○井堀
委員 はなはだ勝手で恐縮でございますが、実はわが党といたしましては、この
失業保険の
改正についてはきわめて重大な関心を持って、あるいは
法案に反対するかもしれぬという
考え方をとっておるのであります。それは、今までそれぞれ討議をされております過程でも、ある
程度明らかになつておりますが、この
失業保険の
改正の時期が、きわめて私は重大な時期にあるということであります。これは
政府の
提案説明の中にも明らかになっておりますように、一方では
鳩山内閣の
経済政策として、また
内閣全体の政格を表わす一般の
政策の中から判断いたしましても、たとえば
経済政策で、ここに明らかにされておるように、
緊縮政策を打ち出してきておる。しかも一兆円のワクの中でデフレ
政策を行おうということで、さらに一部でありますけれ
ども、
基本産業については企業の
合理化を行おう、こういう一連の
政策というものを、
日本のような労働力のきわめて過剰な、人口問題それ自身が大きな社会問題になろうとしておるときに、こういう
基本的な
政策がとられれば、これはどんなにつじつまを合せた
説明をしようとしても、現実は大きな
失業問題としてはんらんせざるを得なくなってくる。こういう乱暴きわまる見解で、この際
失業保険を
改正しようということについては、よほど
政府の意のあるところをただしておきませんと、われわれはこういう
法案に取り組めない、こういう意味で、実は御迷惑かと思いましたけれ
ども、一、二
お尋ねをいたしたいと思います。
そこで、デフレ
政策、
緊縮政策は、これはもう好む、好まないじゃありません、現在の自由主義
経済、資本主義
経済が遂行される限りにおいては、どうしても労働者に犠牲を強要することになることは、どんな有力な政治家が現われて手腕をふるいましても、落ちつくところはきまっておる。こういう点から、
先ほど倉石委員が
政府の見解をただしております際に、私は非常に重大な関心を持ちましたが、私も他の
委員会におきまして、同じ国務
大臣の経書長官にただしたのであります。それは、一番大事なことは、現在の
日本の労働力の実態をどういう工合に把握しておるかということ、それがどう推移していくかということ、しかもこの
内閣は、六ヶ年間の長期
経済計画というものを曲りなりにも発表しておる以上は、この中に、それぞれ納得のできる
説明が必要血のでありまして、この点を実は
お尋ねいたしまして、その答弁は速記にも明らかになっておりますが現在
日本の
失業対策の対象になる人口というものは、今の不徹底な
調査に基く
完全失業者をもって論議の対象にするということは、これは私は危険なことであると思うのです。それは、
先ほども御答弁の中にも明らかになり、私はむだを省きたいと思いますが、
倉石委員の質問で、
労働大臣が御答弁なされましたので、私は非常に不可解に思って
資料を調べてみました。
倉石委員は、
政府のと言いましたが、
労働省の出しております官報付録の五月二日付の中に、明らかにされておるのです。この
労働省の見方と経審長官の答弁とは、
数字の上に、かなり食い違いがあるようであります。経審長官は、
失業の対象として、
政策を盛る場合に
考えなければならぬことは、不完全労働もしくは潜在
失業といわれるようなこういう
労働人口の動きを正確に把握するのでなければならぬということを、正直に御答弁なさっておる。その
数字は一体どのくらいと見るべきかといことを、これは
立場こそ違え、政治を志す者としては、当然明らかにする義務があると思いまして、私の見解を述べ、経審長官の
考え方、
政府の見方をただしたのに対して、約一千万ないし八百万古いろものについては、私もこの
失業対策の対象にしなければならぬということは同感だということが、速記録をごらんになれば明らかにされておるわけです。もちろんこの一千万といい八百万という潜在もしくは不完全労働者が、どういろ性格で、どういう
数字になるかということの正確を期することは、
日本の現状においては、何人も困難だと思うのです。しかし政治的な問題を
政策の上に盛る場合において、これを把握することは必ずしも至難ではない、いろいろな
資料があるわけですから、経審長官もこういう答弁をなさったものと思う。現に
労働省は、私はさっき六百万と言いましたが、
労働省は
完全失業者六十数万、六百万に達するといわれる潜在
失業ということをここに明らかにして、しかもそれを
政策の
基本的な
内容にしておったのです。との論文を私は読まぬのですけれ
ども、これは
労働省の発行したものなんです。これは常識なんです。今日これを六百万というか八百万というか一千万に押えるかということは、
程度の相違だと思う。一番問題になりますのは、潜在
失業もしくは不完全労働、ことにその前提となっておりますのは、
日本産業の特徴であるといっておる家内労働者なんです。
昭和二十六年から二十八年の
日本の
労働人口の移動について、
労働省はここに責任ある
説明を加えた。これは私は過去の実績に基く
数字であるから、正しいと思う。こういうことを言っておるのであります。
日本の
労働人口の移動の中で、その
増加の実態は、
昭和二十六年から二十八年にかけ三百万に及んでいるが、その半数以上が家族従業者の
増加であって、就業労働力とはいっても近代的
雇用労働力ではない
——問題はここなんです。でありますから、単に潜在
失業、潜在
失業というのではなく、ここで
失業保険の
改正を行おうという場合に、その適用範囲を
拡大しようというねらいは確かにいいのですから、これをやらなければ
解決にならない。その場合に、こういう
情勢を見通しておるにもかかわらず、一体
日本の
産業構造といろものをどういう工合にごらんになっておるか、
政府の正確な
日本の
事業場の実態
調査の総理府
統計局の
資料に基きましても、これは
昭和二十六年のものしかまだできておらないのでありますが、二十六年のものを取り上げてみましても、五人未満の少数の従業員を
雇用しております
事業場は、製造業とそれから商業、すなわち現行法の適用になっております業種、七の業種のうちの五人未満の
事業場というものが、全体の八二・五%、すなわち全体で三百十九万八千余のうち、二百六十四万二千が五人未満の
事業場になっております。ここに
雇用されております労働者の数も、製造業だけで見ましても、四百八十四万人の多きに達しておるわけであります。これがこの
失業保険とは無
関係に置かれておるわけです。とういう問題に触れない失対改革なんていうものは何事だ。また
内容におきましても、他の
委員も指摘されましたが、この改悪にひとしい条項が出てきておる一体進歩か後退かわからない。こういう本質を論ずる大事な問題について、私は
政府の所見をただしておきたい。中小企業
対策に対して、一体
基本的なものがあるかについて、他の
委員会でただしてみたのでありますが、これは残念ながら、従来よりも一歩も出ていない。抜本的な
対策はないのでありますから、今後一番
失業のうき目を見るであろう、すなわち
緊縮政策なり、
合理化あるいは財政の引き締めなどによってこうむる一番大きな被害の
産業は、この零細企業並んです。これが結局今後失対
事業にはんらんして出てきたり、
失業保険がから回りしてくるわけでありますから、私は
政府が言っておりますように、抜本的改革がで透るとは思わないが、前進の姿をとってもらわなければほらぬ。
こういう根本的な点について、
政府の
考え方がどこにあるかをただすために、具体的に
お尋ねをいたしますが、まず第一に、
緊縮政策その他の一連の
政策が
予算案にも出てきましたから、
昭和三十
年度の
政府の大体の
方針はやや具体的になってきました。
失業増大は必至です。ことに、中小企業、零細企業に、
失業者が出ないという確信をあなた方はお持ちでありますか。
それから次に伺っておきたいのは、もうすでに駐留軍労働者の問題、あるいは特需労働についても、本
委員会でも特別
委員会を持ったくらいでありまして、現に大量
失業が出てくる。こういう目に見えた
失業増大があると同時に、一番目に見えない、しかも
日本産業の大きな動きを示すであろう零細企業、特に
日本の
経済の一番弱点であります、しかもそれがいろいろな意味合いにおいて
日本の
経済の大きなファクターを占めておりました中小企業、あるいは家族労働、こういうものを一体
失業対策の外に置いてお
考えになるのか、この際、多少でもそういうものを中に取り入れようというお
考え方があるか、まずこういう点に対する所見を伺いたいと思います。