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1955-06-10 第22回国会 衆議院 社会労働委員会公聴会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 大橋 武夫君 理事 山下 春江君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    臼井 莊一君       亀山 孝一君    草野一郎平君       小島 徹三君    亘  四郎君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       中山 マサ君    八田 貞義君       岡本 隆一君    多賀谷真稔君       滝井 義高君    受田 新吉君       神田 大作君    堂森 芳夫君       山口シヅエ君  出席公述人         労働科学研究所         員       佐野 辰雄君         いすず自動車株         式会社常務取締         役       田坂 政養君         日本炭鉱労働組         合中央執行委員 十二村吉辰君         全国窯業労働組         合連合会長   下野 喜一君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 浜口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 本日の公聴会意見を聞いた案件  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法案について     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これよりけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案についての社会労働委員会公聴会を開会いたします。  この際、公述人皆様方一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中にもかかわらず、当公聴会公述人として御出席下さいましたことにつきましては、委員一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  本案重要法案でございますので、審査に万全を期すべきであるとの委員会意思によりまして、本日公聴会を開き、公述人皆さん方に御足労願った次第でございます。公述人におかれましては、本問題につきまして、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御発表下さいますようお願いいたします。ただ時間の都合上、公述の時間はお一人十五分程度といたしますが、公述あと委員諸君より質疑があるものと思いますから、その際もお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、公述人方々発言なさいます際は、委員長の許可を得なければなりませんし、発言の内容につきましては、意見を聞こうとする問題の範囲を越えてはならないことに相なっております。また委員公述人方々質疑をすることができますが、公述人方々は、委員質疑をすることはできません。以上お含みおきを願いたいと存じます。  次に、公述人皆様が御発言の際は、劈頭に職業または所属団体名並びに御氏名をお述べ願いたいと存じます。なお、発言の順位は、勝手ながら委員長においてきめさせていただきます。  それでは、まず佐野公述人に御発言をお願いいたします。佐野公述人
  3. 佐野辰雄

    佐野公述人 労働科学研究所労働病理学研究室におりまして、けい肺の問題を専門にさしていただいております佐野辰雄と申します。御指名によりまして、この法律医学的な面について、発言をさせていただきたいと思います。  この法案でございますが、従来のけい肺者保護という点について、さらに一歩を進めたということは、確実であると思うのでございますが、けい肺の問題については、大体世界の各国が、すでに五十年前程度から関心を持ちまして、この問題についてはいろいろと悩まされた結果、すでに国際会議が三回もこれについて持たれております。従って、それらの会議等を通じて、けい肺に対する対策はこうなくてはならないというふうな勧告も出されておりますので、そういった点について、やや比較を試みながらこの法案についての具体的な点について申し上げたいと思うのであります。  第一に、医学的な点でございますが、けい肺に対する定期健康診断の件でございます。この法律の第三条でございますか、けい肺に対する健康診断は、三年に一回の割合でなされなくてはならないということを規定いたしております。これを世界のものと比べてみますと、三年に一回という基準は、私には最低に近いものというふうに考えられるのでございます。他の多くの国は、年に一回ということを基準にいたしておりますし、また南アフリカというようなところでは、最初の五年間は年に一回であるけれども、六年を越えると年に二回行うというふうに規定をいたしております。ただ、インドのような国でございますと、五年に一回ということを考え、十年を越えますと二年に一回であるというふうに規定をいたしております。また参考までに申し上げますと、イギリスにおいては、けい肺の問題は、主として炭鉱けい肺の問題でございますが、この場合には遊離けい酸含有量金属鉱山等に比べて少いという理由から、大体二年に一回をもって妥当であろうというふうにきめておるのでございます。このような点をいろいろと考えてみますと、やはりけい肺発生進行ということについては、遊離けい酸含有量がどのくらい多いかということ、また濃度がどの程度高いか低いかということによって区別が生じて参りますので、今後けい肺健康診断が具体的に進むということ、また現場におきます発塵状況が次第に明らかになっていくということにつれて、三年というふうに現在きめられておりますものも、内容的に、こういうふうなところではさらに年に一回やるということが妥当であろうというような細分が医学的には妥当であろう、そういうふうに考えるのでございます。  またこの法案の中で、けい肺結核関係が問題になっておるのでありますが、このことについても、なかなか一律ではない点がございまして、この法案の中では、レントゲン像けい肺性変化が現われまして、それに結核が合併したと思われるものについて、これを法案上のけい肺として扱っておるということなのでありますが、一九五〇年の国際けい肺会議国際塵肺会議における勧告の中には、こういう点が指摘されております。それはけい酸粉塵職場作業をいたしました場合に、臨床上明らかにけい肺性変化が合併していると思われない場合であっても、それに結核が合併した場合には、当然職業性のものとして補償をしなければならないのであるということでございます。同じ他のけい肺が確実に現われたものと、その点では取扱い上の差がないものであるということを勧告いたしておるのでありますが、この点は、やはり傾聴をいたさなければならないかと思います。しかし、この点につきましても、それではけい酸粉塵職場であると名がつけば、すべてそういうふうに扱うのが妥当であるかという問題になりますと、やはりそれは望ましいけれども、けい酸粉塵が多く、濃度が高くて、つまり、けい酸吸入量が非常に多いというものについて、学問上も実際上もそのことが明らかに認められるのでありますから、わが国においても、一律というのではございませんが、今後の患者発生状況、あるいは現場発塵状況によって、結核とけい肺に対する新しい取扱い方というものも加味されていく必要があろう、そういうふうに考えるのでございます。  次に、少しくこまかい具体的な問題でございますが、この法案の第三条の三に「前二号以外の者で、その作業に従事する前粉じん作業に従事した期間が三年以内のもの」という規定が設けられてございます。これをこの文字通り解釈をいたしますと、新しくけい酸粉塵職場に入職をいたします者が、けい肺健康診断を受ける必要がないというふうにも解釈されるのでありますが、この点は、将来のけい肺対策上望ましいことかどうかということになりますと、でき得れば、けい酸粉塵職場に入る場合に、けい肺健康診断を確実に受けるということが、私は必要であると思うのでございます。これはけい肺診断のそのあとに、続いて健康管理を行わなくてはならないのでありますが、まずその人の正規の状態におけるエックス線像がどうであるかということを確定いたしておくことは、その人の診断を確実にいたす上に、ぜひとも必要であるというふうに考えられておるからでございます。  第二には、結核者結核の合併をできるだけ正確に見つけ出して、その職場結核が流入することを防ぐということは、本人自身のためでもございますし、また同僚にとっても必要であるということは当然でございます。従って、この条項はむしろ不必要なものではないだろうか、私といたしましては、そういうふうに考えるのでございます。  第三番目に、配置転換勧告するという処置、これは病気をできるだけ予防しよう、それ以上の進行をできるだけ防ごうという点で重要な処置であります。これは作業転換というところで、いろいろ規定されてありますが、この場合に、作業転換し、あるいは職を離れた方々に対してのその後の健康管理ということについての規定がございません。これは医学上から申しますならば、当然健康管理の必要があるものと存じますので、そのような規定がきわめて望ましいものである、そのような規定がぜひなされなくてはならないであろうというふうに私は考えるのでございます。  次に、少しく医学上からはずれることになるかと思いますけれども、配置転換あるいは離職をする患者方々に対しての処遇、その生活保護していかなくてはならないということ、この点について、この法案がいろいろな努力をお払いになっておるということは、よくわかるのでありますけれども、きわめて不十分な点があるように存じます。参考のために、国際会議のそれについての勧告を簡単に申し上げますと、こういうことを言っております。一九五〇年の第三回国際けい肺会議でありますが、その第二十九条には、けい肺者がなれた職を離れたときには、あらゆる努力を払って直ちに彼を職につけなければならぬし、あるいは彼を訓練して適当なかわりの職につけなければならない。この際は彼の生活水準を引き下げてはならない。またかわりの職につくことが彼の補償額を減少させるようなものであってもならないというふうに勧告をいたしております。多くの外国では、このような点について、年金を支給することによってその目的を達しようとしておるようでございますが、そのような勧告と比べますと、本案に盛られた患者の具体的な保護措置という点では、まだまだいろいろな懸念が残っておるというふうに感ずるのでございます。  さらに、こういう患者保護についての非常に困難な問題が出てくるということに対して、考えなければなりませんことは、けい肺を予防し、従ってけい肺患者をほんとうに保護するという立場から申しますと、このような配置転換ということによる人間の面からする対策というものも、きわめて必要であるけれども、それのみに過大な期待をかけるべきではないということが言えるのでありまして、その点については、やはりけい肺の根本的な予防方法であるところの防塵——ごみを少くする、そしてごみを吸わないで済むということ、そういう点に対する努力がどうしても必要なのであって、その点を強く感ずる次第でございます。またけい肺患者の実態、その他イギリス等の実例から考えてみましても、このような患者に対してできるだけの保護を加えようとするならば、やはり国家の関与というものが、さらにさらに増大するということでなければ、実際上は不可能であろう、そういうふうに私ども感じておるわけでございます。  あとで御質問を受けることにいたしまして、一応私の公述はこれで終ります。
  4. 中村三之丞

  5. 田坂政養

    田坂公述人 私はいすず自動車株式会社常務取締役をやっております田坂でございます。所属団体は、日本経営者団体連盟総務委員をやっておりまして、なお先般けい肺対策審議会使用者側委員を仰せつかって、本法の立案に参画したものでございます。私が今日公述人としてこちらにお呼び出しを受けましたのは、主として製造工業立場で、この問題をどう見るかというお考えのもとに呼び出されたものと思います。そこで、石炭鉱業及び金属鉱業関係におきましては、昨日早川勝君、北里忠雄君が御出席になっておりますし、その方面のことは私、全然しろうとでございますから、主として製造工業関係についての本法に対する私の気持を話させていただきたいと思います。  まず第一に、この法案が立案せられましたにつきまして、お前はどう思うかということでありますが、この法案審議会で御説明を受けましたときに、人道的立場においてこの法案は立案せられるものであるというお立場を聞きまして、ごもっともである、お互いに社会に非常にお気の毒な人が多々ある、これを社会連帯保証で救っていくということは、常にあってしかるべきであって、常にそういう考え社会が持つべきものであって、やるべき仕事である、こういうふうな考えには私は全く同感であります。しかし、この法案が、政府けい肺患者及び外傷性脊髄症患者を一応保護しようじゃないか、こういうふうなお呼びかけであるならば、まず第一に、政府で初めは一つやってみるが、しかし将来は、これは政府ばかりということにもいかないので、事業を営んでおる者もこれに協力したらどうかという考え方で、これは進められる問題ではないかと思うのであります。ところが、この法案は、最初から経営者の方にもある程度負担がかけられるというふうなことにおいて、一応問題を考えなければならないというふうに思います。  そこで、本法対象になる労働者というものが、主として石炭鉱業金属鉱山及び製造工業におきましても窯業ガラス業鋳物業陶磁器製造業等業種を主として対象としておりますので、それらの製造業種が、現在企業としてどういうふうな経営をやっておられるかと申しますと、あまり日の当る企業ではないと思うので、それらの企業が、もう少し順調に経営せられておるときにこれが施行せられたならば、おそらく一番時期を得た施行の仕方ではないかと私は考えるのであります。  次に、第二の点でありますが、主として製造工業のうち、本法適用を受ける業種は、ただいま申し上げましたような耐火れんがガラス陶磁器鋳物あるいはサンドグラスというような業種を営んでおる企業でありますが、これらの企業の大部分は、大体中小企業の形において行われておるという点であります。そこで、本法において発生する費用負担が、これらの企業の存立を危うくするというふうなことのないように、それらの企業に対しての負担金率をきめていただきたい。原案を見ますと、本法施行において使われる費用の三分の一は国庫が持ちますが、三分の二は事業主が持つことになっております。これは少くとももう少し上げるべきではないか。なお承わるところによりますと、この費用国庫としては大体初年度におきましては、本法の草案をお書きになるときは三分の一であったが、実際は国庫は二分の一持つというふうなことを聞いております。できれば、その趣旨本法の条文にはっきり書き述べていただきたい、こういうふうに考えるのであります。なお、初年度大体これに要する費用は七、八千万円でありますが、審議会でお示しになりました統計を見ますと、健康診断を行うべき対象は二十七万人、それから本法施行後、すぐに療養の給付及び休業の給付または転換手当を見るという数字は大体千人、それから新たに年々付加する数は三百人、こういう推定数をお示しになりましたが、これによりまして私が数字を推定いたしますと、本法施行当初に、大体四億ないし五億の本法に関しての費用負担が新しく付加せられるのではないかと思うのであります。これをかりに五億といたしますと、二十七万人の従業員に対しまして、従業員一人当り負担が二万円年間増、これは月額千八百円増です。増ということは、それだけのコスト増ということを引き起すことになるのであります。現在鋳物工業を一例に取ってみますと、鋳物工業におきましては、平均一月一人一トンの生産量を上げるということが一応の建前になっておりますが、一人の鋳物工の今の平均賃金というのは、一万五千円から二万円ということになりまして、それに対して大体二分の一の負担ならば、八百円の負担事業主にかかってくる。あと半分は政府負担ということになりますが、それだけのコスト増をその企業が吸収し得られるかどうかというような点をも、深く考え施行していただきたい。その意味におきましては、大体これら適用企業生産額従業員数及び本法受益者数の間の比重をよくごらんになりまして、企業に危険を強く与えることのないように施行していただきたいというふうな希望を持っております。  次に、第三条でおきめになっておりますが、政令適用除外規定がございます。これは今労働基準法関係で大いに安全運動を奨励しておられますが、この安全運動と関連しまして、予防的な行政に非常に重点を置かれまして、第三条では大体政令で認められる作業というふうなものがありますが、これを事業場というふうな意味合いにおきまして、とにかくおれの職場には、たとい本法施行になっても、けい肺は一人も出ないのだというふうな、自主的な盛り上る気持で、全従業員本法を行政的に理解さすというふうに持っていっていただきますれば、これに関する出費の増加も、従ってはばみ得られますし、なお、けい肺法けい肺患者の減少ということも、はかられるというふうに考えるのであります。そういうような意味合いにおいて、この処置をおとり願いたい。これはすなわち費用上昇負担カーブを、急カーブにやってもらっては、企業は非常に困るのではないか。それを漸増していくようなふうに政府は行政的にお考えを願いたいという希望であります。  次は、外傷性脊髄症の問題でありますが、これは御趣旨はごもっともでありますが、法案の編成におきましては、別にお組みになる方が、筋が通って——何かこの中にけい肺審議会その他の規定もあるようでありますが、それらを勘案していろいろ見てきますと、非常に軽く扱われているような気がするのであります。それは労災法関係において見ておるという議論もあると思うのでありますが、こういうふうに重大な問題であるというふうにお考えになるならば、やはり別にその方の立法をお考えになるという法案の組み方の方が、すっきりしていいのではないか。何か奥歯にもののはさまった感じがするというのが、第三の点であります。  これで私の公述を終ります。
  6. 中村三之丞

    中村委員長 これにて公述人公述は終りました。  次に、委員より質疑の通告がありますので、これを順次許可いたします。受田新吉君。
  7. 受田新吉

    受田委員 田坂さんのただいまの御発言に対して、一言お伺い申し上げたいと思います。  今日は御多忙の中をお差し繰りいただきまして、佐野さんと一緒に御足労いただき、ありがとうございました。  私たちは、先ほど委員長が申されたような趣旨をもって、このけい肺に関する法律の万全を期するために、こうして御足労いただいて、慎重な審査を続けておるわけですが、要するに、けい肺患者が絶滅されるようなそういう社会を一刻も早く実現させたいという気持には、昨日おいでいただいた公述人も、今日おいでいただいた公述人の方も、これは全く同じ目標を持っていらっしゃると確信いたしました。そこで、経営者側といたしましても、労務者に対して、経営者立場からのあたたかい心を寄せて、法的にも、また人情的にも、最善を尽してこの問題の解決に当りたいというお気持をいただいておると思います。ただ、今御説明をお聞きしておりますと、生産コストが、けい肺に対する費用負担によってそれだけ上昇する、そうした場合には、企業経営そのものに非常な影響力を持つので、できれば国家が責任を持ってこれをやるような方向に持っていく、あるいは費用負担を急激に増大させるようなことのないような、漸増的な方向をとってもらいたいという御意思であったようです。また佐野さんの御発言の中にも、イギリスその他の例によってみると、こういうものに対しては、国家そのものが非常な大きな力を発動させておるというようなことになっております。そこで、今一例を関係企業労務者平均賃金にお取りになっておられたのでありますが、このけい肺対策に要する費用を計上する場合に、一人八百円ばかりの費用コスト増考えられるということをお触れになったようです。ところがそれだけは、今、企業経営形態収益が増大するような時期でないので、非常にむずかしいのだというお言葉があったと思うのでありますが、会社企業経営形態が楽なときというのを待っておったのでは、この問題の処理はできないと思うのであります。少くとも、こういう人道主義から考えた場合には、企業経営が困難だとか容易だとかいう問題を越えて、善は急げという立場でお考えいただく方がいいのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  8. 田坂政養

    田坂公述人 お答え申し上げます。御趣旨同感でございます。それには、私どもの自動車の例を申し上げて恐縮でございますが、五千人の従業員のうち、鋳物関係のものは三、四百人しかいない、一割弱でございます。こういうふうな形ならば、本法適用のものは、その全事業に対して一割以下に響くのであります、大したことはございません。ところが、鋳物工場だけしか経営していないところで、従業員が全部で三百人だ、しかもほとんど鋳物作業のみであるというふうな工場におきましては、その経営が今窮地にあるときは、相当に何か援助手段を講じませんと、費用負担企業経営に危機を及ぼすというふうに私は考えます。早くやることは賛成でありますが、そういうふうな方法をとりながらやっていただきたい、こういうことであります。
  9. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、企業体における性格といいますか、内部におけるいろいろな事情を勘案して、国家としてはそれらに対する援助対策を個々に考慮すべきであるという御趣旨でございますか。
  10. 田坂政養

    田坂公述人 さようでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、総括して、この国家負担する費用比率というものは、企業経営よしあしによって、収益のあるなしによって比率を異にするような方がいいというお考えでありましょうか、いかがでしょうか。
  12. 田坂政養

    田坂公述人 お答え申し上げます。同じ目的に対して、同じ国民的な立場で、費用負担経営よしあしによって甲乙をつけるということは、どうかと思います。
  13. 受田新吉

    受田委員 しかし、いつの世におきましても、非常に景気が上昇するときとか、あるいは異常な不景気になってくるときとか、そういう特別な場合を除いては、やはり企業間において、その内部甲乙がつくのは自然だと思います。従って、そうしたある特殊の企業経営よしあしによって、全体を通じての立法に非常な困難な事情発生するということになっては、これはまた大へんだと思うのでありますが、特殊な企業に対して保護対策を講ずるとすれば、いかような方法をとればよろしゅうございましょうか。
  14. 田坂政養

    田坂公述人 一例を申しますと、本法施行前において、けい肺に関する出費がたとえば百万円あったとする、そうして、本法施行後、一年後には二倍になった、これは私は考えてやるべきじゃないかと思います。一年後に二十万円は上ったというくらいの比率なら、漸増だからいいと私は思います。一躍倍になるような費用本法施行後一年でかかるというふうなことは、なお、五年後には五年前の十倍にもなったというふうな費用負担企業にかけるということは、企業を危殆に導くものじゃないかというふうな感じを持っております。
  15. 受田新吉

    受田委員 工場の中には、五人以下のわずかな従業員を用いているところもありまして、法の適用を受けることのできない面も発生するわけです。また非常に有益な事業をやっておられる企業体と、非常に収益をあげていない企業体との間におけるそうした差異というものを調整する方法として、国家がいかなる手を打ったらいいか。たとえば、今のお説のような特殊な例が起った場合に、とうていその企業体ではそれをまかない切れないというような事態が——これは非常に特殊の場合であって、めったにそういうことはあり得ぬと私は思いますが、そうした場合に、国家としてどういう手を打ってくれればいいというふうにお考えでしょうか。事実、今この立法に当っては、そういうことを考えておかなければならぬと思うのであります。そのために、その企業そのものがつぶれてしまうような事態が発生する可能性もあるわけですが、これに対する救済策として、どういう用意をしておけばよろしゅうございましょうか。
  16. 田坂政養

    田坂公述人 お答え申し上げます。そういうふうな事業がつぶれるというふうな企業体にまでこの費用負担をやれということを強制することはやめる。なお、援助してやればいいのですが、援助をどういうふうな方法でしてやればいいか、私は今、具体的にどうこうという考えは持っておりませんが、つぶしてもその費用は取るという考え方は、およしになった方がいいと私は思います。
  17. 受田新吉

    受田委員 これはこの法律を作る方のわれわれとしては、よほど考えておかなければならないことでありまして、経営者側といたしましても、まず人命を尊重する立場からこの法律考えていただき、それに即応するように企業経営考えていただく。だから、少々生産コストがふえても、まず生命を大事にするという方へ重点を置いていただかなければならぬと思うのです。従って、生産を増強するためには、けい肺患者発生して、もう死ぬることのわかり切っている患者も出てくるのですが、そういうような人々を犠牲にしてでも、収益を増大せねばならぬという考え方になったならば、これはよほど重大な問題だと思うのです。この際、今佐野さんも田坂さんも仰せになられたような、この法律人道主義から出た法律だというお考えから、少くとも企業体そのものが全幅の協力をけい肺患者にささげるという、そうした方針をお持ちいただく。そうして、万一費用負担において会社経営が困難になるというような事態が発生した場合には、それに対して、救済策としていかなる方法をとってもらいたいというような、そうしたところにも一つの御用意をいただいたらどうですか。そうしないと、経営のやり方によって、患者そのものが犠牲にされるということになりますし、われわれは、まず第一に患者を救うということに重点を置いてこの法律考えていこうとしておりますので、経営よしあしによって患者が犠牲にされるということが絶対にあり得ぬように考えたいと思います。この点、でき得べくんば、この法律案を出される際に、重要なる立案者の一人として御参画になりました田坂さんにおかれましては、そうした企業困難なる場合における立法措置というようなものについても、御考慮をいただいたらと思います。  それから、佐野さんの御発言の、おしまいをちょっとお聞きしただけでありますが、英国のごときは、この問題を社会保障制度の一環として考えていてくれるということであります。労働科学の研究をなさった立場から、こうした特殊の職業病に対しては、全額国庫がその救済策を講ずるように措置すべきであるというふうにお考えでございましょうか、あるいは経営者にその一部の責任を負わすようにすべきであるとお考えでございましょうか、そこをお伺いしたいと思います。
  18. 佐野辰雄

    佐野公述人 これは私の専門外に属することではございますが、やはりこれも国の事情によって多少違うように存じます。たとえば、南アフリカあたりでございますと、私もよく存じませんけれども、金山鉱業というものの比重がきわめて高いために、これは国家のいろいろな援助といいますよりは、規制を受けるということがございましても、費用その他は、経営者の方で負担をするという形になっておるようでございます。わが国における場合は、現在まで労働基準法というものがございまして、それでは当然無過失賠償論という、その筋に沿って経営者職業病に対する責任を取っておるわけでございますから、私は先ほど、国家の援助が特に増大しないと、このようにむずかしい職業病というものは、十分な保護がむずかしいであろうということを申し上げましたが、私としては、国家の援助が増大すると同時に、企業においても、これに対してできるだけの努力をしていただくということがよろしいのではないか、そういうふうに感じております。どちらか一方だけということではないのであります。
  19. 受田新吉

    受田委員 現在のところでは、けい肺を防止することができないような状況で、その予防をいかに講じたとしても、患者発生はやむを得ないような情勢にある。こういうまことに悲しむべき情勢を切り開くために、思い切ってその予防方策を徹底して、そのためには、いかに費用をかけても、能率の低下があっても、それらを犠牲にしてでも、けい肺患者発生せしめないような方針をとった政策を進めることがいいと思うのです。これはみんな同感だと思うのですが、しかし、経営者の側から見られた——今、田坂さんのおっしゃったような生産コストを下げることを考えていくとか、あるいは能率の低下を考えるということになりますと、自然予防などという方へは、目標はよし注がれたとしましても、実際問題としておろそかにされる。昨日も御意見を伺ったときに申し上げたのですが、労働者の側からは、とにかく予防に努力するといってマスクなどをかけてやるとしても、仕事をする途中で、能率増進だといってマスクをはずさなければならないというような結果が起っておる。同じ能率の問題とか、あるいは賃金の問題とかいうものを乗り越えて、予防を考えようという基本線を逸脱した方向へ走っておるという現実だそうです。これは非常に重大な問題だと思うのでありますが、けい肺を防ぐためにも予防対策に十全を期するという意味からいかなる方法をとったらいいか。予防のためには、もっと積極的、基本的な対策を立てなければならぬという意味で、佐野さんの御意見といたしましては、予防対策に対する労働科学の研究をいかに考えておられるか、それをお伺いいたし、特に労働者の心理として、この仕事についたなら何人かは不治の病気になるのだといって、あたかも戦地へ行って戦死の予定されるような仕事につく労働者の心理をつかんでいった場合に、これは非常に人道的に大事な問題だと思うのですが、そういう死が予定されるような仕事につく人に対する対策として、何らかの道を講じていかないといけないと思うのです。将来、不安な生活状態に置かれ、廃人にされて顧みられることもないというような状況では、絶対に許されない人道上の大問題でありますから、そこの予防をどう強く考えていったらいいか、そしてその驚くべき危険を冒して飛び込む労働者の上に、いかなる救済策をとったらいいかということをお伺いしたい。それからもう一つは、今の問題に関する田坂さんの経営者側から見た予防対策に対しての積極的な措置というものを、お漏らしいただけたらと思います。
  20. 佐野辰雄

    佐野公述人 予防の根本ということについては、先ほども触れたのでございますが、やはり、あくまでも防塵対策を進めるという一語に尽きていると思います。でありますから、これも国際会議勧告をいたしておりますが、それぞれの予防も、発塵の状態によって具体的な手段は違っておりますけれども、粉塵のもとになるところで押える。たとえば鉱山あたりでございますと、ドリルの先のところでそれを取ってしまうというような方法を講じて、なお発塵がある場合には、マスク等をもってこれを吸入する量を少くしていくという方法が、現在までのところ根本的な予防対策として考えられる。これは大ざっぱに申し上げるわけでありますが、防塵と吸入防止ということ以外にないと思います。  それから心理的な問題でございますが、これも、ただ単に勇気づける手段はないわけでございまして、あくまでも防塵ということを実際に行うのでなければ、単に勇気づけるということはナンセンスであると考えております。
  21. 田坂政養

    田坂公述人 ただいま佐野先生がお話になった防塵と、それから吸入させないということが必要でありまして、製造工業におきましては、比較的これがやりやすいのではないかと思います。特にこの方式を——私どもの工場のことを例にとって恐縮でございますが、やはり両方を併用しておりまして、なおこれを安全運動に結びつけております。安全運動に関しましては、労働大臣その他労働基準局長等からの表彰もございます。一例を申しますと、在来一名の二症度、三症度のけい肺患者が出たために、その従業員全部が本法対象になっております。それがなくなって、しばらくの期間、たとえば二年なり三年なり健康診断をやりまして、二症度、三症度の者がないという工場ならば、三条の適用によりまして、本法適用を免除するというような奨励措置をおとりになりますと、この面に対しまして、従業員も非常に関心を持ってくるのではないかというふうな気持を持っております。それは体験上からも、私の工場ではそういうふうに指導しておりますので、申し上げた次第でございます。
  22. 中村三之丞

    中村委員長 八田貞義君。
  23. 八田貞義

    ○八田委員 労研の佐野博士にお伺いいたします。この法律案の第二条一項におきましては、けい肺発生理由について遊離けい酸説だけが採用されております。ところが今日におきましては、佐野博士も御存じのように一九三三年でございますか、W・R・ジョーンズが、けい肺というものはけい酸化合物であるところの雲母によっても起るというふうな説を出しているわけであります。遊離けい酸だけではない、けい酸化合物によっても起るものであるということを言っておりまして、今日では遊離けい酸並びにけい酸化合物によってもけい肺は起るのだというふうに解釈しているわけであります。ところが、法律の第二条におきましては、遊離けい酸だけを取り上げている。ですから、私はこの文章を、けい肺というものは遊離けい酸塵または遊離けい酸化合物を含む粉塵を吸入して起るというふうに直すのが、正しいのではなかろうかと考えますが、佐野博士の御見解をお伺いいたします。
  24. 佐野辰雄

    佐野公述人 お話のように絹雲母がけい肺の原因ではないかと言いましたのは、イギリスのジョーンズであります。けれども、これについては、次々に追試験が世界中で行われたわけでございますが、その結論を申し上げますと、やはり絹雲母のようなけい酸塩では、遊離けい酸によって起るけい肺と同様なものは起らない。言いかえますと、絹雲母によっては、けい肺を起すとは言えないというのが、現在の世界中の結論でございまして、これは大体一九三〇年代に確立されたのでございますが、その後変更はいたされておりません。この定義ということに関しては、特別な支障はないものというふうに考えております。
  25. 山下春江

    ○山下(春)委員 関連して佐野公述人にちょっとお尋ねいたしますが、先ほどのお話の中に、三年に一回ということは、世界中の規定の中でも最低に位するものだということでございました。そういたしますと、けい肺進行度は、三年に一回では医学上無理ではなかろうかというお考えでございましょうか。法律をきめます前に、そういう非常に進行してしまってから健康診断をやるというようなものをこしらえても、むだだと思います。その点は、かつて私どもかような点をちょっと懸念して質問したことがございますのですが、どうでございましょうか。
  26. 佐野辰雄

    佐野公述人 この点もけい肺と名がつきますと、すべてが三年に一回で不十分であるかどうかということになりますと問題があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、やはりけい酸塵の吸入量によって、早く進むものと、かなりゆっくりしたものがあるというのが事実でございます。三年に一回というのは最低の限度である、つまり低濃度けい酸を吸入する者に対しては、それでも私は差しつかえないと思うのですが、より高濃度のものを吸う者に対しては十分とはいえない、そういうことでございまして、一律には考えられない点であって、今後三年に一回というのが、あながち排撃されるべきではないけれども、内容によって、さらに一年一回とするのが適当であるか、あるいは二年に一回とするのが適当であるかというように細分をしていくことが、具体的で実際的であろう、そういうふうに考えております。それは理想的に申しますならばすべてが年に一回というふうなことがよろしいと思いますけれども、必ずしもそういうことが、学問的に見て理由があるともいえないと存じます。
  27. 山下春江

    ○山下(春)委員 そこで、先生方の御研究の立場から、本法施行いたします労働省あたりに、こういったような粉塵の濃度あるいは性質のものは、三年ではちょっと長過ぎるというようなことの御研究資料は、本法を完全に実施する意味から、常に御提供を願って、万全を期したいと思いますので、お願いをいたしておきます。
  28. 中村三之丞

  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 佐野公述人にお尋ねいたしますが、先ほど、作業転換をされた労働者のその後の処遇についてお話がありました。ことに、国際会議勧告を引用してのお話があったのでございますが、その場合、多くの国では、賃金の差額の補償をしておる、これを年金で支給しておる、こういうお話でございましたが、今の日本の労働基準法その他の法律体系からいいますと、大体どういうような給付をしたらよろしいのか、ちょっと試案でもよろしゅうございますからお知らせ願いたい。
  30. 佐野辰雄

    佐野公述人 現在の日本の給付のいたし方から、どうも——私これも専門でないので恐縮ですが、年金による支給というものが習慣になっていない点があるようでございますね。そうであるといたしますれば、やはりそれにかわるものとして、一つの案という点になりますと、やはり配置転換をしなければならないのであるという、そういう事情を加味して、そうしてそこに障害があったということに関しての障害補償というような考えは、当然私出てきてよろしいものと思っております。障害補償ということでありますならば、労働基準法考え方の中で当然あるわけでございますから、そういったふうな点との結びつきが考えられる、そういうふうに考えます。
  31. 中村三之丞

    中村委員長 午前中はこの程度にとどめます。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十八分開議
  32. 中村三之丞

    中村委員長 休憩前に引き続きまして社会労働委員会公聴会を再開いたします。  この際、公述人皆様方一言ごあいさつを申し上げます。御多用のところをおいで下さいまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  公述の時間は、十五分程度と御了承を願っておきます。公述あと委員諸君から質問があると思いますから、どうかお答えを願いたいと存じます。  十二村公述人
  33. 十二村吉辰

    ○十二村公述人 今回この公聴会に、われわれ労働者の代表として出席させていただきましたことに対し、厚くお礼を申し上げます。われわれ労働者の多年にわたる願望であったところのけい肺特別法案が、今回国民の御支持と各政党並びに関係官庁の御理解によって今次国会に提案されましたことは、われわれの非常に喜びとするところでございます。  なお、この法案に対しましては、われわれが多年にわたって真に保護法案として主張してきたものが、いささかこの中には欠除する観はございますが、しかし現状において、われわれとしましては、一部修正意見を、さらに法案に盛られない点に対する要望意見を申し上げまして、本法案の立法手続に賛成いたします。  なお、本法案に対する総合意見として申し上げたい点は、当局は、この法案立法趣旨を、国民的人道主義立場から立法措置をとったと言っております。とするならば、法治国家における法の最高規範であるところの道徳規範に求められたとするならば、この法の体系においても、首尾一貫した精神によって貫かれなければならないにもかかわらず、この法案には、この精神を完全に盛られておらない点に対して、われわれとしてはいささか意見がございます。少くともけい肺病によって受ける労働者の不安は、単に経済的な損失に伴うところの不安ではなくして、現在の医学においては、もはや治癒の方法がない、これに対する対症療法として、心臓が弱くなったから強壮剤を打つ、これ以上病状を進行させることは危険であるから配置転換をするといったような、きわめて消極的な対症療法しかない、この宿命的な業病に対する患者の、また労働者の不安は、生命の危機を時々刻々に告知される、この生命の代償をわれわれはこの法案に求めたのではございますが、残念ながら国民的ヒューマニズムの所産としてこの法案が立案されたと言っておりながら——真に人道的な立場からするならば、この不安を解除する法でなくてはならぬと私は主張したいのであります。例を生活保護法に求めるならば、われわれしろうとの考えでは、生活保護法は明らかに道徳規範に求められたと思います。しかもこの適用者の中には、幾多社会に害毒を流し、あるいは肉親に絶えざる心配を与えた方であっても、生活能力の欠除によって、その条件がある限り永久に生活保障がされる。これと、日本のなくてならぬ国家産業の礎石となるべき職場において、宿命的な業病にかかったわれわれ労働者に対して、わずか五年間の補償しかできない点は、日本の経済事情からいって、ある程度理解できるとはいいながら、真に政府が言う人道主義立場に立つならば、法体系も概念も、明らかにこの精神によって貫かれなければならないと私たちは主張するものでございます。かかる観点から、この法が三年間は経営者の賠償責任によって経済的な補償がなされ、残された二年間は二分の一が国家補償であり、二分の一は事業主負担であるところに、労使間において釈然としない問題に対する意見の交換がある点、少くとも企画官庁であるところの労働省においては、この点に対して幾多の苦慮を払われたとは言いながら、今後残されるであろう労使間のこの問題をめぐる労働不安を事前になくする積極的な御意図があるとするならば、明確にしていただきたいと思うものであります。  以上の総合的なわれわれの意見と同時に、本法案に対して、一都修正の意見を述べさせていただきたいと思います。われわれ労働者側の意見としては、昨日能見公述人より具体的に申し述べられておりますので、能見公述人と同じ意見でございますが、さらに二、三点われわれの意のあるところを述べさせていただきたいと思います。  まず第一点といたしましては、作業転換問題につきまして、第八条においては、転換給付が三十日となっておりますが、この点は、現行の各産業別に協定によって補償されておるのは、九十日を下回ったものはございません。この点は、法が最低の線を規定されておるのは常識であっても、現在の日本の産業経済の実態からいっては、真にわれわれ患者保護政策として、現状とにらみ合せて判断される点は、決して最低線ではなくして、われわれは労使間において最高の線として規定される危険性があるので、少くとも転換に対する給付は九十日としていただきたいと思います。  二点目は、転換に伴う打ち切りが、三年間で打ち切られて、あとの二年間は雇用関係が存続されずに、そうして補償がなされておりますが、われわれ労働者は、労働力の契約が精神的にも肉体的にも唯一の療養の根源をなすものでございます。労働力の提供のない、雇用契約のないところから来る不安は、さいぜん申し上げた生命の希望を完全に失った患者にとっては、耐えがたいところの療養上の最も大きな障害になるのでございますので、この点は、少くとも雇用契約を解除せずに、五年間の給付をわれわれは主張いたしたいのでございます。  三点目は、転換に伴って、三年で打ち切られることによって、消極的ではあるが、政府職業補導あるいはその他の方法によって、転換後の就職の道を解決するということが、この法案には盛られておりますが、仄聞するところによれば、具体的にこれに対する予算が裏づけされておらない点等を勘案すれば、三年によって職場を失った者が、現在の労働市場においては、健全なる労働力を持っておってすらも、雇用関係において決して満足できない状態にあることは、国民の常識になっております。まして、けい肺患者の焼き印を押された者に対しては、もはやいかなる事業主といえども、これを採用することはないでありましょうし、きわめて狭き門であると思いますので、当然永久補償が建前であるところのこの業務上に基因する患者に対して、少くとも五年間に圧縮された期間内においては、でき得る限り精神的な不安を排除して、そして療養に対して裏づけされることを主張いたします。  四点目は、給付の点で、平均賃金の六〇%と規定されておりますが、けい肺患者転換あるいは療養の必要を生ずるときは、病状の実態からいって、病状の進行速度がきわめて緩慢であるために、長い期間に労働力が逐次喪失していくのであって、百パーセントの労働力を発揮した人が腕を折った業務上の労災給付の場合と、けい肺患者補償の事由が発生したときの労働力の発揮には、著しく格差がございます。この労働力の低下したときを算定基礎にされた六〇%は、他の業務上の災害者の労働力の算定基礎とは、いささか基盤が違いますので、この点で妥当な線としては、少くとも八〇%以上の平均賃金をこの患者に支給されることを主張いたします。  本法案に対しては、以上申し上げましたように、大体昨日の能見公述人と同じ意見でございます。  次に、本法案には盛られておらない要望意見を申し上げます。まず、けい肺は総合対策でなくてはならないはずにもかかわらず、この法案は、結果に対してのみ重点が置かれておる。一度かかればなおらないこの宿命病を、どうして事前に防ぐかという予防対策が講じられておらない点は、まさに事の本末を転倒しておるのではないかと思いますので、この点は技術的な対策医学的な対策という点を付加していただきたいと思います。  さらに二点目は、けい酸粉塵以外の粉塵の職場に働く者の結核患者に対しても、業務上の扱いをしていただきたいと思います。この点は、現在の理論医学の段階において、粉塵職場結核は、業務上に密接不可分の関係があるという学者の説もございます。現在の医学は、時々刻々進歩しておりますので、この点からいって、先進国家において、スエーデンの場合は、粉塵職場における結核患者は、業務上として扱っておる点もございます。結核患者で、けい肺合併症と同じような非常に悲惨な状態にある患者がありますので、この点も、業務上として本法案の中に救っていただきたいと思います。  三点目は、経過措置でございますが、法の不遡及の原則は曲げられないとは思いますが、特別法の特別なゆえんから、このなおらないという悲惨な実態からいって、この法施行以前に打ち切られた方々で、最悪の第四症状まで病状が進行しておる者に対しても、この適用をこの中で考慮していただきたいと思います。  次に、最終的な結論を申し上げたいと思います。本法案が、予算的な面から、当初われわれが要求しておった、また労使も切望しておった国家負担を、相当大幅にこれを裏づける点については、三分の一を二分の一にされた点に対しては、われわれは賛意を表しますが、少くとも現在の日本の財政措置からいっては、われわれはこれに対して、真に人道主義の観点に立つならば、まだ予算捻出の方法があるのでないかと思います。ないそでは振れないと当局は言っておりますが、あるそでを振らないのではないかと思います。この点は、今回御出席の諸先生が、十二分に今次予算に対していろいろ御苦心、御努力をされておりますが、ただ一点申し上げたい点は、現在社会保険関係法案が国会に提出されて問題になっておりますが、厚生年金の積立金の自然増収のこの予算をもってしても、その額からいったならば、われわれが要求しておるところの全額国庫負担といえども、決してむずかしい予算ではなくして、方法によってこの点は十二分に裏づけされると、われわれしろうととして確信しておるものでございます。  さらに申し上げたい点は、本法案が、以上のいろいろなわれわれの修正要望意見を付加されずにこれが通過する場合、よって起るであろう労使関係、この点は、賃金闘争の現状の展望に立つならば、好むと好まざるとを問わず、労働組合の経済闘争の幅が、いささか視野が広まってきた結果、実質賃金の獲得と賃金闘争とは、両輪のごとく並行して今後積極的に展開される場合に、この問題をめぐって、労使間においてわれわれの最終的な権利を実力行使に訴えてこの問題の解決を迫るような、そういう労働不安をかもし出さないように、この点は、今後ぜひ深い御配慮をいただきまして、でき得る限りけい肺問題については、本法案によって今後に予想されるところの諸障害を排除していただくように特にお願いいたしまして、私の公述を終ります。
  34. 中村三之丞

  35. 下野喜一

    ○下野公述人 ただいま御紹介いただきました全窯連会長下野でございます。われわれが多年にわたりまして要望して参りましたが、本日ここに政府提案によりまして、本委員会によってけい肺法が審議されるに当りまして、私公述の機会をお与えいただきましたことに対しまして、深く敬意を表しますとともに、厚く感謝を表明いたす次第でございます。  御承知のように、多年にわたって要望して参りましたけい肺の問題につきましては、委員各位におかれましても十分御認識の通り、全く不治の病といたしまして、私ども多くの同僚労働者が、これに過去数十年間、幾多の犠牲を払って参ったと考えております。こういったことが、ようやく各方面にわたりまして御認識をいただきまして、幸いに今日こういう特別保護法案として、国民の皆様から御理解をいただかんといたしておりますことに対しましては、これまた厚く感謝を表明申し上げる次第でございます。従って私は、産業界におきまして、窯業産業の立場におきまして、今まで能見公述人、十二村公述人からるる公述されましたと全く大同小異ではあると思いますが、窯業産業の労働者立場におきまして一、二申し上げさせていただきたいと存じております。  私ども窯業労働者は、全国に十数万を数えておると思います。幾多苦難なけい肺に対しまするところの運動を展開して参ったのでありまして、今日に至りましたことを、全く感慨無量に存じておる次第でございます。しかし、ここに政府提案として保護法案が現われましたことに対しまして、率直なところ、われわれの過去の主張して参りました点から参りまして、満足すべきものではなく、むしろわれわれとしては、多くの問題点を残しておるものというふうに考えております。しかしながら、現在この瞬間におきましても、多くの労働者が、この不治のけい肺のために、あるいは職場に倒れまして、あるいは病床に呻吟しながら、全く死を待つのみの状態であるということを、私は同僚の立場におきまして、痛切に皆様にお訴えいたしたいとともに、そういう観点から参りまして、個個のこういうような問題点、あるいは不満足ではございますが、国家のあたたかい保護の措置の一日もその実現の早からんことを念願いたすために、今日ここにおきまして、私は本法案の成立に数点の意見を申し上げさせていただき、これをぜひ委員皆様におかれまして取り上げていただきまして、組み入れていただくことを御要望申し上げますとともに、本法案に対しまして賛成の意思を表明申し上げたいと存ずる次第でございます。  意見の一つといたしまして、健康診断につきまして、私ども窯業産業の実態と申しまするのは、きわめて零細企業から中小企業の範囲にとどまっておりまして、その内容等、あるいは歴史的に今日考え合せましても、これまたきわめて粉塵職場というものに対します概念、これを今日の法案の内容を拝見いたしまするときに、粉塵職場というものに対しまするところの規定、これがきわめてあいまいではなかろうか。なるほど、政府の方の御説明に、今後徐々にこういったようなものは増減を行なっていくということが言われておりますが、まず最初健康診断を行う場合におきましても、粉塵職場というものに対します考え方を広義に御解釈願って、いわゆる粉塵職場そのものは、窯業立場におきましては、少くとも全職場対象にお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。  今申し上げましたように、一つの例を申し上げますと、これはごく最近に健康診断の結果現われた状態でございますが、もちろん窯業産業の原材料というものにつきましては、皆さん御承知の通り、けい酸分がその五〇%以上を含んでいるのが実情でございます。陶磁器あるいは耐火れんが、その他、幾多窯業の中にも異なったものを持っておりますが、国内の山から掘り出しました資源をもとに、ほとんどそれを輸出に充てておるというのが現状でありますが、けい酸分は約五〇%以上を占めておるのが窯業産業の特質でございます。さような意味からいきまして、全く危険な状態にさらされておるということが現状ではないかと考えておる次第でございます。今申し上げましたように、最近の診断の結果、これは岐阜県の多治見市でタイルを製造しておる上山製陶所というところでございます。従業員約五百名と存じておりますが、十年以上の勤続者におきまして、九四・四%という罹患率を現わしております。これにつきましては、事務職員におきましてもこれに罹患しておる、こういうのが現状でございます。従って、今申し上げましたように、全職場をぜひ一つ対象健康診断をお願い申し上げたい、かようなことを申し上げる次第でございます。  次に、作業転換につきまして、この点につきましては、私ども労働者といたしましては、いわゆる生活状態、これをまず根底から考えなければならぬ。転換の場合に、先ほど十二村公述人も申し上げられました通りに、半恒久的な補償がされていかねばならない、かように申し上げたいと存じております。賃金の低下によりまして生活の脅威にさらされるということは、私どもとしては、あくまで排除して参りたいというふうに考えておる次第でございます。従って、政府の今回の法案に、作業転換の場合に勧告ができる、こういう条項があるわけでございますが、この取扱いの面につきまして、いわゆる当該罹患労働者意見と申しますか、意思を、勧告される場合、それを実現される場合には、十分参酌して、その了解のもとにこれを行わなければならないと存じております。これが、ややもいたしますと、勧告を悪用したところの一方的な命令、こういうようなことは、実際にはないかもしれませんが、その運営面におきまして、そういう危険を私どもは感じておる次第でございます。これらにつきましては、十分この危険のないように善処していただくために、法の上におきまして、明らかにお願い申し上げたいということを御主張申し上げたいと思います。  なお、勧告を応諾いたしました者に対しましての就職条件、これまた十二村公述人が申されました通りに、現在の労働事情と申しまするか、健康なる者ですら、多数の失業者を累年出しておるような状態の中におきまして、果してこの唱えられることが実現でき得るかどうかということに対しましては、私どもはなはだ危惧の念を抱いておる次第でございます。従って、こういったようなものは、十分当該労働者意思をくみ入れていただいて、その上において、国及び使用者がこれの就職に責任を持っていただきたい、かようなことを御主張申し上げる次第でございます。  なお、当該事業場において解決できないというような場合におきましては、雇用契約を一応そのままにしておかれる必要があるのではないか。労働基準法の第十九条に盛られておる精神をもとに考えていただくなれば、あくまで雇用契約はそのままにしておかなければならない。すなわち、転換の場合には社内を原則とする、国の就労施設が完備せられておらない現状におきましては、特にその必要を痛感する次第でございますので、これまた十分お考えをお願い申し上げたいと思う次第でございます。  次に、療養給付並びに休業給付につきまして、これは療養期間中におきまして、雇用契約の三カ年間、いわゆる労災によっての打ち切り補償後におけるところの療養並びに休業給付の点でございますが、この点につきましては、全く私ども納得でき得ないものを持っております。私どもといたしましては、格別のこのけい肺という問題の意味からいきまして、これを五カ年間に延長を願うとともに、休業給付につきましても、同様な考え方でこの法を一つ御進行願いたいと思っております。この算定基礎等につきましても、同様な考え方で八〇%に改めていただくことをお願い申し上げたいと思っております。  次に、費用負担でありますが、費用負担につきましては、特に窯業産業等の零細企業では、これが将来大きく使用者の負担労働者にしわ寄せされる、こういうような危険を私どもは感じておる次第でございます。ぜひこの法案の完備とともに、大幅な国庫負担を御要請申し上げたいと思っております。  その他の点につきましては、特にこの法案施行に当りましては、相当な問題が残されておると思いますので、罰則の強化、診断医の常勤制、就労施設の実現など、一つ法の完全に施行され得る条件を整えられんことをお願い申し上げる次第でございます。なお、この点に関しまして、けい肺審議会の運営、構成、権限などを一つ御規定願いまして、法の円滑な運営をはかられんことを御期待申し上げたいと思っております。  現在の医学の力をもってしましては、治癒は、根本的なものにつきましてはほとんど困難であるということがいわれておりますけい肺につきましては、従って粉塵の危険恕限度などの決定を通じまして作業場の浄化に努めるとともに、いわゆる予防措置の点につきまして、一連のものをぜひ規定の中に繰り入れられんことを御要望申し上げる次第でございます。  以上、本法案に対しまして、いろいろな問題は残しておると思いますが、これに対しまして、以上申し述べました意見を十分一つ皆様委員各位におかれまして、実現の困難な点も多々あると存じますが、冒頭に述べましたごとく、一般の疑惑を招き、産業の実態と労働者生活を軽視した内容については、ぜひ改正をいただきまして、申し述べた意見を十分参酌されまして、一日も早く法の制定されんことを重ねて御要望申し上げまして、公述を終らせていただきます。
  36. 中村三之丞

    中村委員長 これにて公述人公述は終りました。質疑の通告がございますから順次これを許します。堂森芳夫君。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま十二村さん、下野さん御両人から、いろいろ公述を願ったわけでありますが、主として本法案に対する御要望を列挙されてお述べになったと思うのであります。お二人の御要望は、一々しごくもっともであり、当然なものであると考えるのでありますが、たとえば、十二村さんの炭労は、組合員の数がたしか十七万くらいでございますか、それから下野さんの方の窯業労働組合は、十数万とさっきおっしゃいましたが、もしおわかりでしたら、この二つの労働組合の方で、現在けい肺患者が、どれくらいの人が病気になっておって、どういう状態にあるかとかいう、何か数字的な御記憶あるいは資料がございましたら、簡単でけっこうですが、お述べ願ったら非常にいいと私は思っておりますから、お願いいたしたいと思います。   〔委員長退席、山花委員長代理着席〕
  38. 十二村吉辰

    ○十二村公述人 その問題について、二点御理解いただきたい点は、現在までの数字的に把握された患者は、巡回検診の結果つかまれたのではございますが、この巡回検診は、事前に労働省よりある特定の業者、最も罹患者を持っておると思われる事業主に連絡を取った場合、この事業主が真にけい肺患者に対するあたたかい配慮がない場合は拒否してきます。そういう巡回検診においても、患者発生をおそれて経営者が巡回検診を拒否した傾向がございますので、現在現われておる患者は、そういう形において隠れておるという一点と、もう一点は、この病状の特異性からいって、けい肺患者が療養を必要とする強度のけい肺患者になるまでは、病状の進行速度がきわめて緩慢である点は、先生は医学の権威者でおいでになるので十二分におわかりだと思います。それに対して、無過失賠償理論によるメリットの保険金の増額をおそれて、経営者は、結核が伴った場合は私病として、全部これは業務上から転落して隠れております。われわれは、残念ながら医学的な立証によるところの統計は持っておりませんが、職場結核、特に地下産業の従業員結核患者の中には、相当大多数の業務上救われなければならない合併症の患者がおるのではないかと思います。こういう前提を御理解いただきまして、現在炭労傘下二十万人、地下石炭産業全部で約三十万人ぐらいとわれわれはつかんでおりますが、しかもこの以外に組夫、臨時夫として、一番高率なけい肺患者を抱いておるのでないかと思われる特殊な職域は、何ら検診も何も受けておりませんので、これをくるめるならば、現在の巡回検診の結果把握された療養を必要とする数字は、実は私の不見識ではございますが今日は用意しておりませんので、明日なり先生と諸先生に全部資料を御提出いたしたいと思いますが、そういう的確に権威ある統計数字がつかまれていないという点を、御留意いただきたいと思います。
  39. 下野喜一

    ○下野公述人 ただいまの御質問に対しまして、窯業の場合におきましては、大体これまた政府出先機関でありますところの基準局等を通じまして健康診断が行われまして、特にそのうちから、間接写真の中に怪しいと思うものにつきまして直接撮影を行いまして、それを対象にし、なお特定な粉塵職場を求めて診断をいたしました結果でございますが、窯業産業の全国的な比率といたしましては、大体二六・七%だと考えております。愛知県が最も窯業の中心地でございますが、愛知県におきましては約五〇%強の比率を占めておるのが実情でございます。  以上であります。
  40. 堂森芳夫

    堂森委員 現在の健康保険では、健康診断を保険によって受けることはできない。しかしながら、けい肺に罹病する可能性のある職場で働いておられる受働者の諸君にとっては、このけい肺という病気は不治の病であるという意味からも、非常に重大なことであります。従来、各職場によっては、これは職場々々によって違うでしょうが、労働組合の方で自主的に事業主と交渉されて、週に一回ぐらいのけい肺に対する健康診断、そういうふうなことをやっておられたようなことがあるのでありましょうか、あるいはそういうことはなかったのでありますか、その点一つお尋ねします。
  41. 十二村吉辰

    ○十二村公述人 炭労傘下の場合、九州の三井においては、非常にけい肺対策についていろいろ苦心されております。各大手十八社の中において、三井だけが九州のみそういう点に対する健康診断その他の諸対策が講ぜられております。他は、北海道の炭鉱経営者に至っては、炭鉱にはけい肺病がないということを一昨年まで明言して、世論にこれを訴えておりました。しかし、最近はこの点は撤回されて、北海道の炭鉱にもけい肺患者がおることを認めるようになりました。
  42. 下野喜一

    ○下野公述人 窯業の場合におきましては、使用者側と、いわゆる労使間によって健康診断を行なっておるかどうかということにつきましては、九州の黒崎窯業等につきまして、全くこれを完全に実施いたしておりますが、その他の事業場におきましては、現在は年間行いますところの健康診断によるのみで、労使間ではまだ実施しておらないのが現状でございます。
  43. 山花秀雄

    ○山花委員長代理 他に質疑の方はございませんか。  それでは、公述人公述も終り、質疑もないようでございますから、これで終りたいと思います。  本日は、各公述人におかれましては、御多忙のところ、本委員会に御出席を願い、法案の審議の参考になります御意見を御開陳下さいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、公述人各位に感謝の意を表します。  来たる十三日(月曜日)は午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十二分散会