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1955-03-30 第22回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年三月三十日(水曜日) 午前十時二十九分
開議
出席委員
委員長
中村三之丞
君
理事
大石
武一
君
理事
中川
俊思君
理事
松岡 松平君
理事
大橋 武夫君
理事
山下
春江君
理事
山花
秀雄君
理事
吉川 兼光君 植村
武一
君 臼井 莊一君 亀山 孝一君
草野一郎平
君
小島
徹三
君
山本
利壽
君 横井
太郎
君 高橋 等君 中山 マサ君 八田 貞義君 岡本 隆一君 多
賀谷真稔
君 滝井 義高君
中村
英男君 長谷川 保君
横錢
重吉君
堂森
芳夫君
山口シヅエ
君
山下
榮二君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君 労 働 大 臣
西田
隆男君
出席政府委員
通商産業政務次
官 島村
一郎
君
通商産業事務官
(
軽工業局長
)
吉岡千代
三君
労働政務次官
高瀬 傳君
委員外
の
出席者
労働事務官
(
労政局長
)
中西
實君 参 考 人 (
アルコール専
売労働組合執行
委員長
)
鶴岡
信親
君 参 考 人 (
アルコール専
売労働組合書記
長)
青木金治郎
君 専 門 員 川井
章知
君 専 門 員
引地亮太郎
君 専 門 員
山本
正世君 専 門 員
濱口金一郎
君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
委員派遣
に関する件
公共企業体等労働関係法
第十六条第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件(
内閣提出
、
議決
第一号)
労働行政
に関する件
厚生行政
に関する件 —————————————
中村三之丞
1
○
中村委員長
これより
会議
を開きます。
公共企業体等労働関係法
第十六条第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件を議題とし審査を進めます。
本件
に関しましては、前回の
委員会
におきまして、
参考人
より
意見
を聴取することに決し、その選定に関しましては、
委員長
に一任という形になっておりますが、
理事
の
方々
と
協議
いたしました結果、
公共企業体等仲裁委員会
の
委員長
及び
アルコール専売労働組合
の
委員長
と
書記長
に
出席
を願うことといたしました
ところ
、
仲裁委員長
及び
委員
は、本日やむを得ざる用事のために
出席
できないとの返事が、ございました。よって
アルコール専売労働組合
の
委員長
及び
書記長
のみが
出席
されております。以上御了承をお願いいたします。 この際
参考人
に一言、ごあいさつを申し上げます。
参考人
の諸君には、ご多忙中御
出席
下さいまして、
委員会
を代表してここにお礼を申し上げておきます。 それでは、まず
参考人
の方より、この
裁定
に至ったまでの
経過
その他について御
説明
を願したいと存じます。
参考人アルコール専売労働組合品中央執行委員長鶴岡信親
君。
鶴岡信親
2
○
鶴岡参考人
私は
アルコール専売労働組合中央執行委員長
の
鶴岡
でございます。本
委員会
におきまして、私
ども
の
仲裁裁定
の御
審議
をわずらわしていただいたことを深く感謝する次第でございます。 趣旨を御
説明
する前に、私
ども
の
組合
の
現況
を御
説明
申し上げます。
アルコール専売労働組合
は、通商産業省の
アルコール専売事業特別会計
に従事する千四百名余りの
職員
をもって構成されておりまして、
昭和
二十八年一月、
公労法
の
適用
によって発足したのであります。
工場
、
事業所
、
通産局
、こういった三十四に上ります
事業所
をもちまして、
全国
に分布しております。
組合
は、結成以来いまだ日も浅く、
全国組織
の
単一組合
として、特に
公労法
の
精神
にのっとりまして、
公共事業
の意義を体して、終始一貫
合法的活動
をモットーとして運営してきているのであります。 〔
委員長退席
、
山花委員長代理着席
〕 それでは
本件仲裁裁定
の
経過
を概略申し上げますと、
組合
は昨年の二月二十三日、
通商産業大臣
に対しまして、
東京通商産業局磐田アルコール工場
、
福岡通産局相知工場
及び
四国通産局アルコール課
に勤務する
職員
の
勤務地手当
の
現行
の
一級地
を二
級地
に、
東京通産局新潟事務所
は二
級地
を三
級地
にそれぞれ引き上げ、また
福岡通産局
の
肥後大津工場
、
出水工場
、
小林工場
、それから
四国通産局近永工場
は新たに
勤務地手当
を、すなわち
一級地
を支給せられるよう
要求書
を出したのでございます。数回の
団体交渉
を行いましたが
当局側
は、
予算
上実行不可能であるという
正式回答
を三月三十一日に出したのでございます。 そこで
組合
はそれぞれの
事業場
のあります
福岡地方調停委員会
、
東京地方調停委員会
、
高松地方調停委員会
にそれぞれ
調停申請
を行なったのて、あります。この
申請
に対しまして、
福岡地方調停委員会
は八月二十四日に八月一日より
実施
、
東京
は八月三十日に四月一日より
実施
、また
高松
は八月二十一日四月一日より
実施
という
調停案
が提示これたのであります。 この
調停案
に対しまして、私
たち組
は各
委員会
に対しまして、九月十三日に受諾するという
回答
を出したのでありますが、
当局側
は、
団体交渉
のときと同じような
理由
、つまり
予算
上
実施
不可能であるからという
理由
で、受諾しないという
回答書
を、
東京
と
高松
の
地方調停委員会
には九月二十三日、また
福岡
の
地方調停委員会
には十月五日に出したのであります。 私
たち組合
としましてはこの
紛争状態
の
解決方法
としまして、
公労法
第三十四条第二項の
規定
によりまして、
公共企業体等仲裁委員会
に対しまして昨年十一月十六日に
仲裁裁定申請
を行なったわけであります。 この
申請
に対しまして、本年一月二十九日に至りまして
福岡
の
相知工場
を除いた七
事業所
につきましては、それぞれ
現行級地
より
一級地
引き上げることが認められたのであります。以上の
経過
をたどりまして、今回
公労法
第十六条によりまして、
国会
の御
審議
をわずらわした次第でございます。 この
裁定
の
内容
は、
昭和
二十九
年度
におきましては、
成立予算
の
範囲
内で
両者
が
協議
し、また
昭和
三十
年度
につきましては、これが
完全実施
が示されていることは御
承知
の
通り
であります。
合法手段
による
解決
を要望する私
たち組合
の唯一のまた
最終
の
解決方法
である
仲裁裁定
でありますので、どうか
国会
の名におきまして、この
仲裁裁定
が、三十
年度
はもちろん、二十九
年度
におきましても
実施
できますよう、御
審議
をお願いする次第であります。 なお、当
委員会
の
審議
に必要と思われます
細部
の御
説明
を、
青木書記長
より御
説明
させていただきたいと思います。
山花秀雄
3
○
山花委員長代理
次に
アルコール専売労働組合書記長青木金治郎
君にお願いたします。
青木金治郎
4
○
青木参考人
私は
アルコール専売労働組合
の
青木書記長
でございます。たいま
委員長
から申し上げましたように、私は本日の
委員会
におきまして、御
審議
をいただきますにつきまして、必要と思われます
細部
の点につきまして、多少御
説明
させていただきたいと思うわけであります。 まず第一点は、この
仲裁裁定
の
実施
に必要な
経費
の額でございます。これにつきましては、むしろ
当局側
で発表いたされております数字がございますので、それを申し上げた方が御納得いくかと思いますからこれを申し上げますと、
裁定
の
実施
に必要な
資金
の額は、
公労法適用職員
、すなわち
組合員
の分といたしましては月四十三万三千九十五円でございます。それから
公労法
非
適用職員
すなわち
管理職員
と申しておりますが、この分といたしましては三万二千七百四十五円、この
両者
を合わせまして、
総計月額
といたしまして四十六万五千八百四十円であります。すなわち
裁定実施
に必要な額は月約四十六万円ということであります。これで参りますと、
年間
にいたしましても約五百五十二万円
程度
に相なるかと思います。この
程度
のものは、
当局側
もたびたび申されております
通り
、
会計
上大した負担に相なることでもございません。今回
国会
に
議決
を求められふした
理由
は、ただ
明年度予算
にその分の
経費
が計上されていないという点が、わざわざこのように
国会
の御
審議
を願わなければならなくなった原因であると私
ども
は了解をいたしているわけでございます。 それから第二に申し上げたいのは、この
裁定
と他
組合
との
関係
についてでございます。
勤務地手当
と申しますと、すぐ問題になりますのは、すなわち
一般公務員
との問題でございます。この
一般公務員
の例には、幾多の例外があるのでございまして特にそれは
公労法関係
についてでございますが、国鉄や
電通等
におきましては、
一般公務員
と全然別個の体系を持っているという
ところ
もございますし、また
造幣局
におきましては、これは
造幣
の
広島支局
でございますが、これは
昭和
二十八年の七月に
広島地方調停委員会
から
一般公務員
と異なった一級上の
調停案
が出されまして、
当局側
たる
大蔵省
はこれを受諾いたしまして、翌八月から現在まで
実施
し続けて参っているわけてございまするさらに
林野
におきましては、過去の五
段階制
当時で、ございましたが、これは
双方
の協約によりまして独自な
級地
の
指定
を行なった例もあるのでございます。こののように
一般公務員
より多少とも異なった
指定
を
団体交渉
で優遇的に協定した
ところ
もございます。また
調停案
を受諾して行なった
ところ
もございます。こういったほかの例もあるのに、
アルコール
のみが
団体交渉
で決裂し、また
調停案
も
組合
は受諾したのに。
官側
、か拒否してしまった。しかのみならず、
仲裁裁定
もかような事態に相なっているということについては、
継合
としてもまことに
当局側
に対しまして遺憾に存じている次第でございます。 なお、
一般公務員
との
関係
について申し上げますと、
仲裁裁定書
にも書いてあります
通り
、
当局側
は
仲裁委員会
におきまして、みずからこのように申しております。すなわち「
一般国家公務員
に関する
人事院勧告
から単に
予算
の
関係
から
実施
されない場合においては、
アルコール職員
について、あくまで
一般国家公務員
との
均衡
を固執するものでない」、こういうふうに明確に
当局側
の態度を表明されておりますので、これ以上
組合側
から敷衍することもないと思うわけであります。すなわち、筋といたしまして、
一般公務員
が
予算
的に
実施
できない場合も、
アルコール
について
予算
的なものが講じられれば、
当局側
としても
一般公務員
と多少のそこに
実施
の
あとさき
がありましても、これにこだわるものではない、
アルコール
独自で
実施
しても差しつかえないということを、
当局側
が言明されている次第でありまして、
組合側
からこれ以上申し上げる必要もない、かように思うわけであります。
組合
としても、
アルコール専売組合
の
事業所
が実は三十四カ所もあるわけでありますが、このうりち特に内部の
均衡
の問題あるいは緊急の
度合い等
を考慮いたしまして、八カ所を選びまして
裁定
を仰ぎました以上、この
裁定
を受けました分の
完全実施
をお願いすることこそ真の目的であることを、
組合
はこの際進んで申し上げておきたいと存する次第であります。 〔
山花委員長代理退席
、
委員長着席
〕 第三点は、
仲裁裁定
の
権威
の問題であります。御
承知
の
通り
、
公労法
の三十五条におきまして次のように
規定
されているのでございます。すなわち「
仲裁委員会
の
裁定
に対しては、
当事者双方
とも
最終的決定
としてこれに服従しなければならない。」のように
規定
されているわけでございます。
仲裁裁定
は
争議権
を認められない
国営企業
の
労使聞
におきます法的に定められました
最終
の結末なのであります。この
権威
ある
仲裁裁定
も、ただ
予算
上、
資金
上不可能といった場合にのみ、それに限って
国会
に
議決
を求めることによりまして、
予算
上の
措置
を
国会
で講ずるという仕組みに相なっているのでございます。 今回
政府
から提出されましたこの
公労法
第十六条第二項に基き、
国会
の
議決
を求めるの件の
政府提案
の事由によりますと、「
現況
において
予算
上可能とは認めがたい」と記されております。これが
提案
の
理由
になっているようでございますが、
公労法
の十六条にいっております絶対に不可能だという場合との
関連点
が、どうもわれわれとしては明確でないのでありまして、特にこの際注目されなければならないのは、
裁定
が出されましたのは三十
年度
り
予算編成
の前であったということであります。二十九
年度
におきましては
予算
の
移流用等
で
解決
し、三十
年度
におきましては
暫定予算
に組み入れていただきたかったと
組合
の
希望
として思っているわけでございます。特に
公労法
によります
仲裁制度
は
争議権
の代償として保障されているものであります以上、
仲裁裁定
は最大限の
権威
が与えつれなければならないものとわれわれは信じているわけでございます。この点
民主党内閣
におかれましても、先般来納得のいく政治を行うということをいわれております。私とも
公労法
の
精神
にのっとりまして、
仲裁裁定
の
権威
が完全に守られることを一に念願していものでございます。 先日
労働省
おきまして、
西田労働大臣
と会見いたしました。この会見の席上には
労政局長
にもお立ち会いを願ったわけでございますが、
労働大臣
はこの点につきまして、みずからこの
裁定
を尊重し、あくまで筋を通すということを表明いたされました。
組合
としても、この点は一応
安堵
をいたしておるような次第であります。この点は、特に
政府
の
方々
の御
処置
をお願いいたしたい、こういうふうに思うわけでございます。 このように
組合
として
委員会
にお願い申したいのは、
仲裁裁定
の
完全実施
ということでございますが、御
承知
の
通り
、
裁定
の
内容
は二十九
年度内
の問題と三十
年度内
の問題と、この二つかり相なっているわけであります。まず二十九
年度内
の
問題点
でありますが、これにつきましては、
仲裁裁定
は、
成立予算
に
余裕
のある
範囲
内で
労使双方
の
協議
によること、こういうふうに記されているのであります。
組合
といたしましては、この
裁定
を提示されまして、直ちに
当局側
と
協議
を進めたわけでございますが、
当局側
は三十
年度
の見通しがつかない限り、
年度内
は切り離しては考えられないということで、
協議
は一向に進展せずに今日までに至っているわけであります。すでに
年度内
は今明日限りでございまして、この
裁定
に示されました
年度内実施
も、この今明日中に
結論
が出ない限り、
裁定
は
年度内
は
実施
されなかったという結果に相なるわけでございます。この点特に早急に御
審議
を願い、できれば
予算
の
移流用等
の
措置
をとることによりまして、
裁定
が
両者
の
協議
によりまして実現できますよう、御支援をお願いしたいと思うわけでございます。 次に、三十
年度
につきましては、もはや
暫定予算
も本院を通過いたしました現在においては、ただ本
予算
にぜひ御計上を願いたいということを、ひたすらお願いするのみでございます。この点につきましては、幸い一昨二十八日の衆議院の
予算委員会
におきまして、重光副総理、一万
田大蔵大臣
、それから
西田労働大臣
におかれましても本
予算
においてま考慮するということをはっきり明言されております。この好意ある御
答弁
をいただきまして、
組合
も、一応
安堵
をいたしておるわけでありますが、こういった
経過
もございますので、当
委員会
におかれましても、何とぞこの御
答弁
を裏づけをいたされまして、
裁定
の
完全実施
を
議決
していたたくことを、
組合
といたしまして切にお願い申す次第であります。
中村三之丞
5
○
中村委員長
以上をもちまして
参考人
の
説明
は終りました。 この際
参考人
並びに
政府
に対する御質疑がございますならば、これを許可いたします。
小島徹三
君。
小島徹三
6
○
小島委員
鶴岡
さんちょっとお尋ねをしたいのですが、この
事業場
三十数カ所のうち八カ所だけ
勤務地手当
を
要求
された
理由
はどこにあるのですか。
青木金治郎
7
○
青木参考人
かわりまして私からお答え申し上げます。
アルコール
の
事業所
は、小さいものでございますが、一応三十四カ所
全国
に散らばってあります。このうち、もちろん
東京
の本省、
通産局
、大阪、
福岡
、名古屋といったものは最高の四
級地
をいただいておるわけで、この点は問題ないわけであります。これら以外のものについても、もちろんこの
程度
でよろしいといった
ところ
もございますし、またどうしても上げていただきたいという
ところ
もございます。ただ
組合
といたしましては、何でもかんでもむやみに持ち出すということも、われわれとしてとる
ところ
では、ございません。よく
配置転換等
が行われる
ところ
で早急に
処置
をしなければならない、たとえば、例で申します。と
福岡
の局は四
級地
でございますが、その管内に無
級地
の
工場
がございます。この間の
配置転換等
が非常に行われるわけでありますが、ちょっと行ったとたんに二割下ってしまったというふうな例があるのであります。これてはどうしても
配置転換等
毛スムーズに行かないし、
職員
もこれらの点について、
生計費等
から非常に引き上げの
熱望
が出る、そういった
ところ
が多く、
組合員
か特に緊急に
処置
してもらいたいという
ところ
のみを取り上げまして八カ所選んだわけであります。本部としてたきつけたということではなくて、現地の非常に熱烈な
希望
のある
ところ
のみ、こういった
調停
、
仲裁
にお願いをした、こういった経緯があったのであります。
小島徹三
8
○
小島委員
そうしますと、私は
人事院
の
地域給
の
勧告
というものの日にちを忘れたのですが、
人事院
の
地域給
の
勧告
とは何ら
関係
がないのですか、それとも多少あるのですか。
青木金治郎
9
○
青木参考人
その点は、私
たち
が御
要求
申し上げましたのは、昨年の二月二十三日で、ございまして
人事院勧告
はそれから三カ月以上もおくれまして、五月の二十九日となっております。それ以前からの
職員
の
熱望
であるということをおくみ取り願いたいと思います。しかも
要求
時期は二月二十三日に
要求
いたしましたけれ
ども
、
実施
は四月からお願いするという形をとつたわけでございます。
多賀谷真稔
10
○
多賀谷委員
当局
にお尋ねいたしたいと思いますが、実は私は、
通産大臣
が見えなければ、
審議
の
内容
に入りたくなかったのですけれ
ども
、時間の都合もございますので、一応
政府委員
の方に質問をいたしたいと思います。 今、
参考人
からお話しがありましたように、
造幣
並びに
林野
におきましては、すでに
地域給
の
級上げ
を行なった、こういうことを聞いたわけでありますが、それは事実であるかどうか。またいかなる
理由
でそういうことが行われておるのか、さらに
予算措置
はどういうように行われたのか、おわかりになったら、一つお答え願いたいと思います。あるいは
通産省
でおわかりなければ、
労働省
でもけっこうでございます。
中西實
11
○
中西説明員
大蔵当局
にお聞きいただいた方が、かえっていいかと思いますか、私の聞いております
ところ
では、
林野
におきましては、特に
一般公務員
の
地域給
と違った
実施
をした
ところ
はないように聞いております。
造幣
におきましては、
広島
の五日市という
ところ
で、
一般公務員
の
地域給
と違った
地域給
を
実施
いたしておりましてたしか二十万円くらいの原資で実行されておるようでございます。これは、この問題についての
調停委員会
における
調停案
、これを
双方
が受諾しまして、そうして実行しておるというふうに聞いております。なお詳細はちょっとわかりかねますので、あるいは
大蔵省当局
、ある、いはそれぞれの
当局
にお聞きいただきたいと思います。
多賀谷真稔
12
○
多賀谷委員
林野
については
意見
が 食い遅っておりますが、
造幣
については
実施
したということは、
政府当局
も お認めになっておるわけです。そういたしますと、現在の
予算
、「たとえば二十
年度
予算
でもけっこうですが、一応この
広島
の
造幣局
といいますか何といいますか、そこにおいては、
級上げ
のベースで今度の
予算
は組まれておるかどうか、これも一つお尋ねいたしたいと思います。
中西實
13
○
中西説明員
私ちょっとその点明確に存じておりません。
多賀谷真稔
14
○
多賀谷委員
造幣
とか
林野
を聞くと、なかなかお答えにくいと思いますけれ
ども
、しかしこれは
関連性
があるので、いやしくも
アルコール専売
が出されたら、当然あなたの方では御
答弁
の用意をされておらなければならぬわけです。当然
造幣
は増しておるのですから、どうして増したのか、あるいは現在の
予算措置
はどういうふうになっておるか、だれでもけっこうですから、一つ把握されておらなければいかぬと思うのです。
造幣
は
大蔵省
であるから
大蔵省
に聞いてくれということでは、やはり
アルコール
の方が出され、それを拒否されておる
根拠
に乏しいと思うのです。ですから、
一つ通産省
でもけっこうですからおわかりになったらお知らせ願いたい。
吉岡千代三
15
○
吉岡政府委員
大蔵省
にその点を質問した
ところ
によりますと、ただいま
労政局長
からお答え申し上げましたように、
造幣
の
広島
の場合においては、非常に
金額
が少額であって、
大蔵省
としては何ら
予算措置
を講ぜずして、既定の
予算
の
範囲
内で
実施
したのである、こういう
説明
でございました。三十
年度
につきましては、ただいまの
ところ
明確に
承知
いたしておりません。
多賀谷真稔
16
○
多賀谷委員
金額
が少いといいましても、
労働条件
の基準は変っているのですから、これはやはり他にも影響があるわけです。ですから、そういうふうに個々別々におきめになるというのが、私はむしろ
公労法
の
精神
だと思うのですが、こういうことになりますと、これもこだわる必要はないので、当然
アルコール
の
特別会計
からは出てくる問題ですから、
造幣
だけを認めて
アルコール
を認めないという
根拠
は
きわゆ
て乏いと思う。これだって、
金額
はきわめて少いと思う。それから三十
年度
予算
の
造幣
の問題ですが、
給与総額
が、
金額
が少い、
予算
の
範囲
内でできるというても、それは
年度
の終りになって
金額
が余っている場合には、そういうことは私は可能だと思うのですか、初めから
予算
を組む場合は、やはり
広島
の
造幣局
は
級上げした分
だけを当然組んでおかなければならぬ。もしもそれを組まないで、そうして組まなくてもできるんだということになれば、その
予算
はきわめてずさんな
予算
であって、水増しの
予算
であるといわざるを得ない。ですから、
金額
の多募にかかわらず、やはり
予算編成
の前においては、
給与総額
に組まれているべースというものは、私は確実にその
通り
になっておらなければおかしい、かように考えるわけであります。そこで私は、どうも
答弁
をされる方が把握されておらないので非常に困るのですが、これは一応保留しておきまして、二十九
年度
のごの場合にはどうして支出ができないのか、
当局
からお聞きしたい。
吉岡千代三
17
○
吉岡政府委員
御
承知
のように、
仲裁裁定
におきましては、二十九
年度
分については、
成立予算
に
余裕
のある
範囲
内においてということになっております。この
解釈
は、
公労法全般
の問題でございますので、
労働省
を通じまして、
法制局
から法律上の
解釈
をお聞きいたしたわけでありますが、
結論
といたしましては、
給与総額
の
範囲
内において何らの
予算措置
を講ぜずして実行できるのが、この
成立予算
の
範囲
内である、こういう
解釈
でございます。そ、こで、
アルコール
の場合について、申し上げますと、二十九
年度
の
給与総額
は若干
不足
をいたしておりまして、この
勤務地手当
は、御
承知
のように
基本給
の中に含まれているわけでございますが、
基本給
におきまして二百六十万ばかりの
不足
を生じております。この赤字につきましては、他の諸
手当等給与総額
の
余裕
をもってこれを充当いたしております。 それから年末
手当
の支給に関しまして、御
承知
のように
公労法関係
の年末
手当
につきましては、
一般公務員
の
年間
を通じて一・二五カ月分に丸して、一カ月分の
予算
しか計上されておらない。それでこの点につきましては、いわゆる
業績手当
といたしましてこれは
給与総額
以外から流用することが
予算総則
の上で認められておりますので、
不足額
を他の
費白
から流用いたしまして、一・二五カ月分の年末
手当
を、支給いたのたわけでございます。なおその際に、たとえば
予備費等
から流用することはどうであるか、その他いろいろ流用の
手段
につきまして、可能と認められる
方法
について検討を願ったわけでございますが、これらはすべて
解釈
上、
成立予算
の
範囲
内に該当しないという
法制局
の
結論
でございまして従って二十九
年度
につきましては、今申し上げましたように、現実に
予算
上支給できなかった、こういう実情でございます。 なお、三十
年度
につきましては、
仲裁裁定
尊重の
公労法
上、
当局
としてはこれを
実施
すべき義務を負っておるわけでございますので、その点につきまして、
大蔵省
に口頭益びに文書をもって
予算措置
の
要求
はいたしてございます。しかしこれ気しては、現在の
ところ
暫定予算
であるから、性質上そういうものは組むことができないのだという
解釈
で計上されておらない、こういう
関係
になっふおるのでございます。
多賀谷真稔
18
○
多賀谷委員
一応
当局
の態度はわかりました。すなわち
当局
では、二十九
年度
については
予算
の支出上可能な場合は
裁定
の
内容
になっていないのだということで諮らなくてもいい、こういう見解であろうと思います。私は形式論としてはわかるのですが、しかしこの
仲裁裁定
の
内容
に、次のように書いてあるのを、非常に不思議に思うわけです。「また本
年度
アルコール専売
事業の
予算
はかなり窮屈であって、
当局
は
勤務地手当
改訂の
余裕
はないと主張しているが、従来の実演に徴するに、運用の如何によっては或る
程度
の
余裕
も生じ得るとも認められるので、主文のとおり
裁定
した。」——そこで「従来の実績に徴するに、運用の如何によっては或る
程度
の
余裕
も生じ得るとも認めてらるので」こういう文句であります。今井さんは
大蔵省
におられたし、さらに従来の経緯から、
仲裁委員会
としては
予算総則
がどういうものであるか、あるいは流用し得る場合はどういう条件の場合であるかということを、よく
承知
しておるはずであります。
承知
しておる
仲裁委員会
が、ここに「運用の如何によっては或る
程度
の
余裕
を生じ得る」ということを書いておる。しかも、この
勤務地手当
というのは、先ほどお話になりましたように、
給与総額
の
範囲
に入るものであるということを考えますときに、私はどうも理解に苦しむのですが、
当局
としては
仲裁委員会
のこの
裁定
の
内容
を、どういうようにお考えであるか、お尋ねいたしたい。
吉岡千代三
19
○
吉岡政府委員
その点は、
仲裁委員会
の万にお尋ねを願いませんと、私
ども
としては何とも申し上げかねるのであります。ただ、現実に二十九
年度
の経理実情は、ただいま申し上げた
通り
でございます。
大橋武夫
20
○大橋(武)
委員
関連して。今のお答えですが、
仲裁委員会
に理いてくれと言われますけれ
ども
、あなた方は
仲裁裁定
を
実施
するに当って、
仲裁委員会
が一体どういうつもりでその
裁定
文を書いておるか、その
裁定
文の
内容
はいかなる意味であるかということを、
法制局
に行って聞いたと言われるけれ
ども
、
法制局
へ行って聞かれる前に、まず
仲裁
委員
にその真意を聞いて、そうしてその
裁定
の
内容
を実行するように努力しよう、こういうことを考えるのが筋じゃないかと思うのです。
仲裁
委員
に聞かずに
法制局
に聞きに行って、
法制局
でこう言ったからこうですというわけでございましょうか。
吉岡千代三
21
○
吉岡政府委員
仲裁委員会
におきましては、われわれの主張はいたしたわけけでございますが、
裁定
が下りました以上、これに対しましては、その
内容
の定めね
ところ
に、よりましてわれわれとしては
措置
をとらなければならぬという立場にあるわけであります。その
解釈
等のつきましては、御
意見
の点とあるいは異なるかと思いますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、
公労法
の
関係
の法律問題という意味合いにおきまして、
労働省
ともお打ち合わせいたしまして、
法制局
にその
解釈
をお聞きするのが適当である。こういう考えをもって、先ほど申し上げたような
措置
をとったわけでございます。
大橋武夫
22
○大橋(武)
委員
そうすると、あなたの方の
解釈
については、その係争の相手方である
ところ
の
アルコール専売労働組合
でも、あなた方と同一
解釈
ですか。もし当事者間において
裁定
の文意の
解釈
が一致しないような場合には、
法制局
というような
政府
機関に聞くべきではなくて、
裁定
下した
ところ
の
仲裁委員会
へ
双方
から行って、まずどういう意味であるかということを聞く、それはもう当然の社会通念だと思うのでございます。そういう手続をせずして、勝手にその当事者の一方が、これはこういう意味なのだというようなことでやられるとすると、
裁定
の意味が非常に歪曲されて、勝手に
解釈
されて、さらに紛争を生するおそれもあると思う。そこでそれについて、さらに
政府当局
の御
答弁
を伺うと同時に、
組合側
の諸君は、
政府
のその
解釈
に同意をしておられるのかどうか。この点を一つはっきりお答え願いたいと思います。まず
政府
の方から一つ。
吉岡千代三
23
○
吉岡政府委員
先ほどちょっと申し上げましたように、
給与総額
外から
移流用等
によりまして
給与総額
そのものをふやすということは、
予算総則
におきまして、場合が非常に限定されておるわけであります。これは御
承知
の
通り
と思います。それで、この可能なる場合の
解釈
につきまして、先ほど申し上げましたように、いろいろの
方法
を考えまして、これにつきまして
法制局
の見解をただしたということでございます。先ほど申し上げ方が少し悪かったかと思いますが、問題は、
予算総則
において流用等の可能な限度がどの
程度
であるかという問題であると存じますので、この点はやはり
法制局
において
結論
を出していただくことが至当て、あろうと考えた次第であります。
青木金治郎
24
○
青木参考人
この「運用の如何によっては或る
程度
の
余裕
も生じ得るとも認められる」というこの文については、
仲裁委員会
におきます
仲裁裁定
の段階におきまして
審議
されました経緯からわれわれは完全に了解しておるつもりであります。それは「運用の如何によって」ということは、この
仲裁
委員
の事情聴取は、二十八
年度
の決算書をもとにして今井
委員長
は判定をされたかと存ずるわけであります。二十八
年度
の決算書等に見ますと、たとえば光ほと局長から御
答弁
がありました年末
手当
の〇・二五が
給与総額
において、低く見られておるということによる、むしろ
給与総額
を必要最小限よりもさらにしぼって組んであるために、
大蔵省
みずからが窮地に追い込まれたということから、いろいろ
給与総額
に便法を請じてやっておる状況でございます。その
業績手当
という名によりまして〇・二五を追加するとか、あるいは
給与総額
内の諸
手当
が非常に辛く組まれたために、
年度
末まできたときに、にっちもさっちもいかなくなったという場合に、
年度
末においてそこにある
程度
予算措置
をしたという例があるわけであります。そういった例からここに掲げられておるということ、これもまた本年も予測して、この
仲裁裁定
が必要であるというならば、
国会
の御
審議
をわずらわさなくても、行政
措置
によってその
程度
のものは期待し得るということを、今井
委員長
はこれに書かれたものと
組合
は了解いたします。
給与総額
内の問題につきましては、日ごろわれわれが経験いたしておりますか、必要最小限度よりもむしろ下回る組み方をしておりますので、
余裕
がないことは事実でございます。
多賀谷真稔
25
○
多賀谷委員
両者
の
意見
を聞いて大体明白になったわけですが、従来
政府
が
公労法
の
精神
を無視して、
給与総額
というワクを設けた。
ところ
が、事実問題として、ワクではどうにもいかなくなった。そこてそこにあります
業績手当
その他の特別給与を従来いろいろの形で出しておる、ここに私はいろいろ
公労法
上の運用の誤りがあると思う。みずから墓穴を掘っておるような感じがするわけであります。みずから作りました
給与総額
に縛られてどうにもならないから、
給与総額
をこの
予算総則
の
規定
に反して移流用を行なっておる。そうせざるを得ない。でありますから、私は根本的には、
給与総額
を制定したことが間違いであると思うのですが、しかし今さらそれを申しても仕方がありません。 そこで、先ほど
組合
の方から、三十
年度
の見通しがつくならば、二十九
年度
は支出してもいいということを
当局
は言っておると言われた三二十
年度
の見通しがつかないから二十九
年度
はできないのだという言葉の裏は、何とかしてできるのだということである。法律上できるのだ、運用上できるのだということであり、それは当然今までの
団体交渉
の
内容
から明らかであると思うのです。私はその行き方を責めるわけではない。
給与総額
というものができました
関係
で、
当局
は非常に苦心をされて、特別給与としていろいろ条件がありますけれ
ども
、その条件を満たさない場合においても支出されておる。従来こういう慣例があるわけでありまして、そういうことを
仲裁委員会
は十分御
承知
の上で、運用のいかんによってはある
程度
の
余裕
を生ずるのだ、こう書いてある。
ところ
が、それを今度は逆に、文字
通り
従来の慣行と運用を無視して
答弁
をされるということは私は、その
答弁
はいささか正鵠を失しておると考えるわけであります。そこで私は、そういう形式論でなくて、実際
当局
としては、二十九
年度
についてはどういうようなお考えであるか、その真意をお尋ねいたしたい。
吉岡千代三
26
○
吉岡政府委員
ただいま御指摘の点は、若干
組合
の受け取り方と私の方と気持が違っておるわけでありまして、二十九
年度
が決定しないがゆえに二十九
年度
の支給をしないのだという考えは、毛頭持っておらないわけでございます。二十九
年度
の実情からいたしまして、
給与総額
の
範囲
内に
余裕
がないがゆえに支給しないのである、こういうように御了承願いたいと思います。
多賀谷真稔
27
○
多賀谷委員
そうかたくなってお答え願わなくてもけっこうであります。従来、
給与総額
を上回っても実際特別給与として支給しておりましょう。条件がそろわなくても、支給しておるのです。それは、従来
国会
も認め、
政府
も認めてやっておる。
国会
でも、一カ月分しか組んでいない期末
手当
を一・二五やれと、
委員会
で決議をしておる。これはどうにも仕方がないから、特別給与で出しておる。従来、
給与総額
が無理であるから、
政府
も
国会
も認めていろいろな形で
予算
の移流用の最大限度を利用して、大蔵大臣の承認によって行われておる、こういう慣行になっておる。私は、これはむしろ
予算総則
が悪いために、こういうことが行われておるのだと思うのです。そこで、やはり二十九
年度
のこの
関係
については、私は、三十
年度
がきまれば、当然あなたの方では出していただけるものである、こういうように考えておるのですが、違いますか。
吉岡千代三
28
○
吉岡政府委員
公共企業体の経理につきましては、建前の上では、ある
程度
一般公務員
と別個の仕組みになっておるのでございますが、実情におきましては、ほとんど
一般公務員
に近いような
予算
的規制を受けておるということは、御指摘の
通り
でございます。その点につきましては、基本的に一つの
問題点
はあるかと思います。従いまして、
業績手当
の画におきましても、業績によって浮動するものであるから、基本のベースは一般
組合
より低いのである、ここにも一つの問題はあると思います。従いまして、
一般公務員
と同
程度
の支給をいたします場合には、もちろん、
説明
といたしましては業績向上の資料を整えまして、それによって支給を受けておるわけでございますが、実質におきまして御指摘のような
関係
はあると思います。ただ、
一般公務員
に対する
勤務地手当
その他の基準を越えまして支給する場合に、そのような弾力性のある
解釈
が許されるかどうかという点につきましては、これは、形式上はもちろんで、ありますが、実質におきましても、きわめてかたい
解釈
になるのではないか。また、現実に給与、総額自体におきましては、御
承知
のように、これはそれを増額し得る場合がきわめて限定されておりまして、これに運用あるいは
解釈
によって融通性を持たせるということは困難である、このように考えておるのであります。
多賀谷真稔
29
○
多賀谷委員
これは、二十九
年度
分についてもぜひ出していただくように、私は
希望
するわけですが、あまり追い詰めますと、かえって困ると思いますので、これ以上追及いたしません。しかし、
一般公務員
との
均衡
を固執するものでない意向が終局的に明らかになったということを、
仲裁委員会
は、あなたの方の
審議
の過程において発表しているのですが、一体
通産省
としては、
一般公務員
との
均衡
を
最終
的には固執するものでないというように御
答弁
になったのかどうか、これをお尋ねいたしたい。
吉岡千代三
30
○
吉岡政府委員
この点は、機会を見て私
ども
の気持を申し上げたいと思っておったのでございますか、八ページの中ごろの辺の、「
人事院勧告
に対しては、
当局
は、「
権威
あるものとして妥当と認める」との見解を表明し」という点と
関連性
を持つわけでありますが、
仲裁委員会
におきましては、当初、
アルコール
の
特別会計
において、一般の
地域給
と別個に、地域差を検討して
地域給
の級別を作ることはできないかというお尋ねがございました。これに対しましては、私
ども
は、そういう
関係
を専門に調べる能力を持っておりませんし、
人事院
という
政府
機関があって、常時そういう問題を検討されておるわけでありますので、行政機関としては、その
人事院
の検討されました
結論
を
権威
あるものとして考える。しかし、その
勧告
自体が、
国会
においては人事
委員会
では通過いたしておりますが、
国会
全体としては
議決
されないままに終っているという問題があるわけでございます。そうして、九ページの後段の
ところ
にあります「
一般国家公務員
に関する
人事院勧告
が単に
予算
の
関係
から
実施
されない場合においては」という。その場合には、
アルコール職員
について、あくまで
均衡
を固執するものでない。しかし、
人事院勧告
かいかなる
理由
で
議決
を得られなかったかという点は、実はわれわれとしては明確になっておらないのであります。
仲裁委員会
におきましては、
一般公務員
については
予算
の
関係
上
実施
せられなかったのだという御見解のようでありましたか、終局的に
国会
の御意向が明確になっておりませんので、その点につきましては、私
ども
としては、単に
予算
の
関係
から
実施
されない、しかし
人事院勧告
の
内容
そのものは、
国会
として妥当と認めるというような場合には、
アルコール職員
については、経理上は別個の
関係
になりますので、あくまで
一般公務員
との
均衡
は固執するものでない、こういうつもりで申し上げたのでございまして、その点が、この表現ではちょっと不明確になると思いますので、その点を申し上げます。
多賀谷真稔
31
○
多賀谷委員
非常に苦しいような
答弁
ですか、
国会
の方は、むしろまだ
人事院勧告
以上に幅を広げようという修正案すら出んとしておる。
一般公務員
に関する
人事院勧告
を
実施
されないのは、何といいましても
予算
の
関係
、命がないから、こういうことです。これは自由党においても民主党においても同じであろうと思う。そこで
予算
の
関係
から
実施
されない場合というのは、今度のような場合です。ですから、そのような場合においては、
アルコール職員
については、あくまで
一般公務員
との
均衡
を固執するものではない、こういうことをおっしゃったなら、
政府
としては、当然この分だけは、
一般公務員
については
予算
上出ないのだから、この分だけは出す、こういうのが付載
委員会
の
審議
の過程から見て当然の見解である、こういうように考えられるわけですが、あなたの方は何か
仲裁委員会
で発言をしたことと、それから
国会
においてなされることと違うわけですか。私はどうもふに落ちない、かように考えるわけです。
吉岡千代三
32
○
吉岡政府委員
仲裁裁定
については、私
ども
はここで
意見
を申し上げる立場にないと思いますが、たた
仲裁委員会
において申し上げました
意見
についてのその当時の気持を、明確にいたしておきたいということで申し上げたわけでございます。もちろん
当局
といたしましては、
裁定
がありました以上、
予算
獲得については、努力は現にいたしておるわけでございます。その扱いにつきましては、一昨日も
予算委員会
において各
関係
大臣がお答えいたしておりますので、その考え方によりまして、——
暫定予算
においてはこれは性質上組んでおらないけれ
ども
、本
予算
の場合には一昨日お答えいたしておりますような趣旨において考慮するということを申しておりますので、そういう
結論
の出ることを、私
ども
としては期待しておる次第でございます。
多賀谷真稔
33
○
多賀谷委員
これは大臣に出てもらって、
政府
全般としての気持を聞いてみなければ、これ以上
内容
の
審議
に入ってもむだであると思うのです。ことに
仲裁
の過程においては、今も私が指摘いたしましたように、
一般公務員
に関して
予算
の
関係
から
人事院勧告
が
実施
されない場合においても、
アルコール職員
において
最終
的には
実施
するのだと、こう言っておる。これは
当局
がそういうように
説明
をし、態度を明らかにしておるのです。
ところ
が現在問題になっているのは、
一般公務員
との
関係
である。そこで、
一般公務員
はまだ
予算
の
関係
で
実施
ができない、そこでこれはどうするかという問題になっておると思うのです。ですから、
政府
の態度を私は大臣からはっきりお伺いしなければ、これ以上
審議
に入ることはできないと考えるわけです。ですから、すべからく
委員長
においては、
通産大臣
を呼んでいただきたいと、かように考えます。
中村三之丞
34
○
中村委員長
お答えいたしますが、午前中はむずかしいような返事があるのであります。しかし、お説のように
通産大臣
が来て御
説明
をせられるのは当然だと思いますから、
委員長
においてしかるべくお取り計らいをいたしたいということを申し上げておきます。 大橋君。
大橋武夫
35
○大橋(武)
委員
これは私も
委員会
に出ていなかったごとがありますから、あるいは他の
委員
からの御質問に御
答弁
になったことがあるかもしれませんが、それだったら、そうおっしゃっていただいてけっこうです。三十
年度
の分につきまして
予算
上不可能という
理由
で
提案
になっておりますが、なるほど
暫定予算
には、この
関係
の
経費
が上っていないからして、
暫定予算
に関する限りは
予算
上不可能なのだ、こういう御
説明
のように承わったのであります。そうすると、本
予算
にも、
政府
としてはこれに必要な
経費
を載せないのだという御方針を、すでにおきめになっておられるのですか。
吉岡千代三
36
○
吉岡政府委員
この点につきましては。一昨日の
予算委員会
におきまして
労働大臣
並びに大蔵大臣から御
答弁
になっておりますので、その
内容
をお伝えいたしたいと思いますが、福田昌子
委員
の、本
予算
こは
実施
されるということでございますかという御質問に対しまして大蔵大臣は、今それについて考慮をいたしておる、大蔵大臣としては、今の
ところ
では検討を十分加えるという
ところ
であるという御趣旨の
答弁
をされております。それから、同じく福田
委員
の御質問に刻しまして
労働大臣
は、
アルコール専売
の
仲裁裁定
の問題は、
暫定予算
であったがために計上いたしておりませんので、従って本
予算
に対しましては、午前中大蔵大臣もお答えいたしましたように考慮することにいたしております、こういう
答弁
でございます。
大橋武夫
37
○大橋(武)
委員
政府
は、
労働大臣
の考慮することにいたしておるという意味を、それは
予算措置
を講ずるという意味で言われたのですか、それとも講ずるかどうか研究するという
程度
の意味で言われたのですか。
吉岡千代三
38
○
吉岡政府委員
その
労働大臣
のお気持ちは、
労働省
におきましても、まだそこまで
内容
については聞いておらないということでございます。
大橋武夫
39
○大橋(武)
委員
そうすると、
政府
ではまだきまっていないわけですか。
吉岡千代三
40
○
吉岡政府委員
それ以上の
ところ
は、どうも私から……。決定しておるということには至っておらないと思いますが、十分考慮するということは言っておりますので。
大橋武夫
41
○大橋(武)
委員
私は
政府委員
というものは、やはり一つの
政府
の代表者と思って質問しているのであって、何か聞けば、ほとんどどうだかわからぬというようなことを言われるのですが、一体あなたはどういう資格でここへ出ておられるのですか。
吉岡千代三
42
○
吉岡政府委員
実は、けさも
通産大臣
とはお打ち合せいたしました。
通産大臣
といたされましては、本
予算編成
までに
地域給
に関する何らか別個の制度ができない限りは、
仲裁裁定
を尊重する建前において考慮せざるを得ないたろうということを言っておられます。しかし、これはいずれ
関係
大臣で
最終
的に本
予算編成
の際に御決定願うととになると考えます。
大橋武夫
43
○大橋(武)
委員
そうしますと、この議案は、一応
予算
上不可能ということで出てはおりますが、
政府
の本
予算
に対する方針といかんによっては、
予算
上可能になることもあるわけですね。
吉岡千代三
44
○
吉岡政府委員
さかのぼって
実施
すという方針が決定いたしました場合は、可能になり得ると思います。ただ
公労法
の上から申しますと……。
大橋武夫
45
○大橋(武)
委員
そうすると、その場合にはこの議案を
政府
はどういうふうに取扱われることになるのでしょうか、撤回されるのですか。
中西實
46
○
中西説明員
一昨年ベースアップの
裁定
が出ました際、一応このときには
予算
上不可能ということで
議決
を求める件を出しまして、その後一月から
実施
するということに
政府
の方針がきまりまして、あらためてそういう御決議をいただいたことがございます。今度の問題も、現在、一応形式的にも不可能だということで本案が出ておりまして、もしも本
予算
の際に態度がはっきりしますれば、それによってこの議案が変ってくる。それでわれわれの見解では、もしさかのぼって
予算
上可能たということになれば議案は自然消滅になるというふうに考えております。
大橋武夫
47
○大橋(武)
委員
そうすると、今われわれの方で
審議
を急いで、本
予算
の出ます前にこれをかりに否決でもしてしまうと、
国会
の否決したものを
政府
が実行されるということになると、われわれは何のために否決したのかわかりぬということもあり得るわけですか。
中西實
48
○
中西説明員
もしも不承認とはっきりしますと実はそういうことにもなるかと思います。
大橋武夫
49
○大橋(武)
委員
そうすると、不承認ということになった場合には、その
予算
か出ると、不承認だか承認だかわからない。こうなると、この
委員会
の
審議
は全く意味をなさぬということになるわけです。そうすれば、結局われわれとしては本
予算
が出るか、少くとも本
予算
に対するこの問題についての
政府
方針が明確になるまでは
審議
しても無意味だ、こういうことになるのじゃないかと思いますので、そうなりますと、われわれといたしましては、どうしてもそれについての
政府
の態度を早くおきめ願わなければならぬ、こう考えるわけです。 そこで、
委員長
にお願いいたしたいのですがそういう点を考慮されまして、
政府
が何らかの態度を明らかにするまで、この問題の
審議
はしばらくお休みいただくということをお諮り願ってはいかがかと思います。
中村三之丞
50
○
中村委員長
ただいまの動議は、
理事
会でお諮りすることにいたします。 それでは午後二時まで休憩いたします。 午前十一時三十四分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分
開議
中村三之丞
51
○
中村委員長
休憩前に引き続きまして
会議
を再開いたします。
公共企業体等労働関係法
第十六条第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件を議題と上、審査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。多
賀谷真稔
君。
多賀谷真稔
52
○
多賀谷委員
まず大臣に、今
提案
になっております
公労法
第十六条第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件について、質問をいたしたいと思います。 この
政府
が出されました
国会
の
議決
を求めるの件という題名のその趣旨
内容
を見てみますと、一体何を
政府
はわれわれに求めておるのかわからない、こういう状態であります。それは私
たち
は、
仲裁委員会
の
内容
について、とやかく言う権限はございません。協定
内容
について
審議
する権限はないわけであります。ただ
予算
上可能であるかどうか、こういう見地からこれを検討しなければならないと思うのであります。
ところ
が、
予算
上可能であるかどうかに対する
予算
の
提案
権は、
政府
にあるわけであります。
政府
の方からこれに対して何ら具体的な実質的な意思表示が出ておりません。ただ形式上、現在の
暫定予算
には盛られていないから不可能である、こういうことだけでありまして実質上、
政府
としては三十
年度
予算
に組むわけに行かないから、これを認めるわけに行かないというのか、あるいは組めるというのか、あるいは
暫定予算
では組めなかったが本
予算
では組めるという意思表示であるのか、われわれは了解に苦しむのであります。大臣におきましては、一体どういう趣旨でこれを出され、さらに
政府
としてはどういう考えであるかをお答え願いたいと思います。
西田隆男
53
○
西田
国務大臣
公労法
第十六条の
規定
は、公共企業体の
予算
上または
資金
上不可能な支出を
内容
とする
仲裁裁定
が、ございましたときは、これを
国会
に付議するように
規定
されております。従って
暫定予算
におきましては、そういう新規なものは組めないという建前をとりまして、
暫定予算
の中にはこれは計上いたしておりません。 それからもう一つの問題は、それでは通常
予算
に組むのかというお話でありますが、この問題に関しましては、
仲裁裁定
は、
労働大臣
としてはこれを尊重しなければならぬと考えております。従って、衆議院の
予算委員会
におきましても、本日の参議院の
予算委員会
におきましても、大蔵大臣も三十
年度
の
予算
には考慮を払うという
答弁
をしておりますので、私の考え方では、当然計上さるべきものだと考えております。
多賀谷真稔
54
○
多賀谷委員
それでは、三十
年度
の
予算
においてはこれを考慮し、
労働大臣
としては計上されるものと思う、こういうお答えでありますので、これ以上申し上げません。 しかし、私は根本的に、
提案
の仕方というものについて疑問を持つのでございます。なるほど法律には十日ないし五日という期限が付してあるので、十日ないし五日という期限を付したのは、当然
政府
として十日ないし五日の間にはこれに対する見解をもって臨むべきであると考えるわけであります。これは本来
争議権
を中止する問題であるわけであります。争議が発生しようとしますその瞬間において争議を中止するために
仲裁裁定
が行われる。でありますから、その長い期間におきましては、
労使双方
の
意見
は出尽しておるわけであります。ですから、
仲裁裁定
がありますと、当然それに対する
政府
の態度というものはおのずからきまる、きまっておらなければならない、こういうように考えるわけであります。そこで十日ないし五日の期間において
国会
に
議決
を求めるというのは、
政府
として
予算
上の見地からどうするかということについてはっきりした態度を持って
国会
に
議決
を求められるのが当然であると考えるわけですが、今度の民主党
政府
においては、何ら具体的な考え方を持たずして出されてお る。いわば白紙で出されておる。こういうような状態になっておるように考 えるわけです。ことに
労働大臣
は、各
関係
の大臣と違いとまして、
公労法
に対する所管の大臣でありますので、その
提案
の仕方について、御考慮願いたいと思います。それに対する大臣の御
意見
を伺いたい。
西田隆男
55
○
西田
国務大臣 ごもっともな御
意見
と思いますが、この
仲裁裁定
あるいは
人事院
の
勧告
等の問題につきましては、先例もありましたので、法律論として
多賀谷委員
の今言われましたことが妥当であるかどうかということは別問題としまして、内閣としては
公労法
の十六条によりまして、私は五日以内と記憶しておりますが、
提案
しなければならない。従って三十
年度
の通常
予算
を決定いたしますまでの日にちがそれ以上かかりますので、その過程においてはどうしても
国会
の御承認を経なければならぬという先例を重んじまして
国会
に
提案
したのでございます。
多賀谷真稔
56
○
多賀谷委員
なるほど、前例のあることは知っております。
政府
が
提案
をして、その後に態度をきめたことも知っておるわけです。しかし、従来民主党におかれても、その態度はいけない、自由党の態度は何を
審議
を求めておるのかわからない。あるいは
予算
上不可能であると考えて、
国会
において一応否決して、その後に
政府
においていや可能である、あるいはまた
審議
の途中において可能なる場合もあるし、こういう状態ではわれわれの
審議
権を軽視するものである。こういう御議論が先ほどからも出ておるわけであります。今後
政府
はこういう問題について、どういうようにお考えであるのか。ただ先例があるからということで、今後もそういう出し方をされるのかどうか、お尋ねいたしたい。
西田隆男
57
○
西田
国務大臣
政府
としましては、決して
国会
の
委員会
を無視したりなんかする考えは毛頭持っておりません。午後の問題につきましては、法律的に内閣としてどういうふうな
解釈
をするかということが重点だろうと思いますが、今回の
ところ
は先例に従って出しております。多賀谷君の御
意見
も十分伺いまして、内閣としましても、はっきりした態度をきめたいと考えております。 —————————————
多賀谷真稔
58
○
多賀谷委員
せっかく大臣が見えておられますので、私はこれについてはこれ以上追及いたしませんが、その池
労働行政
一般について質問をいたしたいと思います。まずけい肺法の件でありますが、けい肺につきまして今さら大臣にその
内容
について私が申し上げるまでもないと思いますが、この問題は、十六回
国会
において参議院に議員立法として提出され、現在継続
審議
中でございますが、自由党の
政府
においてすらも、これについては十分考慮しようというので、本来ならば昨年の十二月に始まります
国会
において、われわれは
提案
を受けるように聞いており、また
政府
もそのように申し述べてわったわけであります。しかし政変がございまして、民主党が内閣をとられたわけですが、このけい肺については、大臣はどういうふうなお考えであるか、これについてお答えを願いたいと思います。
西田隆男
59
○
西田
国務大臣 私、
労働大臣
に就任いたしまして、さっそくけい肺の問題についての
説明
を承りました。
当局
としましては、ある
程度
の準備をしておったようであります。しかし、私その法案の大体の出与え方について話合いをしまして私としましても考えておることがありますので、その意思を事務
当局
に伝えまして、ただいま成案を得べく検討中でございます。従って成案を得ました場合においては、再度けい肺
審議
会にかけまして、その御了解を得た上で
国会
に
提案
したい、かように考えております。
多賀谷真稔
60
○
多賀谷委員
では、今次
国会
に
予算
並びに法案の
提案
が間に合いますでしょうりか、お尋ねいたします。
西田隆男
61
○
西田
国務大臣 今次
国会
に
提案
するように極力進行いたしたいと考えます。
多賀谷真稔
62
○
多賀谷委員
では大臣の言葉に期待をいたしまして、われわれとしては、けい肺法の
提案
がなされることを
希望
するものであります。 次に失業対策の問題ですが、大臣は郷里に帰られてこのときは自治庁の長官でございましたが、失対事茱は全部国庫負担でやるのだ、こういうことを新聞で言われたことを拝見したのであります。その言われた言われないかは別といたしまして現在多数失業者が集団的に発生しております市町村におきましては、財政上非常に困難でございますので、その負担金を十分負担する能力かございません。そこで、せっかく国のワクが来ても、返上したいというような
ところ
すらある。あるいは失業者がこれ以上出ても、市町村としては負担し切れない、こういう市町村もあるわけでありますが、この補助率について、考慮される考えはあるかないか、これをお尋ねいたしたい。 なお、現在失対事業が非常に低能率である、こういうことをよく言われております。給与の悪い点もそうでありますが、資材費の
不足
をわれわれは痛感するわけでありますが、これについてどういうお考えであるか、あわせてお聞きしたいと思います。
中村三之丞
63
○
中村委員長
今多賀谷君は、
労働行政
一般に対する御質問でございますから、あらためて
委員長
から、
労働行政
一般に関する質問を許します。
西田隆男
64
○
西田
国務大臣 私が自治庁長官として話しました新聞記事等について、今お話がございました。御
承知
のように、地方財政は今非常に困窮の極に達しております。従って自治庁長官としましても、国の行う失業対策事業というものに対して、地方の負担をさせるということはどうか、かように考えまして、自治庁長官時代は国の行う失業対策事業に対しましては、全額国庫負担をしてもらうよう、大蔵大臣ともこれは十二分に話し合いをいたしております。
労働大臣
になりましてからは、失業の状態を聞きまして、自治庁長官をしておりましたときと同じように、これは全額国庫負担で失業対策事業を遂行せなければならぬということは、なお一そう信念を固めたことであります。ただし、失業対策事業と申しましても、国だけで全部をやってしまうのだという性質のものではないので、地方は地方でやらねばならぬ失業対策事業もあると考えております。従って、
労働大臣
としましては、三十年中度の本
予算
につきましては、自治庁長官時代に考えておりましたように、全額国庫で国の行う失業対策事業費はまかなってもらいたいという折衝を今続けております。これが財政上の見解から、果して百パーセント完成できますかあるいはある
程度
財政的な
理由
で譲歩しなければならぬかということは、まだ
結論
は出ておりませんけれ
ども
、そのつもりで
大蔵省
と折衝いたしております。
多賀谷真稔
65
○
多賀谷委員
国の行う失業対策事業、こういうことですが、現在失業対策費として組まれている緊急就労事業とか、鉱害復旧のほかに、一般的な失業対策事業というものが、組まれておりますが、これは事業主体は本来地方自治体ということになっておるわけです。大臣の言われるのは、一般失業対策事業で現在地方自治体でやる国が三分の二補助しておる分についてお答えであるのか、建設者あたりでやっておる
公共事業
の性質のものをおっしゃっておるのか、この点を明確にしていただきたい。
西田隆男
66
○
西田
国務大臣 お答えいたします。国で負担するのがどういう種類のものであるか、地方でするのがどういう種類のものであるかということを判別するのは、現在では非常に困難でございまして、従って地方ですべきものも、国ですべきものも一緒になって、現在失業対策事業というものは考えられておるわけであります。別に地方だけですべきものというふうには考えておりません。
多賀谷真稔
67
○
多賀谷委員
では今まで
予算
で組んでおりました失業対策事業というものは、大体国でするものであり、さらに地方自治体において独自の失対事業を施行する場合には、それは県及び市町村おやりになるのだが、従来やっておる失対事業というものは 本来国でやるものであって、現在国でやることが至当であり、全額国庫でやるように折衝しておる、こういうように理解してよろしいわけでありますか。
西田隆男
68
○
西田
国務大臣 必ずしもあなたがおっしゃったようには、現在まだ言明はいたしておりません。これは国が重点的に腰を入れてやる失対事業というものと、地方でやっておる失対事業というものは、将来何とかして区別をつけていきたいと考えておりますけれ
ども
、現段階においては、はっきりした区別はまだつけておりません。従って、私が申します失対事業の全額国庫負担は、
大蔵省
と折衝の過程において、果して今までやって来ておった失業対策事業を含めて全額国庫負担ということが成り立つのか、あるいはただいま申しますように、地方の負担分として考えられるような事業もありますので、そういう事業を含めましてどういうパーセントになるのか、いずれにせよ二十九
年度
よりも相当引き上げてもらうという意気込みで今折衝いたしております。
中村三之丞
69
○
中村委員長
大橋武夫君。
大橋武夫
70
○大橋(武)
委員
労働大臣
は、先般当
委員会
におきまして御就任のあいさつを兼ねまして、
労働行政
についてのあなたの基本的なお考えをお話し下さったわけでございます。そこで私は、この数本的なお考えに関連いたしまして二、三の質問をいたしたいと思っておるのでございます。その大臣の御発言の中に、今回大臣が経済閣僚懇談会のメンバーとなられているということを特に述べられておったわけでございますが、このことには、何か特別な意味があるわけでございますか。
西田隆男
71
○
西田
国務大臣 これから先の日本の経済問題を論議する上において、労働問題をはずして論議するということは、経済問題
解決
のために適当ではない、かような見解で、
労働大臣
が経済閣僚懇談会に、今までも入っておりましたけれ
ども
、今回特に入れていただきまして、そうして労働問題との
関連性
において日本の経済問題を片づけていきたい、かような考え方を持っております。
大橋武夫
72
○大橋(武)
委員
その経済閣僚懇談会のメンバーはどういう大臣でございますか。
西田隆男
73
○
西田
国務大臣 大蔵大臣、経審長官、農林大臣、それに
労働大臣
、もう一人は
通産大臣
、これでございます。
大橋武夫
74
○大橋(武)
委員
そこでこういうメンバーとして労働問題と経済問題とを関連させて
解決
していきたいということをこの前も述べておられますし、また今日も述べておられますが、そのことは、一体具体的にいうとどういうことを意味するのでございますか。
西田隆男
75
○
西田
国務大臣 具体的に申しますと、今内閣は、経済六カ年計画を検討中でありますがこの経済六カ年計画を遂行していきますような
予算
を作っていく上におきまして、ある場合においては能率の向上、企業の合理化という、面から、相当な失業者が出ることが予測されますので、そういう失業者が出ることを予測される場合においては、
労働大臣
といたしまして失業対策といいますか、失業した労働者を他の面に吸収する点について、非常に重要な発言をしなければならないし、その問題が片づかないままでの経済六カ年計画の遂行は、失業者群をいたずらにふやすという結果になることも考えられますので、そういう観点に立ちまして
労働大臣
としては、経済閣僚懇談会で重要な
労働行政
の面をやっていきたい、かような観点に立ってメンバーとしての活躍をするつもりであります。
大橋武夫
76
○大橋(武)
委員
元来、この労働間臨は、沿革的に見ますと、これは大臣よ御
承知
のように、むしろ産業問題に従属しておったと思うわけであります。産業革命の初期におきましては、労働者の人格すら産業に従属させられておった。そこで労働問題というものが塩て来たわけでございまして、この労働問題の出発は、産業問題のほかに労働者の生活問題というものがなければならぬ、という点が、この労働問題の出発点であったわけであります。終戦後のわが国の労働運動の急激な展開に伴いまして、普通に言われておりますことは、むしろ労働問題というものが、今日の日本においては多少行き過ぎて来ているのではないか、こういうわけでございますが、それは労働者の生活問題を取り上げる取り上げ方が、あまりにも大きくなり過ぎて、そうして産業の経営というものがその犠牲になっておるのではないかという点が、問題となっておるのじゃないかと考えるわけであります。こういう意味におきまして労働問題の陰に、隠れてしまった産業問題というよのを、労働者だけの生活でなく、国民全体の生活問題の根本として再び取り上げていかなければいけない、こういう段階が今日の段階だと思うわけでございます。従って、労働問題というものは、最初の時期においても、また今日においても、常に経済問題と関連して考えられることは当然のことでございまして、大臣のおっしゃる労働問題と経済問題を関連させるということは、そういう当たり前のことを言っておられるのではないのではないか。しいてそこに意味をつけて
解釈
するとすれば、問題は、現在の労働問題の
解決
に当って、産業問題に重点を置いて
解決
すべきか、あるいはまた、労働者の生活問題に重点を置いて
解決
すべきか、ここが労働問題に対する根本的な考身方の分れる
ところ
だと思うのであります。あなたが経済閣僚
会議
のメンバーとなっておられることは、そのどちらの立場を意味するわけでございましょうか。
西田隆男
77
○
西田
国務大臣 もちろん労働問題も産業問題も、でき得れば同時に
解決
しなければならない問題であると考えておりますが、経済六カ年計画を遂行いたします上におきましては、労働に重点を置くか、あるいは企業そのものに重一点を置くかということは別問題としまして企業の合理化をはかって生産費の低減も行わなければなりませんし、生産の増加もはかって貿易の伸展にも寄与するようにしなければなりません。そういう過程におきまして、少くとも日本の現毎の企業と労働のあり方でありますと、ある場合においては、合理化をするための人員の整理という問題が付属して考えられます。その際に、今までは、ただ企業と経営という間だけの問題として労働問題が処理されて来ましたために、起さないでも、いいような紛争が起きてみたり、あるいは、国家として何とか援助、助成の手を講じてやったならば、そうならないで済んだであろうと思われるようなことまでも、
労使聞
の紛争として今まで起きて来た実例があります。従って、私としましては、そういう観点に立ちまして、一つの計画のもとに各産業が企業の能率を上げ、合理化をはかり、そして企業の負担だけで労働者の生活そのものを安定した方向に持っていけないというような企業がもしありました場合は、企業だけの負担でたくて、国として何とか労働者の生活身ささえ得るような
方法
を考えなければならない。そのためには、
労働大臣
として、ただ産業
関係
の大臣だけの話し合いでまとめてもらうことは非常に因るという観点で、私は特に経済問題に関連して、その一環としての労働問題を考えたい、かように考えております。
大橋武夫
78
○大橋武
委員
そうしますと、労働問題の取り上げ方に、産業政策を根本にして、それに引きずられて労働問題がついていくということになりますか。それとも労働政策というものが出てきて、それに産業政策を調和させていくという考え方で行くわけですか。どちらでございましょう。
西田隆男
79
○
西田
国務大臣 経済六カ年計画の中におきましては、御
承知
のように完全雇用ということを一応の目標に置いております。従って、両方の問題を同時に
解決
して行くという考えの上に立って六カ年計画はできておるものと考えておりますけれ
ども
、それは考え方であって、実際現実の問題としては、あの案で考えておりますようなことが完全に行われるかどうかということは、確信はできません。従って、その過程において生ずるトラブルを、
労働大臣
としては起さないような方向に労働問題の
解決
を持っていくと同時に、企業の合理化、能率の増進をはかりたい。欲はこのようにございますけれ
ども
もそういうように考えて実は入っておるのでございます。
大橋武夫
80
○大橋(武)
委員
やはり労働問題の所管として
労働大臣
があられます以上は、一応、
労働大臣
の立場というものは、産業政策についていくというだけでなく、むしろ労働者の生活を擁護することを念頭に置きつつ産業政策を考えていくという行き方でなければならぬと思うわけでございます。そういう意味におきましてこの経済閣僚
会議
というものの構成を考えてみますと、労働者の生活問題のために
労働大臣
がおられると同時に、一般国民生活の問題については、厚生大臣がメンバーに入るべきじゃなかろうか。そうして初めて経済閣僚と数の上でバランスがとれるばかりでなく、実際上、産業問題と生活問題という両方のバランスがとれるのじゃなかろうか。
労働大臣
がせっかく入られることによって
労働行政
に意義を任ずるならば、そうした経済閣僚
会議
に、将来厚生大臣をも加えられることが、さらにいいことじゃないかと私は思うのですが、これについてのお考えを伺いたいと思います。
西田隆男
81
○
西田
国務大臣 ただいまの御
意見
は、ごもっともだと考えます。
大橋武夫
82
○大橋(武)
委員
それでは、自今
政府
はそういうお扱いをなさることになりますか。
西田隆男
83
○
西田
国務大臣 私自身、経済閣僚懇談会に出まして厚生大臣を加えるよう発言をいたします。
大橋武夫
84
○大橋(武)
委員
なお私は、この閣僚
会議
におきましては、できるだけ先ほど申し上げたような趣旨で
労働大臣
が行動されることを
希望
するわけでございますが、今
労働行政
において一つの問題となっておりますものに、労働三法の改正問題というものがあるわけでございますが、これについての大臣のお考えはどういうお考えでございましょうか。
西田隆男
85
○
西田
国務大臣 私は、今の
ところ
労働三法を改正しようとは考えておりません。
大橋武夫
86
○大橋(武)
委員
総選挙の前に当りまして、大臣の属しておられます民主党は、選挙の公約というものを発表されております。その中に、やはりこの労働三法の問題がはっきり公約として打ち出されておるわけでございますが、どういうふうに民主党は打ち出しておられますか。
西田隆男
87
○
西田
国務大臣 民主党の政策の中に、労働三法に関する表現があることは、私は
承知
いたしております。しかし、労働一二法の改正が是か非かをめぐって、いろいろ議論はされておりますけれ
ども
、私は、そう簡単に労働三法に手をつけるべきではないという考えを持っております。私自身も企業をやっておった経験を持っておりますから、労使の間というものは、今直ちに労働三法に手をつけなければ、今より以上に労使の間の平和が維持できないというふうには、私自身は考えておりません。従って、現在の段階では、労働三法を直ちに改正しなくてはならいというふうには考えておりません。
大橋武夫
88
○大橋(武)
委員
そうしますと、
労働大臣
のお考えは、民主党の選挙の公約とは多少食い違いがあると申しますか、多少開き」があるものと理解いたしてよろしゅうございますか。
西田隆男
89
○
西田
国務大臣 党の政策としましても、選挙後すぐ改正するというふうには言っておらぬと思いますが、労働三法の改正は慎重を要しますので、どうしても改正しなければならないような周囲の情勢が生じてきました場合はおいて考えたい、かように考えておのます。
大橋武夫
90
○大橋(武)
委員
どうも、選挙のあとにすぐできた内閣で、選挙の公約と全く違った政策をここで述べておられますが、そのお考えについては、閣議で御相談になったことはございますか。
西田隆男
91
○
西田
国務大臣 閣議では、労働三法の改正の問題につきましては、まだ議論をしたことはございません。
大橋武夫
92
○大橋(武)
委員
そうすると、それは
政府
全体の責任ある
答弁
として受け取ることがでぎるでしょうか。
西田隆男
93
○
西田
国務大臣
政府
の統一ある
答弁
と申しますと、閣議で決定したということが一つの
根拠
になると思います。閣議ではまだそういうことを議論したことはございませんので、
労働大臣
個人の
意見
としてお聞き願いたいと思います。
大橋武夫
94
○大橋(武)
委員
実は、民主党におかれましては、選挙前においては、労働三法については改正の問題がある、しかし、これをすぐ改正するか改正しないかということは、選挙に当ってうかつにしゃべることは不得策であるということで、そこでこの問題は、一応公約においてはぼかしましたが、しかし全然この問題にタッチしないという態度でなく、慎重に考慮する、こういう表現が用いられてあるわけでございます。私は
労働大臣
か就任されました以上は、選挙の公約をまず実行されるのが、大臣のお役目でございますからして、まず就任後この問題を真剣に取り上げて慎重に考究さるべきではないかと思うわけでございます。そういう意味でただいま伺いましたのですがむぞうさに労働三法の改正はやらぬ、こういっておられます。これでは、選挙の公約にも反する次第でございますから、この問題については、今すぐここでお答えをいただくことができないかもしれませんが、一つ選挙の公約もあることでございますから、
労働大臣
は十分慎重に御検討の上、しかるべき機会に、私もこの問題についてさらに重ねてお尋ねしたいと存じます。
西田隆男
95
○
西田
国務大臣 私、まだ
労働大臣
に就任しまして、きわめて日も浅うございますし、閣議が
暫定予算
の問題だけにひっかかっておりまして、あとは
委員会
に出ておりますので、閣議でそういうことをゆっくり議論「するひまがなかったのでありますが、党の方ともまだ連絡をとっておりませんので、党の政調会ともよく連絡をとりまして、態度をきめたいと思います。
多賀谷真稔
96
○
多賀谷委員
私は先ほどの続きの論議をしてみたいと思いますが、失業対策の問題で一番困っているのは、やはり資材費だろうと思う。現在四十五円で、単価が頭打ちになっております。三分の一の比率ですから、十五円になっておるのですが、今度の
予算
ではどういうようにお考えですか。三十
年度
予算
においては、どういうように資材費を上げるつもりであるか、
労働大臣
のお考えを承りたい。
西田隆男
97
○
西田
国務大臣 私がさっきから申しておりますのは、失業対策に使う
経費
を全額国庫負担にしてもらいたい。その中には労務費も資材費も諸
経費
も一切含まっております。
多賀谷真稔
98
○
多賀谷委員
実は国庫負担の率の問題でなくて今資材費全般の
経費
のことを聞いておったのです。そうすると、大臣はかなり建設的な事業をやる、こういうことをおっしゃっておりましたので、建設的な事業をやるということになると、当然資材費はかなり値上げをされる、かように了解してよろしいでしょうか。
西田隆男
99
○
西田
国務大臣 その
通り
でございます。
多賀谷真稔
100
○
多賀谷委員
さらに失業対策の中に、現在やっております、いわば清掃事業とか、そういった長い間停滞しております労務者、この労務者は必ずしも建設事業には向かない、こういうような趣旨で、前は建設的な事業と社会保障と失業対策を一貫したものと区別してのお話のように承わったわけですが、それでは現在比較的長い間日雇い労務者として停滞しておりますたとえば老齢者あるいは女子労働者、こういう人には、どういうように考えておられるかさらに具体的にお答えを願いたいと思います。
西田隆男
101
○
西田
国務大臣 大体私が考えておりますことは、今までの失業対策と申しますのは、ただ登録されておる失業の人数だけが対象になって失業対策事業を行われておった。従って持っております労働力の差がどういうふうになっておったかということが非常に問題がございまして、果して持っておりまする労働力そのものを完全に敷率化するような失業対策事業であったかどうかということについては、私は疑念を持っております。従って失業者の質という問題に対して、今調査を命じておりますが、この調査が完成しますと、たとえて申しますれば、百パーセント労働力を持っておる人には、百パーセントの労働力の発揮のできるような失業対策事業を与えて、賃金の増収をあわせてはかってやりたい。そしてまた全然ないといっては語弊がありますが、非常に労働能力の低い人
たち
は、今言う労働力を使わないで済むような清掃事業とか公園の手入れというような方面に失業対策事業を考えて、その方面に充当して行く。そして同じ国の税金を使うことですから、少しでも効率的に、しかも今の断片的でなくて、継続的と申しますか相当長い期間にわたっての失業対策事業というものを考えまして、そして、これがもっと大きく言いますならば、一種の継続雇用になって一つの事業になり、事業の従業員というような本質を持った
ところ
まで、一つ失業対策事業というものを進めていってみたいかような考え方に基いて、今いろいろなことを計画をいたしております。
多賀谷真稔
102
○
多賀谷委員
現在の日雇い登録資格がある者は、一世帯で一人ということになっております。これが非常な悲劇を生んでおるわけですが、大臣においては、やはり働く意思があり、働く能力がある者は、何も一世帯に一人か資格かあるということでなくて、もう少し拡充をしたい、こういう御意思であるかどうかお尋ねしたい。
西田隆男
103
○
西田
国務大臣 これは仕事の問題と金の問題でございますが、今の一家族一人としての失業対策事業に出払っております金は、決して労働者諸君の生活を満足せしめるものとは考えておりません。従って、そういうものを上げたいとは考えておりますけれ
ども
、これは国の財政問題と関連して、でき得れば逐次そういうことは解消して行きたい、かように考えております。
多賀谷真稔
104
○
多賀谷委員
実は新聞で失業保険法の改正の問題を見たわけであります。ことに最近日本経営者連盟から送って来ました資料によりますと、かなり詳細に書いてございます。失業保険法の改正については、どういうお考えであるかお伺いしたい。
西田隆男
105
○
西田
国務大臣 失業保険法の改正については、現在行われております給付条件というものが、必ずしも現在の社会実態と合致しておるとも言い切れませんので、そういう点を勘案しまして、ある短期間の、何といいますか期間労働者といいますか、六カ月就業してその次は休んでおる、そういう者に対して六カ月給付するというような場合は、これは何とか少し短縮をすることによって、そのかわりに長期労働者として失業された人は、これはもう少し長く保険の給付をしたらどうだろうかという考え方を今持っております。
山下春江
106
○
山下
(春)
委員
ちょっと
労働大臣
に伺っておきたいし、そして今後御協力を願いたいと思うことがございます。 昨日、私、舞鶴へ第十一次引揚船を迎えに参りました。今回帰りましたのはあの中国大陸の非常な各所、あらゆる地域から引揚げたのでございます。中国の内情が非常に詳しくわかりましたのですが、従来引揚げました人には、相当の金な
ども
持って帰った引揚船がありましたが、今回帰りました八百十五名中、ほとんど大部分の人か、ほとんど着のみ着のままで、資産らしいものを持って帰っておりません。帰りまして、すぐあそこで強く要望されましたことは、就職問題——なお現在大約六千人くらいの者が残留しておるようでございますが、それらはデマでございましょうけれ
ども
、日本に帰ると就職できない、あちらにいればほとんどみんな職を持っておるが、こちらに帰れば就職できないというようなことを危惧して、帰りたいには帰りたいが、帰国を
希望
する勇気が出ないというような状況にあるようでございます。従来の引揚者の就職については、
労働省
でも非常な特別な御配慮を願っておることは
承知
しておりますが、今回りに特別でございます。特にあちらで結婚しておりまして、そして離婚して子供たけ三人くらい小さいのを連れて帰ったという特殊婦人が非常に多い。そういう者に対して、今回は特に強い要望がありましたので、
労働省
の方として、これに対してどういうふうなお考えをお持ちいただいておるか、ちょっと伺いたい。
西田隆男
107
○
西田
国務大臣 お答えいたします。今までの引揚者の求職者に対する就職をあっせんしましたのは、自分でつてを求めて就職されました以外に、中共からもソ連からも引き揚げた者を含めまして、約六〇%
程度
の就職ができております。これは
労働省
の役人の非常な努力の結果だろうと考えております。今回の八百人以上の引揚者に対しましても、職安の者は、もちろん舞鶴に出しておりますが、いろいろのあっせん機関を通じまして、できるだけ就職ができますように努力したいということを
当局
も打ち合せております。なお今お話を承わりましたので、
当局
ともよく相談しまして善処したいと思っております。 それから、引揚者がお金を持っておらないということにつきましては、これは
労働省
関係
でなく厚生省
関係
でありますので、厚生省の方でどのくらいの
金額
か知りませんか、ある
程度
のお小づかいを差し上げるということを、川崎君が参議院の労働
委員会
で
答弁
いたしておりましたから、厚生大臣ともその点をよく打ち合せておきたいと思います。
山下春江
108
○
山下
(春)
委員
そういうふうに、ぜひお願いたしたいと思います。従来各県の職安で特別にやってくれておることに、よく
承知
しておらます。職安の人々も、ほんとうにこれは省からの命令を越えてやっておることを
承知
しておりますが、今回のは特に困窮者か多いので、大臣からも職安の方へなおその点を熱心に要請していただきまして、まだあちらに残っておる者——帰りました人の言葉によりますとあと一年帰られなければ発狂するであろうという、従いまして、私
ども
引き揚げの問題を長く扱っておりました者としては、捕捉できない感情でございます。帰りたくない、帰国を
希望
しないといって残っておきながら、あと一年も帰れないと発狂するであろう。そこに非常にむずかしい問題がありまして、帰っても就職できないだろうというようなこと、か、あちらへ伝わっておることを何とか解消したいためにも、今回は子供連れ、それから非常に困窮者、そういう者でございますので、特段の御配慮を願いたいことを、重ねてお願いをいたしておきます。
西田隆男
109
○
西田
国務大臣 よくお話わかりましたから、督励をしまして、御期待に沿うようにしたいと思います。
中村三之丞
110
○
中村委員長
もうございませんか。 ちょっと速記をやめて不さい。 〔速記中止〕
中村三之丞
111
○
中村委員長
それでは速記を始めて。 次に健康保険の赤字対策に関する件につきましてお諮りいたします。
本件
に関しましては、前回の
委員会
において
委員
諸君より御熱心なる御質問があり、先刻の
理事
会におきまして
協議
いたしました
ところ
、本
委員会
において決議をいたし、
関係
大臣に送付すべきであると決定いたしましたので、その案文を作成いたしました。 案文を朗読いたします。 健康保険の赤字対策に関する決議案 社会保障制度の重要なる基盤をなす健康保険の収支は、今や、数十億に上る赤字を示すに至り、今にして抜本的対策の樹立を見ることなくしては、その運営上著しい支障を生ずべき実情にある。 よって、
政府
は健康保険の危機に対処するため、制度並びにその運用について必要な改革を行うとともに、併せて給付費に対する国庫負担の方途を講ずべきである。 右決議する。 以上のような決議をし、その取扱いに関しましては、
委員長
に御一任願うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中村三之丞
112
○
中村委員長
御異議なしと認め、さよう決します。 この際厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
川崎秀二
113
○川崎国務大臣 ただいま本
委員会
におきまして、健康保険の赤字対策に関する決議が行われ、健康保険の危機に対処、するため、制度並びに運用について必要な改革を行うとともに、給付費、に対する。国庫負担の方途を講ずべきであるという御決議をいただきましたことは、
政府
としても、赤字克服のみならず、健康保険の財政の収支
均衡
化のために、また先年来社会保障制度
審議
会等の
勧告
もありましてこの決議は十分に尊重して霊一処をいたしたい、かように考えております。 ————◇—————
中村三之丞
114
○
中村委員長
次に
委員派遣
に関する件についてお諮りいたします。 ソ連地区残留同胞が来月十八日舞鶴に引き揚げて参りますので、この際本
委員会
より
委員
を派遣して、その援護状況などを調査いたしたいと存じますが、議長の承認を求める手続派遣
委員
等については、すべて
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中村三之丞
115
○
中村委員長
御異議なければ、さよう決定いたします。
山下春江
116
○
山下
(春)
委員
ただいまの
委員派遣
とも関連しております引き揚げの問題でございますが、昨日第十一次引き揚げが舞鶴へ到着いたしまして、八百十五名帰って参りました。今回は中国の各地から集団したものでございまして、従来の引き揚げと違って非常に貧困者ばかりであります。同時に、大部分が結核に冒されている非常に健康状態の悪い人ばかりであります。もう一りの条件は、中国人と結婚している婦人が非常に多かったために、小さい子供を二人、三人と連れ帰ってきた母子が非常に多かった。そこで毎度出ることでございますが、引揚者の代表から、私
ども
国会
および
政府
に対して協力な申し出がございました。それは、第一点は、就職の問題でざいます。特に今申しました、ように母子を中心にして十人くらいを集めて行う集団職業補導等の、いわゆる母と子が生きていける
方法
をぜひひとも考究してもらいたいということが一つ。一つは住宅でございます。それからそのほかにもう一つ、帰還
手当
が従来おとなが一万円、子供が五千円でございましたが、大臣はその帰還
手当
一万円と五千円について、その全額を増額する御意思がおありになりましょうか、どうでありましょうか。
川崎秀二
117
○川崎国務大臣 大体御質問は中共ソ連からの引揚者に対する応急援護、それから
山下
委員
御
承知
の厚生対策といいますか、定着援護については、従来ともに、できる限り手厚く受け入れられるような
措置
は講じておるのであります。そこで、就職の問題の方は、先ほ
ども
参議院において御質問があったのでありますが、これは自己就職などを除きまして、公共職業安定機関などであっせんをいたしましたものは、第一次から第七次までの引揚者に対して八〇%以上という相当な好成績を示しております。それから第九次の場合たけでも、約四〇%——これは昨年の十一月だと思いますが、そういう就職率を示しておりますので、これは今後相当上昇するものとも見込まれておりますし、
労働省
とも協力をして、一そう善処したいと考えておる次第であります。 ただいまの最後の御質問の問題は、現在帰還
手当
というものは、おとなが一人一万円、子供が五千円、ただいま御指摘の
通り
であります。これらは十分に実情に沿うように善処いたしたいとは考えておりますけれ
ども
、すべて法律で今日まできめられ、またそれに伴う
措置
としてきめられた
範囲
内で、今日の
ところ
は
実施
をいたしておるのであります。その実情は御了解を願いたいと思います。 それから、私よけいな
答弁
ではありますが、先ほど
労働大臣
の申されたことと数字が少し違っておりますのは、それは中共、ソ連も全部含めて、そうして
労働大臣
のは、先ほど聞いておりますと、第一次から第九次まで全体を含めて六〇%、つまり第九次の就職が約四〇%になっていますから、それだけ低下をしておると思います。率が違っておったということは、先ほど参議院の
答弁
を聞百いておってわかりました。それだけよけいでありますがつけ加えておきます。
山下春江
118
○
山下
(春)
委員
その帰還
手当
の問題なんでございます。これははなはだ困ったことのようでございますが、実は民主党から深川先生が
政府
代表という肩書きで御
出席
になりました。そこで、その
政府
代表としての、ごあいさつの中に、帰還
手当
がこんな長い間苦労したにもかかわらず、おとなが一万円、子供が五千円なんということはとんでもないことである。これは直ちに引き上げましょう、こういうふうな御発言でございました。 それからもう一点、これはやはり引揚者から強い要望がございましたか、就職をいたしますのにもも何しろ手持ちの金がございませんので、西に行き東に行きするのに旅費等もないので、どうか一つ一カ月の就職に必要な鉄道パスを発行して、もらいたいという要望がございました。これは毎度出る要望でございますけれ
ども
、なかなかそれは技術上困難のようでございますので、私
ども
も何とかなだめすかして、そのままにしておったのでございますが、昨日
政府
代表たる深川先生が、それを今まで出さないことはとんでもない話だ、それは出すようにいたしましょう、こういう御
答弁
でございました。そこで本日の読売新聞によりますと、現場を存じませんが、地方引揚援護局の局長は、何も中央からそういう指令を受けていないので、それはなかなかできないというようなことを言ったかどうか、すわり込みをしたというようなことの新聞の記事も出ておりますか、その点はどうでありましょうか。現場はわかりませんが、そういう問題か起っておりま場すので、非常に困ると思うのでありますが、ここで一つ大臣の御
答弁
を聞きまして、現場にも、厚生大臣のお考えはこうだというふうなことを伝えたいと思います。私
ども
、社会党の右から受田議員、それから左から楯議員、それに私の三人、衆議院から参りまして、三人とも承わっておるのでありまして、これは
政府
にお願いして、ぜひそういうふうにしてもらいたいということで帰りましたが、できることとできないこととありますので、大臣の御決意を承わっておきたいと思います。
川崎秀二
119
○川崎国務大臣 御指摘のこういう帰還
手当
の問題であるとか、あるいはそれに伴う種々の援護
措置
につきまして足りない点があるのは実情だと思います。そういう点については実情をしんしゃくして次第に肇をするように努めるのが、厚生省としての立場ではあろうと思いますが従来の法律並びにそれに伴う各般の
措置
に基いて今日はやっておる、将来については改善をすべきが当然だと私は思っております。 なお、深川
委員
のことに御言及でありましたが、これは
政府
の責任者であるわけかないのでありまして、
政府
与党の立場から個人としての御発言であろう。かように考えております。
山下春江
120
○
山下
(春)
委員
それではそれはそのように了承をいたして、さように伝達をいたします。 もう一つの問題は、これは文部省かもしれませんが、引揚援護局の関連事項として御
答弁
願いたい。学校の問題について、ソ連、中共から帰りました者は、日本語をほとんど知りません。二十才ぐらいの者でも、ほとんど知りません。それ以下の者は、日本語は一つも知らないのでございます。これに対する
措置
を何とか考えてもらいたいということでございます。特にその中で、二十才くらいで上の高等学校その他に行きたい者も、地理、歴史、それから英語というものを全然知らない。それらについての
政府
の、厚生省としてのお考え、それからもう一点は、不具廃疾の者が非常にたくさん帰りましたので、それらに対する援護
方法
についての大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
川崎秀二
121
○川崎国務大臣 ただいま御指摘の事情は、非常に重大な問題でありまして、そういうことがあるとは予想されてはおりましたまた同時に、現に出てきておる問題だと思いますので、これは文部省と十分連絡をしまして、そういう人々が学校等に入学をする場合において、他の者より非常に劣悪な条件に置かれるということのないように努めたいと考えておる次第であります。
山下春江
122
○
山下
(春)
委員
その子供の中に、第三国国籍で日本国籍でない、要するに中国人と日本の婦人とが結婚いたしまして子供は全部中国人の主人の戸籍といいますか、姓になっておりますので、日本の国籍がございません。そういう者に対して、どう扱うかということについつの大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
川崎秀二
123
○川崎国務大臣 はなはた恐縮でございますが、そういうような問題については、私はまだ就任日浅いものでありますから、十分了知はいたしておりません。これらの問題も、文部
当局
と連絡をいたしまして、ただいま御指摘のような実情がありますれば、十分善処いたしたい、かように考えております。
中村三之丞
124
○
中村委員長
次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十八分散会