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1955-07-19 第22回国会 衆議院 商工委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 長谷川四郎君 理事 山手 滿男君    理事 内田 常雄君 理事 前田 正男君       阿左美廣治君    秋田 大助君       小笠 公韶君    齋藤 憲三君       鈴木周次郎君    野田 武夫君       淵上房太郎君    加藤 精三君       小平 久雄君    堀川 恭平君       加藤 清二君    櫻井 奎夫君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       田中 利勝君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  齋藤 正年君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君  委員外出席者         議     員 春日 一幸君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月十五日  委員片島港君辞任につき、その補欠として永井  勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十六日  ガス普及に関する臨時措置法案多賀谷真稔  君外十三名提出衆法第五〇号) 同月十五日  中小企業共済組合法制定等に関する請願田中  稔男紹介)(第四二一四号)  発明事業振興に関する請願水谷長三郎君紹  介)(第四二一五号)  黒又川電源開発に伴う損害補償に関する請願(  大野市郎紹介)(第四二一九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人招致に関する件  派遣委員より調査報告聴取  百貨店法案春日一幸君外十三名提出衆法第  一八号)  下請関係調整法案春日一幸君外十三名提出、  衆法第二〇号)  臨時石炭鉱業安定法案多賀谷真稔君外十三名  提出衆法第四九号)  石炭鉱業合理化臨時措置法案内閣提出第一一  三号)     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。理事永井勝次郎君が去る十二日委員を辞任せられましたので、理事が一名欠員となっておりましたが、永井君は去る十五日再び本委員に選任せられておりますので、この際同君を再び理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に去る十四日本委員会に付託をせられました臨時石炭鉱業安定法案議題となし審議に入ります。  まず提案者より趣旨の説明を求めます。多賀谷真稔君。
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ただいま議題になりました臨時石炭鉱業安定法案につきまして、その提案理由説明を申し上げます。  政府は今日の石炭鉱業危機を救済し、石炭鉱業合理化を行うためといって、石炭鉱業合理化臨時措置法案を本院に提出しているのでありますが、政府案は真に石炭鉱業の安定を来たし、炭坑地帯の不安の一掃をなすものでないと考え、社会党両派はここに本法案提出する次第であります。  今日石炭鉱業の未曾有の危機を招来したものは、政府の強行したデフレ政策総合的エネルギー対策の不確立によるものであります。政府燃料政策一貫性欠除は、石炭価格の割高と相待って、競合燃料たる重油及び外国炭の進出を見、石炭需要に多大な圧迫を加えてきたのであります。高炭価の問題は我国の炭鉱の宿命とも称すべきものであります。わが国炭田は、外国重要炭田のごとく古生後期か中生代に生成されたものでなく、第三紀に生成されたところからして、その石炭の品質及び賦存状況において著しく劣り、しかも地下資源産業の通有な特性として、採掘現場が漸次深部に移行するに伴って、採掘条件は逐年悪化の一路をたどっているのであります。昭和二十八年末と昭和九年末との自然条件を比較いたしますと、平均炭丈が五%薄くなり、トン当り排水量増加が六三%、トン当り坑道の延長が一七・四%増している状態でありまして、高炭価問題の解決のため縦坑開さくを初め、採炭選炭運搬等機械化を行い、いわゆる若返り方法を講じなければならないのであります。この炭鉱近代化に関しましては、われわれは政府より以上の熱意を有するものであります。しかしながら石炭需要増加を積極的にはからなければ、いかに石炭鉱業近代化を行い、生産性の同上による炭価引き下げを意図いたしましても、それは所期の目的を達しないのみか、いたずらに労使の紛争を惹起し、石炭鉱業の再建を阻害し、失業者のはんらんは一そう炭鉱地帯の社会不安を助長さす結果に終ると考えるのであります。雇用の問題は近代経済における最も重大な問題でありますとともに、働く意思があり、働く能力のある者は必ず職につけるということは政治の要諦であります。現在わが国完全失業者は戦後最大の数を示し、潜在失業者を含めると六百万をこえると政府すら言っているところであります。これ以上失業者を大量に発生さすごとき政策は絶対に慎しまなければならないと思うのであります。そこで両派社会党需要の喚起に関し、抜本的対策を講ぜんとするものであります。  まず第一に、都市ガス普及を積極的に行いたいと存ずるのであります。昭和三十九年度を目標として、十カ年計画において大都市八五%、中都市五〇%、小都市三〇%の普及をいたし、石炭消費量増大し、石炭鉱業の安定とともに、森林資源の保全、家庭生活合理化ため、別にガス普及に関する臨時措置法を本国会に提出いたしました。  第二に、電力についてであります。日本経済拡大均衡へと進まなければならないことを考え、電力供給力を年々六%程度ずつ増大させたいと思うのであります。それがためには水火力とも増加さすわけでありますが、ことに火力において、昭和三十五年度までに政府予定計画よりも新鋭高能率火力発電所の新設を四十五万キロワット行い、それを炭鉱地帯に建設いたしたい所存であります。これにより石炭需要拡大をはからんとするのであります。  第三に、重油に対する消費の問題であります。政府燃料政策欠除により、鉱工業暖厨房用重油消費が最近飛躍的に増大し、石炭需要を極度に圧迫した点にかんがみ、農水産船舶等を除く石炭との競合する部分重油消費については十分考慮しなければならないのであります。この点政府において重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律が提案されておりますので、これ以上言及いたしません。  第四には、石炭化学振興、低品位炭利用等、新たなる需要の開拓のために適当な措置を講じたいと存ずる次第であります。  以上の如く需要増大に努め、昭和三十四年度における出炭目標政府案の四千九百万トンをさらに二百万トン伸ばし、五千五百万トンといたしたいと  次は石炭流通面における措置を講じたいと思うのであります。  第一には、石炭合理化ため政府は巨大な財政資金を融資するわけでありますが、生産費引き下げが行われても、経済情勢のいかんでは石炭販売価格が引き下がるということは必ずしも保証できないのであります。政府がいやしくも、膨大なる財政融資を行なった以上、安い石炭供給というわが国経済の要請に必ずこたえる必要があるのであります。これがため販売価格政府決定することが肝要であると考えるのであります。  第二には、石炭市場関係でありますが、現在休廃止するおもな原因は、必ずしもコストが高いからというわけでなく、販路を持たないということにあると思うのであります。昨年の流通部門における状態を見ますと、企業間にきわめて激しい販売戦が展開せられ、需要総量は減退しているのにかかわらず、大手筋及び販売業者荷渡しは逆に増加しており、中小炭鉱が駆逐され、市場の再分割を生じつつあります。中小炭鉱市場を確保し、販売部門における中小炭鉱の不利をなくするよう措置する必要があるのであります。  第三には、石炭鉱業出炭弾力性の乏しいところから、需要に応じた措置が直ちにとれないうらみがあるのであります。需給のバランスが破れた場合は、需要増大の場合も逼迫の場合もともに、投機的思惑発生の余地を与え、それが流通過程を著しく混乱に陥れるのでありまして、かかる中間利潤追求の機構は、なるべく排除すべきものと考えるのであります。  さらに電力用炭においては、現在の水主火従状態においては、豊渇水一割の上下によって、平水年を境として、二百数十万トンもの上下を来たすことになり、弱体な石炭企業に甚大な負担をかけることになっているのであります。今日の過剰貯炭の大きな原因が、ここ二、三年の豊水にあることを考え、これに対する対策を制度的に考える必要があるのであります。  第四には、炭鉱経営の良否はほとんど自然条件優劣によるのであります。今後合理化工事進捗とともに、その企業間の優劣は一そう激しくなり、生産コストの高低の差が拡大すると考えられるのであります。その企業間の優劣原因は、鉱業権者企業努力よりも、自然条件によるものが多いのでありまして、価格において何らかプール的な要素を入れる必要があると考えるのであります。  以上の見地より石炭販売一元化をはかり、石炭鉱業の安定を期したいと思うのであります。  以下本法案の内容を、政府案に対比しつつ簡単に申し上げます。  第一章総則は、目的と定義についての規定でありますが、縦坑開さく採炭選炭運搬通気等機械化をはかり、生産費引き下げを行うとともに、他面需要増大をはかり、生産量指定等を行い、さらに近代化の効果がその価格にそのまま反映するよう政府において販売価格決定し、石炭販売公団をして販売を行わしめ、流通部門における無用の混乱を避け、もって国民経済の健全なる発展に寄与することを目的といたすものであります。  第二章は、石炭鉱業近代化計画に関する規定でありますが、規定政府案と大差ありませんが、近代化計画大手筋炭鉱に偏重することなく、中小炭鉱近代化も積極的に行いたいと考えているのであります。  第三章は、鉱業権及び鉱区整理統合並びに坑口開設制限についての規定であります。鉱業権の交換、売り渡し、鉱区の増減については鉱業法規定するところでありますが、特に縦坑開さく等近代化計画を実施するにつきまして、鉱区整理統合はきわめて必要でありますので、政府は適切な措置をとらなければならないといたしたのであります。坑口開設制限につきましては政府案と同じ規定を設けました。  第四章は、需給の安定についての規定であります。政府は毎年、石炭関係及び学識経験者よりなる石炭鉱業安定会議意見を聞いて需給計画を定め、その需給計画に基いて鉱業権者租鉱権者に対し生産数量の指示をすることといたしたのであります。  石炭需要増加させるため都市ガス火力発電石炭化学等事業施設設置または拡張に対し、資金の確保その他適切な措置をとるべき旨の規定を設けたのであります。  前述のごとき観点よりして、石炭販売一元化を行うこととし、それがため石炭販売公団を設け、石炭の一手買い取りを行うことといたしたのであります。しかし石炭販売公団が全生産数量を取り扱うことは実際上困難でありますので、従来鉱業権者または租鉱権者工場等に直接取引していた部分については、品位価格数量を指定して、その鉱業権者または租鉱権者販売業務の一部を代行させることといたしたのであります。小口需要については販売業者を指定し、その販売をさせることといたしたのであります。石炭商店等販売業者で、石炭販売公団設立により業務の全部または一部を休廃止せざるを得なくなりました者につきましては、適正なる補償をいたすことといたし、これに関しましては別に法律を定めることといたしたのであります。  近代化による生産費引き下げ価格に反映するために、政府買取価格及び販売価格決定することとしました。買取価格をもつてしては生産費を償うことができないものにつきまして、買取価格販売価格との差額の中からその一定の価格補給金を交付することとし、それによりましても採算のとれない炭鉱につきましては、休廃止に関しての善後処理の経費を補償をすることといたしたのであります。  第五章は、石炭鉱業近代化基本計画並びにその実施計画の策定、生産量決定買取価格販売価格決定休廃止炭鉱補償その他この法律に関する重要事項を調査審議するため鉱業権者または租鉱権者労働者石炭消費者炭鉱所在地方公共団体代表する者、学識経験者をもって構成する石炭鉱業安定会議を設けることといたし、これに関する規定を設けました。  第六章は、石炭販売公団についての規定であります。公団資本金は五十億とし、政府が全額出資することといたし、役員、業務会計監督についてそれぞれ規定を設けました。  第七章は、石炭補給金を含む買取価格をもってしても採算がとれなくなったため事業休廃止するのやむなきに至った鉱業権者または租鉱権者に対して善後措置をするため炭鉱補償協議会設置することといたしたのであります。  補償に要する財源といたしましては、政府案炭鉱買い上げに要する財源として予定しておりますもののうち、財政資金財源として貸し出す金融機関に対しての借入金の金利の引き下げ分の一部を充当いたしたいと考えているのであります。  離職する労働者に対しては平均賃金の六十日分を支給すると同時に、未払い賃金並びに退職金に対しては代位弁済するものといたしたのであります。  鉱害賠償の債務につきましても、被害者の実情にかんがみ、代位弁済をするものといたしたのであります。  解雇された労働者に対しては、現在の失業者のはんらんしている状況よりいたしまして、解雇された労働者炭鉱補償協会に登録し、今後鉱業権者労働者を雇い入れんとする場合は、その登録者の中から優先雇い入れしなければならない旨の規定を設けたのであります。  さらに鉱害賠償に関する規定を設けました。  第八章雑則、第九章罰則といたし、法律政府案通り五カ年間の限時立法といたしました。  以上この法案概要について説明申し上げた次第であります。  わが社会党両派といたしましては、わが国エネルギー源における石炭鉱業重要性にかんがみ、石炭鉱業の安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与せんとするため法案提出いたした次第でありますので、議員各位におかれては、何とぞ御審議上本法案に賛意を表されんことを切にお願いするものであります。
  5. 田中角榮

    田中委員長 本案に対する質疑は後日行うことといたします。     —————————————
  6. 田中角榮

    田中委員長 この際去る十六日より三日間にわたり、石炭鉱業合理化臨時措置法案審査に資するため炭鉱地帯現地調査におもむかれました派遣委員が昨日帰着せられましたので、北海道班九州班よりそれぞれ報告を聴取することにいたします。  まず北海道班よりお願いをいたします。小平久雄君。
  7. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま委員長より報告のありました通り、去る十六日に出発しまして、昨十八日にわたる三日間、北海道における実地調査をいたしたわけでありますが、その概要をごく簡単に御報告を申し上げます。  十六日に出発をいたしまして、当日は札幌通商産業局長森誓夫君より北海道内における石炭鉱業概要等につき説明を聴取いたしました。  翌十七日午前九時十五分より午後一時二十分にわたりまして、札幌グランドホテル談話室におきまして、現地懇談会を開催いたしたわけであります。その際の出席委員は、田中商工委員長首藤委員永井委員中崎委員小平委員笹本委員鹿野委員松平委員、さらに谷崎専門員及び中沢調査主事であります。なお、その際の参考人は、北海道炭礦汽船株式会社札幌事務所長向田正勝君、北海道石炭鉱業協会長舟橋要君、北海道炭労委員長大矢正君、北海道坑木株式会社社長粟野武雄君、北海道電力株式会社社長代理経理部長太田淡君、北海道知事代理商工部長高岡文夫君、北海道議会議長代理商工常任委員長森川清君、夕張市長北島光盛君、以上であります。さらに当局からは、札幌通商産業局長森誓夫君通商産業省石炭局調整課長町田幹夫君が出席をされました。このほか渡邊議員が同席されたこともあわせて御報告を申し上げます。この懇談の際に発表されました各参考人意見並びに各委員との質疑応答につきましては、現地懇談会議事録ができておりますので、これはだいぶ大部にわたりますから一々ここに朗読することを省略いたしまして、このまま速記に載せていただきたいと思うのであります。なお各委員にもそれによって一つ御承知を願いたいと存じます。  昨十八日には、田中商工委員長小平委員及び谷崎専門員とが北海道炭礦汽船夕張鉱業所を視察いたしまして、会社当局から説明を聴取し、あるいは現場を視察し、さらにまた夕張市長及び労働組合委員長等からも意見を徴し、あるいは陳情を受けたのであります。  以上が北海道視察概要でございますが、さき申しました通り議事録がございますので、これをそのまま速記にお載せを願い、これによって各位におかれましても御承知を願いたいと思います。
  8. 田中角榮

    田中委員長 御苦労様でございました。次に山手滿男君。
  9. 山手滿男

    山手委員 私ども九州班は十六日朝出発をいたし、空路十六日午後二時福岡に到着をいたしました。出張いたしました委員民主党野田山手自由党神田委員社会党賀谷伊藤委員、それに現地淵上委員が参加をし、調査員藤沼君が同行をいたしました。十六日到着いたしました直後、福岡県庁において福岡県、佐賀県、長崎県の官界関係者招致いたしまして懇談会を開催いたしました。鍋島佐賀県知事以下多数の関係者出席をされまして、きわめて貴重な意見開陳がございました。  十七日には九時半から福岡町村会会議室を借りまして、公開公聴会を開催いたしました。参考人として列席をされました方は宇部興産株式会社社長岡田完二郎氏以下炭鉱経営者代表三名、炭鉱労働者代表として日本炭鉱労働組合九州地方本部長丸岡吉夫君外三名、学識経験者代表として九州大学学長山田穣君、石炭消費者代表八幡製鉄所長角野尚徳君、関連産業代表幸袋製作所長伊藤伝之祐君、地方議会代表長崎県議会議長金子岩三君等十一名の方々が御出席をされました。それぞれ現地の貴重な意見開陳がありましたが、問題の多くの点は本法案が施行されますと相当数失業者が出るが、その失業対策は十二分であるかどうか。できれば十二分にやってもらいたいという点が一点、あるいは標準炭価決定についてのいろいろの議論、そういうふうにこまかい貴重な意見が多数述べられたのでありますが、その詳細は後ほど議事録を作成いたしまして提出をいたしますから、その議事録によってごらんを願いたいと思います。  翌十八日には福岡通産局において九州地方販売業者招致をいたしまして、種々その参考意見を聞いたり、あるいは租鉱権者代表十数名が陳情に参りましたので、この租鉱権者代表諸君等陳情を聞いたりいたしました。それらにつきましても、追って議事録を作成し、報告書にかえたいと思う次第でございます。  簡単でございますが、九州班報告を申し上げます。
  10. 田中角榮

    田中委員長 小平山手両君説明、御報告を了承し、両班の会議録速記録にこれを登載するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、そのように決定をいたします。     —————————————
  12. 田中角榮

    田中委員長 この際お諮りいたします。石炭鉱業合理化臨時措置法案について、明二十日参考人から意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお参考人の選定につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 田中角榮

    田中委員長 次に百貨店法案下請関係調整法案の両案を一括議題となし、質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。加藤清二君。   〔委員長退席山手委員長代理着席
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 提案者がおいでになっておりますので提案者に承わりますが、私の聞くところによりますと、この法案が施行せられることによりまして消費者が困るのだ、消費者悪影響を及ぼすのだということが方々で流布されているようでございますが、本法案がもしそれ消費者利害を考えずに行われたとしたならば、これは反対せざるを得ないのでございます。幾ら法案が粗雑であるといえども、まさか消費者利害を考えずに立法されたなどとは考えられないのでございますが、一体この法案消費者利害を考えずに作られておりますものでございましょうか。あるいはまた法案の中には消費者利益をよく考えてこの立法措置がとられているのでしょうか。まずその点を承わります。
  17. 春日一幸

    春日一幸君 御指摘の点は提案者たちの最も苦心を払った点でございまして、特に本法の第一条には、この百貨店法目的といたしまして、百貨店営業活動が第一番に一般消費者利益を阻害することを防止する、ここにウエートを置いております。すなわちその活動一般消費者小売業者及び卸売業者、この三つの相関連性において、ごうも小売店利益を阻害するということのないように、この法律は各条章にわたって細心の注意を払っているわけでございます。具体的に申し上げますと、本法案第五条におきまして販売行為規制を行い、第六条において仕入れ行為規制を行なっておりますが、なかんずく第五条におきましていわば小売業者からこれも制限してもらいたい、あれも制限してもらいたいといういろいろの要望もございました。しかしながらたとえば商品券の発行だとかあるいはまた無料配達行為制限とか、こういうような規制をいたしますと、これは御指摘のように、消費生活者利益を阻害する面がはなはだ多い形になりますので、そういうような問題はことさらにこれを避けておりまして、すなわち規制制限列挙の中にこれを取り上げていないのでございます。特に先般も小笠委員から御質問のございました第五条第一項第一号の「中小企業に不当に影響を与えるがごとき月賦販売」この問題が消費生活者利益を阻害するの条項ではないか、しばしばこういう御指摘がございましたけれども、これは全面的に月賦販売を禁止するというのではないのでございまして、すなわち消費生活者消費基準というものは、まず物を買うときには大体現金で買う、すなわち入るをはかっていずるを制す、こういうことで、何でも月賦で物が買えるということが一般的な商業通念になりますと、これは小売業者がとても立っていけるものではないのでございます。従いまして第五条第一項に規制をいたしておりますこの月賦販売規制の問題にいたしましても、これは全面的に禁止するというのではなくて、特に中小企業に不当に悪影響を及ぼすような、すなわち百貨店の総売上高の多くのパーセンテージを占めるような月賦販売は、これを通産大臣の許可、認可事項にしていく、こういうことであるのでございまして、おおむね現在行われております程度月賦販売は——これは個々の問題がいろいろありましょうけれども、これをも全面的に禁止しようというのではないのでございまして、どの程度をこの法律制限対象にするかということは、通産大臣がその地域、それからその百貨店自体の売り上げ実績、消費状態等をにらみ合せて規制をするという形に相なるのでございまして、すなわちこの法律によりまして消費者利益が犠牲になるという事柄は一つもないのでございます。本法第一条では消費者利益を特にうたっておるのであります。これは一つの商業政策の基準をこの法律によってきめんとするのでございまして、すなわちわが国の経済構造の上におきまして、小売業者がになっておりますその地位を正当に理解して、それがやっていけるような状況、すなわち百貨店の、いわゆる大資本の暴威暴力による弱肉強食的な侵害をこれによって防ぎまして、そうして自由公正な競争の原則の上に立って、百貨店小売店も一緒に立っていけるという商業秩序をこの法律によって確立したい、こういうことであるのでございまして、御心配のような消費生活者利益が阻害されるということはごうまつもないのでございます。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうなりますと、本法案は、消費者の立場を無視されているという、流布されている言葉は、これはデマである、むしろこの法律が施行されてこそ、初めて消費者利益もまた擁護されるのだ、かように解釈してよろしゅうございますか。
  19. 春日一幸

    春日一幸君 御指摘通りでございますが、現在百貨店経営法律によってはほとんど何らの規制を受けておりません。従いまして百貨店相互間の競争もはなはだ激甚でございます。従いまして本法は、ひとり一般消費者利益や、小売店の立場、それから卸売業者の立場等を守るのみならず、百貨店自体の経営に対しましても、法律によって一つの基準を与えることになりまして、過当な競争ということから百貨店自体の経営をも守り得るのではないかと期待をいたしておるわけでございます。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 政府側はいらっしゃったのですか。
  21. 山手滿男

    山手委員長代理 中小企業庁振興部長が見えています。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは中小企業庁の振興部長にちょっとお尋ねしたいと思います。  今日小売業者が非常に難渋している。商社が倒産して、そのあおりを一番多く食いましたのはやはり機場と小売場でございますが、小売を何とか立ちいけるようにするということは、必ずしもこの百貨店法一つだけではないと存じます。これだけで十分とは考えませんが、企業庁としては、目下の状況にかんがみて、本法案は施行される方がよろしいとお考えでございますか、いや、もっと競争が激甚になって、倒れるものはどんどん倒れていった方がいいと、かようにお考えでありますか、いずれでございましょうか。
  23. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 お答え申し上げますが、ただいま中小企業庁としての意見を述べろという御質問なんでございますが、この問題は、実は非常にデリケートな問題でございます。また御指摘のように、小売業者あるいは一般商業者が非常に苦しい立場に置かれておるということは、必ずしも百貨店問題のみがその原因ではないわけでございます。もっと広く言えば、商業一般の問題として、あるいはもっと広げれば、工業と商業との関連あるいは産業構造全体の問題として、日本の国の全体を見渡して対策を講ずべき性格の、根の深い問題であろうと存ずるのであります。ただいま小売業だけに限っての御質問のようでございますが、御承知のように農村方面における人口の吸収力というものも、やはり限度に参っております。のみならず逆に二、三男対策というような問題も残っておりまして、むしろそれが逆に都会地へ流れ込んできて、小さい小売業を続々とふやしていくというような状況でございます。私どもの方でやっております開業と廃業の調べ、これは全部ではございませんで、むしろ零細なところは統計上とれないでおりますけれども、それを見ましても、なお廃業数よりも現在開業数の方が多少常に上回っておるというような状況でございます。これらからも問題の大きさなり、広さなりというものは推察するにかたくないのでございます。ただいまそういうものはどんどんつぶれていけばいいと考えるかという御質問でございますが、私ども決してそうは考えませんで、やはりそういうものに何らかある規制は加えざるを得ない、さればといって、特に戦後の日本の経済全体から見まして、小売業の開業を直接制限するというようなこともなかなか考え得られない、従いまして現在やっておりますのは、たとえば中小企業安定法によって、過当な競争によって共倒れというような現象を起すことをできるだけ防いでいくというような方法しか考えられないわけであります。現在の安定法では、御承知のように工業部門に限られておりまして、商業には適用がないというわけでありますので、場合によってはああいうような考え方も取り入れてみる必要もありはせぬかというようなことを研究はいたしておりますが、何せ問題は総人口の数分の一を占めております非常な広範囲にわたる問題でありまして、目下のところ小売業対策そのものというところでずばりときき目のある手というものは私どもにも残念ながら持ち合せがありません。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 お説ごもっともでございますが、小売業の与えられました運命と申しましょうか、今後といえどもいかなる規制をされても、小売業を減らしていくということはできないじゃないかと思うのです。なぜかならば、会社を首切られたとか、停年にして勤め口をやめたとか、あるいは不幸にして都会地に職を失った人の行く先は一体どこであるか。また農村であり余りました次男坊、三男坊の行く先は一体どこに求めたらいいか。こういうことになりますると、どうしてもさしあたって取りつきやすく簡単にできるのが小売業でございます。特に今日のように工場が過重投資、過重設備で首切りこそやれ、決して工員その他社員の募集はやらないで見合せておる、こういう状況下にありましては、農村の子弟の行方というものはおのずから限られてくるわけでございます。そこでやむなく小資本によって自分のなりわいの立てられる部門すなわち小売部門へとほとんどの余剰人口が流れていくというのはこれは理の当然であって、むしろ政治の貧困こそ嘆かなければならないじゃないか、これに対する手だてというものが十分になされていない。今日では小売がふえるのは何も小売屋さんが悪いわけでなくして、政治の貧困がそうさせていると考えなければならないと思うわけでございます。その小売業者の指導育成強化に当って日夜専念していらっしゃる中小企業庁としては、むしろこれに対して何らかの長期計画なるものが立てられてしかるべきだと考えておりまするが、そういうものがございますか、ございませんか、この点お尋ねいたします。
  25. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 中小企業そのものに対しての長期計画というようなものは実は現在は持ち合せておりません。私どもそういうものの必要性を非常に痛感いたしますけれども、同時に計画を立てるべき基礎になる資料そのものがまだ日本ではちょっと得がたい、得られないという状態にとどまっておるわけでございます。私ども実はきわめて事務的な仕事といたしましては、現在たとえば総理府の事業所統計でありますとか、工業統計、商業統計、通産省あるいは労働省で労働問題等についてとっておられます統計におきましても、実は今問題になっておりますような、いわゆる零細小売についての部分の調査というものが、はなはだ不完全でございます。従ってまず基礎的にはこれらの資料をとれるものだけそろえるということが事務的には第一段階にならざるを得ないのであります。私ども今事務的には各省と連絡をいたしまして、どういう統計にどういう改善あるいは追加をすれば、今申し上げたような類の小売業あるいは中小企業としての計画を立てる上の材料に役立つような統計に作りかえ得るか、かような研究を進めておるわけであります。これが非常に長期計画のまた長期計画でございますが、基礎的にはどうしてもわれわれそこからスタートいたしませんと、問題の本質に触れた計画というようなものはちょっと立ち得ないと思います。従いましてこれはとうてい早急の解決はむずかしい問題でございますが、一歩々々そういう問題を積み上げつつ問題の真相をつかんでいくという方向に今努力をいたしておるわけであります。たとえば経済審議庁の経済六カ年計画というものもございますけれども、これは略術語でマクロ的と申すそうでございますが、上からの概数計算からスタートした計画であります。下から積み上げたやり方でありませんし、かりにそれをやろうとしても、先ほど申しましたような事情から、現在のところは実行は不可能だという結論になっております。残念ながら御質問のような意味での計画は現在では持ち合せておりません。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは通産省ならだれしも考えておらなければならぬことでありますので承わりたいのでありますが、今年の上期のデパートの売り上げ及び小売店の売り上げの状況でありますが、私の調査によりますと、デフレのあおりを食って例年と比べて非常に不況であった。こう聞いておりますが、その点本省の方の御調査の結果はいかがでしょうか。
  27. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 お答えいたします。百貨店の売り上げにつきましては金額的には横ばいより若干上回っておるような傾向でございます。ただそれは設備の拡張とか何かありまして、売り場の面積当りにしますと大分下っておる、これは今デパートも都市と地方都市とで大分違っておる向きもありますので、統計的には下っております。詳しいことは秋山部長からお答えしたいと思います。
  28. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 今詳しい数字を持ってきておりませんので……。
  29. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の調査も政府の方の調査もやはり相似たようなもののようでありますが、いずれにいたしましても、そう景気がよろしいとは言われない。景気が悪ければこそ宣伝競争をしてもなお例年と比較いたしましてことしは売り上げがそれほど伸びていない、こういう状況のようでございまするが、こういうやさきにどういうものの間違いでございましょうか、この東京都内をながめましても、大阪をながめましても、名古屋をながめましてもそうでございまするが、鉄筋コンクリートの建物がどんどんできている。次から次へとできている。一体どういう建物ができるだろうとこう調べてみますると、これが銀行であったりあるいはデパートであったりする、こういうことでございます。せめて住宅が建っているかと思うて調べてみると、これはそうじゃないのだ。住宅でなくてデパートが次から次へと競争して店舗の拡張をやっていらっしゃるようであります。うわさに聞きますと、これがそれのみにとどまらず、さるビルを買収してこれをデパートにするとやら、あるいはどこやらの駅の前へ、もう一つ大阪の資本が東京へ乗り込んできて、そうして大きなものを作ろうとしているというような話でございまするが、私はこれをこのまま放置しておくということはやがて、今日紡績が二重設備、過重設備のおかげで操短し、機場が二十九条の発動をみずから余儀なく望んでしなければならない状況に追い込まれておると同じ状況が、二年先、三年先にくると存じます。すでに私はこのことについて三年前に、毛紡の過重設備について警告を発しておきましたが、それがどういうもののはずみか、ついに増錘設備でとどまるところを知らなくて、今日この結果はやがてコストを引き上げるという結果に相なっております。これが消費者に対して大きな不利を与えておるのでございます。今日消費部門にもし建設が必要であるとするならば、国民ひとしく考えるところは住宅なんです。だから、各党がこの住宅を拡張するということについてはスローガンをあげたはずなんです。ところが住宅は遅々として進まずに、デパートや銀行だけがどしどしふえている、こういう状況でございまするが、これに対して政府は一体どのようなお考えをお持ちでございましょうか、幸い企業局長がこられたようでございまするので、企業局長にお尋ねをする次第でございます。
  30. 徳永久次

    ○徳永政府委員 百貨店の売り場面積等の拡張が、ほかの生産工場等の拡張に比べてどうかというお尋ねでございますが、これは私どもの気持を申し上げれば、日本の経済が今のようにまだ十分に経済自立もできていない時期でございまするので、同じ建設が行われますならば、お話のように合理的な生産施設とかあるいは住宅とか、そういうものがより望ましいということは思うわけでございますが、ただ同時に、東京のような大都市につきましては、御承知のように、年々人口も、四、五十万ずつふえておるというような背景があるわけでございます。そういう背景のもとに、また日本の消費生活水準というものも逐次上昇しておりまする背景といいますか、そういうことから、デパートの売り場面積の拡張ということも起ったことであろうと思うわけでございます。先ほどもお尋ねがあってお答えもあったわけでございますが、現実の、最近におきまする百貨店状況というものを考えてみますと、本日お手元にお配り申し上げておりまする資料によりましても、大観してみますれば、いわば二十八年度の下期を頂点といたしまして、百貨店営業というものの売上高あるいは収益状況というものも、横ばいないし低下傾向に入りつつあるというふうに見ていいのじゃなかろうかと考えておるわけであります。先ほどお話がございましたように、まだ東京に若干の関西方面のデパートの進出というもくろみもあるようでございますけれども、これが大きく発展し得るかどうかということにつきましては、最近の傾向から見ますれば相当の疑問はあるのではなかろうかというふうに考えております。
  31. 春日一幸

    春日一幸君 ただいま企業局長の御答弁によりますと、もう百貨店の膨張度合いは横ばい状態にあるように思うというような御答弁でございましたが、これは提案者といたしまして実情に沿わない御答弁ではないかと思いますので、この機会に提案者から、われわれの調査したところを申し述べて、一つ御判断に供したいと思うのであります。昭和三十年度六月十八日の通産省商務課の調査によりますと、現在百貨店の新増設工事及び増設計画をいたしておりますものの調査が出ておりますが、それによりますと、新築計画のありますものが東京において十合、丸物、さいか屋というこの三店があります。それから拡張工事中のものが秋田の木内外十三店、それから拡張計画中のものが岐阜の丸物外六店、それから拡張の意向を有し、それぞれその作業を開始しておりますものが札幌の丸井今井外九店、こういうような大きな拡張計画が着々と進められておるのでございまして、これはデパート協会に所属しておるものばかりでございます。ところがこのほかに四十九店、デパート協会に所属していない多数のものもそれぞれ拡張計画中であるのでございまして、百貨店の新増設の計画は今おそろしい勢いで御指摘のごとくに進められておるわけでございます。なお、ただいまの御質問の中で、われわれの調査によりますと、百貨店小売店との売り上げに対する対比比率でありますが、これは昭和二十三年における個人消費支出を一〇〇とし、百貨店売上高を一〇〇といたしました場合、これが戦後六、七カ年のうちにどんな発展膨張をしておるかということがこの資料によって明確に示されておりますが、それによりますと、二十四年には、一〇〇であったものが一八〇%、八割の増、それから二十五年には二七〇、これが二十六年になりますと三四〇、二十七年は四九一、二十八年は六一一、二十九年は六九一と、すなわち二十三年に比べましてこの七カ年間において実に七倍の大膨張をいたしておるわけでございます。消費者消費支出はおおむねこれと変っておりません。従いましてこの度合いに似通った部分が、大体小売店の犠牲において百貨店が膨大な利益をあげ、大膨張を起しておるという形に相なって参りますので、さらにこういうような大拡張が続々と行われて参りますと、このギャップはさらに大きく口を開いて参るのでございます。従いまして、ただいま御答弁申し上げましたように、提案者たちはこれはこの際商業対策といたしましてこういうような基準を作って、正当に小売店の立場を理解して、これによって法律の保護を加えていく、そうして小売業者と卸業者と百貨店消費者、この四つの関係をここで明確にその基準を示していこうというものでございます。すなわちただいまの政府の御答弁はもう大した膨張はあるまいということでございましたが、現実にはこういうようなおそろしい勢いで、すなわち各地の枢要な場所において大増設計画が進められておる、こういうことを一つ御承知を願っておきます。
  32. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいまの企業局長の御答弁の中に、百貨店の売り上げの状況は目下のところは横ばいないし下降の傾向をたどっているというお話がございました。私の調査もやや似たものが出ているわけでございますが、そういうやさきに、ただいまの答弁を承わりますと、店舗の拡張の問題だけはどんどん行われている、こういうようでございますが、これは経済上の一つの大きな矛盾ではないかと存じます。もしそれかりに企業が合理的に行われてその結果がよろしい。平たい言葉で言えば、景気がよろしいという状況下であっても、なおこの設備の増設ということは当然のことながら政府としては遠き将来をおもんぱかって、そのつどこれに警告を与えなければならないことだと存じます。苦い経験を繊維の工場設備の場合に、あるいは機械工場の設備の場合に、あるいは自動車工業の設備の場合にすでに体験をしていらっしゃるのが今日の政府のはずでございます。さればこそ過重投資、二重投資という言葉で過去の施策の批判が行われ、その結果の跡始末に苦慮されているはずでございます。その跡始末の一つの声が操短であり、二十九条の発動でございます。そこでこのまま放置せんか、やがてこのデパートにも二十九条の発動をしなければならない結果が生じないとはだれしも保証できないでございましょう。もし今提案者の言われた通り、これほど拡張競争が激甚に行われているとするならば、しかもその尽くるところを知らざるとするならば、必ずやこのデパートみずからがみずからの声として規制をしようじゃないかというところに追い込まれるのは当然のことでございます。日を出ずしてこうなると存じます。そこで当然のことながら今にしてこの規制を行うことが、ころばぬ先のつえということで政府としても結局よき時宜を得、よき施策を得たということに相なるではないかと存じます。このゆえにこそ民主党もまたこのことはスローガンにうたっていらっしゃることでございまするし、またこの間の大会の折にも、民主党の眞鍋先生は陣頭切って時宜を得たこの法案の無事通過を祈念しておられたはずであります。そこで私はこのことを行うことは、やがてデパートそのものを保護する結果になる。今、行うことは、やがてはデパートの保護法にも相なるのではないか。それから消費者にとりましても、デパートが消費部門であり、固定資産にどんどん資本を投入していくということは、やがてはサービスが忘れられる結果になる。すなわち今ここである程度規制をすることは、やがて消費者利益にも還元されることである、かように考えますので、この点を意見を加えてお伺いしたわけでございます。  以上でもって私の質問は終ります。
  33. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 会期もだいぶ切迫して参っておりますし、ただいま審議をされておりますところの百貨店法案並びに下請関係調整法案は、本日をもって質疑の打ち切りをせられたいという動議を提出いたします。よろしくお取り計らいを願います。
  34. 山手滿男

    山手委員長代理 伊藤君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議なしと認めます。これをもって百貨店法案下請関係調整法案の両案に対する質疑は終了をいたしました。  本日の会議はこの程度にとどめます。次会は明二十日午前十時より開会することといたします。本日午後一時より労働委員会との連合審査会を開きますから御出席をお願いいたします。    午後零時六分散会      ————◇—————