運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-26 第22回国会 衆議院 商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)     午後一時三十九分開議  出席小委員    小委員長 山手 滿男君       秋田 大助君    長谷川四郎君       堀川 恭平君    加藤 精三君       神田  博君    南  好雄君       佐々木良作君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    佐々木義武君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  小委員外出席者         議     員 笹本 一雄君         議     員 加藤 清二君         議     員 櫻井 奎夫君         議     員 森本  靖君         議     員 八木  昇君         農 林 技 官         (農地局計画部         長)      和田栄太郎君         参  考  人         (関西電力株式         会社社長)  森 寿五郎君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月十九日  加藤清二君同月十三日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。 同月二十五日  加藤精三君同月二十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  片島港君同月十五日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同日  櫻井奎夫君同月二十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土総合開発に関する件  電源開発に関する件  西吉野発電所に関する問題並びに愛知用水計画  の電力に及ぼす影響について、参考人より意見  聴取  昭和三十年度電源開発計画に関する説明聴取     —————————————
  2. 山手滿男

    山手委員長 これより会議を開きます。  国土総合開発に関する件、電源開発に関する件について、調査を進めます。  先般来本委員会において調査を進めて参りました西吉野発電所に関する問題並びに愛知用水計画について、本日は特に参考人として関西電力株式会社社長森寿五郎君の御出席を願っておりますので、まず森参考人から御説明を承わることにいたします。  ごあいさつを申し上げます。森参考人には御多用中のところ、遠路をいとわず本小委員会に御出席をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。  それではまず御意見を伺うことにいたします。
  3. 森寿五郎

    森参考人 私はただいま御紹介を受けました関西電力の副社長森でございます。今日愛知用水公団事業に対する御審議をなさるに当りまして、関西電力としての意見を申し述べろ、こういうことでありまして、その機会を与えられましたことをありがたく感謝いたします。  この愛知用水の問題は、御承知のように木曾川の上流ダムを作りまして、その水を一部使い、なお現在木曾川におきまして未利用の約四〇%を愛知用水に使う、こういう御計画でありまして、上流のそういう設備を作られることでありますし、その箇所におきまして私ども水力発電所をたくさん持っております。それに影響するところはもちろんよい結果を与えるものでありまして、私どもといたしましては、極力御賛同申し上げ、御協力を申し上げたいと思うのであります。ところがこの愛知用水の問題はこの水の使い方放流計画といいますか、水の使い方によりましては、本年の六月二十二日農林省からお出しになっておりますこのパンフレット通りになかなかいかないのでありまして、使い方によりましてはそれほどの効果も上らないのではないかということを、一応心配するのでありまして、その点につきまして、少しばかりここに御意見を申し上げたいと思うのであります。大体の要旨は皆様のお手元に配付してあります約四ページにわたるガリ版がございますが、これに大体書いてございますので、詳しくはこれをごらん願いたいと思います。私はただその中から要点だけをかいつまんで申し上げたいと思うのでありますが、大体この問題につきましては四点あるのでありまして、その一つは、上にそういう設備をせられまして放流すると、下流発電所影響するキロワット・アワー、それにつきまして御意見を申し上げます。なお今度お作りになります牧尾橋堰堤にくっつけて作られる発電所に関しても少し御意見を申し上げたいと思うのであります。それからなお御承知のように別に地図がくっついておりますが、この地図をごらん願いますと、木曾川の一番最後の地点に今渡という発電所がございます。これは木曾川と支流の飛騨川とが合流しましたところにある発電所でありまして、わずか二万キロばかりの発電所でございますが、この発電所から下流に相当川の水を利用します用水があります。それは愛知用水とか木津用水とか羽島用水、現在名古屋市の水道もそれからとっておるのでありますが、そういうところに影響があるのでありまして、それに悪影響を及ぼさないように運営せられることが必要である、こういうことなのであります。それからもう一つは、御承知のようにこの地図の一番上にあります三浦堰堤がありますが、この三浦堰堤は、会社が非常な金をかけましてあの堰堤を作り、そうしてそれに貯水いたしまして、渇水期にこの水を利用する、こういう計画なのでありまして、愛知用水計画に当りましてこの三浦貯水池の水を御計画の中にお入れになることは困る、こういつたようなことについて御意見を申し上げたいと思うのであります。  まず第一番に下流発電所の増力の問題でございますが、これは御承知のように私ども兼山発電所湛水池から水を取り入れてそして愛知用水にお使いになるのであります。ところがこの水でありますが、このお使いになります水は先ほども申しましたように、本流発電用以外に残った水を四〇%と、それからこのたび支流王滝川上流お作りになります牧尾橋堰堤の水であります。これをうまくお使いになるということなのでありますが、この有効落差六百九十四・二メートルを使いまして、現在発電所が四十五万八千八百キロワットの設備を持っております。そういたしまして公団事業計画は、下流牧尾橋堰堤から下の発電所、つまり一番上は常盤でありますが、常盤から下流今渡までの年間の出力増加を六千二百六十万キロワット・アワーと見込んでおられるのであります。この発電所は御承知のように水路式発電所もありますし、また堰堤と申しますほど大きなものではありませんが、調節式発電所もあります、それで私どもが長年の経験から申しますと、三浦貯水池放流いたしました水が最後今渡発電所まで来ますのに約十一時間もかかるのであります。従いまして今度できます牧尾橋堰堤から放流なさる水もおそらく十時間くらいかかるだろう、従いまして水の放流でありますが、灌漑用水なり工業用水は二六時中必要なものでありますので、ちょうど兼山取入れ口に必要な時期に水が到達するように上から放流するということは、なかなか困難なことであります。おそらく御計画といたしましては、大体必要な時期に二六時中ずっと水をお流しになるのじゃないかというふうに考えるのであります。ところが御承知のように、電気需用から申しますと、深夜は非常に需用が落ちるのであります。私ども系統で申しますと、大体百七十万キロくらいがピーク時のロードでありますが、それが深夜になりますと七十万くらい落ちるのであります。そういたしますと、上から放流せられた水は、ある発電所では深夜にくることもあります。ちょうどいいときに来る場合もありましょうが、深夜に来る場合もあります。この深夜に来ました電気は実は何にもならぬのでありまして、結局これは余剰ということになるわけであります。そういう関係でありまして、この六千二百万というキロワット・アワーは、放流の方法によりましては必ずしもこういう効果は上らないのじゃないかということを憂えるわけであります。なお一応その六千二百万という数字愛知用水計画概要の中にはそのまま取り入れられまして、それに単価何がし、三百幾らという数字をかけておるようにとれるのでありますが、これは私どもから申しますと、下流にはなるほど六千二百万ふえるかもしれませんが、愛知用水としましてはこれに対して何ら投資することもなしに会社設備をそのまま使って発生するから、その増加した電力量に対する料金をみんな払え、こういったような御計算でありますが、これは私どもから申しますと少し御無理なように考えるのでありまして、これにつきましてはただいま通産省の方におかれまして適当な数字を出すということでありますから、私どもはそれに期待をしておるわけであります。  なお二番目といたしまして、堰堤にくっついた発電所であります。これは一万四千キロの発電所を御計画のようであります。そうしてその発電所建設費は七億あるいは八億ぐらいをお考えになっておるようであります。一万四千キロで七億あるいは八億ということは現在の建設数字から申しますと非常に安いのでありまして、キロワット当り建設費が五万円ないし六万円ということなんでありまして、おそらくこの数字では建設は困難ではないかと思われるのであります。なおその上にこの発電所は御承知のように、満水面から最後の水の利用面までの落差変動が非常に大きいのでありまして、五十メートル以上をお考えになっております。そうしますと、私ども発電所計画します場合に、そういう高い落差変動に対する発電所の設計は非常にむずかしいのでありまして、極端なことを申しますと、一つの水差では間に合わないのではないかというふうに考えるのであります。普通水力発電所落差変動を使う場合にこのごろの技術で申しますと、おそらく二十メートルとか二十五メートルぐらいが最も適当なのではないかと思うのであります。そういたしますと、五十メートルの水深を利用しますと、二十五メートルのもので、最初の二十五メートル、その次の二十五メートルと二段に考えなければいかぬじゃないかしらぬというふうに思うのであります。この技術的な問題は非常にむずかしいのでありまして、その点が私ども実はわからないのでありますが、そういうことにでもなりますと、建設費はさらに高くなってくる、こういうふうに考えるのであります。なお先ほども申し上げましたように、この堰堤から放流なさる場合に必要な時期に二六時中流すことになりますと、その中の水の一部分発電せられてもこれは無効放流になり、この計画の中にあります三千二百万キロワット・アワーというのも、これはそのまま金にはならないものと私ども考えるのであります。私ども系統全体として、平均利用率というかロードファクター負荷率と申しますが、これは七二、三%、七七%ぐらいが現在のところの平均ロードファクターでありまして、そういたしますと、この御計画の中に水の利用につきまして大体九〇%ぐらいをお考えになっておるようであります。九〇%が電気になるという御計画のようでありますが、実際はもっと利用せられる電気の量が少いのじゃないかと思うのであります。そういう点について私どもとしては少し疑念を持っておる次第であります。  それからなお第三番目といたしましては、先ほどちょっと触れましたが、今渡堰堤から下流におきまして、愛知用水その他の用水関係でわれわれは非常にきつい制約を受けております。といいますのは、これは別に資料を差し上げておりますが、今渡堰堤操作規程というのがあります。今渡堰堤に到着します水が百立米以下になった場合はその水はそのまま下流放流しろ、百立米を越す場合には堰堤によって任意調整してよろしい、こういうことなのであります。それで今渡堰堤で百立米以下になりました場合に、これは非常に渇水した時期なのでありますが、愛知用水にも水がほしい、それから今渡堰堤にも放流しなければならぬという場合に、これはどういうふうに御処理なさいますか、私どもとしましては、両者の間に話ができれば私どもは別に何ら申すことはないのでありますが、下流の今のわれわれに対する責任をそのままにしておかれまして、愛知用水に必要なだけ水をお取りになるということは私ども困るのであります。なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、この御計画でありますが、大体牧尾橋堰堤には三月から四、五と三月間水を貯溜せられまして、そうして六月から放流するという御計画のようであります。ところが私どもが過去十カ年の毎年々々の平均流量をもって計算してみますと、牧尾橋堰堤一ぱい水のたまる年はもちろんありますが、たまらない年が十年の間に二年ぐらいありそうなのであります。そういう点をどんなふうにお考えになっていらっしゃるかという点であります。それからまた、初めはどうも四月から四、五と貯水せられる御計画であったようでありますが、今度は三月からという御計画のようであります。三月も、これは日にちによるのでありまして、三月の初めから貯溜せられますことは——御承知のように、日本は三月の十五日まではまだ渇水であります。三月十五日が一番渇水なのであります。それを三月の初めから貯溜せられますということは、私ども電気事業にも相当影響するところが大きいのではないかと思うのでありまして、この点も一つ考えを願いたいと思います。  それから最後の問題といたしまして、これも非常に渇水した場合なのであります。この地図にありますように、木曾川の最上流に私ども三浦堰堤というのを作っておりまして、そうしてそこに水をためております。これは木曾川水流の全部の発電所ここの水が影響をするのでありまして、これは渇水期のために貯蔵しておるのであります。それで渇水しまして愛知用水の方にも水がなくてお困りになるという場合に、上流三浦に水があるじゃないか、あれを放流してくれということは電気事業者として非常に困ると思うのでありまして、そういうことは絶対にないように一つ考えおきを願いたい。これが大体の要旨でございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたが、この事業の成功をすることをこいねがいまする関係から、できるだけのことは御協力申し上げますが、そういったような場合がありましても、これに協力しなかったからはなはだ電気事業はけしからぬというおしかりをちょうだいしないように、この際お願いしたいと思うのであります。それからなお六月二十二日ごろ農林省としてお出しになりました愛知用水事業計画概要の一番しまいのところに償還金分担計画というものがありますが、この中の二番目に、電気部門における償還年利九分、据置を含み二十五年で償還する、こういうことが書いてあります。それから第三番目に、水道部門における償還年利六分五厘、据置を含み二十五年で償還する、こういうことなのであります。こういうことになりますと、同じ金を使われまして、電気事業が年九分であり、それから水道の方に対しては六分五厘という扱い方をしておられるのでありまして、電気事業といたしましては、できることなら六分五厘を適用していただきたい、そうしまして電気料金を少しでも安くしていただくようにお願いしたいと思うのであります。御承知のように、電気料金は今日では私ども上げるとしましても非常に問題がありまして、これは当分上らないことだと思うのであります。この意味におきましては特にお願いしたいと思います。私の意見はこれで終らしていただきます。
  4. 山手滿男

    山手委員長 参考人に対して質疑がございますから、順次順次これを許します。佐々木良作君。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 ただいまの御説明につきまして、愛知用水計画の特に電気関係についてお伺いしたいのでありますが、御承知のようにこの法案は今農林水産委員会審議中でありまして、商工委員会もこの問題について農林水産委員会連合審査の申出がなされておるはずであります。従いまして他の部分につきましてはなるべくその連合審査のときに譲りたいと思いますけれども、せっかく関係の方も見えておりますので、時間が許されますならば、電力問題のほかに二、三つけ加えて御質問申し上げたいと思いますので御承知を願いたいと思います。  まず第一に愛知用水計画電気との関係であります。これは参考人と役所の方と両方に私は聞きたいのでありますが、今、森さんのお話を聞いておりますと、直接の関係者である関西電力でまだ十分に了解しておられないような、あるいは相当心配されておるような事項がたくさんあるやに聞いたのでありますが、これらの問題につきまして従来この計画を立てられ、法案を提出されるに当りまして、関西電力あるいは公益事業同等で、今の農林省立案部課であります農地局ですか、それらと十分お話し合いがありましたかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 中島征帆

    中島政府委員 これは先ほど参考人の陳述にもございました通りに、公団事業計画そのものがまだ特に電力関係におきましては十分固まっておらない点がございます。従って発電計画を検討いたしますにも、その基礎がまだ十分きまっておらぬというような状況でございますので、そういう意味におきまして、あらかじめ十分公団計画を打ち合せてやりたいとは両省とも考えておりますけれども、まだそこまで具体的に進められておらぬ、こういうふうな状況でございます。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 それならばお話のありました部分だけでもけっこうであります。今参考人が特に希望みたいな格好で説明されました部分につきましてどういうように話し合いができてきておるのか、お伺いいたしたいと思います。  第一には三浦貯水池を中心としまして、三浦貯水池の水が電気計画以外に今度の計画のために使われる危険性電気会社では心配されておるようでありまして、下流発電所の問題も含めて、渇水のときに木曾川筋発電所発電に悪い影響を及ぼさないような段取りがしてほしいというお話でありますが、これにつきましてはお話し合いができておりますかどうかと、お伺いいたします。
  8. 中島征帆

    中島政府委員 その点につきましては公益事業局農地局との申し合せによりまして、上の方の貯水池操作には影響を及ぼさないという了解がついております。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 これは計画の金中で聞いたような気がしますけれども、十カ年平均をとって、そのうち二年くらいは水の十分たまらぬような勘定になるというお話がありました。そうしますと、電気計画の方に影響を及ぼさないように新しいダム操作をすると、その場合にはそのまま農業用水影響がくる、農地の方はこういう運営になると解釈してよろしいのでしょうか。
  10. 和田栄太郎

    和田説明員 牧尾橋堰堤取水ルールに対しましては、昨年の春、経審農林、通産、関西電力と四者が寄りまして、貯水ルール相談しましてきめましたが、それによりまして、過去十カ年間の雨量記録に基く貯水量計算をいたしました。これは五日ごとの計算をやっております。そのときにはむろん下流今渡堰堤操作規程に抵触しないようにして貯水をするというルールのもとに計算ができているわけであります。それで過去十カ年間に春の水は必ず満水する、秋の水は先ほど森さんから御説明がありましたように、六、七、八、九と農業用に送水をいたしまして、十、十一月は冬の電気のために貯水をいたします。その場合十、十一月の貯水は年によって満水しない年がございます。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今のお話合いができているというのは、この間伺いました今年の七月十四日の農地局長と、それから公益事業局長との了解事項という意味ですか。
  12. 和田栄太郎

    和田説明員 ただいま私が貯水について相談をしたというのは、今申しました七月十四日の申し合せ事項とは別でございます。七月十七日ですか、その申し合せは取水の、兼山堰堤の上から愛知用水取水をいたしますときのルールを協議してきめたわけでございます。従って貯水についてのルールを昨年御相談をいたしました。今年になりまして取水についてのルール相談いたしたわけでございます。
  13. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 私の言っているのは、今の渇水のときに電気に充てた水が今度はたんぼの方の水に行ってしまうのではなかろうかという心配を排除するために御相談をされたというのでありまして、その御相談をされた内容が七月十四日付のものかということを聞いているわけです。
  14. 和田栄太郎

    和田説明員 さようでございます。
  15. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 この間農林委員の人に聞きましたところが、確かに十年に二年ほど記録によるとその心配な甲のあることになっているのだ、十年に二年くらいは水が十分にたまらない危険性のあるような記録が出ているんだ、しかしその場合には仕方がないから電気影響せぬようにやるんだという約束公益事業局農林省との間にできているのだというお話でありましたが、農林省の連中に言わせると、その約束はできているかもしれぬが、あなた方は知らないだろうけれども、節の水といって、八、九月ごろはたんぼにとって一番大事な水で、どうしても必要な水だ、従って約束はあるかもしれぬけれども、そういう事情は十分了承してもらわぬといかぬだろうという話がありましたが、その点についての御見解はいかがでありますか。
  16. 和田栄太郎

    和田説明員 水が足りない年があると申しますのは、満水しないという意味ではございませんで、必ず降雨の少い年がある。水が足りない年が最近十カ年のうちには二年、それから記録によりますと、過去四十五年間には四回起ることになります。そこでその最大不足の年は農業にとって九日分の水が足りないのでございますが、稲の栽培の上から考えますと、毎日水をためておかなくても、稲の収穫には影響がない、田の草取り等関係でなるべくはめておいた方がよろしいけれども最大渇水のようなときにある期間毎日ためなくても収穫影響がないということが明らかでございます。従って過去の記録によりますと、不足の日数が最大九日でございますから、それを隔日に灌漑するということになりますと、五日分の水があればそれを乗り切ることができるわけでございます。そういう計算から牧尾橋貯水池の水が残り何ぼになったときには、それから以後は隔日に灌漑をやるということをいたしたいと思っております。それによって農業の減収を来たさない、また他の水利にも影響を来たさないということにいたしたいと思います。それを隔日にやるのには、幸いに公団が完成後も管理いたすことになっておりますから、しっかりした管理の団体によって、これは遂行できる、かように考えております。
  17. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今の問題は、おそらく今計画の段階で、幾ら約束をしておいても、実際問題としていろいろな問題が起き得ると思います。現に私ども北上川等におきましても似たような問題が起きる可能性を十分含んでおるわけでございます。従いまして農林省農地局公益事業局との間に、あらかじめその事情があることを予測されまして、この了解事項によってなるべく電気影響を来たさないように、つまり既得の権利に影響させないような計画を立てて、それを運営されようと努力されておるらしいのでございますので、一応その問題につきましては、その計画通りに運営されまするように、同時に今後あちこちでこういう問題が起きまするから、十分一つ注意をして運用され、計画を精密にされるよう希望をいたして、次に移ります。  二番目に、今関西電力の森さんのお話を聞いておりますと今渡発電所のところですでに水を分水して他の目的に水を使わしておるのであるが、その計画影響を与えないようにという意味だったように聞いておりますが、森さんそういう意味でありますか。
  18. 森寿五郎

    森参考人 これに先ほど申しましたように、今渡堰堤操作といいますと、本流に流す水であります。それが下流にいろいろな用水がありまして、その水を使って灌漑をやる、水道にも使い、そうしておるのでありますが、堰堤に到着します水が百トン以下になった場合には、非常な制限がありまして、自由に調整はできないのだ、こういうことになります。今度愛知用水が水を使います場合に、愛知用水もどうせ水がないときでありますから、同じようなことになってくると思います。そのときに持ってきて、下流放流する水を取ってまで愛知用水に流されるということは非常に問題を起しますので、その点は御留意を願いたい、こういうつもりであります。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 これは先ほど申しましたように、その今渡発電所から出ておる水は大体灌漑関係の水だろうと思いますが、そうすると、それは同じように今農林省の仕事の関係になるだろうと思いますが、その辺の仕事の調整は、今の計画立案をされる農地局では、どういうふうに考えておられるのですか。
  20. 和田栄太郎

    和田説明員 今森さんからお話がございましたように、今渡では逆調整池になっておるのでございますが、ここでは木曾川の自流が百ーン以下になった場合にはピーク発電をしない、自流のままに流す。下流農業用水があるわけでございます。その農業用水の水利権を確保するために、百トン以下の場合はピークをとらないということになっております。ところで私の方の計画で初めにその問題に関係がありますのは、貯水ルールでございます。貯水をいたしますときに、その今渡堰堤の規程に反しないように貯水していくというふうにきめております。もう一つ取水の場合でございます。取水の場合は、今渡発電所のもう一つ上にあります兼山発電所電気の方の水利権が二百トンになっております。従って自流が二百トン以上の場合に、その溢流部分愛知用水に使う。しかし二百トンを切る場合は自流は使わないで、新しい堰堤貯水放流して使う、そういう申し合せをいたしたわけでございます。
  21. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 そうしますと、今の段階でのお話し合いは、まず第一に一番既設の電気の水を影響を来たさせないようにまずとって、それからその次に今度のところの発電所からの既得権益になっておる水利の方をまず予定通りにして、そうして三番目が今の愛知用水の方に行く、そういう順序だと考えてよろしゅうございますか。
  22. 和田栄太郎

    和田説明員 愛知用水との関係の結果は、今のお話と同じでございますが、考え方としましては、今渡下流の水利権が第一、その次に電気の水利権、それを侵さないように、愛知用水は水をため、またとっていく、こういうことなんであります。
  23. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 これも最初の問題と同じように、水のほしいときは同時にほしくなるわけでありますから、おそらく運営上の問題に移るだろうと思います。従いまして約束を立てて、それが一般のルールになるようなかっこうで十分に気をつけて運用されるよう希望しておきたいと思います。  その次に、先ほど森参考人お話の中で、電力計画の、下流発電所の増加の問題と、それから新設の発電所の経費の問題とが述べられておりましたが、森参考人お話も十分に私わかりるかねた点もあるのですが、この愛知用水計画に書いてあるのもよくわからないし、その検討をするのに非常に私は困っておるわけでありますが、大体その下流発電所の増加の電力に対しての価値づけはどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。公益事業局長農地局の方とにお伺いしたい。
  24. 和田栄太郎

    和田説明員 ちょっと失礼でございますが、先ほどの問題につけ加えさしていただきたいと思います。先ほど申しましたように、今渡下流農業水利を第一にし、その次に電気の水利権を尊重して、そうして愛知用水取水する、こういうのが私たちの考えておるルールでございます。しかし佐々木委員からもお話がありましたように、非常な渇水期がきたときに、みな水がほしいという場合が起ります。その特例の場合は、その都度十分相談いたしまして、みなの了解を得てやる必要があろうと思います。そういう非常の場合が起ってもなお初めにきめたルールだけを守るということではなくて、そのときに応じて十分関係者相談した上で、非常の場合に応ずることをやるということは起るものと思います。  なおただいまの御質問の、下流発電所の発生電力量の価値をどう考えるかという点につきましては、今までルールがございません。電源開発会社等でも最近そういう問題がたくさん起りましたので、通産省から、下流発生電力量の価値をどういうように見ていくかということについての一般原則を作ろうという御提案がありまして、目下経済企画庁が中心になりまして、関係各省、つまり建設農林、通産、大蔵が寄りまして相談をいたしております。遠からず一般ルールができると思います。通産省と私の方との申し合せは、一般ルールができた場合には、愛知用水の場合もその一般ルールに従って計算をするということに申し合せをいたしております。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今の下流発電所の問題の前に、先ほどの問題に今補足された事項でありますが、私も緊急の事態がきた場合には、それは当然に相応のそこで一番適する方法によって重点がきめられるだろうと思います。しかしながらおそらく先ほど参考人の一番心配されておりますのも、つまりどういう事態が一番電気に必要な事態か、あるいは灌漑用水に必要な事態かということを判定する、その判定するもの自体がどこにあるのかわからぬことになってくるわけであります。従いまして、これはいつでも問題になるわけでありますけれども、一応の普通の今あらかじめきめられているところの約束はあくまでも立てることを前提とされて、そうして特に電気なりあるいは灌漑用水なりの非常事態がある場合には、今の関係者が、いずれかから申し出があった場合には、その申し出を受けて立って新たにそこで相談をするのだというようなおきめでもされないと、特別のときは別だといえばその特別なときを認定するものがあちこち変ってくると思いますから、その辺はぬかりもなかろうと思いますけれども、そういうお話は特に民間の連中を心配させるもとになると思いますから、十分お気をつけていただきたいと思います。それから下流電力増加につきましては、そうすると一般問題として別途に方針をきめられるというように承わったのですが、それはたとえば電源開発会社と九つの電気会社関係で、只見なりそれから今度美幌でもやれば同じ問題が出てくると思いますけれども、そういう感じでお考えになっておりますかどうか。
  26. 中島征帆

    中島政府委員 下流での問題はお話通り各地に関係がございますから、下流の原則の計算につきましては各省それぞれ研究いたしまして、最も合理的な方法をきめたいということで研究中でございます。今の愛知用水の問題に関しましては、その問題は一般原則はございますが、途中で計画の変更がございまして、今出ております数字は一応暫定的な数字でございますから、これは計画が固まり次第それはそれとして出していく、その間に一般原則がきまればそれに応じてやっていく、こういうことになります。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 最後にこの問題の新設される発電所ダムにくっついて新設される発電所は、法律の条文によりますと、施工者はどこだと必ず限定しておりませんが、目下の計画では公団自身でおやりになるおつもりか、あるいは関西電力か何かに作らせるおつもりか。大体どういう計画でございますか。
  28. 和田栄太郎

    和田説明員 現在農地局希望をしておりますのは、資金を供給しまして関西電力建設していただきたいと考えております。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 この発電所事業価値というものが、できました場合、電気的には非常に奇妙なものになると思いますが、先ほど森参考人もちょっと触れられたように思いますけれども、この発電所は今の愛知用水計画上から見まして、電気としてそろばんに合うものであるかどうか。森参考人にもう一度お伺いしたいと思います。
  30. 森寿五郎

    森参考人 これはまだ実は詳しく調べてもございませんが、今までの経験から申しますと、非常に落差変動するのでありまして、たとえばこれは五十メートルとか六十メートルとかいうように変動するものと思いますが、そういう場合に一つの機械では間に合わないのじゃないか。つまり約八十メートルばかりございますから、まず二十五メートルか三十メートルを一応目標にして、結局八十メートルから五十メートルまでの発電所一つ作る、それから五十メートルから二十メートルくらうなところまでの発電所一つ作るということにしなければどうも間に合いそうもない。そういたしますと、発電所を二つ作るという格好になるじゃないかと思います。その点が、これはもっと勉強しなければわからない問題かと思いますが、現在の私どもの持っております知識ではそういうふうに考えられます。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 その発電所は非常にややこしい発電所になりますから、この総合開発計画の一部でありますから、せっかく落す水ですから、電気に変えるに越したことはありませんけれども、これを電力のそろばんにのせるということは非常に私はむずかしい問題を残すだろうと思います。今の愛知用水計画概要におきましても、私これまでの電気考え方からどうにもわけがわからぬのがあるわけでありまして、農地局の方になお念のためにお伺いしたいのですけれども、この十ページに電力数字が書いております。これの新設と既設と下流を含めて電気がふえるということ、それに対する妥当の投資額としてトータル二十五億五千万という数字が出ている。この二十五億五千万という数字、これは新設の発電所下流の既設発電所とに一応分けて見るべきだと思いますけれども、ここのところだけブランクに書いてある。このブランクに書いてあるものをかりにその上にあります純収益の比率ぐらいに分けてみますと、新設の発電所はおそらく七億程度だし、下流の既設の発電所の方が経済効果が十八億程度になるだろうと思います。下流の問題はちょっと別にしまして、新設の発電所、一万四千キロの発電所が七億の経済価値しかないとすると、これは相当むずかしい発電所で、これを今度は前の事業費の方の計画を見ますというと大体発電設備として七億を計上して、そのほかに雑費だとか予備費だとかありますから、それを含めたことになるだろうと思いますが、その効果のところは電気関係のものを八億六千七百万と書いてありますね。七ページです。そうするとどうもこの数字出し方がよくわからないのですけれども、常識的に見ますと、新しい発電所はこのくらいの経済価値のためには妥当な投資額というものは大体七億ぐらい、それを実際に作る事業費の計画は八億六千七百万だ、こういうふうに読めるのですけれども、中味は別として。これはこういう意味ですか、農地局にお伺いします。
  32. 和田栄太郎

    和田説明員 理屈からいいますと、そういうようになるように思いますが、ちょっとその点は確かめてからお答え申し上げたいと思います。
  33. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 私もこれをひっくる返しひっくる返し見ているのですけれども、この計画の資料ほどむずかしくて頭に入りにくい資料はないので、まことに困っているのでありますが、もし今私が言ようにこの出してある数字が純粋にそういう意味でありますならば、これはよほど計画を緻密にお考えにならないというと、実施計画としてこれは成り立ちかねるような気がいたします。大体七億ぐらいの価値の発電所をここで八億六千七百万円で作ると書いてありますが、八億六千七百万円では一万四千キロの発電所はおそらくできぬと私は思います。今の普通の状態から見ましても、キロ当り十万から十五万かかりますから、おそらく私は十億より安い発電所はできっこないだろうと思うのです。そうすると経済価値と比較いたしますと、非常に割高の発電所になるのでありまして、この計画電気計画から見ますと、非常に奇妙な計画になってくると思います。それから同時に、先ほど森参考人からもお話がありましたけれども下流増の見方にいたしましても、ここに書いてあります数字は、大体利用率九〇%くらいに見ておられるらしいのですけれども、これほど変動の激しいキロワット・アワーはそういうふうに見ていいかどうか。先ほど森参考人の話でありますと、七二、三%程度しか見られないという話でありますし、そう見ますと、その経済価値は非常に大きな差が出て参ります。同時に単価は大体三円に出ておりますが、あそこで三円で見ていいかどうか。二円五、六十銭くらいのものではなかろうかと思いますが、それも合せますと、この電気計画の発生電力量並びにそれの価値換算、それから発電所を作る事業計画数字には、二考、三考される必要があろうかと思います。十分検討されるというお話でありますが、公益事業局長に、今私が申し上げたような数字あるいは見方が、公益事業局内において——どう言っていいですか、この計画をどの程度批判されるなり、あるいはのみ込まれたか、あるいは今私が指摘したようなラフな点を認められて、ラフな点は今後修正するとかなんとかいう話し合いになっているのか、これはすぐ事業費をくっつけた計画になっておりますから、私非常に心配をするわけであります。御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  34. 中島征帆

    中島政府委員 先ほど申し上げましたように、発電関係の具体的な計画はまだなお検討中というような状況でございますので、数字的の確定的なところは今出ておりません。従ってここへ出ております数字も、なおわれわれの方の立場からは検討のもとにあるという状況でございます。たとえばただいま御指摘になりました専用施設を、八億六千万と一応試算されましたように、かりに共同施設の施設分が七億という数字でありますならば、これは電気としては経済的に成り立たぬということになりますが、その七億が果してどうなるかということも、もう少し詳細に検討しなければならぬ。従ってそういうことも含めましてなお具体的にはっきりするような数字出していきたい、こう考えております。その上であとのやり方につきましては、十分農林省その他とも打ち合せをしたいと考えております。
  35. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 すでに法律が提出されて、その法律の裏づけになる計画であって、その計画の個々について当ってみても、こういう感じがするわけでありますが、これはどういうことになるのですか。法案が成立をして、これから計画を再吟味される過程で、公益事業局相談に入られるという段取りになるわけですか。
  36. 中島征帆

    中島政府委員 むろん法律を出す前には、そういう点が十分明確でなければならぬわけでございますが、計画自体が途中でいろいろ変更もありましたり、従って計数的にすべての点で十分固めるというところまで行っておりませんのは、はなはだ残念だと思うのであります。しかしただいままで両省で大ざっぱな見当をつけまして、大体この辺のところで大きな狂いはなかろうということで、話はある程度進んでおりますから、今度は現在できております数字をもとにしまして、できるだけその線に沿っていけるような方向にわれわれも協力して進めたい、こう考えております。
  37. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今この問題を申し上げましても押し問答になると思いますから、せっかく一つ御検討をお願いいたしたいと思います。今示されておるようなこういう電力計画でありますと、大体合ったと今中島さんは言われるけれども、私は大体合っていないんじゃないかと思うのですが、あまり話が違い過ぎまして、少し心配であります。従いまして一つ法案の時期と関係なしに、もう少し検討をお願いいたしたいと思います。電力関係は一応以上にいたしておきたいと思いますが、ちょうど今の電力計画数字がほんとうに私のみ込みがたいと同様の意味におきまして、二、三電力外の問題につきましてこの愛知用水のことについてお聞きしたいと思いますから、もうちょっとお許しを願いたいと思います。  ちょうど建設省の米田局長にせっかく来てもらっておりますので、今度は森参考人ではなくて、農地局と米田局長と両方から、いいことはいい、悪いことは悪いとほんとうのお話をお聞かせ願いたいのでありますが、今の電気の問題から見て私非常に心配になりましたように、この計画の根本的な問題につきましては私非常に心配をいたしておるわけであります。  まず第一には、今予定されております堰堤地点に、ほんとうにここに書いてあるような計画ダムができるかどうか、どれほど確かに調べられたのか、私非常に心配なわけであります。これはまことに残念でありますけれども、今配られておりますこの資料によりましても、一九五五年六月二十二日というこの資料によりましても、これまた出たり入ったりして、これは私一生懸命調べておったんですが、五月に出たのと六月二十日に出たものと、二十二日に出たもの——二十二日分が二種類、大体四種類の数字が少しずつ変って出されております。少しずつ変っておるけれども計画の一番中心といいますか、これだけの水がほしいというそこだけの数字がちゃんと合してあって、あとは少しずつ狂っておる。これも心配でならぬのであります。例を申し上げますと恐縮でございますけれども、たとえば堰堤の位置というところにつきましても、最初の資料によると、ただ王滝村と書いてあり、六月二十日の資料によりますと王滝村の牧尾地点と書いてあります。六月二十二日は三岳村と書いてあり、二十二日の最後の版によりますと三岳村の牧尾橋と書いてある。名前はどうでもいいといえばいいようなものの、ほんとうの地点はどこの村のどの地点だかどうも少し心配のような気がいたします。それから流域面積のとり方にいたしましても、最後の六月二十二日付のものが二つありますが、最後の六月二十二日付に至っては直接流域面積と間接流域面積というのと比ががらっと一ぺんに変ってきておる。どうもこの辺心配でありますが、地点の名前が変り、直接、間接の流域面積の数字が変っても、満水位標高は合っているし、それよりもきちんと合せておるのは貯水量の水で、それだけはちゃんときちんと合せておる。たまるべき水だけはきちんと合せてあるけれども、直接、間接の流域面積は非常に数字が違っておる。それから今度は水がほしい方の年間所要水量の方を見ますと、一番先の資料だけが農地関係の水不足として一億二千九百三十九万立方メートル、その以後のものは九千四百万というように、これまた非常に数字が違っておる。この辺まことに私は心配なのでありますが、これは最終のものを最終として見るより以外には仕方がないと思うのですが、参考のためちょっとお聞かせ願いたいのは、ダムを作る場合の流域面積の直接、間接という意味はどういう意味でしょうか。
  38. 和田栄太郎

    和田説明員 地点の表現がたびたび変りましたことについてまず申し上げます。これはダム建設しますときには、地元にはいろいろの問題がございますので、その地元に及ぼす影響考えまして、最初は王滝川といったような表現で済ましておこうと考えたわけでございます。その後その必要がなくなりましたのではっきりした。それから同じ牧尾橋で王滝村と三岳村と変りましたのは、あれがちょうど村境になっておりまして両方へまたがるわけでございます。ところがその後聞きますと、あの橋は三岳村の所有になっておるので、地元の意見で三岳村牧尾橋地点というふうに表現していただいた方が適当であろうというような話がありましたので、さように変更したわけでございます。実際の場所は動いていないわけでございます。  それから直接流域面積と間接流域面積との数字が動きましたのは、これは全く私の方のケアレス・ミステークでございまして、印刷にいたすときに誤まって書き違えをしたわけでございます。六月二十二日付のものが正しいものでございます。それから間接流域と申しますのは、先ほどからお話がありますように、上流三浦堰堤があり、その放流を受ける御岳発電所の水路が、途中で津流水を集めて通っておるわけでございます。それらの三浦の流域及び御岳発電所の水路が集水しながら通っておる部分につきましては、その余剰部分、オーバー・フローする部分牧尾橋堰堤に貯留する、そういう意味で間接流域という表現を使っておるわけでございます。直接牧尾橋ダムへ流入してきます流域は直接流域、こういうふうに表現をいたしたわけであります。  それから所要水量が一億二千万トンから九千四百万トンに変りましたのは、これは池の貯水量牧尾橋地点で最初標高八百九十二メートルまで満水さそうと考えておったわけでありますが、そういたしますと、地元の村に非常に大きい影響を与えるということと、それからあそこに国有林の森林軌道がございますが、その森林軌道の田島操車場が水没いたします、それを移転するといたしますと、相当期間森林軌道を運休しなければならぬという問題が起りまして、非常に困難な問題がありますので、満水面標高を八百八十メートルに変更いたしました。そのために貯水量が減りました。そこで今度所要水量との調整をはかるために、下流受益地域に約三千町歩の開田を予定しておりましたのを、約二百六十町歩に減少いたしまして、残りの部分を畑地灌漑にして所要水量を減少しよう、そういう操作をいたしたために農業の所要水量が変化いたした次第でございます。
  39. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 印刷の間違いであればいいのですけれども、どうやらけつだけ合わしておいて、なかなかつじつまが合わぬのを、あっちをいじり、こっちをいじりしておるようで、まことに心配いたしておる次第であります。特に直接の流域面積、間接の流域面積が今のような意味でありますならば、百九十キロ平方メートルの直接のものが、一ぺんに七十三キロ平方メートルに減っておるわけであります。そうすると水をためるのに間接流域面積におんぶしておる分が非常に多くなってくるのでありまして、私は既存の三浦等々につきましても、どうも心配なような気がするわけであります。この問題はいずれまた別に計画を詳しく洗って御説明を願うなり調査を進めたいと存じます。この点は御承知のように前にも電気関係で——多分自発当時と思いましたけれどもダムを作ろうと思って相当な調査を進めたところであります。ところが多分岩盤に火山灰がかんでおるので非常に危険だというようなことで、また二十五、六メートルも砂が深いというようなことで捨てた地点だと思います。そのような地点に対しまして、今のような計画を立てておられるわけでありますけれども、その意味においても私はここに所期の目的の水がたまるかどうかということについても非常に心配しておりますが、これは建設省の方の専門の米田さんの方とは十分相談をされてやられるものだろうと思いますけれども、その辺は建設省と話し合いは十分ついておるのですか。
  40. 和田栄太郎

    和田説明員 今の点はお説の通り堰堤地点として良好な地点のところではございません。従って最初私どもはこの地点の調査をいたしたのでありますが、一応ここは適当でなかろうというふうに考えておったのでございますが、御承知かとも思いますが、この計画につきましては、アメリカのパシフィック・コンサルタントという設計会社に設計を依頼をいたしております。その設計会社意見によりますと、この地点でダムを作ることは技術的に可能であるということになりまして、この地点を選ぶことになったわけであります。なお建設省との話し合いの問題につきましては、パシフィック・コンサルタントの技術専門家ですが、社長が五月でしたか参りまして、この地点をいろいろ私の方で調査をしておるのでありますが、それを実地に見たわけでありますが、そのときに農林省の技術者だけでなくて、建設省、通産省のダムの方の技術の方々、それから民間のダムの技術の方々も御一緒においでをいただきまして、現場でもいろいろ話し合いをしていただき、また帰りましてからもいろいろ話し合いをしていただいたわけでございます。現在のところまだあの計画が完了したという段階でありまして、請負に出しまする最終設計までは立ち至っておらぬわけでございますが、現在のところではここへダムができるという確信をしておるわけでございます。
  41. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 工合が悪かったら、速記をとめてもよいが、米田さんから大体これが感じを御説明願えませんでしょうか。
  42. 米田正文

    ○米田政府委員 私もかつて現地に視察に行ったことがあるのですが、今の計画部長お話のように、あそこには、牧尾橋のすぐ下に二子持というところがありまして、両方のダム地点についていろいろ私どもの方も考えてみたわけでありますが、従来から心配されております例の牧尾橋では岩石を腐蝕させる有毒なガスが出る地点でありますので、これをとめるということはもちろん私ども絶対に不可能なことと思いませんが、長期にわたる工作物であるために、できればそういう地点を避けた方が適当ではないか、二子持の地点は、断面は広くなるけれども、構造物の安全という側からいったら、この方が適当じゃないかという意見を私は農林省にもかつてお話ししたこともございます。また文書で意書を申し上げたこともござまいすが、その後農林省では今のお話のようにアメリカの調査技術者に依頼をして現地を見てもらって、その有毒ガスの防止法を研究さされておるということでありますので、私どももまだ日本ではそういうことをやった実例もないので十分な確信はありませんけれども、有毒ガスの噴出を完全にとめるという技術的方法ができるならば、それは今の上流牧尾橋ダムの方が工費も少くて済むだろう、こう考えておりますので、今後私どもとして懸念いたしておるものは、その有毒ガスをいかにして防止するかという技術上の問題にかかっておると思います。
  43. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今お聞きのような二とでありまして、私も非常こ心配しておるわけでありますが、今ちょっとお話がありました外人の調査団というのは、エリック・フロアですか。
  44. 和田栄太郎

    和田説明員 そうです。
  45. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 ちょっと恐縮ですが、エリック・フロアというのはどういう資格で来られたのですか。これは妙な話でありますけれども電気関係でエリック・フロアに調査を依頼をしたりしかかったりしたのが、大体これはだめだぜというので、あの報告書に基いて出されたものはほとんど全部廃棄した格好になっております。とうとうやらずに済んだことになっておる、それが今度ここに関係されておるということで、私はほんとうは心配をいたしておるわけであります。この計画は御承知のように世界銀行からの借り入れの問題と直接関係しておりまして、私も世界銀行との関係に入りましたのでなおさら心配をいたしておるのでありますが、外人の名前を出して恐縮でありますけれども委員長、これはさしつかえがあったらそこの名前は適当に御処理願いたいと思いますが、むしろこれは世銀融資のための資料の作成技術者みたいな感じを私ども受けておりまして、ほんとうのシヴィル・エンジニアでないのではないですか、つっ込んだお話を聞きますけれども、私ども聞いておりましたのは、アメリカの工兵団の多分電気関係の担当者であって、ほんとうの土木技術者ではないのではないかというような話があったと思います。従って電気関係者が使ったところによるとまことに権威がなかったという焼印が押されておるような気がしておるのですが、どんなものですか。
  46. 和田栄太郎

    和田説明員 お説のようにエリック・フロアは、もとは電気の技術者でございますが、だんだんダムの方も設計をやってきまして、今までに、ちょっと数を正確に覚えておりませんが、何十というダムの設計をいたしております。それから今牧尾橋で出ておりますガスは炭酸ガスでございますが、そういうガスの出ておるところを処理した経験がアメリカでも幾つかございます。そのうちの一つはエリック・フロア自身がやっておるわけでございます。そういう意味で、これは最終設計をやってみないとどのくらいの経費が——結局は経費の問題になると思いますが、請負に出すまでの最終設計をしてみないと経費がどれだけかかるか、非常にかかるというようなことが起ればこれはやめなくてはなりませんが、そういうことが起らない限り可能であろうと考えております。
  47. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 大へん時間をいただきましたので、もうこの辺で問題を一応預けたままで終了いたしたいと思いますので御了解願いたいと思いますが、今の部長のお話を承わりましても計画自身が私非常に心配であると同時に、エリック・フロアなるものの技術能力につきましても、私はむしろ根本的な心配をいたしておるものであります。御承知のように、これは今も建設省の米田さんの方からもお話がありましたように、ダムの方の専門が建設省でありますならばその辺の毛唐の意見の前に、日本人の意見を十分にいれられて、それの上に御利用いただきたいと思います。私電源開発におきまして、いろいろな問題に取り組みましたけれども、世銀の融資ほしさにやりかかった仕事にろくなものはなかったと思います。そのもとをはっきりと日本技術者で確かめた上で入れるべきものははっきりと入れる筋のものがありますけれども計画の立案の一番根本に妙な政治的な要素が入って参りますと、途中で非常に困ることになると思います。特にこれは公団として国民の税金が中心になり、あるいは直接間接の国の経費でもってやられる措置でありますから、計画が一年や二年は延びてもいいからほんとうの計画を立てられて仕事を進められるよう特にお願いをいたしておきます。特にこの根本的な今の問題がまだ解決いたしませんので、少くとも次に申し上げるくらいの資料は準備をされて——私個人的でありますけれども、御提示をいただきたいと思います。たとえばその調査堰堤地点点の問題につきましては、少くとも地質の調査書はほしいと思います。それからこの地点に対して一番の技術的責任者である建設省自身が堰堤の築造に対してどういうように考えておるかという意見書のついたもの、そういうものの準備を望みたいと思います。それから二番目には水がほんとうにたまるかどうかということを吟味するためには、少くとも月別くらいの水の流入量あるいはこれを使う場合の貯水放流の水の計画書くらいはつけてもらわなければ、この計画を吟味することができないというふうに思います。それから一つ聞こうと思いましたけれども、時間がありませんので省略をいたしておりますが、この経済効果の中に述べております数字につきましても、その一つ一つに、たとえば農業効果なら農業効果というものを一本まとめてして農林省だけでなく何らか第三者の意見をつけられて、それが高いとか安いとかいうことを提案者だけでなくて第三者の意見も入って批判されるような資料がほしいと思います。同様に電力効果につきまして、それの収支計算についても公益事業局意見のはっきりとついた、そういう計画書がつかなければ計画書として認められないような気がいたします。またここに出ております上下水道の経済効果にいたしましても、御承知のように上水道の二十三円というのは高いものでありまして、東京でもこれは十円くらいのはずであります。たとえばこの二十三円というものが高いか安いかということが検討できるような全国の上水道平均値であるとかそういう参考の数字をあげて二十三円の妥当性が批判できるような資料が望ましいと思います、同様に工業用水の六円五十銭というのも大した工業用水でありまして、六円五十銭もいたします工業用水というものは、私は重大な問題を含んでおるように思います。従来の例によりますと、大牟田でありますとか小倉でありますとか、その辺に工業用水の例はありますから、この辺と経済効果の比較できるような数字もお願いいたしたいと思います。実は本国会におきましてこの愛知用水法案が提出されるということで私は好意的な意味をもちまして、ほんとうに総合開発を実施するためにはいろいろな施工者が二つも三つも二人三脚をやっておるのでは、ちょうどこれから問題になります西吉野と同じようなことで一方が高ければ一方が低いような形で、発電所はできたけれども水が出ないようなことになりますから、愛知用へ計画を行うて当って、一つ公団組織でダムを作ることから、電気を作ることから、用水をすることまで一本に実施されるということにつきましては、私はむしろ賛成でありまして、その方針に賛意を表すると同時に、これが非常にうまく成功すればいいがということをこいねがっておったわけであります。従ってこの計画が出されると同時に、これを成功させるための資料を次々に要求して、十分議員が納得の上で、さあやれ、さあかかれというふうにして、この計画が実施段階に移されることをこいねがっておったのであります。ところが御承知のように、まだ関係農林水産委員会におきましても、ほとんど審議らしい審議も行われていないし、この商工委員会から連合審査を申し込んでおりましても、いつ審議に参加させてもらえるのやらわけのわからぬような状態であります。そこで私がこの計画につきまして根本的に心配をいたしております点は、ほとんど解消されないままで、ひょっとすると、もういいから通してしまえというようなことにならぬとも限らない状態になりますので、私は非常に心配をいたしておるわけであります。従いましてこの法律の成立、不成立のいかんにかかわりませず、今私が申し上げましたような資料を御提示願い、ほんとうに議員の知恵も含めて計画が成就するように、一つ御努力をお願いいたしたいと思います。大へん時間をとりましたので、これでもって一応愛知用水の質問を終りたいと思います。
  48. 森寿五郎

    森参考人 一言申し上げたいと思いますが、それは西吉野の発電所ができましたならば、あの電気関西電力系統に入る電気であります。それが今日までおくれておりますことにつきましては、私ども計画にもいろいろそごを来たしておる。だからこれを早く発電ができるようにしていただきたいという希望だけであります。  さらにつけ加えて少し申し上げますならば、第二発電所というのがもうすでに現在できておるのであります。これはたしか一万六千キロの発電所でありますが、なかなかまだ発電の段階にいかない。それから第一発電所が第二発電所上流にあるのでありますが、それの大部分の水は十津川の上流の水をせきとめまして、流域変更をしまして、第二発電所に持ってきてやるわけですが、これは堰堤がだいぶおくれておりますことと、なおそれに取り入れます川原樋川という川がありますが、その方の工事がおくれておりまして、結局西吉野第一、第二合計で四万二千キロになると思いますが、とにかく発電をいたすようになりますのは、来年一ぱいはちょっと無理ではないかと思います。そういうことでありまして、私どもといたしましては、計画を立てます上に、これができませねば、火力発電所でこれを補うということを一応考えなければならぬのでございます。そういうことで実は困っておる状態でございます。
  49. 山手滿男

    山手委員長 それでは参考人並びに愛知用水関係そのほかについての質疑は、これにて終了いたすことにいたします。  森参考人には長時間にわたり、貴重な御意見を御開陳を願いまして、本問題の調査に多大の参考になりましたことをあらためて厚くお礼を申し上げます。     —————————————
  50. 山手滿男

    山手委員長 次に通産当局より、昭和三十年度電源開発計画について説明聴取することにいたします。中島政府委員
  51. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまお手元に配付されてありまする昭和三十年度電源開発計画という資料につきまして、簡単に御説明申し上げます。  この計画は去る七月八日であったと思いますが、電源開発調整審議会において決定になりまして、公表されることになったわけであります。これは本年度の全体的な計画の既要でございまして、ここにあります通りに、電力会社、公営、その他発電業者——これは一社でございまして、この場合は住友共電でございます。自家用発電業者及び電源開発株式会社、これらの各種区分にわたりまして、それぞれ水力、火力の新規並びに継続地点の計画をきめたわけであります。  特にこの中で新規にあげられましたものが、全体で七十九万七千キロになっております。大体五カ年計画を達成いたしますためには、本年度約八十万キロの新規開発に着手する必要があるというふうに考えられておったわけでありますが、大体それに近い七十九万七千キロが、水力、火力合せて本年度新規着工することになったのであります。この中で水力、火力の別はこの表にございますが、水力といたしましては三十二万六千、火力の新規は四十七万一千、従来と違いまして、本年度は大きな火力がこの中に入りました結果、火力の方が実際的には出力がふえております。  地点数にいたしまして、全体で三十二個地点になりますが、そのうち水力二十五個地点、火力七個地点、水力は非常に数は多くなっておりますが、大体都道府県関係公営の電力はすべてが水力でありますので、割合小さな地点が多うございますけれども、地点数といたしましては水力が多くなっておる。こういうことになっております。なお電源開発会社に関しましては、本年度は新規はございませんで、従来の継続分につきましてできるだけ工事を進捗させたい、こういう考えでやっております。  これに要しまする所要資金は、三十年度といたしまして、全体で、この表の一番下にございますように、一千十七億、これが三十年度の総建設資金でございます。  それから次のページには、発電以外にも送電、変電、配電、業務部門、あるいは改良工事、こういうようなものを合せた資金計画が出ております。発電部門につきましては、ただいま申し上げましたように、全体が千十七億でございますが、送、変、配電、業務部門の関係におきましては五百二十一億、改良工事が百六十一億、全体を合計いたしまして、総計千六百九十九億、約千七百億の資金が電源開発並びに送、変、配電その他の電気事業関係の部門に投入される、こういうことになっております。第一ページの表は、これは電源関係発電の方の計画並びに所要資金でございまして、このほかに送、変電あるいは配電その他の部門がございますが、そういうようなものを資金的に統一をいたしましたものが第二表でございます。送、変、配と業務部門が全体の数字が五百二十一億、改良工事の百六十一億、これを先ほど発電部門の千十七億に加えますと、全体が千六百九十九億、こういう総所要資金になる、こういうことであります。なおこれに関連いたしまして、特にこの関係で、この全体の千七百億近くの資金のうちでどれだけが国家資金から支弁されるかというわけでありますが、この中で電源開発株式会社関係のこの表に載っております二百五十三億というこの数字は、すべてが政府の出資なりあるいは預金部の資金なり、あるいは余剰農産物の見返り資金といったような、全体が政府資金であることは御承知通りであります。それ以外のものにつきましては、都道府県のものにつきましては、預金部の引き受ける起債のワクというものがございますが、それに乗るわけでございます。これを除きました電力会社及びその他の発電業者並びに自家発電業者に対しましては、この所要資金の中で幾分かが開銀融資として出されるわけでありますが、特に電力会社の各計画に対しまして、どういうふうに各社に配分するかということにつきましては、先般本委員会におきましても大いに関心を持たれまして、一応本年度に対しまする公益事業局の第一次的な考え方を資料とともに御説明してあると思いますが、ただこれはあくまでまだ第一次の試案でございまして、これに対しまして現在までに各方面からのいろいろな御批判もちょうだいしております。なお省内でもいろいろな意見がございまして、案をなお検討中、こういう段階でございます。だんだん年度も経過しておりますので、私どももできれば今月中にも決定いたしたいと存じておりますけれども、いろいろむずかしい問題がございまして、今のところはいつまでにこれを決定するというところまではっきり申し上げられないのははなはだ残念であります。本年度の開発計画については以上であります。
  52. 山手滿男

    山手委員長 質疑に入ります。この際小委員外の議員の発言を許します。森本靖君。
  53. 森本靖

    ○森本靖君 ちょっとこの電源開発について、特殊なケースをお伺いいたします。高知県の奈半利川の電源開発については、従来いろいろの試案があり、また相当の年数もたっているわけでございますが、この奈半利川の電源開発についての現状を御説明願いたい。
  54. 中島征帆

    中島政府委員 奈半利川の開発に関しましては、ここ二、 三年来、本流案、分流案等につきまして非常にもめておったわけでありますが、昨年の秋に一応妥協案を得まして、最終的には昨年の十二月の電源開発調整審議会で決定いたしております。これによりますと、奈半利川の開発は電源開発会社がこれを担当する。それから当時この開発につきまして四国電力と争っておりました住友共電に対しましては、高知県の物部川の開発をゆだねるということで一応解決を見たのであります。奈半利川そのものにつきましては、現在電源開発会社の方の開発準備地点ということになっておりまして、資金の関係から今すぐ着工はできないけれども、開発することは一応決定する。従って資金がつくまでは準備的な工作をするという程度の地点になっております。準備地点でありますけれども、一応開発計画というものはすでにできておりまして、一番下流の地点の長山地点につきましていろいろな開発計画を作りまして、水利権の申請もいたしておるわけであります。ただ奈半利川の水利権の問題につきましては、高知県としましては、全体の計画がはっきりしなければ一部分の地点だけでは審議はしにくいということで、現在長山を除くそれ以上の上流の地点につきましても、開発計画を整えまして、近々県の方へ提出することになっております。それが提出されましたならば、水利権はいずれ許可が出されると思いますが、それによりまして、さらに準備等を進めるということになろうと思っております。それからそれに関連いたしまする物部川の方は、これは解決のときの一つの案の内容になっておりますので、関連して申し上げますが、これは奈半利川の開発と直接工事的には関連いたしておりませんけれども、一応住友に対しましては、できるだけこの物部川の許可を早く出してもらうということについて、政府も努力をするという約束をいたしております。従いまして決定以来高知県と住友共電との間に通産省が立ちましてあっせんを続けております。大体県の方でもこれに許可を与えることにつきましては初めから異論はないわけでありますけれども、それに対しまする条件その他につきまして、いろいろな疑問等が出まして、大体近く解決するというのが延び延びになりまして、最近までになっております。これも私が最近聞いたところによりますと、七月下旬中には許可が出るものだというふうにわれわれは了解いたしております。その後許可が出たという報告はまだ聞いておりませんけれども、奈半利に関連いたしまして、これもいずれこちらの方が一足先に許可をもらって着工できる。住友の方の資金は、電源開発会社と違いまして、住友自体の資金の問題になりますが、これも一部は、この表にもございますように、電気事業開発資金の中から開銀融資として融資をするということも考えておるわけでございます。水利権の許可次第、住友としましては、本年中にも着工する運びにいくのじゃないか、こう考えております。
  55. 森本靖

    ○森本靖君 今お話の中で、七月の下旬になれば物部川の方については片がつくというお話でしたが、それは高知県の方からそういう問題を正式にお話があったわけですか。そういう七月の下旬になれば片がつくというのは、どなたからそういう問題をお聞きになったわけですか。
  56. 中島征帆

    中島政府委員 今まで延びておりましたのは、これは毎回そういうことで繰り返しになる点もございますけれども、最近では要するに奈半利川と物部川というものは、もともと解決が両方ひっくるめてなされたので、奈半利川の問題が片づかないと、住友の物部川だけ単独に許可できない、こういうふうな県側の考えがあったわけです。その奈半利川の問題と申しますのは、奈半利が完成しましたときに発生する電気等に関しまして、四国電力と高知県との間に一応の了解を得たいというのが県側の希望でございます。これにつきまして、県の方のいろいろな条件もございましたが、その中には差しつかえないものもございますし、なかなか困難なものもございます。それにつきましては、一応県の方とも打ち合せをしまして、こういう回答でよろしいというところで、四国電力の方とも了解をつけまして、その回答がいけば、奈半利の方は問題は片づく。従って物部の方の許可もこれに応じて出していく、こういうことになっておる。その方の四国電力との打ち合せが最近済んでおるはずでございます。それが済めば許可をしてもよろしいという初めからの知事その他の御意見でもありましたから、大体今月下旬中にはもらえるものだというふうに私ども考えております。
  57. 森本靖

    ○森本靖君 私の方へしょっちゅう送ってくる、私の郷土の新聞の高知新聞に載っておりますところでは、県議会の電力委員会においては、この物部川の住友共電の申請による水利権の使用を認める方針には変りがないけれども、奈半利川の電源問題とこの問題については関連をしておるので、一応この物部川の水利権については保留すべきである、こういう結論を県議会の電力委員会において出しておる、こういう記事が載っておるわけであります。そういうことになると、七月の下旬にそういう問題が片がつくということについて、この新聞で見ると、そういうことはほとんどないように考えるわけですが、その間の報告はどのように受けておりますか。
  58. 中島征帆

    中島政府委員 これは正式にそういう点につきましての報告は受けておりませんが、そういう新聞報道があったということは一部から聞いております。ただ私はなはだ残念に存じますのは、その所見によりますと、奈半利川の電力の半分を住友共電の方に送るという、これは最初の奈半利の解決案の内容になっております。それは電源開発会社から直接に住友共電——住友共電も電気事業者でありますから、電源会社としては卸売事業としてできるわけであります。送る、こういうふうな内容になっておりますが、それが最近県会では、本来これは四国電力に売り渡せるものだというふうに観念して今まで話をしておる。それがそういうことであれば、話は少し違ってくるというふうなことで、何か問題が起きたように書いてあるように存じますが、話は初めから、これは電源開発会社から半分の電力については住友共電に供給するということになっておりますので、今ごろそういうことを問題にされて、特にそれと直接関係のない物部川の水利権の認可をおくらせるということはどうも了解に苦しむところと、私は個人的に考えておりますが、正式にまだ報告がございませんので、何とも申し上げられません。
  59. 森本靖

    ○森本靖君 その電力の半分々々という問題については、この新聞で見てみると、議会側がどうこう言ったということにはなっていない。これについては川村知事が四国通産局の荒木公益事業部長と話し合いをした結果こういう問題になったということを言明しておる。そこであなたも今おっしゃったように、専門家であれば従来からこういうことはわかっておった、今ごろになって四国通産局の荒木公益事業部長と知事との話し合いによって新しい局面が出てくるということは、この話し合いが全然こういう話をせずに今言ったような形で話を持ってきた、だから大体こういう問題は、従来も県の方も通産局の方もわかり切った話じゃないのですか。
  60. 中島征帆

    中島政府委員 これはその辺の事情がはっきりわかりませんけれども、おそらく知事が誤解されておって、そこでその本体はどうだということを四国の公益事業部長に問い合せた。ところが当時の書類から見ると、はっきりそういうふうになっているので、こういうわけでありますということを公益事業部長が申し上げた。そこではっきり知事も認識された、こういうことだと思います。知事と公益事業部長の話し合いできまったという問題ではなく、もう昨年の十二月にその点ははっきりしておったというわけであります。
  61. 森本靖

    ○森本靖君 そうすると、こういうことは昨年の十二月にすでにはっきりわかっておらなければならぬ、それをわかっておらない知事は、いえばちょっと勘がにぶい、こういうことになるわけですか。
  62. 中島征帆

    中島政府委員 それはおそらく知事も御存じのはずだと思うのでありますが、いろいろ四国電力に対しまして条件をつけられ、また住友共電に対しましても条件をつけております。そういうことは全体をひっくるめて奈半利川を開発し、物部川を開発するために高知県としてはこういうことを要求する意思があるということをやっておられるのであって、当然その点も認識されているはずだとわれわれは考えておったわけであります。
  63. 森本靖

    ○森本靖君 そうすると、これは重要な問題で速記録にも残るわけですが、七月二十三日のこの高知新聞に載っておる、川村知事が県議会の電力常任委員会で言明をした問題については、すでにこれは知事が知っておらなければならぬ問題である、それを今ごろになってこういうことを言うのはおかしい、というふうにあなたは御解釈になりますか。
  64. 中島征帆

    中島政府委員 むしろ私がそんたくするとすれば、知事が何か言い間違いでそういうふうに言われたのではないか、こういうふうな感じがするわけであります。
  65. 森本靖

    ○森本靖君 そうすると、この問題については知事が勘違いをしてこういうことを言っておる、大体今ごろになって知事がこういうことを言うのはおかしいということが常識で、局長としても、そう考えられる、こういうことですね。
  66. 中島征帆

    中島政府委員 そうであります。
  67. 森本靖

    ○森本靖君 それからもう一度お聞きしますが、もとの奈半利川の電源開発の問題については、資金上の問題でこの開発がおくれる、こういうお話でございましたが、まことに申しかねますが、もう一回この奈半利川の電源開発がおくれておるということを要点だけ簡単にお話を願いたいと思います。
  68. 中島征帆

    中島政府委員 奈半利川と紀州の熊野川、この二地点が現在開発準備地点ということになっております。これは広い意味の開発地点であることは間違いございませんが、ほかに開発地点がたくさんございまして、しかもまだ工事がなされていないところもございますから、かりに資金があれば、まずそれにつけて、余裕があればその次の番に着手するというのが常識であります。着手する必要は認めるけれども、今すぐ本格的な工事はできない。だから準備だけは一応やらせようということで、着手地点であることを明らかにしながら、本式な工事をしていないという意味で開発準備地点に指定されておるのであります。もし今後資金が潤沢につきますれば、ほかの地点と並行して、これが本格的な開発地点になることもございましょうし、また本年度のようにあまり資金が潤沢でなければ、ほかの地点の完成に従って出てくる余裕金がこちらに回り、その上で初めて本格工事ができるというような性質の地点であります。
  69. 森本靖

    ○森本靖君 そうすると、結局最初の物部川の発電問題と、奈半利川の電源開発の問題とがからんでおるということになってくると、聞くところによると物部川の方は、奈半利川電源開発がおくれても先にやるというふうな方針らしいのですが、その辺の関連はどうなるわけですか。奈半利川電源開発がそういう格好でおくれるということについては……。
  70. 中島征帆

    中島政府委員 これは物部に対しまする住友共電側の要求と、それから奈半利川を開発しなければならぬという四国全体の関係と、この二つの関係になると思っております。つまり四国地区として奈半利川を今すぐ大々的に早急に開発しなければならぬほど需給が逼迫しておるかということになりますと、それほどでもないわけであります。ただ住友共電に関する限り、住友共電の供給しておりまする住友化学、その他の住友系統の工場に対しましては、これは従来御承知のように主として住友共電から供給を仰いでおりますが、今後の生産計画考えました場合に、今すぐ相当な開発をしなければ、生産増加に間に合わない、こういうような事情がありまして、特に住友共電といたしましては、奈半利川開発につきましても、自分のところで使うものを早く確保したいという意味から熱意を持っておりまして、その半面物部川につきましては少しでも早く完成したい、こういう意図を持っております。従って両方関連の上でこちらとしては契約を認めておりますけれども実際の着手につきましては、物部川の方をまず許可して、住友の需要を充足させるということがむしろ先に必要でありますが、奈半利の方は四国の電力事情からいいまして、今のように開発会社の方の資金が現在の状況のもとにおきましては、そう無理をして、今すぐ着手することはあるまいというような判断のもとに、物部の方を先に急いでおります。
  71. 森本靖

    ○森本靖君 そうすると、あなたの回答では、物部の方の開発は非常に重要で、非常に急いでおるけれども、奈半利川の方はそれほど急ぐ必要はない、こういうことですか。
  72. 中島征帆

    中島政府委員 重要である、ないということに関しましては少し違いますが、奈半利の方は御承知のように規模も大きいのでありますし、それがまた開発されれば、四国全地域、あるいは場合によれば、中国送電までしなければならぬほどの性質を持った大きな地点であります。しかし物部の方は緊急制という意味で必要であるというふうに考えております。
  73. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 今の問答に関連して、この計画約束したとき私直接関係しておりますので、ちょっと触れたいと思います。本来四国の電力問題を奈半利川の問題が中心でありまして、それをやることを前提として、その振りかえみたいなのに住友共電の物部の方の話が出ておるのであるから、順としては物部の方が先にいくことはおかしいことは事実だと思います。従いましてあくまでも四国の電源開発の趣旨については、これはやはり問題を奈半利川の解決にまず当てて、その解決のめどをつけながら、この物部川の開発に着工されるのが筋だろうと私は思います。  それから先ほど中島さんのお話の中で、準備地点というのは、金が今ないから、あるようになったら回すというお話でありましたが、本来の準備地点の意味はそうじゃなくて、補償を簡単にするために、数個の着工地点を持ちたいということから出たので、資金の立場から数個の着工地点を持ったのではない、補償をなるべく簡単に、しかも膨大でない、あまり無理のない補償に押えるためには数個のそういう着工し得る地点を持たなければならぬというので準備地点はできたのであります。それが知らぬ間に資金がないから云々というふうに変っているのはどうかと思います。資金がないからこういうふうになってくるということになりますと、ここは第二次、第三次の重要性しか持たないということになりますから、その辺はもう少しお考えいただきたい。今のように奈半利の中心問題は県の方で全体計画を一緒に出さなければうんと言わないということで、計画の策定と、それから一部の補償の問題で着工しにくい状態なものだから、あと回しあと回しになっているということが事実だろうと思います。従ってほんとうからいいますと、あと回しになっているこの奈半利川の問題をいち早く解決して、そうしてことしなり来年なりからこれに着工し得るという見通しをつけられて、それと関連さして物部川に着工されるという順序を踏まれるのが妥当かと思います。特に物部川の方の住友共電の川口、仙頭という二カ地点に開銀資金をつぎ込むということであれば、形の上では電源の資金と開発資金は違うとしても、国家資金であることは間違いないのでありまするから、その地域における最も重要な地点の開発を先にするという意味で、今森本君から盛んに質問をされておる点でありまするが、今のように順序をつけられて本問題の解決をし、それに付属する問題を付属的に推進するという方式をとられるのが妥当かと思います。
  74. 山手滿男

    山手委員長 八木君。
  75. 八木昇

    ○八木昇君 簡単に二、三伺います。先ほどの御説明でこのプリントをもらいましたが、これだけではあまりにも簡単過ぎます。新聞にすらもっと詳しいのが発表されておるわけであります。どういう発電所が今度新規に作られて、どれだけの資金が要って、完成予定がいつになるというようなものと、それからこういう計画を出されるについての基礎、将来の電力需用の増加をどういうふうに見るか、それからまたこれだけ出せれば需給のバランスはどういうふうになるというようなことを考え計画を出されたでしょうから、大体それらの大要がわかるようなものを委員に配っていただきたい。なお特に詳細に必要な分については、個個の委員がお宅の方へお伺いするなりして資料をいただくでしょうが、それにいたしましてもこれはあまり簡単でございますので、これはぜひいただきたいと思います。  それから今森本君から御質問になっておりますることに関連いたしましてのみ二、三お伺いいたします。先ほど説明計画書の中には、もちろん今の住友共電が今度やろうという川口というのと仙頭、この二つの計画はこれに入っておるわけですね。これに関連しまして、もう御存じかと思いますが、現地方面ではもっぱらのうわさがあっておるわけであります。それは住友と現高知県知事が手を組んでおる。そうしてこの開発問題をめぐっていろいろよこしまな動きがある。しかもその間知事の選挙費用が莫大にこれによってまかなわれるらしい。しかもその間の動きをめぐって、これははなはだ、報ずるところでございますけれども中島公益事業局長もその中の一連の動きをしておる、こういうことが盛んに報道機関によっても報ぜられておるわけであります。それからまた関係者間においてももっぱらそういうことが言われておる。私は本日のところおそらくそういうことはなかろう、こう認識をいたしておりますけれども、そういう疑いを持たれるということは、やはり奈半利川の開発については将来どういうことになっていくのか、具体的な見通しをいまだ明確にしない一方、突如として今の物部川関係の二発電所の開発を決定した、こういう具体的事実から逆に判断されておる。こういう要素があろうと思う。そこでこの際どうしても奈半利川の問題についても、納得のいくような解決の方向というものを至急に出さるべきではないか、こういうふうに考えておりますので、この際局長のお考えをもう一度明らかにしておきたいと思います。
  76. 中島征帆

    中島政府委員 奈半利川の問題につきましては、先ほど申しましたように、すでに解決案が出ておりまして、さらにこれをどうするかという問題はないのではないかとわれわれ思います。ただいつごろこれを着手するかという問題はございます。佐々木委員も御指摘になりましたように、そういう考え方はありますが、われわれは今のところ資金的にいってこれはそう急に着手地点として開発するのはむずかしいのじゃないかと思う。奈半利の実際の開発は若干おくれることは事実であろうと思います。ただそれに関連しまして、そちらがもたもたしているために特に物部を先にするという、そういう関連性はこの際つける必要はないのじゃないか。物部自体につきましては、住友共電系統需用からいいまして、できるだけ早く着手する必要があるというふうにわれわれ認識いたしております関係で、早く着手いたしたい、こういうふうに考えておる次第でありまして、それについての条件等は知事と打ち合せまして大体全部にわたって解決したものと考えております。その間奈半利川の問題につきましては、当初からいろいろなデマが流布されておりますのは、公益事業局で私以外にもいろいろなことを言われている人があります。そういう点ははなはだ遺憾のきわみでありますけれども、知事なり住友共電あるいは四国電力がどういうふうな意図を持っておるか持っていないか。持っているということがかりにありましてもそれは別途にいたしまして、私どもはあの辺の電源開発の必要性ということから考えてやるべきだということでやっておりますが、結果においてはそれがどういうふうにされるかということは私ども関知するところではありません。従ってかりに物部の許可が早くなったために住友が特に知事に対して何かの恩義を感ずるということがありましょうとも、私どもは一応それとは無関係に、住友共電としての需用が相当緊迫しているからというのでこれを促進しておるわけでありまして、そういう意味で知事に対していろいろお願いしておるわけであります。  それから奈半利川については再三申しましたように、早く解決することはけっこうでありますけれども、一応解決の方策は示されておりまして、あと早くどういうふうに着手するかという問題になりますが、この問題については資金の関係から早急の見通しは得られませんので、いろいろの問題はこれからじっくり解決する方がよいのではないか、具体的問題の解決についてはじっくりやってよいのではないか、こういう考え方を持っておりますので、そういう態度で考えております。いろいろな勢力に左右されておるということはございませんから、この点御了解を願いたいと思います。
  77. 八木昇

    ○八木昇君 それでは最後一つだけ。この問題については一応本日のところはこのままにしておきます。根本認識について一つお伺いしたいと思いますが、住友共電というような存在があって、電力供給事業者の一人というような形においてこれが存在するということが今日いろいろな複雑な問題を四国に引き起しておる、かく私は思うわけであります。ですからこれらはやはり電気事業の供給事業者のあり方といいますか、組織編成というか、こういうようなものについてもっと思い切った検討を下すべき必要があるのではないか。ただいまのような形において住友共電というようなものが存在することについて、公益事業局長はいかなる見解を持っておるかということをこの際端的に一つだけ承わりたい。
  78. 中島征帆

    中島政府委員 これは特に住友共電は自家発とは申しましても、供給先は一社だけでなく、住友系統の数社ございます。従って供給能力は非常に大きいわけであります心しかもあの地区としまして、四国電力というものは割合に小さい会社でございますから、そういうところで似通ったような会社が二つあるということは、片一方は一般の電気事業者、小売をする方、片一方は卸売という格好は取っておりますけれども、形としてはなかなか問題を起す形だと思っております。従って他の地区のように、これがもう少しすっきりした形であれば奈半利川のような問題はもっと簡単にいけただろうと思います。その点については今でもいろいろ議論があることと思います。ただ現在これをどうすべきかということに対しましては、これは全体の再編成とも関連いたします。それから特に奈半利と関連いたしまして、住友並びに四国電力との間では、いろいろな紛争がありましたので、今急に両者の間で徹底的に解決しようということは、ちょっと時期的にはむずかしいだろう。しかし将来今のような形でいいかどうかということにつきましては、もう一度十分に根本的に話し合いをする必要があるのではないか、こういう感じがいたします。
  79. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 議事進行ですが、西吉野の問題が残っておるのですが、きょうは委員長お話によりますと、ほとんど扱えないような気がいたしますが、これはもうすぐ散会いたしますか。
  80. 山手滿男

    山手委員長 この委員会はきょう私の方に用事がありますので、この程度で打ち切りたいと思います。
  81. 佐々木良作

    佐々木(良)小委員 それでは電源開発と西吉野の問題について、二、三分一つお許し願いたい。  電源開発の問題につきましては、先ほど同僚から奈半利の問題についてお話がありましたが、そういう点の問題もさることながら、根本的に資金繰り等の問題にもまだ問題が残されておるというか、あるいは心配な点が数点あるのであります。従って質問の形でもう少し確かめたかったのでありますが、それはまた別の機会に譲りたいと思います。  ただ第一に、国家資金を引き当てにしておる資金の中で、特に余剰農産物の見返り円を引き当てにしておる部分につきましては、聞くところによると、これがほんとうに金になるのは非常におくれて、新しい米綿が入ってさばかれてからだというようなお話もありますので、そういうことになると、大方十二月ごろになってしまうのではなかろうかという心配もあり得るわけであります。従いまして、当局におきましては、こういう不安定な資金を一応基礎としておって、こういう基本的な計画を進めるのでありますから、もし資金繰りに遅滞を来たして、そのために今年度の計画がうまくいかないようなことになると、まことに重大な問題でありますので、その辺につきまして十分なる御配慮をお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、九つの電力会社を中心にした電源開発会社以外の電源開発の資金につきましても、先ほどの局長のお話にありますように、開銀資金の配分はまだ検討中の由でありますが、事業会社であればあるほど、本格的な資金の見通しがっかなければ、工事に手をつけにくいのは当然でありますので、なるべく早急に全体の資金繰りの見通しがつくような格好で、行政的な措置をされるよう希望いたしたいと思います。  なお開銀資金の配分につきましては、前の委員会においても申し上げました通り、この商工委員会におきましても、電力料金の運動というものについて重大な関心を持っておりますので、今度本年度の開銀資金の配分が電力料金影響を及ぼすような意味で、従来より大幅な内容の変更がありますような気配がある場合には、この委員会に十分御説明をお願いいたしまして、この委員会了解の上で措置されるよう、お願いをいたしておきたいと思います。  それから電源の問題と別に西吉野の問題でありますが、これは特に委員長にお願いをしておきたいと思います。もう会期も余すところ少くなって参りましたが、あの西吉野の問題は、これは決して小さい問題ではなくて、国家資金を使って発電所を作って、そこに水が流れておるにかかわらず、これを電気という経済価値に変化することができないという。まことに重大な問題であると思います、同時に来年の春におきましては、なおあとから追っかけて発電所が完成をし、そうして灌漑用水九千町歩を計画面積とするのに、そのもとであるダムが予定のところまでいかないがために、二つの発電所を遊ばせて、九千町歩の開田計画を、水路その他を完成しておりながら、一年もおくらせるという結果を惹起するおそれを持ったものと考えまして、これまたまことに重大な問題だと考えます。この二つにつきましては、先ほど来質問の形をとりまして、いろいろ政府の善処を要望しておるものでありますが、いまだもって明確なる結論には達していないように聞いております。従いましてこの残されておる会期中に、その調査の結果も含めまして、委員会の決議等の形で委員会の意思を明確にされて、政府に善処並びに鞭撻を要請されるように、措置をお願いいたしておきたいと思います。
  82. 山手滿男

    山手委員長 ただいまの佐々木君の御提案については、後ほど各委員と御相談を申し上げることにしたいと思います。  本日の会議はこの程度にとどめまして、次会は追って公報をもりてお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後三時四十六分散会