももできるだけふやしたいということは考えております。ただ、すでに御承知と思いますが、本年の国民金融公庫貸付の総額は、昨年の四百五億程度をはるかに上回ります四百六十億くらいのものが貸し付けられる程度のことは手当をいたしたのでありまして、現在の財政状況からいたしまして、先ほども銀行局長からお答えいたしたような程度以上には、財政あるいは資金運用部の資金源等から考えてできなかったということであります。  また、これは申し上げるまでもなく、十分おわかりのことでありますが、国民金融公庫に対する希望が非常に多くなっております。しかしその中には、あるいは中小企業金融公庫なり、あるいはその他の民間の相互銀行、あるいは信用金庫等に申し込めば貸し付けられるであろうようなものも国民金融公庫に相当集中しておるという事実は、これはあると思うのでありまして、そういう点で、十分その分野を考えて参りますならば、いわゆる中小金融と申しますか、庶民金融というものを、万全とは申せませんけれども、相当要望にこたえられていくんじゃないか、またそのために、あるいは金利の引下げでありますとか、あるいは民間金融機関資金源の蓄積等についての今回の税制措置、その他もあわせて考えて参りますならば、ある程度御満足いただける程度になるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  105. 河野通一

    河野(通)政府委員 それでは、私からは金利の問題についてお答えいたします。金利の点については、御案内のように、各種の金融機関を通じて引き下げの方法について具体的な措置をとっております。政府金融機関につきましては、先ほども質問に対してお答えがあったはずでありますが、国民金融公庫につきましては、八月一日から現在の九分九厘六毛を九分六厘へ、中小公庫は一割を九分六厘へそれぞれ引き下げます。それから商工中金も近く具体的に、一部のものでありますけれども、相当のボリュームを占める金利について引き下けを行う。それから民間の機関といたしましては、相互銀行あるいは信用金庫等の機関の金利もできるだけ下げるように具体的に措置をとらせております。それから普通銀行におきましても、中小金融部門の金利については現に下って参っておりますし、今後もできるだけ引き下げの方向に努力するということを考えておる次第でございます。全体の金融正常化に応じて——自然の推移ではありますけれども、やはりそれに対して行政的な措置をして、自然にまかしておかないで、積極的に下げる方向へ今後持っていきたい、かように考えております。
  106. 石野久男

    ○石野委員 金利問題について積極的な努力をするということは、非常にけっこうなことと思います。ただ藤枝次官が言われました、中小企業金融公庫や信用金庫に行くべきものが国民金融公庫に集まるという問題は、確かにあると思います。しかし事実は、中小企業金融公庫とか信用金庫ではなかなかまかない切れないものがあるし、また希望通りにこたえてないものがあるからここへ集まっているわけであります。そういうことから見ますと、ことしもいわゆる需要に対する不足というものを補う大きな道は、容易に見つかりにくいと思うのです。そこで私は、ことしの産業界、あるいは経済界の見通しの面から、中小企業向けの金融逼塞の問題は、当然政府当路においても大きな問題になってくるだろうと思う。従って、これは国民金融公庫等に対する需要が大きくなればなるほど、これに対して運用部の資金でもよろしいし、あるいはまた政府の出資金でもよろしいが、もう少しふやしてやるということを、本年度内には考えなければならない状態になってくるんじゃないか、こういうように私は考えるのですけれども、そういうような見通しについては、政府はどういうふうに考えておられるか、その点をはっきり伺いたい。
  107. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 実は、これはもう御承知だと思いますが、四月、五月ごろの郵便貯金の伸びというものは、非常に悪いのでございます。そういう面からいきますと、逆な考え方と申すほどでもないのでありますが、今後資金運用部等からこういう中小企業金融機関に貸し付ける額をふやすということは、なかなかむずかしいと思います。しかし、御承知のように全力をあげて貯蓄の奨励、増強等をはかっておりますし、ことに本予算が成立いたした今後におきましての政府資金の散布等もありますので、郵貯の伸び等も相当期待できると思います。そういう点は十分にらみ合せまして、もしもわれわれが計画いたしました以上の郵貯等の伸びが考えられますときには、十分こうした面についても考えてみたいと考えておる次第でございます。
  108. 石野久男

    ○石野委員 私は関連質問をやっておるので、他の人の時間がだいぶさかれておりますから、まとめて三つの点だけお聞きしたい。今後おそらく資金需要が非常に増加して、計画以上の需要が出てくるだろうと見られるので、今次官から答弁のありましたように、郵貯等の伸びがありました場合には、国民金融公庫等に対する要望にこたえるという点をはっきり考えているというふうに私は聞いたのでありますが、それは誤まりであるかどうかという点を、一つここではっきり御答弁願いたい。  それから先ほど井上委員からお話しがありました、国民金融公庫に対する民間の一般需要者の要望にこたえる貸し出しまでの期間が非常に長いということについて、この解決の問題でありますが、これはやはり銀行局長、あるいは副総裁、みなそれぞれ十分検討していると思うのでございますけれども、各地方におけるところの実情を見ると、実際の事務をやろうにも人手も足りないし、また足もないというような実情がある。従ってこの経費をもう少しふやしてやらなければどうにもこうにも、にっちもさっちも動けないという実情があると思う。ある地方で、私はこういうことを知っている。一般の人が何とかして足を伸ばそうというので、スクーターを買うて寄付した。ところが公庫では、それに対する油を出すことができない、仕方がないから、寄付したスクーターがそのまま倉庫の中に何カ月も何カ月も使わずに置いてある。それを使うのには経費が足りないから動けない、こういうばかげたことがあるために、人の動きが伸びない。自転車で行ったり電車で行ったり、能率がちっとも上らない。こういうことは、やはり公庫も率直に大蔵省に意見を述べることが必要だと思う。大蔵省の方でも、こういう実情をよく見てやって、伸びるべく民間が協力しているものに対して、それの実績の上らないような形で経費を詰めているということは間違いだと思うのです。だから、こういう点は、政府に対する納付金の問題等の関連において、もっと真剣に考えてやってほしいと思う。そして納付金について銀行局長は、もう当然納付金をとらなければならぬという建前でおるのか、それともそういう問題があったら、話し合いで、納付金は相当程度能率を上げる方へ使わせるというような考え方をこれから後もはっきりしていくのかどうかということを、はっきりここで御答弁願いたいと思います。  もう一つは業務の内容でありますが、この内容については、たとえば恩給の貸付の問題とか、遺家族の貸付の問題とか、あるいは引揚者の問題とか、いろいろこまかい問題が、事が起きるごとに国民金融公庫にかぶさってくる傾向があるのです。こういう傾向は、私は国民金融公庫業務内容からしていいのかどうかについては、考えなくちゃならぬものがあると思うのです。私は、決してこれを取り扱うことを悪いとは言いませんが、そのときには、少くとも経費の点でも人員の点でも何か考えなければ、通常の国民金融公庫が目途としておった業務が渋滞することは当然なんです。そういう点を全然考えないで、ただ公庫の責任だけを追及するということは、われわれとしても考えなければならぬと思うが、特に監督官庁である大蔵省は、その点についてどういうふうに見ておるか、こういう業務内応の増加に対して、人事的な問題についても、あるいは経費の問題についても、これからどういうふうに考えていくかという点をお聞かせ願いたい。  私はまだいろいろと聞きたいことがあるけれども、時間がありませんからやめまして、この三つの点だけをはっきり御答弁願います。
  109. 河野通一

    河野(通)政府委員 第一点は納付金の問題でありますが、これは、私は民間の金融機関における利益と政府金融機関における利益と違うと思うのです。従って、たとえば一番いい例は、納付金を幾ら出しくったって、かりに政府から出資をする金額を減らして、政府からの借入金をふやしてしまえば、三億や五億はすぐ飛んでいってしまうのです。従いまして、私はかりに納付金というものをしないで使わせるということが意味がありとすれば、むしろ資金の源をそれだけふやしてやるということしかないと思う。ところがその資金の源をふやすということのためにどれだけ寄与するかといえば、かりにもう今後毎年新しい政府資金国民金融公庫へつぎ込まないということであれば、これは私は、どれだけの意味を持つかと思うのでありますが、やはり毎年相当程度の資金を新しくつぎ込む、つぎ込む場合に、その納付金というものを計算に入れてつぎ込むか、つぎ込まぬかということが問題になるだけでありまして、資金的に見ても、私は公庫へつぎ込むということが続く以上は、あまり問題にならぬのじゃないかというふうに考えております。  それから経費の点は、先ほど井上さんにもお答えいたしました通り、十分私も考えて参りたいと思います。今御指摘のありましたような実情も、私は耳にしないではございません。十分これからまじめに検討いたしまして、必要なことをいたしたい。この点も、今納付金の問題に対する私の考え方から当然出てくるのでありますが、経費が足りるか足りないかということは、ほかの観点から見ればいいので、納付金があるから、その納付金のうちを使うか使わぬかという問題でなくて、私は納付金のあるなしにかかわらず、必要な経費はつぎ込むという考え方でいかなければならぬのじゃないか、かように考えております。この経費につきましては、今後も大いに努力をいたしたいと考えます。
  110. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 充ほどもお答え申しましたように、郵貯その他の伸び等がありましたら、単に国民金融公庫だけではございませんけれども、十分考慮いたしたいと考えております。
  111. 松原喜之次

  112. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 質問の順序ですが、関連質問なら、少くとも先に申し込んである人の同意を得るようにしてもらわぬと困る。おとといから申し込んできょうは二番目になっているはずですが、六番目に回されて、時間ぎりぎりにやられるというのは非常に不愉快です。そういう点を、一つ今後十分気をつけて運営していただきたいと思います。  私は、ただいま上程されております資金運用部資金法の一部を改正する法律案に関連しまして、中小企業者あるいは勤労者向けの金融施策につきまして、数点につき質問をいたしたいと思います。  まず第一に、昨年日銀にある国庫余裕金の預託問題が、その法律上の可否とも関連いたしまして問題になりました。そして政府はその引き揚げを計画したのでありますけれども、この措置によって逼迫している中小企業金融資金源がいよいよ枯渇することを憂慮いたしまして、当委員会はこれが存置を強力に主張したのであります。その結果、現在なお商工中金と相互銀行、信用金庫に総計六十二億円の残高があるはずでございます。しかしこのことは、一面から見ますと一ころ五百億円前後にも上っておりましたこの預託が、なまじ名目的に六十二億を残したばかりに、これにかわるべきところの中小企業向けの新しい融資方策が一向に立てられていないという結果をもたらしておるのでありまして、まことに遺憾千万でございます。当時は自由党の政府でございましたが、民主党政府におきまして、一体それ以後この対策を果して考えられているかどうか、まずこれを藤枝政務次官からお伺いしたいのであります。  それと、法律上の可否の問題の結末は結局どうなっておるか、この点もあわせて後答弁をいただきたい。
  113. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 第一に法律的な疑義の問題でございますが、これは平岡委員十分御承知通り、不穏当という程度の問題でありまして、そういう点につきましては多少問題もありますが、現在預託いたしております六十数億について、中小金融機関資金量ともにらみ合せまして、その引き揚げを急速にやるというようなことは考えておりません。ただああいう問題もありますので、今後の新規の預託ということについてはなお研究しなければならぬじゃないか。それとあわせて、ただいまお話しのありましたように、たとえば、それをやらないとすれば別の方途を何か考えるかという点については、目下研究をいたしておるというところでございます。
  114. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 藤枝さんの答弁では、これから研究するということだそうですが、当時これの代案として、当委員会で主張された事柄がございます。それは日銀からの中小企業に対する別ワクの融資を調整拡大するということで、これが特に春日委員とか千葉委員より強力に主張された事実がございます。その内容は御記憶と思いますが、昭和二十四、五年ごろ興銀、勧銀、北拓が債券発行を停止された折に、この三金融機関に商工中金を含めまして、合計四十二億円が別ワク融資された。この四十二億円を二百億円視度に広げて、以上の四金融機関のうち商工中金だけを残して、新たに相互銀行、信用金庫を融資対象とするという提案です。そういう主張がなされたはずですが、この問題は停頓しておりまして、一向進渉しておりません。日銀が一向に応諾の気配を見せておらないわけであります。しかし一方政府としても、この方策は日銀の政策と運営の問題であるために、積極的に介入することもできないというありさまでありました、私の考えでは、この問題の進展は期待し得ないと結論せざるを得ないのでありますが、念のため、この点に対しまして、民主党政府に変りましたので、これはまた別な角度から期待し得るというような見通しがあるかどうか、これをお答えを願いたいと思うのです。
  115. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 ただいまお話しのありましたような御議論のありましたことは、私も承知いたしております、要するに結局中小金融機関資金源をふやすという問題だと思うのでありまして、かねてから申し上げておりますように、何と申しますか、正常の道は、やはり普通の金融の正常化と申しますか、預貯金等の増強と申しますか、そうした面で中小金融機関資金源の吸収に努力をしてもらう。また努力をするためのわれわれのいろいろな方策も考えるということが正常であろうと思います。その上に、日銀の別ワクをやるというようなことにつきましては、実は資金の非常に少かった当時において行われたことのありますことは御承知通りでありますが、今後新たにそういう問題をやるかということにつきましては、もう少し考えなければならぬじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  116. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 当時の大蔵省の方の答弁は、なるたけ諸公庫に対する出資増をもって、対中小企業資金源を解決するという御答弁があったはずであります。ところが政府は、違いますけれども、三十年におきまして、特に自由党と民主党の、修正化きっかけにしまして、むしろ一般会計からの出資を全面的に削ってしまった。こういう点に対しまして、政府は違っておりますけれども、大蔵当局自身がまるで逆な方途に出たというふうに考えるのですが、あなた方は、そのことにつきましてどんなふうに考えられておるか、御答弁をいただきたい。銀行局会長に伺います。
  117. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話しの点は、実は私ははっきり記憶がありませんので何ですが、政府機関出資をふやすということでなく、政府機関出資及び借入金を含めた資金をふやすことに努力したいというふうに私は申し上げたと記憶するのであります。もっともそれは、その中でも出資が多い方が資金コスト、その他の点から見て適当であることは申すまでもないことでありますが、要するに問題は、やはり資金量をふやすことが必要なのではないか。しかもその資金量の増加につきましては、今度の予算においても相当努力は払われて参っております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、これが十分とは私ども考えておりませんので、今後といえども財政状況の許します限りは、こういうものの充実をさらにはかって参りたいと私は考えておる次第であります。
  118. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今の河野さんの御答弁だと、相当努力しているように回答されているのでありますけれども政府の三十年度投融資計画を見ますと、農林漁業金融公庫、それから国民金融公庫、中小企業金融公庫、住宅金融公庫に対する一般会計からの政府出資は、今申し上げました自民両党の修正によりまして百五十五億円を減額されております。これを資金コストの高くつく資金運用部資金貸付に肩がわりされております。もつともこの貸付額自身は、六十億円を増しまして二百十五億円となっておりますが、しかし今のような出資自身が非常に減額されているということは事実でございます。しかもこのために、金融債の百五十億円の資金運用部資金による引受けは、四月、五月引受け済み分の二十八億九千万円を除きましては零にしてしまったのですね。すなわち零回答をあえてした。こういうありさまでありまして、まず預託方式がだめである。それから日銀の中小企業の別ワクの問題も進展しない。それから今の三十年度の中小企業関係金融政策自身を見ましても、むしろそこにしわ寄せを食つて、縮小されているような格好になっております。要するに八方ふさがりの状況が見られるのでありまして、私は中小企業向けの資金の枯渇は極点に達してしまったという結果が現われていると思うのです。  それで、これから本論になるのですけれども資金運用部資金法の改正が行われるにつきまして、私はこの資金運用部資金の性格をもう一回ここで反省していただきたい、こういうふうに考えます。  率直に焦点を二つの点に私はしぼります。それは、資金運用部資金法の改正に際しまして、第一は農林中金、商工中金、相互銀行、信用金庫、それに労働金庫も加えまして、こういう庶民金融機関に対しまして資金運用部資金を運用することができるように改めてもらいたい。第二に、具体的に提案されております通り資金運用審議会の委員のうち、学識経験者を二名ふやすそうですが、このうちに中小企業関係者、あるいは勤労者の関係者を加えていただきたいということを要望したいのです。私はこの必要を特に強調したいのは、今までの経緯を見ますと、中小企業に対する金融政策というものは、きわめて浮動的な、その場限りの彌縫こそくな手段をもってのみ考えられてきておりまして、日本の産業構造に大きなウエートを占めておる中小企業の危機を打開するためには、中小企業に対する恒久的な金融対策の樹立が時期的にぎりぎりのところにきておると思うのです。こういうときに、ちょうど資金運用部資金法の一部改正が行われますので、特に以上申し述べた二つの点を強調して御配慮いただきたいのでございます。それで政府に対して示唆申し上げたい点は、資金運用部資金の原資の性格からいたしまして、どうしても当を得た方策がこの際確立されなければならぬということです。御承知通り資金運用部資金原資の構成を見ますと、昭和二十九年度末におきましては、郵便貯金関係が四千五百十四億円、それから簡易保険と郵便年金預託金が千二百三十八億円、厚生年金保険預託金が千百六億円でございます。以上の合計が八千八百五十八億円でございまして、全資金構成七千七百二十四億円のうち八八%に達しております。この運用部資金は、長年にわたりまして蓄積されてきた勤労者の預託金の集積であります。それにもかかわらず、その運用の実情を見ますと、いかに国としての政策の必要からとはいいながら、勤労者への還元はほとんどされておらないのでございます。これは、国債、地方債の内容とか、いろいろなことをすっかり分析してみなければわかりませんけれども、七千七百億円に上る総額のうち、今言うような勤労者とか中小企業者とかに環元されるとおぼしきものを拾いましても、おそらく直接的なものとしてはその還元率は五、六%にしかならないのであります。  以上私が指摘したように、資金運用部資金の原資の大部分が勤労大衆の預貯金の集積であるにもかかわりませず、その運用による勤労者や中小企業者への還元融資はほんとうに九牛の一毛にすぎないというこの事実は、やはりここで見直されなければならぬと思います。私はこの運用の現状が納得できません。しかしこれは、歴史的なつながりがあって、こうした歪曲された方向が強化されてきたと思うのだけれども、まずこの問題につきまして、昭和二十六年ドッジのアドヴィイスによる変革というような点にも問題があろうと思います。ですから資金運用部資金——元は預金部資金でございますが、この変遷を一応阪田さんから説明願って、問題の所在の究明の資にしたいと思いますが、どうぞ阪田さんから御説明願います。
  119. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまお話しがございました資金運用部の資金の性質、あるいはその運用の方針ということでございますが、お説のように、資金運用部資金は預金、貯金、あるいは厚生年金の資金、こういったような非常に零細な資金の集積からなっておるわけであります。勤労大衆の金といいますか、むしろ国民全部から集まったものであるという実現がよいと思うのであります。そういった資金でありますから、またこれは政府の公的な資金として運用されるものでありますから、運用の面におきましても、やはり国民全般に役に立つように通用しなければならぬ。さらにまた地方から集まったこういう零細な金でありますから、地方に還元するといいますか、預金者の利益になるように運用されなければならぬ、こういうことが言われておるわけであります。そこで先ほどお話がありましたが、司令部時代に改正になりました現在の資金運用部資金法の建前から申しますと、運用の範囲がかなり以前とは限られておりまして、国債とか地方債、政府機関の債券、あるいは金融債、こういったものに運用の範囲が限られて、きわめて確実で、はっきりしたものにしか運用できないような建前になっておるわけであります。そういうような意味におきまして、ただいまお話しがありましたような農林中金、商工中金、労働金庫、あるいは信用金庫といったようなものにも、政府資金のこういう意味からいいまして、直接融資できるように考えるべきじゃないか、こういう考え方も当然あると思うのであります。私どもも、こういう点につきまして根本的にはいろいろ研究いたしておるわけであります。今回提案いたしました資金運用部資金法の改正は、ごらんのように一部の改正でありまして、そういう根本的な点には及んでおらないわけでありますが、お示しのような問題についても、十分検討して参らなければならぬと思います。ただ現状におきましては、資金運用部資金の運用の範囲が——これは財政投融資の全体の問題としてもいいと思うのでありますが、戦後一般の資本の蓄積が非常に少くなった、それを政府の財政投融資で補填しておった、こういうようなところから、資金運用部資金のみならず、税金でもらいました資金もいろいろな財政関係の投融資に出しておる。一般の中小金融、商業金融といったものにも出しますが、さらにまた基礎産業の企業の合理化その他の資金、そういった式のもの、産業界全般の役に立つような資金もかなり大きなウエートをそれに依存しておるという状態になっておりまして、本年度の資金の投融資につきまして、先ほどもお話しがございましたが、実情がそのような状態になっておりますので、現在直ちに仰せのような資金の運用の範囲を拡充いたしましても、資金の総量が限定されておりますので、直ちにこの資金の運用の範囲だけをいたずらに広げて、いろいろ広範囲なものに手を出すというような形にだけなるということは好ましくない、一般金融状態も正常化し、資金の蓄積も進みまして、資金運用部の資金の運用といたしましても、お示しのような本来の趣旨に従って運用がだんだんなし得る、十分な資金の余裕をもってそういうことがなし得るという段階になりますれば、お説のような点も十分に取り入れて、資金の運用の範囲を広げていくということが適切ではないかというふうに考えておるわけであります。
  120. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 二十四年ドッジのアドヴァイスがなされた当時の日本の状況と違って、少し世の中が落ちついてきています。そこで今まで惰性的に来た事柄が、すべての尺度になるということじゃなしに、今までやり来たったこと自身が、批判さるべき経験的事実だ、私はこういうふうに見直されなければならぬと思う。  そこで、そういうふうな抽象的な議論をここで振り回してもしょうがないから、具体的な問題としまして、この資金法の改正がもくろんでいる学識経験者三名に二名を加えて五名にするというこの数字に対しましては、何か根拠がございますか、お伺いいたします。
  121. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 資金運用部資金運用審議会委員は、現在十名の定員でございますが、そのうち三名が、官庁関係とか、その他の関係を除いた民間の学識経験のある者ということになっておるわけであります。十名のうちの三名ということでは、いかにも少いような感じがいたしますので、これを二名増加いたしまして、資金運用部資金の運用ということにつきまして、広く一般の学識経験者の意見を伺いました上でこれをきめるようにしたいというようなことで、増強いたすわけであります。それを民間委員といいますか、今度五名になります一般の学識経験者につきましては、特に一人はどこの中小企業の代表の方、一人は勤労者の代表の方、あるいは預金者の代表という意味でどういう者を入れるとか、そういうようなそれぞれ個別的に何かの代表のような資格で出ることは考えておりません。いろいろそういう点も考慮して人選はきめることが適当と思いますが、直接的にはどういう利害、どういう層を代表するものを選ぶというふうには考えていないわけであります。
  122. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 お答えは、政府側の方々——大体次官がなっておりますが、その七名に対して均衡を失するから、民間側は五名くらいにしておいたらいいだろうという程度のお答えでございます。具体的に現在民間からの委員の顔ぶれは、どうも私の見るところでは、原資の供給者である勤労大衆や中小企業の代表者はほとんど考慮されていないと思います。私は原資の提供者が、その運用に対して発言権を持っていないような不合理は是正されなければならぬと思う。今の三名も、小汀利得氏が日本経済新聞の顧問であります。河上弘一氏は興銀の顧問ですか、それから石坂泰三氏が東芝の会長なのです。こういう人たちは、中小企業者や勤労大衆の真の代表じゃないと思う。委員の増加が考慮されておるとするならば、当然勤労者を代表し、中小企業金融機関を代表する委員を入れて、資金運用に参加させるべきだと私は考えております。こういう点もぜひ考慮してほしいと思います。もしこの二名が、七名に対して不均衡だから、三名を二名だけ増加させるということでしたら、むしろ政府の七名に対して民間側は七名にふやしたってかまわないと思う。ですから、今の二名増加案を四名にされてもいいと思うので、やはり衆知を集め、しかも原資を代表する層からの代表者を加えるというような方向へ再修正をしていただきたい、私はかように考えまするゆえ、このことを強く要望いたしておきます。  それから現在資金運用部資金の運用は、第七条によって十一項目に制限されておりますが、先ほど申し上げたように、ここに第十二項目を起しまして、それにより農林中金、商工中金、相互銀行、信用金庫、労働金庫を長期融資、貸付対象とするようにする、この一項目をぜひ加えていただきい、私はかように考えておりますが、大蔵省の方としての腹案とか、あるいはそうした点を顧慮されるかどうかにつきまして一応御答弁をいただきたいと思います。
  123. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 資金運用審議会の委員の人選の点につきましては、先ほど申し上げましたように、どういう層、どういう利害の代表ということはありませんが、しかし御趣旨のような点は十分考慮いたしまして、人選は慎重にいたしたいと考えます。  それから資金運用の範囲の追加でありますが、先ほど私が長々と申し上げて恐縮でありましたが、こういったような事情でありますので、先ほどもお話しがありましたような、国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、現在貸し出しの方でこういったような金融機関に対しましても、実は理想といいますか、十分御満足いただけるような資金が割り振りかできない、こういう状態にあるわけでありますが、運用の範囲が広がりますれば、これは運用可能な範囲でありますなら、自由にそういうこともできるということになるわけでありますが、しかし実際問題として、今年度の資金の状況等を考えましても、この条項によりまして運用する可能性がほとんどない。また資金運用部の運用といたしましても、資金が現在やっておるのに対しても十分でないのに、さらに間口を廣げるというような格好になることは、どうも適当でないのじゃないかというふうに、現状としては考えております。
  124. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 最後に、今阪田さんは、この資金運用部資金の現状だけに頭を置かれて説明されております。しかし、これは追加するということを私が申し上げましたけれども、追加するということは、追加さるべき本体を予想し、追加というのは、その例外的にそこに追加していただきたいというふうに聞えたかもしれませんけれども、もともとあるべき主人公は、むしろ私が申し上げたような庶民層のための金融機関であると考えます。中小企業者とか、勤労者とか、原資の主要構成をなしておる人々のための金融機関そのものがこの運用においては主座を占むるべきものだと私は考えております。むしろ主人公の方が非常に消極的に、ここへそっと顔を出して、当然の主張を謙遜して申し上げるというような工合になっておりますが、私は実際の原資の構成から見まして、この点は従来の惰性で考えるようなことでなしに、コペルニクス的に逆転して考えてもらうくらい関心を持ってもらわなければ違うと思う。そういうふうな点で、一つ従来のとらわれた考え方でなしに、ここで見直していただきたい、かように考えます。
  125. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 先ほど申し上げましたのが、資金の現状だけのように聞えましたので、ちょっと恐縮でありますが、今お話しがありましたように、中小金融とか庶民金庫とか、こういうようなものを資金運用部の運用の中心の考えに持っていかたければならない、こういうふうな考え方につきましては、私ども別段異存はございませんが、ただ現在そういうことのために、国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、その他の機関がございまして、これがまた政府資金の供給を受けて、これを貸し出し資金に充てるというふうなことを基本的な考えにしてできておる機関であります。従いまして、政府のこういうふうな特殊な資金の投資といたしましては、まずそういうものの資金を充実するということが基本であり、本願でなければならぬと思うのでありまして、お示しのその他の農林中金、商工中金、あるいは労働金庫、信用金庫、そういったものは、これはやはりいわば民間の金融機関でありまして、預貯金を預かりましてこれを貸していく、こういうことを本質とする機関であります。これが資金運用部のような、政府資金を借りてこれを転貸するということは、これらの金融機関にとりましても本質的なことではないので、実現いたしましても補足的なことになると思います。そういう意味におきまして、やはり資金運用部の出します形態としては、現在のようなものが基本になる。お示しのようなものは、これは付置的といいますか、追加的な部門になるのでありまして、今おさしずの点は、ちょっと私の方として違ったふうに考えておる点でございますので、御了承願いたいと思います。
  126. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 最後に具体的な点を要望申し上げます。これは一昨年西日本の台風と、それから十三号台風の災害が起りました際に、勤労者の立ち上り資金として融資された労働金額の問題でございます。今度は東北と、それから北海道にやはり大水害がございまして、労働金庫の東北と北海道の各県の理事者が二十日過ぎに仙台に会合しまして、そしてその被害結果を検討するそうです。その検討の結果によりましては、やはり二十八年度と同様な立ち上り資金の要望があろうと思いますので、そういう具体的な問題がございましたら、この要望にこたえるようにお計らい願いたいと思います。このことだけ最後につけ加えまして私の質問を終ります。
  127. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 これは具体的にお話しを伺いまして善処いたします。     —————————————
  128. 松原喜之次

    松原委員長 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案に対する質疑はすでに終了いたしておりますが、川上政府委員から、黒金委員が要求されました参考資料について発言を求めておられますので、これを許します。川上政府委員
  129. 川上為治

    ○川上政府委員 実はこの前から、黒金先生より資料の御要求があったんですが、その資料につきましては、まことにごもっともな御要求であるのでありますけれども、いろいろ私の方で検討いたしましたところが、非常に詳細な分析された資料の御要求でありましたので、現在のところにおきましては、とてもお気に召すような資料は出せないじゃないかというふうに、いろいろ検討いたしまして、今日出すところまでまだいっておりません。従いまして、その点につきましては、はなはだ私どもとしましてまことに相済みませんことでございますけれども、ごかんべんを賜わりたいと思うのでございます。なおラフな資料でございましたら、他日提出申し上げたいと思います。
  130. 黒金泰美

    黒金委員 ただいま政府側から、非常に謙虚な御答弁にあずかって、まことに恐縮でございまするが、私どもは、この審議を通じまして、いろいろと疑問の点が出て参りました。その疑問の点というのは、結局陸上部門におきましても、いろいろな行政措置を構ぜられる、かような御発言がありますために、それならば、いかなる部門に対しまして、現在の価格がどの程度になった場合において、どのような行政措置を講ぜられるのか、これを伺おうとしたのであります。従いまして、それだけの御発言があり、御腹案がありますならば、直らにもできるかと思ったのであります。ことに私どもから申しますならば、この法律案は、石炭の整備法案、あるいはボイラーに関する法案と同時に審議せらるべきものでありまして、これだけ先に通すというのは、非常におかしなことと思うのでありますが、政府与党におかれまして非常にお急ぎになっておるのであります。しかるに、資料をお願いいたしましてからちょうど一週間、この間何らのおさたもないのでありまして、私は、おそらくは慎重審議の結果、非常にりっぱな資料をちょうだいできる、またことに今日は、資料を出さないで、口頭をもって御説明があるというので、これに非常に期待をいたして参ったのでありますけれども、今の御答弁によりましては、私どもは、いささかも従前の疑義を了解するわけに参りませんで、はなはだ残念でございます。ただし、この問題につきましては、もう質疑も打ち切りになっておりまするし、今後そのような行政措置を講ぜられる場合には、どうか慎重に行なっていただきたい。われわれは、その将来の行政措置の成り行きというものを十分に監視いたしまして、その実績によりまして、いずれ御質問その他申し上げることにして、私は残念でありますが、資料の要求をやめるのではなくて、あきらめますから、そのように了承を願います。
  131. 松原喜之次

    松原委員長 この際御報告申し上げます。本法律案に対しまして、各派共同提案にかかる修正案が、委員長の手元まで提出されておりますので、諸君のお手元に配付いたしておきましたが、本修正案の要旨は、さきに成立いたしました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律によりまして、本年六月三十日で期限が切れる関税の免除または軽減について、とりあえずその期限を本年七月三十一日まで延長することに措置されましたので、これに伴い、本法の施行期日を本年八月一日と改める等の修正を行うこととするものであります。  この際、大平正芳君より、本法律案に対する各派共同提出の附帯決議に関して発言を求められておりますので、これを許します。大平正芳君。
  132. 大平正芳

    ○大平委員 ただいま上程されております法律案につきましては、いろんな議論がございましたが、根本的な議論は別といたしまして、この法律案の執行に伴う行政措置に関しまして、各党各派より問題点をしぼりまして、ただいまお手元に附帯決議案として差し上げたわけでございます。一応読み上げます。    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   原油、重油及び粗油の関税の一部復活に際しては、水産用重油につき可及的低価格をもって供給するよう通産大臣より言明があったが、さらに沿岸運航用重油についても特別の行政措置を講ずる外、陸上用のB、C重油中特に輸出に重要な関係を有する中小企業その他の産業において使用するものに対しては、政府において極力関税復活による悪影響を及ぼさないよう併せて行政措置を講ぜられたい。   右決議する。  以上でございます。御賛成を願いたいと思います。
  133. 松原喜之次

    松原委員長 ただいま大平正芳君より本法律案に対し附帯決議を付する動議提出されましたが、この動議の採決は、附帯決議の性格上、本法律案の採決が終った後にこれをいたします。  本法律案及び本法律案に対する修正案につきましては、この際討論を省略して、直ちに採決いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。初めに、本法律案に対する各派共同提出の修正案を採決いたします。  お諮りいたします。本修正案を可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は全会一致をもって可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について、採決いたします。  お諮りいたします。この部分を可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は、全会一致をもって修正議決いたしました。  次に、本法律案に対する大平正芳君外三十九名提出の附帯決議を採決いたします。本附帯決議を可決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって本附帯決議は可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  139. 松原喜之次

    松原委員長 なお、農林漁業金融に関する質疑がいまだ残っておりますので、明日も本日と同様に、農林中央金庫理事長江澤省三君を参考人として出頭を求め、意見を聴取するように取り計らいたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日金曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会      ————◇—————