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1955-06-07 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 松原 喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       有馬 英治君    菅  太郎君       杉浦 武雄君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       黒金 泰美君    小山 長規君       薄田 美朝君    古川 丈吉君       石山 満作君    木原津與志君       横山 利秋君    井上 良二君       川島 金次君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    町村 金五君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久蔵君         農林政務次官  吉川 久衛君         食糧庁長官   清井  正君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  橘  武夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月三日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員有馬英治君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として松浦周太郎君及び春日一幸君が  議長指名委員に選任された。 同月六日  委員松浦周太郎君及び石村英雄辞任につき、  その補欠として有馬英治君及び福田昌子君が議  長の指名委員に選任された。 同月七日  理事春日一幸委員辞任につき、その補欠とし  て同君が理事に当選した。     ――――――――――――― 六月二日  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号) 同月三日  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一九号(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)(予) 同日  揮発油税すえ置きに閲する請願野田卯一君紹  介)(第一六二八号) 同月四日  運動具に対する物品税撤廃に関する請願岡良  一君紹介)(第一七二四号)  揮発油税すえ置きに関する請願五島虎雄君紹  介)(第一七四二号)  同(愛知揆一君紹介)(第一七四三号)  同(正木清紹介)(第一七四四号) 同月六日  揮発油税すえ置きに関する請願外二件(薄田美  朝君紹介)(第一八三号)  同(西村力弥紹介)(第一八三四号)  株式配当金に対する課税軽減に関する請願(長  谷川四郎紹介)(第一八三五号)  岩手県に国立たばこ試験場設置請願鈴木善  幸君紹介)(第一八五五号)  岩手県にたばこ乾燥工場設置請願鈴木善  幸君紹介)(第一八五六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会申し入れに関する件  農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出第七号)  昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に  対して米麦特別価格で売り渡したことにより  食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための  一般会計からの繰入金に関する法律案内閣提  出第八号)  漁船保険特別会計における給与保険の再保険  事業について生じた損失をうめるための一般会  計からの繰入金に関する法律案内閣提出第九  号)  臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出  筋一〇号)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。即事でありました春日一幸君が去る三日一たん委員辞任いたしたことがありますので、理事一名が欠員となっております。この際理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは選挙の手続を省略して、委員長より御指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきましては春日一幸君を再び理事指名いたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 次に、連合審査会開会の件についてお諮りいたします。商工委員会より当委員会において審査中の特殊物資納付金処理特別会計法案について連合審査会開会してもらいたいとの申し入れがあります。この申し入れを受諾して連合審査会開会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお商工委員会において審査中の特定の物資輸入に関する臨時措置に関する法律案につきましても、当委員会より連合審査会開会申し入れたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。なお連合審査会開催日時等につきましては、委員長に御一任を願っておきます。     ―――――――――――――
  7. 松原喜之次

    松原委員長 次に、農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における給与保険町保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案臨時通貨法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題として質疑を続行いたします。淺香忠雄君。
  8. 淺香忠雄

    淺香委員 本委員会食管特別会計その他農林関係法案が出まして以来、農林大臣出席をそのつど要求して参りましたが、本日に至るもまだ農林大臣出席を見ないことは、まことに遺憾であり、また本委員会を軽視せられているものと断ぜざるを得ないと私は考えます。この点につきまして、委員長の善処を特にお願いしたいと思いますことと、またただいま理事会において、明後日に食管特別会計を上げるというお話し合いが済んだようでありますが、私の党からも両理事が出ておられまして、このお話の結果につきましては、党の一人として異議をはさみません。しかしながら、かような私の要求に対して何ら誠意を示されないことに対しまして、本日はとりあえず食糧庁長官に事務的な問題について質疑をいたしますが、漏れ聞けば、今農林委員会の方において提案理由説明があるようでありますが、この提案理由説明が終られました場合に、せめて政務次官出席をお願いし、もしこれすら不可能でありました場合には、この理事会は再度協議をされまして、食管特別会計が明後日仕上ることについて理事諸君の御再考を促したいと考えます。  食糧庁長官にまず伺いたいことは、政府は、輸入小麦トン当りどの程度差益金を収益してこれを食管会会計に入れておられるか、まずその点を伺いたいと思います。
  9. 清井正

    清井政府委員 ただいま御質問の点でございますが、外国食糧価格が年年低落の傾向を示して参っていることは御承知通りでございます。すでに資料として差し上げておきましたものをごらんいただきたいと思いますが、二十八会計年度は、大体小麦は全体の一平均価格トン当り八十二ドルで買い入れましたものが、二十九会計年度では七十八ドルというふうに、八十二ドルから七十八ドルに下っておるのであります、三十会計年度は、これは予算上の見積りでございますので、今後どういうことになりますかは今後の国際物価なり、あるいは運賃なりの傾向によってきまることでございますけれども、一応最近の実績、あるいは将来を予想いたしまして、私どもといたしましては七十八ドルが七十六ドルくらいになりやしないか、こういうことで一応予算を編成いたしておるのでございます。七十六ドルといたしますと、国内の麦の価格を逆算いたしまして、国内価格と見合いまする価格と比較いたしますと、ちょうど国内との比較の価格が大体九十二ドル五十セントに相なるわけでございます。総計で幾らになりますか、ただいまちょっと私申し上げかねますが、相当推度小麦価格は下る傾向にある。従って国内小麦に比較いたしまして、外国小麦が相当割安になっておるということは争えない事実であります。こういうふうに考える次第でございます。
  10. 淺香忠雄

    淺香委員 私のお等ねしておることは、前年度実績から割り出して、トン当り幾ら差益金食管特別会計に入ったかということを簡単に伺っておるんです。
  11. 清井正

    清井政府委員 小麦のみならず、大麦あるいは米を入れまして全体で食糧管理特別会計の三十年度益金といたしまして、約六十七億を計上いたしておりますが、そのうち小麦につきましては、八十六億九千万円の利益を見ておる次第でございます。
  12. 淺香忠雄

    淺香委員 私が伺っておるのは、小麦だけを言っておるのであります。今のお啓えでは、外米ともに合せて八十六億という数字であるそうでありますが、今確たる資料をお持ちでたかったら、単に小麦だけをトン当りどれだけの差益金をあげてどれだけ特別会計に入れておるか。後ほどでけっこうですからお示し願いたいと思います。
  13. 清井正

    清井政府委員 私の説明が不十分だったので恐縮でございますが、六十七億と申しましたのは、米も大麦小麦も入れまして六十七億の益金になっておりますが、小麦だけで申しますると八十六億九千万円、こういう数字になっております。
  14. 淺香忠雄

    淺香委員 今の御説明では、八十六億九千万円を食管特別会計差益金として入れておられるようでありますが、御承知通り粉食奨励とか、あるいはパン奨励とか、いろいろなことが最近国民的輿論となりつつあるときに、外国から入ります輸入小麦にそれだけの差益金をあげるような考え方では、私は、根本的には粉食奨励にならぬと思うのであります。従ってせめてこの差益金の性格は、内地産の小麦を保護する建前であるということは私も十分承知いたしておりますが、しかしながら、外国から入る小麦を若干でも価格を引き下げ、あるいはその他何か食糧庁において対策をもしお持ちであれば、その小麦引き下げの問題について率直に御意見を伺いたいと思います。
  15. 清井正

    清井政府委員 ただいまのお話国内粉食奨励という観点から、麦、ことに外麦を非常に硬く買っておって、比較的利益をあげておるのだから、粉食奨励という観点から申しまして、小麦粉、ことに良質の小麦粉外麦等を安くこれを払い下げるという考え方もむろんなり立ち得るのでございますけれども、私どもただいまのやり方といたしましては、ただいま仰せの通り、これは国内麦生産との関係もございますし、食糧管理特別会計の全体の建前から申しますると、安く買いました米にしろ、小麦にしろ、大麦にしろ、国内価格と見合った価格でこれを売却するというふうにいたしておりまして、国内価格国際価格とを遮断をいたしまして、国内食糧生産等観点から、総合的な施策をとっておるということは御承知通りでございます。ただこれが内麦と比較いたしまして、外麦が非常に質がよいというようなことからいたしまして、実際問題といたしまして、これが製粉業界等には相当な影響があることは事実でございます。私どもといたしましても、売却価格をきめる際には、国内麦外麦品質等それぞれ違うことは御承知通りでございますけれども、そういった品質等から見合いまして、適切な価格をきめまして、そうして国内麦との関係上非常に均衡を得た価格決定をいたさなければならないということで目下いたしておるのでございますが、内地全体の小麦生産並びに粉の需要等からいたしまして、その間業界には実はいろいろ問題があるのでございます。たとえば輸入小麦をもう少し安く払い下げをしまして、結果的にはパン食が安く手に入るようにということで、結局総合栄養と申しますか、粉食普及と申しますか、そういう観点から申しまして非常に有利である、従って麦をもっと宏く売るようにしろ、こういうような話があることも私は聞いておるのであります。御趣旨はわかりますが、また私ども全体の立場からそういう建前にいたしておりまして、今外麦を安くしますと、内地麦に対する圧迫が当然あることでございますので、これらを同時に考えながら、内地における粉食普及と申しますか、そういうような観点からの御要望をいかに充たしていくかということについて、相当苦心をしなければならぬかと思うのであります。根本的な問題といたしましては、内地麦外国麦品質に相応した価格をもって売るということをいたす、このほか御承知通り学校粉食普及等につきまして、十七億くらいの金を使っているのであります。その他いろいろ、わずかでございますけれども一般会計簿におきましても粉食等につきましての予算を組んでおるわけでございますが、全般の方向といたしましては、その方向で行かなければならぬのでございますが、麦価格関係は、国内麦との関係を勘案してきめながら、同町に国内的には諸種の奨励施策、あるいは粉食普及施策というものを講じまして、価格政策国内普及奨励施策とあわせまして、粉食奨励に進んで行かなければならぬ、こういうふうに実は考えております。
  16. 淺香忠雄

    淺香委員 長官にさらに伺いますが、食糧庁内で粉食、あるいはパン審議会を設ける御意思があるかどうか。言うまでもなく、今日粉食問題の解決は一日もゆるがせにできないときであり、また国家経済からいってもこれは等閑に付すべき問題ではなく、あるいはまた学校給食法も昨年制定され、今年度もこれが拡大されようといたしており、あるいはMSAに基く小麦受け入れ態勢等々を考えまして、問題が非常に山積しておると思うのであります。しかもこの粉食問題に関しては、各省との統一が不十分なきらいが津々にして見受けられるわけであります。従って私は、農林文部、厚生、大蔵、この関係の四省が入り、また民間からは業界あるいは学者等を入れまして、この問題の解決に、また山積しておる諸問題解決のために、審議会をぜひとも設けなければならぬのではないか、こう考えるわけであり脚ます。率直な一つ意見を聞かせていただきい。  なおそれに付加して申し上げますが、前の東畑次官がおられたとき、伊東第一部長食糧庁におられたときに、こういった案を幾つかお持ちになって進めておられたということも付加して申し上げておきます。
  17. 清井正

    清井政府委員 ただいまのお話の御趣旨は、まことにけっこうだと存ずるのであります。御承知通り、ただいま粉食の一番大きな普及の問題として学校給食の問題があるわけであります。その他いろいろ施策をいたしておりますけれども、まだまだ私どもといたしましては、十分各方面の御意見を伺い、また政府部内の連絡もさらに緊密化をはかりまして、粉食普及ということに努力をいたさなければならぬことは御指摘通りであります。この問題につきましては、ことに学校給食の問題につきましては、これは農林部内におきましても、文部当局十分連絡をとりつつあるのでございますが、さらに今後必要に応じては、給食態勢をふやす、それに伴って予算措置が必要でございます。そういったことにつきましても、政府部内でいろいろ相談いたさなければならぬことがあるのであります。われわれといたしまして、お話のように委員会というものを直ちに作った方がいいかどうか、大問題でございます。いろいろ考えさせていただかなければならぬと思いますが、確かに粉食普及という問題につきましては、農林部内におきましても、単に食糧庁だけの問題ではございません。また政府部内におきましても、農林省だけの問題ではないのであります。従いまして、関係連絡のある官庁、また農林部内におきましても関係省、また特に一般業界におきましても、それぞれの知識経験を持っておられる方がおりますから、そういう方々の御意見も聞くということは、ぜひ必要と思いまして、粉食の将来の発展に努力いたさなければならぬと思います。委員会等を設けるかどうかは、これは一つ考えさせていただかなければならぬと思いますが、ぜひともそういう皆さん方意見を聞き、政府部内の連絡を緊密にいたしましてこの問題の将来の強化発展に努めなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  18. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいま食積庁長官からお答えいたしましたのに補足いたしますと、実は御指摘の点を十分問題にただいまいたしております。予算委員会において三宅さんからも御指摘があったのでございますが、関係各省からそれぞれ出ていただきまして、委員会を作ろうと予定をいたしております。どんなものにするかについての具体的なまだ案は立てておりませんが、ただいまお話の御趣旨に沿ったものを用意をさせているということをちょっと申し上げておきます。
  19. 淺香忠雄

    淺香委員 ただいま農林政務次官から非常に理解ある、また無意のこもった答弁をいただきまして、私は満足でありますが、どうも食糧庁長官の話では、やるのやら、やらぬのやら要領を得ない、誠意のない答弁のように見受けますが、これだけ答弁が違うということも、あらためて一つ認識してもらいたい。  ちょうど政務次官がおいでになりましたので、政務次官に伺いますが、実は前からこの委員会食管特別会計その他の法案提出されましたそのつど、農林大臣出席を求めて参りました。いろいろな理由で、今日に至るまで農林大臣出席を見ないのはまことに遺憾であります。幸いと政務次官がお見えになりましたので、私は河野農政のあり方、いわゆる農業の基本的な考え方、並びに食糧対策等について、実は河野農林大臣質問したいと考えておったのであります。あなたに失礼でありますが、政府は今度の予算で、農林関係の総金額が百十六億何千万円と、前年度に比して予算の削減された数字が出ましたことは御承知通りであります。  そこで、ここ数日来、わが自由党と民主党との間に、いろいろな予算修正の相談をされました結果、農林関係におきましても若干増額を見たことは、非常に私もうれしいこととは思いますものの、しかしながら、これでも昨年と比較いたしました場合に、まだまだ金額が足らぬのであります。同順は食糧増産食糧増産と申しましても、やはり裏づけになるのは予算であろうと思います。その裏づけになる予算が――これをせめて昨年度まででも見られれば筋の立つ話でありますが、これすら見ないような結果として、どうして食糧増産ができるか。何か予算以外に増産方法があるというならば、一度そのお考えをお示し願いたい。
  20. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいま食糧庁長官のお答えと、私との間に大へん食い違いがあるように御指摘でございましたが、実は委員会の問題については、私と大臣とで話し合っておりますので、まだ長官の方へは、この話をいたしておりませんから、違っているような御返事をいたしましたが、そういう事情でございますから、ご了承願います。  それから河野大臣があまりこの委員会出席のできなかったのは、御案内の通り非常に農林省関係の問題が多くて、大へん皆さんに御迷惑をかけておりますが、はなはだ申しわけないと思います。非常に問題が多いのでございますから、その点一つ御賢察を願いたいと思います。  三十年度予算農林省関係予算が非常に削減されていて、これで一体食糧行政ができるか、日本の農政はこれでいいのかという御質問であったと思いますが、これも選挙の場合の公約に、一兆ということをうたって参りましたので、このワクの中で何とか経済効果の上るような措置をとらなければならないと、非常に苦慮した結果の予算案でございます。御説明をかねて申しわけないと思いますが、将来の拡大均衡と申しますか、将来の発展のために、本年度予算は非常に縮められたような感じがありまして、私どももはなはだこれでは実は不安な念を持っていたのでございますが、各位の御協力によりまして、どうやら昨年度の当初予算に比較しては、ほとんど違いのない額が確保できるような状態に相なってきたことは、私ども非常に喜んでいる次第でございます。これを、従来決算委員会等でも大へん問題にされておりますが、予算使い方についてずいぶん問題が起っております。こういう点を今後うんと引き締めて参りますならば、予算額は前年度ほどはなくとも、予算使い方によって相当な効果を上げることができるのではないか、かように考えて、予算使い方については、特に本年度関係府県部長を招集しまして、強くその点を要請したいと、ただいま準備をいたしているような次第でございます。大体今度の予算が若干修正を見ると思いますが、その程度を確保できるならば、何とかやっていかれるのではないかという見通しを持っておりますので、最後の決定に至るまでの格段の御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  21. 淺香忠雄

    淺香委員 御答弁を要約いたしますと、一兆円予算に縛られておったので、どうもこれ以上にならなかったというようなお話でありますが、民主党考え方というものは、あの予算を最初に出された数字から見ましても、まず食糧増産よりか、選挙で公約された一枚看板の住宅の建設等を優先すべきだというお考えてあるのか、その点を伺ってみます。
  22. 吉川久衛

    吉川政府委員 住宅問題も確かに大きく取り上げてはおりますが、わが国の農政は、どなたがおやりになりましても、今の段階では、食糧自給度を確保する、従って食郷増産ということが基本的な問題であると私は考えております。農政を軽視しているというわけではありませんが、財政の関係で、少い予算で最大の効果を上げるような工夫をこらしたならば、予算は昨年より少くとも、相当な効果が期待できる、こういう考え方でございます。
  23. 淺香忠雄

    淺香委員 言うまてもなく、国内食糧増産予算裏づけをやり、あらゆる方法でまず国内食糧をふやすということは、政治の基本でなければならぬと考えます。従ってその増産にあらゆる手を打ち、それでなお不足食糧外国から輸入しなければならぬということが、今日常道かと思うのであります。その食糧輸入いたします場合に、外米主体を置かれるのか、それとも小麦主体を置かれるのか、この点を伺いたいと思います。
  24. 吉川久衛

    吉川政府委員 米は現行の配給量を確保するということを声明もいたしておりますので、その程度の米は入れますが、どちらに重点を置くという、そういう考え方は別にございません。
  25. 淺香忠雄

    淺香委員 別にどちらかに重点を置くというような考えはないというお話でありますが、御承知通り外米は昨年度も非常に問題が起って、いわゆる黄変米と称せられ、配給辞遇者が続出し、その果てはこれを菓子等の方に流した結果、横流しとなって現われて、決算委員会等で問題になった。しかも国民としては、非常に危惧の念を一面持っておる。この外米を今年度輸入計画について見ますと、率においてむしろ小麦より外米の方が多いのです。この場合、なぜこういう問題のある外米に執着を持たなければならぬか。また国民経済からいっても、八十二ドルで買える小麦外米は百六十六トルであります。小麦はこれだけ安い。しかも今輸入されておるところの外米をかりに半分減らしました場合には、二百億円くらいの国民の血税が浮くわけであります。しかも一方において、粉食奨励国民的な世論として上りつつある今日、しかも前国会においては、御承知通り衆議院においても参議院においても、本会議で満場一致、超党派的に粉食決議案なるものが上程され、政府はこの趣旨に基いて今後政策をとるということを明らかにされたのであります。そういう意味においても、何がゆえに問題の多い外米重点を置かなければならぬかということは、どうも納得できぬのですが、一つ明確な御答弁を願いたいと思います。
  26. 吉川久衛

    吉川政府委員 御指摘の点は、私も同感でございます。ただ日本人の食生活というものが、米に非常にウエートがございまして、米に対する執着というものがなかなか抜け切らない。そこでその食生活の改善のために、今いろいろの御配慮をいただいているのでございますが、将来は御指摘方向に進むべきであるという点は、私も全く同感でございますが、現状においては、国民の需要がそこにございますの、で、最小限度の米の輸入は、当分やむを得ないのではないか、かような考え方でございます。
  27. 淺香忠雄

    淺香委員 食生活の改善とか、粉食奨励とかいうようなことは、今国民のほうはいたる在論であると本委員考えておりますが、この考え方に間違いがないかどうか。  いま一点は、この国民的世論が、私の考え方とかりに間違いがないと仮定いたしました場合に、それは政治上からきているものか、それとも経済上からこの国民的な世論が巻き起りつつあるかという、この二点について一つお答えを願いたい。
  28. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいまのお考え方については、私も全く同感でございます。しかしそういう世論がどういうところからきているかという問題につきましては、これは経済的な関係もあろうと思いますが、またそのほかの栄養という点もございましょうし、いろいろの角度から見方はあろうと思いますけれども、どういう理由であるかということは、一口には言い切れないのではないかと思います。
  29. 淺香忠雄

    淺香委員 先ほども申しましたように、前国会における両院の決議案を、政府は今後においてどう尊重していかれるか、その点を具体的に御意見があれば承わっておきたい。
  30. 吉川久衛

    吉川政府委員 御指摘のように、粉食奨励するとか、食生活を改善するとかいうような方向に持っていくべきであるという考えガは、私は今の日本としては、これは基本的な問題であると思いますので、この点は御指摘の点全く同感でございます。そこで政府といたしましては、それを具現するために、ただいま多少予算的な措置も講じまして、いろいろやっているのでございますが、これではまだ十分だとはいえませんが、先ほども申し上げましたように、関係各省を集めて委員会等を作りまして、もっとこれの推進のために一つの具体的な方向づけの結論を、その委員会によって作りまして、そしてその結論ができましたら、それを積極的に一つ推進をするような措置を講じていきたい、かように考えるのであります。
  31. 淺香忠雄

    淺香委員 今の御答弁、非常に御誠意のこもったもので、私としては満足であります。しかしながら、予算措置等を見まして、またこの輸入食糧の計画が政府から提出されましたが、これを見ましても、今日の場合は、小麦重点を入れて粉食を積極的に進めていこうというような意図は、遺憾ながら見当りません。と同時に、また粉食奨励とか普及とか指導とかいうことになりましても、当然これは経費が伴うわけでありまするその経費等におきましても、先般の委員会で、あなた方やあるいは大蔵当局に対して質疑をいたしましても、その結果現われて参りましたのは、昨年より予算措置として相当減少になっているわけであります。そうした粉食奨励とか普及とか指導とか啓蒙とかいうような経費がかくまで削られておって、具体的にどうしてこれが奨励をしていくかということについては、私は大いに疑念を持っておりますが、何かこの予算措置、経費の問題について、御意見がありましたら承わっておきたいと思います。
  32. 吉川久衛

    吉川政府委員 確かに御指摘のように、政府の食生活改善関係予算は、若干昨年より減少を見ております、はなはだこれでは不十分であるとは思いますが、中央、地方を通じまして、既設の機関をできるだけ高度に汎用をいたしまして、何とかこの額の足らない面は、努力によって補っていきたいと考えております。
  33. 淺香忠雄

    淺香委員 さらに伺いたいのは、御承知の労務加配米であります。これは外米一本で充てているようでありますが、めんでもよし、パンでもよし、いずれでも本人が自由意思によって選択するということについて、私はそうあるべきだと信ずるのでありますが、政務次官は、どうお考えですか。
  34. 吉川久衛

    吉川政府委員 まことにごもっともな御質問でございます。私もできたらそのようにいたしたいと思いますが、技術的に少しむずかしい問題があるのじゃないかと想像がされます。この点は十分一つ研究をいたしまして、できるものならば御指摘のようにいたしたいと考えております。
  35. 淺香忠雄

    淺香委員 今大蔵政務次官がお見えになったようでありますが、先般粉食奨励とか普及、指導、啓蒙等に関して、大蔵政務次官質問をいたしましたところが、確かにそういった経費は削減されていることは認めるけれども、一方新生活運動にこれが織りなしてあるというような答弁でありましたが、その新生活運動なるものに、こういった経費がどの程度織り込まれているものか伺いたいと思います。
  36. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 粉食奨励に関連いたしまして、新生活運動の費用を組んだので、その方でも新生活運動の大きな部分として、食生活の改善というようなものが取り上げられるであろうということをお答え申し上げたのであります。新生活運動の費用は、約五千万円になると思いますが、その内訳をいかにするかということは、目下研究中でございまして、ただいまそれを食生活改善方面にどれだけ使うかという内訳ができておりませんので、お答えいたしかねることを大へん残念に思いますが、この点につきましても、至急に計画を立てて、あらためてお答えいたしたいと考えております。
  37. 淺香忠雄

    淺香委員 異な御答弁を伺う。その新生活迎動の五千万円というものは、これはそれぞれの基礎づけられた資料があって、いわばそれが積み重なっての五千万円だと私は承知いたしております。しかるにその新生活運動の中の費目、項目等はまだ決定しないので、いずれあらためてということになりました場合、しからばこの前の委員会で私が質問いたしましたところ、その一般経費は確かに削減はしたけれども、新生活運動にそれだけ盛り込んであるという話を伺いましたから、しからば削減された経費が、新生活運動の経費とそれを合算した場合に、果して前年度と同額もしくはそれ以上になるものかどうかということを、今日興味を持って委員会出席いたしましたとこころが、その内容がきわめてばくたるもので、しかも今日この委員会で、あらためて政務次官質問することくらいは、おそらく賢明な藤枝政務次官にしてはおわかりでいらっしゃるだろうと思います。これだけで私は引き下るわけにはいきませんが、もう少し具体的な、しかも明確なあなたの御意見を伺いたい。私の言わんとするところは、今日これだけ国民的な世論となり、しかも国会決議案として成立し、国民八千万が関心を持っているこの問題を、それに要する経費を削減するとは何事か、それをどういう方法で今後政府は善処せられるのか、そのあなたの御意思のほどを私は承わりたいのであります。もう一度御答弁を願います。
  38. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 前会淺香さんに御答弁申し上げたのについて、あるいは私の言葉が足りないで誤解を招いたか存じませんが、紛食奨励の問題は、いろいろの方法があろうと思います。ことに安い小麦を配給して、そして学童の給食などを円滑にするというようなことも、一つの大きな問題だろうと思います。こういう費用は計上いたしておりますが、ただ宣伝の費用につきまして、一般的な削減率等も考慮いたして、多少の削減をいたしております。しかしこれだけが粉食奨励のすべてではないので、一方において新生活運動を強力に推進していこう。そういう中にも、あるいは食生活改善というような問題が、新生活運動の大きなテーマとして取り上げられるであろう。従って両々相待って、粉食奨励につきましては遺憾なきを期したいというふうに申し上げたのでありまして、この一般的な宣伝費で削った分を新生活運動の中へそのまま盛り込もうというふうなお答えをしたつもりではなかったことを、御了承いただきたいと思うのであります。
  39. 淺香忠雄

    淺香委員 新生活運動に、そういう食生活とか粉食奨励とか織りなしてあるであろうという答弁では、これは断じて納得できません。それはそれだけの基礎があればこそ、五千万円という金額が出たのでしょう。しからばその内訳は、食生滅とか粉食の方にどれだけ予算を見ておるかということでたければ、ただ単なる五千万円を、とにかく文部省所管だからそれの方へ渡したのだというようなことでは、大蔵当局としてはお答えにはならぬと思います。一方では百万、三百万の金でも、大蔵省が各省から出ます予算を削減しておきながら、非常にやかましく言うておきながら、これを新生活運動の中に盛り込んでいるであろうという御答弁でば、私は満足できません。もう一度御答弁を願いたい。
  40. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 新生滞運動カ推通しようといいますのは、もちろん社会教育の面、あるいはその他これはいろいろな費用があろうと思います。そしてその中で、やはり家庭生活の改善であるとか、ことに地方においては食生活の改善であるとか、あるいはその他の生活改善というようなものが、一つの大きな新生活運動であることは申し上げるまでもないと思います。私が申し上げておるのは、一般的な粉食奨励の宣伝費を削った分を、新生活運動でただ金額的に補うのだということを申し上げたのではなくて、粉食奨励という問題は、もう御専門の淺香さんに申し上げるまでもなく、あるいは学校給食の費用を十分に見るとか、あるいは安い小麦を供給するとか、その他幾つかの方法がある。その中の一つに宣伝の費用も含まれておる。しかし一方において、粉食をしようという食生活改善の機運も相当出ておるのでありますから、それらとにらみ合せて、一応宣伝の費用と申しますか、奨励の費用は、一般の経費削減の率にならって削減はしておるが、一方においてそういう新生活運動等もあるので、その総合的な意味において、粉食奨励を推進していきたいという政府の意思を御了解いただきたい、こういう考え方で申し上げたつもりでございます。
  41. 淺香忠雄

    淺香委員 政府の意図を了としてくれというくらいの問題ではないのです。やはり根本は数字なんです。その数字が出ない。しかし、これは幾ら繰り返しても始まらぬことですから、もうこれでやめますが、問題は、この訓減された予算を近い将来善処されるかどうか、あるいは具体的にこれをどういうように修正するか、何かそこにもう少し誠意のこもった御答弁を最後にいただきたいと思います。
  42. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 どうも私の申し上げたことを御了解いただけないので、私の答弁の悪さかと思います。先ほどから申し上げますように、粉食奨励は、これは私から答弁するのでなくて、農林省の方からお話があるであろうと思いますが、私どもの把握している考え方によりましても、安い小麦をできるだけ学校給食その他に回すとか、あるいはその他の方法を十分考え、また宣伝費等も十分有効に使い、その他あらゆる方法をもって粉食奨励に善処いたしたい、こういうふうに考えておりまして、今の淺香さんの粉食奨励、食生活改善に対する御熱意等につきましては、私どもも十分その御主旨を尊重いたしまして、今後の実行に当って参りたい、こう考えておる次第でございます。
  43. 淺香忠雄

    淺香委員 農林政務次官食糧庁長官に、これは質問というよりか、私の意見になりますので、了としていただきたいのですが、今度米国政府と日本政府との間できめられた一億ドルに及ぶ余剰農産物の貰い入れ協定で、米国政府は、その使用額の二千二百五十万ドルのうちから二百万ドル、すなわち邦貨に直して七億二千万円が農産物の市場開拓費として充当せられるかのように聞いております。この市場開拓費の二百万ドルは、どういう方針でこれを使うのかということを、先般の委員会で第一部長質問いたしましたが、どうも満足な答弁がなかったのであります。私ども漏れ聞くところによりますと、これは向うと民間人とが直接話し合って使っていく性質のように聞いております。そこで問題は、食費庁と農林省の方では、この計画に一つあやまちのないように民間人を指導してやってもらいたいという点なのです。なぜ私がこういうこと言うかというと、昨年の冷害対策で、農村にパン焼き設備を五百六十二ヵ所作らせて、一億何千万円の金をかけた。ところがそれが一向役に立たないで、大半遊休設備として今日残っておる。しかもそれが指導費は、予算に計上されていなかったというようなつじつまの合わぬ結果になったのであります。もちろん今日農村に粉食奨励し、パンを焼かしていかなければならぬことは言うまでもありませんが、しかし、まず農村にこれだけの経費をかける前に、消費都市でありますところの六大都市等に重点を置かなければならぬのではないか。まだまだ農村がそこまで行くということは、現実にはほど遠いと考えます。それから、いま一点は、アメリカと民間人とが直接折衝に入っておるようでありますが、その意見たるやきわめてまちまちであり、いろいろ変った計画が織り込まれており、事実向うの方としては困っておるかのように私は漏れ聞いております。これが果して国家にプラスすすものかどうか、業界を統抗する今後の指導が、これでいいかどうかということを非常に案じますので、これは一つ政務次官食糧庁長官も、こういうようなことについては特に御注意を願いたいと思うのであります。これは答弁はどちらでもけっこうであります。  それから最後に、これは御両氏に伺いますが、食糧庁に対し、これだけ声がやかましいのに、このパンの係が三人しかおらないのです。ところが問題が起きますと、この三人が右往左往して民間人の意見を聞き回ったりしている。これでは、いわゆる粉食奨励とか積極的な普及というようなことは断じてできません。しかも農林省には四万人近くの人がおられるのに、この重要な部門を担任する者がたった三人です。これがいいか悪いかはもう言うまでもないと思うのですが、せめてもう一課でもぜひ設けなければならぬかと思うのですが、御両氏の中からどなたでもけっこうですから、一つ意見をお漏らし願いたいと思います。
  44. 吉川久衛

    吉川政府委員 淺香さんから非常に参考になる御意見を承わりましたが、これらの問題につきましては、十分慎重に検討いたしまして善処するつもりでございますから、御了承願います。
  45. 松原喜之次

    松原委員長 井上良二君。
  46. 井上良二

    ○井上委員 農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案に関連して二、三質問をしたいのですが、この法案の内容は、御存じの通り農業共済保険農業勘定再保険支払い増加に充てるため、三十年度において二十八億を一般会計からこの特別会計に繰り入れようというのであります。問題は、この二十八億を一般会計から特別会計に繰り入れる根拠でありますが、この根拠は、昭和二十八年の異常災害発生に基くものでありまして、この災害補償の関係保険は、社会保険を意味するものでありますから、一般会計から繰り入れることも、その内容が妥当でありますならばわれわれこれに反対をするものではございません。問題は、一般会計から農業共済保険農業勘定に再保険の支払いが増加したその増加の根拠です。一体農林省は、さような一般会計から繰り入れを求めなければならぬ支払い増加を来した根拠について、具体的に調査をされたことがありますか。末端の共済組合の損害査定及びこれの収支勘定についてお調べになったことがありますか。それをまず伺いたい。
  47. 橘武夫

    ○橘説明員 再保険特別会計農業勘定に赤字が出ます原因について調査したことがあるかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、こういう赤字の出ます根本要因を分析して、その適切な対策を講じなければならないということで、私どもの方でいろいろ調査をしておりますけれども、その要因が終戦後の農業のいろいろだ異常な特殊事情による面と、それから本来掛金の率が適切であるかどうかというふうな面と、それから組合なり連合会の損害評価が果して適切であったかどうかという面と、それぞれいろいろな事情が考えられますので、それぞれについて調査をすすめておりますけれども、まだどの原因がどれだけの重みを占めているということは、はっきりした結論は出ておりません。
  48. 井上良二

    ○井上委員 損害査定の実績がどうなっておるか、また再保険の支払いをいたします場合に、その対象となります各県の共済組合連合会、その下にあります共済組合、これらの損害査定というものを農林省はそのままお認めになっていますか。
  49. 橘武夫

    ○橘説明員 これはまず組合品が一応損害評価をいたしまして、その損害評価いたしましたものを連合会がさらに再検討をして、必要な査定をいたす。それから連合会が再保険金を請求いたしましたものにつきましては、農林省においてさらに統計調査部の数字その他を参考といたしまして、それが多額に過ぎると思われるものにつきましては、さらに査定をいたした上で承認するというふうにやっております。
  50. 井上良二

    ○井上委員 そのやり方の経過はわかっております。私の一番聞こうとしておる点は、損害査定をいたしますのは末端の共済組合でやるのでしょう。共済組合は保険金をもらう、支払いを受ける団体でしょう。支払いを受ける団体が損害査定をやります場合、そこに正当な損害査定が行上れるとお考えになっておりますか。
  51. 橘武夫

    ○橘説明員 農業共済金は、共済組合の組合員である農家に対して支払いをする建前になっておりまして、共済組合は、農家に対しては一応保険者という立場に立つわけであります。そういう面で、総合としては公正な査定をする建前になっており、私どもも期待しているわけでございますけれども、一面におきまして、共済責任のおおきな部分がさらに連合会に再保険されるという事情からいたしまして、その組合の査定につきまして、やや公正を欠く組合品があるこいうことは調査の結果承知いたしております。
  52. 井上良二

    ○井上委員 この共済保険は、法の命ずるところによって、農家は義務加入になっておる。義務加入になっております以上は、当然植付と同時に保険金をかけなければならぬ。作付面積に相応した保険金は徴収されておりますか。
  53. 橘武夫

    ○橘説明員 多くの組合につきましては、掛金は徴収されております。ただその徴収が、農家の現金事情などからいたしまして、やや時期がおくれる組合が幾つかあるようでございますけれども、徴収はいたしております。
  54. 井上良二

    ○井上委員 会計検査院から国会に出ております報告書によりますと、共済組合の掛金の徴収が適切に行われている組合はほとんどないとあります。これは会計検査院から責任をもって国会に提出した本物の資料であります。この二三九べージの終りから二行目に「掛金の徴収が適切に行われている組合はほとんどなく、共済金の支払のない無被害の年度におていはその大部分が未収のまま放置され、被害が発生して共済金支払の行われるときに初めて未収繰越掛金その他未収金を差し引き徴収してその決済を行なっている状況で、」ということが報告されておる。あなたのただいまの答弁とは全く違うのであります。あなたはただいまの答弁に責任をお持ちになれますか。
  55. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいまの会計検査院からご指摘になりましたような組合が、検査院の検査の結果相当ありましたことは事実でございます。ただし私どもは、この組合の大部分が、そういうふうに換金未収のままに放置されているとは考えておりません。ただ先ほど申し上げましたように、掛金の徴収時期にやや遅れる組合がかなりあるということは事実のようでございます。
  56. 井上良二

    ○井上委員 こういうような状態のもとにおいて組合が運営されている上に、損啓査定をいたして再保険の支払い増を要求する資料を作り上げることは非常に楽であります。しかも政府は、この支払い増の要求に基いて、一般会計から絞り入れを要求するのであれます。そして各県の連合会を通して共済組合に支払いをいたすのでありますが、その支払いは適切に行われておりますか。
  57. 橘武夫

    ○橘説明員 共済金の支払いは、国から再保険金を連合会に支払いまして、連合会は保険金を組合に支払う。その連合会からさらに組合員に対して共済金を支払うというような建前になっておりまして、私どもの方では、その共済金が確実に農家に支払われるように、たびたび通牒を発し、指導して参っておるわけでございますけれども、その末端までの状況――これは県が監督いたしておるわけでございますけれども、私どもの調査いたしました範囲では、一応組合員に対して支払われているものが大部分である、大部合は組合対しまして完全に支払われているというふうに考えております。
  58. 井上良二

    ○井上委員 それでは伺います。ここに二十八年度の奈良県の十六ヵ村にわたります保険金支払いの実績を調べた資料がございます、この資料農林省から出ております。この資料によりますと、奈良県南葛城郡葛城村の共済組合、それから葛城郡の川東村以下十六カ村、これは政府から三百七十五万四千七百八十四円を水稲の保険金額として受け取っております。農家に何ぼ支払っているかと調べてみると、百二万五千五百二十五円しか払ってない。麦の場合は、五十四万五千七百二十五円保険金を受け取りながら、農家には一つも払っておらぬ。その隣の川東村においても、四千十九万二千七百四十九円受け取っておりながら、農家に払ったのは二千七十二万六千五百五十二円です。一々数字を読み上げることは煩雑でございますが、かくのごとくいずれも――この最後のトータルで申し上げますと、五千九百九十万一千五百七十九円十六ヵ村で保険金を受け取っておって、支払ったのは二千六百五十六万五千六百十四円、半分の金は払っていないのです。これはあなたの方から出た資料です。一つも勘定の合うのはありまへんのや。私どもの税金の中から――農林省の言いなりに応じて一般会計から特別会計へ繰り込んで、これが被害を受けた農家に完全に渡っているかと思ったら、渡っていない。そんなでたらめな繰り入れを要求してもらっても、ちょっと聞くわけにいきまへんわ。政務次官、この点どうお考えになりますか。
  59. 吉川久衛

    吉川政府委員 保険金の問題は、先ほどお話がありましたように、末端の共済組合が掛金と差し引いたような場合がそれに該当しているのではないかと私は推測するのでございますが、いずれにいたしましても、まことに遺憾しごくでございます、監督指導がまだどうも十分でないように私は思いますので、そういう点は、今後十分注意をしなければならないと思っております。
  60. 井上良二

    ○井上委員 これは二十八年度の決算報告に基くものでございますから、従って農林省といたしましては、昨年度の場合に考えなければなりませんが、その後依然としてこの問題は解決されていない。さような実情にありますのに、大蔵省は、こういうことを知らぬで一般会計から毎年繰り入れになっておりますか。大蔵省の責任は重大です。政務次官、どうお考えです。
  61. 原純夫

    ○原政府委員 農業共済保険につきまして非常に問題が多いということは、おっしゃる通りでございます。問題があることは承知いたしております。そうして何とかすっきりしたものにいたしたいと思っておりますか。思っておりますが、まあこういう制度がありますのを、そう思うからといって払うべき金を払わぬというわけにも参りませんので、毎年の払いはして参る。こういう制度の改変に当りましては、十分慎重に研究をし、また基礎的な事実も確実につかんだ上でいたさなければなりませんので、御案内の通り、この審議会ができていろいろ御研究もなさっておりますし、また農林省においても、いろいろと行政上の運営の改革とあわせて、制度の問題も御研究中でありますので、それらを十分回った上で処罰したいという気持でやっております。
  62. 井上良二

    ○井上委員 現在まで一般会計から補てんしました額は、三十四年度で十三億、二十五年度で十八億、二十七年度で七億、二十八年度で八十五億、二十九年度で六十七億、これは二十九年度まで百九十億、それも、本年度の二十八億を繰り入れてなおかつ赤字、不足は十億に達しておる状況でございます。かような大きな不足金を一般会計から繰り入れてきておって、その貴重な金がほとんうに被害を受けた農家に手渡されずに、どういうことか知らぬが、途中でこれがストックされたり、他に転用されたり、しかも二十八年度の会計検査院のこの会計上の支出についての報告は、主計局はごらんになりませんか。知らぬというのですか。
  63. 原純夫

    ○原政府委員 長年にわたって繰り入れが続いて、二十四年度以降で累計二一百十八億円の繰り入れをいたしております。よく承知いたしております。われわれといたしましては、これは保険計算における危険の見方が足りないか、あるいは運用上非常に多数にわたる農民を相手にする意味から、どうしてもこういうロスと申しますか、そういうものも出る、いずれにしましても、そういうことであるならば、やはり掛金を上げていかなければならぬのだろうということを一応考えております。  なお、二十八年度の検査報告において検査院から非常に手きびしい批難を受けておりますことはよく承知いたしております。その結論においては、検査院は、この制度について農民全体のためのものよりも、何か中間の階層にある機関で国の金がから回りしておるというふうな点をかなり嘆いておられるというあたりは、私は一々文句は覚えておりませんが、ちゃんと読んで承知いたしておりまするし、それゆえになおさら遺憾千万に思っております。
  64. 井上良二

    ○井上委員 昨年度産米の減収加算三十三億の行当り百四十円の問題について、そういう非常に政治的なものの考え方に対しての議論がございました。しかも、農業共済の支払いの実情や、掛金の徴収の実情等の内部に会計検査院からたびたび警告が発せられておるのに、少しも改まっておらないというのに、どういうわけで――その計数はいいかげんですか。計数をずいぶんやかましく肯うあなたの方が、そんなことはあまりやかましく言うな、これは社会保障制度の一つとして農村にやっているのだから、あんまりそこらまでこまかく言っていたら工合が悪いから、そこらにしておこうか、こういうことですか。それならあまり追及する必要はありません。
  65. 原純夫

    ○原政府委員 計数につきましていいかげんかと言われまして大へん意外な御質問なんでありますが、いいかげんにしておる覚えは全然ございません。農林省自体で十分査定をしておられますし、われわれもわれわれの及ぶ限りそれを明細にいたしております。特に二十八年の例の凶作の場合であったと記憶いたしておりまするが、農業共済の査定は非常にむずかしいものでありまするし、また、その実際の査定において数学がゆがめられるということがあってはいけないという考えから、われわれ大蔵本省から農林省にお願いして、実際の査定の場に立ち会わさしていただき、そして実際に査定がどう行われておるかという点を目の前で勉強しながら、子の中からいろいろ問題を学んだり、また農林省に御意見を申し上げたりというふうなことをしております。これは非常に異例なことであります。各省の行政で措置せられるいろいろな計数を、実際にその行政の行われるところに立ち会ってやるというようなことは、主計局としても一々そうやっておりましては、行政各省における仕事の一々に出て参らなければならぬということで、非常に異例なことになります。そういう異例なことまでやつ、農業保険の査定計数が確実に、しかも妥当に出ますようにということを努力いたしております。この一事を申し上げただけで、御疑念は晴らしていただけると思う次第でございまするが、一生懸命十分に――十分とは申せないかもしれないが、一生懸命にあらゆる努力をいたしております。
  66. 井上良二

    ○井上委員 農業共済保険制度につきましては、いろいろな欠陥が指摘されている。これらの欠陥を何とか是正して公明な制度に立て直そうということから、特に、当該の農林委員会におきましても専門に検討されておるそうでありますし、また政府自身においても、それぞれ必要な審議機関設けて審議しているようでございますから、私どももそれに大きな期待をかけているのだが、少くとも、一般国民から疑惑を持たれないようなやり方でやっていただきたいということを、特にこの際私は強く要望いたしておきますが、ただここで伺っておきたい点は、現在連合会の赤字は五十三億ほどあるようでございますが、これに対して政府は、一体どういう態度をとって臨もうといたしますか、いかなる対策を立てられておるか。さらに、農業共済基金に対する政府出資をもう少し追加するなり、あるいは農業協同組合ですか、あるいは共済連合会でずか、この方からの出資をもう少しふやすなりしまして、農業共済基金をもう少し確実強化したらどうかということを私は考えておりますが、この点に対する政務次官のお考えを伺いたい。  それからいま一点は、二十九年度分の支払いに充てる給付金額は三十八億三千八百万円になっているが、このうち二千二百万円を基金勘定から繰り入れて、残り三十八億一千六百万円が三十年度の財源の補てんとなることになっている。今回繰り入れられる分が二十八億でございますから、差引十億一千六百万円が残るわけでありますが、これは次の補正予算にでも計上するつもりですか、この十億は来年度予算までほうっておくつもりですか、どういうわけでこの十億をお残しになりましたか、この点を伺いたい。
  67. 橘武夫

    ○橘説明員 連合百会の赤字をどう処理するつもりかという御質問でございますけれども、連合会の件、につきましては、ただいま御質問のように、五十億ばかりの赤字が累積しておるのであります。そういう経理のもとにおきまして、連合会の運営を円滑にしていくために、御承知のように農業共済基金というものを設立いたしたわけでございますけれども、この基金の資本金自身が現在三十億円でございまして、これは必ずしも十分とはいえないと思います。私どもといたしましては、その連合会の赤字の問題は、さらにその赤字の出ます理由がはっきりいたしました上で、たとえば掛金料率を改正するとか、その他の方法によりまして、根本的な解決をはからなくてはならないと思いますけれども、それまでの当座の問題といたしましては、この赤字の問題を、たとえば政府から融資するというような方法解決する方法を研究いたしておるわけでございます。  なお、三十八億の問題ですが、三十八億の赤字に対して二十八億だけ補てんしておる、残りの十億円につきましては、まだ再保険金の決定が済まない府県が残っておりまして、それが未確定のために、一応はっきり数字の出たものにつきまして、今度赤字の繰り入れをお願いしたわけでございますが、それ以外の分につきましては、今後補正予算の機会があれば、その際、なければ明年度において、数字がはっきり闘まりました上で、さらにそれを繰り入れていきたいというふうに考えておるわけであります。
  68. 井上良二

    ○井上委員 その間の金利は一体どっちがお持ちになるか。政府が補てんする責任を持っておる以上、金利は当然政府が負担すべきである。そういうところを手当せずにほうっておくから、ますます赤字がふえていく。だから、金利は政府の方で考えるということが第一。それからその次に伺いたいですが、農業災害補償法の八十三条の四項にあります任意共済の問題であります。任意共済は建物共済を各地方の共済組合が扱っておりますが、この建物共済をめぐって、農協法の一部にこれが許されておるということから、農業協同組合の建物及び倉庫というようなものを対象にしておったのが、順次農家までこれを及ぼしたいということで、例の共済連を中心にして、この共済連合会の方と対立をしておるような形になっておるが、これは一体どう解決するつもりですか。われわれこの法律を国会に当時提案をいたしましたときの考え方といたしましては、一応共済保険は共済団体が全部一手にやった方が妥当ではないか。もし将来建物共済までやろうとすれば、将来は再保険制度を認めて、そうしてこれは長期資金と化するのでありまするから、この長期資金を活用して、農作物災害の保険金支払いの一時資金にこれを使うようにしたら、政府の方の金融をまたなくても非常にその間うまくいけるのじゃないか。こういう考え方から、建物共済に一つ保険を認めて、そうしてその資金を保険金支払いの一時資金に活用していくということにすれば双方ともいいことになりはせぬか、こういう考え方でわれわれは考えておるのでありますが、現在の政府はどうお考えになっていますか。どうしてその共済連と共済組合との対立を一体どう解消しようといたしますか、この点は政務次官から伺いたい。  最後に、さきにに私が質問いたしておきました政府みずから提出しております奈良の十六共済組合の収支決算の合ってない、使途不明の点はきわあて重要でございますので、本案は明後日採決をしようということを言っておりますから、ぜひ明日じゅうにその使途の不明な点を本委員会説明のできますように、御調査の上、もし資料として提出願えますならば、こういうふうになっておるということを提出を願いたい。  なお会計検査院から指摘されております徳島県の共済組合の問題、愛媛県の共済組合の問題、兵庫県の共済組合の問題、これらは一体どう処置しましたか。その結果もあわせて採決前までに本委員会に御報告願いたい。もし採決前に報告がない場合には、われわれ採決は延期せざるを得ないのであります。その点をあらかじめお含みの上御処置を願いたい。これについて御答弁を願いたい。
  69. 吉川久衛

    吉川政府委員 共済制度の問題につきましては、井上委員の方がすでに十分御存じのところでございまして、この制度の問題、特に任意共済の問題につきましては、井上委員のただいまのお話のような考え方もございますし、またそうでない立場をおとりになる方方もございますので、ただいま制度改正の協議会において、問題点としてこれを取り上げているわけ、でございます。解散前までありました協議会を継続することに農林省は態度をきめまして、ただいま委員の補充を行いましたので、近く再開をいたしまして、これらの問題について学識経験者、その道の関係の方々の意見等を徴しまして、すみやかに結論を得たい、かように考えております。資料につきましては、すみやかに整えましてお手元にお届けできるようにいたしますから、予算の方にはぜひ御協力をお願いいたします。
  70. 奧村又十郎

    ○奧村委員 時間がはなはだ経過いたしましたので、この上質疑をいたしますのは恐縮ですが、幸い農林政務次官大蔵政務次官食積庁長官国税庁長官主税局長などおられますので、特に十分ほど御質疑をお許し願いたいと思います。それは、ただいまわれわれの委員会で交付税及び譲与税配付金特別会会計、それから特殊物資納付金処理特別会計、こういう一連の特別会計法案によって、政府が一兆円の予算のワクを守るために、とりわけ財政法上の規定の抜け道を作るような感じを与える特別会計を幾つも作ろうとしております。さような抜け道的な感じを国民に与えては、将来の財政確立に非常に影響を及ぼすと思うので、今後における一般会計特別会計のけじめのつけ方について政府の意思を十分承わっておきたい。予算は今明日中に衆議院を通過する見込みでありますが、特別会計の法律は永久のものでありまして、われわれ委員会としては、この際において一般会計特別会計とのけじめをはっきりしておきたい、こういう御質問をいたしたいと思いますが、本日は時間が経過しておりますから、これはやめておきまして、ただこれらの問題に関連して、食管特別会計について一般会計とのけじめをいかにしてつけていかれるかという一点だけをこの際お尋ねしておきたいと思うのであります。と申しますのは、ことしの米価決定に際して、新聞紙その他で伝えられるところによりますと、民主党の方で米価を一万二百円にきめたい、それに対しては、食管特別会計に、減収加算の三十億の赤字のほかにも相当の赤字が出るから、その赤字を埋めるために、特にこの際三級清酒という新しい酒を一つ作り出す。それによる財源を直接食管特別会計へ入れ込んで、それで赤字を埋めよう。そうすれば一般会計にも直接響かないし、農民には米価を引上げて喜はれるし、大衆には安い酒が飲んでもらえる。一石三鳥というような案が考えられておるやに承わっております。ところがこれについては、食糧庁の方もまんざら相談にあずかっておられないようなふうではないので、大体食管特別会計に、米で作った酒の税金は入れても悪いことはなかろうというような考えのもとに、一般会計は全然通さずに食管へ三級消の税収を直接入れ込んで、それで赤字を埋めて、米価を一万二百円にきめる、こういう考え方、これは農林省側にも多少そういうことを考えておられる方もおありのように承わりますが、また別に政府決定したわけではありませんから、これについて私は、もしこれが実現するとすれば、これこそ一般会会計と特別会計とのけじめを根本からなくしてしまう、従って農林省におかれても責任のある方々は、そういうことを本気で考えておられるものとは思われぬ。ここでひとつお尋ねしておきたいのは、食管特別会計への繰り入れに対して、一般会計を通ぜずに、直接そういう税収を繰り入れる方法農林省はお考えになっておられるかどうか。また大蔵省としても、さようなことを、もしかりにわれわれ議員が考えたとしても、大蔵省はこの考え方に御賛成になるかどうか。両政務次官の御意見をこの際承わっておきたいと思います。
  71. 吉川久衛

    吉川政府委員 奥村さんの御質問にお答えいたします。ただいま民主党の中にあります米に関する特別委員会委員の中には、今お話のような考え方を持っている方があるやに聞いております。農林省の内部には、さような考え方をただいま持っておる者はないと思います。米価決定は緊急の問題でございますので、いろいろ検討はいたしておりますけれども、ただいまさようなことを農林省としては考えておりません。
  72. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 ただいまの食管会計との関係というよりも、一体特別会計というものをどう考えているかということでございます。これは奥村さん御承知のように、財政法十三条に、特定の資金で特定の事業を行うとか、特定の歳入をもって特定の歳出に充てるとか、こうした一応の制限を持っております。従いまして、一般的な財源をもって特別のものをまかなうということにつきましては、厳重に区別していかなければならぬと私ども考えております。それで、例にあげられました酒税と食管特別会計というような問題につきましては、内容については私どもまだ存じ上げておりませんが、もしそういうことで酒税の一部を食管特別会計に繰り入れるというような、直接歳入にするというようなことは、食糧管理特別会計法の方でも十分その目的も書いてございまするし、これはできないんじゃないか。またそういう一般財源をそうした特別の用途に充てるために、直接の歳入にするということは、一般会計特別会計と混淆を招くものでありまして、厳重に区別をして参りたいと考えております。
  73. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの両次官の御答弁で私は満足いたしました。われわれ委員会といたしましては、毎国会、特に政府から提案される食管会計に対する赤字の繰り入れ、これは全面的に賛成して御協力申し上げてきたわけであります。従って食管会計に対する赤字は、必ずこれは一般会計から繰り入れるべきものであって、一般会計を通さずに、抜け道を作って直接食管に入れるということは、今後ともしてはならない。そのように政務次官が御答弁なったのですから、これ以上重ねて申し上げませんが、それじゃつけ加えてお尋ねしますが、今年の米価問題は、はなはだ難航するものと思いますが、政府としては、食管のやりくりにおいて、食管の事業上の歳入は別として、それ以外の歳入としては、これは一般会計からの繰り入れ以外には私は見つからぬと思うのですが、政府はほかに何かお考えになっておられますか。
  74. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいまのところでは、米価がきまったところであらためて考えたいと思っておりますが、大体私どものただいまのところで考えられることは、大きな会計の中の運用によって何とかやっていきとたいと考えております。
  75. 川野芳滿

    ○川野委員 私も一点だけお尋ね申し上げてみたいと思います。私の質問の点は、あるいは希望意見になるかもしれませんが、どうぞ率直なる御答弁を願いたいと思います。ただいま奥村君の御質問の、赤字補てんのための酒造米を、一万二千円を一万四千円にして、二千円の財源で赤字補てんをやる、こういう案が、実は民主党の廣川委員長を中心として進められつつある、こういう話を承わっておったのでありますが、六月四日の新聞を見ますと、その会合に清井食糧庁長官も御列席になっておるというような記事が出ておりますところを見ますると、あるいは相当民主党内閣のもとに、政府委員と組んで話を進められつつあるのではなかろうか、こういうような疑義もございますので、従いまして、私はお尋ねしてみたいのであります。三十年度の米価を、ある程度農民のためによく決定していただくことは、私は決して不平を申すものじゃございません。しかしその財源を酒造米に転嫁する、こういうことになりますると、従いまして、それだけ酒価を値上げしなければならない、こういう結果に相なろうかと考えます。従いまして、言葉をかえて申しますると、そういう米価決定をして、その赤字補てんの財源を国民大衆に転嫁する、こういうことに相なって参るのであります。しかし民主党の案といたしましては、三級酒を作りまして、その三級酒分についてはある程度税金を引く。従いまして安い大衆酒が出るのであるから、従って国民大衆は喜ふじゃなかろうか、こういうような案に相なっておるようであります。しかし大衆酒ができますると、今度は現在の特級酒、一級酒、二級酒、あるいはしょうちゅう、これの売れゆきに非常な影響を来たすんではなかろうりか、こういうふうに考えてるのであります。二級酒並びにしょうちゅう、等も全部税金を引くという案でございますならば、これは問題外でございまするが、おそらくそういう案には相ならないだろうと私は信じている。と申しますことは、そういう酒まで税金を引きますと、財源捻出のための方途が実は財源不足という結果に相なるから、私は三級酒だけは税金を相当お下げになりますが、その他の酒税というものは据え置き、こういうことで案を進められるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。そういたしますると、三級酒は売れますが、その他の酒類は売れ行き不振になりまして、従って非常に財源不足を来たす。これはたばこでも例がございますが、ピースを値上げ値上げで値上げしましたところ、ピースは売れなくなって、安い「しんせい」に国民の嗜好が移って参りましたことは御承知通り。これらを考えますると、なるほど三級酒ができますると、その酒だけは税金が下りまして売れ行きがよいのでありますが、その他の売れ行きが悪いということになりますと、税収入が減ってくる、こういうことが考えられるのであります。私は、そういうことが必ず実現するという心配がございますので、そういう案ができない前に、民主党の方々、あるいは政府委員に忠告的の質問をいたしておるのであります。こういう事態が起るということを私は考えまするが、古川農林政務次官、藤枝政務次官はどういうふうにお考えになっておりまするか、お尋ねしておきたいと存じます。
  76. 吉川久衛

    吉川政府委員 奥村委員にお答えを申し上げた通りでございまして、党の中には、さような考え方を持っている方があるやに聞いておりますが、まだ政府といたしまして、農林省としては、さようなこととは別個に米価問題を今検討いたしております。御指摘のような問題等もそういう場合には起り得るかと思いますが、それは党の方で研究しているようでございまして、私の方はまださようなことは取り上げておりませんから、そのように御了承をお願いします。
  77. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 酒の方は私の方の管轄でございますが、ただいま御指摘のような点は、お言葉の通りでありますので、そういう問題の起ります際には、十分慎重な態度で考究いたしたいと考えております。  また先ほど奥村委員にもお答え申しげたように、酒税という一般的な財源を直接特別会評の歳入としてみるということについては、一般会計特別会計との混淆を来たすので、厳重に警戒をしなければならぬと考えておる次第であります。
  78. 川野芳滿

    ○川野委員 農林省は今考えておらない、こういうことでございますが、私が信ずるところによりますと、おそらく河野農林大臣は、ある程度この問題については関与されておるのじゃなかろうか、こういう、ふうに信じますがゆえに、どうか一つ吉川政務次官を通じて、河野農林大臣に御忠告願いたい。と申しますことは、この三級酒問題は、現在酒造界におきましては非常に大きな問題と相なっております。清酒業者と新式蒸留酒界との摩擦の一点は、この3級酒問題にあるわけであります。こういう大きな問題を今日投げかけられるといううとは、まことに平和を乱すものであるとも考えますがゆえに、どうか一つ河野農林大臣に、そういう無謀な計画をせられないように御諌言が願いたいと思います。
  79. 松原喜之次

    松原委員長 他に質疑もないようでありますから、ただいま議題といたしております四法律案に対する質疑は、これにて終了いたしました。討論採決は次会に譲ります。  本日はこの程度にとどめ、次会は明後九日午前十時より理事会を開き、委員会は午前十時半より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会