○江下政府
委員 今回の
改正案は、季節的
労働者を主体といたします短期保険者の受給期間を削減いたしますと同時に、長期の被保険者であったものに対しまして、給付期間の延長をはかっておるのでございます。これは季節的
労働者を主体とします短期被保険者の削減のみを問題にすべきではなく、私
どもとしましては、全体としてこの保険法の
改正を
考えておるわけでございます。
そこで、実はこの季節的な
労働者を主体といたします短期被保険者の問題でございますが、これはお話の
通り、一応表面的にはそういう給付日数の削減ということが言われると思うのでございますが、実際にこれを数字において見ますと、被保険者期間の六カ月から九カ月でありましたものの平均の受給日数を調べてみますと百十日でございます。今回私
どもの
考えておりますのは、これを九十日にする。百八十日が九十日に形式的には減ることになりますが、実際問題としましては、季節的な
労働者が主体となっております関係上、百八十日もらう者はほとんどないわけでございまして、みな季節的に、冬場働きに行けない場合だけ、その期間だけを彼らは失業保険によってまかなっておるのが
実態であります。そこで、現実には百十日という平均受給日数になっておりますので、そう大きな、これによっての打撃と申しますか、
混乱が起るということは、私
どもは
考えていないのでございます。
実はこのお話が出ましたので、前会も御答弁いたしたと思いますが、季節的に雇用される者というのは、本来
失業保険法の建前といたしましては、失業保険から除外される建前になっております。なぜ季節的に雇用される者を除外したのかと申しますと、これは毎年繰り返して失業保険をもらう、つまり一定の期間だけ働けば、必ずあと失業保険をもらうということになりますので、前々申し上げますように、
失業保険法本来の制度の趣旨から見まして、適当でないのであります。また保険法を初めに作りましたときの季節
労働者というのは、非常に短期のものが多くございまして、従って保険料のかけ捨てにもなる、こういう面も
考えて除外をいたしておったのでございます。ところが、だんだん経済
実態が大きく変って参りまして、最近は季節的に雇用される者というのが、非常に長期間働くようになって、しかもそれが毎年繰り返して失業保険をもらう、こういうことになってきたのでございます。
法律の字づらからいいますと、一応除外という建前に相なりますので、私
ども事務的にも、いろいろこの問題を検討いたしておるのでございますが、実際問題といたしましては、季節的に雇用される者とそうでない者との
限界というものは、なかなかむずかしいのでございます。たとえて申し上げますと、出かせぎに行く者でございましても、当初から私の方で業種を指定するというような形でもとらない限りは、困難なのでございます。たとえば北海道に土建に働きに行く人は季節的なものである、こういう指定をしなければならぬ。ところが現実には、これらの人の中でも、季節的に行く者と行かない者との差があるし、また当初は長くいるつもりであっても、半年ぐらいで帰ってくる人もある。雪が降ればやめるつもりであったのが、雪が降らなかったために一年中働いた。こういういろいろ雑多なものがございまして、ごく短期のものならば、これは季節的であるかどうかという
判定がつきますけれ
ども、そうでない長期のものにつきましては、季節的か季節的でないかという
判定は、実際問題としては安定所では困難でございます。しかしながら、大体におきまして毎年繰り返して出かせぎに行っておる、あるいは循環的に一定の人員が毎年繰り返して失業保険をもらっておる。私
どももよく耳にするのでございますが、都市等でも、ごく短期間だけ働いて失業保険をもらう、また短期間働く、こういうような
事情が相当多いというふうに私
ども聞いておるのでございます。こうい点から
考えまして、あれこれ
考え合せまして、今回の保険法の
改正におきましては、結局業種による区別ということは困難である、あくまでも期間によって調節をすることが妥当であろう、私
ども実はこういう
結論に達したのでございます。仰せのごとく、この中の短期間
労働者の一部には、先生の御心配のような点があるかとも思いますが、しかし、これらの
人たちに対しましては、これは申し上げるまでもなく、安定所におきまして職業
紹介活動を活発にいたしますとともに、政府の行なっております失業対策の各般の施設にこれを吸収していくということを、当然
考えていきたいと思っております。