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1955-05-26 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 大平 正芳君 理事 奧村又十郎君    理事 横路 節雄君 理事 春日 一幸君       杉浦 武雄君    坊  秀男君       前田房之助君    森下 國雄君       山村新治郎君    山本 勝市君       淺香 忠雄君    小山 長規君       石村 英雄君    石山 權作君       横山 利秋君    井上 良二君       町村 金五君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十三日  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第六五号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)  労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六七号)  自動車損害賠償責任保険特別会計法案内閣  提出第七七号)  昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告  の期限等特例に関する法律案内閣提出第七  八号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号) 同月二十五日  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第八七号) 同月二十四日  オール・ウエーブラジオ聽取機に対する物品税  軽減に関する請願塚田十一郎紹介)(第九  一九号)  理容用タオル消毒器及び顔そり用湯沸し器具に  対する物品税撤廃に関する請願石村英雄君紹  介)(第九五三号)  揮発油税すえ置きに関する請願外二件(上林山  榮吉君紹介)(第九六五号)  紙に対する物品税撤廃に関する請願南條徳男  君紹介)(第九六六号)  石油関税復活反対に関する請願川野芳滿君  紹介)(第九六七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  地方道路税法案内閣提出第三一号)  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法  律案内閣提出第三三号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第三四号)  砂糖消費税法案内閣提出第三五号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五四号)  資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五五号)  日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資  の処理に関する法律案内閣提出第五八号)  たばこ専売法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五九号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第六五号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)  労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六七号)  自動車損害賠償責任保険特別会計法案内閣  提出第七七号)  昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告  の期限等特例に関する法律案内閣提出第七  八号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  公述人選定に関して御報告をいたします。明二十七日の公聴会公述人選定に関しましては、委員長に御一任を願っておりますが、委員長におきましては、理事会協議に基き、学識経験者として、全国知事会代表茨城県知事友末洋治君、日本トラック協会常務理事小野盛次君、石炭協会会長仲余所治君・石油精製懇話会理事長寺尾進君、興国人絹パルプ社長金井滋直君、日本証券業協会連合会会長小池厚之助君、東京銀行協会会長迫静二君、東京法人会連合会税制委員長中村重喜君、著述業高橋亀吉君、一般申込者のうちより、税理士桂田斐君日本鉄鋼連盟専務理事岡村武君、大日本水産会会長伊東猪六君、日本官公庁労働組合協議会税制部会委員長笹川運平君、以上の方々に公述人として御出席を願い、意見を承わることといたしましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 松原喜之次

    ○松原委員長 去る十九日当委員会審査を付託されました、資金運用部資金法の一部を改正する法律案資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案たばこ専売法等の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案の五法律案並びに去る二十三日付託となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案自動車損害賠償責任保険特別会計法案昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案日本専売公社法の一部を改正する法律案の六法律案、合せて十一法律案一括議題として、政府側より提案理由の説明を聴取いたします。藤枝政務次官
  4. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました資金運用部資金法の一部を改正する法律案外十法律案につきまして、その提案理由を説明いたします。  まず現在資金運用部資金法におきましては、五年以上の預託金はすべて年五分五厘の利子を付することになっておりますが、より長期の預託金に対しては、それに相応した適正な利回りを保障することが適当と考えられますので、五年以上七年未満のものは従来通り年五分五厘とし、新たに約定期間七年以上の段階を設け、年六分の利子を付するごとといたしました。  第二に、現在法律におきまして資金運用部預託金の契約上の預託期間は三月を下らないものと規定されており、各特別会計等におきまして、三月未満の短期の余裕金があっても資金運用部預託することができない等の事情がありますので、これらの特別会計等に対し、短期資金運用の道を開くため、最低約定期間を一月に引き下げ、一月以上三月未満のものについても預託を認めることとし、それに対し年二分の利子を付することといたしました。  なお、期限払い戻しの場合の利率は、現在預託されていた期間が三年以上のときは年四分五厘、三月未満のときは利子を付さないことになっておりますが、以上の改正に伴い、預託期間が五年以上のものについては年五分とするとともに、一月以上三月未満のときは年一分五厘とすることといたしました。  第三に、資金運用部審議会委員の数を増加したことであります。資金運用部審議会は、会長たる内閣総理大臣、副会長たる大蔵大臣及び郵政大臣の外十人以内の委員で組織されておりまして、委員のうち学識または経験のある者は三人以内となっておりますが、さらに広く民間有識者意見を聞くことが適当と考えられますので、学識経験者の数を二人増加し、五人以内とし、委員の総数を十二人以内といたしました。  次に資金運用部特別会計におきましては、本来毎会計年度決算上の剰余処理といたしまして、運用資産の価額の減損の償却または繰り越し損失の補てんに充てる部分を除いた残余の額の二分の一相当額積立金として積み立て、その残額当該年度一般会計歳入繰り入れることとなっておりますが、ただいまのところ、その暫定措置といたしまして、当分の間、その残余の額を、当該年度郵便貯金特別会評歳入不足を埋めるために、その不足額限度として、予算の定めるところにより、この会計から直接、同会計歳入繰り入れ残額一般会計繰り入れることといたしております。今回、郵便貯金特別会計繰り入れ措置は、従来と同様、これを継続することといたしますが、この際、この会計の運営を一そう円滑にするため、一般会計への繰り入れをとりやめ、積立金に充てるべき金額を確保して資金の増強をはかることが必要であると考えられますので、決算上の剰余は、すべてこれを積立金として積み立てることができるようにいたそうとするものであります。  以上の改正を行いますとともに、最近におけるこの会計の収支の状況にかんがみ、毎会計年度決算上の不足積立金をもって補足することができない場合、及び資金繰り越し損失決算上の剰余をもって埋めることができない場合における一般会計からの繰り入れ制度は、これを廃止することといたしたのであります。  次に、日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案提案理由を御説明いたします。  日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期産業資金の融通により、わが国経済の再建及び産業開発促進に努めて参っておりますことは御承知の通りでありまして、今後ともわが国経済基盤充実強化同行融資活動に期待するところはきわめて大きいものがあると思われます。  現在日本開発銀行は、電源開発促進法規定に基いて電源開発株式会社株式五十億円を保有いたしておるのでありますが、これは電源開発株式会社創立の当時、予算編成上の都合により、便宜日本開発銀行をして政府にかわって同社の株式を保有せしめたものでありまして、もともと金融機関たる日本開発銀行の本来の業務から申しまして変則的なものであり、早晩整理されるべきはずのものと予定されておったのであります。他方、一昨年来日本開発銀行農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫との間に、業務分野正常化をはかるため、債権の承継を行なったのでありますが、今般その最終処理として、日本開発銀行が両公庫に対して持っている貸付金を、政府産業投資特別会計に引き継いで、同特別会計からの両公庫に対する出資金とすることに予定いたしておりまして、別途国会において御審議願っております中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案において、所要規定を設けておるのであります。従いまして、この機会に、日本開発銀行が保有する電源開発株式会社株式をも産業投資特別会計に引き継ぐことにより、すっきりした形で本来の融資活動に専念させることが適当であると存じまして、この法律案提出した次第であります。  法律案内容といたしましては、日本開発銀行の保有する電源開発株式会社株式政府産業投資特別会計に帰属させ、同時に、日本開発銀行は、引き継いだ株式額面金額合計額と同額だけ減資することとし、また、電源開発促進法のうち、日本開発銀行電源開発株式会社株式を保有することができる旨の規定を削除することといたしております。次に、日本開発銀行法中の同行資本金の額を、さきに申し上げました両公庫に対する貸付金産業投資特別会計に引き継ぐ分等まで含めまして、現在の資本金二千四百六十二億二千万円を二千三百三十九億七千百万円に改めることといたしております。  次に、たばこ専売法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、たばこ専売法の一部改正及び製造たばこ定価決定または改定に関する法律の一部改正内容といたしております。  その概要を申し上げますと、まず、日本専売公社の売り渡す製造たばこ小売定価中には、道府県及び市町村たばこ消費税を含むごとを明らかにいたしました。また、たばこ小売人災害補償につきまして、酒税、物品税等の場合と均衡をはかるため、火災を災害に加える等、災害補償範囲を広げることとするほか、所要規定整備を行うことといたしました。  次に、製造たばこ定価決定または改定に関する法律の一部を改正いたしまして、日本専売公社製造たばこ価格表中、葉巻たばこアストリアの型式を改めることといたしました。  次に関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、申し上げます。  この法律案は、海外建設工事に使用するため輸出した特定の機械設備を本邦に持ち帰った場合等の関税免除について特例を設けるとともに、最近の経済状況等にかんがみ、従来関税免除した炭化水素油のうち、燃料として使用される一部のものに軽減税率による関税を課することとするほか、本年六月三十日で期限が切れる物品関税免除または軽減について、その期限を来年三月三十一日まで延長する等のため、関税定率法等の一部を改正しようとするものであります。  以下、改正の諸点について概略申し上げます。まず現行関税定率法におきましては、輸出した貨物を本邦に持ち帰った場合におきましては、輸出許可の日から二年以内に輸入される場合に限り関税免除することになっておりますが、海外建設工事等に使用する目的で輸出された機械設備等政令で定めるものにつきましては、その性質上二年を越えてから輸入される場合にも関税免除することができることとしようとするものであります。  次に、原油、重油及び粗油につきましては、従来暫定的に関税免除していたのでありますが、最近の経済状況等にかんがみこれらのうち消費面において石炭と競合する用途に使用されるものに課税して燃料の合理的な使用に資する等のため、製油原料として使用される原油、重油及び粗油については二分、重油のうちB、C重油については六分五厘の関税を課することとするとともに、これに伴う必要な徴収規定等を設けようとするものであります。  次に、重要機械類及び児童給食用乾燥脱脂ミルク並びに大豆、石油コークス等関税定率法の一部を改正する法律別表甲号に掲げる物品に対する関税免除及び建て染め染料中のスレン系染料等、同法の別表乙号に掲げる物品に対する関税軽減につきましては、その期限が本年六月三十日で切れることになりますので、諸般の事情を考慮して、これらに対する関税免除または軽減期限を来年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  その他、保税倉庫に置かれた外国貨物課税価格決定のための価格換算の際に適用する為替相場について、課税技術士所要改正を行うほか小麦を別表甲号に掲げる暫定免税品目に加えようとするものであります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  政府におきましては、今般地方財政の現況にかんがみ、地方財源充実確保をはかるための措置といたしまして、地方道路税を創設して、その収入額道路に関する費用に充てるために地方道路譲与税として都道府県等譲与することとするとともに、本年度日本専売公社の収益のうちから三十億円をさいて、たばこ専売特別地方配付金として地方交付税と同様の方法により地方に配付することとし、また、入場譲与税につきまして、その譲与時期及び譲与時期ごとに譲与すべき額を改めるほか、特に本年度に限り、入場税収入の一割相当額一般会計繰り入れることをとりやめ、その全額を地方譲与することとし、これらの措置に関しまして今国会地方道路税法案地方道路譲与税法案日本専売公社法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び入場譲与税法の一部を改正する法律案提案いたしているのでありますが、これに伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計法におきましても所要改正を行うことといたした次第であります。  以下、改正の要点について御説明いたしますと、まず第一に、地方道路譲与税に関する制度の創設及び昭和三十年度たばこ専売特別地方配付金に関する措置に伴いまして、地方道路税収入及び日本専売公社から三十億円を限り納付される金額をこの会計歳入とし、地方道路譲与税譲与令及びたばこ専売特別地方配付金をこの会計歳出として経理することとし、第二に本年度入場税収入の一割相当額一般会計への繰り入れ停止に伴い、本年度に限り、第五条の繰り入れに関する規定を適用しないこととし、第三に、譲与税譲与時期のうち、三月において譲与すべき金額中に同月に収納すべき税収入見込み額をも含めることとしたごとに伴い、この会計において支払い上現今に不足を生ずる場合も想定されますので、新たにこの会計に一時借入金または国庫余裕金の繰りかえ使用に関する制度を設けることといたしたのであります。  次に、糸価安達特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  今回の改正の第一点は、今国会において別途御審議をお願いいたしております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に伴うものであり、繭価維持のための補充措置として、政府は、最低価格による生糸買い入れによるのみでは繭の価格一定の額を下ることを防止することが困難であると認める場合において、農林大臣の指定する者が、農林大臣の承認を受け、一定の条件を遵守して、繭を一定期日まで保管したときは、その繭を糸価安定特別会計において買い入れ、その買い入れた繭を売り渡し、もしくは加工し、または生糸と交換することができることとするとともに、繭価維持のための助成の経費を支出することができることとする等の改正をしようとするものであります。  第二点は、従来この会計においては繭及び生糸価格の異常な変動を防止するために、三十億円余の資金をもって、最低価格による生糸買い入れ、または最高価格による生糸の売り渡しを行うこととしておりますが、繭及び生糸価格の安定のため、この会計が必要とする数量の繭及び生糸買い入れるには、その資金不足することが予想されますので、今回新たにこの会計において、支払い上現金に不足があるときば、三十億円を限度として一時借入金等をすることがで香ることとしようとするものであります。  なお、右の改正に伴い必要な規定整備を行おうとするものであります。  次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  今回政府は、別途けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案提出いたしまして、その御審議を願っているのでありますが、同法案は、このたび提出いたしました労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案と密接な関係のある法案でありますので、まず簡単に同法の骨子を申し上げますと、同法案けい肺を誘発するおそれのある粉塵作業、すなわち土石または鉱物の掘さく、破砕、裁断等を行います場所等における作業に従事する労働者に対して健康診断けい肺の症状の決定等を行いまして、けい肺にかかった者の早期発見に努め、その者の病勢の悪化の防止をはかるために作業の転換を勧告し、この者に対しては転換給付を行い、さらにけい肺及び外傷性骨髄障害にかかった者に対して療養の給付休業給付等を行い、もって労働者の生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的としたものであります。  しかして、右特別保護法案を実施いたします場合においては、同法による転換給付療養給付休業給付等に関する政府経理を明確にするため、その経理は、現行労働者災害補償保険特別会計において行なうこととするのが適当であると考えまして、同特別会計法について所要改正をするため、この法律案提出した次第であります。  次に、この改正法律案概要について申し上げますと、第一点は、現行法第一条においては、この特別会計目的として、労働者災害補償保険事業に関する経理をすることを規定していますが、これに今回のけい肺関係経理をもこの会計において行うことを追加した点であります。  第二点としては、現行法第三条においては、この会計歳入歳出内容規定しておりますが、これに、今回のけい肺関係にかかる歳入歳出となる事項を追加した点であります。  第三点は、さきに申し上げました特別保護法案の施行後において最初に行わるべきけい肺健康診断機能検査等に関する経費については、国が負担することになっていますが、これは経過的のものであるので、附則でこの会計歳出とすることを定めた点であります。  次に、自動車損害賠償責任保険特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回、政府は、自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者保護をはかり、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的として、別途、自動工損害賠償保障法案提出して御審議を願っているのでありますが、同法案によりますと、自動車所有者は、特定のものを除き、その自動車損害賠償責任について保険会社賠償責任保険契約を締結しなければならないことに定められており、政府は、右の保険者たる保険会社保険責任を再保険するとともに、自動車損害賠償責任保険範囲から除外された自動車事故被害者の救済の一方策として、自動車損害賠償保障事業をも行なうことになっているのでありまして、同法を実施することとなる場合には、政府自動車損害賠償責任保険事業及び自動車損害賠償保障事業経理を明確にするため、一般会計と区分して新たに自動車損害賠償責任保険特別会計を設けるととが適当と考え、との法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の概略について申し上げますと、この会計におきましては、保険勘定保障勘定及び業務勘定の三勘定に区分し、保険勘定におきましては、再保険料自動車損害賠償保障法第四十六条の規定による保険会社からの保険代位等による納付金借入金その他をもって歳入とし、再保険金、再保険料払い戻し金借入金償還金及びその利子、一時借入金利子保障勘定への繰入金その他の諸費をもって歳出とし、保障勘定におきましては、自動車損害賠償保障事業賦課金、他の会計からの繰入金保険勘定からの繰入金自動車損害賠償保障法第七十六条の規定による代位等による収入金、同法第七十九条の規定による過怠金借入金その他をもって歳入とし、同法第七十二条の規定による被害者等に対する支払金業務勘定への繰入金借入金償還金及び利子、一瞬借入金利子その他の諸費をもって歳出とし、業務勘定におきましては、一般会計からの繰入金保障勘定からの繰入金その他をもって歳入とし、自動車損害賠償責任保険事業及び自動車損害賠償保障事業業務の取扱いに関する諸費をもって歳出することとし、その他、この会計予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。  次に、昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案について、提案理由を説明いたします。  所得税改正につきましては、すでに所得税法の一部を改正する法律案提出して御審議を願っているところでありますが、同法律案におきましては、本年七月から改正を実施することとし、本年分の町得税予定納税につきましても、改正後の所得税法によることを予定しております。しかしながら、現行所得税法規定によれば、予定納税額の通知は、毎年六月十五日までに行なうこととし、これに応じて予定納税に関する各種の期限が定められておりますので、本法律案は、この予定納税額通知期限その他六月及び七月に行われる予定納税に関する各種の期限を変更して、減税後の所得税額により予定納税を行なうことができるようにしようとするものであります。  最後に日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は次の二点を骨子といたしているものであります。  第一は、本年度地方財政状況にかんがみまして、本年度に限り、たばこ専売特別地方配付金として、三十億円を日本専売公社政府交付税及び譲与税配付金特別会計に納付すべきことといたそうとするものであります。  第二は、たばこ専売法等において準用する国税犯則取締法に基く通告の処分により納付される金銭及び物品の取扱いは、従来国が日本専売公社の役職員に行わせていましたのを改めて、日本専売公社が国にかわってこれを行なうこととし、これに関する所要規定を設けることといたしております。  その他所要規定整備をはかることといたしました。  以上、資金運用部資金法の一部を改正する法律案外十法律案提案理由を説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  5. 松原喜之次

    ○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。      ————◇—————
  6. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外八税制改正法律案一括議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。
  7. 横山利秋

    ○横山委員 一般的な質問で恐縮でありますが、きのう自由党の組みかえ案が発表されまして、伝えられるところによりますと、すでに民主党においてはこれに対する態度をおきめになり、政府においても寄り寄り協議をいたしておる。そこまではよろしかったのでありますが——よくはないのですが、そこまでは別といたしましても、この問題については、将来補正予算を組むから一つ相談に乗ってくれ、こういうような話が新聞に伝えられておるのであります。今日税制を初めとして、予算が慎重に審議をされておりまするときに、すでに政府においては補正予算をやるというふうな判断をしておられるのであるかどうか、その点を審議に当ってお伺いをいたしたいと思います。
  8. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 自由党の方でいろいろ御検討のことは新聞紙上で拝見はいたしておりますが、私どもは、実はまだ存じ上げておりません。従ってこれについてどうこう申記上げる段階ではないと思います。  それからもう一つ、将来補正を組むから云々ということが出ているようだということでございますが、政府部内といたしまして、目下補正予算を組むという考えは持っておりません。
  9. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、新聞で伝えられた政府側の補正を組もう、それで一つこの予算、税制をのんでもらいたいということは誤まりであり、また民主党においても予算の補正も組みかえ案にも応じようとも応じないともいずれもきめたことはない、こうおっしやるわけですか。
  10. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 まだ党の方からどういう意思表示も受けておりませんので、先ほど申しましたように、政府といたしまして目下補正を組むというような考え方は持っておりませんことを重ねて申し上げます。
  11. 横山利秋

    ○横山委員 先般配付をされました「昭和二十八年度予算は適正に使われたか」この中の租税についていろいろと調べてみました。そういたしますと、私どもがかねてから言っておりますことが、会計検査院の調査裸における資料の中にもずいぶん出ておるわけであります。たとえば課税の公平は守られているか、税額の算定に誤まりはないか、徴収面で遺漏はないか、滞納額は累増している、滞納の原因は何か、正しい租税行政を実現するには、こういうような点について詳細にわたって会計検査院が調査をして、しかも具体的な実例をあげて、税の徴収の面について誤まりがあり、あるいはまた非常に複雑であって不十分な点が多々あるということを指摘しております。民主党は選挙の公約で、この複雑多岐血税制を根本的に一つ刷新をして簡素化をする、こういうふうな公約をあげられたのでありますが、この点について、今国会において提出をされる用意が一体あるのかどうか、公約の実現についてお伺いをしたいと思います。
  12. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 お答えいたします。税制全般が非常に複雑だ、それでなかなか一般の方々にわかりにくい、そのための趣旨徹底等も十分でないためにいろいろ間違いも起るというようなことにつきましては、私どもも十分考えなければならぬと思います。いろいろ原因はございますけれども、現在の税制がだんだん複雑になりましたことは、必ずしも税制の本来の形であるとばかりも言い切れないところがあるかと存じます。そういった問題につきましては、今後税制調査会というようなものにおきまして、広く一般の学識経験者その他を入れまして御意見を十分に伺いまして、改むべきところを改めて参りたいというふうに考えております。
  13. 横山利秋

    ○横山委員 先般も、税制調査会を設けたいということについては、大蔵大臣からの話もございました。今回の税制改革に当って、どういうわけでそれを設けて民主的な判断をしなかったかということと、一体設けられるならばいつから設けられるのか、話ばかりでなくて、その具体的な実行の期日、方法についての構想を少し承わりたいと思うのです。
  14. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 今回の予算は、御承知のように総選挙後至急に組んで、なるべく暫定予算期間を短かくいたしたいというような関係もありまして、広く一般に十分な御検討を願って税制についても改正をするといういとまがなかったために、しばしば申し上げておるように、当面低額所得者の減税を中心にいたしました一応の改正提案いたしたような次第でございます。従いまして、今後いつからやるかと申しますれば、大体は来年度の税制というものを予定いたしまして、十分に審議して参りたいというふうに考えております。
  15. 横山利秋

    ○横山委員 いつからやるかということをもう一度言って下さい。いつからその仕事を始めるのか。
  16. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 まだその確定いたしました時期を申し上げる段階ではございませんが、私どもの常識的なお答えになりますが、今次の特別国会でも終了いたしましたら早急に取りかかりたいというふうに考えております。
  17. 横山利秋

    ○横山委員 同じく税の徴収について、先ほども触れました調査課のプリントを見ても、いろいろな点が痛感されるわけです。税のあり方について、無理とむらとむだ、との三つのむという表現ができるのでありますが、こういうような無理やむらやむだのある徴収が行われておる。税務に誤まりが多い。徴収の方法並びに実績に誤まりが多い。税務署間においていろいろとそのあり方について相違がある。また脱税とか間違いとかいうものは、逆にこの中から拾ってみますと、勤労所得者にはほとんどない。全く正確に取られておる。また一面、この中で税務職員の努力ということがうたわれておる。こういうような点を考えますときに、具体的な実例をあげて少しお伺いしたいのですが、本年の春、日本一の徴税成績を上げたといわれます水沢税務署のこの問題であります。お聞きになっておるかどうか知りませんが、この水沢税務署においては、徴収成績が日本一であって、あなたの方からも話があったと思うのですが、この実情というものははなはだしくひどいものであったと思う。私の方へ参っております各種の資料を検討いたしてみますると、まず第一に、その徴収成績一〇〇%となった日時が故意に間違われて、二十六日というのを二十日にして報告が行われ、そうして徴収目標額から逆算をして割当がされておる。またこの目標を達成せしめるために、夜中の十二時まで全税務署員が連日のごとく残ってこの仕事に当ったということでありますし、そのために二人の人が結核で倒れた。そうしてその結核で倒れた人もこれを督励して出勤させた。そうしてついに病気になった人に対しては、署長は、お前は働かずに給料をもうけておるんだ、こういう暴言をも吐いたというのであります。一体このような徴収の事態に対して、あなた方の方としては承知しておられるのであるかどうか、またそれに対してどういうふうな措置が行われておるのか、この点についてお伺いしたいのです。
  18. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 徴税の具体的血問題についてお尋ねでございますので、私からお答えしたいと思いますが、この税務行政は非常に問題が多いということにつきましては、もう申し上げる必要もないくらい御承知かと思うのでございますが、一般的に申し上げますと、何と申しましても、所得自体の的確な調査というととが実は非常にむずかしい問題でありまして、納税者の数もふえている、会社の数もふえているというようなことで、いかにしてこれを民主に的確にやっていくかということは、非常に困難な、しかも重大な問題でございまして、私どもそういう点につきまして、どうして納税者の納得を得て、しかも能率的にやることがで登るかということを鋭意工夫いたしまして、いろいろなことをいたしておるわけなのであります。それにいたしましても、何しろ数多いことでございますし、あるいはまだ私どもの勉強も不十分な点がございまして、会計検査院から指摘されるような事項も相当ございますのは御指摘の通りでございますが、これは私いろいろな方法で努力いたしまして、順次そういうものを少くするように努めたいということで勉強いたしておるわけでございます。それから、なお、この税務の方針全体につきましては、簡単なパンフレット等も作りまして趣旨の徹底をはかっておりますので、後日これは御参考までにお配りいたしたいと思います。  それから今水沢税務署の事件につきまして、これは非常に労働強化をやって成績を上げているんじゃないか、こういう趣旨のお尋ねかと思いますが、今お尋ねの中で目標額云々のお言葉がございましたが、これは全然そういうことはございません。そういう情報がどこからか入っているとしますれば、それは誤報だと思います。事実は、もし必要でございますれば、一緒によく御調査願っても差しつかえないと存じております。目標額、割当といったようなことは一切やっておりません。税金は、税法をじかに納税者の個々の事情に照らし合せて、法律の命ずるところに従って正しい徴収をするということを一番の眼目にいたしておるわけであります。上から何か目標がましいものを押しつけて鞭撻するといったようなことは、やっていないということを固く申し上げておきます。それから水沢税務署につきまして御指摘がございましたが、これは二年ほど前に、非常に成績がよかったので表彰したことがございます。しかしこの表彰の問題につきましては、いろいろ部内でも、あるいは部外でも、そのために非常に無理を来たすという説もございまして、まあ表彰というようなことをやるのは必ずしも適当ではなかろうというので、昨年から税務署の表彰は取りやめております。しかしその後私どもの耳に入ったところによりましても、水沢税務署は何とかしていい成績を続けたいというので、税務署全体が相当の努力をしていることは、これは私どももよく伺って承知いたしております。そのこと自体は私はいいことだと思う。ただ努力の方向が果して正しい方向で努力しているかどうか、ここに問題がございまして、そういう点につきましては、私ども極力上の方針を定めまして、それに従って正しい努力をするように努めさせておるのでございます、なお今御指摘の二人ほどが結核になったのはやはりどうも事典でございまして、私もその職員に対しましては、まことに気の毒だと思っております。できる限りの善後措置はいたすつもりでおる次第でございます。税務署全体の環境をよくすると申しますか、職場をできるだけ明朗にして、できるだけお互いに愉快な気持で、しかも能率よく仕事をやるようにという趣旨で、最近はいろいろな指導を加えておるわけございます。そういうことにつきましても、今後一そう努めたいと思っておる次第でございます。
  19. 横山利秋

    ○横山委員 はなはだすなおな御答弁でけっこうでございますが、形の上で表彰制度をやめましても、実質的にそういう考え方がもし残ってでもおりますると同じことになる。まあ私は、一番特異な例として水沢税務署をあげましたが、大なり小なり努力という形がいろいろな方向をとって、水沢税務署事件と同じような事件が全国にあるわけであります。ことに税務署員の肺病の罹病率、この率につきましては、各共済組合の会計の実情を調べてみましても、大蔵省関係の出先が赤字になっておるように、そういう点から見てもわかることであろうと思うのであります。一割くらいでありましょう。あなたの方が詳しいと思うのでありますが、一割くらいは税務署員の肺病があります。これほど大きい数字というものは各省にそうあるものではございません。従いまして、これは昨年でありましたか、記録によりますと、当委員会において各委員の申し合せによって、あまりにも少い人数で、そうして言うなれば税務署の人たちのしりたたきが行われておる、こういうふうに表現をしておるわけであります。こういう方法でやられる限りにおいては、どうしても、片や重箱のすみっこを突っつく徴税が行われる、片や病気で倒れる、片や国民一般に対して非常に不親切な徴税が行われる、こういうような状況になって参ると思うのであります。今後とも特にこれらの点については御注意を願わなければならぬと思います。  そこでただいまの水沢税務署でありますが、お調べになったということでありますが、こういうふうな人権をじゅうりんしたおそれのある税務署長に対して、いかなる態度をおとりになったか、それからその病気で倒れた署員に対してどういう援護処置をとられたか。これは明らかに労働強化によって倒れたでございますから、公務災害補償措置をとることが当然であると思うのでありますが、いかなる御処置をおとりになりましたかお伺いいたします。
  20. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税務署長に対しましては、管理者としてどういう点を最も注意してやるべきかということにつきましても、実は最近中央でも講習会等も開きまして、いろいろな方法で、戦後の新しい、いい管理者はどうあるべきかといったようなことをもいろいろ勉強さしております。水沢署の署長に対しましても、局からいろいろ指導しておるようでございますが、中には、最近の常識から見まして、少し行き過ぎたことをやっておる点もなきにしもあらずと思います。そういう点につきましては、しかるべく注意をいたしまして、善導するようにしたいという考え方をとっております。しかし決して悪意でやった、あるいは署員いじめのためのいじめをやるというような点は、今までの調査のところでございませんし、私はさような善導をいたしますれば、その辺はよくなるのではないと考えておるわけであります。  それから職員に対しては、先ほど連日連夜というお話がございましたが、これは調べましたら、非常に忙しい時期に、いろいろ部内で相談した結果出張さしたらしい、これは事実のようでございます。その結果だけでもなかったろうと思うのですが、おそらく平素からのこともございまして、病状が悪化したということにも若干関係があるのじゃないかと思っております。それを公務災害とまで見るか見ないかということは、病気の性質上松かなかむずかしい問題でございまして、果してそこに該当するかどうか、目下事実をいろいろな報告等で調査いたしております。今までは、結核で倒れても公務災害で見た例があまりないようであります。しかし例がなくとも、その辺の関係はよく調査をいたしまして、実際に合うような措置をとるように考えて参りたい。現在のところまだ調査中でございまして、いまだ的確な結果を出していないので、御了承願いたいと思います。
  21. 横山利秋

    ○横山委員 先ほどからるると申しておりますように、この問題の一般的な原因は、今日の定員の少い中で、しかも非常に周密は、めんどうな仕事をやらなければいかぬ、そういう労働強化というものが一般的な根底になっておるのでございますから、この二人の税務署員に対しても、一つそういう考えで、親心で措置をしていただきたい、この点特に要望をしておきたいと思います。  あわせて職員のことで、こまかいことで恐縮でありますが、私先般来ずっと税務署を回って、どういうふうな税金の徴収が行われておるか、職員がどういうふうに考えておるかという点を調べておりましたら、一様に申しておりました一つの点は、昇給の問題であります。四月の昇給がまだ行われていない。八月の昇給がまだ全然見当もついていない。聞くところによりますと、定員定額制というものがしかれて、今まで普通に昇給していたものが、昇給資金が大削減されてひどいことになり、べース・アップはもちろんのことであるけれども、昇給はストップ状態になってきている。こういって税務職員はけんけんごうごうとしているわけであります。これは人事院規則にあることでありまして、当然これをなさなければならぬことであります。この点はどういうふうになっておりますか。
  22. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税務職員のためにいろいろ御親切な御注意をいただきまして、まことに感謝にたえないと思います。先ほど出ました結核の問題を、ちょっと補足して御説明申し上げておきます。これは御指摘の通り、今いろいろ調べますと、各官庁の中で税務職員と労働基準関係でございますか、これが一番罹病率が高い。私どもいろいろ原因を調査し、対策を立てておるのであります。行政管理庁も先般やってきまして、いろいろ注目いたして参ったようでありますが、第一は仕事の性質と忙しいということ。それからもう一つは、年令の若い結核になりやすい職員が比較的多いということ。それからもう一つは、これは率直に申し上げまして、健康管理をここ二、三年私ども非常にやかましく言いまして、健康診断その他は相当徹底して受けるようにいたしております。行政管理庁は、その点は非常にいいことであるし、またその結果多いんじゃないかということを言っておりました。そういう点で、病気を早く発見しまして、早く対策を講ずるということにこの一、二年非常に力を尽しておりますので、そういう関係もあることかと思いますが、いずれにしろ、こういう病気が多いのは、まことに私ども職員一同を率いておるということにおきましても、遺憾千万な話でございまして、一刻も早くそういう状態から抜け切れるようにということで、いろいろ努力いたしております。幸いにいたしまして、昨年あたりから診療所の施設の拡充、それから若干の結核病棟——これも実は一般会計予算の中で出ることでございますので、特別会計に比べますと非常に少いものでございますが、漸次そういう施設の拡充もはかりまして、こういう点につきましても、で承るだけの対策を立てたいと思っておる次第でございます。  それから今昇給の問題につきましてお話がありましたが、これは、定期昇給はもちろんいたすのであります。ただ予算の節約その他の関係もございまして、先般人事院の規則も改正されまして、比較的長く欠勤したような職員その他の者につきましては、昇給を遺憾ながらさせることができないのが若干出てくると思います。しかし大部分の職員につきましては、もちろん普通の昇給はできると思っております。予算その他の関係がはっきりし次第、私どもも必要な昇給は実行に移す考えで、いろいろ準備いたしておるわけであります。
  23. 横山利秋

    ○横山委員 あまりくどくど申し上げませんけれども、人が減って徴収の方法がますます細密になっていくときに、平年の昇給の実績よりもこれを落すというようなことは、これは理屈に全く合わないのでありまして、また何か話を聞きますと、あなた方は、昨年税務職員に対して、結核が多くなったときに厚生病院を建てる。こう言ってお約束をなさったそうであります。これが今あなたのお話のように、診療病棟ですか、そういうもので話を済ましてしまうということは、これはやはり責任を負ってもらわなければいかぬ。ほんとうに税務職員にまじめに誠実に明るさをもって働いてもらうためには、約束通り病院を建てるなり、普通の昇給は普通の通りにやっていく。こういうような方法を国税庁としてもお立てになってその予算を確保しなければ、どうして一体税務職員に一生懸命やってくれということができるでありましょうか。この点は十分に一つ御反省をなさって、その方向にやっていただきたいと強く要望いたしておきます。  それから主税局長に毎々のことで恐縮でございますが、主税局長は、参議院の建設委員会で、建設省の道路局長が本年度の揮発油消費量は幾らだと公けに言っておられることを聞いておるとしますならば、何百万キロリットルだとお考えになっておりますか。
  24. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 非常にあれでありますが、まだ道路局長がどういうように害われたか私聞いておりません。
  25. 横山利秋

    ○横山委員 それではさらにお伺いしますが、運輸省が、本年度自動車用だけの揮発油需要量が幾らになっておるかということで、書面を出しましたが、その数量を御記憶でございましょうか。
  26. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 運輸省が本年度の揮発油の消費量として、自動車の分二百四十七万キロリットル、それから防衛庁の関係で約五万キロリットル、合せて二百五十二万キロリットルを要求しているということは聞いております。
  27. 横山利秋

    ○横山委員 本年度の上半期の揮発油の外貨割当は幾らになっておりますか。
  28. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 外貨割当は、上半期の分におきましては、百二十六万キロリットルを予定しているということは聞いております。
  29. 横山利秋

    ○横山委員 昨年度揮発油税は、当初予算と実績とを比べてどのくらいふえておりますか。
  30. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 こまかい数字ですが、約五十億ちょっと揮発油税予算よりふえています。ただ一言つけ加えさせていただきますが、昨年度においては、従来の揮発油税の徴収猶予の期間は三カ月でありましたが、当委員会でも、砂糖消費税におきましていろいろ議論がありまして、長過ぎはせぬかということで検討しまして、砂糖消費税については一カ月短縮、揮発油税については半カ月短縮いたしました。従って昨年度税収入の中には——時期的なずれがありますが、通常の年ですと十二カ月分入るのですが、昨年度においては十二カ月半入っております。その半カ月の分は約十二億、それが先ほど申し上げた数字の中に含まれているということだけを申し上げておきます。
  31. 横山利秋

    ○横山委員 二百五十万キロリットルというのがあなたの方の本年度の消費量ですが、それに対して建設省では、国会において二百六十万という数字を使っております。通産省では二百七十万を予想しておると言っておる。省では二百四十七万に五万加えて二百五十二万と言っておられましたけれども、私の考えたところでは、自動車だけで二百四十万という数字を見ておる。ところが今おっしゃった外貨割当を聞いたときに、上半期が百二十六万だとすれば、平年の例で、下半期はふえることは必定である、自動車が三割ふえるだろう、あるいはまた航空機がふえるだろう、兵隊がふえるだろう。こういうことを考えてみますと、大蔵省が言っておる二百五十万キロリットルという数字は、片や政府部内においても、公けの場所において、内部における書面において、全くまちまちの数字であります。これほどべらぼうな、ばかな話はありません、インチキきわまるというのがこの数字であります。政府部内が二百五十万といっておるならともかく、あすこでは二百五十万といい、ここでは二百六十万といい、書面の中では二百七十万という数字が横行しておるのです。こういう中で大蔵省が、税を取るには二百五十万という数字が値上げをするためには適当である。こういう意味で二百五十万という数字をとっているとしか思われません。まことにけしからぬことであります。いわんや昨年は、あなた自身の証言をもってしても、年度当初の予算よりもなんと五十三億自然増収があるのです。十二カ月半でかりに割りましても、全くこれは巨大なる数字であります。昨年もあなたは、自然増収はないというたんかを切られたものでありますが、その舌の根のかわかないうちに五十三億の自然増収があって、そうして本年また、いや、これは適正な数字でありますと言っても、国民は納得できません。承知をいたしますまい。どうしてもこれは、もっと政府部内の意見も統一されなければなりません。またほんとうに本年度の揮発油消費量がどのくらいであるかということを納得をする数字を率直に出して、これでもやはり値上げをしなければいかぬ、こういうことであるならば、これはまたわれわれとしては、道路をよくするという建前からも考えてみましょう。しかしあなたの今の数字を考えてみましても、この間言ったように、どんなに少く見積っても二百四十万以上の分の自然増収というものがここに隠されておるということは、今や明白であります。こういう点、大蔵省は、揮発油税については全く不親切であるばかりでなく、国民をだますものであると私は言わざるを得ないのです。この点について政府の統一した見解をお伺いしたいのです。主税局長でなくして、政務次官に一つお伺いしたいのであります。主税局長じゃ、何べん言っても二百五十万というよりあなたは能がないような話ですから……。
  32. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 私の説明が十分でないので、非常にいろいろ誤解もいただいているのでございますが、われわれの方でもって課税の歳入の見積りの基礎にしております数字といいますのは、これは一応昭和三十年度歳入として入ってくるものの数字であるということを、まずもって一応御了承願いたいと思います。従いまして揮発油税につきましては、二カ月半の徴収猶予がございますから、従いまして、それが消費量が横ばいの時期でございますれば、別に問題はございませんが、昨年と比べまして、本年相当ふえるという情勢にあります時期におきまして、われわれの方の課税の方へ入って参ります数字は、それよりも相当前になるといいますか、従いまして、運輸省なり通産省がとっておる時期とわれわれの方でとる時期との間には、二カ月半といいますか、徴収猶予の期間が相当ございますので、その期間のずれがあるということをまず第一に御了承願いたいと思います。これがやはり相当の額になりまして、そこでやはり二百五十万と二百六十八万といったような問題につきましても、一応の開きが出てくるわけであります。それから、全体としてはまだ決定に至っていないわけでございますが、通産省でもって一応二百六十八万という数字を出しておりますのをわれわれがしさいに見て参りますと、その中には、昨年から本年への繰り越しの量と、それから本年から明年度への繰り越しの量との間に、約五万キロリッター明年へ繰り越す分が減っております。これはどういうことかといいますと、通産省ともいろいろ話し合ってみたのでございますが、すでにわれわれの方の目から見れば、課税済みであって、昨年度の税収へもう入ってきてしまっているもの、それが一応市場にあって、通産省の方の目から見ますれば一応使用の対象になり得るもの、こういうものが一応五万キロリッターあるわけでございます。それからもう一つ、さらにしさいに見て参りますと、われわれの方で二百五十万キロリッターを一応ベースにしまして二百三十五万キロリッターを計算しました場合におきまして、非課税の航空機用といったようなものを五万キロリッター見ているということを申し上げましたが、通産省の方では、この分についてやはり五万キロリッターよりも相当多い数字を見ているようでございます。そういったようなことを全部整理して参りますと、われわれの方の二百五十万キロリッターの数字が別に特に過小に見積りになっているというふうには思われないのでございまして、先日の御答弁は、その辺の詳しいことを申し上げませんで、非常に十分でなかったと思いますが、一応そういう問題がありますことを御了承願いたいと思っております。
  33. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 計算のとり方は、ただいま主税局長から申し上げたようなことであります。ただそういう点で何かいかにも一種の隠し財源でもお前たち持っているのではないかという政府部内に対するいろいろなお疑いもあるようでございますが、その点は、運輸省あるいは通産省等の需要者側と申しますか、そういう方面とも十分に打ち合せをして、はっきりいたしたいと思います。ただその点、今主税局長が申し上げましたように、税として取る場合と年間の所要量としての場合とのいろいろのずれのありますことだけは、一つ御了承いただきたいというふうに考える次第でございます。
  34. 横山利秋

    ○横山委員 あまり話がこまかくなっても恐縮でありますけれども、通産省の本年度と明年度との繰り越しの差額が五万キロリッターということは、通産省自体も私は政策があると思うのです。こまかいことを申し上げるよりも、全体的に申し上げてみましょう。この揮発油税に対しては、政務次官も御存じだと思うのですが、二十五年には九億、二十六年には十億、二十七年には十七億、二十八年には十八億、二十九年には何と五十億になんなんとする収入増がある。これを年度当初の予算と比べますと、さらに各年度における収入増というものはふえていくわけです。従ってこれに関係をいたします業者、あるいは労働者、あるいはこれに興味を持っておりますすべての人々に、毎年々々とにかく揮発油税については隠し財源があるということは、定説になってしまっている。従って、ことしあなたの言われる二百五十億という数字は、去年だって二百五十億じゃないか。かりにこれは十二カ月半だとしてそれを割ってみても、この増加量というものは、今日の自動車の増加、あるいは諸般の年末年始の輸送状況、あるいは航空機、あるいは自衛隊というものを考えてみますときに、一体これがどうしてかくも過小評価されるかということは、もうすべてが疑いを持っているところです。すでに朝日新聞をごらんになったと思いますが、この論争は、すでに政府が負けたと世論が判定をつけているのです。従ってぜひともこの際は、あなたの方としてはお考えを願わなければならぬことだと私たちは考えておるわけです。そこで政務次官にお伺いしますけれども、この揮発油税を上げるしわ寄せは、業者が企業内において負担をするというふうに想像されて、またそういうように指導されようとするのか。それとも運賃を上げるという結果になることを想像されておるのか、こういう点をお伺いいたします。
  35. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 先般資料を御配付申し上げたと思いますが、精製段階、あるいは販売段階で吸収しないといたしまして、最終段階において一・一%、あるいは〇・七%の負担増という程度でありますので、その程度のことは、最終段階においても吸収していただけるのじゃないかというふうに私どもは考えております。しかし販売の実態でございますから、あるいは精製段階、あるいは販売段階で吸収されることがあるかもしれませんが、それが全然ないといたしましても、最後のところが一・一%、あるいは〇・七%という程度であれば・何とかごしんぼういただけるのじゃないかというふうに私どもは考えておる次第であります。
  36. 横山利秋

    ○横山委員 この間の資料も詳細に検討してみました。ところがあの資料の基礎となりましたものは、比較的中以上の業界を対象にとられておるようであります。ほんとうに小人数でやっておる業者が対象になっていない。食うや食わずで、つぶれかかっておるところで調査なすったものでないことは明白であります。ところが、実はそういうようなところの方が今日多いのであります。御存じでありましょうが、運賃の指数を調べてみますと、バスもトラックもハイヤーも、二十六年から四年間ほとんど変りありません。それで、車両価格は、二十七年からだんだん上っておるわけです。物価指数も、御存じのようにどんどん上っておるわけです。私が毎日車に乗りますときに、運転手さんに、あなたの給料は去年と今年とどう変ったかということを聞くと、大体一万七、八千円から今日二万円くらいだ、東京の運転手さんですが、そう言っておるわけです。あなた方は、運賃には影響しないということを想像しておると言うのだけれども、それがとりもなおさず企業の経費をここで収奪する。企業の経費だけならいいけれども、働く人々の労働条件に苛酷な影響を来たしておる。これをさらに一歩追及して、小さい業者の存続をここで打ち切ろうとするのか、そういう野心でもあるのかどうか、こういう点についてどうお考えになるのか、それを聞きたいのです。
  37. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 特にトラック輸送等について中小業者が多くて、一種の運賃競争と申しますかの激しいことは御指摘の通りであります。従って、たといここで〇・七%というようなものでも、それを運賃にそのまま乗せることができれば、今度は輸送を委託する方の負担にはなりますが、業者には別殿支障はないのです。けれども、そういうことが、現在非常に激しい運賃競争をやっておるようなところではなかなかむずかしいということは、御指摘の通り考えられると思います。ただ私どもといたしましては、その程度の負担は、あるいは道路の改善による他の消耗の減額等によってカバーできるのではないかというふうに考えておる次第でありまして、別段これを上げることによってトラックの中小業者を圧迫し、あるいは廃業にまで持っていこうというような、そうした考え方を持っているのでないことだけは御了解をいただきたいと思うのであります。
  38. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官は御存じでありましょうが、そうおっしゃっても、結果としてはそうなるのです。この揮発油税は、現在でも消費者価格の六割以上なのに、今度二千円を上げますと八・七割になる。そんな税金が一体ほかにありましようか。道路負担としての揮発油税に対して、かくもたくさんの税金をかける、こういうものがほかにあるでありましょうか。電気、ガスだって一割にしかすぎません。奢侈品を対象の物品税だって最高五割でしょう。貴金属だって二割でしょう。それにもかかわらず、こういうふうなべらぼうな税金を八・七割までかけようとする。そうして中小企業は何もつぶれはせぬ、こうお考えならば、まことにこれは奇怪千万なお考えだといわなければならぬ。いわんや今度、きょう御提案になりました自動車損害賠償保険の負担金、これがやっぱり業者にかかる。労働者の負担になるかどうか聞いておりませんけれども、これがかかってくる。さらに今度政府の中で計画中の、有料道路の通行料金もこれに加わっていくでしょう。考えてみますと、揮発油税物品税自動車税、道路損傷の負担金、労力、車両の提供、地方道路税、石油類の輸入関税自動車損害保険、有料道路、一体どこまでかけていくつもりですか。いいかげんにおやめになったらどうですか。これは取りやすいということがこれを上げる一番の原因だろうと思うのでありますが、取りやすいから取るということであるならば、負担の均衡を破ることはなはだしいといわなければならぬ。この点についての御見解はいかがですか。
  39. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 数字の点だけ先に申し上げておきたいと思います。ただいま八割何分とおっしゃいましたが、私どもの調査によれば、現状におきまして大体五割二分に当っておりまして、今度二千円——これはもちろん道路税、揮発油税、込めての話ですが、今度二千円上ることによりまして六五%になるという数字になっております。  それから、こんなに高い税率がほかにあるかというお話でございますが、これは比較するのはいかがかと思いますが、ただ事実だけとして一応申し上げますれば、確かに物品税などはお話の通りでございますが、酒の税金、あるいはたばこの税金、これははるかにこれより高いものである。これはあらためて申し上げる必要もないと思います。それじゃ揮発油税を酒やたばこに比較していいのかということになりますが、そういう意味ではございませんで、ただ税率がほかにあるかという点についてだけ申し上げたわけであります。  それじゃ揮発油税について何でそんなに高い税率が考えられるかという点、これは揮発油税についての特殊の問題として、一応私の考えていることを申し上げることをお許し願えますれば、これはよその国の事例を見て参りましても、揮発油に相当高い税率の課税をしているようです。別に外国の事例を引き出して、それがあるからこれでいいという意味で申し上げるのではございませんが、たとえばイギリスの場合におきましては十六割三分、フランスにおいては十二割五分、ドイツにおきましては二十一割、イタリアでは二十五割、こんなふうな税率に当っております。これはどういうわけだろうという点が議論になるわけでございますが、私は、やはり揮発油を使っている車と、それから道路というものが一応の連繋があるがゆえに、よその国でもこういう事例になり、それからわが国におきましても、こういった問題が出てくるのじゃないかというふうに考えております。御承知のように、現状におきましては、道路整備五カ年計画の法律もございまして、一応揮発油税で上ってくる税収はそれに使わなければならぬ。結局道路の問題とそれが結びつきまして、道路を車がこわす、これを整備しなければならぬ、そのためには相当大きなまとまった金が要る、その場合におきましては、一般の税収入によるよりも、やはりこれによるべきじゃないかといったような考え方が許されるのじゃないだろうか。私は五カ年計画のあの議員立法ができたときのことを想起しますと、揮発油の方の財源を道路に使えという御議論が出て参りましたときに、揮発油に対して、他の物品税などと比較してちょっと比較にならぬような、今の高い税率が適用されることが許されておりますのも、やはり道路にそれが使われる、あるいは道路費がそこにあるということが一つの理屈になるのじゃないだろうか、従って、目的税という考え方にはわれわれは賛成できませんが、そこにある程度の関連があることを認めざるを得ないということを申し上げたことを記憶しております。五割何分あるいは六割といったような揮発油税が何で許されるのだという点につきましては、最近における揮発油を使う車と、それが道路をいためる、そのために道路をよくしなければならぬ、そこにまとまった財源が必要になる、こうした連繋関係がそこにあるがゆえに許されるものではないか、かように考えております。
  40. 横山利秋

    ○横山委員 あなたが最後にいっても言われるのは、外国の揮発油の税金が高いからということです。いつの間に国際的な主税局長におなりになったか知りませんが、外国の税金と日本の税金とをそのまま比較してはならぬと、私があれほどこの前しかっておいたばかりじゃありませんか。外国の国民生活の水準と日本の国民生活の水準とを比較して、それでおっしゃるならいい。私も昨年の秋外国をずっと回ってみて、確かに道路はいいと思ったが、その反面国民生活の水準も非常によろしい。そういう意味から、あなたは一体営業費の中に占める燃料費の割合というところから計算なさったことがあるのでしょうか。単に税金だけ比較して議論しておってはだめなのです。その割合で見れば、日本は一七%・アメリカならトラックが六・五%、バスなら七・五%というところです。あなたは比較の水準をただ単純になさっておられる。それで、アメリカでは税金が高いから日本も上げてくれ、これも上げてくれ、あれも上げてくれと言っておるが、そういう理屈は私は通らぬと思う。もっと日本の各方面の税金との比較、あるいはその担税力等から議論していただかぬと納得するわけには参らぬと思うのです。以上の質疑応答を通じて私がお願いしたいのは、これほど議論の焦点になっている揮発油税について、ある局ではこの数字、ある局ではこの数字ということで、あなた以外の政府の高官が、同じ数字の取り方において、違った数字をすでに三カ所も発表なさっておる。それだけでもとの数字はあやふやなものである。そういうことを国会の各方面で証言づけられておるのですから、あなた方も一つ十分にお考えを願いたいと思うのであります。  最後に一点だけ御質問申し上げたいのは、この間先輩の横路委員が質問された夏季手当の免税の問題でありますが、たしかあのときには、社会党が出した五千円以下の手当については免税をしろという案に対して、いろいろ保守党側からも御声援があって、最後に政府側が出てこられて、銭がないからだめだということであったのであります。ところが昨年度の徴税収入実績を見ると、何と百八十億の自然増収があった。まさにあの当時の政府の答弁は間違いであったか、ごまかしであったか、どっちかであります。今ここに百八十億の自然増収があったということが事実となって裏づけされた上は、昨年の責任をとらなければならぬ段階であると思いますが、この点について、この自然増収がたくさんあった今日、これを発表された直後において、夏季手当の免税についてどういうふうにお考え直しを願ったか、一つお聞きをいたしたい。
  41. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 昨年のいきさつについては、お話のようなことがありましたことは私も承知いたしております。そういうこともありまして、実は今度の減税について、基礎控除の引き上げということを考えたのであります。これは前会も主税局長からお答え申し上げたと記憶しておりますが、給与の形体がいろいろございます。従って、これを一律に全体について公平な減税をするということになりますと、夏季手当あるいは年末手当を多くして、普通の月々の給与を低くしておるものと、月々の給与を非常に、十分とまではいきませんが、高く見て、夏季手当あるいは年末手当をやらない、あるいはやっても額が非常に少いというような、いろいろな給与の形体がありますととは、御専門の横山委員も十分御承知の通りでありますので、こういう点を考えますと、やはり夏季手当だから、あるいは年末手当だからという形で足切りをやるよりも、基礎控除そのものを引き上げる方が妥当ではなかろうかという結論で、実は別にそれだけの原因ではございませんが、今回の減税案を提出いたしたような次第でありますので、その点は御了承いただきたいと存ずる次第であります。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 去年は銭がない、銭がある今年は税制が問題だ、それでは税制が問題にならなかったら今度はどういう御答弁をなされるのですか。あまりにもそれでは不誠実な答弁であります。銭がないということが終局の問題であれば、銭があるということになったら、これは約束通り履行する、こういうことになってこそ、私はりっぱな御答弁だと思う。この点について重ねてお伺いをしますけれども、何か昨日お話があったということですが、この際夏季手当の問題について、税制なり、あるいは額の問題なり、いずれか昨年の責任をとって善処される用意があるかないか、誠意のある答弁をお伺いしたいと思います。
  43. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 私も当時の政府の答弁を今はっきり記憶いたしておりませんけれども、財源的な問題ばかりでなくて、ただいま私が申し上げたようなことも一つの御提案に対する反対の一つではなかったかと記憶をいたしておるのでありまして、それは当の主税局長がおりますから、あるいは補足して御答弁申し上げるかもしれませんが、そういう意味でありますので、昨年財源がないからやらなかった財源が出たから夏季手当についてもう一応考え直せという仰せでありますが、私どもとしては、ただいま申し上げたような理由で、夏季手当について特に考慮するということはいたしたくないと考えておる次第でございます。
  44. 松原喜之次

    ○松原委員長 横路委員より関連質問の申し出があります。これを許します。横路君。
  45. 横路節雄

    ○横路委員 政務次官に今の夏季手当の点についてお尋ねしますが、今政務次官のおっしゃるように、財源がないということばかりでなかったと私も思います。政府の答弁は二つであったと思います。一つは、財源がないということ、もう一つは、税の均衡がとれない、この二つであったと思います。そこでまず問題はやはり財源難ですが、これは当時の大蔵委員会においてはっきりしておるわけです。五千円以下にすると七十五億の歳入欠陥になる。従って今のところは見通しがない。もしもこれが二月ごろになれば歳入についての見通しもあるので、何とか二月ごろまで待ってもらえないものだろうか、こういう話であったわけです。それは何も私が話すまでもなく、主税局長もよく知っておるし、与党の内藤理事もよく知っておる。しかしそのときの情勢としては、二月まで待つということは、それはやはり十二月末に年末手当が支給されるのであるから、これは自然増は当然見られることだから、何とか一つやってもらいたい。七十五億歳入欠陥になるから絶対にできない、こういう意見であった。ところがこの間主税局長からお話がございましたように、当初は二百四十億の自然増のようであったけれども、詳細に検討した結果、二百十億であった。もちろんこれは昭和三十一年度に使うものでございます。しかし昭和二十九年度において二百十億の自然増ということは、当然昭和三十年度においてさらに同様に見られるわけです。これはもう国税庁長官がよく知っておるように、酒の税金といえども、すでにもう昭和二十九年度に入るべきものが、どういう事情か知らぬが、昭和三十年度の徴収ということで、とにかく昭和三十年度は、税がたくさん取れる。また取れなかったら、今自由党の方から出ている予算の組みかえなんてものは、いずれ補正予算でやらなければ内閣がつぶれるんですから、当然そういうことは見越しているわけです。そういう意味で、二つの問題の第一点は、財源がないということだったんですが、財源はあるわけですから、この点はぜひ一つやってもらいたい。この点が第一点。  第二点は、税の均衝がとれないということであったことは事実です。従って今政務次官から、これは所得税軽減をはかる、こういうんです。そこで私は政務次官にお尋ねするんですが、四月一日からの税の軽減であれば、なるほどそうだなとも納得できる。しかし期末手当というのは六月十五日に支給するんです。だから六月十五日には税金を取っちゃうんです。七月一日からでなければ所得税軽減はしないんだ。それであれば、四月一日からに直したらいい。四月一日から所得税軽減を実施して、こうやって税の均衡はとれたんだから、君ら勤労者も一つ何とかがまんしてくれというのならわかるけれども、これは七月一日なんです。六月十五日には税金を取っちゃうんです。何も税の均衡はとれない。しかもこの前私が指摘したように、われわれが五千円以下ということにきめたのは、今日中小企業においては、千五百円とか、二千円とか、二千五百円とか、三千円とか、こういう期末手当が多いのであります。この五千円以下の免税ということは——全く今の内閣が、中小企業並びに中小企業の従業員のためには何も考えていないということになると思う。(「考えているんだよ」と呼ぶ者あり)ないということなんだ。これは主税局長にお話ししても、主税局長は大蔵省の担当官なんです。政務次官はやはり政治家なんです。との問題は政治的に解決する以外に道はない。私はあなたがおっしゃる税の均衡を保つという点からいっても、おかしいと思う。それから財源がないという点からいっても、おかしいと思う。この点はあえて主税局長の御意見を待つまでもなく、とにかく今日では、実際大蔵大臣より政務次官の方が政治家とて力が大きいのではないかと思う。そういう意味から政務次官に私が申し上げたいのは、地域給の改訂もやらない、ベース・アップもやらない、ほんとうに今の内閣は何にもやらないんです。せめてそういう意味で、七月一日以降の減税には多くの勤労者が期待しているでありましょう。しかし六月三十日まで減税がないんですから、たった一つ支給される期末手当については、減税措置が講ぜられるべきではないか。これについてもう一ぺん考慮していただけるかどうか、お返事をいただきたい。
  46. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 第一は財源があるかないかという問題でございまして、昨年は財源がない、あるで、結局二百億ほどの自然増収がありましたことは事実であります。しかしこの間から当委員会でも、実は本年度の税の見積りはむしろ少し水増ししているんじゃないか、ふくれ過ぎているんじゃないかというような御注意も一方にはございます。私どもはそうとも考えておりませんが、しかしぎりぎり一ぱい見積ったことは事実でございます。従って本年もまた今までのように自然増収があるという考え方は、私ども持っていないのでございまして、財源の点についてはさような考え方を持っております。  それならば四月から今度の減税をやったらいいじゃないかという御議論は、確かに一つの御議論だと思います。ただ現在の財源の関係、あるいはまた単なる期末手当の問題ばかりでなく、年末手当その他も全部考える点もありまして、実は予算関係等も関連いたしまして、七月から税制改正をやることにいたしました結果、お話のように六月の期末手当について適用が受けられないことは、まことに遺憾であります。しかし減税をいたすという今回の提案を御承認いただきますならば、将来にわたりましては、そういう考え方の一つが入ってくるのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、この六月の期末手当について、特に小額の期末手当を受ける者について何ら恩典を与えていないじゃないかというような御議論もございますが、日本の産業の全体を考えましたときには、必ずしもそれだけを減税するととが果して妥当かどうかという点もありまして、期末手当について特に減税をするということは、ちょっと現在とりにくいというふうに申し上げるほかはないと存じます。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 私はもう一点横山委員の質問に関連してお尋ねしたいのですが、この揮発油税地方道路税の総合負担の点ですが、これだけを増税にしたのは、私は政府の意図は、地方財政が非常に困窮しているので、それで地方財政の一助にしたい、こういう意味でおやりになったのが主ではないかと思うのです。また政府の方からの提案説明を読んでみましても、さらに最近における地方財政状況ということが取り分け入っておるので、この点はどうも私いろいろ説明を聞いておりますけれども、結局地方財政が非常に困窮しておる、そういう意味で何とか地方財政のめんどうを見たい、こういうのでやったんじゃないかと思うのです。この点は真意はどうなんですか。
  48. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 一つはそういう御趣旨のような点だと思います。要するに揮発油税を国の道路財源に充てていく、それがふえていくに従って、地方の負担が相当上る。この地方道路財源を何とかまかなわなければならないという点を考えまして、地方の持ち出しをなるべく少くするために、その財源を国庫で捻出いたしたいというふうに考えた次第でございます。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、これはなるほど地方道路の方のいたむ率が多いので、それで財源として見た、こういうわけですね。そうすると前年度にやっておったように揮発油税一本にしておいて、譲与税という形でいったらどうなんですか。なぜわざわざ今年になって二本に分けるのですか。これはこの前横山委員からも、せっかく地方にやったけれども、実際には地方では、地方道路に使わないでいろいろ流用しておるというような点等の指摘はありますが、しかしそれがためにこれを一万一千円と四千円というふうに二本にすることをしないで、いっそのこと一万五千円にしてやったらいいんじゃないですか。わざわざこういうこことをやるのはどういうわけですか。
  50. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 その点については、今おっしゃったような二色の考え方ですね。昨年やったような考え方と、それから本年の二つの税にする考えと、両方ともあり得ると思います。ただ昨年揮発油譲与税法案を出しまして国会の御審議を経ましたときに、一応御承認は得ましたが、われわれの方は、一応それは恒久立法の姿で政府提案したのですが、そのときに、これは一年限りの時限立法だ、来年はもうこういう格好はいかぬ、こういう国会の御意図があったわけです。本年同じ案をいろいろ考えてみましたが、やはりこれが一番適当でございますというふうな提案の仕方もございますが、昨年国会の御意図がそういうことでございましたので、さらに検討をしました結論として、一応今申したような姿で、地方道路税ということではっきり出した方が一番適当じゃないかというので、こういう姿で出したわけであります。
  51. 横路節雄

    ○横路委員 今時限立法で、去年の国会審議でことしの三月三十一日限りだというので、国会審議もあってやったのだということになると、補助金はどうしたのです。補助金等の特例に関しては三月三十一日までの時限立法だ、これで出してきた。この間の国会で、三月三十一日のときには六月三十日までの時限立法にしてもらいたい、今度は来年の三月三十一日までの時限立法にしてもらいたい、こういつてきているが、何にも意味がないじゃないですか。もしも国会審議で時限立法が今年限りであるというならば、補助金等の特例に関しても、廃止するものは廃止するとしてやってくればいい。これを考えてみると、どうしても地方財政の困窮を救ってやるということがねらいでしょう。時限立法というのを筋を通すならば、補助金等だってみなやめればいい。これはどうなんです、おかしいじゃないですか。
  52. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 地方道路財源を与えるために、去年のような揮発油譲与税としてやるということも一つの方法、それからこのような地方道路税というような形でやるのも一つの方法でありますることは、御承知の通りでありまして、どっちがいいかということになりまして、昨年の国会の御意思もあるので、実は地方道路税という形で御審議願った方がいいのじゃないかという意味で出したのでありまして、当時の御審議状況も、記憶いたしておるところによりましては、地方道路の財源に揮発油関係の税金からやるのはよせという意味の御指示ではなかった。やるのはいいが、ああいう形でやるのは少しおかしいぞという御趣旨であったがゆえに、今回地方道路税という形で御提案を申し上げたということでありまして、揮発油関係の税から地方に税源を全然やってはならぬという御趣旨ではないと私どもは考えております。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 私はこの問題の政府のねらいは、やはり地方財政の困窮に対して、何ぼかこれによってめんどうを見たい、こういう気持だろうと思うのです。そこで地方財政については、この間大蔵大臣に時間がなくて申し上げられませんでしたが、現在の地方交付税においては百分の二十二になっているわけですが、私はことに原因があると思う。これは現に昨年衆議院の地方行政委員会では、当時改進党も自由党もみんな賛成して、百分の二十五で通った。百分の一とれば六十五億円、あと百分の三上げればそれで百八十九億約百九十億になる。そうすれば今日一番問題になっている最終的な地方財政計画の約百五十億というのは、それで埋まる。去年ちゃんと自由党も今の民主党も賛成している。ところがこれが参議院に行ってから、大蔵省の諸君が国会議員全部に根強く当って、業者の陳情も悪ければ、官僚の諸君が国会のきめているのに対して強く当って、それを抑制していくというやり方も非常に遺憾だと思うのです。そういう意味で最後に百分の二十五が百分の二十二になった。問題はここにあると私は思うのです。今日政府は減税だ、減税だといっているのに、なぜ一体これだけを取り上げてやっているのか。増税というのはこれだけですよ。どうして一体ここだけに増税したのですか。もしもここに増税を求めるならば、やはりあなたがおっしゃる税の均衡という建前からやればいい。なるほど政府はかわったとしても、主税局長はかわらない、主税局長がかわらない以上、税の均衡ということを言っておきながら、どうしてここに均衡を破ったか。この点は主税局長に聞きたい。どうして税の均衡を破ったのですか。
  54. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 税の均衡をどうして破ったかという御意見が私にはよくのみ込めませんが、結局従来の税が、さらに検討してみて、一応揮発油についてはさらに二千円程度の負担をしていただくことが全体のバランスを得るのじゃないか、こういうふうな考え方があり得るわけです。従いまして今度の場合におきましても、揮発油の課税関係をずっと検討して参りまして、さらにそれの使途、道路関係、そういう関係を見て参りますと、やはり五カ年計画のあの計画を遂行していく上におきましては、地方道路財源がそれだけどうしても足りない。これはやはり自動車関係のそうした揮発油を使用する方にもう少し負担していただきたい、こういった関係が結論的に出て参りましたものですから、そこで御提案申し上げたわけです。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 今政務次官は、地方道路税を創設した一つの理由は、地方財政が困窮しているので、これでもって財源に充てたいと言っているじゃないですか。税の均衡の問題ばかりではない、やはりそういう政治的な配慮があるのじゃないですか。
  56. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 先ほども政務次官が申し上げたように、地方財政が困窮している、それが結局一つの理由です。それで、地方財政の困窮しているということだけから言えば、それではどういう税でそれを埋めるか、こういう問題が別の問題として出てくるわけです。それではどういう措置をとるかという場合に、五カ年計画の問題とか、そういう問題と結びつきまして、道路の負担が相当ふえていくということが、やはり地方財政困窮の一つの大きな原因なのです。そこを埋め合す意味におきまして、揮発油税については、二千円程度の増税をやればいいのじゃないか、こういうことになっております。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 政務次官にお尋ねしますが、地方財政が困窮しておる、これはだれが考えておるわけです。そこでいろいろ財源を当ってみたが、やはり一番いい財源として道路税をとった、こういうわけですか。地方財政が困窮しておる。私どもは地方交付税の百分の二十二を、昨年衆議院の本会議を通っておるのだから、百分の二十五にしたい、こういうふうに考えておる。しかしながら政府の方でいろいろ考えたが、地方財政の困窮の現状としては、との地方道路税でガソリン税を上げて、それを埋めてやるのが一番いいのだ。地方財政の困窮を救う意味からいって、いろいろ税を当ってみたら、これしかないと今主税局長はおっしゃったが、それでいいのですか。
  58. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 整理して申し上げますと、地方財政が相当困窮しておる。しかも一方において、道路五カ年計画というようなもので国の負担の支出がふえますと同時に、それが地方の負担を増加して、さらに地方財政を圧迫する要因になる。従って少くとも国の道路五カ年計画による地方負担の増高を防ぐためには、道路関係のある揮発油関係の税金でこれを埋めて、少くとも地方財政をより以上に圧迫しないような手段をとりたい、こういうことでございます。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 今政務次官から御答弁がありましたが、そうすると、地方財政上の非常な欠陥というのは、道路に関するところの修理とか、そういうものによけい金がかかる、そこで自分の方としてはその地方道路税を創設したのだ、こういうことなのですか。地方財政の欠陥というのは、道路の修理に関して金がないのが財政上の欠陥だった、こういうわけですか。
  60. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 地方財政の全体としての非常な困窮は、いろいろの原因から出て参っておりましょう。しかしその上に国の道路五カ年計画によるその地方のそれに見合う負担がふえて、さらに地方財政の困窮をより以上に圧迫するようなことはできるだけ避けたい、こういう意味で地方道路税を創設して、それより以上の圧迫をできるだけ緩和いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 今の政務次官の話は一応わかりましたが、そうすると、ガソリン税の四千円については地方道路税という形でやる。そうすれば今まで一万三千円であったわけですから、これは揮発油税の方を一キロリットル当り九千円ということにしては財政上非常に欠陥があくということになりますか。私ならば、あなたがそういうふうにおっしゃるのであるならば、地方道路税の方に一キロリットル当り四千円、それから従前の揮発油税については、やはり総額一万三千円という割合で、片一方については九千円、こういうことにするのが、あなたがおっしゃる地方財政の欠陥を、とりわけ地方道路の修理に使うということでやるのであれば、揮発油税の方は一キロリットル当り九千円ということにするのが、私はあなたの趣旨からいって合うのではないかと思うのですが、これはどうなのですか。
  62. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 地方と中央との財政負担の割合だけから考えますならば、今おっしゃったようなこともで透ると思います。しかし一方において、これは国会の非常な強い御要望もありまする道路五カ年計画、総額約二千六百億円といわれておりまする道路五カ年計画の完成ということも一方の要請でございます。その辺のにらみ合せを本年度においてどの程度にとるかということでございましょう。それで御承知のように、大体本年度道路関係予算といたしまして、特別失業対策事業も含めて国で二百六十三億、地方の負担が百三十九億、うち直轄分担金十四億円を差し引いて、合計いたしまして三百八十八億円でことしの道路整備をいたしたい、こういう一方の要請もございます。それに見合うといたしますと、どうしても一方ガソリン税は一万一千円程度を徴収いたしませんとこれに見合いませんのと、またガソリン税を道路特定財源に使えという国会の御発案による臨時措置法ができました際におけるガソリン税が一万一千円であったというようなことも考えまして、一応こういう形をとった次第でございます。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 今の政務次官のお話だと、そうすると道路財源は二百幾億だ、それから緊急失業対策事業として百幾ら、三百八十八億か何ぼかの財源にちょうど見合うものとして一キロリットル当り一万一千円でないと工合が悪い。こういうことになると、片一方の方で道路の費用がある。それから失業対策の事業がある。それがちょうど—それのためにはこちらを一万一千円としないとこちらの方がつり合いがとれないということになると、これはどうも税という本質からいって、ほかの方の税のものの考え方とだいぶ違うのでないですか。そうでないでしょうか。たとえばこのガソリン税については、一キロリットル当り一万一千円がいいのか、一万円がいいのか、九千円がいいのかということは、他の税とのそういうバランスの上に立って考えるべきであって、片一方の方の目的がきまっていて、その目的から割り出してきて、こちらの方が一万一千円ないとどうも目的税として合わないというので算出したのだということになると、ほかの方の税との関連がおかしいのではないでしょうか。今政務次官から私お聞きしましたので、それをさらに伺います。
  64. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 他の税金との関係においては、これは特にガソリン税を道路整備に使えという法律をお作りになった、それによるのでありまして、従って多少他の税金とは考え方は違って参ると思うのであります。先ほども横山委員からお話がありましたように、これは非常に高率な税金ではないかということでありますが、確かに原価に対しての税金は他の税金に比べて高率でありますが、それはやはり道路に使われるという点において、一つの許される議論が成り立つのではないかというふうに考えておるのでありまして、今申し上げたのは、大体道路五カ年計画の本年度の計画の規模をどの程度に考えるかという点になりまして、ガソリン税の収入ともにらみ合せて、地方の負担を含めて三百八十八億程度の道路計画をやるということであります。従って、これがもしもガソリン税をさらに減税をするいうようなことになりますれば、道路五カ年計画の本年度分の遂行ができないという点もありますので、一万一千円はそのままと申しますか、昨年よりは二千円下げましたが、一万一千円にし、そうして地方道路税を四千円にいたしということになる次第でございます。
  65. 春日一幸

    ○春日委員 関連して伺いたいのですが、これは重要な問題になっていくと思うのだが、昨年この法律案が上程されましたときに一番論議されました焦点はこういうふうな一般税を目的税の形に変えてしまうということは、税の体系を全般的に乱すおそれはないかどうか、こういうことを強く指摘して、当時いろいろな質疑応答を交えたのであります。それで果せるかな道路計画がだんだん膨張してくると、結局その財源をガソリンに求めていくということで、このガソリン税が上ってくる。本年度は三百六十億だが、かりにこれが来年五百億になり、さらにその次に七百億ということになってくれば、その財源をこのガソリン税収入に求めるということになってくると、これは道路計画に伴うてとりとめもなく上っていかねければならぬ。そういうことで、一般的血税金を目的税に変えていくということは、これはもう重大な問題であるし、しかもそれの将来を案ずる場合、これは重大なデッドロックに乗り上げる場合もあるので、こういうことはすみやかに廃止した方がいい、時限立法にした原因の一つも私はそこらにもあると思う。従って問題は、これは政府がこういうふうな出し方をやるのでなく、道路行政というものは一般行政並んだから、従ってその財源も一般的な歳入に待つべきものものであってことさらにこのガソリン税にその収入源を求めること自体が間違いであると思います。だから一つそのことをたとえて申しますならば、勤労者のためには、勤労者が納めるところの所得税、これを充てていく、中小企業者のためには、申告所得税を充てるというようなことになってだんだん変えていってしまうと、これは国の税体系も、行政の体系も根本的にくずれてきてしまう。このことを指摘して、将来すみやかにこういうことを直さなければならぬが、せっかく提案されたのだから、時限立法にして、将来は税体系をもとに戻すような工合にするということでああいう決定が行われておる。ところが政府は、さらにそれに輪をかけた悪い方向へ拍車をかけたやり方をしておるところに問題があろうと思うのであります。渡辺主税局長は幾らか税に対しの知識を持っておられると思うのだが、(笑声)こういうような一般税を目的税に変えるということが将来の徴税行政の上にどういう影響をもたらしていくか、これについて一つあなたの御見解を承わりたいし、さらに藤枝政務次官に伺いたいことが、道路計画が、だんだんと年次計画が膨張するに従ってこのガソリン税を上げていかなければ、——本年度の税によると、そういう傾向をとらざるを得ないように思われるが、それは一体どの辺にめどをおいて調整をしていく考えであるか、この二点について局長、次官からお伺いいたしたいと思います。
  66. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 第一に、これは局長からお答えすると思いますが、目的税的な考え方につきましては、一般的には、これは税の専門家であられる春日さんのおっしゃる通りに好ましくないことであることは確かであります。われわれもそういうふろに考えております。特にガソリン税につきましては、これも外国の例を引きますとおしかりを受けるかもしれませんが、外国などにも例がございまして、これだけはまあ特別な、しかも五年間の時限立法であるというような点から、一応私どももそれに従ておるわけでございます。それから道路財源の整備に関する臨時措置法によりましても、ガソリン税だけで全部充てろということでなくて、ガソリン税は少くとも全部充てろということでございます。全体の国の負担が二百六十三億でございまして、ガソリン税の収入見込みは二百五十九億、わずか四億ではございますが、国費をさらにプラスをしておるというような点もあります。それで今後一体このガソリン税を道路計画に合せてどこまでも増徴するかという仰せにつきましては、私どもはこの程度以上に増徴をする意図を持っておりません。従って今後の道路行政につきましては、この分を充てると同時に、国の財政とにらみ合せまして、もしも道路費をふやさなければならない情勢でありますならば、他の一般財源をこれに充てるという形でいきたいと存じますので、ガソリン税関係地方道路税を含めまして、これ以上に上げることは目下のところ考えてもおりませんし、また負担の関係からも無理ではないかと考えております。
  67. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 目的税の問題について意見を求められましたが、一般論としましては、目的税という制度は、財政の運営を非常に窮屈にしまして、いろいろな意味で弊害がございますので、われわれはこれはとるべきでない、こういう考え方を持っております。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 私どもは、昨年度この新しい法案が出されましたときに、こういう目的税を作れば、その事業目的の事業量がふえるに従ってその財源の増高がはかられることは、これは自然の趨勢である。従って、そのことは将来ガソリン税が次々に上っていくことの要因をなすのおそれがあると思う。従って道路行政は、国の基幹行政の一つである一般行政にほかならないのだから、従って一般財源によってこれを調弁すべきものであると指摘しまして、強くそういうような目的税にかわることを反対しました。さすがにわが日本社会党は社会科学の党で、これに対する見通しを誤まってはいなかったわけであります。当時自由党や民主党の俗悪な諸君は、結局そのような陳情にくみしまして、遂に国政を誤まったのでございます。まことに慨嘆にたえないところでありますが、どうか一つこういうような悪いことは、少くとも一般の税の体系を現実にこうやって乱しておるのでありますから、時限立法の精神がどういうものであるかということをよく考えられて、そういうような俗悪にさらに俗悪を重ねていくような政治悪というものは、すみやかにこれを直されることを強く要望いたしまして、この問題については、いずれ法律案の賛否のときにわれわれの態度を明らかにいたしたいと思います。まだ二分か三分しかしゃベっていないので、あと一つだけ二、三分ごしんぼうを願うことにいたしまして、渡辺さんにちょっと伺いますが、ただいまの例の俸給外の所得、夏季手当、年末手当に対する減税の問題であります。内藤友明君もあんなタヌキ寝入りをしておるけれども、昨年の暮れ、これは社会党左右両派とときの改進党、改進党の代表委員でありました大ダヌキもわれわれに強くくみしまして、(笑声)そして、われわれの当初の要求は二万円まででありましたが、財源の関係もにらみ合せて、一つ下げてくれということで、われわれは一万円に下げ、七千円に下げ、五千円に下げました。その結果七十億程度の予算を伴うてくるということになりまして、いろいろと具体的に、しかも切実に話し合いをいたしました結果、自然増収というものの目途も今はついていないが、今御指摘の通り、二月ごろになれば大体の目途もつくし、そのときにさかのぼって徴収するということもどうであろうか。いずれにしても本年度は政変もあり、いろいろな関係もあって、昨年の問題でありますが、一つ来年度においてこそこの問題を深く国会において処理をしょう。そして先般来民主党の選挙公約も、低額所得者に対して減税を行うということでありますので、この夏季手当、年末手当に対して減税措置を行うということは、もうすでに民主党の公約の中に含まれておる事柄であるわけであります。従いまして、夏季手当と年末手当とを全然別の措置をするか、あるいは一年間を通算して、どの額を指定して減税を行うかは別の問題といたしまして、夏季には、この夏を越すためには、それぞれの給与所得者にはそれだけの生活実費がかかります。年末には年越しのために必要欠くべからざる実費が伴います。従いまして、そういうような生活実費に対して課税を行うということは、これはふさわしいことではないから、特にあなた方の指摘されております通り、低い所得者に対して減税を行うという大公約の立場からも、当然夏季手当と年末手当に対しては、何らかの減税措置が購じられなければならぬと思います。わけて税の自然増収も毎年のごとくに現実に相当の数字を示しております。さらに本年度はいろいろの減税措置を通じて、一般的な収入もよくなっておりますから、従って申告所得税、法人税等における収入も相当にあるのではないかと考えられるこのときでありますから、従いまして、この夏季手当と年末手当に対して、一定金額限度といたしまして、これに対して何らかの形で減税を行なっていただかなければならぬと思います。今あなた方の御答弁によりますと、給与所得者の中には、あるものは基本給の中に繰り入れて、そして基本給外の給与を行わないというような体系のところもあるので、従って不公正になるそしりをうたっておられますけれども、現実の問題といたしまして、夏季手当と年末手当が給与されるというととは社会通念、慣例となっております。特殊の異例を基準としてこの問題に対して反対の所論を出すことは、しょせん詭弁たるを免れないのであります。どうかそういう意味で、昨年藤枝次官も自由党の理事としてこの問題を取り扱いましたときには、お互いに誠意をもってこの問題の処理をしよう、しかも社会党の主張も二万円から二万円にだんだんと下ってきて、その財源とにらみ合せて可能な具体的な数字に歩み寄っていただいたのだから、われわれもこれに対して一つ誠意を尽して処理しようということで、われわれは解散を迎えて選挙を戦って来ました。果せるかな、選挙の中においてもあなた方は、低額所得者に対する減税のことを言っておられるのですか、今こそ、この懸案の解決はこのときをおいてはからなければする時期がありません。そういう意味で、社会党両派がいずれこの問題について法律案提出しようと考えておりますので、どうか一つ今までのいきがかりもあり、また現実の問題といたしましても、この問題こそはぜひとも一つ処理を願いたいと強く要望いたしておきたいと思います。  それから今まで幼稚園に対しまして税金がかかっておりませんでした。これは教育機関であり、社会的にも相当の貢献をしておりますので、どうした関係であるか、これは法律によらずして非課税の取扱いを受けておったのでありますが、その後昭和二十九年度からこれに対して課税がされるような変更がなされた様子でございます。それから学校法人に切りかえたものに対して、御承知の通り、それらの諸君はすべて学校に財産を寄付しておりまして、しかも学校法人は、解散するときにその寄付者に財産を還元しないという法律規定等もございます。従いまして、二十九年度中に学校法人になったものに対して、その経過期間において課税がされますけれども、それらの諸君はすべてこれを寄付してしまいまして、その寄付行為に対して免税の処理がされておりませんから、税金を納めなければならぬが、納めようと思っても、そのもの自体は学校法人に寄付してしまったから担税力がない。こういう経過措置が講じていない事柄について、現実の面でいろいろと多くの問題を生じております。この問題についての御質問をせねばならぬと思っております。  それからもう一つは、左官、大工、馬方、植木職、これは前から問題になっておりますが、低額所得者に対しては事業税の及ばないようにという決議が地方行政委員会で行われておりますけれども、ところが地方行政の方では、結局地方財源を少しでも得たいという立場から、これに対する効果の上る措置が講ぜられておりません。従いまして、これも労務を提供してその対価を得ておる勤労所得者が、所得税と事業税との対象になっておる。この救済もはからなければならないので、次はこの問題も出しますから、どうか資料をお持ちいただきたい。  それから証券信託の問題がようやく重大な問題にならんといたしております。証券信託法という法律に基いて、四大証券会社が免許を受けて事業を営み、大衆の金八百数十億を集めておるのでありますが、ところがこれの清算が一カ年延ばされ、さらに延ばされようとしておる。インフレの高進がとまりまして、これらの事業に対する内容についていろいろの説がなされておると思いますので、この証券信託をめぐる多くの問題について、本委員会は鋭きメスを加えなければならない段階に到達いたしました。従いまして、この問題について、次は阪田君に質問いたしたいと思いますから、どうぞ資料をお持ちになって出ていただきたいと思います。この次は、私に一番初めにやせていただくということを条件にいたしまして、本日は一応これで終ります。
  69. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より公聽会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会