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1955-07-28 第22回国会 衆議院 商工委員会木材利用の合理化に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)     午後三時三十九分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       笹本 一雄君    首藤 新八君       山手 滿男君    鹿野 彦吉君       小平 久雄君    前田 正男君       永井勝次郎君    松平 忠久君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整部長)    松尾 金藏君         林野庁長官   柴田  栄君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         建設政務次官  今井  耕君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君  小委員外出席者         議     員 加藤 精三君         議     員 神田  博君         防衛庁課長         (経理局公務課         長)      大森 頼雄君         大蔵事務官         (主計官)   小熊 孝次君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     川田 博通君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 七月七日  八木昇君同日委員辞任につき、委員長指名で  小委員に補欠選任された。 同月十九日  永井勝次郎君同月十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  加藤清二君及び松平忠久君同月十三日委員辞任  につき、委員長指名で小委員に補欠選任され  た。 同日  篠田弘作君同月十四日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。 同月二十五日  八木昇君同月二十日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同日  松平忠久君同月二十一日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同月二十八日  加藤清二君同月二十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  松平忠久君同月二十六日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道における風倒木処理に関する件  木材利用合理化に関する件     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これより会議を開きます。  まず北海道における風倒木処理に関する件について調査を進めます。  さきに本委員会から炭鉱地帯現地調査のため北海道委員を派遣されたのでありますが、その際かねて懸案となっておりました風倒木被害及びその処理状況現地調査を行なって参りましたので、この際本問題調査の参考のために、私から簡単に御報告を申し上げておきます。  すでに御承知通り、昨年五月及び九月の台風により発生した北海道地区風倒木の件につき、その被害状況及び整理計画施行実情等調査し、今後の木材利用合理化に資する目的をもって調査を行なったのであります。  次に調査内容について申し上げます。  一、参加人員首藤新八君、笹本一雄君、鹿野彦吉君永井勝次郎君、松平忠久君及び不肖私であります。日程は、七月十七日札幌においての石炭鉱業合理化臨時措置法案に関する現地公聴会終了後、支笏湖周辺風害地視察、七月十八日層雲峡付近風害地視察、七月十九日札幌にて北海道地区風害事情説明聴取及び業界との懇談会。  二、被害状況及び風倒木整理計画について。昨年五月、九月の台風による被害面積約四百万ヘクタール、被害数量約六千三百五十万石となり、これは北海道通常年出量の三倍半に相当し、このうち約八五%は国有林被害であります。  次に国有林風倒木処理については、昭和二十九年二〇%、三十年四〇%、三十一年四〇%の三カ年計画を一応目標として、極力短期間処理しようというのであります。その生産形態については、需給調整金融難緩和意味で、直営生産方式拡大することとし、従来の冬山生産主体としていたことを逐次夏山生産へ移行し、生産の時期的な均衡をはかる計画であることが明らかになりました。この生産拡大に伴う労務者については、道内の余力を活用することはもちろん、特殊技能を有する青森、秋田を初め、東北各県より林業労務者を求め、二十九年度については計画通りの完遂を見たのであります。  次に北海道における木材需給について一言いたしますと、昭和三十年度針葉樹用材需要量一千三十七万八千石、供給量一千三百六十九万五千石となり、風倒木を含め、三百三十一万七千石の過剰で、広葉樹用材は約七百万石で、ほぼ需給はバランスしているのであります。従って問題は、この過剰材三百三十一万七千石の処理であって、本州へ輸送販売に百三十七万石計画し、残りを道内貯木とし、需給関係を数量的に調整し、市場価格暴落等からくる混乱を防止することになっております。  三、支笏湖周辺風害を受けたもの約二百二十万石、主として五月台風であって、その整理は環境の良好なのと消費地の近接せることに相待って、非常に進捗し、昨年度には三五%、本年度には約六〇%となっており、来年度にはわずかに五%程度となっているのであります。  四、旭川地区。(層雲峡付近中心とする)本地区が最も被害の甚大なる地区であって、五月台風により一千三百万石、九月台風により二千九百万石といわれ、その整備も非常に困難をきわめている模様であります。すなわち二十九年度三百二十万石、三十年度九百万石、三十一年度には一千四百万石程度処理をいたさんとするのであります。しかし被害場所前古未踏ともいうべき深山幽谷であるため、輸送関係がすこぶる悪く、加えて貯木場等が不備なるがため、前途に幾多の困難が伴っているのであります。  またこの地区特異性により、調査に十分を期しがたく、再調査を実施中であり、これによりさらに一千二百万石程度被害実数が増加するのではないかと見込まれ、注目すべき問題が将来に残されているのであります。被害木実情予想以上に惨たんたるものでありまして、これに対しすみやかに整理計画を遂行せんと鋭意努力され、着々と効果をおさめている林野庁営林当局に対し衷心より敬意を表するのであります。  またこの整理作業に並行して、山火事に対する周到綿密なる注意、害虫予防野ネズミ駆除等に涙ぐましい努力を続けられていることに対しても、重ねて敬意を表するのであります。  五、業界よりの要望。今般の風倒木処理に対し、北海道木材関係業界よりの要望を簡単に申上げますと、次の諸点であります。一、道内民間工場貯木の方途を講ぜられたい。二、木材需給調整をはかり、道木材業界の安定に御配慮願いたい。三、木材価格の安定の問題。四、直営生産材処分に対する延納期間と金利の問題。五、消費市場拡大についての点。六、冬山造林資金に対する金融措置。七、風倒木処理後における立木処分あり方等等であります。以上で御報告を終ります。  次に、今回の調査の結論といたしまして、風倒木問題処理に関し、別紙決議案を提出いたします。何とぞ慎重審議の上、御賛同を賜わりたいと存じます。  本件について政府側意見を求めます。林野庁長官柴田君。
  3. 柴田栄

    柴田(榮)政府委員 昨年、二十九年の五月と九月に発生いたしました異常な風倒木処理に関しましては、私ども調査を進めますと同時に、ただちにこれの迅速な処理に対しまして計画を押し進めて参った次第でございまして、一日も早く処理を促進いたしまして、これを最大限度に活用することによりまして、損害をできるだけ少くいたしたいという方向で努力いたして参った次第であります。ただいま小委員長の御報告をいただきました程度にようやく進捗をいたしておるという次第でございまして、全国の国有林を総動員いたして全力を振ってこの異常な災害に対しまして処理をいたすべく努力をいたしておる次第でございます。ここで一番の問題は、御視察をいただきまして十分御了解もいただいておると存じますが、山の処理自体も相当困難をきわめますが、伐出いたしました用材をいかに適正に使っていただくかということなのでございます。現状におきましては、木材市場が非常に不活発な関係、また北海道材のエゾ松、トド松という特殊の針葉樹に対します被害ということで、従来内地市場におきましては特殊の製品として限られた需要面にすぎなかった関係上、新規用途の開発とあわせ、需要を増大いたして参らなければならないという非常に難点を持っておる次第でございます。これらに関しましては、行政措置で可能な面に関しましてはそれぞれ関係省連絡を申し上げまして、御協力をいただくことに相なっておる次第でございますが、特に建設省関係につきましては、住宅建設主体といたしまして極力使用可能な面には使用拡大に御協力をいただくということで具体的な御相談をお願いいたすことにいたしておる次第でございます。それにつきましても、業界の十分な協力を求めなければならないのでございますが、一時に厖大な量の生産、あるいはこれが消化というためには、ただでも資金的に非常に困難を感じているときでございまして、それらにつきましては、あるいは売り払いに当りまして代金の延納の問題あるいは期間問題等業界等からいろいろの要望がございまして、これらの点についても大蔵当局とそれぞれ協議を進めておりますが、何しろ相当特殊な地帯でございますので、内容を明確にしてこれに対処するという必要上、まだ具体的にそれほど進展いたしておらないのでありまして、今後急速にこれらの処理を進めなければ相成ならぬ、かように考えている次第でございます。  さらにこれに続きまして事後処理といたしまして御指摘もございましたが、火災に対しまする防除の点は当面最も緊要かつ絶対必要の問題でございますので、全力を尽しているつもりでございますが、今後もこれらの点につきましては絶対に事故を起さないという態勢をとりたいという考え方でおります。なお膨大な面積が一時に風害を受けておりますので、一日も早く被害木処理いたしまして、その跡地の造林を完了いたし、保全の林木育成を急がなければならない、かように考えている次第でございます。それらの事後処理に関しましても一応現在計画を進めまして、最小期限をもって危険の防除とその後の対策案を進めておりますが、局地的にただいま御指摘のありましたように、層雲峡地区のごとく異常な大被害は現在の調査量にさらに相当量の追加を生ずるほどの実情でございますので、これが完全な処理に対しましては今後いろいろ困難が生ずるのではないかと思いますが、あらゆる方面十分連絡をとりまして、最善を尽すという態勢で進めているということを御了承願いたいと存じます。
  4. 中崎敏

    中崎委員長 質疑の通告がありますので順次これを許します。鹿野君。
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員 本日のこの会におきましては、北海道風倒木ということが話題でありますが、根本は木材合理化をいかに適正に考えるかということに主題が置かれているわけです。木材利用合理化という問題は、現在の日本国民経済にとって非常に重大でありますので、本日はほとんど政府委員が来ておられない。これでは話の進めようがないわけです。われわれは今回北海道に行く前には、八千万石に及ぶところの風倒木をいかにして搬出ずるか、農林省の官僚諸氏がやるにしては非常に大き過ぎるから、この問題について非常手段をとらなくちゃならない、そのために見に行かなければというようなことが話題中心だったのですが、行ってみましたところ、われわれの想像と全く違いまして、林野庁長官初め皆さんの適切な大胆な措置によってこの問題がうまく処理されていて、問題はこれらの木材をいかに適正に利用するか。ことにもともと日本木材資源は決して多いとはいえないのですが、この多くないところの木材が一時に多く出ることによって一時的な経済的影響を生ずるということに対して、われわれはこれをどのように適正に処理するか。これについては日本経済の全体から根本的に考える問題が出てくるわけでありまして、私は内閣総理大臣通産大臣経済企画庁長官防衛庁長官農林大臣にぜひ出席していただいてこの問題をともに考えていただかなければならないと思うので、委員長にその点相談をいたしたいわけです。
  6. 中崎敏

    中崎委員長 ただいま鹿野君から最も適切な発言がありました。木材利用合理化の問題はしばしば閣議決定において取り上げられているというほど重要な意味を持つほかに、今回の風倒木予想外に大きな関係を持つ問題でありまして、ことにこの小委員会において取り上げられまして以来、内外ともに非常に大きな関心を巻き起していることもまた事実であります。従ってその現地調査に基く結果の跡始末をいかにするかということについて、関係大臣出席を要求して、ほんとうに実情に即した熱心な討議をするということは当然のことでありまして、通産農林、逓信、大蔵建設大臣、少くとも政務次官出席を要求して、それぞれ連絡をとったのでありますが、御承知通り会期ぎりぎりのことでありまして、各委員会、ことに参議院においてもそれらの大臣がくぎづけになっている状態で、遺憾ながらそれらの大臣出席を見ることができなかった。それかといって現地調査した結果を一刻も早く結末をつけなければならないという必要にも迫られております関係上、皆様の御期待に沿うような、大臣出席を得られなかったことは残念でありますが、これからもさらに督励して、できるだけ大臣出席してもらうように一つ手配を続けていきたいと思っております。今ここに見えておりますのは、大蔵省主計局主計官小熊説明員林野庁長官柴田政府委員軽工業局建材課長川田説明員建設省住宅局長鎌田政府委員、それから経済企画庁調整部長松尾政府委員防衛庁経理局工務課長大森説明員、以上であります。そこでこれらの諸君に対して、皆さんの方から質疑を続行していただくようお願いします。
  7. 鹿野彦吉

    鹿野委員 私の質問に関する限り、本日おいでなさっている方々は、みな十分な答弁を願えるとは思いますけれども、しかし問題はたとえば木材合理化から、木糖工業というような問題が生まれてくる。それが日本食糧自給政策に関連を持つ。この食糧自給政策は、日本の防衛という点からまた非常に重要な問題だ。これに対して防衛庁長官はどういうことを考えているか、また農林大臣は実際どういうことを考えているか、この木材合理化に対する政府当局関心の度合いがどのようなものであるかを尋ねたいと私は思うのですが、さだめしこうしたことについて私は事務当局の方にあっては答弁できないと思うわけですが、私は委員長に申し上げたいことは、この問題は、一時的にこの木材北海道風倒木処理するということについても、一面から考えれば利用の仕方によっては風倒木日本経済全般に対して、非常に大きな、災い転じて福となるというようなことにもなるわけでございますから、そうしたことを話題としてお互いに考えていくために、どうしてもやはりそうした責任のある人人の出席が必要でございます。ところが委員長の言われるように、現に会期末であって、それぞれのところに奔走しておる。本日のわれわれの審議の問題は法案を直ちに作るということにあるわけでないから、これは継続審査にして、国会終了後でもとくとこうした問題をともに審議するということにされたらいかがであろうか、私はこのようなことを提案いたしたいのです。
  8. 中崎敏

    中崎委員長 ただいま鹿野君の意見通りに私といたしましても同感でありますので、その線に沿うて御趣旨に沿うように一つ進めていきたいと考えております。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 鎌田住宅局長松尾調整部長大森工務課長川田建材課長に、それぞれお尋ねをいたしたいと思います。  従来木材資源が枯渇して需要にこたえるだけの生産ができないということで、需要に対する供給が非常にアンバランスになっていた。ところが今回風倒木が非常にたくさん出た。こういうことで、一時的な現象としての供給過剰という現象が出てきた。しかし従来供給に対して需要が大いにあった。さらに供給さえつけば潜在需要というものは相当あったと思います。でありますから、この非常に不幸な結果として現われた供給過剰に対しては、この供給過剰の期間中だけでも従来の潜在需要というものをまとめて拡大して、供給に見合う、できるだけの需給のバランスのとれた形における処理ということを考えていかなければならない。これは供給過剰であっても長期の貯蔵にたえるものではなくして、一定の期間を過ぎればこれは腐ってしまうのでありますから、短期間にこの需要を刺激して解決していかなければならぬ。こういう有効需要拡大していかなければいけないという、こういう制約された時間的な条件にあると思うのですが、従来非常に供給が少いというのでやかましかったから、私はこれを適正に配給しますならば、ただいま鹿野委員からも言われたように、災いを転じて福となすというような結果を来たさしめることができる、こう思うのであります。ただ要は需要の面における協力、それからそういう計画的なものが急速に整備できるかどうかというところにあると思うのです。でありますから、これはこういう事態を現実に把握して、この供給に見合う需要処理をするという需要面整備が今日緊急な要件であると考えます。それについて今日出席せられている各省における事務当局として、どれだけの用意、どれだけの気概を持って、これらの需要拡大に対する処理について、協力とそれから計画用意があるかどうか、これを一つ伺いたいと思う。
  10. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 私の方の関係は、住宅供給という問題と、建設省としましては各地官庁営繕というような問題、二つあります。御承知のように本年の住宅政策は、従来に比較しまして画期的なものであります。国会におきましても通過をしたのでありまして、今後この年度内に四十二万戸の住宅建設しようという意気込みでおるわけでございます。前々この木材利用合理化という線から、年々住宅に消費されます木材をなるべく少くしたいというような考え方もございまして、その他の事情もございますが、都市の住宅を不燃化して参るというような大方針を立てまして、なるべく木材使用を節減しようという線に向って進んでおることも事実でございます。今年もその方針に向って進んではおりますが、今申し上げましたように、従来三十万戸そこそこでありました住宅建設を、今年は四十二万戸に増大しようというような線もございまして、これに使用いたします木材利用もやはり相当な量に上るであろう、こういうように考えておるわけでございます。大体どのくらい使う必要があるかというようなことを私どもの方でいろいろ試算をいたしておりますが、住宅建設面全体といたしまして、年間大体一千七百万石くらいの木材を必要とする、こういうように考えておるのでございます。ただ、この一千七百万石の内訳としましては、やはり四十二万戸全体に対する需要でございますから、これを分けて考えてみますと、その中で政府公的資金をもって建設いたします分と、民間の私的な資金による建設と、この二つがございます。その公的資金による分といたしましては、公営住宅——承知のように地方公共団体建設いたしますところの公営住宅、これが百十六万石程度必要である。それから今度設立を見ます日本住宅公団、これは二万戸の住宅建設をいたしますが、この住宅の種類はほとんどアパートでございます。しかしアパートとしましても、これの仮設材、仮ワクあるいは内部の造作その他でやはり相当な木材を消費いたします。これが大体五十万石程度だろう。それからもう一つは、住宅金融公庫の施策によります、金を貸し付けて住宅を建てますもの、これが七万五千戸でございますが、これの需要としまして二百五十万石程度需要があるだろう、こういうように考えております。もっともこの住宅金融公庫の中には、いろいろあげてみますと、各個人が金を借りて自分の意思によって建てますものと、それから住宅の貸家を経営せんとするある事業主体に対して金を貸し付ける分と二つございます。個人の分は、個人建設でございますから、なるべく耐火構造というものを奨励しますけれども、かなり木造建築が入って参ります。そこで民間建設の分と同じような状態でやはり木造建築が相当行われるであろう、こういうように考えますが、一番大きい木材需要面は、何といいましても個人自分の家を建てます民間自力建設でございます。これはやはり一千数百万石に上ろうかと思います。でありますから、これを要約して申し上げますと、公的資金計画的に建てます分に使われる木材需要量といいますのは、大体におきまして二百数十万石ではないか、こういうように考えております。  そこで今回のこの風倒木利用のやり方といいますか、そういう仕方につきましては、いろいろ今林野庁の方と御相談申し上げておりますが、何といいましても北洋材と称しまして昔は確かに住宅あるいは建築面に使われておったのでございますが、ここ十数年間ブランクがございます。そこで今日第一線に働いております建築技術者と申しますか、その方面人々内地のそういう技術者は、この北洋材建築使用ということにつきましてかなり知識が薄いというのが今日の状況でございます。そこで私どもとしましては、林野庁の方とも御相談しまして、各地にこの北洋材使用方法、その他今日のこういう事態をいろいろ認識をしていただく機会を作りまして逐次やっておりまして、すでに愛知県その他においてもやりましたが、大きな需要地においてそうした人々にこの北洋材のことをよく知ってもらうということがまず第一に必要であろうと思いまして、そのことを現在着々やっております。  もう一つは、今まで内地工事仕様書を見ますと、やはり内地松あるいは杉三等という仕様書になっております。住宅建設面におきましては、この仕様書を改訂いたしまして、この中にこの北洋材を入れるようにいたしたい、こういうように考えております。これは官庁営繕工事におきましても同様でございまして、営繕局の方ともよく話し合っておりますが、各省にも呼びかけまして、この建築工事仕様書を今年に限って改めよう、こういう措置を講じたいと考えております。  さらにもう一つ、もっと的確にこれを利用する方法としましては、われわれ考えておりますのは、じかにその工事に使われる方法であります。この方法としましてはいろいろあると思うのでありまして、各方面からいろいろの御意見をちょうだいいたしておりますが、少くとも今度のような場合には国の公的資金による公営住宅とか公団住宅、そういうものには一つじかにこれが使われるようにというお話、これはごもっともでありまして、私どもとしましてはこれがじかに使われます方法についていろいろ今林野庁と御相談申し上げておりますが、一つ方法としましてはこれに何石使われるというような証明書を発行して、その分だけは直接需要者に渡るようにするという方法、あるいはでき得べくんば官公庁においてその木材を一時買い上げてその工事使用するということがもし行われますならば、間違いなく計画的に木材使用できるのであります。  今申し上げましたいろいろな方法を検討中でございますが、結論的に申しまして、今回のこの木材を有効に住宅建築面に活用さしていただきたいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 簡単でいいですから、どういうような特別な措置を具体的に進めているかということでけっこうです。
  12. 大森頼雄

    大森説明員 防衛庁の方で使用いたします木材は、本年度で、大体製材しましたもので約三十万石くらいでございますが、風倒木利用方法ということについては、先ほど建設省住宅局長からお話がありました。私の方も今年の初め北海道の千歳で応急の弾薬庫などを相当大量に作ったのでありますが、その際などはほとんど風倒木利用したように考えております。従って設計上差しつかえないというところはできるだけ考えて、利用の度を大きくしたいというふうには考えておりますが、まだ具体的には進んでおりません。
  13. 川田博通

    川田説明員 簡単にお答え申し上げます。通産関係といたしましては、大体パルプ関係で御協力できると思われるのでございますが、所管を異にいたしますので私からお答えいたしかねます。その他の関係におきましては、防腐工場が北海道に五工場ばかりございますが、これはまだかなり能力に余裕があると思います。防腐材としてできるだけ利用いたしたい、こういうふうに考えております。
  14. 永井勝次郎

    永井委員 われわれはこの未曾有の災害について山の状況をある程度知っております関係上、この処理は非常に困難であるというふうに考えて先般北海道に参ったのですが、この異常の災害に対する林野当局の処理は、われわれの想像以上に真剣に取っ組んでいて、予想以上の結果が得られるのではないかという大きな期待が持たれるわけです。何千万石という大風倒木短期間処理するという困難な事業が生産面において十分果されるという見通しが確実である、しかし市場に出た材に対して需要が伴わないために非常な国の予算をかけ、また非常な犠牲を払って、非常な努力によって出したものがむだに腐っていくというようなことがあっては重大だと思うのです。今鎌田住宅局長にいたしましても、大森工務課長にいたしましても、こういうふうにしているのだ、ああいうふうにしているのだというように、一応風倒木処理の問題を審議しておりますこの小委員会に来たからそれだけのことをちょっと言っているだけのことであって、あなた方のそれぞれの仕事を通じて、国家的な大きな災害の起ったこれらの問題を、また林野がこれだけ苦労して生産したものを国家的にむだにしないように、いかに需要面においてこれを処理していくか、しかも木材資源が非常に枯渇している、二年か三年たった後における資源は非常な激減をしていく、この期間において、単に北海道の千歳で建物を作ったときにこれだけの風倒木処理したのだなんて、そんな出たとこ勝負のような話ではなしに、それぞれの役所においてこの風倒木をいかに積極的に処理するか、こういう計画を持ってやっていないということは、今の答弁によって私ははっきりわかるのであります。こんな状態でいて、ただ北洋材を使うために啓蒙するのだ、宣伝するのだというようなことではだめなので、資材をむだにしないために、役所の仕様書なり何なりにおいて、積極的に木材需要面において建物や何かにどんどんやっていく、あるいは逆ではあるかもしれないけれども、この処理機関においては風倒木をコンクリートなりあるいはほかの鉄材なりに代替せしめて可能な部分においてはこれを処理させるというように、積極的な需要を喚起することがあって役所がこれだけの意気込みをしているならばというので民間需要もそれにつれて起ってくるわけです。あなた万が引っ込み思案で、事務的におれの万の関係でないからというので、おれの方は四十万戸の建物を建てるのだというようなおざなりなことをやっているのでは、この需要面を担当するものとしては非常に感覚がどうかしているのじゃないかとわれわれは思うのであります。これらについては、国全体がこの貴重な資源をどういうふうに有効に処理するかということについて、もっと積極的な計画と積極的な推進が必要であるとわれわれは思うのであります。この点については、ことに予算面を取り扱っている面において、大蔵省は常にそろばんをはじいて、小さなことまでいろいろ努力されているのでありますが、こういう面に対して、各省に対してもっと積極的な何か予算の面において推進をしているかどうか、そういう点を伺いたいと思います。  それから住宅局長各省において、その他防衛庁あたりで、三十万石なら三十万石という需要ではありましょうけれども、役所がこれだけ全的に力を入れてこの処理に当るのだという意気込みが、相当やはり需要を刺激していく原動力になっていくと思うのでありますから、これらの点について今後どう処理するお考えであるか、これを伺いたいと思います。
  15. 小熊孝次

    小熊説明員 私直接予算を担当しておりませんので、的確な御回答を申し上げるわけにいかぬのでありますが、私の担当いたしております部面につきましては、これは法規の関係から申しまして延納制度という点につきましてタッチしているわけであります。このたびの風倒木処理につきましては、北海道生産して素材にいたしましたものを、これを東京あるいは名古屋、和歌山というところに運んで参る、そういう場合におきまして、先ほどもお話がありましたように、十数年間空白になっておったというような状況で、普通の三カ月の延納制度では、これはファミリアリティといいますか、親近性がないものですから、なかなか売れないというような問題もございますので、そういうような点につきましてそれをもっと長くして、法律の許す限度内におきまして、六カ月なら六カ月にする、こういうことにつきまして林野庁の方と事務的に一応話を進めているわけであります。  以上のような方法によりまして、せっかく林野庁努力によりまして生産して素材になりましたものが有効に使われるよう、その間スムーズになるということをわれわれとしては心がけているわけでございます。
  16. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 具体的な方策としまして先ほど三つ申し上げたのでありますが、一つは、やはり使う方の人がそれをよく熟知いたしませんとなかなか使われないということから、一番大事な基本のところを改革していきたい、こういうふうに考えていることが一つ。それからもう一つは、仕様書の中に明確に北洋材を使うことを入れていくということが一つ。もう一つは、実際の木材の流れ工合をどういうふうにするかということで、でき得るならばこの公的資金の入ります住宅建設においては、木材がじかに流れますような方策を林野庁相談して入れていきたい、こういうふうに考えております。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 この問題はあまり事務三局を相手にいろいろ論議しても何ですが、建設政務次官が見えているようですから、北海道で何千万石という、何百年に一度あるかないかというような風倒が出て、これが完全に生産処理しても、需要がこれに伴わなかったら、土場において腐らせてしまわなければならぬ、こういうような事態が起っている。あり余っているものが出てくるのではなくて、非常に希少物資で、希少の価値のあるものが、ただ風倒という災害によって一時的に出たのだ。これを当局の総合的な政策の不備の点から、生産はしたが、腐らせてしまったというような事態を起きないように、消費面においてこれは非常な努力をもってなにしなければいかぬ。内地材を使っているところを北洋材を使ってはどうだ、内地材に比べて何にも差しつかえないからこれを使ったらどうだ、こんななまぬるいことをやっておってはだめだ。木を使っているところに竹を使えとか、紙を使えとかいうんじゃなくて、杉を使っていたところに松を使えというようなことで、これは強度試験や何かからいってもちゃんと出ているので、政府がほんとうに貴重な資源をむだにしないために緊急の措置をやるというならば、幾らでも積極的な方法はある。こういう点について、建設省は大きな需要面の省でありますから、そういう事情をよく理解していただいて、積極的な努力をしていただきたい、こういうことを要望する次第であります。  松尾調整部長に伺いますが、これは単に机上で事務をいじるだけが調整ということでないので、こういう事態の問題を具体的にどう調整し、どう実効あるようにやるかということが、調整部長なんかの大きな具体的な役割だと思うのですが、これらの問題について話を聞いたところが、どこの国の風倒木があったかというような状態であります。これは日本の国にこういう風倒木が起ったという、身近な問題として痛切に感じ、認識されている事態ではございませんか。でありますから、こういう事態に対して調整部長は、非常な努力をもって、これを腐らせるようなことがないような受け入れ態勢を緊急に用意する必要があると思うのですが、これに対して企画庁として努力すべき分野が相当あると思うので、具体的な決意を一つ伺っておきたい。
  18. 松尾金藏

    松尾政府委員 ただいまの点は御指摘通りでございまして、今各省でそれぞれの木材需要面なり、あるいは需要官庁としての立場からの関心が薄い、十分でないという御指摘の点は、今後風倒木処理の問題と関連して、私、今度の経済企画庁の立場からも十分取りまとめる立場からの検討を進めて参りたいと思います。
  19. 中崎敏

    中崎委員長 首藤君。
  20. 首藤新八

    首藤委員 今度の風倒木は、被害地が非常に広範であることと、しかも場所が交通不便な深山であること、また量が非常に多いということ、従ってまた時間的な制約もあるというようなことで、幾多の隘路が重なっておりますから、これをどう処分するかということに重大な関心が払われているわけであります。先般私たちが現場を調査いたしました結果は、先ほど同僚議員が言われたごとく、林野庁の非常な熱情を傾けた対策によって、私たちが予想したよりもはるかに順調な搬出が行われている。私はこの点については非常に敬意を表しているのでありますが、かような搬出が順調でありますこの現状を見た場合、いよいよ今度は消費をどうするかということにあらゆる関心が集中せざるを得ないのであります。そこでその消費でありますが、先ほど建設省住宅局長は、主として公営住宅、あるいはまた地方の公共団体の、これも公営住宅と思いますが、そういう方面における仕様書北洋材に変更するということで、むろんこれも当然必要でありますけれども、これらの公営住宅は、おおむね不燃性の住宅である。また国家の将来を考えた場合、そういう方向に進むのが私は妥当だと考えますから、それを変更してもらいたいということは申し上げません。しかしその不燃性の建築物における消費量はきわめて少量でありまして、これをもってこの膨大な風倒木が順調に消化されようということはとうてい考えられないことであります。しかしながら消費の一番大きな対象はやはり住宅である。さらに輸出である。その住宅がかような政府の融資によるところの範囲内にとどめますならば、とうてい私は目的を達せられないと考えておる。そこでこの際ほうっておきますればこれは腐るのであります。この資源を腐らせるというようなことは何としてもこれを防止しなければならぬことは当然であります。従ってそれがためには一般の民間住宅に徹底的にこれを奨励するような方法を講ずべきじゃないか。御承知通り一般の民家の住宅は、二十五年以後家賃統制令を撤廃いたしておりますから、個人自分の住いする店舗あるいは住宅はできる限り建設いたしておるようでありますけれども、しかし一般のいわゆる昔の貸家業さんの建設というものはほとんど停止されておると私は思うのであります。私たちは今回この風倒木を何とかして一般の住宅建設に充てたい、そうしてそれこそ木造の建築家屋でありますから、それがうまくいけばこの膨大な風倒木も円滑に消化されるのじゃないかという期待を持つのであります。ところが現在貸屋業者がなぜ家を建てぬかというと、家賃統制令が残っておる。二十五年以後の建設に対しましては統制令がございませんけれども、それ以前の建設に対しては厳重な統制令がしかれておる。ところがこの統制令が現実に善意に使われておるかこいうことを見た場合、私はその大部分が悪用されていると申し上げてもいいと思うのであります。すなわちきわめて低廉な家賃で借りた者がまた貸しをする、そしてその借りた入間が家主よりも何倍かの不当な利益を得ておる。そこで家主はりっぱな家を持ちながらあまりにも安い家賃に制約されておるがために、経済ベースに合わない。そこで何とか新しい家を建てたいという強い希望を持ちながら経済ベースに合わないから新しい家を建設していない。そこに私は一般民間住宅建設の進まない一番大きな禍根が存すると思うのであります。政府建設は今年は四十二万戸でございますが、一方において自然廃棄に陥るところの住宅は、私は少くとも二十万、三十万あると思う。そのような状態を続けていくならば、三百万の住宅不足が果していつの日か充足するであろう。しかもその間住宅に苦しむ方はあらゆる苦労を続けていかなければならぬと思うのであります。何といっても民生の安定は住宅であります。その住宅なくして民生の安定を実現し得ないという方があまりにも多いという現実を見た場合、そうしてこれらの貸屋業者がもし家を建てるとしますれば、それは十坪余っていれば十坪の土地に家を建てる、二十坪余っていれば二十坪の土地に家を建てる。すなわちどこでも多少でも土地が余っていればそこに家を建てる。そうして初めてこの不足している住宅が充足すると思う。しかも業者がその熱意を持っておりながらできないのは不当な家賃統制令が残っておるからで、そこに禍根がありますから、私はこの際かような風倒木を消化させるためにはこの不当な家賃統制令を撤廃いたし、さらにまた貸家法を根本的に改正いたして、借りた以上はもう借家主の自分の家みたような権限を取って、どこまでも、貸家主に権限があるという正当な姿にこの法案を改正して、一般貸家業者が進んで家を建設し、日本住宅不足をカバーする、そうして大きな風倒木処理することが一番適当だと考えるのでありますが、建設省ではこれに対してどういうお考えを持っておるか、一応伺っておきたい、かように思うのであります。
  21. 今井耕

    ○今井政府委員 ただいまの御説全くごもっともであります。実は建設省でも善処する必要があると考えまして、ただいまこれが具体化について検討いたしておる次第であります。しかしまだ他に影響するところが非常に大きいのでありまして、今慎重に検討中でありまして、何とか具体化したいと考える次第であります。
  22. 首藤新八

    首藤委員 ほかに影響するところが多いから考究中ということでありますが、具体的にどういう影響があるか、片方では消化しなければこの貴重な資源が腐ってしまうのであります。この腐ってしまう現実の大きな事態を考えた場合、多少の副作用的な弊害がありましても、むしろ抜本塞源的な対策をとるべき時期だと私たちは考えるのでありますが、この点について建設省はそこまでの決意があるかどうか、この点を伺っておきたい。
  23. 今井耕

    ○今井政府委員 ただいまの点につきましては、風倒木の問題もありますし、また建設省といたしまして一日も早く住宅がたくさんできまして、この不足が解消されることが必要でありますので、こういう広い見地から考えておるのであります。それをどの程度やるかということにつきましてはまだ具体化しておらぬのであります。各方面をよく勘案いたしまして、近く何らか具体策を考えたいと思います。
  24. 首藤新八

    首藤委員 私は、この膨大な風倒木を円滑に処分いたしますのには、住宅に対する統制令を撤廃してこれを業とした人に対して進んで新しい住宅建設せしめるということが一番効果的だというふうに考えておりますから、その点は建設省もいま一度この方針を実行するように一つ御協議を願いたいと思います。  そこで私はそれに関連いたして、大蔵省の方にお伺いをしたいと思うが、今回の風倒木に対して政府の融資による住宅、これらのものあるいは公共団体のものに対しては六カ月以上一年あるいは北海道なんかは二年の支払いの猶予がある、同時に無利子という処置をとっておる、これは大蔵省としては非常に画期的な処置であったが、しかし実情に即した対策をとられたことに私は敬意を表しておるのであります。大蔵省の今日までのやり方を見ておった場合、よくやったという考え方を実は持つのでありますが、ただいま申し上げたように、この膨大な風倒木を処分するためには、どうしても大きな消費先を探さねばならぬ。そうして大きな消費先はただいま申し上げたような一般民間人の住宅建設だ、これが一番効果的だということを私は信じておるのでありますが、そういうふうになった場合に、それらのいわゆる貸家業者といいますか、貸家を建てたいと希望する人、あるいはまたそれに関連しての製材業者等々に対して、一般公共団体と同様の特別の金融処置を講ずべきであるというふうに考えておるのであります。ただ常識的に考えますると、片一方は公共団体である。片一方は営利業者ではないか、さようなものにかような特別措置を講ずるということはどうかというお考えもあるかと思うが、しかし今回の問題はそういうことを通り越して、どうしてこれをむだにせずして消化せしめるかという点に重点を置いた考え方をしなければならぬと思うのであります。そういう考え方をした場合、かりにそういう破格的な取扱いをしたことによって、あるいは多少損害が政府にあるかもしれません。しかしありましても、この貴重な資材を腐らすよりも私はこの住宅建設したこと自体の方が国家のために非常に有効だというふうに考えるのでありまするが、さような業者に対して公共団体と同様の措置をおとりになる気持があるかどうか、この点もお伺いしたいと思います。
  25. 小熊孝次

    小熊説明員 お答えいたします。ただいま首藤先生のお話がありました点まことにごもっともな点だと思うのでありまして、われわれといたしましても、風倒木をなるべく損害の少いうちに処理するということが最も重要だろうと思います。それにつきましては、まず林野庁の方におかれまして、生産面におきまして大いにやっていただくということが必要でありますが、その林野庁がせっかく生産いたしましても、これが売れないということになりますと、宝の持ちぐされということになるのであります。その面におきまして、われわれは先ほど申し上げましたように、従来のあれから申しますと、三カ月程度延納でよろしいわけでありますが、それを東京とか、大阪、名古屋とか、そういうところに持って参ります場合には、なるべく延納期間を長くしようということにつきまして林野庁と協議中でございます。これは何も地方公共団体に限っているわけではございません。普通の業者に売ります際におきましてもそういう特別の措置をとろうと考えておるのであります。  それから先ほど先生がおっしゃいました、昨年立法されました北海道における風倒木延納に対する特別の措置、これは地方公共団体に対するものにつきまして、特に災害につきまして、三年という大幅な延納措置を講じておるわけであります。なおこれについては近く改正を求められるというふうに私は聞いておりますので、せっかく林野庁におきまして粒々辛苦して作りましたものが——需要の緩急という問題がありますが、露要の緩急と実際消費される過程においてスムーズにいくということが考えられるわけであります。しかしそこには業者に直接できるかどうかという点につきましていろいろ木材の流通過程というものがあるかと思うのであります。普通の状態におきまして、風倒木につきましては特別の延納措置が認められますならば、その普通の形において処理されるということが最も適切ではないかと考えておるのであります。
  26. 首藤新八

    首藤委員 よくわかりました。私はこの際従来の月並み的な対策を百歩前進して、思い切った非常手段を講ずる必要があるということを特にお願いしておきたい思うのであります。と同時に、消費の一番大きな対象は、ただいま申し上げた一般の住宅と、もう一つはパルプの消費であります。平年北海道のみにても大体四百万石あるいは五百万石に増加をしているらしいのであります。各社とも相当の設備能力を持っておる事実から考えて、そうして一たびこれをパルプ化しますれば、これは長年保管ができる。この際一つパルプの増産ができまするよう、そうして、そのためにはまず金融措置を講じて、製品にして保管せしめる、こういう方法をとる意思がないか。特に今の風倒木の処分がなくなりますと、一応林野庁風倒木処理というものが当然減少されることが予想されるのであります。従ってそういう場合に臨みますと、パルプ業者のこうむる影響はきわめて深刻でありますから、それに備えるために、この際腐らない間に最大能力を発揮してパルプの製造をせしめるという措置を講ずべきだと思います。これは繰り返して申しますが、金融措置が必要でありますから、他の業者と同様にパルプ業者に対しても金融の特別措置を講ずるお考えがあるか、講じなければならぬと思いますが、そういうお考えを持っているか、この点を伺っておきたいと思います。
  27. 小熊孝次

    小熊説明員 パルプの問題でありますが、私どもといたしましては、林野庁木材を売ります際に、パルプの材料として売るか、あるいは普通のいろいろな製材材料として売るかということにつきましては、特別の考慮を払いませず、一般的にそれが商取引の慣行、風倒木処理につきまして一応一般の原則に従いまして協議する、その範囲内において林野庁中心として処理をする、こういうように考えております。
  28. 柴田栄

    柴田(榮)政府委員 風倒木処理の一環としてパルプが非常に重要な部面を占めるということは、現場を御視察していただいて十分御了解をいただいていることと存じます。特にパルプ以外には用途のないような部面が非常に多くなっている。しかもその分はこのまま放置いたしますれば一そう腐朽のはなはだしいような状況にあるということでありますので、ただいま御指摘のような問題は、私どもとしても、ぜひともこちらからも積極的にパルプ業界と御相談いたしまして御協力を求めなければならぬと考えております。パルプ材の売り払いに関しましても、風倒木一般の処理と同様に延納措置を講ずべきものであると私は考えている次第であります。大蔵省でも、その点についてはお認めいただく予定であります。
  29. 首藤新八

    首藤委員 先ほど申し上げましたごとく、パルプの製品化ということは何年置いても品質はいたまないから、ぜひとも金融の特別措置を講じて、できる限り製品化してストックさせるという方針に進むことが適当だと思います。  そこでもう一つ私は長官にお伺いしたい。ただいま申し上げた通りに、消費の大きな対象はパルプあるいは住宅建設、また進んで輸出の振興だと思いますが、輸出の振興は言うべくしてそう簡単に振興するものではありませんからしばらくおきますが、その消費を促進いたします前提として価格の安定をやることがどうしても重点的だと思います。いかに消費対象がふえましても、価格の安定がない限りはとうてい私は消費の増進は期待されないと思う。そこで価格の安定に対しては、長官は直接の責任者であるからいろいろお考えになっているだろうということが想像されるのでありますが、私は、現在の木材の市況から見て、一部には内地の山林の切り出しを中止せしめるという意見もありますが、そういうことになりますと、内地の山林の所有者が経済的に非常な圧迫をこうむりますから、これはとるべき処置ではないと思います。さようなことをせなくても安定策は講じられる。それは私見でございますけれども、全国の木材の組合を動員いたして、これを協力せしむる。そうして過去の扱い高、その他の調査をしていく。そうしてそれらの組合に、先ほど申し上げたような延納措置によって、そうして過去の取扱いの実績によってそれぞれの組合の扱い数を一応きめて、そうしてそれだけのものを責任を持って消化せしむる、そういう方法をとりまするならば、おのずから市価の安定というものが可能になってくるのじゃないか、そうしてその組合の人たちで責任を負ったものを、組合員がそれぞれ処分するというような方法をとりますると、ここに乱売というものはなくなるし、あるいはまた金融困難のための投げ売りも防止できるのでありますから、どうしてもこの際は組合を中核団体としてこれに協力せしむる。そうして過去の実績により扱い数を一応きめる、そういう方法をとることが安定策としては相当効果的ではないかと私は考えるのでありますが、長官はどういうお考えを持つているか、この点を伺っておきたいと思います。
  30. 柴田栄

    柴田(榮)政府委員 価格安定が、実は需要を増大し促進するという意味におきまして非常に大きなファクターであります。何と申しましても自由取引時代には業界協力を得なければ多くのものを消化することはなかなか不可能であると考えますので、ただいま御指摘通り考え方を実は当初からとって参った次第でございまして、当初計画いたしました内地輸送百六十五万石、現在におきまして約百四十万石というものに対しましては、御指摘通り方法を実はとって、しかも内地市場の価格と北海道市場価格とのバランスを考えまして、大体不安のない線において価格を協議の上決定いたしまして、各需要地の組合に一応責任を持っていただきまして特売いたしておるわけであります。それには延納措置をつけておるわけでございますが、市況が御承知のように非常に不活発のために、従来の延納措置でありました三カ月ということでは消化がなかなか思うにまかせない。従って延納期間も切れてしまう。ここでさらに売り急ぐということになれば、価格の売りくずし不安を生ずる。そこで今大蔵省には、特に急いで新しい需要面の拡張と価格安定という幅を持せて、三カ月を六カ月に延長することの御協議を進めておる次第でありまして、この点では大体の了解を得ておると私ども考えております。速急にこれを進めまして御指摘のようなことと全く同じ方法によって、私どもは価格安定と需要の促進、需要の増大を考えて進めておるということを申し上げておく次第でございます。
  31. 中崎敏

    中崎委員長 この際永井勝次郎君。より発言を求められておりますので、これを許します。永井勝次郎君。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来の質疑応答の中でも明らかでありますように、この問題は非常に重大な要素を持っており、しかも短期間処理しないと腐ってしまうという条件があり、生産の面において手かげんができるというものではない。倒れただけのものは短期間にこれは生産しなければならぬ、こういう事情にあります。従ってこの貴重な物資をただ風倒という事態によって短期間に大量生産しなければならぬという事情にある以上は、この生産に見合う需要を臨時に緊急な措置によって拡大して需給のバランスをとり、この貴重の物資が腐るいうとような不幸な、また愚劣きわまる事態を起さないようにするということが今日われわれに課されたところの民族的な大きな課題だ、大きく言えばそういう表現ができると思うのであります。こういうような意味において、どうか各省も緊急にそれぞれの需要拡大に対する諸態勢というものを整えていただきたい。そうして最善の努力をしてもなおかつ腐ったというならばこれはやむを得ないのでありますが、何ら適切な措置が講じられないままにあれよあれよと言っておる間に腐ってしまったというようなばかげたことになってはならないと思うのであります。  その施策としてはいろいろな方法があると思う。そういう事態を促進しますがために、その特に重要な諸点を掲げまして決議をし、これが需給の円滑なる運営を庶幾いたしたいと考えるのであります。各党の間で話し合いをいたしましてまとめたものを本委員会の決議にいたしたいと思います。  朗読をいたします。    決議(案)  一、今回の風倒木は未曾有の大災害 であり、品質低下、諸害防除の観点より早期処理が極めて肝要である。依って之が処理に当っては平常的事務にとらわれず、抜本的に諸対策を決定実行すること。  一、実行計画の検討被害総量は処理費及び需要面に重大な影響を及ぼすから、その後の被害も洞察し、早急に実体把握につとめ、それに即応する計画を樹立すること。  一、需要開拓大量の風倒木により過剰生産となった針葉樹材(エゾ、トドマツ)の需要を促進する措置をなすこと。   (イ) 政府関係特に建設省計画建造物には極力これらを充当し、又一般建築物に対してもエゾ、トドを使用する様斡旋すること。   (ロ) パルプ適材の多量生産に鑑み、内地のパルプ材としても大量使用せしむる様考慮すること。   (ハ) 一般材坑木を通じ、現在の需要動向にかんがみて、大径木の処理のみならず、並行的に小径材の処理をも進めること。  一、貯材   道内民間工場には相当な貯材能力があるから、之を満度に利用すること。これがため貯材期間中の品質の低下、金利諸経費等について適切な措置を考慮すること。  一、林道の開設   風倒木処理中は勿論、その後の治山治水上にも必要であるから積極的に林道開設を行うこと。  一、治山治水   (イ) 可及的速やかに植林を行うこと。   (ロ) 軟弱な地盤を早急に整備すること。   (ハ) 奥地森林の開発には更に積極的な施策を講ずること。  一、市価の安定    木材市価の安定は極めて緊切なる要件である。関係当局は風倒木出廻の状況に特別の注意を払い、木材市況の将来を勘案して主要需要業者の協力を得て適正価格を維持するよう努力すること。  一、金融の斡旋   風倒木処理の重要性に鑑み、融資の円滑を図るため、適正な措置を考慮すること。  一、直営生産材処分に対する延納期   間と金利については、風倒木による素材払下代金の延納期間を六ヶ月以上一ケ年以内とし、その金利は無利息とする様措置すること。  一、風倒木処理を迅速且円滑に処理する為政府直営のみによらず能率的な民間業者に協力せしむる等の措置を考慮すること。  以上であります。何とぞ皆さん満場一致の御賛成をいただくようお願いをいたします。
  33. 中崎敏

    中崎委員長 お諮りいたします。永井君の御意見のごとくに決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 中崎敏

    中崎委員長 御異議なしと認めます。それでは本小委員会全会一致の意思として次回の商工委員会報告し、本決議案の採択に努力いたします。
  35. 首藤新八

    首藤委員 ただいまの質疑応答によって、政府もこの風倒木の問題に対しては相当真剣にお考えになっておることが理解できまして、非常にけっこうであると考えておるのであります。同時に、ただいま永井委員から提案されたもろもろの対策を盛った決議案が承認されたのでありますが、しかしながら何といってもこの木材は日々変化する経済の実態に即応しなければならない問題であります。と同時に、消費の面もいろいろの情熱を傾けて考案して参りますならば、この際新たな用途も相当開拓できる望みがあるわけでありますので、それらの問題を適切に、かつまた時間的にも遅滞なく処理いたしますため、適当な審議会を作って、そうしてこの問題を主として扱うという方向に持っていくことが、これらのもろもろの問題を進めまする上においても有効ではないかというふうに考えますので、あえてこの問題を提案いたすのであります。委員長によってこの問題の是非をお諮り下さればけっこうだと思います。
  36. 中崎敏

    中崎委員長 ただいま首藤君の御発言の通りに決定するに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中崎敏

    中崎委員長 御異議なしと認めます。それではただいま首藤君の発言の通りに、次回の商工委員会報告して、審議会の設置について承認を求めるように小委員長の名において努力いたします。  以上をもって本日の会議を終ります。    午後五時三分散会