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1955-07-06 第22回国会 衆議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月六日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君    理事 中崎  敏君       秋田 大助君    小笠 公韶君       菅野和太郎君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       椎名悦三郎君    野田 武夫君       森山 欽司君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    小平 久雄君       南  好雄君    村上  勇君       加藤 清二君    片島  港君       櫻井 奎夫君    田中 武夫君       帆足  計君    八木  昇君       伊藤卯四郎君    菊地養之輔君       佐々木良作君    田中 利勝君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩村 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  齋藤 正年君         中小企業庁長官 記内 角一君  委員外出席者         議     員 春日 一幸君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         外務事務官         (経済局次長) 西山  昭君         大蔵事務官         (為替局資金課         長)     佐々木 庸一君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月五日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として椎  名悦三郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  櫻井奎夫君議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月五日  石油資源開発株式会社法案内閣提出第一四二  号)  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第一四三号) 同月一日  只見特定地域総合開発促進に関する請願(粟山  博君紹介)(第三一四五号)  黒又川電源開発に伴う損害補償に関する請願(  田中角榮紹介)(第三一四六号) 同月五日  日台貿易協定によるバナナ、パイン缶等の輸  入外貨資金割当に関する請願河野密紹介)  (第三四〇二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人招致に関する件  特定物資輸入に関する臨時措置に関する法  律案内閣提出第八九号)  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)  百貨店法案春日一幸君外十三名提出衆法第  一八号)  下請関係調整法案春日一幸君外十三名提出、  衆法第二〇号)  中小企業安定法の一部を改正する法律案小笠  公韶君提出衆法第二四号)  繊維製品品質表示法案内閣提出第一三七号)  石油資源開発株式会社法案内閣提出第一四二  号)  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第一四三号)     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  まず委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。石炭鉱業合理化臨時措置法案審査のため、炭鉱地帯現地調査を行いたいと存じますので、衆議院規則第五十五条により議長委員派遣承認を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお開会中のことでもあり、航空機往復利用についても、議長にあわせて承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  委員派遣承認申請書に記載する派遣目的派遣委員の氏名、期間、地名につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおこの際お諮りいたします。去る五月十七日本委員会において、北海道における風倒木利用対策樹立のため委員派遣承認申請をいたしたのでありますが、その再考慮方議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に小委員会における参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。ただいま本委員会において審査中の中小企業安定法の一部を改正する法律案につきましては、中小企業に関する小委員長の申し出もありますので、これを中小企業に関する小委員会において参考人より意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中角榮

    田中委員長 ご異議なしと認め、本案について参考人出頭を求めることに決しました。  なお日時、参考人の選定につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 田中角榮

    田中委員長 去る六月二十日本委員会に付託せられました下請け関係調整法案議題として審議に入ります。提出者より趣旨説明を求めます。春日一幸君。
  10. 春日一幸

    春日一幸君 お許しを得まして、ただいま議題となりました下請関係調整法案提案理由説明をいたします。  今回、通常取引契約と区別いたしまして、特に親企業下請中小企業との取引契約についての諸条件を調整する必要を認めました理由は、  第一に、下請をしている中小企業は、親企業より与えられた条件が、自己に不利であってもこれに従わざるを得ないほど経済力が弱いのが一般的実情でございます。特に下請契約条件について何ら文書に明記しない商慣習さえ残存しておるのであります。下請企業の親企業に対する取引関係後進性を是正し、通常取引契約関係に引き上げることは、下請企業の経営安定のための根本策であるのであります。  第二に、親企業下請に対する支払いは、不当に遅延する傾向は次第に強くなってきているのであります。昨年三月には、公正取引委員会下請代金の不当な支払い遅延に関する認定基準を定めまして、これによって十一大企業不当支払い遅延を冒しているものとして摘発をいたしました。しかしながら、このような単なる行政措置によっては、現状のようにますますひどくなってくる支払い遅延状況は防ぐことはできないありさまであります。  すなわち最近では、一般支払いは、現金支払いよりも手形支払いの方が多くなるばかりであり、その上手形期間は百二十日が普通とされるに至り、二百十日手形さえ発行されておるのであります。しかも金融機関は、これらの手形の一部しか割らないので、中小企業は、高利とは知りつつも貸金業者等の手で、不利な条件のもとで手形を割り、みずから経営内容を悪くせざるを得ない窮地に追い詰められているのであります。  本法案は、下請中小企業の親企業に対する取引関係における後進性を是正して、下請中小企業経営の安定をはかるために、取引関係における諸条件を明らかにいたしまして、かつ条件基準を定め、紛争が起った場合にはそのあっせんをはかるよう法律上の措置を行なったものであります。わが国のごとく中小企業が総企業数のうちに圧倒的多数を占め、かつ重要産業である機械器具製造業等のほとんどが、下請企業に依存している現状にかんがみまして、この立法措置わが国経済実情に即し、かつ必要なるものであるのであります。  何とぞ慎重審議を賜わりまして、本法案に御賛成あらんことを期待するものであります。     —————————————
  11. 田中角榮

    田中委員長 本案に対する質疑は後日に行うことといたします。
  12. 田中角榮

    田中委員長 次に昨五日本委員会に付託せられました、石油資源開発株式会社法案及び石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案一括議題とし、審議に入ります。政府より趣旨説明を求めます。通商産業政務次官島村一郎君。
  13. 島村一郎

    島村政府委員 ただいま議題となりました石油資源開発株式会社法案について御説明いたします。  わが国原油生産量は、現在年間三十四万キロリットル程度であり、国内消費量に対し五%にも満たない供給率でありますが、エネルギー資源または工業原料としての石油の地位は、近年ますます重要の度を加えつつあり、ために石油輸入外貨支払額は、食糧、繊維原料に次いで一億七、八千万ドルに及ぶ巨額に達する次第でありますので、国内における石油資源を急速に開発し、その自給度向上をはかることは、現下における国家的な急務と考えられます。石油自給度向上につきましては、欧米諸国におきましても従来から国の施策として多大な努力が傾注されており、その成果も目ざましいものがありますが、なかんずく、西独、フランスにおいては、この数年間に、それぞれ三倍ないし、六倍の増産に成功しておるのであります。  従いまして、良好な石油集油構造恵ぐまれるわが国のみが、ひとり現在程度石油生産に甘んずることは許されないところと申されます。よって、通商産業省におきましては、昭和二十八年九月の石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の答申にかかる石油資源総合開発計画に基き、わが国石油資源賦存性埋蔵量を急速に確認し、もってわが国における石油生産年間百万キロリットルの線にまで高めたい所存でありますが、本法律案は、右の趣旨により石油資源開発を急速かつ計画的に行う実施主体として、広く石油採掘業者石油精製業者等資金の参加を得・政府半額出資からなる特殊会社として石油資源開発株式会社設立し、所要助成措置を講ずるとともに、他方では、会社に対し、必要な監督を行おうとするものであります。  すなわち政府があえて本会社設立を企図いたしましたゆえんのものは、第一に、石油資源開発を推進する主体として、国の意思を的確に反映することのできる機構が必要であり・そのためには本会社のごとく国の強力な支持と監督とを期待し得る会社設立が望まれたと。第二に、わが国における民間石油鉱業探鉱に投下し得る資金にはおのずから限度があり、またリスクに富む探鉱事業特殊性からして、石油資源総合的開発を純然たる私企業の運営のみにゆだねることは、資金取得危険負担の両面において少からぬ困難が予想されたこと。第三に、石油資源総合的開発石油精製業者その他の関連業者に与える直接、間接の利益を考慮すれば、開発に要する資金の一部をこれらの企業の助力に待つことがむしろ適当であり、またこれにより従来よりも多額の民間資金の活用が可能であることにあったのでありまして、政府といたしましては、とのような強力な機構の確立により、石油資源総合開発の今後における飛躍的な伸展を期している次第であります。  以下本法律案概要を申し述べますならば、第一には、会社目的石油資源開発を急速かつ計画的に行うことにある旨を明記し、会社事業を、石油資源探鉱石油及び可燃性天然ガスの採取及びその販売並びに会社目的達成に必要な事業に限定いたしました。  第二には、本会社が国の意思を的確に反映することのできる機関であることの裏づけとして、政府は常時会社株式の二分の一以上を保有することとし、その特殊会社としての性格を明かにするとともに、会社設立に際し、政府は、その所有する帝国石油株式会社株式現物出資することを規定いたしました。  第三には、会社の役員に関しその人数取締役については七人以内、監査役については二人以内とし、必要以上の人員増加を防止するとともに、取締役の業務の執行が、他の関連企業等との関係によって当を失することのないよう・特に必要がある場合のほかは、兼職を制限いたしました。  第四には、会社の営む事業石油探鉱主体とするものであり、その事業の遂行には、一面において少からぬ起伏が予想される関係上、会社経理平準化を期する上から、会社がその成立後五年間に支出した費用については、十年ないし十五年間繰り延べ経理を認めるとともに、他方では、探鉱資金社外流失を防止するため、会社成立後五年間は、利益の配当を制限することといたしました。  第五には、会社性格にかんがみ、各種の助成措置を講ずることとし、会社に対しては、その設立資本増加鉱業権設定等に際し、登録税を免除するとともに、国は、昭和三十年度に限り、探鉱に必要な費用の一部について会社補助金交付し、さらに、社債発行限度の特例を規定することにより資金の確保に遺憾なきを期しました。  第六には、以上と表裏して、会社取締役等の選任の決議、合併及び解散の決議事業計画等設定及び変更、定款の変更社債発行利益金の処分、新株の発行重要財産及び鉱業権の譲り受け等については、通商産業大臣の認可及び監査等、国が監督を行うこととし、右のうち所要事項に関しては、大蔵大臣と協議すべきことといたしたのであります。  以上本法律案提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。  次にただいま議題となりました石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、昭和二十七年に制定を見ました石油及び可燃性天然ガス資源開発法の施行以来、石油及び可燃性天然ガス資源を合理的に開発し、公共の福祉の増進に資するために、その掘採方法について同法による所要措置を講ずるとともに、探鉱及び掘採に対して補助金交付による積極的な国家補助を行なって参ったのであります。しかしながら、最近における石油鉱業現状に対処し、わが国石油資源の総合的な開発を促進するため、従来の補助金交付による探鉱活動助成措置を改め、政府半額出資による特殊会社としての石油資源開発株式会社設立し、政府の強力な監督のもとに探鉱の急速かつ計画的な実施に当らせることといたしました。よって、政府は、別途、石油資源開発株式会社法案を上程するとともに、石油及び可燃性天然ガス資源開発法のうち、補助に関する規定を削除し、またとれに伴う関係規定の整理を行い、ここに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案提出することといたしました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  14. 田中角榮

    田中委員長 特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案輸出入取引法の一部を改正する法律案百貨店法案中小企業安定法の一部を改正する法律案繊維製品品質表示法案石油資源開発株式会社法案石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案一括議題となし、質疑を行います。質疑通告順によってこれを行います。内田常雄君。
  15. 内田常雄

    内田委員 ただいま政府から御提案になりました石油資源開発株式会社法案につきまして、自由党を代表して概括的な質問を申し上げたいと存じます。  御承知のように、この法律案は、通商産業大臣の強い御希望のもとに、当委員会におきまして議員提案として研究を進めて参ったものでありますことは大臣も御承知通りでありますが、今回の政府提案法律案は、われわれが議員提案のもとに準備をして参ったものとどの程度に同じで、またどの程度の違いを含んでいるか、それらの点につきまして、大臣もしくは所管の局長から概括的な説明を承わりたいと思います。
  16. 川上為治

    川上政府委員 大きな問題につきましては、今から申し上げますが、大体におきまして、この委員会起草におきまして作られたものと同じでございます。ただ問題は法律に書いたものと、あるいは行政措置でやれるものとがありまして、法律で書かなくても、行政措置でできるものは法律から削除いたしまして、行政措置で現在いたしております。  おもな点を申し上げますと、起草委員の案であります第二条の関係で、政府の持株を二分の一以上にするという点につきましては、その通りになっておりまして、政府としましては、二分の一の株を持つということになっております。  それから大きな問題で申し上げますが、圧縮記帳規定がございましたけれども、圧縮記帳規定につきましては、これは条文に入れなくても、大蔵省といろいろ相談しました結果、これは十分行政措置でできるということでございますので、これは条文から落してあります。これは実質上できるということになっておるわけでございます。  それからもう一つ債務保証債務保証の問題につきましては、これはいろいろ大蔵省とも折衝をいたしたのでございまして、私どもの方といたしましては、起草委員趣旨を体しまして、極力債務保証をしてもらいたいということで、いろいろ折衝をいたしたのでありますが、ただこの会社におきまして債務保証の起る場合は、現実に油田を試掘いたしまして、それが当りまして、当った後の採掘機械を買うための資金ということになっておりますので、それを債券発行してあるいは借入金をして充てるということになっておるわけでございます。そういう債券なりあるいは借入金については、これはほんとうに当った、そしてその採掘のための機械というようなわけで、それは政府努力によって、十分その借入金なりあるいはまた債券発行については、あっせんし得るのじゃないかというような意見もございまして、この債務保証規定は、実は落ちておるわけであります。  それからもう一つの問題につきましては、取締役、重役についての人数を制限してございますのと、それからその兼職の制限をいたしました。これはやはりこの会社におきましては、他業兼職するということはよくないんじゃないかというふうに考えられましたので、この兼職をとにかくやめる、そしてこの会社専門にやってもらうというようなことにいたしたわけでございます。  それから税の関係で、地方税につきましては、これはこの会社におきましては、最初起草委員の案としましては、免税規定になっていたわけでございますけれども、これもやはり鉱区税のごときは、やはり払った方がよくはないか、また現実問題として鉱区税のごときは各県と相談して、適当にこれが処理することができるのではないかという話もありまして、これは落してございます。それからなお法人税につきましても、これも免税規定をやめておりますけれども、これはやはり一般産業と同じように、新しい施設につきましては、特別に三年間免税規定もございますので、それでやっていけるから、特別にこれもやらなくてもいいんじゃないかというようなことになっております。  まだこまかい点もございますが、大体大きな問題につきましてはその程度でございますが、大ざっぱに申し上げまして、債務保証という点が、この起草委員会の案と異なって、それを削除いたしております。その点が非常に大きく違う点でございます。  それから第一条でございますが、第一条におきましては、起草委員の案としましては、政府の定めるぞ油資源開発計画に基き、ということになっておるわけでございますが、今回の政府提案としましてはこれが落されておりますけれども、これは単に大蔵省との折衝だけではなくて、法制局折衝いたしております最中に、政府の定める石油資源開発計画に基きという文句を入れますと、これに伴ったいろいろな規定を設け、あるいはまたこの会社法というよりは、むしろ石油資源開発法という法律でなければ、法制的におかしいじゃないかというようなお話もありましたので、第一条におきましては、「石油資源開発を急速かつ計画的に」という字を入れまして、やはりこの会社におきましては、計画的に開発をするんだということにいたしまして、この委員会最初起草案趣旨を十分生かそうということにいたしたわけでございます。  以上申し上げましたように、今度の政府の出しました案のうちで、起草委員会の案と非常に違います点は、債務保証、これが大体大きな問題の一つではないかというふうに考えております。
  17. 内田常雄

    内田委員 この会社ができます根拠は、大臣説明にもございましたように、現在の帝国石油株式会社及び国内における輸入石油精製会社等資本出資、その他の協力が得られるかどうかというところに非常な重点がありますが、今回政府提案でお出しになりました以上、もちろんさような点につきましては、通商産業大臣の見通しなりあるいは政治力にわれわれは信頼をいたしておりますけれども、これらの政府以外の出資会社との関係におきましては、それらの協力を得られる十分な確信がおありになるかどうか、大臣から一つ……。
  18. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は十分確信ございまして、かつ関係者から証書も入っております。
  19. 内田常雄

    内田委員 そういたしますと、この会社設立当初の資本金は、政府が現在保有いたしております帝国石油株式会社株式現物出資、これがわれわれの記憶では約四、五億円の時価であると思いますが、他の民間会社等からの出資を合せまして幾らくらいの資本金設立されることになりますか、お見込みを一つ……。
  20. 川上為治

    川上政府委員 第一年度におきましては九億と考えております。それは大体四億五千万円程度が、現在帝国石油政府が持っております株を現物出資という形で、これを時価に換算しますというと、大体四億五千万円、それの残りの四億五千万円のうち、三億は帝石の方から出すということになっておりまして、その証書も実はもらっております。それから残りの一億五千万円程度につきましては、われわれ最初三億程度というふうにことしは考えていたのですが、これは政府の払い込みが二分の一以上でなければならぬという規定がありますので、大体一億五千万円程度、ことしは一般精製業者その他の方から出さしたいというふうに考えておりますが、精製業者等におきましては、これも大臣から今お話がありましたように、三億程度のものはこれは毎年出せるということもわれわれの方に話がきておりますし、証書としましても、十分協力するという精製会社の各社の一札がすべて入っておりますので、これは十分できるのではないかというふうに考えております。
  21. 内田常雄

    内田委員 そうしますと、本年度は九億円の資本で出発をなさる、本年度会社ができますのは年の中途でありますから、この会社が大きな計画を持っておりましても、初年度においてはそう大きな金は要るまいと考えますけれども、政府の御計画石油開発の五カ年計画を遂行いたしますためには、明年度以降からは本格的に相当資金が要ることと考えます。本年度におきましても通商産業省大蔵省との間におきましては、この会社設立のために相当財政投資を国がするかどうかということに関しまして意見の相違があったことはわれわれも承知しておりますけれども、この会社が出発いたしました以上は、第二年度以降三年度、四年度先のことは別といたしましても、昭和三十一年度予算編成等につきましては、この会社が二年度において本格的に事業に踏み出すための総資金所要量の半分——これは何億になりますか、おそらく本年度予算に計上された補助金の三億円よりも相当大きい金額を予算に計上しなければならないと思いますが、これらにつきましても十分大蔵省と御了解を得られましたか、大臣から承わりたい。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は先ほど政府委員から御説明を申し上げました債務保証の問題と同時に、これは大蔵大臣と確約をいたしております。
  23. 内田常雄

    内田委員 それと同時に二年度、三年度における民間の出資政府と半額でありますから、これも今川上政府委員お話になりましたような、本年度の四億五千万円よりも大きいものを民間から期待をしなければならない、来年度帝国石油が三億でありましても、あるいはそれ以上になるかもしれませんが、国内の製油会社等から本年度の一億五千万円以上のものを期待しなければならないのでありますが、二年度以降につきましてもこれらの製油会社からの協力の期待は十分でございましょうか、お伺いいたします。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは現に大いに協力してやろう、こう言っておりまして大丈夫と思います。
  25. 内田常雄

    内田委員 次は鉱業権、鉱区の問題でありますが、この会社が出発いたしますときには何も鉱区を持っていないわけであります。従って帝国石油の現在保有する鉱区でありますとか、あるいは日本鉱業その他の従来の採掘会社の鉱区を譲り受けたり、あるいは共同鉱業権設定するというようなことで出発しなければこの会社事業ができないわけでありますが、この法律案の中におけるそれらの事項に関する規定の整備、あるいは規定を離れまして実行上の問題に不安がないかどうか、この点大臣または政府委員から伺いたい。
  26. 川上為治

    川上政府委員 帝国石油からその鉱業権を譲渡させる問題につきましては、別にこの規定におきまして条文の中には入っておりませんけれども、帝石の方から試掘権をできる限り譲渡するという一札もちゃんと入っております。しかも譲渡する場合におきましては、帳簿価格で譲渡するということになっておりまして、この点は心配はないと考えております。ただ日本鉱業とかあるいはその他の鉱業権者からは別にそういう一札はもらっておりませんが、これもどうしても自分でできないような場合におきましては当然この会社に譲渡してくるものと考えられますが、有望な地域でありまして鉱業権の上にそのまま眠っておるようなものがありますときは、現在あります開発促進法によりましてその試掘権を強制的にこの会社に譲渡させる道もございますので、それでいきたいというように考えております。
  27. 南好雄

    ○南委員 関連して……。従来持っておりました鉱業権の、こういう特殊の会社ができた場合における承継の方法は、今政府委員の言われたような簡単な問題ではないと私は思います。帳簿価格で単に一札が入っておるといいましても、その帳簿価格の内容たるや、一つ会社の——いわゆる会計士におそらくかかっておると思いますが、要するに一つ会社の帳簿価格であって、取引上あるいは経済的に見ましてほんとうに妥当なものかどうかという点になってきますと相当むずかしい問題であります。これは大臣もよく御存じだろうと思いますが、そういうものの承継につきましては非常に慎重に考えなければならぬ、さらに進んで帝国石油はそうでありましても、帝国石油以外の会社のいわゆるそういう権利との関係、それからいま一点は、こういうものをわざわざ国策的に作ります以上は、今後石油採掘試掘に関する鉱業権設定の方針です。鉱業法上これは大きな制限をする腹か、今までのようにだれでも石油のあるところを大体調査いたしまして、鉱業法上の石油試掘権なり採掘権の出願が簡単に認められるということになりますと、今の情勢ではほとんど石油のありそうなところは鉱業権の対象になっておると思います。しかし地下は広大であります。普通常識的にはそういう鉱業権の対象になっておりましょうとも、それ以外の地辺におけるいわゆる鉱業法上の出願についての制限をどういうふうに考えておられるか、単にそれはそういうふうに、できてから処理するというような、すべて会社設立までほおかぶりというようないき方をなさるのか、ある程度の方針を持って、鉱業法上のいわゆる許可方針について特殊の考えをお持ちになっておるか、この点はっきり速記録に残しておかなければならぬと思いますから御質問いたします。
  28. 川上為治

    川上政府委員 現在鉱業法によりましては、どういう方でも鉱業権の登録申請をいたしますと、機械的に先願順によりまして許可を受けることになっております。この方針につきましては、別に石油でありますからといって、この際変えるというようなことは考えておりませんが、ただこの問題につきましては、私どもとしましてやはり鉱業法全体として、全体のあらゆる鉱石についての鉱業権として、十分今後におきまして検討してみなくちゃいけないのではないかというふうに考えています。特に特別な鉱種についての増産、特別増産というようなものにつきまして、これをかみ合せて今後十分検討しなければならぬと思っておりますが、ただこの会社におきまして、大体最初やろうというような計画のものにつきましては、ほとんどその大部分が帝国石油の所有の鉱業権になっておりますし、また現在日本における石油の鉱区については、六割程度帝国石油鉱業権になっておりますので、私どもといたしましては、帝石の方から一札をいただいて、鉱業権——と申しますと試掘権でありますが、試掘権についてはできる限りこの会社に対して譲渡するというような一札も入っておりますので、その点は南先生からのお話もありますけれども、大丈夫やっていけるのじゃないかというように考えております。もしそれでどうしてもいけない場合、その鉱業権者が試掘権をこの会社に渡さないで、権利の上に眠っておるという場合においては、先ほども申し上げましたように、石油につきましては、特別に昨年この国会で通りました石油資源開発に関する臨時的な措置法律が出ておりますので、この法律で強制的に鉱業権を譲渡させるという道も開いておりますので、これでやっていけるのじゃないかというふうに考えております。ただ、今先生からお話がありました譲り渡しの価格、これを帳簿価格でいくことがいいかどうかという問題については非常に検討を要した点でありますけれども、私どもの方としましては、特に石油鉱業権につきましては、評価の仕方がなかなかむずかしいのでありまして、大体石油の業界におきまして慣習となっております鉱業権を譲渡する場合におきましては、一応帳簿価格で渡して、もし渡されたものが採掘してみて非常に当ったというような場合におきましては、歩油で返すというようなことでやっておりますので、その制度を会社鉱業権者の間におきましては実は採用しておるわけであります。この制度につきましては、最近ドイツから帰って参りました帝国石油の役員ですか職員の話によりましても、ドイツにおいても同じような制度があるように聞いておりますので、そういう慣習を重んじて一つやりたい。ただ先ほども申し上げましたように、鉱業権の譲渡の価格については評価の仕方が一般の鉱物よりも非常にむずかしい。ですからさしあたりは帳簿価格で買って、あとで当ったら歩油で返す、こういうような方式でいきたいというように考えております。南先生のおっしゃいましたことも、われわれとしましては、そのお説の通り十分考えたのですが、やはり今の情勢におきましては今申し上げましたようなやり方でいくほかないのではないかというふうに考えたわけであります。
  29. 南好雄

    ○南委員 上っつらの表面からすらっとなでるなら、今の政府委員のお答えのようでけっこうなのであります。しかしほんとうに具体的に問題になるのは、何と申しましてもいかなる価格で鉱業権を新しい会社に承継するかという点にかかってくるのでありまして、それが今言う通りに帳簿価格であるとか評価がむずかしいから仕方がないとかいうような点で、もし万一相手方が承知しなかった場合には、この会社事業と申しますものは非常に困難になります。またかりに承知したとしても、出た油は全部歩油とか何とかいう名前でもって帝国石油にばかりいくようになりますれば、結局こういうような会社を作っても、掘ったり、いわゆるスペキュレートの場合だけはこの会社がやって、出た油は全部帝国石油にやらなければならないというようなことになりまして、私は取引あるいは会社の将来ということから考えまして、やはりそこが肝心かなめのところではないかと思う。もう少し皮肉を申しすと、ただいま石油のとれそうなところはみな鉱区の対象になっておる。しかしこれとてもまだやはりありますのでどんどん許した、これが全部帳簿価格で新会社へ渡されていくということになりますると、これもおかしなものだと思うのであります。有名な著名な鉱業会社でどんどん鉱区をとったやつが、その帳簿価格でどんどん新会社へ引き継がれていくということが、しいて考えれば考えられぬこともない。そういうことについて、私は何と申しましても、新しい会社事業の中心になります鉱業権の取扱い方に関する規定が非常に不備だと思う。もう少し評価の方法についての委員会をこしらえるとか、大体みなから納得できるような方法で、これは法律の中へ書くのがむずかしければ、命令の定めるところによって、省令に委任してもけっこうでありますし、もう少しこの会社の中心になるものについてのめどを命令その他に委任されて救っておおきにならないと、会社は作ったが動かぬ、今政府委員は一方的にここでいろいろなことをお述べになりますが、いよいよ会社設立にかかりますと、相手のある仕事でありますので、あっちへぶつかりこっちへぶつかって、なかなか会社ができ上ら並んだということになりますと、これは老婆心でありますが、非常に気の毒ですから、どこかで一つ命令の定めるところによって会社の動きやすいようにお考えおきになっておく必要がなかろうかと私は思う。それから今後許されていく鉱業権につきましても、ある程度の考慮をお払いおきになら惚なれば非常におもしろいものになっていくとという気がするのでありますが、これは内田君の関連質問でありますので、あまり深く追及いたしませんが、よくお考えおき願いたい。
  30. 内田常雄

    内田委員 ただいまの同僚南委員の質問にも関連いたすのでありますが、帝国石油株式会社から鉱業権を帳簿価格で譲り渡しを受ける、その反面油田を発見いたしました場合においては、歩油を旧鉱業権所有者に与える、こういうことになるように御説明を承わりましたが、その歩油を与えるについては、歩油をどのくらい与えるか。産油の一割とか一割五分とか、あるいは商慣習があるようにも聞いておりますが、それはどういう了解になっておるのか、またこの法律案の中にはそれを規制し監督する条項があるのかないのか、その点をちょっと確かめたいと思います。
  31. 川上為治

    川上政府委員 大体歩油としましては、商慣習としてその産出量の五%ないし一五%というふうに聞いておりますが、私どもの方としましては、大体五%というふうに考えております。これは帝国石油との間にも大体五%程度というような話し合いをしておるわけでございます。それから歩油につきましては、この会社は五年程度はどうしても試掘開発の方へ全力を尽すことになりますので、五年程度は歩油は払わない、六年以降において歩油を出していくということにしたいと考えております。またこの歩油につきましては、通産大臣の許可を受けることになっております。認可事項にねっております。そこで押えるということにいたしておるわけでございます。
  32. 内田常雄

    内田委員 次にお伺いをいたしたいのは、従来、現存の帝国石油株式会社というものが特殊法人でありまして、国の原油の開発に当っておったわけでありますが、この法律によりまする石油資源開発株式会社ができますと、現存の帝国石油株式会社というものは当然にその性格変更することと考えられます。もちろん今日の帝国石油株式会社は、すでに過去の特殊会社法は廃止されておりまして、全くの私法人でありますから、帝国石油株式会社がその性格変更いたすにつきましては法律の改正は伴いませんけれども、実態におきましては石油資源開発株式会社成立に伴いまして、帝国石油株式会社というものはその性格を変えてこなければならない、またその業務が変ってくる。どの程度に変ってくるのか、帝国石油というものは原油の試掘探鉱というものを一切やめてしまって、現在出ておる原油の加工あるいはガスの加工、そういう方面に曲ってしまうということでこの会社との調整はとれるのかどうか、その辺どういう御構想であるか、あらためてお伺いをいたしたい。
  33. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は帝国石油お話のように性格が変りまして、現在掘っております石油、それから天然ガス等によって化学工業までやりたい、石油及びガスの事業をやるということに性格が変るものと考えております。
  34. 内田常雄

    内田委員 その点はわかりました。次に、先ほどお尋ねをいたしたところにも関連をするのでありますが、民間会社からこの会社資本金を出させます際に、この会社は五年間配当も押えられる、また政府石油資源開発計画によりますと、これは大体五カ年間掘っているうちには当るのでありますから、私はこの新しい会社は必ず成功するものと期待はいたしておるのでありますが、しかしこれは鉱物資源のことでございますから、必ず当るとは限らない。その際にかような会社に民間の会社出資をする場合に、その出資金額というものがすべてこれは出資会社の財産である、税法上の考え方からいたしますならば、一つ資本取引として課税の対象になる、課税の対象になると申しますか、損金としての扱いは受けないということになるといたしますならば、民間の出資は非常にやりにくい。それで私どもは当初は民間の出資を誘致いたしますために、この会社が配当を禁止いたしております五カ年間くらいは、民間の出資会社はその出資金額を圧縮して記帳をする、言いかえますならば、出資した金額の一部はこれを損金として認めるというような親切な規定も置いたわけでありますけれども、今度の政府提案法律案におきましては、さような規定もありませんが、さようなことをしなくても実質上、税法上の取扱いその他で何らかの手心が加えられるようなことをもちまして、民間会社資本を誘致するのに支障がないことにっているのかどうか、その辺いかがでございますか。
  35. 石橋湛山

    石橋国務大臣 こまかい具体的なことは存じませんが、さっき政府委員から説明したように、大蔵省等との話し合いはその点についてはついておるわけであります。
  36. 内田常雄

    内田委員 この会社は五カ年間配当は禁止でありますが、五カ年以内に油田に当りますと、現実に利益が出てくる、そうした場合にこの会社は、一方においては五カ年計画の遂行中でありながら法人税をとられる、こういうことになるのでありましょうか。それとも五カ年間法人税の徴収は免除するという規定がこの法律の中に置かれてあるのか、あるいはまた一般の租税特別措置法等における重要産業免税の規定等の引用を受けて、この法律には規定はないけれども、実質上五カ年間非課税になるということになるのでありましょうか。
  37. 川上為治

    川上政府委員 圧縮記帳の問題につきましては、今内田先生からお話がありましたように、私どもの方としましてはどうしてもこういう規定は要るのじゃないかというふうに考えまして、大蔵省といろいろ折衝したのですが、大蔵省の方としましてはこれは法律に書かないで実際問題としてやるということに話をつけましたので、これは国税庁の特別ね措置によりまして、圧縮記帳と同じような措置をとることにいたしております。  それからこの会社利益を出しました場合の法人税の免税の問題につきましては、これは一般重要産業と同様に、租税特別措置法によって特別措置を講ずるということにしてありますので、その点からも実は法人税の免除はこの法律から抜いたわけであります。
  38. 内田常雄

    内田委員 次に債務保証の問題でありますが、この会社社債発行限度を商法の制限よりも拡張せられておるようであります。しかしながらとにかく探鉱試掘を主たる目的とする会社でありまして、この会社発行いたしまする社債の元利償還ということにつきましては、通常国内観念をもっていたしますならば、相当の不安が社債の引受者にあるのではないか、さような場合には、社債発行限度の拡張に伴って政府保証ということも考えられてしかるべきではねいかという気持もあります。現に日本航空株式会社でありますとか、あるいはまたこれは外国からの借入資金についてだけであったかと思いますが、電源開発株式会社等につきましては、政府保証規定があるのでありますけれども、なぜ日本航空にはさような政府保証規定を置きながら、国内石油資源開発目的とするこの会社には政府保証規定を削除されてしまったのか、それで果して社債発行なり長期の借り入れができるかどうか、その点伺いたい。
  39. 石橋湛山

    石橋国務大臣 試掘の分は政府出資あるいはそのほかの出資でやります。社債等の必要がある場合は、油が出て採掘をするという場合の資金であるという考えから、その場合はもう少し考え方が——いよいよ油が出てそれを採掘するのだから、必ずしも政府保証がなくとも政府相当援助をすれば資金は調達ができるのじゃないか、今の法律の中にわざわざ債務保証ということを書かぬでもいいのじゃないかということから、これは落したのであります。
  40. 内田常雄

    内田委員 通商産業大臣は大へん簡単に考えられておられるようでありますけれども、私どもに伝えられたところによりますと、今の債務保証の点は通産省と大蔵省との間に最後まで議論があって、通産省もなかなかこの点はおりられないといってがんばったが、法律案成立を急ぐ関係上やむなく最後に大蔵省におろされたというふうに承わっておりますので、私は日本航空にありますと同じように、かような債務保証規定があった方がいいと考えますが、大臣がさような確信があって資金調達に支障がないということでありますならば、われわれが何をか言わんやであります。  次に資金調達に関してお伺いいたしたいのは、この会社は外資の導入といいますか、外資の利用等も考えておられるか、また法律政府がこの会社の二分の一以上の株式を常に保有をいたしておるのでありますから、残り二分の一の範囲内におきましては外国資本が入っても差しつかえないとも考えられると思いますけれども、これらの外資導入というようなことは、可能性がありますならばお考えになられるのか、あるいは、これは国内の資源に関することでありますから、たとえ政府が過半数の議決権を制しておられましても、外資は絶対に入れないということでありますか。これはおそらくこの新しい石油の試掘探鉱採掘等の機械設備を購入をいたします際にその外資の問題が直ちに起るかもしれない。かような場合にいかに対処されるか、それをお示し願いたい。
  41. 石橋湛山

    石橋国務大臣 すぐに近い将来において外資の問題はおそらく起らないと思います。しかしながら場合によって、条件等によっては外資の導入を拒むものじゃございません。しかし今のところではそれを考えてこの会社をやっているわけじゃありません。
  42. 中崎敏

    ○中崎委員 関連して。現在、また当分の間外資の導入はその必要ない見込みであるということでありましたが、たとえば技術の導入というふうな問題はどう考えられておるか。たとえば、日本の石油の試掘、採掘の技術が欧米の国々に匹敵するだけの技術を持っておるか、そしてまた日本の現在政府計画しておるところの石油技術で十分と考えられておるのかどうか、それを一つお聞きしたい。
  43. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは技術のことでありますからどれだけが十分とも言えませんので、確定的なことは申し上げかねますけれども、現在、機械はどうしてもアメリカあたりから買ってこなくちゃいけない、しかながら、その機械さえあれば日本人の技術者で試掘ができる、こういう考えを持っておる。しかしこれは技術のことでありますから、場合によっては技術の導入ということも決して考えて悪いとは思いません。
  44. 中崎敏

    ○中崎委員 たとえば石油の試掘、採掘等の掘り方の上において、パテントなどのような一つの鉱業上の権利に属するようなものがあるのかないのか、そういう必要があるのかないのかそれをお聞きしたい。
  45. 川上為治

    川上政府委員 今お話のありましたことをよく調べてみますけれども日本の技術におきましては、技術というより結局機械の問題ではないか、たとえば非常に深いところを掘る機械が、あるいはその試掘をする機械が日本におきましてはなかなかできない。そういうものにつきましては、これはどうしても買わなくちゃいかぬというような問題が出てくるのでありまして、その他のいろいろな技術につきましては、従来二次採取法とか地震探鉱など、そういう調査の方法とか、そういうものにつきましては特にアメリカの指導によりまして、相当最近におきましては技術が伸びておりますけれども、結局やはり機械が一番問題ではないか。日本におきましては千五百メートル以上を採掘したり、あるいは試掘したり、そういうような機械はなかなかできない。ですからどうしても外国に発注して、外国からそういう機械を持ってくるということが一番肝心な問題ではないかというふうにわれわれは考えておりますが、今先生のおっしゃいましたことは、さらに私十分調査いたしまして御返事申し上げたいと思います。
  46. 内田常雄

    内田委員 もう一点お伺いいたしたいのは、昭和三十年の予算には御承知通り補助金が三億円計上されておるのでありますが、今回この石油資源開発株式会社法案と相並んで石油及び可燃性天然ガス資源開発法の改正案が提案されておる。この改正案におきまして石油資源の試掘に関する補助金交付に関する規定は削っておられるのでありますが、これらの二つの法律に関連して現在予算に計上せられておる三億円の使途というものはどういう影響を受けるのか、どういうふうに支出をされるのか、この際はっきりさしていただきたい。
  47. 川上為治

    川上政府委員 三億の助成金につきましては、一括してこの会社に助成金を出そうということに大蔵省と話をつけております。ただ従来は先ほど申し上げましたように法律がありまして、その法律によりましてさらに政令が出まして、非常にこまかく助成金の使途について縛ってあったわけでございますけれども、今回はそういう縛り方をしないで、たとえば従来は助成金を出す場合におきましては三分の一の補助であるとか、あるいは二分の一の補助であるとかいうようなことになっていたわけでありますが、なるべくこの会社に出しました助成金が有効に使われるように私の方としましてはしたい。しかもあまりこまかく縛らないというようなことで大蔵省との間には話をつけてございます。
  48. 内田常雄

    内田委員 この会社探鉱、試掘をやりまして油田を発見いたしまして成功した場合、その産油の処分はどうなさるのか、この会社がみずから製油いたすのではありませんから、いずれは製油会社に販売をすることに相なると思いますが、その販売方法はどういうことに相なりますか。
  49. 川上為治

    川上政府委員 この会社が当てまして油が出ましたとき、これをどういうふうに配分するかという問題でございますが、これはまだはっきりきめておりませんけれども、私の方としましては、やはり精製会社相当出資をしますので、その出資に応じまして販売してやらなくちゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。それがまた出資をさせるにいたしましても、非常にやりやすくなるのじゃないかというように考えますので、なるべくそういう方法をやりたい。ただこの会社は精製設備を持っておりませんので、どうしても一般市販にしはければなりませんので、今申し上げましたような市販をする場合におきましては、なるべく出資をしました精製会社に対しまして、その出資比率によって販売していった方がいいのじゃないかというふうに考えております。
  50. 内田常雄

    内田委員 その販売をする場合には、今までのところによりますと、国内の原油は輸入原油の到着価格よりも値段が高い。従ってこの会社出資する会社出資比率に応じて会社採掘した石油を販売いたしましても、民間の製油会社は高いものを買わされるのでございますから、必ずしも喜ばないかもしれないという心配もあるわけでありますが、これはどうして調整をなさるのか、この会社石油を買わされるものは、他方において輸入石油の外貨割当に色をつけると申しますか、何か特別の措置をなさるより仕方がないのか。それともこれは政府出資政府機関でありますから、この会社の販売原油というものの価格を輸入原油の価格と相見合うような価格に下げて売るというようなことになるのでありましょうか。この会社政府出資だけでできるのでなくて、民間の製油会社出資等に待つものでありますから、民間の製油会社はその辺に非常な関心を持っておると思いますが、もしそれらにつきまして、ただいまのところお答えができるようでしたら、お答えを願いたい。
  51. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、この会社計画通りやりますと、相当油が出てきまして、しかも非常に値は安くなってくるというふうに考えております。計画としましては、現在帝国石油一般精製業者に販売しておる価格は輸入原油よりも相当高くて一キロリッター当り九千三百五十円ですか、こういう高い価格で販売しておりますが、少くともこの会社が百万くらい出すということになりますと、その価格は六千五百円程度くらいに下ってくるのじゃないかというふうに考えます。そうなりましたならば、十分輸入価格と対抗できるものと考えておりますが、ただ最初はそういうわけにはいきませんので、やはりある程度高い価格で販売せざるを得ないだろう。その際におきましては、やはり外貨面その他におきまして、買う方に対しまして特別な措置を与えてやるよりほかないだろうというように考えております。
  52. 内田常雄

    内田委員 そういうお考えならまことにけっこうだと思いますが、新しくできる会社の原油はどうせ高いのだ。従って輸入原油との価格差を埋めるために、輸入原油とかあるいは重油に対して関税をあらかじめかけておいて、国産の原油との価格の調整をとろうというようなことであるとするならば、これはまことに適当でない案であると考えます。これではあたかも石炭の合理化をやるために重油の規制をやるのと同じような考え方でありまして、今の川上君のお話ですとさようなことではない、これは百万キロの原油が出るのだから当然安くなるのだ、そのため一方関税をかけることはないというお話でありましたから私は安心いたしました。どうかそういう御方針で進んでいただきたいと思います。  最後に承わりたいのは、第一条の目的について、川上君から先ほど御説明がありまして、当初の議員立案におきましては、政府の定める石油資源開発計画に基きという文句があったのを、それをお取りになっておる。それもけっこうでありますが、そういたしますと、この会社は必ずしも国内石油開発ばかりでなしに、かりにこの世界のいずれかの地域におきまして、日本が積極的に進出をして原油の開発ができるような地域がありましたならば、それらの地域に進出をして外国における石油開発をやるとか、あるいはまたある国との賠償の実施等に関連して、石油探鉱、試掘というようなサービスの提供でもって賠償の義務を果すことが適当であると考えられる場合におきましては、国内石油開発をするばかりでなく、さような外地進出ということも考えてよろしいものであるか、もしその辺お考えがありましたならば、これは大臣から承わっておきたいと思います。
  53. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいまのところ進んでさようなことをやるということは考えておりませんが、今後機会がありましたら、考えてもいいというだけのことは申せると思います。
  54. 川上為治

    川上政府委員 大臣の御答弁を補足して申しますと、第一条におきましては、「石油資源開発を急速かつ計画的」となっておりまして、わが国石油資源ということになっておりませんので、原則としましては、もちろんわが国石油資源開発に重点を置いてやるわけなんですが、これは国外の開発につきましても関係し得るというように考えております。
  55. 内田常雄

    内田委員 私はこれでよろしゅうございます。
  56. 田中角榮

    田中委員長 この際帆足計君より日中貿易について政府に対し緊急質問の申し出がありました。これを許します。帆足計君。なお帆足君に申しますが、時間がありませんので御発言は大体二十分くらいにお願いいたします。
  57. 帆足計

    ○帆足委員 昨日大豆の輸入割当についての政府の発表がありました。との問題につきましては、いろいろ従来困難ないきさつがありましたのに対して、政府当局はしばしば議員連盟にも御出席になって、よく民間の事情を聞かれ、非常に誠実に事を進められましたことにわれわれは感謝していたのでありますが、昨日の御発表を見ますと、経済界の実情に照らして深く政府当局の方で考えていただかねばならない重要な点が二、三あると思いますので、緊急に質問をいたすわけであります。   〔委員長退席、山手委員長代理着席〕  実はこの問題をめぐって、すでに輸出入組合法が本委員会にかけられておりまして、私ども慎重審議の過程でございます。この輸出入組合法につきまして何ゆえに私どもが真重に審議しておるかと申しますと、提案された趣旨の中で、第一は、輸出における濫売を防止すること、第二は、輸入において不当に原料をせり上げて、メーカーなり消費者に過重の負担をかけ、国際収支上不利な状況をもたらすことのないようにすること、この二つを防止するという点において、われわれは何らかの措置が必要であるというととは同感です。しかしながら同時にこれを実行する過程において、あるいは商社の指定あるいは中小企業の圧迫その他について、多少でも実情から離れて中小企業を圧迫するようなことがありはしないかということについては、早くから私どもこれに対して警告を発しておるところでございます。大豆の輸入につきまして、まだ詳しくは承わっておりませんので説明を伺いたいのですが、昨日政府当局の発表いたしましたものは、今日の朝刊に出ております。すなわち中国から大豆を輸入し得る資格のある商社は、昨年財政年度の実績五千トン以上の実績を有するものということになっておりますが、この実績とは、一体どういう意味であるか。聞くところによりますと、香港貿易の実績を含めてのことであるといいますけれども、従来香港を経て中国の大豆を輸入しております例はありますけれども、これはいわば中国大豆の横流れでありまして、その商社は本格的に中国の事情を調査し、中国の進出口公司等と直接の交渉の経験も持たず、為替の取り組みの経験も持たず、あるいは中日貿易会その他各種の協会に対して必ずしも分担金をそれ相当には納めず、責任ある立場になかったではないかと思います。従いまして今次中国大豆を輸入するに当りまして、商社のワクをきめることが必要であるとするならば、直接中国貿易の経験のある商社を指定することが私は当然であると思いますが、これに対して政府の方はどのようにお考えになり、どのようになっておりますか、まずお尋ねしたいと思います。  第二には、それと並んでただいま中国から五万トンの大豆が入ることになっておりまして、七十数社に対して中国から発注が参りました。商談の途中でありまして見返りの物資が適切であるならば五万トンの契約はすでに成立していたのであります。このために七十数社というものは非常に多くの電報を中国に打ちまして、また使節団が参りましたときは、これと折衝を続け、ほとんど契約成立に間近い状況のときに、諸般の事情から顧みまして、今度のようなポンド払いの輸入に変ったわけであります。従いまして商談の途中に変りましたものでありますから、従来の商習慣からいうならば、今度だけはこれらの商社のオファーを生かして話を取りまとめるという方が商習慣に即した措置ではないかと思います。そして次回から万民の納得する認定の基準のもとに商社を指定されることはけっこうでありましょうけれども、従来商社指定の議は何ら起らず、従いまして各商社は活発に相当の経費を使って北京の進出口公司と交渉を続け、オファーをとることに成功して参ったのでありますから、商習慣上の条理から見ましてもこの方式を直ちに切りかえるということは多少実情にもどるところがありはしないかと思います。百歩譲りましてやむない事情があるとしますならば、その事情を明らかにし、この問題に参加する商社の指定の基準が万人から納得されるようなものでなくてはならないと思います。問題につきましては石橋大臣になりましてから通産省当局は中国との貿易の拡大については非常に事務当局も御努力され、非常に懇切な態度を続けられておりますのに、このようなことになりましてはまことに遺憾なことと思いますし、懇切な態度は態度としましても、やはり理にもどることがありましたならば、これを指摘して、修正してもらいますことが議員の職能でございますから、あえて申し上げる次第でありますので、もし論議の過程において政府当局の方で多少考え方が十分でなかったとお考えになられることがあるならば、いきさつにこだわりなく修正してもらいたいと思って、そういう建設的な意味で質問するわけでありますから、どうか虚心たんかいにお答え、御説明のほどお願いしたいと思います。
  58. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいまお尋ねの第一点の問題でありますが、御指摘のように今回の中共大豆の輸入の問題につきまして、割当方式はグローバル方式といたしまして、世界各国からどこから買ってもよろしいという競争方式をとっております。その際に輸入の資格者の問題につきましては、これは買付の方法といたしましてはドルで買い付ける場合、ポンドで買う場合——中共の場合はポンド・ストレートになるわけですが、この二様あるわけです。大豆をポンドで買い付ける場合には、過去一年間におきますポンドで大豆を入れた実績者、ドルの場合はドルの実績者、こういうふうに資格を限定したわけでございます。しかして中共大豆の場合につきましては、一人当りの限度といたしまして実績五千トン以上の方ができる。ただし五千トン未満の人は数社集まってそれ以上になりましたら一つとして参加を認める、こういう取扱いにいたしたわけでございます。その趣旨といたしますところは、せっかく中共大豆を入れたいという努力をされているわけでございますけれども、業界がまとまりませんためにせっかくのものを値段をつり上げてしまうという結果になるわけであります。できるだけ業界がまとまって交渉ができるようにという考え方に基きましてこういった一応の基準を取ったわけであります。香港経由のものにつきましては、実績としてはきわめて微量でございますが、これは一応ポンドの実績と  いうことでこれに加えたわけでございます。ただしグローバルでございますので中共でストレートでどういう契約ができますか、今後の問題でありますが、かりに中共大豆が香港その他の地域からスイッチで入るという場合も考えられるわけでありまして、もしその方の条件がよろしければ、あるいはその方に割当がいくという場合もあり得るわけであります。おそらく実際問題といたしましては中共が非常に値段を下げて参りますれば、当然スイッチよりもストレートで買う方が優先するわけでございますけれども、かりに値段が十分に下らないという場合がありまして、かつスイッチの方が非常に安い値段で参りますれば、ポンドの実績者の人はスイッチのものを取ることもできる、こういう一種の競争方式でありますので、そういう意味におきましてポンドの実績者ということで区切ったわけでございます。この点については御指摘のように、あるいは香港から入れておった人は中国との取引をやっていないという点で適格でないのじゃないかという御意見もあるかと思いますけれども、当面の問題といたしましては、実績者が集まって取引をいたすわけでございますから、その点今後の運用上におきまして厳格にやっていけるのじゃないかと私どもは考えまして、このような方法を取ったわけでございます。  第二の点は、現在発注をもらっておりますものは七十八社あるようでございますが、この問題につきましては、注文を取られている方はなるほど個人個人としましては期待にはずれる結果が生ずるわけでございまして、私どももお気の毒なことと思いますけれども、本件につきましては、当初から逆トーマス方式という発表を五月の中旬にいたしまして、約一月半今日まで先方の出方を見て参ったわけであります。その際にかなり最初の受付の日に申請が出たわけでございますが、これは逆トーマス方式のものに合致しておらないからということで私どもは受け付けていない、窓口でお断わりしているわけでございまして、当然商社といたしましてはこの取引については条件に合致しないのだから契約としては非常に不確定なものであり、もちろん政府の認可がなければこれは入れられない。しかも逆トーマス方式に反しているということが明瞭でございますので受付をいたしておらない次第でございまして、その点については個人心々の事情はごもっともに存じますけれども、輸入の割当の方針といたしましては、やはりこういう価格競争の激しい段階におきまして、一応ただいま申し上げましたような輸入実績でやりますと大体三十数社になるわけですが、この程度におきまして実施いたすことがむしろ中共大豆の輸入を促進するという見地からしても適当な結果が得られるのじゃないか。かような判断をいたしまして、今回の発表をいたしたわけであります。
  59. 帆足計

    ○帆足委員 ただいまの御答弁で私は理にかなっていないと思います点が二点あると思います。一つは七十八社の問題を、またそれ以上の商社をして、大豆を輸入せしめることを将来継続することが妥当であるかどうかということは、確かに次長の言われる通り。整理せねばならぬ問題点があろうと思います。しかし今次に限りましては、それぞれ十二、三個のグループに整理されておりまして、そのグループは政府の内面指導のもとに統一行動をとって、一つのさし値を北京に向ってするという申し合せになっておりまして、それは客観的に見て守れる状況でありますから、このような場合には従来のいきさつから見て、そのような措置をすることが商習慣にかなったものである、こう思ってこの点を警告するわけですが、同時にやむなく商社を指定せねばならぬといたします場合でも、ただいまスイッチで輸入するというような必要上、香港の商社も入れるといたしましても、中国との大豆の取引はまだほんの初歩についたばかりでございますので、五千トンかかえている商社のみを指定商にするということは、私は諸般の状況から見て多少行き過ぎでないかと思うのです。これは通産省当局においてしさいに大豆輸入の実績をお調べになれば、多少無理であるということは御判定がつくのではないかと思います。しかしこれはまだ修正し得る余地があるのですが、それはどういう点で修正し得るかと申しますと、とにかく輸入に参加し得る商社をこれはきめただけのことでございますので、そして五千トン以下の商社は、実績さえ持っておればグループを作って参加し得るということになっております。しかしその場合、一商社当りの最高を五千トンになさったということを伺っておりますが、私はこの政府の通牒の中にはそういう文章が見当らないように思います。北京から受けるオファーの最高限度を、一社当り五千トンに限った。これはある意味におきましては、財閥独占、大商社独占の弊を是正する点において、もしそれが事実であるとするならば、よくこういうこまかなところまで気を配られたと申し上げ得る節もあるのでありますが、同時にそれを機械的に適用いたしまして、数社が今度はグループを作って参加いたしました場合に、その数社は一グループ五千トンしか政府に対して申請することができないとするならば、たとえば四社で千五百トンずつ、六千トンの一グループを作りまして、そして受注は五千トンしかできないとするならば、その四社のうちの三社は眠り口銭をとる。小さな業者は眠り口銭の重荷のむとにますます不利な状況を続けねばならぬ。従いましてそういう場合には、四社でありますときは、一社当り五千トンまで受注してもいい、四社合計して二万トンまでいい、そういう受注は可能かどうかは別といたしましても、そういうような条件であるならば、私はそれは妥当であると言えると思いますけれども、そうでないとするならば、これは中小企業またはアウトサイダーに対して重大なる圧迫を加える。そういう状況で、将来の入札もまたそれによってきまる。将来の入札はどういう形できまるのでしょうか。そういうことできまるとするならば、中堅企業者は再び浮ぶ瀬がないというような状況になるのではないかと思います。統制ということは時と場合によってはきわめて必要なことであって、無秩序よりも整然たる統制の方がよいことは、これは時世をわきまえるすべての人が承知することですが、その統制が常に弱者に対する、または少数者に対する圧迫であるとするならば、その統制は非常にきらわれることになるわけでございます。あるいは私が今後の実施の過程を理解しないで論をなしておるのかもしれませんので、それについての政府側の説明と御意見を承わりたいと思います。
  60. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、一人当りの申請限度を五千トンときめたわけでございます。先方が一社でございますから、おおむねその限度に応じて発注が来るものと考えておりますが、万一これが量が超過いたしますれば、半値でとれるという取扱いをいたしておるわけでございます。この点は御指摘のように一部の会社に非常に大きなものがまとまって、結果が出てくるということは、この際としては適当を欠くのではないかという意味におきまして、一人当りの限度を設けたわけであります。この場合数社の方が集まって五千トンになりますれば、その人に一口五千トン、こういうことになるわけであります。
  61. 帆足計

    ○帆足委員 私はその点が不合理だというわけですが、数社が集まって、小さな業者であるがゆえに、これは中国貿易について大豆輸入五千トン以上の実績のあるものしか代表入札ができない、これ一社自身が不合理でありまして、現在の中国貿易の段階ならば、千トン以上の実績があれば私は相当の実績だと思う。しかしそれは政府当局としては商社指定の手順であると言われるならば、それも了といたしましても、それが基準になりまして今後の中国貿易の割当が、昨年の実績だけによってきまって、小さな業者が四社集まって六千トン、そのうち一社に代表幹事をきめておりましたときに、そのグループは他の大商社の一社五千トンの頭打ちと同じように、頭打ちの割当しか受け得ないとしましたならば、一社当りの割当というものは、現在得ておる発注よりも非常に減るわけでございます。従いまして私はそういう数社が一つのグループを作りましたときは、それは大商社が一社でやったときよりも多くの割当を認めるととが妥当ではないか。それから第二には、われわれの方でかりに不公正な取扱いをしましても、相手の進出口公司の方で香港貿易をしておった商社などあまり興味もない、そこでそういうところに発注がこないで、そうして従来深い関係があり、非常な犠牲を払い、多額の経費もかけてきたところの専門の、中共貿易に対する深い関係のある中堅の多くの商社に、逆に多くの発注が来た。そういう場合にその過去の取引の実情、実力、実勢を無視して、中国と貿易の関係の薄かった商社に一体オファーをどのように回されようとするか。そういう不当なことに対しては、進出口公司の方でもそれを承諾しないという意思表示をした場合には、私はその方が多少理にかなっておる点がありますから、内政干渉とかなんとかいって騒いでみたところで、発注したいところに発注することは商売の常道であって、何も他国に発注するのに通産省の統制係のお世話にならなければならぬということはないわけです。でございますから、こういう過渡期におきましては、そのできた輸入商社グループというものは大体において公正妥当である、まとめて発注しようというふうに相手方も認識するような運用になっており、商社側の方も自主統制の実を上げて、従来実績の多かったところは多少多くはとるが、同時に相当の実績のあったものが、合計してみると過去の実績よりずっと減らされるというようなことは、政府の指定制度に便乗して、そして中小業者が圧迫を受けているという結果になるから、そういうことに対しては割当について除外例を認めよう、すなわち少くとも過去の実績の線に沿って、なおかつ競争の余地も残しておこうというようなことでなければ、その結果は過去の実績を踏みにじって、そして香港貿易や中国貿易をした商社にさらに有利になる。富士山の上に雪を積むような統制方法であったならば、それは私は合理的と言えないと思うのです。またそういうような間違った統制方式に対して、進出口公司がそれを直ちにうのみにするということも、やりにくい事情が起るのではないかと思います。従いましてもし発注が来なかったらどういうことになるか。一方に片寄って来なかったら、わざわざそれをちょん切るお考えであるか。その場合にちょうど大商社に最高のワク五千トンというものをきめられた。私はこういう問題であるとするならば、国際的に商売相手の中国に対して、一商社の最高五千トンにきめたということに対しては、これを主張し得る論拠があると思う。しかし従来の実績は、小さな商社が四社集まって七千トンあった。しかるに四社が集まって一社になったがゆえに、今度は五千トンで切られる。そうして小さな商社は合計して五千トン以上はもう伸びることができないというような状況に置かれるとするならば、非常に不合理であると思いますから、それはぜひとも修正していただきたい。また今日その措置等ができませんならば、一つよく統制のルールに沿うて再検討していただく。それから第二には、今回はそれでいくとして、次回の基準はどういうことになるか。大豆のごときは偶然にただいまきまりかけておる程度の取引の出発点が今後のルールの全面的基礎になるということは不合理だと思います。現に塩にいたしましても、塩は物資の数量は多いけれども値段は非常にわずかなものです。最初は三社か四社やっておりましたのを七社にふやし、八社、十社に増加したと聞いております。米につきましてもそういうふうに修正して、業界から努力したものだけが実績に反して排除されることのないような配慮を払ったと聞いております。大豆につきましても、今は過渡期でありますから、それらの点について万人が納得するような今後の運用が必要ではなかろうか。もし最初の出発点において不合理な点が山積されますならば、輸出入組合法が今後できましたあとの運用というものに対し、われわれは危惧の念を持たざるを得ず、これに対してはこの実績から見て全面的に反対せざるを得ない。私はすべての中小企業者はこれに反対するような機運に向うと思います。統制ということがいかに業者の利害に関係もあり、中小企業の経営にまた至大の関係があるかということを思いいたされますならば、現在のきめ方において慎重であるばかりではなくて、将来の発展の過程において大きな矛盾のないように、すなわち努力した者は報いられるような形を多少でも残すようなふうに統制していただかない限り、最初の偶然のものが天壌無窮に永久に残るというような、そして発展性がないというようなことは、私は困るのでないかと思います。
  62. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいまの最初の問題につきまして、ちょっと私の説明が不十分であったかと思いますが、五千トン以上の人は一口申請限度が五千トン、五千トン未満の人は五千トンまでまとまれば一口五千トン出せるわけです。実際の実績を見ますと、一万トン以上、二万トン以上扱っている人が数社ございまして、そういう人は大きな実績を持っておりますけれども、五千トンで一人当りの頭が押えられるわけであります。下の実績の少い人は、ただいまの例のように四人で七千トンになったというときは、五千トンになりますから下るわけでございますが、まとまり方によりましては大体五口くらいになるだけの実績があるわけでございます。従いまして、この割当方式というものは決して中小の人を不利にしているというのではなくて、むしろ実績の大きな人を押えているという格好になりますが、これは今回の措置といたしましては考慮いたしまして、そういう措置をとったわけでございます。  なお次回以降の問題につきましては、先般申し上げましたように、下期以降、かりに全世界の大豆を全部グローバル方式にいたしました場合は、日本に入ります大豆の輸出国といいますか、中共大豆、アメリカ大豆その他の入り工合が非常に大きな転換をする可能性があるわけでありまして、現在は今回のように地域別の実績というような基準で参りますことは、商売の内容から申しまして不適正ではないか。従ってそういう場合は全世界を通じて大豆を扱っている人という方式に考えなければならぬのじゃないか。この点はまだ検討中でございますが、私どもといたしましては今回の中共から買い付ける大豆のワクをグローバルに直したわけでございます。ことにアメリカ大豆専業の人が中共大豆に入ってとない、こういう制限をつけたわけでございます。下期の問題につきましては、むしろもう少しオープンな方法で競争してもらうという形がよろしいのではないかと思っております。  なお実績の問題につきましては、なるほど実績で限定するということは不適当だというような御意見もありますが、一方実績を認めないで自由にやるということになりまして、極端に言いますと、非常に多くのものが出てきてやるということは、こういった輸入の際に果して日本全体の経済の見地からいいまして、日本側に有利になるかどうかということもあわせて考えまして、やはりこのくらいのところが今回の措置としては妥当ではないか、かように考えて措置したわけであります。
  63. 帆足計

    ○帆足委員 ただいまの次長の御返答は、多少事情を御存じない点もあると思うのです。と申しますのは、ただいま実績と申しましたのは、今次五万トンの受注につきまして、業界は各グループ別に自主統制を行いまして、中小業者に対してもそれぞれグループ別に割当をしたわけです。その実績に対しては大業者もこれを承認して自主統制の実を上げたわけです。その自主統制における中小業者に対する割当額よりも、今次の政府の方の基準による割当額の方が少くなるということを私は申しておるわけです。たとえば北京から今次発注を受けました商社のそれぞれは、自分が受注しまして実績を持っておるわけです。その実績が無視される。従いまして、ただいまの中国貿易の過程はまだ成長の過程にありまして、業者の固まった確たる実績というものはできていないわけですから、北京からの受注というものも、ある程度基準にすべきである。というのは、進出口公司の方ではどういう商社が非常な努力をしたか、どういう商社が頼むに足りる商社であって、重ねて他の商品のバーターも行なっておるというような点も考慮して発注してくるものを、こちらの方は香港貿易も台湾貿易も全部含めて、そうして漫然と大豆の実績ということでお考えになる。そもそも大豆は指定商制度というものは従来なかったと聞いております。一体いかなる法的根拠のもとにこれを行なっておられるか。同時にその法的根拠になるところの思想的基準はどこにあるか。中国の大豆を輸入します場合に、大豆一般を取り扱ったことがあるということだけをもって指定商の資格にするというととが妥当であるかどうか、さらに今後六十万トンという膨大な大豆を輸入するようになります場合には、私は話をもとへ戻しまして、やはりバーター制度のことをもう少し考える必要がある。最初政府当局は、大豆を今度ストレートで輸入しますのは、甲類物資の輸出ができないからしかたなく乏しいポンドをそれに企てる、同時にかたがた最も安い原料をえりにえって買うという二つの点からきていたと思います。しかるにやがてココムの打破について、通産大臣も非常に御熱心であり、国際情勢も有利でありますから、ココムの緩和ということは、ことしの秋必至になろうと思います。そうであるとするならば、大豆の見返りとして、日本の工業の生産過剰になっておる品物が相当中国に輸出され得るわけでありますから、そうなりますと、大豆の取引というものを、単に従来のアメリカあるいは香港、世界市場等の大豆の実績、何万トン以上あったものだけにやらせるというような基準のきめ方が、果して公正妥当なものであるかどうか。少くとも、その場合は二本建にして、そうして中国貿易に対して専門の知識のある実績のある商社並びに大豆一般に対して実績のある商社、両方が自由競争において取引し得る資格を持つ、そうして政府は統制といいますけれども、統制とは何ぞや、統制とは私は大豆の値段をやたらに買い上げてせり上げることができないような機構にすればよいのであって、すなわち中国に対しては統一的に値段の交渉をするような制度さえ作ればよいのである。個々の商社の実績については、むしろそれぞれのお得意先を先方が選ぶことではあるまいか。しかし先方が選ぶ制度をいつまでも続けることは、諸般の事情上・また値段の統一交渉上、やがて矛盾することになるので、何らかの実績制度をお作りになろうとするならば、その実績なるものに対してはもう少し御検討を必要とするのではないか。今日中国の貿易が開かれるまでには、非常に多くの商社が苦労を重ねて参った。また多額の経費を使って参っておるのに、やっと貿易のレールに乗ったと思うと、従来の中国の専門商社は大豆の指定商になることはできず、ほかの、大豆一般を取り扱って、中国の政情に対しては何の知識もなく、一進出口公司の副総裁の顔に幾つほくろがついておるかも知らないような人たちに新たに商売に参加されるというととは、私はそれだけを認めるということは不合理なことであると思う。結局その実績を認めるとするならば、やはり大中小各般の業者の実情を考えて、大豆について一般取引の実績一万トン以上のもの、中国貿易については直接これに何年間携わっておって、そして最近までの実績が年間幾らのもの、その方は実績はわずかでも、またはそれに加うるに総量の実績がどのくらいのもの、バーターということを考慮すれば、そういうことも考慮して、万人が納得することでなければ、たとえばセイロンから米を輸入しているからといって、直ちに中国から米を輸入する指定商社になるというととは不合理である。現に米の場合は、米の輸入の指定商社にはなった、しかし中国から米は一トンも入れることができないという商社もあるわけです。ところが大堀さんのただいまのお説でいくならば、そういう商社も、過去のその他の実績が大きかったというので、セイロンから入れたなどといって、むしろ優先的に大きな割当をもらうという結果になりはしないか、こういう点がありますので、もう一度この点を筋道の立つように検討していただきたいと私は思います。
  64. 大堀弘

    ○大堀政府委員 下期以降の問題につきましては、私ども目下まだ検討中の問題であります。御意見の点も十分考慮して結論を出して参りたいと考えておりますが、私が先ほど申し上げましたことは、実績で、他地域のものに中共からの大豆の購入を認め、しかもそれを実績で按分してやる、私どもはそういうような考え方ではございません。ただ大豆の従来の輸入が、大部分がアメリカ大豆が入っておった。かりにこれが逆の状況になりますことも考えられるわけでございまして、その場合に、中国だけをやっておった人が今後も中国をやるのだというだけの考えでは、やはりこのグローバル方式というものは運用できないのではないか、かような見地で先ほど申し上げましたような御説明を申し上げたわけであります。なお今後十分検討いたしまして、下期の際にはなお合理的な方法で実施いたしたいと考えております。
  65. 帆足計

    ○帆足委員 だいぶ御了解願えたと思いますが、結局私はこういうことだと思うのです。すでにきまったことですから、非常に修正しにくい事情もあるとしますならば、ただいまの点で修正いたさねばならぬ点は、第一には、政府の不当な基準のために、従来やむなく千五百トンの実績しかなかった、そのために四社で六千トンの実績にまとめて、そして一社でもって交渉するというようなときには、それの最高限割当を一社五千トン、他の一社だけでやりますときの五千トンと同じことを適用したのでは不合理である。数社でもって一グループを作りましたときには、それが受注し得るかどうかわかりません。北京に交渉するわけです。北京の方で、その場合は、たとえば一万トンまではいいというような除外例を作らなければ、政府の不当なる割当基準へ商社基準のための犠牲になったということになりはしないか。  それからもう一つの点は、そういう商社にオファーがこなかったらどうするか。香港向けの商社、台湾向けの商社、そういうものとは従来取引もあまりないし、近づきでもないから、北京からそういうところにはオファーがこない、また非常にわずかな発注しかこない。そして従来熱心であった千五百トン、また千トン、また八百トンの実績を持っておる数社グループの方には、従来の経験からかんがみましても、合計すると一万三千トンぐらいきた。しかも内容は四社であるから、一社当りにすればごくわずかのものです。私は今度この文書に現われた御決定は、大豆を取り扱う商社をまずワクをきめたというだけのことで、それならば、それはいたし方ないとすれば、一社当りの最高限度というものは、個々の商社に対して独禁法の精神からみな分けろという趣旨で、一社当りの最高限度を五千トンきめたことは聰明だと思う。しかし小さな業者が四、五社集まって一社作った場合、これはやむなくそういうことになったわけで、一社々々自分で発注し得るだけの権能はあるわけです。その権能を不当に政府の独断によって制約されておるわけでありますから、それを他社並みに五千トンで押えられてしまうということは、これは中小企業に対する不当の圧迫であると私は思います。この点は通牒にも書いてないわけでございます。そうして今後中国との交渉の問題でありますから、もう一度御再考になって、多少弾力性のある措置にしていただいたらどうか。それからまた先ほどのように、中国から発注のとない、従来取引関係が薄いというような場合にどうなる。おそらく電報を打ちますれば、向うからの電報は、その五千トン平均にこないと思います。小さな商社でも四千トン、六千トンき、また何トンくるということも起るのではないか。それはどうしてそういうことが起ったかというと、過去におけるところの取引の実績からそういうことが起っておる。それをただ香港貿易をしておった、大豆の取引が多かった、大財閥であったというようなことで、そとで一律に一社五千トンは、もうぬれ手でアワでつかみ得る。しかし小さな業者は五社ほど集まって涙をのんで一グループになって代表商社をきめて、政府の統制に従っておるのに、頭が五千トンと押えられれば、一社当りわずか千トンぐらいにしかならない。そうすると、現在の実績よりそれは少くなる。今次の北京からの発注は、小さな商社で二千トン、千トン、三千トンらっておる商社もたくさんある。従いまして、この点は検討していただきたい。
  66. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいまのお尋ねは、ファーム・オファーがなければもちろん資格はないわけでありますから、これは割当は受けられないという結果になるわけであります。  それからもう一つの問題は、先方が一手でございますから、こちらがもし基準についてワクがございません場合は、結果においては、極端に申しますと、向うに振り回されるということになる可能性が、通常こういった場合に多いわけでありまして、私どもといたしましては、一応国内におけるシェアーの基準をきめておるわけであります。希望といたしましては、できるだけ各地の人がまとまりまして、一手になって先方と折衝することが、中共大豆を最も安い値段でとるということに適当な方法ではないか、かように考えまして、業界の皆さんにもお話し申し上げておるわけであります。
  67. 帆足計

    ○帆足委員 時間も移りましたので、御迷惑をかけないように簡単に結論をつけますが、ただいまのお話の統一を守るという点は、商社別の数量も何もきめなくても、値段と品質を一つにしていけば事足りるのではないかと私は思う。  それから第二に、オファーのこなかった商社に対して、——すなわち中国と何ら取引関係の安い、従来中国貿易に対して何ら興味も関心も示さなかったような商社に対して、オファーがこないのは当然だと思う。そうすれば、オファーがこなかった分だけは平等割でもってそこに分けてやるという必要は私は何らないと思います。現に米についてはそういうことになっておりません。米の指定商社はたくさんありますけれども、中国から従来オファーももらわず、一度の実績もなかった商社は、指定商社にはなっておりますけれども、のれんだけでもって、その努力をせずにぬれ手でとるということにはなっていないと思います。従いまして大豆につきまして今日の段階では、私はとの点は政府当局の方で事情を御存じないからであって、ここまで大豆の輸入を促進して参るためには、現在の実績千トン、千五百トン、三千トンくらいの業者が、非常な苦労を一緒に重ねてきておるわけです。それを中国貿易に従来関係のなかった商社が、寝ていてそして割当がもらえるというようなことは、私はおかしいのじゃないかと思う。ですから、重ねてとの点は御再考また御研究を願いたい。
  68. 大堀弘

    ○大堀政府委員 中国貿易に実績のなかった人という点につきましては、あるいは私の説明が足りないので、御了解いかなかった点があるかと思いますが、中貿国易をやってない人は実績者には入ってないわけでございます。先ほど御指摘の、香港あたりの人が入っておりますが、これはもう量的にはきわめて徴々たるものでございまして、私どもはこれは今後スイッチを含んでポンド単位でやる基準にとっております関係上、この人も一応実績者ということにしておりますが、これは全体の量からいいますと微々たるもので、大した量にはなっておりません。アメリカの大豆だけを取り扱っている商社は、今度の措置によりまして、もちろん中共に入っていくことはできないわけであります。この点だけ申し上げます。
  69. 帆足計

    ○帆足委員 私が聞いておりますところでは、香港貿易の数量は相当の数量になっておるようですが……。  それから、ただいまの小さな商社が数社集まって——これは大臣の再考を待つのでなくて、大臣にお尋ねしたいのです。まだ通牒には書いてないことですし、今から研究し得ることですから……。昨日までにきめましたところでは、輸入商社の数を限定する。これはやむを得なかったとかりに仮定しますれば、小さな業者が三、四軒集まって、そして一つになって——その商社は、中国貿易については、非常に熱心で、他のバーターその他の実績の多い会社です。それが一かたまりになって、最高五千トンしか受注がもらえないということは、私はこれは不合理だと思います。不合理でないとお考えになったならば、値段の統一だけすればいいのですから、統一値段にして北京と交渉する。そうすれば、北京の方では、従来取引関係の深かったものに発注いたしますから、おそらく自然に発注がくるでしょう。その発注の実績と、それから政府が統制でおきめになる実績との間には開きがあると思います。私は、過渡期でありまするから、こういう開きがあるときは、やはりそれをも考慮して統制をきめるのが、業界の実情に即したことであろうと思う。しかし、値段を統一して向うと交渉する以上は、数量の割当も自主統制にしたいと言われるならば、それも一つのお考えですが、その自主統制は不当に中小業者を圧迫するものでもなく、また大業者だからといって実績の少かったものに眠り口銭を出すようなものであってはならぬのです。従いまして、通牒が出ましたあとの実施のことについてもう一ぺん一つ大臣の方で御検討願いたいと思います。私は、こういうことは非常に不当である、従って国際貿易協会なり議員連盟なり、または中日貿易会の理事会にも、多少不当なところがないかどうかということをお尋ねになってしかるべきだと思う。事は小さいようですけれども、統制とはかくのごときことを次々生むのが統制で、従って石橋さんも統制がきらいであるわけです。われわれもその統制のきらいな気持には非常に同感なんです。われわれが統制するというのは、官僚統制であってはならぬ、やむなく自主統制をするときには、いろいろな点を考えて、そして大きな反撃の出ないような、公平な、民主化された形にしたいというのが、統制に対する一致した批判的意見であると思います。従いまして、大豆の問題についてこうしてごうごうたる非難または攻撃が行われるということは、今後輸出入組合法ができまして、その運営に当ってことごとくこういう問題が起ると思います。昔ならば、泣く子と地頭にはかなわぬといって引っ込んだでしょうけれども、今はみな発言の自由を持っておりますので、相当発言がある。発言があることは、これは自由ですけれども、しかしその発言の中に合理的な要素があったならば、できるだけ取り入れて、まあこれならばまずまず妥当であろうと万人が思うような線に到達するためには、私はよほど慎重な考慮が必要であると思う。聰明な大臣には、私はおわかりと思います。従いまして、これはもう一度御検討願いたい。きょうはそれ以上御答弁をいただくよりも、一つ検討していただいて、国際貿易協会なりまた中日貿易会なり、関係団体からも発言があろうと思いますから、聞いて、なお実施の過程で多少修正し得るようにしたらいかがでしょうか。
  70. 石橋湛山

    石橋国務大臣 検討は幾らでもいたします、また御意見も承わりたいと思いますが、私も実は事情をよく知りませんが、今のこの中共の大豆には、ずいぶん前から長いこと検討を加えて、今ようやくここに来たわけであります。今のお話のように、われわれの方の案としては、その中にどれだけの大きな商社があるか知りませんが、大商社の場合も、さっき政府委員が申したように、今まで一万トン、二万トンの実績のあるものも、五千トンに切られる。同時に小さな連中も、われわれの方ではだれとだれとが一緒になれ、こう言うのではないのでありまして、小さな、一人で五千トンまでの実績を持ってない人は、適当に集まって合計五千トンの実績がある場合には、五千トンまでは同じように許可しようというのですから、私は、帆足君の言われるように、そう不公平な取扱いをしようとする案ではないと思っております。しかしなかなかむずかしい問題でありますから、検討は十分いたします。
  71. 帆足計

    ○帆足委員 それでは最後に、六十万トン近くの大豆に対してグローバル方式を適用するということは、よい原料を安く買わねばならぬ日本として適切なことであると私は考える。これは従来中国から大豆を買っておりましたが、立地条件上これは自然なことで、アメリカから大豆を買うということは、地的に見ればこれはやはり特殊なことであったと思うのです。しかし現在大量の大豆をアメリカから買っておりますのに、今次この方式を変えますると、あるいはアメリカ大豆に非常に不利になる状況がありはしないか。大堀さんの、この問題について、そういうことがあろうとも、経済の法則でいかねばならぬ、それは了とされるであろうという御答弁でありましたが、これは経済的には非常に大きな影響を持つ問題でありますから、大臣におきましても、安い大豆を、いい品質のものを買い得るならば、これは純粋の経済法則として大豆は取り扱っていいとお考えであるかどうか、われわれはそのお考えであることを希望するわけです。  それからその場合に、満州大豆とアメリカ大豆のメリット計算、これは非常にむずかしい課題ですけれども、純粋に、客観的、技術的にメリットを明確にしていただきたいのですが、そのようになさる意思がおありかどうか。大堀さんからも懇切な御説明がありましたが、一応これは世界市場に影響する問題でありまするから、大臣がはっきりそういう態度をとられるかどうか、一つお答えを願いたい。
  72. 石橋湛山

    石橋国務大臣 中共からの大豆が価格及び品質の点についてよければ、私は何もアメリカに遠慮する必要はないと思います。近い所から入れたらいい、こういう考え方ですから、幾らでも入れたいと思います。アメリカの大豆を入れないということを心配して、中共の大豆を入れることを決してちゅうちょするものではございません。  それからメリットの問題は、言うまでもなく、十分研究いたしましてやりたいと思います。
  73. 帆足計

    ○帆足委員 それでは私の質問はこれで打ち切りますが、この大豆の問題は、やはり今後輸出入統制の出発点になる問題の一つでございますから、小さな問題でも、実施上不合理な点がありましたならば、一つずつ直していって、やむなく統制を行います場合は、それが合理的に行われるようにという趣旨のもとに、関係団体からもそれぞれ検討して意見がおありでしょうし、また次回の割当ということになりますると、また新しい要素も加わりますから、申し上げましたことを十分に参考にしていただいて、検討していただきたいのであります。また私の申し上げたことの中で勘違いの点でもありますならば、私の方も検討いたしまして政府に進言いたしますから、これはどの業者の利益ということでなしに、やむなく行われる日本の貿易の統制が公平に、そうして貿易の伸張に役に立つ形において行われるようにという趣旨のもとで、政府政府の原案だけにいつもとらわれずに、それがよいことであるならば適切な機会にそれぞれ修正していく。今度の大豆の問題は、受注の問題についてはまだこれから始まる問題でありますし、業界も昨日の発表を聞いたばかりのときでありますから、至急これを検討いたしまして、中小企業その他に不当に不利益な点がありますならば、ぜひとも改めていただきたいと思いますから、その点御了承願うことにしまして質問を終ります。
  74. 山手滿男

    ○山手委員長代理 この際議事進行について加藤清二君より発言を求められておりますので、これを許します。加藤君。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 この際私は同僚委員各位の御賛同を得て動議を提出したいと存じます。  ただいま上程審議されております輸出入取引法の一部改正、特定物資輸入に関する臨時措置法案は、わが国経済の根幹に対する自主独立の経済を樹立する上に最も重要な法案でございまするし、また業界の関心も非常に大きく、陳情書は山をなしている状態でございます。この法案審議の慎重と正確を期するために、この際、参考人意見を聴取することが肝要と存じますので、委員長におかせられましては至急この実現方を努力していただきたいと存じます。
  76. 山手滿男

    ○山手委員長代理 お諮りいたします。ただいまの加藤君の動議のごとく、輸出入取引法の一部を改正する法律案について、参考人より意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 山手滿男

    ○山手委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたします。なおその日時、参考人の選定につきましては、追って理事会にお諮りをいたしまして決定をいたしたいと思います。  午前中の会議はこの程度にいたし、午後は一時四十分より輸出入取引法案、石油資源開発株式会社法案について審議を続行いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  78. 田中角榮

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。櫻井奎夫君
  79. 櫻井奎夫

    櫻井委員 石油資源開発株式会社法案について質疑をいたします。この法案の大きな趣旨については私どもも賛同をいたしているわけでありますが、この法案提出される経緯と申しますか、これがはなはだどうも今日まで不明朗な形です。最初は私どもの考え方からいたしますならば、当然国策会社政府出資が二分の一以上に達するような会社でありましたら政府提案となさるべきが当然の筋道である、こういうふうに考えているわけでございますが、それにもかかわらず議員で立法しろというようなことで、その衝に当ったわれわれ起草委員は、前後数回の会合を持ちまして、一次案、二次案、三次案、四次案、五次案まで慎重に検討を続けてきたわけです。ところがその間においてどういう風の吹き回しか知りませんが、大体においてりっぱな案成ができたとわれわれが考えたとたんにおいて、これが政府提案となって出てくる。しかも出されましたところの政府提案というものを見ると、私どもの検討いたしました五次案に比べて不備の点が多々あると思います。これがどうして初めから政府提案というふうにならなかったか、大臣にお伺いたしたいのです。
  80. 石橋湛山

    石橋国務大臣 最初通商産業省としましては、政府提案でできればいたしたい、時たまたま予算編成とぶつかりまして、時間が非常に短かくて、大蔵省との間にも話し合いがそこまで進み得なかったうちに議会が始まった、こういう経過で、ついに政府提案を早くすることができなかった。その結果議員提案という話が議員諸君の間から起って、議員提案となったのであります。その議員提案が今度どうして政府提案になったかということは、実は私も内面事情は存じませんが、議員提案でも工合が悪いから、との法律の性質上、政府提案にすべきものであるという議員諸公からの御意見であったように私は聞いております。そこであらためて大蔵省とも相談をした。最初から話はあったのですが、ただ時間の関係でさように一時取りやめておったのですから、それでせっかく議員の諸君の御研究の結果もあるから、その結果に基いてあらためて政府提案にしょうじやないかということで今度の提案になったのであります。ただし議員諸公の作られた草案と今度の提案に若干の相違がありますことは先ほど政府委員から申し上げた通りであります。またその理由も先ほど申し上げた通りであります。趣意においては議員諸公の草案と異なるところはない、こう考えております。
  81. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大体経過はわかりましたが、そうするとやはり政府としては最初考えておられたようにこれはやはり政府提案とするのが筋が通る、こういうことで政府提案に議員の方からの要望もあって切りかえた、こういうことに了承してよろしゅうございますか。
  82. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その通りであります。
  83. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではここに提出されました政府提案内容にわたりまして少し質疑を申し上げたいと思います。この会社の第一条の目的石油資源開発株式会社というものはわが国石油資源があるにもかかわらず開発の状況が進んでいない、これはこの提案趣旨に書いてある通りだと思うのでありますが、従ってこれは早急にこういう国策会社を作って、いわゆる探鉱なりそういうものをどんどん進めていかなくちゃならぬ、こういう趣旨でできた会社でありますが、しかしこの会社を作る基本となったのは、やはり何年後にはどれくらいの石油の産出が可能であるという、いわゆる答申案に基いた計画の上にこの法案が立てられたと思うのでございますが、この法案はただ法案というだけでなく、いわゆる五カ年計画というものを裏づけとしているのかどうか、この点を御説明願います。
  84. 川上為治

    川上政府委員 やはりこの会社を作ってやります以上は、計画的に増産をしようという考えを持っておりまして、その計画的というのは従来の五カ年計画をやはり基本に置いて全般を計画的に進めようという考え方でございます。ただ第一条におきまして、政府の定める石油資源開発計画に基き、というのを除外いたしましたのは、こういう文章になりますというと、本法自体の体系を根本的に変えなくちゃならぬだろうということで、その本法自体を会社法でなく、いわゆる計画増産法というようなものでも作りまして、計画の策定、それから計画作成のための必要な機関の設置とかいうような一連の事項を入れなければならないというような法制局の見解もありまして、それによりまして、それでは法律体系が非常に根本的に変って参りますので、この会社法でいきます以上はそういう文句を除いて、そのかわり実質的にそれと同じような効果を収めるような「石油資源開発を急速かつ計画的に」という文句を入れまして、これで計画的な増産をはかろうというようなことにいたしたわけでございます。
  85. 櫻井奎夫

    櫻井委員 実は私どもが一番問題とする点は、今鉱山局長からお話になりましたこの第一条の中から、政府の定める石油資源開発計画に基き、こういうものが削除されたというが、今後この法案成立いたしまして、新しい会社が発足した場合、このことが大きな基本的問題になってあとに残っていくのではないか、こういうことを心配する余り質疑を申し上げたわけでございますが、しかし今の御答弁によりますと、これは法の体系の上からこういうふうに字句を改めたのであって、実質はこれに変りがない、こういうふうに承わったわけでありますが、しからばこの五カ年計画によりますと、具体的に申しますと、私どもの作りました三次案などにおいて、はっきりこの資金は八十億というふうに出しておった。これもやはり法の上でそういう形に持っていっては障害があるのではないかというので、あとでまた改めていったわけでございますが、五次案には、従って額は、授権資本と申しますが、こういうものは明確に書いてないわけでありますが、しかしそれはどこまでも具体的に申せばその五カ年計画——五年間に八十億という、こういう具体的な数字がその背後にあるという確認のもとにこの法律を作ったわけでございます。今日この法に基きましてもやはり五カ年間八十億、今年はこの法によりますと政府出資が九億くらいになるようであります。そうするとあと七十一億を四年間、これを半額以上政府出資するとなりますと、大体一年十七億くらいのその半分以上ですから、八億五千万から九億、こういうものが当然考えられるわけでございますが、この法の基礎にはそういう数字があるということをここではっきり確認してよろしいかどうか。これが実はこの法案を作る一番基礎になることであって、どんなりっぱな法案ができても、その裏づけとなるものがなければ、これは絵にかいたもちにすぎない。従いまして私は、政府は今この法案のもとに幾らの出資、投資というものを予定しておられるか、年間八億五千万から九億の政府出資、投資というのは可能であるか、こういう判断のもとに立ってこの法案提出されておるのかどうか、ここを一つはっきりと御答弁を願いたい。
  86. 川上為治

    川上政府委員 第二条にはっきりと、授権資本を八十億なら八十億、七十億なら七十億という数字を書くべきか、書くべきでないかという問題がありまして、これはその起草委員の各先生方の方でいろいろ相談されました結果、さしあたりとの法案には金額は入れないで、そうして二分の一以上を常に政府が持つということにしておいたらいいじゃないかというようなお話で、起草委員会の原案につきましてもそういうようなことになっておるのですが、私どもの方としましても、やはり八十億がいいか、七十億がいいか、ここではっきりその数字を書くということはなかなかむずかしい点もあるのじゃないか、八十億果して出すかどうか、あるいは七十億でいいかというような問題もありますので、やはりここには書かないで、計画としてはどこまでも八十億程度のもので進めたいというようなことでいきますけれども、一応ここには書かないで、そのかわりに政府においては常に半分以上株を持つ、そうして計画的に増産をはかっていくというようなことでいきますれば、それでやっていけるのじゃないかというふうに考えましたので、この起草委員会の方でお作りになりました原案を大体そのままにしてあるわけでございます。ただ計画としましては、初年度九億、これは先ほどの委員会で申しましたが、九億程度、それから次年度以降におきましては毎年大体十四億、そのうちの半分以上を政府が持つ、こういう考えでいきまして、五カ年で七十九億という考えでおります。そういうことでこの五カ年計画に基きました増産をこの会社でやっていきたいという考えでございます。
  87. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大体計画はわかりました。それで問題は、今後五カ年間で大体七十九億くらいの投資でやっていきたい、こういうことでございますが、石炭や何かと違いまして、石油の場合は鉱区を探鉱いたしましても、それが必ず堀り当るということが、これは百本のうち三本当るか五本当るかわからないわけであります。その趣旨にも書いてありますように、非常に危険を伴う事業でございますが、かりにこの五年間のうちに最初の二年間、三年間において探鉱をやったけれどもほとんど当らなかった。そういう場合に、これは政府の方でもおそらくいつまでもこういうたくさんの資本会社に投下していくわけに参らない、そういうような空気になった場合、そこでもしこの会社が挫折するとするならば、これは大へんなことになるのである。ドイツや何かの諸外国の例を見ましても、かりに油が出なくても、やはり一定の計画に基いて投資は続けておる。その結果ああいうふうな驚異的な油の生産が可能になったと思うのであります。わが国のこの法律の場合も、かりに二年、三年、この地下資源の油が見つからなかった場合でも、挫折することなく、五カ年計画を貫徹していかれる意思を持っておられるかどうか。これは今後の運営にも関しますけれども、その点をはっきり御答弁願いたい。
  88. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは将来のことでありますから、将来そのときの事情によって、どういうことが起るかわかりませんが、現在の政府としてはその覚悟でやるつもりであります。
  89. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは逐条に入って少し質疑をいたしたいと思いますが、第八条の債務保証の点でございますが、従来の例を見ましても、石油鉱業というのは非常な危険を伴いますために、銀行、民間の方の資金の融資は必ずしも多くはなかった、非常に微弱であったわけでありますが、それを今度の法律ではこういうふうに債務保証をやって、いわゆる民間銀行あたりの資金の融資を安全ならしめよう、こういうので、第八条にこういうものを入れたわけでありますが、政府原案ではこれを削除しております。その理由一つ説明願いたい。
  90. 石橋湛山

    石橋国務大臣 この問題は、先ほども出ましたが、試掘の方はまあ政府及び民間の払い込み資本で遂行ができるものと見ております。あらためてとの会社社債その他の債務を負うというときは、試掘の結果採油の資金が必要な場合にまず限られるものと考えられるのでありまして、と申しますと、すでにもう油が出て採油するということであれば、これは一応コマーシャル・べースなんですから、特に政府債務保証をせずとも融資ができるだろう、またその場合には政府としても国家資金その他のめんどうをみるということは、これは言うまでもないことであります。特に法律債務と書く必要はないだろう、こういう見解から落したのであります。
  91. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に第二十五条の設立委員の問題でございますが、大体この法案が通ったとすれば、この会社はいつごろから発足なさろうというお考えであるか、ちょっと二十五条に関連しませんが、その設立委員の前に、この法案が通ったとしたら、いつごろから発足させられるお考えであるか。
  92. 川上為治

    川上政府委員 この法案通りまして、それから設立委員を任命し、諸般の準備をいたしましてからということになりますので、少くとも十月一日からは絶対に発足させたいというような考えでおります。
  93. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それで設立委員というものがここに出ておるのでありますが、この設立委員についてはどのような構想を持っておられるか。
  94. 川上為治

    川上政府委員 この人数とかそういうものはまだ確定をいたしておりませんが、私どもとしましては、大体十数名の設立委員を民間の方からもあるいは政府の方からも任命いたしまして、やっていきたいというふうに考えております。
  95. 櫻井奎夫

    櫻井委員 その場合民間代表として衆参の議員というようなものを考えておられるかどうか。
  96. 石橋湛山

    石橋国務大臣 設立委員をどういう顔ぶれにするかということは、実はまだ十分研究をしておりません。従って議員の方からお願いをすることになるかならぬか、それもまだ決定をいたしておりません。
  97. 櫻井奎夫

    櫻井委員 第七条の十三でございますが、これはいわゆる民間資本の誘導をはかるために、われわれの方としてはこういう条項を特別に設けたわけでございますが、政府は今度これを削除した。大蔵省説明によりますと、何か行政的処置によってやるというようなお話のように承わったのでございますが、大蔵当局としては、この行政的処置というのは一体どういうことをさすのか、具体的にこの行政的処置の内容を明らかにしてもらいたい。
  98. 川上為治

    川上政府委員 今の規定はたしか圧縮記帳の問題ではないかと思いますが、この問題につきましては、大蔵省と話し合いをつけておりまして、国税庁の通牒によってそういう措置ができるようにということにしてありますので、別に法律にそれをうたわなくてもいいということにいしたわけでございます。
  99. 櫻井奎夫

    櫻井委員 もっと具体的にお伺いしたいのですが、国税庁の通知によって、出資している人に通知して、税金を落していく、こういうことが可能だとおっしゃるわけですか。
  100. 川上為治

    川上政府委員 そういう措置がとれるというふうに大蔵省の方でも言っておりますので、われわれはそれを信頼しまして、そういう措置がとれるということに考えておるわけでございます。
  101. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではこの条項の中の問題は大体それくらいにいたしまして、この特殊会社ですね、これはすでに帝石というものがあって採掘をやっておるわけなんですが、どうして帝石と別個にこのような特殊会社を作らねばならなかったか、帝石そのものをこのような特殊会社に切りかえることができなかったかどうか、そこにどういう理由があるのか、その点を、この法案を離れて一つ説明願いたい。
  102. 川上為治

    川上政府委員 これはこの委員会におきます起草委員の方々には十分御承知と思うのですが、現在の帝国石油を特別会社にするということになりますと、帝国石油の三分の二以上の株主の決議、すなわち特別決議によりませんと、どうにもそういう措置はできないわけでございます。ところが現在政府が持っておる株数は一八%にすぎません。ほかの株主の方々にいろいろ当ってみたのですが、どうしても現在の帝石を特別会社にすることは困るというような意見がありまして、われわれの方としましてもその点を診断いたしますと、とうてい三分の二以上の決議をとることはできない、もしこれを強行するということになりますと、これは憲法違反という問題も出て参りますので、結局私どもの方としましては、こういう別な会社を作らなければならぬということに考えたわけでございます。
  103. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると帝石と別個に新会社が十月早々から発足するというわけでございますが、新国策会社が発足いたしましても、鉱区等はこの法律の第十条によって供出されるでありましょう。しかし会社が仕事をやるとして、その会社はまだ人員もなければ機材も何も持ってないわけでございます。これは一体どういうふうにやろうとしておられるのか、本年度及び次年度あたりは、直ちに事業に着手する場合、人員もなければ機材もないこの場合、この会社がすぐに何か直営でやっていくのか、あるいは請負というような形でやっていかれるのか、その構想を承わりたい。
  104. 川上為治

    川上政府委員 これは、この会社ができましてから、直ちに帝国石油等といろいろ具体的な相談をすることになりますが、私どもとしましては、まず鉱業権の譲渡、これは帳簿価格で買うということに、帝石の方も了承いたしまして、そうしてそういう一札も通産大臣の方へ出されておりますので、その鉱業権をとにかく簿価で買うということをやるわけですが、ではどこどこの鉱区についてという問題については、これはまた具体的に早急に話をすることになっております。  それから人員の点につきましても、今帝石から試掘の関係のものを一ぺんにごそっと入れるということも非常に困難でありますし、またそうすることは、この会社の経理関係にも相当な影響がありますので、これは逐次持ってくるというような考えでいきたいと思います。  それから機械につきましては——これは試掘の関係機械でありますが、そういうものにつきましても、帝石の方から順次引き継いでいきたいというふうに考えておりますが、何分試掘の機械につきましては、こういう本格的な開発をするということになりますると、帝石が現在持っておる機械ではとうてい間に合わないようなものもございますので、そういうようなものはこの会社で初年度において相当金を出しまして買うという考えでございまして、これは少くとも三億やそこらは試掘の機械を買うというような考えで現在おります。  いずれにいたしましても、この会社に一ぺんにいろいろなものを引き継ぐというととはできませんので、これは順次持っていきたいという考えであります。特に人員の問題につきましては、労働者関係のものにつきましては、慎重にこの問題について検討いたしまして、そしていたずらなフリクシェンが起きないように措置をとりたいというふうに考えております。
  105. 櫻井奎夫

    櫻井委員 今の御答弁によりますと、順次直営の方向へ行く、当初は帝石の人員あるいは機材を少しずつ受け継いでいくというようなお話のように承わりましたが、特に問題点となるのは、今おっしゃった通り、人員の受け継ぎ、これによって重大な問題が起きないとも限らない。これについては私ども非常に関心を持っておるわけであります。せっかくりっぱな国策会社ができましても、ここに従事する従業員の受け入れ態勢あるいは帝石との切りかえ等の場合に、ここに非常に摩擦が起きるということになりますと、この会社ができる趣旨にも反するわけであります。これは非常に重大な問題であります。特にこれは慎重を期していただきたい。これは大臣にも特にお願いをいたしております。帝石の人員整理になったり、あるいは帝石から新会社に受け入れるときに、そこに首切りであるとかあるいは不当労働行為というような事態が発生をしないように、これはいずれも趣旨とするところは日本の石油資源を少しでもふやしていこうというりっぱな国策でござまいすので、そのような予期しない摩擦が生ずるということは、本法の立法の趣旨にも反しますので、ぜひともその点を慎重にお取り扱いを願いたいのであります。  この人員機材の受け入れ計画というようなものは、この法案が通ったあとで帝石と話し合いをして話を進める、こういうことでございますか。現在計画というようなものはお持ちでございましょうか。
  106. 川上為治

    川上政府委員 その問題につきましてはまだ具体的なものが実はできておりませんが、前々からたびたび帝石の方とは相談をいたしておるわけございまして、今ここでお示しする程度の詳細な計画はできておりません。ただこれはこの会社ができましてからということでなくても、少くともある程度の案につきましてはそれ以前におきまして作っておきたいというふうに考えております。これは帝石の方と従来もときどきこの問題については検討をいたしておりますが、ただいまのところ具体的にそれでは何人引き取るとか、あるいはどこの機械を持ってくるとかいうようなところまではいっておりません。その点御了承願いたいと思います。
  107. 櫻井奎夫

    櫻井委員 今の進行の過程はわかるのですが、将来この法律が通って、実際そういう具体的問題に入った場合に、私が先ほどから非常に心配いたしておりますような、そのようなことの起きないように政府としては全力をあげてやっていただけるかどうか。これはこの会社設立の前においてはっきり確言を取っておきたい。それができてしまって、交渉をしてみたけれども、帝石の方もあまり協力しない、帝石の労働組合もそういうものはまっぴらごめんだというふうにうしろを向かれたのでは大へんなことになるので、そういうことのないように、十分帝石の経営者なりあるいは帝石の労働組合なりと連絡をとって了解を得て、そうしてこれを発足させる、こういうお考えがあるかどうか、その点を一つ大臣からお伺いしておきたい。
  108. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は十分慎重に考えております。なおこの問題は御承知通り今までの形では帝石が試掘をするというようなことになっておった。これが帝石の力が余ってきたものですから、いわばこっちで国策会社を、作って、帝石の仕事の最も危険な部分を背負ってやるということでありますから、帝石はむろん協力的、むしろ帝石からこっちへ頼んできておるというような事情もあります。これは幹部の話であります。なお従業員の方とも帝石の首脳者はそれぞれ話を進めておると思います。今までの帝石でやっておったら、かえってそれらの従業員諸君も十分に仕事が行えない。むしろこっちへ移った方が大いに驥足を伸ばされる、こういうわけでありますから、私は従業員各位の協力も得られるものと信じております。この点は鮎川氏初め帝石の幹部が今帝石の従業員と話し合っておると思います。
  109. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大臣の責任ある御答弁をいただきましたけれども、私どもといたしましてはこの政府法律による会社に対して一体帝石の従業員諸君はどのように考えておるのか、あるいはどのような協力をしようとしておるのか、こういうことをはっきり知りたい。ただ政府はそういうことがないように努力するということを言っておられますが、一体そういう従業員の人たち自身はどういう考えを持っておるか、これをはっきり私たちは知りたいわけであります。そういう観点からこの法案審議に当って帝石労組をぜひ一つ参考人に喚問していただきたい、そうしてどこまで法案協力してもらえるか、そういう点を明らかにしてもらいたいと思います。これは委員長一つお願いしておきます。  それからちょっと関連して、この会社が発足しましたならば、今年度どのような仕事をせられようとしておるか、初年度のものは参考資料が出ておりますか。
  110. 川上為治

    川上政府委員 これは大体金額にしまして九億程度の仕事をしたい。これは資料として確か出してあると思いますが、試掘の場所あるいはその調査の個所、これは具体的に全部できております。その計画に基いてやることにいたしております。
  111. 櫻井奎夫

    櫻井委員 その資料は私どもの方に出ておりますか。
  112. 川上為治

    川上政府委員 資料は一応坑数幾らとか、あるいは調査の個所が幾らとか、それに要する金額は幾らとか、そういうものは出しております。具体的にどこどこの個所、山形県なら山形県のどこの場所というのは、出してないのですけれども、必要によりましていつでも出せるようにしたい。これはもちろんいつでも出せる態勢になっております。
  113. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではその資料を至急お出し願いたいと思います。  まだこまかい点がございますけれども、何しろきのうきょう出た法律案でござまいすので、もう少し具体的な疑問点が出ましたらあとで御質疑申し上げることにいたしまして、本日はこの程度で私の質問を終ります。
  114. 川上為治

    川上政府委員 資料は至急出します。
  115. 田中角榮

    田中委員長 先ほどの櫻井委員の御要求になりました案件につきましては追って理事会に相談して善処したいと思います。齋藤憲三君。
  116. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はこの石油資源開発株式会社法案の全面的な賛成者でありまして、あえて質問をする必要はないのでありますが、過日郷里に水害調査のために帰りました折に、私の方はこの石油に直接関係のある地域なものでありますから、石油資源開発株式会社法案提出されるということに対していろいろな考え方が起きておるのであります。全面的に賛成のことには間違いがないが、いろいろの立場においていろいろの不安を持っておる人もある、そこで雑駁な質問でございますが、一、二御質問を申し上げまして、これら不安がっておる人の不安を解消したい、かように考えるのであります。  第一にお伺いしたいのは、目的のところに石油資源、こううたってございますが、この石油資源というのは鉱業法に基く同種鉱物は全部入るのであるかどうか、これを局長にお伺いしたい。
  117. 川上為治

    川上政府委員 鉱業権に基く同種鉱物、これはおそらく石油それからガスと思うのであります。この会社目的はどこまでも石油というものに主眼を置いておりまして、石油開発ということに重点を置きますが、附帯的にガスの開発もできるということに、これは事業計画の第七条の四号、「前各号に掲げるもののほか、会社目的を達成するために必要な事業、」この中でガスの開発も含めてやることにいたしております。
  118. 齋藤憲三

    齋藤委員 同種鉱物の中にはもちろんアスファルトは入るわけですね。それから可燃性ガスの中にもメタンガスと石油ガスが分類されて入るわけですか、これは天然ガスというと両方含むのですか、それともとの場合のガスというのは天然ガスの中の石油性のガスだけですか、メタンガスも含むのですか。
  119. 川上為治

    川上政府委員 それは両方とも入るものとわれわれの方では解釈をいたしております。たとい石油系のガスでありましても、石油系でないガスでありましても、両方とも石油開発あるいはその調査をする上からいいまするとどうしてもやはり調査しなければならぬ、あるいは採掘しなければならぬという問題が出ますので、これはやはり附帯事業一つとしてそれができるものとわれわれの方では考えております。
  120. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと従来の助成金の中には天然ガスに対する助成金というものが幾分か含まれておる、昨年のごとくわずか一億三千万円の助成金の中にも千万円は天然ガス開発の助成金として含まれておる、それが今度三億円の助成金で全部今回の特殊会社に助成金としていってしまって、主として石油を対象としていくということになると、従来開発に着手され来たったところの可燃性天然ガスというものがネグレクトされてしまうという心配が出てくるのでありますが、これに対してはどういうようなお考えを持っておられるか。
  121. 川上為治

    川上政府委員 ガスの関係のものにつきまして、従来二千万円程度の助成金が出されておりましたが、この会社を作るに当りましてこれをどうするかという問題をいろいろ検討いたしました。結局この会社に助成金を一括して出しまして、この会社を通して、この会社からそのガスの鉱業権者の試掘に対しまして、助成金なりあるいはまた共同鉱業権者となって一緒にやるような方法なり、あるいはこの会社が委託を受けてやるという方法なり、いろいろな方法をもちまして、従来とほとんど変りない方法によってガスの開発に対しましても助成をしていこうということにいたしまして、この第七条の第四号の条文の解釈にいたしましても、これは十分できるという法制局の見解をとりましてそれでやっていきたい、従来とそう変るようなやり方はとらない、十分ガスの開発ができるようにしていきたいというふうに考えております。ただこの会社のやはり一番大きな目的は何と申しましても石油そのものの開発に主眼を置きますので、ガスの開発が決して主眼じゃない、これはやはり附帯的な仕事としてやっていきたい、従来はもし一億金が出ますと、一千万円程度ガスの方に使っておりますので、そういう程度のことをやっていきたい、もしガスを根本的に主としてやるということでありますれば、あるいは別個な機関を作るか、あるいは別個な措置をとらなければならぬと思いますけれども、さしあたりは石油に重点を置いて、そうして従来と同じ程度のガスの開発も附帯事業として一緒になって援助をし、この会社でやるというふうにしていきたいと思います。
  122. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうすると、くどいようですが、天然ガス開発に対しては従来と大差がないということですか。
  123. 川上為治

    川上政府委員 従来と実は大差はない、しかしこの会社を通してやることになりますと——従来は助成金につきましてもいろいろ制限がありまして、かりにガスの開発に対しまして一千万円かかるときは、その助成金は大体四百万円程度——三分の一くらい、多くて半分程度ということになっておりましたが、この会社を経由していきますと、今度はそれほどやかましいことをやりませんで、場合によりましては一千万円かかるものが八百万円くらいこの会社の方が出すということになるかもしれないと考えますので、この点はかえってこの会社を通した方が弾力性があっていいのじゃないかというようにわれわれは考えております。
  124. 齋藤憲三

    齋藤委員 それから株式の点でございますが、これは重複いたしましたら答えたというふうにお答え願えばいいのですが、「政府は、常時、会社発行する株式総数の二分の一以上を保有していなければならないものとする。」「政府は、会社設立に際し、その所有する帝国石油株式会社株式会社現物出資するものとする。」、そういたしますと第一年目は政府が所有いたしております帝国石油株式会社株式時価において評価してこれを換金して出資をするということになるのですか。
  125. 川上為治

    川上政府委員 第一年度におきましては政府帝石に持っております株を現物出資してやるわけでございまして、換金してやるわけじゃありません。従いまして何と申しますか、株の肩がわりということになってくるのではないかと思います。
  126. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうすると第一年度出資額というのは株式額面だけですか。
  127. 川上為治

    川上政府委員 今先生のお持ちになっておるのは起草委員の作られました古い要綱の方で、新しい法律の、政府が出しておるものの附則の第三項によりますと、「政府は、会社設立に際し、その所有する帝国石油株式会社株式をもって会社に対する出資目的とすることができる。」これは今申し上げましたように、株式をそのまま現物出資することができるという規定であります。それから今度は第六項の場合で、「設立委員が第四項の規定により作成する定款に政府出資する帝国石油株式会社株式の価格を記載するときは、その価格は、定款の作成の日前一月の平均価格としなければならない。」、ですから帝石の株券の時価の一月の平均価格をとって、この出資の価格にするわけでございます。そういう規定なのでございます。
  128. 齋藤憲三

    齋藤委員 わかりました。そうするとその他の二分の一以下の出資はどういうふうになるのでございますか。
  129. 川上為治

    川上政府委員 政府以外のものの持ち株につきましては、初年度においては全体を九億とすると、政府現物出資が大体四億五千万円というふうに踏んでおりますが、残りの四億五千万円につきましては、三億を帝石の方から現金として出す、この三億につきましては帝石の代表者の方から通産大臣に対しまして、必ず出すという一札を出しておりますので、間違いないと思います。残りの大体一億五千万円足らずのものにつきましては、主として精製会社の方から出してもらう、この出してもらうことにつきましても、精製会社の各社の方がそれぞれ出資その他については十分協力いたしますという一札を通産大臣に出しておりますので、初年度の一億五千万円程度はこれまた十分入るものとわれわれは考えております。
  130. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、正確に申しますと第一年目の出資額というものは、定款記載の一カ月間の平均値がわかってから第一回目の払い込み金額というものがきまるわけですね。それ以上にはきまらないわけですね、二分の一ということを厳格に守れば……。
  131. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましてはある程度の余裕も考えておりますので、十分二分の一以上の株は持てるようにというふうに考えておりまして、その点は先生がおっしゃいましたように、非常に厳格に、そういうことがその通りなるように、十分私の方ではやっていきたいというように考えております。
  132. 齋藤憲三

    齋藤委員 先ほどの御答弁の中に、一年間に九億の仕事をする計画だというお話があったようでありますが、そうすると、現物出資をした株券を今度は直ちに売却していくということになる、そうして現金化するという御構想でありますか。
  133. 川上為治

    川上政府委員 これは政府の持っておるその株を売却するなりあるいはそれを担保として金を借り入れたりするわけでございますが、実はその出資金以外に先ほど申し上げましたように助成金が約三億入ることになっておりますし、あるいはまたその精製会社等からは一億五千万円程度出資以外にある程度借りてもいいじゃないかというような考えも持っておりますので、十分その辺は仕事ができるように余裕を持ってわれわれは考えております。
  134. 齋藤憲三

    齋藤委員 政府出資以外の一般出資は、ただいまの御説明によりますと帝石ないしはその他の精製会社、地方公共団体、その他個人の出資というものはお認めになるのですか、お認めにならないのですか。
  135. 川上為治

    川上政府委員 その点は多々ますます弁ずるでありまして、そういうところでもしこの会社協力しまして出したいというところがあればちっともかまいませんし、われわれはそういう方面からもぜひとも出していただきたいというふうに考えております。ただ非常に確実性を持たすために、少くとも精製会社は毎年相当な額を出してもらう、それからまた帝石も毎年相当額を出すという点について、少くともそういうはっきりした一札をとっておかないと非常に心配になりますので、実は先般いろいろそうした方面に話をしましたところが、出資その他については十分協力する、特に帝石におきましては、初年度においては三億、次年度以降におきましては三億以上のものを出すということにはっきり一札も入っておりますので、その点でわれわれは何とかやっていけるじゃないかというふうに考えます。
  136. 齋藤憲三

    齋藤委員 この石油資源開発株式会社ができますと、今までの帝石の業態というものはその大半がおのずから石油資源開発会社に移行していくわけですね。移行していくととはこれはわれわれは国家のために非常に喜ぶべきことであって、そのためにこの会社設立があるので、これは私は非常に賛成なのでありますが、帝石はそうすると今後は現在採油をいたしておるものに限定して、油の採取はやらない・帝石は天然ガスを原料としたペトロ・ケミカルに専念する、こういうことを大体の方針として聞いておるのですが、そういうことになっていくのでありますか。
  137. 川上為治

    川上政府委員 帝石は大体八橋あるいは新潟その他の既存の油田の採油を主としてやる、それから石油の新規開発はやらない、新規の開発につきましてはあげてこの会社の方でやっていくということになります。それからガスにつきましては、もちろん帝石の方で開発しても差しつかえないわけでありますので、ガスにつきましては帝石の方でも相当開発していくのじゃないかというふうに考えております。しかしガス油田と石油の油田とが同じようなところにおきましては、これは主としてこの会社がほとんどやっていくことになるわけでございます。もっぱらガスだけの鉱区があるというところについては、帝石はそういう仕事をやっていくことになるかと思うのであります。それ以外に帝石としましては、要するに石油ガスから出ましたガスの有効利用、ガス化学という方向に向っていくものと考えます。
  138. 齋藤憲三

    齋藤委員 そこに非常に大きな石油資源開発会社の将来の採算率がかかっておると思うので、もう一ぺんお伺いいたしますが、ただいまこの会社設立を見たら、帝国石油とこの資源開発会社設立との間に、現在まで採取しておる井戸に限って採油をやり、その他は試掘採油を帝石はやらない、あとはあげて今度の新しい会社が探掘採油をやるのだというのですか。それからそういう場合に、先ほどの質疑応答の中にありました通りに、試掘に要するところの機械とか、そういうものをほとんど全部技術員をつけて新しい会社に移譲する、こういうのですか。それでなくて現在八橋なら八橋が、一番有望な地区としてきまっておるものは、現在の採油田の生命を延長せしめるために、やはりこれは帝石が相変らず試掘をしていくというのですか。そこははっきりせぬと、この会社に対して重大な影響があるわけなのですから、その点をはっきりしていただきたい。
  139. 川上為治

    川上政府委員 新しい会社ができますと、との会社におきましては新しい油田の開発、新しい試掘試掘、というのは全部この会社の方で原則としてやっていく、帝石の方では原則としては、試掘をやらない、そして従来の油田から出ておりますそれの採油ということを中心としてやっていく。それ以外にガス化学でありますとか、そういうことをやっていくことになると思うのですが、少くとも探掘、試掘についてはこの会社が全面的にやっていくということになるわけでございます。従いましてこれは具体的な問題になってきます。抽象的に申し上げますとそういうことでありますけれども、具体的に八橋なら八橋において、どこの試掘鉱区をこっちの方に入れるかということについては、これは具体的な問題として相談することでありますけれども、少くとも八橋の辺におきましても、新しい油田であって、どうしても試掘をやらなくてははっきりわからぬというようなところについては、当然この会社がやるということに相なるわけでございます。
  140. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう時間も大分過ぎましたので、質問はまた後日に譲りますが、われわれのようにしょっちゅう現場に立って採油状況を見ておる者は、この点は今までの御説明では納得いかない。鉱区を帳簿価格で譲るといいますけれども、今までの採油しているところはストップして、新たなる採油というものは今度新会社に移るというようなことになると、その一つの鉱区の帳簿価格の算定というものは、私は非常にむずかしくなってくるだろうと思う。この点につきましては、私公式の席上でなくもう一ぺん伺ってみたいと思うのですが、これは算定の考え方によってはえらいことになってしまうのじゃないか。ですからこの地区とこの地区だけはどうだとかこうだとかいうのなら別ですけれども、今まで採油しているものは採油するけれども、あとの探掘は全部会社にまかしてしまうのだということになりますと大へんなことになると思うのですが、答弁を聞いているとそういうふうに聞えるのです。
  141. 川上為治

    川上政府委員 これは私が少しむずかしい言い方をしておるかもしれませんが、少くとも採油しておるところ、さらにまたそれを伸ばしていく採掘といいますか、そういうところは従来の帝石なり、そういうところがやるわけでありまして、われわれの方で考えておりますのは、新しい油田を見つけるための試掘、こういうところはどうしてもこの新会社がやるということになるわけですが、具体的に八橋なら八橋ということになりますと、八橋の大部分は元の会社がやる、ただ八橋のうちでもどうしてもこの会社と共同鉱業権設定して、あるいは試掘をしなければならぬというものが出てくるのじゃないかと思いますので、そういうところにおいてはこの会社と一緒になってやるというふうに考えておるわけでございまして、実際どこどこの鉱区をどっちでやるということについては、これは今から具体的にはっきりときめていきたいという考えでございます。
  142. 田中角榮

    田中委員長 石油資源開発株式会社法案石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、右両案に対する残余の質疑は次会に行います。     —————————————
  143. 田中角榮

    田中委員長 続いて輸出入取引法の一部を改正する法律案質疑を許します。内田常雄君。
  144. 内田常雄

    内田委員 輸出入貿易の問題に関連をいたしまして、お許しを得まして私は輸出品取締法の問題につきまして、ちょうど通省産業通商局長がお見えになっておりますから、ある一点をお尋ねをいたしたいのであります。  先般当委員会に、輸出品取締法に基く工業検査所を清水港に設置する承認を求められまして、われわれはその審議をいたし、承認をいたしたのでありますが、最近実は名古屋方面の陶磁器の検査のことについて承わったのでございますが、名古屋方面で輸出陶磁器を検査するに当りましては、輸出陶磁器検査株式会社というものがありまして、それが登録を受けて輸出業者の輸出品の検査に当っておるそうであります。この検査は、政府で検査の費用を全部負担して下さるのではなしに、検査を受ける者から手数料を取るのだそうでありまして、そのことが輸出品取締法第十一条の二に書いてあるのであります。その検査手数料の取り方は、こういうことが書いてあるのでございます。輸出品取締法の第十一条の二を要約して申し上げますと、この輸出品取締法の第七条で強制検査を受ける場合には、その検査の手数料を政府機関または特定された検査登録者に納めなければならないが、その金額は輸出品の価格の百分の一を越えない範囲内において政令で定める額の手数料を納めるものとする、こういうことが書いてありますが、この十一条の二に基きまして政令がありまして、その政令には、陶磁器を幾つかのグループに分けまして、そのグループごとに検査手数料の額がきめられておるそうであります。ところが現実には、輸出陶磁器というものが非常に品種が多くて、輸出のコーヒー・セット一つをとりましても何十種もある。それらをこの政令で定められておる額のどの手数料に相当するかということをこの検査機関で仕分けをすることが非常に大へんであって、従って検査機関だけではその業務ができないために、輸出検査の申請者の方がお手伝いをしなければならない。そのお手伝いをすることも非常に人数が要り、また非常な渋滞が起って非常に困っておるそうであります。そこで輸出品検査株主会社、登録機関でありますところのその検査指定者は、法律には政令で定める額と書いてあるけれども、実際の運用上輸出価格の千分の二という料率ではじいて手数料を収納しておるそうでありますが、これに対しまして通商産業省で、それは法律違反である、あくまでも政令は額できめてあるから、さような料率で計算したものをとることはまかりならぬ、こういうきついお達しで、中共方面の陶磁器の輸出業者または検査機関双方とも音を上げておる。このことに関しまして通商産業省にしばしば陳情をいたしておるのでありますが、通商産業省の方では一向にお取り上げにならない。これは法律上政令で定める額と書いてあるけれども、もし額でいやであるならば、それは代議士に頼んで今の輸出品取締法の十一条の二を議員立法で修正をしてもらって、政令で定める料率に基き算定する手数料というふうに直してもらえ、おれたちは法律を守る以外にない、こういうわけのわからぬお話だそうでありますが、そもそも輸出品の検査ということは、いい品質のものを外国に出そうということから始まり、しかもこの手数料を取りますことは、それだけ政府に負担をかけないで業者が持ち寄って金を払うわけでありますから、あまりこの法律の末端にこだわられる必要もないことでありまして、正確に必要なる手数料を払えばいいわけでありますから、政令で定める額の手数料ということは、この法律の解釈上、あるいはまた政令のきめ方で、今日ではいわば従量的に、こういうものは幾らの手数料ときめてありますが、それもよろしいけれども、その一番しまいの方に持ってきて、その分類に属さないものは輸出価格の千分の一とか千分の一・五とかいうような料率に相当する額、こういうふうに政令でお書きになれば、法律で政令に定める額と書いてあるところにも抵触しまいと私は考えます。従ってさようなことで済ませますならば、何も輸出品取締法を修正するとか、あるいは土地の有志がその方面の国会議員と打ち合せて議員立法をするという必要もなくなるものと考えますが、聰明なる通商産業大臣もおられますし、板垣君から研究をしようということで研究させていただきたいと思いますが、お答えを得たいと思います。
  145. 板垣修

    ○板垣政府委員 私もその問題につきまして実情承知いたしておりませんが、今お話を伺いますと、確かに陶磁器のような非常に種類の多いものについては非常に不便な点があろうかと存じますので、さっそく調査をいたしまして運用でできるものなら運用でいく。それが不可能なものならば、今御示唆のような線で行くことを至急研究  してみたいと思います。
  146. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいま同僚議員のお話のありました陶器の輸出検査に対する料率の問題でございまするが、私も前者と同じ考えを持っておるものでございます。陶器につきましては、由来、特に今年度に入りましてからは、バンブー・チャイナその他の事件で大へん当局に御苦労をわずらわしておることを常々業界としては感謝をしておるようでございます。この検査の問題は長年の懸案でございまして、輸出をより便利に、よりよい品物をより早く船積みするという意味においても、前者の言葉は至急に実行に移されるのが妥当ではないか、こう思うわけでございますが、一体いつごろから御調査、御研究していただけるものでございましょうか。
  147. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今通商局長から言いましたように、さっそくやります。
  148. 加藤清二

    加藤(清)委員 さっそくということは最も短期間においてということと解釈して、その政府の気持が具体的に検査方法に現われる日の一日も早からんことを期待してお待ちしておるわけでございます。   〔委員長退席、山手委員長代理着席〕  次に、幸いきょうは久しぶりに通商局長さんが出てこられたわけでございまするので、さっそくでまことに失礼でございまするが、第一にお尋ねしたい点は、ただいま御承知の日英会談が行われておると存じまするが、この進行状況並びに今日行われておりまする日英会談の内容につきまして、この公開の席上ではいけないという点は別にして、発表してもよろしいという点をぜひここで御発表願いたいと存じます。この会談の成り行きは全国の業界が最も注視しておるところでございまするし、その成り行き次第によりましては、日本の貿易に大きな影響をもたらす問題でございまするので、この際ぜひ御発表願いたいと思います。
  149. 板垣修

    ○板垣政府委員 御承知の日英会談は先々週から開始されまして、ちょうどきょうで八回連続会談をやっておりまするが、その経過につきましては、私こちらに全然時間を取られておりまして、通産大臣にも報告をしていないのであります。最近大きな山にかかって参りましたので、近いうちに大臣にも報告をして決裁を得たいと考えております。交渉の経過につきましては、今お話のありました通りに非常に微妙な段階にございまして、数字とかそういうような点については一つお話を差し控えさせていただきたいと思いますが、大体の彼我の論点がだいぶはっきりして参ったのであります。私どもといたしましては、もちろん対スターリング地域の貿易は拡大均衡という線で持っていくつもりでございます。この点はイギリス側も異存がないのでありますが、そのためには、どうしても日本といたしまして、でき得る限りの輸入をスターリング地域からしなければならぬという事態になっていることは御承知通りであります。御承知のように昨年イギリス側が非常な輸入制限の緩和をいたしまして、結局計算によって違いまするが、六千万ポンドから七千万ポンドぐらいの日本側の純増になっておるということをイギリス側は取り上げまして、それを全部とは言えないが、相当日本側が買ってくれるならということを言っておるわけであります。しかし日本側といたしましては、輸入につきましても入れたいのはやまやまでございますが、いろいろな現在の経済的な関係あるいは為替の関係——ポンド自体に為替の関係はありませんが、全体の外貨予算の関係からいたしまして、すぐには入れ得ない、漸進的にいかざるを得ないという観点から、大体去年と同様二億ポンド前後というところで貿易計画を出したのであります。これに対しましてイギリス側と非常なギャップがある。イギリス側は具体的にまだ数字を示しておりませんけれども、大体向うの口吻によりますと、日本側と五、六千万ポンドの開きがあるという状況でございます。その上イギリスといたしましての関心事は、ポンド全体の貿易バランスもできるだけ多くする。その上さらに昨年日本側が非常に出超になりました。そこでイギリスとして最も関心のあります英本国及び植民地からの輸出、すなわち日本の輸入というものをもう少しやってくれということを非常に強く主張して参りました。ところが御承知通り英本国と日本とは経済上非常に競合的立場にありますので、やはりイギリスからの輸入増加をいたしますためには、完成品を入れなければならぬというところに非常に困難があるのであります。私どもといたしましてはイギリスから買い得るものをだいぶ拾い上げてみたのであります。一方イギリス側といたしましても、五十数品目にわたり、こういうものを日本としては買う気持になってくれ、との中で需要のないものはいたし方ない、しかし少くともイギリス商人の努力によって少しくらい入れる道ができるならばそれはできるような、二年でも三年でもいいから道を開いてくれ、それくらいのことはしてもらいたいと要求をしてきておるのであります。その品目の内容は申し上げられませんが、これは完成品ばかりでございまして、多かれ少かれ日本の産業に影響のあるものばかりです。しかしイギリス側といたしましては、日本の全体の生産力からいいますればそう大きな数じゃないので、少しくらいな道は開いてもいいのじゃないかというのがイギリス側の主張でございます。その点をどうするかということにつきまして、大体彼我の論点は今日で終りまして、今後はその中でどれを入れ得るかどうかということを決定しなければならぬというところに問題が差しかかっておるわけであります。御承知のように日本がポンド地域に期待いたします貿易額は、ドルにいたしますれば少くとも六億ドルは期待しております。これに対してやはり各産業に何がしかの犠牲を負って英本国から入れてやるならば、イギリス側は満足してうまく話がいくかもしれません。しかしこれを別に扱いますと、イギリス側も何べんも会談中警告を発しておりますが、今度はイギリスとしても国会の関係もあってやはり輸入制限をしなければならぬということを言っておりますし、今のところは多少おどしでありましょうけれども、あるいはこちらの提案が非常に不満足でありますと、そういう事態に追い込まれはしないかということを私たちは懸念いたしております。何としても日本側としても多少の犠牲は負っても、ポンド地域の貿易拡大ということについて何か円満な妥結点を見出したいというふうに考えておる次第でございます。
  150. 加藤清二

    加藤(清)委員 だんだんの御苦心のほどはよくわかりますが、五、六千万ポンドの相違があるということは相当の開きでございます。そうしますと、総体の金額というものは去年度と比較いたしましてふえる見込みと解釈してよろしゅうございますか。
  151. 板垣修

    ○板垣政府委員 日本側といたしましては、先ほど申しましたように、大体去年の横ばいというととろを考えております。これは大体日本側の輸入規模ということから考えるとそうでありますが、しかし実勢は、もしもイギリスが何らの手段をとらない限り、また特殊な激変でも起らない限りは、日本の輸出は予想よりももっと伸びる態勢にございます。そういたしますれば、もしこのポンド地域からの日本の輸入がもっと大きな規模に置かれ得るならば、日本の輸出はそれに応じて伸び得るということは確実でございます。
  152. 加藤清二

    加藤(清)委員 問題は大臣のおっしゃるところの拡大均衡でございます。かりに英本国から数量を多く輸入する計画が行われたとしても、その他の英国の勢力範囲の地域へ日本の品物がより多く輸出できるということと、それから英本国から入ります完成品そのものによって国内産業が圧迫を受けます。この圧迫を政府の力によって除去をするだけの施策を行われるならば、これは大臣のいうところの拡大均衡の具体的方法として、ある程度行われてもまたやむなし、こういうことになるのではないかと存ずるわけでございます。  そこでぜひ一つ申し上げておきたいことは、英国側の申し入れでございますところの日本の買いが少くて輸出が多かったということは、なるほど去年行われました以後ついこの春先までのトータルで見ればその通りでございます。しかしこれはぜひ一つ御考慮願いたいことだと存じますが、それは御承知通りと思いますけれども、英本国から日本が輸入するうちで一番金額の大きいものは毛製品でございます。去年の二億ポンドのうちの二百万ポンドは毛製品でございましたが、事実政府輸入許可、つまりこの日英会談から生じてくるところの取引が実行に移される段階になりましたのは九月以降でございまして、ほとんどがこの毛製品のいわゆる契約時期を経た後において行われたことでございます。従いまして、毛製品の取引というものは実は需要期の八カ月くらい前に行われるわけでございまして、六月から九月にかけて行われるのが普通の状態でございます。特に英国におきましてもりっぱな大きい会社ほど先に契約をしなければ輸出をしてくれない、こういう状態でございます。コロンビーなどは八カ月ぐらい前から要求するでございましょう。そこで実際のトータルで相談をするとするならば、今年度と申しましょうか、ことしの九月までのトータルをとって、そうして交渉に出られないというと、ほんとうにたくさん契約が行われるときの分だけ抜きにしてしまって、契約の少かったときの分、つまり契約と申しますか、買い契約でございまするが、このときのトータルをとってやられますると、非常に不利になる、こう考えるわけでございます。この点は御如才ないと思いまするけれども、業界の実態はさようなものでございまするので念のため申し上げておく次第でございます。  次に大臣にお尋ねしたいのでございますが、この日英会談に先立ちまして英国はわが国に対してデニング駐日大使をしてガットの三十五条採用のかわりに、日英通商航海条約締結の交渉を行いたいと申し入れたということでございまするが、これは一体事実あったことでございましょうか、いかがでございましょうか。
  153. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私も実はよく聞いておりませんが、事実であります。
  154. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは大臣が聞いていらっしゃらないとなるというと大へんでございます。事実あったことのように記憶しておりますが、この日英支払い協定の交渉に当りまして、このことが必ず持ち出される内容ではないかと存じます。このことが、つまりガット三十五条を採用してあげよう、そのかわりその前に通商協定を結んでくれという、この条件がこのたびの日英会談の内容一つに相なっているかいないか。すでに、あるいは将来かもしれませんけれども、会談の内容にこのことが触れられていたかいないか、この点について……。
  155. 板垣修

    ○板垣政府委員 その問題は非常に根本的な問題でございまして、今度の会談は支払い協定及び貿易取りきめが主でございますので、もともと私どもとしても触れるつもりでございましたが、イギリス側も非常に根本的な問題のために、冒頭の会談でお互いに多少意見の交換をしただけで、本格的な議題に上っておりません。またあまりに議題が大きいので、これはまた別の交渉に譲るということになっています。
  156. 加藤清二

    加藤(清)委員 別の交渉とおっしゃいますと……。
  157. 板垣修

    ○板垣政府委員 日英通商航海条約の交渉そのもの、それを別にまた八月の末ごろから始めます。
  158. 加藤清二

    加藤(清)委員 それが八月に行われるということに相なりますると、この問題は、今日ここで審議されております輸出入取引法の一部改正にも大きな関係があり、しかもこの根本をゆさぶる問題に相なって参りまするのでお尋ねしなければなりませんが、英国は日本がガットに加入するということに対して、将来はいざ知らず、少くとも過去においては、多く反対の態度をとってきたように考えますが、これは大臣いかがでありますか。
  159. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいままではあまり日本のガット加入について賛意は表していなかった。
  160. 加藤清二

    加藤(清)委員 米国の方は常々好意的であったが、英国の方は常に反対の態度であった、こう解釈してよろしゅうございますね。それでは続いてお尋ねいたしまするが、英国が、日本がガットへ加入することに対して、反対していた理由のおもなものは一体何でございましょうか。
  161. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私の知っている限りにおいては、日本商品の競争力を押える、ことにランカシャーがそうでございます。
  162. 加藤清二

    加藤(清)委員 いみじくもおっしゃいました。私もそのように解釈しております。日本の繊維製品の、いわゆる向うの言いようで言いますと、ダンピング——私から言えばダンピングでないと心得ておりますが、向うではダンピングだと言う。もう一つは、これに加うるに、意匠の盗用の問題が常に持ち出されていたように記憶いたしております。ところがこの問題は、もしガットへ加入をしてしまえば、ガットの第六条によって、ダンピングの問題は解消するはずでございますが、これはいかがでございますか。
  163. 西山昭

    ○西山説明員 御指摘の通りに、ダンピングにつきましては、ガットの規定によりまして解決するわけでありますが、イギリスといたしましては、ダンピング以外に、たとえば通常の安定した貿易の関係を急激に変化させるような、急速に日本の品物がふえまして、そのために市場の状況を破壊するような状態を危惧しておるわけでございまして、さような問題の解決につきましては、必ずしも現在のガットの規定で明瞭に規制されない点もございますので、イギリスとしましては、日本の加入に対しましてちゅうちょいたしておる次第でございます。
  164. 加藤清二

    加藤(清)委員 イギリスの方はそのように考えているのかもしれませんけれども、ただいま大臣もおっしゃいましたように、日本の繊維製品のダンピングということは、これは政府の方はよう覚えておいていただきたいのですが、決してダンピングじゃないのです。ダンピングでないものをダンピングだと、英国から言われたりカナダから言われたりして、それを額面通り受け取って交渉に当られるということは、これは日本にとって大きな経済上の不利のみならず、世界的な不信を買うことでございます。そこで私あえて申し上げまするが、日本の繊維製品のうちに、たとえば毛製品を例にとってみましょうか、日本の毛製品の輸出がダンピングであるという理由は、どこにも見出すことができない。イギリスの四八の双と日本の四八の双と香港相場で比べてごらんなさい、そんなことは絶対に言えません。ただダンピングと称されるゆえんのものは、日本の毛製品が内地高である、内地が不当につり上げられている。四八の双について日本の内地価格は、目下のところ——きょうの三品相場では千円から千二百円、ところがイギリスはこれが千円から八百円ということになっておる。なるほど内地価格は違う。そこでイギリスの商品は、外国市場へ出ましたときに、やはり千円程度で出て参ります。日本の商品も同じように千円で出てきます。そうすると国内と国外市場との相場の開きは、イギリスはございません。ところが日本のみは、内地が高いから、それが行われる。従ってダンピングという言葉は、イギリスのランカシャー製品と比較して日本がダンピングしたということじゃなくして、不当につり上げられている内地の価格と比較して安く出されている、こういうこと以外の何ものでもない。つまりこれは国内操作の問題である。それを国際的にいろいろ言われる、しかもガット加入の反対の第一の理由にされるということは、まことに片腹痛いと言わざるを得ないことでございます。実はこの点詳細に綿糸から絹糸からずっと私例をあげて申し上げたいのでありますが、時間の制約もございますので、何でしたらあとで懇談を幾らでもいたしますが、決してダンピングではございません。綿の値下り、これは輸出のためにダンピングしようと思ってきた値下りではないことは、政府の方もよく御存じの通りだと存じます。そこでガットの六条でこの問題は解消する。それからまた英国自身は、国内法の整備によりまして、外国品のダンピングから英国の産業を守るように法律を改正していると聞いています。これもすでに行われていることでございます。こうなりますると、日本の繊維製品のダンピングということは解消するわけであります。原因が解消してしまう。意匠の盗用でございまするが、これはすでに通産省でも善処されまして、意匠センターを作って、さようなことのないようにするということは、先日の委員会通商局長がおっしゃった点でございまするから、私はこれを額面通り受け取りたいと存じております。また日英の業者間の協議によりまして、このことが両業者同士で解決を見た点でございます。このように考えて参りますると、英国の反対理由でありますところの日本の繊維製品のダンピングと意匠の盗用ということは、これで解消すると存じまするが、なおほかにどうしてもガット加入に反対をされなければならないところの理由が、国内にあるでございましょうか。
  165. 西山昭

    ○西山説明員 御指摘の通り、ダンピングにつきましては解消されるわけでありますが、イギリスといたしましては先ほど申し上げました通り、戦前の経験に徴しまして、日本品が持つ競争力の結果、急激に輸入増加しまして国内の市場を撹乱する、こういうことをおそれているわけであります。その点につきましては、日本といたしましては輸出を増大しなければ食っていけないので、輸出をふやすことに反対する議論に対しては承服できないわけでございます。他方イギリスといたしましても、通常の競争力によりまして輸出がふえることには文句を言えない義理ではございますが、非常に大きい率をもちまして急速に輸入品がふえまして、その結果市場関係がめちゃめちゃになるというような事態を憂慮いたしまして、この点はダンピングという仮定からくるわけではないのでありますが、その商品の持つ市場性を基礎にしました考慮から反対をしておるわけでございます。そういう事態をおそれる場合に、ガットの規定によりますと、たとえばイギリスといたしましては、国際収支関係がよろしければ、数量的な輸入制限をするわけにいかなくなるわけでございますが、その場合にその市場の破壊作用を行うような輸入が現実に起った場合に対しまして、適当な予防措置の手段をとり得ない、こういう関係から何らかの話を日本としたい。こういうことが先般来御指摘がありましたようなイギリス側の二国間の話し合いの提案であったわけでございます。これにつきましては、日本といたしましても、よその国その他の関係もございまして、軽々に話に乗るわけにはいかないわけでございまして、目下その対策を慎重に検討中でございます。
  166. 加藤清二

    加藤(清)委員 イギリスが日本のガット加入に反対しなければならない日本の国内理由をお尋ねしたわけでございますが、そうじゃなくて、イギリス側が反対する理由を今承わったわけです。まことに遺憾に存じます。イギリス側が日本の繊維製品とランカシャー比較して、当然の運命とはいいながら、世界の市場で競争をしなければならない。こういう運命の前に立たされたイギリス側が、日本の製品をおそれ、その進出をはばもうとしている気持はわかります。しかしあえてそれを行わなければ、日本の経済もまたジリ貧にいかなければならないことは、よく御存じのはずでございます。そこで今あなたのおっしゃいました理由について、私は一々反論を持っておりますけれども、きょうはそれを申し上げるのが目的ではございませんので、他日に譲ります。  次にお尋ねいたしたいととは、日英通商航海条約締結の交渉が八月から行われると今承わったのでございますが、それは事実でありますか。
  167. 西山昭

    ○西山説明員 従来の非公式な話し合いを総合いたしますと、現在支払い協定の交渉をやっておりますが、それに引き続きまして、八月ごろから本格的な通商航海条約の交渉をしたいという非公式なイギリス側の話があったことは確かでございます。しかしながら、現実にイギリス側の草案その他も完了しておらないような工合に見受けられますし、また現実に八月に開始するというようなはっきりした話し合いもいまだ行われておりませんので、現在のところは一応八月ごろ話が始まる公算が多いとは考えますが、確実に八月に話がスタートするかどうかは、まだ確定しておらない次第でございます。
  168. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではこのイギリス側の提案に対しまして、日本側の態度、心がまえでありますが、これに応じて八月から行う意思があるかないか。もし意思があって行なったとすれば、日英通商航海条約なるものはいつごろ成案を見るでございましょうか。これはやがて国会にかけられることとは存じますけれども、成案を見るのはいつごろでございましょうか。
  169. 西山昭

    ○西山説明員 通商航海条約の交渉は、御承知通りに、相当期間にわたるのが通常でございますし、それからイギリスとの関係におきましては、特に先ほどから御指摘がありましたような、いろいろ特殊な問題がございますので、わが方といたしましても大体イギリス側の考え方、そういうものを一応見た上でなければ、軽々にこちらの腹を示して交渉に臨むわけにもいかないかと考えております。従いまして、日本側といたしましても対案は十分に準備は進めておりますが、現在のところいつ交渉を開始していつごろ終るかという見通しは、きわめて予測が困難と申し上げたいのでございます。
  170. 加藤清二

    加藤(清)委員 言明をすることができなければやむを得ません。それでは別にお尋ねいたしますが、ガット加入の交渉及びそれが実現する日ごろはいつごろでございましょうか。これは大臣からお聞きしたい。
  171. 石橋湛山

    石橋国務大臣 九月十日ごろの見込みであります。
  172. 加藤清二

    加藤(清)委員 日英通商航海条約が片や八月から行われますね。片やガット加入ということが一つ行われます。これは見通しとしては、完了するのはいずれが先でございますか。そこが聞きたい。
  173. 西山昭

    ○西山説明員 イギリスとの交渉の開始は、ただいま申し上げました通りに話も確定しておらないのでありますが、一応の見通しといたしましては、八月下旬ごろから——準備が整えば、あるいは話が、開くような両国間の基礎ができれば、八月の下旬ごろから進められる可能性は出てくると思います。他方ガットにつきましては、八月の十一日までに、ガットの締約国三分の二の多数が日本の加入に賛成をするというような条件になっております。従いまして八月十一日に三分の二の国が日本の加入に賛成いたしますれば、それから一月置きました九月の十日に、日本の加入が正式に発効するわけでございます。従いまして交渉そのものは、もし行いますといたしましても、日英間の方が今の見通しでは後になると考えております。
  174. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの際社会党とか野党とかいう考え方を抜きにしまして、ほんとうに日本の貿易の振興、日本経済の復興に寄与する、日本の破れた経済を復興しなければならないという念願に燃えている国民の一人として申し上げてみたいと思いまするが、相なるべくは、ガット加入の問題と日英通商航海条約と並べた場合に、ぜひガット加入を先に行なっていただきたい。もしこれをしなければ、将来大きな貿易上の禍根を残しまして、せっかく輸出入取引法一部改正によって国内の輸出入業者の組合的整備はできましても、海外市場においては、当然のことながら負けていかなければならないという結果を憂うるのでございます。その理由はたくさんございますが、一例をあげてみますと、聞くところによれば、ガット三十五条を採用することを条件に、日英通商航海条約を早く締結しようじやないかという申入れが、デニング駐日大使から日本国に行われた。そして、その問題が日英支払い協定の交渉の間において行われるであろうと推測されておるわけでありますが、御承知通りガットの三十五条というのは、新加盟国に対し既加盟国がガット規定の適用を拒否することが規定されているわけでございます。つまり、日本が入った場合に、ガット規定が適用されます。すでに入っていたイギリスはこれを拒否することができるという適用でございますが、これは過去において行われたことはほとんどない。あっても、それは人種的差別の報復手段に行われただけのことである。これと交換に、日英通商航海条約がガット加入以前に行われてしまったということに相なりますと、せっかく多角貿易協定方式の建前で入っていっても、別個な協定がすでにできている、こういうことに相なるわけでございまして、その多角貿易協定方式の建前の主要メンバーでありますイギリスそれ自体に、すでに矛盾が起きてくることだと存じます。なお関税の取りきめをガットをはずして行うことは、これは他の国にとってもいかがかと存ぜられることでございますし、またこれが先例となってこのようなことが行われたとするならば、ガットはやがて弱体化されていくことになるわけでございます。終戦後長い間、ガットに加入したい、加入したいと言っておりました日本の貿易業者を初めとする日本国民の期待は、イギリスを除外されたということで期待が薄くなる、効果が薄くなる、こういうことを考えるのでございます。この点について、いかがお考えでございましょう。
  175. 西山昭

    ○西山説明員 一々、私はごもっともな御指摘だと考えております。実際の面においては、御指摘のような点もわれわれは十二分に考慮いたしまして、日本全体として今後の貿易を促進する意味からいって、無理のない、また実効の上るようなやり方を考えるべきだと考えておるわけでございます。
  176. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は日本がまず第一番にガットへ先に加入する。その後において通商航海条約を締結する。この道を踏まれることが、やがて日本のためのみならず、日英が友好的に経済通商を行う基礎になると考えております。これはやがて国際通商の自由化の線にも通ずる道でございまして、ぜひこの道をたどっていかるることを切望するわけでございます。交渉の過程におかれましては、いろいろ難点が多々あることは推察にかたくないと存じます。その御努力に対して私はまことに敬意を表するものでございますが、しかしその困難を一時のがれるために、一歩誤まれば悔いを千載に残すのみならず、永久に日本の経済が自主独立の立場に立てないという境地にも追い込まれることを、私は心から憂えているものでございます。  次に輸出入取引法の一部改正に関しまして、特に承わりたいことがございますが、外貨の割当の方式の中に、いわゆるマル特、特別外貨割当方式なるものがございますね。これは一体何と何に当てはめていらっしゃいましょうか。この問題と今の日英会談からくるところのガットとかあるいは通商協定とかいうことと大きな関連が生じてくるわけでございます。これはくろうと筋の板垣さんならよくおわかりのはずでございます。
  177. 板垣修

    ○板垣政府委員 御承知の特別外貨割当制度につきましては、現在品目の数を覚えておりませんが、主として化学薬品とか、ともかくこの制度によらないと非常に割当がむずかしいというような品物を選びまして、数十品目がとの範囲内に入っていると存じます。
  178. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのおもなものを、大堀さんからちょっと……。
  179. 大堀弘

    ○大堀政府委員 特別外貨の対象になっております主要な品目を申し上げますと、一般の外貨割当によっておりますもののうちの一部を特別外貨によっているものがございます。その例としましては、原綿、落綿、原毛、毛くず、原皮、カーボンブラック、石綿、機械、鉄鋼製品の一部、牛脂、こういったものがございます。その他の品目といたしまして紅茶、コーヒー豆、黒糖、ココア、バター、綿実油、ラード雑豆等々でございます。
  180. 加藤清二

    加藤(清)委員 大へん御丁寧な御説明ありがとうございました。その中にたしか時計もあったようでございますね。
  181. 大堀弘

    ○大堀政府委員 あります。
  182. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこで承わりますが、今の綿にしても毛にしても、正常なものの方は、正規割当、いわゆる一般割当と申しますか、あるいは交換貿易方式と申しましょうか、いろいろあるのでございますが、落綿だとかあるいはノイルだとか、こういうものは特別外貨である。ここに大きな問題が生じてくるわけでございます。それからまたこの品目がやみ輸入が行いやすいものに割り当てられておりますると、ここにまた大きた問題が生じてくるわけでございます。それはやがていわゆるアロケーションとか、いろいろな名前がついておるようですけれども、それを売買するところの思惑屋やあるいはやみ屋が横行してこれを買いあさる。ところがこれはドルに通暁した連中に多く行われる。やがてここにOSS、SPB時代のものが残っておって、そして親分、子分になって日本の市場を撹乱する。この撹乱の結果は、日本がそうやって輸入をしなければならない品物を不当につり上げる結果となり、これはやがて消費者に転嫁される、こういうことが行われておるわけでございます。巷間氏をしていわく、このおかげで輸入からくるところのある物資はほとんど日本の商社は下積みにされてしまって、外国商社に牛耳られてしまっておる。経済的に殖民地になったのではないか、こういう人もあるほどでございます。この点について私は非常に遺憾に思いつつ、詳細に実例をあげないと、おわかりいただいておる人はいただいておりまするが、国民一般諸君にわからないといけませんので、具体的にお尋ねいたします。日本の腕時計の生産は最近大分向上してきたといいます。生産も伸びてきたといいまするが、なおこのマル特外貨によって買う方式が許されておるようでございまするが、一体今年度はどの程度許されておるのでございましょうか。
  183. 大堀弘

    ○大堀政府委員 三十年度輸入の予定といたしましては、年間時計の輸入が百二十万ドルということになっております。この理由につけ加えて申しますと、先ほど御指摘のございましたように、時計につきましてはかなり密貿が行われておるということがございますので、むしろこういうものはある程度は正規のルートで入れた方がよろしいのではないかということで若干入れておるわけであります。もう一点は通商関係もございますので、その点をあわせましてそういう措置をとっておるわけであります。
  184. 加藤清二

    加藤(清)委員 理由でございまするところの国内技術の発展に寄与するとか、あるいは密貿易をなるべく軽微にさせるとか、あるいは今行われておりまする日英会談、ああいう国際上の問題とかで、理由は私しごくごもっともだと思います。これは納得いたしております。私はこの例を実は毛にとりたいのですが、毛というと、委員諸君がまた毛だとおっしゃいますから、あえてしろうと畑の時計に例をとるのでございます。その理由はしごくごもっともでございますけれども、この問題は、マル特外貨というところに問題があるわけでございます。そこで今後は一体どの程度の金額をどういう方式でお許しになる御予定でございますか。
  185. 大堀弘

    ○大堀政府委員 本年度の第一・四半期も一応マル特によりまして三十万ドル程度輸入の許可をいたしたのでございますが、マル特制度というのは、輸出業者が輸出した外貨の一部に見合う輸入を認めるという制度でありまして、昨年までは一割の優先外貨を認めておったのでございます。制度そのものとしては決して好ましい制度でもないわけであります。かりに輸出業者が海外の支店なり海外活動をいたしますために使われますならばこれは非常によろしいのでありますが、品物を入れると、それにかりに利益があった場合には一種の優先制度になりますので、必ずしも望ましい制度ではありません。ことしの二月に昨年来の割当量を減らしまして、五%ということに減額をいたしまして、輸入計画の方でもそれに応じた輸入の予定を組んでいるわけであります。制度につきましては、現在はマル特制度になっいるわけでございますが、さらによりよい割当の方法がございますれば、検討いたしまして考慮して参りたいと考えております。
  186. 山手滿男

    ○山手委員長代理 加藤君にちょっと申し上げますが、できるだけ法案に即したように審議を進めていただきたい。
  187. 加藤清二

    加藤(清)委員 法案に即するようにやっている。こうやってぽんと落すと、なるほどこういうことだったなというふうにすぐわかる。法文の上からだけ読んでおりますと何のことかわからないが、具体的にこういうことが行われるのだというふうに持っていくとよくわかるわけであります。  それでは今のお話通り、輸出をいたしますと、そのほうびに去年までは一〇%もらえた人が今度五%になった。そのことの可否は別でありますが、しかしどうしても国内に必要である物を輸入する場合に、マル特外貨割当としてこの権利を付与されるわけでございますが、かりに毛製品を輸出して外貨をもらった毛製品輸出業者がここにいるといたします。その人がほんとうにノイルを買っているのか、ここが問題です。ほんとうに時計を買っているのか、買っていない。時計業者はどうかというと、なるほど三十万ドルとか、去年は九十万ドルとかいただいても、直接外貨をもらったのではないから、やがて外貨になるという影の姿をもらうのだから、毛製品なり時計を輸入したときにこれをもらいにいかなければならぬ。そうしてこれをもらってきて、これを政府に持っていき、政府で許可をして、それから銀行にいき、銀行でいよいよインポート・ライセンスになってくる。こういう段階において、カード業者あるいは思惑業者が暗躍している事実を一体どのように把握していらっしゃるのでございましょうか。
  188. 大堀弘

    ○大堀政府委員 御指摘の通り、これは輸出して特別外貨の割当の権利を得た人がそれだけの物は入れ得るということで、特別外貨に見合います品目の公表がありますと、実際上のプレミアムの売買が行われており、あるいはプレミアムに相場が立っていることは事実であります。その意味におきまして、あまり。プレミアムの上るような事実が出るというととは非常に好ましくない。現状におきましては輸出しました人には五%の権利があるわけですが、それが自然に特別外貨品目に見合ってその間に融通が行われるというかっこうになっておりまして、輸出業者はそれだけの利益を得ておるという結果になっておると思います。それは事実として私ども承知いたしておるわけでございます。従いましてこの制度の運用ということは、やはり根本の問題といたしましては適当な制度じゃないと考えておるのでございますが、ただ一方ではやはり輸出業者にある程度輸出の努力の見返りがあるということと、それから輸入品目につきましても、先ほど申し上げましたように、個々の品目といたしましては、なかなか割当の基準をいかにするかということはむずかしい問題でございますので、そういうものにつきましては、この制度に乗せて自由にやらせる方が、むしろやむを得ない悪ではないか、かように考えまして現状はやっておるわけであります。
  189. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでただいまの御答弁の中に、プレミアムが相当高くなっては困りますというお話があったわけでございますけれども、時計に例をとりますと、去年政府がお渡しになりました外貨、これの二十五倍の優先外貨がここへ集中されております。ことしわずか三十万ドルのところへは、四十倍の優先外貨が集中されております。そうなりますと、せっかく時計商が政府から外貨をもらった、やれ嬉しやと言ってみたって去年は二十五分の一、ことしの上期は四十分の一しか当らないという勘定が出てくることはおわかりの通りだと思う。こういうことが短繊維を買う場合にも、ノイルを買う場合にも行われておるわけなんです。ところでそのノイルを買って仕事をする、短繊維を買って仕事をするというのは中小紡だ。大紡はそんなことをやらない。しかしアメリカはあくまでも短繊維を買ってもらいたい。政府はやむなくこれを買わせる。そこまではいい。それから先が困る。どうして困るか。それのみでしか生きられない新紡や新々紡や小さい時計屋さん、輸入業者は、カードを集めるときにすでにプレミアムがついて買わなければならぬ。ところが買ってもらって行ったら二十五分の一か、四十分の一しか当らないから、今度それを横に回すときにはこれをどんと切り下げられていかなければならぬ。あぶはち取らずで、ドル買いドル売りで欠損したということになる。欠損する方があると必ずもうける方がある。もうけるのは一体だれかというと、これがさつき申し上げましたところの思惑屋である。これが買いあさりやあるいは予想を流すことになる。ところがそれにたよらなければ生きていけない人は、かりに二十五分の一だ、四十分の一だということは知りつつも、なおそこへたよっていかなければならない、こういう勘定になる。ところが四十分の一、二十五分の一がいやだったら、これは政府から許可をとったところの承認書、あれがくっついて銀行へ行くばかりに用意してもらっていきますと、これには少くとも外貨の三〇%から四〇%、去年の毛製品のごときは七〇%もプレミアムがついていた。そうしますと、先ほどの日英会談から入りました安い毛製品というものが、日本の思惑屋のおかげで七〇%もてんきりやられてしまうというわけである。そこで輸入業者の口銭はわずか三・四%か五%・思惑屋の利益よりもがんとこういうことになってしまう。これが現実に行われている。そこで時計のごときはそういうことが行われるとどういうことになるか。少くとも三〇%は初めから高くしなければならぬ勘定が出る。それに金利だの、正当利潤だの追加しておろせば高くなる。勢い国際相場よりも高くなるという勘定になる。これはやがて、それではというので、もっとそういうことをなくして入れてやろうという、密輸を奨励するという思わざる結果に相なってくるわけである。こういうことでござまいすが、こういう制度が行われているうちは、いかにこの法律を改正して輸出組合、輸入組合、ときに輸出入組合と称して、組合だけ完璧にしても、組合が生きる血液である外貨がこのような状態に置かれていて、どうして正常な輸入が行われるでございましょうか。どうして正常な価格でもって国民に物資を配給することができるでございましょうか。この点について大臣に、一体いかにしたならばいいか所見を伺いたいのでございます。もしなければ、私はここに私の案を提出してみたいと存じます。決してこれに反対することではございません。これも生かし、片方もまた生かすという案を私はここに提出してみたいと存じます。
  190. 石橋湛山

    石橋国務大臣 外貨割当の問題は御指摘までもなく非常にむずかしいのでして、いろいろのそういう思わざる悪影響のある点も認めざるを得ないと思います。これは一つ意見も伺って直せるものなら直したいと考えております。
  191. 加藤清二

    加藤(清)委員 直せるものなら直したいといって、これは政府が作っておることですから、やってやれぬことはないのですが、私が聞いているのは、かようにかくかくに変えるとか、その時期はいつであるとかいう具体的方式を聞いているのです。
  192. 板垣修

    ○板垣政府委員 特別外貨資金制度につきましては、確かに今御指摘の通り内容については多少誤解になっておる点がありますが、たとえば毛製品はマル特ではございません。ともかく全般として今お話のような弊害が起っておることは十分承知しております。私どもといたしましては、アメリカの例の国際通貨基金との関係もございまして、この制度はできるだけ早い機会にやめたいという方針を持っておるわけでございます。従いましてその一助といたしまして、漸次この取得率を減らしてきております。御承知のように、ことしの二月から五%まで減らしました。時期はまだ申し上げられませんが、やめる時期はゼロになるわけでございます。これはいつになるか、今のところわかりません。全然やめてしまうか、あるいは今御指摘のありましたように弊害が特に出ておりますのは、これは原材料的なものが品目に入っておるからでございます。この原材料的なものを品目に入れるのをやめまして、先ほど私が申し上げましたように、ほかの割当基準ではどうしても入れにくいもの、たとえば化学製品であるとか、あるいは支那料理の材料であるとか、普通の割当基準では割当することが非常に困難なものに限定いたしますれば、この制度は弊害なく、むしろ為替簡素化の面に有利に働く。そういう点ではIMFも了解しております。従って品目を減少し、取得率を狭めて存続あるいは思い切ってやめてしまう、大体こういうふうに、時期はわかりませんが、私の方は考えております。
  193. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいまふとお漏らしになりましたIMFでございますが、この制度はやがてIMFの方からもたびたび注意を受ける結果と相なって、国際的に信用を失墜する原因をここに構成しておることを私は前々から遺憾に思っておったものでございますが、幸い通商局長がこれに心を痛めて、一日も早くよき方法に改めようとしておるお気持を伺いまして、私その気持はまことに額面通り満足に受け取るものでございますが、しからば時計の外貨割当につきましての別の方式、たとえば一般外貨割当方式とか、あるいはある程度申請者の資格を限定して直接にその輸入する者に外貨が渡る、つまり思惑が行われないようにするという制度はいかがなものでございましょうか。
  194. 大堀弘

    ○大堀政府委員 本来輸入する人に割当てるということは現状よりもよろしいと思うのでありますが、なぜこういうプレミアムが上るか、なぜ四十倍もくるかということは、やはり価格の差があるわけでございます。その場合に割当の基準について技術的に非常に困難が伴うわけでございます。その点研究いたしまして、現状よりも適正な割当ができるという見通しがつきましたら、私たちといたしましてもその方向に考えて参りたいと思います。
  195. 加藤清二

    加藤(清)委員 技術の困難はさることながら、経済界の混乱を救うためにはある程度技術の困難は乗り越えていただかなければならぬ、こう思うわけでございます。そとで時計の輸入組合のごときは、さっそくこの法律によって輸出入組合を結成してしまって、そうして時計の外貨割当は一般外貨割当を受けた方がいいじゃないか、こういう考え方すら持っておられるようでございまするが、との法案に賛成、反対は別として、私はその組合の方々がそういう考えに逢着されるということは、これは無理もないことだ、むしろお気の毒に思うくらいでございます。この点は新紡、新々紡もまた軌を一にしておるところでございます。そこで技術を乗り越えて、技術的操作のむずかしさを乗り越えてもなお経済の混乱を救うために、日本経済のマイナスを救うためにやる勇気があるかないか、この点いかがでございますか。
  196. 石橋湛山

    石橋国務大臣 非常に弊害があるものはどんな困難があってもやめなければならぬから、研究してやめるようにいたしましょう。
  197. 加藤清二

    加藤(清)委員 それじゃあ政府は時計を特別会計法に基くビッド・システムに当てはめて差金を政府に納める、いわゆる特定物資輸入臨時措置法、これがバナナやパイ・カンだけに限られておるようでございますが、中にはこの法律がうまく通過すれば、これによっていった方がいいじゃないか、こういう考え方も一部濃厚に行われているようでございます。また漏れ承わるととろによりますと、こういう考え方は必ずしも時計業界だけではないということも聞いておりまするが、この考え方は一体いかがなものでございましょうか。
  198. 板垣修

    ○板垣政府委員 特定物資輸入品目の中に、バナナ、パイナップル、カン詰以外の利潤物資を認めたらどうかという考えがあるわけでございますけれども、バナナ、パイ・カンもそうでございますが、その他も何らか通商協定によってこういうものは入れているという関係もありまして、バナナ、パイ・カンにつきましては、国民政府との間に了解はできておりますから問題はございませんが、その他ヨーロッパ諸国から、スイスなどから時計なども入れておりまするし、こういう点につきましてやはり外国との関係で、無用の摩擦を起すということを懸念いたしまして、現在のととろ考えておりません。
  199. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういたしますとこの時計の場合のごときはやはり一般外貨割当方式とこういうことに向く傾向か濃厚でございましょうか。そう解釈してよろしゅうございましょうか。
  200. 板垣修

    ○板垣政府委員 現在のマル特制度からはずすということになりますれば、そういうことを考えざるを得ないわけでございますが、それが果して次長からお答えいたしましたように、うまい割当基準あるいは割当策というものがうまくきめ得るかどうかという点にかかっているわけでありまして、この点は至急研究をしてみたいと思います。
  201. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣は弊害があればこれを除去するにやぶさかでない、制度の改廃もまた行う、こういうお考え、これはしごくごもっともなことであるし、また大臣としては当然な任務でもあるわけでございます。そこでこのことは至急御調査の上実行に移していただくことを早期に行われることを期待しておるわけでございまするが、今申し上げましたように、輸出入取引法の一部改正を行うに当りましても、あるいはまた特定物資輸入の臨時的な措置を行われるに当りましても、このように一例を時計にとっただけでもなお多くの問題を残しておりまするが、これらの問題は、いわゆる哲学以前と同じでございまして、本論以前の問題なんです。これを処理してかかっていただかないことには、いかに法律のみがうまくできましても決して経済界の混乱は避けることはできない。この混乱を避けることができないということであれば、せっかくこれを作りましても、仏作って魂入れず、こういうことに相なりまするので、ぜひ事前に行うべき準備は十分に整えていただきまして、組合員がこの組合からほんとうに恩恵を受けられる準備態勢を政府みずからの手によってまず作る、こういうことを先決にお願いしたいと存じます。これについて大臣はいかがお考えですか。
  202. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろん先ほどから申し上げますように、時計のことは私よく知りませんが、御指摘のような弊害があることは、できるだけすみやかに除去しなければならぬですから、十分研究をいたしまして除去するようにいたします。しかし組合は組合として、今の輸出入組合の法律法律として、これまた時計の問題が解決しないから組合法は要らないというわけじゃないと思いますから、これはこれで、むろん両々相待ってすべきものであるが、御指摘の点は、日本の貿易の中のある一部分の弊害があるから——組合については、今の時計の問題等が片づかなければ組合は要らないというものじゃないと私は考えます。
  203. 加藤清二

    加藤(清)委員 時計の問題は氷山の一角を取り出しただけでありまして、これを行う以前に行わなければならない事前の問題があまたある。それをまず除去してかからなければ、仏作って魂入れず、こういうことに相なりまするので、それを除去することに努力されるかされないかということを聞いておるのであって、一例を申し上げておるつもりで言っておるのですから、その点を……。
  204. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それはもうお話しするまでもなく、さような弊害は極力早い機会に除去することに努力いたします。
  205. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは最後に、目下行われておりまする日英会談、これに毎日臨んで御苦労をかけておりまする板垣さんがいらっしやるので、私はこの際一言申し上げておきたいと存じまするが、事貿易に関する問題、日本経済の復興に関する問題は、私は野党でありますけれども決して政府がやるからというので反対するものではございません。野党といえどもそういうことを党利党略に使うなどとはつゆさら考えておりません。願わくば日本経済復興のために、日本経済を一日も早く復興させるためならば、野党的立場をとって相手をたたくということに主眼を置くような、そういうけちなやからは社会党には一人もおりません。党利党略を離れて日本経済の復興のために努力したい、こういう考えのもとに論を進めておるわけでございまするし、その心がまえを持ってあなたの交渉に期待をかけているものでございます。日本は負けましたけれども、戦いは終りましたけれども、経済の戦いは決して終ったわけではございません。市場の競争は今後平和になればなるほど一そう激烈の度を加えることと存じます。しかしその戦いにもしまた負けたとするならば、いくさに負け、経済の戦いに負けたならば、日本民族の行くべき先はありません。日本民族の興亡をかけてのこの経済の戦いに全知全能をしぼって、ぜひ成功をおさめられまするよう御努力願いたい。御希望を申し上げまして、質問を終ります。
  206. 山手滿男

    ○山手委員長代理 次は佐々木良作君。
  207. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今議題になっている法案とは直接関係ありませんけれども、御承知のように総合開発関係並びに国土開発関係の小委員会が開かれることになっておって、三、四回流れております。きょうもこの委員会のあとで開かれる予定であったそうでありまするけれども、それがまた流れそうな状態になっております。従いましてその委員会で聞くべき事項だと思いますけれども、お許しを得ましたので、ちょっと時間をかりまして緊急質問の形で御質問申し上げたいと思います。  あるいはこれは大臣ひょっとしたら御承知ないかとも思いまするけれども、総合開発計画の推進ということは重大な問題でありまして、先ほど申し上げました小委員会におきまして、数次国土総合開発の推進の問題について論議を重ねておったわけであります。当時の政府委員あるいは説明員の方によりますると、私が、総合開発計画が非常にあちらこちらでそごを来たしておって、そうして国費の乱費を来たす可能性がある、総合開発計画を立案する機関はあるけれども、総合開発計画実施する機関がないので、あちらこちらでその問題があるということを指摘いたしましたところ、まあ今のところやり方は下手ではあるけれども、具体的にはスムーズにいっているという話でありました。ところが一つの非常に明らかな例を申し上げまして、善処をまずお願いしたいと思います。  それは御承知だと思いますけれども、関西の熊野川の上流をせきとめて、そうして紀ノ川に水を流して大和平野の農地造成に役立たせるかたわら、その途中で水を利用して発電所を作るという計画が進行中であることは御存じと思います。特に私この問題について緊急にただしたいことは、この計画の遂行の過程におきまして、今発電所はできておるけれども、通すべき水が出ないので遊んでおる。その上に地方の行政官庁との関係で、今いわばにっちもさっちもいかない状態になっておるはずであります。従いましてその善処を特に要望する意味において、緊急質問の形をかりたわけであります。計画の出発は、御承知かと思いますけれども、昭和二十七年の審議会で決定をいたしまして——これは三百年来の水の係争事件であります。私は国土開発法を制定いたします際の参議院における審議の責任者であります。同時にまたその一つの施行機関に相なりましたところの電源開発法を作るときの参議院の責任者でもあります。同時に電源開発法が施行されまして、そうして一番最初計画実施を進めるために、電源開発審議会におきまして、電源開発会社が施行すべきものと決定されまして、今の総合開発計画の一端が具体的に前進しかけたのは、二十七年の開発会社が発足すると同時でありまして、私その関係の非常に濃厚な責任者でもあります。従いまして法律審議した責任と、実際に仕事を進めてきた責任と両方から、今その結果がまことに遺憾な状態になっておりますから、善処をお願いする次第であります。  当時の計画決定によりますと、三十年度、つまり今年度に、計画した流域変更を大体完成することを前提といたしております。つまり三十年度は熊野川上流を仕切って、そうして逆向きに大和平野に水を流す計画が成就する年であります。従いましてその計画の一端を受け継いだところの電源を開発する方の仕事、つまりそれははっきり申し上げますと、ダムを作る仕事は建設省、これは総合開発計画の中の熊野川の治水の仕事であるからということで、猿谷というダムでありますけれども、施行責任者は建設省の責任者、それからそのダタムから水をとって隧道を通しまして、天辻隧道という穴をあけて、つまり流域変更をする隧道を通して紀ノ川に流す、その隧道を作る仕事の一部と、その道中に発電所を作るわけでありますからその発電所を作る仕事、従いまして計画中の大体発電に関する部分を電源開発会社、それから水を流したあと、大和平野に次々に水を入れていきまして水路を作る仕事並びに農地造成をする仕事、これが農林省ということに相なっておるわけであります。この中で進行をしておるのが電源開発会社の電気工事と農地造成の仕事でありまして、大体建設省の仕事が今停滞をしておるというのであります。  従いまして問題の第一点は、今年度発電所が二つになるわけでありますが、その下の方のものはすでに六月に完成をいたしております。完成をいたしておるのにかかわらず、ダムの建設の費用はこれが予算の削減右左とかいうことによりまして、今年度中に完成する見込みがまずほとんどなし、従ってこれを一体どういうふうに調整するかという点、それから第二点は、もう一つ緊急なのでありますが、ダムから水を引いて発電所を通さなくても——通さなければほんとうの発電所の能力は発揮いたしませんけれども、紀ノ川の自然流量があるわけです。紀ノ川の自然流量だけで、非常に少い発電でありますけれども、発電所の運転は可能なのであります。二、三千キロという小さい発電でありますけれども、これはダムが間に合わなくても、流域変更をしなくても、現に発電にはなり得る水であります。ところが御承知のように仕事をするのには水利権の問題が出てくる。その次には大体工事実施認可という問題が出るわけでありますが、工事実施認可がまだほんとうは出ていないのです。発電所ができ上る段階になりまして、何とか早く処置しなければならぬということで、電源開発会社や役所が関係をいたしまして、今大騒ぎで何とか工事実施認可をしようという段階であります。実施認可さえあれば自然流量の二、三千キロの発電所だけは運転でき、発電は開始するのです。ところがこの工事実施認可をするについて、関係府県にきわめて大きないろいろな従来の関係がありまして、こういうことになっておる。つまり熊野川の上の水をとられるためには、和歌山県は——私はこれは直接関係があるのかどうかという測定で、ちょっと奇異に感じますけれども、条件といたしまして、熊野川に沿う二級国道があるわけであります、この国道を通らないところが大体十キロばかりのところと九キロばかりのところと二カ所ある、それを通るようにしろ、それが水を上から切られるための補償の一環として要求されているわけです。そこで実施認可をするためには、管理県である奈良県が利害関係のある和歌山県と相談して今建設省に話をする段階であるわけでありますが、今言いましたように、和歌山県は今の道をつける約束を遂行しなければ実施認可を政府に要請することに反対だということであります。私はその経過は捨ててもいいと思います。このために現にでき上っている発電所が流れている二千キロの水を目の前にしてほっておいて、運転せずにそのままに放置されているわけであります。計画は先月の末、六月二十五日かに仮通水する予定でありましたけれども、それに間に合うように官庁手続ができなくてそのままの状態で行き悩んでおります。しかしこれは決して役所の手続の問題ではありません。従いましておそらく大臣は十分御承知でないと思いますけれども、私は委員長との関係におきまして、二つのことをはっきりとお願いいたしたい。一つはともかくも国費を投じてそういう状態になっているのであるから、電気の所管大臣であります通産大臣は、電気の関係の施設ができ上っておって、そして水が通せなくて発電できない状態にあるわけでありますから、すみやかに関係の建設大臣、それから総合開発計画関係でありますならば審議庁長官、並びに下流の関係で農林大臣と直接にお話し合いを願いまして、そしてすみやかなる解決をお願いいたしたい。現にでき上って水がたれ流しになっているわけでありますが、大体いつ御返事願えるかという点をまずお伺いいたしたい。  二番目には、これと関連いたしまして、この総合開発計画をめぐりまして、正不正ということではなくて、いろいろな問題があることを私は承知いたしております。従いまして、委員長におきましては、今の大臣の答弁並びにこれと相待ちまして至急にこの関係審議が小委員会なりあるいはこの委員会におきましてやれるような措置をお願いいたしたいのであります。国会の調査権あるいは調査権に類するものというのは、特に国会で作った法律の施行の状態におきまして、作った当時と非常に違った実情がある場合には、国会は勇敢に取り上げてその法律の意図を達成すべきだと思います。そういう意味におきまして、一つ委員長に最大の善処をお願いいたしたいと思います。
  208. 山手滿男

    ○山手委員長代理 お答えいたします。本日も国土開発の小委員会を開くことになっておりましたが、法案審議関係上、この委員会が続開されましたので、本日は流会のやむなきに至りましたが、今週の終りか来週の早々にはぜひ国土開発の小委員会も再開いたしまして、本日お尋ねのような点については関係各省の方々も出ていただいて事態を究明することにしたいと思います。
  209. 石橋湛山

    石橋国務大臣 熊野川の関係は問題があることは承知しておりましたが、実はそれほどになっているという詳しいことは存じませんでした。さっそくお話通り関係大臣と話し合いまして善処することにいたしたいと思います。その御返事は最も近い機会に、今度各大臣と会える一番確実なときは閣議でありますから、あさっての金曜日には必ず話し合いをしまして、その結果をその後何らかの機会に御報告いたすことにいたします。
  210. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、緊急に解決をはかられ、御報告を受けるということでありますので、問題はその後に譲りたいと思います。  それからもう一つだけ、本委員会におきまして電気料金の問題がずっと継続的に次々に調査の事案になっておりましたことは通産大臣承知通りだと思います。最近予算の組まれ方と相待ちまして、大体電源開発資金の非常に大きな部分を担当しております開発銀行から電源開発について電力会社に回る金、——これは九つの電力会社の方ですよ。それの配分のやり方につきまして、その内容のいい悪いは私今論議いたしませんが、従来とられておった方針を今度は相当変えられるという話が伝わっております。従いまして私は一つだけ申し上げておきたい。この方針が変りますことは、電力料金に直接の影響を来たしますので、もし変りますといたしますならば、本委員会は料金問題を常に審議しております委員会でありますから、この委員会にどういう機会でもいいですから御報告願いまして、この委員会の了解を得て取り進められたいと思います。開銀資金の配分は、従来はA地点、B地点、C地点といたしまして、その地点ごとのおのおのの地点の、たとえば十カ地点がありますれば、金の大きさによって半分ずつ全部開銀資金を回そう・A地点が十億でありますならば、その五億、B地点が二十億でありますならばその十億というふうに、平均して五〇%なり六〇%なり四〇%なりを一律にきめられておったわけであります。ところか最近承わりますと、資金量の自己調達の能力に応じて配分をあんばいしようというお話が出ておるやに聞きます。開銀資金の分配は、資金量の問題であると同時に、資金の質の問題がきわめて重要でありまして、開銀資金ほど低利の長期の資金はちょっと市中金融にはありません。従いましてこれが税金に及ぼす影響はきわめて重大なるものがあります。私はその全額を言うのではありませんけれども、料金問題がこれほどやかましくこの委員会で言われ、そして電源開発資金のコスト低下が云々されているときでありますので、従来と違った開銀資金の配分方法がとられますならば、その開銀資金に二点の重要な問題が含まれておりますことを御承知おき願いまして、そしてこの委員会にしかるべく御報告なりあるいは御了解を得て善処していただきたいと思います。要望を申し上げます。
  211. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいまの問題は承知いたしました。今までの配分の方法は、あなたがお話通り、これは各会社ごとに自己資本、自己調達能力の多少がありますので、それをも考慮に入れるべきだというかなり強い議論もあります。われわれとしてはこれがお話通り、やはり料金に相当の影響を及ぼす問題でありますから、ただいま慎重に研究している次第であります。
  212. 山手滿男

    ○山手委員長代理 この際お諮りいたします。ただいま審査中の石油資源開発株式会社法案並びに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について、来たる八日参考人より意見を聴取することにいたしたいと思いますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 山手滿男

    ○山手委員長代理 御異議ないものと認めさよう決定をいたします。参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 山手滿男

    ○山手委員長代理 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお先ほど決定をいたしました輸出入取引法の一部を改正する法律案についての参考人出頭要求も来たる八日にいたしたいと思いますので、さよう御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会