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1955-06-14 第22回国会 衆議院 商工委員会中小企業に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十四日(火曜日)     午後三時二十七分開議  出席小委員    小委員長 永井勝次郎君       阿左美廣治君    菅野和太郎君       中村庸一郎君    野田 武夫君       鹿野 彦吉君    南  好雄君       松平 忠久君  出席政府委員         中小企業庁長官 記内 角一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君  小委員外出席者         議     員 加藤 清二君         通商産業事務官         (繊維局繊政課         長)      佐々木彰一君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業安定法第二十九条による生産数量等の  制限に関する勧告及び命令に関する問題  綿紡績操業短縮に関する問題     —————————————
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 これより会議を開きます。中小企業安定法第二十九条による生産数量等制限に関する勧告及び命令に関する件、あおせて綿紡績操業短縮に関する件について調査を進めます。記内長官
  3. 記内角一

    記内政府委員 中小企業安定法施行状況について御説明申し上げます。昭和二十七年中小企業安定法が施行せりれましてから、調整組合業種指定かございましたのは、三月末では二十六、その後さらに四業種の追加がございまして、現在三十業種でございます。そのうちで調整組合設立認可のあったものは、三月末現在におきまして二十二業種、二百二組合でございます。さらにそのうちで調整規程認可のあったものは、三月末現在におきまして十三業種、百四十三組合というふうになっております。あと組合はできておりますが、調整規程の制定の手続を進めておるという状況でございます。  なおこれに関連いたしまして、例の二十九条の調整命令問題でございますが、これの現在までに出ておりますのが、昨年の五月でありましたか、タオル製造業設備制限命令マッチ製造業に対する設備制限命令マッチ製造業に対する出荷制限命令、この二つでございましたが、昨年の秋になりまして、綿スフ織物製造業設備制限命令輸出向け絹人絹織物製造業設備制限命令発動になりまして、実施されております。さらにこの四月でございましたか、毛織物製造業に対する設備制限命令輸出向け絹人絹織物染色整理業に対する出荷制限命令が出ました。すなわち業種におきましては六業種でございました。そのうちタオル綿スフ織物輸出向け絹人絹織物毛織物業に対しまして設備制限命令が出ておるわけであります。出荷制限につきましては、今申し上げましたようにマッチ製造業輸出向け染色整理製造業というふうに相なっております。その後現在までにさらに生産制限命令要請があったものが二、三ございますが、目下特に強く要望して参っておりますのがタオル製造業に対する生産制限命令要請であり、さらに綿スフ織物製造業についての生産数量制限命令でございますが、これについては目下検討を加えておるというふうな状況でございます。
  4. 永井勝次郎

  5. 佐々木彰一

    佐々木説明員 二十九条の発動経過について申し上げますと、昨年の四月にタオル関係につきましては設備制限命令を出しております。それでタオル設備制限内容でございますが、これは一定のタオル業者の持っております設備政府登録するという形でございまして、それに使用制限がついております。現在大体約四〇%程度封緘が事実上行われておるという状況でございます。それから綿スフ織物につきましては、昨年二月の二十九条二項の命令が出まして、その内容といたしましては、設備の新増設禁止、それから技術上の問題といたしまして、調整規程で十二%の封緘をしておりました。現在この封緘十分目的を達しているかいないか、その点につきましてわれわれの方でも検討しておる最中でございます。なおそのほかに輸出向け絹人絹機械染色等につきましてもそれぞれ昨年から本年にわたって命令が出ております。
  6. 永井勝次郎

    永井委員長 なおただいまの説明に対してさらに詳しく内容にわたって説明があるそうであります。秋山振興部長
  7. 秋山武夫

    秋山政府委員 過去の二十九条を中心といたします中小企業安定法運用経過につきましては、ただいま中小企業庁長官並びに佐々木緘政課長から概略を申し上げましたが、数字的に少しこまかい点を申し上げてみたいと思います。  現在安定法が対象にしておりますのな、内容から見まけと結局緘維関係中心でございまして、緘維以外でやっておりますのはマッチであることは先ほど説明のあった通りでございます。マッチの方は安定法の二十九条の発動としては最初タオルとともに取り上げられたのでございますが、実は価格面から申しますと、これはやや皮肉でございますが、一昨年の十一月二十九条が発動せられますと同時に、実は従前よりもさらに値下り傾向を示してきた。これは需要の時期的関係に基くものでございまして、まことに妙な話でございますが、マッチは夏場が需要期で、冬場は不需要期でございます。二十九条が発動されましたのがたまたま二十八年の十一月でございましたので、不需要期に向いつつあったわけでございます。そんな関係もありまして、二十九条が発動されましても、ただちにそれが価格面効果を現わすということに参りませんで、むしろ値下り傾向を示したという実績になっております。ただこの際特に私ども注目いたしました点は、製品価格においては若干の値下り傾向にあったにもかかわらず、マッチ業界自体としては安定の効果が著しく見られた。年を越しまして、二十九年に入りましてあのデフレの激しい時期でございましたが、マッチ業界としてはそれほど激しい苦境という状態にむしろ陥らずに済んだのではないかと見られるのでございます。これはあとから考えてみますと、実はこういう設備制限あるいは組合の塔行いたします調整証紙を張らせることによりまして生産数量ははっきり把握できた、同時にこれは御承知通り消費税がかかっておる、そういう関係で割合数量の把握もしっかりできたという点もございまして、金融機関が何よりも非常に安心感を得た。そのためにあれだけの金融引き締めの時期でありましたにもかかわらず、マッチのメーカーに対しましては従来とあまり差のない態度で臨んできておった。これが現在もそのまま大体維持されておるようでございまして、そういう意味では安定法が考えました主として生産数量あるいは価格面における安定ということは、必ずしもその通り目的を達しておりませんが、それらの間接的な効果として事業に必要な金がある程度比較的円滑に融資を受けられておる。これがマッチ業界安定法適用を受け、二十九条が発動せられました、まず目につきまする効果ではなかったかと考えておる次第でございます。  次に、繊維関係につきまして二、三申し上げますが、まず綿スフでございます。綿スフ関係は、日本繊維業界におきましても、中小企業問題としては中心をなしておる業界でございまして、常に非常にむずかしい問題が次々と起っておる業界でございますが、またこういう中小企業安定法、かつての特定中小企業の安定に関する臨時措置法という、当初議員提案せられました法案でございますが、実はそれらの動機をなしたのも、一つはこの綿スフ業界あたりにおける非常な価格の不安定、生産変動というようなことであったかと考えられるのでございます。こういうような事情で、実は綿スフにも早くから安定法、特に二十九条の発動問題があったわけでございますが、何しろ業界のメンバーの数が非常に多い。本年の三月末で見ましても、事実は調整組合として相当発達した状態においてでございますが、なおかつ組合員一万五千五百名余りに対しまして、非組合員が千三百名、一割足らずではございますが、あるという状態でございます。三月末の登録織機数台で申しますと、三十三万七千台余り組合員所属織機に対しまして、約一万五千台の非組合員アウトサイダー所属織機があるというような状況でございます。組合内部をまとめるということに相当手間がかかります。同時に安定法運用自体問題といたしましても、こういう多数の業者を相手にするわけでございますから、非常にあとの取締りといいますか、効果を確保する手段において工夫を要し、検討を続けざるを得なかったというような事情から、問題が非常に延び延びになっておったわけでございますが、昨年の十一月になりまして、どうしてもこれは発動せざるを得ないということで、二十九条による設備制限命令発動せられました。当時はもとよりアウトサイダーが、先刻申し上げました現在の数よりもばるかに多かったのでございます。二十九条が出てようやく調整事業も軌道に乗ったというふうに考えられるのでございます。  なお実は綿スフ関係におきましては、綿スフ調連に属する、あるいはそれに加入する資格のある綿スフの織布業者として、紡績兼営の織布工場というむずかしい問題がございます。総台数で申しますと、登録織機約四十三万台に対しまして、七万六千台ほどが別に紡績所有織機として存在しており、これは相当能率のいい機械でございまして、一台当り生産量から申しますと、一般組合員のレベルよりはるかに生産数量等も高いわけでございます。そういう意味で、実はこれら紡績兼営織布業の存在というものが、綿スフ調整事業に対してもう一つのむずかしい要素をなしているわけでございます。幸い昨年の秋に至りまして、紡績との間の話し合いが円満にまとまりまして、非公式ながら公正取引委員会の方もある程度同調する空気を示してくれましたので、通産省といたしまして、公式に紡績に対して、織布業者の相談に協力してやってもらいたいという意味勧告をいたしまして、当時は比較的円満にスタートいたしたわけでございますが、ただ現在として考えてみますと、当時の空気必ずしもそのままうまくいっておるとも申しかねるのでございます。最近綿業関係の非常な不況が急速に迫って参りました関係から、これは紡績業者のみの責任ではもちろんございませんが、紡績自体の、あるいはそれに関連する兼営織布について、また事業の機屋の関係において、第二回目の非常にむずかしい時期に差しかかっておるというのが現在の状況でございます。現在の綿スフ関係におきましてはごく少し、すなわち織機十台未満の、基礎工場と申しておりますが、適用外のものを除きまして、織機台数の一割二分に対しまして封緘をする、中間的にはいろいろ休日制その他の手段も講じましたが、現状におきましては封緘制中心にいたしまして、総台数の一割二部を封緘するというやり方をやっております。しかしながら、実際はこれではまだ生産数量調整には必ずしも的確な効果を上げ得ない、ことに従来のような一律の制限ではなかなか実効を上げることがむずかしいということがだんだんわかって参りまして、最近ではむしろもう少しこまかく特殊の品種ごと制限をすべきではないか、たとえばベッチン、コールテンというようなものについて、一応現在議題に上っておりますのは、三割制限という案が出ております。その程度のある種の強化された制限実施する必要のある品種もありはしないか。ことに御承知通り、約五十万コリに相当する滞貨をかかえておりますので、紡績の操短ももとよりでございますが、織布面におきましても一層操業短縮実効を上げるような方法を考えなければならないだろうということで、なお現在検討を続けておる次第でございます。  次に綿スフの特殊の形態でございますが、別個の組合を構成いたしておりますタオル問題がございます。先ほど緘政課長からも簡単に申し上げましたが、タオルは実は二十九条の関係といたしましては最初発動を見たのでありまして、二十九年の四月から二十九条の設備制限命令適用を受けております。同時に組合自体といたしましては、組合員のみの間において生産数量制限をやり、二十九年四月以来ずっと実施をいたして来ております。最近の実施面におきましては、設備制限は法的に二十九条によって行われておるわけでございますが、その以外のインサイダーだけの関係で申し上げますと、生産数量につきましては、封緘されていない織機一台当り月間二百七十二ポンドという基準数量をきめまして生産制限実施いたしております。それから織機稼動制限といたしましては、七台を控除いたしまして、七台未満のものにつきましては適用外ということにいたしまして、残りの四〇%を封織するというようなやり方をいたしております。もっともこれには輸出実績を加味いたしまして、輸出面に阻害を起しませんように、一部緩和の措置を講じてございますが、原則としては四割を封織するというやり方をいたしておる次第であります。実はタオル関係におきましては、大体生産中心地は量的には大阪地区でございますが、あと四国今治付近、同時に三重県の北の方、この三地区タオル中心でございますが、ことに三重県の北勢地域というところは、非常に業界の団結も強固でございまして、いち早く織機のたな上げ、すなわち組合が中金の応援を得まして、遊休織機を買い上げてしまうというようなことで、かなり実効のある設備制限実施いたしておるわけでございます。他の地域もおいおいこれにならいまして、現在そういう面の準備を進めておるわけでございます。実はやや不需要期不況がただいまに延びて参りまして、最近ことに内需関係から生産自体についての二十九条の発動要望というものがかなり強く提起せられております。先ほど申し上げました一台当り二百七十二ポンドという月間生産割当というものは、現状から見ますと、なおやや甘いのですが、その程度では生産数量を適量にとどめるためにはいささか不足でございまして、もう少しこれを圧縮すべきではないか。ところがこれをあまり強く圧縮しようといたしますと、とかく組合からの脱落者が出そうだということで、二十九条の要望相当強くなってきておるわけでございます。輸出面問題あるいは直接消費者に与える問題一般のすぐ需要いたします製品でございますから、そういう面も相当考慮に入れなければならぬであろうと考えておるのでありますが、業界実情から見ますと、まずこの業界ならば、従来の経過なりあるいは組合の熱意なりから見まして、生産数量についてもある程度考慮していい時期に到達しておるかというふうにわれわれも見ておる次第でございます。なお最終的決断を下すに至っておらないという状況でございます。  次に絹、人絹関係でございますが、絹、人絹におきましては、綿、スフと同時に、すなわち二十九年十一月に二十九条の設備制限命令発動せられました。本年の四月末におきまして、織機登録台数が十三万台余、そのうち組合員に所属いたしますものが十二万五千台、非組合員に属しますものが四千七百台という数字になっておりまして、まず設備関係調整といたしましては、おおむね目的を達しまして、アウトサイダーの数も非常に少くなっておりますし、またこれには綿と違いまして、紡績業者というようなむずかしい問題もございませんで、一応設備関係におきましては安定をしていると見てよろしいかと存じます。しかしながらこれまたそのままの状態こ置きましては、生産過剰は明らかでございますので、内部的にはやほり設備封印といいますか、休機実施いたしております。大体登録織機の二割を目標といたしまして封印をいたします。同時に最近やはり全体的に生産数量の圧縮を行いますために、絹、人絹とも過去一カ年、すなわち二十八年十月から二十九年九月に至ります過去一カ年の各企業実績生産数量を押える。この時期が大体あまり過剰設備もそう激しくなく、およそ安定しておった時期ということで、その程度まで生産を圧縮するということを、調整組合内部の申し合せによりまして実施をいたしております。絹、人絹関係、ことに人絹でございますが、一時非常な不況に見舞われましたが、最近は輸出関係等から若干持ち直した傾向を見せて参りまして、ただいま綿と比較いたしますと、どうやら化繊関係、絹、人絹関係の方は一応手を放しておけるという状況にあろうかと見ておる次第でございます。  次に毛の関係でございますが、実は綿あるいは絹、人絹あたりが、安定法問題操業短縮というようなことで非常な窮境に陥っておりました当初の時期におきましては、毛の関係におきましては、必ずしもそうまで激しくなかったように見受けられます。かつては御承知通りフラノ旋風でありますとかいうような、あるいは集中的過剰生産と申しますか、そういうような激しい不況状況に見舞われておったわけでございますが、ここ一両年のところ、それほど激しい変動もございません。いずれかといえば、およそ安定した状態にあったかと考えられたのでございます、ただこれは私どもの推測でございますが、おそらく綿関係スフを含めた調整行為に出たということが、一つ動機と毛なったかと考えられるのでございますが、毛の関係におきましても、少くとも設備だけは今後あまり急激に増加することは、またほかの業種の二の舞を演ずるおそれがあるというようなことで、だんだん業界内部も固まって参りまして、調整組合も結成せられましたし、やはり日本の実態から見て、設備制限自体実施した方がよろしい。公平に今後過剰織機を押えて、内部的に近代化なり合理化なりの処置をとる方が将来の業界のためにもよかろうということで、本年の五月に二十九条による設備制限命令発動いたしました。現在織機登録を進めておるところでございます。過去におきまして生産制限意見相当ございまして、個個の組合におきましては内部的に実施されたところもあったのでございますが、調整組合連合会といたしましては、現在二十八年十月から二十九年九月、すなわち先ほど絹、人絹のところで申し上げましたのとちょうど同じ期間になりまするが、実績のとれまする過去一年の期間をとりまして、それの平均運転率、これは各業者のデータでございますが、その当時申し合せである程度制限をいたしておりましたので、その当時の平均運転率を越えて運転しないという申し合せをいたしました。現在比較的順調にこの方は進行をしておるというふうに見受けております。  最後に輸出向けの絹、人絹織物染色加工関係でございます。御承知のように染色加工業と厚しますのほ大部分が委託加工の形式をとっておりまして、しかも主として商社の委託を受けるわけでございますので、輸出の好不況によりまして非常に安定性を欠いておる状態でございます。ことにこの業界は、小さいものはもちろん染色設備が一台しかないというようなものが多数ございますので、設備制限をすることの不可能な業態でございます。従いましてこの業界におきましては、他の業界と異なりまして、設備制限実施いたしませんで、引き渡しの制限という形で二十九条を発動いたしております。今年の四月にこれを実施いたしました。毎期ごと輸出業者関連業者等も協議いたしまして、毎期の売り渡し総数量をきめまして、それを各業者実績に応じて割り当てるというようなやり方をいたしております。ただこの組合一つおもしろいやり方をいたしておりますのは、実情にできるだけ合せるという意味でございますが、もしみずから与えられた加工ワクを使う必要がない場合には、これを組合に申し出まして、ワクを供出する。それを他の受注量の多い希望者に再割当をするというようなやり方をいたしまして、そのかわりワクをもらいっぽなしで、しかも自分でも受注してそれをこなすということまでしないで、そのままほっておきますと、次にはその実績を減らされるというような罰則がついておりますから、総数量をあまりふやさないで、しかも各業者間の受注量をできるだけ実情に合わせ、しかもある特定業者に片寄っていかないようにというような、いろいろの工夫を加えまして実施しておるわけであります。四月から二十九条が出ましたばかりでございまして、実績のほどは確実にはつかめておりませんが、過去にそういうやり方もある期間やってきておりますから、アウトサイダーがこれによって同調いたしますならば、当分これでいけるのではないか。ただ私どもの目から見ますると、やはり現在の制限量が若干甘過ぎるのではないか、もう少し締めた方がお互いのためにいいのではないかという気もいたさないでもないのでございますが、輸出業者等との関係から見ますと、必ずしも急速に大幅削減をするということも困難な事情もございまして、海外の状況等をもにらみ合せつつ、できるだけ引き締めていくという態度で指導していけばいいのではないかと思う次第でございます。  現在二十九条の関係を持っておりまするおもなる業界につきまして概略の御説明を申し上げた次第であります。
  8. 永井勝次郎

    永井委員長 以上で説明は終りました。この際小委員外商工委員の方々の御発言も随時許すことといたしたいと存じますので、御了承を願います。  質疑の申し出がありますから、これを許します。阿左美委員
  9. 阿左美廣治

    阿左美小委員 この安定法は当初中小企業繊維安定法というような名において議員提案で作った法律でありまして、その後いろいろ業種を追加したのでありますが、繊維関係にはことに必要があるのでございまして、この輸出におきましては、現在二十九条の発動以来非常に成績を上げております。福井、石川方面輸出はむしろ二十九条の発動によって設備制限をしたので順調に進んでおります。このことは二十九条の発動のおかけだというふうに業者は言うております。しかし今後非常に研究しなければならぬということは、ただいま秋山部長からも申された通り紡績会社一貫的兼業でございまして、現在では紡績界不況でございますから、生産の上におきましても、また調整もとれておりますけれども、一旦業界がこの二十九条の発動によりまして生産制限も完全にできた、すべてが順調であるということになると、再びこれが相当生産を上げてくるだろう。そういう場合には、せっかく業界が安定いたしましたのに、紡績会社一貫作業によってこれをくずされることが今後起るのではないかということを心配しておるわけであります。これに対して何らかの手を打つ必要があるのじゃないか、現在ならば相当紡績会社の方でも考えておるようでございまして、過日繊維会館国会側業者側懇談会をいたしましたときにも、いろいろの意見が出たようでありますが、紡績会社も現在といたしましては相当困っておる。そういうときにいろいろ話し合いをつけておくのがいいのじゃないか、現在では相当話し合いがつくのじゃないか、こう考えておりますから、こういう点に対して御考慮を願いたいと思うのでございます。何と申しましても、生産制限ということが最も必要でございまして、結局設備制限製品調整にあるのでございまして、設備だけを制限いたしましても、生産の調節ができなかったならば、これは何にもならぬことになるのでございまして、何と申しましても、生産消費のバランスが合わなければやはり糸価の安定ということはでき得ないのでございますから、いたずらに過剰生産をするということは防がなければならぬのでありまして、そこにどうしても調整組合以外のアウトサイダーというものがあって非常な障害をなしますので、これを何とかもう一段の工夫をして取り締る方法考慮する必要があるのじゃないか、こういうように考えます。現在は非常に不況でございまして、各自が自発的に調整をしてもらいたいというような時期でございますから、格別のこともないと思いますが、しかし調整の結果非常に順調になってくると、やはりアウトサイダーというものが非常に障害をしてくることになると思いますから、今のうちに何らかの処置を講ずるような道を御研究願う必要があるのではないか、こういうように考えます。  それからもう一つは、過日も業者国会側といろいろ協議をした際にも意見が出ましたが、現在の中小企業は非常に資金に行き詰まっておる、確かに調整したいし、それに従わなければならぬのであるが、現在の日常の経済の事情からして、承知しながら赤字経済をやっておるのだ、出血販売をしておるのだというようなことから、何らかの、調整をする場合に資金を出してもらうことができないかということは、この間業者からも強い要望があったのであります。私どもはそういうことが実際に必要である、当初もやはり調整上の資金の裏づけはしていただきたい、そういう経済的の処置をとってもらいたい、予算的に何らか考えてもらいたいということは要望いたしたのでございますが、これはいれられないことになったのでございます。何と申しましても一つの統制に近い、いわゆる調整をするということになりますと、そこに多少無理とか強制とかいうものがなかったらば、これを実行することは困難だと思うのでありまして、こういうような点に対しましては、何らかの経済処置をとる必要がある。また業者から、過日も非常な強い要望タオル組合あたりから出ております。またすべての綿、スフ組合あたりからもそういうような要望が出ております。これに対して何らかお考えをしていただきたいと思いますが、こういうことに対しましていかに御研究なさっておるか、またそういうことが必要であるということをお認めになっておるか、ぜひお伺いをいたしたいと思います。  それから内地向け絹、人絹調整でございますが、これはまことにむずかしいのでありまして、輸出というような一定の品種がきまっておるものでありますと、その調整も容易であるのでございますけれども、これがいろいろ種類の多い内地向けでありまして、帯もありますし、絹もある、人絹まぜ織もあるというような、種々の種類がありますと、一方のものは現在でも非常に売れておるとか、必要であるとかいうことで、一方のものは非常な不況であって、それは過剰生産になっておる、こういうものを同時に二十九条において調整をしようということはなかなかむずかしいのであります。こういうことに対しては、もう少しこまかく考える必要があるのじゃないか。結局ただ織機を何割封織するとか、何割の調整をするとかいうことだけではこれは不完全ではないか。こういうことは最後はどうしても原糸の割当というようなことも考える必要があると思いますが、そこが非常にむずかしいのでありまして、それでは統制になるではないかということになりますれば、公取の関係も生まれてくると思うのでありますが、これも自主的にその調整組合に原糸をある程度割り当てて、それを自主的に原糸を割り当てるというようなことを考えなかったならば、ただ何割の生産制限とか、織機を何台封緘するとかいうことだけでは所期の目的を達することはでき得ないと思いますが、こういうようなことができるか、またそういうようなお考えがありますか、一つお伺いをいたしたいと思います。
  10. 記内角一

    記内政府委員 紡績兼営の織布の問題でございますが、われわれもその点何らかの調整をしなければならぬということで、綿紡績設備制限をやります際にも、強制命令が出ましたので当然それに従わせておるわけでございますし、さらに綿スフ織物調整組合がいわゆる調整規程によりまして、自主的に生産制限一割二分をやります際にも、紡績業者に対して兼営織布部門の同調方を要請したわけであります。最近になりまして紡績工場の綿紡績の綿糸の操短という問題が起きました際にも、単に綿糸だけでなくて、当然それに付随しておりまする兼営織布工場も綿糸と同様に生産制限をすべきであるということで、繊維局長の操短勧告におきましても単に糸ばかりでありませんで、織物工場自体の操短も勧告いたしておるわけであります。おそらくその結果は相当効果を上げてきておるものというふうに——少くとも勧告程度におきましては効果を上げてきておるものというふうに見ておるわけでございますが、今後さらにこれをどの程度調整して参るか、また綿糸操短は勧告を取りやめにいたします際にどういう手を打って参るか、こういう点については慎重に検討して参りたいというふうに考えておる次第でございます。  第二点の操短資金の問題は、もちろんわれわれ、その必要もあろうかと考えるわけでございます。たとえばタオル設備制限にからみましてその裏づけとなる、さらに進んで四割の設備封緘、これによりまする生産調整ということを実施いたしました際におきましてやほり相当程度の資金を必要といたしたのでございますが、そういうふうな効果の上がるということの見通しがつきました結果と思いますが、金融機関相当積極的にこれに協力いたしまして、先ほど振興部長から説明申し上げました三重県の北部の組合については、すでに資金も出ておりまするし、設備の買い上げというふうなことも完了しております。大阪地区におきましても相当の資金も出、愛媛県の方面も最近一部はすでに出ておるというふうな状況に相なっております。綿紡操短等にからみましてそういうふうな要望も出ておるわけであります。もちろんこれは一律に考うべきものでなくて、何と申しますかケース・バイ・ケースに検討することも必要であろうと思いますが、われわれといたしましては、必要に応じましてできるだけの措置を講じて参りたいというふうに考えております。  最後に内地向け絹、人絹織物について原糸の割当はどうかというふうなお話でございますが、内地の需要自体が全体的にはっきりいたしませんばかりでありませんで、織物相互の間において、ときどきによりまして需給が変化いたして参ります。同じ内地物でありましても、甲の地域では相当忙しい注文が殺到し、需要が旺盛であるにかかわらず、一部の面においては注文がとだえるというようなことがとかく起りがちになって参ります。そういう際に全面的に原糸の割当ということもいかがかと思うわけでございまするし、それかといって、一部の需要下振の地方についてのみ原糸の割当をするというふうなことも、これまた原糸全体を自由にしておいて一部の面だけを割当にするというようなことも、実際上扱いかねる面もございまして、相当むずかしい問題ではないか。建前論として原糸の割当をするがいいかどうかという議論もございましょうが、具体的な実際問題といたしまして、果してこれが実行できるかどうかということも問題になろうかと思うのであります。しかしながら御指摘の通り、各産地々々によりまして需給が相当アンバランスに現われてくる現象が非常に多いのでございます。そういう際の具体的な扱いにつきましてほ、原糸の割当とは別途に何らかの措置を講じてみたいというふうに考えておるような次第でございます。
  11. 阿左美廣治

    阿左美小委員 大阪方面にも一部設備の買い上げをする資金が出ておる、またその調整に対する資金が出ておるというようなただいまのお話でございますが、それはどういう方法においてどういう金額が出ておりますか。私まだそういう話は聞いておらないのであります。
  12. 記内角一

    記内政府委員 三重県の場合におきましては、一部の業者はすでにいや気がさして廃業したいというふうな向きもあるのを利用いたしまして、一種の集中生産をいたして企業整備のような格好が一部の人の廃業をしていただきまして、その分に対する買い上げ資金を供給するというふうなことも実施いたしております。大阪地区におきましては、十ないし十四、五の業者相互に集まりまして、設備のたな上げに際しまして、同じ四割たな上げするにいたしましても、優秀機械のところだけを残して、老朽織機をたな上げする、その間にある種の共同計算をするというふうな格好の手を打って参りました。それらに必要な資金を供給いたしましてそれの円滑を期し、同時にそれらの貧金が運転資金——どうせたな上げになって参りますれば、その分の資金は必要でなくなって参りますので、それらを長期の運転資金として活用するというふうなことを実施いたしておるわけであります。愛媛県におきましても一部そういう計画が実施になりまして、なお引き続きその種の金融もつく予定で目下各般の準備が進められておる次第でございます。
  13. 阿左美廣治

    阿左美小委員 その資金は業者自体が出しておるのですか、それとも別途の方法において政府が出しておるのですか。
  14. 記内角一

    記内政府委員 商工中金を利用しまして、商工中金自身の資金、一部におきましては中小企業金融公庫の資金を使っておる次第でございます。
  15. 阿左美廣治

    阿左美小委員 了解いたしました。先ほど私が紡績会社に対する何らかの御研究を願いたい、こういうふうにお願いをいたしましたことに対しまして、現在でも勧告をやっておるのだ、今後におきましてもそういう方針でいきたいというような長官のお考えでありますが、どうも私は勧告程度では——現在では多少の効果があるかもしれませんが、二十九条の発動によりまして生産制限も順調に行われまして、業界が軌道に乗ったということになりますと、勧告ではきかないと思います。何らかのもう少し強い行政措置を講じていただきませんと、結局紡績会社は勝手なことをやるのじゃないか、こういうふうに心配するのでございます。一つこれは御研究を願いたいと思います。大体におきまして現在の二十九条の発動ということは業界でも非常に喜んでおります。これは今後もう少し簡単に発動のでき得るようにお願いをいたさねばなりません。どうも業界から申請をいたしましても、非常に時間がかかる。時間がかかりますといろいろ時期的に考えまして、悪かった時期は調整ができなくて、多少立て直ったときに二十九条の発動認可があったというようなこともあるのでございますから、申請をいたしましたならば、即時に許可いたされるように、手続の上におきましても、もう少し簡素化する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますので、こういう点に対しましても一段の御考慮を願いたいと思うのであります。
  16. 記内角一

    記内政府委員 今まで二十九条の命令は、初めての適用でありますし、いろいろむずかしい条件等も考え合せましたので、若干日時を要したことを遺憾としておるわけでございますが、これも全体的な雰囲気と申しますか、空気と申しますか、この辺も考慮しなければならぬと思うのであります。なおわれわれといたしましては、発動の準備中には不景気であったが、発動するころになると立て直るというような面に対しては、むしろ発動してはならないのじゃないかというふうにも考えられる向きもあると思いますが、なおそれらの点をよく考慮いたしまして、できるだけ実情に沿うように運用をして参りたいというように考える次第であります。
  17. 阿左美廣治

    阿左美小委員 よろしゅうございます。
  18. 永井勝次郎

    永井委員長 加藤清二君。
  19. 加藤清二

    ○加藤清二君 私もこの際二、三御質問をしてみたいと存じます。御承知通り繊維業界の不振というものは戦後初めてのことでございまして、この際繊維業界としては大いに転換期に立たされている。そこで政府としてはぜひこれに適応したところの手を打っていただかないと、悔いを千載に残す。この空気業界一般のみならず、ジャーナリストの方々もこの点非常に留意されております関係上、繊維業界の不振に対する対策が新聞に出ない日はないほど注目されていることでございますが、これについてほただ単に生産設備制限ということだけではとうていこの苦境を打開することはできないと思うのです。こうなってきた原因を要約してみますと、第一は輸出不振である。第二は供給過剰である。輸出不振と国内消費市場の不振から供給過剰になってきた。それにかてて加えて先行きが不安である。もう一つは機場の方の苦境の原因は、前々からそうでございますが、原料高の製品安、こういう悪材料が札重なって生じてきている。これを一言にして言えば、過去の施策が行き当りばったりだ、その場主義こうやく的な薬は盛られたけれども、ペニシリン的な薬は盛られたことがなかった、こういうことが今日の苦境を来たしたことだと存じます。そこでこの苦境を打開するには、どうしても総合的な施策をこの際立てなければならないと存じまするが、この問題はあす大臣が出られるそうでございまするので、その席で承わることにいたしまして、きょうこの委員会では、主として二十九条の発動、つまり消極的な施策であるところの設備制限、この問題中心のようでございまするので、その点について二、三お尋ねしてみたいと存じます。  先ほど同僚議員が言われたことでございまするが、二十九条の発動は供給過剰を救う一つのいい手として打たれたのでございまするけれども、すでに綿においては半年、タオルにおいては一年にもなんなんとしておりまするが、果して綿の方においてどのような効果が上ったか、私が調査し、わが党の政策審議会が調べたところによりますると、遺憾ながらその効果は十分見るべきものがない。その原因の一つが、ただいま同僚議員のおっしゃいましたアウトサイダー、特に紡績の兼営織機と申しますか、通常自家用機と申しておりますが、これが二十九条の発動が、綿調連には行われたけれども、これは向う岸の火事だとして依然として反省をせずに仕事を続けていたではないか、こう思われる節がたくさんありまするが、ただいまの御説明によりますると、最近に至って紡績の操短勧告と同時にこれを行なったということでございまするが、果して機場にもこれを及ぼされたのでありますか、ありませんか。もし及ぼしたとすゑならば、それは機械数量制限でございまするか、稼働時間の制限勧告でございまするか。私は思うのにこの紡績の自家用機をとめるということ、制限するということの必要性は、先ほどの議員と同じように考えております。がしかし容易のわざでないということも承知しておりまするけれども、やってやれないことはないと思います。私案を申し上げてみまするならば、紡績に対する外貨割当の実権は、自由とはいうものの、今日政府、通産省当局が握っていらっしゃるはずでございます。またこの紡績が外へ売り出した売り糸の数量も調べればすぐわかることでございます。従いまして自家用機にどれだけの糸を使ったかということはすぐにこれはそろばんがはじけるはずに相なっております。そこでこの点を将来はっきりさせて、ちょうど外貨割当と同じように、これこれの糸しか自家用機に使うことは相ならぬとやれば、つまり設備制限でなくて材料の面で押えれば、押えるのにさほど困難はないと存じますが、そのようなことはやる意思があるかないか、きのうこのことを繊維局長に、こういう姿ではなくして別な面から承わりましたところ、確答を得ることはできませんでしたので、きょうお答えがなければ、私はあすの大臣に対する質問では必ずこの点をはっきり答えていただこうと存じております。なぜかならば、このことをはっきりさせることがいわゆる供給過剰ということを打開する根本の策だと考えるからでございます。  第二には、せっかく二十九条が発動されても、この効果が上らないという理由の他の一面に、綿調連、スフ連そのもの自体の中にその原因が包含されていると存じます。その理由は、いよいよ二十九条が発動されるということが話題に上ってから、発動されるまでに相当期間を要しました結果は、資金をまかない得る機場は、その間に、すでに老朽して倉庫にほうり込んであった機械までも生きているものとして、これを登録した結果によるのでございます。つまり幽霊人口を生きたものとして扱った結果は、二割操短、三割操短をして毛、なお稼動している機は以前と変りない、こういう結果が生じているのでございます。  もう一つは交代制の問題でございまするが、そのような機械数量の操作ができなかったところは稼動時間によって操作をした形跡は十分に認められるのでございます。すなわち今まで十六時間二交代制であったところが、九時間二交代制、十時間二交代制をとった。これを労働組合の方からとやかく言われたところは、三交代制にして、すなわち一台の織機の一日の稼動時間をふやしているということがございますのですが、一例がこうなのです。このようなことは、やがてせっかく供給過剰を緩和しようとして行いました二十九条の効果をして大きく削減させている、こういう結果が生じておるようでございます。この点でありますが、振興部長さんが一律の効果を上げることができなかったといみじくもおっしゃっていらっしゃるところでございまするが、一律の効果を上げることは業界もまた本省も望んでいらっしゃることでございましょうし、すでにこの発動効果が表われているというお話もございましたので、一律の効果を上げるために今後一体どのような措置をとられようとしておりますのか。一部綿機では、今までのようなことではとうていできないから、封緘制度をしてもらいたい、いや、もっと行こうものならば、老朽設備封緘すると同時に、これを政府機関で買い上げてもらいたい、こういう切なる自粛の希望もあるようでございまするが、政府はこれに対して一体どのようにお考えに相なっておりましょうか。このことは機場には行われておりませんが、同じように不況をかこっております石炭業界には、すでに立法措置として、このたび、この買上制度と、残ったものに対して政府の恵みの手を施すという施策が考えられているようでございます。こういうことを、この同じように不況にあえいで、倒産一歩手前の業界に対して施す施策がありやなきや。施す気がありますかありませんかをまずお尋ねしたいのでございます。
  20. 記内角一

    記内政府委員 お断り申し上げておきますが、綿スフ織物について二十九条の命令を出しておりますのは、設備制限問題だけであります。設備をこれ以上新設してはならない、増設してはならないということでございまして、生産制限自体は二十九条の命令ではございませんで、調整組合によります自主的な制度によって、これを自主的に押えていこうということであります。  従いまして、まず最初にお話のございました綿紡績の兼営部門について二十九条が適用になっておらないような御意見でございましたが、綿紡績といえども織布設備を新設、増設することは二十九条命令によってできないことに相なっておりまして、その限りにおいては、適用に相なっておるわけでございます。ただ、これとうらはらをなしまして、綿スフ織物調整組合が、先ほど申し上げましたように自主的に一割二分の操短を実施しておるわけでございますが、その際にこれに同調するようにということを、昨年の暮れ調整命令が出て、操短制限調整規程認可をいたしました際に、綿紡績に対して勧告をいたしておるわけであります。なお、この四月でございましたか、綿糸の操短を実施いたします際には、先ほど申しましたように単に綿糸ばかりではなくて、綿織物の工場部門も一割二分の操短、もしくは三日以上休業するようにという通牒をあわせて勧告いたしておるわけであります。最近の実績はまだわかりませんけれども、すでに綿糸についてはある程度効果を上げておりますので、同様に同じく兼営部門であります織布部門についても効果を上げておるものと期待をいたしておる次第でございます。  自家用糸の使用を制限する、これを何か強制するという意思があるかどうかというお話でございましたが、操短自身は、今申し上げましたように自主的制限の形に相なっております。従いまして、このままではこれを制限することはできないわけでございます。従いまして、今度は何らかの法的措置によらなければ自家用糸の使用制限までは行い得ないのではないかというふうに考えますが、その際におきましては、現在のところそういう法的な根拠はございませんで、安定法によりましても、安定法で縛り得るのは織布業者あるいは織布部門だけでございまして、自家用糸の使用制限ということはちょっと扱いかねるのではないかというふうに考えます。なお、先ほど申し上げましたように、織布部門の操短ということによってこれの効果を上げて参りたいというふうに考えております。  最後に、老朽施設の買い上げの意向はないかということでございましたが、われわれは目下その意思を持っておりません。
  21. 加藤清二

    ○加藤清二君 一律の効果を上げるために打つ手があるかないか。
  22. 記内角一

    記内政府委員 なお、一律の効果を上げるために、何らかの措置を講ずべきじゃないかという御意見でございましたが、御承知通り同じ綿スフ織物と申しましても、非常に品種の差がございます。たとえば広幅織物、小幅織物、先染め織物、かすり、別珍、コールテンというふうな、各種のバラエティがございます。われわれといたしましては、綿スフ調整組合連合会自身におきましても、すでにかすりについては五割の操短とか、別珍、コールテンについては三割の操短とかいうようなことを考えて実施いたしておりますが、大体そういうふうな品種別の操短というようなことをまず最初に取り上げるべきであって、一般的な広幅織物と申しますか、生地綿布等につきましては、さらに相当困難な問題がいろいろ伏在いたしておりますので、これはこれとしてさらに検討を加える。同じ綿スフ織物にいたしましても、ちょっとまとまりを持ちましたところの、たとえばタオル織物は別個に扱ってございますが、調整組合まで別個にするかどうかは別問題といたしましても、そういうふうなまとまりやすいところから手をつけていくというふうなことで、漸次効果を上げていくべきじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  23. 加藤清二

    ○加藤清二君 二十九条の発動にからみまして、機場の方はそれで済むといたしましても、今までここへ機械を納めておりました機械メーカーが非常な苦境に追い込まれなければならないというわけで、先般、二十九条を発動されまする折に、政府側へも陳情もし、また綿調連その他とも話し合いをいたしました結果、これに対する振興の協議会が各通産局ごとに持たれることに相なったことを記憶しておりまするが、その際の条件と申しましょうか、希望と申しましょうか、その中に、設備をふやさないということについては賛成するが、しかし、作った機械が全然売れなくなるということには賛成しがたい、従って、老朽織機を入れかえるために政府として何らかの融資措置が願いたいという希望があったはずでございまするけれども、この点はその後いかように相なったのでございましょうか。先ほどの御説明の中には、少し筋が違うせいかなかったようでございまするけれども、承わりたいのでございます。  次に、御説明にございました毛織物に対してもやはり二十九条の発動が行われたようでございまするが、この発動をするに当っても、やはり機械メーカーは同じことが言えるわけでございます。特に、同じ織機メーカー会社にして、綿と毛の両方を作っていた会社は、これでもって両方から痛手をこうむりまして、今日二千人ほどいるある会社では、八百人ぐらいが仕事がないために草むしりをやらされているという実例を私は知っております。そこで、絹の織機につきましても、やはり老朽織機を入れかえさせて機場の近代化をはかるための措置話し合いとしておそらく行われたことと存じまするが、それに対して政府はどのような施策を講じていらっしゃいますか。  内地の設備更新と同時に、この点だけは輸出にも触れてみたいと存じまするが、機械輸出につきまして、中小企業庁としてはどのような考えと施策をもって臨んでおられまするか。ときにこの機場の方では、諸外国に優秀な織機を送り出されることは、やがて繊維製品輸出に支障を来たすからというので反対をしておられる向きもあるようでございまするけれども、少くとも織機を買って繊維の自給自足をしたいと考えているところの後進国は、工業化に手をつけるならば、必ずこのような軽工業からまず手をつけるのが理の当然でございまして、ほうっておけば他の国から機械を入れてしまう、こういう結果になるのは火を見るよりも明らかでございます。従ってこの際中小企業庁としても、内需の不振にあえいでいるこの機械メーカーの業界を救うに当りまして、輸出振興をはかるということは一つの救いの手ではないかと考えまするが、これに対してどのような策が施されておりまするか、あわせてお尋ねをいたします。
  24. 記内角一

    記内政府委員 まず機械の取りかえの問題でございまするが、去年一年はどちらかと申しますと、設備制限を控えまして各メーカーが相当増設いたしましたので、織機メーカーとしては近来にない忙しい仕事をしてきたのではないかというふうに見ておるわけでございます。本来から申しますると、あれほど設備過剰が騒がれておりまして、しかも繊維業界相当不況であったわけでございますから、こういうふうなことはむしろ予想されないはずでございます。しかしながら幸か不幸か、設備制限のうわさが立ちますと同時に、この方面に注文が殺到いたしまして、織機メーカーとしてはある意味においては思わざる仕事を得ておったのではないかというふうに考えるわけでございます。従いまして、通常の状態であればあれほどの忙しさ、仕事量にはならなかったろうと考えるのでございますが、しかしいずれにいたしましても、そういう意味におきまして、むしろ設備制限がなされたから急に新設が減ったのではなくて、もともと減るべきものであったのが過渡的にふえておった状態ではないかというふうに考えるのでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、そういう忙しい仕事をして、相当な労務者をかかえて仕事をやっておりましたものが、急激に仕事の減退をするということも、これまた忍びないところでございますので、われわれといたしましては、むしろ一方におきまして設備制限をいたしますと同時に、いわゆる設備の取りかえ、これによりまして設備近代化を促進すべきものというふうに考えまして、関係方面に呼びかけて、それぞれこれの計画的な取りかえを進めさせておるわけでございます。絹、人絹織物等につきましては、すでに相当その計画も進み、相当意欲も燃えております。毛織物についても前々から自動織機その他の近代的なものに取りかえるというふうな動きもございましたが、設備制限実施をいたしますと同時に、そういう動きがさらに強くなっておるようでございます。ただ綿織物につきましては、相当設備もあると同時に、今比較的近代化されたものが多いというふうなところへ持って参りまして、最近のような不況に悩んでおるので、若干その意欲が減退しておるのではないかというふうに憂慮いたしておるわけでございますが、同時に従来のような状態でございますれば、金融機関がむしろ危ながってこれに金を貸すことをほとんどちゅうちょしておったというふうな状況であったかと思うのであります。中には設備制限を目当てにいたしまして、自分の運転資金をつぎ込んで、ここにきて運転資金の枯渇に悩んでおるというふうなうわさをされるところもあるようでございます。しかしこの設備制限が行われ、新設拡張が禁止されまして以来というものは、かえって金融機関方面は安心感を持ちまして、設備の取りかえに対して融資をするという気風も出て参りました。商工中金を初めといたしまして、中小企業金融公庫の資金あたりも相当利用されておる次第でございます。今後われわれさらにこの機運を助長いたしまして、これの融資の促進、また設備近代化というふうに進めて参りたいと思います。幸いに予算面におきましても、当初協同組合設備、共同施設と合せまして三億二千万円の近代化設備資金が計上されておったのでございますが、最近の国会修正によりましてこれが四億二千万円まで、一億の増加を見ました。ある程度これらも活用いたしまして、機械の取りかえ、近代化という方面を推進して参りたいと考えております。  さらに織機自身の輸出につきましても、御案内の通り相当まとまった一つの工場新設というふうなものになりますと、これはいわゆるプラント輸出として、輸出入銀行の資金の援助あるいは輸出貨物に対する所得の控除というふうな各種の恩典がございますので、これらも活用するようにいたしたいと考えますし、またあるいは軽機械のサービス・ステーションというふうなものも東南アジア地区に出て参ることにも相なりましたので、これらあらゆる施策を動員いたしまして、輸出の振興に努力するように、私どものみならず関係部局一致して進んで参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 加藤清二

    ○加藤清二君 最初に誤解があるといけないから申し上げておきますが、おっしゃいます通り、二十九条が発動されるといううわさが立ちましたと同時に、機械メーカーのところに新しい機械の注文が殺到した、これはその通りでございます。だから私は先ほどそれを逆な立場から、幽霊人口までも掘り出してきてそうして設備にかえたのだ、こういうふうに申し上げたわけなんです。ところが、それが注文がふえたから、それで機械メーカーの員数がふえた。ところが今注文がなくなったからそれで減ってきた、こういう意味ではございません。私の言っておるのは、御承知でございましょうが、綿織機に例をとりますと、この綿織機の月生産高は大体二千台から二千百台程度、そのうちの輸出が千二百台で内需が九百台、九百台の内訳は増設が六百台で更新が大体三百台、こういうふうに私押えておるのですが、これはあなたのお手元にも材料が業界から出ているはずであるのでもよく御存じのことと思いますが、大体二千台前後の注文量というものがただいまではぐっと減ってきた、こういうことを私は言うておる。減ってきたおかげで草むしりをやらされなければならない者が出てきた。つまり二十九条の発動を契機にして、一時はふえたけれども、今度は減りようが多過ぎて、平均今まで注文があったよりもぐっと減ってきた、こういうことを申し上げているのであります。そこでこれを機械メーカーの立場に立って考えれば、増設はもうこれでできないのですから、更新のところをふやすか、輸出をふやすかして、相なるべくは今までの二千台程度を保ちたい、こういうことなんです。だから更新の方には政府の方の資金の援助とかいろいろしていただきたいし、それから輸出の方はなお一層輸出振興をはかって、千二百台の輸出がかりに増設分六百台をプラスして、千八百台出ればこれは文句ないわけですが、いずれにしても六百台増設分が減った、その分を何とか内地の更新か輸出に振り向けて、これを消化するようにしてもらいたい、これがこの業界の希望のようでございます。そこでこの点は毛の機でもやはり同じことが言えるということを私は申し上げているわけです。毛の機では、御承知設備をながめてみますと、二十年以上も経過して、すでに減価償却ができ上ってしまったような機械が依然として動いている。その動いている量が、調べてごらんになるとおわかりになるでしょうが、何と八〇%以上ある。ところでこれは何も設備近代化を毛機がいやがっているわけではないのです。先ほどお話のありましたフラノ・ブームが起きたあの時代は、ガチャ万コラ千だったので、われもわれもと焼け跡からひっぱり出してきてまでもふやしたものなんです。ところがその後景気があまりよろしくないので、設備を更新するところへ資金を回すほど余裕がない。原料高の製品安の自転車操業で、材料に支払う手形に追いかけられているというのが現状のようで、ようやく工賃をいただいてかせいでいるくらいのことでございますから、なかなか設備更新とか近代化というようなところまでは手が出ない、これが現状なんです。そこでこの設備を更新させるということは、これはもう繊維業界の無上命令だ。なぜかなれば、内需で純毛品をそんなにたくさん売るなんということは、とうてい考えられない。輸出振興に持っていかなければならない。輸出振興はどうかといえば、すでにことしのはやりなんかを見ていただいてもよくおわかりになります通り、三丁梭を使わなければだめなんです。そうなって参りますと、どうしても新しい、いい機械によって、品質のいい、近代の流行を追うたところの柄、すなわちいい品物を安く出さなければ、とうていこの競争の激しくなった海外市場では太刀打ちができないということなんです。そのためには当然設備の更新ということも一つの仕事としてやらなければならない、こういうことなんです。だからこれに対して政府としてはどういう施策を講ぜられますかということが聞きたかったわけです。
  26. 記内角一

    記内政府委員 毛の方も、先ほど申し上げましたように、綿、スフあるいは絹、人絹織機と同様に、やはり近代化すべき部面がたくさんにあると思います。従いましてすでに業界自身におきましても、いろいろ更新計画を立てておるようでございます。これらに対しまして、商工中金なりあるいは中小企業金融公庫なり、また一般金融機関の資金を動員するというふうなことによって、できるだけすみやかに近代化できるように努力して参りたいというふうに考えております。
  27. 永井勝次郎

    永井委員長 本日の会議はこの程度にとどめます。  次会は追って公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後五時五分散会