○伊藤(卯)委員 実は私が特にただいまの附帯決議に賛成を申し上げることは、
政府は
法律を通すまでは、非常に謙虚な気持であるけれ
ども、一たび
法律が通ってしまうと、役所はこれを自分のもののようにして、とかく民意を聞かず、官僚的にやろうとするくせがある。そういう点から、私はこの
法律の経過から見ましても、一応はっきり
政府側に注文をつけ、また
大臣の意見等も伺っておかなければならぬと思うのでございます。
御存じのように、この
法律案は
政府が出そうとし、大蔵省の反対にあって挫折し、それでわれわれ超党派的に、この
法案を
議員立法として提案をして、絶対成立をするという
見通しがついたところが、
政府はこれは面目がないというようなことで、また国会の力絶対なりという、バックの上に立って、われわれから取り上げてこの
法案を今日に至らしめたのであります。もちろんわれわれは、
政府でよりよくしてお出しになることはけっこうであるし、賛成である。そういう点から、きわめてこの
法案は能率的に本日上るようになってきたのである。ついては、ただいまの附帯決議は、通産
大臣はもちろん非常に尊重して実施の任に当られると思うのでありますが、私は二つの点を注文をして、附帯決議に賛成をするものでございます。
この
会社は、
御存じのように
政府が二分の一以上の株を持つ国策特殊
会社である。従って
計画事業達成には、これに必要なる資金の裏づけについては、
政府は至上命令として、これに絶対責任を持たなければならぬということが
一つであります。さらに
政府は、債務については他の特殊
会社——航空
会社は外債ではあるが、電源
開発等についての特典の処置を講じておるにもかかわらず、今回この提案にはこれを織り込んでおらぬのであります。これははなはだ遺憾でございます。前回からの質疑応答によって、この
会社が借り入れを必要とするのは、油田が発見されたとき、その
開発に必要なる機械等の購入代金であるから、その際は
政府のあっせんにより借り入れば容易であると思うので削除したということを言っておるのである。しかしながら油田の
開発は、一本の井戸を発見したから直ちに
開発ができるものではなくその構造、規模等の探求に当って時日を必要とし、本格的な
開発は二年ないし三年後であるといわなければならぬことは、との事業の性質から見て明らかでございます。しかもその間相当の資金を必要とするが、これに
探鉱費を割り振りするとすれば、
探鉱作業が圧縮されるととにならざるを得ないのでございます。しかも埋蔵量の確定しない期間中の油田は担保価値が認めがたいのでございます。従って社債の発行、銀行よりの融資等は、普通の
方法によっては困難であることは、もちろんこれは
御存じの
通りである。この間の処置について、
政府はいかに
考えておられるか。
政府の債務保証等の、特殊
会社同様の規定をしておくべきであると思うのであるが、これらの点が明らかになっておりませんから、この
法案を成立さすに当って、この際
政府側、通産
大臣のこれに対するお
考えを明確にしておいていただかなければならぬ、こう思うのであります。
さらに、
会社が今後
探鉱を実施しようとする地域、すなわち五ヵ年
計画に織り込まれている
探鉱実施候補地域の約七割、これは帝石が保有している鉱区でありまして、また
探鉱実施に必要とする人員、機械、技術等についても、その大部分は帝石が保有していることは申すまでもありません。従って今回の処置によって新
会社発足に当っては、以上の点で帝石の十分な協力を得なければ、とうていこの新
会社の任務というか、使命を遂行することので自ないことは申し上げるまでもありません。また新
会社の設立と同時に、帝石よりその人員がある
程度漸次移行することは当然でございましょう。新
会社が新しく油田を発見した場合、油田
開発に要する人員、機械の移行も、これは当然起ってくることは申すまでもございません。新
会社と帝石は、将来かくのごとき立場に立って、お互いに緊密な連絡と協力の態勢を持続していくことが、この新
会社の
目的を達成させる上についてきわめて重大であることは申し上げるまでもありません。現在帝石は五千人からの従業員をかかえております。新
会社の設立に当り、また将来油田の発見により、その中の何割かの従業員が新
会社に移ることも、これまた当然の成り行きであろうとも思うのでございます。帝石においてはそのまま残る従業員もあるわけであるから、おそらくは帝石の従業員諸君は、将来の職場確保の観点から、その身の振り方というか、そういう点において相当に心配し、
御存じのように悩んでいることは、
政府側、通産
大臣は十分
御存じの
通りでございます。従って従業員の不安を解消するために、
一つ、新
会社に対しても、帝石に対しても、相互が企業として成り立ち得るような方途について、この際
政府としては十分考慮をして、この必要なる処置をとらなければならぬことは申すまでもないと思うのでございます。二は、帝石の従業員の労働不安を解消し、帝石並びに新
会社の企業に安んじて協力をするためには、新
会社が成立したら、帝石との間に労働関係の諸問題について覚書を交換させて、それによって労働安定の態勢を確立さすということが、きわめて重大であることは申し上げるまでもありません。昨日、
石橋通産
大臣も、この帝石と新
会社の間においてこの労働諸問題を解決していくためには、これによるところの覚書を交換させて、これらの不安を解消することについては賛成であったようであります。またそれについては、十分そのようね
考え方に立ってやらなければならぬであろうという
意味をお述べになったようでございますが、この点については先ほどの附帯決議案にも明らかになっておる点でございます。それでこの帝石並びに新
会社に労使協力態勢を確立して、新
会社の
計画事業の完遂に対して遺憾なきを期する大事ねところであると思いますから、あわせてこの労働不安解消の問題について、
大臣の所信を明らかに伺っておかなければならぬと思うのでございます。以上の諸点を述べまして、私ただいまの附帯決議に賛成でございます。