運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-29 第22回国会 衆議院 商工委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十九日(金曜日)     午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 山手 滿男君    理事 内田 常雄君 理事 南  好雄君    理事 永井勝次郎君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    秋田 大助君       大森 玉木君    小笠 公韶君       笹本 一雄君    野田 武夫君       眞鍋 儀十君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    神田  博君       小平 久雄君    堀川 恭平君       加藤 清二君    片島  港君       櫻井 奎夫君    田中 武夫君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       菊地養之輔君    田中 利勝君  出席政府委員         経済企画政務次         官       田中 龍夫君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    柿坪 精吾君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     川田 博通君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月二十七日  委員田中武夫君及び櫻井奎夫君辞任につき、そ  の補欠として下川儀太郎君及び安平鹿一君が議  長の指名委員選任された。 同月二十八日  委員賀谷真稔君、下川儀太郎君、安平鹿一君  及び松本七郎辞任につき、柳田秀一君、田中  武夫君、加藤清二君及び松平忠久君が議長の指  名で委員選任された。 同月二十九日  委員齋藤憲三君、椎名悦三郎君及び柳田秀一君  辞任につき、眞鍋儀十君、大森玉木君及び櫻井  奎夫君議長指名委員に選択された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員及び小委員長選任  小委員会における参考人招致に関する件  特定物資輸入に関する臨時措置に関する法  律案内閣提出第八九号)  木材利用合理化に関する小委員長  及び科学技術振興に関する小委員長より中間報  告聴取  風倒木処理等に関する件  自動車工業に関する件  中小企業金解公庫融資対象となる業種に関す  る件     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  この際木材利用合理化に関する小委員長中崎敏君、科学技術振興に関する小委員長前田正男君より、それぞれ小委員会の経過について報告いたしたいとの申出があります。この際順次この発言を許します。木材利用合理化に関する小委員長中崎敏君。
  3. 中崎敏

    中崎委員 木材利用合理化に関する小委員会中間報告を申し上げます。  去る七月十七日より七月十九日までの間、北海道地区風倒木の被害の状況及び整理計画施行実情等調査し、今後の木材利用合理化に資する目的をもって現地調査を行なったのであります。  次に昨七月二十八日小委員会を開き、現地調査の結果を報告し、あわせて木材利用合理化風倒木処理等につき、通商産業省、大蔵省、農林省及び建設省よりそれぞれ関係当局出席を求め、熱心なる質疑を行なったのでありますが、その内容速記録を御参照願いたいと存じます。  次いで永井勝次郎君よりお手元にお配りしたよう別紙決議案が提出され、全会一致をもって可決いたした次第であります。  なお首藤新八君より、特にこの際木材利用合理化審議会ようなものを設置し、日々に変化する経済の実態に即応しながら、単に風倒木処理問題のみでなく、広く木材利用合理化新規需要開拓等に適切な措置を講ぜしむべきであるとの提案がなされ、これまた全会一致をもって可決された次第であります。右の審議会経済企画庁内に設くべきであるとの意向であることをも、あわせて申し添えておきます。決議内容については速記録に譲る次第であります。  以上にて中間報告を終ります。何とぞ別紙風倒木処理に関する決議案並びに木材利用合理化に関する審議会設置の件につき、御賛同賜わらんことをお願いいたします。
  4. 田中角榮

  5. 前田正男

    前田(正)委員 本日の科学技術小委員会におきまして、かねてから小委員会において論議をして参りました問題について結論を得た問題が二つありますので、その中間報告をいたします。  まず第一の科学技術行政の問題につきましては、政府において三十一年度にこれを提案するという話でありますので、本日官房長官を呼びましてその意向を聞きましたところ、政府といたしましては、三十一年度に予算をつけて提案するように方針をきめて、現在行政管理庁に命じて立案の作業中であるそうでありまして、行政管理庁政務次官よりは、その旨を受けて現在調査して、立案資料を集めておるという報告がありました。それでその問題につきましては了承いたしました。  なお自動車工業の問題につきましては、過日来工業界から参考人に来ていただきまして、また本日は政府に対しましてもいろいろと質問をいたしたのでありますが、それに基きまして次のよう決議案小委員会で可決した次第であります。  案文を読みます。    決議案   わが国自動車工業は、近来急速に進展して、わが国産業中重要な地位を確保するに至った。なお下請並びに広汎にわたる部品工業を擁する点において、中小企業との関係もまた重視すべきものがある。   しかるに、わが国自動車工業は、終戦後の再建なお日浅く、しかも大規模経営による欧米業者と、国の内外において、常に熾烈なる競争を展開しなければならない。   よつて、政府は、これ等の実情に鑑み、この際、わが国自動車工業が真に重要産業として飛躍的発展を遂げるに必要なる諸般施策を速に講ずべきである。  右決議する。  この決議案全会一致をもって可決いたしたのであります。これに対して民主党の小笠君よりさらにこの施策問題等につきまして小委員会において十分にこれを検討してもらいたいとの要望がありましたので、さらに引き続きわれわれは十分なる検討をすることを申し合せたような次第であります。  以上をもって報告を終りますが、何とぞこの決議を採択されんことをお願いいたします。
  6. 田中角榮

    田中委員長 ただいま各小委員長より御提案ありました各決議案についてお諮りをいたします。  まず中崎委員長から御提案のありました風倒木処理等に関する決議案につきましては、小委員長提案通り委員会において決議するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。  この際島村通商産業政務次官より発言を求められております。これを許します。
  8. 島村一郎

    島村政府委員 ただいま御決議に相なりましたこの内容を拝見いたしますと、まことに皆さんのお考えもっともであろうと存じます。私どもといたしましてはあくまで御意思を尊重いたしまして、この面に力を入れて参りたいと存じます。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 木材利用合理化小委員会における、ただいま小委員長から述べられました決議案に対しまして、実は経済企画庁長官に一応決意を伺っておきたいと思ったのでありますが、長官がお見えにならない。政務次官出席を求めてありましたが、その出席もありません。そこでいずれ政務次官がお見えになりましたら、長官がお見えにならないですからやむを得ませんから次官でがまんしまして、一言希望を申し述べたいと思いますから、その意見を留保しまして本案に賛成いたしたいと思います。
  10. 田中角榮

    田中委員長 次に前田委員長から御提案になりました自動車工業に関する決議案につきましては、小委員長提案通り委員会において決議するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  この際島村通商産業政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
  12. 島村一郎

    島村政府委員 この決議を拝見いたしますと、皆さんのお考えまことにごもっともであると思います。通産省といたしましてはあくまで御意思を尊重いたしまして、本決議案趣旨に沿うように努力して参りたいと考えております。
  13. 田中角榮

  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 中小企業金融公庫融資対象となる業種に関する件につきまして、当委員会において次に朗読いたしますよう決議を行いたいと存じます。  まず決議案文を朗読いたします。    中小企業金融公庫融資対象となる業種に関する件  一、映画館は、大衆的娯楽施設であるばかりでなく、教育文化普及の上からも必要な施設であるから、その事業の健全な発達のため必要な資金中小企業金融公庫から融通を受けることができるよう中小企業金融公庫法施行令において定められる業種に属する事業として、映画館業を加え、この事業場における保健、衛生消防設備に対し設備資金を融資できるよう所要の措置をとられたい。  右決議する。 以上の通りでございまするが、実はこの問題は御承知通りに、政府の方におきまして、厚生省から映画館公衆性にかんがみまして、この設備改善は業界に向ってすでに指示が発せられておるわけでございます。これに対しまして、大蔵委員会においてはすでに決議が行われていることでございます。ところが中小企業金融公庫の所管が皆様御承知通り委員会であり、その監督官庁中小企業庁でございまするので、当委員会におきましても大蔵委員会と同様な決議をいたしまして、もって厚生省指示であるところの映画館における衛生消防その他の施設を完備させたい、これがその趣旨でございます。  以上でございますので、何とぞ賢明な委員諸公の御賛同によって、この決議が実行に移されるようお願いいたす次第であります。
  15. 田中角榮

    田中委員長 加藤清二君の発言通り決議するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたします。     —————————————
  17. 田中角榮

    田中委員長 この際お諮りいたします。総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員長伊藤卯四郎君より明三十日小委員会において参考人より地下資源開発、特に鉱床補填積立金制度について意見を聴取いたしたいとの申し出があります。小委員長申し出通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。  なお参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  20. 田中角榮

    田中委員長 この際田中政府委員より発言を求められております。これを許します。田中政府委員
  21. 田中龍夫

    田中(龍)政府委員 ただいま御決議をいただきました風倒木の問題につきましては、御趣旨を体しまして、でき得る限りこれが達成に努力をいたしたいと思います。
  22. 田中角榮

  23. 永井勝次郎

    永井委員 北海道風倒木につきましては、異常な数量でもありますし、非常に困難な地帯の風倒木であるというので、先般現地を視察して参りました。こちらで想像していたよりは現地における生産処理の面における諸態勢は整備されておりまして、そう心配するほどのことはなく、これらの風倒木生産はかなり条件が整っておるということを見ましてわれわれ心強く感じたわけであります。きのうも小委員会においていろいろ論議したのでありますが、ことに建設省防衛庁その他関係の省の方々の出席を求めいろいろ話をしましたが、生産態勢はできました。しかしこれに伴う需要態勢は何らできていない一ほとんど無関心であるというよう情勢でありますことを非常に残念に思うのであります。もともと木材資源があり余っていて出てきたのではなくて、非常に少い物資であるが、風倒という天災によって一時的にここ二年か三年の間にぐっと量が出てきた。これは現地において生産ができる態勢が整ってきた。ところが生産はされたが需要がこれに伴わないために、土場へ山と木材を積んでおきながら腐らせるというような事態が起りましたならば、これは単に政府の責任であるということたけでは済まされないのでありまして、これは国民の悲劇といわなければならぬ。風倒はこれだけの数量がきまっておるのですから、従って生産に比例して需要を拡大することが当面政府として特に力を入れなければならぬ点である。しかもこれを急速に生産に比例して需要を拡大していく、そうして適正価格を安定させる、こういう要件が備わらなければならないと思うのであります。それには住宅の問題はどうする、橋梁の問題はどうする、建築諸般の問題はどうするというふうに、抜本的な緊急諸態勢を整えて、これに対応するだけの用意がなければならない。ところがきのう聞きますと、従来は本州においては北海道材を使っていないから、北海道材はこういうものだということを宣伝して、だんだん時間を置いて使っていきたい、こういうことなんです。防衛庁のごときは千歳の一部分でこういうふうに風倒木を使いましたというおざなりの答弁で、これらの風倒木を無効にしないよう処理するというよう関心を持っていないし、何ら積極的な態勢ができていない。従って先ほど中崎委員長決議の中で言いましたように、この態勢ではいかないからこれらの問題を有効適切に調整していくところの強力な機関が必要である、こういうので審議庁の中に審議会な設けてここ二、三年の間の処理について遺憾なきを期するようにという決議をしたのであります。現在もうすでにできていなければならないのに、これらの問題がそういう始末でありますから、われわれはこれからいろいろ事務的な事柄を運び、経済を動かしていく諸態勢を整えますには非常に時間的なズレが出て参るのではないかということを心配するのであります。従ってこういう背景をまず一つ理解いただいて、これらの問題に急速に対応していくようにお願いをしたいと思うのであります。これに対する政務次官決意一つ具体的にどういう決意であるか、こういうところを一つ示していただきたい。
  24. 田中龍夫

    田中(龍)政府委員 ただいま御調査になりました結果につきまして特に御注意をいただきましたことはありがとうございます。この風倒木の問題につきましては前々から心配もいたしておったのでありますが、昨日も調整部長から話を聞きました。市価の安定なりあるいはまた輸送の問題なりその他諸般の問題につきまして、各省庁ともよく連結をいたしまして、ぜひとも御趣旨に沿うて参りたいと考えております。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
  25. 鹿野彦吉

    鹿野委員 この際風倒木に関連いたしまして、木材合理化問題について私は一言政府委員希望を申し上げたいのですが、木材合理化の問題につきましては、私は日本の国民経済の上からいって最も大きな問題であるという観点に立っておるのですが、今まで木材合理化小委員会政府委員出席を要求してもほとんどおいでにならない。昨日もだれもおいでになっておらなかったことになっております。われわれはもう会期末に際しまして無理を言うてもしようがありませんから、会期を終って後継続審議をしていこう、こういう考えを持っております。そうした際に、木材合理化に対する小委員会が開かれたときは経済企画庁長官なり通産大臣なりその他の関関大臣は必ず出席して下さるように、特にこの際御希望申し上げておきますから、お伝え願いたいと思います。     —————————————
  26. 田中角榮

    田中委員長 次に請願審査小委員会設置の件についてお諮りいたします。  請願を審査するために小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって請願審査小委員会を設置することに決しました。  なお、小委員の人数並びに小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  それでは委員の数を七名とし、小委員長山手滿男君、小委員に    長谷川四郎君  首藤 新八君    内田 常雄君  南  好雄君    永井勝次郎君  中崎  敏君を指名いたします。     —————————————
  29. 田中角榮

    田中委員長 次いで特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案を議題となし、質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。内田常雄君。
  30. 内田常雄

    内田委員 それでは私から質問をいたしますが、この法律案は運用に関する事務的な面と、さらに砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案、あるいはまた特殊物資納付金処理特別会計、あるいはまたそれから繰り入れられるところの産業投資特別会計との関係等政府予算全体の構想にも及ぼす政治的な面と二つありまして、私はこれらの両面についてしっかり御説明を承わり、納得をいたしたいのでありますが、本日は大臣もおられませんので、私はまず事務的な面からだんだんお尋ねをいたし、政治的の面に及びたいと思います。一つ一つ伺って参ります。この法律案そのものはきわめて簡単の法律案でありまして、わずかに五条しかありませんから逐条的に伺いたいと思います。  まず伺いたいのは、第一条にあるいはまたこの法律のタイトルに、「特定物資」という用語が使われております。世上伝えれるところによりますと、この「特定物資」とは台湾から輸入するバナナパイナップルカン詰たといわれておりますけれどもバナナパイナップルカン詰というようなことはこの法律のどこにも現われておりませんが、政府はいかなる物資特定物資として政令で定めるおつもりでおられるか、まずお聞かせ願いたい。
  31. 大堀弘

    大堀政府委員 本法律案にあります「特定物資」でございますが、これは法律案の第一条にもございますように、輸入が制限されておりますために、需給の不均衡が著しく大となり、その結果非常な利益が生ぜられる物資と認められるものについては政令で定めることになっておりますが、政府といたしましては、当面ただいまお話がございましたように、台湾から輸入貿易協定に基きまして輸入を予定せられております、バナナパイナップルカン詰、この二つを考えておるわけでございます。それ以外につきましては、検討の上必要なものがありますれば、同様の趣旨のものがあれば追加して参りたい。
  32. 内田常雄

    内田委員 ただいまのお答えですと、当面バナナパイナップルカン詰、私どもはさように了解しておりましたが、ここに一つの大きな問題が起ってきておるようでございまして、私も非常な関心を持っておる。ただしこのことは政務次官大堀さんにお伺いしても、おそらくは回答ができまいと思いますが、世上伝えられておる、またわれわれしばしば耳に入って参りますところによりますと、これと同じよう輸入特別利益の吸い上げをねらっておりますところの、先ほど言いました砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案が本国会で成立しそうにもないというよう情勢を反映して、向う法律がつぶれてもしこの法律がわれわれの理解によりまして成立いたしましたならば、政府はにわかにこの砂糖法律の不成立を奇貨として、この法律の第一条の特定物資として砂糖を指定して、向う法律でやるべき砂糖に関する輸入利益の吸い上げを、この法律の適用によって同じことをはかろうというような御計画があるようにも承わっております。これはある面からいたしますならば、さようなことも妥当の面があるかもしれませんが、他の面からいいますならば、非常に妥当でない面が組んである。ことにわれわれの理解は、この法律案はあくまでも二本建である。砂糖輸入利益の吸い上げばかりではなくて、価格の安定ということもねらっている。この法律のねらうところは、暗に輸入利益吸上げであって、その結果において国内において売られるところのバナナなりパインの値段が幾らになろうと、それはかまったことではない。要するに一番大きい輸入特別利益を払ってくるものに入札して外貨を割り当てるというのが建前になっておると思います。だから私がそれを想定いたしますように、向う法律がつぶれた場合に、急遽この法律によって砂糖特定物資として指定するというようなことになりますれば、初めからそのよう法律であるということをしっかり納得させていただかないと、われわれはこの法律を通すわけにはいかない。さよう一種ペテンにも類するものにやすやすと乗るものではないということを御銘記願いたい。これは今政府委員に御説明を願おうと思っても無理でございますが、何かお考えがありましたならばお述べ下さい。
  33. 大堀弘

    大堀政府委員 私から御説明申し上げたいと思います。御質問の御趣旨に沿うことができるかどうかわかりませんが、この法律案内容といたしましては、第二条に特別輸入利益納付の方法につきまして法律上規定しておるわけでございますが、このバナナパイナップルカン詰につきましては、一種入札制度と申しますか、ビッド方式によりまして、国内価格関係なくやることになっております。従いまして仮定の問題でございますが、これで砂糖がやり得るかということになりますと、砂糖につきましては、このビッド方式で全体に処理するということは法律上相当無理がある、法律の問題といたしましては、私どもはさよう考えております。
  34. 内田常雄

    内田委員 大堀さんが政府委員としてそこまで言い切られて、あとで内閣あるいは通産大臣からでも叱られることなきよう私は心配するものでありますが、あなたがそこまで言い切られる以上は、一応さように信頼をしておきますが、しかしこれはあなたは御存じないかもしれませんけれども内閣政務担当の方では、さようなことを考えられておることもどうも事実のようであります。それならばお伺いをいたしますが、この法律によって吸い上げる特別輸入利益というのは、あなたのお出しになった資料によりますと、バナナ、パイン合せて六億六千万円、しかもその金は輸入特定物資ですか、納付金処理特別会計へ入るのでありますが、この納付金処理特別会計へ入る金は、この法律によって吸い上げる金ばかりでなしに、砂糖の方から吸い上げる金も同じ会計の方に入りまして、合せて七十億円くらいになりまして、この金が財政投融資特別会計へ入るはずであります。それならば七十億の財源を予定しているというのは砂糖法律はつぶれてもしょうがないが、この法律はどうしても通すということで急がれましても、そこに入る財源はわずか六億六千万円でありまして、七十億の財源を埋めるにはあまりに小さ過ぎるということになるのでありまして、この法案はもし政府がどうしても通すとなれば、あるいは予算計画財政投融資計画を完全に遂行いたすためにはどうしても砂糖法律と同じように、いや向うが通らなければこの法律が通ってもあまり意味がないということになると思います。しかるに政府がお急ぎになるのはしばしば伝えられるように、向う法律がつぶれてもこの法律案だけは通してもらいたいという裏には、その砂糖の指定をこの法律でやる、こういうお考えがあるやに私どもは推測をいたすのでありまして、このことは今大堀君がそのような言明をなさるとこれは非常に問題を起すと思いますから、この点を一つ委員の諸君にも銘記しておいていただいて次に質問を進めます。  その次にお尋ねいたしたいのは納付金処理でありますが、われわれが了解する限りにおいては、この納付金は先ほど申しました納付金処理特別会計に入るのであります。この特別会計は当面の間の特別会計であって、財政投融資の特別会計にもう一度入ります。そこで砂糖納付金がくる、その他の財源やらが落ち合って約百四十億の財源となってこれが輸出入銀行に対する出資に充てられるはずでありますが、さように了解してよろしいのですか。
  35. 大堀弘

    大堀政府委員 お話の通りでございます。
  36. 内田常雄

    内田委員 そうしますとこの両法律の通ることを私は希望いたしまして、それによって輸出入銀行に対する財政投融資百四十億というものが計画通りに参ることを希望はいたしますが、もし通らない場合には、輸出入銀行の融資計画あるいはさらに財政投融資の計画が狂ってくることになるわけであります。ところが一方従来バナナパイナップル輸入というものは他方機械その他の日本から外国に輸出するものの中で出血輸出をなしているものに抱き合せて、いわゆるリンク輸入として認めてきている。それがガット加入の関係その他によってさようなリンク制がだんだんむずかしくなるのではないかと思いますが、一方においてリンク制もできない、さらにまた輸出入銀行の財源確保もできないということになりますと、機械その他の輸出に非常な支障を与えることになると思いますが、その辺の事情を詳しく説明していただきたい。
  37. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年度は砂糖輸入利益は、船舶その他プラントの輸出業者に対して砂糖の割当をいたしました。これらの利益が結局業者に還元されおった。それが一種の輸出助成になりまして、昨年度は一昨年度に比べまして船舶プラントの輸出が非常に伸びまして、この点につきましてはいろいろ御批判もあったのでございますが、こういった方の輸出もその緒についたということは事実であります。しかしながら一方におきまして、ただいま御指摘がございましたようにIMFその他の関係からいたしまして、こういった処置をとることが国際経済の面から見ましても非難を受けて参ります。こういったリンク制はこの際打ち切らざるを得ないという情勢になりまして、昨年度をもってこの措置は打ち切ったわけでございます。  もう一つ問題がありますのは、これは国内問題でございますが、結局砂糖利益が輸出の両である程度はき出し過ぎになりまして、輸出価格を不当に下げ過ぎた傾向がある、こういった弊害もあります。ともかくこの両面からいたしまして、リンク制は適当でないということで昨年度打ち切ったわけでございます。私どもといたしましては、この一年間国際貿易が次第に自由化して参りますので、日本の貿易政策といたしましても、貿易の正常化ということが第一の問題だと考えます。ただいまのリンク制を打ち切りましたほか、バナナ等につきましても、台湾に対します輸出の見返りに外貨割当をしておったのでありますが、これを打ち切りました。特割制度というものもございますが、これも縮小して参りました。バーター制度といった方法がございますが、これもある程度不当に乱用された傾向がございますので、これもきわめて合理的な範囲に縮小いたしました。全体といたしましては正常化の方向に乗せて参ったわけでございます。その結果といたしまして、砂糖とかこれらの輸入が制限されまして、国内価格輸入価格との間に非常に開きのあるものにつきましてはそこに当然過当利潤が出る、今まではともかくもリンク制によりましてこの利益というものは輸出振興のために還元されておったのでございますが、こういった制度を打ち切りました際に、これらの過当利潤が外貨割当の結果一部の企業者に帰属することは適当でないということからこの法案立案になったわけでございまして、私どもといたしましてはこういった状態が長く続くことは望ましいこととは考えておりませんが、逐次日本の外貨保有量がふえて参り、経済力が上って参りますれば、砂糖輸入につきましてももう少しノーマルな状態になって参り、過当利潤の問題もなくなるわけでおりますが、その際は逐次こういった制度もなくなっていく、この間の処置といたしましてこういった制度をお願いしているわけでございます。  一方、大へんくどくて恐縮でありますが、私どもの立場からいたしますと、この輸入利益をただいま御指摘のよう産業投資特別会計へ繰り入れまして、正常な輸出のために使って参りたいということで、これがプラントその他の輸出のための輸銀の融資資金の一部に充当せられるということになるわけであります。私どもは、本年度は輸銀の資金は十分に確保いたしまして、直接の助成措置は講じませんけれども、各国との競争に耐えていくという意味からいいまして、相当長期の貸付を行いませんとプラント輸出が困難でありますので、その意味からいたしまして、輸銀の資金はぜひ確保して参らぬと、プラントの輸出に対しまして非常な支障を来たすおそれがある、かよう考えておりまして、そのためにこれか一部充当せられることに相なっておるわけであります。  なおもう一点補足さしていただきますと、こういった措置によりましても、過当利潤のありますものが国庫に入るということが行われません場合に、行政措置としてこれらの物資の割当方式について非常にむずかしい問題を生じて参るわけであります。これは行政上私どもは非常に困難を来たす問題でございまして、その点につきましても一つ十分御配慮いただきたい、かよう考えております。
  38. 内田常雄

    内田委員 ただいまの御説明に関連をいたしましてお伺いいたしますが、私どもはいろいろのことを聞いておるのです。昨年をもって打ち切られたリンク制でございますが、このリンク制の廃止ということは、今の御説明ですとIMFからの注意と申しますか、IMFに入っております関係上、二重価格というような現象を来たしておるという点から自制をせよというのであるか、あるいはまたガットの加入に関連をいたしまして自制をせざるを得ないのであるか、どちらでございますか。
  39. 大堀弘

    大堀政府委員 直接にはIMFの関係でございます。ガットの関係につきましても、これは正常貿易という意味から言いますと、必ずしも好ましい形ではございません。ガットの関係につきましては、各国の経済状況の差によりまして、当分の間ある程度の問題につきましては配慮の余地が残っております。絶対ということはございません。これは日本の政府といたしましては、やはりIMFとの関係からして好ましくないと考える次第であります。
  40. 内田常雄

    内田委員 そういたしますと、リンク制をやめるということは理論としてはいいことでありますが、船舶などの輸出につきましては、だいぶ輸出条件が好転をして、輸出もぼちぼち伸びているようなものもあるようでありますけれども、それにいたしましても、まだ日本における基礎資材の値段が高いとかその他の関係で、機械その他の輸出が今日の三百六十円の為替レートそのままでは非常に苦しい出血輸出の面もあるだろうと私は想像するのであります。その面におけるリンク輸入を断ち切って、一方において政府が吸上金をもって輸出入銀行にそれを投資して、正常なる輸出貿易の促進という見地から輸出入銀行の長期融資等をされましても、それとこれとは違うようでありまして、一方リンク制の廃止によって輸出業者がこうむる打撃は輸出入銀行の金融措置によってはカバーされないように思うのでありますが、そこに何かカバーされるような筋道がつくのでございましょうか、その点をお伺いいたします。
  41. 大堀弘

    大堀政府委員 プラントの輸出につきましては、ただいまお話のございましたように、船舶とか車両とか一部のものにつきましてはほぼ競争価格という線まで参っておりまして、あまり無理な出血をしているという形にはなっておりませんが、電気機械その他につきましてはなお相当競争上困難な点があることは事実でございます。しかしながら価格差益を与えるような一極の直接補助的な政策ということ、この際そういった方法で助成するということは、日本のプラント輸出の将来を考えましても私どもとしては必ずしも適当でないのじゃないかと思います。  現在考えておりますのは、輸出金融の面におきまして輸銀の資金を充実をして、先方へ売ります契約の支払い期限を長期にする、こういった契約条件で有利に持っていく、あるいは金利の面で負担をできるだけ下げていきたい、こういう面でも資金の面が相当重要な影響を持って参ります。あるいは保険料金についても最近半分ほど下げましたが、そういう措置、もう一つは技術的な面で、現在プラント輸出で重機室という制度がございますが、この制度を拡充強化いたしまして、一種のコンサルティング・エンジニア制度といたしまして、機械の売り込みについての技術的な援助を強化する、こういう面の各般の正常な手段による輸出政策をとって参りまして、直接補助という制度はもう昨年度をもって打ち切りました。私どもはこれを復活するということは貿易政策の正常化及び長期に考えました場合の将来の輸出助成策といたしましても適当ではないのじゃないか、かように信じておる次第であります。
  42. 内田常雄

    内田委員 お話はわかりましたが、それで十分でございましょうか。今言うように輸出条件がこちらの輸出に適するようになったものもあるけれども、まだまだ出血輸出でなければ出ないものもある。さような場合に、それをリンク制から置きかえて輸銀の長期金融というようなもので果してカバーできるかどうか、せっかくここにもしも法律が成立するとしますならば、七十億からの財源が入るのでありますから、輸出入銀行を利用するにいたしましても、何か国の利子補給というような間接の助成策のようなことは考えられていないのか、また現在お考えになっている制度に何かさよう趣旨の裏でもあるのか、その辺はどうでございましょうか。
  43. 大堀弘

    大堀政府委員 直接の利子補給という考え方はございません。しかしながら輸銀に対する財政資金の額いかんということが、結局輸銀が輸出業者に対しまして融資をいたします場合の協調融資の比率に関係して参るわけであります。昨年度も非常に資金が切れました場合は、市銀の協調融資の比率が二割五分、三割近くまで上りました。従いまして市中の高い金利のものがついて参ります。そこで金利負担が非常に多くなる。輸銀の資金が十分にございますれば、輸銀の協調融資の利率を下げて市銀の利率を下げる、従いまして−タルとしての平均率は相当下る、こういったこともありますので、私どもとしては、輸銀が不当に金利を下げるということも問題がありますけれども。少くとも国際金融における正常な金利まで輸銀の金利を下げて協調融資の率もできるだけ有利に持っていく、こういうことによりまして輸出業者の負担を軽くして輸出の促進をして参りたい、かよう考えております。
  44. 内田常雄

    内田委員 ジェトロというものがあるようでありまして、私の日本読みにして何と読むか知りませんが、通産省の先輩諸君もここに入っておる。今まで伺っておるところによると、またお出しになっている資料によりますと、バナナ、パインのリンク制度の運用は、台湾に輸出するものの見返りにそれらの物資輸入権を与えた場合もあったでしょうが、ジェトロにこれらの輸入権を与えて、ジェトロがそこで輸入利益を吸い取って、それを輸出伸張か何かに使っておったと想像されるのでありますが、そうであるならば、何もこの法律がつぶれても差しつかえないのじゃないか。ジェトロというものがありまして、それが一種納付金処理特別会計みたいなもので、しかも通産省の先輩が入って牛耳っておられるのだから、ジェトロにまかしておくならばこんな法律は要らぬのじゃないか、意地悪く言えばかよう質問も成り立つと思いますが、一つその事情を説明していただきたい。
  45. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、これは昨年の上期までリンク制を実施しておったのであります。バナナ、パイカンにつきましては、台湾の輸出に対して昨年九月の末まで実施しておりましたが、これは適当でないということで打ち切ったわけでございます。私どもはこの法案の考え方につきましては、すでにそのとき以来一年間研究を重ねて参ったのでありまして、この問題について、こういった方向で進むという前提でございますが、過渡的措置といたしまして、リンク制を打ち切った際に自後の処置といたしまして、下期のバナナ、パイカンの割当につきまして、御指摘のように海外貿易振興会に対して本年度は相当多額の財政支出を御了承いただいたのでありますが、昨年度も相当多額の財政支出をいただいておりました。貿易振興の唯一の外郭団体といいますか、政府の出先として活動しております海外貿易振興会に対しまして外貨を割り当てまして、過当利益に該当するものだけは、この海外貿易振興会の特別会計、別途の会計で行く。これは厳格な政府管理下にありまして、その収支は政府の監督を受けるということで、この使途につきましても大蔵省と相談いたしまして、貿易振興会のみ使うという建前で昨年度の下期だけ処理いたしたわけであります。私どもはこれは暫定的措置としてやらせていただいたわけであります。やはり恒久的措置といたしましてこういったものを国庫に入れまして、財政の支出は支出ということで整理していただくことが適当ではないか、どうもこういったことを恒久的制度として続けていくことは、行政的処置として適正を欠く結果を生ずるおそれもあるのではないか、かよう考えておる次第であります。
  46. 内田常雄

    内田委員 大へんりっぱなお考えようにも思います。とかく通産省には、自転車振興の、特別会計にあらざる特別会計みたいなものがあったり、またジェトロのように、ジェトロの特別会計ではあるかもしれないけれども、国の特別会計ではない、われわれの目の及ばない会計がありますことはあまりいいことではありませんから、それをお改めになって、正式の特別会計に入れるということは進歩でありましょうが、しかしジェトロからこれを取り上げまして、ジェトロの活動に困りはしませんか。おっしゃることは、ジェトロに吸い上げておったことは過渡的の措置であるから、今度正式に国の会計に入れるということでありますから、そうなればジェトロはお手上げになって、今度ジェトロは要らない、解体するというお考えでありますか。
  47. 大堀弘

    大堀政府委員 ジェトロの仕事といたしましては、主として海外広報宣伝、海外市場の調査、そういった面におきまして相当活発な活動をいたしておるわけでございますが、この財政の面につきましては、昨年度も政府から相当の補助金を交付せられましたが、本年度は何としてもこの活動を助成することが必要であるという見地に立ちまして、昨年の三倍程度の予算を国会の御了承を得たわけでございます。私どもといたしましては、この活動につきまして必要なものは、やはり直接国家において財政援助をしてやるということによりまして、活動を促進して参りたい、かよう考えておるわけであります。
  48. 内田常雄

    内田委員 次にお尋ねいたしたいことは、砂糖の方につきましては、砂糖法律通りますことを前提に、砂糖輸入業者との契約でありますか、政府の指図でありましょうか、とにかく何か政府納付すべき特別利益に相当するものをすでに積み立てさせておる。法律が通ったならば何か行政的の手段でそれを国の会計にさかのぼって繰り入れさせることになっておるとかなっていないとかいうような話を承わっております。これもだんだん御説明を聞きたいのでありますが、特定物資の方のバナナ、パイカンについてはどうなっておりますか。すでに本年度も上期の外貨予算をお組みになって、バナナ、パイカンの輸入の手はずも立っておる、公表もされておると思いますが、これはこの法律が通ったならば——通らないかもしれない、また継続審議になって次の臨時国会でどのようになるか知りませんが、それらの間のつなぎとして特別輸入利益に相当するものの積み立てを条件として外貨を割り当てておる。従ってこれは何十億ではないかもしれませんが、何千万円というものが積み立てられておるのかどうか。今のところは法律審議中だからやむを得ない、だれでも勝手にもうけろということで、もうけっぱなしになっておるのか、その取引の関係はどうなっておりますか。
  49. 大堀弘

    大堀政府委員 バナナ、パインにつきましては、昨年の下期の措置は先ほど申し上げた通りでありますが、本年度に入りましてからはまだ輸入の公示をいたしておりませんで、全然実行しておらないわけであります。私どもといたしましては本案の通りました後に実行して参りたいと思いますが、適正にこれの差益を国庫に入れて参りたいと考えております。特にバナナ、パイン等につきましてはあわてて入れなければならないというような当面の事情もございませんので、一応とめておるわけであります。砂糖につきましては、年間相当大きな輸入でもありますので、需給の関係から参りましてほっておくわけには参らぬわけです。砂糖については三月をもってリンク制を打ち切っておりまして、四月以降の実施の問題についてほっておくわけには参りませんので、四月以降すでに約三十万トン程度のものは輸入公示をやっております。その際に業界といろいろ話し合っておるわけでもりますが、業界といたしましても過当な利潤を自分らだけがふところに入れるということは適当でないということを了承いたしましたので、いずれこういう法案が国会に提出になり、その制度によって輸入が行われる場合が考えられるのでありますが、この過渡的措置といたしましても、これに準じて一応適正な差益だけは国庫に入れることを政府に対してお約束いたしますという申し入れがありましたので、そういう書面をちょうだいいたしまして、私どもとしては条件付で発券いたしたわけであります。これは放置して参りますと砂糖の需給に非常に支障を来たしますので、輸入は現在上期分についてすでに三十万トン発券いたしております。
  50. 内田常雄

    内田委員 一応事情はわかりましたが、世上伝えるところによりますと、これはうそかまことか知りませんが、バナナ、パインについては砂糖よう輸入業者に適正差益の積み立ての指図をしておらないので、そこを奇貨として、いろいろ通産省方面と結託して先に引き合いの手を打たせておるというようなことも聞くのでありますが、この点については、ただいまの大堀君からのお話のように、さようなことは絶対にない、まだ輸入公表もしておらないで法律の成立に先だって不当の利益をおさめておるものはない、こういうことを確信してよろしゅうございますか。
  51. 大堀弘

    大堀政府委員 いろいろと希望として入れさせてもらいたいという話は随時ございます。ございますけれども、私どもとしては全部一切考慮いたしておりません。これははっきりお答えいたします。この問題については、今日までそういうような意味で何らかの約束めいたものというのは一切ないとはっきり申しておきます。
  52. 内田常雄

    内田委員 本年の四月以降まだバナナ、パインについては輸入公表をしておらないということでございますが、先般御承知よう台湾との平和条約に基く議定書に基きまして、貿易取りきめの措置が延長せられた。台湾とはかような貿易取りきめがあるのでありますが、四月以降バナナ、パインの輸入を差しとめておるということで、台湾との貿易協定との関係には支障がないのでありますか。大体いつごろまでさようなことでひっぱれると考えられますか。もしこの法律が通らなければ、民間に不当な利益を与えるよりも、むしろ不急不用の物品であるから輸入をこのまま押えておった方がよいのだ、抑え込めるというようなことでやっておりますか。
  53. 大堀弘

    大堀政府委員 この問題につきましては、年間約四百五十万ドル協定上約束いたしておりまして、実施の時期につきましては、必ずしも二、三カ月の問題は問題にならぬと私は思うのでありますが、ことに昨年下期の輸入の実施がおくれておりますので、私どもは本年度特別会計が本国会において御了承が得られるものと期待いたしまして、その後においてすぐに実施できるものといたしますれば、協定運用上に支障を来たさないのではないかと考えております。もしそういったことができないといたしますと、これはいつまでもほおっておけない問題じゃなかろうかと思います。
  54. 内田常雄

    内田委員 次にこの特別輸入利益を受け入れる特別会計のことについてお尋ねいたしたいのでありますが、これは元来借入金でもないし、政府が堂々と収納せられる特別輸入利益でありますから、何も特別会計を二つも三つもくぐらして、非常にわれわれ議員や世間の者にわからないような複雑怪奇な方法をとることをしないで、堂々と一般会計に受け入れるなり、あるいは全然姿を変えて、たとえば消費税でありますとか、そういうようなもので十分間に合うのじゃなかろうか。ぐるぐる持って回ってわけのわからぬよう処理の方法だということも、われわれの審議をおくらしておる一つの理由のようにも私は考えるのでありますが、この特別会計を設置した理由はどうか、あるいは消費税で置きかえられないかどうか、そういうようなことにつきましての御見解を承わりたい。
  55. 大堀弘

    大堀政府委員 一般会計特別会計かという問題は、むしろ私どもよりも大蔵省の方からお答え願った方がよろしいかと思いますが、私どももこれは財政金融の問題になるかもしれませんけれども、絶対的な議論はできないのじゃないかと思います。これは内部でいろいろ議論いたしました結果、ただいま提案いたしておりますよう特別会計へ入れまして、これから産業投資特別会計に入れるという方式になったわけで、この間にもいろいろ議論もございましたが、それが目下のところ適当であるという結論に相なったわけであります。  あとの消費税の問題につきましては、バナナ価格等につきまして、需給関係でかなり価格が動くわけでございまして、現状におきましてこういった輸入制限のもとにおける特殊な利益でもございますし、消費税ではなく、ビッドで差益を徴収するというような制度でいきますのがどうかというよう考え方に立ちまして提案することに相なったわけであります。
  56. 内田常雄

    内田委員 どうもその辺にいろいろな問題があるようでございまして、これは大堀君一人に全権を委任いたしてお伺いいたしましても納得しないのでありまして、大蔵大臣なりあるいは河野農林大臣に御答弁、御説明をいただかなければ納得しないのでありますが、私はこのような点に問題のあることを指摘して、一応の御説明を承わっておるだけでございます。今のリンク制の方法を改め、輸出入銀行を通ずる一般的な大きな助成策にいくということもわかるのでありますが、私はそれについては、砂糖バナナ、パインの法律を二本建にせられておる理由が必ずしも納得ができない。この砂糖の取扱いに関する法律を作るに当りましては、通産省の案があり、また農林省の案があり、とうとう内閣官房長官それがしが仲裁をして、それこそ足して二で割ったような案になっておるように私は印象つけられておるのでありますが、少くともこれは砂糖とこの法律案を一緒にして、とにかく金が入ってくる会計は二つとも同じ会計であり、金の使い方も全く共通の用途に使うのでありますが、法律は二本建になっておる。しかも取り扱っておる委員会も一緒です。河野農林大臣はこれらの点に関しまして一回も御出席になって説明をしておらない。大蔵大臣説明になっておらない。ことに砂糖の取扱いにつきましては、こういうような何とか処理特別会計というよう会計に入れるのか、あるいは食糧管理特別会計に入れるのかという重大な問題でありまして、承わるところによりますと、今日農林委員会方面におきまして政府提出の法案を修正して、あの金を食糧管理特別会計に入れることに修正したらどうかということも持ち上っておるようでありまして、事は複雑怪奇な段階になってきておるわけであります。その辺われわれの納得のいくような全体的な、すっきりとした御説明をぜひ承わりたい。私は先般本院におきまして修正可決されました、重油に関する法律案説明にこれから参議院に参らなければなりませんので、今両大臣おいでになりませんし、いずれ御出席を得ました上で、以上申し上げた点についてとくと承わりたいと思います。  ただ最後に、これは非常にこまかい点でありまして、事務的な問題ですが、一つお伺いいたしたいのは、パイン、バナナ輸入割当をなさる場合に、さきお話しになったように、入札でやるのか、そうして特別輸入利益の通告を政府に一番よけいにしたものから外貨の割当をしていく、その場合に特別輸入利益納付に関する担保を納めさせるような規定があるようでありますが、この担保はどういうものをおとりになることになっていますか。
  57. 大堀弘

    大堀政府委員 担保の種類といたしましては、現金、国債、定期預金証書または金融機関の保証状でもよろしいというふうに考えております。
  58. 内田常雄

    内田委員 現金、国債まではいいんですが、金融機関の保証状、これについて一つお願いがあるのであります。先ほどお聞きになっておられたと思いますが、中小企業金融公庫の融資先に関する決議どもありまして、すでに当委員会におきまして先般の予算修正とも関連をいたして、商工中金債等の預金部引き受けということができなくて、これは一般市場の引き受けとなっております。これはひとり商工中金だけでなく、農林中金債、長期信用銀行債、興業銀行債も同じでありますが、一番資金集めに困難を感じておるのは言うまでもなく商工中金でありますので、政府が今回十億も出資されるかような金融機関でありますので、その担保には少くともかような従来預金部で引き受けておったような金融債あるいは少くとも商工中金債というようなものは、国債とあわせて担保に御指定があられるようにおきめ願いたい。それが本院が商工中金組合法の修正に当りまして、附帯決議をした趣旨にも合いますので、御考慮願いたいと思いますが、何か御意見ございませんか。
  59. 大堀弘

    大堀政府委員 まことにごもっともでございます。その点につきましては、ただいま申し上げましたほかにつけ加えるように十分研究いたしたいと思います。
  60. 内田常雄

    内田委員 委員長に申し上げますが、私は当委員会を代表いたしまして参議院に説明に参りますので、今日はこれ以上質問ができませんが、先ほど申しましたような重要な問題を含んでおりまして、私は両大臣への質問を保留いたします。ほかの方をお入れ下さってけっこうでありますから、私の質問を打ち切らないようにお願いいたします。
  61. 田中角榮

    田中委員長 内田君の発言に対して善処いたします。首藤委員
  62. 首藤新八

    首藤委員 今の内田君の質問に関連いたしますが、バナナ輸入々決定いたします場合は、ビッドによるということでありますか。
  63. 大堀弘

    大堀政府委員 これは法律の第二条にございますが、納入価格差益の多い人からとっていくという原則を出しておるのであります。この実施につきましては、一種政府物資の販売と同様に、入札と同様の効果を持つわけでありますが、この場合に先般の本委員会におきまして御意見、御質問がございましたが、あるいは一部の外商等にとられてしまう心配がないかというような御心配もございますので、実施の要領としては、ある程度割当といいますか、ビッド方式によるのではありますが、その方法としては、グループ別に入札に付する。あるいは一人当りの頭打ちを作りまして、一部の人にこれが片寄ったり、あるいは特定の、先方と連絡の多い外商あたりが、これを一人占めしてしまうというような弊害を防止しながら、原則としては高いものから落していくという入札の方式考えているわけであります。
  64. 首藤新八

    首藤委員 差益金を徴収する建前から、ビッドを原則とするというお話でありますか、このバナナによるところの差益金の徴収は、大体予算がきまっておると思います。同時にまた、これは計画的な輸入でありますから、量も大体想像できると思います。そういうふうに相なりますならば、大体一かごに幾らの差益金を徴収するという予算を立てて、その範囲内において徴収すれば、予算にそごを来たすということはあり得ないと思う。もしこれを法案のごとくビッドにするということになれば、これこそ業界の混乱を来たすことは、あなたが実情を一番よく知っておられる。特にかよう方式によりますと、各商店の営業に非常な不安定を来たす。たとえば相当実績を持っておる方は、それに相当する店員あるいは設備を持っておる。しからざるものは少いだけの店員を持っている。これがビッドにしますと、店員や設備を持たないものが入札をする。そういうものは臨時に人を雇わなければならぬ。設備を持っている商店が開店休業みたいなことになって、その商店が非常な大恐慌を来たすことは議論の余地がないと思う。そういうことはあなた方よく御存じの上でありますから、さような混乱を来たさないように、要するに予算だけ徴収する。そうすれば計画的であるから、その範囲内において不当なことをしないように、これだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  65. 片島港

    ○片島委員 議事進行。私たち今日まで非常に議事進行に協力してきたのですが、各党に委員長の方から大体の時間を示して、それを基準にして各党の質問をする。会期がたとい延長されたとしても、そう長く延長されるわけではない。やはり審議を促進する上においては、各党の持ち時間をある程度申し合せて、その範囲内においてやっていくようにしていただいたらいいと思いますが、いかがですか。
  66. 田中角榮

    田中委員長 速記中止。   〔速記中止〕
  67. 田中角榮

    田中委員長 速記開始。本日の質疑はこの程度にとどめます。明日午後一時より会議を開きます。本日はこれをもって散会します。    午後三時五十九分散会