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1955-09-23 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月二十三日(金曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 三田村武夫君 理事 山田 長司君    理事 神田 大作君       志賀健次郎君    中曽根康弘君       山本 猛夫君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    井手 以誠君       高津 正道君    渡辺 惣蔵君       小林 信一君  委員外出席者         証     人         (福岡教科書         株式会社取締役         社長)     菊竹 豊平君         証     人         (福岡中学校         生活協同組合         長)      安村 豊喜君     ————————————— 九月二十三日  委員牧野良三君及び辻原弘市君辞任につき、そ  の補欠として中曽根康弘君及び渡辺惣蔵君が議  長の指名で委員に選任された。 同日  理事濱野清吾理事辞任につき、その補欠とし  て三田村武夫君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  調査経過報告に関する件  小、中学校における教科書関係事件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長所用のため、私が暫時委員長職務を行いますので、御了承願います。  前会に引き続き、小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。  ただいまお見えになっておられる方は菊竹豊平さんですか。
  3. 菊竹豊平

    菊竹証人 はい。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 あらかじめ文書をもって御承知の通り、正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小、中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評を生じ、これらが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し世上大いに関心を抱く向きがありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて異義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれては率直なる証言お願いいたします。  証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または二万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗続を願います。     〔証人菊竹豊平君朗読〕  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっておってよろしいのでありますが、お答えの際には御起立を願いま。  証人の略歴をお述べになって下さい。
  7. 菊竹豊平

    菊竹証人 大正八年四月十八日に生まれまして、当年満三十八才でございます。昭和十七年に慶応義塾大学を卒業いたしまして、昭和二十三年に現在の会社の前身であります国定教科書特約供給所専務理事として入りまして、翌二十四年に理事長に就任いたしました。さらに、昭和二十五年特約供給所の組織変えをいたしまして、福岡教科書株式会社取締役社長に就任いたしまして、今日に及んでおります。
  8. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、あなたの会社の沿革、資本金業務内容についてお述べになって下さい。
  9. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和五年十二月に小学校の国定教科書供給をやります福岡国定教科書特約供給所というものができまして、この場合は任意組合でございまして、出資金七万円で、ございます。その次に二十三年の五月に中学と高等の供給をやります福岡中学高等教科書供給所というものができました。この組合出資金が十五万円でございました。さらに、二十五年の三月に組織を変更いたしまして、福岡教科書株式会社というものを作りました。資本命三百万円でございまして、株主が八十二名でございます。さらに二十七年に資本命を一千万に増資いたしております。仕事の概要は、福岡県におきます教科書供給と若干の普通図書販売をいたしております。なお、取次店約百四十五店にその供給に当らしておるような次第でございます。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 最近三カ年における会社の取り扱った教科書部数とそのおもなる発行会社についてお述べになって下さい。
  11. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十八年が七百八十九万四千七百七十七冊でございます。金額にいたしまして、四億一千百八十九万二千七百一円でございます。次の三十九年が七百八十五万七千三百二十三冊でございまして、四億一千二百二十一万七千二十円でございます。三十年度が六百四十七万二千七百三冊でございまして、四億二千百万三千八百七十三円でございます。この中から返品が出て参りますので、多少数字が違ってくるかもわかりません。
  12. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社では大日本図書が発行している中学の理科で「科学世界」の供給業務を行なっているかどうか、これを一つ簡単に述べて下さい。
  13. 菊竹豊平

    菊竹証人 行なっております。
  14. 高木松吉

    高木委員長代理 大日本図書の「科学世界」の供給契約を行うに至った経緯について、この点は詳細にお述べになって下さい。
  15. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいまの御質問は、大日本……
  16. 高木松吉

    高木委員長代理 「科学世界」の供給契約をあなたの方で行なっているというから、その経緯を詳細に述べて下さい。
  17. 菊竹豊平

    菊竹証人 大日本図書はずっと以前から私どもで扱わさしていただいております。
  18. 高木松吉

    高木委員長代理 「科学世界」についての供給契約をなすに至った経緯です。その他のことはよろしゅうございます。
  19. 菊竹豊平

    菊竹証人 すでに御承知と思いますが、発行会社特約契約は、毎年新しく契約お願いして扱わさしていただいております。それで、「科学世界」につきましては、——「科学世界」ができましたのは昭和二十七年と思います。毎年のようにその年も大日本図書契約お願いに行ったのでございますが、私ども契約からはずされそうになりまして、学生協契約なさるじゃないかというような気配を感じましたものですから、再三……
  20. 高木松吉

    高木委員長代理 菊竹君、こっちで聞く関係があるから、一年々々述べて下さい。二十七年から始まって今でもやっているのでしょう。
  21. 菊竹豊平

    菊竹証人 はあ。
  22. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、二十七年はどう、二十八年はどう、二十九年はどう、三十年はどうというふうにすれば、すっきりとした姿で供述できると思います。
  23. 菊竹豊平

    菊竹証人 「科学世界」は二十七年にできたと思います。その場合に契約お願いに参ったわけでございます。私ども契約お願いに行きましたときに、お願いがなかなかできませんので、岡三お願いいたしたのでございますが、現地の方で学生協の方と相談はできないかというような御返事でございましたので、学生協の方と御相談申し上げまして、ここに手数料を半分にするというようなことにお約束いただきまして、私どもが実際の仕事をやらしていただきまして、学生協の方には供給に関するいろいろな協力お願いする、そういうような契約をしていただいたようなわけでございます。その後、二十八年、二十九年、三十年は、引続きそのようにしてお願いしておるのです。
  24. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、大日本図書とあなたの方は直接に供給契約をした事実はないということになりますか。
  25. 菊竹豊平

    菊竹証人 しておりません。
  26. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、「科学世界」の供給について二十七年の一月福岡中学校生活協同組合との間に契約を締結しておるが、契約を締結するまでの経緯及びその内容について述べて下さい。
  27. 菊竹豊平

    菊竹証人 その経緯は、ただいま申し上げましたような次第でございまして……
  28. 高木松吉

    高木委員長代理 菊竹君、契約書はありますか。
  29. 菊竹豊平

    菊竹証人 ございます。
  30. 高木松吉

    高木委員長代理 どうですか、菊竹君、二十八年度に特約供給契約を大日本図書株式会社とこの「科学世界」について契約いたしておりませんか。
  31. 菊竹豊平

    菊竹証人 「科学世界」につきまして二十七年度は正式な契約はなかったと記憶しております。
  32. 高木松吉

    高木委員長代理 よく聞いて答弁してもらわなくちゃならぬ。大日本図書株式会社とあなたの方との契約があったかということを一つ聞くことと、さいぜんからの説明によると、あなたは福岡中学校生活協同組合との契約との混線があるように思う。それを、筋を立てて、いつからいつまではどの会社契約した、いつからいつまでは学生協契約したとかいうことになるのじゃないかと推定するのですが、内容一つ克明に筋を立てて説明していただきたいと思います。
  33. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十七年度は正式な契約はなかったと思います。二十八年度は……。
  34. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっとお待ち下さい。二十七年度正式契約がないということは契約書がないということ。契約というものは一つの無形なものです。証明するために契約書がいるわけでしょう。そうすると、供給事務を取り扱っているんだから、契約はあったんじゃないですか。
  35. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十七年度は大日本図書福岡教科書株式会社との正式な契約ではございませんで、学生協と私どもとの契約というふうに思っております。
  36. 高木松吉

    高木委員長代理 思っているというのはおかしい。契約があるとかないとか断定できるはずです。そうすると、学生協とあなたの方は二十七年は契約があったと主張される……。
  37. 菊竹豊平

    菊竹証人 さようでございます。
  38. 高木松吉

    高木委員長代理 それが二十八年、二十九年、三十年と踏襲されてきたというふうに受け取っていいわけですか。
  39. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十八年度以降は大日本図書福岡教科書株式会社との契約お願いしたと思います。
  40. 高木松吉

    高木委員長代理 いま少し契約内容や何かをこまかく説明して下さい。あなたも大学を出られているようだから、わかりやすく、だれ人にも聞き取れるような説明の仕方をして、明らかにしてもらいたいと思います。
  41. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十七年度は大日本図書と私どもとの正式契約ではございませんで、私ども中学生協との約束による契約でございます。二十八年度以降は私どもと大日本図書との契約でございます。
  42. 高木松吉

    高木委員長代理 私どもの聞きたいのは、契約内容、条項ですから、それを詳細に説明して下さい。
  43. 菊竹豊平

    菊竹証人 私ども中学生協との契約につきまして、ここに契約書がございますので……。
  44. 高木松吉

    高木委員長代理 ここで述べて下さい。
  45. 菊竹豊平

    菊竹証人 「福岡中学校生活協同組合(以下甲と称す)と福岡教科書株式会社(以下乙と称す)との間に大日本図書株式公社発行中理「科学世界」の供給について左の契約をなす、第一条、甲は乙に其の供給実務一切を委任する、第二条、甲は右教科書完全供給に関して乙に協力する、第三条、右協力に関し乙は其の供給実数より生ずる利益の折半したるものを協力金として甲に支払う、共の期日は前期用を七月末、後期用拾弐月末とする、第四条、本契約は「科学世界」の存する期間有効期間とする、第五条、本契約以外のことに就て問題の生じたるときは甲乙協議の上之を解決する」、こういう契約をいたしました。
  46. 高木松吉

    高木委員長代理 わかりました。そこで、問題になってくるのは、さいぜん二十七年度の契約をそのまま踏襲したということは間違いですね。当事者が変ってくるように考えられますが、その点はどうなりますか。
  47. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十八年度以降は大日本図書福岡教科書株式会社契約お願いしております。
  48. 高木松吉

    高木委員長代理 その契約はわかっておりますか。
  49. 菊竹豊平

    菊竹証人 契約書は持ってきておりませんけれども……。
  50. 高木松吉

    高木委員長代理 わかっておりましたならば、その内容を詳細に述べて下さい。
  51. 菊竹豊平

    菊竹証人 契約書がないので……。
  52. 高木松吉

    高木委員長代理 重要な点だけでも記憶を呼び戻して説明して下さい。聞き及ぶところによると、学生協と、それから今の大日本図書との契約にあなたの方は関係しているようですね。二十八年以降の契約を大日本図書とあなたの方と契約したのでしょう。学生協とですか。
  53. 菊竹豊平

    菊竹証人 私の方とです。
  54. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、あなたの方と関係したのにかかわらず、学生協もその契約によって何か法律効果を結ぶようなことになっているように承知しておりますが、その点の契約内容について詳細に述べていただけませんか。
  55. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十七年に学生協とただいま申し上げましたような契約をいたしまして、「科学世界」というものはその後ずっと発行されるものでございますので、この契約書によりまして、「科学世界」が存する期間有効期間とするという約束をいたしましたので、この期間学生協に対しまして手数料の折半したるものを差し上げたような格好になっております。
  56. 高木松吉

    高木委員長代理 そこを聞きたいのです。明瞭にして下さい。
  57. 菊竹豊平

    菊竹証人 数字とか、そういうものですか。
  58. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、こちらから、あなたが説明しやすいように聞きましょう。  そうすると、二十七年度の契約によって、あなたの方で売り上げた部数及び金額手数料と申しますか、利益と申しましょうか、それらについて詳細に述べていただきたいと思います。
  59. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十七年が千七百十八万九丁六百七十七円でございます。これに対しまして、特約手数料が六十八万七千五百八十七円八銭でございます。これに対しまして、学生協の方へお渡しいたしましたものが二十九万三千八百六十一一円であります。
  60. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、この二十九万三千何ぼというものを学生協に渡した理由はどういうことですか。
  61. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほど申し上げました契約書によるものでございます。
  62. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、二十七年度は大日本図書福岡中学校生活協同組合との間に供給契約ができておって、その下請をあなたの方はしたことになるわけですね。
  63. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほど申し上げましたように、正式な契約ではございませんで、現地話し合いは何かできないものかというようなことを言われましたもので、私ども中学生協話し合いをいたしまして、先ほど申し上げましたような約束を申し上げたようなかっこうになっております。
  64. 高木松吉

    高木委員長代理 それは、あなた、契約というものを何か文書でなければ成立しないとお考えになっているのは、法律的に間遠いじゃありませんか。最終決定意思が投合して両方の意思が合致したら契約になるでしょう。その合致した意思に基いた契約を私どもは聞いておるのですから、文書の有無にかかわらず、その内容説明してもらいたい。あなたの説明を承わると、要するに、二十七年度は大日本図書から福岡中学校生活協同組合供給事務を請け負って、その下請をあなたの方がして、下請手数料を引いた二十九万三千何がしというものを常生協の方に渡したということになるのじゃありませんか。
  65. 菊竹豊平

    菊竹証人 私どもの聞いておりますのでは、学生協の方との契約はしてないと聞いております。
  66. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、あらためてお尋ねしますが、学生協に渡した二十九万三千何がしというものは、何のためにあなたの方でお渡しになったのですか。
  67. 菊竹豊平

    菊竹証人 これは、たとえば早期販売は大体いつごろからやったら適当なものであるとか、あるいは転入生あるいは需給調節はうまくいっておるかどうかとか、あるいはどの地区では供給がうまくいってないのでもう少し注意してやってくれとか、こういういろいろな供給に関します助言を特にお願いしたようなことをいたしました。
  68. 高木松吉

    高木委員長代理 わからないことを菊竹君はお話しになりますね。この契約書を見ると、甲は乙にその供給実務一切を委任すると書いてありますね。これはどういうわけですか。菊竹君、あなたのお話しによると、チンプンカンプンのことを言っておるようにしかこの契約書からいくと受け取れないのですが、どういうわけですか。私の聞いたのがわからぬのかな。そんなわからぬはずはないと思うのだ。この契約書があるのですから。何だかおかしいね。これは菊竹君、よく考えて、そして真実を述べて下さい。契約書がないと言うて、これは契約書があるし、あなたは契約書を読み上げておる。それが今度は何かわけがわからぬことになってしまっておる。要するに、あなたの証言を聞くと、大日本図書から福岡中学校生活協同組合に、おそらくこれは見えないが契約があって、その契約に基いて学生協が持っておる権利をあなたに委任したように私は聞いておる。それで初めてこの二一九万何がしというものが学生協に入ることは疑わなくて済むのだけれども、あとで説明したあなたの話を聞いておると、学生協とは何ら関係がないのだ。関係がないということになれば、面接大日本図書とあなたの方との関係があって、あなたの方の売上手数料の中から、協力してもらったところの学生協に対して二十九万三千何がしというものを渡してやったようにしか、あなたの証言は受け取れない。そういうふうにわれわれは受け取っておるのにかかわらず、それを肯定もせなければ、何かあいまいなことを言われるのだが、よく考えて当時の真実を述べていただきたい。宣誓されているのだから、そのつもりで一つお述べになって下さい。
  69. 菊竹豊平

    菊竹証人 もう一度申し上げます。昭和二十七年度の大日本との契約につきまして、大日本図書お願いに行ったわけでございます。
  70. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと待って下さい。先ほど読まれた一条、二条、三条、四条、五条という契約内容甲乙でやりましたね。その契約の成立の月日、これは昭和二十七年一月十四日と私の方は受け取っておるのだが、その点、間違いありませんか。
  71. 菊竹豊平

    菊竹証人 さようでございます。
  72. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、甲はだれですか。
  73. 菊竹豊平

    菊竹証人 中学校生活協同組合でございます。
  74. 高木松吉

    高木委員長代理 福岡中学校生活協同組合組合長安豊喜君でしょう。間違いありませんか。
  75. 菊竹豊平

    菊竹証人 はい。
  76. 高木松吉

    高木委員長代理 乙は福岡教科書株式会社取締役社長菊竹豊平君、君でしょう。間違いありませんか。
  77. 菊竹豊平

    菊竹証人 間違いありません。
  78. 高木松吉

    高木委員長代理 これを前提として陳述していただかぬことには、われわれとしては真実なりと受け取られぬ点が数々ありますから、よくお考えになって述べて下さい。
  79. 菊竹豊平

    菊竹証人 私ども発行所と毎年契約お願いしておりますのは……。
  80. 高木松吉

    高木委員長代理 いや、毎年のことを聞いておるのじゃありません。昭和二十七年の分を聞いているということを頭に置いて説明して下さい。
  81. 菊竹豊平

    菊竹証人 「科学世界」が昭和二十七年に発行されましたけれども、この供給につきまして大日本図書供給契約お願いに参りました。ところが、この供給に当りまして私ども契約をしていただけなかったわけでございます。そこで、そのときにお聞きいたしましたのが、学生協の方と現地の方で話し合いはつかぬものだろうか、こういうようなお返事でございました。従いまして、私どもから中学生活協同組合お願いに参りまして、実務を私どもにやらしていただきたい、そのかわり供給につきますいろいろな助言協力というものを中学生協の方にお願いいたしまして、そのお礼といたしまして手数料を折半したものを差し上げます。こういう契約書の取りきめなのです。
  82. 高木松吉

    高木委員長代理 それがおかしいのです。あなた、証言しておってもおかしくありませんか。大日本図書というものは発行会社です。そして教科書所有権を持っている人です。売る方の側ですよ。あなたの話を聞いていると、何のために学生協というものと話をするのですか。これは人格が別ですよ。大日本図書と話したのなら話はわかるが、学生協と話したのではわからない。学生協が大日本図書からいわゆる供給事務の委任を受け、契約があって権利があるならば、あなたの方と話はできる。それで、さいぜんから念を押して私はそれを言っている。その間の関係を何ら明らかにせず、また、あなた自身その間の関係が明らかにならぬのに学生協契約するというのは、理屈にならぬのじゃありませんか。その点をよく考え証言して下さい。
  83. 菊竹豊平

    菊竹証人 大日本契約お願いに参りましたときに、学生協の方と大日本契約なさりそうな気配を感じたわけでございます。従いまして、学生協とこういう話し合いをいたしたようなわけでございます。
  84. 高木松吉

    高木委員長代理 学生協が大日本図書から供給事務を請けておったという事実を確認しないと、おそらくこの契約は出てこないと思う。その点どうなんです。
  85. 菊竹豊平

    菊竹証人 確認はいたしませんでしたけれども学生協の方に渡すかもわからないという気配を十分感じました。
  86. 高木松吉

    高木委員長代理 法律的にはそういう契約もできましょうけれども、実際の商取引として、その確認なしにあなた方がそういう冒険をやりますか。
  87. 菊竹豊平

    菊竹証人 大日本お願いに行きましたときに、私どもとの契約がむずかしいということと、二十七年度は学生協の方と契約がありそうだということを大日本から伺いましたものですから、それで学生協相談をいたしたようなわけでございます。
  88. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、先ほどあなたのお述べになっているのはどうも解せないのだ。二十九万三千なんぼという金は、学生協が大日本図書から供給事務を請けているならば、その関係において契約上当然それを取得してもいいことになるでしょう。それを、あなたの方は、何かいろいろなことを言ってその対価を与えたようなことをしきりに育っているのは、それはどういうわけですか。
  89. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいま申し上げましたように、私どもとの契約ができませんで学生協契約をされた場合を考えます場合に、私ども業者の受ける打撃というものが非常に大きいようなそのころの空気でございました。と申しますのは、そのころまだ学生協の扱いもそう大して大きくございませんで、発行所の数もたしか四社くらいだったと思います。一面、大日本図書は私ども会社にとりまして長い間供給をやらしていただいております大事な会社でございましたものですから、その辺を考えまして、全部向うに契約されるよりも、せめて半分でもいただきたい、こういうようなつもりで……。
  90. 高木松吉

    高木委員長代理 菊竹君、言うことを聞いて答弁しているのですか。
  91. 菊竹豊平

    菊竹証人 そのつもりでございます。
  92. 高木松吉

    高木委員長代理 さいぜん、あらかじめお断わりしたように、私の問いを聞いて、証人証言を求められた範囲を越えないこと。  そこで、私の今言っているのは、二十九万三千幾らということで、あなたはさいぜん学位協に払った理由説明しておった。ところが契約の実際を知るようになってくると、その説明が不合理だから、その点はどうなっているのかと聞いているのだから、その点に限って証言を述べていただきたいと思います。——それでは伺いますが、あなたがおっしゃるのは、学生協は大日本図書供給契約をしておった、そのしておったものをあなたの方が下請をした、そこであなたの方の手数料を差っ引いてその残金を学生協に渡した、こう受け取っていいですか。
  93. 菊竹豊平

    菊竹証人 多少違います。
  94. 高木松吉

    高木委員長代理 どこが違うのですか。
  95. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十七年度……。
  96. 高木松吉

    高木委員長代理 二十七年度を聞いているのです。間違えないようにして下さい。二十八年度からは形が変っているのです。いま少し時間を節約して話ができませんか。
  97. 菊竹豊平

    菊竹証人 ……。
  98. 高木松吉

    高木委員長代理 いずれその点については各委員からもはっきりさせる補充尋問があると思いますから、どうもはっきりいたしませんが、その程度にいたしましょう。  そこで、二十八年度からの契約一つ説明していただきます。
  99. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十七年度と二十八年度は中学だけが学生協扱いになりまして、二十九年度から小学校も学生協扱いになっております。
  100. 高木松吉

    高木委員長代理 契約内容説明して下さい。
  101. 菊竹豊平

    菊竹証人 詳細は宙に覚えませんが、契約内容は、その年度に対する供給を一任する、それにつきまして手数料は四分、それに関連しまして供給所の仕事が詳しく書いてあります。
  102. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、二十八年、二十九年、三十年と、あなたの方で大日本図書から「科学世界」を取り扱った部数金額手数料を年度別に説明していただきます。
  103. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十八年度が冊数が二十六万二千六百四十冊、定価が千四百四十九万八千二十八円、手数料が五十七万九千九百二十一円十二銭、二十九年度が二十九万四百二十冊、定価が千六百十万六千二百五円、手数料が六十四万四千二百四十八円二十銭でございます。
  104. 高木松吉

    高木委員長代理 三十年度はわかりませんか。
  105. 菊竹豊平

    菊竹証人 三十年度はここに持ち合せがございません。
  106. 高木松吉

    高木委員長代理 三十年度も実績を持っているでしょう。
  107. 菊竹豊平

    菊竹証人 三十年度からは合同問題に移りましたので、この取りきめは自然消滅をするような考えでおります。
  108. 高木松吉

    高木委員長代理 まだ合同はできていないのじゃないですか。
  109. 菊竹豊平

    菊竹証人 来月やりますけれども、合同の問題は昨年からいろいろかかっております。
  110. 高木松吉

    高木委員長代理 それはそうだろうが、経理関係は合同するまではあなたの方の会社が扱っておるのではありませんか。
  111. 菊竹豊平

    菊竹証人 それはそうなります。三十年度はこの問題は合同ということで自然消滅ということで話し合っております。
  112. 高木松吉

    高木委員長代理 その点もわかりにくいですね。いま少しはっきりできると思いますが、それでは、二十八年度の五十七万九千なんぼという手数料がありますが、この手数料はそのまま会社に入りましたか。
  113. 菊竹豊平

    菊竹証人 会社に入りまして、その中で二十六万二千六百四十円を生協の方に差し上げております。
  114. 高木松吉

    高木委員長代理 これはどういうわけで学生協の方へ入るのです。
  115. 菊竹豊平

    菊竹証人 やはり先ほど申し上げましたように協力費として差し上げております。
  116. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、二十九年度の六十四万四千何ぼも、この中から協力費というものが出ておるのですか。二十九年度は幾ら協力費を出していますか。
  117. 菊竹豊平

    菊竹証人 十六万一千六十二円でございます。
  118. 高木松吉

    高木委員長代理 この協力費というものは一体何で出すのか、どういう協力内容に対して出すのか。そして、金額が違うようですね。半分なら半分ということになれば明らかだけれども、どういう算定方式でこういう結論を出しておるのか。その点を説明して下さい。
  119. 菊竹豊平

    菊竹証人 この数字は、約束によりますと折半ということでございますが、返品とか追加注文とかいうものが次々と出て参りますので、完全に半分という数字にはならないと思いますが、大方半分と思います。
  120. 高木松吉

    高木委員長代理 いや、これは数字だから、半分というものは二分の一ずつ分ければいいので、五十七万九千何ぼ、六十四万四千何ぼという、これを半分すれば、こんな数字が出てくるはずがないのだが、それはどういうわけですか。
  121. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十九年度の後期用がこれに入ると思います。
  122. 高木松吉

    高木委員長代理 それを入れなければわからぬじゃないですか。そうすると、あなたの方の手数料というものは前期、後期両方合せたものですか。
  123. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十八年度は合わしたものと思います。
  124. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、ちょっと数字が違うのじゃないですか。二十九年度はどうなっています。そうすると、学生協の方へ渡した金は十六万じゃないでしよう。
  125. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいま差し上げたのは十六万一千六十二円であります。
  126. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、払わなければならぬ義務のあるものは何ぼですか。
  127. 菊竹豊平

    菊竹証人 六十四万四千二百四十八円二十銭の半分でございますから……。
  128. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、手数料の半額を学生協の方に払うという契約があったわけですね。
  129. 菊竹豊平

    菊竹証人 それが先ほど申し上げました学生協との協約です。
  130. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、証人会社は、学生協系の特約供給所である福岡県教育図書及び福岡図書の二社と合併して新会社を設立する模様であるが、その関係一つ説明して下さい。
  131. 菊竹豊平

    菊竹証人 合同するようになりましたいきさつでございますか。
  132. 高木松吉

    高木委員長代理 そうです。
  133. 菊竹豊平

    菊竹証人 まず一番に、供給のルートがただいまのところでは学生協系の会社と私ども会社と二つのルートになっております。従いまして、同じ小学生にいたしましても、たとえば理科の本はAという店に、国語の本はBという店に、こういう事態が起きて参りまして、供給に非常に支障を来たしておる。こういうようなことが起きて参りまして、すでに御父兄とか生徒とかあるいは地教委の方から、何とか合同して一本にしてくれないかというような希望を承わっております。  それから、二番目に、今までの私ども業者から考えます場合に、ことしは契約をして供給をやらしていただきましたが、来年は果して契約していただけるものかどうかというようなことが非常に心配になりまして、毎年々々心配しながら仕事をやっていかなければいかぬような状況にございます。なお、特に学生協系の採択が多い地区におきましては、私ども取次店の場合に、わずか国語と書き方だけしか扱えない、こういうようなお店が出て参りまして、このように業者というものはだんだん扱いが少くなりまして、これではどうにもならないというような非常な心配が出て参りましたこと。それから、三番目に、先生方といたされましても、採択について公正にいろいろお考えになってやられますことも、やはり業者から見ますとどうも疑問を生じて、それを公正でないように見られがちだというふうなこともあったと思いますし、また、業者といたしましても、なるべく向うの会社の方へ発行所契約をされないようにいろいろお願いしたり、以上のような非常にわずらわしい、しかも不安な、特に私どもの一番の務めであります供給に関しまして専念できないような状況がございましたものですから、学生協の方の会社の方々といろいろ御相談いたしまして、そこに調停人に御三人をお願いいたしまして、合同しようということになって、今話し合っております。
  134. 高木松吉

    高木委員長代理 さいぜんの、あなたの方でとった手数料の中から協力費を渡しておりますね。この協力費の関係は何か実際上の理由があるのじゃありませんか。ほんとうのことをおっしゃって下さい。
  135. 菊竹豊平

    菊竹証人 申し上げます。発行所と私どもとの契約が、二十七年度で三社、二十八年度で六社、二十九年度で七社、三十年度で十二社という工合に学生協系の会社契約をなさる会社がだんだんふえてきたようなわけでございますので、二十七年ごろにおきましては、まだわずか三社でございまして、だんだんふえそうな心配がございましたものですから、何とかして実際の扱いを、実際の事務をこっちにやらしていただきたいという工合にお願いしたようなわけでございます。
  136. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、お尋ねしますが、さいぜんからあなたが学生協学生協と言われておるものは、福岡図書株式会社とか福岡教育図書株式会社という意味も含めて言っているんじゃないか。これは、中学の方は福岡図書株式会社になり、小学校生協の方は福岡教育図書株式会社になっているのですか。
  137. 菊竹豊平

    菊竹証人 その通りでございます。
  138. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、あなたの説明はおかしいじゃないか。学生協学生協と言うが、学生協がこういう会社になったのはいつだかわかっていますか。
  139. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほどの学生協糸の会社というのを取り消します。教育図書株式会社と、それから福岡図書株式会社でございます。
  140. 高木松吉

    高木委員長代理 そういう会社がどういうわけで協力費を取るのですか。その点、説明していただきたい。
  141. 菊竹豊平

    菊竹証人 学生協教科書の取扱いが始まりましたのが昭和二十七年と思います。ところが、文部次官通牒とかあるいは公取の聴聞会とか、そういうことがございましたので、学生協の方で、学生協でなくて株式会社にその後変えられたと聞いております。
  142. 高木松吉

    高木委員長代理 それはいつからです。
  143. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十八年と思います。
  144. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの方は学生協とこの福岡図書株式会社というものが実体は同じだと考えておられるのですか。法律的見解は別として、経済的実体は同じだと考えていられるのですか。そういう意味で今までの証言をされたのですか。その点、はっきりして下さい。
  145. 菊竹豊平

    菊竹証人 全く同一とは考えられませんけれど、大体同じじゃないかと解釈しております。
  146. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、先ほど学生協からの問題は説明を聞いたんだが、この株式会社に変ってから何の協力状態においてそのような金をお払いになったか。——ちょっと今私が間違いました。現在も学生協手数料の半分を払っておりますか。
  147. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十八年と九年は現在の会社でございます。二十七年が学生協ということになっております。
  148. 高木松吉

    高木委員長代理 そうするとおかしなことになるのだが、それは間違いありませんか。
  149. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十七年は学生協でございます。それから、二十八年と二十九年は福岡図書株式会社でございます。
  150. 高木松吉

    高木委員長代理 それでわかってきました。そうすると、何の金をそこに払われているのですか。あなたの万は大日本図書契約しているのだが、そういう人格体の別なもので会社ができておる、その会社に何のためにその半額の手数料を払っておるか、その理由一つ明らかにしておいてもらいたい。
  151. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほど申し上げましたように、福島図書株式会社と、それから学生協は大体一つ会社と思っております。また、教育につきまして一番詳しいのは先生方でございますので、先生方からそういうことをいろいろ助言していただきまして、その意味におきまして手数料を差し上げております。
  152. 高木松吉

    高木委員長代理 全くあなたの証書はあいまいですね。学生協会社とが一体だというのはどこから出てくるのです。それから、会社の経理というものは別にあるのに、学校の先生に協力をしてもらうと言う。学校の先生の人格はまた別です。だから、そういうものを混乱せしめて証言せられると、何を言っているのかこっちはつかめない。いま少しよく考えて言って下さい。何かほんとうのことを隠しておいて、あなたが創作するのでこんな話になるんじゃないんですか。説明して下さい。
  153. 菊竹豊平

    菊竹証人 そういうつもりじゃございません。
  154. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長の概括質問としては時間があまりかかり過ぎるのです。しかし、どうも、一応は筋を通してもらいませんと、基本的なものができない。あなたの大体の証言というものは信憑性がないように思われます。何を言っておるか、ちっともわからない。あなたもとにかく慶応大学を出られておるんだから、一応の知識はあるはずです。会社とか学生協とか学校の先生方とかいうものは人格は別々ですから。そこに経済的関係を結ぶからには、筋の通った話をしてくれなければ、われわれとして理解できないのです。それをめちゃくちゃに一体のように説明していられたんでは、どれが経済的関係を結んでおるのかということがはっきりいたしませんから、そういう点だけでもはっきりさせておいていただきたい。
  155. 菊竹豊平

    菊竹証人 私どもから考えます場合に、学生協と、それが転身しました会社というものはほとんど一体と考えております。従いまして、二十七年度には学生協に差し上げましたし、二十八年度、九年度には福岡図書に差し上げたわけでございます。
  156. 高木松吉

    高木委員長代理 それがわからないのです。わかりますか。自分でわかっていますか。一体だというのは人格が一つだということでしょう。そこに法律行為が行われることになるんだから……。ところが、学校の先生、学生協、株式会社というものは一体じゃありませんよ、法律的に、どこへ結ぶんです。だれを権利の主体とするのか。あなたの方はわかりますよ。会社があって、あなたが社長だから、会社を代表してあなたが契約をする。ところが、向うは一体だれです。いま少し筋を通していただきたいな。委員長質問であるだけに。   〔「委員長、大体わかったじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  157. 高木松吉

    高木委員長代理 私語を禁じます。     〔山田委員「議事進行」と呼ぶ〕
  158. 高木松吉

    高木委員長代理 今証言を求めておる最中ですから……。  証言できなければできないでよろしゅうございます。  それでは、委員長からの尋問はこれで終了いたしました。  この際委員諸君の発言を許可いたします。三田村武夫君。
  159. 三田村武夫

    ○三田村委員 委員長からの総括質問で大体明らかになっておりますが、さらに私から具体的にお尋ねいたします。  委員長のお尋ねで何か明瞭になっていない点もあったようでありますし、私たちもはっきり割り切れていない点もありますから、さらにお尋ねいたしますが、大日本図書から発行されています理科の教科書、この取扱いに関して学生協契約されたのは、たしか二十七年のようでありますが、これはこういうことじゃないのですか。従来あなたの方の会社は旧特約店として大日本図書発行の教科書をお取り扱いになっておった。だから、大日本図書から新しく発行される「科学世界」——中学の理科の教科書についても、あなたの方の従来の商慣習といいますか、旧特約の権限に基いて、自分の方でやることが本来の建前である、こういう建前があなたの方ではあったわけですね。ところが、実際大日本図書発行のこの理科の教科書が出ることになりまして、これが検定を受け、具体的に福岡県内で採択されるという事実が現われて参りますと、旧特約会社であるあなたの方の会社の手を離れて、学生協の手でこれが取次、配給されているという事実をあなたの方でどこからか抑えられて、これは大へんだということで、大日本図書にも話をされた。従来あなたの方の会社で出しておる教科書関係は私の方でやっておったのだ、私の方に下さい、こういう話をされたのだろうと思うのです。ところが、そうはいかない、実際この教科書が出てくる経緯、さらに相当量の採択を見る現状になってきているのであるが、この事実の基礎を作ったのは学生協なんだ、だから、この事実を無視するわけにいかないから、あなたの方はお気の毒だが、これは学生協にやらざるを得ないという大日本図書の方の話で、あなたの方では、それは大へんだ、自分の方の営業上重要な問題であるのみならず、従来特約店として教科書をやってきた会社の建前としても容易ならぬ問題であるから、何とか便法がないかという話を重ねられるうちに、大日本図書の方から、これは一つ現地学生協の方と話してみてくれぬかという——  つまりこれは事実行為ですね。そういう話が進められ、その結果、さっき委員長が示され、あなたの方から答弁されたような契約になってきたんじゃありませんか。
  160. 菊竹豊平

    菊竹証人 その通りであります。
  161. 三田村武夫

    ○三田村委員 その通りでありますというお答えでありますが、委員長がさっき、証人証言がどうしてもわからないと言われる。これはわからないのです。今証人がその通りでありますと言われた事実行為の、さらに前提となるべき大日本図書発行の理科教科書が出てくる経緯をいま少しあなたの方で御説明になりませんと、私はわからない。それについてお尋ねするのですが、ああいった変則的な契約を結ぶに至った経緯、つまり、今まで教科書特約販売、取次業務をやっておられましたあなたの方の会社の手を離れて、本来そういう業務を担当する性格でない学生協が扱う姿に事実上なってきた経緯、——これについてあなたの方じゃいろいろ心配もされたようです。私、先般現地に行っていろいろ事情をお尋ねして多少の資料もいただいてきたのですが、この問題に関して、あなたの方から、たしか昭和二十八年だったと思いますが、文部省と公正取引委員会へ陳情書を出されたことがありますね。これはありますか。
  162. 菊竹豊平

    菊竹証人 ございます。
  163. 三田村武夫

    ○三田村委員 陳情書を拝見すると、その経緯がよくわかると思うのです。  それから、前後いたしますが、私、証人に申し上げておきたいことは、先ほど委員長質問に対して最後に答えておられました今度三社一体になるという関係ですね。その間の事情も私よく了承しております。従って、ここで過去の経緯を詳細に述べられることは、証人として多少苦痛の点があろうと思います。よくその心情はお察し申し上げますが、ここは真実発見のためにわざわざ来ていただいたのでありますから、どうぞその点は、その含みはわかりますが、お尋ねすることについては過去の事実をすなおに申し述べていただきたい。そうしませんと、しばしば委員長が言われたように、どうしてこういう契約になって、こういう変則的な商慣習が行われておるのかわかりませんから、その点は念のために申し上げておきます。  あなたの方からお出しになった陳情書を見ますと、冒頭に、「検定教科書の使用に方って最も重視すべき条件は公正且自由なる採択ではないかと考へますこの見地から福岡県に於ける教科書の採択販売供給の情況を観察致しますと誠に憂慮に耐へないものがありまして此の儘放置したら教育の堕落を来す恐れがないでもありません、」こう書き出しまして、「就きましては教科書の採択販売供給等につき率直に私見を述べて御参考に供し度いと思いますから何卒御検討下さいますよう御願い申上げます」、——私見とは会社の立場からであります。ずっと詳しく経過が書いてありますが、長いから省略いたします。要するに、その経過というものは、ローカル的な性格を持たせる理科教科書を生み出すために、理科研究九州委員会という理科に関する研究機関が九州にできた。それは大へん早いようでありますが、これは九州地区と中国と四国と、この三地区を一体にして共通の組織と共通の目標を持ったものであるようでありますが、その研究の結果理科に関する教科書が新しく出てきた。それが検定をとられた。そうしてその理科研究の実態をなしておるものはその地域の教職員である。さらに、端的に申しますと、その県教職員組合が中心となり、その行動の具体的な実体と申しますか、生活的に結ばれた活動面においては学校生活協同組合というものが経済面においては行動の実体になる。そういう関係で新しい教科書が出てきた。従って、教科書の採択については、これはひとり福岡だけではありませんが、最も顕著に動いたところは愛媛あるいは佐賀というような工合に、これはどうしても学生協の手を離れてはなかなか困難だ。逆な言い方をすると、学生協の手に全部採択、配給、特約が取られてしまうという現実の問題が出てきた、こう私は考えるのです。その経過がここにずっと書いてありますが、「福岡中学生協昭和二十五、六年頃より教科書取扱の意図があった様で昭和二十六年七月大日本図書科学世界中学理科教科書)が文部省検定を受くるや猛烈なる活動を開始し本県に於ては遂に九五%に近き採択数を獲得した」、こう述べてあります。従って、あなたの方は、「私共は教科書の選択権を独占する先生方の組合販売の独占権を獲得するに於ては最早私共の事業は倒潰の止むなきに至ることを憂え」、そうして今あなたの説明されたような折衝の結果、「漸く別紙第三の様な契約書を締結し該教科書供給を実施したのであります」、こう書いてあります。こういう経過だと思いますが、それはそうじゃありませんか。この陳情書に書いてあるような経過だと思いますが。
  164. 菊竹豊平

    菊竹証人 さようでございます。
  165. 三田村武夫

    ○三田村委員 そこで、先ほど委員長が尋ねられました契約内容になるのであります。証人は、あの契約に関して、利益の折半、つまり特約業務によって出版会社から四分ですか、その利益の折半ということを言っておられます。その折半は、教科書の現場供給に対する学生協側の協力のための報酬だ、こういう説明のようでありますが、私は、この契約のできたときはそうじゃないと思う。つまり、繰り返すようでありますが、従来あなたの方で大日本図書の理科教科書は全部特約をやっておった、ところが、新しく出てきた理科に関する教科書、ことにそれが九州理科研究会によって編さんされ、検定されて新しく出てきて、非常に圧倒的な採択を受けている、この教科書の扱いについては、これはほっておけば学生協に行っちゃうのだ、行っちゃうのだから、自分たちの方でその業務を行うためには、その努力といいますか、報酬といいますか、従来学生協が築いてきた実績に対するこれは報酬じゃありませんか。そういう意味じゃありませんか。こういう契約をしなけりゃ、端的に言って、あなたの方の会社の手には渡らなかった、こういう事実があるのではありませんか。
  166. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいまおっしゃいましたような経過をたどりまして、そういう窮地の状況のときでありまして、何とかして食いとめたいという気持の上からそういう契約になるわけでございますが、それにつきましては、それをただそれだけで手数料を差上げたのではおかしな格好になりますので、特に供給についてもこういう助言をしていただきたい、こういう意味合いであります。
  167. 三田村武夫

    ○三田村委員 助言をしていただきたいということはけっこうでございます。教科書の円滑なる需給を確立するためにはけっこうですが、向うは先生方の団体で、学校生活協同組合というものは、おのずから性格のはっきりしているいわゆる学校生活協同組合でありまして、その教科書供給の業務に助言を与えて、その助言のために、金銭的報酬を得るということは、学生協の性格とは違うのです。私はそういうことは学生協業務内容とは違うと思うのです。従って、——そういう意味もあると思いますよ、証人の立場、会社の立場からすればあると思いますが、実際はそうではなくて、つまり、端的に言えば、繰り返しますが、学生協の手に渡ってしまう一つの実体的存在であった。それをあなたの方の会社に取るためには、従来の功労金というのですか、ということで、これからずっと利益は折半するから私の方に下さい、こういう話ではないですか。そうではありませんか。
  168. 菊竹豊平

    菊竹証人 そういう気持も多分にございます。
  169. 三田村武夫

    ○三田村委員 多分か全部か一部か知りません。私はそうだと思います。そこで、念のために伺っておきますが、私が今申しましたように、証人も長い間教科書を扱っておられ、また、先ほど経歴を述べておられましたが、この教科書のあり方、そうしてまたその教科書をめぐるいろいろな問題については相当知識的に割り切っておられると思うのです。学生協の行動についても、あるいは県教組の行動についても割り切っておられると思うのです。仕事の上でやむを得ないという問題もありましょうが、こういった形で契約が結ばれ、そうして利益の折半というと大きなことなんです。一年間の利益の半分をやってしまうということは大きなことです。鉱山あたりで権利を買う場合はよくそういうのがあるのですが、そういうことは、どうです。学生協本来の性格としてどのように考えられますか。そのときに権利を買うような形でまとまった何かの報酬を与えることはあり得ることですが、こういう契約を結んで、いわば契約以後直接配給業務にはちっともタッチしていない、またタッチする性格のものではないですが、その学生協に毎年利益を折半してやられる。これは、先ほど委員長質問に答えておられますが、ずっと二十九年度まで続けておられます。そういうことについて証人はどういうふうに考えておられますか。
  170. 菊竹豊平

    菊竹証人 おっしゃいます通りに、非常に変則的な取りきめでございますし、必ずしも好んでこういうふうにしていただいたようなわけでもございません。ただ、まだそのころ学生協の方と契約をいたされました発行所は非常に少かったものでございますから、また私どもの側の取次店の受ける将来への不安という点から考えまして、何とか取扱いだけでもやらしていただきたい、こういう工合にお願いしたつもりであります。
  171. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうすると、利益折半、向うに渡すという半額の金の性質ですね。これはどういうものですか。あなたの方で三十七年——これはここへ日付が入っておりますが、学生協とこういう契約をされる経過はわかるのであります。たくさん資料が出ておりますから経過はわかる。やむを得ない手段で、あなたが今言われた通り、不本意ながら契約されたのだろうと思うのです。これは了承しますが、その契約に基いて、自来毎年利益折半で半分を学生協に渡しておられる。その渡しておられる金の性格、それをどういうふうに理解しておられるかということをお尋ねしているのです。どういう性質のものかということです。あなたの考えておられる通り答えて下さい。
  172. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほど申し上げましたように、何とか向うへ行くのを食いとめたいというつもりと、それから、その意味で協力していただくという、両方に考えております。
  173. 三田村武夫

    ○三田村委員 二十八年十月九日、あなたの方の社長あなたの名で、福岡中学校生活協同組合組合長安村豊富氏あてに、「科学世界供給に関する協力金として昭和二十八年度分を別紙計算書の通り支払いますから御査収下さい」という送り状が行っておる。それに対しての領収書があります。協同組合組合長あてに出された送り状に対して、福岡図書株式会社会計佐々木安子氏署名の領収書が返ってきております。「一金弐拾六万弐千六百四拾円也大日本図書協力金として」と書いてある。今でも金の受け渡しはこういう形ですか。
  174. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十八年度につきましては、その会計の佐々木という方が受け取りに見えたような領収書になっております。それから、二十九年度は、福岡図書株式会社の「科学世界供給協力料というような名前になっております。
  175. 三田村武夫

    ○三田村委員 これは証人に申し上げますが、ここは宣誓証言なんです。あとから私の方で調べればわかるのです。まあ、冒頭に申しましたように、今三つの会社が一緒になるので、証人の立場、この答弁にちょっと胸つかえるものがあると思いますが、これは正直に言っていただきませんと困るのです。この間私たち現地へ行って調べたところによりますと、二十九年度の協力費も、これは福岡図書に入っていないようですね。やはり学生協に行っているんじゃないですか。
  176. 菊竹豊平

    菊竹証人 ここに領収書がございますけれども、ここは図書になっております。
  177. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうするとさつき委員長がどうしてもわからぬと言われた疑問も出てくるのです。これは、協力費ということになれば、学生協なら筋道が立つのです。それはなぜかといえば、協力費だと、本を学校の手に渡すためにいろいろ御厄介になるし、お世話を願うのだから、意味はわかるのですが、そうでなく、福岡図書の手に渡るということになると、何のことか意味がわからぬ。福岡図書は、これは別派の、商法によって認められた営利会社なのです。教科書の取次販売を行っている営利会社です。全然人格の違う福岡図書に協力費を出される意味は全然出てこない。法律的にも実際的にも出てこないのです。これはどういうわけですか。
  178. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほども申し上げましたように、私どもから学生協とそれから福岡図書を見ました場合に、一つのようにしか思えなかったわけでございます。それと、私の方から見ました場合に、福岡図書という会社はできましたけれども、やはり事務的には学生協の方が一番詳しいようでありまして、密接な連絡をとりながらやっておったと解釈しておりましたので、こういう工合になっております。
  179. 三田村武夫

    ○三田村委員 それは重要な点なんですよ。福岡図書というものが形の上においては取次業務をやっている、しかし実際は学生協の方が事実上業務を担当している、そういうことのないようにしか聞こえない。事実そうかもしれませんよ。これはあとから学生協関係の方にお尋ねをいたしますが、これは法律的に根拠がない。あなたの方から利益の半分の金を福岡図書におやりになる法律的根拠がない。初めの契約書そのままであるならば、先ほど委員長が繰り越し繰り返しわからぬといって質問されたのはそこだろうと思います。毎年々々契約書が変っておれはよいのですが、それは昭和二十七年にあなたの方か大日本図書発行の理科教科書をとるために打たれた手段なんです。商売人がやる行為としてはそれはわかりますが、契約書そのままで今日まで、やっておられ、そして契約の当事者でない福岡図書それは母体は学生協でしょうが、これは純然たる商行為を行う会社です。そこに利益の半分をやるという法律的根拠はどこにもない。別な言い方をすると、福岡図書は不法所得ですよ。そうは考えずに福岡図書というが実体は学生協だ、そういうお考えでおやりになっているのですか。
  180. 菊竹豊平

    菊竹証人 そういう考えでやって参りました。
  181. 三田村武夫

    ○三田村委員 これはあなたの方から出された資料についているのですが、昭和二十八年七月十二日福岡県小学校生活協同組合から各学校に出されたこういう文書があるのです。これは御承知ですか。教科書採択販売に閲する件という、何か指示書のようなものです。
  182. 菊竹豊平

    菊竹証人 はっきり記憶がないのでございますが……。
  183. 三田村武夫

    ○三田村委員 御記憶ないかもしれませんが、おそらくこういった行き方が一番あなたを刺激していると思うのです。これはだいぶ長いものですが、重要な文書ですから、速記録に載せるために簡潔に要点を読んでみます。「一、教科書供給に関する生協の立場、1、組合は採択と関係なく義務教育費無償の立場からその第一段階として学童の福利の為良書を安価で供給する目的でこの趣旨に賛同する出版会社契約し一ヶ年供給した」、——これは過去の実績です。その次の2が非常に問題になるのです。「2、この事業は合法的であるが採択と関連があると誤解を受ける恐れがあるので教育的良心に立ち文部省、出版会社の示唆もあり会社法による株式会社を設立することにした」、——これがあなたの言われる福岡図書の母体です。ところが、この学生協から転身し新会社になった福岡図書と学生協との関係でありますが、「退職者の活用、学校の希望する堅実な取次店等で適正なる配本が出来る」、——退職者を活用する場合です。「利益金についても育英費として貧困児救済、学校図書購入、転入生用準備本等に当てられる」、「配本については学校と取次店との協議の上販売の公正化、配本の円滑化が出来る」、従って、この契約会社学生協つまり新しくできる学生協を母体にしたここにいう福岡図書との関係は、「本会社契約の出版会社の発刊書に対しての有利性、1、現場の意向が充分反影され改訂等可能である、2、教師用書を無料で各人に渡される、3、定価が安価である、又改訂させられる、4、其の他、会社独善を防ぎ意見が述べられる」、こうやってすっと契約会社の名前が掲げてありまして、ここに福岡図書株式会社の役員の名前もずらっと出ている。「2、木会社契約の出版会社は確実であります、3、古本使用の割合は児童数の三%であります」、こういうふうにずっと、あなたの言われる学生協——これは小学校の場合ですが、学生協と、それからあなたが協力費として今半分ずつ出しておられる福岡図書との関係が出ているのです。ここに私は問題があると思うのです。これはやがて今度会社が三つ一緒になって是正されることになりましょうが、これはどうでしょうか。今ある学生協と、それから今度一緒になるあなた方の会社との関係、さっき委員長長も聞いておられましたが、これは非常に注意すべき問題だと思うのです。中学校関係教科書も小学校関係教科書も、その供給業務の失権と申しますか実体的な業務を把握しているのは学生協が中心になっている。これは、事実、学校に直結した機関が配給業務をやるということは非常に円滑に行くでしょう。円滑に行きますが、そういう形になりますと、教科書の配給、それから販売ということに対して今一番問題の焦点として浮び上ってきている学生協即その地区の教職員組合、こういう三者の関連性が有機的に出てくるような気がする。一体になって、出てくるような気がするのです。それはその特約配給業務を円滑にするためにいいかもしれませんが、昭和二十七年と二十八年の何度にわたって公正取引委員会によって行われた警告の趣旨はどうなるか。これをもう一ぺん言い直しますと、この福岡中学校生活協同組合、小学校生活協同組合、これを業務運営の実体としてその上に会社が一本になる。そうすると、この会社と配給特約契約をする教科書会社教科書以外入って来ないわけである。事実上学童の手に渡らないようになる。完全に福岡に関する限り独禁法に抵触するという事態が出てくる。その点はどうですか。
  184. 菊竹豊平

    菊竹証人 私たちが話し合っております構想で申し上げますれば、今度新会社を作ります場合に、作りますものは学生協と多少関係もあって合体すると思うのでございますが、実質におきましては、たとえばある先生が役員としてお入りになるという場合には、完全に教職を去って個人としてお入りになる、それから、株にいたしましても完全に個人としてやっていただく、私どももまた、今までの特約が何年もやっておったというようなことを申し上げませんで、完全に個人としてやります取りきめをいたしておりますことと、それから、取次店にいたしましても、今まで福岡図書並びにい福岡県教育図書の取次店も、それから私ども取次店も、完全にただ一個の取次店として株を持ち、あるいは取次をやる、かようになるわけでございまして、これが、今まで通りにもしかりに合同しない場合におきましては、依然として、こっちがふえる向うがふえるというような心配がそこに出て参りますが、合同いたしますれば、そういう点も解消いたしまして、うまくいく、こういう工合に考えております。
  185. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君に申し上げますが、持ち時間は経遣いたしておりますから、さよう御了承の上質問を続行願います。
  186. 三田村武夫

    ○三田村委員 もう一、二点。  私はそこに問題があると申し上げます。それはあなた方の方の会社学生協系統の会社との競争はなくなりますよ。証人がさっきからそう説明しておられる。これは協力費の問題から申し上げるのですが、あの大日本図書が出している理科に関する教科書、これは中学の問題です。中学の問題についてあなた方と学生協、現在では福岡図書と契約して行なっておられるのです。そうして利益の半分をやるということはこれは協力費だと言われる。現在は学生協でなくて福岡図書がやっているのじゃないかと言えば、その福岡図書の実体が学生協だと証人はおっしゃる。私もそうだと思うのです。その福岡図書は中学でない小学校の部分もそこの科学教科書を扱っているのです。これは全部一手に扱っている。そうでしょう。そうしますと、その福岡県の中学校と小学校を中心にし母体にした実体的な学生協なんです。これを母体にしてその上に乗っかってあなた方の供給業務を行うということは、福岡県に関する限りは中学と小学校については独占企業形態になる。どうしても証人説明いたしますものにつきましてそうなってくるのです。従って、新しい教科書ができて、これはぜひとも中学校の生徒に使用してもらいたい、採択してもらいたい、小学校の学童に採択し使用してもらいたいと思っても、あなたの方の会社契約しなければいけないのです。私はその採択に関する問題まで申し上げませんが、そうなってくると、そこが非常に問題なんです。私は、会社が三つ一つになって円滑な配給業務をやられることはけっこうだと思うのです。けっこうであるが、別な問題が起ってくる。完全に独禁法に抵触する。一県一単位にして、配給業務が中学校、小学校とも生活協同組合を実体としてその事実上の協力において行われるということになりますと、もし今申しましたような趣旨によって教職員一体の関係において行われているということになりますと、どうしても生活協同組合が実質的には教科書の取次、配給をやる、こういうものが出てしまうのです。その点どうですか。
  187. 菊竹豊平

    菊竹証人 その点、三者話し合いまして、今公取の方にも伺いを立てております。
  188. 三田村武夫

    ○三田村委員 いろいろだくさんお尋ねしたい点がありますが、時間の関係もありますから、最後にもう一度念のために証人に伺っておきます。  あなたの方と学生協とああいう変則な契約をなさるに至ったそのもとは、九州地区理科研究会ないしは理科研究委員会なるものの存在だったと私は思います。この間行ったときにも、この責任者、会長である熊本大学の何とかいう先生に来ていただいて、いろいろ事情を伺ったのですが、理科の教科書はほとんど先生の手によって書かれるのです。そして、それが九州地区と四国及び中国地区、この三地区について圧倒的に採択されている。圧倒的に採択されているということは、先生の手で編さんされ、その有機的な組織を中心にして編さん活動が行われ、研究活動が行われ、先生当然の立場でありましょうが、非常に高いプライドを持って教科書が扱われておる。少くとも九州地区、中国地区、四国地区においてはそのようであります。そういう形において行われております。証人は大学を出てからすぐにこの教科書の業務に国定から今日まで携わっておられるようであります。われわれは今後の教科書のあり方をどのようにすれば一番いいかという観点に立ってこの委員会調査を進めておりますので、ぜひ証人の御意見を伺いたいのです。これは、単なる御意見でなくて、証人が最も苦しい経験を持っておられるこういう教科書のあり方、先生が事実上編さんの業務を担当し、事実上採択の権限を持ち、事実上その地区一帯に採択されるような教科書のあり方について、どういう御見解をお持ちですか。経験の上に立って率直な御意見を伺いたい。
  189. 菊竹豊平

    菊竹証人 教科書が全国的な中央版であった方がいいものか、あるいは地方色を加えました「科学世界」のような地方版であった方がいいものか、その点は私にはよくわからないのでございますが、たまたま供給を担当しております私の経験から申し上げますと、たとえば、福岡県の先生方が主として編集なさる、あるいは九州の先生方が主として編集なさる、そして採択をなさる方は先生方である、それから、これは私どもの今までの疑問でございましたが、先生方の面接間接御関係のある会社供給をなさる、こういうことから考えました場合には、供給業者から申し上げれば、そこに何か関連性があるというふうな疑問を持ちます。
  190. 三田村武夫

    ○三田村委員 もう一点。これは関連性があり、割り切れないものがあるという言葉で表現されましたが、私は、地域的な教科書のあることをとやかく言うのではない。地域的に特色のある教科書を出すことは、ただ理科に関するだけでなくて、けっこうだと思います。私がここで問題にしているのは、今証人が言葉を潤された、その要点は、その地域の先生の手によって編さんされ、その地域の先生が事実上採択権を持っている、採択権を持っている先生の手によって、たとえば生活協同組合の手によってこれが学童の手に渡される、三者一体の関係になるという事実です。これをどうお考えになっているか。これは、今証人が言われましたように、地域の先生の手によって編さんされ、その地方の先生によって採択され、その地方の先生の組織する組織によってこれが供給されるとなれば、これほどうまい組織はないのです。それが、ひとり教科書だけでなくて、たとえば夏休み帳、冬休み帳、学習帳、テスト・ブック、ワーク・ブックについても同じことなんです。そこに現在の教科書のあり方と採択の制度にも関連して今後われわれが検討すべき何らかの問題があるんだということを私はしみじみ考えているのです。その真実を把握して今後のあり方を研究しなければならない立場でありますから、お尋ねしたのです。ローカル的な教科書のあることは、私はけっこうだと思うのですけれども、重ねて言いますが、その地域の先生によって編さんされ、その地域の先生によって採択され、その地域の先生の組織する団体によって供給されるあり方については、証人はどういうふうに考えられるか、こういう私の問いです。
  191. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいま申し上げますように、それが一体となりました場合には、果して公正な採択が行われておりますかどうかということを疑問に思います。
  192. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと証人にお尋ねしますが、数字の問題ですからはっきりさせておきたいと思います。先ほど委員長及び三田村君からお尋ねになった学生協との折半の問題は、利益の折半と書いてありますね。従って、手数料の折半ではないですね。手数料の折半ですか、利益の折半ですか。
  193. 菊竹豊平

    菊竹証人 中学生協との契約書には、第三条に利益の折半と書いてありますけれども手数料の折半の意味でございます。
  194. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、確かめておきますが、昭和二十七年に学生協利益の折半をしたその金額は幾らですか。
  195. 菊竹豊平

    菊竹証人 二十九万三千八百六十三円でございます。
  196. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、二十八年、二十九年、先ほど説明したのは利益にあらずして手数料の折半をいわゆる会社の方へ支払ったと解釈していいわけ、ですね。
  197. 菊竹豊平

    菊竹証人 はい、さようでございます。
  198. 高木松吉

    高木委員長代理 二十年度はどうなっているのですか。三十年度はあいまいだったのですけれども会社の方へ何ぼ払っておりますか。
  199. 菊竹豊平

    菊竹証人 ここへ資料を持っておりませんので、すぐ調べまして御返答申し上げます。
  200. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、すぐにその報告を委員会の方へ出していただきます。  山田長司君。
  201. 山田長司

    ○山田委員 二、三点証人に簡単に伺います。  先ほど委員長質問の中で、明確を欠いている点がありますので伺いたいと思います。福岡中学校生活協同組合福岡図書株式会社との間に「科学世界」の供給に当っての契約がなされているが、その契約昭和二十七年一月十四日にされているわけです。ですから、先ほど委員長が尋ねたときに、大日本図書との間に契約書が二十七年度分についてないと言われているが、すでに中学校生活協同組合福岡教科書会社との間に二十七年一月十四日に結ばれているのですから、その前に大日本との間には契約書がなければならぬはずだと思うのです。これは、先ほどないと言われておったのですが、全然ないのですか。
  202. 菊竹豊平

    菊竹証人 この契約の期日が二十七年一月でございまして、二十七年度用の供給に関しまして大日本お願いしましたわけで、本来でございますと、二十七年度用ですと二十六年の十月、十一月ごろに契約お願いするのでございます。それがはっきり契約ができませんで米決定でございましたものですから、一月十四日となっておりまして、直接大日本と私どもとの契約はございません。
  203. 山田長司

    ○山田委員 その点が理解できない点なのです。大日本で発行している書物をあなたの方で福岡中学校生活協同組合契約する以上、——やはり一月の十四日といいますとお正月もまだ終って間もないときの契約です。ですから、大日本図書との契約は、おそらくあなたの方は二十六年にあったはずだと思う。そういう点で、二十七年度のも契約がないと今も言われている。一体一月十四日までの間に——二十七年へ入ってからまだ一月も十四日しかお正月が過ぎていないわけですが、すでにその期間中に大日本図書の「科学世界」を扱う契約をしている以上は、二十六年に契約がなければならぬはずだと思うが、その点はどうなんですか。
  204. 菊竹豊平

    菊竹証人 この「科学世界」は二十七年度にできたと思います。二十六年度までは大日本教科書につきましては私ども契約をして供給をさしていただいておったと思います。
  205. 山田長司

    ○山田委員 この点はやはり私にはどうも理解することができない点の一つです。  次に伺いますが、福岡においては公取委から注意をされたことがあるはずです。それで、この注意は株主の構成員が教職員であるということから注意を促されたものと思いますが、この教職員の切りかえはその後どんなふうになされているか、もしわかっておったら、これについての説明を願いたいと思います。
  206. 菊竹豊平

    菊竹証人 それがいつごろなされまして、またどのようになされましたか、はっきり私は存じません。
  207. 山田長司

    ○山田委員 三社が一本になって今度会社ができるというのだそうですが、これが一体になるために協力金として支払うという金はどうも私には理解ができないのですが、これは権利金みたいなものじゃないのですか。
  208. 菊竹豊平

    菊竹証人 合同のための協力金とは違います。
  209. 山田長司

    ○山田委員 それでは、それはどういう金なのですか。
  210. 菊竹豊平

    菊竹証人 先ほど申し上げましたように「科学世界」に関する供給協力費というような意味合いでございます。
  211. 山田長司

    ○山田委員 では、三社が一体となって行われようとする会社は、どんな方向で、どんな経済的な取りきめのもとになされるものですか。
  212. 菊竹豊平

    菊竹証人 ただいままで、福岡図書、福岡県教育図書、福岡教科書株式会社、この三社がそれぞれ発行会社契約をしていただいておりましたので、こういうものが一本になりまして全部の会社契約していただきたい、こういう趣旨でございます。
  213. 山田長司

    ○山田委員 その場合、教科書の採択に一般から誤解を招くような点はありませんか。
  214. 菊竹豊平

    菊竹証人 私といたしましては、供給につきまして専念できます理想的な会社ができるものと信じております。
  215. 山田長司

    ○山田委員 質問を終ります。
  216. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君の質問に対し関連質問の申し出があります。佐々木君。
  217. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この席から発言をいたします。おくれてきましたので重復するかもしれませんが、一点だけお伺いしたいと思います。  学生協供給仕事を最初やっていたようであります。そこで、あなた方のいわゆる供給の方面と契約を結びまして、そして利益か何か、言葉の上ではどういう取扱いか知りませんが、余剰金のいわゆる配分をするというような契約になっておるようでありますが、供給手数料は御承知の通り四分であります。末端の配給が一割二分ということになっておるのでありますが、末端の配給がどういう形になっておるか、あなたの方の供給所がどのくらいの軒数で、どのくらいの冊数を扱っておるか、学生協経路ですよ。末端配給もあるだろうと思いますが、その方面はどれくらいの配給所、どれくらいの部数で、どれくらいの金額になっておるか、おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。
  218. 菊竹豊平

    菊竹証人 私ども福岡教科書株式会社の方の取次店が百四十五店ございます。それから、扱っております冊数が、昭和二十七年の場合は、私どもの方が八百八十六万冊、千以下は切り捨てますが、八百八十六万冊、それから学生協の方が十二万冊、それから、二十八年度は、福岡教科書株式会社の方が七百八十九万冊、学生協の方が八十八万冊、この場合は小学、中学の教育図書並びに福岡図書合算でございますが、八十八万冊、それから、二十九年度は、私どもの方が七百八十五万冊、両方の会社が百六十九万冊、三十年度が、私どもが六百四十七万冊、他の三社の方が三百八十六万冊、三十一年度が、私どもの方が六百三十四万冊、他の三社の方が四百三十九万冊という工合になっております。
  219. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この金額は一冊について大体平均どのくらいになっておりますか。
  220. 菊竹豊平

    菊竹証人 昭和二十九年度の平均定価が、小学校用が四十六円、中学が五十九円、高等学校が七十一円、総平均いたしまして約五十七円ということになります。
  221. 高木松吉

    高木委員長代理 井手以誠君。
  222. 井手以誠

    ○井手委員 私は一点だけ簡単にお尋ねいたします。  先刻来委員長や三田村委員から御質問になっておりました点であります。学生協利益の半分を渡すということは契約に基くものであるが、福岡図書株式会社に払っておるのがおかしいではないかという御質問があったようであります。その点だけお尋ねいたしますが、福岡図書株式会社は、学年協の教科書供給業務がいろいろ問題になりまして、学生協から福岡図書株式会社が分離独立した、しかし、協力金を払うという、——その理科研究会ですか、その編さん、その後における心情から、そういう事情になっておった、それも、そういうすべてのことも引き継がれておるから、福岡図書株式会社に二十八年度も二十九年度も、法的には別の人格であるけれども、教科得業務についてはすべてが引き継がれたものという解釈のもとにお払いになった、しかし、三十年度には三社一本になる予定であるから解決するつもりである、こういうふうにお述べになったようにも感ずるのでありますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  223. 菊竹豊平

    菊竹証人 そういう工合に解釈しております。
  224. 高木松吉

    高木委員長代理 菊竹君、ちょっとおかしなことを承わるが、今の研究会というのは何のことです。そんなことはさいぜんの証言の中に出てこない。今、井手君の言ったのでその通りですというのですが、われわれはその説明を、その間の事情を聞かないと納得できませんから、その点を明らかにして下さい。
  225. 菊竹豊平

    菊竹証人 訂正いたします。研究会でございませんで、先ほどの協力金でございます。協力金という意味でございます。
  226. 高木松吉

    高木委員長代理 はっきりしていただきませんと、あとで誤解を生む危険がありますから、はっきりしていただきます。  それで井手君、よろしゅうございますか。
  227. 井手以誠

    ○井手委員 よろしゅうございます。
  228. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、他に御発言ありませんか。——御発言がなければ、菊竹証人に対する尋問はこれで終了いたしました。  証人には長時間にわたって御苦労でありました。  午後は二時より再開し、安村証人より証言を求めることにいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時三十四分開議
  229. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事濱野清吾君より理事辞任の申し出がありましたので、これを許可し、先例によりその補欠として三田村武夫君を委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議がなければ、理事三田村武夫君を指名いたします。
  231. 高木松吉

    高木委員長代理 直ちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は安村豊喜君ですか。
  232. 安村豊喜

    ○安村証人 そうです。
  233. 高木松吉

    高木委員長代理 あらかじめ文書をもって御承知の通り、正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、御了承願います。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小、中学校における教科書は多極多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生じ、これらが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し世上大いに関心を抱く向きがありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれては率直なる証言お願いいたします。  それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人安村豊喜君朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  234. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。     〔証人宣誓書署名捺印
  235. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証書を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の略歴をお述べになって下さい。
  236. 安村豊喜

    ○安村証人 昭和七年に福岡師範学校を卒業しまて、現在は福岡県筑紫郡三筑中学校に勤務しております。生活協同組合の略歴を申し上げますと、昭和二十四年九月に中学校生活協同組合が設立登記ができまして、初代の組合長に就任いたしまして、現在に及んでおります。
  237. 高木松吉

    高木委員長代理 福岡中学校生活協同組合をこれから中学生協と略称いたしますから、さよう御承知を願います。この組合の沿革、出資金、組織、組合員の構成等について詳細に順次お述べになって下さい。
  238. 安村豊喜

    ○安村証人 実は、二十四年九月に成立するまでは、高等学校の前身の福岡中学校購買組合というものがありまして、その組合の中に中学生も当然入るというような解釈のもとに高等学校と中学校がその組合に参加をしたことがありました。しかし、どうしても中学校単独に設立をしなければならないという要望が起りまして、二十四年の九月の十二日に認可を受けまして、十三日に登記を完了いたしました。そして現在に及んでおるわけであります。  なお、出資金の問題でありますが、これは一口十円でありまして、現在の総額は二百六十五万でございます。組織は、組合長一名、専務一名、常務六名、理事三十五名、監事五名でございまして、機関としましては理事会、総代会を設置しております。組合の構成は、教職員が大体七千六百名くらいで、生徒が十八万九千人ばかりおります。
  239. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、構成員の組合員は一口十円以上お持ちになっているのですか。
  240. 安村豊喜

    ○安村証人 一口十円が原則でございますけれども、教職員は大体十口くらいを持ってもらうという申し合せがありまして、その実行をいたしております。大体一名につき百円が教職員の出資金でありまして、生徒の方は一口であります。
  241. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの組合員の数と出資金の額とは一致しておりますか。
  242. 安村豊喜

    ○安村証人 実は、こちらの召喚状をいただきましたのが十九日でありまして、その前に仮の連絡がありましたので、十八日には上京しておりましたけれども、何さまあわてまして、詳細な資料を持っておりませんが、大体私の記憶ではこの程度で間違いないと思っております。
  243. 高木松吉

    高木委員長代理 中学生協教科書供給業務を始めた事情と、破り扱った教科書の年度別・発行会社別・冊数等についてお述べになって下さい。
  244. 安村豊喜

    ○安村証人 教科書を取り扱いました最初の年は昭和二十六年でございます。このときは教育出版と中央書籍という二社でございます。二十七年になりまして教育出版と中央書籍のほかに秀英出版というのが加わっております。なお、ついでに申し上げますが……
  245. 高木松吉

    高木委員長代理 私から質問したことに答えて下さい。そうすると教科書を取り扱っておるわけですね。そうすれば、その教科書の冊数を年度別とそれから発行会社別に区別して説明してくれませんか。
  246. 安村豊喜

    ○安村証人 二十六年のは実はあわてまして資料を持ってきておりませんが、これは先ほど申しました教育出版と中央書籍でありまして、大した冊数じゃなかったと思います。なお、二十七年度の冊数は、教育出版が一万七千、中央書籍が三千七百、秀英出版が八千六百、こういう数字でございます。
  247. 高木松吉

    高木委員長代理 二十八年は取り扱いになりましたか。
  248. 安村豊喜

    ○安村証人 二十八年からすでに会社が別個に設立しまして、そちらの方に委譲してしまいました。
  249. 高木松吉

    高木委員長代理 結局、こう承わっていいわけですね。二十六年度と二十七年度は扱ったわけですね。
  250. 安村豊喜

    ○安村証人 そうです。
  251. 高木松吉

    高木委員長代理 二十六年度の分は資料がなくてわからぬが、二十七年度の分は今説明したような数字なんですね。
  252. 安村豊喜

    ○安村証人 はい。
  253. 高木松吉

    高木委員長代理 学生協教科書を取り扱うことは好ましくないという文部省の通達に基き、新たに福岡図書株式会社が設立されておるが、この間の事情を詳しく述べていただきます。
  254. 安村豊喜

    ○安村証人 生協が最初教科書を取り扱いました契機と申しますか動機は、敗戦の結果いろいろな混乱がありましたが、その混乱が教科書にも及びまして、遅欠配の問題が教育上非常な支障を来たしたのであります。なおその上に、戦時中の悪い官僚統制と申しますか。こういう統制的の行き方が戦後にもなおびまんしておりまして、勢い、売ってやる、買わしていただくというような空々又のために、サービス問題もとかくの問題を起しておるのであります。この立場上、どうしても教育の復興に立ち上るためにはいろいろな支障があるから、教科書を生協で扱っても差しつかえないだろうという立場から、ぜひ扱えということになりまして扱ったのが、先ほど申し上げました二カ年であります。次官通知が参りまして、どうも採択と供給が一体化されて誤解を招くというような通牒を受けたのでありますが、その節も、久保田局長名で、現在扱っておる福岡県——ほかの県もありますが、福岡県あたりも、現状を直ちに改変する意図ではないというような通牒も同時に出されておったのでありますけれども、私どもとしましては、どうしてもこういう誤解を一掃すべきことが大切だろうというような見解になりまして、ぜひ生協の教科書を扱っておる意図を体する新しい会社を設立した方がいいというようなことになりまして、私どもも参加して新しい会社を作ったのであります。その設立の年月日は昭和二十七年十月の二十八日でございます。
  255. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、学生協と今の新しくできた福岡図書株式会社との関係は、実質的にどういうようになっておりますか。具体的に言うと、株主は学生協の人たちが株主になったのですかどうですか。
  256. 安村豊喜

    ○安村証人 設立当初のことを大体承知しておりますので、その範囲の答弁をいたしたいと思いますが、最初、新会社を設立するときには、どうしても誤解があるということを一掃するという建前でありましたので、重役陣に教職員の前歴のある者を一切含めないということになりまして、重役四名おりますが、四名とも前歴は教職員ではないのであります。なお、株主の構成につきましては、最初スタートしました当初は教職員の方が大体五割程度の株を有しておったと記憶いたしております。現在の状況はどういうふうになりましたか、つまびらかにいたしません。
  257. 高木松吉

    高木委員長代理 五割以外の株主は大体どういう方面の方々でしたか。その点を明らかにして下さい。
  258. 安村豊喜

    ○安村証人 これは縁故募集の形式をとりましたために、最初のスタートはどうしてもそういうふうな趣旨の勧誘をいたしまして、教職員がそれぞれの縁故で募集した形をとったと思います。その結果が教職員以外の王制ということになったと思います。
  259. 高木松吉

    高木委員長代理 大日本図書の発行しておる中学の理科「科学世界」の供給について、二十七年一月福岡教科書会社との間にあなたの方が契約を締結していますが、その契約を締結した経緯やその事情を詳細にお述べになって下さい。  まず第一に、契約書を締結したことがありますか。
  260. 安村豊喜

    ○安村証人 あります。
  261. 高木松吉

    高木委員長代理 ありましたら、その契約書をお持ちになっていますか。
  262. 安村豊喜

    ○安村証人 持って来ております。
  263. 高木松吉

    高木委員長代理 一つお読み上げになっていただきます。
  264. 安村豊喜

    ○安村証人 「契約書福岡中学校生活協同組合(以下甲と称す)と福岡教科書株式会社(以下乙と称す)との間に大日本図書株式会社発行中理「科学世界」の供給について左の契約をなす、第一条、甲は乙に其の供給実務一切を委任する、第二条、甲は右教科書完全供給に関し乙に協力する、第三条、右の協力に関し乙は其の供給実数より生ずる利益の折半したるものを協力金として甲に支払う、其の期日は前期用を七月末、後期用拾弐月末とする、第四条、本契約は「科学世界」の存する期間有効期間とする、第五条、本契約以外のことに就て問題の免じたるときは甲乙協議の上之を解決する、昭和弐拾七年壱月拾四日、甲、福岡中学校生活協同組合組合長安豊喜、乙、福岡教科書株式会社取締役社長菊竹豊平、いずれも印鑑があります。
  265. 高木松吉

    高木委員長代理 こういう契約書を作った事情を一つお述べになって下さい。
  266. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申しましたように、教科書を生協が取り扱うという契機は、敗戦後の事情もそれに大きく作用しておるわけでありますが、現場の声としては、ひたすらに教育の復興をはかりたい、しかも生徒の使う教科書の需給関係を円滑にしたい、こういうことがねらいであったわけであります。その立場上、私どもは出版会社にそれぞれ御連絡申し上げまして、契約方をそれぞれに懇請をしたのでありますが、昭和二十六年に実施しました会社は、先ほど申し上げましたように教育出版並びに中央書籍の三社であったわけであります。二十七年度の方針といたしましては、二十六年度の体験に基きまして、内容と申すよりも評判のいい教科書でたくさんとれた教科書は先長く使える、しかも生活協同組合の経営上大きくプラスするというふうな考えも一部働いておったわけであります。そういう立場から、二十七年度の大体の目標として、福岡県に評判のいい、しかも実際に大量に採択されている会社契約したいという念願に燃えたわけであります。たまたま、評判のいいというのは、大日本図書の理科の教科書は従来とも福岡県では圧倒的な採択を持っておりまして、さらに新しく「科学世界」というものが検定に出されまして展示会に出たわけでありますが、これもずいぶん評判がよくて、結果はやはり予想いたしました通りに大量の採択ができておったのであります。こういう立場から私どもは大日本にその販売と申しますか契約方を懇請しまして、理科、数学のいずれも懇請したわけでありますが、ねらいとしましては、理科だけでも、新しいものであるし、ぜひこちらの方にお願いしたいということで懇請いたしたわけであります。この折衝はなかなか妥結いたしませんで、数回にわたりまして私どもお願いしたわけでありますけれども、その具体化に至っては遅々として進まなかったわけであります。いよいよ、日にちははっきりしませんが、契約の前でありますのでおそらく前年の二十六年の十二月近くではなかったかと思いますが、大日本の方の意向としては、現地の円満なる解決がつけば中学の生協に契約してもよろしいという意向が見えましたし、私はそう確信いたしたのであります。勢い、教科書会社との話し合いが残っておりますので、早晩教科書会社との話をうまく進めまして、ぜひ中学生協の方に契約を進めたいという念願に燃えたわけであります。たまたま、そういう連絡があったのかないのか知りませんが、教科書会社菊竹氏からも話し合いをしたいという意向が漏らされましたので、私ども両者間で話を進めたのであります。菊竹氏の言い分では、大日本図書といいますと大きなしにせでありますし、実績も福岡県で持っておりますので、その一部が生協に移るということは非常に痛手であるから、何とか譲ってもらえまいかという話がたびたびあったわけであります。私どもも、教科書の取扱いを始めて二年目でありますので、ぜひこの問題は私どもの方で取りたい、こういうふうに考えて、ずいぶん長く話し合いを進めたわけであります。帰するところは、私どもも一応反省いたしまして、将来全教科書を扱いたいという念願に燃えておった当時でありますので、創業二年目にして大きな摩擦を起して将来の発展に挫折を来たしてはならない、こういう立場をとったわけであります。その際、菊竹氏の方からも、まああなた方でそういうふうに大きな立場から譲っていただくならば、私の方も若干の好意を示したい、こういうふうな話であったわけであります。その話し合い現地で進めまして、私どもも無為にして金をもらうということは忍びないので、では私どもできる限りの協力仕事をしてみよう−。で、いろいろな協力のことを考えてみたのでありますが、その当時の話し合いで、はっきりした記憶もありませんけれども、ねらいが供給の円滑化にありましたので、転校生の需給を即時に行う、そのためには現場の先生が一番詳しいし、現場の先生が生協の組織を通して申し出てもらうことがわれわれの前に掲げておりました需給の円滑化という問題を解決する一つの方法ではないかというふうに考えました。さらに、福岡県は、御存じのように、炭鉱地帯がありますし、工業地帯がありますし、農山村地帯がありますし、非常に固まった地域にしかも経済要素が違っておりますので、そういうことから来る早期販売の問題なんかもいろいろこんがらがってくるわけであります。早期販売と申しますのは、新学期に買わなければならない教科書について、いろいろな発行会社の資金問題とかあるいは全体の供給の円滑というような問題から一月ごろにはすでに実施する問題であります。その早期販売とか、あるいは円滑化とか、地域の状況が違いますので、分割購入の仕方とかいうものを現地についていろいろ研究してもらう。こういうのも協力になりはしないか。さらに、経済状況が違いますとどうしても古本使用の問題が大きく出て参りますので、古本使用の調査をする。さらに、小売店の供給業務を指導するというような、いろいろな供給上の協力事項考えまして、こういうことで協力しようというようなことになったわけであります。契約書には折半と書いてございますけれども、実際はこれはその後一冊一円の割合になっております。以上が経緯と並びに詳細であります。
  267. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、以上の大体はわかりましたが、基本となるべき線を一つ聞かしてもらいたいと思います。  昭和二十七年一月十四日に今言ったような契約ができておる。そうすると、あなたの読み上げられた第一条に「甲は乙に其の供給実務一切を委任する」、こうなっておりますから、あなたの方で大日本図書との間に供給権を持っておったのですか。この点はどうです。
  268. 安村豊喜

    ○安村証人 これは、先ほど概略の経緯を申し上げましたが、この点になりますと非常にあいまいな点も多々あるわけでありまして、実際問題として、出版会社は正式に契約書を交換したこともあるし、しないこともあるわけなんです。そういうことで、実際の業務をやったことも実はありまして、供給実務を委任するということになりますと、勢い中学生協の方が供給権といいますか、出版会社との間に契約が成立していなければならない前提に立つわけでございますけれども、それを、先ほど申し上げましたような現地談合の線で進めまして、お互いにこういうことで承服し合ったという形になっておりまして、これを法的に云々とおっしゃいますと、非常にむずかしくなりまして、私どもの方もよくわかりません。そういうふうな非常に軽い気持でやったものと思います。
  269. 高木松吉

    高木委員長代理 それは、法律論を聞こうとしておりません。そういう権利を獲律しておったかおらぬかということだけ聞けばいいのです。
  270. 安村豊喜

    ○安村証人 これも先ほど申し上げましたように、私は大体契約できるという確信を持って現地の折衝に当ったわけであります。菊竹氏はどういうふうにそれを感じておったか、私どもの想像の限りではありません。
  271. 高木松吉

    高木委員長代理 それはおかしな話ですね。私の問いをのみ込みましたか。安村君、よく考えて返事して下さい。最初の説明で私も事情はわかりました。しかし、この契約のできる前に日本図書とあなたの方とがいわゆる供給契約ができておったかできておらないか。おったとかおらないとか、何月何日にできたとか、ないということなら日にちはないわけだから、その点を答えてくれればいいんだが、あなたのは少し長過ぎます。簡単なところは簡単に明瞭に答えていただきます。あったのか、ないのか、もう一度御答弁願いたいのであります。
  272. 安村豊喜

    ○安村証人 文書を交換したことはありません。
  273. 高木松吉

    高木委員長代理 文書の交換の有無にかかわらず、そういう権利があったかどうかを聞いておる。文書は証拠だけの問題であって、文書を作ることは契約の成立の問題じゃないと思うのだ。そこで、文書の有無にかかわらず権利があったかないか。ないものをこういうふうに契約するということは、それ自体がまたおかしくなってくる。そこで聞きたいのだが、おそらく二十七年の一月十四日以前にあなたの方に権利があったのじゃないですか。その点、あるとかないとか言ってごらんなさい。
  274. 安村豊喜

    ○安村証人 権利というのが、私、しろうとで、よくわかりませんけれども、私は二十七年度から大体新しい契約ができるという確信を持ったというほかにないわけであります。
  275. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、あなたの言葉をそのまま受ければ、この日付の前には供給権を大日本図書から獲得していないということを認めることになりますな。将来の見込みだけがあっただけで、そのときにはないということになりますか。
  276. 安村豊喜

    ○安村証人 私は確信しておったということだけであって、それ以外の何ものもなかったわけです。
  277. 高木松吉

    高木委員長代理 そういう逃げ答弁を聞こうとするのではありません。真実を発見したいのだから、あるとかないとか、そういう供給権を大日本図書からとってあったとか、ないならないでよいのです。何も責めるわけではない。事実を明らかにすればわれわれは真実を発見できるのだから、そういう意味において、安村君、御答弁を願いたいと思います。
  278. 安村豊喜

    ○安村証人 意思表示がなされておりますけれども、それは現地解決があくまでも前提であったわけであります。それを私は確信という言葉で答えたわけでありまして、意思表示はなされておりますけれども現地の円満な解決が全然できておりません。
  279. 高木松吉

    高木委員長代理 意思表示というのはどっちから……。私も法律家ですから、そんな変な聞き方はいたしません。現地解決は一つの条件であったかどうか知らぬが、今の意思表示というものは、あなたの方からの意思表示ですか、それとも大日本図書からの意思表示ですか。契約は両方の意思表示の合致を必要とします。そういう意思表示の中には契約もありましょう。だから、意思表示という言葉を使い得る人であったならば、もう少し明瞭に法律的解釈ができると思うから、法律的に一つ説明していただきます。
  280. 安村豊喜

    ○安村証人 実は、先ほども申しましたように、法律的な解釈は私はよく知りませんけれども現地解決が円満に行く限りにおいては中学生協教科書を扱わしてもよいという……。
  281. 高木松吉

    高木委員長代理 どちらからですか。
  282. 安村豊喜

    ○安村証人 大日本からです。
  283. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの方はそれを受けて立ったわけですか。
  284. 安村豊喜

    ○安村証人 立つということはどういうことですか。
  285. 高木松吉

    高木委員長代理 その意思表示を受けてこのような契約をしたりいろいろなことをしたわけですね。
  286. 安村豊喜

    ○安村証人 そういうことです。
  287. 高木松吉

    高木委員長代理 それなら、はっきりさせて下さい。
  288. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど私は経過報告で申し上げましたけれども……。
  289. 高木松吉

    高木委員長代理 いや、ちっとも明らかになっておりません。はっきりして下さい。だれもはっきり聞き取った人はありませんから、あなただけ心の中でわかっておってもだめです。あるないはおのずから別だし、これが条件だったというから、かりに条件だったとすれば、大日本図書とあなたの方との間でいわゆる供給権をあなたの方へ持たせたのはいつですか。
  290. 安村豊喜

    ○安村証人 そういう日にちを記憶しておりません。
  291. 高木松吉

    高木委員長代理 それならば、昭和二十七年一月十四日以後ですか以前ですか。
  292. 安村豊喜

    ○安村証人 以前であります。意思表示を瞬けた日にちでございます。
  293. 高木松吉

    高木委員長代理 以前にそういう供給契約を獲得したのですか。
  294. 安村豊喜

    ○安村証人 委員長さんがそうおっしゃいますと、ちょっと困りますが、獲得したのでなくて、現地の円満なる解決ができたならば中学生協に渡してもよろしいという意思表示です。
  295. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると条件付のお互いの契約をなしておったのだから、この条件が成立すると同時に契約が成立したことになって、そっちの契約が成立するということに解決することになりますね。同日に契約が効力を生ずることになりますね。この条件ができたらということを前提にすれば。
  296. 安村豊喜

    ○安村証人 よくわかりません。もう一度言って下さい。
  297. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの先ほどのお話によれば、今あなたの読み上げたような契約が地元でまとまれば、いわゆる大日本図書とあなたの側の契約が成立するという条件付の契約ができていたのです。こうお話しになりましたね。そこで、その条件となったこの契約書ができたのだから。この契約書のできたことによって、必然的にそっちの契約は効力を発するということになるのじゃありませんか。これならおわかりになりましょう。
  298. 安村豊喜

    ○安村証人 実は、現地の円満なる解決というのは、私ども、その当時のことを回想して考えますと、こういう契約内容にならないで、菊竹さんの会社中学生協との間が円満にいく、円満に供給権を譲るということが成立した場合に中学生協へ持ってくるつもりの意味であったと、記憶があります。
  299. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、これは円満な契約じゃないのですか、——先ほどあなたのお読み上げになった契約は。
  300. 安村豊喜

    ○安村証人 私の円満なるという言葉と、この契約書内容は食い違っております。
  301. 高木松吉

    高木委員長代理 どこが食い違っておりますか。
  302. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもの方の解釈しておりますのは、円満という意味は、菊竹氏の方が、よろしい、大日本教科書の方の一切をあなたの方にやってもらうことにしましょうというようなことを意味しておったのです。
  303. 高木松吉

    高木委員長代理 ますます不思議になったので、この点は各委員から補充尋問をしていただくことにいたしましよう。  それでは、次に移りますが、いかなる事情によりまして成立したといたしましても、先ほど読み上げました、いわゆるあなたの方の学生協福岡教科書株式会社との契約の成立したことは、あなたも認めている通りです。そこで、第三条に移りますが、この第三条、「右協力に関し、乙はその供給実数より生ずる利益を折半したものを協力金として甲に支払う、その期日は前期用を七月末、後期用を十二月末とする」、この内容説明と実体とを明らかにして下さい。
  304. 安村豊喜

    ○安村証人 これは、先ほど経過を申し上げましたときに触れておりましたが、率直に申し上げまして、こういう変態的な契約でありますので、私どももできるだけのことを協力いたしまして、教科書会社の好意に報いたい、こういう立場をとりました。さて、協力というのはどういうことを意味するかという問題でございますが、それは、先ほども申しておりますように、供給業務の円滑ということ、あるいは経済の特殊性から来る古本使用の問題とか、早期販売の分割支払いの問題とか、あるいは小売店指導とか、こういうものを含んでおったのであります。利益の折半と申しますと、大体特約が定価の四分をもらいますので、その四分のうちの半分という意味でございますけれども、実際は一冊一円で両者の間に話が成立いたしております。
  305. 高木松吉

    高木委員長代理 重大な食い違いがここにできました。これはもうはっきりしておかないというと問題です。先ほど菊竹君の証言によると、この利益というものは手数料であるということを言われた。その手数料の半分をあなたの方に協力金としてここに書いてあるような月日に渡すのだと言っておりますが、この点はどっちがほんとうですか。
  306. 安村豊喜

    ○安村証人 わかりませんが……。
  307. 高木松吉

    高木委員長代理 この第三条に「供給実数より生ずる利益」という言葉を使って契約をしておりますね。この利益というのは供給手数料全部をさすのだ、そうしてその供給手数料全部のうちの半額を協力金としてあなたの方に差し上げるのだということを一言っておられるが、この点、あなたの説明と食い違いますが、どっちがほんとうですか。
  308. 安村豊喜

    ○安村証人 食い違いません。
  309. 高木松吉

    高木委員長代理 そうですか。それなら、はっきり聞きます。利益の計算はどうしてやるのですか。
  310. 安村豊喜

    ○安村証人 教科書の定価の一割六分というのが供給業務に一応渡されるのでありますが、そのうちの四分が特約店に参りまして、あとの一割二分が大体小売店に渡るというのが常識であります。その四分のうちを私ども利益という名前で出しておりますが、菊竹氏はそれを手数料という名前で証言したわけであります。
  311. 高木松吉

    高木委員長代理 菊竹君はそんなことを言っていませんよ。そういうことを言われては困ります。  そうすると、その利益折半の数字は一冊について一円ということになるのですが、利益はそれより多いか少いか計算しなければわからぬでしょう。場合によっては多くもなり少くもなりましょうが、一円ときめるならば、この契約書に一冊一円の割をもっていわゆる協力金を出すと書いておくのがほんとうであるのに、ここには利益を折半したるものを協力金として甲に支払うと書いてある。ここに書いてあるところと、あなたの契約内容として主張することに食い違いがあるが、この点はどうですか。
  312. 安村豊喜

    ○安村証人 私が証言した通りであります。一冊一円です。
  313. 高木松吉

    高木委員長代理 それではお尋ねします。昭和三十七年度に幾らの利益金の支払いをあなたの方で受け取りましたか。
  314. 安村豊喜

    ○安村証人 二十七年は二十九万三千八百六十三円であります。
  315. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、これはわかり切ったことを聞くようですが、供給済みになった冊数は何冊になっておりますか。
  316. 安村豊喜

    ○安村証人 二十九万三千八百六十三冊であります。
  317. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、いま一つ明らかにしておきたいのは、この協力ということです。観念的にはわかりましたが、二十九万三千八百六十三冊を供給するその仕事について、具体的事実としてどういうことをおやりになったか。先ほどあなたは協力内容の観念論をやられましたが、今度は具体的にどの学校にどういうことをし、どういうところへどういうことをする、どこに会合をとったとか、二十九万もの金を取っているのですから、この協力費の内容説明して下さい。
  318. 安村豊喜

    ○安村証人 その詳細は私も知りませんが、先ほど申し上げた通りの方法によりまして、各郡市にそれぞれの組織体がありますので、その組織体の郡市の支部長あたりが全部各学校の連絡をとりまして、先ほど申し上げましたようなことを実際に実施するわけでありますが、その詳細は、私、承知せずに参っております。
  319. 高木松吉

    高木委員長代理 問題はそこにあるのです。真実の発見というものは観念ではない。現実の事実をつかまなければわからない。そこで、全部を知ろうとはしないけれども、何という学校のだれそれ先生、だれだれが集まってこうしたとか、いつはこうしたとかああしたとかいう数字や、場所や、人や、会合の内容や、それを具体的に言わないと、観念的にこうやるんだというようなことを言われても、われわれは事実をつかまなければ真実発見になりませんから、あなたの記憶の限度において説明していただきます。
  320. 安村豊喜

    ○安村証人 非常に申しわけないことでございますけれども、こういう原則をいつも私ども打ち出しまして、その実際業務というのはいつの場合でも下部の方の組織体にやっていただくわけであります。どの学校にどうということは、私どもは一々記憶もいたしておりませんし、その集計も実は持たずに上ってきたわけであります。
  321. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、突っ込んでお尋ねしますが、二十九万三千八百六十三円という大金、——あなたは組合長として経理を監督するなり経理の任に当るでしょう。これは協力費だというんだが、協力費がこれだけ使われているのに、今言ったような観念論でわれわれに真実なりと押しつけることは無理じゃありませんか。少くとも観念論を離れて具体論に入ってこの数字をしめくくりのできるような言い開きなしには、われわれは真実として受け取るわけにいきませんから、もう一度説明なさって下さい。
  322. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申しましたように、実に申しわけありませんけれども、実際問題としまして、末端に何冊足りなかったからどこの学校へどう報告をしたとか、あるいは早期販売のときに大日本図書教科書を先に売ったとかあとに売ったとか、こういうものを全部は記憶しておりません。しかも時代も少しめぐっておりますので、その詳細は知らないわけであります。
  323. 高木松吉

    高木委員長代理 私は真実を発見しようと思って問うているので、何もあなたの責任をどうこう言うわけではないが、何となく逃げ言葉のようにしか受け取れない。とにかく、あなたの組合というものはそう大した何千、力というような出資金を持っているわけでもないのです。そこへ二十九万三千八百六十三円という金が入っておる。この金の行き先が結局具体的事実と結ぶことになるわけです。それが、組合長であったあなたが全然観念的説明で具体的に説明ができないということは、たとい二、三年過ぎたからといってあるまいとは思うのだが、この点どうなんです。帳簿でもありますか。
  324. 安村豊喜

    ○安村証人 生協の場合は全部帳簿がありまして、雑収入に全部入っております。経理は全部年度末に行政庁の監査もありますし、それからわれわれの内部機関の会計監査もありますので、全部帳簿に載っております。どこにどれだけの金を、出したかというような、協力金だけを取り出して使用したことはありません。
  325. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、あなたの組合の二十七年度一年の取扱い金額はどのくらいになっておりますか。
  326. 安村豊喜

    ○安村証人 あまり年度別に変らないと思いますが、二十七年度、的確でありません、概括で申しますが、一千二、三百万から四、五百が程度であります。
  327. 高木松吉

    高木委員長代理 利益金はなんぼありますか。
  328. 安村豊喜

    ○安村証人 これも概括でありますが、昭和二十七年度までは大体年間多いときで五、六万の黒字であります。少いときで二、三万であります。なお、二十八年には水書にあいまして五十万の赤字が出ておりますので、その後の利益は全部赤字の補填にかかっております。
  329. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、二十九万三千八百六十三円というものは、組合として利益金と見るのですか。余剰金と言いましょうか、この場合は利益金でしょう。余剰金と意味が違いますね。経理上何と見るのですか。
  330. 安村豊喜

    ○安村証人 雑収入に上げております。
  331. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、これだけの金の行き道があなたにわからぬというのは全く不思議なことですね。あなた、そうお思いになりませんか。二万、三万、五万というような中に雑収入としてこれだけ入ってきたものが、どういう方面に具体的に散っているかということがわからないはずはないと思うが、その点どうなんです。
  332. 安村豊喜

    ○安村証人 利益だけを取り出せばいろいろありましょうと思いますが、結局、経費、経営など、いろいろなものに金を使います。支出の面もありますので、私たちはトータルの詳細を決算で見ますけれども、入ってくる金を取り出して、たとえば今おっしゃる二十九万何がしの金をどこどこに持っていって使うということは、実際やっていないわけであります。一応収入にあげて、支出はそれぞれの営業方針、経営方針に基いて支出をしておりまして、単独取り出した金でどうするということはやっておりません。
  333. 高木松吉

    高木委員長代理 証人はこの帳簿があるとただいまお話しになりましたね。
  334. 安村豊喜

    ○安村証人 はい。
  335. 高木松吉

    高木委員長代理 それじゃ、その帳簿を、写しでもよろしゅうございますから、提出してもらうことができますか。
  336. 安村豊喜

    ○安村証人 その帳簿はここに持ってきておりません。
  337. 高木松吉

    高木委員長代理 ここでなくていいです。必ず出して下さい。
  338. 安村豊喜

    ○安村証人 はい。二十七年度だけでよろしゅうございますか。
  339. 高木松吉

    高木委員長代理 けっこうです。また各委員の方から希望があればあらためてお願いすることにします。  「本契約科学世界の存する期間有効期間とする」という条項について聞きたいのですが、この条項の解釈を一応規定づけて下さい。
  340. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申し上げましたように、「科学世界」を私どもがぜひ下さいといってお願いしたわけでありまして、その問題がこの契約書に発展したわけでありますので、私どもは、「科学世界」の存する限りということで、どうも変態的な気持でこの契約をしたわけであります。
  341. 高木松吉

    高木委員長代理 「科学世界」は今も発行されているでしょう。年々発行して今も発行されている。その契約に基く関係関係はどうなっているか、それを明細にお述べ下さい。
  342. 安村豊喜

    ○安村証人 二十八年度も依然としてその契約を実行しまして、二十六万二千六百四十円、それから二十九年は十六万一千六十二円であります。こういうことで、一応「科学世界」の存する限りということで協力金として受領したわけであります。
  343. 高木松吉

    高木委員長代理 間違いありませんか。
  344. 安村豊喜

    ○安村証人 間違いありません。
  345. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、昭和二十八年度の冊数、金額はわかりましたが、二十九年度の冊数をお述べになって下さい。
  346. 安村豊喜

    ○安村証人 二十八年は二十六万二千六百四十冊、それから二十九年は十六万一千六十二冊。
  347. 高木松吉

    高木委員長代理 三十年度はどうなっていますか。
  348. 安村豊喜

    ○安村証人 三十年度のまだ供給業務が完全に完了しておりませんので、その数字をつかまずにおります。
  349. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、この契約に基いて三十年度もとる権利はあるわけですね。
  350. 安村豊喜

    ○安村証人 そういうふうに考えております。
  351. 高木松吉

    高木委員長代理 そうなるのでしょう、あなたの権利の主張から言ったら。
  352. 安村豊喜

    ○安村証人 権利の主張ですが、辞退することもできますし、またそういうことも話しております。
  353. 高木松吉

    高木委員長代理 辞退はまたあらためてあるとして、権利はあると思って主張できる、しかし私の方は辞退する場合もあるというのなら話はわかる。
  354. 安村豊喜

    ○安村証人 その通りであります。
  355. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長よりの尋問は一応終了いたしました。  この際委員諸君の発言を許可いたします。通告順によりまして、佐々木秀世君。
  356. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人にお尋ねいたしますが、この組合員の構成でありますが、職員と学校の生徒、先ほど私は数字を控えたのですが、もう一回、確認する意味において、教職員が幾ら、生徒が幾らということを申し述べていただきます。
  357. 安村豊喜

    ○安村証人 冒頭にお答えしましたように、大体間違っていないと思いますけれども、多少の食い違いはありますが、概略は、職員は七千六百名で、生徒は十八万九千人くらいであります。
  358. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 十八万九千名という生徒は、これは中学校の生徒だけですか、それとも小学校の生徒も入っているのですか。
  359. 安村豊喜

    ○安村証人 中学の生徒だけであります。
  360. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは、中学校の生徒がほとんど入っておりますか。入っていない人もおりますか。
  361. 安村豊喜

    ○安村証人 大体の数字は大かた二十万いると思いますけれども、私の方の調査では十八万九千でありますので、若干入っておらない生徒があるという推定はできますけれども、それは特殊な生徒ではないかというふうに考えます。
  362. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこで、お尋ねしますが、大日本図書株式会社とあなたの方との契約が、先ほどできたかできないかよくわからぬようなお話でしたが、正直の話はこうなんじゃないですか。結局、「科学世界」とか理科の本、これは、調査いたしますと、九州の科学連盟、それから地理連盟、こうしたいわゆる九州地方の教職員の方々で編集されている本のように私たちは承わっているのであります。その本が先生方の手によって作られる。採択するのが九州地方の先生方でありますから、この九州の先生が作った本を販売になると、先生方が努力すれば、これはほとんど九州地方で使われる。それで、配給業務に携われば、供給所は四分もらえる。最終販売店は一割二分もらえる。これは相当な利潤がある。ここにあなた方が目をつけまして、そうして大に日本図書の方に交渉なさった。大日本図掛の方も、先生方が一生懸命配給をやるというのだから、これは売れること間違いない、そこで、あなたの万に、従来のいわゆる供給所があるから、その方と話してこい−。出版会社としては、売りさえすればいいのですから、そうすれば私の方は文句がないということで、あなた方の方は、これは利潤があるからということで始めたのじゃないですか。ほんとうの気持は。
  363. 安村豊喜

    ○安村証人 冒頭に申し上げましたように、ほんとうの気持は、やはり敗戦の結果来ました供給の遅欠配の問題が主力であります。その方のサービスも若干悪いというのがほんとうの経緯でございます。たまたま、それが利潤が多少あるということはわれわれも知っておりますので、それが経営上プラスになるという見解も若干ございますけれども、主体はやはり、子供の手に渡るときに私どもの手で円滑に配給したいというのがねらいであります。
  364. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、非常な疑問が生じてくるのでありますが、なぜならば、あなたの方で昭和二十七年までは学生協として配給業務に携わったのでありますが、その方々が株主となって福岡図書株式会社という新しい会社ができた。しかし、名前は変ったけれども実体はやはり学校の先生方なのです。株は五割は先生方だというのですけれども、そのほかの五割もほとんど他人じゃないのです。他人も入っていますが、先生方の家族で株を持っているのもある。親戚で持っているのもある。奥さんに持たしているのもある。だから、ある一部は無関係の人もありますが、ほとんど先生方の関係の人で株を持った。だから、私は、名前は変っても一体だと思う。この名前変って一体になった会社が、しからばどのくらい今日事業をやっているかというと、まず昭和二十八年度は八十八万冊、——これは新しい会社ですよ。それから昭和二十九年度は百六十九万冊、三十年度は三百八十六万冊、三十一年度は四百三十九万冊、これは逐次配給冊数が上っている。それは、学校の先生の配給する木ですから、かわいい児童を預かっている学校の先生がやるのですから、親たちはこれには文句はないわけです。それでどのくらいの収入かというと、私の計算では四百万三千八百四十円になる。こういう大きな利潤がある。そのほかに、あなたの方の生活協同組合というものはまた別個に、大日本図書権利を獲得したかのごとく獲得しないかのごとく、うやむやのうちに従来の供給所と契約して、毎年々々トンネル口銭をもらっているわけです。二十九万円から二十六万円と、この利益のほかにこうした金は、小学校の児童の主食である本の利益から得ているわけであります。こうした行為がただうやむやのうちに、あなた方のその場限りの証言で、わかりましたと言うわけには、行政監察委員会として、真実をつかむ上から、納得するわけには参らないのであります。私が申し上げましたのは、そういう権利も獲得しないようなあいまいなままで、ただ出版会社が何とかして売りさえすればいいという機に乗じて、あなた方がそういう毎年トンネル口銭を、取っているということはけしからぬということです。なぜならば、ほんとうにあなた方が供給を円滑にするというならば、——先ほどあなたの言葉の言外に出てきているのでありますが、終戦のあれで供給が円滑でなかったという言葉もあった。それならば、なぜ大日本図書の売れ行きのいいのばかり選んだか。ほかの教科書全体に対してあなた方は円滑に配給をやらなければならぬという考えが出るはずじゃないですか。それはどういうのですか。数のよけい出る、しかも比較的楽に冊数の出る大日本図書の「科学世界」とかあるいは理科の教科書に目をつけたというところには、いわゆるもうけ主義というのが重点ではなかったのではないのですか。その点を一つ承わりたい。
  365. 安村豊喜

    ○安村証人 冊数は何か別な方面の冊数じゃないかと思いまして、私の方じゃおよそ縁の遠い冊数でありますので、従って、四百万円というのは縁の遠い金額でありますので、答弁はいたしません。  それから、売れ行きのいい「科学世界」をどうして選んだかという問題でありますが、これは二十六年度に私どもは実際……。
  366. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいま何か答弁いたしませんということですが、答弁を拒絶しては困る。答弁だけはしてもらわなければならぬ。何か答弁できるのに答弁しないということはいけません。
  367. 安村豊喜

    ○安村証人 答弁をやり直します。この数字は私ども数字でございませんので、ちょっと困るわけであります。  それから、売れ行きのよいものという問題でありますが、これは、先ほど冒頭に申し上げましたように、実際問題で、最初扱いますときに、冊数が多くて評判がよければ、長続きいたします。長く続くということは、やはり生徒に供給する上から言っても、経営上から言っても、一応プラスということは考えられるわけであります。そういう立場から、私は大日本契約したということを最初に申し上げたのであります。トンネル口銭と盛んにおっしゃいますが、何か私どもが罪悪をしているような錯覚を起すのでありますけれども、トンネル口銭というふうに私どもは解釈しておらないわけであります。
  368. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 さっきの数字は、でたらめの数字じゃないのです。福岡の全体の児童が使っている教科書の扱い高を、従来の供給店と新しくできた福岡図書株式会社と分類して、どのくらいな数字を扱っているかということを、ちゃんと調査に基いて申したのです。もう一回申し上げますから、あなたはお控えなすって下さい。決してでたらめじゃございません。昭和二十七年は十二万冊、二十八年は八十八万冊、二十九年は百六十九万冊、三十年は三百八十六万冊、三十一年は四百三十九万冊、これがあなた方の生活協の発展した、いわゆる福岡図書株式会社が扱っている配給冊数でございます。これから計算いたしまして、四百万三千六百八十円という、これは四分と一割二分という数字が出て参りますから、御計算なさればおわかりと思います。  この点はこれだけにして、次に申し上げますが、あなたは先ほど委員長の問いに対してこういうことを言っている。生活協同組合の経営上大きなプラスとなるということを申しているのであります。この配給業務を扱うことがプラスになるということは、経済的のプラスと私は承わったのですが、どういう点のプラスでございましょうか。経営上のプラスと言っていますから、私は経済上のプラスと考えます。
  369. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほどの冊数は、福岡県は三社ありまして、私の方は福岡図書であります。そのほかに福岡県教育図書、さらに福岡教科書株式会社と、三つあるわけでありまして、どこかの数字の混同じゃないかと思います。私の方はこの数字はよくわからないわけでございます。  それから、生協の経営上の問題でありますが、生協運動というのは、御存じのように、非常に根が浅くて弱いものでございまして、一応協同組合はその教育事業の面から拡大されなければならないという立場にありますので、私は、教育の面から言っても、協同組合の精神を涵養するという立場から言っても、自分らが使う教科書を生協で取り扱うということは、教育上大きなプラスというふうに考えておるわけであります。なお、否定はいたしませんが、経済上のプラスもあるわけであります。
  370. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 福岡県には供給所は三つあったですね。生活協同組合系統のが二つあったんじゃないですか。それが一つになったんじゃないですか。
  371. 安村豊喜

    ○安村証人 いいえ、三つのままです。
  372. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私のは、学校生活協同組合系統の業者が扱っている冊数でありますから、そういうようにお認め願いたいと思います。従来の配給所の八十八万六千冊とかなんとかいうのは別にあるのです。これは両方の学生協系の扱った本の冊数でありますから、そういうように御記憶願いたいと思います。  それから、先ほど委員長の御質問のうちに、昭和二十七年度あるいは二十八年度、二十九年度と、年次にわたり、従来の供給所であります福岡教科書株式会社から利益の折半を受けているのでございますが、私たちはこういうように常識上考えるのですが、その仕事をやった利潤の分配というものは、その仕事の経費に使うから縛るものだと私たちは解釈するのです。だから、昭和二十八年に二十六万二千六百四十円ですか、これを受け取っているということは、経理の上にこれこれの仕事の経費にかかったということでなければ、私たちは納得できない。それでなければトンネル口銭だということになるのでありますが、先ほど委員長のいつどこでどういう学校にどういう人たちが配給の部面の仕事をしたかという問いに対して、今わからないということでありましたが、これを雑収入としてぶち込んでしまっている。しからば、この経理の内容において配給業務にどのくらいな費用をかけているのですか。その費用がわからなければ、私はトンネル口銭だということを今訂正いたしません。いろいろな費用がかかるからこそ、供給仕事手数料として折半するのだろうと私は考えます。それが帳面の上に現われていないで、幾ら使われたかわからないで、ただ雑収入としてぶち込んでしまったのでは、これはだれが聞いてもトンネル口銭だと言う以外ないじゃありませんか。それを裏づけする、これだけの人数でこれだけの経費を使っておりますという証言をいただきたいと思います。
  373. 安村豊喜

    ○安村証人 これは、先ほどもう少し生活協同組合の事業を申し上げておれば誤解がなかったかと思いますけれども、収入がありましたら、それはその仕事だけに単独に使うという建前でなくて、たとえば、私の方でやっております音楽のコンクールとか、あるいは習字のコンクールとか、作文のコンクールとか、あるいは版画のコンクールとか、宿泊所の設置——これは県で一本で体育大会なんかやるときに、の人は宿泊に困るわけであります。そこで、宿泊所の設置をしますので、その経費も、その雑収入の入った反対側にはやはり出ていくわけであります。今の協力金の問題につきましても、それだけを取り出して、これはこれこれに使って残金がこれだけ残ったというように、独立に別個に会計をしたことはないわけであります。推量しますのは、おそらくこれだけの金額協力の費用に使われたとは考えられませんけれども、いずれにしても、その金が事業に使われたことは事実であります。
  374. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 文部省の教科書の今の方針は、供給手数料に四分やるということも、末端配給に一割二分やるということも、その利潤を上げたものを雑収入に入れて別の事業に使うなどという考え方からそういう比率をきめているのではございません。児童の支出する教科書の価格で、それがみんな価格に織り込まれているのですから、どこまでも配給手数料の四分というものは配給の仕事をするために認めているのです。四分あるからこれを雑収入に入れて、ほかのいろいろな催しに使っていいなどという考え方から四分を認めているのではございません。もしあなた方がかりに四分の利益があるからこれを何に使ってもいいなどというお考えであるならば、とんでもない間違いなのであります。その点はどうお考えになりますか。
  375. 安村豊喜

    ○安村証人 厳密に言いますと四分じゃなくて一円でございますけれども、それはやはり協力料の問題であります。協力関係会議とか、そういう方面に使われるのが至当でありますが、しかし、私は、これの金額からこれは協力した会議の費用だというふうに分けて出してないだけでありまして、その実体はやはりその方面に流れておりますが、私は率直にこれだけがその方面に使われたという立場じゃないことを申し上げておるわけであります。
  376. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 一円は四分でないと言うけれども、四分なのです。そうでしょう。教科書の平均価格は幾らか御存じですか。大体五十円でしょう。そうすると四分で二円です。その半分をもらっているということば一円なのです。完全な四分です。だから、あなた方は四分じゃないと言うけれども、全国の平均価格が五十円なのですから、四分で通っているのです。そういうあなた方の考えは間違っております。善意でやったことを今責めても仕方がありませんが、そういう考えは改めてもらわなければならない。配給業務の円滑を期するためにわれわれはやったと言ったって、われわれは納得するわけには参りません。いわゆる消費生活協同組合法律の第九条には、あなた御存じのように、「組合は、その行う事業によって、その組合員及び会員(以下組合員と総称する。)に最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行ってはならない。」と書いてある。他の方面にその利益を流用するということは、完全に利益を得ているということじゃないですか。こういう点はどうお考えになりますか。
  377. 安村豊喜

    ○安村証人 第九条の通りに実施をしておりまして、私ども組合員に最大の奉仕をしておるわけです。私ども利益組合の目的以外に使えば、それはおかしなことでありますけれども、完全に、事業内容としては、こういうふうな生徒対象のコンクールをしたり、あるいは生徒対象の宿泊所を設けたりすることは、私はむしろ最大の奉仕をしておるという確信に立っておるわけであります。
  378. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなた方の精神が崇高なものであることはよくわかります。しからば、あなたはこの組合法律をよく御存じだろうと思いますが、組合というものは株式会社じゃないのですから、株数によって役員を選出するのじゃないのです。それは御存じですな。そうすると、教職員が七千六百人、学童が十八万九千人おりますが、その学生と教職員との役員の選出の比率を組合法に基いてどうやっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  379. 安村豊喜

    ○安村証人 総代会というのを結成しまして、——実は総会そのものはたくさんの数になります。しかも福岡県全域でありますので、その制度が実施できないわけであります。従いまして、法に基いた総代制の総代会の設置をいたしまして、各郡市から出ました総代会によって役員が選出されるという立場に立っております。
  380. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすれば、当然その総代会から出るわけですが、学生の方がずっと役員が多いと思いますが、どういう比率になっておりますか。生徒と教職員の比率を、名前を全部あげることは大へんでしょうから、生徒側から何名、教職員側から何名、その点を一つお聞かせ願います。
  381. 安村豊喜

    ○安村証人 皮肉のない質問だと思いますので、率直に答えますが、生徒は一応役員に出ておりません。役員構成は全部教職員であります。
  382. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それなんです。あなた方は、要するに、組合員に奉仕しているとは言うものの、生徒には単に十月ずつ出資をさせておいて、しかも、私たちが常識的に考えても、中学校の生徒というのは組合の運営などに対してはいわゆる意思決定力がまだ薄弱なのです。常識としては役員にしたところで役員は勤まらない。そうすると、私たちの考えるのは、十八万九千人というのは単なる出資だけをして、その児童を利用しているという以外にないじゃありませんか。ほんとうに組合法に基いてやるならば、大部分は生徒から出なくちゃならない。しかし、その意思決定の十分でない生徒をただ組合員だと称して、そうしてその人たちに奉仕するのだからということは、あなた方は上手に生活協同組合を消費組合法を利用してこういう形に持っていっておるというふうに見られても、これは仕方がないではありませんか。そうでしょう。そうでなかったら、これほどの大多数の——株式会社ならば持株によって当然役員がきまる。しかし、協同組合法というのはそうではないのです。人数なのです。その協同組合法に基いて役員を選挙していないで、先生たちが役員になって、生徒にはただ出資だけさせておくという姿は、正しい協同組合のあり方だと私は考えませんが、あなたはどうお考えになりますか。
  383. 安村豊喜

    ○安村証人 佐々木委員のおっしゃる言葉通りに受けますと、私どもまるで罪悪を犯しているような気もするのでありますが、この問題は非常にむずかしい問題でありまして、生徒を利用し、生徒を食いものにしているというその見解を私どもはとっておりません。私ども、あくまでも生徒自体の福利厚生ということを念願しているわけでありまして、その方向が間違っておるならば、その方向の御指摘は願いたい。しかしながら、私どもは、あくまでも、教育者の良識として、ぜひ生徒のためになるようにという立場を実はとっております。御存じのように、株式会社は金権がものを言うところでありますが、生協自体は多数の人間の批判のもとに置かれておりますし、しかも事業経営につきましては行政機関もそれぞれの監督をいたしておりますので、私ども昭和二十四年から踏み入りました足跡が現在まで佐々木委員の御指摘の通りの罪悪を犯しているという方向であったら、すでにつぶれているはずです。それは否定できない。世論の力というものは絶対にあるはずです。私どもはあくまでもこの生協法の行き方をはずれないようにしておる。しかも生徒は現実に未成年者でありますので、親の同意書をとっております。この役員になって運営に参加するということはさせたいのでありますが、いろいろな立場上できないのが実相であります。私どもは、率直に、生協という行き方は、生徒を利用するのではなくして、生徒に奉仕していく方向をとっております。なお、法律の改正でもあって、員外の点でも認められれば、私は、教員だけの出資でもって、生徒にはぜひ奉公していくという方向も考えられるわけであります。この問題は非常にむずかしい問題でありましょうが、私どもは、良心に基いて、しかも世論の指摘のないように運営をいたしているつもりであります。
  384. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 当然つぶれるものがつぶれないという、それは、安村さん、あなたの組合長としての手腕がいいからです。それから、今の生徒のうちから一人も役職員が出ていないということも、組合法から申して、決して正しいやり方じゃございません。だから、いろいろな疑いをかけられても一応やむを得ないと思います。そこで、あなた方が疑いをかけられているのですから、委員会を通じてあなた方のいわゆる正しいと思うことを言ってもらえばいいのです。真実を述べてもらえばよろしいのです。そこで、われわれは、いろいろな失礼に当るようなことまでもお聞きして、その真相をきわめたい、こういうのでありますから、いろいろ質問に失礼な点があるかも存じませんが、これも真相を確かめるという上から私は御質問申し上げておるのでありますから、一つ御了承願いたいと存じます。  そこで、生徒を組合員として、いわゆる意思決定の能力のない者を組合員として出席させておるということに対して、どこからか何か注意を受けたことはございませんか。国民の世論に基いてとあなたはおっしゃっておりますが……。
  385. 安村豊喜

    ○安村証人 直接私ども組合に注意を受けたことはありませんが、どうしても生徒というものは意思決定ができかねますので、親の同意書をとるという最初の厚生省の指導か何かあったような気がします。その方向で現在踏襲して参ったわけであります。もしその事実があってそういうことが悪いということになれば、将来考えなければならない問題だと考えております。
  386. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 厚生社会局長の通牒があったということを聞いたことはございませんか。
  387. 安村豊喜

    ○安村証人 うかつにしまして聞いておりません。
  388. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 何か今、どこからか聞いたようなお話がちょっと証言の中にありましたが、それはどういうと童の出資なのに、あなた方がその中から役員も入れないで、先生だけで運営するということにおいては、正しいという点からいけば、私は、正しくない、こう思うのであります。そうでなかったら、意思決定のないものであれば出資もさせない方がいいのです。ただ出資だけさせておいて、先生たちだけでそういういろいろなことをやるということは、正しい行き方ではございません。私は、はっきり申し上げます。あなた方は正しいと解釈なさっても、これは正しいことではございません。だから、厚生省の社会局長の名をもって通牒を発せられたり、あるいは一部の父兄の方々から、そういう好ましくないというような意見も出るのだろうと私は思うのであります。その点については、将来どうお考えになるかは知りませんが、あまり好ましいことではないと私は断定いたします。  そこで、教科書のいろいろなことについては委員長からお話がございましたが、この、あなたの方が出しておりますおさらい帳ですね。「夏休み」、「冬の生活」とかいうおさらい帳、これはどういう形で作って、どういう形で生徒に配本しておりますか。その具体的な内容を、原価からまず申していただいて、詳細に一つ説明願いたいと思います。
  389. 安村豊喜

    ○安村証人 作り方でありますが、これは、最初に基本調査を全部するわけであります。と申します内容は、進度とか教科書とか、こういうものが主でありまして、そういうものをまず最初に基礎調査をいたします。これは県下各郡市にわたってやります。その基礎資料をそれぞれに集めまして、新たに今度は各郡市の各代表に原稿を各都市ごとに御依頼するわけです。それを持ち寄りまして、県で数次にわたりまして比較検討し、一応の成案を得、さらに県の指導課あるいは学識経験者の意見をいれまして、最後完成というふうになっております。中学はその点非常にスピードがおそいのでありまして、最初申し上げました基礎調査を早くやることを現場が好まないわけであります。勢い、夏でありますと六月の初めころくらいしか仕事ができないわけであり戻す。いつも短期間の間に追い込まれているのが実相であります。  それから、原価の問題でありますが、これも大体の大まかな数字しかよく覚えませんけれども、年間十一万くらいしか出ておりません。仕入れ単価は十七円五十銭くらいで、あとは編集費が三円、それから、先ほど申した基礎調査の費用が一応一冊一円くらいに当るかと思います。運賃諸掛りが大体一円、それから見本及び寄贈本、教師用の本が大体五十銭くらいに当るようです。それから、ロスを出しますので、これもやはり一円くらいに当っておりまして、生協で、こういう原価的な計算を除きますと、人件費も除きますが、一冊につき四円くらいの利益があるかと思います。なお原価の問題もいろいろありましょうが、一応そういうところで打ち切ります。
  390. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 生徒には幾らで渡しているのですか。
  391. 安村豊喜

    ○安村証人 学校には二十八円で渡しまして、三十円で生徒に渡っているわけであります。
  392. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 今ちょっと私合点がいかなかったのですが、仕入れ価格が十七円五十銭ですね。そして編集費が三円、調査費が一円、運賃諸掛りが一円、見本及び寄贈本代が五十銭、ロス代が一円ですか、大体こういうのですが、仕入れ価格というのは、できたのを仕入れるのではないのですか。何仕入れですか。
  393. 安村豊喜

    ○安村証人 仕入れ価格というのは、こちらから原稿を渡しまして、製本さしたやつをこっちにもらう、その意味でございます。
  394. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 紙代と印刷代だけで十七円かかるのですか。
  395. 安村豊喜

    ○安村証人 この原価の計算はいろいろありますが、私ども考えております仕入れ原価の条件は、一応原稿を渡すときに支払条件をまず最初にきめるわけであります。前金で渡すか、あるいは何カ月後に決済するとか、その支払条件が最初考えられるわけです。それから冊数の問題が非常に響くのであります。十一万と申しましても、学年に割りますとわずか三万であります。それから、紙質の問題で現場の要求がありまして、ざらではいけないとか、中質にしろとか、いろいろな要求があります。その紙質の問題があります。それから、凸版の数によってもまた変ってきます。さらに、その納期の問題も非常に影響するのであります。と申しますのは、私の方は非常に編集をおくれてやりますし、急いでやりまして、結局最後のしわ寄せは印刷会社の方にしわ寄せされるのですが、幾らしわ寄せしても、夏休み帳であったら夏休み帳を渡さなければならない時期までに必ず配本しなければならないので、突貫工事というか作業をしてもらうのであります。こういうような条件がいろいろ加わってくるわけであります。私の方はそういうことで大体十七円五十銭はかかるということでずっと来ているのであります。
  396. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これはあなたの方の生活協同組合で出しているのですから、いろいろな十七円五十銭の支払いはあなたの方でやっているのでしょうね。
  397. 安村豊喜

    ○安村証人 そうです。
  398. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、おわかりだと思いますから、それはどこの印刷所に頼んでどういう内訳の十七円五十銭を支払っているか、お聞かせ願いたい。
  399. 安村豊喜

    ○安村証人 十七円五十銭というのは私どもの大体の平均単価を出したのでありますが、大体、頼みます際には、三社くらいの印刷会社に一応来てもらいまして、そして見積書を出させます。
  400. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私の言うのは、十七円五十銭とはっきり出ておりますから、この十七円五十銭を支払ったときには、どこの印刷会社に頼んで、どれとどれの価格が十七円五十銭になったかということをお聞きしているのです。「冬休み」の方は十二円五十銭というのもありますから、それはあとでお伺いしますが、その十七円五十銭でできたときの印刷所はどういう会社で、そしてどういう分類にわたって十七円五十銭を支払ったか。
  401. 安村豊喜

    ○安村証人 この十七円五十銭というのは、先ほど冒頭に申し上げましたように、ある期間を取って申し上げたのでありませんが、大体このくらいのところで見積ってやっているという意味の証言をしたのであります。詳細は現地に帰りましたらわかると思います。
  402. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それではあなたの方の十七円五十銭というのは見積り価格と了承してよろしゅうございますね。
  403. 安村豊喜

    ○安村証人 これは昭和二十四年からずっとやっておりまして、その見当が大体このくらいだということが、私は記憶で書いたのであります。
  404. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、この「夏休み」「冬休み」は、例年作ります原価の帳簿というものが生活協同組合にあるはずですが、それは例年のがずっとありますか。
  405. 安村豊喜

    ○安村証人 原価の帳簿ということはないのですが、支払いましたときの価格はあるわけです。
  406. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすれば、原価も出てくるんじゃないですか。支払ったのがみなあるのですから。それはずっと出したときから今日までのがそろっておりますか。
  407. 安村豊喜

    ○安村証人 大体そろっておると思いますが……。
  408. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 印刷所の名前はわかりますか、今までやったものはどことどこですか。
  409. 安村豊喜

    ○安村証人 これはいろいろあります。私の記憶だけでは、精版とか時事出版、赤坂印刷、中越印刷、こういうふうに見積りによってときどき変っております。
  410. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これはべらぼうに高いですね。あなたの方は十一万部そこそこの数字ですから、この程度のものはどのくらいでできるか調べてみました。この印刷屋に払うだけで十七円五十銭というのは全国にありませんよ。しかもそのほかに、編集料を三円とっているというようなところもありません。私たちに言わせれば、この編集料というのはべらぼうに高いんですが、そのべらぼうに高いものを売ってもなおかつ四円の利益があるとあなたはおっしゃったのですね。この生活協同組合の趣旨から言って、学童に渡すまでにべらぼうに高いと思うのですが、私の計算でいくならば、この程度のおさらい帳なら、四十ページか四十八ページ、しかも一色刷りですが、十万冊ぐらいでしたら、もう少し御研究なさると十円そこそこでできますよ。それが印刷屋に払うだけで十七円五十銭、そのほかに編集費あるいは運送費、ロス代といろいろ見ると莫大なものになっている。それでもなおかつ四円もうかる。そうしたら、児童のために安いものでいいものを与えるということが組合としての奉仕ではなかったのでしょうか。しかもあなたの方ではこれを非売品として生徒に三十円で出している。ごらん下さい。福島あたりのもありますが、福島あたりのは体裁から言っても非常にりっぱなものです。そのほかに付録が二冊も三冊もついているのです。部数でも、福島と福岡といえば福岡の方が県が大きゅうございます。それでも、こういう付録を二冊も三冊もつけて、福島では二十五円で出していますよ。ちゃんと定価が入っております。これも生活協同組合でやっている。しかし、あなたの方はたったこれだけでしょう。ページ数も四十八ページですよ。東京都のは四十八ページで十八円で児童に配っておりますよ。これは冊数がよけいですから、その比率にはならないと思いますが、しかし、十万冊以上ということになれば、さほど印刷代は違いありません。そういう点が、あなた方のやっているいろいろな教科書の配給の状態やら、あるいは大日本図書との契約の問題やら、あるいは従来の供給所とのいわゆるトンネル口銭の問題から、あなたという人はなかなか商才にたけていると私は思うのです。しかし、そういう点においてほかの人からもうけるなら、私は何も言いません。全部いわゆるいたいけな児童が出すのです。  さて、その四円の利益を得た、その利益処分はどうしていますか。利益があったならば、組合精神から言っても当然児童に返さなくちゃならぬと私は思うのです。その利益処分はどうしておりますか、承わりたいと思います。
  411. 安村豊喜

    ○安村証人 原価の算定でいろいろ御意見があるようでありますが、私どもは一期に一冊で十万作っておるわけではなくて、学年ごとに作っておる。
  412. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはよくわかるのです。どこもそうですから。あなたのところだけではないのですから。
  413. 安村豊喜

    ○安村証人 全生徒から言っても、一応高いということになれば、市価で出しておる冬休み帳、夏休み帳、それぞれありますので、おそらく学校で比較していると思うわけです。比較した結果が、大体内容も比較的穏当であるし価格もおかしくなければ採用するということで、三万という数字が出てくるのじゃないかと思うのです。市価主義とか原価主義とか、いろいろ問題はありましょうが、私どもは、一応現在までやってきまして、何も収奪をしておるということには解釈しておらぬわけであります。  なお、利益処分の問題でありますが、処分ということは、全部定款に規定してありまして、積み立てするとか、特別積み立てをするとか、あるいは利用度に応じた割り戻しをするとか、順序を追うて全部やらなければなりませんし、私どもの経営は現在までその積み立てぐらいのところしか、かつかつしかいかないわけです。しかも、二十八年でしたか、水害のときには大かた五十万近くの赤字を出しております。利益を処分する段階ではないわけであります。
  414. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 しかし、これは、生徒に自分たちが作って売るというのは、生活協同組合が先生方の服を扱うとか、靴を扱うとかいう利益の性格とは違うのではないでしょうか。私は全然違うと思う。どうしても買わなければならぬというこの本から得る利益ですよ。それを、あなた方が一般会計のうちにぶち込んでいるのではないですか。そういう精神をわれわれはほんとうに疑いたくなるのです。その点はどうなんですか。別途会計にして生徒に払い戻すとか、あるいは別の方法で生徒のためになるようなことをやられておりますかどうか、その点を承わりたいと思います。
  415. 安村豊喜

    ○安村証人 経営の主体で印刷の刊行物が重点になっておることは事実でありまして、こういうワーク類は私どもの方では全生徒のわずか五割程度しか採用しておりません。「冬休み」に至っては三割程度であります。それは大して私どもの方の重点ではありませんが、ほかにテスト類とか、こういう下部の要求をいれたやつは全部発行しております。これはどういう意味かと申しますと、生協運動は、先ほど申し上げましたように非常にまだ弱いわけです。そうして印刷刊行というものは学校としては非常にほしくもあるし、こちらからサービスもしたいということが自然こういうことになったわけであります。  なお、一般会計問題、これは私にはわかりませんが、何の一般会計か、会計は一本しかないので、ほかに会計というのはどういう意味か承わりたいと思います。
  416. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は、性格が違うと思う。生活協同組合としていろいろな物資を扱うでしょう。この教科書に類似するものはそういう利益を得てはならないと私は思う。営利会社がやるならば別ですよ。あなた方は、児童のために、児童のいわゆる利益をはかるために、生活協同組合として児童までも出資者としているでしょう。その出資者にこれを売るんでしょう。出資者に売って利潤を上げているものを、一般物資を販売する会計と一緒にするということになれば、特に児童のために奉仕しているとは言われないと私は思う。それはなぜならば、児童の中から役員が出て、組合運営を児童の意思も反映しているならば、私はそうは言わないのです。先生方だけで運営しているのですから、児童は単なる出資者なんです。それで、私は、こういう会計は別途会計にしてこそ児童のためのやり方ではないかと言うのです。その点はどうお考えになりますか。
  417. 安村豊喜

    ○安村証人 ほかに会計を設けて、その会計の内容はどうなっておるかという意味ではなかったわけですね。私の方は会計は全部一本にしておりまして、今のように利益が出れば当然利用度に応じて還付すべきだと思うわけですが、現在までの経営ではほとんど利益が出ておりません。わずかの利益は過去においては全部積み立て形式をとっております。
  418. 高木松吉

    高木委員長代理 安村君、ちょっと委員長から聞きたいが、一体、一冊から四円の利益があるということは実費計算で上るんでしょうが、それを何のため学童に四円の利益をかけてやらなければならぬですか。そこをはっきりしなさい。あなたの答弁は逃げがなかなかうまくて、真実を発見しにくいのです。聞いておって聞きにくくてしょうがない。
  419. 安村豊喜

    ○安村証人 結局、四円を別に会計を作れというお説ですか。
  420. 高木松吉

    高木委員長代理 よく聞いて下さい。また逃げるつもりですか。
  421. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこなんです。結局、それならば、私らはこう考えるのです。生活協同組合のいろいろな運営事業というものが、あなた方は児童を犠牲にしていないかということをつきたいのです。ほんとうの性格から言えば、児童のためにやるというならば、児童に売る本から何も利益を上げなければならぬということはないでしょう。だから、あなた方は実費販売のつもりでやっているのでしょう。だから非売品として定価をつけないのでしょう。その非売品として実費のかかっただけで児童に配付するというならば、これは当然先生方としてりっぱな行為だと私は思うのですが、一冊から四円でも利益を得るということは、これは営利事業なんです。なぜ、かかっただけのもので、赤字の出ない程度に生徒に渡すということをやらないかということを私たちはお聞きしたい。しかもこれを非売品としておる。その点はどうなんですか。
  422. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど私が出しました資料の、四円もうかるから、それが全部利益ではないかということで、生徒に割り戻しをしろという御見解のようでありますが、あれは、生協の経営費といいますか営業費といいますか、家賃も入っておりませんし、人件費も入っておりません。そういうのは私どもは一応算定には入れていなかったわけであります。そういうことから厳密に計算してくると、わずか一円の利益があったにしろ、大した金額ではないだろうと思っておりますし、なお、問題は、必ず安く売るという、——これは生徒が組合員に入っておりますから私は言えるのですが、安く売るという立場もありますし、市価並みに売るという立場も生協にはあるわけであります。原価主義で売る場合もありましょうし、市価主義で売って、そうして中小企業を圧迫しないで、利用度に応じた割り戻しをしていくという方法もあるわけですね。だから、そういうこともいろいろありますので、食いものにするということをおっしゃいますと、われわれがやっている教育現業というものは何も認めていただけないようなことになりますし、われわれも音楽のコンクールとかいろいろ芸能関係のコンクールはすべて費用を出してやっておるわけであります。なお宿泊の設備も一応やったわけであります。こういうことが私どもとしては組合員に報いることだというふうに考えております。
  423. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、生活協同組合の全体の経理内容はどうですか。今黒字ですか。
  424. 安村豊喜

    ○安村証人 これも確たることはわかりませんが、大体昭和二十四年から、水害の前ですから二十七年ですか、そのころまでは三万から五万くらいの黒字であります。それから、水害で五十万ばかり赤字を出したという理由は、印刷物も多少やられましたけれども、実は私の方は救援物資として在庫しておる品物を全部現地に送ったわけです。それで勢い五十万という赤字が出まして、その補てんに今大わらわという格好であります。
  425. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、あなたの組合では一年間の取扱い金額が千二、三百万円から千四、五百万円だという御証言のように私記憶しておりますが、その事業のおもなるものは何ですか。それから、このおさらい帳のほかにワーク・ブックとかテスト・ブックとか、こういうものも扱っていなさるだろうと思いますが、そういうものの比率はどうなっておりますか、一つ承わりたいと思います。
  426. 安村豊喜

    ○安村証人 大体、供給あっせんをやっております品物は、印刷とか刊行物、こういうのが、先ほど問題が出ましたワーク類とかテスト類あるいは公簿類、ことに高校進学用の印刷物とかを含んだものであります。そのほかに衣料品、これは運動品とか洋服とか制服とか、こういうものを扱っておりますし、それから月賦販売品も生活必需品として相当高価なものについてはやっております。それから学校用品も一応扱っております。そのパーセンテージをはっきり覚えておりませんが、私の大体の記憶では、印刷、刊行物が五〇%くらい占めておると思います。あとは先ほど申しました品物ではないかと思います。
  427. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 七〇%近くになりませんか。大体六十何パーセントくらいになりませんか。
  428. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申しましたように、夏・冬休みの学習帳でも生徒の五割に達しませんので、それがいろいろな形になりましても、おそらく五〇%をこすことはないと思っております。
  429. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、私の計算では利益計算もするのでありますが、要するに、大日本図書から入ってくる二十九万という金も、生徒を対象とした一つの本の利益でしょう。だと、これが大体一割もうけたとしても、二百九十万から三百万の品物を扱ったと同様の算数になるのじゃないですか。そうでしょう。そういうものを入れますと大体七〇%くらいになるのじゃないですか。あなたはどうお考えになりますか。
  430. 安村豊喜

    ○安村証人 数字的に正確に計算したことはありませんが、推定は成り立つかと思いますけれども、私はそう考えておりません。
  431. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたはそう考えないようですが、私は、夏休みのものから、ワーク・ブック、テスト・ブック何パーセントか、それに今のものを入れると、大体七〇%になります。そうすると、七〇%のいわゆる聖業というものは、ことごとく生徒を対象として上る利益なのです。たとえばあなたの五十何パーセントでもいいですよ。生徒を対象としてその利益が上っているわけなのです。そうすると、生徒の中からはこの組合の運営にタッチしていないのです。しかも、家賃も入っていない、給料も入っていないと言うけれども、その利益の中のものを全部一本の会計にして、その利益の中からあなた方のいわゆる事務員の給料あるいは役員の報酬等がみな出ているわけなのです。そうすれば、逆算して児童のためになっていないのです。福岡中学校生活協同組合はほとんど児童から上る利益によって運営していると言われても、数字的に、これを弁明する余地がございますか。
  432. 安村豊喜

    ○安村証人 七〇%の取扱い金額という前提でありますので多少困りますけれども、かりに五〇%として、それが利益が上った、その利益が上ったのは生協の運営にいろいろ使っていって、どうにか現在までに経営してきた、これがおかしいことはないと私は思います。
  433. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたはおかしくないということですが、私はおかしいと思う。無言でおる生徒の対象から利益を上げておいて、運営していく先生方の方からの働きによる利益というのはあまりないのです。ことごとく出資している生徒から得る利益なのです。もしかりにあなた方がこういう夏休みや冬休みのおさらい帳でそれだけの利益を上げなかったり、大日本図書供給の方の金が入らなかったりすると、あなたの言った五〇%としても、それだけのものは赤字ということになるのじゃないですか。逆にこう考えると、あなたの言うことが成り立たないでしょう。
  434. 安村豊喜

    ○安村証人 私の見解としては、たとい利益が出ても、それを生協の運営に健全に使えば、私は悪くないと思うのです。なお、利益の積み方が膨大であれば、利用度に応じた割り戻しの仕方をしなければならないということを考えるだけです。
  435. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 結局、今までは利益をそう上げていない。利益が幾ら上ったとしても、生徒たちの意思によって他のことをやるのじゃなくて、先生方の意思によって催しでもやるわけでしょう。そうすれば、生徒の意思というものは全然反映されていないと私どもは解釈するのであります。しかし、その点はあなたがどこまでもそれは間違っていないということであれば、これは意見の対立であります。これは議論しているのじゃありませんから、私の方でいつまでも同じことを繰り返したくはございませんが、そういうやり方というものは学校の先生方のやるべき行為でないと私は考えます。同時にまた、生徒から出資させるなどというやり方も、全国そう数がないようです。あなたの方と佐賀県ですか、佐賀県もやっておるようですが、佐賀県あたりにおきましても、逐次生徒の出資というものはやめているようであります。生徒を組合員にするといっても、先ほどから繰り返し私が何回も言うように、生徒というものはまだ完全な意思決定力の熟していない方々なのでございますから、こういう制度が教科書の上にいろいろなふうに利用されるということは、——あなたは利用されると言うとあるいは憤慨されるかもしれませんが、われわれの方では完全に利用しているとしか見られないのであります。こういう点はまことに遺憾にたえません。  私はまだいろいろお聞きしたい点もございますが他の委員の時間までとってはいかがと存じますので、以上をもって私の質問を終ります。
  436. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長から証人に申し上げますが、二十四年以来夏休み、冬休みの練習帳を作って子供に配付しているわけですね。そうすると、先ほどあなたの事務所にその帳簿がおありになるということをお話しになりました。そこで、二十四年度以来、夏何冊出したか、冬何冊出したか、二十五年度、二十六年度、二十七年度、二十八年度、二十九年度、それから三十年度までに出された冊数を、夏冬に分けて明瞭に知らして下さい。それから、同時に、幾らでもって子供に分けてやったかという最終売価、これを一つ明らかにしてもらいたい。それから、実費計算ということになっていますが、印刷屋に払った金、それから編集費とか、いろいろなことをさいぜんお話しになっておるが、それを全部一冊について幾らずつかかったということを明瞭にしていただきたい。あなたは一冊について四円の純益を上げているということを言われておったが、この部分が純益であるというような表を作ってお出しになっていただきたいと思います。それが出ることによって初めてあなたのところのその問題の真相をつかみ得るのです。もしあなたの方からそれが出てこないということになれば、再度あなたの出頭を求めて真相を発見せねばならぬようなことになるかもしれないのでありますから、その点をお含みの上、これらを出していただきたいと思います。今委員長から申し上げたことがわかりましたか。
  437. 安村豊喜

    ○安村証人 一冊についての項目の立て方は、私が記憶をたどって一応行監の委員会の方に出しております資料のような方式をとらなければなりませんか。私は、あれは一応現場で記憶をたどって書いた資料でありまして、あの通りなのかどうか、ちょっと……。
  438. 高木松吉

    高木委員長代理 一冊でなければ明らかになりません。一冊のが明らかになりさえすれば、夏冬に売れた冊数から計算しておのずから結論が出ますから、一冊の分を出してもらいたい。一冊の分について幾ら印刷所に払い、幾ら編集費がかかって幾らというように。あなたが言ったのは送料とか輸送費とか言っておりましたが……。
  439. 安村豊喜

    ○安村証人 その点ですが、あれは、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、こちらで出して下さいということでありましたので、現場で一応記憶をたどって書いたわけです。(「あれではわからない」と呼ぶ者あり)あれじゃわからないと思うのです。精密なところはあの項目通りになるかどうかわからないのです。
  440. 高木松吉

    高木委員長代理 それはかまいません。それを言っているのじゃありません。われわれに、その一冊がどういう原価構成によってでき上り、どうして四円の純益を上げて三十円に売っているかという、そのねらいさえ明らかになればいい。もし明らかにならないとすると、今申し上げたように、理事会に諮って再びおいで願わなければならなくなるかもしれませんから、念のために申し添えて、われわれにわかるような書類を出していただきたいと思います。出していただけますか。
  441. 安村豊喜

    ○安村証人 承知いたしました。
  442. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、そういうふうにお願いします。  佐々木君の発言に関連して三田村武夫君から発言の通告がありますので、これを許します。三田村君。
  443. 三田村武夫

    ○三田村委員 先ほど委員長からお尋ねになった線に沿いまして、さらに佐々木委員から質問された線に関連してお尋ねいたします。  まず、順序として、私がこれからお尋ねする根拠基礎を証人にお尋ねしますが、記入は現在でも教職員の立場におありですか。
  444. 安村豊喜

    ○安村証人 その通りであります。
  445. 三田村武夫

    ○三田村委員 生活協同組合に御関係になったのは、先ほどお述べになった通り、生協組織の当初から現在に続いてずっと同じ立場でありますか。
  446. 安村豊喜

    ○安村証人 その通りであります。
  447. 三田村武夫

    ○三田村委員 それでは、さらにお尋ねいたしますが、現在も教職にあり、生協関係も創立当時から続いてその立場におられるのでありますから、教職員を中心にしたいわゆる教育活動の内容及び生協を中心にした業務内容については、両方とも相当深い経験と知識をお持ちでありますね。
  448. 安村豊喜

    ○安村証人 あまり自信はありません。
  449. 三田村武夫

    ○三田村委員 自信がないという御答弁は、ちょっと受け取れないのです。自信のある御証言を願いたいのであります。
  450. 安村豊喜

    ○安村証人 私が申し上げた意味は、体験したことはありますけれども、その点が客観的にお考えいただいて自信のある人物だというふうにはちょっと困るということなんであります。
  451. 三田村武夫

    ○三田村委員 わかりました。しかし、先ほど来証人の御証言を伺っておりますと、自信がないどころか、なかなか自信たっぷり、満々たる自信をお持ちになっております。私は、先ほど来の証人証言を前提にして、大いに自信をお持ちになっておる証人にこれからお尋ねするのです。皮肉でも何でもありません。そうでありませんと、翼突発見になりませんから、どうぞそのつもりでお答えを願います。  先ほど佐々木委員からお尋ねになりました学生協の組織内容でありますが、教職員が七千六百人、生徒は十八万九千人でありますか、生徒は意思決定能力を持っておりませんから、親をして代理せしめる、つまり親の同意書を求めて組合員たる資格を与えているように御説明になっておりますが、その通りでありますか。
  452. 安村豊喜

    ○安村証人 もちろん組合に加入してもらっておりまして、資格はあると私どもは思っております。
  453. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうすると、組合活動として組合員たる生徒が相当重要な構成内容を占めておるのでありますが、先ほど佐々木委員の非常に強い疑点になっておりました通り、その組合活動の業務内容ないしは業務の遂行あるいは利益金の処分などについて、親の同意書をとっておられるのでありますが、その同意書を出して同意しておる親とはどういう関係になっておるのですか。親の意見はしょっちゅう徴しておられますか。
  454. 安村豊喜

    ○安村証人 そういうことはやっておりません。
  455. 三田村武夫

    ○三田村委員 おやりになっていないと、ちょっと法的根拠がおかしいのです。厚生省からの警告もそこにあるので、中学校の児童は法律的にも民法的にもまだ意思決定能力を持っておらぬ、従って、たとい少額にしろ、それに出資をせしめ組合員たらしめるためには、意思決定の代行者たる親の同意を必要とする、こういう建前が協同組合法の建前から当然出てくるわけであります。つまり、同意書ということは、意思決定能力を持っておらない学徒にかわって親が同意したのでありますから、従って、組合活動のすべての内容について意思決定を代行する者が親でなければならない。そうでなければ親の同意書というものは意味をなさない。協同組合法の性質から言っても、そこに法的根拠があるのですから。親の同意書だけをとって、たとい少額一口十円にしても出資させるということは、十円にしても十八万九千で相当の額になるのであります。これが組合活動の資金的な面における重要な役割をしておることはおおうべからざる事実であります。それを基礎にして組合業務をやられ、しかも意思決定能力を持たない児童は参加するだけで、法的根拠は親の同意書にあるのですが、親の意見を全然聞いてない。非常にわからぬのですが、それでいいのでしょうか。
  456. 安村豊喜

    ○安村証人 実際問題で、やはり親の意見を、末端の皆さんの意見を実際に聞かなければならないとは思いますけれども、現在まで実はやっておらないということであります。
  457. 三田村武夫

    ○三田村委員 先ほど佐々木委員質問に対して、役員の構成に関しては児童学徒の意思は聞いていないが、地域代表か総代会のような形において参加せしめている、こういう御答弁がありましたね。それは、そうするとどういう意味ですか。どういう機会に総代会というものの意思組合活動に反映してくるのですか。
  458. 安村豊喜

    ○安村証人 郡市でそれぞれの総代を決定しまして、中央に出てきてもらうまでにいろいろ議案を流すわけです。その議案を中心にして検討してもらうわけでありますが、お税の父兄が参加をしているということはまだ聞いたことがないわけです。
  459. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうすると、総代会というのは組合員の中の先生だけなんですね。そうすると、人的構成の面においては非常にへんぱな組合活動になる。出資額のいかんにかかわらず、パーセンテージから言うと七千六百人対十八万九千でしょう。資金から育っても過半数以上だね。それが全然児童たり生徒たる組合員の意思はどのような形においても組合業務内容ないし組合活動の中に反映しないという建前になっておる。何のために親の同意書をとっておるのか、意味をなさぬ。つまり、厚生省の警告というものは、こういう杉において、先刻佐々木委員のお話がありましたように、ただ組合から金をとられるだけだということではいけないという点にある。この組合に加入しておればいろいろ児童の使う学用品とかいうものを安く供給されるであろうというようなことが協同組合活動の一つの呼びかけの言葉となり、また一つの性格でもありますが、実際はそうでないということになるのです。私も現実をよく知っておるのです。親は全然知らぬ。組合費下さいと言って持っていくだけで、学校からこういうものを今度買えといって、それは幾らだからお金ちょうだい、こう言って持っていくだけです。経理内容にも何にも学童たる者の立場は反映しない。こういうことになるので、これでは生活協同組合法にいわゆる協同組合になっていないのですよ。証人は先ほどから自信たっぷりで御答弁になっておりますが、これは非常におかしいので、その点はどうですか。
  460. 安村豊喜

    ○安村証人 親の意思を反映させなければいけないというお説はよくわかりましたので、私どもも今まで抜かった点はぜひそうしたいと考えます。
  461. 三田村武夫

    ○三田村委員 私は親の意思を反映させなければいけないと言うのじゃないのですよ。学徒は意思決定能力を持たないのだから、意思決定能力を持たない者は法律上規定された組合活動の組合員たることは法律的にできないのです。だから、組合員たる資格を持たないからその意思決定を親が代行しておる、つまりそこに親の同意書というものが法的に必要になってくるのです。ところが、親の同意書をとって組合というものが組織されておりますが、記入の御説明を聞いておりますと、親の意見を一度も徴したことがない、こういう立場になっておるのです。証人は、親の意見を聞くことが正しかったのでございますけれども、今までやってこなかったのだ、こう言われますけれども、それは私は遁辞だと思う。そのことは初めからわかっておるのですよ。先ほど証人は、どこからか、子供は意思決定能力を持たないから、親の同意書を必要とするという話を聞いたと言われますが、私、この間現地へ行ってお尋ねしたときには、はっきりそうだったのです。こういう生協の活動が、児童も加えて、学術も加えてやられることは、組合員たる資格を持たない。組合活動として法的根拠がない。だから、この点厚生省が厳重に警告を発しておる。警告を発しておるということは、その学徒の立場の意思決定を親がかわってやるのですから、従って、組合員たる学徒の利益代表すなわち親なのですから、親の意思を十分尊重して組合活動をやらなければならないという警告なんです。これは二十四年から始まっておるのですから、今までそれが気がつかなかったということは遁辞だとしか思えない。それは気がつかなかった、知らなかった、間違いであったら、それでよろしいのですが、もう一ぺんその点はっきりおっしゃっていただきたい。
  462. 安村豊喜

    ○安村証人 御同説を拝聴しますと、とにかくいろいろありますが、親の意思が反映する問題とか、あるいは組合員から除外するという問題は、帰りまして慎重に検討しまして、いずれか、法に反しないように、しかも御指摘のおかしな面があればこれも何とか除去したい、こういうふうに思います。
  463. 三田村武夫

    ○三田村委員 これは押し問答をやっても時間が不経済でありますから、次に移ります。  証人は、冒頭に述べられた通り、ずっと教職にあられる。現在もそうです。それから、生協活動の中心的指導者、今福岡の少くとも中学に関する最高のキャップです。そういう立場から、私、お尋ねするのですが、これは、次にお尋ねするあなたの方と先ほど委員長が非常に念を入れてお尋ねになった大日本図書との関係の前提としてお尋ねするのですから、そのつもりでお答え願いたいと思います。問題は教科書採択の方式であります。これは、この間現地に行ったときも、私、だいぶ詳しく伺ってきたので、大体は頭にありますし、そのときに証人にもお目にかかっておりますから、繰り返すようでありますが、ここでは公式に委員会の記録として載せていただくためにお尋ねいたしますが、教科書の採択権は教育委員会にある、しかし、実際に採択の権限というか事実上の採択権を持っておられるのは、各教科ごとに横断的に組織され編成され、またしばしば研究の会などを持っておられる各科目別の教科主任ではありませんか。
  464. 安村豊喜

    ○安村証人 実際問題では、やはりお尋ねのように採択権は教委にありますけれども、選考する段階が下部でいろいろ教科ごとによりまして選考しておりますので、その資料をにわかに改正をして教委が変更なさるということは困難じゃないかと思います。その順番でやっておりますので、考え方によりますと、教師が選考したのは一応通っておるというのが現状ではないかと思います。ただ、ときには変っていることもあるようであります。そういうものが実態ではないかと思います。
  465. 三田村武夫

    ○三田村委員 もっと率直にお尋ねいたしますから、ざっくばらんに御答弁願いたい。これはあとの方とも重要な関係があるのですから。  今証人の述べられたように、変ることもありますよ。先生方がきめられた教科書が変ることもありますよ。ありますが、実際教科書採択のウェートといいますか、中心になっておるものは、戦後教職員が中心になって組織されておる何らかの研究機関です。つまり、これを端的に言うと、学校の先生です。教科主任が持っているということじゃないですか。
  466. 安村豊喜

    ○安村証人 ちょっとわかりかねますのは、教科主任といいますと、学校単位の意味でございますか。
  467. 三田村武夫

    ○三田村委員 もちろん個々の採択の場所は学校単位です。たとえば理科なら理科というものがありますね。中学一年の理科というもののどの教科雷をことしは使うかということは、たとえばあなたの福岡なら、福岡県全体なりあるいは市単位にしますか、市単位にする場合には市の教育委員会に決定権があるのですが、実際今年度どの教科書を使うかということを決定する場合は、その市の中にある学校、中学校なら中学校、小学校なら小学校の理科担当の教科主任が一つのグループを作っている研究機関があり、事実上その人に委嘱され、事実その人がどの教科書にするかということをきめていくのです。そうしてそこで選考されたものが市の教育委員会で決定される。こういう段階でしよう。
  468. 安村豊喜

    ○安村証人 市と郡では多少違いますが、郡部ではやはり学校単位の教科主任の方が——これは中学を主として考えますが、教科主任の方が寄られまして、一応選考をなさるようであります。それは、何らかの形で、地教委の協議会と申しますか、この委嘱を受けて、一応それをふるいにかけまして、幅広く、一位から三位、四位とか、段階にとりまして、その資料を提出するわけであります。各学校は、その拘束を受けないで、一位から三位までの間でとるというのが普通じゃないかと思います。それから、傾向としましては市単位に一つ教科書に統一しようというような空気はあるようですが、それは実現しないのが幾らもあるようであります。なお、市は、幾らか——これは教科主任全部ということでなくて、市の教委から教科ごとに何者かの選考委員が任命されまして、その選考委員もまた、学校全体の教科主任を集めましてさらに検討を加えておるというのが実情じゃないかと思います。
  469. 三田村武夫

    ○三田村委員 ですから、結論は、教科書の採択権は先生にあるということじゃないでしょうかね。
  470. 安村豊喜

    ○安村証人 採択権は法律に明記してありますので、私も何とも申し上げかねますけれども、やはり下から盛り上ってくる民主的な採択の傾向というものは否定できないんじゃないかと思っております。
  471. 三田村武夫

    ○三田村委員 そこで、あと戻りするわけじゃありませんが、もう一度念のために伺います。あなたが組合長として率いておられます中学校生活協同組合、それから福岡県の県教組、この二つは大体構成メンバーは同じじゃありませんか。先生に関する限りは。
  472. 安村豊喜

    ○安村証人 先生に関する限りは、組合員は大体一致します。
  473. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうしますと、学校生活協同組合の実体ですが、先ほどお尋ねしたように、生徒たる組合員もおりますが、これはその組合の業務運営に何らの意思決定をいたしておりません。参加しておりません。これを実際に運営するものは、今証人の言われました福岡の県教職員組合と同一体の関係にある、組織的な面から見ると三者一体の関係にある学校生活協同組合、こういうことで、教職員の組織たる県教組と一緒になってやっているということじゃありませんか。
  474. 安村豊喜

    ○安村証人 創立当初から組合の別団体という意識で創立しようという何人かの意向もあったようですが、現実に別個団体としてスタートしましたところ、やはり三年たち四年たつうちに全然教組と別個の性格を帯びまして現在に至っておりますので、表裏一体の関係ということは現在のところ全然ありません。役員は全然別です。
  475. 三田村武夫

    ○三田村委員 それは、役員は全然別個ですよ。組織の形態は別個ですよ。県教組とあなたの方の生活協同組合とは別個です。法律的な組織は別個ですが、私の申し上げるのは組織の実体です。一人の先祖が人格が二つになっておるだけです。片一方の人格は県教職員組合員たる人格であり、片一方の人格は学校生活協同組合員たる人格で、人格が二つに分れているだけで、組織的な実体は同じじゃないですかと言っておるのです。
  476. 安村豊喜

    ○安村証人 組織の面から言いますと、生協の組合員であるし教組の組合員でありますので、その点からのみいわゆる一体ということは言えるかもしれませんが、生協で申します営業方針とか、教組で申します運営方針というものはおのずから違っておりますから、同じ人間でありましても、その吹く意見の方向とは違ってくるわけでありまして、福岡県では現在のところ全然別個な性格だというふうに考えております。
  477. 三田村武夫

    ○三田村委員 それは法律的には今証人の御説明された通りであります。しかし、客観的に実体的にこれを見ますと、私が申し上げた通り、二者一体、人格は別であるが構成員は一つ、こういうことになると思います。そうしないと、あとからの問題が理解されません。そこで、次の、先ほど委員長からだいぶ念に念を入れて尋ねられました、あなたの方の生協と福岡教科書会社との契約になってくる。それは、今証人が述べられたように、教科書を実際に採択する事実上の発言力、決定権を持っておる者は学校の先生である。その学校の先生によって組織されておるものがあなた方の生活協同組合である。二者一体であり、しかもその先生たちの採択される教科書でありますから、これを扱う場合は、その先生たちの別の組織である生活協同組合を通ずることが一群いい、これは事実上の問題です。現実の問題です。だから、証人が先ほど言われたように、例の大日本図書から新しく出ました「科学世界」も、これはあなた方先生の組織の中の重要な活動の一部分というのですか、もちろん教育活動の面でありますが、その先生方の意思決定が非常に力あって、これは資料によりますと昭和二十七年度では福岡県で九五%採択になっているのですが、この九五%採択されたという事実に基いて、あなた方は、それならおれの方でやろうという、こういうお考えになられたのだろうと思うのです。これが現実じゃないですか。
  478. 安村豊喜

    ○安村証人 パーセンテージをよく知りませんが、私の方の一応調査しましたところでは、三十万近くが二十七年度通っておるわけです。ところが、これは、前年度もやはり大日本がとった数は分冊の関係か何か知りませんが六十五万という数字が通っているのです。大日本というのは私ども若いころからの親しみがある。理科と数学は実績があるのです。福岡県の場合も実績があって、教師が親しみがあったということも事実でしょうし、もう一つは、地方版という教材配列の問題が一つの魅力になったというか、教授上便利でなかったかという感じもするのであります。そういう数の多いということが、私どもとしては、先ほど申したように運用上もプラスになりますし、組合員の啓蒙運動にもプラスという立場から、大日本に行ったというのであります。
  479. 三田村武夫

    ○三田村委員 時間の関係でなるべく簡潔にいたしますが、ここに昭和二十九年六月公正取引委員会から発行されました「教科書の発行供給事業に対する考察」という公けの文書があるのです。これは、教科書の発行供給事業に関して、非常にめんどうな手続をとり、公聴会まで開いて各階層の証言を求め意見を求めた上に、事実に基いて作られた報告書でありますが、これによりますと、こう書いてある。今ここで問題になっておる「科学世界」ですね。福岡県においては大日本図書が発行している理科教科脚「科学世界」、これを中心にして学生協の方の猛烈な採択運動が行われた、こういう前提の説明ですよ。「科学世界が二十六年七月、文部省検定を受くるや中学生協」——つまりあなたの方の学生協ですね。「中学生協は運動を開始し九五%に近き採択数を獲得した。」、こう書いてあるのです。「旧来の特約は大日本図書株式会社に対し特約供給契約の申入れを行ったが拒絶され、その後四—五カ月間に亘り交渉を継続したが契約の締結は不可能であった。やむを得ず旧来の特約中学生協との間に二十七年一月十四日科学世界供給に関する供給契約を締結した。」それがさつき委員長が問われてあなたの方から示された契約書です。こういうことになっているので、あなたの方から何かおれの方に権利があるのだというような言い方をさっきされました。つまり、当然学生協の方でこの「科学世界」の供給業務はやっているんだという、あなたの方に前提条件があったのです。その前提条件の基礎になるものはこれなんです。公正取引委員会から出しておる公けの文書にあるように、「科学世界」が二十九年七月文部省の検定を受くるや、中学生協、あなたの方は猛烈な運動を開始して九五%まで採択を獲得した、これはいかがですか。あなたの方の意見も十分聞いて公正取引委員会が作った資料ですか。
  480. 安村豊喜

    ○安村証人 公正取引委員会から証言を求められたことも実はないのでありまして、猛烈な運動ということになりますと、私どもはおそらく猛烈な運動をしていれば現在もっと取引高もふえているだろうと思いますけれども、御存じのように、数字的には実に微々たるものでありまして、それほどの運動力あるいは影響力を持ったという生協ではないというふうに考えています。もし、私どもがやること一切が猛烈な影響力があるということであれば、生協組織体あるいは事業というものはもっと活発になるだろう、こう想像いたしますので、私はそれを否定いたします。
  481. 三田村武夫

    ○三田村委員 証人の御答弁はいつでもそういう御答弁をされるのですが、私は「科学世界」についてお尋ねしておるのですよ。あなたの方の学生協教科書全体に対しての採択の数をうんと押えているという意味でお尋ねしておるのではない。少くともこの「科学世界」、——今証人が述べられたように、大日本図書が出しておる理科教科書というものは従来福岡県では圧倒的に採択されておった、これは事実なんです。大日本図書が出しておる国定以来の教科書を扱っておったものは旧特約店、すなわち現在の福岡教科書株式会社です。ところが、新しい「科学世界」が出たときに、従来の旧特約店の立場からすれば、当然、大日本図書から出た理科の教科掛ですから、これは自分のところで特約をやるべきはずであったのです。しかるに、学生協の運動が効を奏して九五%まで新しい「科学世界」が採択になった。従来の旧特約店の持っておった理科の教科書は全部はずれてしまって、新しくこの「科学世界」が九五%も採択された。旧特約店の立場からすればお手上げですよ。少くとも理科に関する教科書中学に関する教科書はお手上げです。そういう形になったものですから、どうしても新しい文部省検定を受けた「科学世界」、この特約契約をやらなければ商売にならない。従来の特約契約というものは消えてなくなってしまう。実績は全部消えてなくなってしまう。こういう関係ですから、旧特約店の特約会社の人が、大日本図書について特約契約をしきりに運動もしたし、申し入れもした。しかし、大日本図得の立場からすれば、これは九五%採択の実績が学生協の努力によって出たものであるから、学生協に無断であなたの方にやるわけにはいきません。従来の関係があって、まことにお気の毒ですが、そういうわけにいかないから、現場で何とか相談ができませんかとこういう話になってきた。そうでなければ筋が通らないのです。ただ学生協の立場からこの教科書を扱うことが便利だということだけなら、特別な妙な契約はできないわけです。そうでしよう。これは、そのときあなたは契約の当事者ですから、よく御存じのはずです。実際問題としてそうでしょう。
  482. 安村豊喜

    ○安村証人 非常に類推で言われますと困るのですが、「科学世界」というあれは地方版です。それを福岡県の皆さんも相当人数協力しておるはずです。そういうのは、勢い、福岡県の人が作ったということの伝わり方というものは、だれがどう出したか知りませんが、それは伝わっていくだろうと想像できる。しかも大日本の理科というものは一応信用がありますし評判もよかったのですから。それに、前の国定とか検定とかいう理科の教科書が新しい地方版になって変えられていくということは、これは必然だろうと思うのです。親しみも多いだろうと思う。パーセンテージは私もはっきり知りませんが、大体前年度の二十六年度のパーセント近く占めたのじゃなかろうかというふうに推定いたしております。
  483. 三田村武夫

    ○三田村委員 証人証言台に立たれる冒頭に宣誓をされております。私は類推で伺っているのではない。三田村がお尋ねすることが類推なら、公けの機関、公正取引委員会から公式に出しているこの文書は全部類推です。そういう証言は私は聞こうと思っておりません。  それなら、重ねてお尋ねいたしますが、あなたは今、地域的な特色を出した「科学世界」、これは非常に親しみを持っていると言われた。この事情も十分調査してきました。この中にもありますが、それはどういう形で成り立ってきたか、私が申し上げるまでもなく証人よく御存じでしょう。今の言葉でわかりますが、これは九州に九州理科研究委員会というものができたのです。名称はいろいろ変っておりますが、この九州理科研究委員会というものは、九州の教職員、学校の先生でできているのですよ。あなた方が作ったものだ。そのあなた方が作った九州理科研究会で編さんして、その編さんしたものを大日本図書と出版契約をしたのです。九州理科研究会が出版契約をして、そうして大日本図書が発行したのです。ですから、あなたの言われる通り、少くとも九州地区において親しみを持つのは当りまえのことだ。これは事実ですよ。類推でもなんでもない。その真実を立証するものとして、九州理科研究会が編さんした「科学世界」というものの出版契約は、大日本図書とちゃんと契約掛がありますよ。印税五分取って編さんされている。すなわち、編さん業務に参加したものはあなたの方の理科の先生です。この大日本図書の従来の図書はいいもので、信用のある教科書でしたが、この大日本図書というしにせが、新しく編さんされた九州の先生方の——九州だけではありません。四国も中国もありますが、同じ系統で、同じ内容で、同じ方法で編さんされたものを出版契約した。向うは営利企業です。従来国定教科書をやったものですから、売れなければ商売にならない。だから、採択率のいいこの教科書契約するのは当りまえです。印税五分を払ってこれと契約しても、この編さん業務に携わった者は九州地区の学校の先生なんですから、あなたの言われておるように、親しみを持つのです。そうして実際の採択権を持っているものは学校の先生です。三段論法、四段論法で申し上げているのではない。これは事実なんでしょう。そうして採択部数が九五%にも上ってきたのである。だから、学生協にそっぽを向かれると商売にならないのです。採択されたけれども、それでは商売にならないから、あなたの方と話をして福岡教科書と話をしなさい、こういうことになって、大日本図書の人に聞いたのではありませんが、現場でいろいろ事情を調べてみたら、ちゃんとそうなっている。三者一体なんです。だからこういう契約ができるのです。そうでなければ法律的に説明できませんよ。商行為としても説明できない。そうでしょう。
  484. 安村豊喜

    ○安村証人 三者一体の関連があるというお話は、契約掛によってわかるのです。私どもが大日本図書お願いに行って、現地で話をしたならばという意向は私は確信を持って、そうして現地で話を進めて、現地において契約することになったということはわかるのですが、何か別の意味に解釈されますとわからなくなるのでございますが……。
  485. 三田村武夫

    ○三田村委員 証人は私の言うことがわかっているのです。この警告の内容はそうなんです。つまり、教科書を編さんする者と発行会社とこれを採択する立場の者と特約供給する者とに有機的な関連がある場合には公正なる取引にならない、教科書の自由公正なる競争を害するという立場から警告を受けたから、今度は別な会社を作られた。これは事実である。私は時間の関係で省略しますが、二十七年と二十九年の二度にわたって文部大臣に対する警告をあなたの方の全国の業務の代表者に警告が出ているこの事実に対して指摘してある。
  486. 高木松吉

    高木委員長代理 一つ、よく考えて、ほんとうのことを述べて下さい。われわれ常識で聞いておってほんとうに受け取れるような証言がないと、先ほど申し上げたように手数がかかりますから、そのおつもりで証言をしていただきたい。
  487. 安村豊喜

    ○安村証人 公取の警告は二十九年だと思うのです。次官通牒の警告が二十七年だと思うのですが、その次官通牒によって、私ども、誤解を招かない別個の会社を作ったのでありまして、その趣旨はよく体しておるわけです。この契約書の起きたのは二十七年一月の十四日です。だから、あとのことと前のことが少し変っているのではないかと思うのです。
  488. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうではないのです。そうでなければ証人の頭が混乱しているのです。ちゃんと公けの文書があるわけです。最初の警告は昭和二十七年六月七日です。教科書懇話会幹事長河村敏雄君に対する警告書を同文のものが文部大臣天野貞祐君に出ている。公正取引委員会委員長横田正俊君から出ている警告です。それと、念のために申し上げますが、時間の関係で簡潔明瞭に御答弁を願いたい。警告の趣旨は、学生協と、その学生協から警告に基いて引継いだ、中学の方は福岡図書株式会社、小学校の方は福岡県教育図書株式会社、こうありますが、特約会社発行所関係に不公正な面があるということがちゃんと書いてあるのです。福岡県教育図書株式会社の場合は、昭和二十七年十月二十五日設立され、学生協専業部の小学校用教科掛供給事業を引き継ぎ、役員は現在十二名であるが、それらは校長または教官であった者で占めている。資本金は百五十万円、三千株である。株主数三十九名中三十五名は教員であり、そのうち十一名は学生協理事長または支部長を兼務していると書いてある。それから、福岡図書株式会社の場合は、昭和二十七年十月二十八日設立され、中学校及び高等学校用教科書供給事業を前者同様に引き継いで、役員は現在四名であるが、選択に関係を有する役にあった者は就任していない、資本金は百二十五万円、二千五百株、株正数三十七名のうち二十七名は教職員である、そのうち六名は学生協の支部長を兼務している、こういうふうに出いてある。これは公正取引委員会という公けの機関が調べた資料でありまして、三田村の類推でも推測でも憶測でもありません。だから私は三者一体だと言うのです。つまり、この教科書、これはあなたの方のこの契約の対象になっている「科学世界」について申し上げるのですよ。この教科書の編さんを先生方がやっている。先生方の手で編さんされたものを大日本図君で出版している。出版と発行と検定だけは大日本図書の責任でやるということの契約書になっている。これは九州理科研究委員会との契約ですよ。その学校の先生たちが編さんされて大日本図書で出版し検定を受けたものを、今度は、実体は同じであるあなた方の教職員の手で採択する。その採択されたものを今度学生協でやるのですから、私は三者一体だと言うのです。三者一体だったら独占禁止法の趣旨に反するという警告なんです。その事実を把握した上の警告なんですから、それは一つ事実そのままに認めていただきたい。そうでないとおっしゃるなら、私は、また別な機会を設けて、これは委員会の協議の結果、もう一ぺんあなたにも出ていただき、また公正取引委員会の現場で調べた責任者にも来ていただいて、ここで対決して、その真相を究明するより道がないのであります。
  489. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほどから三者一体というお話ですが、私は何べんも同じことを言っておるわけであります。末端ではなるほど研究会の会員でありますし、それから生協の組合員でありますし、そういうことが一緒になれば二者一体、それに出版会社が加われば三者一体ということが成り立つわけでありますけれども、私ども生活協同組合は、最初スタートをしたときは、教科書を扱うという趣旨をはっきり組合員に認識してもらったということはあるのです。その後の三者一体というのは、私には言葉の内容が非常にむずかしくて答弁に困っております。
  490. 三田村武夫

    ○三田村委員 この言葉の内容がむずかしくて理解できないと言われるが、私の申し上げることの言葉の内容を理解できないような証人じゃありません。それはこれ以上追及いたしません。
  491. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長からちょっと尋ねますが、今三田村委員が尋問になった言葉の内容はおわかりでしょう。一体ということと離れた言葉の内容だけは。
  492. 安村豊喜

    ○安村証人 一体という意味が……。
  493. 高木松吉

    高木委員長代理 いや、そんなことは聞いていません。今の言葉の内容はわかっているでしょう。
  494. 安村豊喜

    ○安村証人 わかっております。
  495. 高木松吉

    高木委員長代理 ああいうことをあなた自身が客観的に聞いて、三位一体というふうにうなずくことができるかできないか、これはどうです。
  496. 安村豊喜

    ○安村証人 問題は……。
  497. 高木松吉

    高木委員長代理 問題の内容に対しての検討は別にして下さい。仮定でよろしゅうございますが、これが事実とすれば三位一体と常識上考えられるという結論は出ませんか。
  498. 安村豊喜

    ○安村証人 もう少しほんとうに三位一体という意味を的確にしていただきますと、私も的確に答えられると思います。
  499. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたも相当学問があるのですから、それは客観的常識でよろしい。事実はどうであろうとも、ああいう言葉で表わしたその言葉の内容によって見た場合に三位一体と考えられるかどうかという点についての御答弁を願います。——お答えになりませんか。
  500. 安村豊喜

    ○安村証人 もう少し私にわかるような内容を示していただけば、私も的確に答えます。
  501. 三田村武夫

    ○三田村委員 簡潔に言います。「科学世界」の原著者は、これは個人個人の名前は出しておりませんが、九州理科研究委員会が原著者です。この原稿がどういうふうにおいてでき、出版会社に渡るかというその経過は、この間詳細に聞いてきました。これは、あなた方、すなわち少くとも理科に関する限り理科の先生の手によって編さんされる、つまり原著者は先生です。だから、その著者に対する報酬として大日本図書は五分の印税契約をしておる。これは前々から正確にわかっております。金額もわかっておって、相当多額の金が渡っております。原著者が先生である。その教科書の採択権を持っておる人は実際にまた原著者と同じ立場にある学校の先生である。ことに、同じ科目でありますから、自分たちが手を入れ、熱心に研究して編さんしたものでありますから、自分たちの書いた、自分たちの出したものを採択して、これを教科書にして学童に教えようということは、先生としては当然の意欲です。これで二者一体になりました。それから、先生をもって構成する組織、この組織は人格が二つに分れておりまして、一つは教職員組合一つ生活協同組合です。この人格の二つのものを一つに戻すと、事実上の三者一体になるのです。つまり、原著者、採択者、これを供給する供給者、三者一体になる。これは事実でしょう。否定できないはずなんだ。だからこの契約が出てくる。
  502. 安村豊喜

    ○安村証人 これは次官通牒の通りでありまして、教師が採択の立場に置かれておる。しかも生協は教師を組合員にしておる。だから、採択に誤解を招くおそれがある立場だと私は解釈します。それが危ないから、そういう誤解を生みたくないからというので、生協からその位置を継いだ新しい会社にそれを移したわけであります。
  503. 三田村武夫

    ○三田村委員 同じことの繰り返しになりますからやめますが、この次官通牒が出て、それを従来おやりになっておった。私の言うのは次官通牒の出る前ですよ。すなわち、さっきから問題になったこの契約の基礎になる事実についてお尋ねしておる。「科学世界」というこの新しい理科の教科書は、九州の理科の先生の手によって編さんされたのだ。それを大日本図書で発行して検定を受けたのだ。これは新しい教科書です。内容も非常にいいそうです。いいから、あなたの方の県でも多数採択された。その採択する人は編さん業務に携わった人なんです。その人が採択して、そうして同じ構成員を持つ学生協が扱うということはよくないという立場から、この警衛が出たのです。それを認めたからあなたの方で分離したのです。だから、この変態的契約の渕源は、今私が申し上げた三者一体の基礎の上にこの契約ができておるのだ。そうでなければ意味をなさない。その協力費というのはそういう意味なんですよ。その協力費として折半された利益組合活動の費用としてどのように利用されるか。それは私は一応証への説明として了承いたします。その受けた折半が二十七、二十八、二十九、三十、合せて幾らになりますか。幾らになっても、あなたの方で生活協同組合の定款に従ってそれを使われるということは、一応組合の運営方針として私は了承いたしますが、今風が言ったようなことをあなたの方で承認されませんと、この契約書の淵源が出てこないのです。そうでなければ、何のために、大日本図書と全然関係のないあなたの方の学校生活協同組合と、それから今の福岡図書株式会社の間に、こういう妙なわけのわからぬ、法律上根拠も何もないものの契約書を作るのか、わからぬのです。そうじゃありませんか。
  504. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申しました通りに、そういう誤解は当然生まれるということをわれわれは心配して会社を作ったということは申し上げておるわけですね。私どもはそういう三者一体の進め方をしたことはないのです。
  505. 三田村武夫

    ○三田村委員 私の言っているのは、最初に、証人によくわかっていただくために、この「科学世界」の契約書が出てくる前提についてお尋ねしたのです。これは教科書の全体を言っているのじゃないですよ。全体の場合は全体の場合でまた別な面から私は事実を調べてお尋ねします。きょうは時間の関係でやりませんけれども、少くとも「科学世界」に関しては、私が今ここで言うような説明をしませんと、あなたの方と福岡教科書との契約というものが出てこないのです。そうでしょう。その問題に限定して私は言っている。これはおわかりになりましょう。
  506. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもは、懇請といっても組織的な動きで懇請した立場でありますので、大日本の皆さんがわれわれの立場をどう解釈されたか知りませんけれども、私どもはやはり、数も多いことだし、ぜひもらいたい数だけは下さいという立場で要望したわけですね。そういう立場を大日本の方はどう解釈されるか知りませんが、やはりできれば円満なる解決をして中学校の本を渡したいという意向が見えたのです。それでその契約の段階に進んでいったというのが実情でございます。
  507. 三田村武夫

    ○三田村委員 これは繰り返しておっても時間がたってしまいますからやめますが、今証人が言われた、われわれは組織的な立場から発言したのだ、——組織的な立場ということは、私が今言った三位一体の立場が組織的な立場だ。私たちは組織的な立場で扱いたいということを大日本図書に言った。ところが、それはちょっとまずいから、今まで特約店としてやっておった福岡教科書の方と話し合いをしてくれということを向うが育った。向うは、理科の教科書は旧特約店でずっとやってきたのだから、まずいのです。そういう関係で新しい教科書ができ、採択も圧倒的多数とれた、九五%も採択された、こういう組織的な立場で、あなたの方で、学生協の専業としてやらしてくれ、こういうお話が出た。大日本図書は、それは困る、私の方は理科に関する限り福岡教科書とずっと特約してやってきたのだから、一つその問題は現場で話してくれ、こういうことなんです。これは午前の証人からも聞いたのですが、そういうことでないと、はっきり理解されません。そうでないと、さっきから証人が、こういうこともあっせんする、ああいうこともあっせんする、こう言われますが、そういうあっせん業務をとることは、教職員の教育活動部門として当然なことなんです。教科書が来ても職員室のすみっこになわをかけたままで積んでおくということは、従来もやっておりません。一銭の費用も何ももらわないで、従来の国定時代でも、教科書が送られてきたら、おれたちは関係ないのだといって、こも包みを職員室のすみに積んでおくようなことはやっておりません。そういう不親切な先生は教育の社会にはいはしなかった。だから、それは何も、いろいろ送られてきたものを生徒にわけてやる、いろいろなことをあっせんしてやるから、そのために利益を半分よこせと言う理由にならない。私は、少くともそういう妙な趣旨ではないと思う。そこは幾ら繰り返しても同じことですから、証人は答弁がなければないでよろしい。私はそのようにしか理解されませんから、これは三田村委員の類推でも推測でも何でもない。二回にわたって公正取引委員会から公式の警告文も発せられた。その警告に基いて、あなた方は誤解を招いてはいけないから学生協の事務として配船業務をやることはやめる、取次業務をやることはやめる、新しい会社を作ってその会社にその仕事をさすということをおやりになった。証人はその不実はよく御存じのはずです。それは繰り返すことをやめまして、さっき私の聞いたことについて……。
  508. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村さん、ちょっと。委員長から証人に確かめさせていただきたいと思います。昭和二十七年十月二十八日学生協のあなた方と福岡教科書株式会社との間の契約について、今の話を聞いても、証人は将来なお協力費と申しましょうか折半してとる金をとろうとするお考えをお持ちなのか、どういう処理をしようとお考えになりますか、この点を明らかにしていただきたい。
  509. 安村豊喜

    ○安村証人 これは金額を申し上げたときの説明で……。今ちょっとこちらのお話と混同があるようですね。詳細に申し上げますが、協力業務を私どもがやったのは二十七年と二十八年であります。二十九年度は関連がある……
  510. 高木松吉

    高木委員長代理 関連があっても、私の問いに対して、やっていくという考えか、やっていかないという考えか、それだけ聞かしていただけばよい。
  511. 安村豊喜

    ○安村証人 ちょっと関連がありますから……。
  512. 高木松吉

    高木委員長代理 関連があっても、それを聞かせていただけばいい。証言を求められた限度においてするということは、あなたは了承しているはずです。
  513. 安村豊喜

    ○安村証人 いろいろ話をお聞きしますと、いろいろの点で誤解がありますし、その当初としては、私どもは、一応通った正しいという考えにおりましたが、こういう誤解のある問題は除きたい、帰ってからしたいと思います。
  514. 三田村武夫

    ○三田村委員 先ほど私は公けの文書によってお尋ねしたのですが、さらに念のために伺っておきますが、福岡図書株式会社の場合、——これは中学校の方だけでありますね。資本金は百二十五万円、株式が二千五百株でありますかあって、株主三十七名のうち二十七名は教職員であるが、そのうち六名は学生協の支部長を兼務している、他の十名のうち、二名は学生協の会長及び専務理事を兼務し、八名は個人であると書いてある。こういう役員の構成です。だから私の言う三者一体ということは明瞭に出てくるのです。何といってもこれは現在あなたの方の会社でしょう。現在どうなっているかしれませんが、福岡図書株式会社のできたのは二十七年十月一十八日で、そのときは、資本金は百一十五万円であって、株主は三十七名です。三十七名の株主のうち二十七名は教職員である。そうしてそのうち六名は学生協の支部長を兼務している。他の十名のうち二名は学生協の会長及び専務理事を兼務している。残りの八名が個人。これはお認めになりますか。成立当時です。
  515. 安村豊喜

    ○安村証人 成立当時は確かにそうであります。
  516. 三田村武夫

    ○三田村委員 現在はどうなのですか。
  517. 安村豊喜

    ○安村証人 その組合員の問題とか生協の役員の問題とかいうのは次々変っておりますので、確かなことは言えません。と申しますのは、その当時の生協の役員は現在は続けているということは考えられませんので、私は続けておりますが、ほかの連中に変っておりますので、その意味で内容が多少変っていると思います。
  518. 三田村武夫

    ○三田村委員 わからないということは常識上受け取れませんが、それはその通り聞いておきましょう。  現在証人はこの福岡図書株式会社とどういう御関係にありますか。
  519. 安村豊喜

    ○安村証人 株主であります。
  520. 三田村武夫

    ○三田村委員 役目の関係は。
  521. 安村豊喜

    ○安村証人 ただの株主。
  522. 三田村武夫

    ○三田村委員 ほかの生協及び教職員の中から、このあなたの方から業務を引き継がれた福岡図書株式会社の役職あるいは株主になっている人は、今証人は御存じないとおっしゃいましたね。
  523. 安村豊喜

    ○安村証人 私が申し上げた意味は、株主の構成の中で、生活協同組合の役員との比率とか、あるいは、その当時生協の役員であったが現在は生協の役員をのいたとかいったような食い違いがありますので、確かではないと申し上げたのであります。
  524. 高木松吉

    高木委員長代理 証人にちょっとお尋ねしますが、あなたのお持ちになっている株式は幾らあるのですか。
  525. 安村豊喜

    ○安村証人 あのときは創立当時で、金がありませんでしたから、私どもは家を現物出資しております。そのままだと思います。
  526. 高木松吉

    高木委員長代理 株式にして幾らありますか。
  527. 安村豊喜

    ○安村証人 たしか家を二十万くらいにそのとき算定しましたので、五百円で割ったら……。
  528. 高木松吉

    高木委員長代理 何となく割り切れないものが、安村君、ございますね。
  529. 安村豊喜

    ○安村証人 二百株になるようですね。
  530. 高木松吉

    高木委員長代理 安村君、今少し明瞭に答えていただきます。
  531. 安村豊喜

    ○安村証人 額面が五百円の金頭でありますので、四百株で二十万になると思いますので、四百株だと思います。間違いありません。
  532. 高木松吉

  533. 濱野清吾

    濱野委員 簡単に正確にお答え願います。  あなたの学生協は、結成当時に役所に届けておりますか。
  534. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほど申し上げましたように、たしか九月の十二日に認可を受けて、十三日に登記をしております。
  535. 濱野清吾

    濱野委員 何年ですか。
  536. 安村豊喜

    ○安村証人 昭和二十四年でございます。
  537. 濱野清吾

    濱野委員 もう一つお尋ねしておきますが、学生協の生まれる法源は、消費生活協同組合法によって生まれている。これは御承知でございましょうか。
  538. 安村豊喜

    ○安村証人 承知いたしております。
  539. 濱野清吾

    濱野委員 そうしますと、もう一点お尋ねしておきますが、子供さん、あなたの弟子、すなわち学生を組合員にするということは、役所に対して特別な認可か許可を得る手続を出しておりますか。
  540. 安村豊喜

    ○安村証人 創立の当初、親権者の同意を得て作りなさいという指導を受けた覚えがありますが、そのことでやりまして、許可は別段受けていないような記憶があります。
  541. 濱野清吾

    濱野委員 消費組合は、地域的か、あるいはまた同職の者、あるいはまた同職の者の家族以外はできないはずになっておりますが、この点は証人はどうお考えですか。
  542. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもは、学校というのを一つの生活単位というように考えまして、職場というものを少し拡大した意味に解釈をいたしまして、そういうふうな考えをいたしております。
  543. 濱野清吾

    濱野委員 日本法律をあなた方の都合のいいように押し広げて解釈することは間違いだと思いますが、その点、どういうふうにお考えですか。
  544. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもの解釈が誤まっていれば、至急その措置をとりたいと思っております。
  545. 濱野清吾

    濱野委員 今なお証人は誤まっていないような御気分でございますか。
  546. 安村豊喜

    ○安村証人 根拠が私どもの解釈した当時と状況が変っておりますので、研究したいという意味であります。研究して、間違っておればすぐ改めたい。間違っていなければという問題が起りますが、今の御発言の内容では法律無視の問題がありますので、慎重に検討したいという立場であります。
  547. 濱野清吾

    濱野委員 根拠はすなわち消費生活協同組合の法文に明らかである。その法律は変っておりません。しかも、あなた方のおやりになっていることは今でもなお変っていないといわれております。どこかあなたに心境の変化でもおありですか。根拠は依然として同じです。
  548. 安村豊喜

    ○安村証人 法の解釈上、あるいは届かない——お話を伺っておりまして、手続の問題で多少私どもにも抜かった点がありますので、そういう面はぜひ改めたいという立場であります。
  549. 濱野清吾

    濱野委員 多少抜かった点もありますのでという多少は、一体私が指摘した点でございますか。
  550. 安村豊喜

    ○安村証人 そういう意味を含めております。
  551. 濱野清吾

    濱野委員 ただいま証人が申された通り、子供を組合員にする点につきましては、大体判断がつくのでありますが、役所の認可あるいは許可などは受けていなかった、こういうふうに了解してよろしいですね。
  552. 安村豊喜

    ○安村証人 組合の認可許可は受けておりますが、子供の参加、不参加の問題については、はっきり記憶はありません。指導を受けた記憶はあります。
  553. 濱野清吾

    濱野委員 指導を受けた記憶は先ほどあなたが陳述しておりますから、認可もしくは許可を受けた事実があるかということを聞いているのです。ないというならない。あるならあるで、それでよろしい。
  554. 安村豊喜

    ○安村証人 あります。
  555. 濱野清吾

    濱野委員 委員長に申し上げます。この点につきましては、厚生省もしくは福岡県当局に対して、公文書をもって、あるかないかの問い合せをお願いしたいと存じます。
  556. 高木松吉

    高木委員長代理 重大な問題ですから、さよう取り計らいをいたします。
  557. 濱野清吾

    濱野委員 親の同意を得ていると先ほど申しておりますが、どういう形式で親の同点を得ておりますか。また、その形式が文書等によって組合に保存されてありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  558. 安村豊喜

    ○安村証人 私もはっきり覚えませんけれども、大体同意書を横につけまして、生徒の名前の横に父兄の判を押してもらうという形式であります。
  559. 濱野清吾

    濱野委員 その文書はあなたの事務所に現在保管してございますか。
  560. 安村豊喜

    ○安村証人 大部分保管しておると思います。あるいは途中に移転問題がありましたので散逸したおそれがあるかとも思います。
  561. 濱野清吾

    濱野委員 移転問題がかりに起きても、これらの方々はあなたの学生協の出資者です。権利の基礎になるべきその帳簿などがあるいは散乱しているというようなことがもしあったとするならば、これは重大なことでございますが、明確にこれをお答え願いたいと思います。
  562. 安村豊喜

    ○安村証人 不備な点があると思います。
  563. 濱野清吾

    濱野委員 もう一度お答え願いたいと思います。
  564. 安村豊喜

    ○安村証人 全部備わっていないだろうと思います。
  565. 濱野清吾

    濱野委員 人の財産を預かって、しかも組合の必ず傭えつけておかなければならぬ権利書がなくなっているかもしれないということは、どういう意味ですか。
  566. 安村豊喜

    ○安村証人 非常に責任を痛感いたします。
  567. 濱野清吾

    濱野委員 もう一度お尋ねいたします。あなたの方の創立は相当古いようでありますが、その間に行政庁の監査を受けたことがございますか。
  568. 安村豊喜

    ○安村証人 私の記憶では何回かあります。
  569. 濱野清吾

    濱野委員 何年何月ころか、一つ記憶をたどってお答え願いたいと思います。
  570. 安村豊喜

    ○安村証人 数回受けておりますけれども、はっきりいたしません。
  571. 濱野清吾

    濱野委員 その監査をした行政庁は県庁ですか。
  572. 安村豊喜

    ○安村証人 県庁であります。
  573. 濱野清吾

    濱野委員 委員長に申し上げます。この点につきましても、役所に直ちに問い合せを願います。
  574. 高木松吉

    高木委員長代理 さよう取り計らいます。
  575. 濱野清吾

    濱野委員 一点お尋ねいたしますが、先ほど、委員長の尋問中、どうしても御解明できなかった点があるのであります。すなわち、あなたの学生協福岡教科書株式会社との間において、大日本図書株式会社発行、中学科学世界」の供給一についての契約でございます。この契約の第一条に、甲は乙にその供給実務の一切を委任するという条文がございます。この条文のうち甲はすなわち学生協でございますが、学生協福岡教科書株式会社に対して供給実務の一切を委任すると響いてあります。そこで、委員長が先ほど来再三再四、供給権利を持っておったかということを尋ねられたのに対して、言を左右にしてあなたは語っておりません。そこで、私はあらためてお尋ねいたすのでありますが、証人は、その甲において、すなわち学生協において将来供給権の獲得ができるかもしれない、こういうような考え供給実務一切を委任するという契約をおきめになったのでございますか。
  576. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほどから申し上げておりますように、私は現地の円満解決ができれば大日本の「科学世界」は契約できるというふうに確信を持っておったわけです。
  577. 濱野清吾

    濱野委員 そうすると、現地の乙、すなわち福岡教科書株式会社学生協のあなた方が話し合いをすれば供給権が獲得できる。こういう予想のもとにあなたがこの契約の条文を書いた、こういう意味でございますか。
  578. 安村豊喜

    ○安村証人 条文をだれが書いたということは、お互いに話し合ってできた条文でありまして、原案は、私の方で書きましたか、あるいは向うの会社が作られましたか、よくわかりませんけれども、記憶によりますと、私の方が出したような気もいたします。しかし、話し合ってきめたわけでありまして、その供給権があるから云々というような——確信だけの話でありまして、実際契約は大日本とはしていなかったのであります。
  579. 濱野清吾

    濱野委員 証人はしまいにはそういうことを言い出して、あなたがすでにこういう契約書があったという事実を認めておいて、そうして、私が今尋ねますと、その文書あるいは契約書はだれが書いたかわからぬというようなことをおっしゃられたのでは、私どもは非常に困るのです。とにかく、あなたの方の福岡中学校生活協同組合長安村豊富なる名前で出ておるのですから、この契約書は認めておるのでしょう。そうでしょう。それであなたは責任を負うことになっていますね。
  580. 安村豊喜

    ○安村証人 その通りであります。
  581. 濱野清吾

    濱野委員 そこで、私は重ねて聞きますが、前に権利があったかないかというような、そのことはまず譲って——私はまずないと思うのです。ないが、あなたの説明を先ほど来聞いておりますと、現場で、すなわち福岡福岡教科書株式会社の責任者と談合するならば、将来その配給の権利は獲得されるであろうという見通しがついたものだから、それで、第一条、供給実務の一切を委任するという、こういう契約ができたのであろう、こう私は聞いておるのです。そうでないと、この条文はおかしいのです。
  582. 安村豊喜

    ○安村証人 私が現地の円満なる解決と言う意味は、円満に教科書会社から福岡図書の前の中学生協に「科学世界」を販売することを譲るというふうに話し合いがうまくつけば、大日本生活協同組合の方に契約をするという立場で確信しておるというのであります。
  583. 濱野清吾

    濱野委員 どうもわからぬのでありますけれども、あなたの方は、要するに学生協の方は、かつてこの「科学世界」などというものは販売したこと、供給したことがないのですね。これは事実でしょう。お答え願います。
  584. 安村豊喜

    ○安村証人 ありません。
  585. 濱野清吾

    濱野委員 販売供給したことがないのですから、販売権も供給権もないわけですね。お答え願います。
  586. 安村豊喜

    ○安村証人 その通りであります。
  587. 濱野清吾

    濱野委員 そこで、第一条は、将来起きるであろう、あるいは獲得できるであろうというこの「科学世界」の供給実物を一切委任する、こういう条文ができたわけ、ですね。
  588. 安村豊喜

    ○安村証人 将来起きるだろうというところまで考えておりませんが、一応、その場合には、私どもはぜひ販売権をもらいたいという立場で、譲りたくなかったわけであります。でも、そのときの状況は、向うの菊竹豊平氏の福岡教科書株式会社も、ぜひ、大きなしにせの教科書を譲られることは自分の方でも痛手であるから、話し合って譲ってくれというような話の意味でありまして、契約をしたときは、私の方に来てのそのときの話し合いの結論は、将来起きるということをもうすでに知っていたわけです。その販売をするまでは、私の方に販売をするという確信を持っておりました。
  589. 濱野清吾

    濱野委員 そこがどうも、あなた何か考え違いしているのじゃありませんか。今まで配給権も何もなかったはずだ。というのは、あなたが今証言するように、今までこの本の販売とか供給とかはやらなかった、こう言うのです。そこで、あらためて、この大日本図書の方に対して、この「科学世界」だけは学生協の方で売らして下さい、こう言っておった。ところが、大日本図書の方としては、学生協は採択者側であり、学校の先生でありますから採択実力者でもあるし、これをけるというようなことは販売政策から見ておもしろくない。これは私は常識だと思うのです。そこで、今まで自分の取引のしにせがあるけれども、すなわち福岡教科書株式会社という会社と取引をしておったのだけれども、あなたの方を無視するわけにもいきませんから、福岡教科書株式会社と円満な解決をするために談合をして下さい、こういうわけであなたは談合しなさった、こう私どもは先ほどの証人の陳述を聞いて理解しているのですが、この点は間違いございませんか。
  590. 安村豊喜

    ○安村証人 大筋は間違っておりません。と申しますのは、言葉の内容はお互いに少し通うものですから。筋だけは間違っておりません。
  591. 濱野清吾

    濱野委員 小筋は間違っておってもよろしい。大体その趣旨だということでございますから、先に話を進めますが、そういうふうに考えたときに、どのくらいの部数が採択されるか、こういうことの予想はいたしませんでしたか。
  592. 安村豊喜

    ○安村証人 委員長、今秋ちょっとうかつに大筋と申しましたが、もう一度ちょっと確認したいのでございますが……。
  593. 高木松吉

    高木委員長代理 何を確認するのですか。
  594. 安村豊喜

    ○安村証人 今の委員のお話によりますと、採択部数を事前に推定しはしなかったかということですね。その意味が先ほどの答弁とちょっと関連が……。
  595. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっとお待ち下さい。今の訓育に対して、 お問いになった濱野君から、はっきりと明瞭に質問をしてやって下さい。
  596. 濱野清吾

    濱野委員 証人が先ほどお述べになった証言に対してですか。
  597. 高木松吉

    高木委員長代理 そうじゃありません。
  598. 濱野清吾

    濱野委員 今秋が質問したことですか。どっちですか。——今質問したことならこうなんです。それでわかったが、次にあらためて聞くが、そのときに大体「科学世界」はどのくらいの採択になるかという予想があったか、こういうのです。
  599. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、証言証言を求められた範囲において証言をすればいいので、そのことはすでに了承しているわけですから、ただいまの証言を求められた範囲において答弁して下さい。
  600. 安村豊喜

    ○安村証人 今の答弁と少し関連がありますので、ちょっと速記を読んでいただくわけにいかぬのでしょうか。
  601. 高木松吉

    高木委員長代理 そういうことはできません。
  602. 安村豊喜

    ○安村証人 そうすると、濱野委員さんでございますか、その前の質問をもう一度していただきまして、ただいまのことにお答えしたいと思います。私、混乱しまして、先ほどおっしゃった意味が今の質問と関連があるように思いますので、もしかすると先生の質問内容を私間違えていないかということなんです。
  603. 濱野清吾

    濱野委員 今の質問は関連ございません。御心配御無用です。  そこで、次にまたお尋ねするのでありますが、今の予想をし得たりとすれば、大体何冊くらい取れるであろうか、すなわち、前段に証人証言したことには全く関連なく、これはただ私の参考のために聞いておくのですが、一体どのくらいの採択ができると予想をしておったか。証人は、同僚への先ほどの証言中に、学生協としては非常に利益になると思うからこれがほしかったんだという御供述がありましたが、具体的に何部くらいが採択できるだろうかという確実な予想があったかどうだろうか。なければなくてよろしいのですよ。はっきりはわからなかったでよろしいのです。
  604. 安村豊喜

    ○安村証人 予想はしたことはありませんが、私どもが大日本に話しかけましたのは、採択が決定した後であります。
  605. 濱野清吾

    濱野委員 それでは、もう一ぺんこの点について言葉をかえて聞いておきます。採択の後ならばけっこうです。その通りだと思うのですが、結局、この第一条の供給実務一切を委任するということは、証人が証書を同僚並びに私に与えているように、「科学世界」の供給権については、将来学生協としては大日本にそういう要請をすることは手を引く、すなわち、その仕事へ手を出さぬという談合の結果、その談合料の一種として、第三条で大体その利益の半分を学生協に出す、——よく請負師にある例ですが、こういうことをおやりになった形になるのでありますが、この点について、学生協の幹部であらせられるあなたは教師でありますから、こういうことをおやりになることが、教師の立場から、また教育界の立場から、公取とかその他のやかましい議論ではなしに、どういうふうなお考えでありましょうか。あなたのお考えを拝聴したいと思います。
  606. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほどから申しましたように、その当時としては、私どもも万やむを得ずしてこういうふうな契約書を作ったわけであります。私どももやりたいし、福岡教科書株式会社もやりたいということの摩擦を将来に残さないという意味で、こういう契約書を交換したわけでありますが、現在考えてみますと、この問題につきましては、いろいろな協力内容問題につきましても誤解を招きますし、こういう問題はぜひ何とか廃棄するように善処したい、こういうふうに考えます。
  607. 濱野清吾

    濱野委員 私は、ただいまの証人の謙虚な気持での証言については敬意を表します。こうした契約書日本の教育界において珍無類の契約書であります。土木請負業者が談合金を取って、そしてその仕事を請け負うことの権利を放棄する、これはその類型の一つに属するものであります。それでも、わずかにこれをカムフラージュするために、第二条において、甲は右教科書完全供給に関し乙に協力するということを書いております。これは、良心的にお考えになった結果、全然単純なる談合ということではいささか気が恥じると見えて、「科学世界」の配給の過不足であるとか、早期販売事務というようなことを、わざわざここに説明の材料としているのでありますが、これらの過不足等の問題につきましては、全国至るところの学校の先生方が、児童の教育のためでもありますので、これは全く先生方の特別の労力として、努力しているのではございませんで、先生方という立場から、全国の教師諸君は教育の立場から親切に世話をしていてくれるのであります。私どもは、それなるがゆえに先生を尊敬し、先生に敬意を表しているのでありまして、こういう教育の場のささいなことまで価格に見積って、そうしてここに協力の文中を使うというがごときことにいたしましては、まことに私は残念だと思います。この協力内容について私はこの際あなたの御意見を拝聴したいと思います。
  608. 安村豊喜

    ○安村証人 先ほどから申し上げましたように、供給の円滑化、転入生の問題、それから需給の調節、それから経済上の特典性とか、それぞれに炭鉱地帯、工業地帯、農山村地帯といろいろありますので、それから起ります早期の吸血問題とか、あるいは分割の販売方法とか、こういう問題をできるだけ調査しまして連絡協力する、さらに、小売店の指導、こういうものもその中でぜひやって下さいということでありましたので、それも一緒にやってきておるわけであります。
  609. 濱野清吾

    濱野委員 私は、教科書の配給の問題については、私の会社自体が関係しておって、よく知っておるのです。最近の競争の激しい小売店などが、先生方のお指図を受けてまでやるようなことはございません。教科書配給の実態については、私自体がくろうと筋なんです。これは、端的に申し上げますならば、どこの先生でも先生という職務上の立場からこの問題についてはお世話しているんです。しかるに、あなたの方の県の学生協範囲内においては、これを価値評価するというのです。そうして、この福岡教科書株式会社仕事をほとんど手をぬらさずして利潤の半分を獲得するというたけだけしいやり方をおやりになっているわけであります。この点についても証人は将来十分お考えを願いたいと思いますが、証人の見解を一つお述べ願いたい。
  610. 安村豊喜

    ○安村証人 契約しました当初が昭和二一七年でありますし、私ども教科書にタッチしまして円滑なる供給あるいは生徒に対する完璧なサービスということをねらって立ち上った二年目であります。その当時まだ小売店にしても今濱野委員からおっしゃったような完璧したサービスというものはなかったのでありますので、そういう面も私どもは含めまして、できるだけ協力して、この問題を両者の間で解決していきたいというのが申し合せでございます。現在の立場では、そういう内容問題はすでに幾らか変えなければ、無用な面もふえて参りましたので、先ほど申しましたように、この問題につきましては誤解を生む点が多々ありますので、ぜひ早期に解決したい。こういうふうに考えております。
  611. 濱野清吾

    濱野委員 あなたは用語を十分注意して下さい。誤解を生んでいるんじゃないんだ。これはもう誤解が五階を通り越して六階にもなっている。これは普通の先生方がやってくれていらっしゃるのです。しかも二十七年当時の教科書に関する配給事務の運営実態なるものは、二十七年ごろになると各会社とも非常にサービスの激甚な様相を呈してきたのです。それはかゆいところに手が届くように、それでも間に合いませんで、あるいは採択について、あるいは配給等につきましては、供応、買収、そういうふうに激烈になってきたわけなので、あります。ですから、公取の警告が行われ、二十七年度から、あまりにサービスが行き過ぎて、刑事事件まで起き始めているのでありまして、証人のそうした説明は大へんに間違っていると思いますが、どうお考えになりますか。
  612. 安村豊喜

    ○安村証人 私は私なりに今のように考えております。
  613. 濱野清吾

    濱野委員 証人証人なりに真実を告げることが今日のあなたのお務めです。宣誓通り陳述をしてくれることが願わしいのでありますから、そうかたくならずに一つお述べを願いたいと思います。
  614. 安村豊喜

    ○安村証人 そういう協力内容についても、その当時私どもはお互いに話し合ったことでありまして、相互に認め合った問題でありますので、このときの認識に基きまして、私はそのときそう考えておったということを申し上げたのであります。
  615. 濱野清吾

    濱野委員 私はあらためて聞きますが、あなたは責任者としてこの協力の実態をよくつかんでおりますか。先ほど同僚の質問にありました、実際はどこで会合し、どういう決議をし、どこで先生がどういう小売店に対して実際指導を行なったかというようなことは、あなたは知らないのではありませんか。これは、全国の先生たちが、みな、先生の立場、教師という職務上の立場から、ほんとうに子供がかわいいためにただでやっておることなんです。こういう協力費なんていう手数料をとるのはあなたの方だけです。あなたはどうお考えになりますか。答弁せんがための答弁をされたんでは真実を発見できません。あなたはいやしくも責任者として、協力費をとる、少くとも膨大な二十数万の金をとるというようなことについては責任があります。仕事もせぬで、ほんとうにあなた方の説明しておるような具体的な仕事もあなた方は実際に見ておらぬで、そういう文字だけで金をとっていく、文字を書いて契約書によってお金をとっていくというようなことは不都合ではないかと思うのであります。これはどうですか。
  616. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもはその当時はそういう契約の仕方しかなかった建前に追い込まれたわけであります。先ほど協力の実態の問題がいろいろ出ておりますが、つまびらかにはしておりません。しかもそれはつど起る問題でありまして、どこで会議してどう決議するというような大げさなことで運ぶ問題ではないと思います。
  617. 高木松吉

    高木委員長代理 証人にちょっと。二十七年ということを中心にするとあなたの話は多少わかってくるのだが、二十八年、二十九年、三十年にまたがってそういうものをとっておるとすると、今の濱野君の質問にかかる内容を率直にお認めになる方がいいのじゃありませんか。率直に一つ……。
  618. 安村豊喜

    ○安村証人 だから、最終的に、結論は先ほど申し上げましたように、現在では誤解を招く点もあるし、それから内容的に協力する内容にも改変しなければならぬときが来ておりますので、この問題は帰りまして早急に善処して処理したいということであります。
  619. 高木松吉

    高木委員長代理 証人にちょっと聞きますが、誤解という言葉がおかしい。その内容はどういうことです。誤解ではなくて、現実にあるものを世間の人が率直に認めて批判するのではありませんか。誤解して批判しておるのではありませんよ。その点に対して率直な答弁を願いたいと思います。
  620. 安村豊喜

    ○安村証人 私どもは相互でその当時は契約書という内容を作りまして、一応通ったという感じでこの契約書を作ったわけです。現在では時代がたつにつれていろいろな批判の問題もありますので、私は帰りまして善処したいということを申し上げたのであります。
  621. 濱野清吾

    濱野委員 きょう以来あなたがお帰りになった後の心境は、私どもよくわかります。そうしていただきたいと考えております。ただ、きょう以前、ことにこの契約書を作った当時のことについて、ただいま、そういうふうに追い込まれたのだ、そうしてこの契約書の一条あるいは二条というものを作ったのだ、こういうような意味の説明をされておりますが、これは、あなた、率直に言っていいと思うのです。結局、学生協としては、この本をとれる見込みがあるわけですから、とりたい、しかしながら、いろいろ談合してみると、片方の福岡教科書株式会社というのは、つぶれてしまうかもしれないわけですから、あなたの学生協の方としても無理を言わずに、その利益の半分を差し上げるからそれで了解してもらいたい、こういうことでこうした整った契約書ができた、私、先ほどから質問中に結局第二条に触れた場合、協力というようなことにつきましても、そう書かざるを得ないように追い込まれたということの御説明でありますが、私も真実そうであろうと思います。あなたが何も個人の利害でやっているのではありませんで、団体の利益でやったでありましょうから、事実、私ども、客観的に見て、また今までの供述等を見まして、あるいはいろいろな資料を見ましても、多分そうであったろうと考えております。追い込まれておったということにつきましては、ただいま申し上げましたような意味に解してよろしゅうございますか。
  622. 安村豊喜

    ○安村証人 利益の半分をもらうからこういう契約書を作ろうということではなく、教科書株式会社が困るから何とか譲って下さい、従いまして、何とか皆さんの立場を尊重いたしまして若干の気持を出したいと向うから出たわけであります。従いまして、私どもは、それではおかしいから、協力する内容をきめて協力いたしましょうという形が、この契約書であります。
  623. 濱野清吾

    濱野委員 そうすると、大体私が申し上げましたのと相違はないようでありますが、私が申し上げたことについて、大体証人は御承認願えますね。大事なことですから……。
  624. 安村豊喜

    ○安村証人 承認するということは、たった今おっしゃった意味ですか、ずっと当初から現在までの経緯ですか。
  625. 濱野清吾

    濱野委員 それでは重ねて申し上げます。こういうことです。学生協の方方にこの「科学世界」の供給権をとられてしまうと、福岡教科書株式会社の社運にも関係がある、私はこう見ている。現にこの会社の責任者はそう述べているのであります。そこで、大いに苦労しているところへ、あなた方は大日本図書話し合いがあり、しかもこの福岡教科書株式会社現地において御相談ができるならばというところまで進んできたというのが今までの説明です。そこで、福岡教科書株式会社の希望もあり、かたがた要請もあったので、大日本図書の印刷出版しましたこの「科学世界」は、自分の方で、すなわち学生協の方で配給の事務をとることをやめよう、要するにその仕事をすることにつきましては手を引こう、そのかわり、その福岡教科書株式会社におきましては、その利益の半分を、この協力するという第二条によって学生協に差し上げる、こういう趣旨の話し合いができて、そこでこの契約書が成り立った、すなわち昭和二十七年一月十四日の契約書が成立した、こういう平明なことなのでありますから、あなたのおっしゃっておることとちっとも違わないのであります。これを御承認になるかならぬか、こういうことです。
  626. 安村豊喜

    ○安村証人 私が申し上げました内容とほとんど一致するという意味で概略承知できます。
  627. 濱野清吾

    濱野委員 どうやらこれでこの問題につきましては、大体解明いたしましたから、私の質問をやめます。
  628. 高木松吉

    高木委員長代理 他に御発言がなければ、安村証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には、長時間にわたって御苦労でありました。
  629. 高木松吉

    高木委員長代理 この際お諮りいたします。本委員会設置の決議によりまして、本委員会調査報告を議長に提出することになっておりますが、ただいま諸君のお手元に配付いたしました通り、簡単な八月中及び九月中における調査経過の報告書を委員長において作成いたしたのでありますが、これを議長に提出いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  630. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議なしと認めて、これを決定いたします。なお、字句の整理等につきましては委員長に御一任願います。  なお、来る九月三十日金曜日午前十時より理事会を開きたいと思いますから、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会