○村上(孝)
政府委員 ただいまの非常に適切なる御
意見、私も同感であります。国民健康
保険と
農業共済保険というものが、農村における
保険制度の二大支柱であるということは
井上先生もよく御存じであろうと思います。これをただ単にぴたりと停止しましたときにどういうことになるかという影響の結果も、
井上先生御存じであろうと思います。
昭和二十八年度の
会計検査院の報告、私たちも読みました。その中で
指摘されておりました兵庫県の加古郡のごときは、結局末端の
共済組合が四倍も吹っかけて要求している。それを
連合会が二分の一にしたために、結果的には二倍の金がとられたというような例も知っております。われわれはこういうふうな例を見まして、一体どこに原因があるかということを
考えている。われわれは、この対策として現在思い当っておりますこととして、大体二つの点があるのじゃなかろうかと思う。
一つは、
共済組合に対して
連合会、
連合会に対して
農林省という査定段階におきまして、査定する側が客観的な
被害基準というものを持っておらぬ。こういうところに大きな原因があるのではなかろうか。現在作報の統計を根拠にしておりますが、これは、県段階においてはある程度の信憑性はあるにいたしましても、現在の
共済組合の単位であります市町村までおろすに至っては、ほとんど基準にならないのであります。そこで、たとえば食糧事務所の数字とか、いろいろな数字を参考にして、客観的にいかなるようにしていったらよかろうかということを研究してきたわけでございますが、ことしから、現在までの作報の坪刈り個所を倍にふやしまして、県段階における信憑性と同じようなものを、少くとも郡段階までおろしたいということで、客観的
被害基準を査定当局が持たれるような根拠を持ちたいと思っております。
もう
一つは、
大坪さんから
指摘になりましたように、現在市町村というものはどんどん
合併しておりまして、すでに六千、七千というように整理されておりますけれ
ども、
共済組合だけは、依然として一万というような小さな
組合単位になっておりまして、適切な
指導者もおりませんでしょうし、また
組合自体が薄弱であるというようなことになっておると思います。そこで、こういうようなものをこの際やはり
合併いたしまして、
組合を強化するということ。第二の点といたしまして、こういうふうなへんてこな
保険金の
支払い、あるいは
共済金の
支払いというものが行われる現在の
制度を救済するところの
一つの対策はなかろうか、こういうふうに
考えております。そこで御
指摘のように、ことし二十八億も金を繰り入れるについて、われわれといたしましては、確かにその
制度の
運営については不満でございます。ただやはり世の中には分業というものがございまして、われわれとして一万の
組合についてすべてを調べて、
農林省の数字は差しおいてわれわれが査定をするということになりますと、やはり
職員の数もたくさん要りましょうし、いろいろなむだが行われる。そこでわれわれといたしましては
農林省と協力いたしまして、こうした対策を今年度とることによって、できるだけ今後の
運営をよろしくやっていきたい、こういうふうに
考えております。御
指摘の三十年度になっての
会計検査院の
検査は、われわれは約一カ月前ラジオのニュースで聞いたのであります。そのときには、この繰り入れの
法律案はすでに出ておりまして、また
井上先生に
指摘されるだろうと思ったのでありますけれ
ども、なかなか問題が複雑でありまして、抜本塞源的な
措置を講じられないというところに困難が存在するのだということを御了承願いたいと思います。