○横田
政府委員 輸出入取引法の改正は、この前の国会にも問題になりまして、そのつど若干の改正を見ておりますが、今回は今までの
法律施行後のいろいろな経験に徴しまして、かなり思い切った改正が加えられておるわけでございます。この改正案が作成いたされますまでの間におきましては、この案に最も
関係の深い通産省と
公正取引委員会との間に時間的に申しますとかなり長い間の折衝があったわけでございます。その折衝をいたします主要な内容と申しますか、こまかなことは省略いたしまして、どういうところにそういう折衝を続けなければならなかったかという点をごくかいつまんで申しますと、われわれの立場といたしましては、
輸出を
振興することが
日本の
産業にとってきわめて重大なものであるということについての認識は、あえて人後に落ちないつもりでございまして、この点におきまして、今までの
輸出入取引法がかなりいろいろなこまかなやかましい
制限を、たとえば
協定をする条件等について設けておりますこと等につきましては、やはり
相当の緩和を必要とするということを考えておったわけでございまして、そういうような点は今度の
法案にかなりはっきり出ておるわけでございますが、ただわれわれといたしまして非常に懸念をいたしましたことは、
輸出を伸ばします必要ということ、その半面におきまして、その結果本日の
国内におけるいろいろな取引にいろいろな悪
影響を及ぼすおそれがあるのではないか。これは御承知のように
日本は
輸出に依存する度が高くなればなるほど、いわゆる全体の生産量、取引量マイナス
輸出という
関係になりますと、あとは
国内、この
国内取引と
輸出取引はうらはらの非常に密接な
関係がございますので、もし
輸出取引に関しましていろいろなことが行われますと、それは当然あるいは場合によっては必然的に
国内取引に
影響を及ぼしまして、それがいわゆる関連
事業費あるいはひいては消費者の
利益を害するというおそれが出て参ります。この点を私
どもといたしましては非常に懸念をいたしたわけでございます。
協定を認めます要件の中に、御承知のように
相当関連事
業者の
利益を考慮いたしました規定や、あるいは消費者の立場を考慮いたしました規定や、あるいはその
協定の当事者の間に差別待遇にならぬように考慮いたした規定等が入っておりますのは、全くそういう観点からでございまして、なおまた一方これは他の適用除外法において必ずそういうふうにして参ったわけでございますが、かりに
輸出のためでありといたしましても、不公正な取引
方法に該当するような行為は認めがたいということがわれわれの考え方でございまして、そういうような点につきまして基本的な考え方といたしまして通産省と折衝したのでございます。
まず第一に、
輸出取引オンリーの
関係につきましては、今度は御承知のように届出制がとられたわけでございます。これは私
どもといたしましても従来認可事件として通産省の方から回していただいておりまする事件を見ますると、なるほどまことに認可を必要としないような、きわめて軽い
程度のものがかなり多いのでございまして、これを一々認可する必要はまずあるまい。あるいはまたこれは認可
手続をきわめて簡素化することによっても、ある
程度の解決をはかれるわけでございます。しかしいっそ思い切りまして、この点は届出
制度にする。しかしながらそこに十日間の期間を置きまして、もしそれの内容がおもしろくないものであったら、私
どもストップをかけてあるいは変更を命ずる、あるいは締結を差しとめるというような道を開くことにして、届出
制度をとったわけでございますが、その他の
輸出業者間、あるいは
輸出業者と生
産業者間、あるいは生
産業者同士の間の
国内取引に関しまする
協定案、かりにその
物資が
輸出にかかわるものでございましても、先ほど申しましたような観点からいたしまして、いろいろな
国内的な取引上の問題がからんでおりますので、この方は、大体認めまする要件は、先ほど申しましたような
公正取引委員会の立場から申しますると、大体似たような点が考慮の要件になっておりまするが、認可
制度をとりまして、そしてこれについては
公正取引委員会の同意を必要とするという線を出したのでございます。この点は、通産当局としましては協議でもよいではないかということで、これは考え方の相違ということになりまするか、いろいろ折衝いたしました結果、やはり同意ということで認めていただきまして、案が出ておるわけでございます。それから、先ほど申しました不公正な取引
方法に関しまする部分につきましても、いろいろ折衝いたしました結果、やはり従前の
輸出入取引法あるいはその他の適用除外法のほとんどすべてにそういう同じ規定がございますので、それはやはり今度もそのまま踏襲していただくということにいたしまして、案ができたわけでございます。
もう
一つは、認可あるいは届出の問題につきまして、その後の
事情によってその内容がいろいろ不都合なものになって参りました場合に、
公正取引委員会から通産
大臣に向いまして、その認可の取り消し等の
手続を求めるということも、これはすでに現行法にあることでございます。その点につきましても若干の折衝がございましたが、結論的には現行法の
制度をそのまま維持するというような形になりまして、今度の改正案ができたわけでございます。
この認可
制度あるいは
公正取引委員会の同意ということに、
業界といたしましてはいかにもそこに非常な重々しさを感じまして、これでは自由な取引ができないのではないかというような懸念が
相当あるようでございまするが、これは毎々私
ども申しておりまするように、われわれの同意というものは、ケース・バイ・ケースによく考えまして、できるだけすみやかに
手続をするということと、それからあまりしゃくし定木的な、これはやってみないとわからない場合が多いのでございますので、しゃくし定木的な規定の適用はしないという方針で参りますれば、認可、同意というようなことも、そう
業界で
心配されるような、足手まといになるようなおそれはないというふうに、実は考えておるわけでございます。しかもこの
公正取引委員会の権限の発動、それから通産省の認可その他の
処置との間には、密接な連絡をとりまして事を運ぶ必要もございますので、もしこの
法案が成立いたしました場合、その後のいわゆる権限の調整と申しますか、具体的な仕事のやり方につきましては、通産省との間に密接な連絡をとります意味におきまして、いろいろのこまかな打ち合せも、実はすでにかなりできておりまして、もし
法案が成立するということになれば、直ちにその線に沿った文書の交換をいたしまして、今後
輸出入取引が円滑にかつ
弊害なく行われるように
処置したいというふうに考えておるわけでございます。
はなはだ簡単でございまするが、今回の改正法に対しまして
公正取引委員会が考えております主要な点はそういう点でございます。