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1955-06-07 第22回国会 衆議院 商工委員会科学技術振興に関する小委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十年六月七日(火曜日) 午前十時三十九分
開議
出席小委員
小
委員長代理
長谷川四郎
君 小笠
公韶君
齋藤
憲三君
中村庸一郎
君 堀川 恭平君
森山
欽司
君 小平 久雄君 櫻井 奎夫君 帆足 計君
佐々木良作
君
出席政府委員
通商産業事務官
(
軽工業局長
)
吉岡千代
三君
通商産業事務官
(
鉱山局長
) 川上 為治君
通商産業事務官
(
石炭局長
)
斎藤
正年君 小
委員外
の
出席者
議 員 笹本 一雄君
通商産業事務官
(
軽工業局有機
化学課長
) 宮澤 鉄蔵君
通商産業事務官
(
軽工業局日用
品課長
) 馬場 一也君
通商産業技官
(
石炭局技術課
長) 八谷 芳裕君 専 門 員 谷崎 明君 専 門 員 越田 清七君 専 門 員 円地与四松君 専 門 員
菅田清治郎
君
—————————————
六月二日
森山欽司
君五月三十一日
委員辞任
につき、
委員
長の
指名
で小
委員
に補欠選任された。 同月六日
加藤清二
君六月三日
委員辞任
につき、
委員長
の
指名
で小
委員
に補欠選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
石油
、
石炭
及び
有機
各
化学工業
に関する件
—————————————
長谷川四郎
1
○
長谷川
(四)小
委員長代理
これより
会議
を開きます。
石油化学工業
、
石炭化学工業
並びに
有機化学工業
に関して
調査
を進めます。まず
政府
より、各
化学工業
の概況について
説明
を求めます。
吉岡政府委員
。
吉岡千代三
2
○
吉岡政府委員
石油化学
につきましては昨年五月に衆議院におきまして
有機合成化学工業振興
の御決議をいただきました。その後他の
条件
の
成熟
と相まちまして急速にその
企業化
が進んでいるということは御
承知
の
通り
かと思います。それで従来
基本
的の問題につきましては二、三度前の
化学工業小委員会
において御
説明
したこともございますので、なるべく重複を避けまして、
現状
を
中心
にごく
概略
を申し上げたいと思います。 お
手元
に「
石油化学工業
の概要」という小冊子をお配りしておりますが、その序文のところにちょっと書いておきましたので御参照いただきたいと思います。
外国
におきましては数十年前からこれが
企業化
が始められており、現在特に
アメリカ等
におきましては、
化学工業
の全
分野
において非常なウエートを占めておるということは御
承知
の
通り
でございますが、
わが国
におきまして、最近
企業化
が具体化してきたという主たる
理由
といたしましては、まず
需要
の面におきまして、御
承知
のように、最近における
合成繊維
、
合成樹脂等石油化学製品
を
原料
といたします
需要部門
が急激に発展して参った。従って
需要面
と申しますか、
石油化学製品
が商品として
企業
的に成り立ち得る
条件
が整ってきた。また
合成繊維
の
原料
であります
ベンゾール類
でありますとか、
合成樹脂
の
原料
であるエチレン、
スチレン等
の
輸入
も、これを
わが国
において
企業化
いたしません場合は、年々ふえて参るというような
関係
からその
製品
をなるべく安く、かつ
国産化
ということが強く要請せられてきた、これが
需要面
の
理由
でございます。一方
生産
の面におきましては、御
承知
のように
石油精製過程
におきまして、逐次高オクタン価のガソリンを精製し得る近代的の
精製設備
が相次いで完成し、あるいは完成しようとしておる。そういう
関係
から
石油化学工業
の
成立
に必要といたします、均一したしかもこれが
生産
に適した成分を持っております
排ガス等
の
供給
が量並びに質の面におきまして期待し得る
条件
がそろってきた。以上のような
基本条件
の
成熟
に即応いたしまして、昨年の終りから本年の初めにかけまして、
各社
の
企業計画
、
外国会社
との
技術提携等
が急速に具体化して参ったというようなことをあげ得ると考えるのでございます。同時にそういうわけでこれを具体的に取り上げるという
段階
に参りますと、いろいろの問題も解決しなければならないという
関係
に立ち至っておるわけでありますが、
石油化学工業
は、御
承知
のように、非常に大規模な
生産単位
を
企業
の
成立条件
といたしますので、それに対する
製品
の
需要
でありますとか、
技術
上の
関係
、
企業採算
、言いかえれば
価格
の
関係
、また
相当
の
資本
を必要といたしますので、それに対する
資本力
と申しますか、
企業
の力というようなものを考えまして、
わが国
の実情に最も適した
企業計画
を選定する必要があるという点が第一点でございます。 それからこの
石油化学工業
の
基本
となりまする
石油精製業
との
関係
、それから
関連化学工業
との
関係
並びに従来他の
方法
によりまして同じ種類の
製品
を作っておりました
タール工業
、
発酵工業等
との調整も考慮しなければならない。これらの問題につきまして、ただいま具体的に検討しつつ、施策を進めておるような状況でございます。 そこで
政府
としてこれに対してどういう
考え方
をとるかという点につきましては、お
手元
に「
石油化学
に関する
資料
」という
ガリ版刷り
の
資料
をお配りしておったかと思いますが、その四ページに「
石油化学工業
の
育成対策
(未定稿)」というところを御参照いただきたいと思います。そこに書きましたように、実は
通産省
といたしまして、正式に
省議決定
というふうな
段階
に至っていないわけでありますが、
事務当局
といたしましては、数回
事務当局
の
段階
におきまして
関係局
打ち合せをいたしまして、大体こういう
考え方
で近く
省議決定等
に持って参りたい、こう考えております。 そこの二の
方針
というところに書いてございますが、まずおもな
石油化学工業製品
の今後における
需要
を想定いたしまして、その
必要量
を
国際価格水準
で
供給
するような体制をなるべくすみやかに確立いたしたい。その
見地
に立ちまして、
各社
の
企業化計画
のうちからいろいろな、
技術
上、経理上あるいは
採算
の面、
資金計画等
の点を考えまして、
育成
すべき
計画
を選定したい。それから
石油精製
の
能力
につきましては、これを
石油化学工業
のために大幅に
増加
することはいたさない、これは
石油精製
に関する
通産省
としての
方針
の
関係
もございますし、同時にこの
石油化学工業
の
原料
としての
排ガス
は、極力安い
原料
を使わなければならない。従いまして現在並びに今後における
石油精製
の仕事を前提にいたしまして、それから出ます
排ガス等
非常に安く手に入る
原料
を主体としてこれを考えて参りたい、こういう
考え方
をとっております。 それでそういう
見地
から適当な
計画
を選定いたしまして、それについては
開銀
の
融資
、
設備
の
短期償却
、
外国技術
の導入、税法上の
優遇措置
、
機械
の
輸入等
に対する
外貨割当
、関税上の
優遇等
の
助成策
を講じて参りたいというのが大体の
考え方
でございます。 それから
各社
の
具体計画
につきましては、その
資料
に
一覧表
を掲げてございますので、これにつきましては、御
質疑等
がありましたらさらに御
説明
いたしたいと思います。 次に
石炭化学
の
関係
でございますが、これにつきましては、
通産省
といたしまして官房を
中心
に低
品位炭
の
利用促進研究会
というものを設置いたしまして、本年の初め以来
石炭局
を
中心
に、
関係局
の
担当官
が参加いたしまして、
石炭化学
のみならずその他の面におきましても低
品位炭
の
利用
の
研究
をいたしております。昨日
省議
に
中間報告
があった
程度
でございまして、最終的なまとまった形の
段階
には至っておりませんが可能な
限度
におきましては、従来から個々の
分野
におきましてこれが
促進
をはかっておるわけでございます。そのおもなるものについて申し上げますと、第一に
硫安工業
の
関係
でございますが、具体的に申しますと、
小名浜
の
日本水素
の
工場
におきまして、低
品位炭
を
利用
いたしまして
アンモニア原科
の
ガス
をこれから得る
設備
を現在建設中でございまして、本年の大体八月ごろから稼働する予定になっております。これによります低
品位炭
の
年間
の
消費量
は約十一万トンでございます。それから
日東化学
におきましても現在パイロット・プラントを
計画
中であり、また
住友化学
、
山陽化学等
におきましても、先ほど申し上げました
日本水素
の
計画
を注目しておるわけでありまして、おそらく
日本水素
の
計画
が成功いたしました場合には、これの
計画
を進めるということになるのではなかろうか。かりに現在これに関心を持っておりまする数
工場
が全部低
品位炭
を
利用
するということになりますと、推計でございますが、
年間
大体百万トン近くの低
品位炭
の
利用分野
が開拓されるというふうに考えております。それから、これは
専売公社
において、やはり
小名浜
に低
品位炭
を
利用
されました
機械製塩
の
計画
を進めておられるわけであります。ただこれはやはり
コスト
の
関係
で
相当
現在の
段階
においては問題があるようでございます。それから
戦争
中行いました、
石炭
を完全
ガス
化いたしまして、
人造石油
と申しますか、オレフィンをとり、これからアルコールを誘導するというドイツの
技術
があるようでございますが、これにつきましても、昨年三井化学におきまして
相当計画
が進んでおったようでございますが、やはり
コスト
の
関係
、また
製品
の
需要等
の
関係
から、同社といたしましては、御
承知
のように
石油化学
の方をとりあえずやりたいということで、
目下研究
中という
段階
であります。その他部分的の問題といたしましては、
石炭
を燃焼いたしました際の灰分を
セメント原料
に使う
計画
でありますとか、あるいは
北炭
において、
北海道
でやっておりまする
坑内ガス
を
——
これは保安上の
見地
からもございまして、これを抜きまして
カーボンブラック
を製造するとか、いろいろな
計画
があるようでございますが、ただいまこの
化学関係
で量的にややまとまったものといたしましては、最初に申し上げました
日本水素
の
コッパース式
によりまする
計画
が主たるものではないかと考えております。大体
概略
を申し上げまして、あとはお尋ねによりまして申し上げたいと思います。
長谷川四郎
3
○
長谷川
(四)小
委員長代理
以上をもって
説明
を終りまして、これより
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますので順次これを許します。 その前にちょっと私から
軽工業局長
にお伺いするのですが、あなたはいろいろ
計画
を立てているんだが、
資金
の方、たとえば今の
石炭化学
の
方面
の
資金
についてのあなたの御
計画
と、
政府
にあなたがどの
程度
まで当っていて、
政府
がどのくらい
政府資金
を出すか。
自己資本
ではおそらくこの
工業
は成り立たないと思うのですが、そういう点についてあなたの
見通し等
を一応話してみてください。
吉岡千代三
4
○
吉岡政府委員
お答え申し上げます。
石油化学工業
は、申すまでもなく
日本
としては初めての
工業
でございます。先ほど申し上げましたように、われわれの選定いたしております
会社
は、それぞれ
相当
の
資本力
を持っておるかと考えるわけでありますが、しかし当然これは
金融機関
からの
融資
を期待しなければならない。その場合にやはり全然新規の
産業
でございますので、
政府自身
も責任を持ってこれに
資金的援助
も行い、推進するのであるということを明らかにいたしませんと、必要の
金融
上にも支障を来たすという
関係
もございます。同時に
資金
の量もある
程度
の額に達しますので、その両面からこれに対しては
必要限度
の
開銀融資
をお願いしたいと考えております。ただ
各社
の
計画
が、現在それぞれ
関係者
が
技術提携
のために
外国
に行っておりますとか、
具体計画
について最終的の検討をしておるというふうな
段階
でございまして、われわれとしては今
年度
の少くとも後半には
資金需要
を必要とする
程度
に
具体計画
をまとめるべく努力いたしておりますが、現在のところ最終的にこれでいよいよ着手するという
段階
には、実はまだ至っておらないわけでございます。そういうわけで、
資金量
の
算定等
も的確なことを申し上げかねるわけでございますが、
通産省
といたしましては、本
年度
の
予算編成
に関しまして、
財政投融資
の
開銀融資
を要求いたします場合に、
石油化学工業
の
育成
ということを
一つ
の有力な論拠として
説明
をいたしておるわけでございまして、担当しております
企業局
と私の方には一応の腹づもりの
程度
の額はございますが、今のような
程度
でございますし、また本
年度
の
開銀融資
の組み方といたしましては、具体的に
石油化学工業
に何億ということにはおそらくならないであろう。いわゆる
一般ワク
の中でせいぜい
石油化学
その他というふうに業種を例示されるというような
程度
が本
年度
の結論ではなかろうかと思います。そういうわけでございますので、ただいま具体的に何億ということを申し上げる
程度
に至っておりません。具体的に必要を生じた場合には
最少限度
のものは
融資
し得る
態勢
にあるというふうに私としては確信をしておる次第でございます。
長谷川四郎
5
○
長谷川
(四)小
委員長代理
これだけの
計画
をことしやる
段階
にはならないんだな。そこで
政府
の
投融資
についての腹がきまってなければ、各
会社
も、これに対して一応の申請はするだろうけれども、取りかかれないのじゃないか。そういう点について
政府
が幾らくらいの
投融資
を見込んでいる、しかも
会社
を幾つかの
会社
に限定してやるのだ、こういう心がまえから発足していかなければ、なかなかこれを実現化することは困難だと思う。そういうところで、もう少し今度ははっきり、その面をどのくらいまでやれると答えられる
程度
まで、
企業局
との交渉をいま一段と進めてもらいたい、こう思うが、どうでしょう。
吉岡千代三
6
○
吉岡政府委員
今申し上げましたような
程度
でございまして、実は額を今申し上げることはいかがかと考えておったのでございますが、今まで
企業局長
とお打ち合せをしておる
段階
では、まず五億前後
程度
はこの分として考えたいということに
企業局長
も申しております。ただこれは先ほど申し上げましたように、
各社
の
具体的計画
を最終的に決定し、同時にその時期における
当該会社
の
資金
繰りその他の
関係
もございますので、他の従来から継続しておるような
企業
とちょっと異なりますので、的確な
意味
では申し上げかねるのでございますが、大体その
程度
の話し合いはいたしております。
齋藤憲三
7
○
齋藤
小
委員
石油化学
と
石炭化学
は非常に大きな問題でありまして、われわれも
専門外
ながら、これに大きな
重点
を置いて、今後の
日本
の新しい
生産態勢
を確立していかなければならぬと思って、いろいろ話を聞いたり、本を読んだりいたしておるのでありますが、現在
日本
ではまだ世界的な
科学技術
のレベルを持つ
石油化学工業
というものも単に
計画
中であって、その実現もまだほど遠い
状態
になっている。と同時に、われわれの考えております
石炭化学
というものも、まだ本格的にその体系が整っておらぬように思うのであります。世間ではよく、
石油化学
の方がいいんだとか、あるいは
石炭化学
の方がいいんだとか、いかにも
石油化学
と
石炭化学
が相対立しているような
観念
をわれわれに与えるのでありますが、これは一体対立して考えるべきものであるか、あるいは
石油化学
と
石炭化学
というものは、相並行して発展せしめるところに将来の新しい
生産態勢
が確立されるものであるか、この点について
局長
はどう考えておられますか。
吉岡千代三
8
○
吉岡政府委員
もちろん、ただいま御指摘の後者の
考え方
に立っておるわけであります。特に
日本
におきましては、
戦争
中
フィッシャー法
による
人造石油
の
生産等
も行なった経験を持っているわけでありまして、ある
意味
においては
石炭化学
の方が先行しておったということも言えるわけでございます。ただ何分にも
化学工業原料
としてこれを使います場合には、ほかの要件もございますが、
原料
として非常に安いものでなければならぬという要請が非常に強いわけでございます。それで
石油化学
にいたしましても、
石炭化学
にいたしましても、それから出る
製品
というものは、大体他の
化学工業
なり
繊維工業
その他の
原料
ないしは
中間原料
として
使用
するものが大半でございますので、その
意味
から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、
石油精製
の
過程
から出る
排ガス利用等
を
中心
とする
石油化学
に比較いたしまして、
石炭化学
の方は、特に
日本
におきましては
石炭
の
価格自体
が高いという
関係
に
一つ
の難点があるように考えられます。しかし一面から申し上げますと、それなればこそ、
石炭鉱業合理化
の一環としてむしろ積極的にこれを推進しなければならぬということも当然でございますので、われわれといたしましては、どちらに
重点
を置くということでなくして、相並行して極力可能なものはこれが推進をはかって参りたい、こういう
考え方
に立っているのでございます。
齋藤憲三
9
○
齋藤
小
委員
先ほどお話
がございましたが、低
品位炭
というものは、
カロリー
どのくらいのところで押えているか。また
カロリー
だけでなく、
アッシュ分
もいろいろな
関係
があると思うのでありますが、どの
程度
から低
品位炭
として扱うか。今採炭されている低
品位炭
の数量はどのくらいあるか。同時にこの低
品位炭
の中には
亜炭
は含まないものか、
亜炭
を含んでいるか、それをちょっと……。
斎藤正年
10
○
斎藤
(正)
政府委員
低
品位炭
というものについて、どれから以下が低
品位炭
という絶対的な
基準
はございませんが、その
地区
で産出する
石炭
の中で通常大量に取引されるものが目安になりまして、それ以下の
品位
のものが低
品位炭
ということになるわけです。具体的に申しますと、九州、
北海道
のような、
原炭自体
が
相当高品位
の場合には、大体五千
カロリー
未満のものを考えている。それから
常磐地区
、
宇部地区
のような、
原炭品位
の低い炭田の場合には、四千
カロリー
程度
のものを低
品位炭
と考えております。 それから
亜炭
は全然
石炭
と別個に考えております。
亜炭
については低
品位炭
という
観念
には入らないように、われわれの間では
使用
しております。
齋藤憲三
11
○
齋藤
小
委員
この国会にも
石炭合理化
に関する
臨時措置法
が提案されて、これはいろいろ論議の対象になると思うのでありますが、国家的な
見地
から見て
燃料
の
総合対策
を確立するときに、
日本
の将来を考えて参りますと、どうしても
日本
の
石炭
、特に低
品位
の
石炭
、それから
調査
も不十分であるし、
開発
も不十分である
亜炭
、こういうものが大きな国内産の
原料
として取り上げられなければならぬと思っているのであります。
工業用
の
熱原料
といたしますと、高
品位
の
石炭
に
重点
が置かれる、あるいは
重油政策
というようなものも考えられる。この点に関しましても、いずれ法案を
中心
として
質疑応答
があると思いますから省略いたしますが、単なる
家庭燃料
として
日本
の国内を考えてみました場合にも、これは林野庁の
調査
によりますと、今行われているがごとき
状態
における
薪炭
の
消費状態
を続けて参りますれば、ここ十数年ならずして
薪炭材
は枯渇する、こういう
状態
に立ち至っているという。そういたしますと、われわれといたしましては、この貴重な
木炭
をどんどん
家庭燃料
として消費してしまうということすら、これは非常に残念なことであるのに、もう現に先行きが詰まっているというような
状態
にある際に
石炭
というものを考えますときに、低
品位炭
とか
亜炭
というものをこの際思い切って
開発
をいたしまして、
コーライト
あるいは
コークス
に作って、そのときに生ずるところの
ガス
は
ガス
として
利用
する、そのときに生ずる
化学原料
は
化学原料
として大きな
産業
の原動力たらしめる、そうして
コークス
あるいは
コーライト
というもので
加工練炭
を作って
家庭燃料
に回していく、そういうことも加味して参りませんと、
石炭鉱業
の
合理化
に大きな
筋金
が入らぬのじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、私たちは
木炭
をあのまま
家庭燃料
に消費してしまうということは、
一つ
の
製鉄部面
から考えてみても
——
今の
製鉄技術
において一番いい
特殊鋼
はどうしても
木炭銑
から行くのがいいという
一つ
の理論もあるし、また
スエーデンあたり
のチェアーコール・アイアンはその実態を現わしておる。むしろそういうところに大きな切りかえをやって、低
品位炭
あるいは
亜炭
の
開発
によって
家庭燃料
の大きな切りかえをやって、そうして
石炭合理化
に対してもある
一つ
の
筋金
を入れていくという大きな国策の切りかえをこの際必要とするのではないかというふうにも考えられるのでありますが、この点に対して
局長
は一体どういうふうに考えておられますか。
斎藤正年
12
○
斎藤
(正)
政府委員
現に
家庭燃料
として
木質燃料
のかわりに
石炭系
の
燃料
を使うということは、これは
森林資源
の
総合対策
にもうたってあります。そういう
方針
については国としてもきまっておるわけでありますが、また
家庭燃料
として
経済採算
に乗る
値段
というものは案外高いものでございまして、
木炭
一俵四百円というふうに考えますれば、一トン当り二万数千円という
値段
になります。実は
石炭
でも必ずしも低
品位炭
を
使用
いたしませんでも、
使用
上の
メリット
の高いものを作りさえすれば、
十分木質燃料
に対抗できるわけでございます。その
方法
として現在通常使われております
方法
は、御存じのように
ガス
と
練炭
であります。
ガス
につきましては、これは今
供給能力自体
が問題でございまして、
供給能力
を拡張する限りまだ当分
増加
の
余地
がございます。
ガス事業拡張
五カ年
計画
にも取り入れられておりまして、
現状
の五割以上
ガス
をふやすということになっております。この方はまだ当分の間は
供給設備
を
増加
する、すなわち
製造設備
と
配管設備
の
増加
ということに制約されるだけで、なお伸びていくと思います。それから
練炭系統
も、毎年着実に伸びておりまして、
原料炭
の
使用量
として年に二十万トンないし三十万トンずつ着実にふえております。その
ぺース
で今後まだ当分ふえるのじゃないかというふうにわれわれも考えておりますが、いずれにいたしましても、その両方合せましても現在の
木質燃料
の
相当部分
を代替するにはまだかなり間があるということでございまして、結局それ以外の用途を考えなければならぬ。一番簡単なのは、
木炭代用
の豆炭と申しますか、
練炭
のようなものを作るということが一番効果があるのでございますが、この
方面
は数年前からいろいろ
研究
がございまして、
研究
の
補助金
なども出しておりますけれども、まだ臭気がございますとか、
火つき
が悪いというような
使用
上の
メリット
で、どうしても
木炭
に及ばない点がございます。その辺でまだいろいろの
計画
がございますが、こういう形でならば
木炭
に急速にとってかわり得るほど発展し得るというほど
技術
的に完成したものはございません。ただ各
方面
でこういう
計画
をやっておりまして、
相当
企業化
に進んでいるものもございますけれども、まだこの
程度
ならば十分いけるという
見通し
がはっきりついたものはないわけであります。これらについてはいずれも
生産業者
の兼業なり
練炭業者
というものがやっておる、あるいは
石炭業社
の
傍系会社
がやるというようなことになっておりますが、われわれの方で
資金
的なめんどうも十分見るつもりでおります。問題は
技術
的な点だけがなお若干
研究
の
余地
のある問題として残されております。低
品位炭
の問題は、
家庭燃料
よりも非常に安い
価格
で
原料
を
供給
し得るという点から、むしろ
工業
原料
的に
使用
する方が適当であると思いまして、現在もっぱらその
方面
の
研究
を進めております。それから
亜炭
につきましては全くお説の
通り
でありますが、これもやはり
ガス
にいたしますか、そうでなければ今申しました
練炭
のような形にいたしますか、あるいは
お話
のような
コーライト
のような形にいたしますか、そのいずれかでありますが特に
コーライト
のような形あるいは
練炭
のような形につきましては、ちょうど
石炭
について申しあげましたと同じような
使用
上の欠点がございまして、その辺の解決がつきますればこれも
価格
は非常に安い、
木質燃料
に比べますれば安いものでありますから、
十分発展性
がある
といふう
に存じております。
齋藤憲三
13
○
齋藤
小
委員
その
亜炭
は
日本
はどのくらいの
埋蔵量
になっておりますか。
斎藤正年
14
○
斎藤
(正)
政府委員
亜炭
につきましては、
石炭
のように、統一的な
基準
に基く正確な
埋蔵量
の
調査
というものはまだいたしておりません。
一般
に六億ないし七億トンという
程度
に見られておりますが、それは現在までに稼行した炭田についてごく小規模の
調査
をした範囲でございますから、もう少し
石炭
のように厳密な
調査
をいたしますれば、あるいはもっと
埋蔵量
がふえるということは考えられます。
齋藤憲三
15
○
齋藤
小
委員
その精密化業
工業
の問題はきょうは省略いたして、あと、二、三伺っておきたいのですが、
石炭
、特に粗悪な
石炭
あるいは
亜炭
の上盤、下盤の二インチくらいのところにゲルマニウムがたくさん含まれておるという
調査
報告があるという話でありますが、それはどの
程度
の
調査
報告でありますか。
斎藤正年
16
○
斎藤
(正)
政府委員
ゲルマニウムの含方量の
調査
につきましては、われわれ
石炭局
におきましてはまだあまり正確な
調査
ということはいたしておりません。ただ
お話
のような岩石あるいは來というふうなものの中にも含まれておる。天
北炭
のような比較的炭化度の低い
石炭
によけいに含まれておるというふうなことがぼんやりわかっておる
程度
でありまして、正確なあるいは広範な組織的な
調査
というところまでまだいっておりません。
齋藤憲三
17
○
齋藤
小
委員
コール・ケミカルを考えますときに、従来の
石炭化学
のやり方というものも、これはもちろん
日本
としては重大な問題、むしろある
意味
におきましてはペトロ・ケミカルよりも
日本
の方は
石炭
の実在性が確実であり、またこれから
亜炭
の量その他を考えますと、コール・ケミカルの方が国策としては非常に大きな
分野
を占めてくる場合もある、そういうふうに私は思うのあでりますが、その際に
石炭
の中に含まれているゲルマニウムの
調査
が、
石炭局
においてまた届いてない、分析もしてないんじゃないかと思うのですが、どうですか。一体
通産省
の政策としては、必要であるから原油をどんどん
外国
から入れればいい。そしてその原油を入れてペトロ・ケミカルをやっていけばいいという
考え方
に
重点
的指向が置かれているのでありますか。それとも
日本
の再建のためにはどうしてもある
一つ
の苦労を忍んでも、また非常な困難を突破しても、あるいは多少とも
コスト
が高くついてもこの際思い切って国内資源の
開発
を行なって、その国内資源を
原料
として何らかここに新しい
生産
性の確立をはかろうとする政策の方に
重点
を置いているのか、これは政務次官か大臣に伺うといいんだろうと思うのですが、
局長
でも十分おわかりのことと思います。この点は一体どうですか。
川上為治
18
○川上
政府委員
ゲルマニウムの
調査
の問題につきましては、昨年ゲルマニウム懇話会というのを作りまして、ゲルマニウム
関係
の業者が集まりまして、そうしていろいろ現在
研究
をやっております。そのやり方としましては、やはりこの際
調査
をしまして、それから特に分析をするということに
重点
を置くべきだということで、
調査
については組織的な
調査
はやっておりませんが、たとえばどこどこの山の
亜炭
なら
亜炭
について、それを持ってきて、それぞれ
各社
において分析をするということに
重点
を置いてやっております。分析の結果につきましてはまだ十分出ておりませんけれども、中には非常に優秀なものもあるわけなんです。ただ問題は非常に広く多量にあるかどうかという点にあるわけでございまして、今のところまだそこまで組織的に
調査
なり分析は進んでおりません。このゲルマニウム懇話会におきましては、一方におきましてゲルマニウムをいかにうまく抽出するか、そしてその抽出された金属ゲルマニウムの
品位
をいかに高くさせるかという問題があるわけでございますけれども、現在たとえば東京瓦斯におきましても鶴見の
工場
でありましたか、ここでいろいろやっておりますけれども、遺憾ながらまだ品質がそれほどよくない。
外国
のものに比べますとまだ悪いという点があるわけでございまして、その点につきましては私の方としましても、あるいはその
工業
化助成金なり、あるいはその
研究
助成金なり、そういうものを与えまして、いろいろこの問題については
研究
を進めております。 いずれにしましてもこの事業につきましては、世界的に見ましても最近におきましては非常に進んでおりまして、最近聞いた話では、西欧の
——
国はちょっと忘れましたが、大体グラム九十円
程度
でできるというようなニュースが伝わっております。
日本
におきましては現在におきまして少くとも五百円以上かかるわけなんですが、九十円ということになりますと、とても太刀打ちできないという問題があるわけでございまして、それは結局多量にあるかどうか、
亜炭
なら
亜炭
について、
石炭
なら
石炭
について、どこどこの山にあるものが非常に多量にあるかどうか、それを徹底的に調べ上げなくちゃならぬということが
一つ
、もう
一つ
は抽出されて作ったものの
品位
を非常に高くしなければならぬ、そういう
技術
の問題を大いに進めていかなければならぬという二つの問題が、一番大事な問題であると思うのですが、われわれとしましては昨年から一応これに対しましていろいろやっておりますけれども、まだ遺憾ながら十分なところまではいっておりません。
齋藤憲三
19
○
齋藤
小
委員
それはゲルマニウムに関することでございますが、ただいまも
お話
しがございました
通り
に、グラム九十円で取れる国がある、
日本
ではとにかく五百円だ、いくら何円がひっついておるかわかりませんが、そういう場合に
日本
の
石炭
の中には
相当
にゲルマニウムがあるということはわかっておる。しかし
外国
から買うとこれは九十円で買える、それじゃ
日本
の
石炭
からゲルマニウムを取ることをやめまして、
外国
からゲルマニウムを買った方がいいじゃないかというように、
日本
の
石油化学
、
石炭化学
についてもそういうふうにお考えになっておるのか、あくまでもこれは一時的現象としてやむを得ず
石油
も買うし高粘結炭も買う、しかしできるならば国内
石油
資源というものの思い切った
開発
をやる、あるいは高粘結炭にかわるべきところの製鉄
方法
まで
研究
をして、
日本
は自給
態勢
に持っていくという政策に
重点
を置いておられるのか、これを
一つ
承わっておきたいと思います。
川上為治
20
○川上
政府委員
私の方としましては、今
齋藤
先生から
お話
しがありましたように、やはり資源につきましては極力自給
態勢
に持っていきたいという考えは根本的に持っておるわけでございまして、ゲルマニウムにつきましても、やはり国内で極力
生産
をして、そうしてまかなっていきたいという考えを持っておるわけでございます。その点については単にゲルマニウムだけではないのでありまして、ほかの、たとえば
石油
につきましてもその他のものにつきましても、極力そういうふうに持っていきたいと思うのでありますが、何分さっき申し上げましたように、
調査
それ自体がまだ十分できてない、それからまた抽出のいろいろな
方面
が
技術
的にまだ進歩してないという点がありますが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、あるいはその
工業
試験でありますとか、あるいは
工業
化
関係
の助成金を出して、そうして一日も早くそういう
技術
が確立されて、
企業
的に成り立つように持っていきたいというふうに考えております。また一面、
調査
につきましても
各社
で現在いろいろ連携をとりながら分析
調査
なりをさせておりますが、できれば
政府
においてもある
程度
の金を持って、
政府
自体としても
調査
をやりたいという気持を持っておりますが、現在のところ予算も十分でありませんので、遺憾ながらその点がそれほど組織的に十分
調査
ができておりません。しかし根本的な考えとしては、やはり若干国内のものが高くても極力国内のもりで間に合したいというような気持は持っております。
齋藤憲三
21
○
齋藤
小
委員
ゲルマニウムの問題はまた後日に譲りますが、私の
調査
いたしました
調査
によりまして、今これだけ
資料
が集まっておるのです。これはゲルマニウムを医療に使ったところの文献であります。私はこれをまだよく読んでおりませんが、貧血とか結核とか、世界でもって大体五十ばかりの文献がある。ですからゲルマニウムの世界的な
利用
を考えますと、単にエレクトロニクスだけにこれを使っておるのではなく、医療に使っておる。しかも
日本
でも医療に使う
研究
は着々進行しておるのです。でありますから、今グラム五百円とか高いとか言うけれども、この際
日本
でももう一段と当局においては力を入れて、どこの
地区
の
石炭
にはどれくらいのゲルマニウムが含まれているというくらいの
調査
がなければ、大きな顔をしてコール・ケミカルはどうだということは言えなくなってしまう。ですからこの点は今後十分努力せられて、そういう点も
一つ
調査
を願いたいと思います。 それからこの際ついでに簡単にお伺いしておきたいのは、私もこれは初めてきのう覚えたので実は驚いたのでありますが、ヘアー・ロックというものがある。これはパーマネント屋の髪の毛、
日本
人の女の髪の毛ですね。それから特に
合成繊維
のくずによってアメリカ進駐軍の軍需品と申しますか、いろいろないすのクッションに使う。それで今までどれだけの特需をかせいだかというと、二百万ドルかせいでいる。ことしもすでに四十二万ドルの契約が成り立っておる。こういうことを聞いたのですが、世の中に
科学技術
というものはいろいろあるものだということを私は痛感いたしまして、これはよほどわれわれも広く通産行政には勉強しなければならなぬということを考えたのであります。 そこで問題は、そのほとんどとるに足らない女の髪の毛にいろいろな高度の加工
技術
を施してクッションに使う、それと今対抗して、米綿及び落綿でもってパットを作っている。これで競争しようという
状態
なんだそうです。私たちは何も商売に
関係
があるわけではありませんし、また
通産省
の行政にくちばしをいれるというのではないのですが、先ほど来質問をいたしております
通り
、そういう場合に一体
通産省
としてはどっちを助成されるかという問題なんです。一方は女の髪の毛とか
日本
の
原料
で作る。それから出ていく
合成繊維
のくずを
原料
としてドルをかせいでいる。一方は米綿及び米綿の落ちを使ってパットを作って、それで商売をしていく。私たちから考えると、どんなにドルをかせぐのだって、
日本
にあるものを加工してドルをかせぐ方が
日本
としては本筋であって、アメリカから
原料
として
輸入
してくる米綿及び落綿を使って品物を作ってドルをかせぐということとは
——
商売人は別ですが、ものの
考え方
としてこれは本質的に私は違うと考えるです。そういう二つの仕事が出た場合に、当局としては一体どういうふうな処置を
——
これは中小
企業
の指導原理にもなるのでありますし、また
日本
の大きな
産業
助成の指導原理にもなるのですから、そういう場合においてはどういうようなお考えをもって当局は二つの仕事を見られるかということについてお伺いいたしたい。
吉岡千代三
22
○
吉岡政府委員
御指摘のように、ヘアー・ロックは人毛と申しますか、人間の髪の毛を
中心
にいたしまして、いすのスプリング等に
使用
するものでございますが、現在
日本
といたしましては大体一社が主として仕事をしているようでありますが、
お話
のように
生産
額のうち特需
関係
が約三分の二を占めておりまして、その他は国鉄の
関係
、それから自動車のスプリング
関係
等になっているわけでございます。スプリング材といたしましては、ただいま
お話
の綿を使いますコットン・スプリング、ヘアー・ロックのスプリング、それからゴムを使いますフォーム・ラバー、大体こういう三種類があるようでございまして、現在の
需要
関係
から申しますと、フォーム・ラバーは高級品に使われておりますが、
値段
が高く、数量としてはやはりコットン・スプリングが大部分を占めている状況でございます。同じ
条件
のもとにおきましてはもちろん国産のものを大いに助成すべきであると思いますが、それぞれ耐久性なり
価格
等の面に一長一短がございますので、私どもといたしましては
需要
者の希望され、また十分
使用
に耐えるという限りにおきましては、相並行してこれの発展をはかって参りたいと考えている次第でございます。
齋藤憲三
23
○
齋藤
小
委員
私の聞いているのはそういう
意味
ではないのです。私もへアー・ロックというものを見ましたので、いろいろ総司令部のその方の
関係
の意見も聞いてみたのですが、あなたの言うこととは全然違うのです。アメリカ軍の話を聞きますと、軍需品に使うのです。戦車に使うとか、飛行機のクッションに使うとか、あるいは軍の寝台用のクッションに使うのには、綿のパッキングじゃだめなんだ、そこでわざわざこのヘアー・ロックというものを使っていると言うのです。私の言うのは、今特需物資というのを目標にして
日本
がドルをかせごうというときに、
日本
にあるところの女の髪の毛とか、ほんとうに使い道にならないようなものを加工をして、アメリカに必要なものを売り込んでドルがかせげれば、特需としては非常にいい角度をねらっている特需ではないかと思う。アメリカから買ってくるところの綿を使ってパッキングにして、それを売り込むというようなことであるならば、いわゆる特需行政としてどちらを
育成
させるかということを聞いているのであって、幾ら売れているとか、
値段
はどちらが高いとか、そんなことは商売人の
分野
で、われわれの
分野
ではない。ただ当局として特需というものに観点を置いて、こういう二つの仕事が出てきた場合に、どういう方向に向って指導的な原理を発揮するかという点についてお聞きしておるのです。
吉岡千代三
24
○
吉岡政府委員
例として最近の具体的のケースについて申し上げますと、JPAから沖繩建設のために家具の発注がございました。この
使用
は当初コットンのスプリングであったそうでありますが、その後いろいろ話し合いの結果、コットンでも、ヘアー・ロックでもいずれでもよろしいということになったようでございます。それでそれ以上の点につきましては、特需
関係
の部局とも打ち合せをいたしたのでございますが、それぞれ品質としてもいろいろな面に相違がございますので、そのいずれを、どの
程度
の数量を発注するかということは、それぞれ業界の方が
説明
をされ、発注者であるJPA側の選択にまかしてはどうか。
通産省
としてこちらの方だけを使ってくれというところまで
お話
し合いするのもいかがかということでございまして、現在のところはその選択なり数量等につきましては、発注者の選択にまかせるという態度でおるわけでございます。
齋藤憲三
25
○
齋藤
小
委員
私の聞いているのはそういうことじゃないのです。発注者がどう選択するとか、商売人がどうせっていくかということは向うのことで、そんなことにわれわれは
関係
する必要はないのですが、ただそういう特需物資というものを対象として、アメリカから
輸入
してくる綿を
原料
としてパットを作って、これを売り込むのがいいのか、
日本
に使いものにならないものがたくさんあるやつを加工して、これがパットと同じように売れる場合には
通産省
としてはどっちを
重点
的に指導
育成
していくかということなんです。政策としてどうしてやるかということです。それを
一つ
聞きたいのです。商売上のことは何も言わないで下さい。そんなことを聞いているのじゃありませんから……。
吉岡千代三
26
○
吉岡政府委員
品質その他の
条件
が同一な場合におきましては、当然これは国産のものを助成すべきであるかと思いますが、用途において競合しておる面があるわけでございますけれども、しかし品物自体として若干違う面もございますので、もちろん国産のもので納入できれば、これに越したことはないと思いますが……。
齋藤憲三
27
○
齋藤
小
委員
私の言っているのはそういう
意味
じゃないのです。
局長
はわからないのだ。わからないで言えないのか。おかしいのだ。私はそんなことを聞いているのじゃない。私も非常におもしろいものだと思ったから、総司令部に行っていろいろ
調査
してみると、本質からいくとヘアー・ロックしか使えないのだという。それに向ってあたかもヘアー・ロックでなくても、アメリカから
原料
を
輸入
してきた綿や落綿でもって使えるものをどういう間違いか売り込もうというような運動もあるというから、そんなばかなことはないだろう。
日本
政府
としては
日本
に純国産的な
原料
のあるものであってドルがかせげるならば、これを助長すべきはずだ。アメリカから綿を
輸入
してきて、それを
原料
にしてまたドルをかせごうというばかな手なんか、
日本
人は賢いからやりはせぬ。ところがきのう僕はそうだろうと思って特需課長に電話をかけたら、特需課長の言うのには、前者なんだ、だから僕はそれではふに落ちない。一体女の髪の毛と
合成繊維
のくずとでドルをかせげれば、これほど
日本
人の優秀性を発揮したものはないと思う。それをアメリカから買ってきた優秀な綿を半分使い、落綿を半分使って、そうしてこれと競争していくという。もし国内においてそんなばかげた商工行政というものがあったならば、これは
日本
は
日本
人みずから首をくくって利潤を少くしていくということになってしまう。そういうことにのみ私は行政というもののりっぱなあり方があってほしいと思う。それでなければ、行政官庁なんかなくたってあったって同じことであります。そういう場合にはそれを一体どうするかということなんです。使途が違うとかそんなことはない。仮定はいらない。同じ目的に向って、一方はヘアー・ロック、一方はパット、これと競合してお互いに
日本
人がせり合っておる。一方は
原料
が髪の毛とか
合成繊維
のくずだ、一方は少くともアメリカから
輸入
してくる綿及びくず、
原料
が本質的に違うんだ。こういうときに一体どっちを助成するかということは、これは問題は小さいけれども通産行政の根本問題だと私は思う。それでその例をとってお伺いしているのです。これはあなた
石油
の問題だって、
石炭
の問題だって、米の問題だってみな同じ方向に持っていかなければ、いわゆる通産行政の一体というものはなさぬわけじゃないか、私はそう考えるから、その点だけあなたはっきり言ってくれればいい、よけいなことを言ってくれては困る。
吉岡千代三
28
○
吉岡政府委員
私も急に事情を聞きましたので、多少誤解の点もあるかと思います。ただ私の聞きました範囲では、当初コットン・スプリングであったものを両方いずれでもいいということに話し合いができたというように聞いておりますので、その点御指摘の事情と若干食い違いがあるようでございますので、特需担当の部局等とも十分打ち合せをいたしまして、同じ
条件
のものである場合とか、御指摘のように本来ヘアー・ロックを使うべきものであれば、これは当然御説のようにヘアー・ロックを納入すべきであると思います。その点はさらに事情をよく調べまして善処いたすことにいたします。
齋藤憲三
29
○
齋藤
小
委員
それではもうやめますが、私の
調査
いたしましたところによりますと、そういう観点からいくと、将来
日本
の努力によると、カーテンとかあるいはカバーとか、いろいろなものに対する
合成繊維
の
需要
増によって、特需の
方面
にも九百万ドルぐらいの
需要
を喚起することができるのじゃないかというのです。これは私の
調査
ですよ。それですから、あなたの方でも、ただ特需が減退するのだ、特需が減退するのだと言わないで、特需減退を単に放任しておけばそういう形になるかしらぬけれども、特需
一つ
の面に向っても、私はいろいろに努力をすべき点があるのじゃないかと思うのです。私もこれから
科学技術
の小
委員
会を通じていろいろな問題を提供して、御回答を得たいと思うのですが、今の問題も、私はきょうはこれ以上やりませんが、私の調べたのと
局長
の調べたのとではよほどあなたの方の調べがずさんなんだ。これでは太刀打ちができないから、あまり追い込んで感情上の対立になるとおもしろくないからやめますが、もう少し実態を調べて下さい。そうして私の満足するような
調査
の上に立っての御回答を得たいと思います。
長谷川四郎
30
○
長谷川
(四)小
委員長代理
帆足計君。
帆足計
31
○帆足小
委員
化学工業
の振興は非常に重要ですが、結局作りました品物についての市場が必要でございますし、またそのために内外とも市場の変化が今後目ざましく起ると思いますが、そちらの方のことをよく考えておきませんと、交渉はしたけれども、その結果が思うように参らぬということにもなりがちでありますから、その方については一体どういうような
見通し
でしょうか。とりあえずのお考えでも承わっておいて、またそういうことを絶えず念頭に置いて、
一つ
御
研究
を願いたいのですが……。
吉岡千代三
32
○
吉岡政府委員
ただいま御指摘の点は、特に
企業
としての経済単位の非常に大きい
石油化学
につきましては、最も十分検討すべき点であるかと思います。
需要
想定の面につきまして最もおもなものについて申し上げますと、
合成繊維
並びにアセテートの
需要
につきましては、繊維局で作定せられております
合成繊維
五カ年
計画
、この最近の数字を採用いたしまして想定をいたしております。それから
合成樹脂
関係
の
需要
につきましては、やはり
通産省
で作りました
合成繊維
の五カ年
計画
、これが現在のところ三十二年までの
計画
になっておりますが、最近御
承知
のように急激に伸びを示しておりますので、さらに二カ年延長いたしました
計画
を最近の機会に
省議
で決定をしていただくという運びになっておりまして、この
計画
をとっております。 それから消極面と申しますか、既存の
工業
を強化する面におきましては、原則としてこれに競合する発酵
工業
、
タール工業
は現在
程度
の
生産
を維持する、ただし
タール工業
等については、ナイロンの
需要
増によりましてある
程度
の伸びを見、かつ
石油化学工業
による
供給
力を考えましても、なおかつ不足をしておるという結果になっております。それから発酵
工業
につきましては、大体現在
程度
の
生産
は維持するという想定で
計画
を作っておりますが、これは
価格
の面におきまして非常に低
価格
の
石油化学
関係
からの
製品
が出て参りました場合には、ある
程度
の影響は免れないのではなかろうか。これにつきましては
関係
の業界等とも卒直に懇談いたしまして、現在のところは
関係
業界におきましても、
石油化学工業
は当然必要なものであるから、若干の影響があってもこれは推進してもらいたい。自分たちの方は自分たちでそれぞれ考えますという非常に協力的な空気でございますが、この面につきましてはさらに検討を要するかと思います。 要するに全体といたしまして、いろいろ
合成樹脂
等につきましても、今後のポリエチレンとか、ポリ
スチレン等
の全然新しい
需要
分野
を想定いたしますと、これは幾らでも膨大な
計画
も立つわけでございますが、現在のところは最も確実に、従来から策定せられておりました既存の
計画
を採用して、その範囲内で一応最初の出発をいたしたい、こういう
考え方
に立っておる次第でございます。
齋藤憲三
33
○
齋藤
小
委員
ただいま発酵
工業
の話が出ましたが、発酵
工業
とペトロ・ケミカルとの
関係
ですね。発酵
工業
のアルコール製造というものは、発酵菌によってやるので、全然性質が別なんです。むしろ発酵
工業
アルコール、発酵学的なアルコールの進展を策しようとするなら、やはりもう少し
——
ここに
関係局
長がおられるかおられないかわからぬけれども、そんな発酵
工業
の形態で、発酵
工業
の作り出すところのアルコールが、ペトロ・ケミカルのアルコールに負けるということは言えませんよ。
局長
は行ってごらんになったことがあるかどうか知らぬけれども、まるで豚小屋みたいなところにわずか二千万円の金をやって、そして発酵
工業
を
研究
しろと言ったって
研究
できるものじゃありませんよ。でありますから、あの発酵
工業
がアルコールを作る
原料
というものは違う。どういうことをやっているかというと、今これだけ
日本
の貴重な木材を使ってパルプの廃液をみんな流しておる。ところが発酵
工業
へ行ってみると、パルプの廃液に発酵菌を入れればアルコールはできるということをわかっておったってやりはせぬ。
通産省
というのは、実にふぬけた行政をやっておるもんだと私は思っておる。あれだけの貴重な木材をつぶして、パルプをとって、その廃液を全部海に流しておる。それを黙って見ている。パルプ
会社
は二一天作の五でもうかってしまえば、そんなよけいなことをしなくても、廃液を海に流したっていいと言うのです。国家的に見ればあの廃液というものは貴重な木材です。それをアルコールをとらないで流している。発酵
工業
のアルコールが、ペトロ・ケミカルのアルコールに太刀打ちできるのに、ちっともやっていないじゃありませんか。徹底した行政をやらずして、ただ紙の上でのプランを立てられたら、スカタン食った国民だけはばかな膏血をしぼられるという形になるのですよ。だからそういうことを言わぬようにして下さい。ほんとうにアルコール
工業
における製造
コスト
というものは、
日本
全国の発酵
工業
的にアルコールに使える
原料
をたたき込んで、優秀な発酵菌を入れても、なおかつペトロ・ケミカルのアルコールにかなわない。そういうような結論は出ておらぬですよ。調べてごらんなさい。だからそういうことをおっしゃる前に、もう少しよく発酵
工業
の
日本
における実態を御
調査
になっていただきたい。
局長
は行ったことないでしよう。
吉岡千代三
34
○
吉岡政府委員
御指摘のようにパルプ廃液からのアルコールは当然発酵
工業
の
一つ
の
分野
として、またパルプ廃液からの鉱害防止の
見地
から考えるべきものでございまして、現在御
承知
のように
北海道
の王子製紙の苫小牧
工場
、国策パルプの旭川
工場
でこれを
生産
いたしております。現在の
生産
量は大体三千キロリットルでございまして、
日本
の
工業用
アルコールの
供給
力のうち十数パーセントを占めております。それから本
年度
におきましては山陽パルプにおきましてやはり同じ趣旨の
計画
を進めておるわけでございまして、これにつきましては
開銀融資
を考慮しておりまして、大体二、三千キロの
能力
になると思いますが、一方王子製紙の方が作りますパルプの
関係
で若干の減産をするという
関係
になりますので、この
設備
が完成いたしました場合には、大体五千キロ
程度
の
供給
力になるのではなかろうか、さらに他の一、二の
会社
におきましても、現在
研究
を進めておるわけでございまして、これらの
供給
力は先ほど申し上げました今後における発酵
工業
の
供給
力の一部として、策定
計画
に含んでおるわけでございます。なお御指摘の点もございますので、今後さらに一そう勉強いたしたいと思います。
齋藤憲三
35
○
齋藤
小
委員
私もその話は聞いたんです。ですからもっとたくさんにパルプ
会社
もあるのですから、その廃液を
利用
するアルコール製造というものは、
通産省
としても力を入れてやっていただきたいと思う。特に私の秋田県なんかの東北パルプは幾ら忠告してもやらぬですよ。そうして逆に沿岸の魚族が減るということによって賠償金をとられておる。しかし経営者に聞くとやらなくとも
採算
がとれると言っておる。それが
資本
主義の一番悪い形だと思う。
採算
がとれるからよけいなことをやらなくともいいんだ、賠償金を払えばいいんだ、貴重な液を海に流したっていいんだ、こう言う。そういうことを黙って見ておる行政というものはないと私は思う。もう
一つ
は、発酵
研究
所に行ってみると、その菌の種類によって一%、二%アルコールの出方が違っていくんです。ですからもしほんとうにそういうふうな廃液を使ったアルコール発酵の本質をつかみたいと思うならば、その源泉であるところの発酵
研究
所の菌の
研究
にもっと金を入れなければならぬ。それで初めて
態勢
がとれていく。ですから今よりも二%、三%よけいアルコールが出るところの発酵菌を見つけたならば、ペトロ・ケミカルより安いアルコールができていくかもしれぬ、そういうことなんです。ですからそれを体系づけて、ほんとうに
重点
的にその線を行政的な処置を講じておるという建前から、ペトロ・ケミカルのアルコールと発酵
工業
のアルコールと対比して、これはどっちが決定的に得だという結論が出ておるならばそれでいいですけれども、
日本
のように湿度の高い、菌の発生に非常な好
条件
に恵まれているところに、まだまだ発酵菌の
研究
なんというのは未知数であります。御
承知
でありましょうが、英国の将来の
産業
という中には
合成樹脂
の
工業
と発酵
工業
と取り上げられておる。これは相並行していくべきものだ、だから一がいに発酵
工業
のアルコールというものはだめだとか、そういうことは私は言えないと思う。これは二つとも相並んで
研究
していかなければならぬ、私はそう考えておる。
長谷川四郎
36
○
長谷川
(四)小
委員長代理
本日の
会議
はこの
程度
でとどめます。 次会は公報をもってお知らせするこことし、これにて散会いたします。 午前十一時五十八分散会