○中島
政府委員 現在持っております
電気事業法案は、この前の
審議会の結論に大体近いところでまとまっておりますが、それをさらに
根本的に
検討をし直しておるわけであります。成案を得ましたならば——法令
改正審議会そのものは報告を出しましたあとでもうすでに解消をいたしておりますが、実際上はもう一度あのメンバー、あるいは多少変るかもしれませんが、ああいったような方々にお寄り願いまして、結局最終的にこういうふうなものをきめたいということで、正式の
審議会ではございませんけれ
ども、一応そういうふうに御
相談はしていきたいと
考えております。しかしこれは
法律上の問題ではございません。
事業
法案の問題点でございますが、初めの補償立法に関しましては、当初
電源開発のみならず、全般の公益工事に対しまして補償問題を円滑に処理するために何らかの立法
措置が必要だということで、これにつきましては各省いずれも
関係がございますので、それぞれ各省で別々に一応試案を作りまして、それで
経済審議庁に持ち込んでおります。
審議庁の方で各省の意見を聞きながらこれをまとめようというような段取りになっておりますが、まだ最終の結論を得るまで進行いたしておりません。問題の
内容は、大体現在これは閣議決定の形式になっておりますけれ
ども、
電源開発に関しまする損失補償の基準が定められておりますが、なかなかこれがその
通り実行しがたい、しかもだんだん工事が盛んになりまするにつれまして、損失補償という問題が非常に大きくなって参りまして、補償の単価もだんだん高くなって参る。これを合理的にある程度のところで押えようというのが
一つのねらいであります。それからさらに金額の問題でなくて、あくまで補償そのものにも応じない、接収に応じないというふうなトラブルもございますが、この点も現在の
法制におきましては土地収用法によりまして最終的な法的な手段もございますけれ
ども、これにかけますと非常に長い時間と経費とがかかりますので、もう少しこれを簡易にすべきではなかろうか。しかしこれもあまりに単純にいたしますと、私人の利益というものを害するということになりますので、その辺の調整もむずかしい点でございます。このようなことではとうてい
国家的な事業を円滑に進行しがたいので、その点ももう少し円滑に行くようにすべきではなかろうか、こういった二つのねらいを大体目的といたしましてこの
法案を
検討中であります。これはいずれも
通産省あるいは農林省、建設省、それぞれ大体似たような立場にございますが、それぞれの地位におきまして若干の見方の相違もございますので、各省持っております案は、幾らか食い違いがございますが、それを
審議庁におきまして公正な立場から十分調整をいたしまして成案を得たい、こういうふうなつもりでおります。それから
電気事業法につきましての問題点は、大体先ほど申しましたようにおととしの法令
改正審議会の結論に沿いまして一応の案は得ておりますが、それの
法律技術的な
検討の途上におきまして若干変った点がございます。たとえば
審議会の答申におきましては、地域独占というものは、これは
電気事業の性格上やむを得ないというような答申になっておりますけれ
ども、これは
法律上あるいは憲法上はっきりした地域独占
制度を置くことはどうかという気持がありまして、これは表には出しておらぬということになっておりますが、その点は若干変ってはくると思います。大体の線は
審議会の答申に沿っております。しかし現在
検討中のものはいわゆる技術的な、たとえば工事施設といったようなことにつきましては、これは技術問題でございますので、技術の進歩とともに若干違ってくる点がございますけれ
ども、大して大きな問題はないと思います。結局におきまして
電気事業者の監督をどうするかということが一番のポイントであろうと存じます。先ほどから
お話のありました
通り、将来の
電気料金あるいは
電力原価というものをできるだけ抑えるということのためには、
電気事業そのものが健全な形で、安い
原価でもってやっていけるようにするのが一番適当なのでありますが、それにはどういうふうな程度の監督をすべきかということになろうと思います。その点につきましては今の
公益事業令は割合に監督規定がルーズでございまして、あまり十分な立ち入ったことができないのでありますが、これをあまりに強化いたすということになりますならば、また
私企業であります
電気事業の性格そのものをくずすことになりますので、この点も、官僚統制の弊ということが今
お話にありましたが、その点からいきましてあまり行き過ぎたことをすべきではなかろう、大体どの程度までが必要最小限度であるかということで
検討中でありますが、一応おととしの答申に基きまして作りました昨年の案では少し不十分でなかろうか、今までの
料金改正の過程におきます論議等からも
考えまして、もう少し経理上の監督規定は強くすべきではなかろうかという点で現在そういうことを入れたいということであります。その他の点はこまかい
法律上の問題でございますので、その点は当初の案から若干変った点がございますけれ
ども、大体の傾向といたしましては
料金問題、
原価査定の問題に照らしまして、今のように監督規定をどうするかということが一番のポイントだ、こういうふうに御了解願いたいと思います。