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横田政府委員 ただいま御
質疑の、
独禁法制緩和の傾向があるのではないかという点についてお答えいたします。ただいま仰せになりましたように、
石炭、
鉄鋼あるいは
輸出入取引関係につきまして、
独禁法の
適用除外的な取扱いを認めてほしいという要望があることは事実でございます。しかしまず
最初にこういう問題に対します私
どもの
基本的な
考え方を一言申させていただきますならば、御
承知のように
昭和二十八年に
独占禁止法の
相当のいわば大幅な
緩和をいたしまして、われわれといたしましてはあの
改正をもちまして、いわゆるアメリカから輸入いたしました
独占禁止政策がほぼ
日本的なもの、
日本の
実情に即したものになったというふうに考えております。もちろんこれは
独占禁止法自体だけではなく、それには幾多のそれぞれの向きに向いましての若干の
適用除外法がございますので、これと相まちまして、いわば
日本の
独禁法というようなものになったように考えております。
ところでただいま
お話の
石炭につきましては、御
承知のように
石炭は現在非常な
苦況にございます。これは単に現在の問題でなく、いわゆる
産業構造上いろいろな欠陥があるように認められますので、御
承知のように今回
石炭につきましては
合理化法というようなものが考えられておるようでございます。この面における
公正取引委員会の
関係におきましては、この
石炭合理化法の中に
通産大臣の
一つの
統制行為と申しますか、
指示によりまして、
石炭のいわゆる
操短行為を行うということが認められるようになっております。しかしこれはあくまでも具体的にその
内容を
一つの
国家の
統制という形において打ち出します
関係からいたしまして、いわばこれはその面におきまして自由な
競争というものの
範囲が制約される、こういうことにはなるのでございますが、この
統制行為に対しましては、
公正取引委員会は
協議にあずかりまして、その
協議の結果そういう職権を発動するということになっております。これは
石炭鉱業の特殊な
事情からいたしまして、その
程度の
統制ということはわれわれといたしましてもやむを得ないものと認めまして、今度の
合理化法につきましても、その
観点から
公取としては一応
同意をいたした次第でございます。それから
鉄鋼につきましては、これは
通産当局におきましてもいろいろな案を練っておられるようでございまして、
公正取引委員会の方にもいろいろある
程度の御相談はあるわけでございますが、しかしこの点はまだ具体的な案としまして固まったものがないようでございます。これに対しましては、私
どもとしましてまだはっきりしたことを申し上げる
段階になっておりません。しかし鉄につきましてもいろいろ特殊な
事情はございますが、この鉄につきましての
独禁法の
適用を
いたずらに
緩和するということに対しましては、もちろんわれわれとしましては非常に警戒的な
態度で臨むつもりでおります。
最後に
輸出入取引法につきましては、いずれこの国会に提案する予定をもちまして、
通産当局において現在の
輸出入取引法の
改正案について
公取との間にも数次にわたる折衝がございまして、ごく重要な一、二の点につきましていまだ
意見の
調整を見ないままで、現在
法制局の
段階においていろいろ検討をいたしておる次第でございます。二の一、二の点で
意見が合わないと申しまするのは、いずれまた詳しく申し上げる必要がございますれば申し上げますが、結局今度は、
輸出につきましては、いわゆる
輸出取引それのみに関するものにつきましては
届出制をとります。それから
輸出に関しまする
国内のいろいろな
取引、ことに
輸出業者間の
国内に関する
取引——輸出業者と
生産業者との間の
国内の
取引、
生産業者間の
国内の
取引というようないろいろな
段階がございますが、一番
最初の
輸出の外に対する
関係だけにつきましては
届出主義を採用するということになっておりまして、これに対する
独禁法の
適用の問題は、描出をすれば一応
独禁法がはずれてしまうような案になっておるのでございます。これらに対しましては、私
どもとしては、いかに
輸出のみに関する
取引でございましても、やはり
独禁法上いろいろ問題の含まれたものがあるはずでございますので、これに対してはやはり
独禁法の
適用が、ある
範囲においてなければならないということを強く主張いたしておる次第でございます。それから
あとの
認可の問題につきましては
——これは
国内の問題については
認可制のもとに
独禁法の
適用を除外するという案が立っておるわけでございますが、
通産大臣が
認可をいたしまする際に、
公正取引委員会に
協議をする。
協議をすればいわば
公正取引委員会が反対いたしましても、
認可をいたしますれば
独禁法がはずれるというような構想になっておりますのに対しまして、これはあくまでも
独禁法ははずれる面から考えまして、
公正取引委員会の
同意が必要であるということを強く主張しておりますので、この点におきまして
通産当局との
意見の
調整がいまだ残されておるわけでございます。要するにわれわれといたしましては、
輸出あるいは
石炭というような特殊な面につきまして、ある
範囲において
独禁法の
適用が控えられるということ
自体には一応の了解をいたしておるわけでございまするが、それが必要以上な
独禁法の
緩和ということに対しましては、あくまでも反対をいたしたいと考えております。なおこれは
石炭、鉄、
輸出取引というようなことだけでなく、その他の問題につきましても、いろいろ
独禁法を
緩和するという
動きが
業界その他から見られまするが、これに対しては、われわれといたしましてはただいま申しましたような方針であくまでも
改正独禁法の線を乱さないようにいたしていきたいと考えております。