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1955-05-11 第22回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十一日(水曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 永井勝次郎君 理事 中崎  敏君       大倉 三郎君    小笠 公韶君       菅野和太郎君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       野田 武夫君    堀川 恭平君       加藤 精三君    鹿野 彦吉君       神田  博君    南  好雄君       加藤 清二君    片島  港君       櫻井 奎夫君    田中 武夫君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       佐々木良作君    松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (繊維局長)  永山 時雄君         中小企業庁長官 記内 角一君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      福田  勝君         通商産業事務官         (通商局予算課         長)      樋詰 誠明君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     柳井 孟士君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      小出 栄一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四郎君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 五月十一日  自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三〇号)     ————————————— 五月十日  木造船輸出解禁に関する請願成田知巳君紹  介)(第五一一号)  硫黄製練試験研究補助金交付に関する請願(  野依秀市紹介)(第五一二号)  アルミ産業危機打開に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第五一三号)  鹿児島市に通商事務所設置請願池田清志君  紹介)(第五一四号)  只見川特定地域総合開発促進に関する請願(助  川良平紹介)(第五一八号)  只見川電力確保に関する請願助川良平君紹  介)(第五一九号)  只見川電源開発工事促進に関する請願助川良  平君紹介)(第五二〇号)  中小企業等協同組合中央会法制化に関する請  願(中馬辰猪紹介)(第五三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三〇号)  通商産業行政基本施策に関する件     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案議題といたし、提案理由の説明を求めます。石橋通商産業大臣
  3. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいま議題となりました自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  現行の自転車競技法等臨時特例に関する法律は、昨年第十九国会において御審議を願って成立したものでありますが、その際附帯決議として同法は暫定措置としては、やむを得ない制度であるが、その機構措置については、政府はすみやかにこれを是正するよう要請せられた次第でございました。政府といたしましては、この要請に基きまして種々検討を加えました結果、改正方針といたしましては、現在自転車競技法に基き通商産業大臣諮問機関として設置されております競輪運営審議会におきまして、競輪に関する基本問題、たとえば将来における競輪のあり方のごとき問題を調査審議できる措置を講じますとともに、その結論が得られますまでは、自転車振興会連合会等業務及び会計に関する規定を整備した上、この法律の建前は当分の間、存続せしめることといたした次第でございます。  次に本法案によります改正内容につきまして御説明申し上げます。改正点の第一は、自転車振興会連合会等は、この法律によります納入金を、財源といたしまして、主務大臣が定める計画及び指示に基き、関係業務を行うことになっておるのでありますが、主務大臣計画を定めます場合、現在では事実上、関係業界及び一般学識経験者の中から委員を選び、その意見に基いて計画を定めておりますのを改めまして、本法案におきましては、法律上の制度として機械工業振興協議会を設け、主務大臣はこの協議会に諮問しなければならないものとすることとし、主務大臣の定める計画妥当性をこれによって確保することといたしました。  第二は、商工組合中央金庫が自転車振興会連合会等から委託された業務に関する会計につきまして、その運営の万全を期するため、予算に準じて、必ず会計検査院の検査を受けさせることといたしました。このほか前に申し上げました通り競輪運営審議会において競輪制度に関する重要事項審議し得るよう特例措置を講じますとともに、この法律を当分の間効力を有することといたしたのであります。  またこれに伴いまして法律の題名を自転車競技法等特例に関する法律改正いたした次第であります。以上が本法案によります改正点概要でございます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 田中角榮

    田中委員長 本法案に関する質疑は後日に行うことといたします。     —————————————
  5. 田中角榮

    田中委員長 前会に引き続き、通商産業行政基本施策に関し調査を進めます。質疑を継続いたします。佐々木良作君。
  6. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 去る三月末の商工委員会におきまして、通産行政根本について、第一点は、経済六ヵ年計画を実現するために、電力石炭鉄鋼基礎産業に関する商工行政基本方針はどういうように考えておられるかという点、二番目には、うわさされているところの基礎産業に対する合理化法案等に見られる重要産業計画性を付与するという施策と、いわゆるかつて経験した官僚行政の弊に陥る危険性との調節についてどういう考えを持っておられるかという点、三番目には、合理化法案電気事業法案等に見られるような基礎産業間における施策方針の矛盾、混迷等について一応質問したわけでありますけれども、十分な答えが得られないままで時間的な関係もあって本質的な問題は留保したままになっているわけであります。本日は正面からそういうように問題を振りかぶりましても、抽象論に流れる危険性が強いと思いますので、私は電気の問題が一番私自身わかりやすいですから、電気の問題を中心にして、今の三点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。特に電力問題を私が取り上げましたのは、私が電気がわかりやすいということと同時に、一昨日でしたか、通産大臣から御説明いただきました通産省施策概要方針の中でも、電力問題につきましては、電源開発すればするほど料金が高くなるが、これをどうするかということについて目下慎重に考慮中だというお話を承わりました。そういうお話があったと同時に、二、三の新聞の伝えるところによりますと、ちょうどそういう根本問題の恒久策であるかの印象を与えるような感じで、通産省内におきましては、電源開発会社公社化検討中だということが伝えられておったり、それからまた御承知のように電気事業法案検討中であるはずでありまして、そういうふうに現在の石炭問題並びに鉄鋼、こういう基礎産業問題とともに、今の電力政府部内におきまして、最大の考慮が払われつつある今中心だろうと思います。従いまして、ざっくばらんの言い方をしますと、一たん法案の形をとって提出された場合には、通す通さぬの戦術、戦略の方が中心になりまして、ほんとうの内容的な、平たく言ってざっくばらんな御相談、ざっくばらんの検討がしにくい関係にありますので、私は今政府でちょうど考えておられるまっ最中のときに、熟さなければ熟さないままでけっこうですから、お考えをお聞かせいただきたい。また私どもの方の考えもプラスになりますれば、つけ加えたい。そういう感じ電気問題を特に取り上げたのでありますので、どうか一つ方針等が固まらなければ固まらないままでけっこうであります。決してあげ足取りをしたり、そういうことはいたしませんから、ざっくばらんにお答えいただければ幸いだと思います。  さて本論に入りますけれども、一昨日の通産省施策概要という中で、電力問題につきましては、既定計画の線に沿って開発を推進するとか、その開発促進に必然的に随伴する電力コストの上昇に対処して、これに対する適切な方策を目下慎重に検討考慮中であるということが、電力問題に触れられたただ一項と相なっております。これは大体今の電力問題の中心をちょうど触れておられると思いますので、これを中心にして質問を展開いたしたいと思います。  まず既定計画の線に沿って開発を推進するというその点についてでありますけれども、この既定計画の線に沿って開発を推進するという、その既定計画内容は、おそらくつじつまを合わせるという意味では経済六ヵ年計画との関連、経済六ヵ年計画の初年度としての三十年度計画とにらみ合った計画であろうと思います。せんだって配られました資料によりますと、その辺必ずしも明瞭ではありませんけれども電力五ヵ年開発計画とかいうのもありますので、それと六ヵ年計画は結びつく、これからおそらく結びつけられようということじゃなかろうかと思います。この辺につきましては、むしろ審議庁計画せられたことだろうと思いますので、計画内容につきましては、質問は別に審議庁の方に留保いたしておきたいと思いますが、ただ一つだけこの点につきまして通産大臣一つ自信のほどを伺っておきたいと思います。それは三十年度既定計画の線に沿って開発するために、これができるかできぬかということは大体供給資金いかんにかかっておると思います。特にこの計画を遂行するためには、計画遂行者であるところの電力会社なり、開発会社からどのくらい資金を要求したか。これに対して大体どのくらいのめんどうを見たか。そういうざっくばらんな自信のほどだけを一つお示しいただけばいいと思います。まず一つこの既定計画の線に沿って開発促進するという方針に従いまして、三十年度の資金についての供給自信のほどを通産大臣にお伺いいたしたいと思います。
  7. 石橋湛山

    石橋国務大臣 佐々木委員電気のエキスパート、私は一向しろうとでありますから、この際こまかいわからぬことは政府委員から答えてもらいます。ことしの資金の問題は電力会社供給するのは、例の開発銀行から回すわけであります。これは各会社要求量考慮いたしまして、開発会社から回す資金を作ります。これは各会社計画には十分資金が間に合うものと信じております。それから例の電源開発会社財政資金の方は二百九十八億円になっておりますが、実は必要工事資金はそれじゃ足りないのでありまして、もう少しよけい三百六十億円くらい要るだろうという予定なのであります。そこで財政資金をつける場合にいろいろ検討したのでありますが、不足分市中銀行から融資をするようにいたそう、こういうことで融資方法を今大蔵省相談をしておりますが、必ず融資をしまして、もし不足すればまかなう決意でおりますから、資金の点は御心配ないと思っております。
  8. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 電力会社の方の資金については、今の計画については大体五、六十億くらい足らぬだろうけれども、その方については目下市中銀行の方で手配を進め中で、何とかなるだろうという自信のほどを示されました。これは一応承わっておきます。むしろ現在の電力問題の本論は、触れられました後段にあると思います。せんだって出されました電力白書の序文におきましても、中島局長がまさに言うように、豊富でなかった電力の問題の時代は過ぎて、今や低廉ならざる電力が問題だというふうに触れられております。まさにその通りだと思います。従って今の電力問題の一番の中心は、電力をふやせばふやすほど、開発すればするほどコストがふえてくる。これを一体どうするかということだと思います。大臣は十分御承知だと思いますけれども、この傾向が非常にはっきりしてきたのは、二十五年の電力編成があった後からでありまして、電力編成後、御承知のように三回くらいの電力料金値上げが行われております。平均単価にいたしますと、料金で七、八割の値上げがされておる。総括原価では約二倍くらいに多くなっておる。この三、四年間におきまして、ほかの物価と比べましてまことに膨大な値上りということが言えると思います。この間におきまして、一方設備増加の方は大体二百五、六十万キロふえて、既設設備に対して三割程度ふえた。三割程度の電気がふえたが、料金は二倍に上ったというのが現状だろうと思います。今お話が出ておりますように、新しい電源増加に従って、急速に電力原価が高くなりつつある。これが何とかしなければならぬ根本の問題でありまして、電力原価を上げずに、つまり料金を上げずに電力を豊富にする方策はどういうことかということが今直面されておる電気の問題だと思います。従いまして問題の一番中心がここにありますので、おそらく一昨日のお話によりましても、この問題について目下慎重に対策研究中だというお話でありますが、大体従来あげられておりますところの二、三の対策につきまして、今こういう点をこう考えておる、これはこういう見込みだというのがありましたならば、簡単でいいですから御披露をお願いいたしたいと思います。
  9. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お話のように、電力料金はいろいろの事情がありまして、九分割したから上ったというわけではありますまい。これは開発のためと思いますが、とにかく原因はいずれにありましても、上ることはあまり好ましくありません。そこでできるだけこれは上らないようにしたいというので、一つ考えておりますことは、特に大きなダムをつくる場合の建設費でありますが、この建設費をどういうふうに振り割るか、現在でも多目的ダムについてはそういう計算をしておるのでありますが、しかし純粋に電力のためのダムであっても、実はそのダムは実際上は農業の方にも利用されるし、あるいは治水治山という方にも効果があるのでありますから、その全部を電力料金に負わせることが正しいかどうかということは疑問だと思う。ある意味においては、ダムを作るごときは道路を作るのとよほど似た点があるのでありますから、そのコストのどれだけかをもっと公共的な、つまり電力以外の公共事業用として考えて、それを何か別の国家なり何なりによって支弁するという工夫をいたしたい、これが一つであります。  それから電力のごときに対する資金金利でありますが、金利の問題、それから税金の問題は、事柄は言い古されておりますが、実際問題に当ってさあやろうということになると、税金の問題でも地方その他になかなか大きな影響があるものですから、簡単に割り切れないで実は弱っておるのが実情でありますが、ただいまのところはそういうラインに従って研究をして、それぞれの関係方面へも相談をしておる、こういうのが現状でございます。
  10. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今の補償費の一部を公共事業費並みに扱って、しかも電力原価に加算しないように持っていこうじゃないか、もっともだと思います。この問題につきましては後ほど触れたいと思いますが、今言われました二番目、三番目の金利税金の問題というのは、今大臣が言われましたようにもう言い古された問題であります。私はこの際に一応考え方をはっきり伺ってみたいと思います。大体金利税金の引下げは、この間の料金問題の際に、昨年の九月、一応四月までには何とかそれを引き下げ見込みをつけるという、いわば通産省公約みたいなことになっておった。それがこの間の四月一日の際には、見込みがつかないままに電力会社企業努力に待つことにして、御承知のような家庭電灯三割頭打ちという線での暫定措置がとられた。これは口幅ったい言い方でありますけれども金利税金引き下げというこの項目は、通産省公約ではありますけれども、大体その公約を果す見込みがあまりないので、むしろ責任を電力会社に転ずるみたいなかっこう問題解決を先に先にと押しやっておられるように見られます。この考え方は皮肉であればそれはなおさらけっこうでありますけれども、本質的な考え方として、今この対象になっておるのは九つ電力会社であります。九つ電力会社は、御承知のように商法上の普通の株式会社でありまして、私企業であります。法上は明らかに私企業であります。電気事業の性格は独占的な公益事業でありますけれども、現在の法制上とられております九つ電力会社は、あくまでも商法上の株式会社であります。私企業であります。従ってこの電力会社に対する金利税金を特別に引き下げるということは、おそらく石橋通産大臣一般経済常識から見られて、私は非常に困難だろうと思います。むしろ大蔵省筋からでも、あるいは開発銀行等でもはっきり言っておりますように、電力金利税金を特別なかっこう引き下げるということはどうしても鉄鋼石炭等とのつり合いがとれないという考え方が、現在の経済情勢並びに経済機構においては支配的だろうと私は思います。従いましてこう当てにならないものをいつまで当てにしておってもしようがないのでありまして、大体これはいい悪いの問題は抜きにいたしまして、今の電力会社が普通の商法上の株式会社ではありますし、そうして鉄、石炭等基礎産業の今の状態から見まして、電気だけに金利税金引き下げがなお可能であるかどうか。私はむしろ非常に困難だという前提に立って次の方策考えた方がいいのじゃないかと思いますけれども一つざっくばらんなお考えはどうでしょうか。
  11. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私は私企業だから金利を下げることは困難だ、税金を下げることは困難だとは思っておりません。実際問題としてあの九つ電力会社私企業であるから問題がむずかしくて行きつかえておるのじゃなくて、実際開銀関係その他で金利を下げるということになりますと、たとえば開銀回収金が減る。従って今度はほかの方への投資の資金が減るだろうというようなことにひっかかりがある。それから税金の方は主として地方税に非常に大きな影響がありますから、地方の財政問題を解決しないと、ただいきなり税金を下げるということは困難だというところに実はひっかかっておるのであります。それでは私企業でなくて何かの形にしたらすぐに金利を下げ得るか、税金を下げ得るかというと、そうでないと思います。私企業がいいかどうかということはなかなか議論がありますが、私企業には私企業のまた価値もありますから、できるだけ私企業としての活動を十分発揮させるようにして、しかもこれは独占事業であり、公益事業でありますから、国家相当監督指導をして、そうしてこの税金金利の問題を解決するということは可能だと私は今もって信じております。
  12. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私は今議論をするつもりはありませんけれども私企業云々の問題は考え方の相違としてしばらくおいてもいいと思います。しかし実際問題として昨年の九月にあれほど公約された通産当局、そうして今度は四月になっても同じこと、むしろ今言われたように、それならば理屈を抜きにいたしまして、実際問題として開銀操作等によっての可能性は、私はどうもあまり期待できないと思います。しかしながら通産大臣可能だということでありますれば、なお私は期待をかけたいと思いますけれども、多くを期待できない。先ほど言いましたように、私どもが解決しなければならぬ問題は、ともかくも電源開発しなければならぬし、開発すればするほど高くなるしという問題を解決するのが私どもの任務でありますから、その一助として金利税金引き下げということにつきましては私は大して期待できないと思いますが、しかしなお一そう大臣期待をかけられるならば、御努力のほどを私はお願い申し上げ、次に移りたいと思います。  この問題と関連しまして、ちょいちょい九つ電気会社に対しまして、オーバー・ボローイングの問題、それから増資の問題が云々されて、そうして電力会社を健全化すべしということが電力会社の中でも言われておったり、政府部内でも、あるいはオーバー・ボローイング石橋大臣自身相当興味を持っておられる問題であると思いますけれども、このオーバー・ボローイングあるいは増資という問題は、今私どもが解決しようとするところの、将来電力原価高騰を来たさしめずして電源をふやすということには、私はほとんど無関係だろうと思いますけれども、どうお考えになりましようか。
  13. 石橋湛山

    石橋国務大臣 増資の方は会社としての健全経営という意味自己資本相当分量持たなければいかぬという意味でありますが、これは増資をしても日本全体の金利が高い場合には、どうせ配当もそれに連れてやらなければなりませんから、確かに金利引き下げる、あるいは料金を下げるということには少し遠いかと思います。しかしオーバー・ボローイングの方は、このオーバー・ボローイングをどうして解消するかという方法によりますが、私は御承知のように、電気事業だけじゃなく、日本産業全体のオーバー・ボローイングで、しかもそれが非常に金利の高いものを使っておるのみならず、電源会社などはそれでも今の日本産業の中では恵まれた方でありますが、しかし一般に申しますと借りかえのために非常に手数を要するとか、そのためにまた表の金利以上のいろいろのコストを要するということがありますから、私はオーバー・ボローイングの方はこれを解消すると電力会社についても相当効果があると思います。ことに開銀資金とかその他低利の資金がもっと供給できるとすれば、これは電力料金に確かに影響がある、そういうふうに考えております。
  14. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 電力会社でなくて一般会社でありますと、確かにオーバー・ボローイングの問題につきましての大臣お話は妥当すると思います。しかし私どもが今解決しようとしておる電力問題につきましては、九つ電力会社資本構成が健全になろうとなるまいと実際は問題でない、これは今電力会社の非常に普通の会社と違うところだと思います。もし借入金がべらぼうにふえていって資本金等関係において常識以上にふえていったといたしまして、電力会社はつぶれる可能性があるかどうか、私はほとんど無関係だろうと思います。私どもが解決しようとするところの電力原価高騰を来さしめずに電源開発するという問題とはほとんど無関係に違いない。私が今特にこの問題に触れましたのは、電力会社等におきまして電力問題の一番中心でありまするところの低廉な電気——先ども言った豊富ということはもう一応ある程度まで行ったといたしまして、低廉な電気をというスローガンのもとに、会社自身が健全化すれば何か低廉な電力供給可能のような錯覚をちょいちょい与え過ぎておる感がある。資本構成を改善することは悪いことではないと思います。しかしながら大体資本構成を改善するというのは、従来のいわば無理に開発いたしまして資本構成がおかしくなったのを改善するというほどの意味でありまして、将来なお低廉な電気開発をよくするということにつきましては私はほとんど無関係だと思う。特に先ほどお話がありましたけれども開発資金というのは電力会社におきましては財政資金あるいはそれに類するものの多寡によってほとんどきまってしまう、それによって自己資本もそのワクでまたきまるということでありますので、資本の健全化云々ということはほとんど私は関係ないような気がいたします。問題は本質的な問題の中で電力会社資本構成の是正ということがあまり大きく取り上げられ過ぎておるのじゃないか、それを私おそれておるわけでありますが、もう一ぺん一つ考えだけをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私も先ほどちょっとそういうふうに申し上げたのでありまして、電力会社については、実はその資本構成を改める、いわゆるオーバー・ボローイングを解消するということが、ほかの産業のように非常に顕著な響きはないと考えます。御説の通りであります。ただ今の自己資本をふやすという説の中には、今償却が足りませんから、そこでもっと償却を多くして、つまり払い込みでないほんとうの積立金をふやして自己資本を充実するという考え方もある。これが果してどれほどできるものかということは、これはなかなかむずかしい問題でありますが、そういう意味においては、もし償却をふやして、それが積立金になって自己資本になるということになれば、これは相当効果があると思います。これはやれるだけはやりたいものだと考えております。
  16. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 お考えはわかりましたので次の問題に移りたいと思いますが、今のお考えに対して一つだけ触れておきます。今電力関係で一番問題は、料金原価主義がとられておるということだと思います。原価主義ということは、要するにかかったもの全部を料金で回収するということであります。従って増資をするということは今の場合には当然に一割二分の配当をするということが前提に立つ。増加された資本に対して一割二分の配当をし、一割二分の配当をする場合にはそれに税金が加わりますから、従って一割二分が、税金を加えると二割三分になると思います。借入金の場合には金利一割と見ましても一割だけ、それに対しまして増資の場合には二三%になるということだと思います。しかもこれはそのままはっきり原価構成の一部になるわけでありますから、この資本の健全化という問題は料金原価主義というものと無関係考えられては困ると私は思うのであります。普通の会社の健全化、つまり商法上の普通の会社の場合のお考えを持っておられるならば、その上に持ってきて、原価主義というものは非常に奇妙なものである。本来ならば倹約してもうかった金は配当になるのでありますけれども原価主義であるがゆえに初めから配当することがもう経費の中に入ってきておるという、この原価主義との関連をお考えの上に、どうか今の資本健全化問題も十分御考慮を願いたいと思います。私は正直なところ現在の電力会社のやり方につきましては、私どもが昔から唱えておる電気事業の社会化の必然的な傾向はこの辺からはっきりと出てきておると言いたいわけでありますけれども、理屈は一応抜きにいたしておきたいと思います。  そこで問題を元にもどしまして、先ほど来の本質的な問題を解決するために、つまり豊富低廉を確保するための施策として、大臣が今考えられておるのは、補償費を何とか安くしたいということ、それから金利を下げたいということ、税金を下げたいということ、大体これくらいのことらしいのでありますけれども、お聞きいたしましたところ、私はこれだけでは本質的な問題はほとんど解決できないのじゃなかろうかと思います。先ほど言いましたように、三、四年の間に従来の設備に三割くらいをふやしただけで料金は約倍にまで上ってきておる、もうこの辺ではっきりと限度に来ておりまして、これから開発すればするほどその差はむしろだんだん大きくなってくるというふうに考えられていいと思います。特に普通の商法上の株式会社であります九つ電力会社の性格をそのままにしておいて、なおより以上の金利引き下げも、税金の低下も、あるいは公共事業費への振りかえも強行するということは、普通の資本主義経済から見まして、企業という観点から見て、九つ電力会社のやり方につきましてはもうそろそろ限度が来ておるのじゃないかと私は思うわけであります。果せるかな、通産省の内部におきましても、九つ電力会社の中におきましても、最近における電力白書が問題にしておる根本的な問題を解決するための方針いかんというのに答えて、大体水力を中心とする普通の開発はもう九電力会社自身で担当することは無理じゃなかろうか、普通のそろばんに合うものはやってもいいけれども、大体もう普通のそろばんには合わない、電力会社料金を上げることを前提とし、あるいは政府が借金のしりぬぐいをしてくれることを前提とするのでなければ、九つ電力会社で従来通り開発を進めることは無理ではなかろうかという意見が相当強く出てきておりますし、省内におきましても検討していろいろな角度から話し合いが出ておるやに私聞いておるわけであります。従ってこの六ヵ年計画あるいは電力の五ヵ年計画を遂行される途中におきまして、おそらくことしあたりから方角はむしろこの根本的な問題を解決するためには、普通の意味私企業の採算に乗らない開発九つ電力会社に無理に担当させるということをやめて、何らかの開発方法を他に求めなければならないようになってきておるのじゃなかろうかと思います。従いまして私はこの考え方が是認されるならば、おそらくその救済策として今の電源開発会社というものが大きく脚光を浴びて少しく見直されてきつつあるのじゃなかろうかと思います。その一つの見方なり考え方なりが、最近新聞でちょっと見ましたような電源開発会社を公社にしたらどうだろうかというような議論になっておるのじゃなかろうかと思うのであります。その辺につきまして最近通産省内でどういう話し合いなり検討が加えられておるか、あるいはそれに対しましてまだ考えは熟しておらないといたしましても、通産大臣として傾向はどういうふうに考えておられますか、一つざっくばらんにお示しを願えればけっこうだと思います。
  17. 石橋湛山

    石橋国務大臣 通商産業省の中ではまだその議は熟しておりません。ですからこういう案でいこうということにはまだきまっておりませんが、しかしお説は私はその通りだと思います。これは電気事業なるものの元来の性質から申しましても、日本の現在の開発の事情から申しましても、この上九電力会社に非常にコストの高い電力開発させるということは無理だと思います。そういうコスト相当高くなる危険があり、しかも豊富なる電力開発するためにはもっぱら電源開発会社がこれを担当する以外に道がない、かように考えております。
  18. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大体考え方が似た線に参りましたので私は非常にけっこうと存じます。ただそこで私が非常に問題と思いまするのは、そういう考え方がだんだんと是認せられる状態にありまして、従いまして公社的な考え方も出ているのじゃなかろうかと思います。そこで今度は非常にはっきりした政策と現実の面から見ていただきたいと思います。今申しましたのは理屈の上から見てきたと思います。それを現実に、たとえば今考え得る公社という形で何が救済できるか、同時にまた今年度の投融資計画から見まして、そういう公社を作るなりあるいは電源会社を云々する場合に、今年度三十年度の投融資計画の実態はことし及び来年に何を示唆しつつあるか、つまり今通産大臣が言われましたように、結局九電力会社に重点を置いても無理だ、採算ベースに重点を置いても無理だ、そうすれば開発会社を重点に開発せざるを得ない。開発会社を重点に開発させるということは、おそらくこれは普通の利子のつく金でなくて、なるべく利子のつかないところの、あるいは低金利国家資金開発会社を通じて電源開発に回すという以外にないということだろうと思います。そうでなければ私は開発会社云々という問題は出てこないと思いまするけれども、現実に出てきておるところの三十年度の——先ほど来通産大臣自信のほどを示されましたけれども、たとえば電源開発会社の三十年度の財政投融資計画を見ましても、むしろ一番不安定なる過剰農産物の見返り円に重点が置かれておる。本来開発会社に対する投資としてなさるべき部分は、去年は百億であったが、ことしは三十億というように、現実に今年度とられておる具体的な施策は今通産大臣が言われたような傾向とはむしろ逆のことを裏づけしておるような内容と私は思わざるを得ぬのでありますけれども、この辺につきまして一つ考えをお聞かせ願いたいと思います。今言われました理屈からそうなっておるということと、現実に三十年度にとられておる投融資計画、それから同時にまた公社というもので何が救済されるかという点について、お考え一つお聞かせ願いたいと思います。
  19. 石橋湛山

    石橋国務大臣 公社の問題についてはそういう説もございますが、公社にするか、今のままでいくかということはまだ何もきまっておりません。  それから今年度の資金は、電源開発会社であるからその信用もありますし、市中金融を使うという道が十分できる、われわれはこういう考えから四、五十億、まあ大体四十億円と見ておるのですが、四十億円ほどの市中金融をつけよう、そうすれば十分間に合う、かような考えから資金計画を立てたので、これが電源開発会社を公社にするとかしないとかいう考え方に特に結びついておるわけではないのであります。
  20. 神田博

    ○神田(博)委員 二つほど……。今の大臣の御答弁を伺うと、大臣はたしか二十七年の電源開発促進法案審議の際に電源開発会社のごときは作らない、電気開発は九電力にまかした方がいいんじゃないかというような御意見を私の記憶によると東洋経済新報にお出しになっておったように思いますが今の佐々木委員との問答によりますと、だいぶ変ったのであります。これは情勢の変化でございますか、その後の心境の変化でございますか、これが一つ。  もう一つは、今の電源開発会社の今年度の開発資金の問題でありますが、私どもの見るところによりますと、今の査定では資金の点で開発ができない。そこで残余の資金市中銀行に求めるのだということを言っておられますが、資金でありますからこれはどちらで求められようと満たされればけっこうだと思いますが、これも私どもの想像によりますと、通産省大蔵省でございますか、なかなかむずかしいようでございます。これを通産大臣は非常に自信をお持ちになって市中銀行から四、五十億ぐらいの金は十分見てやれるとおっしゃっておられるようでありますが、見てやることが急速に——ことに六月までの暫定予算というものが出ているわけでありますが、事業は一方休むわけにはいかぬだろうと思います。そこで私の心配するのは、たとえば一つの例をとっても、天龍川の開発の佐久間と秋葉の問題でありますが、佐久間は御承知のように進んでいるが、秋葉の方がおくれている。これは予定以上におくれている。今度の資金計画を見てなおおくれるということになると、佐久間発電所自体も、完成しても利用が十分に満たされないというような問題を含んでいるわけでありまして、そういうことを考えてみて、この電源開発会社の三十年度の所要資金の確保は早急にきめていただかなくてはならぬのではないか。伝えられるような大蔵省通産省との間において——予算の方は提出しておりますが、残余の資金市中銀行からあっせんして出すのだ、それがほんとうにうまくいくかどうかについて非常に不安を持っているわけであります。これは通産大臣を信用してお尋ねしておるわけでありますが、都合によって大蔵大臣にもこの席に委員長から出席を求めてやらないと、裏づけのないことになりはしないかということを私はおそれるのであります。その二点をお尋ねいたします。
  21. 永井勝次郎

    ○永井委員 佐々木委員質問に関連して政府の財政投融資の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  九電力会社の分として会社側からは所要経費千百五十億、二十九年度の実行予算は千八十一億、これに対して本年の予算提案には開銀から二百八十億円より提案されておらない。御承知のようにことしは百四十万キロの空前の電力が出るわけでありますが、一番ことしは資金がいるのであります。この足りない分については市中銀行から融資を受けるとかあるいは開発計画を練り直すとか、あるいは開発の進行速度を足踏みさせるとか、こういう方途を講じなければ予定の計画では進まないと思うのであります。それから開発会社の分については、ことしは佐久間、秋葉あるいは足寄、糠平、こういうところが完成する。また継続分としては幾春別とかあるいは只見とか田子倉とか黒又とか、こういうのを継続していかなければならないわけでありますが、これに対しましても資金部借り入れがことしは八十六億、政府出資が三十億、それから余剰農産物の関係から百八十二億五千万円というような、この資金計画によると三百一億、所要計費は三百三十三億、この不足分はこれは市中銀行にまたなければならない、こういう関係になると思うのであります。市中銀行の高い金利資金を借りてそして原価を高くしておる。そして過般来大臣電力料金については長期計画のもとにこれをできるだけ引き下げをするのだ、こういうことを言っておきながら、実際における電力料金引き下げ予算的な措置というものは予算面には何ら講じられておらない。そして逆に電力料金原価が上るような措置が講じられているということは議会における答弁と非常な違いがあるのではないか。こういう措置によって、政府の財政投融資計画によって電力料金がこの中で引き下げられるのだという数字的な根拠を一つ示していただきたい、こう思うのであります。これが一点。  もう一つは、きょうの日経新聞によりますと、世銀の開的会社に対する関係の外資がこの七月ころにはまとまるのではないか、こういう成立見込みがあるということが出ておるわけでありますが、政府はすでに世銀といろいろな折衝をなされておるわけでありますから、大体こういうものの見通しもついておると思うのであります。この点についてできるだけ明確にしていただきたい。この二点を伺いたい。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 先ほどの東洋経済に何と書いてあったか私は知らないのですが、東洋経済に書いたのは必ずしも私の意見とはきまりません。東洋経済は東洋経済でやっておる、私の意見ではない。(「署名入りだ」と呼ぶ者あり)私は電気問題はしろうとで、電気の問題はまだ書いたことはないのですから、それはどうぞ御了承願います。  それから資金の問題ですが、これは大蔵大臣承知するかどうかということですが、大蔵大臣、経審長官、私の間にちゃんとそういう取りきめがございます。ただ事務的に大蔵省の事務の方で——事務屋はこまかいことをやっておりますからいろいろ問題があるかもしれませんが、それは問題ございません。それはもし何なら、大蔵大臣をお呼び出していただいて聞いて下さってけっこうであります。それから今のお話のように、市中銀行から借りれば高いじゃないかとおっしゃるのですが、これは実は私もよく知らないのです。高碕長官の計画なのですが、この市中からの金融というものはいよいよ年度末かなんかに一時オーバーするだけで、そうして手形割引かなんかでやっておいて——ことしがちょうどピークに来ますから、このピークに必要な分だけは市中金融を受けてピークを越えて、そうして来年度にこれを処理しよう、こういう考え方であります。ですからそれをこまかく言えば、幾らかでも借りればそれだけ金利は払わなければならないわけです。これはごくわずかの問題であります。
  23. 永井勝次郎

    ○永井委員 資金計画内容を局長からちょっと説明してもらいたいと思います。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その世銀の交渉は今経審の方でやっておりまして、私は実はこまかく存じませんから、政府委員から申します。
  25. 中島征帆

    ○中島政府委員 世界銀行からの水力借款の問題は、電源開発会社の将来の開発地点を対象にいたしまして、昨年から交渉いたしております。対象地点といたしましては只見川筋の田子倉、黒又、それから岐阜県の御母衣、これを対象といたします。計画内容は詳細に資料等によって説明いたしてありますが、昨年の秋に参りました調査員の報告が、まだ正式に世銀の本社の方に提出されておらないようであります。これは聞くところによりますと近々提出されるようでございます。従ってその成り行きがどうなるか、まだ今のところ全然明確でございませんけれども、一応私どもの方の計画といたしましては、かりに本年度におきまして世銀の借款が成立いたしましたと仮定いたしましても、三十年度におきましては、工事の進行の関係からいたしてそれほど多額の金額を現実に借りるということは実際問題として必要もなければ、可能でもないというふうに考えております。従って電源開発会社資金計画におきましては、一応本年度世銀の借款が成立するという仮定のもとにおきましても一億七千万程度を組み込んでおります。これは只見川筋の開発用の機械の一部と、それから御母衣地区の調査に関しまする技術援助資金、この二つを対象といたしまして、本年度内におきましては大体一億七千万程度だけを組んでおります。全般の計画におきましては、一応ワクといたしまして一千万ドルを目標にいたしまして交渉いたしておりますが、最終的に決定がどういうふうに相なりますか、いずれこれは遠からず決定してくるのではないかというふうに考えております。
  26. 永井勝次郎

    ○永井委員 答弁漏れがあります。ただいまお尋ねした中で大臣から伺ってないのですが、この開発会社分の資金計画の中で余剰農産物の資金、これが百八十二億五千万円というものを予定しておるわけですが、これは非常に不確定なものではないか。金利その他は一体どういうふうになっているのか、これをはっきりしていただきたい。この資金計画に間違いはないかどうか、金利はどのくらいなものか、余剰農産物資金内容一つ詳しく承わりたい。
  27. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは当てになると考えております。ただ今新聞にもありますように、例のドル払いとかドル・クローズというようなことでちょっとひっかかっております。金利は三分ないし四分、それから据置期間は無利子でありますから、これは三年間でありますか、私どもとしてはこの電源に対してもその据置期間はやはり無利子にしてやってもらいたい、こう考えております。
  28. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 関連の質問が入りまして、大体私の質問が補われるような感じでありますが、それをもう少し補いながら質問しておきたいと思います。今の公社の問題と資金の問題とが関連質問の中に出ておったわけでありますが、なお一つはっきりしておいていただきたいと思います。それは、先ほど来質疑応答で議論を進めて参りましたのは、九つの普通の電力会社による開発は大体採算ベースに合わぬ限り合わないものが多いのだからもう無理だ、従ってあと残されたのは電源開発会社でもって開発するのが本筋なのだろうということであります。電源開発会社でやるのが本筋であるというのは、普通の電力会社のそろばんに乗りにくい地点ということになる。普通の、電力会社のそろばんに乗りにくい地点を開発してそろばんに乗せるためには、金利その他の条件で、普通の電力会社や普通の会社にはやれないような特典がくっつくのでなければ、これは電力会社でやろうと開発会社でやろうと、同じ結果に相なるであろうと思うのであります。従って今理論的に進められてきたのは、おそらく私企業でそろばんに乗らないような開発電源会社でそろばんに乗せられるような条件で開発させることが本筋にならざるを得ないということだと思います。そこで今の資金問題に戻ってくるわけでありますが、今の御説明によりますと、この見返り円も大体見込みありそうだ、そして三分かそこらの低利になりそうだと言われるのでありまして、それはそのままであれば幸いだと思います。しかしながら資金量で先ほども五、六十億は足らないだろうということ、これは何とか市中銀行で補うであろうが、その市中銀行は高碕さんの方だと言われましたけれども、これは技術上の問題でありますから私ども関知するところではありません。資金量が五、六十億プラスされれば、三十年度の計画はより一層スムーズに進むものと期待いたします。しかしながら今問題といたしますのは、その本質的な金利中心としたそろばんに合わない開発地点を、こういう特典があるがためにそろばんに合うような開発にするということになると思います。そこで傾向といたしまして、昨年度の電源開発会社に対しましてはともかくも出資が百億ある。これは利子の一文もつかない金でありますが、百億ある。そうして融資分が資金運用部から百四十五億あったというわけであります。それが今度はちょうど逆に、出資分が三十億というふうに減ってきた。そうして今のような三、四分であれば、低利とはいうものの、きわめて不安定な見返り円にたよるということに相なると思います。そこで私はほんとうは大蔵大臣考えを聞きたかったのでありますが、ことしから来年にかけまして、これを見ますとほんとうにその日暮しの、何か低利資金をその辺から集めてきてくっつけるということでありまして、もし本年度農産物の見返り資金関係が確定しなかったならば一体どうしたのだろうと私は思うわけであります。この産投会計という財源も、聞くところによりますと別に大して見込みもなさそうであります。一般会計から産投会計へ持ってきて、それから出すということの見通しがはっきりすれば別でありますけれども、そうして参りますと大体今言いましたように、三十年度の財政投融資計画でここに明らかに出てきているのは、電源開発会社等を中心とするような、ああいう低利の投資に対しては、ますます逆の傾向を大蔵省の案ではたどりつつあるのではないかというふうに私は非常に心配に思うわけであります。一方通産省内におきましては、何とかこれをもう少し公共的な性格を強めなければならぬというような格好で、電源開発会社の性格は今はきまっておらないという話でありますけれども、性格を公社にしようとかなんとかいう、そういう形式論といいますか、抽象的に公社にするとかなんとかいう議論がどんどんと進もうとする。一方ほんとうに金を握っている大蔵省の方はさかさま向きに、安定した低利資金にいくのではなくて、むしろ不安定な資金市中銀行の借入金にというふうな、不安定並びに金利の高くなる向きにどんどん進む傾向を持っているので、ちょうど私は逆になっていると思う。これに対しましてやはり大蔵省当局と通産省当局とは、今の見通しなり方針につきまして考え方を合せておられるかどうか、ほんとうにその日暮しではなかろうかという印象を私は受けるわけでありますけれども、どうでしょう。今せっかく大臣電力開発について大体本質的な考えを是認せられるような状態になられていると思いますが、それと三十年度の資金繰りの計画とちょうど逆になっていると思いますが、どうでしょう。
  29. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説のようにそう食い違いはないと私は思います。ことしはとにかく資金量の関係上やむを得ずさっき申しましたようにあるピークの時期だけ必要があれば市中金融を利用しよう、こういうことで財政投融資の話をきめたわけでございます。だからことしのこれは暫定といいますか、一時のやむを得ざる措置としてやりましたことで、電力に対する根本考え方大蔵省通産省と違うというようなことはないと思います。
  30. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これはどうも石橋さんちょっと勘違いされているのではないかと思います。今言う五、六十億の足りない分の資金量を別ワクの市中銀行から持ってこよう、これはけっこうなんです。これは一応別にい一たしまして、これに出ている三十年度の投融資計画と二十九年度の投融資計画とをお比べになっていただけばわかると思います。二十九年度の投融資計画の方が電源開発会社の低利と安定資金という点では一歩上なんです。三十年度の方が後退しているのです。それであるのにもかかわらず、開発に対する考え方石橋さんの方が去年の大臣より一歩前進されたんだ。それは食い違っておりはせぬかということを言っているのです。これは高碕さんに聞いてごらんなさい、よくわかる。これはこの間私が質問しておいた。去年はかんかんになって怒ったのに今年はむしろ逆になっている。財政投融資計画が逆になっておりながら石橋さんは私の話に乗ってこられて、これは賛成だと言われるから、安心したような心配したような妙な気持でおるわけです。これ以上追及いたしましてもどうかと思いますので、私はっきり申し上げておきますけれども、要するに私ども電力開発根本問題、先ほど白書に言われたところの低廉と豊富、豊富がある程度いきかけた、今度は低廉化の方向をたどらなければならぬが、一番中心問題は、低利と安定した資金で普通の私企業開発でない開発に待たざるを得ぬということだ。その私企業的な開発でないものに待たざるを得ない内容が、三十年度投融資計画では逆の方向に行っているということをはっきり御了承願っておきたいと思う。今度の進行ぶりに合せまして計画を私は追究していきたいと思います。これと並行してもう一ぺん伺っておきますけれども公社化案云々はきまっておらないという話でありますけれども検討はされておるのでありますか。
  31. 石橋湛山

    石橋国務大臣 検討はいたしておりますが、まだきまっておりません。
  32. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 検討されておりまするところの、今の開発法による電源開発会社では工合が悪くて、公社にすればこういう点がよくなるだろうと検討される点はどういうところにありますか。これはまことに恐縮でありますけれども、私電源開発法を審議するときの責任者でありますから一応はっきり承わっておきたいと思います。
  33. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは政府委員からお答えをさせます。
  34. 中島征帆

    ○中島政府委員 まだ検討の途上でございますので、結論的なはっきりしたことは申し上げられませんが、大体現在の電源開発会社は特別の法律に基いておりますけれども、やはり一般株式会社でありますので、株式会社としてのいろいろな取扱いを受けている。従って監督面におきましてもまた経理面におきましてもそれだけ私企業的な色彩が強くて、その点におきましてはいささか弱い。こころが将来この電源開発会社の持っていき方にも関連いたしますが、かりにこれを相当有効にまた強力に運用しようとすれば相当公共的な色彩が強くなる。そうしますと今のような株式会社の形態でいいかどうかということが問題になりますので、むしろこれをもう少し公共的な性格をはっきり出しまして、たとえば公社というようなものにしてみたらどうかということで研究いたしております。その場合における得失でありますけれども、かりに公社というものになりますと、これははっきりした公法人でございますから、従来の鉄道その他の例によりましても税金等は免除になるのが非常に多いわけであります。従ってその面におきましては発電原価というものが安くなるということは十分期待できる。ところが半面におきましてこの公社の予算はすべて国の予算の一部になりますために、細目にわたってまで一つ一つ国会に出して承認を得なければ動かせないということになりますので、臨機な迅速な措置ができないという点につきましては相当マイナスの面が出ると思います。その他利点につきましては、たとえば開発をいたします場合におきましても、私企業株式会社が行うような場合と公けの性格を持ったものが行うという場合を比べますと、補償問題その他につきましてもかなり公けの性格を持つ方が有利ではないかということが考えられます。また将来発生いたしました電力の販売面におきましても、公的な監督と公的な性格を持っておれば、かなり強い全国的な国家的な見地から運用することができるということになるのではないか。たとえば量におきましても、各地区相当今でも融通はいたしておりますけれども、その融通をもっと強くまた自由にやるということは、公社という性格を持てば非常にやりよいのではないか。さらに地域差の問題等をどうするかということは、地域差を広げる面におきましてもあるいは縮めるという面におきましても、どちらでも運用できるわけであります。開発会社が行います電気料金をある程度調整することによりまして、そういう点も部分的でございますが、解決ができるのではないか。その場合に一般私企業としての株式会社であるという場合におきましては、いかに監督を十分にいたしましても一般の受ける感じからいたしまして適当でない。そうすればむしろ公社としての性格を付与した方がよくはないかというような意味から研究をいたしております。しかしまだはっきり公社にした方がベターだという結論は出ておりませんので現在検討の途上でございますから、いろいろまた各方面の御意見を承わりまして最後の結論を出していきたいと考えております。
  35. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今のお話でありますけれども、その中味はほとんど私は肯定できません。ただ考えられる点は、公社にして少しでもよくなる可能性のあるのは税金の軽減の面だけです。税金の問題は、あの開発法をやったときに具体的に大へん問題になったわけでありまして、公社的な性格をとれば税金の削減についてはよりやりやすいということははっきりと認められるが、それ以外につきましては、公社にした方がよいということを今幾つも並べられたが、私はそれを肯定できません。早い話が今の電源開発会社では、普通の株式会社私企業みたいな運用をされていないはずであります。それは中島さん並びに関係の方の方がよく知っておられるはずでありまして、はしの上げおろしにまで一々お指図を受けなければできないということは私よく承知しております。私はこの会社機構だとか、その法制上の性格だとかをいじることに急であって、ほんとうの問題の方がなおざりにされるという点を心配するわけであります。今一番問題の点は、電源開発会社の性格を公社にするとかせぬとかいうこうではなくて、電源開発会社あるいはそれに類する会社に安定した低利資金を回す、電源開発のために安定した低利資金をいかに通産省が取ってくるか、大蔵省と交渉していかに安定した低利資金開発に回すかという一点にかかっている。それをやられるためには今の性格がおかしいからもっと公的な性格を付与しようじゃないかというふうに考えられるのが私は筋だと思う。従いましてどうかその形の方を先にすることを私は躊躇されたいと思うのです。特に通産大臣に私は御了解を得ておきたいのは、一番最初に申し上げましたところの重要産業基礎産業に対しまして、民主党内閣は特に計画性を付与する必要性を感じておられる。そうして重要産業、特に基礎産業の規制、コントロールをお考えになっておられるのは私は当然だと思います。この規制、コントロール、あるいは計画性の付与ということと、先ほど一番最初に問題にいたしましたところの官僚統制の弊ということとは、必ず私は一緒になって出てくると思う。特に石橋さんはその点についてはよく御承知のはずであります。私は電気に例を取ったのでありますけれども、おそらく石炭につきましても、鉄鋼につきましても、計画性を付与しようとすればするほど、むしろ非能率的な、従来あったように、従来のベールをかぶったと同じような官僚統制の弊の危険を私は感ずるわけであります。今後この調節につきまして一段と一つ検討をお願いいたしたいと思います。私はむしろ本質的な所信を十分伺いまして、おそらく私は無理だといってたたきたいのでありますけれども、それは時間もありませんので私はやめておきます。  ただ最後にもう一点、今のような本質的な問題が未解決のままになっておりますけれども、伝えられるところの電気事業法案を大体今国会に出すようなうわさを聞いております。電気事業法案というのはあくまでも電気の基本法でありますから、電気に対する基本的な政策、基本的電力対策法制化したものが大体電気事業法と相なるものだと私は考えております。ところが従来考えられておりますところの電気事業法案なるものは、大体現状維持、従来の九つ電力会社の体制を根本的に変えないということを前提として、そして法的独占の問題を形式上だけ回避するような形で立案されるように聞いておりますけれども、今のような根本問題が残っております際に、この電気事業法案に対して今どういう態度を取っておられまするか。大体従来原案的のものができつつあるものを提示される予定か、あるいはなお根本的な御検討を加えられて提出される予定か、その辺のお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  36. 石橋湛山

    石橋国務大臣 前の官僚統制等の問題は、もう御説の通りであります。非常にむずかしい問題でありますが、どうか官僚統制にならないようにいたしたいと考えております。それから電気事業法の方は、御承知のように一応前の考え方で案はできているようでありますが、これはお話通り、今日今までの考えのままの電気事業法を出すことは無意味と思いますから、この根本問題を十分検討して、電力の合理化と申しますか、これができると同時に出したい、こう考えております。離しては出さないつもりであります。
  37. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 事業法は根本的に考え直すというお話でありますので、根本的にお考えになる途中でまた後ほどお伺いいたしたいと思います。ただ私は特に気をつけていただきたいと思いますのは、従来の案の中におきましては、九電力会社の体制をそのまま持ち、そして問題になっておりますところの法的独占の問題を形の上ではなしにして、そして実質上は条文運用の点で独占を置くというようなことが考えられておるとか、それから当然に私は先ほどの料金問題の原価主義はとられざるを得ないと思います。そうすると原価主義は残される。そしてその上に持ってきて、その原価主義と相関連するような意味におきまして、九つ電力会社に対しまして予算統制的な規定なり考え方なりを加味したらどうかという話さえあると聞いております。そういたしますと電気事業に対する根本的な考え方は非常に錯雑したまま出ると思います。現在が非常にむずかしい状態ではありますけれども考え方の昏迷がそのまま法制化される場合には、その運用上には非常に大きな矛盾と撞着が出てくると思います。従いましてどうかその辺を十分御考慮いただきまして、検討の上すっきりした法案をお考えになるようにお願いしたいと思います。長いこと質問いたしましてどうも恐縮いたしましたが、今の電源開発会社の性格の問題、それから事業法に盛られる可能性のある性格の問題、それの前段階になりましたところの根本問題が豊富低廉の低兼にある。従って今の電力問題の一番中心は、性格その他の問題を抜きにしまして、低廉性を追求するにあると思いますので、どうか一段と御努力のほどをお願いいたしまして、また後ほど聞かせていただきたいと思います。
  38. 田中角榮

    田中委員長 八木昇君。
  39. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ただいまの問題に関連いたしまして、簡単にほんの一、二点だけ伺います。実は私は電力会社の労働者であります。働いておりまする電力労働者の立場からも、あるいは一般的な需用者の立場からも、電源開発問題と電気事業法案が今後どういう形で出されるかという問題については、非常な関心を実は持っておるわけであります。そこでちょっとだけお伺いしたいと思います。  先ほど佐々木君から御質問になっておりましたように、電源開発問題はただいま非常に重大な段階にあるわけです。そこでここで一昨日配られましたところのプリント、今度の国会に提出する予定になっております法案の中で、電源開発促進特別措置法案については、現在その案の内容について検討中だそうでありますが、これは相当重大な問題でありますから、ほんとうに今度の国会に提出して審議をされるおつもりであるとするならば、相当審議の期間を置いて、そうして各方面の一般の世論というものを十分に聞いた上で措置をしなければならぬということがきわめて当然の措置であると考えますので、いまだ検討中であるということは、これを結論的に言えば、本国会にはちょっと提出が間に合わない、こういうふうに理解していいかどうかという点が一つ。それから検討中だと言われております点の最も中心的な点を一点なり二点なりここで明確にしておいていただきたい。  それから第二の点は、ただいまの電気事業法、これもただいま申し上げましたことと同じような意味に理解をしていいか。この問題も、従来まで懸案となっておりました旧公益事業令、これを改めようというのですから、特別国会の末期になってからぽんとこの法案が出るようなことではお話にならないと私は常識的に理解をしておりますので、これも先ほど申しましたように、事実上は間に合わぬ、こういうふうに理解せらるべきものかどうか。実際に提出の意図があるとするならば、旧公益事業令と比較してどの点とどの点をただいま重点的に検討中であるという点を聞かせていただきたいと思います。
  40. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいま御指摘の法律案は、ただいま経審を中心にして検討中なのでありまして、その中で補償の問題が一番大きな問題であります。なお詳しくは政府委員から必要があればお答えきせます。  それから法案が果して提出できるかどうかということは、先ほど佐々木委員にお答えしたように、今までの形の電気事業法そのままにというわけにいきませんから、どうしても根本問題に触れますと、これは非常に重大な問題になってくる、国会における審議も非常に時間を要すると思う、そういうことを考慮いたしまして今思案中である、こういうわけであります。
  41. 永井勝次郎

    ○永井委員 それに関連して。政府で一応用意された電気事業法は、昭和二十八年八月二十八日に答申になった電気及びガス関係法令改正審議会の答申に基いたものであると思うのでありますが、この答申書から離れてさらにその内容について質的にも変った内容のものが検討されているとすれば、さらに政府の手でなしに、何かこういった改正審議会とかなんとかいう機関にもう一度かけて、そこからやり直すのか、政府の責任において直ちに議会提出、こういうような運びになるのか、この案の内容は二十八年に答申になったものと相当質的に変った内容になるのか、その点を明確にしていただきたい。
  42. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は政府委員に答えさせます。
  43. 中島征帆

    ○中島政府委員 現在持っております電気事業法案は、この前の審議会の結論に大体近いところでまとまっておりますが、それをさらに根本的に検討をし直しておるわけであります。成案を得ましたならば——法令改正審議会そのものは報告を出しましたあとでもうすでに解消をいたしておりますが、実際上はもう一度あのメンバー、あるいは多少変るかもしれませんが、ああいったような方々にお寄り願いまして、結局最終的にこういうふうなものをきめたいということで、正式の審議会ではございませんけれども、一応そういうふうに御相談はしていきたいと考えております。しかしこれは法律上の問題ではございません。  事業法案の問題点でございますが、初めの補償立法に関しましては、当初電源開発のみならず、全般の公益工事に対しまして補償問題を円滑に処理するために何らかの立法措置が必要だということで、これにつきましては各省いずれも関係がございますので、それぞれ各省で別々に一応試案を作りまして、それで経済審議庁に持ち込んでおります。審議庁の方で各省の意見を聞きながらこれをまとめようというような段取りになっておりますが、まだ最終の結論を得るまで進行いたしておりません。問題の内容は、大体現在これは閣議決定の形式になっておりますけれども電源開発に関しまする損失補償の基準が定められておりますが、なかなかこれがその通り実行しがたい、しかもだんだん工事が盛んになりまするにつれまして、損失補償という問題が非常に大きくなって参りまして、補償の単価もだんだん高くなって参る。これを合理的にある程度のところで押えようというのが一つのねらいであります。それからさらに金額の問題でなくて、あくまで補償そのものにも応じない、接収に応じないというふうなトラブルもございますが、この点も現在の法制におきましては土地収用法によりまして最終的な法的な手段もございますけれども、これにかけますと非常に長い時間と経費とがかかりますので、もう少しこれを簡易にすべきではなかろうか。しかしこれもあまりに単純にいたしますと、私人の利益というものを害するということになりますので、その辺の調整もむずかしい点でございます。このようなことではとうてい国家的な事業を円滑に進行しがたいので、その点ももう少し円滑に行くようにすべきではなかろうか、こういった二つのねらいを大体目的といたしましてこの法案検討中であります。これはいずれも通産省あるいは農林省、建設省、それぞれ大体似たような立場にございますが、それぞれの地位におきまして若干の見方の相違もございますので、各省持っております案は、幾らか食い違いがございますが、それを審議庁におきまして公正な立場から十分調整をいたしまして成案を得たい、こういうふうなつもりでおります。それから電気事業法につきましての問題点は、大体先ほど申しましたようにおととしの法令改正審議会の結論に沿いまして一応の案は得ておりますが、それの法律技術的な検討の途上におきまして若干変った点がございます。たとえば審議会の答申におきましては、地域独占というものは、これは電気事業の性格上やむを得ないというような答申になっておりますけれども、これは法律上あるいは憲法上はっきりした地域独占制度を置くことはどうかという気持がありまして、これは表には出しておらぬということになっておりますが、その点は若干変ってはくると思います。大体の線は審議会の答申に沿っております。しかし現在検討中のものはいわゆる技術的な、たとえば工事施設といったようなことにつきましては、これは技術問題でございますので、技術の進歩とともに若干違ってくる点がございますけれども、大して大きな問題はないと思います。結局におきまして電気事業者の監督をどうするかということが一番のポイントであろうと存じます。先ほどからお話のありました通り、将来の電気料金あるいは電力原価というものをできるだけ抑えるということのためには、電気事業そのものが健全な形で、安い原価でもってやっていけるようにするのが一番適当なのでありますが、それにはどういうふうな程度の監督をすべきかということになろうと思います。その点につきましては今の公益事業令は割合に監督規定がルーズでございまして、あまり十分な立ち入ったことができないのでありますが、これをあまりに強化いたすということになりますならば、また私企業であります電気事業の性格そのものをくずすことになりますので、この点も、官僚統制の弊ということが今お話にありましたが、その点からいきましてあまり行き過ぎたことをすべきではなかろう、大体どの程度までが必要最小限度であるかということで検討中でありますが、一応おととしの答申に基きまして作りました昨年の案では少し不十分でなかろうか、今までの料金改正の過程におきます論議等からも考えまして、もう少し経理上の監督規定は強くすべきではなかろうかという点で現在そういうことを入れたいということであります。その他の点はこまかい法律上の問題でございますので、その点は当初の案から若干変った点がございますけれども、大体の傾向といたしましては料金問題、原価査定の問題に照らしまして、今のように監督規定をどうするかということが一番のポイントだ、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  44. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それではそれらの点については近々のうちに成案を得られるような見通しでございましょうか。いずれにいたしましても私の要望といたしましては国会内外における審議の余裕が十分にあるようにしてもらいたいということであります。
  45. 中島征帆

    ○中島政府委員 この電気事業法は、今の公益事業令を制定いたします当時から、政令は暫定的な措置であって、すみやかに立法をすべきだということになっております。また国会におきましても当時の政府委員から次の国会には提出したいというような答弁がされておるようであります。従って私どもはできるだけ早く法案を作りまして、国会の審議をお願いしたい、こういうふうに考えておりますけれども、すでに昨年、ことしといまだ準備ができておりませんので、はなはだ申しわけないと思っております。特に現在におきましては、電気事業そのものに対しまする全般的な根本問題をある程度の見通しを得ませんことには、やはり良心的な電気事業法案そのものができにくい。根本問題をどういうふうに考えるかによりまして事業法の内容も若干変って参ると存じます。そういう点をできるだけ固めてからにしたいというようなことが、これのおくれておる理由でございまして、ある程度そういう点も——電気事業法は電気事業法、全体の根本対策はまた検討して、もし必要があるならばあとで改正するという考え方をとれば、これは拙速的にはできないことはありません。そういう点の関連をどうするかということで現在研究をやっておるわけでございます。
  46. 永井勝次郎

    ○永井委員 電気関係が今議題になっておりますので、関連してお尋ねしたいと思います。去る三月末の当商工委員会におきましては、石橋通産大臣は、電気料金については長期にわたって安定した低料金対策検討するということを公約されておるのであります。この予算の中のどこかに税の関係において、あるいは金利関係においてこれらの具体的な措置が見込まれておるかどうかということを検討してみたのでありますが、そういうのはどこにも見当らないようであります。見落しておるのかもしれませんから、その料金を下げるということを公約されたことが三十年度予算の中に具体的にどこにどういうふうに見込まれておるか、これを予算書に基いてお示しを願いたいと存じます。もしそういう構想がまだまとまっていないんだ、具体的なところまでいかないで、目下考究中だ、こういうのでありますならば、どういうふうな考え方でどういうふうにこの公約されました問題を処理されておるか。その考え方の方向を一つ具体的にお示し願いたい、こう思うわけであります。
  47. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御指摘のごとく、まことに申しわけありませんが、予算の中には入っておりません。これはさっきから繰り返して話が出ましたように、金利を下げるとか、あるいは補償の問題とか、あるいは税金の問題とかいう問題に関連しまして、電気だけでなく、実は税金の問題はずいぶん討議されたのですが、閣議においてはとうとう結論に到達しなかったというようなわけで、電気の問題も従って延び延びになっております。できるだけ早い機会に結論を出したい、かように思っております。
  48. 永井勝次郎

    ○永井委員 構想はまだまとまっておりませんか。
  49. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いや構想というのは、とにかく電気料金を下げるには税金金利とさしづめそれ以外にはないのです。それからさっき申しました建設費の振り割りという問題であります。これはいずれも検討しておるのでありますが、税金金利の問題は、これは必ずしも予算によらずともできない限りではないでありましょう。とにかくその結論に到達しておらないというのが事実なんです。
  50. 永井勝次郎

    ○永井委員 結論に到達しておらないとすれば、これは政府の怠慢を明確にしただけでありまして、われわれはそれ以上、考えを持っておらないという内閣にお話しをしても進まないと思うのですが、しかし税対策及び金利対策ということが料金に対する唯一無二のファクターである、こういうような今大臣の答弁がされましたが、これは少し問題のつかみ方が間違っておるのではないかと思うのであります。先ほど来佐々木委員からも話がなされましたように、やはり企業の性格の問題、企業体の問題及びそういうところから企業体に対する再々編成というような問題も起ってこなければいけない。そういういろいろなことが土台になって、そらからまた今問題になっております火力発電と水力発電との関係をどうするかというような、こういう内容内容として、長期にわたって安定した低料金対策がここから出てこなければいけないので、大臣が言われました税対策だ、金利対策だ、これはただ当面の対策であって、長期という内容にはならないと思うのであります。でありますから、そういう問題の考え方大臣がこの問題に取っ組んでおられるとするならば、根本的にここで態度を改めて出直していただきないと思うのであります。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この火力を主にするか水力を主にするかということにつきましては、これは松永構想によりますと、六ヵ年計画の最終において火主水従にしていけば料金は六%より上らない、こういうことを言っておるのであります。そうすると一年に一%ぐらいより上らないんだ。ところが現在のまま政府の現在やっておる方向でいきますならば、政府も三年後には二〇%料金が上るんだ、電気料金原価が上るんだということを明確に言明しておられるのであります。ところが長期にわたって安定した低料金対策を立てるという、こういう考えの基盤に立つならば、こういう問題が基本的に検討されなければ、料金の問題は税金や何かの問題だけでは解決できないと思うのであります。そこで大臣はこれらの問題についてどういうふうにお考えになられておるのかを伺いたいと思うのであります。われわれの見るところでは、火力発電の耐用年限は二十五年でありますが、この耐用年限の二十五年以上に達したものが百十五万キロ、それから二十年以上に達しておるものが七十万キロありまして、これはもう更新しなければならない段階にきておると思うのであります。従来のわが国の火力発電の熱効率は二一%でありますけれども、現在の新鋭な欧米の火力熱効率は四〇%である。そういたしますと、従来の石炭の消費量の半分で、従来の電力をまかなうことができる。こういう大きな問題があるわけであります。長期にわたる安定低料金という問題について、こういう問題と取り組まなければ基本的に解決できないのではないか、こう思うのでありますが、大臣はこれをどういうふうにお考えになられるのか。そうして火主水従ということになるのか。従来のように料金は三年後に二〇%上るのだということを言いながら、上ることをまた続けておやりになるのかどうか。これらの点を伺っておきたいと思います。
  51. 石橋湛山

    石橋国務大臣 先ほど税金金利と申しましたのは、今の水力のことを考えて申しておったのですが、むろん火力と水力をどうするかということも研究いたしております。松永構想の通りであるならば、それは火主水従がけっこうだと思いますが、今われわれの方で検討しておりますところによると、必ずしもそうでもないらしい。もし必要があれば途中でありますが研究の結果を申し上げてもけっこうであります。
  52. 永井勝次郎

    ○永井委員 委員長はいいかげんにやめろというような顔をしておられますが、関連ですから簡単にいたします。  そういたしますと電力料金を急速に何とかいたさなけばならないと思うのであります。大臣はここ一年ぐらいの間に方針を確立いたしますというような言明をされておるのでありますが、現在それがまだ間に問わないとすれば、一体どういうような考え方で、そしてまた政府の責任において電力料金引き下げようとするのか。構想がないといっても、一年以内という公約もされておるのでありますから、今言った企業の問題、あるいは火主水従というような長期にわたる計画、こういう問題を一つの底辺として、そうして税の対策金利対策、こういう問題をどういうふうに組み合わせて、そうして大体どのくらいの時期に、この委員会公約された料金引き下げについて、うそをつかなかったということをはっきりとお答えになるのか、そういうことを一つ総合的にまとめて御答弁を願いたいと思います。
  53. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは先ほどから各委員にお答えしたように、目下鋭意研究いたしておるのでありまして、できればこの国会にもそういう根本的構想に基いた必要なる法律を出したいと思います。これは国会で十分の御審議を願わなければなりませんから、今のところでは、この国会にいつ出すということはちょっとお約束申し上げかねます。しかしかりに万々一この国会に間に合わなかったといたしましても、これはこの前家庭料金三割頭打ちということで、来年三月三十一日までとにかくあれでいきましたから、その三月三十一日には必ず料金に何らかの手が加えられるような方途をもって、法律案をつくって御審議を煩わしたい、かように考えます。
  54. 永井勝次郎

    ○永井委員 最後に一つ、先ほど佐々木委員から指摘されたように、大臣のお考えになっておる一つ考え方と、本年度予算に計上されておる財政投融資の実績とは、これは全く矛盾しておる。こういう御指摘がありましたが、私もその通りである、こう思うので、この点の説明を簡単に——ここ一年間に電力料金は下げるんだ、こうお約束されておる、その裏づけとなる本年度の財政投融資に対する、われわれが矛盾であると考える点が、これが料金引き下げの方向に動いておるんだ、こういうことになるんだという大臣の御説明を願いたいと思うのであります。たとえば九電力会社に対して二十九年度の実行予算では開銀から三百二十五億か出しております。それが本年度は二百八十億、こういうふうに減っております。それから開発会社に対する分におきましては政府資金運用部資金の借り入れが、これは二十九年度においては当初予算は百六十億で、実行予算は百四十五億であります。これに対して本年は八十六億より組んでおりません。それから政府の出資、これが昨年は百億でありましたものが、今年は三十億より組んでおりません。そうして不確定だとわれわれが考える余剰農産物の資金関係にこれをしわ寄せておる、こういうような関係になっておるのであります。そうして足りない分は金利の高い市中銀行融資に待つ、こういうことになればますますこれは電気料金を値下げするという方向に動いているのではなくて、逆に電気料金値上げになる方向に具体的に動いておる、こういうことになるわけでありますが、その関係は一体政府はどういうふうにお考えになっておるか。これはやはりこのことが電気料金引き下げになるのだ、そうして市中銀行に対する利ざやを大幅に国民の税の負担においてまかなわせるのだ、こういう金融資本擁護の立場で予算を組んでおられるのかどうか、その辺のことを明確にしていただきたいと思います。国民の側としては電気料金で支払われるのかあるいは減税あるいは金利の補給という形で税でとられるのか、どっちにしたって原価が保障されておるわけでありますから、これは国民の負担になるわけであります。そういう関係をわれわれは矛盾だらけであると考えておるのでありますが、矛盾がないという筋を通した御答弁を願いたい。
  55. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ことしは資金関係上やむを得ずこういう形になりまして、御指摘のようにこれが料金引き下げに寄与するかと言われれば、それは料金引き下げに寄与しますとは申し上げられません。しかしながらそうかといって、これによって料金が非常に上るような結果をもたらすとは考えておりません。そしてこれはことしの資金関係上やむを得ずこういう形をとりましたが、これを今後いつまでも続けて、こういう形でだんだんお話のような金利の負担のかさむようなやり方をするもりはございません。そういうふうに御了承願いたい。
  56. 田中角榮

    田中委員長 午前中の質疑はこの程度とし、午後は一時から会議を開きます。    午後零時七分休憩      ————◇—————    午後一時二十八分開議
  57. 田中角榮

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。佐々木良作君。
  58. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほどの質問の際に通産大臣からお話がありましたことについて、ちょっとだけ質問したいと思います。  先ほど質問の過程で、補償費を下げるというお話がありました。開発のための補償の金をなるべく低く下げたいというお話がありまして、その補償の関係の話は、先ほど補償法みたいなものも出したいというお話でありましたけれども、補償法みたいなものを出してやる大体対象になるのは普通の一般の補償の分だと思います。それから先ほど大臣の触れられたのは、おそらく実質的な公共事業費の性格を持つやつを電力原価に加えずに、これを公共事業費に振りかえるといいますか、そういう措置考えられておるのじゃないかと思いますけれども、どうなんでしょうか。そういうことなんでしょうか。
  59. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その通りであります。
  60. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 御承知のように、実際に電源開発をいたしまして、たとえば只見の例や佐久間の例をとってみましても、普通に新聞に伝えられる一般の補償の費用というものは全体から見ると大したことはありません。実際には公共事業費として、たとえば鉄道のつけかえ、道のつけかえ等々、そういう実質的な公共事業費に類するものは非常に多いのであります。これを電力原価に繰り入れない措置というものは、私は行政措置でできるのじゃないかと思いますけれども、それを今考慮中という意味は、たとえばどういうことをしようということなのでしょうか。普通ならば、考え方によれば、電源開発会社の経費の中から行政措置でこうすればいいということにすればいいと思いますけれども、どんなものでしょうか。
  61. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それはお説のように行政措置でできることであります。
  62. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうするとそれは大体金利税金引き下げよりももっともっとむしろ簡単に通産省措置でできますか。
  63. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは通産省だけではできないだろうと思います。地方にも関係しますし、建設省その他の関係がありますから、やはりその点で相当めんどうな交渉は要するだろうと思います。
  64. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 地方関係といって、別にそれは項目の振りかえだけですから、実際の費用が動くわけでも何でもないわけでして、従ってたとえば地方に迷惑を及ぼすことも何もないと思うのです。ただ電力原価に加えるという意味ですから、それを行政措置というか、項目をどう動かすかという形式上の問題だけだと思います。たとえば閣議了解をしているかどうかしりませんけれども、そういう話し合いでできるものとは違いますか。従って今の金利引き下げや何かの問題と少し質が違って、もっと簡単にできるような気がしますけれども、それができなければ、金利引き下げよりも少くとも電源会社に関する限りは非常に大きいです。
  65. 石橋湛山

    石橋国務大臣 確かに話し合いでできることだと思います。しかしこまかいことは知りませんが、たとえば道路を作るのでも、今までの道路よりもはるかにいい道路をつけさせるとかいうようなことがありまして、そういう点はやはり地方にも関係するししますから、話し合いは十分しなければいかぬと思いますが、法律というほどのものはいらないと思います。
  66. 田中角榮

    田中委員長 今の佐々木君の質問は、電源開発会社から地方鉄道としての申請をいたしておりますしだからこういう状態になっているのですが、これは地方鉄道としないで、閣議決定して、予算編成するときに両省間に話をして、電源開発に必要なものは項は初めから全然別にして新線の建設にまわせば簡単に済むのですが、現在の状況では地方鉄道として大臣の認可を得ているというところにだけ問題があるので、これは私どもも初めから当然運輸大臣所管で新線を建設してもらうべきだと考えているのでありまして、何か御答弁はありませんか。
  67. 中島征帆

    ○中島政府委員 おそらく今のは只見川の只見線のことだと思います。これは鉄道の予定線でありまして、鉄道の方で敷設するのが順当なわけでございますが、鉄道の方の予算関係で、当分あそこには、鉄道に対しては手がつけにくい。とりあえず工事に間に合いませんために、電源開発会社がかわってこれを建設いたしまして、工事に間に合せる。将来は鉄道の方にかえてもらう、こういうような意味であります。
  68. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると今のような只見鉄道のような費用は計算上は電力原価に入るのですか、入れないのですか。
  69. 中島征帆

    ○中島政府委員 これは勘定の上では借勘定になっております。むろん資金を出します関係金利だけは当然コストの中に入りますけれども建設費そのものは、将来は鉄道に売るということになっておりますから、一応会社の資産にはなっておりますけれども、それをそのまま償却等の形でもって電力料金に入れないで済むのじゃないかと思います。
  70. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今の鉄道予定線であるから電力原価に繰り入れないでもいいという方針を取れば、そうすると何も鉄道だけでなくて只見関係の道路でも大体みな予定線です。つけかえみたいな、補償でやる場合も、完全なつけかえ以外のやつは大がい予定線であるわけなので、それは実質的には私は公共事業費になると思うのです。だから鉄道の上ではそれがそういうふうに了解がいくのであるならば、今の大臣お話がありました公共事業費関係のやつは同じような理屈で振りかえるということは行けると思うのですが、どんなものですか。
  71. 中島征帆

    ○中島政府委員 それはやはり同じような考え方でいけば一番いいわけでございますけれども、ただ只見の鉄道と違いますのは、只見の場合は当然ダムと無関係に鉄道で将来は建設する性質のものでありますが、ところがほかの道路は将来そこにつける予定はありましても、差当りの予定としてはダムができた場合に現在あります道路が使えなくなり、そのためにかわりになるところの道路を敷設する、こういうことになりますので、一応現在ありますところの道路の補償というような面が出て来ます。しかし当然将来に対しましては道路としての一般の公共的な利益も相当出て来ますので、どの程度これを電源の方で補償の意味でもって負担し、どの程度公共事業費が持つかという分界の問題がありまして、一般の公共事業費の予算との関係もありますので、あまり理論的にはっきり割り切れない面がございます。従って今後予算とからみ合いまして、どういうふうに公共事業費で負担していくかということは関係各省の間で十分打ち合せしなければならないと思います。
  72. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 只見の場合でもあそこは総合開発計画の一環みたいなことになっている道路であって、従って私は今の鉄道の例と同じような考え方可能であると思います。これはおそらく今後の宿題として考えられる問題だと思いますけれども、今後残されている少し毛のはえた開発というやつは、大がい総合開発に類するものになってくると思いますから、一つ早急に方針を閣内で立てられるようにお願いしたいと思います。
  73. 田中角榮

    田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 田中角榮

    田中委員長 それでは速記を始めてください。加藤清二君。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 お尋ねいたしたい問題が数多くございますが、まず第一番にこの間の理事会できまりました外貨割当の基本骨子の御説明がないようでございます。それは理事会でするというお約束でございましたが、どうなっておりましようか。もし何だったらこの際それを御説明願いたいのでございます。
  76. 樋詰誠明

    ○樋詰説明員 では申し上げます。三十年度の上期の外貨予算につきましては、これは貨物予算につきまして御承知のように総額十一億七百万ドルというものを、閣僚審議会で決定していただきまして、四月一日から実施いたしております。このうちの六億一千百八十四万ドルは特別に買付先がきまっておりません。この買付先のきまっておらないものを除きますと、あと各地域別の予算は、ドルが一応一億一千九百十一万九千ドル、それからポンドが一億五千七百六十二万九千ドル、それにオープン、アカウント地域が六千三百四十一万二千ドル、こういうことになっております。これは外貨予算につきましては申し上げるまでもございませんが、輸出計画の方は大体日本側でこれだけぜひ出したいということでございますので、各国別に相当こまかな計画等も立ってございます。ところが輸入予算につきましては、これだけ買うという国別をあらかじめ発表すると申しますことは、それ自体が必ず日本はこれだけのものを買うんだということを相手方にはっきりと示すというような結果になりまして、今までのいろいろな例等からも、輸入発表をいたしますたびに先方の市場の価格が上るといったような例もしばしばございましたために、一応予算の当初におきまして各地域ごとの配分がどうなっておるかというようなこまかいことは、これはむしろ商業上の秘密という格好で、特にその当事者以外には知らすべきでないということから、今まで各方面にも国別のこまかいことについては十分に申し上げてない。こういうことになっておりますし、また実際問題といたしまして、そのときそのときの事情、情勢等によりましてドル地域から買うというつもりでおったものを、オープン・アカウントの地域あるいはスターリングの地域というふうに振りかえるということもしばしば行なっておりますために、一応国全体として三十年度の上期にどれだけの物資の手当をしたらいいかということをきめていただきまして、あとは世界の高機と国内の需給状況というものをにらみ合せながら、そのきめられた範囲内で実施を各省の事務当局におまかせ願いたいということでやっておるわけでございまして、現在までに大体上期予算の約四七%について輸入発表を了しております。
  77. 加藤清二

    加藤(清)委員 外貨の数量は一兆円予算に匹敵するものでございますが、これの割当については、本委員会も衆議院もほとんどつんぼさじきに置かれておるようでございます。これが業界にとっては命の綱であり、もうかる元でございまする関係上、この外貨割当にからんでいろいろな問題が業界にも起り、不正事件ではないかと疑われるようなことも間々起きておるようでございますので、わざわざ商業上の秘密を承わりたいというわけではございませんけれども大臣としてはこれを将来とも省内の秘密裏に割当を進めていかれる気持でございますか、ないしは委員会である程度の基本骨子を相談した方がいいという考えを持っておられますか、その辺のところをちょっと承わりたいのです。
  78. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは元来の外貨の割当予算なんか作らなければならぬという現状が困りものなんです。ですからそこにいろいろ別な、私は特にこういう弊害があるとも思いませんが、いろいろの疑いを抱かれるようなことがあるということはやむを得ないと思います。しかしそうかといって外貨予算をぼんぼんこの前も申し上げたように発表してしまうということは、実際において非常に不利益ですから、これは現在でも通産省だけが勝手にやっておるわけではありませんで、経審を中心にして大蔵省その他が寄って検討をいたしてきめておりますから、それにしばらくおまかせを願うほかはないと思います。ここにこれを公表して、一々どこから何を出せ——どうせ出せばそういうこまかい問題にも触れるものと思いますが、これは全体の上において利益がないと思いますから、今までやって来たような方法でいきたい、こう考えております。
  79. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほど石橋通産大臣質問を行いましたそれと関連する質問につきまして、大蔵大臣質問したいのでありますが、予算委員会でおさしつかえとの話でありまして、理財局長がおいでになりましたから、かわって一つ理財局長にお伺いいたしたいと思います。今電力の問題につきまして、電力開発は大体既定計画の線によって進めるのだ、しかしながら開発が進展するにつれて電力コストがだんだんと高くなってくるということが問題なので、これを打開せんがための措置を今考究中なんだというのか、大体通産省の答弁であったわけです。これに関連して、特にその既定計画の線に沿って開発を推進するのについて資金の心配がないかどうかということをお伺いしましたところ、既定計画を進めるのに、三十年度については九つ電力会社資金については大体何とかなるだろう、但し電源開発会社のものとしては今のところ財政投融資から見る計画が三百億程度だ、これではどうしても既定計画を遂行するには少くとも五、六十億は下足なんだ、二の不足の分について通産大臣が大蔵大臣やその他と相談をされて、市中金融やその他の方法をとってカバーするつもりなんだというふうなお話であったわけでありますけれども、こういう措置が実際に大蔵当局におきましてどういうふうにとられておりますか、お伺いいたしたいのであります。
  80. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 今年度の財政投融資の中におきまして、電源開発会社に対する投融資をどのように見るか、これにつきましては御承知のように三百億程度のものを見積っておるわけです。これはそれぞれ関係の各省とも御相談の上一応きめた額でございますが、ただいまお話のように、いろいろさらに検討いたしまして、なお実際の進行の状況も見まして、この資金ではどうしても不足するというようなことになりますれば、これはやはり電源開発というものは拾てておけない緊急な事業でありますので、何らかの措置考えなければならぬというふうに、大蔵省としても考えておるわけです。ただ具体的にどの程度の資金が不足するか、またその資金が不足した場合にどういう措置でこれをやるかといったようなことにつきましては、現在のところまだ事務的にどういうふうなことをいたすかということはまとまっておりませんが、その辺は御了承願いたいと思います。
  81. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その金額は五十億とか六十億とかいう話でありまして、先ほどの通産大臣あるいはあとでの公益事業局長の話によりましても、大体見当がついて話が進められておるような印象を受けたのでありますけれども、それは大臣同士の政治協定みたいな話で、まだ当てにし得る、計画に乗っかる金としては考えられないという意味でしょうか。これは実際問題として計画面を見ますと、三百億の計画と三百五十億の計画とでは、計画地点並びに進行状況が全然違ってくるわけです。今すぐいずれかを中心として進めなければならぬことになっておるので、あとになって足らぬから補うという式のものではないと思うのですけれども、現在の状況をちょっとお伺いします。
  82. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ちょっと申し上げておきますが、この電源開発会社計画は、先ほども申し上げましたように、経審長官、大蔵大臣とも相談をし、それから電源開発会社とも話し合いをして、約三百億円の財政投融資をしておけば、さっき申したようにピークの場合に若干足りなくなる。その足りなくなるのは幾らということは、今五、六十億円とおっしゃったが、われわれの見当では大体四十億円くらいのものと見ております。それだけのものは処理ができる。これは大蔵大臣においてその処理の方法相当こまかく考えているということは、私は承知しております。事務的にそれをどういうふうに今そろばんをとっておるか知りませんが、その方法相当具体的に考えておるということを申し上げて間違いないと思います。
  83. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 石橋さん、それは違うのです。ピークのときに四、五十億足りないということではないのです。三十年度が計画のピークになっておるということなのです。だから三十年度の中の、たとえば五月とか十月とか二月にピークが来るという話とは全然違うのです。だから、三十年度の計画がピークになっておるので、その三十年度の計画を遂行するためには、四十億か五十億か六十億か知りませんけれども、最低限それくらいは当てにしなければ三十年度の計画は立たぬということなのです。
  84. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それはお話通り三十年度が事業としてはピークなのです。だから今年が一番金が要る。しかしながら、それは今きようから四十億なり何なり借りなければやれないということではないのでありまして、それだけの足りないものは補給ができるという見当によって、電源開発会社はもう今日から事業を始めておるわけです。それで四十億なら四十億最後に、いつになるか知りませんが、いよいよその金が要るというときには、必ずこれを補給してやる——別段法律上の約束も何もしておりませんが、そういう口約束は大蔵大臣もわれわれもしておりますから、電源開発会社ではむろん金があるものと見て計画を立てておりますから、お話のような故障は起らないと思います。
  85. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これははっきり申し上げて、事務的に四十億なり五十億なりという金は、足りなくなるときに大蔵省に対してそれを市中銀行から借りるという認可申請を出して、それにはっきりうんというかどうかということです。事務当局としてそれを了承されておるかどうかということなんです。
  86. 田中角榮

    田中委員長 私がちょっと補足しますけれども、御答弁にあいまいなところがあるのですが、いわゆる三百億案でもって着工する場合と、三百七十億案で着工する場合とは——奥只見、田子倉それから黒又等を落してしまう、こういうふうな状況になるのです。だから三百七十億案をのんで、五十一億の不足額は市中金融を認可するのだということを決定すれば、今起工差しとめになっておる個所も、昨年の十一月閣議決定当時のいわゆる計画通りに進められるし、最後になってめんどうを見てやるということであるならば、あなた方が現在押えておる起工命令をはずさない以上は、計画通りに進行できないというのが現実であります。ここでいわゆる六月の暫定予算が出るような状況であり、特に雪国等では七月、八月になると、もう工事にかかれなくなってしまう。現実的に大蔵省は、いわゆる送電線の四十三億とか変電設備の三十三億とかいう膨大な設備を押えておって、地点だけは全部起工させるというような具体的措置を講じなければ、今石橋通産大臣が言われたようなことだけでは、計画通り遂行できない。こういうのが状況である。六月暫定予算をお出しになるならば、資金的なピークに対しては現在申請を出さしめて、許可をして、時間的なずれを作らないというような具体的な処置をきめてもらわないと、実際委員との応答のように、三百七十億案の既定計画は進められないということになる。これを進めるためにどういうような処置をするのかというのが質問の焦点であります。
  87. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 私ども大蔵省事務当局の立場からお答え申し上げておきますが、先ほど申し上げましたように、計画としては一応三百億の投融資ということでただいま計画を立てておる。し心しお話のようにそれではどうしても足りない、あるいは実行上足りなくなる、こういうことでありますれば、これは電源開発の工事を捨てておくというわけには参りません。何とかしなければならない。その場合には投融資計画の改訂あるいは市中からの借り入れ、こういう問題が起るわけでありますから、そういうような状況を見て、こちらとしては処置いたしたい、また処置する方針である、このところまでを申し上げたわけでありまして、それ以上に具体的に現在全体を検討いたしまして、今年度内に何億足りない、従ってそれをどういう方法で調達するというような計画は、現在私どもとしてはまだ持っていないわけであります。資金が足りないといたしましても、その調達面におきまして、御承知のように現在投融資計画、これはいろいろ資金需要が多くありまして、非常に切り詰めてぎりぎりのところで組んであるわけでありますから、これが足りないから隠してあった財源を持ち出してきてこれに充てる、こういうわけにも参りませんし、市中から調達するといたしましても、これはやはり相手のあることでありますから、調達可能見込みの立った計画を立てなければならない、こういうことになると思います。それで、五十億なり四十億なりの借り入れの認可申請を出したら必ず認可するかというお話でありますが、認可申請を受けましたときには、大蔵省が協議を受けることになっております。その場合には、結局やはりそのときにおきまして資金の需要面と調達の見通しを検討して認可するかしないかきめる、それよりいたし方あるまいと考えておるわけであります。
  88. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それでは通産大臣の話と全然違うと思う。通産大臣の話では、四、五十億になるかどうか知らぬけれども、足らず目の金の見通しをつけて既定計画通りに発足させるということが話の中心であった。ところが今のお話だと、今後の様子を見て足りなくなったら考えてもいいというお話で、今の計画と全然話が違うと思う。これは、もし許されるならば、この委員会を休むなりあるいは途中でもいいが、三省大臣相談してはっきりと御答弁願いたいと思う。   〔委員長退席、山手委員長代理着席〕
  89. 田中角榮

    田中委員長 私から一つ質問申し上げたいのですが、今電力の問題に対して質問が集中されておりますが、私どもも、今の状況において民主党内閣が、電力に対しては一つ大きく開発をしようと言われておりながら、三十年度一兆円予算を堅持するためには、やむを得ずこういう財政投融資計画を立てざるを得なかったということは認めておるわけであります。だから、それまでを突っつこうというのではありません。自由党内閣当時にやったときには、一兆円という総ワクを堅持していく以上あのような部面が出たのでありますが、政治も行政も生きておるのでありますから、その時期々々において、最終目的を達するためには、遺憾のない方策をとり得るような幅のあるものでなければいかぬ。その意味においては、電力に対してもいわゆる昨年の十一月案を三十年度は——三月三十一日に予算が通っておれば、すでに四月一日から工事ができておるわけでありますが、現在においてもまだ予算が通らない、六月一ぱいは暫定予算を組まなければならないという状況であり、総ワクにおいても三百億というワクで縛られておって、特に所管大臣である石橋通産大臣は、発電地点も計画通り、また重点的に今年度に発電ができるものに対しても可及的すみやかに発電が行えるようにという方針でありますから、三省大臣間においていわゆる政治的協定をやられた意図は十分わかります。そして、その三省大臣の協定がそのまま守られるであろうと私も信じて疑わないわけであります。究極においてはそうだと思いますが、ただ予算審議の過程であるからというような事務的な感覚を持たれて、ここでもってはっきりした言明をすることは、一兆円予算に対して、財政投融資のワクが事実上ふえるのではないかというような感覚だけで五十億余りの予算的処置に対して——現在は一兆円予算ではあるが、将来、十月に台風が来れば二百億、三百億は出さなければならぬかもしれぬ。同じような感覚で、必要な場合に予算処置を講ずるなどという事務当局の考えでは、この三省大臣の協定事項は行われるにしても年度末でありまして、実際の工事進行のためには非常に大きなマイナスをもたらすのであります。実際上三百五十億の予算を組んでおっても、大蔵省が次年度に五十億を繰り越し、三百億であげようというそのワクにぴしゃっとはまってしまう。私は少くとも電源開発は今年度においてはこのような処置をとられてはならないということを考えておるのであります。特に今通産大臣が言われたことに対して、阪田局長が別な答弁をしておられるのでありますが、計画通りに行うならば三百七十億余要るわけであります。それに対して昨年の十一月当時、三百億で押えられるというときには、財政投融資金で全部まかなうというのであったにもかかわらず、今度は民間資金とか利子のつく金とかいうので、次々に割り振られては、工事はほとんど不可能な地点ができてくる、こういうのでありますし、特に二百九十八億五千万円でありますか、この計画でありますと、事実計画を変更しておるのです。佐久間、秋葉、糠平の問題は、一部発電ができるものは発電しよう、そのかわりに送電設備、変電設備は、当然織り込まなければならないからといって、四十三億、三十三億、合計七十六億の大きな金をすぽんと変電設備及び送電設備でとっておる。そうして三百億でもって押えようとするから、あとの開発地点三ヵ所は、十六億の予定であった田子倉を六億にしよう、十三億であった奥只見を二億にしよう、それから十一億八千余万円であった黒又が二億になり、事実休ましてしまう。計画を進めなければならないのに、あなた方は今起工命令を差しとめておるわけであります。そういう現実的な処置で押えておきながら、実際問題としては三百七十億やるのですと言っても受け取れない。六月暫定予算で政策も相当盛られると思いますが、こういう問題をまっ先に解決し、どうせ初めから三百七十億を出そうとするならば、電源開発促進法に基いて開発会社から申請を出さして、予算が通らないから、その間のつなぎ資金としてでも五十億を前貸しする、借りてもよろしいというような許可を行うということをまっ先にやらなければ、三十年度の計画は遂行できないのであります。もしおやりになるというのであれば、計画地点だけは全部あすにも起工命令を出していただいて、そうしてできるかできないか年末にならねばわからない変電設備及び送電線施設というものは工事の進捗に見合って金を出していただく、実際は今年度にできると思った糠平も佐久間も秋葉もできない。秋葉などは特におくれておるのですから、できないという見通しがあれば送電設備を削ればいい。こういう現実的な処置をやらないで、実際問題として三省大臣が基本的に三百七十億案を今年度中に遂行しようという、かえって逆行した——これは事務当局はいまだ検討しておらない。予算が通るのはきっと六月の末でありましょう。そうすれば実際問題として七月、八月であります。奥只見などは十一月になれば雪が降る。現実的に十何億やらぬでいいのではないかというような処置を大蔵省はいつもとっておられる。こういう事務的処置は納得しがたい。またそういう処置を看過しておる。石橋通産大臣が言われたような非常に御苦労なさって、三省大臣が政治協定をしたことは、全く無になってしまう、こういうのでありますから、これに対してもし事務当局がお答えになれば、その案を直ちに実行するつもりで三大臣の協定を行い、しかもその協定に対しては石橋通産大臣が責任を持てる、こういう御言明があれば、あえて申し上げません。
  90. 石橋湛山

    石橋国務大臣 事務当局としてはさっきのような答弁をする以外にないのだろうと思います。ですから、私どもはこの既定計画に従ってどんどんやる。それでその資金は、先ほど申しましたように、足りない分は金融でやる。しかもその金融の方法相当具体的に考えておるということを申し上げます。やります。
  91. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 通産大臣のやりますという話は先ほど聞いて、通産大臣のやりますという話を大蔵当局でオーソライズするために大蔵当局の意見を求めたのであります。従いまして私はあくまでも大蔵当局の返事をお願いいたします。   〔山手委員長代理退席、委員長着   席〕
  92. 田中角榮

    田中委員長 佐々木君に申し上げます。事務的な問題ではなく、いわゆる石橋通産大臣中心とする三大臣の政治協定のようでありますから、本明日中に、忙しくとも、経審長官及び大蔵大臣の本委員会への出席を求めますから……。
  93. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 経審、通産、大蔵三大臣で、先ほどいろいろお話のありましたような御方針がおきまりになっておるということは、大体私ども承知いたしておるわけであります。ただそれに即しましての事務的な具体案は現在できていない。従いまして、今後の状況によりまして、具体的にこういうことでこういう措置をするのだということがきまるまでは、私どもとしては何も申し上げられません。借入金申請を必ず認可するかというような御質問に対しましては、今どちらともお答えできないということを先ほど申し上げたのでありますから、御了承願いたいと思います。
  94. 加藤清二

    加藤(清)委員 商業上の秘密なるがゆえに、外貨の割当の問題についてはわれわれはつんぼさじきに置かれているという話なんですが、実は商業上の秘密なるものは、商社を通じて、外国のバイヤーその他にはつうつうに聞えているという事実を、僕は仕事の関係上たくさん知っているのです。それで、せめて基本骨子くらいはこの委員会で発表されても差しつかえないじゃないかと思うのです。国会に発表する前に、すでに新聞記者には発表されていることなんです。これは一体どうなんですか。なぜいけないのですか。
  95. 石橋湛山

    石橋国務大臣 正式にどこにも発表したことはないのでありますが、新聞へある程度の記事が出たということは事実であります。あの程度のものは、つまりほんとうの取引上に差しつかえない限りのことは、むろん発表して一向差しつかえないのでありますから、必要があれば委員会にも発表いたします。ただしこまかい点まで申し上げるのはいかがか、こういうことであります。
  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、きょうはこまかいことを聞こうとしているのじゃないのです。大臣に大まかなことだけをかいつまんでお尋ねするわけなんですから……。  商業上の秘密、商業上の秘密と言っていらっしゃるそのことが、実は向うへは知れているんですよ、相手の国へ。新聞発表したり商社を通じて、あるいは割当を受けたメーカーを通じて相手国にはつうつうに聞えている。そのことをなぜ本委員会では審議の対象にすることができないかということを聞いているのです。だから、将来それを発表する前に、基本骨子くらいはここへかける意思があるかないか、もう一度念のためにお尋ねいたします。
  97. 石橋湛山

    石橋国務大臣 何ですか、御審議に出せと、こういうわけですか。何かできるだけの数字か何か発表しろ、こういうことですか。
  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは具体的に言いましよう。私はきようはこまかいことは聞かぬつもりでおりましたのですが、外貨割当の方針は今まではほとんどが設備割当になっておりましたね。ただ商業の場合とかいろいろな場合には商社割当等もあったのですが、もっと掘り下げて具体的に一つだけ尋ねてみましよう。過去において原毛、原綿の外貨割当はほとんど設備に主体が置かれていた。ところがこのたびどういう風の吹き回しか、商社割当にしようということが大まじめに論議をされ、そのことがすでに国民一般、特にこれに携わる国民一般には知れ渡っているのですが、これなどはどういう方針の変更からそういうふうになるのか、一体どういう考え方の基礎に立ってそういうことを行われるのか、その商社割当をした結果日本の輸出振興にどうプラスされるのか、その点を承わりたいのです。
  99. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは本来外貨が自由になれば、商社が為替を取り組むということは当然のことでありましよう。しかし今の状況は、たとえば今お話の紡績などについては、原綿の割当というものは大体において設備割当でございます。しかし輸入する場合には、輸入の取扱い上外貨を取り扱うのは商社ですから、商社に取り扱わせる。ただし紡績はことしはまだ今は商社割当になっておりません。今まで通りにやっております。しかしながら大体方針としては商社割当で行きたい、かようなのが私ども考え方なのであります。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 その商社割当で行きたいという方針理由なんですが、それを承わりたい。
  101. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは貿易がだんだん自由化する場合には、そういう行き方をする以外にないと思います。メーカーの設備に為替をくっつけるということよりは、やはり輸出入の取扱いをする商社が外貨を持って操作をするという方が、貿易上有利だと考えております。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは、この根本は輸出振興を一そう伸展させる、こういう意味において商社割当をしよう、こういうことなんですか。
  103. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その通りです。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはあなたのホーム・グラウンドのはずなんですが、それではお尋ねいたします。今度の貿易白書を見ましても、ことし輸出が伸びた伸びたということなんです。ところがその王座を占めるのは、何といっても繊維なんですね。そこで繊維の輸出について、今まで輸出が伸びた原因の一つに、特に毛のごときは外貨割当がよろしきを得ていたということがあるのです。もしこれが商社割当だけになりますと、実権がほとんど商社に行ってしまう。そうすると、今日のような繊維の産業構造の状態からいきますと、輸出振興を阻害する原因が出てくると思います。それはこの経済白書にも出ております通り、将来市場競争が一そう激烈になるわけですが、それに対応して日本としても研究を進めていただかなければならぬと思いまするが、相手国は何といってもイギリスなんです。ところでそのイギリスの繊維の状況は、あなたも御存じでありましようが、機場が、いついかなる時期でも好みの糸が買えるよにちゃんと構造ができているのです。従って世界至るところのバイヤーからどのような注文を受けても、ほんの少数の注文にも応じ切れる、どんな柄物でも応じ切れるというような構造ができているのです。それだから外貨がどこへ行こうとここへ行こうと問題ではないのです。ところが日本の状態では、御承知でございましようが、規則やいろいろなワクによって末端で繊維を仕上げる機場や整理場が自由に糸を買うことができなくなっているのです。外貨の商社割当ということは、やがてそのことを一そう助長する原因になって、かえって窮屈になる。従って輸出振興に大きな阻害を来たす、こういうことになるのは機場へ足を突っ込んでおるものならすぐわかることです。あえてそれをやろうとなさる意思がわからないのですが、具体的に申し上げますと、たとえば四八の双糸あるいは六〇の双糸だけがほしいと思っておっても、別な糸を買わなければできないような、いわゆる抱き合せをしなければこのことができないようにできているのです。これをそのままにしておいて外貨割当の方だけを締めるということになれば、輸出振興は私は一そう阻害されると思います。事実やってごらんさい、必なずそうなります。また私はこの前報奨用に商社の外貨割当をすべきであるという意見を述べて、こうやれば必ずこの輸出振興はできますとここで述べたことを記憶しておりますが、幸いにしてそれが取り上げられてその通りやられた、事実伸びた、四千三百万ドル以上伸びていった。そこで私があなたにどうしてもお伺いしたいということは、はたしてあなたの今の方針が輸出振興にどうプラスするのか、私たちにはわからないのですが、プラスするという現実面を教えていただきたい。
  105. 石橋湛山

    石橋国務大臣 昨年毛織物などの輸出がふえましたのは、外貨の問題だけではなく、例のリンクの問題がありまして、だから今年はことにこの紡績の方には今の外貨の問題が、ことに金融上の関係で名古屋付近の紡績業者等から外貨の割当をメーカーにしてくれという非常に強い要望がありました。これもごもっともな点がありますから、今年はとにかく一応彼らに割り当てるという方式を続けておりますが、一般に申しましてやはり外貨というものは商社が——実際に為替の衝に当るのは商社ですから、メーカーの方は今の状況では必要な輸入の原料の割当をもらっておりまして、その割当のあるメーカーからの注文がなければ商社は動けないのですから、従ってそれはおっしゃるような弊害もないし、また全体の輸出入の上から言えばやはり商社が為替の操作ができるということがこれを増加するゆえんだろうと思います。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 問題は繊維の輸出が日本の輸出貿易の王座を将来も占めることは——いや、占めなければならないと思っておりますが、けんかの相手はイギリスなんですよ。これだけ外貨の面をイギリスと同じようにして、設備構造、それから業態をやはり向うと同じようにしなければ、海外市場においてけんかすることは困難だと思うのです。片一方だけはなるほど商社の都合のいいようにして、あとのメーカーの都合の悪いことを改善せずにほっておいては輸出振興にはならないと思いますが、それではもし外貨割当をそのようにあなたの考え通りやられるとして、構造の面はそのままほっておかれますか、それに対する何らかの手当が考えてありますか。
  107. 石橋湛山

    石橋国務大臣 構造の面をもう一度御説明願います。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう一度申し上げますからよく聞いておいてください。同じことを申し上げますから。輸出を振興するには将来の繊維は、どうしても文化とともに進みますから、好みに応じたものを出さなければならない。好みに応じたものを大量に輸出することができるかというと、現在の状態では大量に買う中共やソ連に対してはほとんどシャット・アウトされております関係上できない。従って少量の品質のいいバラ物が輸出されているのです。そういう国に輸出するに当っては、どうしてもバイヤーの言う通りの糸を機場が整えなければならぬ。ところがこれを整えるに当って外貨の権限のあるうちは、外貨の権限を機場なり紡績なりが持っている間は、商社をしてそういう糸を作り得る材料を購入させることができるのです。ところが商社にその実権を握らせてしまえば、これは小麦を買ってきてお酒を作れというようなことが行われるのです。なぜならば、それはもうけ主義一点になりますから。そうなりました場合に、好みの糸が買えなければ好みの柄を作ること、好みの生地を作ることができないのです。イギリスはこれができるようになっているということなんです。そこでそういう構造の面を手当して直してからならば、その実権をどちらに移されようとけっこうでありますが、それをそのままにしておいて、今命の綱と考えている外貨の権限を商社の方に持っていかれてしまったならば、末端の機場、仕上げ工場では手も足も出ない、なかなか言うことが聞いてもらえないという証拠は、現在でもなお好みの糸を買いに行ったときに、要らない糸まで抱き合せで買わされなければならない。もっと言えば、化繊五ヵ年計画であれほど政府が奨励しておられても、現在東洋レーヨンのウーリー・ナイロンがプレミアムつきで羽がはえて飛んでいるということを御存じでしょう。あなたのところの雑誌にもよく出ていることですから。これをそのままに放任しておいて輸出振興だといっても、一番トラの子の大事なものを取り上げられて、あとの手当はされずに置いておいたら、とてもイギリスとはけんかできませんということなんです。それをあなたはトラの子だけは取り上げておいて、あとはどうしようとなさるのか。
  109. 石橋湛山

    石橋国務大臣 こまかいことは政府委員から答えさせますが、商社に外貨を割り当てるといったって、別に商社が勝手なものを輸入して、メーカーに勝手なものを売りつけるという制度ではないのでありますから、現在においてはやはりメーカーの希望する糸が入らないということはどういう場合に起るか知りませんが、私はそういうことは大体において今起っておらぬと思います。それから織物の柄物がたくさん出ないということは昔からの話で、これは確かにその通りなんです。それはその方式で行く以外に方法がないと思います。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 きょうは私はこまかいことは抜きにして、大まかなことだけを質問するつもりだったが、あなたの答弁が私とぴったりと来ないからあえてお尋ねするわけなんですが、商社の言う通りしておいたら、それで好みの糸が末端で買えるなんていうことをあなたはそこでおっしゃるのですが、それほんとうにできますか。現在だってできておりませんよ。あなた具体的事実をようお調べの上お答えになっていらっしゃるのですか。それでそういうこまかいことを言いかけるときりがなくなって参りますから、翻ってお尋ねいたしますが、ただ外貨の権限を機場や貿易から取り上げてしまうだけで、あとの手当ては今何にもしてないということなんですね。
  111. 石橋湛山

    石橋国務大臣 現在繊維についてはまだ外貨を取り上げておりません。メーカーにも……。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 いや今はそうですが、将来商社に割当をしようとあなたはおっしゃっているでしょう。そういう計画が着々と省内で進められているでしょう。そうでしょう。外貨を取り上げるということだけは計画が進んでいるが、それに対応して輸出振興をさせるところの、今何千とされている好みの柄を作るために好みの糸を買うような組織、これは一朝一夕にできることじゃないのです。三年や五年でできることじゃないのですが、それをそのままにしておかれますかということです。
  113. 樋詰誠明

    ○樋詰説明員 私から申し上げますが、繊維につきましては先ほど大臣から申し上げましたように、三十年度上期の予算におきましては従来と全然かわりなしにメーカー割当をしております。われわれといたしましては、一応先ほど大臣から申し上げましたように、今後世界の貿易が逐次自由化しつつある、しかも日本の運命というものが第三国貿易あるいは第三国におけるインランド・ビジネスといったようなものとあわせて、日本と外国との輸出入というような、あらゆる方面における商機能の発揮ということをまたなければ、日本のほんとうの発展ということはできないのじゃないか、そういうふうに考えておりますために、この前四月一日から大蔵省のいわゆるモフ資金と称されます大蔵省資金を為替銀行を通じて商社に貸し付けるというような道も開くことによりまして、商社の活動というものをできるだけ広めるというような方向を政府として今とりつつあるわけでございますが、さらにそれから一歩踏み出して、行く行くは外貨もできるだけ早く、商社がもう少し自由に使えて、そうして第三国貿易等で大いに国のために貢献するという方向へ持っていっていただきたい、そういうふうに思っております。今までも実態的には商社が日本と外国との貿易に当りながら、しかもその貿易の実際の任に当りながら、外貨を直接支払うという人間が外貨の名義人にもなり得なかったということは、これはむしろ非常に変態的な格好なんで、メーカーの方にはその必要な自分の要るものが使えるという権利を確保する、それから外国に金を払うという人間にこの金を払いなさいといってその金を渡してやるということ自体は、従来の需要者割当といわれておったものが今回商社割当という言葉を使われたために、非常に各方面で誤解があったと思いますが、われわれといたしましては貿易の実務に当っておる人間が外貨をもらうというのが当りまえで、需要者はその外貨によって買ったものを確実に手に入れればよい。今お話のありました毛なんかにつきましては、従来からむしろメーカー自体がインポーターであって、御自分で毛の輸入をやっておられたということになっておりましたので、かりに将来その全部の物資につきましてインポーターに割り当てられるということがありましても、毛の場合のごときは大部分が従来のメーカーであり、インポーターであった紡績会社が割当の当事者になるということは当然ではないかと思う、そういうふうに考えております。ただほかの大部分の物資につきましては、数は非常に多いのでございますが、これにつきましては今回から需要者割当であったものを、一応需要者には内示書を出してもらって、内示書を集めた人間が——それは商社が集めるか、内示書をもらったメーカーそれ自体が自分で入れるとおっしゃればそれはメーカーでもけっこうなんでございます。ともかく内示書をメーカーから手に入れた人間が外貨を申請して外貨を払うという形にただ形式上変っただけでございまして、実質的には今のところ何も変っておらないのでございます。これはなぜほとんど変らないでやったかと申しますと、従来生産金融と貿易金融が結びついておりまして、貿易金融がそのままずっと生産金融につながっておった。ここでまだ生産金融が確立されない間にいきなり貿易金融と生産金融の間を断ち切るということをいたしますと、非常にそこに混乱が起きはしないかということから、まず形式だけ整えたという格好になっておるのでありまして、実際的にはほとんど心配ない、そういう心配は内示書で十分にカバーされておると思っております。今後この新しい内示書制度というものの運用によって、それが非常に支障があるということでもわかりますれば別でございますが、われわれといたしましては絶対にそういうことはないと確信しておりますので、それを一部の品物について実施しながら、生産金融の確立等について関係各省の間でもよく打ち合せして、これならば大丈夫だという見通しの立ったところで次の措置に移るという段階を踏んでいきたい、そういうふうに思っておりますので、商社に外貨の権利を与えて、メーカーから取り上げたとおっしゃることは、多分杞憂に終るのじゃないか、そういうふうに思っております。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたの御高説はまるで商社と話しておることと同じ御意見なので、商社と話し合うとその通りのことを言うのです。ところであなたは決して機場や紡績は迷惑しておらないと確信しておるとおっしゃいましたが、その確信はどこから生まれてきた確信か知らぬけれども、事実去年あたりのまだ紡績や機場に実権があったときでさえも、なお買いたくないアルゼンチン羊毛を高く買わされておるじゃないか。これは一体だれのおかげだといえば、政府がそのときの状況によって、輸出入のバランスをあの国ととるために、やむなくそうなったしわ寄せが機場にきておる。今後商社に実権を握らせば、商社は自分のところの商売の関係上やりくり算段をしなければならぬ、当然やりますけれども、現にそうでしょう。今まで国内の円でさえも、これは設備資金でござるといってきちっと貸した金が運転資金に使われておる実情をあなたはよく御存じのはずなんです。外貨のようなありがたいものを出せば、会社は自分の経営という立場に立ってこれを利用するのは当然のことなのです。そうなれば今日でさえもなお好みのものを作るために必要な糸が自由に買えないという状況に置かれておるのだから、一そうそれに拍車をかけるということになる、それはやがて輸出振興に阻害を来たす、こういうことなのです。こんなことはだれが聞いたってわかることなんで、あなたがあえてそれをおっしゃったって、あなたの確信はけっこうだけれども、私はそれだからというてここで納得はできない。  そこで大臣にお尋ねしましょう。この問題についてはいずれあとでゆっくりやります。そうするとよくわかっていただける。ただ大臣はこのことを今はやらないやらないとおっしゃっておるけれども、やろうという意思があるということは、すでにあなたの省で着々研究が進んでおるという事実を見てもはっきりしておる。だから前もってこれはお尋ねしたわけなんです。ことしだってうっかりしておったらやったかもしれない、ところがとんでもない反撃を食ったおかげで、まあまあということになったように承わっております。  さてそこでどうしても次にお尋ねしたいことは、綿紡の操短でございますが、これは幸い局長さんもいらっしゃるようでございますが、この綿紡の操短はどういう構想のもとに、どういう目的で、この時期にあれをおやりになったのでございますか。これは大臣に承わりたい。
  115. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは局長からお答えさした方がよかろうと思いますが、結局綿布の現在の市況の上から見て、綿紡の操短まで実は行きたくなかった、だからずっと昨年から躊躇しておったのでありますが、やはり綿紡の操短を必要とする状態になったからやったことと思います。
  116. 加藤清二

    加藤(清)委員 必要になったからやったというその理由、そこが聞きたいのですよ。
  117. 永山時雄

    ○永山政府委員 ただいま加藤さんのお尋ねの綿紡の操短でございますが、私ども方針といたしまして操短というような方法は原則的にはできるだけとりたくないというのが私ども考えておる方針でございます。ただ経済界の動きにつれましてその原則一点張りでもなかなかいきませんので、従って必要に応じて必要な措置をとるという弾力性を持たして原則を運用いたしておるのであります。綿紡につきましても、先般実施いたしました綿糸の勧告操短の前に、織物の方につきましてある種の生産制限が行われて参っておりますので、昨年の初頭以来——これは加藤さんの方がお詳しいのですが、綿業界特に綿布の状況が非常に市況が悪いということで、例の安定法二十九条の発動をいたしまして設備制限などをいたしました。それから綿工連自体がある程度の生産制限の措置をとってきたというような方式が行われて参ったのでございますが、依然として一年有半非常にはなはだしい不況の状態をたどっておりました。従って綿業の国民経済全般において占めております地位というものを考えてみますると、このまま放置しておくことが、全般の経済のために必ずしもよくないというような判定に立ちまして、まず綿工連自体の生産制限というものを行うことを認可をいたしたのでございます。本年の二月一日に大体従来の操業の一割二分程度操短をするというような計画を認可をいたしまして、御承知のようにこれには強力なるアウトサイダー、紡績業者がありますので、この方に対しましてもできるだけ協調するようにという意味のある種の勧告をいたしたのであります。ところがこの綿布の操短によりまして、若干市況も持ち直したのでございますが、どうもそれもほんの一時のことでありまして、またまた元のような状況に戻り始めました。そういたしますと、結局この綿布の市況を改善いたします手段といたしましては、現状において実際問題として綿糸の生産制限をするということしか方法がないのでございます。ところが綿糸自体につきましては、その価格必ずしもいわゆる操短勧告価格というほどのひどいものではないように思えたのでございまして、従って綿布の関係からいたしますと、綿糸の操短を勧告する必要があるのでございますが、ただ綿糸自体の価格から見ますると、必ずしもその価格がひどく低いというほどでもないのでございまして、むしろ操短勧告によりまして、綿糸の価格がある程度上ってくるというよな副産物も出てくることを考慮いたしまして、これに対しましては慎重に検討いたして参ったのでございます。ところが幸か不幸か、綿業界が一般期待をいたしておりましたパキスタンに対する委託加工の問題が、その後パキスタンとの交渉によりまして、だんだん予定されておった時期が先に延びて参りました。そのためにこれをささえとしておりました綿糸の価格も相当にくずれてきたというような状況が出て参ったのであります。一方従来から綿紡績につきましては、原綿の過剰消費、大体外貨予算で予定をしております月々の標準の消費量以上に原綿の消化をいたしておるような点もございましたので、以上の綿布の価格の改善の策、それから綿糸自体が価格が相当に落ちてきたということ、それから原綿の過剰消費の是正というような点を理由といたしまして、綿紡の操短をすることが適当だということの判断に到達をいたしたのでございます。勧告の内容といたしましては、製品の綿布の方と歩調をとりまして一割二分ということで、とりあえず五月、六月、二ヵ月間これを実施するということで、先般それぞれの紡績業者に対して勧告をいたしたという経過であります。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは五月と六月と二ヵ月だけでございますか。
  119. 永山時雄

    ○永山政府委員 ただいま勧告をいたしておるのは二ヵ月だけでございます。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 その先の予定はどうなっておりますか、立っておりますかおりませんか。立っておるとするならばどうされようとしますか。どういう状況の変化がきたらやめるとか、あるいはどういう状況が続く限りはこれを継続するとかいうことがきっとあると思いますが、それを伺いたい。
  121. 永山時雄

    ○永山政府委員 現在のところは今申し上げた二ヵ月で勧告をいたしておりますが、その後の問題につきましては、その操短の実施の模様を見た上で判定をしていきたい。すでに五月に入りまして操短実行の時期に入ってきておるわけでありますが、現在のところは御承知のように、糸の相場自体も大して変動がございませんで、ただ操短の勧告によりまして一応底ができたという程度の強みは出ているようでございますが、一部心配をしていたような、価格が非常に上ってくるというような弊害もない関係もありますし、それから綿布の方の市況も必ずしも十分には直っていないというような状況でございますので、特別にこれらの原因が解消をするか、あるいは新しい事態が出てこない限りは、おそらくは継続をすることになるだろう、かように考えております。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 委員長の命で、大臣がきょうだけとかいう話で、集中するようにということですから、この問題はあとでまたゆっくりと承わるということにして、大臣にお尋ねしますが、この綿紡の操短といい、石炭といい、鉄鋼といい、独禁法の除外例が次々と行われているようでございまするが、これは一体どういうわけでございましょうか。もしそうだとすれば独禁法を変えた方がいいのじゃないかということにもなるわけなのですが、一体どういう考え方のもとにこういうことが行われるのか。すでに予定されている、われわれが今後審議しなければならぬあまたの法律の中にも、そういうものが三、四見受けられるようでございますが、いかがなものでございましょうか。
  123. 石橋湛山

    石橋国務大臣 独禁法そのものをやめるか改正しろという論もあることは御承知通り。けれども、これはまたすっかりやめてしまっていいかということは問題だと思う。あれはあれでまた役に立っておる点がある。そこで今日は、今の中小企業安定法ですとか、あるいは近いうちに御審議をわずらわすことになるでしょうが、輸出貿易の問題とかという必要な場合において、特別の法律をもって独禁法の適用を除外するということでいきたいと今考えているわけです。
  124. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題についてもまだお尋ねしなければならないのですが、一つ鉄鋼の不足について、これを緩和するために、国有機械のスクラップ化を新聞で見ました。これは大臣が新しい手としてお考えになったようでございますが、私はこれは大賛成でございますけれども、これは一体ほんとうに実現されるのでございますか、それともあれは空手形に終るのでございますか。
  125. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろんあれは実行いたします。現在大蔵省の方で出すように準備をしておるそうであります。
  126. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題について実は大蔵省の意見を聞きたいのですけれども、あなたの方針大蔵省に納得させることができますか、できませんか。
  127. 石橋湛山

    石橋国務大臣 もう納得しております。
  128. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは承わらなければならぬのですが、あなたはこのスクラップ化した機械をどこへ持っていこうとされておるのですか。
  129. 石橋湛山

    石橋国務大臣 あれは、スクラップは御承知のように非常に競争が激しくて、それでスクラップそのものの値段を上げてしまう危険がありますから、そこで指定入札の形でメーカーの方へ、あるいは広くいえばすべてメーカーですが、鋳物業者とか何とかいうそういう実際にスクラップを使わなければならぬところへなるべくストレートに流れるように措置をするということであります。
  130. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのスクラップ化する範囲ですが、現在ありまする国有機、官有機、これを総体おやりになる御予定でございますか。それともそれはあなたは新聞公約上、選挙前の公約上、ほんの一部分にとどめようとせられていらっしゃるのですか。
  131. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その判断は結局大蔵省がどれだけこういうものは機械として売った方がいい、あるいは機械として利用する方がいいというような判断は大蔵省でやると思います。けれども、私どもの申し合せは、できるだけ多量に出そう、だから今私のごく大ざっぱな考えでは、現在国有財産として持っておる機械とか建物とかいうものはもうすべてスクラップにしなければ、あれをそのまま機械なり、建物に利用することは不可能のものが大部分と見ていますから、まず大体全部これを出すように話をしておるわけであります。
  132. 加藤清二

    加藤(清)委員 大賛成でございます。ほとんど全部ですね。
  133. 石橋湛山

    石橋国務大臣 そうです。
  134. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは承わりますが、この問題は、あなたが大臣になりなさる直前あるいはなられた以後におきましても、大蔵省当局におきましては大まじめに高く売りつけようという計画が着々実行に移されつつあるということを御存じでございましよう。その被害者が、何を隠しましょうあなたの傘下の中小企業でございます。中小企業の連中が結局設備を近代化するために、老朽化された自分の手持ちの機械、これを、倉庫にあるところの旋盤、フライス盤、ミーリングというようなものと比較したときには、なお、悪い悪いとはいいながら倉庫にあるものの方がやや程度がいい、これと交換してもらおうということになったところが、現在の価格は物価指数が三百倍にもなっているのだから、これは百五十倍でなければいけないのだというて、せっかく払い下げが行われようとしているものが阻害されているという事実がございまするが、これに対して——使い得る機械として払い下げする場合でも、なおこの困難が生じている、この困難は大蔵省がこれを高く売りたいと考えているからなんです。ところがこれをスクラップ・ダウンするということになりますると、これはまるでくずでございまするが、それが果してあなたの方針通り行えまするか、まするのだったら具体的にその時期を承わりたいのです。
  135. 石橋湛山

    石橋国務大臣 中小企業の機械と交換をするということはやっておると思います。けれども、それだからスクラップにしない、これは交換ならばそれだけかわりのものがスクラップになるのですから、それでもよろしいと私は言っております。それから大蔵省が大体高く売りたいと考えておることは、これは今さらじゃないので、これは昔からのことであります。最近はその考えを大分変えたと思います。以前は建物でも非常に高く売ろうというので実は処分ができなかったのであります。だからもうあんな処分ができないものはどんどんスクラップにして処分してしまった方がいいじゃないかということに、現在は大蔵省もそういう考えになっていると思います。
  136. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると交換する機械のことですが、これは、大蔵省がもし現在の意向通りあの高値でもって交換をしますね、そうしたらその中小企業が提供した機械がスクラップになって、倉庫にある機械は中小企業へ高い値で渡されるというと、しわ寄せば、あなたが指導育成化強しなければならぬ中小企業に寄せられるということになりまするが、あなたは、大蔵省考え方を是正して、どうせスクラップにするものならもっと値下げをさせようという御努力をなさっていらっしゃるか、いらっしゃいませんか。
  137. 石橋湛山

    石橋国務大臣 実際にどういう手続をとっているか知りませんから調べてみます。そんなに不当に高い値段で大蔵省が払い下げておるとは思っておりません。しかし、なお実情を調べてみます。
  138. 加藤清二

    加藤(清)委員 実情は私の言うた通りになっております。で、お調べの結果私の言うた通りになっておったということがわかった場合に、大臣大蔵省をして今の間違った考え方を是正させる用意がありますかありませんか。
  139. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お話通りなら、これは是正させます。
  140. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは簡単に御参考に申し上げますが、この点は私も基本的な考え方はあなたと一致しております。すでに国有機、官有機は、御承知通り通産省関係のものは多く交換が行われました。ところが大蔵省傘下のものだけが依然として今日二十万台の余残っております。一体なぜそうなったかといえば、さすが通産省は業態のことをよく知っておられましたために、これをダウンして機械を交換されたわけです。従って業界はこれを非常に喜んでおる。だから、重工業局長のやりようが非常によかった、こういうことなんです。ところが大蔵省はこれを時価相場に見積っておるのです。時価相場に見積られますると、たとえば日立製作のフライス盤のナンバー・スリーにいたしましても、回転率が今日のものではすでに二千回の余ある。あの国際見本市へ行かれると一番よくわかります。ところが倉庫にあるものは八百回くらいしか回転しないわけです。年式がずっと古くなっている。そのことをお忘れ遊ばさって、新しい値段でこれを渡そうというむなしい努力を盛んにやっていらっしゃる。なぜそんなあほうなことをいつまでもおやりになるかとお尋ねしたら、一部はっきり言われた。これを早く渡してしまうとおれらの仕事がなくなってしまって困る、こういうことなんです。だからこそ通産関係の機械は全部ほとんどうまくスムーズに交換できたけれども、今なお大蔵省関係のものは二十万台倉庫の中に居眠っている。そのおかげでほこりが積っている。ハトのふんだらけになっている。雨が降ると、屋根がくずれているから下は洪水のようになってしまっている。もう機械に使うどころじゃない、スクラップ・ダウンしたってなかなか喜ばれないという品物が出てしまっている。それから、なおあえていえば、現在の価格でなければいけないということを第二課でちゃんとおっしゃっていらっしゃる。このことについてはすでに各商工会議所もあるいは中小企業の方々も一生懸命に、もう一年越し陳情になっているのだけれども、なおそれが聞かれていない、そういうやさきに、あの機械をスクラップ・ダウンすると言ったあなたのあの言葉はまるで地獄に仏で、あのことであなたの党は大阪、名古屋地区で票をかせぎなすった。だから公約をすみやかに実行に移していただきたい。もしこれが行われなくて、あの公約がから手形に終るいうことになると、つまり通産大臣大蔵省の課長級にいかれてまったということになりますと、これはかなえの軽重を問われることに相なりますので、一つ早急にやっていただきたいのでございまするが、その時期の見通し、覚悟のほどを最後に承わりたい。
  141. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今ここで聞ましたら、値段は現在中小企業庁が大蔵省と交渉中であるそうですが、しかしお話はごもっともですから、これは本日にも大蔵大臣と交渉して即座に善処させるようにいたします。
  142. 田中角榮

    田中委員長 その他の委員諸君には御質問でありますか。——別にないようでありますから、本日の質疑はこれで終ります。次会は明十二日午前十時より会議を開き、日本経済の総合的施策に関し高碕経済審議庁長官より説明を聴取し、質疑を行う予定であります。  本日はこれをもって散会いたします。   午後三時二分散会