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福富参考人 参考人といたしまして
皆様方に御説明申し上げたいと思います。その冒頭に当りまして、
計量法等の一部
改正に対しまして、
商工委員の
各位が非常に熱心にこの問題を取り上げられまして御検討いただいておりますことは、各
地方庁の
計量関係職員の
気持から申しまして非常にありがたいことだと深く感謝する次第であります。これから私は、大体
東京都における
計量行政の
実情と、さらに各
府県における
問題等につきまして御説明申し上げたいと存ずるのでありますが、主としてただいま
委員長からお話がございました
手数料の
地方帰属の問題について申し上げたいと思うのであります。
東京都における
計量行政の全貌でございますが、現在
計量器を製造しておりますもの、さらにこれを修理しておるものの数は、大体一千三百
程度、年間にいたしまして約三百万個の
計器を
検定しなければならぬということに相なっております。さらに
販売業者といたしましては約一万五千、さらに
指定事業場その他
関係事業者が約七千、これを
指導監督しなければなりませんし、さらに百十四万個に相当いたしまする
取引証明用の
計器の
検査を執行しなければならぬのです。こういう問題を実行いたしまして、
計量の安全を確保するために動いておりまするので、
東京都におきまする
計量行政は非常に規模が大きいといわなければならないのでございます。
この膨大な
計量行政をやります上の
経費という点になりますると、
東京都におきましては、国からの金は実はゼロになっておるのでございます。これは御
承知の
通り、従来は
計量行政はすべて国の
行政でありました
関係から、
全額を国の方で持ってやっておったわけでありまするが、
地方自治法施行以来、いわゆる
交付税交付金の
制度によりまして、これの一
部分が
地方に回されることに相なったのでございますが、
東京都は
富裕府県であるということによりまして、これは全然ないのであります。従いまして
計量行政に関する国の金は
一つも来ておらない、こういう
結論に相なるのでありまして、現在都におきましてやっておりまする
計量行政の大体の
予算は、約四千万円になっておるのであります。しかもこの四千万円の
経費を使いまして、果して帝都における
計量行政がうまくいっておるかどうかという点につきましては、実は私は
責任者といたしまして、まことにお恥かしい話でありまするが、都におきまする
計量行政は必ずしも万全であるとは考えられないのであります。と申しまするのは、結局今申しましたような膨大な製品の
検定をやり、あるいは
指導監督をやり、あるいは
計量の
取締りをやるというこの膨大な
仕事をやりますためには、膨大な
人員を必要といたしまして、とうてい現在の
予算的措置では間に合わないのでございます。しかし実際問題としましては、これに支弁されまする
経費にはおのずから限度がございまして、
財務当局といろいろ
折衝をいたしましても、これは全然
東京都のいわゆるまる
負担であるという
意味におきまして、なかなかこれの増額が許されない。そういう
関係から、私
自身の口から言うのも変でありまするけれ
ども、都におきまする
計量行政は万全であるかということに対しましては、実は自信を持って申し上げられないような
実情にあるのでございます。そういう全然
経費支弁のない、いわゆる
機関委任行政をやっておるということ
自体に、われわれも内心実は
一つの矛盾を感じておるのでございまして、御
承知の
通り、
地方財政法に基きまする点から考えましても、あるいは
地方自治の
精神を貫く点から申しましても、こういう点に実は非常な苦悶をいたしておる
実情でございます。
これは申すまでもないことでございまするが、われわれこの
計量行政の重大な点につきましては、今さら云々を要しないほど重大さを感じておるのでございまして、ことに
国民生活を安定せしめるための
各種計量器の正確を期するということのみならず、おそらく、日本の
産業を自立させますために、いわゆる
精密度の高いものを作り、それによってわが国の
産業を興すという、こういう点にまで将来の
計量行政は及ぶのじゃないかという考えを持ちまするならば、現在のような単なるものさし、ます、はかりというものを正確に
取締りをしたり、あるいはでき上った
各種のメーターを
検査するということだけではないのでありまして、もう少し
計量行政に対する大きな
観点から
各種の
行政を進めて参るということが必要になってくるのではないかと思うのでありまして、そういう
観点からいたしましても、現在のこの国から
一文も来ないということ
自体が非常に私は困ると思うのであります。
従いまして、現在の
東京都の
実情を申し上げますと、今申しましたように、万全にいっていないのみならず、
一つの
計器を
検査する場合におきましても、
人員が足りませんために
業者にこれを手伝わせるというようなこともやっております。あるいはまたその
検定の数量が非常に多いために、どうしても限られた
人員で
検定をいたしますために、その
検定の時間が非常にかかるのであります。その結果、
メーカーがせっかく作りまして持って参りましたその
計器を
検定する時間が非常に長いために、せっかく作って売ろうとする、
販売の機会を失するとでも申しましょうか、あるいは納入の
期間がおくれるとでも申しましょうか、そのために非常に金融的な行き詰まりを生ずるという派生的事実も起って参りまして、
業者といたしましては、その犠牲は、当然
東京都がもう少し
人員をふやして、迅速にこの
計器の
検定なりあるいは
取締りをすることによって避けてもらいたいという要求が非常に多くなっておるのであります。しかし
現実の姿といたしましては、先ほ
ども申し上げました
通り、
財務当局といかに話をいたしましても、なかなかこの点が
解決をいたしませんで、われわれ
自身として、非常に苦慮をいたしておるのでございます。
こういう
意味におきまして、本来でありまするならば、過去にやって参りましたように、
計量行政は国の
行政であるから、
全額を
国庫の
負担にしていただきたいということは、各
地方庁のだれも異存のない点だと思うのであります。しかし
現実の姿といたしまして、ことに先ほど申しました
通り、
地方自治の
精神を貫きまする
一つの
考え方からいたしましても、
国庫補助一本で各
府県が必要とする
計量行政に関する
経費の
全額をまかなうということは、なかなかむずかしい問題ではないかと私
どもは想像するのでございます。もちろんこれが不可能というのではございませんけれ
ども、
現実の姿といたしましては、なかなかむずかしい問題じゃないか、かように思うのでございます。
そういう
意味におきまして、少くとも今問題となっておりまする
各種の
計器の
検定手数料を、それぞれ実際に
仕事をしておりまする各
府県に帰属せしめられますことが、その問題を
解決する手っ取り早い
一つの近道である、かように考えざるを得ないのでございまして、こういう点から申しまして、今回
政府当局におかれましてもこの問題を取り上げられ、また本
委員会におきましても真剣にこの問題が
討論されておりますことに対して、私は非常に敬意を表したいと思うのでありまするし、厚く御礼を申し上げたいと思うのであります。ことにこの
検定手数料が各
府県に帰属いたしますると、これをいわゆる
特定財源といたしまして、
財務当局と
折衝する場合に、実は
実情上非常によろしいのであります。こういう
特定財源もあるから、
計量行政の万全を期するために、これこれの人手を増加してほしい、あるいはこれこれの
器具設備等の増設をはかってもらいたい、こういう交渉をいたしますことが、実は楽なんであります。これは変な言い方でありましておそれ入るのでありますが、
財務当局と
折衝する場合におきまして、われわれがしばしばぶつかっておりまする難点は、国から
一文も来なくて、しかもその
検定する
仕事ばどんどんと国から下ってくる、そういうことではいかぬので、むしろそれの当然必要とする
経費を国からもらうべきである、それが来ない限りは、
都費負担としてこれを計上するわけにはいかぬといって、実はいつでも突っぱねられるのであります。そういう
関係から、先ほど申しました
通り、どうしてもこの
特定財源を必要といたしまして、その
特定財源を
一つの基礎として、さらにそれに
地方負担分を加えまして、今後の
軽量行政の万全を期していくことの方が非常に賢明な策である、こういうふうに私は考えておるのでございます。そういう
意味におきまして、私は、ぜひともこの
手数料の
府県帰属は実現をしていただきたい、この点を懇請いたしたいのでございます。
それから次に、各
地方庁といわゆる六大
府県といわれまする間の問題でございます。従来この問題は、
昭和二十六年でありましたか、七年でありましたか、
全国議長会議の
決議を経、さらにまた二十九年には
全国知事会議の議決を経て、それぞれ陳情申し上げたのでありますが、それ以前からの問題といたしましては、この問題は全国的にいわゆる
計量行政の統一をはかるという
意味からいうと、むしろ各
府県にこの
戸数料を帰属することは、大
府県はいいけれ
ども、小
府県は困るのだというふうな
議論が非常に多かったと思うのであります。そういう
意味におきましては、なお今日もその
議論は残っておるかもしれませんが、
知事会議におきましても、あるいはまた
議長会議におきましても、あるいは
計量関係の各
府県の
担当官会議におきましても、この問題は今日におきましては
解決をいたしておると私は思うのであります。なぜかと申しますると、従来は六大
府県、ことに
東京とか大阪とか、
計量器を非常にたくさん製造しております
府県の金を取って、これを小
府県に回すことによって
計量行政を円滑にするという、
地方自治法の
精神から申すと逆行するようなやり方がやられておったのでありますが、そのことは小
府県にとって利益であった、こういうふうに考えたから小
府県の方々はそれに
賛成をいたしたのであろうと私は思うのであります。しかしよく考えてみますると
現実の姿はそうではなくて、今日もなお各
府県の方が
賛成をいたしましたという
理由は、もうそういうことをいかにやられようとも、今日の
計量行政にはとうてい
予算的措置が行われないのだ、かりに国の方からいわゆる
財政交付金として
財政需要額を計算はしておるけれ
ども、参っておるその金が即
ひもつきじゃないのでありますから、そのまま
計量行政に回されるということはないのだというふうに感じております。ことに台風がありますとかあるいは道路の問題、橋梁の
問題等が起りますと、直ちにその金は全部そちらに使われまして、
計量行政の方には回ってこないのが
実情なのであります。従いまして各
府県とも現在の
計量行政をさらに前進せしめるためには、むしろ各
府県の
手数料をその
府県において収納することの方が、いわゆる
計量行政に対する関心も高まりまするし、
事務当局との
折衝も楽になり、いわゆる
特定財源としてやっていける建前から申しましても、よりいいのだというふうな
結論になって参りまして、おそらく今日におきましては、先ほど申しました
通り全国都道府県の
議長会の
決議におきましても、あるいは
府県知事会の
決議におきましても、あるいはまた
計量関係の
担当者の
会議におきましても、大体その反対の
理由がなくて、むしろ
手数料を各
府県の
地方に帰属させた方がいいのだという
結論に到達した結果、こういう
決議が行われたものと考えられるのでございます。そういう
意味におきましても、今日の情勢におきましては、
地方のそれぞれの県にこの
手数料を御移譲願いたいというのが第二点でございます。
さらにへ理屈を言うようでございますが、
法律的に考えましても、いわゆる
地方自治法の
精神から申しましても、大体今日行われておりまする
機関委任事務等はたくさんございまするが、これを
全額国庫の方に吸い上げておる事例は、私
どもの方ではまだ調査が足りないかもしれませんが、今までは
計量法だけだったのであります。私
どもの方の
経済局関係で少し調べてみたのでありますが、大体国でその
手数料を収納しておりまする
案件も多数ございますが、これは大体においてその内容がはっきりと分れております。これとこれの問題は国の方で取る、その他の問題は全部
地方に帰属する、こういうふうになっております。それから大
部分のものはほとんど全部
地方に帰属しておるのでございます。たとえば火薬の問題にいたしましても
各種の
手数料が取れますが、これは全部国の
機関委任事務でありますけれ
ども、その
手数料は全部
地方に帰属しておるのでございまして、おそらく
現実に
仕事をしておりながらその
手数料が全部吸い上げられておると申しますのは、この
計量法関係だけだったのであります。そういう
意味におきましても、また先ほど申しましたように、
計量法という
法律を作られました当時の
気持も、これは私はよく存じませんが、条文に表われておりまする文句から申しましても、やはり
仕事をしておりまするその各
府県にこの
手数料を帰属せしめられることがほんとうの姿ではないか、私はかように考えておる次第でございます。いろいろ申し上げたい点もございますが、一応
計量行政をやっております
事務担当者といたしまして、この
手数料を
府県に移譲することがよろしいという
意味におきまして御説明を申し上げたわけでございます。何分ともよろしくお願い申し上げます。