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春日一幸君 御
指摘の点は
提案者たちの最も苦心を払った点でございまして、特に本法の第一条には、この
百貨店法の
目的といたしまして、
百貨店の
営業活動が第一番に
一般消費者の
利益を阻害することを防止する、ここにウエートを置いております。すなわちその
活動が
一般消費者、
小売業者及び
卸売業者、この三つの相
関連性において、ごうも
小売店の
利益を阻害するということのないように、この
法律は各条章にわたって細心の注意を払っているわけでございます。具体的に申し上げますと、本
法案第五条におきまして
販売行為の
規制を行い、第六条において
仕入れ行為の
規制を行なっておりますが、なかんずく第五条におきましていわば
小売業者からこれも
制限してもらいたい、あれも
制限してもらいたいといういろいろの要望もございました。しかしながらたとえば
商品券の発行だとかあるいはまた
無料配達行為の
制限とか、こういうような
規制をいたしますと、これは御
指摘のように、
消費生活者の
利益を阻害する面がはなはだ多い形になりますので、そういうような問題はことさらにこれを避けておりまして、すなわち
規制の
制限列挙の中にこれを取り上げていないのでございます。特に先般も
小笠委員から御質問のございました第五条第一項第一号の「
中小企業に不当に影響を与えるがごとき
月賦販売」この問題が
消費生活者の
利益を阻害するの条項ではないか、しばしばこういう御
指摘がございましたけれども、これは全面的に
月賦販売を禁止するというのではないのでございまして、すなわち
消費生活者の
消費基準というものは、まず物を買うときには大体現金で買う、すなわち入るをはかっていずるを制す、こういうことで、何でも
月賦で物が買えるということが一般的な
商業通念になりますと、これは
小売業者がとても立っていけるものではないのでございます。従いまして第五条第一項に
規制をいたしておりますこの
月賦販売の
規制の問題にいたしましても、これは全面的に禁止するというのではなくて、特に
中小企業に不当に
悪影響を及ぼすような、すなわち
百貨店の総
売上高の多くのパーセンテージを占めるような
月賦販売は、これを
通産大臣の許可、
認可事項にしていく、こういうことであるのでございまして、おおむね現在行われております
程度の
月賦販売は——これは個々の問題がいろいろありましょうけれども、これをも全面的に禁止しようというのではないのでございまして、どの
程度をこの
法律の
制限対象にするかということは、
通産大臣がその地域、それからその
百貨店自体の売り上げ実績、
消費状態等をにらみ合せて
規制をするという形に相なるのでございまして、すなわちこの
法律によりまして
消費者の
利益が犠牲になるという事柄は一つもないのでございます。本法第一条では
消費者の
利益を特にうたっておるのであります。これは一つの商業
政策の基準をこの
法律によってきめんとするのでございまして、すなわち
わが国の経済構造の上におきまして、
小売業者がになっておりますその地位を正当に理解して、それがやっていけるような
状況、すなわち
百貨店の、いわゆる大資本の暴威暴力による弱肉強食的な侵害をこれによって防ぎまして、そうして自由公正な競争の原則の上に立って、
百貨店も
小売店も一緒に立っていけるという商業秩序をこの
法律によって確立したい、こういうことであるのでございまして、御心配のような
消費生活者の
利益が阻害されるということはごうまつもないのでございます。