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1955-08-02 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年八月二日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 南  好雄君 理事 山中 貞則君    理事 神田 大作君       草野一郎平君    志賀健次郎君       牧野 良三君    米田 吉盛君       井手 以誠君    高津 正道君       辻原 弘市君    西村 力弥君       小林 信一君  委員外出席者         証     人         (福島県教育委         員会委員長)  黒木 喜一君     ————————————— 八月二日  委員田村武夫君辞任につき、その補欠として  志賀健次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件  委員派遣承請申認に関する件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長は健康を害されておりますので、私が委員長職務を行いますから、御了承願います。  前会に引き続き、小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えになっておられる方は黒木喜一君ですか。
  3. 黒木喜一

    黒木証人 そうです。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 この際証人に一言申し上げます。現在わが国において、小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択に関しとかくの風評を生じ、これらが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いている向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  証言を求める前に証人に申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨をお申し出願いたいと存じます。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人黒木喜一朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の略歴をお述べになっていただきます。
  7. 黒木喜一

    黒木証人 明治三十一年十二月五日、平市中塩大字松山三十一番地に生まれ、大正十年福島師範学校を卒業いたしました。それより、同師範学校附属小学校訓導を振り出しに、内郷市内小学校小川小玉小学校小川小学校訓導を経て、昭和十年常磐藤原小学校長を拝命いたしました。昭和十三年福島社会教育主事補に命ぜられ、同十七年福島県視学に転補されて、自来県の教育行政に携わっておりましたが、昭和二十二年三月福島教職員適格審査委員会より戦時教育を推進したかどによりまして教職員適格判定を受けました。それで、中央教職員適格審査委員会に提訴いたしましたところ、官吏として当然なすべきことを熱心にやっただけであって、かかる者を不適格にすべきではないという理由によりまして、原審差し戻しになって、再審の結果、一カ年を経ました昭和二十三年の四月、教職適格判定を受けて原職に復帰いたしましたが、考うるところございまして、二十三年の五月三十日依願退職をいたしました。昭和二十三年十月福島県教育委員会委員当選いたしましたが、時の福島軍政部マグダモット司令官より、一度教職不通格判定を受けた者は教育委員に望ましくないとして辞退勧告を受けましたので、その当時の情勢いかんともいたしがたく、辞退いたしました。昭和二十四年八月株式会社丸福協文社の副社長就任いたしました。昭和二十五年三月学校図書株式会社駐在員となりました。昭和二十七年十月福島教育委員当選、現在教育委員長就任しております。なお、現在は日本教育新聞福島支局長並びに勿来市植田町にあります株式会社マル共魚菜市場取締役会長、出光興産の常磐地区特約店である常磐石油商事株式会社社長等を勤めております。以上でございます。
  8. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの方の教育委員会職務概要をお述べになっていただきます。
  9. 黒木喜一

    黒木証人 職務概要と申されますけれども、現在……。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたのおやりになっている教育委員会職務概要です。
  11. 黒木喜一

    黒木証人 教育委員会法に規定されてありまする県教育の行財政の実際についての責任を申すのですか。
  12. 高木松吉

    高木委員長代理 その内容を詳細に述べて下さい。あとにいろいろの関係を持つものですから、お聞きしておきたいのです。
  13. 黒木喜一

    黒木証人 まず、県の教育予算の確保、次には、委員会事務局人事並びに県立高等学校その他諸学校人事、並びに県立高等学校その他諸学校の財産の管理、大体以上でございます。
  14. 高木松吉

    高木委員長代理 福島県教育委員会では本年より限定採択方式を改めて採用したと聞くが、その理由及び推薦方式内容を具体的にお述べになって下さい。
  15. 黒木喜一

    黒木証人 昭和二十七年に限定採択というものをいたしました。その当時はいろいろの目的があったようでございますが、一応その目的を達し得たと事務当局が見たようであります。元来教育委員会事務当局は、やはり検定制度を支持したい、持っていたいという考え方を持っておったのであります。しかし、福島県の県民、PTAとか、婦人会とか、そういったようなものが、教科書を統一したいという非常に強い要望があったので、県教育委員会が持つその理想性世論というものの現実性とをマッチさせて、現在までああいう限定採択制度をとってきたのであります。本年度におきましても、地教委連絡協議会におきましては、やはり従前通り限定採択をとっていただきたいという強い要望があったようでありましたが、県の事務局におきましては、一応は限定採択においてある種の目的を達し得られたのだから、この際は検定制度の趣旨に沿った方式にしていくべきものであるという助言、指導をいたしました結果、限定採択教科書推薦教科書ということになりまして、そのほかその学校において採択したいという教科書は認める、こういうことになった次第でございます。
  16. 高木松吉

    高木委員長代理 推薦方式といっても、事実上は限定方式同様のものでないかとわれわれは思うのです。推薦教科書以外の教科書を現場の教師採択することは、少くとも教育委員会教師人事権等を有している限り不可能に近いものではないかと思うが、証人の御意見はどうでございましょうか。
  17. 黒木喜一

    黒木証人 一応そういうふうにも考えられるのでございますが、しかし、県の事務局等におきましては、何か従前方法に反するような採択方式をとって圧力が加わるような情勢にある、そういうことは全然ございません。でありますから、真に教科書を見る目があり、その学校指導計画にしっくりした教科書であるということが発見できましたならば、自由に採択されるものと考えております。しかし、もともと、この限定採択というものは、県の事務局がやりたくてやったものではなしに、世論に押されてやったものでございますので、現段階においては地教委採択権を持っておる関係上、やはりその郡市が統一された教科書、こういうものが採択されるような情勢にあるように見ております。
  18. 高木松吉

    高木委員長代理 推薦方式限定方式との差異というのはどういうところにありますか。
  19. 黒木喜一

    黒木証人 その方式はほとんど同じであります。その方式を申し上げますならば、まず、最初のときには、教科書審議委員会というものを設けまして、教職員婦人団体PTA民間から相当方たち等の参画を願って、教科書に対する世論の聴取をやったわけでございます。それと同時に、教科書採択をどういうふうに持っていったならばよいかという意見を聴取した。それに基きまして、選定委員会というものを作り、この選定委員というものは、地域性考えまして、各郡市からそれぞれの教科研究の深い者を網羅しまして、大体五泊六日間くらいの期間にわたってしさいに教科書を検討いたしました。その方法は、まず、七十八名からの委員がありますが、それを教科別算数とか国語とか分類をいたします。それから、今度は学年別に係をきめまして、国語なら国語の三年の係は、検定に通っている全部の教科書についてすっかり三年だけを横に見るのでございます。その見た成績を点数で現わし、それから全部が集まりましてその点数を集計いたしまして、総点数の最も多いものから三種類ないしは教科書によっては四種類、五種類、こういうふうに限定したわけであります。これは限定採択方式始まってから今年までそういう方式をもってやってきております。採択方法は同じでございますが、ただ、そこに、附帯条項といたしまして、従前は県の選定委員会で選定したもの以外は使ってはいけないということであったものに対して、本年は、これ以外の教科書でもその学校において採択したいものは採択してもよろしいという一項が加わっただけでございまして、選定方式従前と変っていないのであります。
  20. 高木松吉

    高木委員長代理 福島県において教科書採択に関し教科書会社が行なっている次の事項について、知るところを詳細にお述べになっていただきたい。まず第一に、研究会講習会の実情についてお述べになって下さい。
  21. 黒木喜一

    黒木証人 一々調査をしたということではございませんが、相当に実力のある発行会社は、ほとんど研究会講習会というようなものをやっておるようです。それに対しまして、われわれ委員会といたしましては、決してそういうことを奨励してはおりません。なるたけそういうことのないようにという考え指導をしております。私個人といたしましては、その地域でもって採択された教科書につきまして、編集方針なりその指導方法なりということについて、それぞれの権威のある方から先生方が勉強をすることは、教育上非常にプラスになると考えております。そこで、いろいろな買収とか、そういう風聞などに比べれば、この研究会講習会などは一応認めてやってもよい、黙認してやってもやむを得ないものではないか、こういうふうに考えております。しかし、理想は、私らは個人的にもこじき心を起してはいけない、何とか工面できるならば、こういう講習会などは自力でできるはずだ、それくらいの気力はなければ困る、こういうことを言っております。以上であります。
  22. 高木松吉

    高木委員長代理 駐在員活動について、お知りになっていたら、詳細にお話し願いたいし、なお、駐在員の氏名等わかりましたら、前歴もあわせてお述べになっていただきます。
  23. 黒木喜一

    黒木証人 東京書籍は、須田赫二、この方は長く福島県の教育界におりまして、福島市第四小学校長を最後にやめられた、教育界から非常に尊敬されておる方であります。学校図書株式会社駐在員市丸剛さんでありまして、この方も福島教育界訓導校長を長くやられまして、福島県の小学校長会長も務められた方であります。日本書籍株式会社今泉——名前はちょっと出てきませんが、今泉さんという方がやっております。この方は教職関係はなかったようでございます。二葉株式会社は、県会議員当選されました佐久間利秋さんが従前までやっておりましたが、県会議員当選後はどうなっておりますかわかりません。この方も訓導校長等をやられて、県の教員組合委員長をしておられたようであります。私の知っておる範囲は以上でございます。
  24. 高木松吉

    高木委員長代理 駐在員活動には弊害はありませんか。教育委員長としてこれを見ておって、どうですか。
  25. 黒木喜一

    黒木証人 福島県に関する限り、私は弊害はないと思います。何となれば、先ほど申し上げましたように、校長会会長をやった福島県の教育界元老、こういう方が多いのでございまして、こういう方々は、少くとも福島県の教育につきましては非常に良心的であり、責任感がございます。ことに、かつて教科書事件というようなものも福島県にはございましたので、これらの方々は非常にそういう点を戒めておるようでございます。結局同じかまの飯を食った教育界元老でございますから、やはり教科書を見る目というものがございます。君の方の算数は非常によい、僕の方よりはさすがによい、しかし理科は君の方よりもよいぞ、これはやはり大いに推奨したいというようなことが、茶飲み話のときなどときどき出まして、結局、そういう前歴の者にはそういう精神がございますから、ほんとう教育を愛し、検定制度をまじめに考え精神を持っておる人が当ることならば、私はかえってよいのじゃないかというふうに考えております。
  26. 高木松吉

    高木委員長代理 福島県には新日本教育協会の組織が成立されておると聞くが、証人は同協会の成立したことについて知っておられますか。知っておられるとすれば、その沿革、同協会内容及び教科書会社との関係等について詳細にお述べになって下さい。
  27. 黒木喜一

    黒木証人 星金之助というのが福島師範卒業でありまして、しばらく福島県の教職についておりました。この方が、東京の方に出て参りまして、雑誌などの出版をやりました。そういう関係上、何かそういう協会会員福島県に物色したらしいのであります。その人の同級生など会員になっておるようであります。たとえば二本松の小学校長片野孝平君も会員になっております。しかし、何か新聞に伝わるような反動的なことをもくろんでおるとか、そういうことは全然われわれは認めておりません。ただ友情としてそういう会に入っておるという軽い程度のものであるようでございます。
  28. 高木松吉

    高木委員長代理 同協会は日教組に対抗してできたものであるといわれておるが、その事実についてはどうですか。
  29. 黒木喜一

    黒木証人 その間の事情は全然私わかりません。
  30. 高木松吉

    高木委員長代理 証人学校図書株式会社駐在員であったと聞くが、事実かどうか。事実とすれば、就任の動機、職務内容、退任の時期またはその理由等について詳細にお述べになっていただきます。
  31. 黒木喜一

    黒木証人 学校図書株式会社駐在員として就任いたしました。就任いたしましたのは昭和二十五年の三月であります。退任いたしましたのが二十七年九月十日であります。その職務内容は、端的に申しますならば、よい教科書を作ることに協力をする、そうして学図教科書配給が円滑に行われておるかどうかということを見守る、こういうのが駐在員の任務でございます。よい教科書を作るということにつきまして具体的に申し上げるならば、まず第一は編集資料の収集でございます。やはり福島県から教材を集めていくということが、おのずからその土地に愛着を感じ、また、教育の実際生活化という点から申しましても、けっこうなことでございます。そういうものをあらゆる面から検討いたしまして報告をする、それから、学校等を回りまして、自分会社、いわゆる学図教科書はもちろん、他の会社教科書を実際使っておる先生方に会いまして、学図教科書においてよい点はどういう点ですか、悪い点はどういう点か、また、よその教科書につきましても、そういうふうにお聞きいたしまして、そしてそれを今後の編集に反映させるということでございます。配給業務の円滑をはかるために、取次所特約店等と緊密な連絡をとりましてスムーズに教科書配給できるように話し合いをし、まま、転校した子供がなかなかとっつきに教科書がない、こういうような場合も相当ございます。そういう際には、参与自身取次所なり特約店を督励いたしまして、そういうことのないようにする、そのほか、民間における教科書に対するいろいろの考え方世論、こういうようなものなども情報をとって送る、これが駐在員の本務とするところでございます。
  32. 高木松吉

    高木委員長代理 報酬はもらっておりましたか。
  33. 黒木喜一

    黒木証人 就任いたしましたときに、二十五年は八千円いただいております。それから、退職するころになりまして一万四千円。
  34. 高木松吉

    高木委員長代理 そうしますと、学図教科書採択に対しては、あなたは力は入れませんでしたか。他のことはわかりましたが、採択の点、学図教科書採択させるという方面に対しての力添えはしなかったのですか。
  35. 黒木喜一

    黒木証人 端的に申し上げますれば、学図参与という名前で、駐在員と一般にいわれておりますが、私たちが引き受けましたときには、純粋に、ただ、先ほど申し上げましたように、そういう仕事でございます。でございますから、各県の状況を調べるとわかりますように、山形県の参与駐在員は元福島師範学校長をやっておられました長岡弥一郎先生、宮城県は香川保先生、これは校長会長等をやっておりました。秋田県は香賀谷修二さんといって、これも校長会長などをやられた。そういったわれわれのあれでございますから、純粋にそういう考え方で突き進んできたのであります。学図においてもまた、それでもってよろしいといって、われわれのことを先生扱いにして尊重してくれました。それで、われわれは一生懸命地方の材料を収集して、そしてよい教科書を作ることに努力いたしましたのですが、遺憾ながら、教科書検定制度というか、その採択方式というか、そういうところに盲点とでも申しますものがございまして、いい教科書を作っても、ただいい教科書だと言っただけではなかなか採択されない、こういうような状況がわれわれ就任一、二年後に起ったわけでございます。そこで、われわれといたしましても、やはりよい教科書を何とかして入れたい、福島県にいいと信ずる教科書を入れることが福島県のためになり、検定制度の推進になるという信念で、何とかして入れたいという考えでやりました。しかし、われわれ自体といたしましては、そういういろいろな悪評をこうむるがごときことはいたしません。まず、先ほども申し上げましたが、研究会講習会、こういうようなものは非常に先生方資質の向上になって教育プラスになるものである、こういうことには相当に力を入れて、ほとんど各都市ともそういうことをやった。そのほかのことはやらない、こういうような態度でありました。
  36. 高木松吉

    高木委員長代理 証人は、県議会において、教科書採択に関し一身上の弁明を行なったと聞くが、事実でありましょうか。行なったとすれば、その事情について詳細にお述べになっていただきます。
  37. 黒木喜一

    黒木証人 県議会でございますか。
  38. 高木松吉

    高木委員長代理 ええ、県議会でございます。
  39. 黒木喜一

    黒木証人 そういう弁明をいたしたことはございません。
  40. 高木松吉

    高木委員長代理 証人教科書採択に関する安藤教育委員等の横暴を抑止するために教育委員になったと聞くが、事実でありましょうか。事実とすれば、教育委員になってから教科書採択に関しいかなることを行なったかをお述べになっていただきます。
  41. 黒木喜一

    黒木証人 私はそういう私情のために教育委員に立候補いたしたのでございません。安藤委員をどうこうするというような考えで立候補いたしませんし、当選いたしましてもそういう考えはございません。従って、それに伴うそういう精神において教科書限定採択の希望を云々したということもございません。別の精神において考えております。
  42. 高木松吉

    高木委員長代理 その別の精神において教科書採択に関しいかなることを行なったかを、それではお述べになっていただきます。
  43. 黒木喜一

    黒木証人 結局、私が教育委員になってからの今度の採択についてですか。
  44. 高木松吉

    高木委員長代理 教育委員になってから、採択に関するあなたの意見を述べてもらいたい。
  45. 黒木喜一

    黒木証人 これは、やはり、事務局と同じように、検定制度というものを盛り育てていきたい、現在の採択方式その他には幾多の盲点があるようでございますから、そういう盲点を着々と是正して、そうしてりっぱなものにしていきたい、こういう考えでございました。特に会議において云々ということはございません。もっとも現在小中学校のことにつきましては県の教育委員会採択権がございませんから、指導に当る指導主事方々と寄り寄りそういうような話し合いは個人的にいたしております。以上でございます。
  46. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの今のお話によると、盲点とはどういうところを盲点とお考えになるか、その点を参考のためにお述べになって下さい。
  47. 黒木喜一

    黒木証人 よほどよくはなったと思いますが、まず教職員資質という問題でございます。どの学校にも、ほんとうによく教科書を見ることができるという先生がぞっくりそろっていないのでございます。ことに福島県は僻地の多い県でございまして、小学校も三学級という学校相当ございます。中学校で三学級という学校は、これも相当数ございます。そうしますと、中学校で三学級という学校では、先生が六、七人であります。六、七人の先生が十数科目教科を教えるわけであります。それで、一人の先生国語も教え、算数も教え、社会も教える、こういう形になるわけでございます。さて、教科書採択ということになりますると、少くとも一人の先生が三科目教科書をあのたくさんの中から選ばなければならぬということになるんですが、これは、かりに能力がありましても、わずか十日間の展示会期間にそういうことはなし得ないのでございます。そういう点が一つの盲点でございます。  次に、展示会でございますが、十日間に、何百種類というあの教科書を、自分学校指導計画に合うかどうかを見て決めよう、こういうことは、私は非常に無理な相談だと思います。私、展示会場に行ってみましたが、あの展示会などについても、もっと経費を出してやればいいでしょうが、一日先生方が行ってみると、講堂に一ぱいになっている。先生たちは、これを抜きあれを抜きして見て帰ってくると、もう夕方になる。あっちの発行会社の本、こっちの発行会社の本と、まちまちです。取次所がそれを世話をするんですが、忠実な取次所であれば、二、三人の人を自費で雇って、またちゃんと整理しますけれども、そういうところでないところは、全くいろいろの教科書が混雑するという状態です。そこを、少い経費で、県の指導主事の方などは、自分みずからも行って、夜おそくまで教科書の整理をする、こうして正しくやっていこうとしておるのであります。そういう点も一つあげられます。  最も大きな盲点は、今の子供たち親たちは、検定制度というものについての体験がございません。御承知のように、われわれの時代は検定教科書というものについての体験がないのでございますから、わからない。ただ単に、教科書が高い、そういうことを言ったり、いろいろな不便があると言う。やはり、少くともこういう新しい制度を実施する場合には、ただ単に教職員にそういう指導をしただけでは新しい社会はだめだと思います。少くとも、父兄にまでも検定制度の趣旨というようなものを徹底させる、こういう施策に欠けておるようでございます。そういう施策に欠けておるがゆえに、教科書の統一をしてもらいたいという声が福島県の父兄には圧倒的なんでございます。それを啓蒙することによって、やはり検定制度というものが維持できる、こういうふうに考えております。  以上、盲点として考えておるところを申し上げました。
  48. 高木松吉

    高木委員長代理 福島県の教科書特約供給会社は二社あるが、二社になった理由及び二社間の競争状態等について、お知りなっておったら、お話しになっていただきます。
  49. 黒木喜一

    黒木証人 二村になったという理由は、私、承知しておりません。対立というようなことにつきましても、私は何ら聞いておりません。
  50. 高木松吉

    高木委員長代理 証人は、教科書採択制度及び採択方式等について、いかなる見解をお持ちになっておるか。特に採択権の所在等について詳細にお述べになっていただきたい。
  51. 黒木喜一

    黒木証人 もう一度……。
  52. 高木松吉

    高木委員長代理 教科書採択制度及び採択方式等についてのあなたの見解、それから、特に採択権の所在、これは問題です。採択権の所在等についてのあなたの見解を述べていただきたい。
  53. 黒木喜一

    黒木証人 採択制度ということになりますと、大へんに大きい問題でございます。検定制度とは別に現在の採択方式でございますか。
  54. 高木松吉

    高木委員長代理 採択を中心にして、採択権からお話しになったら、だんだんわかると思いますから、採択権はどこにおありになるとお考えになるか、それからお述べになっていただきます。
  55. 黒木喜一

    黒木証人 法的には地方教育委員会にあるわけでございます。
  56. 高木松吉

    高木委員長代理 実際の運営をどういうふうになされておるか、あなたの方の運営の方法をお話しになっていただきます。法律的の点は各委員もおわかりのようですが、実際の運営において、実質上どこで採択するような実体を備えているかを一つお話しになっていただきます。
  57. 黒木喜一

    黒木証人 結局、採択権が地方教育委員会にあるのでございますが、しかし、地方教育委員会といたしましても、少くともその郡市は同じ教科書を使いたい、こういう考え方が強うございます。そういう考え方がだんだん盛り上って参りまして、福島県地方教育委員会連絡協議会というものが構成されておりますが、その連絡協議会教科書採択を委任する、連絡協議会において決定したその教科書は全幅の信頼を置いて使う、こういうようなふうになっているのでございます。  そこで、福島県地方教育委員会連絡協議会におきましては、そうは言うものの、採択能力がございませんから、また教科書採択についての指揮権もございませんから、それで、地教委側から六名、県の事務局からそういう方面に明るい方々六名、十二名をもって教科書採択委員会というものを構成いたします。そこで福島県の今年度の教科書はどういうふうになっていくかという基本方針をきめまして、その基本方針によって、本年度等におきましては、結局県の教育委員会事務局にお願いをする、こういう形をとっておるわけでございます。
  58. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長の尋問はこれで一応終了いたしました。     —————————————
  59. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この際動議を提出いたします。本件調査の慎重を期するため、北海道その他の地区に委員を派遣してその実情の調査を進められんことを望む次第であります。
  60. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの佐々木君の動議のごとく、北海道その他の地区に委員を派遣して実清調査をなすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議がないものと認め、よってさよう決定いたしました。  なお、派潰委員の氏名、員数等その他所要の手続につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたしました。     —————————————
  63. 高木松吉

    高木委員長代理 続いて黒木証人に対する委員の尋問を許します。山中貞則君。
  64. 山中貞則

    ○山中委員 簡単に二、三お尋ねいたします。  証人は、先ほど、委員長の質問に対しまして、県議会で一身上の弁明を行なったことはない、こうはっきり言明されたのですが、私どもの調査して承知いたしております範囲では、県議会におきまして、教科書採択に関しまして、あなたが学図駐在員でありますことが問題になった際に、本会議でありますか委員会でありますかは、つまびらかでありませんが、あなたは、確かに、自分学図駐在員あるいは学図関係を持ったにしても、採択については全くそういう影響はない、無関係であるということを弁明されたとわれわれは聞いておりますが、その点、われわれの聞いておりますことが間違いでありますかどうか、もう一ぺんお聞かせ願いたいと存じます。
  65. 黒木喜一

    黒木証人 どうも、私、議会においてもそういう質問を受けたこともございません。委員会においても、そういうふうなことが座談的に出るということもあるのですが、私の記憶では、そういうことが委員会で出たこともなし、おのずと答弁をしたという覚えはございません。
  66. 山中貞則

    ○山中委員 県会には、本会議でも委員会でも速記録のあることでありますから、そういうことを承知の上でおっしゃればそれは正しいと思います。私も信用申し上げたいと思います。しかし、これは行監の調査員に対しまして、あなたの方の県教育委員会事務局の幹部、それも主脳部の一人が、そういうことがございましたということを言明されておられます。あなたの言明は、ここでは宣誓を求めた上の証言でありますから、信用する以外にいたし方がございませんが、しかし、一方においては、少くともあなたと同じ県教育委員会の、立場は違うけれども首脳部の一人がそういうことをはっきりと言明しておられるということは、もしそれが全然根も葉もないことであれば、それはあなたを陥れんとするものであるとわれわれは考えますが、教育委員会の最高の事務局の首脳部たる者がそういう考えがあるとは思えませんので、われわれは何らかの根拠があるものと考えます。従って、われわれは信用を申し上げたいと思いますが、そういう事実が前提となって私が御質問申し上げておることを御承知になっても、なおかつ御否定をされるでしょうか。
  67. 黒木喜一

    黒木証人 全くこれは、速記録があることでもございますから、とにかくはっきりすると思いますが、私はそういう記憶はございません。
  68. 山中貞則

    ○山中委員 けっこうでございます。  それで、先ほどあなたに委員長から尋問いたしておりますように、全科目についての採択権の問題ですが、私はどうもあなたの採択権に対する見解がはっきりしているように思えないのです。従って、採択権についていま少しお尋ねいたしますが、採択権が法的にはいずこにあると規定されておるか、いわゆるいずこに採択権があるものとあなたは承知しておられるかを、まずお聞きしたいと思います。
  69. 黒木喜一

    黒木証人 教育委員会にあるものと考えます。
  70. 山中貞則

    ○山中委員 その通りです。そこで、その教育委員会にあるということは、一体具体的にはどういう意味を持つのか。先ほどあなたは、県教育委員会には採択権はございませんのでということをちょっと言われました。さらにまた、ただいまの委員長の尋問の最終の段階においては、県教育委員会採択についての能力や指揮権もありませんので云々と言われて、それで地教委関係を集めての連絡協議会を作り、その中で双方から出し合った十二名の教科書採択委員会を作って、それを信頼することにしておる、こういうふうなお話があった。そうすると、あなたの教育委員会採択権があるというただいまの御証言は、具体的にはあなたの県の場合にはどういうことを示すことになりますか。具体的には採択権というものは県の教育委員会にはないとあなたはおっしゃる。それはどういうことによってないのか、それではどこの教育委員会採択権があるのか、そこらのところを、あなたの解釈をお示し願いたいと思います。
  71. 黒木喜一

    黒木証人 前段の、教育委員会採択能力がないのでと言ったとすれば、私の誤まりでございます。取り消しておきたいと思います。結局、地教委連絡協議会というものが、地教委の代行というような形に福島ではなっておるのです。それで、地教委から出た六名と県の事務局の出しました六名と、そういう人たちがいろいろ決定いたしまして、申し合せ事項というよなものを作りまして、それを地教委に流しておる状況でございます。それで、今度は選定委員というものを依嘱するということになると、郡市連絡協議会ではちょっとわからない。やはり県の事務局には出先出張所というものがございますので、各出張所を通して大体同じような人数を出すというような考えもあるようでございます。そういう機関を通じて選定委員を選んで、それを連絡協議会の方に持っていくわけでございます。事実、われわれは、委員といたしまして、最後に教育長の報告事項という形で、本年度の教科書採択はこういう方針によってこういう教科書採択になりました、こういう報告を受けるわけであります。
  72. 山中貞則

    ○山中委員 まだはっきりしないのですが、今度は別な角度から聞きましょう。あなたは、先ほど、連絡協議会採択を委任して、これに全幅の信頼を置いておる、こう言われた。そうすると、だれが委任するのですか。
  73. 黒木喜一

    黒木証人 各地教委が、委任と言ったらいいか、そういう方法をとってもらいたい、地教委から盛り上ってくるわけなんです。各地教委には郡市連絡協議会というものがございます。そこには委員会の代表一人、それから教育庁の代表一人、それから、それぞれ各郡市から役員が県の連絡会議に出ておるのです。それらの郡市各市町村の教育委員から、あなたたち頼む、こういうことになるのです。郡市の代表が県に集まって、そのうち六名なら六名を選任して、あなたたち頼む、こういう形になっておるのです。
  74. 山中貞則

    ○山中委員 なかなか明言されないのですが、そうすると、採択権というものは県の教育委員会にはなくて、地方教育委員会にある、こういう見解ですか。
  75. 黒木喜一

    黒木証人 あくまでそういう見解をもって当っております。
  76. 山中貞則

    ○山中委員 そういう解釈をしておられるとすると、教科書採択委員会というもので採択を決するというのは、法的に私は違法だと考えますが、いかがですか。
  77. 黒木喜一

    黒木証人 実は、私、教育委員にならない前は民間におりまして、決定されたときにはだいぶ声明書などを出しまして、大いにやったのでございます。その際などは、私の見解からすると、文部次官通牒の第三項、「検定制度並に展示会制度の趣旨にかんがみ教科書採択に当り展示会前に採択教科書を決定し若しくは限定し又は必要以上少数に教科書を限定しないこと」、これをたてにとって、どうもよろしくないのじゃないか、こう言って食ってかかった事態もあるのございます。しかし、その当時私は文部省にも来てこの見解をただしました。また事務局にただしましたが、どうも違法であるとはっきり言い切ってくれなかったのであります。それで、私は、やはり今もって、別段違法でもないのではないか、こういうあやふやな考えでおるわけであります。
  78. 山中貞則

    ○山中委員 ところが、在野時代に、そういうことはけしからぬじゃないかということで声明書を出されたばかりでなくて、文部省に来て法的に違法であることの断定を得ようとしたができなかったというように、いわゆるこれに対する批判的な態度を持っておられたのが、教育委員になられてから、今度はそれを自分でおやりになっているわけですが、どういうわけでそういう心境の変化が出てくるのですか。
  79. 黒木喜一

    黒木証人 その件につきましては、私は違法だと考えておったのだけれども、事務局考え方も、違法でない、文部省でもはっきりした態度を示してくれないから、これは違法でないであろう、こういうふうに観念せざるを得なかったわけであります。
  80. 山中貞則

    ○山中委員 非常に意地の悪いことを言いますよ。あなたが野にあるときは、そういう制度は少くともあなたの利害、あなたが関係しておる会社の利害にとっては非常に困った存在であった。しかし、あなたが教育委員に入ってしまえば、その方式の中で、ちゃんと自分自身の利害、すなわちあなたと関係のある出版会社の利害というものが、自分自身がその権力の中に入っておることによって、在野時代批判した原因である自分たち会社が不当に損をするということがなくなる。それによって心境の変化があったのではないですか。
  81. 黒木喜一

    黒木証人 御指摘のように、私はその年教育委員当選して入ったわけです。それで、意気込みといたしましては、大いによりを戻そうという考え方でおったわけであります。しかし、どうも、実際にいろいろの世論に当りますと、地教委の大会などに出ましても、みな教科書を統一してくれということなのです。これではどうも、そういうことを食い下ってあくまであれをしても効能がない。でありますから、事務局自体として決してああいうことに満足しているわけでないのですから、やはり時期を見てやっていくしかない。端的に言えば、教育行政面から理想性現実性をマッチさせるしかない。そういう心境の変化がございました。
  82. 山中貞則

    ○山中委員 証人はだいぶ政治家でいらっしゃるようですが、今度は政治と関係のないことを聞きます。あなたは、採択権の基礎は何という法の中のどういう文句によって明記されておるか、もちろん御承知だと思いますが、お述べを願いたいと思います。
  83. 黒木喜一

    黒木証人 私、その法の何条何項ということは、はっきり承知しておりません。
  84. 山中貞則

    ○山中委員 何条何項でなくてもいい。何という法律の中にどういう文句で採択権について定められているか。それを御承知でなければ、教育委員の少くとも採択に関する仕事は勤まらぬはずです。
  85. 黒木喜一

    黒木証人 遺憾ながら、どうも私、その点をはっきりいたしておりません。採択権があって採択に当るというのではなしに、事務局が助言指導するという形です。
  86. 山中貞則

    ○山中委員 そうじゃないのです。あなたに先ほど違法であるとかないとかについてのお話もしていただきましたし、採択について連絡協議会あるいはその中に教科書採択委員会を設けておる、こういう話で、採択権はどこにあるのですかと言ったら、あなたは、教育委員会にある、さらに話を進めたならば、地方教育委員会にある、こういうことを言われた。私どもはそれが法的に正しいと思います。正しいと思いますが、あなたは、地方教育委員会にあるという断定を下される前提として、法律にどういうふうになっておるのか、どういう法律なのか、暫定法なのか臨時措置法なのか、あるいは当りまえの法律なのか、そこらをよく御承知であって、何条何号まで覚えていろとは言いませんが、採択権については法律に明記してある、そこを御承知でなければ、教育委員会教科書行政というものは全く一歩もできないものでしょう。どうでしょうか。
  87. 黒木喜一

    黒木証人 これは教育委員会法の中に規定しております。それだけは覚えております。
  88. 山中貞則

    ○山中委員 そうして、どういう文句で書いてありますか。何と書いてありますか。
  89. 黒木喜一

    黒木証人 結局、教育委員会の権限として教科書採択に関する件、そういうような形であったように考えます。
  90. 山中貞則

    ○山中委員 大体御存じなのですね。そういうはっきりしたものをもってお示しになったらけっこうだと思いますが、しかし、あいまいのまま違法であるとかないとかいうことを御主張されることは、私は教育委員会責任ある方として少しおかしいと考えて御質問申し上げたわけであります。それでは、その点はこれで打ち切りますが、別なことを一つお聞きいたします。  これも学校図書出版会社と、今度はあなた方直接ではありませんが、採択関係ある先生方の集団である教職員組合との関係ですが、あなたのところの福島県の教職員組合の書記長の和田敬久という人がスイスの世界教員会議に出席をされた。そのときに五十万円中教出版社がせん別ですか何ですか差し上げた。そういうことを私は聞いておりますが、これはあなたの直接の関係ではありませんが、しかし、あなたが御答弁できること、御承知のことだと思いますが、その点、聞かれたことはございませんか。
  91. 黒木喜一

    黒木証人 私の知っておるようなふうの状況にもありそうな御質問でありますが、和田君とは大分親しくしておりますが、そういうことを聞いたことはございません。
  92. 山中貞則

    ○山中委員 これは、私、断定的に申し上げるとその人にも傷がつきますから、われわれの知っておる範囲では、本人はそういうことを友人にお話しになったということを聞いております。あなたもお親しいらしいから御存じでなかったかと思ったのであります。和田という方、あるいは和田さんの直接の立場である日教組、いわゆる福島県教組と中教出版社というものは、そういう特別な因縁があるとお聞きですか。
  93. 黒木喜一

    黒木証人 そういう因縁関係があることを承知いたしておりません。
  94. 山中貞則

    ○山中委員 たとえば、その和田さんは中教出版社に講師として招かれておるというようなことは御存じなかったのですか。
  95. 黒木喜一

    黒木証人 記憶にございません。
  96. 山中貞則

    ○山中委員 終ります。
  97. 高木松吉

    高木委員長代理 この際諸君に申し上げます。理事会の申し合せ通り十五分でなされるようにお願いいたします。濱野清吾君。
  98. 濱野清吾

    ○濱野委員 昨日の証人証言を私ども承わったのでありますが、きょうの証言で私個人の関心の持たれることは、福高県下における特別な採択方式について、どうしてこうした採択方式をとるに至ったか。証人福島県下における県の教育委員会委員長であります。これは私どもは重要なる証言であると思いましてお尋ねするわけであります。  そこで、次のことを一つ系統的にお聞かせを願いたいと思います。ただいま委員長の尋問に対する証人証言を承わると、いろいろな機関が新しい採択方式に関し生まれておる。たとえば、証人の述べられた福島地教委連絡協議会というようなものができておりますし、さらにまた教科書審議委員会というようなものができており、その下に選定委員会というものができており、選定委員会は七十八名によって教科書別、学年別の小委員会ができているというような御説明であります。そこで、福島県下における限定採択方式をとるに至った最初にさかのぼって、こうした採択方法は、記入の言葉で言えば、天下の世論に押されてこうした採択方式をとったというのであるが、その世論とはいかなるものか、この点が一点であります。しこうして、世論に押されたものは地教委か県教委か、どうした委員会が、どうした機関がその世論採択するに至ったか、まず第一にそれをお述べ願いたいと思います。
  99. 黒木喜一

    黒木証人 限定採択のいきさつ、それは結局世論というものから出たので、どんな世論であったかということ、そのことをお話し申し上げれば……。
  100. 濱野清吾

    ○濱野委員 どういう人々が世論を代表して、そしてどこに押しかけて、そうしてだれが一体その世論採択したか、そういういきさつをお述べ願いたい。
  101. 黒木喜一

    黒木証人 その前からちょっと……。私は当時教育委員でなかったのです。民間におった。そもそも、最初に民間におってながめました感じによりますと、どちらかというと、福島県は教科書採択に対して非常にオープンに臨んでおった。そのために、同じ市内の第一小学校と第二小学校教科書が違う、はなはだしいのになりますと、第四小学校において、第三学年の五組あるうち、第二組はまた教科審が違う、こういうような状況でございます。そういう状況であるところから、——理想的に考えてそのままにしておいたわけですが、かえって、PTAとか婦人団体とか県会とか、そういうようなものが反動的に強く出てきたのではないか。その出てきた状況と申しますのは、婦人大会、PTA大会、そういう大会には必ず建議としてあげられた。そういう建議は、役員の者が陳情という形において県の方に出かけて行って、県会等におきましても、やはり時折教科書問題等が質問に出ておった。そういう状態であります。これが世論である、こういうふうに考えております。  第二の、いろいろの機関があって採択をするというお話ですが、全くこれも、われわれ自身としても、大へんに混乱を招くのでありますから、そもそも……。
  102. 濱野清吾

    ○濱野委員 私の質問の重点をつかんで下さい。たとえば、PTAとか、婦人団体とか、あるいは県会の質疑応答になったとか、あるいは町村長会、町村会議長会等、こういう証言も昨日あったのでありますが、これらの人々の世論を受けたものは一体県教委か、この点をお聞きしておるのです。
  103. 高木松吉

    高木委員長代理 黒木証人に申し上げますが、要領をよくつかんで、簡略に答弁していただきます。
  104. 黒木喜一

    黒木証人 最終的に受けたところは県教委でございます。
  105. 濱野清吾

    ○濱野委員 そこで、証人の説明によると、教科書世論調査をやるということがこの教科書審議委員会の一つの任務である、そしてまた、第二の任務は、どうして採択したらよろしいか、こういうことが第二の任務である、こう先ほど証言されたのでありますが、教科書審議委員会というのは一体だれが作ったのか、そうしてどういうメンバーがこの委員会を構成しているのか、そのメンバーのそれぞれの職業、氏名をここで一つ証言してもらいたい。
  106. 黒木喜一

    黒木証人 これを構成したものは県の教育委員会で、構成メンバーは、高等学校関係福島商業高等学校長稲村良之助、中学校関係、白河中央中学校長森盛五郎、福島第六中学校長高野秀雄、福島第四中学校長池田季蔵、北会津郡門田中学校長小林藤作、福島第二中学校教諭佐藤四郎、小学校関係、田村郡三春小学校長力丸剛、福島第四小学校長桑原明、平第一小学校長佐藤勝海、橿島第五小学校教諭藤東次雄、信夫郡野田小学校教諭色摩勝夫、福島大学関係福島大学教授古籏安好、組合関係、文化部長高橋研二、文化副部長小沢一郎、PTA関係福島市中町小松謙一、伊達郡保原町秋山嘉吉、安達郡二本松町松本英一、福島市森合町佐藤タマ、福島市栄町菅野八千代、有識者婦人会関係、県会文教委員山尾清海、須賀川町長岡部宗城、信夫郡松川婦人会長大竹乃夫、これが構成メンバーになっております。
  107. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、教科書世論調査採択をどうするかという問題について、これらの構成分子の方々がいろいろ協議し、それからさらにアンケートでもとって実際の調査をしたというような調査内容を、一つお知りであったらばお述べを願いたい。
  108. 黒木喜一

    黒木証人 調査内容について、私、承知しておりません。
  109. 濱野清吾

    ○濱野委員 手続ですね。
  110. 黒木喜一

    黒木証人 そういう点について承知いたしておりません。ただ、会議を持っていろいろ話し合いをしたということだけは聞いております。
  111. 濱野清吾

    ○濱野委員 これは、県の教育委員会がこれらの構成メンバーを決定した、こう承知してよろしいわけですね。
  112. 黒木喜一

    黒木証人 はい。
  113. 濱野清吾

    ○濱野委員 そこで、先ほどの証言によりますと、これらの人々の研究調査によって教科書選定委員会が生まれたわけですね。すると、この選定委員会はどういう構成で、どういう職業の人がその選定委員になりましたか、その事情をお述べ願います。  それから、先ほど申しましたように、選定委員七十八名、こういう膨大な数に上っておりますが、これらの人人を一々読み上げることはどうかと思いますので、もしそこにプリントがありましたならば、委員長まで差し出していただきたい。
  114. 黒木喜一

    黒木証人 その審議委員会というのは、選定委員選定までのことはいたさない。結局、世論というものを暢達する、それと同時に、大体の方針を打ち出す、限定採択するかしないかというような方針を打ち出していくわけです。結局限定採択するという方針になりましたので、そこで選定委員を委嘱する。それは県の事務局で委嘱する。そこで、委嘱をいたしました七十八名のうち、中学校が三十七名、小学校が二十九名、指導主事教科担当十二名、これだけはわかっておるのでございますが、その氏名その他は承知いたしておりません。
  115. 濱野清吾

    ○濱野委員 これは大事なところですから、再確認の意味でお尋ねしますが、小学、中学、大学、日教組の組合、PTA、有識者、婦人会、これらの人々によって限定採択方式をとるということの基本的方針がきまって、そして、この方針を県の教育委員会なり、あるいは県の教育委員会地教委に流したわけですね。
  116. 黒木喜一

    黒木証人 ただいまお話のありましたのは、まだ地方教育委員会ができていない、そもそも最初に教科書限定採択をやったときの、状況であります。
  117. 濱野清吾

    ○濱野委員 これは現在もおやりになっているのでしょう。
  118. 黒木喜一

    黒木証人 現在はその審議委員というのはありません。
  119. 濱野清吾

    ○濱野委員 よし、それはわかった。  そこで、この事務局が、そうした経緯で限定採択方式をとったものについて七十八名の選定委員を委嘱したというのでありますが、これは委員会が全然知らぬということはないと思うのです。すべての仕事は人によってその効率があがることは御承知の通りでありますが、ことに教育委員会責任の上から言っても、すべて事務局にまかしておいて、委員会委員長が存ぜぬ知らぬというようなことでは通るものではないのでありますが、この人々の姓名やその他は全く知らないのでありましょうか、特に知る必要なし、また知ることが弊害ありと考えてこれらの選任を行なったのでありましょうか、この点を一つ明らかにしてもらいたい。
  120. 黒木喜一

    黒木証人 私はその当時は委員ではございません。聞くところによると、やはり一般はもちろん委員にも知らせない方が無難である、こういう考え方で知らせなかった、こう私も聞いております。
  121. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうすると、昔はそうであったかもしれぬが、あなたが委員当選した後、あるいは委員長になった後、この選定委員のメンバーを選定する際に、教育委員としてもあずかり知らず、委員長としてもあずかり知らず、こういうことでございますか。
  122. 黒木喜一

    黒木証人 最初の限定採択のときとはまた状況が違いまして、先ほどから論議になりましたが、その後採択権小中学校に関する限り地教委へ譲ったのでございます。われわれは、知っておった方がいいかもしれぬけれども、知らなくても差しつかえないという状況なので、それを求めようとも思いません。全然わかっておらないというのが現状でございます。
  123. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、後ほど聞こうと思っておったのでありますが、福島地教委連絡協議会、こういうものが福島県下における教科書採択等について基本方針の申し合せ事項をしております。これは県の教育委員会としては全然タッチしない、また聞く必要もない、こういう態度を福島県の県の教育委員会としてはとっていらっしゃるのですか。
  124. 黒木喜一

    黒木証人 委員会といたしましては、教育長の専決事項として一任してありますが、私個人としては、それは意見がございます。少くとも福島県の教育全般については責任があるのだから、やはり、というような考えを持っております。委員会といたしましては、教育長の専決事項として決定しております。
  125. 濱野清吾

    ○濱野委員 ただいまの答弁はちょっとわからぬのでありますが、これほど大きな問題を、とにかく作っておいて、そうして福島県の県の教育委員会はノー・タッチだ、こういうふうに承知してよろしいのですか。
  126. 黒木喜一

    黒木証人 事実そういうような取扱いをしておるのです。
  127. 濱野清吾

    ○濱野委員 何か証人は、自分がある教科書出版会社関係があったので、こういうところには接触しないのがよろしいのだ、こういうような考えで県教委の委員長をおやりになったとすれば、県民は県教委を信頼しないと私は思います。また、この場所における証人の答弁も、そういうことには触れたくないというような考え方で、そうして御答弁をすることにちゅうちょする必要は毛頭ございません。証人はいやしくも福島県における県教委の委員長なんですから、そんな重大な問題にノー・タッチだ、ノー・コメントだというような、そういう謙譲の美徳を発揮せぬでいいのですよ。ほんとうのことを言って下さい、これは知らぬはずはない。こんな常識をはずれた証言があろうはずはない。一つ、もう一度考え面してお答えを願いたいと思います。
  128. 黒木喜一

    黒木証人 大体その申し合せ事項というようなことを、これは教育長の専決事項でございますから、報告としてこれは聞いております。あとの委員の選定といったようなことは、これは全く限定採択の最初からそういう方式をとっておったようでございます。
  129. 濱野清吾

    ○濱野委員 この選定委員会を構成する七十八人の委員は県の教育委事務局がお作りになったのですから、知らぬわけはないでしょう。県の委員会がまかされたんですから。どうでしょうか、この点は。
  130. 黒木喜一

    黒木証人 委員の委嘱は、委員に対する教科書会社の働きかけ、そういう外部の働きかけということを非常に事務局が警戒しているらしいのです。結局その委員の委嘱というのはまことに突然に行くらしい。それで、きょう会議を持つとすれば、その朝に速達で配達されるように取りはからう。極度に外部のそういう圧力を避けようとする事務局の意図らしいのです。それで、委員というものも、第一回は各郡市のエキスパート的な者を五名ないし六名選択しております。第一年度の選定委員になりますと、教科書会社駐在員にもわかるものですから、その次の年は抜き打ち的に第二流どころを朝到着するように通知を出して、選定する。そして、その委員会を開く場所なども非常に秘密にしてありました。われわれは聞けばわかるのでございますが、せっかくそういうふうに秘密にしてやりたいということでございますから、聞こうともいたしません。そういう状況でございます。
  131. 濱野清吾

    ○濱野委員 そういたしますと、こべいうふうに了解してよろしゅうございますか。選定委員会を構成する七十八人の委員は県教委の事務局がもっぱら秘密に選定するものであって、県の教育委員長委員会のメンバーにも厳秘主義を維持している、従って、県の教育委員長証人を初めその他の委員はそれを知ろうとしない、こういうふうに了解していいわけですね。
  132. 黒木喜一

    黒木証人 さよう御了解を願います。
  133. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうもこれが民主主義政治かと思うと噴飯ものですが、大体こうした組織、こうした活動方針でいきますと、県下の人々が集まってきめるのが普通なのに、あなたの部下の事務局にまかしておいて、委員長、副委員長その他の県教育委の構成メンバーに秘密にしてやろうということについては、よほど福島県は業界に採択について汚されている点が非常に多いんじゃないか。証人が言っているようなことじゃなくて、自分の所属している上司、すなわち教育委員長を初め委員に秘密にしてやらなければ採択の公平を期せられないというほど、あなた方は事務局に侮辱され排撃されているのじゃないかという私どもの考えにつきまして、証人はどういうふうに考えられますか。
  134. 黒木喜一

    黒木証人 どうも私は了解に苦しむのでございます。私どもの委員会といたしましては、結局小中学校教科書採択権というのは地教委にある、だから地教委にまかせる、こういう根本的な考えでございます。だから、事務局の者が選定委員の選定ということをやるのは、地教委から頼まれてやっておる、こういう観点に立っておるのでございます。
  135. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君に申し上げますが、持ち時間を相当経過しておりますから、簡略に願います。
  136. 濱野清吾

    ○濱野委員 途中ですから、もう二、三点お許し願います。  それは話があべこべじゃありませんか。地教委が県の教育委員会事務局にまかせるというのじゃなく、それは県の教育委員会にまかせるというのがほんとうのことじゃございませんか。どういう場合でも、委員会を構成する委員の選考については、これは非常に重要なものであり、どの社会に行っても常識的にさようであります。それは、県の教委にまかせるということであって、県の教育委員会事務局の役人にまかせるということではないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけですが、これを福島県の教育委員会がことさらに避けるという理由があれば、私はその理由を承わりたい。ほんとうに県の教育委員会はこの問題にはタッチしないのか。いずれわれわれが委員長の指示によって福島県に実態調査に参る場合もあるでしょうが、ほんとうのことを一つ申して下さい。
  137. 黒木喜一

    黒木証人 結局地教委採択権があるからして、地教委に助言をする、こういう建前をとっておるわけであります。その通りであります。ほんとうに事実さようでございます。観点の相違ということになるかもしれませんが、以上でございます。
  138. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうも証人は都合によると法律的なお答えをするようで、まことに私どもは敬服しているのでありますが、常識的には、もし証人の言う通りであるとすれば、これは非常におかしいことだ、こういうふうに考えております。  ついでにもう一点おかしなことを聞きます。展示会前に、たとい県下の世論とは言いながら、採択する大体の教科書を決定したということは、わが国の教科書採用に関する法令に明らかに違反している、そう思うが、証人はどう思うかというのが一点。それから、展示会をやらずに、こうした——内容を明示してありませんからよくわかりませんけれども、中学の校長さんとか教諭、小学校、大学、日教組、PTA、有識婦人、こういうような人々が採択に参加するというようなことは、これは新しい方式であって、今の教育委員会採択について真に民主的なやり方だという論も実際に成り立つであろうと思うのです。せっかくここまでやったならば、今の法令に違反しないように、PTA方々も有識の婦人たちにも、十分展示会を見てもらって、展示会の終了直後に、どういう本を採択したならばよろしいかというような、こうした方針に基いて協議会を開くというようなことになれば、これは世界観の違う人でも決して反対はせぬし、これがほんとうに実際的であって理想的であろう、こう思うのだが、その点について証人はどう考えられるか。以上二つの点についてお答え願いたいと思います。
  139. 黒木喜一

    黒木証人 違法であるかどうかということについては、先ほどもお話しいたしました。違法でないというような見解でやっておったのであります。しかし、いいことではない、こういう理由ははっきりいたしました。おのずと、本年度の採択等は結局県の選定委員会の推薦という形になりまして、それ以外に採択しても差しつかえないということになっております。最初限定採択をやった時分と現在とでは非常に変っております。それは、やはり、最初の限定採択というものは、あまりけっこうでなかったという反省に基いているのであります。また世論指導も、そうした結果であります。
  140. 高木松吉

    高木委員長代理 証人にちょっと尋ねますが、教育委員会教育委員会事務局と、どっちが主体で、どっちが従属的なのか。これに対する法的根拠と、あなた方が運営するときの実際とをお述べになっていただきたい。
  141. 黒木喜一

    黒木証人 それは、教育委員会あっての事務局でございます。
  142. 高木松吉

    高木委員長代理 運営の上においては、実際事務局の方が主で、委員会の方がそれに従属しているように、あなたの証言によって聞きとれるが、その点についてはどうお考えになりますか。
  143. 黒木喜一

    黒木証人 教科書採択に関する限り、具体的に言えば、どうも採択権地教委にあって、その地教委が盛り上ってきて、そして県の採択委員会のようなものを作ったような形なんです。本来から言えば、地教委それ自体がまっすぐに自分の力で限定採択なら限定採択をもって行くべきで、そういう建前になっているわけです。しかし、それではこちの方は技術も何もないから、県の方の事務局に対して、あなた方の指導者を手伝わしてくれないか、こういう形で来ているわけです。それでこっちへ行っている、こういうふうに私どもの委員会では解釈しています。
  144. 濱野清吾

    ○濱野委員 もう少しわかるように話しますから、ほんとうのことを言って下さい。展示会前に教育委員会採択したということは違法ではない、こうあなたはおっしゃるのだが、そうすれば、国では展示会というものを作ってあるのだから、これをボイコットして展示会前に採択をきめたというようなことに議論が一つ起きますね。これはわかるでしょう。そこで、違法であるとか違法でないとかいう暑苦しい議論は私はこの際抜きにして、こういうふうなところに問題点がある。展示会の前に選定委員会というものを設けて、その選定委員会展示会の前に教科書の数をしぼって、そうして採択の協議をした、ここに問題がある。ですから、今までのようなそういうやり方ではなしに、展示会は一応全部見てもらって、その直後に、先ほどあなたのおっしゃるような、あるいはPTA方々や、あるいは日教組の方々や、あるいは小学、中学の教職員や、その他大学のプロフェッサーや、そういうような方々で、どういう本を本年は採択したらよろしいかということで協議になれば、決してこの問題点というものは起きないで、そうしてなまなか証人や昨日の証人のように出版会社関係しておったためにいろんな証言を求められる、こういうようなことが個人的に言ってもなくなるであろうし、また公正な採択事務についても天下にはっきりした範を示すことになるのではなかろうか、こう思うのだが、この点は一体証人はどう考えるのだ、こういうことです。
  145. 黒木喜一

    黒木証人 ただいまのようにすれば、まことに望ましいことだと考えております。
  146. 高木松吉

    高木委員長代理 西村力弥君。
  147. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどから御証言をお聞きしておりまして、どうも採択の実際的権限がどこにあるかということに対しまして明瞭を欠くように思えてならないのでございます。限定採択方式をとった場合には、記入は採択の実質的な実権というものはどこにあるとお考えになっていらっしゃいますか。法的には地教委にあるということでありますけれども、しかし、そうばかり法的に言っても、実態は示されていない、こう考えざるを得ない。一体どこにあるとお考えでございますか。
  148. 黒木喜一

    黒木証人 初回に限定採択をとった年は県教育委員会にあり、地教委ができましてからは地方教育委員会採択権がある、こういう見解に立っております。
  149. 西村力弥

    ○西村(力)委員 初回でありましても、それはきのうの安藤証人の御証言にもありましたが、教育委員会事務局がある方式でもってその採択教科書をきめて、それをただ教育委員会に報告をするにとどまり、それを了承する、こういうことであった。形の上では教育委員会採択権を持つのであるけれども、実際はやはり教育委員会事務局がそれを持つ、こういう工合に考えざるを得ないし、その後地教委ができましても、やはり教育委員会選定委員の選考方をお願いする、教育委員教育長の専決事項としてそれを教育長に委任する、教育長は選定委員を選んで、その選定委員が最後的結論を出して、それを委員会に報告があるだけ、こういうことでございますので、私の考えといたしましては、やはり最後の実権というものは教育委員会教育長にある、こういう工合になってくるのではないか、それが実態を示すのではないか、こういう工合に思えてならないのですが、さようにはお考えになりませんでございますか。
  150. 黒木喜一

    黒木証人 法的にはやはり地方教育委員会にあることははっきりしております。その実質的な問題は、どうもこれは見解によって違うんじゃないかと思います。その助言指導なら助言指導の強弱ということについて違ってくる。福島県教育委員会としては、さっき申し上げたような考えでございます。
  151. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いずれにいたしましても、今まで県教委が法的な権限を持ち、昭和二十七年ですか、その後は地教委、こういうことで、そこでは選定委員が選定したそのことに変更を加えたことがない、こういう工合に私は了解しているのでございますが、   〔高木委員長代理退席、濱野委員長代理着席〕 そういたしますと、やはり実権は選定委員にあり、それを主催する教育長にある、こういう工合に断定せざるを得ないように相なるのではないかと思うのですが、いかかがでございましょうか。
  152. 黒木喜一

    黒木証人 どうもその点は私もはっきりいたしません。はっきり申し上げられることは、やはり地教委にある。たとえば、福島県で一つの教科書をきめてしまうというのではないのであります。国語でしたならば、最初にしても三つの会社、最近になりますと四つ五つ、芸能科とか理科ということになると、最初は五つの会社でしたが、それがだんだんワクがふえまして、今は六つ、七つということになっております。それだけが推薦してある。その中から今度は地教委が各郡市の選択委員会を構成して採択するので、どうも、私からしますと、やはり実際の権限、最後決定権というものは地教委にある、こういうふうに考えざるを得ないのであります。
  153. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは、一教科一種目にしぼるのではないから、そのワク内においてまた採択する自由を持つということに相なるわけでございますけれども、しかし、一教科三社なら三社にしますと、その他は全然採択されないということに相なってくるので、結局その三社なら三社というものは採択された、こういうことになるので、そのワク内の自由があるにしましても、やはり限定したとたんに採択は決定した、こういう工合に言わざるを得ないのではないか、こう思うのであります。それでありますので、実際のほんとうの権限は選定委員、そうして教育委員会事務局、こういう工合になるのではないかと思うのでございますが、その点は見解の相違ということでありますのでやむを御ませんが、教育長が選定委員を選任する場合に、その選定委員の氏名を承知している人はだれとだれか。これはもう、それほど秘密を守られておるのでございますから、相当限定された人がその事務に関与しているのであろうと思うのです。その点は、証人教育委員長として十分に指導監督せられておることと思う。秘密厳守のために、これ以上の範囲に氏名の秘密を漏らしてはならない、この事務をやるのはこれこれに限定すべきであるという指示は、教育委員長としては当然出されているべきだと思うのですが、その点の御証言を願いたい。
  154. 黒木喜一

    黒木証人 教育長はその点をはっきり把握しております。われわれは、先ほどからるる申し上げましたように、教育長の専決事項として一任して、そういうことには全然タッチしておりません。これは、先ほど来いろいろあるのですが、福島県の特殊なケースでそういうふうになっているのかもわかりませんが、事実はそういうことになっております。
  155. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そのようなことであるとするならば、せっかく秘密を守られようとしておることが、あまり十分な措置がとられていないのではないか、こういう工合に考えざるを得ないわけです。それで、教育長にまかせ切りとしましても、要するに、この限定方式をとって最後的に教科書をしぼるときには、あらゆる情実や運動というものの介入の余地を排撃しなければならぬと考えるのは、これは教育委員会として当然であろうと思う。また、教育長としても情実や何かに左右されるような、そういうあやまちを犯さないように、教育長の立場を見守ってやる、指導してやる、こういうこともぜひ必要だと思う。それで、教育長からは、この事務はこれこれの範囲内において秘密を厳守している、こういう報告は全然受けたことはないのかどうか。積極的にあなたの方から指示したということがないとするならば、教育長から、このことについて、こういう方法で秘密厳守をはかっている、こういう報告を受けたことがないかどうか。
  156. 黒木喜一

    黒木証人 ちょっと、今の御質問、相済みませんがもう一度……。
  157. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の質問もくどいようでございますが、教育長は選定委員を秘密裏に選定しているが、限定採択がゆがめられないようにするためにかかる方式をもって選定委員の選考について秘密を守っている、こういう報告を教育委員会として教育長から受けたことはないかどうか、こういうことをお尋ねしているわけであります。
  158. 黒木喜一

    黒木証人 委員会の正式な場所においてそういう報告を受けたことはありません。
  159. 西村力弥

    ○西村(力)委員 プライベートな立場ではあったのでございますか。
  160. 黒木喜一

    黒木証人 個人的な立場においては、そういうことがございます。
  161. 西村力弥

    ○西村(力)委員 個人的な立場であっても、それは虚偽のものであるとはお考えにならないだろうと思う。その通りであるだろうとあなたはお考えになったと思うのですが、その通りでございますか。
  162. 黒木喜一

    黒木証人 教育長は、あくまでこれを秘密にしたいというような話であって、それはけっこうなことであると、個人的な立場で話をしたわけであります。
  163. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あくまで秘密を保ちたいためにこのような工合に年々限定してやっている、こういうことを私的に話し合った、今の御証言ですとそういう工合にとったのですが、ただあくまでも秘密にやりたい、こういう意向を述べたというだけではなかったように先ほどの証言を受け取ったのですが、どうでございますか。
  164. 黒木喜一

    黒木証人 あくまで秘密に持っていきたいという、そういう意向を聞いたというのでございます。
  165. 西村力弥

    ○西村(力)委員 きのうの安藤証人の御証言では、限定方式採択に当っては反対はほとんどなかった、こういうことでございましたが、今、あなたは、そのことに対して反対せられたということでございましたが、当初から反対を叫んだ団体とか、あるいは個人とか、あるいはその理由とか、そういうことについて、御承知のことを御証言願います。
  166. 黒木喜一

    黒木証人 限定採択を実施しましてから四年ほどになります。現在においてはそういうことはあまり耳にしないのでございます。限定採択を実施した当時は、やはり教師側においても反対があったようでございます。ただ、PTAのP側等においては、進歩的な人など、ちょっと意見があった程度で、これはけっこうだろうというようなことであったように観察しております。   〔濱野委員長代理退席、高木委員   長代理着席〕
  167. 西村力弥

    ○西村(力)委員 近ごろになってから全然反対意見を聞かないと言われますが、教員の組織団体である教員組合が反対意見を県教委に申し入れた、あるいは要望したようなことはありませんか。
  168. 黒木喜一

    黒木証人 県教組の方からそういう申し入れがございました。
  169. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そこで、関連しますが、ちょっと教科書と離れますけれども、あなたは、先ほど、特別な反対がないと仰せられましたが、教員の団体である教員組合の反対意向というものは、それほどあなたにとっては軽いものであるか、念頭にもないような工合に軽いものであるかどうか。やはり福島県の教育委員会としては、教員組合の申し入れやその他のことについては、ほとんど歯牙にもかけない、こういうような工合に軽く考えていられるのかどうか。こういうことは福島県全体の教育行政を行うために相当重要な問題であろうと思いますので、証人の御心境をお聞かせ願いたいと思います。
  170. 黒木喜一

    黒木証人 安藤委員が反対がないと言ったが、それに対してどうかという質問に対して、最近はそういう様子がなくなったということを申し上げました。県教組からの申し入れ等はるるございますが、これは慎重にその意を体して善処するという考えでございます。
  171. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうことでありますが、先ほどは、近ごろそういうことはほとんどないということで、県教組からそういう申し出があったことは今頭に浮ばなかった、念頭になかった、こういうことでありまするので、私はそこの点をただしたような次第でございましたが、そういうような考え方でいろいろやられているわけですね。今度これを推薦方式に変えられたというようなことでございまするが、その理由として、先ほどの証言の中で、限定方式を採用することによってある種の目的を達した、こういうことでございましたが、一体ある種の目的というのは何であるか、限定方式をとることによって達したある種の目的とは何であるか、それを一つ詳しくお述べ願いたいと思います。
  172. 黒木喜一

    黒木証人 私の考えとしては、大体二つほどあると思います。その一つは、それぞれの指導によって、教師教科書を見る目が肥えてきた。それは必ずしも限定されたということだけによったものではないと思いますが、少くとも、その地方々々、その郡市々々で幾たびかそういう採択委員などに出たような者がおりますので、こういう者は、おのずと、こういう方式でこういうふうに教科書を見れば正しく教科書を見ることができるというようなことになるということであります。第二点は、P側でありますが、父兄の検定制度というものについての理解が相当に高まってきた。こういう点を考えまして、今のようなことを申し上げたのであります。
  173. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいま理由として二点あげられた点は、限定採択方式をとったことによって伸びなかったということなら言えるが、限定採択方式をとったことによって教師教科書を見る目が肥えたとか、あるいはP側の関心が高まったというようなことは、むしろ逆であると私は考えざるを得ない。一体限定採択方式をとることによってなぜP側の関心が高まったのか、それはちょっと理解しかねることでありまするし、また、先ほど、現在の教科書検定制度を育成したいという考えの中にある盲点としてあげられた中には、父兄の啓蒙というものが全然行われていない、これが検定制度盲点である、こういうことでございまして、現在限定採択方式をとったために父兄の関心が高揚した、こういうような証言とは全くそれは矛盾する証言のようにお聞きせざるを得ないわけであります。その限定されたる方式で父兄側の関心が高まったわけは一体どこにあるのか、お伺いしたい。
  174. 黒木喜一

    黒木証人 前段のことでございますが、結局県だけで一地方の限定採択をきめてしまうのではないのでありまして、各郡市においてまたおのずからやっていいと思います。そういう面において教師採択に対する態度というものも訓練されたというふうに見ておるわけであります。  なお、私が一つの盲点だと、こう申し上げましたことは、それを盲点考えまして、福島県側としては機会あるごとにそういう点で努力しております。
  175. 高木松吉

    高木委員長代理 西村君に申し上げます。特ち時間が経過しましたので、適当に一つ……。
  176. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それぞれの方式というものには長所と欠陥が必ず伴うわけなんです。限定方式よかれとなってやったところが、それにはやはり一つの長所と欠陥があるだろうと思う。推薦方式だって一つの長所と欠陥があるだろうと思う。その長所、欠陥についての証人の御見解をお願いします。
  177. 黒木喜一

    黒木証人 長所といたしましては、教科書がその地域で同じものである、こういうことで、教師教科書研究などをする場合に非常に能率が上るという点、それからまた、転校の場合などでも教科書はそう新しく買わないで済むというふうに思っております。また、大きな観点から言えば、最初の段階ではよい教科書というものがどうも選定されないような形であったのに対して、これは観点の相違かしれませんが、限定採択というものによって一応こういう教科書が用いられるようになったのではないか、これらの点を一応私は長所と見ております。それから、短所といたしましては、その学校のカリキュラム、いわゆる指導計画にしっくりした教科書採択されにくくなっているような動きが教育の欠陥だと思います。
  178. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の長所欠点というのは、やはり推薦方式をとっても同じようなことが言える、こう思っておられるのですか。
  179. 黒木喜一

    黒木証人 いわゆる限定採択をやっての長短ということについてお答えしたつもりであります。
  180. 西村力弥

    ○西村(力)委員 推薦方式ではどういう長短をお考えでございますか。今年から推薦方式を採用せられたのですが、そういう数年にわたってとられた限定方式を変えるためには、これは相当慎重にお考えになったことと思う。それで、推薦方式に対してはどういう長所があり、あるいはどういう欠陥を包蔵しているか、こういうことについては御研究済みだと思うので、その点をお述べ願いたい。
  181. 黒木喜一

    黒木証人 やはり、まちまちになるというところから出る短所というものが生まれると思います。それから、一方において、ほんとうにその地域に即した指導計画にのっとった教育というものが推進されるということであります。
  182. 西村力弥

    ○西村(力)委員 きのうも申したのですが、教科書が同じ種類であれば教師研究に非常に便利である、こういう考え方、これは、私は、現在の教科書自体のこと、あるいは教師研究というものに対して少し考えが足らぬではないかと申したのでございますけれども、教科書次第で研究が進まないというようなことは、現在の教育であり得ることか、そういうようなことを話したのであります。証人は長いこと教育界におられて優秀なる教員であられたということでございますので、今のその理由づけは、確かに少し、考え方としては、旧来の教科書観というか、あるいは旧来の教師研究態度、そういうものにとらわれておる態度であったというようにお考えになられませんか。
  183. 黒木喜一

    黒木証人 新教育という理念から現在の教科書制度というものが生まれてきたのでありますが、どうも、私の見るところは、理想理想であくまでそこに持っていかなければならぬけれども、やはり、そこに持っていくためには、現実から徐々に進んでいかなければならぬのではないか、こういうように考えるわけであります。よその県はどうかわかりませんが、福島県等においては僻地も多うございますし、教職員の程度もあまり高くないのであります。そういたしますと、まず教科書それ自体を選定するということにつきましても、やはり、その地域の者が相寄り相助けて、これはこういうふうに取り扱っていった方がよいのだというふうにやっていった方が、能率が高くなるのではないかと思います。
  184. 西村力弥

    ○西村(力)委員 最後にそこのところを申し上げたいと思っておったのであります。福島県の教員が非常に能力が劣るということを一つの大きな限定採択にした理由にされておりますが、しかし、今の検定制度で十分によい教科書を自信を持って選べないということは、教員が能力がないのではなくて、検定までのいろいろな手順、ことに展示会というようなものの不備、あるいは期間の短かさ、そういうところにあるのではないか。それを、御謙遜かどうか知りませんが、福島県の教員の能力低下ということ、低能力ということを理由とせられるということは、今の若い者はといったような、教育界の大先輩としてのそういう気持が働くのではないか。よい教科書を自信を持って選べないとすれば、そこにもっと別なものを発見するということが正しいし、またそのことがほんとうではないか。教科書を選べない教員がそんなにおるわけはない。小さい学校でも、たんねんに教科書を検討したならば、十分によいものを選べる。だから、私としては、そういう見解から、教員の低能率、低能力、こういう理由によってというようなことは、これが検定教科書制度の盲点であると言われた先ほどからの証人の御証言というものは、訂正を願いたいと思う。そうでなければ、現在において検定制度というのは不可能である。日本の国において教科書制度というものは不可能だ。教師自身が教科書を選定する能力を欠くというならば、教科書検定制度というものは全面的に否定されるものでありますので、その御証言は訂正なりお取り消しを願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  185. 黒木喜一

    黒木証人 教職員の能力が低いということは、全般的に考えているわけでありませんので、訂正します。
  186. 西村力弥

    ○西村(力)委員 終ります。
  187. 高木松吉

  188. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人は、福島において限定採択方式がとられた当初においては反対であった、そのために文部省やその他にいろいろ反対の意見を具申されたということで、文部省としても限定方式に対するはっきりした見解の表明はなかったというような御証言のように承わったのですが、それは間違いありませんか。
  189. 黒木喜一

    黒木証人 私、直接でございませんが、その当時事務局の者が文部省に照会したが、表明がなかった、こういうことであります。
  190. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それが、あなたたちのやっているところを見ると、大がい事務局まかせのようですが、文部省からはっきりと限定制度に対する次官通牒が出ている。この限定の方式に対して、文部省では、この直後、選定に際しワクづけを行うことは教科書の自由選定という精神に反するので好ましくないと、教科書の発行に関する臨時措置法、昭和二十三年七月十日施行、その第六条の、教科書の選定は学校にあるとの規定をたてに、各県教育委員会に警告を発しておるのでありますが、このことは御存じなかったのでありますか。
  191. 黒木喜一

    黒木証人 七月一日の次官通牒の第三項というのは承知しております。
  192. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなた方の証言していることがちぐはぐです。文部省でもはっきりしたことを言わなかったから、これでよいのだと思って私は態度を変えた、こういうことなんですが、私たちは、この教科書採択問題に対しては、あなた方の証言を聞いているとどこまでも疑わざるを得ないのであります。ちょうどそのときはあなたは教育委員ではなかった。そうして、福島県においては、限定制度というものを、きのうおいで下さった安藤前委員長、この人たちの手によって作った。そうして、事務局の佐藤という次長が案を立てて、そのときに三社を指定した。二葉に東京書籍ですか、それに学校図書も最初入っていたようですが、途中から原案が変ったかどうかして、日本書籍が入った。こういうことをわれわれの方では承知しておる。日本書籍が入って限定採択となった。この結果は数字がはっきりと物語っている。限定制度になって、日本書籍が四万一千五百八十五冊しか出ていなかったのが十二万四千百二十八に上っております。これは中学校の部です。二葉の方ですと、限定制度になってから、前にはわずか二千七百七十三冊しかなかったが、それが一躍一万二千四百七十八冊になった。これは福島においてです。今度は皮肉にもまた、あなたの関係しておりました、かつて駐在員をなさっていた学校図書が、ちょうどあなたが教育委員になると数がふえている。前々年を調べますと三十一万五千四百三十九冊であったのが、昭和三十年になると四十五万五千百七十六冊出るようになった。こういうような一連の形を見ると、教育委員会が限定制度をとると、その関係会社の本がたくさん売れるようになった、あなたも教育委員でなかったときにはこのやり方には反対していたが、教育委員になると、かえって限定の擁護になってしまった、あなたが教育委員になると、あなたがかつて関係していた会社の本がぐっと数がふえてくる、そういう点を私たちは数字の上から見のがすわけにはいかないのであります。だから、どうしても、各会社から、教育委員なり、あるいはかつて自分会社駐在員であったとか、あるいは編集の顧問であったというような方々には猛烈なる連動が展開される、そこでいろいろな忌まわしい供応とか買収とかいう風聞がばらまかれる、こういうように私は考えているのであります。そういうことの裏づけをするような数字がちゃんと採択の数字の上に現われてきているのであります。  そこで、私のお伺いしたいのは、どうも納得がいかないことは、あなたは学校図書の駐在員をなすっていたのですが、報酬が、最初は八千円で、あとでやめるころになって一万四千円になった、八千円や一万四千円の報酬をいただいて、あなたは各方面の学校を回り、あらゆる方面をかけ回って、全力を尽していろいろな先生方意見も聞いた、そうしていい本を出すように努力し、次の編集のための助言をした、こうおっしゃいますが、八千円や一万四千円の報酬では、それほど活動できないと私は思いますが、八千円、一万四千円というのはただ表面だけの報酬であって、それ以外のものとして、出張費とかあるいは交際費とか、こういうものが相当出るのではないかという考えを私は持っております。それからまた、あなた方が働きかける場所はどういうものかというと、いわゆる研究会講習会、こういう方面に働きかけをしたということでございました。われわれの委員会で今日まで取り上げて参りましたのは、この研究会講習会が最も忌まわしい問題を生む場所なんであります。研究会をやると称しては料理屋や旅館に先生方を呼んでどんちゃん騒ぎをする、その会社々々によって違いますが、ある会社のごときは、五千円ずつ日当旅費として渡した、こういうことが全国的に研究会講習会の美名によって行われているのであります。そこに、あなたが働きかけをしたというなれば、会社経費というものはそういう点から出ているのでありますから、そういう点の実情から、おそらく、駐在員がその地方でやるときの音頭とりをやるのだと思いますが、その点に対して、俸給のほかに旅費等が別に出るのか、あるいは売り上げ部数によって歩合制度にでもなっているのか、ただ単に八千円ないし一万四千円で、駐在員というものはそれ以外の収入はないのか、この点に対するお答えと、講習会研究会等に対する駐在員の行う仕事の概要を承わりたいと思います。
  193. 黒木喜一

    黒木証人 俸給のことでございますが、それだけでございます。それ以外はございません。ただ、旅費として、学校を回った際に実費を支給されております。部数がたくさん出れば歩合をよくするというようなことは全然ございません。  存分な活躍ができたかどうかということでございますが、先ほど私の略歴で申しましたように、私は株式会社丸福協文社の副社長をやっておったが、半年ほどたちまして、社長が病気で倒れたので、その会社の全責任を私が負っておったわけであります。そういうような了解のもとに学図駐在員をやっておったわけで、存分な活躍ができなかったということについては、学図に対して申しわけなく思っております。  それから、講習会研究会でありますが、これは、講師の旅費、宿泊費、そういうようなものは本社で負担するが、その他の経費は主催者側で負担をする、それが原則であります。学校側に非常に予算がなくて、机、腰かけを運んだけれども、小使いだけにやらせたという場合におきましては、会場費として自分考えで若干出しておる、こういう程度であります。
  194. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それから、前の文部次官の通牒とともにあなたのいわゆるこの限定制度に対する態度が変ったということは、文部省の態度がはっきりしておらなかったということと違っておるのじゃないですか。次官通牒がはっきり出ておるのですから……。その点はどうなんですか。あなたはこの通牒を御存じだというのですから、あなたのさっきの証言は違うのじゃないですか。
  195. 黒木喜一

    黒木証人 教育委員になりまして学図がふえたというわけでありますが、私は八月三十日に辞令を出しまして、九月十日に立候補いたしたわけでありますが、それ以来全然学図については何ら新しいことをやっておりません。これは福島県において一万七千の教員について聞いていただけばわかると思いますが、教科書の冊数がふえたということは、私よりあとに入った駐在員が非常に熱心にやられたこと、それから、学図教科書の部数、種類がふえたこと、そういうことに原因しておると考えております。  それから、第三項の問題でありますが、結局、委員になりましてから、先ほど問題がございました地教委採択権が移ったということでございます。私は一日も早く自分理想のように持っていきたかったのでありますが、県教委にある時代とは違いまして、そうにわかにできなかったのであります。
  196. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どうも証言がはっきりしないのでありますが、あなたは、先ほどの証言で、限定には反対だったのだ、しかし、文部省などの意向を聞けば、それに対してのはっきりした違法ではないという見解がなかったので、このやり方でもよいのかというので、いつの間にやらこの態度が変ったのだという証言でありました。しかるに、ただいま、この次官通牒がちゃんと出ておって、このやり方は違法だということで、これをあなたは御存じですかと聞いたら、承知しておるということでした。日にちまでおっしゃっておる。そうすると、文部省のいわゆるこの限定制度に対する態度というものははっきりしていたんですよ。そうすると、文部省の態度いかんによってあなたの態度が変ったというあなたの証言は違うのじゃないかと私は聞いておるのです。
  197. 黒木喜一

    黒木証人 七月一日というのは、限定採択の前に出た通牒なので、それを私は承知しておるというのです。
  198. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 前に出たのならなおさらです。限定採択はいかぬという文部省の通牒が出ておる。そこで、あなたが文部省の意見というものを前に知っておるならば、何も文部省に入を通じて聞かなくとも、このやり方はいけないのだと言って、あなたが堂々と反対の陣頭に立つことが当然だと思います。しかるに、先ほどの証言はそうじゃない。文部省の態度もあいまいだ、こうおっしゃる。だから、その証言は違いませんかと私はお聞きしておるんですよ。
  199. 黒木喜一

    黒木証人 文部省の態度があいまいであった、それで、まず法的にはそう違反しておるものではないだろうという考え方で泣き寝入りをした、それから教育委員になった、こういうわけであります。教育委員になってそういう考えを持ったけれども、力及ばずしてできなかったということでございます。
  200. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 教育委員にもなろうとするあなたが、文部次官の通牒の発せられた七月のことをわかっていて、文部省の態度があいまいだったと言う。次官通牒というものは役所においてははっきりした公式の態度表明ですよ。それがあいまいだということを言われますが、それで泣き寝入りで私は態度を変えた、こうおっしゃるのですが、そうじゃないのじゃないですか。要するに、あなた方の行動というものは、あまりにもこの出版会社と悪因縁が重なっているのじゃないですか。そういうことをはっきりして、この日本の教科書問題をわれわれは明朗にしたいと思う。どうか一つ、国家のために、日本の教育改革のために、こういう制度じゃいかぬのだ、こういうやり方は直していかなくちゃならぬのだ——今あなたの口から偶然に出ましたが、私のあとになった駐在員が一生懸命働いたから部数がふえたのであろうとはっきり裏づけをしておる。採択の部面まで駐在員が決してタッチしないのだと、駐在員をやった人がみな今まで証言しておりますが、それは絶対うそで、一生懸命でその会社の本を売るために努力をするのが駐在員であろう。ただ編集のために助言するとか、あなた方はわずか八千円や一万四千円もらって、各方面を歩いて編集のためにどのくらいの助言をしたといっても、失礼だが大したことはないと思う。問題は本を売るための駐在員だと思う。それがたまたまあなたの口から今出た。私のあとになって駐在員が一生懸命に努力したから部数がふえましたと偶然にも出たでしょう。だから、われわれははっきりしたいと思う。決して罪悪でも何でもない。自分の方の会社学校図書なら学校図書、日本書籍なら日本書籍、それの駐在員をしているときには、自分会社の本をたくさん売るべく努力することに何のちゅうちょするところがありますか。それは当然であります。当然なことをやって、何も罪人になるわけでも何でもない。われわれは真実をつかんで改革したいという熱意でやっておる。そういうことでございますから、問題はたくさん聞きません。ただ一点だけでもよろしゅうございます。その点の真相を一つ明らかにしたいというわれわれの気持をわかっていただきまして、こういうように駐在員というものは販売に努力するのだ、あるいは、こういうことがあると今後いろいろな問題が起きて、教育界のためにこれはどうしても是正しなくちゃならないのだというような、あなたも長い教育者ですから、一時のがれの答弁をこの委員会でして過ごせばいいという、そんなけちな考えでなく、もう何十年と教育に従事せられたあなたが、この機会に、この場所において、いわゆる教育問題のために、あるいは教科書改革のために努力するというお気持になられませんか。どうか一つ熱意を持ってほんとうのことをおっしゃっていただきたい。そうして、その採択方式を改善するなり、検定のやり方を直すなり、そうして国民の納得する教科書問題の結末をつけたい、こう考えておりますから、どうか一つ、一時のがれでなく、いわゆるほんとう証言をしていただきたいと思いますから、ただいまの点に対して、もう一度御証言願いたいと思います。
  201. 黒木喜一

    黒木証人 今の駐在員ということでございますか。
  202. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 駐在員のあなたの証言なさったことも含みますが、今の採択制度に対してあなた方と出版会社とのいろいろな関係、そういうようなものに対しても御証言願いたい、こう思うのです。
  203. 黒木喜一

    黒木証人 私は、駐在員時代は、それは一生懸命やりました。教育委員になっている現在、教育委員になってからは、全く関係ございません。  それから、駐在員のことにつきましては、自分駐在員であった時代は、先ほど申し上げた通りでございます。現在の駐在員がどういうことをやっているか、私の知っておる範囲ではございません。
  204. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなたが駐在員のときに一生懸命やったということは、ただ世論を集めるということに一生懸命であったのですか。採択の方面、本を売るという方面には努力をしなかったということでございますか。
  205. 黒木喜一

    黒木証人 教科書をよく見てもらうという点については努力をいたしました。
  206. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これ以上時間があまりたってもいかがかと思いますが、きのう安藤さんの証言を求めたところ、私は知らないという一点張りで通られてしまったのですが、福島県下においてこの教科書問題に対するいろいろの忌まわしい問題が起きたはずであります。あなたの本日の証言の中にも、先ほど、教科書事件というようなものが起きたということがはしなくも言葉の上に現われましたが、その教科書の問題でいろいろな事件が起きたというその事実を知っておりましたら、一つでも二つでもお聞かせ願いたいと思います。きょうの福島民報を見ると、きのうのいわゆる安藤さんの証言というものは不可解のように初号活字で書いてありまして、自分は知りませんと押し通したという記事が出ておりますが、教育委員ともあろう人たちは、すでにわれわれが知っておる福島県下のいろいろな教科書問題にからむ事件を知っているはずだと思うのですが、あなたは御存じでありましょう。御存じでありましたら、一つでもけっこうでありますから、お述べを願いたい。
  207. 黒木喜一

    黒木証人 私の教科書事件と申したのは、金光堂事件という事件でありまして、昔のことでございます。教科書採択に関するいろいろな悪評、デマというか、そういうようなことは耳にしております。しかし、私はその事実は全然知りません。
  208. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 耳にしておることでもよろしいですから、一つでもお答え願いたい。どういうことを耳にしましたか。
  209. 黒木喜一

    黒木証人 たとえば、安藤教育委員採択委員に対して電報を打った、こういうことをよく言われますが、果してそれが事実であるかどうか。私などは、おそらくそういう事実はないだろうというふうに考えております。
  210. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 駐在員をしておられたのですから、あなたの方はよく知っておられるだろうと思いますが、講習会という名目で先生方を料理屋等に呼ぶことは、単に研究会講習会というのは名目で、ただ御招待申し上げる時間が大部分なのではないですか。
  211. 黒木喜一

    黒木証人 私はさようなことはいたしませんで、講習会があくまでも主であります。
  212. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたからそういう証言があれば、御存じないということでいたし方ございませんが、さきほど、福島県におきまする採択委員ですか、選定委員というものができておるということでございました。この方々がよく会合なさいますが、あとで報告は受けておるということでございましたが、会合した報告などは受けておるのでありますか。事務局の方からあなたの方に、選定委員がいつ何日こういう会合をしたというような報告はありませんですか。
  213. 黒木喜一

    黒木証人 それは、総括的に、こういう会議を持って、こういう方法をとったという報告がございます。
  214. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先月の二十一日から三日間、飯坂温泉の吾妻荘に五十余名の委員が集まって、ひそかに選定会議を行なった、これはちゃんと行なったと書いてあるのですが、こういうことは報告がありましたか。
  215. 黒木喜一

    黒木証人 日にちとか場所とか、そういうものは、私、はっきり頭にありませんが、たしか飯坂でやったはずでございます。
  216. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 こういう会議をやったことが報告されたということで、先ほど濱野委員がいろいろ選定委員のことに対してお尋ねいたしましたところ、あなたは、知らぬ存ぜぬ、事務局でやっておるから、そういうことはわれわれの方では知りませんというお答えで終ってしまったのですが、教育委員会事務局の最高責任者はあなたになっていないのですか。あるいは、教育委員長の命令によって事務局が動くのではございませんか。
  217. 黒木喜一

    黒木証人 委員長の命令によるのでございません。委員会の議決に基いて動くのでございます。
  218. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 もちろんそうです。しかし、それは、委員会の議決を行なっていく責任を持っているのは委員長であります。だから、委員会の議決によって事務局が動くとすれば、事務局の動いていることは委員長なり委員というものは知っていなければならないはずじゃないですか。知らないでもよろしいのでございますか。
  219. 黒木喜一

    黒木証人 教育委員会は、委員会の議決によってのみ事務局が動くのでございます。委員長事務局に命令する権限はございません。  それから、ただいまのことですが、結局総括的な報告を受けたんです。それによってどうこうというような意見などは委員会としては出しておりません。
  220. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなた方は、報告を受けっぱなしで、それがどういうのだったという内容は聞かないんですか。いつでもいろいろな問題に対して報告を受けっぱなしであって、そうしてそれを引き出しにしまって、あとは投げやりなんですか。それから、事務局を動かすにしても、委員会の議決によって動くということは、おのおのの委員の構成によって委員会というものが動くのでありませんか。その委員であり委員長であるあなたが、事務局の一切の活動というものは熟知していなければならないわけですが、委員長の命令で動くんじゃないという答弁で逃げられてしまいましたが、もちろん委員長一人の命令で動くんじゃございますまい。委員会の議決によって行動するのでございましょう。あなたはその委員会の一構成の委員じゃありませんか。しかも委員長じゃございませんか。そうすれば、事務局活動内容というものは全般的に知らなくちゃならないと私は思うんです。しかも、こういう会合を飯坂で三日間やったことも、あなたは報告を受けたと言っておられる。そうすれば、どういうことの話し合いがあったというようなことの内容は御存じのはずだと私は思うんですが、そういうことはただ報告の受けっぱなしで済んでいるのでございましょうか。
  221. 黒木喜一

    黒木証人 報告事項でございますから、何かそれに対して委員が疑義があったりしますれば、質問をいたしますし、それに対して委員としての考えを申し述べます。何も質疑その他はございませんでした。
  222. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それじゃ、この飯坂で三日間やった会合では、ただこの会合をやった、そうかといって、もう何も内容を聞かなかったんですか。少し突っ込んで聞きますが、その報告を作成したのはどなたですか。もし口頭での報告ならば、どなたが委員会に報告しましたか。だれも質問をしないでただそのまま聞きっぱなしで終りましたか。その報告した人の名前と、どこで報告があったか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  223. 黒木喜一

    黒木証人 採択の推薦図書の結果については印刷物で報告されました。委員のメンバー等につきましては別段印刷はございません。
  224. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どなたが報告しましたか。今、報告を受けた中にきまった図書会社名前の報告があったと言われますが、知っている範囲で、どことどこがきまったか。そしてだれから報告があったか、もう一回……。
  225. 黒木喜一

    黒木証人 指導主事の方の教科書の係の者から報告があったはずでございます。だれでしたか、はっきりいたしておりません。
  226. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 自分事務局のだれだかわからぬなどということでここが通ると思いますか。事務局の人のしかも報告する人はその担当の責任者であると私は思う。それを、名前も知らない人から報告を受けた、それであなたは通ると思うんですか。そういう人を食ったような証言では困るのであります。もっとまじめに、——真実を述べるとあなたは誓ったじゃないですか。事務局のだれが報告したかわからぬというような、しかも重大なる教科書をきめる選定委員会で三日間もやった報告を受けるのに、だれがしたかわからぬというようなことでこの委員会が通ると思いますか。一つあなたもよくお考えになって、どなたが報告になったのか、そうして、どういう会社にきまったのか、知っている範囲のことをお答え願うことは私は当然だと思うのです。わざわざ福島からおいで願ったのにこんなことは申したくありませんが、報告した人の名前までも知らないというようなことでこの委員会証言を終ろうというのは、私ははなはだ残念にたえないから申し上げる。
  227. 高木松吉

    高木委員長代理 黒木証人、正確な答弁を願います。
  228. 黒木喜一

    黒木証人 結局、その採択の主任相田主事が報告したと思います。
  229. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは、採択の主事であったろう、したと思いますでは、私は承知できませんが、相田主事じゃないですか。
  230. 黒木喜一

    黒木証人 どうも、先ほども言ったんですが、私、はっきりとその点、——ずいぶんいろいろと報告などが次々とあるものですから、その報告がはたしてだれであったかというはっきりしたことを申せませんが、相田主事が主任でございますから、相田主事でなかったならば、相田主事にかわるべき者をはっきり申し上げられません。ただいま推定ででございますから、相田主事と申し上げたのであります。
  231. 高木松吉

    高木委員長代理 神田大作君。
  232. 神田大作

    ○神田(大)委員 だいぶ時間もたちましたから、簡潔に御質問申し上げます。  今いろいろ同僚委員の御質問に対する御証言を聞いていると、どうも私ども納得のいかないことは、あらゆることが事務局まかせでもって、教育委員会が知らないというようなことでございますが、こういうことは常識から言ってもわれわれは納得できないのでございますが、あなたはかつて学校図書の駐在員をやっておった、あるいはまた安藤委員もこの教科書会社駐在員とか編集顧問をやっていたというように、福島教育委員会教科書会社と非常に深い関係のある人が委員になられているようでありますが、そういう関係で、かえって教科書採択関係すると世間の疑惑をこうむるというようなことでもって、事務局におまかせになっておって、あなたたち関係しなかったというように思われるのですが、その点はいかがでございますか。
  233. 黒木喜一

    黒木証人 私たち自身はそういうように考えておりませんが、結局、地教委連絡協議会などから頼まれた事務局の人たちなどは、そういう思惑を持つかもしれないと思います。
  234. 神田大作

    ○神田(大)委員 なるほど、あなたの直接の部下であるところの事務局の人たちが、あなたたちが関与するということは非常に世間の疑惑をこうむるであろうというようなことを懸念して、ことさらにあなたたち連絡をしないでこの採択の事務をやった、こういうように解釈してもよいですか。
  235. 黒木喜一

    黒木証人 連絡をするなり委員会と諮るなりする必要のあるのものであれば、それは当然そうさせます。福島県の教育委員会の現段階においては、先ほどからるる申し上げましたように、それにはタッチしていないのであります。
  236. 神田大作

    ○神田(大)委員 教科書採択ということあるいは教科書というものが教育に及ぼす影響は非常に甚大である。従って、この問題は教育委員会の仕事の大きな部分だと思う。こういう教科書採択というような問題を、事務局教育委員会内容の報告もしない、それでもって通してもよいとお考えになっておりますか。
  237. 黒木喜一

    黒木証人 個人的な考えは別といたしまして、福島県の県教育委員会はそういう決定に基いて処理しておるわけでございます。
  238. 神田大作

    ○神田(大)委員 また、違った面から申しますと、地教委の人たちが勝手に、教育委員会のあなた方の命令を待たずに、事務局に要請し、事務局地教委の要請によってこのような重大な職務をやっておるということに対しまして、教育委員会といたしましてはどのような態度をとっておりますか。またどのような考えを持っておりますか。
  239. 黒木喜一

    黒木証人 福島県地方教育委員会連絡協議会と、県の教育委員会との関係は、福島地教委連絡協議会事務局長は秘書室長がこれに当っておるわけでございます。それで、秘書室長というのは、結局二重人格において、ある時期においては地方教育委員会の権限に基いて仕事をし、あるときには県の教育委員会の秘書室長としての仕事をする。教科書問題については、秘書室長が事務局長として仕事をするわけであります。
  240. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、教育委員会の佐藤という次長は、秘書室長であり地教委事務局長であるという人の命令によって、この教科書採択問題に関係しておりますか。
  241. 黒木喜一

    黒木証人 結局、地教委事務局長がそういうものについていろいろ計画を立てて、県からどういう協力を仰ぐか、こういう案を事務局が作りまして、その案が、教育長を委嘱する場合もあれば、次長を委嘱する場合もあり、学校課長を委嘱する場合もある、こういうことでありまして、教科書問題につきましては、次長などまで委嘱されているかもしれません。この点どうもはっきりしません。
  242. 神田大作

    ○神田(大)委員 一体、事務局というものは、地教委に対しまして適切な助言をするといいますが、事務局が言うのじゃない、これは教育委員会が助言をやるのであって、事務局の行動は教育委員会が一切責任を持たなければならぬと思う。あなたは教育委員会事務局というものを管掌していなくてはならぬ。にもかかわらず、この事務局が勝手に教科書採択にいろいろと行動を起し、いろいろと仕事をやっても、教育委員会はおれは知らぬというようなことは、あなたは長い間教科書関係しておるから、常識として、そのようなことが行われておっても、これがあえて疑問に思わないのですか。
  243. 黒木喜一

    黒木証人 どうも、先ほどからその点でいろいろ申されますけれども、一体、あまりに地教委に対して県の教育委員会が乗り出すということなんですか、またそういうことができるのですか……。福島県などにおいては、市というものが非常に大きくなりまして、福島市でございましたら、小中合せて三十数校あるのでございます。そこには教育委員会があって、教育長があって、事務局をちゃんと張っておるのでございます。そういう形において地教委の権限のあるものに対して、県の教育委員会がどうせいと言うようなことは、福島県に関する限り、これは非常に問題でございます。神田(大)委員 あなたの県の教育委員会事務局がこの選考委員とか選定委員というものを指名したり選択したりする、そういう教科書選択に対して重要なことを県の教育委員会事務局がやっておることに対して、教育委員会はいかなる責任を持つか、そういうことを私は質問しておる。あなたの方の事務局が実際問題としてやっておるのですよ。だから、それに対してあなたはどういう立場に立ってどういう責任を持つかということを質問しておる。この点、間違わないようにしていただきたい。
  244. 黒木喜一

    黒木証人 それは責任を持ちません。教科書採択ということに対しましては……。
  245. 神田大作

    ○神田(大)委員 けっこうでございます。どうもありがとうございました。
  246. 高木松吉

    高木委員長代理 黒木証人に対する尋問はこれで終了いたしました。  証人には御苦労さまでございました。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会