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1955-07-25 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十五日(月曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 高木 松吉君    理事 佐々木秀世君 理事 濱野 清吾君    理事 南  好雄君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 神田 大作君       草野一郎平君    牧野 良三君       松岡 松平君    鹿野 彦吉君       塚原 俊郎君    福永 一臣君       高津 正道君    辻原 弘市君       西村 力弥君    大西 正道君  委員外出席者         証     人         (教育出版株式         会社取締役社         長)      北島 織衛君         証     人         (東京書籍株式         会社常務取締         役)      四条 輝雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件     —————————————
  2. 高木松吉

    高木委員長代理 これより会議を開きます。  篠田委員長は健康を害されておりますので、私が暫時委員長代理を行いますから、さよう御了承を願います。  前会に引き続き、小、中学校における教科書関係事件について、調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は北島織衛さんですか。
  3. 北島織衛

    北島証人 そうです。
  4. 高木松吉

    高木委員長代理 あらかじめ文書をもってお知らせいたしておきました通り、正式に証人として証言を求めることになりましたから、さよう御了承を願います。  この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評を生じ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いている向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証書を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人北島織衛朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。
  5. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  6. 高木松吉

    高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはそのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになりますから、御了承願います。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の略歴をお述べになって下さい。
  7. 北島織衛

    北島証人 証人北島織衛は、明治三十八年十二月東京に生まれまして、昭和四年に東京帝国大学法学部法律学科を卒業しました。同年直ちに株式会社秀英社に入社いたしまして、昭和十年に株式会社秀英社日清印刷株式会社と合併しまして大日本印刷株式会社と名前が変ったわけでございます。昭和十八年に大日本印刷株式会社常務取締役に就任しまして、昭和十九年に同じく専務取締役になりました。昭和二十三年に神崎製紙株式会社監査役、同じく教育出版株式会社取締役社長。それから、二十八年に、日本色材株式会社、これは印刷のインクを作る会社でございますが、そこの取締役会長。本年、昭和三十年の一月に大日本印刷株式会社社長になりました。以上の通りでございます。
  8. 高木松吉

    高木委員長代理 教育出版株式会社の沿革、資本金業務種目について述べていただきたい。
  9. 北島織衛

    北島証人 教育出版株式会社は、ただいまも申し上げましたように、昭和二十三年の五月に設立いたしました。当時の資本金は三百万円でございました。現在はそれが何回かの増資を経まして三千万円になっております。現在の事務所のあります神田に移りましたのは昭和二十六年の八月でございます。発行いたします部数といたしましては、小学校中学校国語、数学、社会音楽高等学校の英語、音楽。それから、普通図書といたしまして学習参考書その他。月刊雑誌としまして「教育展望」、これは五千部発行しておりますが、それを発行しておる次第でございます。
  10. 高木松吉

    高木委員長代理 大日本印刷株式会社社長を兼任しておられるようですが、教育出版株式会社との関係はどうなっておりますか。その資本関係、株主の関係人事交流と申しましょうか、人事関係等について、詳細にお述べになっていただきたいと思います。
  11. 北島織衛

    北島証人 教育出版株式会社というものは、昭和二十三年に、当時私の会社に——現在でもおりますけれども小坂という常務がおりますが、その弟が満州から引き揚げて参りまして、引き揚げ最中に子供をなくして非常に失望落胆して、どうしようかということを相談に参りました。本人は、昔北海道におりまして教育関係をやっておりましたので、あるいは北海道に引き揚げようかというような悲観した言葉を申しましたので、私が東京におりまして仕事をした方がいいということを申しまして、ちょうど検定教科書が発行できるようなときになりましたので、小坂君と相談いたしまして設立しました。  資本関係は、現在でもそうでございますが、大日本印刷は株を持っておりません。私の当時の友人の紙の販売店その他の友だちの関係の方にお願いしまして、私も若干持ちますし、そういう人に持ってもらってきたわけでございます。  人事は、これは大日本印刷教育出版とは全然別個の会社でございますので、人事交流はございません。ただ、製作関係におきまして、印刷、製本、紙、こういう関係の知識が教育出版には乏しいので、私の会社の課長をしておりました渡辺という者が現在取締役になってその製造関係を担当しておる、こういう関係でございます。
  12. 高木松吉

    高木委員長代理 あなたの会社で発行している教科書発行部数及び採択されたおもなる地域等について、年次別にお述べになっていただきます。
  13. 北島織衛

    北島証人 採択部数を先に申し上げます。二十四年に、二種目七点を出しまして、四百万六千部採択になりました。二十五年に、九種目二十七点を出しまして、八百四十七万六千部採用になりました。二十六年に、種目は同じく九種目でございまして、点数を三十四点出しまして、七百五十九万部採用になったわけであります。二十七年に、種目が十二になりまして、点数が六十になりまして、六百六十六万二千部。二十八年には、種目が十一になりまして、点数が九十一点、部数は九百三十八万六千部。二十九年に、種目は同じく十一点でございまして、点数が百点、一千二百二十六万七千部。三十年度に、種目が十六で、点数が百二十五点でございまして、発行部数が一千六百四十九万部。こういうふうになっております。  それから、おもなる採択地は、北海道は特に多うございまして、その次が東京の百万部、以下百万部以下の部数で各県にわたってずっと採択になっております。
  14. 高木松吉

    高木委員長代理 いま少しく詳細に述べていただけませんか。採択関係の分を。
  15. 北島織衛

    北島証人 各県別採択のパーセンテージは、資料がございませんので……。
  16. 高木松吉

    高木委員長代理 部数はわかりませんが、何パーセントというのじゃなく、部数は、いつどこは幾ら幾らということ。
  17. 北島織衛

    北島証人 それは、三十年度はわかります。
  18. 高木松吉

    高木委員長代理 どうぞその点を。
  19. 北島織衛

    北島証人 北海道は五百二十六万二千二百六十一部、東京都が百一万九千百七十三部、愛媛が九十一万一千四十七部、福岡が七十九万一千五百五十三部、福島が五十万五百四十九部、佐賀が、三十八万四千四百十六部、埼玉が三十七万四千二百五十三部、山形が三十四万八千四百五十四部、大阪が三十四万九百六十二部、鹿児島が三十三万二千四十一部、宮城が三十二万一千六百九十四部、愛知が三十万五千八百九十四部、神奈川が二十九万二千七百七十三部、新潟が二十八万七千八百七十六部、千葉が二十七万一千二百十八部、群馬が二十六万八千六百九十六部、栃木が二十五万五千四十六部、静岡が二十三万九千九十九部、岐阜が二十三万六千三百八十四部、秋田が二十三万二千二百二十部、青森が二十一万四千七百三十部、広島が二十万二千七百五十四部、兵庫が二十万二千五百九十三部、熊木が十八万九千六百十二部、長野が十八万二千四百九十四部、山口が十八万一千九百四十七部、宮崎が十七万八千八百七十部、香川が十六万六千六十六部、京都が十六万六千六十四部、山梨が十六万六千二十一部、長崎が十五万九千百二部、和歌山が十四万七千五百三十一部、茨城が十四万七百八十八部、岩手が十三万五千六百五十四部、富山が十一万三千五百部、島根が十万四千三百二十五部、三重が十万一千六百八十五部、石川が十万二百三十部、岡山が九万七千百十一部、滋賀が九万五千五百十八部、徳島が九万四千五百七十八部、福井が八万六千百十八部、大分が八万四千六百六十部、高知が八万三千百八十部、鳥取が六万十一部、奈良が四万八千五百五十四部、以上であります。
  20. 高木松吉

    高木委員長代理 それでは、証人会社は、昭和二十二年ごろ検定制度が実施された当時、日教組講師団教科書編集に関して契約した事実があるかないか。事実があるとすれば、その経緯と内容について詳細に述べていただきたい。
  21. 北島織衛

    北島証人 多分昭和二十三年だったと思いますけれども、私の方の会社出資者の一人に岡本洋紙店岡本銑一郎さんという方がおられまして、その人にかなり株を持っていただいた。多分三百万のうち五十万でなかったかと思います。そのときに、岡本君が私の友人を入れてくれというわけで、多分山本という人だと思いますが、その人が取締役に就任したわけです。会社を作りまして、検定教科書を出すということになりましたが、当時の空気を申し上げますと、国定がずっと長く続いておりましたので、検定などを出しても、せいぜいごくわずかしか出ないだろうというふうに全部関係者は思っていたわけです。今委員長お話でございますと、日教組講師団というお話でございますが、私は日教組講師団という言葉は最近になって聞きましたのですが、当時は日教組講師団というものはなかったと思います。調べましたところによると、これは昭和二十六年ごろからできたように思っておりますが、日教組の別動隊といたしまして教科書研究協議会というものがありまして、そこで教科書を編さんするについて、君の方で引き受けないかという話が、先ほど話しました山本という人を通じてあったように覚えております。そして、私の方で音楽国語教科書を引き受けて出すということになりまして、音楽小学校の分を六点引き受けたのですが、六点のうち小学校の一年が不合格になりまして、小学校の二年以上が全部通った。それから国語の方は、四点通った。しかし、この通り方が非常にばらばらでございまして、これは正確でございませんけれども、私の記憶をたどりますと、たとえば、一年の上が通って下が落ちた、三年の下が通って中が落ちたというような、ばらばら状態でございまして、教科書にならないということで、これは私の方はあきらめた次第でありまして、従いまして、音楽だけを発行したという形になっております。  それから、お話の経理の状態は、そのときに、たとえば印税を何分という形でやったと私は記憶しておりますが、そういう形で、指定の印税を、日教組でなしに、この教科書研究協議会に出したというふうに記憶しております。
  22. 高木松吉

    高木委員長代理 二十六年以降の事実でもよろしいのです。そこで、日教組講師団の存在することは御承知ですか。
  23. 北島織衛

    北島証人 日教組講師団というのは、これは一身上の弁明みたいになりますけれども、私はずっと長い間大日本印刷専務をやっておりまして、会社のいろいろの問題が非常に忙しいので、教育出版自体にはそれほど行っておりません。それから、日教組講師団という話は、私はむしろ最近になりまして聞いて、そういう団体があるということを知った程度でございます。
  24. 高木松吉

    高木委員長代理 そうすると、日教組講師団の中の人であって、あなたの会社編集の契約を個人でしておってもよろしいのですが、そういう事実はありませんか。
  25. 北島織衛

    北島証人 これも最近になって知った事実でございますが、私の方の社会科教科書を出しております著者のうちの東京大学の教育学部長宗像誠也さんが、日教組講師団の一人になっているということを聞きました。
  26. 高木松吉

    高木委員長代理 そのほかにはありませんか。
  27. 北島織衛

    北島証人 そのほかには私は聞いておりません。
  28. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社で発行している教科書は、北海道版と言われているほど地域的特性を生かした教科書が多いようですが、文部省検定申請の際に注意をされたような事実ががございましょうか。また、かかる地方版編集する趣旨目的等について詳細にお述べになっていただきたいと思います。
  29. 北島織衛

    北島証人 いわゆる地方版という言葉、これは公式の名称でございませんで俗称でございます。文部省におきましては地力版という言葉は認めておりませんが、最初に、いわゆる地方版というものの法律的根拠を申し上げたいと思います。  文部行で発行いたしました学習指導要領、これは文部省であらゆる教科書はこういう方針に従って編さんしなければならぬということを出した要領でございます。昭和二十六年のものでございますが、その前書きの第一項にこういうことが書いてございます。「新しい教育では、各学校がその地域社会要求を詳しく見きわめて、児童の発進に応じる教育課程を設定しなければならない。」、同じくそのあとに、「ある題材を選ぶ場合には、それがほんとう児童の必要と興味に合い、同時に地域社会実情と合っているかどうかを見なければならない。」、それから、「小学校教育の主目標は何か」という第二節のところに、こういうことが書いてございます。「小学校教育は、日常の卑近な生活に根をおろし、それを育てていくことに注意しなければならない。小学校の時期には、児童生活経験の領域はまだ狭いので、教育は絶えず、この生活経験を豊かにし、高めていくことに努力しなければならない。そうすることによって、しだいに広い世界への目を開いていくことができるのである。」、こういうことが書いてあるわけでございます。私どもの考えといたしますと、新しい終戦後の教育地方版存在理由というものは表裏一体になっている、つまり、地方実情要求児童生活経験によって教育というものはスタートされなければならぬ、ことに、低学年の者においては、児童経験範囲が非常に狭いので、児童がたやすくまた理解しやすく、学問に対する興味を持ち理解を深めるということが身近なことからでなければならぬということが書いてあるのが、この小学校学習指導要領でございます。しかし、これは占領の当時でございましたので、最初に今まで出ておりました国定教科書というものが発行されまして、その国定教科書に伴いまして検定基準というものができまして、そのあとでこの指導要領ができたわけでございます。本来の形から申しますと、指導要領が先にできて、それに検定基準ができる、それから本ができるというのが本来の形なのでありますが、占領下でありましたので、そういう反対の傾向をとったのであります。  次に、昭和二十三年七月十五日に施行になりました教育委員会法には、教科書検定基準について、五十条にこういうことが書いてあるのであります。これは後に削除になりましたが、その当時有効であったわけでありまして、「都道府県委員会は、前条各号に掲げる事務を行う外、左の事務を行う。」というその第二号に、「文部大臣の定める基準に従い、都道府県内のすべての学校教科用図書検定を行うこと。」ということが書いてございます。従いまして、このものができました当時におきましては、むしろ地方検定ということが当時の法律趣旨であった、こう私は考えております。しかし、これは実際に行われなかった。理由はどういうわけかと申しますと、当時、用紙が配給でありまして、それから印刷能力も非常に少かった。そのために、特例といたしまして、第八十六条に、「教科用図書は、第四十九条第四号及び第五十条第二号の規定にかかわらず、用紙割当制が廃止されるまで、文部大臣検定を経た教科用図書又は文部大臣において著作権を有する教科用図書のうちから、都道府県委員会がこれを採択する。」、こういうふうになっておるわけであります。今申し上げましたこの二号は、いずれもその後、これも私ははっきり存じませんが、大達文部大臣のときでなかったかと思いますが、そのときに廃止された次第でございます。  実際問題といたしまして、結局、文部省といたしましては、この指導要領におきましては、低学年においては児童教育は身近なものから発しなければならぬということが書いてありますし、一つには、文部大臣がこれを検定するというふうにあとから直ったわけでございますから、この指導要領とこの検定基準との間にギャップがあるわけであります。それをどういうふうにして埋めていくかということにつきまして、昭和二十六年から、地域性を持つ教科書を、実質的に認めるため検定基準必要条件拡大解釈を認めたのであります。  それから、二十九年度から文部省が出した「教科書検定申請の手引き」という中に、編集趣意書に関しての項目に、地方の特色を生かした編集をした場合には生かした方とその理由を付記すること、ということで、これを認めることになったのであります。ただし、文部省の示達によって、地方版なる標記は避ける。それで、著者名によりまして、たとえば地方教育団体著者に加わったという形において、この教科書はそういう地域性があるのだということを示す、こういうことで文部省が認めたわけでございます。  私どもといたしましては、この学習指導要領が正しいと思っておりますし、また、この学書指事要領に沿うならば、教科書というものは、ことに低学年におきましては、たとえば国語科社会科、理科、算数、それから中学の職業、家庭科のようなものは、むしろ地方版の形で、子供を身近な自分の経験からスタートさせ、これを郷土からさらに日本全国に広め、そして世界的に目を聞いていくということが、ほんとうの新しい教育趣旨に沿っていくものであると考えているわけであります。たとえば、御参考までに申し上げておきたいと思いますが、終戦前の国定教科書というものは「サイタサイタサクラガサイタ」ということから始まっているわけであります。これは桜読本と一般に言われているわけでありますが、この私ども教科書におきましては、これは北海道版でございますが、その点の扱いが違っております。四月一日に児童が就学するときは、東京その他のところにおいては、草は青々として、短ぐつ、それから半ズボンという形で行われております。しかし、北海道の方はどうかといいますと、まだ雪が残りまして、長ぐつをはいて、えり巻をして行くというような状態でございます。校庭にもまだ雪が残っておるというような状態で、教室においても四月一日にはストーブをやっているという状態でございます。従って私の方では、それが五月の「こいのぼり」のあとに出てきております。これは、東京児童コイのぼりあとに桜が咲いたという教科書を出せば、この教科書は間違っておるというふうに思うと思いますが、しかし、北海道児童に桜が咲いてからコイのぼりが出るという教科書を与えて、北海道児童が果してこれを了解するか、またたやすく理解していかれるかということを考えますと、われわれとしましては、北海道というような、あまりに内地と地理的条件が変りましたところにおきましては、むしろ低学年におきましては地域に即した方がよくはないか、そう全日本的である、あるいは世界的であるということは要求される必要がないと思いますので、地域に即した、児童がたやすく勉学できる身近な経験を通しまして、学問に対する興味がわき、また理解できるというところに重点を置くべきでないかと考えたのでありまして、これは、私どもの方の会社の幹部が、ほとんど戦前から北海道教育関係に従事しておりまして、みな何十年間の児童教育があるわけでございます。その者がほんとうにそういうことを痛感いたしまして、また北海道先生方も、低学年においては、北海道に即した教科書を作って、どうか児童の便宜をはかってもらいたいという要求がありましたので、こういうものを作った次第でございます。  つきまして、文部省から注意があったかと申しますと、文部省の方では、ただいま申し上げましたように、これを拡大強化して、たとえば、私の方では、北海道国語教育連盟という名称を出すことによって、地方版というものが正式に認められてないけれども、この教科書北海道地域性を持った国語教科書であるということを指示するようにしろというお達しによってしているわけであります。なお、検定を出願しますときに、趣意書におきましても、この旨を明確に書いておる次第でございます。  以上であります。
  30. 高木松吉

    高木委員長代理 大体わかりましたが、何か文部省から検定申請の際に注意を具体的にされたような事実はありますか。
  31. 北島織衛

    北島証人 私自体は、先ほどお話ししましたように、そう実務にタッチしておりませんので、果して文部省から注意——事務的の注意は多々あると思うのですが、編集内容に立ち至った注意があったかどうかということは存じませんし、また、うちの編集部の者からは、そういう話があったということは今まで聞いておりませんでございます。
  32. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社教科書編著者について詳細に述べてもらいたい。なかんずく、証人会社北海道国語教育連盟北海道社会科教育連盟と契約して教科書編集しているという事実があるが、これらの編著者に支払っておる著作料編集料等支払いの方法、特に支払先の詳細な事実及び支払い金額等についてお話しになっていただきたいと思います。
  33. 北島織衛

    北島証人 最初に、北海道国語教育連盟と当社との関係を申し述べたいと思います。私の方では最初国語教科書を出しましたときは、こういう北海道版という形で出さなかったわけでございます。全国版として出したわけでございます。それは昭和二十六年の展示会にこういうものを提出いたしました。そうして北海道におきまして約六割の採択を得たわけでありますが、この教科書が出ましたあとから、北海道国語教育連盟というものから、うちの方で出した全国版というものがまだ北海道地域性や何かからかんがみてもの足らない、たとえば、低学年においては、動植物、自然、気候の条件が非常に違うじゃないか、それから、五年、六年の時分におきましては、この中で伝記を与えるとか、あるいは何とかいうのが文部省指導要領の中に単元として出ておりますが、伝記なら伝記というところには、北海道の文化に関係のある、それから北海道の開拓に関係のある者の伝記を入れてほしい、それから、日記文などもそうしてほしい、伝記などもそうしてほしい、詩などについてもそういうものをあげてほしいという要求がございまして、私の方は、北海道国語教育連盟の先生と相談いたしまして、いわゆる北海道版というものを昭和二十七年の展示会に出したわけであります。そうして、前年度は全国版で六割の採択を得ておりまして、その二十七年度の北海道版を出したために、北海道において、二割ふえたわけであります。それからその後徐々にふえておるという形になっております。  それから、北海道国語教育連盟と申しましても、私の方の北海道版につきまして、この北海道国語教育連盟だけが著者ではないわけであります。この奥付にもございますように、何人かの著者のうちの一人になっておるという形でございますので、著者の間で、印税を払うのは、連盟には幾ら、この著者には幾らという歩合を相談いたしまして、その歩合によって払っておる。この金額は後ほど申しますが、それで、連盟はさらに研究を重ねて、現場で実際使った要求に基きまして、私の方は今度三訂版というものを出したのであります。その主たる現場の先生からの要求は、全国版では遠足という項目が九月か十月になっておる、北海道ではすでにみぞれが降っておるんだ、そういうところに遠足という項目を書きましても児童はなかなか理解しにくい、北海道は慣習的に、五月、六月に遠足をやっておる、だからこれは五月、六月のところに遠足を持っていってほしいというお話もございますし、いろいろのことを聞きまして、三訂版というものを出したわけです。そうして、北海道国語採択する部数は、全部わが社に来ましたとしましても、一点十万部であります。これは前の証人お話しになりましたので、委員の諸先生方も御了解いただけたと思いますが、この色ずりの多い部数におきましては、十万部というものが採算から申しますと最低であると思いますが、わが社には、今申し上げましたように、北海道ほんとうに教鞭をとりまして、児童とともに勉強して、児童にこうしたらいい、ああしたらいいと真剣に考えている者が多いので、この者の北海道の郷土の教育に対する愛情としても、こういうものを作りたいという要求がありまして、三訂版を出した次第でございます。  それから、北海道国語教育連盟との経済関係は、今もお話ししましたように著者の一人でありまして、これについて申し上げますと、私の方で二十八年に払いました印税は定価の五%でありまして、この印税の総額は二百十一万五千四百三十六円であります。北海道国語教育連盟に払いました金額は税込みで五十三万八千六十八円。これを私の方で払いますときに、印税の一五%を税金として会社で引きまして納めますので、先方の手取りといたしましては四十五万七千八百十八円、こういう数字になっております。  それから、北海道社会科教育連盟の関係を申し上げますと、国語の場合には、先に全国版を出しまして、あとから地方版を出したのですが、社会科におきましては、私の方は最初から、社会という項目にも地域性が非常に重要視されている点が指導要領の中にたくさんありますので、北海道版というものを考えまして、北海道社会科教育連盟からの申し込みがありましたので、それを出そうと考えたわけです。しかし、いろいろ研究してみますと、北海道と申しましても、農村と都市と炭鉱とでは状況が非常に違うというような状態を考えまして、これは北海道版というものを当時出すと検定基準にはずれる、適当でないという結果になりましたので、私の方としましては、その当時におきましては、南方版つまり雪の少いところの教科書、それから雪の多い北方版、こう二つに分けて出した次第であります。しかし、これは必ずしも成績がよくありませんので、その後これを一つにいたしまして、今では一本で出しております。しかし、北海道社会科教育連盟の方は最初からこの著者となっておりますので、社会科の中にも北海道のことはかなり多く出ていると思うのであります。印税は、国語教育連盟と同じように、実例で申し上げますと、北海道社会科教育連盟に払った印税は、私の方は昭和二十八年には社会科に対する印税総額は二百九十七万二千九十四円でありますが、二十八年には三十六万円払った。税金を引きましたので先方に渡りました金は三十万六千二円であります。それから、二十九年には、二百四十八万四千三百七十二円に対しまして、四十四万七千八百八十五円払った。手取りは三十八万七百五円であります。  それから、国語教育連盟印税で二十九年度を言い忘れましたので、つけ加えておきます。二十九年度に、国語印税の総額は三百六十二万九百九十八円、これに対しまして九十五万二百四十九円、税金を引きまして七十六万九千四百六十三円を支払ったという状況であります。  そして、この社会科連盟及び国語教育連盟先生方は、いずれもいわゆる教員組合とは関係がありませんで、この連盟員になられた方は、特に組合活動には関係のない、純粋の学究的の先生が多いように聞いておる次第でございます。  以上であります。
  34. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社で本年の六月十八日函館市湯ノ川温泉において現職の教員十数名を招待した事実はありませんか。あれば、その目的、費用の額、出席者の氏名、——会社側がどなたか、教員側がどなたか、詳細にお述べになっていただきます。
  35. 北島織衛

    北島証人 この問題は、たまたま私が教育出版におりました際に行監の調査員の方がお見えになりまして、初めて聞いたわけですが、その当時におきまして、行監の方は、私が何か北海道に行ったというようなお話だったのですけれども、行監の調査員の方に申し上げましたが、私が北海道に参りましたのは木星号が落ちた翌日なので、はっきり覚えておりますが、そのとき参ったので、そういう事実はないということをお話し申し上げましたところ、だれか会社にいないかということで調べたわけであります。そうしましたら、このたび新しく編集長になりました中井という者が湯ノ川に行ったということが、本人を呼びましてわかったわけであります。その事情を申し上げますと、本人は長いことずっと、おそらく生れてからではないかと私は考えておりますが、北海道に居住しておりまして、最近は財団法人の北方民生協会という出版物をやっている会社に長らく勤めておったわけでありますが、私の方の編集長に就任することになりまして、東京に参りましたのが四月ころだったと思っておりますが、それから家などを探しまして、やっと家も見つかったということで、北海道の方に一家引き揚げに参ったわけであります。そうしまして、たまたま湯ノ川の旭館に役宿いたしまして、函館近郊の先生方十三名の方と一夕の会合を持った。本人の言いますところによりますと、自分も編集長に就任したので、編集上の意見を聞きたいということと、長年北海道にいていよいよ家をあげて東京に引き揚げるので、そのおわかれも兼ねたいという意味だったようであります。この費用は、約十三名の方で一人が約千円でございまして、本人の宿泊費、自動車代等を含めめて一万七、八千円であったと聞いております。会社としましては、そういうわけでありますから、五千円だけは補助いたしましたが、あとは本人の自弁にしております。この会合は、本人に聞きますところ、六時に始まりまして九時に終った。本人はその前から北海道に行っておりますので、行監が始まったということもよく知らなかったようでありますが、会社としましては、いかにもこういう時期に非常に不謹慎のそしりを免れないというので、私も深く申しわけないと思っておりますが、本人にも、くれぐれも厳重に訓戒して、こういうことのないように注意した次第でございます。
  36. 高木松吉

    高木委員長代理 教員側の氏名はわかりませんか。
  37. 北島織衛

    北島証人 私は聞いておりませんが、いずれ本人に聞きまして書類で提出したいと思います。
  38. 高木松吉

    高木委員長代理 証人会社北海道教育評論社との関係についてお聞きしたいのですが、北海道教育評論社の設立経緯と業務内容について、お知りになっておったら、お述べになっていただきたい。また、北海道教育序論社との間に教科書の件について契約があらば、その契約内容等についてもあわせてお述べになっていただきます。
  39. 北島織衛

    北島証人 北海道教育評論社というものは、私が承わりますところによると、北海道で三十年以上戦前から出版をやっておった、そして国語教育連盟がこの北海道教育評論社とワーク・ブックを出しておるということは聞いております。しかし、私の会社の方と、会社同士としましては別に関係はないのであります。ただ、私の方の会社の重役幹部諸君は、十何名か北海道出身の教育関係者がおりますので、教育評論社の方とは知り合いの方もありますので、いろいろと最初におきましては編集のことや何かでは御相談にあずかったようであります。そうして、昭和二十六、七年ごろは、編集会議などであまり重大でなくて、会社からわざわざ行かなくてもいいような場合には、評論社に代行してもらったというようなことを聞いておりますが、その金額も全部返済いたしまして、今日では全く金銭関係はないという状態であります。  北海道評論社と当社との間に契約があるかというお話でありますが、それは私は聞いておらないわけでございます。
  40. 高木松吉

    高木委員長代理 次に、証人会社は学生協系の特約供給所と特別の契約を行うことによって採択の飛躍的増加をみたと聞いているが、学生協系の特約供給所と契約するに至った経緯及びその実情について、詳細にお述べになっていただきたいと思います。
  41. 北島織衛

    北島証人 学生協との契約の問題につきましては、前からの証人の方が、学生協がどういうことからできたかということについてはるる御説明なされたようでありますが、私ども会社におきましても、大部分の特約供給所というものは、戦前から教科書の供給業務をやっておりまして、この教科書の供給業務をやるということに非常に誇りを持っておるわけでありますから、誠実へ業務をやっておるというのが実情ではないかと思います。ただ、私の方は昭和二十五年度より取引いたしましたが、それは愛媛県と佐賀県でありますが、この二県におきましては、特約所でありましたか取次店でありましたか、私は詳細は聞いておりませんが、そのどちらかが非常に供給業務に対して不誠実であった、——児童教科書を前金を取っておいても渡さない、それから先生方に取りにこさせるというような状態が続きましたので、この学生協というものが教科書を取り扱うようになったと聞いております。そして、学生協の方がしばしば会社に参られまして、需要者である子供教科書が行き渡らないのだ、だから、児童のためを考え、学校の立場を考えて、あなた方は教育経験があるんだから、真に教育を愛するならば、ぜひ需要者の要望をいれて学生協と取引してほしいということを、十数回にわたって交渉を受けたわけであります。そうしまして、私の方といたしましても、学生協の信用状態その他を調査いたしましたところ、これは安全であるというふうに考えましたので、取引をした次第であります。その後、熊本県、大分県、香川県の三県の学生協からは、二カ年にわたりまして、何年か契約をしようということを要望されましたが、これらの県におきます特約及び取次店は、いずれも誠実な業務の運営に当っておりますので、私の方は学生協と取引をしなかったわけであります。そのほかに、二十七年度から福岡県、これは特約の経理状態が非常に危ない状態になったので、いわゆる学生協というものと取引をした。それから、山口県は、特約が手形か何か非常に乱発して、また特約所にも誠意ある態度が認められなかったので、これも二十七年度から取引しておる。それから、秋田県は、県下の特約が非常に混乱を起しましたために、二十八年度からやっております。しかし、この取引も、全部今までの特約供給所と同じ条件でございまして、特に有利にしたという点はございません。そして、いずれも、この学生協というのは今は株式会社になっておりますが、この取引は会社から依頼したものでございませんで、先方から、そういう教育の立場を考えて、ぜひ取引してくれという要求によりまして、契約を結んだ次第でございます。
  42. 高木松吉

    高木委員長代理 最後に、教科書の価格を現行より安くするために、出版社として営業上どのような合理化が期待されるか。その点について、あなたは専門家だから、詳細にお述べになっていただきたい。
  43. 北島織衛

    北島証人 定価引き下げに対する問題に先だちまして、私の方の定価の中でどういう比率をどういう部門が占めておるかということを最初に申し上げたいと思います。  定価を一〇〇といたしますと、取次手数料が一六%。生産費が四八・一%、これは用紙が二七・一〇%、印刷が一五・六七%、製本が五・二四%となっております。それから発送費、これは、私の方は、日教販とか教販とか中央社というものに頼みませんで、会社で直送しておりますので、発送費はよそは多分六分か七分と思いますが、私の方は五分になっております。それから宣伝費として六%。編集費が、年度によって差はありますけれども、大体三%。それから印税が五・五%。返本が四%。営業費が一〇%という形になっております。この営業費の中には金利が約三%かかっておるわけであります。従いまして、会社の利益は二・五%でございます。本年の考課状におきましても、そのくらいの数字の利益が上がっておるわけであります。  私が考えますのに、この中で編集費というものは教科書会社の生命でございますから、むしろこれは上げても下げることができないのじゃないか、こう考えております。  それから、返本の四%は、かなり高いものではないかと考えております。ただ、私の方に需要表が参りますのは、実際に学校に使用されます十カ月位前に参りますので、部数が必ずしも正確でないという点があるのであります。見込み発注という形になるのであります。現実の問題といたしましては、三月ころになりませんと、大体来年度の児童が何人あるかということがはっきりわかりませんために、先生方の方におきましても見込み発注をされるということが実際ではないか。そのために、私の方では、中間におきまして、各学校に、来年度の教科書採用部数は、先般教育委員会あるいは文部省を通じて製造指令をいただきましたが、なおこれで間違いがございませんかということを確かめる次第でございます。  それから、営業費は、主として展示会の本、献本、指導書、教育資料、並びに発送費、講習会費等に使っておりますが、これは、私が考えますのには、文部行の方におきまして常設展示会というようなものを作っていただきまして、われわれの方では献本をやめる、それから駐在員もやめる、常設展示会におきまして先生方に一年を通じて教科書内容を見ていただく、そして採択をきめていただくという形にして、これは削りたい、こう考えております。  それから、用紙につきましては、先般委員の先生の方から、これは共同購入にしたらいいのではないかというお話がございましたが、私もその方がいいのではないかと考えておる次第であります。ただ、製紙会社にわれわれが一体となって話をします場合に、甲の会社はこういう紙を使う、乙の会社はこういう紙を使うというように、会社によって用紙ばらばらでありますと、なかなか話がまとまりませんので、文部省におきまして、できれば小学校教科書用紙はこの程度までというようなことをきめていただいて、それを共同購入するということについて用紙を安くしたいと思っております。  それから、補給利子という問題がございまして、われわれが特約店に最高五銭の日歩を払っているが、これは特約店の方が非常にもうけているように一般に印象づけられておりますが、実際は、特約店もそれほど金がありませんから、収次店から借りておる、あるいは銀行から借りておるという実情ではないかと思います。どうしてわれわれが補給利子まで出してお金を集めなければいけないのかと申しますと、われわれが直接生産に使います用紙印刷、発送費、そういうようなものの必要経費の約四〇%しか銀行から拝借願えない。しかもこの四〇%のものが一番長くて六カ月であるというような状態でありますために、われわれの方では途中で資金がなかなか続かないというような状態になりますために、特約店の方に非常に無理を願ってこれを金融している。この金利も全体的に見ますと三%を占めているという状態で、ばかになりませんので、直接、生産費の四〇%という線でなしに、何とかもう少し金額を増して貸していただきたい。それから、六カ月でなしに、もう少し長期に貸していただきたい。また、今は普通のベースの金利を払っておりますが、われわれの方でも仕事のやり繰りについては十分自粛いたしますので、できまするならば、金利についても何とかもう少し低利の金利を借りられないか。そういうことによって、こういう負担も軽減していかれるのではないか。こう考えておる次第でございます。
  44. 高木松吉

    高木委員長代理 委員長よりの尋問は一応これで終了いたします。  これより委員諸君の発言を許しますが、これまで通り十五分程度とし、努めて重複を避けてなされるようにお願いいたします。濱野清吾君。
  45. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人に対する委員長質問第五項になっておりますが、二十三年ごろは日教組のうちの教科書研究協議会というものと教科書編集に関して契約をしておったというお答えでございますが、その当時の印税は協議会のどなたにお支払いになりましたか。わかりましたならばお答え願いたいと思います。
  46. 北島織衛

    北島証人 だれに払ったかという御質問でございますが、私はよく存じませんが、おそらく教科書研究協議会の代表者もしくはその代理人に払ったと思っております。それは受け取りもございますので、帰りまして確かめまして、いずれ書類にして提出したいと思っております。
  47. 濱野清吾

    ○濱野委員 日教組内部の協議会ということには間違いございませんか。
  48. 北島織衛

    北島証人 私が聞いておりますのは、日教組の外郭団体であります教科書研究協議会であったと記憶しております。
  49. 濱野清吾

    ○濱野委員 そう記憶しておるのですね。
  50. 北島織衛

    北島証人 はい。
  51. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほどは日教組内にある協議会というお答えのように拝聴しましたが、御訂正ですか。
  52. 北島織衛

    北島証人 先ほど日教組内の教科書研究協議会というような発言をもしいたしておりますれば、私の記憶違い、かつ証言違いでありますので、御訂正を願いたいと思います。
  53. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人会社の幹部は、おおむね北海道出身の、しかも教育者がおおむね担任しておるというようなことですが、この点は間違いございませんか。
  54. 北島織衛

    北島証人 これは書類にして行監の方にも提出してございますが、専務以下十何名かが北海道の師範を出て北海道教育に従事しており、先ほど申しましたように製造を担当しております者は渡辺と申しますが、これは大日本印刷から行っておるわけであります。
  55. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほど証人から、地方版の出版について、文部省の出しております法令集をお読み下さり、さらにまた、証人会社地方版を出すに至る法的根拠という点でまことに有益な御説明を拝聴いたしました。けっこうだと存じます。そこで、私ども証人にお尋ねするのでありますが、一人の会社北海道出身の教育者よりなり、しかもその教育者に先輩、後輩としてつながっておる北海道国語教育連盟とか北海道社会科教育連盟というようなところの人々が編著者になっておる。そういう関係から申しますと、証人会社では、採択について、要するに売り先の各地方の特殊な事情が北海道には生まれているわけでありますが、そういうことを考えますと、証人が第八項でお述べになった函館の湯ノ川温泉等における供応などはしなくてもよろしいと思うのでありますが、こういうことについてのあなたの見解はどういうことになりましょうか。見解を明らかにしてもらいたい。
  56. 北島織衛

    北島証人 私の方の北海道で特に部数が多いというのは、先ほど御証言申し上げましたように、私の方の会社には実地に北海道で教鞭をとりました者が多々おりまして、これは一種の郷土愛もあるのじゃないかと思いますが、自分が教鞭をとりました関係上、北海道児童にできるだけ親しみやすい、理解しやすい教科書を作って出したい、こういうふうに考えて作っておるわけでありますが、販売ルートにつきまして特別の関係はございません。それは、北海道国語教育連盟先生方及び北海道社会科教育連盟先生方は、いずれも先ほど申しましたように学究的な方でございまして、北海道におきましても、他と同じように、市町村教員委員会採択委員を選定される。その採択選定委員の中には、教育連盟の著者となった者は入れないし、またそういう連中は入らない、辞退するという形になっておりますので、採択とは別に関係がない、こう思っております。ただ、北海道のことを考えまして、北海道児童のために適切なる教科書を作っておりますので、その面、それから、何となく、教育出版という会社北海道の人間がやっている会社である、——私は北海道ではございませんが、北海道の人間がやっている教科書会社であるという点で、部数がふえているのではないかと思います。  それから、先ほどの中井君の事件は、私もまことに申しわけない。本人の趣旨は先ほど申したようなわけでございますが、こういう時期に、誤解を招き、まことに申しわけないことだと思っております。本人にも厳重に訓戒いたしまして、会社といたしましても謹慎の意を表する次第であります。
  57. 濱野清吾

    ○濱野委員 採択には関係がないとおっしゃいますけれども編著者北海道で教鞭をとっていらっしゃいます北海道社会科教育連盟であり、そうして国語のごときは北海道国語教育連盟であり、これらはいずれも教職員が多い。しかもこの人たちが編著者なのでありますから、採択は独立しているというようなことは御議論でありまして、実際の事業人としての考え方からすれば、これは最もすぐれた一つの政策でございます。どんな事業人であっても、こういう縁故関係があり、しかも編著者採択面におる現場の教師連中の団体であるということになれば、鬼に金権と申しますけれども、これはそれ以上の強みであると私は常識的に考えておるのでありますが、これでもやはり関係は全然ないとお考えでございましょうか。
  58. 北島織衛

    北島証人 北海道採択をふやすために北海道社会科教育連盟とか北海道国語教育連盟というものと結んだわけではないのでございます。先ほども証言申し上げましたように、北海道国語というものは一冊が十万部当りでございまして、これはベースとしましては最低のベースなのでございます。私の方で最初全国版を出しましたときに、六割の採択があったわけでございます。これをふやしまして一〇〇%に持っていっても最高十万部にすぎないのでございます。しかし、この北海道になぜ私の方の会社北海道版を作ったかと申しますと、前にも申し上げましたように、われわれの会社には北海道出身の実地に教鞭をとって苦しんだ先生方が多く、現に、国定時代におきましても、国定教科書自体ではなかなか教育が徹底しないというので、北海道は特別に北海道副読本というものを作って、児童の勉学の足しにしたということを聞いております通り、われわれの幹部の連中が北海道の先生にお目にかかって、北海道に適した教科書をぜひ作ってくれという要望もございますし、それからまた、教鞭をとった関係上、北海道児童に少しでも勉強をさして勉強のしやすいものを与えたいという熱意の現われではないかと思うのであります。従いまして、こういう教科書が出ましたときに、その結果といたしまして採択がふえるというのは自然の現象ではないか、こう私は考えておる次第でございます。
  59. 濱野清吾

    ○濱野委員 自然現象をただ利用したということ、そういうように承わっておきますが、北海道国語教育連盟の会員は何名でございますか。さらにまた、北海道社会科教育連盟の会員の数がおわかりでありましたならば、お答え願いたいと思います。
  60. 北島織衛

    北島証人 この北海道国語教育連盟社会科教育連盟の会員の数は、会社の者から聞きました通りお伝えいたしますが、人数を聞きましたけれども、連盟でもはっきりしておらないようでございます。ただ、北海道国語教育連盟が出しております機関紙は、道内のおもな学校に全部行っております。それから、年一回教育研究大会を開きますときに約三百名ぐらい集まるということを聞いておりますが、しかし、連盟におきましても、その先生方が全部連盟の方であるかどうかということははっきりしないという御返事でございます。
  61. 濱野清吾

    ○濱野委員 連盟の会員がはっきりしませんと、印税などは一体はっきりしないものに分配が行われることになりますか、大体そういうことに了解してよろしゅうございますか。
  62. 北島織衛

    北島証人 私の方は連盟という団体にまとめて印税を払っているわけで、連盟はこれを個々の先生に分けているのでないようでございます。これは連盟として取っておきまして、先ほど申しましたような編集の材料を集める費用とか、講習会の費用とか、こういう機関紙を出します費用、そういうものに充当しているように私は聞いております。
  63. 濱野清吾

    ○濱野委員 世の中にいたずら者があるか知りませんが、こうした印税は政治資金に使われているというような風評がもっぱらでありますが、証人はそういうことを耳にしたことはございませんか。
  64. 北島織衛

    北島証人 先ほども委員長の御質問にお答えするときに申し上げましたように、私は、この連盟の先生は、ほんとう教育学的に、教育興味をいだいている、教育に熱心な先生が集まっておられまして、むしろ教員組合などというものには縁の薄い、関係がない、純粋な学者のような先生が集まっておられるということを聞いておりますので、そういう心配はないものと信じております。
  65. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほど委員長から証人に、聞かれた以外のことは言わなくてよろしいという御注意があったはずでございますが、しかし、証人人の先ほどの証言をいろいろとこまかく注意して聞いておりますと、聞きもしないのに、また言う必要のないところに、特にこの人々は日教組には関係のない人だ、学究的な人だというお断わりが特にあったのでございますが、これはどうも、私どもとしては、疑っては相済みませんけれども、政治資金に流れているようなうわさをかたがた聞いておりますから、このことを聞いたわけです。  そこで、もう一つお尋ねいたしますが、山口県並びに愛媛、佐賀その他学年協からスタートを切りました今日の特約の会社は、一体何県あなたの方でお取引になっておりますか、もう一度お答え願いたいと思います。
  66. 北島織衛

    北島証人 佐賀、愛媛、福岡、山口、秋田の五県でございます。
  67. 濱野清吾

    ○濱野委員 そこで、証人の見解を一つお尋ねいたしたいと思いますが、私は、先ほども申されました通り、学生協が供給に携わる動機はよくわかりました。しかしまた、学生協からスタートを切った会社が、今日もなお教職員諸君が株主であったり、ことにやめた方々がこれにタッチしていることも、前の人々の証言でよくわかっております。そういうふうに、北海道においては編著者が現役の先生のたくさんのグループであり、一方は採択面に関係しておる五つか六つかの供給所、証人会社だけでもそういうような歴史を持つとするならば、そういう見地から見ての展示会というものが果して現行制度として有効に働いているか、どうか、この点について、証人の立場、会社の立場から、御見解を伺いたいと思います。
  68. 北島織衛

    北島証人 先般申し上げましたように、学生協と私どもが取引するに至りました経緯は、その県下の特約が非常に混乱したとか、あるいは経済的に破産したとか、また教育に非常に不熱心だというような状態におきまして、学年協の方からの、要求がありまして取引した次第でございまして、私の方は採択ということをふやすためにそういうことをしたのではないということを申し上げたいと思っておる次第でございます。現に、学生協と取引いたしました山口県におきましても、福岡県におきましても、学生協と取引したために——取引したためとは申しませんが、取引しても部数が減っているという例もございます。
  69. 濱野清吾

    ○濱野委員 学生協全国連盟というもの、全国的にとにかく結束した団体があって、それらの名においてできるだけこうした本を採択すべしという指示を展示会前に出したという記録が、ある雑誌に出ているのです。こういうことについて聞き込みはございませんですか。
  70. 北島織衛

    北島証人 私は、この委員会でそういうことの御発言がございまして、そのお話を聞きまして知ったような次第でございまして、そういうものがあったということだけは承わっております。
  71. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人会社では音楽教科書を出しておりますか。
  72. 北島織衛

    北島証人 出しております。
  73. 濱野清吾

    ○濱野委員 こういうことがあるようでありますが、お聞き願いたいと思います。昭和二十九年の六月、ちょうど北海道函館の事件のときと同じ時期のようです。「六月上旬、教育出版株式会社編集音楽教科書採択増加の目的をもって山口県学校図書株式会社(元学生協)は、山口市湯田温泉山泉荘において県下小中学校音楽の先生外学生協に関係ある県教委某氏並びに地協委某女を加えて、十日間にわたり、延べ人員三百余名を招待し、芸者数名をあげて宴会を催し、宿泊せしめて歓待の限りを尽している。その時の費用は約六十五万円也の金額を要し、これが資金の支出根源はもとより教育出版株式会社において捻出され、学校図書株式会社に適当な方法によって渡されていることは疑う余地もない。」、こういう書面です。なお、「当時の費用の内金五万六千八百円也は、山泉荘の旅館の再三の督促にもかかわらずいまだもって未決済のまま残されている現状である。当時の係女中はまことに困惑している。この問題の内面に潜在する採択予約の事実については、カーテンに包まれて、一部表面化はしているが、どうもこうしたできごとはまことに困ったことである。」こういう、旅館ですか料亭ですかわからぬが、女中が泣いている写真までつけて、そうしてこの行監に送ってよこしておるのでありますが、こういうことを証人承知しておりますか。
  74. 北島織衛

    北島証人 私はもちろん存じておりません。そして、そういう事実はないものと信じております。私の会社でそういう大きな金額を使ったということも聞いておりませんので、それは何か……。私の会社では絶対そういうことはないものと固く信じておる次第でございます。
  75. 濱野清吾

    ○濱野委員 北海道教育評論社との特殊の契約か、あるいは普通の契約か、この点は、証人はないという証言をしておりますが、全くないのでございますか。
  76. 北島織衛

    北島証人 特殊の契約というお話でございますか。——普通の印税契約は結んでおるようでございますが、特殊の契約を結んでおることは聞いておりません。
  77. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほど、証人は、軽微の事項につきましては北海道評論社に代行させているという証言をしておりますが、これはどういう形式で代行させておくのでございましょうか。これは、商事会社あるいは法人としても、それぞれの関係において一種の契約ではないのであろうかどうか。この点、訂正されるならば御訂正を願いたいと思います。
  78. 北島織衛

    北島証人 前に申し上げましたのは、多分昭和二十六年、七年において、わざわざ行かなくてもよろしい編集の場合に代行してもらったことがある、しかし、その代金は決済が済んでおるということを申し上げたわけでございます。
  79. 濱野清吾

    ○濱野委員 そういう代金のことまでは聞いておりませんが、なるたけ証人は正直なことをおっしゃって下さいませんと、われわれ時間の制限を受けておりますから……。  それから、北海道の料亭のことはよくわかっておって、山口県の料亭のことはわからぬということはないのでありますけれどもほんとうにございませんか。
  80. 北島織衛

    北島証人 先ほど申し上げました通り北海道の件は、私がたまたま会社におりましたときに、調査員の方が見えて、そういうお話があった。最初には、君が行ったんではないかというようなお話もございまして、これは私は知っているわけでございます。山口県の件は、私は全然聞いておりませんし、またそういうことはなかったと私は信じております。
  81. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君に申し上げます。持ち時間が経過いたしましたから、簡略にお願いいたします。
  82. 濱野清吾

    ○濱野委員 社長さんですから、ないとも言えぬし、あるとも言えぬのがほんとうでしょうね。いかがですか。
  83. 北島織衛

    北島証人 私の会社は、そういう、温泉に十日間ですか、そういうようなことをして本の売り込みはやっておりませんので、そういうことはないものと思っております。
  84. 高木松吉

    高木委員長代理 この際お諮りいたします。北島証人より、タバコを吸わしてくれろとの申し出がありましたが、これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 高木松吉

    高木委員長代理 異議がなければ、さよう決定いたしました。  北島証人に申し上げますが、着席の間にタバコを吸って下さい。なお、暑いのですから、上着を脱いで楽にして証言をしていただきます。  山中貞則君。
  86. 山中貞則

    ○山中委員 ただいままでの証言を伺っていたわけでございますが、あなたの会社の特徴といたしまして、当初、すなわち昭和二十二年ごろは、自分の会社の業務方針として、日教組というものに着眼をしておられ、それがある事情によって、後に述べますが、だめになって、結局あなたの会社の重役の大部分の方の出身地たる北海道に重点を指向せられ、その方向において今日非常に特色ある社運の降昌ぶりを示しておられる、私どもはかように受け取ったわけでございますが、そのような形において一、二お伺いをいたしますと、先ほど委員長の質問に対しまして、また、ただいま濱野君からの質問に対しましてお答えのあった点に関連してでございますが、すなわち、当初あなたの会社日教組に対しまして何らか編著その他において便宜を与えてもらうことを考え、もちろん、あなたの会社としては、営業上は日教組というものが現場採択の権利を持っておる教職員の団体であることに留保されて、何らかの直接間接の効果というものを期待されたであろうことは、われわれも知るのにやぶさかではありませんか、その具体的な問題として、次のような事実があったかどうかについて、お答えを願いたいと思います。すなわち、昭和二十二年に検定制度が実施されましたころ、あなたの会社日教組に対しまして、先ほどは講師団ということでいろいろ質問がありましたが、そういうことでなくて、日教組そのものに対しまして何らかの要請をされた、そして、その要請の代償と申しますか、具体的な効果として、あなたの方で五百万円ほど日教組に対して金を出された、こういうことをわれわれは聞いておりますが、そういう事実があったかどうか、お伺いをいたします。
  87. 北島織衛

    北島証人 私の方の会社が創立されましたのが昭和二十三年の五月でございます。従いまして、二十二年にということは、全然ないのでございます。それから、先ほど申し上げましたように、日教組の外郭団体でありますところの教科書編集協議会から、こういう本を出さないかという話がありまして、私の方も編集陣が整っておりませんし、会社創立早々でございますので、それをお引き受けした次第でありまして、何か五百万円というようなお金を出したというようなことは、私は全然聞いておりませんし、そういうことはなかった、こう思っております。
  88. 山中貞則

    ○山中委員 ところが、あなたの方で五百万円提供されたところが、その金について、時のGHQから、好ましい行為でないというような非公式の見解等があったために、あなたの方はその計画を取りやめられた事実がある、しかしながら、計画そのものはやめたけれども、すでに出した五百万円というものは仕方がないのでそのままになっておるが、そのあとの五百万円の経理とか、あるいはその後の五百万円の処分等については、相当まだ問題があとを引いて残っておるようにわれわれは聞いておりますが、そういう事実はございませんか。
  89. 北島織衛

    北島証人 そういう事実は、私は全然聞いておりません。
  90. 山中貞則

    ○山中委員 全然ないとあれば、証人証言を信用申し上げます。  次に、北海道国語教育連盟につきまして、先ほど来、採択面には関係がない、こういうお話であったわけでございますが、私どもがだんだん調べた点によりますと、明らかに採択面の効果が現実に現われる方法がとられているとしか思われないのでございます。その点について、まずお聞きをいたしますが、あなたの会社で、この北海道の第一線の先生方によって結成された北海道国語教育連盟に委嘱をされまして編著されました北海道版ともいうべき、いわゆるローカル教科書が販売されました。売り上げ実績に応じて印税を払っておられることは先ほどちょっとおっしゃったようでありますが、その印税の算定方式の契約等について、あなたの方と北海道国語教育連盟との間にかわされた文書がございますが、これによりますと、大体概算で二十九年には九十三万円、三十年には百二万円というような金が印税として国語教育連盟に出ておるようであります。先ほどのあなたの証言と金額が少し違うようでありますが、そういうことについて、あなたは、次の年の教科書編集するための研究費に充てた、こういうことを言っておられます。あなたの方としては、その払われた印税の使用の内容についてお詳しいようでありますが、果してほんとうに研究費に使われたものであるか、あるいはまた、北海道国語教育連盟に名前を並べておられますところの先生方個々について渡ったものであるかどうか、その点をいま一度明確に御証言を願いたいと思います。
  91. 北島織衛

    北島証人 北海道国語教育連盟に渡りました印税の金額につきましては、会社の者に命じまして書かして参りました。その数字が先ほど申し上げた数字でございます。従って、その数字は正確なものと私は思っております。この渡しました印税が個々の先生に渡っているかどうかということは、私は、会社の者から聞きましたところでは、この印税は個々の先生に分配してなくて、先ほど申し上げたような趣旨に使われているということを聞いている次第でございます。
  92. 山中貞則

    ○山中委員 ところが、北海道国語教育連盟は、そういう国語研究の団体ではありましょうが、実際にそこで研究費としてあなたの先ほどおっしゃったような受け取り方をして日常その金を使って研究するような団体ではないと私は思っております。しかし、一方には国語新聞等を出しておりますから、これの経費に若干は充てているかもしれませんが、大体において、あなたの会社編集その他をいたすときにこれらの人々が仕事をするだけであって、日常はそういう研究費に使うだけの団体ではないように私は見ておりますが、ほんとうに研究費に使われたならば、どういうふうな使い方か、研究費としてあなたが指摘されるような使い方になっているかを御説明願いたいと思います。
  93. 北島織衛

    北島証人 私も、会社の者から聞きましたところによりまして、そう詳細に知っているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、機関紙も出しているようでございます。それから、年に一回の大会もやっておりますし、随時研究会とか講習会とかいうものをやっているように承わっております。
  94. 山中貞則

    ○山中委員 その先生方があなたの会社学校の本を書いたために印税が入った。それによって、あるいはそういう新聞、出版等に回すこともありましょう。しかしながら、新聞と申しましても、ここにありますが、タブロイドよりまだ小さいやつです。そういうものに充てるのは、研究費ではなくて経常費ですね。そうすると、研究会その他については、別にあなたの会社とは書いてありませんが、大体研究会等を開くときには、この国語教育連盟の了解ないし共催であれば補助すると書いてあります。これは、私はあなたの会社が補助をされるのではないかと思います。何となれば、後ほど示しますけれども、それらの研究会あるいは教科書採択についてのいろいろな評論等が掲げてあるのを見れば、明らかにこの九十数社あるという出版会社の中で、あなたの会社だけの名前が随所に出てきている。従って、そういう研究会等の場合には、あなたの会社はまたあなたの会社としてお出しになる金額ではないかと思いますが、そういうことはありませんか。
  95. 北島織衛

    北島証人 今の御質問は講習会に対してうちから金を出しているかという意味でございますか。——そういう意味ですと、私の方でお願いをいたしましてやる場合があるかと思いますが、そういうときには、連れて行った講師の先生の実費を出しておりますが、しかし、北海道国語教育連盟というものは、この国語教育連盟といたしまして活動し、研究をし講習会をしているわけで、そういう場合にはうちの会社は補助としていないものと考えております。
  96. 山中貞則

    ○山中委員 ここには、会の各地の国語研究会の中で本連盟と共催あるいは連盟後援で行うものについては、委員を通じて申し込んだものに限り、会の性質によって二千円ないし三千円の補助をすることになっている、だから申し込めということになっております。そういう補助については、あなたの会社に直接関与しない、こういうことでありますか。
  97. 北島織衛

    北島証人 私は、その契約書は見ておりませんので、よく存じませんけれども、契約書通りである、こう考えております。
  98. 山中貞則

    ○山中委員 先を急ぎますが、先ほど、あなたは、採択関係ない、こうおっしゃった。ところが、これは国語教育連盟が出しております「北海道国語教育」というパンフレット、まあ小新聞でしょう。これにいろいろと、先生方にお配りして読んでいただくことが書いてございます。それによりますと、これだけのものを通じた中に、いわゆる国語と申しましてもたくさんの出版会社が出しておるわけですけれども、ほかの出版会社のことは全然触れてないのですが、あなたの出版会社のことだけは随所に触れてあります。たとえば、「最初編集は出版元の教育出版編集部の要望で、全国版中から、各巻四分の一程度を本道版として提供していただくことになったもので」とか、あるいは、自分たちのこの編集について教育出版が協力をいかにしておるかというようなこと。従って、あとの方には弁解のように書いてあります。「私どもは少しほめすぎたかもしれない。しかし全面的に私どもの要望が取り入れられ、私どもが主人公となってこの教科書を今後も改訂しつづけて行ける希望をますます深くしたことに対する喜びは忘れ去ることができない。」、こういうふうに書いて、これはく全部が全部と言っていいほど、あなたの教科書会社が出しておる北海道ローカル版というものを口をきわめて推奨してあります。従って、編集者その者も、少しほめ過ぎたかもしれないと弁解しておるわけです。そうすると、あなたは、先ほど、採択には直接にも間接にも関係ない、むしろ自分の知っておる実態は、教職員組合にも関係がなければ、編著に関係があった人は採択面にも関係ないことにしてあるし、関係を持とうとする場合には辞退をすることにしている、こういうふうに非常に理想的なことを言われておりました。かりにそれを信用いたしましても、それぞれの人々が、自分たちがこうやって教育出版会社と提携して作り上げたこの教科書がこのようにりっぱなものであるということを北海道の先生に言ってこれを届けるとすれば、これは明らかに採択面における、いわゆる先生方だけで構成された国語教育連盟というもののみが持ち得る採択の権利をバックにしたところのあなた方との間の特別の契約としか見られない。こういう推奨を受ければ、たくさんの教科書の種類あるいは会社等があって、ただでさえ、十日の展示会で選択に困難を覚えて、献本等によって便宜的に選ばなければならないというあの安易な選び方をするのに、こういう形において先生方で構成しておる国語教育連盟からかような推薦を受けるならば、あなたの会社教科書の実績において示す通り北海道において飛躍的増加をする原因は確かにここにあると私は見るわけです。あなたが単に北海道のローカル色を盛り込んだ教科書に努力されただけではなく、いわゆるローカル色を盛ったものを編著した人々、しかも現地の先生方による北海道国語教育連盟というものによってあなたの会社が全面的に推奨を受けるとするならば、これは明らかにあなたの会社にとっては非常に重要な問題であり、社運の隆盛をここにしぼってもいいくらいの重要な問題だと思いますが、それでもなおかつ、あえてあなたとしては採択には直接間接関係はないと御証言できますか。
  99. 北島織衛

    北島証人 北海道国語教育連盟先生方は、われわれの社と協力いたしまして、北海道児童に最も適当した教科書を作りたいと考え、また作っておるわけでございますから、国語教育連盟といたしましては、私の社で出しました国語の本が北海道児童には一番いい教科書であるということを信じておると思います。従って、その機関紙にそういうことを書くことはあり得ること思います。それから、私は、採択委員にはそういう国語教育連盟先生方はなっていないということを申し上げました。つまり、採択に直接タッチしておらないということを申し上げたわけでございます。
  100. 山中貞則

    ○山中委員 あなたは採択というものの実態を御承知だと思う。教育委員会法採択教育委員会がやることと書いてあるだけではなくて、具体的には個々の先生が力を持っておることもあり、あるいは学校単位において個々の先生及び校長が代表して力となることもあれば、あるいは校長が力となって教育委員と相談の上できめるなど、ばらばらなんです。要は、実際にその教科書を使う先生方が主軸になっておることが、採択問題は非常にあやふやでありますけれども、その反面において確固たるものを持っておるゆえんです。従って、あなたは採択委員と申しましたが、果して採択委員というものが北海道だけに特殊なものがあるかどうか、私そこまでは知りません。しかし、採択委員になっていないから採択について全然関係がないというお話です。私としては、あなたの会社の行き力が悪いとは言いません。ある地方においては、今おっしゃったように、北海道等では特殊のいわゆる地形風土等においてそれは必要なこともありましょう、しかし、完全に公平でそして不正があってはならない教科書の販売について、あなたの会社だけが多くの特典と、しかも特殊の利益を受けておるということであれば、これはやはり問題だと私は思う。私の他指摘をいたしましたのは、単に国語教育そのものだけじゃなくて、たとえば、このパンフレットの中には、ワーク・ブック、テスト・ブック等についても、あなたの会社のものだけが推薦されております。たとえば、ここに、小学国語のテスト・ブックと書いて、「別冊学習の手びき付、各地の教壇実践家の要望により最も精選された標準のテスト・ブックです。教出版の小学国語に準拠、読む書く作る聞くの各分野に分かれてテストできるようになっている新企画のテスト・ブックの決定版」、こういうふうに書いてあります。あるいはまた、北海道ローマ字ワーク・ブックと書いて、「日本ローマ字学会編、教出版ローマ字国語に準拠したワーク・ブックの決定版」、まことにありがたいことじゃありませんか。国語教育連盟が出しておりますいわゆる機関紙において、たくさんある出版社の中であなたの会社だけが、テスト・ブックにしてもワーク・ブックにしても、これが決定版であるというように各先生方に言われるとすれば——もちろんあなたはその各先生方採択に関与しないとおっしゃったが、しかし、採択に関与する先生方に直接こうして働きかけがなされておるとすると、あなたの会社は非常にありがたいことに、単に教科書のみならず、ワーク・ブック、テスト・ブックに至るまで、北海道のローカル教科書というものを現地の先生方に頼んだという表面の理由ばかりによって、こんな多くの恩恵を受けておるわけです。そうすると、あなたとしては、全く教科書編集上の良心においてそういうものを委嘱されたが、商売人としてはこれが販売の上に全然有利になるということが考えられる。しかし、事実そうではないという御証言をされておるが、ほんとうに、こういう事実を知られても、もちろんあなたは御承知になっていると思うが、こういう事実を指摘されても、あなたはなおかつこのローカル版というものはあなたの会社の売り込みに有利な態勢を作るものであるということを考えられませんか。
  101. 北島織衛

    北島証人 採択委員というものは、私は、展示会が始まる前に北海道だけでなく各所にできるものと承知しているわけでございます。  それから、るる申し上げましたように、私どもの方が北海道に適した教科書を作るその根本趣旨は、北海道出身の教育者が多いので、実際に経験を経ました者が、こういう教科書でなければ北海道児童に向かない、北海道児童にはこれが最も親しみやすくかつ勉学しやすいのだという趣旨で作ってありますわけで、もちろん、われわれとしましては、そういうものを作りました以上は、北海道の全学校採用していただくことを希望しております。しかし、そうも行っておらないようでございますが、われわれの希望としてはそういうことを希望して発行しておる次第でございます。
  102. 山中貞則

    ○山中委員 あなたは採択の実態というものをお知りにならないようなお話ですが、しかし、今日、教科書関係の出版社が、採択は現実にどういう形で行われておるかということを知らないで会社が経営できるはずはないのです。あなたがそういうことをおっしゃるのは、私はおかしいと思うのですが、それも一応信用しましょう。しかしながら、あなたがおっしゃったように、北海道全部の生徒たちに採用してほしい、それはあなた方の願望であり、あるいはまた会社を経営する人の当然の望みでしょう。しかし、それが公正にやられておるかどうかということを私どもは問題にしておるわけなのです。教科書というものは生徒に完全供給をしなければならぬものであり、従って、供給、採択という面は、教科書編集、発行という面と直接にも間接にも関係があってはならないものだということがわれわれの厳とした考え方の基本である。従ってまた、教育関係の出版社はそうなければならぬとわれわれは考えるわけです。しかし、あなたの今までの御証言によると、その点が非常にあいまいです。従って、われわれがこれを推測して言うならば、あなたは、ローカル版というものを、北海道の現地の第一線の先生方に携わって編集をしていただいて、それを発行することによって、北海道においては自分たちの社運をかけてもいいだけの圧倒的の販路の拡張ができるという前提に立っておやりになったのだと私は思いますが、そうではございませんか。
  103. 北島織衛

    北島証人 北海道の教員出身者の多いわが社におきまして、北海道児童にいい教科書を与えたいというのは、これは、出版社としましても、前に教育上者であったという経歴から見ても、当然ではないかと私は考えておる次第でございます。
  104. 高木松吉

    高木委員長代理 山中君に申し上げますが、持ち時間が経過いたしましたから、簡略に願います。
  105. 山中貞則

    ○山中委員 そのことが教育上結果的にいい悪いは別な角度において論議しましょう。あなたの社がそれを意図されたことについて、別段私は何も言ってない。しかしながら、ただ、それを意図されたことが、少くとも北海道に関する限りは、あなたの社のみの持ち得る圧倒的な利益と権利というものをあなた方が意識に持って行われたことは私は間違いないと思います。あなたは、表面は今おっしゃったようなことを言われるでしょうが、現実において、あなた方がその国語教育連盟とか先生方の集団と組まれたことによって、テスト・ブック、ワーク・ブックまで、あなたが先ほど述べられたパーセンテージでわかるように、あなたの社をささえておるものは明らかに北海道関係の需要者、北海道児童ではありませんか。私は、そのことがいい悪いは別のものとして、それが公正に行われているならけっこうだと申し上げる。しかし、私の見たところ、前提として、根本条件としてはあくまでも避けなければならない採択、供給という面に携わる人々にあなたの方の編集、著作、発行という部面が入りまじっておる、この点で非常に疑問が起っておる。従って、そういう傾向については、少くともあなた方の社として、私どもがこういう批判をしないで済む範囲の良心というか反省がなければなりません。しかし、あなたの今の証言を聞くと、どうも、そういうことは自分としては全然考えておらない、こういうことでありますので、私としてはこれ以上申し上げることはございませんが、もう一ぺん、今の私の話に対して感想を承わりたいと思います。
  106. 北島織衛

    北島証人 私の方は、再三申し上げましたように、全国の教科書に対してもそうでございましたように、先般申し上げましたように、北海道出身者が多いのでございます。そして、いずれも十年なり二十年なり三十年なり教鞭をとって、北海道児童教育について苦労をしてきた者でございます。これらの者が、自分の経験を通じまして、自分の出身地であります北海道児童にいい教科書を出したいという希望は、私は当然のことではないかと考えておる次第でございます。
  107. 山中貞則

    ○山中委員 では、最後にもう一度お尋ねいたしますが、しからば、あなたの会社では、テスト・ブック、ワーク・ブック等を販売いたさんとするときに、北海道の場合には北海道国語教育連盟すなわらあなたの会社北海道ローカル版を編著した人々の団体を通じてお願いをしたといということはございませんか。
  108. 北島織衛

    北島証人 私は聞いておりません。
  109. 山中貞則

    ○山中委員 そうすると、これに書いてありますあなたの会社のみに限ってのワーク・ブック、テスト・ブック等の宣伝、それから先生方に対する勧誘は、ただ北海道国語教育連盟関係者先生方があなたの会社を勝手に推薦をし、勝手に勧誘をしておるということに証人は認められますか。そういうことなんですか。私としては、そんなばかなことはあり得ないと思う。
  110. 北島織衛

    北島証人 国語教科書におきましていろいろ関連がございますので、北海道国語教育連盟の先生が、私はそれは読んでおりませんけれども、そのワーク・ブックその他についてわが社のものを推薦されたのだ、こう考えております。
  111. 山中貞則

    ○山中委員 時間がありませんから、もうこれ以上申しませんが、この出版社はまことに貴族的で、貴族的という言葉が悪ければ、いわゆる商業競争をする会社にしてはあまりにも上品な会社だと私は考えます。今の証人証言を正しいとするならば、証人としては、証人会社は何ら関知するところではないが、ただローカル版の編著をお願いした先生方が愛情を感じてくれて、自分たちの会社のテスト・ブック、ワーク・ブックに至るまで、独自の立場において自分の会社を推薦してくれているものと思う、こういうことでございます。私は、このせちがらい世の中に、そのような上品な、しかも全然みずから働きかけることをせずして、自分の社だけが先生方から推薦を受けておることについて何ら疑義を感じないような会社を発見したことに、私は驚きの目をみはるばかりでございます。あなたの証言が正しくなかったらば偽証罪ということになりますし、正しかったらば私としては驚くばかりでございます。  私の質疑はこれで終ります。
  112. 高木松吉

    高木委員長代理 高津正道君。
  113. 高津正道

    ○高津委員 北島証人は、現行の民間検定と、いわゆる国定と、いずれがいいとお考えでしょうか。
  114. 北島織衛

    北島証人 私は検定の方がいいと考えております。
  115. 高津正道

    ○高津委員 現在の民間検定でも、文部官僚が相当検定を左右し得るような事情になっておるので、これでさえ問題がある、私はかように考えておりますが、北島証人はその点にお気がついておられますかどうか。
  116. 北島織衛

    北島証人 私は編集の実務を存じてませんが、われわれといたしましては、たとえば、特に編さんの内容——この間ほかの証人の方で、百姓一揆というような言葉は使わせないというような御証言があったように聞いておりますが、そういう事実は、私は実務から離れているせいもございますが、聞いてはおりません。
  117. 高津正道

    ○高津委員 教科書の出版における印刷の占める割合というものは非常に大きなものだと思います。しかし、印刷業か出版業かといえば、これはやはり出版業だろうと思う。あなたは印刷と出版とどっちが重要性があるとお考えでしょうか。
  118. 北島織衛

    北島証人 私は別に自分がやっております印刷業を軽く見ているわけではございませんけれども印刷業と出版業、教科書出版を比べますと、これは教科書出版の方が持っている意味が大きい、こう思っております。
  119. 高津正道

    ○高津委員 あなたは大日本印刷社長もやっておられるのですが、大日本印刷では、大日本図書の教科書と、教育出版教科書と、それから他の教科書会社教科書と、それから一般印刷と、こういうふうに仕事をなさっておられるはずであるが、そのパーセンテージを聞かしてもらいたいと思います。
  120. 北島織衛

    北島証人 正確な数字でございませんけれども、私の方の社では、教科書印刷は一年を通じまして全体の売り上げの一割をやっております。私の方は大体半期十九億か十八億やっておりますから、一年を通じまして二十七、八億になるわけでございますが、その一割ですから、三億七千万円くらいの教科書印刷をやっていると思います。それで、大日本図書と教育出版とからもらっておりますものは、これも正確な数字でございませんけれども教育出版からはその印刷料の約三分の一が大日本印刷に来ている。大日本図書からは、年によって違いますけれども、三割から五割。この間半期だけの集計を見ましたら、大日本図書が五千万、それから教育出版が三千万、こうなっておりますから、この数字を倍にいたしますと一億六千万ということになるわけです。従って、一般の教科書の仕事の約半分もしくは半分少し下が大日本図書と教育出版から注文が来ている仕事でございます。
  121. 高津正道

    ○高津委員 大日本印刷の配当は何割であるか、それから教育出版の配当は何割何分であるか、それを承わりたい。
  122. 北島織衛

    北島証人 大日本印刷の配当は年二割でございます。教育出版の配当は、去年は一割二分であり、まして、本年は一割五分であります。
  123. 高津正道

    ○高津委員 現在の教科書問題は、大きな印刷会社、言いかえれば印刷の大資本の角逐戦である、こういうように言われておるのでありますが、あなたはそれに対してはどういう御感想でしょうか。
  124. 北島織衛

    北島証人 印刷会社同士は競争しております。また、教科書会社同士は競争しております。それから、みんな印刷会社は若干教科書会社関係しております。しかし、大日本印刷教育出版もしくは大日本図書のことを申しますと、私の方は大日本図書の株をたしか六万株くらい持っております。これは六千万円の資本金でありまして、百二十万株のうちの六万株を持っているにすぎません。それから、教育出版の株は大日本印刷としては一株も持っていないわけでありますから、若干の精神的なつながりがございますが、しかし、印刷会社の競争自体が直ちに教科書会社自体の競争であるというような現象ではないというように思っております。
  125. 高津正道

    ○高津委員 あなたは大日本印刷社長で、その会社は二割も配当しておられるというのでありますが、教育出版教科書も請け合い、大日本図書のも請け合い、他の教科書会社教科書も請け合うということになれば、よその分が冷遇されるような結果になると私は思いますが、そういうことは全然ないですか。
  126. 北島織衛

    北島証人 私は、印刷業というものは無色でなければならぬと考えているわけです。戦後いろいろ、これは反民主的な出版物であるから出版してはいかぬ、刷っては困るというようなことを労働組合から言ってきた場合にも、われわれは無色である、あなた方の言う反民主的のものであっても、その人たちにも発言の機会を与えるべきではないか、こう申しまして、われわれはそういうふうに印刷会社を経営していくべきではないかというふうに思っておりますので、各教科書会社に対しましては、現実の問題としては、特にどこを便宜をはかる、ここを便宜をはかるとかいうようなことはやらせないようにいたしているわけでございます。
  127. 高津正道

    ○高津委員 証人の御出席を本委員会に求めた場合に、最初委員長の発言として、あなたに対すると同じようにどの証人にも言われる言葉は、こういう一文句なんです。今お聞きになった通りに、「この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いておる向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて有意義なことと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。」、この言葉を聞くと、教科書の種類が多いということ、出版社が乱立しているということが悪い、乱立した結果である、こう二つにしぼって、そこからもろもろの犯罪が出てくる。こういうようにきめてかかっているのでありますが、本員は、独占的大会社がいろいろ駐在員を置いたり嘱託を置いたり、前の濱野委員やまた山中委員の御指摘のように、独占的なことが地域的にあるいは全国的に行われるので、大会社がいろいろな弊害を起すのだ、小さい専門的な教科書会社は、資本の面からしても、むろん駐在員も置いておらぬし、あまり問題を起していないが、大会社が起しているのだ、委員長発言は、会社が多く、出版会社の乱立の結果である、こういうように言われるのだが、私は、乱立じゃなくて、大資本の大会社が決死的な死闘を繰り返すところに大きな弊害が止まれるのだ、このように思うのでありますが、あなたはどういうようにお考えでありますか。あたかも、教科書会社をしぼればいい、あるいは出版社が乱立しているから、その数が減れば問題は解決するのだ、このような委員長最初の発言でありますが、あなたは、委員長発言と私の今までの見解とをお聞きになって、どのようだ御意見をお持ちになりますか。これを聞いておくと、教科書問題の審議に非常に参考になると考えるのであります。御意見を遠慮なくおっしゃっていただきたい。
  128. 北島織衛

    北島証人 教科書の問題につきましていろいろの問題が起きまして、委員会をおわずらわせしていることは、教科書業者の一人として、まことに申しわけないと私は衷心より思っております。ただいま高津先生のおっしゃられました、大きいところの競争のためにこういう問題が起きるのか、あるいは数が多いからこういう問題が起きるのかということは、一がいに断定できない、私は、両方の分子があるのではないか、こう考えている次第でございます。
  129. 高津正道

    ○高津委員 答えは半分しか出ていませんが、教科書数が多いから、それを県単位にしぼるとか、数種類にしぼるとかいうようにすることを暗示するかのような委員長発言であると思うのであります。私は、そのようにすれば、県にまとめたものを大きなものがとってしまう、小さいものにはとれないから、県単位になれば大きいところが得をする、いよいよ独占者の弊害が多くなる、こう考えるのであります。また、その県の分とすれば、一つでありますから、そのまとまった分を二、三社の大所がそれこそ血みどろのあらゆる手段方法を講じてやる、そこに弊害が生まれると、反対に考えておるのでありますが、それに対するところの御見解はどうでしょうか。
  130. 北島織衛

    北島証人 私も県単位の採択ということは賛成いたしておりません。現在の採択方法もいろいろ欠点があります。また、こういう行監をわずらわせるようなことをして申しわけないと思いますが、私といたしましては、文部省におきまして、何とか、今までの臨時措置法というようなものでなしに、一本の法律を作って教科書行政を明確にしていただく、——その中には、こういう違反を犯したものは発行停止にするということがあってけっこうだと思います。それから、なお、常設展示会というようなものを設置されまして、われわれの方の会社においては駐在員その他を全廃する、献本も全廃する、こういう形をもちましてやっていただきたいということを考えておる次第でございます。
  131. 高津正道

    ○高津委員 前回の本委員会における証人は、八億円の売上げがあって、そして四千五百万円の資本に対するわずかに六分の配当をしておるんだ、こう言われたのでありますが、民間の一般の出版物についていえば、ベスト・セラーが一つよく売れたといっても、三十万売れたか、五十万売れたか、それでも莫大な利益があるのであります。むろん新聞でそれこそ大きな広告費を使うのでありますから、あまりもうけはあるまいと思うのに、もうけるのであります。教科書出版は、同じものを十万以上あるいは五十万、中にはまた同じものを百万部も刷る。組み賃もただになるし、装丁もただになるという工合で、非常にもうけが大きいものだ思うのでありますが、これに対して証人はどういうふうにお考えでしょうか。
  132. 北島織衛

    北島証人 教科書は、採択というのですか、需要というものが総数がきまっておりますので、採択にさえなれば確実な事業である、こう考えておりますが、しかし、利益の面から申しますと、先ほど私が申し上げましたように、私の会社では総売上げに対しまして二・五%というようなことで、それほどもうかるというような仕事ではない、非常にもうかるというような仕事ではない、こう考えております。
  133. 高木松吉

    高木委員長代理 高津君に申し上げますが、持ち時間が経過いたしておりますから、簡略にお願いします。
  134. 高津正道

    ○高津委員 証人は、中学、高等学校、大学と進んで、今は教科書出版会社とまた日本有数の印刷会社社長とまでなっておられるので、まことに立志伝中の一人であると思うのでありますが、そのあなたの旧友の中で、政界で一番えらくなっておる著名な人はだれですか。
  135. 北島織衛

    北島証人 友人にはおりません。後輩及び先輩にはおります。友人とは同級という意味でしょうか。
  136. 高津正道

    ○高津委員 同級、同窓です。
  137. 北島織衛

    北島証人 同窓にはたくさんおられると思います。
  138. 高津正道

    ○高津委員 現役の政界人はだれですか。
  139. 北島織衛

    北島証人 同窓では、相川勝六さん、それから唐澤俊樹さん。
  140. 高津正道

    ○高津委員 ほぼ同じ年令では。
  141. 北島織衛

    北島証人 ほぼ同じ年令では愛知揆一君です。
  142. 高津正道

    ○高津委員 それから。
  143. 北島織衛

    北島証人 それからおりません。
  144. 高津正道

    ○高津委員 篠田弘作君は。どうですか。
  145. 北島織衛

    北島証人 篠田先生は、御存じだと思いますけれども早稲田大学の出身であります。私は東京帝国大学の出身でありまして、同窓同郷ではありません。
  146. 高津正道

    ○高津委員 中学は、どうです。
  147. 北島織衛

    北島証人 中学は、私は府立第四中学校を出ました。私の同級生にも同窓にもおりませんので、条田先生は中学も違うと考えております。
  148. 高津正道

    ○高津委員 行監にはいろいろな情報が入ってきますので、その点わかりました。
  149. 高木松吉

    高木委員長代理 松岡松平君。
  150. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 証人にお尋ねしますが、教育出版株式会社大日本印刷株式会社との関係ですね。具体的に言って、教育出版というのは、事業内容はどういうふうに、つまり印刷までやるのか、あるいは大日本印刷教育出版の計画した印刷を行うのか、さらに、資本的の提携はどうなっておるのか、それから株主の分布は一体北海道での関係はどうなっておるか、これを一つお答え願いたい。
  151. 北島織衛

    北島証人 教育出版大日本印刷との関係は、印刷物を頼んでいる頼まれているという関係はございますけれども、資本的の関係はございません。これは、委員長に御返事いたしましたように、私が友人でありますところの小坂佐久馬君のために作った会社でございます。大日本印刷とは資本的にも関係がございません。それから、株主も、北海道の方は一株も持っていない、こう考えております。最初の資本を、私が友人の間をかけ回りまして、私の友達の方から出資してもらいましたので、そういう関係はございません。
  152. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 教育出版社の現在の専務小坂という人ですか。今読み上げますから、間違っていればおっしゃって下さい。常務取締役は宍戸、取締役営業部長に三浦、編集部長は中井、取締役樽井、それから算数主任に熊谷信敬、社会科の主任に塩野谷敏夫、同副主任に新谷政一、営業次長に加藤末吉、全部旭川師範で、新谷政一だけが樺太師範ですね。この点の事実に相違があるかどうか。
  153. 北島織衛

    北島証人 今お話のありましたのは、ここに控えがございますので、大体その通りだと思います。熊谷が札幌師範の出身、それから新谷君が樺太師範出身、それから伊藤君が、函館師範出身、こうなっておりますが、大体間違いないと思います。
  154. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、教育出版というのは、あなたの友人である小坂君を助ける意味で作られて、あなたが社長になった。しかし、事業界というのは、言うまでもなく、一介の人がいきなり出て会社を作るなどということは容易にできるものではない。あなたの大日本印刷社長としての資本のバックをもとにこれはできたものではないのですか。先ほどから私がお伺いしているのは、その点をお聞きしたくて聞いているのです。
  155. 北島織衛

    北島証人 これは、大日本印刷自体がしたわけではございません。私は当時専務でございましたが、友人の間をかけめぐりまして、もちろん専務として知り合った友人も多々ございますが、友人の間をかけめぐって資本金を集めまして作った会社でございます。
  156. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 ですから、そこを伺っているんです。大日本印刷専務ともあろう者は、友人の間をかけめぐっただけでバックというものができるのじゃないんですか。私は事業的にはしろうとじゃないんですから、子供だましみたいなことを言わないで、ざっくばらんに言っていただきたい。ことに、取締役を見ても専務を見ても、北海道出身者です。教科書出版というのは全国を相手にして仕事をするのだから、少くとも日本的な基礎のある背景を受けなければ、これだけの仕事はできないというのがわれわれの常識なんです。それで、あなたが社長になられたという関係を見れば、大日本印刷というものが教育出版の資本的なバックをなしていることは明瞭じゃないですか。株を持たなくても、たとい金を貸さなくても、これは事業界において大日本印刷が後におるということだけで、これだけの会社が動いていくということになると思うのです。  さらに、具体的にお伺いするが、教育出版社の資本金は何ほどでありますか。その資本構成は、株式は一体どことどこに分布されておるのですか。
  157. 北島織衛

    北島証人 資本金の概況は、資料を持って参りませんでしたので、私が記憶しておる範囲で申し上げます。私と小坂君その他重役が若干持っております。それから、外部としましては、監査役に二人ともなっておられますが、岡本洋紙店、東邦紙業、重役にはなっておりませんが服部洋紙店、市瀬洋紙店、それから若干の印刷業者、私以外に頼んでいる印刷業者の方に株券を持ってもらっておるようでございます。
  158. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 大体わかりました。  そこで、北海道国語教育連盟教育出版との間に著作者契約というものが具体的にありましょうか。私、山中委員からいただいた資料を持っているんです。
  159. 北島織衛

    北島証人 あります。
  160. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 この資料に基くと、小学国語第一学年より第六学年の十三冊に関係する契約、もう一つは、検定小学校社会科教科書、標準小学社会二年、三年上下、四年上下、五年上下、六年上下、この二つに関する契約書がここにあります。  これを委員長に提出いたしますから、証人にお示しを願います。
  161. 高木松吉

    高木委員長代理 証人に申し上げますが、これは写しですから、写しに基いて証言なさって下さい。   〔証人に資料を示す〕
  162. 北島織衛

    北島証人 私は契約書のあることは知っておりますが、契約書の内容はよく存じません。これはおそらく私の方から行監に差し出しましたものの写しではないかと思いますので、この通りであると思います。
  163. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 この契約を見ますと、著作者というのは単なる個人でなくて、北海道国語教育連盟、代表者斎藤七郎治ということになっておりますが、おそらくたくさん連盟の人たちがおるのであって、連盟と会社との契約というのはなかなか例のないことじゃなかろうかと思うのですが、こういう例がたくさんあるのか、これだけですか。
  164. 北島織衛

    北島証人 私の方のへ会社では北海道国語教育連盟北海道社会科教育連盟と契約しているんじゃないかと思います。よその会社にも、私は詳しいことは存じませんけれども、そういう契約があるんじゃないか、こう考えております。
  165. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、その約束された発行の教科書に関する編集の方針というものは、この連盟からずっと出てきて、それをやるんですか。それを聞きたい。
  166. 北島織衛

    北島証人 国語の場合でございますか。
  167. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 国語の場合も、社会科の場合も、両方です。
  168. 北島織衛

    北島証人 最初に私の方は国語全国版で出したわけでございます。従って、その場合には会社におきまして編集方針を立てる。よその教科書を見まして、まあできればよその教科書よりも一歩でも少しでもいいものを作りたいというわけで、大体よそのものを参考にし、われわれの方としまして企画を立てまして、それによって著者の先生にお願いしまして、著者の先生の御意見を承わりながら、またわが社の編集部の者も加わって作るわけでございます。それから、その後、次の年に北海道国語科教育連盟が、北海道児童に適したいわゆる北海道版というものを作ってくれという要求がありまして、この分につきましては、もちろん、北海道の方とうちの編集部と、今まで出しておりました教科書のどの部分を変更するかというようなことを相談しながら作ったものと考えております。
  169. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、国語の場合に、少しおかしいんですが、金の支払いが少し多過ぎないですか。印税額の二五%に該当する金額を支払われるのですが、これは、表面上は著者の契約で、北海道国語教育連盟にこういうような名目で銭を払うという何らかの意図で作られた契約じゃないですか。実際は、国語については、北海道の特殊事情の一部分についてもちろん意見も出ましょうが、全体的に言えば、一般的なものなんですから、特に北海道関係著者をたくさん頼まぬでもいいはずです。特にこの契約をつけて金を払う形式をとる、これは経済界に往々ある現象なんです。もっと具体的に言えば、本の売れ行きを普及徹底し、採択を容易ならしめる一つの意図のもとにやられたものじゃないですか。
  170. 北島織衛

    北島証人 私は、その契約書自体も、先ほどお話ししました小坂佐久馬のしたことで、実務は全部専務がしておりますので、実はその内容も見ておりません。しかし、私が会社から聞きましたところでは、そういう意味でありませんで、純印税という意味でそれをやってるわけでございます。北海道版につきましては、非常に全国版内容が違う。これで三訂になりますが、年々これを変えているわけでございます。
  171. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、北海道版全国版と、本のぺージ数から言って、どのくらいパーセンテージが違うんですか。一ページから終りまで北海道版というものはまるで違うんですか。
  172. 北島織衛

    北島証人 資料を持ってきたのですが、今ちょっと探し当らないのですけれども、ページとかいうものは、これは検定のものは大体ページが同じなのでございます。ただ、中に入りますさし絵とか文章とかいうものは非常に違ったものをやっておるという意味でございます。
  173. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、北海道の特殊事情だけの部分が違うのにこれだけの印税を払うというは、われわれの常識ではちょっと理解できないのです。あなたは、先ほど、自分はよくわからないとおっしゃったが、これは重要な金銭の支払いに関するものでありますので、社長が御存じないというのはちょっと了解できかねるのです。もっとも、契約は小坂佐久馬君がやっておるのでしょうが。  さらに進んでお伺いするが、小学校国語の分はこれでよいとして、一体社会科についてはどう違うのでしょうか。これもおかしい。了解しがたい。社会科教科書北海道だけ変えなければならないというような部分があるのでしょうか。
  174. 北島織衛

    北島証人 これは、最初に申し上げました通り、新しい教育児童生活に即したところから入らなければならぬ、児童というものは経験が乏しいから、そこから入っていかなければならぬ、こういうことで、社会科教育連盟の方からの申し出もありましたので、最初は北方版。雪国の版と、南の版と二つ出したわけでございます。しかし、これはいろいろ研究してみますとなかなかうまくいかない。全般的に、北の国といっても広いので、なかなかうまいものができない。そのために、両方ともやめまして、今は全国版一本になっているわけでございます。それは、最初北の版を作りますときからこの一本のものを作るときに引き継ぎまして、北海道社会科教育連盟の先生方に御協力を仰いだわけです。それで契約書通り印税を払っておる、こういうわけでございます。
  175. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 先ほど山中委員からお尋ねになったように、結局採択とそういうことは非常に密接不可離の関係を持つとわれわれは解釈せざるを得ないのです。あなたはわからないとおっしゃるけれども、そういうことはお伺いしていると自然に了解できるようになってくるのですが、そういうところをざっくばらんに言ってもらわぬと困るのです。もしその点が明瞭にならぬと、何時間かかっても委員長に了解を得て追及しなければならぬ肝心なところなんです。この前も教科書出版について川口さんがここで涙を流してざっくばらんにおっしゃったので、各委員ともその点を非常に了とせられた事実もあるので、あまり事をかまえないで、ざっくばらんに言っていただく方が私どもは気持がよろしい。これは感情の問題ではないのです。今これを明らかにするということは、日本の教育関係があるから、私どもはお伺いしているのです。この暑いのにあなたに何時間もお聞きしてお気の毒だとは思いますけれども社長をやって教科書出版をしておられる以上は、教育に重大なる関係があるから、これは一つごしんぼうを願って、答弁等についても、ざるで水をくんでいるようなことをおっしゃらないで、まずいところがあったらまずい、いいところがあったらいいと、大いに強調せられた方がよろしい。  そこで、さらに私が伺いたいのは、北海道国語教育連盟にしても、また北海道社会科教育連盟にしても、連盟は一つの考え方を持っておる。なぜかならば、一つの教育を中心とする団体でありますから、一つの教育についての考え方を持っておる。その考え方があなたのところの教育出版に影響しておると私どもは見ておる。そこで、あなたにお聞きしたいのは、一体、これらの国語並びに社会科の契約された部分について提出された原稿というものは、あなたの会社でさらに審査をして文部省に手続するまでの、その審査機関をお持ちですか。その点をお伺いしておきたい。
  176. 北島織衛

    北島証人 著書の編さんは、最初に計画を立てまして、それから先生方と選びまして、先生方と御相談しながら作っておるわけです。その点につきましては、私の方の編集部の意見も申し上げ、先生方の意見もあって、あるいは妥協する面もあると思いますが、そういう形でできてきておるわけでございます。そうして、編さんは相当長くかかりますので、その編さんができますころには、大体もう検定の受付の締め切りというような状態になっておりますので、それを文部省の方に提示するという形になっておると思います。
  177. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 教育出版株式会社で原稿を精査する担当者は何という方ですか。
  178. 北島織衛

    北島証人 今までは元同盟通信におりました樽井君であります。それから、樽井君がことしから研究所長に移りまして、現在は中井君でございます。
  179. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 中井さんは旭川師範出でありまして、これは、どこから見ても、教育出版社というのは、北海道の一つの団体があって、言いかえてみると、たとえば教育者を中心にする国語教育連盟、それから社会科教育連盟という大きな組織があって、そしてそれが教育出版社という経済活動に出てきておる、そこに大日本印刷がバック・アップしておる、こういうふうに私どもは考える。これは商売ですからかまいませんが、私が特に聞きたいのは、この連盟の思想的傾向をどのようにお考えになっておられますか。具体的に言って一体どういう考えを持って動いている教育どもの集まりですか、これをお伺いしたい。
  180. 北島織衛

    北島証人 この国語教育連盟社会科教育連盟の方々は、先ほども申し上げましたように、比較的純粋に教育のために考えられている方が多いように会社の方から聞いております。
  181. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 講師団の実力者といわれる宗像誠山君なんか、これと関係ないのですか。
  182. 北島織衛

    北島証人 先ほど申し上げましたように、宗像先生が編著者の一人になっております。
  183. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、宗像さんは北海道国語教育連盟に加盟しておられるわけですか。それとも社会科教育連盟に加盟しておられるわけですか。
  184. 北島織衛

    北島証人 これは加盟されておりません。編集協力者の中にいろいろ名前をあげまして、そのうちの一人に北海道社会科教育連盟、こうなっておるわけでございます。
  185. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、この契約部分に関する本の出版については、連盟から著者を推薦してくるのですか。連盟の方からこれこれの著者を使えということを向うが推薦してくるのですか。
  186. 北島織衛

    北島証人 この著者は、私の方の編集部でいろいろ相談いたしまして、こういう先生方をお願いするということでお願いしたわけであります。そのほかに北海道社会科教育連盟の人が参加されております。それで、北海道社会科教育連盟の中の先生のうちでどういう方が編さんされるかということは、これは私も詳しく存じませんが、おそらく社会科教育連盟の中から選ばれた方が来ておるのではないか、こう考えております。
  187. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そこで非常にもやもやしてくるのですよ。たとえば、国語の方、篠原、高野、藤村、これだけの人とこういう契約があるのなら問題はないのですけれども、この著者の中に驚くべき北海道国語教育連盟というものが出てくるのです。だから、そこにいわく言いがたい埋蔵物のあることを私どもは掘りたいのです。はっきり言うと、これがばけもの的存在なんです。それから、社会科に、宗像誠也、渡辺操、金沢嘉市、塩野谷敏夫、北海道社会科教育連盟、——これじゃ、団体著者なんです。文部省団体著者と認めるわけはない。これが著者の中に入ってくると、この契約はばけもの契約であって、実は金をやっているのだと私どもは推察するのですが、これは私ども一個の独断ではなくて、少くとも常識ある者をしてこの契約を判断せしめるならば、契約書というものじゃないのです。ただ体裁を整えているだけで、中身は銭を払う方法でしょう。正直におっしゃったらどうですか。
  188. 北島織衛

    北島証人 正直に申し上げております。先刻もお話ししましたように、公式的には文部省地方版というものをお認めにならぬ。それで、この教科書地方的の性格が強いものであるということは、文部省の御指導によって、著者の名前によってこれを指示するようにしたらとうかというお話がございましたので、北海道社会科教育連盟を作って、著者の中に入っているわけでございます。そうして、北海道社会科連盟とも印税の契約をいたしますし、それに参画しましたほかの著者の方とも印税の契約はいたしておるわけでございます。
  189. 高木松吉

    高木委員長代理 松岡君に申し上げますが、持ち時間が経過いたしましたから、簡略に願います。
  190. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そこで、この契約は、団体との間に金が取引され、著者との間に取引されるようになっておらぬのです。もう一ぺん私はお伺いしたいのですが、この支払いは現実に連盟の代表者に支払われているのですか、それとも著者に支払われているのですか、そのお答えを願いたい。
  191. 北島織衛

    北島証人 連盟の代表者に、税金を差し引いて支払っていると承わっております。
  192. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、この契約によって、著者がだれであるかかまわず、みな契約者である連盟に支払われておる、これは間違いでございませんな。重ねてお伺いします。
  193. 北島織衛

    北島証人 連盟に代表者がおりまして、連盟の方に印税を払っているわけでございます。
  194. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 先ほどから、北海道の特殊事情と言われるのですが、どこへ行ったって、日本中何も同じところがあるのではない。みんな地方によって違う。桜の花の咲く時期だって違うし、桃の花だって東北と九州とは違う。それを、北海道だといってどれだけ違うと考えておられるか。それを具体的に言って下さい。これは大へん問題になるのです。ほんとうに大して違うもので、頭から足の先まで違うのなら、これはごもっともしごくだ。北海道は、雪が少々降る、そりが走っている、ニシンがとれる、サケやマスがとれる。そのほかのどこが違うのでしょうか。私はよくわからない。
  195. 北島織衛

    北島証人 地方版というものが、新しい教育趣旨にのっとって、児童地域性を——地域社会という言葉がよく指導要領に出ておりますが、新しい教育の指導は、低学年においてはことに生活経験が乏しいから、まず児童の身近かなところから入っていく、日常の経験と照らしてから、郷土的、日本的、世界的に伸びていくというのが、文部省で出しました学習指導要領趣旨ではないかと思っております。これは今お差し出ししてもよろしゅうございますが、一年の上においても、内容はほとんど全国版と違っているわけなんでございます。
  196. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 証人は出版社の社長として教育の中立性ということをお考えになっておられるようですが、具体的に言うて、あなたのところの本の中にかなり左翼的偏向の記事があるということを指摘する人があるのですが、そういうことについて証人は一々精査されたことはありますか。また、精査をせしめたことはありますか。
  197. 北島織衛

    北島証人 文部省で出しました図書の検定基準というものがございます。それは、国語科社会科、いずれも別々に書いてございますが、この中に絶対条件と必要条件というものがあります。絶対条件が一、二、、三と分れておりますが、二について申し上げます。二、立場は公正であるか。政治や宗教について、特定の政党や特定の宗派に片寄った思想、題材を取り、またこれによってその主義、信条を宣伝したりあるいは非難しているようなところはないか。こういうふうなことが書いてございます。これは、他の必要条件が全部満点でございましても、文部省においてこの絶体条件にはずれておれば直ちに不合格にするという条件なのでございます。私の方の社会科について御証言があったようでございますが、私は詳しく内容を拝見しておりませんけれども、この社会科自体もすでに二回も検定を経ておりますので、私は、大ざっぱに申し上げて、文部省のこの絶対条件にかなった検定教科書でありますので、内容についてはそう偏向性はないじゃないか−。しかし、この間も発言がございましたので、よく今後も社の者とも研究し、著者とも相談して、改むべき点があれば大いに改めたいと存じております。
  198. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 先ほどからくどくあなたに伺っている北海道著者団体、それと相関連して、学校の校長、指導主事等を北海道の定山渓温泉あたりに毎年一回くらい招待されて、採択に関するデモンストレーションをやっておられるという情報がここに入っているのですが、どうですか、あるならあるとおっしゃって下さい。
  199. 北島織衛

    北島証人 私が知っておりますのは、先ほど委員長に申し上げました中井君が、あいさつを兼ね……。
  200. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それは承わっている。
  201. 北島織衛

    北島証人 その他のことは私は聞いておらないのでございます。
  202. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それでは、宣伝費として一体教育出版社は売上高の何パーセントを年間に払っておられますか。六%とおっしゃったが、それは純粋の宣伝費ですか。全体の営業費はいかほどになりますか。
  203. 北島織衛

    北島証人 宣伝費は全体の六%になっております。宣伝費の内訳を申し上げますと、展示本、献本が四四・四%、指導書、教育資料が三〇・六%、回送費が八・三%、講習会が一六・七%、こういう数字になっております。
  204. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、講習会が一六・七%、大へん高いものですね。要するに、あなたの仕訳が非常に……。
  205. 北島織衛

    北島証人 六%の中のでございます。
  206. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、非常に教育出版社は間接費は少うございますね。この間講談社の責任者がここで述べられたところによると、あれだけまじめだといわれておる、定評があるところですら、一三%からの間接費を払うので非常に多く出ているということを言っておられる。他の雑誌や出版物については四%ないし六%なのに対して一三%、非常に高く出ているとおっしゃっているが、あなたのところは六%だと非常に少いですがね。間接費を直接費の中に入れて……。
  207. 北島織衛

    北島証人 これは、今回ここへ参りますについて、会社の方の帳簿を調べさせて出させました数字でございます。それで、私の方は、原則的に、会社におります者自体が現場の先生の経験もあり編集経験もありますので、そういう者が主体になって本の内容を宣伝することに努めておるというような状態でございますので、宣伝費はよその社より少いわけでございます。
  208. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 もう時間も経過したのでやめますが、ただ、私は、はなはだ遺憾なのは、この著作関係の契約と採択との関連について、いま一時間も与えていただけば、この真相をさらに明瞭にすることができるかもしれぬと思うのですが、私の意見をこの委員会に発表するのはこれで終ります。
  209. 高木松吉

    高木委員長代理 大西正道君。
  210. 大西正道

    ○大西委員 証人には、今までの証言を聞いておりますと、なかなか教育に対しても深い理解があるようであります。私はきょうは多くをあなたから聞こうと思いません。この際に、教科書の定価をどうしたら安くできるかというような問題について、若干あなたの意見を参考として聞きたいと思います。  今の検定制度をやめて国定制度にしたら教科書の値段が安くなるのだ、こういうことが非常に世間に流されているように思うのであります。常識的に考えると、なるほどそうであろうというようにも考えるのでありますが、証人は、教科書の値段を安くすることは、今の検定国定にかえることにおいてこれができると考えろかどうか。もちろん、今の検定教科書の値段というものは、基準というものは文部省で示されておるのであります。けれども、そういう問題をさらに根底から考えると、会社の経営も考えなければならぬですから、国定にすれば今よりも値段が安くなると考えるかどうか、その点を一つお聞きしたい。
  211. 北島織衛

    北島証人 はっきりしたことは申し上げられませんけれども国定になればあるいは若干安くなるのではないかと考えます。それは、昔の国定時代におきましては、これは編さん費も全部国家が見られたわけです。われわれの方では、現在の場合では編さんは自分の会社の負担においてしなければならないという点がございますので、国定一本にすれば若干安くなるのではないか。もちろん、紙につきましてはわれわれは免税になっておりますけれども、昔はそういういわゆる間接費的なものはだいぶ国家で持たれた分が多いのです。それで安かったのでありますが、今では、普通の状態におきまして、紙は別ですが、その他も普通に払っておりますので、その点は若干安くなるのではないかと考えております。
  212. 大西正道

    ○大西委員 それはそういうことじゃない。昔の国定の時代でも、監修官とか編修官というのが何百人もいたのであります。直接出版業者の負担にならなくても、やはり国の費用は要っておるのであります。ですから、そういうことじゃなしに、国定にすることにおいて今のたくさんの出版業者を少くする、そういうことでほんとうにコストが安くなるかどうか、こういうことなんです。私の見解は、世上言われておるように国定にしたから値段が非常に安くなる、こういうふうには私は考えないのです。(発言する者あり)この点は、少し教科書製作の過程を研究すれば明らかになるのであります。ところが、この点を常識的に考えますと、今反対のヤジに出ているような、こういう俗説が世上に出ておるのであります。この点は、あなたは印刷の方にも携わっておられ、また発行業者としてかなり経験を持っておられるのでありますから、もう一回聞いておきたいと思います。
  213. 北島織衛

    北島証人 定価だけの問題を申し上げますと、国定になりますれば、いわゆる宣伝費も要らない、それから編さん費も要らない、今度は編さん費はもちろん国家の方で払われる、編さん官とか編さん員とかいうものを以前は国家でたくさん持っておられたわけですから、これは払われると思いますが、そういうところの計算は私にはよくわからないのですけれども、しかし、現在の民間の状態から申しますと、結局、国定一本になれば、宣伝費は要らないというような点も出て参りますし、印税も要らなくなると思います。
  214. 大西正道

    ○大西委員 月給として出るんですよ。
  215. 北島織衛

    北島証人 そういう形では出るかもしれませんが、昔、国定と申しましても、三つの社でやっていたわけです。地区を分けまして、東京書籍と日本書籍と……。
  216. 大西正道

    ○大西委員 そういうことは、知っておるから、いいですよ。
  217. 北島織衛

    北島証人 ですから、それはやはり若干安くなるんではないかと私は考えます。
  218. 大西正道

    ○大西委員 そこで、あなたの国定にすれば安くなるという理由の一つに、宣伝費が要らない、こういうことを言っておられる、印税が要らないということは、これは何百人という監修官ができれば、それの月給が払われるわけです。一番問題になるのは、宣伝費が要らないということです。そこで、あなたは国定よりは検定の方が望ましいと言われたが、これは、あなたの社の商業政策の問題ではなくて、私は今のあなたのお話には教育的の一つのあなたの配慮が加わっておると思う。そういたしますと、末梢的な、ただやって値段が安くなるんではないかということのために、この新教育の基本である検定制度がくつがえされて、国定に持っていかれるというようなことのせとぎわに、そういう説が紛々と出ておるのでありますが、あなたが今言われたように、宣伝費はあなた方の業者の自粛においてこれをなくするというような、そういう御努力が自発的にもう少し払われて、そうしてそういうものをなくするような方法ができないものですか。
  219. 北島織衛

    北島証人 私は、定価だけから申しますれば安くなるということを申し上げたのです。しかし、本の内容とか教育学的見地から申せば、私は検定の方に賛成の者でございます。  それから、なお、この宣伝費につきましては、私どもといたしましては、文部省に二度、われわれの教科書協会を通じまして、常設展示会を設置していただきたいということをお願いしたのです。しかし、これは、一挙にできなければ、いわゆる見本的なものでいい、わずか一千四百万円程度でよろしいので、これをぜひ設置していただきたいということを文部省にお願いをして、文部省では賛成していただけたのでありますけれども、大蔵省の緊縮予算のためにこれが削られてしまったというような状態なんです。私は、できますれば、今度の事件は非常に申しわけないと思っておりますが、これは禍を転じて福とするという意味におきまして、全国に常設展示会を作っていただく。そこにわれわれが品物を出しまして、先生方に一年を通じて批判していただく。従って、われわれの方は献本も要らなくなり宣伝も要らなくなる。そこで、そういうものができた暁には、駐在員を置いたり献本したりなんかする者は、これは処罰あるいは営業停止にするというようなことをやられてもけっこうだと思うのですが、そういうような方向に諸先生方のお力を借りてやらせていただくようにお願いする次第であります。
  220. 大西正道

    ○大西委員 常設展示場設置の問題は、私は文教委員として一番この点を主張した。ところが、この機構が確立しなかったのです。あなたのお話ですと、常設展示場さえできれば、その暁にはわれわれは駐在員をやめてもいい、見本本もやめてもいい、そしてそれを破る者があったら、これを処罰してもらってもいい、こういうようなお考え、これは、こういうようなことを政府でやることも必要ですが、ここまで教科書の販売の面において非常なスキャンダルが起きて、そして教育的にも非常な悪影響を及ぼしているときに、常設展示場だけ作って、あとは、その上で処罰されても仕方がないということでは、私は済まないと思う。あなたの今までの良心的な発言からして、もう少し自発的にあなた方業者の仲間がこの問題について自粛自戒して、少くともあなたの社だけでも、進んで駐在員をなくし、見本の送り込みをなくす、こういりような範を率先して一つたれるような気魄はございませんか。また、そういう気魄という問題じゃなしに、もっとほかに具体的に良心的なあなたのプランがありましたら、聞かしていただきたい。よもや、今までお述べになった教育的抱負からして、常設展示場さえできればというようなことではないと思う。業界におけるあなたの良心的な立場から、どういう方面から今のこの世上の批判に答えようとされるか、一つこれを聞かしていただきたい。
  221. 北島織衛

    北島証人 先般教科書協会の理事会を開きましたときにも、われわれは大いに自粛しなければならぬということで、今大西先生のおっしゃったような点を大いに論じ合ったわけであります。今後は、われわれの方といたしましては、大いに自粛自戒いたしまして、こういうことで諸先生方をわずらわすことのないようにしていきたいと思っておるということを申し上げます。
  222. 大西正道

    ○大西委員 私はそういうあいさつ的なことを要求しているのではないのです。そういうことは多くの方から聞きますけれども、そういうことを聞いただけでは、ものはおさまらぬのです。なるほど、ことしはもう展示会も終って、採択の報告も来ておりますから、今どうこうということはありませんけれども、私の聞くところによれば、ここにいろいろと発行業者の方が証人として喚問されておるときに、なお地方においては猛烈なる売り込みがあって、そして、良心的に駐在員だとかそういうものを引き揚げた社につきましては非常に営業上の不振が結果として出てくるであろうということも言われております。ですから、そういうごあいさつ的なことでなしに、あなたがそこまで考えられるならば、こういうことだけはわが社として率先して業界を引きずっていきたい、こういうようなことを考えているということがおありになったら、この際聞かしていただきたいと思います。
  223. 北島織衛

    北島証人 私の社は駐在員を置いておりません。それから、接待につまきしても、今いろいろお話がございましたが、私は全く知らないことでございます。おそらく会社の者に聞きましても、さっきの十日間にわたって云々ということは全然なかったことと思います。そういう点につきましては、幹部に命じまして、大いに自粛していきたい、こう考えておることを申し上げます。
  224. 大西正道

    ○大西委員 それから、もう一つ、地方版の問題が非常に問題になっておるようでありますが、私は教育的には地方版というものは非常に好ましいものだと思うのです。ただ、問題は、その採択の面に若干問題があるようにも考えるのでありますが、大体、これは、新しい教育の基本的な考え方からいたしまして、教科書というものは最もその地域に即したものでなければならぬのでありますから、北海道のような特殊事情のようなところにおきましては、すべからくこれは地方版ができて、もっと言えば、教育者は自分の教育の一つの拘負に従って自分で教科書を作ってそれを使わせるというくらいの考えが、私は新しい教育の本領であろうと考える。そういう意味から、私は、地方版に対しては、あなたがるる言われておるように、これは全く教育上好ましい問題だと思う。ただ一つ問題は、採択の場合に、この同じ編著者採択の面に関係するのではないかということでありますが、あなたの御説明によりますと、採択とは全然人的にも重複しておらぬということでありますから、私もこの点は了解いたしました。  そこで、お聞きしたいのでありますが、あなたの社は、社の人的構成から言いましても、北海道教育界出身の方が多いようでありますが、私の今申しました教育的な観点から、さらに他の地方版というようなものを今後作って行こうとされますかどうですか。
  225. 北島織衛

    北島証人 編さんの問題につきましては詳しいことは存じませんけれども、南方というとおかしいのですが、南国の方とか、ことに先ほど申し上げましたような国語とか社会とか算数とか、職業、家庭科でございますか、そういうものの低学年のものにつきましては、やはりある程度地域性に即した教科書を作っていくということが新教育趣旨に沿うものだと思って、そういう方針でいきたいとは考えております。
  226. 大西正道

    ○大西委員 さしあたり、他の教科目等につきまして地方版を今用意されておられますか。
  227. 北島織衛

    北島証人 国語につきましては、一年だけが三訂になっておりまして、二年、三年は、今改訂版でございますが、三訂版を出していきたい。その他の科目につきましても、低学年につきましては、今後地域性を持ったものを出して生かしていきたい。文部省におきましても、この地方版につきましては、一つ虚心坦懐に聞いていただきたいと私は思っております。今、地方版というものは、何かまま子扱いと申しますか、日陰者みたいになっておりますが、新教育趣旨から言いまして、この指導要領趣旨から言いましても、こういう低学年の知識の発達していない児童は、やはり身近かな立場から知識を吸収していく、それを郷土的に伸ばし、日本的に伸ばし、さらに世界的に伸ばしていくことがいいのじゃないかと考えておりまして、そういう方向に進んでいきたいと考える次第であります。
  228. 高木松吉

  229. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人証言を承わっておりましたのですが、私たちの考え方では、本日の証人証言は一つも納得いかないのであります。たとえば、最初地方版を作る、それは新教育に適した方法だ、こういうことでございましたが、「さくら」の例をとりまして、東京では桜が四月に咲く、北海道は大分おくれる、そういう点から、北海道に適した教科書を作らなくてはならぬ、こういうお話でしたが、日本の児童教育するのには、その地域々々で本を出すなら、たくさんの種類を出さなくてはならぬと思う。たとえば、北海道一つ見ましても、私は北海道出身ですが、伊達門別地方はやはり四月に桜が咲く。旭川地方は一カ月おくれて五月三十日過ぎでなければ咲きません。そういう点から言いますならば、桜は、四月には東京方面が咲く、同じ北海道でも四月に伊達あるいは有珠方面が咲く、旭川方面はまだ一カ月おくれる、あるいは九州方面は三月に咲くんだ、こういうふうに知識を公平に与えるのが私は教育だと思う。ただ地方的にのみ考えて、旭川の児童に五月二十日に桜が咲くのだということを教えて、東京に来たら四月に咲くのだと教える、そういう観点から、もし桜というのは五月に咲くのだということであったら、これは偏狭教育ではありませんか。やはり全国的に、日本の桜というのは何月にどこで咲くのだ、あるいはこの時期にはこういう花がどこで咲くのだと教えることが私は公平なる教育のやり方だ、こう思うのであります。そういう点から、あなたは今日は先ほどのような証言をなさったのですが、あなた方の会社というものは、先ほど証言の中にありました通り、大部分が北海道の人なんです。そうしてまた北海道教育評論社の編集をやっている人ですか、これは重役さんですが、阪本亮という人、それからあなた方の会社専務小坂佐久馬さんですか、こういうように一連の人たちによってこの教育出版株式会社とういうものができて、学校の教員たちで会社を作って、学校の教員たちに編集をさせて、学校の教員たちに採択をさせて、学校の教員たちに売らせる、要するに、一連に一つの会社学校の教員を利用して北海道の特異性という何か一つのもうけ主義のために考えた会社だ、私はこういうように解釈するのであります。そういう点が、以下あなたからお聞きしようとするところにたくさん出て参るのでありますが、たとえば、北海道社会科教育連盟、国語教育連盟と契約して、そうして印税を払っている。出てきている本は、どうかというと、その連盟が編著者じゃないのです。宗像さんの名前で社会科は全部出ておるのです。あなたのところから出ておるのは、みな連盟の編著者になっていない。何冊見ても、全部宗像さんです。宗像さんに印税を払っているのじゃないですか。そうして連盟の方にも払っているのじゃないですか。そういうのはどうなっているのですか。まずそれから伺っていきたいと思います。
  230. 北島織衛

    北島証人 社会科教科書についてでございますが、社会科教科書著者の一人が北海道社会科教育連盟になっておりますので、もちろん宗像さんにも払っておりますし、この連盟にも払っています。ほかの先生方に対しても払っておると思います。
  231. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 宗像さんはこの連盟に入っていないという先ほどの御証言じゃなかったのですか。
  232. 北島織衛

    北島証人 連盟に入っておりません。
  233. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 入っていないとすると、連盟と契約をして、それに印税を払って、そうしてまた宗像さんにも印税を払うわけですね。そうすると、連盟に払う印税というのは、連盟の名前で本の上に出てこなければ払えないのじゃないですか。
  234. 北島織衛

    北島証人 それは、つまりこう考えていただければおわかりになると思います。五人の著者が編著した、その一人の著者として北海道社会科教育連盟というのがあるわけです。従いまして、私の方は、連盟だけと印税の契約をしているわけでございませんで、宗像さんにもしているし、ほかの人にもしている。その持ち分をきめまして著者の方にお払いしている、こういう形でございます。
  235. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ちょっと理解に苦しむのですが、そうすると、連盟の名前で、著者として出している本がございますか。連盟に印税を払っているのですが、その社会科教育連盟あるいは国語教育連盟著者となっている本をあなたの会社で出しておりますか。
  236. 北島織衛

    北島証人 連盟だけが著者になっておる本はないと思います。連盟は著者の一人になっておると思います。
  237. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこにいくと、著者の一人になって発行した本ですと、その著者個人にも払い、それからまた連盟にも払うということになると、印税の二重払いになっているのじゃないですか。
  238. 北島織衛

    北島証人 こういうふうにお考え願いたいと思うのです。たとえば、これは例でございますが、宗像さんは北海道教育連盟のメンバーではないのです。ですから、宗像さんがあり、その他ほかにありますが、こういう方が集まって五人なら五人の、その著者の一人というものに北海道社会科連盟の人がなっている。従って、印税というものが百ありますれば、これは算術的に申しますれば各人が五分の一ずつとるというふうな形になっているわけでございます。
  239. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 結局、連盟の中に入っている人が五人なら五人で一つの本を作った、原稿を書いたということになれば、その人に公平に分配されるものだと、こう私は考えていたのですが、先ほどのあなたの証言では、連盟に印税を払うのだ、こういう証言でございます。二五%ですかの契約をなさっておる。それは連盟に払うのでしょう。そうすると、連盟の中の何人かがそれを作ったということになると、何らタッチしないという人にも二五%の中の何分かの権利があるわけです。そうすると、私の考えでは、国語教育連盟とか社会科教育連盟というのが一つの著作権利を持っておる、だからあなたのところでは権利金を払っているのだ、こう私は解釈をしておるのですが、それが間違いかどうか承わりたいのですが、そうでないと、北海道国語教育連盟とか社会科教育連盟の費用がどうしても納得いかないのです。なぜならば、あなたはお聞きかしれませんが、北海道国語教育連盟というのは千四百名おります。社会科教育連盟というのは八百名いるのです。この方々が現に毎年春と秋に大会を開いております。その開かれておる場所が定山渓と登別の温泉でやっているのです。千四百名、片方は八百名、この人たちが年次大会を長いときは三日、短かいので二日やっております。こうした費用というものは相当かかるのです。私らの調べによると、はっきりあなたの会社関係のある北海道教育評論社があなたの会社との話し合いで共同で負担しておる。だが、あなたは知らないとおっしゃる。今までのことを知らないとおっしゃる。私らの方では確証を握っておる。私は秘書をこの間留萌にやったのです。——私は北海道ですし、ことに旭川地方の問題がたくさんありますから。そうすると、現に留萌の市で留萌地区の教員を集めて、あなたのところの会社の名前でやはり教員にごちそうしておる。先ほどあなたは湯ノ川でやったことをただ一つ知っておると言う。湯ノ川でもやっております。あれは、函館地方の人たちにごちそうをしておる。留萌地区の羽幌あるいは苫前、そこに行ってきたという学校の先生に聞いてきたのですが、ただ名前と費用が私の手元に届いていない。つい十日ばかり前に調査にやったのです。現に、どこの料理屋でごちそうしておるということははっきりしておる。北海道においては各地区であなたの会社でやっているのです。あなたは知らないとおっしゃるけれども、やっているのです。もしあなたが今それを知らないのならば、どうか御調査願って、各地区でやっているのですから、ことに私はわざわざ秘書までやって調べさせてきたのですから、一つその事実を調べて委員会事務局の方に出してもらいたいと私は思うのです。ないならない、あったならあった、何回あったということを出してもらいたい。私は何もスキャンダルだけつくのじゃない。そういう点をいろいろお聞きして、そうして教科書の全般的な改正をやりたいというのですから、それを一々犯罪にあげるのじゃないのですが、そういうところにいろいろなスキャンダルが起きれば、学校の先生がかわいそうだと思う。会社の利益のために利用されて、採択権の問題で一晩や二晩ただ飲まされて、そういうことでスキャンダルを起させることはかわいそうだ、そういうところから私はあなたの方から御提出願いたいと思います。  話は本論に入りますが、こういうような年次大会を開く費用を、たとえば北海道教育評論社とあなたの会社と何か出すような相談があったか、あるいは、直接なくても、お聞きしたことがあるか、報告があったか、そういう点に対しての御証言を願いたい。
  240. 北島織衛

    北島証人 佐々木先生からお話のありました供応の問題につきましては、私は全然聞いておりません。しかし、会社に帰りましてよく調べまして、そういうことがあったかないか聞きまして、いずれ書類をもって事務局の方へ差し出したいと思っております。  それから、年次大会に対して会社が補助することになっておるかどうか、これは私は存じておりません。おそらくなっていないのじゃないかと思いますが、これもまた会社に帰りましてよく調べまして事務局の方に差し出したいと思います。
  241. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 質問の時間がないので急ぎますから、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするのですが、地域的な関係を含んだ検定基準というものが文部省から出されている。あれは私と解釈が違うのですが、こういうように書いてあります。「全国共通の要求に応ずるとともに、地域社会的特殊性あるいは地域的環境の特殊性に適応する幅をもっているか」と書いてありますが、あなたの持っておるのに幅ということは書いてありませんか。
  242. 北島織衛

    北島証人 それはどれでございますか。
  243. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 検定基準です。
  244. 北島織衛

    北島証人 検定基準の何ページでございますか。
  245. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 検定基準の百二ページです。
  246. 北島織衛

    北島証人 書いてございます。
  247. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 文部省で出しているのは、何も地域的なものを作れという意味じゃないのです。——私らの見るのは。ただ、あなた方が、いわゆる営業上から、かってに解釈して、地域的のものを作れるように基準に乗っけている。みな「幅」となっております。それから、これも五ページの「地域の差に応ずる幅があるか」という項目に、一、二、三と書いてありますが、これも読んでみると、あなたの解釈と私は違うのです。「都市・農村・漁村等の地域の特殊性に応ずる幅があるか」というように、みな「幅」です。それを、あなたの方では、地域的なものを作るように文部省がいかにも検定基準をきめたように言っているのですが、その点は私と解釈が違うのですが、一つその点も重要だと思いますから御証言を願います。
  248. 北島織衛

    北島証人 日本の教科書でございますから、全国的の立場から作らなければならぬことはもちろんでございます。しかし、この幅という問題で、低学年児童につきましては、先ほど申しましたように、学習のためにこの幅をより多く持たせるということが必要ではないか、こう考えまして——私の方はもちろん北海道だけ特殊な教科書を作るという意味ではありません。全国的な視野をはずれれば、それは検定基準からはずれるわけで、不合格になるわけでございます。ですから、その幅につきまして、私の方はなるべく北海道教科書については検定基準にはずれない範囲において幅を持たしていきたい、こういう考えてございます。
  249. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それで大分はっきりしてきたのです。最初証言は、北海道地域的なものがいわゆる進歩的な教科書の編者のような証言でした。幅というものをあなたは言われないのです。そこで私らは疑問が起きてくるのです。あなたの方で出しておる本はこの幅じゃないのです。この教科書も、一々読むと何ですが、赤い線がついておるところは全部北海道のことだけ書いてある。北海道を宣伝してもらうことは私ら北海道民として非常にありがたいのです。しかし、全国的に使われる本一方的にこうして編集するということは、疑いたくはないのですが、あなたの会社で出している総体の数量から見て、五百万冊も北海道に出しているということから、勢いそういうような疑いをかけざるを得ないのであります。編集といい、あるいは販売のやり方といい、いろいろ供応する費用の使い方といい、あるいはまた先ほどの編著者との契約問題といい、一連のものが、要するに北海道を利用して、北海道の人たちに表面的な納得をいかして、北海道の方はおれたちだけで独占しようという考えのように私は考えられる。非常に残念なんです。  このことはこの程度にしておきますが、価格の問題もそうなんです。北海道だけがべらぼうに高い。たとえば冬休み、夏休みのおさらい帳というのがあります。これは東京で出している夏休みのおさらい帳ですが、これは四十八ページあります。みなザラ紙です。これは十八円です。北海道で出しているのは、これは冬休みのです。やはりザラ紙です。同じです何も変りはありません。ぺージはというと、こっちの方は四ページしかありません。北海道で使っている児童のおさらい帳が八ぺージ少いのです。それで、こっちは幾らかというと十八円です。北海道児童の使っているのは幾らかというと三十円です。これはどうしてこんなに逢うのですか。こっちの方は紙数が少いのですよ。印刷だって同じでしょう。何も違いないですよ。表紙だけです。こういう点で、先ほど大西委員から教科書がが安いか高いかいうことについてお話があったのですが、紙質が同じのものでぺージの少いもが十二円も違うなどということは、私は納得できない。こういう点に現在の価格のでたらめ性があると私は思うのです。再三再四私が言って参りましたが、教科書会社は、もうけないもうけないと言っておりながら、もうけ過ぎる。私たちの子供の時代は、私はいつもこの委員会で言うのですが、当時一銭五厘のはがきが今三百数十倍の五円です。教科書はどのくらいになっているかというと、千何百倍になっているじゃないですか。私の小学校のときの修身は三銭でしたよ。国語は六銭ですよ。それが今九十五円、八十五円でしょう。そうしたら、千何百倍になっているでしょう。教科書だけがなぜそんなに物価指数からいって高くならなければならいのですか。そして、北海道児童はページの少いおさらい帳に、三十円も出して、東京児童は十八円で間に合う。しかも、その十八円について、この間来、印刷代、紙代等をみな計算して見積書を出させると、こういう本は部数によってただみたいになるのだ、だから、これが二百万部出るとして計算すると印刷代が四円だと言うのです。製本代もございましょうが、雑費その他いろいろ入れたところで十円そこそこであがると言うのです。それを十八円に売って高いと思っていたところが、あにはからんや、北海道では、そのページより少いところのものを、夏と冬が違うだけで三十円のおさらい帳を使っている。こういうところから、出版会社、あるいは図書会社、それから供給所がもうけ過ぎるという観念が私には抜けきれないのであります。こういう点から見て、あなたは専門家ですが、この本を二つ並べてごらんなさって、どうしてこんなに価格が違うのか、一つ専門家の立場からお答え願いたいと思います。
  250. 北島織衛

    北島証人 「なつやすみ」は私の教育出版で発行したものじゃないのです。
  251. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうでなくても、あなたのところと関係のある会社ですから……。
  252. 北島織衛

    北島証人 これはよくわかりませんけれども、定価を左右します最大の原因は発行部数だろうと思います。北海道児童数と東京都の児童数と比べますと相当違っておるのではないか。従って、北海道でこの冬休み帳が何部採用されたか、それから東京都が何部採用されたかということは、根本的に定価を左右することであります。つまり、発行部数がたくさん出れば定価が安くなるということであります。それから、もう一つは、部数がもし同じにしましても、北海道の方では割合に印刷設備が少うございますから、製本設備も割合に少いので、そういう印刷料金の面でも若干の用途があるのではないかと思います。それから、もう一つは、その出版社の定価のつけ方ということが問題ではないか、こう考えておる次第でございます。
  253. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 将来また教科書の価格というものが重大な問題になって参りまするし、ことに、今日の教科書というものは、あなたがさっきておっしゃったように、毎年毎年変える。われわれ子供のとき兄貴の使った本を弟が使えたのですが、毎年々々変えるという方針でいかれて、こういうう高い価格で本を買わされたのでは、もう親たちはたまったものではないと私は思うのです。労働組合あたりは、とにかく〇・二五のいわゆる夏季手当あるいは冬の手当でさえも、あれほど真剣にストライキをやるのですから、三人、五人と子供を持っている家庭においては、一割、二割の違いが自分のいわゆる家庭的な経済に非常に大きく影響すると思うのです。ただいま、部数によって違うということでしたが、大体この程度のもので、あなたは専門家ですが、私の調べたところによると、大体東京都の十八円のものでも十円でできるというのですが、百万部ないし二百万部程度のものでそのくらいでできるとお考えですか。それとも今わかりませんですか。
  254. 北島織衛

    北島証人 それは、うちに帰りまして、紙及び印刷代を計算しまして、原稿料がどのくらいになっておるか知りませんが、そういうものを計算すれば出ると考えます。現実問題といたしましては、私は印刷の方につきましてもこういう見積もりをするという立場から十数年にわたって離れておりますので、今ここで直ちに計算ができかねます。おひまをいただければ、会社に帰りまして、営業の担当の者に計算させて、御提出してもいいと思っております。
  255. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 印刷代が北海道東京では違うというお話でしたが、私もその通りだと思います。しかし、印刷代というものはごくわずかだと思うのですが、先ほどのあなたの証言によると、この教育出版株式会社で、大日本印刷会社ですか、あなたの関係しているその方に払っている金というものは、全売高の一〇%ですか、その程度のような証言でございましたが、そうすると、北海道印刷東京印刷が違うといっても、一冊の価格にすれば何銭も違わないんじゃないですか。その価格の一〇%が印刷代ということでした。その一〇%が印刷代だとすると、価格が十何円も違うというような、価格が高いという理由にはならないんじゃないですか。ただ、発行部数においてはある程度違います。私も調べましたが、大体、東京で出しているのは、よけい使われたときで八十万部でしたか、その程度のものでありました。北海道のは少し違います。違いますけれども、そう何倍も、百万部と一千部というような違いじゃないのです。そういう点につきまして、私はまだ値段の方を一生懸命研究したいと思うのですが、そういう点で、価格というものは違っても一割程度だと思いますが、あなた専門家ですから、お聞きするのですが、どういうものでございましょうか。
  256. 北島織衛

    北島証人 御質問の点について申し上げますと、私の方の会社で、というのは大日本印刷のことなんですが、大日本印刷株式会社教育出版の仕事をしておりますのは、半期に三千万円である。私の方の会社自体が半期に売り上げますのは十九億から二十億ぐらいであります。それですから、教育出版の仕事をやっておるのはごく少いのでございます。大日本印刷教科書全体の印刷の仕事を何%しているかということに関しましては、その一割、うちの売り上げに対しまして教科書が占めている部分が一割である、こういうことを申し上げたのです。そそれから、こういうものにつきまして、印刷代、紙代というものはおそらくかなりの比例を占めるんじゃないかと思います。ことに紙代は非常に問題になるんじゃないかと思うのです。それで、紙の価格というものが、こういうものを作るときのまず一番の問題じゃないか、おそらく直接生産費の半分以上は紙代にかかっているんじゃないか、こう思います。ですから、紙の仕入れがうまいかまずいかということも大いに問題になりますし、買う人の信用があるか信用がないかということも問題になると思うのですが、印刷関係について申しますと、われわれがもしかこういうものを大日本印刷で刷りますと、これは輪転機にかけて刷ってしまうわけです。一分間に二百回転というような輪転機の回転でこれを刷ってしまいます。しかし、地方におきましては、そういう設備がありませんで、これを平版で、平らな紙で刷るわけでございます。そうすると、これは現在の回転数からいきますと一分間に二十八回転、せいぜいいって三十回転というくらいで、片方は、二百五十、三百いく機械もございますが、そういうふうな回転をします。従って、コストにおいても違ってくる、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  257. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 北海道教育評論社には輪転機はないのですか。
  258. 北島織衛

    北島証人 北海道教育評論社は出版会社でございまして、印刷はその土地の印刷所に頼んでいると思うのです。純出版会社でございまして、印刷設備は持っていないように聞いております。
  259. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、こういうものの印刷はあなたの方に頼むんではないですか。北海道教育評論社とか、こういうあなたの方の関係会社印刷物は、あなたの方に頼みませんか。
  260. 北島織衛

    北島証人 私ども大日本印刷の立場といたしましては、地区の仕事はなるべく地区の方にやっていただくという方針でございます。ですから、地区の方で注文をとられまして、特に技術を要するもの、たとえば北海道のポスターのような、特に精巧な技術を要するものは、その方を通じまして私の方が下請という関係になりますが、お手伝いしておるということをしておりますが、私の方では、東京におきましてこういうものを刷るということはないのでございます。
  261. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、方向を変えまして伺いますが、先ほどの証言の中に私は重大なあなたのお言葉をちょうだいしたのですが、本を作られるときに、これは北海道の話ですが、先生方から要求されたので云々という御証言でございましたが、教科書を作るときには、ちゃんと検定員がおりますし、それから、それ相当の本を使うまでの機関があるわけであります。展示会も何も全部あるのです。それに基いて作るのが正しい本の作り方だと思うのですが、あなたの会社が、作る前に北海道先生方からこういう要求があったから作るのだというようなことは、すでに要求するということは、その本を買うから作ってくれということに私は解釈するのですが、あなたは、どういうようなお考え方から、先生方から要求されてこういうものを作ったという証言をなされたのか、その点を承わりたいと思います。
  262. 北島織衛

    北島証人 私どもの方で本を編さんをいたします場合には、大体どういうものを作ろうかということを編集会議にかけるわけでございます。そうして今までの教科書を検討いたします。特色のある教科書を作りたいために、今まで出ておる教科書を検討いたします。それと一緒に、社会科なら社会科国語なら国語については、熱心な先生方の御意見を徴するわけでございます。その意味におきしまして、方々に出しまして先生方の御意見を承わる中の一つに、やはり北海道社会科教育連盟の先生方の御意見を承わった、その場合に、北海道社会科教育連盟の方の先生方から、もし君の社で作るならばこういう教科書を作ってほしい、こういう教科書が望ましいということのお話があった。こういうふうに思っております。
  263. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これが最も重大だと思うのです。採択になる前に北海道先生方から意見を聞くなどということは、現在の検定制度から言って違反じゃないでか。文部省から検定基準を申しているのですから、その検定基準に基いてあなたの方で本を出すことが正しい行き力であって、学校先生方というのは採択をしているのですよ。この本を使うか使わないかということは学校先生方がやっておる。その使うか使わないかをきめる先生方から作る前に要求があったからこういう本を作ったということになると、もうすでにでき上がらない前に買うということを予約したというようにとられるんじゃないですか。あなたは、先ほどからの証言において、北海道の特殊性、北海道関係の人が会社にいろいろ入っているが、決して採択面では何も影響していないという証言でありましたが、それが根底からくずれるんじゃないですか。それがあるからこそ、北海道の先年から先にいろいろ意見を承わって、要求を入れて本を作る。それを北海道によけい買ってもらうという趣旨のもとから、そういうやり方をするのだと私は思うのですが、私のこの証言を求めている言葉の意味を解釈なさっても、あなたは今、そういう採択の面には何も考えていない、ただ北海道地域的な教育をしたいんだ、そして北海道児童のために公正な教育をやるんだということのみの証言でございましたが、北海道先生方からの要求があったから云々ということは、それと矛盾すると私は考えるのですが、どういうふうにお考えでございますか。
  264. 北島織衛

    北島証人 北海道先生方からだけ意見を聞いているわけではないのでございます。全国的に先生方から意見を聞いているわけでございます。本ができて先生方が実際にその本を使いまして児童教育される前に、こういうところをこういうふうに直してほしい、こういうところの表現はこういうふうにしてほしい、こういう方が児童に教えやすいし、児童も理解しやすいというようないろいろの御意見があるわけです。これは、私の方が出しましたあらゆる教科書について、御採択になった各県の先生方から、君の方の教科書を使ってみたところが、こういう点を直したら、どうだ、こういう点は間違ってないかというような御忠告はずっといただいております。そういう意味におきまして、教科書を作る前にそういう先生方に広く御意見を伺っているわけです。その伺った中の一人に北海道の方があった、こういう関係になっておるわけでございます。
  265. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それは、あなたは証言がうまいからそう言ってのがれておりますが、そんなことは必要がないと思うのです。検定基準があって、検定委員がおって、そして展示会があって、そこで先生方が、この本が悪いかいいかきめて採択するのですから、それを作る前にいろいろな全国の先生から聞くというけれども、それならば正式な機関も何も要らないはずなんです。そういう点に私は非常な疑惑を持っておるのです。  時間がありませんので、それ以上同じ問題をつくわけに参りませんが、先ほどのあなたの証言の中に、教科書問題で皆様方に申しわけないと思っている、こういう証言があったのです。速記録に載っていると思う。ところが、あなたの証言のようですと、申しわけないということは一つもないのです。そうでしょう。採択の面にも何も関係してないんだ、それから、ただ一つ供応の問題で、函館で起きた中井君がやったことを言っておるが、それはあの地方から引き揚げるために何か同級生との会合なんだ、これを誤解されただけだと言う。そうすると、きょうの証言の中に、あなたのやっていることは一つとしてわれわれに対して申しわけないというような言いわけをするような誤まったことはないのです。そうすると、申しわけないことをしたというあの言葉はどこから出たのですか。その申しわけないということを私は承わらないと、あなたの証言の最後で言ったあの申しわけないと思っているということが、どうもふに落ちないじゃないですか。その点は、どういう点で申しわけないと思ったのか、どういう間違いを起したから申しわけないと言ったのか、その申しわけないという意味を一つここで発言していただきたい。
  266. 北島織衛

    北島証人 私が申しわけないと申しましたことは、こういう問題が当委員会にかかること自体、われわれ、教科書協会という自粛協会も作っておりますが、いろいろの御指摘になった面について自粛自戒して、こういう間違いを起すべきでなかった、しかし業者の自粛が足りなくてこういうふうな状態になったことは、業者の一人としてまことに申しわけない、なお、札幌の件についても誤解をいただくような行為があったことについては申しわけがない、こういうことを申し上げた次第でございます。
  267. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どうもその点もふに落ちないのです。協会としては申しわけないとおっしゃったように今聞いたのですが、あなたの会社としては申しわけないということはないですか。それとも、函館のような問題で誤解をされたから、それに対して申しわけないということの言葉であったか、その点を繰り返して一つ御証言願いたいと思う。あなたの会社として振り返ってみて、たとえば、採択の面とか、あるいは編著者の面とか、それから社会科教育連盟とか国語教育連盟とかのいわゆる契約の問題とか、あるいは会社の販売を盛んにするためにこういうこともやったということは一つもここでは証言しておりませんが、あなたの胸の中にあることを静かに振り返って、そこから自然に申しわけないという言葉が出たのだろうと私は思いますが、ただ、委員会を開いてこうしてお手数をかけたから申しわけないというようなことで申しわけないとおっしゃったのか、そういう点に対して再度御証言をいただきたい。
  268. 北島織衛

    北島証人 具体的に申しまして、われわれ業者が十分自粛すべきであったのです。自粛協会を作りまして、倫理綱領も出したのですが、しかし、各社とも若干行き過ぎがあったし、大いに行き過ぎた社もあり得るようでありますが、教育出版は非常にまじめにやっておったと思います。私自体は個々にタッチしていないので詳しく知っておりませんが、教育出版自体は、そういう面においても非常にまじめにやっておったと、こう思っております。しかし、至らぬ点は多々あったと思うのです。そういう点について、今後われわれは覚悟を新たにして、大いに自粛していきたい、今までのことに対しては非常に申しわけないという意味でございます。
  269. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 残念ながら北島さんからは具体的な一つの事実も御証言いただけなかったのであります。何も間違ったことを引っぱり出すことがわれわれの役目ではないのですが、やはり、この点はいけなかった、こういう点もあったと思う、こういう点は直していきたい、あるいは価格の問題に対してもこういうように考えている、あるいは編著者の問題もこういうふうに考えているというような、具体的な証言が得られると私は期待していたのです。しかし、今のお言葉の中にも、自粛しなくちゃならぬという言葉もありました。そうすれば、あなた方は、あなたの会社だけでなく、いわゆる教科書出版協会としてでも、どういう点とどういう点に自粛しようとなさるのか。そういう点に対して申しわけないと言ったという言葉ですから、その自粛すべき要点を一つ具体的にあげていただきたいと思うのです。
  270. 北島織衛

    北島証人 教科再協会として決議をしたわけではございません。しかし、私は、教科書協会の理事の一人としまして、今後そういう供応ということをなくなすべきである、それから、駐在員も、私の力は置いておりませんけれども、よそもなくなすべきである、接待その他によって本を売り込むというようなことは、教科書業者として全くなすべきことでなく、かつ申しわけないことである、われわれといたしましては、今後、先ほど大西先生に申し上げました通り、常設展示会というものを、ぜひ皆様のお力によって作っていただいて、われわれの方はそういう忌まわしい事件が発生する根本を断ちまして、そして教科書内容によって御採択願うという方向に進んでいきたい、こう思っている次第でございます。
  271. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、ただいまお述べになったことは、すべて他の会社のことでございますね。あなたの会社のことは、その供応も何も全然証言をいただいておりませんが、全然なかったというようにとってよろしいのでございますか。ただいまいわゆる供応の点とかいろいろの問題をあげましたが、これはみな他の会社であって、ただ、協会の一員として、そういうことがあったということに対して申しわけないとあなたがお考えになっているのか、それとも、あなたの会社にもあったのか。私は、供応何もあなたの会社はなかったというように聞いたのですが、すべて他の会社の具体的な例だというようにとってよろしゅうございますか。
  272. 北島織衛

    北島証人 私は、先ほども申し上げましたように、個々の事態については存じておらないのです。しかし、今佐々木先生から、北海道にこういうことがあったじゃないかというような御指摘がありました。そういうことをよく調べまして、佐々木先生の御指摘にあった部分に対しては、あったかないかということを書類をもって差し出したいと思いますが、もしそういうことが事実であったとすれば、ほんとうに申しわけないことである、今後はわれわれ業者全般がそういうことのないようにしていくべきだ、またぜひそうしていかなければならぬ、こう思っている次第でございます。私は具体的の事実については知りません。しかし、たくさんある教科書会社の中では、教育出版というく会社は、私は、うぬぼれかもしれませんけれども、非常にまじめにやっている会社だという自信を持っております。
  273. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この教科書問題が国会で取り上げられてから、もうすでに理事会を通じますと一カ月近くにもなるのです。それで、そういうような問題が取り上げられ、しかもいろいろな世間のうわさもあるということをあなた方すでに御承知だろうと思うのです。そういう事情を御承知の中にあって、しかも本日証人として呼ばれることも前もって御通知申し上げているのですから、あなたの方では相当お調べになったと思うのです。自分の会社において今までこういう点があったかなかったかということは、部下なりあるいは全国的のいろいろなあなたの方の関係者から御聴取願ったろうと思います。あるいはお調べもいただいたのではないかと思うのです。ただ、そういうことに関して証人に来いというから来たのだということであれば、どうかわかりませんが、今までこのような内容の中に入っていたいろいろな具体的な問題については、あなたの耳に全然入っておりませんか。
  274. 北島織衛

    北島証人 私は、この問題について、行監に出頭いたす前に、供応の問題が非常にやかましくなっているけれども、うちの工合はどうなのだということを専務に聞いたわけです。しかし、うちは教科書内容で宣伝するのを主としてやっておりますから、よそのようなひどい供応はないのだという返答を得てここへ来ておるわけであります。私の知っておりますのはこれだけであります。
  275. 高木松吉

    高木委員長代理 佐々木君に申し上げますが、持ち時間が相当経過しておりますから、簡略にお願い申し上げます。
  276. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 今、私の会社ではひどい供応がないという言葉葉でした。ひどい供応がなかったということは、私らの日本語で解釈すると、ひどくないものがあったということなのです。先ほどは、あなたの会社ではないと言うし、言葉の上からくると、ひどい供応はないと言うし、そうすると、どっちがほんとうですか。全然ないというのか、少しはあったけれども、それは報告を受けてない、今後は、自粛する、こういう意味にとってよろしいのですか。
  277. 北島織衛

    北島証人 私が聞きましたことは、講習会などを各府県の研究会の主催でやりましたときに、私の方も講師を派遣します。講師は先生方をお願いする場合もありますし、また会社編集責任者がする場合もあります。そういう場合に、駅にお出迎え下さった先生方に宿に来ていただいていろいろ講習会の打ち合わせをしますが、そのあとで食事を差し上げる、そういう程度のことはやっておるように聞いております。そういう程度でございまして、それが、私が先ほど申し上げました、ひどい供応がないと専務が言った意味ではないかと私は解釈しております。
  278. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 わかりました。そういうことが最後になると出てくるのですが、食事を上げたことがあるけれども、それは供応じゃないというような、そういう点において私らは今まで納得できなかったのです。ただ、六%もの宣伝費を使っているのですから、売り込みを一生懸命やろうとする人たちは、いろいろその金を使うと思うのです。そういう点があったならあったと先に言っていただければ、同じ問題を言葉じりをつかまえてこんなにしつこく最後までお聞きしなくてもよろしいのです。ただ、ただいまの証言で、食事を差し上げたり何かすることもあったということですから、それで私は十分なのです。どこでどうしたなんということを聞くのじゃない。そういうことがあり得るのを、あなたは今までないないという証言をしてきたので、しつこく聞いたのです。  私の質問はこれで終ります。
  279. 濱野清吾

    ○濱野委員 関連して北島証人に一点聞いておきたいのですが、私はあなたを専門家でありゼントルマンとして特にお聞きするのですから、あなたの心境を率直にお述べを願いたい。この委員会の尋問を通じまして、私はあなたが文部省設置法やあるいは学校教育基本法その他の法令をよく承知しているものとして了解します。そこで、私は、特に一つお聞きしたいのでありますが、それらの法令を承知しているあなたとするならば、採択面と編集面とは分断されておることが望ましいということはおわかりでなければならぬ。法令のうちにも採択の公正ということがございます。公正な採択を法は命じておりますし、期待しております。現に、あなたの方の協会では公取委員会の取調べを受けたたことが一回ないし二回ございます。しかも、その公取委員会から文部大臣あてに一つの警告を発せられた事実も承知のはずであります。そういうような状態でありますから、本の採択の問題につきましては、国民として要求するところ全く自由でもあるが、しかも完全に公正でなければいかぬということを法もきめ、国民も了承しておるのであります。しかるに、あなたの方では、編集の任に当る方々は、一面において、同僚から述べられたように、採択する側の団体がやっている。この点は、いかにあなたが強弁をしましても、いかに巧みなる表現のお答えがあったとしても事実でありまして、裏表になっておるのでありますから、こういうことが今の法令の面から見て好ましい行き方であるかどうか、また、これを続けていってこの法令の精神と矛盾することは断じてない、間違いは起きない、公正をじゅうりんするようなことはないという保証ができるかどうか、この一点をお答え願いたいと思います。これは、北島さん、ほんとうにまじめに考えてもらわないと、事が教育でありまして、生産工場やその他の事業と違います。国民教育にいろいろ微妙な関係があるのでございますから、法はそれを期待し、法はそれを命じ、しかも公正取引委員会も二回に及んで文部省に警告を発しているのです。この点は、そろばん勘定よりは、ほんとうに国の教育を思い、民族の将来の教育を考えるならば、ほんとうにフランクな気持でお答えを願わないと困るのです。どうぞ一つとらわれずにお答えを願いたいと思います。
  280. 北島織衛

    北島証人 濱野先生のお話のごとく、採択というものが公正に行われなければならぬということは私は全く同感なのでございます。ただ、この北海道国語教育連盟というものが何か非常に採択を目的にしたというふうに思われているようでありますけれども、これは、るる申し上げましたように、私どもといたしましては北海道出身の者が多いので、北海道児童にいいものが作りたいというつもりで編さんしたのでございまして、その結果採択が多かった。今承わったような宣伝物などは、私はちょっと北海道国語教育連盟としては行き過ぎだったのじゃないか、あんなことは書かなくてもよかったのじゃないかと思います。それから、北海道国語教育連盟の人が採択委員になっているということはないようでございます。ただ、私自体も、大いに採択が公正に行われるように今後考えていきたい、こう考えております。
  281. 濱野清吾

    ○濱野委員 大体了解できますけれども証人北島さんは、教育委員会採択するという前提のもとに議論を展開しておりますから、なかなか巧みに御説明をなさっているのです。しかし、御承知通り、これは現場の教員諸君があるいは校長さんを通しあるいは職員会議の上において採択の申請をするのです。その現場の教師が一千人集まって国語の連盟を作り、あるいは一面においては八百人集まって社会科団体を結んでいる。そしてその人たちが編さんするのでありますから、当然に自分の作った本を買うということは人情の機微でございます。これをもあなたが否認するということは、私は無理だと思う。もしそういうようなことでこの世の中が通るとするならば、やはり資本主義の最も悪な点でありまして、これは大いに排撃されなければならない。社会主義の議論を言うまでもなく、資本主義の悪の面として、利潤の追求のためならばできるだけ法網の裏をくぐって、巧みに事業を推進し、利潤をできるだけ追求していくというほんとうに悪い面が出てくると思うのです。常識的にお考えになって、あなたの場合は今までそういう意図はなかったかもしれない、またそういう考えでやったのではないかもしれないが、しかしながら、常識的に世間の目から見るならば、一体世間は何と見るでしょう。私はこう思うのです。昔の秀英社というならば、われわれも関係のあった会社でありますから、決してそう言いたくないのでありますが、秀英社の社長さんで、しかも教育出版社長さんなんですから、こういう利潤追求の姿が現われたのでは会社の面子にも関するし、信用にも関するから、知らぬふりして行監をくぐり扱けてみようなどということがあるとするならば、むしろこれは産業人としての北島さんの心境に対してわれわれは同情しなければならぬ。はなはだ失礼な話ですが、これは通りません。本日の傍聴席には業界の人が非常に多いと思います。あなたは巧みにこの行監を切り抜けたつもりでおるかもしれないけれども、あなたの人格、あなたの会社のやっていることは、これでは常識的に見て世間は決して通らないと思います。北島さん、私は特にあなたにお願いしておくが、これでは日本の教育がこわれてしまいます。そういう巧みな行き方で行くのは、法を実際は無視したやり方です。採択の自由と公正だけは厳然としております。先ほどあなたはわれわれに新教育のあり方あるいは学習指導要領までお教え下さっておりますけれども、あなたはすべて研究済みなんです。そして、ただひたすらに、特殊教育地方色彩を載せた北海道教科書を作ったのだ、そしてそれがよかったから売れたのだ、業界がどうしようと、あるいは研究会がどうしようと、これはおれの知ったことではない、当然に売れるべくして売れたのであって、ふしぎはないという答弁で一貫しておるようでありますが、それでは世間や業界は通りません。どうぞ一つ、あなたは良心的な考えをして下さい。私どもは、国の教育をどこへ持っていくか、教科書をどうするかという問題で今汗をかいているのです。あなたみたいに、自分の会社を擁護する一点ばりであって、都合のいいところは法のこまかいところまで御説明して下さり、都合の悪いところは法律を知らぬふりをしてくぐり抜けようという考え方は、断じて世間は許さぬものです。この点について、もう一ぺんあなたの見解をお聞かせ願えればけっこうだと存じます。
  282. 北島織衛

    北島証人 何か法網をくぐっているというような御批判をいただいたわけでありますけれども、私ども会社としましては、そういう意図でございません。事実北海道出身の者が非常に多いのでございまして、北海道の教鞭を何年か何十年かとっておりました者ばかりであります。その者が、現地の先生の御要望もあり、また自分の経験に照らして、北海道児童のためにという熱情の現われでこういうものを作ったと私は固く信じておる次第でございます。
  283. 高木松吉

    高木委員長代理 濱野君、簡単に願います。
  284. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は、法網をくぐっているというよりは、むしろ法の精神を合法的にじゅうりんしているということがこの場合適切な言葉であると思うのです。きょうは私どもだけが言葉のやりとりをしておるのではありませんで、公開の席上です。業界の人も来ているでしょうし、またその方の新聞の諸君も来ているでしょう。こういうように巧みに言って、そうしてあなたが全然意図せざるもの、全然編集採択とにわれわれは何らそういう非難さるべき点は気がつきもせぬでしたというような、そういう一貫したる御答弁は、私は通らないと思う。編集する人が、しかも買う人なのです。買うことを決定する人なのです。そして、同僚佐々木君の言うように、あなたはいろんな説明をしていらっしゃいますけれども、非常に高い本までその他の本においては売りつけておる。これは、幾ら許された資本主義の中でも、教科書でこれをやったのでは、私は少し無理じゃないかと思うのですが、北島さん、どうでしょうか。あるいは機械であるとか、あるいは化学肥料であるとか、その他の事業であるならばともかくも、とにかく公正な仕事をしなければならぬ子供たちの教育に関するりっぱな事業なのです。それでも、あなたは、そういう常識的なことまでも、世間はどう見ようとそんなことは知ったことじゃないとおっしゃるのですか。数万言も費されたでしょう。この話を聞いて、そうして常識的に考えて、皆さんがそう言うならばあるいはそうかもしらぬ、反省しなければならぬというくらいのことが私はあなたの口の中から出るかということを期待しておった。ひた向きに突っぱって、そうして強引に知らぬ存ぜぬなのです。知らなくてもよろしいのですよ。あなたが意図しなくてもよろしいのですよ。しかし、こういうような事情が採択編著者の間に密接な関連があって、それが不公正な取引になりやすいという事実をるる同僚とともに述べているのですから、そういうことがあったとすればまことに遺憾だから将来注意しましょうくらいな言葉があっても、これはしかるべきじゃないかと思う。私どもの利益でこの言論が展開されているのじゃありませんよ。民族の子供のための教育なのですよ。この点、北島証人どうですか。かたき同士ではございませんよ。お互いの子供のためなのですが、この点について、もしお考え方がありましたならば、一つお答えを願う、そういうことは答える必要はないとおっしゃるなら、私はこれで引き下るよりほかないと思います。
  285. 北島織衛

    北島証人 再三申し上げましたように、私の会社におきましては、北海道児童のために地方版を作ったという趣旨には変りはございません。しかし、今の濱野先生の御指摘になるようなふうに思われる点があれば、今後大いに気をつけていきたいということをここに明言いたしておきます。
  286. 高木松吉

    高木委員長代理 北島証人に対する尋問はこれで終了しました。  証人には長時間にわたって御苦労さまでありました。  この際お諮りいたします。引き続き尋問を予定しておりました証人四条輝雄君につきましては、本会議関係もあり、本日はこれをとりやめ、同君に出頭を求める日時につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 高木松吉

    高木委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会