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1955-07-12 第22回国会 衆議院 商工委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十二日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長代理理事 長谷川四郎君    理事 首藤 新八君 理事 山手 滿男君    理事 内田 常雄君 理事 前田 正男君    理事 中崎  敏君       秋田 大助君    小笠 公韶君       菅野和太郎君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    中村庸一郎君       野田 武夫君    森山 欽司君       神田  博君    小平 久雄君       堀川 恭平君    加藤 清二君       片島  港君    櫻井 奎夫君       田中 武夫君    帆足  計君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       菊地養之輔君    松平 忠久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (繊維局長)  永山 時雄君         中小企業庁長官 記内 角一君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局検査課         長)      宮川 清隆君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月十二日  委員賀谷真稔君及び永井勝次郎辞任につき、  その補欠として佐々木更三君及び片島港君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  多賀谷真稔君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 七月十一日  砂利採取法案首藤新八君外六名提出衆法第  四三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)  繊維製品品質表示法案内閣提出第一三七号)  砂利採取法案首藤新八君外六名提出衆法第  四三号)  輸出品取締法の一部を改正する法律案山手滿  男君外七名提出衆法第四四号)     —————————————
  2. 山手滿男

    山手委員長代理 これより会議を開きます。  昨十一日本委員会に付託せられました砂利採取法案議題となし、審議に入ります。まず提出者よりその趣旨の説明を求めます。首藤新八君。
  3. 首藤新八

    首藤委員 ただいま議題となりました砂利採取法案について御説申し上げます。  砂利重要性、すなわち砂利道路や鉄道、港湾などの公共施設を初め、水力、地下資源などの開発、あるいは耐火建築工事など、種々の土木建築工事に絶対不可欠の要素であることは、あらためて申し上げるまでもありません。  わが国における砂利生産量は、現在、年間七千万トン、金額にして約四百億円に上るのでありますが、これらの需要は、セメントの増産と相待って、年とともに増加の一途をただる趨勢にあるのであります。しかるに、すでに、今月においてさえも、特に土木建築工事の集中する都会地方のごときは、その供給円滑を欠き、ために工事の進捗が阻害せられることも少くはないというのが実情であります。従って、この重要な基礎物資の供給を確保し、各種建設事業の遂行を円滑ならしめるため、砂利採取業の健全な発達をはかることは、経済官立の上からも、また民生安定の見地からも、当面緊急の要務であると申さなければなりません。他面これら砂利採取のため、いやしくも河川を破損して洪水氾濫原因を作ったり、道路その他の公共施設に危害を及ぼしたり、あるいは農業その他の産業の利益をそこなうがごときことのないよう、厳重な監督を加えなければならないこともまた論議の余地のないところであります。しかるに砂利採取については、従来斯業を対象としてこれを規制しまたは保護する法規を欠き、河川等事業場とする事業者河川法等に基く都道府県令により単に河川等管理観点からのみ取り扱われており、その他地域に至っては、全然放任せられている状態でありまして、公害防止措置等をも未然に講じ得なかったのであります。  本法案提出は、砂利に関するこれらの要請にこたえんがためでありまして、その内容を申し上げますならば、第一の点は、採取管理者を常置して現場における作業を監督させることであります。すなわち砂利採取するため他に累を及ぼすがごときことのないよう、不断の監督とこれに基く適切な処置を講ぜしめようとするものであります。  第二の点は、河川等行政庁許可を要する土地以外の一般地域における砂利採取について、通商産業局長公益保護のため必要な措置を命ずることができるようにしたことであります。従来はこれらの土地における砂利め採取については、前に申し述べた通り、何ら法令上の規制がなく、公害未然を防止すべき適切な方途がとられていなかったからであります。  第三の点は、河川等における採取許可する際には、砂利採取業の経営の立場を考慮してなすべき旨の規定を設けたことであります。それと申しますのも、従来河川等における砂利採取は、もっぱら河川法等に基く都道府県令によるのでありますが、往々許可期間があまりにも短かかったり、あるいはその区域が不明確であったりまた同一区域に重複して許可せられる等、砂利採取業は著しく不安定な立場に置かれていたのであります。  第四の点は、一般土地における採取に対して砂利採取のための採石権を認めたことであります。けだしこれらの土地における採取については、鉱業法採石法のごとき事業法のよるべきものがなく、単に土地所有者その権利者との契約によるのほかないため、その立場はすこぶる薄弱不安定であり、しばしば紛争を生じ、従って有望な事業場であっても、みすみすこれを放棄しなければならなかったり、あるいはまた採取料の不当な値上げを強要せられて、結局採取契約の更新が不可能となるなどの事例が少くないからであります。  以上本法案提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上御賛同下さるよう御願い申し上げます。
  4. 山手滿男

    山手委員長代理 質疑に入ります。長谷川四郎君。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 本法案各派共同の提案によるものでありまして、この際質疑及び討論を省略いたしまして直ちに採決されんことを望みます。またさらに本日各知事会の名をもっていろいろな反対の理由等が述べられておりますが、本法案はこれら一切を修正いたしまして新たに再提出したものでありまして、あらかじめその点等について皆様の御了解を得ておかなければならないと思うのでございます。そういう点に十分留意をいたしまして再提出いたしたものでありますから、申し上げました通り直ちに採決されんことを望みます。
  6. 山手滿男

    山手委員長代理 長谷川君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議なしと認めます。よって質疑及び討論を省略いたします。  砂利採取法案について採決をいたします。本案原案通り可決するに御異議、ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議ないものと認めます。よって本案原案通り可決すべきものと決しました。
  9. 山手滿男

    山手委員長代理 次に輸出品取締法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。
  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 輸出品取締法の一部を改正する法律案に対しましては、もうすでに質疑も済んでおりますので、この際討論を省略いたしまして採決されんことを望みます。
  11. 山手滿男

    山手委員長代理 長谷川君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議なしと認めます。よって討論は省略せられました。  輸出品取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案原案通り可決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議なしと認めます。よって本案原案通り可決するに決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  14. 山手滿男

    山手委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。
  15. 山手滿男

    山手委員長代理 次に輸出入取引法の一部を改正する法律案及び繊維製品品質表示法案一括議題となし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はただいま上程されております繊維製品品質表示法について二、三質問をいたしたいと存じます。  この法案趣旨とするところはきわめてけっこうなことでございまして、これほど繊維材料が多くなりました折に、国民皆さん消費者皆さんにその品質を明らかにして、用途であるとか処理の仕方等々を国民に対しはっきり明示させるということは、やがて品質から生ずる価格の問題についても正しい価格国民に示すという結果に相なりますので、この精神とすると  ころは私は大賛成でございますが、しかしこの法律に限らずいかなる法律もさようでございますが、目的はよろしゅうございましても、その方法いかんによりましてはかえって思わざる結果を招くことに相なるのでございます。特にこの繊維品質表示繊維検査等々のことは、すでに戦前からも行われていたことでございますが、これが業界に大きな打撃を与えまして繊維製品の向上に阻害を来たしたことを私記憶しているのでございます。   〔山手委員長代理退席首藤委員長代理着席〕  そこで国民の方々に便益を与えると同時に、われわれとしましては業界もまたこれを喜んで受け入れ、しかもその結果が国民に好影響を与えると同時に、日進月歩の繊維製品をより一そう進歩させる原因と相ならねばならないと存じます。もしそれそれが逆行するようなことがあった場合には、事前にこれを取り除くだけの用意なり準備なりは当然のことながらしておくということが、業界指導育成強化をはからなければならない政府の任務であると存ずるのでございます。  そこでこういう観点に立ちまして二、三お尋ねしたいと存じますが、まず第一点、終戦後品質表示されていなかった場合に、業者の間に一体いかなる不正が行われたか。そのおかげで消費者がどのように困難と不利益をこうむったかという点を、かいつまんででけっこうでありますから、ありましたら簡単に一つお願いいたします。
  17. 永山時雄

    永山政府委員 ただいまの加藤先生の御質問まことにごもっともでございまして、私の方も今お話のような気持と方針でこの法案準備をいたして参ったつもりでございます。従いまして最初政府側原案については、いろいろな消費者意見もむろん聞いておりますが、同時に業界各方面の意見もいろいろ聞きまして、でき得る限りその要望の妥当なものはこれを取り入れるという方針で、推敲推敲を重ねて現在の結論まで達したのでございます。お話の、表示が行われないためにどういう不都合があるかという問題でごさいますが、これは事の性質からいきまして、全般的な調査ということはなかなか困難でございます。ただ先般綿糸につきまして一極の合理化カルテルかできたのでございますが、これも結局従来の実情ではだんだんと混紡糸というものは特に粗悪な品物が多くなってきておるということのために、関係業者も迷惑をする向きも多うございますし、むろんこれを使う消費者の方も非常に迷惑を受けるという、そうした弊害がだんだん顕著になって参りまして、業界でもこのまま放置しておくしとが適当でないということになりましたので、先般の合理化カルテルといりようなものが自発的にできたのでございます。そういうような一事をもっていたしましても、現在の繊維の発展の傾向からいたしますと、この際表示制度を何らかの形において確立をしておくことが、すでにその時期に到達をして参っておる、かような判断で今回の法案提出をすることにいたしたのであります。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいまの御丁寧な御答弁が、ちょっとうしろの騒がしさのために聞き取りにくかったのでございますが、そうすると不正があった、こうおっしゃるのでございますか。もしあったとすれば、その要点をこういう点をこういう点と、こういうふうに言っていただけないでしょうか。まことにおそれ入りますが。
  19. 永山時雄

    永山政府委員 ただいまも答弁申し上げたのですが、事の性質一般的な調査という問題は非常にむずかしいので、そういう調査はできておりませんが、最近綿糸につきまして、合理化カルテルを自発的に業界でやろうということになったのも、要するにそうした弊害がかなり顕著に出てたということで、業界自体業界のためにもこれをやることが必要だというような認識から、そうした問題を取り上げることになった、こういう一事をとらえてみましても、そういうような時期に到達してきているのではないか。それから、これは散発的なことでございますが、たとえば毛織物だとか綿製品とかにスフが相当入っているにかかわらず、オールウールものと称して売られているような事例も相当耳にいたすのでございます。またさらにそのほかの事情といたしましては、合成繊維その他の新しい繊維が出て参りまして、これは加藤さんよく御承知のように、繊維によってはアイロンの当て方をかげんしなければならぬというようないろいろな問題がございますので、従ってそういうような意味におきましても、品質表示というものを的確に行うような慣習なり制度をできるだけ早く確立をしていくという必要を最近において特に感じて参ったというような実情でございます。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 大体わかりましたが、そうすると、業界の不正と申しましょうか、それは綿の方にもあれば、スフにおいて、これをオールウールというようなことで、毛の方にもある。それから消費者の困難と申しましょうか、不利という点は、新しい化学繊維がたくさんふえたので、その用途その他処理の仕方についてわからないで困る、こういう点であると承わってよろしゅうございますか。——それでは承わりまするが、今度の用意されておりまする品質表示法繊維範囲でございまするが、それは何と何と何に適用されるのでございますか、簡単でけっこうでございます。
  21. 永山時雄

    永山政府委員 今度の法律といたしましては、別表できめてございますが、綿、毛、それからその他の化学繊維につきまして、糸、織物メリヤス生地、あるいはそれらの製品にも一応の範囲は及ぶことにいたしております。但しこの法律そのもの漸進主義でいく、一歩々々漸進をしていくということで、あまり範囲を初めから広げて適用していくつもりがございませんので、さしずめ私ども考えといたしましては、綿、毛、スフ、この三種類のものにつきまして、生活必需的な色彩の強いもの、それからあるいはそれらの原料である糸、布地というようなものからだんだんと範囲を及ぼしていきたいという考えであります。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 よくわかりました。そうすると、材料として綿と毛とスフ、それからこれの第二次加工となりましょうが、メリヤス、これは製品なんかにもやられるお考えでありますね。——そうすると、綿と毛とスフメリヤスという話でありますが、品質表示をやらせる場所でございますが、これは糸のところでおやりになられますか、つまり紡績でやられまするか、機場でやられますか、それとも第二次加工のところでやられましょうか、どこでございますか。
  23. 永山時雄

    永山政府委員 これは建前は、原則として大体任意表示制で参りまして、強制表示制度というものはすぐには適用していかないつもりでございます。それで実際にこの表示をするというものは、これは大体今申し上げたような任意表示制ですから、別に必ず表示をしなければならぬ、表示をしろというようなことにはいたしておりませんが、大体表示の実際というものを想像してみますると、製造業者メーカーが、糸なら糸については糸のメーカー織物については織物メーカーあるいは製品については製品メーカーというメーカーの団体で大体表示をしていくということに実際問題としてはなろうか、かように考えております。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのメーカーでございますが、場所紡績ですか、機場ですか。糸の場合は紡績で、織物の場合は機場で、メリヤスの場合は第二次加工ということになりますか。
  25. 永山時雄

    永山政府委員 そういうことに実際問題としてはなろうかと思います。この法律の上では表示義務者はだれかということをきめておりませんから、販売業者がたとえば自分表示をしてもかまいませんが、実際には今お話のような糸については紡績織物については機場というような関係になってこようと思います。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこでお尋ねいたしますが、具体的に言ってこういう結果になりますか。紡績でできました糸がかり純毛である。ところが機場へ持って参りまして、縦糸には純毛を使うけれども横糸にスフ五割の糸を使った、こういう場合がありますね。この場合はそのパーセンテージをここで編み出して機場でつけていく、こういう勘定になりますか。それはほんとうにできますか、そこが問題なのです。
  27. 永山時雄

    永山政府委員 実際のやり方は、これは任意表示制でいくのですが、組合というものを主体にして、自発的な、自主的な申し合せで、お互い自分たちのものは表示をしていこうじゃないか、あるいは検査を受けていこうじゃないかということの申し合せをできるだけ励行さして、そして組合検査なり何なりを受けて表示をしていくという建前でやっていきたいと思っております。従って今のお話のような縦糸に毛糸を使い、横にスフを使うという場合には、むろん機場自体にどういうパーセンテージかということもわかるはずだと思いますし、それから組合検査というものを自発的に受けていくということで、その検査を通じましても的確に品物がわかってくるということになろうと思います。
  28. 加藤清二

    加藤(清)委員 最初任意表示でいくのだが、何か事が間違ったとかどうかとかいうことがあった場合には強制検査をやる、法律によるとこういうことに相なっております。やがて強制検査をさせるのだ、私はこれを走り読みしているので何でありますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  29. 永山時雄

    永山政府委員 建前はあくまでも任意表示任意検査ということを原則にいたしております。それでこれは申し上げるまでもなく、現在の状況からいたしますると、いきなり国が用意もなく強制表示制度をしいてみても、実際にはなかなか的確に行われにくい実情でございますから、従って業界の自発的な努力に期待をいたしまして、それには今申し上げたような毛なら毛の組合あるいは綿なら綿の組合お互いに申し合せをして自分たちのものは表示をしていこう、あるいは組合検査も自発的に受けていこうという形で、自発表示あるいは自発検査というものを励行していく。ただし何といいましてもアウトサイダーというものもございますし、あるいは組合員にしても多数いる場合には例外的には申し合せを破るとか、申し合せに服従をしないとかいうものも出てくるおそれもありますから、従って七、八割方そういう態勢になったにかかわらず、あとのごく少数のものが一般の秩序を乱し、そのために正直に表示をしているものがばかを見るというような事態になって参りまする場合には、強制表示制度というものをやむを得ず適用していくということにいたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  30. 加藤清二

    加藤(清)委員 それで最初任意表示でいく、ところがそれでうまくいかなかった場合は強制検査でいく、こういうお話ですね。そこでお尋ねいたしますが、いずれにしても綿に毛にスフ、これだけの検査を行なう、しかもそれが糸だけでなくて、織物にも、第二次加工にもやるということになりますと、この数量はえらい膨大なものになるはずでございますが、毛の方だけでも六十万俵、綿その次に化繊、糸の綿と織物の綿と第二次加工と、こう数えて参りますと、べらぼうの数字になりまして、これに強制検査をするということになりますと、一体どのくらい員数を御用意なさると果して完全にできるでしょうか。この点計画は立っておるのでしょうか、おりませんか。
  31. 永山時雄

    永山政府委員 これは今申し上げましたように、私ども建前はできるだけ自発的な表示でいきたい。どうしても必要やむを得ざる場合のみ例外的に強制表示を発動するということになりますので、従ってどの程度強制表示というものをいつ発動することになるかという問題は、現在のところではちょっと予測ができないのでありますが、ただ一般検査機構というものは、国の検査ばかりでなく、民間の検査機構というものを考えてみますと、かなり普及いたしておるのであります。また現在の検査状況というものを見ますと、なるほど製品の方、二次製品の方はあまり自主的の検査というものはまだ十分行われておりませんが、綿とスフ関係に至りましては、糸あるいは織物段階ではかなり内需品についても自発的検査というものは行われておるのであります。従ってこれらをさらに育成していくということになりますれば、それほど新しいロードというか、負担というものはなしにやっていけるのではないか。二次製品につきましては、現在のところは輸出品検査が大体でありまして、内地品についてはまだ十分な検査が行われておりませんが、これから今回の表示制度というものが一つのきっかけになりまして、できるだけ自主的な検査、自主的な表示をやっていこうという機運はかなり広まっておりますので、従ってこれを育成することによってそれほどわれわれの心配したような負担なしにやっていけるのではなかろうか、今の輸出品検査機関というものを考えてみますと、全国的に約四百六十ほどあるのであります。かなり広範の検査をやっております。これを土台にして自主的に検査を進めていくということにいたしますれば、それほど新しい負担なしにやっていけるのではないかというふうに考えております。
  32. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないようでありますから、私も要点をかいつまんで簡単にお尋ねいたしますから、簡単にお答えいただけばけっこうであります。  ただいまの検査機関があることは私もよく承知しておりますが、先ほどあなたのおっしゃいましたように、消費者に新しい繊維材料が加わってきておるから、その洗たくとか、アイロン処理の仕方、あるいは品質数量に今までは不正表示があるので、それを正確にということになりますと、それは私の今の考えでは、当らずといえども遠からずというところまではいけるだろうと思いますが、純粋にというところはとうていできないのではないか。それは業界が不正をやろうとしているのではなくして、日本政府業界に与える材料からして、それができない結果が生じてくるのではないか。この折に、一体その表示の仕方を、どの程度ならば任意表示でいくか、どの程度いけなければ強制検査に持っていくかというところが、問題になる点だと思います。なぜかならば、一例を申し上げてみましょうか。あなたがメリヤスとおっしゃいましたから、メリヤスに例をとりましょう。メリヤス裏毛というシャツがございますね。ところこ裏毛というシャツは、裏は毛でございません。これは全部綿ででございます。これは全部綿で作っておいて、これを裏毛というておるのです。固有名詞になっているので、何も綿を毛というつもりで言うておるわけではないのです。しかし、裏毛材料はとながめてみますと、これが悲しいことに、大体十番からせいぜい十六番ぐらいものなんです。十番や十六番の糸は一体どういう糸が材料になっているか、糸の材料は何かと申しますと、これは新しいものにしても、多くのカード下やコーマ落ち以下のもっと雑繊維が入っている。なお古いものになりますと、ボロを集めてきた反毛糸なんです。さてボロを集めた反毛糸を品質表示をするということが、果してどの程度可能かという問題でございますが、これをいかなる検査官がどのような検査をしましょうとも、正確に表示しようとすれば、なるほど試験管の中へ入れて一々振るっておれば、それはわかるでございましょう。ところがそんなことをやっておったら、生産に検査が追っつきません。冬になってもなお冬のシャツが店頭に並ばない、こういう結果が生じて参ります。いわんや、輸出シッビングしたものを船積みするのに時間が間に合わなくなっちゃう、こういう結果が生じてくる。そうなると、業界はまあまあということで、抜き取り検査を簡単にやって、それで済んじゃうということになりますが、この点は一体メリヤスについてお尋ねしますが、どのようにお考えでございましょうか。
  33. 永山時雄

    永山政府委員 現実にはお話のように、なかなかこまかい区別の困難なものが多いのでございます。従ってこの表示制度の現在までのいき方は漸進主義で、まずできるところからやっていこうということで、単に糸の組成ばかりでなく、品質の問題だとか、染色だとか、いろいろな問題があるわけですが、そういうような問題も困難な問題は一応避けて、だんだんそういうものが確立をしていきましたら、この表示制度の中へ取り入れていこうということで、一歩々々前進の建前でいっております。従って先ほど申し上げたような綿であるか、毛であるか、あるいはスフであるかというような区別だけを、さしづめのところは基準にして、その表示をさしていくといういき方で参りたい、かように考えております。
  34. 加藤清二

    加藤(清)委員 ほんとうに国民の皆様にアイロンから洗たくのことまで適する表示をしようというならば、これは徹底的にやらなければならないと思います。そうでなければかえってうその表示をする結果に相なると存じます。この点で私もう一つどうしてもお尋ねしたい点は、輸出の場合にはそれほどでもございませんが、内地消費に回されます紡毛製品、たとえば毛布であるとかオーバー生地のごとき、これは全部新毛糸で作られるなんということはまず皆無というてよろしいのではないか。新毛糸で紡毛製品が全部作られたというようなものは、これはほとんど輸出に回される。ところで内地のものの材料考えてみますると、これがほとんどショディやラグでございます。これに新毛糸はナイロンだとか化繊の長繊維を加えてありますけれども、その周囲は全部反毛糸でございます。この反毛糸のショディやラグが、ほとんどアメリカからきた中古衣料であるとか、日本全国から集めたボロであるとかいうことでございますが、このショディやラグの中に、すでにナイロンがあったり、ビニロンがあったり、あるいはアセテートあり、純毛あり、あるいはまたここに同じ純毛でも新毛糸あり、古い毛があり、こういう勘定なんです。それを寄せ集めてガーネット・マシンにかけて、それから出た綿を引いた。こういう糸で織られたものがオーバー生地であり、毛布生地である。こういうことでございますが、これは一体いかに正直に表示しようと業者考えてみましても、これは一体どり表示するとよろしゅうございましょうか、この点をお教え願いたい。
  35. 永山時雄

    永山政府委員 先ほど申し上げましたように、同じ糸の中でも、たとえば純綿、純毛と申しましても、糸の品質それぞれ千差万別であることはお話通りでありますが、今回の表示制度では、そこまでの区別を一度に法律の対象にするということば非常に困難でございますので、だんだんと表示制度の完璧を期して参りたいと思います。一歩々々前進をするという建前から、今のお話のようないろいろなものがまざっておるというような場合にも、結側その純毛であるか、あるいは混綿であるかという区別だけをするということをもって、さしずめの対象にいたしております。なおお話のような、特に紡毛のような、純毛であっても、たとえば糸の古い新しいということによって、非常に強さ、弱さ、あるいは品質のよさというものが変るようなものにつきましては、これは特に強制表示というような問題につきましては、その対象として取り上げることが適当でなかろう、かように考えております。
  36. 加藤清二

    加藤(清)委員 従ってそれは取り上げられない、こういうことでございますか、メリヤス裏毛シャツは取り上げない、対象としない、それから同じ毛織物とおっしゃいましても、紡毛製品は対象として取り上げない、こういうことでございますか。
  37. 永山時雄

    永山政府委員 ただいま申し上げましたように、純あるいは混というような区別は、任意表示制のものとにおいてはしてもよろしいし、しなくてもよろしいという制度でございますから、これは任意表示の場合にはむろん対象になるわけでございます。強制表示の問題としては事柄がなかなか技術的に困難なことでございますから、従ってそれらのものをさしずめ対象にするということは、私どもは現在はその考えは持ち合せておりません。
  38. 加藤清二

    加藤(清)委員 これを国民の要望をされておるようにはっきりせよ、こういうことになりますならば、日本繊維の構造というものをすっかり変えて、もっと毛もたくさん買い込め、それから新綿もどんどん買い込め、こういうことをやっていただかないとできないわけなんです。鉄みたいに新しい鋼とスクラップを入れたら、これで質がよくなるというものならばよろしゅうございますけれども、これは古いものを入れれば入れるほど、見ばえはよくできても、強力が少いとか、あるいはすぐに毛足がちぎれてしまうという結果が生じてくるわけでございますので、そうするとただいまの状態では、新しい糸で作ったもののみ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  39. 永山時雄

    永山政府委員 今さような断定的なことは申し上げかねるのでございますが、この法律にございますように、どういう品物について適用していくか、任意表示制度にいたしましても、あるいは強制表示制度にいたしましても、どういう品物について適用していくかというような点は、繊維表示制度審議会というものにそれぞれその道の専門家を委員に委嘱いたしまして、そこで十分議論を重ねていただくつもりでおりますので、それによって妥当な結果を得て参りたい、かように考えております。
  40. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは審議会にかけられることはけっこうなことでございますが、新しい糸のみということになりました場合に、新しい糸を正確に表示しようということになりますと、これまた私は問題が多いと思います。なぜかならば、ほんとうに消費者に親切にということになれば、同じ綿でございましても、エジプト綿と米綿と印綿とでは、綿は綿でもまるきり違います。それから毛でも、豪州のメリノの七七Bとアルゼンチンの羊毛とではますきり違いますし、それに内地羊毛ともなりますと、これはがりがりでございまして問題にならない。値段もすっかり違う。ところがこれを十ぱ一からげで、純綿、純毛ということになると存じますが、そうなりますと、お酒はお酒だけれども、特級酒もどぶろくも一緒だということと同じことになりますが、この点はいかがなものでございましょう。
  41. 永山時雄

    永山政府委員 先ほど申しましたように表示というものも、今のように繊維の種類なりあるいは進んでは産地なり、その他そうした糸の問題ばかりでなく、染色あるいは加工の問題にしても防水防縮、いろいろな問題がございますので、そういう点をくまなく表示をするということは、むろん一番望ましいのでございますが、ただ一度になかなかそこまでいくことが困難でございます。従ってまず純綿であるかあるいは純毛であるかというような、ごく第一歩のところからさしざめ表示制度を適用して参りまして、漸次希望すべきラインのところまで到達して参りたい、かように考えております。
  42. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると結局名前を表示するくらいのことで、ほんとうの品質表示するというところまではいかない、こういう程度でございますか。そう解釈するよりほかに手はないのですね。それではお尋ねしますが、この法律が行われることによって、紡毛製品のように反毛糸を使うのはオミットだ、毛と綿とスフだ、これは主として新しい糸で作った方面に向けられる、こういうことになりますと、どっちかというと良質の物だけということにもなりかねまいと存じますが、そうなりました場合に、この表示をすることによって純綿、純毛の国内の消費率はふえるとお考えでございますか、減るとお考えでございますか。
  43. 永山時雄

    永山政府委員 この表示制度は現状あるがままに表示をさせるということでございまして、これによって直接純毛製品がふえるとか、あるいは混紡製品がふえるという直接のつながりはなかろう、かように考えます。
  44. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは直接のつながりはないけれども、計画を立てる者の身になってみれば、当然その前にこういうことをすればどのような結果が生ずるかということは考えておかねばならぬ。そんなことよりも、繊維局長はすでにちゃんと見通しを立てておるはずでございますけれども、言いにくければけっこうです。  それでは私が言いますが、新しい糸、よい糸で作ったものだけにこれを適用いたしますと、必ず純綿、純毛の消費率はふえる。これは業界の人もひとしく言っているところでございます。なぜかならば、日本国民は今なお、化繊がよくなったといえども、ナイロンを別にすればほとんどその他のもの、特にスフあたりをはっきりさせれば、スフに対する印象というものはさほど直っておりません。戦時中のべたべたの糸、戦前のあの水につけたらすぐやわらかくなる糸、こういう第一印象が強いので、今もなお純毛、純綿という言葉にあこがれを抱いている。金があればあるように、なければないようにあこがれを抱いている。それがはっきりと表示されて参るということは、やがて無理算段をしてもなお純毛が買いたいということになって、財布の中のあり高で物を買う階級は別といたしまして、そうでなくて、柄を好み、流行を好み、マークを好み、また銀座の種族のように値段がことに高ければいいんだ、こういう階級が今日なおたくさんある。こういうようなところでは、おそらく繊維業界では純綿、純毛の消費率がふえる。そうなりますと、せっかく化学繊維五ヵ年計画でこれを御奨励なさっても、足にはく靴下のナイロンだけは羽がはえたように売れますが、その他のものは一向に売れないという結果が生じて参ります。ところが業界としては材料を与えられるからやむなく作らなければならないということになって、ここにストック品のできるおそれが十分あります。従って政府方針にもどる結果が生じてくる。つまり繊維製品五ヶ年計画でこれを奨励しようとすると、業界ではせっかく材料がないから与えられたスフその他で作った糸、織物がなかなか売れ行き困難という結果が生ずると存じますが、これが杞憂であればけっこうですが、やってごらんなさい、必ず出ます。これはもう間違いのないことです。そこでこれに対する施策というものをぜひ研究しておいていただきたい。すでに御研究済みのことと存じますけれども、これだけはぜひやっていただきたいと存じますが、そういう研究はいかがでございますか。
  45. 永山時雄

    永山政府委員 スフにつきましては、戦時中と現状におきましては、品質におきまして非常に改善をいたしているのでございまして、今日においてはスフが代用繊維であるということで必ずしも謙遜をする必要のないほどに進歩をしていると考えております。従って今回の表示制度につきましても、むしろ化繊関係のところがきわめて積極的でございまして、進んでスフスフという表示をしてもらいたいという希望がかなり強く出てきているのでございます。むろんお話のような面あるいは毛に対する郷愁というものも一面にはあることは事実でございます。従ってスフ品質の改善をしてきております現状におきましては、この表示制度と並行をして、一般国民に宣伝といいますか、啓蒙といいますか、そういうような措置を従来以上に並行してとるということが当然必要だろうと思います。従ってその措置は並行してとって参りたい、かように考えております。  なおお話のような純毛に対する郷愁といいますか、そういう関係純毛として売っている中には、純毛に対する郷愁を利用いたしまして混紡品を純毛という名で売っているものも多いのでございます。従ってそういうような点も相当高価な品でございますから、純毛純毛として品質を保証するというような制度が必要ではなかろうか、かように考えております。
  46. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの法律が行われた後に起きる副作用と申しましょうか、この原因から当然生じ得るところの結果を予想して、施行し得る範囲内においてこれに手当を加えておかなければならない、またそれをすることがわれわれの任務である、こう考えますゆえに、あともう二、三点だけお尋ねしたいと存じます。その一点はまず消費者に便益を与えるためにはっきりと表示するということでございますが、これはけっこうでございます。ところでこの表示をかりに行なったといたしまして、先ほどの繊維局長さんのお話の洗たくやアイロンの場合に便利を与える、こういうことでございますが、そういう頭を持つほどの人ばおそらく自分で洗たくをやらない。洗たく機をもろて女中さんにやらせたりあるいはクリーニング屋に出しちゃったりする結果になりますが、オール・ビニロンだとかオール・アセテートというものならば、これはその通りできるでございましょう。しかし今日オール・ビニロン、オール・アセテート——オール・ナイロンだけはありますけれども、その他のものでオールというものはほとんどないようで、交織されているようでございます。このものも洗たくなりあるいはアイロンなりを的確にやらせるには、クリーニング屋の設備も一改造しなければならないことになる。それからまた買うときは覚えていでもこれが途中から忘れられてしまって、女中さんや実際に洗たくやアイロンをかける人たちはそんなことはおかまいなしにやっちゃう、こういうことになりかねないと存じますが、品質表示がどういう形式で末端にまで、事実処理をする人にまで行き届くようになさろうとしていらっしゃるのか。これはいかがでしょうか。
  47. 永山時雄

    永山政府委員 表示制度を変更して、むろんナイロンはナイロン、ビニロンはピニロンの取扱いというものは並行して啓蒙あるいは宣伝措置というものが必要でございますが、現在は御承知のように、各メーカーそれぞれ自己の販路を広げる、確保するという意味において、その意味で宣伝なり啓蒙はやっているのでございます。従ってこの表示制度というものを並行することによって、ビニロンがどれだけ入っている、あるいは純毛でなくてスフが入っているというようなことで、取扱いの問題もおのずから消費者としては考えてくるということになると期待いたしているのでございます。
  48. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではもう一つ、消費者が一番望むところは品質がはっきりされるということと、もう一つはごまかされないということでございますが、こまかされないということの内訳を調べてみますと、不当な値段で買わされない、こういうことだと存じます。不当の値残で買わされていることが品質表示だけで完成できるかと申しますと、さようではございません。ここにほんとうに政府消費者のために安くてよりよい繊維製品を提供なさろうとお考えになるならば、そのお考えをぜひ実行に移してもらいたい問題がございます。それはほかでもございませんが、綿は今安くなりました。コストを割る程度になりました。しかし片や毛だけは依然として高値を呼んでおります。これは私の考え方からいけば、当然にポンド当りまだ二割程度は安くしても決して紡績はコスト割れにはならないと考えます。特に今年度のこの間六月三十日でもって戸を閉めました豪州相場、これで買いつけました日本の糸、これから考えますと七十七Bでもってもなお最高亘二十六ペンスでございますが、最低は百十六ペンスなのです。もっと悪い糸になりますと、百ペンス台を割っている。メリノの百七十一B、それから雑種の四百三十三B等々になりますと、百ペンス台を割っちゃっている。ところがこれがイギリスの工場に行きますというと、紡績から出ますときはポンド以下でございます。つまり千円以下でございます。ところが日本紡績から出ましてこれが上場されますというと、きのうきょうの相場でもなお千百円から千二百円の相場を上回っているようでございます。一体どうしてそんなに違いが生ずるのか。これなるがゆえに、綿の方で欠損したというても毛の方で並行してやっている会社はみなそちらで穴埋めができている。穴埋めどころか、もうかって、かえって四割の配当をやっている。こういう景気が終戦後ずっと続いているようでございますが、ほんとうに消費者に安くてよいものを与えるというならば、当然のことながらこの値段を下げさせる操作をしなければならないと存じます。これを下げることはやがて日本消費者のみならず外国からでも歓迎を受けることなんです。なぜならば、日本の輸出は毛製品がダンピングだダンピングだと言われている、イミテーションだ、イミテーションだと言われている。ところがダンピングということは内地相場と輸出相場を比較しての話でございまして、これを内堀相場を安く引き下げることによってダンピングという悪名も解消できるはずなのです。これを事前に行われるということが最も日本国民に恩恵を与える第一の仕事ではないかと存じます。これがやがて機場も喜ぶことになる。原料高の製品安で困っている機場も救うことになり、最終仕上げ部門を救うことにも相なるわけであります。やがて買い入れたものが高くして、そうしていよいよこれを売る場合には、安く下げさせられて困っている商社を、問屋を、小売りを救うことに相なりますが、一体いかがなものでございましょう。
  49. 永山時雄

    永山政府委員 表示制度は別段特に価格の問題とは直接のつながりはないと存じます。従って表示制度によって価格を調整するということは考えておりませんが、お話のような現在問題の価格はその繊維製品のそのときどきによって高いときもありますし、安いときもございます。少しく以前は毛織物も相当値段が低いということで困った時代もあったのであります。毛製品価格の問題につきましては、これは一面において繊維の需給政策から見ました自給度の向上という問題がからんでいるのでございまして、従って毛の方の価格の問題は自給の向上の線というものとにらみ合せながら、これに対する処置を講じていきたい。結局ビニロンなりナイロンなりあるいはその他毛の分野にかわるものがだんだんと出て参りますならば、毛の方の価格の問題に対する解決にもなろうという考えもあるのでございます。結局問題は一つにしては足らないので、原毛の輸入の問題もございますし、それから化繊の、特に合成繊維の対策の問題もございますし、あるいはお話のような輸出の問題もからんでおるというようなことで、従って一面的な対策だけでは毛の価格対策というものは困難でございまして、それらに対する総合対策と申しますか、総合施策を、いずれ繊維に対する総合対策審議会というようなところで取り上げて問題の検討をして参りたい、かように考えます。
  50. 加藤清二

    加藤(清)委員 その総合対策でぜひ一つ承わりたいことは、ナイロンが羽がはえて飛びますし、その上これが品薄のおかげでプレミア付で行われておるようでございますが、これの増産計画と申しましようか、これを一つ資料をもって御発表願いたいと存じます。これはきょうでなくてもよろしゅうございます。  それから次に、きょうはもう一点だけで御無礼したいと思いますが、このことが行われますことによって大紡の方は助かりますが、新紡、新々紡は非常な苦境に追い込まれると存じます。それはすでに御承知の通り新紡、新々紡は、いろいろな面、金融から税制から、すべての点で窮境に追いやられてしまって、倒産していく新紡、新々紡が多いし、系列の中へ入らなければ食っていけない紡績が出てきておりますが、これに繊維製品品質表示の追い打ちをかけられますと、さなきだに困っているこの業界を一そう困らせるという結果になると存じます。これに対する施策をぜひ行なっていただきたいのですが、その一例を御参考に供しますと、こういうことです。大紡の方は外貨の割当の面からいきまして、新紡、新々紡よりも非常に有利に与えられております。新紡、新々紡は不利なるがゆえに非常に条件が悪くて数量も少く、ワクがかけられております関係上、ここにやむなくカード下、コーマ落ちの材料を買って糸を引かなければなりません。毛の方でいけばくず糸を買って糸を引かなければなりません。やがて材料が足りないので、ここヘスフないしはその他の化学繊維を入れて食い延ばしをしてておるというのが実情でございます。N紡のように半年間も一年間もの材料をかかえてぬくぬくとやっているという会社が片方にあるかと思へば、食い延ばし食い延ばしでまぜものをしてやっていかなければならないという会社がここにある。ところがいい材料を買うときには外貨がストレートにもらえますが、悪い材料を買うときには、これは優先外貨だの何だのということで、中にいろいろな思惑や何かがあって、すでに材料を買う外貨が少い上に、これは非常に高価につくという窮境に置かされているのでございます。これらのものがはっきりと品質表示されることによって、日本人の、先ほど申しましたノスタルジアとプラス・アルファがつきまして、一そうこの品物が売れ行き不振ということに相なる。機場の方では新しいいい糸だけが買いたいのだけれども、この糸も買わないと新しいいい糸をくれないから、抱き合せでやむなくこれを買う、これを織らなければならない。この製品はやがてものが悪くなる。ところが大紡の自家用機だけは純粋ないい糸だけで仕事ができる、こういうことになるわけでございます。これはやがて新紡、新々紡を一そう窮地に追いやる、こういう結果が生じて参るわけでございますが、これは一体どのような処置をおとりになるでございましょうか。この点、新紡、新々紡も人の子でございます。決して大紡績だけが、日本の子供ではございません。ぜひ一つここへも救いの手をまずもって伸べていただきたい、こう思うのでございます。
  51. 永山時雄

    永山政府委員 表示制度によりまして、特に中小紡、新紡、新々紡が不利な状態になるというようなことは私どもはない、かように考えております。現在でも御承知のように、たとえば綿紡につきましては、合理化カルテルということで、新紡、新々紡いずれも表示をやっておることでございます。法律表示制度というものがない場合におきましては、何といっても一般消費者は、名の広まっている大紡のものをとかく買うということになりがちでございますが、表示制度施行後におきましては、中小紡のものも、これは純綿である、これは純毛であるということの表示によりまして、相当程度信用度が高まってくるというような面もございます。従って表示制度によって特に中小紡が不利なことになるというようなことは私はない、かように思っております。  ただ割当制度の問題につきましては、見方によりまして、たとえばこれは御承知のことだと思いますが、内需の原綿の割当というものを考えてみますと、むしろ中小紡には多少特典的な措置を講じておるのでございます。座ぶとんと申しまして、基礎控除的なものを中小紡に講じておるということで、結果的にはこれは中小紡に相当の利益になるというようなこともございまして、必ずしも一概に現在の割当の方式が中小紡にのみ不利だということは断定しがたいと思います。ただ一面において輸出振興の立場から、輸出リンク制をとっておるという結果、中小関係のものが比軍的その恩典に浴することが少いという面は事実ございます。従って輸出振興の面ともにらみ合せしながら、この辺の調整を今後漸次して参りたい、かように考えております。
  52. 首藤新八

    首藤委員長代理 ただいま山手滿男君より輸出入取引法の一部を改正する法律案に対する修正案が提案されました。この際提出者より趣旨弁明を求めます。山手滿男君。
  53. 山手滿男

    山手委員 先般来審議をされております輸出入取引法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提案をしたいと思います。  修正案の案文をまず朗読いたします。   輸出入取引法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第五条の二第一項中「前条第一項の規定による届出をして協定を締結するとともに、」を削り、「当該仕向地に輸出すべき当該貨物の国内取引」を「特定の仕向地に輸出すべき特定の種類の貨物の国内取引」に改め、同条第二項中「次の」を「前条第二項」に改め、第一号及び第二号を削り、同条に次の二項を加える。  3 通商産業大臣は、第一項の認可の申請があったときは、当該申請を受理した日から起算して二十日以内に当該申請に係る協定について認可又は不認可の処分をしなければならない。  4 前項の期間内に同項の処分がなされなかったときは、当該期間が満了した日の翌日において、当該申請に係る協定について第一項の認可があったものとみなす。第五条の三第一項中「であって政令で定めるもの」を削り、同条第二項を次のように改める。  2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の協定に準用する。第六条第二項及び第三項中「同条」を「第五条」に改める。第十一条第四項中「同項の規定による届出をして組合員の遵守すべき事項を定めるとともに、」を削り、「当該仕向地に輸出すべき当該貨物の国内取引」を「特定の仕向地に輸出すべき特定の種類の貨物の国内取引」に改める。   第十九条の四の改正に関する部分中「に改め、」を「に改め、同条第二項中「所属員(輸入組合を直接又は間接に構成する者をいう。以下同じ。)」を「組合員」に改め、」にめ改る。   第二十八条第一項中「次の各号の一に該当する場合に限り、」及び第一号から第四号までを削る。   第三十四条第一項及び第二項中「の同意を得なければならない。」を「に協議しなければならない。」に改める。  以上のような修正案を提出いたしたいと思います。輸出入取引法審議も大詰めでございまして、明日は採決をされるようでありまするから、本修正案にぜひ御賛成を願い、政府原案を修正していただきたいと思う次第であります。
  54. 首藤新八

    首藤委員長代理 伊藤卯四郎君。
  55. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ただいま山手君から法案審議の最中に修正案を御提出になりましたが、これはどうも少し早まったように私は思っておるのであります。本法案はきわめて重要な法案でありますので、社会虎両派からも当然修正案が提出されることになります。従って私どもも二応の政府案の審議を経て、しかる後に修正案を提出する、これが順序であります。そういう経過をとろうと思っておりましたところが、山手君の方からいち早く係正案をお出しになりましたが、私どもの方からも一応政府案の審議を終ったところで出そうと思っております。従って明日でも私どもの方から提案しようと思います。あわせて修正案と政府案とともに審議されるようにして、本日はこの程度でこの法案に対する審議を留保しておいていただきたい。こう思います。
  56. 首藤新八

    首藤委員長代理 了承いたしました。それでは明円社会党から修正案の提出をお願いします。  本日の会議はこの程度にとどめます。次会は明十三日午前十時より開会することとし、これをもって散会いたします。    午後零時三分散会      ————◇—————