運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-29 第22回国会 衆議院 商工委員会科学技術振興に関する小委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十九日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席小委員    小委員長 前田 正男君       小笠 公韶君    森山 欽司君       神田  博君    小平 久雄君       加藤 清二君    櫻井 奎夫君       中崎  敏君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         総理府事務官         (科学行政協議         会事務局長)  鈴江 康平君         行政管理政務次         官       森   清君         行政管理庁次長 山中 徳二君         経済企画政務次         官       田中 龍夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君  小委員外出席者         議     員 秋田 大助君         議     員 笹本 一雄君         議     員 椎名悦三郎君         議     員 加藤 精三君         議     員 鹿野 彦吉君         議     員 堀川 恭平君         議     員 片島  港君         議     員 田中 武夫君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    柿坪 精吾君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 七月二十九日  櫻井奎夫君同月二十六日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術行政機構に関する件  自動車工業に関する件     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  自動車工業に関する件、科学技術行政機構に関する件についてそれぞれ調査を進めます。  まず科学技術行政機構に関する件について調査を進めます。  最初に私から本問題について概括的に政府の所見を伺い、逐次質疑を続けて参ることにいたします。本問題につきましては、この科学技術小委員会及び商工委員会におきまして、全会一致をもって決議をいたしました。石橋、高碕両大臣より、その科学技術行政機構を新しく作るということの趣旨に賛成発言がありまして、その後政府提案をされるということでありましたので、具体化動きの起るのを待っておりましたけれども、その動きが少いものでありますから、わが小委員会といたしましては、さらにこの問題について検討をいたし、本院の法制局において法案の要綱を作成し、十四日商工委員会において石橋通産大臣政府提案意思ありやいなやを質問せるところ、一両日猶予方返答がありました。十五日の閣議において石橋通産大臣よりの発言によって、政府にて提案検討することになりましたが、しかし十六日の閣僚与党懇談会において、三十一年度において予算措置もして政府提案をすることに決定したという話を聞いております。ついてはこの際政府に対しまして、次の点を特に本委員会立場からお聞きいたしたいと思います。  科学技術行政刷新確立のため、三十一年度において新行政機構政府提案する由でありますが、三十一年度予算要求作成立場より、早急に機構検討の必要があると思いますが、三十一年度に提案される意思があるかどうか、官房長官より御返答をお願いいたしたいと思います。
  3. 根本龍太郎

    根本政府委員 科学技術振興の必要なことはすでに政府としてもこれを認め、施政方針にもその方針を述べておるのでありますが、従来この科学技術庁設置につきましては、行政機構としていろいろの議論がありまして、いまだ成案を得ざるために今回提案にならなかったのであります。しかるところ、先般当委員会において一案がまとまったので、これを参考にして、行政機構に関することは議員立法にすべきではなく、むしろ政府立法にすべきだ、こういうような御意見から、前田議員その他が参りましたので、私の方でもこれを取り上げて真剣に検討したのでありますが、これは当然予算措置を伴わなければならぬものでありますので、その意味におきまして今国会においてこれを政府提案といたすことは困難であるという結論に達しまして、三十一年度の予算編成に当りましては、ぜひ政府提案として出したい、こういう考えを持っておるわけであります。その意味におきまして、すでに行政管理庁に命じまして、この機構検討を今やっていただいておる次第でございまして、政府としては鋭意研究に拍車をかけておるという状況でございます。
  4. 前田正男

    前田委員長 ただいま官房長官お話で、三十一年度に提案されるということは大体はっきりしたように思いますけれども、行政管理庁において立案を命ぜられて、作業に入っておられるということでありますが、一つ行政管理庁の政務次官から、どういうような作業をしておられるか伺いたいと思います。
  5. 森清

    ○森(清)政府委員 命を受けまして、さっそく作業にかかっておりますが、現在の段階におきましては、関連した資料の収集等をやっております。さらにこの問題は、行政審議会というものがございますので、この委員はすでに任期が来ている方々ばかりでございますので、あらためて委員の選定をし、そうしてこの審議会にもかける準備をしている次第であります。
  6. 前田正男

    前田委員長 それでは質疑を行いたいと思います。この際小委員外商工委員の御発言も随時許すことにいたします。
  7. 加藤清二

    加藤清二君 いろいろこまかいこと、多岐にわたることでなく、簡単率直にお答えを願いたいのでありますが、明年度予算を伴う科学技術庁設置法案をお出しになるのですか、ならないのですか。行政管理庁研究した結果、どうもうまくないということのあった場合には出さない、こういう御意思ですか。この小委員会におきましては、通産大臣から、二日間の余裕を置いてくれ、熟考するからということで、それで立法しなかったのでございますが、こっちの立法を延期さした責任との関連において、官房長官の明白な御回答をお願いいたしたいと思います。
  8. 根本龍太郎

    根本政府委員 先ほど御答弁申し上げたように、政府といたしましては科学技術庁設置法案を出したいと思いまして、その意味において行政管理庁立案を命じている次第であります。従いまして、どういう内容になるかについては、これはいろいろの御議論のあるところでありますが、政府としては行政機構としてこれを設置したい、こういう意思を持っておりますので、従ってそれは政府提案として出したい、こういう意思を持っているということを申し上げた次第であります。
  9. 加藤清二

    加藤清二君 官房長官に重ねてお尋ねしますが、そうしますと提案を約束されたわけでないのですね。ただ研究してみるということだけですね。
  10. 根本龍太郎

    根本政府委員 提案を約束するといいますか、言葉のあれでございますが、政府提案いたしたい、いたすという方針をもってこれは研究を命じておる次第でありまして、おざなりにやっていることは毛頭ございません。実は先般の閣議におきましても、せっかく本委員会の要請でもあり、またわが党の主張でもありまするので、先般の皆さんからお示しになった案に若干の修正を加えて政府提案しょうというところまで実は傾いたのでございますが、しかしせっかく政府提案としてやるのに、大事な科学技術振興のための機構をそうおざなりのことはおかしいじゃないか、従って慎重に内容検討すべきである、こういうことでありますから、出すという意思があるということは、これは疑うべくもない事実でございます。
  11. 加藤清二

    加藤清二君 重ねてお尋ねしますが、私は、十五日の閣議におきましては圧倒的に科学技術庁設置するという閣僚たち意見だったということを承わっておりますが、翌日関係閣僚会議をやったところが、各省の官僚連中が寄ってたかって、こっぱみじんにこわしたというような話を聞いておる。そういうことを考えますと、そういうふうな詰まいらなセクショナリズムの官僚連中策動、これは日本の現在の民主政治のガンであります。そういうような関係から、そんなものに蠢動させる余地のないように、政治的感覚の最もりっぱだと称されておる根本官房長官から一言、必ず提出すると約束していただきたい。わが国官僚連中のくだらない策動を封殺するためにも、それがわが国家の一進展になる、そういう意味におきまして、英断をもって官房長官は、明年度必ず相当の予算をつけて提案すると約束していただきたい。
  12. 根本龍太郎

    根本政府委員 官僚諸君の反撃並びに策動によって中止したものでは毛頭ございません。先ほど私が申し上げました通りに、この機構の案にはいろいろ御苦心のあとは見えますけれども、必ずしもこれが満足すべき状況ではない、しかもまた予算措置ができないということであるならば、これはむしろ明年度に回して予算も伴うところのりっぱなものにしたい、こういう意図のもとに延期したわけでございます。従いましてこれは政府としては出す意思を持っております。ただし今ここに私に出すということを一つ確約しろと申しましても、私は御承知のように今閣僚でございません。これは出すという方針であるということを言うだけで、政治的に十分に私は満足していただきたいと思うのであります。これをいまだ閣議決定していないものを、根本閣議決定と同様なるあれをやったということになりますと、これは適当でないと思います。しかし私はすでに、先般も皆さんにお会いしたときにも、そういう意思のもとに実は特別に取り上げて、私から閣議提案した次第でもあり、説明した次第でもあります。また関係閣僚もこれについては同意を与えておるのであります。そういう状況でありますから、次の三十一年度予算編成に伴いまして、これは当然政府は出すというふうに考えて差しつかえない、こう考えておる次第であります。     —————————————
  13. 前田正男

    前田委員長 それでは次の自動車工業に関する質疑をいたしたいと思います。質疑を許します。森山君。
  14. 森山欽司

    森山委員 自動車工業について御質問申し上げたいと思います。日本自動車工業年産どの程度になっておるか、これをまず伺いたい。
  15. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 金額にいたしまして千八百億であります。
  16. 森山欽司

    森山委員 台数にして——今二万四、五千台程度だろうと思います。乗用車の場合ですね。
  17. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 乗用車は大体需要が二万四千台程度でございます、その中で払い下げ等の車が入っておりますから、純国産輸入組み立てで、大体昨年の実績は、八千五百台プラス六千台でございますから、一万五千台程度と考えております。
  18. 森山欽司

    森山委員 自動車工業国内においても経済生産といわれ、また輸出産業として海外に出るために必要な一機種としての最小必要年産は、どの程度と御推定になっておりますか。
  19. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 この点は非常にむずかしい問題でございまして、申し上げますと、日本ではトラックバス製造事業は御承知通り相当確立されたといってもよいと存じます。現在でもディーゼルトラック、あるいはディーゼルバス、ガソリン・トラックバス等輸出しております。日本乗用車はまだその段階に達しておりませんので、むしろ現在は輸入車を防遇するためにできるだけ大量生産をやっていこうという考え方でおるわけであります。自動車はやはり大量生産でございますから、単位が大きければ大きいほど安くなると思います。さらに現在やっております日本乗用車工業は、大体純粋の国産車が三社、それから外国より技術を導入してやります会社が三社、これが現在それぞれ自動車工業に向って大いに邁進いたしておる状況でございまして、これらの各社技術を切磋琢磨して、競争して市場開拓し、大いに工業確立していくというのが現在の状況でございます。
  20. 森山欽司

    森山委員 そこで現在の段階はそういう段階であるけれども、一体将来日本自動車工業は今のままのやり方でもって、すなわち今の生産体制でもって海外輸出をするとか、あるいは外国から入ってくる車に対して経済的に対抗し得るような力を持ち得るのかどうか、そういうお見通しを持っておられるのか伺いたい。
  21. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいま説明申し上げました点でおわかりと思いますが、とにかく現在では六社がそれぞれ自分自身技術において、あるいは外国技術を導入して、これに向って設備を充実し、邁進しておる、こういう状況でございます。将来の問題としては、さらに国もこれに対してできるだけ施策を加え、大いに自動車工業確立方向に持っていきたい、こう考えておるわけであります。ただいまお話の点は、こういうふうなたくさんな会社があって、果してうまく大量生産の実を上げ得るかどうかというような御質問じゃないかと考えられるのでありますが、そうでございましようか。
  22. 森山欽司

    森山委員 私のお伺いしたいのは、自動車工業が、国際的、国内的に経済生産といわれる段階に達するためには、マスプロをやらなければならないと思うのです。少くとも一機種日産百台、月産二千台、年間二万四、五千台の単位がなければ、国際的に太刀打ちできない。また外国から入ってくる車に対して経済的に成り立っていかないというのが常識ではなかろうかと考えておるので、そういう観点から見れば、現在月産百とか二百とかいうふうな問題にならないような数字をやっておる今の乗用車工業——これはバストラックについては別に考えておりますが、日本乗用車工業というものは、このままの形でもってどんな施策を講じたところでものにならない。前提としてなすべきことがある。何かと申しますと、それらのマスプロになるところの産業というものに対して、そのための需要開拓するような問題をまず先に考えて、国内市場拡大輸出が出るような市場開拓、この二つ前提となると思うのです。一体そういうものが、今日のわが国において望みがあるのかどうか。そういう前提が保証されなければ、マスプロはできない。マスプロができなければ、外国に比べて問題にならないような非経済生産をやっておるそういう産業に対して、これを保護育成するというようなお話を伺ったのだが、それで一体国際経済の中における日本産業指導というものはできるのか。封鎖経済ならば別ですが、外国からたとえば通商協定等でもって自動車を買ってくれ、こちらから何か売り込むというような約束をしていても、国によってはチョコレートとかウィスキーとか、そういうものを買い込んでおる。なかなか協定の履行もしないというような面がある。私は外車を輸入した方がいいとは思っていないけれども、今のような考え方自動車保護助成政策を講じたところで、何になるかと言いたい。その点について局長の御意見を伺わりたい。あなたは保護助成の手を講ずると言っておられるが、それは現在のままの自動車工業を相手にして言っておるのか、あるいはまた今の三社で細々やっておったのではだめだから、ルノーがやったように、あるいはフォルクスワーゲンで例を見るような、あるいは最近のソ連乗用車工業で例を見るような、そういう抜本的な生産態勢を作って、一方において需要拡大をするというような大きな観点に立って日本自動車工業に対して何らかの助成策を講じようというのか、あるいは現状のまま、三社、四社、五社でやっているように、細々とした生産をやっておるところのメーカーを保護温存して、むしろ輸出商品とならないような施策ばかりを講じようとされておるのか。その辺の基本的態度をはっきりしてもらいたいと思います。
  23. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 いかなる単位が経済的に有効であるかというような問題につきましては、いろいろ議論がございます。確かにたくさん作れば作るほどいいのでありますが、それかといって、ある程度で採算に合わないかというと、そういうものでもない。そこでただいまの御質問ですが、現在やっております各会社自由競争によって技術を切磋琢磨し、あるいは競争によってあるものは発展するかもしれないし、あるものはだめになるかもしれない。われわれとしては、そういうふうな自由競争前提としながら、できるだけ需要開拓促進によって自動車工業を進展していきたいというのがわれわれの考え方であります。それからお話がございましたが、乗用車バストラックとは若干事情が違うと思いますけれども、すでに現在の状態においては、日本バストラックは相当産業拡大し、輸出まで持っていっているという実情から考えれば、同じような努力を払い、あるいはそれ以上の努力を払えば、自動車工業は悲観的に考える必要はないと考えておるのであります。
  24. 森山欽司

    森山委員 日本バストラック生産状況は、アメリカは別ですが、他国のバストラック生産に比べてあまり差はないのであります。ところが乗用車に関する限り、あまりにも格段の差があって、しかも需要拡大見通しが非常にないというのが今日の偽わらざる現状であると思うのであります。そういう際に、わが国自動車工業に対して、業界思惑いかんを問わず、業界のいいことばかりやらないで、政府としてほんとうに乗用車工業をものにしようとするならば、もっと抜本的な対策をとるべきだ。そういう抜本的な対策をとれないならば、下手に自動車工業に対して保護育成策をこそくにとったところで、それは輸出産業にならない産業に対して、いたずらに金をつぎ込むということにならないか、そういう点を心配いたしますので伺うのであります。
  25. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ごもっともな点だと思いますが、考え方といたしまして、いかなる手が一番コストを安くし、伸びるかという問題になりますと、やはり業界企業努力が結局根本になると思います。従いまして、現在やっておりますような熾烈な競争によって需要開拓し、技術を切磋琢麿することがねらいではないか。その場合に、単位が少いことによってできないというところがあれば、それは脱落する、そうして自然にそういう形をとっていくのではないかと思います。たとえばアメリカの例を見ますと、昔は自動車会社が数十社あったが、競争によって相当少くなり、さらに最近ではごく数社というふうになっておりますが、そういうふうな長い過程はとらないまでも、ある程度そういうふうな過程をとることが一つプロセスではないかと考えるのであります。それを国としていたずらに役所の方向一つにまとめるというようなことが果して目的であるかどうか、そこら辺がわれわれとしても十分慎重に考えなければならぬところであって、究極のところは先生の言うことと同じでありますが、方法論として何が一番よいかということは十分慎重に考えなければならぬと考えるのであります。
  26. 片島港

    片島委員 関連してお尋ねしたいと思います。  今の乗用車工業の問題は、御承知のように、トラックとかバスとかいうものの大きな生産をやっているところで、片手間といっては悪いけれども、つけたしで乗用車生産をやっている、あるいは組み立てをやっている。乗用車だけを何十社もあって競争してやっているのではない。トラック及びバスをやっておって、その間に少しずつやっておるのでありますから、多少損をしても何とかやっていけましょう。しかし今質問しているのは、バストラックはまず世界的な水準にいっているが、乗用車については、そういうように片手間的に各社ばらばらにそれぞれやらしておいて、あなた方の言うように、自由競争によって落ちるものは落ちる、残るものは残るであろうということでは日本乗用車振興増産にはならぬのではないか、何とか乗用車工業というものを発展さしていくためには、乗用車だけをトラックバスとは切り離して、何とかしてこれを育成して大きなものにしていく、今のようにばらばらになっているものを何とかして育成していこうという考え方でなくして、もっと基本的な、先ほども言われたように、フランスにおけるルノーとかあるいはソ連あたり乗用車工業に対する力こぶの入れ方を重要な国策として政府が考える場合には、今のようなやつを競争さして、脱落するものは脱落すればいいじゃないかということでなくて、もっと根本的に政府力こぶを入れなければならぬのではないか、たとえば大型車についてはこう考えている、中型車についてはこう考える、日本国産乗用車というものの今後の発展はこういうすっきりした形においてこういうふうに伸張さしていくのだという基本的な態度を持たないのかどうかということ、そこを質問しているのであります。今のままにしておいて、しかもいろいろの大きな会社ばらばらに作っているものを脱落するものは脱落するであろうというようなことでは、日本乗用工業発展というものは望み得ないと思う。通商産業省としては、それに対する基本的な生産対策というものを考えておらないかどうか、聞いてみますと考えておらないようでありますが、これは重要な問題である。だからわれわれはきょうもここに決議案というものを一つ用意しているようなわけであります。この問題については、通産省としてはもう少し真剣になって考えてもらいたいが、いかがですか。
  27. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 これは、この前この委員会参考人をお呼びになって業界の御意見先生方お聞きになったと思いますが、従来の自動車工業確立方向は、国産会社自身がその技術、実力によって自分で作るというほかに、外国より技術を導入して、それによって自動車工業を興そうという、そういう二つ政策をかみ合せて伸びてきている。そうしまして、現在予想されるそういう自動車工業に経験あり実力ある会社日本の車のタイプでは三つ、それから外国タイプでは三つ、これを国産化するように努力していく、こういう状況でございます。しかし会社の数はダブっている会社もありまして五つであります。そうして、これをどういうふうに持っていくかという問題でありますが、われわれとしては、部品規格統一であるとか、あるいは技術の向上であるとか、外車輸入抑制であるとか、あらゆる方法を通じてこれが伸びていくように、こういうふうな考え方で進んできているわけであります。全然無為無策で考えているわけではございません。従いまして、根本考え方は、ただいま御指摘がありました通り、そういう会社の数の多く、たとえば四つとか五つとかの会社をそれぞればらばらにしてやるのがいいか、一つにしてやるのがいいかという問題だと思うのでありますが、二の場合に、先ほどから申し上げました通り単位は大きければ大きいほど経済的だと思います。しかしながらこれは、現在スタートしている五社というものが、それぞれたくましい競争力を持って、相当切磋琢磨してそれぞれやっているのであります。しかもどの車種が需要者にとって一番いいかという問題もいろいろ考えなければならない問題でございます。今早急にこれに対して的確な結論を出すのが適当であるかどうかという点についてわれわれとしては問題が残っておる。もうしばらくここでお互いの技術を切磋琢磨させ、市場開拓をさせ、技術を向上させ、それの結果によって適切な方策を講ずるのがいいんじゃないか、こう考えております。
  28. 森山欽司

    森山委員 局長お話でありますが、自動車工業会の方から、国産車の培養、外車抑制輸出促進税負担の減免、低利資金の融通、良質低廉な原材料の確保、部品並びに材料の規格統一試験研究機関の拡充、部品工業確立等幾つ要望事項が出ております。これが全部百パーセントできましても、日本自動車工業は依然として国際競争力を持ち得ない産業であるということは、現在の生産単位を確保するにしても、コストダウンというものができない。これができたところでたかが知れておる。従って現在の乗用車産業において、さっき言ったようなことが全部なし得たところが、何十億、何百億の金をつぎ込んだところが、コストダウン程度も先が見えておる。これは要するにそれらの条件ができて初めて国際的水準になるわけです。マスプロ競争ということになるわけです。そういうことを考えますと、需要拡大ということをまず考えなければ、どんなに自動車工業の保護助長策をやったところで、これは役に立たないという点ははっきりしていると私は思うのです。そこで需要拡大と、それからマスプロ態勢を作る、この二つの問題が一番重要になると思う。この二つの基本線にはずれた一切の自動車工業政策は誤まりだろうと思うのです。私は何も国産自動車業者を抑制する立場を代弁するわけじゃございません。しかし日英通商協定で、オースチンならオースチンを買ってくれ、こういっておるイギリスに対して、そういう車を入れるということについてはなかなかいい顔をしない。それであるのに、ウィスキー、チョコレートあるいは化粧品等は輸入している。一体そういう国の政策がいいのか。わが国の経済が孤立経済であり、封鎖経済であり、自給自足であるというなら別です。しかし今日のわが国のごとく、輸出をしなければならぬときは、どうしても輸入をしなければならぬ。売ると同時に買わなければならない、そういう点から考えましても、いたずらに国内自動車メーカーの保護政策をもし局長が考えておられるとするならば、そういう考えは今日の段階において一擲しなければ、わが国経済に対して非常な損失を与えると思いますが、いかがですか。
  29. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 貿易の問題にお触れになりましたが、これは通商局の方でお答えするものであると思いますので、私は今の自動車工業関係の方を申し上げさせていただきます。確かに先生の御指摘するような問題は、大きな問題として今後の自動車工業を運営していくほんとうのキー.ポイントだと思います。しかしながら終戦直後自動車工業は禁止されておりましたが、四、五年前から日本自動車工業が出て参りました。これからスタートしてきて現在相当実力のある大きな会社努力してやってきている。しかも年々技術が向上し、生産は上ってきておる。たとえばトヨペットもことし出ましたものは相当ものがよくなっている。しかも値段が下っている。こういう状況から見まして、さらにわれわれとしましては、こういうふうな業界の創意をできるだけ生かして、それによって自動車工業の伸びるような方法をとるべきでないか、こういう考え方を持っておるわけであります。その方法としていかなる手がいいかという点は、今後十分考えなければならないと思いますが、そういう点から考えております。ですから抽象的に一つ会社で一形式でやれば、コストダウンもできる。それでいこうということが果して現実の問題として効果を上げ得るかどうか。現在会社が五、六社できて、それぞれやっておる。しかもたくましく非常に競争力が強い。お互いに一緒になるようなこともなく、非常に競争してやっているという現実から見て、実際問題としてそういうことができるかどうか、そういう点も十分考えて今後の自動車工業の問題を考えさせていただくのが至当ではないかと考えます。
  30. 森山欽司

    森山委員 ですから私が伺いたい二とは、要するに国産車を培養することはけっこうです。そのために外車抑制する、これもけっこうである。税の負担をできるだけ安くする、自動車をうんと安くしてもいいでしょう。低利資金の融通もけっこう、良質低廉の原材料の確保ができればそれもけっこう、部品並びに材料の規格統一試験研究機関の拡充、並びに部品工業確立もけっこうです。そういうことができましても、日本自動車の現在の需要というものを相手にして、そして海外市場というものは外国車の非常な熾烈な競争があるというようなことからいって、現在の自動車工業が一体国際的な競争力を持ち得るかどうかということを伺っておる。今の五、六社にやらしておるということでそういうことができるのか。国全体から見るともっと重点的にいかなければならないものを、こういうところにやってはむだじゃないかと思うのです。だから国内には日本自動車工業バストラックに重点を置いて、乗用車工業をやめたらいいという議論がある。たとえばタクシー業者に聞いてごらんなさい。タクシー業者で喜んで国産車を使っておるのは一社もない。今度の新型ができてもそうです。償却の問題、利益の問題、長持ちの問題から見て、みなそういう考えを持っておる。ごく最近におけるタクシー業界のいろいろな問題もやはり国産車の問題に端を発しておる。われわれはそういう点から見て、今の自動車工業の態勢の上に立ってわずかばかりの手を打ったところで、大なる進歩はない。抜本的の手を打つか、さもなければそういうことは一切やめるか、どちらかをとるべき時期に達していないだろうかと思うのですが、いかがですか。
  31. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 私どもは現在の自動車工業の発達の段階から見て、いろいろ方策はございますが、方策を講ずれば必ず確立できるということを信じておるのであります。
  32. 森山欽司

    森山委員 私は国産自動車は、バストラックは現在のやり方で大なる支障はないと思うが、あなたは乗用車工業に対しても私はできると思うとこうおっしゃった。それではその具体的な構想を一つお示しを願いたい。今お持ちにならなくとも、追っての時期に重工業局長の構想は御提示願いたい。果してそれが世の批判にたえ得るものであるかどうか。要するに乗用者のメーカーではなく、一般の他の産業界から見て真に納得できるところの線を局長がお出しになるならけっこうです。もしさにあらずして、単に従来のような乗用車の既存メーカーに対する断片的施策にとどまるならばこれはやらない方が私はいいと思う。そういう施策があるというお話で非常に心強いと思う。私もでき得るならば日本乗用車工業確立ということを実現したい。しかしなまはんかなことではこれはできない。そのためにかえってわが国の今日の国民経済が国際的環境のもとにおいては、大局的に見て不利を招く可能性もあると思います。下手な手は打つべからずという議論なんですが、局長が御案をお持ちだというので、今お示し願えればお示し願いたい。今お示し願えなければ局長の構想を文書をもって当委員会に御提出願いたいと思う。
  33. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 私は確立できると信ずると申し上げたわけであります。しかしながらこれに対してはいろいろ手を打つべき方策はあると思います。これについては業界努力業界の熱意といいますか、業界状況、事情、そういうふうなことがまず先決だと思います。そういう情勢に対応してわれわれとしては適当なる方策をとりたいと考えております。
  34. 加藤清二

    加藤清二君 私は森山委員と正反対の意見を持っております。と申しますのは国産車であまりいいものができないから特別な措置を講じたってしようがないだろうというような御意見は、これは全くの敗戦主義の意見でありまして、わが国産業の自立計画、自立経済六カ年計画を樹立しておられる民主党の御政策にもきわめて反する有毒なる御意見であると思う。私は実際に照らして、部分品を高く売ってもうけるような外車をどんどん入れることは、百害あって一利なしと考えております。それはトヨペットのごとく、現在国内需要家が非常に喜んで使っている乗用自動車がおそろしい勢いをもって進歩している事実に対して、だれも目をおおうことはできないだろうと思う。それと関連しまして、どうも外国崇拝の念を起させるようなヒルマンとか何とかいうような車を部分品を買ってきて組み立ててのさばらしているというようなことは、もう必要のない時期になっているのじゃないかということが一つ。それから日本でそれらの部分品を買ってきて組み立てることによって、将来たとえばヒルマンとかルノーとかいう外車と同じような車を作ることが、日本の原料の点、技術の点等で果してできるかどうかということをまず第一にお尋ねしたい。それについては、私が通産省や何かの大先輩の方たちから聞いているのでは、まだ日本の鋼が外国の鋼のような程度に達していないというようなことで、かなり困難があるということを聞いておるのでありますが、そういうことになりますと、むしろ日本の実情に合った——その精巧なる程度では若干落ちても、安くて大衆向きで、いなかの悪い道でも歩けるような日本の国情に合ったところの乗用自動車生産奨励するように指導されるのが穏当じゃないか。非常な程度の高いハイカラな材料を用い、ハイカラな構造であっても、日本の道路その他の実情に合わないものを奨励することは当を得ていないのじゃないかということを一つ考えておりますので、少くとも小型自動車の面においては国産で間に合わせるというくらいの国産奨励の考えがあってしかるべきだと思う。外貨事情も決して油断できないので、自立経済六カ年計画というような考え方から、それを進めていただく御意思があるかどうか。  次に大型の乗用車でありますが、大型の乗用車日本の道路に合わないのじゃないか。日本の道路には大型自動車がめちゃくちゃに多くなることは大いに通行者が迷惑であり、同時に大型に合うように道をよくしなければならぬので、いろいろな道路を整備しなければならぬということは、地方自治体の財政にも限度があるので、とてもこれは不可能だ。そういうような意味から、大型自動車は大いに抑制して——特別に富士・箱根とか何とかいう観光地帯はまた別だ。こういうところは外車でも仕方がないと思う。使うのは外国人なんだから、喜ばしてうんと金をとったらいい。そういうような意味からも、私は少くとも小型に関する限りは国産車で間に合わせる。大型は需要をできるだけしぼって、ある程度に限定させる方向に向けていく、ある程度は輸入しても仕方がない、こういうふうにかっちり分けたらどうかということを考える。最もけしからぬと思うのは、この小型の外車外国会社と提携して部分品を買ってきてやってるやつでありますが、これはさき言ったように、果して日本でそれと同じようなものができるかどうかというお見込みを聞きたいのが一つ。  次にそれに対する関税や価格の問題でありますが、どうも完成車で買ってきていた時代よりも、今は部分品を買ってきて組み立てると、かえって値段が高いという話があるのですが、果してそうであるかどうか。それから税の関係で、部分品で買ってくると非常に有利で、税法上均衡を失しているという話があが、それに対して御意見はどうか。  それからその他こういうふうな乗用車生産について、行政指導の方針を定められる参考として、全国の使用者の意見の世論調査あるいはその統一団体等から十分に、正式に意見を聞かれたことがあるのかどうか。こういうことは私は非常に行政の内容を正確にするために必要だと思うのでありますが、そういう点はどうか。  まずそうした問題から先に御質問いたします。この質問は続きますからさよう御承知願います。
  35. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 いろいろ御質問がございましたのですが、まず最初は外国から部分品を輸入して組み立ててやっているわれわれの呼んでいる組み立て車というものが、必要であるか必要でないかという御批判の御意見であったと思いますが、これにつきましては実はわれわれとしましては日本自動車工業技術を向上せしめる、こういう点から技術提携ということで、外国の優秀な技術を入れるという建前から出発しておるわけであります。むしろ日本の終戦後における乗用車工業の着手はこういったところから始めて、これに現在やっている純粋の国産車が刺激されて大いに興る。そういうふうなわけ合いでございまして、これは大いに技術的にもいろいろな意味において、純粋な国産車を刺激する上に役立っております。また日本の提携しております会社は、相手方から技術を取り入れ、近い将来にこれを国産化するという努力をもって現在進んでおります。現在の段階では、会社によって違いますし、またたまたまの臨時的な事故により、モデルが変ったとか、ストライキがあったとかいうようなことでおくれておる会社もあります。ある会社については現在五〇%近くが国産化され、ある会社については三〇%、こういうような状況であります。われわれとしてはさらにこれを推進して完全な国産化をはかり、先ほど申し上げました競争によってできるだけコストを安くし、いい車を作って供給させていきたい、こういうように考えておるわけであります。  それから技術と材料の問題につきましては、これは従来からも努力しておりますが、今後も十分努力してみたい、こう考えております。機構の点等お話がございましたが、これについてはさらに自動車会社と製鉄会社との共同研究というようなことで、今後もできるだけ努力していきたい、こう考えております。  三番目は大型車は必要ないじゃないか、必要でないから国産の小型をまず確立して、小型については輸入を完全に禁止して、大型だけ輸入させたらどうか、こういうような御意見であります。ほぼそれに近いような気持でやっておるわけでありますが、ただ要するに、小型車につきましては、現在純粋な国産車、それから組み立て車、この二つを大体やっておりますほかに、輸入車といたしまして、大型、小型を含めまして軍人、軍属の払い下げの車が相当ございます。これについては昨年は相当多かったのでございますが、今年いろいろ折衝によりまして、ある程度これを制限してもらうようなことの話がきまりまして、この四月の初めにその方向三つの条項、たとえば登録してから一年以内のものは売ってはならない、それから制式が二年以内の新しい、今年で言いますと五五年、五四年型は売ってはならない、それから一ぺん売ったら三年以内には売れないというようなことで制限をつけまして、ある程度払い下げ放出の方を制限する、こういう努力をしております。しかしそれにしてもある程度は入って参ります。それからやはり通商関係その他で若干の、これは刺激をする意味もございますが、輸入を認めなければならない、こういう現状になっております。しかしながら国産で小型車が相当できておりますから、輸入される車あるいは払い下げる車は相当大型が多くなっている、こういう現状だとわれわれは考えております。
  36. 森山欽司

    森山委員 ただいま加藤君が関連質問をされたわけでございますが、加藤君と私とは多少意見が違う点もあるようでございます。私は、今日のわが国の経済で最も重要視すべきことは、輸出振興である、またそう言われておるわけです。しかし日本だけが輸出して、外国から輸入しなというわけには参らないのであります。輸出のみ他国にさせて、他国よりの輸入をむやみにしないということは果してどうか。何でもかんでも国産品でなければならないという考え方は、全く時代錯誤の偏重愛国主義であります。悪くて高いものを無理やり使わせるということは、戦時中はできたかもしれませんが、今日の世界的経済において、最も盛んな貿易の土に成り立っていかなければならないわが国としては、そういう考え方は断じてとってはならないと思う。そこでわが国にして真に乗用車工業国産し得るだけの需要拡大マスプロ態勢の確立に成功するならば、またそういう線に沿ってわが国乗用車工業の保護助長策を講ずべきであると思いますが、その基本線を離れたところの一切の政策は、要するに、今日の三社ないし六社の細々としたところの生産を保護助長するようなやり方というものは、かえってわが国輸出を阻害するような結果に陥るということは、私が先ほど来指摘しておったわけであります。そういうような考え方が、今後の自動車工業の基本方針になるべきであるということで、先ほど局長お話を伺ったのであります。たとえば昨年から日独協定その他の協定が成立しておる。ドイツがフォルクスワーゲンを売りたいとか、あるいはイギリスがオースチンを売りたいというような場合に、自動車工業の反対をバックにして、これを極力拒み続けて、協定の成立を極端におくらせておる。また一たん成立したものも、その実行を言を左右にして、一台の自動車も輸入したくないというやり方をしておる。これは誤まった国産工業の保護政策であると思っておるのですが、そういうことがもし事実であるならば、それについて重工業局長のお立場としてはどういうお考えを持っておるか、御所見を承わりたい。
  37. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの通商統制の問題でありますが、日独協定はその趣旨に沿ってやっております。  大体、考え方二つあると思います。通商政策は通商局長の方が責任者でありますから、お答えすると思いますが、まず協定を作る場合にどうするか。これはわれわれとしては、要するに、向うからある程度バックを入れなければならないとするならば、比較的日本に必要とするもので、しかも影響の少いものを入れるべきだと考えております。それによって一たび協定がきまりましたら、その趣旨によって実行すべきだ、こう考えます。
  38. 加藤清二

    加藤清二君 鈴木局長のお答えはピントはずれのような感じがします。第一の要点は、簡単に言うと、日本人はあまり肉を食うために高血圧になってどんどん死んでいく、昔のように野菜ばかり食べている方が——私は菜食主義者だが、日本の国情に合うというような意味において、それと同じように、ハイカラな非常に精巧な鋼でなければできないような外車なんかを、えらい関税、えらい外貨を使って入れるよりも、乗用車などは国民のげたのようなものだから、程度は少し低くとも、安いものをふんだんに供給して国民の利便をはかられたらどうか。それには最初は安いようだけれども、部分品を高く売ってもうけるような外車の跳梁ばっこにまかせておくようなことをしないで、むしろトヨタなんかあんなによくなっているんだから、そういう方をうんと大量生産に導くように国産奨励をされたらどうか。ある程度バーターの関係なんかで、自動車その他の買わなければならぬものもあるでしょうけれども、そういうことは本筋の自動車工業振興ということから見れば、二の次なんです。それは結果において、この程度ならば国産を妨害しないから買ってもいいということで、バーターとかいろいろなものを取り結ぶわけなんだから、そういうことを先に考えると、自立経済振興計画の妨害になるので、それはあとで考えて、本質の議論からいうとどうだということ。日本の道路に合うような、少しはスマートでないけれども、安くて実用的で部分品も安く買えるものを奨励した方がいいんじゃないか、それをまずお聞きしたい。私の説に賛成だか反対だか言って下さればいいのです。  それから二番目に、自動車工業と製鉄業者と何か結びつけてよく連絡をとらして、大いに改善している、改善するための通産省なんだから、それをやっていることは想像している。問題は、そういうことでなく、近く五年、六年の間くらいに、果して外国自動車が使っておるようないい鋼ができるか、超高級品が日本でできる見込みがあるかどうかということを聞いているので、それができなければ、その組み立てのものを持ってきても、外国のものと同じようなものができるわけでない。自動車工業技術だって、各自動車会社にしても、外国に技師をやってどんどん研究さしておるし、そんな組み立て材料なんか輸入しなくとも、技術の遊歩は幾らでもできると思う。そんなことは、ある時期だけ技術水準を高めるためにやられるということなら了承しますが、今さらそう長く続ける必要はないのではないかという考え方について、お答えしていただきたい。
  39. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 材料、部分品から一貫して国産化した乗用車確立することを、われわれとして強く考えておるわけです。だからお話の点は、十分その気持でやっておるつもりでございます。ただ今お話しのございました組み立て車の問題でありますが、これは大体三十二年の上期におきまして九〇%は国産化するという目標でやっておりますので、ただいまお話しのございました材料等の問題につきましても、十分見通しを持って現在進んでおる予定でございます。
  40. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 簡単に一、二点だけ承わっておきますが、先ほど来いろいろ御質疑の中にも現われておりますが、特に乗用車について現在ある機種、すなわち純国産あるいは組立車ですか、それだけでもすでに多過ぎるのじゃないかというのが、大体のいわば常識的な見方だろうと思います。しかし一面われわれも日本の乗用自動車工業というものの今日までの生い立ちというものを考えれば、今直ちにこれらのうちどれをとるとか、どれを捨てるとか、あるいはこれらから全然離れた新しい一つのものを作るとか、そういったことば、少くともほんとうにまだ初期にある乗用自動車工業というものを育てていく道ではないと私は考えておる。大体局長の今答弁されておることに同感なんでありますが、そこで今後一体この業界をリード、指導していく上について現在では自動車製造事業法ですか、そういったものもないと思いますが、現在すでに機種が多過ぎるのじゃないか、乱立しているのじゃないかと言われておるこの際、将来また全然新しく始めようという企画があるかどうか私も知りませんが、しかしとにかく現状を考えますと、何かやはり少くともこれ以上乱立あるいは過剰投資というようなことは防いでいくという何らかの規制がすでに必要な段階にきているのじゃないかという気がするのですが、それに対して何か法的な処置等を当局としてお考えになってみられるかどうか、この点を一つお尋ねいたします。
  41. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの御質問は、現在以上に業種をふやすような考えがあるかということでありますが、そういう点は考えておりません。それから要するに考え方は将来の業界の受け入れ態勢というふうな問題にも関係を持ってくると思います。それからわれわれといたしましてはできるだけ部品とか材料、こういった方面の規格統一促進して、ある程度大量生産の実を——現在の業界の形はそのままでありましても、そのような形を推進していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 その方向はそれでいいと思いますが、その方法として単なるいわゆる行政指導的ないき方でいくのか、あるいは何らかの法的な措置までも講じてやっていこうというのか、そういった何かお考えがあるかどうか、こういうことを承わりたい。
  43. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 私の言葉が足りなかったと思いますが、まずわれわれといたしましては、行政指導によって業界の方の態勢をはっきり作っていく、その状況によって必要とあれば法律等を考えていきたい、こういう考え方でございます。
  44. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 それから、これまた先ほど来の質疑にも関連するのですが、私は日本の乗用自動車のあり方を見ておりまして、先ほども申しました通り、まだ乗用自動車がほんとうに問題になり出したこと自体が最近のことなんで、ある程度乱立的な気味、そういうものもやむを得なかったと思いますが、日本自動車の製造というものが、あるいはこれは単に製造の側ばかりでなく、使用者の側にも大いに関係があると思うのですが、いうところの部品、材料の規格統一というような点から考えましても、あまりにアメリカ的に、日本のような貧弱な国が毎年毎年モデル・チェンジなどをやって、そのたびに材料の規格なども変えていくというようなことは、これは決して値段を安くするゆえんでなかろう。聞くところによると、欧州あたりでもそうむやみにモデル・チェンジなどはやらぬ。アメリカのような持てる国にして、初めてああやって毎年々々新しい型を出して、どんどん作っておるし、またそれがある程度売れておる、こういうことだろうと思うのですが、日本人一般はアメリカの影響で、自動車というものは毎年毎年型が変るものだと頭から大体そう考えておるようなきらいすらあると思う。少くとも国産乗用車については、そうむやみにモデル・チェンジなどをやらぬで、もちろんエンジン等の重要な部分の改善ということはこれははからなければなりませんが、いたずらな、特に毎年々々モデル・チェンジをやるのだというような方向はむしろやらせぬ、三年なり五年なりは一定のモデルでやって、そのことによって規格統一もするし、また従ってコストも下げられる、少くともそういう程度のことはまずやってみたらどうかという気がするのです。これもしろうとの考えですが、一つ局長それに対してどんな御所見ですか、お漏らし願いたい。
  45. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまのお話しの点でございますが、技術の進歩をいたします建前から見ますれば、日進月歩、新しいものをどんどん取り入れて改良をしなければならないと思います。ただ単に自動車のほんとうの性能というよりも、需要者の趣味とか何とかによって、これにあまりつられてしょっちゅう変えなければならぬというために、車も安くならないというようなことがありますれば、こういう点は十分考えて指導していきたい、こう考えております。
  46. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 最後に、これは防衛庁の方に聞きたいと思うのですが、防衛庁の方がいないので局長に一応承わってみます。  先般参考人から意見を聞きましたが、そのほとんど全部の人が、特に防衛庁の使用車の問題でした。これはあるいはむしろ貨物車あるいは特殊車というか、その方に属すると思いますが、防衛庁の国産車の使用が最近激減しているというふうな事実、最近の自動車会社の操短あるいはその他の不安な状況というものは 主としてここで生じておると思うのです。乗用車の問題もありましょうが、乗用車の方は先ほどお話しがありました通り、大体はこれは貨物自動車などとあわせてやっておるのであって、まだ乗用車自体の影響が、それぞれの事業を左右しておるというのではなく、むしろ本元の貨物自動車というか、特殊車というか、そういう関係、要するに防衛庁が非常に削減したということからきておると思うのです。そこで防衛庁が毎年どういう車をどの程度使うかということは、これは通産省としては一体あずかり存じないところなのか、防衛庁が一方的にきめておるのか。ある年は千台も二千台も使い、ある年になるとぱったりとまってしまうということでは、特にわが国における自動車工業の姿から見て、このこと自体が、またこれがひとりトラック関係ばかりではなくて、乗用自動車の方までも間接の影響を及ぼしてしまって、その事業体そのものが弱ってしまう。こういうことになるのであるからして、防衛庁との関係においても、ただアメリカの言う通りになって、一挙に一万数千台も古車を押しつけられるということは、通産省もいくじがないのではないかという気がするのですが、一体どういう事情になっておるか、御説明をこの際願っておきたいと思います。
  47. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 防衛庁との関係は、われわれとしましては事実上常に連絡しております。実は昨年払い下げといいますか、貸与がありまして、その関係が非常に困った事態がありました。われわれとしましては防衛庁の購入の予算を大蔵省とも相談して、できるだけふやしてもらうように努力したのでありますが、昨年は非常に苦しかった、こういうことで非常に大きな影響を受けたのであります。自動車工業確立される点から見ますれば、できるだけ防衛庁に自信をもって国産自動車を買ってもらうことが望ましいのであります。予算的には、今年度は大体昨年度より防衛庁の持っております予算はふえております。大体そういう状況であります。
  48. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 その点は一つ大いに御努力願うことにして、それと同時に、先ほど来話が出ているのですが、いわゆる需要拡大という面ですね。国産車の愛用会社の育成、一口にいうとこういうことになるかもしれませんが、国内における需要状況を見てみましても、もちろん一般経済界の状況に左右されることは言うまでもないのですが、日本においては少くとも国民所得というもの、あるいは経済活動というものがそう飛躍的に発展しない限りは、乗用車であれトラックであれ、需要層というものは大体変らぬ、変ってもごくわずかだ、こういう関係になりますと、いわゆる中古車の問題というようなものがほとんど行き詰まるのじゃないか。新しい需要というものはほとんどない。新車を入れるというものも必ず中古車を出して入れる、いわば交換の関係になってくる。そういう関係になってくると、いつの間にか車自体も行き詰まるし、あるいは金融的にも行き詰まる。こういう事態が相当程度にびまんしているのが現状です。最近では、たとえば車を売っても、長きは一カ年くらいの月賦で売っている。車を売るというよりも貸すような実情になっている。そういうことを考えますと、需要拡大という面から考えます場合には、どうしてもいわゆる中古車の処理の問題だとか、またそれに伴う金融の問題だとか、こういうところに手を打たぬことには、少くとも国内における需要拡大ということはあり得ないと思います。そういう点について何か当局でお考えになっておられるかどうか、最後に承わっておきたいと思います。
  49. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 需要拡大の一番的確な例は、車を安くしてできるだけ需要者に買ってもらうことがほんとうの行き方だろうと思います。先生の御指摘の中古車の対策、それから金融問題、これらについても今業界研究中であります。しかしこれらにつきましては、実際問題といたしましてかなりむずかしい問題もございますので、目下いろいろ研究しております。
  50. 加藤清二

    加藤清二君 さっきの私の質問に対して重工業局長はお答えにならないのでありますが、現在技術提携というか、生産提携というか、それをやっておりす三種類の車が、完成車として日本へ入ってきた場合の値段よりも、日本で今組み立てて売っているものの値段の方が高いというような話があるのですが、そういうことになると、せっかく技術を向上させようという通産省の行政指導を逆に悪用してもうけようという結果になって、義憤を感ぜざるを得ないわけですが、そういう実態があるかどうか、ちょっとお知らせ願いたい。
  51. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 当初売り出しました価格は、当時輸入して小売りされておりました価格よりも、どの車につきましても約十万ないし十五万安く組み立て車を売ったわけであります。それを特に値上げした例はございません。ただ最近輸入業者の方の競争によりまして、ある程度輸入業者の方でマージンを切って安く売るというものがありまして、特に完成車で入れた方が安いということはおそらくないと思いますが、ほほ近いところで売っておるという例はあるようでございます。
  52. 加藤清二

    加藤清二君 ただいまの御回答は、突然の質問だったせいか、何かそうであるらしいというようなことで正確じゃないので、現実の市内販売価格とそれが完成車で入った当時の価格との比較表をあすまでに提出していただきたい。それから税の関係でありますが、これは完成車の関税と部分品の関係との関係はどうなっておるかを伺いたい。
  53. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 完成軍は四〇%、部品は、これは分類によっていろいろございますが、大体三〇%、こういうふうに考えております。
  54. 前田正男

    前田委員長 この際小平君より発言を求められておりますので、これを許します。小平君。
  55. 小平久雄

    ○小平(久)小委員 この際、わが国における自動車工業振興に関しまして、本小委員会といたしまして決議をいたしたいと思います。まず決議案を朗読いたします。    決議(案)   わが国自動車工業は、近来急速に進展して、わが国産業中重要な地位を確保するに至った。なお下請並びに広汎にわたる部品工業を擁する点において、中小企業との関係もまた重視すべきものがある。   しかるに、わが国自動車工業は、終戦後の再建なお日浅く、しかも大規模経営による欧米業者と、国の内外において、常に熾烈なる競争を展開しなければならない。   よって、政府は、これ等の実情に鑑み、この際、わが国自動車工業が真の重要産業として飛躍的発展を遂げるに必要なる諸般の施策を速に講ずべきである。   右決議する。  別段御説明申し上げることもございません。ただわれわれの考えといたしましては、わが国における自動車工業というものが、国政の上において従来あまり大きく取り上げられなかった。産業の中においてもいわゆる重要産業としての取扱いを受けるに至っておらなかった。しかし何と申しましても、自動車工業は今日見られるごとき姿にまで発展をいたして参り、特に総合機械工業としてはわが国における最も中枢的な存在に今やなっておる。さらにまたこれが輸出産業にまで当然育っていくべきである。こういう考えのもとに、まずもってこの自動車工業の現在置かれている立場についての政府の認識をこの際特に確立されて、しかる後に諸般の施策を行うべきである。こういう見地からこの決議案提案いたしたわけであります。何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。
  56. 前田正男

    前田委員長 お諮りいたします。ただいま小平君の提案されました決議案について御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。
  58. 小笠公韶

    ○小笠小委員 私は朝からの質問を黙って拝聴いたしておりまして、本決議に関連して感ずることがありますので、この際希望意見を一言述べておきたいと思います。それはただいま全員一致で決議になりました本決議案の最後の項目の中に「わが国自動車工業が真の重要産業として飛躍的発展を遂げるに必要なる諸般の施策を速に講ずべきである。」という結語に関連いたしまして、今朝来の質疑におきまして日本自動車工業、特に乗用車工業の持っていき方について、意見が必ずしも統一しておらぬように思うのであります。マスプロダクションの傾向に持っていくとか、政府委員の答弁のように自由競争によってその間に残るものを育てていこうというような考え方等に分かれておると思うのであります。また最近には国民車なる言葉が世の中に流布されておりまして、オート三輪に毛のはえたようなものを作っていくんだ、あるいはそうでないというような言説が流布されておるのであります。  かく観じ来たりまするときに、政府が本決議案を忠実に実行するに当りまして、日本自動車工業確立のために、いかなる生産体制を中心として考えていくのが最も日本自動車工業発展に、すなわち本決議の趣旨に沿うものかどうかという基本的な態度を、私ははっきり十分視野を広くして決定していただきたい、しかる上においてこまかい専門的な部品の問題もありましょう。あるいはその他いろいろな材料の問題もありましょうが、まず源をはっきりいたさなければいつまでたっても自動車工業、特に乗用重工業というものは発展いたしかねると私は思うのであります。政府委員の答弁を聞いておりますと、はっきりしておるがごとく、しておらざるがごとき答弁であります。この意味におきまして、私の申し上げました、いわゆる乗用自動車工業に対する生産体制を、どういう形においてどの程度まで自動車工業発展さすために挺身するのかという腹をまずきめて、本決議案の実行に移っていただきたいということを特にお願い申し上げる次第であります。
  59. 前田正男

    前田委員長 ただいまの御発言につきましては一つわれわれといたしましもできるだけ政府側その他と協力いたしまして、趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  それだは本委員会全会一致意思といたしまして、本日午後の商工委員会に報告いたしまして、委員会においてただいまの決議を行うよう申し入れたいと存じます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会