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1955-09-19 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十九日(月曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 佐々木秀世君 理事 高木 松吉君    理事 濱野 清吾君 理事 南  好雄君    理事 山田 長司君 理事 神田 大作君       草野一郎平君    志賀健次郎君       中曽根康弘君    松岡 松平君       三田村武夫君    山本 猛夫君       米田 吉盛君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    塚原 俊郎君       福永 一臣君    井手 以誠君       高津 正道君    辻原 弘市君       西村 力弥君    小林 信一君  委員外出席者         証     人         (北海道教職員         組合中央執行委         員長)     米田  勲君         証     人         (北海道教職員         組合札幌支部         書記長)    星野 健三君     ————————————— 八月十二日  委員志賀健次郎君、荒舩清十郎君、大西正道君  及び春日一幸辞任につき、その補欠として三  田村武夫君、熊谷憲一君、田中利勝君及び小牧  次生君が議長指名委員に選任された。 九月十九日  委員菊池義郎君、牧野良三君、熊谷憲一君、山  中貞則君及び小牧次生辞任につき、その補欠  として志賀健次郎君、中曽根康弘君、鹿野彦吉  君、加藤精三君及び中居英太郎君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  小、中学校における教科書関係事件  派遣委員報告聴取     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。
  3. 神田大作

    神田(大)委員 議事進行について。議題に入る前にちょっと委員長お尋ねをしたいと思うのですが、実は過般日本民主党の名でもって「うれうべき教科書の問題」というパンフレットが出ましたが、このパンフレットの「はじめに」という書き出しのところに、「衆議院行政監察特例委員会会議録にあらわれた諸事実と、それを中心になされた調査の、概括的な、さいしょ報告書である。」こういうように書いてありますが、行政監察特別委員会教科書問題を取り上げるときに、われわれは、この理事会において、こういうような教科書問題等につきましては政党政派政争の具に供することのないように調査をしていくというようなことを申し合せたのでありますが、今日この民主党パンフレットを見ますと、明らかに行政監察委員会において問題になりました教科書問題を取り上げて日本民主党としてこれを党利党略に供しておると私は考えるのです。(「党略とは何だ」「不謹慎なことを言うな」と呼ぶ者あり)黙って聞いて。そういうことにつきまして、この問題の行監議事録を、まだ最後結論が出ないにもかかわらず取り上げたということにつきまして、私は非常に遺憾だと思う。委員長はこれをどういうようにお考えになりますか、お尋ね申し上げます。
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいま神田君が議事進行について発言を求められましたので、これに許可をいたしましたが、神田君の言われることは、民主党が出された「うれうべき教科書の問題」という民主党パンフレットの問題でありまして、本委員会とは何らの関係がありません。それから、委員会運営につきまして超党派的にこれを運営するということは、御承知の通り今まで超党派的に運営をしているつもりであります。しかし、各政党活動というものまで行政監察委員会において制限をするとか規制をするということは不可能であります。民主党独自の党活動でありますから、あくまでもそれは民主党お尋ねを願いたい。本委員会とは関係がないということは申し上げておきます。これは議事進行でありません。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 議事進行
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 議事進行範囲を逸脱しないようにして下さい。
  7. 神田大作

    神田(大)委員 それでは委員長お尋ね申し上げますが、とにかく、この行政監察委員会において取り上げる事項につきましては、理事会において申し合せましたように、これを政争の具に共さないという一つの申し合せに今度のパンフレットは反しておる。これを政争の具に供しないということを申し合せまして、われわれはこの教科書問題理事会に諮って入っておりますにもかかわらず、これを政争の具に供するようなやり方をいたしまして、結論の出ない前にこの行監議事録の一方的な取り上げ方をしてこれをやるということにつきまして、(「委員会に何の関係があるんだ」と呼び、その他発言する者あり)政争の具に共するような取り上げ方に対する委員長の所見をただします。皆さんに聞いているんじゃない。
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、もし行政監察委員会委員とかあるいは委員長の申し合せに反するということが言えると思うが、民主党が公党の名をもって発表し、社会党がまた社会党パンフレットを出されることは自由であります。そのパンフレットの内容であるとか、それに対する解釈であるとか見解というものは、おのおのの間で争えばいいのであって、これは委員会とは何ら関係がないということをあらためて申し上げておきます。従って、この問題に関する限りは発言を許しません。
  9. 濱野清吾

    濱野委員 議事進行。ただいまの神田君の質問について、私は一言申し上げておく必要があると思います。この委員会に、民主党責任において発刊したるパンフレットを問題として神田君が持ち込んでおる形であるが、これはきわめて事理明白でありますから、委員会では神田君の議事進行に対する問題を取り上げないことにしてもらいたい。  ついでであるから申し上げておきますが、教科書政争を越えての大きな問題であると私ども考えておるのであります。この教科書中心としてだれがこれを利用したかの問題は、いずれははっきりする時期が来ると思うのであります。民主党教科書政争の具に供したと言っておるが、大体政争の具に供しておるのはどの政党であるかということは、今にはっきりするだろうと思います。こういうような事情でありますから、これらの問題は将来に残すということにして議事を進められんことを切望いたします。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 いずれにしましても、民主党パンフレットに関する限り本委員会議題にはいたしません。   〔辻原委員神田君の動議は委員会において取り上げろということじゃなかったのです。委員長見解をただしておるのです」と呼ぶ〕
  11. 篠田弘作

    篠田委員長 委員長見解は申し上げた通りであります。   〔辻原委員「問題の点を明らかにしてもらいたい、言いっぱなしだけだったらいかぬよ」と呼ぶ〕
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、辻原君、私の答弁は終っておりますから、あとで速記録を見て下さい。   〔辻原委員「今の濱野さんのああ
  13. 河野一郎

    河野国務大臣 法案につきましては鋭意各省とも調整をいたしまして、大体二十日までには全部必要な法案を提出するという準備を進めておるわけであります。
  14. 松野頼三

    松野委員 二十日までに全部提出するのではなしに、やはり審議過程法案は順次に提出されなければ、一ぺんに出て一ぺんに審議ができないことは当然なんです。全部一緒に早く出せということより、一つでも一、二つでも緊急なものから出せ、こういうのがこの委員会空気であり、全衆議院空気なんです。それにもかかわらずちっとも出ないのはどういうわけですか。一番早く出すのは何で、いつ出すか、この点ぐらいはおわかりだろうと思います。どの法案が一番早く出て、緊急だからいつ出す、これだけでも承わっておかなければ、今後の審議に非常に影響する。どの法案でも予算関係のない法案はないのですから、一番緊急に、一番早く出すのはどの法案だ、その辺をもう一ぺん伺いたい。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 事務当局から説明させます。
  16. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 国会提出予定法律案のうちで、農林省関係のものといたしましては、この前の当常任委員会で私から、失礼でございましたが、概略の骨子について、各法律案考えを御説明申し上げました。目下政府側進行状況といたしましては、一両日中に農林漁業金融公庫法改正法律案と、この前の御説明では農地担保資金融通法案として、仮称の法案を申し上げましたものを、自作農維持創設資金融通法案ということにいたしまして、まずその二つをお願いしたいと思っております。
  17. 松野頼三

    松野委員 大臣にお伺いいたしますが、私が聞いておるのはその閣議模様を聞いておるので、事務的な問題ではない。この委員会審議日程がつかない。われわれは一口も早く上げようと思っておるが、審議日程がつかないから閣議模様はどうかと聞いておる。事務当局説明は聞いているのではない。そのいう不誠意のことではなしに、あなたのお考え通り、わからなければわからないでいい。はっきり御答弁を願いたい。事務当局説明を聞いているのではない。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 閣議といたしましては方針はすでに決定いたしております。目下進行事務的に法制局の扱いでありますとか、事務的な進行が一番重点になっておりますから、そこで事務当局として正確な期日を、大体どういう運びになっておるかということを説明させた次第でございます。
  19. 松野頼三

    松野委員 事務当局から説明を受けなければ大臣法案進行がわからないということは、われわれはどうも常識がないと思う。あなたが督促して、いつ出るか。あなたが第一に陣頭に立って事務当局を督励すべきなんです。事務当局から来るのを待っているのだったらわれわれの考えと違う。あなたが督促して、二十日に出すならどうしても十八日に出せ、これが今の現況ではないかと思う。これがもっと審議が早ければいいですよ。この予算進行して、もうすでに早く上げよう、早く上げようという空気の中に、農林関係だけ出ないということは、農林省として、ことに大臣として私は責任を聞いておる。事務的なものではないのです。事務当局から出てくるのを待っておるのだったら大臣のようじゃない。そこを言っておるのです。わからなければわからないとおっしゃってけっこうです。わからないことを無理に答弁しろという無理じいをしてはいない。大臣の熱意が不平であり、委員会運営予定が組めないというこの状況を、答弁がなけば先に進みます。日にちくらいはどうですか。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 日にちは今申し上げました通りに、私といたしましては二十日までには全部提出するように事務を督励いたしておるわけでおります。ただいま申し上げましたように、方針その他で私として考えなければなりませんことは全部決定してあるわけであります。しかし何分法制局に一度にいろいろ法律案が持ち込まれておりますので、法制局の方にも督励いたしまして、ぜひ二十日までにはどういう事態があってもということで、ただいま松野さんからお話の通り、一ぺんに持つて来ても困る、それはその通り考えます。従ってこちらも一度に出すわけではございません。つまり順を追うて、どんなにおそくとも二十日までにはそろえて提出するということにいたしておるわけであります。
  21. 松野頼三

    松野委員 まだ次の法案が出ませんから、この問題は、それではそういう状況ならあえてこれ以上の追及は別にしますが、昨年度の整理の問題が一つ残っておる。これは法案の問題とは別です。すなわちきのうも予算委員会に出ましたが、凶作加算の問題は過去の問題ですから、すでにあれは十月決定の農業統計でやるようにわれわれ自由党内閣のときには出して、あの問題を関連もあることだし、この程度のことはおやりになる腹があるのでしょうか、ないでしょうか。これは十月ですからもうすでに六カ月前の話です。これは事務的な問題というよりも当然出ていいはずなんですが、十月の凶作加算の支払いはおやりになるのかならないのか、これも一つお聞きしておきます。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 これも昨日予算委員会でお答え申し上げました通りに、凶作加算につきましては、前内閣のときに二百円の加算をいたします際に、これは税の振り合い凶作に対する振り合いで二百円が加えてあるのだということを承わりましたので、それが交渉一つの支障になりまして、そして目下大蔵省折衝しておるということでございます。
  23. 松野頼三

    松野委員 その昨年の凶作加算は二百円の中に含まれているというのは事務引き継ぎか何かにあったのですか、だれからお聞きになったのですか。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 大蔵当局から、のそういう申し出でございます。
  25. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣ですか、大蔵当局とはだれなんですか。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 大蔵事務当局であります。
  27. 松野頼三

    松野委員 こういう重要な問題ですから、おそらく前大臣引き継ぎ事項になければならない。事務当局事務当局といっても、それは一属僚かもしれない、一係長かもしれない、主計官かもしれない、こういう大事な問題は、事務当局から聞いたというような不明確なことで済まされる問題でない。はっきりおっしゃっていただきたい、だれなんです。それは。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 農林省事務当局もそういうふうに了承しているようであります。
  29. 松野頼三

    松野委員 農林省事務当局というのはだれなんです。その責任者大臣が第一の責任者だと思う。大臣責任を負えなくて事務当局責任を負う——どの局長なんです。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 これは前内閣時代のことでありますから、両省の折衝過程でそういうことにして両省折衝しておるということでございます。
  31. 松野頼三

    松野委員 もう少し明確にしてもらいたい。事務当局なら事務当局責任者に出てきてもらってもけっこうです。ことにこういう大事な問題は、大臣引き継ぎ事項にないということもおかしい。なければ、大臣はこの前の交渉をもう一ぺん確認するか、そんなものはおれは知らないとおっしゃるか、どっちかすればいい。事務当局事務当局と、そんな不明確な話はない。事務当局ならだれなんですか、大蔵省はだれなんですか。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことを考慮に置いて、今折衝中でありますと、お答えしたのであります。
  33. 松野頼三

    松野委員 きのうの予算委員会答弁とは少し違いますが、考慮に置いた結果どうするのですか。事務当局のそういう話し合いは、私の知っていろ範囲ではないはずだ。そういう不明確なことでこの問題をうやむやにしてしまっては、もう待ち切れない。先月や先々月の問題じゃない。この委員会でもたびたび選挙前から督促されている問題だ。省内の予算がいまだに出ていない、あるいは米の問題がまだわからない、わからないことは了承しますに出席したものを会員と称しているようで、事業としては研究会講習会機関紙及び図書発行教材教具研究等であります。出版会社とタイアップして教科書編集に関与した経緯については、いずれも出版会社の勧奨によったものではなく連盟等の方から積極的に働きかけたと言っております。各連盟とも北海道特殊性を強調し、北海道向き教科書が必要だと言っておりますが、この思想が普及すれば、現在ある教科のみならず、全科目にわたり北海道版ができることになり、全国共通要求に応ずるという現行検定基準より見て妥当かどうか、はなはだ問題だと思うのであります。  編著者採択者になっていないかどうかについては、一応採択とは一線を画しているようであります。しかし、全道にわたり会員を擁している関係上、採択に大きな影響があることはいなむわけにはゆかないのでありますが、どの程度採択に関与したかは判然とするに至らなかったのであります。著作料については、いずれも最近出版のものが多いので、発行部数確定後印税を支払う制度上、最も多い国語連盟でも二年間に百二十万円で、他は二、三十万円程度で、未収入のものも、 二、三あったのでありまして、その使途につきましても、機関紙発行費集会旅費等に使っており、特に申し上げるような点はなかったのであります。ただ、このうち中学校長会だけは研究団体ではなく、親睦団体であり、教科書実質的採択権者である全道の中学校長の集まりでありますので、中学校長会編著者となっていることは現行教科書制度上最も好ましからざる事例であり、編集採択の分離を強調している文部省がこれに検定を与えたことは了解に苦しむところであります。  第四は北海道ワークブック夏冬休み帳簿についてでありますが、北海道におけるワークブック副読本夏冬休み帳等はほとんど北海教育評論社の独占でありまして、ワークブックは八〇%、夏冬休み帳は一〇〇%使用されており、他の出版会社のものはほとんど使用されていない状況であります。  同社夏冬休み帳北海道教職員組合文教部同各地区支部文教部編集者となっており、これが販売に当っては直接学校と取引せず編集者たる北教組地区支部と取引しておるのであります。昭和二十九年度の発行部数夏休み帳七十九万部、冬休み帳七十七万部、計百五十六万部でありますが、この休み帳定価三十円となっており、同社ではこれを北教組支部に二十二円でおろしているのであります。北教組支部ではこれを二十七円で各学校に渡しているので、北教組支部は一部につき五円の利潤を得ているわけで、昭和二十九年度だけでも北教組支部収入は七百八十万円に上るのであります。北教組説明によればこの収入編集取材費編集員旅費学力テストの費用、教師用等に支出している由でありますが、編集費編集費として出版会社から受取るべきであって、この収入編集費に充当するのは妥当ではなく、また北教組はこのような営業による所得があったにもかかわらず課税申告をしていないことも判明いたしたのであります。二十七円で受け取った学校側はこれを定価通り三十円で児童に売っているので、学校側は一部につき三円の収入があるわけで、二十九年度の学校側収入は四百六十八万円であります。この金の使途は大体貧困児童用及び教師用休み帳代集会等の際の茶菓代等に消費している模様であります。この休み帳は、東京都における都教組出版のものに比較いたしますと、東京のものは四十八ページ定価十八円でありますが、北海道のものは四十ページ三十円でありまして、約倍に近く、はなはだ高価であると言わざるを得ないのであります。同社説明によれば出版原価は十六円七十一銭となるとのことでありますが、原価に応じた販売価格とせず、一律に三十円で販売しているのであります。この原価計算も必ずしも妥当とは思われないのでありますが、一応これを認めるとしても、なお三割以上の利益となり、同社の収益は莫大なものがあるのであります。  次にワークブックでありますが、昭和二十九年度の発行部数は百九十九万部で、同社卸値は大体平均して定価の五円引きで直接学校に発送しているとのことであります。しかし、この卸値定価との差額は全部学校側が取得しているものか、あるいは一部学生協が中間に介在して手数料として差額の一部を取得しているものかは明らかにされませんでしたが、昭和二十九年度だけでもその販売リベートは千二十三万円に上るのであります。このリベートが果して学校側学生協とどのような割合で配分されているか、さらに配分された金額がどのように使われているかについては、今後究明すべき点であります。またワークブック副読本などの編集者は、すべて北海道で教職に従事している教師団体でありまして、北海道中学校学習指導研究会北海道各市小学校長連合会北海道社会科教育連盟等であります。このように編集者が直ちに採択者となっている関係上、他の発行会社の入り込む余地がないのであります。しかも、この種団体編集費として同社が支払った額は大体一団体わずか五万円ないし十五万円程度買い取り原稿料であります。このような実情より見て、北海教育評論社北海道教職員児童、生徒に独占的に高い印刷物を売りつけて巨利をむさぼっていると言ってもあえて過言ではないと思料されるのであります。  以上をもって北海道現地調査概要報告を終りますが、その他参考書類あるいは参考品といたしまして、調査に当って録取いたしましたテープ・レコードを一応委員会に提出いたします。
  34. 篠田弘作

  35. 高木松吉

    高木委員 福島班報告をいたします。  小・中学校教科書問題福島県下における実情調査は、本員のほか委員四名によって行われ、八月十五日全員福島市に集合し、十六、十七の両日にわたり左記十六人の関係者県議会文教委員室出頭を求め調査を行なった。   八月十六日     県教育長  栗村 虎雄君     県教育次長 佐藤  光君     秘書室長  三本杉国雄君     県教育委員     会副委員長     元県教組中     央執行委員     長     氏家 義之君     教科書審議     会委員福島     市第一中学     校長    池田 季蔵君     教科書審議     会委員福島     県P・T・     A連合会長 小松 謙一君     地教委連絡     協議会会長 角田林兵衛君     元地教委連     絡協議会教     科書採択に     関する協議     会長    遠藤 直人君     教科書選定     委員会委員     湯野町小学     校教諭   遠藤 伊雄君     教科書選定     委員会委員     福島大学講     師   八月十七日     県会議員元 藤本  正君     県教組中央     執行委員長 佐久間利秋君     県教員組合     執行委員長 野口 忠夫君     福島教科     図書販売所     社長    西沢喜太郎君     福島教科     書販売株式     会社社長  岩瀬 良一君     福島教育     長元秘書室     長     櫛田 三郎君     元県教育長 小野 左京君  関係者に対する各委員質問応答論議中心をなしたと認められた点はおおむね以下四点に集約せられる。すなわち、一、県教育委員が在職中教科書会社関係した場合あるいは元関係のあった者が県教育委員等に就任した場合教科書採択等弊害を与えていないかどうか、二、福島県は教科書につき県統一限定採択を二十七年度以降三年間にわたり実施したのであるが、この過程の詳細はどうか、三、県教組教科書問題に対する意見並びに県教組の扱っている出版物等実情はどうか、四、特約供給所二つ存在しているが、これは単数の場合に比較し採択等影響を及ぼしていないかどうか、等の諸点である。よって、以下この順序により調査せられた概要報告する。  一、教育委員等関係。  福島県においては、県教育委員会委員安藤武君が昭和二十六年七月ごろから二十八年六月ごろまで日本書籍駐在員に在任し、また同黒木喜一君は教育委員に選出されるまで学校図書駐在員に就任していた。なお、元県教組執行委員長佐久間利秋君並びに唐橋東君は本年四月衆会議員に選出されるまで二葉駐在員を勤めていたので、これらの事実が県教委事務局を初めとして教育関係者に対しいかなる影響があったかという点につき県教育長以下関係者にただされたのであるが、これに対しては、教育委員教科書会社関係することは弊害があるが、県教組の役員だった者が会社関係し、また、元会社関係した者が県議になっても、採択権教育委員会にある限り問題がないので弊害はないという抽象的量解が述べられたのであるが、具体的の質問に対しては、佐久間利秋君が、安藤教育委員につき疑惑的風評を聞いたが確証はない旨の発言があったほか、他に注目すべき発言はなかった。次に、二十七年限定採択に当り教科書選定委員会審議過程において学図日書小学国語教科書がその選定順位教育委員の圧力によりすりかえられたとの風評に対しては、佐藤教育次長より、選定の結果は、東書日書二葉学図順序であり、二葉学図との間には相当の点数差があった旨数字をあげて説明があり、また当時選定委員だった遠藤教諭も、選定は四泊五日で外界と遮断されて行われ、最後の日に県の指導主事共同検討があったが順位に変更はなかった旨の陳述があった。さきに行政監察委員会の席上で、黒木証人に対し、県会において教科書採択に関し一身上の弁を行なった事実があったのではないかとの尋問に対し、これを否定する証言がなされたが、右は昭和二十八年九月飯坂町にて開かれた県下地方教育委員大会の席上教育委員教科書会社との関係につき質問があった際弁明を行なったことの誤伝である旨関係者より説明があった。  二、教科書限定採択関係。  二十七年度以降の教科書の県下限定採択の実施については、当時の県下の世論の動向、実施の方法、その後の情況等につき各関係者につき詳細調査を行なったのである。  福島県においては昭和二十七年初頭より県会において教科書厳選の要ある旨の論議が起り、三月二十七日には学校教科書制度の合理化についてと題する意見書が緊急建議案として上程され満場一致可決、内閣総理大臣、文部大臣大蔵大臣あて提出され、同時に衆参両院機長、両院文部委員会委員長宛に請願書として提出されたのである。切なる施策を講じ、もって義務教育における教科書負担の軽減をはかられるよう要望すというのであるが、引き続き県下婦人大会、県PTA連絡協議会、県PTA大会、県下町村議会議長会、以下小・中学校長大会において教科書県下統一についての決議、陳情が県及び県教委に対してなされた。以上の要望、世論に基いて、県教委はまず教科書審議会を設置して広く世論を聞き一方県会に教科書選定委員会設置に要する追加予算三十余万円の議決を求め、また選定委員の選考は教育長に委任することに決定した上、七十八名の教育実際家(内十二名は指導主事)に秘密裏に委嘱し、五泊六日間共同宿泊せしめて教科書選定に当らしめ、選定理由を付して公表、限定採択を実施した。昭和二十八年には地教委が成立して中・小学校の教科書採択権は地教委に移ったので、地教委としてはその総会において地教委連絡協議会内に採択協議会を設置することを決定し、協議会が県教委に選定委員会の構成運営    を一任し、前年度と同様の方法をもって限定採択を実施し、二十九年度またこれを踏襲した。  以上が附限定採択の実施計画である。この限定採択に対しては、県教組並びに各出版会社、特に限定により不利益を受けた会社に異論が起ったことは当然であって、県教組は県教委に対し質問書を発して回答を求め、今回の調査においても野口県教執行委員長は、一、教師教科書研究に対する熱意をなくする、二、選定委員の非公開は教師の間に秘密を打たせてよくない、等の反対理由を開陳したが、限定を若干緩和した三十年度の限定推薦方式に対しては、選定委員の選任を天下りでなく下から盛り上った方法にすれば反対でない旨の陳述があったのである。なお、元県教組執行委員長であり最初より引き続き今日まで県教育委員に選任せられている氏家県教委副委員長は、二十六、七年ごろ常磐炭鉱地帯において教科書が変って困るという話が出たのが始まりであり、世論は教科書の統一を望んでいた、二十七年設置された教科書審議会には県教組より代表二名が参加していたが、反対意見を述べても諮問機関で役に立たなかったと、当時の世論が限定採択に向って圧倒的であったと陳述した。また、元県教組執行委員長佐久間県議は、黒木現教育委員とともに二十七年限定採択発表直後に反対声明を行なった旨陳述があったが、同君は当時二葉株式会社駐在員であり、黒木氏は学図駐在員であり、むしろ出版会社を代表して限定に反対したと認められた。  限定採択が文部次官の通達ないし展示会要綱に反しないかについては、氏家教委副委員長が、反すると思って一応事務当局質問したが、文部省は指導助言であって、採択の権能はあくまでも教委にありと考え、かつ世論も思い強く反対しなかったと述べ、強い反対意見の開陳はなかった。この点県教組以外の関係者の意見はいずれも一致していた。  以上のように福島県の統一限定採択は強力な世論のもとに細密なる手続をもって実施されたにもかかわらず特に問題視されたのは、安藤君のごとく県教委委員中にたまたま教科書出版会社関係する者があり、採択に何らかの不当な圧力を加えたのではないかという疑惑も一つの原因をなしている。この点については県教委事務局もあらかじめかかる弊害の起ることを予想し、県教委委員選定委員の選任、審議の内容等については一切関知せしめない建前にしていたので、その間に巷間伝うる不正な関係がなかったと認められた。ただし、県において限定採択された三、四種の教科書の一うちから一つ限定採択するのは各職場の教師であるから、駐在員がこれら実際に採択関係すも校長または教科主任等に働きかけたことがあったであろうことは関係者の陳述にも認められ、これが誤まって選定委員に対し圧力を加えたように風聞せられたのではないかと思料される。  限定採択は三年間実施したが結果はどこうかとの質問に対しては、現教育長も成功であったと述べ、賛意を示す口述者も多かったが、福島教育長元秘書室長節田三郎氏及び県教組代表は反対意見を述べた。  角田地教委連絡協議会長は、限定採択は、イ、学校の現場で共同研究に便であり教育効果が上る、ロ、現場教師に必ずしも十分な能力がないからこれにより適正なものが選ばれる、 ハ、野放しでは教科書会社の運動が一そう激しくなるおそれがある、ニ、「おゆずり」ができる、ホ、学力の差が生ずることを防ぐことが出来る、と陳述した。これに反対する県教組側の陳述は前述の通りである。  三、県教組関係。  県教組教科書限定採択方式に対する反対意見については前述の通りである。さらに県教組行監委が調査を開始するや県下校長あて文書を発して十項目にわたり回答を求めた。よって右の点につき県教組中央執行委員長野口忠夫君にただされたのであるが、川君は右アンケートの結果県下統一限定採択に対しては六三%が反対である旨述べたが、この文書においては行監委の調査を著しく曲解した内容の前文をつけて出したので、必ずしも正鵠を得たものではないとして各委員より質問あり、野口君は前文はこれを取り消しなおアンケートを発した各学校に対しても文書をもって取り消すことに取り計らう旨陳述があった。  次に県教組編集学校生活協同組合が発行している夏休みの友、冬休みの友につき調査が行われたのであるが、右は昭和二十三年度以降実施され、二十九年度の発行部数、夏三十七万、冬二十七万、定価二十五円、原価十九円五十銭(ほかに編集費一冊につき一円、一校へ五十銭を要するという)、 この差引金額は特別会計として映画フィルムを作成巡回させている旨の陳述があったが、右原価は相当の利潤を含むものと認められ、また当然定価を引き下ぐべきであるとの意見も開陳された。  四、特約供給所関係。  福島県の特約供給所は明治三十六年国定教科書時代より福島教科図書販売所の一店であったが昭和二十六年から開隆堂及び二葉図書を扱うことにより福島教科書販売株式会社が出現し現在二店の複数制になった。この両社の競争関係は、その取り扱い実績が現在前者四分の三に対し後者四分の一であることと、下部取次所が共通であるため著しい弊害は発生していないが、複数制は取次所との関係においては独占制の弊害は除去されるが採択の面において出版会社側の競争に巻き込まれる弊害があるという一般的見解は本県の場合にも当てはまるように認められた。  なお、限定採択の結果は追加返品等の調整が著しく楽になったという陳述もあったが、限定採択後も教科書取り扱い部数があまり減少していないとの陳述もあった。  以上をもって概要報告を終ります。  なお、ただいま皆さんのお手元に配付いたしてあります関係添付資料は時間の関係もありますので朗読を省略させていただきますが、これらの資料は速記録に掲載されるよう委員長においてお取り計らいを願いたいのであります。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいま高木君の発言のありました通り、これらの関係資料を速記録に掲載するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。   〔福島班調査報告添付資料、本号末尾に掲載〕
  38. 西村力弥

    ○西村(力)委員 福島の視察に私も参りましたが、この報告書の作成につきましては、今新聞で御承知の、私の地元に軍事基地の非常な問題が起きておりますので、最後的に立ち会うことができなかったわけです。そこで、二、三点これに対する追加意見、そういうものを加えさせてもらいたいとも思うわけなんです。
  39. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 今西村委員から御意見がありましたが、この報告理事会において了承せられたものでありますから、また、もし御意見があれば、次の理事会なりその他で追加するなり処置をとっていただきたい。本日は理事会で一応決定した姿のままで報告をしていただく、こういうことにしていただきたいと思います。
  40. 西村力弥

    ○西村(力)委員 理事会と言いましても、理事会がこういうことを……。
  41. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたは理事会に出席しておらぬでしょう。
  42. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は理事ではございません。
  43. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それならば理じを通して言うべきです。あなたの党の理事が言うべきだ。
  44. 西村力弥

    ○西村(力)委員 現場に行かない人が、報告書のよしあし、正鵠だということは言えないはずです。それはわからないですよ。私が出なかったのは怠慢ということにもなるでしょうが、事情やむを得ないこともあったのです。そこで高木さんにも……。(「君は指定した日を自分ですっぽかしておいてそういうことを、言うのはけしからぬ」と呼ぶ者あり)そういう雑音については個人的に重々申し開きをしますが、謝罪しろと言われれば謝罪もしますが、やむを得ない点があったので、今後追加などしないで、今言わせていただいた方が簡単でいいじゃないかと思う。
  45. 篠田弘作

  46. 神田大作

    神田(大)委員 私はこの間の理事会北海道の現地調査報告事項について保留をいたしております。それは、帰ってよく調査いたしましてから返事をすると言っておりましたが、私が調べてみると、八ページの、「北教組支部ではこれを二十七円で各学校に渡しているので、北教組支部一は一部につき五円の利潤を得ているわけで、二十九年度だけでも北教組支部収入は七百八十万円に上るのであります。」、こう断定しておるということについては、これは断定すべきではなく、今後これは証人を呼んで調査すべきであって、必ずそれが利潤であるという断定した書き方については私は承服できませんから、申し上げておきます。
  47. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、西村君、神田君から御意見がありましたが、現地調査報告書は、一応事務局においてまとめまして、次の理事会でこれを論議して、その際意見があれば述べることになっておりました。従来、行監におきましては、理事会において認めたものを委員会において訂正するというような慣習も前例もありません。そこで、もし西村君あるいは神田君からそういう御意見がありましたならば、それを一つ文書で出してもらいまして、理事会にかけて、さらにこれにつけ加えるなり、あるいは少数意見としてつけ加えるなり、そういうことにいたしたいと思います。  それでは、九州の方を一つ説明願います。三田村君。
  48. 三田村武夫

    ○三田村委員 九州調査班の調査報告をいたします。  本調査一に参加した、委員は六名でありまして、調査の要旨は、一、教科書採択実情二、学校生活協同組合系の特約供給所実情と教科書採択との関係、三、理科研究九州地区委員会実情と教科書採択との関係、四、ワークブック夏休み帳冬休み帳等の編集発行及びこれが販売方法、五、教科書発行会社の宣伝活動状況、等でありますが、現行教科書制度に対する関係者の意見をも参考として聴取した次第であります。しこうして、調査上教科書採択の自由と公正が確保せられているやいなやという点に重きを置いた関係上、調査箇所を福岡、佐賀両県に集約いたしたのであります。また、調査のための事実の口述を求めた者は、教育委員会、公正取引委員会教科書供給業者、小・中学校教諭その他合計四十三名であります。  次に調査の結果につきその概要を述べます。  第一は教科書採択実情でありますが、教科書採択については、両県ともおおむね郡市単位に一教科一種類に統一しております。各教育委員会ともみずからの権限に基いて教科書採択に当っておりますが、採択に際しては、諮問機関として、教師代表、指導主事その他学識経験者等によりなる教科書選定委員会を作り、この委員会の答申に基いて決定しております。もとよりこの諮問機関の運営については都市の場合と郡部の場合とで多少異なっておりますが、教科書採択に当っては、学校職員その他の意見や希望が十分反映されるよう合議制的形式をとり、教科書採択の自由と公正を期すべく工夫している点は認められるのであります。  なお、佐賀県杵島郡におきまして、教科書採択委員会の答申内容と教育委員会側の意見と相違を来たし問題を起した事実があります。このことは現行教科書採択制度の不備に基因するのではないかと思考されますが、後日本委員会において関係者を招き事実を明らかにすることとなっておりますので御承知願います。  第二は学校生活協同組合系の特約供給所実情と教科書採択との関係について述べます。  福岡県における教科書特約供給所は旧特約の福岡県教科書株式会社学生協系の特約である福岡県教育図書株式会社及び福岡図書株式会社の三社鼎立の形となっているのであります。学生協系特約は逐年その取扱い部数を増加して参っておるのでありますが、両社とも昨年六月公正取引委員会より教科書採択の自由を阻害している疑いがあるとの警告を発せられたのでありますが、この警告に基き関係者の間で改善策を研究中のところ、教科書採択の自由の確保と教科書購買の便宜上より供給機構を一本化することが、妥当であるとの結論を得て、近く三社を合併した一つの供給会社を設立する模様であります。  次に佐賀県の場合でありますが、佐賀県における供給業者は旧特約の佐賀県教科書株式会社学生協系の佐賀県教育図書株式会社の二本建となっております。このうち学生協系特約は福岡県におけるそれと同様の趣旨で、昨年公正取引委員会より警告を発せられたものであります。この警告に基き会社は株主の構成員を逐次教職員以外のものに切りかえ、また取次店を設置する等の措置を講じ、教科書採択上の疑惑を招く要因を除去せんとしつつあることは事実でありますが、いまだ完全に脱皮されていないようでありまして、会社教職員と精神的一体感をなし、教科書採択影響を与えていることは否定できないと思われるのであります。  第三は理科研究九州地区委員会と教科書採択との関係について申し上げます。  大日本図書株式会社より発行されている科学の世界及び理科の世界の編著者は理科研究九州地区委員会ほか二団体の共編となっており、いわゆる地方版として九州地区における採択は圧倒的多数を占めているので、同委員会の結成の趣旨並びに同委員会と教科書採択との関係調査した次第でありますが、同委員会の結成は、教科書出版会社教科書販売政策の立場より結成されたものでなく、文部省の助言により結成されたものであることが明らかになったのであります。ところで、教科書採択との関係でありますが、公正取引委員会報告の概略によれば、同委員会編集による科学の世界が昭和二十六年文部省の検定に合格した際、中学生協はその採択運動を開始しまして多数の採択部数を獲得した、しかもこのとき旧特約がこの教科書発行会社である大日本図書に供給業務を申し込んだが、大日本図書ではこれを拒絶したので、旧特約は中学生協と手数料を折半することとして、供給業務を行なうに至ったというのでありますが、中学生協が手数料の半額を得たということは採択運動に対する報酬の意味とも解釈されるのでありまして、この点後日本委員会において関係者を招き調査することとなっておりますので御承知願います。もとより理科研究委員会会員は教科書採択運動を行なっている事実は認められないが、その背後で学生協採択運動を行なっているとすれば、教科書採択と無関係であるとは認めがたいと思われるのであります。  第四は夏休み帳冬休み帳等の発行及び販売方法であります。福岡県における小学生の夏休み帳冬休み帳発行並びにその販売学校生活協同組合が行なっているのであります。これら夏休み帳冬休み帳編集はかつては県教職員組合の文化部が単独で行なっていたが、現在は県教育委員会指導部、校長会の代表、地方教育委員会の代表、学識経験者等と合議して行なっている。定価は三十円で、その構成は、原価十八円、学校へは二十七円で渡されております。これら夏休み帳冬休み帳等の原価十八円は若干高価に過ぐるやに見受けられるのでありますが、その編集方法、内容、装丁等については特に不当な点は発見されなかったのであります。  教科書制度に対して聴取した意見は省略することとしまして、これをもって九州班の報告を終ります。
  49. 篠田弘作

    篠田委員長 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  この際委員長より申し上げますが、ただいまお聞きいたしました報告は、本件の調査の上に貴重なデータでありまして、ことに例年にない酷暑の中を各委員が御苦労をいたされましたことについて、深甚なる感謝の意を表したいと思います。
  50. 辻原弘市

    辻原委員 報告書の取扱い方法なのですが、先ほど神田君がこの前の理事会でと申されております。西村君の方もいろいろそれぞれの都合もあるし、理事に一任といったところでなかなかその報告書の内容がどういう形で出るかわかりませんが、逐一そのつど意見を申し述べることもなかなか困難だと思います。そういう点から、今言ったようないろいろな意見が出ておりますし、いろいろな見方もあるだろうと思います。そういう点で、ただこの報告書を一括このまま承認ということについては、それぞれ各人各様の考え方が違います。だから、承認する場合どういう形式において承認するかということについて、一応委員長のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  51. 篠田弘作

    篠田委員長 御承知の通り、本委員会におきましては毎年各地方に委員を派遣しております。委員の派遣は各派の委員に按分比例いたしまして委員を派遣しておるわけであります。そこで、報告書につきましては、先ほど来申しましたように、事務局に作らせて、これを理事会に諮って、その理事会のときには印刷物にしたものを各理事にお渡ししております。そこで、その中において理事会で認められたものにつきましては、慣例によってそのまま委員会において通しております。ただし、あなた方のように特に個人的な都合で出席できなかった場合、それから後に派遣委員としても理事会に出席できなかったためにそれに対して解釈の相違あるいはいろいろな意見があった場合においては、先ほど来委員長から申し上げましたように、文書をもってその訂正個所なり意見なりを出していただいて、そうしてその報告書の末尾にそれをつける、そういうことにいたしたいと思います。
  52. 辻原弘市

    辻原委員 そうすると、一応この原文を承認した形において……。
  53. 篠田弘作

    篠田委員長 そうです。
  54. 辻原弘市

    辻原委員 それに対するかくかくの意見があったという程度にとどめるわけですね。承認する場合にこの原案を承認するかどうかについて一応各委員の態度をお諮りするという、そういう取扱いは委員長はお考えになっておりませんか。
  55. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、あなたも国会議員として御存じの通り、国会は一事不再議であります。理事会において一度決定したものをまた個人の意見と違っておるからといってその意見をくつがえすわけにいきません。そこで、あなたが反対であれば反対である、付加すべき意見があれば付加するということでそれをお出し下されば、速記録にそれをとどめます。ですから、なるべくそれを明細に文書をもってお出し下されば、あなたがお出しになった文書をそのまま追加いたします。   〔「理再会に諮れ」と呼ぶ者あり〕
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 理事会にお諮りいたします。
  57. 辻原弘市

    辻原委員 これは、一応委員会においてその報告の原案を了承するかしないかの……。
  58. 篠田弘作

    篠田委員長 それは採決できめます。委員会におきましてはあくまで採決です。
  59. 辻原弘市

    辻原委員 従って、その報告書を承認する際に、そういった意見があるならば、口頭で言えるものについては口頭で取り扱われたらいいのじゃないですか。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの意見は口頭でもけっこうですが、きょうは証人調べをしますから……。
  61. 辻原弘市

    辻原委員 私は私の調査で反対意見を言っております。総括的にこういう場合についての意見を言っておる。こういう取扱いで出したことが適当かということを言っておるのです。   〔発言する者あり〕
  62. 篠田弘作

    篠田委員長 議事進行以外の発言は許しません。
  63. 西村力弥

    ○西村(力)委員 委員長は強引に少数意見書を出せと言いますが、私の言いますのは、意見でなくて、この報告されておる事実関係が違っておる、こういうことだから、私は意見を言おうとするのじゃない。だから、少数意見としますとうまくない。少数意見ではなく、事実はかくかくと認めて……。
  64. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなたの解釈です。川村君にちょっと申し上げますが、事実が違っているといいましても、調査団の大多数がその報告書事務局に作らせたものであります。公平に作ったものを理事会が承認したのですから、あなたの解釈の相違は、今言ったように、あなたはあとで文書でお出し下さい。それ以外に申し上げることはありません。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 意見ではない。事実が違う。
  66. 篠田弘作

    篠田委員長 じ実が違うということはあなたが違うと感ずるだけであって、大部分の人はそれを承認しておる。それを今言われても、一事不再議ですから、あなたも国会議員ならばそれぐらいのことはおわかりだと思う。だから、そういう意味で、あとで出して下さい。理事会に諮って速記録ニ……。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ジ実関係を言っておるのです。   〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  68. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、ただいまの報告書を認めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  69. 篠田弘作

    篠田委員長 異議のある方は挙手を願います。   〔反対者挙手〕
  70. 篠田弘作

    篠田委員長 少数です。それではそれを認めます。     —————————————
  71. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は米田勲君ですね。あらかじめ文書をもって御承知の通り、本日正式に証人として証言を求むることに決定いたしましたから、さよう御承知願います。  この際証人に一言申し上げます。   〔発言する者、離席する者あり〕
  72. 篠田弘作

    篠田委員長 静かにして下さい。濱野君、席へ戻って下さい。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小・中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いている向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義あることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより小・中学校における教科書関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける着の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはでぎないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読して下さい。   〔証人米田勲君朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。
  73. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、宣誓書に署名捺印を願います。   〔証人宣誓書に署名捺印〕
  74. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、そのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承下さい。なお、こららから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の経歴について述べて下さい。
  75. 米田勲

    米田証人 昭和八年三月札幌師範掌校を卒業して、自来北海道空知郡の粟沢、由仁、幾春等の学校に歴任して、現在三笠中学校の教員をしております。組合の関係では現在北教組の中央執行委員長を勤めております。以上です。
  76. 篠田弘作

    篠田委員長 北教組の組織と運営について、支部の数は幾らあるか、支部で学習帳の編集に当る部はどの部で、何人くらいで構成されておるか、支部で学習帳の配付を担当する部はどの部で、どのくらいの人によって構成されておるか、その三点について御説明を願います。  支部の数は幾つありますか。
  77. 米田勲

    米田証人 二百七十四支郎です。
  78. 篠田弘作

    篠田委員長 これは町村支部ですか。
  79. 米田勲

    米田証人 そうです。
  80. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、学習帳を扱う地区支部と申しますか、そういう支部は幾つありますか。
  81. 米田勲

    米田証人 私らの組織は、北教組という単一組織のもとに、今申しました二百七十四の、市町村ごとに支部があります。その支部のもとに、各学校ごとに班を設けておるわけです。その班の総数は三千余りになると思いますが、正確な数は今記憶しておりません。それから、市はそのままですが、支庁——御存じだろうと思いますが、支庁ごとに十なり十五の支部をまとめておる地区協議会というのが作られております。その地区協議会は十六、市支部が十六、その地区協議会十六の中に先ほど申しました数だけ支部があるわけです。そういうことになっております。
  82. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、学習帳の編集あるいはこれの受入れと申しますかに当っている支部は、大体地区協議会十六と市の支部十六、合せて三十二の支部でこれを扱っているわけですか。
  83. 米田勲

    米田証人 これは大体私の方の学習帳の原稿を仕上げるまでの編さん活動の全貌について申し上げれば一番わかるのですが、大体全組合員が、個々の場合は全教職員になると思いますが、私らの組合員はこの編さん活動に何らかの面で全部参加しております。しかし、その中で特に重点的に参加しておる者は、大体一回の夏休み帳冬休み帳ごとに延べで一万五千人くらいの人数が動員されております。従って、この活動は……。(発言する者あり)ちょっと僕の言っている間黙っていて下さい。神経がとがりますから。
  84. 篠田弘作

    篠田委員長 証人、よけいなことを言わないでやって下さい。もしいけなければ委員長が制止します。
  85. 米田勲

    米田証人 そうして、その編さん活動は、中心になる責任は各地区協議会それから支部の文教部がそれらの手配をする責任を担当しておりますが、その指導のもとに多くの組合員が動員されて編さん活動を行う、こういうのが実態です。
  86. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、これはまたあとでも同じような質問が出るかもしれませんが、この冬休み、夏休み学習帳で北海教育評論社から二十二円で支部におろされるというその支部という意味は、この三十二の支部をさすのですか。
  87. 米田勲

    米田証人 この質問の中におろされるという言葉があるのですが、これはどういう意味でお使いになっているか、ちょつとお聞きしたいのです。おろすというようなことは私らの方ではないのです。
  88. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし、二十二円でおろした—— おろしたという言葉は商売上の言葉ですが、二十二円であなた方に渡されたものを、あなた方がさらにそれを二十七円で学校に配っているから普通商売上の言葉で言うと、あなた方が二十七円でおろしてもらって、それを二十七円で小売しておるということが常識になる。あなた方の解釈はどうあろうとも、世間の常識はそういうことになっておる。であるから、おろすという言葉を使っている。
  89. 米田勲

    米田証人 これは、しかし、あなたの方で、そういうふうに言われても、私の方では、事実——あとからおそらくお聞きになる機会があると思いますけれども、この編さん活動の実態、それからそれらの差金についての問題について私から御説明申し上げます。
  90. 篠田弘作

    篠田委員長 差金の問題はあとでお聞きします。
  91. 米田勲

    米田証人 おろしているとか、請け負っているとかいう事実はないということを申し上げておきます。
  92. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどういう意味ですか。それでは、あなたはどういう言葉を使っているんですか。
  93. 米田勲

    米田証人 それでは、この編さん活動について、この差金の問題を中心にして私に説明さしていただけますか。
  94. 篠田弘作

    篠田委員長 それは今おさせしますが、順序がありますから、順序通り聞きます。そうして説明していただきます。
  95. 米田勲

    米田証人 おろしているとか請け負っているとかということがないということだけ申し上げます。
  96. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあとで説明して下さい。要するに、二十二円で受け取っておる支部、もし、おろすという言葉が不穏当ならば、気に食わないならば、受け取っておる支部は三十二の支部ですか。
  97. 米田勲

    米田証人 これは非常に疑義のあることになります。この場合、委員長はあとから事情を聞くと申されますから……。今何と申されましたか。
  98. 篠田弘作

    篠田委員長 二十二円で渡されている……。
  99. 米田勲

    米田証人 これはあとから詳しく述べますけれども、今の場合……。   〔発言する者多し〕
  100. 篠田弘作

    篠田委員長 ちょっと黙っていて下さい。今委員長質問していますから。
  101. 米田勲

    米田証人 僕はこんなところは初めてですから……。
  102. 篠田弘作

    篠田委員長 よけいなことを言わぬでいいです。
  103. 米田勲

    米田証人 しかし、僕は神経とがりますよ。
  104. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたのような太った人が、そんなことはないでしょう。
  105. 米田勲

    米田証人 それでは、その点について私説明申し上げます。
  106. 篠田弘作

    篠田委員長 私の言っていることに、違うなら違う、そうならそうと言ってもらえばよいのです。
  107. 米田勲

    米田証人 どうも、私らのやっておる実態と違った感覚で押えているために、聞かれることが事実とどうもぴったりしていない感じがする。
  108. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、この岡教育評論社の方を調査したときに、北教組支部に二十二円で自分たちは渡しておると言う。おろすという言葉はしばらく使いません。渡しておる。その渡されておる支部を聞いたところが、それはいわゆる地区支部であって、市と地区、今あなたのおっしゃった三十二支部に渡しておる、こういう話ですから、それをあなたにあらためて聞いておる。
  109. 米田勲

    米田証人 渡すという言葉はちょっと今の場合私は保留しておいて……。
  110. 篠田弘作

    篠田委員長 議論をするところではありません。ここは言葉じりをかれこれ言うところではありません。
  111. 米田勲

    米田証人 渡すと言うと話が逆になるわけなんです。   〔証言を拒否するなら拒否したらいいじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  112. 篠田弘作

    篠田委員長 お静かに願います。
  113. 米田勲

    米田証人 拒否しません、私は。
  114. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたに申し上げた通り、証言の範囲質問範囲に限っていただくということです。
  115. 米田勲

    米田証人 それはわかっております。議論する気はありません。
  116. 篠田弘作

    篠田委員長 だから、あなたのように、委員長質問に対して、おろすでもなければ渡されたのでもないということならば、だんだん派生的な言葉じりをつかまえてあなたがここで議論するという考えだったら……。
  117. 米田勲

    米田証人 そういう気はありません。こういうことなんです。ちょっと説明させて下さい。評論社と……。   〔「討論しに来ているのではない」   と呼び、その他発言する者あり〕
  118. 篠田弘作

    篠田委員長 お静かに願います。
  119. 米田勲

    米田証人 討論する気はありません。事実を説明申し上げます。評論社が三十円で売っているわけですね。そのときに、これはあとからお話し申し上げますけれども、あらかじめ貧困児童に無償で……。
  120. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことを聞いていません。それは調べてありますから……。
  121. 米田勲

    米田証人 いや、そういう契約のもとに金がこういうふうになっているということを申し上げるのです。
  122. 篠田弘作

    篠田委員長 その問題はあとでお聞きしますが、要するに、評論社から単位的に渡される支部というのは三十二ですかということを聞いている。
  123. 米田勲

    米田証人 便法上そういうことです。
  124. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことを聞いている。便法上であろうと何であろうと、三十二なら三十二でよろしい。  次に、北教組北海道学校生活協同組合との関係についてお聞きしますが、まず第一に、北教組の職員と学生教職員とは人事の上どういうふうになっておりますか。
  125. 米田勲

    米田証人 私らの方の組合とは学生協関係ありません。
  126. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、あなたの組合と関係がなくても、北教組支部の組織と学生協の地区の組織との関係はどうなっておりますか。
  127. 米田勲

    米田証人 私の記憶では、空知に一つ学校生活協同組合というのがありますが、これは実態はよくわかりませんけれども、関係地区支部の私らの組合員が会員となって出資しているのではないかと思います。正確なことはわかりません。
  128. 篠田弘作

    篠田委員長 空知に一つですか。
  129. 米田勲

    米田証人 空知に一つあるのは、私は空知出身だから覚えているわけです。
  130. 篠田弘作

    篠田委員長 網走にはありませんか。
  131. 米田勲

    米田証人 その点は明瞭ではありません。
  132. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、事務所などはどうなっておりますか。北教組支部学生協事務所が一緒に北同で使っているというようなことはありませんか。
  133. 米田勲

    米田証人 空知の場合は半分に仕切って間を置いて使っておるように聞いております。
  134. 篠田弘作

    篠田委員長 学生協ワークブックを取り扱っておるということは御存じですか。
  135. 米田勲

    米田証人 それは私はわかりません。
  136. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、夏休み、冬休み学習帳はどうですか。
  137. 米田勲

    米田証人 その点は、学校生活協同組合ではそういうふうに扱っていないと思います。評論社が発行して販売しているということだけをお答えいたします。
  138. 篠田弘作

    篠田委員長 それは事実と違いますが、あとで……。こちらの調査では学生協が扱っているのがたくさんありますから。  北教組北海教育評論社発行する夏休み、冬休み学習帳の編集者になっているが、編集を引き受けるに至った経緯、また契約書があれば、その内容も述べてもらいたい。
  139. 米田勲

    米田証人 それでは、御質問夏冬休み帳北教組で編さんするようになった経過を簡単に申し上げます。  昭和二十三年のころ、全道的な傾向として、現場の教師たちが児童、生徒の生活経験に即したものを与えて学習のおさらいに便ならしめようとして、各受持ち教師が各個に研究をし、自主的にガリ版印刷などをして、夏冬休みの期間受持ちの子供にこれを与えて学習の助けにしていたというときがあります。そのことが各種の会議、会合等でいろいろ話題になりまして、これについていろいろ検討を加えた結果、昭和二十六年のたしか冬だったと記憶しておりますが、全道的に教師の研究と編集によって冬休み学習帳を作ろうではないか、編さんしようじゃないかということが私らの組合の文教部で決定をいたしました。この決定をするに至った直接の動機となったのは、昭和二十二年の三月に文部省が発行していた学習指導要領一般編というのがあります。この一般編によりますと、新教育のあり方ということで、序論に、これまでの教育では、その内容を中央できめると、それをどんなところでも、どんな児童にも、一様に当てはめていこうとした。だからどうしてもいわゆる画一的になって、教育の実際の場での創意や工夫がなされる余地がなかったというふうに過去を批判し、さらに、もちろん教育に一定の目標があることは事実である、また一つの骨組みに従っていくことを要求されていることも事実である、しかしそういう目標に達するためには、その骨組みに従いながらも、その地域の社会の特性や、学校の施設の実情や、さらに児童の特性に応じて、それぞれの現場でそれらの事情にぴったりした内容を考え、その方法を工夫してこそ、よくいくのであって、ただ当てがわれた型の通りやるのでは、かえって目的に達するに遠くなるのである、またそういう工夫があってこそ生きた教師の働きが求められるのであって、型の通りやるなら教師は機械にすぎない、こういうことが序論に書いてあったことがいろいろ討議の間で取り上げられて、これが編さんしようということの決定を大きく生み出した原因をなしております。そこで、北教組の文教部としては、よりよい生徒の正常な発達を求める立場に立って、一つは分散的に試みられている実践をまとめる、二つにはより多くの教師によって組織的に編集をする、この二つ方針を打ち出しました。そこで、当時北海道内で教育関係出版を行なっていた教育評論社に、比較的良心的であるというみんなの判断から、この教育評論社に発行をゆだねたというのが実情であります。
  140. 篠田弘作

    篠田委員長 比較的良心的ということは解釈の問題ですが、十一円の原価のものを三十円で売って良心的であるということは、商売上あり得ないことです。その点は多少あなた方の見解にもわれわれ納得のいかぬところがありますが、編集費として受け取った金額はどのくらいですか。
  141. 米田勲

    米田証人 これは少し説明させていただきます。数字だけ申し上げると理、解がいかないと思いますから。私、この前行政監察の方々が北海道に来られて調査をなされたことを、あとから速記録で拝見いたしました。それから新聞報道でもこのことがいろいろ報道されました。それらを見て、私は、執行委員長として、今まで自分の組織に対して本部が指導をしていたその指導方針が一体その通り行われていたのかどうかという点に、このような問題が起ったときに疑議を持ったわけです。従って、私の指導方針通り行なわれているとすれば、そのようなことはないはずであると判断をしたので、全組織にわたって、各学校から支部、地区と、全部にわたって編さんの実情調査と、その経理状況、経理簿の写しを私のところに全部集めさせました。今のところ、私が出発するまでには、一地区のが発送したというがまだ未到着で、完全な最後の集計はできませんが、報告をとったわけです。これをいろいろ検討を加えましたし、それから専門の税理士に委嘱して、この会計の内容の実態を振り分けていただきまして、そしてその結論としては、会計学上から、専門の税理士のお話では、本部の指導していた方針とけとんど同様なことが経理上も活動上も行われているということに結論が下されたわけであります。そこで、私はどういう指導方針をとっておったかということを……。
  142. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことを用いていないのだ。編集費として受け取った金額は幾らであるかということを聞いている。だから、あなたの方は専門の計理士を雇ってそういうふうにやったのだから、その専門の計理士が編集費として認めたものの金額を聞いているわけです。
  143. 米田勲

    米田証人 そうですが。わかりました。編集費として受け取った額は、これは例を昭和二十九年度の冬休み帳にとって申し上げるのです。資料収集費、これは原々稿資料です。百三十四万九千二百十三円、それから資料収集のための調査出張費三十二万八千五百二十円、編集研究会費百六十九万八千四百八十円、字務費八万五百十一円、通信費九万三千二百三十五円、配本費三万一千九百五十一円 会合厚生費十九万九千六百四十五円、雑費五万八千六百三十一円、以上が編集費として数え上げられるものです。
  144. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、それだけの金額を受け取ったわけですか。
  145. 米田勲

    米田証人 そうです。
  146. 篠田弘作

    篠田委員長 四十ページの学習帳でそんなにたくさんの編集費がかかるのですか。
  147. 米田勲

    米田証人 かかります。
  148. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、あなたはただいま一万五千人くらいがこの四十ページの夏休み、冬休み学習帳のために参画しておると言われましたが、一体編集のための会合とか資料の収集というようなことはどういうような方法で行われていますか。
  149. 米田勲

    米田証人 ここに夏休み学習帳編集実行表というのがあるので、これをごらんいただきながら私御説明申し上げればわかるのですが、一応ここで説明を申し上げます。昭和三十年の夏休み学習帳に例をとって、どのような編さん活動が行われたかということを御説明申し上げます。  十一月に、編集方針、内容、原々稿担当地区、編集日程等の決定を全道の文教部長会議で行なっております。この全道の文教部長会議では、この学習帳編さんの基本的な方針が討議決定になりますので、この文教部長会議に出席する各地区、市支部の文教部長は、あらかじめ流されていた編集方針等の原案について、各支部から文教部長を招集して各地区ごとにこの討議が行われます。また、支部からこの地区の文教部長会議に出席をして討論をする以前に、各学校班ごとにその方針原案について討論を行います。そういうふうにして、学校班から次々に支部地区、全道会議と、その討議を重ねて、全体の意見を持ち寄ってここで決定をするのであります。従って、三十年の「夏休み」については十一月にその会議を行なっております。それから次に、原原稿担当地区の文教部長会議、これは地区の会議です。全道の文教部長会議方針が確定せられますので、その確定した方針に基いて、今度は地区で文教部長会議を行うわけです。この場合は十二月に行なっております。そこで、割り当てられた地区は、地区内で原々稿作成上の留意すべき点を検討のために、教科サークルなどに連絡したり、会議を開いたり、あるいは各支部の代表者の会議を開いたりして、これが仕事の進め方についてこの会議で民主的に検討をいたします。次に、この地区は、さきに申しました討議の結果によって、直接執筆する委員だとか、仕事の分担だとか、日程だとか、細部の計画についてこの際に打ち合わされるものであります。この地区の文教部長会議は大体小・中別におのおの十名であります。次は、原々稿の作成、地区支部内における割当決定のための町村文教部長会議が同じく十二月に、その後に開かれます。ここでは、原々稿の作成担当は小学校中学校を合せて十地区であります。そこで、一地区は平均四つの教科を担当して研究することになります。本年度の夏休み帳の例をとりますと、四教科で、十地区が担当し、それが二十五カ町村、これは一地区の平均ですが、人数にすると、この町村文教部長会議で決定をして活動をする者は、延べにして大体千五百人になります。大体一・五日くらいの会議をやっておりますので、延べ千五百人が活動することになります。次に、執筆者による資料収集、学力検査の検討という仕事があります。執筆者は最後に直接執筆する人ですが、地区ごとに四教科で四人であります。この四人の力ではとうてい地区内の学力の実情だとか、全道的な資料の検討だとか、さらに全道教研大会の結論などの検討は十分に行うことが不可能でありますので、そこに多くの教職員が動員せられて組織的にこれらの執筆委員の仕事を助ける活動が行われるわけです。その仕事に動員される者は、教科別四人で、十地区、一地区二十五町村でありますので、千人の五日——この仕事は大体一人平均五日を要する仕事であるということで、延べにして五千人の動員が行われるということであります。その次は第一回の執筆者会議、これは小学校中学校各一日でありますが、おのおの三十名集まります。地区内の多くの人々の協力によって集められた諸資料といろいろな意見をここに代表して携えて集まるわけですが、編集方針あるいは編集の企画等を話し合いをして確認し、低学年、中学年、高学年の部会に分れて役割りを定め、その日程をきめます。次は執筆者による原々稿の執筆でありますが、これは今まで積み重ねてきた仕事を最後に集約する役ですが、一人が約一週間カン詰でこの執筆作業に当ります。さらに、第二回の執筆者会議が小学校中学校別に行われます。これは大体通例二泊三日の泊りがけで、おのおの小・中別に約三十名集まって、ここでいよいよ最後の検討を加えて原々稿が作り上げられるわけです。この原々稿というのは、ここに私持ってきておりますけれども、こういうものが、最後にこの会議で作り上げられる。最後は、この仕上げた原々稿を各地区に発送いたします。そうして地区ではこれをリプリントしたりして支部に送ります。そうして支部はまた支部責任学校班に戻す。そうしてこれが再び本部の方に返ってくるときには、全部付せんがついて、各学校の討議の結論がそれぞれ意見となってつけ加えられて、これがさらに支部、地区、全道会議と、逆にこの原々稿が批判されて返ってくる。これが原々稿の発送と原々稿の審査検討の問題であります。  そこで、十地区で作られた原々稿は、地域的片寄りがあるのではないか、あるいは町村の教育計画とはなはだしいずれを生じていないか、また、この中に盛られた、問題に取り上げられたものに不適当なものはないかということが主として詳細に検討せられます。大体これらの検討の会は集団的に平均二回くらいの会合を持って結論を出します。この原々稿の検討審査に動員される人員は、ただいま申し上げましたように三千余りの学生班が一道におりますので、組織的にこれで討議が行われますから、八千七百人が、この原々稿審査の会議に直接加わっている結果になっております。  それから次に、全道編集協議会というのがあります。これは原々稿について全教職員の意見が、まっかになって付せんがついて上ってきたものを、最終的に討論をして、こrの取捨選択を行うわけです。そうして、その結果、原々稿とはさらに校正された別の原稿がここに発生するわけです。その完成した原稿を評論社に渡して発行していただくわけです。  そういう経過になってきております。
  150. 篠田弘作

    篠田委員長 その評論社に渡すまでの費用が、さっきあなたが言われたように原々稿が百三十四万九千二百十三円を初めとして、総計幾らかかっておりますか。
  151. 米田勲

    米田証人 これは福祉関係でどけてある分を加えると六百三十五万五千九十六円です。これは、福祉関係の貧困児童の無償配付分二百四十二万一千七百三十四円を加えると、額は今申しました六百三十五万五千九十六円になります。
  152. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、四ページの夏休み、冬休み学習帳を作る原稿を作るために大体一万五千人の先生が動員されて、今あなたのおっしゃったものを抜かして約四百万円の編集費がかかっておる、そう了承して差しつかえありませんか。
  153. 米田勲

    米田証人 そうです。今申しました一万五千人と申しますのは延べ数でございます。
  154. 篠田弘作

    篠田委員長 今の原々稿の製作費百三十四万九千二百十三円とか、その他の問題とか、出張費三十二万なんぼというのは、専門の計理士をお雇いになってお作りになったものであって、その前にはこういうこまかいものはなかったのではないですか。
  155. 米田勲

    米田証人 これは、私の方で指導をしていた結果を見るために全部帳簿の写しを報告させたわけです。そうして私らで検討しましたが、果して私らの検討が——しろうとでありますのでよくわかりませんし、こういう問題は大事だと思って税理士に見てもらったわけです。その結果、私らの考えておったことで大体よろしいということであったので、先ほどああいうことを申し上げたわけです。
  156. 篠田弘作

    篠田委員長 この集計は行政監察委員会北海道調査が終ってからおやりになったものですか。
  157. 米田勲

    米田証人 それは、新聞に出たり、いろいろあの調査のときの速記録を見たりして、私は非常にびっくりしたわけです。このことが事実であったら私の指導方針が全くおかしくなってくる、これでは大へんだというので、私は全道に指示して全部帳簿の写しを出させて、それをこういうふうにして税理士に見てもらった。これは全部税務局の方に出してあります。
  158. 篠田弘作

    篠田委員長 それはわれわれの調査のあとからですか。
  159. 米田勲

    米田証人 そうです。
  160. 篠田弘作

    篠田委員長 北教組支部は学習帳の手数料——あなたは手数料じゃないと言うかもしれぬが、普通の手数料について一冊五円ずつとっておるということを北海教育評論社の方で証言されておるけれども、これは事実ですか。
  161. 米田勲

    米田証人 これは、手数料ではなくて、先ほど申しました編さん活動があります。その編さん活動をわれわれの考えるように十分にやるためには大体五円見当の費用が必要である。それから三円見当の基準によって貧困児童に無償配付する方針を続けたいということで、八円はわれわれの編さん活動のために必要なのだということを申し入れて、それを了解させてあるわけです。そうして評論社ではそれを検討した上で自主的に三十円という定価をきめております。御指摘のように、高いという意見もありますが、私らは今まで毎回、高いのではないかというやはりしろうと意見もありましたから、紙の質をよくしてもらいたいとか、あるいは印刷の仕方についてもっと改善してもらいたいとかいう要求は、この夏休み帳ができ上ったときにやはり検討会を開いて大衆討議をした結論を評論社に申し入れて、次の発行のときにはそれを必ず改善させるようにやってきたわけです。
  162. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、あなた方が編集に必要であるということで、——学校に渡しておる三円は今のところ別問題として、北教組支部としてとっておられる一冊について五円の、これは一般的に言えば手数料ということになるでしょうが、その五円の金というものは一体何年からとっておられますか。
  163. 米田勲

    米田証人 これは、私が先ほど申し上げたように、二十六年の冬休み帳から組織的な編さん活動に入りましたので、私そのころいませんでしたけれども、多分そのころからだろうと思います。
  164. 篠田弘作

    篠田委員長 二十六年の冬休み帳から今年の三十年度までの年度別の手数料の金額を述べて下さい。
  165. 米田勲

    米田証人 それは私記癒しておらないのです。
  166. 篠田弘作

    篠田委員長 帳面はあるでしょう。
  167. 米田勲

    米田証人 その点は、私の方の本部ではこの金には全然タッチしておりませんから、従って、その帳簿は支部、地区にあるわけです。私の方はこの金には全然関係がないことになっておりまして、指導方針だけやっておりますから……。
  168. 篠田弘作

    篠田委員長 問題は、あなたの方では編集費として使っておるのだからというお話ですが、編集費に使おうと何に使おうと、一応所得があればそれを税務署に申告して、その所得の中のどれだけの部分がどういうように使われておるかということを申告することが普通だけれども、あなたの方では編集費に使ったのだからということで税務署に対しては全然申告はしておられませんか。
  169. 米田勲

    米田証人 これは編集に使ったのであるから、私らの方では、そういう届出をするものだということを知らないのです。知らないから届出をしておりません。
  170. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、各支部をまとめるということもあるんですが、あなたは一応北教組の代表で来ておられるのですから、今あなたがおわかりにならぬかもしれませんが、お帰りになってからでもいいですから、二十六年の冬休みから三十年までどのくらい——一珊五円でどのくらい毎年毎年手数料というものが入っているかということを、一つ文書で委員会にお送り下さい。
  171. 米田勲

    米田証人 二十六年の冬からですね。
  172. 篠田弘作

    篠田委員長 冬からです。
  173. 米田勲

    米田証人 今までの編さん費は幾ら……。
  174. 篠田弘作

    篠田委員長 編さん費、もちろんそれがわかればけっこうですが、総収入でけっこうです。どのくらい入っていて、その中で編さん費は……。
  175. 米田勲

    米田証人 できるだけ調べて……。
  176. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの方はこれを全部編さん費の方に使っているというのですから……。
  177. 米田勲

    米田証人 そうです。学童への無償配付を除けば……。
  178. 篠田弘作

    篠田委員長 除けば全部編さん費の方に使っているのですね。
  179. 米田勲

    米田証人 そうです。
  180. 篠田弘作

    篠田委員長 それを一つ知らせていただきます。  それから、北教組またはその支部の主催の会合におきまして、教育評論社から寄付を受けたことがありますか。もしあれば、その金額等について述べてもらいたい。
  181. 米田勲

    米田証人 私はよくわかりません、その点は。
  182. 篠田弘作

    篠田委員長 北教組としては現在の教科書販売競争に伴う不正取引についてどういう見解を持っておられるか。
  183. 米田勲

    米田証人 もう一度。
  184. 篠田弘作

    篠田委員長 現在教科書販売競争というものが非常に激烈ですが、その間にいろいろの供応であるとかリベートであるとか、いろいろな問題が起っておりますね。そういう問題についてどういうふうに考えておられるか。
  185. 米田勲

    米田証人 私は、現在国がとっている検定教科書制度というものは、それは正しいと思ってはおりますけれども、いろいろ新聞などで——事実はわかりませんが、新聞などで教科書会社とだれかとがよからぬ相談をしてリベートをとったとかとらないとかいう事柄が報道されておりますが、私は、だれが考えても、そういうことは正しくないと思っております。そういうことは行われるべきでない。だれに見られても正しい教科書採択教科書発行というものが行われなければならぬ、私らはそう思います。
  186. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、具体的に聞きますが、教科書というものは、もちろんこれは参考書とかその他のものも含めてでありますけれども、編集採択というものとの間に、人格的な、あるいは組織の上において、はっきりした区別があるということがいいとお思いになりますか、お思いになりませんか。
  187. 米田勲

    米田証人 採択と……。
  188. 篠田弘作

    篠田委員長 編集者採択者の間にはっきりした区別があるということが建前になっておりますね。——現在の教科書採択基準は。
  189. 米田勲

    米田証人 そうなっておりますね。
  190. 篠田弘作

    篠田委員長 それはいいとお思いになりますか、悪いとお思いになりますか。
  191. 米田勲

    米田証人 それは、今の建前では、私はいいのではないかと思います。これは私個人の見解ですが。
  192. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、北海教育評論社という一つ会社が作る冬休み、夏休み学習帳に対して、北海道教職員の全組織である北教組が、延べ一万人も動員して、その会社から編集費のために四百万円の金を受け取って、そうしてそれをあなた方が作らして、これを採択する者は北教組のメンバーであるところの学校の先生であるというようなやり方は、今までに一度も非難されたことはありませんか。  〔「教科書をはずれている」「同じこ   とを言ってるんだ」と呼ぶ者あり〕
  193. 米田勲

    米田証人 それは、教科書と冬休み、夏休みの学習帳とは、性格的に違うものだと私は考えております。教科書というのは、一定の教育目的、教育計画があって、それが指導されていくために作られてあるんで、学習帳というのは、あくまでも、今まで習ったものについて、忘れないように、それをおさらいするものとかいうもので、あるいは、冬の間手放して遊ばしておくと、これが悪い遊びをするとかするので、そういう点で楽しい読みものを載せるとか、あるいはいろいろなものを作ったりすることを生徒に呼びかけるとかするような、そういうものが学習帳なんだ、だから、教科書とは違って、休みの期間、教師の手を直接離れても、子供が楽しく今まで習った教科書のことを勉強するために作られたものだ、こういうふうに考えております。だから、私としては、受持ち教師の力で大いに研究をし、子供の基礎学力の調査だとか、あるいは子供の発達の実態だとか、あるいはこういう学習帳の基礎的な研究を自分らの手で行われて、よりよい学習帳を休み期間中に子供に与えるということは、私は何ら間違いはないと思っておりますし、そのことを指摘されたことはありません。
  194. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、教科書一つ教育目的や計画を持っておるが、学習帳は教育目的も教育計画もないわけですか。
  195. 米田勲

    米田証人 それは、そういうふうに僕の表現を聞かれたのは、僕の説明の不足です。おさらいですから、あくまでも学習帳というのは今まで習ったものの——新しい教材をこの中では出していないのです。おさらい帳というものは、従ってそういう意味の計画的なものはないけれども、教育目的はないけれども、あくまでもおさらいをする、楽しくおさらいをさせるという目的は学習帳の中にあります。
  196. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえおさらいをするにしろ、何にしろ、おさらい帳は北海教育評論社だけが作っておるのじゃなくて、よその会社でも作っているわけですね。
  197. 米田勲

    米田証人 そうです。
  198. 篠田弘作

    篠田委員長 それを、北海教育評論社だけに、あなた方が一万五千も動員して、そうしてまたその編集費として年間数百万円のものを受け取って、それを同じ北教組のメンバーである人たちが全面的にこれを採択してやるということは、そこでも今教科書云々と言った人がありますが、教科書であっても教科書に付属する参考書でも同じですが、いわゆる倫理性というものから、採択編集との分離という建前から言うと、これは非常にまずいんじゃないか、そういうふうにお考えになりませんか。
  199. 米田勲

    米田証人 私の方では組織的に学習帳の編さん活動をやっておりますけれども、私の組合の建前としては、学校経営には一切タッチしないというのが組合の大原則です。従って、校長さんが所属の組合員とこの学習帳を採択するかしないかという討議の中には、組合は一切介入いたしません。従って、北教組では、篠田委員長も御承知のように、私の組合で私がもし意図的にこれか採用を強制するなら、全学校に採用させるだけの実力はあると思っております。しかし、現在百二万人の子供のうち七十九万冊だけが採用になっておる。八〇%の採用です。従って、私は、これをもって見ても、組織がこの学習帳の採用を強制しているという事実はないということがおわかりになっていただけるんじゃないかと思います。
  200. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし、組織を動員して編集をして、あなた方が言われたように延べ一万五千人を動員しているんですよ。そうしてその編集費数百万円をもらっているんですよ。ですから、それはあなたの北教組のメンバーである学校の先生は全部知っているわけだ。
  201. 米田勲

    米田証人 知っております。
  202. 篠田弘作

    篠田委員長 であるから八〇%の採択があるのであって、もしそれがなければ、おそらく八〇%も五〇%も採択されないだろうという理論も一方において成り立つ。いずれにしても、あなた方は編集採択という面において同一人各であるということは、これはあなたの今の御説明を聞いても否定できない。そういうことがいいか悪いかということを聞いておるのです。よろしければよろしいでけっこう。
  203. 米田勲

    米田証人 委員長、わかりました。お答えいたします。私は今の学習帳の編さん方は正しいと信じております。
  204. 篠田弘作

    篠田委員長 最後にお聞きしますが、今行政監察委員会におきまして教科書問題をとり上げて、北海道委員が派遣されました。これは委員会において各党理事会で相談をしました結果、委員の数に按分して各党が参加しています。この委員会調査というものに対して、北教組支部の名をもって声明書が出ておる。これはあなた方御存じだろうけれども、保守党の陰謀であるというような声明書が、ずっとここに書かれております。新聞にも載っております。御承知でしょう。これをお出しになったのですか。
  205. 米田勲

    米田証人 それは何ですか、支部で出したのですか。
  206. 篠田弘作

    篠田委員長 北教組でしょう。北教組で出しておりますね。
  207. 米田勲

    米田証人 それは、学習帳問題で声明書を私が前に発しました。しかし、その中には、そういう意味のことは書いてなくて、私は、やがて時期がくれば、詳細な、この経理の状態から活動状況を明らかにして、われわれが決してリベートを取っておったり、もうけをしているのでないということをあくまでも天下に立証するということの声明書を出したのです。
  208. 篠田弘作

    篠田委員長 これによりますと、「行監委の政治的に偏向した調査に反駁すると大要つぎのような声明分を発表した。国会の保守派は政府の反動文政た支持し、民主教育、平和教育の前進を逆転させ、教科書の国定化と独占企業化をねらっている、また日教組の組織を混乱させ、父母大衆に故意に誤解をあたえている、われわれはその後この問題について税務当局に資料証拠を提出してその正確な実情調査に協力している、従って行監委の一方的調査がまったく誤りであることを確信している、必要あるときは具体的事実をあげて反駁の根拠を明らかにする用意がある」とあり、こういうことを北教組から出しておるようでありますが、こういうことをお出しになっておりませんか。
  209. 米田勲

    米田証人 それは、私、原文がなければちょっと比較対照できませんが、大体それに似たようなことを発表しております。
  210. 篠田弘作

    篠田委員長 まだわれわれの調査は個別的ないろいろな研究団体とか出版業者とかいうものに対する調査でありまして、北教組調査委員会において今度初めて決定してあなたに来ていただいたのですが、その前にすでに行監の国政調査というものが日教組をやっつける陰謀であるという解釈をどういう根拠からされましたか。
  211. 米田勲

    米田証人 これは、篠田委員長がすでに北海道調査に出かける前にいろいろ新聞紙に談話を発表されていたのが大きなスペースで北海道の新聞に出ておりました。それから、調査を終えてお帰りになるときにも、おそらく新聞記者団に御発表になっただろうと思いますが、あなた方の大体の見解が発表になったのだと私記憶しております。それから行監調査会議録を私見ました。その中には、もう少し十分にわれわれの説明をお聞きしていただければいいのに、お前の顔は気にくわないからお前の言うことは聞かぬといって説明するのを阻止したり、それから、そうだろうそうだろうといって、イエスかノーか言えというふうに、説明を簡略にさせられたような会議録を見たわけであります。そこで、私は多くの者と討議した結果、そのような判断に立ちましたので、かようなものを出しました。特に、北海道調査の際に漏れ承わるところによりますと私を参考人として召喚をして実情を調べるという御予定であったと聞いておるわけであります。従って、私は当然委員長に呼び出されて御説明申し上げる機会があると思っておったのです。ところが、どうしてか、私らを呼び出すことがなくなって、私らの実情を申し上げる機会を失してしまった。これは商業新聞が流したのですから、いろいろ責任がどこにあるという問題はしごくはっきりしないけれども、一方的に教職員はあのことによって非常な不利益を受けた、私は信用の上で不利益を受けたと考えておるわけです。
  212. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたが私の委員長としての談話の中のどこの部分をとってそれをそういうふうにお考えになったかということは、あとで談話を自分でも調べてみます。それから、国会の速記録の中で証人の証言を阻止したり——委員会というものは御承知の通り各党で成り立っておるのです。北海道へ参りましたときも各党で行っております。ちょうどその数は保守党と両派社会党が同数です。そういうような格好で行っておりまして、特にあなた方を呼ばなかったという理由は、最初からあなた方を呼ぶ予定がなかった。問題は、あなた方にまで関係が行くというふうには考えておらなかった。そこで、北海教育評論社を調べた結果、あなた方を呼ばなければならないということがわかって、むしろ両派社会党委員の中からぜひ北教組を呼んでくれという要求があった。しかし、それぞれの仕事を持っておって社会党委員は三人ともお帰りになるということですから、われわれ保守党だけでそういうことをするということは慎しまなければならぬということで、あなた方にあらためて来ていただいたのであって、あなた方がどういうふうに考えておられたか、ただそれだけの事実をもって行監調査というものは陰謀であるとかあるいは偏向であるとかいうことを声明されたということは、早く言えば行監委を侮辱したことになる。これは公式な問題になると私は思うのですが、今でもあなたはそういうふうに思っていらっしゃるのですかどうですか。
  213. 米田勲

    米田証人 私は、委員長教科書を独占企業に持っていったり教科書を国定化することはいけないということを私たちに理解きせていただければ、私たちの思い過ぎであったということをはっきり申し上げることができるのではないかと思う。私はそう判断しております。
  214. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、まだここで結論が出ないときに、委員長個人の意思を発表するときではありません。御承知の通り委員会は各党の意見をもって国会の意思を決定する。しかし、そのことは、行き方によって、あなた方が行監の正しい調査に対しても陰謀である、あるいはまたひがみを持っているならば、そのひがみに対抗する意味の意見が出てくるかもしれない。そういうことはわれわれはなるべく避けたいと思っておる。そこで、教科書問題というものは、今までの不正であるとか、至らないところを十分調査して、正しい教科書のあり方というものをはっきりさせるためにやっておる。それはあなた方もおわかりになったと思うが、現在でも、あなた方がここに呼ばれた今日でも、行監調査というものは陰謀であるということをお考えになるかどうか、それを一つ……。
  215. 米田勲

    米田証人 今委員長の申されたことが事実であれば、陰謀だとは考えません。
  216. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、今まで出された声明に対してどういうふうに考えておられますか。
  217. 米田勲

    米田証人 これは、もう少し時日を経過しなければ、われわれが誤まりを犯していたかどうかを申し上げることができない。私たちは今までそう思っておりました。
  218. 篠田弘作

    篠田委員長 思ったことは何を言ってもいいのですか。
  219. 米田勲

    米田証人 いや、そうじゃありません。
  220. 篠田弘作

    篠田委員長 それはそれとして、あなた方はあなた方の立場においていろいろな意見や声明を発表されたということになれば、先ほど来この機場で問題になっておりますパンフレットも、いろいろな立場でお互いが発表すればいいということになれば、言論の自由ですから、問題はないわけです。そういうふうに思いますが、あなた方は今もそういうふうにお考えになっておられるかどうか、一応お聞きしたわけです。  それでは委員長質問はこれで終了いたしました。  各委員から御質問を願うことにいたしますが、一時半に再開することにして、暫時休憩いたします。    午後一時八分休憩      ————◇—————    午後一時五八分開議
  221. 篠田弘作

    篠田委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  佐々木秀世君の質問を許します。
  222. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先ほど委員長から、北海道教職員組合、ことに教職員組合で扱っております夏休み、冬休みのおさらい帳のことについていろいろお尋ねがあったようでありますが、私からも主として夏休み、冬休みのおさらい帳のことについて承わりたいと存じます。  そこで、私、まず承わりたいことは、先ほど委員長の御質問に対する御証言によりますと、これが編集に当っては相当御苦労なさっているようでありますし、ことに大多数の教職員の方方を動員し、しかもその動員数が延べ一万五千にもなっているというお話でございました。その御苦労に対しましては心から感謝を申し上げますが、そういう編集に当って動員されました教職員に対しましては、北教組として、あるいは北教組の文教部といたしまして、どういうお手当を出していらっしゃるか。要するに、それは単なる奉仕でやっているのかどうか。それともまた、承わると、中には一週間もカン詰にされてやっているというような御努力をされている人もありますので、そういう人たちに対しての、いわゆる報酬というところまでいきませんでしょうけれども、それらの人に対する待遇というものはどういう形で行われているか。そういう点から承わっていきたい。
  223. 米田勲

    米田証人 これらの編集に動員される教職員に対しては、報酬とか特別な手当というものは与えておりません。旅費とか宿泊費とかいうものを出しております。
  224. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 単なる旅費、宿泊料という程度のお手当だということになるようでございますが、それらの金額は大体どのくらいになりますか、一つ承わりたいと思います。
  225. 米田勲

    米田証人 これは先ほども私委員長の御質問答弁を申し上げたのでありますが、こちらへ来るときに、全体から集まった帳簿の写しから集計したものをまとめてやって来ましたので、資料収集費、あるいは資料収集のための調査出張費、それから編集研究会費という中にその費用が見積られているというふうに私は判断しているわけです。
  226. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私の方の計算と違ってもどうかと思いますので、あらためてもう一度はっきりしていただきたいと思います。
  227. 米田勲

    米田証人 それでは二十九年度の冬休み帳について申し上げますと、収支計算書による編集のための収受金は、これは先ほどもちょっとつけ加えておきましたが、完全な最後的な数字でないが、大きくは違っていない数字が六百三十五万五千九十六円ですが、このうち福祉関係として貧困児童への無料配付分が三八・六%の二百四十二万一千七百三十四円、それから資料収集費、これは原々稿の資料となるべきもの、これが二一・五%で百三十四万九千二百十三円、三番目は資料収集のための調査出張費、五・二%で三十二万八千五百二十円、編集研究会費が二七・一%、百六十九万八千四百八十円、このほかに事務費と通信費、配本、厚生、雑費とあるわけです。
  228. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 北海教育評論社におきましては、編集費として一冊に対しまして一円七十二銭出しているようであります。大体「冬やすみ」「夏やすみ」を合計いたしまして、半端を切り捨てまして両方で百五十万冊といたしまして、二百五十八万円編集費として出しているわけであります。この二百五十八万円では、あなたの申しております六百三十五万五千九十六円、これとは非常な差額があるのですが、編集費というものは一円七十三銭出している。そのほかにどういう形であとの大体三百何十万、四百万近くの金を北海教育評論社から空け取るのか、それを承わりたい。
  229. 米田勲

    米田証人 これは、先ほど原稿作成までの編さんの作業過程について概略申し上げましたが、そのうち全道会議というのがございまして、初めに方針を打ち出すとき、それから原々稿の最終的な討議、それから最後の仕上げをするとき、そういうふうに全道的な文教部長会議に対しては、直接評論社から出ていることになっております。そのほかの先ほど申し上げた分は、みなこちらの方の関係から支出になっております。従って、その両者は、それぞれ出しているのは会議の種類が違うわけであります。評論社の方は主として全道的な何回かの会議に対して直接出している。そのほかに、組織的にこちらの方で基礎的研究をしたり、討議をしたりして、学校班、支部、地区等、上下に検討を加える会議等の費用はこの中に見積られているわけであります。そういうふうに違うわけであります。
  230. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、編集費というものは会社編集費北教組編集費二つに分れていると解釈してよろしゅうございますか。
  231. 米田勲

    米田証人 これは形式的には二つに分れています。しかし、編集費全体とすれば、当然これはトータルされるべき性質のものであります。
  232. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私もそう考えるのです。たとえば、おさらい帳の価格をきめるときに、原価は幾らかかるかということをまずわれわれとしては承わらねばなりませんので、北海教育評論社に向って、この三十円で売っているものは幾らかかるかということをお尋ねしたわけであります。そうすると、北海教育評論社よりごく詳細にわたりましてわれわれのもとに報告がございました。その報告によりますと、小学校一、二年あるいは小学校の三年、六年、それから中等学校、こういうように分れておりまして、その詳細な原価の内容というものが、われわれの手元に参っているのであります。そうすると、その中には、たとえば中学校の部で申しますと、紙代が五円六十銭、それから表紙代が一円十一銭、それから印刷代が二円六十三銭、それから表紙の印刷代が九十九銭、製本費が一円二十銭。印刷、表紙、あるいは製本、合計いたしまして十一円五十三銭、こういう原価額だ。そのはかに編集費というものが一円七十二銭かかっている。これが要するに製作の原価だという答弁であったのであります。それで、ただいまあなたのお話を承わりますと、このほかに六百数十万円という金が編集費に入っているということになれば、この原価計算は違ってくる。われわれはこういうふうに考えるのであります。そうすると、われわれの承わったこの原価の出し方というものは根底からくつがえされるわけでありますが、そういう点に対しては、あなた方は、やはり編集費は二重に使われているのだという解釈で今日も参っておりますかどうか。それとまた、会社に対しましてそういう編集費として六百三十五万というものを要求されているのかどうか、どういう形でこの六百三十五万、数百万円というものが受け取られているのか、その具体的な内容について一つ承わりたいと思います。
  233. 米田勲

    米田証人 本来、正当に計算する場合には、評論社は、この編集活動に当った諸費用全部を計上するのが当然だと私は思っております。この場合、先ほども申しましたように、全道の文教部長会議、全体を締めくくる会議が何回かあるが、これだけ直接出しているという意味は、評論社は札幌にあるわけであります。大体本部の所在地が札幌ですから、全道会議については札幌にみな集まってくるわけであります。よそでやる場合もありましたが……。その場には、評論社の方で直接その旅費の支払いをしているわけであります。ところが、評論社と本部は原則的取りきめだけで、あとは組織的指導をしているわけですが、この編さん活動の全体を評論社に見せてわれわれとしてはこの学習帳をよりよいものにするために多くの教員がこれに参画する必要がある、このことは、ただ単によい学習帳ができるということばかりでなしに、その過程において行われるいろいろな基礎研究、教育研究というものは間接的に教育をよりよくするための教師活動に必要なものを身につける結果になるので、相当大きく——編さんの活動は大がかりであるけれども、われわれとしてはこの編さん活動はそういう副次的な目的をも重大視しているので、どうしてもこの編さん活動についてはやらなければならないということを評論社に対して話して、この分に相当するものは五円に換算することになる、それから先ほど申しましたように貧困児童の無償配付は三円になる、だからこの五円と三円はどうしても評論社の方から支出する計画にしてもらわなければならぬということをあらかじめ了解を得て、そうして支部、地区、学校班の編さん活動に当った分の費用はそれぞれ評論社と前もって話をしてあって、地図ないしは支部でそれだけの費用を途中で立てかえておりますから、あとで来ますから、立てかえている分をそこで引いて返済をして評論社に結果的に二十二円送っている、こういう形になっているわけです。従って、私は、評論社が税務署にどういう届けをしておったか実は知らないし、このごろになってから原価のことで発表になっていることも知らなかったわけであります。それで、私らとしては、私らの方にかかる編さん活動の費用と全道会議で評論社から払う費用とは、当然この「夏やすみ」「冬やすみ」帳を作り上げるまでの費用に換算されるべきだ、全部そうでなければおかしいと考えております。
  234. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうしますとあらかじめ、五円という費用はかかる、それから三円というまたあなたの説明のような別な費用がかかる、その価格というものは当然このおさらい帳を作るときに定価の中に入れなくちゃならぬということは、あなた方の方から北海教育評論社に前もって打ち合せができているということに了解してよろしいのですか。
  235. 米田勲

    米田証人 編さんは私の力め責任でやっているわけであります。従って、私の方で責任編さんをするためにはこれだけの費用がかかるということを向うに言って、もうけをできるだけ少くして、紙の質だとか印刷だとか、そういった質の向上について極力努力して、利益を少くしてくれと、僕らしろうとですからあくまでもそういう形で毎回要求をして改善をしてきたという実情であります。
  236. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなた方も一緒になって定価を決定するのだということでよろしゅうございますか。
  237. 米田勲

    米田証人 それは違います。
  238. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この際、ちょっと証言に食い違いがございますので、北海教育評論社の石附社長ないし専務が申しておりますることが今テープ・レコーダーにありますので、それを一つお聞き願って、どちらがほんとうなのか一つここではっきりしておきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  239. 篠田弘作

    篠田委員長 それではお諮りいたします。テープ・レコーダーを委員会においてやった先例は最近ないそうでありますが、皆さんの御承認があればいいわけでありますから、佐々木委員の申出を許可したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは許可いたします。   〔録音を聴取〕    ………………………  「それでは、このですね、原価計算の返答のできる方はどなたですか」  「原価ですか」  「いや、原価から割り出したものです」  「販売価格三十円の定価ですか、それは私どもと北教組と協定してきめます」    ………………………
  241. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただいまテープ・レコーダーにあります通り販売価格をきめるときには会社北教組との協定と今出ておりましたが、協定によってきめられる。その協定という形はいろいろな事情を勘案してということをあとでお話がございました。いずれにいたしましても、協定という言葉がもし妥当でなかったならば、相談ずくできめられるということを私たちは札幌で聞いてきたのでありますが、今証人のお話を聞きますと、その価格の点に対してはタッチしないということでありましたが、それはどちらが事実かどうか。それに対してのはっきりした御答弁を承わっておきたいと思います。
  242. 米田勲

    米田証人 それは私の主張が正しいと思います。なぜかと申しますると、私の方では、編さん活動に必要な費用、それから無償配付にするに必要な費用、これだけを見積って、その上で要求しているわけです。紙の質はもっとこういうふうによくせい、印刷は色刷りのものをもっと何色刷りにしてこうせい、この部分はこうせいと要求しているわけであります。そう要求して、なるべく利益を少くして定価をきめてくれということを毎回そのときに主張しているのです。その結果、評論社では、それであれば三十円ですと向うがきめておる。だから、三十円にきめるときに両者で相談したとか、私の方で三十円を主張したというような事実は一回もありません。
  243. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは承わります。あなたの方ではできるだけ安くやるようにそのつど主張してきたということでございますが、しからば、この夏休み帳が、昭和二十六年度から数年間やっておりまして、価格が訂正されましたかどうか。その点を承わっておきたいと思います。
  244. 米田勲

    米田証人 私の記憶では、価格は訂正されておりません。
  245. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それではただ主張のしっぱなしであって、それは何ら改善されていないということを断言せざるを得ないのであります。同時に、あなた方は、北教組という一つの組織は日教組という全国的な組織につながっていると思われるのであります。しからば、北海道児童に対して使っていただくおさらい帳も、編集あるいはまた費用、そういう点を勘案する場合におきましては、他の地方の実情がどうなっているか、他地方のいわゆるおさらい帳というものはどういう扱いをされているか、どういう価格でやっているかという点から見なければ改善するということが出てこないと私は思うのであります。しかるに、私たちが調査いたしましたところによると、東京都の教職員組合が出しております夏休みおさらい帳、これは四十八ページであります しかも内容において紙質においてほとんど変りありません。むしろこの北海道の印刷の方が雑であります。表紙の紙から見ましてもそうです。これが北海道のは四十ページ、しかも東京都のは四十八ページであります。印刷物というものは、単に四十ページ、四十八ページの枚数だけでなく発行部数によって価格というものが大いに違って参ります。しかるに、北海道のおさらい帳は夏休みのだけでも七十九万部、東京都におきましては大体八十万部、そうすると、ほほ同じ発行部数でございます。その同じ発行部数のものが、東京都の方はページ数が多いにもかかわらず十八円で販売されております。北海道のは三十円であります。ここにすでに十二円の開きがあります。原価百円、二百円というもので十二円の違いというのなら、さほど私は問題にいたしません。しかし、お聞きいたしますと印刷代、紙代、それらを入れて中等学校のものが十一円五十銭そこそこでできるのが、十二円も違うということは、これは大きな数字であります。金額にいたしましても何百万円の違いになります。あるいは年々これを積み重ねると何千万円であります。こういうことが全国的に行われると何億、何十億となるのであります。一冊分に出すところの費用は少うございますが、数を積み重ねるとそういう大きな数字になりますので、われわれといたしましては、たとえ一円でも安く児童に配付するということが現下日本の置かれている経済実情から申しても当然だと考えるのでありますが、あなた方はこういう点に対してお調べになったことがありますかどうか。先ほど委員長からの尋問によって承わったところによると、北海教育評論社は、良心的にやっているのでこれと取り組んだというお話でございますが、具体的にどういう点において北海教育評論社がいわゆる良心的にやったのか、価格の点においてどうしてこれほどの違いが出てくるのか、しかも部数が同じだという点に対して、これをごらんになって、あなたのお考えを伺いたいと思います。
  246. 米田勲

    米田証人 先生の今のお持ちになっているこの「夏休み」ですが、私らの方でことし出したのはこれであります。私らが努力をしてきたということは、この二つ夏休み帳——両方二年生ですが、それは前のです。これはあとのです。僕らの主張をいれて、表紙にしても印刷にしても内容にしても相当改善されている。僕らとしては内容をよくするためにとにかく努力をして要求した。評論社はわれわれの要求をいれて、もうすでにそれとこれとでは相当違います。その点が一点と、この価格の問題は、私らのやっている編さん活動、また無償配付をやる必要がないということになれば、それだけ抜けますから、八円抜けるわけです。しかし、私どもの考えとしては、この夏休み帳の編さん活動全体を通じて、——北海道の教員は現在無資格教員が七千人いるのです。こういう無資格教員のおる北海道の特殊事情から、こういう編さん活動に全体の者をタッチさせることによって討議を通じてそして教員の質の向上もあわせて僕らとしてはねらっているわけです。そういう討議の過程における効果を副次的に僕らとしてはねらっている。だから、編さん活動というものに対して、私らとしては、大半だと思って、この金を計上しなければならぬと思っている。  それから、先生にちょっとお話し申し上げたいのですが、東京の方と私の方とでは地域の事情が非常に違うということは先生もおわかりだろうと思います。例をあげますと、日本で北海道に続いて大きな県は岩手県ですが、これと北海道と比べますと、北海道はその面積が五・一五倍ある。それから香川県の約四二・一倍面積を持っている。人口は東京の〇・〇一四で非常に希薄な状態になっているわけであります。十四の支庁がありますけれども、この十四の支庁は、私特に御理解を願いたいと思って持ってきたのですが、石狩支庁、これは地区になっておりますが、これは鳥取県と同じくらいの広さがあります。檜山地区は佐賀県と同じくらいの面積、後志は長崎県、空知は山梨県、上川は山形県、宗谷は奈良県、網走は青森県、胆振は埼玉県というように、非常に地域が広い。そういう広い地域において先ほど申し上げたような編さん活動を組織的に組み上げろとすると、東京のようにはいかないのじゃないか。編さん活動は要らないと言えば別ですけれども、私らはそういう点を考えております。
  247. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただいまの証言、私は重大だと思うのですが、いろいろ割りきれる点から申し上げますが、北海道の地域が広いので、いろいろ、経費の点でしょうか、あるいは時間の点でしょうか、そういうことは私も了承しております。それだからこそわれわれは北海道においてこの一部の発送費が一円五十銭ということをそのまま認めてきているのです。これは東京ではほとんど要らないです。しかし、それも含めて、全部の諸経費を入れましても十六円そこそこしかかからない。だからこそ東京あたりでは十八円で児童に出せるのです。しかるに、北海道では、印刷代でいろいろ使ったといいましても、印刷を丁寧にやるとやらないでは一冊に対して一円も違わないのです。はっきり申し上げますが、これはこまかく私どもの計算に出ているのですが、印刷費を一円六十九銭にするのと、丁寧にやったところで一冊に対して五十銭か六十銭やれば相当にいいものができるのですから、あなたの言っていることは全く話になりません。これは発送費のことも含めてであります。ただ、あなたの証言の中で一番問題があったというのは、一冊五円ないし八円の費用というものは学校教職員の質の向上のためにも使われているという御証言がございました。それは私としては重大だろうと思うのです。なぜならば、小学校児童の家庭の犠牲におきまして小学校教員の質の向上をはかるための費用が使われるということであれば、これは私は最も重大だと思う。そういう費用というものは、いわゆる学校教職員の質の向上というものは文部省がやらなくてはならぬ問題であります。あるいは中央のいわゆる教育委員会がやらなければならぬ問題であります。そうすると、あなた方はこういうものを販売して、その費用で文教行政の部面にまで入っているという形になるように私は解釈するのでありますが、あなたは、そういう点に対しまして、ただいまの証言をどうお考えになりますか。そういうことでよろしいのでありましょうか。それとも、質の向上というものは別途だと私は考えますが、その点どうお考えになりますか、承わりたいと思います。
  248. 米田勲

    米田証人 私は、先ほどから、これの直接目的はそれにあるということは一度も申していないのです。副次的にそういう効果もあがっているという形で述べているのです。あくまで、私らの編さん活動夏休み帳の原稿を仕上げるために面接必要な研究調査活動の限界は守っているわけです。一般的な文教活動というものをこの中にごっちゃに取り入れていないわけです。だから、私としては、一般的な教職員の質の向上をはかるべき経費は道の教育委員会が出すか、あるいは政府が出すか、正当のところから出して質の向上をはかるべく、講習会とか研究会をやるべきで、学習帳などで素質の向上をはかるという目的の活動をしてはならない。私らもそれをやっているのではありません。しかし、基礎学力の研究というものを自分の子供の実態に即して検討を加えて、そうしてまた理論家の意見を突き合せる、この作業の過程におきまして副次的に教職員はそういう見解が明るくなっていく、こういう間接的な副次的な効果があがっているという点を申し上げたので、それをねらいとしておるとは言っておりません。
  249. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすれば、私の承わっていることとは関連がないわけですね。結局、価格の問題に対して、そういうことは要するに派生的に起ってきたところの質の向上だと解釈してよろしゅうございますか。
  250. 米田勲

    米田証人 そうであります。
  251. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、次に承わるのですが、先ほどの御証言の中に、このいわゆる資料の収集あるいは会合その他のことは大体札幌でおやりになるというお話でありますが、全道のいわゆる文化部の担当者ですか、あるいは代表者ですか、そういう方々が札幌に会合されるということでありますが、もちろん北海道の広大の地域から言うと、札幌に集まって御検討願うことは地理的に当然だと思います。ただ、今延べ一万五千人あるいはこれに従事しているのが八千七百人というようなお話を承わりましたのですが、札幌にどのくらいの人数がお集まりになるのか、それを承わりたい。
  252. 米田勲

    米田証人 実情を簡単な言葉で申し上げているので、なかなかのみ込んでいただけないのですが、先ほど説明したうちの編集方針内容と原々稿担当地区の編集日程等の決定、これは全道会議です。それから、二番目の原々稿担当地区の文教部長会議は地区活動として行われる。——全地区。それから、今の原々稿作成支部内の割当決定の町村文教部長会議は二百七十幾つかの各支部で行われる。それから、執筆者による資料収集、学力検査の検討、これはいろいろ持ってきているのですが、延べ十五万人の生徒に対して学力検査、それから基礎学力の実態、これは十五万人に対してテストしているわけですが、こういう仕事は、これは全道会議でありません。これは各地区支部編集活動。それから、第一回の執筆者会議というのが全道会議になります。こういうふうに、全道会議の分については、大体集まってくる者が各地区からですから、各地区協議会十六、市支部は地区扱いにして十六、大体三十二人くらいが普通文教部長会議として全道会議に出るメンバーです。ただし、この場合は小・中別におのおの部会を作りますので、その倍数くらいになります。
  253. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この六百三十五万円というのがふに落ちないのです。それで、それを逐次明らかにしていこうと思って私承わっているのですが、今のはわかるのです。担当地区というのはあるのです。今年は上川地区なら上川地区でこの夏休み帳は担当するのだ、空知地区なら空知地区でやるのだ、これは毎年変っているようでありまして、今お話になったことはよく内容はわかっている。ただ、それに対して、あなたの方で旅費が三十二万円という数字を先ほどあげているのであります。
  254. 米田勲

    米田証人 資料収集の調査出張旅費です。
  255. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 旅費が三十二万円あるが、どう使われているか、何人くらいの旅費か、 こういう点からついていかないと、六百三十五万円の逆算ができないわけですが、あなたの方から六百三十五万円という数字を出されたから、それがどういうふうに使われていたかということが明らかになれば、われわれは納得するわけです。しかし、御証言の中にあります。一万五千人動員した、八千七百人動員したということですが、その数字は相当な数字で、おいでになる方々の旅費と宿泊料を与えるというならば、それがどの程度使われているかという点に対して帳簿があるはずです。あるからこそ六百三十五万五千幾らという数字が出るのですが、その帳簿の内容について御説明願いたいと思います。
  256. 米田勲

    米田証人 この六百三十五万といううちの二百四十二万円は貧困児童の分ですから、編さんに関係はないわけです。だから、三百九十三万が編さんに直接使われている費用です。それの内訳を私税理士を通じて国税局に正確に出してある。全地区の帳簿の写しがある。それで私はそれを集計をしたものだけここに印刷して持ってきたので、その帳簿の写しは帰ればわかります。
  257. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、今度税理士を使ったというのは、税金の対象になるかどうかということが問題になったので、初めてあなたの方は税理士というものをお使いになったわけです。あなたは先ほど、この委員会が非常に保守反動の、いわゆる教職員を攻撃するための委員会だのと推定されたように、私らもまた、あなたのやり方というものに対して、にわかにそのいろいろな数字を合わせるために作ったのではないかという一つの疑惑を持つわけです。それだからこそこういうふうに具体的に説明をいただいているので、帳鮮が合わなければここに問題があるのだということは、決してあなた方を責めるのではなくして、事実を明らかにするという点から承わらなくてはならぬことになっているのでありまして、今度税理士がどうしたこうしたということではないのです。昭和二十六年度からあなた方がやっているのですから、その年次にわたる帳簿というものがあるはずであります。それの具体的な数字がずっとなければこういう総括した資料は出てこないのですから、それは二十六年からの「夏休み」「冬休み」に対するところの帳簿がちゃんと整っておりますかどうか、それから先に承わりたい。
  258. 米田勲

    米田証人 私、今回の帳簿を集めたのは、二十九年度の実情調査をするために急いでおりましたから、私も新聞を見て実はびっくりしたわけなんです。それで、二十九年度の帳簿の写しを精細に書いて、証票のあるものは全部証票をもって届け出るということでやったので、その他のものについては、さらに調査をしてみないと、ここではっきり申し上げられません。
  259. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 調査の必要はございません。あるものをそのまま出してもらえばよろしゅうございますから、調査の必要はございませんが、二十六年からは全部ありますね。
  260. 米田勲

    米田証人 私申し上げているように、私のところは全然本部で経理をしておりませんので、その帳簿はあるべきだと思いますが、しかし、私がここで少くとも宣誓をしてお話し申し上げる限りにおいては、ありますという断言はできないのであります。もしなかったら、それではうそを言ったということになりますから、それで、はっきりは申し上げられません。というのは……。
  261. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうしたら、二十九年度の帳簿をどこから見ましたか。
  262. 米田勲

    米田証人 それは写しを全部集めたのです。これは、脱税問題があるということで新聞に出されたし、行監調査の問題が出されたので、私はそれを集めたわけであります。
  263. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはどこから集めましたか。
  264. 米田勲

    米田証人 それは組織のルートを通じて、支部、地区協議会を通じて集めたわけであります。
  265. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は、おかしいと思うのです。販売の方は支部がやっているのですね。要するに、二十二円でおろすとか渡すとか議論になりましたが、どっちでもよろしいが、二十二円で会社から渡して、それを販売することについては支部でやっている。しかし、編集する、作るということは、これは支部でやっているのじゃないのです。いわゆる北教組の文化部でやっているのです。
  266. 米田勲

    米田証人 私の組合でやっております。
  267. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうしたら、そういう費用は支部から集まりようがない。支部で知らないはずです。本部の文化部が知っているので、地方の組織が旅費を何ぼ使ったとかなんとかいうことは、本部から行けば、使っただけのことはわかりますが、木部のものは両部で知っているわけはない。だから、その点については、販売に対する費用をどう使ったかということはわかります。しかし、編集というものは、あなたの方の本部でやっているのですから、本部にあるはずです。
  268. 米田勲

    米田証人 本部でやっているというのは、北教組という組織が責任をもってやっているということです。従って、実際の編集活動は、地区、支部学校班で行われている。本部が編集活動を直接やっているのではありません。方針を打ち出して、支部、地区、学校班というように、下部組織が実際に編集活動をしているのです。
  269. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、この編集費が六百三十五万という数字を出して、これは中に貧困児童の分もあるということですが、これは後ほど私は承わりますが、それを抜きにして、六百三十五万円という費用は、どういう形で受け取られて、どういう形で地方に分配されているのか。そして、あなたは地方から集めて二十九年度のこの経費の内容がわかったというのですが、これは私にはまだ合点がいかないのです。地方支部の帳簿を全道に指令して集めたと言いますが、私は、当然本部に備えつけの帳簿がなくちゃならぬと思うのですが、ないのですか。それとも、地方から集めなければわからないのですか。その点、もう一度はっきりしてもらいたい。
  270. 米田勲

    米田証人 これは、金の問題で帳簿が問題になっておりますので、夏休み帳のでき上ったものは評論社で学校へ直送します。今度は金の面、生徒児童からそれぞれ集めた金は、学校班で一括します。三十円です。一括されたものは支部にいくのです。これは都市の支部の場合、市支部というのですが、その市の場合は、ここが大体下部機構の編さん活動中心になってやっていますから、そこで編集費というものはここでつけられているのです。従って、大体先に評論社と話をしてあるように、大体五円に相当する編集費と、無償配付分の三円とをここで引いて、これはあくまでも便宜手続でやっているのですが、二十二円を評論社に送る。これが一つです。それから、郡部の場合は、児童から集めたものを学校班で一括して、そして支部にそのまま集めます。郡部の場合は、支部はまだ編さん活動の主体でないのです。主体は地区協議会です。そこで、集めたものはそのまま地区協議会に送ります。地区協議会が大体下部組織の編さん活動の中軸になっておりますので、支部、地区、学校班の編さん活動は具体的にちゃんとわかっているのです。実施してきた経費が。そこで、ここで五円分と三円分をおろして、評論社に二十二月送ってやる。あとで、学校に無償配付した分は、地区から支部を通じそれぞれの学校班に送る。それから地区はこの五円によってその夏休み帳なら夏休み帳の編さん活動に使った一切の経費にこれを充てる。場合によっては、五円で足りないで、現在帳簿を見ると、一般の地区協議会の組合費から持ち出して、さらに追加してやっているものがある。たとえば根室など、この間根室の人が来て言っておりましたが、この五円に相当するのでは三回しか会議が開かれない、従って本部で指示されているような編さん活動をするためにはもっと根室地区においてよけい編さん費をもらわなければならぬと言っているような実情で、これは初めから五円以上の編さん活動をやってもその地区の責任にしておりますから、あとはやらないわけです。
  271. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それは違うんですがね。札幌北辰中学校校長さんからその金の扱い方をどうしているかということをお聞きいたしまして、それに対して具体的な数字が来ておりますが、あなたの方では、三十円で児童に売る、売ったものの八円というものは支部に納まる、支部に納めて経理する、今こういう説明のようでありましたが、学校では三円というものを引いて支払っているんじゃないですか。札幌ではこうですよ。三十円かける北辰中学校千五百六十四冊、これに対してマイナス百二十八イコール四万三千八十円となっておりまして、そのうち、一冊分に対して支払う金二十七円かける千五百六十四冊、イコール四万二千二百二十八円、こういうようにはっきりした受け取りの数字の内容を私らの方に説明しているのですが、今あなたの言っている五円というのはとにかく支部で天引きして、三月というのは学校で受け取るんじゃないですか。
  272. 米田勲

    米田証人 これは二通りのルートのお話をしましたが、前のルートは、市支部の札幌のような場合、あとの場合は広い地域を持つ郡部の場合を言っているのです。札幌の場合は、私の指導方針では、従来とも市支部が編さん活動の主体ですから、ここまではきちっと持ってきて、ここで経理して、評論社に送るべき金を送るというように指導しております。札幌の北辰中学の場合がそういうようになっているというのは、私の指導方針とは違っております。
  273. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは違っているのばかりなんですが、私のところへ来ているのはみなそうなんです。室蘭もそうなんです。全部、ここに来ているのは、そのように私のところではなんぼという数字が出てきているのです。あなたの指導にみな従っていないのです。  それから、承わりたいのですが、私室蘭で承わりましたときには、室蘭の教育委員長の萩さんですか、この方からの証言によりますと、貧困児童に対してあなたの方で二百数十万円に値する本を無料配付しているというお話でしたが、室蘭あたりでは、貧困児童に対しては生活補助とか別な形で出すべきだ、われわれの方はこれを市の方に要求している、そういう費用もいただいているということでございましたが、あなたの方は貧困児童々々々々ということをおっしゃいますが、しからば、そういう経理がいわゆる支部を通じて、地区を通じてちゃんと報告されるのですから、あなたの育ったように考えますと、八円というものがちゃんと支部に納まって、地区の方でその八円に対して旅費を幾ら使った、貧困児童に対して幾ら使ったという報告がなされるわけでありますから、貧困児童何名に対してどれだけの冊数を無料配付をしたかという、そういう帳簿があらねばならぬと思います。なければそういう数字が出てこないから、そういう児童何名に対して何冊の配給があったということが出なければこの費用の使い方が出てこないのでありますが、そういう点はどこに承わったらよくわかりますか。あなたの方ではおわかりにならないのか、それとも地方の支部に聞かなければわからないのか、その点を一つ承わりたい。
  274. 米田勲

    米田証人 私の方では、さきに御答弁申し上げたように、一つの基準を下部組織に対してしておる。従って、貧困児童に対する無償配付はおよそ三円以内においてやること、それから編集作業の諸費用は五円の範囲内においてやる、こういう指導をしておるわけです。従って、今度帳簿を集めてこれを集計する際に私どもの知ったのは、貧困児童に対する配付が三円の基準に達しないで二円七十銭とか二円五十銭に相当するところもあるし、三円をオーバーするところもあって、必ずしも一様でないのですけれども、大多数のものは三円の無償配付の基準を、大よそ見て、その範囲内で子供に対してやっておる。これは支部でわかると思います。私の方では、集まってきた帳簿をあっちへ出しまして、私のところには写しはありませんけれども、支部ではわかると思います。
  275. 篠田弘作

    篠田委員長 ちょっと佐々木君に申し上げますが、まだあと一人証人を控えておりまして、時間の都合がありますから、できるだけ簡単に願います。
  276. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 わかりました。どうも納得ができませんので、瞬間がおくれまして申しわけありませんが、一つ明らかにしなければならぬと思います。私、問題を変えて言っておるのではなくて、大事なところを言っておるのです。  しからば、貧困児童というものはそれをそのまま受け取りましょう。あなた方が二百数十万の金を貧困児童に出しているということは、何の疑いも差しはさまないでそのまま承わります。   〔委員長退席、南委員長代理着席〕 しかし、そういうものが他の小学校の生徒に販売した利潤の中から生まれてくる。価格が三十円ですから、三円というものは当然引けるわけです。だけれども、そういうものが他の生徒の犠牲においてなされてもよろしいでしょうか。私は、これは社会政策、別な方法でやらなくちゃならぬと思うのですが、それに対しては室蘭の教育委員長も同感でありますし、そういう点に対しては市として別に予算要求しているということでありました。将来とも、こういうような本を売った利潤の中から貧困児童のいわゆる準教科書というものが無料で配付されているという形は、われわれとしては好ましくないと思いますが、あなた方の考えでは、こういうふうにやることが妥当だとお考えになりますかどうか、その点を承わりたい。
  277. 米田勲

    米田証人 先生のおっしゃった通り、こういう教科書の無償配付だとか、学習帳だとか学用品の貧困児童に対する無償配付は、私らの希望としては国がやってほしい、こういう強い希望を持っております。先生方の力でぜひそういうふうにしてもらいたい。現実に北海道の最近の事情を見ましても、後進性を持っておりますので、内地から見るとよほど家庭が貧困であると、僕らが日常教えておって感ずる子供が多いのです。それをこの中からやったのが悪いと言われれば、私はそれがいいことだということは言えないのではないか。しかし、実際上から見て、私らは、それをやったことが、その場合貧困児童の家庭を思えばよいことだと考えてやったわけです。しかし、理論的にこれを詰められると、これはあくまでもいいことだというふうにはいかないのではないか。国でやってもらうことがいいことだと私は思っております。
  278. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は、そのことに対しては、うるわしいこと、いいことと思う。そういう行為を私は非難するのではない。ただ、それが片方の児童の犠牲においてなされているということについて、その方法を私はあなたにお聞きしているのであります。だから、そのことがいい悪いを議論しているのではありません。ただ、その点に対して、私らの方では、そういうことでなく、市なら市、町なら町に別にそういう費用を要求していく、そんなことをされるということは、要するに教育の面に携わっている教育委員会委員とか、あるいは村や町の町村会議員さんとか、大きく言えば北海道では知事さんとか、こういう立場の人が当然考えるべきであって、そういう形で他の児童たちに対して迷惑をかくべきではないというのが私たちの考えです。  しからば伺いますが、これは、悪いことよいことではなくて、いいこととして承わりまして、こういう三円で貧困児童に無料配付するということをどこでおきめになりましたか、それを一つ承わっておきたい。
  279. 米田勲

    米田証人 これは私の方の組織の機関でやりました。本部にその責任があります。
  280. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、その三円の金というものは本部に責任があるということになりますね。
  281. 米田勲

    米田証人 ちょっと答弁しづらいのですが、どういう形のものですか。
  282. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 たとえば、二十七円でしょう。二十二円のが二十七円で学校へ行く。学校では三円という差額をそういう方面に使っておる。それをきめたのは本部でしょう。そうすれば、本部において、全道で何人の児童にこの無償配付をしたかということは、きめた責任のあるところで把握していなければならぬでしょう。ただ三円程度でというようなことでは、ほんとうはいかぬでしょう。三円程度でということできめるということであれば、それは私はほんとうの精神に合致していないと思う。やはり、貧困児童に全部与えるということになれば、北海道では何人貧困児童がいる、何人の人たちに教科書が渡らぬから、これだけの価格をいわゆる価格の上に織り込むということでなければならぬと思う。その点を一つはっきりしていただきたい。私はこれを申し上げておきます。
  283. 米田勲

    米田証人 この三円は基準であって——今度帳簿を見てはっきりしたのですが、三円をオーバーしているところと、三円を割っているところとある。その場合には、こちらの編さん費が増減しておるわけです。貧困児童に配付の分が少いところは五円を上回った編さん活動をしておる、そういう関係支部の帳簿には明らかです。
  284. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは違う。それは、あなたはそうおっしゃるけれども、全部三円です。そして、ここにも書いてありますが、余った金は——それはささいな金ですよ。私が問題にする金であはりませんが、学校の先生方の茶菓代、会合をするときの茶菓子代に使っておる。実際に一円何ぼ、二円何ぼというのではない。三円天引きです。だから、あなたのおっしゃるのとは違う。私の言うのは、三円天引きで、その三円というものはいわゆる価格の上に盛られておるのだから、その費用の使い方というものは、児童に幾らとか、あるいは雑費に幾ら使ったということを、あなた方の指導においてあなた方できめたというから、あなた方はそれをいつも把握しておる責任があるのではありませんか。それを、ただ、支部販売をやっておるから知っておるが、本部は知らない、——知らないと言えばやむを得ませんが、知っておらなければならぬではないかということを私は申し上げるのです。
  285. 米田勲

    米田証人 これは、先生の言われる通り、厳密に言えば、私らは全部帳簿を持って全地区の事情を一々知っておるべきです。それが本筋です。しかし、私らとしては、大体地区、支部のやっているそれらの仕事を信頼して、一々点検していなかった点に、厳密に言えばやや私の方の手落ちがあると思います。しかし、私は信頼しています。間違いなくそのように行われておるということを信頼しております。
  286. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 信頼しておる、あるいは良心的だという言葉から言いますれば、しからば、やはりこの問題ですが、先ほどテープ・レコーダーにもありましたけれども、現に北海道東京との夏休み帳の価格の点、あるいは表紙の点、あるいは印刷の点、あなたの説明になった点を私は現物をあげてお聞きしたのですが、これは私の方から説明しましょう。実際問題として、中学の部が印刷その他の原価で十一円何がしです。それから小学校の上級の部が十二円何がしです。時間がありませんから数字をこまかく申し上げません。そういうような十一円や十二円のものが、たとい編集費が要るにしろ、あなた方のいわゆるいろいろな会合、あるいは全道的に資料を集めるにしろ、三十円で販売されるということについては、どうお考えでしょうか。
  287. 米田勲

    米田証人 これは、十八円という例が出ておりますが、十八円のものを作り上げた編さん活動や、その内容や、それからこの印刷だとか、そういうものを照合してみないと、十八円のがあるがこれがいいのだ、三十円のは高いからこれはだめだというふうにはっきり即断はできないのではないかと思います。
  288. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私の申し上げるのは、結局現に十一円何がしでできているのです。そうでしょう。
  289. 米田勲

    米田証人 それを私は知らなかったのですから、私は原価のことを言わないのです。
  290. 南好雄

    ○南委員長代理 委員長の承認を得て発言して下さい。
  291. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなた方は何年もこれにタッチしておいて、原価が幾らかかるか知らないと言う。ただ八円の分だけを一生懸命やって、価格が幾らになるかわからぬと言う。しからば、当然東京にもあなた方は何回も来るでしょう。東京はなぜ十八円でできるのだろう、それは当然考えられると思う。しからば、はっきりこう申しましょうか。原価十二円としましょうか、あなた方の八円をそのまま認めましょうか。それでも二十円でしょう。りっぱなものを作るというあなた方のそのままの意見をいれまして、それには何らの異論もはさまず、貧困児童の分も入れて八円、しからば原価二十円。そういうものをあなたのおっしゃる通り入れても二十円。それが三十円で売られているという点に対して、もっといろいろなことを申されまして——貧困児童のことを盛んに申されますが、いわゆる家庭経済というものから貧困児童、というものが出てくるのですから、しからば、夏冬合せて百五十万部毎年使われているのですから、何百万部というものを作るときに、どのくらいの原価でできるのだろうというくらいなことは、当然これは考えられるはずだと私は思いますが、そういう点に対してはどう考えますか。
  292. 米田勲

    米田証人 私、先ほど原価は知らなかったと申し上げましたが、先生が今おっしゃる原価は知らなかったと申し上げているので、私は北教組の本部に帰らないとわからないのですが、書記長のもとで向うで原価計算したものを見て、そうしてそれはそれよりも相当高い。しかし、私は残念ながらしろうとで、この原価計算が間違っているということを指摘はできなかった。
  293. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、しろうとの人がこういうものを作るという責任はどう考えますか。あなたの方で知らないにしても、編集があなたの方の名前になっているのですよ。販売はあなたの方の支部でやっているのですよ。
  294. 米田勲

    米田証人 評論社です。
  295. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 いや、評論社で作りますが、二十二円までは評論社、二十二円以降は、あなたのいろいろな説明を了承しましても、その点は各支部でやっている。そうでしょう。
  296. 米田勲

    米田証人 二十二円のほかは、支部が売っている売っていると言われると、非常に誤解を受けるわけです。売っているのではないのです。ただ、評論社から直送されるものを子供に配付して、子供から集金する、それだけの手続は協力しているだけです。
  297. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それじゃ、なぜあなた方は一冊に五円ということをきめるのですか。五円でなく、それにかかった費用だけを要求して、三十円そのものを全部評論社にやって、そのうちからこれだけのいわゆる編集にかかっただけの費用を取るなら、われわれはその通り受け取ります。しかし、そうではないのです。五円の編集費のほかに、余っている金があるはずです。これは評論社に返しておりません。あなた方の支部なりあなた方のいわゆる組織の中においてこれが使われております。それならば、それを納得いくように、一冊五円に対する——編集費として会社が出している二百数十万円、それから一部に対して五円、それから三円、合計いたしまして一千数百万円の金になりますが、その用途の内容を明らかにしていただきたいと思います。
  298. 米田勲

    米田証人 ちょっと失礼ですが、用途の内容というのはどういう……。
  299. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 一冊に対して五円でしょう。それが百五十万冊にいたしますと七百五十万円、そうですね。三円がそのほかに含まれるわけです。そうすると合計いたしまして約一千万円以上になります。これが要するに支部なりあなた方の組合に入っているわけです。それをしからば編集費が余ったとしてそれを戻しておりますか。しかし、あなたの方で使っているのは六百万円じゃないですか。そうして一千万円の金ということになれば三百数十万円残るわけでしょう。その金をどうしているか承わりたい。これは三才の童子でもわかります。
  300. 米田勲

    米田証人 私は先ほどから申し上げているのですが、一番近い冬休み帳の例で、これは六百三十五万ですが、先ほどのあれが二百四十二万、そうすると三百九十三万円ですね。この三百九十三万円を私が各項目に金別に申し上げたように編さ左波動が行われる費用に充てられているということです。
  301. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それと数字が合わないのです。あなたは計算してごらんなさい。とにかく一冊に対して五円ということははっきりしているでしょう。
  302. 米田勲

    米田証人 基準ですね。
  303. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 基準としても、北海教育評論社ではあなたの方から二十二円しか受け取っておりません。残額はどこかに消えるわけがありませんから、あなたの組合の中に、支部にしろどこにしろかまいませんが、一冊に対する五円というものが七百五十万円あるでしょう。それに三円の分を加えると約一千万円になるわけです。
  304. 米田勲

    米田証人 それがあるかというのですか。
  305. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 だから、それが何かに使われているはずです。
  306. 米田勲

    米田証人 わかりました。私は、その五円の編集費と三円の無償配付分とが私らの地区支部にあるかと言われれば、ありません。なぜかというと、編集活動に実際使われた費用として充てられてしまっているわけです。だから、わずかな額は残って繰り越しになっているかもしれません。しかし、先生の言われるようなそういう金が地区支部に現在はありません。それはすでに支出済みですから……。
  307. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは明らかにしなくちゃならない。なぜかというと、北海教育評論社では二十二円しか受け取っておりません。これははっきりしておる。これば帳簿にもあるのです。そうすると、一冊に対する八円という金がどれに使われようと、全部その使った金があなたの報告の中から約一千万という編集費の費用が出てくれば私は納得いたします。しかし、それが六百数十万円であれば、これは小学校児童が計算しても三百数十万円という金がどこかに使われていなければならぬ。それがないということになれば、その点をはっきり……。だから、私は、あなたの方の帳簿をほんとうはきょうはお持ち願いたかったのですが、帳簿で言えぬならば、数字をあげてごらんなさい。
  308. 米田勲

    米田証人 私はさっきから説明していると自分では思っているのです。
  309. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それがこの百五十万部の金額に該当していない。
  310. 米田勲

    米田証人 どうしてでしょうか。私はもう一ぺん説明します。三円という額も五円という額もこれは基準をきめてある。だから、無償配付分が三円に達しない場合には、当然編集活動費に使わなければ残っておるはずです。ところが、これは二円五十銭くらいの無償配付分でよい実情にあるところは、これは編集活動の諸費用の中にプールして全体としては八円で掲示されているわけです。従って、ある過程においては一般会計から借り出して編集活動をやっているが、この金の差引の行われるときにはそれらの使われた金は全部返済になっているから、現在その金があるということにはならないわけです。
  311. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これはとにかく「夏休み」が七十九万部でしょう。それから冬休みの方とを合せて百五十何万部になるわけでしょう。一冊八円でしょう。八円に百五十万をかけますと一年間に千二百万円になるでしょう。そうしたら、千二百万円の使い道がこれにプラス、マイナス、ゼロにならなければ、ぼくらは納得がいかないでしょう。
  312. 米田勲

    米田証人 夏冬合せればそういう数字になりますが、私は、夏冬合せて、この冬休み帳調査の基準通りであれば、四百八十四万円は貧困児童への無償配付分としてすでに出ているんです。それから三百九十三万円は夏冬両方合せればです。この編集活動費が、先ほど言った資料収集費、資料収集のための調査出張費、編集研究会費、事務費、通信費、配本費、厚生費、雑費、こういうふうにすでに活動が済んでそれに支出されておるわけです。従って、先生の言われるように、ある特定の支部では編集をやってその係費の支出を終ってしまってもなお若干の金が余っている分があるかもしれませんよ、わずかの程度は。しかし、それは、われわれの配慮では、これは編集のためだから必ず次回のものに充てる。なぜかといえば、これは半年ずつかかっております。夏を作るためには冬半年やる、冬のものは夏のうち半年かかるのですから、大まかに言うと、年間を通じて絶えずどこかで編さん活動が行われているのですから、それに繰り越していく。あるいは若干あるとしても、それは多く残っているということはありません。それが実情です。
  313. 南好雄

    ○南委員長代理 佐々木委員に申し上げますが、時間が相当経過しております。なるべく簡潔にお願いいたします。
  314. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 数字的に言って、こんな合わない理由はないのです。  それでは、時間がないとおっしゃいますから、私はいずれもう一回来てもらうか何かしなければとうてい納御できないのですが、それではこの程度にして、私、御要求を申し上げます。その各支部で扱っております部数、それから、それに対する一部五円と三円のいわゆる分類した費用、そうしてその中の貧困児童に与えた冊数、これを、はなはだおそれ入りますが、三十二地区のいわゆる経理内容、それは昭和二十六年度からやっているようでありますから、その昭和二十六年度からの年次計算による内容、それを一つ委員会まで御提出願いたいと思います。要求はそれだけであります。  それから、最後にこれだけ承わりましょう。このいろいろな点について、一冊に対して五円は編集費だとあなた方はおっしゃいますが、これは二十二円で会社がちゃんとあなた方の方に渡しておるのです。物というものは、いわゆる卸価格と小売価格というように、これは配給物ではございませんから、いかにこれは重要な使命を持っていても、やはり販売物であります。そうすれば、販売物に対するわれわれの考え方というものは、原価、卸、小売、こういうように順序を立てて解釈いたします。あなたの方はどう解釈してもけっこうでございます。しかし、われわれの方ではそういうふうに解釈しているのです。いわゆる五円プラス三円の八円という金は、どこまでもあなたの方の組合のいわゆる利潤である、こういう解釈に私たちは基いております。それは間違っているか間違っていないかは議論のあるところでありますが、本日は議論するところではございませんから、私たちはこの金額の上で事実をそう認めるわけであります。そうすると、この点に対しては、当然利潤があれば北教組といえどもこれは税の対象にならなくちゃならぬというのがわれわれの認定でございます。そこにおきまして、札幌の国税局があなたの組合に対して御調査や何かされたことがありますかどうか。あるいはまた、問い合せと申しましょうか、調査ということになれば妥当ではないかもしれませんが、問い合せがあったか、あるいはお調べ程度のものがあったかどうか。次にまた国税庁の人を呼んでみますが、その点に対して御証言をいただきたい。
  315. 米田勲

    米田証人 これは、国税局の方ではそれぞれ地区、支部調査している模、様です。そういう報告を受けております。
  316. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 調査しているようでありますが、それは私も聞いております。ただ、たまたま国税局の方では各支部の方に帳簿がなくて弱っているということを私ら漏れ承わっているのですが、そういう点についても承わったことはございますか。それともまた、支部だけのいわゆる国税庁の調査でございますか。あなた方の本部は御調査なさらなかったのでございますか。その点承わりたい。
  317. 米田勲

    米田証人 本部はこの会計に金銭的に全然関係ないので、私らの帳簿をこの学習帳に関して見るという必要がないのか、見られておりません。
  318. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 支部だけですね。
  319. 米田勲

    米田証人 支部と地区です。
  320. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 わかりました。
  321. 南好雄

    ○南委員長代理 ただいまの佐々木君の要求いたしました通り、各支部の経理内容についての文書をすみやかに本委員会に御提出願うことに、皆様御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  322. 南好雄

    ○南委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。  米田証人から一つ委員会にあてて文書で御報告願います。  辻原弘市君。
  323. 辻原弘市

    辻原委員 相当長時間にわたって佐々木委員から質問がありましたので、大要は把握いたしましたが、若干不明な点について証人にお伺いいたします。  まず私は、学習帳にしろ、あるいはワークブックにしろ、教育に使われるそれぞれの副次的な教材というものはやはり内容にあると思いますので、一体その編さんが最終的な過程を経てどういうような構成において仕上げられているかということが重要な問題であると思いますので、その点、作られた夏休み、冬休みの学習帳は北海道教職員組合の文化部編ということになっているようでありますが、先ほど御説明の全道的な会合で仕上げられる場合に、その構成はいわゆる北教組の中に含まれる教職員だけがそれをいわゆる監修し編集しているものであるかどうか。私は他の例についてもいろいろとこうした問題について若干調べてみましたが、戦後の教科書それ自体すら非常に少かった時代から今日までの経過をたどってくるうちに、幾多改善せられた点を発見したのであります。そういう点について、二十二年に、先ほどの御説明によりますと、いろいろ学習帳について学校でただプリントその他によってやるものが非常に不便を生じた、そこから問題の端を発して、何とか、その学級ないしは学校でやるという、そういう不便さを取り除いて、よりよいものを作りたいということから、二十六年に全道的な夏冬ともの編集に発展をしたということでありますので、そういう過程から、当初あるいは先生方のみの力でお作りなさっておったかもわかりませんが、その後やはり何らか編さんについても相当視野を広くし、意見を聞くようなそういう検討をされたかどうか、また、そういう検討をされたことによって、そういうふうな方法を現在において採用せられているかどうか、そうした点について少し伺いたいと思います。
  324. 米田勲

    米田証人 それは、直接原棚の執筆などについては、教職員以外の者は参加をしておりませんが、この編さん活動全体の家庭において、現在の北大の教育学部の各教授、学大の各教授の批判や意見を十分に聞く会合を毎回持っております。その程度です。
  325. 辻原弘市

    辻原委員 これは、私が福岡に参ったのでありますが、九州地方の各県で同様行われているその編集の方法を見てみますと、大体現場からいろいろ編集会議を積み上げられて、最終的にいろいろ推敲をされて、あなたの言葉をもっていたしますると原原稿というものを作成せられるが、最終的な締めくくりの場合、その監修等については、大学の教授あるいは学識経験者のみならず、この中には直接教育を主管している都道府県の教育委員会のいわゆる直接学校指導の立場においてその職務に当っている指導主事等の監修というかせれに対する協力、こういうものを仰いで、いわゆる合議の形で、各界各層の教育者の、あるいは教育的な権威を持っている人々の衆知を集められて仕上げられているということを聞くのでありますが、北海道の場合には教育委員会等との関係はどうなっておりますか、この点一つお伺いいたします。
  326. 米田勲

    米田証人 教育委員会との関係はございません。従って、教育委員会が監修しているということはありません。
  327. 辻原弘市

    辻原委員 次に、やはり概括的な問題でありますが、先はど編集に至る経緯とそれから教育評論社との関係について証言があったわけでありますが、その中で、われわれ教育的な見方をいたしますると、重要な点は、でき上ったものが次年度にどういうふうにしてさらにいいものを作るかという、そうした反省の機会を持たなければならぬということと、その反省の機会を持ったその結論によって、それを直接発行しておるそうした発行会社に対して反映しているかどうか。これは主として実際のいわゆる教育内容と申しますか、そういうものには、お話を聞いてみますると、ほとんどタッチをしていないようであります。編集といいながら、事実上の編集教職員の私的活動において行われておりますから、普通一般にこうしたものを編集発行するそのやり方とはいささか趣を異にしているように思いますから、評論社に内容の点について要求をつけるというようなことは、これはこの場合は無理であるかと思いますので、主として、その場合は、先ほど佐々木委員からも指摘がありましたが、価格を安くする面、あるいは原価計算を厳重にやる面、ないしは装丁、紙質、活字の使い方、こまごまと考えますれば実にいろいろな問題があろうかと思いますが、そうした主として形式的な面、この点について相当の注文をせられておると思いますが、先ほど一応の説明はありましたが、私もいろいろ他の一般会社が作っているものを見た場合に、いろいろ欠陥も発見できると思いますから、そうした点について評論社は逐年そういう点の要求について相当量考慮を払って受け入れてきておるのかどうか、いま少しくその点をお話しいただきたいと思います。
  328. 米田勲

    米田証人 御指摘の点について、いろいろ具体的に項目をあげて改善の要求をした事実を記憶しておりますが、ここへ控えてきておらないので、ここで内容を申し上げることはできないわけであります。
  329. 辻原弘市

    辻原委員 その場合に、評論社がそうした実際それを使っている学校側の意見というものを相当逐年大幅に開き入れてきているかどうか。概括的でけっこうでございますが、それは一体どうでしょうか。
  330. 米田勲

    米田証人 これは、さっき佐々木先生がお持ちになっていられたのと今度の「夏休み」の現物との間を比べていただけばわかりますが、われわれの要求した点については相当部分改善の跡が明らかである。まだまだわれわれとしては改善の余地はあると思いますけれども、評論社としては、従来われわれの改善要求に対しては相当部分誠意をもって取り入れてきたと私らは判断をしておりました。
  331. 辻原弘市

    辻原委員 次に、先ほどから話に出ております事実上の編集費と申しまするか、この点についていま少しくお伺いをいたしてみたいと思います。と申しますのは、普通の常識で言いますると、いわゆる教科書なりあるいは一般の図書でもそうでありますが、その発行会社には編集局を持って、その編集局の中で、きわめて小部分で、できる限り編集費を安くあげて、そして利益をあげるというのが通例であろうと思いますが、だんだんとお聞きいたしてみますると、この場合にはそういった一般のやり方ではなしに相当編集費をお使いなさっていられる。それも、いわゆる編集局といったような形の編集費の使い方ではなくして、実際それを取り扱っている先生方が、それぞれの会合において逐次その編集の効果をあげていくという一つの仕組みであるようであります。そこで、一体それぞれの過程にどういうような経費のかかる編集方式をとられているかという点が相当明らかになれば、一応の夏冬ともに対する北海道編集のやり方というものが、おぼろげながらわかってくると思うのですが、その点がまだ若干はっきりいたさない点がありまするので、具体的にお伺いをいたしたいと思います。と申しますのは、最終的にやる全道会議で、ここでは全部遠隔の地から札幌に集まって仕上げをされる、この点はわかりました。それに要するところの編集費、それはあるいはこの中で仕分けられたいわゆる編集のための諸会合費というものに含まれるのであろうと思いまするし、あるいは、先ほど佐々木さんの言われたような何でいきますると、評論社が直接計上しているところの編集費、これによって縛られているかもしれませんが、そういう形のものがどこどこにあるのか。いわゆるその下部組織というのは、先ほど御説明によりますると、市支部における編集会議あるいは郡部の支部の連合協議会ですか、そこの編集会議、その下は班ですか、その班等においてもいわゆる編集会議というものを開催されるというようなことでしたが、それはどうですか。
  332. 米田勲

    米田証人 先ほど私がお答えしたように、組織的に、全道、地区、支部、班と、下から積み上げ、上できまったものをさらに下におろして検討するという場合に、おのずから重点はいろいろ違うと思います。たとえば、編集方針というようなものは、原案が全道会議で討議される以前に、全部の組織に流しておいて、これは当然学校班のどこかに所属する代表ですから、各学校班で討議をして、一応の意見をまとめたものを支部でまとめ、郡部の地区協議会に集まってまとめたものを、必ず私らの方としては全道会議に持ってくるという方針をもってきていますので、特定の個人が編集方針を討議する会議にぼっと出てきて発言をしているという事態はないわけなのです。そこがやはり私らのやっているやり方がどうも繁雑ではないかという指摘は受けるかもしれないが、われわれとしては全部の者がその仕事に責任を果しているという立場を組織的にとっているつもりです。だから、私らとしては、ただこれを安いものにしようとか、またはもうけようというのだったら、毎回こういう編集活動をやらない方がもうかるのです。一回やったら五年間くらい投げておけば、そのままの、同じものを印刷にすれば、これは編さん活動費がいらないから、相当もうかる。しかし、それは僕らのとっている編さんに対する方針と違うので、その点を繰り返し繰り返しそういう討議活動をやっているわけです。それが各下部組織ごとに集約され広げられているわけで、どうも抽象的なことになりますので、組織の実態表でもあればよくわかるけれども……。
  333. 辻原弘市

    辻原委員 次に、いわゆるその編集規模といいますか、そういうものを一つ想定してみたいのでありますが、夏休み帳冬休み帳といいますと一冊のように聞えるが、小学校中学校まで合わせると九冊になるのです。そうすると、実際のやり方としては、その九冊を、たとえば先ほどの御説明の、いわゆる支部、地区協議会、それぞれ全部合わして三十二個所ですか、そのありました中で、九支部がそれを分担するのであるか、あるいは二支部が連合して一つの、たとえば小学校一年生なら一年生を分担し、二年生はその隣が分担するというような格好になっているのか、そういう点の編集分担の外貌というものをいま少し詳しくお伺いしてみたいと思います。
  334. 米田勲

    米田証人 これは先ほども申しましたが、小学校中学校別に四教科ごとに担当しております。
  335. 辻原弘市

    辻原委員 まだ十分各委員の中にもわかっていないような人があるかとも思いますので、もう少しそれらの点についてお伺いをしてみたいと思うのであります。先ほどの御説明によりますと、編集に当る過程において基礎学力の調査をおやりになるということでありますが、それは夏冬、ともおやりになるのか、またその対象人員はどの程度おとりになっているか、それを一つお伺いしてみたいと思います。
  336. 米田勲

    米田証人 これは夏休みを実施したあと、——これは経過しておりますから、半年と言えないわけです。発達の過程はぐんぐん変っておりますから、夏冬ともに別々にやっております。それから、百二万人の児童生徒のうち大体十五万人を対象にしてこれを実施しております。その教師の稼働人員は、十五万人の子供に対して大体三千人の教師が、大体一人三日間くらいこの学力の基礎調査に当って結論を出しております。
  337. 辻原弘市

    辻原委員 最後に一点お伺いいたしますのは、あの報告書の中にも、また先ほど佐々木委員質問にも、夏冬とも合わせて五円の千二百万円に相当する金額がいわゆるリベートという形になっているのではないかというお話ですが、あなたの御説明によりますと、二十九年度の例をとると七十九万冊ですね。そのうちの百万何がしという金額のうち三円に相当する分を除いて三百万何がしという金額は、先ほど御説明のような構成のいわゆる編集費用という形で使われた、こういうことですが、そこが非常に食い違っておる点で、私のお尋ねするのは、夏冬とも別個にそういう編集方式をおとりになるのか、一括しておやりになるのか。一括する場合であれば、数百万のその五円の金額に対して編集費というものは三百万何がししかかからぬということになり、残りの金額は相当以上残っておるということになるのだが、それはどういうふうにやるのか。それはそのつど夏冬おやりになっておるのか、年間を通して一本でおやりになっておるのか、その点をお尋ねいたします。
  338. 米田勲

    米田証人 私先ほどから何ども申し上げているので、年間一千万円の編集費というふうに言われているのは間違いであって、夏冬別々に編さん活動が行われているということが一つ。それから、二十九年度の冬の例の集計によりますと、下部組織の編さん活動に充てた分は三百九十三万円、無償配付分が二百四十二万円、こういうことになるので、私らの主張としては、「冬休み」について言えば概数三百九十三万円が編さん費だと指摘しているわけです。夏休み帳冬休み帳もおのおの九冊ですから、これを九冊で割りますと、一冊当りの編集費は四十三万円余りになる。冬休み帳は小学校に六冊、中学に三冊、合計九冊ですから、この九冊について三百九十三円の編集費ですから、一冊当り四十三万円という概数になるわけです。これを編さん活動に動員された一万五千人の教師の数で割ると、一人の教師の編さんに充てた費用というのは二百五十九円、たったそれだけの費用しか教師一人当りの編さん活動に充当していないという結論が出ておるわけです。
  339. 南好雄

    ○南委員長代理 濱野清吾君。
  340. 濱野清吾

    濱野委員 資料の提出についてお願いしたいのであります。ただいまお話のうち夏休み帳冬休み帳の改善について毎年評論社に要求しておるということは、証人のお述べになった通りで、私どももそうであろうと思います。つきましては、昭和二十六年より三十年までの四カ年間の夏休み帳冬休み帳を各一部ずつ委員長まで御提出を願いたいと思います。  それから、次に簡単にお伺いしておきますが、北教組では、原稿を出して、八円が浮いてくるように言いながらも、品質をよく、価格を安く、そうしてりっぱなものを作ることを評論社に要求しているということでありますが、そこで、私どもは、証人が直接こういうところがよくなったと信ずることを、お持ちになっているその日誌帳できわめて簡潔に御指摘を願っておきたいと思います。
  341. 米田勲

    米田証人 この佐々木先生の持っておられるのと比べればわかるのですが、この夏休み帳に対するわれわれの改善申し入れば、表紙と、表紙の印刷これは先生のと明らかに違って進んでおります。それから、内容は、これは組合が編さんするのですから、内容は別ですが、印刷の技術と紙の質は前のよりもよくなっております。色はちょっとしろうとが見るとまずいけれども、紙の質は前のよりよくしてある。そういう点や、二色刷り、前の印刷から見ると中のさし絵だとか何とか鮮明になっていますし、色のついたものもよくなっています。これは公平に比べていただければはっきりよくなってきているのがわかるわけです。
  342. 濱野清吾

    濱野委員 大体あなたの方でよくなっていると御指摘になったのはそれだけでありますか。
  343. 米田勲

    米田証人 私、文教部や書記長がこの申し入れに行ったときにはたしか行ったはずで、そのときにあげていった条項が組合にあるのです。それを私今持ってきていないので、どういう点を申し入れて改善をさせ、評論社からどういう改善が出たか、それは記録として残っておるわけです。これは文教部長が持っておるはずですが、私今持ってきておりません。
  344. 濱野清吾

    濱野委員 まことに恐縮ですが、その記録を委員長まで、御提出の御配慮が願えますか。
  345. 米田勲

    米田証人 この夏休み帳の申し入れのときのこちらの申し入れと向うの回答とは、文書で出すことができます。
  346. 濱野清吾

    濱野委員 委員長、お願いいたします。
  347. 南好雄

    ○南委員長代理 濱野君が資料を要求されましたが、その資料を委員会、として要求しなければなりませんから、濱野君の請求された資料を委員会として米田証人に求めることに皆さん御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  348. 南好雄

    ○南委員長代理 では、そういうことにいたします。
  349. 濱野清吾

    濱野委員 私は、学習帳等に対する編さん等につきましては、東京地区、福島地区、その他の府県におきましてもよく承わっておるのでありますが、しかし、一万五千人が原原稿を収集するについて動員されたことはあなたの方で初めて知ったわけです。なるほど、詳細しかも細密なる実際教育の上から執筆されるその気持はよくわかります。また将来提出される学習帳等におきましても判断ができると思います。しかし、あまりにも膨大な教員が動員され、しかも、私どもの今日の印象では、膨大な金額がそれに費消されているということについては、私どもはもとより、およそ世間でも相当刮目しているだろうと思います。そこで、私は、先ほどから証人の陳述を聞いて考えているのでありますが、そうしたことを裏づけるためにも、この場合北海道教組としましては、再々証人の陳述しております会合の場所、日時、目的等を一つ報告を願いたいと思います。私どもの考えといたしましては、ああした広い地区における教育活動、編さん活動でございますから、編さん活動ばかりではなしに、北海道教組としての組合活動の会合が再々あったはずでございます。そうしてしかもこの編さん活動あるいは原々稿材料の収集というようなことが同時に行われておることも聞き及んでおります。大体そうしたことを承知している私どもといたしましては、組合本来の活動の会合と、学習帳を編集する原々稿と申しましょうか、あなたの説で言えばそうした材料を収集する会合とが、ダブっている場合があるはずであります。そういう場合の帳簿の整理は一体いかようになっておるのでありましょうか。巷間伝うるところによりますと、こうした再々持たれる会合は確かにあった、しかしながら、それが問題になりました原稿を作るための、材料を収集するためのみの会合ではなかった、こういう証明をしている人があるようであります。私は、そういう意味で、組合活動とあわせて学習帳の原々稿を収集する、そういう形でもし動員したとするならば、なるほど一万五千人の動員はできるであろう、またそれは当然であろう、しかしながら、こうした数字が合えばいいというような一万数千というような人々があの学習帳で動員されたとは私ども考えておりません。ですから、この点を謙虚な気持でお話しを願いたいと思います。私どもは、いずれにしても、あなた方が教育に情熱を打ち込んでいることはよくわかります。同時にまた、そういう会合で原稿の材料を収集するということが不当であるとは申し上げません。その職務上、職業上当然に行われるだろうと思います。それだからといって、今回この委員会報告されたこの膨大な金額が、これにのみ、すなわち材料収集にのみ、学習帳を編集することのみに使用されたというような印象を強く受けるのでありますが、これらは少し証人はお間違いではなかろうか。この点は、何も実際を申して下すっても、私どもとかく言うべき筋合いのものではないと考えておりますので、どうぞその点を判然とお答えを願いたいと思います。
  350. 米田勲

    米田証人 先ほど私が学習帳編集事項表というのに基いて説明を申し上げたときに申し上げたこれらの会議は、ほかの会議とダブっておりません。ただ、先生のおっしゃるように、延べ一万五千人の教師が動員されて編さん活動する過程において、広範な下部組織の地区支部においては、集まるのに二日を要するような地域もありますから、その際に、この編さんの検討とか討議とかいうことのほかに、集まったときにいろいろな他の連絡だとかあるいは田の用件用務について討議をしたことないとは私は言えなし。それは地域の特殊事情から言ってそういうことは多分にあり得るのではないか。しかし、先ほど私がここで説明申し上げたこれらの会議は、ほかのものとはダブっていないというふうに申し上げます。   〔南委員長代理退席、委員長着席〕
  351. 濱野清吾

    濱野委員 大体北海道教組の執行委員長としての、ないとは言えないということは、私どもはさもありなんと考えております。ですから、その点はこれでけっこうでございます。  それから、こうした編集会議などの、もし単独で、すなわちこの目的のために会議をやったというようなことがありますならば、その旅費支給であるとか手当支給であるとかいうようなことは、帳簿に載っておるはずでありますから、その期日、場所、期間等を詳細に委員会に御報告願いたいと思いますから、委員長会議にお諮り下さいまして、その資料の提出方をお願いいたします。
  352. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまの濱野君の御意見に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  353. 篠田弘作

    篠田委員長 では、さよう願います。
  354. 米田勲

    米田証人 これは相当に膨大なものになるのですが、すぐ出せと言われても……。一生懸命努力して早く出すようにいたします。
  355. 篠田弘作

    篠田委員長 高津正道君。
  356. 高津正道

    ○高津委員 米田証人にお尋ねしますが、私は、あなたの証言で、これはもちろん教科書の問題ではなくて夏冬休み帳の問題になっておるのだが、どうしてそこをこんなに詳しく調べるのであろうかと思いながら聞いたのであります。それからまた、三十円の定価を二十二円で地区や支部学校が受け取って、その中で三円は貧窮児童が一割いるという見通しでそれに充てたというあなたの御説明もよくわかりました。北海道の場合は、全国の比率から見て、もっと一割以上も貧窮児童があるのではないかと思われるくらいであります。そうして、八円の中の残りの五円について、あなたの説明を聞いたのでありますが、膨大な人員を動員して熱心に種々な研究をしておられた。ほとんどばか正直かと思われるくらい。それは副次的なよい結果があるからではありますけれども、実に正直にいろいろこの夏冬休み帳のできるために骨を折っておられるということは私は了承したのであります。この行政監察特別委員会は小・中学校教科書の問題を調べておるのでありますが、北海道に関する限り、夏冬休み帳が問題になってしまって 私は調査に参ったのでありますが、別後合せて一週間以上私たちは北海道に費したのであります。そして、本日の同僚諸君の質問をまた聞いてみると、昭和二十六年以来各支部のいろいろな問題についての報告委員会の名において求められておるのです。このように小・中学校教科書の問題が脱線して——脱線が悪いならば、夏冬休み帳のような問題が含まれて、そこの部分で全く前代未聞の微に入り細に入る質問が出た上に、さらに書類による報告の提出を求められておるのでありますが、私の考えから言えば、私はそういうやり方には反対であります。そういうようなこまかい昭和二十六年以来の報告が出せるとでも証人は考えておられるのか。私はそれは容易なことではあるまいと思う。どこの会社に対しても……(「書類を出すなと言うのか」と呼ぶ者あり)書類を出すなという質問ではない。ほとんどそれは不可能なことであると思うのであるが、それを提出し得ると……。
  357. 篠田弘作

    篠田委員長 高津君にちょっと申し上げます。あなたは教科書以外の夏休み、冬休み学習帳、ワークブックの問題を何か横道のように言われておりますが、これは理事会においてはっきりそれを含めた調査をするということになって、われわれも北海道に行っています。それから、先ほど委員会の決議によりまして、書類は証人も承知の上で出すということになっております。それに対して、出せぬだろうというような援護射撃をされることは、当委員会委員発言として私は不適当だと考えますから、私は発言中止を命ずるかもしれません。
  358. 高津正道

    ○高津委員 証人はそういう詳細な報告を出せるとお考えになっておるのかどうか、これを聞くのであります。
  359. 米田勲

    米田証人 私がここで申し上げるのは、極力善意をもって努力をするということであって、果して組合の各支部、地区について二十六年以来のその要求されているようなものが完全にでき上るかどうかということは自信がありません。しかし、私に最善の努力を尽してみるということを申し上げているのです。   〔「それはおかしいぞ」と呼ぶ者あり〕
  360. 高津正道

    ○高津委員 私の質問はこれで終ります。
  361. 篠田弘作

  362. 三田村武夫

    ○三田村委員 先刻来証人の証言を聞いておりまして、内容はほとんど明瞭になったと思います。証人の証言に関連して、一、二点念のためにお尋ねいたします。証人は北海道教職員組合の中央執行委員長である。いわば北教組の最高のキャップである。教職員運動の内容については何もかも御存じのはずです。その立場から敬意を表しながら御質問をしていきたいと思います。  今証人の御説明を伺っておりますと、問題になっております夏休み帳冬休み帳に延べ一万何千人を動員して、しかも数百万円の編集費を使ってこれを出されたと言いますが、そういう煩瑣な手続と膨大な費用を使わなければ夏休み帳冬休み帳はできないものか、内容のいいものはできないものでしょうか。
  363. 米田勲

    米田証人 これは、それだけの人数が動員されなければよい夏休み帳ができないかという御質問に対しては、別な方法もあるかと思います。相当の権威のある者何人かに委嘱して、それをやってもらう。しかし、私たちは、この編集活動過程に、いろいろ基礎学力の調査だとか、各教科にわたる基礎研究とかいうものが教師の手によって行われることが大事である、それをだれか別なところにいる全然知らない権威者に頼んでいいものができたとしても、それは僕らのやっている仕事と同じものができたとしても、僕らのやっている方が価値があると思っておるわけです。
  364. 三田村武夫

    ○三田村委員 北海道教職員組合中央執行委員長として、教職員を通じて、しかも教壇を通じて学童の教育を担当しておられるあなたの立場からの証言を求めるのですが、今証人の言われたように、他の方法をもってしても同一内容のものができるといたしますならば、先ほど来ここで問題になっておりますように、一部について八円というよけいな負担が児童もしくは父兄にかかる、こういう点についてどうお考えですか。今さっき証人の言われました後段の問題はあとからまた……。
  365. 米田勲

    米田証人 これは、私たちは私たちの現在やっておるような編さん活動が尊い仕事だ、教師自身がみんなで討議し合ってやっている仕事が尊いのであるから、他の方法で、たとい自分の方で引き受けてやるからその編さんをまかせろと言われても、私たちは私たち自身のやっておることがいいと考えておりますから、そういうような方法は考えないわけです。それは、確かに、経費のかかる点だけあげれば、それはいささか不経済でないか、労力的にも不経済でないかということは、その方面からだけあげれば言えると思います。
  366. 三田村武夫

    ○三田村委員 私は経費の負担の面だけからお尋ね申しておるのじゃないのであります。次の問題に移りますが、証人の御説明を伺っておりますと、夏休み帳冬休み帳を通じての編集活動というものをしきりに問題にしておられます。今もその問題を非常に強く言われました。同じ内容のものであっても、自分たちの手でやることによってなお一そうそれが効果的であると言われました。それは証人が執行委員長としておやりになっているいわば教職員活動の内容であって、これとは別個のものでありますね。執行委員長としておそらくそういうふうにお考えになることは、これはわかっている。これは組合活動としての分野であって、混同されてはいませんか。
  367. 米田勲

    米田証人 これは混同いたしておりません。組合活動という問題についてはずっと広範な問題を含んでおります。今私の言っているのは、原々稿の編集を仕上げる、これに批判を加える、最後の原稿を仕上げる、この過程だけの作業を言っているわけです。組合活動全般のことをさしては言っていないわけです。
  368. 三田村武夫

    ○三田村委員 もちろんそうです。組合活動全体として私はお尋ねするのじゃない。証人が先ほど来しきりに言われます編さん活動を通じて云々というその御説明の中には、延べ一万何千人も動員するとおっしゃる。上から下まで、——上ということは、あなた方のお示しになる編さん方針です。その方針を体して下部組織まで動員されて、その下部組織の意見をくみながら、原原稿にたくさん赤い付せんをつけて、また上部に吸い上げて、それをさらに検討の上出版され、そして児童の手に渡っていくという形態をとるのですが、出ていく夏休み帳冬休み帳そのものを私は問題にしているのではなくて、その過程において行われることは、私はあなた方のおやりになっている教育活動一つだと申し上げるのです。全部だとは申しません。だから、あなたのおっしゃるように、それが非常に有効だという結論が出てくるのではありませんか。
  369. 米田勲

    米田証人 教育活動という場合と、教育組合活動という場合と違うわけです。先生のお聞きになっているのは教育活動の方を言われておられるのですか。教育活動ということと、教育組合活動という場合は全然——全然と言ったら語弊がありますが、違うわけです。
  370. 三田村武夫

    ○三田村委員 あなたは、さっきから、しばしばそういう概念的な説明をされますが、違いませんよ。それじゃ、あなたは、教育活動教職員活動と、どこでどういうふうにはっきり区別されるか。あなたは最高のキヤップですから、一応念のために御説明願います。
  371. 米田勲

    米田証人 大体、私たちの職員団体、教組は、教職員の経済的な生活や身分の安定や、あるいは教育の民主化や、そういった仕事も広範に含んで組合活動というものを考えているわけです。これは規約に明らかに目的がうたわれている。ところが、教育活動というと、これは児童教師という関係において直接行われる教育作用の活動をさしているわけです。それと組合活動とはおのずから異なっていなくちゃならぬ、こういうふうに私は判断しております。
  372. 三田村武夫

    ○三田村委員 証人の御説明通り教職員の組合活動と、いわゆる広範な教育活動とは別なものでなければいけないのです。別なものでなければいけないにかかわらず、——私は時間がありませんから、きょうは資料をもってお尋ねすることはやめますが、現在おやりになっている教職員の組合活動とは、たとえば証人がおっしゃった教育の民主化というテーマのもとに組合活動そのものが実際は教育活動なんだ。そこにこの教科書問題をこの委員会が取り上げる一つの意味もあるのですから、その前提で私はお尋ねしている。あなたが先ほど来しばしばここで言われる証言の内容は、明らかに編さんを通じての教職員活動なんです。一万何千も動員して、そうして数百万円の金を使ってやっておられることは、これはあなた方教職員活動なんです。それは、あなた方の組合がおやりになる限り、本貫的に教育活動と分けることはできない。少数の学識経験者で同じ内容のものができれば、それでいいんじゃないですか。自分たちの手で一万何千の人を動員することによって、それが効果的だとおっしゃることは、より効果的だというその御説明の中には、教職員組合というものが一体となって、これが推進力となっておやりになるからより効果的である、こういう結論が出てくるのでして、これは概念的には全然別個のものですが、実体的には現在同じものなんです。証人の御説明を聞いていると、同じものだということを私ははっきり認識することができたのであります。北教組の中央執行委員長である証人に私はその点念のためにお尋ねしておきます。
  373. 米田勲

    米田証人 大体お聞き下さっていることはわかったつもりですが、私は、御説明申し上げる場合には、教育活動教職員組合活動と、これははっきり区別して判断して申し上げないと、何か教育活動をやっていることが即組合活動というふうに直結せられるのは、これはうまくないんじゃないかと私自身は思っているわけです。それで、今の編さん活動というのは、 教職員組合活動の中の一環としての教育研究活動一つの仕事になっているわけです。教育研究活動というものは、この編さん活動だけではない。教職員組合運動の教育文教活動の中の一つの仕事がこの夏休み帳の編さん活動。だから、大きな意味に言えば、先生のお問いになっているように、教職員組合活動の一環としてこのことは考えられている。しかし、それは、もう少し厳密にやっていけば輪が小さくなっていく。はっきりさせなければならぬ。私どもはこれを混同してはいません。
  374. 三田村武夫

    ○三田村委員 それは、証人の言われる通り、私もそう思っているのです。思っているから問題になっている。別個なものでなければいけないのです。ところが、こうやってあなたの方が最高執行部から編集方法を下まで流されて、その上に原々稿ができて、またそれを最下部まで流されて、延べ一万何千も動員して、これが夏休み帳冬休み帳になって出版社から出るのです。出るもののほとんど大部分は、あなた方の組合が主体である教職員組合で採択される。つまり学校で採用される。そこで、五円と三円とで八円というものは、どう説明してもここで浮いてくるのです。さっき証人が説明された通り、今高津委員が言われた通り北海道は貧困児童が非常に多いからというお話なんです。貧困児童に無償で交付されることまであなた方はおやりになっている。そうでしょう。貧困児童に無償で交付されることは教職員組合の仕事でないのです。ない仕事までおやりになっている。さっき委員の方から、知事がやらぬからというようなお話があった。(「全国どこでもやっている」と呼ぶ者あり)どこでもやっているが、そこに区別しなければならぬ問題が出てくるから、そこでお尋ねしているのです。つまり、私の言うのはこうです。証人は全然別個だと言われる。これは別個でなければいけないのです。教職員組合の経済活動と、それから広範な教育活動は別個でなければいけない。いけないにもかかわらず、これが今大体なんです。今あなた方がおやりになっている純然たる教職員組合の活動と、それから広範な教育活動と別個だとおっしゃるが、別個である点がはっきりできたら、一つはっきりしていただきたい。
  375. 米田勲

    米田証人 これは、別個であるという意味は、教職員組合活動と全然無関係だということにはならない。僕らのところの組合員は全部教職員ですから、北海道は輪がダブっているわけです。組合員と教職員という二枚鑑札だということになる。だから、見方によってはこれは教員組合の活動ではないか、見方によっては教職員教育活動ではないか、こう言えると思う。この編さん活動の場合は、やはり教員組合の仕事がこれだけある、その中には文教、教育関係の振興をさせようという一つ方針があって、活動があるわけで、これらの活動の中に一つの項目として編さん活動が取り入れられておる。表から見れば、われわれの場合、やはり組合がやっておりますから、組合の活動だと大きくくくることもできるし、それから、逆に、教職員教育活動の一環としてやられているとも言えると思うので、どうも、私、その辺どう御説明してよいか、よくわからないのです。
  376. 三田村武夫

    ○三田村委員 これは押し問答になりますからやめますが、結局主観と客観の違いなんです。あなたのおっしゃることは教員組合の主観的な立場からの御説明だ。これを社会関係から律する客観的観察、判断をいたしますと、あなたの方の北海道教職員組合という実体、団体を通じて、夏休み帳冬休み帳が一万何千人か動員して編さんされて、そうして北海教育評論社から出される。この夏休み、冬休み百五十何万部、これは商品として売り出しているのです。その中で八円というものが、とにかくいずれにしても、どういうふうに使われるか、その問題は別ですけれども、これはあなたの主観ですから、客観的には、百五十何万部のうちの八円ずつですから、千二百万円ですか、これだけが組合の中に費用として入っている。その中には、一部は貧困児童への無償配付になるものもありましょう。あなたのおっしゃる編集活動の費用としても充てられるでしょう。会合費とかいろいろなものに充てられるでしょう。客観的にこうなります。日教組という立場から主観的に説明されるとそうなりますが、客観的に社会関係からこれを立証していきますと、私が今申し上げるように、それは一体だと言うのです。こう申し上げるのです。それは御承知願えましょうね。
  377. 米田勲

    米田証人 どうも、むずかしくなって、私、先ほどからのお答えを繰り返すしかないのですが……。
  378. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、要するに、三田村委員の言われた通り、主観と客観の相違であって、考え方ですから、ここでもう時間もありませんから、そのくらいにしておいていただきたいと思います。  それでは、ただ一つ、先ほど私が聞き漏らしたことで、他の委員から御質問があるかと思っておりましたが、ありませんでしたから、最後一つお聞きしておきます。先ほど言われました三百九十万という経費は、夏休み、冬休み学習帳を通じての経費であるか、それとも個別的な経費であるか、一つそれだけ御説明を願います。夏休み、冬休み学習帳両方を通じて編集費が三百九十万でありますか。
  379. 米田勲

    米田証人 それは「夏休み」「冬休み」別々です。ここに例をあげて御説明申し上げたのは冬休み帳の場合です。二十九年度の。
  380. 篠田弘作

    篠田委員長 「冬休み」だけが三百九十万ですね。
  381. 米田勲

    米田証人 それが編集費として……。
  382. 篠田弘作

    篠田委員長 夏休み帳は幾らですか。
  383. 米田勲

    米田証人 三十年度の「夏休み」の分はまだ集計ができていないじゃないかと思います。
  384. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、それを一つ明らかにしてもらいたい。大体百五十万部として、五円としますと、日教組の支部に入っている金が両方で七百五十万円です。あなたの御説明で、そのうち貧困児童に無償交付されるもの、これは三円の中から出ておりますから関係はありません。そうしてみますと、七百五十万円のうち三百九十万円の説明があっただけで、あとの二百六十万円の説明がなかったわけです。
  385. 米田勲

    米田証人 私、ここへは去年度の「夏休み」「冬休み」のやつを持って来て、今度のやつは持って来ていないのです。
  386. 篠田弘作

    篠田委員長 両刀合せて大体百五十万部です。七十九万と七十何万です。そのうちあなたのおっしゃったのは「冬休み」だけです。それに三百九十万円使っているということであるが、残りの二百六十万というものが大体「夏休み」に使われていると思うが、その説明がなかったのでお伺いしているわけです。
  387. 米田勲

    米田証人 わかりました。それは「夏休み」の分でしょう。
  388. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことになりますね。
  389. 米田勲

    米田証人 委員長の言われる通りです。
  390. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ちょっと一つだけ承わります。私、ちょっと合点がいかないことがありましたから。毎年編さん費に、要するに五円というものを使う。これをそのまま受け取るといたしましても、これは最初作るときには一万五千人動員してもけっこうですが、毎年作るわけです。毎年々々それだけの人を動員しなければならないのか。これは毎年根底から変るはずはないと思うのです。少し変る程度だろうと私は思うが、毎年々々、全部変えていくようなそういうやり方をして、何百万という金を使う必要があるかどうか、その点ル一つ承わりたいのです。今年度の「夏休み」を来年度は少し変えればいいじゃないかというようにしろうと考えに私はそう思うのです。社会とか国語とかいうものはある程度変りましても、たとえば算数なんというものは、今年になっても来年になっても二プラス二は四なんです。それを毎年毎年なぜ変えていかなければならぬか。ある程度改正をすればいいんじゃないか。何百万という金を使い、毎年々々一万人以上の人を動員しなくても、今年できたものを来年はある程度改正していけばできるじゃないかというように考えますので、それに対してのお考えを承わりたい。
  391. 米田勲

    米田証人 これは毎回根本からやりかえております。こういう原々稿は毎年毎年全部違うわけです。その意味は、大体、教科書と違って、おさらい帳ですから、角度を変えて興味を持たせるとか、教育的な方法は幾通りもありますから、その角度を変えて、いろいろな角度から研究を進めていくと、必ずしもそのうちの一ページだけ取りかえればよいといったような簡単な結論にはならないわけです。だから、これは、そのうちの何ぺ−ジだけを取りかえてあとはそのままというやり方でなしに、編集委員も毎年かえておりますから、だから別なものを作っているわけです。
  392. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこでお伺いしたい。児童に夏休みに退屈させないで学力を向上させるためにどうしたらよいかという根本問題は、それは一回会合をやって全道の意見をまとめればきまるじゃないか。それを、一回きまったものを明年度根底から繰り返すというのは、最終的なよいものができ上ったという結果にならないから、それをくつがえすことになるのではないか。たとえば教育の指導方針あるいは北海道児童に与える教育方針というものが、一応それだけの人数を動員してきまれば、そう変るものではないと思うのです。たとえば音楽の楽譜なんかだいぶ入っておりますが、こういうものは、そう何回開いたって、音楽の勉強ということで、今年は童謡の「たぬきばやし」なら「たぬきばやし」を入れよう、来年は何かほかの歌を入れよう、それさえきまれば、私は簡単にきまると思う。それなのに、毎年々々音楽も算数もなぜそれだけの人員を動員してきめなければならないか。私は、あなたの意見の中には必要なこともあることを認める。だけれども、お習字とか算数とか音楽とか、こういうものはそう変えなくてもいいのじゃないか。そうすれば、今年三百九十万の編集費を使ったら、来年は二百万で上って、その次には百五十万で上る。そういうしろうと考えが生まれてくるが、そういう考えにはあなたはなり切れませんか。
  393. 米田勲

    米田証人 先生のおっしゃる通り、この夏休み帳が、子供の興味あるもので、おさらいがうまくでき、学力が向上するといったようなものをねらって編集するのだ、こういうことだったら、何べん討議したってそれは変らないのです。しかし、そういう角度から具体的にどのような問題を取り上げていくかということになりますと、これは毎年研究を深めることによって変るわけです。大方針は先生のおっしゃる通りなんです。しかし、そこでどういう角度からどのような取り上げ方をした場合にその目的が果されるかということになると、これは一人の意見が卓越しているわけにはいかない。
  394. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それではわかりました。まあ大方針は変らないということだけは一致すると思います。それは、われわれが考えれば、それほど必要でないものにあなた方の方では編集費を使っているという考え方が抜け切れないのです。だから、その点については意見の違いでありますから、この程度で私はやめておきます。
  395. 篠田弘作

    篠田委員長 他に御発言をなさる方はありませんか。——なければ、米田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長持間にわたって大へん御苦労さまでありました。     —————————————
  396. 篠田弘作

    篠田委員長 引き続き星野証人に証言を求むることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は星野健三さんですね。
  397. 星野健三

    ○星野証人 そうです。
  398. 篠田弘作

    篠田委員長 大へんお待たせいたしました。  あらかじめ文書をもって御承知の通り、本日正式に証人として証言を求むることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小・中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し世上大いに関心を抱いておる向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて有意義であると考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより、小、中学校における教科書関係事件について証言を求むることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣面した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定むるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人星野健三君朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  399. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、宣誓書に署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書に署名捺印〕
  400. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求むることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求むることになりますから、御了承下さい。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の経歴について述べて下さい。
  401. 星野健三

    ○星野証人 昭和十二年に札幌師範学校を卒業いたしまして、現在幌西小学校に勤務しております。北教組札幌市支部書記長をいたしております。
  402. 篠田弘作

    篠田委員長 札幌市支部では、夏休み、冬休み学習帳、その他教科書についてどのような仕事を担当しておられますか。また、担当部はどうなっておりますか。
  403. 星野健三

    ○星野証人 今お尋ねのありました点で私どもがやっておりますのは、いわゆる夏休み練習帳と冬休み練習帳の編集の一部分と申しますか、編集の方を引き受けてやっております。他の方に関しては札幌市支部といたしましてはタッチいたしておりません。  それから、支部としての担当の部というお尋ねでありますが、これについては、札幌市支部の文教部が大体中心になっておりますが、私ども書記局もこの中に一緒に入ってやっております。
  404. 篠田弘作

    篠田委員長 支部学生協との人事の関係について述べて下さい。
  405. 星野健三

    ○星野証人 札幌市支部と、それから学校生活協同組合の人事ということについては、支部でいわゆる機関の決定を取り上げているということはやっておりません。
  406. 篠田弘作

    篠田委員長 別々にやっているわけですか。
  407. 星野健三

    ○星野証人 そうです。別というか、支部としては全然役員を出すということは何もやっておらないのです。
  408. 篠田弘作

    篠田委員長 学生協ワークブックを取り扱っていることを御承知ですか。
  409. 星野健三

    ○星野証人 私の知っている範囲では、そういうことはやっておりません。
  410. 篠田弘作

    篠田委員長 札幌市支部には学生協はあるのでしょうね。
  411. 星野健三

    ○星野証人 ございません。
  412. 篠田弘作

    篠田委員長 札幌市にはありますか。
  413. 星野健三

    ○星野証人 あります。
  414. 篠田弘作

    篠田委員長 それはやはり学校の先生でやっておるのですか。
  415. 星野健三

    ○星野証人 いえ、学校の先生は入っておりません。
  416. 篠田弘作

    篠田委員長 夏休み、冬休み学習帳を編集するに至った経過について述べて下さい。
  417. 星野健三

    ○星野証人 私が札幌市支部書記長をやるようになりましたのは去年からでありますので、それ以前のことはあまり詳しいことは承知しておりませんが、戦後、私ども、いろいろ教育上の、新教育と申しますか、新しい教育をよりよい教育にして、それが子供たちに十分に消化されて、私ども教師としていい教育をやりたい、そういうようないろいろな話し合いがなされておりまして、その一つとして、札幌市内でもあちこちの学校で取り上げられておりましたいろいろなそういうワークブック関係のことを統一いたしまして、一つの夏・冬休みというような練習帳の形態をとってやろうということで、たしか、これがはっきりそういう工合に一つの形態を帯びてくるようになりましたのが昭和二十六年ごろからではなかったかと記憶しておりますが、実際私そのころはまだ支部の仕事にタッチしておりませんのでよくわかりませんが、大体以上のようであります。
  418. 篠田弘作

    篠田委員長 北海教育評論社から編集費として札幌支部が受け取った金額、あるいはその使途はどういうふうになっておりますか。
  419. 星野健三

    ○星野証人 例を昨年二十九年度の冬の分について申し上げてみますと、編集費として私どもが受け取りました金額は三十万四千三百六十円、約三十万円ということになっております。
  420. 篠田弘作

    篠田委員長 それをどういうふうに使っておりますか。
  421. 星野健三

    ○星野証人 私どもが練習帳の編集をやる場合にかけております費用は、資料収集費と申しますか、原稿をいろいろ作る上において必要な資料、そういうような内容の調査、こういうものといたしまして二十四万三千円、それから調査出張費といたしまして約一万円、それから編集のための研究会費、これに五万五千円、それから事務費として五千円、通信費として二千八百円、これで、繰越金が少しありますので、計が合わないかもわかりません。
  422. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、大体札幌支部としては、編集のための資料収集の出張費というのは、今あなたがおっしゃった三十万四千三百六十円の中でおやりになっていると解釈してよろしゅうございますか。
  423. 星野健三

    ○星野証人 よろしゅうございます。
  424. 篠田弘作

    篠田委員長 夏休み、冬休み学習帳の販売はどういうような経路で行われておりますか。
  425. 星野健三

    ○星野証人 販売の経路は、それが必要な時期ですから大体七月の初めごろとなりますが、評論社の方から各学校の方に必要部数の申込み数を知らせてもらいたいというので、文書にして出しているようであります。そしてそれは各学校から評論社の方に送られまして、その一部が、各学校の必要冊数がこういう工合になっているということが私どもの方に評論社から集計されたものがまとまって来るわけであります。それによりまして、評論社から直接各学校にその必要な練習帳を配付しておるわけであります。
  426. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、各学校に三円入りまして、あなた方の支部に五円入りますね。そのやり方はどういうふうにしてやっておりますか。
  427. 星野健三

    ○星野証人 そのやり方は、これは私どもいろいろ編集の費用としてやっているわけですから、実際は三十円なら三十円売りで、それから必要な金額をとるという方法をとればいいと思いますが、なかなかやっかいな点もあったものですから、三十円売りで二十七円にいたしまして、その金については支部の方にまとめてよこす、それで支部の方といたしましては、この編集に必要な経費を差し引きまして、二十二円として評論社に渡す、こういうぐあいに、形式上はあまりよくないかもしれませんが、そういう簡便法をとっております。
  428. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、学校では三円を引いて二十七円をあなた方の支部に送ってよこす、そしてあなたの方ではそれからさらに五円を引いて評論社の方に送る、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。それとも、あなたの方に三十円全部送って、それから学校に三円だけ送り、それからまたあなたの方の分の五円を引いて、残りの全部を評論社に送る、こう解釈してよろしゅうございますか。
  429. 星野健三

    ○星野証人 いいえ、そうではありません。前の方であります。
  430. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、昭和二十九年度における夏休み、冬休み学習帳について、札幌支部が取得された金額はどれだけになっておりますか。
  431. 星野健三

    ○星野証人 今ちょっと計算しておりませんが、大体六十万円となります。
  432. 篠田弘作

    篠田委員長 合せて六十万円ですね。そうしますと、五円として三百万円は札幌支部に納まっているわけですね。
  433. 星野健三

    ○星野証人 冊数をお聞きになったのですか。
  434. 篠田弘作

    篠田委員長 金です。
  435. 星野健三

    ○星野証人 金は両方合せて六十万円であります。
  436. 篠田弘作

    篠田委員長 札幌支部では金で六十万円。そうすると、あなたの方の冊数はどういうふうになりますか。
  437. 星野健三

    ○星野証人 大体約六万冊になっております。
  438. 篠田弘作

    篠田委員長 「夏休み」「冬休み」合せて北海教育評論では……。
  439. 星野健三

    ○星野証人 冬の分は六万八百七十三冊、夏の分は六万四百二冊。
  440. 篠田弘作

    篠田委員長 大体十二万冊ですね。五円で六十万円、それは何に使っておられます。どういう使途に。
  441. 星野健三

    ○星野証人 先ほど私が申し上げましたように、北教組の全体の問題といたしまして、この夏休み練習帳の編集をやろう、そういうことにしておりますので、札幌支部といたしましても、札幌の地域性に即しましたやはり内容を十分に検討して編集する必要がある、こういうので、その費用が先ほど冬の分として支出された金額について例として申し上げましたが、もう一度申し上げますと、編集をするための資料を収集する費用、それから、練習帳を編集するためにいろいろ調査する必要がありますので、その出張の費用、それから編集のための研究会費、それから事務費、通信費、雑費、こういうことにして、使っております。
  442. 篠田弘作

    篠田委員長 それで、さっき言われた三十万四千三百六十円というものは編集料として教育評論社から受け取っておられるのではないのですか。五日のうちからこれをまかなっておられたのですか。
  443. 星野健三

    ○星野証人 私どもは、それは編集の必要な実費として受け取っております。
  444. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、六十万というものは別じゃないですか。編集に必要なのをあなたが受け取った……。
  445. 星野健三

    ○星野証人 私が申し上げた金額以外にもらっておらないわけであります。
  446. 篠田弘作

    篠田委員長 六十万円のうちから、これは冬休み学習帳に出された……。
  447. 星野健三

    ○星野証人 夏・冬一緒に申し上げましたが、二回やっておりますから……。
  448. 篠田弘作

    篠田委員長 夏と冬と合せて三十万四千三百六十円ですか。
  449. 星野健三

    ○星野証人 夏が三十万円、冬が三十万円、両方合せて……。
  450. 篠田弘作

    篠田委員長 両方合せてですか。札幌支部は、支部の主催する会合に北海教育評論社から寄付行為を受けたことはありませんか。また、受けたとしたら、どういう方法で、どういう金額を受け取っていますか、説明して下さい。
  451. 星野健三

    ○星野証人 私どもの知っている範囲では、札幌支部の会合で寄付を受けたことはないように記憶している。
  452. 篠田弘作

    篠田委員長 今の三十万四千三百六十円という経理はいつごろできた経理ですか。前から帳面を作っておられますか。
  453. 星野健三

    ○星野証人 二十九年度の分につきましては、それぞれ必要な編集の実費として支払われておりますので、それぞれによって経理をして参っております。
  454. 篠田弘作

    篠田委員長 帳簿はできておりますか。
  455. 星野健三

    ○星野証人 帳簿ということまではいきませんが、つけております。
  456. 篠田弘作

    篠田委員長 この間、税務署関係から聞いたところによると、編集の実費十八万円というような帳簿であったということを聞いているのですが、そういう帳簿じゃないのですか。万単位の帳簿はあったけれども、円単位の帳簿はない、そういうふうに聞いておるのですが……。
  457. 星野健三

    ○星野証人 そんなことはないと思います。
  458. 篠田弘作

    篠田委員長 ありませんか。これは行政監察委員会が調べてから作られた帳簿とは違いますか。前からあった帳簿ですか。行政監察委員会北海道に行きまして、税務署などが動き出してから作った帳簿じゃないのですか。
  459. 星野健三

    ○星野証人 そうじゃありません。
  460. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは委員長の尋問は一応終了いたしました。  この際委員諸君の発言を許可いたします。佐々木秀世君。
  461. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただいま委員長から質問がありまして、証人からお答えがあったのですが、編集費として三十万四千三百六十円、それは「冬休み」にお使いになっておる。そうすると、「夏休み」にもこれと同一に使われていると思うのですが、一部五円の、私らは手数料と言っておりますが、それが六十万六千円、こういうことになると赤字になっておりますが、その赤字は、あなた方はどういうように処理されておりますか。
  462. 星野健三

    ○星野証人 赤字というのはちょっとわからないのですが……。
  463. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 三十万四千三百六十円ですね。これと同等の金額を使うとすれば、六十万八千七百二十円となるんじゃないですか。そうすると、入ってくるのが六十万六千円ですから、赤字になりますね。
  464. 星野健三

    ○星野証人 それは何か私が先ほど申し上げた数字のあるいは違いであるかもしれませんが、私ども支出しております両方合せますと、繰越金として二万円ちょっとになっておりますから、赤字にはならないと思います。
  465. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、それが数字が違うと思ったものですから。このほかに繰越金があるということでしたから……。
  466. 星野健三

    ○星野証人 いいえ、違います。その分から繰越金を引きますから、実際に使用したものは六十万ではなくなるわけです。
  467. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、三十万四千三百六十円ですね。そのほかに繰越金があるんじゃないですか。
  468. 星野健三

    ○星野証人 そうじゃありません。
  469. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 繰越金は幾らになっておりますか。
  470. 星野健三

    ○星野証人 二万三十六円。
  471. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、数字が合いませんが、もう一回詳細に……。
  472. 星野健三

    ○星野証人 夏の分として収入されたのが三十万二千十円です。それから冬の分として収入されたものが三十万四千三百六十五円でありまして、先ほど申し上げた支出のうちで、それと二万三十六円という繰越金を足しますと、ちょうど今の六十万六千幾らになりますから、赤字になっておりません。
  473. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、ちょうどとんとんということですね。
  474. 星野健三

    ○星野証人 とんとんという意味はどういう意味で言われたか、私ちょっとわかりませんが、六十万六千三百七十五円のうち、必要経費を出しましたら、余った金が二万三十六円で、これが繰越金なんですから、とんとんという意味は普通そういう工合になっておるものを言うのじゃないと思いますから、とんとんという意味がわかりません。
  475. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは上手に六十万六千円に合せたような数字が——これは疑ってはなはだ失礼ですが、そうすると、ぴたっと合うようになっているのですね。それにとんとんということですが、もう一回、三十万二千十円と三十万四千三百六十円と、この内訳をそこに出してくれませんか。
  476. 星野健三

    ○星野証人 夏の方は三十万二千十円と先はど申し上げたのでありますが、資料収集費が十七万九千二百四十八円、調査出張費が四万六百円、編集研究会費は七万八千円、事務費が五千円、通信費が二千二百円、厚生費が四千九百九十一円、雑費が一万円。それから、冬分として、資料収集費が二十四万三千円、調査出張費が一万、編集研究会費が五万五千円、事務費が五千円、通信費が二千八百円ということになります。
  477. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先ほどの証人によりますと、大体一万五千人からの教員の方々を動員してこの編集に当るということでございました。そこで、ほとんど全道から集まる人たちは札幌で御会合をやるようでありますが、出張費というのはあなたの方じゃわずかですが、出張費というのは札幌以外に出るということですか。もしそうですと、ほとんど札幌で会合をやるということを聞いたものですから、札幌以外に行くということは、どういう連絡とかあるいは打ち合せとかいうような用に使われるのか、その点を承わりたい。
  478. 星野健三

    ○星野証人 この調査出張費と申しますのは、原々稿を審査しておりますときに、いろいろその原稿を作成するまでの準備といたしまして、ちょっと専門の言葉になって申しわけありませんけれども、学習の進度、それから学習帳の内容の関連とか、あるいは誤答率とその原因はどういう工合になっているかとか、あるいは問題の難易はどうなっているか、これは地域カリキュラムとどういうふうになっているかという比較検討をする仕事が相当入っているわけであります。これは、基礎学力の調査においても、他の地方においてはどういう問題がそれに扱われているか、どういうようにそれが研究されているかという一つの基礎資料としてどうしても必要な場合が出てきますので、そういう場合に調べてきてもらう出張の旅費、こういうことになります。
  479. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、札幌からもよそに出張する、よその方もまた出張するというふうに、北海道の各支部の人たちがおのおのそっらへ行ったりこっちへ行ったり、交互に出張されるというように了解してよろしいですか。
  480. 星野健三

    ○星野証人 札幌の場合は私そういうふうに申し上げました。ほかの方はどうなっているかわかりませんから、その点は確答申し上げかねます。
  481. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただ、札幌が今北海道の文化の中心地であり、経済の中心、政治の中心でありますから、会合はほとんど札幌で間に合うわけです。そうすると、資料収集費としてこの中のほとんが使われておりますが、そういうことば札幌の支部としてはほとんど必要ないでないかというように私は考えるのです。全道から集まるものですから、たとえば根室とか稚内とかあるいは函館とかいう方面の人たちは、相当資料収集あるいは旅費というものが使われるのですが、札幌の場合はそんなに使われないじゃないかと思うものですからお尋ねするのですが、そういう点に対してはどうしても必要なんですか。
  482. 星野健三

    ○星野証人 これは例としてあまりいいかどうかわかりませんけれども、私ども、教壇にありまして、ただ子供たちと一緒に授業をして勉強していればよいのならそれでよろしいのですが、やはり他の学校ではどういう勉強が行われているかというようなことで、道内旅行とかあるいは道外旅行を先生方がやって、そしてその報告を持って帰ってくるということをやっております。そういう工合に、札幌以外の他のことも知らないでは教育上いろいろ問題があるのじゃないか、こういう工合に考えております。
  483. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 いろいろ研究なさることはけっこうですが、そういう旅行というものは必ずしもおさらい帳を作る目的だけの旅行じゃない、こう私は解釈するのです。   〔委員長退席、高木委員長代理着席〕 ほかの教育活動とか、そういうようなものも含めたいわゆる出張費あるいは資料収集費というようなものに使われていると私は解釈しているのですが、そういうことはありませんですか。やはり「夏休み」だけの資料収集あるいは他の学校の見学ということになるのですか。
  484. 星野健三

    ○星野証人 先ほど私例をあげたので、受け取り方に誤解があったかもしれませんが、われわれ授業をやっておってもそういうことをやっている、ですから、先ほど申し上げたようなことは直接編集するためにも必要だという例を申し上げたのでありまして、誤解があるといけませんから、あの話は取り消してもよろしいのですが、直接編集するために必要な調査の出張、そういう工合に申し上げておきます。
  485. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、直接この「夏休み」の編集にタッチなさっている方は、おたくの組合では何人ですか。
  486. 星野健三

    ○星野証人 今私直接という言葉を使いましたが、先ほども申し上げたように、原稿を作るという意味でなく、原原稿の審査のときに必要なものも含めてこの調査というものが行われているということを一番先に申し上げたのでありまして、そういう工合に申し上げておきます。今言われました直接編集に携わっている方は、たしかことしは二十三名か二十四名でなかったかと思います。
  487. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 二十数名ということですが、それは文教部に籍を置いている方ですか、それとも一般組合員の中から二十数名を選び出すのですか。その編集する人たちはどういう形でその二十数名というものが決定されるのか、その点を承わりたい。
  488. 星野健三

    ○星野証人 これは私の前に米田証人が言っているかもしれませんが、実際に編集をする場合に執筆者を依頼してやっているようでありますが、その執筆者として選ばれておる者を、私先ほどたしか、面接編集者二十三、四名でないかということを申し上げたわけでありますが、この編集を実際にやっておりますのはそういう限られた人数だけでやるのではなくて、原々稿を作ってそして最終的に原稿を作り上げる文教部長会議までの過程において、各学校編集のいろいろな資料を収集してもらうというので依頼いたしまして、そこで、先ほど申し上げましたような地域のカリキュラムの問題であるとか、学力の総合評価の問題であるとか、あるいは基礎学力の調査であるとか、そういうようなものの資料を十分に整備いたしまして、原々稿の審査を各学校で審査をするときに検討されたものが集約され、あるいは支部の執行部、文教部の方にそれらの資料が持ち込まれまして、原稿を決定する全道文教部長会議に出席する者に十分意見として述べてやる、こういう工合になっておりますので、直接編集に必要な資料のみをここに計上して先ほど申し上げたというわけではありません。
  489. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。執筆する人が二十数名、そのほかにはいろいろな執筆したものやあるいは執筆する人に意見を具申する人というものは限られていない、要するに各学校あるいはまた学校でなくても組合員としてどんなときでもそれに対して意見を具申することができる、あるいは執筆したものを批判することもできるという形になっているのでございますか。
  490. 星野健三

    ○星野証人 その通りでございます。
  491. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、相当な時間と、それに対する参考書類、そういうものが必要になってくると思います。このものを作り上げるときには、大体何人なら何人で責任を負って、そうして各地区で何人と選ばれた人でこういう「夏休み」ができるのだ、私はこう考えておった。しかるに、今承わりますと、執筆する人があって、しかもそれが一支部に二十人もいるということになると、旭川にもそれがいるのだ、あるいは稚内にもいるのだ、帯広にもいるのだということになれば、執筆する人だけでも全道で何百人です。そのほかに、その執筆したものを、どういう形で明らかにするか知りませんが、一応各学校の検討を経るということになるのです。その執筆したものを各学校にまた送付して、そしてまた返ってくる。それが地方支部支部できまる。そうすると、また支部のものを全体集めて、文教部長会議ですか、そういうものに持っていくということになれば、相当の期間と、あるいは延べ人員が一万五千人というのもなるほどと了承できるのですが、そういうことにしなければこのおさらい帳というものは万全を期せられないとお考えになりますか。私らは、北教組という一つの組合があって、その支部があって、ふだん北教組がどういう教育をしなくちゃならぬかということはあらゆる会合で検討されていると思う。そのふだんの研さんがこの「夏休み」の上に現われてきてけっこうだと思うのですが、これをするためにわざわざそういうことを地方においても繰り返しやらなければならぬということには合点がいかないのですが、そういう点に対してはどういうふうにお考えになりますか。
  492. 星野健三

    ○星野証人 これはなかなかむずかしい点でありますが、日ごろ、基礎学力、特に国語、算数の基礎学力が落ちたとかなんとかいういろいろな批判がありますが、そういう問題だけを取り上げてみましても、これはどこに原因があるかというようなところを徹底的にみんなでもって討議し合って、そうしてその解決をはかることにしていかなければなりませんし、だからといって、それが一日や二日でできるものではない。また、去年とことしでは、子供はどんどん成長していきますので、必ずその環境その他によっては発展もありまた後退もある。また生まれた年次の子供によってはその素質も違ってくるというふうに、同じ一年生でも二年後の一年生と同じ状態だということは、まず絶対と言っていいぐらいないのです。そういうような点から考えてみた場合に、多くの人が毎年々々学校で、あるいは札幌市で研究会を開いていろいろな問題を吟味するというのも、そういうところから出ておるものであります。一つの問題を作る練習帳にいたしましても、先ほどもちょっと申し上げましたが、誤答率というものが年々やはり違うわけであります。いい場合もありますし、悪い場合もある。そういうような動いている子供の姿を的確につかんで、それをどういうぐあいに学習に反映させていくかということは、どうしてもわれわれが多くの人でもって研究していかなければできない。その一つの問題を学習帳に求めるとすれば、そういう姿で教育というものをとらえていかなければ教育の発展はないという工合に私ども考えて、みんなで相談してやっておるわけでありますので、そういう点で、あるいは十分御理解をいただけない点があるかもしれませんが、私どもはそういう工合に考えております。
  493. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 北海道には北海道国語連盟とか算数連盟とか、あるいは理科連盟とか社会科連盟とか、北海道教職員の中の各科目のいわゆるエキスパートによって各連盟が作られておるわけであります。そうすると、そういう方々から専門的な、今あなたのおっしゃるような学童の進歩していく姿に合せた教材の取り方、こういうものが当然——これは組合としてもそれを専門に研究される同志の結合でございますが、こういう人たちに依頼すれば、もっと早く、しかも専門的にりっぱなものをまとめることができるのではないか。今あなたのおっしゃることは、これは理想としてはけっこうですが、一つの組合にも何十人という執筆者がいて、そのほかにペンを入れる人が何百人といるのでは、かえって専門的な研究というものがごっちゃになりはしないかというようにわれわれしろうとは考えるのですが、こういうような、いわゆる国語連盟とか社会科連盟とかあるいは算数連盟とかの人たちを利用して作るということについては、どうお考えになりますか。
  494. 星野健三

    ○星野証人 これも私例をあげて申し上げておきますので、誤解なさらないようにお願いいたしたいと思います。一つの今の研究体制といたしまして、同じ先生に三年以上持たせないということを一つの研究課題にしておるわけであります。と申しますのはどういうことかと申しますと、その先生のやはりくせと申しますか、そういうものがどうしても子供に出てくる。そこで、何人かの人にいわゆる担任して持たせるということによって、一つの完成した人格へ持っていこうというような研究を今やっているわけですが、これも一つの理由として私は十分価値あると思いますが、連盟は確かに今先生の言われましたように一つの自分のテーマと申しますか、自分のねらいというものを持って、専門的に突っ込んでいるその力は、これは同志の集まりでありますだけに、非常にすぐれたものだ、これはもう申し上げるまでもなく先生の御存じの通りだと思うのです。しかし、それはやはり同志たち何人かが集まってやっているというだけに、そこにまたいろいろな人がはさまって——特に、私どもは、そういう同志の人たちのやっているたとえば理科なら理科というものが優秀であっても、それに入っていない人もやはり理科の担任をするわけです。授業をしなければならぬ。そういう関係になっておりますから、そういう人の意見というものも、どういう工合にものを見ているかという広い角度からやはり作られて行かなければ、どうしてもその子供その子供にぴったりと内容の当てはまった教育というものはできないという工合に私ども考えておりますので、先ほど先生の御指摘のような方法はやっておらないわけであります。
  495. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は、やっているかどうかということを聞いたのではなくて、たとえば理科連盟というものは全道各学校連盟員がいるわけですね。
  496. 星野健三

    ○星野証人 正直な話、私は連盟のことはあまりよく知らないのです。連盟に入っておりませんので。
  497. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 連盟には全道に各部門のいわゆる会員がいるわけです。そうすると、各学校においては、いわゆる教材を扱うにはその連盟の人たちの意見を尊重してやっているようです。また、教科書を作るにしても、北海道国語連盟、社会科連盟というものが御承知の通りほとんどこの編著者になつているわけです。北海道で使われている教科書というものは、ほとんどみな連盟がやっているようです。そうすると、この夏休み帳冬休み帳というのは、教科書を教えて、そのいわゆる復習でしょう。私らはもと子供のときには復習帳と言ったものです。そうすると、このおさらい帳というものは、ふだん習っている教科書に基いたおさらいをやって、しかもその児童の頭脳を向上せしめるというものです。だから、われわれから考えると、教科書を作っている連盟があるのですから、その連盟に原稿を委託すれば、脱線しない、ふだん教えている学力に適したテーマが生まれてくる、私はこう思うのです。あなた方のは理想ですが、理想といっても、必ずしも理想が実際に全部が反映しているかというと、反映していません。やはりみんなの意見を聞くということになれば、北海道中の教職員の意見を全部聞くということは、時間的にも物理的にもできない。ただ観念的にそうした方が多くの人たちの意見が入るというのでやっていられるようですが、そのためにこのおさらい帳の価格が先ほど証人も言っておられましたが、この制度をなくすれば五円安くなるということははっきりしている。私らとしては、そういう国語連盟とか何とかがあるのですから、そこに委嘱して原稿を作ってもらって、そこにあなた方からもし何でしたら会員を通じて意を申し上げて、そうして原稿料というものをそこで取って一つのものを作っていけば、私は、よりりっぱなもの——と言えばあなたと私とは議論が生まれるかもしれませんが、相当な理想的なものができるだろう、そうして価格が相当に安くなるだろう、こういうふうに考えるのです。この点に対しては、議論しておるのではありませんから、この程度にしておきますが、私は一応そう考えます。  その次は、ちょうど先はどから問題になっておるのは五円の問題ですが、二十二円でおろされるということを言っておるのですが、各委員の方からも五円というものは一つの利潤だというように解釈ができておるのであります。あなた方はこれは編集費だということでございますが、これは、五円というものはあなたの方ではとんとんですね。今の数字で言えば大した金が残りもしません。ほとんど編集費に使われているようです。出張費なんというものは札幌は一番少ないわけです。それでも何とかかんとか持っていける程度の金額であります。これがあの広い北海道の地域の別の支部ですと、再三札幌に出張いたしますと、あなたの支部の何倍という経費がかかるので、札幌に会合すれぱ、そういう場合に各支部は本部の文化部から、かかっただけの費用をもらうのかどうか。そうでなかったら、各支部で売った部数による一冊五円の中でまかなうのかどうか。私は全道プール計算でなければいけないと思うのです。編集費に使うならばそうでしょう。編集費という項目であれば、これはプールでなければいかぬ。かかっただけのものはそこから取らなければならぬ。しかし、あなたのおっしゃったように、一冊から五円ちょうだいして、その五円の中の六十万六千円でまかなっているということになれば、これは自家まかないです。全道とも自家まかないでやっているのか、それとも、プール計算にして、費用のかからなかったところから費用のかかったところへ送ってやるのかどうか。
  498. 星野健三

    ○星野証人 その点は先ほど申し上げましたように、他地区のことについてはどういうふうになるか、私は承知していないわけであります。わかっておりません。
  499. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは各地区とも自まかないです。売った一冊五円だけのものをちょうだいして、それでまかなっている。そこにわれわれは疑義が生ずるのであります。あなた方の理想からいって議論いたしますと、札幌は一番費用がかからない、ほかの地区は非常に費用がかかる、札幌ですらとんとんだ、一冊に五円ちょうだいしても、ほかの地区ではうんと赤字だろうと私は思う。そういう点に対しては、あなたは札幌以外のことは承知しないということでありますから、この点に対しては触れませんが、そうしましたら、この六十万六千円という一年間の経費を、あなたのおっしゃった出張費とかいろいろなものがありますが、これは昭和二十六年度からお始めになったといたしますと、二十六年度から今日までのいわゆる経費というものがはっきりと帳簿の上に載っていなくちゃならぬと、こう思いますが、あなたの方ではその帳簿はございますか。この二十九年度のはあるということは先ほどのあなたの証言によって聞きました。これは二十六年度からずっとなくちゃならぬと私は思います。その帳簿があるかどうか、その点を承わりたい。
  500. 星野健三

    ○星野証人 その点については、私はうかつで承知しておりませんでしたが、必要であれば、帰ってまたよく調べてみます。
  501. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 調べてみなくても、あなたは書記長でしょう。支部全体の書類というものは全部あなたが就任なさるときに受け継がれるわけでしょう。その受け継がれたときに、こういうようないわゆる金銭の出入りのものは当然あると思います。組合費というものも入ってくるのですから、それからこういうものの収入もあるのですから、あるいは取引銀行もあるのでしょうから、そういう点から帳簿があるんじゃないか。調べてみなければわからないというのではなく、帳簿があるのかどうかということを承わりたいと思います。
  502. 星野健三

    ○星野証人 二十六年、二十七年という古いものについては、ちょっと私わかりませんが、二十八年については、私は二十九年に引き継いだわけですから、そのときには口頭でいろいろ話があって、その費用として出したんだということで、はっきり帳簿として引き継いだものは私の記憶ではちょっとないように思います。
  503. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、二十九年度のはあるが、そのほかはない、二十八年と九年があるのですか。
  504. 星野健三

    ○星野証人 二十八年度だけについて申し上げたので、その以前のことについては、今はっきり申し上げる資料を持っておりません。記憶にありません。
  505. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 札幌は支部がいつできたのですか。
  506. 星野健三

    ○星野証人 札幌支部昭和二十一年じゃないかと思います。
  507. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 昭和二十一年に支部ができたということになると、できた後からずっと記録というのがあると私は思うのですが、たとえば、会計帳簿にしても、今言う通り繰越金なんていうのもずっとあるのですから、例年継続されていくのだと私たちは常識的に考えるのですが、あなたの就任したときにはあったが、その前のことは知らぬというようなことは、常識では考えられないのですが、あるのじゃないですか。
  508. 星野健三

    ○星野証人 今私どものいる小さな部屋には、そういう書類が見当らないのです。そういうことをさっき言ったのです。
  509. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、小さな部屋にはないが、どこかにあるということを考えてよろしゅうございますか。
  510. 星野健三

    ○星野証人 その点については、先ほど申し上げたように、古い方のことについては聞いておらないために、今何ともお答えいたしかねるわけです。
  511. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは私たちは当然あるものと考えますし、そうでなかったら、全然作っていなかったか、どっちかだ、こう思いますが、あなたがわからぬということになれば、わからぬことを尋ねても仕方がありませんが、先般札幌の税務署からその収支の問題について調査があったのじゃないかと思いますが、あなたはその調べを受けましたか。それとも帳簿の検閲か何かあったか。その点について。
  512. 星野健三

    ○星野証人 何回もございました。
  513. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのときには私のような質問はなかったんですか。
  514. 星野健三

    ○星野証人 ちょっと記憶にございません。
  515. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 記憶にないって、ついこの間ですが、この間税務署からお調べに行ったと思うのです。そうすると、その調べに対しまして税務署との話をされたのはあなたじゃないのですか。
  516. 星野健三

    ○星野証人 そうです。私です。
  517. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、記憶がないということですか。
  518. 星野健三

    ○星野証人 古い方のことについて聞かれたかどうかということはちょっと記憶がないのでございます。
  519. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 記憶がないということは、聞かれたか聞かれないか忘れたということですか、聞かれなかったということですか。
  520. 星野健三

    ○星野証人 それは同じことだと思いますが、ちょっとはっきりしないのです。記憶にないわけです。
  521. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのときは今私たちに御報告のありましたような経理内容を税務署に差し出したのですか。私が承わりたいのは、五円というのは何に使おうと、編集費編集費として教育評論社はとってあるわけです。それは皆さん御存じかどうか知りませんが一冊に対して一円七十二銭という編集費があるわけであります。それが二百数十万円になっています。先ほどの証人によりますと、編集費が二本立てになっているということでございますが、結局教育評論社では二十二円でおろして、五円というものは要するに組合がどう使おうとそれは干渉できない金額だと私は思うのです。あなたの方では編集費にかかっていると言うのですが、私の方では、何に使ってもかまわない金だ、こういうように解釈するのです。もしそれが利潤だということになれば、当然これは税の対象にならなくちゃならぬ、こういうふうに私は考えるのですが、あなた方、その税金に対してはどういうお考えでございましたか、一つ承わりたい。
  522. 星野健三

    ○星野証人 先ほどからお答え申し上げましたように、原稿と申しますか、原々稿の審査と申しますか、そういういわゆる編集費に使われている、こういう工合に考えておりましたので、まことに申しわけありませんけれども、税については編集費という考えで、税の対象になるとかあるいはならないとか、そういうことは全く考えておらなかったのであります。
  523. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、今度は、税務署からそういう調査がありまして、これは税金の対象になるべき性格のものだというように判断なさっておりますか。それとも、やはり編集費だから編集費として当然その五円というものは編集費として加算されるものだ、こういうように考えておりますかどうか。それと、もう一つは、今年まではこれでやったが、将来——私先ほどの証人にも言ったのですが、東京のおさらい帳を見ても四十八ページのものが十八円で販売されている。北海道のものは四十ページで八ページも少いものが三十円で販売されている。しかも、その価格において、会社ももうかるし、あるいはまた組合も相当な金を得ることができる。それは編集に使おうとしても何に使うにしても一冊に対して八円あるのですから、そういう膨大な価格で、私にすれば一円でも高ければ人数が多いのですから膨大だと思います。そういうとんでもない比較にならない価格で北海道児童が犠牲をこうむっているということは、大体皆さん方も新聞、ラジオ等で御承知だろうと思います。そうして内容においてもほとんど同じであろうと思います。むしろ、東京の方が内容においては二色刷りでありますから、東京の「夏休み」の方がよけい金がかかるのだという考えを持っております。発行部数も大体同じでありますが、このままの姿にしておいて、北海道児童のために会社もあなた方も良心的にやっているから、これで何ら将来改善することもない、このままでやっていくことが妥当だというようにお考えになりますかどうか。一つあなたの御意見を承わりたいと思います。
  524. 星野健三

    ○星野証人 先ほど先生から子供が犠牲になっているというような御発言があったようでありますが、先ほど来私どもが申し上げておりますように、同じような結果だかどうか、私見ておらないのでわかりませんけれども、私どもとしては、みんなでもって力をあわせてよりよいものを作ろう、こういう努力をしてやってきているわけでありますので、将来なお、これらの問題については、よりよい方法があるならば、私どもはいつでもみんなと相談をしてきめるという態度をとっておりますので、現在に対して先ほど御批判のようなお言葉がありましたが、それについては私はそういう工合に考えておりますし、将来の問題については、よりよいものを作っていこうという点から必要があればみんなと相談してやっていきたい、こういう工合に考えております。
  525. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 皆と相談してはけっこうですが、しからば、現実の今の姿をあなたはどうお考えになりますか。そこにテープがありますが、それをかける必要はありません。ここに書いてあるのは間違いでございませんから。たとえば、おさらい帳が小学校の一年、二年、それから三年、六年とわけてある、あるいは中学校の部とわけて、出版費、印刷費あるいは製本費、それらを入れて十一円何がしでできるのです。それから小学校の上の方の部類は十二円何がしでできる。小学校の一、二年のものはちょっと印刷費が高くなって十六円幾らですが、それでもできるのです。そうして、平均すると、いろいろな雑費をたくさん入れたところで十六、七円でできるものが、あなた方の手に入るときにはすでに二十二円でしょう。そうすれば、三割、四割というものがすでにもう製造者においてもうけられているのです。そのほかに八円というものは、理由はいいにしろ悪いにしろ、それに加算されるわけです。その実体の姿においてこのような原価のものが今三十円で販売されていることに対して、あなたはこれでも決して不合理でないとお考えになりますか。これはやはりひど過ぎる、あるいは東京のように、あるいはほかの県のように、もっと価格は下げなくちゃならぬのだという御信念になられているかどうか、あなたは札幌市の書記長として、教育の重大な立場にある人として、どういうふうにお考えになりますか。こういうことをお尋ねしているのです。
  526. 星野健三

    ○星野証人 今御質問がありました製造者の方のことにつきましては、私はどのように原価がなっていたかというような原価計算については知りませんので、この点は何とも申し上げようがありませんし、先ほど来申し上げておりますように、編集費として使われている分、あるいは貧困児童に対して無償配付しているもの、こういうものにおきましては、現在までにおいては私どもはやはり一生懸命やってきたというふうに考えておりますので、そういう方法が果して妥当かどうか、そういう相談の必要があればする必要はあるかとも思いますが、今の段階においては、われわれみんなが集まって編集をやっていこうということはやはり続けていくべきものではないかという工合に考えておりますが、先ほど申し上げましたように、製造者の方につきましては、もしもそういうようなお話が検討の結果はっきりわかるとするならば、それはわれわれとしてなお十分に相談してみなければならないというふうに考えております。
  527. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その会社の分についても相談してみなくてはならないとおっしゃるのですか。私の言ったのが当てにならぬということであれば、これはやむを得ませんが、私のはこうなのです。やはり私も北海道出なのです。あなたも北海道の教職に携わっている人。これは地域的に言っても北海道の人に一銭でも安い——一銭でも安いというのは大げさですが、一円でも安いものを使わせたい、こういう考えが私は抜け切れないのです。しかも、北海道の各家庭の生活というのは、先ほどの証人もおっしゃった通り、あまり楽でない。そうなれば、子供の三人も四人もいるところの家庭においてはなかなか容易でないのです。学校教科書あるいはこういうおさらい帳あるいは学童用用具というものが相当費用がかかるわけです。そうすると、先生方としても、自分たちの生活の苦しいときにはやはり闘争をやって待遇の改善をいたしますと同時に、各児童の負担の軽減のためにも、これは国会議員としてもあらゆる角度から検討しなくてはならぬのじゃないかと考えるのです。しかし、私の今申し上げた原価計算のようなことも、相談してみなければよくわからぬということであるが、もう少し熱意を持っていただければ、あなた御自身としても、札幌の書記長として、そういうやり方は不当だ、これは直させなければいかぬというお考えになり得ると私は考えるのですが、それ以上返事をこういうようにしなさいと導くことは、私はかえって不謹慎だと思いますから申し上げませんが、そういう点に対しては、今後ともに徹底的に北海道民にいいものを安く使わせるというように一つ御努力が願いたいということだけを申し上げて、私の質問を終ります。
  528. 高木松吉

    高木委員長代理 神田大作君。
  529. 神田大作

    神田(大)委員 一、二証人にお尋ねをします。  先ほどの証人からいろいろ聞きまして、私たちも五円の金がどのように使われているかということに対しまして多少疑問を持っておったのでありますが、午前中の質問等によりまして、北海道の特殊事情というようなことも大体わかって、編集に対する皆さんの努力に対しましても、われわれはある程度了解できたのであります。なお、札幌市においての夏休み、冬休み帳を作るための編集の実態等につきまして、私ちょっと席をはずしたので、二重になる点があるかもわかりませんが、お聞かせ願いたいと思います。
  530. 星野健三

    ○星野証人 先ほどたしかお答えしたように思っておりますが、簡単でよろしゅうございますか。原々稿の審査ということをする一つの方法、それからその原々稿審査の基本になるところの学力の総合評価、地域カリキュラムの点、あるいは基礎学力の調査あるいは問題点、そういうような多種多様の内容にわたり資料の収集をして、それらが原稿決定の場合の全道文教部長会議に持ち込まれ、その原々稿の審査は、各学校に全部一部ずつ渡しまして、一人一人の先生の全部に、——資料として持ってきませんでしたけれども、全部判をとって、内容を検討してもらって、その中に必要があれば付せんをつけてもらって、最終的に、夏なら夏の分の決定を、大体四月の初めあたりになされると思いますが、文教部長会議の最終決定をして編集する、こういうことになっておりますので、札幌市の場合は、先ほど申し上げました二つの方法をとって、相当人数の人が編集に携わっている。
  531. 神田大作

    神田(大)委員 そのためにはどのくらいの人がどのくらいの日数を費すのか、大体で、けっこうでありますが……。
  532. 星野健三

    ○星野証人 先ほども人数についてははっきり申し上げませんでしたが、大体直接原稿に執筆される人は二十二、三名だったと思いますが、それらを取り巻く、各学校に原々稿の審査をするための資料の収集に必要ないろいろなことをお願いするので、相当人数の人をそれらにお願いしてやっている、こういう工合でございます。
  533. 神田大作

    神田(大)委員 札幌市以外のことを聞くと変でございますけれども、あなたもその支部責任者として、ほかの支部の人たちの状況、ほかの支部活動状況等も十分御研究になっておるだろうと思うのでお尋ねするが、そういうような編集活動を各支部ごとにやって、たくさんの人が編集のために日時を費しておる、こういうことになると思うのでございます。札幌市の場合は非常に便利なところでございます。ところが、北海道は地域的には、先ほどの証人も申されました通り不便なところが非常にたくさんあるのです。われわれといたしましてどうもぴんとこない。普通の内地の考え方からいたしますると、何もそんなに編集費とか旅費とかいうものがかかるものではなかろうとわれわれの常識だと考えられるのでありますが、北海道の一番遠隔の地から札幌の会場等に会議に参りますような場合は、一体どのくらいの日数がかかって、一回の出帳のためにどのくらいの費用がかかるのかという点がおわかりでございましたら、御証言願いたいと思います。
  534. 星野健三

    ○星野証人 私も札幌に生まれて、札幌に生活したのが多いものですから、他のことはよくわかりませんが、ときどき出かけて行った範囲内で申し上げてみますと、私が一番不便だなと思いましたのは、釧路から入りました標茶町というところ。ここら辺にある学校の先生方は、たとえば自分の俸給をとりに行くのに、バスか汽車に乗って、一泊して、そしてまた帰るというように、大体一泊二日というところが普通じゃないか。これは距離にしてほんとうのわずかな距離です。それから、標茶というところまでは札幌からは汽車で大体十五、六時間かかるかと思いますが、それは北海道ではまだ中の方です。根室の方に行きますと、汽車は少し不便になりますが、一昼夜というところではないかと思います。
  535. 神田大作

    神田(大)委員 そうすると、三百九十万の金がそういうたくさんの支部に分けられて、各支部でもってそういう編集活動旅費等に使われているというようなことになるわけですね。その点、私は、あなたの札幌支部と同様に各支部も同様な活動をして、その三百九十万というような金を細分されておるというようにお話を聞くのですが、これに違いないのですか。
  536. 星野健三

    ○星野証人 他支部のことについては、私、詳しく存じません。
  537. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野清吾君。
  538. 濱野清吾

    濱野委員 お尋ねいたしますが、札幌の場合、六十万円ばかりの金が、私の方から言うと編集費として収入に入っておる。それらの費用が多くは「夏休み」「冬休み」の編集資料の収集あるはい研究あるいは原稿作成等に使われている。そこで、北海道全道において、先ほどの米田さんの証言も、この膨大な金がすべてのこの編集費のあらゆる面に費消されているような証言であります。さらに、あなたの証言もそれに符合して、編集費にまかなわれている証言のようであります。しかも、その証言中に、直接編集に携わっている人は、札幌支部の場合二十三名ないし四名であるというような証言を拝聴したわけであります。資料の集収等につきましては他の職員が全部活動しているように私ども拝聴しているのでありますが、その活動内容中に非常に大きい仕事をしているように御説明がありました。たとえば、学力の総合評価であるとか、基礎学力の調査であるとか、文部省か教育委員会でなければ学力の基礎評価の決定的な数字は出ないのでありますけれども、あなたの方でそういう調査を面接おやりになっているのでありますか。あるいは、そういう調査をしたことをさらに調査するということなんでありますか。この点、私どもは専門家でありませんけれども、ある関係があるものですから、こういう事実を一応聞いておきたいと思います。
  539. 星野健三

    ○星野証人 御指摘のように、文部省であるとか、そういうところでやるような多額の金をかけてやるというようなことは私どもはなかなかできないかと思いますが、学校を指定したり、あるいは学年を指定したり、そういうようないろいろな格好で基礎学力の調査など、あるいは学力が総合的にどういうような工合になっているかというようなことを検討して、その一つの判断のもとに次の研究を進めていく、こういう工合にやっております。
  540. 濱野清吾

    濱野委員 学力の基礎調査というのは、なかなか先生だけの手ではできないことは、もう専門家ですから御承知のことと考えます。その学校の置かれておる環境であるとか、その学校の施設一般に関係してきますし、また先生の資格、実力等も客観的に見てその子供がどういう学力であるかという基礎の調査がなされなければならぬと思うのであります。それを、あなた方の方では、そうしたカテゴリーの中で調査をしているとおっしゃるのですか。どの程度の意味なのでございますか。明確にお答え願いたいと思います。
  541. 星野健三

    ○星野証人 私の承知している範囲では、場合によっては、大学の先生あたりに参考意見を聞いたり、あるいは資料の説明をして説明を求めているというようなところもあるようでございますが、大体におきまして、その学校内で何人かずつの先生がそれぞれ担当して、自分の研究した範囲の資料を持ち寄ったりしてやっているように私は承知いたしております。
  542. 濱野清吾

    濱野委員 それは簡単な観察であって、あなたのおっしゃっておる基礎学力の調査というものではございませんね。基礎学力の調査は、大学のプロフェッサーが来ただけでは調査はできないはずです。これは、一つ学校あるいは各地域差における診断をするためには、あらゆるところであらゆる先生が統計的に関係しなければ、基礎学力の調査とかあるいはまた学力の総合評価というような答えは出てこないはずであります。ですから、私は先ほどから前の証人からずっと引き続いて一つの疑惑を持っておるのでありますが、どうも皆さん方の証言は、あなたの証言もそうでありますが、前の証人もあわせて、実に巧みに編集の経費というものを創作されたのではないか。失礼でありますが、大事なことですから私は率直に申し上げますが、あなたは間違いございませんか。
  543. 星野健三

    ○星野証人 先ほどの御質問の基礎学力のあれでありますが、今例を一つ申し上げますと、私ども実は算数のいろいろの研究資料を整備いたしまして、今先生が御指摘になったような意味合いでなされているかどうか、これはできてから検討しなければならないかとも思いますが、原稿用紙で六百ページに渡るくらいのものが三年がかりでできておりますが、そのうち重要な部分だけは私どもの方で印刷して出そうということを考えております。それが今先生の御指摘になったような程度の基礎学力の調査の内容になっておるかどうか、これは評価上やはり問題があると思いますが、私どもとしてはそういうこともやっておりますので、算数でありますが、一つ承知しておる例として申し上げます。  なお、創作したものでないかという御質問については、決してさようなことはありません。
  544. 濱野清吾

    濱野委員 実を言えば、証人も御承知の通り、この仕事は大きな事なんで、基礎学力の調査は専門家にお調べ願えばすぐわかるのでありまして、容易なことではございません。これは私どもはその実態を最近福島県においても拝見したのですが、非常に広範にしかも深刻な調査がなければこの調査はできない。ですから、あなた方が少くともそういう調査をするということについては、あなた方だけではできないので、そうしてまた、これはあらゆる資料がそこに組まれてくるのでありまして、学校の施設であるとか、教師の資格であるとかいうものが実力調査の線にこまかく出て参るのです。これはあなたが説明するがために基礎学力の調査とか学力の総合評価だとかいうような専門的な言葉を出したにすぎないのでありまして、実際はそこまで真剣に調査せられておるのではない、私はそういう印象を深くしておるのであります。これは考え方の違いでありますからお許しを願うことにいたしまして、そこで、もう一点お尋ねしたいのであります。  先ほど委員長質問中に、学習帳の販売手数料としての問題が尋問されております。そのときの経理の内容は、北海道班が審査に行く前には十八万円が編集費ではなかったか、こういう質問がございました。この点も本日の委員会でさらに疑問を深くした。それは委員長がそうした尋問があったというのみで深くしたというのではございません。少くとも書記長はその支部の大きな責任を持っておるのでありますから、二十九年度、二十八年度、さらにまた二十七年度、二十六年度等におけるこうした外部との金銭の出入り、内部の金銭の出納等は必ずその組合には経理帳簿がなくちゃならぬのであります。少くともその責任者がこの委員会においてそういう経理帳簿があるかないかわからぬというようなこの証言に至っては、私はますます疑いを深くせざるを得ないのでございます。この点につきましてもう一度お伺いいたしますが、ほんとうに証人は、自分が就任してからの、あるいはただいまお答えになった経理関係だけであって、それ以前の経理関係は全然知らなかった、あるいは帳簿もわからなかった、こう仰せになったことについて間違いがあるかないか。この点は非常に重要でありますから、お答えを願いたいと思います。
  545. 星野健三

    ○星野証人 先ほど私がお答えいたしましたように、二十九年は私の分で、二十八年の分については先ほど申し上げましたし、二十七年以前の分については、私はその帳簿については引き継いでおりませんので、先ほど申し上げたと同じことになると思います。
  546. 濱野清吾

    濱野委員 この問題につきましては、立場々々によって、いやな尋問でもあり、あるいはいやな質問の内容でもあろうかと思います。しかし、私どもは何といっても安い本を与えたい。これは同感であろうと思います。ところが、編集費に名をかりて、そうして一冊に五円というような、こうした膨大な金が使われることについては、——あなた方の説明する趣旨はよくわかる。きれいな趣旨であって、金を使いそうな趣旨である。しかし、先ほど米田さんの証言の中にもありますように、組合活動のうちの原稿収集に、あるいは製作に使った金とは言い切れない。言葉をかえれば、幾分組合活動の他の関係が論議されることも全然なしとしないという答弁を実はいただいておるのであります。私は、多分そうであろう、またそうでなければならぬ、急にこうした打ち合せたような帳簿ができるはずがない、そうして二年前の帳簿はその所在さえさだかでないというに至ってはどうもますますその疑いを深くせざるを得ないと思うのであります。私は最近あるところのうわさを聞いております。行監が盛んに活動して、そしていよいよテスト・ブックワークブック、ことに学習帳の経理関係行監調査が入ったときに、ある組合は書記長会議を開いて、この問題は十分調整すべしという意味の指令を出したとかあるいは出さないとかいうようなことを言っております。たとえば、夏休み学習帳については各府県は次の方法をとること、その一、組合員に原価計算報告する、この際もうけていないことを明らかに納得させること、二、税務署ではすでに実施している通りで、了解工作をすること、三、早急に帳簿整理をすること、この際組合本部の会計との完全なる分離をすること、四、関係方面との帳簿照会を完全にしておくこと等、いろいろなうわさが飛んでおります。これはまことに残念であります。これはむしろ書記長の立場になっても、こうしたうわさが飛んでおることは残念であろうと思う。どうぞ、私どもは、こういうことのないように、こういうことがあってはいかぬと、実は皆さん方の正確なる御答弁を願いたいのであります。世間はかなり疑いを起しております。世間はかなり神経衰弱のようになりつつあります。この教科書が、あるいは教科書に関連したるこうした学習帳のようなものが、こういうふうにやって、しかも多額の高い金を払わなければならぬという父兄の立場になると、もっともだと私どもは考えているわけであります。大体こうした点についてあなたはどういうふうにお考えですか。
  547. 星野健三

    ○星野証人 今お読みになったことについては、私は全然知っておりません。その点は知らないということで申し上げておきますが、最後に御指摘になりましたように、父兄の高い安いという問題については、先ほど佐々木先生からも御指摘がありましたように、われわれとしてよりよいものを、りっぱなものを作る、そうしてそれと値段との関連においてみなで十分相談して検討する必要があればやって、そうしてそういう批判にはやはりわれわれとしても率直にこたえていく方法はとらなければいけない、そういう工合に私考えております。
  548. 濱野清吾

    濱野委員 この問題はこの程度でとめておきますが、練習帳あるいは学習帳は、子供からそれを買いたいと申し込むことによって先生はそのお世話をするのですか、それとも、先生方はどういう形でこの練習帳や学習帳を子供に持たせることになっておりますか。そういう実際上の手続を簡潔に御説明願っておきたいと思います。
  549. 星野健三

    ○星野証人 最近は、これは何年も続けておりますので、夏冬休みになると、自然に、練習帳を買う買わない、こういうようなことになっておるのでないかと思いますので、形式から言えば、おそらく練習帳ができてきておるから買わないかという先生からの発言になるだろうと思います。
  550. 濱野清吾

    濱野委員 先生がみんなで努力して、これが一等よろしい学習帳だとお考えになるのでありますから、先生方の、主観から言えば、当然にこれを買わぬかといって勧めるだろうと思います。しかし、客観的に見ると、それよりはよい学習帳ができないとも限らないと思うのであります。それなればこそ、編集採択等の分離、独立というようなことが文部省で指示しあるいは指令されているのでありますが、この点について証人はいかようにお考えになりましょうか。
  551. 星野健三

    ○星野証人 私どもやはり強制という方法はとりたくないと思っておりますし、それから、そういうことは事実行われておりません。その証拠には、札幌市内でも使っていない中学校がございます。
  552. 濱野清吾

    濱野委員 その中学校は何という中学ですか。
  553. 星野健三

    ○星野証人 一条中学校、付属中学校、北星、北斗、藤、こういうようなところ、まだ少しあるかもしれませんが、使ってないと思います。
  554. 濱野清吾

    濱野委員 たまたま五、六の学校の名前をあげましたが、しかしながら、大体八〇%の採択がありましたならば、パーセンテージから見て証人はどうお考えになりますか。
  555. 星野健三

    ○星野証人 どう考えるかということは、大部分という意味でございましょうか。八〇%というものをどう考えるかという三……。
  556. 濱野清吾

    濱野委員 大部分が使われておるわけですね。
  557. 星野健三

    ○星野証人 数字から言えばそういうことになるわけですが……。
  558. 濱野清吾

    濱野委員 大部分使われている数字が出ているのでありますが、それを前提として証人はどういうお考えをお持ちになっておりますか。
  559. 星野健三

    ○星野証人 先ほども申し上げましたように、八〇%使われているということであるとすれば大部分という表現はいたしましたけれども、先ほど申し上げておるように、それを必ず使わせるというような、そういう強制の意味に私どもは思うていないということを先ほど申し上げたのであります。
  560. 濱野清吾

    濱野委員 現実に北海道の練習帳は七十万冊か八十万冊か使われているわけです。ですから、中学小学の学童数から見れば、大体あなた方の編集した学習帳が使われていると言うことができます。ただ、証人が今申しましたように、三、四の学校は使っていないというが、かりにそういう事実があったとしても、パーセンテージから見て、かくのごとく採択されているというこの事実に対しては、どういうふうにお考えになりますか。採択編集というようなものが微妙にからみ合って採択されている。この事実を前提として、文部省の流しているああした一切の指算その他の措置とにらみ合わして、よいと思うか悪いと思うか、この点であります。
  561. 星野健三

    ○星野証人 先ほど申し上げたように、まず練習帳に限って申し上げますと、強制というような方法でやってはいけないというふうに考えます。
  562. 濱野清吾

    濱野委員 むろん、この本はお前買わなきゃいかぬということを札幌の各先生方はおっしゃらないと思います。しかし、札幌の先生方が編著して、しかも先生方が出版会社交渉して、しかも手数料まできめて立ち上っているんでありますが、この間の事情から見て、子供たちがこれを買わなきゃいかぬなという気持が起きるのは当然だと思います。子供ばかりではなしに、大人でも、少くとも感情のある者ならば、当然にこれを採択し、当然にこれを買わなきゃいかぬという情的な気持が当然出ると思うのでありますが、先生方は教育上いろいろ心理学も研究していらっしゃいますし、いろいろな子供の気持もよくわかっているはずであります。こういう実際上教えの場にいらっしゃる先生方の意見を私ははっきり聞きたいのであります。私どもも子供を持つ親でありますから、この点については真剣であります。どうか一つ、先生たちとして、この委員会においての議論のやりとりだということではなしに、ほんとうに子供たちの幸福のために、あるいはほんとうに子供たちの気持はどうだろうかということをお聞かせ下さいませ。
  563. 星野健三

    ○星野証人 先ほど手数料まできめるというお言葉がありましたが、何回も申し上げておりますように、そういうようにやるつもりでもちろんやっているのではないのであります。先ほど来、私いろいろな先生方の御質問にお答えしておりますように、強制というような方法でなしに、かりにそういういろんな問題点で高いとかなんとかいうような批判がある。そういうことであれば、われわれとしては率直にそういう話を聞いて、問題点があるならば、その解決のために、みんなと相談をして、よりよいものにしていかなければならない、そういう工合に先ほど来何回もお答え申し上げておりますが、やはりその通りであります。
  564. 濱野清吾

    濱野委員 どうもこの問題についてはお答えの的がはずれているようでありますが、自分たちの仲間が編集して、自分たちの毎日教えている子供がそれをとるときに、この本はどうかというときに、あなたは、強制したんじゃない、こうおっしゃるけれども、実際感情を持つ子供、毎日々々教場において師弟の立場で教え教えられている零囲気から見て、強制はしなくても、それをほとんど買わなければならぬような状態になっているのではなかろうか、編集採択あるいは販売などを文部省がやかましく言っているのはその点なのじゃなかろうか、この点が証人である先生にわからぬはずがない。労組の書記長として言いにくいか知らぬけれども、これは証人の証言をいただく場なんですから、あなたは偽わらざる心境をここでお述べを願いたいと思います。今までの千二百万近くのリベートというか、あるいは手数料というか、あるいはまた編集実費というか、そういうことは、どういう名前をつけてもよろしい。主観、客観、いろいろ違うでありましょう。しかしながら、父兄からそれだけの金が出ていくことは間違いないのであります。北海道の教組が非常に努力して、北海道の教組だけは少くとも理論的にりっぱな学習帳だとおっしゃっても、これは客観的に見ればまだまだ改善すべき点があろうという議論も成り立たないわけには参りません。そういうことを考えることは、毎日々々発展し進歩していく教科書やその他の副教科書等においても、日誌帳においても、これは当然あり得ることだと思います。それを、独断にも、われわれが編集したのだ、われわれが努力したのだ、そのためにかくのごとき一千二百万円近くもの金がかかっておるのだ、決してわれわれはやましいことはない、こうおっしゃっても、それはあなた方の単なる釈明にすぎない。単なるわれわれの質問に対する答弁にすぎない。客観的に世の中の父兄のふところから見れば、明らかにその金は出ていっているのだ。そのために、全国的にどの人々も、——あるいはわれわれが偏向教育などと言うことにつきましてはいろいろな議論がありましょう。それはあってしかるべきだ。われわれはその点については議論は言わないが、多くの父兄たちの世論は、高過ぎるということです。高過ぎるということだけは、これは証人である先生に、一つお含みを願いたい。確かに高過ぎる。しかも客観的に見れば、再三申し上げますように、それはわれわれ父兄のふところから出ているのであります。あなた方がこれを主観的に見て、いい本だ、金のかかるのは、それは当然だ、あるいは金がかかっても仕方がない、そういうような計算をここで出されても、私どもはしようがないと思います。そうして、先ほど来の編集採択販売、これらを分離するというような文部省のこうした考え方は、私は間違いではないと思う。たとい反動的な文部省であっても、この三点については間違っていないと思います。その点について、書記長のとっておるところの今の態度、この態度について感ずるところがあるならば、もう一度一つ証言を願いたいと思うのであります。
  565. 星野健三

    ○星野証人 先ほど来何回も申し上げておるように、私どもとしては強制するというような方法ではなくして、編集あるいはそういう扱いについても問題点があるとか、あるいは全額についても問題がある、こういうのであれば、私どもは十分に自己批判をいたしまして、そうして今後なおよりよいものにしていきたいということを先ほど来お答えしておりますが、その気持は今でもやはりそういう気持で、率直にそういう批判を受けて今後進んでいきたいということを考えております。
  566. 濱野清吾

    濱野委員 こうした私の質問については、どうも的をはずしているようであります。しかし、私はこの点につきましては再び追及いたしません。ただ、残念なことには、基礎学力の調査であるとか、あるいは総合学力の評価であるとか、根本的な、しかも行政庁でやらなければ全然完全なる調査ができないような専門的なものを、一つの仕組みとして説明されていることは、まことに残念であります。これは行政監察委員濱野清吾の言として決して傲慢な態度でないと思います。教育大学でも、あるいは教育関係でも、この点だけは容易ならざる調査である。こういうようなことをただ羅列して、そうしてこうした膨大な金の行方をカバーしようという心境に対しましては、まことに遺憾であります。委員長、これで失礼いたします。
  567. 高木松吉

    高木委員長代理 関連質問が佐々木君と西村君とより出ております。これを許します。まず佐々木君。
  568. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 採択の問題でございますが、ただいま証人の御発言によりますと、濱野委員から御質問に対して、北海道教職員組合で作って、北海道教職員組合の現場で教鞭をとっている、その形においてこれが採択されておるということでございました。われわれが北海道に参りまして調査をいたしましても、ほとんどの学校におきましては、もうこの北海道評論社で発行されているものが使われております。それ以外の見本などというものは一切学校に来ないそうです。また来ないような仕組みになっているそうです。もう見本などというものは全然ないのであって、あなた方の作った夏休み帳だけが決定されるのであって、八〇%ということも、それは他のいわゆるおさらい帳を使っているのではなくして、各学校でプリントしておさらい帳を作っている以外の学校はほとんどこれを使っているという姿が、北海道夏休み帳冬休み帳の使い方の実態でございます。ただいま証人は、このいわゆる夏休み帳ができた場合に、学校へ持って行って生徒に見せて、そうして大体きめるのだというようなお話でございましたが、その証言は違うのじゃないですか。
  569. 星野健三

    ○星野証人 私、そういう工合には申し上げなかったと思います。先ほど申し上げましたのは、こういう工合に申し上げたと思っております。長い間ずっとやってきておりますので、たとえば夏休みになれば、練習帳をそろそろ買うころだということで、生徒の方からも先生に聞くでしょうが、先生の方も、そういえばもう来るころだなというような話で使われているのじゃないか、こういうようなことで申し上げたと思っております。
  570. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、先ほどの米田証人ですか、あなたですか、どちらかちょっと記憶がありませんが、証言と違うと思います。大体どういうふうに採択されるかということをお聞きした場合に、七月ごろに各学校で部数をまとめて、その数字を北海教育評論社に通告して、それで夏休み、冬休みのおさらい帳が作られてくるのだというお話でしたが、それとただいまの証言とは違いますが、どちらが正しいのでございますか。
  571. 星野健三

    ○星野証人 それはたしか先ほど私が申し上げたと思います。前の委員長の御質問の中にあってお答えしたと思います。それで、そのことを先ほどこちらの先生がお聞きになったのは、その現場では話し合いのときにどんなふうな格好になるかというお話でありましたので、そういうようなことで申し上げましたが、いわゆる書類を使ってやるやり方になりますと、注文数をきちっと知らせて、それが評論社からまた本として送られて来る。先ほど委員長にお答えした通りであります。
  572. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、おさらい帳の部数が完全にきまるということは、あなた方の方で数字を通告して、初めてきまるのですね。そうでしょう。
  573. 星野健三

    ○星野証人 先ほど私が前の委員長にお答えしましたことは、学校に評論社の方から必要部数を文書によって出してもらう、その集計された控えが評論社から私どもの支部の方に来る、こういう工合にお答えしたつもりであります。
  574. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういうやり方は正しいやり方でしょうか。北海教育評論社に結局部数を先に知らしてくる、そうしてそれを知らしただけ北海教育評論社が作るということは、もう買うということを先に約束して作るのじゃないですか。それで、私たちは北海教育評論社でいろいろ聞いたのですが、それを裏づけされるように、夏休み、冬休みのおさらい帳には、注文だけ作るのですから、返本というのがないのです。そうすれば、各児輩に全部見せて、これでいいかといってきめるのじゃなくて、あなた方が先に学校でまとめて、そうして数字を会社に通告して、その通り作るということは、それは生徒の意思などというものは無視しているのじゃないですか。   〔発言する者あり〕
  575. 高木松吉

    高木委員長代理 静粛に願います。
  576. 星野健三

    ○星野証人 私、先ほど申し上げましたのは、あらかじめ冊数をとってやるという工合には申し上げなかったので、必要な部数を評論社に注文する、こういう工合に申し上げたと思います。
  577. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 必要な部数ということは……。
  578. 星野健三

    ○星野証人 購入部数です。
  579. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 購入部数ということは必要な部数でしょう。
  580. 星野健三

    ○星野証人 子供の注文ですよ。
  581. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 注文でしょう。そうしたら、注文部数というものは必要、な部数であって、それだけは会社で作るという部数になるのじゃないですか。
  582. 星野健三

    ○星野証人 四月、五月にそういうことをするなら、あるいはそうなるかもしれませんが、注文するのは、私どもでは、ことしはたしか憂休みの分は六月の末にやったと思っております。
  583. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのときに生徒にみな見せますか。教科書でも展示会というものを開きます。そうすれば、使うということは、あなた方の理論通りいくと、児童の意思も反映しなくちゃならぬ。児童がこういうものを使いたい、夏休みになったからそろそろおさら帳も要るということは、やはり使う方の立場も考えなくちゃならぬと私は思うのですが、見本を見せて、そしてこれならいいといって部数をまとめるのですか。そうじゃないでしょう。今のは要するに北海教育評論社だけの夏休み帳を使うという行き方で、他の見本などは全然生徒に見せないということを聞いているのですが、そういうことはございませんか。
  584. 星野健三

    ○星野証人 先ほど佐々木先生が、何か私は知りませんけれども、評論社を調べて返本も何もないというお話だったのですが、札幌の場合には相当返本があるのです。ですから、これこれの部数要るからさっそく印刷せよというやり方は、少くとも札幌ではやっておりません。ほしいという分を注文した。ところが、生徒が退学したりあるいはふえたりして、返本あるいは追加というものは相当行われております。
  585. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはあります。転校するとか、あるいはよそに転出するという返本はごくわずかです。私の言うのは、全然ないというのは、一冊もないということではないのです。それは毎日転校する人もあるのですから、その程度の返本は認めます。しかし、おさらい帳というものは、ほんとならば、どこのおさらい帳がよいか、どこのおさらい帳が安いか、どこのおさらい帳が内容がよいかということで、自由採択でやっていかなくちゃならぬというのが現在文部省の指導方針だと思うのです。教科書においてもそれがために展示会というものも開かれているのであります。おさらい帳においてもそれに準じたやり方をしなくちゃならないじゃないかと思うのですが、あなた方は、もう北海教育評論社のものを使うということを頭からきめてかかっているんじゃないかということをお尋ねしている。
  586. 星野健三

    ○星野証人 先ほどから申し上げている通り、決してそういうことではございません。
  587. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういうことでなかったら、なぜほかの見本を取り寄せて検討しないのですか。
  588. 星野健三

    ○星野証人 それは個々でいろいろ話う合っているんじゃないかと思いますが、私はそこまではまだ……。
  589. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それは私らとしても採択編集という部面において重大であるからお聞きしているわけです。しかし、現にあなた方のやっているのは、北海教育評論社の分だけについて相談して、ほかのいわゆる夏休み帳を持ってきて検討したことがありますかどうか。それはずっと前のことはありますよ。去年、今年あたりにそれをやりましたかということをお聞きしている。
  590. 星野健三

    ○星野証人 私のときには、いろいろそういう東京の本や何かを見てやったことがありますけれども、その部数を各学校に回すほど、また販売なんかしているものでありませんので、見て検討したことはありますけれども、他の方に紹介するとか、そういうことをしたことはありません。
  591. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはいつごろやりましたか。東京のものと比較してというのは……。
  592. 星野健三

    ○星野証人 今年六月ごろでしたか、ちょっと見たことがございます。
  593. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはどういうんでしたか、価格の点や何かにおいて。幾らでしたか。
  594. 星野健三

    ○星野証人 詳しく見ておりませんでした。
  595. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 検討したということであれば、東京のものと北海道のものと比較してみるときに、価格がどっちが高いかとか、内容がどっちがいいかとかいうことを検討したからあなたに記憶があるのだろうと思うのですが、その点はわからないのですか。わからないで検討したということなら、検討でないのです。
  596. 星野健三

    ○星野証人 私の見たのはたしか二十五円くらいでなかったか、そういう定価のようでした。
  597. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、それはあなた方だけで相談したのですね。
  598. 星野健三

    ○星野証人 私、さっき相談したということを申し上げたのではなくて、私がそういうのを見たということを申し上げたのであります。
  599. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 個人で見たのですか。
  600. 星野健三

    ○星野証人 そうです。
  601. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 個人で見たことは、それはいろいろ見るでしょうが、いわゆる採択というものは個人できめるんじゃないと思います。学校全体できめるのだろうと思いますが、個人で見たことを私はお聞きしているんじゃない。学校としてそういうものを検討されたことがありますかどうかということを聞いている。個人でなら、いろいろ各地方に旅行して見ることもあると思いますから。
  602. 星野健三

    ○星野証人 学校ではどういう工合に行われているかということは、各学校でそれぞれ検討してやっているんじゃないか、私はその点は承知しておらないということを申し上げたのであります。
  603. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなたの知っている範囲においては、学校としてそういうほかのいわゆる夏休み帳を持ってきて検討したことはないというわけですね。
  604. 星野健三

    ○星野証人 やっていたか、やってなかったかと問い詰められますと、私はそこまではちょっとはっきりいたしませんが……。
  605. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 学校でやったかやらないかわからないということは、やってないということだろうと私は思いますから、それ以上お聞きいたしませんが、そういうやり方が独善的に北海教育評論社の作ったものを無理やりに学童に使わせるという態度なのであります。こういう点に対しては、十分一つ考えおき願いたいということだけを申し上げて、関連質問を終ります。
  606. 高木松吉

    高木委員長代理 西村君。
  607. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の問題に関連しないような点から質問が始まるのでございますが、教師は夏休みとか、冬休み期間中大事な子供を学校から離すわけですが、その間に起きた児童教育上の問題とか、いろいろな問題について教師責任をとるのかどうか。そういう点について教師はどう考えているか。
  608. 星野健三

    ○星野証人 札幌の場合は、やはりそういう点非常に問題がありますので、いろいろな学校のやり方がありますけれども、二十五日間の休暇のうち、多い学校で三回くらい午前中集めているようであります。中には一日というのもあるようでありますが……、今の御質問の点につきましては、非常に問題の分れる点でございまして、まあ休暇中であるから法的に言えばそういう場合の責任はないということがあるいは成り立つかもしれませんが、私どもの方におきましては、やはりそのとき、たとえば水泳で子供たちが遊びに行ってそうしておぼれてなくなったという場合には、私ども非常に責任を感じまして、そういうことが未然に防がれるようにいろいろ努力をしておるのでございます。
  609. 西村力弥

    ○西村(力)委員 法的な問題を追及すれば責任がないようになる場合が相当あると思うのですが、教師の道義的な立場といいますか、良心的な立場といいますか、すべての問題についてやはり責任を強く感ずるであろうと思うのです。それで、夏休み中の児童の生活一切について常に教師は生徒との関連ということをいろいろな方法ではかる、たとえば巡回指導をする、あるいはいろいろな印刷物を与えてその間の生活がよくなるような工合にやる、こういう方法をいろいろ考案すると思うのですが、そのうちの一つとして、おさらい帳は相当重要性を占めていると思うのでございます。おさらい帳をそういう立場でお考えになっていらっしゃると思うのですが、いかがでありますか。
  610. 星野健三

    ○星野証人 先ほどからたびたび述べておりますように、私ども、みんなが力を合せてよりよいものを作り、そうして夏休み、冬休みの練習帳を子供たちに与えようという考えで進んでおりますので、今御指摘の通りに私どもは考えております。
  611. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう場合には、自分の受け持ちの先生が印刷したものを後生大事に持って夏休み、冬休みを暮すということが、それが教師児童の心がぴったりする一番よいことだと思うのですが、しかし、現在はなかなか忙しくてそういうこともできないし、また最もよいものを個人々々が完成する能力といっても、十分でない人が相当あり得るかもしれない。そういう点から考えてきますと、東京あたりでだれが書いたかわからぬものよりも、何々郡のだれそれ先生が編集者としてやったというおさらい帳は、夏休みの生活をする際のよき導きとなるのではないか。子供が別のものを与えられ、それがたとえば色刷りできれいであっても、子供にとっては、どこそこの先生が作ったんだとはっきりしている方が休み期間中の生活をよく導くためによいと私は考えるのですが、子供たちの心境は私が言うような工合ではないかどうか。また、教育的な観点から言ってもその方が効果があるのではないか、かような工合に考えるのだが、その点はいかがですか。
  612. 星野健三

    ○星野証人 その点につきましては、いろいろ考え方もあると思いますが、私どもは、先ほど申し上げてありますように、私どもの力の不十分な点を出し切ってでもよりよいものを子供たちに与えよう、そういうような点からやっておりますので、今のような点、そういうふうに子供たちに受け取れるかどうか、私、そこまで確かめておりませんので、何とも言えませんが、いずれにいたしましても、よいものを子供たちに与えるということで進んでおります。
  613. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は、確かにあそこの郡のだれそれ先生、自分の県なら県、あるいは北海道の道なら道のそういう親近感を持てる先生たちが真剣に作ったものは、子供たちにとっては非常にうれしいものとして受け取れて、児童の心理を考えると、もうそれにとっ組んでいくということになるであろう、当然そうだろうと思う。だから、その点確信を持って、やはりおさらい帳のことは今後とも進められるべきが当然であると私は思う。ただ、いろいろ声を大にして各委員が批判された点なんかについて、今後検討は当然なさるべきことであると思うのですが、今申したような立場から、児童が休み中をよく暮すという立場から、自そういう確信をはっきり持っておらる信を持っておさらい帳の編集をますますやった方がよい、こういう工合に私は思う。(発言する者あり)冗談じゃない。あなた方そんなことを言って、生徒に一冊々々見本を見せて、どれがよいか、——たとえば運動シャツを選ぶにどれがよいか、あるいは鉛筆を選ぶにどれがよいかというような具合に教科書を扱う、そんなことは教育を知らぬことであって、問題にならない。そういう確信をはっきり持っておらるべきだ、そういうことを最後に申し上げまして、関連質問を終りたいと思います。
  614. 高木松吉

    高木委員長代理 他に御発言がなければ、星野証人に対する尋問はこれで終了いたしました。  証人には長時間にわたってきわめて御苦労でありました。  本日はこの程度といたし、明二十五日は午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会      ————◇—————