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1955-07-15 第22回国会 衆議院 商工委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    小笠 公韶君       菅野和太郎君    笹本 一雄君       江崎 真澄君    鹿野 彦吉君       神田  博君    小平 久雄君       南  好雄君    加藤 清二君       片島  港君    櫻井 奎夫君       田中 武夫君    帆足  計君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       佐々木良作君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (纎維局長)  永山 時雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  齋藤 正年君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月十五日  委員江崎真澄君辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十四日  臨時石炭鉱業安定法案多賀谷真稔君外十三名  提出衆法第四九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維製品品質表示法案内閣提出第一三七号)     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  繊維製品品質表示法案を議題といたします。ただいま加藤清二君より民自両社各派共同提案にかかる本案に対する修正案提出せられました。この際提案者よりの説明を求めます。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいま上程せられておりまする繊維製品品質表示法案につきまして、私は各派共同提案になりますところの、繊維製品品質表示法案に対する修正案を上程したいと存じます。  まず最初にその修正案案文を朗読いたします。  繊維製品品質表示法案の一部を次のように修正する。  第五条第二項第一号中「罰金以上の」を削る。  第十二条中「一年以下の懲役又は十万円」を「二十万円」に改める。  第十四条中「罰金刑」を「刑」に改める。以上でございます。  この修正案を上程するに当りましては、各党各派とも慎重審議を重ねました結果、ここに完全な意見の一致を見た次第でございまするが、これにつきまして私はこの際政府に要望すると同時に、その理由の一端をここに申し述べて修正案上程の弁にしたいと存じます。  まず第一番に、私どもがこの法律を審議するに当りまして、特に考えなければならなかったことは、すでに品質表示使用者の便益のために行われている事実もありますが、それでは不十分であるとしてこの法律が作られたのでございます。製品品質表示は、すなわちこれを作るメーカー純粋度表示でもあるのでございまして、この法がなくてもすでに表示が行われているものが多いのでございますが、この法律がいかに規制いたしましても、なお表示を行うことのでき得ない品物もまたあることを知らなければなりません。ところがこのでき得ないものに対して刑罰を行うということは、あまりにも苛酷に過ぎるのではないか。刑罰不正者に対する制裁であると同時に、犯罪予防の手段として立法者が持つ最後にして最悪の道具であるのでありまして、かしこい立法者の数多くとらざる道でございます。いわんやこの法律は、教育法であり指導法であるゆえに、初歩においては当然のこととして指導がよく行きわたるまでは厳罰で臨むべきではないと考えるのでございます。この意味におきまして、メーカーないしは販売する者が表示を行おうとしても行い得ないもの、すなわち材料が雑繊維で識別や品質表示が困難なゆえに、表示しようという意思はあってもこれができ得ないものがあるのでございます。たとえば太番手製品毛布であるとかオーバー生地であるとか婦人子供服地メリヤス等がそれでございます。また繊維を混合させることによって品質を向上させることができる品物がございます。これを表示することは純毛、純綿にノスタルジテを抱く国民にいたずらな混乱を生ぜしめるのみであります。たとえて申しますと、純毛毛布と申しましても、縦糸はほとんど綿糸でできておるのが定石でございます。コール生地は絹を一〇%加えることによって、その品質を向上させているのでございます。ウーステッドのしま糸しかり。夏のポーラ生地のごときは、三割以上これが加えられておるので、ございます。婦人子服地飾り糸またしかりでございます。  また第三点に、既成服にした場合に、表示が非常に困難になるものもございます。それは御承知の通り婦人子服地既成服のごときは、今日の流行を追わなければなりませんが、その流行は必ずしも一色の生地で服を作るということではございません。数多くのきれを取り合わしてデザイナーが作るというのが、今日の最も先端を行くものでございまして、これを表示せんか、一着の服に十色くらいの表示をしなければならない。こういう結果が生じて参ります。また学童服その他裏毛服、それから婦人子服地、その婦人子服地をとりまぜて作った服等々でございます。こういう次第でございまするので、私は最後にここに申し上げておきたいことがございます。  繊維歴史は非常に古いのでございまして、言語的転化となり、これが常識化されている面があるのでございます。ときにこれが固有名詞とも相なっておるのでございます。綿で作っても毛布というのでございまして、綿布とは言いません。また綿繊維をかき立てることを起毛と称しまして、この起毛されたものがメリヤスの裏にほとんど使われておる状態でございます、裏毛シャツというのは決して毛ではございません。これは常識でございます。ナイロンで作ってもウーリーと申しますごとく、毛と毛を混合することを混綿という場合もございます。毛にスフを加えることを混スフといわずに、混綿という場合もございます。  以上のごとく、繊維業界言語転化を生ずるほど歴史は古く、呼称の示す文字の意味品質が異なるほど多岐多彩にわたっておりまして、文化の発達意味するものであり、すでに無形文化財となっているものもあるようでございます。しかも化繊の発達は、繊維の素材のみならず、その製品を一層複雑化して参りました。このゆえに一つの単純な法律によってこれを規制し、ないしは単純表示化をしようとすれば、無理が生ずることは当然でございますが、この無理が業界混乱に陥れ、やがて国民に誤った表示を押しつける結果になることをおそれるものでございます。  要は適時適当な方法を行うことによって、国民が適当な品物、好む品物をより安くよりよく買える、こういう制度の一里塚として、この法律が適用されることを切に切望いたしまして、私の修正案趣旨弁明にかえる次第でございます。
  4. 田中角榮

    田中委員長 これより加藤清二提出修正案及び政府原案を一括して討論に付したいと思いますが、別に討論の通告がありませんので、討論は省略いたします。  これより採決に入ります。まず修正案について採決をいたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決せられました。  次にただいま決定いたしました修正部分を除いた政府原案について採決いたします。これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって本案修正案通り修正議決すべきものと決しました。  次に江崎真澄君より本案に対し附帯決議案提出されております。その趣旨説明を求めます。江崎真澄君。
  7. 江崎真澄

    江崎委員 ただいま繊維製品品質表示法案採決がなされたのでありますが、これに各派共同によりまして附帯決議をつけたいと存じます。その案文を朗読いたします。    附帯決議 一、政府は、本法に規定せられている強制検査強制表示等を行わんとするときは、中小企業者立場考慮し、無用の負担と摩擦を生ぜしめないよう、すなわち検査に念を入れて権力乱用に陥らざるよう細心の留意を払い、審議会に於ける意見を十分尊重すること。 二、繊維製品品質表示審議会の構成については、関係各業界消費者その他広く学識経験者等を含めるものとすること。 以上であります。  すでに本案慎重審議に際しまして、大臣及び繊維局長等々から詳細なる御答弁もあったのでございますが、繊維製品表示は、すでに業界でも自主的表示を実施すべく準備をいたしておる段階でございます。この監督というものが、本庁自体の手によっては事実上困難でありますために、地方自治体、また地方の通産局等にこれをゆだねられるのでございますが、あくまで戦時中の、また戦後の忌まわしい統制のにおいのするような、いうところの権力乱用、すなわち行き過ぎや無理のないように、特にこの際政府におかれては十分の御留意を賜わりたいのでございます。のみならず表示強制に当りましては、不正なる表示が多くて、消費者側に対して不測の損害を与えたことが明白である、こういうときに実施をせられるといったような勘案考慮も十分お払いを願いたいのであります。また証紙の貼付につきましても、技術的な面の解決がつきません限り、実際上の運営に入られることはなかなか困難と思うのでございます。こういう点につきましても十分一つそれぞれの立場を御考慮の中に入れまして、御留意を賜わっておきたいのであります。  この際附帯決議を付するに当りまして、若干意見を申し述べた次第であります。
  8. 田中角榮

    田中委員長 附帯決議案に対する討論の申し出がありませんから、附帯決議案についてただちに採決をいたします。本案江崎真澄提出附帯決議案通り附帯決議を付することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって本案江崎真澄提出附帯決議案通り附帯決議を付することに決しました。
  10. 田中角榮

    田中委員長 お諮りいたします。本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたします。  この際石橋通商産業大臣より発言を求められております。これを許します。石橋国務大臣
  12. 石橋湛山

    石橋国務大臣 本案に対する修正意味及び附帯決議の御趣旨は、かねがね政府においても同様に考えておったのでありますから、十分尊重いたします。
  13. 田中角榮

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 田中角榮

    田中委員長 速記を始めて下さい。  本委員会は、皆様の非常な御協力によりまして成績も上りましたし、各党理事の申し合せによって本日の会議をこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時五分散会      ————◇—————