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北島政府委員 ただいまの御
質問に対しましてお答えいたします。もともと
重油、
原油、粗油につきましては、
昭和二十六年に
関税系を
改正いたします前でありましたが、一キロリットル当り七円から二十四円の
関税がかかっております。これは当初制定いたしましたときの従価税に換算いたしますと、相当な率になるわけであります。
昭和二十六年に
関税率を
一般的に
改正いたしました際、
原油、
重油、粗油につきましては、従価一割ということに
改正をいたしました。この際にも、数年間の研究の過程におきましていろいろな議論があったようでございます。ただいま
黒金先生がおっしゃったように、こういうものは基本
資材であるから、もともと
関税をかけるべきでないという議論も一部にはあったようであります。わが国といたしましても、御
承知の
通り原油の生産には努力いたしておりますから、たといパーセンテージは全需要量に対して少いかとも思いますけれ
ども、この
原油のわが国における採掘を見殺しにすることは絶対にできないということで、当時従価一割の基本税率をかけるようになったのであります。ただその
改正前の税率は従量税でございまして、インフレーションの結果、
改正当時におきましてはほとんどノミナルな
関税にとどまっておる。従って、これを一挙に従価一割
課税するということは、当時の経済状態からいいましても響きが大きい。ことに
原油、
重油等につきましては、その当時タンカー運賃の
関係から、非常に高かったのでありまして、そのもともと高い輸入
原油、
重油に対しまして、さらに従価一割をかけることはどうかということで、国会で御修正になりまして、暫定的に一年間免税ということになりました。この免税が毎年々々繰り返されまして、ただいまに至っております。ただしその後タンカー運賃が急激に下っております。
昭和二十六、七年当時に比べますと、現在ではおそらく四割強
程度の運賃でしかないかと思います。これに伴いまして、
原油、
重油の輸入CI価格もだんだん下って参りました。一時に比べまして、大体キロリットル当り二千円
程度の減少になっております。こういうことから
考えますと、すでに最近におきましては、当初において
原油、
重油、粗油について免税いたしましたところの基盤はくずれてきていると申し上げることができると思います。従いまして、一昨年あたりから、そろそろこういう減免税はやめたらどうかという議論が出て参りましたが、その当時の経済情勢から
考えまして、まだ多少早いということで、私
どももちゅうちょいたして参ったのであります。昨年あたりからことに
重油関税を復活する声が強くなりまして、一方また国産
原油の開発五カ年計画が最近立てられまして、今後
日本としても、五カ年後は百万キロリットルの
原油を生産しようという気組みになっておるのであります。従いまして、当初免税いたしました基盤がくずれてきておりますので、この際これを全面的に復活するのがあるいは筋かとも思うのであります。他面これらのもののうち、特に海上の、水産用あるいは機帆船用などにつきましては、業界の状態にかんがみまして、これを直ちにかけることは適当でない。そこで目下
石炭対策の一環ともいたしまして、さしあたりのところ
消費面におきまして
石炭と競合するところの陸上のB、C
重油に対しまして
関税をかける、ただし
関税をかける場合におきましては、もちろん輸入B、C
重油全体に対しまして六・五%という
関税をかける。これが行政指導によりまして、海上の
重油には影響させないという
建前で、
石炭と直接競合する陸上用のB、C
重油に対しまして約八%の
関税がかかる、こういうような構想でございます。