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1955-05-17 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年五月十七日(火曜日) 午前十時四十八分
開議
出席委員
委員長
松原
喜之次
君
理事
加藤 高藏君
理事
内藤 友明君
理事
早川
崇君
理事
奧村又十郎
君
理事
横路 節雄君 有馬 英治君
宇都宮徳馬
君
遠藤
三郎
君 中山 榮一君 坊 秀男君
前田房之助
君 森下 國雄君 山村新治郎君 山本 勝市君 淺香 忠雄君 川野
芳滿
君 小西 寅松君 小山
長規
君 薄田 美朝君 石村 英雄君 石山 權作君 横山 利秋君
井上
良二
君 川島 金次君 田万
廣文
君
平岡忠次郎
君 町村 金五君
出席政府委員
大蔵政務次官
藤枝
泉介
君
大蔵事務官
(
主税局長
)
渡辺喜久造
君
委員外
の
出席者
専 門 員 椎木 文也君 専 門 員 黒田 久太君
—————————————
五月十六日
委員春日一幸
君
辞任
につき、その
補欠
として水
谷長三郎
君が議長の指名で
委員
に選任された。 同月十七日
理事遠藤三郎
君
理事辞任
につき、その
補欠
とし て
早川崇
君が
理事
に当選した。
—————————————
五月十六日
租税特別措置法等
の一部を
改正
する
法律案
(内
閣提出
第四一号)
厚生保険特別会計法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第四六号)
開拓者資金融通特別会計法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
第四七号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の互選
農業共済
再
保険特別会計
の
歳入不足
をうめるた めの
一般会計
からの
繰入金
に関する
法律案
(内
閣提出
第七号)
昭和
二十九年の台風及び冷害による
被害農家
に 対して
米麦
を
特別価格
で売り渡したことにより
食糧管理特別会計
に生ずる
損失
をうめるための
一般会計
からの
繰入金
に関する
法律案
(
内閣提
出第八号) 漁船再
保険特別会計
における
給与保険
の再
保険
事業
について生じた
損失
をうめるための
一般会
計からの
繰入金
に関する
法律案
(
内閣提出
第九 号)
臨時通貨法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一〇号) あ
へん特別会計法案
(
内閣提出
第一一号)
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 一五号)
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 一六号)
国民金融公庫法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第二一号)
日本輸出入銀行法
の一部を
改正
する
法案律
(内
閣提出
第二八号)
地方道路税法案
(
内閣提出
第三一号)
輸入品
に対する
内国消費税
の
徴収等
に関する法
律案
(
内閣提出
第三三号)
国税徴収法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第三四号)
砂糖消費税法案
(
内閣提出
第三五号)
昭和
二十八
年度
、
昭和
二十九
年度
及び
昭和
三十
年度
における
国債整理基金
に充てるべき
資金
の 繰入の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第三六号)
租税特別措置法等
の一部を
改正
する
法律案
(内
閣提出
第四一号)
厚生保険特別会計法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第四六号)
開拓者資金融通特別会計法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
第四七号)
—————————————
松原喜之次
1
○
松原委員長
これより
会議
を開きます。 まず去る十二日、当
委員会
に
審査
を付託されました
地方道路税法案
、
輸入品
に対する
内国消費税
の
徴収等
に関する
法律案
、
国税徴収法
の一部を
改正
する
法律案
、
砂糖消費税法案
、
昭和
二十八
年度
、
昭和
二十九
年度
及び
昭和
三十
年度
における
国債整理基金
に充てるべき
資金
の繰入の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の五
法律案並び
に昨十六日付託となりました
租税特別措
第 八
号置法等
の一部を
改正
する
法律案
、
厚生保険特別会計法等
の一部を
改正
する
法律案
、
開拓者資金融通特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
の三
法律案
との合計八
法律案
を
一括議題
として
審査
に入ります。まず
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
藤枝政務次官
。
藤枝泉介
2
○
藤枝政府委員
ただいま
議題
となりました
昭和
二十八
年度
、
昭和
二十九
年度
及び
昭和
三十
年度
における
国債整理基金
に充てるべき
資金
の繰入の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
外七
法律案
につきまして
提案
の
理由
を
説明
申し上げます。 まず
昭和
二十八
年度
、
昭和
二十九
年度
及び
昭和
三十
年度
における
国債整理基金
に充てるべき
資金
の繰入の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提出
の
理由
を御
説明
申し上げます。
昭和
二十八
年度
及び
昭和
二十九
年度
におきましては、
国債
の
償還等
に充てるための
資金
の
繰り入れ
の
特例
といたしまして
国債
の
元金償還
に充てるため
一般会計
から
繰り入れ
るべき
金額
は、
財政法
第六条の
規定
による前々
年度
の
歳入歳出
の
決算
上の
剰余金
の三分の一
相当額
にとどめ、
国債整理基金特別会計法
第二条第二項の
規定
による前
年度
初め
国債総額
の一万分の百十六の三分の一
相当額
の
繰り入れ
ば、これを要しないものとするとともに、
日本国有鉄道
及び
日本電信電話公社
が
日本国有鉄道法施行法
第九条または
日本電信電話公社法施行法
第八条の
規定
により
政府
に対し負う債務の
償還元利金
は、
国債整理基金特別会計
に受け入れ、
当該金額
について
一般会計
から
繰り入れ
があったものとみなす特別の
措置
が講ぜられました。また、
昭和
三十
年度
の四、五月分の
暫定予算
の
期間
中におきましては、
さき
に御
審議
を経て成立いたしました
国債整理基金
への繰入及び
補助金等
に関する
特例
の
期限
を変更するための
法律
第一条の
規定
により、暫定的に、これらの
措置
が引き続いて講ぜられてきたのでありますが、
昭和
三十
年度
につきましても、
財政
の
状況
にかんがみ、かつ、経理の
簡素化
をはかるため、
年度
を通じて右と同様の
措置
を講ずることが適当であると認め、
さき
に
提出
いたしました
昭和
三十
年度
の本
予算
にあわせて
所要
の
法的措置
をはかることといたそうとするものであります。 次に、
地方道路税法案
外三
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。
政府
は、
国民生活
の安定及び
資本蓄積
の
促進
に資する等のため、
所得税
及び
法人税
の
軽減合理化
をはかることとし、
さき
に
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
を
提案
したのでありますが、さらに
道路整備
五カ年
計画
の
実施等
に伴う
地方道路財源
の
充実
をはかるため
地方道路税
を創設するとともに、
現下
の
経済情報等
に応じて
砂糖消費税法
の
全文
の
改正
、
輸入品
に対する
内国消費税
の
徴収等
に関する
規定
の
整備
及び
延滞加算税額等
の率の引き下げを行うこととし、ここに
関係法律案
を
提出
することといたした次第であります。以下、順次各
法律案
についてその
大要
を申し上げます。 まず、
地方道路税法案
におきましては、国の
道路整備
、五カ年
計画
の
実施
に伴う
地方団体
の
道路整備所要財源
の
増加等
の
状況
に対処するため、
都道府県等
の
道路財源
に充てることを目的として、
製造場
または
保税地域
から
揮発油
を引き取る者、その他
揮発油税
を徴収されることとなる者に対し、
揮発油
一キロリットルにつき四千円の
税率
の
地方道路税
を課することといたしております。もっとも、この
地方道路税
の創設に伴い、
揮発油税
の
現行税率
一キロリットルにつき一万三千円を一万一千円に引き下げることとしておりますので、
揮発油税
及び
地方道路税
の
綜合員担
は、
揮発油
一キロリットルにつき一万五千円となり、
現行
より二千円の
増加
となりますが、
揮発油税
及び
地方道路税
の
収入
が
道路整備
の費用に充てられること等の
事情
を考慮し、さらに、最近における
地方財政
の
状況
、特に
道路費
の
増加
の
地方負担
に及ぼす
影響等
に顧みれば、
地方道路財源充実
のためにこの程度の増徴もやむを得ないと考えている次第であります。
地方道路税
は、同じく
揮発油
の引き取り等に対して課される
揮発油税
にあわせて徴収し、またはあわせて
還付
もしくは充当を行う等、できるだけ
徴収手続
が複雑とならないよう
所要
の
規定
を設けております。 なお、
地方道路税収入
の全額は、
都道府県等
に譲与されるわけでありますが、その譲与に関する
法律
は、別途御
審議
をお願いすることとなっております。 次に、
砂糖消費税法案
について御
説明
申し上げます。 この
法案
は、最近における
税法
の
立法例
にならい、
砂糖消費税法
の
全文
を口語体に改めつつ、
所要
の
規定
を
整備
し、その
明確化
をはかるとともに、その
内容
についても若干の
改正
を行おうとするものでありますが、今、そのおもな点について
説明
いたしますと、第一に、
たる入り黒糖
及び
たる入り白下糖
以外の
含蜜糖
については、
糖度区分
による大幅な
税率
の差異に伴う人為的な品質の
低下等
を是正するとともに、
含蜜糖
の適正な
税負担
を実現するため、従来、
糖度
が八十度を越えないものは百斤につき九百五十円、その他のものは百斤につき二千五十円の
税率
で
課税
しておりましたものを、百斤につき千七百五十円の
税率
一本で
課税
することに改めております。なお、最も普通に消費される分
蜜白糖
に対する
現行
の
税率
は、据え置くことといたしているのであります。 第二に、
自家用
の
砂糖類
のみを製造する者が製造した
砂糖類
並びに
たる入り黒糖
及び
たる入り白下糖
の
製造者
が
自家用
に消費する
一定限度
の
たる入り黒糖
及び
たる入り白下糖
については、特にこれらが零細な
農家等
において生産消費される
事情
を考慮して、
砂糖消費税
を免除することといたしております。 第三に、従来の引き取り
課税制度
を
移出課税制度
に改め、
砂糖類
を移出する際に
砂糖消費税
を徴収することとするとともに、特に
たる入り黒糖
及び
たる入り白下糖
を製造している者については、
手続
の
簡素化
をはかるため、毎月
製造場
から移出した
砂糖類
に対する
砂糖消費税
を翌月
末日
に徴収することといたしております。 次に、
輸入品
に対する
内国消費税
の
徴収等
に関する
法律案
におきましては、最近の
情勢
に応じ、従来、
保税地域
以外の場所から輸入する
物品
に対する
内国消費税
の
徴収等
について
規定
しておりました
酒税等
ノ
徴収ニ関スル法律
の
規定
を全面的に
整備
いたすとともに、
外交官
が輸入する
物品等関税
を免除される
輸入物品
に対して、
内国消費税
を免除する
規定
を設けるほか、
輸入物品
に対する
内国消費税
の賦課、
徴収等
について
規定
の
明確化
をはかっておるのであります。なお、
輸入物品
に対する
内国消費税
の
犯則事件
について、税関の
職員
にも調査及び処分の権限を与えることとし、
犯則事件
の迅速な処理を行い得る
措置
を講じております。
最後
に、
国税徴収法
の一部を
改正
する
法律案
について御
説明
申し上げます。
国税
を
正当納期限
までに完納しない場合に徴収される
利子税額
及び滞納の
国税
を
督促状
の
指定期限
までに完納しない場合に徴収される
延滞加算税額
を計算する場合の率は、それぞれ
現行日歩
四銭となっておりますが、最近の金利の
水準等
に顧み、これをそれぞれ
日歩
三銭に改めることといたしております。なお、これに伴いまして、
過誤納
の
国税
の
還付金等
に付する
還付加算金
の率を
現行
の
日歩
四銭から
日歩
三銭に引き下げるとともに、
国税
以外の公課について徴収する
延滞金
の率も
現行
の
日歩
八銭から
日歩
六銭に引き下げることといたしておるのであります。 以上四
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
と
内容
の
大要
を申し上げましたが、何とぞ御
審議
のうえ、速かに賛成されんことを切望してやまない次第であります。 次に、
租税特別措置法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
提案
の
理由
を
説明
いたします。
政府
は、
現下
の
経済情勢
及び
国民租税負担
の
状況
に顧み、
昭和
三十
年度
予算
に関連いたしまして、
国民生活
の安定をはかり、
資本蓄積
の
促進
に資する等のために
税制
の
改正
を行うこととし、すでに
所得税法
の一部を
改正
する
法律案等関係法律案
を
提出
して御
審瀧
を願っているのでありますが、さらに今次の
税制改正
の
一環
をなすものといたしまして、ここに
租税特別措置法等
の一部を
改正
する
法律案
を
提出
した次第であります。 この
法律案
は、
租税特別措置法
及び
有価証券取引税法
の一部を
改正
しようとするものでありますが、まず、
租税特別措置法
の
改正
について、その
大要
を申し上げます。 第一に、
資本蓄積
の
促進
に資するため、次の
通り改正
を行うことといたしております。 まず、
国民貯蓄
の増強をはかるため、本年七月一日から
昭和
三十二年一月
末日
までの間に
支払い
を受けるべ
貯預貯金
、
公社債等
の
利子所得
に対しては、
所得税
を課さないことといたしております
預貯金等
の
利子所得
については、現在でも
相当
の
優遇措置
が講ぜられているのでありますが、
民間資本蓄積
の
促進
をはかることが急務であることに顧み、今回、このような
措置
を講ずることといたしたのであります。たお、この
措置
と関連いたしまして、貞きに述べた
期間
内に
支払い
を受けるべき
配当所得
につきましては、
所得税
の
源泉徴収税率
を百分の十五から百分の十に軽減することといたしておるのであります。 次に、
法人
の
資本構成
を是正して
自己資本
の
充実
をはかり、
企業経営
の
合理化
に資するため、
製造業
、鉱業、
建設業
、運輸及び
通信業等一定
の
事業
を営む
法人
で本年七月一日において現存するも占のが、同日から
昭和
三十二年一月
末日
までの問に
増資
を行った場合におきましては、
増資登記
の
登録税
の
税率
を千分の七から千分の一・五に軽減することといたしております。
増資
の
奨励措置
といたしましては、現在すでに、
増資株式
に対する
配当金
の
損金算入
が認められているのでありますが、この
特例措置
と相待ちまして、
自己資本
の増大を容易にすることが期待されるのであります。 第二に、
輸出
の振興に資するため、
輸出所得
の一部を
控除
する
制度
について、次の
通り拡充合理化
を行うことといたしております。 まず、
輸出所得
による
控除
の
限度
を百分の五十から百分の八十に引き上げることといたしております。現在、
輸出所得控除
の
制度
は、
一定
の
輸出取引
につき、
輸出取引金額
の
一定割合
と
輸出所得
の百分の五十とのうちいずれか低い方の
金額
を
課税所得
から差し引くこととしているのでありますが、今回、
輸出所得
による
控除
の
限度
を百分の八十に引き上げ、
制度
の
合理化
をはかることとしているのであります。 次に、
プラント
を
輸出
した場合には、現在、
輸出取引金額
による
控除
の
割合
を特に多くすることとし、その
プラント
の
範囲
はこれを
法律
をもって定めているのでありますが、最近の
輸出
の
状況
に顧み、この
プラント
の
範囲
を拡張して、
油井管
及び送
油管
、レール、
送電用
の裸より線並びに
送電用
または
通信用
のケーブルについても特別の
控除割合
を適用することとしているのであります。 なお、この
制度
は、
昭和
三十一年七月
末日
までの
特例措置
とされているのでありますが、この
適用期限
をさらに
昭和
三十二年十二月
末日
まで延長することといたしております。 第三に、
住宅建設
の
促進
に資するため、次の
通り改正
を行うことといたしております。 まず、
新築住宅
に対する
特別償却制度
の
拡充
をはかることといたしております。すなわち、
床面積一定坪数
以下の
家屋
を新築してこれを
従業員住宅
その他貸家の用に供したときは、現在では、その時から五年間、
普通償却額
の五割増の
特別償却
を認めることとしているのでありますが、今回この
制度
を
拡充
して、本年七月一日から
昭和
三十三年十二月
末日
までの間において新築した
一定
の条件に該当する
家屋
につきましては、五年間において、
普通償却額
の、
鉄筋コンクリート造り
の
家屋等耐用年数
が五十年以上の
家屋
については二十割増、その他の
家屋
については十割増の
特別償却
を認めることとしているのであります。この
改正
によりまして、たとえば、
鉄筋コンクリート作り
の寄宿舎、アパートなどについては、五年間に
取得価額
の五割余、
木造家屋
などについては、五年間に
取得価額
の七割余を償却することができることになるのであります。 次に、
地方公共団体
が本年七月一日から
昭和
三十三年十二月
末日
までの間において新築した
床面積
が
一定坪数
以下の
住宅
の
所有権保存登記
につきましては、この
期間
内に
登記
を受けるものに限り、
登録税
を課さないことといたしております。 また、
地方公共団体
、
住宅
金融公庫または
住宅
の
建売業者等
が右の
期間
内において新築した
住宅
を、これらの者から取得する場合の
所有権取得登記
につきましては、この
期間
内に
登記
を受けるものに限り、現在
自家用住宅
を新築した場合に認められている
特別措置
に準じ、その
登録税
の
税率
を千分の五十から千分の一に軽減することとしているのであります。 第四に、
中小企業対策
の
一環
といたしまして
中小企業等協同組合法
の
規定
による
事業協同組合
またはその
連合会
で
一定
の要件に該当するものにつきましては、現在
農業協同組合
の場合に認めている
特例措置
に準じ、その
積立金額
が
出資総額
の四分の一に達するまでは、その
所得
のうち留保した
金額
に対して
法人税
を課さないこととし、
協同組合経営
の基礎の
健実化
に資することといたしております。 第五に、
航空事業
の助成のため、本年七月一日から
昭和
三十二年三月
末日
までの周を限、航空機の乗客に対する
通行税
の
税率
を百分の二十から百分の十に軽減することといたしております。 以上に申し上げました事項の外、当事者間の協議により
土地等
が買い取られる場合におきましても、
当該土地等
が
買い取り
の申し出を拒むときは
土地収用法等
の
規定
により収用されることとなるものである場合には、現在
土地収用法等
によって
土地等
が収用された場合について認めていると同様に、
譲渡所得
に対する
所得税
の
課税
を行わず、
買い取り
の対価を資産再
評価法
による再
評価限度額
と見なして、再
評価税
のみを
課税
することとする等、
所要
の
規定
の
整備
と
簡素化
とをはかることといたしております。 次に、
有価証券取引税法
の
改正
について申し上げますと、
証券投資信託
の
信託財産
に属する株券の
譲渡
に対する
有価証券取引税
につきましては、
証券投資信託
の育成の
見地
から、現在、万分の十五の
税率
を万分の六に軽減して
課税
しており、この
特例措置
の
適用期限
が本年七月
末日
までとなっておりますが、
証券投資信託
の
奨励策
を引き続き講ずる必要があると考えられますので、この
適用期限
を、
昭和
三十二年三月
末日
まで延長することといたしております。 次に、
開拓者資金融通特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 今回の
改正
の第一点は、
開拓者資金融通特別会計
におきましては、現在、同
特別会計法
第四条の
規定
によりまして、
貸付金
の
償還金
は
公債
及び
借入金
の
償還金
の
財源
にのみこれを充てることとなっているのでありますが、
昭和
二十九
年度
末における
貸付金残高
は約百十七億円であり、今後毎年
相当額
の
償還金
が見込まれますので、今回この
貸付金
の
償還金
を新規の
貸付金
の
財源
にも充てることができるようにするとともに、従前の
制度
に関連する
規定
を整理しようとすることであります。
改正
の第二点は、この
会計
の
事務取扱い費
につきましては、従来、
一般会計
において支弁して参ったのでありますが、この
会計
の他の
経費
すなわち
公債
及び
借入金
の
利子
、一時
借入金
の
利子
、
公債
の発行及び
償還
に関する
諸費等
とともに、
貸付金
の
利子収入等
でまかなうことを原則とし、これに
不足
があります場合には、その
不足
する
金額
を
予算
の定めるところにより、
一般会計
からこの
会計
に
繰り入れ
ることができることとしようとすることであります。 その他、
借入金
に関する
規定
及び
予算
の
添付書類
に関する
規定
の
整備
のため
所要
の
改正
を行おうとするものであります。
最後
に、
厚生保険特別会計法等
の一部を
改正
する
法律案
の
提出
の
理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
厚生保険特別会計法
及び
船員保険特別会計法
の一部を
改正
しようとするものでありまして、その概要は次の
通り
であります。 まず、
厚生保険特別会計法
の一部
改正
について御
説明
申し上げます。 第一は、
政府
の行なっている
健康保険
の
給付費
の異常な増高等に伴う
支払い財源
の
不足
に充てるため、
昭和
三十
年度
以降七ヵ
年度
間、毎
年度
十億円を
限度
として
一般会計
から
健康勘定
に
繰り入れ
を行うことができることとしようとするものであります。 第二は、
日雇い労働者健康保険事業
の
保険施設
及び
福祉施設
を行うのに必要な
経費
について、
日雇い健康勘定
から
業務勘定
に
繰り入れ
を行うことができることとし、これに関連して、
業務勘定
の
決算
上の
剰余金
について、従来、
健康勘定
及び
年金勘定
の
積立金
にのみ組み入れることとなっていたのを、
日雇い健康勘定
の
積立金
へも組み入れることができることとしようとするものであります。 次に、
船員保険特別会計法
の一部
改正
について御
説明
申し上げます。
船員保険
で行なっている
給付
のうち、
健康保険
の
給付
に対応する
給付費
の異常な増高等に伴い、その
財源
の一部に充てるため、
昭和
三十
年度
以降六カ
年度
間、毎
年度
二千五百万円を
限度
として
一般会計
から
船員保険特別会計
に
繰り入れ
を行うことができることとしようとするものであります。以上がこの八
法律案
を
提出
した
理由
であります。 何とぞ御
審議
の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
松原喜之次
3
○
松原委員長
これにて
提案理由
の
説明
は終りました。 引き続き、ただいま
提案理由
の
説明
を聴取いたしました八
法律案並び
にすでに
審査
中の
農業共済
再
保険特別会計
の
歳入不足
をうめるための
一般会計
からの
繰入金
に関する
法律案
外八
法律案
を
一括議題
として
質疑
を続行いたします。
井上良二
君。
井上良二
4
○
井上委員
ちょっと
委員長
に御注意を申し上げておきます。かような
法案
を一括上程して
審議
することは一向さしつかえありませんが、
審議
をするに当りまして、
政府当局
がかいもく出ておりません。少くとも
法案
を一括
提案
します以上は、
法案関係
の
政府委員
が全部
出席
しておらなければ
質疑
はできません。従って、その
提案
をされます場合には、必ず
関係政府委員
の
出席
の上で
質疑
のできるような手配をして
審議
を進めるように願いたいと存じます。 そこで本日は、
税制関係
の
政府委員
が見えておりますから、
税制改正
に関する重要な点について二、三の質問をいたしておきたいと思います。 今度の
税制改正
の点において私どもが問題にしなければならないのは、
政府
では、本
年度減税
を三百二十七億行おうとする案を
提出
いたしておりますが、この
減税
をいたしましても、なおかつ約三十二億の
増収
になるという、きわめて甘い税収の
見積り
をしておりはしないかという点であります。たとえば
源泉所得税
について見ましても、これは二十九
年度
に比しますと、二・七%の
増収
を見込んでおりますが、しかし
政府
が別途
経済計画
に示しております
賃金
の
上昇
の
見込み
は〇・五%であります。
賃金
の
上昇見込み
が〇・五%であるのに、
源泉徴収
における二十九
年度
との比において二・七%の
増収
を見込んでおるというのは、一体その根拠はどこにあるのでございますか、それを御
説明
願いたい。
渡辺喜久造
5
○
渡辺政府委員
国民所得
全体についての
見積り
の場合と、それから
租税収入
を見積る場合とでは、やはり
租税収入
の場合におきましては、その
対象
が、
勤労所得者
の中で
税負担
をしております者がその一部でありますだけに、やはり
税収入
の場合には、
税収入
としましてより具体的な
見地
に立って
見積り
をすべきじゃないか、かようにわれわれ考えております。そういう意味におきましてたとえば
政府職員
などにつきしましても、
賃金ベース
におきましては、もちろんこれは上げることは予定されておりませんが、
昇給
というものが最近やはり引き続いて行われていることが考えられておりまして、本
年度
におきましては、前年よりも多少
昇給
についての
財源
は減らしておりますが、それでも
政府職員
におきまして三・三%という
昇給財源
を一応見込んでおります。
民間
におきましても、やはり
賃金ベース
の問題はとにかくとしまして、ある程度の
昇給
ということが考えられるのじゃないだろうか、こういったようなことも考慮に入れまして、
源泉所得税
の
課税
の
対象
となる
人たち
の
賃金ベース
ということも頭に置きまして、大体二・七%程度というものにつきましては、これは一応考えていいのじゃないだろうか、こういう考え方をしております。
井上良二
6
○
井上委員
官公庁の
職員
の給与ベースが改訂されなくても、定期
昇給
が行われるという根拠に立ち、なおかつ一般
民間
産業においても多少
昇給
がされるであろう、こういう一つの根拠に立っておるという御
説明
でございました。そうしますと、この
政府
の
経済計画
というものの
賃金
指数というものは、何を根拠にしてお出しになっておるのか。
政府
が別途国会に諮っております
経済計画
は、いかなる数字をもって国会に
説明
しておるのですか。
渡辺喜久造
7
○
渡辺政府委員
国民所得
を計算いたします場合におきましては、やはり全体的な、総合的な観点で計算していく、こういう立場でもって、これは経済
審議
庁が中心で計算しておりますが、われわれの方で税を計算します場合におきましては、やはり具体的な事例につきまして、過去の給与の支払われておる実績、
課税
の
対象
になっておる実績、こういったものを中心にしてやはり
見積り
をして参りませんと、
国民所得
の計算そのものを中心にして計算して行くというものとは、ちょっと違った計数が出る危険がございますので、従来やっておりますわれわれの考え方としましては、やはり前々
年度
の実際支払われました支給
金額
、これも一応税務署の方に申告になっておりますその計数をもとにしまして、その計数につきまして、一応どれくらいの伸びが考えられるか、こういう数字で計算しておりますので、
国民所得
の計算のように、非常に生産指数なり、あるいは雇用の指数なり、そうしたものと結び合せまして考えて参ります場合とは、多少違った観点の数字が出ることもやむを得ないのじゃないか、かように思っております。
井上良二
8
○
井上委員
政府
の出しております本
年度
の
国民所得
は六兆二千二百三十億、これは昨年から二%
上昇
するということが
説明
されております。それを具体化し、その裏づけとして、ただいま申しました
経済計画
に基く
賃金
の
上昇
というものを見込んでおりますのは〇・五%であります。だからあなたの御
説明
のように、
国民所得
というものは、総合的にいろいろな資料を検討してはじき出すからこういう牧字になるが、税務署の方としては具体的な事実に基いてやる、こういいますけれども、その具体的な事実が積み上げられて
賃金
指数というものが出てくるのと違うのですか。税務署が持っておる資料と、経済
審議
庁が持っております。資料は違うのですか。
渡辺喜久造
9
○
渡辺政府委員
同じ
源泉所得税
でございましても、たとえば日雇い労務者の給与のような場合でございますと、これは別個の
課税
方式をとっておりますがゆえに、たとえばお手元にございます
説明
の中でも、日雇い労務者の分は日雇い労務者の分として、全然別個の観点で計算しているわけです。そういうふうに、一応われわれの方といたしましては、日雇い労務者とか、あるいは農業関係の労務者とか、そういったふうな分とは別にしまして、一応
源泉徴収
の
対象
になる労務者につきましてだけ、雇用の趨勢あるいは
賃金
の趨勢というものを見まして、そしてこの計算を出しておりますがゆえに、同時に経済
審議
庁の方で計算しております分は、日雇い労務者とか農業労務者とか、そういうものを全部総合しまして 一応の見方をしておりますがゆえに、両者の間にはやはりある程度の数字的な違いは出て参りますが、一応両方の計算をいたします場合にはよく数字をつき合せておりますので、私非常に恐縮ですが、今どこの点で、それがどう違っておって、こうなるのだという点を
説明
する資料を持っておりませんが、その点につきましては、総合的に 一応の数字のつき合いはできているはずでございます。
井上良二
10
○
井上委員
いま一つ、
増収
を非常に甘く見ている適切な例としましては、酒税についてみてもこれが言われるんじゃないか。酒税は、二十九
年度
の移出石数を約四十万石
増加
したということで、昨年は百億の自然
増収
となっております。それで本年約二十万石の酒造米を増石いたしますので、移出石数が四十五、六万石となるから、これで百億
増収
を
見込み
まして、合計二百億の
増収
を見込んでおる。ところが酒税は、御存じの
通り
庫出税でありますから、実際の消費を伴わなくても、製造さえすれば税収は確保できると考えるのは、非常な
見込み
違いではないかと思います。最近消費が非常に減少してきておる。インフレの反対のデフレの現象から影響を受けまして、移出石数というものがどんどん減ってきている。昨年の三月に比べて本年の三月では、清酒特級と合成一級、ビール等はいずれも四割から五割の大幅な移出減を示しておる。全体を平均いたしましても一六%の減となっている。 [
委員長
退席、横路
委員長
代理着席〕 従って酒税二百億の
増収
をはかることはとうてい望めないということを私どもは想定できる。この点に対してどう考えられますか。
渡辺喜久造
11
○
渡辺政府委員
従来とかくわれわれの
見積り
がかたきに失するといったような御批評もあり、また事実毎年自然
増収
がいろいろな姿によって出てきたということを反省いたしまして、本
年度
の
見積り
におきましては、一応われわれとしましてはそうむちゃにかたい
見積り
でない、といって特に甘い
見積り
でないという点をねらいまして、全体の
見積り
をしてある。従って本
年度
の
見積り
においては、全体としてこれ以上の自然
増収
はなかなか期待できないという
見積り
をしている点において、従来と比べましては、確かに
相当
甘いといいますか、この
収入
が確保できないという意味とは思っておりませんが、従来のように
年度
初めから自然
増収
が
相当
期待できるのだといったような意味の
見積り
でないという意味において、従来の
見積り
と違っているということは、これは全体について私は言い得ると思っております。 そこで、今具体的な例として酒税について御質問がありましたので、それについてお答えいたしますと、昨
年度
におきまして実際に庫出しされた数字、これは今度の税収におきまして酒税の
相当
大きな
増収
は、主として二級酒の造石がふえ、庫出しがふえていく、分析して参りますと大体こういうことに結論づけ得ると思いますが、その二級酒につきまして、昨
年度
の
予算
におきましては、実は清酒二百十二万石見積っていたわけです。ところが実績は、清酒が二百五十八万石庫出しができました。これは過日の御質問でもお答え申し上げましたように、昨年の暮れに酒造米を百万石配給していただいた。それは貴重な米でありますので、できるだけアルコールの添加を多くしまして、そうしてこれを約二百九十六万石の酒にして、三十一万石早出しした、こういったような関係から出た数字でございますが、昨
年度
におきまして、実績的に見まして、実は二百五十八万石出ておるわけであります。今
年度
は清酒全体を二百八十三万石に見積ってございまして、二十五万石二級酒を中心にして清酒の庫出しがふえる、こういう
見積り
になっております。清酒につきましての需要を考えてみますと、昨年一年は、
年度
の終りにおきましては早出しがありましたので、かなり需給が調整できて参りましたが、年の途中におきまして、二級酒が非常に足りないというので、各方面から批判を受けていたような
事情
でございますので、そういう点を考え、またいろいろ業者の方々などの御意見を伺ってみましても、多く見積る方は、三百万石くらいの需要は十分あるのではないかといったようなお話もございます。そのような意味におきまして、二百八十三万石程度の庫出しを
見積り
ますことは、そう過大
見積り
になるという御批評を受けなくても済むのではないか、かように考えております。 なお、昨年の三月と今年の三月とでは、今年の庫出しの石数が非常に減っているという数字をあげてのお話でございましたが、お話になりました特級酒、それから一級酒の合成あるいはビール、これは昨年の三月におきましては、御承知のようにいずれもそれぞれ
税率
の引き上げがございました。従来の例におきましても、
税率
の引き上げがたとえば四月にありますと、三月におきましての庫出しがおのずから多くなる、そのかわりに、四月におきましての庫出しが減るという事例は間々見られることであります。そういう時期と本年の三月を比較するということは、多少全体の姿を見るには適当じゃないのではないか、かように考えられます。その意味におきまして、数量を見て参りますと、たとえばビールにつきましては、昨年に比べまして、三月及び四月の合計では一割六分減っておりますが、四月には二割の庫出しの増になっております。こういう姿でございます。昨年の三月と今年の三月の数字だけを比べて全体をうかがうのはちょっと早いのではないか、かように考えております。
井上良二
12
○
井上委員
次に伺いたいのは、夏期手当の免税の問題です。これは先般、横路君から大蔵大臣に質問がありましたが、昨年の暮れも年末手当の免税問題で
相当
論議をいたしました。しかし当時は、
財源
がない、こういうことで、主税当局の方では首を縦に振りませんでした。そこで夏季手当は、
政府
の方では大体どのくらい見込んでおりますか、それをまず伺っておきます。推定でよろしい。
渡辺喜久造
13
○
渡辺政府委員
今その数字を手元に持っておりませんし、まだ推定もしてございませんので、おそらく推定しかできないと思いますが、一応推定数字が出ましたらお答え申し上げたいと思っております。
井上良二
14
○
井上委員
これは、もし
財源
がありました場合はお考えになりますか。
渡辺喜久造
15
○
渡辺政府委員
財源
の問題は
財源
の問題でいろいろ議論があると思いますが、私はこう思っております。これは事務当局的な意見かもしれませんが、夏季手当といったような特殊な時期のボーナスを中心にしまして特に減免するといったような考え方は、これは数にしてどういうふうにあるかよく存じませんが、これも一応調べているわけですが、全然夏季手当のような
制度
のないところがあるようでございます。同じ労務者にありましても、夏季手当の
制度
のある場合とない場合がある。年末ボーナスにおいても、そういうボーナスの
制度
がある場合と、中小企業などにおいてはない場合、あっても非常に額の小さい場合、こういったようなものがあるようでございます。従いまして、税の考え方からいたしますれば、やはり夏季手当であるから、年末手当であるからといったような観点で考えるよりも、やはり全体としていつももらいますものと臨時にもらいますものと合せた額によって、その総額の多いか少いかによって、あるいは税をかけ、あるいは税をかけない。あるいは
税率
を適用します場合におきましても、それを全体の額に応じて多くする少くする、こういうふうに考えていくべきではないか、かように考えております。
井上良二
16
○
井上委員
主税当局の頭が、ちょっと変と言っては失礼ですが、考え方の土台が——土台をもう少し御検討を願いたいと思います。夏季手当とか年末手当を出します意味は、御承知の
通り
、平常の俸給、
賃金
というものが非常に安い、低
賃金
、低俸給であるというところに根本的な問題がある。そこで日本の長い慣習によりまして、盆とか年末とかいう
経費
のかさみますときに、それを何とかカバーしてやらなければいけない、こういう意味がこれには多分に含まれておるのです。だから、これが欧米諸国のように、
賃金
が生活を補うだけ保障されているところなら別ですが、日本のように非常に低
賃金
であり、しかも中小企業が多くて、劣悪な労働条件のもとに置かれているところにおきましては、どうしても盆暮れの賞与というものによってふだんの低
賃金
を少しでもカバーしよう、こういうことに考えが置かれているのです。だから、何か賞与をもらう人は特別な人であって、非常に恵まれた人間のように解釈することは非常な間違いです。そういう解釈というものは、この問題を扱う場合に非常な妨害になると思う。
政府
みずから今度の
税制
改革で、低額
所得
者の
減税
を大きな目標に掲げておきながら、一方においては、先般から議論があります
通り
、
利子
課税
を免除しておる。
利子
課税
の実際免除になる部分といいますのは——これは御存じの
通り
低額預金者は免税されております。それから一般の商業取引等による当座預金は無利下でありますから、これは免税されません。そうなれば、高額の預金者が免税の
対象
になり得るのです。高額預金者に対しての免税を考える
政府
が、年にわずか一ぺんかニへんしかもらえない、しかも少額の賞与に対して
課税
することを免除してもらいたい、こういうことを一体どういうわけでお考えになれませんか、どちらの比重が一体大事だと税務当局はお考えになりますか。
渡辺喜久造
17
○
渡辺政府委員
私はボーナスをもらう人だけが特に恵まれているとかいったような意味の考え方でお話申し上げておるわけじゃございません。結局ボーナスを出し、そのかわり月々の俸給をどう出すかという考え方、そういう俸給の支給の仕方もあれば、それから総額としては同じだけれども、月々余分に出しておいてボーナスの額は少い、全然出さないといわないまでも少い。あるいは月々は少いけれども、ボーナスの額は多い、こういうふうな
賃金
の支給形体はその土地なり、仕事の違いなり、あるいは企業の大きい、小さいとかによっていろいろあるんじゃないか。やはり担税力を考えます場合におきましては、結局もらう金全体は同じだとすれば、その支給の仕方自身において負担がかわるというのはちょっと考えにくいんじゃないだろうか。そういう意味におきまして、昨年におきましては
財源
とかいろいろな関係で、いろいろ議論が出ましたが、本年におきましては、先ほど
井上委員
から、むしろ税収は過大
見積り
じゃないかというふうな御非難があった程度なんですけれども、やはり従来われわれの
見積り
はとかく小
さき
に失したというような御批評等も考えまして、一応基礎
控除
の額を上げるとか、そういった
措置
によって、低額
所得
者の負担をできるだけ軽くしていきたい、こういうことで全体を解決していくべきじゃないだろうかと思います。
井上良二
18
○
井上委員
あなたが今御指摘になりました
通り
、夏季手当、年末手当というような臨時的な賞与は、もう初めから予定をいたしまして、賞与は出さなければならぬもの、慣習上出さなければ事が済まぬ、こういうことから、
昇給
の場合におきましても、それだけ
予算
を
見積り
まして、賞与に出す分だけは別個に経理をしておるのが実情です。また現にあなた方がお勤めになっている官公庁の
職員
にいたしましても、非常に給料が安いというところから、賞与に非常に大きな期待をかけられておる、これは事実なんです。おそらく一般
民間
産業がデフレのあらしで非常に難儀をしている。
賃金
が遅配、欠配になり、賞与さえ払えぬという会社がある場合においても、官公庁の方だけはきちきちと賞与だけは正確にもらっておる。これは何ゆえかといえば、非常に給料が安いというところから、やはり賞与を
一定
量ちゃんと
予算
上見積ってある。その賞与に
課税
をされます場合に、総合
課税
になって、手取りはわずかしかない、こういう実情になっている。だから低額
所得
者を
減税
するという
政府
の親心があるなら、もっと生きた
減税
を実際おやりになったらどうですか。生きた
減税
をやらずに、帳簿上の
減税
だけで、片一方の
法律
の上では一割か一割五分くらい
減税
になっておるが、
減税
になった分で砂糖を買い、酒を買おうとするならば、一体どうなるか。実際
減税
になっていないじゃないか。生活上何らの潤いをもたらさないじゃないか。そういうことだけでいいのなら、何をかいわんやですけれども、さらにその上に、高額
所得
者には世界で例のない、預金
利子
に免税をするというのですから、それほどありがたい
政府
は、高額
所得
者にはありますまい。そういうべらぼうな案を考えることがありますか。
政府
の政策がそうであっても、税体系全体を乱すから、そういうことはできませんといってがんばらなければならない。それを、ただ
政府
の命令に従っておればそれでいいということは、国家の公務員としての職責が果されませんぞ。少くとも
税制
全体を大きく変更せしめ、国民をして疑惑を起さしめ、矛盾と不合理を起さしめるような
税制
の
改正
案というものは妥当な
改正
とは言えません。そういう意味から、私はこの賞与に振り向ける
財源
があります。ならば、この際この点に対しては、それが多少少額でありましょうとも、特にこれは考慮すべきじゃないか、私は事務当局に対してあまりしつこい質問はいたしませんが、この点については一応当局として御検討願わなければなりません。 そこでこの
財源
の一つといたしまして砂糖に対する
課税
の問題がございます。この砂糖の税金を徴収するのにニヵ月間という猶予を認めておりますが、本年の
砂糖消費税
は、全体が四百四十億くらいになっていないかと思います。そうしますと、一ヵ月約四十億に近い金が、税金として
政府
の手元に入らなければならぬものが、
砂糖消費税
を納めます会社の手元にそのまま残っておる。それをニヵ月も猶予することになりますと、八十億という金が全く遊んでおることになっておる。そういう恩典はいかなる
理由
によってやっておるか。これは先般も私申し上げましたところ、現に庫出しをして会社の売掛代金の回収まで、そのくらいの日時がかかっておるという御
説明
でありましたが、一体さような長い
支払い
猶予を認めておるのはいずれの会社でございますか、具体的にいかなる砂糖会社にさような
支払い
の遅延を認めておりますか。具体的に
説明
を願いたい。
渡辺喜久造
19
○
渡辺政府委員
砂糖の現在の税金は、御承知のように酒などと違いまして、引き取りました時期からすぐに納税義務が発生する。これは今度
提案
いたしております
改正
法案
においても、同じような
規定
になっております。従いまして今度は引き取りましたあとにおきましての、やはり代金回収という問題等も考慮しまして、従来から三ヵ月まで延納できるという
規定
になっているわけでありますが、昨年当
委員会
でもいろいろ御論議がありまして、そして一応われわれの方でも調べました結果としまして、三ヵ月は少し長過ぎるじゃないかということで、現在二ヵ月にしております。商習慣でいろいろきまっておりますし、また需給関係で
相当
売手が強くもなるし、買手が強くもなりますし、いろいろ代金回収の時期につきましても、早くなることもあればおそくなることもありますが、納税の点におきまして、あまりこれを頻繁に変更するのはどうだろうかというような考え方で、現在ニヵ月にはしましたが、それ以上に縮めておりません。現在の砂糖会社の代金回収についてはただいま調べておりますが、まだ手元にございません。ある程度短かくなっておると思いますが、しかしこれは需給関係で、あるいは長くなることもございますし、その長くなるたびに長くし、短かくなるたびに短かくするということは、税の性格からいかがかと思っております。
井上良二
20
○
井上委員
そういう抽象的な答弁ではあきません。私ははっきり調べてきてありますから……。だから
政府
の方は、どこの会社がそんな長い回収で取引をやっているか、具体的にお示し願いたい。
渡辺喜久造
21
○
渡辺政府委員
最近の
状況
につきましては現在調べておりますので、後の機会にお答えいたしたいと思っております。
井上良二
22
○
井上委員
御存じの
通り
、
勤労所得者
がみずから汗水を流して働いた金が、
法律
によりまして
源泉徴収
されて、本人は家の都合で、この税金がありさえすれば、この税金さえとられなければという考え方があっても、勘定袋をもらったが
最後
、税金は差っ引かれておるのです。われわれ低額
所得
者は、全勤労大衆はその日の生活に追われながら、税金は一日も待ったなしです。本人は納めると言うとらへんのに先とられてしまう。納める意思を表明しとらへんのに、勝手に
源泉徴収
してしまつとる。しかるに大資本、大企業の税金は二月も三月も余裕を認めてある。認めなければならぬ
理由
があるなら私は何も言いません。現実には何らの
理由
もない。砂糖取引所ができましてからこの方というものは、売り買いが行われますと、おそくとも一週間ないし二週間後には決済をせなければならぬことになっておる。それが常道になっている。現金
制度
になっておる。それを何ゆえに一体二月も認めなければならぬのか。八十億もの金を何ゆえに一体遊ばさんならぬのか、そこに問題があるのです。税のとり方にそんな不公平がありますか。政務次官どうお考えになりますか。黙っておらずに答えて下さい。
藤枝泉介
23
○
藤枝政府委員
砂糖の徴税についての徴収の猶予の
期間
の問題でありますが、今までのいろいろな商取引あるいは砂糖の需給関係等もにらみ合せて——昨年までは三ヵ月、それをいろいろ御議論もありましたけれども、現状をにらみ合せまして二月に短縮したのであります。先ほど
主税局長
からもお話申し上げたように、税の
制度
でございますので、取引の
状況
の変化に常に応じなければならぬというのも少し繁雑に過ぎるのでありますから、なるべく長い
期間
同じような方法で徴収するのが妥当だと思います。しかしただいま御指摘になりましたような砂糖の取引の
状況
その他もありますので、今後も十分この問題については考究をして参りたい。その意味において、先ほど
主税局長
からもお答えいたしましたように、現状の調査を目下やっておるような次第でございます。
井上良二
24
○
井上委員
それはいつできますか。現状の調査はいつ
委員会
で報告ができますか。
渡辺喜久造
25
○
渡辺政府委員
今やっておりますので、できるだけ早い機会に答弁申し上げたいと思っております。
井上良二
26
○
井上委員
できるだけ早い機会といって、砂糖会社幾つございますか。そんなもの調べるのに一体幾日あったらいいのです。日を切ってください。これは無
利子
で預けてあるわれわれの金、われわれが納めた税金ですからね。
渡辺喜久造
27
○
渡辺政府委員
おそくも一週間以内には御答弁できるように、その
期間
内でも、できましたらできるだけ早く答弁します。
井上良二
28
○
井上委員
この際これに関連して、もう一つ
政府
に御忠告かたがた質問をいたして置きたいのは、御存じの砂糖の市場価格を安定するということからして、輸入砂糖の超過利潤を吸収する新しい
制度
を法制的に作ろう、こういうことで
法案
を準備しておるそうですが、これの
法案
は今国会に
提出
いたしますか、政務次官から伺いたい。
藤枝泉介
29
○
藤枝政府委員
砂糖の超過利潤と申しますか、これに対して
政府
がある程度これを吸収するという関係の
法案
は、この国会に
提出
する予定をいたして目下準備をいたしております。
井上良二
30
○
井上委員
もしこれを
提出
いたします場合は、次のことについて御検討の上本
委員会
に御
説明
を願うように、一つお願いをいたしたいのであります。といいますのは、砂糖輸入に対して超過利潤があるということからしまして、御存じの
通り
昨年リンク補償
制度
を用いまして、
プラント
輸出
その他に砂糖をリンクに使ったので、このことが自由貿易制を建前といたしておりますガットの加入問題に関連をして、非常に国際的な非難を受けたというところから、リンク補償
制度
は昨
年度
末限りやめることになった。ところが今度は、リンク補償
制度
は国際的な非難があり、為替関係の上からもおもしろくないというところからこれをやめて、今度は国内において、超過利潤を吸収する法制を考えておるようであります。ところが、もしこれが具体的にいずれ
法案
が出ました場合は検討いたすつもりでありますけれども、私ども政治的な一つの見解として、これに関連して
政府
に御検討願いたいのは、リンク補償の場合は、いろいろ国際的に問題があるからこれをやめた、今度は国内法によってこれをやろうとする場合は、一体ガットとの関係はどういうことになりますか。キューバー糖と台湾糖との値開きを統一した価格にいたすつもりでありますか。あるいはまたキューバ糖、台湾糖、それぞれ
一定
額のプレミアムをつけた価格で吸い上げようといたしますか、いずれにしてもガット加入なり国際金融機構の上に非常に重要な問題を投げかける問題であって、今日本がガット加入が成るか成らぬかという大事なこのときに、国際的に非常に大きな疑惑を持たれるようなこの
措置
が、はたして日本の貿易振興の上に大きな支障を投げかけはせぬかどうかという問題、この問題に対して、もっと大蔵当局も、外貨
資金
を管理しております関係から、また国際的な金融機構との正常な協定をしなければならぬ立場から、この問題の持ってきます非常に大きな国際通商上の疑義をそこに投げかけるであろうと思いますので、この点に対する御検討を一つ十分願いたいと思います。その上で、いずれ私はこの
法案
が出されました場合は、それらの角度から御質問申し上げますが、非常に私は国家的にも重要な問題として考えなきゃなりませんので、この点に対する御検討を私は特にお願いをして置きます。 なお
砂糖消費税
その他についての質問は次会にこれを譲りまして、私の質問は本日はこの程度にいたします。
横路節雄
31
○横路
委員長
代理 横山君。
横山利秋
32
○横山
委員
本日
提案
されました
地方道路税法案
を中心にして御質問いたしたいと思います。 最初に政務次官にお伺いをしたいのですが、鳩山
内閣
が
税法
について公約をいたしました重要な問題の一つは、中小企業の
課税
の軽減と、それからこれに関連をいたしまして一般の国民が認識をいたしております点は、増税をしない、こういうことにあったかと認識をしておるわけであります。ところが
地方道路税
並びに
揮発油税
を移管いたしまして二千円の増税、こういう点についてはどういうふうに御
説明
をなさるか、まずもってそれを御
説明
願いたいのであります。
藤枝泉介
33
○
藤枝政府委員
政府
が減額の方針を立てまして、特に低額
所得
者の
所得税
を中心にして
減税
をしたいというふうに申し上げておったのであります。そうして、それは酒税あるいは
砂糖消費税
等の
増収
とのにらみ合せで、この
所得税
の減額を考えたわけであります。その際に全然増税をしないということを申し上げた覚えはないのでありまして、ただ特にこの
地方道路税
につきましては、なるほど実質的には増税でありますが、たびたび
説明
申し上げましたし、本日
提案
の
理由
でも申し上げましたように、地方の
道路費
の負担の増高にかんがみまして、ぜひそれの特別な
財源
を作りたいという意味で、この
地方道路税
を創設するに至ったことは申し上げるまでもないと思うのであります。そういう意味で、なるほど全体といたしまして見れば増税になるわけでありますが、低額
所得
者を中心にいたしました
所得税
の
減税
ということはどこまでもこれをやりまして、一方
地方公共団体
の
道路財源
をこの地方進路税において求めたというふうに御了解をいただきたいと考える次第でございます。
横山利秋
34
○横山
委員
いささか今の御答弁では納得ができないと思うのであります。それは、
揮発油
の
事業
者は一般的に中小企業者の
人たち
が多いわけですが、この中小企業の
課税
を軽減する、こういうことは天下にお約束をされたわけであります。また増税をしないと言った覚えはないということは、少くともこの税についての公約というものは、
減税
を中心にして常に力説をせられたところであって、裏返せば増税をしないということをいつの場合においても言われておったことなのであります。これだけは増税をするということは、今日までのお約束とはなはだしく違反すると思うのでありますが、重ねてこの点について御
説明
をいただきたいと思うのであります。
藤枝泉介
35
○
藤枝政府委員
政府
が
減税
をするということを申し上げたのは、申し上げるまでもなく全体としての
減税
であります。
所得税
、あるいは
法人税
その他の
減税
三百二十七億、そうして道路税の増徴二十五億をお引きいただいても三百億程度の
減税
はいたしておる、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
横山利秋
36
○横山
委員
そういたしますと、今後におきましても、政務次官のおっしゃるような意味において増税というものは行われるものであるか。本
年度
予算
の中においても、将来補正
予算
等においてそういうお考えを継続せられるのであるかどうかをお伺いしたいと思います。
藤枝泉介
37
○
藤枝政府委員
現在といたしまして、あるいは将来と申しますか、補正
予算
等のお話がございましたが、
政府
といたしましては、今後この三十
年度
において
税制
をこれ以上に変更する意思は持っておりません。
横山利秋
38
○横山
委員
別の角度でお伺いをいたしますが、去年の十月の初めでありましたか、地方自治庁がこの
地方道路税
の税収案を査定をいたして大蔵省に出しました際に、
現行
の
揮発油税
一万三千円を一万一千円、
地方道路税
を二千円にする、こういう原案が大蔵省に出たことはすでに周知の事実であります。何をもって大蔵省がその倍額の四千円とするということになさったのか、道路の改修を中心にいたしております自治庁のお考え方はこれでよろしいのだという考え方なのに、大蔵省がさらにそれを倍額にいたしましたゆえんをお伺いいたします。
渡辺喜久造
39
○
渡辺政府委員
自治庁から一応そういう話が出たことはあります。同時にその場合におきましての自治庁の考え方は、住民税等について一応
相当
の引き上げを行うというような案と、たしかからみ合っていた問題ではないかというふうに思っております。ただいろいろそのほか地方
財源
の
充実
という意味におきまして、国の方からの
財源
を
相当
さらに割愛するとか、いろいろな要求とからみ合ってきた問題だというふうに思っております。しかし住民税の引き上げ等は、片方で
所得税
を
減税
する機会においてどうも適当じゃないのじゃないだろうかといったような点など、いろいろ問題を詰めて参りました結論としまして、結局地方
財源
を
充実
するための意味におきましてこれは道路という
財源
に特に使われるということのゆえに、やはり二千円ではどうも
財源
として
不足
するから四千円にせざるを得まい、こういうふうに両者の意見も一致したわけでございます。
横山利秋
40
○横山
委員
地方道路税
の税収というものは、これは一つの目的税でございますから、今のお話の住民税との関連という点については納得しがたいのであります。また地方におきまして、ある県におきましては、すでに先般来道路改修に使うべき費用九千万円のうち六千万円が警察費に使われたというふうなことも起っておるわけであります。こういうような点も十分考慮いたしましたときに、自治庁がこれでよろしいのだ、これで地方の道路の改修なり、いろいろな問題をやるというものを、大蔵省としてさらに倍額にするという
理由
が、私にはどうもあなたの御
説明
ではまだ納得ができません。
渡辺喜久造
41
○
渡辺政府委員
地方道路税
は、確かに一応
地方道路財源
ということで一種の目的税になっておりますが、五ヵ年
計画
と結びついた
道路財源
だけをとってみましても、二千円の道路税の
財源
ではてんで足りません。どうしてもやはり起債なり一般
財源
からこれを補填しなければならぬ運命にあるわけであります。そういう点と結びつきまして、先ほど申し上げました住民税の引き上げとかなんとかいうことが実は問題になったわけでございます。しかし、どうもそういう点はおもしろくないのじゃないか。
道路財源
が
不足
というならば、むしろやはり道路と直接関連のあるところの
地方道路税
においてその
財源
を求めるべきではないかというようなところに両者の意見が一致したわけであります。なお御指摘になりました、おそらく昨年の問題でございますから、
揮発油
譲与税の金がある県において流用されたという点だろうと思いますが、私、これはお話は伺っておりますが、実はまだはっきり確かめておりません。しかし
揮発油
譲与税においても、その意図は一応
道路財源
ということになっておりますので、おそらくそれは一時的な流用にとどまったものじゃないかと思います。従いまして、それは当然返されるべきものというふうに思っておりますが、その点は自治庁によく確かめてみます。同時に今後は、もしそれが
道路財源
に使われなかったとするならば、これは
法律
上にも問題があるわけでございますので、そういうことが絶対にないように確保すべきものだと思っております。
横山利秋
42
○横山
委員
石橋通産大臣は四月二十八日の本
会議
で、
道路整備
に充当するから物価に影響はない、こういうふうに言われましたが、大蔵省もそのように考えておりますか。
渡辺喜久造
43
○
渡辺政府委員
今度の二千円が運賃にどれだけの影響を持つかという点につきましては、これは各角度からわれわれ一応検討してみました。現在御承知のように、石油会社は
相当
の利潤を得ておりますし、従いましてたとえばこれは消費税ですから、本来なら当然二千円の値上りということになるわけですけれども、石油会社自身がある程度吸収できないかという点は、やはりこれは一応考えられていい問題じゃないかというふうに思っておりますが、しかし、消費税はそういう性質のものじゃないのじゃないかという観点からしまして、一応
揮発油税
が二千円そのまま上ったという点から考えてみまして、それがどれくらい運賃に響くかという点で計算してみますと、乗合自動車の場合におきましては一・一%、トラック運賃の場合においては〇・七%という数字が出ます。これは
揮発油税
の直接の影響でございますが、同時に道路がよくなれば、タイヤやチューブのいたみもそれだけ減るだろう、修繕費もそれだけ減るだろうということも当然考えらるべきものであろうと思います。またそれなればこそ、この道路税という問題が、一応二千円にしろ四千円にしろ、問題として出てき得る余地があるのじゃないか、こういうことを考えて参りますと、これらの一・一%、〇・七%というものも、そのまま運賃に響くわけのものでもあるまい、かような考え方を持っております。
横山利秋
44
○横山
委員
非常に甘きに失する
見込み
でありまして、これは論争になりますから申し上げませんが、あとでこの一・一%なり〇・七%になるという根拠を一つ資料として御
提出
をお願いいたしたい。 それから、先ほどお話が出ました
道路整備
五ヵ年
計画
の二十九
年度
から三十三
年度
まで、この年間の
計画
の
予算
がそこでおわかりになったら言っていただきたい。
渡辺喜久造
45
○
渡辺政府委員
今の数字の根拠はあとで資料として差し上げますが、簡単な数字だけ一応ございますから、とりあえず申し上げておきます。バスの一キロ当りの運賃、これが五十六円十銭、うち
揮発油税
の負担額、これは
現行
のままでございますと四円三銭、
改正
になりまして四円六十五銭、
増加
額が六十二銭、これで一・一%になります。トラックの場合におきましては、一キロ当りの運賃八十三円、うち
揮発油税
の
税負担
額三円九十銭、
改正
後が四円五十銭、
増加
額六十銭、これで〇・七%という数字になります。いずれも資料として出します。 道路
予算
の関係は、恐縮でございますが、主計局の担当になっておりますので、後ほどの御答弁に譲らしていただきます。
横山利秋
46
○横山
委員
それでは、
昭和
三十
年度
の
揮発油
の需要量、
政府
は二百三十五万キロリットルですか、これの算定はどういう数子からできたものか、簡単に伺います。
渡辺喜久造
47
○
渡辺政府委員
揮発油
の供給の総量を二百五十万キロリットルと想定いたしまして、そのうち航空機等に使われる
揮発油
につきましては、御承知のように現在
課税
しておりません。従いましてこの五万キロリットルを差し引きまして、
課税
分が二百四十五万キロリットル、そこで御承知だと思いますが、現在
税率
を適用して
課税
しておりますのは、欠減分を差し引いた分になっておりまして、その欠減分というのが三・七%ございます。従いましてこの二百四十五の三・七%、九万六百五十キロリットルを差し引きました数字が二百三十洲万九千三百五十キロリットル、こういう数字になっております。
横山利秋
48
○横山
委員
過般通産省と運輸省両省が協議の上、三十
年度
揮発油
需要量としてきまりましたのが二百六十八万キロリットルであることは、御存じのはずだと思う。あまりにも大蔵省とこの両省との間に違いがあるのは、いかなるわけでありますか。
渡辺喜久造
49
○
渡辺政府委員
通産省と運輸省で二百六十八万キロリットルという数字を言っていることは、われわれも聞いておりますが、外貨
予算
の関係でございましてまだきまっておりません。大蔵省は二百五十万キロリットルという数字を一応外貨
予算
の限りで主張しておりまして、まだ結論が出ておりませんので、われわれは、やはりこの二百五十万キロリットルで計算すべきものだ、かように考えております。
横山利秋
50
○横山
委員
実際に使う統計をとっておるところで二百六十八万キロリットル、税金をとる方で二百三十五万キロリットル、この驚くべき違いというものは、端的にいって税収の
見積り
が軽きに失する、自然
増収
がここで莫大もなく隠されておる、こういうふうに結論をせざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
渡辺喜久造
51
○
渡辺政府委員
二百六十八万キロリットルと御比較を願うべき数字は、先ほど申し上げた二百五十万キロリットルだと思います。二百六十八万キロリットルという中には、航空機の部分でありますとか、あるいは欠減分とかいうものが全部入った数字でございますから、従いまして二百六十八万キロリットルがいいといってその場合にわれわれが基礎にとっております数字として御比較願うべき数字は、二百五十万キロリットルだというふうに考えていくべきものと思っております。結局二百五十万キロリットルか二百六十八万キロリットルかという論議でありますが、これは大蔵省は一応外貨につきまして、外貨
事情
等も考えまして、本
年度
の
揮発油
の供給量というものを一応二百五十万キロリットルというふうに考え、それを両省と今折衝しております。従いまして、その大蔵省の主張している数字をわれわれとしてはとるべきものだと考えたわけでございます。
横山利秋
52
○横山
委員
二十九
年度
の税収におけるキロリットルは確定しておりますか。
渡辺喜久造
53
○
渡辺政府委員
二十九
年度
の数字を申し上げます。免税分が三万二千ございましてこれを差し引きました、先ほどの数字でいいますと二百四十五万キロリットルに当る数字、それが二十九
年度
におきましては二百三十六万キロリットルでございます。欠減分としてそれを差し引いた数字が二百二十七万キロリットル、これが今そこにお話しになりました二百三十五万九千キロリットルに該当する数字、それは二百二十七万キロリットルでございます。
横山利秋
54
○横山
委員
この二百二十七万キロリットルというのは確定数字ですか、予想数字ですか。
渡辺喜久造
55
○
渡辺政府委員
これは
課税
の実績によった敬字でございます。今
揮発油
につきましては、ニヵ月半の延納を認めておりますので、その意味におきまして一月の半ばまでの数字でございます。
横山利秋
56
○横山
委員
お話が出ておりますように、この延納もまたたいへんな話でありますけれども、これはまた別の機会にいたしまして、二十四
年度
からの
揮発油
の需要量をずっと計算をして参りますと、何としてもこの二百三十五万キロリットルというのは過小に失する。年々
増加
をいたしております。パーセンテージは、二十五年は一三三%、二十六年は一八九%、二十七年は一六九%、二十八年は一四一%と累年
増加
いたしております。私は今あなたの二百二十七万キロリットルという点についても、もう少し資料をいただいて確かめたいと思っておるわけでありますが、今私の手元にそれに対応する数字がございません。業界の一致しております点は、おそらく二百四十万キロリットルは昨年もあっただろうというのが、一致した見解になっておるわけであります。はなはだしいのになりますと、二十九
年度
は二百五十万キロリットル入っておるだろうというふうな数字すら出ておるわけです。今回の二百三十五万キロリットルという点についても、その
増加
率で推定をいたしますならば、二百六十八万キロリットルと両省で発表いたしました数字は、決して高きに失するものではございません。この年々歳々
揮発油税
における自然
増収
の額というものは、べらぼうもない額になっておるわけであります。これは例年の恒例になっておるような実情であります。今回かりにその二百六十八万キロリットルという両省が策定いたしました数字をもとにして、
現行
の一万三千円にかけ合せてみますと、三百四十八億という数字が出てくるわけです。この数字を基礎にいたしましたならば、決して今回二千円の増税をする必要はない、こういうこともまた断定をせられるわけであります。これは決して架空なことで言っているのではなくして、年々の
揮発油
の需要量の統計をとり、あるいはまた徴税実績を検討いたしてみましても、あなたの方における二百三十五万キロリットルというのは、
相当
その中に自然
増収
が隠されておる、こういうふうに断定せざるを得ぬし、この点については、
揮発油税
に関係しております業界なり、あるいは労働者なり、あるいは各界の一致した意見となっておるのでありますが、この点はいかがなものでありますか。
渡辺喜久造
57
○
渡辺政府委員
先ほども申し上げましたのですが、業界の方は、非
課税
分と欠減分についてどうもあまり御計算をなさらないで、いろいろなお話しをしていらっしゃる点が一つあるのじゃないか、この点は一応よく御
説明
申し上げたいと思います。先ほど申しましたように、航空機用等の免税分が六万一千キロリットル、三・七%の欠減
控除
分が約六万一千キロリットルありますし、一応査定した分は二百三十九万キロリットルございますので、この数字だけとりますと、これで業界のいわれる二百五十二万キロリットルにほとんど同じになります。こういうような数字を、実はやれ二百五十万キロリットルとか、二百六十八万キロリットルとか言っておるわけであります。その数字から、先ほど申しましたように非
課税
分を差し引き、欠減量を差し引く、そうすることで、たとえば昨年の
課税
の関係は二百二十七万キロリットルになっているわけです。今度の二百三十五万キロリットルは、この二百二十七万に対応する数字をわれわれとっているわけです。従いまして、そのベースになっておりますのは二百五十万キロリットルである、こういうふうに御了解願いたいというふうに思っております。
横山利秋
58
○横山
委員
そういうこと百も承知の上で議論をしておるのでありまして、誤解をなさらないように一つお願いしたいと思います。 この
地方道路税
並びに
揮発油税
のキロ当り二千円の増徴に引き続いて伝えられるところによりますと、自治庁は
地方道路税
新設後におけるガソリン車とディーゼル車の
税負担
の均衡をはかるという名目のもとに、ディーゼル車に対する品動車税の五割引き上げ方針を考えておるということでありますが、大蔵省はこれについて知っておられるのか、またどういうふうにお考えになるのか、あわせてお伺いします。
渡辺喜久造
59
○
渡辺政府委員
ディーゼル車につきましての自動車税を引き上げるということを自治庁が現在考えていることは、われわれ存じております。議論は、結局道路の
経費
が要るなら、単にガソリン車だけでなくて、ディーゼル車が
相当
あるのだから、そのディーゼル車についてやはり
課税
すべきである、その意味におきまして、あるいは軽油
課税
とか、いろいろな議論が出ているのでございますが、そのこと自体においてもいろいろ議論がございますし、
課税
技術的にも非常に問題がある。そこでやはり同じ
地方負担
であります意味におきまして、少くとも自動車税では
相当
の差をつくべきではないか、こういうのがディーゼル車についての
税率
を引き上ぐべき根拠というふうに了解しております。
横山利秋
60
○横山
委員
あと時間もありませんから、きょうは第一次的な質問にいたしておきますが、先ほど申しましたように、この
揮発油税
の税収につきましては、二十四年以来ずっと統計を見ましても、当初
予算
に対して必ず補正
予算
が出、当初
予算
と税収の実績を見てみますると、また補正
予算
とを比べてみますると、年々一割ないしは二割、はなはだしきに至っては三割くらい徴税実績は補正
予算
を上回っておるわけです。自然
増収
はもう恒例のことになっておるわけです。従いましてここ六年間の実績を見ましても、あなたの方で言われてます二百三十五万キロリットルという点については、これに関係をいたします人々がほとんど異口同音に、またここで自然
増収
を見つくろってごまかされるのか、こういうような見解を持っておるわけです。いわんや、本税は昨年二千円上げたばかりです。また本年二千円上げる。わずか一年かそこらの間に、べらぼうもない増税であります。ほかの問題については、政務次官は国民一般に対して増税をしないとは言わなかった、こうおっしるけれども、まさにそれは詭弁といわなければなりません。いわんや、一年の間にこれくらいべらぼうな増税をされるということについては、どのような
理由
をつけましても、業界としては、あるいはその下に働く多くの勤労大衆としては、絶対にこれは納得ができないものであります。またこれに関連いたします道路利用者の側におきましても、たといこれは目的税で道路を直すのだといわれましても、このような増税についてはあげて反対をいたしておるところです。その点についてなおかつ一、二年の間に四千円を上げなければならぬという
理由
がもしありましたら、もう一度お聞かせを願いましょう。
渡辺喜久造
61
○
渡辺政府委員
揮発油税
につきましては、お話のように昨年二千円上げたわけでございますが、当時やはり地方
財源
の補填ということが問題になりまして、
揮発油
譲与税というものが出ましたのですが、それが国会の御
審議
で一年限りということになりまして、結局何とかやはりこの
措置
をしなければならぬという結論が出ましたのが今度の
措置
でございます。自然
増収
というような点につきまして、いろいろ御議論がございましたが、現在
政府
の考えているところにおきましては、われわれそこに当然自然
増収
があるとは思っておりませんが、もし
決算
の上におきまして自然
増収
が出ました場合におきましては、その分は
決算
のきまりましたその後におきまして、結局翌々
年度
になりますが、翌々
年度
におきまして
道路財源
に充てよう、こういうことを別途考えております。
地方道路税
の方は、これは特別
会計
の方に入りますが、実際にもしこれ以上入れば、それはやはり地方の方に分配されますし、また入る
金額
がそれより少なければ少いなりにしか分配されない、こういう建前になっていることだけ申し上げておきます。
横山利秋
62
○横山
委員
時間が参りましたから、もう議論はいたしませんが、ただいまの質問の中でお願いをいたしました資料をいただいて、さらに質問をいたしたいと思います。あわせて資料として昨年を含んで
年度
別の
揮発油
の
予算
と消費実績と徴税実績、それを第一にお願いしたい。それから先ほど言った一・一%と〇・七%の根拠、あなたが先ほどから強調されております二百三十五万キロリットルの算出の根拠を詳細にお願いいたします。 本問題について大蔵大臣に質問をいたしたいと思いますが、おいでになりませんから、質問を留保いたしまして私の質問を終ります。
—————————————
横路節雄
63
○横路
委員長
代理 この際
理事
の
辞任
についてお諮りいたします。
理事
であります
遠藤
三郎
君より
理事
を
辞任
いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
横路節雄
64
○横路
委員長
代理 御異議なしと認めます。よってこれを許可するに決しました。 引き続き
理事
の
補欠
選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の
手続
を省略し、
委員長
より御指名するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
横路節雄
65
○横路
委員長
代理 御異議なしと認めます。それでは
委員長
におきましては、
早川崇
君を
理事
に指名いたします。
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横路節雄
66
○横路
委員長
代理
奧村又十郎
君。
奧村又十郎
67
○奧村
委員
本日
提案
の
租税特別措置法
についてよく研究して一つ思いついたことは、この
法律
が
通り
ますと、七月一日以後の預金
利子
は免税になる。ところが三月三十一日までの預金
利子
は、長期のものは五%、そうすると四月一日から六月三十日まではどういう税金がかかるのですか。
渡辺喜久造
68
○
渡辺政府委員
その点につきましては、休会前の国会で御
審議
を願い、また御可決を願ったもので、一応一〇%の
課税
の分は六月三十日までお延ばし願っております。従って通常の覇の定期預金とか、その他のものでございますと、六月三十日までに支払われるものは一〇%になっております。この
法律
が
通り
ますと七月二日からはゼロになります。それから五%の分は、これは
期限
がまだ延びておりまするから、現在までずっと五%になってきております。この
法律
が
通り
ますと、一応それでもってゼロになりますが、しかしこの
法律
の
期限
後にも五%の分はまだ続く
規定
が出ております。従って、この
法律
は時限立法になっておりますから、これが三十二年の三月三十一日で切れてしまいました後は、五%分だけの
特例
、昨年の御
審議
で得たものはそのまま続く、こういう
法律
的な建前になっております。
横路節雄
69
○横路
委員長
代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後十九日午前十時より開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十三分散会