○
八木(
一男)
委員 ただいま
大臣のお気持を拝聴いたしまして、非常に安心したわけでございます。お忙しいことはわかっておりますが、陳情に来る中には、重態な患者は来られないわけでございます。でございますから、こういうことを
一つ勘案していただきまして、ぜひ至急にその実態を調べていただきたいと思うのでございます。そしてもう
一つは、厚生事務
当局、特に
医務局長その他幹部の方々は、この問題についていろいろと御検討になってこの案を、この方向をお出しになったことと存じますけれ
ども、しかしながら、ほかの問題と違いまして、この問題は、
国立療養所の問題は、
厚生省自体が管理の一番頭に立っておるという
状態にございます。ですから、
厚生省所管のほかの美容師の問題、理容師の問題ではなくして
厚生省自体が所管の大将になっておられますので、その立場上、ほかの問題とは違って、管理者の立場でものを
考えられるというおそれがなきにしもあらずだと思うわけでございます。でございますから、特にその際におきまして、厚生
当局は、御自分の立場でものを判断してそれを押し切るのではなしに、その反対の立場にある
人たちの声を特別によく聞いていただいて御判断を願わないと、間違いが生ずるおそれがあると思うわけでございます。この点について、特に
大臣の御配慮を願いたいと思うわけでございます。
それから、
先ほど大臣の御答弁から拝見いたしたわけでございますが、実は私は最近まで
療養所に入院しておりまして、七本骨を切った経験を持っておるわけでございます。そこで、制約された時間てございますか、ごくわずかな時間で実情を
大臣に聞いていただきたいと思います。ただいま、たとえばこういうことをやることによって、
療養所の患者の
取扱いについて不十分な点がないというようなお
考えで御答弁になっておられると存じますけれ
ども、現在の
状態においても、非常に不十分な
状態にございます。そしてこの制度を実行されましたときは、さらに不十分な
状態になることは明らかでございます。その点につきましては、各政党の各
委員の方々が、昨日来ほんとうに熱心に御討議をしておられました。
厚生大臣は不幸にしておられませんでしたけれ
ども、もう一回速記録をお読み願いまして、その問題についてお
考え直しを願いたいのでございます。
療養所の実情におきましては、今手術を受けて再起を願う患者が、たまりにたまっております。その
人たちを一日も早く再起させて、人間としての生きがいのある生涯にさしてやろうという観点から、その手術をする医者、あるいはその看護婦が、今の定員の少い
状態において、自分の健康を犠牲にしながらも、その患者の手術に邁進して、その量を非常にたくさんやっておるわけでございます。でございますので、前線に立っておる医療当事者の努力は、実に涙ぐましいものがあるわけでございます。そのような
状態にございますので、やはり今の
療養所の中の患者に対するいろいろな看護その他は、そのような
状態と定員の少い
状態で、はなはだ不十分でございます。その点を辛うじてカバーしておるのがつき添い婦の諸君の、これもまた献身的な努力でございます。
先ほど医務局長の御答弁をいろいろ伺っておりましたけれ
ども、
療養所のつき添いの人は、労働条件その他でかたくなに
考えておるのではなくて、患者をなおそうという衷心からの親切な気持から渾身の努力を続けて、自分のからだの悪くなるのも忘れてやっておられるような
状況にあるということをどうかお心にとめていただきたいと存じます。昨日来、何かいろいろな手違いで、この医療券の切り方がどうこうという問題で、つき添い婦自体をいろいろとよいものでないという観点から
考えておられるような
状態があるやに承わりましたので、その
考え方を全然改めて、つき添い婦の言葉をあらためて聞いていただきたいと思うのでございます。そこで、今
大臣は、
療養所長の管理下にないので、はなはだ管理上不都合なことが起るということを言われましたけれ
ども、これは
大臣は厚生事務
当局から聞かれておるだけで、
大臣自体はその実態を把握しておられないと思います。私は自分の体験から判断いたしますときに、そういうことは毛頭ございません。つき添い婦は婦長の指揮下において、実に正しく動いております。またこのつき添い
婦制度を変えて、このような
状態になって、定数の少い
状態で不完全看護がさらにひどくなるような
状態では、事実患者の手術をもっとよくやるとか、重態の患者をどうするとかいうことに責任が持てないので、この問題には反対であるという
療養所の所長の
意見が多数にあるのでございます。
医務局長にお願いしたい点は、あるいは
療養所の所長その他の
意見も、いろいろヴェールがかぶさってあなた方のところに来るおそれがございますので、どうか胸襟を開いて、その点を
考えていただきたいと思うのでございます。そのような
意味におきまして、このつき添い婦が今やめになるということは、現在の不完全看護を、さらに不完全にする
状態になるということを、私は確信を持って言うわけでございます。ただ一人の患者の訴えでございますけれ
ども、今まで患者の声をなまに
厚生大臣はお聞きになっておられないと思います。私の言葉で不十分でございましたならば、重症患者に直接何回も聞かれて、その立場を
考えていただきたいのでございます。肺切除の手術をいたしましたときに、切除をいたしました場所で血が出てきまして、その中の血たんを出すのに工合が悪い。そのたんを出す努力をするのに、肺活量が半分以下、三分の一に減っているので、非常に苦しい。それを無理して出しましたときには、気管枝の断端を縫った糸がとれて、死に至るような危険性がある。そういうおそれにおののきながら、静かに一生懸命血たんを出そうという努力を患者がしているわけであります。そのたんがだんだんのどにまで来たときに、肺活量が少いために、そのたんがまた元に戻ってしまうわけでございます。そのようなときに、つき添い婦が舌のところに手を入れて、そのたんの端をつかまえて引きずり出すというようなことをやっているわけでございます。このようなことを、おそらく
厚生大臣は御存じにならないと思うわけでございます。それからまた喀血の患者は——喀血する患者ならば、どうにもしようがないからほっておくとお
考えになる方も、医
学者でない方にはあるかもしれませんけれ
ども、喀血したら、その血を全部はいてしまえば、命が助かるのであります。ところが肺活量が少いために、出かかった血を吸ってしまう、そこで首を締められたのと同じ窒息
状態になって死ぬ患者が多いのでございます。これは二つの事例だけでございますが、そのほかにもたくさんございます。そのような場合、すぐそばにつき添い婦がおらないときには、命にかかわるようなことが多々あるのでございます。厚生行政に熱心な
厚生大臣は決してあなたの行政の間違いで病人が死ぬようなことを欲しておられないと思われるわけでございます。皆さん、どうかその点で、よく調べて、この間違いを正していただきたいのでございます。
医務局長は、もちろん完全看護に至る道を切り開くために、熱心に御計画になったに違いありません。その良心は疑わないのでございますが、しかし
医務局長の見られる実態と患者の感じる実態、つき添い婦の感じる実態とは違うのでございます。その点について、
大臣も
医務局長も、その他の厚生
当局の方も、どうかもう一回このことをお
考え直しいただきたいのでございます。局長さんは、もし誤まりがあったら、それを元に戻すのにやぶさかでないと、
先ほどほかの
委員に対して御答弁なさいました。どうかその謙虚な、ほんとうにありがたい態度を維持していただきまして、もし間違いがあったら、即刻改めていただきたいのでございます。これをもしお知りになって強行されるときには——この問題が、医療制度の革新に燃えられたのではなくて、再軍備予算を強行するために、一兆円予算を強行するために、医療扶助の金を減らさなければならないという要件でこれをなさったものであるならば、その点について、それを打開していただきたいと思うのでございます。今までは、いいからこれをやるという御答弁が多かったわけでございましたが、私
どもは、そうではなくて、大蔵省とのやり合いにおいて、ずいぶん御努力はなさいましたが、
厚生省の御希望
通りのところまでいかなくて、生活保護費を減らさなければならないという立場のために、無理をして御答弁になっているような感じがするわけでございます。もし、そういうことがございましたならば、
厚生大臣も、自由党の方も民主党の方も、あるいは私
ども社会党の者も、この問題については、大いに関心を持って、何とかしてこのような逆転しないような方向に持っていきたいという
考えの方が多いようでございますので、議員が厚生
当局と一緒になりましたならば、大蔵省がそのことを拒否いたしましても、わずかな金額のこの問題は、協力した努力によって片がついて、そしてこの問題を前の
通りに戻す、あるいはほかの点でよくするということが可能であろうと思うわけでございます。
私
どもは想像を交えて申しましたけれ
ども、ほんとうの
意味で実態を見ていただいて、もしその点について誤まりであるということがお気づきになりましたならば、元へ戻していただきたいのでございます。私
どもは、それを攻撃いたそうとは思いません。しかし、一回きめたものを元に戻すという御努力は、非常にむずかしいものでございます。その御努力に対しては、満幅の敬意を払うものでございます。そして全力をあげて協力を誓うものでございます。どうか政党政派の立場を離れまして、患者の立場から、つき添い婦の立場から、そして看護婦、医者の立場から、元へ戻してもらいたいのでございます。
大へん激しまして恐縮でございましたが、その点につきましてお答えを願いたいと思います。