○伊藤(卯)
委員 私の言った資料が出ておりますか。私がさきに言ったような
日本の
産業経済、国民生活に寄与するという考えに基いた具体的な資料が出ておりますか。これは具体的にまだなっておりません。見取図みたいなものがちょっと書いてあるだけであって、こんなものは総合エネルギーの計画を確立していくその基礎的な権威ある資料になっておりません。だからその点は、私があとでまたいずれ
法案の
内容にわたって
審議をしていくときに要求いたしますから、あらかじめ
一つそのつもりで準備をしておいて下さい。
それからさらにお尋ねをいたします。さっき多賀谷
委員からもこの点については詳しく質問をしておられたようであるから、私は重複を避けるようにいたしますが、何といってもこれはやはり油に押されてくる、あるいは五年も後になれば、原子力の平和利用というようなものにも押されてくることはわれわれも一応考えておかなければならぬと思う。そうすれば
石炭をただ燃料としてたいてしまうというだけでなくして、当然国としては十分準備と用意をして、
石炭を原料として新しい利用増を拡大していくべきであると私は思う。そういう点から、先ほど齋藤
石炭局長から常磐地方というか、その簡単な点を御発表になりましたが、その
程度では私は新しい利用増の点にはならぬと思うのです。そういうことで、この低品位炭の完全ガス化というか、あるいは火力発電というか、こういうものについては国家が資金を出しさえすれば、
相当これは効力があることがすでに明らかにされておるのであります。たとえばガス化の問題につきましても、
日本は文明国と言っておりますが、しかしながら家庭のガスの消費量から申しますと、欧州各国は一番少いところで五、六〇%使っている。
日本の場合はまだ十三%くらいしかガスを使っておりません。そこで
日本瓦斯協会などで
相当研究をいたしまして、低品位炭の完全ガス化の十カ年計画などというものも作って発表しているようであります。それなどを見ますと、今までのガス化は
外国からの高い原料炭を輸入してコークスをとるためにガス化をやっていたようでありますが、低品位炭の宅全ガス化は輸入の原料炭を使わない、いわゆる外貨を使わないで
日本の低品位炭によって、完全ガス化が行われる。この十カ年計画で
日本の
石炭を四百四十三万トン消費し得るということを明らかに発表しているのでございます。ただこれを実施するのに多額の資金が要るということが
一つの問題点であろうと思いますけれ
ども、一応ドイツでもやっている。それから
日本の瓦斯協会などでもそういうものを発表している。
政府は
石炭安定策の
一つとして今後低品位炭を原料として使っていくということを十分お考えになっているかどうか、これは将来に対しても非常に重大なる問題であると思いますから、
一つお伺いしておきます。
それから本日多賀谷君が質問されて、
電力会社との問題、同貯炭問題について論議になっておりましたが、九
電力会社の火力用
石炭消費の実績を見ますと、水の出方が過去三年間は非常に多かったというところから、予定の需要量が非常に少く済んでいるということになっているのです。たとえば
昭和二十七年は
石炭が五十四万トン要らなくなった、二十八年には百万トン要らなくなった、二十九年度には二百五十四万トン要らなくなってきたというように、つまり水の出方によってせっかく炭鉱は当てにしておった
石炭が
電力会社の方に買ってもらえないという結果になる。こういう点も炭鉱の大きな悩み、芳しい原因の
一つになっておることは申すまでもありません。そういう点から、
電力会社は渇水の準備積立金が三年間のうちに百九十億円できた、これは非常に政治上重大な問題として考えるベきものじゃないかと私は思うのです。炭鉱の方は火力発電にこれだけ買ってもらえると思って掘り出した、ところが雨がよけい降ったために水が非常に多かったから、今申し上げるように
石炭が要らなくなった、そうすると
電力会社は百五十億円からの渇水準備金を持っておる、その反面炭鉱は貯炭の山をなして非常に苦しんでおる——この
電力会社というのはいわば軽い
意味において国家が管理というほどではないが、
相当監視をしてやっておることは申すまでもない。そうすればこの現状において
政府は何らの手を打たないでこれを見のがしておるということは、何といっても無策だといわざるを得ない。そういう点から私はやはり
電力会社が火力用としての一定の貯炭量というか、たとえば三百万トンくらいは渇水の準備貯炭というか、
電力会社用としてこれを貯炭しておく、あるいはこのために炭鉱が苦しんでおるものに対しては貯炭融資をする、あるいは渇水準備貯炭として
政府が手持ちの非常用貯炭としてこういうものを持っておるということは、
電力会社が今申し上げたように三年間に百五十億円からの準備金がたまってきておるのですから、こういう点等に私は
政府がやはりそういう
措置を当然とってしかるべきであると思うのであるが、何らの手も打たれてないが、こういう点に対してはどういう
理由があったのか。今後それらの点をどうしようとされるのかという点について、
一つ具体的にお話を願いたいと思う。