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1955-07-09 第22回国会 衆議院 商工委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月九日(土曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君    理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    秋田 大助君       小笠 公韶君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    椎名悦三郎君       鈴木周次郎君    中村庸一郎君       野田 武夫君    淵上房太郎君       加藤 精三君    鹿野 彦吉君       神田  博君    小平 久雄君       堀川 恭平君    南  好雄君       村上  勇君    櫻井 奎夫君       田中 武夫君    多賀谷真稔君       帆足  計君    八木  昇君       伊藤卯四郎君    菊地養之輔君       田中 利勝君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         議     員 片島  港君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月八日  中央卸売市場卸売人私的独占の禁止及び公正  取引の確保に関する法律適用除外に関する請  願(橋本龍伍君紹介)(第三六四七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油資源開発株式会社法案内閣提出第一四二  号)  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第一四三号)     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、石油資源開発株式会社法案並びに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案一括議題となし質疑を進めます。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はこの前も申し上げました通りに、との石油資源開発株式会社は万全ではありませんが、日本の現状から見て一刻もすみやかにこの法案が成立することを心から希望いたしておるのであります。しかしこの法案を通すに当りまして政府当局に伺っておきたいことは、との法案が通過いたしますと、三億円の助成金がこの会社にいくわけです。そうしますと、との会社目的は第一条で「石油資源開発株式会社は、石油資源開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社とする。」こう規定いたしておりますると、従来助成金によって開発対象となっておりました可燃性天然ガスというととがオミットされるおそれがあるのであります。この法案を読んでみますると、第七条に「石油採取及びこれに伴う可燃性天然ガス」こう書いてありますが、石油地帯におけるところの可燃性天然ガスは、これは石油採取におけるいわゆるガス天然ガスの比率というようなものもあり、かつ天然ガスというものは、これは思い切って採取ができないというのが今日の石油採取状態であります。ところが日本全般からいたしますと、可燃性天然ガス石油というものは別個の対象物として取り扱わなければならない。それは川上局長はよく御存じだろうと思うのですが、全然石油に関係のない天然ガスというものがたくさんある。また石油地帯においても、掘さくして参りますと、石油はないけれども可燃性天然ガス溶融状態においてたくさん出てくるところがある。ところがこの石油天然ガス日本の実情から比較して、どっちが一体ウエートが大奪いかというと、むしろ今日の調査範囲においては、天然ガスの方が石油よりも量が多い。そういうような場合に、この第一条におけるととろの、「石油資源開発株式会社は、石油資源開発」云々ということで、石油資源にだけ限定されますと、従来開発対象となっておった可燃性天然ガス開発がオミットされるように考えられるのですか、この点に関しましては、過日川上局長答弁では、なるべくそういうことのないようにしたいというような希望的意見はあったのでございますがこれに対して的確なる御意思の発表はなかったと思うのであります。そこで私は川上局長にお伺いいたしたいのは、この第一条の目的を、石油資源開発株式会社は、総合開発五ヵ年計画に基き、石油並びに可燃性天然ガス資源開発を急速かつ計画的に行うとを目的とする株式会社とする、こう訂正せられた方が新会社の性格及びその目的国家的要請にぴったりくるように考えられるのでありますが、これに対して御意見ありませんか、一つお伺いいたしたいと思います。
  4. 川上為治

    川上政府委員 ガスの問題につきましては、今齋藤先生からお話がありましたように、私どもとしましてもきわめて重大の問題と考えております。従いましてガス開発につきましても、十分やらなくちゃならないと考えておりますが、との法案におきましては、あくまでも石油開発というのを一義的に考えておりまして、また従来からも石油の五カ年計画ということでやって参っておりますので、私どもとしましては、やはりこの法律石油というのに最重点を置いてやるべきではないかというふうに考えますので、第一条を先生のおっしゃいますように改めるのはいかがかと考えておりまして、やはり石油ということに重点を置いていくべきじゃないかと考えておりまり。ただ先生のおっしゃいますようなガス開発についてこの会社が全然できないかどうか、あるいはこの会社がほかのガス開発について援助することができないかどうかという問題につきましては、第七条によりまして、七条の第四号「前各号に掲げるもののほか、会社目的を達成するために必要な事業」というところでガス開発自身もできますし、またガス開発に対する援助もできるというふうに考えておりまして、この点は法制局とも十分打ち合せしましてそういう解釈にいたしております。それから第七条の一号の「石油探鉱」というところにおきましても、これはやはり石油探鉱する道程におきまして、ガス探鉱もできるというふうに解釈しておりますので、この第一号、第四号の両方で十分その点は行けるというふうに考えておりますが、あくまでもこの会社は、ガスも大いにやるということではなくて、やはり石油資源開発ということが第一義的なものだというふうにわれわれは考えております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 だいぶ私と考えが違うのですが、あと法案の実施を行なって不便であればまた訂正をするという機会もあると思いますが、あえてやらないというのならば、私はあえて修正を固執するものではありませんけれども、それなら第七条第一号に、石油並びに可燃性天然ガス探鉱と入れるか、あるいはこの第二号を「石油採取及びとれに伴う可燃性天然ガス採取」と言わないで、第二号には、石油及び可燃性天然ガスと入れればいい。あなた方は可燃性天然ガスというものは石油に伴って出てくる以外に天然ガスはないという感覚でやっているから、こういうことになっている。天然ガスというものはそうではない。天然ガスというものは石油と全然別な場合がたくさんあるのだ。これを現場に立ってしょっちゅう探鉱や何かやらぬと、その体験もないから、こういうようなあやまちに陥ってくる。もっと大きな観点からいくと、可燃性天然ガスというのは何も石油地帯にあるだけではない。石炭地帯可燃性天然ガスがたくさんあるのです。そういう場合を考えると、この可燃性天然ガスの正体というものはまだ鉱山局では何も調査がない。ところが私がだんだん調べてみますと、今日想像せられているところの溶融性天然ガス、いわゆる水に溶け込んでいる天然ガスは一億二千万キロリットルある。日本の今採掘可能の石油は一体どれだけあるかというと、今想像せられているところの石油というものはわずかに三百二十八万キロリットル、これを比較してみますと、天然ガスというものは将来莫大にウエートをかけられるべき運命にある。それがわずかに三億円の助成金が全部この会社にいって、石油重点にいって、天然ガスがネグレクトされたならば、これは国家的な見地から見ると、非常に片手落ちな会社ができ上る。もう一つこの際聞いておきたいととは、今提案せられております石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案のねらいです。これは第一条の中にあるところの「とともに、その探鉱及び掘採の促進を図る」ということを削っているのです。石油及び可燃性天然ガス資源開発法の第一条「この法律は、石油及び可燃性床ガス資源を合理的に開発することによって公共の福祉の増進に寄与するため、石油及び可燃性天然ガスの特性に応ずる掘採の方法を定める」ここから削るのです。「とともに、その探鉱及び掘採の促進を図る」これを削ってしまうというのです。この第一条の目的が削除されないで生きているなら可燃性天然ガス探鉱及び掘採の促進がはかれるのだけれども、一方ではこれも削ってしまうというのだ。そうして三億円の助成金石油のために使われてしまう。そうすると可燃性天然ガス探鉱開発というものは全然なくなってしまうというようなことでありますから、これでは私らは絶対この法律に対する承認を与えることはできないということになってくるのですが、一体可燃性天然ガスをはっきりとした態度において開発対象にするということは、どこに根拠があるか、それを一ぺんはっきりさしていただきたい。
  6. 川上為治

    川上政府委員 従来からもこの可燃性天然ガス開発につきましては、石油開発助成金の一部として出しておるわけでございまして、大体一億出しますと千五百万円程度、あるいはその三億出しましても、大体二千万円とかいうような程度出すわけでございますが、先ほども申しましたように、今御審議を願っておりますこの法律の第七条で、私どもの方としましては、ガス開発に対しても十分金は出せると考えております。むしろ私は従来の助成金よりもかえってよろしいのではないか、ということは、この会社はそのガス鉱業権者と、あるいは共同鉱業権を設定して、あるいはその請負をしたりしまして、あるいはまた助成金みたいな格好で、ある程度金を出すということもこれは全然禁止しておりませんので、十分できる。むしろ従来の助成金は三分の一とか二分の一とかいうきわめてやかましい規定がありまして、それで縛られておりますから、縛られていないこういうやり方の方がかえっていいのではないかというふうに、私ども考えております。
  7. 齋藤憲三

    齋藤委員 私の質問は保留します。
  8. 田中角榮

  9. 南好雄

    南委員 通商産業大臣にちょっとお伺いして、そのお伺いしたことで少し御質問申し上げたいと思うのであります。そのお伺いしたいと申しますことは、これは当委員会においての発言ではございませんので、新聞紙報道によるものでありますが、どういういきさつになっておりますか、果してまた通商産業大臣の話か、新聞の伝うるところによるか、その真偽のほどはわからぬのですが、昨日の大ていの新聞に出ておりましたけれども日本経済新聞に、大臣もごらんになったろうと思いますが、問題を残す全漁連外貨割当という見出しで、相当詳細なあなたの大蔵委員会での御答弁報道しております。と同時に、けさ拝見したのでありますが、昭和三十年七月六日付で、日本民主党政務調査会長清瀬一郎さんの名前で、商工委員長田中角榮あて漁業用重油に関する件ということで、大体新聞報道のような骨子の通知が参っております。これは前々、同僚議員のどなたか、今速記録を調べておりますが、あなたに質問したときには、この新聞報道といささか趣きの違うような御答弁も、私拝承しております。事はわずか十万キロでございます。しかし考えてみますと、こういう新聞紙報道通りに実行なさるといたしますと、研究しなければならぬ点が多々あるのであります。政府の施策としてどの程度見通しを立ててこういうことになったのか。まずそれをお伺いする前に、どういういきさつで、大蔵委員会でどういうことを大臣から御返事になったのか、できるだけ詳細に当委員会においても拝承いたしたい。私らの考えで率直に申し上げますならば・大臣はどこの委員会ででもいろいろなことを御返事なさらなければならぬ立場にありますが、ここで報道されておりますような問題は、商工行政相当重要部門を占めるものであります。なされたことはいいが、次の日の委員会にあなたがおいでになったら、こういう話があったと、率直にみんなに話していただくのが本筋じゃないか。いわんやどういう趣旨でこういう文書が出たのか、清瀬さんに来ていただいてお聞きしなければならぬと思いますが、いわば一種の公文でございます。私もかなり長く議員をやっておりますが、この種文書を拝見したのは今回が初めてであります。よほど大臣もつらかっただろうと思います。こういう文書をいただかなければならぬようなことになって参りますと、やはり商工委員会で、こういう事情でこういうことだといって、率直に御訂正なり、あるいは御釈明があってしかるべきだ。新聞紙でこういう重大なことを私たちが拝見し、しかもかねがねの局長大臣の御声明といささか違うようね筋の話がありますと、私は非常に奇異に感じたのです。質問を展開する前に、ほんとうにそういうととがあったか、新聞紙報道通りか、またそういうのをどの程度お話になったか、間々行き過ぎた新聞報道がございますので、率直に大臣から御説明をお伺いしたいと存じます。
  10. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御指摘のように、確かに大蔵委員会において、全漁連に対する重油の問題について私が発言いたしたことは事実であります。それを昨日あらかじめ私の方から当委員会に申し上げなかったことは、確かに私の手落ちであります。その点はお詫びをいたします。新聞記事の方は私はよく読んでおりませんが、清瀬民主党政調会長から、委員長に何かそういう文書があったことを、昨日委員長から見せられまして、どういうわけで政調会長委員長にそういう文書をよこしたのか知りませんが、しかしきのうちょっとその文書を見ましたところでは、私が大蔵委員会発言した内容に大体一致しておりますから、それには間違いないと思います。そのいきさつは、かねて御承知のように、全漁連を中心にして漁業者石油の値下げをしよう。その手段として全漁連石油輸入外貨を割り当てろという強い要求がありました。これは通商産業省としてはどこまでもお断わりしておった。従って当委員会においては、私は全漁連に直接外貨を割り当てることはいたしたくないと、確かにいつか申したと思います。今回の措置は、その後外貨割当はしないにしても、何とか漁業者の油を安くするようにひもつき元売りから出せというような要求もあり、われわれもできれば元売りからできるだけ価格を安くさせて、供給もできるようにしてやろうということはかねがね考えており、またできるだけしますと申しておりました。それから民主党政調会でもそうきまったようでありますが、実は全部の党議であるかどうか知りませんが、各党の議員諸君が一致して、われわれが漁連に対して、俗な言葉で言えば、ひもつきで油を出すように努力しようと言っておったのを裏づけるために、漁連外貨を割り当てることはしないが、しかし漁連に回す油のために、輸入業者に特別の外貨——これは漁連向けの油だというひもをつけて外貨を割り当てる方法をとってもらいたいという要求となって出て参りました。大蔵委員会でそういうことが起ったのであります。そこで私どもとしても、いろいろ検討してみましたが、それは確かになかなか問題でありますが、どうせひもつきで出すならば、この際今の要求に応じても大した弊害もないじゃないか、かように考えまして、その清瀬君の文書にありますように、漁連向けとして輸入業者外貨を割り当ててやる。三十年度には、二十万とよく言っておりましたが、十万キロリットル分だけは、そういう意味ひもつきにしてやろう、こういう意味でそういう発言をいたしたわけであります。
  11. 南好雄

    南委員 ただいまの石橋大臣お話で、大体大蔵委員会における状況——昨日の田中委員長あて清瀬さんの手紙とによって、ほぼそういう事実が大蔵委員会にありましたことを確認いたしました。そこで私お伺いいたしますが、こういうことをやった目的は、全漁連が言うたから聞いたんだというのではおそらくあるまいと私は思います。一体どういう趣旨でこういうことをするのか、どんな効果があるのか。ただいま大臣は豊富低廉な油を全漁連にやるんだと言われたのですが、もちろん全漁連傘下漁業者は、非常に零細な漁民であります。これが一つの団体を作っております。政府はできるだけそれに所要資材なりいろいろな点で保護すべきは、当然であります。私たちもかつてこれにいろいろ協力して参った。しかし果してあなたが今こういうことをおやりになることが、支障なく、しかむ不平を起さずにやれるかどうかということですが、あらためてお伺いいたしますが、こういうことをやった目的が低廉な重油——A重油か、B重油か存じませんが、全漁連にやるために作ったのでありますか。
  12. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今お話のうちにありましたように、零細漁業者のために、かねがね通産省としては、できるだけ一つ低廉な重油を給供し、これは主としてA重油でありますが、重油を供給する。これは一面においては、それらの漁業者を助けるというだけでなく、漁獲物価格のコストを下げる、そして国民生活に寄与する、こういうような意味があるのです。これは今までも行政指導で極力やってきたのであります。それを今度一歩そういう形を進めて、そして確実にした。これは実際われわれも今後一ヵ年間実行してみまして、その成績を見ませんと、果してこれが十分満足すべきようなふうに運用されるかどうか、これはやってみないことには実はわからないのでありますが、しかし今の考えとしては、大体行くであろう。そしてこれが刺激になって、全体の漁業用油も相当価格の低下を来たす、つまり競争を惹起するという点において、全体にもいい影響を及ぼすだろうということを期待しております。
  13. 南好雄

    南委員 そこで大臣にお伺いいたしますが、これは文書によりますと、「昭和三十年度に於て、十万キロリットル分とし(A重油、原油の割合等農林通産当局の打合せに一任する)」と書いてあります。一体全漁連傘下所要年間この種油の全需要量大臣御存じでございますか。
  14. 石橋湛山

    石橋国務大臣 正確なことは存じませんが、三、四十万キロだと存じます。
  15. 南好雄

    南委員 大体今大臣の御答弁通りで、これは正確な数字を知ろうということが無理なんで、概算数字でありますが、年間四十万キロといわれております。そういたしますと、四十万キロリットルのうち、大臣考えていらっしやるようにショート・カットをして、元売から直接に全漁連傘下の小さな業者にかりに品物をやるにいたしましても、それは確かに口銭その他は要らなくなるから、末端配給値段と申しますものは、他の配給ルートを伝わってくるものよりも安くなることは当然あると思う。そういたしますと、三割だけ安くして、三割だけ高いということになりまして、その油をどういうようにみんなに不平なく、いわゆる手渡しをするか、どういうよう血構想で全体が安くなっていくのか、これはよくわかります。しかし四十万キロ要るうちに十万キロだけ安いという場合におきましては、十万キロの油をもらった者はいいですけれども、残りの三十万キロが高かったということになりますと、それぞれの入手の場合におきますふところ工合が違って参りますから、寝ている子供を起すという結論になって参ります。従来の配給機構をそのままにしておきまして、そしてその分だけをどうやってみんなに不平を起さずに配給できるか、いわゆる配給方法について、大臣が安い油をやって、漁民が喜ぶということは、まあ大臣としてのお考えならば、大所高所から御議論のようでありますからけっこうでありますが、これがほんとうに上手に不平を起さずに、全漁連傘下の各組合員に渡るかということになりますと、これは私どもねかなかむずかしいと思います。従来の配給機構をそのままにしておいて、どういうお考えでこの安い油を不平を起さずに組合員にお渡しになる販売仕組みをお考えでいらっしゃいますか、一つお伺いしたい。
  16. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点ははなはだ申しわけありませんが、私技術的のことでよくわかりません。これは農林省通産省もむろん協力いたしますが、全漁連等で十分技術的に検討して、この決定をいたしますのも通産省がかってにしたわけではなく、農林省も参加し、また全漁連の方でもこれでけっこうだということになっておりますから、これは今御指摘のような非常な不公平のないように、配給のできるように極力努力をいたす、実際にはこれから農林省と具体的には方法を打ち合せてもらう、かように考えております。
  17. 南好雄

    南委員 私は自分で質問しながら、大臣におわかりにならないだろうというようなことを言うたものですから、うまくそういうふうに言われたのでありますが、しかしかねがね大臣同僚内田委員からの質問に対しても、速記録の中にありますが、外貨ひもつきで渡すというようなことは、これは非常に大きな問題だから、通産当局としては、現在も将来もする腹は絶対ありませんということを二度にわたってここで御声明になっておる。これをあえて数量は十万キロリットルであっても、こういう方法をおとりになりますならば、今まで技術的のことだからといわれますが、しかもあなたの企画しておるように、各組合員ほんとうに安い油が流れていくような仕組み考えずに、これから農林当局通産事務当局考えてやるだろうというような見通しのもとにやられることは、非常に大臣のセンスを疑うのであります。やはり一通りは、ここでこうやったらいいじゃないかといって、私の疑問に御返事をしていただかないと困る。ほんとうにその仕組みについては、今後の研究にというようなお考えなのか、それともある一定の構想があるのか、もう一ぺん大臣一つこの際御返事願いたいのであります。
  18. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、農林省といろいろ相談しまして、その具体的な方法一つ研究したいと思っおりますが、大臣のおっしゃいました中でも、特に「農林通産当局横流し防止及価格の適正に付て万全の措置を講ずること。」ということも政調会の方からはいってきておりますので、私の方としましては、その価格そのものについては、すなわち全漁連傘下組合を通しまして、最後の需要者であります漁業者に対しまして渡す価格につきましても、私の方でもタッチいたしまして、はっきりした価格を作りたいというふうににいたしておりますが、その価格によりまして配給するわけでございますけれども配給する場合によりましては、全漁連なりあるいは県漁連証明書を発給いたしまして、配給させるというような方法もとりなければならぬかと考えております。
  19. 南好雄

    南委員 そういう御返事だから私申し上げる。清瀬会長から参った文書には第三といたしまして、「全漁連及県漁連の直売に係る従来の取扱分に付ては従来通りとし、漁業用重油については、通産当局は可及的低価格を以て供給する様措置すること。」と書いてある。こう書かざるを得ないのであります。四丁万キロリットルも要るのに十万キロリットルだけしかやらないのでありますから、あとの三十万キロリットルは高いし、こういうものはそれぞれの元売り機構から小売り機構に流れる道をせきとめて、一本に持ってくるということはなかなかできない。またもしそういうことをなさるとすれば、商権擁護運動が起きまして、石油小売り業者組合運動は今でも起りつつありますが大へんんな問題と思う。昭和十五にたしか岸次官、伍堂大臣の時代でのったと思うが、むしろ旗を立てた。これは全購連の関係の場合だったと記憶いたしますが、大へんなことになって、たしか通産当局はもう一ぺん逆戻りをした苦い経験を私たちは知っております。ところで三十万キロリットルは従来のように流して、十万キロリットルはこういうひもつきの方にやるとすると、価格はプールする以外に方法はない。どうしてプールをやるのかこれは大臣はむずかしいから川上君でけっこうであります。どういう方法にしてプールするのか、方法一つお伺いしたい。
  20. 川上為治

    川上政府委員 全漁連関係と申しますか、零細漁業者需要量は、先ほどお話がありましたように、大体四十万くらいと考えておりますが、漁業者全般につきましては約九十万程度でございます。私の方としましてはその十万キロリットルの全漁連を通していく以外のものにつきましては、昨年からやはり価格につきましても漁港別の価格をはっきり作りまして、現在その価格配給するようにさせておるわけでございます。しかもその価格配給ができない場合におきましては、またやっていないというような場合におきましては、苦情処理機関というのが各県別にございまして、この苦情処理機関に訴えますと、この苦情処理機関において適当に処理しまして、そうして量が確保されるように、また価格がその標準価格で販売されるような措置をとらしておるわけでございます。もしそれでもなおその後うまくいかないというような場合におきましては、大体その一ヵ月分くらいは常に中央の元売り業者におきまして持っておりますので、元売り業者の方から足りない地方に対しましてはいつでも配給するように、また価格が上りましたときはすぐまたそちらの方にものを送ってやって、そうして価格を押えるというような方法を全面的にとっておるわけでございます。この全漁連関係のものは、これは十万キロリットルが全漁連系統として今度はそれよりもおそらく安い価格で販売されることになるのじゃないかと思うのですが、そういう二つの道で配給されまして、しかもその価格がある程度違うということは、これは私どもとしてはあまりよくない、感心したことではないと思うのでありまして、一般の配給のものにつきましてもなるべく値段が下るように、そうして全漁連を通しますものと大体値段が同じように、私どもの方としては行政指導なりでしまして持っていきたいと考えておるのであります。実は十万キロリットルやるごとによって、しかもこれが安いということでありますれば現在やっております配給のルートには何かそこに欠陥があるのじゃないかというようなことがはっきりわかってきますから、われわれはその欠陥の是正をいたしまして、そうして一般のものにつきましても、全漁連を通していくものにつきましても、ほぼ同じような価格配給されるように私どもは持っていきたいというふうに考えております。
  21. 南好雄

    南委員 川上君の説明はかっても聞いたことがあるのでありますが、私はそういうことを聞いているのではない。あなたの言う通りそれがうまくいっておれば、何を好んでこんなにやかましく今まで通産省が反対しておるこのひもつきの十万キロリットルを配給する必要があるのですか。今までうまくいっておらぬから、そのいっておらぬことに対する一つの目ざましとしてこういう十万キロリットルがひもつきになったのであります。そのひもつきのものがお説の通り安ければ、二重的に安いものと高いものができるのは理の当然だ。それをどうやってカバーするのか。もう一歩掘り下げて言いますならば、安いものはいいにきまっております。四十万キロリットルのうち十万キロリットルは安いものをやって、あと三十万キロリットルは指をくわえてながめておれといっても、十万キロリットルさえもひもつきにすることのできる水産ボスでありますから、必ずや四十万キロリットルになることはさまっております。そういうことになって参りますれば、ひとり水産だけには限りません。なるほど水産は海から日本の貴重な水産資源を獲得して外貨の獲得もやっております。しかしながらそういう見地からするなら、鉄もそうであります。セメントもそうであります。大豆もそうです。ことごとくそうであります。なぜ一体水産用油だけ四十万キロリットルのうち十万キロリットルだけひもつきにして、二重価格をこしらえて、配給機構を混乱させて、そうして他の毛のにはそのままにしておかれるか。この問題は、事は小さいけれども、これができるならば他もおそらくできると私は思う。  ここで大きな問題に戻って参りまして、まだほかにこまかい問題も聞くところはございますが、十万キロリットルが安くいった。これは高くいけば来年も上げます。この前も一ぺんやって高くいった。今何か川上さんの計算によりますとキロ当り八、九千円くらいで末端まで行く計算のようであります。これはもう一ぺん念のためにお伺いしますが、現在では一万二、三千円だそうです。キロ二、三千円も違って参りますと、これは三十万キロリットルについても十万キロリットルと同じようにしたくなる。漁民でなくても私でもそうだ。ぜひそうしてもらいたい。そうしてやるのがほんとうに政治の要諦です。そういう問題が起きた場合にどうされるのか。これは大問題でありますから、川上君でなく、石橋通商産業大臣からはっきりと御言明を得たいと思います。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 もしお話のようにこの十万キロリットルが、元売り特約店ですか、普通の油の商人を通していくよりも末端において三、四千円も違うようになりますれば、十万キロリットルをとにかくひもつきで出した値打が出てきたわけであります。そうすれば、今局長が言いましたように、全体の油が下がらないのはどこに欠陥があるかということがわかって参ります。魚連といえども損をして売るわけにはいかないから、それで実はいろいろ議論がありまして、元売りからの値段が最後の末端にいくときに非常に高くなるというのはどういうわけだ、あるいは始まりの第一基地からのときには一万一千円くらいで渡す油がしまいにいくと一万四、五千円になるということはどうだという議論が今までありまして、われわれも研究をしておるのでありますが、これはやはりいろいろ理屈はあるのでありまして、はしけ賃がかかるとか、ロスがあるとか、いろいろ理屈がありますから、今までの理屈がほんとうであるならば、十万キロリットルも安い値段でほんとうの末端へは行かないでしょう。そうすれば、今までの石油の販売機構に間違いはなかったと思います。もし幸いにこの十万キロリットルが三、四千円も違う価格で末端まで行くようであれば、私は全体の油の販売機構について再検討して、そして全体の油が下るように処置いたしたいと思います。
  23. 南好雄

    南委員 私はだから聞いたので、九千円とか一万二千円と申し上げた。しかも通産省の算定だということで聞いた。ほんとうなら川上君に一体どんな値段かという点について私は話をするのですが、心やすだてに申し上げたわけで、一体こういう特殊の方法をとるためにやるといたしましたならば、普通常識的に言うならばショート・カットですから口銭くらいを安くする程度だと私たちは思う。しかしながら通産省は二、三千円ないしひどいときは四千円もキロ当り違うのです。これは農林省から出たかもしれませんが、そういう話も聞くのでありますが、ここではっきりしておきたい。大体十万キロリットルのひもつきA重油は幾らくらいで末端へ行っているものか、従来のものは大体どの程度か。概算でけっこうであります。そういう事実が一つあればそれで十分であります。
  24. 川上為治

    川上政府委員 現在一般の特約店を通して販売する価格につきましては、A重油について漁港別にすべて標準価格を設けてありますことは先ほど申し上げた通りでありますが、それが全国平均一万四千七百円ということになっております。この全漁連系統を通しまして果してどういう価格で販売されるかという点につきましては、私どもの方でもまだいろいろ検討中でありまして、全漁連の方からもどういう価格で販売するのだということは持って参っておりません。また農林省でも現在研究中でありまして、まだ持って参っておりません。しかし全漁連が今までよく言っておるのですが、果して全国平均一万二千円で配給ができるかどうかという点につきましては、私自身としては相当の疑問を持っております。ただ一万四千七百円よりも相当低い価格で販売できるであろうということは、これまた私自身もそうだろうと考えておるわけでございます。これはたとえば危険の負担とかあるいは金利とか、あるいは全国の非常に僻陬の地まで配給するということではありますまいから、そういう関係からいいまして、この一万四千七百円の現在の特約店を通しましての平均価格よりもある程度低くなることは事実であろうと思うのですが、ただ全漁連が言っております平均一万二千円で配給ができるというととは、私自身もこれはなかなかむずかしいことではないかというふうに考えております。いずれにしましても、どういうととろにどういう方法で販売するかがはっきりいたしませんと、どの程度下げられるということはなか血か申し上げかねると思うのでありまして、これからその点をいろいろ研究しまして、なるべく安い価格で販売し得るように持っていきたいと考えるのであります。ただ私は九千円で販売ができるというようなことは毛頭言っておりません。製品の輸入価格がCIFですでに九千百何十円ということになっておりますので、それに若干の諸掛りを入れますと、岸のタンクに入れるだけでも九千三百円以上を出しておりますので、九千円で販売することはとてもできないし、これは全然不可能であります。それかといって一万二千円程度で全国的に販売ができるかということもこれはなかなかむずかしいことではないか、しかし一万四千七百円という現在の標準価格よりもある程度低くなることは当然であろうというふうに考えております。
  25. 南好雄

    南委員 今川上さんの言われた漁港別の標準価格というのは、それは業者の協定値段でございますか。その値段形式についてあなたが相当タッチしておいでになるのですか。
  26. 川上為治

    川上政府委員 全国一万四千七百円という平均価格、しかもそれは各漁港別に、たとえば北海道におきましては運賃がかさみますから相当高くなるのですが、また清水とかそうした方面におきましては安くなるわけでございますけれども、その価格につきましては、これはA重油だけなのですが、四月一日から実行いたしております。それは各特約店の協同組合の協定価格でございます。その協定価格に対しましては私どもも十分タッチして、そうして全国の特約店の組合連合会ともよく相談いたしましてきめてある価格であります。この点につきましては公取とも十分相談をしまして実施されております協定価格でございます。
  27. 南好雄

    南委員 その値段は、通産省ではもちろん消費者の立場も業者の立場も十分お考えになっているのでしょう。私はこれは非常に穏当な値段が出ていると思う。それよりも安くするということは、私たちの常識のショート・カットの、いわゆる手数料を省略することだと私はそう了解いたします。しかしそうであっても、二つの価格が出た場合に安い方がいいということは天下の常識であります。十万キロをひもつきにすれば、それが四十万キロに波及するということも私は当然なことだと思う。その当然なことを大臣はどうやって広がらぬようになさいますか。あるいは四十万キロがよければやったらいいじゃないか、他にもそういうととがあるならばやったらいいではないかというならば、内田委員質問の際にはっきりあなたが言われたように、通産行政においてはひもつきにしろ外貨割当はやらないのだ——あなたはひもつきだからといって逃げられますが、ひもつき外貨割当も結局は同じであります。だれでも外貨をもらったからといって簡単に処理できるのではないのであります。従って経済的効果の上においては同じでありますから、今後他の産業にも必要ありとするならばひもつき外貨をおやりになるのかどうか、はっきりここでお聞き申し上げたい。
  28. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今度の十万キロは一つのテスト・ケースみたいなものでありまして、将来の問題としてこれが一体今局長が言いましたようにどれほどの効果を持って幾ら安くなるかということは、全体の販売機構の上に相当の影響をもたらすと思います。しかし現状においては、水産だけは国民の食糧にも関係するものでございますから、前からとにかく特別に何かの処置をとって、漁業者にはひもつきでできるだけ安く油が入るようにしてやろうということでわれわれ通産省においても努力して参りました。その努力の一つの形として今回の処置が行われたわけであります。他の産業に対してもこのひもつき外貨を割り当てるというような考えは現在持っておりませんが、しかしながら同様に安い油が手に入るようには極力いたしたい、かように考えます。
  29. 南好雄

    南委員 この問題は値段の安い、高い、他に波及するかどうかという問題以外に、非常な問題を持っておる。これは大臣御承知でもございましょうが、全漁連傘下組合と申しますものは、みな各地にそれぞれの特約店を持っております。それでどんどん漁があって油代金をちゃっちゃっと支払い得るならば、これは非常にけっこうであります。けっこうでありますが、なかなかこの代金が払われない。業界の話を聞きますと、約六割くらい焦げついておるという話も聞いておる。これはうわさでありますから、真偽を確かめておりません。もしそういうことについての御調査があればこの際一つはっきり教えていただいた方がいいのでありますが、そうしますとこれは配給ルートを変える行き方であります。あなたがどううまいことを言われても、日本の今置かれておる国際環境からいって、四十万キロリットルの上にさらに十万キロリットル外ワクになっていくものとは私は考えない。  そとでもう一ぺんはっきりお聞きしたいことは、外ワクと書いてあるのは五百十万キロリットルのほかに十万キロリットル新たに外貨をこの分に充てるものか、五百十万キロリットルはそのままにしておいて、食管特別会計の操作のように、うやむやにして十万キロリットルをここに持ってくるのか、一つこの際はっきりお伺い申し上げておきます。
  30. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 お許しを得まして私から御説明申し上げます。ただいま南先生お話では五百十万キロとおっしゃいましたが、われわれ今年考えております重油の消費予定は五百二十万キロでございます。そのうち五万キロは予備に考えております。それでこの措置は、われわれが五百二十万キロのうちで考えております漁業用の重油の消費予定よりも需要が相当ふえますれば、これは結果として漁業用の油を入れなければいけませんからその外になるわけでありますが、目下のところはわれわれの予定に考えております数量で十分行けると思いますので、これはワクとしましては当面は内だと考えております。ただし漁業用の需要がわれわれの考えておりますよりもぶえまして、それが足りないということになれば、これは外となるわけであります。外ワク、内ワクの表現の問題でございますが、これは輸入方式のワク内というふうに考えております。従いまして今までやっております割当方式の計算の仕方と違った十万キロ入れる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  31. 南好雄

    南委員 岩武君に議論する腹はねいのでありますが、岩武君は清瀬一郎さんから田中角榮君にあてての文書を読んだのか読まぬのか知りません。しかしこれを読んでみると、あなたの今の説明とはおよそ縁が遠い。外ワクは外ワクであります。私が五百十万と言ったのが二十万なら二十万でもけっこうであります。それ以外に十万キロでなかったら、これは外ワクという意味はない。水産用の大体の需要が四十万キロ、それは従来の通りにここにちゃんと書いてある。それは従来の取引法をやるのだ、それ以外に一応十万キロある、ところが四十万キロしか要らぬとすれば、書いてあることいかんにかかわらず、全漁連の買っておったものは従来の方法で四十万買ったものは三十万に減るかもしれぬ。減るかもしれぬが、しかし書き方はこれは外ワクではない。これはわざわざ外ワクと書いてある。あなたの言うようなことだったら取引の方法を異にしたと書けばよい。従ってそんなわけのわからぬ返事は——ここは国会ですからもっとはっきり外ワクか内ワクかおっしゃって下さい。
  32. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 南委員の御指摘通りであります。四十万キロの需要を予定しておりますのがふえまして五十万キロになれば、完全に数量も外ワクになります。四十万キロしか要らないものでありますれば、よけいなものを入れる必要はありませんから、数量的には内になります。ただし輸入の方式は今までの普通の重油の入れ方よりも違いますから、輸入方式としては外ワクになります。こういうふうに考えております。
  33. 南好雄

    南委員 あえてあげ足をとるつもりはないのでありますが、輸入方式が違うから外ワクだというような言葉は私は生まれて初めて聞く。やはり内ワク、外ワクは数量であります。方式は岩武さんが買おうが私が買おうが、輸入は輸入であります。岩武さんから私に移ったから外ワクというような言葉はそれはあり得ないわけでありますから、あまり強弁なさらぬように願います。
  34. 田中角榮

    田中委員長 南君に申し上げますが、法案に関する各党の最後の質疑がありますし、時間が十二時半に終りですから、この問題は継続してもけっこうですから、なるべく整理してお尋ねください。
  35. 南好雄

    南委員 これから入ります。あえてお尋ね申し上げたいが、今日の外貨の事情は非常に窮屈で、なかなか外貨は獲得できないというのと、一方、なるほど石炭鉱業の不況を救うという意味合いも持っておりますが、ボイラーの設置を制限して、そして今日大きな世論を起そうとかかっておる。そうかと思うと外ワクで十万キロもぼっとお前たちに出してやる、これでは何をやっておるのか私にはわからない。需用があるのなら幾らでも、水産用に十万キロでもふやしてやるというような、そういうふうに外油が簡単に出せるような通産省ふところ工合なら、何であんなにやかましい重油の規制などをあなた方はなさるのか、これはいずれ法案審議の際大臣に詳細に御質問申し上げますが、これには容易ならぬ問題があります。こう考えてみますと、私はどうしても今度の法案というものには納得がいかない。しかもこういう種類の割当のやり方をいたしますと、当然安いものがほしいのでありますから、従来の取引で、なければならぬ四十万キロにも、これが広がらざるを得ない。閣内における最有力閣僚と言われるあなたの力をもってしても、泣く子には勝てません。一ぺんこのビスケットをやって、こっちに持っておって、これだけだといっても、あなたはうまいことを今は言われますが、こっちのもやらざるを得なくなるのです。必ずそういうことになってくるのは必至だと思う。そうなって参りますと、従来とはルートが違って参ります。業界の言うように、従来の五割も六割も焦げつきがあるとは私は思いませんが、この十万キロにしても二百万ドルです。邦貨に換算して十億円に近い金額です。年間需要の半分もためておるということになりますと、何億円のいわゆる焦げつきがあるということです。いわゆる地方におきまする、しがない卸や小売のそういう焦げつきをほっておいて、新しい全漁連のルートでどんどん新しい油が出るということになりますと、こういうものに対する救済をあなた方はどうされるのか。なるほどそれには役人の作文が書いてあります。これは農林、通産両省協議をして、従来の焦げつきは十分万全の措置を講ずると書いてある。万全の措置とはどういうことでありますか。だれが金を貸して、だれが肩がわりをして、この焦げつきを整理するのか。零細なる漁民もかわいければ、長い間配給機構のもとにおいて、ほんとうにしがない口銭で日本のガソリンの配給の職責を果してきた小売業者もまた大臣の目から見れば同じようにかわいがってやらなければならぬ。そういうものの焦げつきはどういうふうに御整理になるのか。農林、通産両省当局が協議をなされば、ひとりでに長期の借りかえ資金が出て参りますかどうか、この点大臣に率直に御答弁を願いたい。帰ればわれわれは責められます。何とか説明をつけてやらなければならぬのです。
  36. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは今度の問題がありませんでも、漁業用の油を下げ、また販売業者の方も業者の困難を救うためにも、今までの相当多数の焦げつきがあるそうでありますから、これを解決しなければならぬと思っております。ちょうど今回こういうことがありましたから、これをたとえば中小企業金融公庫、あるいは農林漁業金融公庫等から相当の長期の融資をして、この焦げつきを整理させるようにいたすつもりであります。
  37. 田中角榮

    田中委員長 南君に申し上げますが、時間が十二時半まででありますから、そのつもりで願います。
  38. 南好雄

    南委員 せっかくこれからというときに、委員長が与党委員長のようなことを言うので、話は途中に打ち切りますが、私はこれは非常に重大問題だと思います。なるほど零細漁民を保護するために、従来の焦げつきの連中と全然取引系統の違ったところに油を流していく。これでは借金は返すべきものなりといいましても、必要なものが入ってくると、ほんとうに貧乏して金がたまったのでありますから、返そうとしても返せない。どういうふうにしてそういうものを調べ、どういうふうにして返してやるのか、これは大臣、いずれ万全の措置をとるというのではあまりにどうも抽象的過ぎまして、そんなことで満足するものはない。そんなことで満足するなら、お前たちには万全の措置をして、減税してやると言ってほっておけるはずであります。ですからこれは十万キロでありますが、当然二十万キロになり、三十万キロになっていくことは必至だと考える。従来の焦げつきはどういうように整理するか、もっと親切に一つ御研究おきを願って、どういう金利の金をどこから出して、従来の焦げつきはどういうふうにして肩がわりしてやるか、私どもに説明のできるように、今日が無理でありますならば、この次でけっこうでありますから、一つ明快な御答弁をお願いしたい。  なおこういうことを考えて参りますと、どう考えても、重油の規制のような、そういう鬼面人を驚かすような法律は、どうも大臣の御声明から判断いたしますと必要がないもののように思います。ねだりさえすれば油は入ってくるのだ。従って重油の規制をする必要はないのだ。もうしばらく重油を使わしてみて、そうしてほんとう外貨見通しはそんなに甘いものではない。従ってこれは法律上いろいろむずかしい議論がある、憲法違反というような議論もあるが、場合によっては私たちもいやいやながらもあの法律を通さなければならぬかなと思っておったところが、幸いこういういいお話しを聞いたので、非常に有力な反対原因ができた。なおもう一つ聞きますと、新聞では、この原油に対する課税は政府間における取引の結果で、石橋さんはいやだったんだが、やむを得ず一萬田さんに降服したのだと書いてある。これはあなたには少し気の毒な話しでありますが、こんな意味だったらこれは重大問題だと思う。原油に対する課税は原油に対する課税として考えなければならぬ。たとえ閣員がそういうことをおっしゃっても、少くともあなたのような最有力閣僚は、厳として従前の当委員会における声明と同じように反対していただかなくてはならぬ。この関税も一ヵ月わずか一億数千万円であります。年にしてもわずか十四、五億、なるほど米だ何だと政府は金が要りましょうが、それはそれなりに考えていただいて、新聞紙上に伝えられるような法案のやみ取引はやめていただきたい。あなたのような有力な人がいきなりわれわれに諮りもせずに大蔵委員会でこういう答弁をなさる、しかもおれはやむを得ずやったのだと言ってこういう文書田中君によこされるようなことは、この関税と取りかえっこになっているのではないかと思えてならない。これは邪推かもしれませんが、むしそういうことであるとすれば私は容易ならぬことだと思う。税金を上げてやる、そのかわりこれを入れろというようなことを認めていってはこれは大へんなことになると思うのであります。私はこれを善意に解釈いたしますがゆえに、あえて大臣には御答弁を求めませんが、こういうことが新聞に出ることは実に不愉快である。あなたは再三再四にわたってかかることはやらないといってわれわれに声明なさった。ところがそれが突如として数量は十万キロでありますが御声明になった。新聞はうがったものでありまして、よほど金がほしいと見えて石橋さんこれと取りかえっこしたと書いてある、こういうことを書かれては私はあなたに対して大きなマイナスになると思う。そういうことは邪推でありますようにお祈りいたしまして、きょうは非常に委員長がやかましいから私の質問をやめますが、後にまた掘り下げた答弁を留保しておきます。あとまたこまかい点がたくさんございますから、川上さん岩武さんにもう少し伺いたいと思います。
  39. 田中角榮

    田中委員長 南さんの大臣に対する残余の質疑は後日また許します。永井勝次郎君。
  40. 永井勝次郎

    ○永井委員 簡単にお尋ねいたしたいと思いますが、予算に組まれておる三億の補助は、これは新設会社で全額支出、こういう形になると思うのであります。そういたしますと、従来ガス開発について補助金を出したのでありますが、全部打ち切られてしまうのじゃないか、こういう関係が出てくると思うのですが、その関係はどうなるのか、ガス開発に対する補助金の関係はどういうふうになるのか、これを一つ伺いたいと思います。
  41. 川上為治

    川上政府委員 三億の本年度の助成金につきましては、この会社の方へ直接全部わたす考えでございますが、本年度におきましては出資ということにはなりません。助成金ということに怒ります。それからガスの関係につきましては、先ほども齋藤先生からの御質問に対しましてお答えしましたように、この法律の第七条の第一号、第四号、この二つの条文によりまして十分この会社におきましてガス開発もできますし、同時にまた他の鉱業権者ガス開発しようというものに対しまして援助するととかできるということを申し上げましたが、たとえば他の鉱業権者におきましてどうしてもガス開発したいが、金がないからこの会社の方から金を出してもらいたいということでございますれば、この会社の方ではその鉱業権者共同鉱業権者になりまして開発するという形もとれますし、また場合によりましては、これはきわめてまれな場合と思いますが、その鉱業権者に対しましてある程度の金を貸してやるということもできましょうし、またこの会社におきましてその鉱業権者の事業を受託してやることもできます。そういうことは、この第七条の第一号、第四号において十分できる、これは法制局の方とも打ち合せしまして、そういうふうに解釈いたしておりますので、従来とほとんど変らないと考えておりますが、従来よりもかえってよいのは、先ほど申し上げましたように、従来の助成金につきましては三分の一しか出さないとか、あるいはその半分以下であるとかいうふうに非常に厳重な規定が政令によってきめられておりまして、今度はそういうことをいたしませんので、その点につきましては、その鉱業権者にとりましては半分以上のものをあるいはこの会社の方が出してくれるということにもなって、かえって便利じゃないだろうかというふうに私ども考えております。
  42. 永井勝次郎

    ○永井委員 こういう場合もある、ああいう場合もあるという絵にかいたぼたもちのような話はけっこうでありまして、そういうこともあり得るならば明文にはっきりとすべきでありますが、それならば具体的に北海道の場合、長万部あるいは幌延などのガス開発については、前年来通産省で非常に強力にこれを推進するということで、現地の北海道開発局とも連絡をいたしまして、一定の助成金を出して今日までやっておった。ところがことしぽかんと打ち切りにねった、こういう関係については、それじゃ具体的にこの新設会社で従来と変らない助成金を出すのかどうか、御説明を願いたい。
  43. 川上為治

    川上政府委員 長万部につきまして本年度も昨年と同じような助成金を出すかという具体的な問題につきましては、私も長万部にことし出す計画になっておるかどうかはっきり覚えておりませんが、もしことしもあそこに出さなければならぬということでありますれば、この会社を作りましても、この会社を通しまして出せると考えております。またそういう計画を本年度立てますれば必ず出します。
  44. 永井勝次郎

    ○永井委員 これからどういうふうにやるかということは、新設会社のいろいろな考え方できまっていく問題で、直接やるかあるいは助成金を出してやるかということは今後これを決定していくべきものと思いますが、通産省が声をかけて仕事を推進してきた半ばにあるものが、急に中止ということになりましては影響が甚大であります。そういうものについては、既定計画について責任をとるという形をとっていただいて、従来助成金を出しておる分については今年も必ず出すということならばけっこうだと思います。重ねて間違いないかどうか伺いたい。
  45. 川上為治

    川上政府委員 従来出しておりましたもので、継続することになっておりますものが途中でこの会社ができたために打ち切るようなことは絶対にいたしません。それからこの法律によりますと、第八条におきましてこの会社の事業計画につきましては大臣の認可事項になっておりますので、そういうことに対しましては必ず出させることができると考えております。
  46. 田中角榮

    田中委員長 神田博君。
  47. 神田博

    ○神田(博)委員 通産大臣にお伺いいたしたいと思います。御提案になりました石油開発会社の点でございますが、ようやく政府の議がまとまってお出しになったことについてまず敬意を表します。  資料をちょうだいいたしたのでありますが、この資料を拝見いたしますると、政府の方でお出しになっておりまする「日本のエネルギー資源、その現状と将来」という本の三十七ページに石油のことが書いてある。これは非常に行き届いた調査をまとめた報告書でありますが、これを拝見いたしますると、「石油埋蔵量は約五百万キロであり、日本のエネルギー資源の中では、その占める地位はきわめて低い。そして最近の国内産油量は年間三十五万キロ程度であり、これまた現在のエネルギー供給のうちで取るに足りないものである。埋蔵が少いことが致命的であり、今後探鉱が進んだとしても、開発深度は現在よりさらに深くなり、また秋田、山形両県あたりにあるといわれる大陸棚に大量の石油埋蔵が発見されたとしても、採掘条件がさらに悪くなるのは当然である。従って、将来ある程度の保護政策が石油鉱業に適用され、石油の増産が行われたとしても、日本のエネルギー供給中にさほど影響はないものと考えられる。」こういうことが載っておるのでありますが、政府のお出しになった他の資料で拝見いたしますると、たしか約七百万キロくらいのものが載っておるのでありますが、同じ政府でありましてどうしてこんなに違うのかというくらい——ことに五百万といいますると、年間百万掘るというようなことになるとすぐ枯渇するおそれがあります。そこで私の心配するのは、この石油開発会社は一体どこに重点を置くのか、探鉱重点を置いてやっていくのか、あるいは採油に重点を置いてやるのか、あるいはこれらを二つ合せておやりになっていくのか、こういうことを十分明確にしていただかないと、この法案の審議の参考になることでありますので、明確な御答弁を願いたい。この本と大分違う。同じ政府が出しておられる。どなたかから質問があったのかもしれませんが、これをまずお尋ねしたい。
  48. 石橋湛山

    石橋国務大臣 最後のお尋ねから申し上げますが、この会社は言うまでもなく採油を主とするものではなく、探鉱試掘をやりたい。出てきた油はもちろん採油いたしますが、それは二の次という考えであります。  それから今の日本石油資源が幾らあるかということは、もちろん正確なことはわかるわけではありませんが、古く、かつては日本には石油がないということが一般の常識になっており、また学者もそう言っておったと思いますが、これは私も技術者でありませんのでよくわからぬが、最近学者の考えも大分変って参りました。相当ある。しかも井戸の、掘る深度等が技術的に非常に進んで参りました。たとえば今やっておる八橋あたりでも、今までのところでは非常に少かったが、深く何メートル掘ったのか知りませんが、今までのところよりもさらに深い井戸を掘ったら大分出てきた、こういうようなわけで、掘り方等においても変って参りましたから、最近は大へん有望である、こういう見地に立っておるのでありまして、資源がたちまち枯渇するというような考えは持っておらないのであります。
  49. 川上為治

    川上政府委員 大臣のお言葉に対しまして私付言申し上げますが、今神田先生のおっしゃいましたその資料は実は私どもの方で石油開発審議会というのがございますが、ここで結論を得る前の資料に基いて経書の方から出しておる資料と考えておりますが、経審の方にもその後いろいろ話をしましたところが、私の方の資料をその通りであるということになりまして、そうして今度の経審の六ヵ年計画につきましても私の方の資料に基いて計画を立てております。なおこれは非常に最近の新しいニュースでございますが、これは従来学者の方からは、日本におきましてはやはり第三紀層と白亜紀層、この地域だけが石油を持っておるというふうに考えていたんですが最近ドイツに帝石の方から行きまして帰ってきました人の話によりますと、ドイツにおきましては古生層とかそういう地域においても油が大きく見つかっておるというようなことでありますので、日本におきましても第三紀層、白亜紀層だけではなくて、ほかの層においても相当将来見つかるのではないかというふうに考えております。
  50. 神田博

    ○神田(博)委員 ただいま大臣並びに川上政府委員の御答弁を得たのでありますが、私もどうかこのようなことであるようにと念願をしておるわけであります。そこでお尋ねしたいことは、それならばこれはあるかないかという議論をしてもなかなか尽きませんが、一体政府はこの石油開発会社をお作りになって、そうして一つ国策会社として十分今の自信のもとでおやりになるのでありますが、しかし今大臣がお答えになられたように、掘ってみなければわからない。これはもうその通りであります。そこで掘っても掘ってもあるいは出ないかもしれない、あるいは掘ったらすぐ出るかもしれない。これはそういう極端なことを聞くのも少しやぼかもしれませんが、しかしやはり、腹がまえというものは聞いておかなければならぬと思うのです。今までの掘ったものについての当った。パーセンテージはあるようでありまするが、この開発会社は掘っても当らなくても一体どれくらいまで掘るのだというお考えでおやりになるのか。もう二年も三年も五年までも、どれだけの金をつぎ込んでもやるとお考えになっておられるのか、あるいは出なければ三年ぐらいで首を振り直すのだというのか。出るか出ないかわからないということは正直な御答弁で、その通りである。しかしほんとうに掘り当てるのだというお考えであるならば、どのくらいの金を出なくてもつぎ込んで、そしてその結果で考えるのだというのか、あるいは掘って出ればもっと出すのだが、出なければしぼっていく、一年や二年はやってみるというのではだいぶ違うと思うのです。これは会社でありまするから、いくら国策会社でも、大いに企業努力というものはしなければならぬと思います。そういうことについて大臣は一体政府を代表されてどういう心がまえでこれを推進なさるのか、一つ心がまえ、御抱負を承わりたい。
  51. 石橋湛山

    石橋国務大臣 地下資源の探掘はよほどしんぼう強くやらないと、これは石油だけに限りません。今までの例を見ましても、ほかの鉱物においても同様血ことでありますから、一年や二年やって、それで思うように当らなかったというて意気阻喪するようなことでは、ことに石油などは開発できないと私は思います。ですから私どもとしてはそう申しましても、そのときの国民がどれだけしんぼうしてくれるか、あるいは国会の御承認を受けられるかという問題もむろんありますが、私どもとしてはどこまでもしんぼうして、少くとも五年やそこらは、最初の計画の五ヵ年計画だけは遂行していきたい、かように考えております。
  52. 神田博

    ○神田(博)委員 通産大臣が不退転の決意をもって、少くとも五ヵ年間はこの計画通りやる、こういうことでございますから私はその意気を壮といたします。この表を拝見いたしますと、もう今まで通り出るのだということで、出る油の方も見通しなさっておられるようでありますが、そんなものは出なくとも五年ぐらいやるのだ、その先はまたそこで相談もしよう、考えもしようということでありますから、これはほんとうにここまできたのでありまするから、おやりになるのならその意気込み、心がまえでおやりになっていただきたいと思います。ついででありますからお聞きしておきたいと思いますが——たくさんお聞きしたいのだが、委員長時間厳格で私にはほんのちょっぴり、わずかの時間しか与えてくれないので遺憾でありますが、これはいずれどこかで埋め合せていただくことにいたしまして、もう一つだけでやめます。  石油開発が大事なことはこれはもう私は議論の余地はないと思いますがさらに今後、今後と申しましょうか、もうすでに、たとえば諸外国の例を見ましても、最近の原子力の問題に関連してウラニウムの探鉱と申しましょうか、世界のどの国でも莫大な金をかけて、これの国内資源の調査をやっておるのであります。私はこの石油も今申し上げたように大事なことでありますが、しかし将来のわが国の新しい産業として、このウラニウムの探鉱こそは、ほんとうにわれわれ民族の血を沸かすくらいの大事なことだと思う。これは石油以上の問題だと私は思う。これは通産大臣というか、内閣がこの次の国会あたりに炭鉱会社を作るというか、あるいはその準備として助成金か何かで今の鉱山会社にこれを交付してやるか、あるいはその他の方法でやるか、その辺について私はすでに腹をおきめになっておられるのではないかと思う。もしきめておられ安いなら、これはきめる必要があるのではないか、こういうふうに考えるのであります。これは地下資源とは直接関連がないかもしれませんが、しかしエネルギー源としては非常な関係を持っておるわけでございまして、この点についてお考えになっておられることを、簡単でけっこうでございますから、率直に一つお知らせいただきたいと思います。
  53. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ウラニウムにつきましては、むろん探鉱をいたす計画でありまして、本年度も二千何百万円かそのために予算を組みました。そしてすでに探鉱をすべき地点もそれぞれきめております。これは原子力の問題として今後強力に推進していくという方針をきめております。
  54. 神田博

    ○神田(博)委員 二千数百万の予算で今年から手がけたということでございますが、これは相当莫大な金が要ると私は思います。これこそはほんとうに地下埋蔵量の探鉱でありますから、表面に現われておるものはごくまれだと思う。何とか一つ画期的な方途をお考えになって、一方において希少資源だといわれる石油にこれだけの熱意を傾ける政府であるならば、私はウラニウムの探鉱こそは一つ相当がんばっていただいていいのじゃないかと思います。今熱心にやるということでございますから、一応それを了承いたしまして、私の質疑を終ることにいたします。
  55. 田中角榮

    田中委員長 他に質疑がないようでありますので、これにて両案に対する質疑は終了いたします。  討論の通告がございませんので、討論は省略いたしまして、まず石油資源開発株式会社法案について採決いたします。  本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま櫻井至夫君より本案に対する附帯決議が提出せられました。この際趣旨の説明を求めます。櫻井至夫君。
  57. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 石油資源開発株式会社法案が成立いたしたわけでございますが、この法案に関しまして各党一致の附帯決議が提出せられましたので、私はこれを代表いたしまして、まず案文を朗読いたします。    付帯決議(案) 一、石油資源開発株式会社目的は、石油資源総合開発五ヵ年計画を実施することにあるはもちろん、可燃性天然ガス開発も含むものである。よって政府は今後の出資について、万全を期するとともに、債務保証についても、必要に応じ、可及的すみやかに所要措置を講ずること。 二、石油資源開発株式会社の人員充足に当っては、優先的に帝国石油株式会社よりこれを行い、この計画実施中は、人員整理等のごとき労働不安を生じないよう政府は責任をもって帝国石油株式会社並びに新会社に対し適切なる指導及び処置を講ずること。 三、第八条に規定する事業計画等の認可を行うに当って、通商産業大臣石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の意見を十分尊重すること。  以上三点が附帯決議でございますが、この趣旨はもはや昨日からの質疑の段階において明瞭になっておることでございますが、第一の問題は、このような会社が発足いたしましても、今後の政府の出資あるいはこの新しくできた会社に対する債務保証ということが、今後のこの会社の運営を全からしめると同時に、この開発計画が今後成るか成らないか、重大なポイントになると思いますので、今後の資金計画あるいは会社の債務保証について十分政府の責任ある措置を講じていただきたい、こういうことを強く要望するのであります。もちろんこの会社の仕事は、大臣もしばしば仰せられておる通り、非常に危険を伴うものでありますけれども、かりに中途においてガス石油が出ないというようなことがあっても、政府はそれに挫折することなく所期の計画を進めていってもらいたい。そのためには十分なる資金の措置を講ぜられたい、こういうことが一点であります。  第二点は、昨日も各同僚委員からいろいろ質疑がありました通り、この会社が発足に当って、この会社に使われるところの従業員の問題でありますが、最初の間は現在の帝石から当分充足しなければならないというふうに考えるわけでありますが、この充足に当って、いやしくも人員整理等のような、あるいは不当労働行為のようなものが起きないように——われわれはこの会社が発足することによって、日本石油開発事業がさらに躍進的な進歩を遂げるということを念願するのでありまして、そのためにこの企業内におけるいたずらな労使の対立による混乱、紛争が生じないように、これは政府において、新会社あるいは帝石に適当なる指導及び処置を十分講じていただきたい、このことが第二点でございます。  第三点は、第八条に規定する事業計画の認可を行なうに当って、今度新たに設置されるところの審議会の意見を十分取り入れていただきたい。この三点が政府に対する要望でございますので、この点を十分尊重して守っていただきたい。  以上がこの附帯決議の趣旨でございます。
  58. 田中角榮

    田中委員長 樫井奎夫君提出にかかる附帯決議案について討論の通告があります。これを許します。伊藤卯四郎君。
  59. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 実は私が特にただいまの附帯決議に賛成を申し上げることは、政府法律を通すまでは、非常に謙虚な気持であるけれども、一たび法律が通ってしまうと、役所はこれを自分のもののようにして、とかく民意を聞かず、官僚的にやろうとするくせがある。そういう点から、私はこの法律の経過から見ましても、一応はっきり政府側に注文をつけ、また大臣の意見等も伺っておかなければならぬと思うのでございます。  御存じのように、この法律案政府が出そうとし、大蔵省の反対にあって挫折し、それでわれわれ超党派的に、この法案議員立法として提案をして、絶対成立をするという見通しがついたところが、政府はこれは面目がないというようなことで、また国会の力絶対なりという、バックの上に立って、われわれから取り上げてこの法案を今日に至らしめたのであります。もちろんわれわれは、政府でよりよくしてお出しになることはけっこうであるし、賛成である。そういう点から、きわめてこの法案は能率的に本日上るようになってきたのである。ついては、ただいまの附帯決議は、通産大臣はもちろん非常に尊重して実施の任に当られると思うのでありますが、私は二つの点を注文をして、附帯決議に賛成をするものでございます。  この会社は、御存じのように政府が二分の一以上の株を持つ国策特殊会社である。従って計画事業達成には、これに必要なる資金の裏づけについては、政府は至上命令として、これに絶対責任を持たなければならぬということが一つであります。さらに政府は、債務については他の特殊会社——航空会社は外債ではあるが、電源開発等についての特典の処置を講じておるにもかかわらず、今回この提案にはこれを織り込んでおらぬのであります。これははなはだ遺憾でございます。前回からの質疑応答によって、この会社が借り入れを必要とするのは、油田が発見されたとき、その開発に必要なる機械等の購入代金であるから、その際は政府のあっせんにより借り入れば容易であると思うので削除したということを言っておるのである。しかしながら油田の開発は、一本の井戸を発見したから直ちに開発ができるものではなくその構造、規模等の探求に当って時日を必要とし、本格的な開発は二年ないし三年後であるといわなければならぬことは、との事業の性質から見て明らかでございます。しかもその間相当の資金を必要とするが、これに探鉱費を割り振りするとすれば、探鉱作業が圧縮されるととにならざるを得ないのでございます。しかも埋蔵量の確定しない期間中の油田は担保価値が認めがたいのでございます。従って社債の発行、銀行よりの融資等は、普通の方法によっては困難であることは、もちろんこれは御存じ通りである。この間の処置について、政府はいかに考えておられるか。政府の債務保証等の、特殊会社同様の規定をしておくべきであると思うのであるが、これらの点が明らかになっておりませんから、この法案を成立さすに当って、この際政府側、通産大臣のこれに対するお考えを明確にしておいていただかなければならぬ、こう思うのであります。  さらに、会社が今後探鉱を実施しようとする地域、すなわち五ヵ年計画に織り込まれている探鉱実施候補地域の約七割、これは帝石が保有している鉱区でありまして、また探鉱実施に必要とする人員、機械、技術等についても、その大部分は帝石が保有していることは申すまでもありません。従って今回の処置によって新会社発足に当っては、以上の点で帝石の十分な協力を得なければ、とうていこの新会社の任務というか、使命を遂行することので自ないことは申し上げるまでもありません。また新会社の設立と同時に、帝石よりその人員がある程度漸次移行することは当然でございましょう。新会社が新しく油田を発見した場合、油田開発に要する人員、機械の移行も、これは当然起ってくることは申すまでもございません。新会社と帝石は、将来かくのごとき立場に立って、お互いに緊密な連絡と協力の態勢を持続していくことが、この新会社目的を達成させる上についてきわめて重大であることは申し上げるまでもありません。現在帝石は五千人からの従業員をかかえております。新会社の設立に当り、また将来油田の発見により、その中の何割かの従業員が新会社に移ることも、これまた当然の成り行きであろうとも思うのでございます。帝石においてはそのまま残る従業員もあるわけであるから、おそらくは帝石の従業員諸君は、将来の職場確保の観点から、その身の振り方というか、そういう点において相当に心配し、御存じのように悩んでいることは、政府側、通産大臣は十分御存じ通りでございます。従って従業員の不安を解消するために、一つ、新会社に対しても、帝石に対しても、相互が企業として成り立ち得るような方途について、この際政府としては十分考慮をして、この必要なる処置をとらなければならぬことは申すまでもないと思うのでございます。二は、帝石の従業員の労働不安を解消し、帝石並びに新会社の企業に安んじて協力をするためには、新会社が成立したら、帝石との間に労働関係の諸問題について覚書を交換させて、それによって労働安定の態勢を確立さすということが、きわめて重大であることは申し上げるまでもありません。昨日、石橋通産大臣も、この帝石と新会社の間においてこの労働諸問題を解決していくためには、これによるところの覚書を交換させて、これらの不安を解消することについては賛成であったようであります。またそれについては、十分そのようね考え方に立ってやらなければならぬであろうという意味をお述べになったようでございますが、この点については先ほどの附帯決議案にも明らかになっておる点でございます。それでこの帝石並びに新会社に労使協力態勢を確立して、新会社計画事業の完遂に対して遺憾なきを期する大事ねところであると思いますから、あわせてこの労働不安解消の問題について、大臣の所信を明らかに伺っておかなければならぬと思うのでございます。以上の諸点を述べまして、私ただいまの附帯決議に賛成でございます。
  60. 田中角榮

    田中委員長 櫻井夫君提出にかかる附帯決議案について採決いたします。本案に櫻井奎夫君提出の附帯決議案の通り附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め・本案に櫻井奎夫君提出の附帯決議案の通り附帯決議を付するととに決しました。  次に石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について、採決いたします。本案を原案通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました二法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際石橋通産大臣より発言を求められております。これを許します。
  64. 石橋湛山

    石橋国務大臣 二法案通過に御努力を願いましてありがとうございました。またただいまの附帯決議については、かねがね申しております通り政府としても同様に考えておった次第でありますから、むろんこれを尊重することはあらためて申し上げるまでもないことと思います。  また今伊藤委員からお述べになりました新会社及び帝石等の関係、特にこの労務に関するととは、これも昨日私から質問に応じてある程度申し上げました通り、もともとさように考えておる次第でございますから、十分伊藤君の御趣旨を尊重いたすことをはっきり申し上げておきます。
  65. 田中角榮

    田中委員長 本日の会議はこの程度にとどめます。  次会は来る十一日午前十時より開会いたすことといたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十三分散会