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1955-07-22 第22回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 高木 松吉君 理事 濱野 清吾君    理事 山中 貞則君 理事 山田 長司君    理事 神田 大作君       牧野 良三君    松岡 松平君       三田村武夫君    米田 吉盛君       塚原 俊郎君    福永 一臣君       高津 正道君    辻原 弘市君       西村 力弥君    大西 正道君       小林 信一君  委員外出席者         証     人         (二葉株式会社         取締役秘書役) 樋口  悦君         証     人         (東京書籍株式         会社常務取締         役)      四條 輝雄君     ————————————— 七月二十二日  委員佐竹晴記君辞任につき、その補欠として春  日一幸君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小、中学校における教科書関係事件証人出頭要  求に関する件     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を聞きます。  この際、証人出頭要求の件についてお諮りいたします。小、中学校における教科書関係事件につきまして、理事諸君の御了承を得まして、本日、二葉株式会社取締役秘書役樋口悦君、東京書籍株式会社常務取締役條輝雄君、七月二十五日、教育出版株式会社社長北島織衛君、以上三名の諸君にそれぞれ本委員会出頭を求める手続をしておいたのでありますが、以上の諸君を本委員会証人として決定いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。よって証人として決定いたしました。  なお、証人出頭日時等に変更の必要を生じたときの処置につきましては委員長に御一任願います。  次に、福島教育委員会委員長黒木喜一君及び福島教育委員会委員安藤武君につきましても、本委員会証人として出頭を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお、両君の出頭日時につきましては委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なければ、さよう決します。     —————————————
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 これより、小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになっておられる方は樋口悦さんですね。——本日正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。  この際証人に一言申し上げますが、現在わが国において小中学校における教科書は多極多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を寄せている向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義あることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人樋口悦朗読〕  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは、宣誓書署名捺印して下さい。   〔証人宣誓書署名捺印
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人の略歴について述べて下さい。
  9. 樋口悦

    樋口証人 氏名は樋口悦、明治三十四年八月二十三日生れ、大正十三年早稲田大学を出まして直ちに安田銀行に入り、昭和十九年そこをやめまして軍需会社である日本鋼板工業に勤務いたしました。昭和二十二年そこをやめまして無職、昭和二十五年の八月に二葉株式会社に入りまして監査役となり、昭和二十六年一月取締役となりまして今日に至り、今日取締役秘書役を兼務しております。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの会社の輪郭、資本金営業種目について述べて下さい。
  11. 樋口悦

    樋口証人 二葉株式会社は、現社長大野治輔昭和九年に独立しまして二葉印刷所を創立いたしまして、昭和二十三年別に二葉図書株式会社設立、そうしまして、営業種目といたしまして印刷並びに図書出版をあわせ行なっておりました。そして、この二つの会社昭和二十四年合併いたしまして、資本金千五百万円の二葉株式会社を創立いたしました。今日、幾多の変遷を経まして、資本金四千五百万円、検定教科書発行並びに一般印刷、こういう仕事をしております。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 会社発行しておる教科書発行部数及び採択されたおもな地域について述べて下さい。
  13. 樋口悦

    樋口証人 検定教科書制度が制定になりましてから、当社教科書事業に携わっておるのであります。すなわち、昭和二十四年が発行点数五種、昭和二十五年が八点、二十六年が五十三点、二十七年が九十二点、二十八が九十六点、二十九年が百四点、三十年は百二十三点、三十一年度としまして二百十五点、そういう発行点数を持っております。  採択部数を申し上げますと、二十四年が三百三十七万一千、二十五年が六百四万二千、二六年が一千十九万一千、二十七年が千九百八十五万七千、二十八年が二千二十六万七千、二十九年が二千三百六十二万三千、三十年が二千二百五十四万八千、三十一年度はまだわかりません。  従って、委員長からのお話県別採択は三十年度のを申し上げることにいたします。北海道九十四万六千、四十五万、岩手三十四万五千、宮城三十四万八千、秋田五十七万六千、山形六十九万、福島六十八万、茨城四十六万九千、栃木三十四万三千、群馬五十三万一千、埼玉百十一万五千、千葉百二十四万、東京百九十三万一千、神奈川七十九万、新潟三十六万二千、富山四十三万七千、石川三十六万、福井十一万六千、山梨三十七万六千、長野二十七万八千、岐阜二十四万一千、静岡六十三万八千、愛知五十六万三千、三重四十九万、滋賀十八万一千、京都二十九万六千、大阪五十三万六千、兵庫六十万六千、奈良七万七千、和歌山十七万八千、鳥取十一万一千、島根十五万、岡山三十五万三千、広島六十一万、山口四十六万四千、徳島二十四万五千、香川二十三万一千、愛媛六十六万二千、高知二十四万、福岡五十七万四千、佐賀九十四万、長崎三十八万一千、熊本十九万五千、大分六十七万六千、宮城十五万五千、鹿児島三十五万二千、合計二千二百五十四万六千、以上でございます。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 教科書販売をするために講じておる方法のうち次の点について述べて下さい。  教科書並びに教師用指導書献本実情、その他指導に関する刊行物等の配布の実情
  15. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。教科書採択のために採択者側献本する教科書実物見本は、およそ、各教科によって違いますが、平均各教科一千部の献本をいたします。そのほかに、指導書、これを無料贈呈いたします。そのほかに、教科によって、たとえば社会科のごときものにつきましては、資料を集めた資料集地域的に違います資料集というものをやはり無償で贈呈しております。そのほかに、私の方といたしましては、月刊雑誌で、市販はいたしておりませんけれども、「指導計画」という雑誌がありますが、これを大体八千部印刷しまして差し上げております。そういう実情でございます。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 駐在員または連絡員等を置いておりますか、置いておるならば、その人数、経歴、業務内容について述べて下さい。
  17. 樋口悦

    樋口証人 駐在員は、私の方の社の経営上必要であると考えまして、現在全国各地に七十三名配置しております。そのことごとくがかつての学校教員であった人ばかりでございます。私の方が駐在員を置きました駐在員使命というものをどうさしずしておりますかと申しますと、まず教科雷内容の解明をすることを主としております。それから、末端にまで教科書が正しく届いているかどうか、過不足はないかというような需給状態の直接調査をさしております。もう一つは、現場教師意見というものを聴取させておる次第でございます。言いかえれば、本来本社でやりますことを、地方の現地の実情に通じておる教員出身の者をそこに配置して、そういう使命のもとにやらせておるということに御解釈願いたいと思います。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 講習会研究会を開催しておりますか、また、開催しておるとすれば、その目的費用、開催の回数あるいは日時等について述べて下さい。
  19. 樋口悦

    樋口証人 私の方は講習会並び研究会という名目全国に実施するのでありますが、その目的は、地域差による現場実情調査であるとか、あるいは現場における先先方の御意見、また、私の方の発行しました本はこういう意図のもとにできておりますから、こう教えてくれというような意味をもってやる講習会もありますし、また、どういうふうに将来改訂していったらいいかという御意見を徴する意味で開く研究会もございます。しかし、私の方自身が進んでやります講習会研究会と申しますのは、年間を通じまして、各教科ごとによって違いますが、二百五十回以上三百三十回程度が過去の実績でございます。その費用と申しますのは、そこの設置費と申しますか、学校でやりますから、学校設置費、ごくわずかなものでありますが、その他講師派遣費用旅費、そういうものを私の方で負担いたします。そうして、講師派遣しましたときには、現場に私の方の駐在員がおりますから、駐在員に万事やらす場合もありますし、本社が出張してやる場合もあるという実情でございます。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 時期は。
  21. 樋口悦

    樋口証人 時期と申しますと、ちょっとお答えしにくいのです。年間を通じてやるのですが、私の方の方針としましては、大体秋に主力を注いでおります。つまり、九月から十一月くらい、それから、年が明けまして二月、三月、そういう時候を選んでやっております。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 その講習会の終ったあとで一ぱい飲むというようなことが通例ではないのですか。そういうことはないですか。
  23. 樋口悦

    樋口証人 講習会研究会が終りまして、今委員長お話の一ぱい飲むということでありますが、儀礼的に私どもはそういった懇親会は許しております。と申しますのは、昭和二十八年に協会宣伝実施要綱を作りまして、その範囲内におきましてやる場合にはやっても差しつかえないという許可を私どもは与えております。
  24. 篠田弘作

    篠田委員長 やる場合にはというのは、やるのが原則じゃないのですか。
  25. 樋口悦

    樋口証人 やるのが原則じゃございません。けれども昭和二十八年以前にややともするとそういう傾向がございましたもので、業者の申し合せをしましてから、私の方は、厳重に駐在員に命令いたしまして、やむを得ない場合以外はなるべくしない、やむを得ない、どうしてもしなくちゃならないという、たとえば講習会研究会が終りましてから、その先生を囲みまして、御熱心な先生がまだ数人残って伺いたいというような場合になりまして、時間が来ればお食事を差し上げるということになると思います。
  26. 篠田弘作

    篠田委員長 採択側に対する招待とか接待というものの実情はどうなっておりますか。
  27. 樋口悦

    樋口証人 採択者側に対する接待あるいは供応ということは、私の方はいたしておりません。
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 一ぺんもやったことはないですか。
  29. 樋口悦

    樋口証人 いや、社団法人教科書協会ができる以前におきましては、非常に行き過ぎの傾向がありまして、そういうことがございました。私の方は、過去におきまして、昭和二十七年に遺憾ながら鹿児島事件というものを起しまして、それ以来私の方は慎しみまして、そういうことをさせないことにしております。以上でございます。
  30. 篠田弘作

    篠田委員長 教育科学研究所所長さんの元文部省教材研究課長青木誠四郎さんという方と証人会社との関係はどういうふうになっておるか、また、研究所組織事業内容について述べて下さい。
  31. 樋口悦

    樋口証人 最初に古木誠四郎さんのことを申し上げます。青木誠四郎さんは、承わるところによると、元文部省教科書局教材研究課長であったそうであります。昭和二十四年の三月にそれをおやめになりまして、渡辺学園、今の東京家政大学の学長となられたそうであります。私の会社社会科教科書を出したいということで、昭和二十四年の秋、青木先生を二葉の社会科編集代表者としてお招きしたというのが、青木先生と私の方との関係の端緒でございます。  青木先生が現在の方の教育科学研究所所長をしておりますのですが、順序といたしまして、研究所のことを申し上げた方がいいと思います。私の方で、民主教育の実践を推進するために、特に初等教育教科指導方法教科書内容学習活動に関する諸般の調査研究とか、あるいはその発表論文出版、優秀なる教科書編集事業を行うために、昭和二十六年でしたか、社団法人教育科学研究所というものをかなり大きな抱負をもってもくろんでみたのでありますけれども、たまたまそのときに社会科教科書編集を非常に急がなければならなかった事情がございましたものですから、不本意ながら法人設立手続が延期となってしまいまして、しかも他の社会科以外の教科の掌握にまで立ち入ることができない実情となりまして、結局当初の理想が実現できなくなって、名前は教育科学研究所ということでありますけれども、ただいまはもっぱら社会科研究所というような形になって今日になっております。  初めの考えといたしましては、当社社長大野治輔理事長といたしまして、理事五名とし、青木誠四郎先生所長にしよう、こういう法人組織考えたのでありますが、今申し上げたような事情でできなくなりまして、現在は青木先生がただ所長ということで残って社会科編集をやっているという実態でございます。  以上でございます。
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 先ほど証人が触れられた、昭和二十七年五月に鹿児島県の教師教科書採択の問題で招待して、検察庁からお取調べを受けたという点ですが、その内容を具体的に詳しく述べて下さい。
  33. 樋口悦

    樋口証人 昭和二十七年の五月に、鹿児島県の理科主任先生東京へ出張されるということを聞きましたので、五月二十八日に鹿児島県の坊泊小学校理科主任松下正雄先生外九名を私の方の編集部にお招きいたしまして、理科研究会を実施いたしまして、実際家としての立場からの意見や希望を承わり、かつ討議を行なったのでございます。その御上京の二十八日の日に編集部の日本間に宿泊していただきまして、翌二十九日の離京に際しまして、鹿児島東京間の三等往復汽車賃、三千六百円であったと思いますが、概算といたしまして汽車賃として四千円と考え、車中の食事代として別に千円、結局一人当り五千円、結局十人に五万円を贈呈したという事実なのであります。この事実が贈賄の嫌疑を受けまして、鹿児島地方検察庁のお取調べを受けた次第なのであります。まことに不徳のいたすところで、ざんきにたえないばかりでなく、関係教職員の方にも大へん御迷惑をかけ、さらにひいては純情な童心に影響を及ぼすこともあることをおもんぱかって、今日まで当社としてはこの事件に対しては非常に恐縮している次第であります。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 それ以来自粛してやらなかったというお話ですが、聞くところによると、本年六月十五日に講習会名目阿久沢という人を富山派遣して、市内の理科主任二十二名を招待して宴会をやって、旅費と称して金を渡したというような事実はありませんか。
  35. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。今年の六月十五日という委員長お話でございまして、多分それだろうと想像いたしますが、富山県には小学校教育研究会というものがございまして、教育委員会援助のもとに、年間事業計画一つとしまして予算をとって講習会研究会などをしておる団体があるわけなのであります。それで、私の方へ毎年そういう申し込みがあります。特に私の方には理科先生——阿久沢というのは私の方の著者でございますが、その阿久沢先生派遣を頼んできたわけでございます。でございますから、私の方は阿久沢先生の出張をお願いしまして、六月の十五日だと思いますが、理科研究会富山県でやったはずでございます。しかるに、今委員長から、そのとき二十二名に旅費をやったというお話でございますけれども、この件は、ちょうど新聞社が私のところに来まして、こういう事実があったろうということでございまして、私は、富山県の駐在員にも電話をかけましたし、社内も調べましたけれども理科研究会をそういう形において行なったことは事実であり、阿久沢先生共済組合の宿舎に一晩泊られて帰ったということを聞きましたので、そういう事実はなかろうかと考えます。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 長野県の各都市の有力教員数名ずつを集めて、長野県のどこかで研究懇談会というようなものを今年やったことがありますか。
  37. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。長野県と申しますところはすこぶる難関のところでございまして、私の方は毎年採択も減っておりますし、講習会研究会もやってない実情なのでございます。ですから、私、現在そういうことを聞き及んでおりませんし、調査はいたしますが、事実長野においてそういうことはないと確信しております。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 六月十五日に香川県の高松市で大野社長みずから出向いて有力者を集めて招待懇談したというような事実はありますか。
  39. 樋口悦

    樋口証人 引き続いて御返事申し上げます。それも、ちょうど富山県のことがございましたときに、新聞社があわてて私のところへ参った事項なのでありますが、六月十五日でなく十八日に私の方の社長香川県の高松へ参りまして、四国ブロック駐在員をそこに集めまして、駐在員会議をやりまして、そこで一晩泊って翌日帰ったのでありまして、そのことにつきましても私は社長に十分聞いたのだけれども、そういうことは断じてないという話でございますから、新聞社にもそう答えたし、私も間違いないと確信しております。
  40. 篠田弘作

    篠田委員長 証人会社は元福島教員組合委員長佐久間利秋氏を福島県の駐在員としている事実はありますか、あればその理由を述べて下さい。
  41. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。私の方は福島県で佐久間という者を駐在員にしておったことは事実ございます。彼は昭和二十五年まで教組委員長であった人でありますが、私の方との関係を結びましたのが昭和二十六年五月と記憶しておるのです。かつての委員長でありますけれども委員長をやめましたのが二十五年の五月十五日、従ってその後私の方の駐在員となりました。ところが、今年四月県会議員に当選いたしましたので、県会議員当選と同時に私の方を辞職してもらったような次第でございます。
  42. 篠田弘作

    篠田委員長 学校生活協同組合系特約供給所、たとえば佐賀県の教育図書株式会社といったような、そういう特約供給所教科書供給に関して契約している事実がありますか。また、その契約するに至った経緯あるいは契約後における教科書採択部数の推移、増減等について話して下さい。
  43. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。今お尋ねのような、かつて学校生活協同組合であったところと申しますのは、愛媛県の愛媛教育図書販売株式会社佐賀県の佐賀教育図書株式会社秋田県の教育図書株式会社、この三つがかつての学校生活協同組合であったということでございます。私の方との関係を申し上げますならば、なぜこういうところと取引したかということになりますが、私の方としましては、発行責任を完遂しなければならないために、完全なる末端までの供給ということを念頭に置いておる関係上、供給が不円滑のところは困るのでありますが、たまたまそういった場所に学校生活協同組合教員みずからの手によってその欠陥を補うという話がございました関係で、私の方が村議に諮りまして、この三県だけは、おのおの関係しました年代は違いますが取引を開始した次第でございます。そうしまして、基本的の関係は、会社設立するときに、満額にならないと困るからというので、多少の株を持った、しかし現在ではこれを持っていない、売却済みであるというのが私の方とかつての学校生活協同組合との販売並びに取引した関係でございます。
  44. 篠田弘作

    篠田委員長 その部数増減は。
  45. 樋口悦

    樋口証人 部数増減は、今手元に資料がちょっとないのでありますが、さっき申し上げた三十年度のをもう一ぺん申し上げますれば、秋田県が五十七万六千、佐賀県が九十四万、愛媛県が六十六万二千で、その以前の数字はちょっと記憶しておりませんけれども昭和二十七年にはこれ以上多かったのでありますが、二十八年以降この三県とも遺憾ながら今日までだんだん減ってきておるという現象でございます。
  46. 篠田弘作

    篠田委員長 その協同組合と取引しない前にはどうだったんですか。
  47. 樋口悦

    樋口証人 これは、生協と直ちに取引したのですから、その前というのはございません。
  48. 篠田弘作

    篠田委員長 ゼロですね。
  49. 樋口悦

    樋口証人 はあ。
  50. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの会社は準教科書販売の際に学校側に対して定価の約一割の割り戻しをしておるということを聞いておりますが、それは事実ですか。また、こういう事実があるとすれば、それは商業上の習慣によるものか、それとも学校側要求によるものか、それを述べて下さい。
  51. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。私の方で発行しております教科書に準ずる坊間準教科書といわれるものに対しましては、私どもの方は学校側に対して商慣習としまして一割を戻しております。それは事実でございます。
  52. 篠田弘作

    篠田委員長 それは商業上の習慣ですか。
  53. 樋口悦

    樋口証人 私の方は商業上の習慣考えております。
  54. 篠田弘作

    篠田委員長 よその会社もやっておるんですね。
  55. 樋口悦

    樋口証人 他社は存じませんが、慣習であれば、おそらくお考えになっていることではないかと思います。
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 商業上の慣習というと、よそもやっていなければ慣習と言うわけにいかない。よそもやっているんですか。
  57. 樋口悦

    樋口証人 と思います。
  58. 篠田弘作

    篠田委員長 思っただけじゃ慣習にならぬな。  証人発行しておる教科書の中に、雪印バターあるいはオリザニン・レッド等特定会社の商標を掲載しておるが、掲載するに至った事情について述べて下さい。
  59. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。今お話のございました雪印バターオリザニン・レッドという問題は、私の方で発行しております小学生の理科の五年に載っかっておるのですが、昭和二十九年度の供給本の十五ページにオリザニン・レッドということが出ております。それから、十六ページに、灰分を含む食物というのがありますが、この中で小さく出しておるのですが、これに雪印バターと確かに出ております。その事実を認定いたします。しかし、これは私の方で気がつきまして、昭和三十年度の供給本には雪印バターを削りまして、ただバターと完全に直しております。ただ、私の方で小学生の理科を今まで上、中、下と三冊出しておりまして、これとまた別口に上、下というものを出しまして、私が今完全に直ったと申し上げたのは、新訂小学生の理科上、下二冊のうちの方が完全に直っておるので、三冊分の方の中の方はまだ遺憾ながら直っておりません。バターの方は雪印という字は削ったんですが、編集の手違いでオリザニン・レッドを削るのを忘れておりましたものですから、三十一年度からこれを完全に直すつもりであります。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 それは広告料でも取っているんですか。
  61. 樋口悦

    樋口証人 そういうことはございません。会社が取ったかという新聞社お話もありましたけれども、そういうことはございません。お前が取らなければ、絵かきか著者が取ったろうということも、私も調べましたけれども、そういうことはございませんから、証言いたします。
  62. 篠田弘作

    篠田委員長 教科書の価格を現行より安くするために、出版社として営業上どのような合理化が期待されるかについて述べて下さい。
  63. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。教科書をいかに安くするかということは、業者の常に考えておるところでございます。これには、印刷工程の問題、用紙の問題、それから宣伝、そういった方面において、私ども業者並びに国家のお力を拝借するなりして、教科書の定価を下げていくことができるのではないかと思っております。
  64. 篠田弘作

    篠田委員長 どんな点で国家の力を借りるんですか。
  65. 樋口悦

    樋口証人 それは、よく言われるんですけれども、鉄道運賃の問題がございまして、御考慮願ってこれを安くしていただくということも一つではないかと思います。
  66. 篠田弘作

    篠田委員長 運賃だけですか。
  67. 樋口悦

    樋口証人 あるいは用紙の買い入れにつきましても、ここに何らか用紙会社と話し合いをして、もう少し安くするということ、それから印刷工程を合理化するということ、なお編集上の技術もこれに加わってくると思いますが、そういう面から安くなるのではないかと思っております。
  68. 篠田弘作

    篠田委員長 委員長よりの尋問はこれにて終了いたしました。  これより委員諸君の発言を許しますが、これまで通り十五分程度とし、努めて重複を避けられるようお願いいたします。松岡松平君。   〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
  69. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 証人にお尋ねいたしますが、証人のところで昭和二十八年に販売した小学校中学校教科書の極数、それから総売上げの額はどのくらいになっておりますか。
  70. 樋口悦

    樋口証人 昭和二十八年の種類は、小学校は全科目でございます。中学校は主要科目だけであったと思います。そうして計九十六点発行種類があった。採択部数は二千二十六万七千冊。その金額と申しますが、二十九年の考課状しか持ってきませんでしたから……。
  71. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 二十九年の意味で申したんです。
  72. 樋口悦

    樋口証人 教科書の売上げは、私の方の手元に入ったものが八億強でございます。
  73. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 総売上金額八億強に対して、あなたの方が販売のために費やされた間接費というものは一体どのくらい支出されておるのですか。
  74. 樋口悦

    樋口証人 私の手元にございますのは、私の方の会社の性質上教科書印刷とがやや一緒になっておりますから、多少混雑すると思いますが、お許しを願って御説明します。間接費と申しますのは、私は販売費並びに一般管理費を間接費と考えますが、この費用がどれくらいかかったかというと一億八千百万、しかし、そのうち印刷が入っておりますから、少し差し引いていただきたいと思いますが、およそそういうふうになっております。
  75. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 印刷といいますのは間接費用なんですか。
  76. 樋口悦

    樋口証人 私の方は、事業の形態が、教科書が八〇%、二〇%は一般の雑誌と申しますか定期刊行物の委託を扱っております。それで、経理が一緒でありますから、考課状面は……。
  77. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そういう考課状面をお伺いしたいのではなくて、少くともあなたは会社の主脳者であられるんだから、小学校中学校教科書を売るについてどれくらい費用を使っておるかという概算はおわかりだと思うのです。だから、その概算の数字を伺えばよろしいのです。
  78. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。概算数字でお許しを得て申し上げます。大体私の方の総売上の二〇%、——八億としますと一億六千万とお考え願いたいと思います。
  79. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そこで、お伺いしたいのです。結局、現在の制度から言って、二〇%というものは、採択に対する招待とか接待とか、あるいは人件費とか交通費とか、いろいろなものが含まれるのですが、採択について教員接待あるいは研究会あるいは展示会等において費される費用はその中でどれくらいの割合を占めておりますか。
  80. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。私が今一億六千万と申し上げましたその数字の中から、事務員の給料その他そういった当然に差し引くべきものを差し引きまして、法定展示会を含めまして献本その他から考えましてその半分を使っておるとお考え願いたいと思います。
  81. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、相当多額な間接費用を使っておいでになるのですが、結局、採択してもらうためにはどうしても各学校先生方と連絡を持つ必要が当然に持たれてくるんじゃないか、そうすれば、駐在員にしても、あるいは出張員にしても、また学校から東京に出てきた場合にも、供応、接待というものが相当ありますか。そういう点をあまり隠さないで端的に述べて下さい。私が伺いたい趣旨は、これをスキャンダルとして特にどうこうというよりは、むしろ、現在の教科書販売のあり方、結局そういう費用のかかるようなあり方であるかという関係を知りたいというのが目的でありますから、どうぞその点を……。
  82. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。八千万と申し上げてあるのですが、それがことごとく今お話しのようなものに使われているわけではございませんで、そのうち法廷の献本並びに私の方の自由献本というものが入っておるのでございます。それから、地方からの上京者をどう扱うか、その費用もあるわけじゃないかというお話でございますが、まことに、昭和二十七年ごろまでは非常に盛んでございまして、工場見学に名をかりまして相当あったのでございますが、二十八年以降私の方も駐在員を通じて自粛しております。しかしながら、工場の見学を申し出る者もありますので、私の方はやはり商売がかわいいものですから、むげに断わるわけにいかず、そういう場合に工場の見学も差し許しておるわけです。しかしながら、巷間伝うるように、そういう方を極力供応してどうこうというようなことはございません。ただ、 おいでになって、お食事時間になれば食事も差し上げます。まことにやむを得ないときには宿泊のあっせんもいたします。そういうことでございまして、特にそういうものを供応本位に使うということはしておりません。
  83. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 一つお尋ねしたいのですが、あなたの方は日本教育新聞という新聞社に対してある金額をお貸しになった事実はありませんか。
  84. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。今のお話の点は、私、取締役として、そういうことは存知していないと、はっきりお答えいたします。
  85. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それでは、もし、現在の販売のあり方を、こういうふうに自由販売でなくて、もっと統制のとれたものにした場合には、どのくらい現在の定価より引くことが可能か、この点を一つお伺いしたい。
  86. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。現在の制度をいかに直すかということは今後の問題でありますが、かりにかくかく直されたとするならばどのくらい定価を下げられるかという御質問で、非常にむずかしい問題でありますが、私の方といたしましては、パーセントというよりも、五十円のものを五円くらい下げることに努力したいと考えております。
  87. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、結局あなたの方の販売上の努力でだんだんそれは狭められていくという意味の間接費の節減ですが、たとえば、各出版会社一つの配給機構を作って、それをして行わしめるというような方法にすれば、ずっとこれは減るのじゃありませんか。
  88. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。かつてはそういうこともちょっと話にありましたけれども、日本の経済の現状から申しまして、今にわかにそういうことはできかねると考えます。現在の配給機構、発行会社から特約、特約から取次という制度につきましても、十分研究すべき余地はありますけれども、現在これを直ちに廃止するということは、やはり業界の混乱を来たすことであって、とくと考えるべき問題ではないかと思います。
  89. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 著者でございますが、教科書を作り上げられる上において最も基本になりますこの著者は、現在、あなたの会社で、小学校で何名くらい、中学で何名くらいの著者に関係を持っておられますか。
  90. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。私の方でかかえております著者は、合計概算二百名でありまして、少し逆になりますが、半分強が中学で、半分弱が小学校でございます。
  91. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 この著者の中に講師団というグループに関係しているような人がありますか。
  92. 樋口悦

    樋口証人 今の御質問のうち、講師団というのはどういう意味なのでありますか。
  93. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 どういう意味というわけではない。日教組関係の著者グループです。
  94. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。ふだん私ども先生々々と申し上げておるので、そういうことを私ちょっと存じません。
  95. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それでは、あなたの方の教科書を作られる一つの方針として、どういうような方針で教科書を作ろうという会社の方針であるか、言いかえるならば、著者の思想的傾向というものはかなり問題になるものと思いますが、著者を選択するに当ってどういう基準で選んでおられるか、それを承わりたい。
  96. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。なまいきなことを申すようでございますけれども、私どもは、教育基本法の精神にのっとりまして、教育の公正な立場を守って、特定の主義、信条に片寄らない態度を編集方針としております関係上、著者を選定いたします場合に、大学の先生であるならば、その先生の各種の研究発表物、著作物その他の資料に基きまして、先生の候補をあげる、あるいは、現場先生であるならば、地域差、能力差に応じられる著者であるかどうか、言いかえれば、著者の在任校が、大学の付属校であるとか、私立校であるとか、いずれかに偏してはいないかというようなことも十分考慮し、出身地別ということも十分に考慮しまして、私の方の最高会議において、この先生ならばというところで著者の選定をいたすのでありまして、あくまでも学的な立場が中立的であるということを考えております。
  97. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、御社の教科書を作り上げる方針として、あくまで中立的な方針を堅持しておる。そうすると、あるいは共産党に関係ある著者とか、あるいは共産主義的の濃厚な意識の高い人は採用しないという方針でありますか。
  98. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。今のお話で、結局、教育の中立とは何ぞやというようなことになってしまったのでありますが、私ども会社を預かる者にとりまして、政治的教育に偏しない、また宗教的教育に偏しない、不当な支配に服しないというような、いわゆる教育基本法にある三カ条に照らしまして、これならばと十人が八人まで認定するならば、これは中立であると考えてよかろうかと思ってやっております。
  99. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それでは、具体的にちょっと問題になる部分についてお尋ねいたしますが、社会科教科書です。これは非常にむずかしい科目だと私思うのですが、あなた方がこれに対してどういう関心を持っておられるかを伺いたいのです。一例をあげますと、ストライキを子供に教えるために、一体ストライキというものはどうして起るのか、そうしてどうすればなくなるのかというようなものの考え方について、私ども教科書をいろいろ見てみますと、あるものの説明によると、かなり唯物史観の強烈な考え方を表現したものもあれば、その点をかなり緩和した、やわらかく取り扱っているものもある。御社においては、かような問題に対しては、重役会などを開かれてその原稿について審議するような組織ができておりますかどうですか。
  100. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。今厳重な御質問でありまして、因りますが、私の方は遺憾ながらそういう場合に重役会を開いて原稿を見るというところまで手が届いておりません。しかし、編集に当りまして、編集責任者には、社長並びに役員会の方から厳重に著者の方にはそういうことを伝えてございます。従って、現実にストライキということが書いてあるか、ストライキをやっていいということが書いてあるかいう御質問に対しては、今一々内容を知りませんから、お答えできないのであります。
  101. 高木松吉

    ○高木委員長代理 松岡君に申し上げます。持ち時間が過ぎましたから、簡略に願います。
  102. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 もう一点。  そこで、あなたは厳正中立ということを言っておられるのですが、その厳正中立というのは、一体具体的にどういうことなんですか。思想で言えば共産主義もあれば社会主義もある。自由主義もあれば宗教的世界観もある。あるいは仏教的世界観もある。キリスト教的世界観もある。いろいろあるのですが、中立というものは一体どういうところをさすのか、あなた方はどういうふうに考えておられるか。
  103. 樋口悦

    樋口証人 非常にむずかしい問題で、国会議員の皆様の方にお願いしたいような問題でございまして、私、ちょっとお答えできないのであります。ただ、申し上げました教育の中立とは、教育基本法にある三カ条にのっとっていくことであると確信している次第であります。あとは議員の皆様の方でお考え願います。
  104. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 最後にお尋ねいたしますが、現在、教科書は少くとも三千種類からに分れて、たくさんのものが競争して販売している。従って、学校先生方にしても、いずれの本を採択するか、大へん困るわけです。また、売る方にすれば、これを売るためには、大へんな金を使って、あるいは供応し、あるいはおせじを使い、物質を提供して、ともかく販路を拡張しなければならぬので、大へん御努力になっていると思う。そのためにいろいろなスキャンダルも生まれてくる。しからば、これをどういうところまで圧縮すれば合理的だとお考えになっておられますか。
  105. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。今教科書が三千種類で多いということでございますが、これは、業者の側からでなく、世論その他において御批判を願うことにいたしまして、どうすればよいかということでございますが、これは、今の展示会制度を十分に育成していく、言いかえれば常設展示場を法律化する、そこへ各業者は十分の宣伝をしてよろしいという道を開いていただきたい。そうして、採択する方の側も、その場において長い時間かかって十分に研究の上きめていただく。講習会研究会もできてれば公的な性質を持ったものにして、希望する者には平等に開かせてやるというような制度がほしいと思います。
  106. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 質問を終ります。
  107. 高木松吉

    ○高木委員長代理 高津正道君。
  108. 高津正道

    ○高津委員 あなたの会社は八億円の商売をなさっているのですが、普通の場合印刷会社教科書出版と別にしているのに、あなたのところでは一つでおやりになっているのは、どういう事情に基くものでしょうか。
  109. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。私の方は、もとは印刷所が主であって、そのほかに別に二葉図書株式会社というものを作って、教科書は別に扱ったわけなのでございます。しかしながら、安く本を作るにはどうしたらいいかということで、これを合体して一貫作業にした方がロスが少くていいのじゃないかというような考えのもとに、これを一緒にしたわけでございます。
  110. 高津正道

    ○高津委員 あなたの会社には特約供給所が株を持っておりますか、これが一点。それから、配当総額と、あなた方役員のとっておられる俸給、ボーナス、手当というか、それらの総額はおのおのどのくらいですか。昭和二十九年度で。
  111. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。御質問の、私の方の会社には特約供給所が株主であるかどうかというお話でありますが、私の方には特約供給所は一人も入っておりません。それから、今お尋ねの昭和二十九年の利益金は、千五百八十九万五千円でございます。それから、配当が六分、二百七十万円、役員の給料、手当が三百五十八万八千円でございます。
  112. 高津正道

    ○高津委員 あなたは駐在員全国で非常に少く置いておるように御報告になりましたが、たとえば神奈川県の場合、われわれの聞くところでは二郡で一人というふうな数になっており、本社への登録と別に人が配置されておる、また、二郡に一人のほかに、その下に手足のようになって働く人がついておる、こういうように業界で言われておるようでありますが、末端までの駐在員の総計はどのくらいでしょう。あなたにはおわかりだと思うから、お尋ねをするわけです。
  113. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。駐在員は、私は先ほど七十三名と御回答申し上げました。今、高津先生からのお話で、こうではないかというお話でございますが、私の方の駐在員は七十三名であります。時期的に駐在員を増加をしなくちゃならぬ場合がある。そういう場合には、駐在員の申し出によって補助的に使います。しかし、それは私の方が嘱託として頼んでおるのではございません。駐在員の申し出によって、四カ月とか五カ月とかいうような関係でございます。従って、その数はあるいは百名をこえるかもしれませんが、現在の駐在員として私の方が固定的のものをやっておるのは七十三名でございます。
  114. 高津正道

    ○高津委員 臨時に嘱託を今の駐在員の申し出によって加える場合があると言われるが、それらの総計はどのくらいですか。
  115. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。手元に名前を書いて持ってきませんから、わかりませんが、最高百三名くらいです。
  116. 高津正道

    ○高津委員 教科書制度をわれわれが研究してみて、問題はあちこちにありますけれども、問題の一番大きいのがこの駐在員制度だと思うのです。駐在員が問題なのだが、あなたの御説明によれば、内容の解明に当っておるのだ、末端に対する需給状態調査をさせるのだ、現場教師意見を聴取するのだ、改訂に対するまた希望を聞くのだというようなお話で、売り込みのためには何も活動していないようでありますが、これが問題になるのは、売り込みに駐在員を使ってやるのだ、駐在員を持っておるところはどんどん売り込めるが、駐在員を持っていない小さい会社の場合は、専門に一人一業でそれに魂を打ち込んで教科書ができても、その分が売れないようになるのは、大手筋が駐在員で地盤を押えておるからだ、こういう点にあると私は考えるのでありますが、駐在員はやめねばならぬという世論が非常に強まってきた場合、あなたの会社ではこの駐在員をやめる用意ありやいなや、承わりたいと思います。
  117. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。私の方の経営上の現状からいたしましては、駐在員は現在必要なのであります。しかしながら、今世論で駐在員の問題がやかましく言われております。それから今高津先生からもいろいろの点を指摘されましたので、また私どもの業界の団体である協会においても目下駐在員の問題を取り上げておるわけなので、多年私の方が経営上必要としてきたものをここで一挙にやめるということはかなり経営上重大問題でありますが、その存否につきましては、みなと協力いたしまして、とくと考慮したい、その点についてやぶさかでないということを申し上げておきます。
  118. 高津正道

    ○高津委員 宣伝用の教材の無料配付というものはあなたの会社が一番多いように思えるのでありますが、それを自粛するというか、よそ並みにする用意ありやいなや、またうんとそれを控える用意ありやいなや、これをあわせて伺いたいと思います。
  119. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。大体指導書つまり教師用というものは学年に一冊というのが今までの慣習であったのでありますが、現在においては各クラスにこれを出しておる。言いかえれば、各クラス五十名としますと、五十冊について一つ指導書を無料進呈しておるという結論になるわけであります。これはお前の方が一番多いではないかということでありますが、あるいは、一番多いというよりも、クラス単位で差し上げることを始めたのは私の方が最初かもしれません。従いまして、これにつきましても、私どもは全部これを有償にしようかというような議論も今しておるわけなのです。ですから、その用意ありやいなやというお話でありますが、私の方としましても、業界各位と相談の上そういう点にもやはり考慮をして定価の値下げの一助としようかというような議論も今あるわけでございます。御報告しておきます。
  120. 高津正道

    ○高津委員 現在教科書の数が多いということを大いに宣伝する者がありまして、そんなに多いのならやはりしぼった方が安くなるだろうというような俗論が生まれておるのでありますが、民間検定がよいと思われるか、かつての——かつてのという言葉をやめて、国定制度がよいと思われるか、簡単に御意見を承わりたいと思います。
  121. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。国定か検定かという問題は今世間の花形の話題じゃないかと思います。私ども業者は、二十三年に制定せられまして今日まだ十年とたたない検定制度のよさというものを十分に味わっておりますので、この制度をできるだけ育成したい、検定制度の欠陥があるならば、その欠陥を補いつつこれを完成していきたいというふうに常に考えております。
  122. 高津正道

    ○高津委員 その点だけは私は証人と全く同じ意見でありますが、あなたのところで出された小学社会科地図帳というのがあります。それを見ますと、この間、人文地理学の飯塚浩二教授、あの人が新聞で指摘されたように、樺太のいわゆる北緯五十度の線のところに国境を作って、そうしてソ連の色とは違えた色を南樺太に塗っておられる。これは日ソ交渉の妨げになるばかりでなく、いたずらにソ連を刺激するものであろう、どういう著者がやったのであろうかと、われわれはうわさに聞いて考えておったところが、今の飯塚教授の説によれば、これは著者がやったのではないのだ、文部省の文部事務官が編集者を各社から集めて、これは国境を入れた方がよかろう、こういうことを言ったという。もし文部省の事務官の言うことを聞かないならば、組版の許可も下りないから、どうも強いものには何というか従うがいいというので、民間検定の精神を忘れて、文部省が文書で言うのでもなく口頭指令でそういうことを命じたのに対して、それを唯々諾々として色を変えておられるのでありますが、色まで変えろということをそのときあなたの社に言ったのですか、どうですか。
  123. 樋口悦

    樋口証人 高津先生からの御指摘がありましたように、地図が前年度と三十一年度とでサガレンの色が違っておるということは私も聞いておったのであります。どういう事情でそうなったか、事編集に関するもので、私、ここへ来るまでにまだ編集の者と打ち合せておりませんものですから、どうお答えしていいかわかりませんが、色が変っておったということだけを見て参りました。従って、帰りましてからよく調査いたします。
  124. 高津正道

    ○高津委員 大まかな、何もかもうんよしよしという社長でなく、あなたは取締役であり、秘書役で、編集部も統括しておられるし、営業部も統括しておられ、表面も裏面も全部やっておられる。そのあなたに、文部省ではこういうことを言いますがということを報告しなかったと言われるのですか。私は報告は受けておられようと思うのだが。
  125. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。私、取締役として、そういう報告は受けておりません。はなはだ不本意でありますけれども、受けておりません。ただ、そういう事実があったということを事務局の方から承わったので、私、見てここへ参ったわけであります。なおよく取り調べるつもりでおります。
  126. 高津正道

    ○高津委員 一冊の地図帳の中に三カ所もある。日本は講和条約の第二条C項において、戦争によって奪ったところの権利、権原及び請求権を放棄するということをサンフランシスコの講和条約で吉田さんが気前よく向うへやったんですよ。そうして、ヤルタ協定その他で、それはソ連のものであるということにソ連もちゃんと考えておるし、各国もそれを文書にはしないが了承しておるわけです。それを、日本がちょうど日ソ交渉をするときに当って、本年から、すなわち三十一年度の教科書から北緯五十度の線に日本と国境線をわざわざ作って、南は色まで変えておる。こういうようなことをやれば、これでも腹を立てないのか、これでもかこれでもかというように向うを刺激することになるのでありますが、そこまで文部省が色を変えよと言ったのか、他の会社は、国境線が明確なだけで色を変えるまでには至っていない、国境線をはっきりつけておるのにとどまるのですが、あなたの会社は色までつけて、日ソ交渉やソ連との間が悪くなるようにやっている。無人の島である小さな竹島でさえ大問題になるのに、あのやかましいソ連に対して、勝手に日本からこの樺太のまん中に線を入れて、全部小学生、中学生に読ませるということになれば、非常な外交問題になると思います。これは、外務大臣の意見を聞かねばならぬし、最後に文部大臣を呼んでちゃんと意見を聞こうと思いますが、そういうような日ソの国交が円滑性を欠くようなことを、二葉の人が文部省にこびて——文部省は色までは言っていないのではないかと思いますが、あなたはわからないと言われるから、どうか委員長は、文書をもって、編集者がどういう口頭指令を与えられたのであるか、本委員会に対して回答をとっていただきたいと思います。これだけを委員長にお願いをして、私の質問は終ります。
  127. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して……。
  128. 高木松吉

    ○高木委員長代理 本会議関係もありますから、簡単に願います。
  129. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいま高津委員から御指摘になりました樺太の国境線を引く問題は、二葉の地図帳ばかりではなく、日本書院とか、学校図書とか、古今書院とか、そういうほとんどの会社の地図帳がそういうことになっている。ことにひどいのは学校図書で、朝鮮までまつ赤に同じ色に染めている。これは驚いたものです。また、地図帳によっては、その境界線を五十度線ときっちり引かないでいるようなところもある。そういうような……
  130. 高木松吉

    ○高木委員長代理 西村君に申し上げますが、御意見ですか、質問ですか。尋問するなら尋問していただきたい。ただいま申し上げたように、本会議を開いているので、議長の方からなるべく出席してくれろということですから、簡略に願います。
  131. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今高津委員から資料提出を求められましたが、その他の会社にも同様の要求をぜひやってもらいたい。このことは相当追及して明確にしなければならぬ問題であると思う。ずっと以前から、文部事務官が調査員あるいは図書会社編集担当者、そういう人々に対して証拠の残らない口頭での圧力をかけているということを指摘して参ったのでありますが、今回はしなくもこの地図帳で具体的にはっきり出てきたわけです。それでありますので、この資料は各会社に提出方を委員長からぜひ一つお取り計らい願いたい。
  132. 高木松吉

    ○高木委員長代理 ただいまの高津君及び西村君の御要求は、理事会に諮ってこれを行うことにいたします。
  133. 大西正道

    ○大西委員 関連して。私は、今の点だけもっと明確なお答えがあれば、きょうはあえて聞かないでおこうと思ったのですが、高津委員もいいかげんなところでほこをおさめられたようでありますし、あなたもそれを知らないというようなことでありますので、その点についてだけ関連質問としていたします。  例をとりますれば、あなたはいつ樺太の半分が色が変えられておるということを知ったのですか。この間の新聞に出てからわかったのですか。それともその以前におわかりになっておったのですか。
  134. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。愚鈍な私、まことに残念でありますが、新聞を見てから承知いたしました。
  135. 大西正道

    ○大西委員 これは、あなた、発行の責任者として大へんな失態だと思うのです。前から知っておられただろうと私は思いますが、あなたは発行者として教科書のまことに重大な問題について今初めて知ったということであります。知られてからあなたは証人として呼ばれておるのでありますから、こういう問題が尋ねられるということはおそらく御存じであったと思う。それを知らないというわけにいかぬと思う。これは外交上の問題がどうだこうだという問題じゃないと思うのです。そういう方面から重大視される方もあるかと思いますが、私は検定に関する問題としてこれを重視したいのです。あなたはよほどこの点については覚悟をし、またいきさつも研究して臨まれておると思うのです。それを今、私は知りませんでしたと高津委員の質問にお答えになっておるのです。これは一つ虚心坦懐に答えていただかなければならぬのです。この間の土曜日の新聞で初めて知ったと言われるが、それじゃ、その後、なぜこういうことになったのか、あなた方が原稿を出すときからこういうように色を違えておったのか、どういういきさつでこうなったのか、こういうことをお調べになっておると思うのですが、一体これは、あなたが初めてこの原稿を審査に出されるときにこういうふうになっておったのですかどうですか。
  136. 樋口悦

    樋口証人 お答えいたします。高津先生のときに申し上げました通り、原稿のときには私見ておりません。それで、ただいま申し上げた通り、遺憾ながら新聞で知った。大へん無責任じゃないかということで、まことに痛み入った次第であります。それを知りまして今日まで調査してこなかったじゃないかということについても、まことに申しわけない、こう考えております。さっそく帰りまして調査いたします。
  137. 大西正道

    ○大西委員 この地図の編著者はだれですか。
  138. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。それは東大教授の田中薫先生です。
  139. 大西正道

    ○大西委員 その後あなたはその編著者に会わないのですか。
  140. 樋口悦

    樋口証人 会っておりません。
  141. 大西正道

    ○大西委員 それから、この問題をあなたが知ってから著者に会わなくても、あなたの社の中のこういう部門の担当責任者に、これは初めはどうなっておったのか、どういういきさつでこうなったかということも聞かなかったのですか。
  142. 樋口悦

    樋口証人 新聞に出てから知ったということは今申し上げた通りでありますが、それまでに私は調べませんで、編集の方にどういういきさつだか調べておいてくれということを頼んだだけでございます。まだその返事ももらいません。
  143. 大西正道

    ○大西委員 あなたは、その責任者として、頼んでおいて、その返答も聞かないでここへ臨んでおるというのですね。これは、あなたが今ここで知らぬと言っても、この問題は打ち切りませんから、そういう答弁でしたら、これは次に引き続いてこの問題だけは明らかにしておかなければならぬと思う。売り込みばかりに力を入れて、こう内容が粗雑になって、検定制度を育成してくれと言われても——検定の権威をみずから失墜するような内容を新聞が取り上げておるのに、その責任者が、それに対して何も検討も加えなければ、どういういきさつであったかということも知らないでおるということは、まことに驚きあきれた次第だと思う。  そこで、私はなお聞きますが、この問題はあなたわからないとすれば、あなた方が検定審査に出された場合ですね。昔ですと、私が検定委員をやっておったときは、だめならだめでそれは突っ返した。ところが、今日、検定の審査員も知らなければ調査員も知らないのに、文部省のいわゆる幹事と称する者が、ここをこう直したらパスさしてあげるということを各出版社へ申し入れているようだ。これは、いい意味に解釈すれば、せっかく一年から六年までの教科書が通っているのに、五年だけがたとえばちょっとしたはずみで通らなかったという場合、これでは発行者もかわいそうだし、採択者も不便だ、だからこれはそういうところをちょっと注意してよくなればお互いにいいのだからというような親心からであったと思いますが、そういうことが公々然と実は行われているのでありますが、そういうことは御存じでしょうか。
  144. 樋口悦

    樋口証人 検定のために原稿を出しまして、文部省からサゼスチョンを受けるということは承知いたしております。
  145. 大西正道

    ○大西委員 それは、あなたの記憶するところではいつころからありましたか。
  146. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。いつごろという記憶は私ございませんが、編集で出したものが戻ってきまして、そして、こういうサゼスチョンであるという赤礼がつきまして、それを直して出しておるということは相当前から承知しております。
  147. 大西正道

    ○大西委員 それはどういうところの発行所に対して、どういう教科書にそういうことがありましたか。あなたの記憶にあるところでよろしいから、おっしゃって下さい。
  148. 樋口悦

    樋口証人 はっきり申し上げられるのは、社会科にあったと思います。
  149. 大西正道

    ○大西委員 社会科には、何点くらい、どういう個所、——これは一つや二つくらいは記憶にあろうと思います。そのほかの科目についても何カ所くらいそういうことがありましたか。
  150. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。何カ所くらいと言われても、私ここで何カ所ということを確実にお答えできませんが、ただ一つの例を申し上げることができるのであります。たとえば、社会科で、かたかなで書いてしかるべきところを、それは和名であるからひらがなで書くというようなところがあったように聞いております。
  151. 大西正道

    ○大西委員 それは非常に形式的なことですが、たとえばこの地図のように内容に立ち入ってかなり重大な意味も含まれると思われるような点についてのサゼスチョンはなかったですか。
  152. 樋口悦

    樋口証人 現在の私の頭の中では、そういう記憶はないのであります。
  153. 大西正道

    ○大西委員 そういう場合に、あなたの方では一体どういう機関でどういうふうな審議を経てそのサゼスチョンに応ずるような修正をやるんですか。あるいはまた、やらないでそのまま突っ返すようなことがありますか。これは少し詳しく話してみて下さい。
  154. 樋口悦

    樋口証人 私の方の組織から申しますと、そういうものは、編集員が受けまして、編集部長に相談しまして、そして著者を集めて会議を開いて、直すべきところは直して出すというようなやり方でございます。そうしまして、私どもが報告を受けますのは、パスしてから、あるいは落ちてからで、その中途においては特に報告というものを受けておりません。
  155. 高木松吉

    ○高木委員長代理 大西君に申し上げますが、関連質問で、普通の持ち時間が過ぎますから、簡略にお願いしたいと思います。
  156. 大西正道

    ○大西委員 私は簡単にやっておるつもりですが、これは検定の一番根幹をえぐるところですから、もう少し伺いたい。  あなたは今度の地図のことは知らぬと言われるが、これまで再々そういうサゼスチョンを受けて、しかも編集部編集部長ですか、そこまで問題がきて、そうして編著者との間に会議まで開いて、そうして修正までしておるのです。ところが、この問題に限って、あなたは知らぬと言うのです。私はこれは納得ができないのですよ。これはおかしいのです。しかし、あなたがそれ以上知らぬと言われれば、仕方がありませんけれども、こういう問題は事重大です。私は何も、これから日ソ交渉があるときにけしからぬ、そういう政治的な発言ではない。検定というものに対して文部省の役人というものは口をいれてはならぬような仕組みになっている。だから検定だし民主的だと言われておる。実際サゼスチョンというものは検定をやる内規ではきまっておらぬのです。私はそこを明らかにしたいからあなたに聞いておるのですから、そこのところをもう一回お伺いしますが、あなたは地図の問題についてその後何ら編集部長と打ち合せしていなかったのですか。なければ、私は、その編集部長をここに来ていただいて、この点を明らかにしたいと思っておるのです。これで私の質問は終ります。
  157. 樋口悦

    樋口証人 地図の問題は、先ほど私が申し上げる通り、私は新聞を見てから気がついた点で、はなはだ申訳ないのですが、多分、編集途上におきましては、そういう問題についてもとくと編集部は研究したことだろうと思うのですが、私の方にはそういう話はない。私も聞かなかったことは残念であります。どういう経路を経たかということは、私が新聞を見ましてから編集部の方に頼んでございますから、できましたら、私、帰りまして書面をもって先生にお答えします。
  158. 大西正道

    ○大西委員 これは委員長にお願いしておきます。前の委員から一つの希望があったのですが、私はそれにつけ加えまして証人にお願いしていただきたいのは、文部省からサゼスチョンを受けた回数、そしてその個所、それに対して、原案はどういうものであるか、サゼスチョンを受けて修正したのはどういうものであるか、これまで検定に合格したもの、あるいはまた落ちた場合にはそれを修正してない場合があると思うのですが、それを全部調べて、次の機会に御報告願いたい。この点だけはもう一回証人に御足労願いたいと思います。お願いいたします。
  159. 高木松吉

    ○高木委員長代理 その点は、先ほど申し上げたような手続をとることにいたします。  濱野清吾君。
  160. 濱野清吾

    ○濱野委員 先ほど、証人は、展示会に関しまして、講習会研究会等のお話もありましたが、展示会の開催の方式、すなわち公的にこれを行い得るようにするならば非常にけっこうじゃないかということで、そうすれば本の価も安くなるようでもあるし、また、われわれの考えとしては、とかく議論をまき散らすところの駐在員あるいは連絡員というようなものにつきましても経費が少くなることになって、非常に傾聴すべき意見であると私は考えております。そこで、今後国でどうするかの問題でありますから、その点は証人からこまかく拝聴する必要はございませんが、このとかく経費がかさみ、しかも不正競争、不公正な取引が行われるような問題点は、駐在員や、さらにまたいろいろな形で会社の売らんかなの政策推進をしているところに私は今日の問題点があると思います。そこで、証人が先ほど言うように、公式な展示会、研究会講習会を作ってしまえば、駐在員とかあるいはその他の連絡員というようなものを置かずに、しかも証人会社の売り先の拡張などは可能と考えるかどうか。この問題は、将来こうした供給の面について非常な重要な参考の意見になりますから、お聞かせを願いたいと思います。
  161. 樋口悦

    樋口証人 濱野先生にお答えいたします。私が先ほど申し上げましたように、現在の展示会制度の合理的な変更が行われるならば、いわゆる巷間伝えられるような不正競争もなくなるでしょうし、またそういう制度こそ駐在員を置かないでいい制度にきりかわるものだと考えております。ぜひそういうふうにしていきたいと思っております。
  162. 濱野清吾

    ○濱野委員 わかりにくかったかしれませんが、展示会を証人の言うように改め、また、証人会社などが駐在員やさらにまた連絡員等を置いて、それがごちそう政策をしてみたり、あるいは忌まわしきその他の手段で業権の拡張をするというようなことをしなければ、その経費は非常に少くなって、教科書が安い単価で子供にわかち与えることができ。その点の見通しとして、たとえば、百人あるとか九十四人あるとか、証人会社その他の大会社では、およそ私どもの推定では百人は下るまいと思うのですが、そういう駐在員や連絡員はなくなっても、業務執行について支障はないかどうか、この点をあなたの見通しとして証言してもらいたいというのが私の第二の尋問であります。
  163. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。濱野先生お話の通りのことが実現できるならば、私の会社としては駐在員も要りませんし、経費も安くなります。そうして、私の方の経営上には、特にそれが減少を来たすというようなことは、私の見通しとしてはございませんと確信します。
  164. 濱野清吾

    ○濱野委員 もう一点お伺いしますが、委員長の尋問のうちの第八項、学校生活協同組合系の取引を、証人会社では、佐賀愛媛秋田で行なったという証言がございました。この経緯は先ほど簡単に拝聴いたしましたが、念のために、もう一度、どうしてこの学生協と結ぶに至ったか、どうして学生協と結べばかくのごとく膨大な数字がすく出たか、——言うまでもなく、これは採択面と供給面とに非常なデリケートな関係があるし、本委員会としても、そういうことがいいか悪いかの問題につきまして、せっかく調査も進めておるのでありますから、率直にこの点を証言していただきたいと思います。
  165. 樋口悦

    樋口証人 お答えします。私の方が愛媛の学生協と取引しましたのは昭和二十四年の九月、佐賀の学生協と取引しましたのは昭和二十五年、同じく秋田昭和二十五年の十一月ということになっておりまして、私の方は昭和二十五年、六年、七年と、この三期間は、五百万が千万になり、千万が二千万となり、常に毎期倍額の増加をした年なのでございます。従って、愛媛佐賀秋田もふえ、発行点数もふえました。そこで、特に生協と取引をした、何かそこに妙なことがあってふえたんだろうというお考えかしれませんけれども、総体全国的の平均がこの三期間においては倍になっております。そうしまして、遺憾ながらこの三県は昭和二十八年以来から漸減してきておるのが販売数の実情なんであります。それで、生協と申しますものと結局なぜ私の方が取引したかと申しますれば、当時の悪く言えば供給の紊乱ですか、供給が完全にいっていなかったということで私どもがこの三県と取引をしたのですが、そのときに生協といたしましては完全供給の実績をあげるために非常にきゅうきゅうといたしまして、そういう結果非常に愛される教科書となったのじゃないかと私は考えております。
  166. 濱野清吾

    ○濱野委員 かつての委員会におきまして、学生協連合会は展示会においてこの本を推奨するという通牒を出したという発言をしている委員がございます。このときにはそういう指令、推薦書というようなものは出たかどうか、また知っておるかどうか、お答え願います。
  167. 樋口悦

    樋口証人 そういう、今お話しのような怪文書が出たというようなことを私聞きましたもので、佐賀佐賀教育図書株式会社の者が上京しましたときに聞いたのでありますが、そういうものはないのだ、あれは怪文書だということを言っておりました。私も見たことがございません。
  168. 濱野清吾

    ○濱野委員 証人にお尋ねいたしますが、率直にお述べを願います。かつての学生協愛媛佐賀秋田証人会社が取引しましたこれらの本について、手数料は大体どの程度お出しになりましたか。その点、記録がございましたならば、証言を願いたいと思います。
  169. 樋口悦

    樋口証人 ここにその記録は持ってきませんけれども、現在取引していることから考えまして、普通の特約に出しておると同じ掛で出しておったと思います。
  170. 濱野清吾

    ○濱野委員 大体一二%、それに四%、合計一六%の手数料を出したと思うと了解して差しつかえありませんか。
  171. 樋口悦

    樋口証人 私が監督している範囲におきましては、そういう今申されました四%と一二%ですか、一六%の計算をさせております。
  172. 濱野清吾

    ○濱野委員 もう一点でありますが、委員長尋問の第九項、準教科書販売ということについて証人証言をしておりますが、これは俗に言うところのワーク・ブック、テスト・ブック、学習日誌なども含めてのお話でございますか。
  173. 樋口悦

    樋口証人 準教科書と申しますのは、ワーク・ブック、自習書を含めておりません。
  174. 濱野清吾

    ○濱野委員 それではお尋ねいたしますが、ワーク・ブック、テスト・ブック、学習日誌等は証人会社では発行していらっしゃいますか。
  175. 樋口悦

    樋口証人 ワーク・ブック、自習書もかつてはやったのでありますが、昨年の秋にこれを全廃いたしました。現在やっておりません。
  176. 濱野清吾

    ○濱野委員 準教科書販売の際、証人学校側に対し約一割前後の割り戻しをしていると言うのでありますが、この点、再質問いたしますが、はっきりお答えを願いたいと思います。
  177. 樋口悦

    樋口証人 準教科書につきましては、学校側販売店を通じまして一割研究費として戻してもらうように依頼してございます。
  178. 濱野清吾

    ○濱野委員 リベートの贈り主は証人会社並びにその他業者会社でありますから、それははっきりしております。しかし、多くは取次店を経由して学校側に贈るということになっているのか、あるいは直接各出版会社が贈るというルートを通っているのか、その点、はっきりしておりましたならば、お答えを願います。
  179. 樋口悦

    樋口証人 私の方がかつてワーク・ブック、自習書をやっておりましたときには、特約、取次を通じた場合と、それから希望する者に対して駐在員の手を経て出す、二本立をいたしました。準教科書につきましては、特約、取次の方のいろいろの意見もございまして、現在は特約、取次を通じてやっております。
  180. 濱野清吾

    ○濱野委員 最後にもう一点お尋ねいたします。言うところ学校側というのは、一体だれを指さすか。これを明快にお答えおきを願えれば非常にけっこうだと思います。
  181. 樋口悦

    樋口証人 学校側と申しますのは、私の方では特約、取次を通じまして学校側へ一割戻してくれということをお願いしているのでありますから、取り扱っている取次店はそれを学校へどう納めているかという現実は見ておりませんけれども、けだし、その本を使うクラスなり学校なりの、先生を通じて学校の何らかの費用に使われているものと推察します。
  182. 濱野清吾

    ○濱野委員 まことに恐縮でありますが、行政上の問題から言えば学校側とは校長でございます。しかし、使う本によっていろいろありまして、そういう本の買い主方面から見るならば、理科先生、算数の先生、いろいろあろうかと思います。また、学校にはPTAもございますし、あるいは労組の分会もございます。そのいずれにリベートというものをやっておるか、この点は明らかにできませんでしょうか。
  183. 樋口悦

    樋口証人 私の方が直接そこへ一割戻しているのではなくて、特約、取次にお願いしているのでありますから、先ほど申し上げましたように、現実は見ておらないのですが、察するにまあ学校で言えば校長であろうというお話でありましょうが、明らかに学校の公的なところに入っておるのだと私は確信をしております。なお、私の方は、準教科書と申しましてもそうございませんで、体育と社会と二種類でございます。
  184. 濱野清吾

    ○濱野委員 委員長に申し上げておきます。過般の委員会におきましても、今回の委員会におきましても、このリベートという言葉の響きはまことにおもしろくありません。これは当然のことだと言えばあるいは当然のことに聞えようかと思いますが、要は学校教科書に関する問題です。さらにまた、準教科書にあらずといえども、それは教育に関する重要な資料を買うのでありますから、ワーク・ブック、テスト・ブック、学習日誌、その他学校で買うこれらの本は非常に多いと思います。それで、ただいまの証人証言以外に、これらの本を買うときには必ずリベートがついているということは過般の委員会においても証明ができております。われわれの推定では相当膨大な金額になるであろうということも想像にかたくないところであります。つきましては、将来この点について正確にしておきたいと思いますので、しかるべき手続をとっていただきたい、こういうことをお願いしておきます。
  185. 高木松吉

    ○高木委員長代理 承知いたしました。  樋口証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長時間にわたって御苦労でありました。  この際お諮りいたします。本会議関係等もありますので、本日の証人尋問はこの程度にし、引き続き午後出頭を求めておりました証人條輝雄君につきましては、本日はこれをとりやめ、来たる二十五日午後一時より出頭を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 高木松吉

    ○高木委員長代理 御異議がなければ、さよう決しました。  次会は来たる七月二十五日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会