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1955-05-28 第22回国会 衆議院 商工委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十八日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席小委員    小委員長 伊藤卯四郎君       鈴木周次郎君    野田 武夫君       内田 常雄君    加藤 精三君       神田  博君    小平 久雄君       櫻井 奎夫君    永井勝次郎君       佐々木良作君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  斎藤 正年君  小委員外出席者         議     員 齋藤 憲三君         議     員 笹本 一雄君         議     員 山手 滿男君         議     員 田中 利勝君         議     員 中崎  敏君         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    荒居 清蔵君         通商産業技官         (工業技術院東         京工業試験所第         一部長)    内田 章五君         通商産業技官         (工業技術院東         京工業試験所第         四部長)    藤崎 辰夫君         通商産業技官         (工業技術院東         京工業試験所第         五部第三課長) 鈴木  篁君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所長)  兼子  勝君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所鉱床部         長)      佐藤 源郎君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所燃料部         長)      金原 均二君         通商産業技官         (工業技術院電         気試験所電子部         長)      和田  弘君         通商産業技官         (工業技術院資         源技術試験所         長)      黒川 真武君         通商産業技官         (工業技術院資         源技術試験所第         一部長)    馬場 有政君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月二十七日  首藤新八君同日委員辞任につき、委員長の指名  で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  総合燃料対策に関する件  地下資源開発に関する件  石油資源開発に関する件     —————————————
  2. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 これより会議を開きます。  通告順によりまして質疑を許すことにいたしたいと思いますが、委員外発言として齋藤憲三君から発言を求められておりますから、これを許します。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 鉱山局長にお尋ねいたしたいのでありますが、今回国内石油資源開発五カ年計画助成金として三億の予算が盛られておる。この三億の金をかりに特殊会社を作りまして政府がこれに出資をするというように予算措置を変える、そうしますと、もしそういう場合を想像いたしまして、この政府出資を中心として十億ないし十数億の特殊会社を作っていくという場合に、従来の地方公共団体その他に対するところ助成金というものはなくなるわけですね。従来は、昨年の一億数千万円の金の中からでも地方公共団体の要求によって、有望地帯に対するところ天然ガスあるいは石油というものに対する助成金があった。今度はこれは特殊会社の中に全部出資金となって振りかえられるというと、そういう政府意思によるところ助成金というものはなくなる。そういたしますと、これはある意味においては非常に不便を感ずるようになる。そこで特殊会社の株式のあり方、これは地方公共団体にも持たせるか、地方公共団体がその株を持って、そしてその株主としての発言権を認めて、そこに天然ガスあるいは石油の試掘をやってもらうのか、それともその特殊会社に対してはペアックの調査に基いて、ここは適当であるからここをやれとか、あるいはここを一本掘ってみろとかいうふうに、国家相当意思命令を行うようにするのか、その辺の御構想について何かございましたならば、お漏らしを願いたいと思います。
  4. 川上為治

    川上政府委員 従来助成金でやっております場合におきましては、今齋藤先生からお話がありましたように、地方公共団体等にも助成金を出していたのでありますが、かりに今回会社ができまして、政府助成金はそれに対しての出資だということになりました場合にどうなるかという問題でありますが、私どもの方としましてはその会社の方からある程度地方公共団体とかあるいはその他の方面に金を出して、従来通りに、従来の助成金を出したと同じような効果が上るようにしたいというふうに考えております。なおその会社に対しまして地方公共団体なりあるいはその他のものが出資をするということはまことにけっこうなことではないかというふうに考えております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 昨年も鉱山局長に対して意見の開陳を行なったのでありますが、現行鉱業法の第三条において、いわゆる鉱物と規定してある法定鉱物の中には、まだ依然としてウラニウムトリウム、あるいはリチウム、その他現在の原子力核分裂物質の目的となるところのいわゆる鉱物法定鉱物として加えられるという立法措置がなされるような気配が見えないのであります。これに対してどういうお考えを持っておられますか、お伺いいたします。
  6. 川上為治

    川上政府委員 昨年から齋藤先生からもこの問題についてだいぶお話がありまして、法定鉱物としてウラニウム等鉱石について研究してもらいたいというお話があったのですが、私の方としましても決してこの問題について怠っておるわけでは。ございませんで、その後再三にわたりまして研究をいたしました。それは例の原子力の打合会、これは通産省の中にありますが、この打合会で何べんもこれは相談をいたしております。それからまた経済審議庁にあります原子力準備会におきましてもやはりこの問題が取り上げられまして、いろいろ検討をいたしました。結局問題としましては、鉱業法法定鉱物ということになりますと、鉱業権という非常に特別な権利を与えまして、そうして他の権利をある程度侵害するなり排撃するなり、そういうような強力な鉱業権を付与するということになりますので、こういう鉱石が経済的に見て、あるいはその他いろいろな角度から見て、そういう権利を与えても差しつかえないというような事態になりませんというと、なかなかそういう特別な鉱業権を設定するということは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えまして、その後地質調査所の方でいろいろ調査を行なっておりますウラン鉱石等調査の状況を見て、私どもの方としましてはそれとからんで、これを法定鉱物にするかどうかということをいろいろ検討していたのでありますけれども、今までのところでは、日本ウラン鉱石が果して先ほど申し上げました経済的にあるいはいろいろな角度から見まして、法定鉱物としてこれをきめてもいいかどうかという点についてなお慎重に扱った方がいいのじゃないかというような議論が相当圧倒的でありまして、現在のところまだ法定鉱物というようなところまで法律を改正していっておりません。しかしこの問題につきましては、われわれとしましてはなお十分一つ検討をいたしまして、まあ私個人の意見を申しますと、これはやはり国家的にどうしてもそういう権利をこの際付与しなければ、調査とかあるいはその開発ということまで十分にできないということであれば、鉱業法ということでなくして、この際特別な法律を設けまして、その法律に基いた特別な権利を設定してやった方がよくはないだろうかというふうに考えております。なお、この問題につきましては今もなおいろいろ委員会等におきまして検討をいたしておりますから、御了承願いたいと思います。
  7. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 すでに国産ウラン鉱の製錬技術を完成したという大阪金属工業会社あたりの発表もあるのであります。と同時に、世界各国においてはウラン鉱床調査というものに対しては全力を傾注しておる。過日こられましたホプキキンスの話にもありました通りに、もうアメリカでは避暑地に避暑する人間ですら携帯用ガイガー計数管を持ってウラン鉱床調査に当るというくらい今原子力時代にテンポを早めておるのでありますが、私は昨年もうすでに、ウランあるいはトリウムあるいはその他の原子核分裂の予想せられる鉱物というものは法定鉱物の中に入れるか、あるいは別途の法的処置を講ずるか、そうして国内におけるところ調査の速度を早むべきものであるということを再三当局に向って要望いたしたはずであります。しかるに一年たってもまだぐずぐずしているということは、いかにマンマンデーであるか、いかに原子力時代に対するところ観念が薄いかということをこれは立証するものにほかならないと私は考えるのであります。私は一つ伺っておきたいことは、ここに佐藤鉱床部長も来ておられるようでありますが、世界を歩いてみて、このウラン鉱石法定鉱物に規定していないところの国があるかどうか、それから、あるいは法定鉱物として規定してなくても、またその他の立法処置によって、ウラン鉱床実在を確定視し、そのウラン鉱床そのものを守るというような立法処置をしてないところがあるかどうか、これを一つ承わりたいと思うのです。
  8. 佐藤源郎

    佐藤説明員 ただいま斎藤先生のお尋ねに対しまして、私の知っている限りのことをお答えいたします。世界各国全部を通じましての事情はつまびらかでございませんが、大体欧米を通じましていわゆる一流の国にはもちろんのこと、たとえばスペインとかポルトガルとかあるいは南米のペルーとかボリビアとか、そういったような小さな国々に至るまで、このウラントリウムその他の鉱物探査開発の問題につきましては非常に積極的な熱意を示しておりまして、探査助成あるいは開発に対するいろいろな補助、またただいまの鉱業法関係のことにつきましても適当な措置をとっております。それで、その問題に関しまして日本ではどうしたらいいかという問題でございますが、これは御承知のように、地質調査所が二十九年度から調査に着手いたしたわけでございますが、現在におきましては、御承知のような、ちょっと専門語になりますけれどもペグマタイト鉱床に伴うものは、ほかの長硅石など、今までの法定鉱物と一緒に同一鉱床から産出するということでございますので、長硅石で願い出た鉱区におきましてウラン鉱石が出てくれば、これはその鉱業権者に、法定鉱物になっておらなくてもウラントリウム等鉱物の入手に優先権があるわけでございますから、今のところ大した差しつかえはないのではないか。しかし、今後の調査によりまして、ウラン鉱石単独に出てくる場合ももちろん考えられますので、当然そういうことに備えて研究検討の方は十分にやっておかなくてはならないということを考えております。なお、世界ウラン鉱床の実例から考えますと、アメリカコロラド高原におきましては、ウラン鉱石が全く単独で出ている場合がたくさんございます。ただ、コロラド鉱床につきましては、これまた将来の研究によりますといろいろ意見も変ってくると思いますけれども、現在のところまずアメリカ、特にコロラド独特の鉱床タイプということになっておりまして、あれに似たようなものは少くとも日本ではちょっと考えられないということで、コロラドの右へならうということは今のところ日本としては考える必要はないのではないか。そのほかの例につきますと、また専門語になりますけれどもピッチブレンドと申しますのがウラン鉱石の中で最も品位が高くて処理がしやすい。世界各国が全部このピッチブレンドの、しかも鉱脈タイプをねらっているのでございます。この鉱脈タイプピッチブレンドと申しますのは、これまた大部分は銅とか鉛とか燐とかコバルトとかニッケルとか蒼鉛とか、そういうものと同一鉱床に入っております。ただ最近発見されましたイタリアフランス、この国は特につい二、三年前までは国内資源としてウランの見るべき資源は全くない、そういうふうに内外から判断されておりましたのが、この数年前からフランスでは一九四六年原子力委員会が発足と同時に、またイタリアでは一九五一年大体国内意見が一致しましてから国家的事業として年数十億円の程度の予算探査を開始いたしまして両国とも待望のピッチブレンド鉱脈を把握しておりますけれども、これは厳密に申しますと、硫化鉄なり銅なりをほんのわずか伴っておりますけれども、まずまずウラン鉱石単独鉱床であるということが大体言えますので、そういったものが日本に今後出て参りますれば、当然ウラン法定鉱物の中に入れておかないと、いろいろな支障が生ずるであろう、そういうことが考えられますので、地質調査所といたしましては、イタリアフランスとちょうど地質学的な事情も多少似ているような点もございますので、本年度以降そういった目標で調査に重点を置きたいと考えておりますが、これも今のところ果して出るとか出ないとかということは言えないのでありまして、従いましてウラン単独鉱床の期待というものはまだ具体的には何とも言えないのでございますけれども準備だけは大いにやっておかなければならないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  9. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 私のはこういうことなんです。今はペグマタイトとかその他の鉱床中にウランが含まれている。ウラン鉱床というものを法定鉱物に入れておいて、同種鉱物の中に入れておけば、それで問題は解決するのでしょう。ウランというものを法定鉱物の中に入れてないから、結局するところ日本ウラン鉱床実態というものがわからないのじゃないか。ですからその単独鉱床としてウランがあるか、それからペグマタイトとか、ピッチブレンドの中に入っているとか入っていないというこは別問題として、ウランというものを法定鉱物に入れて、同種鉱物に規定しておけばそれで解決できると思うのです。簡単な問題じゃないかと思うのです。その点に対してはよく御考究を願いまして、早くウランというものを法定鉱物として、その権利を守るということにしていただかないと、日本ウラン鉱床実態というものは私はわからぬと思う。だれも発表しません。どんなにいいものがあってもなかなか発表しない。なぜかというと、法的に守られないからだ。そういうところに対しては処置を講じていただきたい。私なんかはあまりまごまごしておると、これは地質学会ウラン鉱床探査反対だと言った、ああいうことにおそれをなして、鉱山当局ウランというものを法定鉱物の中に入れて積極的に開発をやらないのじゃないか、まるで腰抜けみたいなことをやっておるように感じられるのですが、これはそういうことはないと思いますが、一体どうでありますか。地質学会がかってウラン鉱床探査反対だということを決議したためにウランには手をつけない方がいいという、こういうことじゃないのですか。
  10. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては地質学会ですか、その一部でそういう決議をしたから法定鉱物ウラン鉱石をしないというような、そういうことは全然ございません。やはり法定鉱物といたしますというと、結局鉱業権というのは相当強い権利でありまして、他の権利をあるいは排除し、あるいは侵害することになりますので、いやしくも鉱業権を与えることになりますれば、その鉱石自体が従来の観念からいいますと、少くとも経済的に相当価値のあるというものでなければ法定鉱物として取り扱っておりませんので、まだウラン鉱石につきましては調査が十分できておりませんので、果して国内におけるウラン鉱石というものがほんとうにこれは経済的に見ましても、あるいはその他のいろいろな角度から見まして、これはどうしても早急に開発をしなければならぬ、またそれが同時に相当利用価値があるということがわかりませんと、特に念を押しておきますが、従来の鉱業法の体系なりあるいは観念からいいますと、法定鉱物にするということは現在のところまだなかなかむずかしい段階ではないか。ただし、そういう従来の観念ではなくて、別な要素からどうしてもこの際開発をし、調査をし、何か特別な権利を与えなければいかぬということでありますれば、私どもの方といたしましては、これは鉱業法とは別個に、別な法律によって特別な権利を設定するということの方がいいのではなかろうかというふうに考えるのでありまして、この点は今いろいろ研究をいたしておるわけでございます。
  11. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 ウラニウム調査費は、ひもつきで一千五百万円二十九年度予算に計上されてあったのでありますが、これが、聞くところによりますと六百数十万円繰り越しになっておる。わずか一千五百万円のウラニウム調査費が、どうして使い切れないで繰り越しになったのでありますか。これは一つ地質調査所長にお伺いいたします。簡単でよろしゅうございますから……。
  12. 兼子勝

    兼子説明員 ただいま地質学会反対という話しが出ましたのですが、これにつきまして一言述べさせていただきます。あの新聞に発表しました声明の文章に多少誤解があるのでありまして、これは実は地質学会長にも確かめたのでありますが、研究をしたい人はどんどんやる、研究をすべきところはどんどんやる、決して地質調査所の業務を束縛するものではないというような意味でありまして、この点、世間の誤解を招いたということにつきまして、地質学会でも反省を示しております。  戻りまして、ただいまの齋藤先生お話しでありますが、昨年度予算がきましたうち、七百六十六万円繰り越しになりまして、六百七十五万円だけの予算仕事をしたわけであります。実はガイガー計数管を買うにしましても、たくさん買ってどんどん調査をしたいと念願しておるのでありますが、ウランは御承知通りガイガー計数管で非常にわかりやすい、しろうとにも探し得る可能性を持っておるものでありますが、そういった機械もこの費用では十分に買えないのであります。そのほか分析装置とか何とか、そういうふうな、今までやっておりませんような——どもではひそかにやっておりましたが、こういうふうにに火がつきますと、しっかりとした調査をしたいと存じまして、これだけの金ではとうていまだちょっと序の口についたという状態であります。しかしながら、これだけのお金の成果といたしましては、福島県の石川山あたり相当詳しく調べまして、ある程度の生産を私どもとしましては考えておる次第であります。それから岡山県の方にも、先ほど鉱床部長がふれましたが今までと違ったような豊富なウランを持っております鉱床徴候が、これは徴候でありますが、やや見つかった形跡がありますので、今年度におきましてはエア・ボーン、すなわち飛行機を飛ばしましてガイガー管を乗っけて測定する方法とか、その他大いに張り込んでやろうと思っておる次第であります。
  13. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 本年度通産省予算明細書の二十五ページですか、ウラニウム資源調査旅費が二百万円、それから次のページにウラニウム資源調査費が千二百万円、そうすると、これで合計千四百万円に、二十九年度繰り越し七百万円、そうすると、本年度は二千百万円ウラニウム資源調査費があるわけでありますが、これで飛行機を飛ばしたり、あるいは私の聞いておるところによりますと、従来の地質調査所ウラニウム資源調査の態様は実に微温的で非常に不満があります。予算がわずかしか使えなかったという点もございましょうし、またいろいろな人員の関係もございましょうが、各地を歩いてみますと、ウラニウムウラニウムのかけ声は高いけれども、さっぱり調査の機関が動いておらぬ。日本ウラン資源を今どれだけ把握するかということは、将来に対して、非常に大きなエネルギー源として国策決定の上においても重大問題であるのに、ちっとも調査が伸びておらぬ。飛行機ガイガーをつけて飛ばすということは当りまえの話で、今までのうちでも何回かやっておかなければならぬ。しかもガイガーに反応を示した地帯においては、地下三十メートルとか五十メートルとかいうボーリングをやって、ほんとうにそこに優秀なウラニウム鉱床地帯があるかどうかということを調査しなければならぬ。それなのに、その二千百万円くらいの金で果してどのくらいの調査ができるか。それとも日本全国にわたってウラン鉱床があるかないかくらいの調査はできるお見込みでありますか、一つこれを伺いたいと思います。
  14. 兼子勝

    兼子説明員 私どもウラン調査を大いにやろうと張り切っておるのでありますが、私どもにはわからないのですが、どういうものですか、ウランのきまった予算お金でも、私どもの方へ届くのがきわめて厳格でありまして、スケジュールを組みましてもなかなか計画通りいかないというような次第でありまして、この点、私どもとしましても非常に勢いをくじかれた状態におるのであります。今年度におきましても、たとえば各大学へガイガーをお貸しして国内を地勢的にいろいろはかってもらいたいというようなことを考えておるのですが——実はまだこれだけでは不十分でありますが、不十分とはいいながらも、ほかにないのでありますから、地質調査所としましては最善を尽して、日本ウラン資源を正確に把握しなければならぬという責任を感じて、仕事を実行して参ろうと思っております。
  15. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 今お話がありました、計画を立ててもなかなか金が回ってこないというのは、大蔵省がなかなか金を使わせないということだろうと思うのですが、昨年二億三千五百万円の原子力基礎調査の金でも、一億数千万円余ったのであります。どうして一体予算が使い切れなかったのかと思って調べてみると、その責任というものは大蔵省にあるのではなくして、むしろ学者側にあったわけなんです。なぜかというと、二階を作らないでいて三階を建てるという予算をとったことはけしからぬ、こういう反対をやったためにも大蔵省の方ではやれないものへの予算は、むだになるからなるべく使わせない方がいい、大蔵省の言い分としてはむだな予算は出せないということになるのです。地質調査所の方でもウラン調査費を二千百万円とったところで、その調査をする態勢ができていなければ、大蔵省としては金をむだに使わせないようにしようということは当りまえのことだと思う。それで、二千百万円の金を全部有効に使い切って、日本ウラン鉱床実在を確かめ得る態勢というものは、今の地質調査所にできているのですか。今四百六十七名の代議士中、地質調査所なんというものを訪れた人は一人もいないと思うから、閑却された、しかも国家基本観念からいうと重大な使命を帯びた地質調査所が二千百万円のウラン調査費を突きつけられて、有効に使い切れないということになれば、われわれ大蔵官僚でなくても、金は出さぬということになる。しかしこれでウラニウム鉱床実態を突きとめられるということになれば、これは大蔵官僚を呼んでけちな考え方を持たずにどんどんやらせろということを言わなければならぬと思いますが、地質調査所長として自分の管轄の地質調査所態勢はどういう状態にあるか、十分に二千百万円は使い切れるという状態にあるのですか、それともまことに微々たる態勢で、二千百万円はウラン鉱床調査のために使い切れないという状態にあるのですか、はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  16. 兼子勝

    兼子説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。ウランだけの調査につきましては、これは十分使い切れるのであります。ところがただいま齋藤先生お話がありましたが、きわめて微々たる存在ではありますが、しかし私ども考えておりますのは、とにかく日本地下資源というものを政府機関として明確に把握しておく、そうして経済の基盤の資料としたいというふうに念願しておるのでありますが、そのほかに実は磁硫鉄鉱とか、石炭とか、石油とか、工業用水とか、あるいは基礎をなす地質国とか、いろいろメタルその他の調査がございまして、ウランにはこのお金は使い切れますが、実はほかの方の作業が著しく遅滞するということは免れないと思うのであります。すなわち調査所としては、ウランのためにある程度ほかの仕事をさいてやらなければならない。まあ調査所のスケールというものは大体そういうものだということをお答え申し上げておきます。
  17. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 これは委員長にお願いをいたすのでございますが、これを見ますと、地質調査所予算はわずかに一億八千八百万円、これに多少ただいまのウラン調査費とか、そういうものが加わるのだと思いますが、それにいたしましてもわずか二億の予算国内資源を根本的に調査して、輸入の防渇をやり、国内産業のある一つの基盤を作り上げようとするのに、この二億円足らずの地質調査費では、私はとうてい日本地下資源実態は把握できないと思う。刻々に科学の進歩するにつれて新しい地下資源開発をやらなければならないと思うのです。たとえて申しますれば、昨年度予算に計上されましたゲルマニウム一千五百万円の問題、あるいは含チタン砂鉄を中心とするチタニウム精錬に要する一千五百万、これに対する御答弁もいただきたいのでありますが、時間がありませんので、省略いたしますが、その他新しくどんどん科学の進歩するにつれて新しい鉱石が求められてきている。たとえてみまするならば、コロンビウムとかいろいろなものが最近出てくる。しかもそういうものが日本にあるというのです。しかるに日本の地質調査費というものは一億八千万円程度のものでありまして、まことにとるに足らないものだと思う。それで商工委員会におきまして、地下資源に関するところの小委員会におけるいろいろな御審議を賜わりますときには、一つ地質調査所でも見学して、いかにりっぱなものであるか、あるいはいかに貧弱なものであるかということを一ぺん見てから私たちも本式に取り組んでいきたいと思いますから、委員長におかれましても地質調査所の視察というようなものも近いうちに実現のできるようにお取り計らいを願いたいと思うのであります。
  18. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 承知いたしました。ただいま齋藤君から委員長への御注文は、なお商工委員会にもそういう論議のあった点を含んで報告をし、なお地質調査所を近くわれわれで視察をする日程を作ってお知らせするようにしたいと思います。
  19. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 それからちょうだいしましたこの一般会計歳出予算各自明細書の二十五ページに、科学技術研究助成費という中に、三億一千四百万円という金額がある。工業化試験費、補助金、私はこの内容を詳しく伺う必要はありませんが、その次の鉱工技術研究費補助金、これが一億九千万円、それからその次は科研、これはわかっておりますが、昨年せっかく着手いたしました、ゲルマニウムの問題とそれからチタニウムの問題、これに対するところ助成金、補助金いずれかの形においてこの中に含まれておりますか。
  20. 川上為治

    川上政府委員 昨年度におきましては特別な費目としてそういうゲルマニウム、チタニウムの研究助成金がついたのですが、本年度におきましては、今お話がありました工業化助成金及び鉱工業技術研究助成金、その中にそういうものも全部含まっているということになっております。
  21. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 金額はわかりませんか。
  22. 川上為治

    川上政府委員 金額は特別きめておりませんが、現在工業化助成金の査定、それからまた応用試験の方の査定をいろいろやっておりますし、各方面からそういう要求が出ておりますので、どの程度になりますか、あるいは昨年度相当大きな金額でありましたが、今年は昨年よりも小さくなるのじゃないかというふうに考えます。というのは実はチタニウムの研究助成金につきましては、これは相当前から今申し上げました工業化助成金、応用研究助成金、そうした方面でいろいろな面に出しておりまして、このチタニウムの研究は少くともクロール法というような方法においてはもうすでに成功し、企業化されておりまして、しかも品質その他におきましては米国にほとんど劣らない、それ以上に実はなっておりまして、製品もアメリカの方に相当、年に何百トンと現在出しておりますので、その研究それ自体につきましては溶融電解法とかそういうものの研究が実は残されておりまして、そういう研究に今後は相当力を尽さなければなりませんが、そうした方面に対する助成金というのは従来よりも少くてもいいのじゃないかというような考えを私は持っております。なお金属チタニウムを加工するなりあるいはその他の合金とかそうした方面に対しまして応用するいろいろな試験研究も今まで相当やっておりまして、これも神戸製鋼とかあるいは住友金属、そうした方面におきましてはもう企業化の段階までにいよいよ来ておりますので、チタニウム関係のものにつきましては、本年度は特別な研究助成金を別につけなくても、今申し上げました工業化助成金なり応用試験の助成金の中からある程度出していけばそれでいいのじゃないかというふうに考えております。ゲルマニウムの問題につきましても、これまた昨年度におきまして特別な研究助成金を出していただいて、いろいろ研究を進めているのであります。これにつきましてはまだ企業化という段階には実は至っておりません。たとえば東京瓦斯の鶴見工場とかあるいはその他の方面におきまして、ある程度やっておりますますけれども、何分これは現在採算のとれるところまで実はいっておりません。また品質そのものにつきましても、国際的なレベルまではいっておりません。これは企業的に見ましても相当大きな企業としてやらなければ、なかなかむずかしいのじゃないかというようにも考えますし、研究的にもまだ進んでおりませんので、これは何とかして相当の金を工業方面に注ぎ込んで、さらに研究を進めていかなければならぬと思っておりますが、これまた工業化助成金なりあるいは鉱工業技術研究助成金の中から出して進めていきたいというふうに考えております。
  23. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 とてもきょう一日で質問を終ることはできませんが、なるべく時間を節約して、もう二、三点お許しを願いたいと思います。工業技術院の中にありますところの各試験所、研究所というもの、これには一億五千万円とか、八千万円とか、二千万円とか、いろいろ予算がついておりますが、この予算の使い方に対しては、われわれは非常に重大な関心を持たなければならないと思う。しかしこれは実態がわからない。だからこれは全部この予算を認めて適当に御研究を願うという態勢に今なっているわけでありますが、私は東京工業試験所は一回拝見いたしました。ところが東京工業試験所の内容を見ますと、その金の使い方というものに対して、これは日本の最高の科学技術の観点から適当であるか適当でないかということの批判は別として、非常に重大な研究が行われている。ところが工業試験所でもってあれだけの研究が行われているにかかわらず、その研究の結果というものはちっとも一般的に行政の面に現われて来ないのじゃないか。ということは、そういうような国家機関であるところの工業試験所の研究と、いわゆる経済自立の行政というものとマッチしていかないのじゃないかというような点がたくさんあると私は思う。こういうところにわれわれも将来注意を払っていかなければならぬと思うのでありますが、官庁としてもこういう点を一つ十分に気をつけてやっていただかなければならぬ。私はそう思って特に一つ二つの例を取り上げて御質問申し上げてみたいと思うのでありますが、東京工業試験所に行ったら拘溶性カリの研究というものがある。元来カリ肥料というものは水の中に入れるというと水に溶解して全部流亡してしまう。わずか植物がこれを吸収するにすぎない。ところが東京工業試験所でやっているところの拘溶性カリの研究実態を聞きますと、水には溶解しないで枸櫞酸にだけ溶解するところのカリ肥料だ。ところがだんだん植物の実態というものを研究して参りますと、植物のいわゆる毛細根、一番細い根っこからは薄い枸櫞酸が出てくるのだ。それでそのまいたところの拘溶性カリ、枸櫞酸にだけ溶解するところのそのカリ肥料に植物の根っこから出てくるところの薄酸い枸櫞酸が及ぶというと適当なだけ溶解するのだ。だから植物が枸櫞酸を出して拘溶性カリを溶解して自分の必要なだけのカリ肥料を吸収する。だからこの肥料をまけば水に溶解しないのだから流亡するおそれもない。最も理想的なカリ肥料である。しかもこのカリ肥料を取るところの石英粗面岩というのは、実質的に調べて参るというと、何億トン日本にあるかわからない。こういうことなんでありますが、これについてどれだけの予算措置が講ぜられているかということでありますが、ここに私が手に入れましたのには第一次査定額七百五十万円となっております。これは一体どうなっているのですか伺っておきたい。
  24. 内田章五

    内田説明員 ただいまの齋藤先生の御質問にお答えいたしますが、私どもの方で拘溶性カリの研究をいたしております。その問題につきまして特別研究費と申しますものを工業技術院の方からちょうだいいたしまして、それについてはただいまのお話通り最初は七百五十万円でございましたが、それが五%減の七百十二万円ということになって実施をいたさなければならないような状態になっております。これだけの大きなものをこれだけの額でやらねばならぬということは、私ども技術者としてはどうも非常に残念でございますが、現在の状態ではそういう状態になっております。
  25. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 そうしますと、七百五十万円のうちの何パーセント減の七百十二万五千円というものは、東京工業試験所の一億五千二百万円のうちに入っておるものでなくて、工業技術院からの助成金として受けとるのですか。
  26. 内田章五

    内田説明員 全部東京工業試験所の経費のうちでございます。そのうちに特別研究費と経常研究費とございまして、その特別研究費として特に認められたものでございます。
  27. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 この拘溶性カリは、私の承わりましたところによりますと、すでに実験を行なった、いわゆる稲かあるいはその他に対して、カリ肥料として正規の実験を行なったということを聞いておるわけですが、これはどこで実験が行われて、その結果はどうであったか。
  28. 内田章五

    内田説明員 こちらに担当の責任者が参っておりますから、担当者から御説明させていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  29. 鈴木篁

    鈴木説明員 ただいま齋藤先生お話通り重要な問題でございまして、わが国でも第一次大戦あるいは第二次大戦中は非常にカリ資源からカリ肥料を作ることが盛んでありましたけれども、第二次大戦が済みまして、昭和二十三年ごろからカリ肥料が外国から入るようになりましたので、その方の研究はあまり行われてないような状態でありますが、私ども何とかして平時においても国内のカリ資源からカリ肥料を作りたいと思いまして、いろいろな方法を研究いたしまして、お手元へいろいろな方法を書いた。プロシーデュアを提出してございますが、その中でわれわれが見まして、まず一番適当だと思う処理方法は、拘溶性カリ肥料研究のうち……。
  30. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 そういうものは私が聞いてもわかりませんから、実験をどこでやったか、やらないか、その結果はどうであったかということを聞きたいのです。
  31. 鈴木篁

    鈴木説明員 実験は、東京試験所におきまして昭和二十五年以来実験室においてずっとやりまして、それからその肥効試験は山梨大学におきまして太田教授のところ——これは農科の方の先生にやっていただかないと工科の方ではわかりませんので、肥効試験は山梨大学の太田教授のところで行なっていただきました。そうして肥効の確かであることを確かめました。
  32. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 その結果はよかったわけですか。
  33. 鈴木篁

    鈴木説明員 その結果は、ここに書いてあります大麦による試験でも、それから稲による試験でも、いずれも普通の塩化カリや硫酸カリに劣らない、あるいは少しよくきくという程度の成果を得ております。
  34. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 それはその程度にいたしまして、もう一つ燃料対策の観点から東京工業試験所にお伺いしておきたいことがあるのですが、私が東京工業試験所の目黒の分室を訪れましたときに、粗悪炭から高級アルコールを作る研究をやっておられたと思うのでありますが、今石炭合理化法がやかましくなって参りましたのにつきまして、日本国内においてコール・ケミカルが有望であるか、ペトロル・ケミカルが有望であるかという論が出てきて、この間石炭局の連中に聞きましたところが、日本では、世界的の趨勢にかんがみて、どうも石炭化学というものはだめなんじゃないかという話があったのであります。これも委員長にお願いしておきたいのですが、コール・ケミカルがだめなんだという論は、これは三井化学の人がドイツに視察に行って、そうして得てきた結論だというのです。しかし今朝私が三井の人に聞きましたら、そんなはずはない、三井化学がドイツへ行ってコール・ケミカルを研究した結論は、必ずしも日本ではコール・ケミカルはだめだという結論になっていない、何か間違いじゃないかと言われたのですが、どうか委員長からお手配を願いまして、三井化学からドイツへコール・ケミカルを調査に行った人がいるのですから、この人を適当な機会にお呼び下さいまして、この燃料対策の一助として、日本でコール・ケミカルが有望であるかどうかという点についての審議の進め方として、一つ適当の御処置を願いたいと思うのであります。と同時に東京工業試験所の目黒の分室では、粗悪炭から高級アルコールを作る研究が完成しておる。もしああいうものが大々的に行われるとするならば、地質調査所の関連性において、日本の亜炭、その他粗悪炭というものの開発は、どんどん調査をしてこれを実行しなければならぬ、私はそう思うのでありますが、これについて東京工業試験所のどなたかからお聞きしたい。
  35. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 ただいま齋藤君から、三井化学から外遊された専門家を本委員会に呼んで、参考人として話を聞きたいという申し出がありますから、これは適当な機会にお呼びすることにいたしたいと思います。
  36. 藤崎辰夫

    ○藤崎説明員 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。だめであるかどうかということは、石炭の値段にも関係いたしますが、日本には非常に利用価値の少い粗悪炭がたくさんございますので、それを一ぺんガスにいたしまして、それから適当な方法を考えればよいのではないか、そういうふうに私どもは一応考えて参りました。それでガス化いたしましたものを、いろいろ使い方がございますけれども、一応昔フィッシャー法と申しました方法を改良いたしまして、それによってなるべく価値の高い高級のアルコールとか、あるいはオリフィンとかいうものを作るようにいたしましたならば、非常に安い石炭、粗悪炭を使いまして、それを有効にガス化する研究と相待ちまして、将来必ずこういうものが日本には可能であるとは思いまして、そういう研究を続けて参りましたし、最近の研究によりますと、この方法も原料のガスを安く有効に作ることがうまくいきますと、私の方の研究も十分価値があるものだ、こういうふうに考えて、研究を継続して参っております。
  37. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 ところがこの東京工業試験所の改良フィッシャー法の中間試験というものは、第一次査定ではゼロになっておる。するとこれはもう今年はやれぬということですか。
  38. 藤崎辰夫

    ○藤崎説明員 今年は私の試験所では特別な研究といたしまして三つほどテーマを出しまして、それぞれ査定がございまして、改良フィッシャー法につきましての研究は、今年の第一次の査定で落ちてしまいましたので、ただいまのところでは所内の研究費を重点的に使いまして、なお研究を継続して、大体今の内部の査定といたしまして二百万見当で一つ研究を続けていこうということになっておりまして、これは来年度こういう特別な研究費をいただいて、研究を続けていこう、こういうふうなことに今なっております。
  39. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 この要求額は二千三百万円であります。二千三百万円の要求をするということは、科学者として、技術者としては、相当確信があって、これをやって完成したならば、いわゆる粗悪炭の利用によるところ日本の燃料対策及び石炭業界に対する効果が上るという観点から、二千三百万円の改良フィッシャー法の要求をしたのだと思うのですが、こういうものを第一次査定でぱっと切ってしまうというようなことは、これは大蔵省がやるのだと思うのです。ちょっと官房長に伺いたいのですが、一体どういうことでこういう査定をやるのですか。
  40. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 工業技術院の特別研究費は、従来はある程度工業技術院の中で重点的に配分するような措置を講じておりましたが、ある程度金額もかさばっているものでございますから、ことしは大蔵省の方である程度テーマを選んでやっいるという格好になっております。  改良フィッシャー法の問題は、私も実はうっかりしておりましたが、これは何といいますか、工業技術院でもいろいろな研究テーマが相当たまっておるものですから、その間の緩急順序の問題もあったろうと思います。今具体的にその研究がどうしてどうなったか存じませんけれども、多分そんな関係で、ほかの方の急ぐ研究に二億のうちから回したのじいないか、こう考えております。それでこれは、私も少し管下の試験所を回ってみまして、いろいろ行政系統と試験所系統とのつながりが場所によっては不十分なところもあるようでありますから、もう少し一体となって、経済政策と一致していくように十分気をつけたいとっ思ております。特別研究費の問題も、もう少し通産省の全体の政策との調整をはかりたいと思っております。
  41. 内田常雄

    内田委員 議事進行。御承知のように、昭和三十年度の本予算案は、ここ二、三日のうちにおそらくは各党の態度をきめて、衆議院を通して、参議院に送れるか送れぬかという時期に際会しております。そこで先般来問題になっておりまする国内石油資源開発のために政府出資による特殊会社を作るというようなことをもし考えるならば、この機会に早急にこれを取り上げまして、そして委員会発議なりあるいは議員提案なりをやらなければ、予算の方に対する各党の態度がきまらないことになるわけであります。わが自由党におきましては、先般来、皆さんも御承知のように、これは議員提案、委員会提案等で法律案が出されるものとの想定のもとに、一応三億円の石油資源開発の補助金を会社出資に振りかえる等の内容を含んだ案を用意をいたして、民主党側にそれを申し入れをいたしておるのでありますけれども、それについては自由党ばかりでなしに、各党の考え方もありましょうし、また各党を離れましても、この委員会内における各委員意見もありましょうから、この際この問題を早急に取り上げて、各委員から御意見の開陳を願ったり、また石油資源開発するためにはどうしても今の三億円の補助金ではだめである、どうしても会社を作って民間資金等をもまとめてそれにくっつけて出させて、そして特殊の機構でやらなければ、国内石油資源というものはだんだん細る一方である、どうしてもこれはやりたいという政府のかたい考え方なり意見なりをこの際もう一度聞かしてもらわなければならぬ、かようにも思いますので、この機会に一つ委員からそれぞれの立場から御発言を願ったり、また政府側からもう一度この問題について発言を願って、委員長の御配慮のもとに至急この問題を俎上に載せたいと思います。
  42. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 ただいまの内田君からの発言に対して神田吉から発言を求められておりますから、これを許します。神田博君。
  43. 神田博

    ○神田(博)小委員 同僚内田君から、石油開発会社を設立するかどうかという問題に関しまして、御意見があったようでありますが、私もこれは一つまだ十分調査する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。先般来通産省担当者並びに大臣等から石油開発についての質疑に対していろいろ説明があったわけでございまするが、これは予算が伴うことでもあるし、かつまた相当長期計画関係もしておるのでありますから、この際すみやかに委員長からお諮りを願って、経審担当大臣及び係官、それから大蔵大臣及び予算を担当される主計局長その他に当委員会においで願うように取り計らっていただいて、十分説明を聞き、また質疑もいたしまして、最後の腹をきめるというようなことにしたならば、今内田君が言われたようなこの問題を取り扱うのに非常に便利だと私思っておりますから、一つすみやかに委員会にお諮り願って、私が今申し上げたことを進行していただきたい、かように考えます。
  44. 加藤精三

    ○加藤(精)小委員 大先輩の神田委員の御意見でございますから、そのまま承服したいのでありますが、私考えるところによりますと、この石油資源開発は、わが国で最も政治の焦点になっております国際収支の改善の上からも、それからこれからの化学工業振興の上からも、いいことにはさまっておるのに、いいことにきまっておることにかれこれ文句をつけるのが大蔵省のくせでございますので、ただいまも齋藤君からいろいろ大蔵省に対する御非難があったのでございますが、私も国会に入ってから、終始大蔵省の態度というものは国政のじゃまになるものだと考えております。(笑声)そういう立場から、予算について大蔵省意見を聞くということはいいのでございますけれども大蔵省がだめというなら、国会が法律案を提案しないという、そう卑屈になる必要は一つもないので、大蔵省が完全なる合意をしないままにやった町村合併促進法という法律がわが国の地方行政を一変させるほどの大きな結果をもたらして、成功したのです。また大蔵省が完全に同意しないうちに作った積寒法という法律が、わが国の農政を一変させるほどの土地改良その他のいいことをなし遂げた。何も政府をそう重視しなくても、立法権でできる範囲のことはどんどんやったらいいじゃないか、こう思いますので、神田委員の御提案には賛成しながら、それに拘泥しないで立法を進めていくということにお取り計らいを願いたいのでございます。
  45. 齋藤憲三

    齋藤憲三君 私はただいまの神田委員の御提案に賛成であります。また加藤君の御提案にもすこぶる賛成であります。要するに私はあやまちなく急速に進展させるということに重点を置きたいと思います。そこでもしこの法案を——今御提案のように、特殊会社を進行せしめる上においてわれわれがとるべき手段があるとしたならば、やはり石油審議会の意見を一ぺんこの委員会で徴するということが一番いいのじゃないかと思うのです。特殊会社を作って、果して将来日本石油開発する上において大きな希望があるかどうかということ、これは石油審議会で十分調査ができておるということでございますから、あの会長の上床博士にでもここへおいで願って、その石油審議会において調査をいたした日本実態及び将来に対する希望を聞いたならば、おそらくこういう問題は、一ぺんにわれわれの決意かできて解決するのではないかと思うのであります。
  46. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 内田君、今お聞きのようなことですが、あなたが動議として提案されておる件に関連してのお考えはどうですか。
  47. 内田常雄

    内田委員 賛成します。
  48. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  49. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 速記を始めて下さ  い。  ただいまより懇談会に入ります。      ————◇—————   〔午後零時二十一分懇談会に入る〕   〔午後零時三十七分懇談会を終る〕      ————◇—————
  50. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 それでは懇談会等も終りましたので、再開いたします。  国内石油資源開発のため立法化の必要があるということ等でありましたので、その起草委員として、各党から二名くらいを選出して、その任に当ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  51. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 その委員の任命方法等はどのようにいたしますか。   〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  52. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 小委員長一任に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 それでは小委員長におきまして発表いたしますので、御承認願いたいと思います。  左派社会党から   櫻井 奎夫君   永井勝次郎君  右派社会党から   中崎  敏君   佐々木良作君  自由党から   内田 常雄君   小平 久雄君  民主党から   小笠 公韶君   齋藤 憲三君  以上八名の方々を委員として任命することにいたしたいと存じます。  なおお断りいたしておきますが、ただいま申し上げました起草委員のうち、右派社会党の中崎敏君及び民主党の齋藤憲三君は、本問題に熱意のある方々でありますので、小委員外の商工委員の方々でありますが、特にこの起草に当っていただくことにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 それではそのように決定いたします。  右案ができましたならば、小委員会におきまして検討の上、結論を得られましたならば、小委員長といたしまして商工委員会に報告をいたすことにいたしたいと思います。神田博君。
  55. 神田博

    ○神田(博)小委員 今の石油資源開発について、特殊会社を作るというようなこと等に関して、燃料政策というか石油開発計画等も相当長期にわたると思うので、経審長官及び担当官、さらに予算を伴う問題であるので、従来の経緯もあるし、将来に対する見通しもつけなければならぬから、大蔵大臣及び主計局長等、関係担当者を小委員会に招致して、十分審議をしたいと思います。さらにまた会社の構想が出て参りましたならば、それはそのあとでよろしいから民間の関係者の意見も十分徴さなければならないと思いますから、これらの点についても本委員会の方に至急そういう手続を取りはからうように小委員長から申し入れをしていただきたい、これをお諮り願いたいと思います。
  56. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 ただいま神田君からお聞きのような発言がありましたが、私といたしましてはこの燃料小委員会においてそれぞれの人々を参考人として呼んでお話を聞くということでなく、先ほど指名をいたしました法案についての起草委員等もあげてありますので、これらの方々から至急法案の用意準備等もしていただきまして、直ちにその結論を商工委員会に小委員長として報告をしなければならぬと思うのでございます。それはすみやかにやらなければならぬと思っております。その際商工委員会においてただいま神田君が要望せられましたような関係大臣あるいは関係政府委員あるいは民間の投資関係者などを呼んで一つ資料にするというような扱い方にしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 今のはこういうことじゃありませんか。起草委員は起草委員等で準備を進めて、それと並行的に——ほんとうならばこの小委員会でやってもいいのだけれども、いっそのこと本委員会で一緒にやった方がいいから、並行的に本委員会で今の連中を呼んで聞いたらどうか。それの方が時間を短縮する上にいいからという意味じゃないのですか。
  58. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 それではお聞きのように、ただいま佐々木君からの発言がありましたように、法案等の起草委員の方々からも至急その準備をしてもらわなければなりません。それと同時に並行的な意味におきまして、でき得るだけ早い機会に、私と商工委員長と打合せをいたしまして、商工委員会をすみやかに開いてもらいまして、ただいま神田君から発言のありました問題等をそこで聴取する、そのような扱い方をいたしたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 伊藤卯四郎

    ○伊藤小委員長 それではそのようにいたします。本日はこの程度といたしまして、次会は公報をもってお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会