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1955-06-22 第22回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十二日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    秋田 大助君       大倉 三郎君    小笠 公韶君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       鈴木周次郎君    中村庸一郎君       加藤 精三君    鹿野 彦吉君       小平 久雄君    堀川 恭平君       加藤 清二君    片島  港君       田中 武夫君    帆足  計君       伊藤卯四郎君    菊地養之輔君       佐々木良作君    田中 利勝君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      石原 武夫君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 六月二十日  委員松平忠久君辞任につき、その補欠として水  谷長三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十日  下請関係調整法案春日一幸君外十三名提出、  衆法第二〇号) 同月二十一日  中小企業安定法の一部を改正する法律案小笠  公韶君提出衆法第二四号) 同月二十日  発明事業の振興に関する請願黒金泰美君紹  介)(第二四五〇号)  繊維品品質表示法制定反対に関する請願江崎  真澄紹介)(第二四五一号)  服地用スフ織物の登録に関する請願江崎真澄  君紹介)(第二四五二号)  中小炭鉱休廃鉱に伴う救済対策確立に関する  請願石橋政嗣君紹介)(第二四七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)  内閣提出予定法案石油資源開発株式会社法  案)に関する件  科学技術行政機構に関する件     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についてお諮りをいたします。たただいま農林委員会に付託をせられております愛知用水公団法案について、農林委員会連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。  日程に入る前にお諮りをいたします。伊藤卯四郎君より石油資源開発会社法に関し緊急質問をいたしたいとの申し出があります。これを許可いたします。伊藤卯四郎君。
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 根本官房長官にお尋ねして、政府の信念のほどを明らかにしておいていただきたいという意味で伺いたいのでありますが、それは国内石油資源開発のための国策特殊会社法の件についてです。通産省は初めこの法案提出すべく準備を進めていたところが、大蔵省反対にあって、これを出せなくなった。そこで石橋通産大臣は、政府はいろいろのいきさつがあってこの石油資源開発特殊会社法提案できない、また提出する意思もない、こういうことを言っていたのであります。それから暗に議員立法として出してもらいたいというようなことを、いろいろその都度話をしておられたようであります。そこで商工委員会の中に作られた総合燃料対策及び地下資源開発の小委員会で、この石油資源開発計画を達成するために、これに関する法律をぜひ作って出そうというところから、民主党自由党社会党両派各党から二名ずつのこの法案起草委員を八名出しまして、そうしてその結果、石油資源開発株式会社法案が一応起草されました。先日この小委員会民主党小笠公韶委員から提案説明がなされて、そこでいよいよこれが具本的になって参りまして、小委員会においては商工委員会提案いたしまして、国会への提案方を願い、御審議を願うというところまで進んできていたのであります。ところがその午後に至ってか翌日か、聞くところによれば、政府は今度は政府案として近く国会提案をするということを何か考えておられるやに聞くのであります。そうすると全くこの法案は一転、二転、三転、四転というか、とにかくどこまで転々とするのかわからないが、政府が何か出そうとしておられるということを聞くのであります。ところが御存じのように国会も余すところもう余日はありませんが、一体ほんとうに出そうとしておられるのかどうか、そういう点を伺い、さらにまた内容的に、われわれ各党起草委員によって一応作られた法案内容があります。そこで政府が出そうとする内容のものは、どのようなものを出そうとされるのか。われわれの間で作ったものよりさらにわれわれが賛成できるようなものをお作りになるのであるかどうか。あるいはまた大蔵省の反撃を受けてまたどのように扱われるのか。われわれが賛成できないようなものをお作りになるのかどうか。その辺の点についても、会期の余日もありませんから、この点をぜひ一つ明らかに伺っておきたい。  それから鳩山内閣は、この石油資源開発五カ年計画というものについて、閣議決定閣議の申し合せか何かそういうことをやったということが発表されております。そのために要する資金は百二十億をもってするというようなことまで、きわめて具体的な発表をされておるのを見たことがあります。そこで政府は一体ほんとう閣議決定をして、そのようなことをやられようとしたものならば、なぜ正々堂々と内閣提出として出せないのであるか。その辺の経緯について、一つ詳細お伺いをいたしたいのであります。  それから政府提案されるとすればいつごろこの法案提案される運びになっておるか。根本官房長官も、われわれの間で議員立法として出そうということで寄り寄り進められて、ただいま私が報告しましたような経緯についても御存じのはずであります。しかるに議員立法として、一面主管大臣石橋通産大臣は、これをわれわれにぜひやってくれというようなことを言いながら、また今度はわれわれから取り上げて政府提案として出す。一体それはどういうような裏道のからくりがあるのか、私にはよくわからないが、その辺の経緯についても一つお知らせ願いたい。  それからわれわれから無断で取り上げて出されようとするのには、よくよくこの法案国会を通し得るという自信を持ってお出しになるものと私は信じておる。そこでそういう点について政府責任はきわめて重大であると私は考えるが、そういう点についてもあわせて一つ根本官房長官内閣を代表した意味で、ぜひ明快なる、責任のある御答弁を求めておきたいと思います。
  5. 根本龍太郎

    根本政府委員 石油資源開発のための特殊会社法制定する件についてでありますが、まず順序として、伊藤委員から御質用がありました、何ゆえに政府通産大臣が当初こういう法案を作ろうとしたのが、大蔵省との間において意見一致を見ざるために実現を見なかったかということでございますが、これはおそらく通産大臣からもいろいろお話があったと思いますが、御承知のように現在帝石が特殊な使命を持って現在まで開発並びにその採出、さらには製油に至るまで一貫的にやっておるのでございます。そこで大蔵省見解としましては、資源開発のために特殊の機構を設けるよりも、現在の帝石その他をもって、これに補助金を出すことによって目的が達成できるではないかという観点のもとに、補助金制度でやっていこう。また技術陣営もほとんどあそこに集中しておるときに、新たに別会社を作るということも必ずしもこれは合理的ではないという見解をとったのに対しまして、通産省当局としては、やはりこれは開発専門にやらないと、現場の営業方面に影響せられて、本来の開発ができないという、この相違点があったのでございます。両者ともいずれも石油資源開発について熱意を持っておる点においては同様であるが、その手段方法について意見相違を来したためにまとまらなかった、こういう事実でございます。従いまして政府がさきに——これは閣議決定と私はまだ思っておりませんが、了解として、総合燃料対策あるいは石油資源開発に関する計画を了承しておることは事実でございまするが、大蔵省が金を惜しむためにそうしたところの計画を阻止しておるという事実はないのであります。この点は十分御了承いただきたいと思います。  次にしからばなぜ、議員立法をもってこれに当ろうとしたのが、最近にわかに政府提案にしようとしたかということでございまするが、御承知のように、この石油開発会社法案につきましては、先般自由党民主党との間におきまして、昭和三十年度の予算に関して、総合的に予算修正をすることになりました。そのときの議題一つとしてこれが上されておるのでございます。その結果、これはやはり新たなる開発会社を作ることが至当である、こういう意見になったようでありまして、従ってその意見に基きまして、具体的にその構想が練られ、おそらくその構想の中には、ただいま伊藤さんが御指摘のように、民主党自由党、あるいはまた両派社会党皆さん方意見も勘案しておるものと私は考えておったのであります。これが予算修正に伴うところの法律制定でございまするから、やはりそれは議員立法方法が当然とらるべきものだと私たち考えておったところ、ごく最近に至りまして、自由党民主党両党の折衝委員あるいは四者会談の後、これはぜひ政治提案にしてくれとの要請でございます。率直に申し上げますと、その理由とするところは、かってこういうような立法の場合に、利権立法という疑いを受けやすい。あるいは造船利子補給法のごとき、これが議員立法としてなされたが、そういうような印象を受けることは好ましくないということと、もう一つは、これは政府もまた通産省において政府立法として前に計画されたことがあるのであるから、やはり政府提案とした方がより便宜であり、より妥当性があるというような、自由党民主党折衝委員要請がありまして、政府がこれを取り上げることにいたした次第であります。  しからば、いつ提案するかということでありまするが、これは一昨日だったかと思いまするが、私の方にそういう旨が来ましたので、これは白紙の状況政府事務当局をして立案させますと、先ほど御心配がありましたごとくに、そもそもの初めから大蔵省事務当局通産省事務当局との間の意見相違しておりますので、その調整のために非常に時間をとり、せっかく両党において作られた案がありまするので、これを基本として、若干事務当局意見をも調整し、そうして法制局をもって法制上の整備をして、政府提案したい、かように考えておる次第です。従いまして、できるだけすみやかに——できるだけすみやかにというと、非常に抽象的に聞えまするが、私の腹づもりとしましては、閣議決定は、この金曜日にはちょっと間に合いそうもありませんので、要すれば持ち回り閣議決定し、そうしてその日にあるいは提案できるかどうかわかりません。印刷の都合その他もございますので、おそくとも来週早々には提出いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 ただいま官房長官の御意見を伺っておりますと、大蔵省資金問題について反対をしたのでないというお話がありました。そうすると、私はそれは大へんけっこうだと、実はこう思ったのですが、それなら一体なぜ政府が、あれだけ通産省側の方で、閣議了解事項というかそういうことで資金も五カ年計画を完遂するために百二十億要るということで、きわめて具体的なものを作って出されてあるのに、それをわざわざこの資金裏づけをできないようにして、そしてこの三億の補助金で打ち切る形を取らなければならなかったのか。資金問題について大蔵省難点がないのなら、閣議了解事項なり通産省が出そうとしたそれらについて、その資金裏づけについては私は大蔵省は当然賛成すべきであると思う。それなのに、それを、われわれの聞くところによれば強力に拒否して、そして三億の補助金で打ち切る。そうすれば、投資なら、年年計画投資をしなければならない。補助金なら、余裕のあるときにそれだけの補助金を出せばよいのであるから、あとで責任を負わなくてもよろしい、そういうことをわれわれはひそかに聞いているのです。そこで今官房長官の御答弁によれば、資金問題で大蔵省難点がないとするのなら、それならば今度のこの五カ年計画に伴う政府出資のうち、私どもの方で作ったのは、いわゆる内閣閣議了解事項としたそれらをも認めて、そして百二十億の上に立って、その実際の投資に対しての八十億、この二分の一以上を政府が保有する、こういう形で一応作られてあるのであります。これは私どもの案であるけれども、すでに鳩山内閣が、閣議了解決定か存じませんが、そういう一つ計画を立てられておるのであるが、おそらくこの点において私は難点はなかろうと思う。今お聞きしていると、大蔵省資金難点がないとするのなら、おそらくそれについて十分な見通しの上に立って、私は政府の方から提案されるものと思うが、それについて間違いがないかどうか、確信を持ってやれるかどうか、この点を一そ明らかにしておいていただきたい。  それからいま一点。先ほど伺っておりますと、両党と言われるのは多分自由党民主党のことではなかろうかと思うのでありますが、私どもが小委員会で、四党八名の起草委員をあげて一応この基礎案を作りました。それと別個に両党案というのがあるのであるかどうか、その両党案というものを基礎にしてお出しになるのであるかどうか。われわれは政府案、私ども四党での起草委員で作ったものであろうと思うが、そうすると、両党というと民主党自由党の間で作られたものと政府案との間で折衷されたものを出されるつもりであるかどうか、その辺の意味についても御答弁願いたい。
  7. 根本龍太郎

    根本政府委員 先ほど私か申し上げたのは、本年度予算編成に当って、補助金であるべきか出資であるべきかということについての意見相違があったということだけを申し上げたのでありまして、大蔵省が、石油資源開発のために通産当局が要求したところの予算を全部無条件に出すというようなことではもちろんないのでございます。なおまたこの法案内容そのものを全部一々御説明することは私の権限外でありまして、これは本案が出されるとき通産大臣から説明されると思いますので、その点は差し控えまするが、私の方で党の方から連絡を受けたのは、両党の共同提案という形で最初受けておるのでございます。今お話を聞きますと、それは本委員会が四党で作られたものと変りはないそうでございます。私はこちらの方の経緯は存じませんが、そういうことでございます。
  8. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 どうもこの資金問題の点についてはっきりいたしません。法案裏づけにどれだけ資金が要るかということはきわめて明確なんです。その明確なる政府投資、いわゆる八十億とするならば、二分の一以上、四十億以上、これだけの年度計画投資について政府自信を持って法案をお出しになるかどうか。その辺の大蔵省との折衝については自信を持っておられるのかどうか、解決ができているのかどうか、この点を伺うのであります。私は法案内容は今あなたのおっしゃる通りあなたは申してくれるはずはないから、またきょうは何もそれを伺うべき必要もない。それからどうもまだ法案の点が明らかになりませんが、なぜ私が再度聞くかというと、私どもが四党八名の起草委員で作られたものであるとするならば、われわれもそれに対して相当やはり責任を持たなければなりません。しかしながらそれでなくして、自由民主両党と政府間でお作りになったものとするならば、私どもはこれを批判的立場法案審議をいたします。そういう点についても後日審議上の関係もありますから、その点を明確にしておいていただきたい。
  9. 根本龍太郎

    根本政府委員 大蔵省通産省との事務折衝は現在進行中でございまして、従って現在大蔵省通産省からのいろいろの要請をそのまま全面的に了承しているという報告にはまだ接していないのでございます。従いましてただいま私が伊藤さんの御質問に対しまして年次計画によってどれだけの資金を出すことに閣議決定しているかということは、まだ申し上げられない段階でございまして、これはこの両三日中にその間の内容をも調整し、閣議決定の上でなければ私から責任をもって申し上げられる段階ではございません。なお繰り返して申し上げますが、この案が四党で作ったものかどうか私は存じませんが、私の方に来ておりますのは昭和三十年度の予算修正に伴うところの法律としてこの問題を取り上げているという状況でありますが、今ここに参りましてお聞きしますというと、その案は本委員会の小委員会でおまとめになったものとほとんど変りないということを聞いているのでありまして、その程度より申し上げることができないわけでございます。
  10. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 資金の問題がまだ大蔵省折衝中のようでありますが、もし投資資金法案に対する裏づけ解決せなければ、もちろんこの法案は出せないもの、また出してはならぬ、意義も意味もないものと私は解釈するのであるが、従って大蔵省とのその解決ができなければ法案は出せないものと私は思うのであるが、そこで官房長官大蔵省解決がつかなければこの法案はもちろん出せないとお考えになっておられると私も思う。出しても意味がないから。そこで従来は解決ができなかったのですから、今度もできないということになると、この法案はいたずらに大蔵省との間の事務折衝に時間を食って、国会提出をする期日がなくなってしまうと思う。そうなってくると、政府は非常に重大なる責任をお考えにならなければならぬと思うが、大蔵省との折衝自信を持っておられるのかどうか。自信がなければ、この法案は出せなくなる。われわれの議員立法から取り上げて政府にやって、そして交渉がつかないからといってこの法案国会に出せなくなってくるということになれば、私は官房長官は非常に責任をおとりにならなければならぬと思う。そこで政府としてはやはり——これは私はよけいなことを言う必要もないと思うけれども閣議統一か、各省間の不統一状態をそのままにしては出されないはずである。おのずから内閣としてはそれだけの解決をしてお出しにならなければならぬ。国会としては自由です。その自由である国会から取り上げて内閣がお出しになるというのであるから、よほどの自信があるものと私は思うが、それらの点について大蔵省との関係において解決できる、できなかったら出さぬ、イエスか、ノーか、この点をはっきりいま一回聞かしていただきたい。
  11. 根本龍太郎

    根本政府委員 昨日の閣議におきまして、この取扱い方について議題にいたしたのであります。その際私から大蔵大臣に念を押しまして、この問題については従前大蔵事務当局通産事務当局との間に非常に意見の紛淆を来たし、できなかったのでありますが、今政治的に解決しなければならぬ段階になっておる、従いまして両大臣においてこれを調整して、すみやかに出していただきたい、これに対して両大臣とも了承いたしておりますので、私は内閣責任においてこれを出すことにいたしたいと考えておる次第であります。従いまして、その資金の量についても当然両省大臣の間において意見一致を見て出すつもりでございます。なおまたただいま御指摘になりましたが、政府がこの法案を取り上げてと言われましたが、政府は取り上げたのではないのでございます。これは両党の折衝の結果なったのでございまして、これはぜひとも政府でやりたいからといって取り上げたのでないことは明確にしておきたいと思います。
  12. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 私は聞くつもりじゃなかったけれども、今の言葉は一言明らかにしておかないと……。これは率直に言えば議員立法として出してもらいたいということを、政府側も切々として関係省はわれわれに求めておったことは事実であります。われわれもまた国会立場から、国内石油開発はぜひともやらなければならぬ国策であるという見地から、真剣に取り組んであの法案を作ったものである。本来からいくならば、政府もそうであったし、また自由党民主党委員諸君も同じ考え方で、しかもこの法案は与党の委員小笠公韶君から提案説明をされていたのである。そうしてわれわれで出そうということを、これはほとんど各党一致した意見であったのです。それをはからずも突如として政府案として出す、こういうことになったのであるから、これを取り上げないとは一体どういうことですか。これを取り上げた証拠じゃありませんか。率直に言えば、出せなくて青息吐息になって、われわれに救いを求めておったことは間違いない。裏の取引はどういうことがあったか私は知らぬが、とにかく一応取り上げて政府案として出される——政府案として出されることに対して異論を言っているのではない。ただ責任を感じなさいということだけを言っている。
  13. 根本龍太郎

    根本政府委員 政府提案する以上は、政府責任においてこれは出すことになるわけであります。
  14. 中崎敏

    中崎委員 実はこの問題については、国会においてもしばしば論議されたのであります。ことに当委員会においても強く繰り返して論議されたのでありますが、これに対して石橋通産大臣は、通産大臣としては石油開発のために特別の会社を作ることを強く熱望しておる。ところが閣内の事情によって、これは大蔵省側のことを言うのでありますが、これによってとうとう政府提案としては提出し得ない状態である。そこで商工委員会において、自分はその必要を認めるんだから、何分の御協力を仰ぎたい、言いかえれば、議員立法によってやってもらいたいという趣旨をしばしば言明をされておる。それにもかかわらずわれわれはこの政府の不統一を強く追及することなく、ひたすら石油開発国家的使命重要性にかんがみ全力をあげてその使命達成のために協力して、先ほど伊藤委員から話があったように、全力をあげてこの法案がこの国会を通過するように非常な努力熱意を傾けて進んで参った。ところがそれが知らぬ間に、政府の方に取り上げられて、そうしてこれがやられておる。一言半句もわれわれに対するあいさつもなく、しかも問題は自由党並び民主党の案として申し入れたけれども社会党両派の案はここへ来て知ったようなことで、何らその努力も知らぬし、内容も知らぬというような態度に対しては、われわれは黙って見ておるわけにいかない。石橋通産大臣にここへ出てきてもらって、そうして自分の心境を明らかにしてもらって、自分のとるべき態度はどういうようなものであるかということをこの委員会において明らかにしてもらわなければ、私たちは議事の進行について協力することはできないということをここに明らかにしておきます。
  15. 田中角榮

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  16. 田中角榮

    田中委員長 速記を始めて。
  17. 齋藤憲三

    齋藤委員 官房長官に一言。これは閣僚諸公官房長官からお伝えを願いたい問題でありますが、この商工委員会では、科学技術庁設置に関する決議を行なっております。その決議の文句は、「原子力の平和的利用を推進し、科学技術の飛躍的発展を期するため、原子力統轄機構を含む科学技術行政全般の総合調整と刷新の目的をもって、この際総理府に科学技術庁を設置することを要望する。」というのであります。本日の新聞を見ますると、今暁ワシントンで日米原子力協定の仮調印ができて、その大綱が発表されております。本日発表されました双務協定は、わずかウラニウム二三五、六キログラムと限定されておりますが、今後全人類社会に及ぼすところの原子力の問題というものは、これは人類社会初めての大きな革命であります。この問題は急速に進展すると思うのであります。ところが朝日新聞の一ページのまん中ほどに、原子力庁新設か、という見出しがある。これは、日米原子力調印後の原子力の発展に対応するために、内閣直属の原子力利用準備調査会総合部会、部会長石原経審次長が中心となって原子力庁を作った方がいいのではないかという議が進んでおるというのであります。われわれももちろん科学技術庁の新設を要望する決議の中には、この原子問題を中核的に取り扱わなければもう時代に遅れるという感覚からこれを要望いたしておるのであります。ところがここに原子力庁を新設しようじゃないかというような問題が出て参りますと、これを一体政府当局はどうお考えになっておるか、この問題を一つ官房長官においてもよくお考えを願いまして、閣僚全般の問題として早急に考えていただきたいと私は思うのであります。この原子力に関しましては、放射性物質による障害予防勧告というようなものが科学技術行政協議会から出ておるのでありまして、それからすでに放射性物質等取締り要綱というものも今作られつつある、それから労働省労働基準局労働衛生課長などというものは、全国に向って放射性物質の取締りに関するところの注意を勧告しておるのであります。これを調べてみますと、建設省にも関係がある、いわゆるアイソトープをもって流水の状態を調べるためにこれを利用するとか、あるいは通産省はもちろんウラニウムというような金属を土台として高圧ガスとかあるいは爆薬の取締りと同じように取り締っていかなければならぬという問題がある、労働省はもちろん工場において放射性物質を取り締るときに、全般的に災害に対するところの予防処置を講じていかなければならない。それから厚生省はアイソトープを医薬に使うのでありますから一種の毒物によって犯されたところの程度によっての予防処置も講じなければならぬ、また人事院においてもその通り、農林省においてはすでにコバルト六〇が農業に応用され始めてきている、ここにも一つの革命がある。もしコバルト六〇の照射によってジャガイモもリンゴもその他一切のものが二年も三年も腐敗状態を来さないで保たれるということになったならば、これ一つでも農業の革命となる。運輸省はこれをどうして運搬するかという輸送方法考えなければならない、文部省しかり、こういうふうに考えてみますと、各省全般にわたってこの放射性物質というものをいかに取り扱うかということを考えていかなければならない、その考えで一体行政の基というものが今あるかといったらないのです。それでございますから、私たち考え方からいたしますと、この原子力問題を一つ取り上げてみましても、科学技術の方面からこれを全行政面にわたって今から着々としてその対策を考えていかなければならぬ、こういう事態に直面しておると思うのであります。そこで私たちはこの科学技術庁の新設というものをこの際急速にやって、一切こういうものを包含した科学技術行政のあり方というものを計画的に総合調整をしていかなければならぬ、こういう考えを持っておるのであります。ところが閣僚の中にこういう問題に対して熱意を傾けて、わが国の科学技術行政の総合調整をはかり、総合企画をはかり、特に原子力の問題に対して情熱を傾けて将来のあり方をこの際決定しておこうという風潮がなかなか見えないと思うのであります。そこで一つ賢明な官房長官にお願いするのでありますが、どうか一つこの問題に対して、官房長官熱意を傾けていただいて、閣僚間にこの問題はぜひとも解決しなければならぬものであるということを御提案くださいまして、われわれの希望がなるべくすみやかに達成せられるようおとりはからいを願いたいと思うのでありますが、幸いここにお見えになりましたから、これに対する御所見を一つ承わっておきたいと思うのであります。
  18. 根本龍太郎

    根本政府委員 ただいま齋藤委員から申されたことはまことにごもっともなことでありまして、特に内閣におきましても、高碕経審長官のごときは、これが日本の経済再建の非常に大きな転換の基礎になるという観点から検討しておるのでございます。その意味におきまして、ただいま齋藤さんから御指摘のごとくに、その機構についても現在準備会において検討を進めておるという状況でございます。特に本日仮調印が行われたということになりますれば、これは早急にこの機構についても整備しなければならないし、本日の新聞のごときは、各紙ともこの原子力の受け入れ態勢と今後のこれが人類に及ぼす広範なる影響について、非常に解説的な記事が出ておるということはまことに当然のことである。またこれにいかに重大な関心を国民が持っておるかということを示しておるものと存じます。従いまして次の閣議の機会にこれを各閣僚にお諮りするとともに、特に関係の深い閣僚の諸君には私からもよくその旨を伝えまして十分に善処いたしたいと考える次第であります。
  19. 中崎敏

    中崎委員 議事進行……。暫時休憩をしていただいて、先ほどの問題について一つ理事会を開いて善後措置を講じていただきたいと思います。
  20. 田中角榮

    田中委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時十七分休憩      ————◇—————    午前十一時二十六分開議
  21. 田中角榮

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  輸出入取引法の一部を改正する法律案議題となし、質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。中崎敏君。
  22. 中崎敏

    中崎委員 輸出入取引法の一部を改正する法律案について、二、三の質疑をいたしたいと思うのであります。この法案提出理由はよく了解できるのでありますが、また一面において、この内容はきわめて重大な意義を持つものでありまして、独禁法の趣旨に相当大きく違った方向を進むような内容が含まれておるからであります。そこでこの法案提出に至る間において、公取委員会とどういうふうな折衝が行われたか、その経過について大要を一つ説明願いたいと思うのであります。
  23. 板垣修

    ○板垣政府委員 輸出入取引法を改正するにつきましては、先般政務次官より提案理由を御説明申し上げました通り、現在の貿易取引における非常な過当競争というものを防止するために、どうしても現行の輸出入取引法では規制しがたい点が多々ございますので、その点を主眼として、通産省といたしましては改正について研究をし始めたのでございます。私ども考えました点は、結局対外的な効果のみが出まする輸出取引につきましては、現行法でかけられておりますいろいろな制限をむしろ撤廃いたしまして、原則としてこれを自由にすることを主眼として、改正の趣旨を考えたのであります。その理由といたしましては、対外的にのみ効果の現われます輸出取引につきましては、その国内的のはね返りが絶無とは言えませんけれども、ほとんどないではないかという点を主眼といたしまして、輸出取引につきましては、原則として制限を撤廃して自由にするということが、第一の主眼でございます。それと同時に、しかし輸出業者の輸出取引のみでは十分に輸出取引の秩序を確立することは困難な実情にもございますので、これに関連いたしまする輸出業者の国内取引につきましても、制限を撤廃するということ、さらに進みましては、この両者をもってしてもなお輸出取引の秩序の確立が非常に困難である場合には、ある制限を設けて、国内の生産業者の間でも輸出に関する共同行為ができるというふうな形で公正取引委員会と交渉を開始いたしたのであります。その際、事務手続の簡素化ということも主眼に入れまして、私どもの希望といたしましては、輸出取引に関する行為ができる限り通産大臣の限りでやれる、ことに最初に申し上げました輸出業者の輸出取引につきましては、これを全面的に認可制からはずしまして、届出制にするというような方向で進みました。しかしながら公正取引委員会といたしましては、やはり独占禁止法を維持する建前からいたしまして、その点についてやはり何らかの保証がほしいというところで、国内的にはね返りがあるいは起るかもしれぬと思われるもの、すなわち輸出業者の国内取引、さらに進んでは生産業者の協定、こういうものにつきましては、公正取引委員会といたしましては、通産大臣の認可及び公正取引委員会の同意ということを主張いたしました。私どもといたしましても、対外的な関係も考慮いたしまして、この主張はもっともと思われましたので、すなわち第一の輸出取引行為につきましては届出制、第二の輸出業者の国内取引につきましては通産大臣の認可、公正取引委員会の同意、それからメーカーの協定につきましても同様ということにいたしまして、輸出貿易振興のための取引秩序の確立と独占禁止政策との調整をはかるというところで、本案の改正案の骨子となった次第でございます。
  24. 中崎敏

    中崎委員 輸出に関しまして、繊維製造業者等の要望があることは存じておられるかどうか。その内容をざっと言いますと、国内における生産業者もまた一つの協定行為をすることを認めていただきたい。しかもそれは認可制でなく、届出制によって実施してもらいたい。しかもこれらのメーカーが輸出業者と集団的に事前に話し合いをするような場合もまた認めてほしいというふうな意味のことでありますが、そういうような要望のあることを知っておるかどうか。
  25. 板垣修

    ○板垣政府委員 繊維関係のそういう要望につきましては、通商局といたしまして、この輸出入取引法の改正案を準備いたしました当初より存じております。最近もそういうような要望のあることを十分存じております。この点につきましては、通商局といたしましても、できる限り繊維業界の秩序にもかんがみ、繊維業者の要望を取り入れようとして努力をいたした次第でございまするが、一応この法律の改正案に現われました形といたましては、繊維業者の、たとえば生産業者の協定というものをやる自由につきましては、非常な制限があるような形になっております。しかしながらこれは先ほど申しましたように、独占禁止政策との調整という点からこういうような形になったわけでございまするが、その点の解決につきましては、本法律におきましても十分達成せられる余地がございまするし、またそういうような要望が不当に制限を受けないように、実際上の運営面において善処する方針でございます。
  26. 中崎敏

    中崎委員 その内容等については今後あらためて十分に質疑をかわしてみたいと思うのでありますが、時間の関係がありますので、次に譲りたいと思います。  次に、政府は輸出入業者の登録制を考えておるかどうか。巷間しきりに貿易商社の登録制が唱えられておる面があるようでありますが、通産省の方では一体この点をどういうふうに考えておられるか。
  27. 板垣修

    ○板垣政府委員 貿易業者の登録問題につきましても、業界から非常な要望がありました。私どもも昨年の秋以来研究を続けておった次第でございまするが、ただこの登録制を実施するにつきましても、結局問題は資格制限をどういうふうに持っていくかという点が相当問題がありまして、これをあまり資格制限をしないということになりますると、ごく一部の第三国系のブローカー的な商社を排除するというだけの目的しか達せられない、それでは現状において果して妥当かどうかという点を考慮に入れまして研究をしておりましたが、現在もこの点は検討中でございます。しかし相当関西方面におきましても、こういうような登録制をしていてくれという要望がございまするので、私どもといたしましても検討の結果、もし本国会に間に合わなくても、次の国会には提案をするように検討いたしたいと考えております。
  28. 中崎敏

    中崎委員 イタリアなどにおきましては、輸出を取り扱う窓口が一本化されておって、そこでオファーなどに対する回答などがきわめて迅速に行われておるということを聞いておるのでありますが、日本においても貿易管理などをさらに必要な面において、ことに輸出についてでありますが、強化をして、そうした一本化した強力な態勢に持っていくような考え方が、ことに品種別等の場合についても考え得ることでありますが、その点について一体どういうふうに考えておりますか。
  29. 板垣修

    ○板垣政府委員 お話の通り、そういうふうな窓口商社の指定なり、あるいは輪番制なり一手輸出という輸出方式を導入いたしまして、日本の輸出秩序の確立をするというのが本改正案の目的でございまして、それを業者間の自主的な協定でもってやらせようというのが本法案の趣旨でございます。
  30. 田中角榮

    田中委員長 加藤清二君。
  31. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいま本委員会に上程されておりまする輸出取引法の一部改正につきまして、私はこの法律が改正され、施行され実行に移されるに当りましては、国内の貿易業者及びメーカーがこれを受け入れる態勢をまず整えなければならない、こう思うわけでございます。従いまして最初に総括的に、輸出入取引法以前の問題をまず承わってみたいと存じます。  まず第一番に承わりたいことは、この輸出入取引に直接間接大きな影響を及ぼしまするところの日英通商会談なるものが、あす、あさってころから行われるやに承わっておりまするが、これは事実いつからいかなる場所において行われまするか。
  32. 板垣修

    ○板垣政府委員 お話の通り日英会談は、今回は東京におきまして開かれることになっておりまして、すでにイギリス側の代表も到着いたしました。明日より正式に第一回会談を開くことになっております。
  33. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこに列席されるイギリス側及び日本側の代表と、日英通商会談の目的は貿易の取りきめと聞いておりまするが、その内容は貿易の取りきめだけでございまするか、ないしは日英通商航海条約の締結の問題にも、去年の会談でも触れられておったわけでございまするが、これには言及される用意がございますか、ございませんか。
  34. 板垣修

    ○板垣政府委員 日英会談の目的は、第一には本年の六月をもって切れまする基本的な日英支払協定の改訂ないし延長問題が第一、それに付随いたしまする貿易取りきめということになります。その内容につきましては、日英支払協定は、私ども考えでは従来のものであまり両方とも問題はございませんので、延長と決定いたしました場合にはそのまま更新されることになると思いまするが、問題は貿易取りきめが主眼でございまして、ことに現状におきましては日本側が相当輸出超過になっておりまするので、イギリス側としましては、日本がもっとスターリング地域から買ってくれという要求が、今回の会談の主眼になろうと思います。なおそのほかにイギリス側といたしましては、日本がとっておりまするいろいろな輸出振興策について、いろいろ向うから問題が提起されると存じております。  代表は、日本側は外務省の朝海公使、それに外務省の経済局長、通産省通商局長大蔵省の為替局長が列席することになっております。イギリス側はボード・オブ・トレイドの商務次官補パーシヴァルが首席代表になって昨日到着いたしました。
  35. 加藤清二

    加藤(清)委員 今度取りきめが行われます日英通商会談のきめられようとしている時期、これは一体いつごろまでに終りますか。それからまた仕事としてはやはり去年と同じように向う一カ年のものでございますか。
  36. 板垣修

    ○板垣政府委員 交渉がどれくらいかかるかは私どもとしては明言できませんが、だいぶ今回は問題がございますので、二カ月くらいは少くもかかると思っております。それから今後の、話がまとまりました際の支払い協定並びに貿易取りきめの期間は七月から来年の六月までの一カ年を日本側としては考えております。
  37. 加藤清二

    加藤(清)委員 先ほどのお話によりますと、日本側が出超で英国側としては相当輸入の量を慫慂されるであろう、従って日本としては輸入を多くしなければならない結果になるであろうとおっしゃいましたが、これはごもっともな御意見だと思います。ところで総体の取りきめの大体の金額はどのくらいの御予定でございましょうか。もしこの問題は秘密を要するということでありますれば、秘密会にしていただいてもけっこうでございます。
  38. 板垣修

    ○板垣政府委員 貿易取りきめの額は交渉前でございますし、こちら側の腹案は一応ございますが、これは述べがたいことを御了承願いたいと存じます。御承知のように昨年の取りきめはポンド地域からの支払額で貿易外あるいは第三国も全部入れまして二億ポンドということで均衡する案を立てました。そのうち貿易は一億九百五十万ポンドという大きさであります。今年度ももちろん拡大均衡の方向へは進みたいわけでございますが、いろいろな事情からそれを非常に上回るというような線には参らないとは存じますが、やや上回る線で話がつけば非常にけっこうではないかという大体の考え方を持っております。
  39. 加藤清二

    加藤(清)委員 今年度は向うの希望がこれよりも一上回るということを希望しているとおっしゃいましたが、それは輸出が上回るということですか、輸入が上回るということですか。片道二百万ポンドということは去年もきまっているはずです。
  40. 板垣修

    ○板垣政府委員 向う側の出方はわかりませんが、想像いたしますのに、去年は日本側が出超になっておりますので、おそらくイギリス側は第一次の提案といたしましては、今度は向う側が出超になるような案を出してくるのではないかと思っております。
  41. 加藤清二

    加藤(清)委員 これの地域は英本国だけでございますか。それともスターリング・エリア総体を含むものでございますか。
  42. 板垣修

    ○板垣政府委員 これは英本国のみならず、植民地、ドミニオン、全スターリング地域、全体を含む取りきめであります。
  43. 加藤清二

    加藤(清)委員 この輸出輸入の商品の内容については秘密でございますか。もし秘密であれば去年のことで検討してみたいのでありますが、今年度は去年と相違がありますか、ありませんか。
  44. 板垣修

    ○板垣政府委員 本年度のことはこれから交渉するわけでございまするから、まだ確定をいたしていないわけでございますが、昨年のやり方を申し上げますと、一々個々の商品について取りきめをやっているわけではございません。ただ英本国あたりから入れまする特殊の二、三の品目につきましては割当の数量できめたものがございますが、それ以外につきましては英本国から幾らぐらい、植民地から幾らぐらい、それから自治領との貿易の数量はどれくらいというように、お互いにできるだけ現実に近い見積りをして、両国でできるだけ努力をして輸出なり輸入なりを達成させようということで、今後もその方向に変りはないと思っております。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 内容についてでございますが、イギリスから過去に輸入された品物は多く自動車であるとか、毛製品であるとか、あるいはスコッチのウイスキーであるとか、およそ消費財が多いように承わっておりまするが、これを多くされるということは、やがてこれと同等の物を内地で作っているところの会社の生産を押えるという結果が招来されると存じます。またウイスキーのごときは内地に在住しておられます外人に対してこれが売られるならば、ドルを逆にかせぐことに相なりましてけっこうなことかとも存じますけれども、いずれにしても日本の生産を増強して輸出を伸張させるという点から考えまして、いわゆる大臣の拡大坂衡から考えてみますると、さまで喜ばしき商品ではないと存じます。いえばこれは将来とも制御さるべきものであると存じまするが、ただいまの通商局長お話を承わりますると、貿易の取りきめは必ずしも英本国だけではないのだ、スターリング地域全域に及ぶんだということに相なりますると、こことの関連性がございまして、必ずしもこれを拒否するということも困難があるのではないか、かえってスターリング・エリアに日本製品を輸出する場合にマイナスの面を生ずる結果に相なってもいけませんので、ここの兼ね合いが問題だと存じますが、英本国から入れよう、あるいは入れられるであろうと予想されます品目は一体何々でございますか、去年と同等だと考えてよろしゅうございますか。
  46. 板垣修

    ○板垣政府委員 お話の通り英本国だけを限ってみますと、英本国と日本との関係は両方とも製品同士の貿易でございますから、やはり完製品、消費物資、半製品の交換以外に道がないわけであります。今御質問がございましたように、確かにイギリスから消費物資的なものが入っております。ちょうど見返り品として日本からサケ、マスカン詰、陶磁器、生地綿布等国内産業の関係で非常にむずかしいものが向うとしてはやはり入っているわけでありまして、これは貿易の互譲の精神からやむを得ないものだと存じております。ことにただいま御指摘のありましたように、英本国はスターリング全体につきまして支配権を持っております。少くとも影響力を持っておりますので、こういうようなものを買い、売ることによりまして、スターリング地域全体が昨年の貿易の実績においてわかりまするように、非常に日本の輸出品が伸び得る素地は開けたということでありまして、多少の消費物資を入れましても、全体として日本の得た利益は非常に大きいものと存じております。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 お説はある程度うなずけまするが、しかし国内のこれと同種類の物を作っているメーカー及びそこに働く労働者にとっては大きな打撃でございます。たとえて申し上げまするならば、自動車のごときも、ハイヤー、タクシーに使う自動車は、すでに国内で相当優秀なものができております。決してイギリス製品と比較してみまして見劣りはしない。ただ見劣りのするのはコストです。ところがこのコストは、大量生産がきかないからやむなく高い値で売らなければならないという現状です。ここへまたかかる自動車が入って参りますると、せっかく技術の優秀な、コストの安いものを作ろうと努力しているメーカー側の努力というものが水泡に帰するおそれがなきにしもあらずでございます。東京都内を走っておりますタクシー、ハイヤーの数を見ましても、ほとんどがこれ西欧諸国の中型、小型が多いようでございまして、この傾向が一層助長されまするならば、日本の自動車産業なるものは伸びよう、良いものを作ろうと努力しましても、とうてい追いつかないことでございます。大臣はかって国会の自動車も国産に切りかえるということをおっしゃったようでございまするが、すでに数カ月を経た今日でも、一向国内産の自動車はこの国会に見ることができません。まことに遺憾なことでございます。ところでそれと同じ状態にありまするのが毛製品でございます。毛製品といたしましては、すでに去年のストックだけでもって二百億の余あるはずでございます。紡毛製品のストックだけが二百億余あります。そこに二百万ポンドの毛製品並びにそれに類するものが入ったとなりますと、去年の価格にいたしましても、小売価格は少くとも五十億余の圧迫でございます。あなたがよく御存じのはずでございます。これがかりに時計のように国内産では国内要要に満たないものであれば、これは輸入いたさなければならないのでございます。また先ほどお話のありました破壊原子のようなものであれば、日本にないから輸入しなければならないということになるでございましょう。またせっかくあっても技術が非常に低下している、技術の差が大きい、こういうものであれば内地の製品の技術振興の意味において輸入しなければならないという理由も出てくるでありましょうが、しかし今日の自動車や今日の毛製品は決して劣ってはおりません。ことに毛製品のごときは価格においても決して劣っておりません。うそでない証拠に、銀座で耳マークか反末を変えて出したらけっこうこれは通るという実例がある。そこにあなたが今後交渉しなければならないところのあの柄のイミテーションの問題が生じてくることと存じます。やがてこの日英会談でも、あるいは輸出入取引法の改正に当っても、柄やマークの盗用問題、イミテーション問題が論議されることと存じますけれども、それが論じられるということは、すでにしろうとが見てはとうてい識別ができない程度にりっぱに技術が向上したということの証明でございまして、こういうものをあえてたくさんに輸入しなければならない、二百万ポンドも輸入しなければならないということにはならないと思うのでございます。そこでせっかくこの際会談にあしたから臨まれまするならば、今あなたのおっしゃいました英国の勢力下にあるスターリング・エリア、この地域と三角の貿易なりともして、なるほどイギリスからそれを買わなければならないということであれば、これはある程度納得をいたしまするが、せめてスターリング・エリアヘこれと匹敵する、それ以上の品物が輸出できるように交渉する腹があったって罰は当らぬと思いまするが、その用意はございまするか、ございませんか。
  48. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいま自動車、毛製品等の例をあげられまして、国内との競合関係を述べられましたが、私どもといたしましても、常にこれは十分考慮に入れておる次第でございまして、国産と競合しないということもありませんが、できる限り競合のないようなものを入れるということでやっております。かりにそういうものを入れることにいたしましても、競合の度合い、日本に対するはね返りを少くするよう、数量その他の点で制限をして入れておる次第でございます。特に毛製品につきましては、非常な問題があることは私どもも十分に承知しております。しかしながら昨年の協定におきまして、この毛製品を認めることによりまして、日本側としましてはその代償として、非常に大きな利益を得たことは、先ほども申し上げた通りでございます。しかし今度の交渉におきましても、この毛製品の輸入問題につきましては十分国内の事情も反映させまして、向う側と交渉いたすつもりでございますが、かりに従来通り毛製品を入れなくちゃならぬというような事態になりましても、これに対応する日本の毛製品の輸出の確保につきましては十分の措置を講じたいと存じます。ただ今例示されましたように、英本国以外の地域にこれだけの数量を保証させるということはむずかしいと思います。なぜと申しまするに、イギリス本国といたしましては、自治領等に、影響力はございまするが、これを入れろということを命令する権限はございません。従ってイギリスといたしましてはそういう約束はいたしがたいと思いまするが、しかしそれがなくても、昨年の実績から見ましても、十分以上に出る余地がある。特に輸出制限を受けない限り、そういう約束ををとりつけなくても、輸出制限がなければ日本の毛製品は出る余地があるわけであります。昨年、御承知のように全体で五千六百万ドルの毛製品の輸出がありました。そのうちスターリング地域がどれくらいになりますか、今ちょっと覚えておりませんが、少くとも三千万ドルくらいはスターリング地域に出ておりますので、日本にイギリスから入れまする毛製品の何倍か、日本からは出ておるということが言えるわけでございます。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないようですから、委員長の仰せに従いまして、これでやめて、あとは留保いたしまして、次の会に譲りますが、すでにこの問題は業界では去年大きな問題が起きたわけです。そこで政府側としては、来年度は十分に検討考慮する、こういうことになっておったはずなんです。一年有余もたっておりまするので、十分検討考慮はされたはずでございまするが、しかしまあ相手もあることでございまするし、相手国が去年よりも量をふやさなければ、他の問題に応じ切れないというような場合には、やむなく涙をのまなければならぬ場合もあると思いまするが、あなたがただいまおっしゃいましたように、毛製品業界の大きな犠牲によって——この日英会談が毛製品業界、自動車業界の犠牲の上に築かれるということは、ことしも去年もおそらく変りないだろうと思います。いわんや去年よりも輸入の量をふやすということに相なりますと、その犠牲は一そう大きくなると存じます。従いましてなるべくこの犠牲を少くするために、私今後いろいろあなたの御意見も承わりたいと存じまするけれども、あしたから出ていってしまわれる方でございまするので、今日そのことを念頭によく置いて、なるべく国内の犠牲を僅少にとどめて、いわゆる拡大均衡によって、輸出が伸張するよう、あなたの御努力を切に要望いたしまして、今日の質問はこれで終っておきます。
  50. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 一、二分だけ関連質問を……。今のお話の中で、イギリスとの話し合いがあしたからされるという話がありましたけれども、その話の中で今加藤委員から話がありました自動車の問題で、ちょっと一、二点だけお伺いいたしたいと思います。  あしたから話し合いをされる話の中に、直接ではないかもしれませんが、技術提携の問題は含まれておるかどうか。御承知のように今自動車に三つの技術提携が進んでおりますけれども、これの契約の改訂の問題とか、それに関連するような問題で、裏でも話し合いをされる可能性があるかどうかということが第一点。  それからそういう話し合いがあるなしにかかわらず、この問題につきまして大体今政府はどういう方針を持っておられるかということが第二点。  第三番目に、通商当局の問題と直接関連があるかどうか疑問でありますけれども、自動車なんかでは、あの関税の問題が出てくると、すぐ必ず今度は国内の物品税の問題が出てきます。御承知のように、今の話のように関税というのはあくまでも国内産業を保護育成するための政治的な手段、そうして関税障壁を設けておいて、しかも国内産業で育てようとしている品物に対して、また奢侈品としての取扱いをもつての物品税を取り立てていくということは、明らかに矛盾でありまして、どっちを向いて政策がいっておるのかわからぬような状態であります。今自動車の問題は、その意味におきましても物品税と関税の問題は非常に重大な問題を含んでおると思います。これにつきまして今通商当局としては、大体どういう方針で進まれつつありますか。せんだって自動車工業の総合的な保護育成の問題をただしましたところ、確たる方針がまだないようでありまして、目下一生懸命に検討中と承わったのでありますが、今イギリスとの通商問題と関連いたしまして、三点だけ一つ簡単にお答え願いたいと思います。
  51. 板垣修

    ○板垣政府委員 自動車の技術提携の問題は、特に今回の会談の内容には入っておりません。しかしながら英本国から入れまする自動車の数量、金額というようなものに関連をいたしまして、その問題は出てくるかと存じますが、私ども関係しておりますのは、いずれにいたしましても完成自動車を入れるか入れぬかという問題、これはイギリスは入れてくれというのでありますが、私どもといたしましては、完成自動車はほとんど入れられないという方針で進むつもりであります。それに関連いたしまして今の組み立て自動車の部品の輸入量というような問題が話に出ようかと思いますが、それ以上にはこの通商会談といたしましては触れないつもりでございます。  なおただいま関税、物品税の関係は私の所管でございませんので、ちょっとこの席でお答えいたしかねますから御了承願います。
  52. 田中角榮

    田中委員長 前田正男君。
  53. 前田正男

    ○前田(正)委員 だいぶ時間もたちましたので、いずれまた次の機会にお願いしたいと思いますが、一言お聞きしたいと思いますのは、この輸出入の取引協定というものがありながら、昨年来いわゆるバナナだとか、砂糖だとか、そういうものを入れまして、そうして単価を引き下げて輸出するということでいろいろとやっておったようでありますけれども、こういうようなことは、輸出入の法律の一番初めに書いてある不公正な輸出取引をしないという原則論と、もう一つは輸出組合あるいは輸入組合というものがあるわけですが、そういう方面に関連してこれをもう少し合理的に、法律に基いて考慮できないものかどうか。今度また特殊物資の輸入だとか、開発銀行の金利を下げるんだということになって、この委員会法案がかかっておるようですけれども、こういうことはわが国の輸出におきましても、船舶の輸出ということは非常に大きな問題であって、また砂糖の輸入ということも非常に大きな問題でありますが、輸出取引法を改正する機会に、これは輸出組合、輸入組合等の法律で認められた制度として、こういう砂糖を入れた金を船の方に回すなら回すというようなことを、もう少し合理的にやれないものかどうか、そういうことを研究されたかどうか、そこを一つ聞かしていただきたいと思います。
  54. 板垣修

    ○板垣政府委員 この輸出入取引法の目的は、要するに過当なる競争を排除するというのが主目的でございますが、一方第二条に掲げておりますように、不公正な輸出取引はこれを禁止しておりますし、対外的な関係からいってもそういう方向で進みます。一方通商政策といたしましても、ただいま御指摘がありましたような直接的な輸出補助政策というものは、国際的な関係からとれなくなりました。現状におきましてこれをさらに業界の輸出取引に結びつけて合理的にするということは、おそらく国際的慣例から不可能であると存じまするので、初めから考慮の外に置いた次第でございます。
  55. 前田正男

    ○前田(正)委員 ところがこの輸出組合法にいたしましても、輸出価格の協定というようなものもできるようになっておるし、また輸入の方の問題もできるし、今度はさらに輸出入組合というものも作られるようでありますし、国際的な影響があるとおっしゃいますけれども、われわれは詳しい知識は知りませんけれども、欧州などにおいては現実に輸出するところに使う船舶の鉄鋼類は、二重価格をもって引き下げてやっておるということをわれわれは聞いております。そういうふうに国際的にも現実にやっているわけですから、われわれの方はそういうごまかしのような今度の特定物資の会計だとか、あるいは開発銀行の金利を操作するとか、この前の砂糖のように一般の消費者に迷惑をかけるというようなことではなしに、国際的にもやっているのですから、堂々と船舶の輸出を援助しなければならぬというならば、法律でもって国会が承認して、そうして輸出船舶の援助をするなら援助するとやったら、船舶だけでなくて輸出機械にも適用されておるようですけれども、援助するなら援助するというようにはっきりした方がいいじゃないかと思うのですが、どうですか。
  56. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいま御質問の中でいわゆる輸出業者の協定におきまして、たとえば輸出価格をプールしてある地域はある値段でなければ出さない、ほかの地域は低い値段でやるというような価格考慮はできることになっておるわけであります。しかしそれに結びつけまして、あるいは砂糖の利益というようなものを政府補助金の形でやることは、現在のガットの関係からいいましても通商航海条約というような関係からいいましてもできがたいというふうに考えております。従って業者の協定において、普通国際間で認められておるような方法をとることば、この取引法で禁止はされていないわけであります。むしろ助長したいというふうに考えております。
  57. 前田正男

    ○前田(正)委員 私も具体的にはもう少し研究をしたいと思いますけれども、船の場合は船の輸出組合というものを作って、もう少し船舶用の鉄鋼なら鉄鋼というものを二重価格制を設ける、それに対して政府の方は別途これに対する補助政策は、今特定物資で入ってきた会計から別の形で、政府は鉄鋼の会社に金を出すとか、直接結びつけなくても方法があると思うのですが、今後の話のように砂糖とリンクしたり、開発銀行に持っていくとか、変なやり方ではなしに、それは世界でもやっておるとわれわれは聞いておる。二重価格制度でやっておるということを聞いておるのですが、そういう事実はあると思うのですが、一ぺんそういう事実を局長からもお聞かせ願いたい。またそういうことについてもっと正々堂々とやっていくということはできないものかどうか、お聞かせを願いたい。
  58. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいまお話政府のやります輸出振興策と輸出入取引法とは、一応私どもは別個に切り離しておるのでありまして、この輸出入取引法におきましては、業界の自主的な協定でもって輸出取引の秩序をはかっていくというのが趣旨になっております。ただいまお話になりましたような輸出振興策は、もしとり得るとすれば別個の見地からとる次第でございます。ただ今後の国際関係からいいまして、国際的に非常に非難を受けるような輸出補助政策はとりがたいということば御承知の通りでございます。なお世界各国でやっておると仰せられましたが、私どもいろいろ調査をしておりますが、日本が従来非難を受けましたような輸出補助政策をとることはないのでございます。
  59. 前田正男

    ○前田(正)委員 その問題はもう少し私の方も研究いたしますが、欧州にはそういう実例があるというふうにわれわれは鉄鋼業界の方から聞いておるのですが、これは特定物資の問題と関連して相談をいたしたいと思います。  次に貿易に関係してお聞きしたいのでありますが、貿易を振興するについて委託制度というものが非常に大事な問題であって、前からそういう方面について、外貨の割当等も戦前行われておったように思うのですが、これはどうですか。そういうような委託制度を奨励するということが、また日本の貿易の一つの重要部門であるところの雑貨類等には、非常に重要な影響を与えると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  60. 板垣修

    ○板垣政府委員 現在でも委託販売の制度は道は開かれておりまして、私どもといたしましても、雑貨類とか、そういうようなものにつきましては、大いに奨励をしたいと考えております。ただ遺憾ながら今までのところは利用度が少いようでありますが、これはおそらく金融の問題とか、そういうふうな面もあろうと思いますので、私どもも引き続きこの委託販売方式の助成につきまして検討を続けたいと考えております。
  61. 前田正男

    ○前田(正)委員 今の制度があるのは聞いておりますが、外貨が十分円滑にもらえないということを聞いておりますが、私も実情をよく知りませんけれども、委託制度を奨励するようにその方面に外貨をもっと十分に割ってやるということが非常にいいのではないか。たとえば一年ぐらいは向うに在庫して販売するというぐらいの外貨を割ってやらなければ、実際問題として商売は伸びていかないのではないか、このように思いますが、今ある制度を円滑に伸ばすようにお願いしたい。  それからもう一つお聞きしたいと思いますのは、重機械の輸出のために相談室ができておるようであります。これは従来日本機械輸出組合ですか、あれの手によってやっておったようですか、その負担金の関係で、今度はそういうものを引き受けるのは輸出組合の万ではなかなか困難だという話を聞いておるのです。私は実はうかつに、あれは政府の機関だから政府で全部やっておるものだとばかり思っておった。ところがそうではなしに負担金を相当出さなければならぬということで、私の聞いている範囲では、ことしはその負担金を出すことについて話し合いがつかないから、せっかく予算が通っても組合の方では断わるというような話だというように聞いておりますが、そういうことではせっかく輸出振興政策として政府が取られておる方針に反してくるのではないかと思うのです。そんなことで、いっそのこと負担金なしにして政府の機関としておやりになるのが私はほんとうだと思いますが、どうでしょう、その点は。
  62. 板垣修

    ○板垣政府委員 お話の通り政府が全額補助ができますれば、これに越したことはないのでありますが、いろいろの予算請求との関係で、一部はやはり民間にも負担してもらうという形になっております。ただし今回の予算におきまして、従来の五〇%を七五%まで上げましたので、従来よりは少額の民間負担で運営できるというふうに考えております。なおそういう点についてはまだ十分聞いておりませんので、私ども検討を加えたいと思います。
  63. 前田正男

    ○前田(正)委員 今のお話の負担率を引き上げたということは私も聞きましたが、問題は、そういうような政府機関のものに毎年心々多額の負担を民間では出して行けないということで組合が断わったということを私は聞いたのですが、そういうようなことですと、せっかくの予算がむだになるのではないか。政府が全額を出すとかなんとか、そこのところ一つ方針をきめないと、せっかく重機械相談室というものがあっても民間が断わって、予算が成立しても動かないということになるのではないかと思いますが、どうでしょうか、その点は。
  64. 板垣修

    ○板垣政府委員 私どもといたしましては、考えといたしましては、この重機械相談室の運営によりまして機械メーカー自体も利益を受けるわけでありますから、何がしかの分担をするのは当然のことと考えておりますが、その金額が負担し切れないほどの額かどうか、まだ私どもは聞いておりませんが、実際の主管局であります重工業局におきましても、メーカー側と十分話し合いをつけておりますので、何らかの解決策に到達するものと考えております。
  65. 田中角榮

    田中委員長 本案に対する残余の質疑は後日行うことといたします。  この際、石橋通商産業大玉より発言の申し出があります。これを許します。石橋通商産業大臣
  66. 石橋湛山

    石橋国務大臣 石油資源開発計画の問題でありますが、この石油資源開発機構につきましては、予算提出するまでの間に政府側において成案を得られませんでしたので、その点当委員会において十分御研究を願いたいということを私から申し上げておった次第であります。幸いにその後皆さんの御協力によりまして各党からそれぞれ起草委員があげられて、政府出資の特殊会社案というものを御検討願って、その成案を一応得られたのでありますが、その点については政府としてもまことに感謝をいたしておる次第であります。  ところがかねてこの予算修正の際の了解事項の一部でもございますし、最近民自両党においていろいろ折衝されました結果、四党起草委員の成案に基いてこれを政府提案として国会提出するのが適当であるということを両党から申されました。そこで政府といたしましては、その民自両党の御要求に応じまして、閣内において先般話し合いをいたしまして、両党より申し入れの線に沿うて法案を早急に提出いたしたい、従いましてただいまその準備をいたしておる次第であります。  この際起草委員の各位及び商工委員の各位の今までの御尽力に対して感謝をいたすと同時に、その事情を御了承願いまして、かつまた今後なお一そうこの問題についての御協力を切にお願いをする次第であります。
  67. 田中角榮

    田中委員長 ただいまの通商産業大臣の発言を御了承願います。  なお公報で御報告の通り、本日午後一時より本問題について、貿易特別委員会との連合審査会を当第二委員室において開きますから、委員諸君の御出席を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  68. 田中角榮

    田中委員長 速記を始めて。
  69. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 言えば切りのないほど言い分がありますが、時間の関係があるから言いませんが、ただ一言石橋通産大臣に申し上げておきたいのは、あなたが非常にこの法案を出そうとして出し得なかったその苦心は私はよくわかる。そこで非常に大事な法案であるというところから、本委員会においても各党あげて、とにかくこの法案はぜひ本国会で成立をさせて、石油開発計画を達成したいということで、一生懸命われわれはやってきた。しかしそれらの点については私は先ほど根本官房長官に十分言っておきましたからもはや言いませんが、ただ私があなたに申し上げておきたいのは、われわれがせっかくやっておる法案政府はお取り上げになって、今度お出しになるのであるから、今度は政府提案として、われわれの協力を得て、本法案は本国会で必ず成立させなければならぬとお感じになっておられるだろう、ついてはあなたが一番苦心をされた大蔵省との投資資金の折衡の問題——法案はその資金裏づけがなければ出せないのですから、この法案出し得る投資資金裏づけについて十分あなたは今度御自信をお持ちになっておるかどうか。大蔵大臣との間に解決はできておるのか、できるという見通しについて十分自信を持っておられるのかどうか。またぞろ大蔵官僚諸君の反撃を食って、この法案をふらふらさせて、結局会期中に審議ができないというようなことになりますなら、これはあなたは重大なる責任、腹を切ったくらいでは済まぬというくらいの責任がある。せっかくわれわれが大蔵省にも拘束されない立場から最高権威の国会決議の力によって、成立をさせようとしておるものをあなたはお取り上げになった、だからとにかくこの法案をあなたが成立させ得ないなら、あなたは政治家として腹を切ったくらいでは済まぬ。そこで大蔵省との間のその投資資金裏づけについては大丈夫という自信をお持ちになっておるかどうか、その点をここではっきり言っていただきたい。それを一つ……。
  70. 石橋湛山

    石橋国務大臣 伊藤君からお話のように、その点については重ねてお礼を申し上げます。こういうふうに政府提案がなかなかむずかしかったものが、取り上げたわけではありませんが、皆さんのおかげでとにかくこの会社法案が日の目を見る段取りになりましたことは、ひとえに諸君の御協力のたまものであります。従ってこの資金の問題については、大蔵大臣とも話しておりますし、むろん確信を持っておる次第であります。
  71. 田中角榮

    田中委員長 本日はこの程度にいたし、明二十三日午前十時より開会をいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十一分散会