○春日
委員 私はこれはなかなか納得いたしかねます。と申しますのは、
前尾さんが理解いたしがたいと述べられた理由の中に、そういう
制度をとると、
給与外の
手当を出していない
企業体が、
給与を低めて
給与外の
手当として出すような形になってくるかもしれないので、そういうような
制度をとることは
給与体系に関連する問題として
反対であるというようなことを言っておられました。しかしながら、それが根本的な理由であるといたしますと、これは
一つ前尾さんに申し上げておかなければなりませんが、先般来主税局がこれについて
調査した資料によりますと、大体期末
手当、すなわち
給与外の
手当を出しておるという
企業体は、
企業体総数の八〇%であると言われております。すなわち八〇%といえば、これはもうほとんであるということも言うて言えないことはないと思うのでありますが、まあ四捨五入すればこれは一〇〇%ということになります。そういうような次第で、今や
給与外の
手当を夏季並びに年末において支払うということは、現実の問題として、その大部分の
給与所得者にわたって適用をされ得る事柄であり、あるいはまた御指摘のように、そういう倒産ができることによって、今まで
給与外の
手当を出していなかった
企業体にそういう影響を与うるとしたところで、それは全体の二〇%のことであり、しかも官庁を初めといたしまして、
給与以外にそういう季節的な
手当を出さなければならないという事柄は、今取り残されておる二〇%の諸君に刺激を与えて、そういう事柄がさらに拡大されていったからといって、別にこれをとがむべきことではないと私は思うのであります。そういうような
意味合いにおきましても、この夏季
手当、これは今や必ずしも夏季とは限らないで、期末
手当をも含めて、そういうようないわば季節を越すに必要とするところの純粋の生活経費、こういうものの最低限、すなわちわれわれが今指摘いたしておりますのは、五千円を限度とするものでありますけれども、その程度のものに非
課税の措置を講じていく、そうして一方田大蔵大臣の言うところの
低額所得者の税
負担の過重を少しでも軽減するという実際的の措置を
一つ講じていってもらいたいと思います。いずれにいたしましても、この問題は、今なお私ども大蔵
委員会の理解ある
委員諸君との間において、さらに深く検討を加えておりますし、今外におけるあの万歳の声もやはりこの事柄に大きく
関係しておりますので、十分両党内におきまして、
一つ理解ある措置を講ぜられたいことを強く要望いたしておくものであります。
次に進んで、法人税についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、これはどう
考えてもあまりに思いつきである、即興的である、科学的基礎というものを発見し得ないのであります。これはわれわれの大いに
意見の存するところであります。そもそも
中小企業法人と大法人との間に段階を設けよという主張の根底には、次のような
事情があるのであります。それは、大
企業法人は現行
租税特別措置法の各項目のフェヴァを受けて、その
減税実額は、これは計算者によって多小の開きはありますけれども、六百五十億ないし八百億という
減税が行われておると言っております。ただいま
前尾さんの御
答弁によりますと、
中小企業法人といえども、
租税措置法の
恩典は受けようと思えば受け得られるのではないかという御
答弁がありましたが、これは
実情をお調べになっていないのもはなはだしいものと断ぜざるを得ません。と言いますのは、先々月でありましたか、主税局で資料を作ったことがある。それは関東一円の税務署について、
中小企業法人なるものが一体どの程度この
租税特別措置法の適用を受けておるか、こういう資料があげられたことがありますが、それは一〇〇%の
企業体の中において、
租税特別措置法の適用を受けておりますところの
企業体は、たしか二八%か三〇%しがなかった。すなわち七〇%にわたるところの
中小企業法人は、
租税特別措置法の
恩典を現実に受けていない。さてそこで問題は、それらの七〇%の
中小企業法人がみずからその特権を放棄したのか、あるいは受けようとしても受け得られないのであるか、私は問題の分岐点はここにあろうと思うのであります。たとえば
一つの項目を探し出してみましょう。その中のまず退職準備金引当金、これが損金
控除になりますけれども、退職準備金を
控除しようとしましても、退職する者のないような零細法人もあるだろうと思う。従業員をあまり雇っていなければ、そんなものを
控除して積み立てようと思っても、積み立てようがない。あるいは東京都内において、非常募金積立金とか、違約損失準備金とか、特別修繕費とか、比較的普遍性のあるものとしては価格変動準備金とか、あるいは貸し倒れ準備金というようなものがあると思うが、いずれにしても、
中小企業法人として適用を受けようと思ったところで、それはまあ精一ぱいやったところで、たかの知れたものです。現にそういうような
恩典があるということを知りながら、その絶対額がきわめて少額なものであるから、やらない。全体として三〇%前後のものしかないという、この計数が明確にそれを証明しておると思うのであります。問題は、大
企業法人はこの
租税特別措置法の適用を受けることによって、実際の
課税額はおおむね三〇%あるいは二五%と指摘する人もあるわけであります。
中小企業法人はそういう適用を受けていない。受けようと思っても、受け得れない立場にあるのであります。従って大
企業と
中小企業との権衡をはかるためには、税率でもって段階をつけるのが公正なあり方だという主張に立って、こういう
中小企業法人に対しては、三〇%にしようとか三五%にしようとかいう主張が行われておるのであります。ところが今回のあなた方の
修正案によりよすと、大
企業法人についても、一律に五十万というものは三五%にしてと、まあこういうことになっておりまするけれども、これは段階をつけるという、その出張の条件を何
一ついたしていないものであると思うのであります。
そこで
前尾さんに伺いたいことは、現在
租税特別措置法というこの
制度はあるが、一体この
制度の適用を受けておるところの大
企業法人と、受けていないところの
中小企業法人との間に、何らかの権衡をはかっていく必要はあるかないか。この点についてどういうような検討をされましたか、
一つ御
答弁願いたいと思います。