運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-09 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       有馬 英治君    菅  太郎君       杉浦 武雄君    坊  秀男君       前田房乏助君    山本 勝市君       淺香 忠雄君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       古川 丈吉君    石村 英雄君       石山 權作君    横山 利秋君       井上 良二君    川島 金次君       町村 金五君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  橘  武夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 六月七日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として石  村英雄君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員中山榮一辞任につき、その補欠として中  村寅太君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月八日  写真機等に対する物品税軽減に関する請願(横  川重次君外一名紹介)(第一九六五号)  揮発油税すえ置きに関する請願小泉純也君紹  介)(第一九六七号)  同(五島虎雄紹介)(第一九六八号)  同(山口丈太郎紹介)(第一九六九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第一九七〇号)  同(田中武夫紹介)(第一九七一号)  同(田中武夫紹介)(第二〇二〇号)  中小企業に対する課税軽減に関する請願(川村  継義紹介)(第二〇二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出第七号)  昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に  対して米麦特別価格で売り渡したことにより  食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための  一般会計からの繰入金に関する法律案内閣提  出第八号)  漁船保険特別会計における給与保険の再保険  事業について生じた損失をうめるための一般会  計からの繰入金に関する法律案内閣提出第九  号)  臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇号)  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)(予)  租税特別措置法の一部を改正する法律案  登録税法の一部を改正する法律案及び農業協同  組合中央会が不動産に関する権利を取得する場  合における登録税臨時特例に関する法律案の  起草の件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  まず去る二日、当委員会審査を託されました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案並びに去る三日、予備審査のため付託となりました証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案の三法律案一括議題として、政府側より提案理由説明を聴取いたします。藤枝政務次官
  3. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案理由説明申し上げます。  まず国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  国有財産管理及び処分につきましては、主として国有財産法及び国有財産特別措置法に基きまして運営されているのでありますが、今般国有財産特別措置法に若干の改正を加え、普通財産を譲与できる場合の範囲の拡張、国有機械等交換特別措置による中小企業合理化国有機械等処分促進及び普通財産交換円滑化等をはかるため、この改正法律案提出いたした次第であります。  次に、この法律案概要を申し上げます。  まず、第一に国に寄付された財産の譲与に関する規定改正についてでありますが、従来、地方公共団体から国に対し特定の用途に供する目的で寄付された財産につきましては、国がその用途を廃止した場合において、その財産当該地方公共団体に限って譲与できることとなっておりましたが、この場合の範囲を拡張いたしまして、当該地方公共団体当該財産を寄付した地方公共団体及びこれらの地方公共団体区域変更があった場合には、その区域が新たに属した地方公共団体に対しても譲与できることとするのが適当と存ぜられますので、所要規定を置くことといたしたのであります。  第二に、中小企業者に対する機械等交換特別措置についてでありますが、従来、旧軍用財産機械等につきましては、従来とも中小企業者老朽機械等国有機械等と等価で交換ができることとなっておりましたが、中小企業者設備改善による企業合理化を一そう推進するため、これを改めまして、国有機械等を時価からその三割を減額した額で交換できることとしたのであります。  第三に、国有機械等処分についてでありますが、旧軍用財産機械等につきましては、その処分促進に資するため、国において直接その用に供する必要があるもの、中小企業者老朽機械等との交換に充てるもの、または、いわゆる一括転用施設等の用に供することに適するもの等を除き、すべてこれをくず化することといたし、これに関する規定を新たに設けることとしたのであります。  第四に、普通財産交換特例についてでありますが、国有財産法におきましては、普通財産土地または土地定着物もしくは堅固な建物に限り、これをそれぞれ土地または土地定着物もしくは堅固な建物交換することができることとなっておりますが、この場合のほか、土地または建物その他の土地定着物相互においても交換できることにいたす必要があり、所要規定を置くこととしたのであります。  次に、証券取引法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要説明いたします。  有価証券市場機能をさらに強化するため、現存いたしております証券金融会社について適正な規制を行なって信用取引の円滑な運営をはかり、もって有価証券市場における売買取引を公正にし、市場における有価証券流通を円滑にする必要があり、あわせて証券業者に対する監督規定について若干の整備をはかる必要があると考えられますので、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について申し上げますと、第一は、証券金融会社に対する監督規定を設けたことであります。この法律案におきまして、証券金融会社とは、証券取引所の会員に対し、信用取引の決済に必要な金銭または有価証券を、当該証券取引所決定機構を利用して貸し付ける業務を営む会社をいい、その業務を営もうとするときは、大蔵大臣の免許を必要とすることとし、その資本の額も五千万円以上でなければならないものといたしております。またその商号の変更貸出方法または条件変更する等の場合には、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力が生じないものといたしますとともに、取引の公正または流通の円滑に必要があると認めますときは、大蔵大臣は、貸出方法または条件について変更命令を出し得ることといたしました。その他監督のための所要規定を設けております。  第二は、証券業者監督規定についての若干の整備をはかっていることであります。すなわち、証券業名義貸しを禁ずる規定を設けたこと、有価証券割賦販売について規定整備を行なったこと等であります。  最後に、証券投資信託法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概要説明いたします。  証券投資信託は、法律制定以来長期産業資金調達の有力な手段としての機能を発揮して参ったのでありますが、昭和二十七年六月から実施せられました追加型証券投資信託につきまして、追加信託を容易ならしめるため、その受益証券記載事項を改めるほか、規定整備をはかって、この制度の確立に資する必要があると考えられますので、この法律案提出した次第であります。  この法律案内容といたしましては、第一に、現行法では追加型証券投資信託受益証券について、その発行の際までに追加信託された信託元本累計額を記載せしめることとなっておりますが、元本追加信託を容易ならしめるために、その受益証券発行の日の属する計算期間の期首における信託元本の額を記載せしめることに改正することといたしております。  第二に、現在信託約款に定めるべき事項として法律規定しているものに加えて、追加型証券投資信託について、追加信託をすることができる元木限度額及び元本追加信託についての公告に関する事項約款に定めるべきことといたしております。  第三に、元木追加信託については遅滞なく届け出ることといたしております。  その他規定整備をはかっている次第であります。  以上、三法律案提案理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。三法案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に、農業共済保険特別会計歳入下足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案臨時通貨法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題といたします。右四法案につきましては、前回の委員会におきましては質疑を終了いたしておりますが、井上委員より、政府より提出された資料について発言を求められておりますので、この際これを許します。井上良二君。
  6. 井上良二

    井上委員 先般、ただいま議題となっております案件中、農業共済保険特別会計一般会計から繰り入れます法案に関して、その再保険会計内容において会計検査院から指摘されております点が数件ございまして、これに対して政府の方から、この処置を一体どういたすかという資料を要求いたしたのでございます。その資料がただいま配付されておりますので、その資料に基いて、二、三この法案を本委員会で採決いたします前に確かめておかなければならぬと思いますから、しばらくお許しいただきたいと思います。  会計検査院から不当事項として指摘されていますうちで、一番重要な問題は、組合組合員間において共済関係が成立しておるものに、掛金共済責任の開始前に徴収されておらぬということが一つと、損害が発生いたしまして、保険金がもらえることがわかり、かつまた保険金が各共済組合に、この被害ならばこれだけ支払われるであろうということを予測し、さらにまた、その保険金が完全に入りました後において相殺差引いたしておるという事実があります。そういうことから考えますと、全く共済掛金をかけてない農家に対して、損害査定を行い、そして保険金支払いを請求するということは、これは全く詐欺的行為であります。政府側の本委員会提出されました資料によりますと、ただいま申し上げましたようなことは、ちょうど水稲については、その時期が農家経済上、最も現金の余裕の少い時期であり、また料率の個別化について、個々の農家納得を得にくい等のために、その方で適期徴収が困難になっているものと認められる。しかしながら、この点は本制度における最も重要な副題であるので、極力近い機会に制度改正を行い、本制度農家経済実態に即応するよう改めたい。この問題の処置に対するこういう政府側方針を示していただいたのであります。しかしかような実態というものは、すでに前々から問題になっていることであって、今日までまだ本制度改正に対する明確な方針を示されないというのは、一体どこに原因があってできないのですか。すでに本制度改正について、政府所要の対策を協議されておるようでありますから、今日までまだ結論が出ておりませんならば、政府の本制度改正に対する構想を明確に伺いたい。こういう工合にすれば、こうなるであろうという政府原案構想があろうと思いますから、その構想を明らかにされたい。  それから今一つは、かような組合運営を行なっておりますことに対して、この組合運営責任者に対しては、役員責任を明確にする、そして共済団体公的性格を強化する。こういうことをいわれておるが、かような不明朗な運営をいたしております役員責任を、一体どう明確化しようとするか、その二点を明らかにしていただきたいのであります。
  7. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま井上先生から、重大な農業保険制度につきましての御意見があったのでありますが、農業共済制度と申しますのは、先生もすでに御承知のように、農業の再生産を維持していくためには絶対に必要な制度でございます。ただ現在まで、昭和二十七年でありましたか、法律制定以来通用して参ったのでありますが、組合運営につきまして、いろいろと御指摘のような遺憾な点がありましたことについては、私どもといたしましても、深くその責任を痛感いたす次第でございます。ただ現在までの組合運営の状況を考えてみますと、何としても弱小な組合が非常に多くて、いろいろ保険金共済金との関係において、遺憾な状態を現出せざるを得ないような組合が多々あったことは、先生が御指摘通りでございます。この点については、衆議院におかれても参議院におかれましても、事態を非常に重視されまして、農業共済制度についての根本的な方針を確立するということで、農業共済制度協議会農林省の中に設けられておるのであります。目下協議会において、今後の農業共済制度をどうするかということが論議の中心になっておりますが、われわれとしても、ただいま御指摘のような点について深く思いをいたしまして、まず第一には、組合農業災害補償制度に適応し得るような組織に組みかえていく。これを委員会結論で申し上げますれば、もっと大きな組合に育てていくということが、一つの問題になっておるのであります。この点については、われわれとしても先般府県課長を招集し、部長を招集し、かつ連合会の会長を招集いたしまして、合併後の市町村に見合うような組合合併をいたしまして、組合職員並びに仕事の内容の充実をはかっていくということで、現在その方に進んでおるのであります。  それからただいま御指摘のありましたように、共済組合保険掛金は取らない、しかも決定をした保険金支払いをしない、いわゆる空転的な組合全国にある程度あるということは、会計検査院の御指摘通りであり、先生の御指摘通りでございます。これはまず掛金を完全に徴収いたしまして、他方損害がありました場合には必ず保険金を支払うという大原則を徹底的に行いますように、目下府県当局を督励し、連合会を督励いたしまして、この点が農業共済制度の根本であるということを強くわれわれ指導しておるのであります。最近まで、そういう事例全国の中に多少ありましたことにつきましては、まことに申しわけないと思いますが、今後においては、そういうことの絶対にないように指導して参りたい、かように考えております。
  8. 井上良二

    井上委員 問題はただいまお話のように、共済掛金を完全に義務的に納付した農家被害がありました場合は、損害査定をして保険金を支払うこの制度を貢ぐということは、本法の規定してあるところでありますから、新しい問題ではありません。全く今まで農林省が本制度徹底に対する指導監督を怠った結果がかようなことになっておることを、まずみずから農林当局は反省しなければなりません。従って、もし農家経済実態が義務的に共済掛金がかけられない状態にあるといたしますならば、これはまた別の角度から、社会保障制度というものが非常にやかましい今日、農村に対する社会保障の一環として国全体が責任を持つという考え方も起って参りますから、絶対的に本制度の趣旨が徹底できないということでありますならば、かような不文律のままに運営することは非常な疑惑を生むのみならず、一般会計制度の上からもおもしろくないことでありますから、その点は至急に一つ結論を出していただきたい。  なおお話にありましたように、被害を受けました農家保険金が渡っていないという組合が相当ある。そういう場合、この組合役職員責任をどう一体処置をされておりますか。単に保険金支払いを完了せしめたら、それでもう組合役職員には何の責任もないのでありますか。当然組合員に払うべき金を政府から再保険の形で支払いを受けておって、その金を渡さなければならぬのに渡さぬで持っておるということは、これは完全に業務上の背任であります。さようなことをあなた方は認めておいていいとお考えになりますか。これをどうお考えになりますか。
  9. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御指摘になりました通り法律の精神に基く運用が農業共済組合について往々にして行われていないという点につきましては、われわれといたしましても強く反省をいたしまして、まことに申しわけないと思っているのであります。ただいま不当な事項をやっている共済組合役職員についての責任の問題の御質問でありますが、御指摘のような、共済金を支払わないで組合で適当な操作をいたしたというようなものにつきましては、われわれといたしましては、必ず共済規定通りに支払うように指示いたしまして、かつ当該役職員につきましては、情状によりまして責任をとるように、おのおのの組合につきまして現在まで指示いたしておるつもりでございます。
  10. 井上良二

    井上委員 単に責任をとればそれで済むということで許されますならば、これはまことにありがたい(笑声)適当な処置であろうと思います。さようなことで事が済むならば——しかしこれは私どもそれ以上ここで追及はいたしません。  いま一つ局長に伺っておきたいのは、昭和二十八年の決算報告に対する会計検査院不当事項として指摘されたのに対して、あなたの方は、この会計検査院決算報告に対する弁明書を出されておりますが、これは、今後さようなことはないように十分気をつけます、役職員に対する責任を明確にし、今後は監督していきます、こういう弁明書です。ところが一昨日も指摘をいたしましたように、奈良県下の農業共済事業検査の結果に関する資料を得ましたのですが、その資料によりますと、これは三十年三月の会計検査院検査の結果でありますから、この弁明書の出ました後において行われましたことです。ところが今日あなた方が出されておりますこの資料によると、農林省提出しました水稲損害個所につき支払うべき共済金の額は、四千九百七十一万八千余円、このうち農家支払い済みの金額は三千八百五十三万七千余円、ただしこのうち一千三百七十二万二千余円は、共済掛金の未納のため、支払い共済金との相殺によって経理をしておる。従ってこの場合は、この千三百余万円というものは、共済掛金をかけていないために、保険金をもらって差し引いたことになっておる。しかもこの保険金を差し引いて、さらに農家への未払い額が一千百十八万余円あり、このうち勝手に預金をしておるのが六百二万円、農協出資をさせておるのが二百三十九万五千余円、農協賦課金として徴収しているのが三十三万余円、病害虫等防除費建物建築費、オート三輪中その他組合経費等に約二百三十万円ほど出しておるようであります。一体この預金というのは、組合の総会を経ておきめになったことでありましょうか。これらの各支出費目というものは、一体被害農家了解の上でやられたものでありましょうか。その点がわれわれとしてはまことに納得のいかぬところである。次の麦の分につきましても、それぞれ水稲の場合と同様の措置がとられております。そこで目下農林省では、奈良県庁において冬組合につき調査を行なって、組合に保留中のものは、すべて組合員に対し成規支払いを完了せしめるよう指示し、その他の分についても、調査の結果に基いて適当な是正措置をとらせる方針である、こういうことがいわれておりますが、二十八年度の決算報告によると、弁明書とこれとはどういう関係になりましょうか。二十八年度の農林省共済保険に対する不当支出についての弁明書は、今後ほさようなことはいたしません、十分責任を持って注意をさせますということで了解を求めておるのでしょう。その後三十年にまたここに出できておるが、これは一体どういうことになりますか。その点どうでございますか。これは単なる作文を書いておるのと違うのです。貴重な税金が出されておりますから、そうは簡単にいかないのです。どうお考えでございますか。
  11. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただい布御指摘の点につきましては、奈良県におきまして、法律の建前と相当違っております経理をやっておるということにつきましては、私どもといたしましても、重大な関心を持っているのであります。ただ御承知のように、農業共済制度につきましては、いろいろ法律的に考えます場合に、相当な問題があるのでありまして、直ちにこうであるという結論を出しにくい事例も相当あるのでありまして、その点につきましては、目下われわれの方におきまして鋭意検討いたしまして、ただいま御指摘のありました非違の点につきまして、どういうような是正の仕方をし、その上で、農民を納得させるのにはどういうふうに持っていったらいいかということを検討いたしておるのでありまして、従いまして、御指摘のありましたようないわゆる弁明等の問題につきましても、多少そこに食い違っているような点が決算面にあるのではないかというような点は、われわれといたしましても、それをそういうふうに考えざるを得ないのであります。ただ問題といたしましては、相当大きな問題でありますので、今後御意見も十分拝承いたしまして、農業共済制度の本質とたがわないような適切な指導を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。
  12. 井上良二

    井上委員 たとえば奈良県のただいまの例で、水稲の場合、農家への未払い額の一千百十八万余円の内訳に、農家へ払うべき共済保険を、建物建築に七十万円使ったり、病虫害防除経費等は当然やるべきことで、共済団体としては当りまえのことでありますから、このことについては指摘はいたしません。七十万円もの建物を建てたり、オート三輪車及び組合の諸経費に百三十六万八千余円を使ったり、農協出資にこれを当てたり、しかも共済組合が勝手に農家に支払うべきものを、六百余万円も預金を持っておるというようなことは、一体会計上許されますか。そういうことを大蔵省は全然調べずしてこの繰入金の予算を要求してきているのですか。一体大蔵省は何をしておるのですか、だらしのない話ではないか。これは単に一奈良県だけの例じゃないと私は思う。調べてみれば、ほとんど全国各地がかようなことになっておりわせぬかと思う。こういうことを全然調べずに、しかも二十八年度の決算においては、農林省はまことに遺憾でございました、今後は十分注意をして、再びかようなことが起らないようにいたしますという弁明書を出しておる。それに基いて、当然りっぱな経理が行われるであろうということをわれわれも期待し、また大蔵省も期待したのでありましょう。ところが三十年三月の決算書によると、会計検査院の一地域に対する調査においても、かような事実が明らかにされてきておる。こういう事実を全然問題にせずに、ただ再保険に赤字が出ておる。だからこれは一般会計から穴埋めしておけ、こういうように人の税金を使われたら、たまったものではありませんよ。なぜもっと実態を調べないのか。もっと実態を調べれば、こういうことをしなくてもいいようなことになるかもわからぬ。赤字が出ておって、農協の団体の何十万、何百万円という建物を建てるのはどういうわけです。そんなことが許せますか。そんなぜいたくな繰り入れなどするような税金を私ども出しておりません。これを政務次官はどうお考えになるか。
  13. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 ただいまの非常に適切なる御意見、私も同感であります。国民健康保険農業共済保険というものが、農村における保険制度の二大支柱であるということは井上先生もよく御存じであろうと思います。これをただ単にぴたりと停止しましたときにどういうことになるかという影響の結果も、井上先生御存じであろうと思います。昭和二十八年度の会計検査院の報告、私たちも読みました。その中で指摘されておりました兵庫県の加古郡のごときは、結局末端の共済組合が四倍も吹っかけて要求している。それを連合会が二分の一にしたために、結果的には二倍の金がとられたというような例も知っております。われわれはこういうふうな例を見まして、一体どこに原因があるかということを考えている。われわれは、この対策として現在思い当っておりますこととして、大体二つの点があるのじゃなかろうかと思う。一つは、共済組合に対して連合会連合会に対して農林省という査定段階におきまして、査定する側が客観的な被害基準というものを持っておらぬ。こういうところに大きな原因があるのではなかろうか。現在作報の統計を根拠にしておりますが、これは、県段階においてはある程度の信憑性はあるにいたしましても、現在の共済組合の単位であります市町村までおろすに至っては、ほとんど基準にならないのであります。そこで、たとえば食糧事務所の数字とか、いろいろな数字を参考にして、客観的にいかなるようにしていったらよかろうかということを研究してきたわけでございますが、ことしから、現在までの作報の坪刈り個所を倍にふやしまして、県段階における信憑性と同じようなものを、少くとも郡段階までおろしたいということで、客観的被害基準を査定当局が持たれるような根拠を持ちたいと思っております。  もう一つは、大坪さんから指摘になりましたように、現在市町村というものはどんどん合併しておりまして、すでに六千、七千というように整理されておりますけれども共済組合だけは、依然として一万というような小さな組合単位になっておりまして、適切な指導者もおりませんでしょうし、また組合自体が薄弱であるというようなことになっておると思います。そこで、こういうようなものをこの際やはり合併いたしまして、組合を強化するということ。第二の点といたしまして、こういうふうなへんてこな保険金支払い、あるいは共済金支払いというものが行われる現在の制度を救済するところの一つの対策はなかろうか、こういうふうに考えております。そこで御指摘のように、ことし二十八億も金を繰り入れるについて、われわれといたしましては、確かにその制度運営については不満でございます。ただやはり世の中には分業というものがございまして、われわれとして一万の組合についてすべてを調べて、農林省の数字は差しおいてわれわれが査定をするということになりますと、やはり職員の数もたくさん要りましょうし、いろいろなむだが行われる。そこでわれわれといたしましては農林省と協力いたしまして、こうした対策を今年度とることによって、できるだけ今後の運営をよろしくやっていきたい、こういうふうに考えております。御指摘の三十年度になっての会計検査院検査は、われわれは約一カ月前ラジオのニュースで聞いたのであります。そのときには、この繰り入れの法律案はすでに出ておりまして、また井上先生指摘されるだろうと思ったのでありますけれども、なかなか問題が複雑でありまして、抜本塞源的な措置を講じられないというところに困難が存在するのだということを御了承願いたいと思います。
  14. 井上良二

    井上委員 私は、被害査定が非常にむずかしいということは、現在の機構と人員をもっていたしましては、それは実際はできないのじゃないかという考え方ですが、さりと申して、それならその制度をやめてしまうというわけには参りません。そこに非常にむずかしい政治的な考え方を持たなければなりませんが、そもそもこの法案は、御承知通り農業災害補償で、補償という言葉が入っております。これはやはり農村に対する一つ社会保障を意味しておるものでありますから、だからその点になりますならば、適用範囲を一体どう合理化するかということについて、大蔵省はただしゃくし定木でなしに、そこらの点はもう少しゆとりのある解釈で、損害査定をどう押えるということで御検討願いたい。私の今質問をしております大きな点は、政府から渡しました金が被害農家に渡らず、途中でストップしている、そういう会計経理をそのまま認めていいかどうか。これは何としても農民の立場に立っても許されることじゃないのです。だから政府から損害査定を受けて、保険金を直ちに農家に支払うということでなければならぬ。その金を一部だけ払う、あるいは預金をして——ただ預金をして持っておるくらいならまだいいが、それで建物を建てたり、いろいろなものに使うとはどういうことです。そういう経理を認めることは妥当じゃありません。だから、そういう点は下手すると、この各組合組合長は全部背任横領罪が成立すると思う。横領罪まで行かなくても、背任罪は確かに成立すると思う。だから私が大坪さんに聞いているのは、これらの各団体は、それぞれかような処置をするについては、組合総会を開いて組合総会の議決を経ているかどうか。経ておりますならば問題はありません。私がもらう金でありますならば、一ぺんにもらったら使ってしまうから、預金をしてくれということになっておるのか、あるいは組合建物が狭いから、建て増ししてくれということになっておるのか、あるいはまた、協同組合賦課金として一部取ってよろしいということになっているのか、そういう組合の正式な機関の協議の上でやられているかということが一番問題です。その点はどうです。そこまでは調べておりませんか。
  15. 大坪藤市

    大坪政府委員 農業災害補償制度が、農村におきますいわゆる、補償制度としてきわめて重要な制度一つであるということは、御指摘通りであります。従いまして、そういうような原則に立っておりますので、災害が起きました場合には、必ず組合といたしまして災害に見合う保険金を支払うということが、先生の御意見通り骨子をなすのではないかと思うのであります。ただ現在まで往々にいたしまして、ただいま御指摘のような組合がありましたことにつきましては、私どもといたしましてまことに遺憾に存ずる次第でありますが、この点につきましては、私どもも機会あるごとにあらゆる力をしぼりまして、今後そういうことのないように指導して参りたい。これは制度の根本的な点でありますので、共済掛金を完全に徴収するということと、損害がありました場合に必ずその損害に見合う保険金を支払うという点につきましては、全力をあげまして、御指摘のような組合が今後ないように指導して参りたい、かように存じます。
  16. 井上良二

    井上委員 私はそういうことを聞いておるのではないのです。それは当然のことです。私の聞いておりますのは、農家に支払うべきものを勝手に預金にしたり、あるいは他の用途に使ったり、そういうことに使うことについて、これらの団体はそれぞれ組合の総会を開いて、総会の議決によってやったのかやらぬのか、そういうことの調査をされておるかおらないかというのです。議決を経てやるならば、これは合法的であり何らとがめることはありません。だから合法的な組合総会の議決を経てかような支出をしたのかしないのか。もしも組合総会を開かないで役職員が勝手にやったということになると、これは非常に重大な問題になって参りますから、今後また各団体においてかような支出をする場合は、必ず組合総会を開いて、組合総会の議決を経てやれということをあなた方は指示する責任があると思う。だからどうなっておるかということを聞いておるのです。
  17. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御指摘の点でありますが、元来災害が起きて参りました場合には、それに見合う保険金を支払うということが建前でありますので、組合の総会でどういうことを議決いたしたかということは第二義的の問題になるのじゃないかと思います。組合長といたしましては、一応支払い責任はあるということになって参ると思うのであります。その支払い責任額についてのいわゆる処置ということになりますと、これは組合員意見を聞いて決定するという問題になると思うのでありますが、そういうようなことになりますと、われわれとしてはなかなか調査がしにくいという問題になるのじゃないか、かように考えております。
  18. 井上良二

    井上委員 これは非常に大事なことですから、しつこいようですが、はっきりしておきたいのです。あなたがお話になりました通り保険金は当然組合員に支払わなければなりませんが、組合としていろいろやらなければならない仕事があります場合に、お前さんはこれだけ保険金をもらうことになっておるが、組合としてはあとでこういう計画をやりたい、しかし新しく組合の人から賦課金を徴収することはいろいろな面で困難があるから、この保険金をこういう工合に使いたいと思うが、了解を願えないかどうか、こういうことはあり得ることじゃないかと思うのです。だから、さような行き届いた手続がとられておりますならば——私はあえてそこまで追及して責任を明らかにせよとは申しませんが、そういう手続が行われておるのか行われていないのか。行われていないとするならば、これは非常に重大なことになって参りますから、その点をもう少しあなたは部下に聞いて、一ぺん確かめた上で、いずれまた適当な機会に御返事を願えばけっこうです。
  19. 大坪藤市

    大坪政府委員 調査いたしまして御返答申し上げます。
  20. 内藤友明

    ○内藤委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております四法律案につきましては、討論を省略し、直ちに採決せられんことを望みます。
  21. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの内藤君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。お諮りいたします。四法律案をいずれも原案の通り可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって四法律案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました四法律案に関する委員会報告書の作成提出手続等につきましては、先例によりまして、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  25. 松原喜之次

    松原委員長 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案登録税法の一部を改正する法律案及び農業協同組合中央会が不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案の起草に関する件を議題といたします。     —————————————
  26. 内藤友明

    ○内藤委員 ただいま議題となりました三法律案起草の件について、理事会の協議に基き、私が代表して動議を提出いたしたいと思います。すなわち本問題につきましては、理事会におきましてしばしば論議を重ね、ただいま諸君のお手元に配付しております通りの一応の起草原案を作成いたしておりますので、ただいまその起草原案について若干の御説明をいたしました上で、この起草原案の取扱いについて御提案を申し上げたいと存じます。  最初に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。起電原案はお配りいたしてありますので、この朗読を省略いたします。  現在医師及び歯科医師の社会保険診療の収入に対しては、所得税法第四十二条第二項によりまして、百分の十の源泉徴収が行われているのでありますが、近年数次にわたる所得税法の改正に伴って過納となり、還付を要するものが生じてきたのでありますが、さらに昨年末租税特別措置法改正で、医師及び歯科医師に対する診療報酬の必要経費の算定について特例が定められたのに伴いまして、過納となるものはさらに増加するものと考えられるのであります。この実情を考慮して、今回その源泉徴収税率を現行の一〇%から五%に引き下げようというのであります。  なおこの改正は、源泉徴収税率のみの変更でありまして、この法律施行による税収は変化がないのであります。  次に、登録税法の一部を改正する法律案について申し上げます。この案文は、これも皆様にお配りしてありますので、朗読を省略いたします。  現在厚生省により医療法第三十一条の規定により、公共医療機関の開設者として指定せられているもののうち、日本赤十字社、社会福祉法人、国民健康保険組合等に対しましては、その医療事業の用に供する建物及び土地の権利の取得または所有権の保存の登記に際しての登録税は、登録税法または国民健康保険組合法の規定によってこれを課せないものとしているのでありますが、ひとり全国厚生農業協同組合連合会の会員である厚生農業協同組合連合会については、免除されていない現状になっております。よって厚生農協の医療事業の公的医療機関たるの性格等にかんがみ、今回登録税法改正してこれを課さないこととし、その取扱いを他の公的医療機関と同じくしようというのであります。なお本法律案による減収は、年間約二百万円弱と見積られるのであります。  次に、農業協同組合中央会が不動産に関する権利を収得する場合における登録税臨時特例に関する法律案について申し上げます。この案文も朗読を省略させていただきます。  去る第十九回国会において農業協同組合法の一部が改正せられて、指導農協連合会が改組せられ、全国及び都道府県農業協同組合中央会が設置されることになったのであります。自来改組が行われているのでありますが、中央会に引き継がれる土地及び建物等の不動産につきましては、その収縛の登記について登録税がかかることになっておりますので、この改組の実情に即して、これを免除しようというのであります。  この措置は、昭和三十一年三月三十一日までに登記せられるものに限り免除いたそうとするものでありまして、これによって免除される税額は約三百万円と見積られるのであります。  以上三法律案の起草原案について御説明申し上げましたが、これら草案につきましては、各委員とも異論のないことと存じますので、すみやかに委員会の一応の成案として御決定を願い、これに関する所定の議群を進めた上で、委員会提出法律案として決定せられんことを動議として提出いたす次第であります。
  27. 松原喜之次

    松原委員長 ただいま内藤君より動議が提出されましたが、この三法律案に対する起草原案につきまして、何か御発言はありませんか。
  28. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この三案の趣旨については賛成でありますが、ただこの租税特別措置法の一部改正につきまして、すでに政府提案租税特別措置法の一部改正案が出ておりますし、これに対しまする自由党、民主党の修正案も出されようとしておりますが、同一の議会で同じ法律改正案が別々に出され、別々に審議されるということが法制上可能かどうか、これについて明らかにしていただきたいと思いますから、この点法制局の意見を聞いてから決定していただきたい、かように思います。
  29. 松原喜之次

    松原委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 松原喜之次

    松原委員長 それでは速記を始めて。渡辺主税局長
  31. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 ただいま奧村委員から御疑問として提出されました問題につきましては、法制局長官林君に確かめましたところ、法律上の解釈としては、現在御提案になっているような形式でこれが可決になりましても差しつかえない、こういう回答でございましたことを申し上げておきます。
  32. 松原喜之次

    松原委員長 ほかに御発言はありませんか。——ほかに御発言もないようでありますから、お諮りいたします。これら起草原案を委員会の一応の成案として決定するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  この際申し上げますが、衆議院規則第四十八条の二の規定によりますと、「委員会は、予算を伴う法律案提出しようとするときは、その決定の前に、内閣に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。」ということになっておりますので、政府側において何か御意見があればお述べ願います。藤枝政務次官
  34. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま御提案なさろうといたしておりまする三法律案につきましては、政府として異存はございません。
  35. 松原喜之次

    松原委員長 政府側の御意見はお聞き及びの通りでありますので、お諮りいたします。  これら三法律案委員会の成案として決定し、これら成案を委員会提出法律案として決定するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお、三法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時十七分散会      ————◇—————