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1955-08-01 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年八月一日(月曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 南  好雄君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 神田 大作君       菊池 義郎君    草野一郎平君       牧野 良三君    米田 吉盛君       荒舩清十郎君    塚原 俊郎君       井手 以誠君    高津 正道君       辻原 弘市君    西村 力弥君       大西 正道君    小林 信一君  委員外出席者         証     人         (福島教育委         員会委員)   安藤  武君     ————————————— 八月一日  委員鹿野彦吉君及び猪俣浩三辞任につき、そ  の補欠として荒舩清十郎君及び井手以誠君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長は、健康を害されておりますので、私が委員長職務を行いますから、御了承を願います。  前会に引き続き、小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は安藤武君ですか。
  3. 安藤武

    安藤証人 はあ。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が濫立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生じ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いている向きがありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申し出を願いたいのであります。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人安藤武朗読〕  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。
  5. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の略歴をお述べになって下さい。
  7. 安藤武

    安藤証人 明治三十三年十月六日に本籍地であります福島田村田村大字栃山神字東百四番地において出生いたしまして、県立磐城中学を卒業後早稲田大学に学び、二カ年で中退いたしました。それから国民新聞に就職いたしまして、その後市会議員を二期務め、議員の在職中に昭和十二年に日支事変に出征いたしました。そうして、帰って参りましてから、終戦後郷里に帰りまして、昭和二十二年四月六日に地方自治団体の首長の公選が行われましたときに、当時はまだ合併いたしませんので田村二瀬村と申しましたが、その合併いたします前の二瀬の村長に当選いたしました。翌昭和二十三年十月六日に教育委員会制度が発足されまして、それに立候補いたしまして当選をいたしまして、自今現在至までその職についております。以上でございます。
  8. 高木松吉

    高木委員長代理 その間教育委員長に在任したことがありますか。
  9. 安藤武

    安藤証人 教育委員長に在任いたしましたことが二期ございます。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 いつからいつまでですか。
  11. 安藤武

    安藤証人 昭和二十五年十一月から昭和二十六年十一月までです。さらに、昭和二十八年十一月から昭和二十九年の十一月までです。以上であります。
  12. 高木松吉

    高木委員長代理 橿鳥県教育委員会は、昭和二十八年度、二十九年度及び三十年度の使用教科書採択するに当って、いわゆる限定採択方式を採用したと聞くが、かかる採択方式をとった理由及びその事実の内容について具体的にお述べになっていただきます。
  13. 安藤武

    安藤証人 申し上げます。昭和二十八年度の教科書選定に当りまして、伝えられておりますいわゆる限定採択という方針をとったのでございますが、この限定採択というのもにつきまして種々なる疑惑があるというようなことから、当時福島教育組合が十カ条の問題をとらえまして、教育委員会事務局質問状を発せられたのでございます。事務局におきましては、これに対しまして、七月十五日付をもって教科書採択に関する質問状回答をいたしたのであります。これを朗読していいですか。
  14. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長質問を誤解していませんか。採択方針をとった理由及びその事実の内容を具体的に述べてほしいというのですから、そういう問題もあとで聞きますが、その理由から一つ説明していただけませんか。
  15. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。当時、教科書発行会社から登録されておりました教科書の数が、ちょっと記憶がはっきりしないのでありますが、約五百三十種類に及んでおったのであります。従いまして、こういうたくさんの教科書の中から短時間に最も優秀なる教科書を選択することは非常に困難である、しかも、往々にして十分な検討をしないので採択するようなことがないでもない、こういうことが一つ理由であり、たまたま、当時、県下PTAあるいは町村会会長町村議会議長会等から、教科書に対してある程度のワクをきめてもらいたい、こういう世論が非常に強く盛り上ったのでごごいます。かてて加えて、県議会におきましても、文教委員会中心にいたしまして、教科書統一問題がかなり強く取り上げられました。当時の県民世論といたしましては、全県下統一してもらいたいという世論が圧倒的であったのでございます。しかし、現在の教科書採択制度下におきましては、県下統一するということは、当時の段階におきましては非常に無理が伴うので、その折衷案として、最も優秀な数種類教科書選定いたしまして、これを採択しよう、こういうことを委員会において決定いたしまして、これが調査事務局に命じました。事務局におきましては、各専門家意見を聞き、さらにまた、採択審議会というものを県下のその道のエキスパートを集めまして結成いたし、これが費用につきましても県議会追加予算を計上してもらいまして、そういうような関係で、一応限定採択ということで、最も優秀なものを採択して、当時の県民世論にもこたえ、さらにはまた教科書採択の面において成功を期したい、こういうような考えから、委員会におきましてはその限定採択というものを決定いたした次第であります。
  16. 高木松吉

    高木委員長代理 教育委員会においては、教科書採択に当って、採択すべき教科書をあらかじめ数種に限定して、展示会開催の前に公示したと聞くが、このやり方展示会制度あるいは文部省展示会実施要綱の趣旨に反しておるものと思われるが、かかるやり方に対する関係者批判をあなたは知っておられるかどうか、お述べになっていただきます。
  17. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。厳密に申しますと、現在の採択制度下におきましては、あるいは多少の行き過ぎがあったのじゃないかというようなことを、私個人としては率直に考えております。しかし、その後、県下におきましては、少くとも職場におります者からは、これに対しましては全く非難の声は聞いておりません。さらにまた、一般の当時教科書統一をこいねがっておりました各階層の間におきましても、この限定採択の結果につきまして批判を受けておるというようなことは、私は聞いたことがございません。
  18. 高木松吉

    高木委員長代理 昭和二十七年の夏ごろ福島教員組合から県教育委員会あて教科書採択に関する質問状が提出せられたと聞くが、その内容及びこれに対する回答文内容を詳細に説明していただきます。
  19. 安藤武

    安藤証人 ただいま御指摘がございましたように、教員組合からこの教科書限定採択に対しまして十カ条の質問状が発せられました。これにつきまして、教育委員会事務局回答いたしましたところを述べさせていただきます。  第一問は、「限定採択という非民主的方法をとったことについてその理由を明示されたい。」、こういう問題であります。これに対しまして、こういうふうな回答をいたしました。「明年度使用教科書採択方針については、すでに数カ月前より広く世論をきき、教育委員会においてもしばしば論議を重ね慎重考究の上、方針を確立してこれを公表し、又新聞紙等にもしばしば報道せられ、一般にすでに周知されている事柄であって、今日にいたって突然貴組合よりその理由の明示を求められたことはいささか意外の感にうたれるが、念のため重ねてその経過ならびに理由について簡単にのべたい。昨秋頃から教科書に対する一般県民関心が急速にたかまり、PTA関係方面町村長会町村議長会関係方面婦人団体等より、教科書統一に関する要望や陳情が教育委員会にもたらされ、また県議会において大いに論議されるにいたった。しかして、これら世論は結局つぎの二点に要約される。一本県教科書採択の現況は種類があまり多すぎる。二ねだんがたかすぎる。そこで教育委員会においても、本問題を正式にとりあげることになり、従来の如く放任的態度で各学校まかせのやり方を改め、事務局がもっと責任をもって採択にあたるべきであるとして、その対策を研究するよう事務局側に要請された。そこで事務局としては、委員会方針を体して、一般世論の動向を種々検討し、他県の状況調査し、米国等の事情もしらべ、更に県内各界の代表をもって「教科書採択審議会」を設けて、その意見を聴取する等、能う限りの方途を講じ最善の方法を発見しようとした。その結果「全県的統一」は現在の段階では適当ではなく、本県実情に即応するもっともすぐれたもの数種類選定し、そのうちから各学校選定させることが「教科書があまり種類が多すぎる」「ねだんがたかすぎる」という一般世論に答える対策であるとの結論に達し、教育委員会の議を経て、五月県会において追加予算が議決され、それによって教科書選定委員会を設けて、あらゆる角度からすべての教科書を検討し優良教科書選定し、七月四日教育委員会の議決を経て発表するにいたったものである。従って、その手続きにおいて、その目的において、決して非民主的であるとは考えられない。むしろ一般世論にもっともよく答えるものと信ずる。いわんや官僚統制画一教育への第一歩である等の如き非難は、全く当らないものである。」  二、「限定採決はP・T・A世論のいかなる声に応え得ると考えるか。」——「教科書県内統一」の要望が起る理由については、種々の観点があげられるが、次の諸点に要約しうるように思われる。1、各学校の自由な選択にまかせておくことは発行者競争販売を助長し、宣伝、外交費教科書原価に加算されることになり、価格が高くなる。2、統一すれば採択冊数がまとまるから生産費が軽減される。3、毎年新規に教科書を採用するような従来の例ではいわゆる「おゆずり」ができず、父兄負担が過重となる。4、教科書が各校毎にまちまちでは、学校によって学力差の生ずるおそれがある。5、本県の如く他県に類をみないほど不統一採択状況では、転校等の際に不便である。6、教師の共同研究に不便である。以上の諸点が「県内統一」への要望の根拠となっているが、いま一挙に県内一本にすることは必ずしも適当でないと考える。然しその理由にはそうとう尊重すべき点が多いので現在の段階において最もよくこの世論に答えるものとして今回の措置を講ずるにいたったものである。すなわち、継続使用を奨励するためには、先ずよい教科書を選ぶことが先決問題であり現在のように八十八種中七十四種(小学校の場合)を採用しているが如き状況では思わしくない。その上、二十八年度用改訂学習指導要領の線にそって、改訂版がそうとう多く本年度使用のものをそのまま来年度継続使用することも困難なものがあり、それに、本年度用定価のきまらないままに決定したもので、その点の考慮が欠けており、したがって、この際全国的すう勢に従って県内使用教科書教育委員会責任において優良なるもの数種類限定採択し、明年度以降の大幅継続使用に堪えうる第一階梯を築くことが世論要望にも広く答えまた現場実情にも即するものと考える。これが又発行者をして、不公正な販売競争に狂奔せしめる代りに教科書内容の向上と定価の引上げにおける競争を刺戟し、教科書進歩改善によい効果をもたらすものと信ずる。また本年度使用のうち今回の選定にもれたものの来年度における継続使用が不可能となって、父兄負担が軽減されないという非難もあるが、前述の如く明年度用には改訂版が多く、本年度使用のものをそのまま継続使用することは困難であり、又、実際には、全教科にわたって切換えなければならないという学校は殆どなく、大半の学校は少数の教科目切換えですむものと予想されるので、今回の措置によって父兄負担が加重するということは少ないと思われる。殊に従来内容本位に熱心に検討して採用を決定して来た学校においてはなおさらである。なお教科書中心にしてカリキュラムを構成した学校においては、切換えに際しては、多少の不便を来たすおそれもあるが、取扱上の注意によってこの不便も救済しうるものと考える。」
  20. 高木松吉

    高木委員長代理 この際証人に申し上げますが、それは何ですか。
  21. 安藤武

    安藤証人 これは教員組合質問状回答いたしたものでございます。
  22. 高木松吉

    高木委員長代理 長いものですか。
  23. 安藤武

    安藤証人 あとは非常に短いものでございます。
  24. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは簡単に読んで下さい。
  25. 安藤武

    安藤証人 三、「選定委員名を公表されたい。」——「必要によっては公表してもよいが、この種の委員会は中央における検定委員等の例をみても、一般に公表しない方が弊害が少ないものと思われる。」  四、「選定委員の選出にはどのような方法がとられたかを詳細に回答せられたい。」——「出張所管内において最も適任と思われる候補者を各教科にわたり、出張所長をして推薦せしめ、その名簿によって委員の分布が地域的にみて均衡のとれるように配慮し、特に「公正なる人物」に主眼をおいて決定した。」  五、「選定委員を召集する前にその機密が保たれていたか。」——「選定委員外部には発表していない。また万一もれるようなことがあっても、外部働きかけ等によって影響をうける余地のないよう特に考慮して、招集日間近く時間的にみてぎりぎりの線において決定し、当該学校長並びに出張所長等を通じて委嘱したものであって、選定委員は厳正公平に各々教科書選定に当ったことを確言する。」  六、「教育委員教科書会社関係していることの可否、ならびに、それに対する措置をどう考えているか。」——「教育委員は私人としてはいかなる種類業務に従事することも自由であると考える。ただそれが公人たるの地位、権限を利用して私的業務の利便を図るようなことがあれば、望ましくないと思うが、そのようなことはないものと信ずる。」  七、「教科書会社関係ある教育委員影響、圧力が県教育委員会並び選定委員に加えられていなかったか、又今後共そうしたことが考えられていないか。」——「教育委員会並び選定委員会はなにものにも影響されることなく、厳正公平に対処したことを確言する。なお、これについて疑惑的風評が一部に流布されつつあるようであるが、選定教科書の権威を傷つけるものとして甚だ遺憾である。当該教育委員並びに教育委員会選定委員会の名誉のために、貴組合におかれても慎重に善処されたい。要は選定教科書内容が一切を決定するのであって、選定理由書を吟味の上、選外教科書との十分なる比較研究を望むものである。」  八、「七月一日付文部次官通ちょうをどのように考えたか、特に第三、第四項は本県採択方針関係があると思うが、この点について明確に回答されたい。」、こういう問題でありまするけれども、これは七月一日付ではありますが、事務局が入手いたしましたのが七月四日の午後六時ごろと記憶いたしております。七月四日には定例委員会を招集いたしたのでありましたが、午後の四時ごろに閉会いたしましたので、委員会が済んでからその文書を入手いたしましたために、委員会に対してこの通牒を徹底することができなかったということは非常に遺憾なのでありますが、とにもかくにも、全国的に大体七月五日に展示会を開かれておる趨勢にありますときに、七月の四日にこの通牒が入りましたことは非常に事務的な運び方においておくれておった、こういうようなことを非常に心配いたしておりますけれども、これに対しましては、教員組合に対しまして、この次官通牒については教育委員会としても十分責任を持って御期待に沿うように今後処理いたしたい、こういうことを回答いたしております。  九、「展示会において限定本以外のものは展示されても是を採用出来ないとすれば、費用と手数がかかるのみで、何ら意味がないと思うが、やはり形式的に行うか。」、これに対しましては、「選定教科書と他教科書を比較検討して、選定本選定理由十分現場に理解してもらうためには意義があると考える。なお発行会社展示会に必ず出品しなければならない義務づけはないので、不要と考える会社は出品しなくてもよい。」  一〇、「来年度継続してこのような限定採択制度をとるか。」、これに対しましては、「来年度以降は、今回の採択本継続使用を奨めるつもりであるが、新出版または改定版のあるときは、そのものについて十分考慮する必要があると考える。」  以上が教員組合質問に対しまする県教育委員会事務局回答の全体でございます。
  26. 高木松吉

    高木委員長代理 証人日本書籍株式会社編集顧問をしていたと聞くが、就任の動機、在任期間職務内容、解任の理由等についてお述べになっていただきます。
  27. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。昭和二十六年の七月ごろと記憶いたすのでありますが、私の友人壁谷祐之という男がありますが、その壁谷君が私のところに参りまして、壁谷君の友人である日本書籍株式会社企画部長を勤めておる伏見武夫君という人から、福島県に日本書籍支所を設けたい、ついては適当な支所長一つ壁谷君推薦してくれないか、こういうことを頼まれたけれども、僕にはちょっと適当な人が見当らないので、もし君の知っている範囲にそういうような人があるならば一つ推薦してくれないか、こういう申し入れがありました。県立郡山女子高等学校の教諭として教べんをとっておりました今泉正顕君という青年がございます。この人は、本県青年運動先駆者として、さらに現在郡山青年文化協会会長というような、いわゆる文化運動の先兵として非常によく努力されておる人であり、私自身その人の人柄に常に敬意を表しておりまして、個人的に申しますと、私は自分の肉親以上にこの人を信頼し、嘱望もし、こういうりっぱな青年をほんとうに地方のために働くことのできるように育成してやりたい、こういうことを常々私は考えておりました。そこで、前に今泉君の家では本屋を経営していたような経験もございますので、学校等にも相当の関係があるだろう、こういうことで、私は、当時今泉君の奉職いたしております郡山女子高等学校校長を通して今泉君に当ってみました。すると、今泉君は、いろいろ考えたのでありますが、やってみましょう、こういうことになったのであります。そこで、私は、今泉君が日本書籍支所長として働くにいたしましても、彼の仕事をりっぱに成功させてやりたい、こういうような親心から、でき得るだけ今泉君に援助をしてやろう、後援をしてやろうという気持を当時持っておったのでありますが、たまたま、この日本書籍の方から、今泉君の補佐役として一つ協力してもらいたい、こういう申し入れがありましたので、私は気やすくそれを引き受けました。名称は編集顧問であります。それならば、一体編集顧問というのはどういう仕事に携わるのかと申しますと、もちろん教科書編集に対して発言をいたしたこともございませんし、編集会議に出席いたしたこともございません。主として、日本書籍の発行いたしております教科書というものが県民にどういうふうにながめられているか、そうして日本書籍というものがりっぱな教科書を作って福島県に多く採用してもらうためにはどういうような一つ編集方針であらねばならないかということを、私はあらゆるそういうような道の人たちに当って聞いたり、あるいはまたその内容を本社に報告をいたしまして、編集上の問題について助言をいたす役割でございまして、私の助言が効を奏したかどうかはわかりませんですけれども、その後、日本書籍発行社会科教科書におきましては、常磐炭田を取材したもの及び安積疏水を取材したものが教科書の中に盛られておる状況でございます。これが私が編集顧問としてやっておりました仕事であり、さらに、今泉君が、どこの学校に訪問したいと思いますけれども、一つ先生紹介状でも書いてくれないか、こういうときには、私の親友であって、これは私がかわいがっておる男だから、一つよろしく御援助願いたいというような紹介状は書いたことがございます。しかるに、昭和二十八年の七月になりまして、公正取引委員会が、この教科書販売戦をめぐって業者の間にかなりの見にくい動きがある、特に地方においては、教育委員でありますとかあるいは県議会議員であるとか市議会の議員であるとか、そういう名誉職の人を駐在員とか参与、そういう人に委嘱をして、そうして販売を拡張していくというようなことを聞くのであるが、これは非常におもしろくない、こういうような公正取引委員会からの指示と申しますか示唆があったということを聞きまして、私はさっそく日本書籍に対しまして辞任申し入れたんであります。私自身が公的な立場の上から見ても非常に迷惑をすることが多いから、これはこの際日本書籍との関係を絶ちたい−。伏見君もそのことを了承いたしまして、昭和二十八年の七月でありますか私は日本書籍関係を絶って現在に至っておる状況でございます。
  28. 高木松吉

    高木委員長代理 福島県の教員組合からの、教育委員特定教科書会社関係することの可否についてという質問に対して、福島教育委員会は、私的なことはかまわないという回答をしておるのです。当時日本書籍株式会社編集顧問であった証人の、これに対する証人自身の、見解を述べて下さい。
  29. 安藤武

    安藤証人 先ほど申し上げましたように、日本書籍から頼まれましたときには軽い気持でお引き受けいたしまして、当時といたしましては何ら不審がない、こういうふうに考えておりました。
  30. 高木松吉

    高木委員長代理 現在はどう考えていますか。
  31. 安藤武

    安藤証人 公正取引委員会のそういうような通牒その他いろいろの客観情勢を総合いたしまして、現在においてはそういうものはやるべきでない、かように考えております。
  32. 高木松吉

    高木委員長代理 教育委員会が教員の人事権を有しておることを理由に、証人日本書籍株式会社発行の教科書採択するよう教師に強要した事実はあったかないか、一つお述べになって下さい。
  33. 安藤武

    安藤証人 誓って、ございません。
  34. 高木松吉

    高木委員長代理 教育委員会は、昭和二十八年度の使用教科書中、小学校国語科を三種目に限定した際、証人は原案をくつがえして強圧的に日本書籍株式会社発行の教科書採択させた事実はなかったでしょうか。あったとすれば、その経緯について詳細にお述べになって下さい。
  35. 安藤武

    安藤証人 そういうことは絶対にございません。
  36. 高木松吉

    高木委員長代理 証人は、日本書籍編集顧問退職の後、教科書採択について、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが。いわゆる黒幕的活動をしておると聞いておるが、どうかということです。たとえば、その例として、昨年教科書選定委員の自宅あてに日本書籍教科書採択されたい旨の電報を打った等の事実がありますか。
  37. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。二十八年の七月に日本書籍関係を断ってからは、黒幕的とか、そういうことに動いたことは絶対にございません。さらに、選定委員に電報を打ったとかどうかかいう、そういう事実は私は存じません。
  38. 高木松吉

    高木委員長代理 証人は、教育委員として、教科書採択に関して不明朗な事態を惹起した責任を感じているかどうか、感じているとすれば、いかなる措置をとったか、またどうしようとしておるか、お述べになっていただきます。
  39. 安藤武

    安藤証人 先ほど申し上げましたように、教科書問題というものはこういう醜悪なものであるということが私最近になってわかったのでありまして、日本書籍の顧問でありました当時は、先ほど申し上げましたように、軽い気持でお引き受けをいたしまして、現段階になってきますと、まことに申しわけなかったということは考えておりますが、これに対しましてどういう責任をとるかということについては、まだ具体的に考えたことはございません。
  40. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長よりの尋問はこれで一応終了いたします。  これより委員諸君の発言を許可いたしますが、これまで通り十五分程度に願います。濱野清吾君。
  41. 濱野清吾

    ○濱野委員 簡単に一点聞いておきます。  限定採択の長所というか、証人の言われた限定採択をするに至った理由のうちの一つに、教科書の価格が非常に高くなっている、発行社の競争販売を助長したり、宣伝費に金をたくさん使わせたり、外交費等に経費を多く費消させると、それがしわ寄せとなって当然に教科書定価が高くなるであろう、それを限定採択にしてできるだけしぼることは定価を安くさせるゆえんだ、こういうように拝聴したのです。しからば、証人がここにおっしゃるように限定採択にしたことによって、二十九年に各種の採択された教科書定価は現実の問題としてどれだけ安くなったか。それから、そういうことを福島県下だけやったとしても、われわれの考えとしては、それが直ちに出版業者の作った本の定価の引き下げになるとは考えないのでありますが、どれだけ下ったかということと、また、福島県下だけでやっても定価は下らぬだろうということについて、この二つことについてお答えを願いたいと思います。
  42. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。ことしの二十九年度に採択いたしました教科書がどれくれい下っておるかという詳細のデータを私持っていないのでありますが、下っているとは考えられません。  第二は、お説の通り、福島県だけがこういう方法をとりましても、定価の引き下げはなかなかできませんで、当時教員組合回答いたしましたことが正しい一つの理論的な裏づけであるということは実際は私自身も確信を持って申し上げることができませんので、やはり、福島県だけでそういうことをいたしましても、原価を安くするというようなことはできないと私も考えております。
  43. 濱野清吾

    ○濱野委員 これは教科書採択その他に大きな参考になるのでありますが、二十九年度の採択について教育委員会が限定しました国語、さらにまた社会、理科等における著者の名前と発行所を、ただいまわかりましたならば、ここでお述べ願いたいと思います。
  44. 安藤武

    安藤証人 私の手元にはその資料がないのでございますが、事務局の者が一人見えておると思うのでありますが、それにちょっと聞いてみたらいかがでございましょうか。
  45. 濱野清吾

    ○濱野委員 この限定の実際をどこまでしぼったかということは、文部省の諸法令に相反してどれだけ教育委員会が教育行政をしたかということにつながって参ります。従いまして、しぼったその本の名前、編著者の名前、それから、その結果福島県におきましては何冊の採択が行われたか、こういう具体的なことの証言を得たいと思います。この問題は、価格に関する問題でありますから、私どもは重要な問題だと存じますので、お許しを得て係と打ち合せて証言を願いたいと思います。
  46. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申しますが、今係員は来ていますか。
  47. 安藤武

    安藤証人 みえております。
  48. 高木松吉

    高木委員長代理 それなら、そこへ呼んで、今のことに限り事務当局と相談して証言してください。
  49. 安藤武

    安藤証人 下の荷物取り扱い所に預けたカバンの中にあるというのですが、取って参ってよろしゅうございますか。
  50. 高木松吉

    高木委員長代理 ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  51. 高木松吉

    高木委員長代理 速記を始めて下さい。
  52. 牧野良三

    ○牧野委員 ただいま、福島県の教組から質問書十項にわたって回答をしたということでありますが、二十七年以来限定採択の方式をとり、しかして教組に回答をした後における福島県下世論というものはどうなったか、たとえば、証人証言によれば、限定採択を推進するような世論PTA、町村会、県議会等に起きたのでやったというのが直接の動機のようでありますが、しかし、教組から一つの抗議文が来て回答をした後、採択を終った後の県下世論というものはどういうふうであるか、その点をはっきりと証言願いたいと思います。
  53. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。職場からは非常に歓迎されております。さらに、現段階におきましては、御承知のごとく、地方教育委員会が発足いたしまして、その後、教科書採択の問題についても、地方教育委員会におきましては、従来の形式を踏襲してもらいたい、こういうことになっておりまして、本年の採択に当りましても、この問題を委員会においては再検討をいたしたのでありますが、やはり限定採択の線でいくのが望ましい、こういう世論でございますので、本年もそれを継続いたしたような状況でございます。
  54. 濱野清吾

    ○濱野委員 それで県下世論はわかりましたが、直接現場の教員諸君の声としてはどういうような反響がありますか。その点をお述べ願いたい。
  55. 安藤武

    安藤証人 現場の教職員間には非常に歓迎されております。
  56. 濱野清吾

    ○濱野委員 さきには福島県下の労組から質問書が十項にわたって発せられ、しかも、限定採択をした後には組合以外の現場教師の方からは非常に歓迎されているという証言であるが、これは校長だけの意見じゃないのでしょうか。ほんとうにたくさんの現場教員諸君に真に歓迎されているのかどうか。これは非常に重要なことです。歓迎されているということを証人がここで証言する理由、また事実それがありましたならば、こまかにお答えを願えればけっこうだと思います。
  57. 安藤武

    安藤証人 当時、教員組合の方から、先ほど申し上げましたように質疑が出たのでありますが、大体、組合におきましても、この教育委員会回答に対しまして了承をいたし、その後、教科書問題等について、組合の方から団体交渉あるいはまた質問状あるいはそれに対する反省を求めるというようなことを要求されたことがございません。従って、組合あるいはまた現場で直接指導に当っております先生方が、この限定採択を歓迎してないという具体的な事実につきましては、私遺憾ながら存じておりません。
  58. 濱野清吾

    ○濱野委員 労組は別として、現場の教師諸君が最も歓迎しているということについての具体的な事象がなければ、証人はここで歓迎しているという言葉が使えないわけではありませんか。どうしてそういうことを言い得るのですか。
  59. 安藤武

    安藤証人 事務局でそういうことを私どもに報告をしておるのであります。
  60. 濱野清吾

    ○濱野委員 それでは、ほかの面から一つお答えを願いたい。限定採択をしない従来の行き方だと、教科書がまちまちに使われて、県内の各学校の子供の学力差ができるであろう、そういう点から見ても限定方式を認容することは非常にいいことだというふうなお答えだったのでありますが、今まではほんとうに福島県下においてさえ学力差というものがはっきり出たという現象があったのですか。また、教育委員会はそういう事実を調査の上結論を得たのですか。この点を一つ御答え願いたいと思います。
  61. 安藤武

    安藤証人 学力差の問題は、福島県では非常に重要な教育行政の一つといたしまして、二、三年前からこの問題に取っ組んで研究調査をいたしております。つい最近も、教育調査研究所で、この学力調査の基本的な調査をいたしたのであります。私、学力ということがまだはっきりわからないのでありますけれども、一応高等学校を卒業して上級学校に入学するというような問題、それから、中学校の学力が全国に比較してどういうふうになっているか、小学校がどういうふうになっておるかというような詳細な調査をいたしたものが、「本県の教育はこれでよいのか」という一つの冊子になって、教育調査研究所において発行いたしております。本日はその本を私持って参っておりません。
  62. 濱野清吾

    ○濱野委員 この問題は、現在における教科書の数多いものに向って、採択後のいろいろな事情に関連してくる重要な問題でありますから、その調査書を委員会に提出されるようお願いいたします。
  63. 安藤武

    安藤証人 さっそく帰りましてから御送付申し上げます。
  64. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は大体それだけでいいのですが、あとの問題は書類が来ましたならば再びたださしていただきます。
  65. 高木松吉

    高木委員長代理 どうです。証人、来ましたか。
  66. 安藤武

    安藤証人 まだ見えません。
  67. 高木松吉

    高木委員長代理 高津正道君。
  68. 高津正道

    ○高津委員 数多いものを少数にしぼれば独占価格を形成するのに役立つというのが経済上のほとんど不動の原則ですが、あなたはそういうことはお考えになりませんか。石けんを売る会社が多ければ、競争によって安くなる。石けんを三社だけで製造販売するということになれば、価格は、三社がカルテルでも結べば、高い価格を維持することができる。そういう原則が考えられるが、あなたはそれに対してはどうお考えですか。
  69. 安藤武

    安藤証人 ごもっともだと思います。しかし、当時教育委員会といたしましては、宣伝費であるとか、あるいは特定のそういう販売のための費用をなくすれば価格が安くなるのではないか、こういうようなことで、私ども委員会においてそういう見方をいたしたのでございまして、私個人といたしまして、当時の心境と申しますか、やはり委員の皆様方と同じような考え方でこれを決定いたしましたので、御了承を願います。
  70. 高津正道

    ○高津委員 今濱野委員が、数種にしぼったならば定価が安くなるというが、福島県だけでそういうことをやっても、全国的に、あなたのところで三種なら三種にしぼった教科書の値段が下ったという事実があれば知りたいと思う、下る道理もない、こういう質問をされたのでありますが、それに対して、あなたは、われわれが肯定し得べき答弁はなさらなかったのであります。値段が下ったとは思いませんと言う。そういうことはあなたのような頭ではすぐにわかるはずであったが、それを少しも考慮しないで、値段を下げるためにやるのだという、そういう論理で押し通してやられたんでありますが、われわれはそれを了承することができないのであります。それはあなたはどうお考えになりますか。
  71. 安藤武

    安藤証人 当時この限定採択を審議いたしましたときの教育委員会の速記録がここにありませんので、どの委員がどういうような発言をいたしましたか、当時私個人といたしましてはどういう発言をしたか、はっきりしないのでありますが、当時は、私どももやはり前に申し上げましたような考え方でこれを決定いたしたのでございます。
  72. 高津正道

    ○高津委員 展示会の開かれる前に、あるいは展示会をまだ終らない前に、県の教育委員会で数種にしぼって採択をきめるということは、教科書臨時措置法等の規定に反することであるというくらいは御研究になったろうと思うのでありますが、その点に対してはどうですか。
  73. 安藤武

    安藤証人 これも問題になったんでありますが、文部省の通達というものは、絶対的なものでなくて、教育委員会において一応地方の情勢に照らしてみて最もその地域社会に即応するような方針をとってもいい、こういうことと承知いたしましたために、こういう処置をとったわけでございます。
  74. 高津正道

    ○高津委員 あなたの県に右へならえして、全国の各都道府県がそういうように数社にしぼるというようなことをすれば、九十何社ある教科書出版会社のうちで、そういう大きなまとまった商売、府県単位の商売でありますから、その獲得のために猛烈な運動が起きて、その名義は何であっても、実権を持っておる人をとらえるために、莫大な金を動かして、その県に売り込むための競争が非常に熾烈になって参りますから、九十何社あっても、最後に勝利を制するものは五社か十社のいわゆる大手筋だけに限られる結果になる、私はそう考えるのでありますが、あなたは全国的視野に立ってそういうようなことはちっともお考えにならなかったのでございましょうか。そのときお考えになったならないのほかに、そういうようなことになっても、やはり福島県方式の限定採択方式がいい、そのようにお考えになるのでしょうか。
  75. 安藤武

    安藤証人 当時は、そういうような全国的な視野の上に立って考えるというようなことを、私個人といたしましては考えておらなかったのでありますが、しかし、教科書問題がこういう全国的な大きな反響を受けた現在におきましては、これは相当大きな問題がありますので、私個人といたしましては、さらに慎重に考える必要があるのではないか、こういうふうに考ております。
  76. 高津正道

    ○高津委員 民主党において民編国管論というものがあり、それがごうごうたる非難を受けると、今度は民編統一というものになり、それがなお抵抗があまりに強いので、現在の段階では限定採択方式にまで退却しておる。こういう事実をあなたは御存じでしょうか。
  77. 安藤武

    安藤証人 具体的にどういうふうな動きをしているということは存じておりませんけれども、文部当局等においてそういうような一つの線の上に立って調査研究しているというようなことは耳にいたしております。
  78. 高津正道

    ○高津委員 あなたは、職場からは歓迎されておるということを言われたのでありますが、同僚濱野委員からの質問に対して、直ちに積極的に歓迎されていると認められるに足る証拠はございません、反対がないから賛成だと思っております。あるいはまた、事務局の者がそういうように私に報告をしましたというような御答弁でありますが、あなたは職場の教師の人事権を握っておられるのであって、上司と下僚との関係に立つのでありますから、非常に有力な教育委員がそういう立場を厳として支持しておることが明らかになると、反対の意思表示を下僚としてはしない場合があるのであります。反対の意思表示がないならば、それはすなわちわれわれのやり方に賛成をしておるんだ、歓迎をしておるんだということは、上に立つ古い頭の人が陥る錯覚であると私は思うのでありますが、あくまで、あなたは、現場の教師は歓迎しておるんだ、こういう信念を今でもお持ちでありましょうか。私の言うような話を聞けば、現場が歓迎しておるか歓迎していないかはやはりわからぬというのが真実に近いのではないでしょうか。その点を伺いたいと思います。
  79. 安藤武

    安藤証人 お答えいたします。現在においては、小中学校に関する限り、県の教育委員会は人事権を持っておりませんので、そういうふうに小中学校の先生が教育委員会の圧力を感じておると私は考えておりません。しかも、これは、福島教育委員会において決定いたし、委員会においてそういうことを認めておりますので、安藤個人の主観ではございません。私は委員会において過般もこの問題について教育長の報告を求めたのでありますが、ただいま高津先生のおっしゃるごとく、そういうような人事権を持っているある特定の権力の前にただ黙っているんだ、こういうような者は絶対にないとは言い切る勇気はないのでありますが、ただ、御指摘のそれを歓迎している具体的な事実を今私がつかんでいないことは、私個人といたしましては非常に残念だと思いますが、そういう確証を握っておりませんので、御了承願います。
  80. 高津正道

    ○高津委員 日本書箱株式会社というのは、国定時代から教科書販売をやっておった日本における四つか五つかの中に入る有力な教科書会社でありますが、そこの編集顧問をしておるということは、法律上疑義がないにしても、あなたも自由党の公認で教育委員に当選された人だと聞いておりますし、よく本ののわかる人でありますから、道義的に、あるいは政治的には、教育委員が有力な書籍会社編集顧問をやっておるということは許すことのできない行為であると私には思えるのですが、あなたはこれはどうお考えでしょうか。道義的には両立しないものである、県の教育委員という採択を扱う関係にある者が日書の編集顧問をやっておる、これは政治的、道義的には許されないのである、こう私は主張するのでありますが、あなたは、そうは思わぬ、こうおっしゃるのか、その点は同意する、こうおっしゃるのか、それを聞きたいのであります。
  81. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。直接教科書関係ないことでありますが……。
  82. 高津正道

    ○高津委員 ありますよ、ありますよ。
  83. 安藤武

    安藤証人 私、自由党の公認として教育委員には立候補しましたが、教育委員になりましてからは、自由党の党籍を離れております。  さらに、ただいまの問題でありますが、先ほどもお答え申し上げましたように、当時は私はほんとうに軽い気持でそれに携わっておったのでありますが、現在の段階になって考えてみますと、良心的には非常に申しわけない、そういう心境でございます。
  84. 高木松吉

    高木委員長代理 この際お諮りいたします。濱野君及び井手君より要求がありました通り、必要な書類について随行者と連絡をなさしめて、これが証言をなさしめたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議なければ、さよう取り計らいます。  安藤証人に申し上げますが、証人席において書類を検討の上証言して下さい。
  86. 濱野清吾

    ○濱野委員 もう一度証人に私が要求した趣旨を申し上げます。  要は、福島県の教育委員会が、教科書選定委員会を設けて、各教科目ごとに何種類かの教科書に限定して、これをあらかじめ公示したはずで、その公示した内容をまずここで述べてもらいたい。その内容というのは、本の名前——国語、社会、理科その他について、「明るい社会」とか何とか、公示した表題がありましょうから、それらを一つ述べてもらいたいことと、その本の発行会社と編著者、これを述べてもらう。これはなかなか大へんですよ。公示した後学校長等にこの中から選定させる方針であるというのですから、実際公示した中から、ただいま申し上げましたような、何という本が採択されたか、その編著者はだれであるか、その発行者はだれか、そうして採択された実数を一つ述べてもらいたい、そういう意味ですから、どうぞ。
  87. 安藤武

    安藤証人 ただいまの御質問の発行所と教科書名だけはわかっておるのでありますけれども、その編集された方のあれというのは……。帰りまして、さっそく文書で詳細に御返答申し上げることはできないのでございましょうか。
  88. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、そこで答弁のできる範囲を答弁して、できないものは追って書類で出すことにしていただきます。
  89. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。選定教科書の一覧表というのがございますが、ちょっと事務当局の職員と話してよろしゅうございますか。——ただいまここに、御質問内容の全部ではございませんで、個々の部数が幾らといった調査はございせんが、一応その本の名前と発行所、そういったものの表がございますので、御提出さしていただきたいと思います。
  90. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君、どういう方法でやりますか。
  91. 濱野清吾

    ○濱野委員 お諮りを願いたいと思います。プリントになっておりますから、あれをそのまま速記録に入れてもらいたい。これは時間の関係もありましょうから、それをこのまま速記者に渡して、そうして入れてもらいたい。
  92. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの、濱野君の発言を了承するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 議事進行。濱野君のあれは異議ございませんが、見ますると、二、三枚ございまするので、急いで刷っていただいて、みんなに見せてもらいたい。われわれ質問する場合に参考資料として見たいから……。
  94. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、明日までに配付することにいたします。   〔「今すぐできないか」と呼ぶ者あり〕
  95. 高木松吉

    高木委員長代理 とて今あれだけのものをやれるものではない。間に合いません。  それでは、ただいま濱野君の発言のように、会議録に載せることにいたします。
  96. 濱野清吾

    ○濱野委員 それから、数字が出ておらぬようでありますが、これは委員会名によって取り寄せて、それもあわせて速記に載せてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  97. 高木松吉

    高木委員長代理 それは数字が来てから委員長において取り計らうことにいたします。   〔安藤証人提出、福島選定教科書発行所別一覧、福島教科書採択部数、本号末尾に掲載〕  神田大作君。
  98. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人にお伺い申し上げますが、福島県で教科書を採用するに当りましてとっておられた方策の中で、選定委員というのがありますが、選定委員というものは、どういう方々を、どういう方法で、何人お選びになったか、お伺いいたします。
  99. 安藤武

    安藤証人 ことしの選定委員は何名でどういう人ですか、教育委員会の方は、事務局で厳秘にしておりまして、全然報告もしないのでありますが、昭和二十七年の限定採択の当初において教育委員会が委嘱いたしました数は、高等学校関係が一名でございます。それから中学校関係が五名でございます。小学校関係が五名、福島大学関係が一名、教員組合から二名、PTAから五名、有識者関係から三名、以上でございます。
  100. 神田大作

    ○神田(大)委員 この選定委員は一体どういう方法でどなたが選任するのですか。
  101. 安藤武

    安藤証人 教育長が、学校教育課、特に指導主事という各教科の指導に当っております者の意見を徴して、その道の権威者の勤めております各学校校長さん及び出張所長を通して、その先生を委嘱いたしますので、教育長の名によって委嘱いたしております。
  102. 神田大作

    ○神田(大)委員 この原案というものはどこで作成いたしますか。
  103. 安藤武

    安藤証人 教育長のところで作成いたします。
  104. 神田大作

    ○神田(大)委員 この選定委員教育委員会との関係をお伺いいたします。
  105. 安藤武

    安藤証人 どこのだれが選定委員になりますか、教育委員会は全然わかりません。教育長も事務局も、そういうことは教育委員会に全然発表いたしません。
  106. 神田大作

    ○神田(大)委員 採択の権限というものをあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  107. 安藤武

    安藤証人 地教委ができます前は、県の教育委員会が最後の採択権があるものだ、こういうふうに考えておりました。
  108. 神田大作

    ○神田(大)委員 県の教育委員会採択の権限があるのに、教科書選定委員選定するに当りまして、あなたたち教育委員会が何らの権限も与えられない、また、だれが選定委員になったかもわからない、どういうふうにして選定するかということは一切教育長の手元においてなされるということは、非常に法律に違反しておることであろうと思うのでありますが、これに対しまして、あなたたちは疑義を感じないのでございますか。
  109. 安藤武

    安藤証人 当時、選定委員を決定いたします前に、教育長から教育委員会に諮られました。従って、それは、教育長の専決として一切を教育長に一任する、こういうことを教育委員会で決定をいたしまして、教育長にその専決を許しております。
  110. 神田大作

    ○神田(大)委員 もちろん法的には採択教育委員会の権限であるというようなことは明記されておるのでございます。しかしながら、この採択をするにつきましては、十分現地の教師の意見を尊重しなければならないということは、これは文部省から省令で通達になっておりますが、こういう問題について、あなたはどうお考えになりますか。
  111. 安藤武

    安藤証人 従って、この選定委員の中には、組合関係の文化部長及び直接そういうような方面にタッチしております方にもこの審議会の委員になっていただきまして、現地の声を審議会に反映されている、そういうふうに私どもは了承いたしております。
  112. 神田大作

    ○神田(大)委員 現地の教師の意見を尊重するということは、教育長が上からピック・アップをして、少数の現場の教師を選定委員にいたしたり、あるいは教育に関係ある人を選任したりすることによって、現地の教師の意見が十分に尊重されるとお考えでございますか。
  113. 安藤武

    安藤証人 今までやって参りました福島県の情勢に関しましては、果してそれが絶対という言葉を使うことはどうかと思うのでございますけれども、現場の人の声が相当この採択の面に反映されておる、そういうふうに私個人では信じておりますし、県教育委員会におきましても、そういうような態度を持っております。
  114. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかし、教育委員の要職にあるあなたのような人たちでさえも、だれが選定委員になったかわからないというように、秘密主義によって選ばれて、果して現地の教師の意思を尊重できるような機構になっておるのかどうか、この点について私は大きな疑問を持つのでございますが、あなたはどうお考えになりますか。
  115. 安藤武

    安藤証人 先ほど申し上げましたように、審議会の委員の方々はその道の権威者でもありますので、従って、国語なら国語というようなものにつきましては、指導力もあり、また現地の教科を担任しております先生に対する感化力もある。そういったような面から考えてみまして、審議会委員に選ばれた方々は、現地の職場の先生たちの信頼を受けておる人たちである、こういうふうに私は信じております。神田(大)委員 それは私は何か思い違いだろうと思うのでありますが、少くとも、教科書というものは、現地の先生たちがたくさんの教科書を見まして、その先生がこの学校においてはこの教科書を使うことが適当であるというふうに選び出して、それを採択するというのが趣旨であろうと思う。ゆえに、採択に関しましては、一人々々の先生が十分に研究をいたしまして、自分にかなった教科書を選び出すことによってやることが一番民主的な採択方法である。しかしながら、いろいろな弊害がありますからして、あるブロックの先生たちとか、あるいは郡の先生たちが、お互いに研究会等を持って、そうして先生たちの下からの意思によってまとめられるというようなことはあり得ると思う。ところが、福島県の場合は、上から教育長が選定委員に特定の人を選任して、それらの人たちが秘密裏にある特定の会社教科書選定いたしまして、この教科書がいいというようなことを発表するというふうなことは、これは、私は、文部省の指示にも反するし、また現在の教科書採択の趣旨にも大いに反しておることであろうと思うのでございますが、あなたはそうお考えになりませんか。
  116. 安藤武

    安藤証人 御意見ごもっともだと存じますが、当時の教育委員会におきましては、一応そういう限定採択の基本方針をとりました。私個人の意見によってそれが決定したものではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。神田(大)委員 この選定委員会において決定いたしました教科書が、最終段階においては教育委員会にかけられて最終決定をされるのでございますか。お聞きいたします。
  117. 安藤武

    安藤証人 お答え申し上げます。形式はそういうことになりますけれども、今年度はこういうような教科書採択が決定した、こういうことを教育長が報告事項という形式で委員会に報告をいたす、こういう一つの慣例になっております。神田(大)委員 今のお話によると教育委員会というものは法律にも定められておるように教科書採択権を持っておるにもかかわらず、これを形式化されまして、教育長が実権を握っておる、こういうように解釈していいのですか。
  118. 安藤武

    安藤証人 さようではございません。教育委員というものは、福島県の構成で申しますと、高等学校の経験のある先生が現在お一人いらっしゃいますが、大多数の者は教育に対してしろうとでございます。従って、法的には教育委員会がこれを決定するとはいいますけれども、私どもは事務局を絶対に信頼いたしております。教育委員会の問題として事務局がやっておるという一つの信頼感の上に立って考えますときには、私どもは事務局のやっておりますことに全幅の信頼をいたしております。大体、福島県では、そういう問題に関する限りはそういう行き方で今までやって参りました。
  119. 神田大作

    ○神田(大)委員 選定委員の中に教科書会社関係を持っておる方は今までにありますか。
  120. 安藤武

    安藤証人 はっきりわかりませんが、ないと思います。
  121. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、教育委員の中にはありましたか。
  122. 安藤武

    安藤証人 先ほど申し上げましたように、私が、昭和二十六年の七月から昭和二十八年の七月まで二カ年間、日本書籍編集顧問という名称で関係を持っておりました。
  123. 神田大作

    ○神田(大)委員 ほかにありませんか。
  124. 安藤武

    安藤証人 現職のことは私は存じておりません。
  125. 神田大作

    ○神田(大)委員 黒木喜一という方はどういう方ですか。
  126. 安藤武

    安藤証人 前歴は、福島師範学校を御卒業なさいまして、県視学をやり、主として青年学校時代に青年学徒の指導に当っておりましたごりっぱな方であります。現在は教育委員に御当選なさっていらっしやいますが、教育委員になります前は、学校図書と申しますか、学図と通常言っております。そこのお仕事をしていたように承知いたしております。
  127. 神田大作

    ○神田(大)委員 私の聞くのがちょっとまずかったかもしれませんが、教育委員になる前において教科書会社との関係のあるような方がありましたら、それも一つ御発表願いたい。
  128. 安藤武

    安藤証人 教育委員に御就任になります前に教科書会社関係を持っていた方は、黒木喜一さんお一人でございます。
  129. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは日本書籍編集顧問というようなことをやっておられたと申しますが、昭和二十八年の選定委員会のときに三つの教科書会社選定されまして、その中に日本書籍が国語教科書の場合選定に入ってなかった。ところが、これに対しまして、この日本書籍選定に入ってないので、学校図書株式会社のものを除いて、そのかわりに日本書籍を入れたということがわれわれの調査によって調べられておるのでございますが、そういう点について、その事実、あるいはどうして学校図書株式会社教科書が原案にあったのにのけられて、そうして日本書籍株式会社教科書が採用になったか、そのいきさつを御説明願いたいと思います。
  130. 安藤武

    安藤証人 いきさつは、私、存じません。学校図書が入っていたのが、学校図書を除いてそのかわりに日本書籍を入れたとか、そういうような事実は、私は全然存じておりません。
  131. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。ただいま、神田委員質問に対して、全然知らないとおっしゃいますが、小学校国語の方で、学図、二葉、東書の三つが最初原案としてあったものを、委員会において学図が削られて日本書籍に変えられたという事実を私どもは知っているのであります。証人はその際、その日かあるいはその前後にも、この教育委員会には出席されておらなかったのか、ほんとうに事実を知らなかったのか、その点をお尋ねいたします。
  132. 安藤武

    安藤証人 選定委員会がどこでいつ開かれておったか、私は全然承知いたしておりません。従って、日本書籍が脱落をしたのを、私がそれを入れて学図を落した、そういうようなことは全然私は存じませんので、それ以上お答え申し上げることはできません。
  133. 井手以誠

    井手委員 証人が学図を削って日書を加えたとは聞いていないのであります。最初三つの会社の本が原案として載っておったものを、委員会において変えられたという事実を、その当時か、後日でも、お聞きになったことがおありになりますかどうですか。
  134. 安藤武

    安藤証人 聞いたことがごいません。私は、やはりそのままそういうふうに選定委員会の方で決定したものだと、現在でもそういうふうに信じております。
  135. 井手以誠

    井手委員 その教育委員会には御出席になっておりませんか。この採択に関する委員会には出席になっておりませんか。
  136. 安藤武

    安藤証人 出席いたしておりません。
  137. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなた日本書籍株式会社編集顧問になっておったと申されますが、この仕事は一体どういう仕事でございますか。
  138. 安藤武

    安藤証人 先ほど委員長の総括質問のときにお答え申し上げたのでありますが、私は、編集顧問というような名称はいただいたのでありますが、直接編集にタッチいたしたことはございません。ただ、福島県の教育界における日書に対する教科書批判、さらに、今後日書の書籍をよりよいものにして教育界にもっと実績をあげるためにはどういうような一つ編集方針であらねばならないかというような情勢は、私の知っている範囲内においていろいろ本社にも御報告申し上げました。その一つの現われといたしまして、現在社会科教科書の中に、常磐炭鉱あるいは安積疏水、そういうような教材が織り込まれて編集されているのでありまして、そういうような仕事に主として当って参りました。
  139. 高木松吉

    高木委員長代理 神田委員に申し上げます。持ち時間が経過いたしましたから、簡略に願います。神田(大)委員 日本書籍福島県に駐在員というようなものはお置きになりましたか。
  140. 安藤武

    安藤証人 昭和二十七年に駐在員を設置いたしまして、その駐在員を設置するときの駐在員のあっせんを私がいたしまして、しかもその駐在員というものは、私の個人的に非常につながりを持っている親交のある者でありますので、実は、当初は私は、その駐在員仕事を助けてやりたい、こういったような親心から、その駐在員仕事に協力をいたしておった、こういう事実はございます。
  141. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人にお尋ねしますが、日本書籍昭和二十三年ごろから二十四、二十五、二十六、二十七、二十八、二十九、三十というような年度においての採択金額というか、もしそういうものがおわかりだったらば、お知らせ願いたい。
  142. 安藤武

    安藤証人 手元に持っておりませんので、さっそくその方面に連絡をとって、こちらの委員会の方へお届けするようにしていかがでございましょうか。私、存じておりませんので……。
  143. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人は、日書の編集顧問として、まことに失礼な話でございますが、報酬は幾らくらい……。
  144. 安藤武

    安藤証人 報酬といたしましては、一万円いただいておりました。
  145. 神田大作

    ○神田(大)委員 月ですか。
  146. 安藤武

    安藤証人 はい。
  147. 神田大作

    ○神田(大)委員 一万円の報酬をもらっておって、ただ情報の提供だけをやっておったということは、ちょっとへんでございますが、教科書会社の一番の生命は、作った教科書採択してもらって、売ることです。この仕事に対しまして、あなたはどのような御活躍をなさいましたか。
  148. 安藤武

    安藤証人 駐在員が、先ほど申しまたように、日書の駐在員になります前に本屋を経営いたしたこともございますし、さらに、福島県の文化活動の中心的な存在として各方面に相当名が売れている青年ではあったのでありますが、しかし、直接学校等にはあまり深く全県下に出入りいたしておりません。従って、私がよします前までの昭和二十六年、二十七年の二年間は、どこでも学校に行っていろいろ講習会の問題あるいはまた校長先生方とお打ち合せをいたす、こういうようなときに、僕の親友なんだからお伺いするからよろしくという紹介状を書いた、こういうことはいたしております。それ以上のことはいたしておりません。
  149. 高木松吉

    高木委員長代理 神田君に申し上げます。簡単にお願いします。
  150. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは、県の教育委員といたしまして、少くとも採択責任者である。これは、何とお答えになろうとも、教育委員福島県の場合は採択の最高責任者である。しかも、教科書選定に対しまして、しぼった採択をやっている。その教科書採択に対して非常に重要な地位にある人が、一つの特定の教科書会社編集顧問として報酬をいただいて、しかもそういう採択に対しまして運動をしているというようなことに対しまして、矛盾を感じなかったかどうか。
  151. 安藤武

    安藤証人 先ほどもお答え申し上げたと思うのでございますが、昭和二十六年から私が関係を断ちました二十八年までの二年間は、大へんそういうことに対しましては申しわけないのでありますけれども、軽い気持で実はこの仕事に携わっておったのであります。昭和二十八年に公正取引委員会から例の問題についてのいろいろな通牒が流れ、さらに教科書問題のことについていろいろ世間からやかましく言われるようになりまして、全然関係を断ったのでありますが、現在になって振り返ってみますと、決してこれは正しい動き方ではなかった、こういうことで、非常に私自身も済まない、こういう反省をいたしております。
  152. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは、教育委員になりまして、そうして日本書籍編集顧問をおよしになってからも、日本書籍教科書採択に関しましていろいろの運動をしておるということがわれわれの調査に上ってきたのですが、先ほど、あなたは、だれかの質問に対しまして、そういうことは絶対にない、こうお答えになっておりますけれども、あとでもって偽証罪なんかになると非常に困ります。これは、あなたが長い間日本書籍関係があった、そういう情実の関係上、そういうことも私は常識的にあり得ると思う。また、あなたの非常に信頼する人が駐在員になっておるのでありますから、その人が、一冊でもよけい採択してもらわなければならぬというような立場がありますならば、先輩であり、信頼してくださるあなたに対しまして、いろいろとそういう点について助言を求められるだろうと思いますが、そういうことからいたしまして、あなたが日本書籍採択に関しまして何らの運動もしておらぬ、絶対にそんな運動をしておらぬというようなことを言い切ることに対しまして、何かわれわれは納得できないのでございますし、あとで問題が起ると困りますので、そういう点が多少なりともあるのなら、あったということを一つ証言願いたいと思います。
  153. 安藤武

    安藤証人 たびたび申し上げますように、私はそういうことに対して積極的に運動はいたしておりません。ただ、御質問の中にもありましたように、今泉君が私の家に参って助言を求めるような場合には、こういうようにしたらいいじゃないかという助言は、私、与えたことはございます。その程度のことで、私は自分で積極的にそういう運動は絶対にいたしておりません。
  154. 井手以誠

    井手委員 関連して……。
  155. 高木松吉

    高木委員長代理 たびたび関連をやられると困るのです。あとでまた許しますから、簡単に願います。
  156. 井手以誠

    井手委員 ただいま神田委員質問に答えて、編集顧問在職中は何ら運動をした事実はないとおっしゃいました。先刻委員長質問に対しても同様のことを答弁されたのでございますが、採択に関して、教育委員に対し、「よろしく頼む、安藤」という電報を打たれた事実を私どもは聞いておるのでございますが、そういう事実はないとおっしゃるかもしれません。先刻来も、知らぬ存ぜぬというお答えでございますので、おそらくそうかもしれませんけれども、ほかの人があなたの名前で打たれたということも後日聞いておられませんか。この点をお尋ねいたします。
  157. 安藤武

    安藤証人 初めて承わりましたことで、非常に私心外であります。電報を打ったようなことは全然ございません。もしそういう事実があったといたしますならば、私はどういう御処分を受けてもいいのであります。県の警察の手を通してでも、どういう者がそういうことをしたか十分お調べを願いたいと思います。さらにまた、私の名を使って電報を打つというような、そういうあくどい人は私はないと思います。これはもちろん想像でございますから、ここで証言する勇気は持っておりませんけれども、あるいはそういういたずらをする人があったのではないかというような考えがないでもございません。
  158. 高木松吉

    高木委員長代理 神田君、時間が経過しておりますから、簡単に願います。
  159. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたが日書の駐在員助言をしたというのは、一体どういう助言をされたのですか。
  160. 安藤武

    安藤証人 具体的にどういうことを助言したかという記憶は持っておりません。ただ、他社の動きがこうこういうふうになっているという情報だが、一体、かりに社会科なら社会科のことで、あの地方で一番よく研究している先生はどなたでしょう、こういうようなことを聞かれて、私の知っている範囲で、それならば、どこそこの学校の先生が社会科の権威だと聞いている、だからその先生のところに行って御相談申し上げたらどうかという、その程度の内容のことを言った記憶はございますが、そのほかに具体的にどうこうということは、はっきり申し上げることはできません。
  161. 神田大作

    ○神田(大)委員 わかりました。
  162. 高木松吉

  163. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先ほど同僚委員からいろいろ限定採択についてのお尋ねがあったのですが、証人は、最初東京書籍、二葉、学図、この三社がきまっていたのに途中から日本書籍が入ったという事実は知らぬし、そういう委員会にも出たことはない、こういうお答えでございました。おそらくこれは委員会に諮って変更したのも何でもないと私は考えるのです。この三社にきめたということは、最初こういうことにしたらいいじゃないかといって考え出して案を立てた人は佐藤という次長さんじゃないですか。その方を御存じですか。
  164. 安藤武

    安藤証人 次長に佐藤光という人がおります。
  165. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたはその佐藤という人と懇意でございますか。
  166. 安藤武

    安藤証人 教育委員会事務局の次長でございますので、懇意とか何とかというほどの親しさは持っておりませんが、やはり事務局の次長としての交際はあります。公人的な交際以上に出ておりません。
  167. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこで、表面上の問題としては、決してこれは委員会で変更したわけでもない。要するに、佐藤さんの手元で学図、東京書籍、二葉、こういうことにきめたいという案が出ていたと私たちは思っているのです。そこに日本書籍が入っていなかった。だから、あなたなりあるいは日本書籍の方々の運動によって、学図が削られて日本書籍になった、それが原案になって審議されて修正なしに通った、こう私は考えるのです。だから、あなたの証言は間違っていないと思うのです。聞いている人たちは、委員会でひっくり返したか、あるいは原案として出たものをひっくり返したか、こういうようにあなたに対してお尋ねしているのであります。そうではなくて、原案になったときはすでに日本書籍というものは入っていたんだ、ただ、原案として次長の佐藤君の手元で最初に作られていたのには学図が入っていた、それが何かの力で学図が抜けて日本書籍が入って、それが原案になった、こう思うのです。あなたは、その案が佐藤さんの手元にあったときに、日本書籍が入っていなかったということに対しての相談を受けたか、それとも、相談を受けなくても、あなたも日本書籍の顧問までした人ですから、人情として日本書籍を何とかしてくれというようなことを言った覚え、あるいは働きかけた覚え、あるいは依頼した覚えがございませんでしょうか。
  168. 安藤武

    安藤証人 たびたびのお尋ねでございますけれども、私、そういうことは全然承知しておらないのでございます。どういうふうになりましたか、全然存じません。
  169. 辻原弘市

    ○辻原委員 ちょっと関連して。今の点は非常に重要なんですが、先ほどからの各委員質問は、委員会の席上に持ち出されたときに原案がひっくり返って日本書籍が加わったのではないか、こういうふうな意味の質問であった。あなたは、それに対して、そういう事実は一切存じ上げておりません、こういうようなことでした。今佐々木委員から指摘された、委員会に慣例として報告される事項の中にはすでに日本書籍が入っていたのではないか、すなわち原案を作成する場合には委員会委員の中ですでにそういうすりかえが行われていたのではないかという質問に対して、その事実は知らないと言われました。それは間違いございませんか。
  170. 安藤武

    安藤証人 先ほど申しましたように、教育長から委員会に、もともとこの三社が入っているように報告されたのでございますから、委員会でそれがくつがえされたというようなことはもちろんございません。しかも、ただいま、初め学図が入っていたのに、佐藤次長の手元にある間に学図が抜けて日本書籍が入ったという事実があるように承知しておるが、君は教育次長に対して入れてくれとか何とかそういう働きかけをしたか、こういう御質問でございますが、その間において学図が抜けて日本書籍が入っていたのか、学図はもともとからその中に入っていなかったのか、その委員会あるいはまた事務局のその審議に当った方がどういう審議の経過をたどってそこに決定したのか、そのいきさつは全然存じておりません。
  171. 辻原弘市

    ○辻原委員 あなたは非常にデリケートな答弁をされておりますが、佐藤次長の手元ですりかえられたとかすりかえられないとかいういきさつは二の次として、その際に、そうしたいきさつについてあなたは何か相談を受けたか、ないしは、あなたの方からそういうことについて情として佐藤次長あるいは事務当局の方に話しかけられたか、——その内容については三つの問題がある。佐々木委員はひっくるめて質問をされましたが、私はその前段についてはっきりしておきたいと思うのです。事務当局の手元において、これは佐藤次長ないしは当時の教科書を扱っておった課長があったはずだと思うが、それらの間において、この学図と日本書籍とのすりかえ問題のいきさつについて、あなたは風聞としても全然聞いていないのかどうか、その点について証言を願いたいと思います。あなたが関知しておったということは次の問題です。そういうような事柄があったかなかったか、あなたはそれについて風聞としても全然聞かなかったかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  172. 安藤武

    安藤証人 日本書籍の山本福雄のは一番りっぱな国語であるので決定したんだ、ということは委員会において言ったのでありますが、その間、次長、課長間においてそういうことをしたかどうかというような風聞を耳にいたしたことはございません。
  173. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人は非常に上手な答えをしておられまして、こちらの方から佐藤次長とか、また辻原君からは課長の名をさして質問するので、そういう方々に働きかけたことはない、そういう方々ですりかえられたとは思わない、こういうお答えでございました。多分そうであるかも知りません。しかし、大体三社が原案となる前にきまっていたのが、日本書籍が入ったということだけは、すでにわれわれの委員会の連中は承知しておるのであります。それからまた、ここに福島の教員の方々から投書が来ておりますが、ちゃんと名前を書いて来ておりますから、その人たちもそういうことを知っておることははっきりしております。そうすると、知らないのはあなただけなんです。東京にいるわれわれも知っており、地元の人も投書をよこしておる。それに、あなただけはそういうことは風聞だに聞かないということでありますが、何かの形で運動したかしないかは存じません。そういうことは一切抜きにして、日本書籍がとにかくそれに入ったということについてのうわさも全然お知りになりませんか。それは不正な手段で変ったかあるいは本がよくて変ったのかは知りません。しかし、日本書籍あとからこれに入ったということに対しての何らのうわさも、人からもあるいはいろいろな方面からも聞いたことはないとはっきり御証言できますか。
  174. 安藤武

    安藤証人 私は、その投書の方々はどういうふうに聞いたかわからないのでありますが、うわさも何も聞いたことはございません。
  175. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 聞いたことがないと言われれば、それ以上ついても仕方がありませんが、あなたは、日本書籍編集顧問をやり、しかもその編集のことについては大した仕事もやらなかった。そして月に一万円のいわゆる手当をもらっておる。昭和二十七年に日本書籍福島駐在員を置いた。駐在員を置くということは、やはり販売の拡張でございます。その販売の拡張をする今泉という人をあなたがお世話した。そうしてその人に対するいわゆるお手伝いをしたような御証言をいただきました。助言することもこれはお手伝いです。そうすれば勢い採択方面にあなたが陰に陽にお手伝いしたということは当然じゃないですか。それは決して悪いことじゃないですよ。あなたはしいてこの採択面に対しては全然関知しない関知しないと言っておりますが、私がもし日本書籍のいわゆる顧問であり、一カ月一万円でも五千円でも手当をいただいておれば、その会社のために尽すということは、これは社会の通例であります。ことさらに、そのことに対して、私は手伝いしない、何を売ろうが売るまいがそれは会社の勝手だというような態度でおられたかどうかということは、私は疑いを持たざるを得ません。  そういう点から一つ承わりたいのは、この採択の数字であります。あなたが日本書籍の顧問をやられた、そうして今度三社にきめた各会社採択部分が福島ではどうなっておるかという数字であります。あなたのもとにまだ資料がないということでございましたが、昭和二十八年、二十九年、三十年というように三年にわたる統計がございます。中学の分を申し上げますと、日本書籍昭和二十八年には四万一千五百八十五冊、昭和二十九年には四万六百七十冊、それが昭和三十年になりまして十二万四千百二十八冊、大体昭和二十八年から三倍の売り上げになっております。一方、東京書籍が、昭和二十八年には十五万三千六百七十八冊、昭和二十九年は十四万七百四十四冊、三十年になって九万六千三百二十九冊、他の会社はみな少くなっております。しかるに、あなたが顧問をしております日本書籍は約三倍以上になっております。こういうことは、数字が現わすように、あなたないし日本書籍駐在員を初めとしての販売の拡張というものは福島では非常な勢力を得てきた、こういうふうに私は見るのであります。こういうように日本書籍が三倍以上の成績を一、二年のうちにあげてきたこの事実は、どういう点が原因でございましょうか。書籍がよかったからでしょうか、それとも、採択部面に非常な活動があったのでしょうか、宣伝がよろしかったのでしょうか、先生方に理解させる点が十分であったのでございましょうか、この数字に基くあなたの感想を承わりたいと思います。
  176. 安藤武

    安藤証人 この調査は私も持参いたしておるのでありますが、これは、御承知のごとく二十八年度から限定採択をいたしまして、三カ年継続使用をいたしますので、従って、二十九年度は同一教科書が倍になる、三十年度には三倍になる、こういうことでございますから、これは不思議がないと思うのであります。それから、ふえる率から申しますと、なるほど日書はふえておりますが、大日本図書もふえておりますし、中教出版のごときもふえております。また、開隆のごときも、十九万ちょっとが二十万にふえておる。日本書籍がふえましたのは、二十八年度の採択のときに採択をされましたために、それが二十九年度、三十年度と、大体三倍になる、こういう数字が出たと思うのでありまして、二十八年度の限定採択のときにいい教科書を作った、——それは販売方法もよかったのですか、先生方をして御理解をいただく度合いも深かったのか、私は存じまもんけれども、とにかく継続使用をする限定採択の線に沿うたためにふえたものである、かように考えます。
  177. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、他の会社は、今読み上げた通り、東京書籍などは減っております。昭和二十八年の十五万三千六百七十八冊が三十年度には九万六千三百二十九冊に減っております。こういうふうに減ったというのは、どういうのですか。
  178. 安藤武

    安藤証人 どういうわけで減っておりますか、私は具体的にその内容はわかりません。
  179. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私たちは、会社が努力してふやすことには、何もねたみもそねみもするわけではないのです。あなたの証言によると、他の会社もふえておると言うけれども、他の会社のふえておるのはほんのわずかです。十六、七万のものが十八万にふえたのですが、三倍にふえたというのはあなたの顧問をやられていた日本書籍だけなんです。そこに、いろいろなうわさとからみ、要するにこの採択部面における問題があるのではないかというように、われわれとしては当然そこに考えをいたさなければならぬと思うのであります。これはまた常識だと思うのです。そして、あなたのような有力な人が日本書籍のかっては編集顧問であり、しかもあなたの懇意な人を駐在員に置いて、福島県下の書籍採択に力をいたすということになれば、当然このぐらいの数字は出てきていいと私は思うのです。その点は率直にお答え願った方がかえっていいのではないか。何もそれを私は罪悪視しているのではないのです。いい本であるものを、あなたが力を入れて、この本を使えということに努力なさることに何の御遠慮があるものかと私は思うのです。そんなことに遠慮する必要はない。ことに、教育委員として、日本書籍の方がいいのだ、いい本を使うために努力するということには、私はそれに口をさしはさむ必要もないと思うのです。ただ、それにからんでいろいろな醜聞があったり供応、買収があったとするならば、これは慎しまなければなりません。われわれがあなたに質問しているのはそういうことじゃないのです。三社に限定されて、そしてあなたのような有力な人が日本書籍のいい書籍を十分に宣伝したからこういう数字が生まれてきたのだという納得がいけば、私たちはそれで十分なのであります。ただ、あなたが、どこまでもどこまでも、そういう点は関係ない、採択部面には何ら関知していないということになると、申し上げたくなるのであります。なぜならば、ここに投書が来ております。この投書は福島関係のものが何通も来ておりますが、これを読むと非常にあなたの名誉を傷つけるようなことが書いてありますので、全部を読みたくはございません。しかし、福島における投書を見ると、いわゆる採択部面について、学校の先生に呼びかける、料理屋に招待した、あるいは金をばらまかれた、こういうような事がたくさんここに書いてあります。採択部面について福島県はいろいろな問題が起きておりますが、そういう点に対する醜聞、忌まわしい事件の一つでも二つでも、御存じでありましたならば、お答え願いたい。
  180. 安藤武

    安藤証人 先ほどの御質問で、私は絶対に採択に関知しないという答弁はいたしておりません。私が公正取引委員会通牒によって日書と関係がなくなってからは関係しておりませんということでございます。二十六年から二十八年までは採択に対して相当努力をいたしたことは、私、率直に申し述べておりますので、御了承を願いたいと思います。その醜聞というものは、うわさを聞かないでもないのでありますが、しかし、いつだれがどこでだれを招待してどうしたとか、あるいはだれがいつどこで金をばらまいたとかいう確証は、はっきり私は握っておりませんので、御証言いたしかねる次第であります。
  181. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 福島民報に出た事件もあるのじゃないですか。
  182. 安藤武

    安藤証人 福島民報に出たと申しますと、それは教科書採択の問題を連続もので書いたものでございましょうか。
  183. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 料理屋に招待されたとか何とかいうことは出ませんでしたか。
  184. 安藤武

    安藤証人 新聞の中に、抽象的に、供応をやったとかいうことが伝えられておる新聞記事が載っていたように記憶しております。
  185. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その伝えられているということの一事でもよろしいのですが、記憶がありましたら……。
  186. 安藤武

    安藤証人 記憶がございません。
  187. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 教育委員長までしたあなたが、教育界のこういう忌まわしい事件というものは、ちょうどわれわれが新聞を読むときに政治面を第一に読むと同じに、教育という問題に対してはいち早くあなたは関心を持たなくちゃならぬと私は思う。これがまた教育委員の任務だと思う。そして、福島の教育界に一つの忌まわしい問題でも起きてはならないという御努力をなさることもあなたの職責であろうと考えます。いろいろ新聞にも伝えられ、あるいはいろいろこの委員会でも問題になっておりますし、しかもいち早くあなたを証人に直接呼ぶことも決定しておりましたのですから、今の知らないというようなお答えで、そうですかと言って引き下るわけには参らぬのです。こういう事実もあったが、その後こういうように今は自粛されているとか、こういう問題があったが、この結末はこうなっているというふうに、教育委員としての責任上、しかも国民環視の中の国会において堂々と述べなくてはならぬのではないか。それを、ただ存ぜぬと逃げてこの場を通そうという態度は、教育委員としての態度でございましょうか。もう少し冷静になってもらいたい。われわれは、国会が休みになっても、もう一生懸命になって、教科書の改革をやりたい、そして先生方にも迷惑をかけぬような、生徒の負担も軽くなるようなものにして国の教育をよくしたいという熱意でやっているこの委員会で、あなたはただ知らぬ存ぜぬで通そうとしておる。私たちは、検事的な役でそのことを引っぱり出して犯罪にしようというのじゃない。どうかそういう気持で私の今お尋ねしたことにお答えを願いたいと思います。
  188. 安藤武

    安藤証人 ただいまの御質問は、供応とか何かしたことをお前が知っていないはずがない、教育委員の職責の上からもそういうことは十分調査すべきであるというようなお尋ねでありますが、販売会社がどういうようなことでどういう方面に招待をしてどういうことをするかということは、私どもはとてもそういうことまでは調査もできません。そしてまた、そういうふうな問題でも、単にそういうことが伝えられているといううかさだけでありまして、確信を持っていませんことを、だれがどこでどういうことをしたかということを、私はとても申し上げることはできないのであります。私自身がそういうことをやったということならば別でありますが、私は供応とかなんとかいうことをやったこともございませんし、私の親しい駐在員がやったということも私は存じておりません。さらにまた、よその会社の方々、あるいはよその販売の方々、駐在員の方々が、そういうことをやったかどうかということは、私は遺憾ながら存じておりません。
  189. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 教育委員会は、教職員の監督の責任がないのですか。
  190. 安藤武

    安藤証人 御承知のごとくに、地教委ができますまでは、県下の小中学校の先生方も教育委員会の指揮監督下にあったのでありますが、小中学校の先生は、現在においては地教委の指揮監督下にありまして、直接県の教育委員会はそれらに対して何も権利を持っておりません。
  191. 高木松吉

    高木委員長代理 関連発言がありますから、西村君に許します。
  192. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今までの佐々木委員質問に関連してお尋ねいたします。証人は、教科書販売競争や何かについては全然知らない、ただばくとしたうわさを聞いているにすぎない、こう言われます。しからば、限定採用を教育委員会できめた理由として、第一項に、販売競争による定価の引き上げ、そういうことを教育委員会責任を持ってあげているわけなんです。この責任を一体どうするか。限定方式に行ったというその理由の第一番目に、最も大きいウエートを占めている理由はそこにあると主張されている。教育委員会責任を持ってやられた。しかも、あなたが教育委員長のときにその方針をとられた。そうすると、そのように何も確信のないところへ理由づけをやって限定教科書方針をとったのであるか。そういうことならば、教育委員会責任をとった立場とは私たちは考えられない。その理由を取り上げたそのことと、今の御証言関係を、教育委員長として、あるいは現在の教育委員としての責任ある立場から、御答弁を願いたい。
  193. 安藤武

    安藤証人 前にも申し上げましたように、教育委員会は七名の者の合議制であります。その当時は、やはり教育委員会として、すでに基本方針によって限定採択をいたしました。従って、会社販売競争をやっていることを私自身知らないとは、私は申し上げません。競争は相当激しくやっておるでありましょうけれども、そのための供応であるとか買収であるとか、そういうことの具体的事実を知っていないかという御質問でございますから、私は知らないと申し上げたのでございまして、当時の教育委員会限定採択をきめたということは、先ほどお答え申し上げた通りでございます。
  194. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、具体的にお聞きいたしますが、あなたは、本屋さんと、料理屋とか旅館とかで晩飯を食ったり、あるいは一緒に、委員会でなくても、懇談したようなことはございませんか。
  195. 安藤武

    安藤証人 本屋と申しますが、それは特定の本屋さんのことでございましょうか。
  196. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 本にからむ会社販売会社でもいいし、発行所でもよろしゅうございます。
  197. 安藤武

    安藤証人 それは二回ございます。と申しますのは、福島県には特約業者が二軒ございます。一つは、学図であるとか東京書籍、あるいは日本書籍とか、そういったたくさんの会社の特約をやっております西沢という人が経営しておりますものと、もう一つは、二葉の発行本だけを取り扱っている岩瀬書店というのがあります。その教科書販売会社において、年に一回、販売取扱い業者、小売り業者と申しますか、それを招待いたすことがございます。そのときに教育委員あるいは教育長、学校教育の指導関係の先生方、面接教科書にタッチしております方を公的に招待することがございまして、それに二回だけ、その総会のときに招待を受けて出席いたしました。それ以外に本屋の方とそういう酒席で一緒になったことはございません。
  198. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 飲んだ食ったの問題までこんなところでお聞きしたくないのですが、あなたはどうしても採択部門には関係してないと言うので、こうしつこく承らなくてはならない結果になったのです。  市会議員の吉田さんという人を知っておりますか。
  199. 安藤武

    安藤証人 どこの市会議員でございましょうか。
  200. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 福島
  201. 安藤武

    安藤証人 存じておりません。
  202. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 若松市にもおりませんか。
  203. 安藤武

    安藤証人 若松市の吉田さんという方は、名前がちょっとはっきりしないのでございますが、代書人をしていた方で現在落選をなさっております方がありますが、吉田さんという姓で私の知っている方はその方一人でございます。
  204. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 県会議員に唐橋さんという人がおられますか。
  205. 安藤武

    安藤証人 ございます。今度二回目でございますが、前に中学校校長先生をやっていらっしゃった方で、現在二回目の御当選をなさった方があります。
  206. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それから、同じく県会議員で、佐久間という人を御存じですか。
  207. 安藤武

    安藤証人 存じております。
  208. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この佐久間さんとか唐橋さんとか、こういう人は本の取次店か何かやっておりませんか。
  209. 安藤武

    安藤証人 佐久間さんという方は、県の教員組合委員長をおやりになりまして、その後、四年前でございますが、県会議員の候補に立って、不幸にして落選をなさいまして、今年の四月また立候補して、今年の四月は当選なさったのでありますが、四年間は、二葉の出張所長と申しますか駐在員と申しますか、二葉の方のお仕事をやっておりました。
  210. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 福島のことを調べてみますと、市会議員県会議員教育委員、あるいは今言うところの駐在員、あるいは取次店、こういう方々に対するいろいろな供応、買収の問題が私の手元にある。しかし、これをあげると、十五分の時間じゃできませんから、こうしたああしたというようなことは申し上げないのですが、これら一連の人々が常に本屋さんと一緒に飲んでいる、こういうデマもあるということがあげられております。こういう点に対して、あなたも一緒になっているという投書なんであります。それで私は承わっているのですが、どうしてもあなたはそういう点に対しては知らぬ存ぜぬということになれば、これ以上お聞きしたところでいたし方がありませんから、この程度にしておきますが、問題は、先ほど他の委員からも御質問があったように、三社にきめることもけっこうですが、しかし、そのきめた趣旨、目的に対して、何項目かにわたって答弁されているわけです。その答弁された中に、要するに、大きく取り上げられているのは、本県教科書採択の現情は、種類があまり多過ぎる、第二は値段が高過ぎるということでございましたが、現行の価格では高いという結論が出たから、高過ぎるという問題が起きたのだろうと私は思います。その高過ぎるというのは、あなた方の研究では、どの程度高いか、どの程度今引き下げることができるか、どの程度に下げる努力をなされたか、この点に対して承わりたいと思う。
  211. 安藤武

    安藤証人 どの程度下げることが望ましいかということも、私としては、具体的に計画を立てたこともございませんし、どの程度下っているかということも存じておらないのです。先ほど申し上げましたように、私個人の考え方では、現在の段階においては、まだわれわれが企図しておりますように下ってはいないのではないかというふうに私は考えます。
  212. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、この三社に限定したことは効果がなかったじゃないですか。効果がないとすれば、これほどのうわさを受けて、あることないこといろいろ言われて、またもとに戻すというようなお考えはございませんか。——効果がないものであったならです。三社に限定採択をするようになったからこういういいところが出てきたのだ、それだから、何と言われようとこういう点で私たちはやるという確信が持てるのだ、こういうことにならねばならぬわけでしょう。しかるに、限定採択をやっても、価格の部面も何も効果があがらないと世間からはいろいろ言われ、痛くもない腹をえぐられる。それなら、いっそ、もとのままにしておいた方がいいのじゃないか、そういうお考えは今ございませんか。
  213. 安藤武

    安藤証人 八月の十一日に定例委員会がございますので、この委員会でいろいろ皆様方の御発言のありましたことを報告いたしまして、私個人でどういうことにもできませんので、よく委員会に諮って審議をしてみたい、さように考えます。
  214. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたの御心境はいかがですか。
  215. 安藤武

    安藤証人 ちょっと今のところは即答はできません。
  216. 高木松吉

    高木委員長代理 佐々木君に申し上げます。持ち時間を相当経過しております。簡略に願います。
  217. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたの証言から得る感じとしては、限定採択をやったことは何にも効果がなかったというように私は考えます。結果のないものを、こういうように県である程度まとめていく。そして、種類が多いことは思わしくないということで、県単位で、目的とすれば県一本できめたいのだということの先ほどの御証言であります。その方が種類もうんと少くなって便利で安いものになっていくという。その論をうんと拡大していくと、やはり国定にした方がいいのだという議論と一致するように考えます。そういう考えは持たないのですか。やはり県でなるべくまとめていった方がいいというお考えですか。
  218. 安藤武

    安藤証人 私個人といたしましては、それに対して具体的な考えを持っておりません。
  219. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 教育委員であって、自分の私見もなければ具体的な案も何もないと言う。ないものを聞こうとしても仕方がありませんから、私はこの程度にいたしておきます。
  220. 高木松吉

    高木委員長代理 西村力弥君。
  221. 西村力弥

    ○西村(力)委員 福島県の教育委員会限定採択の方式をとるに当っては、何回くらいの教育委員会を持たれたか、それをお聞きしたい。
  222. 安藤武

    安藤証人 速記録を見ませんと、私、はっきり記憶がありませんが、三回くらいと思います。
  223. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その際に、反対の意見としてはどういうものがあったか。すなわち、限定すべきでないという意見、あるいは、証人が先ほど答弁されたように、限定なんというのはなまぬるいから一本にしぼれというような意見、そういうようなさまざまの意見があったと思うのでございまするが、その限定採択方式に対する反対意見の詳細を御証言願いたい。
  224. 安藤武

    安藤証人 教育長の方から提案されまして、限定採択をするということが一応承認されたのでありまして、限定採択に対して、一体限定採択はどういうことかというようなことは質問にあったと思いますが、事務局から説明された程度でありまして、そういうふうな一般世論も相当あり、そういうことであるならば限定採択もいいのじゃないか、しかし限定採択をするということが現在のいわゆる文部省の示しております採択方針にもとるようなことがないかどうか、こういうような質問は二、三の委員からあったように記憶しております。
  225. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、あなたは、一本でもいいというむしろ積極的な制限方式をとられて、そういう御意見はその際吐かずにしまったわけでございますか。
  226. 安藤武

    安藤証人 私は、初めから、一本にまとめるというような意見を申し述べたことはございません。
  227. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、前後三回もやったというその理由がどうもはっきりわからない。単なる質問が二、三あっただけであって、異議らしい異議も出なかった、自分も異議をおっしゃらなかった、こういうことでございますので、どうしても三回も教育委員会を開かれたそのわけがわれわれには理解されないのですが、どうしてそう三回も連続して持たれたのか。
  228. 安藤武

    安藤証人 問題は相当重大な問題でありますために、また一方、事務局の説明の、県下PTAからそういうような要望があった、あるいは町村会の名においてそういう要望がある、あるいは町村議会議長会あるいは有志婦人団体の会合からそういうような陳情があったという、そういう抽象的なことだけでは納得できないので、具体的にどういうような陳情の形式をもってそういう世論とみなすべき一つの材料が集まるかどうか、こういうことを教育委員会事務局要望いたしまして、十分その点念を入れまして、その確証を得ますために時間を費した、こういうふうなことでありました。
  229. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、二回目はどんなことをやって、三回目はどうやったか。ただ資料を提示してそれをお互いに見合った、こういうことだけかどうか。三回もやっていく慎重さは、これは当然のことと思いますが、やはり委員各位の慎重審議を示す具体的な論議というものがあるべきはずだと私たちは思うのですが、その二回目、三回目の議論はどういう傾向でございましたか。
  230. 安藤武

    安藤証人 当初にお答え申し上げましたように、限定採択ということを事務局から説明を聞きまして、限定採択というものに対しましては全委員の方が了承されたのでございます。従って、その限定採択を実施するために、事務局の言う県内世論だ、こういうことを裏づける資料があるかどうか、こういうようなことを調査いたしますために時間がかかったのでありまして、限定採択というものは、当初事務局の説明におきまして、そういうものであるならば限定採択にしようという方向には向っておりましたので、特別の質疑応答というものはございませんでした。
  231. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そして最後的には満場一致できめられただろうと思うのですが、その理由としまして、先ほど私が関連質問を申しましたような工合に、販売競争の激化が定価を高からしめておる、こういうことでございましたが、その点も、これを根拠づけるだけの証拠を教育委員会から提示になったのかどうか。これは常識として相当販売競争があるだろうということを証人も御承知になっていらっしゃると思うのですが、そういう適程において、あななたの最も信頼する今泉君なるものが販売競争に伍して負けないように努力している、それをあなたはバック・アップせられる、こういう状態でございますので、あらゆる宣伝競争に対しては敵の出方に応じてこちらも手を打っていかなければならぬ、こういう販売競争の落伍者となってはならないという立場からのいろいろな研究があり、具体的なことについても相当あなたは知っていらっしゃると思う。ところが、先ほど、佐々木委員質問には、何らこれに対する確たる答弁がございませんでしたが、今言われるように、教育委員会から具体的に資料を出して、この方針が正しいものであるという根拠づけを丹念にやろうという慎重なる態度を教育委員がとろうとするならば、この点に関しても教育委員会から相当の資料が提出せられたものと思うし、また、今泉君及びあなた自身においても、仕事の立場からこの点に対する研究調査というものは相当的確に広範に進められておるであろうと私たちは常識的に考える。それがないことはないという結論を私たちは持っておりますが、なお一応、その点に対する証人の見解、それを御証言願いたいと思います。
  232. 安藤武

    安藤証人 ただいまの御質問は、販売の実績を上げるために、各販売にタッチいたしております者が具体的にどういうような活動をしたか、証人の知っておる範囲において述べろ、こういう御質問だと思いますが、先ほども申し上げましたように、相当各会社がいろいろの手段方法を用いて販売戦を展開しているということは私も承知いたしておったんでありますが、今泉君から供応でありますとかそういうことで私は助言を求められたり力を貸してくれと言われたことは一度もございません。これは余談になりますが、私の家内のところにある学校校長先生が電話をかけてよこして、これは昭和二十七年、この限定採択が実行された年でありますが、日本書籍はさっぱりごちそうもしないから、本なんか採択にならないんじゃないか、こういう怪電話が私の家内にきて、私の家内が、先生はどちらですかと聞くと、いや、あとでわかる、こう言って、名前も言わないでその電話を切った、こういうのですが、私の知る範囲では、俗な言葉で申しますと、日本書籍というのは非常にけちんぼうと申しますか、資金のやり繰りがつかないと申しますか、何かそういう派手な宣伝はやっておりません会社でありますだけに、今泉駐在員も本社の命令によってそういう派手な供応とか宣伝とかをやられたということは私は寡聞にして存じておらないのでございます。従って、私個人もそういう渦中の中に入って皆さん方とそういうような供応の席に侍ったということも一度もございません。よその会社の方がどういうようなことをしたかということは、先ほどの御質問にもお答え申し上げましたように、うわさ程度でございますので、いつだれがどこでどうしたということを、人様に対してそういうような中傷がましい御証言を私は申し上げる勇気を持っておりません。この点はごかんべん願いたいと思います。
  233. 西村力弥

    ○西村(力)委員 証人のお話しになれない点を無理にお願いするわけにも参りませんが、ただ、先ほども私が申しましたように、この販売競争をストップすることによって定価を引き下げることができるんだ、こういう工合に、これを理由の第一として教育委員会責任をもって新しい採択方式に持っていった限りは、これに対しては相当の確信を持たなければならぬことである、こう思うのです。私はそのためにお聞きしてみる。ただばくたるうわさなんかで、そして日書においてもそういうことを全然やらぬとするならば、こういう理由を最もおもな理由として出したということに対して、あまりに教育委員会は軽率過ぎるのではないか。先ほどからずっと御質問しますると、慎重にする、すなわち、採択方式を限定にするための具体的理由をはっきりと確信を持つために慎重審議をやったんだ、こう言われておる。慎重審議をやった結果、この点が今の定価を高くする根本的理由であるから限定採択に持っていくんだ、こういうことになったはずである。あなたの言うようなことですと、どうもその価格を引き下げるというための限定方式は論証としては確信を持っていなかったと私たちは申し上げざるを得ないのです。そうして、果してどのくらい下げることができたのか、またできる見通しでやったのか、この点について伺っても、確信はお持ちでないように思うのです。私はだいぶその点遺憾に思うのです。  そこで、教育委員会採択を限定するというときには、何種くらいに限る、こういうふうに決定されたのか、最後的にはどういうふうに決定され、世間にはどう発表されたか、その発表の方式などをお聞きしたい。
  234. 安藤武

    安藤証人 はっきり何種類というふうに発表した記憶を私持っておりません。何科を何種類というように数字を明記したということは、私、記憶を持っておりません。
  235. 西村力弥

    ○西村(力)委員 数字は明記しないで、ただ数種というふうな工合にやったにしましても、教育委員会で決定する場合には、大体何種くらいにするという話し合いが概略のところできたのではないか。限定しようという限り、一種でない限り、大体のところは教育委員会として了承して限定を考えただろうと思うのですが、最後的に教育委員会の限定の幅というものはどういう工合に出されたか、その点をお聞きしたい。
  236. 安藤武

    安藤証人 はっきりしたことは、私、確信を持って申し上げることはできないのであります。やはり数種というようなことでしたが、それは当時の議事録を見なければ申し上げかねます。
  237. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういうことをきめて、何かの機会に何らかの方法県民一般関係者にわかるような措置が、あなたの積極的な立場からでなく、報道機関や何かを通してでもできたのだろうというふうに思うのですが、こういうようなことはどういうことがありましたか。
  238. 安藤武

    安藤証人 教育長名におきまして、各小中学校長、出張所長にそういう内容を通知いたすとともに、各新聞も限定採択を決定した次第を報道したように記憶しております。
  239. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、一体教科書会社駐在員の方々がこの件に関してどういう態度をとられたか、ちょっとお聞きしたい。
  240. 安藤武

    安藤証人 どういう態度をとられたかと言われましても、私、具体的に会社駐在員の方々がどういう態度をとられたかわかりませんが、限定採択のワクに入った方は喜び、ワクに入らなかった方は悲しんだのではないかと思います。
  241. 西村力弥

    ○西村(力)委員 何々の教科書採択するとしぼった最後ではなく、その前に、今年はこういう採択方式をとるのだということをきめたことを知った教科書販売関係者あるいは教員、そういうような人はどういう動きをしたか。日書とか学図とか、そういう方式をきめたことを知ったそれらの人々の動きはどうでした。
  242. 安藤武

    安藤証人 それらの方々がどういう具体的な動きをしたかということは、私は正確な記憶はないのでありますが、相当御活躍になったのではないかと、これは私どもの想像であります。
  243. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、三種や五種にしぼった場合に競争が全然なくなるとお考えですか。
  244. 安藤武

    安藤証人 これは、委員会で決定いたしました当時と、現在の私の心境に、皆様方の御意見を拝聴しましただけにかなり違うところがございますが、やはり、当時は、この程度でうまくいくのじゃないかな、こういうような一つの考え方を持っておったのでございます。
  245. 西村力弥

    ○西村(力)委員 つかぬことをお尋ねいたしますが、証人の御職業は一体今何でございますか。
  246. 安藤武

    安藤証人 私、農家でございます。いなかで私の長男が百姓をいたしております。
  247. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、証人あなた御自身は御商売はないのでございますか。こういう教育委員という公職以外の……。
  248. 安藤武

    安藤証人 私はそういう特別の職業を持っておりません。農業の管理をしております。
  249. 西村力弥

    ○西村(力)委員 こういう私的なことをお尋ねして申しわけないのですが、証人がこのことによってうまくいくだろうと考えられたということは、私たちは常識的には考えられないのです。そういうことを考えられたとすると、これは何と申しますか、ちょっとわれわれの常識からはずれたと言っては悪いのですが、どうも考えられない。そこで、このとき、業者としては、オープンにやっていたとき以上の猛烈な運動があっただろうと思うのです。今泉さんがさっそくあなたのところに飛び込んでサゼスチョンをお受けに参られましたか。
  250. 安藤武

    安藤証人 いつ何時ごろ来たというようなことは記憶はないのでありますが、私がうちにおりますときにはしょっちゅう来ておりますので、証人としての立場から発言をお許し願えますならば、まず私は、数多く来ていた、こういうふうに申し上げるのが適当かと思います。
  251. 西村力弥

    ○西村(力)委員 限定採択になったので、そのワクからはずれたら、福島県ではゼロになる。これは自分の生命に関することだ。よほどあなたに真剣に相談したに違いないと思う。これははずれたらゼロになるのですよ。なまやさしい問題ではない。二、三部減ったとか千部減ったとかいう問題ではない。紹介状まで書いて販売拡張のために協力なさったのだから、ほんとうに親身の間柄のあなたに相談に行かないはずはないし、また、あなたとしても重大な問題だ。今泉さんなるものが失業するかどうかという重大段階に来ている。こういうときに、あなたがサゼスチョンを与えないということは常識的に考えられないです。そういうときに今泉さんとの話し合いはどんなふうであったか、確かになさっておると思う。
  252. 安藤武

    安藤証人 それは今泉の個人的なことを御説明申し上げないとわからないのでありますが、今泉というのは旧家でありまして、資産をたくさん持っておるので、教科書会社を首になると食っていけないという立場ではございません。ブルジョアでございます。彼自身はそういうようなために必死になって動くという性格の者でもございませんので、血眼になって、この難局突破をいかにするか、こういう悲壮な決意で私のところに来たようなことは一度もございません。私自身も、血眼になって、本気になってやったというようなこともございません。
  253. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ブルジョアであっても、一つ競争場裏に入れば、お互い競争心というのが出て、何部で拡張したいという気持になるのは当然だろうと思います。また、今泉さんの個人的経歴を先ほどお聞きしましたが、青年運動とか文化運動にほんとうに熱情をこめて挺身される、こういう方であるとするならば、一つ仕事をいいかげんに、おれはブルジョアだからそんなものはどうでもいいということはなさらないだろうと思う。また、あなた自身紹介状を名刺に書いております。今新聞記事をときどきにぎわしておりますが、たとえば、長崎でしたかで、原爆の記念碑を立てるということで、その紹介状を持たしてやったら、各府県の総務部長や知事なども、西岡知事の紹介状があるから、証明書があるからというのでまた書いてやった。それを学校に持っていくと、学校の先生方は一ぺんで完全に参ってしまう。こういうふうに、日本ではおえら方の紹介状というものはほんとうに神通力に近いようなものを持っておる。それほど日本ではまだ封建制というものが強い。そういうときに、あなたは軽い気持で紹介状を書かれたと言うけれども、これは、ほんとうのところは、その威力たるや実に偉大なるものであると思わざるを得ない。それでありますので、ブルジョアであってそんなことはどうでもいいという今泉さんの立場であるでしょうけれども、またあなたも積極的にどうこうしないということであったにしても、やはり日書が完全に福島県から姿を消すという段階においては、お二人の間では相当のお話し合いが進んだのだろうと私たちは感ぜざるを得ない。ただ、そういうことはないと言われれば、私は証拠がありませんので、何も言えません。残念でございますが次に移ります。
  254. 高木松吉

    高木委員長代理 西村君に申し上げます。持ち時間が経過いたしました。簡略に願います。
  255. 西村力弥

    ○西村(力)委員 しからば、この検定制度をゆがめるような方向の採択方式に変えていく第二番目の理由としては、統一採択をすれば生産費が軽減される、すなわち定価が引き下げられる、こういうことでありましたが、そのことは常識的に考えればそうでしょうけれども、ほんとうに資料的に実際に当ってそういう論証が教育委員会の方からあなた方に提示になりましたかどうか。
  256. 安藤武

    安藤証人 御指摘の点、私の個人的の考えなんですが、具体的な調査が当時は万全を期していなかったということは率直に認めます。そういう的確な資料は何も提出されてありませんでした。
  257. 西村力弥

    ○西村(力)委員 どうしても、慎重慎重というようにして三回もやられた、そういうことでいろいろの理論づけの証拠を固めるために三回もやったんだ、しかし、一番目、二番目の理由等も何ら具体的な証拠が現われてない、こういうことになってくるわけです。われわれはそういう発行者意見を聞いてみますと、大体十万部以上の部数になれば定価はさして響かないのだ、十万部以下だとやはり製版のためにとかいろいろなことで費用がかさむので、十万部以上はほとんど定価には響かない、こういうことなんです。だから、第二番目の理由でも、これはあまり信用のおける理由ではない、こう申さざるを得ない。第三番目の理由、限定採用すれば「おゆずり」ができる、こういうことになりましたが、限定採用ではなくて継続採用によってこそ「おゆずり」ができるはずなんです。限定採用では「おゆずり」ができるなんてことは、あまり理由として考えられないのですが、「おゆずり」の点はその後うまくいっておるのですか。
  258. 安藤武

    安藤証人 具体的にその「おゆずり」がうまくいっておるかどうか、こういうようなことは、私、立証する材料を持っていないのでありますが、一応三カ年程度を継続しようとする前提のもとに限定採択をいたしましたので、「おゆずり」ができるという一つの考え方を持ったのであります。委員会ではそういう態度で決定をしたように記憶しております。
  259. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三種類、でも五種類でも、毎年そのワク内で変えていったら「おゆずり」はできないので、むしろ、そういうことは、「おゆずり」の点があるからなるべく三カ年くらいは変えないように、こういうような指導をなさっていけば、限定しないでもできるはずであると思うのですが、これにしてもあまりわれわれとしては万全の理由、たとば考えられない。それから、その次の、教科書が各校ごとにまちまちでは学校によって学力差の生ずるおそれがある、こういうことでございますが、学力差が生ずるその原因にはいろいろあると思う。あるいは学力差の地域的所在というようなことも、それは教育委員会としては相当研究なさっていらっしゃると思う。それで、学力差はやはり教科書採択がまちまちのために生ずる、こういうようなことがあるかどうか、もっと別に、学力差の生ずるいろいろの理由としては、教育委員会としては教育行政の責任者としてどういうことを考えられておるか、その点について承わりたい。
  260. 安藤武

    安藤証人 先ほど私答弁いたしましたように、その学力低下というもののよって来たる原因及びこれに対処する具体的な方針、そういったものを教育調査研究所で編さんいたしましたものがございますので、それを早急に御指摘の委員会の方にお届け申し上げる、こういうことになっておりますので、それを御参照していただきたい、かように思います。
  261. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それらの理由の中に、教科書採択がまちまちであるから学力差が生ずるという理由がやはり出てきているのですか。
  262. 安藤武

    安藤証人 まだ、私、それをひもといておりませんので、そういうようなことが書かれておるかどうかわかりません。
  263. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この理由は、教科書検定制度の本旨をゆがめて限定採択に持っていくための理由として慎重審議された理由なんです。それであるのに、あなたはまた、学力差がどっから発生するか見たことも聞いたこともない、こういうことでは、教育委員会責任ある立場というものは言えないじゃないですか。一つの民主化の方式として検定教科書制度をやり、これを最も正しいものに育成しようとする段階にこそ日本の将来というものはある。それに対して、あなたは責任を持ってやろうとせられ、またやられたんです。そして、その理由としてはこうある、しかもこれは慎重に検討された理由だと言う。それであるのに、何一つそこに具体的な、ほんとうにわれわれの納得する理由をお持ちにならないということは、私たちは、教育委員会責任ある立場としてはあまりに軽卒に過ぎるではないか、こういうように申さざるを得ない。また、その次の、教師の共同研究に便がある、こういうようなこともございますが、教師が一つ教科書を唯一無二のものとして研究するということは、その範囲内では決して教育研究というものは進み得ないのであって、そんなことは昔のことなんです。もしそういうような理由づけをするあなたの方の教育委員会の指導主事連中は下の下だと私は申さざるを得ない。教科書が違うと教員の教育研究ができない、そんな指導主事をあなた方は正しい指導主事あるいは教育者だと思うなどというのは、もってのほかだと思う。これは意見になりましてはなはだ申しわけないのですが、そういう工合に考えてみますると、この理由づけは慎重審議せられたというあなたの証言にかかわらず、いずれも何ら皆さんがほんとうに確信を持ってやられたものでない、こう断ぜざるを得ないわけなのです。そういうことになってくると、何らか別の意思を持ってこういう限定方式がとられたのではないか、こういうような結論をやはりわれわれは持たざるを得ない。純粋の教育理論と良心に基いて、ほんとうに確信を持った立場からこういう限定方式をとられたというふうには、私たちはどうも納得できない。そうすれば、必然的に、別の意思を持ってこうやられたのじゃないかということを考えざるを得ないような立場になるわけなのでございます。今、ことしもそういう工合にせられたということでございますが、そうすると、今まで福島教員組合から質問書が出た以外の反対意見というのは、ほとんど耳に入っていらっしゃらないのかどうか。それについて、あなたが直接お聞きになったとか、あるいは何か新聞等で見られたとか、あるいはうわさでお聞きになったこと、そういうことを一つ証言願いたい。
  264. 安藤武

    安藤証人 現在これに反対をしておるというようなことは、報道機関を通しあるいはまた各階層の意見を通して私どもの耳に入っておりません。これは私どもも今後さらに研究しなければならない問題だと思いますが、現在の教科書採択制度が最上のものである、こういう理論のもとに問題を考えると、私どものとって参りましたことが非常に下の下のように考えるのでありますが、少くとも、私ども福島教育委員会におきましては、現在の採択制度というものが最上のものではない、文部省がこう言うからといっても、県教育委員会があくまで独自な立場においてかかることが福島県の教科書採択の面において最も妥当である、こういう一つの考え方のもとに限定採択という方式になりましたことは御承知の通りであります。もちろん、この限定採択を決定いたすまでの経過、あるいはまた限定採択になりましてからのいろいろの問題というものが起きましたことは、私どもその責任の立場に立っておる者といたしましては、非常に申しわけないというように考えておるのでありますけれども、一応これを一つの経験といたしまして、さらにまたよりよき方向に向っていきますように、当教育委員会といたしましても営々研究勉強いたしますことをお誓い申し上げまして、私の証言といたしたいと考えます。
  265. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の検定採択制度には全部私も賛成ではない、この点は御同感申し上げます。それから、もう一つ、下の下と申したのは、教科書一つでないと教員が教育研究ができない、こういう理由づけが出たので、そんなばかなことはない、それを私は申し上げたので、全体について下の下と言ったのではないから、それは誤解のないようにお願いしたいのであります。とにかく、それはそれとして、限定しても競争がなくなるかどうかということはわからないというあなたの御証言は、私はちょっと受け取れない。とにかく、今度教育委員会にかけられて新しい方式を考えられるということでございますので、この点は一つ慎重にお願いしますし、また、こういう点についての自己批判から、経験を通して正しい方向に進まれんことを切にお願いします。
  266. 高木松吉

    高木委員長代理 小林信一君。
  267. 小林信一

    ○小林(信)委員 先ほど来委員長並びに委員からの質問によりまして証人の御答弁を承わっておったわけでありますが、これは私の非常に失礼な言い分でございますが、受けた感じというものは、福島県の教育委員会は、この限定採択の問題を通して見れば、その職責を非常に無責任に果しておるというような感を受けるわけでありますが、しかし、福島県の教員並びに教育庁の人々の中には、そうした人ばかりでなくて、教育に御理解のある方も多分においでになるわけであって、今のような印象というものはこの限定採択の問題だけに限ってであるような感じがするわけでありまして、やはりこの限定採択の裏には何か不純なものがあるのではないかという印象を私は受けざるを得ないわけであります。そういう点をこれから二、三証人に御質問申し上げまして、果してそうであるかどうかをお伺いするわけでありますが、まず第一点は、証人の御答弁の中に、現場の先生方が非常にこの限定採択に対して歓迎しておるという御答弁があった。前にどなたか委員の方が、この点につきまして、どういう点を喜んでおるかという点について質問されましたときに、証人は、私は知らない、事務局の者がそう言っておる−。まことにここら辺が福島教委を代表するあなたの証言としては、私、残念とするところでございますが、もう少しこの問題は私は証人と話し合いをしてみたいと思うのであります。証人は言葉ではこう言っておるけれども、内容に対しては、果して、事務局がそう言っておるということだけであって、具体的問題については御存じないわけでありますか。御存じでありましたならば、それをお答え願いたいと思います。
  268. 安藤武

    安藤証人 歓迎をしておるという具体的な事実は、私は遺憾ながら存じておりません。
  269. 小林信一

    ○小林(信)委員 そこで、私の疑問とするところをお伺いしますと、まず第一番に、先生方は歓迎するというならば、たくさんの種類があるから、その中から選択することはめんどうだというような気持で歓迎する場合があると思います。もしそうだとすれば、これは非常に先生方は現行制度に対して無責任なあり方であって、教師としての責任を果しておらないということになる。さらに、内容等の問題について、非常にたくさんな教科書にわたるものであるから、めんどうであり、あるいは先生たち自身選定する能力がないということを先生自体が物語るものでもあるわけであります。あるいは、最近におきましては、非常に駐在員とか何とかいうものが出たり、あるいはいろいろな権力を使って教科書会社が売り込みに行くので、そういう繁雑の中に先生たちがしいて不名誉の立場をとりたくない、こういうような責任逃避の立場からこういう採択方法がよいのだというようなこともあると私は思うのであります。もし教職員の方たちが歓迎するというなら、当初教育委員会が掲げた、教科書が安くならなければならないという点もなければならぬのでありますが、これも安くなっておらない。「おゆずり」という問題も、まだ事実となって現われておらないというような点を考えれば、どこで歓迎するか、結局それは教育者としての責任を回避する以外に歓迎するところはないわけであります。従って、そういうことであるならば、福島教育委員会にして教育行政の責任を感ずるならば、そういうことではいけない、もし権力を行使し、あるいは買収供応というような不純なものを通して教科書採択するということを教師に働きかける場合は、教師はその責任上厳としてこれを排除して教科書採択に専念しなければならないのだ、こう指導するのが教育委員会ではないか。また、現行制度の上から、いかに教科書がたくさんあろうとも、県教育委員会のわずかな人間でやるしかも危険きわまる限定採択というふうな方法に先生方が甘んじておるというようなことはあるまじき態度であるということを、かえって教委の方から言わなければならぬのに、事実も御承知なくて、事務局が言う教員が歓迎しているということを甘んじて受けていいかどうか、証人に伺いたい。
  270. 安藤武

    安藤証人 二十八年度の教科書採択のとき、いわゆる限定採択をいたしましたときには、その全幅の責任がもちろん私ども県教育委員会にあったのでありますが、地教委が生まれましてから、県教育委員会がとっておった限定採択というものが地域の皆様方に歓迎されぬのか、あるいは地域の皆様方がそれを要望しているのかどうか、——申すまでもなく採択権は地教委にありまして、現在、その地教委の連絡協議会において、全県下の地教委の方々の意思がやはり限定採択をぜひ継続してもらいたいという要望があって、県教育委員会で決定した限定採択制度を続けておる、こういうことから考えてみまして、地教委の全体的な意見というものを尊重してこの限定採択を続けるということは、決して非民主的な考え方ではない、私どもはそういうふうに考えておりますので、福島県の教員の力が低下しているとか、あるいはそういうことをやることこそが県教育委員会責任であるというようなことは、私どもは十分了承はできるのでありますけれども、少くとも地教委がそういうような立場において限定採択を継続実施することを要望いたしております限り、私どもはやはりそれを県民の正しい世論であるというふうに見ておるような次第であります。
  271. 小林信一

    ○小林(信)委員 そういうことをこの際ここで究明することが至当かどうかわかりませんが、地教委の要望に従ってこの限定採択を考えたのだというように今の御答弁からは受け取れるのですが、当初から私たちのお伺いしたところは、これはあくまでも県教委の計画であり考えであるということを承わったのですが、今証人は地教委に責任を持っていこうとされておる。それはともかくとして、地教委の意向に従うことが非常に民主的な教育行政のあり方だというようなお考えなんですが、この教科書採択に関しては、県教委もこれに一応関係し、その決定は地教委にあるのかもしれませんが、県教委の存在というものは無視してはならぬと思うのでして、そういう点は証人はどういうふうにお考えになられるのですか。あなたの御答弁によりますと、地教委の意向に従ったから非常に民主的な採択方法であるというような御説明なんですが、そういうような証人の御答弁が本日の御答弁には非常に多かったわけです。この点、私たちは福島教育委員会に対して非常に残念に思って質問申し上げておるわけですが、その点について、もう一度御答弁願いたいと思います。
  272. 安藤武

    安藤証人 御承知のごとく、ほかの道府県の情勢はどうであるかわかりませんけれども、福島県の教育委員会の構成分子というものは、大体は教育のしろうとばかりであります。従って、ただ選択をする権限があるからその自分の職責を執行するというだけで、一方、地教委の声というものは、ことごとく学校校長ないしは先生方の声が反映されておるものであって、事実福島県の情勢はそういうことでありますので、地教委がそういうように考えておるということは、要するに福島県の教育の現場の先生方の如実の声である、こういふうに私どもはくみとっておるのでございます。
  273. 小林信一

    ○小林(信)委員 非常に横の方にそれがちなんですが、あなたの今の説明だと、声の通ってくるところが合法的であるから、その声は正しいというように聞けるのですが、その声がもし教員から実際に出たものとすれば、教員はどうしてそれを歓迎するのか、その根拠がどこにあるか、もう一ぺん御説明願いたいと思います。
  274. 安藤武

    安藤証人 非常に専門的な御質問でございますが、教員が歓迎する基本的な動きがどこにあるかということになりますと、私、それに対して批判をする証言はできないと思いますが、教員はそれを採択する能力がないとか、あるいは採択がおっくうであるというようなこともないではないでありましょうが、少くとも登録されておりますものが昭和三十年度は五百三十八種類もあるということになりますと、展示会におきましても一日や二日でそうしたたくさんのものを全部正確に選択するということはなかなか骨でございます。なるほど、率直な表現をいたしますれば、厄介であるということもあると思うのでございます。当初私どもの考えましたことは、当時の福島県の場合はあまり多過ぎましたために、学校の先生方が時間的にあるいは期間的にあるいは経済的にどうしても詳細な検討ができない。御承知のように福島県は地域が非常に広範でございますので、従って、展示会等の予算等につきましてもかなり問題がある。かたがたいたしました結果、そういう種類の多いものを短時日の間に完全に検討することは容易でないということも一つの大きな問題になっておったのであります。しかし、学校の先生の採択能力と、県の事務当局及び県下のそういう各教科書の権威者の採択能力、審議能力と比較いたしますれば、やはりそういう審議会のメンバーないし事務当局の指導主事の知識の方が数段と力がありますので、従って、よりよきものを採択するには、やはりよりよき力がある者によってこれを審議さすべきものである、こういうふうなことも限定採択一つの大きな動きではなかったかと、私個人としては考えておりますが、決して学校の先生方に採択の能力、選定の能力がないというふうなことは考えていないのでございます。
  275. 小林信一

    ○小林(信)委員 今のあなたの答弁の中に、先生方が選ぶよりも県が選んだ何人かの専門の選定委員が選んだ方が優秀であるというふうなそのお考えが、すでに先生方の能力をあなたたちが無視しておることなんです。現場の先生が、現行制度に従って、たくさんの教科書の中から、児童に適切な、土地に即したものを選ぶところに、現行制度を生かす意味があると思うのです。それは、一部の選定委員選定して、二、三部に集約して、その中から選択する方が簡単でしょうが、しかし、苦労はあっても前者の方が教育的なものの考え方だと思うのです。その点をそういうふうに考えるところに、福島県教委に対するところの不信任を唱えなければならぬ点が残念ながらあるのです。こういう点は、私の見解とあなたの見解の相違になるかもしれませんので、省略さしていただきますが……。
  276. 高木松吉

    高木委員長代理 小林君に申し上げますが、持ち時間を経過しておりますから、簡略にお願いします。
  277. 小林信一

    ○小林(信)委員 一問しかやっておりません。井手君が質問を省略されて、その時間を私にくれるそうですから……。
  278. 高木松吉

    高木委員長代理 そういうことはやっておりませんから、御了承を願います。
  279. 小林信一

    ○小林(信)委員 私の質問時間はないそうですから、簡単にいたします。  それと同じような点をあげて参りますと、あなたは、非常に福島県教委が民主的であるという点から、先ほど、町村の教育委員会の意向に従ったとか、あるいはPTAの意向とか町村長の意向あるいは県会要望というようなものを受けてこういう制度を採択したのだ、こうおっしゃっておりますが、福島県の教職員組合から出ましたとこの質問書ですか、その第六項に対する答弁で、あなたの先ほどの御説明では、要は選定教科書内容にある、こういうふうに一言のもとに退けられておるのです。こういう点を聞きますと、まことに非民主的なんです。ある場合には、こういう意向を採択したから民主的である、一方また、こういう異議が出ますと、問題は選定した教科書内容を見ればわかるのだ、こういうふうに御答弁なされる、まことに、当初申しましたように、限定採択に持っていくための傾向というものに非常な無理があるように私承わるのですが、こういう点はいかがですか。
  280. 安藤武

    安藤証人 当時は、教員組合といたしましても、やはり限定採択というものが非常に非民主的なものである、こういうようなことでおそらくこの十カ条の質問書というものを出したと思うのでありますが、しかし、現在におきましては、組合の諸君全部が了承いたしまして、県の教育委員会のとっておりますことに対しまして批判めいたことは、私は耳にいたしておりません。
  281. 小林信一

    ○小林(信)委員 これは実際地元の方たちの意向を聞かなければわかりませんが、よほどこの選定委員が厳正に行い、しかも優秀な能力を持っておられるならば、そういうこともあるいは実現できるかもしれませんが、その点は私たちの非常に疑問とするところでございます。  それならば、お伺いいたしますが、この限定採択をするという決定を見た場合、福島教育委員会におきましては相当な決意をなさったと思う。あるいは緻密な計画をなさったと思うのです。あるいはこれを採択する手段として文部省その他に対しましていろいろ検討されたことと思うのですが、その経緯をお知らせ願いたいと思います。と申しますのは、選定委員会において選定委員がおそらく二、三種類に限定するというようなことになれば、これは、先ほど前質問者があなたに質問されたところでわかりますように、各出版会社は、採択されれば、これはもう労せずして福島県の大部分の需要数に応ずることができるのだから、おそらくあらゆる秘術を尽して教育委員に、あるいは選定委員に、あるいは教育上の関係者に対して働きかけることは当然なんです。そういうふうなものに対して、いかにこれを反映してほんとうに限定採択の使命を全うするかというようなことについては、おそらく重大なる決意をなさったと思うのですが、そういう点について、いかなる御決意をなさったか、あるいは計画をなさったか、あるいはこれをとる手段として文部省等といかなる折衝をはかったか、お伺いいたします。
  282. 安藤武

    安藤証人 実際は、限定採択をするという基本方針委員会で決定いたしまして、その事務的処理を事務局に命令し、そうして事務局が決定いたしました報告を私ども聞いてこれを了承したということは、先ほど証言した通りであります。そうして、文部省に対しては事務局は以上成規の手続を踏んだという報告をしたという報告を私受けております。さらにまた、この問題に対しまして、どういうふうな具体的な問題に対処する態度をとったか、こういうことのお話でありますが、教育委員会といたしましてはこれに対しまして何も具体的な感度をとったようには私は記憶いたしておりません。
  283. 小林信一

    ○小林(信)委員 それでも、あなたは教育委員として、この限定採択に対しては万全の措置をしておるのだから、完全でないものがあったとしてもある程度まで自信を持つ、そういうことが言明できるわけなんですか。
  284. 安藤武

    安藤証人 これは教育委員として私だけ責められても困るのでありまして、七人の人たちがみなそういうことを決定いたしたのでありますから、これは教育委員会の議決でございますから、その教育委員会の議決によってさように決定いたしましたということを申し上げます。
  285. 小林信一

    ○小林(信)委員 まことに申しわけございませんが、しかし、とにかく教育委員であって、その構成メンバーであり、しかも県下の教育行政をつかさどる人であるならば、おそらくそういう責任回避的な御答弁はなさるまいと、私たちの常識で御質問申し上げたのですが、やはり七人の構成メンバーである以上、あなたにもそういう責任はあると思うのです。福島県教委については全体の責任であって個人の責任はないとおっしゃるならば、これ以上私は質問をいたしません。  そこで、選定委員ですが、この選定委員は大体どれくらいの時間を要して選定をなさるのですか。
  286. 安藤武

    安藤証人 何か外と連絡も何も遮断いたしまして、一週間くらいは選定の作業を続けておるのじゃないか、——詳しくはわかっておりません。
  287. 小林信一

    ○小林(信)委員 委員長、こういう無責任な答弁をなさる方より、もっと責任ある答弁をなさる方を本委員会にお願いして、この福島県教委の限定採択に対して審査していただくことを私は要望してやまないわけなんですが、一週間くらいで、数百種に上るものを、もちろん各教科にわたるわけでしょうが、これを選定するということは、まことに不見識きわまるものであって、それを福島の教職員が甘んじて喜んでおるということならば、ますますこれに対して疑惑を持たなければならなくなるわけであります。しかもあなたがはっきりしないというならば、これ以、上質問を続けませんが、これはあなたが先ほど証言したことなので、この点は御答弁願えると思うのですが、限定採択をする理由に、競争が非常に激しい、宣伝等に要する費用がかさむ、こういうものを少くして教科書を安くしなければならぬ。非常に種類が多いということをあなたは問題にされておったのです。しかし、その多い種類の中から選ぶから、よい教科書福島県で採用することができるということは了承するのですが、当初から雑多な教科書は整理して、ごくわずかにして採択されることをあなたは望んでおられるのか、これは非常に基本的な問題でございますので、お伺いいたします。
  288. 安藤武

    安藤証人 それは一がいにどちらとも言えないと思います。種々雑多なものといいましても、少くとも文部省の検定を受けておるのでありますから、決して適当でない教科書であるとは考えられないのでありますけれども、よりよきものをこしらえようというために、その種々雑多の中から、全体の中から最もよきものを求めるということが最善の方法だろうと思うのでありますけれども、しかし、なかなかそれが容易でないというところに限定採択というような一つの問題が生まれて参りましたので、原則論といたしましては、やはり全体の中からりっぱなものを選ぶことが最も正しい行き方である、私個人としては現在はそういう考え方を持っております。
  289. 小林信一

    ○小林(信)委員 それならば、お伺いいたしますが、そのたくさんのものの中から選ぶその選び方を、なるべく大勢の人が選んで——地方とかあるいはその場所とかいうふうな一つの個性もあるわけなんです。従って、二、三の特定の者が選ぶのではなくて、大勢の者がそれぞれの立場から選んでいった方がさらにいいと思うのですが、それはどうですか。これは原則論ですよ。
  290. 安藤武

    安藤証人 また、こういう証言をいたしますと、福島県の教員はろくな者はいないというおしかりを受けるかもしれませんが、やはり、これは、先ほど申しましたように、たくさんの人と申しましても、その人間の力というものには相当の軽重があるのでありまして、教科書というような最も専門的なものは、数よりもそれを選定いたします人の質によるので、多数の人間が選ぶことによって最上のものが得られる、私は必ずしもそういうことは考えておりません。
  291. 小林信一

    ○小林(信)委員 これも教育行政の原則論ですが、ともかく、教員に対してあなた方は人事権を持っておるわけですが、採用した以上、——おそらくその先生方も未完成だと思うのです。しかし、教育行政によってそういう教員を完成の状態にまで運び込んでやることも、教育行政の大きな使命なんです。未完成の者であるからといって、すぐに、教科書採択の問題でも、一部の者に採択させて、そうしてまだ未熟だからそういう者には採択させないというようなことは、教育行政のあり方からしても私は非常に残念なものじゃないかと思うのです。やはり、そういう仕事をまじめに正しく、しかも成功するように教育行政というものは運んでこそ、初めて教育をよりよく質を向上させて、教育の成果をあげていくことができると思うのです。これはできないから、これは不完全であるから、こういう便宜的な処置でやる、こういうことは、それはある場合は成功するかもしれませんが、先ほども、福島教育委員会がやっておりますこの限定採択に関して、委員長からあなたにいろいろな疑惑に対する問題をるる質問されたわけでありますが、もしそういうことが事実とするならば、いい場合もあるかもしれませんけれども、非常に危険が多いわけであります。私は、そういう点からしても、そういう教育行政のあり方というものは、とにかく正しい行き方でない、こういうふうに私は思うものでありますが、おそらく委員長からまた時間の催促を受けるだろうと思いますので、その点はもうこれ以上質問いたしません。  そこで、先ほどの委員長質問に対するあなたの答弁で、私の非常に残念なところがあったのです。それは、六番の、あなたの方の教育委員が特定会社関係しておることの云々の問題ですが、福島教員組合からの質問に対して、個人が私的なことで会社関係を持つのはかまわない、こうあなたの方で回答しておるが、日書の顧問をしていた証人はどう思うかという質問に対して、あなたは、その質問の意思に沿わずに、今関係しておりませんというだけしか御答弁がなかったようですが、あなたはこの点に対してどういうふうにお答えするかを聞きたいのです。そういうことは関係しない方がいいのか、してもいいのか、もう一ぺんこのところをはっきり御答弁願います。
  292. 安藤武

    安藤証人 この質問には先ほども明確にお答え申し上げたと記憶いたしております。昭和二十六年から二十八年七月まで、私は軽い気持で、そういう関心を持っておらなかったのでありますが、現在の段階になって考えてみますと、非常に私は道義的に申しわけない、こういうふうに謙虚な気持でおるということを率直に申し上げます。
  293. 小林信一

    ○小林(信)委員 この委員会におきまして、各出版会社関係者を呼びまして聞きますと、よくあなたのおっしゃるようなことを言う。編集には関係ないけれども、編集顧問という形で、発行しておる教科書のことについて地方実情等を注進するというふうなことをあなたも御答弁なさったのですが、あるいは、駐在員等に対しましては、採択の傾向を見るとか、あるいは教科書に対しての実際の現場の先生たちの批判なりあるいは要望等を聞いて、これを出版会社に通知するだけが駐在員の任務でございますというようなことをよく言うけれども、こういう人たちがやっておることは、必ず供応とかあるいは贈賄というようなことをやっておるのですが、あなた自身はそういうことはなさらなかった、あなたが非常に信頼しておる今泉さん、この方も非常に潔白な方であって、そういう意味で仕事はしておらなかった、こういうふうにおっしゃるのですが、あなたや今泉さんの仕事は、実際はどういうふうに運ばれたんですか。
  294. 安藤武

    安藤証人 先ほど私がどなたかの御質問に答えた通りでございます。今泉さんが学校等を訪問いたしますときに、私が紹介状を持たしてやったり、いろいろ県下の情勢というようなものを支所長を通じあるいは直接にそういうことを知らしてやった、こういう程度であります。
  295. 小林信一

    ○小林(信)委員 今の問題ももっと具体的にお聞きしたいのですが、時間がございませんのでお聞きしませんが、あなたは、その後、東京に来たときに日本書籍にお寄りになったこと、あるいはそこの会社人たちとお会いになったことはございませんか。
  296. 安藤武

    安藤証人 一、二、回ございます。
  297. 小林信一

    ○小林(信)委員 いつ、どこで、そういうことは御記憶ございませんか。
  298. 安藤武

    安藤証人 ございません。会社の中でちょっとお会いするぐらいのことでございますから。会社以外のところで会ったことはございません。
  299. 小林信一

    ○小林(信)委員 以上で私は質問を終らしていただきますが、私は最初あなたに質問する要点というようなものをまことに失礼な言い分で申し上げましたが、私が憂えるところは、あなたのお考えになっておることは非常にけっこうのようでございますが、あなたのような考えを持っておいでになれば、これは、教育行政のみならず、独裁的な一部の優秀な者が一切を支配することが最も能率があがる、効果的であるという形にいくおそれが多分にあると思うのです。いろいろな事情を私たちは知りながらも、それから生ずる危険を避け、そうして個々の教員あるいは個々の教育委員、あるいはPTA、そういう人たちがそれぞれよくなって、そうして日本の教育がよくなることを私たちは念願して質問申し上げたわけです。そういうことを憂えるあまり、あなたの県の教育委員に対して非常に失礼な言葉を使いましたが、よく私の心を了解していただくようにお願いいたします。
  300. 高木松吉

    高木委員長代理 安藤証人に対する尋問はこれに終了いたしました。  証人には長時間にわたって御苦労でありました。  次会は明日午前十時より開会し、証人黒木喜一君より証言を求めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会      ————◇—————