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1955-07-09 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月九日(土曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 中村三之丞君    理事 中川 俊思君 理事 山下 春江君    理事 山花 秀雄君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    亀山 孝一君       小島 徹三君    床次 徳二君       山本 利壽君    横井 太郎君       越智  茂君    中山 マサ君       野澤 清人君    八田 貞義君       岡本 隆一君    滝井 義高君       中村 英男君    受田 新吉君       神田 大作君  出席政府委員         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         労働事務官         (職業安定局失         業対策課長)  村上 茂利君         参  考  人         (全日本自由労         働者組合委員         長)      坂本 周一君         参  考  人         (全日本民主日         傭労働組合協議         会議長)    馬場 大静君         参  考  人         (全国土建労働         組合連合書記         長)      唐沢 平治君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 濱口金一郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 七月九日  委員小島徹三辞任につき、その補欠として須  磨彌吉郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員須磨吉郎辞任につき、その補欠として  小島徹三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月八日  覚せい剤取締法の一部を改正する法律案(早川  崇君外四十名提出衆法第三九号) 同日  日雇労働者失業保険に関する請願前田榮之  助君紹介)(第三六三六号)  強制医薬分業反対に関する請願木村文男君紹  介)(第三六三七号)  同(櫻内義雄紹介)(第三七一二号)  同(荻野豊平紹介)(第三七一三号)  同(五十嵐吉藏紹介)(第三七一四号)  同(小松幹紹介)(第三七一五号)  同(山本幸一紹介)(第三七一六号)  同(畠山鶴吉紹介)(第三七一七号)  同(福永健司紹介)(第三七一八号)  健康保険における医療給付費の二割国庫負担等  に関する請願五十嵐吉藏紹介)(第三六三  八号)  同(杉村沖治郎紹介)(第三六三九号)  同(鈴木周次郎紹介)(第三六四〇号)  同(林博紹介)(第三六四一号)  同(山下春江紹介)(第三七一九号)  同(中居英太郎紹介)(第三七二〇号)  同(前田正男紹介)(第三七二一号)  同(灘尾弘吉紹介)(第三七二二号)  同(平岡忠次郎紹介)(第三七二三号)  同(岡良一紹介)(第三七二四号)  同(山口シヅエ紹介)(第三七二五号)  同(小牧次生紹介)(第三七二六号)  同(藤本捨助君紹介)(第三七二七号)  同(井上良二紹介)(第三七二八号)  同(高木松吉紹介)(第三七二九号)  同(小川半次紹介)(第三七三〇号)  同(山本正一紹介)(第三七三一号)  同(中村寅太紹介)(第三七三二号)  同(廣瀬正雄紹介)(第三七三三号)  同(今村等紹介)(第三七三四号)  同(岡本隆一紹介)(第三七三五号)  同(山口丈太郎紹介)(第三七三六号)  同(田中武夫紹介)(第三七三七号)  同(成田知巳紹介)(第三七三八号)  同(下平正一紹介)(第三七三九号)  同(井手以誠君紹介)(第三七四〇号)  同(柳田秀一紹介)(第三七四一号)  同(高津正道紹介)(第三七四二号)  同(木原津與志君紹介)(第三七四三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三七四四号)  戦傷病者援護強化に関する請願石山權作君  紹介)(第三六四二号)  健康保険法等の一部改正に関する請願中村時  雄君紹介)(第三六四三号)  医業類似療術行為期限延長反対に関する請願  (今松治郎紹介)(第三七一一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員及び小委員長補欠選任  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇三号)  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (八木一男君外十四名提出衆法第一七号)     —————————————
  2. 中村三之丞

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案八木一男君外十四名提出日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案一括議題となし、審査を進めます。  この際参考人の方々に、一言ごあいさつを申し上げます。本日はお忙しいところを御出席下さいましてありがとうございます。何とぞ忌憚なき御意見をお述べ願いますと同時に、議事整理上、意見をお述べ願う時間は、お一人おおむね十五分程度といたし、その後委員よりの質問にお答え願いたいと存じます。  また、委員参考人質疑ができますが、参考人よりは委員質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承を願います。  では、まず坂本参考人にお願いいたします。坂本参考人
  3. 坂本周一

    坂本参考人 日雇労働者健康保険法の問題につきまして、私ども全国職業安定所に登録されて働いておりますおびただしい数のわれわれ被保険者立場からいたしまして、過去一年間の被保険者としての経験の中から、私は一つ参考意見を述べてみたいと思います。  私どもは、疾病という問題に絶えず私ども生活を脅かされております。それと申しますのは、私ども生活環境が非常に不衛生である、つまり、病気が巣くう条件が非常にわれわれの生活の中にあるわけです。たとえば、住居の問題につきましても、ほとんどが雨漏りというような非常にまずい原因があります。そのために、特に雨期、それから夏に向って参りますと、かびが発生したり、日光の直射を受けないような生活環境の中で、非常に健康がそこなわれるという条件が多々あるわけであります。従って、そういうようなことで、われわれは一たん病気になって寝てしまうと、これに対して、もともと病気に備えての日常の蓄えなどもあるはずはなく、その日その日の生活のことですから、たちまちにして生活が破壊されてしまう。そういうわけで、こういう場合に、われわれがこれに対する方法としては、今まで医療保護の世話になる、あるいは施療と申しますか、行路病者が受けるような医療措置です。こういうようなものに依存して、ほとんどの人がやってきたのです。こういうことでは、われわれとしても将来が案じられる。何とかしてわれわれの健康を守るためにはわれわれ自身の健康保険がほしい、こういうことから、われわれとしてはわれわれの健康保険一つ獲得しよう、こういうことで、われわれ職安労働者、それから土建労働者、それからたとえばつき添い婦とか、あるいは芸能人とかいうすべての階層を打って一丸として、日雇労働者健康保険獲得期成同盟というものを作った。これがちょうど昭和二十七年の一月だと思いましたけれども、これでわれわれは大幅国庫負担による健康保険獲得という目標を定めて、それぞれ政府あるいは政党、国会等に陳情して参ったわけであります。  この運動過程などは、ここで私が述べる趣旨ではございませんから省きますけれども、ようやくできました日雇労働者健康保険というものは、われわれが当初希望し、切に期待しておったものとは、全く逆なものができ上ったのです。それは、一銭の国庫負担もない、しかもその内容においては、まるで何もないわけです。傷病手当もなし、入れ歯もできないし、出産あるいは埋葬等のものもないし、しかもその手続たるや全く複雑なものであって、なかなかおいそれと利用することができないようなものであるのです。こういうことではわれわれは困る、こういう健康保険では、むしろ有害であるというので、われわれとしましてはこれを返上してしまおう、こういうふうにわれわれ大多数の意見が一致したわけです。  もう一つ、われわれが特に重大視したのは、われわれが従来お世話になっておった医療保護が、この健康保険の出現によって剥奪されてしまう、こういうことが見通しとしてあったので、われわれは非常に危惧しました。また事実、あとにおいてもこういう医療保護の打ち切りという面がたくさん出てきております。こういうことでは、われわれのための社会保障としての健康保険ではない、これは返上しましょうということで、そういう方向にずっと進んで参りました。  しかし、そういう中でも、やはりわれわれの運動というものは、むしろあってないような保険を、やはりわれわれのために少しでもためになる保険にしたらどうだ、こういう運動過程にこれが発展して参りまして、それがちょうど昨年の一月、たまたま吉田政府失業対策中心にした一切の社会保障制度の圧縮という場面で、われわれも相当これに対する運動を展開いたしました結果、どうやら一割くらいの政府国庫負担は認める、おそらくこれは湿し程度のものだと思いますが、これによって三ヵ月間の期間を六ヵ月間くらいに延長することができてきた。こういうことでどうやらこうやらわれわれとしても若干利用する者がふえてきた。そして、これならば一つ内容を改善する方向に行こうじゃないかというので、大幅国庫負担によって、その内容一般健康保険並みに高めて行こうということをわれわれは眼目といたしまして、闘争の目標といたしまして、今日に至っております。  しかし、やはりわれわれが感ずるところによれば、この保険というものは、現在の持っている役割は、まだまだわれわれにとっては非常に不十分なものである、社会保障としてのかけらはほとんどないのです。社会保障ではなくて、個人保障というようなもので、とうていこれではわれわれとしては満足に安心して病気にかかれるというような保険ではない。とにかく二カ月間の期間前におきまして三百六十六円という保険料を、われわれは待ったなしで取られるわけです。そしてその反対給付というものは、今申したように傷病手当もつかないような、全くどうも内容の非常に悪いものであるわけです。このために、政府は昨年多くの黒字を生み出している。一般健康保険は、中には結核という要素もありましょうけれども赤字赤字だといっているのに、われわれ生活困窮者対象としている保険の中から、多くの黒字を出しているということは、われわれとしても承服できないわけです。何とかこの保険を、社会保険としての社会保険的な色彩を強く盛り込んだ、われわれとしては安心して病気治療を受けられるような保険にしてもらいたい、こういうふうに念願しているわけです。  われわれの生活実態というものは、すでに新聞などによっても相当宣伝されておりますが、失業者がどんどんふえておりまして、とにかくその生活というものは、とことんまで追い詰められております。われわれの仲間は、全体の点からもそうですけれども、ほとんどが疾病に何らかの形で襲われております。しかもそういう中でも、自分生活を何とかするためには、血まで売らなければならない。現在血を売っている仲間の三割程度は、職安労働者で占められている。その血も、大体月五回ぐらいまで売るわけです。そうすると、それは限度まできておりまして、あとは栄養失調で血も売れない、そういう悲惨な状態を招いております。たとえば、配給券にしましても、米の配給券をほとんどよそに売り渡してしまって、自分はおかゆか、うどんをすすっている。そういうわれわれの悲惨な生活状態です。そういう中で、とにかくわれわれとしても、何とか当面した健康保険の問題を、ぜひ一つわれわれに適した保険に改善していきたい、こういうふうにお願いします。  委員長の方から、あまり時間が長くならないようにという御注意もありますので、当面した私ども健康保険についての問題点を具体的に拾ってみたいと思います。  まず第一点は、やはり何といっても傷病手当の問題が中心になります。御存じのように、その日暮しのわれわれの生活では、もう一日寝ればその日の生活は全く成り立たぬ、こういうような羽目になりますので、どうしても生活保障ということが、まず医療給付医療という問題と並行して生活保障ということが、どのものよりもわれわれとしては切実な要求となっているわけです。この場合のわれわれとしましては、とにかく過去のいろいろな疾病治療などのことから考えまして、どうしても三ヵ月間ぐらいは、現行平均給与のわれわれの予算単価の六割、大体百七十円ぐらいになりますが、これを三ヵ月間ぐらい生活保障するような措置をとってほしい。  それから、その次は期間の問題ですが、最初は三ヵ月で出発したこの保険ですけれども、やはり相当われわれにも長期にわたる疾病を持っている人がたくさんあるわけです。これは東京の杉並の集団検診をわれわれがやった場合のデータにも現われておりますように、相当数胸部疾患を持っている人がいるわけです。そういうわけで、とにかく期間ども三ヵ年ぐらい私どもはお願いしたい。これは、特に結核を含み、三年間ぐらいの期間延長は非常に望ましいと思います。  次に、受給要件のことですけれども、現在の受給要件では、はなはだどうも不十分であるわけです。と申しますのは、職安登録労働者の中で、非常な雇用の激減によってあぶれに見舞われている。特に民間などで専門に働いている人は、月に十回ぐらいしか印紙が張れぬのですから、とうてい被保険者としての資格を受けることはできない。あるいは失対に働いている人も、まさに十三日以内というところが、東北にしても一あるいは奄美大島も、この間上京してきまして、つぶさに報告を聞きましたけれども十三日、こういうことでは、日雇い失業保険もつかない。従って、もちろん健康保険資格を受けることができませんので、何とかして受給要件を大幅に引き下げてもらいたい。それが一つ要求です。それは、具体的に申しますと、まず二ヵ月間を通じて二十六枚、これがやはりわれわれの最低の受給要件の基準だろうと思います。さらにもう一つ、二本建ということで六ヵ月間六十枚。大体この二本建で当面受給要件がなされれば、われわれとしてもやや満足なところまで行けるのであります。その次は、手続の問題ですけれども、非常に複雑な手続をやっているのです。最初などは保険局扱いであったために、わざわざ一日がかりで保険局まで医療のカードを受けに行かなければならぬというような状態でしたけれども、その後厚生省でも、全国市町村にこれの事務を委託してやっておりまして、大体それが緩和されてきている。しかしながら、これは居住地というような扱いになっておるために、県境とか、あるいは町を異にするために非常な苦労をしなければならぬ、こういう点です。これをわれわれといたしましては、ぜひ一つ居住地扱い市町村扱いと、事務所扱いと申しますか、職業安定所窓口扱い——この職業安定所窓口扱いというのは、われわれにとって非常に便利な方法ですが、この二本建にしていただく。これは、もちろん保険運営上の問題でありますけれども、このような措置がとられればというふうに思っております。  さらに、今まで医療券交付は、何か病気が起きるおそれのある場合に限ってのみ交付ということになっておりましたが、すべてこれを事前交付にしてもらいたい。すでに二ヵ月間において資格があるのですから、病気にかかろうとかかるまいと、事前交付という形で医療券交付される、こういう形が望ましいのではないか。これらのものを裏づけるためには、結局われわれの保険の掛金の問題に、もちろんなってくると思いますが、われわれ生活困窮者貧困者対象にした社会保険としましては、大幅な国庫負担のこの保険の運営がなされねばならぬ、そういう観点で、私は二分の一をぜひ国庫で負担する、こういうことでなければ、われわれの望んでおるこの健康保険の実現は非常にむずかしいのである、こういうふうに考えます。  保険の問題は、いろいろな立場参考人がおりますので、まだまだいろいろ出ると思いますけれども、私は大体以上の点を申し上げて、この機会に、われわれが当面しております問題で、この問題と関連する問題ですが、この国会にも今度請願書を出しております夏季手当の問題をちょっと申し上げたいと思います。  この夏季手当の問題は、新聞などに出ましたので、皆さんも御承知かと思いますが、三日分の支給です。三日分と申しますと、大体八百円程度のものです、全国平均して、これで一つわれわれも何とか夏を越す、あるいはお盆を何とかしなければならぬ、こういうことですが、私どもは、いつもながら、こんなようなことでは、われわれとしても、人並みなことはできないにしても、せめて子供に何か一つ買ってやりたいという親心を満たすためには、だめなんです。もう少し何とか考えてくれということを、今まで要求して参っておりますが、十日分を要求しております。この出し方などにつきましても、これは年々歳々夏になる、あるいは冬になるたびに行われることで、これを何とかして制度化してもらいたい。従って、これを別途予算に組んで、特別な措置としてわれわれが受けられるようなことにしてもらいたい、こういうことでお願いしておるわけです。昨年は——昨年の暮れでしたが、やはりこういうことでこの労働委員会でも相当問題にしていただきまして、昨年はたしか五日分の政府の決定でしたけれども、私どもにとって非常にありがたいことは、労働委員会の方で、日雇い労働者生活実態にかんがみ、何とか追加してやろうということで、一日分でしたけれども給与追加支給ということを決議なさったわけです。しかし、これは当時の千葉労働大臣は、ここで約束されたにもかかわらず、その後これをから手形にしてしまって、就労増という形で逃げてしまって、実際的には、このことについては全国でわずか四、五県程度しか、一日分追加措置の恩恵を受けなかった、あとほとんどは握りつぶされてしまった、こういう経験があるのです。従ってこの夏は、このような生活の苦しさ、実態等を考慮されて、追加というような措置がもしとられるならば、ぜひこの際お願いしたいと思っております。  それから、昨年の暮れだと思いましたけれども政府の出した三日分について、地方の自治体で、それぞれ独自の措置として、われわれに幾らかのものを出します。このことに対しまして、政府は今まで強い干渉をして、これを押えてきた。こういうことに対して、この労働委員会で、どうかという質問に対して、千葉労働大臣は、いやいや、それはとんでもない話だ、政府としては、政府の足りない分を自治体が補うことについては、むしろ奨励したい、こういう意味の発言をなされたのを記憶しております。議事録にもあると思いますが、そのことは今日でも生きておると思いますが、このようなことを今の政府はどうお考えになっておるか、それを一つ明らかにしていただきたいと思います。  まだたくさんあるのですが、時間も大体きておるようですから、あと参考人とかわりたいと思います。
  4. 中村三之丞

    中村委員長 ちょっと速記をとあて。   〔速記中止
  5. 中村三之丞

    中村委員長 速記を始めて。  馬場参考人
  6. 馬場大静

    馬場参考人 日雇労働者健康保険法の一部改正法律案について、私は諸先生並びに当局者に、この面だけはぜひとも勘案してほしいという要望を持って、実は参考人として出頭したわけであります。この点につきまして、まず第一点といたしましては、日雇い労働者健康保険法が現在実施せられておりますが、その中において、さらに一部改正をされようというこの段階に当ってお願いいたしたいのは、日雇い労働者は常に失業者であるという、こういうことをまずお考えを願うこと、もう一つは、一般労働者と異なり、将来における希望的保障、もしくは社会保障制度として、厚生福利施設が何ら講ぜられていない。たとえて申し上げますれば、昇給昇進あるいは退職手当等、こういうものをさしておるのであります。次に申し上げたいことは、その日の収入によってその日の生活を維持するというような現在の日雇い労働者実態である。しかも賃金の低悪なるがゆえに、とうてい貯蓄などは及びもつかないわけであります。従って一日あぶれれば一日絶食しなければならないという悲惨な現状に置かれておるのが、われわれ日雇い労働者であります。従って、今日一部改正されようとしている法律案の中に、最もわれわれ日雇い労働者が念願し、こいねがっている点は、次の要点であります。まず第一には、療養の給付期間世間一般並みに延長していただきたいということと、第二には、さきに申し上げたごとく、現在の日雇い労働者実態に即応し、傷病手当支給してほしい。なぜならば、現在通称ニコヨンといわれておりますが、失対手帳を受理している者は、労働省の発表によりますと四十二万を数えております。この四十二万の者が、緊急失業対策法適格者票を受理するためには、法の制定によりまして、主たる生計を営む者に限り整理票交付されているのであります。そこでこの人たちは、みな一家の大黒柱である、この人が働かなければ、一家をささえていく者は、ほかに何人もないという建前をとる重大な責任を持っている者だけが、現在緊急失業対策に就労する適格者票を受理しているのであります。そういう面から考えた場合に、これは常識上見てもわかるように、その一家生計を営む者が病床に横たわった場合には、一体だれがその一家をささえていくかと申しますと、これは絶対不可といわなければならないのであります。今日一日あぶれれば一日食えないというような悲惨な状況に置かれている者が、また重ね、病魔に見舞われた場合、その病床に横たわっている者は、いかにいい薬を飲まされても、家族のことを懸念しながら横たわっているとするならば、いかなる高価な薬であっても、きき目がばいということにもなるし、かつまた、やはり収入の面がまず第一の心配である。しからば、その収入の面を解決するには、今日健康保険法の一部が改正されようとするその中において、収も必要なものは、やはり労働者階級に匹敵する一部改正でなければならないということがおわかりであると思います。さすれば、その一部改正というものは何であるかと申しますと、これはすなわちわれわれが念願している傷病手当であります。この傷病手当を、やはり自分たちに与えてほしい。しかも、その傷病手当の金額においては、多少でも生活のでき得る傷病手当でなければならないということになると思います。現在行われておる失業保険法の中において、日雇い建保給付の額において、もし傷病手当を出してもらうとするならば、特に日雇い失業保険法も右へならえの給付が行われるのではないかというような心配もありますから、その点から、もし傷病手当を勘案してもらうならば、現在の失業保険になされておる給付額よりも、もう少しお考えをいただきたいと思います。現在日雇い労働者失業保険給付額というものは、昭和二十五年の三月に日雇い労働者失業保険法が制定されて、そのときの賃金の六割の額が、今日今なお全然昇進昇給もされないで、そのまま行われておるという矛盾があるのであります。大蔵省全国に出しておる失業対策平均予算単価は、たしか百八十二円の当時であったと思いますが、その中において百四十円、九十円という二段構えの給付を行われておりますが、現在においては二百八十二円ないし三円というように大蔵省労働省平均予算単価も上昇しておるのであります。それにもかかわらず、失業保険赤字であるとかなんとかいう口実において、われわれ一番悲惨な階級においてそれが全然考慮されていないということが、まず重大な問題ではないか。こういう問題が解決されないで、ここにわれわれの念願する日雇い健康保険傷病手当というものを勘案していただくとするならば、現在の失業保険給付に行われておる給付額ではなく、さらに一歩前進した今日の賃金体系に即応した給付額を制定していただきたいということを切にお願いしたいと思うのであります。  現在のわれわれの生活実態というものについては、先ほど坂本参考人からるる説明があったと思いますが、やはりその通りで、現在の日雇は労働者実態として、昨年に見られない点は、昨年は血を売って自分一家生活をささえる、あるいは病床に横たわっておる人たちの薬代に充てるというようなところまでは、むしろ行っていないような現状でもあったのであります。ところが今日では、新聞紙上にも堂々と出されておるように、またわれわれもはっきり認めておりますように、実際のところ、血を売らなければ一家をささえていけないという現状、しかもそのゆえんは、一家をささえるというような面と、もう一つは、病床に横たわった場合に、健康保険の薬だけではなかなか病気のなおりがおそいということから、やはり栄養もとらせなければならないということになりますと、その栄養をとらせるためには、やはり先だつものは金である。その金の入るところが全然ないというようなことから自分たちの働いた中からさいて、病床に横たわっておる人に栄養をとらせようとするならば足りない生活費の中からそれをまたさらにさかなければ、ならないという現状が、今日生まれてきておるのであります。そのために、血を売るというような基因がそこに現われてきておると思いますから、そういう点も十分御考慮願って、法律の改正をされていく場合においては、分べん費とかそういうものは、もし大蔵省や国家の予算がないとすれば別としても、せめても日雇い労働者健康保険法の制定の対象となっておるわれわれが念願しておるものは、傷病手当であるということを、十二分に勘案していただいて、その面は是が非でも今回の法律として通していただきたいということをお願いいたしたいと思うのでありす。  つきましては、現在健康保険法の中にあります、しかもわれわれの重要な問題でありますが、受給資格の問題であります。先ほど坂本参考人がいろいろな点であげられましたが、われわれが念願しておる点は、緊急失業対策に働く人たちの就労という面と、あるいはそれ以外に民間専門で働いておる人たちの面と、二分して見なければならないということになると思います。そうすると、現在緊急失業対策に働いている方々の平均日数を、かりに十三日か十四日とするならば、民間に働いている方々の平均数は、全都の中におきましても、一番就労面の多い、求人の多い芝園職安の地区の芝浦の状況を申し上げますが、この芝浦というところは、幸いにして東京港を控えておりまして、芝浦の平均を申し上げることが全国の平均にも匹敵するという形から、向う六ヵ月間さかのぼって、参考意見として申し上げてみたいと思います。  就労日数面から申し上げれば、一ヵ月について五日未満ぐらいしか働けないという人が四百名、五日から十日ぐらい働ける人が二百四十名、十一日から十五日ぐらいという人が二百三十名、十六日から二十日ぐらいの方々が二百二十名、二十一日から二十五日ぐらいの方が百五十名、二十六日以上という方が百十名です。これは御承知かもわかりませんが長期紹介を切られている方々、あるいはその日臨時に雇用される方々、あるいは指名求人といって、業者の方から直接指名してくる方々、この三通りの方々を勘案した平均表であります。  次に、月々に分けてみますと、昭和二十九年十二月におきましては一一・五、すなわち十二日まで働けないことになります。今年の一月は七・一、二月は八・一、三月はそれよりちょっと上回りまして一一・七一、四月は一一・六、最近の五月に一一・五ということになっております。こういう現状からみましても、六ヵ月さかのぼってみても、十二日働けることがほとんどないということが現われております。それにもかかわらず、今日失業保険法の中の受給資格者となるには、二ヵ月を通じて二十八枚の印紙を張らなければ受給資格者と認められないということや、あるいは健康保険というものは、当時参考資料となすものがなかったために、失業保険法を参考資料として右へならえの健康保険法が制定されたと聞いておりますが、実態を調査しないで、こういう矛盾きわまりない受給資格の法制がきめられているということから、私はこの点については、何とか実態に即応した法の改正をしていただきたいという念願を持っておるのであります。  これに類し、しかも特に関係を持つ問題でありまして、さっき坂本参考人からも言われたようでありますが、経済上、生活上、あるいは日雇い労働者実態というような面と特に密接なつながりを持っている問題でもありますから、もう一ぺん重ねて申し上げたいと思う点は、現在われわれは今年のお盆に際しまして、夏季手当要求をいたしました。この夏季手当要求というのは、健康保険失業保険と密接なつながりを持ったものでありますから、その中からわれわれは十分に勘案して、今年の夏季手当十日分という要求をいたしたのであります。それにもかかわらず、労働省は、駐留軍の失業者が出てくるとか、あるいは今後ますます失業者が増大するというような言いのがれ的な見解をもちまして、われわれが了承しないうちに、一方的に三日分の支給をなさったのでありますが、ほんとうにわれわれに組織力があるならば、これをけるのが当りまえなんです。ところが、われわれの経済面というものは、一銭でも与えられるならば、それを受けなければ生活ができない、一日食わずにいなければならないという面があるために、与えられるものは受けなければならぬという悲しみがある。そのために、一方的に三日分というような回答をなされたのであります。われわれは、受けたくないにもかかわらず、それを受けておるというような現状もありますが、私はこの点におきましては、十二分に国会の先生方、あるいは労働省の当局は——まだおいでになっておりませんが、ぜひともこの点に重大な関心を持っていただいて、健康保険法の制定に当っては、人を生かすための健康保険であって、殺すための健康保険法でないというような建前から申し上げるならば、この十日分の要求は、ぜいたくをするための要求でなく、生きるためのささいな要求であるという点から、ぜひとも十日分の支給という面に再度関心を持っていただいて、昨年の暮れに一日分の追加国会ではかっていただいて、これについては全国日雇い労働者としては、非常に感謝しておるのでありますが、さらに今年のお盆に際しても、この面の議決をお願いしたいのであります。私たちが、四月十三日あるいは六月二十八日に大蔵省当局と会見いたしましたときに、正示主計局次長あるいは大村主計官は、どういうことを申しておるかと申しますと、本予算が通過した場合には、一日の吸収人員、すなわち全国緊急失業対策日雇いの吸収人員は二十二万人になるということを言明しております。本予算が通過しない現在、臨時的な暫定予算なるがために十九万人にとどまっておるのだ、だから、本予算が通過したと同時に、二十二万人に引き上げるのだということを言われておりました。しからば、本予算が通過した現在において、一年の予算というものは四月から始まった予算であると考えますから、四月に二十二万人も五月に二十二万人と私たちが算定基礎を置くことは、当然なことであると思うのであります、決して大蔵省は逃げ口上的に、本予算が通過した後にその予算は実施するのだと言ったのではないことはわかりますが、われわれが生きんがために要請をし、お願いをするものでございますならば、一日でもあぶれを少くしてもらいたい、就労率を多くしてもらいたいという観点に立ちますれば、やはり四月から二十二万人というような実施方が行われるべきである。ところが、それにもかかわらず、二十二万人の吸収が四月から行われなかったという点におきましては、私たちはこう見ております。すなわち現在大蔵省は、予算がないとかいろいろ申しておりますが、四月から二十二万人という実施方をすべきものが、暫定予算において十九万人であったとすれば、一日に三万人ずつのワクが当然余ってきておるものと私たちは推定しております。しかもそのワクの予算単価は、一人前が二百八十二円という額であることも考えられるのであります。と同時に、大蔵省労働省が、われわれひ雇い労働者の一ヵ月の就労時日は、二十一日ということを踏んでいる関係上、やはり三万人のワクで二十一回たまれば、一ヵ月六十三万人の二百八十二円の予算単価で、六十三万人余りということになれば、三ヵ月を通算すれば、二百八十二円の予算単価で百八十九万人、予算上から言えば、驚くなかれ四億七千万くらいの金かそこに余っていくのだということを、私たちは一応見ておるのであります。当然われわれは四月、五月、六月には、今までにないあふれを見ております。またあぶれさせられております。しからば、今日暫定であるか、本丁算であるかはともかくといたしまして、やはり暫定中なるがために、その犠牲の痛手を受けているものは、日雇い労働者以外には何人もないということが、はっきり申されると思うのであります。だから、日雇い労働者の四月、五月、このあぶれをさせたというそれを緩和するためには、われわれの切実な、ささいな要求である夏季手当の十日分というものは、当然これは四月、五月、六月にあぶれさせたそれを、そのときに後回しになるのだけれども、補ってやるのだという情ある考え方を持っていただくならば、当然何とか予算の支出方法考えられるというような見方もいたしております。そこでこの点については、大蔵省労働省に対して、いろいろ意見は出してみましたが、なかなかどうもこの点については、逃げてばかりおって、われわれの意見を聞き入れてくれないような現状であります。もし予算がないとするならば、是が非でもそういうふうな予算もあることでありますから、何とか一つ諸先生方の力におすがりいたしまして——今年のお盆の三日分は、すでに一方的に支給されたものでありますが、さらにこれに追加して、ぜひともわれわれの悲惨きわまりない生活実態に即応した夏季手当支給方法を再度御考慮願いたい。これはちょっと健康保険の問題とかけ離れたようでありますが、われわれの観点から申し上げると、かけ離れていない密接なつながりを持つ経済面、生活面の問題でありますから、これを申し上げて、以上健康保険の問題については、あと参考人にほかの問題について申し上げていただきたいと、こう思っております。
  7. 中村三之丞

  8. 唐沢平治

    ○唐沢参考人 私は、前二参考人が、主として職安中心にして問題を提起されておりましたが、私は、組織しております建築労働者、大工、とび、左官、土工、こうした人たちの問題を中心にいたしまして、数点意見を申し述べたいと存じます。  建築労働者は、昔から非常に重要な、特に住宅、学校、病院、そうした国土復興に欠くことのできない重要な仕事をしておったわけであります。しかしながら、そういう非常に重要な仕事をしております反面に、社会保障的な保護対策というものは全く受けていないという、非常にみじめな生活を押しつけられております。この国会を建てました石工労働者の諸君にいたしましても、この国会そのものは、世界的にも評価された優秀な技術で作られた中で国政を運営しておられますけれども、作った石工の諸君の多くは、病気、特にけい肺などにやられて、全治することのない絶望の日を送っている、そういうみじめな実情であります。そういうみじめな状況の中で、終戦後、あらゆる労働組合の会合の中で、こんなにおれたちは国土復興、住宅復興の面で重要な仕事をやっておるのに、なぜ健康保険や労災保険がないのだろうかという疑問や憤りが全国的に出まして、そういう声が、健康保険を作ってほしいという熱望として現われたのであります。この熱望が、先ほどから参考人として両君が言っておられました職安の皆さんや、あるいは山林労働者の皆さんや、つき添い婦の皆さんと一緒に、ぜひ健康保険を作ってくれという全国的な運動として何年も運動を続け、ようやく日雇い健保という一つの法律ができたわけであります。  しかしながら、できました法律そのものは、きわめて不十分な内容でありまして、入れ歯ができない、医者に三ヵ月しかかかれない、休んでも手当がもらえない、手続が非常にめんどうだ、もう実に不十分だらけの内容でございました。もちろんこの原因は、申し上げるまでもありませんけれども給付費に対する国庫負担が、全く考慮されていなかったというところに、一番大きな原因があったと思います。昭和二十八年二月に、社会保障制度審議会が答申をいたしましたけれども、その中においてすら、この日雇い健康保険は将来社会保障制度を確立するに当って、かえって妨げになるのじゃないかという答申すらしておる。その事実からも、いかにこの内容が不十分なものであったかということについては、十分御了解いただけるものと存じます。  一体そういう不十分な内容で、しかもその後の数々の予算措置の中で、どの程度国庫負担の問題が実現されたか、こういうことになりますと、政府は依然として予算がないという一点ばりで、給付費に対する国庫負担を全く考慮して参りませんでした。ようやく昨年は給付費の一割国庫負担が実現をされました。しかし、これが限度かどうかということになりますと、私どもは決してそうは考えていないのであります。バターか大砲かという問題は抜きにいたしましても、少くとも国家予算の合理的な運営をやることによって、十分給付費の二分の一国庫負担というものは可能ではないか、このように考えております。なぜかといいますと、これは日雇い健康保険ができる前までは、非常に生活に困った日雇い労働者や建築労働者は、その多くは生活保護によって救済を受けておりました。日雇い健保ができることによって、生活保護の適用を打ち切られて、すべてが日雇い健康保険に移行されております。そういう事実の中で、今まで医療扶助として大体日雇い労働者に六億か七億の支出をしておるということを政府などでは言っておりますが、それにもまして生活保護が打ち切られるということの中で、医療扶助ばかりでなく、教育あるいは住宅、そういう面での扶助が打ち切られるわけですから、相当な金額が、日雇い健保ができたことによって、生活保護から実質的には削られておる、そういう事実を十分掘り下げていく必要がある。その中で、生活保護に使われていた分を日雇い働保の国庫負担に回せば、先ほどから論議された傷病手当の問題にいたしましても、療養給付期間の延長の問題にいたしましても、給付内容を現行の一般健保並みに改善することは、きわめて容易である、このように私どもは確信を持っておるわけでございます。  非常に不幸なことに、どのくらい日雇い労働者中心にして生活保護が行われておるかということについては、政府は発表しておりませんが、幸い今日は政府委員もおられますので、この点などを十分掘り下げていただいて、国家予算の合理的な運営をぜひお願いしたい、そういうことによって、全体のワクをくずさなくとも、十分日雇い健康保険内容改善は可能性がある、このように強く確信をいたしている次第でございます。従いまして、私どもはそういう国庫負担の実現によって、傷病手当金の支給あるいは療養給付期間の延長等々、数々の改善点を早急に実現していただきたい、このように考えているところです。  特に傷病手当金につきましては、一般の健康保険の場合には、多くの場合、相当程度保険者側、会社側から、休んだ場合でも手当を受けておりますし、そういうことの可能性がずいぶんあります。しかしながら、日雇い労働者は、一たん休んだ以上、どこからも手当をもらえないという一番傷病手当金を必要といたしまする人たちでありますので、これに対する実現方法については、第一義的に考えていただきたいと考えているところです。こうした内容改善をやっていただく、そういう過程において、今まで日雇い労働者、あるいは職人である、そういう劣等感、あるいは社会からの差別待遇等々を自他ともに変えていきたい、このように考えているところです。  次に、適用範囲の問題について申し上げたいと存じます。適用範囲の問題につきましては、現在の政府の発表を見ましても、被保険者が五十万から六十万のところを動いているようでありますが、実際はこの保険によって適用を受ける人たちの数はどう少く見積りましても百二十万はいるだろうと考えております。しかしながら、五十万から六十万の人が未適用になっているというその事実を、ぜひ注視していただきたいと思うのです。なぜ未適用になっているかということについては、大きくいって二つの理由があると存じます。一つは、建築労働者にいたしましても、山林労働者にいたしましても、あるいはつき添い婦の皆さんにいたしましても、きわめて封建的な下請制度の中で、末端の雇用関係というものは、法にきめられました五人以上の適用事業場へいって働くという場合はきわめて少い、多くの場合五人以下の事業場で低賃金で労働強化で非常に奴隷的な生活をしている。こういう事実の中で、圧倒的多数の建築労働者、山林労働者が適用除外になっている、こういう事実でございます。現に小豆島にありますあの有名な石材労働者、単にあそこはオリーブや観光の町というばかりではなくて、あそこから有名な石材が出ておりますが、あそこに約千人の石工労働者が働いております。この人たちは、労災法の適用は受けておりますけれども健康保険の適用は受けていない、こういうきわめて片手落ちの社会保護制度の中で苦しんでおります。これは単に小豆島の石工労働者に限らず、奈良の山林労働者においてもしかりであります。一人か二人の山地主が全山を握っておる。そこで伐採あるいは植林をやっておる二千五百人の労働者の諸君は、ようやく労災保険は適用を受けておりますけれども健康保険については何らの適用を受けていない。こういう人たち全国に数限りなくあるという事実を、ぜひ御認識願いたいと思うのです。  なお、第二番目の問題といたしましては、これは建築産業、建設産業を中心としての問題でございますが、いわゆる大林や清水等の大手筋が中心となりまして、全国土木建築国民健康保険組合という職域の国民健康保険を運営しております。それは日雇い健保ができる前までは、いわゆる甲乙の二種類に分けまして、職員あるいは労働者の中でも、職制級の人たちの国民健康保険を作って運営を続けておりました。日雇い健康保険ができたことによりまして、さらに丙欄を加えて、丙欄による日雇い労働者の国保適用を推し進めたわけであります。現実問題として、確かに政府当局にいわせれば、法七条によって適用除外をしているのだ、こういうことを言っておられますけれども、そのこと自体に、非常に問題がひそんでいるというふうに考えます。現実問題として、大林、清水等、あるいはここで今仕事をやっておりますところの、戸田組だと思いますが、そこにいたしましても、土木国保の窓口はありますけれども日雇い健康保険の窓口はあいていないという事実を十分考えていただきたい。従って、土木国保の丙欄でわずかな人たちが、いわゆる常用的な人たち健康保険の適用を受けますけれども、それぞれ毎日々々この現場に来る人たちは、全く健康保険の適用を受けておりません。病気になりまして医者にかつぎ込まれて、医者の方は健康保険があるでしょうといって聞いたところが、実際はなかった。現場の親方が来て、その病人をまたかつぎ出して帰っていったという事実は、実は北海道や九州の例ではなくて、東京のあの体育館を作りました大成建設の工事現場に起ったごく最近の事実として御注目を願いたいと思うのであります。従って私どもは、土木国保を全部やめてしまえという極論はいたしませんけれども、少くとも大手筋が土木国保のみで運営しているという片手落ちを、ぜひ政府あるいは国会などでは十分追及していただく必要がある。そして各大手筋が、いずれも日雇い健保の適用窓口を大きくあけて、十分健康保険の適用ができるように、厳重な監督指導を即刻実施されるように要望したいと存じます。  第三の点は、受給要件の問題についてでございます。これは今、山林労働者の皆さん、つき添い婦の皆さん、あるいは特に職場に働く皆さんにいたしましても、こうしたデフレ経済の中で、ことに仕事が少くなってきております。私ども建築労働者の場合でも、昨年の十一月、十二月ネコの手も借りたいといわれたあのときですら、十五日働くというのがやっとでした。今年の一月、二月などは、一月はもうほとんど働いていない、二月も四日か五日しか働いていない、こういう人たちが東京でも横浜でも大阪でもたくさんあります。これは決して私が誇張して言っているのではなくて、お調べいただいてもわかります、事実であります。こういう就労状態の悪化の問題、それから現実問題として、給付を受けている間に他の疾病が起きた、あるいは被扶養者が疾病にかかった場合に、被保険者の受給資格がない場合に、実際にはその病気保険給付対象にならない、そういう実情にあるわけであります。こういう二つの理由から、受給要件をもっともっと緩和していただく必要があるのじゃないか、このように考えているところです。従いまして、前二ヵ月を通算して二十八日分以上、こういう規定がありますけれども、さらにそれで救済されない人たちが、今申しましたような二つの理由からたくさんあるということを十分御勘案いただいて、たとえば前六ヵ月を通じて六十日に下げるとか、あるいは前二ヵ月を通じて二十八日分というのをもっと切り下げるとか、いろいろな方法を構じて、受給要件を大幅に緩和していただきたいと考えておる次第でございます。こういうふうにしていただきませんと、せっかくできました日雇い健保も、実際は被保険者の急場に間に合わないということになるわけでございます。  次に、手続の簡素化の問題です。これは前参考人もいろいろと意見を述べておられました。とにかくこれほど内容が悪くて、これほど手続の悪いものは、おそらく世界的にも珍しいのではないかと思います。大体病気のたびに社会保険出張所にかけ込むというようなことはおよそ社会保険というものの概念からは導き出されない劣悪なものだと考えているところです。実情をいろいろ聞いてみますと、かぜを引きましても、売薬をまず飲む、それからまあ相当重くなってから、やっと保険出張所に飛び込む、受給証明書をもらって病院に行くという実例は、枚挙にいとまありません。このようなことでは、実際には病気をとことんまで重くしてから医者にかかるというようなことによって、保険財政にも少からず影響すると思うのであります。その点はともかくといたしましても、とにかく諸手続を急速に簡素化していただきたい。この点は、今まで要望のありました点にまさるとも劣らないほど重要な点でございます。政府は、今法律改正を要さないのだ、厚生省令を変えればいいのだ、こういうことを言っておりますけれども、そういう意見の中に、手続の簡素化については、非常に積極さを示しているやに思うのであります。その理由としては、受給資格証明書を売り飛ばしているのではないかというようなことを言っておりますけれども、このことを掘り下げていけば、現在の一般健保でも、そういうようなことは幾らでもやれることでありまして、すべからく一般労働者日雇い労働者の間に、そういう差別待遇をつけるべきではなくて、人間としての取扱いをしていただきたい。そうして急速に手続の簡素化をやっていただく必要があるのではないか、このように考えておるものです。  以上四点にわたりまして、いろいろと私どもが常日ごろ考えております点を申し述べましたが、これらの可能性については、もちろんいろいろな異議も御意見もあろうと存じます。しかしながら、私どもは一刻も早くこの問題を取り上げていただいて——大体一般健康保険あるいは船員保険などは、長い歴史を持っております。それから漸次一定の水準に到達しようとする努力を続けてきました。しかしながら日雇い健康保険だけは、ごく最近できたものでありまして、しかも、社会保険の体系から非常にほど遠い劣悪なものである。これを一歩々々解決するのだという御意見もありましょうけれども、この際はぜひとも一歩、二歩合せて前進させていただきたいと考えておるのです。従いまして、社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会が、国庫負担の増額によって生ずる手当金の問題あるいは療養給付期間の延一長の問題や、適用範囲の拡大の問題、受給要件の援和の問題あるいは諸手続の簡素化の問題等々を、急速に実現してもらいたいという答申をしておりますけれども、ぜひ本院におきましても、この線に沿ってというよりは、もっともっと十分御検討いただいて、日雇い労働者のために十分なるこの制度を打ち立てていただくように重ねてお願いをする次第でございます。  以上で終ります。
  9. 中村三之丞

    中村委員長 以上で参考人よりの意見の陳述は終りました。  発言の通告がありますので、順次これを許可いたします。滝井義高君。
  10. 滝井義高

    ○滝井委員 これは坂本さんでも馬場さんでもどちらでもいいのですが、血を売る職安労働者が非常に多くなったということは、最近私たちも新聞で再再報道されて知っておるのでございますが、今の坂本さんのご発言の中にも、月に五回も血を売る人があるのだ、こういうことでございます。血を売る人の三割は職安労働者に占められておる、こういう実態も参考意見として述べられておりますが、もう少しそこらあたりのことを、ありのままに具体的に御説明ができれば、していただきたいと思います。そういう血を売った人というのは、結局仕事があぶれるから、おそらく売りに行くのだと思うのですが、そういう実態をもうちょっと御説明を願います。
  11. 坂本周一

    坂本参考人 われわれが血を売らなければ生きていけないというこの現実ですが、もともとこの血を売らなければならないということは、われわれの生活が非常に低下してきたというところからきておるわけです。できれば、こんなものは売りたくないわけです。そこで、ありのままに一つ述べろという御質問でございますが、私が知っておることを一、二点申し上げたいと思います。  これは、大体職安の前にお行きになるとすぐわかると思いますが「血を求む」という張り札が各所に張られておるわけです。電信柱とか、あるいは掲示板とかいうところに、必ず「血を求む」というのがあるのです。これは血を売るという対象が、職安に集まってくるわれわれに対して非常に向けられておるということです。御存じのように、健康な人でも、月大体三回程度が、血を売る限度とされておるわけであります。これは名古屋の例ですが、熱田の職安で、ある子供を五人くらいかかえておる未亡人が、やはり血を売っておったのですけれども、栄養失調のために血が薄くなる申しますか、私どもは、そういうことは学問的にわかりませんが、あなたの血はとても使えないから要らぬというふうに断わられまして、そのために、生活が困ってしまって、組合の方へ相談に来たのであります。とにかくそういうことで、結局われわれとしましては、血を売るということについては、非常に考えなければならない。今、手元に詳しいデータを持って来ておりませんので、大体そういう点で御了承願いたいと思います。
  12. 滝井義高

    ○滝井委員 その程度でけっこうです。  それから、さいぜんの馬場さんの参考意見の中で、二十九年十二月には一一・五、三十年一月には七一、二月には八・一、三月には一一・七一といりようにずっとお述べになりましたか、これだけしか実は働いていないというのですか。これは芝浦の職安に来られておる自由労務者の人たちの平均就労日数なんですか。
  13. 馬場大静

    馬場参考人 そうです。
  14. 滝井義高

    ○滝井委員 これは芝浦だけの傾向ではわからないと思いますが、あなたは全日本民主日傭労働組合協議会の議長坂本さんは全日本自由労働者組合の副委員長をされておるのですが、全国的に見て、政府の統計を見ましても、昨年十二月には有効手帳所持者は六十万人くらいおったのですが、今年になると五十六、七万人台に下ってきつつあるということです。これは、今から上るかもわかりませんが、下ってきておる。あなたの方の御説明によっても、十一日とか、七日とか、八日とかいうことになっておって、これではとうてい——一ヵ月に十四日以上働かなければ、二ヵ月で二十八日にならないわけで、日雇い労働者対象が少くなる傾向が顕著に出てくると思うのです。政府の統計で申しますと、今申しましたように、下りつつあるようですが、あなた方の職場においても、だんだん日雇い労働者健康保険の恩典に浴せない人が多く出るような傾向が出てきておるのかどうか、これを一つ御説明願いたい。
  15. 馬場大静

    馬場参考人 私が芝浦の例を申し上げたという点は、全国から見ても、あるいは全都的に見ても、民間の求人あるいは就労率からいっても、一番多い地点だという観点から申し上げたので、これを全国的に、あるいは全都的に平均した場合は、むしろ芝浦を中心とした平均よりももっと下ると思うのです。おそらく七日か八日まで行かないと思うのです、一ヵ月の就労が。これは一番就労率の多い、就労人の多い之浦の平均を申し上げただけです。しかも。昨日私は職安の所長から統計書を見せてもらって、これを参考として申し上げたい点がありますから筆記したものであって、おそらく私がここに申し上げた以上に、日数は下ってくる。だから、先ほど申し上げた受給資格の点から、はっきり申し上げれば、六ヵ月を通じて六十日というよりも、むしろ私の主張は、一ヵ月に十枚印紙を張れば、翌月から受給資格者と見なしてほしいというくらいまで、われわれの受給資格方法を緩和してほしいということを申し上げたいと思うのです。これは一番離れた鹿児島の例を申し上げてみれば、私は二月二十九日から三月三日まで鹿児島の職安にいたことがあるのです。そのときに、職安で二百人からの女の方々があぶれておりました。これに対して、いろいろ一人々々約十二、三人の方に質問してみますと、当然緊急失業対策就労適格者証をもらう資格者であるにもかかわらず、緊急失業対策事業費の予算が僅少なるために、それと同時に、地方財源が乏しいという面から、主たる生計を営む大黒柱でありながら手帳がもらえない。すなわち、どうしたときに手帳がもらえるかと申しますと、結局は、現在の手帳をもらった方が転職するなり、あるいはやめていくなりした結果でないと、その穴埋めに純然たる資格者が入れてもらえないというようなことから、二百人のマル民という、あぶれたときに何ら保障されない手帳を女の方が預けられておいでになったわけです。それじゃ、しからばあなた方一ヵ月に三日しか就労できないということをおっしゃいますが、これに対してどの面から生活されるのですか、こう聞きただしましたところ、以前鹿児島のある問題で、パンパンの問題かあるいは婦人の問題が出たと思いますが、やはりあれと同じように、結局まずたばこを吸いたいと思うならば、人のうしろをついて行って、もら捨ててしまったたばこを吸って、いわばたばこを吸ったという気分を味わう。生活費が足りないとすれば、結局自分の血を売るか身を犠牲にするか、そういうことをして結局一ヵ月の生計を補っていかなければならないというようななまなましい現実を私は聞いたことがあります。そういう面から見ますと、われわれ健康保険法を実施してもらっている今日、あるいは失業保険法を制定されて実施してもらっている今日、受給資格者となるについて、まず一番の困難性は、就労が困難だという点を十分お考え願わなければならない問題になってきているのじゃないか、こう私は思って、芝浦の例を申し上げたのでありますが、芝浦の例は、最大のいい方の例であって、平均すれば、もっともっと悪くなる平均が取れるということであると思います。
  16. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。次に唐沢さんにお尋ねしますが、比較的大きな土木建築業者は、土木建築の特別国民健康保険を持っているわけです。この特別国民健康保険が、土建の労働者の中に日雇い健保が普及しない一つの隘路になっているのではないですか。法的にいって、国民健康保険は、日雇い労働者健康保険の被保険者は除外することになっているはずだ。あるいは私の記憶違いかもしれません、そう記憶しているのですが、その点は、あなた方どうお考えになりますか。
  17. 唐沢平治

    ○唐沢参考人 御指摘の通りだと思います。それにちょっとつけ加えさせていただきたいのですが、先ほど言葉が足りませんでしたが、法七条によってそういう適用除外を、たとえば東京などの場合には、東京都にうちの会社ではこれとこれとこれは特別法でやるんだという届け出を出しております。たとえば十人出しておりましても、現実にはその何十倍という人が現場で働いておる。しかも、この仕事をすれば解散する、解散して、しょっちゅう移動するわけです。従って、その人たちは目もくれない。オーバーして本表から落されている労働者が数限りなくある。これは今、先生がおっしゃったように、非常な隘路になっている。このことは大林、清水の職員の方ですら、大へんこれは問題だといって、問題にしているという事実などから見ても、実情がいかにひどいものであるかということを、御認識願いたいと思います。
  18. 滝井義高

    ○滝井委員 私はやはりその点は、事業主の方がなかなか上手だと見ている。というのは、国民健康保険は二割の国庫負担、特別健康保険あるいは一割五分かと思いますが、とにかく二割の国庫負担日雇い労働者は一割です。だから、事業主にすれば、組織するなら国民健康保険法が得だというような形も出てくるのじゃないかと思われる。この問題は、非常に重要な多くの問題を含んでいる。私も少しこの問題については研究しておりますが、あとの方の時間もないので、お聞きしたいことを次会に譲らしてもらいまして、受給資格証明書の手続上の問題ですが、今病気になった、そのなった疾患について、受給資格証明書をもらって医者に行く、病気が変ったり、あるいは家族が病気したりすると、また持って行かねばならぬ。これを職安の窓口あるいは居住の市町村でやって行く。この二カ所でやってもらえば一番いいのだということですが、あなた方から見て、こういうところに隘路があるからこういうことができないという隘路がありますか、それとも別に隘路はないのか、やればすぐできることなのか。どうも私たちはちょっとすぐできるような感じがするのですが、現実にあなた方が、職安市町村あるいは社会保険出張所等に行って、社会保険出張所から発行しなければ工合が悪い——さいぜんは、一々全部前もって渡しいてるとそれを売買する、あるいは人に貸して金をもらうというようなこともあると言われるが、これは人間の信頼の問題で、大した問題でないと思うのです。何かほかに、行政上で職安の窓口でやったりしたならば、こういう点に隘路があるからできないのだということがあったら、お教えを願いたい。
  19. 唐沢平治

    ○唐沢参考人 私どもは、今までの経験では、何らそういう隘路はないと思う。むしろ一刻も早くそういうことをすることの方が——社会保険出張所の窓口でもどこでも、あまりの複雑さで、ですから、われわれもですが、職員も手を上げているのです。だから、一刻も早くこれを簡素化するということが必要じゃないか。簡素化する方法はいろいろあるでしょうが、たとえば一回一枚の受給資格証明書を出して、それを持っていれば、本人であろうが家族であろうが、腹が痛かろうがどこが悪かろうが、どこへでも行かれる。最低限度ある程度はやり得る手続上の簡素化というものは、十分やっていただける可能性があるのじゃないかと考えております。
  20. 山花秀雄

    ○山花委員 一言だけ、今後の審議の参考にしたいと思ってお聞きするのですが、ただいま馬場参考人の方から、芝浦の就労日数の陳述がございました。この件に関しては、滝井委員の方からもいろいろ質疑を重ねておりましたが、保険局長がおいでになっておりますので、当然この日雇い健康保険改正案を出すに関しましては、それらの各職安における就労統計というものを十分調査なさっていらっしゃるだろうと思うのですが、馬場参考人の御意見だと、多くの人々が資格がなくなる結果が出て参りますが、こういう点について、保険局長の方では、馬場参考人の陳述されたことが妥当であるかどうか、政府の方でどういう調査統計を示しておられるかどうか、こういうような点について御説明を願いたいと思います。
  21. 久下勝次

    ○久下政府委員 私どもは、就労日数につきまして得ております資料は、大体全国平均二十日ないし二十一日くらいの就労日数がある、こういう数字を基礎にしていろいろなことを考えておるつもりでございます。
  22. 山花秀雄

    ○山花委員 馬場参考人の陳述の御意見と、政府当局の御意見とは、ずいぶん食い違いがあるわけであります。そこで、もう一点お尋ねしたいのは、政府当局のただいまの御答弁は、一般的に言われております就労二十一日の、俗にいう職安を通ずる登録労働者と申しましょうか、そういう関係のことを言われておるわけで、馬場さんの方は、一般民間における俗にいう自由労働者のことを言われておるのかどうか、その仕事の性格も、われわれははっきりつかんでいきたいと思いますので、その点、どういうようになっておるか、一つ……。
  23. 馬場大静

    馬場参考人 政府側の今の一ヵ月就労を二十日ないし二十一日という見方は、これは緊急失業対策事業に就労している、整理票を持っておられる方のみなし方であって、われわれが今申し上げたのは、やはり緊急失業対策の手帳を持っていながら、民間の業務、求人に働いておられる方々、あるいは当然緊急失業対策の手帳をもらい得る資格者であるにもかかわらず、先ほど申し上げにように、予算の僅少なるがために手帳が交付されないというようなそういう方々に対して、一時気まぐれ的な民間の手帳を、東京都の場合でも、約九千人からに対してマル民という、あぶれたときに保証も何もない手帳を交付しているわけです。これは地方は地方で、マル民という名前ではなくてマル外というような名称で、千葉県は千葉県で出しております。やはり鹿児島は鹿児島、四国は四国で空白のままに出したり、いろいろその県々によってマル民というものの扱いをしているわけです。そういう方をひっくるめて、当然やはり四万ないし五万の人たち、純然たる民間を中心として臨時的に働く人たちがそういう状況にあるということは、私どもとしては、ここにはっきり言い得るのではないか、こう思うわけであります。
  24. 山花秀雄

    ○山花委員 大体その仕事の性質が、政府馬場参考人の御答弁によってわかって参りました。  そこで、政府の方にお尋ねしたいのは、ただいま馬場参考人が陳述をなさったような内容を持った、一般にいう自由労働者あるいは日雇い労働者、これはこの保険の範囲内に入れないという方針でこの日雇い健康保険ができておるのかどうか、あるいはそれを入れるつもりでいたが、今言ったような事情で事実上受給資格がなくなっておる、こういうことに相なっておるのかどうか、この点一つ御説明願いたい。
  25. 久下勝次

    ○久下政府委員 日雇い健康保険法によりますと、前二ヵ月二十八日分の保険料が納付されることが、受給要件になっております。そこで、現行の法律の規定の中には、二ヵ月を通じて二十八枚の印紙を張る。すなわち二十八日以上の就労の見込みのない方は、その申し出によりまして、日雇い健康保険法の被保険者にならないでもよろしい、こういう規定があるわけでございます。  なお、念のために申し上げますけれども、私ども保険財政を考えて参ります場合には、財政基礎といたしましては、平均して月二十日分の保険料が納められるということを前提にして収入を組んでおるわけでございます。そういう点も関連がございますので、それ以下である月平均十四枚の印紙が張り得る見込みのない方は、法律の規定によって、被保険者から強制適用を免れ得るようにしたわけでございます。
  26. 山花秀雄

    ○山花委員 もう一点お尋ねしたいのですが、ただいま政府委員の説明によりますと、加入の選択自由というような形、一応そういうように私の方では受け取れたのでありますが、緊急失対事業に働く一般的な、登録労働者といっておりますが、登録労働者の場合には、これはいつの場合でも、ほかの問題に関連して政府質疑を重ねておりましても、東京あたりは二十四、五日、全国平均は二十一日、どんな内容のところでも十四、五日は下らない、こう政府当局は答弁をなさっておられるのです。そうすると、これは全員が一応加入できるということに相なるわけでありますが、そこで問題になりますのは、ただいま馬場参考人から言われました俗にいうマル民であるとか、あるいはマル外であるとか、こういう労働者扱いを、単に本人が加入しなくてよいということであれば、これはそれでよろしいというふうに扱ってよいかどうかこいう点であります。事実上入りたくても、十二日とかあるいは十日くらいでは、保険金のかけ損になるような結果にも相なるしまたかけ損になるようだったら、むしろ入らない方がましだということにも相なるだろうと思うのです。そこでこの問題は、健康保険法を作った根本的な精神から考えますと、どうもそういうような措置は私はよろしくないと思うのですが、これらの点に関して、もう一度一つ馬場参考人あるいは保険局長の方から説明を願いたいと思います。
  27. 馬場大静

    馬場参考人 私は健康保険法の制定を見られた原因というのは、これは厚生省で日雇い労働者の就労実態を現実に調査なされてやられた健康保険の制定ではなかった、こう思うのです。それは、マッカーサーが日本の政治機構に采配を振っておった当時、失業保険法が制定されようとしたときに、われわれはあくまでも、まず待期間をなくして今日あぶれたから今日くれというような絶叫をし続けたわけです。ところが、これにもかかわらず、当時の失業保険課長であった、前基準局長でありました労働省の亀井氏が、あくまでもこの面についてはマッカサーの方のきつい指令である、何とかしてこれを実行に移さなければならぬというようなこともありまして、これに対しましてわれわれは極力反対をして、当時安定局長であった現在の事務次官斎藤氏にも、納得するようにわれわれは強硬に申し入れ、あるいは当時の労働大臣にも強硬に交渉したのでありますが、当時労働省としては、GHQに、この失業保険法制定に当ってお百度を踏んでおったわけです。しかし、われわれがどうしても納得しないために、最後の段階においては、私自身のGHQの七階まで連れていって、当時のキレン課長、コレットに私を面談せしめた。その席上には、失業保険課長であった、その失業保険の制定を見た原稿をでっち上げた亀井氏もそばにつき添って、キレン、コレット相手に、私は、敗戦国の国民に対する社会保障のやり方、あるいは戦勝国であるアメリカがもしこれをやろうとする場合の方法論等について、三時間にわたって、結論を出すためにやったのでありますが、最後にアメリカの方のコレット、キレン課長から出た言葉は、これは吉田茂がやるのじゃない、日本のこの土地に社会保障というものがあまり見られない、たからアメリカが先ず第一回として、英国の社会保障制度に見習って第一歩を踏み込むためにこれを実施するのであるから、いいか悪いかは別として、一応やってみた上で、ほんとうに二、三ヵ月か六ヵ月のうちにおいて、これか悪いとするならば何とか改正もしようというようなことで、あれは一方的に、強硬に実施されたのです。ところが、これがはからずも、待期間の問題については、一日かそこら短縮されたようにも思いますが、やはり健康保険を制定するに当ってわれわれが厚生省にきつく要望したのは、現在の失業保険法に右へ並えのやり方ではまことに困る、だから健康保険法を制定するならば、やはり健康保険法独自の立場で、失業保険法というものを見習わない独自の、われわれの現状を察知した健康保険法を制定してもらいたいということで、われわれは相当強硬に申し入れた事実を持っていると思うのです。ところが、これについては何ら調査もされないで、いいか悪いかは別として、日雇い失業保険法に右へ並えでこしらえられた結果、こういう受給資格者の問題について、自分の国の方として、健康保険料がかけられる者だけを対象として、利潤の上らない、政府が損をするようなものは対象としないということでは、これは社会保障という言辞を弄する必要は、私はむろんここには成り立ってこないと思う。だから、やはり救われない者を救おうとするところに、社会保障制度というものの立法が必要になると私は思うのでありますが、健康保険法の制定に当っては、特に私は、救われない者を救ってやろうというところに意義深い気持を持たれて、やはり受給資格者となり得ない——二ヵ月を通じて二十八枚を張れないというならば、一体何枚張れば受給資格者となれるかということを検討していただきたい。そうして一番最低の、一番の難関になっている人たちを救うために、その面の努力を払っていただきたいということを、私たちは日雇い労働者立場から切望したい、こう思っておるのであります。
  28. 中村三之丞

    中村委員長 久下政府委員、答弁ありますか。
  29. 久下勝次

    ○久下政府委員 私から実情を申し上げまして、お答えにかえたいと思います。  ただいま御指摘のありましたように、この日雇労働者健康保険法を出発させるに当りまして、実は私どもが一番悩みといたしましたのは、率直に申し上げて、資料が不十分だったことであります。この点は率直に認めます。しかしながら、私どもとしては、あらゆる角度から、内閣の統計その他労働省の実績など、すべての点からいろいろな資料を収集いたしまして、そして最初に原案を作成いたしたような次第でございます。一番問題だった資料がございませんでしたのは、日雇い労働者という特殊な就労状態にあります方々の疾病の状況でございます。これは実は率直に申し上げまして、ほとんど資料がなかったといっていいような実情でございました。  それにいたしましても、ものの考え方といたしましては、やはり一般の社会保険という建前からこの制度を考えていきまする場合には、失業保険にならってはいかぬという御指摘が今ありましたけれども、私ども考え方としては、やはり保険給付に必要な費用は、若干の一定率の国庫の負担は当然必要であるにいたしましても、給付実態に必要な費用は、保険料をもってまかなうべき性格のものである、こういう前提に立ちましていろいろ計算をはじきました。そうした上で、当初の政府の案というのが一応まとまったのでございますが、はなはだ遺憾ながら、私どもの当初の希望のように、国庫の負担というものが、先ほど来御指摘がありましたように、確かに最初の案では実現がなくて保険料だけでまかなっていくという健康保険的な考え方だけが、政府としては取り入れられたような格好になったのでございます。  そのときに、私どもとしては、実はこの問題につきましては、ほんとうに深刻に考えたのでございます。先ほど社会保障制度審議会の答申等のお話もございましたけれども、果してこういうものでやる方がいいかどうかというようなことも、実は十分検討もし、現実にその当時私どもが判断、措置に迷っておりまする時分に、日雇い労働者の代表の方々が厚生大臣の部屋にお見えになったこともあったのであります。その際も、あからさまにこの点は申し上げまして、今この制度を、この形においてでも出発した方がいいかどうか。実は私どもは、一度こういう形で出発しておくと、いろいろな御批評が出て参るので、漸次これを改善していくというためには、この程度のものでも発足させておく方がよろしいのではなかろうかということで、一部の関係者ではございましたけれども、そうしてもらいたいというお話もあったので、当時出発をしたのであります。しかしながら、いよいよふたをあけてみますと、ただいま参考人からのお話もございましたように、相当強い反対、こんなものなら返上するというような御批判もいただいております。私どもとしては、そういういろいろな御批判に対しましては、とにかくこの問題は漸次改善をして参る所存であります、われわれの努力と、皆さんの御協力を期待をいたしましてやりますからというようなことを申し上げて、とりあえず現状のような実態に立ち至ったような次第でございます。私どもは、率直に申しまして、決して現実の実態でいいということは、どこに対しても申しておらないのであります。漸進的に改善していくという態度で、この問題に臨んでおるつもりでございます。従いまして、この制度の立て方といたしましては、先ほど財政的な問題も申し上げましたが、あれこれひっかかりもございますので、問題点はまだまだあろうかと存じます。ことに問題は、受給要件を満たし得ないような人——今のお話は、受給要件をどうきめるかという問題にかかってくるのでありまして、かりにこれを十日にいたしましても、それでは八日、九日の人はどうするかという問題が、必ず次に起ってくる問題であります。この辺は、議論としては次々に起って参ります。一般の資料もございませんし、一応国の制度として失業保険の制度が前二ヵ月二十八日ということが受給の要件になっておりますので、これをとりまして財政計算をいたしましたところ、それが成り立っていきそうだというので、現在の制度をとっておりますような実情でございます。
  30. 山花秀雄

    ○山花委員 最後に一言だけ、やはり審議の参考としてお伺いをしたいと思うのでありますが、先ほど馬場参考人の方から、マル民あるいは外その他いろいろと実情をお話しになりました。そこで、政府委員にお尋ねいたしましたところが、政府委員としては、大体二十日、二十一日の就労がある。そこでさらにお尋ねいたしましたところが、これは緊急失対事業の関係である。そうなりますと、馬場参考人の言われた業種と、政府委員がお考えになりお答えになった業種とは違うという点だけは、一応はっきりしたのであります。  そこで、なおお尋ねしたいことは、馬場参考人が言われた芝浦の職場、あるいはマル船、マル外その他特別の、職安の窓口において取扱いをしておるこれらの、率直に言って自由労働者の諸君が、馬場参考人の言われたような実態であるかどうかということを、政府としては御確認を願えるものであるかどうか。あるいは馬場参考人の言われた点は、政府としてはまだ疑義がある、どうもあやふやだというふうにお考えになるかどうか。これはわれわれの今後の審議の参考にしたいと思いますので、一応その点を政府委員の方から明らかにしていただきたいと思います。
  31. 久下勝次

    ○久下政府委員 私どもといたしましては、実は就労日数につきまして、厚生省だけで特別な調査をいたしておりませんので、ただいま馬場参考人が引例をされました芝浦の実情というものを、否定する資料はございません。
  32. 山花秀雄

    ○山花委員 私は、かようなことがあろうと思いまして、特に健康保険の問題は所管が厚生省になっておりますが、単に厚生省だけの政府委員では、質疑を重ねる場合に非常に不便を来たすというような観点から、委員会が始まる前に、特に登録労働者、自由労働者に関係の深い労働省職安局長の出席を求めていたのであります。今、厚生省の関係で、その点がはっきりわからない、こういう御答弁がございましたが、こういうことになろうと思って、私は職安局長の出席をお願いしておいたのです。これは一体どうなったのでしょうか、一つ委員長の方から確かめていただきたいと思います。
  33. 中村三之丞

    中村委員長 お答えします。局長は大蔵省へ行っておりますが、失業対策課長は来るという返事であったのです。
  34. 山花秀雄

    ○山花委員 ちょっと他の委員質問があるそうでありますから、そのうちに来られたらお尋ねいたしますが、来られなければ、時間の都合もありますので、今後一つ厳重に委員長の方から申し入れをしていただきたいと思います。
  35. 中村三之丞

    中村委員長 受田新吉君。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 お三人の参考人の方の御意見を拝聴いたしまして特に考えを深くいたしましたことは、安定した職務に従事しておられない方々にとられては、健康上の不学が非常に大きいということ、ことに血を売ったり、もしくは売薬等によってその当面を糊塗したりするような気の毒な方が、ことさらに多いという実情を伺ったわけであります。従って、例の健康保険法でよくうたってある業務外の負傷であるとか、死亡ということが、その勤務中以外に行われる公算が特に多いと思います。従ってそうした業務に基く死亡負傷と異なって、保護を受けることの非常に少い業務以外の負傷とか、疾病、死亡とかいうことを多く受けられる日雇い労務者の方々におかれましては、そうした健康上の不安に対して、あるいは死亡した場合における不安に対して、皆さん御自身としてのお互いの仲間における団結その他による処理策というものについて、ずいぶん苦労しておられると思うのでありますが、そういう点について、常勤の労務者と比較して、健康上並びにそうした場合における不安定なる職務に従事される方々の特殊の事情を御説明いただけたらと思うのであります。
  37. 馬場大静

    馬場参考人 その点につきましては、実はこれは組合によっておのおの異なっておると思いますが、まず先ほど申されました勤務上のときにけがした場合には、当然労災という面でかかり得るのでありますが、それ以外に、要は病気をしたとか、あるいは自分の個人的の事故でやったという場合においては、組合々々によって毎月十円の掛金、あるいは毎月十円の共済会費というようなものを集めて、それによって本人が死亡した場合は二千円あるいは千円、あるいは五百円というような形のものもあり、あるいはけがをして週間も休んでおれば、その組合のいわば共済会的な内部から五百円なり、あるい一日幾らというような日割で出すというような方法が、全部にとられておるという意味ではなく、そういう組合も現在はあるわけでありまして、ほんとうに全組織にそういうことがとられておるということはありませんが、組合員の就労面あるいは個々の人の賃金、いろいろな面において、そういう形がとられておるということ以外に申し上げられない点であります。
  38. 受田新吉

    ○受田委員 安定した労務に従事しておられないという点における不利を是正するためにも、日雇い労務者の方々に対する健康保険に対しては、特に保護規定を強化しなければならぬというようなわれわれ感じも持っておるのであります。  もう一つお尋ね申し上げておきたいことは、皆様の三つの組合において、その属する方々の中に、国家の公務に従事するとか、地方公共団体の公務に従事する方々を含んでおると思うのでありますが、そういう方々と、国家の失対その他地方公共団体の公務に従事される方々と、そういう公務に従事せられない方々との間における比重とか、あるいは差別的な取扱いとかいうものに、感ずかれるようなことはございますまいか。
  39. 馬場大静

    馬場参考人 その点が、先ほど厚生省のお方といろいろ談合を重ねた点だと思います。要は、この健康保険法を制定するにおいても、失業保険法を制定するにおいても、今の厚生省の方からの一番最初の見解からわれわれが感じを受けた点を申し上げると何だかかけられない人、資格者になれない人、そういう人は当然除外していかなければならぬというようなことのように受け取ったのでありますが、やはり政府が現在日雇い失業保険法を制定するに当っても、健康保険法を制定するに当っても、主として今の見解の発表によりますと、緊急失業対策に就労する者に重点を置いてやられることであって、しかも民間に中心を置いて、予算の僅少なるがために——予算の僅少なるということは、これは一方的にわれわれの方の責任じゃない、あくまでもこれは政治の貧困から来た結局政府の責任たるべき問題であると思います。それにもかかわらず、いわばマル民に就労のできないデフレ政策の今日において、民間の企業というものは一切次々に崩壊していく、それによって、失対に就労したいというのには、予算が僅少なるために、われわれの登録手帳も、当然資格者でありながらもらえない。しからば、どうされているかというと、一方的にもう少し待て、もう少し待てということの上において、先ほどから申し上げたように、マル民、マル外あるいは無登録のままに働かされて、しかもその無登録のままで民間を中心にして働いているという現状においては、一ヵ月を通じて一番就労率、求人者の多い芝浦を先ほどから申し上げたのでありますが、そういう地点においても十一日、十二日働くということはほんとうに困難であるというようなことから申し上げれば、やはりそこに今後のあり方として、対象にならない人は対象になってもらう必要はないというようなことを政府が言われるとするならば、一応頭の切りかえをしていただいて、そうして政治というものを進めていくためには、一番苦しい人たちを、いかに明るい生活の中に置いていくかということを根本に置いて、まず理事者側としてはその点をお考え願って法を進めていただかなければ、だんだんそこに差別待遇が深くなってくる、こういうような考え方を持つものであります。
  40. 唐沢平治

    ○唐沢参考人 今御質問のあった点ですが、私どもは、いわゆる本来的な自由労働者であります。ところが、職業安定所に建築労働者紹介能力があるかどうかということになりますと、それはもう全くゼロです。これはもう何の能力もない。従ってわれわれは、仕事を求める場合には、やはり非常に古い、封建的な仕組みの中で、頭を下げながら仕事を求めていくか、あるいは労働組合などの民主的な職業あっせん、あるいは労働者供給事業等を活用して仕事を求めていくか、そういうことになるわけです。もちろんわれわれとしては、後者の方をより拡大していこうという努力はしておりますけれども、いわゆる封建的な仕組みの中で非常に苦しんでおります。たとえば、天竜川あるいは高知県などでいろいろな堤防工事が行われる、建設省の仕事が始まる、そういう際でも、実際には、建設省の職員組合もありますけれども、そこでの雇用関係というのは、ところどころに相当ないわゆる親玉がいて、それに頭を下げて就労の機会を得ているというようなことで、先ほど御質問がありましたように、確かにそういう苦労をして、建設省なりその他の諸官庁の仕事、公共事業などへ就労しましてもやはり同じところで、まあまあ失業救済してやったのだというような程度の取扱いしか受けていない。公務員の人たちのいろいろな考え方の中で、日雇い健保や失業保険を適用しようという動きは漸次ありますけれども全国的に見れば、その例は非常にわずかである。依然として、二日、三日あるいは一週間あるいは一ヵ月、そういう短期間の中では、社会保険は何ら適用を受けていない、仕事が終ればそれでおしまいだ、こういうみじめな状態が続けられている。かといって、それじゃ、われわれの方に非常に強固な相互扶助の機関があるかというと、決してそうではなくて、依然としてそういう相互扶助の機関を設けて、何とかして自分たち病気や、けがの問題をもっと処理していくいろいろな対策が必要じゃないかということは考えていますけれども、もちろん自分たちだけの相互扶助というような形だけでは、どうにも解決がつかない。従って、どうしても建設労働者失業保険というようなものを一応最終目標として、やはり政府で、あるいは国会で、どんどんやってもらおうじゃないかという声が漸次強まりつつある、そういう実情でございます。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 国家公務員の共済組合法あるいは市町村の職員に対する同様の法律等の適用を受ける方々も、一部におられるわけですね。そういう人々の均衡というような問題も、考えられることになると思うのです。従って、いわゆる社会保険的な性格を持つものの中で、そうした国家の公務に従事する形、あるいは地方の公務に従事するような形のものと、しからざるものが差別的待遇を受けるということは、これはわれわれとしては、はなはだ忍びがたいことなんです。願わくばそういうところの不均衡を是正して、同等の国家の保護を受けることができるような形に、これを持っていかなければならぬと思っているのです。私はさっきからお話を伺っておりますと、今、日本で一番悲惨な生活状況にある方々は、日雇い労務の方々である。しかも生活保護の適用と日雇い労務の立場とを数えてみると、日雇い労務でかせげばかせぐほど生活保護の方が差し引かれるというような現状は、仕事に対する希望を失わしめることになる。これは非常に重大な問題だと思うので、皆さんの御苦労をしていただいている実態を十分つかんで、われわれ国会の審議の参考にしたいと思っているのです。  もう一つ、さっき唐沢さんからでしたが、手続の簡素化に触れて、受給資格証明書ですが、政府が、どんどん売りさばくようなものをもって差し繰っておるという危険が非常に多いということに対して、自分たちはさようなことはお互い慎しんでおるから、それはほかの一般の健康保険適用者と同様のなにがあるのだというようなお言葉があったと思うのですが、そこで受給資格証明がしばしば売りさばかれるということに対する政府側の御見解と、それから皆さん側の、そうしたものに対してはお互いが慎しみ合っており、また健保の場合においても同様なことが考えられておるのだから、差別をする必要はないという立場を、私お伺いしておきたいと思うのです。
  42. 唐沢平治

    ○唐沢参考人 先ほども申し上げましたように、私どもは、いろいろな要望がある中で、特に手続の簡素化については、至急にやっていただきたいということを熱望しているわけです。その必要性については、今さらくどくどと申し上げるまでもなく、できることであれば、今の健康保険でやっておりますように、ああいうものをいつも自分が持っておって、病気にかかった場合においては、それを持って医者に行けば、すぐかかれるということにしてもらいたい。これは最初からの要望ですが、厚生省の方はそれはできないというので、現在のああいう、病気になって社会保険出張所へかけ込むという仕組みになってしまった。それをもっと簡素化してくれというわれわれの要望の中で、やはりそこに何か不正があるのじゃないかというようなことを漏らしておる。従って、そういうことを簡素化すればするほど、不正問題というものがもっと拡大されるのじゃないか、こういうようなことを言っておることに対して、私どもとしては、ばかなことを言うな、そんなわれわれを信頼しないようなそういう態度については、絶対納得ができない、不正云々ということになれば、今の健保でもやろうと思えば幾らでもできるのだ、疑い出したら切りがないじゃないか、われわれだけがやるという根拠は全くない。むしろ、今病気になって証明書をもらってきておるという制度よりは、本人も扶養家族も一枚の紙に書いてあって、どんなときにでも、どこの医者にでもかかれるということによってやった方が、百歩を譲って不正という問題をとらえてみても、その方が不正防止になる、そのことを粘り強く政府当局に要望しておるのですが、わかっていただいておるかどうか、とにかくわれわれとしては、改正することが、かりに百歩を譲っても不正防止になり、被保険者も非常に便利、そういうことになって、ぜひやってもらいたいということを要望しておるところであります。
  43. 小島徹三

    小島委員 関連して。私、さっきから参考人意見を承わっているのですが、また同時に、先般あなた方からいただいた陳情書のようなものを拝見したのですが、どうも話が、生活保護というか、そういう事業と、健康保険を作っておるということと、観念がこんがらがっておるのじゃないかと思われるのです。たとえば、ほんの四、五日しか就労しない者に対しても健康保険を伸ばしていけ、範囲内に入れろというようなことになれば、健康保険の維持についてどうなるかというようなことも、考えてみなければならぬと思うのです。ことに、私がもう一つはっきりわからないのは、あなた方の御希望の中に、受給条件として二ヵ月の間に二十八日間、または六ヵ月の間に六十日間、こういうように選択のできるようにしろ、こうおっしゃっておるのですが、私は日雇い健康保険という建前からいうと、二ヵ月で二十八日ではるならば、六ヵ月にすれば一月十四日よりもたくさんの、少くとも一月十五日ぐらいの割合にしていくとか、最小限度六ヵ月八十四日にするというふうにしなければならぬと思うのです。実際そうでしょう。二ヵ月に月平均十四日ずつ働くということになると、二ヵ月に二十八日働いておれば健保の資格ができる、受給条件がある。六ヵ月に延ばすならば、むしろそのうちの一月か二月は十日しか働かなかった、しかし六ヵ月かかれば平均して月に十四日になったということで、非常に条件として緩和されておりますね、そうでしょう。それなのに、六ヵ月にした場合に、なぜ就労日数を六十日という短かいものにしなければならぬのか。むしろ二ヵ月の日数は月平均の方が少くて、六ヵ月の方が多くなるということでなければ、健保という建前からいったら成り立たぬと思うのです。六ヵ月を六十日にするということは、むしろ保護的な失業保険とか、あるいは生活保護——気の毒な人だから、六ヵ月のうちわずか六十日しか働けないような人間でも救ってやるという保護的な意味を入れて覆えていられるのじゃないか。日雇い健康保険をやっていくという考え方とは違ってくるのではないか。そういうあなた方の思想というものが、話の中にこんがらがっているのではないかと思うのです。少くとも二カ月二十八日間、もしくは六ヵ月六十日という線の間には、非常に違いがある、全く矛盾しているのではないかと思われるのですが、そうお考えになりませんか。
  44. 馬場大静

    馬場参考人 私たちが健康保険の制定をお願いしている観点は、一番最初から変っていないと思うのです。それは先ほど私が第一点として申し上げたように、日雇い労働者というものを、普通の工場労働者のように取り扱われたのでは、実際迷惑千万だというよりも、それだけの保証がされないということです。結局、私が第一点として申し上げたように、日雇い労働者は、常に失業者であるという観点から、これを特別な健康保険制度として、やはり保険法からいけば、国庫があまり負担をするということなく、ただ事務費だけを負担するということになるかもわかりませんが、日雇い労働者実態から見て、これが失業者であるという点を、まず第一に頭に持ってこしらえていただいたものならば、国庫負担というものは、当然そこに特別にでも多少ほかの健康保険と違った考え方が持たれていいと思う。ところが、初めからほかの健康保険と同じような頭でこれがこしらえられたところに、やはりわれわれの生活実態、就労の実態を無視した健康保険が行われているから、結局適用上、受給資格者になれない人は振り落していけどいいというようなことになってくると思うのです。保険法の立場からいけば、当然お互いに掛金をかけ合って保険法を実施していくというのが、保険法の立場かもわかりませんが、日雇い労働者は、特別に違うのです。就労率が違うということは、結局職にありつくべく毎日職安に行ってみても職がない、これはいわば政治の貧困からくる問題であって、われわれの責任ではないと思う。私は政治論を申し上げるのではないのですが、これは当然戦争の犠牲者であり、あるいはデフレをなさって、今日の日本の情勢にさからった政治をされているところに、中小企業はどんどん崩壊していく。しかして、それが崩壊していく糸になっているものは何であるかというと、やはり雇用されている労働者であるということになれば、いかに職安が月間を通じて求人開拓をしても、求人の開拓どころではなく、失職がどんどんふえていく一方で、何らそこが明るくなってこないということです。
  45. 小島徹三

    小島委員 今のお話を聞いて、大体わかりましたが、日雇い健康保険というものと、その他のいろいろな健康保険との間に矛盾したものができてしまって、これを将来統一することがむずかしくなるというふうに持っていったのでは、私は日雇い健康保険を作るとまのあの政府の若しみというものが、またここに出てくると思うのです。だから、就労日数を月平均十日にするとか十二日にするとかいう問題とこれとは、また別な問題でして考えなければならないことであって、二ヵ月二十八日にして、一方において六ヵ月六十日にするということは、大きな矛盾があると思われるのです。だから、参考人の言われるように、これはあくまで救済だ、保険法に基く救済ではなくて、別の意味から国庫が全部でも負担していかなければならないところの救済方法だという考え方であるならば、この日雇い健康保険法というものは、考え直さなければならぬことになってくるのです。そうは思いませんか。
  46. 馬場大静

    馬場参考人 いや、それは私たちとしては思わないわけです。あくまでも先ほど申した六ヵ月間において六十日ということは、ここで一部の改正をなされようとするならば、すでに今までに矛盾があるわけです。二ヵ月を通じて二十八枚ということは、これは一方において緊急失業対策事業に就労する者だけを観点に置いた——観点に置いたということは、政府の方にいわば掛金の入ってくるものだけを対象としたことであって、いわば、これによって何らかの形において拡大して幅広く救い上げよう、あるいは健康保険というもの、保険法というものを幅広く実施しようというような観点はみじんも見られない。結局資本をおろせば、あくまでも損をしないような資本をおろしたいというような、政府のやらずぶったぐり的な健康保険法の制定であったと思う。そこで、ここで一部の改正を行なってもらうとするならば、当然今までの間違った点をこの際是正してもらうためには、六ヵ月を通じて六十日に、いわば下げてもらう、対象者の多くなるような方法をとってもらうことか必要だと思う。今までの二ヵ月を通して二十八枚ということになれば、だんだん苦しみの中に追い込まれていくような形に、われわれしとては受け取らざるを得ないわけです。この際一部の改正を行なっていただくならば、どうしても結局は、救済法というよりも、保険法ではあるのだけれども、特別な保険法としてこれを一つ運営していってもらいたい、法の制定をしていただきたいという、いわば要望を持っているわけです。
  47. 中村三之丞

    中村委員長 山花君、失業対策課長の村上君が来ておりますが、御質問なさいますか。  では、もう一ぺん繰り返していただきます。
  48. 山花秀雄

    ○山花委員 健康保健の問題であるけれども日雇いの関係にも関連する問題であるから、労働省職安関係の方の御出席をお願いしておったのですが、本来ならば、これは私がお願いしなくても、今日日雇い健康保険参考人の陳述があるということがわかっておるのでございますから、役所としては、進んで来て、これらの実態をよく把握してもらうのが、役所の務めであろうと考えておるのであります。質疑をかわしております途中におきまして、厚生省の関係ではなかなかわからないという点が出て参りましたので、労働省の方がおいでにならなけれれば、時間の関係でやむを得ないと思いましたが、労働省の方もおいでになりましたので申しますが、問題の要点は次のような点であります。  馬場参考人から述べられた意見の中で、芝浦の職場を取り上げまして、ここの職場では、半年間の平均就労日数が、多い月でも十二日くらい、少い月には七日か八日ぐらいしかない、平均すれば大体十日前後に相なるような陳述がございました。そういたしますと、ただいまの日雇い健康保険では、全部受給の権利がないということに相なるのであります。そこで、政府側の意見は、馬場参考人の言っていることが確認できるかどうか、こういう問いに対しまして、厚生当局の方では、緊急失対事業に関連する労働者は、おおむね二十日か二十一日は必ず仕事が出ておるのだから、馬場参考人の言うようなことは、まあ当らないというような意味の御回答がございました。緊急失対事業の関係は、政府は常に二十一日就労平均といっておりますから、東京では二十四、五日、あるいは、ないところでも十四、五日は必ずありますから、これは一応常識的に見て、受給の資格は全部あるといえるのでありますが、その点ではっきりわかりましたのは、馬場参考人が言われておることは、マル外であるとか——これは千葉でそういう扱いをしておるそうです。東京でもマル民であるとかマル船であるとかいう扱いをしておる。あるいは登録手帳を出してなくても、便宜的措置としていろいろ扱いをしておる。一般的にいえば、緊急失対の方の登録労働者といえば、他の面においては、自由労働者という表現が当てはまっておりますが、そういう自由労働者の面においては、十日前後しかないという馬場参考人意見が、政府としては確認できるかどうかという問いに対して、私は厚生省の関係だから、おもに資料は労働省の方から出ておるので、その点はわかりませんという厚生当局の答弁でございましたので、労働省職安関係の方においでを願って、ただいま馬場参考人の言われていることは確認できるかどうか。これはこの法案を審議する重要な参考になると思いますので、ただいま小島委員馬場参考人との若干意見の取り合いもございましたが、この点もやはり関係があると思いますので、はっきり聞いておきたいと思います。
  49. 村上茂利

    ○村上説明員 お答えいたしますその前に、大へん出席が遅延いたしまして申しわけなく存じております。本日は土曜でございますので、関係省との間に何としても取りきめねばならない用務がございまして、それと参議院の法務委員会がございましたような関係で、大へんおくれましたことをおわび申し上げます。  ただいまの御質疑の点でございますが、労働省といたしましては、全国平均二十一日の就労を確保するという原則に立ちましてやっておるのでございますが、大体二十一日という実績は出ております。各府県によりまして、多少のでこぼこはございますけれども、そう極端な出入りはございません、大体三十一日の線が守られておるという見方をいたしております。ただ、問題になりましたいわゆるマル民——これは民間に紹介するのを専門とする、こういう意味でマル民という扱いをしておる安定所がございますが、そういった方たにつきましては、たとえば港湾荷役を専門としておるマル民の方々が、船が入ってこないために一時的にあぶれが多くなるという現象、あるいは公共事業の施行の関係で、本年度に入りましてから、暫定予算の関係もございまして、公共事業が予期のごとく出なかった、そのために公共事業に主として出ているマル民の方々が、若干就労日数が低下したという事実を、私どもも承知いたしております。ただ問題は、健康保険の建前から見ての就労日数の御議論になりますと、一時的な現象をもって一年中の動向を把握することは困難かとも存じますが、本年度に入りましてから、いわゆるマル民の関係で就労日数が若干低下しておるという事実はございます。
  50. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいまの労働省の方の回答は、よくわかりました。参考人が陳述をなさるときにも、いていただけたら、もっとはっきりした回答ができたと思います。参考人の陳述を聞いておりませんから、ちょっとちぐはぐな回答のように私は承わりておるのでありますが、参考人は芝浦の現場の最近の半年間の統計を中心に、最高の就労である、だから、全国でかような職場で芝浦を越えるようなところはない、こういう前置きで、最近半年間の統計を中心にずっと言っておられたのであります。  そこで、労働省職安関係としては、馬場参考人の言う事態が、大体間違いがないのかあるのか、この一点だけお聞きしたいと思うのであります。
  51. 村上茂利

    ○村上説明員 先ほど私がお答えいたしましたのは、ごく最近において就労日数が低下しておる事実があるということを申し上げたのですが、問題は、年間を通じて見ました場合に、そういう著しい就労低下があるかどうかという問題ですが、今資料がここにありますので、すぐ申し上げますから、ちょっとお待ち願いたいと思います。
  52. 久下勝次

    ○久下政府委員 先ほどの就労実態につきましては、お答え申し上げた通りなのでございますが、こういう資料がございますので、御参考までに簡単に申し上げます。  私どもといたしましては、昨年の八月末現在におきまして、全国の都市のうち二十都市を調査の地域といたしまして、四千九百二十六人の被保険者手帳の所持者の実態調査をいたしたのでございます。これによりますと前二ヵ月を通じて二十八枚以上の印紙を張っておられる方は四千二百六十八人でございまして、全調査対象に対する比率は八六・六%でございます。二十七枚以下の人は一三・四%であります。これも直接のお答えにはなりませんけれども、御参考までに申し上げておきます。
  53. 村上茂利

    ○村上説明員 先ほどの御質問でございますが、一応労働省といたしまして大都市、中都市、小都市の区分をいたしまして抽出調査をいたした資料があるのでございます。これは昨年の十一月現在におきまして大都市、中都市、小都市と調査をしたのでございますが、大都市におきましては適格者が二一・一日、不適格者が一八・九日という数字が出ております。中都市におきましては、これは適格者と不適格者の細分はいたしておりませんが、二一・一日という数字が出ております。全体的に見ますと、就労日数は二十一日の線に近づいておりますが、ただ大ぜいの求職者の中には、就労日数のかなり低い人も間々ございます。御質問の趣旨は、健康保険に関連しての一般的な就労日数の問題だと存じますので、一般的に申しますならば、ただいまお答えいたしました通りの数字かと存じます。
  54. 山花秀雄

    ○山花委員 ちょっと厚生当局も労働当局の方も、私の質問の趣旨の概念に対して少し混乱があるのではないかと思うのでございます。私の尋ねておりますのは、馬場参考人が陳述いたしましたことで、今労働当局の方からの御答弁がございましたマル民のことであります。ただいま調査なさったのは、おそらく職安を通じて、一般的にいう登録労働者のことを御調査なさったのではないかと思いますが、その別ワクにある、一般的には自由労働者といいますか、また緊急失対事業のことを一般的に登録労働者と言っておりますが、この自由労働者の領域内における就労日数を、馬場参考人の言われたことで、妥当であるかどうかをお開きしておるのであります。
  55. 村上茂利

    ○村上説明員 部分的には、就労日数の著しく低いのがございます。いわゆるマル民と言われる方々について、具体的に数字を申し上げますと、就労日数が十五日から十九日までの人が、大都市では二二・九%、中都市では三一・五%、小都市では三六・三%、それから二十日から二十四日の人が、大都市では三二・七%、中都市では二一・五%、小都市では一五%、それから就労日数が二十五日から三十日までの、マル民と言われる方々ですが、大都市では二一・三%、中都市では九・八%、小都市では十三・八%ということになっておりまして、一体七〇%以上のものは十五日以上の就労を確保されておる、こういう形になっております。  それで、これは個人的に見ますと、就労日数の低い方もあります。それから職種によっても、低いという現象が生じてくるわけでございまして、マル民一般ということで問題を扱うには、ちょっと疑問があると思うのでございます。特に馬場参考人が言われましたのは、芝浦を中心かと思いますが、あそこのマル民は貨物船の出入によりまして、非常に影響があるようでございますので、そういった状況によって非常に低くなるということもあるわけでございます。
  56. 山花秀雄

    ○山花委員 時間も相当きておりますので、一応私はこれで質問をやめますが、ただいまの労働当局の御説明に、馬場参考人として何か御意見もあるだろうと思いますので、それを聞いて、私の質問はやめにしたいと思います。
  57. 馬場大静

    馬場参考人 今、労働省の方から言われた点は、これはやはりマル民の方の見解から途べられたと思いますが、これはなぜ一芝浦に例をとったかと申しますと、決して港湾労働がそこにあるから申し上げたのではなくて、港湾労働者を除いても、民間の求人が汐留日通とか、あるいは一般の国鉄なんかの日通、あるいは左官の手元あるいは荷車の運送店、こういうふうな大きく広がった一般の民間の求人の率からこれを統計された安定所当局の資料に基いて申し上げたことであって、実際のところ、ここに来るためにどろぼうをつかまえてなわをなうような昨日や今日の資料ではないとい思うのです。やはり十二月以降からの六ヵ月にわたって、しかも職安の所長に聞いても、われわれがまた日雇い労働者という観点から申し上げれば、われわれ日雇い労働者というものは、やはり現在マル民、マル外あるいは緊急失業対策の手帳を持っておる者を総括して、日雇い労働者という見方をわれわれとしては持っているわけです。そういう観点から申し上げれば、やはりその中で、政府があくまでも対象としているものは、緊急失業対策に働いている方々だけを対象として、あらゆる立法を作ろうとしていることであって、何らそこに政府の責任において手帳も交付しないでおき——法に基いてやるならば、当然手帳の交付をすべきであるにもかかわらず、手帳も交付しない。そうしてマル民、マル外というものを一時的に預けておいて、就労面は全然考慮にも入れないでこういう健康保険の立法を作ろうとか、あるいは失業保険法を作ったというところに矛盾があると思います。やはり国が日雇い独自の健保なりあるいは失業保険法なりを、一部でも改正されようとするならば、今までの間違った観点、あるいは見方の違った点、ただ緊急失業対策で就労しおる者だけの見方だけでなくて、やはりそのほかにこぼれておる何万かの人たちも含めた見方を総合しての観点に立った立法を、一つこさえてもらいたいというのが、実はわれわれの希望であります。その点からして、是か非でも今日とは申しませんが、今後の審議においては、あくまでもそういう人たちの面も十分考慮に入れて立法化されるように、ぜひお願いいたしたい、こう思うわけであります。
  58. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま馬場参考人の御説明によると、どろぼうをつかまえてなわをなうようなそういう形でここへ来たのではなくて、十分責任ある調査でここへやってきた。大体その資料の出どころが、職業安定所云々というようなことも一言っておられました。ところが、政府職安の調査の結果を、一応政府統計というような形でお述べになったと思います、両者の意見は相当に食い違っておりますので、その取捨選択は、私たち個人、議員としての立場でいたしますが、一応参考資料として政府からも、馬場参考人からも、今の点を書類で出していただければ、選択は私の方でいたしますから、そういう点について、一つお取り計らいを願いたいと思います。
  59. 中村三之丞

    中村委員長 山花君の御要求通りお願いいたします。     —————————————
  60. 中村三之丞

    中村委員長 別に他に御質問もないようでありますかう、この際小委員及び小委員長補欠選任の件についてお諮りいたします。  今九日小島徹三君が委員辞任せられたのに伴い、特需関係労働対策小委員及び小委員長に欠員を生じましたので、補欠選任を行いたいと存じますが、本日再び小島徹三君が委員に選任されましたので、同君を特需関係労働対策小委員及び小委員長委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中村三之丞

    中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は来る十二日(火)午前十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会