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1955-07-28 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 南  好雄君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 神田 大作君       草野一郎平君    牧野 良三君       米田 吉盛君    塚原 俊郎君       福永 一臣君    高津 正道君       辻原 弘市君    西村 力弥君       大西 正道君    小林 信一君  委員外出席者         証     人         (東京書籍株式         会社常務取締         役)      四条 輝雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長は健康を害されておりますので、私が暫時委員長職務を行いますから、御了承願います。  前会に引き続き小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は四条輝雄さんですか。
  3. 四条輝雄

    四条証人 はい。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評を生じ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いておる向きがありますので、義務教育本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれては率直な証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人四条輝雄朗読〕     宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。
  5. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承願います。  証人の略歴をますお述べになって下さい。
  7. 四条輝雄

    四条証人 私は明治三十八年十月生れでございます。昭和三年中央大学法学部を卒業いたしまして。同年七月凸版印刷株式会社に入社いたしました。昭和五年病気で退社いたしました。さらに昭和十五年四月に再び凸版印刷株式会社に入社いたしまして、営業部員といたしまして勤務いたし、昭和二十一年二月退社いたしまして、同年七月東京書籍株式会社工場長といたしまして就任いたしました。翌年二十二年の十月に取締役支配人に就任いたし、次いで二十九年十二月に常務取締役と相なりまして現在に至っております。なお、この間、昭和二十四年十月と記憶いたしますが、教科書販売株式会社創立とともに監査役に選任せられまして今日に及んでおります。
  8. 高木松吉

    高木委員長代理 これから証人会社と申し上げるのは東京書籍株式会社の意味ですから、御了解願います。証人会社の沿革、資本金常業費目等について、詳細にお述べになって下さい。
  9. 四条輝雄

    四条証人 明治四十二年の十月と記憶いたします。当時資本金二十万円をもちまして当社創立をいたされまして、もっぱら小学校及び当時の高等小学校国定教科書製造業務をいたして参ったのでございますが、昭和五年に国定教科書翻刻発行規程が改正になりまして、当社の今までの製造業務に加えまして供給業務をも兼ね行うようになりまして、と同時に、当社供給区域と申しまするものも、一府十九県、——この一府十九県と申しますと、京都府、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、滋賀県、三重県、岐阜県、鳥取県、島根県、福井県、広島県、岡山県、山口県、九州に参りまして大分県、宮崎県、福岡県、熊本県の一府十九県の国定教科書を製造し、そうして供給いたすように相なったのでございます。そういたしまして、昭和二十三年検定制がしかれますと同時に、私の方の会社小学校教科書をまず第一に手始めまして、昭和二十五年から検定教科書出版をいたして、逐次中学校というふうに検定教科書編集し、また製造いたし、供給いたすように相なったのでございます。資本金は、数次の増資を経まして、現存は二千万円でございます。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社で発行している教科書発行部数、それから採択されているおもなる地域について、詳細にお述べになっていただきたいと思います。
  11. 四条輝雄

    四条証人 資料を持って参りましたが、見てよろしゅうございますか。
  12. 高木松吉

    高木委員長代理 見てけっこうです。検定制度になってから現在に至る発行部数説明していただいて、なお、最後の年の地域的の発行頒布状態説明してもらいたいと思います。
  13. 四条輝雄

    四条証人 お答え申し上げます。私ども検定教科書出版いたしました最初の年の昭和二十五年は、発行部数五千七百八十九万二千冊でございます。それから、二十六年は五千四百六十五万一千冊、二十七年は三千三百七十万三千冊、二十八年は二千八百八十六万冊、それから二十九年は二千七百五十五万四千冊でございます。昭和三十年度は三千七十四万四千冊でございます。  この内訳でございますが、昭和三十年度について申し上げますと、北海道におきましては百六十九万八千冊、東北六県の総計三百三十九万七千冊、関東六県の総計が五百七十八万冊、それから東京都が二百七十七万四千冊でございます。北陸五県が二百八十四万三千冊、それから東海五県が三百四十万五千冊、近畿が二百五十三万四千冊、それから中国が百四十七万七千冊、四国四県が百十九万五千冊、九州七県が五百六十四万一千冊と相なっております。
  14. 高木松吉

    高木委員長代理 教科書を販売するために講じている方法のうち、ただいまから申し上げることについて詳細に述べていただきたいと思います。教科書並びに教師用指導書の献本の実情、その他学校側に対し教材等を寄贈している事実の実情について、ありのままに述べていただきたいと思います。
  15. 四条輝雄

    四条証人 お答え申し上げます。当社といたしましては、販売方法と仰せられますが、編集内容に最も重点を置きまして、かつ、もう一つ、この検定制本旨でございます完全供給と申しますか、この点に絶えず細心かつ不断の努力をいたしますことをまずもって第一に心がけております。その上に立ちまして、編さんの趣意というものを普及徹底するということをしております。具体的な方法といたしまして、ただいま委員長さんから御質問見本本の件、これは、まず展示会場に出陳いたしますために一教科二千三百五十部くらいの見本本を印刷いたしまして、同時に、各教科につきまして、新しく検定をパスいたしました教科につきましては、見本本一種について約二千部と考えておりますが、二千部を印刷いたします。そうして、改訂とかあるいは旧版ものにつきましては、一教科一千部、中には見本本を刷らないものもございますが、用意いたします。この見本本配送先は、研究会でございますとか、あるいは教育委員会ないしは特約店あるいはまた御希望のある学校、また、御希望がございませんでも、地方におかれましておのおの各教科についてのヴェテランの方々にお送り申し上げております。なお、先生のお使いになります指導書は御採択校に対しまして寄贈申し上げております。以上でございます。
  16. 高木松吉

    高木委員長代理 駐在員または連絡員等を置いているというが、置いているならば、その人数駐在員連絡員経歴及び業務内容等についてお述べになって下さい。
  17. 四条輝雄

    四条証人 当社におきましては駐在員は八十名置いてございます。各県に駐屯さしております。経歴は、ほとんどが教育に経験を有せられる方々でございます。業務内容を申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、まず、現地におかれまして、教科書に対する御批判並びに当社教科書をお使いいただいた上に立っての御意見を私どもの方に連絡すること、それから、第二番目には、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、配本を完全にいたしますための調査をいたしております。それから、もう一つは、本が編さんされますと、その編さん趣旨をあまねく普及徹底する、こういう二つの業務内容を持っております。
  18. 高木松吉

    高木委員長代理 その人たちに対する手当とか給料とかいう内容はどうなっていますか。
  19. 四条輝雄

    四条証人 手当は人によって違いますが、最低一万円から最高一万五千円ぐらいでございまして、平均いたしますと一人二万二千円見当に相なっております。なお、賞与は、非常勤でございますので、一切支給はいたしておりません。
  20. 高木松吉

    高木委員長代理 そのほかに連絡員というものはないのですか。
  21. 四条輝雄

    四条証人 駐在人のほかに連絡員と申しますものはございません。
  22. 高木松吉

    高木委員長代理 講習会研究会等開催しているというが、開催しているとすれば、その目的、その費用開催回数開催の時期等についてお述べになっていただきます。
  23. 四条輝雄

    四条証人 講習会開催いたしております。簡単に趣旨を申し述べさせていただきますが、やはり、当社教科書をお使いいただきましても、その教科書を実際に活用していただくという意味合いにおきまして、実際現場方方から講習会開催希望が非常に多いのでございます。従って、私どもの方としては、現場からの御要望に応じまして、講習会をいたしておるわけでございます。  目的はさようでございますが、回数ということをちょっとただいま正確に記憶いたしておりませんけれども、府県で約十回ぐらい開くといたしましても、四百六十回ということになって参りますので、五百回くらいには今年度いくのではないかと考えております。しかし、あまり具体的に申し上げませんで恐縮でございますが、日常連絡を受けておりますところによりますと、おそらく御希望は千回以上に達するのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  従って、次の委員長の御質問費用の点でございますが、これは私どもの慣習と申しますか、そんなことから、派遣講師の旅費、宿泊費というものは当社で負担いたしております。従って、講習会開催の場合には、講師派遣費と、それから、会場を使わしていただくので、ごくわずかの会場費というものを合算いたしまして費用が出て参るわけでございますが、たとえば、東京のような近までやる場合、あるいは北海道のような遠距離でやる場合、講習会費用総額というものは距離の遠近によって違って参りますので、大体の目安としておりますところは、近距離の場合は、一会場開催させていただく場合は約五千円、遠距離の場合は二万二、三千円見当になるのじゃないか、こういうふうに考えております。  なお、ここで、講習会と仰せられましたが、これと違いまして、当社におきましては研究会というものをいたしております。その研究会は、御採択いただいております地域先生方当社教科書をお使いいただきまして、教材の適否、あるいは教材に対する評価というようなものにつきまして、こちらから先生方をお招きいたしまして、現地先生方の非常に貴重な意見をちょうだいいたしまして、将来の改訂の際にこれを反映させるのでございます。この場合は、御希望でございませんで、当社の方からお招き申し上げる次第でございます。大体そういうような会合でございます。研究会という場合は、これはおもに人数も十名内外というこことにいたしております。従って、この場合は、先生方がわざわざ日曜をつぶして御遠方からお出ましいただくというような状態がございますので、汽車賃等実費、あるいは原稿料と申しますか、そうした意味合いにおいて、ごくさまつな謝礼をいたしております。一時、現場の御批判をちょうだいする意味合いにおきまして、各教科についてアンケートというものを求めてみたのでございますが、その実績は、お答えいただきますのは二〇%ないし三〇%でございまして、日本全体でどういう御要望があるかというようなことが求められないので、やはり、こちらから社員が出向いて参りまして、そうして先生方の御意見をちょうだいするという建前をとっております。  以上であります。
  24. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいま述べられた研究会ですね。先ほど講習会回数はわかりましたが、研究会回数は、二十九年度あたり何回ぐらいおやりになって、どのくらいの費用を要したか、説明をしていただきます。
  25. 四条輝雄

    四条証人 ちょっと今正確に回数は記憶いたしておりませんが、主として当社教科書をお使いいただきました地域だけということが建前になっておりますので、これは講習会と比較いたしまして回数はずっと減っておりまして、年によって、まず少くて二十回、多くて四十回ぐらいだと考えます。費用は、先ほども申し上げましたように、お集まりいただきます先生方が日曜日等に非常に遠距離からお出ましいただくときは、講習会同様やはり実費ということで、費用大小はございますが、遠方と申しましても、講習会のように当社から北海道あたりまで派遣するというようなことがございませんので、大体近距離にいたしまして、補いといたしまして、最低五百円、多くて一人千円という程度でございます。なお、非常に熱心にやっていただきますために、夕景になりますと簡単なお食事程度というものがそれにプラスになるわけでございます。従って、一研究会というものを考えてみますと、三万円はオーバーいたしませんで、二万円以下である、こう考えます。  なお、もう一つ委員長のお言葉で、講習会並び研究会開催時期はいつか、こう仰せでございますが、これはやはり、販売方法の際にちょっと前段で当社趣旨を申し上げましたが、講習会もやはり年間を通じていたしておりまして、別にこの時期にかためて講習会をやるというようなことはいたしておりませんで、やはり年間を通しましてこの講習会開催さしていただいております。研究会も、単に明年の改訂ということだけでございませんで、年間を通して適宜にやらさせていただいております。従って、先ほど研究会として申し上げました回数最低最高というものの幅の多いことに非常に御不審をお持ちかと思いますが、当社といたしまして、来年度あるいは再来年度、おのおの教科によりまして改訂の方針を持っておるわけでございまして、その改訂の種目の多い少いによりまして、研究会開催回数というものも比例して多くなったり少くなったりいたすわけでございますが、改訂いたしますので、いつの年でも研究会はいたしておるわけでございます。
  26. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、証人お尋ねしますが、採択者というものの解釈ですね。実質上だれが採択する権利があるとあなたの方では解釈しておるか、その扱いをお話しいただきたい。
  27. 四条輝雄

    四条証人 私、法律の正確な文言を存じておりませんけれども法規上から見ますと、採択権教育委員会にあるということが教育委員会法に載っておったように記憶いたしております。しかしながら、文部省におかれまして、教育委員会が決定いたしますにつきましても、検定教科書本旨と申しますか、そういうような観点から、現場先生方の御意思を無視しないように、十分取り入れた上において決定するんだ、こういう御指導をなさっておられるように承知いたしておりますし、私どももそのように考えております。実情は、経済上の理由もございましょうけれども採択は土地によりますと郡単位とかあるいは市単位とかいうふうに決定いたしておりますが、私が承知いたしております範囲におきましては、現在採択委員展示会開催までほとんど公表せられておらないのが実情でございます。従って、私どもは、やはり良心をもって懸命に出しました本を一冊でも内容を検討していただくという意味合いにおきまして、私自身も、商用によりまして地方に出た場合には、先ほど申し上げました研究会先生方に、せっかく御貴重な意見をちょうだいいたしましたので、お集まりいただいて説明を申し上げることがあるのでございます。しかし、これは、私の方といたしまして、別に採択委員であるからそういうことを言ったというのではなく、先ほども申し上げましたように、法規上から申しましても、あくまで採択権というものは教育委員会にございまして、ただ、民生的な方法採択を決定するという意味合いから、現場先生方の御意思を無視してはならぬというような文部省の御指導で、私どもはなるべく多くの先生方に私どもが懸命に編集いたしました本の編さん趣旨というものを理解していただくということに努めておるわけでございまして、採択委員というものが展示会前にあらかじめ明瞭にわかるというようなことはほとんどございません。採択権に対する委員長の御質問で、私の知り得ているところは以上でございます。
  28. 高木松吉

    高木委員長代理 そこで、あなたの会社は、採択権利を行使する方々実質採択をする方々を招待したり接待したりする実情があるようですが、その詳細をお述べになっていただけませんか。
  29. 四条輝雄

    四条証人 お答え申し上げます。ただいま委員長からお尋ねの、採択権者採択権を行使する方々の招待ということでございますが、ただいまも申し述べさしていただきました通り、採択権を持っておられるからといって、私どもの方が明確にそういう意識を持って御招待申し上げることはございません。それでは全然招待してないか、こう抑せられますと、私どもがるる申し述べさしていただきましたように、編集内容そのものにつきましは研究会あるいは駐在員連絡等によりまして懸命なる努力をいたします関係上、その編さん趣旨というものを普及徹底いたします意味合いにおきまして、私ども商用等によりまして地方に出たとき、あるいは社員商用で出かけましたときに、それらの先生にお集まりいただきまして、その編さん趣旨というものを御説明申し上げるために御招待申し上げることはございます。しかし、供応というような言葉から受けるはではでしいことは、私どものところではいたしておりません。従って、御質問の線にそれるかと思いまして恐縮でありますが、特に採択権者というものを私どもの方で御招待申し上げるというようなことはいたしておりません。
  30. 高木松吉

    高木委員長代理 証人東京教育研究所というのを知っておりますか。
  31. 四条輝雄

    四条証人 存じております。
  32. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、その研究所会社との関係についてお述べになっていただきたい。なお、同研究所組織及び事業内容等について詳細にお述べになって下さい。
  33. 四条輝雄

    四条証人 お尋ね東京教育研究所と私ども東京書籍との関係からお答え申し上げ、事業内容もあわせて答えさしていただきたいと思います。  東京書籍株式会社は、安政年間からの教育資料約六万有余巻を蔵する東書文庫という図書館を持っておるわけでございます。この図書館は、戦前は図書館長を置きまして広く教育関係方方のみの御調査のために公開いたしておったのでございますが、戦争中図書館長が亡くなりましたのと、それから人手不足等から蔵書の整理がつきませんので、一時この貴重な文献の公開を中止いたしておったのでございます。検定制度が施行されまして、また東書としても非常に貴重な文献でございますゆえに、これを復活整備いたしまして、一つは多くの教育者方々に御研究のためにごらん願う機会をお与えしたいものだ、こういうふうに考えまして整備いたしましたのとともに、会社といたしましては、教科書編さんにつきまして編集上の資料調査させる一つの機関とさしていただいておるわけでございます。あわせて東京教育研究所というものを作ると申すと語弊がございますが、そういう名称で幅を広く持たせまして、この図書館一つ組織と申しますかその中に取り入れまして、そうしてまだ別にしっかりした人格を持ったものでも何でもございませんで、ただ名称東京教育研究所ということでございます。そうして、私ども教科書編集上の資料を求めるとともに、やはりもっと大きな立場で教育基礎調査、各教科教育基礎調査というものをいたしますし、また、実験室等を設けまして、私どもの方の教科書に載ります実験というものをこの研究所でいたしまして、そうして、私どもの方の教科書をお使いいただいた現地におかれまして実験等によりまして不測の災害を起すようなことのないようにいたしておるわけでございます。  東京教育研究所東京書籍との関係並びに事業内容というものをただいま申し述べさしていただいたわけでございますが、それでは組織の点はどうか。この組織といたしましては、専務理事が一名おりまして、その下に各教科研究担当者がおりまして、そうしてこの東京教育研究所というものを運営いたしておる次第でございます。
  34. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社は本年の二月ごろ、兵庫県洲本市において、県下の津名郡及び三原郡の小学校教師を招待して教科書採択を依頼した事実はありませんか。あれば、詳細なる事実の内容をお述べになって下さい。
  35. 四条輝雄

    四条証人 ただいま委員長お尋ね洲本のことでございますが、行政監察委員会の方から、洲本でこういうことがなかったかというようなお話をちょうだいいたしまして、実は私具体的にそれを存じたようなわけでございます。従って、係を呼びまして調査いたしたのでありますが、その調査の事実を率直に申し述べさせていただきたいと思います。  本年二月の二十七日でございますが、算数先ほど申し上げました研究会開催いたしまして、当日は日曜日でございまして非常に遠方からも先生がお出ましいただいたのでございます。平素、この研究会等あるいは講習会というものは夕景になりまして簡単にお食事を差し上げることがございますが、やはり建といたしましては、公会堂でございますとか公民館あるいは学校の講堂ということを原則といたしておるのでございます。当日はあいにく日曜日でもございましたので、鍋藤旅館というところへお集まりをちょうだいいたしたわけでございます。御出席なさいました人数は十一名でございまして、当方から編集の者が一名、社員が一名、駐在員が一名、計三名、総計十四名出席いたしたわけでございます。そして、お出ましいただいた先生から、算数に対する御熱心な資料というものを一日ほとんど朝早くから夕景まで承わりまして、御遠方からお出ましいただいたので、汽車賃実費、あるいは、先ほど申し上げましたが、御意見原稿料と申しますか、そういうことで、はっきりした数字ではございませんが、一人千円ぐらいの今申し上げました補いとして差し上げたわけでございまして、あとはこれにごくささやかな簡単なお食事程度費用というものがプラスされておるわけでございます。
  36. 高木松吉

    高木委員長代理 十一名と言われるが、小学校の校長先生教師先生方四十名近くを招待せられ供応しているのじゃありませんか。
  37. 四条輝雄

    四条証人 四十名ということは、これは、私今申し上げましたように、調査いたしましても四十名ということはございません。正しく十一名で、当方から三名出席させていただいておりまして、研究会であったということを重ねて、お答え申し上げます。
  38. 高木松吉

    高木委員長代理 それじゃ、その十一名の出席者の氏名はおわかりですか。
  39. 四条輝雄

    四条証人 ただいま、私、具体的にどなたということは存じ上げておりません。
  40. 高木松吉

    高木委員長代理 調べればわかりますか。わからぬことはないと思いますが……。
  41. 四条輝雄

    四条証人 調べればわかるとは思いますが、ただいまここで——私、直接やったのではございませんので……。
  42. 高木松吉

    高木委員長代理 それじゃ、調べて私の方へ知らせて下さい。  なお、あなたは一人に対して一千円と言いますが、五千円を持たして帰しているのじゃありませんか。その点はどうですか。
  43. 四条輝雄

    四条証人 私が承知いたしておりますところでは、五千円という金額はお渡しいたしておりません。建前といたしましても、先ほど申し上げましたように、研究会ということでやはりこちらからお招きいたすのでございますから、汽車賃実費、それから原稿料と申しますか、御意見をいただいて、それに対しまして報酬——報酬と申しますと語弊がございますが、補いといたしまして、お招きしたのでありますから、近い距離の方ですと五百円、遠い地方の方ですと一千円差し上げるという程度で、五千円という額は差し上げておりません。
  44. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、今研究会というようなことをやることは、あなたの会社教科書採択してもらいたいからそういうことをやるように常識的に判断できるが、その真意はどこにあるのですか。
  45. 四条輝雄

    四条証人 これは先ほどもちょっと申し述べさしていただいたのでございますが、すでにもう委員の方たは十分御存じのことと思いますが、私、検定教科書現場先生方意見を取り入れることが一番肝要じゃないか、こういうふうに考えております。従って、先生方御自身の教材につきましての工夫、あるいはそれを評価するということは、積極的に多くの方から意見を伺うということが、検定教科書をやる会社としての第一の忘れてはならない点ではないか、こういうふうに考えております。従って、研究会というものをどうしてやるんだ、こう仰せられるならば、当社が一年かけました編集内容というものを一度骨身を削って工夫研究するという目的のためにやるということをお答え申し上げたいと思っております。
  46. 高木松吉

    高木委員長代理 どういう名目でその金を経理、処置しておりますか。その点を明らかにすると、その金の使い方の目的がはっきりすると私は思いますが……。
  47. 四条輝雄

    四条証人 研究会費は当社では編集費といたしております。
  48. 高木松吉

    高木委員長代理 本年の四月より五月にかけて、山田社長は仙台市の小学校長を招待し、教科書採択を依頼した事実はありませんか。それがあるとするならば、詳細に事実を率直にお述べいただきます。
  49. 四条輝雄

    四条証人 当社の社長は随時会社に出て参ります関係上、やはり現場先生方に触れますのは私でございまして、山田社長は直接現場先生方にお目にかかって会食するというようなことはございません。従って、今のお尋ねの件もございません。
  50. 高木松吉

    高木委員長代理 聞くところによると、仙台の東洋館という料亭に小学校長、教員、教務主任級の教師を次々に数回にわたって招待し、教科書採択を依頼したといわれておるのだが、そういう事実はありませんか。
  51. 四条輝雄

    四条証人 ただいま委員長お尋ねは東洋館に続々呼んだというようなことでございますが、当社といたしまして、そういう続々呼ぶというようなことはないと思います。また、この具体的な問題自身についても、私、全然聞いておらないわけであります。
  52. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、やったかやらないか、はっきりわからぬという答弁ですか。
  53. 四条輝雄

    四条証人 山田社長が直接触れるということはございません。それから、ただいま申し上げましたように、具体的な会合というものは、私どもの方では、講習会の場合、時によると夕景になりまして簡単なお食事をやる場合があります。それから、研究会ですが、これはほとんどこちらからお招きいたしましたので、やはり夕景になりますと簡単なお食事を差し上げますし、また、先ほど申し上げましたように、一年間どもが骨身を削った編さん趣旨説明するための説明会というもの以外は、お招きしてやるということはございません。続々とお呼びするというようなことはございませんと思います。東洋館というところでやったといたしますれば、この研究会のあとであるか、あるいは講習会のあとか、あるいはまた何か社員商用で参ったときに説明会をやったとかいう程度でございますが、いずれも、人数の点につきましては、先ほど四十名とかおっしゃいましたが、建前といたしまして、さように大勢の方で趣旨なんか説明できるものでございませんので、私どもの考え方としては、十名内外ぐらいはお呼びしたとすればお呼びしたんじゃないか、こういうふうにお答えするわけでございます。ただ、東洋館に何名お呼びして、講習会のあとであったか、説明会のあとであったか、ないしは説明会、研究会のあとであったかというようなことは、ちょっと私具体的に聞いておらないわけであります。
  54. 高木松吉

    高木委員長代理 証人のただいまの証言を聞くと、あるのかないのか、聞いているとかいないとかで、要領をちっとも尽しておりませんけれども、わからぬものはわからぬものでよろしゅうございます。しかし、わかっているものは、記録の上に残るものだから、はっきりしていただきませんと、せっかくあなたを呼んだ私の方の趣旨に沿わないことになります。なお、事実をはっきり知っていながら虚偽の陳述をすれば、先ほど申し上げたような理由によって、あなたは立場上困ることにもなりますから、その点なども思い合せて、ほんとうの真実を述べていただきたいと思います。
  55. 四条輝雄

    四条証人 東洋館の具体的事実については、私は存じません。
  56. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社は、教育評論社に対し、北海道地域における図工の教科書採択を依頼した事実はありませんか。また、同評論社に対し採択依頼に関し金銭を提供したる事実はありませんか。
  57. 四条輝雄

    四条証人 教育評論社は存じておりますが、採択を依頼したことはありませんし、また金銭を教育評論社に出したということもございません。
  58. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社教科書販売株式会社に対し四万株を出資しているというが、同社との関係及び業務上の関係等についてお述べになっていただきます。
  59. 四条輝雄

    四条証人 お答え申し上げます。委員長お尋ねの四万株は、私の方で株式を持っております。それから、関係でございますが、教販会社は、たしか昭和二十四年と記憶いたしておりますが、当時、出版の卸業と申しますか、日本出版配給株式会社というのがございまして、これが集中排除法の適用を受けて解散を命ぜられましたときに、検定教科書業者の中には、およそこういう教科書の扱い手数料というものは低廉でなくちゃならぬというような声がございまして、開隆堂、二葉株式会社並びに東京書籍というものが主になりまして教科書販売株式会社を設立いたしたわけでございます。そうして、東京書籍といたしましては、全発行部数の中からその一部の出荷及び集金を委託いたしておるわけでございます。で、現在当社の山田社長が教販の取締役をいたしておりまして、私がその監査役であります。もう一人当社の取締役が教販の専務をいたしておるわけであります。
  60. 高木松吉

    高木委員長代理 最後に、教科書の価格を現行より安くするため、出版業者として営業上どのような合理化が期待せられるか、一つお述べになっていただきたいと思います。
  61. 四条輝雄

    四条証人 ただいま委員長お尋ねの定価を下げるという事柄でございますが、この制度と申しますか、そういうような点から、もちろん、金融上につきまして、あるいは輸送賃、あるいは郵税というようなものに対する特別の御措置が願えるとか、あるいは紙質の規格を統一するとかいうような面からも特別措置が講じられますれば、定価はそれだけ軽減されるんじゃないか、このように考えるのでございますが、今、営業上の問題と、こう仰せがあったのでございますが、よく言われます宣伝費というものでございますが、宣伝費の大部分を占めますものは見本本あるいはパンフレット類、あるいはまた講習会費、あるいは駐在員費用というようなものが含められておりますので、いわゆる食事代とか弁当代という部面だけを廃止するということでは、大した定価の軽減にはならないんじゃないか、響く度合いはそう大したものじゃないんじゃないか。こう考えるのでございます。ここで、私考えておりますことは、返本という問題でございますが、これは需要表の数字が正確でございませんために、いざ本を配本いたします段階になりますと、足りないところにはやはり完全供給という建前からすぐにお送り申し上げねばならないということになりますし、返本というものが相当な数字に上るのでございまして、この返本が何らかの方法で防遏できるようなことになって参りますと、この数字が定価に影響するのは相当の幅を占めるんじゃないか、このように考える次第でございます。
  62. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長よりの尋問は一応これで終了いたします。  それでは、午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ————◇—————    午後一時二十一分開議
  63. 高木松吉

    高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  四条証人より引き続き証言を求めることにいたします。  これより委員諸君の発言を許可いたしますが、これまで通り、十五分程度とし、努めて重複を避けてなされるようお願いいたします。濱野清吾君。
  64. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人に二、三点お尋ねいたしますが、先ほど委員長質問のうちの第十項の、教科書の価格を現行より安くするために出版業者として営業上どのような合理化が期待されるか、こういうことについていろいろ答弁があったようでありますが、これに関連して計数の問題をちょっとお聞きしたいのでありますが、証人会社の経費の内訳、定価を一〇〇として、編集費が幾らか、印刷、紙代が幾ら、印税が幾ら、小売マージンが幾ら、回送費が幾ら、宣伝費が幾らというような内訳をできるだけ正確にお述べを願いたい。
  65. 四条輝雄

    四条証人 お答え申し上げます。定価を一〇〇といたしまして、材料費及び印刷製本の占める率は五三、四%と相なっております。それから編集費は三・八%、発送費は四・三%、印税四・八%、供給手数料は一六%と相なっております。営業費といたしまして、普及費を合せまして一七・六%と相なっておるわけでありますが、普及費は定価に対しまして分解いたしますと四・八%、従って、一七・六%から四・八%引きました一二・八%が営業費と相なっております。
  66. 濱野清吾

    ○濱野委員 ただいまお答えを願ったその普及費というものは、どういうものでありますか。
  67. 四条輝雄

    四条証人 普及費は、見本本、それからパンフレット類、それから駐在員費等を含んでおります。
  68. 濱野清吾

    ○濱野委員 ちょっとこまかく承わりますが、ただいまの普及費は、他の会社で言っております献本というやつと同じだろうと思いますが、見本、パンフレット、駐在員費、——この駐在員の俸給その他ではなくして交際費に類すべきものもやはりこれに含まれているという御説明と了解してよろしゅうございますか。
  69. 四条輝雄

    四条証人 お尋ねの通りでございます。
  70. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、先ほど来御説明になりましたように、駐在員が参画して研究会並びに講習会証人会社では行われているようでありますが、研究会講習会費用もやはり四・八%に含まれている、こういうことに了解することにして差しつかえございませんか。
  71. 四条輝雄

    四条証人 研究会費は編集費に入っております。講習会費は普及費の中に入っております。
  72. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、編集費の内訳ですが、多分会社の経理の仕訳方で、研究会費は、本を作る場合、作った後の現場教師意見などを聞く意味で編集費の方に経理上処理したのだと思いますけれども証人会社の純粋の編集費というものは大体どのくらいのパーセンテージに当りますか。
  73. 四条輝雄

    四条証人 編集費は先ほど申し上げましたが三・八%でございまして、研究会費用もこちらに入っておりますが、編集上の委員会合費でございますとか、あるいは資料費用でございますとか、いろいろ含まれておるわけでございますが、定価に対しまするパーセンテージは三・八%ということになるわけでございます。
  74. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人会社は非常に長い経歴を持っております。実は、今日までこの経営上の経費の内訳をよく聞いておるのでありますけれども会社によってまちまちである。むろん大きい会社も小さい会社もございますけれども、大体似たり寄ったりの数字が出てこなければならぬのでありますけれども、実際は、われわれこの監察委員会で調べた速記を詳細に調べて数字をぶつけて見ているのでありますけれども、まちまちで、どこを大体常識的な数字と見るかがつかめないわけであります。そこで、はなはだ恐縮でありますけれども証人会社の数字をぜひつかんでみたい。もしこの編集費が研究会におもに使われるとするならば、これは非常に膨大な金になる。そうして、しかも、証人の申します普及費のうちの見本、パンフレット、駐在員の活動費というようなものを加えますと、少くとも八%になる。これは実に膨大な費用になるのでありますけれども、純粋なる編集費というものは一体どういものであって、そうしてしかもどのくらいなパーセンテージを占むるか、すなわち、仰せられる三・八%のうち、純粋な編集費というものはどのくらいのパーセンテージを占めるか、こういういうことをお尋ねしたいと思うのです。
  75. 四条輝雄

    四条証人 ただいまお尋ねをちょうだいしております編集費の純粋という問題でございますが、ただいま、私、相済みませんけれども編集費の内容についてどのくらいという資料を持っておりませんので、御質問に具体的にお答えできないのであります。
  76. 濱野清吾

    ○濱野委員 それでは別な面から聞きます。どの会社を調べても、宣伝活動費、——採択に必要なる運動費と言った方が正確だと思うのでありますが、これが相当のパーセンテージを占めていると思います。しこうして、これによって不公正なる競争が行われ、世間から指弾を受けている。これが何らか合理的な解決ができ、——忌まわしき不公正なる競争というものを金を使ってやっているのでありますが、それをもししないでよいような工夫ができるならば、教科書の単価は相当引き下げられるようになる、こう考えているわけであります。そこで、角度を変えてお尋ねいたしますが、証人会社等の見るところでは、今日行われている展示会というようなものが、ほんとうに政府の考えている目的が達成されておるかどうか、この点について正直に一つ見解を述べてもらいたいと思います。
  77. 四条輝雄

    四条証人 展示会でございますが、十日間でございまして、しかも会場数が一千会場と承知しておりますが、この期間の点から申しましても、また教科書の種類の点から申しましても、完全というふうにはどうしても考えられないのであります。
  78. 濱野清吾

    ○濱野委員 完全とは考えられないというお言葉。どうやら効果があるだろうというような意味にもとれるし、また、商事会社またはこういう会社を受け持っておられる方々はいろいろ適切なお言葉をお使いのようでありますが、実際問題といたしまして、過般の東京都のPTAの連合会長の証言によれば、自分の行ったときなどはほとんど先生方は来ていなかったというような証言がございました。それでよくも採択の問題が公正にできるものだと実は考えつつ、今日この委員会はいろいろお尋ねしているわけでありますが、実際ああしたものはもう無意味なのだ、ゼロに近いというお考えなのか、それでもないよりはまあいいだろうという意味なのか、それともまた、採択方面においてはまあどうやら七、八〇%の効力はあって、そういう機関でお互いの会社採択が行われているのだという意味なのか、その点、実は大事なことですから、正直に一つお述べを願いたいと思います。
  79. 四条輝雄

    四条証人 具体的に一千会場展示会につきまして、実は不用意でございますが、そのお尋ねの効果という点につきまして、私、詳細に調べないものでございますから、きわめて概念的な話で恐縮でございますが、たまたま今例をお引きいただきましたその展示会場については、あるいはまたほとんど先生もごらんにならないというふうなこともございますかと思います。また、事実、私が参りましても、非常に少い展示会場もございますが、また一方熱心に現場先生がお出向き願って御検討をなさっている展示会も二、三見たような記憶もございますので、全然もう意味ないと言ってしまうことはできないのではないか。しかし、概念的ですが、あれだけの種類のもを十日間で、しかも膨大な地域にわたりまして一千会場というだけのことでは、これはそのほんとうの展示会のあり方としての目的を達しているとはとうてい考えられない、こう思う次第でございます。
  80. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人にこの問題についてもう一点聞きますけれども、およそ、証人会社もそうであろうと思うが、学校図書、大日本その他の会社の実際の販売の実情をわれわれが尋問してみますと、速記録に載っておりますようなまことに遺憾な点が多いのであります。そういう点から見ますと、展示会というものはむしろ教科書を作る印刷会社に事実上ボイコットを食っているのではないか、そんなものは、採択機関としては公正なのかもしれぬが、およそ効果をあげるわけにいかぬ、そんなものはたよるわけにいかぬのだというので、点数を上げるためには、昔の選挙のように、金があるならば金を与える、ごちそうができるならばごちそうをする、何か理屈がつくならば、熱海のホテルなりあるいは長岡温泉の大和館なり、それぞれ客のウエートによって御招待を申し上げるというようなことは、あらゆる会社がどんどんやっておるようなわけなんです。事実展示会が法の希求しているような効果があがるとするならば、あらゆる会社で、それをボイコットして、あらゆる姿で採択の数を増加するためのこうした不公正な連動というものは起きないで済むだろうとわれわれは直観的に考えているわけなんです。そこで、実はもう一度証人に聞きたいのだが、ほんとうに、十日間で、しかも相当部数の教科書学校先生方が見て、真剣に見た上でとっているというのが一体どの程度の実数が出てくるのか。これは実際われわれもよくわからぬのです。しかしながら、この行監でいろいろと皆様方から実情お尋ねして聞かせられれば聞かせられるほど、展示会が、これは業者にまでボイコットを食っている無用の存在だ、この現在の制度においては効用をなさない、こういう感じを実は深くしているわけです。恐縮すが、もう一度、証人の偽わらざる実際上の話をお聞かせ願いたいと思います。
  81. 四条輝雄

    四条証人 再三のお尋ねに明確なお答えができないことを相済まなく存じますが、私どもが率直に感じておりますことは、るる申し上げましたように、非常に種類が多いということ、それから、その展示会状態を見ましても、非常に広大な地域を預かっております展示会場は、地域を分けまして、たとえば、A、B、Cと地域がございますと、十日間のうちAの地域の所在学校先生方はいつ幾日に来る、Bの地域はいつ幾日に来る、こういうような実情で、十日間必ずしも連続してその場に臨みまして御研究できないというような実情もあるわけでございまして、何としても現在の展示会が完全でない、——という表現ですと、またおしかりをちょうだいいたすと思いますけれども、全く完全とは考えませんし、お調べいただく先生も、従って十分なる御研究、御調査というものが、この展示会のみにおいて御検討願うということは不可能じゃないか、こう考えるわけでございます。さりながら、教科書会社といたしまして、法の示す展示会というものを無視しておるか、こう仰せられますと、決して無視しているわけでございませんで、二千三百五十冊と先ほど申し上げましたが、やはり展示会場にその見本を出展いたしますので、展示会の場においても、現地先生方に、本の編さん趣旨でございますとか、教材の適否を十分お調べ願う機会として、時間が少いとしても見ていただきたい、こういうわけで、私どもの方でも毎年の展示会場に出展いたしておるわけでございます。
  82. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君に申し上げますが、申し合せ時間が経過いたしましたから、簡略にお願いいたします。
  83. 濱野清吾

    ○濱野委員 こういうことを聞きたいのですが、証人は申し述べにくいかとも思いますが、私どもも実はかって身につまされる経験を持っているのです。われわれは、選挙に再々立って、当選したり落選したりするのでありますが、昔は、たくさんの票数をほしいために、新年宴会であるとか、あるいはその他の会合に名をかりて、そうして票数かき集めの何々会というものを再々催した経験を持っている。ところが、これはおしなべて教科書会社のやっている常習的なやり方でありますけれども講習会研究会というものをほとんどの会社がやっている。講習会は、採択前に現場教師の意向を聞いて、そして編集に当るのだ、——これはなるほど表面上りっぱな筋の通るお話でございます。何といっても、今日の法制の建前からいって、ことに民主主義の教育の基本的な態度というものは、教科書はあくまでも教材であります。昔のように国の使命をはっきりと教育方針に打ち出して、そして天皇うつつ神というような、そういう教育をするのではございませんから、従って、昔の教科書と今日の教科書とはとんでもない相違があるということは私どももよく承知している。その相違している点を承知いるがゆえに、私ども、古い考え方でも、これは教材だという考え方でおやりになるだろうと思う。これを教材として教育をしようとするからには、まず現場教師の諸君の意向をくみ、必要があるならばこれらに迎合して、そうして自己の会社採択を多からしめようとすることは、これは業者としては当然であるし、また人情としてもそういくであろう。これは、われわれが昔選挙をやった経験から、そうであります。しかし、そういう意味もあってこの講習会というようなものを盛んにやるということになれば、業界はそのことによって非常に汚され、しかも教科書を作る公約性格を持っている会社業務としては、いろいろな世間の非難を受けるであろう。それで再三委員長からも先ほど追及があったようでございますが、実際はこうしたことをやらなければ今日の段階では採択面について非常に影響があるとお考えなんでありましょうが、われわれの経験するところでは、同じ地盤で両候補が争って、そのときに、あらん限りの金をかつぎ出して、そうして物をやる、金をやる、ごちそうをするというような、そういう候補者が一人出ると、幾ら貧乏でも相手方の候補者もやはりやらざるを得ませんから、結局同じようなきたない戦争になってしまいます。私は率直に証人の見解を聞きたいのだが、ちょうど昔の選挙のように、一人変なことをやると、勢いその他の業者もつられて、生きていくためのやむを得ざる手段として講習会研究会というようなものをどんどん開かされていく、その段階にこの業界はきているのではないかとつくづく考えるのであります。一つ証人は率直にぶちまけてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  84. 四条輝雄

    四条証人 今お尋ね講習会採択との関係ということでございますが、他のことは存じませんが、私の社といたしましても、お説のようにりっぱな教科書を作るつもりで努力いたしておりますので、一冊でも多く現場先生方の御検討をちょうだいいたしましてお使いいただくことは、確かに率直に申し上げまして希望を持っております。さりながら、講習会というものとかりに採択関係ありとしても、講習会というものは必要ないかと申しますと、講習会というものは必要じゃないか、私はこういうふうに考えるのでございます。と申しますのは、これは記憶でおそれ入りますが、国定時代においても、文部省の監修官の方々がやはり現場に出向かれまして講習をなさったというようなことも伺っているわけでございます。ましてや、現在の検定制度下におきましては、教材等の適否ということについても、単に学者だけが作った教科書では現地教育には適合せぬ。従って、私どもは、先ほど午前中に申し上げました研究会というものによって、自分たちが作った教科書をお使いいただいている先生方から、そのお使いになった上について、その教材が適当であるかどうか、あるいはこうした教材を入れたらいいじゃないかというような御工夫を伺い、また進んではそうした点を取り入れまして、そうして出しまして、今度は、その本を活用していただく意味におきまして、こちらの編集しました講師というものが、現地の御希望に応じて現地に参りまして、僭越ですが御指導申し上げるというわけでございまして、現在の制度であろうと、また検定制というものが続く以上は、やはり講習会というものは私は必要じゃないか、こう考えるわけでございます。
  85. 濱野清吾

    ○濱野委員 趣旨をよく了解していただかぬと、むやみにお隠しになるようになってもいかぬのでありますが、われわれは実はこの教科書の問題で真剣に取っ組んでいるのでありますが、私は証人から聞くのが実は一等正しい証言が得られるものと考えているわけであります。というのは、他の会社の最近における採択部数の統計を私速記によって調べているのです。そうしますと、かつて四、五年前に一千万部くらいのものがあるいは三千万部を突破しているというようなすばらしい成績があがっているわけであります。大体この行監で私どもお尋ねした各会社のうちでは、大概のものは一千万あたりから二千万、二千万から三千万と、三、四年のうちにすばらしい成績でのしてきているのです。ところが、先ほど証人会社の二十六年からの比を見ますと、二十六年は五千四百万あったのに、二十七年三千三百万、二十八年二千八百万、二十九年二千七百万とジリ貧に下ってきた。これは、証人の言うような筋の通った理論でも私どもけっこうでございますが、そういう講習会研究会などというようなことを今日まで怠って、そういう努力をしなかったところに採択数が五千万から二千万に落ちたケースが出ているのではなかろうか。ですから、むしろざっくばらんに証人から、この業界の不公正なる取引、すなわち買収、供応その他一切不公正という言葉に適合する忌まわしき措置を暴露してもらった方が結局けっこうなんじゃないか、こういうつもりで実はお尋ねしているわけであります。筋は筋でいいのですが、もう一度お答え願いたい。
  86. 高木松吉

    高木委員長代理 四条証人に申し上げますが、あなたはいい面のみを羅列して悪い面の事実を隠すように見えるのだが、その点をざっくばらんにお話し願ったら、濱野委員も納得するんじゃないかと思います。
  87. 四条輝雄

    四条証人 悪い面と申しまして、講習会研究会で、先ほど委員長からも当社に対しまして洲本という件についてお尋ねがありましたが、そういう関係がどうあろうとも、その事実に対しまして、私どもは大いに既往においても自粛はいたしておりますけれども、そういう会合の場合に簡単な食事程度ということはいたしておりますが、さような事実に対しましては、今後も大いに自粛を誓いたい、こう考えております。しかし、それのみによって採択が減るということは、現地先生方に対しましても、ただそういうことをしたからとっていただくということは、私は考えられないんじゃないか。現地先生方は、やはりなまいきなようでございますけれども、学習指導計画というものをお持ちのようでございまして、それに合わない本は、どんなことをやってもおとり願えないということは、私どももしみじみ例を持っておるわけでございます。そこで、今お尋ねの、非常に部数が減ったということを見てみますと、簡単でございますが、昭和二十四年には二十二社ございまして、二十五年には五十二社にふえ、二十六年には六十一社にふえました。二十七年には七十八社にふえて、三十年には九十二社、こういうことでございまして、私どもが二十五年に五千万冊御採択いただいたということは、考え方によっては、種類が少なかった。東京書籍としては、国定教科書会社から早く出発した、そのために、世間の御信用と何で、あるいは今日と比較すれば、無条件のうちに御採用いただいた。しかし、それも、だんだん内容をごらんいただくと、そこに当社として地域に適合しないというようなこともあり、また、あるいは会社が多くなりまして、だんだんと採択の部数というものが平均というと誤弊がありますけれども、通俗な言葉で恐縮でありますが、ならされていった、こう考えるわけでございます。
  88. 高木松吉

    高木委員長代理 辻原弘市君。
  89. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいま、濱野委員質問に対して、展示会の問題についてあなたの経験から見た考えを述べられましたが、もう少しこの点について伺ってみたいと思います。現在の検定制度を不公正な取引ではなくして正しい姿でやっていきますためには、どうしても展示会というものが非常に重要であります。ところが、われわれとしましても、今までやってきたこの展示会について、運営が完璧に行われるとは考えないのでありまして、いろいろな欠陥を持っている。あなたが言われる通り、確かに十日間で二千種類に及ぶような教科書を逐一内容に目を通して採択をさせるというようなことは、現実的に、だれが考えてみたって不合理きわまるものでありますし、また、地域的にも、これは相当遠隔の地から出て来なければならぬような不便さ、こういう点から、勢い、本来現場先生方が目を通してその結果採択が行われるものが、そうではない方法、るる御説明になったように、いろいろな不公正な問題がそこから私は発生していると思うのでありますが、そこで、何とかしてこの不公正な姿を公正な姿に持っていくために、現在やっている展示会そのもの、これは悪いとはどなたも考えなさらぬと思いますが、その運営についてどうやっていったらこれがほんとうに現場と直結して採択に十分効果あらしめるような姿になるかという点について、われわれもいろいろ考えているのでありますが、証人として、先ほどは非常に現実離れをしているという点については述べられたのでありますが、建設的な点について何か御意見がないかどうか、この点を一つ伺っておきたい。
  90. 四条輝雄

    四条証人 重ねて、展示会というものに対して建設的な意見を言えと、こういうお話でございます。いろいろ、現在の展示会というもののあり方、ことに採択関係する展示会のあり方というものにつきましては、私どもばかりでなく、業者みな、現存完全なものというふうには考えておりません。しかしながら、それではこれが悪いならどういうふうなあり方がいいかということになって参りますと、なかなかこれはむずかしい問題がございまして、実は、教科書協会におきましても、展示会制度というものにつきましては特別の委員会ができまして、いろいろと研究しております。長い間かかって研究いたしておりまして、いわゆる常設とかいうようなことを協会あたりでも申しておりますけれども、具体問題になりますと、どうしても一利一害が伴いまして、現在の展示会を改めてほんとうに完全なものにするという結論にはまだ達しないようでございます。これは、協会としても今後とも努力して参ることと思いますので、私どもとしても今後続いて大いに研究させていただきたいと思っております。現在の段階では、まことに申しわけございませんけれども、建設的と仰せられても、まだ発表する研究と用意を持っておりませんので、一つ御了承をちょうだいしたいと思うのであります。
  91. 辻原弘市

    ○辻原委員 今までこの問題についてわれわれが数々の教科書会社その他の関係方々からいろいろ聞いた範囲によりますと、大体現行の展示会制度は早急に改善しなければならぬ、現在の段階で考えられるその方法としては常設展示会の制度が非常にいいのではないかということで、その点についてはあなたも触れられましたが、われわれとしましても、今やっている展示会を何らか改善する方向に持っていくためには、どうしても十分見させる期間を与え、いつでも現場先生方の閲覧に供することができる場を設定する必要があると思う。それには、国も相当の補助を与えるような形で、常設式なものにする以外にないのじゃないか。それが少くとも現在よりもよりベターであるということだけは事実であろうと私は思うのです。その点について、あなた方も積極的に御研究なさる御意思がありますかどうか、その点をもう一度承わりたい。
  92. 四条輝雄

    四条証人 今お尋ねのように、常設展示場で常に目に触れ研究する場が持てるということにつきましては、全く私も賛成なのでございます。ただ、採択の場としての展示場ということになって参りますと、毎年改訂も行われることでございますし、新しいものも編さんされるわけでございます。従って、数多くある会社の中で、早くできたものは早く先生方の目に触れる、おそくできたものはおそく目に触れることになるという意味合いにおいて、常設展示場のあり方を非常に慎重に工夫しなければならぬ問題があるのじゃないか。ただ概念的に多くの先生方の目に触れるという考え方の上に立っての常設展示場であれば、現在の展示会と比較いたしまして、大へんけっこうじゃないかと思うわけでございます。
  93. 辻原弘市

    ○辻原委員 現行の検定制度のもとで、直接採択者の側である先生方意思を通じてこの制度を遂行していくということになれば、どうしても展示会の制度を抜本的に改正する必要があると考えます。そこで、不公正なものをはらんでいるとして取り上げられている幾つかの問題の中で、特徴的に現われているのは、先ほど委員長の尋問の中でも触れられている駐在員ないしは連絡員の制度、ないし今濱野委員から言われた講習会あるいは研修会等の形であります。これはそれぞれいい面もいろいろあると思いますが、直接的に会社が企業体としておやりなさる真の目的は、いろいろ理屈をつけられましても、結局は展示会を通じた正しいルールの採択では何としても九十数社の競争に打ち勝つことができぬというところに根拠があると思う。従って、特徴的に現われているこれらのものを、ただ自粛というだけでは、根本的に改善をしていくことはできません。講習会であれば、根本的に形を変え、会社自体がタッチした講習会から、純粋な研修会、講習会というような姿にする。いわゆる会社とのつながりをなくした形にしなければならぬ。これに対しては会社は何ら援助を与えることもなくなり、採択とは無関係なものにする。駐在員等も、でき得べくんば、直接郵送とか輸送その他の関係以外の業務にタッチする人々を除いてはやめてもらわなければならぬ。やめるとなれば、それだけでは会社教科書を採用してもらう方法がつかぬという問題に逆戻りしてくると思う。そこで、あなたが今現行の制度の中でどうやっていったら正しいルールでもっていけるかということについてはいまだその結論をお持ちになっておらないということは、さらにこれを演繹していけば、結局何だかんだとおっしゃっても、駐在員ないしは講習会等にたよらざるを得ないというふうにお考えなさっていらっしゃると思うのですが、その辺のあなたのお気持はどうですか。
  94. 四条輝雄

    四条証人 私どもは、現在の制度そのものが自分のところに都合がいいのだ、こういうふうには考えておりません。やはり、採択の場としての展示会のあり方というものにも、絶えず苦悶と研究を重ねておるわけでありますが、今辻原委員が仰せられた制度としての改善ということでございますれば、私どもの方といたしましても、現在の批判の対象になっております点については十分検討を加えることはいたしたいと思っております。
  95. 辻原弘市

    ○辻原委員 次に、教科書の価格の問題が、これまた常に現行の制度に対する批判の対象になるわけでありますが、今まで私どもが数々教科書会社の経理内容をお伺いした範囲によると、どの会社をながめましても、いわゆる普通の図書出版と違って最もその内容に重点を置かなければならぬ教科書編集費が、他の部分に比較してきわめて少いのであります。先ほどお宅の方の経費内容の分析を見ましても、非常に少くなっております。こういう点は、将来あなた方にも十分考えていただいて、やはり教科書の生命とするところは、いわゆる営業宣伝ではなくして、内容でもって採択してもらうという点に力点を置いてもらわなくてはならぬと思いますが、そうするためには、勢い他の部面の経費はセーヴし、ある程度落していかなくてはならぬ。  そこで、一点お伺いいたしたいのは、これはどの会社でもそうであるらしいのでありますが、教科書編集されてから出版され、それから販売に至り供給に至るその過程には、少くとも一年以上の年月を必要とする。その間における会社の金融措置というものは、これはどの会社を見ても非常にお困りになっていらっしゃるようでありますが、あなたの会社ももちろん同然だろうと思うので、そこで、どういう形の金融措置をおとりになっておるか。他の会社がやっておられるように、やはり取次店その他の金融を仰いでそれに充当通常されておるのか、また、そうした場合には利子補給を与えておるのか、こういう点について一つ克明にお話しを願いたいと思います。
  96. 四条輝雄

    四条証人 お尋ねの金融という問題につきましては、克明にとおっしゃいますので、自分の記憶にございます限りを率直に申し述べさせていただきたいと思いますが、国定から検定に移ります終戦時におきまして、——国定時代は取次店が立てかえて前もって発行会社に送っていただいておったわけでございます。検定になりましてから、インフレで非常に紙資金というものが膨大になりまして、教科書発行会社はひとしく資金難に陥ったわけでございます。その当時、文部省等のごあっせんによりまして協調融資というような方法が講ぜられまして、各発行会社は日銀の融資斡旋課の御配慮によりまして紙を裏づけとした資金の融資だけを受けたのでございます。これは借り入れ期限が六十日ないし五十日でございまして、新学期に本を売りまして、九月ごろから次の四月に使う教科書を刷り始めるわけでございます。買うたびにその紙代だけは払っておるわけでありまして、その資金としてそれを使うのでありますが、終戦後は回収が四月でないとつきませんので、その四月のくる前に返済期限がくる。こういうことで、特約店の方にできた本を担保というような形で送りまして、資金というか代金をちょうだいしておったのでございます。しかし実際にはまだ売れない。こういう状態でございましたので、その前もってもらいました金というものは、特約店におきましても、取次店が一時金を立てかえて特約店に払う場合、あるいは特約店自体が地方銀行から融資を受けるか、いずれかによって、発行元に送って参っておるわけでございます。従って、前に受けましたものに対しては、私どもの方といたしましても補給利子というものを払っておる次第でございます。ですから、お尋ねのように、九月ごろから四月の回収まで長期の融資というものがつくならば、特約店あたりからも前もっていただく必要はないと思いますが、ただ、現在融資をいただいております範囲は紙という裏づけの範囲内に限られておるようでありまして、それに要する印刷、製本賃、あるいは編集に要した費用というのはやはり定価の中に見込まれておるわけでございますから、その面で、ただ紙代の長期融資ということでは、やはり発行会社の運営は困難じゃないか、こういうふうに考えます。
  97. 辻原弘市

    ○辻原委員 やはり、他の会社と同じように、特約店ないしは取次店からそれぞれ金融の道を講じているような話でありますが、あなたの方の年間講じられる金融措置の中で、特約店それから取次店から仰がれる融資の率というものは、比率から言えばどのぐらいになっておりますか。なお、その場合に、特約店が自力で銀行その他の融資を仰いであなたの方に供与されるのか、それとも、取次店から金を事前に立てかえまして会社の方に持ってこられるのか。そういう点について、具体的にあなたの方はどうなっておるか、それを一ぺん確かめておきたい。それと、もう一つ、その場合に利子の補給をなさっていらっしゃるようでありますが、その補給利子、さらに、利子補給のみならず、あなたの方で御自身金融措置をやられる分があると思いますが、それを全部合算して、いわゆる金融経費というか、それが経費総額の何パーセントに相当しているか、この点をお答え願いたい。
  98. 四条輝雄

    四条証人 今特約盾から融資とおっしゃいましたのですけれども、ほかの会社のことは存じませんけれども、私の方ではいろいろ経営の合理化にも苦心いたしまして、三十年度の銀行からの融資は、その数字は記憶いたしておりませんが、ごくわずかでございます。特約店からの融資とおっしゃいましたけれども、大体私の方は九月ごろから製造を開始いたしますので、できた本を特約店にお送りいたしまして、その範囲内においてこちらへお金をちょうだいする、こういうことにいたしております。従って、たとえば、具体的に申し上げますと、九月にかりに一億円の本ができた、こういたしますと、これを全国に配送するわけです。そうすると、この一億円に相当する額をいただく。ですから、私の方はどちらかと申しますと品代金という考え方で特約店からもらっております。それなら補給利子を出すのはおかしいじゃないか、こういうお考えもあろうかと思いますが、やはり四月でございませんと児童の方からお金をちょうだいいたしませんので、その送って参りますお金は、四月までは、発送証明というものを文部省でちょうだいして送りますから、特約店地方銀行からその裏づけにおいてそれに相当する代金を貸していただいて、それで私の方へ送っていただく、こういうことになっております。
  99. 辻原弘市

    ○辻原委員 取次店と特約店の状況はどうなんですか。
  100. 四条輝雄

    四条証人 私の方では本を取次店に直接需要表に基いて送ります。そうすると、取次店が特約店にお金を払い込んで参るわけなんです。
  101. 高木松吉

    高木委員長代理 辻原君に申し上げますが。申し合せの時間が経過いたしましたから、簡略に願います。
  102. 辻原弘市

    ○辻原委員 今のことは、ちょっとケースが違うので、はっきりおっしゃっていただきたいと思うのですが、今の御説明であると、私の質問したことと違ってくるわけです。取次店から特約店に対して前金の形で納める、同時に、あなたの方から出した本について今度は特約店が代金を納める、いわゆる前金制度をとっておるわけですね。
  103. 四条輝雄

    四条証人 ちょっと表現がまずかったかと思いますが、私の方から全国の取次店へかりに十月なら十月に一億円の本をお送りする、そういたしますと、その県における特約店が私の方に代金を支払ってくれるわけであります。しかし、特約店にしても取次店にいたしましても、児童から金を集めておりませんので、そこに特約店としても融資ということが必要になって参りますので、実際に代金に対するお金は特約店としては預かっておりませんけれども、融資によって私の方に金を送ってくれる、こういうことでございますが、御了解いただけますか。
  104. 辻原弘市

    ○辻原委員 時間がないようでありますので、他の部分は省略いたしまして、そこで、あなたの会社でも正常な形ではなかなか採択が思わしくない、従っていろいろな姿での売り込み方法が講ぜられておるということは事実明らかであります。特に、あなたの会社創立も古いし、かつては有力な国定教科書の取扱い会社であったということからも、最後にお聞きしておきたいのでありますが、そういった現実の検定制度に対する悩みはいろいろありましょう。さりとて、何といっても、先ほどあなたの言われたように、教科書内容が生命であります。いわゆる生きた教育をするためにも生きた教科書を使うという観点に立つならば、どうしても教科書そのものの内容は逐年研究研究を重ねて現場教育と直結させなければならぬ。そういう意味で、われわれとしては、検定制度に部分的な欠陥は生じても、制度そのものは、これは何とか欠陥は克服し改善しつつも存続していかなければならぬということを強く考えておるわけであります。それで、この点について、いろいろやってみたが、どうもだんだん競争者がふえてくるし、採択数も減ってくる、どうも困った、やはり昔の国定制度の方が、会社としてはいわば独占企業であったのだし、金融等の道についても協調融資その他の関係も政府の方から講ぜられてやりやすかった、だからそういう制度の方がよいのではないか、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのじゃないか、こういう危惧もなきにしもあらずでありますが、現在問題になっている教科書制度そのものについて、あなたとしてはどういうふうに制度の根本をお考えになるか。検定制度を、何とか欠陥を克服して、これを向上させていこうというお考えに立っていらっしゃるのか、ここらであきらめて、展示会を幾らやってもなかなか具体的にむずかしい、一本になった国定制度をやった方が早道でないか、こういうふうに、あなたなり、あなたの会社としてはお考えになっておられるのか、最後にお聞きいたしたいと思います。
  105. 四条輝雄

    四条証人 お説の通り、検定制になりましてから、やはり弊害の面はいろいろ指弾をちょうだいいたしておりますけれども、本そのものはよくなったというお説が多いようでございます。ましてや、終戦後七年間検定状態を経験いたしました私どもといたしましては、何とか一つ制度をりっぱなものに盛り立てて、あくまで検定制度を育成したいものだ、こういうふうに会社といたしましても絶えず考えておるわけでございます。
  106. 高木松吉

    高木委員長代理 神田大作君。
  107. 神田大作

    ○神田(大)委員 証人に簡単にお尋ね申し上げます。  最近、あなたの会社は、昭和二十六年度に五千五百万、昭和二十七年度に三千三百万、昭和二十八年度に二千八百万というように、発行部数が減ってきた。特に、昭和二十六年度から見て昭和二十七年度には約二千万から減ったというようなことについては、大きな原因があるだろうと思うのでございます。先ほどもそのことについてあなたはちょっと触れられたようですが、その原因についてお尋ねしておきます。
  108. 四条輝雄

    四条証人 二十五年と二十六年の先ほど申し述べました数字の中には、やはり当時まだ国定教科書が含まれておったと思っております。もちろん、私の方で検定を受けましたものも含めての数字でございます。しかし、それにいたしましても、徐々に減った原因はどうか、こう仰せられますと、いろいろございましょうけれども、私どもが考えますのは、発行会社が何としても数が多くなった、こういうことだけが考えられるわけでございます。
  109. 神田大作

    ○神田(大)委員 発行会社の数がふえたので、それだけあなたの会社発行部数が減ったと言われるのでありますが、ある教科書会社においては、三十六年度に千九百四十二万だった、それが二十七年度には四千万、二千万部ふえている。片方の会社が二千万部ふえて、あなたの会社が二千万部減っている。こういう現象があるのですから、会社がふえたからこういうことになったのだ、それのみではこれは解決できない問題だと私は思いますが、そういうことについて、率直にあなた一つ言って下さい。あなたもずいぶんくやしかったろうと思う。おれはまじめにやっているのに、どうしてこんなに減っちゃったんだろう−。片方の会社は一挙に二千万部ふえて四千万部になった。これには大きな原因があるのです。あなたはそれは十分わかっているのですけれども会社がふえたということで逃げているのだろうと思います。そういうことには、われわれ子供じゃないから、ごまかされない。そういう話をそうですかといって聞いているわけにいかない。そういう点を、あなた率直に話して下さい。
  110. 四条輝雄

    四条証人 どうも再三にわたって私どもの方が減りました原因をお尋ねなんでございますが、私、ほんとうに、どうして減ったかということになってくると、ほかの会社との競争——ほかの会社がこうしたから減ったというようなことは、どうしても具体事実というものを私存じませんし、まあそれは、お互いに競争でございますから、取られることもございますと思うのでございますけれども、しかし、一般的に申しまして、先ほど申し上げましたように、発行会社が非常に多くなってきたということは、これは、どの会社が多くても、だんだん平均化されていく。それだから、今後はやはり、さっき辻原委員さんが、編集費が少いじゃないか、これはむだな面でもっと節約して、それでいくようにしろ、こう仰せられましたが、私どもも、それでなくてはならぬ。こう思いまして、がんばっておるわけでございますが、お尋ねいただいても、ほかの会社がこうしたから減ったというようなことは、私、ほんとうに存じませんので、御了承をちょうだいしたいと思います。
  111. 神田大作

    ○神田(大)委員 二十六年度から見て二十七年度に二千万部ふえた会社は、御承知の通りこの年にいろいろと問題を起した。そうして、あべこべに、五千五百万部もやっていたものが三千三百万部に二千万部減った。ここに業界の裏において大きな一つの施策が施されたということが常識的に誰にも考えられるのです。だからして、りっぱな検定制度を作りましたけれども、この検定制度をくつがえすことによって、りっぱな教科書が児童の手元に送られないというようなことがあっては困るから、われわれこの問題を取り上げておるのでございますが、会社の専務といたしまして、二千万部も減ったら大へんなことだ。聞くところによりますと、あなたの会社では、数の急激なる減少により、重役連中が現場の職員並びに関係職員を集めて厳重な警告を発し、重役会で職員に対しましてお小言を発したということですが、この二千万部減った原因をあなたはつまびらかに御承知であろうと思うので、そういう点について、いま一度正直に御発言願いたいと思います。
  112. 四条輝雄

    四条証人 ただいまお尋ねの間に、ちょっと記憶がはっきりいたしませんけれども、思い出したのであります。昭和二十六年、指導要領が教科書によって改訂になった年ではなかったかと思います。改訂に伴いまして、二十五年度に出しました教科書というものは、新たに発表になりました指導要領によって改訂を加えなければならぬ、こういう過程があったかに記憶いたします。そのときに、全学年そろえて文部省に提出いたしますので、非常に窮屈な時間にやって粗略なものを出しちゃいかぬというので、当社におきましては、たしか、これは小学校の場合ですと一年から六年まではいたしませんで、一年から三年の低学年と上学年にわけて改訂を加えて出したことがあるやに記憶いたしておりますが、それを現場先生方がごらんになられまして、やはり新しいものは上学年まで一貫性がなければ検討が加えられないというようなことを事後に聞きまして、多少採択の減少ということに向うのもここに一つの原因があったのではないかというふうに今考え出したわけでございます。
  113. 神田大作

    ○神田(大)委員 一つお話しのようですが、指導要領の変更によって部数が減った−。しかし、文部省が制定します指導要領なるものは、これは各会社とも同じような条件のもとに提示されるものだ。あなたの会社だけが間際になってからおくれた、ほかの会社は先に提示されたというようなことはないだろうと思いますけれども、あなたの会社といたしましては、どうしてその変革期にほかの会社と同じように対処できなかったか、その点をお伺いします。
  114. 四条輝雄

    四条証人 私の方は、小学校教科書中学校は職業と英語を抜かしまして全部いたしておるわけであります。たとえば、国語の指導要領が改訂になるという場合には、文部省指導要領というものは確かにお説の通りでございますが、やはり教材とかあるいは表現方式であるとか、あるいは漢字の出し方であるとか、各教科横の連関をとる意味におきまして、当時まだ検定発足直後でございますから資料も十分整っておりませんし、出すものならばあせらずによいものを出そうというわけで、非常に速度がおそかったと言えるわけでございまして、そのかわり、出しますものには、大へん傲慢のように聞えるかもしれませんけれども、大いにいいものを出していく、こういう考え方を持っておるわけであります。
  115. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは、あなたの会社が二十六年と二十七年の変革期において慎重に考慮をしたので、教科書は非常にりっぱなものができた、こう仰せられました。それでは、なぜそのりっぱなものが売れないで、早急に手直しをした教科書が売れているのか。ここには私は二通りの原因があると思う。時間もありませんし、あなたが言わないから私の方で言います。これは、文部省と非常なつながりのある教科書出版会社が先手を打っているのではなかろうか、それから、いま一つは、駐在員を置いて、いわゆる教科書の売り込みに対しまして、地方のボスと結託をうまくやった出版会社が部数をふやしておるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのですが、あなたはどう思いますか。
  116. 四条輝雄

    四条証人 当時私の会社駐在員を置いておったのでございます。その前に仰せられました文部省と云々の件につきましては、全然自分としても存じませんので、お答えできないのでございます。
  117. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、私は方向を変えまして、先ほど委員長質問の中に、いろいろとスキャンダルがあったのではなかろうかという質問もありましたし、われわれが今までいろいろ会社方々に来ていただきまして証書を求めた中におきましても、いろいろそういう問題が出てきて、われわれといたしましては非常に苦々しい問題であると思うのでございます。しかしながら、一つのことといたしまして、ある仙台の先生から、今まではある会社算数教科書を使っていた、一年、二年、三年と全学年使って、計画的に指導計画を立てて現場でやっていた、ところが、急にことしになったらあなたの方の教科書に変らされた、それで現場先生は非常に迷惑する、採択というものは現場先生意思を尊重しなければならないのに、それを一部の有力者によってこの教科書採択が決定されて、現場先生意思が無視される、こういうことでは教育の将来に対しまして非常に自分は嘆かわしく思っているが、そういう現在の採択の問題について何とかよい方法はないかというようなことをわれわれは聞いておるのでございます。そういうように、教科書会社の働きかけによって、先生たちが長い間苦心した教材がむだになったり、そうしてまた計画的に子供に教えようとしたものが無視されたりして、一部の有力者と教科書会社との間に何かあったようなことによって、この純真な現場先生の思いがかなえられないということに対してのこれは憤慨の言葉でありますけれども、あなたはそういうようなことを耳にしませんか。
  118. 四条輝雄

    四条証人 そういうような御批判は間々耳にいたしますが、私どもは、先ほども申し上げましたように、やはり先生にお目にかかりまして、編さん趣旨というものを極力御説明して御検討いただく機会を作っていただきたい、こういう意味でいたしておりますし、また、必ずしもすべての先生方がそうした事実によって採択をきめてしまう、現場指導計画を無視してとってしまうということはあり得ないのじゃないか。ただ、たまさかそういう例もあり得るということは私も耳にいたしております。そういう点につきましては、私どもといたしましても、今までも大いに自粛しておりましたし、今後も一つ厳重に注意して参りたい、こう思っております。
  119. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、あなたたちが研究会講習会にお呼びいたします人たちは特定な人だろうと思うのでございます。あなたたちの働きかけによって先生たちが来る、そういう先生も特定の先生だと思うのです。しかも、研究会をやるから来いと言われて行かないと、何かやはり時代に立ちおくれするのじゃなかろうかと思って、先生たちは純真な気持で出かけるというと、あなたたちは、今度はあべこべに、その先生方を利用して一部でも多くの教科書を売り込もうというような、そういう商魂によって、純真に研究のために出かけてきた先生が今度は百八十度転換されて、あなたたちの教科書売り込みの手に乗ぜられるというようなしかけが、どうもわれわれには見えるのですが、そうすることによって先生たちも非常に迷惑をしておるのじゃなかろうか。また、現場先生たちはそういうことを批判はしておりますけれども、町のあるいは市の有力な人たちであるから、それを率直に言うことができないで、やむを得ず一部少数の人によって採択された教科書を使用しておるのではなかろうかと思っておる。そういうように現在の採択制度には欠陥がある。あなたたちもずいぶん苦労しておられるでしょう。九十何社の教科書会社が、先ほど濱野委員が言われたように、選挙戦さながらのごとく、あの手この手を使ってやっておるわけでありますが、そういうようなことじゃなしに、やはりもっとまじめな気持でもって、りっぱな教科書を生徒に贈るというような仕組みができないものであるかどうか。あなたの方は五千五百万から三千万になって二千万部も減らされた会社であるから、あなたも痛切にそういうことは考えているだろうと思うのですが、そういう採択に関する問題に対しまして、あなたはどうお考えになりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  120. 四条輝雄

    四条証人 私は、将来も、今お話がありましたように、より以上やはり会社経営につきましてはむだを省きまして編集というものに力を注いでいきまして、現場先生方内容を御批判を願うならば、必ずや長い間の御採択をちょうだいできるのじゃないか、こう思いますので、今後も大いに冗費を省きまして編集ということに力を注いで参りたい、こういう覚悟でおります。
  121. 高木松吉

    高木委員長代理 神田君に申し上げますが、持ち時間を経過しましたから、簡単に願います。
  122. 神田大作

    ○神田(大)委員 さっき辻原委員からちょっとお話がありました補給金の問題でお尋ねしますが、この資金の捻出を特約供給所から仰いでおるように承わりましたが、この場合に、あなたたちは利子補給金といたしまして何分くらいの利子をお払いになっておりますか。
  123. 四条輝雄

    四条証人 補給利子は、最高五銭、最低二銭五厘といたしまして、十一月、十二月あたりに入って参ります代金に対しては五銭、逐次減らしまして、三月で補給利子は打ち切っております。
  124. 神田大作

    ○神田(大)委員 この補給利子の金額は教科書価格の何%に当りますか。大体でけっこうです。
  125. 四条輝雄

    四条証人 ちょっと正確な何を持っておりませんけれども、定価に比較いたしましたら、おそらく一分以内じゃないかと思います。
  126. 神田大作

    ○神田(大)委員 この利子補給の率は大体日歩五銭というのが皆さんのおきめになった率であると思うのです。それは、一月が四銭、二月が三銭、三月が二銭五厘というふうに、だんだん逓減しておるようなのが実際のおきめですね。この利子補給というような名目でもって、特約供給所に、販売を有利に展開するために、会社によりますと七銭、八銭というような相当高い金利の金を払っているというようにわれわれは承知しているのでございますが、あなたの証書とはだいぶ違うようでございますが、間違いありませんか。
  127. 四条輝雄

    四条証人 間違いございません。
  128. 高木松吉

  129. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人に承わりますが、先ほど濱野委員からの御質問教科書価格の問題について、パーセンテージをあげられたのですが、私の計算があなたのとちょっと食い違いますので、もう一回おっしゃっていただきたい。
  130. 四条輝雄

    四条証人 材料費、印刷製本費を含めまして五三、四%、それから編集興が三・八%、発送費が四・三%、印税が四・八%、それから供給手数料が一六%、それから普及費と営業費を含めまして一七・六%でございますが、この中で普及費が四・八%。
  131. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでわかりました。そうすると、これを全部合せますと、私の計算では一〇五%になるのでありますが、この中の会社の利益金や何かはどこに見てあるのでしょうか。
  132. 四条輝雄

    四条証人 供給手数料をお加えいただきまして一〇〇になると思います。
  133. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 供給手数料は一六%でしょう。
  134. 四条輝雄

    四条証人 一六%です。それをお足し願いまして一〇〇になります。
  135. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは、私は非常に疑うようですけれども、あなたの出したこの数字は、ここで説明するためのもので、何だかつじつまの合わない——今概数とおっしゃったが、ただ目算的に合せたような気がしてならないのです。この委員会は、宣誓をしていただきまして、しかもあやまちのない御証言をいただく、そしてその中において、価格の問題や供給の問題や採択の問題に対して今後の教科書の改善をはかろうという趣旨に基いてやっているんですから、ただ一時的なごまかしで、数字さえあげれば何とか終るんじゃないかというようなことは困ると思うのです。これは、だれが計算しても、どうしても半端になる。一〇五%になる。私は何回も計算してみました。そこで、こういうことだけでも、もう数字が五%違っております。それから金利の問題はどこに入っておるのか、あるいはまた会社のいわゆる利益というものがどこに入っているのか、それから先ほど御証書の中に返本の問題が七・八%あるというようなことがありましたが、そういうパーセンテージがどこに入っておるのか、その点を承わりたいと思います。
  136. 四条輝雄

    四条証人 会社の利益というのはこの営業費の中に含まれておるわけであります。
  137. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それはどのくらいですか。営業費の項目をちょっとあげてみて下さい。
  138. 四条輝雄

    四条証人 会社の昨年の利益をちょっと申し上げたいと思います。昨年の売上高は十億三千七百二十四万三千円でございまして、純利益は税を引きまして二千三百八十七万六千円でございます。
  139. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 利益が十億のうち二千三百八十万円ですね。そうすると、これだけでも二・三%になりますね。それからその中に普及費が四・八%になっておりますが、税金もこの中に入るんでございましょうね。その項目が今おわかりでしたら、お知らせ願いたい。それから、私のお尋ねいたしました返本はどこに入っておりますか、承わりたい。
  140. 四条輝雄

    四条証人 返本は売上金額から引いております。つまり、返本をすっかり引いてしまって売上額を計上いたします。
  141. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 返本は、これも金がかかっているのですが、そうすると、それは赤字ということですか。
  142. 四条輝雄

    四条証人 そういうものは、材料費、印刷製本費の中にも返本該当分は入っております。供給手数料もその中に入っております。
  143. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どうもこの数字が私には納得いかないのです。ただあなたからお聞きしたのだけでもすでに五%違うんですが、私らにすれば、五%、一〇%というのは大きな数字です。あなたの会社でも、十億の売上げをされますと、五%といえば五千万円です。全国の約二百億近くの本の代金から見れば何億という金です。それは、パーセンテージは五%だ七%だということになりますが、そういう点もやはり十分私たちはお聞きしておかないと、価格の検討や何かができないのであります。そこで、こまかいことに対していろいろお聞きしたいのですが、時間がありませんので、とりあえず営業費の細目だけを承わりたいと思います。
  144. 四条輝雄

    四条証人 営業費は一般管理費と申しますか、こうしたものが入っておりますが、私ども、こまかい営業費の項目については、ちょっと今詳細わからないのでございます。
  145. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたは株式会社常務取締役として、営業費の項目がわからないなんということがありますか。前年度分くらいはもう決算報告しているはずです。株主総会も開いているはずです。そうして、そこに書類を持ってきていただいているのですから、わからないなどということで、私はそうですかと言うわけにいかない。なぜならば、あなたの証言を聞いておりますと、一時しのぎでありまして、ここを何とか通ってさえいけばいいというような考えで証言をいただいているような気がしてならない。そこで、私は、数字的に承まわりますれば、数字といのものは人をごまかせるものじゃございませんから、それで数字を承わりたいと思ってお尋ねしたのです。しかし、今わからないものを無理に言えといったって、それは無理でありますから、どうかあなたの会社の営業費の内容一つ委員会まで御提出願いたいと存じます。  そこで、先ほど同僚委員からいろいろお尋ねがあったのでありますが、あなたの会社においては、講習会研究会、こういうことを各地で開いております。そうして、お集り願った先生方に対しては、夕飯程度の軽い御招待を申し上げて、旅費や何かをわずかあげるということでございました。このいわゆる費用の出し方も私としてはふに落ちないのであります。たとえば、研究会費用編集費の中に入れているとか、あるいは講習会費用を普及宣伝費の中に入れている。こういうものは、私としては、ほんとうは明らかに講習会費あるいは研究会費というように項目をちゃんと作って、世間往々にして疑われるような金の出し方というものは、はっきりと出しておくべきものだと思いますが、どうしてこの編集費の中に入れたり普及宣伝費の中に入れたりしているか、そのやり方をどういうお考えでやっていなさるのか、承わりたいと思います。
  146. 四条輝雄

    四条証人 別に作為的に講習会費を営業費に回すとかいうことでなしに、やはりこれは、当社の一般的な営業費と申しますか、そういう管理費として講習会費を営業費に入れておるわけでございまして、そういう御注意がございますれば、また将来大いに研究してみたいと思っております。
  147. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その問題も長くなりますからこの程度にしておきますが、私たちはどうしてもふに落ちないことがあるのです。要するに、あなた方は、研究会というものはいろいろ先生方意見を承わりたいのだというようなことで今まで証言して参っているのでありますが、研究会の会合というものは、大体私たちの聞くところによると、料理屋とか、あるいは地方によって料理屋のないところは料理旅館、こういうところでやっているようであります。そうしてまた、いろいろなその間の研究のための討論というか話し合いというか、そういうものが各地で行われているようでありますが、どのくらいの時間をとって、十分研究なさるのか、それとも、地方先生方意見を承わるのか、その実情一つ承わりたいと思います。
  148. 四条輝雄

    四条証人 やはり、研究会によりましては、あらかじめこちらから御意見をちょうだいするテーマと申しますか、そういうものを差し上げておきまして、そしてこちらから参って御意見を伺うというようなこともございますので、研究会によりましては、朝からずっとやる場合もございます。それからまた、そうでない場合は、学校先生方はやはり平常の日は学校にお勤めになっておられますので、それをひけられてからいたしますので、大体五時ごろか六時ごろから始めさせていただいて、おそくても九時ごろに済むというふうになっております。それから、今旅館とか料理店と申されましたが、こちらでも編集の者とかあるいは編集委員も出向いて参りまして、これらは地域によっては宿泊しなければならぬ。なるべく学校とか公民館とかいう施設を利用させていただくことを建前といたしておりますけれども、いろいろお差しつかえがございましたり何かいたしますと、さようなところでやる場合もございます。
  149. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 料理屋とか旅館とか、さような場所においてやることもあると言いますが、大体そういうところだけでやったのじゃないですか。ここに全国から投書がたくさん来ている。これは全部読むわけには参りませんが、先ほど神田委員からも御証言を求められておられましたので、その中の一つだけでも読んでみますが、これは仙台市のある小学校の教員です。ちゃんとその学校の名前も書いてありますし、それから先生の名前も書いてあります。匿名によってよこしたものじゃございません。そういう投書がたくさん来ているのです。あなたの会社のことについても来ておりますが、これが事実かどうか承わりたいと思います。「教科書のことがいろいろと問題となっているが、仙台市でも来年の教科書選定採択決定にあたって、われわれ現場小学校教員として全く困ったことになってしまいました。それは小学校算数教科書についてですが、私の学校では昨年の展示会研究の結果G社の教科書がよいという結論が出て新一年生用から採択することに決定して今年から使いはじめています。これから二年、三年……と高学年に使っていく指導計画をたてて進めていましたところ、今年は市の選定委員会で今まで高学年用として残っていた一社」——T社というのはあなたのところの会社です。「T社の教科書を来年の教科書として全学年使うように決められてしまいました。これは現場のわれわれ教員の代表がきめたことですから、われわれはこの決定に従わなければなりませんが、ここに問題があり不合理があるのは、私の学校だけでなく当市における大部分の学校が昨年の展示会研究討議の結果低学年からG社の教科書を使うことを希望して決定し、一年だけを今年から使いはじめた学校と、二年までの学校、三年まで使いはじめた学校と、学校によって違いますが、市内の二〇校位の学校が今年から使いはじめて順次高学年に及ぶ指導計画をたててやりはじめていたわけです。ところが、今年の決定は、今まで高学年に残っており次第に少くなって行くことになっていたT社の教科書一本に統一するようにわれわれ現場教員の意志を全く無視して決められてしまいました。これは一体どういうことなのでしょうか。昨年の展示会で仙台市小学校算数教科書として決定して今年から使いはじめたものを、一年間も使ってみないうちに、使いはじめたばかりですぐ又すっかりかえてしまうようなことをしてもよいものでしょうか。もっとも慎重に研究されるべき教科書採択がこのようにして決められてよいでしょうか。これについてわれわれのような下端の小学校教員でもいろいろなことをきいて知っており、全く義憤を感じております。当市にはT社の仙台工場があり、T社のY社長」−Y社長というと、あなたの会社の山田社長です。「Y社長は当市の出身で当市のK小学校はY社長の母校です。Y社長が本社の社員をいつも三、四名連れて度々当市にやって来ていることは誰でも知っています。相当なお金がバラまかれ、流されていることも知っています。或は寄附という名目でしょうが、又展示会前の四月、五月には市内一流料亭東洋館で校長、教頭、教主任級(研究会の幹部)を次々に招待して豪勢な宴会がしばしば開かれた事も事実であり、みんなが知っています。又今年の四月まで全国小学校々長会の副会長であり、宮城県仙台市小学校長会長であったY氏が退職と同時にT社の編集顧問という名目で高給をもってT社にかかえられ、このY氏が従来のT社の駐在員とともに特別な動き方をしていることも知っています。今年から使いはじめているG社の教科書が特に悪いのなら仕方がありませんが、現場で今年から使いはじめてこれから研究していこうというところを、僅か一年も使用しないのにやめてしまうし、T社の教科書に統一するというのですから、こんな無茶なことはありません。こんなことがあってよいものでしょうか。全く不合理極りないけしからぬことです。われわれ純粋な現場教師は困惑しています。」、その他いろいろ書いてあります。これは、仙台から、学校の名前までちゃんと書いて、匿名ではございませんから、こういう事実をあなたから御証言いただいて、そして、もし食い違う点があれば、あとでまた証人として聞いてもよろしいとわれわれは考えております。また、これは淡路島の方だと思いますが、一行か二行だけ読みます。「これは淡路島で起ったことですが、今年の二月の末の日曜日のことだったと思います。東京から教科書会社の重役が来て洲本市の鍋藤旅館に校長先生先生方を四十名位集めて芸者連をはべらせ呑めや歌えか大さわぎでした。東京教科書会社東京書籍という会社で、重役は弥永氏ということもわかりました。そして、酒宴の席が終ると帰りの旅費と称して先生方一人当り五千円ずつ渡したこともわかりました。」、こういうのもあります。それから、これは群馬県であります。「実は六月十四日夜桐生市駅前のある旅館で東京書籍という会社の相沢という人と、もう一人か人が来て桐生の社会科の先生たち十名位を招待して、(先生の名前は西小の新井、西沢先生外)」——ちゃんと名前も書いてあります。「芸者十数名をあげてどんちゃん騒ぎをやったと聞きました。なお、その時多額の金銭までもらったということです。これは完全なる饗応買収です。」、読み上げれば、全国から教員の名前、学校の名前まではっきり入れて、こういうことを言うてきているのです。そうすると、あなた方の今までなさった証言の中の研究会あるいは講習会というものは、ただ単なるカモフラージュするための、世間に通りのいい名前でもって招待をして、そして旅費と称して旅費以上の金を預けて採択をやっていただく、たくさんの本を売ることに努力したのじゃないでしょうか。私たちはそういうこと以外に解釈できないのです。このように、全国からみな来ているのです。しかも名前をあげて事実と称して来ているのです。おもしろ半分によこしている投書ではないと私どもは考えておるのでありますが、それでもなおかつあなた方はほんとうに先生方意見を聞くためにお集まりを願っているのだということを言い切ることができますかどうか、それをはっきりとお答え願いたいと思います。
  150. 四条輝雄

    四条証人 私は、やはり、先生方意見を伺うためにそういう会合を持つということは、けさほども申し上げておりましたが、その考え方でおります。
  151. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは伺いますが、先ほど委員長お尋ねの中にもありましたが、あなたの方の社長の山田さんが仙台に行ったという今の投書は事実無根だということをはっきり証言できますか。
  152. 四条輝雄

    四条証人 山田社長は、仙台へ参りましてそういう方々にお目にかかったことはございませんです。
  153. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 山田社長といつも三、四人同道してくるという投書でございますが、社長が直接行かなくても、社長と一緒に行かれた方々がそういう酒席の会合に出たことはございませんか。
  154. 四条輝雄

    四条証人 今お尋ねの具体的事実は、私としては一々具体的なことは存じませんけれども、しかし、先ほども申し上げましたように、講習会のあとでございますとか、それから研究会あるいは説明会という場合に、東京書籍社員といたしまして、あるいは幹部といたしまして、出向いてそのような会合は持ちます。
  155. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなた方はどこまでも、何といいますか、簡単な食事だとか、簡単な何だとかいうことで今までお答えされているようですが、私たちの考えでは、目的は酒席の招待だ、こう見ているのです。もっと掘り下げて承わりますが、そういう会合で、もちろんその金はあなたの会社から出ているのですから、仙台市あたりで一人当りどのくらいなごちそうをして、どのくらいな旅費をお渡しになっているのか。私はきょうは委員会におくれて出て参りましたので、重複する点があるかもしれませんが、一応はっきりしたお答えを願いたいと思います。
  156. 四条輝雄

    四条証人 講習会の場合は、旅費というものは、現地の御希望でありますので、差し上げておりません。研究会の場合は、やはり現地の御意見を伺いますので、先生方をお招きいたしますが、大体範囲は会の性質から申しまして十名内外でございます。この場合は、距離にもよりますが、先生方の汽車賃の実費、近いところですと遠いところと違いますが、その費用として、また御意見があります場合に、その原稿料と申しますか、そうした御意見に対しまする補いとして、近間ですと一人五百円、遠いところでありますと千円というものを差し上げております。研究会の場合は大体食事を御一緒いたします。講習会の場合はやるときとやらない場合がございますが、研究会の場合はお招きいたしますのですから、お食事をいたします。その場合に、お食事の代金と申しますか、そうしたものは、まず四百円から千円どまりのところでございます。これはお一人当りでございます。
  157. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、重ねて承わりますが、研究会費用等に営業費の中の四・八%使っているようです。たとえば、十億といたしますと四千八百万円ですか、その使い方の内訳を御説明願います。
  158. 四条輝雄

    四条証人 研究会費は、先ほどちょっと申し上げましたけれども編集費の方に入っております。   〔高木委員長代理退席、濱野委員長   代理着席〕
  159. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、講習会費はどうですか。
  160. 四条輝雄

    四条証人 講習会費は、午前中申し上げましたけれども、私の方で、ほとんど年を通しまして、一県十会場といたしましても四百六十回、大体五百回ぐらいいたしておりますので、一会場当りこれに要します費用をお答えしたのでございますが、近距離の場合は、講師の派遣料、汽車賃とか宿泊費、それから会場費用として大体一会場五千円、遠距離の場合は一万二、三千円程度使っております。
  161. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、編集費の中に入っております研究会費が何%で、どういうように使われているか、お答え願います。
  162. 四条輝雄

    四条証人 研究会は、けさほどもちょっと申し上げましたけれども、年通しまして二十国ないし四十回、そして、実費として差し上げるのと、お食事四百円程度のものを何いたしまして、一会場二万円ぐらいだと思いますが、これは御採択いただいている地域でございます。
  163. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どうも話が合わないのですが、私の聞いているのは、研究会費がそこで幾らになっているか、会社の帳簿に上っている費用を承わりたいのです。
  164. 四条輝雄

    四条証人 今お尋ねの、それでは研究会費は今年度の帳簿でどのくらいかということは、ちょっと、私、今こまかい資料を持っておりませんので、具体的には申し上げられないのでございますけれども……。
  165. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 会社のやっていることと、証言を願っていることと、数字がみな合わないのです。それだから、どうしてもお聞きしないと納得ができない。急所にいくと数字がわからない。大まかな編集費の三・八%というものはわかっているのですから、予算というものは、款をきめるときは項目がわかると私は思うのですが、研究費が編集費の中の何パーセントであり、どのくらいになっているかということは、それはほんとうにわからないのですか。
  166. 四条輝雄

    四条証人 編集費の中に研究会費というものは入っておりますが、それが何パーセントになるかという具体的なことは、今ほんとうにわからないのであります。
  167. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 一会場二万円くらいずつかけて二十カ所くらいやると今あなたがおっしゃったじゃありませんか。それだけでも数字がわかっているのに、パーセンテージがわからないというようなことは、これは常識として疑うのですが、どうですか、その点はほんとうにわからないのですか。それとも、わかっていても御証言願えないのですか。   〔濱野委員長代理退席、高木委員長   代理着席〕
  168. 四条輝雄

    四条証人 先ほど定価構成の要素を申し上げましたときに、五%と仰せになりましたが、これは、五%でなくて〇・五%の食い違いでございまして、定価構成要素につきましても〇・五%の違いでございますが、今重ねておしかりをちょうだいしましたが、正確な数字を申し上げよう、こう思いましても、事実わからないのでございまして、それでは一会場ではどのくらいかかるかという点につきましては、これは真実その程度でございますから、そう申し上げましたわけでございます。
  169. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなたのところの研究会というのは、一会場二万円というような見積りを立てて、そして年に何回というようにきめているのでありますか、それとも、必要に応じて開くということになっているのですか、その点承わりたい。
  170. 四条輝雄

    四条証人 大体そういうふうにきめております。しかし、やはり必要がございますと——そう大した大きな狂いはございませんと思いますけれども年間このくらいの回数でやるということにきめております。
  171. 高木松吉

    高木委員長代理 佐々木君に申し上げますが、持ち時間が経過いたしましたから、簡略にお願いいたします。
  172. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 いろいろ承わりたいのですが、時間が来たというのですが、そのくらいというのは、私が申し上げました、あなたの証言をそのまま受け入れた二万円くらいのを二十回というのがそのくらいという御証言でございますか。
  173. 四条輝雄

    四条証人 回数は、二十回とはっきり申し上げませんで、二十回から四十回と申し上げましたのですが……。
  174. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 二十回と四十回では、半分くらいになるのですが、それが二万円ですと、われわれの方から見ると莫大な金額ですが、どのくらいがほんとうなんですか。昨年どのくらいありましたか。
  175. 四条輝雄

    四条証人 実は、私、けさほども申し上げましたのですけれども研究会最低二十回から四十回いたします。この回数の開きは、来年度とか再来年度改訂種目の大小によって持つ回数が違うのです、こういう工合に申し上げましたわけでございます。ですから、今年度どのくらい持ったかということは、正確なことは私ここに用意いたしておりませんけれども、二十回以上四十回以下という程度だろうと思いますが、これは調べれば私の方でははっきりわかることでございます。
  176. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 なおお調べ願って報告いただきたいのです。あなたは常務でしょう。しかも、先ほど研究会というのは、学校先生方にお集まり願って、自分の発行している会社の本をよりよくしようとする重大な会合だと私は思います。だから、仙台ではこういう意見があった、あるいはまた兵庫県ではこういう意見があった、そういうことは、あなたの会社の重役なりあるいは社長なり、あなたのような重責にある方々に御報告があるはずだと私は思います。会社の方針として、地方先生方の声を聞いて、そうしてりっぱな本を出そうとするための会合であるというならば、年に何回開いたか、何百回何千回であるまいし、二十回から四十回というふうにきめられているとすれば、三十年度どの地方で何回開いた、あるいは全国で何回開いたというくらいのことは、あなたは知っていなさると私は思うのですが、昨年のことはほんとうにわからないのですか。それとも知らないのですか。それとも、そういう報告が常にあるものかないものか。その点について御証言をいただきたいと思います。
  177. 四条輝雄

    四条証人 こうした費用の点につきましても、回数の点につきましても、この範囲という大体のワクをきめておりますので、一々具体的事例については私は報告を受けておりません。
  178. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、このことはあなたの会社のだれに聞いたらよろしいでしょうか。私はまた証人に来ていただいてお聞きしたいのですが、研究会の責任者、それを一つ承わりたいと思います。
  179. 四条輝雄

    四条証人 そうした具体的なことは営業部長がいたしております。
  180. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 編集費用に入れている項目で使っている金が、営業部長が責任者なんですか。
  181. 四条輝雄

    四条証人 編集部は、編集内容につきましていろいろ現地の御意見を伺う、こういうことで、研究会には編集部の者が参ります。しかしながら、金銭の出入り等につきましては、営業部長が予算上やはり握りまして、そうしてこれを管理いたしております。
  182. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなたの会社では、そういう意見を全国から聞いたことを編集部長に一任しておいて、あなた方は全然タッチしないのですか。会社の方針としていい本を出そうという覚悟だ、いい本を出すように努力していくという今までのあなたの証言というものは、全然無視されているということになるんじゃありませんか。あなた方はタッチしていない、編集部長にまかせているということになれば、そうなるでしょう。全国の意見を聞いて、そうしてりっぱな本を作ろうということならば、会社全体としての重役会か何かにおそらく報告があると思う。あなたは御存じないということになると、編集部長にまかせ切りだ、こちらの方は営業部長に金を出させてやっているということになれば、あなたが本日朝から行われた証言と全然食い違っているのですが、その点はどうなんですか。一つ承わりたい。
  183. 四条輝雄

    四条証人 意見現場から伺いまして、編集部長のみの独断によってこれを教科書に反映させるということはいたしておりませんで、編集委員会というものがございますし、また監修者というものもございます。それで、編集部長が中心になりまして、編集部と委員会でその意見をまとめて、そうして本に反映させる。
  184. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 編集部にいろいろ委員もおれば部員もいることはわかりますが、地方でやったそういう大事な研究会の報告があなた方のもとにないのかどうかということから私はお聞きしている。あなたはないとおっしゃる。編集部長にまかせてあるのだと言う。だから、いろいろな疑義が生じて、私はこうしてくどいように承わらなくちゃならないのです。こういう報告があなたにはほんとうにないのですか。
  185. 四条輝雄

    四条証人 この編集につきましては、やはり編集部に相当権威のある者がおりまして、私ども現場の御意見につきましてはこうだああだということを伺いますが、この採否につきまして、編集部と委員会、やはり会社の中にございます組織の上において検討する、こういう仕組みになっております。
  186. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたの会社では重役というのは何をやっているのかわからないことになるのですが、先ほど神田委員ども承わっておりますが、相当な数量があなたの会社としては発行が減ぜられたわけです。そこで何、とかしてこれを挽回しなくちゃならぬという対策を講ずると私は思います。そのための重役会も開くと思います。私が会社の重役であったら、それをやります。そこで、どういう対策を講じよう、他の会社ではどういうことをやっている、こういういろいろな情報を集めて、そうしてあなたの会社の方針というものがきめられるものだと私は思います。何千万冊も減っているのに、教科書会社がふえたからだ、指導要領が変ったからというようなことで、のんびりとしていらっしゃるという重役であったら、ほんとにたよりない重役だと私は思います。ちょうどこういう全国からの投書と、あなたの会社で仙台市でやっている研究会状態を総合してみますと、他の会社が伸びるものはどんどん伸びてきた、これじゃいかぬ、やっぱりわれわれの会社も何とか方法を講じなくちゃならぬ、地方先生方採択の部面に対し御協力を願わなければならぬというような、重役会なり、会社会議が行われて、それから著しくあなたの会社の招待、いわゆる研究会が数多くなったという想像を私はいたすのであります。なぜならば、この投書で見ると、昨年の二月とか、三月とか、今年とかに非常に回数が多いように思われるのです。事実また、あなたの会社は、三十年度になって、二十九年度よりも成績が上ってきました。こういう一連のものを総合して、あなたの会社は、最近他の会社に負けてはいかぬというような行動に移ってきたと思うのですが、重役会において、そういうような会社の挽回策というものに対しての会議が行われたことはありますかどうか。しかも、その会議というものは、単に指導要領が変ったから、あるいはまた、会社がふえたから仕方がないということで終ってしまったのか、それとも、別な方法を考えて、こういうことでやろうということにその会議でなったのか、その点に関しての御証言を承わりたいと思います。
  187. 四条輝雄

    四条証人 三十年度は二十九年度に比しまして約三百万増加いたしております。これは、種目にして三十種類を増加いたしております。と同時に、やはり改訂の際には、先ほどるるお述べいただきましたが、現場の御意見編集部が出て伺いまして、それを取り入れるということで……。
  188. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私はそういうことをお聞きしているのじゃないのです。証言を求めた範囲のお答えを願いたいと思います。
  189. 四条輝雄

    四条証人 会社の重役会においても、努めて現場の御意見をいれるように、そして造本関係もしっかりしたものを作るようにということで、しばしば会合を開いて……。
  190. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、簡略に願いたい。そういうことは、たびたびあなたが言われたことであります。今佐々木委員質問は、そういう趣旨じゃなさそうですから、簡略にお答えしていただきたい。
  191. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 時間がかかって、はなはだ済まぬのですが、質問点をはっきりしておきたいので、再度御証言を願いたいと思うのですが、三百万ふえたとかなんとかいう理由ではなくて、あなたの会社でそういう協議をしたかどうか、そういうことを承わりたい。
  192. 四条輝雄

    四条証人 いたしました。
  193. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その内容を簡単に。
  194. 四条輝雄

    四条証人 けさほども申し上げましたように、編集内容の充実、それから造本関係研究ということがまず主体になりまして、その上に立って、趣旨説明をやる限りやるべきであるという方向でいたしております。
  195. 高木松吉

    高木委員長代理 佐々木君に申し上げますが、持ち時間が相当経過いたしましたから、簡略に願います。
  196. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この証言は全然納得がいかないのです。まるで事実を曲げて証言しているということに私は結論づけられると思うのです。そのことについて、いずれまた理事会において相談したいと思いますが、一つだけ数字的に御説明願わなければならぬ点があります。返本の七%ないし八%という、これは材料の方に入れているという御証言のように承わっているのですが、それで間違いありませんか。
  197. 四条輝雄

    四条証人 間違いでございません。
  198. 高木松吉

    高木委員長代理 高津正道君。
  199. 高津正道

    ○高津委員 私は、今までたくさんの証人からこの行監で証言を聞きましたが、一番誠意が足りないのが四条証人だと思います。私は、あなたが隠そうと思われても隠されない、あなたが知っておられねばならない問題について聞きますから、一つ冷静に真実をお答え願いたい。  あなたは教科書協会では運営の委員会の担当責任者でありますか。
  200. 四条輝雄

    四条証人 いたしております。
  201. 高津正道

    ○高津委員 それではお尋ねしますが、あらゆる教科書会社のことでなしに、あなたの会社について聞くのだから、その数字がわからないはずはない。あなたの教科書は十億円に余る売り上げなのでありますが、そういう膨大なものを列車で送られるのとトラックで送られるのとは、どっちが多いですか。
  202. 四条輝雄

    四条証人 列車で送る方が多うございます。
  203. 高津正道

    ○高津委員 そのパーセンテージはどうですか。金額におけるパーセンテージは。
  204. 四条輝雄

    四条証人 ちょっと、私、現在の自動車便と鉄道運賃との額は今わかりません。
  205. 高津正道

    ○高津委員 それは半分半分くらいですか。どっちが多いかくらいわかるでしょう。
  206. 四条輝雄

    四条証人 それは鉄道運賃の方がずっと多うございます。
  207. 高津正道

    ○高津委員 それは、鉄道運賃が六でトラックが四ですか、七、三ですか。
  208. 四条輝雄

    四条証人 トラック便は関東一円とそれから静岡、愛知程度でございますから、七、三くらいじゃないかと思います。
  209. 高津正道

    ○高津委員 福島や山梨など行きませんか。
  210. 四条輝雄

    四条証人 山梨は近県ですから参ると思いますが、ちょっとそれについて私ははっきりいたしません。
  211. 高津正道

    ○高津委員 そのトラック輸送をあなたのうちが委託しておられる会社は何社ですか。
  212. 四条輝雄

    四条証人 自動車配送は、直接教科書のでき上りました本を配るのは一社でございます。
  213. 高津正道

    ○高津委員 その一社の名前と社長名を聞きたい。
  214. 四条輝雄

    四条証人 王子運送株式会社、社長は濱野清吾氏であります。
  215. 高津正道

    ○高津委員 それでは、あなたの会社と今委員長席に臨時にすわられた人とは、重大な取引をやって、そういう重大な利害関係があるんですか。
  216. 四条輝雄

    四条証人 これは当社は昔からやっております。
  217. 高津正道

    ○高津委員 昔から深い関係のある人が行監におられる。そういうところと関係があることが非常によくわかったのでありますが、今度の検定教科書問題がやかましくなったのは、東京書籍が、すなわちあなたの会社が、学図が悪い学図が悪いというように大いに宣伝されて、それから学図を呼ぶことになって、われわれ行監の委員会委員の多数は、教科書会社として呼ぶのは大きな学図だけであろうくらいに思っておったのであります。検定調査員の段階、それから審査の段階、ワーク・ブックの問題、そういうようにいろいろありますけれども教科書会社は学図だけかと思っておったら、学図の人が非常に憤慨したかのように、やっているのは二葉もありますよ、東書もやりますよと言って、涙をこぼして証言をしたあとで、そういう会社の名前が出て、こう委員会ではあなたの会社は呼ばないようになっておったのでありますが、世論がだんだんやかましくなって、ついにあなたを呼ぶことになったのです。そのあなたが、まるで、民主党の幹部に了解があるんだからおれは何を言ってもいいんだと言わんばかりに、みな知らぬ存ぜぬような答弁をされるので、僕もついにそういうところへまで触れていくことになるのですが、あなたがその膨大な運賃の三割程度を出しておる会社の社長と一問一答をやられるのだから、私から言えば、こっけいで、もう黙って見てはおれぬですよ。それで私は聞くのですが、教育に悪い影響を及ぼすものはいろいろあると思いますが、学校の建築でスキャンダルなどをやる政治家やいろいろなものがあれば、それも学校教育に悪い影響を与える。アメリカがギャング映画などをどんどん持ち込んで日本でやれば、それも学童に影響が及ぶ。しかし、教科書会社学校の校長やあるいは教育委員を呼んでどんどん買収をして採択運動をやるということになれば、これは非常に教育に害があると思うのでありますが、この点をあなたは責任を感じられるかどうか、お伺いしたい。
  218. 四条輝雄

    四条証人 先ほど来仰せがありましたが、自粛いたします点は大いに今後も自粛いたしたいと思います。
  219. 高津正道

    ○高津委員 返本が七、八%もあると言われるが、教科書会社の妙味は、採択がどのくらいあるか、何千万部という数がきまってきて、きまってから印刷するのでありますから、返本がないというところがこの出版の特別の妙味であることをわれわれはよく知っておるのであります。あなたは教科書協会の幹部でもあられるし、多年常務として、あなたの社長は大まかな社長、こまかいことを全部知っておられるのがあなたでありますから、知らないとは言われないと思いますが、他の会社の返品のパーセンテージはどのくらいですか。ほかの人の意見とまるで違うようですが……。
  220. 四条輝雄

    四条証人 今高津委員は返本七%とおっしゃいましたが、私はまだ返本率というものを申し上げた覚えがございません。返本率は、速記録を見ていただけばわかりますが、まだ申し上げておらぬと思います。
  221. 高津正道

    ○高津委員 返品率です。
  222. 四条輝雄

    四条証人 返品率でございます。
  223. 高津正道

    ○高津委員 それならば、その点はけっこうです。  旧国定教科書制度と現行の民間検定の制度と、そのいずれがよいとあなたはお考えですか。
  224. 四条輝雄

    四条証人 検定制度がよいと思っております。
  225. 高津正道

    ○高津委員 旧国定教科書時代に、あなたの会社は全く独占の妙味を満喫されたのでありまして、当時国定教科書翻刻発行規程というものが御存じのようにあったわけです。それの中には、耐震耐火の倉庫を持っておることが必要である、あるいはまた、印刷の自家工場を持っておることが必要である、こういうようなことが規定されてありますから、今一部の人が大いに運動しておるように、——あなたのところも実際上は火元のように私には思えるのでありますが、もし国定教科書になれば、自家工場を持っておる大日本図書、学校図書、それから共同印刷を持つ日本書籍、そうして大凸版印刷を持っておるあなたの東京書籍、これらの大手筋がすべてをなぎ倒して、みな独占になるのであって、国定教科書になれば、あなたの会社が指定されることは間違いないのでありますから、それが国定になれば私の会社は有利であるということをあなたが気づかないはずはないのであります。世のため人のためには民間検定がよいかもしれないが、自分の会社の採算から言えばそれが有利であることは私にはわかる、こういうようにあなたはおっしゃれませんか。有利になることはわかると、あなたはおわかりになりませんか。
  226. 四条輝雄

    四条証人 私はやはり検定制を育成するという考え方でおります。
  227. 高津正道

    ○高津委員 それは答えになりませんせよ、もし国定になればあなたのような会社は指定会社になるんだから、国定になればおれの会社はいよいよもうかるなと、こういうことぐらいあなたにわかるでしょう、こう言うんですよ。検定が賛成か反対かという答えは前にいただいたので、そういう事情がおありなんだから、大手筋は、どの政党を動かしてでもいい、とにかく国定論をどんどん宣伝し、国定論を言いさえすれば自分の方は有利になるんだ、こういう因果関係があなたにはわかっておろうと思う。わかりませんか。
  228. 四条輝雄

    四条証人 そういうことは考えたこともございません。
  229. 高津正道

    ○高津委員 それを考えないと言う。そろばんだけを考えられるのかと思えば……。そういうことはわれわれには因果関係がすぐわかるのでありますが、国定論の火元はどこなんだ、そういうことをわれわれは考えるのですよ。第六感を使わず、第七感なぞはもちろんいらず、第五感ですな。それでもうわかりますよ。そういうように明白なことでありますが、それならば、あなたの会社の前の井上源之亟氏が、独占会社時代に、紙の少いときに、しかし政府から配給を受けて新聞紙のようなのを折り畳んで、切ってもない、それはもちろんハト、ハタなど書いてありますが、一部五十銭、これは高いだろうということになると、井上源之亟氏は一挙に三割値下げをして三十五銭になさったのですよ。それでもまだ非難があるので、また値段を下げられたんです。そういう英断をやられたが、しかし、これをひっくり返していえば、そんなにももうけがあるものかと、当時これを非常に非難をしたのであります。これが材料になって、これは民間検定でどこでも印刷ができるようにしなければいかぬというので、教科書出版の中央集権というものが地方分権になったわけであります。それで、あなた方の教科書出版というものは非常に利益があると私は思いますが、あなたのお考えでは、どのくらい値段を下げる余地があるものであるか、どうすれば下げられるか、それを一つお伺いしたいと思います。
  230. 四条輝雄

    四条証人 定価は具体的に今ここで何割下げるということは申し上げかねると思いますが、先ほどおしかりをちょうだいしましたが、定価構成の比率というものを頭に置きまして、一体どういう点を研究したら下げられるか、こういうことを考えてみますと、輸送費であるとか、郵税であるとか、あるいは金融措置に特別な御考慮を願うという上に、さらに紙質の統一によって紙の単価の引き下げも考えられるんじゃないか、宣伝費等につきましても、制度が変るなら、この点についても合理性を持たせる点もできると思います。引き下げ得る余地はあると思います。さらに、ましてや、返本率というものが、少いときで三%、多いとき四%ないし五%ございましたように記憶いたしておりますが、この返本というものが合理的に解決できるとすれば、定価に響く率も大きいんじゃないか、こう考えております。
  231. 高津正道

    ○高津委員 あなたは二千万円の資本の東京書籍の常務ですが、配当はどうなっていますか。
  232. 四条輝雄

    四条証人 配当は、二十九年度決算におきまして、普通配当二割、特別配当五分、二割五分でございます。
  233. 高津正道

    ○高津委員 あなたのような印刷工場を持っておる会社は、印刷の方で落すというか、印刷の方でもうけ、それからその他の方でもうけるという、利益をあまりほかに流さないように、——濱野さんの会社はまた別で、あまり利益を残さないように自分の別のところへ多く納めておるというようなことがよくあるのだが、凸版印刷の資本と配当はどうでしょう。大まかなところでいいです。
  234. 四条輝雄

    四条証人 凸版印刷の資本金はたしか一億五千万じゃなかったかと思っております。配当はちょっと私は記憶しておりません。
  235. 高津正道

    ○高津委員 王子運送に一年間にお払いになる額は、パーセンテージからは大体出ますが、金額でどうですか。常務はそんなことはもう頭に離れないように覚えておられると思います。
  236. 四条輝雄

    四条証人 配送費の具体的なものは、私よく存じません。ただ、自動車便というものが先ほど申し上げた区域に限られておりますから、鉄道運賃と比較いたしましてそう大きな部面ではないと思います。
  237. 高津正道

    ○高津委員 年間の金額の総額ぐらいわかるでしょう。
  238. 四条輝雄

    四条証人 ただいま覚えてもおりませんし、資料も持っておりませんので、調べればわかると思います。
  239. 高津正道

    ○高津委員 私もたくさん書類が入ってくるのでありますが、参考のために一つ読みますと、これは展示会の事前運動の時期です。昭和三十年五月二十一日付で、東京書籍株式会社名をもって、「謹啓時下益々御健勝にて」から始まって、「以上の観点より今般算数教科書の今後のあり方について左記により特に豊富な現場御体験を有せられる諸先生方の御高見をいただきたく御多用中誠に恐縮とは存じますが、是非共御出席を賜りますよう切にお願い申し上げる次第でございます。敬具」、日付は昭和三十年五月二十一日です。その左記というのは、開催月日、三十年五月二十八日午後一時、これは土曜日です。会場、金沢市木の新保(駅前郵便局横通り)いたや旅館(別館)、そうして、なおそこに、「尚御出席者の旅費実費は弊社に於て御負担申し上げます。」とある。これは、マージャンをやるにしても、マージャンに負けますということを手紙に書く者はない。マージャンの場合もそういう招待はないのですから、これは御高説拝聴というあいさつになっております。しかし、学校先生の何だ先生御待史と、こうちゃんと書いてあるので、あなたの会社はこういうものをお出しになったかどうか。これは実物が手に入っておるのであります。
  240. 四条輝雄

    四条証人 出します。
  241. 高津正道

    ○高津委員 こういうことは、教科書出版する会社教育を虫ばむことであって、非常に教育に悪影響があることだとはお考えになりませんか。
  242. 四条輝雄

    四条証人 もし誤解される点があれば、自粛いたしたいと思います。
  243. 高津正道

    ○高津委員 誤解される点があればではない。これは教育に悪影響ありと思われますか、どうですか。
  244. 四条輝雄

    四条証人 やはり、旅費実費を出しますのは、金沢において算数研究会を開いたのだと思います。
  245. 高津正道

    ○高津委員 ここには研究会という文字は全然現われておりません。時間を節約するため、みなは読みませんが、わが社は、「もとより教科書の向上につきましては全社一体となって日夜絶えざる研讃に励んで居りますが更に現場の御意見に絶えず耳を傾け、貴重な御高見を実際に教科書に反映させる事こそ、最も効果を挙げ得る途であると信んじて居ります。」とあります。これは三十二年度の編さんには役立つが、五月下旬にはもう見本をどんどん刷っているときでありますから、そのとき意見を聞いても、三十一年度には織り込むことのできない吐かれたる御高見になるわけです。それは五月の下旬ですから、時期的におわかりでしょう。そこで、教育に悪影響ありという事実はお認めになりますか。
  246. 四条輝雄

    四条証人 研究会は直接本年度の改訂に役立たせるという意味だけでありませんで、けさほど申しましたように、将来改訂に備えまして平素研究会開催いたすわけであります。そうして、研究会の場合には、旅費実費、簡単な食事を差し上げるわけであります。
  247. 高津正道

    ○高津委員 これで終ります。
  248. 高木松吉

    高木委員長代理 議事進行について発言の要求があります。これを許します。濱野清吾君。
  249. 濱野清吾

    ○濱野委員 ただいまの高津君の発言中、行監の委員である私がたまたま王子運送の責任者でありますので、証人への尋問中その名前が出た。そうして、その名前の出方が、高津君一流のことであるから、別に気にする必要はなかろうと思うが、いかにも高津君は何かその間に世に忌まわしき風聞があるかのごとき言辞を弄しておった。まことにこれは残念である。私が輸送機関を持ったのは、過去六カ年ばかり前であります。そうして、この輸送機関は、ちょうどわれわれが必要な貨幣を持つようなものであって、どの面にでも人間社会の生活に奉仕する事業であります。従いまして、私どもは、行監の委員として、取り調べる人がたとい私の取引先の店であっても一向に差しつかえない。私の事業は私の事業である。ですから、高津君一流の皮肉ないたずらな質問は将来大いに注意してもらいたい。さらにまた、一言申し上げておきたいことは、私どもは決してスキャンダルのようなことは考えておらぬ。もう一つは、政治力をもって金もうけしようという考えはもちろんございません。さらに、政治力をもって自分たちの主義を天下に及ぼそうという不当な考えは持っておりません。この点は、どうぞすっきりした気持でこの委員会の運営を願いたいと同時に、将来も私どもの取引関係にこうした事件ができるかもしれませんけれども、天下のことと私のことは区別してもらいたい。それだけです。
  250. 高木松吉

    高木委員長代理 ただいまの濱野君の発言を了承いたします。  関連質問がありますから、これを許します。大西正道君。
  251. 大西正道

    ○大西委員 本会議のベルが鳴りましたので、私はここで高津委員質問に関連して証人にお願いだけいたしておきます。それは、証人会社は国定時代から出版発行をやっておりますが、今、一番問題は、教科書の値段が高いということなのであります。この高いという問題についてはいろいろ論議がありますが、私が知りたいのは、あなたの会社には、文部省にもどこにもないわが国の教科書が始まってからの教科書が全部そろえておるということを聞いておりますが、間違いないと思うのですが、その教科書の値段、ぺージ数、それと、その時代の一般物価との関係を、ごめんどうですが、一つ克明に調査をして、一覧表を委員長のもとに御提出を願いたい。これだけ私はあなたにお願いをしたいと思うのです。ほかにもいろいろ聞きたいこともありますが、それだけにしておきます。委員長においてしかるべくお取り計らいをお願いします。
  252. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、今の大西委員からの要求のものを提出するに差しつかえありませんか。
  253. 四条輝雄

    四条証人 差しつかえございません。
  254. 高木松吉

    高木委員長代理 それならば、委員会に提出して下さい。  関連質問があります。これを許します。佐々木君。
  255. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 だいぶ私一人で時間をとりまして恐縮ですが、一つだけ承わります。ただいま高津委員から御質問がありましたが、あなたの会社から教職員あてに出されましたいわゆる御高見を賜わりたいというその案内状と、私が先ほどしつこく承わりましたいわゆる研究会というものとが、あなたの証言で一致していないのであります。研究会というものがあなたの会社の運用の費用一つの項目となって現われていると私は信じていたのであります。しかるに、ただいまの手紙を見ますと、研究会などという文字は一つも入っていない。ただ御高見を賜わりたい、そうして、どこどこの旅館、どこどこの料理屋に来てくれというようなことでありますが、その点に対して、もう少しはっきりと御証言を承わりたい。そうでないと、私の聞いたことに対するあなたのお答えというものは違ったことになりますから、その点を一つはっきりさせていただきたい。
  256. 四条輝雄

    四条証人 ただいま高津委員さんがお読みになられました金沢のお招きする案内状でありますが、これは研究会というふうにはうたってございませんが、やはり私どものけさほど申し上げております研究会の性質に属する会合でございます。従って、先ほど御答弁申し上げました研究会というのと、高津委員さんがおっしゃった具体的なものも研究会と、私はこう心得ておりますし、また事実そうでございますので、矛盾はないと思いますが……。
  257. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたの会社研究会という正式な案内状、あるいは定期的に三十回ないし四十回開くということは必要に応じて開くという御証言がありましたのと総合しますと、要するに、研究会という名目は今まで使ったことがあるのですか、それとも一回も使ったことがないのか、ただ単にあなたの会社だけで研究会と了承して、そうしてああいう案内を出しているのかどうか、それを承わりたいと思います。
  258. 四条輝雄

    四条証人 私どもの方でそういう会合は研究会と、こういうことにいたしております。ですから、文書には研究会ということをうたいません。
  259. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、あなたの会社だけできめていることであって、相手方の方では、それは研究会だということがわからないことになりますが、そういうように受け取ってよろしゅうございます。
  260. 四条輝雄

    四条証人 それはやはり、御意見を伺いましていろいろの討議をやる場を持つわけでございますから、やはり目的研究を主眼といたしております。
  261. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこに出られる人が研究会だということを知らずに出席なさるのじゃないのですか。その名称をうたわないものですから、そうしたら、どういう手続によって研究会だということを知らせるのか、その場所に来てから初めて、ああこれは研究会だということをお知らせするのか、そういう運行をやるのか、その点を承わりたいと思います。
  262. 四条輝雄

    四条証人 やはり、御案内にもございますように、研究のために集まっていただく、こういうことで御出席いただく。先生方もやはり、私どもの方でも回数を二十回から四十回持つわけでございますから、研究目的としてお集りいただくということは、あの案内状によっても御了承いただいておると思います。
  263. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 議論をしても時間がたつだけですが、私はそういうような研究会とは了承できません。いずれまた機会がありましたお尋ねいたしますが、きょうはこのくらいにしておきます。
  264. 高木松吉

    高木委員長代理 西村力弥君。
  265. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は簡単にお尋ねしたいと思います。  先ほど証人の御証言の中に、教科書の配給手順の中で教科書の販売株式会社というルートを通さずにやるものもあるようにお聞きしたのでございますが、直接に地方の特約供給所にやるのと、その販売会社を通してやるのとは、どういう比率になっておるか、また、それの費用の比較はどういう工合になっておるか、この点について伺いたい。
  266. 四条輝雄

    四条証人 教販会社に発送を頼んでおりますのは北海道だけでございまして、東北六県、四国、九州の一部というものは、こちらで荷物を出しまして、そうして集金、需給調整の事務を取り扱わせております。
  267. 西村力弥

    ○西村(力)委員 教販会社に委託するのは北海道だけだということになるそうですが、そうしないでも、十分にやり得ることになるわけですね。そうしますと、何がゆえに四万株も出資してそういう教販会社を作ったか、こういうことに私たちに、一つ疑問を抱かざるを得ないわけであります。これは、いろいろ商業界の関係というか、そういうことでそこの開門を通す機関を作ったのだろうかとも思いますが、なぜその教販会社を通さなければならないか、いかなる必要性をもって教販会社を作る努力なり、出資なりをやっておるか、こういう点。
  268. 四条輝雄

    四条証人 教販会社は、今お尋ねの点で訂正しなければならぬことがあります。北海道は直送いたしておりまして、扱い区域としては、東北、四国、九州の一部をやはり教販にゆだねております。ただ、それは直接に教販から送りませんで、私の方から送りまして、北海道以外のそれらの地区に対しましては集金事務と需給調整を願っておる、こういう形でございます。それでは、なぜ必要かと申しますと、先ほどちょっと部数を申し上げましたが、二十五年度非常に多くの部数がございまして、区域制から全国供給になりましたものですから、当時日配が解体になり教販ができましたものでございますから、当社で全部の教科書を送る人的な面も不足しておるということでゆだねておりました。だんだん整備いたしまして、今教販が直接配送するものは北海道だけを扱っている、あとは集金事務、需給調整ということをやっている、こういう情勢であります。
  269. 西村力弥

    ○西村(力)委員 直接発送は北海道だけだが、そのほか集金とか需給調整する——。これはお宅の教科書全部を教販を通してやっているのかどうかということをお聞きしたいのでございまするが、将来、そういう工合にその発送も直送もできるということになれば、集金や需給調整なんかも直接に扱う、こういうような方法をとる意思はございませんか。そういう工合にやった場合の業務上の支障あるいは経理上のマイナス、そういうようなことは考えられないか。そういうことをいろいろやって、自家発送、自家集金、自家需給調整、こういうことにやっていってもやれるし、またその方がいいという結論は持たないかどうか。その点を一つ説明願いたいと思います。
  270. 四条輝雄

    四条証人 現在直ちにすべてを直送するということになりますと、発送面におきます人手の問題ということも起きて参りますが、今お尋ねの将来の問題につきましては、またなおよく検討を加えさせていただきたいと思います。
  271. 西村力弥

    ○西村(力)委員 検討を加えるということは、そういうことをやればかえって好都合だということも一応考えられるわけですか。あなたの会社を経営なさるためにプラスになる、こういう予想も持っての研究を今後積む、こういう御意見でございますか。
  272. 四条輝雄

    四条証人 これを直送することが経営上是か非かという点について検討してみたい、こういう考え方でございます。
  273. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あとは、教販あるいは地方特約店を通さずに直接取次店に行く、こういうようなケースは全然考えたこともないし、やったこともない、こういうことになっておりますか。
  274. 四条輝雄

    四条証人 直接いたすことはございませんです。
  275. 西村力弥

    ○西村(力)委員 別にお尋ねしますが、今年度のあなたの方の会社採択部数が証言されておりますが、三十一年度の教科書採択部数はもう決定になったはずでございますが、これは幾らでございますか。
  276. 四条輝雄

    四条証人 三十一年度はまだはっきりいたしません。
  277. 西村力弥

    ○西村(力)委員 御証言によれば、一度ちょっと採択部数が減少して、二十八年度からずっとまた盛り返し、三十年度もずっと盛り返しておりますが、そういう工合に盛り返していく営業成績の推移を見まして、業務担当者としまして、この成績が幾らかでも向上していくその原因はどこにあるという工合に分析されておるか。もちろん、本質的には、御証言の通り、教科書内容がよくて、そのよいことがすなおに理解されて採択部数がふえていく、こういうことでございましょうけれども、そのほかに、やはり販売のいろいろな手段、方法を講ぜられて、他社との販売合戦にひけをとらないようにいろいろなことを考えてやられておると思いますが、そういう販売合戦のいろいろな手段というか、そういう中で、どういう方法が一段とこういう好成績をもたらす原因になっておるか。そういう点については的確な御証言はなかなかむずかしいかもしれませんけれども、しかし、私たちも、選挙をやりまして、選挙の方法については、十分に考え、努力してもむだなものはこれはやはり捨て、そうして、端的に選挙戦に勝ち得るような方法で合法的なワク内において努力していく。あなたの社においても、アンケートを一時出したが、そのことはほとんど効果がなかったためにこれを捨てたという工合に、業務上の反省はなされておるようにお聞きしたのであります。それでありますので、採択部数が好成績を盛り返してきたその原因は、いろいろな方法の中のこれが非常に効果があったのだというような判定がおありだと思うのです。そういう点についてお伺いをしたい。
  278. 四条輝雄

    四条証人 やはり、一番重要な点は、あくまでも内容だと考えております。そうして、業績が一時下り坂でございましたものが三十年度でふえたということは、種目の増加もさることながら、やはり下降線をたどったということにきびしい内容的な反省のあったことが私どもとしては考えられるわけでございます。これは、現場先生方地域に応じた教材の工夫とかあるいは御批判とかいうものを深刻に伺って取り上げ、そうして改訂改訂を加えてきたということが、やはり各地区におきましてだんだんと好評を博していく大きな原因でなかったか、このように考えております。
  279. 西村力弥

    ○西村(力)委員 まあそういうお話はきまり切ったお話なんでございますが、そうしますと、現場の教員の深刻なる批判というものを聞いて内容の充実、向上をはかってきた、こういうことでございますが、その深刻な御意見を拝聴するというのは、さっき言いました研究会あるいは何々旅館の別室、こういうようなことになるわけです。あなたの方の成績向上の最重点的方法研究会だ、内容の向上のための研究会である、こういう工合に把握してよろしゅうございますか。
  280. 四条輝雄

    四条証人 はい。
  281. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、この研究会の形態というものは、われわれとしては、やはり十分に、先ほどもいろいろ問題になりました通り、実体を追及しなければならない、かように思うわけなんであります。
  282. 四条輝雄

    四条証人 私は、研究会はやはり必要なものだ、これは大事なものだ、かように考えております。
  283. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今、高津さんとか、あるいは佐々木君とか、さまざまな人から指摘のあったような形の研究会、これが現実にあなたの社の研究会という名前で行われておる。こういうことを必要かつ重点的な方法として今後も強化しなければならぬ、かような工合にお考えになっておるのでございましょうか。
  284. 四条輝雄

    四条証人 研究会の持ち方というものにつきましては、いろいろまた検討を加えさせていただきますが、やはりこういう意味の研究会を通しまして絶えず教科書内容について地方先生方の声を伺うというこの目的は、検定制度のもとでは必要だ、このように考えております。
  285. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいままでに判明したこういう研究会は絶対にやめてもらいたい。これはまことに教科書検定制度を毒するもはなはだしいし、また教師を惑わすもはなはだしいものだ。これは、研究会に重点を置かれるならば、もっとりっぱな、ほんとうの研究に立ち返っていくのが正しいことだと思う。今までの御証言では、われわれは、研究会重点のその営業政策というか、そういう教科書内容を向上しようという、そういう純粋目的に沿う営業政策とは理解しかねる。  その次に、ついせんだって、東大教授の飯塚浩二博士が、とんでもない教科書とかいう見出しで朝日新聞の文芸欄に書いておりましたが、それをごらんになりましたか、どうですか。
  286. 四条輝雄

    四条証人 ちょっと、私、うかつでございますが、見ておりませんです。
  287. 西村力弥

    ○西村(力)委員 見ておらないとするならば、今ほど教科書の問題が衆議院の行監で取り上げられて業者が神経過敏になっておる際に、そういうところが目に入らないということは、どうも御社はまことに春風駘蕩たる状態だという工合にも思われるわけなんですが、見ないとするならば、それはやむを得ませんが、その趣旨はこうなんです。見本に出す地図帳の組み版の認可をもらうために文部省に出した場合に、文部省の事務官が、この地図の中で、たとえば樺太の国境線がないが、これを入れるべきであるというようなこと、あるいは、瀋陽となっておるのをカッコして奉天と入れなさい、あるいは、長春ですか、あれをカッコして新京と入れなさい、さまざまなそういう口頭のサゼスチョンをやっておる、そういうことに対して憤激をせられた投書でございましたが、そういうような工合に、文部省の事務官からお宅の編集部の方々編集内容についてそういう口頭のサゼスチョンを受けたというようなことをお聞きになったことはございまんですか。
  288. 四条輝雄

    四条証人 編集部の者から、文部省からは調査員の万の修正意見と申しますか、そういうことを聞いたということは聞いております。
  289. 西村力弥

    ○西村(力)委員 調査員の正式な意見書以外の、文部省の事務官の意見というものを与えられて、それを何とか守ってやっていかなければ、どうも検定が通りそうもない、そういう編集者の良心と営業政策との板ばさみになって編集者の良心が悩んだ、こういう事例についてお聞きしたことはないかどうか。
  290. 四条輝雄

    四条証人 私の場合は、そういうこと、ございませんです。
  291. 西村力弥

    ○西村(力)委員 なければ何ともしようがないが、そういう編集上の重点、教科書内容に対するいろいろな有形無形の圧力というものに対して、よい教科書を作るという会社ならば悩まなければならぬはずである。それが営業主任であるあなたの耳にちっとも入らないということは、私はまことに遺憾しごくでありまして、そういうことであるとするならば、よい教科書を作ろうとすることも、結局あまり正常な方向に会社全体の運営が進んでいるとは考えられない。そのような私の感想を申し上げる以外にないのでございます。  以上をもって終ります。
  292. 高木松吉

    高木委員長代理 四条証人に対する尋問はこれで終了いたしました。  証人には長時間にわたって御苦労でありました。  次会は明二十九日午前十時より開会し、証人佐藤幸一郎君より証言を求めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会