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1955-05-17 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 松原 喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 早川  崇君 理事 奧村又十郎君    理事 横路 節雄君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       遠藤 三郎君    中山 榮一君       坊  秀男君    前田房之助君       森下 國雄君    山村新治郎君       山本 勝市君    淺香 忠雄君       川野 芳滿君    小西 寅松君       小山 長規君    薄田 美朝君       石村 英雄君    石山 權作君       横山 利秋君    井上 良二君       川島 金次君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    町村 金五君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月十六日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として水  谷長三郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月十七日  理事遠藤三郎理事辞任につき、その補欠とし  て早川崇君が理事に当選した。     ————————————— 五月十六日  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第四七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出第七号)  昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に  対して米麦特別価格で売り渡したことにより  食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための  一般会計からの繰入金に関する法律案内閣提  出第八号)  漁船再保険特別会計における給与保険の再保険  事業について生じた損失をうめるための一般会  計からの繰入金に関する法律案内閣提出第九  号)  臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇号)  あへん特別会計法案内閣提出第一一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法案律(内  閣提出第二八号)  地方道路税法案内閣提出第三一号)  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法  律案内閣提出第三三号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第三四号)  砂糖消費税法案内閣提出第三五号)  昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十  年度における国債整理基金に充てるべき資金の  繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第四七号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  まず去る十二日、当委員会審査を付託されました地方道路税法案輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案国税徴収法の一部を改正する法律案砂糖消費税法案昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案の五法律案並びに昨十六日付託となりました租税特別措   第 八 号置法等の一部を改正する法律案厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案の三法律案との合計八法律案一括議題として審査に入ります。まず提案理由説明を聴取いたします。藤枝政務次官
  3. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案外七法律案につきまして提案理由説明申し上げます。  まず昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出理由を御説明申し上げます。   昭和二十八年度及び昭和二十九年度におきましては、国債償還等に充てるための資金繰り入れ特例といたしまして国債元金償還に充てるため一般会計から繰り入れるべき金額は、財政法第六条の規定による前々年度歳入歳出決算上の剰余金の三分の一相当額にとどめ、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度初め国債総額の一万分の百十六の三分の一相当額繰り入れば、これを要しないものとするとともに、日本国有鉄道及び日本電信電話公社日本国有鉄道法施行法第九条または日本電信電話公社法施行法第八条の規定により政府に対し負う債務の償還元利金は、国債整理基金特別会計に受け入れ、当該金額について一般会計から繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられました。また、昭和三十年度の四、五月分の暫定予算期間中におきましては、さきに御審議を経て成立いたしました国債整理基金への繰入及び補助金等に関する特例期限を変更するための法律第一条の規定により、暫定的に、これらの措置が引き続いて講ぜられてきたのでありますが、昭和三十年度につきましても、財政状況にかんがみ、かつ、経理の簡素化をはかるため、年度を通じて右と同様の措置を講ずることが適当であると認め、さき提出いたしました昭和三十年度の本予算にあわせて所要法的措置をはかることといたそうとするものであります。  次に、地方道路税法案外三法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  政府は、国民生活の安定及び資本蓄積促進に資する等のため、所得税及び法人税軽減合理化をはかることとし、さき所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案提案したのでありますが、さらに道路整備五カ年計画実施等に伴う地方道路財源充実をはかるため地方道路税を創設するとともに、現下経済情報等に応じて砂糖消費税法全文改正輸入品に対する内国消費税徴収等に関する規定整備及び延滞加算税額等の率の引き下げを行うこととし、ここに関係法律案提出することといたした次第であります。以下、順次各法律案についてその大要を申し上げます。  まず、地方道路税法案におきましては、国の道路整備、五カ年計画実施に伴う地方団体道路整備所要財源増加等状況に対処するため、都道府県等道路財源に充てることを目的として、製造場または保税地域から揮発油を引き取る者、その他揮発油税を徴収されることとなる者に対し、揮発油一キロリットルにつき四千円の税率地方道路税を課することといたしております。もっとも、この地方道路税の創設に伴い、揮発油税現行税率一キロリットルにつき一万三千円を一万一千円に引き下げることとしておりますので、揮発油税及び地方道路税綜合員担は、揮発油一キロリットルにつき一万五千円となり、現行より二千円の増加となりますが、揮発油税及び地方道路税収入道路整備の費用に充てられること等の事情を考慮し、さらに、最近における地方財政状況、特に道路費増加地方負担に及ぼす影響等に顧みれば、地方道路財源充実のためにこの程度の増徴もやむを得ないと考えている次第であります。  地方道路税は、同じく揮発油の引き取り等に対して課される揮発油税にあわせて徴収し、またはあわせて還付もしくは充当を行う等、できるだけ徴収手続が複雑とならないよう所要規定を設けております。  なお、地方道路税収入の全額は、都道府県等に譲与されるわけでありますが、その譲与に関する法律は、別途御審議をお願いすることとなっております。  次に、砂糖消費税法案について御説明申し上げます。  この法案は、最近における税法立法例にならい、砂糖消費税法全文を口語体に改めつつ、所要規定整備し、その明確化をはかるとともに、その内容についても若干の改正を行おうとするものでありますが、今、そのおもな点について説明いたしますと、第一に、たる入り黒糖及びたる入り白下糖以外の含蜜糖については、糖度区分による大幅な税率の差異に伴う人為的な品質の低下等を是正するとともに、含蜜糖の適正な税負担を実現するため、従来、糖度が八十度を越えないものは百斤につき九百五十円、その他のものは百斤につき二千五十円の税率課税しておりましたものを、百斤につき千七百五十円の税率一本で課税することに改めております。なお、最も普通に消費される分蜜白糖に対する現行税率は、据え置くことといたしているのであります。  第二に、自家用砂糖類のみを製造する者が製造した砂糖類並びにたる入り黒糖及びたる入り白下糖製造者自家用に消費する一定限度たる入り黒糖及びたる入り白下糖については、特にこれらが零細な農家等において生産消費される事情を考慮して、砂糖消費税を免除することといたしております。  第三に、従来の引き取り課税制度移出課税制度に改め、砂糖類を移出する際に砂糖消費税を徴収することとするとともに、特にたる入り黒糖及びたる入り白下糖を製造している者については、手続簡素化をはかるため、毎月製造場から移出した砂糖類に対する砂糖消費税を翌月末日に徴収することといたしております。  次に、輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案におきましては、最近の情勢に応じ、従来、保税地域以外の場所から輸入する物品に対する内国消費税徴収等について規定しておりました酒税等徴収ニ関スル法律規定を全面的に整備いたすとともに、外交官が輸入する物品等関税を免除される輸入物品に対して、内国消費税を免除する規定を設けるほか、輸入物品に対する内国消費税の賦課、徴収等について規定明確化をはかっておるのであります。なお、輸入物品に対する内国消費税犯則事件について、税関の職員にも調査及び処分の権限を与えることとし、犯則事件の迅速な処理を行い得る措置を講じております。  最後に、国税徴収法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  国税正当納期限までに完納しない場合に徴収される利子税額及び滞納の国税督促状指定期限までに完納しない場合に徴収される延滞加算税額を計算する場合の率は、それぞれ現行日歩四銭となっておりますが、最近の金利の水準等に顧み、これをそれぞれ日歩三銭に改めることといたしております。なお、これに伴いまして、過誤納国税還付金等に付する還付加算金の率を現行日歩四銭から日歩三銭に引き下げるとともに、国税以外の公課について徴収する延滞金の率も現行日歩八銭から日歩六銭に引き下げることといたしておるのであります。  以上四法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げましたが、何とぞ御審議のうえ、速かに賛成されんことを切望してやまない次第であります。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、提案理由説明いたします。  政府は、現下経済情勢及び国民租税負担状況に顧み、昭和三十年度予算に関連いたしまして、国民生活の安定をはかり、資本蓄積促進に資する等のために税制改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案等関係法律案提出して御審瀧を願っているのでありますが、さらに今次の税制改正一環をなすものといたしまして、ここに租税特別措置法等の一部を改正する法律案提出した次第であります。  この法律案は、租税特別措置法及び有価証券取引税法の一部を改正しようとするものでありますが、まず、租税特別措置法改正について、その大要を申し上げます。  第一に、資本蓄積促進に資するため、次の通り改正を行うことといたしております。  まず、国民貯蓄の増強をはかるため、本年七月一日から昭和三十二年一月末日までの間に支払いを受けるべ貯預貯金公社債等利子所得に対しては、所得税を課さないことといたしております預貯金等利子所得については、現在でも相当優遇措置が講ぜられているのでありますが、民間資本蓄積促進をはかることが急務であることに顧み、今回、このような措置を講ずることといたしたのであります。たお、この措置と関連いたしまして、貞きに述べた期間内に支払いを受けるべき配当所得につきましては、所得税源泉徴収税率を百分の十五から百分の十に軽減することといたしておるのであります。  次に、法人資本構成を是正して自己資本充実をはかり、企業経営合理化に資するため、製造業、鉱業、建設業、運輸及び通信業等一定事業を営む法人で本年七月一日において現存するも占のが、同日から昭和三十二年一月末日までの問に増資を行った場合におきましては、増資登記登録税税率を千分の七から千分の一・五に軽減することといたしております。増資奨励措置といたしましては、現在すでに、増資株式に対する配当金損金算入が認められているのでありますが、この特例措置と相待ちまして、自己資本の増大を容易にすることが期待されるのであります。  第二に、輸出の振興に資するため、輸出所得の一部を控除する制度について、次の通り拡充合理化を行うことといたしております。  まず、輸出所得による控除限度を百分の五十から百分の八十に引き上げることといたしております。現在、輸出所得控除制度は、一定輸出取引につき、輸出取引金額一定割合輸出所得の百分の五十とのうちいずれか低い方の金額課税所得から差し引くこととしているのでありますが、今回、輸出所得による控除限度を百分の八十に引き上げ、制度合理化をはかることとしているのであります。  次に、プラント輸出した場合には、現在、輸出取引金額による控除割合を特に多くすることとし、そのプラント範囲はこれを法律をもって定めているのでありますが、最近の輸出状況に顧み、このプラント範囲を拡張して、油井管及び送油管、レール、送電用の裸より線並びに送電用または通信用のケーブルについても特別の控除割合を適用することとしているのであります。  なお、この制度は、昭和三十一年七月末日までの特例措置とされているのでありますが、この適用期限をさらに昭和三十二年十二月末日まで延長することといたしております。  第三に、住宅建設促進に資するため、次の通り改正を行うことといたしております。  まず、新築住宅に対する特別償却制度拡充をはかることといたしております。すなわち、床面積一定坪数以下の家屋を新築してこれを従業員住宅その他貸家の用に供したときは、現在では、その時から五年間、普通償却額の五割増の特別償却を認めることとしているのでありますが、今回この制度拡充して、本年七月一日から昭和三十三年十二月末日までの間において新築した一定の条件に該当する家屋につきましては、五年間において、普通償却額の、鉄筋コンクリート造り家屋等耐用年数が五十年以上の家屋については二十割増、その他の家屋については十割増の特別償却を認めることとしているのであります。この改正によりまして、たとえば、鉄筋コンクリート作りの寄宿舎、アパートなどについては、五年間に取得価額の五割余、木造家屋などについては、五年間に取得価額の七割余を償却することができることになるのであります。  次に、地方公共団体が本年七月一日から昭和三十三年十二月末日までの間において新築した床面積一定坪数以下の住宅所有権保存登記につきましては、この期間内に登記を受けるものに限り、登録税を課さないことといたしております。  また、地方公共団体住宅金融公庫または住宅建売業者等が右の期間内において新築した住宅を、これらの者から取得する場合の所有権取得登記につきましては、この期間内に登記を受けるものに限り、現在自家用住宅を新築した場合に認められている特別措置に準じ、その登録税税率を千分の五十から千分の一に軽減することとしているのであります。  第四に、中小企業対策一環といたしまして中小企業等協同組合法規定による事業協同組合またはその連合会一定の要件に該当するものにつきましては、現在農業協同組合の場合に認めている特例措置に準じ、その積立金額出資総額の四分の一に達するまでは、その所得のうち留保した金額に対して法人税を課さないこととし、協同組合経営の基礎の健実化に資することといたしております。  第五に、航空事業の助成のため、本年七月一日から昭和三十二年三月末日までの周を限、航空機の乗客に対する通行税税率を百分の二十から百分の十に軽減することといたしております。  以上に申し上げました事項の外、当事者間の協議により土地等が買い取られる場合におきましても、当該土地等買い取りの申し出を拒むときは土地収用法等規定により収用されることとなるものである場合には、現在土地収用法等によって土地等が収用された場合について認めていると同様に、譲渡所得に対する所得税課税を行わず、買い取りの対価を資産再評価法による再評価限度額と見なして、再評価税のみを課税することとする等、所要規定整備簡素化とをはかることといたしております。  次に、有価証券取引税法改正について申し上げますと、証券投資信託信託財産に属する株券の譲渡に対する有価証券取引税につきましては、証券投資信託の育成の見地から、現在、万分の十五の税率を万分の六に軽減して課税しており、この特例措置適用期限が本年七月末日までとなっておりますが、証券投資信託奨励策を引き続き講ずる必要があると考えられますので、この適用期限を、昭和三十二年三月末日まで延長することといたしております。  次に、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正の第一点は、開拓者資金融通特別会計におきましては、現在、同特別会計法第四条の規定によりまして、貸付金償還金公債及び借入金償還金財源にのみこれを充てることとなっているのでありますが、昭和二十九年度末における貸付金残高は約百十七億円であり、今後毎年相当額償還金が見込まれますので、今回この貸付金償還金を新規の貸付金財源にも充てることができるようにするとともに、従前の制度に関連する規定を整理しようとすることであります。  改正の第二点は、この会計事務取扱い費につきましては、従来、一般会計において支弁して参ったのでありますが、この会計の他の経費すなわち公債及び借入金利子、一時借入金利子公債の発行及び償還に関する諸費等とともに、貸付金利子収入等でまかなうことを原則とし、これに不足があります場合には、その不足する金額予算の定めるところにより、一般会計からこの会計繰り入れることができることとしようとすることであります。  その他、借入金に関する規定及び予算添付書類に関する規定整備のため所要改正を行おうとするものであります。  最後に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  この法律案は、厚生保険特別会計法及び船員保険特別会計法の一部を改正しようとするものでありまして、その概要は次の通りであります。  まず、厚生保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。  第一は、政府の行なっている健康保険給付費の異常な増高等に伴う支払い財源不足に充てるため、昭和三十年度以降七ヵ年度間、毎年度十億円を限度として一般会計から健康勘定繰り入れを行うことができることとしようとするものであります。  第二は、日雇い労働者健康保険事業保険施設及び福祉施設を行うのに必要な経費について、日雇い健康勘定から業務勘定繰り入れを行うことができることとし、これに関連して、業務勘定決算上の剰余金について、従来、健康勘定及び年金勘定積立金にのみ組み入れることとなっていたのを、日雇い健康勘定積立金へも組み入れることができることとしようとするものであります。  次に、船員保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。  船員保険で行なっている給付のうち、健康保険給付に対応する給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度二千五百万円を限度として一般会計から船員保険特別会計繰り入れを行うことができることとしようとするものであります。以上がこの八法律案提出した理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。  引き続き、ただいま提案理由説明を聴取いたしました八法律案並びにすでに審査中の農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外八法律案一括議題として質疑を続行いたします。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上委員 ちょっと委員長に御注意を申し上げておきます。かような法案を一括上程して審議することは一向さしつかえありませんが、審議をするに当りまして、政府当局がかいもく出ておりません。少くとも法案を一括提案します以上は、法案関係政府委員が全部出席しておらなければ質疑はできません。従って、その提案をされます場合には、必ず関係政府委員出席の上で質疑のできるような手配をして審議を進めるように願いたいと存じます。  そこで本日は、税制関係政府委員が見えておりますから、税制改正に関する重要な点について二、三の質問をいたしておきたいと思います。  今度の税制改正の点において私どもが問題にしなければならないのは、政府では、本年度減税を三百二十七億行おうとする案を提出いたしておりますが、この減税をいたしましても、なおかつ約三十二億の増収になるという、きわめて甘い税収の見積りをしておりはしないかという点であります。たとえば源泉所得税について見ましても、これは二十九年度に比しますと、二・七%の増収を見込んでおりますが、しかし政府が別途経済計画に示しております賃金上昇見込みは〇・五%であります。賃金上昇見込みが〇・五%であるのに、源泉徴収における二十九年度との比において二・七%の増収を見込んでおるというのは、一体その根拠はどこにあるのでございますか、それを御説明願いたい。
  6. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 国民所得全体についての見積りの場合と、それから租税収入を見積る場合とでは、やはり租税収入の場合におきましては、その対象が、勤労所得者の中で税負担をしております者がその一部でありますだけに、やはり税収入の場合には、税収入としましてより具体的な見地に立って見積りをすべきじゃないか、かようにわれわれ考えております。そういう意味におきましてたとえば政府職員などにつきしましても、賃金ベースにおきましては、もちろんこれは上げることは予定されておりませんが、昇給というものが最近やはり引き続いて行われていることが考えられておりまして、本年度におきましては、前年よりも多少昇給についての財源は減らしておりますが、それでも政府職員におきまして三・三%という昇給財源を一応見込んでおります。民間におきましても、やはり賃金ベースの問題はとにかくとしまして、ある程度の昇給ということが考えられるのじゃないだろうか、こういったようなことも考慮に入れまして、源泉所得税課税対象となる人たち賃金ベースということも頭に置きまして、大体二・七%程度というものにつきましては、これは一応考えていいのじゃないだろうか、こういう考え方をしております。
  7. 井上良二

    井上委員 官公庁の職員の給与ベースが改訂されなくても、定期昇給が行われるという根拠に立ち、なおかつ一般民間産業においても多少昇給がされるであろう、こういう一つの根拠に立っておるという御説明でございました。そうしますと、この政府経済計画というものの賃金指数というものは、何を根拠にしてお出しになっておるのか。政府が別途国会に諮っております経済計画は、いかなる数字をもって国会に説明しておるのですか。
  8. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 国民所得を計算いたします場合におきましては、やはり全体的な、総合的な観点で計算していく、こういう立場でもって、これは経済審議庁が中心で計算しておりますが、われわれの方で税を計算します場合におきましては、やはり具体的な事例につきまして、過去の給与の支払われておる実績、課税対象になっておる実績、こういったものを中心にしてやはり見積りをして参りませんと、国民所得の計算そのものを中心にして計算して行くというものとは、ちょっと違った計数が出る危険がございますので、従来やっておりますわれわれの考え方としましては、やはり前々年度の実際支払われました支給金額、これも一応税務署の方に申告になっておりますその計数をもとにしまして、その計数につきまして、一応どれくらいの伸びが考えられるか、こういう数字で計算しておりますので、国民所得の計算のように、非常に生産指数なり、あるいは雇用の指数なり、そうしたものと結び合せまして考えて参ります場合とは、多少違った観点の数字が出ることもやむを得ないのじゃないか、かように思っております。
  9. 井上良二

    井上委員 政府の出しております本年度国民所得は六兆二千二百三十億、これは昨年から二%上昇するということが説明されております。それを具体化し、その裏づけとして、ただいま申しました経済計画に基く賃金上昇というものを見込んでおりますのは〇・五%であります。だからあなたの御説明のように、国民所得というものは、総合的にいろいろな資料を検討してはじき出すからこういう牧字になるが、税務署の方としては具体的な事実に基いてやる、こういいますけれども、その具体的な事実が積み上げられて賃金指数というものが出てくるのと違うのですか。税務署が持っておる資料と、経済審議庁が持っております。資料は違うのですか。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 同じ源泉所得税でございましても、たとえば日雇い労務者の給与のような場合でございますと、これは別個の課税方式をとっておりますがゆえに、たとえばお手元にございます説明の中でも、日雇い労務者の分は日雇い労務者の分として、全然別個の観点で計算しているわけです。そういうふうに、一応われわれの方といたしましては、日雇い労務者とか、あるいは農業関係の労務者とか、そういったふうな分とは別にしまして、一応源泉徴収対象になる労務者につきましてだけ、雇用の趨勢あるいは賃金の趨勢というものを見まして、そしてこの計算を出しておりますがゆえに、同時に経済審議庁の方で計算しております分は、日雇い労務者とか農業労務者とか、そういうものを全部総合しまして  一応の見方をしておりますがゆえに、両者の間にはやはりある程度の数字的な違いは出て参りますが、一応両方の計算をいたします場合にはよく数字をつき合せておりますので、私非常に恐縮ですが、今どこの点で、それがどう違っておって、こうなるのだという点を説明する資料を持っておりませんが、その点につきましては、総合的に  一応の数字のつき合いはできているはずでございます。
  11. 井上良二

    井上委員 いま一つ、増収を非常に甘く見ている適切な例としましては、酒税についてみてもこれが言われるんじゃないか。酒税は、二十九年度の移出石数を約四十万石増加したということで、昨年は百億の自然増収となっております。それで本年約二十万石の酒造米を増石いたしますので、移出石数が四十五、六万石となるから、これで百億増収見込みまして、合計二百億の増収を見込んでおる。ところが酒税は、御存じの通り庫出税でありますから、実際の消費を伴わなくても、製造さえすれば税収は確保できると考えるのは、非常な見込み違いではないかと思います。最近消費が非常に減少してきておる。インフレの反対のデフレの現象から影響を受けまして、移出石数というものがどんどん減ってきている。昨年の三月に比べて本年の三月では、清酒特級と合成一級、ビール等はいずれも四割から五割の大幅な移出減を示しておる。全体を平均いたしましても一六%の減となっている。   [委員長退席、横路委員長代理着席〕  従って酒税二百億の増収をはかることはとうてい望めないということを私どもは想定できる。この点に対してどう考えられますか。
  12. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 従来とかくわれわれの見積りがかたきに失するといったような御批評もあり、また事実毎年自然増収がいろいろな姿によって出てきたということを反省いたしまして、本年度見積りにおきましては、一応われわれとしましてはそうむちゃにかたい見積りでない、といって特に甘い見積りでないという点をねらいまして、全体の見積りをしてある。従って本年度見積りにおいては、全体としてこれ以上の自然増収はなかなか期待できないという見積りをしている点において、従来と比べましては、確かに相当甘いといいますか、この収入が確保できないという意味とは思っておりませんが、従来のように年度初めから自然増収相当期待できるのだといったような意味の見積りでないという意味において、従来の見積りと違っているということは、これは全体について私は言い得ると思っております。  そこで、今具体的な例として酒税について御質問がありましたので、それについてお答えいたしますと、昨年度におきまして実際に庫出しされた数字、これは今度の税収におきまして酒税の相当大きな増収は、主として二級酒の造石がふえ、庫出しがふえていく、分析して参りますと大体こういうことに結論づけ得ると思いますが、その二級酒につきまして、昨年度予算におきましては、実は清酒二百十二万石見積っていたわけです。ところが実績は、清酒が二百五十八万石庫出しができました。これは過日の御質問でもお答え申し上げましたように、昨年の暮れに酒造米を百万石配給していただいた。それは貴重な米でありますので、できるだけアルコールの添加を多くしまして、そうしてこれを約二百九十六万石の酒にして、三十一万石早出しした、こういったような関係から出た数字でございますが、昨年度におきまして、実績的に見まして、実は二百五十八万石出ておるわけであります。今年度は清酒全体を二百八十三万石に見積ってございまして、二十五万石二級酒を中心にして清酒の庫出しがふえる、こういう見積りになっております。清酒につきましての需要を考えてみますと、昨年一年は、年度の終りにおきましては早出しがありましたので、かなり需給が調整できて参りましたが、年の途中におきまして、二級酒が非常に足りないというので、各方面から批判を受けていたような事情でございますので、そういう点を考え、またいろいろ業者の方々などの御意見を伺ってみましても、多く見積る方は、三百万石くらいの需要は十分あるのではないかといったようなお話もございます。そのような意味におきまして、二百八十三万石程度の庫出しを見積りますことは、そう過大見積りになるという御批評を受けなくても済むのではないか、かように考えております。  なお、昨年の三月と今年の三月とでは、今年の庫出しの石数が非常に減っているという数字をあげてのお話でございましたが、お話になりました特級酒、それから一級酒の合成あるいはビール、これは昨年の三月におきましては、御承知のようにいずれもそれぞれ税率の引き上げがございました。従来の例におきましても、税率の引き上げがたとえば四月にありますと、三月におきましての庫出しがおのずから多くなる、そのかわりに、四月におきましての庫出しが減るという事例は間々見られることであります。そういう時期と本年の三月を比較するということは、多少全体の姿を見るには適当じゃないのではないか、かように考えられます。その意味におきまして、数量を見て参りますと、たとえばビールにつきましては、昨年に比べまして、三月及び四月の合計では一割六分減っておりますが、四月には二割の庫出しの増になっております。こういう姿でございます。昨年の三月と今年の三月の数字だけを比べて全体をうかがうのはちょっと早いのではないか、かように考えております。
  13. 井上良二

    井上委員 次に伺いたいのは、夏期手当の免税の問題です。これは先般、横路君から大蔵大臣に質問がありましたが、昨年の暮れも年末手当の免税問題で相当論議をいたしました。しかし当時は、財源がない、こういうことで、主税当局の方では首を縦に振りませんでした。そこで夏季手当は、政府の方では大体どのくらい見込んでおりますか、それをまず伺っておきます。推定でよろしい。
  14. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今その数字を手元に持っておりませんし、まだ推定もしてございませんので、おそらく推定しかできないと思いますが、一応推定数字が出ましたらお答え申し上げたいと思っております。
  15. 井上良二

    井上委員 これは、もし財源がありました場合はお考えになりますか。
  16. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 財源の問題は財源の問題でいろいろ議論があると思いますが、私はこう思っております。これは事務当局的な意見かもしれませんが、夏季手当といったような特殊な時期のボーナスを中心にしまして特に減免するといったような考え方は、これは数にしてどういうふうにあるかよく存じませんが、これも一応調べているわけですが、全然夏季手当のような制度のないところがあるようでございます。同じ労務者にありましても、夏季手当の制度のある場合とない場合がある。年末ボーナスにおいても、そういうボーナスの制度がある場合と、中小企業などにおいてはない場合、あっても非常に額の小さい場合、こういったようなものがあるようでございます。従いまして、税の考え方からいたしますれば、やはり夏季手当であるから、年末手当であるからといったような観点で考えるよりも、やはり全体としていつももらいますものと臨時にもらいますものと合せた額によって、その総額の多いか少いかによって、あるいは税をかけ、あるいは税をかけない。あるいは税率を適用します場合におきましても、それを全体の額に応じて多くする少くする、こういうふうに考えていくべきではないか、かように考えております。
  17. 井上良二

    井上委員 主税当局の頭が、ちょっと変と言っては失礼ですが、考え方の土台が——土台をもう少し御検討を願いたいと思います。夏季手当とか年末手当を出します意味は、御承知の通り、平常の俸給、賃金というものが非常に安い、低賃金、低俸給であるというところに根本的な問題がある。そこで日本の長い慣習によりまして、盆とか年末とかいう経費のかさみますときに、それを何とかカバーしてやらなければいけない、こういう意味がこれには多分に含まれておるのです。だから、これが欧米諸国のように、賃金が生活を補うだけ保障されているところなら別ですが、日本のように非常に低賃金であり、しかも中小企業が多くて、劣悪な労働条件のもとに置かれているところにおきましては、どうしても盆暮れの賞与というものによってふだんの低賃金を少しでもカバーしよう、こういうことに考えが置かれているのです。だから、何か賞与をもらう人は特別な人であって、非常に恵まれた人間のように解釈することは非常な間違いです。そういう解釈というものは、この問題を扱う場合に非常な妨害になると思う。政府みずから今度の税制改革で、低額所得者の減税を大きな目標に掲げておきながら、一方においては、先般から議論があります通り利子課税を免除しておる。利子課税の実際免除になる部分といいますのは——これは御存じの通り低額預金者は免税されております。それから一般の商業取引等による当座預金は無利下でありますから、これは免税されません。そうなれば、高額の預金者が免税の対象になり得るのです。高額預金者に対しての免税を考える政府が、年にわずか一ぺんかニへんしかもらえない、しかも少額の賞与に対して課税することを免除してもらいたい、こういうことを一体どういうわけでお考えになれませんか、どちらの比重が一体大事だと税務当局はお考えになりますか。
  18. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 私はボーナスをもらう人だけが特に恵まれているとかいったような意味の考え方でお話申し上げておるわけじゃございません。結局ボーナスを出し、そのかわり月々の俸給をどう出すかという考え方、そういう俸給の支給の仕方もあれば、それから総額としては同じだけれども、月々余分に出しておいてボーナスの額は少い、全然出さないといわないまでも少い。あるいは月々は少いけれども、ボーナスの額は多い、こういうふうな賃金の支給形体はその土地なり、仕事の違いなり、あるいは企業の大きい、小さいとかによっていろいろあるんじゃないか。やはり担税力を考えます場合におきましては、結局もらう金全体は同じだとすれば、その支給の仕方自身において負担がかわるというのはちょっと考えにくいんじゃないだろうか。そういう意味におきまして、昨年におきましては財源とかいろいろな関係で、いろいろ議論が出ましたが、本年におきましては、先ほど井上委員から、むしろ税収は過大見積りじゃないかというふうな御非難があった程度なんですけれども、やはり従来われわれの見積りはとかく小さきに失したというような御批評等も考えまして、一応基礎控除の額を上げるとか、そういった措置によって、低額所得者の負担をできるだけ軽くしていきたい、こういうことで全体を解決していくべきじゃないだろうかと思います。
  19. 井上良二

    井上委員 あなたが今御指摘になりました通り、夏季手当、年末手当というような臨時的な賞与は、もう初めから予定をいたしまして、賞与は出さなければならぬもの、慣習上出さなければ事が済まぬ、こういうことから、昇給の場合におきましても、それだけ予算見積りまして、賞与に出す分だけは別個に経理をしておるのが実情です。また現にあなた方がお勤めになっている官公庁の職員にいたしましても、非常に給料が安いというところから、賞与に非常に大きな期待をかけられておる、これは事実なんです。おそらく一般民間産業がデフレのあらしで非常に難儀をしている。賃金が遅配、欠配になり、賞与さえ払えぬという会社がある場合においても、官公庁の方だけはきちきちと賞与だけは正確にもらっておる。これは何ゆえかといえば、非常に給料が安いというところから、やはり賞与を一定量ちゃんと予算上見積ってある。その賞与に課税をされます場合に、総合課税になって、手取りはわずかしかない、こういう実情になっている。だから低額所得者を減税するという政府の親心があるなら、もっと生きた減税を実際おやりになったらどうですか。生きた減税をやらずに、帳簿上の減税だけで、片一方の法律の上では一割か一割五分くらい減税になっておるが、減税になった分で砂糖を買い、酒を買おうとするならば、一体どうなるか。実際減税になっていないじゃないか。生活上何らの潤いをもたらさないじゃないか。そういうことだけでいいのなら、何をかいわんやですけれども、さらにその上に、高額所得者には世界で例のない、預金利子に免税をするというのですから、それほどありがたい政府は、高額所得者にはありますまい。そういうべらぼうな案を考えることがありますか。政府の政策がそうであっても、税体系全体を乱すから、そういうことはできませんといってがんばらなければならない。それを、ただ政府の命令に従っておればそれでいいということは、国家の公務員としての職責が果されませんぞ。少くとも税制全体を大きく変更せしめ、国民をして疑惑を起さしめ、矛盾と不合理を起さしめるような税制改正案というものは妥当な改正とは言えません。そういう意味から、私はこの賞与に振り向ける財源があります。ならば、この際この点に対しては、それが多少少額でありましょうとも、特にこれは考慮すべきじゃないか、私は事務当局に対してあまりしつこい質問はいたしませんが、この点については一応当局として御検討願わなければなりません。  そこでこの財源の一つといたしまして砂糖に対する課税の問題がございます。この砂糖の税金を徴収するのにニヵ月間という猶予を認めておりますが、本年の砂糖消費税は、全体が四百四十億くらいになっていないかと思います。そうしますと、一ヵ月約四十億に近い金が、税金として政府の手元に入らなければならぬものが、砂糖消費税を納めます会社の手元にそのまま残っておる。それをニヵ月も猶予することになりますと、八十億という金が全く遊んでおることになっておる。そういう恩典はいかなる理由によってやっておるか。これは先般も私申し上げましたところ、現に庫出しをして会社の売掛代金の回収まで、そのくらいの日時がかかっておるという御説明でありましたが、一体さような長い支払い猶予を認めておるのはいずれの会社でございますか、具体的にいかなる砂糖会社にさような支払いの遅延を認めておりますか。具体的に説明を願いたい。
  20. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 砂糖の現在の税金は、御承知のように酒などと違いまして、引き取りました時期からすぐに納税義務が発生する。これは今度提案いたしております改正法案においても、同じような規定になっております。従いまして今度は引き取りましたあとにおきましての、やはり代金回収という問題等も考慮しまして、従来から三ヵ月まで延納できるという規定になっているわけでありますが、昨年当委員会でもいろいろ御論議がありまして、そして一応われわれの方でも調べました結果としまして、三ヵ月は少し長過ぎるじゃないかということで、現在二ヵ月にしております。商習慣でいろいろきまっておりますし、また需給関係で相当売手が強くもなるし、買手が強くもなりますし、いろいろ代金回収の時期につきましても、早くなることもあればおそくなることもありますが、納税の点におきまして、あまりこれを頻繁に変更するのはどうだろうかというような考え方で、現在ニヵ月にはしましたが、それ以上に縮めておりません。現在の砂糖会社の代金回収についてはただいま調べておりますが、まだ手元にございません。ある程度短かくなっておると思いますが、しかしこれは需給関係で、あるいは長くなることもございますし、その長くなるたびに長くし、短かくなるたびに短かくするということは、税の性格からいかがかと思っております。
  21. 井上良二

    井上委員 そういう抽象的な答弁ではあきません。私ははっきり調べてきてありますから……。だから政府の方は、どこの会社がそんな長い回収で取引をやっているか、具体的にお示し願いたい。
  22. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 最近の状況につきましては現在調べておりますので、後の機会にお答えいたしたいと思っております。
  23. 井上良二

    井上委員 御存じの通り勤労所得者がみずから汗水を流して働いた金が、法律によりまして源泉徴収されて、本人は家の都合で、この税金がありさえすれば、この税金さえとられなければという考え方があっても、勘定袋をもらったが最後、税金は差っ引かれておるのです。われわれ低額所得者は、全勤労大衆はその日の生活に追われながら、税金は一日も待ったなしです。本人は納めると言うとらへんのに先とられてしまう。納める意思を表明しとらへんのに、勝手に源泉徴収してしまつとる。しかるに大資本、大企業の税金は二月も三月も余裕を認めてある。認めなければならぬ理由があるなら私は何も言いません。現実には何らの理由もない。砂糖取引所ができましてからこの方というものは、売り買いが行われますと、おそくとも一週間ないし二週間後には決済をせなければならぬことになっておる。それが常道になっている。現金制度になっておる。それを何ゆえに一体二月も認めなければならぬのか。八十億もの金を何ゆえに一体遊ばさんならぬのか、そこに問題があるのです。税のとり方にそんな不公平がありますか。政務次官どうお考えになりますか。黙っておらずに答えて下さい。
  24. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 砂糖の徴税についての徴収の猶予の期間の問題でありますが、今までのいろいろな商取引あるいは砂糖の需給関係等もにらみ合せて——昨年までは三ヵ月、それをいろいろ御議論もありましたけれども、現状をにらみ合せまして二月に短縮したのであります。先ほど主税局長からもお話申し上げたように、税の制度でございますので、取引の状況の変化に常に応じなければならぬというのも少し繁雑に過ぎるのでありますから、なるべく長い期間同じような方法で徴収するのが妥当だと思います。しかしただいま御指摘になりましたような砂糖の取引の状況その他もありますので、今後も十分この問題については考究をして参りたい。その意味において、先ほど主税局長からもお答えいたしましたように、現状の調査を目下やっておるような次第でございます。
  25. 井上良二

    井上委員 それはいつできますか。現状の調査はいつ委員会で報告ができますか。
  26. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今やっておりますので、できるだけ早い機会に答弁申し上げたいと思っております。
  27. 井上良二

    井上委員 できるだけ早い機会といって、砂糖会社幾つございますか。そんなもの調べるのに一体幾日あったらいいのです。日を切ってください。これは無利子で預けてあるわれわれの金、われわれが納めた税金ですからね。
  28. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 おそくも一週間以内には御答弁できるように、その期間内でも、できましたらできるだけ早く答弁します。
  29. 井上良二

    井上委員 この際これに関連して、もう一つ政府に御忠告かたがた質問をいたして置きたいのは、御存じの砂糖の市場価格を安定するということからして、輸入砂糖の超過利潤を吸収する新しい制度を法制的に作ろう、こういうことで法案を準備しておるそうですが、これの法案は今国会に提出いたしますか、政務次官から伺いたい。
  30. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 砂糖の超過利潤と申しますか、これに対して政府がある程度これを吸収するという関係の法案は、この国会に提出する予定をいたして目下準備をいたしております。
  31. 井上良二

    井上委員 もしこれを提出いたします場合は、次のことについて御検討の上本委員会に御説明を願うように、一つお願いをいたしたいのであります。といいますのは、砂糖輸入に対して超過利潤があるということからしまして、御存じの通り昨年リンク補償制度を用いまして、プラント輸出その他に砂糖をリンクに使ったので、このことが自由貿易制を建前といたしておりますガットの加入問題に関連をして、非常に国際的な非難を受けたというところから、リンク補償制度は昨年度末限りやめることになった。ところが今度は、リンク補償制度は国際的な非難があり、為替関係の上からもおもしろくないというところからこれをやめて、今度は国内において、超過利潤を吸収する法制を考えておるようであります。ところが、もしこれが具体的にいずれ法案が出ました場合は検討いたすつもりでありますけれども、私ども政治的な一つの見解として、これに関連して政府に御検討願いたいのは、リンク補償の場合は、いろいろ国際的に問題があるからこれをやめた、今度は国内法によってこれをやろうとする場合は、一体ガットとの関係はどういうことになりますか。キューバー糖と台湾糖との値開きを統一した価格にいたすつもりでありますか。あるいはまたキューバ糖、台湾糖、それぞれ一定額のプレミアムをつけた価格で吸い上げようといたしますか、いずれにしてもガット加入なり国際金融機構の上に非常に重要な問題を投げかける問題であって、今日本がガット加入が成るか成らぬかという大事なこのときに、国際的に非常に大きな疑惑を持たれるようなこの措置が、はたして日本の貿易振興の上に大きな支障を投げかけはせぬかどうかという問題、この問題に対して、もっと大蔵当局も、外貨資金を管理しております関係から、また国際的な金融機構との正常な協定をしなければならぬ立場から、この問題の持ってきます非常に大きな国際通商上の疑義をそこに投げかけるであろうと思いますので、この点に対する御検討を一つ十分願いたいと思います。その上で、いずれ私はこの法案が出されました場合は、それらの角度から御質問申し上げますが、非常に私は国家的にも重要な問題として考えなきゃなりませんので、この点に対する御検討を私は特にお願いをして置きます。  なお砂糖消費税その他についての質問は次会にこれを譲りまして、私の質問は本日はこの程度にいたします。
  32. 横路節雄

    ○横路委員長代理 横山君。
  33. 横山利秋

    ○横山委員 本日提案されました地方道路税法案を中心にして御質問いたしたいと思います。  最初に政務次官にお伺いをしたいのですが、鳩山内閣税法について公約をいたしました重要な問題の一つは、中小企業の課税の軽減と、それからこれに関連をいたしまして一般の国民が認識をいたしております点は、増税をしない、こういうことにあったかと認識をしておるわけであります。ところが地方道路税並びに揮発油税を移管いたしまして二千円の増税、こういう点についてはどういうふうに御説明をなさるか、まずもってそれを御説明願いたいのであります。
  34. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 政府が減額の方針を立てまして、特に低額所得者の所得税を中心にして減税をしたいというふうに申し上げておったのであります。そうして、それは酒税あるいは砂糖消費税等の増収とのにらみ合せで、この所得税の減額を考えたわけであります。その際に全然増税をしないということを申し上げた覚えはないのでありまして、ただ特にこの地方道路税につきましては、なるほど実質的には増税でありますが、たびたび説明申し上げましたし、本日提案理由でも申し上げましたように、地方の道路費の負担の増高にかんがみまして、ぜひそれの特別な財源を作りたいという意味で、この地方道路税を創設するに至ったことは申し上げるまでもないと思うのであります。そういう意味で、なるほど全体といたしまして見れば増税になるわけでありますが、低額所得者を中心にいたしました所得税減税ということはどこまでもこれをやりまして、一方地方公共団体道路財源をこの地方進路税において求めたというふうに御了解をいただきたいと考える次第でございます。
  35. 横山利秋

    ○横山委員 いささか今の御答弁では納得ができないと思うのであります。それは、揮発油事業者は一般的に中小企業者の人たちが多いわけですが、この中小企業の課税を軽減する、こういうことは天下にお約束をされたわけであります。また増税をしないと言った覚えはないということは、少くともこの税についての公約というものは、減税を中心にして常に力説をせられたところであって、裏返せば増税をしないということをいつの場合においても言われておったことなのであります。これだけは増税をするということは、今日までのお約束とはなはだしく違反すると思うのでありますが、重ねてこの点について御説明をいただきたいと思うのであります。
  36. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 政府減税をするということを申し上げたのは、申し上げるまでもなく全体としての減税であります。所得税、あるいは法人税その他の減税三百二十七億、そうして道路税の増徴二十五億をお引きいただいても三百億程度の減税はいたしておる、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  37. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、今後におきましても、政務次官のおっしゃるような意味において増税というものは行われるものであるか。本年度予算の中においても、将来補正予算等においてそういうお考えを継続せられるのであるかどうかをお伺いしたいと思います。
  38. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 現在といたしまして、あるいは将来と申しますか、補正予算等のお話がございましたが、政府といたしましては、今後この三十年度において税制をこれ以上に変更する意思は持っておりません。
  39. 横山利秋

    ○横山委員 別の角度でお伺いをいたしますが、去年の十月の初めでありましたか、地方自治庁がこの地方道路税の税収案を査定をいたして大蔵省に出しました際に、現行揮発油税一万三千円を一万一千円、地方道路税を二千円にする、こういう原案が大蔵省に出たことはすでに周知の事実であります。何をもって大蔵省がその倍額の四千円とするということになさったのか、道路の改修を中心にいたしております自治庁のお考え方はこれでよろしいのだという考え方なのに、大蔵省がさらにそれを倍額にいたしましたゆえんをお伺いいたします。
  40. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 自治庁から一応そういう話が出たことはあります。同時にその場合におきましての自治庁の考え方は、住民税等について一応相当の引き上げを行うというような案と、たしかからみ合っていた問題ではないかというふうに思っております。ただいろいろそのほか地方財源充実という意味におきまして、国の方からの財源相当さらに割愛するとか、いろいろな要求とからみ合ってきた問題だというふうに思っております。しかし住民税の引き上げ等は、片方で所得税減税する機会においてどうも適当じゃないのじゃないだろうかといったような点など、いろいろ問題を詰めて参りました結論としまして、結局地方財源充実するための意味におきましてこれは道路という財源に特に使われるということのゆえに、やはり二千円ではどうも財源として不足するから四千円にせざるを得まい、こういうふうに両者の意見も一致したわけでございます。
  41. 横山利秋

    ○横山委員 地方道路税の税収というものは、これは一つの目的税でございますから、今のお話の住民税との関連という点については納得しがたいのであります。また地方におきまして、ある県におきましては、すでに先般来道路改修に使うべき費用九千万円のうち六千万円が警察費に使われたというふうなことも起っておるわけであります。こういうような点も十分考慮いたしましたときに、自治庁がこれでよろしいのだ、これで地方の道路の改修なり、いろいろな問題をやるというものを、大蔵省としてさらに倍額にするという理由が、私にはどうもあなたの御説明ではまだ納得ができません。
  42. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 地方道路税は、確かに一応地方道路財源ということで一種の目的税になっておりますが、五ヵ年計画と結びついた道路財源だけをとってみましても、二千円の道路税の財源ではてんで足りません。どうしてもやはり起債なり一般財源からこれを補填しなければならぬ運命にあるわけであります。そういう点と結びつきまして、先ほど申し上げました住民税の引き上げとかなんとかいうことが実は問題になったわけでございます。しかし、どうもそういう点はおもしろくないのじゃないか。道路財源不足というならば、むしろやはり道路と直接関連のあるところの地方道路税においてその財源を求めるべきではないかというようなところに両者の意見が一致したわけであります。なお御指摘になりました、おそらく昨年の問題でございますから、揮発油譲与税の金がある県において流用されたという点だろうと思いますが、私、これはお話は伺っておりますが、実はまだはっきり確かめておりません。しかし揮発油譲与税においても、その意図は一応道路財源ということになっておりますので、おそらくそれは一時的な流用にとどまったものじゃないかと思います。従いまして、それは当然返されるべきものというふうに思っておりますが、その点は自治庁によく確かめてみます。同時に今後は、もしそれが道路財源に使われなかったとするならば、これは法律上にも問題があるわけでございますので、そういうことが絶対にないように確保すべきものだと思っております。
  43. 横山利秋

    ○横山委員 石橋通産大臣は四月二十八日の本会議で、道路整備に充当するから物価に影響はない、こういうふうに言われましたが、大蔵省もそのように考えておりますか。
  44. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今度の二千円が運賃にどれだけの影響を持つかという点につきましては、これは各角度からわれわれ一応検討してみました。現在御承知のように、石油会社は相当の利潤を得ておりますし、従いましてたとえばこれは消費税ですから、本来なら当然二千円の値上りということになるわけですけれども、石油会社自身がある程度吸収できないかという点は、やはりこれは一応考えられていい問題じゃないかというふうに思っておりますが、しかし、消費税はそういう性質のものじゃないのじゃないかという観点からしまして、一応揮発油税が二千円そのまま上ったという点から考えてみまして、それがどれくらい運賃に響くかという点で計算してみますと、乗合自動車の場合におきましては一・一%、トラック運賃の場合においては〇・七%という数字が出ます。これは揮発油税の直接の影響でございますが、同時に道路がよくなれば、タイヤやチューブのいたみもそれだけ減るだろう、修繕費もそれだけ減るだろうということも当然考えらるべきものであろうと思います。またそれなればこそ、この道路税という問題が、一応二千円にしろ四千円にしろ、問題として出てき得る余地があるのじゃないか、こういうことを考えて参りますと、これらの一・一%、〇・七%というものも、そのまま運賃に響くわけのものでもあるまい、かような考え方を持っております。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 非常に甘きに失する見込みでありまして、これは論争になりますから申し上げませんが、あとでこの一・一%なり〇・七%になるという根拠を一つ資料として御提出をお願いいたしたい。  それから、先ほどお話が出ました道路整備五ヵ年計画の二十九年度から三十三年度まで、この年間の計画予算がそこでおわかりになったら言っていただきたい。
  46. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今の数字の根拠はあとで資料として差し上げますが、簡単な数字だけ一応ございますから、とりあえず申し上げておきます。バスの一キロ当りの運賃、これが五十六円十銭、うち揮発油税の負担額、これは現行のままでございますと四円三銭、改正になりまして四円六十五銭、増加額が六十二銭、これで一・一%になります。トラックの場合におきましては、一キロ当りの運賃八十三円、うち揮発油税税負担額三円九十銭、改正後が四円五十銭、増加額六十銭、これで〇・七%という数字になります。いずれも資料として出します。  道路予算の関係は、恐縮でございますが、主計局の担当になっておりますので、後ほどの御答弁に譲らしていただきます。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、昭和三十年度揮発油の需要量、政府は二百三十五万キロリットルですか、これの算定はどういう数子からできたものか、簡単に伺います。
  48. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 揮発油の供給の総量を二百五十万キロリットルと想定いたしまして、そのうち航空機等に使われる揮発油につきましては、御承知のように現在課税しておりません。従いましてこの五万キロリットルを差し引きまして、課税分が二百四十五万キロリットル、そこで御承知だと思いますが、現在税率を適用して課税しておりますのは、欠減分を差し引いた分になっておりまして、その欠減分というのが三・七%ございます。従いましてこの二百四十五の三・七%、九万六百五十キロリットルを差し引きました数字が二百三十洲万九千三百五十キロリットル、こういう数字になっております。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 過般通産省と運輸省両省が協議の上、三十年度揮発油需要量としてきまりましたのが二百六十八万キロリットルであることは、御存じのはずだと思う。あまりにも大蔵省とこの両省との間に違いがあるのは、いかなるわけでありますか。
  50. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 通産省と運輸省で二百六十八万キロリットルという数字を言っていることは、われわれも聞いておりますが、外貨予算の関係でございましてまだきまっておりません。大蔵省は二百五十万キロリットルという数字を一応外貨予算の限りで主張しておりまして、まだ結論が出ておりませんので、われわれは、やはりこの二百五十万キロリットルで計算すべきものだ、かように考えております。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 実際に使う統計をとっておるところで二百六十八万キロリットル、税金をとる方で二百三十五万キロリットル、この驚くべき違いというものは、端的にいって税収の見積りが軽きに失する、自然増収がここで莫大もなく隠されておる、こういうふうに結論をせざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  52. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 二百六十八万キロリットルと御比較を願うべき数字は、先ほど申し上げた二百五十万キロリットルだと思います。二百六十八万キロリットルという中には、航空機の部分でありますとか、あるいは欠減分とかいうものが全部入った数字でございますから、従いまして二百六十八万キロリットルがいいといってその場合にわれわれが基礎にとっております数字として御比較願うべき数字は、二百五十万キロリットルだというふうに考えていくべきものと思っております。結局二百五十万キロリットルか二百六十八万キロリットルかという論議でありますが、これは大蔵省は一応外貨につきまして、外貨事情等も考えまして、本年度揮発油の供給量というものを一応二百五十万キロリットルというふうに考え、それを両省と今折衝しております。従いまして、その大蔵省の主張している数字をわれわれとしてはとるべきものだと考えたわけでございます。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 二十九年度の税収におけるキロリットルは確定しておりますか。
  54. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 二十九年度の数字を申し上げます。免税分が三万二千ございましてこれを差し引きました、先ほどの数字でいいますと二百四十五万キロリットルに当る数字、それが二十九年度におきましては二百三十六万キロリットルでございます。欠減分としてそれを差し引いた数字が二百二十七万キロリットル、これが今そこにお話しになりました二百三十五万九千キロリットルに該当する数字、それは二百二十七万キロリットルでございます。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 この二百二十七万キロリットルというのは確定数字ですか、予想数字ですか。
  56. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 これは課税の実績によった敬字でございます。今揮発油につきましては、ニヵ月半の延納を認めておりますので、その意味におきまして一月の半ばまでの数字でございます。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 お話が出ておりますように、この延納もまたたいへんな話でありますけれども、これはまた別の機会にいたしまして、二十四年度からの揮発油の需要量をずっと計算をして参りますと、何としてもこの二百三十五万キロリットルというのは過小に失する。年々増加をいたしております。パーセンテージは、二十五年は一三三%、二十六年は一八九%、二十七年は一六九%、二十八年は一四一%と累年増加いたしております。私は今あなたの二百二十七万キロリットルという点についても、もう少し資料をいただいて確かめたいと思っておるわけでありますが、今私の手元にそれに対応する数字がございません。業界の一致しております点は、おそらく二百四十万キロリットルは昨年もあっただろうというのが、一致した見解になっておるわけであります。はなはだしいのになりますと、二十九年度は二百五十万キロリットル入っておるだろうというふうな数字すら出ておるわけです。今回の二百三十五万キロリットルという点についても、その増加率で推定をいたしますならば、二百六十八万キロリットルと両省で発表いたしました数字は、決して高きに失するものではございません。この年々歳々揮発油税における自然増収の額というものは、べらぼうもない額になっておるわけであります。これは例年の恒例になっておるような実情であります。今回かりにその二百六十八万キロリットルという両省が策定いたしました数字をもとにして、現行の一万三千円にかけ合せてみますと、三百四十八億という数字が出てくるわけです。この数字を基礎にいたしましたならば、決して今回二千円の増税をする必要はない、こういうこともまた断定をせられるわけであります。これは決して架空なことで言っているのではなくして、年々の揮発油の需要量の統計をとり、あるいはまた徴税実績を検討いたしてみましても、あなたの方における二百三十五万キロリットルというのは、相当その中に自然増収が隠されておる、こういうふうに断定せざるを得ぬし、この点については、揮発油税に関係しております業界なり、あるいは労働者なり、あるいは各界の一致した意見となっておるのでありますが、この点はいかがなものでありますか。
  58. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 先ほども申し上げましたのですが、業界の方は、非課税分と欠減分についてどうもあまり御計算をなさらないで、いろいろなお話しをしていらっしゃる点が一つあるのじゃないか、この点は一応よく御説明申し上げたいと思います。先ほど申しましたように、航空機用等の免税分が六万一千キロリットル、三・七%の欠減控除分が約六万一千キロリットルありますし、一応査定した分は二百三十九万キロリットルございますので、この数字だけとりますと、これで業界のいわれる二百五十二万キロリットルにほとんど同じになります。こういうような数字を、実はやれ二百五十万キロリットルとか、二百六十八万キロリットルとか言っておるわけであります。その数字から、先ほど申しましたように非課税分を差し引き、欠減量を差し引く、そうすることで、たとえば昨年の課税の関係は二百二十七万キロリットルになっているわけです。今度の二百三十五万キロリットルは、この二百二十七万に対応する数字をわれわれとっているわけです。従いまして、そのベースになっておりますのは二百五十万キロリットルである、こういうふうに御了解願いたいというふうに思っております。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 そういうこと百も承知の上で議論をしておるのでありまして、誤解をなさらないように一つお願いしたいと思います。  この地方道路税並びに揮発油税のキロ当り二千円の増徴に引き続いて伝えられるところによりますと、自治庁は地方道路税新設後におけるガソリン車とディーゼル車の税負担の均衡をはかるという名目のもとに、ディーゼル車に対する品動車税の五割引き上げ方針を考えておるということでありますが、大蔵省はこれについて知っておられるのか、またどういうふうにお考えになるのか、あわせてお伺いします。
  60. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 ディーゼル車につきましての自動車税を引き上げるということを自治庁が現在考えていることは、われわれ存じております。議論は、結局道路の経費が要るなら、単にガソリン車だけでなくて、ディーゼル車が相当あるのだから、そのディーゼル車についてやはり課税すべきである、その意味におきまして、あるいは軽油課税とか、いろいろな議論が出ているのでございますが、そのこと自体においてもいろいろ議論がございますし、課税技術的にも非常に問題がある。そこでやはり同じ地方負担であります意味におきまして、少くとも自動車税では相当の差をつくべきではないか、こういうのがディーゼル車についての税率を引き上ぐべき根拠というふうに了解しております。
  61. 横山利秋

    ○横山委員 あと時間もありませんから、きょうは第一次的な質問にいたしておきますが、先ほど申しましたように、この揮発油税の税収につきましては、二十四年以来ずっと統計を見ましても、当初予算に対して必ず補正予算が出、当初予算と税収の実績を見てみますると、また補正予算とを比べてみますると、年々一割ないしは二割、はなはだしきに至っては三割くらい徴税実績は補正予算を上回っておるわけです。自然増収はもう恒例のことになっておるわけです。従いましてここ六年間の実績を見ましても、あなたの方で言われてます二百三十五万キロリットルという点については、これに関係をいたします人々がほとんど異口同音に、またここで自然増収を見つくろってごまかされるのか、こういうような見解を持っておるわけです。いわんや、本税は昨年二千円上げたばかりです。また本年二千円上げる。わずか一年かそこらの間に、べらぼうもない増税であります。ほかの問題については、政務次官は国民一般に対して増税をしないとは言わなかった、こうおっしるけれども、まさにそれは詭弁といわなければなりません。いわんや、一年の間にこれくらいべらぼうな増税をされるということについては、どのような理由をつけましても、業界としては、あるいはその下に働く多くの勤労大衆としては、絶対にこれは納得ができないものであります。またこれに関連いたします道路利用者の側におきましても、たといこれは目的税で道路を直すのだといわれましても、このような増税についてはあげて反対をいたしておるところです。その点についてなおかつ一、二年の間に四千円を上げなければならぬという理由がもしありましたら、もう一度お聞かせを願いましょう。
  62. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 揮発油税につきましては、お話のように昨年二千円上げたわけでございますが、当時やはり地方財源の補填ということが問題になりまして、揮発油譲与税というものが出ましたのですが、それが国会の御審議で一年限りということになりまして、結局何とかやはりこの措置をしなければならぬという結論が出ましたのが今度の措置でございます。自然増収というような点につきまして、いろいろ御議論がございましたが、現在政府の考えているところにおきましては、われわれそこに当然自然増収があるとは思っておりませんが、もし決算の上におきまして自然増収が出ました場合におきましては、その分は決算のきまりましたその後におきまして、結局翌々年度になりますが、翌々年度におきまして道路財源に充てよう、こういうことを別途考えております。地方道路税の方は、これは特別会計の方に入りますが、実際にもしこれ以上入れば、それはやはり地方の方に分配されますし、また入る金額がそれより少なければ少いなりにしか分配されない、こういう建前になっていることだけ申し上げておきます。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 時間が参りましたから、もう議論はいたしませんが、ただいまの質問の中でお願いをいたしました資料をいただいて、さらに質問をいたしたいと思います。あわせて資料として昨年を含んで年度別の揮発油予算と消費実績と徴税実績、それを第一にお願いしたい。それから先ほど言った一・一%と〇・七%の根拠、あなたが先ほどから強調されております二百三十五万キロリットルの算出の根拠を詳細にお願いいたします。  本問題について大蔵大臣に質問をいたしたいと思いますが、おいでになりませんから、質問を留保いたしまして私の質問を終ります。     —————————————
  64. 横路節雄

    ○横路委員長代理 この際理事辞任についてお諮りいたします。  理事であります遠藤三郎君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 横路節雄

    ○横路委員長代理 御異議なしと認めます。よってこれを許可するに決しました。  引き続き理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長より御指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 横路節雄

    ○横路委員長代理 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、早川崇君を理事に指名いたします。     —————————————
  67. 横路節雄

    ○横路委員長代理 奧村又十郎君。
  68. 奧村又十郎

    ○奧村委員 本日提案租税特別措置法についてよく研究して一つ思いついたことは、この法律通りますと、七月一日以後の預金利子は免税になる。ところが三月三十一日までの預金利子は、長期のものは五%、そうすると四月一日から六月三十日まではどういう税金がかかるのですか。
  69. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 その点につきましては、休会前の国会で御審議を願い、また御可決を願ったもので、一応一〇%の課税の分は六月三十日までお延ばし願っております。従って通常の覇の定期預金とか、その他のものでございますと、六月三十日までに支払われるものは一〇%になっております。この法律通りますと七月二日からはゼロになります。それから五%の分は、これは期限がまだ延びておりまするから、現在までずっと五%になってきております。この法律通りますと、一応それでもってゼロになりますが、しかしこの法律期限後にも五%の分はまだ続く規定が出ております。従って、この法律は時限立法になっておりますから、これが三十二年の三月三十一日で切れてしまいました後は、五%分だけの特例、昨年の御審議で得たものはそのまま続く、こういう法律的な建前になっております。
  70. 横路節雄

    ○横路委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後十九日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会