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齋藤委員 官房長官に一言。これは
閣僚諸公に
官房長官からお伝えを願いたい問題でありますが、この
商工委員会では、
科学技術庁設置に関する
決議を行なっております。その
決議の文句は、「原子力の平和的利用を推進し、科学技術の飛躍的発展を期するため、原子力統轄
機構を含む科学技術行政全般の総合
調整と刷新の目的をもって、この際総理府に科学技術庁を設置することを要望する。」というのであります。本日の新聞を見ますると、今暁ワシントンで日米原子力協定の仮調印ができて、その大綱が発表されております。本日発表されました双務協定は、わずかウラニウム二三五、六キログラムと限定されておりますが、今後全人類社会に及ぼすところの原子力の問題というものは、これは人類社会初めての大きな革命であります。この問題は急速に進展すると思うのであります。ところが朝日新聞の一ページのまん中ほどに、原子力庁新設か、という見
出しがある。これは、日米原子力調印後の原子力の発展に対応するために、
内閣直属の原子力利用準備調査会総合部会、部会長石原経審次長が中心となって原子力庁を作った方がいいのではないかという議が進んでおるというのであります。われわれももちろん科学技術庁の新設を要望する
決議の中には、この原子問題を中核的に取り扱わなければもう時代に遅れるという感覚からこれを要望いたしておるのであります。ところがここに原子力庁を新設しようじゃないかというような問題が出て参りますと、これを一体
政府当局はどうお
考えになっておるか、この問題を
一つ官房長官においてもよくお
考えを願いまして、閣僚全般の問題として早急に
考えていただきたいと私は思うのであります。この原子力に関しましては、放射性物質による障害予防勧告というようなものが科学技術行政協議会から出ておるのでありまして、それからすでに放射性物質等取締り要綱というものも今作られつつある、それから労働省労働基準局労働衛生課長などというものは、全国に向って放射性物質の取締りに関するところの注意を勧告しておるのであります。これを調べてみますと、建設省にも
関係がある、いわゆるアイソトープをもって流水の
状態を調べるためにこれを利用するとか、あるいは
通産省はもちろんウラニウムというような金属を土台として高圧ガスとかあるいは爆薬の取締りと同じように取り締っていかなければならぬという問題がある、労働省はもちろん工場において放射性物質を取り締るときに、全般的に災害に対するところの予防処置を講じていかなければならない。それから厚生省はアイソトープを医薬に使うのでありますから一種の毒物によって犯されたところの程度によっての予防処置も講じなければならぬ、また人事院においてもその通り、農林省においてはすでにコバルト六〇が農業に応用され始めてきている、ここにも
一つの革命がある。もしコバルト六〇の照射によってジャガイモもリンゴもその他一切のものが二年も三年も腐敗
状態を来さないで保たれるということになったならば、これ
一つでも農業の革命となる。運輸省はこれをどうして運搬するかという輸送
方法も
考えなければならない、文部省しかり、こういうふうに
考えてみますと、各省全般にわたってこの放射性物質というものをいかに取り扱うかということを
考えていかなければならない、その
考えで一体行政の基というものが今あるかといったらないのです。それでございますから、私
たちの
考え方からいたしますと、この原子力問題を
一つ取り上げてみましても、科学技術の方面からこれを全行政面にわたって今から着々としてその対策を
考えていかなければならぬ、こういう事態に直面しておると思うのであります。そこで私
たちはこの科学技術庁の新設というものをこの際急速にやって、一切こういうものを包含した科学技術行政のあり方というものを
計画的に総合
調整をしていかなければならぬ、こういう
考えを持っておるのであります。ところが閣僚の中にこういう問題に対して
熱意を傾けて、わが国の科学技術行政の総合
調整をはかり、総合企画をはかり、特に原子力の問題に対して情熱を傾けて将来のあり方をこの際
決定しておこうという風潮がなかなか見えないと思うのであります。そこで
一つ賢明な
官房長官にお願いするのでありますが、どうか
一つこの問題に対して、
官房長官に
熱意を傾けていただいて、閣僚間にこの問題はぜひとも
解決しなければならぬものであるということを御
提案くださいまして、われわれの希望がなるべくすみやかに達成せられるようおとりはからいを願いたいと思うのでありますが、幸いここにお見えになりましたから、これに対する御所見を
一つ承わっておきたいと思うのであります。