○滝井義高君 そういうことでございますならば、あまり詳しくはできませんが、大体国庫負担その他の問題については、強行されるそうでございますから、そのくらいにして、もうあとは、こまかい点は、質問がいずれ具体的になってからやりたいと思います。
最後に少し、あまり関連がないことですが、保守新党ができて、大臣が厚生大臣であられるかどうかはわかりませんけれ
ども——これはちょっと七人
委員会の報告と関連はありませんが、大臣がおられますのでお尋ねしておきたいのですが、実は森永の中毒
事件に関連をいたしまして、大臣は、多分九月の二回目の協議会であったかと思いますが、現在の日本の公衆衛生というものは、やはり末端の充実が必要だ、国防省を作るよりか、まず社会福祉省というものを先に作らなければならないんだという意味の御答弁があったのです。ところが、最近のこの地方の行政の
状態を見てみますと、すでに青森県、秋田県、福島県、富山県、滋賀県の五県においては、衛生部を廃止をした。衛生部を廃止するということはどういうことかというと、まあ森永の中毒
事件のような、食品衛生監視員というものの機構が、具体的には小さくなり、そしてだんだん人数が必ずしも多くはならないということを意味するわけです。あの協議会の答弁においても、現在食品衛生
関係の監視員というものは、実際の定員の六割か七割しかないのだということを、大臣は御答弁になっておる。しかも兼務というものが
相当おる、こういうことなんです。自治法では、人口百万以下の県では、少くとも四部は置かなければならないことになっている。人口百万ないし百五十万では六部置かなければならぬことになっている。ところが百万以下の県が衛生部を廃止するというのなら、まあまあ財政上やむを得ないということもある。ところが、百万から百五十万くらいの、六部置かなければならぬようなところが、廃止の方向にある。しかも現実にそういう廃止というものは、だんだん燈原の火のごとく広がって、地方財政困窮のために、まず予算を断ち切るところは何かというと、これは昔からよく言われておるように、学校の教育費か、あるいは衛生
関係なんですね。もうこれはさまっておる。すでに日本の行政の
状態は、そういう
状態にある。学校の先生が多い、先生をちと減らさなければいかぬ。先生のベース・アップを廃止しなければいかぬ。衛生部を減らそうじゃないか。衛生部を減らすために、
一つ民生部と一緒にしよう、
労働部と一緒にしよう、こういう形が出てき出したということなんです。これは現在の日本の医療というものが、あまりにも治療医学というものに重きを置いて、病気になってからあわてるけれ
ども、まず病気になる前に手を打って、そうして治療費を節約しようという点が欠けておる。健康保険の赤字が多いということは、
予防医学が行われていないということを意味する以外の何ものでもない。こういう点は、現在地方財政の赤字のために、ますますそういう
状態が激化してきている。しかも保健所というものはあるけれ
ども、いつか私が申しましたように、これは昔のサービス行政として、性病の
予防、結核
予防のためにできた。保健所というものが
監督機関になってしまっている。いつかもここで言ったのですが、官庁のうちで一番おそろしいところはどこかといったら、私は税務署が一番おそろしいと言うかと思ったら、今は税務署とは言わないそうです。一番には
労働基準監督署、二番目は消防署、三番目が保健所で四番目が税務署ということになっているということです。こういう
状態から
考えてみると、現在の保健所というものが
監督行政になって、いわゆる
予防的なサービス行政というものがだんだんなくなっている。こういう点で、保健所というものは
監督行政で、いい医者も雇えないで、そういうことなら
一つ予算を削ろうじゃないかということになって、おる。そこで日本の社会保険の赤字を解消しようとするならば・
予防的な面にもっと厚生大臣は力を入れてもらわなければならぬのじゃないかということなんです。森永
事件で末端行政を強化しますと言ったけれ
ども、現実はそうなっていない。これはもう都道府県の予算書を出させて、府県の
状態を大臣ごらんになると、衛生部の予算というのは非常に虐待を受けているということがおわかりになると思う。保健所の医者なんというものは充実しておりません。こういう情勢なんです。しかも、結核
予防費なんというものも削られてしまって、兵庫県とか東京都のような富裕県ほど、公費負担の結核
予防費の四分の一の負担を出していないということなんです。これは七人
委員会にも
数字として出ておる。私もいつか
指摘いたしましたが、こういう
状態は、明らかにこの健康保険の赤字の問題とともに、もっと
予防医学というものを大胆率直にやる以外には、日本の医療費の赤字は解消できないのじゃないか。病人がなければ食えないという制度じゃなくて、病人が少ければ食える、医療担当者が食えるという体制をこの際作ってもらうことを最終的にお願いし、大臣のそれに対する御構想をお願いして、私はこれで終りたいと思います。