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1955-09-22 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月二十二日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 南  好雄君 理事 山田 長司君    理事 神田 大作君       草野一郎平君    志賀健次郎君       牧野 良三君    三田村武夫君       米田 吉盛君    稲永 一臣君       井手 以誠君    高津 正道君       辻原 弘市君    西村 力弥君       田中 利勝君    小林 信一君  委員外出席者         証     人         (佐賀杵島郡         地方教育委員会         連絡協議会会         長)      毛利 源三君         証     人         (佐賀杵島郡         武雄教科書採         択委員代表)  緒方 一男君         証     人         (静岡県教科書         株式会社取締役         社長)     菊竹 豊平君         証     人         (福岡県中学校         生活協同組合組         合長)     安村 豊喜君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小、中卒校における教科書関係事件     ―――――――――――――
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長所用のため、私が暫時委員長職務を行いますから、さよう御了承願います。  前会に引き続き小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。
  3. 井手以誠

    井手委員 証言の前に議事進行について委員長所見を伺いたいと思うのであります。それは、きょうの日程によりますと、佐賀県下におきまする教科書採択上の問題について、地教委連絡協議会代表者と、採択委員会代表者が喚問されることになっておるのであります。そこで、私が聞こうといたしますことは、地教委代表者採択委員会責任者とが、偶然かどういう理由かは存じませんけれども、同郡同村であり、しかも同じ部落の近所の人であります。もちろん、国会の証言にどこの人であろうと変りはないのでありまするし、証言に間違いはないわけではありまするけれども、一方は教育人事を管理している責任者であり、一方は管理されている教員である。こういうことを考えますと、果して私ども真実を探求しようとする部面においてその万全を期することができるかどうか、この点について委員長所見を承わりたいと思うのであります。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 証人決定理事会においてあらかじめ決定したものであります。真実発見のために必要であると認めてやったものでありますから、委員長としてはそれを遂行する以外に方法はありません。
  5. 井手以誠

    井手委員 喚問される人がだれであろうと、理事会決定した以上は差しつかえないという所見のようであります、もちろん一応さようには考えますけれども理事会においてきめましたのは採択委員会責任者地教委代表者であるということになっておるのであります。そこで、私がこの際特に委員長に申し上げたいことは、あとでいろいろ具体的に証言はされるでございましょうけれども地方教育委員会の中にもし地教委協決定に従わない町村教育委員会があったならば、仲間はずしにする、あるいは人事交流も他の町村とは切り離すというようなことを言明されたとも承わっておるのであります。また、過日証人の地元村である杵島山内村においては、公民館の大きな会合の席上、この委員会に喚問される採択委員会責任者は赤の代表者であると同軸の地教委役員の人がおっしゃったそうであります。そういうことが各方面にも非常に刺激を与えて新聞にも載っておるのであります。かような今までの地教委側の言動から考えますならば、管理する立場の人と管理される教職員立場、これで果してこの証言に万金を期せられるかどうか。私は、単なる原則論ではなくして、そういった具体的な事実があるというこの点にかんがみて、果して適正に行われるかどうか。また、私ども真実を発見しようと努めておるにかかわらず、ここで真実を陳述されるといたしましても、地方にあって無言威圧を加えられるおそれがありますならば、真に真実証明ができるかどうか。また、真実証明をするためにその身分についての保障がどうなるのか、このことも私は考えなければならぬと思うのであります。私は高木委員長代理はすいも辛いもかみ分けた苦労人であることを信じておりますので、この点の御配慮もあることとは思いますが、今後行われるであろう採択委員会責任者証言についてどのように保障をなさる御用意があるのか、その点についてもやはり委員長の御配慮が私は願いたいのであります。
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの井手君の発言中に事実のことについていろいろありましたが、その事実のことについては私どもはこれから調査しないとはっきりわかりません。なお、いろいろの要望事項があったが、公平に真実を発見するように調査を進めたいと思いますから、御了解を願います。
  7. 井手以誠

    井手委員 私も委員長説明はわかるのであります。ただ、ここで真実を述べようとし、努めてそうなさるでありましょう。また、委員長あるいは委員質問に対して真実を述べられるよう努力なさるでありましょう。しかし、問題が問題であります。採択をくつがえした地教委側と、またくつがえされた採択委員会側立場というもの一は、おのずとわれわれは違うと思う。違った立場を述べようとして述べた結果、地方においてどういう無言威圧が加わるか、こういう配慮が私は委員会にあってしかるべきだと考えるのであります。それがわからない委員長ではないはずであります。だから、その点について、やはり地教委側に対しても真実発見のためにはさようなおそれのないように御注意あってしかるべきではないかという意味で私は申し上げておるのであります。その証言の結果がどういうふうになるという、そのことについて保障が願いたい。厳格な意味保障ではありませんよ。
  8. 三田村武夫

    三田委員 議事進行。ただいま井手委員から議事進行に関する発言がありました。委員長希望もさることながら、当問題を取り上げて調査を進めていきます委員会立場においても、今の井手委員発言については一言委員長に申し上げておく必要があると思うのであります。それは、ただいま井手委員は、調査のために喚問されました証人証言に関して、それが立場の違う方々であるから、委員会における証言内容から地方においてあるいは威圧が与えられるのではないかというような御発言であったようであります。そのことがあるかどうかはわれわれわかりませんが、少くとも当委員会において証人として喚問しこれを尋問する場合は、真実発見のための尋問でありますから、この委員会の審議の進行に関して、証人として出られた方々発言がいろいろ顧慮、顧稔の上述べられるようなことがあっては、かえりて私はどうかと思うのであります。せっかくの井手委員発言が逆にその地方に対してあるいは好ましくない影響を及ぼすことも別の面から考えられますので、その点、今の井手委員発言に関連して委員長の御考慮をわずらわしたいと思います。
  9. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいま議事進行について井手委員三田委員から御発言がありました。この発言に対して委員長としてお答えいたします。原則としてわれわれは法の前には平等であることはいまさら申し述べるまでもないと思います。従って、平等の人たちがいわゆる行政監察委員会真実発見のために宣誓をしてなされる証言は信用を持ちます。その結果として派生的な問題が起きたのを一々委員長保障するとか委員会保障するとかいう前例はございませんから、そういうことは了承することができませんと申し上げて進行したいと思います。  直ちに証人より証言を求めることにいたします。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国においての小・中学校における教科書は多極多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評を生じ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し世上大いに関心を抱く向きがありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に差手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたす次第でございます。  証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証書を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三等親内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人毛利源三君朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  11. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次に各委員から証言を求めることになりますから、さよう御了承願います。なお、こちらから質問をいたしているときはおかけになっておってよろしゅうございますが、お答えの際には御起立を願います。  証人の略歴をお述べになって下さい。
  12. 毛利源三

  13. 高木松吉

    高木委員長代理 杵島武雄市の地方教育委員会連絡協議会について、その組織構成及び単位教育委員会との関係等について詳細お述べになって下さい。
  14. 毛利源三

    毛利証人 杵島地区武雄市・昭和三十一年度使用教科書採択に対する組織であります……
  15. 高木松吉

    高木委員長代理 いや、毛利君、この杵島郡の町村関係がありましょう。それから武雄市の地教委がありましょう。この地方教育委員会連絡協議会という、この会の組織構成単位教育委員会との関係ですから、そういうふうに受け取って御答弁を願います。
  16. 毛利源三

    毛利証人 杵島地区武雄市・三十一年度使用教科書採択連絡協議会、私が会長で、武雄の市教育委員長長が副会長であります。その組織は、杵島地区教育研修部員杵島地区教育委員会役員学校長、郡内各教育長です。それから、杵島西松浦関係しております杵西教育事務所……
  17. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと、毛利さん、答弁の最中ですが、あなたは私の質問を間違えていませんか。教科書採択委員会組織構成単位教育委員会との関係というようなことを聞いているんじゃありません。
  18. 毛利源三

    毛利証人 それを申し上げております。
  19. 高木松吉

    高木委員長代理 それでなく、杵島郡と武雄市との地方教育委員会の、おそらくこれは地方教育委員会連絡協議会だろうと思います。この会の組織構成、それから杵島郡、武雄市等の地教委との関係を述べて下さい、こういうのですから、それを話してから、あらためてまた教科書選択委員会構成組織を尋ねますから、順序を変えて一つ説明願いたいと思います。
  20. 毛利源三

    毛利証人 今の杵島地区武雄市の地方教育委員会教科書採択に対する連絡協議会というものを作ったわけです。
  21. 高木松吉

    高木委員長代理 毛利さん、杵島郡と武雄市との地方教育委員会連絡協議会というものはないのですか、
  22. 毛利源三

    毛利証人 それはございません。
  23. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、その連絡協議会は、連絡協議会教科書採択連絡協議会というものとは一本ですか。
  24. 毛利源三

    毛利証人 今度できたのでございます。
  25. 高木松吉

    高木委員長代理 今度できたのはよろしいのですが、前の私の質問した連絡協議会というものはないのですか、あるのですか。
  26. 毛利源三

    毛利証人 武雄市の教育委員会は単独に独立しております。しかし、今度の教科書に限って……。
  27. 高木松吉

    高木委員長代理 それはいずれの教育委員会地教委は独立してありましょうが、その連絡協議会というものはないのですか。
  28. 毛利源三

    毛利証人 今度に限って連絡協議会を作ったのです。
  29. 高木松吉

    高木委員長代理 とにかく、あなたの言うことがほんとうでしょうから、一つお話しになって下さい。
  30. 毛利源三

    毛利証人 それではあらためて申し上げます。
  31. 高木松吉

    高木委員長代理 私の方の調査が不十分のようです。あなたの言うことを聞きますから、毛利君から一つお話しになって下さい。
  32. 毛利源三

    毛利証人 三十一年度教科書採択に対し、杵島地区武雄市に連絡協議会を設定したのであります。その組織の中に、申し上げますが、杵島地区……
  33. 高木松吉

    高木委員長代理 毛利君、それではこういうふうにお尋ねいたします。杵島武雄市の地方教科書採択連絡協議会というものがおありになるのですか。――毛利君、ちょっとこれを参考のために見て下さい。杵島武難市地教委連絡協議会という文書がありますが、これはどういうことですか。一つこれを説明して下さい   〔証人に書類を示す〕
  34. 毛利源三

    毛利証人 ただいま申し上げましたのが、これが今度できたのでございます。
  35. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、それには教科書採択という頭はついておりますか。
  36. 毛利源三

    毛利証人 それで、この名前ができまして、そしてこの組織の中に組織ができた。教科書選考委員会というのがこれなんです。
  37. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、こう受け取ってよろしゅうございますか。そういう会名機構の中に教科書採択委員会というものが別の機構としてあるのですか。
  38. 毛利源三

    毛利証人 運営がそのメンバーになるわけでございます。
  39. 高木松吉

    高木委員長代理 よろしゅうございます。どうぞ説明をお進め下さい。
  40. 毛利源三

    毛利証人 組織でございますが、どういうメンバーをもって連絡協議会を作りましたかと申しますと、杵島地区教育委員会の中に教育研修部員というのがございます。その次に、郡の地教委役員がございます。それから、郡内各教育長杵島西松浦教育事務所長並びに主事武雄教育委員長武雄教育長武雄教委指導主事杵島郡並びに武雄市の校長代表、以上をもって組織しております。
  41. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、杵島郡、武雄市においては昭和三十一年度の教科書採択についてどのような方法をとってやられたか、その詳細をお述べになっていただきます。
  42. 毛利源三

    毛利証人 私、佐賀地教委連絡協議会長をしております。佐賀県は一昨年来水害がありましたし、また炭鉱地帯の不況に接しまして、教科書問題について補給、救済という面に非常に苦慮したのでございます。また、PTAよりも、でき得る限り教科書の統一をはかってくれという要望が強く申し入れられましたとともに、校長会側でもその線に沿うて進んでくれという要望があったのであります。今日のように教科書が高く当り、また年々その点については苦慮しておりまする立場から、その要契にこたえるべく、連絡協議会で、は一昨年、昨年来から各郡市ともに努力をして教科書採択については考慮しておったのであります。私の県の連絡協議会でも、できるだけ県が要望に沿うべく、その線に進みたいという連結協議会の各位の要望によりまして、一時にはできないけれども、各郡市にそ、の線について協力しようじゃないかという申し介せをしたのであります。私の杵島地区武雄市におきましては、一昨年も昨年本校長先生を信頼し依存しておまかせをしておったのであります。本年は県の連絡協議会の趣意にちなんで、この教科書採択は非常に重大な問題であるということから、今のような組織によって母体を作りまして、まず六月の十八日にその打合会をいたしまして、大体の基本を協定したのであります。今のメンバーをもって選考委員とし、校長先生連結をとりまして校長会より採択委員推薦してもらうということに協議が成り立ちまして、展示会その他一切の問題について十分検討しなくちゃならないというようなことから、まずたくさんの出版会社書物の中から三種類を採択委員選考してもらって、これを文書によって答申するということに協議が成り立ったのであります。その採択委員校長先生の団体の推薦によりまして私が委嘱したのであります。三八の各科採択委員は、杵島郡を三つに分けまして、武雄地区江北地区白石地区から各科担当者推薦を受けたのであります。この問題は、私が終始担当するということはよろしくないということで、委員長を作りまして、前田という元高等女学校校長先生を、長くしていて堪能な人が幸い杵島地区連絡協議会の副会長であります関係上、前田委員委員長推薦いたしまして、各地区あるいはいろいろの面に検討してもらったのであります。さようなわけで、その基本において選考委員採択委員とはっきりとここに採択についての機関ができたのであります。
  43. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたは事実を取り扱っており、われわれは扱っていませんからはっきりしませんが、採択委員会選考委員会とが地教委連結協議会の中にできたわけですね。そこで、その権限一つ毛利君述べて下さい。
  44. 毛利源三

    毛利証人 連絡協議会メンバーは今申し上げたようでありますが、その中の選考会議最後仕上げをするというのが目的であります。採択委員はそれぞれの知識層先生が三名、各科採択についての選考をされまして、文書答申をするということになりました。その答申をするにつきましては、順位はつけてならないということがはっきりと申し渡され、承認を受けておるのであります。さようなわけで、文書答申されましたものを選考委員会現物とにらみ合せまして十分検討の結果、いよいよ最後決定を見たのであります。
  45. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、採択委員会採択したものを、最後決定権選考委員会にあって、これがきめるという組織ですか。
  46. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  47. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、採択委員会で選定採択した教科書推薦順位選考委員会で変更したような事実はありますか。
  48. 毛利源三

    毛利証人 採択委員は、今申し上げました通りに、三種目を検討いたしまして、そうして文書で、この一種書物はこうである、二種書物はこうである、三種書物はこうであるという意見を付して選考委員会に回送されたのであります。その文書教科書現物をにらみ合せまして検討の結果、最後仕上げをしたということになります。それについて一言つけ加えておきますが、選考委員会教育委員会の全部の意思をただその組織決定したのだということになりますが、これは武雄教育委員会杵島地区教育委員会におきまして選考委員会教科書採択については一任するという了承のもとに承認を受けたわけであります。
  49. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、採択委員会推薦した順位選考委員会で変更したことがあるというように受け取ってよろしゅうございますか。
  50. 毛利源三

    毛利証人 よろしゅうございます。
  51. 高木松吉

    高木委員長代理 そういう事実がありますれば、採択委員会推薦した教科書について、教科書別発行所別推薦順位及び推薦理由等についてお述べになっていただきたいと思います。変更した分だけでよろしゅうございます。
  52. 毛利源三

    毛利証人 もう一つそれにつけ加えたいと思います。今のは採択委員会というわけじゃありません。採択委員というものは一科目に三名ずつであって、全科目に五十何名私が委嘱しております。しかしながら、選考委員会は、教育委員会が私ども採択について権限を一任されたのでありますから、最後決定権というのは私どもにあるのでありまして、採択委員の人は文書意見を述べられるということにとどまっておるわけであります。
  53. 高木松吉

    高木委員長代理 わかりました。そうすると、採択は、委員会にあらずして、委員個別々々が意見を述べて、選考委員会でこれを決定するということになるわけですね。
  54. 毛利源三

    毛利証人 そうでございます。
  55. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、採択委員の人が主張された推薦順位選考委員会で変更した事実はありますか。
  56. 毛利源三

    毛利証人 あります。
  57. 高木松吉

    高木委員長代理 その変更した事実についてお述べになって下さい。
  58. 毛利源三

    毛利証人 ここに採択委員文書答申されましたものがありますが、問題になっておるのは順位だということでありますが、順位は初めからないということをはっきり承認を受けておるにかかわらず、順位をつけておるのもあります。しかし、順位をつけてないのが多数であります。そういうわけですから、あらかじめその点を御了承願っておかぬといけません。文書答申現物とにらみ合せまして十分事訳いたしました結果、国語採択委員希望に沿わなかったという点がここに一つあるわけであります。それから理科の方もそうなっております。習字もそうなっております。社会の方にも一つあったようでありますが、社会最後はほとんど全般的に取り上げられたというふうに答申書ではなっております。これは、われわれが出しましたひな形にも順位はつけておりません。  しかし、国語理科習字、地図という面については、採択委員答申に対して選考委員会で、もし言われるとすれば、その順位とっていないというところに一つの問題があると思いますけれども、われわれは、順位をつけてない、三つのうちから自由に選考することができるという原則のもとに選考したのであります。
  59. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、あなたの御説明を整理する上に質問いたしますが、選考委員採択委員に委嘱するときに、三極なら三極はいいが、それに対して第一、第二、第三という順位をつけることは全然委嘱してなかったと受け取っていいわけですね。
  60. 毛利源三

    毛利証人 そうでございます。
  61. 高木松吉

    高木委員長代理 採択委員推薦順位を変更して選考委員会最後決定をしたのに対して、いわゆる杵島郡及び武雄市の地教委連絡協議会――先ほどあなたの説明された内容の会は、採択委員佐賀県の教職員組合等より抗議を申し述べられたことがありましたら、その間の事情を詳細にお述べになっていただきたいと思います。
  62. 毛利源三

    毛利証人 今の方式で選考決定をいたしたわけであります。そういたしますと、その間にいろいろ問題があったかとも思いますが、佐教組より私のところに訪問いただきましたが、ちょうどその日は婦人会理事会があったので、山内村の東小学校校長室で会見したのであります。そのときに・きょうば何か御用ですかと質問いたしましたときに、教科書採択についでの公開状を私に突きつけられたのであります。それで、私は、平素地教委教組すなわち先生方組合とは仲よくせねばいかぬという感じを持っておったのでありまするから、笑って、公開状というがそれはどうもふに落ちぬ、お前先生だが、先生礼儀を知っているか、礼儀を知っておるならば、こういうことば失礼じゃないかと言った。それから、公開状を突きつけたが法的に何かあるかと言ったら、法的には何もありません-。しからば僕はこれを受け取る理由はないと言うて拒絶したのであります。そのときに、実は礼を欠くことはまことに相済まぬであったが、あなたに面会する機会がなかったので、採択の期日が接近したためについにこういう態度に出たということであったのであります。あとでこの問題については十分おれも検討するからというわけで、笑ってその公開状は返したわけであります。それが第一回の教組よりの申し入れであります。第二には、七月の二十三日に、杵島武雄地区の問題は杵島武雄地区で解決するのが非常に穏便でいいじゃないかというようなことから、私、非公式に、私の小学校の養護室に、教育事務所の所長並びに主事、こういう県教育委員会の指導助言の地位にあられる方と、それから武雄市、杵島地区校長会長の方、並びに文化会の方、並びに杵島地区武雄市の教組の部長、副部長、事務所長並びに問題の起っております小学校国語採択委員の方をお招きして、意見の交換をはかって、できることならば円満に解決しようじゃないかという方式で私は案内したところが、みなふるっておいでいただいたのであります。幸いに、その国語採択についての採択委員意見も、そこにたくさんな頭数の人の意見も、いろいろ話し合って、いろいろ意思の疎通を欠いたこともあるだろうが、本年はこの程度でやろうという話がつきつつあったのであります。そのときに、杵島教組部長に佐教組より電話がありまして、国語採択カードの件のまとめる期日は七月二十五日であるけれども、八月二十日までいいということであるから、きょうのその会合は考慮せよという電話がかかったのであります。ゆえに、ついにせっかく円満に解決せんとするときにこれがおじゃんになったということは、私はまことに遺憾に思いましたけれども、そのときも、笑って、問題は問題として今後善処しようということでその場は解散したのであります。第三には、われわれがその組織教科書決定いたしましても、単位教育委員会においてこれを承認を受けなければ事実にならないのであります。ゆえに、これが各単位教育委員会の了承を得て採択カードが七月二十五日には一つも異議もなく県に送付されるのであります。さようなわけでありまするから、私、七月二十七日に、今の選考委員全部、校長会代表、文化会代表並びに採択委員五十余者、その上にさらに杵島地区の教育事務所長並びに補佐、武雄市の事務主事、そういう方々をお招きして反省会を開いたのであります。帯さんが非常に御苦労をいただいて、いろいろの問題もありましたろうが、ほんとうに今回という今回は、私初めて杵島地区の問題を取り上げてこの選考委員会にかけたわけでありますが、最善を尽したつもりであったけれども、まことに意に沿わなかった点も多々あると思いまして恐縮でありますが、きょうは反省会をして、十分採択委員意見を述べられ、選考委員意見を述べて、なごやかにこのへ会を終了しようではないかという私の感謝のあいさつも申し上げたのであります。いよいよ前田委員長が委員長席に着きまして、採択方法内容を、両方意見交換いたしたのであります。そのときに、採択委員よりは、内容においては大同小異であるが、小学校国語の製本についてまことにずさんである、これは非常に生徒、父兄が困るのであるが、この点をという意見がございました。しかし、それにつきましては、ここで差しはさみますが、前に武雄小学校に杵島地区学校保健会の総会を開いておりましたが、たまたま私が来ておるということがわかりまして、校長より国語社会習字、そういう採択委員の方に連絡をとりましておいでいただいたのであります。そこで、私面会いたしまして、実は私ども国語採択についてはどういうわけでわれわれのをとってもらわなかったかということを私どもは心配してお尋ねしたい、こういう話でございました。内容については一切私は委員長におまかせをしておるからはっきりと答弁はできぬが、ただいま内容においては大同小異というお話もあるし、これは真の内容についてはもう一度納得するだけに前田委員長に面会して、明年度の採択の参考にもなるから、一つ会いなさい、しかし梨木についてはあなた方と同じように私は非常に心配したのだ、ということは、昨日決定をしたが、昨夜ある方面から私のところに夕方たずねられて、先生ちょっとお目にかかりたい、今度学図の小学校の国語採択なさりましたが、こういうように製本がばらばらしておりまするが、これは御存じありませんかと言うてある人が持ってきた、こう言って私は話をしたのですが、そういうわけで、そのときも、君はどういう関係があるんだと言ったら、実は現在生協の書籍の販売店をしておる何がしであります。そうですが、あなたの本を採択せよという意味であるか、いやそうじゃありません、ただ私は心配のあまり御注意申し上げたいと思って持ってきましたと言うて、現物を見たんでありますが、私は非常に心配いたしました。こういうばらばらの製本ではこれはまことに申しわけないということで、その晩さっそく緊急選考委員会を翌日招集したのであります。私、ちょうどその日は佐賀教育委員会に県の連絡協議会を招集しておったのでありますので、どうしても午後二時くらいにしか帰られないから、それまで十分選定委員会は研究をしろということで佐賀市に参りました。佐賀市の方で佐賀県の七市八郡の代表者である佐賀地方教委連絡協議会方々のこの採択に対する処理、意見採択方法一切を拝聴いたしましたが、他郡市は円満にいっておったのであります。ところが、たまたま県教育委員会地方教育委員会、いわゆる県地の連絡協議会を急に開きたいということであったので、ついにその方に参りまして、ようやく午後四時に汽車に間に合いまして、五時過ぎに武雄のこの選考委員会に出席したのであります。だいぶ検討されましたが、私に報告がありまして、あの製本については現物もここにある、一年から六年まである、これをいろいろやってみるけれども、そういうばらばらのものはないということで、私は初めて安心いたしまして、それでは内容についても大同小異ということであり、製本についても今のようであれば、国語採択はこれでいいかということを諮りましたところが、よろしいということで再確認をしたわけであります。
  63. 高木松吉

    高木委員長代理 大体終りましたが、今の製本が不完全だというのはどこの会社のものですか。
  64. 毛利源三

    毛利証人 学図出版会社ではないかと思います。
  65. 高木松吉

    高木委員長代理 すると、念を押しておきたいところが二、三カ所ありますから、念を押しておきますが、杵島武雄市の教育委員会連絡協議会というのは教科書選定のためにできた会ですね。
  66. 毛利源三

    毛利証人 そうです。
  67. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、その会の中に、――中にというとどういうふうにあなたの方で受け取るかわからぬが、前田氏が委員長になっておる選考委員会というものができておるわけですね。間違いありませんね。
  68. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  69. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、その選考委員会選考方法として採択委員というものを委嘱してあったわけですね。
  70. 毛利源三

    毛利証人 はい、そうです。
  71. 高木松吉

    高木委員長代理 その採択委員採択を委嘱されたものに対し順位をつけることは委嘱してなかったということですね。間違いありませんか。
  72. 毛利源三

    毛利証人 間違いありません。
  73. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは委員長よりの難問は一応これで終りました。  発言はおおじね三十分程度にお願いしたいと思います。三田村武夫君。
  74. 三田村武夫

    三田委員 ただいま委員長のお尋ねに対する御答弁で大体わかりましたが、二、三さらにお尋ねをいたしたいと思います。実は、先般私たち行政監察特別安員会の一行六名が佐賀県に出かけましたが、その際証人にもお会いして詳しく事情をお伺いたしたいと思っておったのでありますが、その機会がなく、はなはだ残念に思っておったところ、今日おいでを願いましたから、お尋ねするのであります。  第一にお尋ねいたしますが、証人は、佐賀県における教育関係と申しますか、たとえば県の教育委員会の問題とか、あるいは教育行政、さらに具体的な教科書の問題、そういう問題に長く御関係になっておられますか。
  75. 毛利源三

    毛利証人 お答えします。地教委が発足いたしました一昨々年の十一月に私単位教育委員会委員になりました。その当時は武雄市はありません。杵島地教委連絡協議会長をいたしました。ピラミッド式に県の地教委連絡協議会長をいたしますとともに、全国地教委連絡協議会協議員をしておりました。
  76. 三田村武夫

    三田委員 そうすると、一昨々年地教委発足以来教育問題には直接御関係になっておるのでありますね。ただ杵島郡だけでなく、佐賀県全体の教育問題、さらに全国のいろいろな協議会協議員、こういうわけですね。
  77. 毛利源三

    毛利証人 そうです。
  78. 三田村武夫

    三田委員 続いて伺いますが、そういたしますと、佐賀県下における教科書問題については、現在も、さらに従来の扱いについても、相当詳しく御承知のことと了承して差しつかえありませんか。
  79. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  80. 三田村武夫

    三田委員 そこで、ただいま委員長からお尋ねになりましたことの復習になるかもしれませんが、問題になっております杵島郡、武雄市の採択に関する順位の点、それをさらに明白にするためにもう一度お尋ねいたしますが、この三十一年度の教科書採択に関してできました機関は、今お述べになりました教科書の選択に関する権限を委嘱されて新しくできたものでございますね。これは県の教育委員会の委嘱によるのですか。
  81. 毛利源三

    毛利証人 教科書採択権は単位教育委員会権限なのであります。しかし、運営面について便利であるというところから、今委員長に報告申し上げました通りの組織において教科書採択決定の順序をとりまして、そしてこれを各単位教育委員会に持ち帰りまして、その教育委員会決定したわけであります。そういうわけで、県の教育委員会は全く関係はありません。
  82. 三田村武夫

    三田委員 今証人がお述べになりましたように、教科書採択権限教育委員会にある。従って、今証人委員長質問に対して教科書採択事項を委嘱されてこういう協議会を作ったと御答弁になりましたからお尋ねしたのです。どこから委嘱されたのか、県の教育委員会からの委嘱なら、今証人の述べられたように、事実上の問題は別ですが、法的根拠が薄弱だと思います。単位地教委教育委員会が大体採択権を持っておるのですから、それからの委嘱という形式になっているのですか、その点を念のためにもう一度お尋ねいたします。
  83. 毛利源三

    毛利証人 その地方教育委員会は、運営面を円滑にするために、各単位教育委員会を代表いたしまして、郡の連絡協議会というのを作っておるわけであります。その郡の連絡協議会からまた代表が佐貫県地方教育委員会連絡協議会というのを作っておるわけであります。なおまた、県の代表として全国の地教委連絡協議会組織してお-る。こういう組織になっておるわけであります。今お尋ねの委嘱ということは、杵島地方教育委員会連絡協議会並びに武雄教育委員会から、教科書に対して選定権を一任されたわけであります。
  84. 三田村武夫

    三田委員 わかりました。そこでお尋ねいたしたいのですが、今証人の述べられた協議会は、三十一年度の教科書採択、さらにその前提となる選考のために特に設けられた機関ですね。
  85. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  86. 三田村武夫

    三田委員 そうすると、証人が先ほど申されたように、佐賀県下における教育行政については相当深い御関係をお持ちのようでありますし、従いまして、従来の教科書採択に関する方式とか内容についても御存じのはずだと思いますが、従来はどういう形において採択されておったのでしょうか。特に三十一年度に限って、今回に限ってこういう機関を必要とする何らかの事情があったのでしょうか。その点、御承知の点をありのままにお述べ願いたいと思います。
  87. 毛利源三

    毛利証人 私どもの県の連絡協議会といたしましては、教科書問題につきまして、委員長に報告申し上げました理由で、本年はよく審査すべしということで審査したわけでありますが、私はこういう持論をとるわけであります。教育は県教育委員会地方教育委員会と意思の疎通、握手のもとに教育の体制ができる、もしその教育方針に盲点がありましたならば、外郭団体の教組と県のPTA連合会の援助によって目的を達するという持論は、今も変っておりません。しかしながら教科書問題につきましてはいろいろ巷間耳にせぬこともないのでありますが、これは私どもがタッチする立場でない。ただ、われわれが選考を正式に厳格にするほかにはないという信念については今日も変っていないのであります。しかしながら、今お尋ねの問題に対して、昨年も、これは郡市の代表の報告によりますと、束松浦郡、西松浦郡ではこういう採択をしたけれども、ついにわれわれの所期の目的を達せられなかったというようなことはよく聞いておるわけであります。その内容につきましてはわれわれはタッチする限りでないのでありますので、そういうことがもし事実あるとするならば本年こそ厳格なる教科書の選定をやらなければならぬという申し合せをわれわれ県の連絡協議会でいたしまして、本年はやったわけであります。内容につきましてはこの程度でとどめておいていただきたいと思います。
  88. 三田村武夫

    三田委員 大体に了承できるのでありますが、そうすると、内容の御説明はともかくとして、従来教科書採択にからんでとかくのうわさもあったのである、だから地方教育委員会連絡協議会会長としても、また県教育委員会としても、一つ今年は厳格にやろうということでできたように了承するのでありますが、これは杵島郡、武雄市だけでありますか、佐賀県全体にこういう機関ができたのですか。
  89. 毛利源三

    毛利証人 先刻報告いたしました通り、佐賀地教委連絡協議会においては、三十一年度の教科書に対しては、PTAや一般の非難もない厳格なる査定をして決定しようではないかという申し合せをいたしましたが、はからずも仏の地元郡市にこの問題が起ったということはまことに遺憾にたえなかったのであります。しかし、私は、選考委員会採択委員という二つの見方から検討いたしまして厳格にやったつもりであったのでありますが、たまたま問題を惹起しましたことは、私いかにも残念に存ずるわけであります。
  90. 三田村武夫

    三田委員 そういうお尋ねではなかったので、採択に関して、特に三十一年度の教科書採択に関して厳重な建前をとるために、こういう連絡協議会をお作りになったようでありますが、これは杵島郡、武雄市だけか、佐賀県全体にこういう建前をとられたかということをお尋ねしているのです。
  91. 毛利源三

    毛利証人 今のお尋ねでありますが、七市八郡ともに同様な形において同様な方式で選定いたしました。
  92. 三田村武夫

    三田委員 先ほど証人選考内容についてお述べになりましたが、証人の名によって依嘱されました採択委員は一科目に三名と言われましたね。一科目に三名というのは、たとえば理科あるいは国語、こういう科目別に三名ずつですか。
  93. 毛利源三

    毛利証人 教科書各科目がありますが、各科目ともに三名、しかも地区も別に分けまして、そうして私が依嘱したわけであります。
  94. 三田村武夫

    三田委員 その依嘱されるときの協議会の意思としては、先ほどお述べになりましたように、一科目について三種難ずつ選考して、順位をつけないで出してもらいたい、こういう御趣旨のようでありました。その通り伺いましたが、私は率直に証人にお尋ねいたしたいことは、そういう形で出たものなら、証人が御説明になられたような形でこの機関ができ、そういう趣旨で証人から依嘱されて、採択委員三名の人が一科目について順位をつけず三種類ずつ委員会文書で出されたということでありますから、こういうトラブルは起るはずがない。卒直にお尋ねいたしたいことは、従来の採択方式、つまり、それは形はともかくといたしまして、従来はいわゆる科目主任、教科主任と申しますか、実際の採択権を持っているそういう人々による採択委員会といいますか、形式に関してはだれが依嘱するのか知りませんが、そういうところに実質的な採択権があったのじゃないですか。つまり、ここに依嘱された三名の採択委員は従来の権限を侵されたような気持になられたのではないかという気がするのです。最も端的な言い方をすると、屋上屋を架せられて、自分たちの権限の上にもう一つ機関ができて、そこでよけいな干渉をしたのだというような感じが、お話を伺っているとするのです。私は従来の採択方式のお尋ねをしておる。これは最終にお尋ねすることに関連するのでありますから、念を押してお尋ねをするのでありますが、そういうことじゃないのでしょうか。つまり、採択委員というものは、その採択委員決定したものが従来そのまま全部採択されておった。採択委員ばこれは大体学校の先生ですね。そういう格好で採択されておった。今度別の機関ができて、せっかく採択委員先生方が出されたものに変更があったというところにトラブルの原因があったのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  95. 毛利源三

    毛利証人 ただいまのお尋ね、採択委員採択すれば決するという観念があったかどうかというお尋ねでありますが、これは西松浦郡の例でありますが、採択委員採択に対して校長会がこれを否定して訂正したという前例があるわけであります。そういうことでありますから、私の郡といたしましては、採択委員採択したものを絶対的にとらなければならぬという前例はないようでありますが、杵島郡といたしましても、最後仕上げ校長会採択決定して委員会の方に申し出て、昨年も一昨年もやっておるわけであります。その点はないと思います。  最後につけ加えて申し上げます土が、順位の問題が新聞その他に出ますので申し上げます。もし採択委員が、一、二、三と、こうありまして、順序で採択するように答申いたしますならは、必ず一番上のが一位のわけであります。ところが、国語のごときは、一、二、三とあるものを、まん中を三とつけて採択委員答申しております。その点も実に順位がおかしいというわけであります。こういうことでありますから、われわれは順位は絶対につけておりませんので、ここへ配付いたしましたものを持って参っておりますが、その点をあわせ二、御報告申し上げておきます。
  96. 三田村武夫

    三田委員 先般佐賀県の現地調査におじやましたときに、この話は伺ったのであります。意味はよくわからないのですが、何か採択委員の方から一、二、三と順位をつけて出した。ところが、一、二をとらないで三をとったり、二をとったりしておる。そこに異論があったようであります。具体的に申し上げますが、第一位には問題になった二葉の教科書が入っておる。それが協議会の方では落ちておる。こういうことなのであります。ただそれだけのことでありますが、それだけのことでは済まされない別の資料がある。どういうことかと申しますと、従来佐賀県では学校生活協同組合が中心になって教科書の取次、特約、配給をしてきたのであります。表を見ますと、佐賀県に関する限り二葉の教科書が圧倒的に多い。他の県から比較してみても、小学校の教科書によると、二葉が佐賀は七〇%、福岡では一〇%、長崎では一六%、熊本は一〇%、鹿児島は一四%、宮崎は一一%というような状態で、佐賀が圧倒的に多い。これは一種類だけでなくてずっとそういう関係になっている。そこに私たちが疑惑の目でこの問題を見なければならない問題が出てくるのです。あなたの方で委嘱された場合には、別段順位をつけよとは何も言われなかった。逆に、順位はつけてはいけない、それは了承の上で出されたもので、それをそのまますなおにやられた場合には文句のありようがないと思うのです。ただいま証人は、採択委員会がきめたものでも校長会で変更したこともあるのたという御説明であります。それは佐賀県だけでなくて、全国至るところにある例であります。従って、このこと自体が問題になり、佐賀教組から証人が抗議を受けられたり、あるいはこれが問題として新聞で騒がれたりする理由は何もないと思う。どういうわけでそういうことになろか、それがわれわれにはわからぬ。証人はその点どういうふうにお考えになっておりますか。事情は御存じだと思うのです。私はこう思うのです。端的に申しますが、佐賀県の県教組、それと不離一体と一言うことはまずいかもわかりませんが、学校生活協同組合というものがあります。これによって従来特約も取次も配給もやっておったのであります。そして圧倒的な採択率を持っているのが二葉で、ほとんど全県下圧倒的な数字をあげております。たまたまあなたの方の協議会採択されたときに、二つとも二葉が落ちている。そこに問題があるような気がするのですが、その点はどうですか。
  97. 毛利源三

    毛利証人 私もただいまの御意見に対しては、疑問は持っておるわけでありますが、その事実は、内容は存じません。ただ、国語採択に対して、採択委員が一、二、三とこうして答申しておる中に、最後順位を一、二、三と学図を三にしたというところに、私どもはその点については疑義を持っておるわけでありますが、内容につきましては私よく存じません。この疑義を持っておるということは、私ども、事実であります。
  98. 三田村武夫

    三田委員 私がこの小さな問題ともいうべき事案をここでくどくお尋ねするのは、単に私ども調査に行ったときに耳にしたことだけではないのであります。すでにこの問題は公正取引委員会から独禁法に抵触するという建前で二度まで警告が発せられておる。佐賀県の学校生活協同組合なる財閥によって、教科書の特約、取次、配給が一手に行われておる。他の出版会社教科書を排除して、圧倒的に特定少数の佐賀県学校生活協同組合と関連のある会社の教科書採択されているという事実がある。その事実に基いて公正取引委員会は二度まで警告を発しておる。そこに問題点があるのでありますから、私は、この機会に、先ほども述べられたように、証人は相当久しきにわたって佐賀県全体の教育問題に御関係があり、事情をよく御存じのはずでありますから、現地の方の、しかも御経験のある方の御意見として伺っておきたいのであります。その点はどうでしょうか。私は奥歯にもののはさまったよろな言い方でお尋ねするのではなくて、そのことずばり率直にお尋ねするのであります。そういう問題の真実を発見するためにこの委員会調査を行なっているのでありますから、重ねてお尋ねいたしますが、従来学生協の取り扱って参りました教科書の特約、配給、これはあとからも別の証人にお尋ねいたしますが、それと関連して、今度のトラブルは別な意味でなくて、そのことの意味を率直に表現したような、ここに現わしたような気がするのですが、証人はどのようにお感じになりましようか。
  99. 毛利源三

    毛利証人 私の立場は、教育に対して、教育基本法の中正という立場から出ておりますので、もし行き過ぎたということがありますれば、できるだけ是正する立場であります。教育面と行政面と違うことでありますから、そういうところを私が申し上げるということは権限外じゃないかとも思いますから、行監委の方が御調査になりますれば、それが事実でありまして、私どもとしては、そういう面にタッチするだけの権限はないというところで御了承願っておきたい。  繰り返して申し述べます。私どもは常に厳正公平にやらなくちゃならぬという建前を今回は堅持したために、かくのごとく教科書選定につきましては厳格にいたしましたものの、今のようなことが起りましたということは、ますます私どもに対してはその疑惑を深うしておるということだけは申し上げて差しつかえない、こう思うのであります。
  100. 三田村武夫

    三田委員 私別に証人証言を強要するわけでも何でもありませんが、先ほど同轍にお尋ねいたしました、ように、佐賀県の教育問題、教科書問題には直接責任のある立場におられるようでありますし、さらに従来教科書採択に関してとかくのうわさもあったんだから、今回は特に厳選をするためにこういう機関を設けたんだという証人の御説明であります。そうしてせっかく厳重に公正に公平におやりになった結果が、こういうトラブルを生んでおるということに私たちは解けがたい問題点を残しておるわけであります。それで、その事実は何か。それは、別な資料によって考えますならば、二葉が落ちておったということ、その二葉は従来佐賀県では圧倒的な採択率を持っておる、ここに問題点があるのではないかということを感じますのでお尋ねしたようなわけであります。  これ以上この問題について追及いたしませんが、念のためにもう一点伺っておきます。先ほど委員長のお尋ねに対してお答えになっておりましたが、証人はあの教科書採択問題について抗議か非難か、あるいは訂正の要求を受けられましたね。――証人は、あなたの方の機関で採択順位を変更したことに関して、抗議か、あるいはさらに変更の要求かを受けられましたね。
  101. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  102. 三田村武夫

    三田委員 そのことについて、これは現在と将来の問題でありますが、どういうふうにお考えになっておりますか。私は、先ほど冒頭に井手委員からの御発言もありましたから、現在及び将来における証人立場を十分考慮してお尋ねするのであります。同時にまた、せっかくここにおいで願って教科書問題の真実発見のために御証言を願うのでありますから、意義あらしめるべく私はお尋ねしたいのであります。あの問題のためにわざわざおいで願ったが、何のことだかわけのわからぬことでは、委員会の責任も果せないのであります。でありますから、その点は一つ十分証人の従来の御経験と権威と見識の上に立って、どのようにあの問題をお考えになるかを伺い、また将来の問題について証人自身のお考えを伺っておきたいのであります。
  103. 毛利源三

    毛利証人 お答えをする前にもう少し話しておきますることが、結論を得られやせぬかと思うのであります。  委員長に報告しました二十七日の反省会の席へ教組より幹部三名が私をたずねて参ったのであります。その反省会の席に出席したいという要望があったのでありますけれども、私はそれは許可しませんでした。ようやくなごやかに将来の打ち合せもいたして反省会が解決したのであります。別席でいろいろ懇談いたしましたが、三時間くらい、いろいろの点から話し合ったのであります。それは一々ごもっともであるが、私御意見のところは十分に聞きおくことにいたします。しかしながら、反省会においても、将来校長の希望あるいは採択委員希望十分検討してやるということであるから、あなたはその報告を聞きたいというためにおいでになったのであろうから……、そのためだ、それならば今の通り報告いたしますということでお分れいたしましたところが、声明書が出まして、われわれが何か疑惑のあるような声明書が出たのであります。これはまことにわれわれ教育に携わる者は遺憾であります。しかしながら、先申し上げました通り、親子の間柄にあることでありまするから、われわれはそれに対する弁明は――十分考慮しておこうというわけで、声明書に対する反駁声明をしなかったということを申し上げておきます。  ところが、ここに教組の新聞が出ております。この佐賀県教育新聞の中に、ただいまの御輿岡の点がついておるわけであります。われわれが公開状をついに取り上げたことは、今回の赤字県財政その他に関係していろいろ感情を害することがあるか広しれぬから、この程度にとどめるというようなことが書いてあるわけであります。私どもは決して感情で教育行政をするわけじゃありません。教育の行き過ぎは是正し、教育の本分を教育基本法の方針にのっとって進めていくという建前でありまするから、先刻井手委員さんがおっしゃった通り、いろいろのことがあったということでありますが、あの問題も絶対にさようなことはないのであります。さようなことで、この問題はこの問題として、ある程度意見の相違はあったにしましても、人事問題あるいはその他の問題で感情的に地教委が動くごとくこれを報道するということは実に危険千万である、さようなことは絶対にないということを申し上げておきたい、こう思います。
  104. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君に申し上げます。申し合せ時間が経過しておりまするから、簡略にお願いをいたします。
  105. 三田村武夫

    三田委員 終りました。
  106. 高木松吉

    高木委員長代理 辻原弘市君。
  107. 辻原弘市

    ○辻原委員 だんだんとあなたの御証言をお伺いしたのでありますが、お尋ねをいたす前に、先ほどからの御証言の中に若干はっきりいたさない点がありますので、最初にそれをお伺いいたしたいと思います。  委員長から再三再四お尋ねのありました地教委連絡協議会なるものでありまするけれども、あなたのお話によっても、またあなたが冒頭に証書されました経歴の中にもありましたごとく、連絡協議会というのは、私どもの従来の常識でも、またあなたのお話でも、常置機関のように心得るのでありますが、あなたは、この機関は教科”の採択のためにのみ設けられた、こういう御証言であります。その点が誤まりがないかどうか。ここで、私は、あるいはあなたの証言はこうではないかと思うのであります。武雄市と杵島郡と合体した連絡協議会教科書採択のために設けられたのだ、そういう意味ですか、どちらですか。その点をはっきりしておいていただきたい。これは私のあとの質問に若干関係があります。
  108. 毛利源三

    毛利証人 ただいま御質問の通りであります。
  109. 辻原弘市

    ○辻原委員 だから、杵島連結協議会というのは常置機関として存在するわけですね。
  110. 毛利源三

    毛利証人 はい。
  111. 辻原弘市

    ○辻原委員 わかりました。  次に、やはり同様のはっきりいたさない点でありますが、採択委員会選考委員会との関係であります。あなたの御証言によりますると、採択委員会がその権限選考委員会にまかして、教科書決定については選考委員会がこれをやるのだ、こういうお話でありましたが、その通りでございましょうか。
  112. 毛利源三

    毛利証人 先申しました通り、私ども選考委員会杵島武雄地区教育委員会から委嘱を受けてなったのであります。採択委員は――委員会でございません。採択委員は、校長の団体の御推薦によりまして、私が委嘱したのでございます。
  113. 辻原弘市

    ○辻原委員 速記録にあると思うのでありますが、先ほどあなたの御証言の中に、採択委員もその、決定については選考委員会にすべてをゆだねておる、こういう御証言があったわけでありますが、普通私どもが常識的に考えますると、ちょっと委員会委員かわかりませんが、ともかく選考委員会というものは、その構成を見ましても、そう大した御人数でもありませんし、行政的な立場にあられる方々が多く入っておられるように思う。そういう点から、実際の採択については、この採択委員にそれぞれの専門的な分野をおまかせして、いわゆる諮問機関として、その答申を待ってやるという形式ではないかと、こう考えておったのでありますが、先ほどからだんだんとお話を聞きますと、どうも、その採択委員会あるいは採択委員というのは、何の仕事をどういう立場でやっておるのか、はなはだ不明瞭でありまして、そういう点で、あなた方は最初に委嘱した、あなた自身が委嘱されたというのでありますが、どういうつもりで、どういう仕事をやってもらうために委嘱されたのか、その点をはっきりしておいていただきたいと思います。
  114. 毛利源三

    毛利証人 根本から法的に申しますと、教科書採択権限単位教育委員会にあるわけであります。しかしながら、われわれ運営面から、今組織を作っております。その組織によって教科書採択の正鵠を期する意味において選考委員会ができております。選考委員会は、教科書選考の正鵠を期するべく、一教科に対して地区別に三人を校長団体より御推薦をお願いしたわけであります。
  115. 辻原弘市

    ○辻原委員 それはわかっておりますが、その採択委員には具体的に何をやってもらうつもりだったかということです。
  116. 毛利源三

    毛利証人 国語国語、数学は数学という、その方面の知識をわれわれが集中してその採択に対する最善を期する意味において採択委員を委嘱して、そして、委嘱された方々は、ある期間の間、その科目について、それから出版会社がたくさんありますけれども、そのうちの三種類を目標として検討されて、書類によって選考委員会に御意見を申し上げられたのが、この文書答申されたということになるわけであります。ゆえに、その答申されましたこの答申書によって、選考委員会現物とにらみ合わして、これならばよかろうというところに検討して決定したわけでございます。
  117. 辻原弘市

    ○辻原委員 それは順当だろうと思うのでありますが、そういたしますと、実際教科書採択ということは、これはやはり内容検討にあるわけでありまして、あなた方が採択委員にその内容検討をゆだねて、専門的な立場かからその知識を集中して最低三種類を選んでもらいたいという委嘱をされたことになっておる。そういたしますと、選考委員会決定はするが、事実その最も重要な仕事である内容検討ということについては、選考委員会はそれ、それ専門的な立場でおやりになるということはなかったわけですね。それはどうですか。
  118. 毛利源三

    毛利証人 組織が、教育長並びに県の指導助言の立場方々、あるいは委員の中には国語の専門の方々がたくさんいらっしゃいます。そういう方々が真に検討され、並びに幸いに私の郡には教育研修部員というものを作っております。そういう方々選考委員となっておられますので、ただいまお尋ねの小学校の国語先生方御三人さんの選考されましたことがたまたま問題になっておるので、なお一そうこの面については検討されたのであります。それで、結局のところは、内容については国語は大同小異である、ただ製本についていかがわしいということが、国語採択委員選考委員との間の意見相違に決着なったのであります。
  119. 辻原弘市

    ○辻原委員 選考委員会国語の専門家もいるし、また、研修部員というのは、私の把握とちょっと違いますが、この中に研修部員も二、三おるので、そういう方々の御意見によってきめたということになるわけですか。その中に国語の専門家が何人いらっしゃって、研修部員がそれに何人参画されたか。もう一点、今あなたの御証言の中には、最終的には現物をもにらみ合して決定されたと言われるが、現物を果してにらみ合されたかどうか、その点も重要な点でありまするから、御証言願いたいと思います。
  120. 毛利源三

    毛利証人 決定する組織が、選考委員会教育委員会が一任をしておるということでありますから、その点ははっきりと御了承願います。採択委員は私が委嘱したというわけであります。そういうわけでありますから、この教科書決定しますところの便法として採択委員を委嘱したわけでありますから、最後決定権選考委員会にあるということだけは御了承願いたいと思います。
  121. 辻原弘市

    ○辻原委員 私はそういうことを尋ねているのじゃない。そのととは百も承知です。そういう立場でやったということがいいか悪いかは別だが、その点は先ほどからのあなたのお話で承知いたしております。問題は、あなたが採択委員を委嘱されたということは、あなたの御証言によって、専門的な知識によって内容検討してもらい、その意見によって行政的な立場にある方々の寄った選考委員会はこれを決定することにしているんだ、こうおっしゃいましたので、そこで、それでは選考委員会は専門的な検討をどういう杉にやったのかということが一つ疑問に出てくるし、また、その性格から見て専門的な検討は無理じゃなかろうか、こういう私個人の意見でありますが、そういうお尋ねをした。ところが、選考委員会の中にもそういう専門家がいらっしゃる、その人たりの意見によってきめたのである、こう言われましたから、そういたしますと、そこできめられる範囲のものであるならば、あえて採択委員に委嘱するまでの必要もなかろう、選考委員会の中でそういう人たちがすればいいじゃないか、こう考えられるので、一体その選考委員会の中でどの程度の専門家がおったのか、あなたが国語の専門家がいらっしゃるとおっしゃいましたから、一体国語の専門家が選考委員の中にどの程度いらっしゃったか、何人おったかというような点を一応明らかにしておいていただければ、あとの私の質問に非常に参考になりますので、その点をお尋ねいたしたいのと、いま一つは、先ほどあなたは、最終的に選考委員会でそういう決定をする場合にも、やはり重大な問題であるから、現物とにらみ合して、そしてこれをやった、こういう話がありましたので、実際それぞれの現物を手にとられてその最終決定をやられたのかという点を、仏はお伺いをしているのであります。簡単に一つお答えを願いたいと思います。
  122. 毛利源三

    毛利証人 ただいまの御質問でございますが、小。中学校教科書は各種ありますので、それぞれ専門家が選考委員になることはとうてい不可能と思います。しかしながら、たまたま国語科が大きな問題として取り上げられましたので、なおこの点について検討いたしたのでありますが、ことに委員長国語の専門の先生でもあったし、この曲について僕が委員長である以上は十分検討せんければいけないというところから、今日杵島地区では八カ町村の小学校がこの学図の国語採択して本年までずっとやっておるわけであります。それを担当するところの教育長がこの選考委員であります。ゆえに、何か問題はなかったか、意見がありはせぬかというようなことも十分検討された結果、異議なし、そうして内容も調べてきめたわけであるのであります。ところが、採択委員の人で……
  123. 高木松吉

    高木委員長代理 毛利君に申し上げますが、辻原君の質問をよく聞き分けて、それに端的な答えをしていただきませんと、次々に長くなって時間ばかりかかりますから、どうぞそういうふうにお願いをいたします。
  124. 毛利源三

    毛利証人 人数を何人かとおっしゃいますけれども……
  125. 辻原弘市

    ○辻原委員 氏名は尋ねておりません。   〔「言ったらいいじゃないか」と呼   ぶ者あり〕
  126. 毛利源三

    毛利証人 人数ということをはっきりと私はここで申し上げられませんけれども委員長は確かにその堪能の士であるということだけは申し上げられます。
  127. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは、お話を聞けば非常に疑問が出てくる。御証言がもちろん事実であろうと思いますが、もしそのことが事実であると、たまたま前田さんですか、委員長国語の専門家でいらっしゃるために、採択委員内容を吟味して推薦をしたその結論と異なった別個のものを採用決定することになった。そうすると、それはたまたま前田さんがいらっしゃったからそういう変更が加えられた。さらに他に一、二名おられるかもわかりません。しかし、選考委員というものは必ずしも国語の専門家を集めるということではないでしょう。もしその専門家がいなかった場合は一体結果はどうなっておるか。もしあなた方の判定が絶対正しいものだという立場に立った場合、専門家がいなかった場合には、ここに誤まった決定が行われておるということに逆の論が成り立つのであります。そうすると、あなたが言われるように、絶えず公正中正に行うというこの機関が何ら無意味だということに結論はなるだろうと思います。そういうような実にきわどい運営の仕方でもって重大な教科書問題が決定されておるということになれば、これは事の結果のよしあしの論は別として、その運営に重大な問題がひそんでおるのじゃないかということを私は考えるのであります。しかし、この点については、時間がございませんから、私はそれだけにとどめたいと思います。  次にお伺いいたしますが、あなたの先ほどの御証言によると、順位を付することがなくして三つ推薦するという原則を確立された、こういうことです。ところが、事実採択委員の方から出してきたものには順位を付しておったものが相当数ある。ここに私は問題があると思う。あなたはそういう原則があったとおっしゃるが、私は現地に参りましていろいろ話を聞きましたが、それは必ずしもあなたのおっしゃったようなことではなかった。三つ推薦するが、しかしながら順位を付してはいけないという話ではなかったということも聞いておる。何がゆえに採択委員とそういうような食い違いができたのか。これは、少くとも原則でありますから、採択委員と選者委員会は、その原則に立って仕事を運ばなければ、でき上ったものはどんなものができ上るかもわからない。何事を取り運、ぶにも私はそうだと思う。重要なことを決定する場合に、その原則の把握について採択委員選考委員会が食い違ったなどということは、これはナンセンスです。それは連絡不十分であったのか、あるいはその決定があいまいであったのか、またそういうことを知りつつも採択委員があえてそういう決定を無視してやったものであるか、その点を参考に聞いておきたいと思います。この部分については、後日採択委員の側の参考人が参りまするから、重ねて明らかにいたしたいと思いますので、-お伺いをいたしたい。
  128. 毛利源三

    毛利証人 今委員のお尋ねで、私ども選考する方式において、採択委員の意思と選考委員会の意思と食い違ったということでございますが、ほかの科は選考委員採択委員とは問題なかったのでありますが、国語だけにとどまったという点に対して、特にこれは検討されたのであるということを私は申し上げます。繰り返すようでありますが、杵島郡の八カ町村の小学校でこれをやっておるという実際問題として、これがよろしいと教育長も賛成をいたしますし、内容もよく見ております。
  129. 辻原弘市

    ○辻原委員 質問に的確に答えてもらうように……。
  130. 高木松吉

    高木委員長代理 先ほど注意してあります。
  131. 毛利源三

    毛利証人 そういうわけで採択したのでありますから、その点繰り返して申し上げます。
  132. 辻原弘市

    ○辻原委員 持ち時間がありますので、私は簡単に答えていただくように焦点を合せて尋ねておるつもりでありますが、今申しましたのはそういうことではございません。原則の把握について食い違ったのはどういういきさつであったか、どういう理由であったか。だから、原則採択委員全部が確認しておれば、それは採択委員がそれを無視したということになる。あるいはそうした連絡が不十分であったのかどうかということをお尋ねしてれるのであります。これは重要な点ですから、もう一回。
  133. 毛利源三

    毛利証人 採択についての食い違いを申し上げます。内容については、採択委員も、大同小異である、ただ製本についてまことに遺憾であるという、これであります。
  134. 辻原弘市

    ○辻原委員 どうも私の尋ねておる点にはっきりお答えをいただけないのであります。それではその問題はあと回しにいたしますが、どうもその点が明瞭にならないと、一体どっちの側にその食い違いがあったかということが明瞭になりません。だから、他意はございません。ただ事実がどうであったかという点を述べていただけばけっこうであります。今あなたがついでに御証言になりました、国語一つだけが実は順位を付してきたのだ、こういう話でありますが、それは事実でございましょうか。一体その他に採択委員採択したものと選考委員会決定しものとには食い違いはございませんでしたか。具体的に、その点は速記録にもとどめておきたいと思いますので、申していただきたいと思いますが、まず、問題になった、食い違った教科書について次の点を明らかにしてもらいたい。教科別にどういうような教科が食い違ったか、それから発行所別、それを述べていただきまして、それ、それの教科について、採択委員の側はどういう順位をきめてきたか、それをあなた方選考委員会の側はどういうふうに変更されたのであるか、それを具体的に申しておいていただきたい。
  135. 毛利源三

    毛利証人 食い違ったところに、国語理科習字、それ、だけになっているようです。
  136. 辻原弘市

    ○辻原委員 それだけでも先ほどのあなたの証言とは違います。国語だけではございません。しかも選考委員会において専門的調査をやったということにおいて、国語の専門家がおったということもはなはだおかしくなって参ります。今お話しの理科の専門家はおられましたか。習字の専門家もおられましたか。それと、私の調査したところによりますと、食い違ったものは五種類であります。国語、それから理科習字社会、地図帳。
  137. 毛利源三

    毛利証人 社会もですか。
  138. 辻原弘市

    ○辻原委員 四種類です。地図帳です。
  139. 毛利源三

    毛利証人 社会地図帳は中学校でしょう。中学の社会地図は三省堂になっております。
  140. 辻原弘市

    ○辻原委員 あなたの三種類のほかに社会科地図帳が入ってわります。私は社会科と地図帳と切ったのですが、それは誤まりです。あなたの言われたのは国語理科習字、三科目だったですね。それに小学校社会科地図帳。それはけっこうです。  そこで、やはり先ほどの問題が判然といたしません。あな、たの言われる原則では順位は付せなかったのだ、採択委員側では、今の部分については、これは原則を、あったかなかったはわかりませんけれども、ともかくあなたの側から言わしむると、無視して順位を付してやってきた、こういうことになるのでありますが、重ねてその点、採択委員会側は全然そういうことを知らなかったのかどうか、無視してやったのかどうか、これを伺いたいと思います。  なお、先ほど私がお尋ねいたしましたその四つについての採択委員側とあなた方の決定の相違を一つ具体的に申しておいていただきたいと思います。
  141. 毛利源三

    毛利証人 六月二十五日にみな採択委員選考委員集まりまして、各教科とも三種類、順位はつけずに推薦する、こういうことを基本協定に決定しております。  それから、順位をつけて出しておられるところが、国語社会科、算数科中学の数学、それだけであります。ほかはみな順位をつけておりません。
  142. 辻原弘市

    ○辻原委員 そのうちで、先ほど申し上げましたような決定の食い灘つた国語理科習字社会科地図帳、この四つについて、採択委員推薦してきた教科書、それから次にあなた方が変更された教科書、これをおっしゃっていただきたいと思います。
  143. 毛利源三

    毛利証人 国語は、採択委員文書答申に対して、この順位によれば一が二葉、二が学図、三が東書となっております。ここははっきりしておいていただかぬといけませんが、それが、採択委員が訂正されまして、一が二葉であり、二番に書いてあるのが三になりまして、三が学図となって、二が東書ということになっております。理科順位はつけてありません。一番最初に二葉、二番目に二葉、三番目に大日本となっております。その大日本の方を採択決定しております。中学社会科地図は三省堂、書院、富山房というようになっております。
  144. 高木松吉

    高木委員長代理 辻原君に申し上げますが、持ち時間が経過いたしましたので、簡略にお願いします。
  145. 辻原弘市

    ○辻原委員 証人、途中ではなはだお気の毒ですが、どうも時間もかかりますし、またわかりませんので、一つその点は資料として御提出をお願いいたしたいと思います。
  146. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの辻原君からの資料提出について差しつかえありませんか。
  147. 毛利源三

    毛利証人 差しつかえありません。
  148. 高木松吉

    高木委員長代理 差しつかえなければ、この提出を求めるに皆さん御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 高木松吉

    高木委員長代理 さよう決定いたします。それでは提出して下さい。
  150. 辻原弘市

    ○辻原委員 そこで、その選考委員会決定した、原則ということでありますが、どうも、私の調査した範囲、またその後の採択委員会側連絡協議会との話し合いのいきさつを見ましても、その点はあなたが言われるような、原則が明確に確立されておったものと私は了承できません。しかもあなたはその点については的確な御証言も――ただ六月の幾日にそういうことがあったということだけの証言でありまして、それが採択委員側に十分把握できるような形で決定されたかどうかという点についてはあなたは証言されておりません。しかし、この問題は時間がかかりますので、これ以上はやめたいと思います。  そこで単刀直入にお伺いをするのでありますが、今言ったような四極輝にわたって、とまれ選考委員会は専門的な検討の上変更を加えた。国語については、たまたま前田委員がおったために、そこでその専門的知識によって選考委員会は変更を加え、しかも現物をにらみ合せた、こういう話であります。その話でありますと、習字もそうか、地図帳毛そうかと伺いたくなるのでありますが、これも繁雑でありますので、結論として、変更を加えられた理由は、選考委員会自身が十分内容の吟味をおやりなさって、内容的に、あるいは装丁というものから、それよりもこれの方がよりベターである、こういうような結論を得て変更を加えられたのであるか、ないしは、その他に、先ほど三田委員が若干話をしておられましたようないわゆる政治的意図、こういうものによって選考委員会が変更を加えられたのであるか、一体どちらであるかをこの際明確にいたしてもらいたい。
  151. 毛利源三

    毛利証人 選考に当りましては慎重な審議の結果決定いたしました。
  152. 辻原弘市

    ○辻原委員 そうすると、先ほど三田委員が述べられた際に、あなたはこういうお答えをしております。二葉が非常に多過ぎる、いろいろな話も聞いておる、公取からも何か警告が出ておった、そういうようなことではないか、そういうこともあったでしょうというような、速記はどういう言葉になっているか知りませんけれども、ともかく暗に肯定されるようた答弁だった。それと、今の慎重審議をして内容を吟味の上決定された、あくまでも内容の上に立って公正に採択決定したということとは、どういう関係になりますか。私は、後者は選考委員会内容の吟味にあらずして政治的意図でもってその採択決定することととる。前者は、慎重審議の分については、内容吟味の上に立って本来の教科書採択のあり方の上に立って採択決定するものと私は判断する。先ほどの三田委員に対するあなたの答弁は、選考委員会はあたかも後者をとったようた答弁だったように私は判断するのでありますが、ただいまのあなたの私に対する答弁は、内容の上に立って慎重審議をしたと、こう言う。どっちがほんとうですか。
  153. 毛利源三

    毛利証人 ただいまのお話の通り、よく検討し、よく内容調査し、一切政治的な意図は入っておりませんということをはっきり申し上げます。
  154. 辻原弘市

    ○辻原委員 そうであるとすれば、まことに選考委員会は――まあ果してそれだけの専門的なことをおやりになる時間があったかどうかということはまた別個の問題でありますが、慎重審議といっても内容の吟味でありますから、小田原評定でなくして十分内容について審査ができるだけの具体的方策が講じられておったかどうかは、これは私は別個の問題として考えたい。ともかく、内容の上に立って検討されたということであるならば、それでけっこうだと思うが、私も実は三田委員と同行しまして九州に参りまして聞いております。あなたはそういう政治的な問題は何もなかったと言うが、具体的にその点もう一度私はお伺いいたしておきますが、二葉が多過ぎるからちっと減らしてやらなければいかぬ、あるいは二葉の社長はちょっと赤いんではないか、こういうような話があるいは選考委員会の中に行われて、そうしてその決定がくつがえされたのではないだろうかというような端座憶測もあるようであります。なお、私は、御参考に、これは非常に時間がかかり過ぎて恐縮でありますが、二葉の社長が赤ではないか、――私はおそらくそういうことは絶対あるまいと確信しておりますが、ちらりそういうことを言っているとの風聞を聞く。そういった一つのものの考え方があるいは選考委員会の中に存在をして、教科書採択についてとかくを左右することであれば、あなたの言われる厳正、中正、公正な立場ではなかろう。ちなみに、私の心配する一つの例をあげましょう。ここに「教育攻勢に備えよ」という佐賀山内村教育委員森宣次郎なる人のパンフレットを私は入手いたしました。この森さんは、先ほどのあなたの御証言の中にありましたように、あなたの村、あなたと同職にいらっしゃる教育委員さんであります。しかもこの森さんが選考委員の中に加わっていらっしゃると思います。この人がものした一文でありますが、多くを御披露する時間がありません。はなはだ恐縮でありますが、その中にきわめて重要な内容を持っております。これはわれわれとしても黙視し得ないような問題もあるのです。その考え方のいかんはともあれ、事実と反したようなパンフレットが公職にある森さんの名前でもって出されており、あなたはその当該教育委員会委員長である。しかもこの人が選考委員に入っておる。一方、二葉の社長を赤であると言っておる。こういったような一連の関係を取り上げたときに、ここにわれわれがそういった一つの政治的な判断というものが加えられたのではないかという疑いを差しはさむのは、これはやむを得ないと私は思います。ちなみに申してみますと、こういうことが書いてあります。五十四万人の組合員を擁して一括日本労働総評議会に加わり、――以下ちょっと抜きまして、社会党左派と結び正面切って日本の共産革命を企図するに至る、かくして全国教員は共産党員ないしはシンパの立場に入るのであると断定しておる。はなはだ不敏にしてわれわれ社会党員は、私も党籍を持っておりますが、共産革命を企図したことはございません。おそらく全国五十四万は共産党のシンパであるとは、良識ある人は考えないでありましょう。こういったような一文をものした人が選考委員の中にいらっしゃるのであります。そこで、私は、そういったような一つの政治的意図がその中になかったかということをお尋ねするのであります。ございませんか。
  155. 毛利源三

    毛利証人 そういういろいろのことが思想問題としてあるかもしれませんが、私は、公正にやるべく、さき申し上げました組織を作りまして、両方都合よく円満に目的が達せられるように念願して、私は委員長前田君に譲りました。たか、大所高所から、私が会長の席をけがしておるわけでありますから、最後仕上げ決定したということで、その内容の経過その他につきましては、どういうことをその森君が言ったか存じません。しかしながら、おそらくその人の意気が通っていないということは、私ここで断言しておきます。
  156. 辻原弘市

    ○辻原委員 その点は、あなたが内容の上に立って決定されたということに私は了承します。しかしながら、そういうお心づもりでおられたということだけであって、結果が果してそうであるかどうであるかは、これはあとの問題であります。  もう一つ、これはこまかい問題であるが重要であります。先ほどあなたも言われたように、あとで気がついたと言われておりますが、あの学図のばらばら教科書の問題であります。私、なぜ先ほど最終的に現物を手にとってあなたがきめられたという言葉をとって質問したかといいますと、もし現物を手にとってそれを吟味し、また国語の専門家のいらっしゃる中で十分検討されておられるとするならば  われわれこの委員会においても、この学図のばらばら教科書の問題は十分知っておる。おそらく教科書の問題に当る人でこれを知らざる人はないでしょう。それをも押してこのばらばらの学図を採用されたということが、私にはどうもふに落ちないのであります。内容は大同小異であるが装丁がよろしい、こういう判断でもってきめられたと言われた。これは確かに速記録に載っておると思うのですが、一体ばらばらの装丁のどこがいいのか。これはあとで気がついたというのですが、それは知らざるということもありましょうが、いかにも軽率であるというそしりは免れません。しかもあなたは現物をもって比較対象されたと言われたのですが、一体これはどういうことでしょう。
  157. 毛利源三

    毛利証人 私は責任を持って仕上げをやっておりまするが、ただいまのばらばら問題は、国語採択委員の人の報告にも、はっきりと製本はよろしいということを答申しております。そして選考委員会でも現物を見て、これは全く間違いないということになっております。しかしながら、先刻申し上げましたような実情で選考会を緊急招集いたしまして、なお再確認したということは御了承願いたいのであります。   〔高木委員長代理退席、濱野委員長代理着〕
  158. 辻原弘市

    ○辻原委員 具体的に申せばなかなかその点が了承できがたいのであります。従って、時間があれば申し上げたいところでありますが、それは一応それで打ち切りたいと思います。  次に、重要な問題は、この採択委員選考委員会との関係の問題のほかに、いま一つは地協委連絡協議会、先ほどの御説明によりますと、これは臨時にでき上った、いわゆる何という名前をつけていいかわからぬ機関であります。教科書採択のために作られたその連絡協議会が通達を出しております。その通達によりますると、その第一項に一年の教科書については必ず選考委員会決定したものを採用すべし、その特例は認めないということが書かれておりまするが、教科書採択に関する法的な権限の解釈は今なおいろいろ行われております。単位地教にあるとあなたはおっしゃいました。現在は文部省はその解釈をとっております。しかし、事実、教科書採択については、当委員会が絶えず問題にいたしておりますように、それは現場教員にその採択の実際はある。従って、生協その他が編集したものは採択影響を及ぼすという論がそこから生まれてくるのであります。しかりとすれば、その採択の実際上の権限というものは、これは現場の教職員にあるはずであります。かりに一歩譲りまして単位地教委にありといたしましても、その連絡協議会がそういうことを指示でき得る権限をお持ちなのかどうか、この点がお尋ねの一点であります。
  159. 毛利源三

    毛利証人 その必ずということは私もあとで聞きましたが、これは趣意に反するということで校長会から申し入れもありましたので、これは行き過ぎであるから取り消すということを声明しておるわけであります。なお、こういう文章をだれが書いたかということを私は調べてみましたが、やっぱり一般に諮らずして必ずということを文章で書いて出したということで、その人もまことに相済まなかったという取り消しのあいさつがありました。
  160. 辻原弘市

    ○辻原委員 いつ取り消されたのですか。正確にわからなかったら、大体いつごろですか。
  161. 毛利源三

    毛利証人 それは、校長会から申し入れがありまして、ちょうど決定するその甘に校長会代表が参りましたので、それを取り消したのであります。それから、なお、反省会の時分にこういうことを書いたというざんげがあって、そういうことで取り消したのに対する釈明があったわけです。
  162. 辻原弘市

    ○辻原委員 取り消されたが、実際の教科書採択選考委員会決定はどうなったのですか。それはそのままですか。
  163. 毛利源三

    毛利証人 選考委員会はちょうど二十何日ですか、最後の日に私は出まして、そして校長団体代表者がお見えになってその問題が出ましたから、まだ決定前にこれを決定したわけであります。
  164. 辻原弘市

    ○辻原委員 それは取り消された。ところが、採択委員、会と食い違った部分についての選考委員会決定は、これはどういう形にされたかということです。そのままそれを採用するんだということで押しつけられたのであるかどうか。
  165. 毛利源三

    毛利証人 必ずですか。
  166. 辻原弘市

    ○辻原委員 いや、選考委員会決定しました採択――国語であれば二葉の方を学図に変えた、その変えた決定通りに今年度は施行するという原則で今日までやっているわけですか。
  167. 毛利源三

    毛利証人 これは決定と同時に各単位教育委員会に通達したわけです。
  168. 辻原弘市

    ○辻原委員 そうすると、取り消されていないわけですね。そのままですね。
  169. 毛利源三

    毛利証人 それは、決定いたしまして、直ちに取り消しております。
  170. 辻原弘市

    ○辻原委員 どうもちょっとはっきりわかりませんが、取り消してありますというのは通達を取り消されたのですか。一たん選考委員会決定してあったものを全部取り消されたのですか。それであらためて決定し直したということですか。どうなんですか。
  171. 毛利源三

    毛利証人 必ずという字は選考委員会で取り消しました。
  172. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 辻原君に申し上げます。他に発言の通告もあり、本日はあと三人の証人尋問を予定いたしておりますので、簡潔にお願いいたします。
  173. 辻原弘市

    ○辻原委員 委員長より注意もありますので、簡潔にあとの質問をやりたいと思い、ます。  今のお話によりますと、言葉の表現の違いだけれども、要するに、選考委員会決定した木を採用しろ、こういうような形に決定されて今日に至っているということがはっきりしたわけであります。今なお、実際教育行政にも協力をしてきた校長会その他との間にまだ十分なそれについての話し合いもできてないし、その決定の変更についてあなた方がその意見も取り入れないという状態のままにきているのでありますから、そうすれば、少くとも、先ほど私が申し上げましたように、採択については、あなた自身も採択委員を委嘱されたように、現場の専門的な意見を徴してその上に採択の完璧を期するという形が順当であるにかかわらず、現場の意見と食い違ったものをそれぞれ当該学校に事実上使用せしめる、そういった一つの行政のやり方というものは、あなたは妥当と思われるかどうか。その点について、新聞もここにありますが、随所に大きく新聞に取り上げられるに至るような形で教科書決定され使用されているということが、あなた方がおやりなさっている教育行政上妥当と思われるかどうか。この点をお伺いいたしておきたい。
  174. 毛利源三

    毛利証人 選考委員会選考通り決定をいたしまして、そして必ずという字はそのとき取り消したのでありますから、通達をみなしております。
  175. 辻原弘市

    ○辻原委員 時間がございませんが、これはあなたはお答えにならないようでありますが、私は今のような答弁を求めたのではありません。いわゆる現場の意見と食い違ったままそれを事実上現場で使えというような、この教育行政のやり方というものが果して妥当かどうか、お尋ねしておるのです。   〔濱野委員長代理退席、高木委員長代理着席〕 あなたが冒頭に言われた厳正中正な教育行政を実際の上において私はあなたの言葉通りおやりいただきたいということを念願するがゆえに、その点のあなたの御所見を、その後の反省会等をも持たれておるようでありますが、そうした経緯に立って今日いかなる心境にあるかということをお尋ねして私の質問を終りたいと思います。
  176. 毛利源三

    毛利証人 私は責任者といたしまして選考答申に対し委員長の報告通り決定しております。なおまた、私の心境は、これは妥当なりと確信をしておるわけであります。
  177. 高木松吉

    高木委員長代理 井手以誠君。
  178. 井手以誠

    井手委員 毛利証人に若干お尋ねをいたしたいと存じます。  証人は、先刻来、選考委員会決定に対して問題が起った、教組からは公開状を突きつけられる、自分も円満解決をはかったけれども最後になってできなかった、いろいろこういうことを申されたのでありますが、その問題のあなたの方の意見と片一方の意見が違っている問題というものはどこでございますか。何が食い違っておったのか、その焦点をお尋ねいたしたいと存じます。
  179. 毛利源三

    毛利証人 採択で、国語の部が、われわれの順位をつげて答申したものが、一、二位もとらず三位をとった理由が問題であります。
  180. 井手以誠

    井手委員 結局順位が違ったということが問題の焦点だということがわかったのであります。そこで、先刻来毛利さんは順位はつけてならないということを申したとおっしゃっておりますが、証人もおっしゃるように、教科書選考決定のため特に選考委員会を設けた、三十一年度教科書選択のための委員会を作った、こういうお言葉があったのであります。従って、選考委員会証人の言によれば相当権威があるものと考えねばなりませんが、その選考委員会委員長である前田さんが、先刻も出ました六月の二十五日ですか、自分は何もわからない、現場の教師が一番権威者であるから、従って順位をつけて出してもらいたいということを言明されたと、私どもは出席した人から何人からも承わっておるのであります。その際教科書をなるべく統一したいという御意見もあったように承わっておるのであります。あなたは順位はっけていけないという意図があったかもしれませんが、その決定の機関である選考委員会の長は、順位をつけてもらいたいということを言明されておる。その点について証人は御承知ないかどうか。
  181. 毛利源三

    毛利証人 選考委員会基本を協定したのでありまするから、前田委員長が独断でさような発言をしたということは絶対にないと私は確信いたします。なお、こういうひな形を事務所で謄写して各採択委員には配っておるのでありますから、それは間違いないということを確信申し上げます。なお、それに対して、採択委員文書答申の中に順位をつけたものは、先刻読み上げましたわずかのものであって、大多数は順位をつけておりません。
  182. 井手以誠

    井手委員 前田委員長が順位をつけろということを言ったということはないと確信しておるというお言葉でございますが、私どもは、一人のみならず何人からも、そういう言明があったこと、慫慂があったことを承わっておるのであります。自分は知らないとおっしゃればそれでけっこうでございますが、おそらくだれが考えても、そういう選考委員長からの話があったればこそ順位がつけてあったろうと思うのであります。また、先刻来問題になった順位をくつがえしたということも、あなたがおっしゃるようなことでありますならば、何も新聞に大々的に報道されることもないでしょうし、あるいは公開状を突きつけられるようなこともないでしょうし、またお呼びするような必要もなかったと私ども考えておるのであります。やはり、あれほど大きな問題になり、地方新聞のトップ記事になったということは、あなたはそうお考えにならなくても、社会的には重要な問題であると言わねばならぬのであります。自分は聞かなかったとおっしゃれば、それ以上は追及いたしません。これは社会が判定するでございましょう。  そこで、お尋ねいたしますが、あなたの方が順位をくつがえして  全部ではないでしょうが、ともかく一部は順位をくつがえして決定された。それについて、毛利さんの方から、現場の教師に対し、また採択委員に対して、どういう理由で変更したかという御説明があったか、その点をお尋ねいたします。
  183. 毛利源三

    毛利証人 ただいまの御質問でありますが、ちょっと言葉がはっきりいたしませんので、もう一ぺんお願いいたします。
  184. 井手以誠

    井手委員 たとえば国語のごとく、順位がつけてあったものを、あなたの方でこれがよいという立場からでしょうが、変更された。その変更されたということについて、どういう理由で変更したかという理由採択委員に御説明なさったかどうか、その説明が納得されるだけの説明であったかどうか、その点をお尋ねしておるのであります。
  185. 毛利源三

    毛利証人 繰り返すようでありますが、国語採択委員から私に、今の御質問のような質問をされたのであります。しかし、非常に検討して決定したことであるから、これを決定するということが当然なりと私は思うのであります。しかしながら、製本について問題があったということで、緊急招集をして、あなた方と同じように実は心配したから招集して再確認をやったのだ、内容については私はタッチしていないけれども、それがなぜ採用されなかったかという御質問に対しては、まことに同情いたしますから、それは前田委員長に折衝してごらんなさい。しかし内容についてどうですかと聞いたら、大同小異であるということをはっきりと国語採択委員も申されましたので、そういうことであれば初めに決定した通りの方針で決定することが当然なりと私は考えて決定したのであります。
  186. 井手以誠

    井手委員 どの本の内容がよいかということについては、きわめて重要な問題でございます。それであればこそどの地区でも採択委員会というものが専門家によって構成されておるのであります。おそらく証人もそのようにお考えであろうと存ずるのであります。その重要な内容を十分に検討するために、これはただ杵島郡だけでなく各地区採択委員会というものは、ただ何人かではなくて、何十人、何個人の人が研究の上に積み承れたその頂点の上に立っておる。その採択委員の人がきめられるというものであれば、やはり常識的には内容十分検討された権域のあるものであると私どもは考えるのであります。  それから、先刻来、辻原委員質問に対して、いろいろと慎重に検討したとおっしゃいましたが、それ以上の御答弁がなかった。おそらく大した権威者が選考委員会に加わっておると私どもは考えられないのであります。そのせっかく内容検討して推薦した採択委員に変更の理由説明しないということは、いささか軽率であるとはお考えになりませんか。
  187. 毛利源三

    毛利証人 内容についてはだいぶ検討もし、また採択委員委員長にも直接面接して意見交換をされたのであります。選考委員会では、先に申しました杵島白石地区の八カ町村の小学校が二年もこれをやっておるが一つも悪いところはない、こういうところは非常にいいと言う所属の教育長、研修部員もいらっしゃる関係で、その面については結局最後は大同小異なりと採択委員承認したわけであります。ゆえに、ただ問題は、最後まで製本のずさんであるという点について相当検討されましたが、現物を見まして、これは間違いないということから決定したわけでありますから、ただいまの御質問に対して以上お答え申し上げます。
  188. 井手以誠

    井手委員 証人は、委員会から大同小異であるという推薦を受けた、こういうお話であります。かりにそれが正しい、その通りであるといたしましても、大同小異のものでありながら、ほとんど変らないものでありながら、しかも一方においてはばらばらである、そういう欠点がある。現場の教師から、採択委員の権威者からは、この方がいいといって推薦されておる。そうであるならば、よほどいいものでなくては私は変更はできないと思う。片方ばらばらで悪いというならば、ばらばらのものをくつがえしてそれに変更するということは、これはおかしいじゃございませんか。しかし、証人もお苦しいでしょうから、それ以上この点は追及いたしません。   〔「追及しろ、そんなばかなことは   ない」と呼ぶ者あり〕
  189. 高木松吉

    高木委員長代理 不規則発言をやめて下さい。
  190. 井手以誠

    井手委員 続いてお尋ねします。白石地区では二年間も学図の本を扱っておる、だからということが今まで何回も出たのであります。そこに、学図のものを採用しょう、こういう意思が相当強かったというようにも受け取れるのであります。さようでございましょうか。
  191. 毛利源三

    毛利証人 これは、前田委員長が、ちょうど選考委員会の中には白石地区教育長がおりますし、また白石町方面の校長団体にも意見を聞きまして、内容についてはわれわれはこの三種目の中で一番よくないかということに選考委員は帰着して、決定したわけであります。
  192. 井手以誠

    井手委員 変更する理由が、私としてはきわめて薄弱であると思うのであります。今さら証人は信念を変えられるわけのものでもないでしょうから、これ以上申し上げません。  そこで、お尋ねいたします。証人は、三十一年度の教科書採用のための連絡協議会を作った、いわゆる三十一年度の使用教科書の採用についてであった、このように連絡協議会の任務を重視されております。また、今日までの経歴から言いましても、教育については相当見識も持っておられ、また経験も有しておられるようであります。それでは、先刻来お話しのように、教育基本法に基いてとおっしゃったが、文部省が示しております昭和三十一年度使用教科書展示会の実施要領というものをお読みになったことがおありであるかどうか。
  193. 毛利源三

    毛利証人 われわれは、しろうと的で、そう深くは掘り下げて検討しておりませんが、その選考委員会の中には相当検討した方もあるのであります。
  194. 井手以誠

    井手委員 教育基本法に基いて中正を堅持するというあなたの御信念でありました。そこで、私はこれを読み上げて御参考に資したいと思います。これは教育基本法に基いての実施要領でありますから、その点は十分お含み願いたいと存じます。この実施要領によりますると、前文を省略しますが、「採択について。教科書を実際に使用するのは学校であり、しかも各学校にはそれぞれの教育課程があるから、教科書採択決定は、それぞれの学校職員の意見希望が十分に反映するように行われなければならない。」、これが一つ。第二には、これは前文を略します。「あくまでも教育を中心とする民主的なものでなければならない。かりそめにも学校教職員意見を無視したり、教職員教科書を研究選定する意欲を減殺せしめるような行過ぎがあってはならない。」と、ここにはっきりと書いてあるのであります。おそらくあなたはお読みであったろうと思います。この文部省の通達、これとあなたが今回やられましたやり方、これは、変更した場合に説明をしなかった、あるいは何回ももう一度選考委員会を開いてくれという要望についても耳をかさなかった、そういうことを考えますると、この文部省の通達には全く相反していると言わねばならぬのであります。佐賀県の教育行政に重要な立場にあられる証人はどのようにお考えになっておりますか。それをお尋ねします。
  195. 毛利源三

    毛利証人 まことに重要な御質問でございますが、私はできるだけその線に沿うていったつもりであるのであります。
  196. 井手以誠

    井手委員 その線に沿ってやったつもりであるとおっしゃいますが、学校教職員意見希望が十分に反映されねばならない、これは今までのあなたの御証書と合致いたしますか。さらに、「学校教職員意見を無視したり、教職員教科書を研究選定する意欲を減殺せしめるような行過ぎがあってはならない。」と書いてありますが、今までの御証言はこれに合いますか。あなたはそれに沿うようにしたいとおっしゃった。沿うようにいたしましたとおっしゃいましたが、証人はそれでも沿うようにしたとおっしゃるのでございますか。
  197. 毛利源三

    毛利証人 私の立場としては、その線に沿うべく努力し、やってきたという点について、やぶさかでないのであります。
  198. 井手以誠

    井手委員 この線に沿うように努力なさった、こういう御答弁でありました。しかし、事実は何と申しましても反対のようなのであります。教職員意見が無視された、専門家である学校教職員意見が達せられなかった、これは弔う、いかに証人が抽象的に弁解なさろうとも、確実に相反したということを言わねばならぬのであります。この実施要領はやはりお読みになっておったわけですね。
  199. 毛利源三

    毛利証人 その通りであります。
  200. 井手以誠

    井手委員 そうしますれば、先刻、問題を起したことはますます疑惑を深めたものである、一方からのいろんな要求なり要望というもので問題を起したことは一方に対する疑惑を深めましたという御証言がありましたが、それはどういう意味でございましょうか。念のためにもう一応お伺いいたしたいのであります。
  201. 毛利源三

    毛利証人 私は、この問題は疑惑を受けたというふうのことはあまり感じていない。採択委員の人も了として、次年度はこういう方針でいこうじゃないかという申し合せをしておるのであります。
  202. 井手以誠

    井手委員 それはそれでよろしゅうございます。  さらにお尋ね申し上げますが、採択委員の方から変更の理由説明を求められた際に、先刻も辻原委員から指摘されましたが、あの「必ず」という文句、これをきめた以上は、連絡協議会がきめたものを変更してほかのものを採用した町村教育委員会があったたらば、これは仲間はずしにする、その町村人事交流も切り離してしまう、こういうお話があったように私どもは承わっておるのであります。なるほど、必ずという言葉でその地区内を統一しようという場合にほそういう強い言葉が出てくるかもしれませんが、そのように証人におっしゃったことはございませんか。あるいは、ほかの委員の方がおっしゃったことをお聞きになったことはございませんか。
  203. 毛利源三

    毛利証人 必ずというのを、七月の十三日に校長会から要望がありましたので、これは取り消しということで委員会で取り消しまして、最後にその件は訂正したのであります。また、ただいま御質問の、そんな感情的にやるということは教育委員会立場じゃないのであります。すなわち、教育防衛の立場にあるのでありますから、さようなことは耳にしたことはありません。
  204. 井手以誠

    井手委員 私はそういう言葉があったことを承わっておりますが、証人はないとおっしゃいますので、これ以上は追及はいたしません。  なお、おそらくあなたもお聞き及びではなかったかと思いますが、校長会のなぜ順位を変更したかというこの要望に対して、ある委員の方が、校長はけしからぬ、学生協の取扱いが多過ぎるので、他の方と半々にしてはどうか、大体二葉社長は共産党だという言葉があったそうでございます。私は、これはもうおそらくあり得ない、常識では考えられない言葉だと存じますけれども、そういうことを証人はお聞きになったことがございますか。
  205. 毛利源三

    毛利証人 初めに委員長に申し上げました通り、この選考委員会委員長におまかせをいたしまして、私は最後の二回ほど出ておりますが、そういう細部にわたっては一つもタッチしておりません。しかし、さようなことがあり得ないということは私は信じて疑いません。
  206. 井手以誠

    井手委員 あり得ないはずのそういう言辞を、私どもはこの問題の随所に承わっておるのであります。そこで、私は、もう毛利さんは存じ上げた方でもありますし、くどくどとはお尋ねはいたしません。最後にお尋ねいたしますが、毛利証人は、自分のやったことには間違いはなかった、正しかったと先刻来証言をなさっておるのであります。しかし、あなたのやられたこの採択の問題は各方面に大きな衝撃を与えておることは事実であります。最も慎重でなくてはならない教育問題について、いろいろと問題を起し、新聞も大々的に報道しておる。これは決して教育のためにいい影響をもたらすものとは考えないのであります。証人は主観的には自分は正しかったとお考えになっておるかもしれませんけれども、ただいまもお話しのように、細部については選考委員会に左かせられておる。この選考委員会あるいは全般の問題についてはいろいろな問題を惹起しておる。また、先刻私の問いに対しまして、三十一年度使用教科書の実施要領でその線に沿うてやってきたとはおっしゃいましたけれども、結果においては全く逆になっておる。これを考えますと、あなたが何回もおっしゃいましたように大所高所からこれを見た場合、どうひいき目に見ましても、杵島教育委員会連絡協議会がとられた今回の措置について万全であるとはどうしても考えられないのであります。あとにまだ証人も出ておられますから、さらにお尋ねをいたしますけれども、ともかく、私はあまりは申し上げませんけれども、先般佐賀県に参りましたときには、教育事務所の方も、確かにこれは順位をつけて出すようにということであった、それが問題になりまして確かにこの点はまずかった、必ずという文字もまずかったということをはっきりおっしゃったのであります。佐賀県の教育委員会武雄からも来ていただきました。だから三田村さんも御質問があったのであります。あなたのおっしゃることと、私どもの見聞したこととは、非常にそこに差がある。しかし、なぜそうだったかということは、私はこれ以上申しませんけれども、ともかく皆様方というよりも、あなたのおとりになった選考方法採択決定方法については、私はまずかったと思う。先刻もあなたの心境について辻原委員あたりからお尋ねになりましたが、やはりあなたがおっしゃるように教育基本法をあくまで守らなくてはならないし、また文部省の通達した実施要領も守らねばならぬ。守ることが教育委員の厳正中正である道であると私は信じておるのであります。その意味で、今後どのように教科書選定に当ってはやっていこうというお考えであるのか、私からもあらためてあなたの所見を承わりたいのであります。
  207. 毛利源三

    毛利証人 ただいまの御質問に対して、これは大阪毎日新聞の記事に、「教科書採択問題の証人に両氏」という見出しのもとに、順位問題を強く新聞に取り上げてあります。今教育事務所長の言葉を井手委員さんもおっしゃられましたが、その中にも書いてあります。木原杵西教育事務所長の話として、「各教科書ともそれぞれ進歩しており、いろいろと議論の末決ったものだし、採択に際して何ら不正があるとは思わぬ。また順位をつけるようにとの指示はしていない。最初に記したものを一位と見るのなら別問題である。」、こういうふうに新聞にも出しております。どうぞさように御了承願います。
  208. 井手以誠

    井手委員 なかなか御用意のいいところをお見せになりました。私の最後質問に対して所感はお述べにならなかったのであります。私はこれ以上求めようとは思いません。これをもって私の質問を打ち切ります。
  209. 高木松吉

    高木委員長代理 井手君の発言に対して山田君から関連質問の申し出があります。これを許します。山田君。
  210. 山田長司

    ○山田委員 先ほどから毛利証人の証書を伺っておりますと、厳正中正であるべき教委連絡協議会会長であるという市町な立場にある証人発言の中から、私が伺っておる範囲におきましては、まことに不誠意な証言がなされておるように私は感じますので、あらためて私はあなたから証言を伺いたいと思うわけです。  第一、教育委員会連絡協議会の中に採択委員ができている点は、これは私はとかく言うわけではないです。しかし、委嘱をしている採択委員の中に、先ほど辻原君が読み上げたパンフレット、このパンフレットの署名人の森宣次郎という教育委員は、教育委員でありながらしかも選考委員になっている。あなたは先ほど、選考委員採択委員というものは最も公正な立場に置かれる専門家に委嘱している、こういうふうなことを言っておられるが、この専門家の名前をあげろという質問についてはちっとも誠意がない。あげていない。どうしてあげられないのか。この選考委員の名前を、知っている範囲で全部あげて下さい。
  211. 毛利源三

    毛利証人 ただいまの御質問でありますが、私ども教育行政面におります者は、あなたの御質問のような学識経験がある者を集めてしたのじゃないのであります。先刻構成メンバーを申し上げました通りのものでありますが、全部とは申しませんが、最初教育研究部というのができまして、そうしてその研究部員がそれぞれの知識のある人でメンバーを作っております。それに、今度は教科書選考に対しましては、そのほかに連絡協議会役員が全部、武雄教育長教育委員長、指導主事というメンバーで作っておるのであります。専門的にこれを検討し、学術的の面についてどうという点に対しては、あなたのおっしゃる通り、まことにふさわしくない点もあると思うのでありますけれども、われわれ、教育行政面からして、このメンバー武雄市、杵島地区教育委員会から教科書選定については一任するということになったのでありますから、これをもって選考委員決定しました。しかし、それでは私は私の立場としてあまりにもどうであるかという感じがあったので、校長会推薦によりまして、採択委員を各地区から前申し上げました通りの方法で委嘱をして、両方の面から検討して一致点を見出して決定しよう、これが私の持論であったのであります。しかし、何事でも多数寄れば全部一致の決議はできない。民主主義の今日といえども私は意見の相違が必ずあると思うのでありますので、この点あなたの御質問に対して私ほお答えするのがまことに苦しい立場にあるのでありますが一行政面から言えば、こういう方式をとって理想に近からしめるような決定をするほかない、こういう方針で私が方針をきめたのであります。
  212. 山田長司

    ○山田委員 採択委員人たちが何冊かの教科書の選定に当って、しかもその採択委員できめられたその書物が、それではどういう意味でこれが拒否されたような事態になったのであるか、まずこれを一点伺います。
  213. 毛利源三

    毛利証人 繰り返すようでありますが、まず実際問題として、杵島地区白石地区は大きい地区であります。その地区の小学校でこれを二カ年もやって、内容もよろしいということが、――その所属の教育長並びにその地区のいわゆる役員並びに研究部員の人たちがおりますが、これが確かによろしいという線が強く出たのであります。それで、前田委員長は、よく三種類を検討の結果、これを採用してどうだということをその白石地区教育長に言ったところが、これは確かによろしい一。それで、検討してみて、内容についても三種類ともそう大した遜色はないけれども、それだけ経験のある教科書ならば、それは採択して差しつかえないだろうということが強く取り上げられまして、最後内容検討の結果、それを採用したということになるわけであります。
  214. 山田長司

    ○山田委員 採用した経路について、あなたは簡単にそう説明をされていますが、先ほどあなたの答弁を聞いておりますと、大同小異ではあるけれども、一番ばらばらになっておって二葉の本が悪かった、こういう言い方をあなたはされておる。その一番悪いと言われた二葉の木をなぜ採択されたか。どうも聞いておって理解に苦しむのですが、一番悪いと言われたのを採択された根拠はどこにあるのですか。
  215. 毛利源三

    毛利証人 一番いいということで採用することになりましたが、ばらばらになったということは、私の自宅にある人が持ってきましたので、私初めてその木を見まして、これはどうもこれではよろしくないという心配をいたしましたために、緊急選考委員会を招集いたしまして、現物を引き揚げてきて、間違いないということになって採択したのであります。なお、個々の採択委員の人も、紙質、印刷、製本等けっこうであるということがここに書いてあります。そういうことで、根拠のある基礎のもとに採択したわけであります。
  216. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと待って下さい。毛利君に尋ねるが、ばらばらになった教科書というのは二葉の教科書ですか。
  217. 毛利源三

    毛利証人 いや学図の教科書です。
  218. 高木松吉

    高木委員長代理 何かとんちんかんのようなお話に聞えるが、こういうことをはっきりしておきませんと、あとでわからなくなります。学図の教科書ですね。
  219. 山田長司

    ○山田委員 もう一点伺います。一番重要な採択の衝に当る人たちのうち、先ほど害われましたように、教育攻勢に備えてというようなパンフレットを出して、日教組の中傷的なことが書かれているわけですが、左派社会党と結び、そして日本の共産革命を企図しているというような、こういう。パンフレットを書かれている人が採択委員になっておって、しかもこれは個人の資格でなく教育委員の名前をつけてこういう。パンフレットを出しているわけですが、あなたはこのことを知っているか知らないか別ですけれども、とにかくこれは、厳正中正に採択の衝に当る人たちの中にこういう人たちがいるということは、やはり将来教科書採択あるいは日々の教育委員活動において必ずこの思想が出てくると思うのですが、そういう点においてあなたは連絡協議会会長として任命の責任があるのですが、その人をやめさせるかどうか、この点を明確に一つお答え願います。
  220. 高木松吉

    高木委員長代理 山田さん、あなたにちょっとお尋ねしますが、採択委員ですか、選考委員ですか。
  221. 山田長司

    ○山田委員 選考委員です。
  222. 高木松吉

    高木委員長代理 そういうことがはっきりしませんと、ごちゃごちゃしますから。選考委員だそうですから、それに答弁して下さい。
  223. 毛利源三

    毛利証人 そのパンフレットは私はまだ読んでおりませんが、出たということだけは知っております。その出る前に、杵島郡において教育研究部というものを本年の新年度から作りまして、そして、教育研究に対してある程度われわれの地方の実情に即して、――最初地区的に武雄地区から森、江北地区から前田白石地区から田中という、三人ともに先生をした人ばかりでありますが、十分そういう面で検討してもよろしいということで研究部員が出たわけです。それが結局教科書選考に対していろいろの話が出まして、ついに選考委員会という機構構成したわけであります。そのうちに研究部員の一人として入っております森先生は、この採択に対して選考委員会は解消したのでありまして、自然消滅して、今日は何も資格がないのであります。
  224. 山田長司

    ○山田委員 やはり、この重要な衝に当る人たちを選任する場合における会長の責任というものは、一つ何か事があればみなあなたに責任がかかってくることはあなたもおわかりと思います。そこで、将来こういう人たち選考に当って厳正であるべきことはもちろんであるけれども、特に注意をしてもらわなければならないことは、公けの立場でしかも名前を入れたパンフレットを出されるというようなことになりますと、これは言論出版の自由が許されておる今日、何を書き出そうが、何をしゃべっても差しつかえないというものには相違ないけれども、やはり地方人たちで無批判に読まれた人があるとすれば、これによって及ぼす影響というものは実に大きいと思います。学校の先生の迷惑もこれによって実に大きな結果が生まれると思います。そういう点についてはやはり会長のあなたは将来十分な研究をなされた結果任命しなければならないと思いますが、これについてあなたは将来どんな心がまえでこういう選考に当るつもりでおるか、ただ地方校長会推薦されるとか、簡単な形で選考の衝に当ってはまずいと思いますが、それについてあなたの何かお考えがありましたならば、最後に伺っておきます。
  225. 毛利源三

    毛利証人 ただいまの御質問の趣意を十分考慮いたします。
  226. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野清吾君。
  227. 濱野清吾

    ○濱野委員 あなたの地区でどうしてこういう選考委員会等を作って、そうして教科誰を採択しなければならぬか、その目的を簡潔にお述べ願います。
  228. 毛利源三

    毛利証人 最初その問題を申し上げたと思いますが、繰り返しての御質問にお答えいたします。佐賀県は一昨年来より水害並びに炭鉱の不況という面から教科書の補給に非常に困難をしたのであります。また、PTA県連合会も、県下の要望として、教科書の価格が高い、また教科書はある一定のしわ寄せをしてもらわなければ転任あるいは転校、こういう面について非常に困るから、何とか県である程度のしわ寄せの方法をとってくれないかという要望にこたえまして、本年はその線に沿うべく七市八郡の代表者のいわゆる連絡協議会を開きまして、選考委員会を作りまして、この方針をとったわけであります。繰返して申しますが、私の郡は昨年も一昨年も校長会におまかせをしておったのでありますが、私の立場上、いろいろの問題が起ってはよろしくないということで、私はこの選考委員会の中には入らず、ただ統制をとるという立場において選考委員会構成し、それから、校長団体の代理御推薦を得て、地区から一教科目に対して一人ずつ、三種類をよく検討して書類によって選考委員会に提出をしてくれという、この方策を立てましたことは、そういう公明なる立場をとらんがためにやったのでありますが、まことに残念なことになった、かように考えております。
  229. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、先ほど同僚の井手君から質問されておりますが、採択における文部省の指示というようなものがあって、現場教師の意見に十分沿うように、これを無視しないようにということについては証人は相当考えておったが、ただ、こうした大きな問題を――あなたの言葉で言えばしわ寄せでありますが、それは、あなたの地区における大衆の要望によって、こういうような方法を持つ以外にはない、この方法がよいのだという確信のもとにやった、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  230. 毛利源三

    毛利証人 それでよろしゅうございます。
  231. 濱野清吾

    ○濱野委員 重ねてお尋ねいたしますが、採択委員に委嘱を発動する場合に、あなたの方が採択基準というようなものを委員に示して、そうして慎重な採択方法をとった事実がございますか。
  232. 毛利源三

    毛利証人 六月の十八日に武雄小学校、それからその次に白石小学校で採択委員並びに校長、選考委員、地理的関係から二カ所で相談いたしました結果、その基本協定といたしまして、一、郡市は統一の線でいこう、ただし新入一年からということ、第二には、採択委員は各教科とも三種類、順位はつけずに推薦する。それから七月の九日にまた六角小学校で採択委員推薦委員とが一緒に懇談会をしております。それから十日にも懇談会をしております。ずっと選考委員採択委員と寄って協議、懇談をしておるという記録がはっきりとしております。
  233. 濱野清吾

    ○濱野委員 ただいま証人がお述べになりましたのは、郡市一つにする、こういうことですね。また順位をつけないこと。こういう二つのことではなしに、採択委員調査をしていただくときに、その本はどういうもので、どういうことを標準として調査をするか、こういう採択基準というようなものの指示はいたしませんでしたか、あるいはしたか、こういうことなんです。
  234. 毛利源三

    毛利証人 百近くの出版会社書物がありますが、採択委員にこれこれをせいということは指示しておりません。自由選択におまかせをしておるわけであります。
  235. 濱野清吾

    ○濱野委員 それではそれでけっこうですが、もう一つお尋ねします。採択委員諸君に、順位をつけてばいけない、順位をつけずに一科目三種類を選んで選考委員会に報告せよ、こういうようなお説でありますが、なぜこの採択委員の専門家に順、位をつけさせることをしなかったのですか。この理由を御説明願います。
  236. 毛利源三

    毛利証人 私どもは、文部省が教科書を検定しております関係上、たくさんの出版会社がありますので、これを広く採択するについての検討をするべき必要があるのでありますから、こういう面をわれわれが指示するのは今日の民主主義に反するので、一切そういう点にタッチしておりません。
  237. 濱野清吾

    ○濱野委員 大体わかるような気もするし、しないようでもございます。そこで、三冊選べというようなこと、しかもそれが非常に多い教科書のうちから選ぶのでありますから、よりよい木を三冊選んだばずであります。しかもその三冊は全く同一ではない。厳格に言えば同一ではない。三冊のうちにも必ず順位をつければつけられる内容でなければならないと思うのです。これは常識的にすべてそうであると私は考えます。こういう中からあなた方もよりよい本を選ぼうということであり、むろん採択委員諸君も、三冊選べと言われておるが、このうち最も自分がよいと思うものは、そうして三人がよいと思われるのはこの本であるということが必ず出てくるはずでございます。ですから、この採択委員になぜそういう順位をつけさせなかったか、つけさせなかった理由が何かあるならばお述べを願いたい、こういうことでございます。
  238. 毛利源三

    毛利証人 順位をつけますと全部その面について制限されるという一つの問題。ところが、三種類を採択されますについて、おのおのその特徴があり、あるいは短所がある、こう思うのでありますから、順位をつけると選考委員会選考するのに非常に困難であるが、選考委員会で、採択委員順位をつけないで書類で出しますれば、採択委員はやっぱりこういうところを見てやってくれたんだということをはっきり把握されるわけであります。さようなわけで、この国語のごときも、よく調べてみますれば、どう見ても中身があまり違わぬように採択の方針がなっております。こういう面でありますから、採択するについても現物と見合せて、選考委員会選考するについては非常に自由な立場で、制限されないでいいという見地から、順位をつけなかったのであります。
  239. 濱野清吾

    ○濱野委員 採択委員がナンバーをつけたことによって、選考委員会の権能が制約を受ける、それはおもしろくない、こういうことでございますか。
  240. 毛利源三

    毛利証人 そうです。
  241. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうして制約を受けることになりますか。よりよい本の決定は、あなた方の申し合せ、協議決定事項において、選考委員会がこれを決定するということはさまっておるのではございませんか。従いまして、採択委員の教師の連中が、これはたとえの話でありますが、かりにこの本をとってやりたいという、そういう別な意欲があって、それに順位をつけてみてからが、何もそれに制限を受けなくともいいでしょう。また、選考委員会最後決定の実力は持っておるのでありますから、法律的な効果はどうか知りませんが、最後決定の実力を皆様方の協議会において決定しているのでありますから、何も採択委員が別な意図で第一位、二位をおつけになっても、それに制限を受けたと考える必要は私は毛頭なかったと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  242. 毛利源三

    毛利証人 選考委員会採択委員の資格から申しますと、ただいま御質問の通りであります。しかし、人間は、文部省の検定書でありまするからそう大して違わない問題であろうと思いますけれども、現実の問題としては、なぜ第一位をとらないで第三位をとったかということになって、それが今回の召喚の問題であろうと私は思うのでありますが、さようなことがあることは教育界について非常におもしろくない。ゆえに、みんな思う存分三種類について意見を聴取して、そして文書で出していただけば、こちらは広く検討して選考するについては都合がいいということは、私は自然の理と考えて、この問題は順位をつけないということを強く申し入れたわけであります。
  243. 濱野清吾

    ○濱野委員 混同してお考えになっておるようでありますが、最初あなたが地教委連絡協議会という権限のある人々の協議会を作って、そうして一応この二つの委員会に委任した形ですね。そのときの機構では、少くとも採択委員の諸君が三つの本にかりに順位をつけたとしても、選考委員会はそれに束縛される理由は最初からないはずです。また、ないということにきまっているのであります。それですから、現場教師の専門委員の諸君が順位をつけても、かりにつけさしても、何もそれを変更することをあなた方が御心配になったり懸念したりする必要はなかったじゃありませんか。なぜこのナンバーをつけさせなかったか。私は常識的に言っているのです。つけさせなかったという、最初からそういう手続、機構、機能のもとにこういうことを仕組まれたのは何か他に重大な理由がなければならぬ、こう私は考えているわけであります。同僚の諸君もそう考えておるかもしれません。それを率直にあなたにお述べを願えば、私はこの質疑応答の問題はそう大して時間がかからないのではないかと思いますが、証人は勇気を出しておっしゃったらどうですか。
  244. 毛利源三

    毛利証人 私の心境はるる述べました通り、制約を受けず広く選考するという線については今も変っておりません。なお、順位をつけたことがありましても、それに拘泥はしていないということだけ申し上げておきます。
  245. 濱野清吾

    ○濱野委員 あなたの個人の心境を聞いても、本委員会はどうしようもないのであります。ただ、あなたの方が、地教委連絡協議会に委任されたときに、選考委員会はどういう権能を付与されたか、採択委員はどういう権能のもとにこの事務を行うのだということはきめられたはずであります。そのきめられたときに、なぜ、現場教師の専門家が三冊を選ぶについて順位をつけて、よりよいものの表示をして、そして選考委員会に報告すべしというきわめて常識的な手続を踏まなかったか、これには何か大きな理由があろう、こう言うのですが、どうですか。
  246. 毛利源三

    毛利証人 御質問でありまするが、私どもはさような何も――その点については白紙で臨んでおるのでありまするから、これ以上私は申し上げることはできません。
  247. 濱野清吾

    ○濱野委員 それでは別のことをお伺いいたします。あなたの県には配給機関は、取次特約店は幾つございますか。
  248. 毛利源三

    毛利証人 その点は、私、実際の配給がどんなふうな方針でいっておるか、あるいは今度三種類採択されてきたもののうち大多数は生協が取り扱っておるというふうなことも今回初めて知ったのであります。これは率直に神明に誓って申し上げます。そういうことはほんとうに私は知らなかったのであります。そういうわけですから、この順位をつけないということは、公明な採択ができるという方針のもとにしたわけであります。
  249. 濱野清吾

    ○濱野委員 それはあなたのただいまの証言全部を通じての一つの理論であって、私どもはあなたの理論を聞こうとしておるのじゃございません。あなたの直面しておる実際を附いておるのです。あなたは先ほど来教育行政という言葉をたくさんお述べになっておりますが、この教育行政、ことに教科書をしぼって採択するというような大きな仕事をします上に、あなたの県の取次特約店が幾つあるかというようなことをお知りにならずにこの重大な仕事に取っ組むということは、私はおかしな話だと思う。ただいまのあなたの証言を私は疑うのであります。あなたの県で販売会社が二つあって、しかもそのうちの一つは、教師の諸君が株主になって、そうして採択面に相当影響があるというようなことは、天下周知の事実です。しかもあなたは今日佐賀県において教育行政の相当のポストをお占めになり、しかも初めてこうした仕事をおやりになるのに、よもやこれ上知らぬということはあるまいと思うのです。知らぬということをもって自分のやったことの証明だという証明は成り立ちません。どうかもう一度お答えを願います。
  250. 毛利源三

    毛利証人 実際正面なところ、私、生協と業者と二本立であるということくらいは知っておりましたけれども、深く内容にタッチして研究したこともありませず、またその面に向って私いろいろぶつかったこともございません。そこで、昨年も一昨年も、杵島郡としては校長依存主義でこの教科書採択はしたわけであります。本年はこういうふうにやろうという連絡協議会で決議しました線についてやったのであります。
  251. 濱野清吾

    ○濱野委員 それでは別なことを聞きますが、たまたま禁を破って採択委員のあるグループが順位をつけた、その順位選考委員会の権能において変更した、こういう事実が今度取り上げられて一つの問題としてここで論議されておるのでありますが、採択委員の諸君が順位をつけてきたときにこれをくつがえした選考委員会といたしましては、なぜこの順位を変えたかという理由説明は、採択委員順位をつけた方々にいたしておりますか。
  252. 毛利源三

    毛利証人 前に申しました通り、最後に二回ほど出たわけでありまして、選考委員は、その点について、なぜつけたというようなことは申し入れていないのであります。ただ、選考いたしまするときに、順位がついたものは全部伏せておいて、そして内容十分検討して決定しようじゃないかというわけで、順位をつけたのはみな伏せてやったという委員長の報告を聞いております。
  253. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうも私の質問にはっきりお答え願えないようでありますが、それでは今度大幅に聞いていきます。選考委員会がある科目三つのうちから一つにしぼったのですね。そのしぼって、これがよりよい木だとして決定したるその理由というものを、あなたの主管しております学校あるいは教育委員その他教育関係に周知せしめるために、何か理由書か説明書か出しましたか。
  254. 毛利源三

    毛利証人 選考委員会は全部教育長がなっておるのでありまして、選考の結果決定いたしましたものを各単位教育委員会教育長がこれを説明いたしまして、そして教育委員会は了承したということで、文書では出しておりません。
  255. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほどあなたも辻原さんというわれわれの同僚からお聞きでございましょうが、学校の先生方採択の権能が自分たちにある、こう考えているのです。これは私どもも議論があるのでありますが、役所側は、文部省を初めとして、教育委員会に権能があるということを言っているので、私どもは役所側の説をとっておるのでありますが、しかし、日本の社会には、ことに職業的に見てもあるいは政治的に見てもそういう議論のあることは、ただいまここでわれわれの同僚から意見を述べられた通りであります。そういう中で、しかも新しいケースとしてあなたの方で一冊にしぼったのでありますから、教育委員会だけが、あるいは教育長だけが承知したらそれでいいのだというような、そういう軽率なやり方では私は問題が起ろうかと思うのでありますが、やはり、こうした新しいケースを作るについては、こういう理由でこうしたやり方でやった結果、こういうものを選択したから、一つこれで了承してくれというような親切な説明があってしかるべきだと思うのでありますが、先ほど来あなたの説明を聞いていると、昔のお役所のような感じを受ける。その説明その他の答弁等におきましても私はその印象を受けるのでありますが、そういうことは悪いことであったのでしょうか、そうやるべきではなかったでしょうか。その意見を陶きたいと思うのであります。
  256. 毛利源三

    毛利証人 書類は、教育長教育委員会連絡はとりましたけれども採択委員の方には書類は呈示しておりません。ただ、教育長校長会に諮りまして、校長会という制度で採択委員の方には通知をしたことになっておるわけであります。
  257. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は、こうした新しいケースをやるのですから――今言う通り、学校の先生方は自分が採択権があると考えておるのですよ。そうして文部省、役所側では、それは教育委員会は当然に法律上の採択権があるのだ、こう考えておるのですよ。民主主義だから、世の中はなかなかうるさいですよ。しかして、そういう食い違いの面があるのであって、あなたの方がこういうことをおやりになったのですから、私は、なぜ一冊にしぼったか、またしぼる必要があるかという、あなたは世論としてそれをしぼっておるのでありましょうけれども、そういうことを意図として、そうしてこういう制度でこういうふうに結果は結着した、一年生の木はこれにしましょうということに相なった、そうしてその本の内容は大体教育基本法から見てもこういうふうに調査の結果が現われたという、そういう説明がなさるべきだと思うのです。これは校長さんにも、また先生方にも校長さんを通じてお話しになるべきだと思うのです。教育委員会というものがあり、協議会決定によって決定したから、そして単位教育委員会がそれを了承したからそれでよろしいのだというようなことがこうした事件を引き起すもとではなかったか、こう言うのですが、どうですか。
  258. 毛利源三

    毛利証人 書類を各単位教育委員会のほか校長等にもやったかということでございますが、各単位の教育長がその書類で校長先生に話をし、採択委員の方には通知しております。文露でやってなかったというのはわれわれの落度であったかもしれませんけれども、事実はさような方針で採択したということを通知しております。
  259. 濱野清吾

    ○濱野委員 あなた方の校長さんは日教組メンバーから出ておりますか。
  260. 毛利源三

    毛利証人 全部の先生は教員組合であるし、教組メンバーも各学校から出ておりますから、校長先生文書を出しますと連絡をとる、こういうふうに考えております。
  261. 濱野清吾

    ○濱野委員 そういう見込みなどではありません。あなたの方の校長さんは  日教組組合員になっていますか、校長さんは日教組から抜けておりますか、こういうことを聞いているわけです。
  262. 毛利源三

    毛利証人 校長先生教組の人でありますから、日教組との連絡はあると私は思います。
  263. 濱野清吾

    ○濱野委員 連絡じゃなくて、日教組組合員になっておりますか、それとも校長さんだけは日教組組合員から出ておりますか、すなわち組合員ではないことになっておりますかということを聞いております。
  264. 毛利源三

    毛利証人 その点は、はっきりと私申し上げることができませんが、日教組組合員と私は思っております。
  265. 濱野清吾

    ○濱野委員 もしそうだとするならば、校長さんに、この本にしたという説明を、地区採択権限を有する教育委員会ではなしに、こういう協議会を作ったほどのものですから、あなたの方から御説明すれば、私はこうした問題が起きなかったと思うのですが、この所見一つお答え願いたいと思います。
  266. 毛利源三

    毛利証人 初めから校長会代表者が中に入って協議もしておりますし、そういう意味で、校長先生は必ず部下職員には一部始終通知をしてもらっておるということは事実であります。ゆえに、今回の問題は、各校長先生にはこういうふうになったということで通知してあるのでありまするから、採択にかかわらずにその他の先生には通知が行っておるものと私は信じておったわけであります。
  267. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうもはっきりしないのでありますが、重要な点に入りますとあなたは巧みに説明をのがれるのでありますが、あなたの佐賀県は採択・供給については、かなり大きな議論があるのです。そこで私どもは先ほど来静かに同僚の質疑応答を聞いているのですが、蒸し返すようになってはなはだ恐縮ですけれども、なぜ教職員諸君に一番、二番の順位をつけさせることをしなかったか。たまたまつけたものが選考委員会において変更され、それで労組が抗議をしたり、新聞がこれを書いたり、どうしてこんな大事件が起きるのだろう。私どもは実に不思議にたえないのです。これはやはり、販売会社と学生協と、そうして学生協のうちに株主になりあるいは職員になる方があなたの県の教師諸君と結んで、そうしていろいろな方向に向ってきているのではなかろうか、それをあらかじめ予知して、あなたは、またあなた方の仲間は、こういうふうに教師たちに採点をつけさせなかったのじゃなかろうか、たまたま間違ってつけたものをこれを変更した結果、結局場所が場所だけにこうした問題が労組の抗議あたりに現われてきたのではなかろうかと見ているのでありますが、こうした見方はいかがですか。そういうこともありますか。あるいはそれは全然想像にひとしいというような見解をお持ちですか。この一点をゆっくりお考えの上お答え願います。証言ですから率直に述べて下すってけっこうなんです。
  268. 毛利源三

    毛利証人 ただいま考えてというお話でございますが、私は胸にさようなものを持って選考したのじゃないということだけを申し上げます。
  269. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君に申し上げますが、申し合せの時間が経過しておりますから、簡略に願います。
  270. 濱野清吾

    ○濱野委員 あなたの確信通り今日なおそう思っているという証言がございました。あのやり方で、しかも私どもは公明なやり方であった、こういうようなお話が出ておりますが、この順位の変更を議論を抜いてあなたがやった。天下の父兄は、そうしてその世論はどういうふうに向いておるか、あなたの看取していることをお述べ願いたいと思います。
  271. 毛利源三

    毛利証人 見ようによってはいろいろありましょうと私も考えております。また選考する人も幾分かそういう点も考えておるかもしれないということは了承いたします。しかし、私、会長立場から、かような何か一物を持ってこれを選考したというようなことは全くないということをここに申し上げておぎます。
  272. 濱野清吾

    ○濱野委員 それは最初のあなたの答弁でよくわかっておりますが、あなたの先ほど申しました通り、確信を持って中正公正なものであったと信ずると言われるが、そうしてやったこの結果が世論として一体どういう空気になっておるかということをお尋ねしておるので、それは大したことはない、非常に喜ばれているというか、別にあの事件以外にはトラブルは起きていないというお考えなのか、どういうことか、こういうことです。最初の目的を達せられそうな見通しが世論として出ているかどうか、こういうことです。
  273. 毛利源三

    毛利証人 われわれ杵島武雄地区教科書の選定は妥当なりと一般は認めておるのであります。
  274. 濱野清吾

    ○濱野委員 質問を終ります。
  275. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君の発言に関連して神田大作君から発言の申し出がありますから、これを許します。神田大作君。
  276. 神田大作

    ○神田(大)委員 だいぶおそくなりまして、証人は昼も食べないで恐縮でございますが、簡単に一、二点だけ大事なことでありますので御質問申し上げます。  証人地区連絡協議会というものの権限によって教科書採択をやっておるようでございますが、これはどういう根拠でやっておりますか、お尋ねします。
  277. 毛利源三

    毛利証人 今のお尋ねは、先ほど私申し上げたと思います。あれで御了承願いたいと思います。
  278. 神田大作

    ○神田(大)委員 教育委員会法律の中に、教科書採択権限教育委員会にあるということがはっきりしておる。このことを御存じですか。
  279. 毛利源三

    毛利証人 教科書採択権は地教委にあるということを承知しております。
  280. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、採択委員会選考委員会を作って、そうして教科書採択をするということは違法であると私は思うのですが、あなたは違法と思いませんか、思っておりますか。
  281. 毛利源三

    毛利証人 私は今まで違法でないと思うてやっておりました。
  282. 神田大作

    ○神田(大)委員 とにかく、法律で市町村教育委員会採択の責任がある。しかも、文部省の通達でもって、その教科書採択をする場合においては十分に現場の先生意見を尊重してやれ、しかも展示会前において特定な機関が教科書のことにつきまして二、三採択してそれを牽制するようなことをしてはいかぬというような通知が文部次官の通達によって出ておるのです。こういうことをあなたは先ほど何かあいまいなことを言っておりましたが、文部省の通達を御存じでしたか、御存じでなかったか。
  283. 毛利源三

    毛利証人 私、通達は読んでおりませんが、杵島教組部長の方が詳しく説明されたのであります。それである程度わかったようであります。直接読んでおりません。
  284. 神田大作

    ○神田(大)委員 説明されたのは、この教科書採択をやってからあとで、こございますか。
  285. 毛利源三

    毛利証人 採択をやったあとでございます。
  286. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、私はあなたと議論してもしようがありませんが、これは完全にあなたらの地教委協でもって教科書採択をやっておる。しかも採択したものを各学校へこのものを採択しろというような通知を出すことは、この教育委員会法の違法になると思う。この点は法律違反だと思う。そういう点については、あなたは知らないと言っておりますけれども、少くとも地教委責任者が教科審を採択するにおいて、教科書採択に関する大事な法律並びに文部次官の大事な通達を知らないで教科書採択をやっているというようなことについては、まことに遺憾なことでございまして、われわれとしてはどうも知らないでやっておったというようなことを納得するのには非常に骨が折れると私は思うのでございますけれども、との問題について今後あなたはどうお考えになりますか。
  287. 毛利源三

    毛利証人 今の問題は選考委員においては十分その点は検討しているようであります。それで、民主主義と申しましょうか、文部省通達でありましょうが、広く現場職員の意思も尊重してやらなくちゃならぬということから採択委員を委嘱したわけであります。しかしながら、採択委員並びに選考委員会でこれを決定いたしましても、これを単位教育委員会に持ち帰って、そして教育委員会承認を得なければ、これは実現できないのであります。われわれはその橋渡しの運営の道をとったのであります。
  288. 神田大作

    ○神田(大)委員 選考委員会が私の言ったようなことを十分知ってやったと言われますが、あなたは選考委員会における、あるいは地教委連絡協議会長としての教科書採択に対する最高責任者だと私は思っているのですが、そうでないのですか。
  289. 毛利源三

    毛利証人 ちょっとこれは申し上げますが、教育委員会では教育委員会が責任があって、教育委員長とかいうものはただ連絡するだけの機関でありますから、私はただ教育行政の連絡機関にタッチしているというだけにとどまるのであります。
  290. 神田大作

    ○神田(大)委員 教科書採択の問題は教育行政の中にあると私は思う。これは教育行政の中のしかも一番重要なことだろうと思うのでございまして、そういうふうな言いのがれをすることは許されない。私は質問すまいと思ったのですけれども、あまりにもどうもつかみどころがないので、私は法律違反の点だけをはっきりあなたに認識してもらって、そうして今後のあなたの態度を聞きたいと思ったのです。教科書採択というものは教育行政の一番大群な一部門です。そういう点で、今後あなたはやはり間違いないのだからこの通りやっていくつもりであるかどうかということをお聞きして、私の質問を終ります。
  291. 毛利源三

    毛利証人 あなたの御誠意はまことにありがたく感じます。
  292. 高木松吉

    高木委員長代理 他に御発言がなければ、毛利証人に対する難問はこれで終了いたしました。  証人には長時間御苦労でありました。  午前の会議はこの程度といたし、午後四時より再開いたします。  その間暫時休憩いたします。    午後三時十四分休憩      ――――◇―――――    午後四時四分開議
  293. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  直ちに証人より証書を求めることにいたします。  ただいまお見えになっているお方は緒方一男さんですか。
  294. 緒方一男

    ○緒方証人 はい。
  295. 高木松吉

    高木委員長代理 あらかじめ文書をもって御承知の通り、正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御承知願います。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小一中学校における教科書は多極多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生じ、これらが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し世上大いに関心を抱く向きがあるのでありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証書を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証書を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証書が証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証書を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書朗読して下さい。   〔証人緒方一男君朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  296. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  297. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次に各委員から証言を求めることになりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をいたしておるときはおかけになっておってよろしゅうございますが、お答えの際には御起立を願います。  証人の略歴を述べて下さい。簡単でよろしゅうございます。
  298. 緒方一男

    ○緒方証人 大正五年八月十一日杵島山内村大野に生まれました。佐賀県立武雄中学を卒業して、昭和十二年三月佐賀師範木科二部卒業、同年より今日まで郡内の数校並びに佐賀大学付属本庄小学校に奉職いたしまして、現在杵島山内東小学校に勤務中でございます。なお、その間、昭和二十四年度に県の研究指定校ができましてから今日まで、県内数校の国語指導委員を仰せつかっております。以上であります。
  299. 高木松吉

    高木委員長代理 昭和三十一年度の杵島郡及び武雄市の教科書採択委員になったことがございますか。
  300. 緒方一男

    ○緒方証人 ございます。
  301. 高木松吉

    高木委員長代理 その職務内容について詳細にお述べになって下さい。
  302. 緒方一男

    ○緒方証人 昭和三十一年度教科書採択のために、地教委といたしましては、地教委側から出されました選考委員会と、私たち現場の職員から編成されました採択委員会、この二木立で教科書採択に当ることになりました。選考委員会は、地教委側から掛されました教育委員代表、教育長、教育事務所長など計九名から組織されておりますが、採択委員会は現場の教師の中から各教科三名ずつ小・中学校合せて五十六名で組織されております。採択委員地教委の方から校長会を通じて推薦していただいたものでございますが、教科書を研究、推薦するという職務を持っておりました。以上でございます。
  303. 高木松吉

    高木委員長代理 先ほど毛利証人から聞きますと、この機構はあなたのお話しになっているような機構でないように聞いています。杵島郡、武雄市両方の運否と言いましょうか、地方教育委員会連絡協議会というものがあって、この協議会教科書採択を目的として選考委員会というものができて、そこに委員長がおって、その委員決定権を持っておって、その決定の前提として採択委員を校長各位の推薦によって連絡協議会会長が選任してそれに当らせたというようなことを言っておりますが、それは違いますか。
  304. 緒方一男

    ○緒方証人 その通りでございます。
  305. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、委員長から質問された通りですか。
  306. 緒方一男

    ○緒方証人 その通りでございます。
  307. 高木松吉

    高木委員長代理 三十一年度の推薦教科書を選定するについて、採択委員がとった教科書選定方針並びにその方法について詳細にお述べになって下さい。
  308. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。六月十八日に地教委から校長会採択委員推薦を依頼された結果、六月二十五日に第一回の採択委員会が開かれたわけでございます。その席上で、地教委の方から、採択委員を委嘱するから教科書を三種類だけ推薦していただきたいということを申されました。それで、私たちは、六月二十八日から七月一日までに行われました展示会の期間中、個人でも、それから各教科書委員会をそのうちの一日だけ持ちまして合同で研究を続けまして、七月の九日に採択委員が全員集まって推薦吾を作成、それに順位をつけて出したわけでございます。
  309. 高木松吉

    高木委員長代理 順位をつけることは、選考委員会との話し合いにおいて順位をつけることを条件としてあったのですか、ないのですか。
  310. 緒方一男

    ○緒方証人 お答えいたします。第一回の採択委員会の席上で、前田選考委員長が、あなた方は現場の権威者だから、私たちは何もわからないから、よく研究して、ぜひ順位をつけてくれと要望されたのであります。従って、私たちはみんな順位をつけて推薦をいたしております。しかるに、後になって、順位をつけよとは指示していないとして、たとえば私の関係いたしました国語では、初めから二位が審議の対象にならずに、一位と三位を比較した結果三位を採択決定したという通知が参りました。そのために私たちは非常に驚いたものでございます。
  311. 高木松吉

    高木委員長代理 地教委連絡協議会昭和三十一年度の教科書採択に当って、採択委員推薦した教科書の中で、その推薦順位を変更して採択決定した事実があると今あなたはお話になりましたね。
  312. 緒方一男

    ○緒方証人 はい。
  313. 高木松吉

    高木委員長代理 その通りですか。
  314. 緒方一男

    ○緒方証人 その通りでございます。
  315. 高木松吉

    高木委員長代理 そうであれば、採択委員推薦した教科書について、教科別、学年刑、発行所別、推薦順位及び推薦舞曲等についてお述べになっていただきたいと思います。ただし、変更された分に対してのお話を願えばよいです。
  316. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。変更された分は次の通りであります。小学校の国語は、一位が二葉の新版、二位が束書、三位が学図の新版、そのような順位でございましたけれども、これが第三位の学図が採用されました。次に、小学校地図でございますが、これは順位が一位が大日本、二位が書院、三位が日教図、そのようになっておりましたのが、二位の書院が採用になりました。第三に、小学校の理科が、順位は一位二葉の新訂、二位が二葉の旧版、三位が大日本となっておりましたのが、第三位の大日本、「理科の世界」というのが採用になっております。第四に、中学校習字、一位が教出、二位が中教となっておりますが、決定は第二位の中教であります。そのほかは、推騰書に各採択委員がはっきり順位をつけているのが十三教科、順位はつけていないけれども左の方からその順に書いたという教科が六教科、不明が一教科でございましたが、今申し上げましたこの推薦順位がくつがえった分についてことごとくこれを読み上げるのでございましょうか。
  317. 高木松吉

    高木委員長代理 地教委連絡協議会においてあなた方採択委員推薦した順位を変更して、ただいま申し述べたような採択決定したことに対して、採択委員としてのあなた方はどういう見解を持っておりますか。また地教委側に対していかなる措置をおとりになったか、その間の事情をお示し下さい。
  318. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。先ほど申し上げましたように、順位をつけよと要望されたので私たちは順位をつけたのが、くつがえったということに対しまして、私たち現場の意見が尊重してもらえないのであろうか、しかもその通知は、必ず採用すること、特殊例外は認めないという個条もございましたので、非常にびっくりしたわけでございます。地教委側としては、最初から郡市からさらに県にも一律に統一しようという意向を強く表明されてきたのでございます。ところが、校長会側としては、この一律統一の件については、よい本であれば自然に統一ができるということは理想的でいいことである、しかし、一律に統一するということは検定制度の精神にも沿わないのじゃないか、展示会要綱の趣旨にも沿っていないという態度を持って、一律採択には強く反対し続けてこられたのであります。私たちは採択決定については何もタッチしておりません。そこで、校長会としても私たち採択委員の気持を深く了解していただきまして、校長会側の方からも選考委員に、この順位をつけよと言っていながらその順位を無視した、ぜひ採択委員の気持をくんでほしいという要望をしていただいたのでありますが、一方、私たちは、決定通知を受けて、どうしてわれわれが順位をつけたその順位がくつがえって、たとえば国語にしますと、一位、二位と比べて三位がよかったのでとられたのでありましょうけれども、その辺の事情がどうも明らかでない。私たちは七月十四日に毛利会長に面会して順位逆転の理由を聞いたのであります。ところが、会長は、前田委員長にまかせてあるから自分はわからないとおっしゃいました。さらに、私たちは、選考委員採択委員が話し合う機会をぜひ早急に開いてほしい、終始そのように懇願し続けて参ったのであります。しかるに、最後までその希望がいれられなかったのでございます。なお、必ず採用することという点は、これは改めてほしいとお願いしたところ、一旦決定した以上は変更するのは民主的でない、各地教委がもし一旦きめたことを変更するようなことであれば、その町村だけは人事交流などのときにも切り離してやらせるといったようなお答えもいただいたのでございます。前田委員長にも前後三回にわたりましてお会いして、両者の話し合いの機会を持っていただくように、そういうふうに毛利会長にとりなしていただきたいということをお願いしてきたわけでございますが、前田委員長も、採択委員の気持は実に気持よく了解していただいて、会長に電話、または直接に面会していただいて、採択委員選考委員会の話し合いをしてくれとお願いしていただいたのでございますが、毛利会長の方からだめだというので、その機会がついに作られなかったのでございます。
  319. 高木松吉

    高木委員長代理 最後に、一カ所だけ明瞭にしておきたいのだが、順位の問題です。あなたは採択委員として順位をつけて、第一順位だけが決定的になるものとすれば、三つを選ぶ必要がないように思う。この点が一つ。それから、いわゆる第一位をとるものと決定するとすれば、その仕事の最終決定証人にあるように思うが、その点はどうですか。
  320. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。私たちが地教委の方に再三お願いしてきましたことは、ぜひわれわれの定めた第一順位をとっていただきたいということは一度も申し上げておりません。なぜそれがくつがえったか、その理由がはっきりいたしますとわれわれは納得する。だから、その話し合いを開いて下さいと、それのみをお願いしてきたわけでございます。だから、ただいまお尋ねのような、採択権が私たちにあるというようなことは一度も考えたことがなく、毛利会長にも、最終的な採択権が地教委にあるということは、私たち何とも申し上げません、それだけ申し上げて参りました。
  321. 高木松吉

    高木委員長代理 連絡協議会の仕事として各地教委からまかされておって、そこで一応選定の最終線を出すということになりますね。そうすると、あなたの方で第一位を採用するんだということならば、三種類を選ぶ必要がなくなるように常識的に受け取れるのだが、その点に対する説明をしていただきたいと今申し上げた。その点に対する説明を願います。
  322. 緒方一男

    ○緒方証人 三種数の教科書推薦してくれということは選考委員の方から私たちに依頼されたことでございます。なおそれに順位をつけてくれ、これもやはりはっきりおっしゃったことであります。だから、私たちは、その一位が使われるとか、二位が使われるというふうな気持は持ちませんで、順位をつけろと言われたからつけたわけでございます。なお、三種選べと言われたから選んだだけであります。
  323. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、選考委員会でその三種の中からどれをとってもよろしいという前提の上に三種選んだということになるのではありませんか。
  324. 緒方一男

    ○緒方証人 先ほど申し上げましたように、三種のうちからどれをお選びになりましょうとも、それは地教委権限だと私は考えます。
  325. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長よりの尋問は一応終了いたしました。  これより委員諸君の発言を許可いたしますが、先ほど申し合せた通りに願いたいと思います。佐々木秀世君。
  326. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人にお尋ねいたしますか、証人佐賀県の杵島郡、武雄市の教科書採択委員会委員になっておられますが、学生生活協同組合の会員でございましょうか。
  327. 緒方一男

    ○緒方証人 学生生活協同組合というのは普通私たちが生協と申し上げているものと考えますが、私も株を買ったような、はっきり覚えておりませんけれども記憶があります。会員であることは間違いないと私は思っております。
  328. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 佐賀県の学生協は形は変りましたけれども教科書の取次、供給の仕事をやっているのを御存じですか。
  329. 緒方一男

    ○緒方証人 存じております。
  330. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それで、私たちは、教科書採択、供給、それから編集ということにつきましては、文部省のいわゆる指示通り厳然と分れていなくちゃならぬと、こう思うのですが、佐賀県におきましては、教員からなる生活協同組合、それが形は変っておりますが、現在ほとんど教職員方々が――あなたも株を持っているというようなことでしたが、今三分の二以上の方々がいまだに株を持っているわけであります。そういう教科書の供給をやっていることにつきまして、われわれは非常な疑問を持つのであります。ことに、この供給取次店ができるときは、二葉出版会社がこの株を持つというところまでいっていたのであります。また一時持っておりました。その点は証人も御存じのことと存じます。そうした関連から、もし今まで証言なされたように、その会社の本を、しかも自分たちの組合において供給しているものを多く使うというようなことがかりにあったとすれば、これは重大な問題だとわれわれは考えるのであります。たまたまこの佐賀県におけるところの教科書採択状況を見ますと、われわれはびっくりするのでありますが、こういう例はあまり全国にないのです。昭和二十八年度から見ますと、二葉の書籍が全書籍を通じまして佐賀県におきましては六〇・八%使われているのであります。それから二十九年におきましては七〇%、昭和三十年度におきましては五八%。大体六〇%から七〇%の二葉の書籍が使われているという数字がわれわれの調査に上っているのであります。二葉の教科誰がそれほどいいということになれば、全国的にそういうパーセンテージが出てこなくちゃならないのですが、佐賀県のみが六〇%、七〇%。他の府県におきましてはさほどありません。最大使っていても十数。パーセントでございます。こういう点が採択の部面に影響するということになれば、われわれとしてもこれに無関心でいるわけには参りません。そこで、先ほどから午前中の証人あるいはあなたにもいろいろお尋ねしているのでありますが、あなた方採択委員におきまして、本を取り次ぎ、供給する方の学校生活協同組合のいわゆる株主という方々が何人くらいおられましたか、一つ御存じであったらお知らせ願いたいと思います。株の数は幾らにしましても、あなたも株主ではございませんか。
  331. 緒方一男

    ○緒方証人 お答え申し上げます。私先ほど株を持っておると申し上げましたが、幾らの株を持っておるのか、かねがね考えてみたこともありません。それから、二葉の教科書がたくさん使われているというふうなことのパーセントなども、私今初めてお聞きしました。なお、採択委員の中にどれくらいの人たちが生協の株を持っておるかというようなことも、私存じ上げません。たた、私たちは生協と教育図書とは別個だというようなことをお聞きしたことがございますが、私は生協の方の株は忘れましたが三百円か五百円かあるだろうと思います。が、教育図書の方の株は私持っておりません。
  332. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 教育図書というのは最近変ったのです。もとは生協の方がそのまま供給をやっていたのではありませんか。そして、株もそれから切りかえたというけれども、いまだに多数の人たち、われわれの調査によると三分の二以上の先生方あるいは先生方の家族あるいは親戚という方々が持っているのではございませんか。
  333. 緒方一男

    ○緒方証人 どうも、私、不幸にして詳しく存じ上げませんが……。
  334. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは、今お証言のように、あなたの方は採択の部面で非常にデリケートになっておりますので、われわれはその真相を明らかにしたいと思うのであります。この佐賀県に関する限りは、委員会のもとにいろいろな投書が来ているのです。ことに、今学生協がいろいろな教科書を扱っている、そのほかに、学生協から組合員の出資金の利益処分の払い戻しについても一回も受けたことがない、また、その取り扱うところの品物というものは、ここに書いてありますが、学校の教職員が教壇を利用して物品の販売を営んでいる事実がある、ワーク・ブック類、運動靴、パンツ、一年生の入学に対するランドセル、学用品の類、旅行用具、特に修学旅行を目途として農村の小学生の使うボストン・バッグ等の類に至るまで枚挙にいとまがないのですが、こういうようなあらゆる商品を扱っている、ことに佐賀県では学校生活協同組合がデパートなども建てているのですが、そういう物品販売のようなことまでやっている、それで業者が非常に迷惑しているというような投書もあるのです。これは投書ですから、全部そのままこの通りだというようにわれわれは信用するのではないですが、こういうようなやり方が教科書の部面にまでも行ったら大へんだ。なぜならば、御承知のように教科書の取次手数料というものは四分です。それから最終的な供給は一割二分あるわけです。合計いたしまして一割六分の手数料がある。こういうことは御存じでございますか。
  335. 緒方一男

    ○緒方証人 手数料がどれくらいであるか、私、詳しく存じません。なお、生協の方と教育図君とは私どうしても一体的に考えることができないのですけれども、われわれが教壇の上から何か業者と結託してどうこうするというふうなことは、私、夢にも思っておりませんでした。
  336. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 こういう点は、私らは、投書ですから、真実性があるものとしてあなたに詰め寄っているんじゃありませんから、そのつもりでお答え願いたいと思います。佐賀県では生協は学校の先生と同時に生徒がみな組合員になっておりますか。
  337. 緒方一男

    ○緒方証人 私、数年前学級を持っているときに一時資金を借りたことがあるように記憶しておりますが、それは卒業するときに私に関係する限り全部生徒に返してありますので、おそらく子供たちは何も関係がないのじゃないかと私は思います。
  338. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 夏休みのおさらい帳などは、あなたも先生でいらっしゃるからあれですが、どういう形で生徒に売り渡しておりますか。
  339. 緒方一男

    ○緒方証人 「夏休みの友」「冬休みの友」といったようなものは、これは教頭さんの方で希望の学級だけ調査なさってその数量をまとめて、配達されたのをその学級で配っていらっしゃるようでございます。
  340. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、これは生徒に販売しておるのは事実ですね。
  341. 緒方一男

    ○緒方証人 事実であります。
  342. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それが、佐賀県のおさらい帳は販売価格を入れていない。そうすると、あなたが教壇にいらっしゃったときには、どのくらいの価格で生徒に販売しておりましたか。
  343. 緒方一男

    ○緒方証人 はっきり覚えていませんけれども、二十円か二十五円ぐらいじゃなかったかと思いますが、記憶の間違いかもわかりませんから……。
  344. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これが、「夏休みの友」「冬休みの友」が学校渡しの価格がみな違うのです。一年から二年とか、三年から五年とか、こういうように分けて価格が違っておりましたが、われわれの聞くところによると、大体平均して二十五円ぐらいというよりも、二十五円で生徒に売り渡されておるように調査ができておるのですが、そうじゃございませんか。
  345. 緒方一男

    ○緒方証人 私、実はこのごろ級外でございますので、その点、はっきりいたしておりません。
  346. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 直接の担当でないあなたに私聞くことは、ちょっと道がはずれると思いますが、ただ、佐賀県のことにこういう採択の方の方でございますので、「夏休みの友」「冬休みの友」にしても、これは児童の使うものですから、ある程度御存じではなかったかと思っていたのですが、われわれが不思議にたえないのは、価格を入れていない。しかも児童は生活協同組合組合員であるというようになっておるのですね。それだから、これは非売品で配っておるのだ、こういう形になっておるのですが、今あなたからお聞きすると、生徒は組合員ではない、ただ借り入れの形で生徒から一人十円ずつ金を出さして、そして卒業するときにそれを戻しておるというお話でございましたので、その内容をもう少しお聞きしたい、こう思うのであります。別な証人をお呼びすればけっこうなのでございましょうが、そういう十円ずつ一時生徒から借り入れておるというお言葉がございましたものですから、その点を真相を確かめたいと思いますので、どういう形でこの十円をとって卒業のときに返すか、現にあなたは教壇にいらっしゃったのですから、よくおわかりでしょうから、その点のことをもう少し詳しくお話を伺いたいと思います。
  347. 緒方一男

    ○緒方証人 私が申し上げましたのは、多分生協ができてすぐのころだったろうと思いますが、確かに子供たちの方から希望みたいにして調査いたしまして、そしてその出資をしていただいて、それは卒業するときに返しますからという約束で私は集めて、返しました。聞くところによると、これはもう現在ではこのようなことは全くないということでございます。
  348. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これはほんとうの昔話であればよろしいのですが、が来ておるのでは、金は出したが、卒業のときに返してくれないというのがだいぶあるのです。もしあなたのおっしゃることが事実であり、今それがそういう形でないとすると、これはまた大へんなことが起きるのです。これは生徒を組合員として扱っているのです。あなたの言う通り、もうすでに生協ができた当時は生徒から十円かそこら命を集めたらしいけれども、最近一、二年ば金を集めていないと思うのです。これは借り入れとしても、あるいはまた組合員の出資金と見てもかまわないと私は思う。最近は集めていないでしょう。集めていないとすると、この「夏休みの友」なんかは、まるで組合員に分配するような形で定価で売っているということは、われわれとしては非常に疑問を持つのですが、最近は生徒からの金というものは集めていないということが事実ではございませんか。その点だけでも一つ証言願いたいと思います。
  349. 緒方一男

    ○緒方証人 どうしても私にははっきりわかりません。
  350. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうですが。それでは、わからない人に聞いても何ですから、私はこの点をお聞きしたがったので、これで終ります。
  351. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君から関連質問がありますけれども、これは最後に回しますから、御了承願います。  井手以誠君。
  352. 井手以誠

    井手委員 証人は、午前中証言を願った毛利証人と同村同部落でございますか、近所でございますか。どういう関係でございますか。
  353. 緒方一男

    ○緒方証人 毛利会長と私は同村の同部落の三百メートルくらいしか離れていない近所でありまして、毛利会長は私の村の教育委員長であられ、私は現場の教師であります。
  354. 井手以誠

    井手委員 私、最近まで地元の佐賀におりましたが、何かこの喚問がきまったあとであなたの村、では、あなたが喚問されることについて教育委員側から赤の代表だなどと非難されたような問題が起きたそうでありますが、そういうことを聞き、また午前中の毛利証人証言の態度を見ておりますと、なかなかしっかりした人物でもあるようであります。あなたは同村で監督を受けられる立場にある。毛利証人は管理の立場にあるわけであります。もちろん、あなたは先刻ここで宣誓をなさったので、真実をお述べになるとは信じておりますけれども、なかなか微妙なことがありはせぬかと思うのであります。私はあなたの証言を信じますが、おそらくあなたにとっては相当な勇気が要るだろうと存ずるのであります。また、聞くところによると、あなたが喚問されたことに対して、毛利証人は、自分が推薦したものだということを言われたと承わっておりますが、その間の事情をもあわせて、あなたの御心境が承わりたいのであります。
  355. 緒方一男

    ○緒方証人 お答え申し上げます。今も申し上げました通り、私、毛利会長とは同村同部落の非常に近所でありますし、なお、会長委員長としてわれわれの監督者であり、私はその監督下の教師であります。従いまして、私は公的にも私的にも非常に苦しい気持でありました。特に毛利会、長の御証書と対立をしたということになりますということは最も苦しいことでありましたけれども、しかし、先ほどちょっと申されましたように、次のような事実もございます。先ごろ、私の村の公民館におきまして社会教育協議会というものが村内で催されたのでございますが、会議終了後緊急質問が出まして、新聞などで毛利会長と私が杵島郡市の代表として行くようになっておるが、それは事実かどうか、なおどうしてかようなことになったかというように村の人が質問をされたのであります。そのときは、選考委員の一委員であり、私の村の教育委員であられます森宮次郎という方が、毛利会長がおられたにもかかわらず立たれまして、緒方先生は赤の魔手に踊る日教組、さらにその配下の佐教組、その佐教組や生協の代表として呼ばれるものであるといったようなことをお答えになったのであります。私はこれを聞いて実は驚愕したのでありますが、婦人会長である私の母がその席に同席をしていたのでございますが、色を失って私の心配をいたしました。そういう事件もございまして、いよいよ私の立場は村内でもいろいろ取りざたをされる苦しい羽目に追い込まれてきたのでありますけれども、しかし、私は、子供のために、子供がよいんを使うことができるように、十分の誠意をもって研究をしたつもりでありますし、はっきり事実をありのままに教育的良心の上に立ってここに申し上げるよりほかない、そういう気持で参ったのでございます。
  356. 井手以誠

    井手委員 何と申しますか、同じ村で管理者と被管理者の立場で、おつらいだろうと存じます。将来のことについて非常に、そういうとんでもないことをおっしゃる委員がおられるということを聞いては、なおさら私は心配をするのでありますが、あえて勇気を出して証言がいただきたいのであります。  そこで、私、二、三点お尋ねいたしますが、最もこの問題で焦点ともいうべき順位の問題であります。証人前田選考委員長から順位をつけてもらいたいという言いつけであったという話でありました。午前中毛利証人は、つけてはならないと自分は言い渡した、こういう証言であります。一つの事柄について全く相反しておるのであります。私が聞いたところでは、順位をつけてくれという話であったように承わっておりますが、一対一の証人ではなかなかきめ手というようなことにもなりませんが、あなたは確かにそう言われたということを証明なさる方法をお持ちであるかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  357. 緒方一男

    ○緒方証人 実は、六月の二十五日の第一回採択委員会の席上におきまして、前田選考委員長が、今度の教科書採択に当ってはなるべく統一の線でいきたいというようなお話をなさったときに、杵島郡南有明中学校の片渕という先生が、これは習字採択委員でございますけれども順位はつけますかという箕岡をはっきりなさったのでございます。そのときに、前田委員長は、順位をつけるのはそれは非常にけっこうです。われわれは何もわからぬから、ぜひつけて下さいとおっしゃったので、それは全部の採択委員が聞いていることでございます。これといった文書とかなんとかの具体的な証拠ではございませんけれども、そういう事実を申し上げます。
  358. 井手以誠

    井手委員 それでは、そこに何十名かの人がいらっしゃりたと存じますが、前田選考委員長からつけてもらいたいという話があったということに対する証明がいただけましょうか。
  359. 緒方一男

    ○緒方証人 お願いしてみなければわかりませんけれども、事実はっきり質問し、聞いた方もたくさんありますことだし、私はいただけばしないかと考えます。
  360. 井手以誠

    井手委員 そこで、委員長にお願いをいたしますが、非常に重大な点だと存じますので、順位をつけてもらいたいという選考委員長の一言に対する証明、これが証人の手でまとまればここに提出してもらうということに取り計らいをいただきたいと思う次第であります。
  361. 高木松吉

    高木委員長代理 証明書ですか。
  362. 井手以誠

    井手委員 証言と申しますか、証明と申しますか、それを裏書きするものであれば、どいうものであろうとかまいません。
  363. 高木松吉

    高木委員長代理 そういうものまとまりますか、証人
  364. 緒方一男

    ○緒方証人 ただいま申し上げた通りでございます。
  365. 三田村武夫

    三田委員 議事進行。ただいま井手委員の御発言、御要求ですが、これは午前中の証人宣誓証言であります。ただいまの証人宣誓証言であります。その両証人証言が食い違った場合は、委員会の権威で別途研究し、別途の方途を講ずることが、私は委員会として当然とるべき道だと思いますので、一つその点御考慮願います。
  366. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  367. 高木松吉

    高木委員長代理 速記を始めて下さい。
  368. 井手以誠

    井手委員 先刻私は証明書提出の要求に類することを申しましたが、これは委員会で別途調査する方法もありますし、明らかに両証人証言が食い達っておることは事実であります。この点については委員長において善処されることを、委員会において善処されることを期待いたすのであります。  そこで、証人にお尋ねいたしますが、その順位をつけてくれろと言われた前田委員長の言業、それに関連して、それはどこで開かれたどういう会合であり、なおまた、その席上に毛利証人がおられたか、おられたとすれば、その発言が、あなたの推察では大体聞けたような場所におったかどうか、その点をお尋ねします。
  369. 緒方一男

    ○緒方証人 お答えいたします。六月二十五日、第一回採択委員会で、これは場所は武雄小学校でございます。なお、その席に、採択委員及び前川委員長のほかに、毛利会長は同席してはおりません。
  370. 井手以誠

    井手委員 それから、午前中以来問題になっておりました必ずという文字、必ずこれを採択しろという点。法文上は最終の責任者になっておる町村委員会連絡協議会毛利会長から通達が出されたということでございますが、その際、先刻あなたも御証言になりましたが、もしこれを守らない町村教委は、仲間はずしにするとか、人事交流には切り離すとか、それは間違いありませんか。それを念を押しますとともに、必ずという文字を毛利証人は後日取り消したとおっしゃいますが、それは事実でありましょうか。その二点をお尋ねいたします。
  371. 緒方一男

    ○緒方証人 お答えします。七月十四日、採択委員代表五名で毛利会長武雄小学校の校長室で会見いたしました。そのときに、必ずということは検定制度の精神に反する、推薦順位は現場の声として重視してもらいたい、順位が逆になっているので、その理由を納得させていただきたい、そのためにぜひ話し合いの機会を持ってほしいという要望を私たちいたしたのでございますが、その会児の最後ごろ、毛利会長は、はっきり先ほどの発言をなさいました。  第二点は……。
  372. 高木松吉

    高木委員長代理 井手君、第二点を説明してやって下さい。
  373. 井手以誠

    井手委員 第二点は、必ずという言葉を後日毛利会長から各町村教育委員会に対して取り消したという証言が先刻あったのであります。どうもその証言にはいろいろな点で疑問がありましたが、この点もまた重要でございますので、果して毛利証書のごとく取り消されたものかどうか、この点をあなたが御存じであればお願いしたいと思います。
  374. 緒方一男

    ○緒方証人 私たちは、必ずという線をとって、自由採択の線に近づけてほしいというお願いを再三いたしましたし、なお校長会の方もそれを強硬に要望をして参ったのでございます。それは教科書採択に関する経過概要という郡市校長役員会でまとめた記録によっても明らかでありますが、そういう要望にもかかわりませず、会長がそれをはっきり正式に取り消したということは、私、聞いておりません。ただ、何か一部の会合あるいはある機会に、必ずというのは行き過ぎであったということを申されたということはお岡きいたしております。以上でございます。
  375. 井手以誠

    井手委員 そこで、あなた方が内容十分検討されて、小学校の国語においては順位をきめて答申なさっておりますが、二葉でございますか、第一にされておりますが、第三位にされた学図の関係、いわゆるばらばらであったという本でございますが、どうですか、あなた方専門家が見られて、一位と三位になっておる比較は。あなた方の純真な専門的な立場からお考えになって、内容はどんなふうでございましたか。一口ではどうかわかりませんが、簡単に比較をお願いしたい。
  376. 緒方一男

    ○緒方証人 推薦理由書の中にその理由は述べてありますけれども、あまりに多うございますので、おもなる点を簡単に申し上げたいと思います。  教科書を選ぶに当りましては、私たち現場の教師は、常に子供の生活、地域性、心理的な発達段階など、そのような各種の条件がございますが、第一位と三位と比べた場合に、第一位の二葉の新本の方が、やはり私たちの地域性には非常によくマッチしております。  なお、その内容上の点につきまして、ここに一年と五年と六年の教科書を持ってきておりますが、これによって簡単に説明いたしてもよろしゅうございましょうか。
  377. 高木松吉

    高木委員長代理 よろしいです。
  378. 緒方一男

    ○緒方証人 これは三位になった学図のプレ・ブリマーの本でございます。第一、ちょっと見てみましても、こちらの方が非常に明るくて、図版たどかはっきりしておりますし、なお、この文字の提出あたりにしても、これの一番初めに提出された文字は「あきらさん。」という呼びかけの言葉になっております。ところが、こちらの方の図版になりますと、非常に暗くて、鮮明でございません。なお、一年生としてはどうかと思われるようなこのような写真版みたようなものもございますし、文字の提出というふうな点から見ましても、こちらの「あきらさん。」というかわいい呼びかけに対して、「まこと」「としこ」といったような、何の意味もないような提出の仕方をしてございます。こういうところが、私たち現場の教師としては、教科書によって子供の人間を伸ばしていくというふうな点から、こちらの方がふさわしいというふうに考えた一つのポイントでもございます。  それから、二葉の六年に「見学の記録」という単元がございます。生活を重視しますので、その単元学習というようなことからこのような教科書の編さんがなされるのでございますが、その「見学の記録」という単元の中に「新聞社の見学」「造船所をたずねて」という二つの文がございます。一方学図の五年の方にもやはり造船所の見学の記録がございます。ところが、その単元はどうなっておるかといいますと、「働く人たち」という単元になっております。その中に「造船所の見学」という文がございます。私たち、正しい国語教育の本質から申しまして、この単元の提出の仕方と申しますのは、やはりこのような見学の記録というはっきりした文のねらいを出していただいた方が、生酒的で非常にいいのでありまして、「働く人たち」という内容的な出し方をされると、言語技術としての国語教育としては、私は十分でないと考えております。  まだたくさんございますけれども、おもな点を申し上げますと以上のようでございます。
  379. 高木松吉

    高木委員長代理 井手君に申し上げますが、先ほど申し上げた線をお守り願いたいと思います。
  380. 井手以誠

    井手委員 それでは、あと一、二点で終ります。  あなた方が良心的に内容検討して順位をきめられたことについては了解いたしました。  そこで、つかぬことをお尋ねしますが、午前中から話題の人になっております森という教育委員、これはよく、二葉の社長は共産党だというようなこととか、学生協の取扱いは多過ぎるとか、そのようなことを盛んにおっしゃっておるということを聞いておりますが、証人はそのようなことを聞かれたことがございますか。
  381. 緒方一男

    ○緒方証人 二葉の社長が共産党であるというふうな点は、公民館の席上で話されたことでありまして、私は直接聞いたことはございません。母から聞きました。  第二点の学生協との関係については、次のような事実を申し述べます。私たちが毛利会長に折衝しました結果果、毛利会長が、どうしてもだめだとか、もう日時がないとかいったような態度で拒否してこられましたので、これは同村から出ていられる選考委員である森教育委員に私もお願いしてみようというので、そのおうちに参ったのでございます。ところが、ちょうどこれから外出されようとしていて、森委員はバスに乗られましたので、私もそのままバスに乗り続けて、そのバスの中で、実はこういうお願いをしているけれども、聞き届けてもらえないので、よろしく御協力をお願いしますと申し上げましたところが、森教育委員は、今度の教科書採択に当っては、生協取扱いの図畠-実は生協は取り扱っていませんけれども、生協取扱いの図書があまりにも佐賀県は多過ぎる、だから僕はそれを半分々々に減らそうと思ってこうしたんだということを、私にはっきり申されました。それは全く事実であります。
  382. 井手以誠

    井手委員 いろいろ今までの証言を承わっでおりますと、肝心な現場教職員意見が全く無視されて、校長会からのいろいろな話し合いの機会を設けてくれということに対しても拒否されたいということを承わっておりますが、事実その通りでありますか。
  383. 緒方一男

    ○緒方証人 その通りであります。
  384. 井手以誠

    井手委員 証人は率直に証言なさって、まことにありがとうございました。今後も現地に帰られますと相当勇気が要るだろうと存じます。おそらくあなたの信念に変りはないだろうと存じますが、きょうの証言についての感想なり、今後の所信について簡単にあなたのお考えを伺いたいのであります。
  385. 緒方一男

    ○緒方証人 中ごろ申し上げましたように、私がここに来ますについては種々問題がございましたけれども、また、今度帰ったら、私のみならず学校長あるいは同僚の職員に対していろいろ問題が起りはしないかという点を私は一番憂慮しております。しかし、私は、はっきりした教育的な信念に基きましてこのような証言をさせていただきましたことは、この上もない喜びだと考えております。
  386. 高木松吉

    高木委員長代理 先ほど三田村君から佐々木委員に対する証言に関連して発言の申出がありましたから、この際許します。三田村武夫君。
  387. 三田村武夫

    三田委員 証人に一、二点お尋ねいたします。午前の証言、ただいまの証言で、杵島郡及び武雄市における教科書採択問題に関連したトラブルの模様は了承いたしましたが、証人は今までずっと佐賀で学校の先生をおやりになっておったのですか。
  388. 緒方一男

    ○緒方証人 私は昭和二十年から昭和二十八年の三月まで、佐賀大学の付属の本庄小学校で教べんをとっておりました。
  389. 三田村武夫

    三田委員 そういたしますと、従来佐賀県下において行われてきました教科書採択方法は、よくその事情を御存じですか。
  390. 緒方一男

    ○緒方証人 佐賀県全部の事情は存じません。
  391. 三田村武夫

    三田委員 佐賀県全部についてお伺いしなくてもけっこうですが、証人が今まで教べんをとっておられました学校ないしはその地域における事情は御存じなんですね。その前提でお尋ねするんですが、従来、昨年度までとってこられました採択方法は、具体的にどういう方式になっておりますか。
  392. 緒方一男

    ○緒方証人 私、そのころ一回か二回採択委員になったことがございます。そのときには、やはり今度の場合のように、採択委員が、名前は違うかもわかりませんが、それに類したものが現場の教師の中から委嘱を受けまして、そうして合同研究によって、やはり三種類、順位をつけて推薦をしていたように覚えております。
  393. 三田村武夫

    三田委員 大体そのような扱いだと思いますが、それは要するにこうですね。午前中にもここでお尋ねしたんですが、教育委員会採択なさる。しかし、実際採択の事務を直接おやりになっておるのは、教科主任といいますか、国語国語理科理科で、その掛当の先生方が、どういう形かで委嘱されて研究になり、研究されたものを三種数、一、二、三と順位をつけて教のですが、従来そういう方法でやって来られた採択方式、それを今度特に協議会的なものを設けて別個におやりになったその理由と申しますか、午前も重ね重ね伺ったのですが、何か証人はお感じになっておりませんでしょうか。従来そういう方式をずっとおやりになって、特に三十一年度の教科書採択に際して、杵島郡と武雄市の採択連絡協議会というものを作って、教育委員会の委嘱を受けてですか、ここで実際におやりになった。今度そういう措置をとられたことについての何か理由、お感じはありませんか。――どうしてこうなったか。
  394. 緒方一男

    ○緒方証人 さようです。
  395. 三田村武夫

    三田委員 そこで、お尋ねしたいのですが、従来そういう方法でやって来られた採択方式、それを今度特に協議会的なものを設けて別個におやりになったその理由と申しますか、午前も重ね重ね伺ったのですが、何か証人はお感じになっておりませんでしょうか。従来そういう方式をずっとおやりになって、特に三十一年度の教科書採択に際して、杵島郡と武雄市の採択連絡協議会というものを作って、教育委員会の委嘱を受けてですが、ここで実際におやりになった。今度そういう措置をとられたことについての何か理由、お感じはありませんか。――どうしてこうなったか。
  396. 緒方一男

    ○緒方証人 七月十四日に毛利会長と会見いたしました際に、毛利会長の方から、地教委組織以来三年目を迎えたから、ますますしっかりやっていきたいと思う、特に教科書採択についても、われわれとしては何もわからない者ばかりだから、今後教科書などのことも研究をしていきたい-。そのために地教委の中に研修部といったものも設けられておりますが、そこでこれはそのような話があっただけでございまして、私たちは特別にそれをどのような理由というふうなことは感じておりません。
  397. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君、簡単に願います。
  398. 三田村武夫

    三田委員 時間の関係で簡単にいたします。私、実は先般当委員会の現地調査班といたしまして、佐賀にもおじゃまして、事情をよく伺って来たのでありますが、先ほど証人が述べられたように、多少の理由という言葉で尽せるかどうか、これは考えは別でありますが、ともかく、こういう今度の新しい形式をとられたことについては理由があると思う。ということは、先ほども証人が言われましたが、私たち現場で事情をお尋ねしたときにも感じたことでありますが、学生協が従来取り扱ってこられました教科書の特約取扱いに関して、非常に片し寄っております。二葉が圧倒的に多いということは方々で聞いたのです。先ほど佐々木委員からもお尋ねがありましたが、これは他の県に比較して問題にならぬくらい圧倒的に多い。そこに何かあるのじゃないかというささやきを方々で聞かされた。先ほど、森教育委員が二葉が多いから半分にしてしまうのだと言ったと言われましたが、森教育委員その人に対する知識は私は何ら持っておりませんが、そういった声がどこかにあったのじゃないかという気がするのです。そうすると、少しはかりその点、証人にお尋ねするために申し上げますが、佐賀県の学生協の教科書に関する業務というものは、非常に組織的で、非常に強靱なものになっておるようです。ほとんど旧特約店が歯も立たない。手も出ないというくらい強くなっておるように私たちは聞いたのであります。そういう点から考えて、さっくばらんな言い方をしますと、学校の先生が商売に似たようなことをするのはよくないのじゃないかというような意見もあるのです。先ほど証人は児童の問題も言われましたが、これは、私たち調べた範囲においては佐賀と福岡が一番多いようでありましたが、学校生活協同組合組合員の中に児童も出資をして加わっておった。しかし、子供ですから意思決定の能力を持たない。組合員としてどう扱うかというところが問題になりまして、たしかあれは二十七年か八年だと思います。厚生省あたりからの注意もあって、その後児童は参加者から抜いたという事実もある。従って、この学生協を中心にした教科書の取扱いというものが、二葉の図書の内容いかんにかかわらず相当目につく存在だったと私は思うのです。そこに私はこの問題のポイントがあるような気がする。私は、証人の先ほどの証言を伺っておりまして、証人の信念と勇気に敬意を表して伺うのですから、その点は率直におっしゃっていただきたい。そうしませんと、先ほどから午前午後の両証人の御意見を伺っておりましても、ポイントが出てこないのです。どうしてその順位の問題がそれほどトラブルの材料になるのか、どうして佐賀県の地方新聞のトップに扱われるような問題になるかということがわからぬ。わざわざここにお二人に遠方から来ていただいて事情をお尋ねするのはそこなんです。佐賀に参りましてもトップ記事になっておる。地方としても非常に大きな問題であるようであります。事いやしくも教育に関する問題であり、小学校、中学校、全児童と全父兄にも及ぶ問題でありますから、非常に注目の的になっておるようであります。事は小さいようで非常に大きいと思う。こういう点を考えますので私はお尋ねするのでありますが、私は証人の信念と勇気に敬意を表してお尋ねするのでありますから、どうか率直にありのままをおっしゃっていただきたい。
  399. 緒方一男

    ○緒方証人 お答え申し上げます。生協との関係があるかないか、もしくは何らかの働きかけがあったのじゃないかというふうな意味に私は受け取ったのでございますが、前に申し上げた通り、私は教育図書の株も持ちませず、さらに生協そのものがどのような組織で、あるいはどのような機構でどんな教科書を取り扱っているかというふうなことも、私、うかつにして存じ上げません。  次に、二葉が多過ぎるから、なぜその二葉ばかり云々するのかというふうな御質問だったかと思いますが、私たちは二葉に固執をしたのではございません。われわれが研究をした一、二、三の順位がひつくり返って、三位が一位に認定されたということを、これはわれわれの研究疎漏かもわからない、別の観点から見られたかもわからない、従って、ぜひそういうことをわれわれが了解できるように採択委員地教委選考委員会との話し合いをして下さい、それだけを私たちはお願いをしてきたつもりでございます。だから、私たちが一位にした一位をぜひとって下さいと申し上げたことは一ぺんもございません。
  400. 高木松吉

    高木委員長代理 三田村君、簡単に。
  401. 三田村武夫

    三田委員 もうやめますが、私は学生協とか教組が働きかけて云々ということを申し上げておるのではない。その点一つ誤解のないように御了承願いたいのです。しかし、私一言申し上げたいことは、証人は学生協の存在活動、これはあまり知らないようにおっしゃるのですが、これは私ちょっと常識で受け取れないのです。これは学生協もそうですし、また佐教――佐賀教職員組合の活動もそうですが、これは別々なものではありませんし、また教職の立場にある方が無関心であり得ない存在です。十幾年の間教職にあられる証人が、また現場を担当し、今度のこの問題でも採択委員として相当ウェートの高い地位についておられる立場から、われわれが常識で判断いたしますと、証人が学年協の問題についてもあるいは佐教組の問題についても自分がよく知らないということは、ちょっと受け取られません。その点は私は重ねてお尋ねいたしませんが、私がこういう問題を重ね重ねお尋ねするのは、ただ私たちは一片のうわさや何かだけでお尋ねするのではなくて、一応公式に権威のある公正取引委員会からの警告文書の中にもちゃんとあるのです。これは佐賀県なら佐賀県で公聴会を開いて関係者一同から意見を徴した上に作成された公式の文書の中にある。そこに問題点があるのだということを私は申し上げる。だから、証人はその点を御存じないということは、私はわからない。そういった関係について全然御存じないのかどうか。私は二葉の教科書がいいとか悪いとか申し上げるのじゃなくて、一県にほとんど独占的な形態で入っていくことは公正な取引のためによくないという警告が二度も三度もある。そこで問題が出てきている。私自身は少くとも教科書内容について二葉のがいいとか悪いとかいうことを取り上げてお尋ねしているのではない。その点を一つすっきりお考えになって、これ以上追及いたしませんが、私の申し上げたことをおそらくあなたは御理解願えていると思うのです。一つずばりあなたのお考えになっていることをおっしゃっていただきたい。
  402. 緒方一男

    ○緒方証人 まことに申しわけございませんけれども、十幾年か教職にありましても、私には生協については興味と関心がございません。だから、私は、知らないことは私の恥ではないと思います。
  403. 高木松吉

    高木委員長代理 佐々木君。
  404. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 一言だけ証人にお尋ねいたしますが、先ほどこの本を見せていただきまして、私もなるほど一年生の本は二葉の方が印刷は鮮明のように考えます。ただ価格が違う。私は同じ価格だと思っておったら、二葉の方が三円高い。二十五円ですね。それから学校図書の方が二十二円。こういう三円違うということは、二十円くらいで三円違うのですから、一割以上値段が高い。もう一つは、こっちの方は価格は掲示されていないのですが、こっちの方の価格は幾らになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。そうでないと、さっき私は同じ価格で印刷がちょっと違うかと思ったものですから。
  405. 緒方一男

    ○緒方証人 今のところ、はっきりいたしません。
  406. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 学校の先生は経済方面には比較的研究がないようなんですね。私らはものを見るときに価段と品物を比較するのですが、私は商人上りなものですから、ことに値段がどうということでないと、品物がいい悪いということは考えられない。やはり百円のものと七十円のものは違う。そこで、たとえば一割違っても……   〔発言する者あり〕
  407. 高木松吉

    高木委員長代理 静粛に願います。
  408. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私はどちらを擁護するのじゃない。採択委員として、こういうことをきめる場合に、価格というのは父兄に及ぼすのですから、一冊について三円違っても、全国的になると相当の数ですから、そういう点考慮なさっておきめになったのかどうかということを承わりたかったのです。
  409. 緒方一男

    ○緒方証人 考えたつもりではございましたけれども、価格は忘れております。今後勉強いたすことにいたします。
  410. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは、今後でなく、価格という面が家庭経済に及ぼしますから、採択委員内容とそれから価格というものは必ず――しかもこの本は問題になった本です。今後とも、きめる場合は、家庭に経済的な影響を及ぼしますから、価格の部面もあわせてぜひ考慮願いたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  411. 高木松吉

    高木委員長代理 井手君の発言に関連して山田君から発言を求められました。これを許します。簡単に願います。
  412. 山田長司

    ○山田委員 私は二点ほど質問申し上げるわけですが、質問を申し上げる前に証人に対して一言希望を申し上げます。  先ほどの毛利会長と同村の同部落で、おそらくお帰りになられてからもときどき顔を合せる機会があり、あるいはお話をする機会があると思われるのです。先ほど証人ははっきりと自分の所信を申されましたが、これから長い歳月の間御生活をなさる上において、本日のこの証人台にお立もになられたことが、人生の上においても無形の形においておそらくかなり圧迫が起るような事態があると思うのです。これは私が私なりの長い自分の生活の中から申し上げるのですが、私などは、学生運動をしておって刑務所にたたき込まれたということから、村へ七、八年帰れなかったことがございます。その場合とあなたの場合は違いますが、しかし、あなたが本日証人席にお立ちになられたことから、これは決して肩身の狭いことでないのですけれども、ずいぶんそういう感じを周囲の人が受けられて、それが無形の形であってもあなたに及ぶようなことがありはせぬかと、私は老婆心ながら考えるのですが、その点については十分元気一ぱい御生活下さることを希望いたします。  次に、お尋ねしたいことは、先ほどの証言の中から受けたことで、おそらくそういうことがあったのじゃないかと思われるのですが、どうも選考委員人たちの中に何かしらものの考え方が厳正公正を欠く人がいたような印象を受けるのですが、そういう点はあなたはお気づきにならなかったかどうか、参考に伺っておきたいと思います。
  413. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。先ほど申し上げた事実の中にもしそのような考え方があるとおくみ取りであるならば、私はそれでもいいと思いますけれども選考委飢の中に厳正公平な考え方を欠く人がいるかということについては、私は厳正であるか公平であるかの判断をする能力を十分持っていないかもわかれませんので、申し上げかねます。
  414. 山田長司

    ○山田委員 さらに、先ほどの証人の言葉をあなたは聞いておらないから等えに苦しむ点があると思うのですが、採択委員会から教科書採択について順位をきめるほど努力をされて出されてきた教科書の中から、それが採択にならなかったり、順位が狂ったりしたり、さらに教科書のばらばらな製本があって、学図の図書ということですが、その学図の図書が採用になった。何か理解のできない証人の先ほどの陳述があったのですが、そういう点について、証人は、何か採用になるはずでなかった教科書が採用になったことについて不思議に思った点はなかったですか。
  415. 緒方一男

    ○緒方証人 三位が採用されたという点が不思議でございましたから、これまで、順位がなぜにかえったかということについての話し合いをさせてくれとお願いをしてきたわけなんです。  なお、このばらばら事件につきましては、私の郡の福富小学校の六月二十一日の調査によりますと、一年生二百人のうち十七冊が全部ばらばらになっております。二年生二百人のうち百六十五冊がばらばらになっております。三年生二百三十人のうち、五十九冊がばらばらになっております。表紙が一枚ばらっとはずれるくらいの子供は、まだほかにたくさんございます。今申し上げたのは、これは一枚々々がばらばらになってし願う。そういう率になっております。そういう点もございましたので、値段の点もあるかと思いますけれども、これは三位にせざるを得ない実情であったわけであります。
  416. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、先ほどの佐々木委員発言に関連して濱野委員からの質問がありますが、お互いに申し合せた事項がありますから、その線に沿って、ごく簡単にお願いいたしたいと思います。
  417. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人は、今度の新しい機構教科書採択をすることになったときに、選考委員会採択委員会との権限と申しましょうか、権能と申しましょうか、自分たちの与えられた仕事の限界線というものを承知しておったかどうか。もっと端的に申し上げますならば、あなたのお働き下さいました採択委員会は、よりよい本を一科目について三つだけ選べばそれでよろしい、採択の実際決定選考委員会でするのだ、こういう事実を当初知っておったかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  418. 緒方一男

    ○緒方証人 私たちははっきり自分の職務の限界を最初から知っておりました。私たちの仕務は、前に申し上げました通り、推薦すればいいのであります。決定権地教委にあるということは再三毛利会長にも申し上げておりました。
  419. 濱野清吾

    ○濱野委員 地教委にあるということではないのです。実際との決定法律的な決定、この二つを区切って考えていただけばいいと思います。あなたが就任されました採択委員会、それから別の毛利さんの方の入っておりました選考委員会、この二つの委員会の機能は一線を画しておるはずでございますが、それを御承知でありましょうか。
  420. 緒方一男

    ○緒方証人 承知しております。
  421. 濱野清吾

    ○濱野委員 もし承知しておるとするならば、今度の、あなたの順位をつけた一番が三番にひっくり返って、三番が一番になって事実上決定されたというようなことについては、何か非常な理由がなければならないはずであります。この点は先ほど申されただけの理由にしてはあまりに薄弱だと思うのであります。そこで、私は、そういうことを前提としてお尋ねするのですが、先ほど申されたように、二葉の社長は赤だとか、二葉の教科書があまりに圧倒的に佐賀県に出ておるからこれを二つにぶった切るんだとか、あるいは何かそういう簡単な理由のもとにあなた方のつけた順位を狂わされた、こう信じておいででしょうか。それとも、もっと内面的に重大な理由があって順位を狂わされたとお考えでしょうか。率直にあなたの心当りをお答え願いたいと思います。
  422. 緒方一男

    ○緒方証人 申し上げます。その理由を私たちはどうしても納得できなかったから、たびたび話し合いをして下さいとお願いして参ったのであります。
  423. 濱野清吾

    ○濱野委員 それはあなたの説明でよくわかりました。こうしたことをあなた方の方でも抗議を申し入れたことがあるようでありますが、あなたの証言によると、二葉が高いとか、大体採択が多過ぎる、二つにぶった切るんだというようなことが先ほどあなたの口から出たが、それだけの理由選考委員会がかくのごとき決定をするはずがない。何かあなたの気持の上に心当りがあるかということを聞いておるのであります。
  424. 緒方一男

    ○緒方証人 心当りはございません。
  425. 濱野清吾

    ○濱野委員 それでは別のことをお伺いいたします。先ほど、同僚山田君の質問でしたか、あるいは他の同僚の質問にお答えでありましたか、学生協のことにつきましては興味もなければ関心もなかったというのでありますが、証人は相当期間教職員職務におり、その生活を続け、しかして佐賀県の学生協は相当活発な存在として活動しておったのでありますが、あなたは学生協の生活必需物資、それらの何ものでもよろしいのでありますが、かつて学生協から買い入れたことがございませんか。
  426. 緒方一男

    ○緒方証人 ございます。
  427. 濱野清吾

    ○濱野委員 世間で有名な佐賀の学生協、この実体、しかも取引をしてあなた方の生活に相当利益を得ているはずでございます。そうした事実を自分で行い自分で知っておりながら、しかも学生協の資金、その借り入れあるいは出資等において一部その学生協が活動したというような事実を知っておって、非常にうわさに上っている学生協が採択について公取委から警告を食ったというような事実もまた知っておって、どうもそれ以外のことは全部わからないというような証人の証書は、常識的には考えられないと思うのでありますが、この点どうでありましようか。
  428. 緒方一男

    ○緒方証人 買いものをしたことと私が興味や関心がなかったこととは別問題じゃないかと思います。なるほど買いものをしたことはございますが、何も興味や関心が特にあったから買いものをしたわけではございませんので、私が先ほど興味と関心がなかったと申しましたのは、その組織とか機構とか、そういう問題についての発言であったように思います。
  429. 濱野清吾

    ○濱野委員 教科書採択について学生協並びに学生協からスタートを切った会社の活動は天下有名な事実です。しかも学生協は背あなた方の学生協であったのです。興味がないなどというようなことはないでしょう。あなた方のものです。あなた方の利用機関です。そしてそれが発展して天下にこの事件を起すほど大きな活動をしているわけであります。この点は、私、はなはだ証人のお答えが残念なことだと思いますが、しかし、これ以上私はお答えを求めません。  そこで、委員長にお願いいたすのでありますが、前の毛利証人証言とただいまの緒方証人証言のお答えは大きな面において非常に食い違いを生じております。緒方証人の陳述がもし正しいとするならば、毛利証人の陳述はことごとく虚偽であります。また、毛利証人の陳述が真実であるとするならば、緒方証人のただいままでの陳述はことごとくこれはうそであると言わなければなりません。つきましては、適当の時期に理事会を開いてこれを鮮明にする方法を講ぜられんことを望みます。
  430. 高木松吉

    高木委員長代理 了承いたしました。  他に御発言がなければ、緒方証人に対する尋問は終了いたします。   証人には長時間にわたって御苦労でありました。   暫時休憩いたします。     午後六時一分休憩      ――――◇―――――     午後六時五分開議
  431. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日の証人調べはこの程度にいたし、明二十三日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会