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1955-05-23 第22回国会 衆議院 商工委員会木材利用の合理化に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十三日(月曜日)     午前十一時四分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       首藤 新八君    鹿野 彦吉君       加藤 清二君    永井勝次郎君       八木  昇君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    松尾 金藏君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君  小委員外出席者         議     員 内田 常雄君         議     員 村上  勇君         農 林 技 官         (林野庁林政部         林産課長)   田中 重五君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      石谷 憲男君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     川田 博通君         参  考  人         (森林資源総合         対策協議会常務         理事)     田中 申一君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 五月二十日  篠田弘作君五月十七日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。 同日  小委員南篠徳男君五月十八日委員辞任につき、  その補欠として田中彰治君が委員長指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  木材利用合理化に関する件  北海道における風倒木の処理に関する件     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これより会議を開きます。  まず木材利用合理化に関して調査を進めます。木材利用合理化に関するその後の推移について政府委員より説明を求めます。松尾政府委員
  3. 松尾金藏

    松尾政府委員 前に木材資源利用合理化方策につきまして、今年の初めに閣議決定をいたしまして、木材資源利用合理化に関する方針がはっきり具体的に打ち出されたことは御承知通りでございますが、その合理化方策閣議決定の際にも、この合理化方策方針決定するだけでは必ずしも十分でないので、その方針に従ってその実施についてもさらに推進をするようにという意味で、そのための協議会をさらに進めると同時に、また関係業界においてもその推進態勢の整備をはかることが必要であるというような閣議決定をいたしたのでございます。その後先般四月一日にこの閣議決定の趣旨に従いまして、木材資源利用合理化協議会というもの、従来すでにありました協議会をさらにこの新しい協議会に移しまして、この方針に従って推進態勢をとったわけでございます。同時にまた関係業界、特に林総協を母体といたしまして、この木材資源利用合理化に関する推進本部が同日にスタートいたしたわけでございます。  この合理化方策内容は、すでに御承知通りでございますが、特に本年慶におきましては、御承知のような住宅関係等につきましても特に不燃率の引き上げその他のことも具体的に予算面に盛られておりますし、その他各項目について、何も予算措置だけで済む問題ではありませんけれども、それぞれ各省実施段階に入ったわけでございます。政府側におきまして各省におきましてこの方針による実施段階に進んだのみならず、側面的にというよりも、むしろ業界自身におきまして、先ほど申しました推進本部中心として、すでにその実施推進に入っておるわけでございます。先ほど申しました推進本部関係は、またあるいは今日同時に出席していただいております林総協田中さんの方から御説明があると思いますが、東京推進具体策協議実施するのみならず、同時に各地域地方におきましても、地域別種々懇談会を催し、これが実施推進に当っておるような次第でございます。詳細はお聞き願えればと思いますが、いずれにしましても、このような方針に従いまして、すでに実施推進段階に入って、各省それぞれの部門で実施に移りますと同時に、業界自身推進態勢に入ったというような状況でございます。一応御説明を終ります。
  4. 中崎敏

    中崎委員長 次に参考人として、森林資源総合対策協議会常務理事田中申一君が出席されておりますので、本件に関し御意見を承わります。田中申一君。
  5. 田中申一

    田中参考人 業界側からの意見といたしまして、まず木材資源利用合理化推進本部の現在までの活動状況について簡単に御説明申し上げます。今政府側からお話がありましたようないきさつによりまして、経済審議庁木材資源利用合理化協議会ができ、それに呼応して民間側木材資源利用合理化推進本部ができたわけでありますが、この両者の関係は、民間側にありますところのこの推進本部が、いわゆる実践体であり、どこまでも民間側のこの団体中心となってこの運動を実行するという仕組みになっております。従いまして政府側協議会の方は若干受け身というような関係になり、その仕事としては重複しないような杉になっておるわけであります。従いまして推進本部といたしましては、実践体であります以上、またこの仕事相当広範かつ多岐にわたっておるという関係で、どうしてもこの仕事を実行して参りますためには、相当業種別部会がいるわけでありまして、現在十三の部会を持ち、さらにその下に必要に応じ各種の分科会を作るという、機構的にも相当幅の広い機構になっているわけであります。本日お手元に差し上げました一枚刷りの紙に現在までの推進本部結成経過というものがございますので、ごらんいただきたいと思いますが、今申し上げました十三の部会の中ですでに発足いたしておりますのを右から申しますと木材生産部会紙パルプ部会建設部会、鉄鋼の部会、ガスの部会でありまして、近く発足を予定されておりますのは木材加工部会木材糖化部会、包装の部会、軽金属の部会、セメント、コンクリート部会合成樹脂部会ということになっております。またその分科会につきましても、若干の分科会はすでに発足しておりますのはこの図にある通りであります。  そこで部会の運営の問題に入りますが、これもやはりお手元に差し上げてあります木材資源利用合理化推進機構という冊子の一番うしろに長い印刷の紙がございますが、そこに推進本部委員の名簿がございます。推進本部委員長林総協会長でありまして、委員はここにございます十名の方で構成されておりまして、いずれも各業界代表者ということになっております。なお参与委員といたしまして、これは政府側協議会委員を全部ここに参与委員にお願いしているわけであります。この意味はどこまでもこの推進本部が実質的な官民合同団体であり、いずれここにかかりました問題のうちで、政府側でいろいろと推進していただく問題が協議会にかかるということになるわけでございますけれども、それまでにその問題の今までのいきさつでありますとか、内容、性質というものを本部でいろいろ協議をしていただいている間に、一応頭に入れておいていただくということの方が非常にスムーズではないかということもありまして、こういう形をとっているわけであります。なおここの表にはございませんけれども、このほかに顧問といたしまして農林、通産、建設の三大臣民間側としまして経団連の会長顧問になっていただきました。いずれも顧問の御承諾の御回答を得ているという状態であります。今申し上げました各委員の方が原則として前申しました部会部会長ということになっておりまして、部会長のもとで専門の委員の力、また官庁の関係の方を集めて部会の人的な構成ができているという状況であります。なお現在こういう部会ができておりますが、仕事としてはどの程度に進んでいるかと申しますと、実はお恥かしいながらそれほど進んでおらぬということを申し上げなくてはならないのでありまして、現在われわれ事務局の者といたしましては、できるだけ早くこの部会を全部発足いたしまして、頭をそろえるということが一っの大きな問題であると同時に、三十年度におきますところの具体的な方針というものを至急立てなければならないのでありまして、現在作業といたしましては、三十年度を第一年といたしますところの五年間の見通し作業をやっております。大ざっぱに申しまして五年目の三十四年度におきましては、用材薪炭合せまして約六千万石程度木材を節約しようという一応の案をもちまして、今それの具体的な年度割その他の作業をやっておりますが、これまた政府側といろいろ折衝しながらやっておりますので、まだそれほど進んでいる状態ではございません。ただここでもちょっと申し上げておきたいことは、これに対する各関連業界協力熱意の問題でありまして、遺憾ながら全般的に関連業界がこれに協力してくれるというところまではまだいっていないのであります。一部の業界につきましては相当熱意を持ってきておられる方もありますけれども、そういうような状態であり、今後われわれが実質的にこの問題を力強く繰り広げるというためには、相当の努力が必要だと思いますけれども、さらに皆様方の強力な御援助をぜひいただきたいというふうに思うわけであります。  それから本部活動状況に関連いたしまして二、三申し上げたい点がありますが、その一つはこの本部活動自体東京中心でありますので、その点今まで御決議いただきまたは閣議決定をいただいた全国的な啓蒙宣伝運動というためにはまだ非常に物足りない点があるわけであります。そういう意味におきまして、現在、大阪、名古屋、福岡、札幌を中心といたしまして、そこにあります商工会議所中心として地方的な実はPRをやっているわけでありまして、この商工会議所中心とするPRの方がむしろ各業界協力よりも積極的な熱意を示されているということを御報告しておきたいと思うのであります。われわれの見通しといたしましては、この運動が現在の構想でもって進み得るならば、本年度におきましてはさらに相当地方的に大きな根がおろせるのではなかろうかというふうにも思っております。もう一つは実は利用合理化最終目標木材をさらに付加価値の高い用途に大いに利用するということになるわけでありますが、その段階として現在の需給逼迫を緩和するための消費節約ということが相当強く打ち出されているわけでありますが、これに関連して現在木材をもってなりわいを立てておられる方、いわゆる製材業者とか薪炭業者という方面にある程度影響と申しますか、不安が出てきたわけであります。われわれといたしましても、現在この問題はあまり大きく取り上げられておりませんけれども、いやしくもこの運動をば推進していきます場合には、当然考慮しなければならない問題であるというように考えておりまして、実は最近林野庁の方ともいろいろお話をしながらこの運動を進める上におきますところの、今申し上げました木材関連業界のいろいろの動向、影響調べというようなことも並行的にやっていく必要があるのじゃなかろうかということで実は研究を始めている次第であります。  以上のような連動をやって参ります上におきまして何と申しましても一番大きなものは財政問題であります。お手元にも配付してございますと思いますが、実は本年度推進本部の経費を一応二千万円と押えております。二千万円は全部これは事業費でありまして、どういう事業にどういうふうに使うかということは事業計画と関連して書いてありますのでお読み取りをいただきたいと思いますが、この二千万円の負担区分の問題であります。一応われわれといたしましてはそのうちの五百万円をまず林総協から出す、これだけははっきりきまったわけでありますけれども、残りの千五百万円につきましては、実は八百万を国庫補助、それからあと、七百万円を関連業界からの醸出金でお願いするという考えでおりますし、また今申し上げました三つの負担区分によってどういうような仕事をするかということもすべて負担区分別に出ております。特に政府補助につきましては、われわれは全国的なPRにするために、展示会でありますとか、地方におきます今申し上げました講演会講習会というようなものにそれを使いたいということで八百万円をお願いしてあるわけであります。実はこれは政府の方にお願いして出していただいた数字でありますけれども、遺憾ながらこれは一応削除されたような形になっておりますので、ぜひこの運動をやって参りますために、この復活というものについて、一つよろしく御援助をいただきたいということを切にお願いしておるわけであります。業界の賃金につきましても、遺憾ながら今約百五十万円程度鉄綱業界から出るということがようやく目鼻がつけられただけでありまして、まだまだこれから目鼻をつけていかなければなりません。一部の業界等につきましては、さらに今後相当な話し合いをしなければ、なかなか出ないという業界もあるわけであります。そういう意味で、ぜひともこの問題につきまして、国が積極的に財政的にも援助するのだということをば、この際打ち出していただかなければ、せっかく盛り上ったこの運動が、そういう面から相当制約されてくるのじゃないかというふうに私は心配しておるわけでありまして、その点ぜひ一つ協力のほどをお願いしたいと思います。  以上をもちまして、簡単でありますが、一応終ることにいたします。
  6. 中崎敏

    中崎委員長 これより質疑を許します。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 議事進行について。きょうの議事は、この掛進本部の問題について審議をして、それから風倒木その他の問題……。
  8. 中崎敏

    中崎委員 時間のある限り風倒木の方へ移るという考えであります。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 予算その他の修正との関係もあるのでしょうけれども、これはこれで一応伺っておいて、風倒木の問題に議事を進めたらいいと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 中崎敏

    中崎委員長 その通りに取り計らいます。  それでは永井君。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 経審当局にお尋ねするのですが、経審当局中心になって、木材資源利用合理化についていろいろ閣議決定をして、これを強力に推進するということに決定したわけでありますが、これはかけ声だけでやろう、実際の仕事はみんなでやれ、金を持ち寄ってやれ、こういう考え方経審はおるのか、具体的に閣議決定した以上は、できるだけ早い機会に、しかも強力に効果ある活動を展開しようというためには、どういう考えを持っておられるのか、かけ声だけでこれができると考えておるのかどうか、この点を伺っておきたい。
  12. 松尾金藏

    松尾政府委員 御承知のように、こういう方針決定いたしたわけでございますが、もちろん実施は、関係各省が従来の線をさらに拡大強化して、実施推進するということに現在の機構に相なっておるわけてございます。ただその際にも、御承知のように木材資源利用合理化というような立場から申しますと、その関係するところがある一省のみにとどまらないで、いろいろその担当省関係省が多数あるわけでございます。そういう意味から、そういう実施の際の具体的な問題になりますれば、当然先ほど御説明いたしました協議会に付議いたしまして、そういう問題点を解きほぐし、そして実施のルートに乗せるということを、この協議会中心になってやって参りたいというふうに考えております。しかしただいまお話のように、問題があったときにだけ取り上げるとか、あるいはこういう方針だから各省それぞれやってほしいというかけ声だけで推進が十分であるとは、もちろん私どもも考えておりません。現在すでに本年度予算に、必ずしも十分でないかもしれませんが、各省それぞれ予算を計上して、一応認可に入っておるわけでありますが、また予算関係以外にも、金融の問題にもからんでくるわけでございます。問題によって、各項目によって事情は違うと思いますけれども、そのあるものはやはり財政投融資関係で、特に開銀融資に依存しなければ、必ずしも十分実施ができないのではないかというような項目もあるわけでございます。そういう点につきましては、まだ開銀融資の具体的な細目の打ち合せはできておりませんけれども、今後それらの開銀融資の具体的な決定をする際にも、木材資源利用合理化という線は、特に強力に打ち出して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 事務当局に聞くのは無理かもしれませんけれども、とにかくこれは閣議決定事項である。閣議決定事項であるならば、これは各省にまたがってこれを総合的に進めなければ、たとえばこちらの方でコンクリート電柱を作るという仕事ができる、しかし実際において電柱生産なら生産という林野当局仕事の面がこれにダブるようでは、これは総合的な計画とは言えない。いろいろ各省にわたり、各業界にわたって過不足なく、総合的にこれを推進するというには、やはり中心があって、政府相当の企画を持ってやらなければいけない、こういうことであろうと思う。ところがそういう一つかけ声だけかけておる。そうしてこの予算内容についてはいろいろ論議がありましよう。これでいいかどうかということもあるけれども、一銭の金も持たないでこういう仕事ができるわけのものではない。やはり若干の金は要る。たとえば開銀における融資の問題にしても、これは業界のこういう計画は立てる、そうしてこれの実際の仕事をやるには、各営利会社なり何なりそういうところと取っ組んでそこがやるであろう、こういうようなことでいきますと、こういう計画は、計画そのものは国家的な要請から生まれて来たところの計画であるけれども、それを実行するのは個々営利会社の私的結びつきにおいてやるのだ、こういうことになって、われわれが最初から考えておりました、これらの利用合理化の公的な性格で、相当に強力に推進するのだということが、末端で全くくずれてしまう、こういうことになる。個々ばらばらに起ってくる私企業をそのままの状態にして、開銀融資でこれはやるのだといっても、これはやらしておいて、非常に施設が過剰になって来て、つぶれていくという状態もあるし、こちらの方の計画末端で生かされないという面が出てくる。代替品を使おうとしても、その品物がないというような状態になる。そういう今日のような機構と今日のような財政投融資計画で、こういう非常に広汎な関係にわたる木材利用合理化というような仕事が、非常に効果的に発展できると考えておるのかどうか、これを一つ伺っておきたいと思うのであります。これはもう最初の出発のときから問題になっていて、一体どういう形で、どういうシステムで、どういうやり方でこれを推進するのかということが問題のわけで断りますが、それがこういうものだけで、かけ声だけはおれの方でかける、閣議では決定したんだ、大へんけっこうなことだ、あとはよろしくやれ、こういうでたらめなことで、こういうことができるとわれわれは考えないのですが、やはりこういうこともああいう六カ年計画という作文の一環として、内容はないんだ、一応問題を投げるんだ、皆さんのいろいろな意見によってこれはいろいろ取りかえていくんだ、こういうふうに一応作文で提供するというだけの考え方なのかどうか、本腰を入れてやるつもりなのかどうか。本腰を入れてやるとすれば今当面しているネックはどこにあるのか。こういうことをどういうふうにしてやるのだということを、一つざっくばらんにはっきりと示していただきたい。
  14. 松尾金藏

    松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、方針決定して各省でそれぞれ実施してもらえばそれでけっこうだという、それだけの考えではもちろんありません。もちろん各省それぞれ実施してそれで済めばそれが一番いいわけでございますけれども、それで済むとは私ども考えておりません。経済審議庁の中の、先ほど申しました協議会が新たに発足いたしまして、具体的な問題ごと協議会でその問題の解決をはかっていきたい。ただ御承知のように、今御指摘になりましたような点は、各項目によってそれぞれ事情が違うと思います。当然予算措置がなければできないものもございますし、またあるいは財政投融資のささえがなければできないような問題もございます。しかしそういうものがなくとも事実上推進できる問題もあると思います。従いまして、各項目によって事情が違うと思いますが、それらの点は現在の組織と申しますか、態勢から申しますと、先ほど来御説明いたしましたように、すでに推進本部が設けられておりまして、そこには先ほど田中さんからもお話がございましたように、各部会、さらに必要があれば分科会というような形で各項目ごとにその問題を取り上げて解きほぐすような態勢がすでにできておるはずでございますが、その段階で済むものもありましょうし、その段階で済まない問題が当然予想されるわけでございますので、そういうことになれば当然協議会政府側のとるべき態度について各省が集まって問題の解決をはかる、こういう態勢を今整えておるわけでございます。なお今御指摘のございました財政投融資関係でございますが、これも先ほど申しましたような意味で、まだ具体的に、たとえば開銀融資についてこれこれに幾らというようなところまではもちろん決定いたしていないわけでございますけれども、その際に、たとえば広葉樹を利用するようなパルプ企業についてどういうようにやるかということは、ただばく然と各企業から申し出があれば各企業申し出に従って個個的にばらばらに処理するという考えは毛頭ございません。これは直接の所管省としての通産省で、そういう各社の事業計画なり、企業計画相当濾過して、御指摘のような過剰投資、あるいは二軍投資にならないような配慮のもとに濾過された形で問題が処理されていく、そういう形で必要な財政投融資の道も講ずるということに相なると思います。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 推進本部ができておるというが、それは紙に書いたものができておるのであって、金が一銭もなくて推進本部を作るといったって、林総協に費用を出させるか、業界からの寄付に待つか、こういうこと以外にない。今の話によると、各業界によって金のかかるところもあるし、かからないでやれるところもある。そうすると閣議決定は、金のかからないことで、ラッパだけ吹いておればそれでよいのだ、こういうものだけをやるのだ、そうして金のかかる方はだれかがやるだろう、考え方だけ高邁な一つのすぐれた独創的な見解を出して、こういうふうになればこうだぞ、とこういう指導だけをして、それらにみんな業界が飛びついてきてやってくれるだろう、こういう非常にすぐれた知能、頭だけで考えてやるのだ、仕事はお前の方でやれ、こういうことでこの問題を解決していこうというのでありますが、推進木部ができておるといったって紙に書いたものができておるだけであって、金は林総協から現在五百万円出すということがきまっておるだけで、あとは何もきまってない。もともとそういう考え方で出発しておるのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  16. 松尾金藏

    松尾政府委員 先ほど来御説明いたしましたところで私の言葉が十分でなかったかもしれませんが、当初に私が御説明いたしましたように、現在の状況では四月一日に実施機構を整備して、事実は、まだ出発したばかりのような態勢にあると思います。従ってその実績がどれだけかということになりますと、必ずしも十分でないと思いますが、今後実施推進につきまして、ただうまくいけばよいというような形で見守っておるだけのつもりは毛頭ございません。今後も各項目ごとに具体的な推進をはかっていきたいというように考えております。御了承願いたいと思います。
  17. 中崎敏

    中崎委員長 一応この問題は、閣議決定でもあるし、国策的に見ても大きな問題でもあるので、近いうちに関係大臣大蔵大臣などにも来てもらうというようにしたらいかがでしようか。——それでは日にちをかえて関係大臣の出席を要求し、委員会を開くことにしたいと思いますが、異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 中崎敏

    中崎委員長 それではただいま申し上げましたような扱いをするといたしまして、木材利用合理化に関する問題は、今日はこれをもって終ります。
  19. 中崎敏

    中崎委員長 次に前会に引き続き、北海道における風倒木の処理に関し調査を進めます。  この問題につきましては、先般来林野庁長官の方からもいろいろお話があり、各委員からも熱心な質疑があったのでありますが、何しろ聞けば聞くだけ大きな問題でもありますので、むしろ思い切って、今まで林野庁考えておられるより以上な強力な総意を結集して、誤まりのないような措置を講じていただきたいために、さらに検討を加えたいと思うのであります。従ってそうしたような角度から各委員の熱心な発言等を要望する次第であります。質疑を許します。
  20. 八木昇

    ○八木(昇)小委員 私、木材問題は初めてでございまして、あるいはとんちんかんなことになるかもわかりませんが、風害木の整理計画について、この前林野庁長官から御説明がありましたが、その中に価格の問題については一切触れてございません。それで昭和二十九年度においてどういう値段で、どういうふうに処理をせられたか、今後どういうふうにするおつもりであるか、その辺の概要をお知らせいただきたいということが一つであります。  それから、やはりこれも価格問題にも関連いたしますが、今度の政府でお約束になっております四十二万戸の住宅建設に関連して、特に公営住宅といったものについては、価格面においても十分に考慮の余地があるのじゃないか、端的に申せば、低廉な価格で風倒木の処理ができないだろうかということを私どもちょっとしろうと考え考えておるわけであります。そういう点について、どなたでもけっこうでございますから、御答弁願いたいと思います。
  21. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいまの価格の問題でございますが、北海道におきましては、年間道内において需要する木材の八割ないし八割五分は、国有林と道有林から供給いたしております。御承知のように、国有林も道有林もいずれもきわめて計画性のある生産をいたしておりまして、かりにそこに緊急な需要がかなり大量に発生いたしましても、その事態に対応して急速に生産を増大するというようなことは、従来あまりなかったのでございます。その点が内地におきます木材の需給関係と非常に違った点でございます。ところで実は一中甲の秋ごろから、そろそろ内地におきます木材の市況は非常に低調になって参っておりました。すでに昨年あの風倒被害の発生いたします直前におきましては、内地の木材の市況について申し上げますと、大体前年同期の一割五分程度は下回っておったように私どもは見ております。ところが北海道におきましては、ただいま申し上げましたような需給の特殊なる事情からいたしまして、依然として木材価格というものは相当強い調子を持続しておる、こういった状況で推移しておったのでございます。従いまして、この風倒の発生いたします直前の状態は、内地と非常に違った様相の市況であったということを、まず前段に御説明申し上げておきたいと考えるわけであります。  そこで木材の取引の関係でございますが、これは御承知のように樹径、材種によって非常に違っております。同じ樹材種のものにつきましても、直径の大いさ、長さ、品等によっていろいろ違ってくる、こういうことに相なるわけでございます。北海道の場合について一番端的にわかりやすい例といたしますと、あそこでは一番大口な需要者、消費者はパルプ関係でございますが、一応風倒直前の状態は発駅石当り千二百五十円で取引されております。実はあの風倒前の状況はこういった価格ではとうていパルプ関係者としては取り馴れないという声が一部に上っておったのでございます。ところが今次の風倒が発生いたしまして、それを処理いたして参ります過程におきましては、何といいましても、あれだけの大量のものが風倒しておるという実情もありますし、市場出回りの状況も一時に比べますと非常に多くなっておりますし、価格は非常に下押しの状況でございます。大体風倒直前の千二百五十円に比べますと、北海道内でぜひとも維持したいと考えておりますパルプ用材の発駅価格は、現在九百五十円ということでございますが、実際の取引はそれよりも幾らか下回っておるという状況でございまして、私どもといたしますと、これは製品にいたしましても立木にいたしましても、売り上げます場合の価格の評定は、そのときの市価をもとにして評定いたしますので、従いましてこれから売り払いますものにつきましては、引き下った価格が基礎になって売り払いの評定が行われる、こういうことに相なるように考えております。  それからただいま御質問のありました公営あるいは公社でつくります住宅に対して風倒木をそのまま引き当てます場合に、何か価格の割引をしてやるというようなことが考えられないかということでございますが、私どもといたしましても、この大量の風倒木の処理をいたします過程におきましては、四十二万戸の住宅建設計画の中にできるだけ大幅に取り入れて消化してもらいたいということを考えまして、それぞれ関係の機関に申し入れをいたしておるわけでございます。大体あの住宅建設計画を見まして、一体木材の所要量がどのくらいになるかということを概算いたしますと、千四百万石くらいは使われるのではないか、その中で一応風倒木の消化し切れるだろうというように私どもが大ざっぱに見当のつけられますものは、約二百二十万石ばかりのもののように考えております。そこで現在の規則から申しますと、きわめて限られたものに対してよりほかには、滞貨を減額して供給するということにはいたしかねるのでございまするが、はっきりとこれを公営住宅あるいは公社住宅に直接に結びつけられるというものにつきましては、私どもといたしましても特別なる措置を考える余地があるのではなかろうかということで、実は寄り寄り研究をしておるような次第であります。
  22. 永井勝次郎

    永井委員 今度の風害木は未曽有のことであり、従ってこれに対処する対策としても非常の対策かなければならない、こう思うので断ります。この処理の基礎になるのは、風害木が一体どのくらいあるかという数量の問題だと思うのでありますが、現在林野庁からお示しになっておりますこの数字は、いろいろ調査によっても違いましょうけれども、これは風害木そのものだけをお調べになったのか、あるいは風害木ができてその周辺のものについて半風害というようなことで、これはやはり一緒に処理しなければならないというような数字も含めておられるのかどうか、この数字は、これを土台に進めていって間違いないという数字でございますかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  23. 石谷憲男

    ○石谷説明員 この風倒の被害数量の問題でございますが、民有林まで含めまして一応六千二百万石、国有林だけで約五千五百万石と申しておる数量の信憑性についてちょっと御説朗申し上げておきます。  実は国有林におきましては、十年ごとに編成がえをいたしまする経営案というものがございます。この経営案の編成をいたしまする場合には、この編成のために必要な調査をいたすのでございまするが、立木蓄積の調査というものは非常に重要な調査事項一つになっております。おそらく全体の調査量の中で七割くらいは立木蓄積の調査に費されるくらいの大きな項目に相なっております。ところが何といいましても非常に広大な地域の森林を調査いたしまする関係と、それから経営案におきまして、十年計画を編成するのでありますが、この十年計画の対象になります地域の立木蓄積につきましては、かなりまとまった精度の高い調査をいたすのでありますが、その他の地域につきましては日数、経費等の関係からいたしまして、比較的疎略に扱われがちだというのが現状でございます。これはひとり北海道のみならず、内地の国有林につきましても同じことが言えるのでありますが、北海道は担当地域が広いだけに十年経営案の対象地域外のところの調査につきましては比較的疎略になりがちだということが、これも北海道の特殊事情ではないかと考えております。そこで今回の園倒被害の調査でありますが、もちろん飛行機あるいはヘリコプターによりまして空中からの偵察もいたしたのでございまするし、さらには地上にたくさんの人を入れまして専門的に被害数量を調査させたのでございまするが、何といいましても、大もとになっておりますのは、経営案編成時に調査いたした調査資料でございます。そこでただいまほんとうに風倒しのものだけを数えたのかという御質問でございますが、これはそういうわけじゃございませんで、やはりその地域に若干残っておるものであっても一緒に処理しなければならぬというようなものは、この風倒被害の中に入れて計算をしておるということでございまするけれども、空中あるいは地上から、ただいま申しましたその調査費料をもとにいたしましてこの林班は全部いっておる、あるいはあの林班は大体三分の一いっておる、これは半分だということで、一応多くの被害地域をつかみまして、そうしてあとは帳簿計算をしたということが大体の推定の根拠に相なっております。ところがただいま申し上げました簿票それ自体の信憑性というものが、特に北海道においては低いという点もありまして、ある部分が大きくなりまして、ある部分は小さくなるといったことは免れぬのじゃなかろうか、かように考えております。いつの場合でもそうでありまするが、水害等の場合におきまする被害調査は、これは調査の精度か高まりますというと、大体被害額が減少するというのが通例でございます。これに反しまして風による被害は後日調査の精度が高まって綿密な調査の結果が出て参りますると、いつの場合でも非常に被害の度合いというものが高くなっております。従いまして今回の場合はただいま申し上げました二つの点からいたしまして、相当程度にふえるものじゃなかろうかというふうに私どもは考えておるわけであります。
  24. 永井勝次郎

    永井委員 立木調査に対して製品の歩どまりをどのくらいに見ておられるか。
  25. 石谷憲男

    ○石谷説明員 これは御承知のように立木のままでありまするときは非常に歩どまりというものの見通しが楽になるわけでございまするが、風倒被害を受けました地域になりまするというと、風倒の被害が決して均一ではないのでありまして、ある一定方向にいわゆる将棋倒しのように倒れたところもあるかと思いますと、旋風によりまして全くねじ曲げられたようなものが至るところに散乱しているといったような状況もありますので、これは必ずしも平均何ぼということを申し上げるのは非常に困難と思いまするが、大体私どもといたしまするというと、五十数パーセントないし七〇%というものの範囲にとどまっておるように考えております。
  26. 永井勝次郎

    永井委員 普通の場合の立木処分と違いまして、御承知のように散乱している、非常に作業を急ぐ、しかも小径部分までとって市場に出して価格と引き合うかということになりますると、これは引き合う見通しがなかなか困難だという状況の中で、これは直営生産の部分は相当集約的な処理もできましょうけれども、そうでない部分については、払い下げ分については歩どまりがうんと減るのではないか、こう思うのでありますが、直営生産の分における歩どまりと民間に払い下げた場合における歩どまりとのこの開きを大体どのように押えていられるか、その点を一つ伺いたい。
  27. 石谷憲男

    ○石谷説明員 直営生産の場合におきますいわゆる歩どまりというのは、御承知のように生産費を配付いたします場合の基準を与える一つの要素になっている。それから立木売り払いの場合の歩どまりというのは、これもまた御承知のようにいわゆる立木の価格を左右する大きなファクターになるのであります。そこで私どもといたしましては、直営生産の歩どまりと立木処分の歩どまりをことさらに変えるような考え方は持っておらないのでございます。ただいま、直営生産の場合に比べて立木処分の場合の歩どまりが非常に少いじゃないかという御質問があったのでありますが、ここに正確な資料は持ち合せておりませんけれども、私どもの聞き及んでおりますところによりますと、特に旭川営林局の管内等につきましては、昨年の秋に立木売り払いをいたしましたところ、非常に小さいものまで出て参りまして、かえって直営生産の場合よりも実際の歩どまりが高まったという事例も私は聞いておるような実情でございます。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 昨年の場合は、風倒木処理に対する展望というようなものが的確につかめない、従来のような考え方でまず皆が飛びついて行った。しかし、さて生産した、市場の状況が悪化してきた、こういうことで現在四苦八苦しておる。しかも小径木まで処理するということになると、歩どまりを多くとるということになりますと、何としてもこれはパルプ適木を多く出さなければならない。そのパルプの方が、なかなか現在買いどめをしておるような状況で、そういう点における二十九年度における処理の状況と今後における処理の状況とは大分情勢がかわってくるのじゃないか、こういうふうに見込まれるのです。そこで、こういう一時の災害でありますけれども、できるだけ集約的な処理を期待していかなければならない、刺激していかなければならない。その刺激するためには、どうしてもその製品に対する消流の関係を役所の方で特別に配慮を願わなければならないし、これはお役所がどのようにさか立ちいたしましても、消費者の方でこれに対する相当思い切った協力態勢が用意されませんと結びつきにうまくいかない、こう思うのでありますが、その点について集約利用を強化するための客観的な経済環境は現在どのようになっておるのか、そしてまた今後どのようにこれを措置されていこうとされておるのか、この点について承わっておきたい。
  29. 石谷憲男

    ○石谷説明員 御承知のように、できるだけ小さいものまで出しまして有効処理をやって参りたいという考え方をとっておるわけでございますが、立木売り払いの場合におきましては、ただいまも御質問の中にありましたように、当面の経済性ということによりまして、一応実際の生産歩どまりが上ったり下ったりするということにもちろんなるわけでございます。そこで、私どもといたしますと、そういう意味合いからいたしますならば、道内に相当大量なものを一応貯材しようというふうに考えておるのでございますが、そのほか貯材対象を。直営生産によるパルプ向き資材といったようなものに指向いたしまして、そうしていわゆる立木処分材によるパルプ資材のようなものの取引のされ方を安くして参る、ころいうような配慮を特にやって参りたい。従いまして、同じ過剰材と申しましても、道内に貯木するものは主としてパルプ用材のようなものに重点を置く、それから内地向けに輸送販売いたしますものは、建築、建具その他一般用材に重点を置く、こういうやり方を実は考えなければならぬと考えておるわけであります。  それからいま一つ、確かに私どもはある時点におきましてはこういうふうなことで歩どまりを算定して、立木処分をするということにいたしたといたしましても、その後の経済情勢の変化によりますと、必ずしもその売り払い当時採用いたしました歩どまりまでのものが上っていかないということもあり得るわけでございます。そこでこれはごく最近そのような方針決定いたしまして通達いたしたのでございますが、これは風倒木についての特例的な措置といたしまして、立木処分という形態をとりながら、しかもそのやり方は中間土場における出石によって売り払って参る、こういうようなやり方をしていくことにいたしたのであります。要するに生産いたしたものによりまして、逆に歩どまり計算をいたしまして、売り払いをやっていく、従いまして一応区域で引き渡しをいたしまして生産をさせ、それが中間土場に集積される、それによって生産していくわけであります。従いまして契約の仕方は立木の場合の概数契約による処分によって契約していく、こういう方法によって歩どまりと実際との間の調整をやって参りたい、かようなことも考えておるわけであります。
  30. 永井勝次郎

    永井委員 今度の処理の仕方に原則として集約利用でありますけれども、場所によりましては輸送力その他の関係で全然限界生産費を割るというようなことについては、やはり価格に引き合うものをまず優先的に処理するというふうなこともしなければならぬ、場所によって歩どまりというものは実際的には相当違ってこなければならない。それを一定の率でやられるとなかなかむずかしい状態になろうと思いますが、今の部長のお話によって、逆算方式によって場所別にそういうものが実際に即応するような処理がなされるとすれば、その問題は適当に現実の状態に合うように処理されると思うのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、何と申しましても北海道における従来の特売の問題、これがその通りの形では今後は運ばないと思うのでありますが、地域的ないろいろな従来の業者と、それから現在の仕事の量、それから特売に対するいろいろな基本的な考え方、こういうものをどういうふうにお考えになり、また業界の再編成というようなことがかねがねいろいろ言われていたのでありますが、今後こういう事態を通しまして、この非常事態の処理と、また今後に来たる非常時態勢というようなものは、これは長期にわたって続くわけでありますが、そういうような関係とにらみ合せながら業界の再編成というような問題を基本的にどういうふうにお考えになっておられるか、これを聞きたいと思います。
  31. 石谷憲男

    ○石谷説明員 ただいまの御質問に関連いたします第一点の問題は、今回の風倒被害の処理が終了いたしますと、この影響相当年度まで生産量の減という形で継続していくように考えるのが常識でございます。従いましてこの風倒処理が終了いたしますと、その後北海道内の生産というものはある程度減っていくということをまず第一に考えなければならぬと思うのでございます。それからもう一つの問題は、今回の風倒被害によりまして、非常に大きな被害の対象になりましたのは、いわゆるエゾマツ及ぶトドマツの針葉樹天然生林でありまして、いわゆる広葉樹林と称するものは針葉樹林に比べますと被害の程度は比較的低かったということでございます。  そこで道内における将来の木材需要の動向の問題でございますが、できるだけ針葉樹の消費というものを軽めながら、その反面に広葉樹の利用を促進させて行く、こういう形がとられるべき情勢が将来当然出てくるのではなかろうかということがこの問題に関連して一つあるのであります。ことに北海道内におきますところの薪炭材に対する一戸当りの消費量が非常に大きいという点について、これをいかに合理的に節約していくかということも将来の用材確保の問題と関連してくるということが一つあるわけであります。  それから今回の風倒木の処理を通じまして、新しく道内に展開される事象といたしましては、従来道内の木材生産のきわめて主要なる部分が晩秋から冬季にかけましてのあの雪上作業によって行われておるということであります。国有林だけに例をとってみましても、千三百万石ベースの経常生産の場合におきまして、冬山生産は直営生産の場合におきましても八五%、立木処分の場合に一〇〇%冬山であります。ところが今回の処理におきましては、約八割増の二千三百万石を三十年、三十一年度にわたってやろう。こういうことを考えておるわけであります。そういうことになりますと、勢い冬山一辺倒というような作業方式では、これだけの大量処理はできない。そこで当然夏山を相当大幅に引き入れてこなければならないということになるわけであります。この際夏山を大幅にと申しますとその前提要件といたしまして、第一に林道網の開設ということが先行しなければならない、引き続きまして作業の機械化ということがある程度進行しなければならないということと、たまたま農繁期と競合いたしますような時期になるわけでありますが、いわゆる夏山のための必要な道具を確保しなければならない、こういった要件が先行して初めて夏山生産というものが可能になって参る。しかしそういう困難な事態がありますけれども、私どもといたしましてはとにかくこれを三十年、三十一年度を通じまして三割五分、大体三分の一程度は夏山に振り向けていかないとこの全体の処理はできないというふうに考えて、目下そのような処置を強力に進めておるようなわけであります。そこで一応これだけの処置が終りますと、そこに開かれました林道、あるいは新しく設けられましたさまざまな作業用の施設が依然として残って参る。それを将来どういうふうに使って北海道林業の生産性を高めていくかということがその後に浅される非常に重要な課題になってくると思うのであります。全体数としては主産量が減って参る。そこの施設に相当過剰なものがそこに移されておる。こういう事態で風倒木処理以降の問題か進行して参る、かように考えております。ところが一面におきまして北海道には皆さん御承知通り、年間十万あるいは十五万石程度のものをたやすくこなす大規模な木材業者という存在があるのでありまして、これは内地と非常に違った存在でございます。北海道内の需要では何といいましてもパルプが正体でありますが、パルプあるいは坑木あるいはその他一般材、なかんずく合板資材等につきましては相当優秀なものが出るのでありまして、そこで一単位の森林からいろいろなものに振り向けられるものが同時に出て参るという場合におきまして、道内における木材業者——造材業者と申しておりますが、造材業者のいわゆる材の配分の上に果す機能は内地と違った趣きがあるだけに、私たちとしてはこれを看過するわけにはゆかないという状況があるわけであります。非常に力があると同時に山に長い経験を持った造林業者がおりまして、これが材のいわば合理的な利用面への流し方を配分する機能を持っておる。こういう状況が北海道の特殊事情ではないか。しかもこれは単独経営をしておるものもあれば、あるいは製材業と同時に兼営しておるものもある。あるいは多年にわたりましてパルプ資材の供給者として格別にパルプ業者との間の関連性において今日の大をなしておるといったようなさまざまの形態の差異はありますけれども、とにもかくにも非常に実力を持ったそういう特殊の業態が北海道にはある。私どもはこの風倒期間はこれらの力を十二分に活用いたしまして、全面的な協力を受けてこの処理をやって参らなければならぬと考えておるわけであります。そういうことも先々の問題にきわめてデリケートな関係影響を持って参るということでありまするので、私はこの機会に将来の北海道の林業の経営がどういうすっきりした姿において再編成されなければならぬかということを早急になかなか結論づけられないように考えて、慎重に研究いたさなければならぬ問題であるし、すみやかに結論を得て、その方に混乱なしにまとめていかなければならぬ大問題である、かように考えておるわけであります。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 この再編成の問題は、従来理論的にはいろいろ割り切って考えられましても、ただいま部長が言われたように、実際的な問題としてはいろいろな関係があって、線がなかなか引けない、こういうような事情で遷延されてきたわけでありますが、この機会を通して、この非常事態を通して、非常態勢の中でやはり長期にわたる一定の方向を与えて、その中でできるだけ被害の少い形において再編成が合理的な形で運ぶというような首肯できる一つの方向を与えていくことかやはり必要であろうと思うのであります。その場合われわれが考えていかなければならないことは、この処理に当りましても火事どろ式で、この国家的にも地方的にも非常な不幸なことが、ある一部のものだけがこれを通して利得を獲得するというような結果にならないように、そうしてまたこの仕事を通して再編成の方向が弱肉強食的な形で運ばないように、やはりそういう考慮が必要であろう。もしこれを現在のままで放任していくならば、御承知のように各地域における有力な造材業者なりそれぞれの個人業者の陰にはパルプ資本がいて、陰から金を貸してやって、名前は甲であり乙であるけれども、実際は王子であめ国策パルプであり十条である、こういうような形になっておるのでありますから、そういう力関係だけでこれの再編成がいやおうなしに強制されるというような形でない方向か考えられなければならないと思うのでありますが、そういう場合にはこの企業をスムースに進める関係から申しましても、やはり資金画その他の受け入れ態勢を整備しなければいけない。そういう意味において地域的な協同組合というものが必要になってくるのではないか。そういう考え方か弱肉強食という形でなしにいく一つのシステムとして考えられて来るのではないかと思うのであります。そういう業界のいろいろな実際の実態を知っておられ、しかも今後これを処理する過程に起ってくるいろいろなでこぼこ状態というものを地ならししつつ、しかも合理的な再編成の方向へ持っていくという一貫した構想のもとに、林野当局はどういうような配慮を持っていられるか、そして協同組合という形に対してどういうようなお考えを持っておられるか、これを伺いたいと思います。
  33. 石谷憲男

    ○石谷説明員 当面の問題処理のため大わらわでありまして、先々の北海道林業のあるべき姿というものをこの段階ではっきり見詰めて、その方向に強力に進んで参るという配慮か今日まで必ずしも十分でないということは私どもといたしましても重大な反省をいたさなければならないと考えておるのであります。ただいま御指摘をいただきましたような意味合いにおきましてこの大災害の処理の過程というものが、そのまま将来のあるべき姿への道に通ずるものだというふうに私どもも考えておるわけでありまして、その場合におきまして、下手をいたしますと、弱国強食のおそれがあるというような形の処理か結論的に出て参るということは、どこまでもこれを警戒いたしまして、かように相ならぬように努めて参りたいと考えておるわけであります。ただいま特に北海道における木材業者とパルプ製造業者との関係についてお話がございましたが、私どももそういう実態は非常に濃厚に北海道にあることはよく承知しております。そこで一体そのような関係をこの際非常にすっきりいたしたものにするためには、やはり何といっても力の弱い造材業者、木材業者というものが協同組合組織を通じて強くなるということに相ならなければならないのでありまして、私どもはそういう方向へこの機会に大きく伸ばして参りたいというふうに考えておるわけであります。そこで一つの具体的な事例といたしましては、風倒木処理の期間におきましては、全道の中で直営生産によって扱う数量が非常に大きく伸びるわけであります。これらのものをいわゆる純粋な形における直営生産ということでやって参りまするためには、委員その他の面において非常に問題がありますので、私どもといたしましては、これらの造材業者を十分に直宮の下請という形で活用して参りたい、こういうことを一つ方針として、打ち出しておるわけでありますが、そういった場合に、いわゆる協同組貧を通じまして、それらの下請業者の推薦選定をしていただくということでやって参る、こういうふうなことも実はいたしておるようなわけでございます。従いましてこういう機会にやはり実際働く中小形態の人たちの協同組織を強化する。将来の木材生産というふうなものは、自由な立場からそうした人たちの力によって相当大きい部分が行われて参るという形をこういう機会にりっぱに作り上げて参るということになりませんと、将来の再編成ということをいろいろ考えてみましても、それをになうにない手というものがどういうふうなものでなければならぬかということが解決されていませんと、やはり問題に相なると思いまするので、ただいま申し上げましたような意味における協同組合の強化をこの処理の形を通じて強力に推進して参りたい、かように考えておるわけであります。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど年間を通じて夏山の造材は相当大きくふくれるだろう、こういうことでございましたが、そうなりました場合に、部長の言われましたように、労力の問題が北海道というものは非常に問題になって参ります。これは普通の状態においても夏の期間というものはこれは一切の北海道の活動期でありまして、農業の方面においても、労力は不足になる、道路土木、港湾、その他一切の工事が全部一緒の時期に出て参りますから、道内における労力の需給というものは相当アンバランスになるわけであります。これは内地から相当持っていくということになりましても、北海道は造材の形が内地と大分違いますから、スムーズにいくかどうか相当問題だと思うのであります。第一に夏山でやります場合、労力が一番問題になると思いますが、この労力に対してはどういう配慮がなされておるか。  次には価格の問題がやはり今回の一番大きな問題だと思うのであります。これはやはり沼に貯木するといたしましても、それだけの数量を相当に道内の個々の業者が手持ちをしておる。これはやはりある程度市場に流さなければやっていけないわけでありますから、そういうところから流れてくるということで要らないといって、大きな消費者であるパルプ業者がこれを買い溜めをするということになれば、これは値段ががた落ちしていくわけであります。がた落ちしていって、先にいけば先にいくほど安くなるのだという見通しになれば、必要なものも先に延ばす、ますます値段は落ちてくる、こういうことになりますので、こういう事態の中では一つの標準価格というようなものを出して、立木価格あるいは運搬賃といった生産費を割らないような一つの価格——九百五十円なら九百五十円、あるいわ千円なら十円というものを出して、生産者に対してはこれだけの価格は保証する、消費者に対してはこれ以下では売らないのだという一定の、高からず安からず、公正な一つの価格の基準というものが示されて、そうしてそれがこういう過剰生産の過程における一つの処理の基準となって、お互いにその線で処理できるような基準を与えませんと、どうしても混乱がくると思うのであります。そういうような点について、これは林野庁だけがどんなにさか立ちしても、こういう問題についてはなかなかできないのでありますが、国全体の政府機関の総合的な動きの中で、こういう標準価格を出して、それからへこんだときには国の方で補償するかどうかというような、生産費に対する一つの保証というようなものが与えられないと、何としても混乱がくると思うのでありますが、この価格の問題に対する基本的な考え方と、これに対する取扱い、対処する基本的な態度というようなものをお示し願いたい。
  35. 石谷憲男

    ○石谷説明員 いまの夏山生産における労務の確保の問題でありますが、御指摘通り、ちょうど北海道における農繁期と競合いたします関係上、道内労務の確保という点にいろいろ問題があるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、当初四割くらいの生産をこれに振り向けたいというふうに考えたのでございますが、現実の問題といたしますとなかなかそこまで伸びていかないというのが現状でございます。大体平年時におきまして、北海道の直営生産事業につきましては、年間延べ人員で約二百万人の労務者を使うわけでございますが、これからは先ほど御説明申しましたように、八割五分までは冬山ということであったわけでありまして、いわゆる農閑期を利用いたしまして山林労務に従事するということで実は解決がついておったわけでございますが、昭和三十年のこの事業をいたしますためには、延べ三百五十万人の労務者を必要とするというようなことが一応机上で計算をされておるわけでございまして、こういった場合におきます内地からの出かせぎというのは、通例全体の労務の中で一五%ないし二〇%というのが現状でありますので、全量におきまして大体一・七倍くらいに労務者の雇用数がふえておるにもかかわらず、夏山生産相当大きくなるということで、この労務の確保の問題が夏山の成否を決定する一番大きな要因だというふうに考えておるわけでございます。今後の見通しといたしましては、非常に困難な問題があるわけでございますが、応現地々々につきまして必要労務の確保をいろいろ具体的に相談をしておるという状況でございます。特に内地からの出かせぎにつきましては、東北にあります二つの営林局の機能を動員いたしまして、各府県の労働部、職業安定所と連絡いたしまして相当大量の労務者の誘致をしておる、こういうことで、これらの点につきましては大体予定通りの進行を見ておるようなわけであります。しかし何といいましても八割までは道内労務でありますから、その点に非常に問題が出てくるのではなかろうか、こういう点を実は心配しておるわけであります。  それからただいまの価格の問題でございますが、御指摘通り関係でありまして、なかなかデリケートにしてむずかしい問題だと私どもは考えておるわけでございます。特に昨今の問題についてちょっと御説明を申し上げますと、風倒木の発生いたしました九月の末ころには、すでに昨年の五月の風倒木を含めての一般の立木売り払いをやっておりました、ところが売り払いました物件の上にさらに十五号台風による大量のものがかぶさったわけでありますので、これらのものを追加して売り払うということにいたしたわけであります。そこで比較的高かったときの木代金と多少下った場合の木代金とを合したものが現在市場に出回っておりますもののコストの一部をなしております。そこで道内における現在の市価がいかようであろうと、これだけの値段を切って売ったのではいわゆるコストを割るということで、各方面の協力のもとに維持しなければならぬ価格というものが一応定められております。これは道内の関係各方面の話し合いによってそういうものができております。従いまして私どもが売り払います場合におきましても、この価格をどこまでも尊重して売るというようなやり方をこの段階ではさせられておるという現状でございます。そこで私どもは、この段階におきましてはそういった問題もあるいはやむを得ぬかと思うのでありますが、やはり相当まとまった立木売り払いがされます限りにおきましては、どこまでも民間の採算ベースを切っては売り払いができないということで、私どももその線に同調しなければならぬということがいつでもつきまとうのではないか。そうなりますと、大量の有効処理と申しますか、できるだけ処理度を高めていくという点から申しますと、ただいまの価格問題がネックになりまして、用途がなかなか伸びていかないというような現実にあるわけであります。そこで、そういう意味からいたしますと、立木処分による一般の市場への出回りはないという限度に押えまして、あとは直営でやって参るという方がいいのではないかということが、実は直営生産を三十年度に特に拡大しておる理由でございます。  そこで現在の対策といたしましては、ただいまおっしゃるように、パルプ関係者も自分の手山に風倒木を持っておりますし、自分自体も相当のものをかかえておりますので、造材業者の造材したものを買っていくことは困難だという状況が一般的に見られるわけであります。そこで私どもの対策は、直営生産材に関します限りは、昨年の秋からパルプ関係者には全然売られないということで手持ちして様子を見ているわけであります。その間に中小木材業者の生産したパルプ適材を早く消化してくれ、こういうことで見ておるわけでございますが、その方面の見通しも大体この六、七月ごろまでの期間でつくのではなかろうか。そこでその期間が過ぎますと、昨年九月の風倒被害によりまして売り払いました立木処分にかかる生産の分も、大体のものが需要先に吸収されて参るということになりますので、その後の状態が、直営生産の拡大によって状況次第でどうにでも出し得るものが非常に大きな部分を占めるということになりますと、御心配の市場における価格操作というようなものは比較的楽になって参るわけであります。これは私どもが大量のものを持って一方的に市場操作をするという意味ではないのでございまして、やはり道内の需給事情あるいは道外の需給情勢を見計らいまして適切な価格でこれを売り払って参るという場合に、立木処分したものとの間に価格のアンバランスがあるということは、大量処理の場合に一番支障が多いというような苦い経験からいたしまして、当分この処理の続く間だけは直営生産相当大きく行わせまして事態に対応して参る用意だけはしておく、かように考えておるわけであります。実は昨年も一部過剰いたしましたものを国で買い上げてくれというような要望もあったわけでありますが、目下のところ私どもはそういった措置かできるようになっておりませんので、そういうふうな事態に陥らないように、全体の処理の過程で問題を解決していく、こういうことに考えざるを得ないと思っております。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 なおいろいろ金融の問題、税金の負担あるいは現在の風倒木を全量処理するという態勢の上におけるいろいろな問題、現在の林野庁の独立会計の操作の中でこういう問題を処理できる条件があるのかどうかというようないろいろな問題、たとえば林道その他機械化というようなことに多額な投資をして、それを長期にわたって固定しなければならない、これを独立採算の中で処理するということは無理ではないかというような問題等いろいろありますが、これから私もちょっと用事がございますし、なお相当時間がかかりますから、後刻これらの問題についてのお尋ねは引き続いてやりたいと思っております。本日はこの程度にいたします。
  37. 中崎敏

    中崎委員長 それでは本日はこの程度にいたして散会いたします。    午後零時三十一分散会