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渡辺政府委員 今
横路委員のおっしゃいました数字は、新聞へわれわれの方の調査として出たことはあるようでございますが、われわれの方でそれを調査としていたしたことはございません。
それから一言付加さしていただきますが、現在租
税措置法でやっておりますいろいろの措置のゆえに、いわゆる実効税率という名前で大法人の方は非常に負担が低いという数字をよく拝見いたしますが、一応租
税措置法によりまして軽減されております。これは租
税措置法だけではございませんで、
法人税法などと一緒なのですが、大きな数字を見て参りますと、貸し倒れ準備金、価格変動準備金、退職給与の引き当て準備金、こういうもので一応大きく
税金が減っているわけでありますが、今中小企業庁で出した数字がそういう
考え方に立っておりますとしますと、そうした引当金を積み立てる前の利益が正当な利益であって、その後の負担が実質的な負担である、こういう
考え方に立つものと思いますが、われわれといたしましては、貸し倒れ準備金にしましても、価格変動準備金にしましても、退職の準備金にしましても、それぞれ会計
原則の上におきまして一応これを積み立てるということについて、やはり相当の理由を持っているものであるというふうに思っております。従いまして、これは単なる
租税の減免であるというふうにはわれわれ
考えておりません。同時に別の角度から見まして、中小企業法人におきましても、実はかつてはこれらの積立金は相当積み立てにくい
制度になっておりました。たとえば価格変動準備金にしましても、従来は時価の一割減ということになっておりましたので、時価を一々調べなければ積み立てられなかったのでありますが、現在におきましては、時価と仕入れ価格のいずれか低い方ということになっておりますので、比較的容易に積み立て得る。貸し倒れ準備金にしましても、非常に形式的な計算ができますので、これも積み立て得る。いずれ適当な
機会にデータとしてごらん願いたいと思いますが、われわれの調査したところによりますと、最近だんだんこの
制度が普及して参りまして、中小企業法人におきましてもこの
制度が相当使われております。同じようないわゆる実効税率といった
考え方を入れますと、そういう利用をしている会社におきましては、やはりそれが三〇とかあるいはそれ以下とか、いろいろな数字が出て参ります。われわれとしましては、そうした面におきましてああいう
制度が大企業だけに特に使われて、中小企業にそれが使われにくい
制度であるというふうにはどうも
考えられないように思いますし、また同時に中小企業におきましては、個人の負担といわゆる同族会社の負担を比較してみなければならぬ。その面からいたしますと、どうも同族会社の負担の方がむしろ個人の負担の方よりも軽い。従いまして今度の
減税におきましては、やはり個人の
事業者の負担軽減ということをまず当初
考えるべきじゃないか、こういう措置に出たわけであります。
なおもう
一つ付言さしていただきますと、先ほどの御議論に出ましたが、現在の
制度ですと、法人税はいわば所得税の前取りという
考え方になっておりまして、この
制度で行きますと、大きな会社におきましても、小さな所得の株主もございますし、いわゆる中小法人におきましても、同族会社であれば相当大きな所得者もある。そうしたいわば税の理屈でございますが、その面からいいまして、大法人、中小企業法人ということで特に税率を区別することは、
税理論の上から行きましても適当でない。彼此
考えまして、中小法人につきましては、法人税も引き下げるということはもちろんいたしますが、その面で権衡はとっていくべきじゃないか、かように
考えておるのであります。