○石谷
説明員 いまの夏山
生産における労務の確保の問題でありますが、御
指摘の
通り、ちょうど北海道における農繁期と競合いたします
関係上、道内労務の確保という点にいろいろ問題があるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、当初四割くらいの
生産をこれに振り向けたいというふうに
考えたのでございますが、現実の問題といたしますとなかなかそこまで伸びていかないというのが現状でございます。大体平年時におきまして、北海道の直営
生産事業につきましては、年間延べ人員で約二百万人の労務者を使うわけでございますが、これからは先ほど御
説明申しましたように、八割五分までは冬山ということであったわけでありまして、いわゆる農閑期を利用いたしまして山林労務に従事するということで実は
解決がついておったわけでございますが、昭和三十年のこの
事業をいたしますためには、延べ三百五十万人の労務者を必要とするというようなことが一応机上で計算をされておるわけでございまして、こういった場合におきます内地からの出かせぎというのは、通例全体の労務の中で一五%ないし二〇%というのが現状でありますので、全量におきまして大体一・七倍くらいに労務者の雇用数がふえておるにもかかわらず、夏山
生産が
相当大きくなるということで、この労務の確保の問題が夏山の成否を
決定する一番大きな要因だというふうに
考えておるわけでございます。今後の
見通しといたしましては、非常に困難な問題があるわけでございますが、応現地々々につきまして必要労務の確保をいろいろ具体的に相談をしておるという
状況でございます。特に内地からの出かせぎにつきましては、東北にあります二つの営林局の機能を動員いたしまして、各府県の労働部、職業安定所と連絡いたしまして
相当大量の労務者の誘致をしておる、こういうことで、これらの点につきましては大体予定
通りの進行を見ておるようなわけであります。しかし何といいましても八割までは道内労務でありますから、その点に非常に問題が出てくるのではなかろうか、こういう点を実は心配しておるわけであります。
それからただいまの価格の問題でございますが、御
指摘の
通りの
関係でありまして、なかなかデリケートにしてむずかしい問題だと私どもは
考えておるわけでございます。特に昨今の問題についてちょっと御
説明を申し上げますと、
風倒木の発生いたしました九月の末ころには、すでに昨年の五月の
風倒木を含めての一般の立木売り払いをやっておりました、ところが売り払いました物件の上にさらに十五号台風による大量のものがかぶさったわけでありますので、これらのものを追加して売り払うということにいたしたわけであります。そこで比較的高かったときの木代金と多少下った場合の木代金とを合したものが現在市場に出回っておりますもののコストの一部をなしております。そこで道内における現在の市価がいかようであろうと、これだけの値段を切って売ったのではいわゆるコストを割るということで、各方面の
協力のもとに維持しなければならぬ価格というものが一応定められております。これは道内の
関係各方面の話し合いによってそういうものができております。従いまして私どもが売り払います場合におきましても、この価格をどこまでも尊重して売るというようなやり方をこの
段階ではさせられておるという現状でございます。そこで私どもは、この
段階におきましてはそういった問題もあるいはやむを得ぬかと思うのでありますが、やはり
相当まとまった立木売り払いがされます限りにおきましては、どこまでも民間の採算ベースを切っては売り払いができないということで、私どももその線に同調しなければならぬということがいつでもつきまとうのではないか。そうなりますと、大量の有効処理と申しますか、できるだけ処理度を高めていくという点から申しますと、ただいまの価格問題がネックになりまして、用途がなかなか伸びていかないというような現実にあるわけであります。そこで、そういう
意味からいたしますと、立木処分による一般の市場への出回りはないという限度に押えまして、
あとは直営でやって参るという方がいいのではないかということが、実は直営
生産を三十
年度に特に拡大しておる理由でございます。
そこで現在の対策といたしましては、ただいまおっしゃるように、
パルプ関係者も自分の手山に
風倒木を持っておりますし、自分自体も
相当のものをかかえておりますので、造材業者の造材したものを買っていくことは困難だという
状況が一般的に見られるわけであります。そこで私どもの対策は、直営
生産材に関します限りは、昨年の秋から
パルプ関係者には全然売られないということで手持ちして様子を見ているわけであります。その間に中小
木材業者の
生産した
パルプ適材を早く消化してくれ、こういうことで見ておるわけでございますが、その方面の
見通しも大体この六、七月ごろまでの期間でつくのではなかろうか。そこでその期間が過ぎますと、昨年九月の風倒被害によりまして売り払いました立木処分にかかる
生産の分も、大体のものが需要先に吸収されて参るということになりますので、その後の
状態が、直営
生産の拡大によって
状況次第でどうにでも出し得るものが非常に大きな部分を占めるということになりますと、御心配の市場における価格操作というようなものは比較的楽になって参るわけであります。これは私どもが大量のものを持って一方的に市場操作をするという
意味ではないのでございまして、やはり道内の需給
事情あるいは道外の需給情勢を見計らいまして適切な価格でこれを売り払って参るという場合に、立木処分したものとの間に価格のアンバランスがあるということは、大量処理の場合に一番支障が多いというような苦い経験からいたしまして、当分この処理の続く間だけは直営
生産を
相当大きく行わせまして事態に対応して参る用意だけはしておく、かように
考えておるわけであります。実は昨年も一部過剰いたしましたものを国で買い上げてくれというような要望もあったわけでありますが、目下のところ私どもはそういった措置かできるようになっておりませんので、そういうふうな事態に陥らないように、全体の処理の過程で問題を
解決していく、こういうことに
考えざるを得ないと思っております。