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横田政府委員 公正取引委員会の最近におきますいろいろな
活動の
状況につきまして、ごく簡単にその
大綱を申し上げたいと存じます。詳細は二十八
年度の国会に対します
報告書並びに
昭和二十八年の
独占禁止法改正後今日までの
運用状況の
概略と申しますパンフレットをお
手元にお配りいたしてございますので、それについてごらんいただくことにいたしまして、私からはごく
概略を申し上げます。
ただいま申しましたように、
昭和二十八年の九月一日に
独占禁止法の
相当の大幅な
改正がございました。この
改正の骨子は、御
承知のように
カルテルの
結成につきまして、
相当な緩和をいたしたという点でございます。そのうちで
不況カルテルと
合理化カルテル、この二種類がございます。しかしながらこの二つの
規定の
運用というものが実は
法律改正当時はあまり活発に行われておらなかったのでございます。ところが最近に至りまして、だんだんそういう
カルテル結成の
動きが
業界のうちに見えて参りまして、ことに
合理化カルテルにつきましては、つい最近にわたりまして大体三件の
申請がございまして、そのうち二件はすでに
認可になっておりますし、他の一件につきましては現在
調査中でございますが、やがて大体
認可という運びになろうと思います。まずその点につきまして少し申し上げますと、ただいま申しました三つの
合理化カルテルの第一は、
古銅の
くずの
輸入に関する
カルテルでございます。これは
古銅輸入協議会という
一つの
団体が
中心となりまして——これが大体
伸銅業者百社以上も
結成した
一つの
団体がございます。これによりまして、
輸入銅くずの
価格、数量あるいは
購入方法というような
相当広範な
カルテルの
結成を
目的といたしたものでございます。これにつきましては三月九日に
申請がございまして、三月三十一日に
認可になっておる次第でございます。
さらに一昨年の暮れから問題になっておりまして、ずっと懸案になっておりました御
承知の
くず鉄の
購入に関しまする
カルテルにつきましては、いろいろのいきさつがございましたが、最近に至りまして、三月三十日に、
八幡製鉄外十八社から
国内の
くず鉄の
購入価格に関する
共同行為並びに
輸入くず鉄の
購入価格並びに
購入方法等に関する協定につきまして
認可の
申請がございまして、それも私の方で前々
調査をいたしておりましたことでございますので、ただちに
手続を進めまして、四月十一日に
認可をいたした次第でございます。
第三番目は
混紡糸のいわゆる
生産品種の
制限とでも申します
合理化カルテルでございます。これは要するに
混紡糸の
品質をよくいたしましために
強制検査をいたしますと同時に、三五%以上の綿を含んでおりますものとそれ以下の良質のものとの間に表示上の差をつける。なおその
実行につきましては、
確保いたしますために
相当強力な罰則の
規定を設ける等のいわゆる
生産品種の
制限に関する
カルテルでございます。これは四月六日に
申請がございまして、現に
調査中でございますが、最近
業界等の希望をしんしゃくいたしまして、大体五月二十一日ごろには
認可に相なるものと
考えております。なおそのほかまだ正式の
申請にはなっておりませんが、
合理化を
目的といたしました
カルテルにつきましては、いろいろ
動きがあるようであります。ただ
不況カルテルにつきましては、これも二、三件
業界から非公式に
公取に対していろいろ問い合せもございますが、これは
業界内部のいろいろな事情もございまして、いまだに正式の
申請は一件もない
状態でございます。この
不況カルテル、
合理化カルテル並びに
独占禁止法上のいわゆる
カルテルの
取締りに関します
公取の
見解というものは、一昨年九月一日の
改正法施行当時に、われわれの
考え方を声明いたしましたが、大体その線は
基本的にはかわっておりませんが、しかし
合理化カルテルにつきましては、御
承知のように
コストの切り下げ、
品質の
向上というようなことが、
輸出その他わが
産業を
振興いたしますために、喫緊なことになっておる点にかんがみまして、われわれといたしましては、
合理化に役立つものでございますれば、これを
関連業者に不当な不利益をこうむらせず、また
関係者の間に不当な
差別扱いをせず、また特にある
企業に
生産が集中するというような弊害の認められません限り、どんどん進んでこれを
認可して参りたいと
考えております。
不況カルテルにつきましては、やはり厳正な態度で臨む
方針ではございますが、御
承知のように
産業の中にも好況の波に乗っておるものもございますし、いろいろ
デフレ政策その他の
関係からいたしまして、かなり窮境に立っているものもあるように
考えられますので、それらの
業界の実情に即して、
弾力性のある、また機動的な
運用がはからるべきであるというふうに
考えておる次第であります。
〔
首藤委員長代理退席、
委員長着席〕
これが
カルテルに関する最近の
動きであります。
次に先般の
改正で
相当重点を置かれましたものに、いわゆる不公正な
取引方法の問題がございます。この点はむしろ先般の
改正によりまして
取締りをやや厳にいたした面でございます。この点に関しましては、御
承知のようにいわゆる
取引上の
地位を乱用しまして、他の
企業者を不当に圧迫することが、不
公正取引方法の
一つに加えられました結果、御
承知の
百貨店業対
納入業者、
卸売業者あるいは
一般小売業者の問題、あるいは親
企業対
下請企業の問題といたしまして、
下請代金の
支払いに
遅延等の問題が提起されておりますが、いずれにいたしましても、
相当期間にわたりまして
調査をいたしまして、
百貨店の問題につきましては昨年の十二月に
百貨店業に特有のいろいろなおもしろくない
取引方法がございますので、
法律によって与えられました権限に基きまして、
百貨店の不公正な
取引方法に関する
指定ということをいたしまして、現在はその
指定の
状態がどういうふうに動いておるか、ことに返品問題あるいは
手伝い人を強要する問題、あるいは友の会というような問題までにつきまして、いろいろその後の
動きを
調査いたしておる次第でございます。なお下請問題につきましては、一昨年の暮れ、すなわち
独占禁止法改正前からすでに問題になっておりましたが、
独占禁止法で明らかにこれを取り上げ得ることになりました結果、二十八年の
改正の年の暮れに、
相当広範囲な
調査に基きましていろいろ処理をいたしまして、それをまた昨年の春からほとんど今年にかけまして百数十社にわたる親
企業、その
下請企業またおびただしい数に上るのでありますが、
中小企業庁と
公取と密接な連絡をとりまして、
相当広範囲な
調査をいたしました結果、不当と認められますものをだんだん選びまして、それについてさらに詳細な
調査を行いまして、いろいろ
改善策を講じ、それに基きまして
相当の
改善が得られたと
考えております。なおこの
下請企業の
代金の
支払いにつきましては、
認定基準と申しますか、いかなる
程度に至りますればそれが不当なものであるかということにつきまして、一応の
基準を二十九年の三月に設けまして、これの徹底を
相当はかっておる次第でございます。しかし御
承知のようにこの問題は絶えず
調査を続ける必要がございます。本
年度におきましても、まだいろいろ
計画は立ってはおりませんが、この点については今後も十分に力を注いで参りたいと
考えております。
なお御
承知のように
景品付販売その他非常におもしろくない
販売方法が横行いたしておりまして、この点につきましてはすでに
昭和二十八年の九月の
改正法施行後いろいろ
業界につきましてそういう
販売方法を是正するための不公正な
取引方法としての
指定をやっておりました。すでにその
業界は数にいたしまして、七、八に及んでおりますので、なお引き続きまして
新聞業、ミシンあるいは
キャラメル、最近
新聞紙でごらんいただいたと思いますが、
清原飲料水の問題につきましても同様な問題がございますので、これらの点につきまして鋭意
調査中でございます。
なお先般の
改正でもう
一つやや特色のございまする点は、御
承知の再
販売価格維持契約というものが
日用品につきましてある
程度認められることになったのでございます。これにつきましてもすでにいろいろな
業界からこの
商品の
指定の
申請がございまして、その
申請に基きまして
調査いたしました結果、
化粧品、歯みがき、石けん、
雑酒、
キャラメル、医薬品の一部あるいは最近カメラというようなものにつきまして
指定をいたして、要するに
小売業の安定をはかるということに力をいたしている次第でございます。
なおこれらはいずれもいわば
公正取引委員会の行政的ないろいろな面でございますので、この
行政的面にはさらに広範な
調査の問題がございまして、これらと先ほど申しました
概要の
説明書の
最初の方の部面に現在
公正取引委員会で
調査いたしておりますいろいろな問題があげてございますが、これを見ていただきますことにいたしまして
説明は省略いたします。
なお
審査活動といたしましては、最近にこの
改正法施行後取り上げました
事件の数は百件足らずでございます。そのうちの半分くらいのものはいろいろ
調査いたしました結果正式の
事件として取り上げないことになっておりまして、そのあとの半分くらい現在
調査中、あるいはすでに
審判にかかり、あるいはすでに裁判所に行くというような
状態になっているのでございます。これも
内容はいろいろでございまして、これを一々御
説明するのは省略させていただきます。ただいま申し上げました半分くらい
不問になっていると申しましたようなものにも、実は実質的には
相当重要な問題がございまして、しかもそれは正式な
審判にはかかりませんでしたが、実質におきまして非常な是正がはかられました結果、
審判に対する必要がないということで
不問になったものは
相当ございます。ことに
銀行の
各種の
企業に対しまする
人事干渉でございまするとか、あるいは合併の強要、いろいろな問題がございますが、それらは比較的早期にそういう正式な
手続を経ないで解決しておるのでございます。この部門の中にもいろいろそういう
事件があることを御
承知願いたいと思います。
以上はなはだ簡単でございますが、最近
公正取引委員会で取り扱っております問題のごくあらましを申し上げた次第でございます。いずれまたいろいろ御
質疑等によりまして詳細にお答えいたしたいと思います。